PixelはこれからのGoogleそのものを体現したものだ、Andoroidではなく

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Googleは今日、沢山のデバイスを発表した、しかし、ほぼすべてのものの中心として特に言及されたのはAssistantへの注力と、Googleのサービスの品揃えが提供できるものに関する説明だった。私は今、衛星回線を使ったキーノートを見た後、ここトロントでGoogleカナダの広報責任者であるAaron Brindleと、今のGoogleにとってハードウェアはどのような意味を持つのか、そして人工知能と機械学習に関する同社の仕事が、そのデバイスとどのように組み合わされるのかについて話し合った。

「今日の最も重要なメッセージの1つは、Googleがとても真剣にハードウェアを取っているということです」と、Brindleは語った。「Androidのエコシステムを通して私たちが知ったことは、イノベーションの速さは本当に驚くべきものだということです – 日々Androidを使っているユーザーが14億人もいるのですよ。しかし、ユーザの方々にベストAndroidを提供することが目的ではありません。私たちの狙いはベストGoogleをユーザーの方々に届けることなのです。だから、私たちはAIとMLの周りでやっている投資や研究のすべてを、ハードウェアの頭のてっぺんからつま先までに詰め込んでいるのです」。

Brindleは、AndroidのOEMパートナーによって行われている偉大な仕事がたくさんあることを認めた上で、Google自身は消費者に提示できる追加オプションを探し続けていると語った。また彼は、Googleがデバイスメーカーとしてハードウェアとソフトウェアに注力するだけでなく、ビジネス面でのセールスとマーケティングの重要性にも気が付いていることを示唆した。

「Androidの世界で、1つの機種がすべてをまかなうことができないことは事実です。私たちは何かをナットとボルトのレベル(基礎レベル)から作り上げるところに大きなチャンスがあると思っているのです」と彼は語った。「ソフトウェアとハードウェアだけではなく、マーケティングやサポート、そして小売の手段、私たちが何か欠けていると感じたもの全てです」。

私たちがこの先実際の小売店舗を見続けられるかどうかはともかく、Googleは既にウェブを通した機器販売においては、米国内で150ドル以上の購入をオンラインGoogle Storeで行った購入者に対して、新しい分割払いオプションを提供している。

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小売の経験は、Googleのハードウェアに対する新しいアプローチの一部だ。

Assistantがどのように働くのか、そしてその印象的な賢さはどこから得られるのかについては、BrindleはそれがPixelの中核であると述べ、そしてつい最近改善されたGoogleのAIの能力によって、こうしたことが可能になったことを説明した。

 「Assistantがこのデバイスの隅々までを満たし、またその中核であるとお聞きになったことでしょう。これが新しい電話の看板なのです」と彼は説明した。「これはAIの進歩に基づいています – 本当に驚異的な進歩です。最後のNexusからの1年という意味ではなくて、ここほんの数ヶ月のことなのです。例えば、翻訳や画像認識などの進化です」。

Brindleは、カナダのこの領域におけるリーダーシップを考えると、この国におけるGoogleの活動がこれらの取り組みの実際の中核であると述べた。

「そうした研究のすべてが、私たちがAIの中で行っている仕事から来ています。そしてAI領域の最高の研究者の何人かはここカナダを拠点としてるのですよ」と彼は続けた。「だから[Googleの特別研究員の]Geoffrey Hintonの機械学習に関する業績、特にニューラルネットに関する彼の仕事との統合と、それが私たちのAIの進化を促した方法、それが全てそこにあるのです」。

Googleのアプローチは、単にエンドツーエンドの携帯電話の体験を与えるだけでなく、そのプラットフォーム次世代体験を届ける包括的アプローチを作り上げようというものだ。それはAI(人工知能)とML(機械学習)を基礎として構築され、PixelやPixel XLのようなデバイスを完璧に適合した配信手段として利用しようとするものだ。これはまだ転換点そのものではないが、これは間違い無くGoogleの自身のアイデンティティとビジネスに対するアプローチの大転換を示唆するものである。

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(翻訳:Sako)

ハンズオン:Google Homeの第一印象

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Google Homeは、音声技術を搭載したAmazonのEchoに対するGoogleの答えだ。今年の春に行われた開発者向けカンファレンスGoogle I/OにてGoogle Homeは発表され、本日遂にGoogleはその価格(129ドル)と出荷日(11月4日)を、毎年サンフランシスコで行われている同社のハードウェアイベントで発表した。もっと大事なことかもしれないが、このイベントで初めてHomeに触れることができた。

Homeには、Googleの音声検索およびGoogle Nowの技術がリブランドされた、Google Assistantが搭載されている。Google Assistantは以前の技術に比べて、よりスマートで会話形式のコミュニケーションに長けているが、Google Assistantが提供する情報の大部分は、現状のスマートフォンに「OK Google」と話しかけて得られる情報と変わりない。(かつ、声を使ってOpenTable経由でレストランを予約できるような機能はGoogle Assistantには備わっていない。)現状のGoogle製音声アシスタントと異なる点として、HomeはSpotifyやPandoraといった音楽アプリにも対応している。近いうちに、Homeを使って、Cromecastが接続されているテレビにNetflixの動画をキャストできるようにもなる予定だ。

しかしHomeの情報処理に関わる部分は、全てクラウド上に存在する。ハードウェアに関して言えば、Homeにとって最も重要なのは、どのくらいユーザーの声を上手く認識し、どのくらい頑丈にできているかということだ。良いニュースとして、Homeにはマイクが2つしか搭載されていない(Amazon Echoは7個)にも関わらず、本日行われたGoogleのキーノート直後の騒がしいデモ環境下でも、しっかりその役割を果たしていた。私が横に立って質問するとHomeはいとも簡単にそれを理解し、周りが大きな声で話をする中、それにかき消されないくらい大きな声がスピーカーから返ってきた。周りが静かになってから、3メートル程離れて「OK Google」のコマンドを発したところ、こちらについてもHomeは問題なく反応した。ここから、Echoよりもマイクの数が少ないというのは、あまり問題ではないように感じられるが、本当の家で試してみないと実際のところはまだ分からない。

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ハードウェアはとてもしっかりしており、見た目よりも確実に重い。その重量のほとんどがおそらくスピーカーだ。デバイスの底部に設置されたスピーカーは、2つの磁石でデバイスの上半分にくっついている交換可能なクレードル(小売価格20ドル)の中に収まっている。

Homeに搭載されたGoogle Assistantはどのくらい上手く機能しているか?短い時間ではあるものの実際に触った感想を基にすると、現時点での答えは「かなり良い」だ。通常のGoogle検索のようなクエリは全て問題なく処理できるほか、音楽再生においてもその力が発揮されていた。私が流行りの音楽をかけてほしいとお願いすると喜んで応じてくれた上、バンド毎の曲を再生するのにも問題なかった。Googleはさらに、Philips Hueの電灯やNestのサーモスタットとの連携デモを行い、全て期待通り機能していた。

しかし、たったひとつだけ私が気になったのは、「OK Google」というフレーズ無しにGoogle Assistantと会話することができないということだ。Homeとの会話をはじめるのには全く問題ないが、関連する質問を後に続けるとだんだん面倒になってくる。「OK Google、アメリカの大統領は誰?」「アメリカの大統領はバラク・オバマです。」「OK Google、彼は何歳?」「バラク・オバマは55歳です。」「OK Google、彼の出生地はどこ?」といった具合だ。

それ以外は特に問題はなく、Homeは、Googleにとってのスマートホーム市場参入への道を築いていくことができるだろう。ひとたびGoogleが(Amazonが既にそうしているように)Assistantをサードパーティ開発者に公開すれば、機能面は競合製品とほぼ同じ水準に達することになる。そうなれば、全てはGoogleがいかにユーザーのクエリを上手く処理するかということにかかってくる。大手テック企業の多くが自分たちのAIサービスを強く売り込む中、この分野では、Googleがほとんどの競合と互角に戦う(そして上回る)力を持っていることが既に知られている。

Google Homeの価格は129ドルで、現在予約受付中。11月4日から出荷開始予定だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

このタッチスクリーンのあるオフィス用電話機の名前はePhone7だ

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オフィス用電話機を作っているESIという会社を、あなたが経営している、と仮定しよう。そして社長であるあなたは、今や至るところにあるスマートフォンに対抗して、“Googleのように速くてAppleのように易しい”デスクトップ製品を出したい、と考えている。そして問題は、そんな製品を何と呼ぶか、だ。

“ePhone7”なんて、響きが良いんとちゃう?

ESIは、この、どこかで聞いたことがあるような名前の製品を、“デスクトップ用のスマートフォン”と呼んでいる。オフィス用電話機に7インチタッチ画面のタブレットをくっつけ、電話帳、通話録音、電話会議、留守電などの機能のある製品を、おしゃれに呼ぼうとすると、この名前になるのである。

これまでのふつうの職場用の電話機にSkypeのような機能を加えたら、だいたいこんな形になるだろう。画面には、会社の電話帳や通話履歴が表示され、Google Contactsをサポートしている。

さらに、職場用電話機だから、社内通話、電話転送、会議、自動転送などの機能もある。iOSやAndroid機から電話帳を転送できるのは、確実に便利だね。

価格はまだ発表がない。でもESIの人たちは、あなたにこの製品のデモを見てもらいたいらしい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Y Combinatorを卒業したばかりのPaperspaceは仮想デスクトップという成熟市場にどうやって食い込むか

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PaperspaceのファウンダーDaniel KobranとDillon Erbは、ふつうのスタートアップなら避けて通りそうな難しい問題に挑戦している。彼らは、成熟市場である仮想デスクトップ市場をディスラプトしたいのだ。そこは、VMware, Citrix, Amazonなど、名の知れた巨人が支配する市場だ。しかしPaperspaceは今日(米国時間10/4)、シード資金にしては大きい400万ドルを獲得して、今後もその夢を追うつもりだ。なお今日は、彼らのプロダクトの一般公開も発表された。

このシードラウンドの投資家は、Ludlow Ventures, Data Collective, Initialized Capitalの三社。ほかに、Digital Oceanの協同ファウンダーJeff Carrなど、数名の個人投資家も参加した。

確立した市場への参入は、容易ではない。しかも仮想デスクトップは、Paperspaceの場合もそうだが、自前のデータセンターを持たなければならない場合が多い。しかしY Combinator2015冬季出身のKobranとErbは、そんなことではめげない。既存の競合製品をたくさん試した結果彼らは、どれもインストールとメンテナンスが難しすぎる、そして遅すぎて大きな仕事はできない、と結論した。

仮想デスクトップはユーザー企業の社員たちに、彼らが必要とするすべてのツールを、机上専有面積の小さなマシンから提供する。それらのデスクトップのコントロールとセキュリティと管理は、企業のIT部門が担当する。デスクトップのそういう一元管理は、金融、保健医療、教育など、規制の厳しい業界ではとくに重要だ。

Paperspaceは、そんな仮想デスクトップの概念をさらに一歩進めて、ブラウザー上で動き、どんなデバイスにもコンテンツをストリームするサービスを作り上げた。しかも、十分なセキュリティと管理性がありながら、それまでの仮想デスクトップ製品と違って、導入したらすぐに使える、簡単な製品に仕立てた。マシンをクローンしたり、既存のVPNにそれらを統合したり、既存のActive Directoryを使う、といったセットアップ作業も、簡易なサービスとして提供されるのでITの負担は少ない。大企業のユーザーは、ワンクリックバックアップ、モニタリング、カスタムテンプレート、共有ドライブ、などの周辺サービスも利用できるが、いずれもボタン一つで使える簡便さだ。

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アニメーション提供: Paperspace

これらのサービスやツールはすべて、クラウドから提供される。AWSにもクラウド仮想デスクトップの時間貸しサービスがあるが、しかしPaperspaceの連中に言わせると、それらのサービスですら技術的に難しくて、しかもAWSの使用という別の負担も生じる。Paperspaceなら、社内に技術に詳しい社員がいなくても、誰もがすぐに、自分の机上で仮想デスクトップを使えるようになる、と彼らは主張する。

しかしPaperspaceのように仮想デスクトップをブラウザー上で提供するということは、いわばブラウザーの中で仮想マシン(VM)が動くことだ。そこで、導入の単純性とともに必要なのが、スピードだ。そこで、ブラウザー上の各VMに(クラウド上で)専用のGPUを割り当ててスピードを確保する。それによりユーザーは、相当複雑なタスクでも快調にこなせるようになる。

二人のファウンダーは前職がシステム設計のアーキテクチャ担当で、その職場で仮想デスクトップの重要性を十分に認識した。しかしそういうローカルな仮想デスクトップシステムは、大きなファイルや複雑なプログラムを扱うには非力だった。

しかしPaperspaceは、彼らの前の会社がやっていた複雑なCADだけがターゲットではなく、金融サービスや教育、法律、保健医療など、どんな分野の企業や組織でも仮想デスクトップを利用できる。お望みなら、ゲームもOKだ。

クラウドサービスを提供するのに自前のデータセンターを必要とするスタートアップは、いまどき珍しい。しかし彼らが望む仮想デスクトップのパフォーマンスは、既存のクラウドプラットホームのVMインスタンスでは無理だった。そこで彼らは、カリフォルニアとニューヨークの二箇所にデータセンターを立ち上げた。それが通常のやり方ではないことを十分に承知している彼らは、その道の経験者である、クラウドIaaSのベンダーDigital OceanのJeff Carrなどに助言を仰いだ。自前のデータセンターを必要とするビジネスについて、いろいろ教えてくれる経験者たちだ。

そしてKobranとErbによると、Carrらのアドバイスも非常に助かったけれども、Y Combinatorでの経験も大きい。“Y Combinatorがなければ、できなかっただろう。あそこには、とても強力なお助けネットワークがあるからね”、とKorbanは述べる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ハンズオン:早速Google PixelとPixel XLを試してみた

Googleは新たに2つのスマートフォン、PixelとPixel XLを発表した。これらは、Googleがハードウェアとソフトウェアのどちらの設計も手がけた初の端末だ。見た目も良く、持った時の感触もいい。外観のインダストリアルデザインは、GoogleがPixel Chromebookに施した繊細なデザインを継承しているのが見て取れ、昨年発表したNexusのラインナップも想起させる。

Pixelは5インチ、Pixel XLは5.5インチデイスプレイを搭載している。どちらも見た目も、実際にもiPhone 7と7 Plusより小さく感じられる(けれど、少し厚い)。それは、ハードウェアには表面にいかなるボタンもないからで、ポケットに入れるにも、手に持つのにも収まるサイズだ。

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Pixelのディスプレイ(1080p)とPixel XL(Quad HD)のディスプレイ、どちらもAMOLED画面により深い黒色を再現し、画像がきれいだ。どちらのスマホでも、Androidのソフトウェアナビゲーションボタンをこれまでもより小さく表示するPixelランチャーが映えている。また、全体を通してアイコンは小さく、丸くなり、新しいGoogleランチャーも小さくなった。結果的に、スクリーンの場所を活用していて、背景の高品質な画像が映えている。

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同様に、システム全体を通して使えるGoogle Assistantの新機能の反応も良く、早い。また、会場の騒がしいでもデモエリアでも私の質問に反応することできた。連続した質問をしても、前の文脈を理解して回答していたことには特に感心した。限られた時間の中でしか試せなかったが、Google Assistantを惑わせる質問をすることはできなかった。Assistantは、Googleが先日ローンチしたスタンドアローンのメッセンジャーアプリAlloの中にある1つのゲームのように感じた。けれど、このAssistantはシステムレベルの機能として組み込まれている。これは今後起きる劇的なUXの移行を象徴しているかのようにも思える。

他に特徴的だったのはカメラだ。写真を撮るには良い環境ではないにも関わらず、良いパフォーマンスを発揮した。下記の画像は、光が少ない中でも筆者があほみたいに踊っているところが鮮明に映っている。ノイズもほとんど見当たらない。

