テスラCybertruckのラジコンカーがHot Wheelsから、割れた窓を再現するスタッカー付き

Tesla(テスラ)がレトロ的で未来的な台形デザインの電動トラックを実際にどこかへ納車するよりもずっと早く、おもちゃメーカーのHot WheelsがCybertruck(サイバートラック)を発売する。ラジコンカー版Cybertruckには、1/64モデルと1/10モデルの2種類があり、それぞれ20ドル(約2200円)と400(約4万4600円)ドルとなっている。

すでに予約販売をしているが、本物のTesla車と同じく、発表された商品がすぐ買えるわけではない。Hot WheelsのWebサイトによると、発売予定日は2020年12月15日、すなわち今年のホリデーシーズンだ。

これのラジコンカーはTeslaが2019年11月のイベントで披露したCybertruckを、きわめて忠実に表現しているようだ。大きな1/10モデルには、発表会のステージで起きた失敗を再現できる「割れた窓を表現する再利用可能なステッカー」が付属する。ただし、金属製のメディシンボールは自分で用意しなければならない。

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またCybertruckの1/10モデルは、点灯するヘッドライトとテールライトが搭載されており、「リラックスモード」(Chill)と「スポーツモード」(Sport)に対応。四輪駆動にもできる。さらに取り外し可能な後部座席のトノーカバーや、入れ子式で実際に動くテレスコピックテールゲートなどもある。

小さくて買いやすい1/64スケールモデルは全長わずか3インチ(7.5cm)で、Hot Wheelsのミニモデルとなる。数学が得意な友人に言わせると、その最大速度は時速800kmに相当するそうだ。

発売はアメリカとカナダのみだが、Cybertruckの人気から考えると、爆発的に人気を博しそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Tesla Model 3が米コンシューマーレポート2020年の「トップ10」に選出

Tesla(テスラ)のModel 3は、Consumer Reports(コンシューマー・レポート)誌が選ぶ2020年の自動車購入予定者人気トップ10に入った。非営利消費者組織であるConsumers Union(コンシューマーズ・ユニオン)は米国時間2月20日に今年の「トップ・ピックス」を発表し、Model 3は、トヨタjやスバル、ホンダ、韓国の起亜自動車、およびレクサスの車とともに選ばれた。

Model 3は、4万5000~5万5000ドルカテゴリーの3車種の1つとして、Lexus RX、トヨタ・スープラとともに選ばれた。同誌はModel 3の「スリリングなドライビング体験」を称賛し「スポーツカーを思わせる印象的な操作性と敏捷で正確なステアリング」と評した。全体的にやや「サスペンションが硬い」ことを指摘しつつも、長いEV航続距離と排ガスのないエコフレンドリーな特性が十分カバーしているとコメントしている。

さらに同誌はModel 3について、「オプションのオートパイロットシステムは、ドライバーの継続的な関与を必要としておらず、安全面の懸念を生んでいる」ことを特に指摘している。テスラは常にオートパイロットをドライバー支援機能と位置づけており、ドライバーにはいつでも制御を取り戻せるよう準備しておくよう要求しているが、実装方法そのものが、不注意運転につながる誤使用を誘発しているとの批判も受けている。

そうした懸念も、同誌がModel 3を2020年のトップ推奨車に選ぶ妨げにはならなかったようだ。テスラは、Consumer Reports 2020年ブランド・レポートカードでも33社中11位にランクされ、昨年から8ランク上昇した。このModel 3、そして生産能力をスケールアップしたテスラの迅速な改善が、消費者視点の非営利団体にアピールしたことは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

JAXAの火星衛星の砂持ち帰り計画に青信号、NASAも今年火星ミッションを予定

JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency )の火星探査ミッションに青信号が出た。このプロジェクトは火星の衛星に探査機を着陸させサンプルを採取して地球に持ち帰るという大胆なものだ。所管の文科省の承認を受けので、プロジェクトはいよいよ開発段階に進む。

画像提供:JAXA

MMX(Martian Moons eXploration) と名付けられたこの火星探査プロジェクトでは三菱重工が開発中のH 3ロケットにより2024年に探査機を打ち上げる計画だ。H-3ロケットは2022年の後半に最初のテスト打ち上げが予定されている。 断裁機は火星の2個の衛星フォボスとダイモスの双方を観察するこれらの衛星はどちらも地球の月に比べてはるかに小さく、表面の形状も不規則だ。

The MMXでは火星の衛星双方を観測するが、Mars Landerはフォボスに着陸する。探査車を火星の衛星に着陸させる計画はこれが世界で最初だ。 探査車はJAXAがドイツ(DLR)とフランス(CNES)宇宙開発機関と協力して開発する。

この計画が世界的に注目されているのは、フォボスの表面で資料を採取し、地球に持ち帰るという部分だろう。つまり火星往復のミッションであり、地球帰還は2029年が予定されている。

一方、米国ではNASAも火星からサンプルを持ち帰る計画を進めている。TechCrunchが昨年報じたMars 2020プロジェクトでは6輪のローバー探査車を火星本体に着陸せる計画で、打ち上げは今年の後半になる。

 

画像提供:NASA

これらの計画は来たるべき有人火星探査や植民化のために欠かせない重要な段階となる。フォボスは火星に近い低軌道を周回しているうえに重力が極めて小さく離陸が容易だ。このため本格的な火星探査のために優れた基地となると期待されている。NASAのArtemis(アルテミス)計画の最終目的は有人火星探査だが、その準備としてまず地球の月に恒久的施設を設置する考えだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

 

地球に向かう小惑星のコースを逸らす最良の方法をMITのシステムが提案

少なくとも一般に知られているかぎりは、今のところ小惑星が近く地球に衝突する恐れはない。でもそれは前になかったことではなく、また2029年にはニアミスが予想されている。従って準備はしておいた方がいいし、MITの研究者は手遅れになる前に衝突を避ける最良の方法を求めるシステムを開発した。

