自動運転車が渋滞税の導入を加速する

自動運転車は、近い将来、町の通りのどこでも見られるものになるだろう。しかし、そうなる前に考えておかなければならない。自動運転車によって町中を素早く移動できるようになるのか、逆に渋滞がひどくなるのか?

自動運転だろうが、人が運転しようが、車は車だ。バス、路面電車、あるいは電車といった乗り物よりも、かなり多くのスペースを占有する。だから、そのコストが適切なものかどうか、はっきりさせておく必要がある。ライドシェアの普及のせいもあって、すでに多くの都市で交通量は増加の一途をたどっている。もしUberが自動運転車を本格的に導入すれば、より安く車を呼ぶことができるようになり、競争はさらに激しくなって、潜在的な道路の負荷は重くなる。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校のAdam Millard-Ball教授がJournal of Transportation Policyに発表した研究では、自動運転車によって交通量が劇的に増えるという説得力のある主張が展開されている。Millard-Ball教授によれば、多くの人がハンドルから手を離して、ただ座っていればよくなることで、道路を走るの車の数は飛躍的に増加すると予測できるという。

さらに、使われていないときでも、自動運転車は必ずどこかに行く必要がある。これには3つの選択肢がある。家に帰るか、どこかに駐車するか、ぐるぐる回っているか、のどれかだ。ほとんどの場合、自動運転車は、料金を払って駐車するよりは、いつまでも通りを周回する方を選ぶだろう。

ライドシェアの普及が、渋滞税導入の検討を必然的なものにする。近い将来、多くの自動運転車が目的もなく町中を周回するようになる可能性を考えればなおさらだ。

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既存の渋滞税の徴収方法には、いろいろな考え方がある。最も一般的な方法は、都市の中心部、または町の中の特定の領域を指定して、その領域に入った車に対して定額、または変動性の料金を課すというもの。このシステムでは、ゲートに付いたカメラシステムによってナンバープレートを読み取り、車の通過を監視する。車両に取り付けた発信機を利用するタイプのものもある。いずれにせよ、渋滞税システムは、どれも道路の使用に対して料金を課すことになる。

特に、都市部全域での交通量を把握する変動性の価格設定は、自動運転車に対して、これまでとは異なった意思決定を促す可能性もある。乗客を拾うために、空車で通りを走り続けるのではなく、町の中心部せよ、郊外にせよ、駐車する方を選ぶようになるかもしれない。そうなれば、交通量を減らして渋滞を緩和する効果が生まれる。

変動性の価格設定では、交通量が増えるにつれて価格を高くする。それによって人間が運転する車も、将来の自動運転車も、できるだけ道路から追い出して、車の通行をよりスムーズにしようというわけだ。米国では、高速道路で変動性の料金徴収方法が採用されているのをよく目にするだろう。しかし、シンガポールやストックホルムで導入されている渋滞税システムでは、混雑する領域全体に対して変動性の料金を適用している。

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渋滞税を導入すれば、車両の使用量増加を抑える直接的な効果が期待できる。また自動運転車についても、それらが及ぼす影響に相応の金額を確実に徴収することができる。ニューヨーク市は2021年から、渋滞税を徴収する領域を導入することになっている。60番街から南のマンハッタンに入るすべての運転手が対象だ。最終的なシステムはまだ決定されていないが、専門家によれば、年間10億ドル(約1115億円)の徴収が見込まれ、公共交通機関の拡充に役立てられるという。

大西洋を挟んだロンドンでは、2003年以降、中心部の8平方マイル(約20平方キロメートル)の領域で、現在約15ドル(約1670円)の渋滞税を徴収する方針が採用されている。2002年と2014年の比較では、この中心部に入る自家用車は39%減少した。しかし、Uberや、他の企業によって導入されたライドシェアのせいで、車の数は急激に増え始め、混雑も再び増加傾向となっている。

ワシントンDCやロスアンジェルス地域の渋滞税としては、都市部の渋滞地域ではなく、高速道路を通行するドライバーに対して、渋滞しないレーンを通るための料金を徴収する制度が導入されている。一般のドライバーは、当然ながら無料だ。コストはスムーズな通行に見合ったものでなければならないからだ。ワシントンDC地域では、遠く離れた郊外からの通行料は、最大で40ドル(約4400円)ほどにもなる。しかし、それはスムーズな通行を確保するために必要なコストなのだ。

一方シンガポールでは、このロジックを市の中心部まで拡張し、独自の渋滞税のモデルとともに採用している。中心の商業地区内と、その周辺に50以上のチェックポイントを設け、そこを通過する際に、無料〜3ドル(約330円)の料金を課金するのだ。料金は時間帯や道路の混雑具合によって変動する。ストックホルムでも、シンガポールのシステムと同様のロジックを採用し、1日の上限を1台につき約11.3ドル(約1260円)として、料金を徴収している。

うまく設計された反応のよい公共政策は、市民の正しい選択を促すものだ。渋滞税は、市場原理に則った規制であり、道路上の車を常に適切な数に保つことを可能にする。実際には、ガソリン車と電気自動車の比率にもよるが、渋滞の緩和に加えて、こうしたシステムには大気の質と公衆衛生を改善するのに役立つという一面もある。もちろん、渋滞税から得られた財源が、交通網そのものの改善に役立つのも確かだ。

都市の指導者に、そこに住む人々はどのような都市を建設しようとしているのかと尋ねたとしよう。望ましい答えは、人々のための都市であって、車のための都市ではない。自動運転車が、誰にとってもより良い都市を築くのに役立つものになることを、確かなものにしようではないか。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Uber、IPOの評価額目標は最大10兆円との報道

Uberは、来るべきIPOの売り出し価格を44~50ドルとし、80~100億ドルの調達を目指している。この場合の企業評価額は800~900億ドルになる。Bloombergが報じた

これまでの報道では、Uberの評価額を1200億ドル前後としていた。それでも上記の金額は、最後の調達ラウンド後の評価額760億ドルより高い。

この評価額の落ち込みは、Lyftの公開市場での実績に影響されたためである可能性が高い。NASDAQデビュー後、Lyftの株価は初日に10%近く高騰した後、苦戦を続けている。

Uberはまだ、IPOの条件を正式決定していないが、早ければ明日には発表すると報じられている。Uberが予想されている価格範囲の下限を選んだとしても、LyftのIPO評価額23.4億ドルの3倍以上になる。UberのIPOは、2014年のAlibaba以来米国最大になる

2018年、Uberは売上112.7億ドル、純利益9.97億ドル、調整後EBITDA損失18.5億ドルを計上した。Uberは2週間前にIPO申請し、5月にニューヨーク証券取引所に上場する予定。

UberIPOでトラヴィス・カラニック氏はビリオネアに、1兆円価値の株を保有

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberの自動運転部門がスピンアウトを前にトヨタやソフトバンクから1100億円超調達

Uberは、トヨタや自動車部品メーカーのデンソー、ソフトバンク・ビジョン・ファンドから計10億ドル(約1119億円)を調達し、自動運転部門をスピンアウトすることを明らかにした。

自動運転部門のスピンアウトは昨年10月ごろから推測されていたことだった。このスピンアウトは、Uberの主要事業から利益を上げていない部門を切り離して損失を縮小するのに貢献する。そしてUberのAdvanced Technologies Group(Uber ATGとして知られている)が、自動運転車両をマーケットにもってくるという難しい課題に専念することにもつながる。

今回の資金調達により、Uber ATGの企業価値は72億5000万ドル(約8114億円)になるとUberは発表した。出資の内訳は、トヨタとデンソーが6億6700万ドル、ビジョンファンドが残る3億3300万ドルを拠出する。

この出資は今年第3四半期に完了する見込みで、これは間もなく行われるUberのIPOにおいて投資家に新たな展望を提供する。Uberは2018年に18億5000万ドルの損失を計上していて、自動運転車や空飛ぶ車といった「ムーンショット」にかかったR&D費用4億5000万ドル超は損失の数字を大きなものにした。そうした資金を多く必要とするR&D部門を新会社として切り離すのは、Uberの決算数字を実際的なものにするのに役立つ。しかし明らかに損益ゼロもしくは収益化にたどり着くのは簡単ではない。

それでもなお、そうした数字はUberの勢いをくじくものではない。Uberは1世代に1社出てくるかどうかという企業として見られている。IPOで100億ドルほどを調達すると予想され、これにより企業価値は900〜1000億ドルになると報道されている。Uber ATGのスピンアウトそのものと同様、今回出資する3社の顔ぶれは驚きではない。

ビジョンファンド(そして親会社のソフトバンク)は2018年1月にクローズしたディール以来Uberをサポートしていて、一方のトヨタも昨年8月にUberに5億ドル出資している。トヨタとUberは自動運転車両のSiennaを2021年までにUberのサービスに投入すべく、ともに取り組んでいる。さらに協力関係を示すものとして、ソフトバンクとトヨタは合同で自動運転車両を使ったサービスを日本で展開する準備を進めている。

この2社はまた、Uberが株式の23%強を持つ東南アジアの配車サービス会社Grabも支援している。ソフトバンクは2014年から投資していて、トヨタは昨年10億ドルをGrabに出資した。この投資は配車サービス業界では最高額とされた。

「Uberグループで培われたテクノロジーとサービスネットワークに、トヨタグループの車両制御技術と量産ノウハウ、高度安全運転支援のガーディアンシステムを融合させ、より安全、かつ高品質で低コストの自動運転ライドシェア車両の実用化を目指す」とトヨタのコネクティッドカンパニーを率いる副社長の友山茂樹氏はプレスリリースで述べた。

以下にUberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏の短いツイートを掲載する。

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberが2018年に自動運転とeVTOLの開発に使った費用は512億円

4月11日にUberが提出したIPO趣意書によると、同社は昨年、自動運転、空飛ぶ車(eVTOLとして知られる)、その他の「テクノロジー・プログラム」の研究開発に4億5700万ドル(約512億円)を費やし、未来的なテクノロジー(まだしばらくは人間のドライバーに頼ることが予想されるが)に今後も集中的に投資を続ける。

UberのR&D費用は、自動運転車両部門であるUber ATGで発生している。同部門内のeVTOL部署Uber Elevateと他の関連するテクノロジーで、R&Dコスト全体の3分の1を占める。Uberの2018年のR&D費用は15億ドル超だった。

Uberは木曜日にS-1書類を提出したが、そこには来月株式公開する同社の基本的な考え方が示されている。この書類提出は、競争相手のLyftが上場デビューしてから1カ月もたたずに行われた。Uberはニューヨーク証券取引所にティッカーシンボル「UBER」で登場する見込みだが、公開価格はまだ明らかにされていない。

長期的にみて自動運転車両(AV)は株式公開の重要な部分を担うとUberは確信している。すなわち、AVは安全性を高め、乗車体験をより効率的なものにし、顧客が払う運賃を下げると考えている。

しかしUberは、どのように、そしていつ自動運転車両を展開するのかについてはIPO趣意書では慎重なトーンで記している。前CEOのTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)がAVを同社事業が抱えているリスクと呼んだ、Uber ATGの初期とは大きな差だ。

Uberは、「ハイブリッド・オートノミー」の長い期間があり、当面同社の主要事業は人間のドライバーに頼り続けるだろう」と主張している。たとえ、自動運転タクシーが展開されても「現在の交通、複雑なルート、異常な気象条件を含む」状況に対応するために人間のドライバーがまだ必要だ、としている。人間のドライバーはまた「十分に利用できる状態で、フル自動運転となっている車両が対応しきれない」コンサートやスポーツイベント、その他のかなりの需要を伴うイベントで必要とされるだろう、とUberはS-1書類に書いている。

以下にS-1書類からの抜粋を示す。

来るべき自動運転車の将来に向けては、ハイブリッド・オートノミーの長い期間があり、その期間中、自動運転車両は特異な利用ケースで徐々に展開される一方で、ドライバーが消費者の需要の大半に対応し続けると考えている。特異な自動運転車両の利用ケースを解決してから、我々は実際に自動運転車両を展開する。

Uberは、ハイブリッドオートノミーは人間のドライバーと自動運転車両が共にプラットフォームにあるというやや奇妙な過渡期のバランスを取るのに最適だ、と主張している。

「ゆえにドライバーは必須で、他社にはないアドバンテージであり、長期的に我々の大事なパートナーであり続ける」と書いている。

Uberの予想や控えめなトーンにかかわらず、同社は自動運転車両を前に進めている。

Uber ATGは2015年にピッツバーグでCarnegie RoboticsとCarnegie Mellon Universityからの研究者わずか40人で設立された。しかし今日ではUberATGはピッツバーグに加え、サンフランシスコ、トロントにもオフィスを構え、1000人超の従業員を抱える。

UberはS-1のリスク要因セクションに、自動運転車両テクノロジーの開発や商業展開ができないかもしれない、または競争に敗れるかもしれず配車・配達事業を脅かすかもしれない、としたためている。

自社にとっての最大の脅威についてのUberの見方は特に興味深い。Uberは競合する可能性のある12社近くの名前を挙げた。そこにはWaymoやGM Cruise、Zooxといったお馴染みの企業から、May MobilityやAnthony Levandowskiの新会社Prontio.ai.など、あまり知られていないスタートアップも含まれている。そのほかS-1に名前が挙がっているのは、Tesla、Apple、Aptiv、Aurora、Nuroだ。Fordの子会社Argo AIはリストにはない。

ATGはこれまでに250台以上の自動運転車を製造し、Volvo、トヨタ、Daimlerの3社と提携している。これは、UberのAVに対する複数の戦略を示している。

UberはVolvoと最初の契約を結んだ。2016年8月に発表された合意では、UberはVolvoの車両を所有し、そこにAVテックを搭載して、自社ネットワークで展開する計画だ。

Daimlerとの提携はまったく正反対だ。2017年1月に発表されたこの提携では、Daimlerは同社のAV車両をUberのネットワークに提供することになっている。これはLyftのAptivとの提携に似ている。

最後にトヨタだ。2018年8月に発表された比較的新しいこの提携はVolvo、そしてDaimlerのケースを合わせたようなものだ。Uberは、自社のAVテクノロジーをそれ用につくられるトヨタ車に統合してネットワークで展開することを想定している、と話している。

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(翻訳:Mizoguchi)

UberのIPOでトラヴィス・カラニック氏はビリオネアに、1000億円価値の株を保有

Uberの共同ファウンダーTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏は、2017年に会社を辞めたが、5月に予定されている同社のIPOで数十億ドルを手にする見込みだ。

ライドシェアリングの巨人は米国時間4月11日午後にS-1書類を提出し、ニューヨーク証券取引所でティッカーシンボル「UBER」として取引される計画であることが正式にわかった。同社は目標とする評価額を公表しなかったが、100億ドル前後の株式を売る計画だと言われている。

この提出書類によって、Uberの主要株主たちに注目が集まった。カラニック氏は同社の公開前株式の8.6%を保有しており、これはIPO後の評価額を1000億ドルと仮定すると、約90億ドル(1000億円)の価値に相当する。

Uberはこれまでに200億ドル近い資金を、借入れおよび株式発行によって調達しており、新規株式公開前企業として最も資本の多い企業とされている。同社のIPOは米国史上8番目の規模で歴史的であるとAxiosが報じている

申請書類によると、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが公開前株式の16.3%を保有している。その他の主要株主には、Benchmark(11%)、Uber共同ファウンダーのGarrett Camp氏が設立したスタートアップ・スタジオ、Expa(6%)、サウジアラビアの公共投資ファンド(6%)、およびAlphabet(5.2%)らがいる。

申請書類には書かれていないが、Uberの初期株主たちもこのIPOで大金を稼ぐことは間違いない。Menlo Ventures、Lowercase Capital、First Round Capital、および多数の個人投資家がいる。

UberがIPOを申請、評価額は11兆円超えか

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

UberがIPOを申請、評価額は11兆円超えか

UberはS-1書類を提出し、来月の上場に向けて舞台を整えた。ライバルのLyftが公開市場にデビューしてからまだ1カ月も過ぎていない。

Uberは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)にティッカーシンボル「UBER」で登場する予定だが、想定IPO価格はまだ明らかにされていない。Uberは希望評価額を表明していないが、これまでの報道によればUberは100億ドル相当の株式を発行する計画で、評価額は900億~1000億ドルになる見込みだ。

提出資料によると、Uberの2018年決算は売上112.7億ドル、純利益9.97億ドル、調整後EBTTDA損失18.5億ドルだった。これは以前Uberが財務状況を公表したため、すでに知られていた数字だ。

なお、Uberの財務状況を目にするのはこれが初めてではない。過去数年間、Uberは多くの数値を公表してきた。非上場企業として最後となった2月の報告で、Uberは2018年Q4の売上30億ドルおよび営業損失の増加を公表した。

ライドシェアリングに限ると、Uberの売上は2016年の35億ドルから、2018年は92億ドルに増え、ブッキング総額は415億ドルに達した。

Uberのライドシェアリング、新モビリティー、およびUber Eatsの2018年Q4月間アクティブプラットフォームユーザー数は9100万人。そこから生まれた総利用回数は15億回だった。

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UberのS-1には多くの情報が詰め込まれているので、その他の興味深い点をざっと紹介する。

  • 2018年Q4にUberでは、月間アクティブプラットフォームユーザー1人あたり5.5回の乗車があった。
  • Uber Eatsは同四半期ブッキング総額の18%を占め、これはライドシェアリングのブッキング総額よりも多かった。
  • 2018年のライドシェアリング利用総数は34%増加したが、ブッキング総額は1%減少しした。

主要な株主がどれほどの金額を手に入れるのかは明らかにされていないが、Uber共同ファウンダーのTravis Kalanick氏は8.6%、1.175億株を持っている。その他の著名な株主にCayman 2 LtdとAlphabetがいる

ライバルのLyftは3月にS-1書類を提出し、2018年の損失は10億ドル近く、売上は21億ドルだった。ブッキングは81億ドルで、乗客数3070万人、ドライバーは190万人だった。その約一週間後、LyftIPO価格を6268ドルの範囲に設定し、最大21億ドルの調達を目標にした。NASDAQにデビューした後、Lyft株は上場当日に10%近く急騰した後、苦戦を強いられている。

Travis Kalanick stands to make billions from Uber’s IPO

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uber、100億ドルのIPO目指す

Uberは11日にもIPOの登録届出書を公開する予定、そして約100億ドル相当の株式を売却する見込みだ。ロイターが報じた。 もしそうであれば、2014年のアリババのIPO以来、そしてテック業界において史上最大規模のIPOの1つとなる。

これまで、Uberの評価額は約1200億ドルとなるという報道もあったが、Uberは900億から1000億ドルのバリュエーションを目指しているという。 その減少はLyftの「さえないパフォーマンス」が原因だと伝えられている。 それでも、バリュエーションは直近の資金調達ラウンド時の760億ドルよりも上がっている。

Uberは今月末、投資家向けに説明会を今月末にも開始し、5月上旬にニューヨーク証券取引所に上場する予定だ。TechCrunchではUberが来月に上場する見通しだという情報を独自の取材から得た。

Uberから追加の情報を得られた場合、この記事を更新する予定だ。

(本稿は米国版TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

[US版TechCrunchの記事はこちら]

東南アジアで事業終了したUberがAPAC本部をシンガポールに残存させる理由

Uberは、昨年現地事業をGrab(グラブ)に売却して、東南アジアでの営業を終了したが、引き続きシンガポールに留まり、アジアパシフィック地域のための新たな地域本部を開設し、現在スタッフを雇用している。

近日中のIPOを目指している同社が、彼の地でサービスを再開するわけではない。しかしその新しい本部(HQ)が置かれたのはシンガポールの中でも興味深い場所だ。

だがここしばらくは行き詰まった空気が流れていた。昨年8TechCrunchは、Uberがシンガポールで大々的な採用活動を行っていると報じたが、結局その成果は新しい2000平方メートルのオフィスとして現れた。その場所は、シンガポールの中央ビジネス地区の近くである。これは、Uberがアジア太平洋地域で関わっている9つのマーケット(日本、韓国、オーストラリアなどを含む)のマネジメントセンターとして機能する。なおUberにとって2番目に大きいマーケットであるインドは、他の地域とは別に管理されている。

Uberの東南アジアでの売却(これによってUberはシンガポールのライバル企業の株式の27.5%を戦術的に取得した)では、Uberはその運営人材を、Grabにわたすことを基本的に拒否した。その代りにUberの大部分のコアマネジメントチームは、シンガポールの同社に留まったままなのである。例えば、2017年にアジアパシフィック地域の最高経営責任者として雇用されたたBrooks Entwistle(ブルックス・エントウィッスル)氏は、Uberの国際最高ビジネス責任者として留まっている。

シンガポールの地元紙であるStraits Timesによれば、シンガポールのUberの人員は少なくとも165人であり、現在さらに17人を募集中である。昨年報告したときには、同社はシンガポールに本拠を置くチームを100人以上にするために、少なくとも75のロールに対して雇用を行うことを目指していた。どうやらその目標は達成し、更にある程度の雇用も行ったようだ。

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(翻訳:sako)

配車サービス大手のUberが中東のライバルCareemを約3400億円で買収へ

何カ月もになっていたが、ようやく配車サービス大手のUberは、中東のライバル企業Careemを31億ドル(約3400億円、17億ドルが転換社債で、残りの14億ドルは現金)で買収すると明らかにした。

Uberは、この買収は規制当局の承認を得たうえで2020年第1四半期に完了する見込みだと発表文に書いている。

また、Careemのモロッコからパキスタンにまたがる広範な中東地域におけるモビリティ事業、デリバリー事業、そして決済事業の全てを買収する、とも記している。

Careemの主要マーケットはエジプト、ヨルダン、パキスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦で、計15カ国120都市で展開している。

Crunchbaseによると、Careemはこれまでに7億7200万ドルを調達していて、出資者にはサウジアラビアのKingdom Holdings、中国の配車サービス大手Didi、そして日本のテック大企業の楽天が含まれる。

Careemは、Uberのライバルとして2012年に設立されたが、以来、食べ物や荷物の配達、バスサービス、送金など事業が多角化されてきた。この多角化はRoundMenuとCommutの買収(2つとも昨年発表された)も支えている。

UberがCareemに支払う額は、最近の評価額よりもかなり大きいという点で注目に値する。昨秋Careemが2億ドルを調達したとき、Careemの評価額は20億ドルほどと報じられていた。

また今回の買収額は、中東テックスタートアップのエグジットとしては最高額になると同時に、グローバルでの配車サービスがらみのM&Aの中でも最大規模の案件の1つとなる。(例えば、中国のDidiは昨年初めにブラジルの配車スタートアップである99に6億ドル超を払い、ラテンアメリカでの評価額は10億ドルになった)。

また東南アジアにおけるような事業撤退ではなく、Uberが中東で積極的に展開するというのも特筆に値する。

Careemの買収について、UberのCEO、Dara Khosrowshahi氏は以下のようにコメントしている。

我々のプラットフォームの強みを世界中で継続して拡大させるなかで、この買収はUberにとって重要な局面だ。イノベーティブなローカルソリューションをつくりだすことができることからもわかるように、Careemは中東におけるアーバンモビリティの未来形成で重要な役割を果たし、この地域で最も成功したスタートアップの一つとなった。Careemの創業者らと親密に連携し、我々が動きの速いこの業界で乗客やドライバー、都市に優れた結果をもたらせると確信している。

一方、CareemのCEOで共同創業者のMudassir Sheikha氏は別の声明文で以下のように述べた。

Uberと手を携えることで、人々の生活をシンプルにして改善させ、影響を与えるような素晴らしい組織をつくるというCareemの目的をさらに推進させることができる。この地域におけるモビリティと幅広いインターネットの機会は巨大で、手付かずだ。そしてデジタルの未来に向けてこの地域を飛躍させる可能性を持つ。今回Daraがリーダーシップを発揮したことで実現し、我々はUberよりもいいパートナーを探すことはできなかった。これは我々、そしてこの地域にとって記念すべきマイルストーンだ。世に出始めた起業家が地元や世界の投資家から資金を得る機会を増やすことで、我々はこの地域のテックエコシステムに刺激を与える存在となるだろう。

買収完了後は、CareemはUberの全額出資子会社となる。そしてSheikhaのリーダーシップのもと、自社ブランドで事業展開を続ける。

そしてUber傘下企業として、Careemの役員会はUberからの1人と、Careemからの2人で構成される見込みだ。

2社の事業は最近、地方マーケットでいくらか重複がある。カイロやカサブランカのような都市で2つのブランドが事業をそれぞれ継続させるのか、あるいは中東といくつかのアジアマーケットにおけるブランドとしてCareemに統一するのかは不明だ。

この件についてUberの広報は「規制当局の承認次第ではあるが、この買収が2020年第1四半期にクローズするまでは何も変わらない。その後、我々は2つの個別のブランドとして現在展開している全マーケットで事業を続ける」。

2社が独立したブランドとしてそれぞれに事業展開するとUberが強調していたこともあって、最初は主要マーケットに大きな変更はなさそうに思えた。しかし、この2社合併は競争とイノベーションを制限するものではないと規制当局を安心させるねらいがある可能性も否定できない。

Uberはこの買収を、「Careemの地域におけるテクノロジーインフラと、イノベーティブなローカルソリューションを生み出す能力でもって、グローバルリーダーシップとテクニカルな専門性」の結婚、と表現する。これは、買収が地域の交通インフラを「スケール展開」するのを支える一方で、「幅のあるモビリティ、デリバリー、支払いのオプション」の共有をサポートすることを意味している。

Careemのデジタル決済プラットフォーム(Careem Pay)やラストマイル配達(Careem Now)といったサービスを提供する消費者向けのスーパーアプリの開発を通じて、この買収は地域に住む人へのデジタルサービスの提供をスピードアップさせる」とも述べた。

Uberはまた、配車を依頼する消費者を幅広い価格帯で誘う、「バラエティーに富んだ信頼の置ける」サービス拡大もこの買収で実現する、と語る。2つのブランドのドライバーに関しては、ドライバーの時間を最大限活用することで、より良い労働機会と「今よりも高く、予測のつく収入」を提供する、ともしている。

配車サービスでライバル関係にあった2社による今回の合併が、価格面などでどのように好影響をもたらすのかはまだ見えない。

CNBCが入手した、Uberスタッフにあてたメモで、Khosrowshahi氏はパキスタンや、女性の運転が解禁され配車サービスに追い風が吹いているサウジアラビアのようなマーケットで急成長がみられることを指摘しながら、今回の買収はUberにとって「“大きなジャンプ」と表現した。

このメモでは言及されていないが、Uberの事業は西欧マーケットでより厳しい規制制度に直面していることをメモは物語っている。西欧マーケットでは法規制や当局の厳しい監視により事業コストが増大している。昨年Uberがヨーロッパ全体に拡大した、ドライバーや荷物配達者向けの無料保険などはその例だ。

また、行政が渋滞や大気汚染に関する規制を強化するのに伴い、Uberは配車サービスから、マイクロモビリティ(昨年、電動自転車スタートアップのJumpを買収した)を含む多様なサービス展開へと舵を切ってきた。

それとは対照的に、石油が豊富な中東は規制がさほど厳しくなく、気温が高いためにエアコンのきいた交通手段が好まれていて、間違いなく配車サービスにとっては完璧なマーケットコン状況だ。ゆえに、この地域はおそらくUberにより確かな需要を提供する。

Careemが独立したブランドを維持し、運営も別に行うというこの構造について、Khosrowshahi氏は熟慮の末に至った、とスタッフへのメモに記している。

このフレームワークは、新たなプロダクトを作ったり、2社にまたがる新たなアイデアを試したりするうえでメリットがあると判断した。我々のネットワークを部分的に統合することでより効率的な運営ができ、待ち時間を短くし、大型車両や決済のような新たなプロダクトを拡充させられる。そしてこの地域で展開されているイノベーションの驚くべきペースをさらに加速させることができる」と書いている。また、両社は買収後もほぼ別々に運営されるので、両社のチームの日々のオペレーションに変更はほとんどないと考えている、とも付け加えた。

2つのブランドを展開するという戦略は、中国のDidiが2016年にUberの中国事業を買収するのに同意したときにもとられた。

その他の要素としてはUberのIPOがある。これはようやく来月に行われると報道されている。

Careemの獲得は、今後予定されている株式公開で株主となりえる人たちに成長ストーリーを提供する。これを相殺することになるのが、頑固な損失だ。現金で14億ドルをCareemに支払わなければならず、四半期決算での損失計上は続く。

つい先日、Uberは2018年第4四半期の決算で売上高30億ドル、純損失8億6500万ドルを計上した。損失の方は本当は12億ドルだったが、税制上の優遇措置で縮小した。

一方、年間ベースでは、2018年の損失は18億ドルで、2017年の損失22億ドルから少なくとも縮小している。

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(翻訳:Mizoguchi)

シリコンバレーのCEOを渋滞から救う、空飛ぶタクシーのスタートアップBlade

1年前に、3800万ドル(約41億円)のシリーズBの資金を調達したBladeは、オンデマンドの航空サービスを提供するスタートアップ。ベイエリアのエリートを対象にタクシー事業を始めた。

Bladeは、新しい試験的なプログラムとして、サンフランシスコとシリコンバレー周辺の200人限定で、同社のモバイルアプリを配布した。それを使ってヘリコプター、プライベートジェット、さらには水陸両用機までも、直前の予約で利用できる。料金は一人200ドル(約2万2000円)からだ。

Bladeは、ベンチャーキャピタルのLerer Hippeau、Airbus(エアバス)、元Google CEOのEric Schmidt氏などからの支援を受けている。現在は、自らの本社があるニューヨーク市周辺で旅客を運んでいる。Hamptonsへの贅沢な800ドル(9万円弱)のフライトをはじめとして、さまざまな価格帯で航路を提供している。Business Insiderによれば、過去にはUberと協力して、交通の便が悪いカリフォルニア州のCoachellaの乗客のために、Van Nuys空港とPalm Springsの間を運行していた。6人乗りのヘリコプターをチャーターすると、料金は1回の飛行あたり4000ドル(約44万円)以上かかっていた。

その最新の試行プログラムは、ビジネス旅行者をターゲットにして、サンフランシスコ国際空港やオークランド国際空港から、Palo Alto、San Jose、Monterey、そしてNapa Valleyへの便を提供する。目標としているのは、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなどの主要都市で、交通渋滞のために耐え難いほど長くなる移動時間を短縮すること。さらにこのスタートアップは、最近アメリカン航空と提携して、ヘリコプターのネットワークをうまく構築することに成功した。これは、既存の交通インフラとの統合に取り組んでいる同社にとって、大きな1歩となった。

Bladeを率いる創立者で最高経営責任者でもあるRob Wiesenthal氏は、元Warner Music Groupの幹部だった。これまでに約5000万ドル(約55億円)のベンチャーキャピタル資金を調達している。最初から大きな規模で立ち上げ、最終的には、もはやほぼ公共交通機関のようになったUberのような大企業と競合するためには、さらに多くの投資を呼び込む必要があるだろう。

そのUberも、一般向けの航空機相乗りビジネスを開拓するという崇高な計画を持っている。他にも、同様の計画を持った個人出資のスタートアップが何社かある。Uberは早ければ2023年にも、UberAIRと呼ぶ短距離の相乗りフライトを通勤用に提供する予定だ。同社は、すでに数十億ドルを調達して、このSF的な構想を現実のものにしようとしている。

他にはKitty Hawkもある。元Google副社長で、Udacityの共同創立者でもあるSebastian Thrun氏によって立ち上げられた会社だ。ヘリコプターのように離陸し、飛行機のように飛ぶことのできる、短距離用の都市交通手段として使える航空機を開発している。エアタクシーや、垂直離着陸機の分野では、Volocopter、Lilium、Joby Aviationといった会社もある。すでに何千万ドルもの資金を調達し、交通渋滞を解消することを、あるいは富裕層を焚きつけることを目指している。

Bladeが次に狙いを定めているのはインドだ、とFinancial Times紙が報じている。そこで、MubaiのダウンタウンとPuneの間で旅行者に移動手段を提供するプログラムを試行する。同社はTechCrunchに対し、現在米国内で1つ、米国外でも1つ、試行プログラムを検討中だと明かした。

(関連記事:Uber’s aerial taxi play

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Uberが来月にもIPO申請とロイターが報道

LyftがIPOを正式申請したのに続き、UberもIPO申請書類S-1を4月に提出する見込みだ、とロイターが報じている。Uberは昨年12月にIPOのための書類を内々に提出していた。

Uberはまた、IPOに伴う動きを始動させる見込みだ。株式公開の一環として、積極的に活動したり長期間働いていたりするドライバーに報奨金を提供して株式を与えることを計画している。

1カ月ほど前、Uberは2018年第4四半期の決算を発表し、ここでは売上30億ドル、損失8億6500万ドルを計上した。しかしこの数字は税制優遇適用後のものであり、適用前は損失12億ドルだった。調整後のプロフォーマベースでは2018年第4四半期の最終損失は7億6800万ドルだった。

この数字は前期からは若干改善した。2018年第3四半期はプロフォーマベースで9億3900万ドルの損失を計上し、税引き前純損失は9億7100万ドルだった。にもかかわらず、Uberの損失は第4四半期も続いたことになる。年間ベースでは、2018年の損失は18億ドルで、2017年は22億ドルだった。

競合するLyftは今月初めにS-1を提出したが、2018年の売上は22億ドルで損失は10億ドル近くだった。S-1でLyftは、2019年2月25日時点で最低2万回の乗車を提供した“優良”ドライバーに最大1万ドルの現金ボーナス給付を計画していることを明らかにしている。

Uberは今回のロイター報道についてのコメントは拒否した。

原文へ、翻訳:Mizoguchi)

Uberの自動運転車部門は月に22億円超を費やしていた

IPOの準備段階で、Uberの巨額の支出と巨大な野心の詳細が、裁判所への提出書類から明らかになった。

先週公開された裁判所の文書によれば、Uberは今年、路上に7万5000台の自動運転車を配備し、2022年までには13都市で無人タクシーサービスを運用する予定だったという。この野心的な目標を達成するために、今年後半に公開を予定している同社は、自動運転技術の開発に毎月2000万ドル(約22.3億円)を費やしていた。

2016年に遡るその数字が描き出すものは、その大胆すぎる自動運転の目標を必死で追い求め、そのためにはたとえ無謀であろうとも糸目をつけず支出を行う企業の姿である。Uberが今年後半のIPOを準備する中で、この新たに明かされた詳細は、同社がいまでも、創業者のトラビス・カラニック氏が提唱していた、Uberが未来に「生き残る」ため技術の開発を続けているという、困惑するような事実を思い出させるものかもしれない。

このレポートは昨年のWaymo(ウェイモ)との間の、特許及び企業秘密に係る窃盗訴訟のためにUber向けに書かれたものだ。この訴訟でWaymoは、元Googleの技術者だったアンソニー・レバンドウスキー氏が同社を辞めてトラックのスタートアップOtto(オット)を起業した際に、Googleの技術的な秘密を持ち出したと訴えた。Uberは2016年にOttoを買収している。Uberは、Waymoが被った経済的損害額に対するWaymo自身の18億5000万ドルという莫大な評価に対して疑問を投げかけるために、専門家の立場の証人として、レポートの著者であるウォルター・ブラティック氏を雇った。ブラティック氏のレポートは、Waymoの企業秘密と言われているものを独自に開発するためのコストは、60万5000ドルだと報告している。

Waymoは最終的にUberの株式の0.34%を受け取ることになった。これは最近の同社の評価額である900億ドルが正確であるなら、IPO後には3億ドル前後に相当するものとなる。

ブラティック氏のレポートは内部の詳細な分析を行い、Uberが2016年に行っていたProject Rubicon(プロジェクトルビコン)というコードネームのプロジェクトについて報告している。その年の1月のプレゼンテーションでは、2018年には無人車によってUberは利益を得ることができると予測していたが、それが2016年5月になると、Uberは2019年までには1万3000台の自動運転車を所有することになるだろうとしていた。そのたった4カ月後、その見積もりは7万5000台へと急増した。

現在のUberの自動運転技術の責任者であるエリック・メイホーファー氏は、Uberが2022年までに数十の都市に数万台の自動運転車を投入するという当初の想定は「非常に憶測的」な「仮定と見積もり」によるものだったと証言した。メイホーファー氏はそれ以外の数字の開示を拒否したが、以下のように語った「13カ所以上の都市を考慮する多くのシナリオを検討していた筈です。他のシナリオでは200、あるいは100もしくは300カ所の仮定をしていたかもしれません。それは目標を達成するためのパラメータを理解するために、回してみる必要のあったツマミ群なのです」。

当時Uberの自動運転車を担当していたエンジニアであるジョン・ベアーズ氏によって設定された、1つの具体的目標は、2020年までに人間のセーフティドライバーを不要にできるようにすることだった。同社の技術者たちは、Ottoとレバンドウスキー氏を獲得することでその進捗が劇的に進むと確信していたようだ。

「ある時点で、ジョン・ベアーズ氏と(元Googleのエンジニアである)ブライアン・マックレドン氏は、そのことで(自動運転車の開発が)12から24カ月早まると見積もったのです」と証言しているのは、Uber社の開発マネージャーの1人だ。

新たに開示された、2016年1月のレバンドウスキー氏とのミーティング議事録によれば、ベアーズ氏は単にレバンドウスキー氏と話すだけでも数億ドル分の価値があると考えていた:「彼は何を行うべきで、何を行うべきではないかについての、洗練されたアドバイスを提供してくれるでしょう。彼と1日過ごすことで私たちのチームは2020年に向けて何カ月もの節約をすることができるでしょう(1カ月==2000万ドルの支出)」。

TechCrunchの試算によれば、もしUberが2015年の初頭に始めたその自動運転プログラムに対して月々2000万ドルの経費をつぎ込み、そしてOttoの買収に2億ドルを使ったとすれば、Uberは自動運転車の研究に9億ドル(100億円)以上を使った可能性がある。対照的に、Waymoは2009年から2015年末までに、独自の自動運転車に対して11億ドルをつぎ込み、現在は毎年10億ドルを支出している可能性がある。

しかし、OttoとUberの新婚旅行の期間は短いものだった。訴訟の宣誓の中で、ベアーズ氏は、Ottoの買収によりUberの自動運転車への取り組みが進むとの期待は「2016年1月初頭から3週間から4週間」続いただけだったと述べた。2016年8月までには、彼の証言によれば、実際には後退であることが判明した:「私たちはそれを活かすことができませんでした。アンソニー氏の管理と指導が結果としてもたらしたのは私たちのスタッフに対する管理上の混乱でした」。

ブラティック氏のレポートには、Uberが自動運転車に投入していたスタッフの数が詳細に書かれている。2017年6月におけるUberのハードウェア部門の人数は155人であり、ソフトウェアには405人が取り組んでいたという。それよりも2カ月前に出た別のUberのレポートには、それよりも2倍多い1500人が自動運転ユニットで働いていると書かれている。とはいえこの数にはおそらくUberのテスト運用チームと車両操作担当者も含まれているのだろう。

今回新たに開示された文書では、Uberが行ったとされるWaymoの企業秘密の不正利用で、Uberは自動運転のテクノロジーを3年10カ月以上加速することができた、とWaymoが主張していたことも明らかにされた。

「これが意味することは、2022年までに13都市での商用運行を行うとするUberの想定を考慮すると、Uberは13都市での自動運転技術そのものの商用化の準備が2018年までには整っていなければならなかったということである」とブラティック氏は書いている。もちろんこれは実現していない。実際昨年3月のアリゾナ州テンペでの死亡事故の後、Uberはようやく最近になって、数少ない自動運転車を使う公道上のテストを再開したところだ。

Uberは2018年の第4四半期に8億6500万ドルの純損失を計上したが、これまで利益を挙げたことは一度もない。

画像クレジット: Uber

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(翻訳:sako)

Uberが自動運転ビジネス強化のためソフトバンクなどから約1100億円を調達か

Uberが新しい資金調達ラウンドの実施を検討しているみたいだ。The Wall Street Journalが3月13日(現地時間)に伝えたところによると、同社は10億ドル(約1100億円)の資金を調達するためにソフトバンクのビジョン・ファンドなどを含む投資家との協議を重ねているという。今回の資金調達は同社の自動運転部門に対して実施され、その評価額は50億ドルから100億ドルになると見られている。

WSJによれば、この資金調達ラウンドは早ければ来月にもクローズするという。Uberは2018年にIPOに向けた申請を行っており、それを考えるとIPOと今回の資金調達ラウンドの時期は重なることになる。

Uberはこれまでに、デットとエクイティを含めて約200億ドルを調達済み。現在のバリュエーションは約700億ドルにのぼる。

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(この記事は米国TechCrunchの記事を翻訳・編集したものです)

地元検察はUberに刑事責任なしと判定、2018年の自動運転車歩行者死亡事故で

アリゾナ州ヤバパイ郡の検察は米国時間3月5日、2018年Uberの自動運転車がアリゾナ州テンピーで起こした歩行者死亡事故で同社に刑事責任がない、と判定した。

その自動運転のSUV車は予備の人間ドライバーが運転席に乗っていたが、道路を横断しようとしていたElaine Herzbergに衝突した。後に彼女はそのときの負傷により死亡した。その衝突事故を受けてUberは、その後9カ月、自動運転車の公道上のテストを中断した。

アリゾナ州マリコパ郡検事宛の書簡で検察官Sheila Polk氏は、調査に基づき、ヤバパイ郡検察事務所は、衝突のビデオが“起きた出来事を正確に描写していないようだ”、と判断した、と書いている。Uberに刑事責任を認める“根拠はない”が、Polkは、テンピーの警察にこの事案を差し戻し、その車両の予備ドライバーのRafaela Vasquez氏に関連するさらなる証拠を集めることを推奨している。警察は昨年、Vasquez氏が運転席にいながらスマートフォンでストリーミングビデオを視ていた、と言っていた。

Polk氏の書簡は、専門家によるビデオの分析により、運転席に座っていた人物がその夜、そのときの車のスピードと照明の条件やそのほかの関連要因のもとで、何を見たか、何を見たはずであるかを精密に捕捉すべき、と彼女の務める検察事務所は信じている、と書いている。

テンピーの衝突事故でUberに刑事責任はないとされたが、しかしThe Information誌の12月の記事は、Herzberg氏の死のほぼ1週間前にUberの管理職の一人が役員たちに送ったメールで、同社の自動運転車の安全性の問題に関して警告を発していた、と報じている。

本誌TechCrunchは今、Uberにコメントを求めている。

画像クレジット: Anthony Wallace/AFP / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

UberとLyftがドライバーに慰労報奨金を用意、IPO時に株を買うオプションも

ライドシェア企業のUberとLyftは、近く行われる両社のIPOでドライバーにお金を与え、そのときの株を買えるようにする、と米国時間2月28日にウォールストリートジャーナル(WSJ)がが報じている

その記事によると、近い筋の情報としてUberとLyftはともに、これまで長期間よく働いてくれたドライバーに慰労報奨金を提供し、そのIPOにおいて株を買うオプションを与える。Uberの場合、その総額は数億ドルで、個別の金額はドライバーのこれまでの稼働時間に比例したものになる。また時間だけでなく、旅客搬送や物品配達の総回数も勘案される。

2018年の5月にはUberのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)CEOが、ドライバーに福利厚生と保険を提供したい、と言った。WSJによると、Uberは2016年から、ドライバーに株を提供することを検討してきた。

一方Lyftは、旅客搬送回数2万回以上のドライバーにキャッシュ1万ドルまたは額相当の株式を報奨として提供する計画のようだ。

UberとLyftはともに内密でIPOを申請している。Lyftは3月にNasdaqに上場すると予想されている。両社ともに、そのときの発行株数を公表していない。

本誌TechCrunchは今、UberとLyftにこの件の詳細と最新情報を問い合わせているので、何か得られ次第この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uber、2018年Q4売上は30億ドル、営業損失は悪化

今年予定されているIPOを前に、Uberは第4四半期決算で8.65億ドルの損失を記録した。この数字は税制優遇適用後のものであり適用前は12億ドルの損失だった。調整後プロフォーマベースでは、Uberの2018年最終四半期の損失は7.68億ドルだった。

この数字はまがりなりにも改善ではある。2018年第3四半期に同社はプロフォーマ純損失9.39億ドルを記録した。しかし税引前純損失は9.71億ドルと今期より少なかった。いずれにせよUberの大きな損失は今四半期も続いた。

一方Uberの調整後EBIDTA損失は8.42億ドルで対前年比88%増、第3四半期から60%増だった。第3四半期の調整後EBIDTA損失は5.27億ドルだった。この損失増には競争の激化や同社のマイクロモビリティー(二輪車等)への多大な投資が寄与している。

2018年Q4の総受注額(ドライバーに支払う前の収入)は対前四半期比11%増の142億ドルへと伸び、売上は2%増の30億ドルだった。

対前年比で見ると、Uberの総受注額は37%増、売上は24%増だった。しかし、受注額に対する売上の比率は21.3%に減った。これらの数字には東南アジアとロシアは含まれいていない。

  • GAAP 収益:30億ドル
  • 対前年比24%増
  • 対前四半期比2%増
  • 総受注額に対する売上の比率は1.9%減の21.3%

2017会計年度全体と比較すると、Uberの2018年の総受注額は45%増の500億ドルだった。その結果GAAP売上は2017年から43%増の113億ドルだった。EBITDA損失も2017年の22億ドルから18億ドルへと改善(減少)した。まだ損失は大きいが、全体的にはUberが正しい方向に進んでいることを示す良い兆候と言える。

「昨年は当社にとって最高の年であり、Q4にはプラットフォームの定着率で新記録を達成した」とUBerのCFO Nelson Chaiが声明で語った。「2018年に当社のライドシェアリング事業は、サービス提供しているあらゆるカテゴリでトップを維持し、UBer Freightは米国で好調に受け入れられ、JUMPの電動アシスト自転車や電動スクーターは10年以上で運用されている。またUber Eatsは、総受注額ベースで中国以外では最大のオンライン食品配達ビジネスになった。

Uberの2018年Q4、その他の重要数値:

  • 現金および同等物:使徒未指定現金64億ドル(2018年Q3末は48億ドル、2017年Q4は44億ドル)
  • 調整後EBITDA利益率:総受注額の-5.9%(2018年Q3は-4.1%)

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uber、運転手数の制限でNY市を告訴

Uberがニューヨーク市を相手取って訴えをおこした、とVergeが報道した。Uberは、ドライバーの数を制限する同市のルールをひっくり返したい。昨夏、NY市はドライバーへの新規ライセンス発行を12カ月間、一時的に停止する法案を承認した。

UberとNY市の戦いは数年に及ぶ。NY市の市長Bill de BlasioはUberを規制する法案に何年も賛成してきた。そしてNY市議会はようやく新ルールを2018年8月に可決した。もちろんUberは規制に猛反対してきた。採決の前は、ヘビーユーザーに電話をかけて地元選出の議員にUberのサポートを依頼するよう、お願いしさえした。

議員たちが、ドライバー制限になぜ賛成なのか、その理由はいくつかある。まず1つは、UberやLyft、その他の配車サービス企業によってマーケットが急に大きく変わり、タクシーライセンスを持っている人が苦しんでいる現実がある。ライセンスの価値は大きく下がり、そうしたライセンスを取得するのに大枚をはたいたドライバーたちは経済的困難を抱えている。

2つめに、配車サービスが交通混雑を引き起こしているということだ。UberのユーザーたちはUberを利用するようになって車を所有しなくなった。同時にUberは、地下鉄やバス、自転車といった他の多くの交通機関にも取って代わっている。

交通機関の使用パターンの変化に加え、NY市では多くのドライバーが運転しながら、次の乗車を待っている。こうした客の乗っていない車が道路を塞いでいる。

3つめに、こうした変化に伴う経済的な理由がある。Uberはドライバーと乗客をマッチングするマーケットプレイスだ。規制は、タクシードライバーに対してほど配車サービスドライバーに対しては厳密ではない、という事実をUberは利用しようとしている。そうしてUberは、必ずしもマッチできるわけではないのに、多くのドライバーを受け入れることができるわけだ。結果としてUberは賃金を下げるためにマーケットの不均衡をならすことができる。

新法案の採決の一部として、NY市は配車サービスドライバーの最低賃金も決定した。今後この最低賃金は消費者に跳ね返ることになるかもしれない。しかし多くの人が、インフラ投資と交通渋滞という点で多くの問題を生み出している公共交通機関から遠ざかってきた。

ニワトリ卵の状態だ。もし誰も地下鉄を利用することに興味を示さなかったら、より良い地下鉄システムは期待できない。そして信頼できるものにするための十分な投資がなければ、地下鉄に頼る人は見込めない。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

アプリ開発でヘマしないための控えめな提案

設計と開発のための技術の分野は進化し続けているのだから、そうしたシステムをデザインするためのプロセスも進化すべきだ。

投資のためなのか、製品の開発を手助けするためなのかは別として、起業家や企業にとって、その製品の長期的な影響を考慮し、よりよく気を配った慎重なアプローチを熟慮することの必要性を伝えることは重要なことだ。

製品化のためのプロセスは、常に次の順序で実行する必要がある。まず戦略、次に設計、最後にエンジニアリングだ。これらのプロセスの柱に対して、「なぜ?」という態度で臨めば、より優れた製品、より高い消費者の関心が得られるはずだ。そして拡張し続けるインターネットに対しても、有益な貢献ができるかもしれない。

フェーズ1:製品戦略

この製品戦略の柱の中では、製品を開発できる人がいるからといって、必ずしもその人に開発を任せるべきとは限らない、ということを覚えておくことが重要だ。ある種の技術が利用できるからといって、それが使いやすさを向上させるとは限らない。目的が製品開発を推し進めるのはであって、技術自体ではけっしてない。

最近開催された第40回のInternational Conference of Data Protection(国際データ保護会議)で、その会議のホストであるGiovanni Buttarelliは、「法律に準拠していて、技術的に実現可能でありさえすれば、道徳的に持続可能だというわけではない」と述べた。言い換えれば、「それを開発すべきなのか?」という問いを、この段階では常に問い続けるということになる。このフェーズを真に理解するためのヒントは、「このフェーズを始める前と、終えた後で、自分の考えがどのように変わるのか?」と自問してみることだ。

考え方が発展すればするほど良い、ということになる。

フェーズ2:製品設計

もし設計者がフェーズ1と2の間を行ったり来たりするようなら、それは良い兆候だ。フェーズ1で消えてしまうアイデアは、それにどれだけの作業や時間が費やされていたとしても、成功と見なされるべきだというを覚えておこう。

そして製品設計のフェースに移行する際には、消費者は飽きている、本当に飽き飽きしている、ということを意識しておくのは非常に重要となる。

従来的技法のほとんどに、もはや消費者は共鳴しないと仮定すべきだ。それは技術の燃え尽き症候群が広まったような状態、App Fatigue(アプリ疲労)というべきものなのだ。この完璧な例は、通知や、思慮を欠いた警告に見られる。

通知によって使いやすさは増すだろうか? 通知があることによって、ユーザーはそのソフトウェア、アプリを使いたいと思うようになるだろうか? もしそのように問われたら、それには大声で「ノー」と答えることになる。戦略フェーズに戻り、顔を洗ってやり直すべきだろう。

ここで質問すべきことは非常にシンプルだ。「通知や、似たような小細工を使わずに、この製品を使い続けたいとユーザーに思わせるものは何なのか?」ということ。

顧客と共鳴できるようにするには、どのような体験を作り出せばよいのだろうか? もしユーザー体験が、全般的に個々のユーザーと共鳴するものであれば、彼らは通知機能などなくても、喜んで使い続けるだろう。これは自明で簡単なことに思えるかもしれないが、自明な答えというものは、概して答えるのが最も難しく、そのために無視されがちだ。

Uberがタクシーを呼ぶために、あるいはAirbnbが休暇の賃貸のために何をしたか、ちょっと立ち止まって考えてみよう。これらの企業は、消費者にとって本当に有意義で豊かな機会を提供する製品体験を可能にするための技術を利用している。彼らは、消費者をつなぎ留めておくために通知は必要としなかった。 消費者がその必要性に気付いていなかったサービスを提供しているのだ。それは、独創的な差別化されたアイデアだった。問題は、障害を乗り越える新たな飛躍が遂げられるか? ということなのだ。

開発者が戦略段階を経て、設計すべきコアな機能を理解したら、エンジニアリングのアーキテクチャとユーザーのデータについて、より安全で配慮の行き届いた体験を提供できるようにするため、新たなエンジニアリングの解法に集中べきときだ。

フェーズ3:エンジニアリング

現在、Facebook、Google、Amazonのいずれの会社でも、ほとんどのユーザーデータは集約されたサーバー内に格納されている。これはセキュリティとプライバシー上の懸念を生じさせている。

こうした数の限られた大手ハイテク企業のどれかに託すのではなく、もっと配慮の行き届いた方法でユーザーデータを扱うために、開発者はどうすれば良いだろうか? フォロワー、友達、その他の似たようなメカニズムを利用して製品上の人々を結び付けるようなアーキテクチャでは、データを暗号化して、集約型のサーバーではなく、ネットワークで接続された電話機内に保存すべきだろう。簡単に言えば、ユーザーデータのバトンを、大企業ではなく、あなたの友達に手渡すのだ。

まだ初期段階のものだとしても、このようなアーキテクチャは、将来の世代のアプリに焦点を合わせた全般的な製品体験と、うまく組み合わせることができるはずだ。それによって、企業ではなく、消費者に有利な分散型アーキテクチャを作り出すことができる。これも、配慮の行き届いた「ユーザー優先のアプローチ」の例の1つだ。これは、スタートアップにとって大きな飛躍となる得る。この場合は、ユーザーデータとセキュリティに関して、新しいアプローチについて考え、常に規範に挑戦し続ける好例となる。

それらをすべて統合して

以下のようなケーススタディを青写真として考えてみよう。ここでは、本質的にソーシャルなアプリケーションの開発を提案することを想像してみる(この例は現実的だ。というのも、多くの若い起業家は、依然として彼らの中核にソーシャルを位置付け、多くの企業はソーシャルが、重要な第一の差別化要因であると信じているから)。

この回答例は、「なぜそのようなソフトウェアを開発したいと思っているのか?」というもの。さらに、「それが、人々や社会に対して、ポジティブな、あるいは生産的な方法で役立つと感じているか?」と続く(別に彼らの注意を引こうとしているわけではない)。これらの的を絞った質問は、ソフトウェアの行く末の重要性と、それが社会に及ぼす大きな影響に焦点を合わせたものだ。

これ以降は、高レベルの戦略(何を開発しているのか、そしてそれはなぜ?)から、具体的な機能(設計フェーズ)に焦点をシフトしてみよう。通常は、友達やフォロワーという、つながりのモデルがある。それによって人の活動を見ることができるが、ある程度の煩わしい通知や、入力の要求、あるいはアップデートもある。

それから、こうした標準的な機能に代わる、配慮の行き届いたソリューションを提供することに焦点を合わせる。製品が提供しているものを明確にするために、友達リクエストの数を制限することを検討すべきだろうか? あるいは、開発がもう少し先に進んでいる場合には、広告は見たくないという潜在的な顧客のために、有料コンテンツを設定することも考えてみるべきか? または、一定のアルゴリズムによってコンテンツを並び替える代わりに、ポストされたらすぐにコンテンツを表示するのか、あるいは消費者にオプションを提供するのか、といったことも考慮すべきだろうか?

いくつかの企業は、こうした類の選択肢を模索し始めている。Appleが、最近のiOSのリリースで、マップ共有のために採用した方法を考えてみよう。Googleも、それに追従している。

ソフトウェア設計および開発の世界では、現在も将来も、少ないほど効果が多い、と言われる。そして、配慮の行き届いた思慮深い決定が、次世代のアプリと、より大きなソフトウェアのエコシステムの基盤を強化することにつながる。

混雑した市場で価値を提供するのは、非常に困難だが、やりがいのあることだ。配慮の行き届いたアプローチを製品設計に取り入れることによって、合理化されたアーキテクチャーが可能になる。それによって、時間を節約し、人々が本当に使いたいと思う製品を開発するための枠組みを提供することができるのだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Uberの自転車シェアサービス「JUMP」は回転率が高い

昨年サンフランシスコでは、JUMPの電動アシスト自転車を6万3000人以上が62万5000回利用したと同社は今日(米国時間2/10)発表した。サンフランシスコのJUMPバイクは、1台あたり1日に平均7回利用された。ドック方式レンタル自転車業界の平均は1日あたり1~2回だ。

JUMPは昨年始めに250台の自転車を導入し、10月に250台追加した。運行台数が少ないために1日あたりの利用が多いとも考えられるが、250台から500台に増やしてからも利用状況は変わっていないとJUMPは言っている。

現在サンフランシスコにはFord GoBikesが1200台あり5500人のアクティブ利用者がいる。昨年Ford GoBikesの総利用回数は140万回だったと市交通局は報告している。10月時点での利用回数は、Ford GoBikesが1台あたり1~2回なのに対してJUMPは8~10回だった。業界全体でみると、ドック方式では1日1台あたり平均1~2回利用されたと2017年の全米都市交通協会の報告書に書かれている。

その一方で、JUMPの利用によって、Uberの利用回数は減り続けている。昨年7月、Uberは自動車利用回数が10%減ったのに対して、JUMPとUberの合計は15%増だった。

「調査結果が公開された7月以降も、傾向は変わっていない」とJUMP CEO Ryan Rzepeckiはブログに書いた。「全体(Uber + JUMP)の利用が増えるなかで、Uber車の乗車は減っていて、ピーク時には、UberアプリでJUMPを使い始めたユーザーのUber乗車がさらに減っている。

数ヶ月前、JUMPは4G機能を搭載した次世代電動アシスト自転車を発表した。ほかにも内蔵診断システム、引き込み式ケーブルロック、スマートフォン用マウントなどを備えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

交通の非正常化の未来へようこそ

[著者:Bill Goodwin, Tyler Finn]
Bill GoodwinAirMapのリーガルポリシー責任者。
Tyler FinnFactualのポリシー管理者。

ロサンゼルスでは奇妙なことが起きている。先日、オフィスでは同僚たちが、トンネルの中を浮上して走る台車でドジャーズ・スタジアム周辺の交通渋滞を緩和するというBoring Companyの提案のメリットについて話し合っていた。その日の午後、コーヒーを飲みに外に出たところ、ドックレス式のレンタル・スクーターでよろよろと危なかしく走ってきた高齢の男性に轢かれそうになった。そしてその夜、州間高速道路10号線の渋滞にはまっていたとき、期限が切迫しているUberのEVTOL(電動垂直離着陸車両)のことをラジオのコメンテーターが話していた。そのころ、ベンチャー投資家の友人は、サンタモニカからシリコンバレーに帰るCabinバスの寝台個室の中で頭を枕に沈めていた。

これぞ非正常な交通の世界。

浮遊するソリや空飛ぶ自動車はないが、巨大都市ロサンゼルスは、今まさに移動手段の変革の只中にある。ダウンタウンの界隈からシリコンビーチに至るまで、レンタル・スクーターやレンタル自転車で埋め尽くされている。UberとLyftが起こした革命は、ドックレス二輪車を巡る競争に直面している。そして、Viaのライドシェアのサービスが間もなくロサンゼルスで始まる。Flixbusは、ヨーロッパの独占市場から手を広げ、都市間プライベートバス・サービス展開の拠点としてロサンゼルスに狙いを定めている。Cabinの高級寝台バスは、サンフランシスコ湾岸地区との往復でMegabusに代わるプレミアムな足となってから、すでに数カ月が経っている。

Cabinバスの車内。

ロサンゼルスが例外なのではない。アリゾナでは子どもたちの通学に、フロリダでは老人ホーム周辺の高齢者の移動に、北カリフォルニアの無限ループと呼ばれるかの環状道路では、ジャーナリストの一団を運ぶために自律走行車両が使われている。Starshipの配達ロボットは100以上のコミュニティーに展開され、スコッツデールのKrogerの利用者には、今日もNuroが牛乳を届けている。世界中のドローン企業は、バンや自転車に代わる即時配達サービスにドローンを使う認可を請求している。さらに、30近くの街が、空飛ぶ車の実用化を目指すUrban Air Mobility Initiative(都市航空移動イニシアチブ)に加盟した。

こうしたテクノロジーのほんの一部でも実現に漕ぎ着けたなら、街の中の物や人の移動は、近い将来、奇抜にして美しいものとなるだろう。

それでもまだ、善意ある規制当局がスタートアップに赤信号を出して、この未来の到来が阻まれる恐れはある。世界の都市交通が、地下鉄以来の大革命を経験しつつある今、私たちは、政策立案者たちに、公平で、効率的で、環境に優しい運送システムのための3つの提案をしたい。それは、「こんなにワイルドな未来をどうやって計画すればいいのか?」という根本的な疑問に答えるものだ。

ルール1:石を彫る前に砂場で試す

これらの斬新な複合輸送の技術をうまく組み合わせる方法は、まったく見えていない。このパズルをコントロールできる適切な枠組みも、また決まっていない。規制的な考え方には、よちよち歩きのイノベーションを潰してしまう恐れがある。解決策は、規制サンドボックス(砂場)を奨励することにある。規制サンドボックスとは、新しく生まれたテクノロジーを通常の規制による制限の外で運用し、未来の規則の策定に役立てるためのメカニズムだ。このような保護された空間は、フィンテックや暗号通貨などの分野では一般的になりつつあり、政策立案者が法律を制定する前に、Adam Thiererが「ソフト・ロー」と呼ぶ非法的規範を進化させる機能がある。

規制サンドボックスをもっともよく示している実例は、偶然にも、砂漠で知られる土地にある。アリゾナは、実社会での実験を事実上不可能にしている規制を積極的に緩和する動きを見せている。テンペやチャンドラーを含むアリゾナ州の街々では、自律走行車両の企業がサービスを展開しようと競争を重ねてきたが、これが数多くの問題点を表面化させた。たとえば、自律走行車両は利用者以外の人々にとってどれほど不快な存在であるか、自動車を運転している人は自律走行の食料品配達車両にどう対応すればよいのか、車両が一部自律走行しているときの安全を行政当局どう確保すればよいか、といった事柄だ。

米連邦運輸省は、そうしたエコシステムと、そこからもたらされる教訓の価値を認識している。昨年、米運輸省はドローンのIntegration Pilot Program(統合パイロットプログラム)を立ち上げ、数多くの州、地方、部族政府が企業と協力して、高度なドローンの運用をテストできるようにした。これには、ドローン運用に関する規則の最適なバランスを探るという目的もある。このプログラムが早期に成功したことから、米運輸省は、同様のプログラムを自律走行車両にも実施すると発表した。このような柔軟な環境が、最先端テクノロジーを生み出す企業と規制当局との大変に重要な協力関係を促進する。新しい規制は、密室で立てられる仮説にではなく、実社会での実験に基づいて構築されるのだ。

ルール2:勝者と敗者を決めない

規制当局は慎重になり過ぎるところがあるため、既存の企業を贔屓することがままある。イノベーションを受け入れたとしても、どの企業、またはどの技術に運営の許可を与えるかを当局が決めてしまうことが多い。

たとえば、スクーターの事業を全面的に禁止した街もいくつかある。数年前にライドシェアを禁止したときと同じようにだ。ビバリーヒルズは、ドックレスのスクーターを禁止し、1000台以上のスクーターを没収した。これには、Birdに対する警告の意味が含まれていた。Birdはこれを受けて、スクーターの禁止はカリフォルニア州の複数の法律に違反するとして市を訴えた

そのほかの街で、そこまであからさまにスクーターを禁止するところはないものの、企業との旧態然とした癒着関係を、新しい技術系既存企業に移し替えるという罠にはまりかけている。サンタモニカでは、地元住民の間でもっとも人気の高かった2つのレンタルスクーター・サービスであるLimeとBirdを禁止する直前まで行ったが、海岸に住む一般住民からの激しい非難が寄せられて初めて、市議会は4つの業者に事業を許可した。それでもまだ、その他の業者のスクーター・サービスは、市内で営業できないことになっている。

どのテクノロジーが成功して、どの企業がそれを運用すべきかは、市場に決めさせるべきだ。自治体は、審判を下すのではなく、新しいテクノロジーと既存の輸送インフラとのつながりを作る調整役に徹しなければいけない。そうでなければ、イノベーションはベビーベッドの上で死んでしまう。

PickPalを憶えておいでだろうか? UberやLyftの前に流行っていたのだが、今はもうPickPalは呼べない。スマートフォンが登場してすぐのころに現れた、カナダ生まれのライドシェアの先駆者だが、既存企業による妨害により、料金を取って人を乗せるサービスが禁止されてしまった。ライドシェアの利便性を理解せず、当局はそれを潰してしまったわけだ(もうひとつの人気が高かったライドシェア企業Allo Stopも道連れになった)。新技術によって実現しかけた新しい生活の足は、規制によって亡き者にされたのだ。

それとは対照的に、Uberは、市場に参入させまいとする力に対抗することができた。いろいろな局面で、彼らは敵対的なアプローチを使い、ライドシェアを存続できるように法律を変えさせてきた。だが、これによりライドシェア産業は生き残れたものの、ライドシェアと既存の交通ネットワークとを連携させる機会は遠のいてしまった。規制当局とライドシェア企業は衝突を繰り返しているため、街が必要としている交通問題の体系的な解決は、ずっと先送りにされている。

ルール3:チャレンジと、その手助けとなるツールを受け入れる

本来、交通は地元のためのものであり、移動革命の未来も、地元のためのものであることに変わりはない。ずっと都市環境という問題の上を漂っていた航空業界ですら、大都会との関係を考え直す必要に迫られている。電動垂直離着陸車両は、1970年代にヘリコプターが学んだ教訓を再び体験することになる。また、ドローン企業は、Eazeの空飛ぶ芝刈り機を使った配達の時間は午前3時がいちばん都合がよいと考えたときに発生するであろう、極めて身近な超地域的問題に直面することになる。

しかしそこには、未来の街のための最高にエキサイティングな機会が横たわっている。私たちが歩む道の上、下、上空に起きる変化に伴う負の外部性は、新たな頭痛の種となったその同じテクノロジーを使って調整できる。街は、自律走行車両のスムーズな運行にRideOSなどのプラトフォームを、輸送計画にスクーターを取り込むためにRemixを、公共サービスとしてのライドシェアを提供するためにViaを、また、私たちのAirMapを利用して、今はドローンを統合し、将来は空飛ぶ自動車を統合できるはずだ。

結論として、これらの奇抜で新しい交通の未来を都市が喜んで迎え入れるために必要なものは、制裁ではなく、問題の解決方法だ。既成概念に当てはまらない交通手段は、自治体の役人、計画立案者、議員たちに途方もない課題を突きつける。だがそれは、進む価値のある道だ。

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(翻訳:金井哲夫)