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PixelとPixel XLはどちらも魅力的なデバイスで、GoogleのAndroidハードウェアの中の新たな出発点を示す端末になるだろう。10月20日に出荷開始した時、Pixelがヒット商品となるのに十分な機能を備えているかはまだ分からない。けれど、何かが決定的に欠けているということはないだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

空きスペースのマーケットプレイス「SHOPCOUNTER」運営のカウンターワークス、数億円規模の資金調達

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写真左端がカウンターワークス代表取締役CEOの三瓶直樹氏、左から3人目がCFOの藪本祐介氏

物販やイベント用のスペースを貸し借りできるマーケットプレイス「SHOPCOUNTER(ショップカウンター)」運営のカウンターワークスは10月5日、ジャフコを引受先とした第三者割当増資を実施した。金額や出資比率は非公開だが、数億円規模とみられる。また今回の資金調達を前に、カウンターワークスでは、9月に元みずほ証券のアナリストで、ノンバンクやVCの分析を専門としてきた薮本祐介氏をCFOに迎えている。

2015年5月末にサービスを開始したSHOPCOUNTERは、空きスペースを貸したいテナントユーザーと、スペースを短期間利用したいユーザーとをマッチングするサービス。登録ユーザーにはアパレルが多く、そのほかミュージシャンがアーティストブランドをライブに合わせて数日だけ展開したり、原宿のカフェをUCCが新製品プロモーションのために期間限定で借りたというケースも。「例えば、オンラインのみでサービスを提供するECなどのスタートアップが、実店舗を構えるより低コスト・低リスクでリアルの消費者にアプローチできて、適切な場所を探すために必要なサポートも得られる」とカウンターワークス代表取締役CEOの三瓶直樹氏は、サービスの利用シーンについて説明する。

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ローンチから約1年半を経た現在、SHOPCOUNTERはテナント、借り手ともに年間約300%の増加率となっているそうだ。いずれも法人ユーザーが多いという。三瓶氏は、今回の調達について「事業開発にある程度めどがついた現段階で、人材採用とサービス開発を強化し、投資によりさらにドライブしていきたい」と話す。

サービス開発については、既存サービスでも実施してきたUI/UX向上を引き続き行っていくほか、メッセージ機能の追加などで「スペースの貸し手は、借り手よりもこうしたサービスに慣れていないことが多い。そうしたテナントユーザー向けに、簡単にサービスが利用できるツールを提供したい」と三瓶氏は言う。人材についても三瓶氏は「デザイナー、エンジニアのほか、営業を強化し、スペースを提供するサプライヤー(テナントユーザー)を増やしていきたい」と話す。

また、サービス展開エリアについては「事業上、現在は東京を中心に展開しており、当面は都内のカバレッジを上げることに力を入れるが、同時に今後、大阪、福岡など地方の大都市への展開も視野に入れていく」と意欲を見せる。

スペース貸し借りのマーケットプレイスには競合に「スペースマーケット」などのサービスもあるが、三瓶氏は「リテール中心、法人中心でユーザーを獲得してきているのが我々の特徴。小売店のスペース登録についても、店全体、部屋単位だけでなく、1ラック、ひと棚だけ、といったスペースも提供できるようにしている」と差別化ポイントに自信を見せる。「これまではプラットフォームの成長に投資してきたが、中長期的にはコンシェルジュサービスの提供も考えている」(三瓶氏)

Heekはウェブサイトを製作できるチャットボット

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スタートアップのHeekは、ウェブサイトの製作をチャットの会話と同じくらい簡単にしようとしている。同社の会話型インターフェイスではチャットボットがいくつかの質問をユーザーに投げかける。ユーザーのビジネス、製作しようとしているウェブサイトについての質問だ。そして、その質問の答えによってカスタマイズされたデザイン候補の中から気に入ったものを選択できるというわけだ。製作プロセスが進むにつれて、チャットボットがユーザーの負担を軽減するための助け舟も出してくれる。

現存するチャットボットの多くはWebサービスとの相性が良いとは言えない。また、チャットボットならではの制限的な性質からイライラさせられることも多い。

しかし、ウェブサイトを会話をしながら製作するというHeekのアイデアは、プロのWebデザイナーを雇う資金を持たなかったり、基本的なWeb製作サービスも難しいと感じる小規模ビジネスのオーナーに受け入れられる可能性は高いだろう。screen-shot-2016-10-03-at-10-40-19-am

Heekを利用するのは驚くほど簡単だ。Heekのウェブサイトでスタートボタンをクリックすると、チャットボットがユーザーの名前、会社の名前、ビジネスのタイプなどを質問する。その後、チャットボットがおすすめするデザインのテンプレートを選択するのだ。テンプレートのタイプには、Eコマース向けのデザインや、有名人向けのサイト、チャリティ向け、サービス業向け、ニュースや食べ物、音楽、スポーツ、教育、ペットなどの「メディア/エンターテイメント」向けのデザインなどがあり、選択肢は豊富に用意されている。

サイトのカテゴリーに沿ったテンプレートは、「Next design」、「Previous design」と書かれたボタンをクリックすることで選択することができる。

Webサイトに必要な要素をユーザー自身が考える代わりに、Heekがアイテムをおすすめしてくれる。例えば、会社の住所やコンタクトフォーム、ページを移動すためのナビゲーションメニューを追加するようにおすすめしてくれるのだ。提案されたアイテムを導入するためには、「OK」ボタンをクリックするだけでいい。導入しない場合には、「No thanks」をクリックする。するとHeekが次の提案をしてくれる。

製作するサイトの種類によっては、より高度なカスタマイズをすることも可能だ。ユーザー自身の写真をアップロードしたり、製品情報や価格などを追加することができる。

しかし、Webサイトのデザインがすべてテキスト・ベースのやり取りで完了するわけではない。写真を取り換えたり、テキストを編集するためにはWeb版のビルダーを使う必要がある(スクリーンの右側に編集中のサイトの見た目が表示されるようになっている)。

写真やテキストの編集に関する明確な説明はないが、カーソルを写真に合わせると「写真を編集」という文字が表示されるなど、比較的操作は分かりやすいだろう。同じく、テキストをクリックすると文字を編集することができ、フォントやサイズ、見た目(太文字やイタリック文字)の変更をすることも可能だ。

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提供されるテンプレートは柔軟にカスタマイズすることもできる。大半の「WYSIWYG(What you see is what you get、見たままが得られる)」Webサイト・ビルダーのように、数多く用意されたサイトの部品をドラッグ・アンド・ドロップでカスタマイズすることが可能だ。

しかし、Heekを利用するうえでテキストや写真の編集について頭を悩ませる必要はない。「箱から出したらすぐ使える」Heekでは、テキストの例文や写真素材を提供してくれるため、サイト製作の面倒くささをより軽減してくれる。

Heekの利用料金は月に30ドル、年間契約ならばひと月あたり25ドルだ。この料金にはWebサイト製作サービス、専用のドメイン名、サーチエンジン最適化、そしてカスタマーサポートも含まれている。

しかし、Heekが本当に優れているのはサービスを試してみるために料金を支払ったり、アカウントを作成することが必要ない点だ。Webサイトのスタートボタンを押せば、すぐにサイト製作に取り掛かることができる。完成するまでにまだ時間が必要なのであれば、その後14日間は無料でサービスを利用することができ、Webサイトもそのまま維持される。

Heekは昨年の終わりにNicolas Fayonによって創立された。FayonはFacebookページのカスタマイズ・ツール、PageYourselfを開発する会社を共同創業した経歴を持つ人物だ。

「私たちがすぐに気がついたのは、(中小規模のビジネスオーナーは)オンライン上のプレゼンスという点に関して、皆が同じ問題を抱えているということです。時間的なリソース、そしてWeb製作に関する知識の無さです」とFayonは創業の理由を説明している。「私たちはその問題の解決策を考えてきました。そして、その解決策とは他のエージェンシーが提供するものと同等のサービスを、安価に提供することだと気づいたのです」。

また、Heekのチャットボットを利用するユーザーが増えれば増えるほど、ボットは賢くなっていくとFayonは語る。

今、同社はWix、Weebly、GoDaddy、Squarespaceなど、Webサイト製作サービスを手掛ける数多くの企業の一つとなった。しかも、Heekはこれらの競合が提供する従来のドラッグ・アンド・ドロップ形式のビルダーよりもシンプルなサービスをつくり上げた。これらの会社の代わりにHeekの競合となるのは、Powerpointのように簡単にサイトを製作できるというコンセプトを持つPageCloudなどの新しいサービスだろう。The Disrupt NY 2016の勝者であるAlexaSiteもまた、声だけでWebサイトの編集をするというアイデアを持ったプロジェクトだ。しかし、あくまでAlexSiteはハッカソンのプロジェクトであり、現在すでに利用可能なサービスではない。

Heekはこれまでベータ版のみの提供であったが、先週にバージョン1をリリースし、これまでに約2500人のユーザーがHeekを利用しているとFayonは話す。

10名のチームを抱えるHeekはパリを拠点とし、過去にフランスのOK Investから70万ユーロを調達している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

iMessageに対応した既存アプリのダウンロード数が急上昇

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iOS 10はいまのところおよそ半分のiPhoneならびにiPadにインストールされたに過ぎないが、自社のモバイルアプリを新しいiMessage App Storeに対応させた開発者は、既に収益を挙げていることが、新しい調査で判明した。iMessageのためのサポートを追加した既存のアプリは、ダウンロードが目に見えて増えていて、JibJabなどの初期の対応者は最大のダウンロード増加を見せている。

iOS 10で、iMessageは単純なメッセージングであることをやめ、アプリのためのプラットフォームへと拡大した。そこには独自のApp Storeも含まれている。現在は新しいステッカーパック(スタンプ)とゲームがiMessage App Storeのトップチャートを席巻している。しかし既存のアプリもまた、iMessageとの相互運用を提供することによって、相当なダウンロード数増を果たしている。

アプリ情報会社のSensor Towerのデータによれば、アニメーションステッカー作成アプリのJibJab(2014年からiOS App Storeで提供されていた)は、驚くべき成長をiOS 10に公開以来続けている。

そのダウンロードの成長率は、iOS 10が公開された最初の週である9月12日の週に、1500パーセントを超えた。

IMessageがアプリ効果

この成長は、JibJabが新しいiMessage App Store内で、アップルによってフィーチャーされたという事実によるところが大きい。iMessageアプリが新しいものであることから、多くのモバイル消費者たちは、どのアプリを最初にダウンロードすべきかを判断する際に、アップルを信用する傾向にあるからだ。

このような事情はあるが、開始時にiMessageアプリを準備できていた他の既存のアプリのダウンロードも増加している。そうしたものの例として、ダウンロードが129%増加したTenor’s GIF Keyboard、108%増加したGeniusとGiphy、再び74%の増加を見たZynga’s Words with Friends、その他が挙げられる。

Zyngaのアプリはまた、 iMessageへの統合を提供した最初のゲームタイトルの1つでもある。そしてゲームはiMessage App Storeでの人気カテゴリであることが明らかになって来ている。現在は無料アプリのトップ10のうち4つがゲームだ。一方有料アプリの第10位はチェスゲームである。

新しいApp Storeの開始に伴って、iMessage対応アプリのダウンロードが大幅に増えたことは意外ではない、しかしこの成長がどこまで続くかはわからない。さらに、アプリの利用者を増やしたり、より深く関わって貰うためには、例えば単独のアプリを出すべきなのか、それともステッカーパックを出すべきなのかといった、どのアプローチが優れているのかの判断もまだ時期尚早だ。

注意しておきたいのは:Sensor Towerの調査は過去2ヶ月の間に、50000ダウンロードを超えた大規模なアプリだけに注目したものである。このためこのレポートは、これまでアプリが皆にあまり知られていなかった小規模の独立アプリ開発者が、ただiMessage対応を追加しただけでダウンロードが伸びることを必ずしも示すものではない。

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(翻訳:Sako)

政府による大量のメールスキャンに協力したYahoo、大手テク企業はこぞって関与を否定

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Yahooは今、厳しい批判にさらされている。アメリカの諜報機関がYahooの数百万のユーザー全員の入信メールをスキャンできるためのソフトウェアを、同社が設計したと、一部の元社員が主張したからだ。その申し立ては、最初Reutersが報じ、そのような監視のための捜査網の合憲性と、Yahooにそのソフトウェアの作成を強いるのに用いた法的手段に関する疑念を喚起した。

そのほかの大手テクノロジー企業は、素早くその記事に反応し、自分たちは政府からそのようなカスタムソフトウェアを求められたことはない、と声明した。

Twitterのスポークスパーソン: “このような要請を受けたことはないし、もし受けたら法に訴えていただろう。国の安全保障に関わるある種の要請を企業がシェアすることは、法で禁じられているが、弊社は現在、政府の要請に関する情報をもっと広範囲に開示できるために、司法省を訴訟している”。

Twitterの司法省に対する訴訟は、目下進行中だ。

Microsoftのスポークスパーソン: “今日Yahooに関して報じられたような、メールトラフィックの秘密スキャンに、弊社は関与していない”。

Microsoftも、ユーザーデータの政府要請に関する透明性の向上を求めて、司法省を訴訟している

Googleのスポークスパーソン: “そのような要請を受けたことは一度もない。もしも受け取っていたら、弊社の対応は単純である: お断り、だ”。

Appleは、サン・バーナディーノ銃撃事件関連のiPhoneをアンロックするカスタムソフトウェアの、制作を求めるFBIの要求と戦って勝利し、今回も、カスタムソフトウェアの要求には抵抗し続ける、と言っている。

Appleのスポークスパーソン: “この種の要請を受け取ったことはない。受け取っていたら法廷で抗議していただろう”。

Facebookeのスポークスパーソン: “いかなる政府からも、ニュースで報じられているような要請を受け取ったことはない。受け取っていたら、戦っていただろう”。

FacebookのCSO(Chief Security Officer) Alex Stamosは、YahooのChief Information Security Officerだったとき、そのメール監視プログラムを発見してYahooを辞めた、と伝えられている。

Yahooは、報道された政府の監視行為を肯定も否定もしていない。

Yahooのスポークスパーソン: “Yahooは遵法企業であり、アメリカ合衆国の法を順守している”。

Yahooも他社と同様、政府の監視を阻止するための法的努力に取り組んでいる。最初同社は2008年に、NSAによる広範囲な監視活動への参加を求められ、それを拒否したが、毎日25万ドル〔1週間ごとに倍増〕という罰金の脅しに折れた。Yahooはまた最近、大手テク企業としては初めて、過去数年間にわたって受け取ったNational Security Lettersの一部を開示した。しかし最近の報道によると、このところのYahooメールのユーザー減少に伴い、セキュリティが重視されなくなったようだ。

Twitter, Microsoft, Google, Facebook, Yahooなどの企業は、ユーザーデータに対する政府からの要請を、透明性レポート(transparency reports)を発行して開示している。しかしそれらのいずれもが、今回Yahooで起きたとされているような大規模なデータ共有を記していない。Yahoo自身の透明性レポートですら、その問題のプログラムが作られたとされる時期に、アメリカ政府と最大で21499名のユーザーのデータを共有した、と述べているだけだ。これまで透明性レポートで最大51499名のユーザーのデータ共有を報告したこともあるYahooとしては、21499名は比較的少ない方である(いずれも6か月の期間)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

日本流FinTechを目指すマネーフォワードが、みずほFG、三越伊勢丹らから総額11億円を調達

マネーフォワードは、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)と三越伊勢丹グループを始めとする8社から総額11億円の資金を調達した。みずほFGとの間では新たに業務提携を締結し、三越伊勢丹グループとも提携の検討に入っている。

同社がメガバンクや大手百貨店と手を組んだ背景には、同社がここ1年にわたりネット銀や地銀との提携で地道に実績を積んできたことがある。他業種での動きも含めて、同社は既存プレイヤーと手を組む日本流FinTech企業を目指す考えだ。

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マネーフォワードの辻庸介CEO(右)と金坂直哉CFO(左)

まずは事実関係を整理しておきたい。新規の業務提携案件は以下の2件である。

  • みずほフィナンシャルグループとの間で新たに業務提携契約を締結
  • 三越伊勢丹ホールディングスと業務提携の検討を開始

業務提携の具体的な内容は明らかではないが、みずほFGとの間での提携内容として(1)新サービスの共同開発、(2)マネーフォワードの法人向けサービスでの協業の検討、(3)銀行APIの活用促進、の3分野を挙げている。また三越伊勢丹グループとの間の提携内容として、三越伊勢丹グループのカード事業や百貨店事業の顧客に対する新たな付加価値提携の検討を行うとしている。
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資金調達では、次の引受先に対する第三者割り当て増資を実施した。

新たな出資者は次の2社。

  • みずほキャピタルが運営する「みずほFinTechファンド」
  • 三越伊勢丹イノベーションズ

既存株主2社が追加出資する。

  • Fenox Venture Capital
  • 東邦銀行

加えて、業務提携先4社も出資する。

  • 北洋銀行
  • 群馬銀行
  • 福井銀行
  • 滋賀銀行

以上に加え、金融機関からの借り入れを合わせ、総額で約11億円の資金調達を実施した。

メガバンク、大手百貨店の顧客基盤とスタートアップのサービス開発力を組み合わせる

「(マネーフォワードと)メガバンクとの業務提携は今回が初めて」と同社執行役員CFOの金坂直哉氏は説明する。大手百貨店グループとの提携も大きな動きだ。

このような提携に至るまでには「伏線」があった。マネーフォワードは過去1年にわたり、複数のネット銀行や地銀との間で「マネーフォワード for X」といったサービス群を提供してきた。ここでXに入る名前は、住信SBIネット銀行、山口フィナンシャルグループ、静岡銀行、東海東京証券、東邦銀行、滋賀銀行、群馬銀行、福井銀行の各社だ。またこの2016年9月には資金調達サービス「MFクラウドファイナンス」をGMOペイメントゲートウエイ、GMOイプシロンと提携して開始している。

「我々はサービスを作るのが得意な会社。銀行には顧客基盤、サービス基盤がある。相性がいい」(辻CEO)。地銀がスマートフォンアプリを個別に作るのは大変だし、単体の銀行系アプリは利用頻度が低いので導線として弱い。マネーフォワードと手を組むことで、銀行にもマネーフォワードにもユーザーにもメリットがあるという訳だ。

みずほ銀行とは法人向けサービス「MFクラウド請求書」における自動消込機能(2015年7月)、それに給与支払業務の自動化(2016年3月)の2件のサービス連携を実現させている。

振り返ると、同社はここ1年で従来からの「家計、会計」のサービスだけでなく、現実世界のお金を動かす銀行との連携サービスの実績を積んできたといえる。その実績の上に、今回のみずほFG、三越伊勢丹グループとの提携および出資がある訳だ。

金融分野のビッグプレイヤーとの提携について、マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介氏は次のように話す。「アメリカのFinTech企業はディスラプト型(既存ビジネスの破壊者)というイメージがあるが、日本では『三方良し』モデルでないと流行らない。日本の金融機関のサービスは充実しているし、そこで足りないものを充実させていくモデルが広がりやすい」。

日本的なFinTech企業として、マネーフォワードは大手企業との提携をテコに、自社のサービスのカバー範囲の充実を図ろうとしてる。調達した資金の使い道については、「開発とマーケティングの人員、それに拠点整備に使う」(辻CEO)としている。

今後登場するサービスの具体的な姿はまだ明らかではないが、例えばマネーフォワード、メガバンク、大手百貨店のそれぞれが持っている顧客情報を有効活用して与信を簡略化したレンディングサービスを想像する人も多いだろう。既存プレイヤーとの協調を重視する日本流FinTech企業のあり方については様々な意見があるかもしれないが、ここはスタートアップならではのサービス開発のスピードとビッグプレイヤーの顧客基盤との合わせ技で、どのような世界が生まれてくるのかを見たいと思う。

GoogleのChromecast Ultraは4K対応でわずか69ドル

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ハードウェア発表会の今日(米国時間10月4日)、Googleは数々の新製品ラインナップを明らかにしたが、その中でもChromecast Ultraは最も控えめな予想外のヒット製品かもしれない。このChromecastファミリーの最新アイテムは4K解像度の動画ストリーミングに対応して、価格はお求めやすい69ドルだ。

見た目は先代と同じプラスチックの円盤にすぎないが、短くてフレキシブルなケーブルの先には一体型のHDMI端子が備わり、電源用のマイクロUSBポートも付いている。デバイスはHDRもサポートしており、HDR対応テレビの場合にはさまざまな光の状態に応じてより鮮明な映像が楽しめるようになる。

Chromecast Ultraは、Android、iOS端末(機種による)、デスクトップのChromeなど、既存のChromecastがサポートする従来どおりのアプリとソースからのキャスティングに対応する。価格は先代の2倍になり、しかもまだ4Kの必要性を感じていなかったとしても、もしChromecastを利用しているか興味があるのであればそれでも一考の価値はある。最新世代のエントリーレベルのApple TVと比べれば値段は約半分だし、向こうは1080pが限界だ。

Chromecast Ultraではコンテンツの読み込みと起動も1.8倍速くなっているとGoogleは話す。電源アダプタはイーサネットポート付なので、安定した接続も確保できる。出荷時期は11月の予定だ。

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(翻訳:Ayako Teranishi / website

GoogleのPixelスマートフォンには無料無制限の写真/ビデオ用ストレージがついてくる

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ベールを脱いだばかりのPixelに、どのような機能が搭載されているのかが明らかになってきた。その中のひとつに、写真およびビデオをオリジナルの解像度のまま無制限に保存できるというものがある。これはiPhone利用者も羨ましく思ってしまいそうなサービスだろう。

もちろん、機能的にはこれまでもGoogleフォトで提供していたものだ。但しオプションとしての機能であり、Googleアカウントの容量を消費してしまうものだった。すなわちコンテンツが増えてくれば有料サービスを申し込まざるを得なくなるものだった。Pixelについては、そのオプションが無料で利用できるようになったわけだ。

念のためにお伝えしておくと、Googleフォトが標準で提供している写真およびビデオのための無料ストレージでは、「オリジナル」の解像度ではなく「ハイクオリティ」と呼ばれる解像度に変換して保存するようになっている。写真撮影を主要な用途とする利用者にとって、Pixelの提供するオプションは確かに魅力的なものとうつるに違いない。

ちなみにAppleのiCloudでは、無料の5GBを超えると有料になるようになっている。確かに以前に比べると価格は下がっているが(50GBで$0.99)、ずっと支払い続けなければならないサービスに比べれば、無料無制限のストレージの方が便利であるだろう。

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さらに、オリジナルの写真をいくらでもクラウドに保管しておくことができるようになれば、本体の容量を開放することもできるようになるだろう。Googleは、Appleデバイスの所有者たちの多くが出会った「storage full」(容量がいっぱいです)メッセージのスクリーンショットを使って、Appleに対する優位性をアピールしたりもしていた。

オリジナル解像度のコンテンツをアップロードする仕組みは「Smart Storage」と呼ばれるそうだ。もちろんアップロードはバックグラウンドで自動的に行われる。すなわち最初に一度設定すれば、常にオリジナルコンテンツがクラウドにアップロードされるようになるわけだ。

Pixelには12メガピクセルのリアカメラが搭載されていて、4Kビデオを撮影することができる(レンズはf/2.0)。この点からも、無制限のストレージ提供は歓迎されることになる。またChromecast Ultraを使ったり、あるいは新しくアナウンスされたGoogle Homeデバイスに指示をおくることで、HDR+写真やHDビデオを家庭のテレビに映し出すことができるようになる。そのようなときにもオリジナルの解像度で、より鮮明な画面を楽しむことができるようになるわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

新登場のGoogle Wifiはモジュラー式でカスタマイズ可能なホームネットワーク用ルーター

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Googleが今日「Wifi」について明らかにした。もちろんこれは我々がいつも使っている無線インターネットのことではなく、新しいハードウェア製品のことだ。Google Wifiはもっとかんたんに家中のあらゆるものを快適につなげることを目指した新しいタイプのルーターで、より堅ろうでより遠くまで届くホームネットワークを構築し、しかもより確かなパフォーマンスを提供する。

このWifiは、ASUSやTP-Linkの提供する既存のOnHub製品に、より安価に取って代わる存在だ。OnHubが通常200ドル前後するのに対してGoogle Wifiは129ドルと、AppleのAirport Expressと同じ価格帯だ。しかも3つまとめて買えばEeroルーターのセットよりも大幅に安い。AC1200転送速度など最新のワイヤレスネットワーキング技術や、設定も簡単でメッシュを張るのにも便利なBluetooth接続をフルにサポートするものとしては最も低価格な製品であることは間違いないだろう。

Network Assistがルーターのパフォーマンスを裏方となって最適化するが、ネットワークの状態を直接コントロールするには連携用のコンパニオンアプリを使う。

コスト的には、Wifiは追加ユニットを足して使うとお得になる。Googleは3個セットを299ドルで提供している。つまり、より大きな家などでワイヤレス環境が必要な場合でも、他社製の最高級ルーターを買うよりも安くて済むだろう。Google Wifiは12月に出荷予定だ。

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(翻訳:Ayako Teranishi / website

シボレーの燃料電池式軍用トラック「ZH2」は、電源モジュール化のテストケース

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排出ゼロ燃料電池技術の追究を続けるChevroletが、燃料電池自動車Colorado ZH2を米陸軍に提供する。燃料電池独自の利点が実世界の軍事活動で実用になるかどうかを検証するためだ。

ZH2はシボレーが消費者向けに販売している中型ピックアップColoradoの改訂版で、フレームは全地型での利用に合わせて特別に設計されている。エンジンルームも、燃料電池ベースのパワートレインに合わせて変更されており、軍事利用向けに独自の利点をもつとGMは言っている。

米国陸軍のテストは、様々な状況下での燃料電池の優位性を評価することが主目的であり、「ほぼ無音の走行」「音・熱の特徴の減少」「全速度での高い回転トルク」「あらゆる走行条件下での低燃費」および「副産物である水の現場での利用」等を調べる。

日常の言葉で表せば、陸軍が調べているのは、燃料電池のおかげで音が小さく低温で、機器にも人間にも検出されにくいか、燃料電池式電気駆動系の主要な特徴である高トルクの連続使用のおかげで勾配に強く牽引力のある車になっているかどうかだ。

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テスト車に動力を供給する水素燃料電池は、現場機器や野営地の電力供給源としても期待されており、人里離れた奥地で役立つことは間違いない。さらに燃料電池の副産物として生成されるのは水は、長期の遠隔地移動では貴重な物資だ。

「10年ほど前にテストを始めたことの一つが、この電力取り出し可能な動力源だった」とGMのGlobal Fuel Cell Activitiesのエグゼクティブ・ディレクター、Charlie Freeseがインタビューで話した。「コンセントのない場所で車を使うときも、キャンプに行った時も、あるいはこうした軍事環境でも、連続で25 kW、ピーク時で50 kWの電力を取り出せる能力は、この燃料電池システムのすばらしい特徴だ」

しかし、こうした環境で燃料電池を使用することの長期的利点のひとつは、電力源の柔軟性だ ― 全く同じ燃料電池発電システムが米国海軍の無人潜水艦の試行にも使われている。長期的に、部隊を横断して多くの軍用車両で共通の電力源を使用することの利点が見えてくる。現地で部品を交換できることは規模の経済性による利点があるだけでなく、作戦要員と支援要員の訓練の共通化も可能になる。

「現地で支援する際に、豊富な予備部品を持っているところを想像してほしい。違っているかもしれないが、海軍の兵站部が陸軍の予備部品をすぐに供給できるとは思えない。しかしこの燃料電池技術ではまさにそれが可能になる」とFreeseは説明した。

GMは、Colorado ZH2を米国陸軍戦車研究開発技術センターと共同開発した。契約を取ってから今日発表したコンセプトを生み出すまでに1年とかからなかった。GM社内での製造準備は来年始めまで続き、その後陸軍に納入され1年間の現地試験が行われる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleの新しいVRヘッドセットは外観重視

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見た目のクールさがGoogleの強みだったことはない。何しろあのGoogle Glassを送り出したエンジニア主導の会社だ。それでも、マウンテンビューにいるビーニー帽をまとったデザイナーは、何らかの啓示を受けたようだ。

Googleの非ダンボール製バーチャルリアリティー・ヘッドセット分野への参入は遅かった。Oculus、Samsung、HTCらによって、SF的ルックスのVRマスクが一般的になっている。そこでGoogleは、79ドルのヘッドセット、Daydream を目立たせるために、内部スペックだけでなく外観にも力を入れる必要があった。

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Daydreamの外観はグレイのウール地で、ソフトな心地よい感触なので、着用すると実験室よりもリビングルームに居る感覚になる。これはおそらく色を選べる初めてのVRヘッドセットで、スノーホワイトとクリムゾンのカラーが近々発売される。

ちょっとバカげていると思うかもしれない。宇宙を探索したり、地球上をテレポートしている間、ヘッドセットの外側を見るころはできないのだから。しかし新登場のシックなGoogle HomeボイスコントローラーやGoogle WiFiルーターと並べて見ると、意味が出てくる。Googleは自社のデバイスを、仕事場だけでなく、リラックスして楽しむ場面で使えるようにしたいと考えているのだ。

「モノのインターネット」では、コンピューター能力と同じくらい生活スタイルの理解が重要だ。生活の中にデバイスを埋め込む第一歩は、美観を損うのではなく高めるだけの美しさを持たせることにある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

決断が難しい道路状況で運転者の倫理観をテストするゲームMoral Machine、果たして自動運転車は?

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高齢者をたくさん乗せた自動運転車は、横断歩道上の子犬たちを避(よ)けるために、障害物に衝突すべきか?(上図左)。一人の医師を救えるなら、二人の犯罪者を轢(ひ)いても構わないか? どちらの命が重要か?7歳の子どもたちか、高齢者たちか?

この、MITの研究者たちが作った“Moral Machine”というゲームは、有名な“トロッコ問題”の決断を迫り、あなたの倫理観をテストする。今エンジニアたちが、このような状況における決定を、自動運転車に実装しようとしているなら、問題はさらに深刻だ。その選択の責任を、誰が追うべきか? 運転に関わっていない乗客か? AIを作った企業か? それとも誰も責任を追わないのか?

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Moral Machineがつきつける選択は、そもそもAIは、より多くの人名を救えるなら介入すべきか、それとも、誰かの死がAIの責任にならないために、積極的には何もすべきでないか?という問だ。

しかしこのシナリオの状況は、もっと難しい。乗客は本質的に危険な、高速の金属箱に、それと知りつつ乗っているのだから、歩行者の方を救うべきか? 無防備な歩行者に突っ込むよりは、エアバッグなどの安全装置に期待して障害物に衝突すべきか?