MITの院生であるSung Wook Paek(ソン・ウクペク)氏が率いるチームは、このたび発表された研究で、接近する小惑星の質量と相対運動量、およびそれがいわゆる「鍵穴」に入るまでの予想時間に基づく「デシジョンマップ」を記述している。鍵穴とは、地球のまわりの重力のハローのことで、そこに入れば小惑星は確実にこの惑星と衝突する。

MITが開発したデシジョンマップは、接近する小惑星をそらすための3つの選択肢を詳説している。1.ロケットや弾丸のような投射物を打ち上げてそのコースを変える。2.最初に偵察兵を送って正確な測定を行い、最良の投射物を開発する。3.二人の偵察兵を送り正確な測定とともに、その後の投射物の効果を最大化するために推力により小惑星の姿勢を変える。

2つの小惑星、Apophis(アポフィス)とBennu(ベンヌ)でのシミュレーションでは、時間が重要な要素だ。この2つは、よく知られていて情報量が多いのでシミュレーションに利用できた。例えば、重力の鍵穴の位置も地球からの正確な距離でわかる。そのシミュレーションによると、5年以上の余裕があれば最良の方法は二人の偵察兵とその後の投射物だ。2年から5年の猶予があれば、偵察兵1人+地球から発射する投射物が有効だろう。1年以下しか時間がなければ、どの方法も成功しない。

地球近傍天体の衝撃を避けるための公式の計画には、それに核兵器を撃ち込む方法が含まれているが、賛成者は多くない。MITが開発したこの方法なら、そこまでやらないで済みそうだ。ただし、発見や測定の方法が非常に高度に進歩していなければならないが。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

VolocopterとGrabが航空タクシーサービス展開の可能性を東南アジアで調査

空飛ぶモビリティのスタートアップであるVolocopter(ヴォロコプター)は、オンデマンド輸送、食品配送、ペイメント企業のGrab(グラブ)と協力して、東南アジアの空飛ぶモビリティに関する調査を進める。この共同調査は、この地域のいくつかの都市でのエアタクシーサービスの展開の可能性を探るために両社が署名した覚書(MOU)の一部として実施される。

これは最終的に実際に試験飛行を実施し、エアタクシーサービス展開のためのルートを確立することにつながりうるパートナーシップの最初のステップであるが、どこまで提携が進められるかは調査の結果とその後の両社の意向によると思われる。

Volocopterはドイツのスタートアップ企業で、2011年から電気垂直離着陸機の開発/実証を行っており、すでにシンガポールで現地の航空当局と協力して機体の実証を行っている。また昨年10月には、市内で世界初とされる本格的なエアタクシー「VoloPort」を発表し、提携しているSkyportと協力して、これらの都市型エアタクシーステーションのスケーラブルな商業モデルを開発した。

GrabはVolocopterやその空飛ぶタクシーサービスを、同社がさまざまな交通手段を組み合わせるパズルの、潜在的なピースとして見ているようだ。「このパートナーシップにより、Volocopterは東南アジアの通勤者に適した都市型エアモビリティソリューションの開発が進められ、通勤者は予算、時間的制約、その他のニーズに基づいた、シームレスな方法で好みの移動方法を決定することができる」とGrab VenturesのCEOであるChris Yeo(クリス・ヨー)氏はプレスリリースで述べている。

Volocopterは昨年、シンガポールは商用サービスを開始し、オフィスを開設するのに最も競争力のある地域の1つになる可能性があると伝えた。同社は以前、ほかにもドバイやドイツなどで、商用サービス提供の可能性があると述べていた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ジャガー・ランドローバーが都市型のライドシェア用電気自動車を発表、2021年の試験運用を目指す

Jaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)は、つい目を奪われてしまういつもとはずいぶん違う形状のコンセプトカーを発表した。それはProject Vector(プロジェクト・ベクター)という名の4輪の都市型電気自動車で、一般的な乗用車というよりは、空港で走っている低床のシャトルバスのようだ。

これは、ライドシェア用電気自動運転車が主流になるであろう将来を見据えた自動車メーカーの間で流行っているスタイルだ。たとえば、Cruise(クルーズ)は、これとよく似た直方体の車両を1月に発表している。決定的な違いは、Cruiseの車両は単なるコンセプトカーではなく、量産モデルという点だ。

外観上、ジャガー・ランドローバーのVectorはCruiseとよく似ている。前と後ろはほとんど見分けがつかないし、乗り降りのスペースを最大に取れるようスライドドアが真ん中から開くのも同じだ。床も地面に近い定位置にあり、同じように乗り降りが楽にできる。床に収められたバッテリーと駆動系で走る点も同じだ。

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完全な無人走行用のCruiseと違うのは、ジャガー・ランドローバーのほうには正面を向いたシートがあり、人が握るためのハンドルが備わっているところだ。ただし内装は「可変式」で、ゆくゆくは無人運転走行にも対応する。また、人を運ぶだけでなく、荷物の運搬用に変更できる柔軟性もある。

ジャガー・ランドローバーのこのコンセプトカーは、興味本位で作られたような代物でもない。イングランドのコベントリー市議会とウエスト・ミッドランズ合同行政機構と共同で、Vectorを使った試験運用サービスを、早くも「2021年後半」には開始する予定だと同社は話している。それは「コベントリーの街を走る未来交通の生きた実験室」になるという。

自分の街の道路が実験台になるなんて聞くと、大抵の人は嫌がるだろうが、逆に言えば、昔ながらの配車サービスよりも公共交通機関にずっと近い電気自動車による先駆け的なライドシェアはいいものではんだろうか。

GMとホンダが協業開発した配車サービス用電動無人運転車が登場(日本語訳)

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(翻訳:金井哲夫)

テスラも含め高度なAI開発は規制すべきとイーロン・マスク氏が提言

Tesla(テスラ)とSpaceXのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、人工知能の開発に対してまたしても警告を発した。これらの企業の経営トップであり創設者でもあるマスク氏は、2月17日の夕方、「高度なAIを開発しているすべての組織は規制されるべきだ。テスラも含め」とツイートした。

これは、2015年に、Sam Altman(サム・オルトマン)氏、Ilya Sutskever(イリヤ・サッツケバー)氏、Greg Brockman(グレッグ・ブロックマン)氏、Wojciech Zaremba(ウォジェック・ザレンバ)氏、John Schulman(ジョン・シュルマン)氏とともにマスク氏が設立した団体OpenAIに関するMIT Technology Reviewの新しい記事へのマスク氏の返答だ。当初、OpenAIは初期の投資家たちから調達した10億ドル(約1100億円)を元手に非営利団体としてスタートし、高度なAI開発を一部の狭量な利益を追求する人たち(営利目的のハイテク企業など)の手に渡してしまわないよう、社会的利益のためのオープンな研究を可能にすることを目指していた。

イーロン・マスク「OpenAIはもっとオープンになるべきだと思う」
イーロン・マスク「高度なAIを開発するすべての組織は規制されるべきだ。テスラも含め」

2015年に設立された当時、OpenAIの理念は「傍観者でいる」や「規制当局の監視強化を求める」といった考えに対抗するものとして合意されているとマスク氏は信じていた。2017年には、AI開発を管理するためには規制を導入すべきだが、ルールを提案する前に、業界を研究し見識を高めるための何らかの監視機関を組織する必要があるとの考えを示している

そうした年月の間に、いろいろな変化が起きた。OpenAIもそのひとつだ。2019年には非営利法人が所有する営利部門として公式に再編された。そして、Microsoftから10億ドル(約1100億円)の投資を受け、幅広い提携関係を結んだ。設立当初の原則と矛盾する動きだ。

MITの記事に対してマスク氏が今週発表したコメントでは、理想そしてより現実的な役割のために共同創設者として設立に協力したOpenAIから、彼自身がずいぶん離れてしまったと話している。さらにSpaceXの創設者でもある彼は、Microsoftとの提携が発表された際にOpenAIの使命に対して「根拠のある」懸念を「認めざるを得ない」と述べ、「OpenAIはもっとオープンになるべき」と主張した。またマスク氏は、「OpenAIにはまったく手が出せず、どうなっているかもごく限定的にしかわからない」と話し、AIの安全な開発が保証できるかという点に関して、OpenAIの研究ディレクターDario Amodei(ダリオ・アモデイ)氏への彼の「信頼」も「高くない」と言っている。

高度なAI開発を規制せよという全体的な主張の中にテスラも含めるというマスク氏の姿勢は大変な驚きに感じられるだろうが、それは人工知能開発全般に対する彼の立場と矛盾しない。マスク氏は、孤立した環境で高度なAIが生み出されることへの危険性を繰り返し警告してきた。それは「人類文明の存続を根底から脅かすリスク」と主張するまでに至っている。

また彼は、2月17日にフォロワーからの明言を求める質問に対して、高度なAIの開発は個々の国で規制すると同時に、国連などの国際的な管理機構でも規制すべきだという考えを明らかにした。AIの潜在的脅威に関しては、マスク氏の信念は時が経ってもまったく鈍っていない。おそらくそれが、彼の力となって、対等に活躍できる場を人類にもたらすというNeuralink(ニューラリンク)との共同研究を促進させることになるのだろう。

画像クレジット:Chris Carlson / AP

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXとSpace Adventuresが提携し2021年にも宇宙旅行を提供

SpaceX(スペースエックス)は宇宙船Dragonで提供する宇宙旅行で新たなパートナーを得た。Anousheh Ansari(アニューシャ・アンサリ)氏やGuy Laliberté(ギー・ラリベルテ)氏、Mark Shuttleworth(マーク・シャトルワース)氏といったすでに民間人を宇宙に送り出した宇宙旅行会社のSpace Adventures(スペース・アドベンチャーズ)だ。

Space Adventuresは有料の商業宇宙ミッションとして、国際宇宙ステーション(ISS)への8つのミッションで7人の顧客にサービスを提供。顧客を目的地に連れて行くのにロシアのソユーズロケットの有料座席を使用した。これは実際に商業宇宙旅行を提供するのに特異な形態だ。つまり、SpaceXは宇宙船Dragonでの人の輸送やフライト計画ができるようになったらすぐに客を乗せて飛ぶことが予想される。

これは特段驚くことではない。SpaceXはNASAとのコマーシャル・クルー・プログラムを通じて有人飛行に向けたDragonの認証に取り組んできた。このプログラムには宇宙飛行士を輸送する有人飛行に対応したバージョンの宇宙船Crew Dragonのテストや開発が含まれる。ISSへのデモミッションで実際にNASAの宇宙飛行士を初めて乗せるまであと数カ月しかない。

SpaceXとNASAは、同社の有人宇宙旅行サービスにおいて、NASAが複数いる顧客の1つにすぎないということをどう位置付けるかについて協議してきた。というのもプログラムの目的は、NASAが収入を生む商業飛行サービスの多くいるクライアントの1社になることで、宇宙飛行士の輸送のコストを下げることにあるからだ。

SpaceXのCEOで創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は以前、1回につき最大4人搭乗することが可能なCrew Dragonに宇宙旅行客を乗せて飛ぶことについて議論した。彼はCrew Dragonが実用化されたときに適用できるかもしれないモデルとして、ソユーズ以前の例を持ち出した。マスク氏とSpaceXはすでに、今後完成する宇宙船Starshipに日本の億万長者である前澤友作氏を乗せて2023年に月を周回する旅行を計画している。

Space AdventuresのCrew Dragonを使った民間人を対象にした宇宙旅行は2021年後半か2022年に開始される見込みで(すべて順調にいけばSpaceXがNASAの宇宙飛行士向けのサービスを開始するのと同じ時期か、それより少し後になると思われる)、フロリダのケープ・カナベラルにあるSpaceX打ち上げサイトから宇宙に向かう。Space Adventuresが以前飛ばしたソユーズのミッションのように、実際にはISSには行かない。しかし宇宙旅行の間、これまでに行われた民間人向けのどの宇宙旅行よりも遠くを飛び、すばらしい地球の眺めを目にすることができる。価格についての言及はないが、高額になることが予想される。高度がずいぶん低いVirgin Galactic社の旅行チケットよりもかなり高くなりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXが60基のStarlinkミニ通信衛星打ち上げは成功、ブースター回収は失敗

 

SpaceXはミニ通信衛星60基を軌道に投入した。SpacXのStarlinkは大量の小型衛星で世界をカバーしインターネット接続を提供しようとするシステムだ。60基ずつの打ち上げは今回で5回目の成功となり、これで300基の衛星を軌道に投入したことになる。Starlink衛星は今年だけで3回の打ち上げとなる。SpaceXは世界最大の商用衛星通信運用会社となった。

Starlinkプロジェクトは低軌道にある大量の小型衛星を利用するもので、次々に飛来する衛星がインターネット接続を引き継ぐことにより遠隔地を含めて全世界のユーザーに低コストで高速な接続を提供しようとしている。当面の目標は、2020年中にアメリカとカナダのユーザーをカバーすることだという。その後、衛星群の数の増加とともにサービスを世界各地に拡大する予定だ。

SpaceXがSarlinkで用いた打ち上げ方法は多少変わっている。ロケットの2段目は1回噴射して楕円軌道に入った後、同種の衛星打ち上げミッションよりずっと早く衛星を放出する。衛星はそれぞれのスラスターを噴射して所定の軌道に移る。これは複雑な運動となるがSpaceXによると燃料その他の打ち上げコストを大きく節約できるという。

2月18日の打ち上げはStarlinkシステムを稼働に向けて前進させただけでなく、SapceXにとって今後大きな意味を持つ再利用テクノロジーの改善も目的だった。1段目のFalcon 9ブースターは2019年すでに3回飛行しており、利用回数だけでなく、再利用に要する期間も前回の飛行からわずか62日とSpaceXとして最短だった。

SpaceXは今回もブースターを地上回収しようとしたが(成功していれば50回目の回収となった)、残念ながら失敗した。ブースターは着地のための減速噴射までは予定どおりだったものの、中継ビデオを見ると、ブースターは着地点を大きく外れて海に落下したようだ。SpaceXの前回の回収失敗はFalcon Heavyの中央ブースターが計画どおりに作動しなかったためだった。それ以外のケースでは回収は成功している。「ブースターは海に落下したものの、十分に減速されており破壊されていなかったため再利用の可能性はある」とSpaceXは述べている。

またSpaceXはカーゴベイを覆うフェアリングの回収も試みており、前回は二分割のフェアリングの片方を専用回収船のネットでキャッチすることに成功した。今回、SpaceXは大西洋上に専用船を2隻航行させフェアリングを2個とも回収する試みを行っているのでSpaceXから発表がありしだいその模様をアップデートしたい。

Starlink衛星の打ち上げはこの後も引き続き行われる予定だ。3月にも次の発射が計画されているという。

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滑川海彦@Facebook

Virgin Galacticが商用飛行に向け準備を開始。、宇宙船VSS Unityを宇宙港へ移動

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は商業宇宙飛行に向けて、重要なステップを踏み出した。宇宙旅行を計画する同社は、SpaceShipTwoの2号機「VSS Unity」を米国カリフォルニア州モハベにある同社の製造施設から、ニューメキシコ州のSpaceport Americaに移動させた。同社は、創業者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏が70歳の誕生日を迎える年内に、彼を宇宙へと打ち上げることを目標にしている。

VSS Unityは飛行機「VMS Eve」により係留され上空へと移動し、切り離され宇宙へと上昇する。そしてピーク高度の宇宙空間に到達するとエンジンを停止し、数分間のほぼゼロGとなる微重力状態を乗客へと提供する。

この90分の体験に、最初の旅行者はチケット1枚につき約25万ドル(約2700万円)を支払うことになる。これは高く思えるが、これまでの宇宙旅行の中では最も廉価な方法でもある。しかしチケットの保有者は、数年待ち望んでいた宇宙旅行を楽しむまでまだしばらく待つことになる。今回の再配置には宇宙船とその運搬用の飛行機の最終テストがともない、完了までにはまだ時間がかかる。

今回の準備では、宇宙船と輸送機を互いに接続して周囲の空域を飛行させる「キャプティブ・キャリー」フライトを何度か実施するとともに、VSS Unityによるロケットのフライトテストも行う。最終的に、Virgin Galacticは宇宙船の客室と、25万ドルを支払った旅行者が遭遇するであろう全体的な体験を評価し、最後の決定をする。

実際の運行に先立つ重要なテストの項目を考慮すると、VSS Unityの最初の商用飛行はまだ少し先になるだろう。前述したように、同社は70歳を迎えるブランソン氏のための飛行を優先していると伝えているが、状況次第では今年の終わりまでにほかの商用飛行も実施できるかもしれない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXのCrew Dragonが最初の有人飛行に備えてフロリダへ移動

SpaceXが、宇宙飛行士が乗る商用の有人宇宙船Crew Dragon(クルー・ドラゴン)をフロリダに移した。すべてが計画通りに行けば、2〜3か月後にはここからの打ち上げが行われる。Crew Dragonのカプセルは今、打ち上げ前の最後の試験と点検がフロリダで行われている。それはFalcon 9ロケットの上部に装着され、NASAの宇宙飛行士Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏を乗せて、フロリダのケープカナベラル空軍基地から打ち上げられる。

ベンケン氏とハーリー氏はCrew Dragonに乗って国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)へ向かう。それはSpaceXとNASAが「Demo-2」というコードネームで呼ぶデモンストレーションミッションの一環で、ISSまでの有人往復定期便の可能性を検証する試験の重要な一部でもある。SpaceXのCrew DragonとBoeing(ボーイング)の有人宇宙船Starliner CST-100の2つが、 NASAのためにその運用ステータスを達成すべき宇宙船とされている。なおボーイングの機は、目下開発と試験中である。

NASAの宇宙飛行士を乗せた宇宙ステーションへの往復飛行を前にしてCrew Dragonはフロリダへ移った。

ボーイングの宇宙船は最近何らかの問題に遭遇して試験の締め切りを延ばし、宇宙飛行士を乗せた最初の飛行を行うという目標に遅れが生じた。Starlinerは12月に行われた無人のデモンストレーションミッションで、深刻と思われる2つのソフトウェアの問題に遭遇した。今NASAと同社は修正活動を行なっており、それにはボーイングとそのソフトウェア開発および試験工程の安全性の見直しが含まれている。

一方SpaceXは1月に飛行中のアボートテストを行い、有人のデモミッションへ向かう前に必要とされる最後の重要なデモンストレーションを終えた。そのテストはあらゆる点で成功であり、Crew Dragonが予期せざるエラー時には自分を打ち上げ機から分離して離れ、乗客である宇宙飛行士の安全を確保することを示した。

SpaceXは、有人飛行の商用運用の前の、最後の段階で計画されているデモの、準備過程の詳細を共有してきた。たとえば今週初めのツイートでは、同社の宇宙船が超音波試験を行っていることを報告した。現在、Demo-2ミッションは暫定的に5月2日に行われるとされているが、ミッションのニーズや残る準備の進捗によっては早まることも延期されることもありえる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Blue Originの新ロケットエンジン生産施設が2月17日に開所

Blue Origin(ブルー・オリジン)は米国時間2月17日の月曜日に、ロケットエンジン生産施設をアラバマ州ハンツビルに開所すると、14日にツイッターで明らかにした。新施設ではロケットエンジンを現在よりも早く生産できる見込みだ。同社は開発中のBE-4エンジンを自社のNew Glennロケットに採用する予定で、エンジンの生産スピードアップは有用だ。新ロケットVulcanの開発を進めるUnited Launch Alliance(ULA)への供給にも貢献する。

Blue Originは2011年にBE-4の開発を始めた。当初は自社のNew Glennロケット向けにデザインされていた。New GlennロケットはBlue Originの初の軌道打ち上げ機となる。2014年、ULAは次世代VulcanのエンジンとしてもBE-4を採用すると発表。BE-4は、燃料として液化天然ガスと酸素を使い、推力は55万ポンド(約25万キロ)で、重量貨物を打ち上げられるようにデザインされている。

Blue Originは生産するBE-4エンジンのうち最初の2つを2020年にULAへ納入する、と話している。ULAは初の静的点火試験を行うべくBE-4エンジンをVulcanに搭載する。Blue Originはまた、このエンジンを積んだNew Glennロケットの初テストフライトを2021年に行うことを目指している。これはエンジンの性能を証明するために長期にわたって行われるテストのプロセスで、ライフサイクルテストを通じて品質を保証するのが目的だ。ライフサイクルテストは、ハードウェアが実際に使用期間中に受けるであろうストレスや動作条件を模して行われる。

Blue Originのテストプロセスには新部品の追加導入と、NASAマーシャル宇宙飛行センターにあるTest Stand 4670のアップグレードが含まれる。アップグレードによりBlue Originは片側でBE-3エンジンを、別の側でBE-4エンジンをテストできる。

Blue OriginとBE-4にとってはエキサイティングな時期であり、このエンジンがマーケットに出回ってしばらく経つ。自社の打ち上げ機の計画が進捗にかかわらず、今後BE-4は米国の宇宙打ち上げプログラムを前進させる中心的なものとして位置付けられるかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi

Rocket LabがNASAゲートウェイ計画の試験衛星を月軌道に打ち上げる

ロケット打ち上げスタートアップRocket Lab(ロケット・ラブ)は、NASACAPSTONE(キャプストン)実験のためのCubeSatを、同局の委託で打ち上げる契約を勝ち取った。最終目標は、CAPSTONE CubeSatをシスルナ(地球と月の間の)軌道に載せることにある。この軌道には、NASAが月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」が載る計画になっている。2021年の打ち上げが予定されている。

CAPSTONEは、バージニア州ワロップス飛行施設にあるRocket Labの新しい発射台Launch Complex 2(LC2)から打ち上げられる。Rocket Labは、この発射台を2019年12月に正式オープンし、同社のElectronロケットを使った最初のミッションを2020年の後半からスタートさせる。

この打ち上げは、バージニアの飛行施設から打ち上げられる2つめの月ミッションであることを含め、いくつもの意味で重要性が高い。これにはRocket LabのPhoton(フォトン)プラットフォームが使われる。自社で開発製造を行った人工衛星で、幅広いペイロードに対応できる。今回、Photonは、重量わずか25kg程度のCAPSTONE CubeSatを地球軌道から月まで運ぶことになる。目的地に到達すると、CAPSTONEは搭載されている小型エンジンに点火して、目標のシスルナ軌道に自らを載せる。

Rocket LabはPhotonを2019年に発表したが、当時はその目的のひとつに、小型衛星を長距離運搬することを挙げていた。それには月も含まれる。この能力は、2024年までに再び人類を月面に送り込み、月面とその軌道に恒久的な有人拠点を建設し、有人火星ミッションへの足がかりにつなげるというアルテミス計画に着手するNASAに売り込みをかける上で、きわめて重要なものだ。

CAPSTONEは、この計画でNASAが建設と運用を目指す月軌道ゲートウェイのための「先駆者」として大切な役割を果たす。

「CAPSTONEは、ゲートウェイの軌道として計画されている7日間で周回する独特なシスルナ軌道を調査するための、迅速でリスク許容度の高い実証実験です」と、NASAの有人月探査計画ディレクターMarshall Smith(マーシャル・スミス)氏は広報資料の中で述べている。今回のニュースに関しては「私たちはこの先行データにのみ依存するわけではありませんが、同じ月軌道を利用する目前のミッションでの、ナビゲーションの不確実性を低減できると考えています」と説明している。

Rocket Labによる打ち上げは、トータルで995万ドル(約10億9000万円)という固定料金になっているとNASAは話している。NASAでは、契約を交わしているAdvanced SpaceとTyvak Nano-Satellite Systemsにも、2021年に予定されている打ち上げの前までに、CAPSTONE宇宙船の建造を始めてもらいたいと考えている。

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(翻訳:金井哲夫)

Made In Spaceは周回軌道上でのソーラーパネル建造にBlue Canyon Technologiesの協力を取り付ける

周回軌道上での装置建造を手掛けるスタートアップであるMade In Spaceは、NASAとの契約によるArchinaut One(アーキノート・ワン)のデモミッションに協力してくれる企業として、米国コロラド州にあるBlue Canyon Technologies(BCT)に白羽の矢を立てた。同ミッションは今のところ2022年に実行されることになっている。Made In Spaceが、軌道上で2つの10m大のソーラーパネルを組み立るというもの。組み立てられたパネルは、その後ESPAクラスの衛星に電源を供給するために、実際に使用される。軌道上での組み立てをしない場合に比べて最大5倍の電力を供給できるとされる。

BCTは、ノースロップ・グラマンと共同で宇宙船プラットフォームを開発する。Made In Spaceは、それを使ってArchinaut Oneの製造プラットフォームを輸送する。同プラットフォームでは、軌道上で構造物を建造できるよう、積層造形とロボットアセンブリを組み合わせて採用している。BCTは、2008年にコロラドで設立された会社で、すでにさまざまなプロジェクトのために宇宙船を開発してきた実績がある。例えば、JPLが初めて実運用に成功したCubeSatプロジェクトであるAsteria(アステリア)宇宙望遠鏡などもその1つだ。

筆者は、Made in Spaceのプロジェクトについて、BCTのシステムエンジニアであるBrian Crum(ブライアン・クラム)氏に話を聞いた。同氏によれば、これまでの同社の仕事を代表するようなものになるという。同社は主に、興味深いデモミッションや画期的な宇宙技術の初めて運用に集中してきた。それは、宇宙での作業方法について途方もない可能性を開くことになったというのだ。

「私たちが専門的に開発している宇宙船の大きさと、価格帯を考えると、そうしたデモンストレーションのミッションは、実際に運用可能なコンセプトにつながるものとして、本当に役立ちます」と、クラム氏は述べた。「私たちは、コンセプトを実証するための優れたソリューションの一部であり、それに真剣に取り組んでいます。私たちは、いろいろなことを試してみたいという人々から、多くの興味深いアイデアを受け取ります。これも、間違いなくその1つです」。

BCTは現在、60機以上の宇宙船を実際に建造中であり、この1年間で規模が2倍に拡大した。さらに同社は、本社機能と生産設備を合わせて8万エーカー(約324平方km)以上にもなる新しい施設を開設する計画を持っていて、今年後半にも運用を開始する予定となっている。このような成長は、もちろんビジネスの伸展によるもの。クラム氏によれば、政府や民間産業を問わず、さまざまな方面で実験と技術デモがブームのようになっている結果だという。

「間違いなく、リスクを追い求めているような人が増えています」と、同氏は言う。「簡単に言えば、宇宙船への需要が高まっているため、私たちは成長しているのです。こうしたプログラムをサポートするため、優れた人材を採用し続けています。それによって、プログラムの数も大幅に増加しています。また、私たちの規模が大きくなるにつれて、宇宙船のサイズも大きくなり、より複雑になっています。つまり、少し難度が増しています。エンジニアリングにもさらに力を入れていく必要があるのです」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

衛星ブロードバンドサービスのAstranisが約99億円を調達

米国のシードアクセラレーターであるY Combinatorが支援するAstranis(アストラニス)がデットとエクイティの組み合わせによるシリーズBで9000万ドル(約99億円)を調達した。本ラウンドはVenrockがリードし、2018年のラウンドをリードした既存投資家のAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がかなり出資した。新たに調達した資金は初の商業衛星打ち上げに当てられる。この衛星は世界のインターネット非接続のかなりのマーケットにサービスを提供することを目的とする、未来のインターネットサービスの基礎となるものだ。

Astranisは、Andreessenがリードした1350万ドル(約15億円)の資金調達を発表した2018年に突如現れ、静止衛星を使った低コストで信頼できるインターネットを提供する計画を明らかにした。この手法は、かなりの数の衛星を地球低軌道に展開しようと計画している、このところ急激に増えている新規参入企業とは異なるアプローチだ。地球低軌道に展開する衛星は1カ所に留まらず、サービスを継続させるために地上のステーションを介してリレーシステムのように接続をつないでいく。

Astranisの静止衛星モデルは、すでにある宇宙からのインターネット接続提供方法に似ている。この方法では地球からかなり離れた静止軌道に大容量通信衛星を展開する。Astranisの画期的なアプローチでは従来の衛星の20分の1ほどの小型衛星を使う。重さは約770ポンド(約350キロ)で昔の衛星の1万4000ポンド(6350キロ)に比べるとかなり軽量だ。Astranisは超サイドバンドのソフトウェア無線技術により小型衛星の使用を可能にしている。この無線技術では、小型かつ複雑ではないハードウェアでより広域をカバーできる。これはかなりの宇宙空間を節約できるばかりでなく、ものの数カ月で衛星をつくって打ち上げることができる。昔の大型の静止通信宇宙機は準備に数年もかかっていた。

前述したように、本ラウンドはデットとエクイティの組み合わせだ。Y Combinator、そしてVenrock、Andreessenに加えて他の企業も参加する4000万ドル(約44億円)のエクイティファンディングを含む。残る5000万ドル(約55億円)のデットはTriplePoint Capitalが受け持つ。Astranisは今年と来年、インターネットサービスプロバイダー提携の獲得と、政府や他の産業との関係構築に注力する。

Astranisは昨年、初の商業衛星の打ち上げでSpaceXと契約を交わした。早ければ2020年第4四半期の打ち上げを目指す。Astranisはこれまでに1億800万ドル(約119億円)を調達したが、SpaceXのStarlinkやAmazonのKuiperなど、異なる技術で同じ機会を狙う資金豊富な競争相手がいる。

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(翻訳:Mizoguchi

宇宙産業スタートアップAstroscaleがJAXAと共同でスペースデブリ処理へ

スペースデブリ(宇宙の粗大ごみ)を掃除する日本のスタートアップであるAstroscale(アストロスケール)が、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で、現在軌道上に存在する残骸の一部を取り除くJAXAの最初のミッションに取り組む。JAXAのミッションはCommercial Removal of Debris Demonstration(CRD2)プロジェクト(デブリの商業的除去のデモンストレーション)と呼ばれ、そのための協力企業としてAstroscaleが選ばれた。両者が共同して2段階から成るこのミッションに取り組み、現在軌道上にある大きな胴体、日本のロケットの使用済み上段ロケットを排除する。

2013年設立のAstroscaleは軌道空間の掃除がもっぱらの専門で、それは軌道上のアクティビティが長期的で持続可能なものであるために欠かせない作業だ。スペースデブリは今や宇宙産業の大きな争点になっていて、しかもSpaceXやAmazon、OneWebなどにより宇宙利用の商業化が一層進むに伴い、この惑星を周回する軌道上の人工衛星の稼働台数は今後ますます、膨大な量になってくる

JAXAのこのミッションは、第1段階を2022年の終わりまでに完了し、この段階でAstroscaleは、第2段階で軌道から排除される上段ロケットを観測してデータを収集するための衛星を製造、打ち上げ、そして運用する。排除作業が安全に行われ、成功するためには、排除対象の動きと、周辺のデブリ環境に関する詳細なデータが必要だ。

Astroscaleの創業者でCEOの岡田光信氏は、プレスリリースで「CRD2のPhase Iは既存のデブリの危険性とその排除の必要性をより明確にするだろう。デブリの排除は今なお新しい市場であり、我々のミッションは常に、未来の世代の福利のために軌道の持続可能性を確保し、そのためにルーチンとしての宇宙のデブリ排除サービスを確立することだった。国際社会は最近ますますスペースデブリのリスクを問題視しており、我々はこれまで以上に、この可能性としての市場を現実化する努力に集中して行かなければならない」とコメントしている。

Astroscaleはすでに、ほかのデブリ排除プロジェクトに関わっており、またその「End-of-Life Services」(終末処理サービス)のデモンストレーションを今年後半に予定している。このような、スペースデブリの商業的排除処理のデモは世界で初めてであり、計画どおりに行けば、この成長途上の商機のニーズとテクノロジーとの相性を実証する重要なステップになるだろう。

今年初めには、2台の役目を終えた軌道上宇宙船がニアミスしてニュースになった。そのとき観測筋は、衝突していたら新しいデブリクラウドが生まれ、少なくとも数百の追跡可能な破片が生じると述べた。Astroscaleなどは、衛星通信事業者間のより詳細な追跡と情報共有を通じて、持続可能な宇宙内操業環境が多様な商業的活動に提供されることを期待している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米航空宇宙産業が衛星打ち上げのライドシェア事業を三井物産と山佐に売却

Spaceflight(スペースフライト)とBlackSky(ブラックスカイ)のオーナー企業であるSpaceflight Industries(スペースフライト・インダストリー)は、Spaceflightの事業を日本の大手商社の三井物産とパチスロメーカーで航空機や船舶のリースも手掛ける山佐に売却する。買収成立後のSpaceflightは、2社の持ち株比率50対50のジョイントベンチャーになるが、シアトルを拠点とする独立企業として米国で操業を続け、引き続き小型人工衛星のペイロードのライドシェア事業を展開する。

元親会社のSpaceflight Industriesは、売却益(金額非公開)を、地球観測衛星事業のBlackSkyに再投資する。現在それは軌道上の4つの衛星で稼働しているが、年内にさらに8つを加えることを計画している。

三井物産は日本最大級の商社として、インフラやエネルギー、IT、食品、消費者製品、鉱業、化学など多様なセクターがあり、これからはロケット打ち上げのライドシェアがそのメニューに加わる。三井には航空宇宙部門があり、そこは衛星の開発と打ち上げと運用サービスを提供しているが、本日のプレスリリースによると、Spaceflightは買収完了後に同社の宇宙戦略の「要石」になるようだ。

Spaceflightはそのサービスを2010年から提供し、これまで29回のロケット、計271基の衛星を打ち上げた。2020年だけでも、10回のミッションが予定されている。打ち上げプロバイダーと小型衛星の運用事業者はどちらも近年の成長産業であり、従ってSpaceflightの事業も今後の成長が見込まれる。多くの業界予測によると、2030年に始まる10年間には軌道ベースの事業が急上昇するという。

今回の協定も、宇宙産業の未来を示唆しているようだ。今後ますます若い企業の参入が続き、そのそれぞれが独自の成長および投資の戦略を追求して、ミッションの維持を目指すだろう。たとえばSpaceXは、そのStarlink事業の継続と今後の一般公開を目指すことを確認しており、その意向は今後のより大きな投資を招き、人間を複数の惑星にまたがる生物にするという目標に向けて、そのコアビジネスであるロケットと衛星の打ち上げにも資金が還流されるだろう。

Spaceflightのこれまでの事業が国家のセキュリティに関わる可能性があるので、今回の取引は対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States、CFIUS)が精査する。精査には数カ月を要するので、すべてがOKなら完了は2020年Q2になるとSpaceflight Industriesは考えている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

高効率で低コストの固体ロケット燃料開発のAdranos、米陸軍主催コンペでも優勝

米国インディアナ州のロケット燃料のスタートアップであるAdranos(アドラノス)が、応募過剰となったラウンドで100万ドル(約1億1000万円)を調達した。このラウンドは、プライベート投資企業Sextant Groupの会長であるArchibald Cox Jr.(アーチボルド・コックス・Jr)氏がリードした。資金はAdranosの製造能力の拡張とチームの増員に当てられる。

Adranosは、ALITEC(アリテック)と呼ばれる新種のロケット推薬を作っている。同社によると、それは従来の固体燃料よりも全体的な性能が良く、またアルミニウムを使う既存製品を燃焼したときに出る危険な塩酸が排出されない。アルミニウムとリチウムの合金を使用するALITECは、Adranosの共同創業者でCTOのBrandon Terry(ブランドン・テリー)氏がパーデュー大学の博士課程にいたとき着想した。

AdranosのALITECによる市場には、防衛産業が含まれる。そこでは同社の固体燃料がミサイルの射程の延伸と、強力なミサイルの小型化によるコスト減に貢献する。同社は、宇宙産業においても大きなペイロードを低費用で打ち上げるために利用できるはずだと考えている。

Adranosは最近、Blue Originで事業開発と政府向け営業を担当していたStefan Coburn(ステファン・コバーン)氏を事業開発および戦略担当副社長として迎えた。同氏を中心に、ALITECの商用化を進める意向だ。Adranosは昨年、プロトタイプロケットによるALITEC推薬のテストに成功し、合衆国陸軍が主催するコンペxTechSearchの第1回で優勝した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXの最初の有人宇宙飛行は早ければ5月にも実施へ

SpaceXのCrew Dragonは有人宇宙飛行の実現にごく近いところまで来ている。先月にIFAと呼ばれる飛行中に乗員を脱出させるテストに成功し、主要なテストをすべてクリアした。SpaceXと発注者のNASA.はDemo-2と呼ばれる有人飛行のテストに進む予定だ。

我々が得た情報では、SpaceXは今年の5月7日にこの有人宇宙飛行テストを予定しているという。この日時は仮のものだが、ニュースを最初に報じたArs TechnicaのEric Berger(エリック・バーガー)氏によれば、スケジュールは遅くなることも早まることもあり得るという。

これ以前にもSpaceXの宇宙船が実際の飛行に極めて近づいていることをわれわれはつかんでいた。先週のGAO(米国会計検査院)のレポートは商用有人宇宙飛行プログラムの進捗状況について詳しく説明しており、Crew Dragonカプセルの有人飛行テスト、Demo-2ミッションは「当初予定されたいたより3ヶ月早く完了するだろう」と述べていた。

Demo-2はその名のとおりCrew Dragonにとって昨年3月に行われたDemo-1に続く2回目の実証ミッションだ。昨年のミッションでは、Crew DragonカプセルはFalcon 9で打ち上げられ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングして物資を補給した後、大西洋上に安全に着水した。ただしこのミッションではカプセルは無人で地上から遠隔操縦された。

Demo-2ではNASA の宇宙飛行士、Doug Hurley(ダグ・ハーリー)氏とBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏の2人が乗り込むことになっている。2人にとってはこれが3回目の宇宙飛行となる。Demo-2の飛行内容はCrew DragonでISSを往復することで、Demo-1とほぼ同内容だが、今回は有人飛行であることが大きな違いだ。NASAのJim Bridenstine(ジム・ブラデンスタイン)長官は最近、「宇宙滞在の期間を当初計画していた2週間よりも延長するかもしれない」と発表している。これは現在ロシアのソユーズを利用して行なっているISS乗員のローテーションをCrew Dragonで実施しようとするものだ。

宇宙計画では計画の変更は付き物だが、予想外の事態が起きないかぎり上に述べたようなスケジュールでDemo-2は実施されるものと思われる。

画像:SpaceX

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXがNASAの有人宇宙飛行専門家を雇用、宇宙船クルードラゴンはDemo-2ミッション準備完了

SpaceXは同社初の有人宇宙飛行の準備中であり、宇宙船クルードラゴンの有人デモンストレーション・ミッションは5月7日に仮設定されている(現時点で日付は流動的)。火曜日(米国時間2/11)同社は、完成した宇宙船クルードラゴンのビデオを披露した。Bob Bhenken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏の両宇宙飛行士が搭乗する。また、CNBCは、SpaceXがNASAの有人探査部門の副責任者であるWilliam Gerstenmaier(ウィリアム・ガーステンマイヤー)氏を雇用したことを明らかにした。

Gerstenmaier氏はNASAで14年間この業務についていおり、40年にわたるNASAでの任務中スペースシャトル・プログラムと国際宇宙ステーションを担当していた。人間を宇宙に飛ばすことに関して、世界にこれ以上の人物が存在する可能性は低い。有人宇宙飛行プログラムを間近に控えるSpaceXにとって、鍵となる人事だ。

今年予定しているDemo-2ミッションでは初めて宇宙飛行士が搭乗し、SpaceXにとって国際宇宙ステーションとの乗務員輸送の定期提供者になるための次の一歩となる。現在NASAは宇宙飛行士の国際宇宙ステーションとの往復輸送をロシアのRoscosmos(ロスコスモス)が運行するソユーズに依存している。2011年にスペースシャトルプログラムが終了して以来行われている運用だ。

SpaceXは、今年中にBehnken、Hurley両宇宙飛行士をISSに運ぶ予定の宇宙船クルードラゴンの短編ビデオも公開した。この宇宙カプセルはテスト用の特別なチャンバーで、正式飛行前の検証プロセスの重要な部分を占める電磁妨害テストを受ける。今週Ars Technicaが報じたところによると、Demo-2ミッションの準備はほぼ完了しており、4月から6月のどこか実行される予定で、現在は5月7日が予定日になっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook