家具小売のWayfairのアプリに写真を利用したAR機能などが登場

家具小売のWayfairは、購入前の顧客が家具類を家に置いたらどうなるかを視覚化して確かめられるようにAR技術をいち早く取り入れてきた。米国時間11月13日、同社はARによる視覚化の機能を強化した。顧客が現実の店舗で買い物をしていて自分の部屋の写真を撮れない時でもARを利用できる。

これは「インタラクティブフォト」という機能で、買い物客は自分の部屋の写真を撮っておくと、家にいない時でもその写真の中に複数の商品を視覚化できる。この機能自体は、写真から部屋の空間の情報を把握してARのような体験を得る技術を使っている。

この機能のほかに、今回のアップデートではカメラツールがアプリのエクスペリエンスにもっと生かされるようになった。Amazonアプリで検索フィールドの横にあるカメラのアイコンをタップしたときと同じことがWayfairのアプリでもできる。カメラベースの機能であるビジュアル検索とARの「室内で表示」はスワイプ操作で切り替えることができ、このAR機能の中に前述のインタラクティブフォトも含まれる。

Wayfairのモバイルショッピングアプリには、室内デザインツールの「Room Planner 3D」も登場した。買い物客はこのツールでインタラクティブな3Dの室内を作り、レイアウトやスタイル、部屋の大きさなどを変えながら、あらゆる角度から見ることができる。

このアップデートは、Amazonが今年1月に「Showroom」というビジュアルショッピング体験の提供を開始したのに追随するものだ。AmazonのShowroomでは、オンラインやモバイルで購入するユーザーが、壁の色やフローリング、カーペットなどを設定したバーチャルルームに家具や装飾品を配置できる。

Wayfairのプロダクトマネジメント、エクスペリエンスデザイン、アナリティクス担当バイスプレジデントのMatt Zisow(マット・ジソウ)氏は発表の中で「Wayfairアプリの最新版では、高度なARと機械学習機能を反復し、革新的な空間認識技術をeコマースの体験に取り入れることで、できることの範囲をさらに広げ、想像と現実のギャップを埋めた」と述べている。

Wayfairはつい先ごろ、第三四半期の収支報告を発表したばかりだった。それによると同社の1株あたりの損失は2.33ドル(調整後。約253円)で、予想の2.10ドル(約228円)よりも大きい損失となった。ただし売上は前年同期比より35%多い23億ドル(約2500億円)で、予想の22億7000万ドル(約2470億円)を上回った。同社は損失について「関税による短期的な逆風」によるものとしている。

年末のショッピングシーズンがヒートアップする中、Wayfairは消費者がアプリをアップデートしたくなるような魅力的な機能をアピールして、買い物をしてもらわなくてはならない。何と言っても昨年のブラックフライデーに、米国でのスマートフォンからの売上は21億ドル(約2280億円)に達したのだ。

新しいWayfairアプリはiOS版とAndroid版が公開されているが、インタラクティブフォト、カメラ、Room Planner 3Dといった新機能はiOS版のみで利用できる(訳注:本稿公開時点でこのアプリは日本では配信されていない)。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyが曲と完全同期したリアルタイムの歌詞表示をテスト中

iOS 13からAppleはApple Musicに曲と完全に合った歌詞を加えた。そして今度はSpotifyの番か。国際市場の何人かのユーザーが、Spotifyのモバイルアプリで同じように同期した歌詞を見たことを報告している。歌詞が曲に合わせてスクロールするのだ。ツイートのスクリーンショットによると、その機能はMusixmatchが提供している。SpotifyはTechCrunchに対して「この機能は今いくつかの限られた市場でテスト中である」と確認した。

Spotifyは具体的に地域の名前を挙げなかったが、カナダとインドネシアとメキシコがテスト市場に含まれるらしい。

この機能は再生コントロールの下にあり、Behind the Lyrics(歌詞の裏側)やStoryline(ストーリー)など、そのほかの拡張機能と並んでいる。ユーザーの報告によると、歌詞は全画面モードでも見られる。ここ米国では同じ体験を再現できなかったから、テスト市場に含まれていないのだろう(下図のツイートの言語はインドネシア語とスペイン語。内容は「Spotifyに歌詞が突然現れた」など)。

Spotifyはデスクトップでは数年前から歌詞をサポートしていたが、その後その機能はなくなった。ユーザーは何度も何度も、それが戻ってくることを求めた。たとえばSpotifyのユーザーフィードバックコミュニティでは、「歌詞を戻せ」というリクエストの賛成票が1万4300票にも達した。Spotifyはリクエストに応えようとしなかったが、Geniusを統合した機能Behind the Lyrics(歌詞の裏側)を指示した。

しかしGenius提供のその機能は歌詞全文ではなくて、歌詞とストーリーを組み合わせた注釈だった。それなりに勉強になるし、楽しくもあるけど、その歌がなんと言ってるのか知りたいという欲求は満たしてくれない。

現在Spotifyのデスクトップもモバイルアプリも、日本を除いては歌詞をサポートしていない。今回のようなテストはときどきやっているから、これも近日中にローンチするというサインではない。

歌詞を提供しないというSpotifyの決定は、Apple Musicに有利に働いている。Spotifyの今の有料ユーザー数は1億1300万で、Apple Musicは6000万だから、歌詞のあるなしが決定的な競争要因になることはないだろうけど、ユーザーのつなぎとめには貢献するだろう。歌詞のないサイトに移行したい人は、たぶんいないから。Alexaデバイスに音楽と歌詞を統合したAmazonも、Spotifyの歌詞なしポリシーに助けられている。

Spotifyのスポークスパーソンは「同期する歌詞は目下テスト中である」と確認した。「確かにこの機能は目下、少数の市場でテストしております。Spotifyでは常に、さまざまな新しいプロダクトやユーザー体験をテストしていますが、現時点でシェアできるニュースはございません」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPhoneとApple Watchで健康調査に参加するための「Apple Research」アプリが米国で公開

Apple(アップル)は9月に、米国のユーザーが自分のデバイスから健康調査に参加できるアプリの計画を発表していた。米国時間11月14日、米国でiPhoneとApple Watchのユーザー向けにそのアプリが公開された。この「Apple Research」アプリから、ユーザーは現時点では3種類の調査に参加できる。女性の健康調査、心臓と運動に関する調査、聴覚に関する調査だ。

アップルはこれまでも研究者や医療機関とともに調査をしてきたが、参加するユーザーは自分のiOSデバイスに調査ごとの専用アプリをインストールする必要があった。このほどリリースされた「Research」アプリには参加に関するアクティビティがまとめられていて、複数の調査に参加したいユーザーにとってはシンプルになる。

アップルのデバイス(そしてそこに内蔵されている多くのセンサー)から収集されたデータを利用して、研究者はこれまでは不可能だった大規模な健康調査を実施することができる。アップルは、これまでこの種の調査には費用と時間が必要だったが、これからはユーザーが参加することで心臓、運動レベル、アクティビティ、騒音など、健康に関する情報を研究者に直接共有できるとしている。

アップルのプライバシーに関する取り組みは、ここでも同様だ。データの共有はユーザーのコントロール下にあり、データは暗号化され、販売されることはなく、研究者はユーザーに対しデータがどう活用されるかを知らせなくてはならない。そして参加者はいつでも参加を取りやめることができる。

最初にスタートする3つの調査のうちの1つは、ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院および米国国立環境健康科学研究所と連携した女性の健康調査だ。この調査は、女性の月経周期と不妊、骨粗鬆症、更年期、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)との関係を明らかにすることを目的としている。この調査では、iPhoneの「ヘルスケア」アプリまたはApple Watchの「周期記録」アプリから、ユーザーの周期記録のログを収集する。

心臓と運動に関する調査では、米国心臓協会およびブリガム・アンド・ウィメンズ病院と連携する。この調査では、ワークアウト中のデータに加え、心拍数とアクティビティのデータがApple Watchから収集され、簡単なアンケートも実施される。このデータは、運動のシグナルおよび心拍数とリズムから、心房細動、心臓病、運動能力の低下などの早期発見につながるサインを発見できるかを研究するために使われる。

聴覚に関する調査ではミシガン大学およびWHO(世界保健機関)と提携し、iPhoneやApple Watchの「ノイズ」アプリからユーザーがさらされている音に関するデータを集める。アンケートと聴覚検査も実施する。この研究では、大きな音が検出されたときに「ヘルスケア」アプリの通知によってユーザーが自分のリスニング行動を変えるかどうかも調査される。