こんな単純で分かりやすい状況でも、人間にとって決断が難しいなら、混乱した路上における自動運転車にとっては、なおさらだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

外国人宿泊客向けのチャットコンシェルジュ「Bebot」開発のビースポークが資金調達

ビースポークCEOの綱川明美氏

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訪日外国人向けの旅行サービスを手がける株式会社ビースポークは、アーキタイプベンチャーファンドを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額は非公開だが、前回の調達(2000万円)を大きく上回るとしている。この調達資金をもとに、10月末にサービスを開始するインバウンド向けのチャットコンシェルジュ型サービス「Bebot」の開発を強化する。

ビースポークは2015年10月に設立。同年12月にはエンジェル投資家(非公開)から約2000万円を調達し、2016年4月には日本の穴場を紹介する訪日外国人向けサイト「LEVERT」を公開している。なお現時点では黒字化しておらず、本格的なマネタイズに向けた取り組みとして今年6月から、訪日外国人向けのチャットコンシェルジュ型サービスBebotの開発に取り組んでいる。

Bebotは、チャットボットを活用し、ホテルや民泊施設で人的リソースを使わずに24時間外国人宿泊客への対応を可能とするソリューションだ。背景には、インバウンドの増加でホテル従業員の多言語対応が求められている事情がある。ビースポークCEOの綱川明美氏は「英語ができる人は韓国語ができず、韓国語ができる人は中国語ができない」と説明する。つまり、従業員の多言語対応には人を多く雇う必要があり、Bebotでは従業員の代わりにチャットボットを活用するというわけだ。

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具体的なサービス内容はこうだ。外国人宿泊客がホテルにチェックインすると、ルームキーとともにBebotのアクセスコードが発行される。BebotはチャットサービスのFacebook MessengerおよびSlackで利用できる。宿泊客は「Wi-Fiのパスワードは?」「鍵の場所は?」「おすすめの観光地は?」「六本木周辺でおすすめのバーは?」といった質問を自身が使い慣れたチャットで行える。綱川氏によれば「まるで日本に詳しいコンシェルジュが同伴しているような安心感」を訪日外国人に与えられるといい、また、宿泊客の施設外での行動データを可視化できる点も大きな売りだとしている。

マネタイズは、外国人宿泊客1人につき数ドル程度のコンシェルジュ料をホテルや民泊業者から徴収する。10月末にサービス開始予定だが、すでに複数のホテルチェーンと契約。都内の宿泊施設におけるインバウンド率は高い場所で80%台、低い場所でも30%台だといい、収益が期待できるという。なお、あくまでもホテル向けのソリューションとして展開し、ビースポークが直接一般ユーザーへ提供することは想定していない。

Bebotに類似するサービスとしては、訪日観光客にチャットで情報を提供する「FAST JAPAN」がある。しかし、FAST JAPANが一般ユーザー向けにサービスを提供するのに対し、Bebotはホテル・民泊事業者向けのソリューションとして提供する点で違いがあるという。

使い慣れたチャットサービスを使ってさまざまな質問が行える

使い慣れたチャットで宿泊施設や観光に関して質問できる

起業のきっかけは一人旅

ビースポークCEOの綱川明美氏は、もともとフィデリティ投信で機関投資家向けの商品開発に携わり、次にデロイトで国内大手金融機関の海外進出支援を担当。その後マッコーリーで機関投資家向けの日本株営業を行うなど、投資銀行でキャリアを積んできた。

ビースポークCEOの綱川明美氏

ビースポークCEOの綱川明美氏

綱川氏もともと起業に興味はなかったが、趣味で一人旅をするうちに、Bebotの着想を得たと話す。「旅行先で現地に知り合いがいれば体験に差があるんです。1人じゃ辿り着けない場所にも連れて行ってくれます。誰も居なくても友だちがいるような体験をどうやって味わえるか… ということで、Bebotを思いつきました」(綱川氏)。起業の際には投資銀行での経験が特に資金調達面で役立ったという。

ビースポークは、今回調達した資金を元手にBebotの開発および販売を強化。10月末のサービス開始時点では英語のみだが、年内に複数言語に対応。さらに飲食店やタクシーの予約機能も順次追加していくという。

Google、79ドルのヘッドセット「Daydream」でモバイルVRの到来を歓迎

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VRGoogleのVRの未来はなかなか心地よさそうだ。

今日行われた、10月のハードウェア・ソフトウェア何でもありイベントで、同社は最新のVRプロジェクトを披露し、その中でDaydreamヘッドセットを発表した。79ドルのVRヘッドセット、Daydream Viewは、現在市場に出回っているヘッドセットとは一味違うファブリック仕上げの外観だ。

VRの責任者、Clay Bavorはこのデザインを、心地よく親しみやすくするためだと説明した。布地の美観がレファレンスデザインの推奨なのかどうか不明だが、XiaomiのDaydreamヘッドセットも同じくソフトで明らかにデザイン志向だ。

新ヘッドセットおよびGoogle Daydreamプラットフォームは11月に販売・公開される。

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Samsungの99ドルのGear VRでは、スマートフォンのデータポートを使ってヘッドセットに差し込む必要があるのに対して、Googleはできる限りヘッドセットをシンプルにして、センサーやコントローラーを一切排除している。ヘッドセットとスマートフォンはワイヤレスで接続する。

コントローラーといえば、GoogleのヘッドセットにはDaydreamコントローラーが1台付いてくる。5月のI/OカンファレンスでGoogleが説明していたように、このコントローラーの自由度は3で、これはデスクトップ用VRヘッドセットほど高度ではないものの、動作検知用IMUを使って、Nintendo Wiimoteができることはほぼ何でもこなす。

念のために言うと、このヘッドセットは新しいAndroid Nougatエコシステムの低遅延VRモードに合わせて改訂されたものにすぎない。位置追跡等を行うための外付けトラッカーも用意されていない。現在消費者向けVRシステムでこの技術を利用しているものはないが、Oculusがここ数年力を入れている分野だ。果たしてOculusが今週行われるConnect 3カンファレンスで、モバイル関連の発表を行うかどうか注目したい。

Googleのヘッドセットは、現在市場にある他の本格的VR製品のように多機能ではないが、同社の最新スマートフォン、Pixelのユーザーに質の高いAndroid VR体験をもたらすだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

パーソナルアシスタントを搭載したGoogle Homeは129ドル、11月4日に出荷開始

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Google HomeはAmazonのEchoに対するGoogleの対抗馬だ。Google Homeは今年開催された Google I/O 開発者カンファレンスで正式にデビューした。 だがそれ以後、音声で起動するパーソナルアシスタントに関してあまり発表がされてこなかった。本日Googleは、同社が年に1回開催するハードウェアのイベントで、ついにHomeの詳細を明かした。

Google Homeの価格は129ドル(YouTube redの6ヶ月分が付いてくる)で、今日からGoogleのオンラインストアで予約することができる。11月4日から出荷予定だ。

GoogleのMario Queirozは、私たちの自宅は他の環境とは異なると主張する。そこでEchoのようにGoogle Homeはワイヤレススピーカーといくつかのマイクを組み合わせ、ユーザーの声による指示を聞き取ることができるという。Homeにはミュートボタン、そして4つのLEDがデバイスの上部に付いているので、端末がユーザーの声を聞き取っているかどうかを知ることができる。これ以外に物理的なボタンはない。

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Googleは、ユーザーがHomeをリビングルームに置くことを想定している。そのため、ユーザーが自宅のインテリアデザインに合わせられるよう、端末のベースの部分の色を数種類用意した(端末自体のデザインはパロアルトにあるEichlerがデザインしたミッドセンチュリーのリビングルームに最も合う印象だ)。端末のデザインはワインボトルやキャンドルをイメージしたものとGoogleは伝え、Homeは全部で7色展開するという。

Google Homeの重要な機能はGoogle Assistantを搭載している点だ。Google Assistantは、現在私たちが知っているGoogle Nowが次世代型に進化し、会話をベースとしたバージョンだ。Google Homeで提供するGoogle Assistantが、Google Alloのテキストを中心としたAssisantのサービスに似ているなら、ユーザーは快適さ(指示が正しく認識され場合)とかなりのストレス(指示が認識されない場合)の両方を味わうことになるだろう。Googleの新しいAlloのチャットアプリが示すように、今の所Google Assistantはユーザーの質問の大部分に答えることはできない。画面越しであれば、Googleはリンクを提示することになるが、Homeの場合、検索結果のスニペットを読み上げる形式になる。

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Googleは本日のイベントで、ユーザーにとって「それぞれにぴったりのGoogle」が体験できるよう、サービスをパーソナライズすることを目指すとした。Homeに搭載されたGoogle Assistantはまさにそれを実現するためにある。

新しいAssistantの機能には「My Day」があり、ユーザーに朝、現在の気温、通勤時間、本日の予定の概要(ユーザーがオプトインすることを前提に)をお知らせする。

この分野にGoogleが出遅れていることは公然の事実だ。Echo端末を出すAmazonは、こういったデバイスを求めるアーリーアダプターを獲得している。この分野でリードしているということは、Amazon Echoの端末は多くのスマートホームガジェットにもすでに対応してるということだ。例えば、NestのサーモスタットやPhilips Hueの電気などだ(Amazonはさらに、そういったサードパーティーデバイスと一緒にEchoを販売している)。

これに驚きはないが、GoogleはNest、Phillips、Samsung、IFTTTとパートナーシップを組み、パートナーが提供するスマートホーム端末に対応すると発表した。パートナーの数は多くないが、IFTTT自体、すでに多くの端末と対応しているので、Googleはそれに便乗する形だろう。


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音楽に関して、Google HomeはGoogle Play Music、Spotify、Pandoraなどのサービスと最初から対応している。デフォルトで使用する音楽サービスを設定することもできるので、Googleに対していちいち「Spotifyの曲を再生」と指示しなくとも良い。さらにHomeの音楽検索はGoogle検索が担うため、比較的複雑なクエリでも理解することができるとGoogleはいう。Google HomeのMusic機能は、ポッドキャスの視聴にも対応している。HomeはCast端末であることから、他のCast対応端末から音楽をストリームすることができる。

HomeはGoogleのChromcast、Cast対応テレビと直接連携させることができる。これは今の所YouTube動画を視聴する用途が主だが、Googleは近いうちにNetflixにも対応するとしている。

ここ数年、Googleは主にスマートホーム端末用のプロトコルの開発に取り組んできた。そしてNestの買収により、この市場で主要なプレイヤーとなる意図があることを示した。しかし Googleの傘下でNestは停滞していた。ChromecastのヒットやEchoの有力な対抗製品として機能するはずだったOnHubルーターをローンチしたにも関わらず、提供サービスには突き抜けるものがないように感じられた。

Homeをローンチすることで、その潮流は変わるかもしれない。Google Homeはようやく、Echoのようにリビングルームに据える、各製品のハブとなる端末を提供することができる。その知的機能はクラウドに集約されているため、未来の変化にも対応できるだろう。Castのプロトコルがあることで、Homeは他の端末とも連携することができる。それには圧倒的な成功を収めたChromecastのシリーズも含まれる。

今後はハードウェア、特にマイクがうまく機能することが重要となってくるだろう。それに関してはHomeを実際にしばらく使用してみないと何とも言えない。Googleは、搭載しているマイクは「最良品」で、スピーカーの音も豊かなベース音を含め全音域を届けることができると主張している。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ユーザーデータは誰がどのように収集しているのか

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【編集部注】執筆者のJose Nazario博士は、Fastlyにてセキュリティリサーチ部門のディレクターを務めており、”Secure Architectures with OpenBSD”や”Defense and Detection Strategies against Internet Worms”の著者でもある。

巨大なテック企業から街角の商店を含め、全ての企業はデジタル企業だ。パートナーやサプライヤーといった関係者から成り立つ大きなエコシステムの存在によって、企業はサービスを提供することができている。そして、日々生活がデジタル化していくのを目の当たりにしている顧客もそこにいる。

デジタルサービスがちゃんと機能するため、もしくは無料であり続けるために、ユーザーデータの収集が必要であると多くの消費者が理解している。例えば、地図サービスで位置情報が把握できなければ、サービスの訴求力が弱まってしまう。つまり便利さとプライバシーはトレードオフの関係にあり、ほとんどの人はそれを問題視していない。そして、トレードオフに関する交渉は、消費者とオンラインサイトまたはオンラインサービスとの間で発生している。

しかし、消費者と直接関わりを持つ企業に対してサービスを提供している企業はどうだろうか?舞台裏で動いているパートナーやサードパーティといった存在のことだ。そのうちの多くが、ISPやクラウドサービス企業、コンテンツデリバリネットワーク(CDN)で、インターネットのトラフィックの45%がこのような企業を介している。オリンピックの映像を途切れることなく高速配信し、ECサイトで何十億件もの決済を処理しているのも彼らなのだ。そして彼らのようなサードパーティも、ユーザーのネット上での行動をトラックし、データとして販売している可能性があるということに多くの消費者は気づいていない。

連邦通信委員会(FCC)は、同意なしにユーザーデータを販売しているISPの取り締まりを行っており、最近CDNにもその目を向けはじめた。しかし、ユーザーデータの悪用を止めるためには、規制が作られるのを待っていれば良いということではない。全てのサードパーティは、自分たちがどのようなデータを集めているかをはっきりと公に開示する道徳的責任を負っている。そして、このような情報は契約がむすばれる前に、消費者や法人顧客に対して提供されるべきだ。さらに各企業は、このような消費者中心の個人情報の取扱方法に従うよう、関係するサードパーティに対して強く求めるべきである。

ユーザーデータは少ないほど良い

ユーザーデータの収集は、むしろ善意に基いてはじめられるケースもある。例えばオンラインサービスでは、ユーザーがモバイル端末とデスクトップ端末のどちらを利用してサイトにアクセスしているかというのを知ることで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。しかし、オンラインサービスが性別などの人口統計情報を集め出し、消費者にとっては少しパーソナライズされ過ぎているとも映るようなコンテンツを表示するようになると、ユーザーデータの収集・保管に悪意を感じるようになる。

今こそ、全てのサードパーティに対してユーザーデータ保護の水準を高く保ち、データ利用の目的を開示するよう求めるべきだ。

プロバイダは、保管するユーザーデータの量が減ることで、時間と共にその利点を感じられるようになるだろう。もしもプロバイダがユーザーデータを保管しなければ、政府からデータ提出要請を受けても、提出できるデータがないことになる。さらに、サイバーアタックやデータ漏洩から守らなければならないデータの量も減少する。ISP・CDNに関しては特に、ユーザーデータ無しでも何ら問題なく業務を行うことができるのだ。

透明性を向上させユーザーにデータコントロールを返上せよ

Pew Researchの調査によれば、90%以上の大人が、自分たちのデータを企業がオンラインでどのように収集し共有するかに関してコントロールを失ってしまったと感じている。ユーザーデータのアクセス権やデータ保管の期間、また広告をパーソナライズするため、どのようにデータが結合・再構成されるかなどについて、近いうちに企業はユーザーへ情報を開示するよう義務付けられることになるだろう。テック企業最大手のGoogleが、ユーザーデータ収集周りの透明性向上に向けた動きを先導しており、同社のサービスでは、ユーザーがどの情報が共有されても良く、どの情報は共有して欲しくないかというのを簡単に選べるようになっている。

企業が失うものとは?

企業がどのようなデータを収集・販売することができ、どのくらいの期間データを保管できるかについては、まだ法整備が進んでいない。現存する規制も州によってまちまちで、内容もそこまで厳しくはない。しかし、企業がデータ収集を収益源とするのは賢明ではないだろう。オンライン広告ブロッカーが普及していく中、市場ではすでに自己補正の動きが見えはじめている。さらに、ISPのデータ収集量を削減しようとする動きを、FCCは止めないかもしれない。

サードパーティの中には、消費者と直接関わりを持つ企業が受け取った承諾の影に隠れていることに満足している企業がいる一方で、それではいけないとちゃんと感じている企業も存在する。この曖昧な承諾が現状なのかもしれないが、これもそう長くは続かないだろう。今こそ、全てのサードパーティに対してユーザーデータ保護の水準を高く保ち、データ利用の目的を開示するよう求めるべきだ。自分たちのサービスにとって必須ではないユーザーデータを収集・共有・販売したいという気持ちに打ち克った企業こそが、最終的に日の目を見るのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter