Instagram Liveに音声ミュートやビデオをオフにする新機能追加、Clubhouseに対抗

Facebook(フェイスブック)はこれまで、Messenger Rooms(メッセンジャー・ルームズ)内にClubhouse(クラブハウス)の競合となる機能を導入したり、ウェブ上でClubhouseのようなQ&Aプラットフォームのテストを行ってきたが、新たにもう1つの同社最大の製品であるInstagram(インスタグラム)の「Live(ライブ)」機能を活用して、Clubhouseの脅威に立ち向かおうとしている。米国時間4月29日、InstagramはユーザーがInstagram Liveの使用中にマイクをミュートしたり、カメラをオフにしたりできる新機能を追加すると発表した。

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この新機能を使えば、ホストはライブストリームをより柔軟に行うことができると、Instagramは説明する。つまり、ライブ配信中に自分の声や姿を晒さなければならないというプレッシャーを軽減できるというわけだ。確かにそうかも知れない。だが、その本当の目的は、Clubhouseのやり方を参考に、ビデオをオフにすることで、思いがけず発見された幸運な会話を楽しむことを促しているのだ。

これなら人々は外見を気にしなくて済むので、ボイスチャットに参加しやすくなる。さらに、音声のみのチャットであれば、クリエイターはカメラを見つめていることができない家事や移動中など、他のことをしながらでもコミュニティに参加することができる。今までこれは、Clubhouseがライブビデオチャットと比べて使いやすい利点の1つだった。Clubhouseの音声チャットでは、常に会話に全神経を集中させる必要がなく、また、周囲の雑音も気にすることなく参加できる。

現時点で、Instagram Liveのホストは、ライブストリーム中に他の参加者のビデオをオン/オフしたり、音声をミュートしたりすることはできないが、Instagramはこのような機能をライブ配信者に提供することにも取り組んでおり、近日中に導入する予定だという。

Instagramによれば、今週初めに行われたFacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏と、Instagramの責任者を務めるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏によるInstagram Liveで、これらの新機能を公開テストしたとのことだ。

クリエイターのコミュニティを、Clubhouseや他の競合他社ではなく自社のプラットフォームに呼び込むために、Instagramがこの数週間で初めて機能を追加したわけではない。3月には、最大4人が同時に配信できる「Live Rooms(ライブルーム)」という新機能を導入。このLiveルームは、トークショーやQ&Aなど、Clubhouseでよく見られるようなライブを開催したいクリエイターにアピールするためのものだった。また、ファンがバッジを購入してホストをサポートする機能も追加され、収益化を目指すプロのクリエイターのニーズにも応えている。

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Instagramの親会社であるFacebookは、すでにLive Audio Rooms(ライブオーディオルーム)というより直接的なClubhouse類似機能をFacebookとMessenger(メッセンジャー)用に開発中だが、そのテストは2021年の夏にならないと始まらない。また、最初は一般ユーザーではなく、グループや公人にのみ提供される。

一方、Instagram Liveの新機能は、発表同日よりiOSとAndroidの両方で、世界中のユーザーが利用できるようになっている。

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タグ:Instagram音声ソーシャルネットワークClubhouseライブ配信ソーシャルメディア

画像クレジット:Instagram

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ハリウッドの約半分が支持、クリエイターにTikTokで新たなユーザーやエンゲージメントを提供するPearpopが約17.3億円資金調達

ミュージシャン、職人、シェフ、ピエロ、日記作家、ダンサー、アーティスト、俳優、曲芸師、セレブ志望者、そして実際のセレブたちが集うソーシャルコラボレーションマーケットプレイスを展開するPearpopが、1600万ドル(約17億3000万円)を調達した。この資金調達は、ハリウッドの約半分に相当するとも思える支援を得ており、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏のSeven Seven SixベンチャーファームとBessemer Venture Partnersも参加している。

資金の内訳は、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏とGuy Oseary(ガイ・オセアリー)氏のSound VenturesとSlow Venturesが共同で主導し、Atelier VenturesとChapter 1 Venturesが参加した600万ドル(約6億4900万円)のシードラウンドと、オハニアン氏のSeven Seven Sixが主導してBessemerが参加した1000万ドル(約11億円)の追加投資によるものだ。

TechCrunchが最初にPearpopを取り上げたのは2020年のことだが、このスタートアップが何かを成し遂げつつあることは間違いない。そのサービスは基本的に、Cameoのセレブマーケットプレイスでプライベートなシャウトアウトを手に入れるようなかたちをとっており、それを一般化したものだ。ソーシャルメディアのパーソナリティがお金を支払って、より人気のあるパーソナリティに彼らの投稿に対してシャウトアウトやデュエット、コメントを付けてもらうことで、フォロワーを増やすことを可能にする。

「クリエイターエコノミーがクリエイターに公平とは言えない結果をもたらしていることがずっと気になっていました。それが私がPerpopに投資した理由です。私は以前、クリエイターエコノミーにミドルクラスが欠けていることについて語っていますが、その考えが帰着するところです」と語るのは、Atelier Venturesの創設者で、クリエイターエコノミクスに関する記事「The creator economy needs a middle class」の寄稿者であるLi Jin(リー・ジン)氏だ。

「Pearpopに出会ったとき、クリエイティブミドルクラスのクリエイターにとって大きな可能性を秘めているように感じました。このメカニズムを導入することで、より多くのクリエイターが少数のクリエイターの助けになることができ、誰もがエコシステムの中の他の誰かに価値のあるものを提供することができるようになるのです」。

ジン氏はTechCrunchでPearpopを知ったという。「貴メディアの記事を読んで、Pearpopのチームに連絡を取りました」。

このアイデアは注目を集め、ミュージシャン、アスリート、俳優、エンターテイナーなどが数多く参加した。The WeekndのAbel Makkonen(エイベル・マッコネン)氏、Amy Schumer(エイミー・シューマー)氏、The Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)、Diddy(ディディ)、Gary Vaynerchuk(ギャリー・ヴァイナーチュック)氏、Griffin Johnson(グリフィン・ジョンソン)氏、Josh Richards(ジョシュ・リチャーズ)氏、Kevin Durant(ケビン・デュラント)氏(Thirty 5 Ventures)、Kevin Hart(ケヴィン・ハート)氏(HartBeat Ventures)、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Marshmello(マシュメロ)氏、Moe Shalizi(モエ・シャリジ)氏、Michael Gruen(マイケル・グルーエン)氏(Animal Capital)、MrBeast(ミスター・ビースト)氏(Night Media Ventures)、Rich Miner(リッチ・マイナー)氏(Androidの共同創業者)、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)氏が名を連ねている。

「Peapopには、新たなユーザーやエンゲージメントを提供し、同時にクリエイターに与えられる機会を平等にすることで、あらゆるソーシャルメディアプラットフォームに利益がある可能性があります」と、Seven Seven Sixの創設者であるアレクシス・オハニアン氏は語る。「同社は、ソーシャルメディアのマネタイズの再創造に繋がる、革新的かつ新しい市場モデルを生み出しました。ソーシャルメディアの創設者として、また投資家として、Pearpopの今後にはとても期待しています」。

すでにHeidi Klum(ハイディ・クルム)氏、Loren Gray(ローレン・グレイ)氏、スヌープ・ドッグ氏、Tony Hawk(トニー・ホーク)氏は、ソーシャルメディアのプラットフォーム「TikTok」上で、意欲的な投稿者の記事に登場することで報酬を得ている。

同プラットフォームの利用は比較的簡単だ。ソーシャルメディアユーザー(現在のところはTikTokのみ)は、フィードに存在する投稿を送信し、別のソーシャルメディアユーザーが何らかのかたちでこれにインタラクション(コメント、返信としての動画投稿、音の追加など)を持つようにリクエストを行う。リクエストに問題がない(あるいはブランドに一致している)ようであれば、リクエストを受けた人物は言われたアクションを実行する。

そのタスクを実行するソーシャルメディアユーザーは対価の75%を、Pearpopは25%を受け取る。

同社は収益の実数値には言及しなかったものの、2021年中に100万ドル(1億円)規模に達するだろうと語っている。

プラットフォーム上のユーザーが価格を設定し、契約者によるソーシャルメディアへの投稿を増やすために提供するサービスの種類を決定する。

ユーザーのフォローやリクエストのタイプによって、価格は5ドル(約540円)から1万ドル(約108万円)の範囲で決定される。現在、このマーケットプレイスで最もリクエストを受けているのは、TikTokスターのAnna Banana(アンナ・バナナ)氏だ。

こうした類いの取引にはインパクトがある。同社によると、同プラットフォームにおけるパーソナリティは、そのフォロワー数をこのサービスの利用によって増加させることができたという。例えば、Leah Svoboda(リア・スヴォボダ)氏は、 Anna Shumate(アンナ・シュメイト)氏とのポップデュエットによってフォロワー数が2万人から14万人以上に増えている。

まるでディストピアな世界観のSFみたいだ、すべてのやり取りが商品化されて、お金に換えられてしまっている、そんな風に感じるかもしれないが、そういう世界なのである

「Pearpopについて私が最も期待しているのは、クリエイターとしてのコントロールを得られるということです」とTikTokのインフルエンサーであるアンナ・シュメイト氏(@annabananaxdddd)はいう。「同プラットフォームにより、やりたいことをやりたいように投稿することが可能になりました。本当に私らしい投稿ができるので、フォロワーにも満足してもらっています。そこが他のソーシャルメディアとPearpopの違いです」。

タレントエージェントもこの動きに注目している。Talent XやGet Engaged、Next Step Talent、The Fuel Injectorなどのアーリーアダプターは、すべてのタレントをPearpopに追加した。その中にはKody Antle(コーディ・アントル)氏、Brooke Monk(ブルック・モンク)氏、Harry Raftus(ハリー・ラフタス)氏も含まれるという。

「最初のコンセプトは、ギャップからでした。両者にとって価値のあるシンプルかつ自分らしいコラボレーションによってマネタイズすることを、あらゆる規模のクリエイターに可能にできるようなマーケットプレイスがなかったのです」とPearpopのCEOであり共同創設者のCole Mason(コール・メイソン)氏は語っている。「これは人々が待ち望んでいたプロダクトなのだとすぐに分かりました。今では数千という人々が私たちのプラットフォームで、TikTokを皮切りに、ソーシャルメディアにおける自己資産を管理するようになっています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pearpopクリエイター資金調達ソーシャルメディアTikTok

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Dragonfly)

TikTokで聴くキャッチーなヒット曲は偽情報キャンペーンの操作とほぼ同じもの

TikTok(ティックトック)でバイラルになるように曲が操作されているというこのBloomberg(ブルームバーグ)の記事を読んで以来、私の頭の中は1つの考えで埋まっている。それは考えと呼べるほどのものでもなく、ノイズというか、印象というか、つまり、

「うわああああああああああああ」。

そう、内側から湧き出てくる悲鳴だ。ソーシャルメディアのアルゴリズムがどれほど深く私たちの欲望、趣味、そして嗜好を乗っ取っているかを理解したと思った矢先に、ガツン!またしても鼻にジャブが突き刺さった。正直言って、これには不意打ちをくらった。ノックアウトされた。

自分がTechCrunchというウェブサイトで働いているのは十分承知だが、あなたがこの話を聞いて少なくともほんのわずかでもラッダイトのように感じないのであれば、何と言ったら良いかわからない。あなたはおそらく「Matrix(マトリックス)」に出てくるキャラクター、サイファーのように、接続されていることを望むのだろう。

それは手厳しいだろうか?いってみれば、企業は企業として振る舞うものだし、大手レコード会社との提携は、サウンドとビデオの短く巧妙なコンビネーションに磨きをかけようとしているソーシャルメディアアプリにとっては、常識的な動きだ。そして、お金を稼いで少しでも有名になるチャンスに飛びついた、多くの大学生や高校生のクリエイターたちにも敬意を表する。

しかし、キャッチーさが武器化されたときに何が可能になるかを考えれば、それほど厳しいとはいえないだろう。わかっているのは以下のとおりだ。インターネット上のミームや政治的スローガン、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)のヒット曲「Savage」など、情報発信の原動力となるのは、内容の真実性や発言者の信頼性ではなく、(1)いかに簡単に覚えられるか、(2)いかに早く会話を盛り上げられるか、という点にある。

そして、驚くなかれ!これらはまさに、音楽プロデューサーが今日最適化している変数だ。Bloombergの記事が強調しているのは(不注意でか意図的にかは不明だが)、ポップスのNo.1ヒットと政治的な偽情報が、美学的にはさほど変わらないということだ。誰もがエンターテイナーなのだ。

さて、Bloombergの記事を最後まで読んでみよう。ByteDance(バイトダンス、TikTokを所有する中国企業)が、米国でのTikTokアプリ禁止の脅しに対抗して、クリエイターを募り、一見すると草の根的な禁止令に対する訴訟を陰で指揮していたことが明らかにされている。それを見て私は思う。なんてこった。アテンションは、この世界で最も貴重なコモディティだ。そして私たちはそれを……ただで手放しているのだ。

(内側から湧き出る悲鳴が聞こえてくる)

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タグ:TikTokソーシャルメディアByteDanceバイラル

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

パキスタンが一時的にソーシャルメディアをブロック中

TechCrunchが確認した政府発行の通知とユーザーによると、パキスタンは複数のソーシャルメディアサービスを一時的に遮断したという。

パキスタン政府は、パキスタン電気通信庁に対し「Complete Blocking of Social Media Platforms(ソーシャルメディアプラットフォームの完全なブロック)」と題して、Twitter、Facebook、WhatsApp、YouTube、Telegramといったソーシャルメディアプラットフォームを、現地時間の4月16日午前11時から午後3時(日本時間4月16日午後3時から午後7時)までブロックするよう命じた。

この動きは、パキスタンが暴力的なテログループを取り締まり、数日間にわたる暴力的な抗議活動の後、トラブルメーカーが金曜日の礼拝集会を混乱させないようにするための措置だ。

地元メディアの報道によると、パキスタンは今週初め、イスラム教団体「Tehrik-i-Labaik Pakistan」のリーダーを逮捕した後、同組織の活動を禁止した

パキスタンのある企業家がTechCrunchに語ったところによると、この命令は現地時間の午後3時に失効することになっているが、過去の政府の同様の動きを見ると、混乱はもっと長く続く可能性があるという。

パキスタンは隣国のインドと同様に、過去に一時的に国内の電話回線を遮断したことがあるが、パキスタン政府が国内のソーシャルメディアを全面的に禁止したのは今回が初めてだ。

パキスタンは近年、国内で運営されているデジタルサービスのコンテンツをより厳しく管理する方法を模索している。一部の活動家は、パキスタンがあまり説明せずに極端な措置を取っていると述べた。

関連記事:パキスタンが「不道徳で好ましくない」動画であることを理由にTikTokを再び禁止に、3300万人の市場を失うか

カテゴリー:ネットサービス
タグ:パキスタンソーシャルメディアSNS

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(文:Manish Singh、翻訳:Katsuyuki Yasui)

信用できない大手ハイテク企業の自主規制、今、米国議会の行動が必要とされている

本稿の著者Arisha Hatch(アリシャハッチ)氏はColor Of Changeのキャンペーン担当副社長兼チーフ。

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2021年1月に起きた米連邦議事堂での暴動事件を受け、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏がソーシャルメディア界から追放されてから2カ月以上が経った。前大統領の憎悪に満ちたコメントや偽情報は収束しつつあるものの、これからも引き続き警戒が必要である。

今こそ、トランプ氏や同氏の支持者、その他のトラブルメーカーが将来的に過激主義を助長しないようにするためにはどうしたらいいかを見直すべきである。誤報、陰謀論、嘘は情報インフラを破壊し民主主義を脅かす。こうした問題に社会としてどう対処すべきかを考える時なのではないだろうか。

Color Of Changeのバイスプレジデントとして、私と私のチームはこれまでにFacebookやTwitter、Googleといった数十億ドル(数千億円)規模のハイテク企業のリーダーたちと数え切れないほどの会合を持ち、彼らのプラットフォーム上の憎悪に満ちた人種差別的なコンテンツや偽情報に対して常に声を上げてきた。私たちはさらに、これらの問題に適切に対処するため、何百万人ものメンバーが求めている要求を提起してきたが、こういったソーシャルメディア企業にはユーザーや黒人コミュニティの安全を守るための緊急性や責任感が欠如していることがあまりにも多いのが実情である。

白人国粋主義者や極右過激派による連邦議事堂の襲撃は、ソーシャルメディアのプラットフォーム上で拡散されてきたヘイトスピーチや偽情報を何年もの間放置し適切に対処してこなかったハイテク企業にも責任の一端がある。多くのソーシャルメディア企業は、極右過激派や白人至上主義者、国内テロリストに対してプラットフォームを開放し、民主主義の破壊に加担してきたわけだが、この責任を追及し、二度と起こらないようにするためには相当な努力が必要である。

知識の共有システムを回復させ、オンライン上での白人国家主義者の組織化を排除するために、ビッグテックはこれまでのような受け身で表面的なアプローチを捨て、私たちのコミュニティや民主主義に害を及ぼしているこの問題に本気で対処しなければならない。同時に、ハイテク企業の動き監視するために、連邦政府による介入が不可欠なのは明らかである。

私は6年間にわたって企業が説明責任を果たすためのキャンペーンを展開し、ビッグテック企業のリーダーたちと関わってきたため、ソーシャルメディア企業には、民主主義とコミュニティを守るためのポリシーを実施するだけの力やリソース、ツールがあると断言することができる。しかし、これまで巨大企業のリーダーたちは、利益と成長を犠牲にしてまで、プラットフォーム上での危険な誤報、特定の個人や組織を標的にした憎悪表現、白人主義者の組織化を食い止めようとすることはなかった。

その上、巨大なPRチームを駆使し、こういった問題にあたかも対処しているかのように振る舞うのだ。例えばFacebookなどのソーシャルメディア企業は、その時々の問題に対処するため毎度一貫性のないポリシー変更を発表するという受け身な対応を続けている。今回の暴動が起こる前、白人至上主義者や極右陰謀論者、人種差別主義者たちが、こういったプラットフォームを利用して暴力を組織化、勧誘し、扇動することの危険性について、我々Color Of Changeのような提唱者の警告にFacebookのリーダーたちが耳を貸すことはなかった。私たちが長年推奨してきたにも関わらず、トランプ氏を追放することも、より強力なコンテンツ・モデレーション・ポリシーを導入することも、アルゴリズムを変更して誤った情報を広めるFacebookグループの拡散を止めることも彼らは行わなかったのである。

このような脅威は、国会議事堂への襲撃のずっと前から明らかなものだった。Color Of Changeと支持者たちが2020年夏に「#StopHateForProfitキャンペーン」を推進し、1000社以上の広告主がプラットフォームから数百万ドル(数億円)相当の広告を引き上げたときにも、また、Facebookが当組織とメンバーからの圧力を受けて2018年にようやく公民権監査を実施することに同意したときにも、そして2017年、死者を出したバージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義者のデモが行われた前からも、ずっと明らかだったのである。

ソーシャルメディア企業が行動を起こし、差し迫った要求に目を向けるようになったのは、すでに大きな問題が起きてしまった後からのことだ。トランプ氏のアカウントを停止したのも、投票集計に不正があったと主張したグループを削除したのも、また2020年の選挙で投票所での暴力を扇動する投稿や新型コロナウイルスの誤報を積極的に削除したのも、すべて事が起きてからの対応である。しかし現在でさえ、これらの企業はFacebook監督委員会というとって付けたような組織を適切なポリシー実施の代替として立ち上げ、問題に取り組んでいる姿勢をアピールしつつ、トランプ氏のアカウント停止といった問題の最終決定を曖昧にし、責任を回避しているのである。

Facebook、Twitter、YouTubeをはじめとする多くのビッグテック企業は、自社の利益や評判が脅かされると行動を起こすものの、彼らのビジネスモデルはサービス利用の最大化のみを目的として構築されているため、行動が実際に起こされるのは常に問題が起きた後となる。コンテンツが偏向的であればあるほど、エンゲージメントが高まり、コメントやシェアが多ければ多いほど我々の注目を集め、広告主にアピールすることができる。ビッグテックのリーダーたちは、積極的に自主規制を行う意志も能力もないことを証明し、だからこそ議会が直ちに介入しなければならないのである。

議会はビッグテックの巨大な力を抑制するための連邦規制を制定すべきであり、議員は私たちの日常生活に現実的な変化をもたらすような政策、つまり、黒人をはじめとする社会的に弱い立場にいるコミュニティをオンラインとオフラインの両方で保護するような政策を策定しなければならない。

企業の説明責任をないがしろにし、黒人のビジネスや労働者に影響を与える大手ハイテク企業の独占状態を打破するため、より強力な独占禁止法が制定されるべきである。私たちのデータから得られる利益が搾取を助長するために使用されないようにするために、包括的なプライバシーおよびアルゴリズムによる差別禁止法を制定する必要があり、また黒人や低所得者のコミュニティにおける情報格差を解消するために、ブロードバンドアクセスを拡大する他、インターネットサービスプロバイダーがコンテンツや機器によって異なる料金を請求できないようにしてネットの中立性を回復させるべきである。そして、第230条が公民権法の遵守からプラットフォームを免除するものではないことを明確にすることで、情報操作やコンテンツの適正化を図る必要があるのだ。

Color Of Changeをはじめとする活動家やアドボカシーグループからの圧力により、すでに多くの進展が見られている。2020年だけでも、Zoomなどの大手ハイテク企業は多様性の専門家を雇い、Googleは右翼団体プラウドボーイズのウェブサイトとオンラインストアをブロックする措置を取り、TikTokのような主要なソーシャルメディアプラットフォームは、憎悪に満ちたコンテンツを禁止するためのより強力なポリシーを採用し始めた。

しかし、巨大テック企業がソーシャルメディアのプラットフォーム上で煽られた誤報、憎悪、暴力に対処するため、これまでしておくべきだった対策を今更始めたところで、さほど褒められたことではない。我々は次のPR活動や白々しい声明、あるいはFacebookがトランプ氏のアカウントを復帰させるかどうかを決めるのを単に待つつもりもなく、またさらに多くの人の命が犠牲になるまで傍観するつもりもない。

連邦政府と規制当局は、ただちに政策変更を実施してビッグテックに説明責任を負わせるべきである。我が国のリーダーには、ビッグテックが民主主義や地域社会に及ぼしている害悪から人々を守る責任があり、ソーシャルメディアのプラットフォームを規制し、デジタル経済における危険な誘因を変革すべきなのである。連邦政府の介入なしには、ハイテク企業は歴史をひたすら繰り返すことになるだろう。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ソーシャルメディアアメリカColor Of ChangeSNS

画像クレジット:Martin Barraud / Getty Images

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(文:Arisha Hatch、翻訳:Dragonfly)

ライセンスされた音楽をソーシャルメディアで使えるようにするSongclipが約12億円を調達

Songclipのチームは、ソーシャルメディアではもっと音楽が使われるようになるだろうと考えている。

確かに、TikTokやTrillerなど一部のアプリでは音楽はエクスペリエンスの重要な一部だ。しかしSongclipの共同創業者でCOOのJohn vanSuchtelen(ジョン・ヴァンサッテレン)氏は筆者に対し「それは音楽が目玉になることの最終形ではなく、始まったばかりです」と語った。

さらに同氏は「今後9〜12カ月のうちに、カメラが付いていない携帯電話を決して使わないのと同じように、ビデオを作る際に目玉としてミュージッククリップを追加する機能がないアプリは使われなくなるでしょう」とも述べた。

それが、ヴァンサッテレン氏と共同創業者でCEOのAndy Blacker(アンディ・ブラッカー)氏がSongclipで実現したいことだ。米国時間3月9日、同社は新たに1100万ドル(約12億円)を調達したと発表した。

Songclipは、アプリと統合してユーザーが音楽を探し共有できるようにするAPIを開発している(現時点では写真とビデオ編集アプリのPicsArtと統合されている)。ヴァンサッテレン氏は、Giphyで動画クリップを検索して共有できるのと同様に、Songclipは新しいメディアのフォーマットであるショートオーディオクリップを普及させて幅広いサービスで利用できるようにする構想であると述べた。

同氏はこう語る。「もし私があなたに4分間の曲を送るよといっても、それはできないでしょう。それではコミュニケーションをとることができません。音楽を選んでソーシャルの場面で使えるようにするにはどうすればいいでしょうか」。

ブラッカー氏は、これを実現するためにSongclipは音楽のライセンスを扱うことに加え、独自のタグづけとクリッピングをする他、音楽レーベル向けには知的財産を保護するツールと音楽の利用者に関するデータを提供すると説明した。そしてGiphyとは異なり、Songclipはコンシューマ向けブランドにするつもりはないという。

こうしたことはすべて人間のエディターとテクノロジーを組み合わせて実行する。ブラッカー氏は、曲のニュアンスや関連性を理解するには人間が重要だという。例えばサイモン&ガーファンクルの「Bridge Over Troubled Water(明日に架ける橋)」は橋や水の歌ではないし、カトリーナ&ザ・ウェイブスの「Walking on Sunshine」は歌詞に「happy」という言葉は使われていなくてもハッピーな曲だというようなことだ。

Songclipはこれまでに2300万ドル(約25億円)を調達した。今回のラウンドはEvolution VC PartnersのGregg Smith(グレッグ・スミス)氏が主導した。他にThe Kraft Group、Michael Rubin(マイケル・ルービン)氏、Raised in Space、Gaingels、Forefront Venture Partnersや、音楽業界の有力者であるJason Flom(ジェイソン・フロム)氏、Steve Greenberg(スティーブ・グリーンバーグ)氏、そしてバンドのAJRも参加した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Songclip資金調達ソーシャルメディア音楽

画像クレジット:Songclip

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(文:Anthony Ha、翻訳:Kaori Koyama)

世界的テック企業とやり合うEUの主任データ監督者は未だにLotus Notesを使っているという驚きの事実

Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、LinkedIn(リンクトイン)、TikTok(ティックトック)、Twitter(ツイッター)など、EU経済圏に存在する多数のテック大手を担当する主任データ監督者が、EUの重要規制である一般データ保護規則(GDPR)に基づいて申し立てられた苦情や調査の管理に今でもLotus Notes(ロータスノーツ)を使っていることが、Irish Council for Civil Liberties(ICCL)によって行われた情報公開請求によって判明した。

アイルランドのデータ保護委員会(Data Protection Commission:DPC)の2016年の年次報告書には、GDPR(およびePrivacy)の準備段階における主な目標の1つとして「新しいウェブサイトとケース管理システムの実装」をGDPRが施行される2018年5月までに完了することと記載されている。ところが、ICCLの情報公開申請に対する回答によると、5年近く経過した今でも、この情報通信技術のアップグレードプロジェクトは完了していないという。

アイルランドのデータ保護委員会スタッフは、世界最大手のテック企業に対する調査でLotus Notesを使用している。ICCL @ICCLtweetの調査により、@DPCIrelandがGDPRを執行できるようにするための情報通信技術の全面的な見直しが数年遅れていることが判明した。

内部文書(現在は公開されている)によるとプロジェクトの締め切り遅れは何度も繰り返され、2020年の10月までには、DPCの情報通信技術のアップグレード費用は当初の予定の2倍以上、少なくとも61万5121ユーロ(約7890万円)にまで膨らんでしまった(この数字には2016年以降のプロジェクトの人件費は含まれていない。また、アイルランド政府の司法省で生まれた時代遅れのLotus Notesシステムの保守費用も含まれていない)。

欧州の大半のテック大手を担当する主任データ監督者が、このような「前世代」のソフトウェアを使用して申し立てを処理しているという事実が判明したことで、DPCはかなり恥ずかしい思いをしているが、それだけではない。DPCの上層部の能力も疑問視されている。

DPCはテック大手に対する規制執行のペースが遅いという批判を浴び続けているが、それとGDPRのワンストップショップメカニズム(1国のデータ保護機関から承認を得れば他国の当局からの承認は不要となる制度)が相まって、膨大な数の未処理ケースが溜まっており、それがGDPRの弱点になっている(この点は欧州委員会も認めている)。そのため、自身の情報通信技術システムのテコ入れに時間がかかり過ぎているという事実が判明したことにより、規制当局が目的を果たしていないという批判はいっそう強くなるだろう。

問題はそれだけに留まらない。大半のテック大手は人々のデータから莫大な利益を獲得し、その利益で大勢の社内弁護士を雇い、規制介入されるリスクから自身を保護している。そうしたテック大手と、適切な最新ツールもなしにユーザーの権利を保護するという責務を課された、ちっぽけな資金不足の公的機関の間には、資金的にも技術専門知識という点でも大きな開きがある。

アイルランドのDPCの場合、内部の情報通信技術の全面改革にどれくらいの時間を要するかによって、リソースの管理状況に注目が集まる。2015年あたりから、GDPRの施行に合わせてDPCに割り当てられるリソースが増え、予算と人員が補強されている状況ではなおさらだ。

ICCLはアイルランド政府に対し、検査官の2人増員を検討するよう要請している。現在の検査官は、2014年に就任したHelen Dixon(ヘレン・ディクソン)氏1人だけだ。

ちなみに、アイルランドの法律では検査官を3人まで任命できる。

「FacebookとGoogleが我々ユーザーについて知っている情報を乱用しないよう監視する役割を担っている人たちが、あまりに時代遅れのシステムを使用しているので、前スタッフの1人が『そろばんを使って給与支払い処理をやろうとしているようなものだ』と言っていた」と、ICCLのシニアフェローJohnny Ryan(ジョニー・ライアン)博士はTechCrunchの取材に答えて語った。

「DPCは、テック大手の監視という使命を遂行する体制が整っていない」と同氏は指摘する。「今回の調査結果から、DPCは、自組織内の極めて重要なテクノロジープロジェクトさえ実施できていないという事実が明らかになった。そのような組織が、世界最大手のテック企業によるユーザーデータの使用を監視することなどできるだろうか。これはDPCだけでなくアイルランド政府についても深刻な問題を提起している。我々はアイルランド政府に対してGDPRを実施できない場合の戦略的経済リスクについて警告した」。

DPCにコメントを求めたところ「ケース管理システムは機能しており、目的に適ったものだ。このシステムは過去数年にわたって新しい機能(統計や管理レポートの生成機能など)が追加され最適化されてきた」という回答があった。

だが、このシステムは「時代遅れ」で「機能的にも制限されている」ため、新しいDPCウェブサイト、ウェブフォーム、およびEUデータ保護機関とのIMI(情報システム管理)共有プラットフォームに組み込んで使えるようにするため、どの程度まで改良できるかという点については、DPCも簡単ではないと認めている。何しろ、このシステムはLotus Notesのテクノロジーをベースにしているのだ。

「システムの仕様とコアモジュールの構築についてはかなりの作業が終わっている」と副長官のGraham Doyle(グラハム・ドイル)氏はいう。「一部遅れが生じているのは、セキュリティとインフラストラクチャ要素の仕様が更新されたためだ。他にも、DPCからの要請を受けて、EU各国のDPA(データ保護機関)の間における最終判定プロセスの相違の解消に必要な時間を考慮し、作業を意図的に遅らせている要素もある。そうしたプロセスには、GDPRの第60条に述べられている、異なる監督機関の間における協力と一貫性に関するメカニズムに関連したものなども該当する」。

「EDPB(欧州データ保護会議)はGDPRの第60条の運用化、さらには第65条に基づく紛争解決の仕組みの運用化に関する内部ガイダンスの作成に取りかかったばかりだ。これらは、EU各国のDPA間をまたいだ作業の重要な部分であり、システム間のハンドオフ(受け渡し)が必要になる。また、EUは当初の採択予定からほぼ3年経過しても、新しいePrivacy法をまだ採択していない。さらに、DPCは、EU各国のDPAと協力して、GDPRの手続き面と運用面の詳細な実施方法について検討を進めている段階であり、未解決事項もまだ残っている」。

ドイル氏は次のように付け加えた。「新しいケース管理システムに対する投資も継続中だ。新しいシステムの『初期コアモジュール』を2021年の第2四半期にはリリースしたいというのがDPCの意向だ」。

今までのところ、アイルランドのDPCが国境を越えたGDPR申し立てに対して下した判定は、Twitterが2019年1月に公表したセキュリティ侵害について、2020年の12月、同社に55万ドル(約5790万円)の罰金を課した1件だけだ。

このTwitterのケースは、最初の規制執行を巡ってアイルランドと他のEU諸国のDPAとで意見の相違があったため、決定プロセスが数カ月延びることになり、DPCが提示した罰金は最終的に、多数決により最大で数千ユーロ増額されることになった。

このケースへの対応は決して順風満帆ではなかったが、Facebookによる国境越えデータ転送に関する別の(2013年の)申し立て(Schrems II)の審理に、GDPRの施行前から始まって7年以上を要していることを考えると、比較的短期間で解決に至ったといえる。

Facebookの件では、DPCは、Facebookが標準契約条項(Standard contractual clauses:SCC)を根拠に、自らのデータ転送が合法だと主張する申し立てに対して判断を下すのではなく、データ転送のメカニズム自体の合法性を疑問視して法廷で争う選択をした。この件はその後、欧州司法裁判所に送られ、EU最高裁は最終的に、EUと米国間で締結された重要なデータ転送協定を無効とする判断を下した。

法廷での争いに持ち込んだ結果、EUと米国間で締結されたPrivacy Shield(米国への個人データの越境移転を認める法的枠組み)は無効とされたものの、DPCはFacebookによるEUからのデータ転送に関する問題から手を引いたわけではない。2020年9月、DPCは予備一時停止命令を発行した。これに対しFacebookは司法審査を介して即刻控訴した(この審理は一時停止されている)。

2020年、DPCは自身のプロセスに対する司法審査(Facebookに対する告訴人、Max Schrems[マックス・シュレムズ]氏が申し立てたもの)に対して示談に応じ、Facebookに対する申し立てを迅速に決着させることに同意した。判定はまだ数カ月先だが、いよいよ2021年中には最終判定が下されるはずだ。

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DPCは規制執行が遅いという非難に対して、法的な異議申し立てに対抗できるように適正な手続きを踏む必要があるとして自己弁護を図っている。

しかし、DPCに対する批判が続く中、自組織の重要な内部情報通信技術のアップグレードが、最優先事項であると明言してから5年近くもダラダラと長引いているという事実が判明するようでは、批判者を黙らせることなど到底できない。

先週、欧州議会の人権委員会はアイルランドに対して「GDPRを適切に執行していない」とする侵害訴訟を開始するようDPCに要請するドラフト動議を発行した。

同ドラフトには、GDPRは2018年5月に施行されているにもかかわらず、GDPR違反だとする多数の申し立てに対してアイルランドDPCは未だに決定を下していないとする「深い懸念」が記されている。

LIBE委員会は、Facebookによるデータ転送に関するケースSchrems IIを取り上げ「アイルランドデータ保護委員会はGDPR第58条に従って自らの権限の範囲内で申し立てに対する決定を下すことが本分である。しかし、このケースは同委員会自らによって開始された」ことを懸念していると書いている。

また、EU全般のプラットフォーム規制(デジタルサービス法とデジタルマーケット法)を更新する同委員会の最新の計画で、強制執行のボトルネックを回避する提案がされていることも注目に値する。具体的には、1つの加盟国の規制当局が要因で、欧州市民全体のデータ権利が国境を越えて執行できなくなるというリスクを避けるために(これはGDPRで実際に起こり続けていることだが)、テック最大手のプラットフォームに対する重大な規制執行はDPCの組織内で処理すべきだとほのめかしている。

もう1つ、アイルランドDPCには情報公開法が全面適用されず「DPCの一般管理」に関する記録についてのみ適用されるという奇妙な規定もある。つまり「監督、規制、専門家による助言、申し立て処理、調査といった各職務については(ケースファイルも含め)同法に基づく公開要請の対象から除外される」(DPCのウェブサイトより抜粋)ということだ。

2020年TechCrunchが実施した情報公開要請(DPCがGDPRの権限を行使してデータ処理の一時的または完全な禁止を課した回数を尋ねたもの)は、この奇妙な規定に基づいて規制当局により拒否された。

DPCによると、侵害を行っている企業に対して個人データの処理を中止するよう指示したことがあるかという問い合わせに対する回答を拒否したのは、情報公開法が部分的にしか適用されないという理由からだという。DPCは次のように述べている。「一般管理とは情報公開対象組織の管理に関係する記録、具体的には人事、給与、採用、アカウント、情報技術、設備、内部組織、事務手続きなどに関する記録を指す」。

しかし、たとえアイルランドの情報公開法によってDPCの活動の詳細な調査が禁止されていても、同規制当局の規制執行の記録がすべてを物語っている。

関連記事:GDPRの執行力強化を切望するEU消費者保護団体の報告書、プライバシー侵害の懸念

カテゴリー:その他
タグ:EUGDPRSNSソーシャルメディア

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

Instagramに最大4人で一緒にライブ放送できる新機能「Live Rooms」登場

Instagram(インスタグラム)は米国3月1日「Live Rooms」というリクエストの多かった機能をアプリに加えると発表した。この機能では、最大4人が一緒にライブ放送できる。以前はFacebook Liveと同様、ユーザーは自分以外の1人とのみライブストリームができた。ライブトーク番組、拡張Q&A、インタビュー、ミュージシャン向けのジャムセッション、ライブショッピング体験などのようなものを可能にするために、Live Roomsが生放送という形式でよりクリエイティブなチャンスを提供できれば、とInstagramは話す。

これまでよりも多くの人と一緒にライブストリームできるようになったことに加え、Instagramはこの新機能がいかにクリエイターがお金を稼ぐことをサポートできるかについても売り込んでいる。2020年、新型コロナウイルス危機の初期に、Instagramはファンがお気に入りのクリエイターをライブビデオ中にサポートできる方法としてバッジを導入した。購入するとバッジはライブビデオを通してファンの名前の横に表示され、これによりファンはコメントで目立つことになり、またクリエイターのバッジ所有者のリストに自分の名前が掲載されたりスペシャルハートへアクセスできたりといった特別な機能が利用できるようになる。

バッジは2020年秋、より広範に利用できるようになり、価格設定は0.99ドル(約105円)、1.99ドル(約212円)、4.99ドル(約532円)だ。

Live Roomsではファンはホストをサポートするのにバッジを購入できる他、ショッピングやライブ募金のようなインターラクティブな機能を使うことができる。また、モデレーターコントロールやオーディオ機能など、今後数カ月以内に展開される予定のツールも現在開発中だと同社は話す。

Live Roomsを使うには、まず左にスワイプし、Liveカメラオプションを選ぶ。それからRoomに名前を付けて、ゲストを追加するのにRoomアイコンをタップする。すると、一緒にライブ放送することをリクエストした人のリストが表示され、他のゲストを探して加えることもできる。

画像クレジット:Instagram

Live Roomを開始すると、ゲストが追加される間も自身はスクリーンのトップに居続ける。ゲストの追加は好みに応じてまとめて同時に、あるいは個々に行える。なのでファンの参加を継続させるためにライブストリームに「サプライズゲスト」を加えることも可能だ。

ライブストリームにこれまでよりも多くのゲストを加えられるのは、クリエイターがフォロワーベースを増やすのに役立つ。自身のフォロワーに加えてゲストのフォロワーにもLive Roomを告知することができるからだ。

安全のため、Live Room参加者によってブロックされたことのある人はライブストリームに参加するためのアクセスはもらえない。加えて、Instagramのコミュニティガイドライン違反によってライブアクセスが取り消されたことがあるゲストもLive Roomに参加できない。

ライブ放送の間、ホストはレポートやコメントのブロック、全視聴者にとっての安全なエクスペリエンスを維持するためのコメントフィルター使用ができる。

ライブ放送はクリエイター、事業主、ブランドがパンデミックの間、フォロワーとつながるのにかなり重要な手段となった。パンデミックではコンサートや番組、授業、会議、ミートアップといった会場でのライブイベントが閉鎖された。クリエイターや事業者がオンラインに移行したのにともない、2月から3月にかけてLiveの視聴者は70%増加した、とInstagramは報告している。

画像クレジット:Instagram

パンデミックが2020年をゆっくりと通り過ぎ、そして2021年に入り、実際に顔を合わせるつながりの欠如は他の機会や新たなソーシャルネットワークの成長につながった。たとえばライブ音声プラットフォームClubhouseは特にテック系やクリエイティブ系の人々の間で急速に浸透した。そうした人々は今日、ライブ番組やチャットセッション、著名人のインタビューを聴いたりするのにClubhouseを使っている。Twitterは現在、Clubhouseのライバルとなるものを構築中で、報道によるとFacebookも同様だ。

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Clubhouseはかなり異なったエクスペリエンスを提供している一方で、ファンが起業家や創業者、セレブ、マーケット専門家、思想リーダー、インフルエンサーといった著名人たちとつながれるようにしているという広い意味でInstagramと同じ分野のものだ。ユーザーの時間は限られているため、この手のアクティビティがFacebook傘下ではないプラットフォームへ移行するのを目にすることは、Instagramやその親会社にとって懸念されることだろう。

一方、ライブビデオ放送の分野においてはInstagramにはゲームストリーミングサイトTwitch、ライブショッピングアプリその他のものなど、かなりニッチなところにフォーカスしているもの、そしてYouTubeやTikTokが提供しているさまざまな用途に使われるプラットフォームなど数多くの競合するサービスがある(実際、TikTokに関しては4人がライブストリームできるフォーマットが先月発見された)。

関連記事:「ビューティストリーマーのためのTwitch」を目指すNewnessが3.7億円調達

Live RoomsはiOSとAndroidの両方で世界中で展開される、とInstagramは話し、週内には全ユーザーが使えるようになると見込んでいる。

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画像クレジット:Instagram

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

インドは現地時間2月25日、ソーシャルメディア企業、ストリーミングサービス、デジタルニュースアウトレットを規制するための抜本的な新ルールを発表し、アジア第3位の経済規模を誇るこの国を重要な海外市場とみなすFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Google(グーグル)、Netflix(ネットフリックス)などの巨大企業に新たな課題を投げかけた。

インドの法務相兼電子情報技術相のRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)氏は、記者会見で、ソーシャルメディア企業は違法、誤報、暴力的なコンテンツに対する削除要求を24時間以内に受け入れ、15日以内に完全に矯正することが求められることになると述べた。露骨な性的コンテンツのようなデリケートなケースでは、24時間以内に削除することが要求される。

また、これらの企業は法令を遵守することを約束し、現実的な懸念に効果的に対処するため、接点となる連絡窓口と常駐する苦情担当者の名前と連絡先を、インド政府と共有することが求められる。また、企業はインドに現地事務所を設置しなければならない。

この新しい規制は、政府が2018年から取り組んできたものであり、それが発表される数週間前には、インド首都で農民の抗議運動が起きた際、Twitterがインド政府の命令の一部を遵守することを拒否するという出来事があった。インド政府は当時、Twitterは裁判に訴えたり、不遵守を正当化することはできないと述べていた。

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プラサッド氏によれば、ソーシャルメディア企業は、不快なコンテンツの発信者を開示しなければならなくなるという。「我々はコンテンツを知りたいわけではありませんが、企業は誤報やその他の好ましくないコンテンツを広め始めた最初の人物が誰なのかを教えることができる必要があります」と、同氏は語った。WhatsApp(ワッツアップ)は以前、すべてのユーザーのエンド・ツー・エンドの暗号化セキュリティを損なうことなく、このようなトレーサビリティの要求に応じることはできないと述べていた。

また、企業は月ごとに法令遵守報告書を公開して、これまでに受けた要求の数を開示し、実施した措置を明記することも求められる。アカウントの確認を希望するユーザーには、任意選択権を提供しなければならない。

2011年に制定された法律に代わるこの新規則は、小規模な企業には直ちに適用されるが「重要」なサービスには、通達された日(それは「早急」に通達されることになるだろうと、プラサッド氏は述べている)から3カ月の猶予期間が与えられる。

インド政府がこれらのガイドラインをまとめた理由は、市民が「苦情に対処するためのメカニズム」を長い間求めてきたからだ、とプラサッド氏は述べている。インドは2018年から中間業者を対象とした法律に取り組んでおり、2020年にはストリーミングサービスやオンラインニュースの発行にまで対象範囲を拡大した。草案の最終版はこちらで読むことができる。

「インドは世界最大のオープンなインターネット社会であり、政府はソーシャルメディア企業がインドで運営を行い、事業を行い、また利益を得ることを歓迎しています。しかし、彼らはインドの憲法や法律に対し責任を問われることになります」と、プラサッド氏は述べた。

GoogleやFacebookなどの企業が次の10億人のユーザーの獲得を急ぐ中、インドは過去10年の間に米国企業や中国企業の重要な戦場として浮上した。しかし近年、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相の政府は、米国企業に影響を与えるいくつかの規則を施行または立案している。また、2020年にはサイバーセキュリティの懸念を理由に、ByteDance(バイトダンス)のTikTok(ティックトック)をはじめとする200以上の中国製アプリを禁じた。

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プラサッド氏によると、WhatsAppはインドで5億3000万人のユーザーを獲得しており、同アプリにとって最大の市場であるという。YouTubeは4億4800万人、Facebookは4億1000万人、Instagramは2億1000万人、Twitterは1750万人のユーザーを同国で抱えていると同氏はいう。

Facebookはこの新ルールについて検討しているところだと述べている。Netflixはコメントを拒否した。

ソーシャルメディア企業やその他の中間業者のためのガイドライン全文(出典:インド政府

「この新しい規則の義務化は、インターネットプラットフォームがコンテンツを過剰に検閲し、危険で実証されていないAIベースのコンテンツ規制ツールを必要とし、政府に引き渡すために膨大な量のユーザーデータを保持し、サイバーセキュリティと個人のプライバシーにとって重要なエンド・ツー・エンドの暗号化を弱体化させる結果を引き起こすだろう」と、Access Now(アクセス・ナウ)のアジア太平洋政策ディレクターを務めるRaman Jit Singh Chima(ラマン・ジット・シン・チマ)氏は述べている

ストリーミングプラットフォームに対しては、このルールは「コードの遵守と個守」のための3段階の構造を概説している。これまで、Netflix、Disney+ Hotstar(ディズニー+ ホットスター)、MX Player(MXプレイヤー)などのオンデマンドサービスは、インドではカタログの多くを検閲されることなく運営されていた。

インド政府は2020年、テレビのコンテンツを規制するインド放送省が、今後はデジタルストリーミングプラットフォームも監督することになると発表。これを受けて、国際的な大手を含む人気ストリーミング企業17社が、自主規制コードを考案するために団結した。だが、Prakash Javadekar(プラカシュ・ジャバデカール)情報放送大臣は、業界から提案された解決策は適切ではなく、コードの完全な遵守を保証するために政府による監視機構を設けることになるだろうと述べた。

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ストリーミングサービスは、タイトルにコンテンツのレイティングも付与しなければならなくなる。「OTTプラットフォームは、このルールにおいてはオンライン上のキュレーションされたコンテンツのパブリッシャーと呼ばれ、コンテンツを5つの年齢ベースのカテゴリーに自己分類することになります。U(ユニバーサル)、U/A 7+、U/A 13+、U/A 16+、A(アダルト)です。プラットフォームは、U/A 13+以上に分類されたコンテンツにはペアレンタルロックを、Aに分類されたコンテンツには信頼性の高い年齢確認メカニズムを実装することが求められます」とインド政府は述べている。

「オンライン上のキュレーションされたコンテンツのパブリッシャーは、各コンテンツまたは番組に固有の分類されたレイティングを、コンテンツの性質をユーザーに知らせるコンテンツ記述子とともに、目立つように表示しなければなりません。また、ユーザーが番組を視聴する前に、十分な情報に基づいた意思決定ができるようにするため、すべての番組の冒頭で視聴内容に含まれる描写について(該当する場合は)忠告しなければなりません」。

ジャバデカール氏は、ストリーミングサービスを規制するためのパブリックコンサルテーションを行っていません。ストリーミングサービスのための自主規制コードはすでに存在しています。

政府はストリーミングサービスを規制するための法的根拠を持っていません。政府はIT法やケーブル&テレビ法の下でオンラインコンテンツの規制を行うことはできません。

業界の幹部は、インド政府がこの変更について彼らに相談していないと述べ、新たに提案された規制に懸念を表明している。インドのほぼすべてのオンデマンドストリーミングサービスを代表する強力な業界団体であるIAMAIは、ガイドラインに「当惑している」と述べ、政府との対話を求めている。

記者会見でジャバデカール氏とプラサッド氏は、業界と協議する場を設ける予定はあるのかと尋ねられたが、大臣はすでに業界から十分なインプットを受けていると述べた。

今回のインドの動きと並び、世界中のいくつかの政府は、これらのテクノロジー企業が自国の民衆や産業に与える影響を詳細に調査している。Facebookは2月中旬、オーストラリア政府によるニュース使用料の支払いを義務づける法案に反対し、同国でニュース記事の共有・閲覧を禁止したが、その後に同政府との合意に達したとしてニュース記事を復活させた。オーストラリアのScott Morrison(スコット・モリソン)首相は、ソーシャルメディア企業が政府を「いじめる」ことを防ぐ方法を探るため、インドのモディ首相と会談した。

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インドはオーストラリアの決定について何か思うことはあるかと尋ねられると、ジャヴァデカール氏は、その件について話すには適切な日ではないと答えた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:インドSNSソーシャルメディアFacebookTwitterWhatsAppGoogleNetflix

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Sentropyがソーシャルメディア上の攻撃から人々を守るツールをローンチ、Twitterを皮切りに展開

2020年、米国大統領選挙キャンペーンが特に激しさを増していた中、人々をオンライン上の会話に集結させるソーシャルメディアや企業に向けてAIベースのプラットフォームを提供するSentropyというスタートアップが現れた。

Sentropyは自然言語処理と機械学習を利用して一連のアルゴリズムを構築し、これらのプラットフォーム上で暴言や嫌がらせなどの有害なコンテンツが出現してきたときにそれを検知し、問題になる前に対処できるように支援している。

同社が米国時間2月9日、コンシューマー向けの新製品を発表した。

Sentropy Protectは、同社のエンタープライズプラットフォーム用に開発されたものと同じ技術を使用した無料のコンシューマー向け製品だ。個人のソーシャルメディアのフィード上で有害なコンテンツを検出し、ダッシュボードを介してそうしたコンテンツとそれを生成する人々を適切に制御できるようにしてくれる。

当初はTwitterからスタートし、徐々にソーシャルフィードの数を増やしていく計画で、初期段階ではSentropyとソーシャルフィードを統合するためのAPIを提供するサービスをベースに展開する(すべてのソーシャルメディアがそういったAPIを提供しているわけではない)。

SentropyのCEOであるJohn Redgrave(ジョン・レドグレイブ)氏は、コンシューマー向け製品のローンチは方向転換ではなく同社が構築しているものの拡張であると述べている。

Sentropyは今後もエンタープライズ顧客と協働していく考えで、同分野では2つの製品を展開している。Sentropy Detectは、APIベースの悪用検知技術へのアクセスを提供する。Sentropy Defendは、モデレータのエンドツーエンドのモデレーションワークフローを可能にするブラウザベースのインターフェースだ。

しかし一方で、コンシューマー向け製品であるProtectは人々に新たな選択肢を提供する。Sentropyが特定のプラットフォームで利用されているかどうかに関わらず、制御を握り、ハラスメントのグラフを実質的にコントロールできるようにしてくれるというものだ。

「私たちはエンタープライズをスタート地点として一貫して追い求めていく強い信念を持っていましたが、Sentropyはそれ以上のものになっています」と同氏はいう。「サイバーセーフティには企業向けとコンシューマー向けの両方のコンポーネントが必要です」。

何百万もの人々に影響を与える可能性のあるサービスを構築し、かつ個人の自己決定の要素を維持しようとする姿勢のあるスタートアップの誕生は実に爽快である。

単に「サービスXを利用するかしないかはあなた次第です」ということだけではない。特に人気のサービスにおいては、プラットフォームがユーザーの最善の利益を常に考慮してくれているという期待感だけでなく、ユーザーにも自身でコントロールできるようなツールを提供すべきだという概念が重要なのだ。

これは消えつつある問題ではなく、複雑なコンテンツを処理する方法を模索し続けている現在最もホットなプラットフォームだけでなく、新興のプラットフォームにも共通する問題といえるだろう。

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例えば、Clubhouseの最近の人気はソーシャルプラットフォームにおける新たな領域として注目されているが、Clubhouseは会話のための「room」をベースとし、やりとりのためテキストではなく音声に依存する新しいモデルであるため、嫌がらせやハラスメントの問題にどう対処しているかという点を浮き彫りにしている。いくつかの注目すべき例は、これまでのところ、問題が大きくなる前に対処する必要があることを示している。

Protectは現在無料で利用できるが、Sentropyはその有料化の方法と可能性を検討中だとレドグレイブ氏は語っている。考えられるシナリオとしては、強化されたツールを備えた「プロ」サービスを持つ個人向けの無料限定版製品となるフリーミアムの層と、1人または複数のハイプロファイルの個人に代わってアカウントを管理する企業向けの層で提供される可能性がある。

もちろんTwitter、Reddit、Facebook、YouTubeなどのサービスはここ数年(特に最近)、より多くのルール、モデレーター、自動化されたアルゴリズムを導入し、トラック内の不正なコンテンツを特定して阻止したり、ユーザーがコンテンツを入手する前にレポートして阻止したりできるようにすることで、大きな成果を上げている。

しかし、もしあなた自身が定期的あるいは時折ターゲットにされたりするような経験を持っていれば、それだけでは十分ではないと感じるだろう。Sentropy Protectもそのような考え方に基づいて構築されているようだ。

実際、レドグレイブ氏によると、同社は当初からコンシューマー向け製品のロードマップを作成していたが、2020年6月にエンタープライズ向け製品を発表して以降その戦略は加速したという。

「私たちは『オンラインで虐待を受けています。御社のテクノロジーにアクセスするにはどうすればよいですか?』という人々からの問い合わせを受けるようになりました」。同氏はSentropyが企業のリストを精査して顧客として彼らを勝ち取り、製品の統合を成功させるだけでは解決できない問題があることに気づいたと振り返る。

「私たちは難しい決断を下しました。100%の時間を企業のために費やすのか、それともチームの一部を使って消費者のために何かを作り始めるべきなのか」。同社は後者の道を選んだ。

エンタープライズ分野では、Sentropyはソーシャルネットワークをはじめ、ゲーム体験や出会い系アプリに接続されたメッセージボードなど、人と人の交流をホストする企業との提携を続けている。現時点では顧客名を公表していないが、大手の有名プラットフォームではなく、主に小規模で急成長中の企業だとレドグレイブ氏は説明している。

Sentropyのプロダクト担当バイスプレジデントであるDev Bala(デヴ・バーラ)氏(アカデミックな経験を持ち、Facebook、Google、Microsoftで働いていた)は、より大きなレガシープラットフォームもSentropyの範疇外ではないと説明している。しかし大抵の場合、そうした企業はより大きな信頼と安全戦略に取り組み、少数のエンジニアを社内に配置して製品開発に取り組んでいることが多い。

大手ソーシャルネットワークがサービスの特定の側面にサードパーティーの技術を導入することもあるが、それらの契約が完了するまでには、たとえオンライン上での不正行為に対処しなければならないような緊急性の高い場合であっても、通常は長い時間がかかる。

「虐待や嫌がらせは急速に進化しており、Facebook、Reddit、YouTubeやその他の企業にとっては実存的な問題になっていると思います」とバーラ氏はいう。「これらの企業は、信頼と安全だけを考えている1万人の組織を持つことになり、世界はそれを実行しないことの弊害を目にしています。外部の人々にはあまり明らかにされていませんが、彼らは多数のモデレーターとあらゆるテクノロジーを持つポートフォリオアプローチを採用しています。すべてが社内で構築されているわけではありません」。

「Sentropyには大きな企業にとっても価値があると信じていますが、私たちのような製品を使っている企業の周りには多くの世論が存在していることも認識しています。ですから、対象となっている企業がFacebookではなく、あまり洗練されていないアプローチを採用していない場合、より先に進むチャンスがあると考えています」。

市場の潮流とセンチメントの変化の兆候である。虐待やコンテンツへの取り組みがビジネスコンセプトとして真剣に受け止められ始めているようだ。このビジネス機会に取り組んでいるのはSentropyだけではない。

Spectrum LabsL1ghtという2社のスタートアップも会話が行われているさまざまなプラットフォームを対象としたAIベースのツールセットを開発しており、これらのプラットフォームが有害性、ハラスメント、虐待を検知し、より適切な事例を検出できるようにしている。

関連記事:有害コンテンツと戦うAIプラットフォーム開発のSpectrum Labsが1000億円超を調達

もう1社のBlock Partyは、さまざまなソーシャルプラットフォームでユーザー自身が有害性への接触をコントロールできるようにしたいと考えているが、Sentropy同様、まずTwitterにフォーカスしている。

関連記事:SNSでのオンラインハラスメントや虐待に対抗するBlock PartyがTwitterでサービス開始

Protectを使用すると、コンテンツが検出されてフラグが設定された後、ユーザーは特定のユーザー(Protectを使用してミュートすることも可能)またはテーマに対してより広範で恒久的なブロックを設定したり、フィルタリングされた単語を管理したり、悪用の可能性があることを示すフラグが自動的に設定されたコンテンツを監視したりできる。これらのフラグを無効化して「信頼できる」ユーザーを作成することも可能だ。身体的な暴力の脅威、性的な攻撃、アイデンティティ攻撃などのように、Sentropyによって捕捉されたツイートにはラベルが付けられる。

機械学習プラットフォームをベースにしているため、Sentropyはフラグの付いたツイートを含むすべてのシグナルを収集し、Protectにそれらを使って将来のコンテンツを識別させている。このプラットフォームは他のプラットフォームでのチャットも常時監視しており、それが検索結果やモデレートに反映される。

Twitter自体の不正利用防止策を知っている人なら、Twitterが提供するコントロールよりもこれがさらに一歩進んでいることが分かるだろう。

ただし、これはまだ初期バージョンに過ぎない。今のところ、Protectではタイムライン全体を見ることはできず、実質的にはProtectとTwitterクライアントを切り替えることになる。面倒だと思う人もいるかもしれないが、一方でバーラ氏は、Sentropyの成功の兆候はバックグラウンドで動作させて人が常にチェックする必要性を感じなくなることだという。

レドグレイブ氏はまた、ダイレクトメッセージをフィルタリングする機能など、他の機能を追加する方法についてもまだ検討中だと語っている。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Sentropyハラスメント機械学習SNSソーシャルメディア

画像クレジット:Towfiqu Photography / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

ソーシャルメディアで大切なのは「事後修正」、人は誤情報を見た後に警告を受けたほうがそれを信じない

ソーシャルネットワークやその他のプラットフォームが誤情報に対処するには、それが偽りか否かを知るだけでは十分ではない。それに対して、人々がどう反応するかまで知る必要がある。MITとコーネル大学の研究者は、驚きの、しかし微妙な発見をした。これは、Twitter(ツイッター)とFacebook(フェイスブック)の問題をはらむコンテンツの対処方法に影響を与えそうだ。

MITの発見は、直感に反するものだった。タイムラインに誤解を招くタイトルが現れたとき、打つべき論理的な対策は、真偽が怪しい内容であることを読者にまず知らせるために、事前に警告を表示することだと思われていた。だが、それは間違いだった。

この調査では、3000人近い人々を対象に、内容に関するいろいろなかたちでの警告(警告なしも含む)を見せてから、タイトルの信ぴょう性を判断してもらった。

「この調査を行うにあたって、私は事前に修正情報を提供するのが最善策だと期待していました。なので人々は、問題のタイトルに出くわしても嘘の主張は信じないものと考えていました。ところが驚いたことに、実際は逆だったのです」とMIT Newsの記事を共同執筆したDavid Rand(デイビッド・ランド)氏は書いている。「遭遇した後にその主張を修正するのが、最も効果的でした」。

そのタイトルには誤解を招く恐れがあると事前に警告を与えたところ、人々の判断の精度は5.7%向上した。タイトルと同時に警告を表示すると、精度は8.6%に上がる。しかし、後で警告を示した場合は25%も良くなった。つまり、かなり高い割合で、事前警告よりも事後修正が勝ったことになる。

研究チームは、既存の判断が生まれる過程を改めるのではなく、既存の判断に評価を取り込もうとする傾向があるという他の兆候と一致する点を示唆し、原因はそこにあると推測した。問題はかなり根深く、小手先で対処できるようなものではないと、彼らは警告している。

また、コーネル大学の調査結果は安心と不安が半々の内容だった。誤解を招く恐れのある情報に接した人は、読者の政治的立場に則しているか否かは関係なく、確実に大きなグループの意見の影響を受けた。

これには安心する。なぜなら、人は100人中80人がその話を怪しいと感じたなら、たとえその80人のうち70人が意見を異にするグループに属していたとしても、何かありそうだと疑いを持つことを示唆しているからだ。だが不安もある。なぜなら大きなグループの考えがあちらこちらに変わるだけで、自分の意見も簡単に揺らいでしまうからだ。

「人の気持ちは、政治的な立場とは別に社会的な影響によって変わってしまうことが、具体的に示されました」と、論文の筆頭著者である大学院生のMaurice Jakesch(モーリス・ジェイクシュ)氏はいう。「これは、オンラインスペースの二極化を解消し人々を1つにまとめる手段として、社会的影響を利用する道を開くものです」。

それでも、党派による感情も影響しているといわざるを得ない。別の党派に属する人たちの集団的な意見が、考えを左右する割合は21%下がる。だとしても、人は集団の判断に影響される傾向は強い。

誤情報がこれほど拡散した原因としては、そうした話に人が魅力を感じる理由、その魅力を弱める手段、その他の細かい疑問をよく理解していない点がある。暗闇の中で失敗を重ねている間は、ソーシャルメディアが解決策を探し当てることは期待できない。しかし、こうした研究の一つひとつが、少しずつ光明を増やしていくのだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フェイクニュースソーシャルメディアモデレーション

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

愛国者の拠点となったソーシャルメディアParlerのAWS復帰要求を裁判所が却下

連邦裁判所は保守系ソーシャルネットワークのParler(パーラー)が、自社サービスをAWSでホストするようAmazon(アマゾン)に強制しようとする訴えを却下した。Parlerの貧弱な法的主張を見た人なら大方想像がつくように、法廷は本訴訟を「おぼろげで事実と異なる憶測」にすぎず介入を正当化する理由はないと裁定した。

ワシントン州西連邦地方裁判所に提出された訴訟でBarbara Rothstein(バーバラ・ロススタイン)判事は、ParlerによるAmazon(アマゾン)とTwitter(ツイッター)が反トラスト行為を共謀し、AWSが契約を破ったとする主張を支持する材料がいかに貧弱であったかを説明した。

反トラストに関して、Parlerは何ひとつ提示することができず、シャーマン法に反する共謀についても同様だった。

主張を裏付けるために提出された証拠は薄弱であり、AWS側は異議を唱えている。重要なのは、Parlerは、取引制限のためにAWSとTwitterが意図的に、あるいはそもそも、行動をともにしたという証拠を提出していないことである。

【略】

実際、ParlerはTwitterがAWSから優遇措置を受けているという不安を募らせる以上のことをしていない。

AmazonはAWSはTwitterをホストしていることさえなく、その計画はあるもののクライアントについて、他のクライアントに話すことを防ぐ厳格なルールが定められていると説明した。これだけでParlerの浅薄な主張を疑うに十分である、とロススタイン氏は指摘した。

契約違反について、Parlerは本訴訟の中で、自分の側が契約に違反したことを事実上認めているが、カスタマーサービス契約第7.2節(b)(i)に定められている問題の修復に30日の猶予を与えるという取引条件をAmazonが破ったと主張している。しかしそれはそもそも無関係だった。

Parlerは、直後に続く第7.2節(b)(ii)で、AWSが契約を「通知直後に」終了し認められており修正の機会を与えなくてよいことを、争うどころか認識もしていなかった。

つまり30日間の猶予は、Amazonが望まなければ適用されない。この条項は緊急性のない事象にに関するものだと思われる。契約違反の主張は否定された。

Parlerによる、「Amazonは政治的敵意に動機づけられた」という主張も、同様に筋が通っていない、と判事はいう。

Parlerは、この主張のいくつかの要素を裏づけるための基本的事実を提示していない。最も致命的なのが、上で延べたようにAWSの行為が不適切な目的あるいは不当な手段によるという不十分な憶測しか提起していないことである。

【略】

反対に、現在得られている証拠は、AWSによるカスタマーサポート契約の終了は、Parlerの重大な違反に対応した結果であることを示唆している。

Parlerはほかにも、もしAWSのサービスが復帰しないと「修復不可能な損害」を受けると主張しており、実際ロススタイン氏には、一連の出来事の結果Parlerが「消滅」に直面する可能性があるという同社の主張を否定する理由がない。ただし「Parlerの修復不可能な損害に関する主張は、『損害の大部分は金銭的に補償可能』であるとParlerが認めていることで著しく弱まっている」とだけ語った。

つまり金で解決する、すなわちそれは「修復不能」ではないという意味だ。

その他の法的、技術的側面についてロススタイン氏は、Parlerの主張は根拠がなく、Amazonの主張の方がはるかに強力であると述べた。たとえば暴力的で憎悪に満ちたコンテンツを強制的にホストさせられることはAWSの評判を傷つけ、おそらく、修復不可能でさえある。

同じくこの種の訴訟で重要なのは、判事は訴訟全体の価値に基づいて裁定を下すのではなく、サービスを復旧するための差止請求に示された主張と証拠のみに基づいて判断することだ。

「誤解のないようにいうと、裁判所はこの時点でParlerによる実質的な基本的主張を棄却していない」。つまりこれは主張の内容を否定するものでも、それが実質的であることを仮定するものでもない。しかしParlerは、この種の法的介入の根拠を示すために必要なものを提示する には「程遠かった」。

本訴訟は次期日程に継続される、もしParlerが自身で警告した「消滅」にその時点で直面していなければだが。

Rothstein Order on Parler i… by TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国時間1月20日の新大統領就任式での暴力の脅威がソーシャルメディアに長い影を落とす

米国は今、南北戦争以降最大の民主主義の危機に瀕している。その中でソーシャルメディア企業は、決して訪れないとこれまで考えていなかったような事態に対して、つぎはぎの守りを構築しようと苦戦している。

メジャープラットフォームの多くは1月第3週に緊急措置として、米国の大統領をプラットフォームから排除し、陰謀理論や暴力による脅し、および武装暴動の動きに対して突然厳しい規則を設けた。こういった暴力に関する動きや気配は、何年も前からこれらのソーシャルメディア上で増殖していた。しかし1週間も経たずしてAmazon(アマゾン)やFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Apple(アップル)そしてGoogle(グーグル)などはすべて、米国の安定と体面のために、歴史的な意思決定をした。またSnapchatやTikTok、RedditさらにPinterestさえも、それぞれ自分たちなりのアクションで、各プラットフォーム上でテロ計画が孵化することを防ごうとした。

現在は待機モードだ。トランプ支持派の破壊的な暴徒たちが米国立法府を象徴する議席を襲ってから1週間以上にわたって、インターネットはずっと息を潜めていたが、強力に防備を固めた就任式セレモニーの日が迫ってきた。

画像クレジット:SAUL LOEB/AFP/Getty Images

今もしぶとく残っているもの

先週、世界最大のソーシャルネットワーク上では、先の続きとなるイベントを示唆する画像が氾濫した。Facebook上のあるデジタルフライヤーは「国会とすべての州の議会を目指す武装行軍」をそそのかし、2020年の大統領選挙は盗まれたとする危険で偽りの陰謀論を強く主張した。

Facebookによると、同社はISISやアルカイダのテロリストのコンテンツを削除するときに使った同じデジタル指紋処理で、「Stop the Steal(盗みを止めろ)」と呼びかけるフライヤーの出どころを探っている。同社がこれまで見たフライヤーは、1月17日に全国的なイベントを呼びかけるものと、1月18日にバージニア州で、就任式当日にワシントンD.C.でイベントを起すことを呼びかけているものだ。

Facebookの新しい取り組みは、一部効果を上げている。同プラットフォーム上でTechCrunchが確認した人気フライヤーの1つは、今週某ユーザーのフィードから削除された。また、2020年12月に目にした複数の「Stop the Steal」グループも、同社のさらに強制的なアクションに続き、今週初めにいきなりオフラインにされた。しかし前兆のように多くのグループが大量の時間を投じて、自分たちの名前を宣伝したり、他のフォロワーを仲間に取り込もうとしたりしている。

大統領が代わる日はもう目の前に迫っているのに、極右グループであるQAnonを宣伝する頭字語だらけの長広舌や、トランプ支持派による常軌を逸した陰謀理論の主流派たちのコレクションは、そのまま残っており簡単に見つかる。2500のフォロワーがいるあるページでは、QAnonの信者が、国会議事堂を攻撃したのは反ファシストたちである、というすでに支持されていない説を強調し、(議会議事堂襲撃が行われた)米国時間1月6日は「罠だった」と主張している。

画像クレジット:Win McNamee/Getty Images

別のQAnonグループは「この猿芝居を終わらせる方法を見つけた!あなたがたの命はもう終わりだ!」という議会に対して不吉なポストを投じている。この凝りに凝った陰謀説のフォロワーは、議会議事堂のすさまじい暴徒たちの中にもかなり存在していた。大きな「Q」の字とTシャツのマニアックなスローガンでわかった。

Facebook上の過激主義者たちについて同社は、現在、テロのエキスパートおよび法執行当局と協力して「公衆への直接的な脅威を防ごう」としていると述べた。またパートナー数社とも協力して、他のプラットフォームを起源とする暴力的コンテンツも注視している、と同社は述べている。

Facebookの取り組みは遅くてムラがあるが、これまでの同社に比べればマシだ。トランプ支持派にとっては、それは大手ソーシャルネットワークから受けた措置であり、しかも極右ソーシャルネットワークのParlerGabもなくなってしまったため、シリコンバレーに頼らずに別の道を探さざるをえない。

ソーシャルメディアの人口移動

プライバシーを保護することができるメッセージングアプリのTelegramやSignalへの、大移動が今週起こったが、それらのユーザー体験(UX)はFacebookやTwitterとかなり違っている。ソーシャルネットワークをウォッチしている一部のエキスパートによると、その移動は一時的であり永久ではないという。

たとえばYonderのCEOであるJonathon Morgan(ジョナソン・モーガン)氏は「多くのユーザーがGabやMeWeやParlerのようなソーシャル体験に定住するだろうし、戻る先も移動する先もTwitterやFacebookである人が多い」と語る。

YonderはAIを使ってソーシャルグループのオンライン上の結びつきや、彼らの話題を分析している。中には暴力的な陰謀理論などもある。モーガン氏によると、プロパガンダをばらまく「行動的なインターネット戦士たち」が、ネット上で大量のノイズを発生させている。しかし彼らのパフォーマンスは、オーディエンスがいなければ成り立たない。もっとひっそり、もっと恐ろしい脅威を志向している者もいるという。

「議会議事堂の襲撃を見ると、そのエンゲージメントのタイプの違いから、これらのグループの分裂状況がよくわかる。過激派に対して歓呼している大集団は議会議事堂には入らない。パフォーマンスを目的とする行動的インターネット戦士たちは、自撮りに夢中だ。武装集団はフレックスカフ(簡易手錠)を携行している。多くのソーシャル会話でいわれていた「結束バンド」は間違いだ。簡易手錠は人質を拘束するためだろう」とモーガン氏はいう。

「ユーザー(大集団)の多くに行き先があるとすればParlerだ。また、TwitterやFacebookのソーシャル体験を模倣するMeWeのようなアプリへ行く者もいる」。

モーガン氏によると、調査では過激派や陰謀説拡散者にとって、それでもなおプラットフォームからの締め出しが効果的な手法だという。それにより「AirbnbやAWSなどテクノロジー企業は、今後暴力がのさばるチャンスを減らせるだろう」。

そうやってプラットフォームを掃除すれば、危険な考えを語るメッセージを追い払うことができるが、モーガン氏によると、この方法が過激派の狂信を強化することもあるという。最近のプラットフォームの変化で分断し多様化したグループが、あちこちに散らばっている。そして彼らの行動は、ますます自暴自棄で予測不可能なものになっていく。

プラットフォーム追い出しは有効だがリスクもある

Anti-Defamation League(名誉毀損防止同盟)のCEOであるJonathan Greenblatt(ジョナサン・グリーンブラット)氏によると、ソーシャルメディア企業はそれでもまだまだ、就任式の週には多くの備えが必要だという。「議会の暴動への対応として、ソーシャルメディアプラットフォームの懲罰的態度ぐらいでは全然効果がない」とグリーンブラット氏は述べる。

彼の警告によると、さまざまな変化は必要だが、我々が備えなければならないのは、オンラインの過激派がもっと分裂したエコシステムに進化していくことに対してだという。彼らのエコーチェンバーはますます小さく、声高になり、大規模で組織的な脅威は減少しても、小集団の脅威はむしろ激しくなる。

このような分裂によって、人びとが互いに暗号化アプリで通信するようになるだろうとグリーンブラット氏がいう。外部に漏れない閉じた通信で互いの結びつきが強化され、暴力的な考えも安全に話せるようになり、今後のイベントの組織化や暴動の計画なども立てやすくなる。

過去数週間、ソーシャルメディア企業は彼ら独自のスタンダードに基づいて重大な措置を取ってきたが、ソーシャルネットワークは、現在、米国では政治的暴力に関心をよせているが、海外で暴力のための便宜を提供してきた長い歴史がある。

グリーンブラット氏が何度も訴えるのは、各社がもっと多くの人間モデレーターを雇用することだ。過激主義対応の専門家も、しばしばこの提案をしてきた。グリーンブラット氏によると、ソーシャルメディアは就任式の週に備えて、ストリーミングを遅らせるといった対策をとることができる。緊急対応チームはそんな措置に助けられて、個々のコンテンツにその都度対応するのではなく、もっと多くのアカウントを停止することもできる。

「ソーシャルプラットフォームは先週の議会に対する暴力から学んだことに関する(外部、一般社会への)透明性を、まだ何も提供していない」とグリーンブラット氏はいう。

「彼らがやるべきことと、できることの最小限のことはわかっている。これらのプラットフォームがそれらを通じて得たことへの透明性と洞察を提供すれば、我々はおそらくもっと強力な、提案ができるだろう」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米政権交代と大統領就任式時のTwitterの対応が明らかに

Twitter(ツイッター)は、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が第46代米国大統領に就任し、Kamala Harris(カマラ・ハリス)氏が副大統領になる米国時間1月20日水曜日の就任式に向けた計画を明らかにした。

Twitterはトランプ政権の終焉にともなう政権移行をプラットフォーム上でどのように扱うか詳細をつづったブログ投稿の中で、「今年、複数の困難な事情により、ほとんどの人はこの歴史的なセレモニーをバーチャルで体験することになります」と述べた。

「Twitterはこの政治イベントを人々が視聴して語り合うための場所を提供し、また公式な政府コミュニケーションチャンネルの移行で主要な役割を果たします。当社は、人々がTwitter上でどんなものを目にするべきなのか、明確にしておきたいと思います」。

もちろん就任式は報道機関や公式の就任式アカウント、@JCCIC(大統領就任合同委員会)、そして@BidenInauguralなど複数のアカウントによってTwitter経由でライブストリームされる。

Twitterはまた就任式を同社のUS Elections Hubでもストリーミングする。このハブではキュレートされたモーメント、リスト、フォローすべきアカウントをシェアする、としている。

就任するとバイデン氏とハリス氏は、@POTUSと@VPのTwitterアカウントを運用できる。就任式の日に新政権に移行する他のアカウントには@WhiteHouse、@FLOTUS、@PressSecといったものが含まれる。

Twitterはまた、ハリス氏の夫であるDouglas Emhoff(ダグラス・エムホフ)氏が@SecondGentlemanという新しい公式アカウントを使うことも明らかにした(なぜ「SGOTUS」ではないのかは明らかではない。それはそうと、この頭字語は魅力的ではない。

【更新】Twitterの広報担当は「@SecondGentleman」アカウントは本人の選択によるものだとTechCrunchに語った。

オバマ大統領がオフィスを去ったときにそうしたように、Twitterはトランプ政権の現在の組織アカウントを米国立公文書記録管理局(NARA)に移す。つまり、同政権の奔放なツイートとアカウント履歴は公開されたままとなる(アカウントのユーザーネームはアーカイブ用ステータスを反映したものに変わる。たとえば@POTUSは@POTUS45として保管される)。

しかしながら、すべて大文字で怒鳴ったり、習慣の自己憐憫を吐き出したりと政治的な棍棒として頻繁に使われたトランプ大統領の個人アカウントはすでに削除された。行動規範を繰り返し破ったとしてTwitterは先週トランプ大統領を永久停止にした。なので、NARAに保管されるトランプ大統領のアーカイブとは大きな違いがある。

「アーカイブ化と移行プロセスは公式の政府Twitterアカウントでのみ行われます」とTwitterは認めた。

@POTUSと組織アカウントの移行では、前政権のフォロワーを自動的に引き継がないことを我々は2020年後半から知っていた。しかしそれがなぜなのか、Twitterは明らかにしていなかった。

米国時間1月15日、@POTUSと他の公式アカウントの現在のフォロワー(3330万人)は、アカウントの新しい持ち主をフォローする「オプション」を含むアーカイブプロセスについてのノーティフィケーションを受け取る、とTwitterは繰り返した。

これはトランプ大統領が当時のオバマ大統領の@POTUSから1400万人のフォロワーを受け継いだ2017年から大きな変更だ。

この件についてTechCrunchが尋ねると「フォロワーの移行について、このブログにある以上のことはコメントしません」と広報担当は述べた。

奔放な大統領のサポーターが議事堂と議会下院で大混乱を起こそうと警察の警戒線を破り、米議会議事堂で起こった米国時間1月6日のカオス的な事件を考えると、恐怖をともなう2021年の政権移行でテックプラットフォームが自社のツールを別の歴史的暴動(あるいはより悪いもの)をライブストリームするのに使われないようにするのは当然だ。

暴動後もトランプ大統領は、不正投票によって選挙が盗まれたと虚偽の主張を展開し続けた。

しかしトランプ大統領は今週初めのTwitterによる個人アカウント停止を、自身が語る新しい動画を公式の@WhiteHouseアカウントに投稿することで出し抜いたとき、大きな嘘への直接的な言及は避けた。

大統領は動画で「議事堂襲撃」と表現し、「先週目の当たりにした暴力をはっきりと非難する」と主張し、団結を呼びかけた。しかしTwitterは大統領の投稿を削除することなく、プラットフォーム上で大統領が発言できることに厳しい制限を設けた(また公式の@POTUSチャンネルへの投稿も制限した)。なのでトランプ大統領は発言に関する紐をかなりきつく縛られている状態だ。

また大統領は動画で、「直近にあった自由なスピーチへの前代未聞の暴力」と表現したアカウント停止に対する言葉による攻撃をいくつかの発言に制限している。発言ではテックプラットフォームの検閲を「間違って」いて「危険」とし、「今必要とされているのは互いに耳を傾けることであり、黙り込むことではない」とも付け加えた。

この文言にはいろいろとあるが、トランプ大統領の苦痛と譲歩、最後の結束の求めが、自分から力が失われているのを感じているときに出てきたということを見逃すべきではないだろう。

最も注目すべきは、力のあるテックプラットフォームが大統領のヘイトメガフォンを無効にした後に結束の要求があったことだ。プラットフォームはトランプ大統領が民主党全国大会をラフに扱い、市民の規則を破ることを許してきた特別免除の日々に終止符を打った。

2021年の大統領就任式がいかにこれまでと異なるものになるか推測したり、Twitterのようなプラットフォームが最初から一貫してトランプ大統領にルールを適用していたらどうだっただろうかと思い巡らしたりするのはかなりおもしろい。

我々はロックダウンという状況にあり、バイデン氏が政権を握るまでの日を数えている。そして何よりもスムーズな政権交代を願う。

TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は今週、Twitterは「健全な会話を促進する」というミッションで失敗したと述べたが、それは極めて正しい。Twitterは何年もの間、オンライン上の有害性についての警告を無視してきた。少なからず、トランプ大統領は有害で分裂的なプロダクトだった。

Twitterの政権移行対応についてブログ投稿の中の「公共の会話の保護」というタイトルのわずかな部分で、同社は今後しばらく「暴力の扇動、攻撃の計画、選挙結果についての誤情報の故意的なシェア」のためにプラットフォームが使われるのを防ごうと取っているステップを提示した今週初めの投稿に言及している。

こうした対策には、主にQAnon陰謀論に関連するコンテンツ共有のための7万ものアカウントの停止、市民活動の阻害に関するポリシーの一層の強化、ラベルを貼ったツイートに関するインタラクションの制限の適用、トレンドや検索に登場する暴力的なキーワードの阻止が含まれる。

「法執行当局とのコミュニケーションを含め、こうした取り組みは就任式まで続き、必要に応じて状況の変化にリアルタイムに対応します」と付け加え、さらなる騒ぎの可能性に備えている。

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ大統領がTwitter永久停止の網を抜けてツイート

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、先週の支持者による米国議会議事堂での暴動を受け、Twitter(ツイッター)や他のオンラインサービスからの包括的に締め出された後、「議会議事堂での惨事」に触れたツイートをビデオアドレスのかたちで出すことに成功した。そこではもちろん、プラットフォームから追い出されたことについても語っている。

その動画でトランプ氏は非米国的な暴力を避けるように彼のフォロワーに指示しており、「私の真の支持者は決して政治的暴力を支持することはない」と述べている。それは議会議事堂を破壊した暴徒を「偉大な愛国者」と呼び、「我々はあなた方を愛している。あなた方は非常に特別な存在だ」と口にした数日後のことだ。

その呼びかけから数分後、トランプ氏は歴史的な2度目の非難を受けた後、自分にとってほぼ間違いなく重要なことのために態度を変えた。それは彼の主な統治の道具、すなわちTwitterを禁じられることだ。

「私はここ数日に見てきた言論の自由に対する前代未聞の暴行についてもひと言いいたい」と、トランプ氏は語っている。アカウント停止などの措置は、すべてプラットフォームのルールに違反することが立証されているにもかかわらず。「私たちの仲間である市民を検閲し、取り消し、ブラックリストに載せようとする努力は間違っており、危険です。今必要なのは、相手を黙らせるのではなく、相手の声に耳を傾けることです」。

Twitterによって@realdonaldtrumpのアカウントが停止させられた後、トランプ氏は別のいくつかのアカウントを使ってツイートしようとしたが、それらも迅速にシャットダウンされた。誰もがParler(パーラー)に参加するのではないかと考えたが、それもうまくいかなかった。Amazon(アマゾン)のAWSをはじめとするインターネットインフラ企業にホストを拒否されたParlerは、永久にオフラインになる可能性があると警告されたからだ。

ところでトランプ氏は、そもそもTwitterの強硬な排除にかかわらず、この投稿をどうやって滑り込ませることができたのだろうか。我々はこれに好奇心をそそられた。

以下はTwitterによる回答だ。

このツイートはTwitterルールに違反していません。以前にも明らかにしたように、@WhiteHouseを含む他の公式アカウントは、明らかに禁止を回避したり、Twitterルールに違反するような内容を共有したりしない限り、ツイートすることが許されています。

つまりトランプという人物は禁止されたが、行政機関のトップであるトランプ氏は、彼が在任している残り1週間の間は、米国民にとって重要な事柄を伝える手段としてTwitterを利用する権利を持ち得るということだ。

このことは何が価値のある発信で、何が民衆に暴力を扇動する発言であるかを決定する立場にあるTwitterが、権力側にあるようないささか残念な印象を与える。このアカウントでトランプ氏がやっていることが禁止回避とみなされるかどうか、それをどのように判断するのか、Twitterに明示してもらいたい。

一方、トランプ氏のサプライズツイートとほぼ同時に、Twitter創業者のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、この状況について13ツイート分の考えを明らかにした

これはTwitterにとって正しい判断だったと私は思います。私たちは異常で手に負えない状況に直面し、すべての行動を公共の安全に集中させざるを得ませんでした。オンラインによる言論がオフラインでの危害を巻き起こすことは明らかに現実であり、それが何よりも私たちのポリシーと執行の原動力となっています。

とはいえ、アカウントを禁止することは、現実的かつ重大な影響を及ぼします。明確で明白な例外もありますが、健全な会話を促進するためには、最終的なアカウントの禁止は我々の失敗だと私は感じています。そして、私たちの運営と私たちを取り巻く環境を反省する時でもあります。

ジャック氏は本当の結論には達していないし、新たな計画も明らかにしていない。だが、彼がこのことについて真剣に考えていることは明らかだ。しかしながら、彼が指摘しているように、Twitterやインターネット全般のストレッチ目標のようなものとして彼が思い描いている「1つの人類がともに取り組む」を確立するには、多くの作業が必要になるだろう。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Twitterに続きSnapchatもトランプ大統領のアカウントを永久停止

Snap(スナップ)が米国時間1月7日にトランプ大統領のSnapchat(スナップチャット)アカウントを無期限停止すると発表してからかなりの動きがあった。Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)の大統領のアカウントが一時停止となり、そしてTwitter(ツイッター)はアカウントを永久停止した後、Snapは大統領のSnapchatカウントを永久停止することを決めた。

ユーザーとしてトランプ大統領のソーシャルメディア好きは明らかだが、大統領の選挙活動にとってSnapchatは若いユーザーに訴える格好のサービスだった。大統領は主要なソーシャルプラットフォームの大半から締め出され、アカウントの永久停止は間違いなく大統領の今後のビジネスや政治的野心の未来を複雑なものにするだろう。

プラットフォームからのトランプ大統領排除は、大統領に扇動されたサポーターの暴徒たちによる米国時間1月6日の議会議事堂での暴動を受けてのものだ。それ以来、多くの企業がトランプブランドとのつながりを断ち、その一方でソーシャルプラットフォームは大統領として残された日々と今後におけるトランプ大統領の存在を最小限化しようとしてきた。

Snapは、過去数カ月にわたってトランプ大統領のアカウントが繰り返し同社のコミュニティガイドラインを破ってきたことから今回の決断に至った、と話している。

「先週当社はトランプ大統領のSnapchatアカウントの無期限停止を発表しました。以来、どのような長期的対応がSnapchatコミュニティにとって最善なのか検討してきました。治安のために、そして明らかに当社のガイドラインに反する、誤情報、ヘイトスピーチ、暴力の扇動を広めようとする大統領の企てに基づいて当社は大統領のアカウントを永久停止することを決めました」とSnapの広報担当はTechCrunchに語った。

Snapによる大統領アカウントの永久停止は最初にAxiosが報じた。

関連記事:Snapchatもトランプ大統領のアカウントをロック

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(翻訳:Mizoguchi

遅ればせながらYouTubeもトランプ大統領への措置を決定、公式チャンネルへの新規投稿を1週間禁止

米国時間1月6日の米国議事堂乱入をきっかけに、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領が暴動を煽るためのメガホンとしてプラットフォームを使い続けるという脅威に大手ソーシャルメディアが一斉に対応しているが、そうした中でYouTube(ユーチューブ)は最も対応が遅いソーシャルメディアプラットフォームだった。しかし今、同プラットフォームは一時的に新規投稿を禁止する措置を取る。

短いTwitter(ツイッター)スレッドの中で、Google(グーグル)傘下のYouTubeは「現在も続く暴力の可能性の懸念があることから」トランプ大統領のYouTubeチャンネルにアップロードされた新しいコンテンツを削除したと述べた。

YouTubeはまた、少なくとも7日間アップロードを禁止するという1つめのストラク措置を適用したたとも述べた。

この記事執筆時点で、トランプ大統領のYouTubeチャンネルは278万人の登録者を抱えている。

「現在も続く暴力に関する懸念を考えたとき、コメントセクションに安全上の懸念が見つかった他のチャンネルに対して取ってきた措置と同様、当社はトランプ大統領のチャンネルでのコメントを無期限に不可とするかもしれません」とも付け加えた。

削除されたコンテンツについて、そして7日間経った後にトランプ大統領の同プラットフォームへの投稿の禁止を延長するかどうかをどのように決定するのか、TechCrunchはYouTubeに確認している。

YouTubeの広報担当は直近の出来事、そしてこれまでのトランプ大統領の発言に照らして暴力のリスクが増していると判断したと述べ、1月12日にトランプ大統領のチャンネルにアップロードされたコンテンツについて、暴力の扇動に関する同プラットフォームの規約に違反したために削除したことを認めた。

広報担当者はどのビデオコンテンツがコンテンツ削除と1つめのストライクにつながったのかは明らかにしなかった。

YouTubeによると、同プラットフォームは標準の「3ストライク」ポリシーを適用している。このポリシーでは、90日の間にストライク3つとなったらそのチャンネルは永久停止となる。1つめのストライクでは1週間の停止、ストライク2つで2週間の停止、そして3つめのストライクでチャンネルは永久に使用不可となる。

記事執筆時点でトランプ大統領の公式YouTubeチャンネルはこのところ一連のアップロードがあった。ここには、トランプ大統領が2016年の選挙キャンペーン中に約束した「壁建設」が「成功的に完了した」と賛美したメキシコとの国境壁での演説からのクリップ5つが含まれる。

こうした最近アップロードされたなかの1つで「トランプ大統領が先週の出来事を語る」というタイトルの動画では、トランプ大統領は米議事堂を攻撃したサポーターを「暴徒」と呼んでいる。そしてパンデミックやワクチンの展開についてのだらだらと続くコメントに移る前に、自身の政権は「暴力や暴動ではなく、法の支配を信じる」と主張している。

そしてトランプ大統領は法執行機関で働く人々は「MAGA(アメリカを再び偉大な国に)アジェンダ」を支える存在だと主張し、ビデオクリップは「癒し」「平和と冷静さ」「法の執行の尊重」の懇願で終わっている。

国境へ移動する前に記者たちにトランプ大統領が話すクリップはまだチャンネルで閲覧できる。

そのクリップの中でトランプ大統領は、「政治史上最大の魔女狩りが続いている」と自身に対する2度目の弾劾のプロセスを攻撃した。ここではトランプ大統領は米下院議長Nancy Pelosi(ナンシー・ペロシ)氏と米民主党の上院議員Chuck Schumer(チャック・シューマー)氏に言及した。ベールをかけているように聞こえるが標的型の攻撃だ。

トランプ大統領は「私は暴力を望んでいない」と報道陣に最後の警告を投げる前に、「(彼らが)その手続きを進めることで、我々の国にとてつもない危険と怒りを生み出す」と述べた。

YouTubeがトランプ大統領のメガホンを一時停止することを選んだ一方で、Twitterはあまりにも多くの違反をしたとして先週大統領のアカウントを永久停止した。

Facebook(フェイスブック)もまた「無期限」停止という措置を取った。ただ、将来トランプ大統領が大騒動を起こすためにFacebookを使うことができる可能性を残している。

トランプ大統領に行動規範の特例を認め、そして乱用、いじめ、嘘、(直近の)暴動のためにプラットフォームを提供したとして人々の怒りはソーシャルメディアプラットフォームに向けられているが、YouTubeはこれまでのところ、そうした怒りの主要ターゲットとなることをなんとか逃れてきた。

しかしながらトランプ大統領のアカウントの一時凍結は、公民権運動グループがYouTubeへの広告ボイコットを組織すると脅したことを受けてのものだ。

ロイターによると、2020年夏のFacebookに対する主要広告主ボイコットにつながったStop Hate for Profit (利益のためのヘイトをやめろ、SHP)キャンペーンは、YouTubeがトランプ大統領の認証済みチャンネルを停止することを要求した。

「もしYouTubeが我々に同意せず、トランプ大統領禁止で他のプラットフォームの仲間に加わなければ、我々は広告主に訴えます」と、SHP組織者の1人であるJim Steyer(ジム・ステイラー)氏はロイターに述べている。

トランプ大統領に対する措置についての公式コメントの中で、YouTubeは広告主からの予期しない影響についての懸念には言及していない。ただ近年、憎悪に満ち、攻撃的なコンテンツをめぐって広告主からのボイコットに直面してきた。

報道陣へのコメントで、YouTubeは誰がチャンネルを所有しているかにかかわらず常にポリシーを適用してきたと主張し、公的人物にも特例は認めていないと話している。しかしYouTubeは3つのストライクによる使用停止をひっくり返してきたことで知られている。たとえば英国の全国ラジオ局TalkRadio(トークラジオ)は最近、新型コロナウイルス誤情報に関連してストライク3つとなったのちに復活した

TalkRadioの場合、チャンネルの復活はTalkRadioのオーナー、News CorpのRupert Murdoch(ルパート・マードック)会長による介入を受けてのものだったと報じられた。英国の大臣もまた政府の政策のメリットを議論するチャンネルの権利を擁護した。

トランプ大統領の場合、ワシントンでの衝撃的な事件、さらには大統領のサポーターによるオンライン上の暴力的な脅しが続いていることもあって大統領の主張に喜んで乗る政治家の数は減りつつある。

ただ、テックプラットフォームの巨大なマーケットパワーについての懸念はかなり広がっている。プラットフォームは一方的な行動を取って米国の大統領の何百万という人々に配信する力を封じることができる立場にある。

今週初め、ドイツのAngela Merkel(アンジェラ・メルケル)首相はトランプ大統領のアカウントの停止について「問題がある」と述べた。その一方で欧州各国の議員たちはテック大企業に対する規制につながると述べた。

なのでトランプ大統領のレガシー(遺産)が何であれ、ミュートにされたことで激しく罵るのに忙しい大統領は当然のことながら、対象のテック大企業に影響を及ぼす永続的な政策の導入に目を向けているはずだ。

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画像クレジット:Olly Curtis/Future / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

私は言論の自由の擁護者だがその意味がわからなくなった、技術と言論の自由に待ち構えているものとは?

米国の大統領はおそらく世界最強だといわれている。その彼がTwitter(ツイッター)に投稿できない。そしてFacebook(フェイスブック)にも。それだけでなく、先週私たちが目撃したように、その他の多くのソーシャルネットワークに対してもだ(まあ彼はまだ核ミサイルの発射コードを手にしているので、それはそれで熟考すべき興味深い力だが)。

先週行われた禁止の数々は異例のものだった。しかし、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領だって異例だ。今世紀にはもう、ホワイトハウスの現在の占有者のような口調で、公にわめき立てる大統領は登場しないかもしれない(少なくともそう願うことができるだけだが)。しかし、トランプ大統領の危機全体が本当に例外的なものであるならば、それは単に無視することができる。ルールというものは、言論の自由に関するルールでさえも、例外的な状況に対処するための例外を常に持っていたのだ。大統領が暴力的な抗議を挑発して、その結果追放される。米国の行政リーダーシップ史における、ユニークな瞬間であることは間違いない。しかし、主役は別として、最高裁の判例の下で、暴力的な脅迫が何十年もの間禁止されてきたテック業界や出版社たちの反応は特に異例なものではない。

では、なぜそれを私たちは無視しないのか?何か大きなものが足元に埋まっていることを、実感しているからではないだろうか?私たちの世界の情報アーキテクチャ全体が変化して、現代の米国を支配してきた言論の自由をめぐるルールの構造を、完全に覆してしまったのだ。

言論の自由は、科学と合理性と実証主義をともなう人間の進歩主義と、深く絡み合っている。「marketplace of ideas(アイデアを公開討論する場)」の目的は、議論が相互の対話として行われ、自分たちの事実と推論が検証され、悪いアイデアがより良くより実績のあるものによって洗い流されるようにすることだ。もちろん時には論争になることもあるが、最終的には挑発よりも解明を目的としたポジティブな論争なのだ。

私が言論の自由に対する「絶対主義者」なのは、そうした人類の進歩を信じているからであり、「アイデアを公開討論する場」という概念が、世界を探求し自己を内省するために、人類が種として歴史的に構築してきた最良のメカニズムであると信じているからなのだ。だが、先週の出来事を目撃した今、私たちの情報共有地がうまく機能しているふりを続けることもできない。

どうやら、それは矛盾しているようなのだ。私は言論の自由を支持しているものの、「真の意味」では支持していないのだ、という意見は理解できる。それでも、システムの何かの間違いに対して、いくつかのより深い、より基礎的な質問をするためにの合理的な判断一時休止をすることはあるだろう。私の苦しみは、ACLU(米国自由人権協会)が公式声明で見せた苦しみと同じものだ。

それは「我々は(トランプ大統領を)非難するが、(ネット企業の対応も)懸念している」というような、生ぬるいどっちつかずの意気地なしの反応だ。言論を取り巻く環境が急速に変化する中での穏当な対応の1つではある。同じいい方をするなら、私は「アイデアを公開討論する場」の強い擁護者だ、しかし残念ながら、それはもう今は潰えてしまった「アイデアを公開討論する場」の「1つ」に過ぎなかったということだ。ともかく、うまくいってないことを全部考えてみよう。

  • 情報が多すぎて、どんな合理的な人間でもすべてを処理することは不可能だ
  • 溢れる情報の多くはゴミであり、明らかな詐欺であり、さらに悪いことにそれが配布されている情報システムそのものを、混乱させ弱体化させるためにデザインされた秀逸な心理的プロパガンダの断片だったりする
  • 私たちはこれまで、これほどまでに多くの人たちが、公共の場所に対してこれほど制限もほとんどなしに信念や、戯言や、侮蔑を撒き散らすことを許してこなかった
  • 対話の中にアイデアはほとんど残されていない。構成主義的な思考と同様に、協調関係は死にかけている。今や「ストア」は同じ公共の広場の中ではなく、それぞれの個人のフィードの中に置かれているので、もはや「公開討論する場(marketplace)」は存在しない
  • ひと握りの支配的な独占プラットフォームからの強制的な誘導がコミュニケーションのやり方を荒々しく傷つけ、慎重な議論や論争よりも、有力な「クリックベイト」の方を奨励している
  • テックプラットフォームで見られるユーザーのエンゲージメント数が非常に多いことを考えると、大多数の人がこれを気に入っているようだ

私たちは、何十年も前からこうした事態が訪れることには気がついていた。人間が処理できない、現代の工業化された世界の複雑さをテーマにした、Alvin Toffler(アルビン・トフラー)の「Future Shock(未来の衝撃)」が出版されたのは1970年のことなのだ。1980年代から1990年代にかけてのサイバーパンク文学やSFは、この迫りくる猛攻撃に向かって広範囲に応戦してきた。インターネットが急速に拡大する中で、Nicholas Carr(ニコラス・カー)の「The Shallows(ネット・バカ)」のような本が、インターネットがいかに私たちが深く考えることを妨げているかを問いかけていた。それが出版されたのは10年前だ。現在は、地元の書店に行けば(もし書店がまだ存在していて、読者が実際に1000ワード以上の文章を読む能力がまだあるとするなら)、メディアと通信の未来を分析し、インターネットが認知的に私たちに何をしているかを分析しているさまざまな書籍を見つけることができる。

私の「言論の自由」に対する絶対的な信念は、米国で言論の自由がどのように機能すると考えられているかに対する、いくつかの明確な仮定に基づいていた。残念ながら、それらの仮定がもはや成り立たないのだ。

私たちはもはや、市民が自分たちが直面している問題について、おそらく怒りながらでも議論を交わすことができるような、おなじみの公共の広場があると仮定することはできない。私たちはもはや、クズ情報が編集者によって、または出版社によって、または読者自身によってフィルタリングされると仮定することはできない。私たちはもはやメッセージを携えて私たちに接触してくる人たちが、ある程度身辺調査済で、真実や事実を基に語っていると仮定することはできない。

私たちはすでに公開討論の場のあらゆる場所が、ありのままに機能しているのだと仮定することはできないのだ。

それこそが仕事の場でも生活の場でも、言論の自由の権利に日々頼っている私たちにとって、この時代を厳しいものにしているものなのだ。そうした基本的な仮定がなければ、言論の自由の権利は、私たちが期待しているような、人間の進歩主義と合理性の砦とはならない。私たちの情報共有地は、必ずしも最高で質の高いアイデアが最上位に浮上し、私たちの全体的な議論を推進してくれることを保証してはくれない。

私は寛容な米国人の感覚として、言論の自由を心から信じている。なので私と同じように、私たちの「公開討論の場」の危険な状態を本当に心配している友人も多い。しかし私たちはみな、目の前にある現実に直面する必要がある。システムは現実として本当に壊れていて、単に「言論の自由を!」と叫ぶだけでは、それを変えることはできない。

今後とるべき道は、言論の自由をめぐる会話を、私たちの世界の情報アーキテクチャをどのように改善していくべきかというより広い問いかけへと転換させることなのだ。クリエイターや、アイデアを生み出す人や、それらを分析する人が、適切な経済状況の下にそれを行うことを保証するにはどうすればよいのか?それは、作家、映画製作者、小説家、研究者、その他のすべての人が質の高い仕事ができるようにすることを意味する。おそらく長期間にわたって、収入が減らないようにするために「トップに留まり」続けようと、新しい写真や考察を10分ごとにアップロードしなくてもいいようにするということだ。

事実と「真実」が常にすぐにではないにしても、徐々にでも最終的には勝利をおさめることを確実にするためには、コミュニケーションの各階層におけるインセンティブをどのように整えていけば良いのだろうか?情報の大量流通にともなう力が、正確性や合理性に対する公の義務という概念を少なくとも何らかのかたちで体現している人たちによって、きちんと持たれるようにするにはどうすればよいのだろうか?

何よりも重要なのは、読者や視聴者の1人ひとりが、自分の目にした情報を処理する能力を高め、主体的な行動を通じて合理性に向かって議論を進めていくにはどうしたらよいのだろうか?賢く勤勉な顧客がいなければ、どのような市場も生き残れない。情報のための市場も例外ではない。人々が嘘を要求するならば、世界は彼らにそれを与えるだろう。すでに私たちが目にしたように容赦なく。

テクノロジーだけではこの問題を解決することはできないが、テクノロジーがその解決の一部となることは絶対にできるし義務づけられてもいるのだ。適切なインセンティブを備えた代替プラットフォームは、人類が世界を理解する方法と、現在、起こっていることを完全に変えることができる。これは非常に重要で知的に興味深い問題であり、野心的な技術者や創業者にとっては取り組むに値する魅力的な対象となるはずだ。

言論の自由は必ず守る決意だが、今、目の前にあるような状態のシステムでは擁護できない。ならば唯一の防御策は、このシステムの再構築を行い、上手く機能し続けているコンポーネントを強化し、機能していないコンポーネントを修理または交換することだ。魂の救済への道筋が誤った情報で埋めつくされているべきだとは思わない。私たちはみな、このシステムをあるべき姿にするための道具と力を持っているのだ。

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(翻訳:sako)

Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ

先週の米連邦議会議事堂での破壊行為の余波を受け、Facebook(フェイスブック)は米国時間1月11日、「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」という文言に関連するコンテンツを同プラットフォームから排除するという、一歩踏み込んだ措置に出た。これは民主的な米国の選挙が操作されているという誤った主張に基づく、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の権力を維持するためなら手段を選ばない右派のキャンペーンで使われるスローガンだ。今や、暴動もその手段に加わった。Facebookは2020年11月、すでに「Stop the Steal」を最初に訴え出した一部の団体を排除し、暴力行為を奨励するなど規約に違反するページ、グループ、イベントの削除を約束していた。

TechCrunchでもお伝えしたが、Facebookは2020年11月の選挙にまつわる陰謀論のハッシュタグ(#sharpiegate、#stopthestealなど)の阻止に踏み切っている。これらを検索しても、結果にグループや投稿は示されない。

だがこうした浄化作戦もFacebookが公言し、我々が期待していたほど大規模ではなく、長続きもしなかった。今これを書いている時点でも、たとえば「Stop the Steal」を公然と訴えるFacebookグループが複数活動している。

Facebookは、今回の強い措置は米国での暴力行為を煽る声の高まりに対処するための判断だと述べている。

「私たちは、選挙結果に関する実のある対話を認めてきましたが、それは今後も継続します」と、Facebookの品位担当副社長Guy Rosen(ガイ・ローゼン)氏とグローバルポリシー管理担当副社長Monika Bickert(モニカ・ビカート)氏の共著によるブログ記事で説明している。「しかし、暴力行為の誘発につながりかねない米国大統領選挙の結果に反対するイベントページを立ち上げようとする今なお止まない試みや、ワシントンD.C.での1月6日の暴力行為でも叫ばれていた文言の使用に関しては、大統領就任式に至るまでの間、この追加措置で対応します」。

「この新しい措置の施行には多少時間がかかることも考えられますが、すでに大量の投稿が削除されています」と彼らは訴えた。

Facebookは、米国の首都で起きた暴動の首謀者たち御用達のプラットフォームと見られることを、明らかに嫌っている。実際、Facebookの最高執行責任者Sheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏は、米国時間1月11日に、Reuters(ロイター)のインタビューに応えて、あの暴動は、Facebook以外のインターネットサービスによって「大半が組織された」と主張している。Facebookは、QAnon(Qアノン)、Proud Boys(プラウドボーイズ)、Stop the Steal関連組織のような怪しいグループによるコンテンツ、および暴力を呼びかけるあらゆるコンテンツを削除してきたと彼女は話している。

規約違反のコンテンツを積極的に削除している大手ソーシャルプラットフォームは、Facebookだけではない。それは、ソーシャルメディアの比較的寛容な方針が、暴力的な抗議行動から、さらにはクーデターや人の殺害の企てを招くという思わぬ結果をもたらしたことへの対処だ。

米連邦議会が大統領の弾劾を検討し始める中、ソーシャルメディア企業には、プラットフォームからトランプ氏排除するところも出てきた。その一方で、それらに対抗するソーシャルネットワークParler(パーラー)に協力するアプリストアウェブサービスのプロバイダーは、Parlerから発信されるヘイトスピーチや暴力を増長している。

Facebookは、少なくとも1月22日までは、リアルタイムで危機を監視し対応できるよう、Integrity Operations Center(品位ある運用センター)に24時間体制でスタッフを常駐させると話している。FBIは、1月20日のJoe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の就任式まで、50の州都とワシントンD.C.で武装抗議行動を企てないよう警告を発したと、今朝、APが報じたが、Facebookが定めた期間は、それに準じたものと思われる。そのためにこの数日間は、Facebookの品位ある運用センターの対応が非常に重要視される。

同センターはジョージア州の決戦投票と、議会の選挙人団による投票の集計よりも前からすでに活動していたが、その活動範囲は、議事堂での抗議活動を受けて拡張されたとFacebookは話している。

さらに同社は今後も法執行機関と協力して、コンテンツの削除、アカウントの凍結、ユーザー個人情報の法的要請への対応を継続するとのことだ。

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トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

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タグ:Facebook米国大統領選挙アメリカソーシャルメディアSNSドナルド・トランプ

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(翻訳:金井哲夫)

トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

ここ数年間、テック業界はDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領を穏やかになだめてきた。しかし2021年米国時間1月6日に発生したワシントンD.C.の連邦議会議事堂襲撃の後、業界は一斉に大統領に対抗する姿勢を打ち出した。TwitterからPayPalまで多くの企業がトランプ氏に対して、また場合によっては関係者や支持者に対しても、サービスの利用に関して前例のない制限や徹底的な排除を課した。

ここ数日間、これに関するニュースが絶え間なく大量に報じられている。そこで本記事では、どの企業がいつ対抗策を講じたか、今後どのような展開が予想されるかをまとめる。

Twitter:永久追放し、代替となり得るアカウントも停止

Twitterはトランプ氏の発言が節度を失わないようにするにはどうするかという議論において重要な役割を担ってきた。同氏はTwitterを好んで使う傾向があり、@realDonaldTrumpアカウントには9000万人近くのフォロワーがいるからだ。Twitterはこれまでに同氏に繰り返し警告を発し、選挙の正当性に関する発言や誤情報にラベルを付け、不規則発言のツイートは完全にブロックしてきた。

しかし1月第2週、ツイッターの我慢は限界に達したようだ。1月6日に議事堂が襲撃された直後、Twitterは襲撃に関するトランプ氏のツイートに関してユーザーに警告を発する大きなバナーを表示し、リツイートできないようにした。数時間後、Twitterはトランプ氏の個人アカウントを12時間停止した

当初は、通常の状況に戻るだろうと思われた。Twitterが米国時間1月7日午前中、暴力の扇動に関する同社のポリシーに違反すると考えられるいくつかのツイートを削除すればトランプ氏のアカウントを復旧することにしたからだ。同日、トランプ氏は最近の激しい勢いよりはややおとなしく感じられる動画を添付してツイートした。ビデオの中で同氏は大統領選挙の結果を受け入れることを初めて表明した。

しかしTwitterに対する外部からの、そして社員からの大きなプレッシャーによって、すぐに方針が変わった。米国時間1月8日の夜遅く、Twitterはトランプ氏を同社のプラットフォームから永久に追放することを決定したと発表し、@realDonaldTrumpのアカウントを凍結した。これに続き、同氏の選挙活動公式アカウントである@TeamTrumpや大統領の公式アカウントである@POTUSなどの関連アカウントをトランプ氏が利用できないようブロックし、同氏の個々のツイートを削除するなど、モグラ叩きのように対策を講じた。Twitterのポリシーには、ブロックされたユーザーは利用禁止を回避する目的で別のアカウントの使用を試みてはいけないと記載されている。

Twitterはトランプ氏の関係者や幅広いオーディエンスに対しても措置を講じ、Micheal Flynn(マイケル・フリン)氏、多くのトランプ氏支持者、QAnon(キューアノン)のさまざまな人物をブロックした

まもなく新しい大統領が誕生し、公式の@POTUSアカウントはJoe Biden(ジョー・バイデン)氏の新政権に引き継がれるが、2016年のBarack Obama(バラク・オバマ)氏からトランプ氏への移行の時とは異なり、Twitterはこのアカウントのフォロワー数をゼロにリセットする意向のようだ

トランプ氏自身に関していうと、同氏がメインで使ってきたプラットフォームからの永久追放には別の疑問が湧いてくる。同氏はこれから大言壮語や悪口雑言をどこで繰り広げるのだろうか?これまでのところ、同氏が別のソーシャルネットワークに活動の場を移した様子は見られない。しかしここ数年(Twitter上ではこの10年間)のことを考えると、同氏がゴルフコースにただ戻って静かにやり過ごすとは思えない。

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Snap:約半年前にオーディエンスの勢いをそぎ、今回は迅速にアカウントをロック

Snapは米国時間1月6日の議事堂襲撃の後、同日中にトランプ氏のアカウントをロックした。襲撃に対して迅速に対応できたテック企業の1つといえるだろう。Snapがアカウントをロックしたことにより、同氏はこのプラットフォーム上で約200万人のフォロワーに向けて新たな投稿をすることができなくなった。TechCrunchが把握している限りでは、ロックの措置はまだ続いているが同氏の公式プロフィールは現在も見ることができる。

ミネアポリスでのGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死をきっかけに起きたBlack Lives Matterの抗議行動の後、Snapは2020年6月、同社が内容を選んで掲載する「Discover」タブからトランプ氏のアカウントを削除することで同氏のアカウントの拡散や発見を制限すると発表していた

トランプ氏はSnapのプラットフォームを効果的に利用していたわけではなく、また無期限でアカウントが停止されているため、同氏が今後Snapを本拠地にすることはなさそうだ。

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FacebookとInstagram:「期限未定」で短・中期的な利用停止か

FacebookはTwitterと並んでトランプ氏の支持者に人気があり、右派有名人の多くが利用する(Twitterの「Facebook’s Top 10」アカウント)プラットフォームでもある。ここ数年、報道機関はFacebookの穏健な対応を厳しく追及してきたが、Facebookはトランプ氏に対して直接的な行動に出ることをほとんど避けてきた。1月第2週までは。

米国時間1月6日に暴徒が議事堂から退場すると、Facebookは暴力を助長していると考えらえるトランプ氏の動画を削除した。1月6日の夜遅くになって、同社はついにポリシーの適用を拡大し、3300万の「いいね!」やフォロワーがついている同氏のアカウントを24時間停止した。同社は、トランプ氏が複数回にわたってポリシーに違反したため24時間の停止が自動的に発動したとしている。同時にFacebook(とInstagram)は議事堂襲撃に関連するトレンドのハッシュタグをブロックする措置を講じた。

米国時間1月7日朝、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebook上での個人としての投稿で、トランプ氏の利用を最低でも2週間、「期限未定」で停止すると発表した。2021年1月20日正午に実施されるバイデン次期大統領の就任式あたりまでは停止の措置が延長されることになる。

就任式の後はどうなるだろうか。それは現時点ではわからない。トランプ氏のアカウントは停止されてはいるが無効になってはいない。従って同氏が自分のページに新しい内容を投稿することはできないが、現在もFacebookユーザーは同氏のページを見られる状態だ。Facebookは、政権移行が完了したら停止措置を解除するかもしれないし、措置を長く続けるかもしれない。Facebook上でのトランプ氏の存在は大きく、同氏の支持者にも非常に人気のプラットフォームであることから、Facebookは攻撃的なコンテンツの禁止と、収益にとって重要なユーザー維持との間でこれまで以上に難しい板挟みになっている。

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ShopifyとPayPal:eコマースのプラットフォームはトランプ氏の公式商品を当面販売しない

トランプ氏のオーディエンスをブロックしたのはソーシャルネットワークだけではない。eコマース大手も同氏に対しプラットフォームの節度を守る行動をとっている。米国時間1月7日、Shopifyは同氏の選挙活動グッズと個人ブランドの両方についてストアを削除したと発表した

Shopifyは数年前にプラットフォームの節度を守るための対処はしないとしていたが、最近では2018年に右派系のストアをいくつか削除するなど、問題があると考えられるストアを削除している。今回の対応はこうした方針が進展したものだ。

PayPalは1月第2週に、議事堂襲撃を支援する資金の支払いをPayPalで調整していたトランプ氏支持者グループのアカウントをいくつか無効にした。PayPalが政治的なアカウントを停止する動きは増えている。2019年には極右の活動家を、2017年にもバージニア州シャーロッツビルでの暴力的な抗議行動をきっかけに多数の極右団体のアカウントを停止した。TechCrunchが調査できる限りでは、アカウントの停止は今のところトランプ氏自身には及んでいない。

トランプ氏の著名な個人ブランドや同氏が大統領になる前の商品タイアップ好きを考えると、ShopifyとPayPal、そして他のeコマースプラットフォームが2週間後に大統領の座を退いた後のトランプ氏にどのように対応するかが大きな問題だ。同氏は再びステーキや水やオーデコロンの販売をするのだろうか。同氏は商品をオンラインで販売するeコマースの場を必要とするのだろうか。それは、同氏が次にどこを目指すのか、今後も政治に取り組むのか商売の追求に戻っていくのかによる。

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GoogleとAppleがParlerアプリをストアから削除

トランプ氏の支持者や、Facebookなどのプラットフォームが節度ある行動を示すことを懸念する人々にとって、Parlerは代替ソーシャルネットワークの筆頭だった。本稿の原文記事公開時点でこのアプリは米国App Storeの第1位だった。セキュアな暗号化メッセージアプリで1月第2週にElon Musk(イーロン・マスク)氏が強く推奨した第4位のSignalよりも上位だった。

しかし議事堂襲撃をめぐって、成長のためのParlerのご都合主義はきわめて現実的な障壁にぶつかった。米国でモバイルアプリのストアをそれぞれ運営する2つのテック企業だ。

Googleは1月8日の夜に、Parlerアプリはソーシャルネットワークとしての節度とフィルタリング機能が欠けているとして同社のストアからこのアプリを削除すると発表した。本記事公開時点でアプリのページは表示されない。したがって、新たにGoogle Playストアからアプリをインストールすることはできないが、すでにParlerをインストールして使っているユーザーは使い続けることができる。

一方Buzzfeedは、AppleがParlerの開発者に対し、安全を脅かすコンテンツをフィルタリングする機能を即座に搭載しない限りはGoogleと同じ対応を取るとして24時間の猶予を与えたと報じている。本稿の原文記事公開時点ではAppleのApp StoreでParlerアプリがまだ公開されていたが、現在は削除されている。

コンテンツのモデレーターを大量に雇用する必要があるなどコンテンツの節度は複雑な問題であるため、Parlerが短期間で要請に応えられるとは到底考えにくい。長期的に見てアプリやトランプ氏の支持者が今後どうなるかは、現時点では誰にもわからない。

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Discord、Twitch、YouTube、Reddit、TikTok:ソーシャル関連企業はトランプ氏のソーシャル活動を望まない

最後に、その他のソーシャルネットワーキングに目を向けてみよう。トランプ氏はFacebookやTwitter本社では不人気だが、最近は他社でも同様に不人気だ。ソーシャル関連各社は自社サイトへのトランプ氏のアクセスをブロックし、同氏の関係者にも対策を講じている。

Google傘下のYouTubeは米国時間1月7日に、トランプ氏自身のチャンネルも含めて選挙に関する誤情報を発信したチャンネルへの「処罰」を開始すると発表した。これまでは選挙の誤情報を含むビデオには警告のラベルが付けられたが、チャンネルそのものにはなんら影響はなかった。2020年12月にYouTubeはこのポリシーを変更し、選挙の誤情報を伝えた動画を完全に削除することにした。

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1月第2週に変更された最新のポリシーは以前のアプローチをさらに拡大したもので、チャンネルが違反をするたびに停止期間が長くなる。一定の期間内に違反が所定の回数に達すると、最終的にYouTubeチャンネルが永久に削除される。これがSteve Bannon(スティーブ・バノン)氏のチャンネルにきっちり適用され、YouTubeのポリシーを繰り返し違反したとして1月8日午後遅くに永久に削除された。一方、300万人弱のフォロワーがいるトランプ氏のYouTube公式チャンネルはまだ見ることができる。

YouTube以外では、TwitchがFacebookと同様のポリシーによりトランプ氏の使用を「無期限」に、少なくとも米国時間1月20日の就任式までは停止したと米国時間1月7日朝に発表した。Twitchでの同氏のフォロワー数はおよそ15万1000人と限定的で、同氏のソーシャルメディアアカウントの中では重要度が最も低い。

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トランプ氏の支持者も人気のテックプラットフォームから削除されている。米国時間1月8日にRedditは「r/donaldtrump」のサブレディットを停止したと発表した。このサブレディットはReddit上に多数ある非公式コミュニティのひとつで、トランプ氏の熱烈な支持者が集まっていた。Redditは2020年6月には批判の多かった「r/The_Donald」のサブレディットを削除していた。Discordは米国時間1月8日に停止されたサブレディットに関連するサーバーをシャットダウンし、その理由を「暴力を扇動するオンラインフォーラムとのつながりが明らかであるため」と説明した。

TikTokは米国時間1月7日に、議事堂襲撃に関する情報の拡散を制限すると発表した。具体的にはハッシュタグのリダイレクトのほか、暴力的なコンテンツやトランプ氏自身から支持者に向けたビデオメッセージの削除などだ。トランプ氏はTikTokのアカウントを持っていないため、TikTokの対応の大半は同氏の支持者と議事堂襲撃の状況に関する幅広いコンテンツを対象としたものだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)