パーソナルアシスタントを搭載したGoogle Homeは129ドル、11月4日に出荷開始

google-home-orange

Google HomeはAmazonのEchoに対するGoogleの対抗馬だ。Google Homeは今年開催された Google I/O 開発者カンファレンスで正式にデビューした。 だがそれ以後、音声で起動するパーソナルアシスタントに関してあまり発表がされてこなかった。本日Googleは、同社が年に1回開催するハードウェアのイベントで、ついにHomeの詳細を明かした。

Google Homeの価格は129ドル(YouTube redの6ヶ月分が付いてくる)で、今日からGoogleのオンラインストアで予約することができる。11月4日から出荷予定だ。

GoogleのMario Queirozは、私たちの自宅は他の環境とは異なると主張する。そこでEchoのようにGoogle Homeはワイヤレススピーカーといくつかのマイクを組み合わせ、ユーザーの声による指示を聞き取ることができるという。Homeにはミュートボタン、そして4つのLEDがデバイスの上部に付いているので、端末がユーザーの声を聞き取っているかどうかを知ることができる。これ以外に物理的なボタンはない。

0108

Googleは、ユーザーがHomeをリビングルームに置くことを想定している。そのため、ユーザーが自宅のインテリアデザインに合わせられるよう、端末のベースの部分の色を数種類用意した(端末自体のデザインはパロアルトにあるEichlerがデザインしたミッドセンチュリーのリビングルームに最も合う印象だ)。端末のデザインはワインボトルやキャンドルをイメージしたものとGoogleは伝え、Homeは全部で7色展開するという。

Google Homeの重要な機能はGoogle Assistantを搭載している点だ。Google Assistantは、現在私たちが知っているGoogle Nowが次世代型に進化し、会話をベースとしたバージョンだ。Google Homeで提供するGoogle Assistantが、Google Alloのテキストを中心としたAssisantのサービスに似ているなら、ユーザーは快適さ(指示が正しく認識され場合)とかなりのストレス(指示が認識されない場合)の両方を味わうことになるだろう。Googleの新しいAlloのチャットアプリが示すように、今の所Google Assistantはユーザーの質問の大部分に答えることはできない。画面越しであれば、Googleはリンクを提示することになるが、Homeの場合、検索結果のスニペットを読み上げる形式になる。

googehome_bases

Googleは本日のイベントで、ユーザーにとって「それぞれにぴったりのGoogle」が体験できるよう、サービスをパーソナライズすることを目指すとした。Homeに搭載されたGoogle Assistantはまさにそれを実現するためにある。

新しいAssistantの機能には「My Day」があり、ユーザーに朝、現在の気温、通勤時間、本日の予定の概要(ユーザーがオプトインすることを前提に)をお知らせする。

この分野にGoogleが出遅れていることは公然の事実だ。Echo端末を出すAmazonは、こういったデバイスを求めるアーリーアダプターを獲得している。この分野でリードしているということは、Amazon Echoの端末は多くのスマートホームガジェットにもすでに対応してるということだ。例えば、NestのサーモスタットやPhilips Hueの電気などだ(Amazonはさらに、そういったサードパーティーデバイスと一緒にEchoを販売している)。

これに驚きはないが、GoogleはNest、Phillips、Samsung、IFTTTとパートナーシップを組み、パートナーが提供するスマートホーム端末に対応すると発表した。パートナーの数は多くないが、IFTTT自体、すでに多くの端末と対応しているので、Googleはそれに便乗する形だろう。


0114

音楽に関して、Google HomeはGoogle Play Music、Spotify、Pandoraなどのサービスと最初から対応している。デフォルトで使用する音楽サービスを設定することもできるので、Googleに対していちいち「Spotifyの曲を再生」と指示しなくとも良い。さらにHomeの音楽検索はGoogle検索が担うため、比較的複雑なクエリでも理解することができるとGoogleはいう。Google HomeのMusic機能は、ポッドキャスの視聴にも対応している。HomeはCast端末であることから、他のCast対応端末から音楽をストリームすることができる。

HomeはGoogleのChromcast、Cast対応テレビと直接連携させることができる。これは今の所YouTube動画を視聴する用途が主だが、Googleは近いうちにNetflixにも対応するとしている。

ここ数年、Googleは主にスマートホーム端末用のプロトコルの開発に取り組んできた。そしてNestの買収により、この市場で主要なプレイヤーとなる意図があることを示した。しかし Googleの傘下でNestは停滞していた。ChromecastのヒットやEchoの有力な対抗製品として機能するはずだったOnHubルーターをローンチしたにも関わらず、提供サービスには突き抜けるものがないように感じられた。

Homeをローンチすることで、その潮流は変わるかもしれない。Google Homeはようやく、Echoのようにリビングルームに据える、各製品のハブとなる端末を提供することができる。その知的機能はクラウドに集約されているため、未来の変化にも対応できるだろう。Castのプロトコルがあることで、Homeは他の端末とも連携することができる。それには圧倒的な成功を収めたChromecastのシリーズも含まれる。

今後はハードウェア、特にマイクがうまく機能することが重要となってくるだろう。それに関してはHomeを実際にしばらく使用してみないと何とも言えない。Googleは、搭載しているマイクは「最良品」で、スピーカーの音も豊かなベース音を含め全音域を届けることができると主張している。

google-2016-banner

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ユーザーデータは誰がどのように収集しているのか

data-collection

【編集部注】執筆者のJose Nazario博士は、Fastlyにてセキュリティリサーチ部門のディレクターを務めており、”Secure Architectures with OpenBSD”や”Defense and Detection Strategies against Internet Worms”の著者でもある。

巨大なテック企業から街角の商店を含め、全ての企業はデジタル企業だ。パートナーやサプライヤーといった関係者から成り立つ大きなエコシステムの存在によって、企業はサービスを提供することができている。そして、日々生活がデジタル化していくのを目の当たりにしている顧客もそこにいる。

デジタルサービスがちゃんと機能するため、もしくは無料であり続けるために、ユーザーデータの収集が必要であると多くの消費者が理解している。例えば、地図サービスで位置情報が把握できなければ、サービスの訴求力が弱まってしまう。つまり便利さとプライバシーはトレードオフの関係にあり、ほとんどの人はそれを問題視していない。そして、トレードオフに関する交渉は、消費者とオンラインサイトまたはオンラインサービスとの間で発生している。

しかし、消費者と直接関わりを持つ企業に対してサービスを提供している企業はどうだろうか?舞台裏で動いているパートナーやサードパーティといった存在のことだ。そのうちの多くが、ISPやクラウドサービス企業、コンテンツデリバリネットワーク(CDN)で、インターネットのトラフィックの45%がこのような企業を介している。オリンピックの映像を途切れることなく高速配信し、ECサイトで何十億件もの決済を処理しているのも彼らなのだ。そして彼らのようなサードパーティも、ユーザーのネット上での行動をトラックし、データとして販売している可能性があるということに多くの消費者は気づいていない。

連邦通信委員会(FCC)は、同意なしにユーザーデータを販売しているISPの取り締まりを行っており、最近CDNにもその目を向けはじめた。しかし、ユーザーデータの悪用を止めるためには、規制が作られるのを待っていれば良いということではない。全てのサードパーティは、自分たちがどのようなデータを集めているかをはっきりと公に開示する道徳的責任を負っている。そして、このような情報は契約がむすばれる前に、消費者や法人顧客に対して提供されるべきだ。さらに各企業は、このような消費者中心の個人情報の取扱方法に従うよう、関係するサードパーティに対して強く求めるべきである。

ユーザーデータは少ないほど良い

ユーザーデータの収集は、むしろ善意に基いてはじめられるケースもある。例えばオンラインサービスでは、ユーザーがモバイル端末とデスクトップ端末のどちらを利用してサイトにアクセスしているかというのを知ることで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができる。しかし、オンラインサービスが性別などの人口統計情報を集め出し、消費者にとっては少しパーソナライズされ過ぎているとも映るようなコンテンツを表示するようになると、ユーザーデータの収集・保管に悪意を感じるようになる。

今こそ、全てのサードパーティに対してユーザーデータ保護の水準を高く保ち、データ利用の目的を開示するよう求めるべきだ。

プロバイダは、保管するユーザーデータの量が減ることで、時間と共にその利点を感じられるようになるだろう。もしもプロバイダがユーザーデータを保管しなければ、政府からデータ提出要請を受けても、提出できるデータがないことになる。さらに、サイバーアタックやデータ漏洩から守らなければならないデータの量も減少する。ISP・CDNに関しては特に、ユーザーデータ無しでも何ら問題なく業務を行うことができるのだ。

透明性を向上させユーザーにデータコントロールを返上せよ

Pew Researchの調査によれば、90%以上の大人が、自分たちのデータを企業がオンラインでどのように収集し共有するかに関してコントロールを失ってしまったと感じている。ユーザーデータのアクセス権やデータ保管の期間、また広告をパーソナライズするため、どのようにデータが結合・再構成されるかなどについて、近いうちに企業はユーザーへ情報を開示するよう義務付けられることになるだろう。テック企業最大手のGoogleが、ユーザーデータ収集周りの透明性向上に向けた動きを先導しており、同社のサービスでは、ユーザーがどの情報が共有されても良く、どの情報は共有して欲しくないかというのを簡単に選べるようになっている。

企業が失うものとは?

企業がどのようなデータを収集・販売することができ、どのくらいの期間データを保管できるかについては、まだ法整備が進んでいない。現存する規制も州によってまちまちで、内容もそこまで厳しくはない。しかし、企業がデータ収集を収益源とするのは賢明ではないだろう。オンライン広告ブロッカーが普及していく中、市場ではすでに自己補正の動きが見えはじめている。さらに、ISPのデータ収集量を削減しようとする動きを、FCCは止めないかもしれない。

サードパーティの中には、消費者と直接関わりを持つ企業が受け取った承諾の影に隠れていることに満足している企業がいる一方で、それではいけないとちゃんと感じている企業も存在する。この曖昧な承諾が現状なのかもしれないが、これもそう長くは続かないだろう。今こそ、全てのサードパーティに対してユーザーデータ保護の水準を高く保ち、データ利用の目的を開示するよう求めるべきだ。自分たちのサービスにとって必須ではないユーザーデータを収集・共有・販売したいという気持ちに打ち克った企業こそが、最終的に日の目を見るのだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

iPhoneをクールに改造?巨大ノコギリと電動ヤスリで本体を削った強者が登場

iPhoneを「物理的」に改造できないなんて、誰が言っただろう?この動画はそれが可能であることを証明した。この男は工業用の丸鋸切断機と巨大なベルトサンダーを使い、iPhone 7の四辺を削ぎ落としてエッジを平らにした。結果は?なかなかいい感じ!丸みがかったエッジを取り除いたことでiPhone 7がインダストリアルな外観になった。けれどもちゃんとサイズの合うケースが見つかるように祈っているからね。

この動画には「iPhone 7の周りを直線的に仕上げる」ための手順と正しいセットアップが収められている。日曜大工の作業台があれば同じようにできるかもしれない。コンピューター制御の巨大な切断機は持っていない?その場合はテーブルソーに横引き刃を付ければ何とかなるだろう。仕上がりは同じになるか、そうでなければiPhoneがおじゃんになってオシマイだ。

原文へ

(翻訳:Ayako Teranishi / website

Google、Hardware 2016でスマートフォンのフラグシップ、Pixelを公開

2016-10-05-google-pixel

今朝(米国時間10/4)、GoogleはHardware 2016イベントの目玉としてPixelスマートフォンを公開した。仕様についはすでに多くの情報がリークされているが、Googleではここ数年で最大のハードウェアの発表だとしている。

ベースモデル(Googleページ)を見るとリーク情報の多くが正しかったことがわかる―デザインとしてはあまり特徴がなく、iPhoneに似ていなくもない。ただしディスプレイは大きく、下部に物理的ボタンがない。予想どおり、Pixelには2サイズあった。標準の5インチ(画面解像度441ppi)と 5.5インチのXLモデル(534ppi)で、両方ともガラスはGorilla Glass 4が使われている。市場に出ている他のモデルとの比較からするとXLと名乗るほどのサイズではなく、単にLでもよかったかもしれない。

背面にはガラス部分と金属部分がある。中央には指紋センサー、下部にはアンテナバンドがあり、GoogleのGのロゴが目立つ。またイベントでGoogleが強調したところによると、「背面には不格好なカメラの出っ張りがない」ということだ。

pixel_camera

出っ張りの有無はともかく、Googleはこのスマートフォンのカメラに自信を持っている。 PixelのカメラはDXOMarkのカメラ・テストのベンチマークで89という高得点を得ている。「このカメラはわれわれが作ったカメラの中で最良というだけではない―スマートフォン・カメラの中で最良だ」とGoogleはステージで宣言した。メインのカメラは1230万画素、f/2.0レンズを搭載する(フロントカメラは800万画素)。

GoogleはPixelが暗い場所でも鮮明な写真が撮れることをデモした。これには撮像素子の受光ピクセルのサイズが1.55ミクロンであることも貢献しているという。Smartburstモードでは数枚の写真を高速で連続撮影する。Lens Blurモードを利用すると最新のiPhoneに似たボケ効果が得られる。またこのカメラは毎秒30コマで4K ビデオを撮影できる。

screen-shot-2016-10-04-at-2-01-04-pm

またPixelには写真に関して無料、無制限のストレージが付随する。 Pixelで撮影された写真とビデオはGoogleフォトにオリジナルの解像度のまま保存される。また今回発表されたQuick Switchアダプターを利用すると、既存のAndroidデバイスやiPhoneの写真も簡単にコンバートできるという。

PixelにはクアドコアのSnapdragon 821CPUと4GBのRAMが搭載される。バッテリーは2770mAhと標準的だが、7時間分をわずか15分で充電できる。大型のXLモデルは当然ながらずっと強力な3,450mAhバッテリーを積む。最大作動時間はそれぞれ13時間、14時間だ。Pixelのデフォルトのストレージは32GBだが、ユーザーは128GBまで選ぶことができる。

screen-shot-2016-10-04-at-12-36-13-pm

本体下側にUSB-Cポートが設けられている。また上部にはヘッドフォンジャックがある(どんなもんだ!とGoogleはデモビデオ中で咳払いしている)

このイベントは名前のとおり、ハードウェアがメインだったが、そこはGoogleのことで、本当のテーマはやはりソフトウェアだ。Googleはイベント中で何度もGoogle Assistant AIについて触れていた。Pixelは音声認識に優れた使いやすい人工知能を利用したアシスタントを標準装備する初めてのハードウェアだという。Googleによれば「われわれはGoogle Assistantをコアとしてハードウェアを設計している」という。

「Googleマジック」についてはすでに数多くのリークで概要は分かっていたものの、新しい人工知能アシスタントのデモを眼前に見ると強い印象を受けた。このスマートフォンは当然ながらGoogleの新しいメッセージ・アプリDuoとAlloがプレインストールされている。スマートフォンは両モデルとも最新のOS、Android Nougat 7.1搭載だ。7.1搭載のスマートフォンが市場に出るのはこれが初めてだ(LG V20は7.0搭載だがまだ店頭に並んでいない)。

copy_of_marsail_6up_r6_sm-width-800

GoogleはPixelにカスタマーサポートをデフォールト作り込んだ。これはAmazonがKindle FireタブレットにMayDayというオンライでの直接ヘルプ機能を搭載したことにインスピレーションを受けたのだろうか? スクリーン共有ができる点も同じだ。

Pixelのカラーバリエーションは3色、グレイグレイのVery Silver、黒のQuite Black、それに限定版のReally Blueだが、これは実際、鮮やかな青だ(アメリカ国内のみ)。予約注文は今日から受け付ける(アメリカ、カナダ、オーストラリア)。インドでは13日からになる。

screen-shot-2016-10-04-at-1

Pixelの最安モデルは649ドル(27ドル/月)だ。VerizonではなくGoogleのサイトから購入した場合はアンロックモデルとなる。ただしアメリカではVerizonが独占キャリヤとなっている。Googleでは各種のアクセサリーの予約も受け付けているので、ガラスとアルミの美しいデザインにキズをつけたくないユーザーはチェックしてみるとよいだろう。

Pixelの予約はこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MITが素材の弾性をカスタマイズできる3Dプリント技術を開発、人などにぶつかってもソフトに弾むドローンなどが可能だ

落下ではなく突然の停止は、人間にも、ロボットの繊細な電子部品にも、同様のネガティブな影響を及ぼす。MITのComputer Science and Artificial Intelligence Lab(CSAIL)が取り組んでいる新しい研究プロジェクトは、突然の物理的ショックが人間やロボットに与える損傷効果を軽減する。

その研究チームが考案した新しいテクニックでは、ソフトな素材で作るパーツをユーザーがプログラムできる。プラスチックでもゴムでも、望み通りの硬度と弾性を持たせることができ、最終製品のニーズに応じた反発性や弾性、そしてエネルギーの伝導性を実現できる。

それは一種の3Dプリントの技術で、ユーザーはプリント物のサイズと形状だけでなく、衝撃吸収力を指定できる。従来の方法では、大量生産される既成の衝撃吸収素材で射出成形などをするほかなく、衝撃吸収力は素材の仕様で決まってしまう。

Credit: Jason Dorfman, MIT CSAIL

画像提供: Jason Dorfman, MIT CSAIL

MITのチームが見つけたのは、3Dプリントならさまざまな機械的物理的特性を持った素材を使用でき、基材のレベルで衝撃吸収属性を必要に応じて変えられることだ。吸収属性はパーツの目的によって変えられ、敏感で繊細な装置を保護するだけでなく、ロボットの動きをより細かく微妙にコントロールできるようになる。たとえば上図の立方体状のロボットは、これまでよりも精密な着地パターンで弾ませることができ、脚のあるロボットでもその歩み(脚の上げ下げ)をより正確にコントロールでき、先端の着地点をより正しく決められるようになる。

ユースケースはこれだけではない。チームの研究者たちは、配達用ドローンにもこの技術を応用でき、周りのものと接したときにも、お互いを傷つけずに跳ね返るようになる、と考えている。また人間用のランニングシューズやヘルメットに応用すれば、快適であると同時に優れた衝撃吸収力を持つ製品ができるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマホ証券One Tap BUYがみずほ銀行と連携ーー銀行口座に預金があれば株取引ができる

top

どの証券会社でも、株式を注文するためには、ユーザーは指定の証券口座に入金する必要がある。けれど、そのためだけにATMや銀行に行って、預金口座から証券口座に送金する時間を取れない人も多いだろう。また、証券口座に送金しても、着金が反映されるまでには時間がかかる。金曜日の夜に送金して、週明けまで着金が反映されないのでは、株を買いたいと思った時に購入することは難しくなる。

証券取引アプリのOne Tap BUYはこの送金作業を簡略化するため、みずほ銀行が提供する「アドバンストデビット」機能と連携し、新しく「銀行においたまま買付」サービスを提供することを本日発表した。その名が示す通り、銀行口座から証券口座に資金を移さずとも、株の買い付けができるサービスだ。

みずほ銀行の預金口座を持つOne tap BUYのユーザーは、スマホから「銀行においたまま買付」への申し込み手続きを行うことができる。手続き完了後、One Tap BUYで株式を購入する時に「入金連携」でみずほ銀行の口座を指定すると、One Tap BUYのシステムが預金残高を確認し、買付金額以上の金額が入っていれば、買付を行う仕組みだ。

screen 「One Tap BUYは、日本で株式投資を身近にしたいという思いで創業しました」とOne Tap BUYの取締役マーケティング部長三好美佐子氏は説明する。それを実現するため、創業時はまず株式の注文の部分を簡単にするサービス開発に注力してきたと話す。昨年開催されたTechCrunch Japan 2015では、スタートアップバトルに出場し、銘柄と金額を指定して3タップだけで株式取引ができるシンプルなアプリUIを披露した。今年の6月に正式ローンチしたOne Tap BUYのアプリは、6万6300以上のダウンロードを達成している。

ただ、ユーザーの中には口座開設はするものの、入金に至らない人もいたと三好氏は話す。そういったユーザーにヒアリングを行い、入金のハードルを下げる施策を検討した結果、今回の「銀行においたまま買付」の開発につながったそうだ。「銀行においたまま買付」を利用するには、1回の取引につき108円を課金する予定だが、2017年3月末までは無料で提供する予定だ。

ファンドレイジングに成功したスタートアップ創業者の出身大学は?

Stanford_Arches2.tif

【編集部注】著者のJoanna GlasnerCrunchBaseの記者である。

特定の大学が資金を得てスタートアップを起業する人材を多く輩出することは、良く知られている。これらの学校はある種のクオリティを共有している:大学の威信、大規模なSTEMプログラム、研究の技量、そして投資家たちの資金源が集中する場所の近隣にあることなどだ。

CrunchBase内で私たちは、そのような大学間の記録を追跡するための定量化を行ってみた。まず、米国のトップ研究大学のリストから開始した。2016年のファンディングデータと所属大学のクロスレファレンスを使って、どの大学機関が、シードやVCによって資金調達を果たしたスタートアップの創業者(卒業生、在学生)を、最も多く輩出したのかを決定した。

結果、資金調達を受けたスタートアップ創業者の輩出数としてスタンフォード大が圧倒的なリーダーとして示された。今年ここまでの実績は225人であり、Crunchbase Pro検索によれば、他のどの大学よりも遥かに多い。MITは第2位で、少なくとも145人を輩出、そのあとに続くのがカリフォルニア大学バークレー校ハーバード大学 だ。

以下に示したのがトップ10の比較である。

alumchart3

高額の資金調達を果たしたスタートアップの創業者の出身大学、という観点で見てもランキングはあまり変化しなかった。

私たちは少なくとも1000万ドルの調達を果たした2012年以降のスタートアップを調べてみた。スタンフォード大学は、ここでも依然トップだった。同大学に所属していた創業者の会社は420社に及ぶ。次はMITの269、ハーバード大学の251、そしてカリフォルニア大学バークレー校の239と続いている。

しかしほとんどの資本をプライベートに調達している企業の創設者の出身大学を見ると、こうした予測は難しくなる。CrunchBaseのUnicorn Leaderboardメンバーの、米国における最も価値ある5社のCEOの出身大学を見てみた結果、過去に大きなスタートアップを創業した卒業生がいることで知られた大学に通っていたことは、ある程度助けにはなるものの、決して必須条件ではないことがわかった。

最も価値ある米国のプライベートなベンチャー支援5社とは以下のものだ:Uber、Airbnb、Palantir、Snapchat、およびWeWork。それぞれの創業者CEOの出身大学は、UCLA、ロードアイランドスクールオブデザイン、スタンフォード、スタンフォード、そしてバルークカレッジである。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

ディープラーニングが計算機の視覚に果たす役割

Close Up of blue eye with computer circuit board lines, digital composite

【編集部注】著者のClaire Bretton氏はdaco.ioの共同設立者の1人である。daco.ioはディープラーニングを使ったユニークな競合トラッキングツールを開発するするスタートアップである。以前、彼女はパリに拠点を置くトップ戦略コンサルティング会社のマネージャーだった。ESCPヨーロッパから修士号を取得している。

21世紀の最大の課題の1つは、コンピューターをより人間の脳に似たものにすることだ。私たちは彼らに話し、理解し、そして問題を解いて欲しい – そして今、私たちは画像を見てその内容を認識して欲しいと思うのだ。

長い間盲目だった私たちの最も賢いコンピューターたちは、今や見ることができるようになった。

これは、ディープラーニングによって可能になった革命である。

機械学習:最初のステップ

機械学習を理解することはとても容易だ。そのアイデアは、大規模なデータベース上でアルゴリズムを訓練して、新しいデータに対して得られる出力を予測できるようにすることだ。

ここでは単純な例を示そう:私たちは樹齢を直径を使って予測したい。このデータベースには3種類のデータだけが含まれている:入力(x, 木の直径)、出力(y, 樹齢)、そして属性(a, b:木の種類, 森の位置)だ。これらのデータは、1次関数y = ax + bによって関連付けられている。このデータベースを使った訓練を通して、機械学習アルゴリズムは、xyとの間の相関関係を理解して、属性の正確な値を定義することができるようになる。この訓練段階が完了すると、コンピューターは、新たな直径(x)から正しい樹齢(y)予測することができるようになる

これは、過度に単純化した説明だが、画像認識について説明するときにはもっと複雑なものとなる。

コンピューターの場合、画像は数100万の画素の集まりだ – それは沢山のデータ処理を必要とし、1つのアルゴリズムで処理するには多すぎる入力である。そこで研究者たちはショートカットを見つけなければならなかった。最初のソリューションは、中間の特性を定義することだった。

コンピューターに猫を認識させたいと想像して欲しい。まず初めに、人間は主要な猫の特徴を全て定義しなければならない:丸い頭部、2つの尖った耳、1つの鼻…こうした主要な特徴が定義されれば、良く訓練されたニューラルネットワークアルゴリズムは、十分なレベルの正確さで、画像を分析しそれが猫であるか否かを判断することができる。

ミリリットル、猫

では、より複雑なアイテムを選んだ時にはどうなるだろう?

たとえば、ドレスをどのようにコンピューターに説明すればよいだろう?

ML-キャラ

あなたはここで画像認識のための基本的な機械学習の、最初の限界に突き当たったということだ:100パーセントに近い認識ポテンシャルを持つ識別特徴を定義することは、しばしば不可能なのである。

ディープラーニング:人間の介入なしに、見て学ぶ

2000年代になって、Stanford大学のAI LabとVision LabのディレクターであるFei-Fei Liが、重要な直感を得た:子供たちはどのようにものの名前を学ぶのだろうか?彼らはどうやって猫やドレスを認識することができるのだろう?両親いちいち特性を示しながら教えるわけではない、その代わり子供が対象を見るたびに、その物/動物の名前を教えるのだ。親たちは、視覚的な例を使って子供たちを訓練している。なぜ私たちは同じことをコンピューターに対してできないのだろう?

しかし、このとき2つの問題が残っていた:データベースの存在とコンピューティングパワーだ。

まず、「コンピューターに見ることを教える」ための十分に大きなデータベースはどのように入手することができるだろうか?この問題に取り組むため、Liと彼女のチームは、Image Netプロジェクトを2007年に立ち上げた。180カ国の50000人以上の人と協力して、彼らは世界最大の画像データベースを2009年に作成した:22000のカテゴリをカバーした、1500万枚の命名と分類が成された画像群だ。

コンピューターは今大規模な画像データベースで自分自身を訓練し、重要な特徴を特定することができるようになっている、そしてそれには人間の介入が不要なのだ。3歳の子供のように、コンピューターは名前の付いた数百万枚の画像を見て、自分自身でそれぞれのアイテムの主要な特徴を理解する。これらの複雑な特徴抽出アルゴリズムはディープニューラルネットワークを使い、何十億というノードを必要とする。

mlのドレス

これはディープラーニングの始まりに過ぎない:私たちはなんとかコンピューターが3歳児のように見ることができるようにした。しかしLiがTED talkで話したようにまだこれからなのだ:「本当の挑戦はこれからです:私たちはどうすればコンピューターを3歳から13歳に、そしてそのはるか先へ進めることができるでしょうか?」

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Google Pixelの複数の写真がリークした(状況から見てどれも本物のよう)

pixel-cw-2

Googleは明日(米国時間10/4)、たくさんの新製品を発表する。そのショウのスターは、前から噂されていたGoogle Pixelだろう。9to5Googleが偶然、その本物の画像と思われる写真を、一つではなく、二つも見つけた。Google PixelはGoogleを代表するAndroidスマートフォンで、現状でいくつかのことが分かっている。

どうやらGoogleが情報を漏らした相手は、カナダの通信企業Bellと、イギリスのショップCarphone Warehouseのようだ。両社は興奮のあまり、予約販売のページまで立ち上げてしまったが、でもそれらのページはすぐに、外された。

Google Pixelは、画面5インチの通常バージョンと、5.5インチのGoogle Pixel XLのニ機種ある。XLがどんな仕様になるのか、まだ分からないが、見たかぎりでは両者にあまり違いはない。

共通の仕様と思われるのは、チップがSnapdragon 821, RAM 4GB, 1080/1440(XL) x 2560のディスプレイ, 内部ストレージ32GBまたは128GBだ。充電時間15分で、電池は最大7時間もつ。

またGoogleは、最新のアプリや機能でも勝負する気だ。とくにセールスポイントにしたいのが、メッセージングアプリのAlloとDuoだ。本誌は明日の取材を、一人ではなくチームで行う。そして、9to5Googleがスクープした写真がこれらだ:

  1. pixelxl_telus.jpg

  2. google_pixel_white_1.png

  3. pixel-cw-1.png

  4. pixel-cw-3.png

  5. pixel-cw-4.png

  6. pixel-cw-5.png

  7. pixel-cw-6.png

  8. pixel-cw-7.png

  9. pixel-cw-8.png

  10. pixel-cw-9.png

  11. google_pixel_xl_black.png

  12. pixel_telus.jpg

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazon、無料または割引商品へのインセンティブ付きレビューを禁止―例外はVineのみ

Amazon, the US e-commerce and cloud computing giant is said to hire 1,000 people in Poland. The company already hires almost 5,000 people in Poland and has service centers in Gdansk, Wroclaw and Poznan ON 14 April 2016. (Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images)

今日(米国時間10/3)、AmazonはVineプログラム〔後述〕以外で販売される商品に対するインセンティブ付きレビューを禁止することを発表した。これはCommunity Guidelinesの大きな変更に当たる。このアップデートは、商品の売り手ではなくAmazon自身が信頼できるレビュワーを選定し、レビューの過程におけるバイアスを取り除くために必要なコントロールを行えるようにすることが目的だという。

Amazonはこれまでも営利目的のレビューを禁止してきた。 実際、金を払って不当なレビューを掲載させていた会社訴えたことがある。 また商品の売り手だけでなく金を受け取って捏造レビューを書いていた個人も訴えている。しかし、これまでは売り手が商品やサービスそのものを提供することと引き換えにレビューを書かせるのは可能だった。

ただしこの場合、レビュー内に売り手との間にそのような関係があることを明記することが必要だった。ユーザーは販売されるアイテムを無料で、または割引で得られる代償としてレビューを書くことがよくあった。

もちろん理論的には、売り手との間にこうしたアフィリエイト関係があっても公平な意見を投稿するのは可能だ。しかしインセンティブ付きレビューの実態はというと、評価対象の売り手側に圧倒的に有利なバイアスがかかっていた。

これにはいくつかの要素の組み合わせが影響している。まず売り手は批判的なことを書く確率が低いレビュワーを選んでアフィリエイトの申し出をすることができる。逆にレビュワー側では否定的なレビューを書けば今後はこうした有利な申し出を受けることがなそうだと知っている。

全体として、消費者はAmazon Vineの場合でもインセンティブ付きレビューにはバイアスがあると考え、信頼を置かなくなっている。これは単なる「感触」ではなく、700万件のレビューに対する最近の調査によれば、インセンティブ付きレビューの星の数はそうでないレビューをはっきり上回っていることが明らかになった(5つ星評価で、インセンティブ付きは4.74、インセンティブなしでは4.36だった)。

average-rating-percentiles

一見すると 0.38という星の数の差は小さいようにみえるが、そうではない。図のようにパーセンタイル(百分位)で表示すれば、54%という中位から一気に94%というトップクラスに順位を押し上げる効果がある。インセンティブ付きレビューは製品をカテゴリーのトップ評価に仲間入りさせる効果がある。

またこの調査によれば、インセンティブ付きレビュワーが1つ星の評価を付ける確率はそうでないレビュワーに比べて12分の1だった。 さらに批判的なレビューを投稿する確率も一般レビューの4分の1だった。

distribution-of-ratings

語句どおりの意味では、こうしたレビュワーはAmazonが禁止する金銭的報酬を受け取っていない。しかしインセンティブ付きレビューの存在はレビュー一般の信頼性を大きく損なっていた。インセンティブ付きレビューの参加者は平均232件を投稿していたが、同じアイテムに関して通常の購入者は平均31件のレビューしか書いていなかった。「報酬と引き換えではない」というものの、売り手側は大量の商品を無料ないし割引で配ったはずだ。

Amazonによれば、今後はAmazon Vineに参加している場合を除いて、一切のインセンティブ付きレビューが禁止される。Amazon Vineのインセンティブ付きレビューはこれまでの一般商品のインセンティブ付きレビューとは異なる。Vineプログラムは招待制であり、レビュワーはAmazonによって選定される。またAmazonの目的はまだ十分な数のレビューがついていない新製品や近く発売される製品に関して、信頼できるレビュワーから公平な意見を集めて顧客の参考にすることだ。

Vineのレビュワーに招待されるにははすでに多くのレビューを書き、「役に立った」というリアクションを何度も得ている必要がある。こうしたレビュワーは得意な製品カテゴリーを持っていることが多い。またVineでは売り手側はレビュワーに一切接触することができず、影響を与えることもできない。【略】

今回の変更はすべてのカテゴリーの製品に適用されるが、書籍は例外とされる。Amazonは批評家その他関係者への評価のための献本を従来から認めてきたと述べている。AmazonはVineを消費者にとってさらに有益なものにするアイディアを持っているとしているが、具体的な内容は明かしていない。

Amazonの広報担当者に取材したところによれば、今回の方針変更以前に投稿されたレビューについては、「誇張が著しいなど現在の方針に反すると認められる場合には遡及的に削除されることがある」という。平たくいえば、今後もバイアスがかかっていそうなAmazonのレビューを多数目にするのは避けられないということだ。

Amazonは「本日以降、ベンダーがレビュワーに対して割引を提供することにより評価を操作しようとしたことを発見した場合、法的措置に訴える」と述べている。

画像: Jaap Arriens/NurPhoto/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

選手の脚にセンサー群を貼り付けて試合中のライブデータを得るZepp Play Soccer

zepp_soccer_081616_00469

徐々に、しかし確実に、Zepp Labsは、人類のすべてのスポーツに侵入しつつある。とくに、その最新のやつは大物だ。同社は明日(米国時間10/4)Zepp Play Soccerをアメリカで発売する(アメリカでは‘フットボール’というと別のスポーツ)。

この北カリフォルニアのスタートアップはこれまでにも、野球、ソフトボール、ゴルフ、テニスなどに挑戦しているが、今回のサッカー用の製品もそれらと類同で、一連のセンサーによって、ゲーム中の競技場で今起きていることをユーザーに伝える。それらは、距離、キック数、スプリント、最高速度、アクティビティ、ゴール成功率、などのデータだ。最後のゴール成功率は、シュート回数と、その成功回数の比だ。

センサーは、選手の利き足のすね当てに取り付けられる。情報の集め方は、プレー中のリアルタイムと、シーズン全体を通じてのチームデータの両方がある。情報が詳しいのは、後者だ。

このサッカーパックは明日、100ドルで発売される。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「ライフサイエンス界のGoogle Docs」BenchlingがThrive Capitalなどから700万ドルを調達

4528869007_4484c3d401_b-1

リサーチャー向けのクラウドベース・ソフトウェアを提供するBenchlingが700万ドルを調達した。BenchlingはY Combinatorから卒業したバイオテック企業だ。Benchlingはこの資金を利用して、リサーチャーが製薬会社などの調査資料にアクセスできるツールの強化をはかる。

Benchlingをライフサイエンス業界のGoogle Docsと考えてもよいかもしれない。ITソリューションはバイオテック業界の「最もセクシーなもの」とは言えないかもしれないが、調査資料の整理は業界にとって重要なステップであり、Benchlingはそのエコシステムの一部を提供しているのだ。

科学者向けのクラウドベースのコラボレーション・ツールとして2012年に創業したBenchlingは、現在では4万人のリサーチャーが利用するツールへと成長した(2014年には2000人だった)。さらに同社によれば、MITの研究所や、Zymergen、Editasなど、アメリカ国内のトップ20の製薬研究所と提携を結んでいるという。

benchling-product-screenshot

つい昨年には、Benchlingは同社のソフトウェアをよりパワフルでよりスピーディーなものへと進化させたと話している。これにより、リサーチャーが必要な時に必要な情報を手に入れることが可能になった。Google検索やエクセルのスプレッドシートよりも数倍速いスピードを実現したという。

今回のラウンドではThrive Capitalがリード投資家を務め、既存投資家のAndreessen Horowitz(前回のラウンドのリード投資家)もラウンドに参加した。これらに加え、Y CombinatorのパートナーGeoff Ralston、SequoiaのパートナーMatt Huang、そしてTencentのCXOであるDavid Wallersteinなど、数名のエンジェル投資家も参加している。

バイオテック・スタートアップへの追加投資を考えていると言われていた俳優のAshton Kutcherも、少額かつ非公開の金額ではあるものの、今回のラウンドからBenchlingの新しい投資家の1人となった。

Benchlingはこれまでに合計で1300万ドルを調達している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

ミューロンの新アプリ「CALNA」は、コンビニ・外食ダイエットを人工知能でサポートする

ダイエットと言えば専任のトレーナーがついて、毎日の運動量から食事までを管理するというものから、コンビニでおでんを食べるなんてものまでさまざま。だが肝心なのはそれを継続すること。毎日しっかり献立を立てて健康的な食事をとるというのはそんなに簡単なわけではない。meuron(ミューロン)が10月4日にリリースした「CALNA(カルナ)」は、そんなダイエットの課題を人工知能で解決してくれるという。

ユーザーは自身の身長や体重を入力したのち、ダイエットプログラムを選択(現状は体重の2%原料を目指す無料プログラムのみ提供)。さらにアンケートによる診断を行うと、人工知能がユーザーに最適なメニューを毎食提案してくれる。提案されたメニューを食べられない場合は、どれ位のカロリーを摂取するのであればいいかといった情報も表示される。

現在、大手コンビニ(ローソン、ナチュラルローソン、ファミリーマート、セブンイレブン、サークルKサンクス)の商品、飲食チェーン店(大戸屋、ロイヤルホスト、スープストック、エクセルシオール)のメニューをデータベース化。その中から最適なものを組み合わせて700万通りの献立を提供する。

また、提案されるメニューを食べていくことでどれだけダイエット効果があるかという体重予測のデータも提供。さらに人工知能とのチャットを通じて、ダイエットプランの相談や改善などもできるとしている。なおこの体重予測データは、ミューロンがすでに提供中のオンライントレーナーサービスで実際に得たモノをベースにしており、精度も高いという。

ミューロンは2014年10月の設立。代表取締役の金澤俊昌氏は、ヘッドハンターを経てBEENOSに入社。同社でおもに人材面から起業家の支援をしてきたが、その中でCALNAの原型となるプロダクトを開発。BEENOSをスピンアウトしてミューロンを立ち上げるに至った。ミューロンはこれまでにANRI、ベンチャーユナイテッド、BEANOS、BEENEXTおよびエンジェル投資家2人から、合計約1億1800万円の資金を調達している。

「ヘッドハンターをやっていた頃から、『誰がやっても成果を出す』という仕組み作りに興味があった。ハイパフォーマーがやっていることをいかにオペレーションに落とすか。そんなことを考えている中で、ダイエット支援のサービスが盛り上がってきた。だがこれらのサービスはトレーナーに体の管理をしてもらえるのはいいが、月額5万円、10万円とかかる。これをアルゴリズム化して提供できないか考えた」(金澤氏)

「またダイエット始めると、サラダチキンやキャベツといったものだけ食べてしまいがち。ダイエット中でももっと色んなを食べられるのに、それを工夫していくこと自体に負担がかかる。商品データを持ち、システム側でロジックを組んであげれば、自分だけでは発想しないような組み合わせのメニューもできる」(金澤氏)

ミューロンでは今後は有料プログラムをはじめとしたサブスクリプション型の課金サービスや、サプリやレシピの提供などでのマネタイズを検討している。

ミューロンのメンバーら。後列中央が代表取締役の金澤俊昌氏

meuronのメンバーら。後列中央が代表取締役の金澤俊昌氏

WalmartLabsがWalmart.comのアップグレードに使ったReactベースのアプリケーションプラットホームをオープンソース化

SPRINGER, NM -  MAY 15:  A Wal-Mart truck sits on the side of the highway May 15, 2005 near Springer, New Mexico.  Wal-Marts are now nearly ubiquitous on the American landscape, with over 3,000 stores coast-to-coast.  With growth, Wal-Mart continues to weather criticism of low wages, anti-union policies as well as accusations that it has homogenized America's retail economy and driven traditional stores and shops out of business. (Photo by Chris Hondros/Getty Images)

オープンソースソフトウェアという言葉と、あの大手スーパーマーケットWalmartが頭の中で結びつく人はあまりいないと思うが、同社のイノベーション意欲旺盛な技術開発部門WalmartLabsはこれまでにも、さまざまなオープンソースプロジェクトを一般公開している。その中でいちばんおもしろいと思えるのがDevOpsプラットホームOneOpsだが、今日(米国時間10/3)はそれと同等に意欲的なプロジェクトを立ち上げた。

Walmartのeコマース部門Walmart.comは、今や月間ビジター数が8000万、販売品目1500万に達する。そこが昨年1年間をかけて、React(react.js)とNode.jsに移行した。その移行過程でWalmartLabsのチームがWalmart.comのために作ったReactベースのアプリケーションプラットホームElectrodeがこのほど、オープンソースになった

デベロッパーは、Electrodeが提供しているいくつかの定型句的なReactコードに自分なりに手を加えて必要なモジュールを作り、それらの機能をNodeで作るアプリケーションに加えていく。たとえばそれは、Node.jsアプリケーションの構成を管理するツールや、アバブ・ザ・フォールド(above-the-fold)を素早く表示するReactコンポーネントなどだ。〔above-the-fold, アバブ・ザ・フォールド, ページの最上部、スクロールしないで見れる部分。 〕

1-5_vpgxrjriefylzxbmdj-a

チームによると、このプロジェクトにはいくつかの特定の目標があり、それらはほかの企業の問題解決にも役立つはずだ、という。Electrodeは社内のデベロッパーがアプリケーションを早く作れることが目的であり、彼ら自身がこれまでの経験の中で開発してきたベストプラクティスに従った、堅実な構造をそのまま利用できる。

WalmartLabsの技術部長Alex Grigoryanはこう語る: “Electrodeはとりわけ、われわれが作るアプリケーションのパフォーマンスとデベロッパーの生産性を上げた。オープンソースにすることによって、コミュニティがそれをさらに良くしていくことを期待したい。もちろんそれは、うちだけではなく、これを使うデベロッパー全員にとってね”。

このプラットホームは、できるかぎりモジュール的な構造にするよう努めた。その結果それは、コア、モジュール群、ツール類、という三つの部分から成り、それぞれを単独で利用することもできる。

1-rzjgp3sxadbt2v1yabnsiw

Electrode今、WalmartでWalmart.comを動かしているが、今後はSamsClub.comなど、Walmart社のそのほかのWeb資産にも適用していく意向だ。Electrodeは昨年の12月に発足したプロジェクトだが、Grigoryanによると、プロジェクト自身は若くても内部で大量のオープンソースプロジェクトを利用している。オープンソースコミュニティの助けがなければ、これだけのものは到底作れなかっただろう、と彼は言う。

Electrodeに移行する前Walmartは主に、Thorax(Backbone.jsとHandlebars.jsによるフレームワーク)と、Javaを使っていた。

WalmartLabsがこれまでに発表したオープンソースプロジェクトはおよそ140あり、Electrodeもその仲間に加わる。まさしく、「今やすべての企業がソフトウェア企業だ」と言われる由縁である。Walmartのような一見保守的な企業でさえ、オープンソースの意義と効用に目覚めるのだから。

Grigoryanは述べる: “うちはいつも、大量のオープンソースを利用しているから、そのお返しをすることをつねに念頭に置かなければならない。Electrodeはアプリケーションのパフォーマンスとデベロッパーの生産性の両方を上げるから、オープンソース化する意義が十分にある。そしてまた、オープンソースのコミュニティによって、うちばかりでなく、それを使うほかのデベロッパーの役に立つ改良改善が為されることも、働きかけていきたい”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ボディカメラの装着で警官に対するクレームが93%減少

METHUEN, MA - AUGUST 20: Methuen police officer Nick Conway wore a body camera while he wrote a citation on Saturday August 20, 2016. In May, the Methuen Police Department, with little fuss, became the first major law enforcement agency in Massachusetts to start using body cameras, putting them on 47 patrol officers after a six-month trial run last year. (Photo by Matthew J. Lee/The Boston Globe via Getty Images)

ケンブリッジ大学の研究によれば、警察官へのウェアラブルカメラの装着を義務付けると、警察官に対する苦情が大幅に減ることがわかった。特定の警察署にて一部の警官に対してカメラの装着を義務付けた場合、カメラを装着しない警官の振る舞いも変化するようでもあるとのこと。

データは7つの警察署から集めたものだ。2014年および2015年に収集し、記録時間はトータルで140万時間で、対象となったのは1,847人の警察官だ。データはCriminal Justice and Behavior誌に掲載され、こちらでPDFを閲覧することもできる。

カメラを装着する警察官は、1週間毎にランダムに選ばれた(全体の半数の割合で装着させた)。装着が義務付けられた警察官は、他人と話すシーンでは常にカメラをオンにしておくことが義務付けられた。カメラがどのような効果をもたらすのかについては、警官への不満の多寡を指標として用いた。たいていの警察署では、問題行動のあぶり出しのために一般市民から寄せられる不満などについて計測してもいるので、カメラの効果を確認しやすいという意味もあった。

カメラ装着実験を行う前年は、警官の行動に対する不満申し立て件数は1539件となっていた。そしてカメラの装着実験を行った2年目には、不満申し立ての件数は113件に減少したのだった。

Figure from the paper showing how much complaints were reduced in each experimental site.

実験を行った警察署における、不満申し立て件数の減少率

この結果を見る限り継続した研究ないしカメラの採用を本格的に検討すべきであるようにみえる。もちろん不満の申し立てが、必ずしも警察官による不適切な対応を示すというわけではないが、苦情の申し立て件数が減れば、調査のための時間も費用も削減することができる。また、研究では、カメラを積極的に採用すべきかもしれないもうひとつの変化も指摘している。

すなわち、カメラを装着した警察官に対する不満申し立てと、非装着の警察官に対する不満申し立て率に、違いが見られなかったのだ。

これはちょっと気になる話だ。公平な証拠を記録に残すカメラの存在が、警察官および市民の双方を冷静にして、カメラが存在する場合にトラブルが減少するという方が正しい帰結であるように思える。しかしカメラを装着しない警察官に対する不満申し立ても同じように減っているのだ。

「カメラで収集したデータを何度もみるうちに、警察官側に振る舞いを変えるべきだという意識が生まれたのかもしれません。それにより、コミュニケーションがうまくいくようになったという可能性もあります」と、研究のリードオーサーであるBarak Arielはニュースリリース中で述べている。「100%近く苦情申し立て件数が減っている中、他に考えられる要因は見当たりません」。

研究社たちは「contagious accountability」と名付けている。カメラに監視されていなくても、ただしい振る舞いをしようとする人が増えていく、というような意味だ。

この調査からは、警官が自らの振る舞いを大きく変えたのか、それとも苦情申し立て側(ないし被疑者など)が慎重になっているのかはわからない。両者が相乗効果を示しているのか、あるいは別の要因があるのかもしれない。そうしたことを明らかにしていくためには、さらに詳細な調査が必要ともなるだろう。ただ、調査の結果をいろいろとみてみる限り、他の要因が考えられるにしても、警官側の振る舞いが変わった可能性が高いようにもみえる。

今後、さまざまな角度からの検討が望まれるのはもちろんのことだ。しかしここに示される結果は十分に魅力的に見える。警察はウェアラブルカメラの導入に前向きであるべきなのかもしれない。

Arielおよび共同執筆者のAlex Sutherlandは、CambridgeのFestival of Ideasにて今回の研究成果を発表することになっている。近くに住んでいて興味のある方は、ぜひでかけてみてはどうだろうか。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

セカイカメラ、Telepathyの井口氏が帰ってきた―5秒の声サービス「Baby」を米国でローンチ

2008年のセカイカメラ、2013年のTelepathy One―。大きなビジョンと話題性で、これまで何度か大きな注目を集めてきた起業家の井口尊仁氏が、新プロダクトを引っさげて帰ってきた。いや、正確には帰ってきてはいない。米国サンフランシスコを拠点に、北米市場を狙った音声系アプリ「Baby」を今日(米国時間10月3日19時)ローンチしたのだ。

ローンチ直前に東京に戻っていた井口氏にTechCrunch Japanで話を聞いたのでお伝えしたい。

Babyはスマホに向かって5秒間の声を吹き込み、見ず知らずの人と繋がり、会話が楽しめるアプリだ。吹き込んだ声は、画面上で愛嬌のある風船型のキャラとなり、これが「パレード」と名付けたパブリックなタイムラインにプカプカと漂うようになる。

ユーザーは次々と流れてくる風船から聞こえてくる「声」を聞き、ちょっとコミュニケーションしてみたいなと思ったら右へスワイプ。スルーしたければ左へスワイプ、とTinderのように次々にスワイプする。Tinder同様に誰かとマッチすればプライベートメッセージが始まる。

パレードに流れてくるのは、Tinder同様に位置情報でソートした「同じ町の人」の声だ。近隣の人であれば、使っている言葉や話題が同じと期待できるからだ。井口氏自身の説明によれば、Babyを現実世界に存在するものに無理やりこじつけると「バー」なのだ、という。以下が画面と全体を紹介する動画だ。

女性が女性と安心してしゃべれる場を

プライベートメッセージも5秒の音声のみだ。5秒の音声の断片を次々と交換する形でコミュニケーションが進む。「Babyはリアルに会わなくてもおしゃべりができる、声と声の出会いなんです」と井口氏はいう。というとTinderの声版、出会い系サービスに思えるが、そうではないという。

Babyでは自分の性別と、コミュニケーションしたい相手の性別が選べる。当初男女の対話がメインと考えていたものの、ヒアリングとユーザーテストを重ねるうちに「女性が女性としゃべりたいというニーズがすごくある」ことに気づいたという。「女の子と安全にしゃべりたい、という女性は多い。安全なら男がいてもオッケーというんです。だからまず最初に女の子が女の子としゃべれる環境を作りたい」(井口氏)。

当初ラブリーなトーンだったアプリのCIは赤から青に変更し、男女の出合いを思わせる表現も全て消した。

今さら声なの、と思う人もいるだろう。声を選んだ背景には日米文化の違いもあるという。

「アメリカでの学生ヒアリングで分かるのは、見ず知らずの人と仲良くするのに慣れていること、おしゃべりが大好きなことです。アメリカの若い子は相変わらず電話をしているんですよ」

井口氏の見立てでは、いまアメリカの若者はTinderとかHappnのようなランダムな出会いサービスに飽きている。Down To Lunchなどもそうだが、アプリのゴールが「会うこと」だとデートが成立しないと満足度が低い。「だから会うことをゴールにしないほうがいいと思っていて、むしろ会わないほうが理想だと思っています。しゃべること自体が楽しくて、声だけでずっと繋がっている状態があるんじゃないかと思っています」(井口氏)

なぜしゃべりたいのか、ということについては、「みんな孤独なんですよ。大学に入って寮で新生活を始めたりして」ということだそうだ。都市部の日本の大学生でも似た状況がありそうだが、基本的に人が移動し続ける社会、アメリカっぽい話ではある。

井口氏に言われるまま、ちょっとだけぼくも5秒の音声を吹き込んでみたのだけど、これは結構短い。何を言うとかと考えてる間にぷつっと切れる。ただ、これは意図的な設計で、5秒というのが良いのだという。

「3秒、5秒、8秒で試しました。3秒は短いし、8秒は冗長なんです。就職面談やコンサートの冒頭なんかがそうですが、実は人間というのは表現の最初の6秒だけ見聞きすれば、それで良いかどうか分かる。心理学ではThin-slicingというのですが、そういう知見にもとづいています」(井口氏)

1つの音声メッセージを5秒に限定するというのは、Twitterの140文字制限と似た話なのかもしれない。この辺は蓋を開けてみないと分からないところがあって、井口氏自身も「まだこの先、5秒の尺を変えるかもしれないし、連続投稿を許すかもしれないし、VoIPによる連続通話を実装するかもしれない」と話している。ニーズ模索フェーズであるため、今回のローンチは「ソフトローンチ」と位置付けているそうだ。

最終的に声のコンピューティングを作りたい

Babyは蓋を開けてみないと何がでてくるか分からないタイプのサービスだろう。

井口氏自身も「ユースケースが見えないし、なんでこれが流行るのかという論理的な説明が付かない。ヒットして何百万人がコアユーザーになってくれると、なんか良いんじゃないってなるだけ。プラットフォームサービスって、そういうものですよね」と話している。

なんだか独自文化が生まれてくる予感もする。それもそのはず、日本人であれば「ダイヤルQ2」を知っている世代にはピンと来るだろうし、実はアメリカには「パーティーライン」という似たサービスがかつて存在していたそうだ。ある年齢以上のアメリカ人にBabyのコンセプトを説明すると、みんな目を細めて「懐かしい」というんだとか。

とはいえ、それはインターネット以前の話。いまさら音声なのかという疑問はある。しかし、いま現在シリコンバレーでは声系サービスに対して、がぜん注目が集まっている。コンピューターと人間のインターフェイスは、文字ベースのCUIに始まり、2次元のGUIに進化し、続いてタッチで置き換わり、次は音声だという見方をする人が業界では増えている。音声は人間にとって自然だし、操作対象が複雑で膨大になるにつれてGUIのようにキレイに対象を階層的に整理できなくなっているからだ。パソコンユーザーなら誰でもメニューの中を迷子になった経験はあるだろう。

音声が「次のUI」として注目されている一方で、井口氏に言わせると今の音声系サービスには決定的に欠けているものがある。「SiriにしろCortanaにしても欠けてるのは、しゃべりたい、と思わせるもの」(井口氏)。結局、今のところどんな話題にも対応できるAIは存在しないので話す理由がない。買い物をするためのAmazon Echoはどうやら合理性がありそうだとシリコンバレーの人々は考え始めている。しかし、買い物のように明確な理由もなくコンピューターに向かって話を続けることはない。

一方、もし活発な声コミュニケーションがBabyで生まれると、ちょうどTwitterがリアルタイムの世界のつぶやきを獲得できた(マネタイズはまだ苦労しているが)ように、Babyは誰より早く声のビッグデータを取れるのではないか。それが井口氏の狙いだそうだ。「最終的に声のコンピューティングを作りたいんですよ。ARやVRにはインターフェースとして音が向いてますし、ながら、のときにも音が向く。AppleがAirPodsを出したことで『ヒアラブル』が注目されて、いまシリコンバレーでは『次は声だよね』という認識ができつつある」

「5秒の声の雑談→音声コンピューティング」はつながるか?

5秒の声の雑談がブレークするかどうかは未知数だが、確かに恒常的に断片的センテンスとしての声が流れる「場」を作ることができれば、声を取り入れたコンピューティングの未来を先取りする何かが生まれてくるのかもしれない。先日TechCrunchでも「snackable audio」と呼ぶべき短いオーディオコンテンツの可能性を指摘する記事を掲載しているが、Babyにエンゲージメントが生まれれば、そこにコンテンツや広告を結びつけることはできそうだし、さらに音声・言語解析によってECを繋ぎ込む未来がひらける可能性もあるのかもしれない。

ただ、Babyの実際の取り組みに比べると、そうした「声のコンピューティング」の目標は遠大にも思える。これまで井口氏の取り組みは、やたらと大きなビジョンや先進的なモックアップを喧伝して、それを実現できずに終わってきた経緯があるので、なおさらだ。

2008年に話題となったセカイカメラのデモ動画は、あまりうまくない英語でも日本人が堂々とアメリカでコンセプトをぶち上げて喝采を浴びた、という意味で「伝説」だ。気概だけでいえばニューヨークの五番街に乗り込んで、ヘタな英語でウォークマンをアメリカ人に売り込んだソニー創業者の盛田昭夫に通じるものがあったと思う。一方で、喝采を浴びた中でも、デモ動画を見た審査員の何人か(例えばティム・オライリー氏)が手厳しく批判していたのも事実だ。セカイカメラがどう実現できるのかの見通しについて説明が何もない、という批判だった。

セカイカメラはARブームを先取りしたようなコンセプトをぶち上げたプロダクトだったが、2008年というのはスマホも非力だったし、ARは早すぎた。これを「時代を先取りしていた」ということもできるし、「実現不可能であることを実現可能であるかのように吹聴した」と見ることもできるだろう。セカイカメラ開発の頓知ドットは最終的に約15億円の資金を調達して、そのコンセプトの「一部」を実現したアプリでは大手企業との業務提携なども行うなど一時はファンも少なくなかった。しかし、一言でまとめると「結局セカイカメラは実現しなかった」と言わざるを得ない。

Telepathy Oneについても同様だ。やはり5億円の資金を米国VCから調達していたものの、「本当にこんなコンセプトが現実のプロダクトとして実現できるのか?」と懐疑的に見る人は多かった。デモ動画はイカしていたが、やはり「時代の先」を行きすぎていたのかもしれない。井口氏の退任騒動から半年後にテレパシージャパンから出てきたのは、半端ないコレジャナイ感いっぱいのバーチカル向けメガネデバイス、Telepathy Jumpなのだった。Telepathy JumpはB向けで市場はあるだろうが、どうみても聴診器。井口氏が見せてくれたスリークで未来っぽいグラス型ウェアラブルとは似ても似つかないものだった。

日本の起業家はもっと世界を目指せ

photo

井口尊仁氏

井口氏が語る、哲学的思索すら入り交じるコンピューティングの未来の話はいつも刺激的で面白い。セカイカメラはAR、Telepathy Oneはグラス型ウェアラブル、そして今回は音声コンピューティング。こうした刺激的な「未来話」の一部でも現実のものにしていける、その足がかりがBabyでつかめるだろうか。

前二回の取り組みと異なるのは、いきなり現実的なプロダクトが出ていること。それから当初ターゲットとする若い女性層、とくにサンフランシスコの大学生を対象としてヒアリングを繰り返してプロダクトのパラメーターや打ち出しアングルを変えながら地に足の着いたの作り込みをしているのも、だいぶ違う印象を受ける。

井口氏自身によれば、前二回は、アメリカを主戦場にしきれなかったこと、アメリカ型組織を作って戦うには調達額が小さすぎたことなどの反省もあるという。あまり多くを語らない井口氏だが、テレパシーの退任騒動は「退任」どころではない苦い経験となっているようだ。

今回チームは日本人を中心に構成し、当初ターゲットを北米市場としている。Snapchatが3年遅れで日本市場で徐々に広まりを見せていることから、「もしBabyがアメリカで流行したとして、それが日本市場に入るのには3年くらいかかるとと思ってる」(井口氏)という。

なぜアメリカにこだわるのか。

「セカイカメラのとき、投資家から想定売上が大きすぎると言われて自分で自分にブレーキをかけていた部分がある。遠慮があったんだと思います。デカイ話を抑えていた。でも、日本の起業家はもっとホラを吹かないとダメですよ。日本で講演やメンタリングを依頼されると、いつもdisってばかりいますね。だって、任天堂にしろ、ホンダにしろやれたわけじゃないですか。ソニーやホンダのようなパイオニアがいない国だってあるわけですよね。日本は世界制覇できる実力がある。それなのに日本でチマチマやってるのに違和感を覚えます」

Babyを開発・運営するDOKI DOKIは、すでにSkyland Ventures、サイバーエージェント・ベンチャーズのほかエンジェル投資家らから5000万円の資金を調達していて、2016年内に1億円程度のシード資金調達のクローズを予定しているという。

Facebookがフリマ機能「Marketplace」をローンチ、Craigslistの牙城に迫る

unnamed-file

すでに4億5000万人が毎月Facebookの「販売グループ」を訪れている。Facebookは今回、自社アプリ内にピアツーピアの買い物専用のタブをローンチしたことを発表した。

Facebook Marketplace(マーケットプレイス) は、自分と関連性の高い順にソートされた商品を見たり、近くにいる人が販売している商品を購入しり、自分の物も手早く掲載して売りに出すことができる機能だ。Facebook Messengerと連携しているので、相手と交渉したり、会う約束を取り付けたりすることもできる。Facebookのプロフィールのおかげで、Craigslistのように匿名した状態ではなく、どのような人と取引をしているかを知ることが可能だ。

Marketplaceは本日、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドでモバイル向けにローンチする。もし人気が出れば、世界各国への展開やウェブ版の展開も行うだろう。しかし残念ながら、この機能には詐欺や悪行を抑制するような双方向の評価システムがない。また、Messenger経由でネイティブに使える専用の支払いオプションもない。これはユーザーの手間になるものの、詐欺の懸念の多い配送より、直接会って取引することを奨励しているということだろう。

「Cragslistが広まったことは、地域内で取引したいというニーズが大きいということだと思います」とMarketplaceのプロダクトマネージャー Bowen Panは言う。

Facebookは現在、Marketplaceに企業ページを許可していないが、将来的には、企業や個人が販売している商品のためにニュースフィードの広告やスポンサード掲載を購入できるようにし、収益を得ることもできるだろう。PanはTechCrunchに「素晴らしい体験を人々に提供するプロダクトを開発できていることが分かり、それに価値があるなら企業にもこの機能を紹介することを検討したいと思います。そのあと、この機能をマネタイズできるかどうかを検討したいと思います」と話す。

FacebookはMarketplaceに大きく賭けていると言える。なんせ、MarketplaceはiOS版FacebookのMessengerへのショートカットアイコンのあった位置にあり、ナビゲーションバーの主要部分に据えているのだから。絶好の位置にあることで、レジ横の衝動買いのような体験をデジタルでも再現することができるかもしれない。

facebook-marketplace-item

ソーシャルな買い物

Facebookは引き続き インターネットを食いつくす果てしない道を進んでいる。ウェブで人気のある、全ての活動の自社バーションを作成し、人々のエンゲージメントと収益源を得ようとしている。より多くのコマース体験を取り込むほど、Facebookは広告で間接的に収益を得ることができる。この他にもFacebookは、従来の小売店向けにショッピングタブの開発をしているところだ。

Facebookは10年近く、地域コマースを取り込もうとしてきた。2007年、彼らは初めて、人々が売りたいもの、物件案内、求人などのクラシファイド広告の掲載ができる「マーケットプレイス」の機能を試した。しかし、それは人々の関心を多く得ることができず、2009年にMarketplaceのコマースプラットフォームを担うOodleに移管している。2014年には提供を停止した。

そして昨年、Facebookはもう一度似た機能を試した。グループに「For Sale(販売中)」の投稿オプションを追加した。これはFacebookの全ユーザー17億1000万人のうち、4分の1ほどユーザーが毎月使用している。2015年10月から、Facebookは本日ローンチしたMarketplaceの前身となる「Local Market」機能の検証を開始した。

composer_usFacebook Marketplaceには3つの主要機能がある。

  1. 商品検索
    Marketplaceを開くとまず、ユーザーのコミュニティー内において購入可能な商品がフィルタリングして提示される。掲載商品のタグやFacebookのテキスト分析AIの情報、そしてユーザー自身が「いいね!」したページやMarketplace内で閲覧した商品の情報を合わせ、ユーザーにとって関連性の高い順で商品をリテスティングしている。「この商品はまだありますか?」や「商品の状態を教えてください」といった予め用意されたメッセージがあるので、交渉も始めやすい。
  2. 販売する
    このサービス用に新たにプロフィールを作成する必要もなく、Marketplaceでなら品物の写真を撮影し、説明文を加え、売り出し価格を設定して、あとはリスティングに投稿するだけだ。
  3. 近くで売っているものを検索する
    家具や電化製品といった特定のカテゴリーの商品を検索する機能に加え、地図から位置情報、カテゴリー、価格などをフィルタリングした商品を検索できる。欲しいものを見つけたらそれを売っている売り主のおおよその位置が分かる。具体的な位置は売り主が教えてくれない限り分からない。

「欲しいものが決まってなくとも、ユーザーにとって関連性の高い商品を提示します」とPanは言う。

Craigslistは最も一般的なコマースの共通点を最小限抑えることでアメリカで人気を得てきた。Cragislistは非常に単純な仕組みで、柔軟性があり、他のライバルが出てくるかなり前にローンチしていた。Craigslistには強い引力があり、機能が少ないにも関わらず販売者も購入者もこのサービスに戻るのは、需要と共有を最も多く集めているからだ。

しかし近年では、Cragislistから特定の機能を奪う形で成功した専門分野のサイトが登場した。例えばレビュー、カレンダー、決済機能を内包するAirbnbはCraigslistから短期の賃貸物件のマーケットプレイスを奪った。座席表やフィルタリングオプションを備えたStubhubはチケット再販売分野を確立した。


unbundling-haber

まだどこもCraigslistからピアツーピアーの売買の立ち位置を奪うことには成功していない。しかし、Facebookはそれができるかもしれない。その理由は大きく3つある。

信頼性

marketplace_-message-the-seller-view

Craigslistでは、リスティングの掲載情報や直接的なコミュニケーション以外で、これから会って取引するかもしれない販売者や購入者のことをほとんど知ることができない。しかし、Facebookのプロフィールからはたくさんの情報を知ることができる。

詐欺師が偽アカウントで多くの友人を獲得することは難しい。相手がプロフィールを埋めていて、友人も多くいるなら、その人がどういった人であるか知ることができる。そこで得られる情報、あるいは情報が欠如しているのなら、その人に直接会うというリスクのある行動を取るかどうかを決めるヒントになる。加えて、双方が互いの名前を警察に出したり、職場を特定したり、ソーシャルメディアで批判することができると分かっていれば、良い態度で接し、信頼の置ける行動を取ることを促すだろう。

Marketplaceに欠落している最大の機能は、購入者と販売者が互いに評価する機能だ。商品の状態が掲載している内容より悪かったり、販売者が最後になって価格をつり上げようとしたり、相手が遅刻したり、来なかったりした時、メモを残すことができない。

ついでに見れる便利さ

人々は大抵何か特定のものを探してCragislistを訪れることが多いだろう。けれど、私たちはすでにFacebook、Messenger、Instagramで毎日50分近くを過ごしている。Marketplaceの機能はFacebookのMoreタブの中に埋もれている機能の1つではなく、たった1タップで見ることができる。

すでにユーザーが使っているアプリにMarketplaceを構築することは、街の中心に市場を作るのと同じだ。ユーザーは退屈した時にMarketplaceを見るかもしれない。Messengerが広く使われているおかげで、販売者と購入者は互いの電話番号を知らずとも簡単にチャットを始めることができる。他のコマースプラットフォームの中は、コミュニケーションの部分でFacebookに依存しなければならないものもあるだろう。さらにFacebookが課金することもない。ユーザーは決済手段は自分で決め、追加料金は必要ないなのだ。

marketplace-features

使いやすさ

Craigslistを始め、他の多くのパアツーピアのコマースプラットフォームは、1ページに大量のテキストのリスティング情報を載せることに注力し過ぎている。誰でもいつもカメラを持つようになる前に作られたウェブ向けのサイトだからということもあるが、これらのサイトはブラウズするのが楽しいものではなかった。また、ユーザーの行動や興味関心についての情報がないため、ユーザーの好みを把握することもできない。Marketplaceは写真を軸としたモバイルファーストの設計だ。そして、ユーザーとの関連性の高い順による商品のソートは、商品のブラウズ体験を効率的で魅力的なものにしている。

これらの特徴は、ユーザーにランダムなブラウズを促すことになるだろう。ユーザーは、販売者が早く処分したいがために、従来の小売店ではありえないほど大幅に値引きした商品を見つけることができるかもしれない。そういった要素は蚤の市やガレージセールで掘り出し物を見つけるのに似ている。機能の検証期間中、洋服、車、家具などが最も人気のあるカテゴリーであることが示された。

marketplace-browse

MarketplaceはOfferUp、LetGo、Wallapop、Close5を始め、他のCraglisitの後釜を狙うスタートアップと競合することになる。ただ、Facebookには需要と供給を同時に育てなければならない鶏と卵の課題もある。ユーザーにとって便利なのは、これを利用するのに新しいアプリをダウンロードする必要がないということだ。それにFacebookはMarketplaceをアプリタブの中央に掲げたので、見逃すこともないだろう。

次の問題はFacebookはMarketplaceを広めるためのプロモーションをするか、そして体験の安全性をいかにして守るかだ。「Facebookのユーザーは本当の自分を表明してサービスを利用しています」とPanはどの購入者も販売者も、彼らのプロフィールが他のユーザーに認められている状態のメリットについて話す。

偶然の出会いとショッピング

Facebookが他のMarketplaceユーザーに迷惑をかけている場合、PanはFacebookが商品の掲載を削除したり、Marketplace機能からそのユーザーをバンするなどの対応を行うとした。Marketplaceでは、銃、アダルトサービス、違法な物の売買を行うことはできない。

しかし、Facebookは決済における詐欺や他の問題などに関しては責任は取らない。これはeBayのように他のEコマースサイトやプラットフォームにはある商品の決済機能がない理由のひとつでもある。ソファーを購入するために相手先を訪れて強盗に遭ったり、あるいはカメラの代金を支払ったにも関わらず商品が届かないということがあった場合には警察に相談する必要がある。「私たちの役目は購入者と販売者をつなげることだと考えています」とPanは説明する。

facebook-groups1

Facebookは動画消費で使った手法をショッピングにも応用することができるだろう。「偶然の発見を促す」ことだ。ユーザーはYouTubeを使う時のように、特定の動画を見るためにFacebookを訪れるわけではないが、Facebookで最終的に動画を見ているのは、プラットフォームが賢く動画をニュースフィードに挿入しているからだ。そのようなカジュアルな動線はコマースにも適応することができるだろう。

「多くの人は商品をブラウズしているというのが分かりました。特定の商品を探しているのではないのです。彼らはフィードをスクロールして、何か面白そうなものがないか見ているのです」とPanは言う。「サンデーマーケットやモールを回る人々のオフラインの購買行動と部分的に似ています。特定の欲しいものがあるわけではないのですが、商品を見る気持ちはあるのです」。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

全国7万のペットシッターを擁するRoverがシリーズEで$40Mを調達、ドッグウォーキングにも進出

8631368705_89a00a628c_k

先月本誌TechCrunchは、Roverの4000万ドルの資金調達を報じた。そのラウンドがこのほど完了し、同社は今日(米国時間10/3)、シリーズEによる4000万ドルの調達を発表した

このラウンドはFoundry GroupとMenlo Venturesがリードし、Madrona Venture Groupが参加した。いずれも、前からの投資家だ。これでRoverの資金調達総額は9000万ドルになる。

Menloの専務取締役Venky Ganesanが今日の発表声明で述べている: “われわれはこれまで、Uber, Siri, Hotmail, Gilead Sciencesなどの企業を支援できて幸運であった。Roverもこれらと変わらぬ優良企業であり、だからこそ今回の大きな投資を決定できたのである”。

同社は昨年、従来のペットシッター紹介から犬の散歩(dog walking)にも手を広げ、同社によると、登録シッター/ウォーカー(walker)の数は65000名を超えている。利用件数は、1四半期平均で100万件である。

Roverによると新たな資金により、“製品開発と地理的拡大と市場の継続的拡張による、ペットケア業界のさらなる革新を目指す”、という。買収もある、と言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Tesla、2016年Q3の納車2万4500台は対前期比70%アップ

tesla-fleet

Teslaは電気自動車の生産だけでなく、納車も順調なペースで伸ばしていることが、10月2日に発行されたプレスリリースでわかった。同社は2016年会計3Qに2万4500台の車を販売し、内訳はModel Sが1万5800台、Model Xが8700台だった。Q2の総販売台数1万4402台から70%の急増だ。これは必要な書類手続きを終え実際に顧客が車を手にしているものだけを数えているため、控え目な推計だとTeslaは言っている。

例えば、「顧客に輸送中」の車が5500台あるが、これはQ3の総数には一切入っておらず、TeslaがQ3と「同じかわずかに上回る」と予測しているQ4の納入実績に計上される予定だ。生産台数でもQ3の2万5185台は、Q2の1万8345台から大きく伸びている。

Teslaの生産、納車ペースの進展は、同社のガイダンスに書かれていた2016年後半に5万台納車という目標が、実現可能であることを意味している。ちなみにこれは2015年通年(5万580台)とほぼ同じ台数だ。こうした生産ペースの上昇は注目に値するが、同時に、CEO Elon Muskの掲げる2018年に年間50万台、2020年には100万台の電気自動車を販売するという野心的目標には、まだまだ長い道のりがあることを示している。

それでもTeslaは前進している ― 例えば2016年Q3の受注台数は、2015年同期と比べて100%以上増えている。この成長ペースを既存設備が飽和するまで維持することができて、同時に新たな生産設備が追加されれば、数年後の年間50万台も実現可能だろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「ブルドーザーと掘削機のAirbnb」Dozrが190万ドルを調達

dozr_bulldozer

工事業者間で重機の貸し借りができるプラットフォームのDozrが、シードラウンドで250万カナダドル(米ドル換算で190万ドル)を調達した。

カナダのオンタリオ州にあるKitchenerを拠点とするDozrを利用すれば、掘削機やスキッドステアローダー、ドローン、産業用ロボットなどをレンタルすることができる。器材を単体で借りることもできるし、その器材を操作できる免許を持ったオペレーターも一緒にレンタルすることも可能だ。

2015年に創業のDozrはすでに2000社以上の顧客を抱え、同社のマーケットプレイスには合計で5000万ドル相当にものぼる器材がリストアップされている。

今回のシードラウンドは、Fairfax Financial Holdings Ltdの傘下であるFair Venturesからの単独出資だ。

dozr-app

Dozrのアプリを利用すれば、同業者から設備をレンタルすることができる。

Fairfaxのグループの中には、保険業および再保険業を手掛ける会社がある。その中のひとつ、Federated Insuranceは実際、Dozrのプラットフォーム上で重機のオーナーに対して保険を販売しているのだ。

現状はカナダ市場にフォーカスしているものの、Dozrの投資家たちは将来的なアメリカ市場への進出も期待しているところだ。

より短い期間の目標としては、今回調達した資金を利用してプラットフォームに新しい機能を追加する予定だとしている。さらに、セールス、マーケティング、プロダクト、エンジニアリング部門の人員を強化する。

Dorzの創業者は全員、建設業界での経験を持ち、さらに全員が家族のメンバーでもある。KevinとTim Forestell兄弟、そしてKevin Forestellの妻のErin Stephensonだ。

プラットフォームに追加される予定の新機能は、ビデオのアップロード機能だ。重機をプラットフォームにリストアップする際に、一緒にビデオもアップロードできるようになる。

「ビデオの要素をDozrに加えることによって、レンタル時や返却時の器材のコンディションを見ることができます。実際の仕事の現場において、その器材がどのように使われていたのかということも見ることができるのです」とKevin Forestellは話す。

dozr_founders

Dozrの共同創業者たち。Tim Forestell、Erin Stephenson、Kevin Forestell。

映像を利用することで、器材のコンディションを「キーキー音」などから判断することができるかもしれない。また、保険会社にとっても利点がある。レンタル前に撮影したビデオを利用すれば、レンタル中の故障や事故の原因が貸した側にあるのか、もしくは借りた側にあるのかをはっきりさせることができるからだ。

同社は現在、PCとモバイルのブラウザで動作するマーケットプレイスを提供している。だが、今回のシード資金によってモバイルアプリの開発にも着手する予定だ。

Fair VenturesのGerry McGuireは、シェアリングエコノミーのコンセプトは建設業界や重機業界にも通用するとの判断からDozrへの出資に踏み切ったと話す。

産業設備は高額であり、かといって仕事を受注した時に設備がなければ困ってしまう。産業設備のユーザーは常にこのような選択を迫られているとFair Venturesは話す。

「設備を購入することを選択した場合、設備の稼働率の問題に向き合わなければなりません。それを考えれば、過剰設備のレンタルを可能にし、設備が必要でありながらそれを購入することを望まない業者のニーズを満たすことは道理にかなっていると言えるでしょう」と彼は語る。

Yard Club、 Getable,、EquipmentShareなど、米国市場においてDozrと同じく産業設備のマーケットプレイスを提供するスタートアップが彼らの競合となる。

Dozrは、器材のオーナーに直接提供する保険や、器材と併せてレンタルできるオペレーター、そしてなにより、長い間この業界で荒波を乗り越えてきた創業者たちの経験こそが、これらの競合とDozrの違いだと話す。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter