写真とボイスチャットを組み合わせた「話す写真」のメッセージアプリZebraが約1.2億円調達

Clubhouseからヒントを得て開発された音声ベースのソーシャルアプリ「Zebra」は、親しい友人や家族と連絡を取るための新しい方法となる。Zebraは、動画を使わずに、その場で写真を撮って、それに音声を付けて送ることができる。

Zebraは、非同期型の共有に重点を置いている、ユーザー同士がすでにアプリ上でつながっている場合は、お互いに電話をかけることもできる。つまり、友達に近況を伝えたいときに、Instagramの広告だらけで際限のないフィードに辟易することなく、楽しくカジュアルに連絡を取ることができるだ。

現在、Zebraはベルリン在住のプロダクトデザイナーであるCEOのDennis Gecaj(デニス・ゲカイ)氏と、Zebraのエンジニアリング責任者でありSnapchatでSnap Mapsを担当していたAmer Shahnawaz(アメル・シャナワズ)氏の2名によるものだ。今回のプレシード資金は、Redditの共同創業者であるAlexis Ohanianが2021年6月に発表したフレッシュなアーリーステージのベンチャー企業Seven Seven Sixが主導した。

Ohanianは「オーディオ革命の真っ只中にあることは周知の事実であり、オーディオファーストのソーシャルプラットフォームやコンテンツが次々と登場しています」と述べ、Zebraの写真と音声のユニークな融合に注目しているとしました。

ゲカイ氏は音声ベースのソーシャルネットワーキングは、テキストが主流のプラットフォームよりもはるかにリッチな選択肢だ。Instagramなどでは音声メッセージが可能で、技術的にはカメラを無効にして音声通話ができるが、通常、音声は動画の脇役になる。しかし、ビデオ通話はより負担が大きく、また画面の前から動くことができないという点もある。パンデミックが長引くにつれて多くのZoomカメラがオフラインになっていったのは偶然ではない。

ゲカイ氏が「大きなインスピレーション」と呼ぶClubhouseとは異なり、Zebraは身の回りの人たちのために作られたソーシャルオーディオです。GecajはTechCrunchの取材に対し「元通りの生活になっていく中で非同期型のフォーマットにはすばらしい可能性があると考えました」と述べている。

ゲカイ氏によれば、Zebraの「話す写真」により、集合的想像力が掻き立てられ、早期成長を自然な形で実現できる可能性があるとされている。また、Zebraをダウンロードすれば誰でも、連絡先リストを共有せずして友人を招待することができる(もちろん、誘う友人がいなければアプリの意味はないが)。Zebraのインターフェイスはクリーンかつわかりやすく、プロセスはスムーズで、メニュー画面を掘り下げていくような煩わしさもない。

Zebraのアイデア、つまりZebraをZebraたらしめることとは、自分たちが話していることを見るのは楽しいということだ。別のメッセージアプリを見てみると、写真を送ってそれからすぐにボイスメッセージを送る必要がある。しかしZebraなら、写真の送信がメインとなる。アプリは写真を撮りたいと思ったときにカメラにアクセスし、写真を撮って、それと一緒にちょっとしたボイスメッセージを録音し、これを友人や家族に送信することができる。

Zebraでは、別のアプリのダウンロードをユーザーに勧めることについての心配もありません。ゲカイ氏は、友人同士が連絡を取り合うために作られたソーシャルプラットフォームであっても、クリエイターやオーディエンスが徐々にソーシャルプラットフォームの注目を集めるようになれば、自然に分化が起こるとしている。

ゲカイ氏はTechCrunchの取材に対し「エンターテインメントを楽しむためのクリエイター向けプラットフォームと、友人と過ごすためのプラットフォームが分かれているのがトレンドだと思います」と述べています。

その上で、Zebraが焦点を当てている音声と写真の2つはプラットフォームが重視していないかまたは意識的に切り捨てているSNSの2つの側面であるとしており、このために、動画にそれほど興味がない人にとってZebraが魅力的なものになる可能性があるとしている。

「テキストメッセージには、声のような感情が感じられないのではないでしょうか。そして声は、これまでとても蔑ろにされてきたものでもあります。声は本当は情報量の多いリソースであり、他の媒体では語れないことを声にできることは、大いなる可能性を秘めているのです」とゲカイ氏はいう。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

米国人の半数はSNSが情報源、ただしその割合は減少

Pew Research(ピュー・リサーチ)の最新レポートによると、米国成人の約3分の1は、現在もFacebook(フェイスブック)から定期的に情報を得ているが、割合は2020年の36%から2021年の31%に減っている。この減少は、情報を何らかのソーシャルメディアから得ていると答えた米国人の全体的数字のわずかな減少を反映している。その割合も2020年の53%から2021年の48%へと5ポイント下がっている。

ここでいう「定期的に」は、調査回答者が「often(頻繁に)」あるいは「sometimes(時々)」情報をデジタルニュースから得ていると答えたという意味で、他の選択肢は「rarely(まれに)」「never(一切ない)」、および「don’t get digital news(デジタルニュースを見ない)」だ。

この変化は、テック企業が自社プラットフォームで誤情報の拡散を許していることについて厳しい監視下にある状況の中で起きている、とPewは指摘している。こうした批判はパンデミック期間中に増加し、ワクチンの忌避や拒否につながり、その結果誤情報を受け入れた多くの米国人の健康状態の悪化を招いた。

こうした問題に関わらず、さまざまなソーシャルメディアから定期的に情報を得ている米国人の割合は前年からさほど大きくは変わっておらず、ネットで日々のニュースを見る一部の人たちの習慣を反映している。

画像クレジット:Pew Research

定期的にFacebookで情報を得ている米国成人の3分の1に続いて、22%がYouTube(ユーチューブ)から定期的に情報を取得している。Twitter(ツイッター)とInstagram(インスタグラム)はそれぞれ13%および11%の米国人の定期的情報源だ。

しかし、多くのサイトにおいて自身のサイトを定期的情報源としているユーザーの数字がわずかに減少している、とPewは指摘している。これは、各サイトをニュース源として使っている米国成人のずっと小さな割合とは意味が異なり、サイト自身のユーザーベースがどう認識しているかを示している。ある意味でこれは、具体的には概して若いソーシャルメディア・ユーザーのニュース消費行動の変化を測ったものだと言える。

現在Twitterユーザーの55%が同プラットフォームから定期的に情報を得ており2020年は59%だった。一方Reddit(レディット)ユーザーの情報源としての同サイトの利用は42%から39%に減少した。YouTubeは32%から30%、Snapchat(スナップチャット)は19%から16%に減少した。Instagram(インスタグラム)はほぼ変わらず2020年が28%、2021年が27%だった。

今回、唯一ニュース源として成長したソーシャルメディアプラットフォームは、TikTok(ティックトック)だ。

2020年、ショートビデオプラットフォームのユーザーで定期的にそこで情報を取得している答えた人は22%だった。2021年には29%に増加した。

しかし全体的に見ると、これらのサイトのほとんどが米国の成人人口全体にごくわずかしか掴んでいない。米国人でReddit(7%)、TikTok(6%)、LinkedIn(4%)、Snapchat(4%)、WhatsApp(3%)、Twitch(%)を情報源としている人はいずれも10人に1人以下だった。

画像クレジット:Pew Research

サイトを利用しているユーザーの人口属性による違いもある。

白人成人は情報源としてFacebookとRedditに目を向ける傾向がある(それぞれ60%と54%)。黒人およびラテンアメリカ系成人は、Instagramを定期的情報源としている人の割合がかなり大きい(それぞれ20%と33%)。若年成人はSnapchatとTikTokに頼る傾向が強く、LinkedInを情報源とする人の過半数が四年制大学の学位を持っている。

もちろん、2021年7月26日~8月8日に実施されたPewの最新調査は個人の申告データに基づいている。つまり、被験者の答えはさまざまなサイトを情報源として使っていることに関するその人自身の認識に基づいている。これは、現実世界でユーザーがどれほど頻繁にニュースを読みにサイトに訪れるかの測定値とは異なる結果を生むことがある。利用の割合を過小評価する人も過大評価する人もいるからだ。

また、人はソーシャルメディアでニュースを読むことの予期せぬ影響を正しく理解できていない。見出しや投稿は扇動的なクリックベイト(クリックを誘う餌)に隠されてリアクションやコメントによるエンゲージメントを誘発しようとしている。そうした手口はしばしば強いリアクションを誘うことがあるが、必ずしも聞く価値のある人によるものではない。Pewによる最近の調査で、ソーシャルメディアニュース利用者は、選挙や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの重要な話題に関する事実の知識が少ない傾向があるという結果が出た。そしてソーシャルメディア消費者は過激な陰謀論に接する機会が多い(コメントを読んでいる人にとっては実に明らかだ)。

今回の調査の全標本数は、回答者1万1178名で、標本誤差範囲はプラス・マイナス1.4パーセンテージ・ポイントとなる。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

写真SNS「Dispo」が自分の写真をNFTとして販売することに対するユーザーの関心を調査中

使い捨てカメラを模した写真共有アプリ「Dispo(ディスポ)」は、写真をNFT(非代替性トークン)として販売することに対するユーザーの関心を記録するためのテストを、米国時間9月13日より展開している。一部のユーザーは、自分の写真に「Sell(販売)」ボタンが表示されるようになり、それをタップすると、Dispoの写真を販売する機能が導入された際に通知を受けるための登録をすることができる。

Dispoの共同創業者でCEOを務めるDaniel Liss(ダニエル・リス)氏が、TechCrunchに語ったところによると、DispoはNFT販売をどのようにアプリに組み込むか、まだ決めかねており、そのためにユーザーを対象としたテストを先行して実施しているところだという。現時点では、Dispoがどのブロックチェーンを使用するのか、どこかのNFTマーケットプレイスと提携するかどうか、Dispoが売上の一部をどれだけ取るのか、ということなどはまだ決まっていない。

「このテストの結果から、Dispoアプリのネイティブな体験になると言っていいと思います」と、リス氏はいう。「いくつかの方法は考えられますが、Dispoの中にネイティブな体験として導入し、それがAPIを通じて他のプラットフォームに接続されるという形になるでしょう。そのプラットフォームは我々のパートナーとなるわけですが、コミュニティにとってはDispoアプリのネイティブな体験となります」。

画像クレジット:Dispo

NFT販売は、このソーシャルメディア・アプリの新たな方向性を示すものだ。Dispoというアプリは、翌朝9時にならないとユーザーが撮影した写真を見られないようにすることで、写真共有の体験を再定義しようとした。Dispoの視点によれば、このギミックはユーザーがより本物に近い形で写真を共有することに役立つという。1枚の写真を撮ったらそれでおしまいだからだ。何十枚も自撮りして、それらの中から自分の「最高の1枚」を投稿するという行為には適さない。しかし、このアプリは2019年12月に登場したばかりだが、すでに爆発的な人気と破壊的な論争の両方に直面している。

関連記事:性的暴行疑惑で写真SNS「Dispo」取締役ドブリック氏が退任、VCは「一切の関係を断つ」と決定

1年ほど前まで、このアプリは共同創業者でYouTuber(ユーチューバー)のDavid Dobrik(デヴィッド・ドブリック)氏にちなんで「David’s Disposables(デヴィッドの使い捨てカメラ)」と呼ばれていた。このアプリはリリース後1週間で100万回以上ダウンロードされ、App Store(アップストア)のチャートで1位を獲得。2021年3月には招待制を廃止し、ソーシャルネットワーク機能を搭載してリニューアルしたが、それからわずか数週間後、米国のメディア「Insider(インサイダー)」が、ドブリック氏のYouTubeでの悪ふざけ集団「Vlog Squad(ヴイログ・スクワッド)」のメンバーによる性的暴行疑惑を報じた。これを受けて投資会社のSpark Capital(スパーク・キャピタル)はDispoとの関係を絶ち、ドブリック氏はDispoを離れることになった。また、同社が2000万ドル(約22億円)を調達したシリーズAラウンドに出資したSeven Seven Six(セブン・セブン・シックス)や、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)などの他の投資家は、Dispoへの投資で得た利益を、性的暴行の被害者を支援する団体に寄付すると発表した。

DispoがシリーズAの資金調達を認めた6月に、リス氏がTechCrunchに語ったところによると、ドブリック氏の同社における役割はマーケティング・パートナーであり、CEOはリス氏が当初からを務めているとのことだった。この騒動を受けて、同社は製品自体の改善に注力し、プロモーションからは一歩引いたとリス氏は述べていた。

アプリ分析会社SensorTower(センサータワー)のデータによると、Dispoは配信開始以来、全世界で推定470万インストールに達しているという。アプリのダウンロード回数が最も多かったのは、100万回以上インストールされた2020年1月だったが、次に多かったのは招待性を廃止した2021年3月で、同月には約61万6000人がDispoをダウンロードした。3月から8月末までの間に、このアプリは約140万回ダウンロードされており、2020年の同時期と比較して118%増となっている。ただし、2020年はこのアプリのメンバーシップが招待制によって限定されていたため、2021年1年の数字はさらに伸びると予想される。

画像クレジット:Dispo

今回、NFTを取り入れると発表したことで、Dispoは単に人々の写真を投稿するやり方を変えるだけでなく、プラットフォームとユーザーが作成するコンテンツの関係を変えることができると、リス氏は期待している。

「なぜNFTなのか?私たちの人生で最も強力な思い出には価値があります。それは私たちが作ったものだからこそ、経済的価値がある。これまでのソーシャルメディアは、そのことを認識していませんでした」と、リス氏はTechCrunchに語った。「その結果、多くのフォロワーを持つクリエイターが報酬を得るためには、企業に直接売り込むしかありませんでした。それはコンテンツ自体から利益を得ることとは対照的です」。

NFT販売をアプリに追加することは、Dispoにユーザーの売上から利益を得る方法を提供することになる。だが、これまでコミュニティを中心としてきたDispoの雰囲気に、それがどのような影響を与えるのかという疑問が残る。

「非常に大きな好奇心と関心があると思います」と、リス氏はいう。「しかし、このような問題や疑問もあるため、私たちはより多くのデータを必要としているのです」。

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画像クレジット:Dispo

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

誰でも簡単にゲームを制作・共有できるPlaybyteの新アプリは「ゲームのTikTok」を目指す

Playbyte(プレイバイト)というスタートアップ企業は、ゲームのTikTok(ティックトック)になりたいと考えている。同社が新たに配信開始したiOSアプリは、ユーザーが携帯電話で簡単なゲームを作って公開できるツールを提供しており、縦にスクロールできるフルスクリーンのフィードでは、他の人が作ったゲームをプレイすることができる。TikTokのように、フィードは時間の経過とともにパーソナライズされ、自分の好きな種類のゲームがより多く提供されるようになる。

通常、ゲームの作成には何らかのコーディングが必要だ。だが、Playbyteのゲームは、シンプルなブロックや絵文字、さらにはiPhone内に保存されているカメラロールの画像も使って作成する。このアイデアは、ユーザーにコーディングの基礎を教えるようとする入門教育的なものではなく、ゲームを作ることを自己表現の1つの形にすることを目的としている。

Playbyteのゲーム制作は、ウェブフレームワークをベースにした軽量な2Dゲームエンジンを活用するものであり、低速回線や古いデバイスでもすばやく読み込んでプレイできるゲームを作ることができる。ゲームをプレイした後は、画面右側のボタンで「いいね」やコメントすることができるが、これもTikTokのルック&フィールによく似ている。しばらく使っていると、Playbyteのフィードには次々とおすすめゲームが表示される。これはゲーム内の画像、タグや説明文、その他のエンゲージメント分析を活用して、ユーザーが魅力を感じると思われるゲームを提供するためだ。

配信開始当初より、ユーザーはすでにPlaybyteのツールを使って、シミュレーター、タワーディフェンス(防衛)ゲーム、戦闘ゲーム、Obby(障害物レース)、殺人推理ゲームなど、さまざまなゲームを制作している。

私たちは「Playbyte」というアプリを作りました。携帯電話でゲームを作ったり、他のユーザーが作ったゲームを発見したり、友達と競い合ったりできるアプリです。https://playbyte.io

Playbyte

Playbyteの創業者でCEOであるKyle Russell(カイル・ラッセル)氏は、ドローンメーカーのSkydio(スカイディオ)、ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、そして(実は)TechCrunchで勤務していた人物だ。同氏によると、Playbyteは単なるゲームアプリではなく、ソーシャルメディアアプリを目指しているという。

「私たちの頭の中には、新しいソーシャルメディアのプラットフォームを構築するために必要なもののモデルがあります」と、同氏はいう。

Twitter(ツイッター)がテキストで、Instagram(インスタグラム)が写真で、TikTokが動画でやったことは、制限とパーソナライズされたフィードを組み合わせることだったと、ラッセル氏は説明する。「典型的な例です。彼らはこれらの体験を非常に短く制限することから始めました。つまり、短くて制限のあるフォーマットと、その制限の中でうまくやるためのツールを組み合わせたのです」。

同様に、Playbyteのゲームにも制限がある。根本的にシンプルであることに加え、ゲームは5つのシーンに制限される。この制約のために「プレイ」ボタンを押したときのイントロ画面、ストーリーの導入部、難易度の高いゲーム部分、そしてストーリーのエンディング部分という形式のゲームが作られるようになった。

Playbyteは、簡単に使えるゲーム制作ツールが用意されているだけでなく、ゲームアセットを他のクリエイターが再利用することもできる。つまり、より専門的な知識を持った人が、独自のロジックや複数のコンポーネントを組み合わせてゲームアセットを作ったら、他のユーザーもそれを利用することができるというわけだ。

「基本的には、それほど野心的でない人でも、生産的で創造的なゲームメーカーの気分が味わえるようにしたいと思っています」とラッセル氏はいう。「そのための鍵は、頭の中にゲームのイメージなどのアイデアを持っている人が、すばやく新しいアセットを検索したり、以前に保存した別のアセットを組み合わせたりできるようにすること。そして、それらをレゴのように組み立てたり付け加えたりするだけで、それ以外の設定を自分でしなくても、イメージしたものの90%を構成することができます」と、ラッセル氏は述べている。

近いうちにiOSでは、フィードを広告で収益化することを計画している。例えば、クリエイターが自分のゲームにスポンサー付きのアセットを実装することができるようになるなどだ。さらに将来的には、ある種の支援モデルを確立したいとも考えている。これには定額制の導入やゲームのNFT(非代替性トークン)などが考えられるが、しかしこれはもっと先の話だ。

今まで見た中で一番かわいいスプライトブロブ

Playbyte

このスタートアップは、もともと2019年にウェブアプリとしてスタートしたが、チームは2020年末にその計画を破棄し、独自のゲームエンジンを搭載したネイティブiOSアプリとしてすべてを書き直した。TestFlight(テストフライト)でユーザー数が上限の1万人を超えたこのアプリは、先週よりApp Storeで配信が始まっている。

現在は、TikTokやRoblox(ロブロックス)、Minecraft(マインクラフト)、Fortnite(フォートナイト)などのコラボレーションゲームに参加している若いティーンエイジャーに支持されている。

「これらの若者は、自分でゲームを作ってみたいと思っていても、コードやその他の高度なツールを学ぶ必要があることに抵抗を感じていたり、それらのツールにアクセスできるコンピューターを自宅に持っていなかったりするのです」と、ラッセル氏は指摘する。

Playbyteは、FirstMark(ファーストマーク)のRick Heitzmann(リック・ハイツマン)氏)、Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)のJonathon Triest(ジョナサン・トリエスト)氏とBlake Robbins(ブレイク・ロビンス氏)、元TechCrunch編集長でDream Machine(ドリーム・マシン)のAlexia Bonatsos(アレクシア・ボナトソス)氏などの投資家や、Coinbase(コインベース)の共同創業者であるFred Ehrsam(フレッド・エールサム)氏、Oculus(オキュラス)の共同創業者であるNate Mitchell(ネイト・ミッチェル)氏、元TwitterるAshita Achuthan(アシタ・アクサン)氏などのエンジェルから、プレシードおよびシード資金として400万ドル(約4億4000万円)を調達している。

このアプリは、App Storeから無料でダウンロードできる。

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画像クレジット:Playbyte

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【インタビュー】数学者が紐解く偽情報の世界

偽情報に誤報、インフォテイメントにalgowars(アルゴワーズ)。メディアの未来をめぐるここ数十年間の議論に意味があるとすれば、少なくとも言語には刺激的な痕跡を残したということだろう。個人の心理的状態や神経学的な問題から、民主主義社会についてのさまざまな懸念まで、ソーシャルメディアが我々の社会にもたらす影響に関するあらゆる非難と恐怖がここ何年もの間、世間を渦巻いている。最近Joseph Bernstein(ジョセフ・バーンスタイン)氏が語った通り「群衆の知恵」から「偽情報」へのシフトというのは確かに急激なものだったと言えるだろう。

そもそも偽情報とは何なのか。それは存在するのか、存在するとしたらそれはどこにあるのか、どうすればそれが偽情報だとわかるのか。お気に入りのプラットフォームのアルゴリズムが私たちの注意を引きつけようと必死に見せてくる広告に対して我々は警戒すべきなのか?Noah Giansiracusa(ノア・ジアンシラクサ)氏がこのテーマに興味を持ったのは、まさにこのよう入り組んだ数学的および社会科学的な疑問からだった。

ボストンにあるベントレー大学の教授であるジアンシラクサ氏は、代数幾何学などの数学を専門としているが、計算幾何学と最高裁を結びつけるなど、社会的なトピックを数学的なレンズを通して見ることにも興味を持っていた。最近では「How Algorithms Create and Prevent Fake News(アルゴリズムがフェイクニュースを生み、防ぐ仕組み)」という本を出版。著書では今日のメディアをめぐる課題と、テクノロジーがそれらの傾向をどのように悪化させたり改善したりしているかを探求している。

先日筆者はTwitter Spaceでジアンシラクサ氏をお招きしたのだが、何とも儚いTwitterではこのトークを後から簡単に聴くことができないため、読者諸君と後世のためにも会話の中で最も興味深い部分を抜き出してみることにした。

このインタビューはわかりやすくするために編集、短縮されている。

ダニー・クライトン:フェイクニュースを研究し、この本を書こうと思った理由を教えてください。

ノア・ジアンシラクサ:フェイクニュースについては社会学や政治学の分野で非常に興味深い議論がなされています。一方でテック系サイドではMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が「AIがすべての問題を解決してくれる」などと言っています。このギャップを埋めるのは少し難しいのではないかと感じました。

ソーシャルメディア上の誤報について、バイデン大統領が「誤報が人を殺している」と言ったのを耳にしたことがあるでしょう。このように、アルゴリズムの側面を理解するのが難しい政治家たちはこのようなことを話しているのです。一方、コンピューターサイエンスの専門家らは細部にまで精通しています。私は筋金入りのコンピューターサイエンスの専門家ではないので、その中間にいると言えるでしょう。ですから一歩下がって全体像を把握することが私には比較的簡単にできると思っています。

それに何と言っても、物事が混乱していて、数学がそれほどきれいではない社会との相互作用をもっと探究したいと思ったのです。

クライトン:数学のバックグラウンドを持つあなたが、多くの人がさまざまな角度から執筆しているこの難しい分野に足を踏み入れています。この分野では人々は何を正しく理解しているのでしょうか。また、人々が見落としているものとは何でしょうか。

ジアンシラクサ:すばらしいジャーナリズムがたくさんあります。多くのジャーナリストがかなり専門的な内容を扱うことができていることに驚かされました。しかし、おそらく間違っているわけではないのですが、1つだけ気になったことがあります。学術論文が発表されたり、GoogleやFacebookなどのハイテク企業が何かを発表したりするときに、ジャーナリストたちはそれを引用して説明しようとするのですが、実際に本当に見て理解しようとすることを少し恐れているように見えました。その能力がないのではなく、むしろ恐怖を感じているのだと思いました。

私が数学の教師として大いに学んだことですが、人々は間違ったことを言ったり、間違えたりすることをとても恐れています。これは技術的なことを書かなければならないジャーナリストも同じで、間違ったことを言いたくないのです。だからFacebookのプレスリリースを引用したり、専門家の言葉を引用したりする方が簡単なのでしょう。

数学が純粋に楽しく美しい理由の1つは、間違いなどを気にせずアイデアを試してみて、それがどこにつながっていくのかを体験することで、さまざまな相互作用を見ることができるということです。論文を書いたり講演をしたりするときには、詳細をチェックします。しかし数学のほとんどは、アイデアがどのように相互作用するかを見極めながら探求していく、この創造的なプロセスなのです。私は数学者としての訓練を受けてきたので、間違いを犯すことや非常に正確であることを気にかけていると思うかもしれませんが、実はそれはとは逆の効果があるのです。

それから、これらのアルゴリズムの多くは見た目ほど複雑ではありません。私が実際に実行しているわけではありませんし、プログラムを組むのは難しいでしょう。しかし、全体像を見ると最近のアルゴリズムのほとんどはディープラーニングに基づいています。つまりニューラルネットワークがあり、それがどんなアーキテクチャを使っているかは外部の人間として私にはどうでもよく、本当に重要なのは予測因子は何なのかということです。要するにこの機械学習アルゴリズムに与える変数は何か、そして何を出力しようとしているのか?誰にでも理解できることです。

クライトン:アルゴリズムを分析する上での大きな課題の1つは透明性の低さです。問題解決に取り組む学者コミュニティの純粋数学の世界などとは異なり、これらの企業の多くは、データや分析結果を広く社会に提供することについて実際には非常に否定的です。

ジアンシラクサ:外部からでは、推測できることには限界があるように感じます。

YouTubeの推薦アルゴリズムが人々を過激派の陰謀論に送り込むかどうかを学者チームが調べようとしていましたが、これは良い例です。これが非常に難しいのは、推薦アルゴリズムにはディープラーニングが使われており、検索履歴や統計学、視聴した他の動画や視聴時間など、何百もの予測因子に基づいているためです。あなたとあなたの経験に合わせて高度にカスタマイズされているので、私が見つけた研究ではすべてシークレットモードが使用されていました。

検索履歴や情報を一切持たないユーザーが動画にアクセスし、最初におすすめされた動画をクリックし、またその次の動画をクリックする。そのようにしていけばアルゴリズムが人をどこへ連れて行くのかを確認することができるでしょう。しかしこれは履歴のある実際のユーザーとはまったく異なる体験ですし、とても難しいことです。外部からYouTubeのアルゴリズムを探る良い方法は誰も見つけられていないと思います。

正直なところ、私が考える唯一の方法は、大勢のボランティアを募り、その人たちのコンピューターにトラッカーを取り付けて「インターネットを普段通り閲覧して、見ている動画を教えてください」と頼む昔ながらの研究方法です。このように、ほとんどすべてと言っていいほど多くのアルゴリズムが個人のデータに大きく依存しているという事実を乗り越えるというのはとても困難なことです。私たちはまだどのように分析したら良いのか分かっていないのです。

データを持っていないために問題を抱えているのは、私やその他の外部の人間だけではありません。アルゴリズムを構築した企業内の人間も、そのアルゴリズムがどのように機能するのか理論上はわかってはいても、実際にどのように動作するのかまでは知らないのです。まるでフランケンシュタインの怪物のように、作ったはいいがどう動くかわからないわけです。ですから本当の意味でデータを研究するには、そのデータを持っている内部の人間が、時間とリソースを割いて研究するしかないと思います。

クライトン:誤報に対する評価やプラットフォーム上のエンゲージメントの判断には多くの指標が用いられています。あなたの数学的なバックグラウンドからすると、こういった指標は強固なものだと思いますか?

ジアンシラクサ:人々は誤った情報を暴こうとします。しかし、その過程でコメントしたり、リツイートしたり、シェアしたりすることがあり、それもエンゲージメントとしてカウントされます。エンゲージメントの測定では、ポジティブなものをきちんと把握しているのか、それともただすべてのエンゲージメントを見ているのか?すべて1つにまとめられてしまうでしょう。

これは学術研究においても同様です。被引用率は研究がどれだけ成功したものかを示す普遍的な指標です。例えばウェイクフィールドの自閉症とワクチンに関する論文は、まったくインチキなのにも関わらず大量に引用されていました。その多くは本当に正しいと思って引用している人たちですが、その他の多くはこの論文を否定している科学者たちです。しかし引用は引用です。つまり、すべてが成功の指標としてカウントされてしまうのです。

そのためエンゲージメントについても、それと似たようなことが起きているのだと思います。私がコメントに「それ、やばいな」と投稿した場合、アルゴリズムは私がそれを支持しているかどうかをどうやって知ることができるでしょう。AIの言語処理を使って試すこともできるかもしれませんが、そのためには大変な労力が必要です。

クライトン:最後に、GPT-3や合成メディア、フェイクニュースに関する懸念について少しお話したいと思います。AIボットが偽情報でメディアを圧倒するのではないかという懸念がありますが、私たちはどれくらい怖がるべきなのか、または恐れる必要はないのか、あなたの意見を教えてください。

ジアンシラクサ:私の本は体験から生まれたものなので、公平性を保ちながら人々に情報を提供して、彼らが自分で判断できるようにしたいと思いました。そのような議論を省いて、両方の立場の人に話してもらおうと思ったのです。私はニュースフィードのアルゴリズムや認識アルゴリズムは有害なものを増幅させ、社会に悪影響を与えると思います。しかしフェイクニュースを制限するためにアルゴリズムを生産的にうまく使っているすばらしい進歩もたくさんあります。

AIがすべてを解決し、真実を伝えて確認し、誤った情報を検出してそれを取り消すことができるアルゴリズムを手に入れることができるというテクノユートピア主義の人々がいます。わずかな進歩はありますが、そんなものは実現しないでしょうし、完全に成功することもありません。常に人間に頼る必要があるのです。一方で、もう1つの問題は不合理な恐怖心です。アルゴリズムが非常に強力で人間を滅ぼすという、誇張されたAIのディストピアがあります。

2018年にディープフェイクがニュースになり、GPT-3が数年前にリリースされた際「やばい、これではフェイクニュースの問題が深刻化して、何が真実かを理解するのがずっと難しくなってしまう」という恐怖が世間を取り巻きました。しかし数年経った今、多少難しくなったと言えるものの、予想していたほどではありません。主な問題は何よりも心理的、経済的なものなのです。

GPT-3の創造者らはアルゴリズムを紹介した研究論文を発表していますが、その中で、あるテキストを貼り付けて記事へと展開させ、ボランティアに評価してもらいどれがアルゴリズムで生成された記事で、どれが人間が生成した記事かを推測してもらうというテストを行いました。その結果、50%に近い精度が得られたと報告されています。すばらしくもあり、恐ろしいことでもありますね。

しかしよく見ると、この場合は単に1行の見出しを1段落の文章に展開させたに過ぎません。もしThe Atlantic誌やNew Yorker誌のような長文の記事を書こうとすると、矛盾が生じ、意味をなさなくなるかもしれません。この論文の著者はこのことには触れておらず、ただ実験をして「見て、こんなにも上手くいったよ」と言っただけのことです。

説得力があるように見えますし、なかなかの記事を作ることは可能です。しかしフェイクニュースや誤報などについて言えば、なぜGPT-3がさほど影響力がなかったかというと、結局のところそれはフェイクニュースがほとんどクズ同然だからです。書き方も下手で、質が低く、安っぽくてインスタントなものだからです。16歳の甥っ子にお金を払えば、数分で大量のフェイクニュース記事を作ることができるでしょう。

数学のおかげでこういったことを理解できるというよりも、数学では主に懐疑的になることが重要だから理解できるのかもしれません。だからこういったことに疑問を持ち、少し懐疑的になったら良いのです。

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画像クレジット:Valera Golovniov/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

Twitterが有料サブスク「Super Follows」を米国で開始、数週間内にグローバル展開

Twitter(ツイッター)は6月から申し込みを受け付けていたプレミアムなサブスクSuper Followsの提供を米国時間9月1日に開始した。

2月に発表していたこの機能では、ユーザーはお気に入りのアカウントを月額料金を払って購読し、特別なコンテンツにアクセスできるようになる。さまざまなソーシャルプラットフォームで収益化のオプションが増えつつあるが、クリエイターにとってはそこにまた1つツールが加わった格好だ。

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このサービスを利用できるアカウントは、Super Followsサブスクの月額料金を2.99ドル(約330円)、4.99ドル(約550円)、9.99ドル(約1100円)から選んで課金できる。この価格は有料ニュースレターとほぼ同程度だ。クリエイターは一部のツイートを有料購読者だけに公開することができ、その一方で通常のツイートで無料フォロワーにもリーチし続けられる。

画像クレジット:Twitter

有料の購読者には特別のSuper Followerバッジが付けられ、ツイートの海の中で無料フォロワーとは区別される。バッジはリプライに表示され、Super Followerはサポートすることを選んだアカウントと直接やり取りできるようになる。Super Followsを利用しているアカウントは、プロフィールページにSuper Follows専用ボタンが表示される。

Super Followsは誰でも使えるわけではない。当面、申し込み制となっていてウェイトリストがある。申し込みはアプリのサイドバーにある収益化オプションから行える。ただし、フォロワー1000人超を抱え、過去1カ月に25回超のツイートをしている米国拠点のユーザーのみが申し込める。

米国とカナダ拠点のiOS Twitterユーザーは9月1日から一部のアカウントをSuper Followできるようになり、今後数週間以内にグローバルのユーザーにも提供される。クリエイターの側では、Super Followsは差し当たってiOSでのみ利用可能だが、Androidとデスクトップも「間もなく」サポートされる。

Super Followの収入は標準的なものとなるが、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)がアプリ内購入手数料として30%を徴収するとTwitterは話す。Twitterは、Super Followsを通じた売り上げに対し、最初の5万ドル(約550万円)までは手数料として3%を徴収する。これから活動を始めようとしているアカウント、あるいは有料のTwitter機能を他のクリエイター収入を補完する方法として活用している人にとって思いやりのある設定だ。売り上げが5万ドルを超えると、Twitterの取り分は20%になる。

Twitterにとって、Super Followsは一般提供につなげる初の収益化実験ではない。同社は5月、Cash Appや他の決済プラットフォームの統合を通じてアカウントが1度限りの支払いを受けられるTip Jarを導入した。テストは差し当たって「クリエイター、ジャーナリスト、専門家、非営利団体」などの対象アカウントに限定して行われている。

8月22日の週には、6月に有料のオーディオルーム機能に申し込んだユーザー向けにTicketed Spacesを導入した。Ticketed SpacesでのTwitterの手数料はSuper Followsと同じ設定で、ユーザーは高機能なチケット発行機能であるTicketed Spacesで1〜999ドル(約110〜11万円)の間で課金できる。

長期間のプロダクト停滞を経て、Super FollowsはTwitterの一連の動きの最新のものとなる。しかし同社はこの12カ月、失敗したFleetsのリリースと提供停止から、導入の兆しが見られる多くの人が何年もの間求めていたいじめ防止機能のようなものに至るまで、忙しくしていた。

ユーザーがプレミアムなコンテンツを提供して課金できるようにすることは、Twitterにとってかなり大きな変化だ。物いう株主がCEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏を追放すると脅すまで、同社はほぼ動かなかった。また、コンテンツ制作でユーザーが稼げるようにするツールを多くのプラットフォームが加えるのにともない、熱が高まっているクリエイター分野への参入もTwitterにとっては大きな動きであり、クリエイターが継続して利用しそのプロセスで収入を生み出せるよう維持することが理想だ。

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画像クレジット:Twitter

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokがティーンエイジャーの親向けに教育リソースを提供、ユーザー保護強化で

TikTokはアプリ内のペアレンタルコントロール機能「Family Pairing」に、親がティーンエイジャーの子どもをこれまで以上にサポートできるようにするための教育リソースを加えた。同社が米国時間9月1日に明らかにした。2020年に世界中のユーザーへの提供が始まったペアリング機能では、子どものスクリーン使用時間や誰とダイレクトメッセージをやり取りできるかなどを設定できるよう、13歳以上の子どもを持つ親が自分のアカウントを子どものアカウントとつなげることができる。しかし同社のもとには、自分たちのデジタルライフへの親の関わりについても考慮して欲しいというティーンエイジャーからの声も届いた。

新しい教育コンテンツをつくるために、TikTokはオンラインセーフティに取り組む非営利団体Internet Mattersと提携した。同団体は、親にTikTokに関する状況やティーンエイジャーのソーシャルメディア使用について一般的な情報を提供すべく、ティーンエイジャーとのコラボで一連のリソースを開発した。

この取り組みの中で、Family Pairingのような機能を使う時、設定するルールを親に理解して欲しい、とティーンエイジャーはいう。また、ティーンエイジャーがオンラインに費やす時間について議論することにもオープンであって欲しいと思っている。ティーンエイジャーは親が境界線を定めることについては気にかけていない一方で、人生において大人からある程度の信頼を得たいと感じている。

また年齢を重ねるにつれ、ティーンエイジャーは自分のデバイスやソーシャルネットワークで自主権を持ちたくなる。そのため、与えられたプラットフォームで付け回されたくない、と親にいうことがあるかもしれない。

これは必ずしもティーンエイジャーが何か悪さをしているわけではない、と新しいリソースは親に説明している。ティーンエイジャーはただ、厳重な監視なしにオンライン上で友達とつるむことができる、と感じたいだけなのだ。これはパンデミック時代にある今日、オンライン体験の重要な部分になっている。パンデミックでは多くの若者が、実生活で友達と付き合ったり、対面でのグループ活動に参加したりする代わりに、これまでよりも長い時間を家で過ごしている。

画像クレジット:TikTok

ティーンエイジャーはまた、何かまずい状況になったときに、ひどく怒られたり親がパニックになったりするのでは、とびくびくせずに親を頼ることができれば、ともいう。もし規則を破れば相応の結果がともなうことをティーンエイジャーは知っているが、厄介な事態になったときに、怒るだけでなく親に一緒に解決策を考えて欲しいと思っている。

これらは至って簡単で常識的なアドバイスのように聞こえるが、子どものデジタルライフやソーシャルネットワークの使用に対するTikTok上の親の寛容度はさまざまだ。ティーンエイジャーが何を求め、どう感じているのかを説明している基本的なガイドラインが含まれるのは理に適っている。とはいえ、Family Pairingのようなペアレンタルコントロール機能を利用できるほどにテックに詳しい親はすでに最良のプラクティスの手がかりを得ているかもしれない。

画像クレジット:TikTok

加えて、ティーンエイジャーにフォーカスしたこの手のプライバシーセーフティコンテンツは、TikTokが若いユーザーの保護に取り組んでいるプラットフォームと自らを位置付けるのに使うためのものだ。最近大手テック企業が先んじようと試みている潜在的な規制を考えると、若いユーザーの保護はますます求められている。たとえばTikTokは2021年8月、アプリをより安全なものにするために若いティーンエイジャーのプライバシー保護をこれまでよりも強化すると発表したFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、YouTube(ユーチューブ)も同様の取り組みを展開している。

Family Pairing機能を介して自分のアカウントをティーンエイジャーのアカウントにリンクさせている親や保護者は、ティーンエイジャーが望んでいること、そしてデジタルリテラシーやオンラインセーフティに関する会話へのアプローチについて知ってもらうためのノーティフィケーションを受け取る、とTikTokは話す。Family Pairingを初めて使用する親にもこのリソースが案内される。

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グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化画像クレジット:Anatoliy Sizov / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】Facebookは独占企業だ、そうだろう?

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は米国時間8月19日、全国テレビに出演して「特別発表」を行った。そのタイミングはこれ以上ないほど興味深いものだ。この日はLina Khan(リナ・カーン)氏のFTC(連邦取引委員会)がFacebookの独占を解体するためにその訴訟を再提出した日である。

普通の人には、Facebookの独占は明白に見える。コロンビア特別区連邦地方裁判所のJames E.Boasberg(ジェームズ・E・ボースバーグ)判事が最近下した判決の中で述べているように「2010年の映画『The Social Network(ソーシャル・ネットワーク)』のタイトルを聞いて、それがどの企業に関するものなのかわからない人はいないだろう」。しかし、自明性は反トラストの基準ではない。独占には明確な法的意味があり、これまでのところリナ・カーン氏のFTCはそれを満たしていない。今回の再提出は、FTCの最初の襲撃に比べてはるかに実質的だ。しかし、まだ批判的な議論が欠けている。最前線からの意見をいくつか示したいと思う。

第1に、FTCは市場を正しく定義しなければならない。メッセージングを含むパーソナルソーシャルネットワークの定義だ。第2に、FTCはFacebookが市場の60%以上を支配していることを証明しなければならない。これを証明する正しい指標は収益である。

消費者に対する損害は、独占的な判断の試金石として広く認識されているが、当法廷はFTCに対し、Facebookが消費者に損害を与えていることを証明して勝訴するよう求めてはいない。しかしこれに代わる訴答として、政府は、Facebookがクリエイターエコノミーにおける賃金を抑制することで消費者に損害を与えている、という説得力のある主張を提示することができる。クリエイターエコノミーが本物なら、Facebookのサービス上にある広告の価値は、クリエイターの労働の成果によって生み出されているはずだ。ユーザー生成コンテンツがなければ、動画の前や投稿の間の広告を見る人はいないだろう。Facebookはクリエイターの賃金を抑制することで、消費者に損害を与えている。

編集部注:本稿はFacebook独占に関するシリーズの第1弾である。Cloudflareの最近のブログ記事で、Amazonの独占が業界に与える影響を説明しているが、感銘を受けるものがあった。おそらくそれは競争戦術だったのだろうが、筆者はこれをより愛国心に訴える責務であると心から確信している。複雑な問題についての議員や規制当局のための道しるべとなる。筆者の世代は、Eメールをほとんど使用しない議員が、私たちがまだ理解していない方法で長い間私たちの生活に浸透してきたプロダクトについて、私たちの時代の第一線の技術者たちに疑問を投げかけているのを、悲しみと不安の中で見てきた。筆者個人としても、また自社としても、このことから得るものはほとんどない。しかし、ソーシャルメディア新興企業の最新世代の参加者として、そして民主主義の未来を懸念する米国人として、私は挑戦する義務を感じている。

問題

裁判所によると、FTCは2つの部分からなる評価基準を満たす必要がある。FTCはまず、Neumann対Reinforced Earth Co.(1986年) においてD.C.巡回区控訴裁判所(控訴裁判所)によって立証された独占力をFacebookが有している市場を定義しなければならない。これは、メッセージングを含む、パーソナルソーシャルネットワークの市場だ。

次に、FTCは、Facebookがその市場の支配的なシェア、すなわち裁判所が定義する60%以上を占めていることを立証しなければならない。これはFTC対AbbVie訴訟(2020年)で第3巡回区控訴裁判所によって定められたものだ。この市場シェア分析の正しい測定基準は、紛れもなく収益であり、デイリーアクティブユーザー数(DAU)× 1ユーザーあたりの平均収益(ARPU)となっている。そしてFacebookは90%超を握っている。

FTCの問題に対する答えは、Snapchatの投資家向けプレゼンテーションを見れば明らかだ。

Snapchat 2021年7月 投資家向けプレゼンテーション「Significant DAU and ARPU Opportunity」(画像クレジット:Snapchat

これはFacebookの独占状態を示すグラフで、パーソナルSNS市場の91%を占めている。グレーのブロックは、FacebookのStandard Oil(スタンダード・オイル)事業部が掘削に成功した巨大な油層のように見える。SnapchatとTwitterは小さな石油試掘者であり、Facebookの規模とはほぼ無関係だ。Facebookがかつて両社を買収しようとしていたことは、市場の観測筋の誰もが認めるところだろう。

市場にはメッセージングが含まれている

FTCは当初、Facebookが「パーソナルソーシャルネットワーキングサービス」市場を独占していると主張した。この訴状では、Facebookの市場から「モバイルメッセージング」を除外しおり、その理由として「 (i) 交流のための『共有ソーシャルスペース』がなく(ii) ユーザーが知っているかもしれない他のユーザーを見つけて『友達になる』ためのソーシャルグラフを採用していない」ことを挙げている。

メッセージングはFacebookのパワーから切り離すことができず、これは正しくない。Facebookはこれを、WhatsApp買収、Messengerのプロモーション、SnapchatとTwitterの買収で証明している。いかなるパーソナルソーシャルネットワーキングサービスもその機能を拡張することができる。そしてFacebookの堀はメッセージングのコントロール次第である。

エコシステムの中で過ごす時間が長いほど、その価値は高くなる。ソーシャルネットワークにおける価値は、誰に対して求めるかに依存して、アルゴリズム的(メトカーフの法則)または対数的(ジップの法則)に計算される。どちらにしても、ソーシャルネットワークでは1+1は2よりずっと多い。

ソーシャルネットワークは、企業がより多くの機能を構築できるノードの数が増え続けることで価値が高まる。ザッカーバーグ氏はこの関係を「ソーシャルグラフ」という言葉で表現した。日本、韓国、中国におけるLINE、Kakao、WeChatの独占はこれを明確に証明している。彼らはメッセージングからスタートし、外部へと拡大し、パーソナルソーシャルネットワーキングの巨人となった。

今回の提出書類でFTCはFacebook、Instagram、Snapchatはいずれもパーソナルソーシャルネットワーキングサービスであり、3つの主要機能を利用していると説明している。

  • 「第1に、パーソナルソーシャルネットワーキングサービスは、ユーザーと友人、家族、その他の個人的なつながりをマッピングしたソーシャルグラフ上に構築されている」。
  • 「第2に、パーソナルソーシャルネットワーキングサービスには、多くのユーザーが個人的なつながりと対話し、1対多の『ブロードキャスト』形式を含む共有ソーシャルスペースで個人的な体験を共有するために定期的に使用する機能が含まれている」。
  • 「第3に、パーソナルソーシャルネットワーキングサービスには、ユーザーが他のユーザーを見つけて接続できるようにする機能が含まれており、各ユーザーが個人的な接続を構築して拡張するのを容易にする」。

残念ながら、これはほんの一部しか真実を語っていない。ソーシャルメディアの危険な領域では、FTCが明言に苦慮しているように、機能セットは日常的にコピーされ、クロスプロモーションされている。InstagramがSnapchatのストーリーをコピーしたことを忘れることができるだろうか?Facebookは、最初から市場で最も成功したアプリの機能を容赦なくコピーしてきた。Clubhouseと競合するLive Audio Roomsのローンチは、ごく最近の例にすぎないだろう。TwitterとSnapchatはFacebookのライバルである。

メッセージングは、コピーして破壊しようとするFacebookの広範で貪欲な欲求を示すために含まれなければならない。WhatsAppとMessengerはそれぞれ20億人と13億人を超えるのユーザーを擁している。機能コピーの容易さを考えると、WhatsAppの規模のメッセージングサービスは、数カ月もすれば本格的なソーシャルネットワークになる可能性がある。これこそがFacebookが同社を買収した理由だろう。Facebookのソーシャルメディアサービスの幅広さには目を見張るものがある。しかしFTCは、メッセージングが市場の一部であることを理解する必要がある。そしてそのことを認めたからといって、彼らの訴えの妨げにはならないだろう。

測定基準:収益はFacebookの独占を示す

ボースバーグ判事は、収益は個人のネットワーキングを算定するための適切な測定基準ではないと考えている。「●PSNサービスによって得られた総収益は、市場シェアを測定するための正しい測定基準ではありません。これらの収益はすべて別の市場、つまり広告市場で得られたものだからです」。同氏はビジネスモデルと市場を混同している。すべての広告が同じ布から切り離されているわけではない。今日の再提出で、FTCは「ソーシャル広告」を「ディスプレイ広告」と区別して正確に識別している。

しかしFTCは、収益を明確な市場シェア測定基準とすることを避けようとしている。代わりにFTCは「消費時間、デイリーアクティブユーザー数(DAU)、月間アクティブユーザー数(MAU)」を挙げている。Facebook BlueとInstagramがSnapchatとだけ競合する世界において、これらの測定基準はFacebookブルーとInstagramを合わせると60%の独占のハードルを超えるかもしれない。しかしFTCは、このような指標の選択を正当化するための十分に説得力のある市場定義の議論をしていない。Facebookは、DiscordやTwitterのような他の個人向けソーシャルネットワーキングサービスと比較されるべきであり、それらが市場に正しく含まれることで、消費時間やDAU / MAUというFTCの選択はその意味を失うことになる。

結局のところ、お金が王様なのだ。収益が重要であり、FTCが強調すべきことである。Snapchatが上記で示しているように、パーソナルソーシャルメディア業界の収益はARPU×DAUで計算されている。パーソナルソーシャルメディア市場は、エンタテインメントソーシャルメディア市場(FacebookはYouTube、TikTok、Pinterestらと競合している)とは異なる市場である。また、これはディスプレイ検索広告市場(Google)から切り離された市場でもある。すべての広告ベースの消費者向けテクノロジーが同じように構築されているわけではない。繰り返しになるが、広告はビジネスモデルであり、市場ではない。

例えばメディアの世界では、Netflixのサブスクリプション収入は明らかにCBSの広告モデルと同じ市場で競合している。News Corp.によるFacebookの初期のライバルMySpaceの買収は、従来のメディア広告市場を破壊するインターネットのポテンシャルについて多くを物語っている。Snapchatは広告を追求することを選んだが、Discordのような初期のライバルはサブスクリプションを利用して順調な伸びを見せている。しかし、その市場シェアはFacebookと比べると依然として低いものだ。

代替的訴答:Facebookの市場支配力がクリエイターエコノミーの賃金を抑制している

公正取引委員会は、独占の定義に関して、可能な限り小さい市場を主張してきた。Facebookが少なくとも80%を支配しているパーソナルソーシャルネットワーキングは(最も強い主張においては)エンターテインメントを含むべきではない。これは成功の可能性が最も高い、最も狭義の議論である。

しかし、彼らは代替案でより広い議論をすることを選択することができた、より大きなスイングをとるものだ。リナ・カーン氏がNew Brandeis運動を始めた2017年のメモの中でAmazonについて言及したことで知られるように、従来の経済的消費者有害性の評価基準は、ビッグテックがもたらす有害性に十分に対処していない。その害はあまりにも抽象的だ。ホワイトハウスのアドバイザーであるTim Wu(ティム・ウー)氏が「The Curse of Bigness(巨大企業の呪い)」の中で論じ、ボースバーグ判事が自身の意見で認めているように、独占禁止法は価格効果のみに依存するものではない。Facebookは、価格効果の悪影響を証明することなく分割できる。

しかしFacebookは、消費者に損害を与えてきている。消費者は、その労働がFacebookの価値を構成する労働者であり、低賃金である。個人的なネットワーキングをエンターテインメントを含むものと定義すれば、YouTubeは教訓的な例になる。YouTubeとFacebookの両方のサイトでは、インフルエンサーはブランドに直接課金することで価値を獲得できる。それはここでの話題ではない。問題となるのは、クリエイターに支払われる広告収入の割合である。

YouTubeの従来のパーセンテージは55%だった。YouTubeは、過去3年間でクリエイターと権利保有者に300億ドル(約3兆3000億円)を支払ったことを発表している。保守的にいうと、資金の半分は権利保有者に配分される。つまりクリエイターの平均収入は150億ドル(約1兆6500億円)、年間50億ドル(約5500億円)ということになるが、これはその期間のYouTubeの460億ドル(約5兆円)の収益のかなりの部分を占めることになる。言い換えれば、YouTubeは収益の3分の1をクリエイターに支払ったということになる(これは明らかにYouTubeの非広告収入は考慮していない)。

これに対してFacebookは、わずか数週間前に、年間10億ドル(約1100億円)というごくわずかな額のプログラムを発表し、変更を加えたばかりだ。確かにクリエイターたちは、インタースティシャル広告からいくらかの収入を得ているかもしれないが、Facebookはその収入の割合を公表していない。それは侮辱的なものになるからだろう。YouTubeの発表に相当する3年間で、Facebookは2100億ドル(約23兆1100億円)の収益を上げた。その3分の1は700億ドル(約7兆7000億円)、年間230億ドル(約2兆5300億円)に相当する額がクリエイターに分配される計算になる。

なぜFacebookはこれまでクリエイターに支払いをしてこなかったのか?その必要がなかったからである。Facebookのソーシャルグラフはあまりにも大きく、クリエイターたちはとにかくそこに投稿しなければならない──Facebook BlueとInstagramの成功がもたらす規模によって、クリエイターたちはブランドに直接販売することで収益化することができる。Facebookの広告はクリエイターの労働力によって価値がもたらされている。ユーザーがコンテンツを生成しなければ、ソーシャルグラフは存在し得ない。クリエイターたちは、自分たちで作ったスクラップ以上のものを受け取る資格がある。Facebookは、それが可能だという理由でクリエイターの賃金を抑制している。これが独占企業のやっていることなのだ。

Facebookのスタンダード・オイル精神

Facebookは長い間、ソーシャルメディアのStandard Oil(スタンダード・オイル)だった。ザッカーバーグは7月に、Robloxが開拓した市場であるメタバースに再び焦点を当てていることを明らかにした。パーソナルソーシャルメディアでの独占を達成し、エンタテインメントソーシャルメディアとバーチャルリアリティで競争した後も、Facebookの掘削は続いている。確かにFacebookは無料かもしれないが、その独占はクリエイターの賃金を抑制することで米国人に害を与えている。反トラスト法は、シャーマン法の下では、消費者被害は独占を証明するための必要条件ではないと規定している。独占は違法である。正確な市場定義と市場シェアを再提出することで、FTCはチャンス以上のものを手にしている。きっと勝利を収めるはずだ。

編集部注:本稿の執筆者Daniel Liss(ダニエル・リス)氏は、デジタル使い捨てカメラのソーシャルネットワークであるDispoの創設者兼CEO。本記事の前バージョンはSubstackに掲載されている。

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(文:Daniel Liss、翻訳:Dragonfly)

個性ある短編動画で仕事でのコミュニケーションを円滑にするPopcornの新しいアプリ

新しいスタートアップであるPopcorn(ポップコーン)が、仕事のコミュニケーションをより楽しく、個性的なものにしたいと考えている。同社のアプリは「ポップス」という名の短いビデオメッセージを録画する手段を提供する。これは長いメール、テキスト、Slackメッセージ、Zoomコールの代わりにさまざまな目的で使用することができる。最近は他にも、短時間の動画を撮影できる場所はたくさんあるものの、そのほとんどが職場環境としては適切ではないソーシャルメディア上に存在している。また、同僚に作業開始を報せたり、ちょっとした挨拶をしたいだけなのに、携帯電話で撮影した動画をメールに添付して送るのも大げさすぎる。

一方Popcornは、メッセージに個性を加えるために短い動画を作成して、その動画のURLをどこにでも送ることができる。

例えばビジネスネットワーキングの場面でPopcornを使用することができる。同業他社の人と初めてコンタクトを取ろうとする、いわゆる「コールドアウトリーチ」(初回接触)の場面だ。LinkedInでいきなりメッセージを送りつける代わりに、PopcornのURLを貼り付けて、より自然でフレンドリーな自己紹介をすることもできる。また、職場のチームでも、毎日の始業確認や、進行中のプロジェクトの進捗状況の共有、新入社員へ挨拶などにPopcornを使うことができる。

画像クレジット:Popcorn

動画の長さは60秒までで、これはPopcornを使う際に、まとまりのないものにならないようにするための制限時間だ。また、動画に映りたくない場合は、音声のみを録音することもできる。見る側が急いでいるときには再生速度を上げることもできる。また「ポップ」を受け取りたいユーザーは、自分の「ポップコード」を宣伝することもできる(例:私のコードは U8696 だ。良かったら試してみて欲しい)。

職場に短編ビデオを導入するというアイデアを持ち込んだのは、Popcornの共同創業者であり、CEOのJustin Spraggins(ジャスティン・スプラギンス)氏だ。彼は消費者向けアプリの開発に携わってきた経験を持っている。彼が作って初めて話題になったアプリの1つが、2014年にリリースされたTinder(ティンダー)にInstagram(インスタグラム)を組み合わせたようなLooksee(ルックシー)というアプリで、ユーザーは共有された写真を使ってつながることができた。その数年後、彼はUnmute(アンミュート)というソーシャル通話アプリを共同創業したが、これはClubhouseの前身のようなものだった。その後、消費者向けアプリの開発会社である9 Count(ナインカウント)を共同創業し、BFF(旧Wink)やJuju(ジュジュ)などのソーシャルアプリをローンチしてきた。

9 CountのリードエンジニアであるBen Hochberg(ベン・ホックバーグ)氏は、Popcorn(法人名はSnack Break[スナック・ブレーク])の共同創業者の1人だ。彼らがPopcornの開発に着手したのは2020年の、新型コロナパンデミックが始まった直後のことだった。しかし、その後のリモートワークへの急速な移行により、Popcornは分散したチームの間で支持されるようになってきた。現在のリモートワーカーは、オフィスでの対面式の会議には二度と戻れないかもしれないものの、一方ではZoom(ズーム)ミーティングに長時間付き合わされることにも疲れを感じている。

Popcornの目的は、仕事のコミュニケーションを楽しく、パーソナルに、そして一口サイズにすることだとスプラギン氏はいう。そして「消費者向けソーシャルアプリで私たちが夢中になっているものを、仕事の場に取り入れたいと思っています。今の私たちにとってそれはとても重要なことだと思っています」と説明している。

「いろいろな人たちと仕事をする際に。私たちはどうやって──ただしZoomの予定は入れずに、どうやって『人間味』を持ち込めばいいのでしょうか?」とスプラギン氏はいう。「仕事のためのツールを、単なる便利な道具ではなくSnapchat(スナップチャット)のようなものにすることに大きな喜びを感じています」。

Popcornをビジネス向けソーシャルアプリとして真に機能させるためには、セキュリティの強化、スパムの制限、悪質な行為への何らかの報告フローの提供などの多くの課題が残されています。また、最終的には健全な収益モデルに着地する必要もあります。

現在、PopcornはiPhone、iPad、Macで無料でダウンロードでき、Slackとの統合も可能である。よって同僚に、いますでにキャッチアップや連絡を取り合うために使用しているコミュニケーションソフトウェアを使って、ビデオメッセージを直接送ることができる。現在のアプリは非常にシンプルだが、今後はARフレームを使ってユーザーの個性を表現するショートビデオを充実させていく予定だ。

スタートアップは、General Catalyst(Niko Bonatsos[ニコ・ボナストス]氏)とDream MachineAlexia Bonatsos[アレクシアボナトソス]氏、元TechCrunchの編集長)からプレシードラウンドで40万ドル(約4400万円)を調達した。スプラギン氏によると、同社は2021年秋にはシードラウンドを行い、AR技術を含めた採用に役立てたいと考えているそうだ。

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(文: Sarah Perez、翻訳:sako)

最大15秒の短尺動画を投稿し気の合う人と出会える、Z世代向けソーシャルマッチングアプリ「mow」がリリース

最大15秒の短尺動画を投稿し気の合う人と出会える、Z世代向けソーシャルマッチングアプリ「mow」がリリース

Vチューバーのマネジメント事業を行うV Chuu(ブイチュー)は8月23日、動画を使ったソーシャルマッチングアプリ「mow」(モウ。iOS版)を8月2日にリリースしたと発表した。主にZ世代に向けたアプリで、TikTok・Instagramのストーリー機能やリールズ機能のような感覚で相手を探すことができるという。男女の出会いだけでなく、「同じ趣味を持った友人」「気の合う友人」も探せることを意図しているため、あえて「ソーシャルマッチング」としている。現在mowは、有料会員機能を無料提供している。

最大15秒の短尺動画を投稿し気の合う人と出会える、Z世代向けソーシャルマッチングアプリ「mow」がリリース

V Chuuによると、SNSアプリはすでに数多く存在するものの「声をかける」という行為を前提として作られていないため、フォローはしてもそこからの声かけのハードルが非常に高いと考えているという。一方mowでは、従来からの「マッチングアプリ」の前提で自分の動画をアップロードしたり、相手がアップロードした動画にリアクション(=いいね)を送ることができ、マッチングすればそこからの会話のスタートは非常にスムーズとしている。

またV Chuuは、ソーシャルメディアとしての責任にも重点を置いている(インターネット異性紹介事業届出済み)。たとえば、インターネット異性紹介事業では公的証書による年齢確認が義務づけられているが、それらデータを確認後にすぐに削除している(mowは、18歳未満は利用不可)。通報やブロック機能もリリース当初から備え、利用規約に反する行為や投稿などをパトロールで見張っている。違反者があれば、即刻アカウントを停止するという。

2020年1月設立のV Chuuは、主要メンバーのほとんどがZ世代という若い企業。メンバーは、既存マッチングアプリに対して、「テキストと加工された写真だけでは人柄が分かりにくい」「実際に会ってみると想像と違った」といった不満を抱えていた。そこで、動画投稿に抵抗のないZ世代ならではの発想として、情報量が多く「ありのままを映し出す」動画を使ったマッチングサービスを思いついた。また、「男性が有料・女性が無料」「性別を男性もしくは女性のみしか選べない」という一般的なマッチングアプリに違和感を覚えていたことから、ジェンダー的に自由なアプリを目指した。

最大15秒の短尺動画を投稿し気の合う人と出会える、Z世代向けソーシャルマッチングアプリ「mow」がリリース

今後は、mowのブランドコンセプトにあったインフルエンサーを起用したプロモーションを展開してゆくという。

Twitterが分散型ソーシャルネットワーク研究グループ「bluesky」のリーダーに暗号資産開発者を起用

Twitter(ツイッター)が野心的に発足させた分散型ソーシャルメディアに取り組む研究グループ「bluesky(ブルースカイ)」は、米国時間8月16日、重要な一歩を踏み出した。このプロトコル開発の今後の方向性を指揮する正式なプロジェクトリーダーを、Twitterが任命したのだ。

このプロジェクトの舵取りは、暗号資産開発者のJay Graber(ジェイ・グラバー)氏が、Twitterから任されることになった。Twitterはblueskyが、最終的にTwitterを含む多くのソーシャルネットワークが採用することになる分散型ソーシャルメディアプロトコルを策定することを期待している。blueskyは独立した組織として運営されるが、現在まで主にTwitterの従業員が資金提供と管理を行ってきた。

グラバー氏は、すでにblueskyチームの中で仕事をしているものの、正式な役職に就いていたわけではなく、Twitterから報酬を受けて、分散型ソーシャルエコシステムの技術的なレビューを、開発者たちの研究グループのために作成していた。以前は匿名性の高さに注力した暗号資産「Zcash(ジーキャッシュ)」の開発チームに所属していた他「Facebook Events(フェイスブック・イベント)」に競合することを狙った「Happening(ハプニング)」と呼ばれる独自の分散型ソーシャルネットワークを構築したこともある。しかし、グラバー氏は、分散化の利点に興味を持つユーザーを独力で増やすことができないという問題に行き当たり、結局、この取り組みから手を引いてしまった。この分野における新興ネットワークの多くにとって、これはほとんど克服不可能な問題になっている。

うれしいお知らせがあります。ソーシャルメディアを分散化するために@Twitterが始めたイニシアチブ、@blueskyを私が率いることになりました。最新情報はツイッターとhttp://blueskyweb.orgでフォローしてください。

ジェイ・グラバー

グラバー氏は、TechCrunchによる1月のインタビューで、莫大なユーザーベースを擁するTwitterが分散型ソーシャルスペースに参入することには、大きなチャンスを感じていると語っていた。Twitter自身も最終的にはこのプロトコルに移行すると述べている。

「Twitterが分散型プロトコルに移行することによる本当の凄さは、理想的な方法で機能するプロトコルを設計することができれば、Twitterが非常に多くのユーザーを連れてくるため、最初にニッチな場所を見つけてそこから自力で起ち上げていく努力が必要ないということです」と、グラバー氏は語っていた。

TechCrunchでは1月に、TwitterがDonald Trump(ドナルド・トランプ)元大統領を永久追放したことを受けて、さらに注目を集めていたこの取り組みについて紹介した。トランプ氏の追放後、TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOは、将来に向けたソーシャルメディアのモデレーションに関する問題に対処する継続的な取り組みの1つとして、このblueskyを強調した。ソーシャルメディアのプロトコルが分散化されれば、1つの企業や組織がネット上における会話の領域を支配的に統制することがなく、個々のネットワークが自らを律することができる。

「1つのソースに寄らず、より良いモデレーションを可能にするにはどうしたらよいか、ということはソーシャルメディアに関わる全員の大きな関心事になっていると思います」と、グラバー氏はTechCrunchに語った。

blueskyの組織はまだ初期段階にある。グラバー氏の次の仕事は、プロトコル開発者やウェブ開発者を含む最初に雇用する人材でチームを強化することだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS暗号資産分散型ソーシャルネットワークbluesky

画像クレジット:Amal KS/Hindustan Times / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

今のツイッターはインドの新しいIT規則に従っていると印政府が発言

Twitter(ツイッター)は現在インドの新しいIT規則に準拠している、米国時間8月10日にインド政府が裁判所に伝えた。米国のソーシャルメディアとその重要海外市場との間に続いていた数カ月にわたる緊張の緩和が期待されている動きだ。

インド政府の代理人を務める弁護士が、Twitterの最近の行動(最高コンプライアンス責任者、ノード担当対応者、および常勤苦情対応責任者の任命)は、同社が新しい規則に準拠していることを「明確に」示すものだと現地の最高裁判所に伝えた。

インドのTwitter広報担当者はテキストメッセージにすぐには返信しなかった。

インドの新IT規則は、2021年2月に発表され、有力ソーシャルメディア企業がこの国における根拠ある懸念に対応する責任者を任命することを義務化した。

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FacebookとGoogle(グーグル)は、この規則が南アジア市場で施行された5月に要件を満たしている

一方Twitterは、インド政府が好ましくないと判断したいくつかのツイートをブロックしなかったことでインド政府から非難されていた。新しい規則に準拠するためにはさらに数カ月が必要であると要求し、その間は必要とされた役割に一時的スタッフを充てた。

数カ月の間に両社間の緊張は高まった。Twitterは2021年5月、与党BJP(インド人民党)の広報官Sambit Patra(サンビット・パトラ)氏のツイートを「操作されたメディア」とラベル付けした。数日後、テロその他の犯罪を捜査していたインド警察は、パトラ氏のツイートが操作されている判定したTwitterの論拠に関する情報を調べるために、同国の2カ所のTwitter事務所を不意に訪れた

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インド政府がツイッターは同国での免責措置を失ったと主張、新IT規制不遵守を理由に

当時Twitterは「インドの当社従業員におきた最近の事象および当社がサービスを提供している人々の表現の自由に対する脅威の可能性を懸念している」と語った。

同社の新IT規則に対する遅々とした動きは、同国における免責措置の喪失という結果を招いたインド政府は語った。また政府はTwitterに対し、同社が新法を「完全に無視」していると警告した。

インターネットサービス会社は、テック・プラットフォームはユーザーが投稿したりオンラインでシェアした内容に責任を問われない、とするいわゆる「セーフハーバー」ルールの恩恵に預かっている。

Twitterはインドの何人かの閣僚からも公に批判を受けた。

「どんなメディアプラットフォームもインドでビジネスを行うことを歓迎します。相手がRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)であれ、私たちの首相であれ、他の誰であれ非難することは可能です。問題はソーシャルメディアの誤った使い方です。中には私たちが米国法に縛られているという人もいます。インドで事業を行い、結構な稼ぎを得ながら、米国法に支配された立場をとる。これはどう考えても受け入れられません」と、2021年7月に辞任するまでインドのIT大臣だったプラサッド氏が7月のバーチャル会議で語った。

新しい規則では、暗号化されたメッセージングサービスを運用する大手ソーシャルメディアは、特別な場合にはメッセージの発信元を追跡できる方法を考案することも要求されている。Facebook傘下のWhatsApp(ワッツアップ)やSignal(シグナル)をはじめとする何社からはこの要求を満たしていない。WhatsAppはこの要求を巡ってインド政府を訴訟した

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米上院議員がFacebookに研究者のアカウントを停止させた理由の説明を求める

Facebook(フェイスブック)が先週、誤報研究プロジェクトに携わる研究者のアカウントを停止するという決定を下したことは、同社に対する大きな反発を招き、そして今、米国議会が関与する事態にまで発展している。

当時、何人かの議員はこの決定を批判し、Facebookが不透明なアルゴリズムや広告ターゲティングの方法を透明化しようとする努力を敵視していると非難していた。研究者たちは、これらの隠されたシステムを研究することが、政治的な誤報の流れを洞察するために重要な作業であると考えている。

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Facebookは、特にニューヨーク大学の「Cybersecurity for Democracy(サイバーセキュリティ・フォー・デモクラシー)」プロジェクトに所属する2人の研究者に対して罰則的な措置をとった。この研究者たちは「Ad Observer(アド・オブザーバー)」と呼ばれるオプトイン方式のブラウザツールを使って、Facebookがどのように人々の興味や属性に応じて広告ターゲティングを行っているかを研究している。

ロン・ワイデン
長年にわたってユーザーのプライバシーを侵害してきたFacebookが、その問題点を暴露する研究者を取り締まる口実として、プライバシー侵害という言葉を利用するのは、馬鹿げていると思います。私はFTCに、この言い訳がインチキであることを確認するよう求めました。

ラウラ・エデルソン
今夜、Facebookは私のFacebookアカウントと、ニューヨーク大学のチームであるCybersecurity for Democracyに関連する数名のアカウントを停止しました。これにより、私たちはFacebookのAd LibraryデータやCrowdtangleへのアクセスができなくなりました。

上院議員のAmy Klobuchar(エイミー・クロブチャー)氏(民主党・ミネソタ州)、Chris Coons(クリス・クーンズ)氏(民主党・デラウェア州)、Mark Warner (マーク・ワーナー)氏(民主党・ヴァージニア州)は、FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOに宛てた書簡で、研究者のアカウントを削除した理由や、彼らがどのようにプラットフォームの利用規約に違反してユーザーのプライバシーを侵害したというのかということについて、十分な説明を求めている。議員たちは米国時間8月6日にこの書簡を送った。

「Facebookがユーザーのプライバシーを守らなければならないことには同意しますが、同様に、Ad Observatoryプロジェクトに参加しているような信頼できる学術研究者やジャーナリストが、Facebookのプラットフォーム上で拡散している誤報や偽情報、その他の有害な活動に、同社がどのように取り組むべきかを明らかにするために独立した調査を行うことを、Facebookは許可しなければなりません」と、議員たちは書いている。

議員たちは長い間、特に2016年にFacebookが選挙の偽情報を配信していたことが発覚した後、政治広告や誤報について、より透明性を高めるよう同社に求めてきた。こうした懸念は、Trump(トランプ)氏の支持者が投票結果を覆そうとして連邦議会議事堂で暴動を起こすに至った選挙に関する誤報の拡散に、Facebookが重大な役割を果たしたことから、さらに高まった。

Facebookは、今回の決定を擁護するブログ記事の中で、アカウントを停止させた理由の1つとして、FTC(米連邦取引委員会)の命令を遵守するためということを挙げている。しかし、FTCは先週、ザッカーバーグ氏に宛てた書簡の中で、FTCの同社に対する指導は公益目的の研究を奨励することを妨げるものではないと指摘し、Facebookの虚勢を批判した。

「実際に、FTCは、特に監視型広告を中心とした不透明なビジネス慣行に光を当てようとする努力を支援しています」と、FTCの消費者保護局で局長代理を務めるSamuel Levine(サミュエル・レヴィン)氏は書いている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Discordのモバイルアプリでもユーザープロフィールのカスタマイズが可能に

Discord(ディスコード)は、モバイルユーザーのために、一般的なソーシャルアプリで見られるような機能を新たに追加する。同社は米国時間8月3日、iOSとAndroid向けのアプリで、ユーザーが自分のプロフィールをカスタマイズできるオプションの提供を開始した。デスクトップ版のDiscordでは、6月下旬に同様の機能がすでに導入されている。

この新オプションは、Discordのユーザー設定メニューに追加された「ユーザープロフィール」にある。ここでは、リンクや絵文字を含めて、190文字以内で自分の紹介文を書き込むことができる。また、Discordが割り当てた新しいデフォルトのプロフィールカラーが自分のイメージに合わないと思ったら、好みのプロフィールカラーを選択することもできる。まだこのオプションが見当たらない場合は、この機能が広く導入されるのを待ってからもう一度チェックしてみよう。

カスタムプロファイルの追加に合わせ、月額有料版「Nitro(ナイトロ)」の加入者には、プロフィールバナーとして画像またはアニメーションGIFを選択できるオプションも提供された。このオプションはデスクトップ版では以前から提供されていたものだが、今回のカスタマイズ機能の追加により、主にiOSやAndroidでDiscordを使用している人も、ちょっとしたスパイスを効かせることができるようになった。

今回の機能追加は小規模なものではあるが、このチャットアプリが、よりプロフィールを重視するソーシャルネットワークに近いものになるための一歩と言えるだろう。これまでDiscordは長い間、サーバーと呼ばれるチャットルームにのみ力を注いできたが、この数カ月でQuality of Life(生活の質)を向上させる機能を次々と導入している。

2021年4月にはClubhouse(クラブハウス)のような音声イベントスペースを展開できる機能や、最近ではスレッド化された会話を作成して自動的にアーカイブする機能が追加された他、AIを利用してネット上の嫌がらせや攻撃的な発言からユーザーを守るソフトウェアを開発したSentropy(セントロピー)という企業を7月に買収している。

Discordはすでに、コミュニティ主導の音声・テキストチャットでキラーサービスとなっているが、今回の機能追加により、ゲームをルーツとする当初の小さな枠をはるかに超えて、より多くのユーザーを惹きつけることができるようになるだろう。

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タグ:Discordソーシャルメディアチャットツールアプリ音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Discord

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2021年5月に新IT規則を施行したインドのIT大臣と情報放送大臣が辞任

インドのRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)IT大臣と、Prakash Javadekar(プラカシュ・​ジャベードッカー)情報放送大臣が、現地時間7月7日に辞任し、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相の内閣改造に向けて地位を明け渡した同国の大物政治家のリストに加わった。

法務大臣を兼務していたプラサッド氏と、環境・森林・気候変動大臣および重工業・公営企業大臣を兼務していたジャベードッカー氏の辞任は、2021年5月下旬に施行されたインドの新IT規則をめぐり、米国のテクノロジー企業と厳しい対話を重ねていた最中のことだった。

プラサッド氏とジャバデカール氏が新IT規則を施行したことや、米国の巨大テクノロジー企業と公の場で会談したことが、両氏の辞任につながったという証拠はない。

「すべてのソーシャルメディアは、インドで事業を行うことが歓迎されています。ラヴィ・シャンカール・プラサッドや我々の首相、誰を批判しても構いません。問題はソーシャルメディアの乱用です。彼らの中には、我々は米国の法律に制約されているという人もいます。インドで事業を行い、多くの利益を得ているのに、米国の法律に管理されるという立場を取るという。これは明らかに受け入れられません」と、プラサッド氏は先週のオンライン会議で述べていた。

インドの新IT規則は「インドのインターネットユーザーのデータプライバシーとセキュリティに影響を与えるだけでなく、国内外のデジタルメディア企業に負担の大きいコンプライアンスフレームワークを課すことで、これまでインドの経済成長に多大な貢献をしてきたテクノロジー分野にも影響を与える」と、主要なテクノロジー企業を代表する業界団体であるAsia Internet Coalition(アジア・インターネット連盟)のマネージング・ディレクターを務めるJeff Paine(ジェフ・ペイン)氏は5月に述べている。

「ユーザーのインターネット利用とオンラインプラットフォームの説明責任を維持することは重要ですが、インドにおけるオンラインプラットフォームの運営や、ひいては個人、スタートアップ企業、国内のテクノロジーエコシステムへの影響を軽減するやり方で、この規則が施行されるように、政府が業界と緊密に協力することを強く求めます」。

この日、辞任した他の閣僚には、新型コロナウイルス感染拡大への対応が批判されたHarsh Vardhan(ハーシュ・ヴァルダン)保健・家族福祉相と同氏の副官であるAshwani Chaubey(アシュワニ・チャウベイ)氏が含まれている。

「大統領は、首相の助言に従い、辞任を受け入れました【略】これは即時適用されます」と、大統領報道官のAjay Kumar Singh(エージェイ・クマール・シン)氏は声明で述べている。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Pinterestが広告ポリシーを改訂、減量を促す言葉や画像は掲載禁止に

Pinterest(ピンタレスト)は7月1日以降、すべての広告で減量を促進する言葉と画像の掲載を禁止する。これには、減量に関する言葉や画像、減量やダイエット商品の宣伝、特定の体型を理想化または否定するような言葉や画像、BMI(健康状態を示す指標としては不十分なことが多い)を参照することが含まれる。主要なソーシャルメディアの中で、このような姿勢を取ったのはPinterestが初めてだ。

ソーシャルメディアは、それが誕生して以来ずっと、人にとって有害な「美の基準」を助長する役割を担ってきた。「ボディポジティブ」という言葉が、10年前にTumblr(タンブラー)で流行した「シンスポ(thinspo、痩せる努力を鼓舞すること)」に取って代わった今でも、そのトレンドが体重偏重主義を薄いベールで覆い隠していることさえある。例えば、Weight Watchers(ウエイト・ウォッチャーズ)という会社は、2018年に「Wellness that Works(効果のある健康)」を意味する「WW」にブランド名を変更したが、同社のウェブサイトでは会員の減量話の自慢を続けている。減量に関するオンラインコンテンツが善意のものであっても、それは健康的な習慣よりは乱れた食行動の増加を助長することが多く、ウェルネス産業が有害である理由となっている。

Pinterestは、これまでTumblrやFacebook(フェイスブック)などのプラットフォームとも協力してきた全米摂食障害協会(NEDA)の指導と助言を受けて、改訂した広告ポリシーを策定した。米国で新型コロナウイルス感染流行が発生した2020年3月以降、NEDAは摂食障害に悩む人々のための相談窓口にアクセスが増加していることを確認した。Vox(ヴォックス)のRebecca Jennings(レベッカ・ジェニングス)氏が指摘するように、ロックダウン中に人々はさらに多くの時間をオンラインで過ごすようになり、それはつまり、自分自身のことを悪く思わせるコンテンツに触れる機会が増えたことを意味する。TikTok(ティックトック)で有名な16歳の女優Sissy Sheridan(シシー・シェリダン)氏でさえ「私はTikTokをダウンロードする以前は、自分の身体が好きだった」とツイートしている。

画像クレジット:Pinterest

Pinterestの新しい広告ポリシーは、特に他の主要なプラットフォームが追随する前例となれば、明らかな変化をもたらす可能性がある。ソーシャルメディアのプラットフォームには、自社のアプリ上で起こる有害な行為を最小限に抑える責任があるが、新しいポリシーはどこまで影響を与えることができるだろうか? Pinterestの報告によれば「body neutrality(ボディ・ニュートラル)」の検索数は2020年の5倍に増加したという。これは、トレンチコートを着たダイエット文化に過ぎない「body positivity(ボディ・ポジティブ)」運動に代わる考え方だ。しかし、特にTikTokのようなアルゴリズムを駆使したアプリでは、自分の「For You(おすすめ)」ページに表示されるコンテンツを常にコントロールできるわけではない。料理が好きな人であれば、TikTokは料理の動画を表示しようとするが、AIはそれほど賢くないので、プロフィールに「減量」と書かれた料理アカウントをフィルタリングすることができない。Pinterestは最近、TikTokの競合となる独自の機能を導入した。もちろん、Instagram(インスタグラム)は2020年追加された「Reels(リール)」という機能で、TikTokの成功を横取りしようとしている。

Pinterestの広告ポリシー改訂は良いことの始まりであり、他のプラットフォームが追随すれば初めて良い影響を与えることができるものだ。しかし、ソーシャルメディアは我々の文化を反映するものだから「減量」と「健康」は同義ではないと理解する文化的な変化が拡がらないと、広告ポリシーの改訂だけではその力にも限りがある。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

TikTokで黒人クリエーターたちがストライキ、創造性の搾取を訴える

気温が3桁を超えた(38℃以上)頃、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)の新作ミュージックビデオが公開された。しかし、この曲は夏に向けて新しいTikTok(ティックトック)のダンスを流行らせるのではなく、ソーシャルメディアの成層圏でトレンドを無意味に生み出すことに疲れた黒人クリエイターたちの間で、非公式な抗議行動を引き起こしている。

「Thot Shit(ソット・​シット)」の動画が公開された2021年6月中旬、一部の黒人TikTokクリエイターは、搾取に注意するように呼びかけ、他のクリエイターにこのヒット曲のダンスの振り付けを拒否するよう促した。その運動の背景には、TikTokの黒人アーティストは過度な量のコンテンツや文化を生み出しており、その多くが白人の人気クリエーターや文化全体によって再パッケージ化され、収益化されているという考え方がある。

この曲が行動のきっかけに選ばれたことはおそらく偶然ではないだろう。Thot Shitのビデオは、遊び心がありながらも、社会に欠かせない仕事に従事する労働者への大事な賛歌となっている。映像では、食料品店や飲食店、清掃員などの労働者が挑発的に踊っているが、これは彼女たちの労働力を平気で搾取する裕福な白人社会への痛烈な批判だ。

Thot Shitは現在あらゆる場所で発売中。

この「ストライキ」では、クリエイターがTikTokを離れたり、アプリの使用を控えたりするわけではない。そうではなく、普段は話題の新曲のダンスを提供している黒人クリエイターたちが傍観し、自分たちがいないとどうなるのかを、指し示そうというものだ(予想通り、あまり盛り上がっていない)。

この曲のページでは、いくつかの動画は振り付けを予告しているものの、黒人クリエイターがこのアプリで正当な評価を受けていないことを訴える声明に変わっている。他の動画では、黒人クリエイターが空虚なぎこちないダンスをぞっとする思いで見ていたり、曲の歌詞が説明的であるにもかかわらず黒人ではないTikTokがそれを理解できないことを笑ったりしている。

非常にダンサブルな「Thot Shit」は、Megan Thee Stallionの最大のヒット曲になるかもしれないが、TikTokを見ているだけではそれはわからない。

この現象についてコメントを求められたTikTokは、黒人クリエイターがコミュニティの中で「重要で活気のある」存在であることを讃えた。

「私たちは、当社のプラットフォーム上における黒人クリエイターの経験を非常に大事にしており、コミュニティをサポートする環境を整えると同時に、クリエイターの創造的な貢献を称え、クレジットを付与することが当たり前の文化を浸透させるために、日々努力を続けています」と、TikTokの広報担当者は述べている。

ストライキに参加している多くのTikTokアカウントが引き合いに出しているのは、最近爆発的に増えた白人のTikTokkerが、黒人の身体を特に称賛しているNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)の2016年の曲「Black Barbies(ブラック・バービーズ)」のクリップに合わせて、無頓着に歌っていることだ(「私はすてきな黒いバービー人形。かわいい顔に完璧な身体……」)。白人のTikTokkerは不可解にもこの曲に群がり、人気を高め、そして黒人のクリエイターたちを押し出した。

これは、黒人クリエイターがソーシャルネットワーク上で、搾取され、横取りされていると感じている長い歴史における1つの事件に過ぎない。黒人のTikTokダンサーたちは、長いこと冷遇されてきた。彼らが生み出したオリジナルのダンスは、爆発的な人気を得ると、黒人以外のクリエイターが真似し、彼らもまたそれによってクレジットを獲得している。

TikTokのストライキは、米国のポップカルチャーがいかに黒人からの盗用で成り立っているかを示すだけでなく、音楽業界がいかに音楽を収益化するためにこの窃盗とホワイトウォッシュのサイクルに依存しているかを示すという点で、本当にすばらしい行動です。

Bree Newsome(ブリー・ニューサム)

今回のストライキは、TikTokのようなプラットフォームから生み出される創造性の源泉で、誰がその利益を享受するのかという、継続的な議論に新たな一石を投じるものだ。さらに広く見れば、クリエーターの中には、YouTubeなどの他のメジャーなプラットフォームと比べても、TikTokは経済的に不利だと考える人もいる。ソーシャルメディアの世界では、クリエイター、特に有色人種のクリエイターたちが、自分たちの力を主張するために、集団行動や組合活動さえも起こすようになっている。

自分たちの作品が横取りされていることにうんざりしている黒人クリエイターにとって、TikTokの新しいホットなダンスを世界に提供することを集団で拒否する行動は、オンラインのエコシステムにおいて自分たちがいかに重要な存在であるかを示す1つの方法として有効であることは間違いない。それは活気のない「Thot Shit」の動画を見れば一目瞭然だ。

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タグ:TikTokストライキソーシャルメディア

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

バイデン政権が米国内テロ対策の「最前線」と呼ぶソーシャルメディアとの情報共有を拡大へ

バイデン政権は国内テロと戦う新たな計画の概要を発表した。1月6日の米国議会議事堂襲撃を受けてのもので、ソーシャルメディア各社にはそれぞれの役割が与えられている。

米国時間6月15日、ホワイトハウスは国内テロに対抗するための新たな国家戦略を発表した。計画は、オンラインプラットフォームが凶暴な考えを広める中心的役割を演じていることを認識し、ソーシャルメディアサイトを国内テロ戦争の「最前線」とまで呼んでいる。

「国内テロリストの勧誘がオンラインで容易に行える状況は、国家安全保障への脅威であり、その最前線の大部分を民間オンライン・プラットフォームが担っている状態です。我々はプラットフォーム各社がその前線を安全に保つためにいっそうの努力を重ねるよう促すことに注力します」とホワイトハウスは述べた。

バイデン政権は、オンライン過激主義の流れと戦うために、テックセクターとの情報共有を拡大することを約束している。これは過激派が凶暴集団を構成するよりもずっと前に介入する行動の一環だ。新たな対国内テロ計画の概況報告によると、米国政府は「テクノロジーセクターとの情報共有拡大」の優先度を高める予定であり、具体的には過激主義が醸成、組織化されているオンラインプラットフォームが対象だ。

「民間セクター、特にテクノロジーセクターに提供する国内テロ関連情報の拡大を続けていくことでこ、テロリストによるインターネット上のコミュニケーションプラットフォームを利用した暴力行為への勧誘に対抗する政府外の活動が強化されるでしょう」とホワイトハウスの計画書に書かれている。

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国内テロ戦略の発表に合わせて発表された所見でMerrick Garland(メリック・ガーランド)司法長官は、テック業界との協力は、オンラインプラットフォームで組織化と勧誘を行う過激派を阻止する上で「特に重要」であると断言し、潜在的国内テロ脅威に関する情報共有を強化する計画を強調した。

こうした新たな取り組みにも関わらず、国内テロの勧誘情報がオンラインに残ることは不可避であることをバイデン政権は認めている。削除の優先度を挙げていないプラットフォームでは特にそうだ。2021年1月以前のソーシャルメディアプラットフォームのほとんどがそうだったように、そしてエンド・ツー・エンド暗号化アプリには、ソーシャルメディア各社が米国内で過激派の取締りを強化した後、多くのユーザーが流れ込んでいる。

「つまり供給への対応は必要ですが十分ではありません。需要にも目を向ける必要があります」とホワイトハウスはいう。「今のデジタル時代が米国民に求めているのは、インターネットを利用するコミュニケーションプラットフォームの本質的側面を活用するだけでなく、国内テロリストの勧誘行為やその他の有害コンテンツに対する脆弱性を回避できる能力です」。

バイデン政権はオンライン過激派に対する脆弱性対策として、デジタルリテラシープログラムの利用も考えている。例えば米国人に国内過激派の勧誘を予防する「教材」や「技能強化オンラインゲーム」で、誤情報、偽情報全般への対応も含まれていると思われる。

計画書は、QAnon(キューアノン)や「Stop the Steal(選挙泥棒をやめろ)」運動といった国内テロ要因を具体的に名指しすることまではしていないが、小さな非公式集団から民兵組織まで、国内テロを起こす方法にはさまざまな種類があることを指摘している。

3月に国家情報長官官房が発表した報告書は、2021年の国内テロによる米国への脅威の高まりを認識し、国内過激派が大手ソーシャルメディア・サイトを活用して新規メンバーの勧誘、リアルイベントの開催、さらには暴力につながる資料の配布を行っていることを指摘した。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ジョー・バイデンアメリカソーシャルメディアテロ

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

草の根運動グループ「インディヴィジブル」が政治的な誤報を無力化するボランティア隊の訓練を開始

写真は2021年4月27日、米国ワシントンD.C.の連邦議会議事堂の外にある米国旗。バイデン大統領と下院民主党議員は、児童税額控除の延長をどれだけ優先させるかで衝突している

民主党の草の根運動グループ「Indivisible(インディヴィジブル)」は、誤った情報に対抗するために、独自のステルス・ ファクト・チェッカー・チームを起ち上げようとしている。これは、政治的メッセージを発信する兵隊を訓練し、情報の塹壕に送り込む実験だ。

「Truth Brigade(真実の旅団)」と名づけられたこのボランティア部隊は、右派が好みそうな誤解を招く情報に対抗するためのベストプラクティスを学ぶことになる。彼らは隔週で組織と連携し、政治的な誤報をかき消すための進歩的なメッセージの波動を放ち、その過程でBiden(バイデン)氏の立法計画を後押しする。

1月6日に行われたソーシャルメディアの大掃除の後にも誤報が広範囲に残っていることを考えると、このプロジェクトは確かに大変な仕事になるだろう。

「これは、ソーシャルメディアのプラットフォームによる非常に無責任な行動によって生じたギャップに、ボランティアの力を投じようという試みです」と、Indivisibleの共同設立者で共同執行役員であるLeah Greenberg(リア・グリーンバーグ)氏は、TechCrunchに語った。「彼らに最終的に対処する責任があるものに、私たちが立ち向かおうとしているのは非常に残念なことです」。

グリーンバーグ氏は、2016年の選挙後に夫とともにIndivisibleを設立した。この組織は、グリーンバーグ夫妻と他の2人の元下院職員が、議員に働きかける市民活動のためのハンドブックを出版した際に、大きな反響を呼んだことから発展した。このハンドブックの内容は、トランプ元大統領とその政策に反発することを米国人に呼びかける左派の「抵抗」時代の活動の中で旋風を巻き起こした。

IndivisibleのTruth Brigadeプロジェクトは、コロラド州で行われた試験的なプログラムから発展したもので、グループのシニアオーガナイザーであるJody Rein(ジョディ・ライン)氏が、自分の州で見たものに懸念を抱いたことが発端となった。2020年秋に始まったパイロットプログラムは、現在45州で2500人のボランティアが参加するまでに成長した。

メッセージの中心となるのは、バイデン氏の野心的な立法案である米国救済計画(American Rescue Plan)、選挙改革法案(HR-1)そして近々予定されているインフラ投資計画(Infrastructure Package)だ。ボランティアチームは、これらの法案に関する政治的な誤報を直接否定するのではなく、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)など既存のソーシャルメディア世界の中で、法案を宣伝し、誤った主張を否定するメッセージを発信する。

Indivisibleの中で組織化されたこのネットワークは、多くの偽情報キャンペーンが自分たちのコンテンツを拡散させる時に使うのと同じ戦術を用いて、これらの半有機的なコンテンツをクロスプロモーションする(自分たちの起源を隠すためにあからさまな努力をしているグループの場合、Facebookはこれを「組織的非真正行動」と呼んでいる)。これらの投稿はボランティア活動の一環であり、ターゲットを絞った広告ではないため、ラベル付けされないが、中にはTruth Brigadeのキャンペーンに関連するハッシュタグが付くものもある。

ボランティアは、進歩的な話を「真実でサンドイッチ」にして提供するように訓練されているが、その際には、反論しようとする誤った情報を増幅させないように気をつけなければならない。Indivisibleにとって、政治的な誤った情報をさらに焚きつけることがないようにボランティアを訓練することが、この活動の重要な部分を占めている。

「私たちが知っているのは、実際に偽情報を広め、悪者の仕事を代行している者たちがいるということです」と、グリーンバーグ氏はいう。「私たちはそのような者たちとの戦いに参加せずに、人々が実際に賛同できるように話を進めることで、人々の反応を得ようとしています。言い争いになれば、それは彼らの思う壺ですから」。

真実のサンドイッチ
1. 真実から始める。最初のフレームを取ることが有利になります。
2. 嘘を示す。できれば具体的な言葉の増幅は避ける。
3. 真実に戻る。常に嘘よりも真実を繰り返す。
詳しくはGil Duranと一緒にFrame​Lab(フレームラボ)のエピソード14でお聞きください。

グリーンバーグ氏は、2022年に民主党が再び直面するであろう問題の前兆として、ジョージア州選出の下院議員であるMarjorie Taylor Greene(マージョリー・テイラー・グリーン)氏がソーシャルメディア上で繰り広げた怒りの連鎖を挙げている。テイラー・グリーン氏は、QAnon(キューアノン)を支持したことで知られているが、議会におけるすべての委員会の役割から外され、マスクの必要性をホロコーストになぞらえる発言によって、一部の共和党員からも彼女の除名を求める声が上がった。

グリーン氏のような政治家は、突拍子もない主張や簡単に論破されてしまう陰謀論で、しばしば左派を刺激している。グリーン氏のようにネット上で左派を刺激する政治家は多くのエネルギーを消費しているが、それに対抗するエネルギーは、怒りに任せたリツイートの衝動を抑え、進歩的な政治メッセージを広めることに費やす方が良いと、グリーンバーグ氏は考えている。

「事実を確認するだけでは十分ではありませんし、反応するだけでも十分ではありません。なぜなら、基本的に私たちは、防御的な立場で活動しているからです」と、グリーンバーグ氏は語っている。

「私たちは、人々が本当に信じて受け入れることができるような、偽の情報や陰謀論から人々を守ることができるような、ポジティブなメッセージを積極的に広めていきたいと思っています」。

Indivisibleにとって、このプロジェクトは長期的な実験であり、ターゲット広告を超えた新しいタイプのオンライン草の根政治キャンペーンへの道を開く可能性がある。そしてそれは、ノイズの海の中でシグナルを高めるものになることが期待される。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Indivisibleジョー・バイデンソーシャルメディア民主党ファクトチェックアメリカ

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがアプリ追跡の透明性をユーモラスに表現した「iPhoneのプライバシー|追跡」CMを公開

アップルがアプリ追跡の透明性をユーモラスに表現した「iPhoneのプライバシー | 追跡 」CMを公開

Apple

今年4月末に配信されたiOS 14.5ではアプリトラッキング透明性(App Tracking Transparency/ATT)が導入され、今後アプリが異なるWebやアプリをまたいでユーザーを追跡する際には、ユーザーの明示的な許可を得ることが義務づけられるようになりました。アプリがユーザーのIDFA(広告識別子)を取得する前には、プロンプトを表示してユーザーの許可をもらうことが必須となっています。

これを受けてアップルは、ATTをユーモラスに表現したテレビCM「iPhoneのプライバシー|追跡」の公開を開始しました。

アップルいわく、アプリのトラッキング透明性とは「あなたのデータを、あなた自身がコントロールできる新しい機能」とのこと。それを朝の一杯のコーヒーを買った人の一日を追うかたちで分かりやすく可視化しています。

その人がコーヒーを買ったり店で買い物するたびに後を付いてくる店員(勝手にプライバシーを追跡するアプリの擬人化)が続々と増えていき、気が付けば部屋は追跡者で満員に。そこでiPhoneに「アクティビティを追跡することを許可しますか?」というプロンプトが表示され、「Appにトラッキングしないように要求」をタップすると追跡者がドロンと消えてゆくという流れです。

アップルはプライバシーが基本的人権であり、ユーザーが自分の情報を自分でコントロールできるように製品を設計していると述べています。そうした信念は昨日今日のことではなく、共同創業者スティーブ・ジョブズ氏がCEOだった時代まで遡り長年にわたって追求されてきたものです。4月初めに公開されたプライバシー保護原則やATTに関するデジタルブックでも、ジョブズ氏の「彼らのデータで自分たちが何をしようとしているのか、正確に説明すべきです」との言葉が引用されていました。

かといってアップルは広告一般に反対しているわけではありません。ティム・クックCEOも人々がオンラインで費やす時間が長くなるなかで、デジタル広告が増えていくのは自然な成り行きであると認めていました。その上で「このような詳細なプロフィールの構築(追跡から得た情報に基づいて作ったユーザー属性)をお客様の同意なしに行うことが許されるかどうかです」として、広告関係者には事前にどんな情報を集めるかを知らせ、ユーザーが自らのデータを制御できる権利を尊重するよう呼びかけているしだいです。

iPhoneにATTが導入された直後、米国ユーザーの96%がアプリ追跡を無効にしたとの調査結果もありました。その一方でマーケティング業界団体は一時的にはiOS向けの広告費は減りながらも、いずれはユーザー追跡なしの広告が増えていくという楽観的な見通しも発表しています

無料でアプリやサービスが楽しめる対価として広告が表示されるビジネスモデルはテレビやラジオから引き継がれたものであり、もしも否定してしまえばあらゆるコンテンツが有料になりかねません。

ATTはあくまで異なるWebやアプリをまたいだユーザー追跡に同意を求めるにすぎず、自社アプリやサイト上でのデータ収集は今まで通り続けられるはず。今後はその会社の経済圏内に留まり続けるかぎり行動履歴に基づくパーソナライズド広告が表示され、一歩外に出ればテレビのスイッチを切るように追跡もオフにされる、という新たな行動様式が定着していくのかもしれません。

(Source:Apple(YouTube)Engadget日本版より転載)

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