AW(Apple Watch)デーが近づくに連れて、予想どおり、否定的な意見も出てきた。その中でわりあい公平なのはMark Wilson だろう。「Apple Watchは失敗する」と主張している。しかし賛否両論を紹介しているし、Apple信者ではないが、憎んでいるわけでもないのでここで批判するのは控えておこう。
そこで私の予想を述べよう。Apple Watchは失敗しない。成功する。Apple Watchはいくつもの業界を同時に変革し、既存勢力に根本的な戦略の立て直しを強制する。バーチャル・リアリティーがシームレスに実現するまでは、次世代の通知システムのフロンティアはスマートウォッチだ。この分野で大きな前進ができるプレイヤーはAppleをおいて他にない。Apple Watchはたちまち何百万台も売れだろう。
通知機能は重要だ
Pebbleのスマートウォッチを使ってみて気づくのは通知機能の重要性だ。FacebookにせよTwitterにせよ、その中で起きている活動に対してユーザーの注意を惹きつけなくてはならない。そのためにスマートフォンにのべつピンとかチンとかいう音を立てさせ、ユーザーをうるさがらせているわけだ。
Pebble(その他の Android Wearデバイスもそうだが)を腕につけていて、いちばん快適なのは通知が来るたびにスマートフォンを取り出さずにすむことだ。ちらりと腕に目をやるだけで、誰から、どんなメッセージが来たかがわかる。なるほど始終注意をそらされるという点では理想的とはいえないが、現状よりはましになる。
身に着けるデバイスが増えれば煩わしさも増えるだけだという意見も多いが、スマートフォンよりも、いつもすぐ見えるところにある小さいスクリーンは煩わしさがずっと少ないと私は思う。
ファッション!
Appleは持っていることが世界中でステータスになるラグジュアリー・ブランドだ。Apple Watchの場合もニセモノやそっくりコピー製品の大群が押し寄せるには間違いない。その中で本物のApple Watchを持っていることは本物のバーバリーやプラダを身に着け、シャネルのハンドバッグを持っているのと同じ満足感を与えるだろう。そして友人、知人を羨望させるだろう。こうしたファッション効果は無視できない。
タイミングも完璧だ
Microsoftの最初のタブレット・パソコンは2001年に登場し、十分に優れた製品だった。しかしMicrosoftの努力にもかかわらず、いっこうに売れなかった。その後iPadの噂が聞こえてくると、否定論者は「タブレットPCと同様、失敗する」と予言した。しかし蓋を開けてみれば大成功だった。普通のメーカーは消費者に買ってもらいたい製品を作る。Appleは消費者が買いたい製品を作る。この差は大きい。
ウェアラブルは普及期を迎えてよい頃だ。いつかは必ずそうなるはずだった。私自身、Moto 360その他いくつかのデバイスを試したが、Apple Watchほど想像力を刺激された製品はなかった。Android Wearデバイスによってカラースクリーンの重要性に気づかされたし、FitbitやPebbleには簡素な実用性があった。Apple Watchはこうした両側面を統一し、美しく、実用的なプロダクトとなるだろう。これこそAppleの得意とするところだ。
多くの人々が腕時計を使っている
われわれの多くは腕時計が好きだ。最近の若いミュータント・ニンジャどもは時間を調べるにもスマートフォンを引っ張りだす(それはそれでよい)が、依然多くの人々が腕時計をしている(ヨーロッパとアジアでは特にそうだ)。 高級な時計は社会的な地位を示す。それがApple Watchが金側である理由だ。ロシアの富豪ならさしずめプラチナのApple Watchに純金のブレスレットをしたいと思うだろう。馬鹿げて聞こえるかもしれないが、私は高級時計産業について熟知している。さほど馬鹿な話ではないのだ。
前にも書いたが、時計産業は苦境にある 。時計メーカーはそこから抜けだそうとマーケティングに必死になっているが、バレーボールのプレイヤー向けスマートウォッチ などを作っても大した効果はない。むしろApple Watchの登場を機に、伝統的な高級時計を使っていた層が大挙してApple Watchに移行するのではないか。
蓋を開けてみるまではわからないとはいえ…
上のような議論は説得力があるものだと私は信じているが、確実な根據があるのかといわれれば、ないと答えざるを得ない。だが、テクノロジーの進歩とAppleと腕時計産業に強烈な竜巻を巻き起こしつつあるのは確かだ。一部のアナリストは最初の数ヶ月で700万台以上が売れるだろうと予測している。そこまで行くかどうか私にはわからないが、少なくともこの春に300万台、、夏にさらに何百万かは売れるのではないか? 世界中がApple Watchに期待している。どこまで成功するかはライバルの動向、品質、ユーザー体験などにかかっているが、どの要素も現在のところ、Appleが圧倒的に優勢であると私には思える。
画像:Apple
[原文へ ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+ )