SpaceXのStarlink衛星打ち上げは天候悪化で延期

【アップデート】ミッションは米国時間7月8日、天候を理由に中止された。次回の打ち上げ時期については検討中だ。


SpaceX(スペースX)は次回の打ち上げスケジュールを決定した。ミッションはフロリダ州ケネディ宇宙センターの第39A発射施設から、米国東部夏時間7月8日午前11時59分(日本時間7月9日0時59分)に打ち上げられる。またその15分ほど前から、ライブ中継が実施される。

このミッションにより同社のアクティブなStarlink衛星群は536機に拡大され、今年後半に一般向けのブロードバンドインターネットサービスを開始するという目標に近づくことになる。今回打ち上げられる57機の衛星には、同社が開発した新しい「サンバイザー」システムが搭載されており、衛星による太陽光の反射を阻止する。

同社は以前にもこのシステムを搭載した試験衛星を1機打ち上げているが、Starlinkのすべての衛星がこのシステムを搭載するのは今回が初めてだ。同社は自社の衛星に加えて、新しいライドシェアプログラムによりBlackSkyの人工衛星を打ち上げる予定で、これは同社の既存の地球観測ネットワークに加わることになる。

今回のミッションで使用されているFalcon 9のブースターは、国際宇宙ステーション(ISS)へのCrew Dragonの初のデモンストレーション飛行を含め、これまでに4回のミッションをこなしている。さらに、大西洋に浮かぶSpaceXの着陸船による着陸も試みられる予定だ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

編集ワークフローに触覚的操作を持ち込めるハードウェアコントローラー「TourBox」

「後で」やろうと思っていた写真アーカイブの編集など、先のばしにして来たクリエイティブプロジェクトを再開するのには、いまはいいタイミングかもしれない。そうした作業をより簡単にできるようにデザインされたさまざまなガジェットが存在しているが、手を出しやすいもののひとつがTourBox(ツアーボックス)だ。これはハードウェアボタンやダイヤル、そしてスイッチを備えた169ドル(約1万8000円)のハードウェアコントローラー。利用者はソフトウェアを使ってカスタマイズを行い、各種クリエイティブアプリケーションで使うことができる。

基本情報

TourBoxは、机の上ではアップル純正のトラックパッド「Magic Trackpad」とほぼ同じ専有面積を占めるデバイスで、USB-Cを介してコンピューターに接続する。そこには十字方向キー、2つのダイヤル、1つのスクロールホイール、7つのボタンが備わっている。専用のTourBoxソフトウェアでそれぞれのキーに機能を割り当てられる。

あらかじめ、Photoshop、Lightroom、Capture Oneなどの一般的な写真編集アプリや、Final Cut Pro、Premiere、DaVinci Resolveなどのビデオ編集アプリ、そしてClip Studio Paintなどの描画アプリを使うための設定が組み込まれている。これらのアプリケーションに対するデフォルト設定は、ユーザーの好みやニーズに応じてカスタマイズすることも可能だ。

TourBoxは、このカテゴリに属する他のより高価なデバイスとはいくつもの点で異なっている。例えば、この製品はキーボードショートカットに大きく依存していて、ソフトウェアの動作を確実に簡略化してはくれるものの、Loupedeck+Loupedeck CKなどのより高級な製品が提供するものと同レベルの統合は提供してくれない。とはいえ、そうした製品はかなり高価なものだ。TourBoxが提供するのは、既存のキーボードによる生産性を置き換えることではなく、補完して向上させたいと思っているプロの作業にフィットすることだろう。

デザイン

TourBoxはコンパクトだが、がっちりしたものに感じられる。想像していたより重かったので、使用中にあちこち動かすというよりも、机の上の定位置に置いて使うものになりそうだ。外装はつや消しのゴム加工されたプラスチックでホコリは集めやすいものの、見た目はよく、触感もいい。

TourBoxのボタンとコントロールは、隆起したスポークや車輪のような突起といった、独自の形状で操作面全体を感覚的に扱うことができる。非対称のレイアウトと外面のため、コントローラーの外見はとても興味深いものとなっている、しかしそうした特徴が、少しの練習で感覚的な操作を習得することをとても容易にしているのだ。長期的な使用のカギとなるのは、TourBoxの操作方法を体で覚えることだろう。これにより、作業時間の節約できるようになる、

ボタンやそのほかのコントロールのデザインは非常に理にかなっているものの、それらの実際の感触はそれほど素晴らしいものではない。細かいコントロールに役立つクリック感のある回転動作など、いくつか素晴らしい点もあるものの、ボタンは全体的に少しぼやけた感じだし、上記で参照したLoupedeckのハードウェアのようなほかのデバイスの上でのコントロールの感触にはおよばない。価格の違いを考えると、物理的コントロールの感触の質の低さは許容範囲かもしれない。実際のパフォーマンスには影響しないものの、心に留めておく必要はあるだろう。

パフォーマンス

ほかの新しいハードウェアコントローラーと同様に、TourBoxに慣れるにはある程度時間がかかる。同社が提供するソフトウェアには基本的なチュートリアルは含まれているものの、異なるアプリケーションで利用する際に手動でプロファイルを切り替えるなどの、直感的ではないユーザーの操作も必要とされている。なお、この先リリースが予定されているメジャーアップデート2.1では、多くの改善点とともに自動プロファイル切り替え機能も提供される予定だ。

TourBoxソフトウェアの使い方を学び、使用するアプリケーションのプロファイルに慣れるのに少しばかり時間を費やせば、TourBoxは確かにユーザーフレンドリーなものとなり、ユーザーはほとんどの共通機能(たとえばズーム、パン、ブラシサイズ変更、取り消しとやり直しなどなど)に対する、多くの時間とキーストロークを節約することができる。

上で述べたように、独特な物理的レイアウトとボタンの形状は最初は奇妙に思えるが、それは最終的には、TourBoxを使用する非常に覚えやすいワークフローを開発できることを意味している。デフォルトでは、ソフトウェアプロファイルに事前に登録されている修飾キーの組み合わせの一部は、私にとっては少々変わった手の動きが必要だったが、全てがカスタマイズ可能なので、より人間工学的に無理のない組合わせへ変更することは簡単だった。

まとめ

自宅の編集環境を支援するハードウェアコントローラーの選択肢は増えているが、169ドル(約1万8000円)のTourBoxは最も手ごろな価格のもののひとつだ。ケーブル1本だけの非常にポータブルなデバイスであるため、どんなバッグにも簡単に収納することができる。

より要求の厳しいプロユーザーなら、Loupedeckの製品検討した方がいいだろうし、Monogram Creative Consoleは、ニーズに合わせて拡張できるシステム用に多くのモジュール式のカスタマイズ機能を提供している。だが、外出好きで出先での編集に熱心で、あまり面倒なことはなしに編集作業を簡単に手早く行いたい人なら、TourBoxは間違いのないオプションだ。

原文へ

(翻訳:sako)

ハーバード大発スタートアップがコロナを除去する鼻孔スプレーの市販を計画

ハーバード大学のバイオメディカル・エンジニアリングのDavid A. Edwards(デビッド・A・エドワーズ)教授が開発し、今秋に市販が予定されているデバイスは、呼気中に存在するウイルスをほぼ100%除去できるという。つまり新型コロナウイルスを他人に感染させるリスクとともに、感染させられるリスクをも大幅に減らせることになる。第一線で患者のケアにあたる医療関係者にとって、フェイスシールドのようなPPE(個人用防護具)ともに用いることで大きな助けになるはずだ。

FENDと名付けられたこの製品は、エドワーズ教授が創業したスタートアップであるSensory Cloudが製造し、9月に市場に投下される予定だ。 このシステムが噴霧するのは、簡単にいえば「塩水の霧」。薬物を含まない生理食塩水の一種であり、ほぼ海水と同様の天然塩が成分となる。

Sensory Cloudが医学専門誌のQRB Discoveryに発表した査読済み論文によれば、この霧は鼻吸入器を使って深鼻腔に噴霧されると、従来のマスクではフィルターできなかった1nm(ナノメートル)未満の上気道のウィルス性微粒子を除去できることが確認されたという。

ただし同社が実施した試験は 65歳以上の5人と未満の5人の10人のボランティアに対するものだったので、サンプルの母集団がきわめて小さいという点については留意が必要だ。それでもサンプルグループ全体で、空気1Lあたりの微粒子の約99%を除去することに成功している。ブロックされた微粒子の大部分は従来のマスクで防御するには小さすぎるサイズだった。

Sensory Cloudは、FENDが「新型コロナウイルスの危険にさらされているすべての人」に有効な追加的保護を提供できるとしている。つまり新型コロナウイルスに感染してない場合、上気道を塩水のミストで拭うことにウィルス微粒子を除去して感染を防げる。またすでに感染している場合も呼気中にウィルス微粒子が含まれることを防止する。

同社では世界中の第一線の医療従事者を含む、高い感染リスクに直面している人々がまず利用できるようにする。その後一般向けにオンライン・ショップで市販し利用範囲を拡大していく計画だ。また同社はこの夏にさらに臨床試験を予定している。これが初期の小規模なテスト結果を裏付けるものであれば、製品の実用化に向けて大きな前進が得られるだろう。

Sensory Cloudでは吸入器を含むFENDを2セット49ドル(520円)で発売する予定だ。詰め替えの食塩水ボトルは6ドル(640円)を予定している。各ボトルは250回程度の噴霧が可能で、同社のテストによれば1回の噴霧で6時間程度効果が持続するという。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

RODECaster Proはポッドキャスターに必要なすべてを備える、機能の更新と新たなアクセサリーで

今年は新しい趣味、それも自宅でできるものを検討したりして、すでに始めている人が多いだろう。ポッドキャストが人気を集めており、RODE(ロード)は他のオーディオ会社を引き離して、ポッドキャスト専用のサービスを豊富に投入している。同社が2018年にリリースしたオールインワンのポッドキャスト用プロダクションスタジオ、RODECaster Pro(599ドル、約6万4582円)は、ポッドキャストの可能性を最大限に活用したいユーザーに理想的なツールである。今年、新たなアクセサリーが多数追加されたのみならず、ファームウェアが大幅に強化されて更新され、さらに先を進んでいる。

概要

ロードキャスタープロは強力なプロダクションスタジオでありつつも、オーディオ技術に詳しくない人でも扱えるようになっている。デッキは物理的な操作機能を豊富に提供しつつも比較的シンプルに扱えるようバランスを配慮しており、ボリュームスライダーや大型のパッド型ボタンを使用して大まかな調整を行えるようになっている。より細やかな操作が必要なユーザーは、大型の高解像度タッチスクリーンで様々なメニューを使用し、高度な調整を行える。

ロードキャスタープロは4台のXLR入力を搭載しており、それぞれがコンデンサーマイク用のファンタム電源を個別にオンオフして提供できるようになっている。それぞれのモニタリング出力用に、4台の1/4インチヘッドホン出力が備わっている。ポッドキャストを高音質で録音することに慣れたゲストを迎える場合でも、ゲストが自身の音声のみを聞き取ったり、プロデューサーにすべての録音を管理させることを選択できるため、これは便利である。また、スタジオのモニタースピーカーやその他の出力用に1/4インチのオーディオ出力が左右チャンネル用に設けられている。コンピューターへの接続用にUSB-Cコネクターが用意され、スマートフォンやその他の外部音源用に3.5mm接続が使用できる。スマートフォンはBluetooth(ブルートゥース)経由で接続することもできるため、ワイヤレスでゲストを呼び出す際に非常に便利に使える。

ロードキャスタープロのインターフェースは各入力のボリュームスライダーとプリセットされたサウンド効果、各ヘッドフォンやスピーカー出力用のボリュームノブ、入力のオンオフ切替ボタン、プリセットされたオーディオファイルの再生に使用する大型ボタンと録音用の大型ボタンなどの要素で構成されている。メニューや設定を扱い、録音中にオーディオレベルを視覚的に表示するタッチスクリーンも備えられている。

ロードキャスタープロは、コンピューターやスマートフォンとの接続に頼らず完全に独立して使用できるよう設計されている。録音用にmicroSDスロットを備え、ファイルのアップロードはデッキへのUSB接続またはmicroSDカードリーダー経由で行えるようになっている。また、ロードキャスタープロでマルチトラックのUSBモードまたはステレオUSB出力モードを選択すれば、スタジオハードウェアをMacやPC用のUSBオーディオインターフェースとして使用でき、ストリーミングソフトなど好みのデジタルオーディオ制作ソフトウェアを用いて録音できる。

デザイン

ロードキャスタープロはスタジオグレードのハードウェア操作機能とシンプルさを完璧に融合させており、アマチュアとプロの両方が安心して使用できるデバイスに仕上がっている。デッキをパッケージから取り出してからわずか数分で、サウンドのプロフィールや設定を一切調整せずとも、使い始めることができる。ロードキャスタープロですぐに使えるようロードが最適化した99ドル(約1万666円)のマイク、RODE PodMic(ロードポッドマイク)を使用して、満足のいく録音効果が得られている。

機能はすべて直感的に操作して簡単に扱え、マニュアルやユーザーガイドを使用せずとも使い始められる。ハードウェアインターフェースで最も複雑な箇所は8ボタンのサウンド効果グリッドであろうが、ロードが設定したデフォルトのサウンドでも十分使い勝手がある。MacまたはPCのロードキャスター専用アプリを使用し、自分専用のサウンドを簡単に設定できる。パッケージにはボタンにラベル付けするための判別用ガイドが同梱されている。

スライダーは滑らかに動作して使いやすく、イントロや終了時に手動で均等にフェードインまたはフェードアウトしたりして、録音済みの効果音を簡単に適用できる。有効または無効な入力、ミュート状態、大型の録音ボタンにはバックライト方式のキーが使用されており、どのキーがトラックで有効になっているかを一目で確認できる。

ロードは賢明にもボックスにロック可能な電源アダプターを内蔵したため、録音中にコードが突然引き抜かれる心配はない。XLR入力のそれぞれにクイックリリース式のラッチが取り付けられ、接続をしっかりと固定できる。ロードキャスタープロは13インチMacBook Pro(マックブックプロ)とほぼ同じスペースが必要なことは間違いないが、バックパックに収納して各地で録音できるだけの軽量性を備えている。

タッチスクリーン画面もまたデザインの大きな特徴である。高解像度であり、艶消し用のカバーが取り付けられて様々な照明環境でも視認性を保ち、タッチ入力は非常に応答性が高い。ソフトウェアを使用してデッキの機能を拡張でき、そのうえでナビゲートしやすく、例えばZoom(ズーム)レコーダーのハードウェアジョグコントローラーのような面倒な操作を省いている。

機能

ロードキャスタープロがこれほど使いやすい理由の一つは、シンプルさと強力な機能を両立させている点にある。初心者であっても、パッケージから取り出した状態で何も調整せずに、すぐに使用できるよう設定済みである。ロード製のマイクを使えば、さらに便利になる。マイクのすべてに、サウンド設定を瞬時に最適化するプロフィールが内蔵されている。

ロードポッドマイクはロードキャスタープロで使用できるよう最適化されていることは既に述べた。その結果、最高の使いやすさが得られている。ロードキャスタープロの価格に足踏みしてしまう場合でも、ポッドマイクは非常に安価なポッドキャスト用ダイナミックマイクであり、デッキと組み合わせれば一段上のレベルのサウンドが得られることを述べておこう。こうした組み合わせを使用すれば、ロードの最終的なポッドキャスト環境は、他のソリューションよりも比較的安価に済む。

サウンドをカスタマイズする場合は、内蔵のコンプレッサー、ディエッサー、その他の内蔵されているオーディオ効果を使いこなせる。こうした効果は手動で微調整することもできる。今月初頭にリリースされたバージョン2.1のファームウェアでは、ロードキャスタープロ専用アプリを使用して内蔵のサウンド効果をすべて調整できるようになったため、カスタマイズされた真にユニークなサウンド効果を得られる。

サウンド効果やその他のオーディオトラックを保存し、必要に応じて呼び出せることもロードキャスタープロの大きな特徴である。録音後の編集段階でそうしたオーディオ調整を行うことも可能であるが、録音の最中にその場で使用したほうがずっと扱いやすく、ゲストと真に迫ったやりとりを行うにはこの方法が最適であろう。バージョン2.1のファームウェアではオーディオクリップを無限にループさせる機能も追加されている。録音中にBGMを流し続ける場合に非常に便利となる。

最後に紹介するのは、スマートフォンとの接続機能である。ゲストをスタジオ内へ常に招待できるとは限らないこの状況で、特に効果を発揮する素晴らしい機能だ。ケーブルを使用してスマートフォンを接続するか、遅延を抑えたブルートゥースを通じて接続し、スマートフォンでお気に入りのソフトウェアを使用し、通話を通じて素晴らしいインタラクティブ性が得られる。

アクセサリー

ロードキャスタープロの機能を拡張し、ユーザー体験を改善するため、ロードはアクセサリーの豊かなエコシステムを形成している。最新リリースには、前述のロードポッドマイクも含まれる。また、各入力のバックライト色に対応してハードウェアを簡単に判別するためのカラーケーブルクリップ、標準のヘッドフォンをモニターとして使用するための1.4インチ-3.5mmステレオジャックアダプタースマートフォン接続用のTRRS-TRRS 3.5mmオーディオ外部ケーブル外出時に電源アダプターの代わりに簡単に接続可能なUSB電源ケーブルなどもある

XLRケーブル用の小さなプラスチック製クリップを使用して、簡単かつスマートにデバイスを判別できる。特に、全員が同じマイクを使用している場合(サウンドを一定に保つため、この方法が推奨される)に有効であり、機器のセットアップの見栄えもよくなる。また、ロードキャスタープロキットを録音スタジオや自宅以外の場所で使用する場合は、USB電源ケーブルが特に威力を発揮する。手持ちのUSB充電器が5V/2.5A出力に対応していれば、そのまま使用できる。

しかし、ロードキャスタープロで真に必須となるアクセサリーは、ロードポッドマイクである。無駄を排ししっかりした耐久性の高いマイクであり、持ち運びやすく、様々な取り付け方法に対応しており、屋外やスタジオ内など、各種の環境で使用できる。もちろん、より高価なマイクであればより高い音質を得られるだろうが、ポッドマイクを使用する利点は、ハイエンドなマイクを1台購入する費用でロードキャスタープロ用のマイクを4台購入できることにある。ほとんどの人は、ポッドキャスト用であれば、音質の差に気づくことはない。

まとめ

ロードキャスタープロは自宅でのポッドキャストを一段上に引き上げる素晴らしいアップグレードであり、外出できるのであれば、屋外でポッドキャストする際に完璧なデバイスである。高品質なハードウェア調整に加え、ユーザーからのフィードバックを継続的に反映させ改善されるロードのファームウェアを通じて洗練されたスマートなソフトウェアが付属し、アマチュアやプロを問わず、あらゆる人々にとって完璧なツールと言える。

関連記事:このサイズでこの機能、史上最強の編集コントローラ「Loupedeck CT」

カテゴリー:ハードウェア

タグ:レビュー ガジェット

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

ハンガリーの自動運転スタートアップAImotiveが宇宙における衛星運用の自動化にAIを活用

ハンガリーの自動運転スタートアップであるAImotive(AIモーティブ)は、増大する異なる産業の需要に同社の技術を活用しようとしている。衛星運用の自動化だ。AImotiveは衛星用のAIによる運用のためのハードウェアプラットフォームを開発するために、衛星サプライヤー、宇宙技術のC3Sとチームを組んでいる。AImotiveのaiWareニューラルネットワークアクセラレーターを、衛星での使用向けにC3Sが最適化する。運用は道路を走行する車両に搭載されているものと多くの点で似ているが、パワー管理、そして環境的に運用上の危険という点においてはより厳密な要件をともなう。

2社の取り組みの最終目標は、2021年後半までにAImotiveの技術を実際に軌道を回っている衛星で活用することだ。2社によると、搭載されるニューラルネットワークアクセラレーターは通信、地球画像・観測、他の宇宙船との衛星の自動ドッキング、深宇宙探索など多くの異なる機能に活用される予定だ。

大半の衛星が、すでに本質的には自動で動いているのは事実で、常にマニュアル操作で飛んでいるわけではない。しかし特定のエリアの画像処理、地上や宇宙のターゲット地の探索といったタスクを実行するときに、ニューラルネットワークベースのAIがより自主性を提供することになる。また、AImotiveとC3Sはデータのローカル処理が衛星ビジネスにおいてかなりのゲームチェンジャーとなる可能性を秘めていると確信している。

現在、衛星が収集したデータの処理の大半は未加工情報として地上のステーションに送信される。実際のところこの方法では、データの収集から加工データの顧客への提供までにかなりのラグタイムがある。衛星オペレーターや他の仲介者が未加工情報を単に提供するのではなく、クライアントに代わって処理業務を行うときは特にそうだ(もちろん、このような分析を行うことでデータプロバイダーにとっては儲けが大きくなる)。

AImotiveの技術により、情報が取り込まれた衛星上でのデータ処理ができるようになる。地上のIoT世界では、このような「エッジコンピューティング」の方向へ大きなシフトチェンジが行われている。データを提供する時間の削減を含めて、地上と同様の理由で、宇宙でもそうしたデータ処理を再現するのは理にかなっている。これにより有料顧客にこれまでよりもレスポンスの良いサービスを提供することになる。

画像クレジット:AImotive

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

アルファベットのLoonがケニアで気球によるインターネットの提供を開始

Alphabet(アルファベット)のLoon(ルーン)がケニアで正式にインターネットサービスの提供を開始した。Loonの高度飛行気球を活用した大規模な商業展開は今回が初めてとなる。気球は地球の成層圏を漂う通信サービス基地局として機能する。Loonのケニアでのサービスは地元の通信プロバイダーであるTelkom Kenya(テレコム・ケニア)との提携の下に提供され、Telkom Kenyaのネットワークを通じて約5万平方キロメートル(約3万1000平方マイル)をカバーする。山岳地帯に地上設備を展開するのは困難なため、通常はこうした広域で安定したサービスを提供することはできない。

Loonは2019年に契約を発表して以来(未訳記事)、ケニアにおける初の商業サービス展開に向けて取り組んできた。しかし同社は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大でミッションはさらに重要なものとなったと話す。感染症で移動に制限がかかる中で、安定した接続性が医師や家族、その他の人にリモートで連絡を取ることを可能にするためだ。

いかにLoonの成層圏バルーンが継続してサービスを提供するのか、ネットワークの質がどのようなものになるのかというテクニカルな詳細はというと、全部で35個のバルーンを用い、それらが絶えず動きながら対象エリアをカバーし続ける。通信スピードの平均は下りが18.9Mbps、上りが4.74Mbpsで、レイテンシーは19ミリ秒だ。Loonによると音声コール、ビデオコール、YouTube閲覧、WhatsAppの使用などでまったく問題ないことが地上でのテストで確認された。

ケニアの対象エリアにサービスを提供する際のAlphabetのバルーンの経路。

Loonは2020年初めにサービスのテストを開始し、多くの顧客がテスト期間中にテストだということを認識することなくネットワークに接続していた。3万5000人超の顧客を対象に上記のようなサービスを提供した、とLoonはいう。

今日の商業サービス立ち上げの前に、Loonは2017年のハリケーン・マリア後のプエルトリコをはじめとして、大災害が発生したエリアに緊急サービスを提供するためにバルーンを展開してきた。通信が提供されていない世界の地域で非緊急サービスを提供するために、Loonは数多くの通信事業者と共同で取り組んでいる。

画像クレジット:Alphabet

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

このサイズでこの機能、史上最強の編集コントローラ「Loupedeck CT」

最近ロケで撮影する時間が大幅に減り、そのぶんデスクでの作業時間が増えているカメラマンやビデオグラファーにとって有効な時間の使い方の1つは、アーカイブや未整理の素材の山に埋もれていた宝を掘り出し、それを使って編集技術を磨くことだろう。少し前にリリースされたLoupedeck CTというデバイスは、その編集作業をさらに楽しくしてくれる。コントローラもプロファイルもカスタマイズでき、よく使われている編集アプリのほぼすべてで動作するため、コンピュータで行う作業自体が全体的により簡単で便利になる優れものだ。

製品の概要

Loupedeckはクリエイター向けの専用ハードウェアコントロールサーフェスを専門に開発しており、その新製品にして最上位の編集パネルがこのLoupedeck CTである。Loupedeck CTはほぼ正方形で、装備されているハードウェアコントロールオプションの数を考えれば、驚くほど薄くて軽い。サーフェス本体には、感触が良く回すとクリック感があるノブが6個、カラーバックライト付きの正方形ボタン12個と円形ボタン8個が配置されている。さらに、タッチパネルディスプレイを備えた大型の中央コントロールダイヤルと、その上部に4個×3個のタッチスクリーン式ボタンが並んでおり、それぞれのボタンを押した時の振動フィードバックもオプションで用意されている。

Loupedeck CTは、付属のUSB-Cケーブル(最新のMacBookを使用している場合は、アダプターかUSB-C to USB-Cケーブルが必要)を使って接続し、動作に必要な電源もここから供給される。背面には小さなゴム製のパッドが付いているため、机やテーブルの表面で滑ることはない。

