日本のHapyrusがAmazon Redshiftへのデータロードを自動化するサービスFlyDataを立ち上げ

Hapyrusがこのほど立ち上げたFlyDataは、ペタバイトサイズにまでスケールできるデータウェアハウスサービスAmazon Redshiftへの、データのアップロードとマイグレーションを自動化してくれる。

Amazonの主張では、アナリストたちが今日使っているものと同じSQLベースのビジネスインテリジェンスツールを使って各種サイズのデータセットを分析するとき、Redshiftならクェリのパフォーマンスを高速化できる、という。Hapyrusの協同ファウンダKoichi Fujikawaによると、同社のサービスであるビッグデータルータを使用すると、Redshiftをさらに効果的に利用でき、HadoopとHiveを使うよりもお得である。HadoopとHiveの組み合わせは、データの処理分析環境として、これまで多くの人に高く評価されてきた。

FlyDataはバックグラウンドで動き、データをRedshiftに運ぶ。Fujikawaによると、HapyrusはAWS上に仮想プライベートクラウドをセットアップする。顧客は自分の仮想プライベートネットワークをそれに統合してデータを転送する。

Hapyrusは、InformaticaやTalendなどと競合する。現在はAWSとの統合がメインだが、今後はさまざまなソースのデータを統合できるようになる。Fujikawaの説明では、InformaticaやTalendは大企業の、主にオンプレミスのシステム向けに、複雑なデータ統合化ソリューションを提供している。しかし、“弊社は、Redshiftのようなクラウド成分に対するデータ統合化サービスを、企業のサイズを問わず提供する。スタートアップでもよいし、比較的大きな企業でもよい”、と彼は語った。

Fujikawaによると、RedshiftはHadoop+Hiveよりも10倍速くできる。H+Hの顧客たちは、毎日行う日常的なデータ処理をもっと高速に行える代替製品を求めている。H+Hを使っていると、クェリの時間と費用が大きな経営妨害要因として彼らの前に立ちはだかる。

しかし、Redshiftそのものにも複雑性はある。それについてルームレンタルのAirbnbは次のように語る:

まず、Redshiftにロードするデータは、すでにS3やDynamo DBの中にある必要がある。デフォルトのデータロードはシングルスレッドなので、相当長時間かかることもある。データを分割してパラレルでロードすると速いことをわれわれは見つけた。

Airbnbのナード的なブログには、Hadoopにある機能がRedshiftにない、と書かれている。しかしRedshiftはデータアナリストたちに好まれているため、もっぱらそれだけを使っている場合が多い。Airbnbのブログ記事は最後の方で、RedshiftとHadoopは意外と互換性が高いのではないか、とも書いている。

しかしDrawn to Scaleの協同ファウンダBradford Stephensは、“RedshiftはデータウェアハウスだからVerticaやGreenplum、AsterData、Impala、Hadapt、CitusDataなどと比較すべきだ”、と言っている。“Hadoopとは全然違うものだ”、と。

スタートアップたちの売上や利益は大企業に比べると微々たるものだが、しかしときにはHapyrusのような企業が出現して、Amazon Web Servicesの新しい使い方によって、独自の顧客ベースを堅実に築いていく。ビジネスの一件々々の額は小さくても、その技術力はユニークで高い。

Hapyrusは500 Startupsの育成企業で、DeNA(年商40億ドルのインターネット企業)の協同ファウンダShogo Kawadaなど高名な日本のエンジェル投資家たちから、エンジェル資金を獲得している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、.Search を〈ドット無し〉ドメインとして運用希望。.Cloud、.Blog、.App はオープン化の予定

手に入れた暁には、 .search を「ドット無しドメイン」に変えたいとGoogleは考えている。同社が数日前ICANNに伝えた。昨年、Googleは .app、.blog、.cloud、および .search のジェネリック・トップレベルドメイン(gTLD)の運用を、ドメイン名システム大規模拡張の一環として申請した。

この拡張を管理するICANNは、未だにこれらのいかなるgTLDも許諾しておらず、プログラム全体の賛否も議論されている。しかし今年3月、GoogleはICANNに書簡を送り、これらのトップドメイン名に関する同社の詳細な計画を近くICANNに提出する意向を示した。そして今Googleは、子会社のCharleston Road Registryを通じてそれを実行した(申請書類の全編は文末に貼ってある)。

当初Googleは、これらのgTLDを一般に開放し、同社サービスでのみ使う予定はないように見えた。ICANNへの書簡でGoogleは、「.blog および .cloud に関連する主要コミュニティーと協力して、これらのトップレベルドメインの運用に関する技術標準を制定している最中であることを公表した。

Googleのドット無し .Search 計画

中でもいたばん興味深い計画は、.search を利用して、〈ドット無し〉.search ドメイン(http://search/)の転送サービスを運用するというもので、簡単な技術標準によって、検索機能を提供するサービスを横断する一貫したクエリ・インターフェースを可能にし、利用者は簡単に個人設定で指名した検索サービスを使って検索できるようになる。

ドット無しドメイン( http://example やメールアドレスの mail@example を想像されたい)については、ICANNがこれまでにも検討を重ねてきており、セキュリティー専門家らは、Googleが http://search/ を運営することに対して否定的だ。

「提案している gTLDの使命は、インターネットユーザーが、好みの検索機能を見つけやすく使いやすくすること」とGoogleは補正申請書に書いている。

しかし、実際これがどういう見え方になるのか正確なところはまだわからない。ドメインシステムの全く新しい使い方であることは疑いがなく、補正申請書から判断すると、Googleはこの機能をサードパーティー開発者や直接の競合他社にも開放するとしている。

もちろん、実際誰が .search を管理するのかは現時点では未定だ。Google以外に、Amazon、dot Now Limited、および Donuts.co もこのgTLDを申請している

.Blog、 .App、.Cloud

.blog TLDでは、「.blog 登録者が、自分のブログ用2次ドメインを好みのブログプラットフォームと簡単に紐付けできるようになる」とGoogleは言う。新しい .cloud ドメインも、「クラウドプラットフォームでホストされているプロジェクト」に直接関連付けられる。Googleがどうやってこれを実現する計画なのかは明らかになっていないが、書簡によると同社は「ユーザーが登録時に、自分のドメイン名が自動的に自分のブログにリンクできる」ための技術標準を作ろうとしている。

.app に関してGoogleは、このTLDの利用を「主要なデベロッパー・コミュニティー」に限定し、特定のプラットフォームには限定しない計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


YC出身で企業ウェブサイトのA/Bテスト・サービスのスタートアップ、Optimizelyが2800万ドルをBenchmark他から調達

Y Combinator出身で企業のウェブサイトに対してさまざまなバージョンのデザインでA/Bテストを提供するスタートアップ、OptimizelyがシリーズAのラウンドで2800万ドルの資金を調達した。

どんなスタートアップにとってもシリーズAで2800万ドルといえば大した金額だが、Optimizelyはこれまでにわずか320万ドルの資金しか集めていないのだから、特に大きな一歩だ。.前回のラウンドは1年前にされたが、これまでその結果について何も発表されていなかった。