アップル最高執行責任者のJeff Williams(ジェフ・ウィリアムズ)氏はアプリの発表の中で次のように述べている。「今日はアップルが健康調査に乗り出した重要な日だ。この取り組みは、医療関係者が長く求めていた領域に大きな成果をもたらすだろう。「Research」アプリの参加者は、新しい発見につながり健康な生活に貢献できるような、とてつもない影響を生み出すことになる」。

iPhoneとApple Watchで利用できる「Research」アプリは米国で配布されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンとグーグルがスマートディスプレイ販促でレシピ機能を強化

Amazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)は、AlexaとGoogleアシスタントで動くそれぞれのスマートスピーカーデバイスの確たる活用法を見つけ出した。レシピだ。

2社は今週、ユーザーが音声アシスタントで案内されながらハンズフリーで料理できるようにする新たなプロダクト機能を発表した。アマゾンはこの新機能を今週提供し始めた。BuzzFeedのレシピサイトTastyとの提携のもと、音声とビデオによるステップバイステップのインストラクションをAlexaユーザー提供する。一方、Googleは起業家でシェフのAyesha Curry(アイシャ・カレー)氏と組み、彼女のレシピをGoogleアシスタントで提供する。

カレー氏のレシピもまた、Googleアシスタントで動くNest Hub Maxのようなスマートディスプレイで、料理方法がステップバイステップで案内される。

TastyのレシピはEchoデバイスで利用できるが、Echo Showデバイスではクッキングビデオも閲覧できる。

この新機能で興味深いのは、サードパーティの専用スキルの代わりに両社ともコンテンツのパートナーシップを結んでいることだ。実際、カレー氏は彼女の新しいレシピ(ブラウンバターアップルを使った鋳鉄鍋でつくるブレッドプディング)をGoogleアシスタントユーザーのために提供している。

音声アプリの成長は過去数年めざましく、Amazonはこの秋、スキルの数が10万を超えたと発表した。しかしレポートによると、この勢いは減速しているようだ。デベロッパーの熱狂がなくなりつつあるからかもしれない。

音声アプリの難点は、音声コマンドという手段だけでは見つけるのが難しいことだ。そして正常に立ち上げるには定められたシンタックスを使う必要がある。もちろんユーザーは素晴らしい天気アプリやゲームを見つけるだろう。しかし、もしその名称を記憶できなかったら、次回同じものにたどり着かないかもしれない。別の難点は、初期の音声アプリの多くがデベロッパーによって作られていて、一部のデベロッパーはユーザー体験デザインの知識に欠けているために、結果としてなんとも使いづらいものになっていることだ。

最後に、スマートスピーカーやスマートディスプレイの所有者が定期的に音声アプリを使っているかどうかわからない点も挙げられる。AmazonとGoogleはスキルの数をユーザーにアピールする傾向があるが、それらを使っている人の数は表に出てこない。

提携によるコンテンツの統合では、こうした問題を回避できる。

コンテンツの統合は物事を単純化し、AmazonとGoogleを元のようにユーザーエクスペリエンスのコントロールに専念させることになる。それでいて、ユーザーがサードパーティーのアプリを立ち上げることなくして欲しいものを手にすることができるようにする。

レシピはまた、極めてわかりやすい。材料のリストや調理法など、いくつかのパーツだけで構成されている。それらを利用するためのコマンドはシンプルで、「アレクサ」または「ヘイ、グーグル」と話しかけてから「〇〇からのレシピを見せて」と言うだけ。いたってシンプルだ。

レシピの展開は、「アレクサ、材料」「アレクサ、次のステップ」「アレクサ、レシピを開始」といった基本的なコマンドのおかげで、他の音声アプリより簡単だ。

スマートスピーカーはまた、「ヘイ、グーグル、1カップはテーブルスプーンいくつぶん?」「ヘイ、グーグル、ブラウンバターの作り方を見せて」といった料理に関する一般的な質問に答えることができる。

Tastyと提携する前、Amazonはガイド付きの料理機能を立ち上げてデバイスの売上を伸ばそうと、レシピの模索に着手した。この機能はEcho ShowとEcho Spotのユーザーが、スキルをインストールすることなしに料理するとき、Allrecipes、Epicurious、Food52、TheKitchn、そしてSideChefからステップバイステップの指南を受けられるというものだ。

加えて、Alexaはつい最近、Discoveryの新しい購読サービスであるFood Network Kitchenのための音声プラットフォームをデビューさせた。レシピやビデオだけでなく、ライブによる料理長との料理クラスも提供する。

Googleにとっても、アイシャ・カレー氏との提携が初めてではない。これまでにBon Appetite、The New York Times、Food Network、その他のレシピをGoogle Homeで提供してきた。今年、スマートディスプレイ向けに「Picks for You」機能を立ち上げ、ユーザーへのレシピの提案がパーソナライズされる、と発表した。

AmazonとGoogleのレシピ機能はいずれも現在利用できる。

使うには「ヘイ、グーグル、アイシャ・カレーのレシピを見せて」と言ったり、Alexaに材料や料理名、それから「アレクサ、Tastyでチキンを使ったレシピを見つけて」などと状況に基づいてTastyのレシピをお願いするだけでいい。

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(翻訳:Mizoguchi)

Apple Musicが一年を振り返るプレイリスト「リプレイ」を提供

Apple MusicはSpotifyに対抗する新機能、Apple Music Replayを発表した。ユーザーは2019年に聴いたお気に入りの曲を振り返ることができる。これはSpotifyで人気の年末レビュー機能、Wrappedに似ているが、Appleバージョンは単なる年間サマリーだけではない。これは現在進行形の体験だ。

Apple Music Replayを選ぶと、そこには2019年のトップソングのプレイリストが表示
されるだけでなく、Apple Musicを契約して以来毎年のプレイリストも見ることができる。これらはApple Musicのライブラリに追加できるのでいつでも、オフラインでも、聴くことができる。ふつうのプレイリスト同様Apple Musicリプレイは他の人とシェアすることもできるので、友達とトップソングを見せ合ったり、SNSに投稿したりできる。

そして、SpotifyのWrappedが年間の振り返りにとどまっているのに対して、Apple Musicレプレイは一年間ずっとアップデートされ続け、ユーザーの音楽テイストや興味に従って進化していく。プレイリストや関連データは毎週日曜日に更新されてユーザーの最新のリスニング傾向が反映される。

こうして作られるプレイリストはお気に入りのコンピレーションといえるものになり、年末に一度だけでなく、一年を通じて価値が追加され続ける。そして1月になると、2020年リプレイのプレイリストが白紙状態で、Apple Musicの6000万曲の中から見つかるお気に入りの曲が追加されるのを待っている。

Apple Music リプレイは、Apple Musicの全プラットフォームで利用可能で、ウェブではreplay.music.apple.comから入れる。

Apple Music リプレイは使ってたのしいだけでなく、AppleがSpotifyとの競争力を強化する役割を担っている。Spotifyはストリーミングデータを使ってさまざまなパーソナライズされたプレイリストや機能をユーザーに提供している。最近同社は、予想以上に好調な売上で黒字に転じた決算を報告し、有料メンバー数は9月末で1.13億人に達した。一方Appleの有料メンバー数は、6月末時点で
6000万人だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleマップが外国の地名を読み上げる翻訳機能を提供

Googleマップは、言葉の通じない国を旅行する人たちのために、テキスト読み上げ機能付き翻訳機能を提供する。ユーザーが場所の名前や住所の横にあるスピーカーボタンをタップするとGoogleマップが読み上げてくれる。旅行中に道順を尋ねたいときには特に便利だろう。

外国に行ったことのある人なら、道順を聞いたりタクシーの運転手に行き先を伝えなくてはならない場面があるだろう。それはその国の言葉をしゃべれないと非常に困難なことでもある。翻訳アプリや辞書があっても、日常会話に特化していることが多いので固有名詞や地名は入っていない。

これからは、発音に苦労したりたどたどしい会話をしたり、スマホを運転手に渡したりしなくても、ボタンをタップするだけでよくなる。

さらに会話を続けたいときのために、Google翻訳へのリンクもある。

この新機能は、現在スマートフォンで使われている言語を見て、翻訳オプションを表示すべき場面を決定する。例えば、英語の話者が東京の地図を見るとスピーカーアイコンが表示されるが、米国内の場所を見てもアイコンは表示されない。

この種の音声読み上げ機能がこれまでGoogleマップになかったことは、このアプリが旅行目的によく使われることを考えると少々驚きでもある。しかし最近Googleは、Google HomeGoogle アシスタントGoogle レンズなどさまざまなアプリにGoogle翻訳を組み込み始めている。翻訳機能はGoogle製品を強力にして競争力を高めるとともに、利用者の利便性も増す。

Googleマップの翻訳機能は、今月iOSとAndroidで提供を開始した。現在の対応言語は50種類で、将来もっと増やしていくとGoogleは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitchが無料のブロードキャストソフトTwitch Studioを一般公開

Twitchは米国時間11月12日、誰でもストリーミング放送ができるソフトウェアとしてTwitch Studioを一般公開した。ストリーミングの未経験者でも簡単に始められるようにセットアップを簡単にし、ブロードキャストが初めての人でもプロ級の映像や音を送れるよう、さまざまなツールをそろえている。

本日まで非公開ベータだったそのソフトウェアは、ガイド付きのセットアッププロセスでユーザーのマイクやウェブカメラ、モニターの解像度、ビットレートなどを検出する。ユーザーはさまざまな初心者向けレイアウトとオーバレイの中から選び、ストリームのルック&フィールをパーソナライズできる。

Twitch上で動き始めたらユーザーは、オンラインのコミュニティや視聴者と対話できる。そのための方法は、内蔵されているアラートやアクティビティフィード、統合されているTwitchチャットなどだ。

同社は前にも説明していたが、ストリーミングをやりたい人は多いけど、やり方が難しすぎて誰もがギブアップしていた。この新しいソフトウェアは、そんな人たちが初めてセットアップのハードルを乗り越えられることをねらっている。

今後ユーザーの知識と能力が増えて、Twitch Studioでは満足できなくなるかもしれない。でも目標は人びとをTwitchのストリーミングの世界に誘い込むことだから、このソフトウェアの長期的なユーザーにならなくてもいい。

Twitch Studioが現在使えるのはWindowsのみで、macOSやiOSやAndroidはまだ。しかし、まだだと言うのは、そのうちという意味だろう。Twitchは、このソフトウェアにTwitchのそのほかの機能を統合し、また視聴者のチャットや参加性を容易にするツールも準備中だ。

今という立ち上げのタイミングは、最近Twitchの最大のストリーマーTyler “Ninja” BlevinsがMicrosoft(マイクロソフト)のMixerに移籍したことと関係ありそうだ。続いて、Michael “Shroud” GrzesiekもMixerへ行った。そして11月19日にローンチするGoogle(グーグル)のStadiaでは、YouTubeに直接、容易にストリーミングできる

Twitchによると、Twitch Studioは今日から誰もがベータで利用できる。Windows 7以上に対応する。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AmazonがWhole Foods以外のグロサリーストアを2020年にオープン

Amazon(アマゾン)は、買収したWhole Foods以外のグロサリーストア(食料品店)を米国ロサンゼルスのウッドランドヒルズ地区に初めて開く。このニュースを最初に報じたCNETは、その場所を指している求人票をいくつか発見した。職種は、ゾーンリーダー、グロサリーアソシエイト、フードサービスアソシエイトなどだ。

Amazonによると、増加しているレジなしコンビニエンスストアのAmazon Goと違って、この新しいストアは従来型のチェックアウト技術を用いる。CNBCによると、ストアの場所はショッピングセンターの中の以前トイザラスがあったところらしい。

Amazonは計画の詳細をまだ明かさないが、ウッドランドヒルズのストアは2020年に開店する、と明言した。Whole Foods以外の食料品店の計画がAmazonにあることは、10月にThe Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)が報じた。そのときの記事では、同社はロサンゼルスとシカゴとフィラデルフィアを皮切りに全米で数十店の食料品のチェーン店を開く計画となっていた。最初の場所としてウッドランドヒルズが、アービンのスタジオシティと共に挙げられていた。ほかに、ニューヨークの都心部やニュージャージー、コネチカットなども、候補地になっていた。

Amazonの実店舗拡大の動きは、Walmart(ウォルマート)のグロサリー事業の好調と時期が一致している。一部の報道では、後者は今やライバルのAmazonやInstacartなどを圧倒している。Walmart(ウォルマート)の本年Q2の決算報告では、eコマースの売上が37%伸び、それは主にオンラインのグロサリー(食料品)に支えられている。好調の原因は顧客の近くにお店があることとされている。食品の価格には他社のように上乗せ額がなく、顧客はオンラインでオーダーしたらお店へ受け取りに行けばよい。配達してもらうと小額の配達料を払う。

一方AmazonのWhole Foodsは、以前から高価格というイメージがある。このグロサリーチェーンを買収したAmazonは、Walmartのやり方に対抗して、毎週の特売やプライム会員への値引きなどをやってきたが、Whole Foodsの高級店イメージは拭いきれず価格も依然として高い。

Amazonが今回手掛けるグロサリーストアは、従来型、そして安値指向のショップで買い物をするメインストリームの消費者がターゲットだ。

AmazonのスポークスパーソンはCNETに「食糧雑貨の買い物では、お店をいろいろ選べることが好まれるので、今度の新しいストアは、高品質な自然食品や有機食品のリーダーとして成長しているWhole Foods Marketとはまったく異なるオプションをご提供する」と語る。

上記のように、同社によると新しいAmazonのグロサリーストアを立ち上げてもWhole Foodsの拡張は続ける。今年Whole Foodsは新たに17店をオープンしたが、今後の開店計画もあると同社は述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

遅いウェブサイトをGoogle Chromeが識別して教えてくれる

ウェブページが遅いのか、それともネットワークの接続状況が悪いのか? 将来、Google(グーグル)のウェブブラウザーChrome(クローム)は、その答を教えてくれるかも知れない。グーグルは本日(米国時間11日)、いつも読み込みに時間がかかるウェブサイトを特定してラベルを付ける計画を発表した。さらに同社は、ユーザーのデバイスやネットワーク環境が原因で読み込みが遅くなるウェブサイトも識別できるようにすると話している。

遅いウェブサイトを具体的にどのようにラベル付けするか、グーグルはまだ決めていないが、もっとも納得のいく方法をいくつか実験することになるという。

たとえば、読み込みの遅いウェブサイトの場合は、警告アイコンと「常に読み込みが遅い」といった文章が入った“Loading…”(読み込み中)ページを表示するなどだ。それに対して、速いウェブサイトでは、青ではなく緑色のプログレスバーをページのトップに表示する。

リンク先が遅い場合は、リンクのコンテキストメニューでユーザーにその旨を知らせ、クリックするかどうかをユーザーが選べるようにする。

左:遅いサイトで表示される読み込み中ページ。右:速いサイトで示される緑色のプログレスバー。

長期的な目標としてChromeは、“高品質”な体験を提供するウェブサイトを特定して記章を与えることを目指している。その場合は、読み込み速度以外にもいくつかの要素が判断材料になる。それがなんなのかはグーグルはまだ明らかにしていないが、選定には、今後徐々に公表される予定の厳格な基準が使われるという。ともあれ、その目的は、“良質なユーザーエクスペリエンス”を、すべてのウェブ開発者が目指せるようにすることにある。

それまでの間は、サイトのパフォーマンスに特化したグーグルの情報源を参考にするよう、ウェブ開発者に推奨する。それには、学習プラットフォームweb.dev./fast、最適化のための提案を行うオンラインツールPageSpeed Insights、パーソナル化された助言ツールLighthouseがある。

速くて使いやすいウェブサイトは、グーグルにも利益をもたらす。同社がメインに据えているモバイルユーザーに、よりよいサービスが提供できるからだ。2015年以来、グーグルのユーザーの大半が、検索をモバイルデバイスから始めるようになった。しかしその変化のために、インデックスやページのランキングの新しい形が求められるようになり、通信速度が異なるユーザーや、貧弱なデバイスしか持たないユーザーへの対応を迫られるようになった。

現在グーグルでは、モバイルユーザーがより早く情報を得られるように、ページをインデックスするときにはウェブサイトのモバイル版を使用し、高速なAMPページを提供している。そのため、今度はグーグルがウェブサイトのオーナーに高速化を迫り、さもなければ“遅い”ウェブサイトのレッテルを貼られるリスクをちらつかせる段階に至ったことは理解できる。

これは、インドのように、十分なバンド幅の確保が難しく、ローエンドのスマートフォンが普及している急成長市場のグーグル・ユーザーには、とくに有難い機能になる。

「スピードは、最初からChromeの中核的な原則でした。ブラウズすれば瞬間的に体験できるよう、私たちはつねに努力してきました」とChromeのブログ記事に書かれている。「とは言え、早く読み込めると思っていたのに、もっと改善できるはずだと感じさせられる結果に終わるウェブページを数多く見てきました。ウェブページにも改善の余地があると思っています……」と続く。

この計画は、Chrome Dev Summit(開発者サミット)にて、開発者向けの最新情報などと共に発表された。そこでは、電子メール、FTP、さらにはUSBなどさまざまな形式を跨いでウェブコンテンツを配信できるようにするAPI、Web Bundlesも発表され、さらに、これまでGoogle I/Oと紹介されていたウェブ・エクスペリエンスPortalsが、当初からのパートナーであるFantangoと共にデモンストレーションされていた。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebook新製品実験チームの最初のアプリは学生のおしゃべりと音楽用

今年の7月、Facebook(フェイスブック)はNPE(新製品実験)チームと称される、一般消費者向けの実験的なアプリを開発する新部門の創設を発表した。新しいアイデアや機能を試して、人々がどう反応するかを見極めることが目的だ。

創設間もなく、Vine(バイン)のジェネラル・マネージャーであったJason Toff(ジェイソン・トーフ)氏をプロダクト・マネージャーとして同チームに招き入れた。そして今、このNPEチームから誕生した最初のアプリが静かにローンチされた。ひとつはBump(バンプ)。見た目ではなく会話を通じて新しい友だち作りを支援するおしゃべりアプリだ。もうひとつは、ソーシャル音楽アプリAux(エイユーエックス)だ。

Auxは、2013年にサービスを終了したスタートアップであるTurntable.fmのウェブサイトを少しだけ思い出させる。Turntable.fmと同じように、Auxのアイデアも、アルゴリズムではなく人が音楽をプログラムする仮想DJ体験が楽しめるというものだ。クラウドソーシングによるDJごっこというコンセプトは、この数年間、モバイルアプリを使ってリスナーにプレイリストを決めさせるラジオ番組に引き継がれていた。

その後、Sporify(スポティファイ)などのストリーミング音楽アプリがパーティー用プレイリストなどの実験を行い、いくつものスタートアップによって、ゲストがプレイリストを決められる独自のアプリが世に送り出された。

NPEチームのAuxは、みんなでプレイリストを作るという一般的なアイデアを、やや違うかたちで取り入れている。このアプリは、毎晩午後9時にアプリ内で開かれるパーティーに集まる学生やティーンエイジャーを対象にしている。参加者は、自分が好き曲を選び、それが最初にかけられるよう“AUX端子”を競い合う。パーティーの最後に、拍手の多さによって勝者が選ばれる。

アプリの解説にも書かれているが、Auxは「あなたの学校のDJ」と銘打たれている。このタイトルは、学校の放送設備から音楽が流されるような印象を与えるが、実際は、学校に通う子どもたちが夜に楽しむソーシャルアプリだ。

Auxは、2019年8月8日にカナダでローンチされた。Sensor Towerのデータによれば、iOSでダウンロードされた回数は500回以下だ。Android版はない。10月22日には、カナダのApp Storeですべての音楽アプリの中で短期間だけ38位にランクされた。ダウンロード数を増やすための、なんらかのキャンペーンが行われたことを示唆している。

もうひとつのNPEチームのアプリはBumpだ。これは、「新しい友だちを作る」ことを目的としている。基本的には匿名のチャットアプリなのだが、テキストで応答することで打ち解け合い、つながりを持つというアイデアに基づいている。Bumpには画像も動画もリンクもない。おしゃべりだけだ。

App Storeのスクリーンショットから察するに、このアプリは大学生をターゲットにしているようだ。スクリーンショットでは、大学のキャンパスでthe coolest place(最高の場所)や安く食事ができるところを尋ねる質問が見られる。さらにこのサンプルの写真からは、クラスやルームメイトとのトラブルに関する話も見受けられる。

Bumpは、人と人のつながりを「外見ではなく会話で」構築するものだと強調していることから、出会い系の要素も盛り込まれる可能性もある。そうすることで、最高の写真で目を惹こうとするユーザーに人気が集まる他のソーシャルアプリ(そしてもちろん出会い系アプリ)と、少しだけ肩を並べることができる。

Bumpの会話はリアルタイムで行われる。一度にひとつの会話にしかメッセージが送れない。また、返事をするまでに30秒の制限時間がある。そうすることで、会話を活性化させる狙いだ。会話を終わらせるときに、今の相手との関係を続けたいかをアプリに尋ねられる。双方がイエスと答えた場合に限り、また同じ相手との会話が楽しめる。

BumpにはiOS版Android版があり、現在はカナダとフィリピンでサービスが提供されている。Sensor Towerによれば、Bumpは、2019年9月1日、カナダのApp Storeにてソーシャルネットワーク部門の第252位までランクアップしたが、現在はランク外となっている。

面白いことに、NPEチームのこれらのアプリのうち、Bumpだけが、NPEチームはFacebookの一部門であることを解説で明かしている。もうひとつのAuxは、それには触れていない。だがどちらも、詳しく知りたい人のために、Facebook.comに掲載されているアプリのプライバシーポリシーへのリンクがある。

これは、グーグルの社内アプリインキュベーターArea 120の場合とそう変わりがない。そのアプリには、グーグルの子会社が制作したことを明らかにしていないものがあるが、どれもグーグルのプライバシー・ポリシーへのリンクがある。どちらの企業も、そららのアプリが、親会社の知名度によってではなく、各々の実力でもって成功するか失敗するかを見極めようとしているのだろう。

Facebookは、NPEチームの将来については、コミュニティーを構築するための新い方法を探るということ、そして必要がなくなればすぐに解散するということ以外、多くを語っていない。

Facebookは、この2つのアプリの存在について、The Informationで認めている。

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(翻訳:金井哲夫)

Apple Watchがインターネットテレビのリモコンになる

選局数1000局以上を誇るインターネットストリーミング受信機のRokuのリモコンが、あなたの手首にやってくる。同社は米国時間11月8日、Rokuメディアプレーヤーや一部のRoku TVなどのRokuデバイスをコントロールできるアップルウォッチ用アプリを発表した。Rokuのモバイルアプリと同じくタップして選局するが、今度のは手首サイズだ。

小さな画面なのにアプリはかなり堅牢で、各種の機能も十分に揃っている。

再生や停止、ポーズなどのメディアコントロールはもちろんあるが、そのほかにホームボタンやセレクトボタン、バックボタン、そして方向矢印もある。局は最近見た順に並んでいるから、お気に入りのチャンネルをすぐに見られる。例えば、いつもNetflixばかり見る人なら、選局のために画面をスクロールする必要がない。

しかも、この小さなリモコンアプリには音声検索の機能がある。使い方は、声のアイコンをタップしてから「Launch Hulu」(Huluを映して)とか「search for comedies」(コメディを探して)と言えばいい。「switch to HDMI」(HDMIに切り替えて)のように、Roku TVの入力を変えることもできる。アプリは、Apple Watchのバージョン1から5までで使える。

Roku UltraやRoku TVを持っていて、ソファの下などに隠れたリモコンのありかをチャイムの音で知らせるRemote Finder機能があるなら、RokuのApple Watchアプリを使ってRokuのリモコンの所在をで知ることができる。

これらはすべて、Rokuのスマートフォン用リモコンを使ってる人にはおなじみのもので、Apple Watchのアプリはそのミニチュアバージョンだ。Roku Channelsの無料映画をストリーミングすることだけできないけど、それを腕時計でやりたい人もあまりいないだろう。

Roku Apple Watchアプリを入手するにはRoku iOSアプリの最新バージョン(6.1.3)をダウンロード、もしくはアップデートする必要がある。Apple Watchの設定でアプリの自動インストールを無効にしてなければ、アプリがApple Watch上に現れるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

WhatsAppがモバイル注力の小企業に向けたカタログ機能を追加

WhatsAppは、スマートフォン経由で顧客にリーチしたいと考えるビジネスオーナー向けに、専用アプリの機能を拡張する。Facebook(フェイスブック)傘下の同社は米国時間11月7日、WhatsApp Businessに新しいカタログ機能を導入した。この機能では企業は製品やサービスを紹介して共有し、一方で潜在的な顧客は写真や価格を見たり、製品の説明を読んだりすることで、購入の後押しができる。

これらのカタログはWhatsApp上のモバイルストアとして機能し、ウェブページを必要としない。そのかわり、ビジネスオーナーはアプリ設定のカタログから、販売する商品の写真をアップロードして詳細を記入でき、必要なら商品やサービスのコード(SKUなど)を含めることもできる。

これらのカタログ上のアイテムは、WhatsAppのチャットメッセージで顧客に送信できる。例えば、顧客からの商品への質問やおすすめをする場合、ビジネスオーナーは要求された情報をカタログをタップして送信できる。

このカタログは、ユーザーのオンライン活動の多くがウェブ上ではなくアプリ内で行われている、新興市場のWhatsAppユーザーとって特に魅力的だ。これらの地域では新しいユーザーはPCをスキップし、代わりに最初からスマートフォンにアクセスするのだ。

WhatsApp Businessアプリは、すでに市場で存在感を示している。今年に入ってWhatsAppは、同アプリが500万の企業に採用されたと述べた。

今回のカタログ機能は、ビジネスプロファイルやメッセージへのクイック返信、チャットのラベル、自動メッセージなど、ビジネスニーズを念頭に置いて設計されたほかの機能に追加される。

WhatsAppによると、この新機能はまずブラジル、ドイツ、インド、インドネシア、メキシコ、英国、米国のAndroidとiPhoneでWhatsApp Businessを利用する企業に提供される。また具体的な時期は明かされていないものの、他の地域にも近日中に展開される予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

YouTubeがUIをリニューアル、ユーザビリティー重視、クイックリスト復活

YouTubeがトップページのリニューアルを発表した。同社は米国時間10月7日、メジャーアップデートを行い、使いやすさを優先したシンプルなデザインを採用した。

これまでYouTubeのトップページは情報過多でゴチャゴチャした印象だったが、これが整理され視認性が向上した。またAdd to Queue(キューに追加)というクイックリスト作成機能が復活した。ビデオをこのキューに追加していけば、YouTube側のお勧めが次々に再生されてしまうことはない。

新デザインはデスクトップPCとタブレット端末をターゲットとしており、本日から公開が始まっている。YouTubeによれば、ウェブ、アプリともモバイル版には変化はないという。

YouTubeの親会社であるGoogleはすでに検索ページをコンパクトにし、テキスト、画像とも一見してコンテンツが理解しやすいレイアウトに変えてきた。例えば、7月にはGoogle検索でニュースのタブのデザインがアップデートされ、密集した大量の見出しから見やすいカードになった。 こうしたアップデートは可読性を大いに改善したが、一方ではスクロールせずに一見して読める情報量の減少も招いている。今回のYouTubeのデザイン変更にも同じきことが言えそうだ。

新デザインでは各行に表示されるビデオの数が減少している。そのかわりタイトルも詳しくなり、サムネールも大型化されてどんなビデオなのかわかりやすくなっている。

プレビューの精細度もアップされ、ビデオ下部のチャンネルアイコンも目立つデザインになった。ユーザーはお気に入りのクリエーターの作品であることがすぐに見てとれる。

こうしたアップデートにともなってページのレイアウトにも変更が加えられている。YouTubeによれば、 チャンネルやトピック別の表示部分をいくつか削除したという。新デザインでもビデオが所属するチャンネル、トピックは表示されるが、それぞれにグループ化はされない。新デザインでは「新着ビデオ」「トップビデオ」という分類となる。

一方、YouTubeのデスクトップ版の新しいオプション、Add to queueはビデオのサムネールに付加されたアイコンで、クリックすると従来どおり「後で見る」に追加できると同時に、新オプションであるクイックリストにも追加できる。

Add to Queueアイコンはビデオ視聴中はページの隅に最小化されているが、随時クリック可能だ。

「キューに追加」するというのは簡単にいえばクイックリスト作成機能だ。その場で簡単にプレイリストを作れるのはとても便利だ。ただしここで作られるリストは一時的ななもので、本来のプレイリストを代替するわけではない。つまりクイックリストをすべて再生してしまえばリストは消滅する。YouTubeではデスクトップのクイックリストはブラウザを閉じたときクリアされるという。つまりテレビやタブレットなど別のデバイスでビデオを見たい場合は、従来どおり「後で見る」リストに追加する必要がある。

さらに今回、モバイルのみの機能のいくつかがデスクトップに追加された。今年に入って、YouTubeはいくつかのアップデートを行ったが、これはこれはアルゴリズムによりトップページのサムネールや「次のおすすめ」としてビデオが選択される際に、ユーザーのコントロールを大きくしようとするものだった。モバイルでは「次に再生」をキャンセルすることが可能なった。

この「チャンネルのおすすめ」のキャンセルがデスクトップにも移植されたわけだ。.これはトップページのビデオのタイトル右横の「…」メニューに含まれる。5番目のオプションをクリックすると、そのチャンネルに属するビデオはトップページに表示されなくなる。ただし、これは完全なブロックボタンではない。検索結果や人気急上昇には表示されるし、そのチャンネルを訪問しても表示される。

これも今年のアップデートだが、YouTubeのAndroidアプリではユーザーが好みのトピック選ぶことでビデオのフィードをカスタマイズできる機能が導入された。この機能はデスクトップ、タブレットの各アプリにも近く導入されるというが、今回のアップデートには含まれていない。

新デザインによって見通しがよくなったことは確かだが、クリエーター側から見ると副作用もなくはない。サムネール、キャプションが大きくなり視認性がアップしているが、トップページの情報密度は減った。つまりスクロールせずに表示されるビデオの数、つまりはクリエーターの数も減少したわけだ。

ヘイトスピーチやフェイクニュースの拡散をアルゴリズムが手助けしているという批判が強まっているが、一方ではどんな内容であれ、多くの人々見ていればアルゴリズムはそれを取り上げる。

ヘイトスピーチや人々の過激化にYouTubeがどの程度責任があるかというのが激しい議論の的となっている。ニューヨークタイムズの主張とは逆にWiredは人々の過激化にアルゴリズムはほとんど関係がない、責任があるのはむしろオンライン上で積極に活動するグループだと報じている。これは判断が難しい問題だ。孤独な若者がたまたま目にしたYouTubeビデオをきっかけにさらに暗い迷路に迷い込み過激化して最後にはそうしたコミュニティーに加わるというコースもなくはないだろう。

YouTubeではこうした批判に対し、(少なくともある程度)言論の自由を擁護しつつ、人々に「見たくないものを見ない」ですむような裁量権を増やそうとしているようだ。今回のアップデートもこの流れに沿ったものだろう。

「見たくないものは表示しない」(「おすすめ」キャンセル)機能の導入はYouTubeに限ったことではなく、最近はビデオサービスの標準となりつつある。Facebookでも他人のスレッドに反対意見を書き込む人間は「いやなら読むな」と言われがちだ。YouTubeも「良識あるコメント」を心がけるようユーザーに注意している。インターネットではますますユーザー個々の責任が重要となっている。

YouTubeによればこのアップデートはデスクトップ(Android、iOSのタブレット・アプリを含む)ですでに公開を始めたところだというという。すぐにユーザー全員が利用できるようになるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

NBA TVがネット視聴者向けに試合のライブやオリジナルコンテンツを配信

コードカッター(ケーブルテレビの契約をやめてネットで動画を視聴する人のこと)のバスケットボールファン向けに、バスケを余すところなく楽しめる新たな選択肢が登場した。NBA TVは11月5日、公式に消費者と直接購読契約を結ぶサービスを開始した。こうした動きはスポーツリーグネットワークとしては初めてだ。ウェブのNBA.comとNBAアプリの両方で利用できるこのサービスは、視聴が制限されている100以上の試合やオリジナルプログラム、オンデマンドビデオを月6.99ドル(約760円)で閲覧できる。年払いの59.99ドル(約6500円)だと少し安くなる。

このサービス開始による有料テレビ視聴者への影響はなく、これまで通りTVプロバイダーの認証によりNBA TVを視聴できる。

NBAとTurner Sportsが共同で管理するNBA Digitalはこのほど、Center Courtという名称の新たなフランチャイズを発表した。新たなカメラのアングルや、セレブのインフルエンサーを含むライブのオンスクリーンチャット、徹底分析、統計グラフィックスなどを含めた、視聴体験を向上させるための実験を行う。

ゲーム(リストはここにある)はウェブとモバイルのほか、メーンのCenter Courtブロードキャストを通じてNBA TVでも特集される。そこでは改善された「フロントコート」と「バックコート」のストリームが用意されている。フロントコートのストリームは、順番で担当が代わるNBAインフルエンサーのグループによるオーディオ代替のオプションとなる。一方で、バックコートストリームは統計の重ね合わせなどSecond Spectrumテクノロジーを活用する。

Center Courtのカバレッジは2019〜2020年にかけてのシーズン期間中に利用できる。

視聴体験の向上に加え、NBA TVは放映権許諾地域でのみ放映される100以上の試合と、WNBA、NBA Gリーグ、LNBA サマーリーグのライブを約束している。そしてスタジオ番組やレポート、「Beyond the Point」のような雑誌スタイルの番組、「Shaqtin’ a Fool」のようなタレントショー、試合前の番組、「The Warm Up」、そして「NBA Crunchtime」「NBA Game Time」といった毎晩の番組などオリジナルのプログラムも用意されている。

新しい番組は、「The List」「#Handles」「Say What」「High Tops」「Basketball Stories」などソーシャルなやりとりやレジェンド、現役のプレイヤーにフォーカスしている。そして、昔の試合や2000〜2019年のNBAファイナル、その他のアーカイブコンテンツに24時間いつでもアクセスできる。

NBA TV購読者はまた、NBA TVを購入したり加えたりするのと同じNBAアプリとウェブサイトからすべてのNBAの試合にアクセスできるようになるプレミアムな購読サービスNBA League Passを購入することもできる。購読すれば、ウェブやモバイル、ネットに接続しているTVデバイスやゲームコンソールでNBA TVを視聴できる。

「イノベーションは常に、NBA Digitalパートナーシップと直接消費者に向けたプロダクトの立ち上げの中心にあった。新たなコンテンツイニシアチブでもって、NBA TVとブランドの蓄積されたポートフォリオを利用する機会をNBAファンに提供する」と Turner Sportsの上級副社長兼ゼネラルマネジャーのTina Shah(ティナ・シャー)氏は発表文で述べた。「スポーツ消費は発展しつつあり、ファンがプレミアムなNBAコンテンツにアクセスして楽しめるよう新たな機会の模索を続ける」

ライブスポーツへのアクセスは、ファンが従来の有料TVの契約を続ける要素の1つだった。しかしこのところ、ケーブルからネットへの移行を簡単にするさまざまなリソースが登場している。ここには、MLBのMLB.TVのような特定のスポーツ専門のものや、Amazon Prime VideoでのNFLの試合のような、ソーシャルメディアなどを介しての試合のライブストリーミングも含まれる。また、より包括的なライブのスポーツに対するスポーツファンの需要から生まれたfuboTVのようなフルサービスもある。

しかし新たな鑑賞方法があっても、ブラックアウト規制はファンを有料テレビにつなぎとめ(ログインするのにおそらく友人のアカウントを使用する)、またはVPNへと向かわせる。NBA TVではこうしたものを解決できないだろうが、ファンに試合やNBAのコンテンツをもっと視聴してもらうことはできる。

画像クレジット:Moses Kinnah / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

YouTubeがクリエーターを支援するスタンプ[Super Stickersを公開

YouTubeは7月に予告していたクエリーター向けの新たな収入源としてSuper Stickersを世界で公開した。このステッカーないしスタンプはファンがクリエーターを支援するために少額の「投げ銭」を支払える仕組みでSuper Chatと似ている。

有料のSuper Chatを購入すると投稿メッセージがライブチャットのストリームのトップに一定期間ハイライトされる。クリエーターがSuper StickersないしSuper Chatを利用するには収益化可能なチャンネルを設置し、1000人以上の登録者を集めている必要がある。

熱心なファンから随時収入を得る方法としてSuper Chatがスタートしてからすでに3年近くたっている。この機能は大量のメッセージが飛び交う人気あるクリーエターのライブチャットのストリーム中で非常に有効であることが示されている。 ライブ配信のチャットで投稿者のメッセージがハイライトされるという点ではTwitchのCheering機能に似ている。

購入者のプロフィール写真と色付きメッセージが購入金額に応じた一定期間ストリームのトップに表示されるのでたいへん目立つ。YouTubeによれば、公開以後すでに10万以上のチャンネルがSuper Chatを利用しており、なんと毎分400ドル(4.4万円)もの収入を生んでいるという。

これに対してSuper StickersはTwitchでいえばCheermotesに似ており、チャット内に有料でスタンプないしステッカー(GIFアニメの場合もある)を投稿する仕組みだ。

YouTubeのSuper Stickersのルック&フィールはもちろんTwitchとはまったく異なる。TwitchのGemやカスタマイズされたCheermotesよりも一般のソーシャルメディアのメッセージで用いられるスタンプに近い。YouTubeでは「Super Stickersはゲームだけでなく、ファッション、美容、スポーツ、音楽、料理など広いカテゴリーで有効だ」と述べている。

ローンチ時点で8種類のSuper Stickersが利用可能だ。5種類はアニメ化されている。「Hi, Popo」はカバ(ヒポポタマス)をキャラクターにしている。「Baby Lemon」はレモン、「Energetic Lemon」は元気のいいレモン、「Bushiba」は日の丸の鉢巻でサムライの格好をした柴犬、それに「Biggest Fans」(大ファン)などがある。

これらのSuper Stickersは、英語、日本語のほかにフランス語、韓国語、ポルトガル語のキャプションがつく。Super Chatを利用している60カ国のクエリーターは即日利用可能だ。YouTubeによれば、Super Stickersの価格は99セントから50ドルまでだという。

YouTubeがSuper Stickerの登場を予告したのはこの7月のVidConイベントで、「新しいステッカーが2019年中に利用できるようになる」としていた。その後Super Stickerは一部でベータテストが開始されたものの、世界で広く利用できるようになったのは今日が初めてだ。

Super StickersはこのところYouTubeが力を入れている収入のチャンスを増やしてクリエーターを支援する仕組みの一環だ。同社は2018年以降、チャンネル登録、商品販売、プレミアプランなどを導入していいる。

YouTubeのこうした努力にはTwitchの影響が強く感じられる。Super Chat、Super StickersがTwitchの機能によく似ていることのほかにも、ゲーム・カテゴリー、YouTube Gamingに導入されたスポンサーシップはTwitchのライブビデオ視聴の有料メンバーシップモデルにそっくりだった。

YouTubeではTeespring、Crowdmade、DFTBA、Fanjoy、Represent、Rooster Teethなどのパートナーと提携し、チャンネルの動画の下部に商品購入棚を用意した。最近ではMerchbarと提携し、アーティストが物販からも収入を得られるようにしている。またこれ以外にも広い層ののクリエーターを支援するプログラムが実行されている。

YouTubeではこれらのプロジェクトがどれほどの効果を上げているのか具体的な数字は示していないが、今年始めに「Super Chatなどのプログラムを導入した数千のチャンネルが収入を2倍以上に増加させた」としている。

Super Stickersは本日、全種類が公開されたが実際にライブチャット中で利用できるようになるには数日かかる場合もあるという。プロセスは今週中に完了するとYouTubeは述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleニュースアプリがバイリンガルに

Google Newsがバイリンガルになった。米国時間11月4日、Googleは2カ国語のニュースを簡単に読める新機能を発表した。世界に60%以上いる、2種類以上の言語で話し、ニュースを読んでいる人々の利便性を高めるものだ。

この変更によって、ユーザーは別の言語でカバーされているニュースを見るために言語設定をしょっちゅう切り替える必要がなくなる。これは、別の国に移ったが母国の最新ニュースを見たい人や、複数言語を話すことの多い地域に住む人にとって特に重要だ。

Googleは、英語とヒンディー語のニュースを同時に読めることを典型例として紹介した。このアップデートがその他のパーソナライズ設定に影響を与えることはない。ユーザーの興味にあったニュースが多く流れてくるだけだ

今回の変更は、Google Newsのアプリとウェブサイトで1年以上続いている大変更に続くものだ。2018年のGoogleデベロッパーカンファレンスで同社は、どのニュースを最初に表示するか、個人向けのニュースをどう選ぶかを工夫しながら、ファクトチェックや他の意見を読めなくなるいわゆる「フィルターバブル」を避けるためにAI技術を導入すると発表した。

AIを利用したこのGoogle Newsアプリは今年の春に公開された。その後GoogleはデスクトップのGoogle Newsタブを改訂し、カード形式で記事を整理することで、読みやすさを改善し、ニュースの出典をわかりやすくした。

ただし、本日発表されたバイリンガル機能は、モバイルアプリユーザーを対象にしている。新機能は、iOSとAndroidのGoogleニュースアプリで141カ国、41言語から選択できるとGoogleは発表している(デスクトップでは1言語しか選べないことを確認した)。

多言語のニュースを読めることで、問題に対する視野を広げるのにも役立つと同社は語る。「人々の気にかけている問題に関して質の高い信頼できるニュースを届けるためにはまだすべきことがたくさんあるが、今日のアップデートによって、異なる文化や視点をつなぎやすくなるだろう」とGoogleはコメントした。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

若者のクレジットカード取得を支援するDeserveが約54億円を調達

クレジットカードスタートアップのDeserve(ディザーブ)は若い人の自立をサポートしている。そして事業者向けのクラウドベースのクレジットカードプラットフォームも展開する同社は米国時間11月4日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)がリードする新ラウンドのシリーズCで5000万ドル(約54億円)の調達を発表した。このラウンドには既存投資家のSallie Mae(サリー・メイ)、Accel、Aspect Ventures、Pelion Venture Partners、Mission Holdingsも参加した。

今回調達した資金はDeserveの「Card as a Service」(CaaS)プラットフォームのさらなる開発に使われる。このプラットフォームは事業者やブランドが、顧客向けのクレジットカードプロダクトをしつらえるのをサポートする。

そうすることでDeserveは、Synchrony FinancialやAlliance Dataといったホワイトレーベルまたは共同ブランドのクレジットカード発行元とある程度張り合える。その際は自前の金融プロダクトを提供したい事業者、フィンテック企業、消費者ブランド、大学を対象としたCaaSサービスを活用する。

Deserveのターンキーである、クラウドベース・AIベースのDeserve Credit Platformでは、通常18〜24カ月かかるところを最短90日でセットアップできる。また、クレジットカードを作るのは初めてという人を含む多数の人を引き受けるために、従来のファイナンシャルデータや独占データソースとともに機械学習のようなテクノロジーも活用している。

負債を抱え込まないよう、多くの若い消費者がクレジットカードを避けてきたことを考えれば、これは極めて重要だ。例えば、1995年以降に生まれた人はクレジットカード負債を抱える米国の消費者の5%を占めるにすぎないとのレポートがある。しかしこうした消費者が初めてクレジットカードを持つとき、クレジットプロダクトよりもクレジットカードを往々にして選ぶことがTransUnionの最近のレポートで明らかになった。ただ、しっかりとしたクレジット履歴がない多くの若いユーザーは従来のカードの審査に通らない。

そこでDeserveの出番となる。消費者が携帯電話から素早くクレジットカードを申し込んで数分で承認されるのを手伝うだけでなく、このプログラムはDeserveのカード同様、ファイナンシャル教育やキャッシュバックなどの特典、アマゾン(プライム・スチューデント)のインセンティブ・プログラム、Mastercard(携帯電話保護)、プライオリティ・パス(空港のラウンジ)などを提供する。

2018年8月の資金調達以来Deserveは、Sallie Mae the New Jersey Institute of Technology Honor Societyのようなクライアントと提携し、特定の利用者向けのクレジットカードの発行を手伝ってきた。合計で消費者10万人超がDeserveのプラットフォームを利用している。

Apple Cardのパートナーであるゴールドマン・サックスがリードした新たな投資で、Deserveは今後、データサイエンスやエンジニアの人材を雇用してプラットフォームツールやAPI、機械学習能力をさらに構築する計画だ。その一方で、B2B販売とマーケティングの部門を拡大する。

「ゴールドマン・サックスは、クレジットカードへのアクセスを拡大し、あつらえのクレジットカードプロダクトの提供を組織のためにシンプル化するというDeserveのミッションを支える」とゴールドマン・サックスのマネージングディレクターであるAshwin Gupta(アシュウィン・グプタ)氏は声明文で述べた。「Deserveのカードプラットフォームが、さまざまな機関に意義ある節約と新たな機会をもたらすと確信している」。

今回のラウンドで、Deserveの累計資金調達額は1億ドル(約108億円)となった。同社はまだ黒字になっていないが、今達成しつつあるかもしれない。「今回のラウンドは収益化につながる」とDeserveの共同創業者でCEOのKalpesh Kapadia(カルペシュ・カパディア)氏は話している。

Deserveはバリュエーションは非公開とした。現在Deserveのチームは計60人だが、今後6カ月で100人超とすることを目指す。

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(翻訳:Mizoguchi)

アップルがカリフォルニアの住宅危機とホームレス問題対策の基金に約2700億円拠出

Apple(アップル)は11月4日朝、カリフォルニアの住宅供給危機の緩和に向け、25億ドル(約2700億円)という巨額資金を拠出することを発表しと。この中には、住宅を求めやすいものにするための投資基金と、初めて住宅を購入する人向けのローン補助基金への各10億ドル(約1085億円)、そしてアップルが所有する土地でのリーズナブル価格の住宅開発向けの3億ドル(約325億円)が含まれる。

残りの2億ドルは、ベイエリアでの低所得者向けの新たな住宅開発のサポートに当てられる。内訳はというと、まずHousing Trust Silicon Valleyなどと提携しているベイエリア住宅基金に1億5000万ドル(約163億円)。そして5000万ドル(約54億円)は弱者に向けられる。特にシリコンバレーエリアのホームレス問題を解決するのに役立てられる。

同社はまた、ホームレス化を予防するためにカリフォルニア北部、南部の両方で同様の取り組みを検討するとしている。

Gavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事、カリフォルニア州、そしてコミュニティベースで活動している機関との提携のもとで実施される今回の投資は2年かけて活用される見込みだが、それは利用できるプロジェクト次第でもある。アップルに戻ってくる資金は、向こう5年のプロジェクトに再投資される。

「カリフォルニアにおける住宅危機で家を追われる人が出ていることを受けての投資だ」とアップルは発表文で説明した。

「教師や消防士、救急隊員、サービス従業員といったコミュニティメンバーが、住み慣れたコミュニティを去るという苦渋の選択を迫られている。今年4月から6月にかけて、3万人近くがサンフランシスコを離れた。ベイエリアの住宅保有率は過去7年で最低の水準だ」と同社は話している。

住宅危機は一晩で起こったのではなく、今問題視されているテック企業の成長だけが原因というわけでもない。

他の複雑な問題と同じように、住宅危機はいくつかの要因がからんで起こっている。同地域の法律、ゾーン規則、高層ビル建築への反対、NIMBYの風潮(編集部注:Not In My Back Yard、自宅の裏庭に迷惑なものがきてほてしくないという意)、レンタルコントロールの市場への影響、住宅供給制限、その他にもたくさんある。しかしテック企業が大きな要因であり、金持ちのテックワーカーとその他の人の間に格差を起こし、住宅供給の成長を上回る急激な人口増につながった。

今日では、そのエリアの多くの住人が、職場のある町での生活費用を賄えず、より生活費が安い近隣の町から1時間かそれ以上かけて通勤している。

「世界にシリコンバレーの名が知れ渡る前、人々がポケットにテクノロジーを入れて持ち運べるようになる前、アップルはこの地域をホームと呼んでいた。シリコンバレーが人々にとって暮らしたり、家庭を持ったり、地域に貢献したりできる活気に満ちた場所のままであるようにするのは、重大な市民責任だ」とアップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は声明文で述べた。

「入手可能な住宅というのは安定や尊厳、機会、プライドを意味する。これらが多くの人の手の届かないものになってしまうと、私たちが今後歩む道は持続不可能なものになる。故に、アップルはソリューションに寄与したい」。

住宅危機問題の解決を支援するテック大企業は同社が初めてではない。Facebookは先月、カリフォルニアなどでの住宅問題に取り組むために10億ドルを支援することを発表した。そしてGoogleも今年初め、ベイエリアの住宅危機の緩和を目的とする10億ドルの投資を明らかにした。そのほか、マイクロソフトはシアトルエリアにおける住宅基金に5億ドル(約540億円)を拠出した。

テック大企業が住宅問題の解決に踏み込むのは、自らに関わることだからだ。実際、テック大企業は高級取りのエンジニア以外の人も雇う必要があり、住宅問題はビジネスに影響する。テック企業がコミュニティにとって良き隣人でいられることを証明するためのかなりの規模の投資を歓迎する人もいる。

一方で、今後起こる問題を解決するための資金を賄うためにテック大企業にもっと税金を課すべきと言う人もいる。実際のところ、投資というかたちでの貸し出しではテック企業を一層儲けさせることになる。地元行政に及ぶかなりの影響力をこうしたテック企業に持たせることになる数百万ドル、数十億ドルのプログラムを受け入れるべきではない、という声もある。

しかしこの住宅危機はすでに対応不可能なものになっているかもしれず、もはやローカルレベルでは解決できない。

「入手しやすい住宅のための未曾有の経済協力、そしてこのイニシアティブの根底にあるイノベーティブな戦略は、アップルが住宅問題の解決を真剣にとらえていることの表れだ」とNニューソン知事は語った。「住宅所有者、住宅賃貸者の両方にとって住宅費用の高騰はカリフォルニア州の何百万という家庭にとって、生活の質に関わる懸念だ。この問題は住宅の建設でしか解決できない。アップルとの提携はカリフォルニア州の住宅建設をサポートするものとなる」。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookは悪事を招く類似ドメイン名詐欺でOnlineNICを提訴

Facebookは米国時間10月31日、ドメイン名登録業者のOnlineNICと、同社が運営するプロキシサービスであるID Shieldを、カリフォルニア州に提訴したと発表した。「www-facebook-login.com」や、「facebook-mails.com」など、Facebookと関連があるように見せかけたドメイン名を登録している件についてだ。こうしたドメイン名は、一般のユーザーを意図的に誤解・混乱させ、Facebookとやり取りしていると信じさせるものだとFacebookは主張している。

これらの偽のドメインは、フィッシング詐欺など悪事に結びつくことが多い。そのようなドメインを登録することで、最終的に法外な金額でFacebookに買い取らせて暴利を得ることを企む者もいれば、さらに悪い意図を持った者もいる。また、Facebookが独自暗号通貨のLibraを発表したのに伴って、多くの新しいドメイン名について、ネット不法占拠者が出現している。Facebookは最近、「facebooktoken.org」や「ico-facebook.org」など、そうしたドメイン名のいくつかを無効にすることができた。しかし、すでにその中の1つはFacebook ICO(Facebookによる新規仮想通貨公開)を名乗ることで、個人情報の収集を始めていたことが確認されている。

しかし、Facebookの今回の訴訟はOnlineNICだけに焦点を当てたものとなっている。Facebookによれば、OnlineNICには、自ら運営するプライバシー/プロキシサービス、ID Shieldを使って、ドメイン名の登録をネット不法占拠者に許可した前科があるという。この訴訟では、「hackingfacebook.net」などの登録されたドメイン名が、「フィッシング詐欺やハッキングツールを販売しているとされるウェブサイトの運営」など悪事のために利用されているとしている。

またこの訴訟は、FacebookやInstagramの商標と紛らわしく、誤解を与える可能性のあるほかの約20のドメイン名も含むものだという。

OnlineNICは、この種の活動を許可したとして、以前にもVerizon、Yahoo、Microsoftなどから訴えられた経緯がある。Verizonの場合(編集部注:VerizonはTechCrunchの親会社)の場合、OnlineNICはVerizonの商標に似た600以上のドメイン名の登録に責任を負うとされ、裁判所は3315万ドル(約35億8500万円)の損害賠償を裁定した。これについてもFacebookの訴状に記されている。FacebookはOnlineNICの活動に対して、永久的な差し止め命令と損害賠償を求めている。

Facebookとしては、同社が示した懸念にOnlineNICが対応しないので、この問題を法廷に持ち込むことにしたという。Facebookは同日、複数のドメイン名登録業者と、それぞれのプライバシー/プロキシサービスによる登録の悪用の事例も積極的に報告している。多くの場合、そうした業者に働きかけて、悪意のあるドメイン名を無効にしたことも明かしている。しかし、この問題が及ぶ範囲は広い。現状では、こうしたサービスを通して数千万のドメイン名が登録されている。もちろん、その中には、評判のよろしくないビジネスも含まれている。OnlineNICのような一部の業者は、Facebookが発行した悪用のレポートに基づいて調査することをしないばかりか返答さえよこさない。

今回の訴訟に関するニュースは訴状に基づいて、すでにCnetやその他のドメイン名を扱うニュースソースによって報告された。以前の裁判で、Verizonへの3315万ドル(約35億8600万円)の賠償を勝ち取った弁護士であるDavid J. Steele(デイビッド・J・スティール)氏が、この訴訟でもFacebook側に立っている。

「OnlineNICとID Shieldは、私たちのアプリやサービスの名前を含むドメイン名によって、それらを正規なものに見せかけ人々を混乱させることを意図しています。こうした活動は、サイバースクワッティング(ネット不法占拠)として知られており、OnlineNICにはその前科があります」とFacebookは発表の中で述べている。「この訴訟は、人々の安全とプライバシーを保護するための、私たちの継続的な取り組みの、もう1歩進んだステップなのです」。

OnlineNICに対してはコメントを求めており、何らかの応答があれば記事を更新する。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Disney+は公開前に100万人超の米国内加入者を獲得か

ディズニーの新しいストリーミングサービスであるDisney+は、11月中旬まで開始されない。しかし、分析会社のJumpshotが発表した新しい調査結果によると、すでに米国内で100万人以上のユーザーと契約している可能性があるという。この会社は、オンラインの消費者のパネルからデータを集め、実態を洞察する。そして、ディズニーの新しいストリーミングサービスは、最初から成功が見込まれると予測している会社はほかにもある。

10月中旬、UBSのアナリストは1000人の消費者を対象にしたアンケートから「86%がDisney+について聞いたことがある」と答えたことを明らかにした。さらに、44%は加入する可能性が「高い」と回答している。この数字は、Disney+が2024年までに米国内で2000万から3000万人の加入者を獲得するというディズニーの予測を上回るもの。一方ディズニーは、その時点までに、世界中で6000万から9000万人が加入しているものと期待している。

調査会社のJumpshotも、comScoreと同様に1億台のデバイスのパネルを対象として消費者の動向を推測している。同社は、Amazon、Netflix、Googleといった、データを公開していないサービスも含め、消費者による検索、クリック、購買活動などに関するデータを調査できるとしている。

Disney+の場合、JumpshotはDisney+のサインアップページへのアクセス数を分析し、その後どれくらいのユーザーが実際の申し込みにまで至ったかを追跡した。また、そのデータを統計的に補正して、米国の全インターネット人口に対する数字を算出している。これは米国内に限定されたもので、8月25日から10月14日までの事前申し込み期間における、モバイルおよびデスクトップからのウェブ経由の申請が対象となっている。

Jumpshotは、初期のDisney+の加入者について、その構成に関する情勢を分析した最初の企業にもなった。同社によれば、Disney+の加入者の31%は、Amazon、Hulu、Netflixなど、強大なプラットフォームのうち、少なくとも1つとすでに契約しているという。そのうちの、19.4%がAmazon Prime、9.1%がHulu、18.5%がNetflixに加入済みとも算出している。

また、そのうち12.5%はすでに複数のプラットフォームのサービスに加入しているので、Disney+はさらにそこに加えられることになるという。

Jumpshotのデータは参考になるが、米国におけるDisney+に対する消費者の関心の全体像を描くには至っていない。米国の消費者の多くは、Verizonを通して簡単にDisney+にアクセスできるようになる。Verizonはディズニーと提携して、既存の4G LTEおよび5Gの容量無制限のワイヤレスユーザーに、1年間の無料アクセスを提供するからだ(編集部注:VerizonはTechCrunchの親会社、Verizon Media ServiceはVerizonが所有している)。もちろん、実際にサービスが始まってからサインアップする人もいるだろう。そしてその多くは、Disney+のウェブサイトではなく、なんらかのTVプラットフォームのアプリから申し込むことになるだろう。

Jumpshotのデータは消費者のアクティビティを追跡して得たものであり、アンケートには頼っていないが、他の調査でもDisney+には強い関心が集まっていることが確認されている。実のところ、ライバルとなるほかのいくつかの新しいストリーミングサービスよりも関心は高い。例えば、HarrisXによるアンケート調査では、米国の全世帯の21%がディズニーのストリーミングサービスにサインアップしようと考えているのに対し、HBO Maxはわずか11%だった。同様に、Hub Entertainment Researchによるアンケート調査では、米国のテレビ視聴者の4人に1人がDisney+に加入すると回答した。それに対してApple TV+は6%に過ぎなかった。

一方、TV TimeとUTA IQによる調査ではブランド認知度が調査された。その中で、今後登場するサービスとしては、Disney+とApple TV+が、いずれも高い認知度を示し、それぞれ88%と63%だった。それに続くのは、HBO Max(37%)と、NBCUのPeacock(28%)だった。

この調査結果から読み取れるのは、Disney+が子供のいる家族にとってだけ魅力的というわけではないこと。子供のいる家族の方が、いない家族よりも特に加入率が高いという傾向は見られなかった。これはディズニーが、Star Wars(スター・ウォーズ)やMarvel(マーベル)といったフランチャイズによって大人にもアピールするのに成功していることを示している。

Disney+、Apple TV+、HBO Max、Peacock、Jeffrey KatzenbergのQuibiが、すべて米国でサービスを開始した後、ストリーミング戦争がどのように展開するか、まだ予断を許さない。結局のところ、ほとんどの消費者には、サブスクサービスに費やせる金額に上限がある。そして、音楽、ニュース、ゲームなど、さまざまなサブスクサービスが揃う現在において、テレビもそのうちの1つに過ぎないのだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)