フランスのスタートアップGetは、地元のパン屋でも簡単にEコマースに参入できるアプリ開発と配送を担う

screen-shot-2015-11-26-at-19-41-37

Getを紹介しよう。Getは新しいフランスのスタートアップで、小規模な小売店向けのモバイル版Shopifyを目指し、他にも小売店向けのサービスを提供する。地元でお気に入りのパン屋でもGetを使用することで、労力をかけずにiOSやAndroidのアプリを構築することができる。また、GetはStuartような1時間内に商品を届ける配送サービスも請け負う。

GetはAdrien TouatiとDeezerの共同ファウンダーであるDaniel Marhelyが立ち上げた会社だ。Getは、モバイルEコマースと小売店に関連する全ての事業を少しづつ行う。Getには3つの主要な柱がある。

まず、小売店は店舗のブランド名を冠したホワイトレーベル(OEM)のアプリをGetで無料で製作できる。アプリを構築するのに1時間もかからないという。Getは具体的には、アプリでの注文と決済の部分を担う。このスタートアップの戦略を理解するのに重要な部分となるのはここだ。Getは、既存のサービスととしてのソフトウェア(SasS)のアプローチを取らない。小売店は何千ユーロも使って代理店にアプリを製作してもらう必要もない。Getはアプリを無料で提供する代わりに、決済ごとにの手数料を得る。

2つ目は、Getは他の配送サービス同様に1時間内に商品を届ける配送サービスを提供する。Getはこのサービスを自社で担う計画で、現在彼らのウェブサイトでは配送者と配送のマネージャーの募集を行っている。Fauchon、Lavina、L’atelier de L’Éclairといったクライアントは、Getを使ってパリにいるお客に商品を1時間内に届けることができる。

3つ目にGetは自社アプリも開発している。このアプリでは、彼らの持つ配送サービスを活用し、新鮮な商品をユーザーの自宅まで配送する。

アプリから花束、パン、クリスマスツリー、朝食などの注文ができる。Getは混み合ってきているレストランの食事の配送は避けているようだ。

Getはこの3本柱の戦略を配送市場で戦う武器にする。ホワイトレーベルのアプローチと配送サービスの組み合わせで、これまでEコマースを導入するお金も時間の余裕がなかった多くの小売店のオーナーを取り込むことができるかもしれない。洋服、スポーツ用品、パン屋、肉屋など多くの小売店があることを考えてみてほしい。

Getはそのような潜在的なクライアントに対し、無料のアプリ製作ツールからGetの利用を促すことができる。その後、1時間内の配送といった付加価値の高いサービスで十分な利益を得る計画だ。賢い戦略だ。

最も大きな課題はコンシューマー側にあるだろう。ユーザーがお気に入りの小売店の専用アプリをそれぞれ個別に何十個もインストールしたいかどうかを検証しなければならないだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Squareの上場初値は11.20ドルで2億4300万ドルを調達―9ドルを無事24%上回る

square-nyse

Squareは今朝(米国時間11/19)、NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場し無事に初日の取引を行った。ティッカー・シンボルにはSQが選ばれ、1株11.20ドルの初値から、さらに株価は上昇した。

昨夜幹事証券会社のゴールドマン・サックスが発表した売出値はわずか9ドルだった。今日の上場でSquareは2億4300万ドルを市場から調達し、時価総額は29億ドル前後となった。

昨夜の値付けに関して否定的な声があちこちから出たものの、今日の取引状況はSquareにとっていちおう良好なサインとなったようだ。ただし昨年、同社は60億ドルの会社評価額で資金調達をしている。アナリストは上場時の株価を11ドルから13ドルと見積っていたが、これによる時価総額は最大40億ドルにしかならない。昨日の9ドルの値付けはさらにSquareの面目を失墜させるものとなっていた。

Squareとそのカリスマ的ファウンダーのジャック・ドーシーはモバイル支払いビジネスの地図を一変させるものとして大いに期待されてきた。クレジットカードを読みとるため、スマートフォンのイヤホンジャックに差し込む独特のデバイスは現在いたるところで目にする。なおドーシーはTwitterの共同ファウンダーでもあり、現在、常勤CEOとして、Twitterの経営にもSquare同じくらいの時間を割いているという。

しかしながら、Squareのビジネスはユーザーである一般消費者から利益を上げるまでになっていない。また各種の支払いを容易にするPOSシステムの競争も激しさを増す一方だ。

Squareの上場は市場が株式公開に対して懐疑的になっている中で行われた。たとえばFirst Dataは最近の上場で苦戦を強いられている。またはるか以前に上場を行ったPayPalのような会社も株取引は不調だ。

Square自身、まだ利益を計上するまでになっていない。上場申請書によれば、損失はむしろ拡大している。今年第3四半期は3億3200万ドルの売上に対して540.0万ドルの純損失を出している。

東部時間午前11時1分にはSquare株は13.60ドルを付け、上場売出価格を 51%上回った。この価格上昇がなくとも、CEOのジャック・ドーシーはかなり満足だったに違いない。取引開始の鐘を鳴らしたのはドーシーの母、マーシアだった。マーシアはSquareを最初に利用して支払を受け取ったLilybelleのオーナー、Cheri
Mimsを伴った。また2013年からSquareがスタートさせた若い女性プログラマーのためのCollege Code Camppの参加者、Terri Bunrs、Jackie Luoも姿を見せていた。

〔日本版:Yahoo Finance(アメリカYahoo)によれば、現在のSqurareの株価は13.07ドルとなっている(時間外)〕

画像: Nikita Starichenko/Shutterstock

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「モバイルママ」の大半は「共有経済」サービスを知らない(BabyCenter調べ)

8553474140_21d87df062_h

オンデマンド経済、あるいは「共有経済」のサービスを、一般の人々が実際に使っているのか、という疑問は繰り返し持ち上がる話題だ。これを解明すべくBabyCenterは、「モバイルママ」たちに質問することにした。

調査の結果、都市部では42%のママがこの種のサービスを試したことがあり、主要都市以外では数値が21%に減った。驚くにあたらず、最高はサンフランシスコで、回答者の56%が、オンデマンド/共有経済サービスを試していた。

さて、42%の試用率はかなり高いと私は考えており、サービスを提供する会社の殆どがスタートしてわずか数年(あるいはそれ以下)しかたっていないことを踏まえればなおさらだが、BabayCenterは、多くのママたちがその存在すら知らなかったことも発見した。例えば、都市部のママの5人中2人(それ以外では5人中3人)が、TaskRabbitやAirtasker等の家事代行サービスを聞いたことがないと答えた。

BabyCenterのグローバル販売責任者、Julie Michaelsonはメールで、「こんなに多くのママが、サービスの存在を知らなかったことにショックを受けた」と話した。

babycenter

「今のママは多くのこうしたアプリにとって理想的なユーザーだ、彼女らの目の回るほど忙しい生活を楽にしてくれるのだから」と彼女は言った。「調査結果は、これらのサービスが、特に大都市では、多くのママたちに侵透していることを示しているが、同時に、これらの会社が大量の利用者を見つける大きなチャンスが存在することもわかった ― 顧客へと変えるためにはマーケティング努力が必要だが」。

BabyCenterは子育てに関するアドバイスをする会社だが、どうやら自らをオンデマンドサービスが顧客を見つける場所として位置付けようとしているらしい。

調査は、Research Nowとの協力によって、指定市場地域上位10ヵ所 ― ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ湾岸地域等の大都市 ― の女性3901名を対象として実施された。それ以外の地域からも849名の回答があった。要件は、妊娠あるいは子供を生んだことがあり、スマートフォンを所有する女性。

アップデート:レポート全編が公開された。インフォグラフィクスによる概要もある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、ピアツーピア支払いに参入か

venmo-2

本稿の執筆はKatie Roof

Appleがモバイル支払いサービスを立ち上げるべく銀行と協議していると、Wall Street Jounalの記事が伝えた。そのサービスは、PayPalのピアツーピアモバイル支払いサービス、Venmoと競合するようだ。

早ければ2016年に開始されるというそのプラットフォームは、銀行口座をApple端末と結びつける。ユーザーは、当座預金口座から他人の口座へ直ちに送金できる。

記事によると、J.P. Morgan、Capital One、U.S. Bancorp、およびWells FargoがAppleと協議しsた。交渉がどの段階にあるかは不明だが、「開始は差し迫っていない」という。

新サービスは、iPhoneとApple Watchedで提供されているモバイル支払いサービス、Apple Payと協調する可能性が高い。昨年スタートしたApple Payは、Visa、MasterCard、American Expressを始めとする主要クレジットカード会社と提携している。

Venmoの広報担当者はTechCrunchに、「PayPalは噂や臆測についてコメントしないが、友達や家族に現金を送る手続の煩わしさに、人々の注意を向けさせる動きは何であれ歓迎する。われわれはPayPalとVenmoを含め複数のサービスでそれを簡単にしてきた。当社のサービスは複数のデバイスやオペレーティングシステム、およびオンラインのいずれでも利用できる」と話した。

モバイル支払い分野の競争は激化しており、SquareはIPOを間近に控えている。Squareには、Square Cashというピアツーピアサービスがあり、Venmoと類似の機能を持つ。Googleとfacebookも、最近この分野の参入した。

PayPal株はこのニュースを受け2%値を下げた。

Appleはコメントを拒んだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

盗品ではない中古自転車を売買するマーケットプレースPerfectoは盗難データベースを有効活用

bikemessengersold

先月ローンチした自転車のマーケットプレースPerfectoは、買い手と売り手と自転車をよく調べて、盗品の売買を未然に防ぐ。

自転車通勤が世界中の都市でますます増えているから、中古自転車の需要も急増している。Craigslistのような古くからあるマーケットプレースでこの問題が激化しているのも、盗品自転車をそれと見抜いて売らないようにする方法が、ないからだ。

この問題は、多くの人が考えるよりも大きい。合衆国では毎年150万台の自転車が盗まれ、被害総額は3億5000万ドルにも達する。

Perfectoは、何をどうするのか。最初の登録時に買い手ユーザは、自分のアカウントをサイクリストの評価サイトStravaに結びつけるオプションを提示される。そしてユーザはそこから、既存の自転車とそれらの乗車履歴を取り出してリストを作る。

買い手にはたとえば、その自転車のオーナーがどこで何年何か月乗ったかが分かる。マイレージ(総走行距離)すら分かるから、 さしずめStravaは自転車のCarfaxだ。

Perfectoに売りたい自転車を登録する人は、そのシリアルナンバーを求められ、それを盗品自転車のデータベースで照合する。また、買い手と売り手の評価格付けとか、売り手買い手間のチャットなど、古典的な評価手段も使う。

PerfectoのファウンダRob Lawsonの説明では、Stravaの統合や盗難自転車のデータベースを利用することによって、盗品自転車を排除できるスマートなマーケットプレースにしていきたい、という。

自転車通勤の増加と、自転車へのテクノロジの導入によって、毎年ますます高価な自転車が市場に投入されている。この傾向が続けば、Perfectoのような、自転車専門のスマートなマーケットプレースが伸びるだろう。そしてCraigslistやeBayのような、一般的なeコマースサイトは、自転車の売買に利用されなくなるだろう。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ニューヨークのチケット販売SeatGeekもいよいよペーパーレスチケットが主流に

2773911735_5bed791667_o

チケット販売のスタートアップSeatGeekも、ついにペーパーレスチケット派の仲間入りをした。

SeatGeekの最新のアプリでは、買ったチケットをPDFでプリントアウトしたり、郵便で届くのを待たなくてよい。チケットはアプリの中へ送信され、会場に着いたらそのバーコードをスキャンしてもらうだけでよい(下図)。

協同ファウンダのJack Groetzingerによると、このようなモバイルチケットは、SeatGeekでチケットを買える施設の85%がすでに採用している。紙の(==印刷の)チケットもバーコード方式が最近は増えていたから、そんな動きが前からあったのだろう。

SeatGeek ticket

Groetzingerは曰く、“うちは、ささいなことでも、お客さんに喜ばれるようにしたい。たとえば満員のスタジアムの近くでは携帯の電波の状態が悪くなるから、SeatGeekはチケットをアプリの中へキャッシュしている。サーバとの接続が悪くても、ちゃんと入場できるからね”。

彼によると、ペーパーレスチケットになると、会場の外で長時間友だちを待ってチケットを渡す、という、おなじみのかったるい経験がなくなる。しかしもっといいのは、アプリにチケット共有機能があることなので、SeatGeekは今それに取り組んでいる。

下のグラフでお分かりのように、今のSeatGeekは紙のチケットよりもデジタルチケットが断然多い。 Groetzingerによると、今でも、“チケットは紙でなくっちゃ!”という人がいるけど、でもそれはノスタルジアだ(くだらない、と言えるかな)。スーパーボウルなどビッグイベントの思い出を残したい人は紙のチケットにこだわるかもしれないけど、でも彼によれば、そういう人種も徐々にいなくなるだろう、という。

SeatGeek chart

[原文へ
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

不要品をユーザに代わって売ってくれるGoneがYardsaleとFOBOを買収

gone

あなたの要らないがらくたを売ってくれるサービスGoneが、モバイルのがらくたオークションFOBOと、その前身企業Yardsale Inc.を買収した*。価額など買収の条件は公表されていない。〔*: yardsale, 庭先販売(引越し時など)。〕

Goneは2014年の6月に、ジャンク品の売られ方を変えたいという目標を抱えてローンチした。Goneで何かを売るためには、写真と簡単な説明を送るだけだ。あとのことはいっさい、Goneがやってくれる。

同社の独特のアルゴリズムが、その品物の‘適正値’を見つけ、複数のコマースサイトに掲載し、その後の通信〜コミュニケーション業務をすべてGoneが担当し、売れたらユーザに送金する。

テキサス州オースチンとサンフランシスコ圏内なら、Goneのスタッフがユーザの家までやってきて品物を受け取り、荷造りから発送までやってくれる。

それ以外の地域では、荷造りの材料一式と、宅急便として出すときのインストラクションがユーザの家へ送られてくる。

FOBO/Yardsaleは、Goneの初めての買収だ。

Yardsale Inc.はY Combinator出身で、創業者はEd McManusとRyan Mickle、要らない物をユーザの‘ご近所に’売るお手伝いをする。Yardsaleのユーザ数が13万に達したところで二人はそれを閉鎖し、FOBOを立ち上げた。こちらは不要品をオークションで売るWebサイトで、利用はモバイルアプリから行う。

Goneによると、FOBOは買収の2か月前で年商100万ドルに達していた。

YardsaleとFOBOのファウンダMcManusとMickleは、共にGoneの顧問になる。

gone

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

地域農家農業と地域消費者をコミュニティで結びつけるFarmigo、好調なフードテック企業として創業6年、シリーズBで$16Mを調達

bib_farmigo_kitchen

地域農家の市場をディスラプトしようとする、創業6年目のFarmigoが、シリーズBで1600万ドルを調達した。

ファウンダでCEOのBenzi Ronenによると、同社は農家のためのソフトウェアデベロッパとしてスタートしたが、消費者が新鮮な農産物を入手できるマーケットプレースと、そのための地域の“食べ物コミュニティ”の育成に関心が移行した。地域の学校や企業も、そのコミュニティの核になりえる。Farmingoは2011年の本誌TechCrunch主催スタートアップコンペDisruptで、プロダクトの一つをローンチしている。

Ronenによると、このコミュニティスタイルのマーケットプレースは、従来の農家の市場に比べて生産者と消費者の両方にとって便利である。従来の市場構造では、地域の農作物を農家の近隣地域の人たちが買えないことが多い。遠くまで毎週買い物に行くのは、時間的にたいへんである。また、よくある、地域農業そのものをコミュニティがサポートする事業では、各週の限られた生産物を、消費者がむりやり買わされるパターンになることが多い。それに比べるとFarmingo方式は選択の幅が大きい、とRonenは主張する。

フードテックのスタートアップでは、InstacartやBlue Apronのように大きな成功例もあるが、でもRonenによると、農家と食卓を結びつける事業は歩みが遅い。たとえばGood EggsGrubMarketはともに、最近サンフランシスコの外での操業を中止した。彼らは、ビジネスモデルを再考するつもりだ。

問題は、農家から食卓へを謳う企業が、“サプライチェーンの全体を再発明しようとしていること–しかもそれはデジタルでなく物理的な作業だから、とても難しい”、とRonenは言う。〔しかも商品が長中期在庫不可能な生鮮食品で、供給量の限られたローカルブランド。〕

Farmigoのビジネスモデルがうまくいっているのは、食べ物コミュニティがイコール、流通システムでもあるからだ。これまでのように、スタートアップの企業自身が個々の顧客へ農産物の配送配達をしない。またFarmingoではテクノロジの力でその過程をより効率的にしている。

“うちは要するにエンドツーエンドのERPシステムであり、サプライチェーンのすべての要素をチェックしている”、とRonenは語る。“在庫(品物、量)も正確に分かるし、どんな注文があり、そのどれどれがパックされたかも分かる。ドライバーはソフトウェアを使ってそれらのデータを知り、どこで何を集荷すべきかを知る。過去6年のうちの仕事らしい仕事といえば、このソフトウェアを作ることだった”。

Farmigoの現在のサービス供用地域は、ニューヨーク(市)とニュージャージー州とカリフォルニア州北部だ。10月14日にはシアトル-タコマ地区が加わる。Ronen自身は2年前に、サンフランシスコからニューヨークへ引っ越した。同社のシステムから地域農産物を買っている世帯は15000あまりで、毎月2000ずつ増えている。

今回のラウンドは、Joe Lonsdale、Brian Koo、Jim Kimらによる投資企業Formation 8がリードし、これまでの投資家であるBenchmarkとSherbrooke Capitalが参加した。これでFarmigoの資金調達総額は、2600万ドルになった

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ジャック・ドーシーいわく「Squareはゴールデンゲートブリッジ」、国内の加盟は10万店舗以上に

Square CEOのJack Dorsey氏

Square CEOのJack Dorsey氏

専用カードリーダーとスマートフォンを使ってカード決済を実現する「Square」。このサービスについて、Square共同創業者でCEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は「創業の地であるサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジのような、『橋』のようなもの」だと説明する。

Squareは9月28日、東京・虎ノ門にて日本初の開催となるプライベートカンファレンス「TOWN SQUARE TOKYO 2015」を開催。橋とは、その冒頭に登壇したDorsey氏の言葉だ。

Squareは2009年、米サンフランシスコで設立された。2010年には米国でサービスを開始。日本では三井住友フィナンシャルグループの三井住友カードと提携し、2013年5月にサービスを開始した。専用のリーダーを使ったカード決済のほか、レジやレシート、アナリティクス、請求書などの機能を一元的に提供している。料率は3.25%。国内では楽天の「楽天スマートペイ」、PayPalの「PayPal Here」、コイニーの「Coiney」などの競合サービスがある。

冒頭の「橋」の話に戻ろう。Dorsey氏はサービスを提供して間もない頃から、Squareについてゴールデンゲートブリッジを例にして語っている(こちらは2011年のTechCrunchの記事だ)。それは、優美なデザインを持っており、100%いつもそこに立っている(=信頼できる)プロダクトであるということ。その橋を行き来することで、様々な人がビジネスを実現する——Squareはそういう存在なのだという。

加盟店は国内10万店舗に

Squareが日本でサービスを開始して2年。国内の加盟店は現在10万店以上。個人事業主からミドル・スモールマーケットを中心に加盟店を拡大。業種でいえばアパレルなどの小売店を中心に、飲食やサービス、さらにはイベントやライブ会場など移動を前提とした店舗での利用も拡大している。

当初の利用は都心部が中心だったが、現在では地方にも加盟店は拡大。北は北海道の寿司屋から、南は沖縄のカフェまで各所で利用されているという。競合各社が加盟店舗数やアクティブな利用率を出していないので、比較することが難しいところはあるが、少なくともSquareは国内で成長しているということのようだ。

Squareの加盟店はミドル・スモールマーケットが中心

Squareの加盟店はミドル・スモールマーケットが中心

また大企業への導入も進んでいる。Square最高事業責任者のフランソワーズ・ブロッカー氏は、ローソンやタワーレコード、横浜DeNAベイスターズなどもSquareを利用していると説明。ユニクロを展開するファーストリテイリングでも、代表取締役会長の柳井正氏の提案で2013年10月より試験的に導入。当初は特設コーナーなどで利用していたが、徐々にその利用範囲を広げているそうだ。「感謝祭(セール)などではレジの台数を増やすが、これがSquareだとスピーディーかつ省スペースで実現できる。店舗によっては 臨時のレジだけでなく、常設レジとして導入している」(ファーストリテイリング 業務情報システム部部長の岡田章二氏)

 

競合のローンチ、焦ることはなかった

Squareに出資し、国内でサービスを共同展開するのは三井住友カードだ。取締役会長の島田秀男氏が語ったところによると、同社は2011年にSquareにコンタクトを開始した。「テクノロジーがビジネスを変える時代を強く感じて、社内の若手をシリコンバレーに向かわせた。これをきっかけに日本でビジネスを展開できないかと話し合いを重ねてきた」(島田氏)。 Squareの企業理念は「Make Commerce Easy(商業活動をシンプルに)」。これがユーザー視点を重視する自社の考えともマッチしたと語る。

国内でSquareの競合を見てみると、2012年10月にCoiney、2012年12月に楽天スマートペイが先行してサービスを開始している。だが島田氏は「(Squareの)サービス開始より少し前に他社が類似サービスをローンチすることになったが、焦ることはなかった 。一番早く提供するよりも、お客様に満足頂けるのが一番だと考えた。そして入念な準備期間を経てサービスを提供するに至った 」と語る。

またSquare日本法人のカントリーマネージャーである水野博商氏は、Squareが米国の企業であることから、参入当時に「黒船が決済市場を食いに来た」と言われたことを振り返った上で、初期コストやスペースの問題でこれまでカード決済を導入していなかった企業や店舗がSquareを導入しているため、「市場を食うのではなく、広げている」とした。

Squareの利用動向。円の大きさが決済額の大きさを示す

Squareの利用動向。円の大きさが決済額の大きさを示す

10月にはICカード対応端末を発売。国内で新サービスも

そんなSquareだが、すでに発表されている通り、10月1日よりこれまでの磁気型のクレジットカードに加えて、EMV(ICカードの国際標準規格)に対応した「Squareリーダー」を販売する。メーカー希望小売価格は4980円となっているが、10月31日までに決済受付を開始した事業者に対して4980円分の決済手数料を還元する。大手量販店やAmazon.co.jpなどで購入可能だ。

また機能面でも、現在米国で提供中のギフトカード(加盟店が独自デザインで発行可能)を年内にも国内で提供するほか、特定の属性の顧客に対してプロモーションを行うような顧客管理機能についても2016年をめどに提供していくとしている。

Georamaは世界旅行をVRで提供、しかもそれはガイドが自分のツアー企画を売り込むマーケットプレースでもある

7-georama_snapshot_360-tour

4~5世紀の哲学者アウグスティヌスは、“世界は一冊の本であり、旅をしない者はその1ページしか読んでいない”、と言った。お金や体の理由で旅ができない者には、酷な言葉だ。Georamaは旅行をVR化することによって、そんな人たちを助けようとする。そのVRは、HDのビデオで構成され、企業向けのサービスはすでに提供しているが、今日はDisruptのStartup Alley(展示会場)で消費者向けのサイトを披露した。

旅行代理店がネット化することによって旅行産業に革命が起きたが、Georamaは仮想旅行の最人気サイトになることによって、ツアーそのものをオンライン化するつもりだ。

Georama tours

Georama

同社が2012年に創業されたとき、本誌TechCrunchも取り上げた。当時は地図を使用する旅行検索サイトだったが、ファウンダのNihal Advaniによると、オンラインの旅行プランニングという業態はすでに競争が激しくて、食い込むのは難しかった。そこでGeoramaは、遠距離の旅行ができないけど旅行願望は強い、という人びとのためのサービスへと、方向転換をした。

最初はB2Bでスタートし、たとえば大学のキャンパスツアーを世界中に提供したい学校法人や、子どもの患者に仮想旅行で動物園や博物館/美術館やそのほかの楽しい場所を見せたいと願う病院などを顧客にした。

Georama app

しかしGeoramaの消費者向けサイトはガイドのマーケットプレースとして機能し、彼/彼女が自分で企画したツアーに基づいて、GeoramaのAndroidアプリ(目下非公開ベータ中)やGoProのようなウェアラブルカメラ、ときには360度カメラで撮ったHDビデオを、ストリーミングで提供する。その仮想ツアーを見るのは無料だが、ガイドに特別の質問やリクエスト(ナニナニを見たい、とか)をするのは有料だ。

高品質なオンラインツアーは、Arounderなどが提供している。MeerkatPeriscopeのようなリアルタイムのビデオストリーミングサービスも、今後コンペティタになるかもしれない。それらの中でAdvaniが主張するGeoramaの差別化要因は、ネットワークの品質が良くないところでもHDでビデオを見られる同社のソフトウェアと、またできるだけ多くのVRヘッドセットとの互換性があることだ。

Georamaの消費者向けサイトには今、サンフランシスコ、ニューヨーク、シカゴ、イスタンブール、ソウル、ミラノ、コペンハーゲンなどの都市を案内する30名のガイドがいる。詳しくは、彼らのツアースケジュールをチェックしよう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

他業界に奪われたシェアを取り戻す——クロスカンパニーがアパレルのレンタルサービス「メチャカリ」を提供する理由

2016年のIPOも報じられるアパレルメーカー、クロスカンパニー。同社が今、「アパレル×テクノロジー」の領域を強化しているのをご存じだろうか。TechCrunchで4月に報じたとおり、ネットを利用した宅配クリーニングサービスを提供するスタートアップ「BASKET」を買収。現在は同社の代表取締役社長である松村映子氏を中心に、社内に70人規模のエンジニアチームを組織する準備をしているという。

そんなクロスカンパニーが9月16日、自社のアパレル商品をレンタルするサービス「メチャカリ」を開始した。

mecha

メチャカリはスマートフォンアプリを使ったファッションレンタルサービス。月額利用料は5800円。アプリ上に掲載されるファッションアイテムを最大3点までのアイテムをレンタル可能。アプリ上で申請して返却(送付時に返却用の袋や送付状が付属する)すれば、返却した点数だけ再びレンタル可能になる仕組みだ。当初は同社の女性向けアパレルブランド「earth music&ecology」の商品のうち、靴やアクセサリーを除く1000パターン以上の商品を取り扱う。

60日間レンタルしたアイテムは返却せず、自分のものにできるのが大きな特徴だ。60日経過したタイミングでレンタル中のアイテムとして表示されなくなり、そのアイテム以外で最大3点のレンタルが可能になる。なお返却時には500円の手数料がかかる。ちなみにレンタルで届く商品はすべて新品なのだそう(理由については後述)。

同社はこのサービスに3年で8億円の投資を行う予定。もちろん収益化は検討しているが、クロスカンパニー ウェブマーケティング部課長の澤田昌紀氏によると、それ以外の意図があるのだそう。

背景にあるのは「若者のファッション離れ」

また「若者の○○離れ」の話か……と思う読者もいるかも知れないが、実際、若い世代のファッションへの支出は年々減少している。総務省の調査データによると、若年層女性がファッションアイテムにかける1カ月の金額は2008年で1万7287円だったが、2014年では1万718円になっている。もちろん経済動向など、金額だけで判断できない話ではあるが、7年で約4割も減少しているのは事実だ。

「業界では、アパレルがシュリンクしているというのは周知の事実。(自社の商品も)10〜20代に人気というイメージだが、実際の売上を見ると20代後半がボリュームゾーンで、若年層がファッションから離れている状況。どうやったらティーンにもっと興味を持ってもらえるかが課題だった」(澤田氏)。つまりこのサービスには若年層へのマーケティング的な意味合いもあるのだという。

TechCrunchで紹介しているサービスで言えば、スタートアップのノイエジークが「airCloset」を展開して人気を博しているようだ。だがアパレルメーカー自らがレンタルサービスを提供するのは、同社いわく「初の試み」だという。「例えばUBERなどは(タクシー業界の)事業主体ではない(ネット業界の)人たちがサービスを開発して、世の中のライフスタイルを変えていた。クロスカンパニーは自らがライフスタイルを変えていきたい。極端な言い方になるが、他の業界に奪われたシェアを取り戻したい」(澤田氏)

マーケティング視点でのサービスとはいえ、もちろんサービス単体でのマネタイズも視野に入れる。ユーザー数30万人で黒字化できるとのことで、3年の投資フェーズではまずその数字の達成を目指す。

メーカーがレンタルサービスを提供する強み

澤田氏はアパレルメーカーがレンタルサービスを提供する強みとして、「自社ECとの連携」があると語る。

メチャカリのシステムは自社のECと連携しており、販売在庫をそのままレンタルに回すのだという。そのためレンタルするアイテムはすべて新品だし、在庫も豊富だ。また返却した商品は検品の上でアウトレット商品としてECサイトで販売するという。

これは何を意味するのか? メチャカリは、ユーザーにとっては「レンタルサービス」ではあるが、同社にとっては、返却フロー以外を除けばECの在庫・物流をそのまま転用したサービスということだ。

また既存のレンタルサービスであれば、商品を貸しだして、返却後に検品し、次に貸し出すという「1点1点の管理」が必要だが、同社では返品後にアウトレットに回すため、その管理の必要がない。要はレンタルサービスのガワをかぶったサブスクリプション型ECなのだ。

ではこんなサービスを提供して本業のECに影響が出ないのだろうか? 実際テストでサービスを提供したところ、もともと購入頻度の高いユーザーについては月額の平均購入額が上がり、購入頻度が一般的なユーザーについては購入額に変化はなかったということで、「服の好きなユーザーは、服を借りることで、一層購入する」という行動が見えているのだという。

モバイルでの買い物体験を単純化したStripeの新サービスStripe Relayについて協同ファウンダのJohn Collisonが語る

決済サービスのStripeが昨日(米国時間9/14)、Stripe Relayと呼ばれる新しいツールをローンチした。これは、リテイラーがbuyボタン(‘買う’ボタン)を複数のプラットホームに置ける機能で、StripeのJohn Collisonによれば、これにより、モバイルのWebサイトをあちこち言ったり来たりする面倒がなくなる。上のビデオでは、Relayの詳細とその技術について彼にインタビューしている。

Stripe Relayでは、商業者が製品を店に出したらそれをパートナーにプッシュできる。たとえば最初のパートナーの一つであるTwitterでは、商業者が自分のツイートにStripeのbuyボタンを置き、消費者はそのツイートから直接、買い物ができる。目標は、ネイティブアプリにいる状態のまま、確実に買い物ができることだ。

このプロダクトは、モバイルにおける買い物の面倒臭さをなくそう、という動機から生まれた。これまでは顧客が複数のWebサイトを訪れ、大量の情報を入力してから、やっと買い物ができた。クレジットカード情報を入力したり、サイトにサインアップしたり、あるいはパスワードをリセットするなど、たいへん面倒な買い物手順だった。もちろんそれは、リテイラーのビジネス機会も損なっていた。

 

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

フリマアプリ「メルカリ」で匿名配送が可能に——配送事故や模倣品の補償プログラムも発表

匿名配送機能のイメージ

匿名配送機能のイメージ

 

ヤマト運輸と連携し、4月から全国一律料金の配送サービス「らくらくメルカリ便」を開始したフリマアプリ「メルカリ」。サービスを提供するメルカリは9月10日、そのらくらくメルカリ便において、出品者、購入者が互いの住所や氏名を相手に伝えることなく商品を送付できる匿名配送機能を提供することをTechCrunchに明かした。9月中旬より、希望者を抽選して試験的にサービスを開始。ユーザーの反応などを見て数カ月以内にも正式にサービスを開始する。

らくらくメルカリ便は、出品者がヤマト運輸の直営店に配送する商品を持ち込み、直営店にある端末「ネコピット」にQRコード(メルカリで契約成立した際にアプリ上で生成される)をかざすことで送り状が印刷され、サイズ・重さにより全国一律で195円から商品を送付できるというサービス。利用数などは非公開だが、「想定より多い。料金が全国一律で分かりやすく、しかも安い。ヤマト運輸でも新商品を提供するのと同じタイミングでスタートしたこともあって、ヤマト側としても一緒にやりやすかった」(メルカリ取締役の小泉文明氏)のだそう。

今回の匿名配送機能を利用する際も出品者のとるフローは同じだが、ネコピットで印刷される送り状は宛先欄・送付欄が空白のままになる。もちろんただ空白のままではヤマト運輸のドライバーが配送できないのだが、バックグラウンドでメルカリのデータベースとヤマト運輸のデータベースが連携しており、商品にはそれぞれドライバーだけが閲覧できるデータが紙で添付されるが、ドライバー以外が送付先の住所などの個人情報を知ることはないという。

またメルカリでは、この匿名配送機能と合わせて、補償サービス「あんしんメルカリケア」の提供も開始する。

これはらくらくメルカリ便利用時に限り、配送事故により商品が破損・紛失した際の商品代金を全額補償するほか、らくらくメルカリ便の使用に限らず、届いた商品が模倣品だと判明した場合に取引について調査し、その上で商品代金を全額補償するというもの。

メルカリいわく、こういった補償自体はカスタマーセンター(現在仙台約80人、東京約30人が24時間365日稼働し、問い合わせおよび規約違反への対応を行っている)への問い合わせベースで個別対応していたのだそうだ。だが「実質やっているのであればよりサービスへの安心感を持ってもらおうとなった。 2年サービスをやってきた中で財務的なノウハウもたまってきた」(小泉氏)ということで今回正式に発表することになったのだという。

メルカリのアプリダウンロード数は国内外2200万件以上(米国だけで400万ダウンロード以上)。月間の流通総額は数十億円で1日の出品数は数十万件と大きく成長した。そうなるとウェブサービスに不慣れなユーザーの割合も増え、「サービスが難しそう」「何かトラブルがあるんじゃないか」という不安が生まれることになる。前者に対してはアプリ自体の改善を進めるが、後者に対しては今回発表したような安心・安全に向けた取り組みをアピールしていくことで、さらなるサービスの利用に繋げる考えだ。

 

お店やブランドにモバイルショッピングのためのネイティブアプリとリファラル貼り付けを提供するPredictSpring

predictspring-cole-haan

長年Googleにいて、Google Shoppingなどさまざまなプロダクトのマネージャを務めたNitin Mangtaniが、自分のスタートアップPredictSpringを立ち上げた。ブランドやリテイラーが、モバイルのコマースで快進撃できるための総合サービスだ。

PredictSpringのようなサービスの将来性を彼はどう見たのか、Mangtaniが指摘するcomScoreの数字によると、リテイルのサイトの閲覧の60%はモバイルデバイスからだが、そういうデバイスからの売上はネット上の総売上の15%にすぎない。

“モバイル上のユーザ体験は消費者の需要に追随していない”、と彼は言う。“でも消費者は、モバイルでもeコマースを利用したいと思っているのだ”。

需要をつかまえるようなユーザ体験を作るためにPredictSpringが作ったのはモバイルアプリの開発プラットホームで、そこでは企業やお店がコードを1行も書かずに、ショッピングができるアプリを作れる。今すでにCole HaanやEddie Bauer、Bluefly、WoodcraftなどがPredictSpringのユーザ企業だが、MangtaniがPredictSpringについて公に話をするのはこれが初めてでも、同社の最初のアプリは昨年の終わりごろから動き始めている。

PredictSpringはまた、ファッション界の大物Silas ChouのNovel TMT GroupとBeanstalk Venturesから200万ドルの資金を獲得している。

モバイルのeコマースの現状についてMangtaniは、Uber、HotelTonight、Airbnbなど成功例はいくつかあるが、でもショッピングアプリの多くがネイティブアプリの大群の中でささやかな日陰者だ、と認識している。つまり、モバイルにおいても消費者は、eコマースのWebサイトに連れて行かれることが多く、企業やお店の、ショッピングのための独自性に富む(==おもしろい、ユニークな)ネイティブアプリはとても少ない。Amazonのようなeコマース専業の大物になると、アプリはあるけれども。

そこでPredictSpringのプラットホームは、各ブランドやお店のための、100%ネイティブのショッピングアプリを作る。この点が重要だ、とMangtaniは言う。なぜならモバイルの重要なイノベーションは、モバイルWebではなくアプリ上で次々と生まれているからだ。Cole Haanのお客の全員がCole Haanのアプリをダウンロードすることはなくっても、固定客や上位客は、アプリを使うほうが便利と感ずるだろう。専門店のアプリが顧客に与えるべき良質なユーザ体験とは、買い物がとてもしやすいことだ。

しかもPredictSpringのサービスの主軸は、アプリの制作だけではない。同社がローンチしたCommerce Gatewayというサービスは、ソーシャルメディアなどに広告を出している企業が、広告に買い物機能を持たせ、[買う]ボタンを装着できるツールだ。たとえば上述のCole Haanは、PredictSpringでモバイルアプリを作っただけではなく、Instagramのフィードから直接、ショッピングをサポートしている。

Commerce Gatewayは今後企業にAPIを提供して、彼らが自分のeコマースプラットホーム本体や、在庫管理システム、決済プロバイダ、製品カタログ、ポイントやスタンプなど固定客増大のための工夫、などなどを統合化できるようにしたい、という。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「食料需給のミスマッチを解決する」肉や野菜の直接取引プラットフォーム「SEND」が正式オープン

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

業務フロー_o

6月に紹介したプラネット・テーブルの食材・情報取引プラットフォーム「SEND(センド)」。これまで試験的に一部ユーザーにげんていして提供してきたこのサービスが8月25日に正式オープンした。今後は広く利用希望の生産者や飲食店を募集。承認制で順次サービスを提供していく。

SENDは特長やこだわりのある食材を持つ生産者と、そんな食材を使いたい飲食店のシェフをつなぎ、オンライン上で直接取引を行うプラットフォームだ。取引だけでなく、トラック(現在は1台。間もなく2台目を導入予定)による配送や倉庫での保管についても同社が担当する。当初は広尾や恵比寿、六本木などを中心に、客単価5000円以上で食材にこだわる飲食店をターゲットにサービスを展開する。試験運用時には約30件の生産者と約60店舗の飲食店らがサービスを利用している。取り扱うのはおもに肉と野菜。今後はラインアップを拡充する予定だが、鮮魚については扱う予定がないという。

前回の記事でも紹介したが、SENDはもともとプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏が「食料需給のミスマッチを解決する」という考えのもとにスタートしていることもあり、取引される食材にも特徴があるという。

smartphone2

通常であれば野菜などは色やサイズなどの規格を分けて梱包し、発送するのが一般的だが、生産者はそれをまとめてSENDに送れば、同社の倉庫(オフィス内に業務用冷蔵庫が並んでいる)にてサイズ等を振り分け、需要に合わせて最適なかたちで飲食店に配送するといった仕組みをとっている。

また生産者は自身のプロフィールや商品をSENDに登録できるだけでなく、SENDが飲食店サイドからの要望をヒアリングし、「こんな野菜が欲しい」といったリクエスト情報を知ることができる。

飲食店サイドは、あらかじめ住所等を登録しておけば、生産者が登録した食材を選択し、発注量の個数を入力するだけで商品を注文できる。「これまでは紙に数量を書いてFAXで発注していた。同じように個数を入れるだけ。シェフは『電話、FAXより楽でないと嫌』と言っていたが、SENDなら冷蔵庫の前で食材を見ながらスマホで発注できる」(菊池氏)

冒頭では「直接取引」と紹介したのだが、厳密に言うと少し違うところがある。実はSENDでは、プラットフォーム上の流通データを分析して直近の発注量などを予測しており、事前に生産者に発注を行っている。そのため、現在サービスを提供している都心エリアであれば、シェフが注文した食材を当日、もしくは翌日の指定時間に届けることが可能だという。

なおSENDはポケットコンシェルジュやCyta、Rettyなどのサービス開発経験があるStartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏が“社外CTO”として開発を担当している。「 スタートアップの我々には、この難しいテーマに取り組めるエンジニアチームを雇うコストはなかった。 それであれば サービス要件定義までは我々が担当し、その先はただの外注ではなく、フェアな関係でトップクラスのエンジニアやチームに開発をお願いしようとなった。エンジニアを社内で1から教育していれば時間はかかったが、テストを含めて2カ月でサービスを提供できるまでになった」(菊池氏)

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

 

Amazonの紙おむつ・洗剤・トイレットペーパー迅速注文ボタンDashをハックして何でもやらせられるボタンに

dash

今週の創造力の火付け役は、何がいいかな? Amazonの、目的は一つしかないのに5ドルもするDashボタンはどうだろう?

Dashボタンは、頻繁に必要になる家庭用品を簡単迅速にAmazonにオーダーできる小さなハードウェアだ(上図)。上図の、洗剤「Tide」のボタンを洗濯機にくっつけておくと、洗剤がそろそろ少なくなってきたとき、それを押すだけで注文できる。しかしCloudstitchのCTO Ted Bensonは、このボタンに何でもやらせる方法を見つけた。

詳しくはBensonが書いた記事を読むべきだが、そのキモは:

  • Dashは押すたびにユニークな信号を送ることに、Bensonは気づいた。
  • Dashを開けてハードウェアそのものを改造するのは面倒そうだから、Bensonはネットワーク上の信号に目をつけた。その信号を自作のスクリプトで加工すれば、何でもやりたい放題になる。彼のデモでは、赤ちゃんの紙おむつを注文する信号をGoogle Spreadsheet(スプレッドシート)のレコードに変え、もうひとつのボタンは彼の赤ちゃんが昼寝から覚めたことを記録する。
  • Dashが商品を注文しないようにするためには、最初のセットアップで商品を注文しないように構成すればよい。SKUを入力しなければ、何も注文されない。

なお、Amazonから入手した状態のままのDashは自力で動くが、改造Dashが動くためにはコンピュータが必要だ。ネットワーク上でボタンが押されたことを検出したら、すぐに反応しなければならない。そこらが、ちょっと難しいが、でもやはり、楽しいハックだ。


[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonの労働環境を非難するニューヨークタイムズの記事にジェフ・ベゾスが「全くの誤り」と猛反論

2015-08-18-bezos

先週末、New York TimesはAmazonの労働環境に関する長い記事を掲載した。まだ読んでいないなら目を通すようお勧めする。

執筆者のJodi KantorとDavid Streitfeldは100人以上の現在と元の従業員にインタビューしてAmazonの人事、労務、健康の管理に関するホラーストーリーを集め、その労働環境を「熾烈」と評した。

Amazonの存在の巨大さを考えれば当然だが、この記事は激しい議論を巻き起こしている。New York Timesの記事が正確なら、 Amazonの労働環境は考えられるかぎり最悪のレベルだ。しかしTwitterの前CEO、Dick CostoloやベンチャーキャピタリストのMarc Andreessen、Keith Raboisなどテクノロジー業界のビッグネームは「ディスラプティブ」なテクノロジー企業に起きがちな些細なエピソードだ としてAmazonを弁護した。

しかし、Amazonのファウンダー、CEOのジェフ・ベゾス自身はそのような弁解はせず、猛然と反論した。

Amazonの本社があるシアトルを本拠にしたテクノロジー・ブログ、GeekWireの記事によれば 「この記事は私が愛し、毎日働いているAmazonを正しく描写していない」とベゾスは社内向けメモで書いている。

「New York Timesの記事に描かれているような会社には正気の人間は誰もとどまろうとしないだろう。そんな会社なら私はとっくに辞めている」とベゾスは書き、続いて記事にあるような社員に対する不当な取り扱いの例があるならベゾス自身に報告して欲しいと付け加えた。

「Amazonは記事にあるような会社ではないと信じる。優秀なチームメートと共に笑いながら楽しく未来を作っていく会社であると信じている」とベゾスはメモを結んでいる。

GeekWireも指摘しているとおり、Bezosが個別のニュース記事に反応するのは珍しい。それだけにこの部内メモは注目される。

New York Timesの記事は、ジャーナリズムによくある「結論を決めてそれに合う証拠だけを集めた」のか? 解雇されたことを恨んで復讐を図ろうとする元社員に影響されているのか? それともベゾスが記事によるイメージダウンを避けようと必死になっているだけなのか?

すでにAmazonの元社員の一人Nick Ciubotariuが非常に詳細な反論をLinkedInに投稿した。Ciubotariuは「この記事は現在と過去のエピソードをごたまぜにしてAmazonを非難している」と書いている。他の元社員も意見を公開するかどうか興味がもたれる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

アジアでのネット販売は複数のeコマースの利用が必要不可欠な難題…その総合サービスを提供する香港のBranch8

screenshot-2015-08-12-05-04-52

アジアはアジアというたった一つのラベルを貼ることが無意味なぐらい、文化も民族も多様だ。まあそれは、地図上の特定の範囲の呼称にすぎない。言語など、ほかの文化要素に負けず、eコマースもアジアのそれは多様性が激しい。

アジアには、西側のAmazonやeBayに相当する単一の支配的勢力がない。中国ではAlibabaとJDが優勢、日本はRakuten、韓国はCoupang。東南アジアや南アジアなどの途上国市場は、もっと分裂していて、Rocket Internetはここに足場を築くために10億ドル近くを費やした。とりわけインドでは、Flipkart、Snapdeal、Paytmなどの地元勢力がAmazonと互角に戦っている。

競争があって選べることは消費者にとって嬉しいが、商業者にとっては厄介だ。アジアでできるだけ多くの国で売ろうとすれば、五つか六つのeコマースサイトと付き合わなければならない。複数のサイトで売ることが面倒であるだけでなく、在庫管理、需要予測、パッケージの手配など、商業者として日常やるべき業務も複雑多岐になる。その仕事量たるや膨大で、一商業者が片手間でやれるようなタスクではない。

そこでeコマース商業者のマルチサイト展開を助けるサービスが、必要になる。ここでご紹介するBranch8が、まさにその一つだ。同社は、商業者が複数のサイトで売ることを、簡単にできるようにしてくれる。

Branch8のファウンダたちは全員、eコマース畑の古強者だ。CEOのElton ChanはRocket InternetのLazadaで電子製品の販売を担当し、CTOはFacebookとMicrosoftにいた人物、そしてCOOとCPOは前歴が、いろんなマーケットプレースで売ってきた有能なリテイラーだ。…Branch8は、複数のマーケットプレースで売りたい人を助けるワンストップショップ(なんでもやってくれるサービス)を志向している。

ChanはLazadaにいたとき、このようなサービスを着想した。さまざまな売り手(商業者)を相手にする機会が多かったからだ。“彼らのアカウントを見ると、いろんな国のいろんなマーケットプレースで商売することの難しさが、まるで自分のことのようによく理解できた”、と彼は語る。

Branch8はオフィスは香港にあるが、Y Combinatorの今年の夏のクラスに参加した。5月には招待制でローンチし、そして今ではすべての商業者が利用できる。現在のユーザは1000社(店)近く、製品(商品)は60万種以上、そして彼らの、Branch8プラットホーム上の各月の売上は100万ドルを超えている。

ローンチしてまもなくの今、サポートしているeコマースサービスは、AmazonとLazada、Rakuten、eBay、そしてJumiaのみだが、同社は売ることだけでなく、トラフィックの分析や、他社(他店)の売値のチェック、商品の他プラットホームへの移行、サードパーティのロジスティックサービスの利用、などもサービスに含めている。Chanによると、こういう一連の付加価値が、ユーザである商業者から見てBranch8の強みになるはずだ。

Chanはこう語る: “うちの差別化要素は分析だ。SKUベースでトラフィックを追えるツールは、ほかにほとんどない。価格調査や新しいプラットホームへの移行(展開)も、各商業者が単独でやれば厄介なタスクになるが、それをうちは自動化している”。

このサービスは最初の3ヶ月は無料だが、その後は毎月315ドルからの有料になる(最高は715ドル)。商品の種類が多いほど、そして上記のような顧客サービスのリクエストの頻度が多いほど、料金は高くなる。

YCは対象をNPOやバイオにも広げるなど、多様化に熱心だが、香港など合衆国以外の地域でのアクセラレータ業務はまだ経験が浅い。しかしそれでも、Chanによると、とくにプロダクト開発の面では、YCの存在が大いに助けになっている、という。

“うちは学ぶことに貪欲だから、YCからも多くのことを学んだ。とくにネットワークの使い方や、プロダクト開発のやり方がとても役に立った。YCのメンター制度は有益で、新しい考え方に目を開かせてもらえた”、と彼は述べている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

eコマースサイトがなるべく少ないメールで実買率を上げるサービスBizzy

screen-shot-2015-08-11-at-10-02-25-am

混雑したインボックス(受信トレイ)ほど、いやなものはない。個々のeコマースサイトは、お客様に嫌われたくてメールを送ってるわけではないが、結果的には最悪の嫌われ者になっている。

今Y Combinatorで特訓中のBizzyは、eコマースのサイトが、なるべく少ないメールでお客にインパクトを与えられるようにする。

Bizzyは顧客の購入履歴を調べて、今その人にメールを送るとしたらどんなメールを送るべきか、を判断する。

ユーザのeコマースサイトは、まず、Bizzyの顧客データベースにアクセスする。するとBizzyは顧客を複数のバケツに分類する。これまで何も買わなかったお客や、昨日何かを買ったばかりの人、数か月前に買ったけどその後音沙汰のない人、などなど。

そして、それらの顧客のタイプに応じて、今のその人の状況や気持にぴったり、と思われるメールを送る。売り出しキャンペーンが単色一律でなく、顧客タイプに応じて個人化される。

もちろんユーザであるeコマース企業は、Bizzyが生成したメールを目的に合わせてエディットできる。

BizzyはY Combinatorで6週間前にローンチし、MailChimpやMad Mimi、SpringBot、 InfusionSoft、Push Marketなどなどから乗り換えたユーザを抱えている。それらのユーザによると、Bizzyにかえてから売り出しメールの成功率(実買率、コンバージョンレート)が最大で1200%アップしたそうだ。そして従来のやり方に比べて、メールの送付数は60%少なくなった(半分以下になった)。

今このサービスは、Shopifyのユーザしか使えないが、今後Etsyなどにも対応していく予定だ。しかもメールだけでなく、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークや広告ネットワークに対しても、広告〜コマーシャルメッセージの最適化を推進していきたい、という。

  1. get-back-supply.png

  2. mill-crest.png

  3. bizzy-dashboard-shopify.png

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

楽天市場が返品無料の“試着体験”を強化——靴・ファッションECの「ロコンド」が出店

LOCOMALL

返品送料無料で靴やファッションアイテムを試着して購入できるEC「ロコンド」を運営するロコンド。5月にはアルペンからの10億円の資金調達を発表していたが、その際にロコンド代表取締役社長の田中裕輔氏は「今期の黒字化が見えた」と語っていた。そんな同社が楽天のECモールである「楽天市場」に進出。さらなる販路の拡大を目指す。

出店する店舗名は「LOCOMALL(ロコモール)」。当初はロコンドで取り扱う商品のうち約7万点(ロコンドでは季節によって変動するものの、1000ブランド15〜20万点の商品を扱っている)の販売を行うが、今後ラインアップを拡充していく予定。

田中氏は「創業から5年が経過して年商100億円が見えてきた中で、成長曲線を上げていきたい。 サービスの認知度が上がり、品揃えも増えてきたが日本のECユーザーの90パーセント以上は『試して(試着して)買う』という概念をまだ知らない。『サイズが合わないEC』では、ユーザーにとってエンターテインメントにはならない。ECで自分にピッタリのモノを買えることを知ってもらいたい」と説明。まずは店舗感覚で試着できる返品無料のECを体験して欲しいと訴える。

中小規模の店舗が出店する楽天市場だが、その一方ではZOZOTOWNをはじめとしたファッションEC対抗のサービス構築を進めている。2012年に出資したスタイライフを子会社化し、「楽天ブランドアベニュー」を展開するなどしている。

楽天のファッション部門を統括する楽天 スタイライフ事業 事業長で楽天市場営業第四部 部長の松山奨氏は「楽天市場は『商品数が豊富』『安い』に加えて『サイズや色がそろっている』と評価されているが、ユーザーには『高価なアパレルはサイズが分からない』『返品リスクがある』と購入ボタンに踏み切れない心理がまだある」と説明。その上で、「ロコンドの『試着』というエクスペリエンスを提供していきたい」と語る。

実は「試着」によるユーザーエクスペリエンスの向上は楽天が現在注力しているポイントの1つ。7月にはオンラインでのフィッティング技術を持つエストニア発のスタートアップFits.meも買収している

楽天ではロコンドの出店にあわせて返品送料無料商品の特設ページを用意(もともとあったそうだが、実質的にはフルリニューアルとのこと)する。楽天では今後返品送料無料の商品を拡充したいとしているが、これは店舗側の対応によるところが大きいし、ロコンドでも効率的な仕組み作りには苦労したと聞いている。もちろんすでに一部店舗では独自に送料無料をうたっているのだが、大々的な実施に関してはまだ少し先になりそうだ。