共同ファウンダー、CEOのDan Sirokerは私の取材に対して「比較的少額の投資を受けただけにしては、われわれはすでに売上高は通年換算で数千万ドルに達し、対前年比では400%の成長を遂げている。また2012年の大統領戦のキャンペーンなどで有力なクライアントを獲得している(Sirokerは2008年にはオバマ選対の分析責任者だった)」と述べた。SirokerはまたAlexaのトップ1万のウェブサイト中のOptimizelyの採用をライバルと比較した下のグラフを送ってきた(データはBuiltWithを利用)。

今回のラウンドはBenchmarkがリードし、Bain Capital VenturesとOptimizelyの既存投資家、Battery Ventures、InterWest Partners、Google Venturesが参加した。BenchmarkのPeter
Fenton(YelpとTwitterに投資した実績がある)がOptimizelyの取締役に就任した。SirokerによればFentonは初の社外取締役だという。これまで取締役はSirokerと共同ファウンダーのPete Koomenのみだった。

調達した資金の一部は国際的な事業拡張に向けられるだろう。Optimizelyは去年、初の海外オフィスをアムステルダムに設けている。また来る四半期には9言語、36カ国のサポートを新たに行う予定だという。Sirokerは「これらの言語(具体的な言語名は明かさなかったが)を選んだのはすでにクライアントがいるからだ」と述べた。

Sirokerのビジョンは依然私に語ったように、Optimizelyを単なるテストサービスを超えて、あらゆるウェブサイトを訪問するユーザーに合わせてカスタマイズできるようにするプラットフォームに育てることだ。同社はすでに異なる属性の訪問者に対して別のデザインのサイトを提供するサービスを開始している。lこれをさらに先へ推し進めたいというのがSirokerの野望だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebookが依然トップだが、ティーンの間で既存ソーシャル・メディアの人気は退潮ぎみ(Piper Jaffray調べ)

十代の若者は依然としてFacebookが好きだ。その点は変わっていない。有力投資銀行のPiper Jaffrayの調査によれば,、調査対象の5200人のティーンエージャーの33%がFacebookを「自分にとってもっとも重要なソーシャルネットワーク」だと答えている。2位はTwitterで30%、Instagramという回答が17%で3位だった。

しかし興味深いのは、ティーンの間でのFacebookに対する関心が急速に低下していることだ。なるほどティーンはソーシャルネットワークとしてはFacebookを依然重視しているが、Piper Jaffrayのレポートによれば、ソーシャルなウェブサイトとしてのFacebookに対する興味は減退している。

過去1年でFacebookがもっとも重要なソーシャル・メディア・サイトだと回答したティーンの割合は30%から20%をやや上回るレベルまで低下した。しかしこれはFacebookだけに限った現象ではない。ほとんどの既存ソーシャル・メディアが退潮、または頭打ちとなっている。

YouTubeはもうすぐFacebookを抜いてもっとも重要なソーシャル・メディア・サイトとなりそうだが、YouTube自身も重要性の割合を落としている。YouTubeは現在22%だ。ただし関心の減少の割合はFacebookに比べれば少ない。


逆にInstagramとTwitterの重要性は増加している。これはおそらく春になってティーンの活動が活発になったせいもあるだろう。

しかしいかにも気まぐれなティーンらしく5200人の対象の多くは「もっとも重要」なソーシャル・サイトをトップのリスト外から選んだ。レポートによるとWanelo、Vine、Snapchat、Kik、4chanの順で人気.があったという。

Vineは登場してから数ヶ月しかたたないのにApp Storeのトップに立っている。毎日2000万枚アップされている写真の大半がティーンからのものだということを考えるとSnapchatの人気もうなずける。

FacebookにとってはTwitterも脅威だが、それに劣らずこうした新興ソーシャル・サイトもライバルとなるだろう。

新しく発表されたFacebook Home(Facebook専用のAndroidスキン)はティーンの興味をつなぎ止めるのに有効かもしれない。Facebookの機能を常にユーザーの前に表示するだけでなく、どのユーザーがいつどのようにさまざまなアプリを使用したかモニタすることができるのでライバルの動向についてリアルタイムで深い知識を得られるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、Global Impact Awardの助成金300万ドルを人身取引防止活動3団体に授与

Googleの非営利部門は昨年12月、Global Impact Awardsプログラムをアナウンスしていた。そしてこの度そのプログラムに則って3つの組織が300万ドルの資金を受け取ることになったと発表した。この3つの組織は、ヘルプラインを開設することにより、世界中の潜在的被害者の発見およびサポートを行うために尽力している。

3つの組織とはPolaris ProjectLiberty Asia、およびLa Strada Internationalで、共同して「Global Human Trafficking Hotline Network」の構築を行なっているのだ。

行われたGoogleによるアナウンスによれば、世界中で2100万人の人が、何らかの形で隷属状態に置かれているとのこと。またそれにともなう不法行為により、違法行為者は320億ドルの利益をあげているのだそうだ。Global Human Trafficking Hotline Networkの目的は、違法行為のホットスポットとなっている場所を特定して、それに対応できるようにすることだ。こうした活動についてGoogleは2011年から1450万ドルの資金を拠出している。

またPalantir TechnologiesおよびSalesforce.comもデータの管理および分析や、反人身取引のためのホットラインセンターの拡大に協力することで、活動に協力している。

Google IdeasのディレクターであるJared CohenおよびGoogle GivingのDirectorであるJacquelline Fullerは次のように述べている。

Polaris Projectは、アメリカ国内において寄せられた72,000以上のホットライン通話に基いて人身取引の活動状況などをまとめて国内外にデータを提供しています。しかし全世界的にはそうした直ちに利用できるデータベースは構築されていません。ただし、そうしたデータベースの完成を待つ必要はありません。各国で人身取引問題に対する意識を共通化し、そして協働していくことで、関連データを共有して被害者の救済にあたり、違法活動を抑制し、さらに必要な法律を提案する動きへと結びつけることができるからです。人を奴隷のように扱うことは断じて許されるものではありません。直ちに活動を開始する必要があるのです。

今回の発表について、各組織からの発言をまとめたビデオを掲載しておこう。

Googleの非営利活動については、Jacquelline Fullerに対して行ったインタビュー記事もある(英文)。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


Google、Global Impact Awardの助成金300万ドルを人身取引防止活動3団体に授与

Googleの非営利部門は昨年12月、Global Impact Awardsプログラムをアナウンスしていた。そしてこの度そのプログラムに則って3つの組織が300万ドルの資金を受け取ることになったと発表した。この3つの組織は、ヘルプラインを開設することにより、世界中の潜在的被害者の発見およびサポートを行うために尽力している。

3つの組織とはPolaris ProjectLiberty Asia、およびLa Strada Internationalで、共同して「Global Human Trafficking Hotline Network」の構築を行なっているのだ。

行われたGoogleによるアナウンスによれば、世界中で2100万人の人が、何らかの形で隷属状態に置かれているとのこと。またそれにともなう不法行為により、違法行為者は320億ドルの利益をあげているのだそうだ。Global Human Trafficking Hotline Networkの目的は、違法行為のホットスポットとなっている場所を特定して、それに対応できるようにすることだ。こうした活動についてGoogleは2011年から1450万ドルの資金を拠出している。

またPalantir TechnologiesおよびSalesforce.comもデータの管理および分析や、反人身取引のためのホットラインセンターの拡大に協力することで、活動に協力している。

Google IdeasのディレクターであるJared CohenおよびGoogle GivingのDirectorであるJacquelline Fullerは次のように述べている。

Polaris Projectは、アメリカ国内において寄せられた72,000以上のホットライン通話に基いて人身取引の活動状況などをまとめて国内外にデータを提供しています。しかし全世界的にはそうした直ちに利用できるデータベースは構築されていません。ただし、そうしたデータベースの完成を待つ必要はありません。各国で人身取引問題に対する意識を共通化し、そして協働していくことで、関連データを共有して被害者の救済にあたり、違法活動を抑制し、さらに必要な法律を提案する動きへと結びつけることができるからです。人を奴隷のように扱うことは断じて許されるものではありません。直ちに活動を開始する必要があるのです。

今回の発表について、各組織からの発言をまとめたビデオを掲載しておこう。

Googleの非営利活動については、Jacquelline Fullerに対して行ったインタビュー記事もある(英文)。

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(翻訳:Maeda, H)


EUの反トラスト調査でGoogleは, ライバルを検索結果でもっと目立たせろと強いられる

EC(欧州委員会)が2年もかけて行った、Googleの検索慣行に対する調査の結果がもうすぐ出るが、それによるとGoogleは、ヨーロッパにおける検索結果において、ライバルサービスの可視性の改善を迫られることになりそうだ。今朝(英国時間4/10)のフィナンシャルタイムズ紙が、そう報じている〔要会員登録〕。

同紙によると、地図、天気予報、金融など分野限定の検索結果(垂直検索–vertical search–の結果)が、ECの調査官たちの重要な懸念の一つだった。それらの検索結果においてGoogleは今後、ライバルの専門サイトをもっと目立つようにして、消費者に複数の選択肢があることをより明確に示すことになりそうだ。Google自身のサービスは、それとはっきり分かるようにするのが、“広く期待される譲歩”だったが、それにプラスしてライバルの明示化が加わる。

たとえば”weather”(天気予報)で検索すると、現状では下図のような結果になる。ご覧のようにGoogle自身のお天気ウィジェットが、最上部ででかでかと大きい。その下にそのほかの天気予報サービスが並ぶ:

委員会は、Googleが自社の垂直サービスへのリンクを、ライバルへのリンクとは違えることによって、差別的扱いをしていないか、を調べていた。また競合サービスのリビューなどのコンテンツを、Googleがコピーして自社の提供物に使っていないか、も懸念していた。また広告に関しては、競合サービスを検索広告から閉め出していないかを、委員会は調べていた。それをやられると、広告主たちはそれらの競合サービスをキャンペーンに含めることが困難になる。

Googleは2月に、このような偏りに関する懸念をやわらげるための提案をECに提出した。その内容は、まだ公表されていない。

フィナンシャルタイムズ紙によると、Googleは今週、“譲歩の最終提案”を委員会に提出する。反トラストで有罪となり巨額の罰金刑を科せられることを、避けるためだ。EUの競争監督官Joaquin Almuniaの以前の提案では、Googleの検索慣行に対するECの調査は今夏に終わることになっていた。

今週初めにAlmuniaはThe New York Timesに、“Googleとの折衝は続いており、毎日、いつ電話やメールやSMSが来てもいいように備えている”、と語っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


モバイル開発の”継続的インテグレーション”を自動化するCisimple,アプリのHTML5シミュレーションも

Cisimpleは、モバイルアプリケーションの構築と試験と展開過程を自動化してくれる。同社が今日(米国時間4/9)ベータを脱して、その新しい試験プラットホームを全デベロッパに公開する。同社はKickfolio’sのAPIを統合した初めての企業でもある。こちらの新進スタートアップは、iOSのアプリをHTML5を使ってブラウザに持ち込む。

継続的インテグレーション(continuous integration, CI)(日本語)はこのところ、市場としても活気づいてきた。そのきっかけは、試験のためのHerokuと呼ばれるCircleCIが、今年の初めにHerokuのファウンダたちとEric Riesから150万ドルのシード資金を獲得したことだ。Cisimpleは、混み合ってきた市場…Atlassian BambooCloudBees(Java用)、Travis CIなどなど…で自己を差別化するために、モバイル専門で行くつもりだ。HostedCiもその路線だが、まだベータだ。

デベロッパが登録会員になると、CisimpleはそのデベロッパのGitHub上のリポジトリ(モバイル開発用)をスキャンする。デベロッパがそこにコードをアップロード/アップデートすると、Cisimpleが自動的にビルドを行い、試験をし、そのアプリをTestFlightや新進のHockeyAppなどのサービスから展開する。後者は、数週間前にCisimpleを統合したばかりだ。

AngelPadが支えるこのスタートアップがモバイルデベロッパ向けに初めてその扉を開いたのは、昨年の11月で、約1100名の初期ユーザがこのサービスを使った。“立ち上げ直後からたくさんのフィードバックをもらったので、モバイルデベロッパが抱える問題がよく分かった。うちなら、それらの問題解決のお手伝いができる、と確信した”、CEOのKevin Rohlingはそう語る。“彼らの悩みのタネの一つが試験だ。たしかにそれは(モバイルではとくに)現状では本当に難しい。モバイルデベロッパのためにアプリの試験を自動化するサービスは、これまでなかったから”。

Cisimpleのインフラストラクチャの上でデベロッパ企業は、アプリの複数の機種の上でのシミュレーション、ビルド、試験(#)、そして展開(デプロイ)ができる。iOSとAndroidをサポートしているが、(#)試験は今のところiOSのみだ。AndroidはOSやSDKの不統一という問題を抱えているが、しかし自動化の需要が多いのは今現在ではiOSだそうだ。だから、Android対応はとりあえず後回しとなった。

Cisimpleが試験に関して提供するのは、ログや合格/失敗の結果だけではない。たとえば、シミュレーションをやっているときのビデオなどもデベロッパに提供する。“試験を記録したビデオがあれば、細部検討をしやすい。しかしデベロッパが自分で試験をするときは、ビデオまではなかなか手が回らない”、とRohlingは指摘する。“うちは、アプリケーションに関するフィードバックを入手しやすいようにしたい。どこが変わったのか。どこがだめなのか。等々。また、問題をなるべく容易に見つけられるようにしたい。結局うちがやってるのは、モバイル開発をもっとアジャイルな工程にすることだ。今のモバイル開発は、デベロッパの手元ではちぐはぐになりがちだからね”、と彼は言う。

Kickfolioの統合も、注目に値する。開発〜試験の過程では、デベロッパがビルドの結果をブラウザ上で簡単に見られるからだ。だから試験が失敗すると、失敗したという結果だけでなく、ビルドの結果をブラウザ上でクリックしたりして、そのバグを実際に体験できる。Cismpleの顧客がここに載っているから、彼らのKickfolio版アプリを試してみるとよい。Cisimpleの有料ユーザは全員がKickfolioを利用できる。

Rohlingがベータ時のユーザ数などを明かさないのは、数字を公開するのは時期尚早と思っているからだが、ベータに参加したデベロッパの一部はすでに有料ユーザになっている。とくに多いのは、同社の料金体系の中のインディー向けプランだ。

今日(米国時間4/9)サインアップするデベロッパは2週間の無料試用ができる。あるいは、一(ひと)月に30ビルドまでという無料プランもある。有料プランはインディーの月額19ドル、スタートアップの99ドル、大企業の999ドルなどだ。サインアップはここで。

〔継続的インテグレーションの実践参考書の例。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


フリーソフトウェア運動はどこで方向性を間違えたのか(そしてその修正方法)

ぼくの視野では、テク産業の過去10年における最大の変化は、ソーシャルメディアでもなければクラウドコンピューティングでもビッグデータでもITの消費者化でもなく、モバイルですらない。それは、業界の主流部分によるオープンソースの受容だ。それまでは、わずか10年前ですら、オープンソースは疑問視されていた。当時は、“オープンvs.プロプライエタリ”という議論が、あちこちの会議やパーティーで噴出していた。ベンダたちは、オープンソースに関するFUDをばらまいていた。しかし今では、あらゆるベンダが自分を“オープン”と呼びたがる。

なぜそうなったのか? ライターのEvgeny Morozovは、最近The Bafflerに寄稿した長文の中で、それをTim O’Reillyのメディア/カンファレンス帝国のせいだ、と言っている。

Morozovによると、O’ReillyはRichard Stallmanのフリーソフトウェア運動をハイジャックして、それを、より企業フレンドリーなオープンソース運動に変えた。そこからさらにO’Reillyは歩を進めて、Webの自由を、Googleのような企業がオンラインで好き勝手ができることへと定義変えし、オープンガバメントを政府に透明性と説明責任を持たせる運動ではなく、営利企業に無料で自由にデータ集合を与えることの必要性へと定義変えした。

フリーソフトウェアのフリーは“自由”の意味、“タダ/無料”ではない。

Morozovの記事は、ドットコムバブル期に話題になったカリフォルニア的イデオロギーと、その政治への影響をあらためて問い直している。つまりそれは、原理原則を犠牲にして実用主義を優先した結果、に対する問いだ。でもMorozovは、オープンソースがフリーソフトウェアを乗っ取ってしまった決定的な理由を、見落としているように思える。

Morozovは、オープンソースとフリーソフトウェアの違いを看過している。フリーソフトウェアのフリーは、その名の通り、言論の自由などと同じく“自由”という意味であり、free beer(無料のビール)のような“無料”という意味ではない。その自由をMorozovは、“ユーザがプログラムをどんな目的にでも使えること、その動作構造を調べられること、そのコピーを再配布できること、その改良バージョンを公開リリースできること”、と解釈している。

しかし(Open Source Initiativeの定義による)オープンソースソフトウェアもその多くは……(Free Software Foundationが定義する)フリーソフトウェアだ。では、何が問題なのか? 二つの運動の違いは、フリーソフトウェアが社会的な運動であるのに対して、オープンソースが方法論であることだ。Stallmanは”Why Open Source misses the point of Free Software“(なぜオープンソースはフリーソフトウェアを誤解しているのか)と題するエッセイで、フリーソフトウェア運動が増進に努めてきた自由をオープンソースの擁護者たちが無視している、と非難している。そして、だからこそ、オープンソースの正しい意味すら世の中に伝わっていないのだ、と。

Morozovは両者の違いについて、フリーソフトウェアはユーザの側面を強調し、オープンソースはデベロッパを強調する、と書いている。でも、フリーソフトウェアも、その主な関心はデベロッパではないだろうか。つまりその自由は、主にデベロッパの自由であり、ほとんど一般大衆とは無縁だ。しかしこの点にこそ、運動がコースを間違えた理由がある。

もちろん、デベロッパ以外の人たちにもソフトウェアの自由を気にする理由はある。活動家やセキュリティに関心のある人たちは、自分たちが使うソフトウェアを調べたい、あるいは信頼できる専門家たちに調べてもらいたい、と思う。でも、グラフィックデザイナーたちに、PhotoshopよりもGIMPを使え、後者ならコードを調べたり、書きかえたり、自分だけのバージョンをリリースできるから、と言ってみよう。あるいはデータアナリストに、ExcelではなくLibreOfficeを使うべき理由を、ミュージシャンにLogicではなくArdourを使うべき理由を述べてみよう。どんな結果になるだろうか。

そこで、こんな疑問が湧いてくる: オープンソースがフリーソフトウェアを日陰者にしてしまったのは、O’Reillyが天才的マーケターだったからか。あるいは、Stallmanが気にするような自由を人びとが全然気にしないからか? フリーソフトウェアの主なユーザがデベロッパであることは、むしろ当然ではないか?

企業とデベロッパがオープンソースソフトウェアを使ってプロダクトを作れると知ったとき、水門が一挙に開いた。

昔を知る人に言わせると、業界の主流部分をオープンソースに改宗させた第一の功績者はApacheだ。その理由は、1)オープンソースの(そしてフリーな)サーバがとても優れていた、2)企業が商用に利用してもおとがめなしのライセンス(カスタムソフトウェアとくっつけてもよい)。

企業とデベロッパがオープンソースソフトウェアを使ってプロダクトを作れると知ったとき、水門が一挙に開いた。その良い面は、オープンソースの技術を勉強する人たちが増えて、企業はオープンソースによる開発に多くの予算を割くようになったこと。オープンソースが今のように優勢にならなかったら、ブログはすべて、プロプライエタリなコンテンツ管理システム(CMS)の上で動いていることだろう。ColdFusionで書かれたコードが、Windows ServerやIISの上で動いているだろう。

O’Reillyがフリーソフトウェア運動に代えて描いた絵の中では、実用主義者たちが実用目的のために妥協を図ろうとしている。オープンガバメントも、企業にとってデータがオープンになりそれによって経済が刺激されなければ、離陸することはなかっただろう、という議論もある。だが、その今後の姿はまだ見えてこない。業界の主流部分(“mainstream, メインストリーム”)がオープンソースを受容したことによって、フリーソフトウェア派のデベロッパに雇用機会が生まれ、本もカンファレンスのチケットもたくさん売れるようになった。でもそれはイデオロギーの軽視であり、デベロッパたちが80年代の初めに夢見たようなソフトウェアの自由だけが受容されたのだ。

ぼくはデベロッパではないけど、ソフトウェアの自由は重視したい。でも、ほかにも重要な自由があると思う:

  1. ハードウェアドングルや執拗なオンラインの本人確認なしに、自分が買ったソフトウェアはどんなデバイスの上でも自由に動かしたい。
  2. 政府や企業から詮索/のぞき見されない自由。
  3. 自分のデータを複数のアプリケーション間で移動(==利用)できる自由。
  4. アプリケーションを異なるホスティングプロバイダ間で移動できる自由。
  5. 高額な年会費月会費に縛られない自由。
  6. 多くのWebサイトの利用規約の「私のやり方に従えないなら出ていって」からの自由。.

〔2番は、パーソナライゼーションへの個人データの利用など。〕

上の1番は、フリーソフトウェア運動にも含まれる。そのほかは、オープンWebや連邦型WebインディーWeb、それにベンダ関係管理(VRM)、などの主唱者たちが、今主張している項目だ。まだほかにも、重要な自由はいくつもあると思うが、それらも含めて、新しいフリーソフトウェア運動、ユーザの今日的なニーズにも対応するフリーソフトウェア運動の基盤が、そこにはあるべきだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YC出身の宅配ボックスサービスSwapbox、Google傘下のライバルBufferboxのベイエリア進出にも動揺せず

宅配便がホットな分野になることなど誰が予想しただろうか?しかも物理的なロッカーの設置が必要なのに。先週本誌はGoogleが最近買収したBufferboxがサンフランシスコのベイエリアほの配達サービス進出を計画していることを報じた。もちろん買収された後Bufferboxがどうなるかは誰にもわからなかったので、これもY Combinator出身のSwapboxが隙間を埋めようと参入した。

今日(米国時間4/9)Swapboxのファウンダーと話したところ、彼らの計画も戦略も「変更なし」とのことで、どうやらBufferboxが現在のカナダから手を広げてベイエリアにやって来ることは計算済みだったようだ。

最近Swapboxは、サンフランシスコの高級住宅街ノブヒル地区にサービスの拠点を構えた。これは主として同地区に人口が集中していることが理由だ。同社の共同ファウンダー、Neel Murthyによると、Swapboxは短期間にめざましい業績を残しており顧客の2/3がリピートしている。SwapboxもBufferboxも、利用者に固定の宅配ボックスを割り当てるのではなく、空いているどのボックスでも受け取ることができる。

「今はSwapboxを着実に広め、誰もが使える独立インフラを構築して足場を固めている段階」とMurthyは言う。

さらに彼は、ロッカーのモジュール化されたデザインのおかげでSwapboxのインストールが簡単で、場所さえあればすぐに設置できると言った。基本的にキャビネットのカスタマイズは必要ない。

Swapboxが受けたフィードバックの中で最も興味深いのは、職場を出る前に荷物の受取りを忘れないよう通知してほしいという顧客からの要望だった。Murthyによると、Swapboxでは通知を送ってから実際に受取るまでの平均時間は4時間だという。

この種のサービスは、AmazonWalmartといった巨大小売業も真似しているが、その鍵となるのは利用者が荷物を受取るために家で待たなくてよいことにある。もし自分の住んでいるところでこの種のサービスを利用できるのであれば、不在にしてFedExの再配達を待つことよりもボックスで受取る方を選ぶだろう。Swapboxのようなサービスは、AmazonやWalmartでの購入に限らないため、リピート顧客を得る上でも有利だ。

ノブヒル地区に続き、Swapboxはこれもサンフランシスコで人の密集するミッション地区への侵入をはかっている。現在Swapboxの料金は配達1回につき1.99ドルで、成功するためにはBufferboxと価格面でも戦う必要がある。

さあいよいよGoogleの出番だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Googleストリートビュー “Hyperlapse” は世界をさまよう新しい方法

Googleのストリートビューは、過去10年で最も興味深く、かつ正当に評価されていない技術成果と言えるが、デスクトップやモバイルで見るGoogleマップは少々静的で残念なことも確かだ。トロントのUXデザイン会社、Teehan+Laxの新プロジェクトは、ストリートビュー画像からHyperlapsesと呼ばれる早送りアニメーションを作り出し、ストリートビューをより没頭的体験にする。

利用者は、Teehan+Laxがあらかじめ設定した、ゴールデンゲートブリッジやオーストラリア奥地のダートドライブ等のルートを選ぶか、単に検索してA地点B地点を指定し自分専用のストリートビューを作ることもできる。魅力的な景色や建物が特にすばらしいHyperlapseを作るのはもちろんだが、私が自宅の前後数ブロックから作った短いループでさえ人をとりこにする。

同プロジェクトは今のところ興味深い技術デモのレベルであ実用性は殆どないが、Teehan+LaxはソースコードをGithubで全公開している。このツールはChromeに最適化されており、かなりCPUを食うので冷却ファンが回り出すかもしれない。しかし、ザ・ポスタル・サーヴィスの10周年記念アルバムが出ると、完璧な時間の無駄遣いが始まりそうだ。このアルバムは、どんなストリートビューのHyperlapseにもぴったりのサウンドトラックになる。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Facebook、 近況アップデートに「今何してる?」をワンクリックで投稿できるエモーティコンを導入中

これで自分の感情を表現するのがもっと簡単になるかもしれない。現実の複雑な状況や感情を単純化しすぎるものだという批判も出るだろう。

今日(米国時間4/9)、Facebookは自分が現在やっていることやムードをアイコン(エモーティコン)で表現するオプションを近況アップデート窓に追加した。ドロップダウン・メニューからさまざまなエモーティコンが選択できる。

Facebookがこのオプションをテストし始めたのは今年の1月だが、これまではスクリーンショットしか公開情報がなかった。現在アメリカで一般ユーザーへの公開が始まっているが、おそらく他の地域にも拡大されるのだろう。[アップデート:Facebookは私の問い合わせに対して「われわれはこの機能をアメリカで一般ユーザーに公開中だ」と確認した。] この件に関するネットへの投稿はほとんどはアメリカ居住者からで、昔のMyspaceのムード共有機能に似ているという声が多い。

この機能が公開されたユーザーの場合、デスクトップでもモバイルでも、「写真を追加」と「プライバシー設定」のアイコンの間にニコチャン・マークのアイコンが表示される。

このエモーティコンは「今のどんな気分? 何を見ている? 聴いている? 飲んでいる? 食べている?」から選べる。それぞれクレリックするとサブメニューが開く。自分で補足入力もできる。共有するとそのエモーティコンが投稿に表示される。あるいはゲームをしているならそのページへのリンクが表示される。

エモーティコンを利用すると小さいポップアップが開き、「この機能を利用した情報はプロフィールその他のFacebookのページにも表示されます」という注意書が表示される。つまりFacebookページの推薦やグラフ検索、そしてFacebook広告として公開される可能性があるということだ。この機能のビジネスの側面についてはこの機能が一般ユーザーに広く公開されてから研究することにしたい。


Facebookがわれれわれの感情まで正確に把握できるようになれば、悲しいときやコーヒーを飲んでいるときに、それに応じてアルゴリズが調整されてティッシュペーパーの広告が表示されるようになるかもしれない。しかし同時に、この機能はソーシャルメディアにおけるコミュケーションに2つの側面で重要な影響を与えそうだ。われわれは今自分が何をしているか語るのが好きだ。どんな音楽を聴いているか、どんなテレビ番組を視ているか、どんな場所で酔っ払っているか、等々だ。そういった情報を分類しタグづけして簡単に共有できるようになれば、ソーシャルな会話はいっそう緊密になるだろう。

最近の私のお気に入りのミュージシャンはRobert Delongだが、いちいちその名前で検索しないでも、「今何を聴いている」のドロップダウンから自動補完で簡単に共有できる。私の友達はこの投稿をクリックしてDelongのFacebookプロフィールページを訪問し、再生ボタンをクリックすれば好みのストリーミング・サービスで楽曲の再生が始まる。いちいち検索してYouTubeのリンクを投稿にコピペする必要がない。すべて近況アップデート窓の中だけですむ。


感情のエモーティコンはやや微妙な問題をはらんでいるかもしれない。感嘆符や罵り言葉を多用するタイプのユーザーにとって感情ははっきりしている。 ワンクリックで感情が表現できるのはこういうユーザーにとっては便利だろう。しかし表現するのが難しい感情を持つ場合も多々ある。退屈しているのでなければびっくり仰天しているといった2分法が不適当な場面も多いだろう。

しかし事前に用意されたエモーティコンがあれば、以前より感情の表現が容易になる場合もある。Facebookにとってはそれで十分ということだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


米Vudu社、物理的侵入を受けハードディスクドライブを盗まれる

侵入事件が相次いでいる。しかし今回は物理的な、現実世界の侵入であり、最近聞き馴れてきたデジタルの類ではない。

ビデオストリーミングサービスで2010年にWalmartに買収されたVuduは、先ほど同社顧客に対してメールを送り、3月24日、カリフォルニア州サンタクララの同社事務所が窃盗にあったことを伝えた。

クレジットカード番号はほぼ無事だと思われるものの(Vuduによると下4桁以外は保存していない)、窃盗団は顧客名、暗号化されたパスワード、メールアドレス、電話番号等を含むハードディスクドライブを複数台持ち去った。

ハードディスク内のパスワードは暗号化されていたと言われているが、Vuduは直ちに全アカウントのパスワードを無効とし、ユーザーにはセキュリティーに関して「予見的行動」をとるよう促した(即ち、Vuduアカウントを持っている人で、同じパスワードを他のサイトで使っている人は変更すべきである)。

Vuduは同社事務所への侵入があったことを正式に認め、その後の対策について以下の声明を発表した。

2013年3月24日、VUDU社事務所に何者かが侵入し、ハードディスクを含む複数の物品が盗難にあった。ディスクには、名前、メールアドレス、住所、アカウント履歴、生年月日、及び暗号化されたパスワード等の顧客情報が保存されてたが、クレジットカード番号の全桁は含まれていない。当社は予防手段として全アカウントのパスワードをリセットし、全顧客に通知した。さらに顧客の安全を期すために、当社では個人情報保護サービスのAllClear IDも提供している。当社は侵入の事実を直ちに当局へ連絡し、全面的に捜査に協力している。

ちょっと待て。3月24日って? Vuduが窃盗事件を報告したの良いが、なぜそれに3週間もかかる?

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(翻訳:Nob Takahashi)


eコマースの未来は日本から―Marketplace 3.0を出版した楽天の三木谷浩史インタビュー[ビデオ]


eコマースの未来や如何に? 日本を代表する富豪であり、日本の巨大eコマース企業、楽天のファウンダー、CEOのミッキーこと三木谷浩史によればオンライン・ストアの成否を決めるのはホスピタリティにあるという。新著〔英文による出版〕、Marketplace 3.0; Rewriting the Rules of Borderless Business(Marketplace 3.0―ボーダーレス・ビジネスのルールを書き換える)で三木谷は小売業の将来ビジョンを描いている。今回のインタビューで三木谷は「小売業はオンライン化によって従来のマスプロ、大量流通の定型的体験からもっとカスタマイズされた体験にシフトする」と語った。

三木谷はeコマースが社会のデジタル化のトレンドの中で革新的存在であり続けるためにはホスピタリティ・モデルを採用しなければならないと説く。 「オンラインストアはもっと礼儀正しく、親切にならなければいけない」という主張は、私には「もっと日本化しなければいけない」ということのようにも思えた。

いずれにせよ、三木谷と楽天は侮りがたい存在である。時価総額150億ドルの楽天はBuy.comやeブックのKoboを買収し、1億ドルをPinterestに投資している。デジタル・ビジネスにおいて今やRakutenは本物のグローバル・プレイヤーだ。ミッキー・ミキタニと1万人のRakuten社員はボーダーレス・ビジネスのさまざまなルールの書き換えに励んでいる。eコマースの未来は事実、ここにあるのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Instagram写真をシート型磁石にするInstantgram.Me。世界の冷蔵庫を埋め尽くせるか?!

Instagramに投稿した写真を印刷するサービスは数多く登場している。今では印刷する素材も多岐にわたる。Post-itサイズに印刷するところもあれば、キャンバスの上に印刷するサービスもある。変わったところでは木やグラスファイバーに印刷してくれるサービスもある。ほとんど何にでも印刷できるという状況のようだ。

今回紹介するのも、やはり「素材」面に新しさのあるサービスで、名前をInstantgram.meという。こちらはInstagram写真をシート型の磁石にしてくれるというサービスだ。5cm x 5cmのシート型マグネットを17ドルで作成してくれる。おまけに送料は世界中どこでも無料となっている。

もちろん価格的にはいずれも同じくらいのものであり、とくに目新しさはないかもしれない。しかし「磁石」というのはなかなか良い目に付け所なのではなかろうか。たいていの場合、Instagramの写真というのは、壁の上に永久的に飾っておくようなクオリティではないことが多いだろう。綺麗に印刷して目立つところに置いておくというようなものでもないだろう。しかし磁石であれば簡単に付け外しができるし移動も簡単だ。新鮮味がなくなれば、すぐに他の写真と取り替えてみることもできるわけだ。

ちなみにInstantgram.meでは、磁石でなく、普通の紙に印刷するメニューも用意している。プロダクト名をSquareといい、5″ x 5″なら24枚、2.5″ x 2.5″なら48枚を、やはり17ドルで提供している。マグネット版にせよ、このSquare版にせよ、オーダー時にはとくに気に入っている写真の枚数を簡単に変更することができるようになっているのも嬉しい。何枚も印刷しておいて、ちょっとした機会に人にプレゼントしたりもできるわけだ。

考えてみれば、こうした多くのビジネスが完全にInstagramに依存した形で展開しているのも面白い。Instagram自身は、Facebookに10億ドルで買収されるまでは、売り上げなどなかったのだ。しかしそのInstagramを利用して、印刷サービスやクローンサービスなどが展開されているのだ。

Instagram上に構築されたサービスで、誰でも知っているサービスにまで成長したものはまだ存在しないと言って良いだろう。しかし急成長して多くの人が使うようになるサービスが生まれないと限ったものでもないだろう。

Instantgram.meはCanvasPopPrinstagram、あるいはKanvessInstaThisないしはInstacanvasなどと同様に、なかなか面白いサービスではある。これらの中から、抜きん出るサービスが生まれてくるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)


WikiLeaksがデータベースと検索エンジンを開発–70年代中期の200万点近い外交公電を研究できる

[今やWikiLeaksは検索エンジンだ。]

何でも流行語で言いたい人は、これを“ピヴォット(pivot, 方向転換)”と呼びたいかもしれない。悪名高き機密文書公開サイトWikiLeaksが、特定の文書を対象とする検索エンジンを開発した。これがもっぱら検索するのは、“キッシンジャーケーブル(Kissinger Cables)”と呼ばれる170万点の歴史的外交公電だ。時期は1973〜76年、その一部は当時の国務長官Henry Kissinger(ヘンリー・キッシンジャー)が関与しているとされる問題多き電信だ。つまりそれらは、“合衆国がファシストの独裁者たちと関係を持っていたことを暴露している…とりわけ、ラテンアメリカ各国、フランコ時代のスペイン(+スペイン王族)、そして軍事政権時代のギリシャだ”、日曜日の夜のプレスリリースでWikiLeaksはそう主張している

“政府の公文書館は信用できない”、とWikiLeaksの広報Kristinn Hrafnssonが説明する。それが、今の同時代の公電のリークではなく、機密扱いが解除された(しかし知る人の少ない)歴史的ドキュメントを、特製の検索エンジンを介して公開する理由だ、と。“複雑さを装った秘密もある。だからうちでは、これらのファイルをうちにある既存の公電と合体させて、多大な努力により、ユーザフレンドリで分かりやすいデータベースを構築することにした”。

WikiLeaksの主張によると、政府は一部の文書をこれまでに何度も再機密化しようとした。それらは国立公文書記録管理局(National Archives and Records Administration< NARA)から得られたものである。WikiLeaksはそのデータベースをPublic Library of United States Diplomacy, 略称"Plus D"(合衆国の外交の公開ライブラリ)と名付けている。Twitterのハッシュタグは後者だ。

WikiLeaksには2010年以降、匿名のおいしい提出物がない。財政難と、リーダーJulian Assangeの法的トラブルの中で、なんとか生き残りを図る必要がある。Assangeは現在、ロンドンのエクアドル大使館に身を隠している。

おそらくこの検索エンジンは、良い結果をもたらすだろう。それがだめなら、ファッショナブルなWikiLeaksグッズを買って、彼らの財政を支えてあげるのはどうだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アプリのSEO、iOS App StoreよりもGoogle Playにチャンスあり

この記事はApp StoreやGooglePlayのSEOためのツールを提供するSearchManの柴田尚樹氏(@shibataism)による寄稿記事。

63%のユーザーがアプリを探す際に検索しているというデータが示す通り、App Store SEOは、アプリ開発者にとって欠かすことが出来ないマーケティングの手段になりつつある。iOS App Storeでは、AppleがChompを買収して以降、度々、検索エンジンのアルゴリズムが変更されているとのことだ。SearchManでは「少なくても2カ月に1度」程度大規模なアルゴリズム変更を検知している。また、iOS 6以降、iOS App Storeの検索結果では、1画面あたり1アプリしか表示されず、アプリ開発者たちからの批判が相次いだ。

これまで、App Store SEOというと、iOS App Storeばかりが話題になっていたが、SearchManはこの度、Google Play / Androidにも対応を開始した。現時点では、日本、アメリカのGoogle Playストアにある70万以上のアプリの検索順位を毎日分析している。SearchManでは、昨年末頃からAndroid対応を希望するアプリ開発社が急激に増えた。特に、日本のアプリ開発社からの要望が多く、これは、Google Playでの売上が日本で急成長しているという点にも合致する。

以下に、SearchManによる、iOS App StoreとGoogle Play(Android)のApp Store SEOの比較を掲載する。これを見る限り、Google Playの方がApp Store SEO経由でのダウンロード獲得に大きなチャンスがあると言えるだろう。

1)Google Playストアの方が、より多くのアプリを検索結果に表示する

  1. 1ページあたりのアプリ数が多い:Google Playストアは、検索結果画面の1ページあたり7、8個のアプリが表示される。他方、iPhoneは1アプリ、iPadでは6アプリだ。
  2. 検索結果を深堀りするのが簡単:Google Playストアは、画面をタップすることなく、フリックするだけで、下方向に無限にスクロールできる。他方、iOSでは、検索結果を追加で読み込むのにタップが必要となる。

2)Google Playストアの方が、同じクエリに対して、より多くのアプリがヒットする

  1. Google Playの方がヒット数が多い:ビックキーワードで検索すると、検索ヒット数がGoogle Playの方が圧倒的に多い。
  2. 類似語を用いたクエリ拡張:ある検索クエリに対して、Google Playの方が、類似語等への拡張をより積極的に行なっているようだ(たとえば、photoというクエリが入力された場合に、photo、photos、写真……と解釈する)。これは、Googleが検索エンジンの会社であることを考えれば想像に難くない。
  3. 自動スペル補正:Google Playの方が、ミススペルをより賢く自動的に補正する。これもGoogleが検索エンジンの会社であるからなせる業だろう。

3)Google PlayにおけるApp Store SEOへの先行投資は今がチャンス

  1. 競争が少ない:アプリ数はApp Storeとほぼ同数だが、アプリ開発社は(Androidアプリは、レビュー審査が無いにも関わらず)iOSアプリをより頻繁にアップデートしている。
  2. 課金チャンスの増大: Google Playは、ユーザーのクレジットカードが登録されていないことが課題だったが、日本ではキャリア課金によってこの問題が克服されつつある。結果として、Google Playでの売上が日本で急成長している。

4)Google Playの方が、App Store SEOを簡単に実行できる

  1. レビュー審査が不要: iOS App Storeでは、アプリ名、iTunesキーワード変更する際に審査が必要だが、Google Playでは不要。
  2. Google PlayにはiTunesキーワードに相当するものが存在しない: Google Playは、iTunesキーワードに相当する「隠しキーワード」が存在しない。iOSアプリでは、アプリ名、アプリ説明文以外に、カンマ区切り100文字でiTunesキーワードを注意深く選ぶ必要がある。このiTunesキーワードは、SEO上、非常に大きなウェイトを占めており、アプリ開発社はこれを選ぶのに神経を研ぎ澄ませる必要がある。
  3. アプリ説明文のウェイトが大きい: 上記のようにiTunesキーワードに相当するものが存在しないため、Google Playでは、アプリ説明文のSEOに占める割合が、App Storeよりも大きいということはよく知られている。

結論としては、現時点でGoogle Play SEOに少しばかりの時間を投資するのは、理にかなっている。SearchManでは、iOSアプリでもGoogle Playアプリでも同じように、時間をかけずにSEO対策が行えるようなツールを提供している。SearchManが提供している「検索知名度ランキング」はこちらから、例えば「パズル&ドラゴンズ」のキーワード分析はこちらから見られる。アプリ開発社は、会員登録を行うことでより詳細でカスタマイズされたSEO分析、SEO改善が行える。


Twitterに買収されてわずか半年, VineがApple App Storeの無料部門でトップに

Twitterが昨年の10月にビデオ制作のVineを買収したときには、その立ち上げの前からみんなが、これからはビデオもツイートできる!と興奮して期待した。

1月の終わりにTwitterは、喝采の中で、そのアプリのローンチを行った。その後アダルトコンテンツが問題になり、目立つ場所からは一時的に消えてしまったが、そのあとは、ブランドやセレブたちによるおもしろい使われ方をされるようになった。

そして今日は、協同ファウンダでクリエイティブディレクターのRus Yusupovによると、これまでの苦労がすべて報われ、無料アプリのトップに躍り出た:

https://twitter.com/rus/status/321406005076451328

[ツイート訳: 今日は世界で人気ナンバーワンのアプリになった記念すべき日だ。]

https://twitter.com/bobby/status/321406757983358977

[ツイート訳: Vineはバットマン(Batman)より上だね。]

ゲーム以外のアプリがトップになるのは、すごいことだ。また、Twitter本体のアプリと並んで上位に2本あることも、すごい。もちろん、Twitterがプッシュした効果もある。無料のアプリのトップは、そこで大量かつ急激ににダウンロードされてから、最終的にはしぼむのが常だけど。

でも上の図表は、新しいダウンロードと、現在のダウンロード人気に基づいている。だから、Twitterの本体アプリは35位だ…すでにこれまで多くの人がダウンロードしちゃったから。トップの座に長くいることは、だから、これまでの「累積ダウンロード数」ではなくて、「今でも新規ダウンロードが多い」ことを意味している。

ソーシャルのジャンルでVineの好敵手は? それはSnapchatだ。でもこの二つのあいだには、かなりの数のゲームがある。しかも今はiOSオンリーだから、今後の成長の余地が大きい。Instagramも、Androidへ行ってから大きく伸びたもんね。今ではInstagramの全ユーザの半分近くが、Androidだ。

ソーシャル企業における複数アプリ戦略は、きわめて有効だ。それはFacebookがMessenger、Instagram、それに素早くヒットしたPokeなどで証明したとおり。大きなプラットホームが、ビデオなど(あるいは、ついに音楽も?)細かいアプリでサービスを多様化していくと、これまでのユーザも少なくとも一度ぐらいはそれらを試したくなるからね。

おめでとう、Vineのみなさん。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Android版Twitterアプリケーション、「アカウント」タブを開けないバグをフィックス

先週リリースされたTwitterのAndroid版アプリケーションにバグがあったことにはお気づきになっていただろうか。主な問題点は「アカウント」(Me)タブ部分にあり、開こうとしてもいつまでも読込中になってしまうというものだった。

「アカウント」タブを開けないことで、DMを読んだりアカウントの切り替えができなくなってしまっている等、不満の声はTwitter上にも多く見られた。自分自身を検索して、表示されたアバターをクリックすればプロフィールを表示することができたが、そんなハッキング風の手順を誰もが知っていたわけではない。多くの人は接続状態が悪いのだと判断して、延々と、いつまでも、読み込みが完了するのを待っていたのだった。

今日になって、ようやくこのバグに対応するアップデートがリリースされた。日本語ページには「その他いくつかの不具合の修正」とあるだけだが、英語ページでは次のように記されている。

v4.0.1
- Fixes “Me” tab loading issues
- Improved UI on Honeycomb devices

「アカウント」タブが読めないというバグに遭遇していた何人かの人に確認したところ、今回のアップデートで確かに問題は解決しているとのことだ。確かに「アカウント」タブをクリックすると、すぐに画面が切り替わる。ちなみに今回の問題はすべてのAndroid利用者に影響していたというわけではないようだ。但し、影響のあった人はTwitter上で不満の声を表明していた。

たとえばこんな具合だ。

Twitterは、ネイティブアプリケーションなども含めて、Twitterエクスペリエンスの統一化を志している。バグで問題になった前回のアップデートは新しいTwitter Cardsをモバイル環境で提供するためのものだった。

ただ、Android版ではスワイプ動作によってタブの切替ができるようにしたのだが、その際にバグが紛れ込んでしまったようだ。

対応版のリリースで、ようやく当初の狙い通りの動作が行えるようになったわけだ。スワイプすることで、4つのタブをいずれも切り替えて利用できるようになっている。

[Photo credit: Flickr]

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(翻訳:Maeda, H)


BlinkとServoとRust: ブラウザの次の進化の方向性が見えてきた

先週は、ぼくのようにブラウザを追っているブロガーにとっておもしろい週だった。週の終わりには、Internet Explorer 11がWebGLとSPDYをサポートするらしい、という話も聞いた。その前の火曜日にはMozillaがメールで、MozillaのCTO Brendan Eichへの電話インタビューの可能性を打診してきた。その話題は次世代のブラウザエンジンServoと、それが書かれているプログラミング言語Rustだ。しかしMozilla Researchが単独でこれらを手がけているのではなく、この、マルチコアプロセッサと異種混成的なアーキテクチャ向けに最適化されている新型エンジンをAndroidとARMに実装する作業には、Samsungが協力しているのだった。MozillaはこれまでServoについてあまり何も発表しなかったから、今こうやって大きく発表することは少々意外だ。

おもしろいことに、GoogleのChromeのチームが話をしたいと言ってきたのも、先週の火曜日だ。おかしなことに、そのときの広報の連中は、いつもと違って、詳しい話を何もしない(通常は、何の話かぐらいは事前に教えてくれる)。Googleのエンジニアリング担当VP Linus UpsonとOpen Web PlatformのプロダクトマネージャAlex Komoroskeは、WebKitをフォークしてWebKitベースの独自のレンダリングエンジンBlinkをローンチする、と言った。ぼくは自分が話を聞き間違っていないか気になって、何度も彼らに念を押した。WebKit開発の外部の人間ににとっては、GoogleがWebKitの本流を去るという話を、にわかには信じられない。一般的にWebKitは、ChromeとSafariのおかげでデスクトップとモバイルで大成功した、と見られている。それを独自フォークする理由が、思い当たらない。

でもBlinkは正しい

だからGoogleのWebKitフォークは先週のいろんな発表やリークの中で、いちばん話題になった。Googleはフォークの理由を純粋に技術的なものと言うが、WebKitは今でもAppleとGoogleが仲良くやっている数少ないものの一つだから、政治的動機も疑われる。しかもWebKitへのコード貢献量は、このところGoogleが最大なのに。

今後の成り行きを予言するのは早すぎるが、ぼく自身はかなり楽観的だ。たしかに、Webデベロッパが自分のコードを試験すべきレンダリングエンジンが一つ増えてしまう。でもChromeのチームによれば、それは彼らにとって“苦渋の決断”だった。Googleはレンダリングのスピードを上げたいが、WebKitは今いろんなブラウザで使われている。だから、WebKit本流における抜本的な改作は難しい。

Chromeのチームは、“ブラウザが複数あることと同じく、レンダリングエンジンも複数あった方が、今後の健全なイノベーションを刺激し、オープンなWeb全体のエコシステムの健康にとって良い”、と考えている。たしかに、そのとおりだろう。2008年にChromeが突然現れてから、ほかのブラウザのイノベーションは加速した。当時の競争の中心は、高速なJavaScriptエンジンの開発だった(そしてWebKitを使っているブラウザも、JavaScriptエンジンはそれぞれ違っていた)。BlinkとServoという新しい馬が走り出した今は、レンダリングエンジンも重要な競争の要素になり、そしてその競争は、より速くてより安定的なブラウザを求めるユーザとデベロッパに利益をもたらす。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))