Loupedeck CTを初めてセットアップする時は、ルーペデックのウェブサイトからソフトウェアをダウンロードする必要がある。ソフトウェアをインストールすると、セットアップウィザードが開き、接続されたLoupedeck CTハードウェアが認識されて、デバイスに表示される構成のオプションが表示される。Loupedeck CTには、よく使われている編集ソフトウェアのプロファイルがいくつかデフォルトでプリインストールされていてすぐに使える状態になっており、使いたいソフトウェアを開くと自動的にそのプロファイルに変更される。

さまざまな編集ソフトウェアに対応していて本当に素晴らしいのだが、1つ特記すべき、そしてやや残念な点は、Lightroom CCが使えないということだ。これはLoupdeckの落ち度ではない。AdobeがLighroom CCのアーキテクチャを変更したため、Loupedeck CTと高度に統合させることを可能にするプラグインがLightroom CCでは使えなくなってしまったのだ。しかしLoupdeck CTでは、Lightroom Classicのプロファイルが今でも利用できる。Lightroom Classicでは前述のプラグインが十分にサポートされているためだ。そのためユーザーは、引き続きLoupedeck CTから自分のライブラリにアクセスして、編集することができる。また、Loupedeck CTを使用してLightroom CCをコントロールすることも可能だ。ただし、基本的にはキーストロークとキーボードショートカットが再現されたプロファイルをダウンロードするか、独自のプロファイルを作成する必要がある。しかし、Photoshop、Photoshop Camera Raw、Lightroom Classicのプロファイル使用時のような柔軟な操作性は得られない。

その点を別にすれば、Loupedeck CTにはプロのクリエイターが使いたいと思うクリエイティブソフトウェアほぼすべてのプロファイルが用意されている。また、デフォルトのシステムソフトウェア設定は、コンピュータで画像、動画、音声の編集を行っていない場合でも非常に便利である。例えば、筆者は仕事で頻繁にスクリーンショットをキャプチャするのだが、そのための簡単なワークフローや、文字起こし中に音声再生をコントロールするワークフローを設定するのにも、Loupedeck CTは非常に便利だ。

デザイン

上記で簡単に触れたが、Loupedeck CTのデザインには一目で引きつけられる。なぜなら、Loupedeckが公表していたマーケティング用の情報や画像を基に予想していたものより、はるかに小さく感じるからだ。平均的なキーボードよりわずかに高く、縦横の長さは同じくらいで、机の上では小さなマウスパッドや大きなトースト1枚分ほどのスペースしか取らない。そのコンパクトなスペースの中に、多くの物理的なコントロールが配置されているのだが、ソフトウェアを使用することで、それぞれのコントロールの機能をさらに拡張させることも可能だ。

わずかにラバー加工を施したマットブラックの仕上げは、見た目も触り心地も良い。また、どのコントロールにも、使用時の触覚フィードバック体験に多くの配慮がなされているようだ。ノブを回した時のカチッという音から、何かを一段階増やしたことがわかり、大きなダイヤルの滑らかなアクションはアナログ感があり楽しめる。ボタンはすべて深いクリック感があって、押している感覚がしっかり伝わってくる。また、タッチスクリーンボタンを押すと、かすかに「ブン」と鳴る振動フィードバックが指先に非常に心地よく伝わり、タッチスクリーンボタンを分離する隆起部分もあるおかげで、慣れてしまえば手元を見なくても指先の感覚だけでLoupedeck CTを使用できるくらいだ。各ノブはクリック可能なボタンとしても機能する。また、中央にある大きなダイヤル上面のタッチスクリーン円形ディスプレイでは、さまざまなソフトウェアボタンやスクロールリストを使用してカスタム設定できる。

Loupedeck CTはそのコンパクトさにもかかわらず、壊れやすい感じはまったくせず、品質への安心感を与えてくれる適度な重量感がある。レイアウトについて言えば、キーボードに似た長方形型のLoupedeck+と比較すると、正方形のデザインに合わせなければいけない分だけ若干の妥協が感じられる。これは短所かもしれないが、同時に、キーボードの横に置いて使いやすいという長所でもある。

結論として、Loupedeck CTのデザインはさまざまな配慮が随所に感じられる考え抜かれたデザインだと思う。クリエイティブソフトウェア用の非常に優れた物理コントロールを提供しつつも、デスク上で占めるスペースはPalette(パレット)のモジュール式コントローラでLoupedeck CTと同じ機能を組み立てる場合よりもはるかに少なくて済む。

機能

Loupedeck CTの最大の強みはそのプロファイルにある。このプロファイルがあるおかげで、箱から出して接続するだけですぐにお気に入りのソフトウェアを使って素早く効率的な編集作業を開始できる。各プロファイルはそれぞれのソフトウェアで最適だとされるデフォルト設定になっている。しかし、その標準的な設定が自分には合わないと感じる場合は、いつでも納得いくまでカスタマイズして微調整できる。

Loupedeck CTのソフトウェアでは、カスタマイズや独自のツールセットの追加をドラッグアンドドロップで行えるため、いろいろな設定を試しながら使い方を素早く習得することが可能だ。何がどこにあるのか、どのようにネストされているかのロジックを理解するのに少し時間がかかったが、試しにいろいろいじって少し遊んでみるとその仕組みがよく理解できる。

同様に、Loupedeck CTではインターフェイスに色分け階層システムを使用しているため慣れるまで少し時間が必要だが、最終的にはLoupedeck CTの操作に便利な視覚的ショートカットとして使えるようになる。ワークスペース全体を制御するボタンとライトは緑色、ワークスペース内のアクションは紫色で色分けされている。1つのアプリに複数のワークスペースを設定できるため、特定のタスクを実行するための仮想ツールボックス全体を保存しておくことができる。

Loupedeck CTはこのように、圧倒感を与えないシンプルな設計でありながら、上級プロも満足のコントロールオプションを実現する豊富で複雑な機能を備えている。前述したように、すべてはカスタマイズ可能であり(ナビゲーション上の理由から再マップできない「o」ボタンのようないくつかのボタンを除く)、プロファイルをエクスポートして複数のマシンで共有または使用することもできる。またプロファイル(他のユーザーが作成したものを含む)をインポートして、新しいワークフローやソフトウェアを素早くセットアップすることも可能だ。

Loupedeck CTには8GBの内蔵ストレージが搭載されており、コンピュータ上でリムーバブルディスクとして表示されるため、プロファイルや作業中のファイルをまとめて簡単に持ち運ぶことができる。

まとめ

549ドル(約6万円)という価格ゆえ、Loupedeck CTは万人向けとは言えないが、Loupedeck CTにはクリエイターに限らず作業効率を改善したい人に役立つ機能がたくさんある。Loupedeck CTを使えば、いわば編集コンソール全体を大抵のバックパックやブリーフケースのタブレットポケットに入れて持ち運べることになる。しかも、ソフトウェアを使って柔軟かつ容易に設定が変更できるため、実際には多数のコンソールをまとめて持っているのと同じだ。加えて、Blackmagic Design DaVinci Resolve Editor keyboardのような同等のツールは、2倍以上のコストがかかる可能性がある。

仕事や趣味で、グラデーション、カーブ、角度、スライダーの調整にかなりの時間を費やす機会があるのなら、Loupedeck CTをおすすめする。同様に、音声の文字起こしやクリーンアップに多くの時間を費やしている場合にも、表計算アプリのようなもので作業する際に多数のショートカットを使いこなして「キーボード戦士」のようになっている場合にも、Loupedeck CTは大いに役立つだろう。

筆者はカメラマンやビデオ編集者のワークフローを改善する目的で開発された数多くのハードウェアをテストしてきたが、これまでに定着したものはなく、特に自宅でも移動先でも使えて定着したものには出会ったことがない。筆者は実際にLoupedeck CTを使ってみて、これは今後定着していくデバイスだと感じた。

関連記事:13インチと16インチのMacBook Pro、どちらを買うべきか?

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Loupedeck ガジェット レビュー

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

キヤノン電子の衛星搭載のロケットラボの打ち上げが失敗

7月5日のRocket Lab(ロケットラボ)の打ち上げ(ミッション名「Pics or it didn’t happen」=写真がなければ信じない)は失敗に終わり、ロケット「Electron」と搭載した7つのペイロードすべてが失われた。ニュージーランド・マヒア半島にあるロケットラボ第1発射施設から打ち上げられた後、2段階目の燃焼中にロケットに障害が発生した。

ミッションは意図した通りに進行したようにみえたが、打ち上げの「Max Q」フェーズ、つまりElectronロケットが宇宙空間に到達する前、最大気圧にさらされている時間帯に、機体に予期せぬ障害が発生したようだ。

打ち上げ動画はライブストリーミングされたが、打ち上げ後約6分で打ち切られた。映像が途切れる前に、ロケットは高度を下げ落ちていることがわかった。Rocket LabはTwitter(ツイッター)で、2段階目の燃焼中にElectronの機体が失われたことを明らかにし、詳細が明らかになり次第共有すると約束した。

Rocket Labにとって予想外の展開だ。同社はプログラム開始以来11回連続で問題なくElectronを打ち上げてきた。

Rocket LabのCEO兼創業者のPeter Beck(ピーター・ベック)氏はTwitterで謝罪し、すべての衛星が失われたこと、ペイロードを失ったすべての顧客に対し同氏が「非常に残念」に思っていることについて書いた。顧客には、観測技術実証機を備えた新しい地球観測衛星を載せたキヤノン電子と、最新かつ最先端の地球観測衛星を5基搭載したPlanet(プラネット)が含まれる。

Rocket Labから原因と次のステップに関する情報を入手したら続報する予定だ。

画像クレジット:Rocket Lab

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

ソフトバンクが投資を止め破産申請中の通信衛星OneWebを英政府とインドのBharti Globalが買収し再建へ

衛星コンステレーションによるコミュニケーション網を提供することを目指していたOneWebは経営破綻して2020年3月に連邦破産法11条による保護を申請していたが、このほど売却手続きが完了した(Twitter投稿)。OneWebを取得したのは英国政府が主導するコンソーシアムであることが判明している。

コンソーシアムはインドのBharti Globalからの資金提供を受けている。同社はインドのビジネス界の有力者であるSunil Mittal(スニル・ミッタル)氏のBharti Enterprisesの一社だ。BharatiはOneWebの衛星ネットワークによる世界的インターネット接続サービスの構築を続行させたいと考えている。一方、英国はブレグジットの結果、2020年1月からEUが運営する衛星ナビゲーションリソースにアクセスできなくなったため、PNT(位置情報、ナビゲーション、計時)サービスのためにOneWebの衛星コンステレーションを利用したいという背景があった。

今回の買収契約ではBharti Globalと英国政府がそれぞれ約540億円(約5兆8000億円)を出資した。英国政府がOneWebの株式の20%を所有し、BhartiはOneWebに今後のビジネス運営に必要な支援を行っていくという。

650基の衛星によるコンステレーションを構築することを計画していたOneWebは74基を打ち上げたところで事業継続に必要な追加資金の調達に失敗し、大規模なレイオフを余儀なくされ、連邦破産法11条申請に追い込まれた。資金調達の失敗では大口出資者であった日本のソフトバンクが経営する非公開企業向けファンドが追加資金の投資をキャンセルしたことが大きかったと報道されている。

BBCの報道によれば、買収契約が米国規制当局の審査で承認を得られば、OneWebはレイオフの撤回を含め従来のオペレーションを復活させる計画だという。将来は既存の設備の一部を英国へ移転する可能性もある。これまでOneWebはAirbusと提携してフロリダ州の施設で衛星を組み立てていた。

OneWebはもともとロンドンに本社を置く企業だ。計画している衛星コンステレーション事業は、地球低軌道を周回する多数のミニ衛星を利用してレイテンシーが低く、大容量のインターネットアクセスを提供するというものだ。これが実現できれば英国民は低価格かつ高品質で全土をカバーするという理想的なインターネット接続サービスを得られる可能性がある。英国のPNTナビゲーションに対応することはOneWebの既存の目標からかけ離れていない。少なくとも理屈の上からはこのサービス拡張は衛星資産の効果的な活用法であり、比較的安上がりに実現できるはずだ。

現在のところ、英国には自分たちで衛星を打ち上げる能力がないが、垂直離陸、水平離陸の双方に対応できるスペースポート構想に取り組んでいる。これによりVirgin OrbitSkyroraなどのスタートアップが英国内で小型衛星を打ち上げることができるようにするかもしれない。 つまりOneWebの衛星コンステレーションのような宇宙資産の構築、メンテナンスが英国内のリソースを利用して現在よりはるかに安上がりに実現できるわけだ。

原文へ
(翻訳:滑川海彦@Facebook

AWSが航空宇宙と人工衛星の専門部門を立ち上げ、元空軍少将がリーダーに

AWS(Amazon Web Services)は、宇宙産業ゲームに本腰を入れるようだ。WSJが最初に報じたAerospace and Satellite Solutionsと呼ばれる専任部門は、NASAや米軍、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)のような民間宇宙企業などの顧客の宇宙プロジェクトにフォーカスしている。

同社はすでに、AWS Ground Stationなどで人工衛星や宇宙産業の顧客を支援している。顧客は、衛星通信やデータ処理などのAWSのサービスを提供することで、衛星ネットワークやコンステレーションを構築する際に専用の地上局を設置する必要がない。

この宇宙部門は、米空軍の少将だったClint Crosier(クリント・クロジャー)氏が率いることになる。クロジャー氏は米宇宙軍の創設に関与していた人物で、同氏をリーダーとして選んだことは、AWSのこの部門の主な目的を暗示しているだろう。つまり、大きな利益を生む顧客、主に防衛産業を獲得することだ。

昨年世間の注目を浴びた決定によってAWSは、ペンタゴンの推定100億ドル(約1兆800億円)のクラウドコンピューティングサービスの入札競争を、Microsoft Azureにさらわれた。敗れたAWSはその決定に正式に挑戦していたし、そこから結果した一連の処置はいまも生きている。しかし、契約を失ったことでAmazon(アマゾン)は目を醒まし「AWSは防衛関連省庁の正式の契約を取るためのパイプラインを強化するためにはもっとやるべきことがある」と悟ったのだ。

人工衛星と宇宙内資産のためのクラウドコンピューティングサービスは、今後数年間の防衛産業における大きなビジネスになるだろう。特に米国では、宇宙軍と国防総省の戦略の一部が大型の古い静止衛星への依存から、もっと多用性のある安くて冗長性に富む、そして打ち上げもさまざまな状況に即時対応できる、小型衛星のネットワークへと移行しつつある。

防衛関連の顧客に力を入れることは、スタートアップや小さな新しい宇宙ベンチャーの利益と無縁ではない。むしろ、アマゾンが大型選手としてこの部門により多くのリソースを専門的に投じれば投じるほど、スタートアップはそこから生ずる費用便益に享受できるはずだ。事実、AWS Ground StationはすでにCapella Spaceなどの小さなスタートアップを支援している。同社の本日の発表では、その人工衛星の指揮統制にAWSを利用し、また画像衛星から顧客へのデータ伝送も衛星自身がやるより相当速くて安くなるという。

このような新しい事業によって、衛星スタートアップの必然である地上局の設置などの厳しいコストも軽減できる。新型コロナウイルスはスタートアップの資金調達能力にも影響を与えており、特に宇宙のような最先端のテクノロジー分野が厳しい。だからこのようなコスト削減は、待ちに待った安堵と言えるだろう。

画像クレジット: AWS

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルがスマートグラスのNorthを買収、Focals 2.0は出荷中止

Google(グーグル)は6月30日のブログ投稿で、カナダのスマートグラス企業であるNorth(ノース)の買収を発表した。Northは2012年にヒューマンインターフェイスハードウェアのスタートアップであるThalmic Labs(サルミックラボ)として誕生した。グーグルは買収の詳細を明らかにしていないが、先週The Globe and Mail紙が買収観測を最初に報じた。グーグルのデバイス&サービス担当副社長であるRick Osterloh(リック・オスターロー)氏がブログを執筆した。同氏は、買収の主な動機としてNorthの「強力な技術基盤」を挙げた。

同氏はまた、グーグルの「アンビエントコンピューティング」開発に関するこれまでの取り組みについて強調した。アンビエントコンピューティングとはユーザーの日常生活に溶け込みバックグラウンドで行われるコンピューティングであり、今回の買収の背景にある戦略的な理由だ。オスターロー氏によると、Northはキッチナー・ウォータールー地域に拠点を構えるグーグルのチームに加わり、グーグルの「ハードウェアに関する取り組みとアンビエントコンピューティングの未来」を支援する。

別のブログ投稿で、Northの共同創業者であるStephen Lakeスティーブン・レイク)氏、Matthew Bailey(マシュー・ベイリー)氏、Aaron Grant(アーロン・グラント)氏は、買収について彼らの見解を述べている。今回の買収は「共有するビジョンを大きく前進させる」ため理にかなっていると語っている。また続けて、買収により、Northが昨年リリースした第1世代スマートグラス製品であるFocals 1.0のサポートを終了し、この数カ月にわたりリリースに向け苦しみながら準備してきた第2世代バージョンのFocals 2.0の出荷を中止することになるとも述べている。

Focalsはリリース後にメディアの注目を集め、これまでに発売された中で最も消費者に優しいウェアラブルグラスコンピューティングインターフェイスとなった。通常の眼鏡に非常によく似ており、アクティブコンピューティングコンポーネントを大きなアーム(つる)に収容しているが、メッセージやナビゲーションの方向などを示す透明なディスプレイ層はフレーム内に収めた。

Focals 1.0のデビューに関してNorthの共同創設者兼CEOのレイク氏は、同社は最初に開発したのはMyo(ミオ)ジェスチャーコントロールアームバンドで、それにより未来のアンビエントスマートコンピューティングプラットフォームと自然に関わる方法を作り出したと語った。腕を動かすとMyoは体が生成する電気信号を読み取り、コンピューターへの入力情報に変換する。MyoはGoogle GlassのようなウェアラブルコンピューターやVRヘッドセットなどと連携するよう設計されたが、連携相手となる機器が制御という点で全く物足りないものだとの認識に至り、Focalsを開発して根本的な問題に取り組むことにした。

だがFocalsにはいくつか大きな制約があった。購入したい人は最初にフィッティングのために物理的に出かけて行き、準備ができたらもう一度調整に行く必要があった。また非常に高価であり、通常の眼鏡をかける者の多くが必要とする処方箋をすべてサポートしているわけではなかった。Apple(アップル)のiMessageプラットフォームへのアクセス制限を含むソフトウェアの制約も、アップルのモバイル機器ユーザーの利用を妨げた。

North(およびその前のMyo)は、近くにあるウォータールー大学から才能ある優れたメカニカルエレクトロニクスのエンジニアを採用してきたが、同社のアイデアはだいたい消費者の関心を引き付けることに失敗してきた。経営を独立して持続するにはそうした消費者からの関心が必要だ。同社は創業以来、約2億ドル(約210億円)の資金を調達した。上述したように、グーグルが支払った総額は明らかではないが、大ヒットといえるようなイグジットではなかったようだ。

Northはユーザーへのメールで、Focalsの購入代金をすべて払い戻すと述べた。おそらくソフトウェアサポート終了についての苦情を一掃するためだ。サポートは比較的すぐ、2020年7月31日に終了する。

画像クレジット:North

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

NASAがアルテミス月探査計画に向けてブースターロケット6基を調達へ

NASA(航空宇宙局)は、コアブースター・ロケット SLS 6基をNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)社に追加発注する準備を進めている(NASAプレスリリース)ことを今週発表した。6基のブースターは、NASAがArtemis 1(アルテミス1)、Artemis 2、Artemis 3のために確保している既存の3基に加わる。Artemis は2024年に予定されているミッションで、米国人を再び、そして米国人女性を初めて月に送り込む計画だ。

この発表は、提携企業が長納期のブースターを、NASAが必要とする時期に納入できるように準備するのを助けることが目的であり、実際の発注はまだ大きなステップだ。総コストは4950万ドル(約53億2000万円)に上り、現在初回の予算が公開されている。現在のスケジュールでは、6基の追加ブースターは2030年12月31日までに納品される予定なので、Artemisのミッション4~9が実際に飛び立つ時期はらある程度想像できる。

ソリッドブースターは、NASAの大型ロケット SLS(Space Launch System)の打ち上げに2基一組、SLSコアステージの両側に1基ずつ配置され、打ち上げの離陸フェーズに使われる推進力の約75%を受け持つ。そのデザインは事実上スペースシャトルプログラム時代に使われたものを踏襲しているが、もっと重くて大きいSLSを地球の大気圏から宇宙に送り込むために必要な力が追加されている。

さらにNASAは、Artemisプログラムの最初3回のミッション以降に必要なRS-25エンジンとコアステージを購入する手続きを進めており、Artemis 1は、ロケット組み立てプロセスでブースターの設置準備がほぼ終わった状態だ。現在Artemis 1は2021年11月の打ち上げを目標にしている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

カーネギーメロン大学が文章を自動で丁寧な表現に直すエンジンを開発

普段はぶっきらぼうなメッセージを送っているが、もっと丁寧な文章が書ければ日常のコミュニケーションが改善されるだろうにと考えているなら、カーネギーメロン大学(CMU)の新しい研究が救いになるかもしれない。CMUの研究チームは、お願いや連絡のための文章を自動的に丁寧な表現に直してくれる技術を開発した。この技術は応用の幅がとても広い。要は文法チェックソフトのGrammarly(グラマリー)のように文章の基本を教えてくれるわけだが、単に文法的に正しい文章にするというより、文章の調子を整えるようにデザインされている。

Language Technology(言語技術)研究室の博士課程に在籍するShrimai Prabhumoye(シュリマイ・プラブモエ)氏をはじめ、修士課程のAman Madaan(アマン・マダーン)氏、Amrith Setlur(アムリス・セトラー)氏、Tanmay Parekh(タンメイ・パレク)氏らを含むこのCMU研究チームが開発したこのエンジンは、スタイル変換メカニズムをベースにしている。AIを使って写真を別の画像の雰囲気に合わせて変換するソフトウェアと同類のものといえばおわかりいただけるだろうか。このプロジェクトでは、Enron(エンロン)の従業員が交わしたおよそ50万通の電子メールからなるデータセットを利用している。このメールは、同社の不正取引に関連する訴訟手続きの際に公開されたものだ。

不正を働いた企業ではあるが、その従業員たちが互いに交わした電子メールの文面は、大きな企業に勤めたことのある人ならおわかりのとおり、要望や返答は共通の儀礼に則った丁寧な形式に当てはめられていた。これが、コンピューターに言語学アルゴリズムを学習させるためのよい基準となった。そして必要最低限の、あるいは礼節を欠く要求文を、より人間らしい思いやりや品位のある文章へ変換できるようになる。例えば「Show me last month’s reports(先月の報告書を見せてくれ)」という文章は「Could you please send me the reports from last month?(先月分の報告書を送付願えますか?)」となる。

比較的単純な処理のように見える。どんな文章でも「お願いします」や「ありがとうございます」を付ければ済みそうなものだと考えているかもしれないが、しかし研究チームによれば、実際にはもっと微妙な調整が必要だという。なぜなら、私たちが丁寧な文章を書こうとするとき、上の例のように、命令をお願いに変えるなど、より多くの要素が絡んでくるからだ。

CMUの研究チームが開発したこの自動化方式では、今のところは、改まった環境(職場など)で使われる北米英語にしか対応できない。その他の地方に合わせるためは、地域によって丁寧とされる言葉遣いが大きく異なるため、膨大な作業が必要になるという。しかし現在のレベルでも、例えば自動カスタマーサービスのチャットボットや電子メールクライアントによるテキスト入力候補の提案などには大いに活用できそうだ。

事実、テキスト入力候補の提案を多用する企業は、すでにこの技術に興味を示している。Apple(アップル)も米空軍研究所、米海軍研究事務所、全米科学財団、Nvidia(エヌビディア)とともにこの研究を支援している。

画像クレジット:Getty Images

原文へ
(翻訳:金井哲夫)

SpaceXがGPS III衛星打ち上げとブースター回収に成功

 

SpaceXはさきほど米国の新世代地球測位システムであるGPS III衛星の打ち上げに成功した。発注はGPSの管轄を米空軍から引き継いだ新設の宇宙軍だ。

打ち上げにはFalcon 9ロケットが使用された。1段目(ブースター)はSpaceXの工場で新規に製造されたもので初飛行だった。 今回はFalcon 9のブースターの回収も予定されている。2018年12月にSpaceXは最初のGPS IIIを打ち上げているが、このときはブースターは使い捨てだった。SpaceXでは「今回はブースター回収用燃料を残しながら本来のミッションを実行することができる」としている。

グッドニュースはSpaceXが今回のブースター回収に成功したことだ。正確に制御された減速噴射に成功し、大西洋を航行するドローン着陸船に無事着陸したことが確認されている。ブースターは整備され、将来のミッションで再利用されるはずだ。

宇宙軍によれば、今回打ち上げられたGPS衛星は世界の40億人のユーザーに影響を与えるような機能とセキュリティの改良が行われているという。この後、衛星は準静止軌道に入り、米国が運用している既存のGPS III衛星やそれ以前の世代のGPS衛星と連携して動作する。

SpaceXではフェアリング回収船のMs. TreeとMs. Chiefが(ネットによるキャッチではなく)海中からの引き上げを試みる。フェアリングも今後再利用される。

衛星の軌道投入には打上げから1時間半ほどかかるため、打ち上げそのものは成功しているが、打ち上げミッション全体の成否が確認されるまでにはもう少し時間が必要だ。新しい情報が入ればアップデートする。

【編集部追記】 SpaceXサイトのライブ中継によれば軌道投入は成功。今後運用試験と準天頂軌道への移動が行われる。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ナビゲーションプラットフォームのWazeが運転中の気分にフォーカスしたUIとデザインの大型アップデートを実施

クラウドソース型ナビゲーションプラットフォームであるWaze(ウェイズ)は、Google(グーグル)に所有されながら独立を保ちつつ、Googleマップと結びついた製品を開発している。この度同社は、これまでにない大幅なユーザーインターフェイスとデザインの変更を行った。それにともないドライバーが運転中の気分を表現するアイコン(最初は30種類)をシェアする「Moods(ムーズ)」を前面に押し出してきた。

Moodsは、ユーザーがカスタマイズに使うちょっとしたオプションのように思われるかもしれないが、実はクラウドソースで収集される情報の新しいデータ価値をWazeにもたらすという、大変に興味深い側面がある。この機能を解説したブログ記事(Medium記事)で、Wazeのクリエイティブ担当責任者であるJake Shaw(ジェイク・ショー)氏は、新たに追加されたMoodセットについて記している。これは以前からWazeに備わっていたMoods機能の上に構築されたもので、気分の表現の幅を大きく拡張している。

「Moodsの基本的な考え方は、常に変わりません。路上でのユーザーの気持ちを表現することです」と彼は書いている。「道路で人々が抱く感情の幅を探る作業は、大変に楽しいものでした。10人いれば、まったく同じ状況でもみんな違う感情を抱きます。そこで私たちは、そうした気分をできるだけ多く集めることにしました。これは私たちにとって大変に重要な情報となります。なぜならMoodsは、道路を走る我々全員が一緒に働いていることを思い出させてくれる視覚的リマインダーとして機能するからです」。

Moodsをより多様でパーソナルなものにすることで、視覚的魅力が高まることは確かだ。さらに、Wazeのユーザーコミュニティーのエンゲージメントを高める効果もあるだろう。同社はそれについて明言してはいないが、交通状況、天候、工事など、クラウドソーシングで集められるナビゲーション関連の詳細情報に感情の尺度としてそのデータが加わることで、より内容の濃いデータセットの構築が可能になり、その分析結果を道路計画、交通インフラの管理などに応用できるのではないだろうか。

今回のアップデートには、アプリ全体のインターフェイスのフルモデルチェンジも含まれている。グリッド上にカラフルな形状が配置されるようになり、道路の危険な状況を知らせるアイコンも新しくなった。明るい方向に大きく改善され、視覚的に兄弟分のGoogleマップとの差別化が増した。

ショー氏は、今回のデザイン変更を知らせるコミュニティーの声の価値について繰り返し語っていた。これは、コミュニティーへの帰属意識を高めることを念頭に置いていることは間違いない。そこが、他の交通系またはナビゲーションアプリと大きく異なる点だ。おもしろいことにこのデザイン変更で、考え方にもよるがグーグルの最も成功したソーシャルネットワーク製品はYouTubeを除くと、Wazeなのではないかと思えるようになった。

画像クレジット:Waze

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

高品質な録音作業がどこでも簡単にできるオーディオインターフェイス「iRig Pro Duo I/O」

現代、我々が使っているモバイル機器やコンピューターシステムは、オーディオインターフェイスを接続するだけでも難解で頭が痛くなる。だが、2020年のCESでIK Multimedia(アイケー・マルチメディア)が発表し、先日発売になったiRig Pro Duo I/O(アイリグ・プロ・デュオ・アイオー)があれば、高品質の音声をどこでも録音できるようになる。あらゆるデバイスで使用できる柔軟性があり、接続の煩わしさからも解放される(価格は199.99ドル、日本国内の価格は3万円前後)。

基本仕様

The iRig Pro Duoは、IK Multimediaのラインナップに新しく加わったiRig Proの上位機種であり、その名称からわかるように2つ目のXLR入力を備えている。それでもとても小型で持ち運びがしやすく、手の平にも乗るほどだ。電源は単三乾電池2本の内蔵式だが、USBまたは別売りの専用ACアダプターも利用できる。

ホームオーディオ愛好家の間でスタンダードになっているScarlett Focusrite 2i2(スカーレット・フォーカスライト・ツーアイツー)などのデスクトップ型USBオーディオインターフェイスと比べると、iRig Pro Duoはものすごく小さい。もちろんiRig Proよりは大きくなるが、必要な機能や能力をすべて備えながら究極のポータブルを実現しており、モバイルポッドキャスターなら手持ち機材にぜひ加えたい理想のデバイスだ。

またiRig Pro Duoには、左右の1/4標準バランス出力、パッシブマイク用48V内蔵ファントム電源、ダイレクトモニター用3.5ミリステレオジャック、MIDI入力2系統、専用ゲインコントロール、48V電源の状態と音声入力のピークを示すシンプルなLEDインジケーターが装備されている。

デザイン

面取りがなされ、わずかに丸みを帯びた四角いボディ形状は、格調高いデザインの世界では決して大注目されるようなものではないが、この手のデバイスにすれば非常に実用的なフォームファクターだ。片側に入力、反対側に出力が配置されている。IK Multimediaは、その出力ケーブル用に特殊なコネクターを採用しているがMac、iOS、Windows、Androidとの接続に必要なものは、すべて同梱されている。

そのすべてを収めるケースは、表面がわずかにゴム加工されたツヤ消しになっており、握った感触がよく耐久性もある。地味な外観も補助装置として相応の好ましい仕上がりだ。大きめのツマミは回しやすく、微調整もしやすい。底面にはパッドが付いていて、テーブルやカウンターの上に置いても滑りにくくなっている。

インジケーターの光り方は、システムに何が接続され、どのような作業をしているかを簡潔に表示するという意味で大変に効率的にできているが、例えばデバイス上のオーディオレベルなどをより細かく表示してくれたらもっとよかった。それでも十分に仕事はしてくれる。もっともデジタルオーディオのワークフローに組み込んで使うことが多いわけだから、細かい視覚情報は他の装置で確認できる。だからあまり問題にはならない。

結論

前述のとおり、iRig Pro Duoは箱から出してすぐに実質的にあらゆるプラットフォームに接続できる。また、そのすべてに物理的に確実に接続できるケーブルも揃っている。さらにIK Multimediaからは、すべてのプラットフォームごとの無料のDAWソフトウェアとエフェクトが提供されている。ただしソフトウェアはユーザー1人につき1つと限定されているので、どのプラットフォームを使うかをあらかじめ決めておくことが大切だ。

もしあなたが楽曲のレコーディングや、ひとり語りまたはインタビュー形式のポッドキャストの録音用に簡単で、手間のかからない、万能なセットアップを探しているなら、これは基本的に思い付く限り欲しい機能のチェックボックスをすべて埋めてくれる候補のひとつとなる。

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

人の顔を入れ替えた映画で使える高解像動画が作れるディスニー・リサーチのニューラルフェイススワッピング技術

ディズニー・リサーチがチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)と共同で発表した新しい論文で、写真やビデオの顔を入れ替えるための完全に自動化されたニューラルネットワークベースの方法について述べられている。研究者たちによれば、それはメガピクセルレベルの高解像度で最終結果を生み出す初の手法だという。現実世界の出来事だと視聴者を納得させるのに高解像度であることが鍵となる映画やテレビでの使用に、最終結果は適している可能性がある。

研究者はこの技術を使って、既存の俳優が演技している顔を置き換えることを考えている。例えば若返らせたり老化させたり、あるいは亡くなった俳優を描写したりするといった用途だ。彼らはまた、シーンによってはスタントマンの顔を置き換えることにも利用できると示唆している。

この新しい方法は、様々な点で既存の手法とは異なっている。例えば記録されたパフォーマンス中の顔を自由に入れ替えることで、必要に応じて比較的簡単に俳優のイメージを入れ替えることができる。また、俳優が実際にシーンと同じ条件の場所にいたように、合成ステップでコントラストと光の条件を調整することができる。

以下のビデオで成果を確認することができる(研究者が指摘しているように、静止画よりも動画の中の方が、はるかに優れた結果を得られている)。まだ「不気味な谷」の雰囲気が残っているものの、研究者たちはそれを認めた上で、これを「不気味の谷にうまく橋をかけてくれるフォトリアルフェイススワッピングへの大きな1歩」だという。基本的に、これまでの手法よりも「悪夢度」ははるかに少ない。特に他の手法で生成された動画と並べて比較してみると、それははっきりする。最も注目すべき点は、それがはるかに高い解像度で動作するということだ。これは実際のエンターテインメント業界採用されるための鍵である。

提示されている例は非常に小さなサンプルに過ぎないので、これがどれだけ広く適用できるかはまだ不明だ。例えば使用されている被写体は主に白いように見える。また特にビデオの場合、フェイススワッピング技術の使用は倫理的影響があるという懸念が常につきまとう。これは、実際には起こらなかった何かに対する、ビデオまたは写真の「証拠」を捏造するために使用できるからだ。

とはいえ、こうした技術が今や多方面から開発されていることを考えると、技術の研究と探究の倫理に対して議論する段階は基本的に過ぎている。その代わりに、ディズニー・リサーチのような組織が学術的な道筋をたどり、彼らの仕事の結果を共有することは歓迎される。そうすることで、悪意のある使用の可能性を懸念している他の人たちが、悪意のある利用者にフラグを立て、特定し、対抗する方法を決定できるからだ。

画像クレジット:Disney Research

原文へ

(翻訳:sako)

MIT製のルンバ似ロボットがボストンの食料倉庫で新型コロナを紫外線で消毒

MIT(マサチューセッツ工科大学)のCSAIL(コンピュータ科学とAIラボ)は研究プロジェクトの1つを利用してグレーターボストンフードバンク(GBFB)の倉庫の消毒サービスを提供し始めた。GBFBは食料配給のチャリティ団体で、MITは新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を抑制することにより同団体が活動を継続できるよう支援する。

CSAILがデザインし、Ava Roboticsと共同製作したロボットシステムは、新型コロナウイルスが付着した可能性がある物体表面を消毒するのと同時に、空気中に感染性のあるウイルスのエアロゾルが浮遊している場合にも一掃する効果があるという。

CSAILが提供するのは高度な消毒殺菌システムだが、家庭用掃除ロボットのルンバにやや似ている。強力な紫外線を利用して完全自動で施設の消毒を行う。人間の操作者を必要としないロボットであることがキーポイントだという。物体の表面や空気中のエアロゾルのウイルスを消毒できるレベルの紫外線は人体に有害なので人間が操作することができないからだ。

設計チームはAvaのテレプレゼンスロボットを利用し、遠隔地にいるロボットの操作者を表示するディスプレイ部分を取り外し、上の写真のように紫外線ランプのアレイに置き換えた。カメラとセンサーによってロボットは置かれた空間をマッピングする。ロボットは指定されたポイントをナビゲートしながらエリア内を消毒していくが、どの部分の消毒を済ませたかを記憶できるという。このシステムでは人間のスタッフが通常作業する場所を指定することで、優先的に消毒するゾーンを設定できる。

このシステムは移動経路の再設定にも柔軟に対応できる。GBFB倉庫で消毒が必要なエリアは食品の在庫状態によって常に変化するためロボットの巡回ルートは頻繁に変更が必要だ。開発チームは、将来はさらに高機能なテレプレゼンスロボットを利用し、多様なセンサーによって人間の作業員の動作や在庫状況を把握してどの部分が消毒が必要であるか優先度を自動的に判断して動作できるようにしていきたいと考えている。しかし当面はそのような調整は人間が行う。

食料供給を必要とする人々に食品を届けるGBFBは、新型コロナウイルスのパンデミックに際して極めて優先度の高い活動であるため、CSAILはまずここでの利用に焦点を当てている。ただしCSAILの研究者は今後この種のロボットシステムが食品企業、学校、航空機など清潔を保ち頻繁な消毒を必要とする複雑な空間で広く利用されるようになると考えている。

画像:Alyssa Pierson – MIT CSAIL

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXのStarlink衛星打ち上げは延期、画像撮影とデータ分析を行うBlackSky衛星のライドシェアを予定

アップデート:SpaceX(スペースX)は米国時間6月25日、実施予定だったのStarlinkミッションを中止した。次回の日程は不明だが、おそらく同社が次に計画している6月30日のGPS衛星の打ち上げの後なる確率が高い。

SpaceXは米国時間6月25日木曜日の米国東部夏時間午後4時18分(日本時間6月26日午前5時18分)、追加のStarlinkミッション(1カ月間で4回目)を打ち上げる。今回のミッションではStarlink衛星57機を搭載し、衛星ブロードバンドインターネットサービスのローンチに向けて、宇宙空間にある既存のコンステレーション(衛星群)に加わることになる。

打ち上げられるFalcon 9ロケットには2基のBlackSkyの衛星も搭載されており、これは地球の画像撮影およびデータ分析サービスに使用される。これはSpaceXが昨年導入したプログラムに基づいて導入された、小規模な事業者が共有ペイロードの一部としてミッションを予約し、約100万ドル(1億1000万円)から始まる打ち上げサービスへのアクセスを可能にする、同社のもう1つのライドシェアミッションだ。SpaceXは今月初めに、顧客のPlanetのための3機つの衛星に加えて、同社のStarlink衛星の58機を含むペイロードを搭載し、このライドシェアミッションの第1回目を打ち上げた。

ミッションで使用されるFalcon 9はこれまでに4回飛行しており、その中にはCrew Dragonの初の無人デモミッションも含まれる。SpaceXはStarlinkのコンステレーションを急速に成長させ続けており、ブースターの再利用と相乗りを組み合わせることで、打ち上げコストを大幅に削減できるだろう。

今回の打ち上げではすべてのStarlink衛星に、同社が開発した展開式のサンバイザーシステムが搭載される。

打ち上げでは第1段ブースターの着陸も実施される。これはSpaceXがわずか3週間で行った4回目の打ち上げであり、これには5月30日に実施された歴史的な乗務員によるCrew Dragonのデモミッションが含まれる。また、10回目のStarlinkの打ち上げでもある。さらに同社は、別の打ち上げミッションとしてケープカナベラル空軍基地からのGPS衛星ミッションを6月30日に予定している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

アマゾンが配車サービス向け自動運転のスタートアップ「Zoox」を買収

Amazon(アマゾン)は、米国時間6月26日に2014年創業の自動運転スタートアップZoox(ズークス)を買収することを発表した(Amazonリリース)。Zooxはこれまで約10億ドル(約1070億円)を調達し、配車サービス向けのフルスタックソリューションを提供するために、車両を含む自動運転技術を開発することを目指してきた企業だ。

アマゾンの発表によれば、Zooxは独立したビジネスとして存続し、現在のCEOであるAicha Evans(アイシャ・エバンス)氏もCTOで共同創業者であるJesse Levinson(ジェシー・レビンソン)氏とともにその役割を継続する。リリースノートにはまた、彼らの会社の全体的な使命も同じだと記されている。 Financial Timesの報告によると、この取引は12億ドル(約1290億円)相当で行われたという

The Wall Street Journalは2020年5月末の段階で、アマゾンはZooxを潜在的な買収ターゲットとして検討しており(未訳記事)、その取引がより進んだ段階に達したと報じていた。

Zooxは、自動運転業界で最もお金がかかる道の1つを選択した企業だ。自動運転機能を提供するためのソフトウェアやAIとともに、目的に合った自動運転の乗用車をゼロから構築することを目指している。Zooxはこの1年間でいくつかの目立ったコスト削減を行っており、2019年初めにインテルからCEOのエバンス氏を迎え入れた(未訳記事)。これは彼女の経験を商用化に向けた動きに役立てたいという思惑からだろう。

アマゾンのような資金に余裕のあるオーナーを得たことで、Zooxはその主たるライバル である Waymo(ウェイモ)に遅れを取らないような力を得ることができるに違いない。ちなみにWaymoは、Google(グーグル)の自動運転車プロジェクトとして始まり、現在ではGoogleのオーナーであるAlphabet(アルファベット)がオーナーである。

アマゾンは、独自の自動運転車両技術プロジェクトに取り組んできた。これには、小さなパッケージを顧客の家に運ぶようにデザインされた6輪の歩道走行ロボットのようなラストマイル配送ロボットなども含まれている。 同社は自動運転のスタートアップ企業であるAurora(オーロラ)にも投資しており(未訳記事)、また自動運転貨物車のスタートアップEmbarkの自動運転トラックのテストも行ってきた

アマゾンによれば、今回のZooxの買収は特にスタートアップの「自動運転配車のビジョンの実現」を支援することを目的としているため、アマゾンの荷物配送業務に直接焦点を当てていないようだ。しかしZooxがゼロから開発した技術、例えば特に自動運転利用のために開発されたゼロエミッション車などの技術は、アマゾンの業務に簡単に転用することができる。

その一方で、Zooxが本気で配車サービスに留まり続けた場合は、アマゾンはまったく新しい市場を開く可能性が出てくる。自動運転技術が成熟した暁には、UberやLyftと真っ向勝負を行う存在になるだろう。

原文へ

(翻訳:sako)