AuroraがUber ATG従業員の大半にオファーを送るも、研究開発ラボは対象外

自動運転車企業のAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)が、Uber(ウーバー)アドバンスト・テクノロジーズ・グループ(Uber ATG)の自動運転部門の買収を発表したちょうど一週間後の12月17日に、その従業員の75%以上に対してオファーを送ったことが、合併後の統合計画に詳しい情報筋から伝えられた。

同情報筋によれば、研究開発を行っていた約50人の従業員を擁するUber ATGトロントは、オファーの対象にはなっていないという。また、Uber ATGの研究開発チームを率いていた(未訳記事)Uber ATGのチーフサイエンティスト、Raquel Urtasun(ラケル・ウルタスン)氏も対象外だ。Uber ATGのCEOであるEric Meyhofer(エリック・メイホーファー)氏が、取引が完了した時点でオーロラに入社しないことは既に確認されていた。トロント大学の教授で、カナダ政府からMachine Learning and Computer Vision領域で”Canada Research Chair”に指名されており、同時にVector Institute for AI(ベクター・インスティチュート・フォーAI)の共同創業者でもあるウルタスン氏が、Auroraに移るかどうかはこれまでは不明だった。ウルスタン氏は、自動運転車のための機械認識の第一人者と考えられている。

Uber ATGで働く1200人のうち850人以上が、Auroraの共同創業者でCEOのChris Urmson(クリス・アームソン)氏からメールでオファーを受けたという。TechCrunchが見ることができたメールの抜粋では、アームソン氏は、誰を選ぶかの決定は難しいと述べている。同氏は、この決定は、重複する領域、相対的な影響力、管理報告など、Auroraの具体的なビジネスニーズに基づいて行われたと書いていた。

Auroraはこのオファーについてコメントをしなかったが、Uberのトロントオフィスが、統合される会社に含まれないことは認めた。また、Uberの広報担当者も、トロントのR&DラボがAuroraに合流しないことを認めた。

「長期的な成長と成功に焦点を当てた独立系企業として、どこに、どのように資源を使うかを熟慮しなければなりません。私たちのミッションを果たすために、私たちは研究開発チームを別個に持つのではなく、開発プロセスとエンジニアリング業務に研究を織り込んでいます」と、Aurora社の広報担当者は電子メールの声明文に書いている。「私たちはラケル・ウルタスン氏と彼女のチームを心から尊敬しています。彼らがこれまでATGチームと業界全体の両方に与えてきた影響は驚くべきものです。彼女と彼女のチームはAuroraには合流しませんが、私たちは彼らの素晴らしい成功を願っています」。

もしオファーを受けたUber ATGの従業員が、全員申し出を受け入れれば、Auroraは2倍以上の規模になる。買収が発表される前には、Auroraはパロアルト、サンフランシスコ、ピッツバーグ、テキサスにあるオフィスに約600人の従業員を擁していて、Uber ATGはピッツバーグ、サンフランシスコ、トロントにオフィスを構えていた。

AuroraとUberは、複雑な合意に達する前に何ヶ月も協議を重ねてきたが、合併後の企業の価値は100億ドル(約1兆円)となる予定だ。AuroraはUber ATGに現金は支払わない。Uber ATGは、昨年トヨタ、デンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドル(約1034億円)の投資を受け、72億5000万ドル(約7498億円)と評価されていた。現金の代わりに、UberはATGの株式を手渡し、4億ドル(約414億円)をAuroraに投資する。これにより米証券取引委員会への提出書類によれば、合体した会社の株式の26%を保持することになる。Uber ATGの株主はAuroraの少数株主となる。

今回の買収が発表された時点で、アームソン氏はTechCrunchに対し、今後60日間は2つのチームをまとめ「最初の製品を市場に送り出すのを加速させる技術は何かを冷静に検討し、それを増幅させていきます」と語った。

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グーグルが非英語話者のためにインドでの言語対応拡大、世界第2位市場でのさらなる利用者増を狙う

インドには6億人以上のインターネットユーザーがいるが、英語が堪能な人はごく一部に過ぎない。しかし現在、ほとんどのオンラインサービスやウェブ上のコンテンツの多くは、英語のみで提供されている。

この言語の壁は、世界第2位のインターネット市場におけるデジタルデバイドを広げ続けていて、そのせいで何億人ものユーザーのワールドワイドウェブの利用が、一部のウェブサイトやサービスに限られている。

そのため、インドのような新興市場の継続的成長を期待している米国のハイテク企業たちが、ウェブとそのサービスをより多くの人が利用できるようにしようとしているのは当然のことだ。

それを示す好例の1つが、Google(グーグル)が提供している、ウェブページの内容を英語からインドの各種言語に素早く翻訳する機能だ。これはインドのユーザーにこの1年で170億回以上利用されている。

これまでこの取り組みを主導してきたグーグルが、このインド時間12月17日に、新たな取り組みの一部を発表した。インドをユーザー数で最大の市場と捉え、2020年、今後数年間で100億ドル(約1兆円)以上のインド国内投資を行うことを約束した同社は、インドのグーグルの研究センターで機械学習とAIの取り組みにさらに投資し、エコシステム全体から同社のAIモデルを誰もが利用できるようにする計画だと述べた。また同社は 現地語でユーザーにサービスを行っている地元のスタートアップたちと協力し、インドの言語を使うユーザーたちが、グーグル製品とサービスから受ける体験を「劇的に」向上させようとしている。

そうした体験の向上に向けて、同社が今回発表したのは、いくつかのサービスでより多くの現地語展開を行うための変更と、言語の翻訳に向けて同社が採用するまったく新しいアプローチだ。

製品の変更

ユーザーは、現在利用可能な英語とヒンディー語に加え、タミル語、テルグ語、バングラ語、マラーティー語でも検索結果を見ることができるようになる。今回の追加は、グーグルがインドの検索ページにヒンディー語のタブを追加してから4年後に行われた。同社によれば、そのタブの導入後、ヒンディー語での検索クエリの量は10倍以上に増加したという。たとえばクエリ結果をタミル語で表示したい人がいた場合には、英語の隣にタミル語のタブを置き、その2つをすばやく切り替えることができるようになる。

検索結果を現地の言語で得ることは便利だが、多くの場合、人びとは検索そのものもその言語で行いたいと考えている。グーグルは、英語以外の言語でのタイピングが、現在ユーザーが直面しているもう1つの課題であることを発見したと述べている。「その結果、多くのユーザーは、本当は自分が理解できる現地の言語で結果を見たいと思っていても、英語を使って検索しているのです」と同社はいう。

この問題に対処するため、検索時に現地語のクエリが英語で入力されたとしても、可能な場合には、サポートされているインドの言語で関連するコンテンツが表示されるようになる。同社が2020年1月中に展開する予定のこの機能は、ヒンディー語、バングラ語、マラーティー語、タミル語、テルグ語のインドの5つの言語をサポートしている。

また、グーグルはデバイスの言語設定を変更することなく、ユーザーがアプリで結果を表示する優先言語をすばやく変更できるようにもしている。現在Discover(ディスカバー)とGoogle Assistant(グーグル・アシスタント)で利用可能なこの機能が、さらにGoogleマップでもロールアウトされる。Googleマップはインドの9つの言語をサポートしている。

また、ユーザーが数学や科学の問題の写真を撮影すると、解答とそこに至る道筋を説明してくれるGoogleレンズの「宿題」機能は、ヒンディー語をサポートするようになった。Google IndiaのシニアプロダクトマネージャーであるNidhi Gupta(ニディグプタ)氏は、イベントでインドはGoogleレンズにとって最大の市場だと述べている。

コンサルティング企業Convergence CatalystのチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤンス・コラ)氏は、Googleレンズの新機能は、似たような領域で活動する(Sequoia Capitalが支援する)Doubtnut (未訳記事)のようなインドのスタートアップに、脅威をもたらす可能性があるという。

MuRIL

またグーグルの幹部は、音訳やスペルの違い、混合言語や言語のニュアンスを処理する際に、より効率的で正確な処理を実現する新しい言語AIモデル「Multilingual Representations for Indian Languages」(MuRIL、インドの言語のための多言語表現方式)について詳細な説明を行った。MuRILはローマ字スクリプトを使用してヒンディー語を書く際の、音訳テキストをサポートしている。この機能は以前のモデルでは欠けていたものだったと、インド時間12月17日の仮想イベントでGoogle Research Indiaの研究員であるPartha Talukdar(パツ・タクタル)氏は述べている。

同社によると、新しいモデルの学習はWikipediaの記事とCommon Crawl(コモン・クロール)と呼ばれるデータセットのテキストを使って行われたという。また、様々なソースの中から特にWikipediaからの音訳テキスト(グーグルの既存のニューラル機械翻訳モデルを利用している)を用いて訓練が行われた。その結果、MuRILは以前のより一般的な言語モデルよりも、インドの言語の扱いが改善され、音訳された文字や単語を取り扱うことができるようになった。すなわち、異なる文字体系や手書き文字に対して最も近い対応する文字を、グーグルは使うようになったのだ。

タクタル氏は、グーグルが依存していた以前のモデルでは、各言語のモデルを個別に構築しなければならなかったため、スケーラブルではないことが判明したと指摘した。「そのような言語に特化したモデリングを、個々のタスクごとに行うことは、そうしたタスク用のトレーニングデータを持っていないことが多いため、リソース効率が悪いのです」と彼はいう。MuRILは、以前のモデルを大幅に上回る結果を出しているが、ネイティブテキストでは10%、音訳テキストでは27%の改善が達成されている。インドのグーグルが開発し、約1年前から利用されていたMuRILは今回オープンソース化された。

MuRILはインドの16の言語と英語に対応している。

MuRILが得意とする多くのタスクの1つに、文章に込められた感情を判断することがある。たとえば「Achha hua account bandh nahi hua」は以前は否定的な意味を持っていると解釈されていたが、MuRILはこれを正しく肯定的な文として識別する、とタクタル氏は述べた。あるいは、人と場所を区別する能力をみてみるならば、「Shirdi ke sai baba」は以前は場所として(誤って)解釈されていたが、MuRILはそれを正しく人間のことだと判断するという。

関連記事:グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資

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(翻訳:sako)

Facebookがユーザーを監視するVPNアプリ「Onavo」を使用したと豪州が提訴

Facebook(フェイスブック)にまたも頭痛の種ができた。オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、商業目的でユーザーを監視するOnavo(オナボ)のVPNアプリを2016年と2017年に使ったとしてフェイスブックを提訴する。

ACCCは、フェイスブックがOnavo Protectアプリを奨励し、多くのオーストラリアの消費者に対して虚偽、ミスリーディングあるいは欺瞞的な行動を取ったと主張している。同アプリは、フェイスブックの事業をサポートするためにデータを集めていたとき、ユーザーの個人アクティビティデータをプライベートに保って保護し、他の目的では使わないとうたっていた。

「Onavo Protectを通じてフェイスブックは何千人ものオーストラリアの消費者のかなり詳細で価値ある個人アクティビティデータを商業目的で収集し、使っていました。これは、フェイスブックがこのアプリ奨励の中心に据えた、保護と秘密保持、プライバシーという約束に完全に反しています」とACCC会長のRod Sims(ロッド・シムズ)氏は声明文で述べた。

「消費者はオンラインプライバシーを気にかけているため、往々にしてVPNサービスを使います。これはフェイスブックのプロダクトが提供するといっていたものです。しかし実際は、Onavo Protectはかなりの量の個人アクティビティデータをそのままフェイスブックに送っていました」。

「そうした行為は、フェイスブックとOnavoが個人アクティビティデータを収集して使用していると知らされる機会をオーストラリアの消費者から奪ったと確信しています」とシムズ氏は付け加えた。

ACCCは、2016年2月1日から2017年10月までフェイスブックと同社の子会社Facebook Israel Ltd、Onavo, Incがダウンロード無料のOnavo Protectアプリの機能を偽って表示することでオーストラリアの消費者をミスリードしたと主張している。

裁判上の命令と罰金を模索していると当局は話している。

裁判についてフェイスブックの広報担当は「人々がOnavo Protectをダウンロードしたとき、当社は収集する情報について、そしてどのように使用するかについて常にクリアにしていました」と述べた。

そして「当社はこの件についてのACCCの調査にこれまで協力してきました。ACCCの訴状をレビューし、この件に対する当社の考えを引き続き主張していきます」と語った。

フェイスブックは2019年、ユーザーを詮索するために2013年に買収したOnavo Protectアプリをいかに使用してきたかについて激しい反発を浴びたのちに、同アプリを閉鎖すると発表した。

合法の証拠収集で入手されたフェイスブックの内部資料では、フェイスブックのユーザーがどのサードパーティのアプリをダウンロードして使っているかを知ろうと、商業目的の情報分析ソースとしてOnavoのチャートをフェイスブックが使っていたことが示されている。この資料は英国議会がオンライン誤情報についての調査の一環として押収し、2018年に開示された(未訳記事)。

Onavo経由で集められたデータでは、WhatsApp(ワッツアップ)がフェイスブックのMessenger(メッセンジャー)アプリの脅威となりそうなことが明らかになった。このマーケット洞察を得て間もなく、フェイスブックはライバルのWhatsAppを買収するために190億ドル(約1兆9700億円)という大金を払った(未訳記事)。

フェイスブックは現在、米国で膨大な独禁法訴訟に直面している。2020年12月初めに46州が独占的な事業慣行を通じて競争を抑制していたとしてフェイスブックを提訴した。独占的な事業慣行の主な例としてInstagram(インスタグラム)とWhatsAppの合併を挙げた。

米連邦取引委員会と議員らはそうした合併の解消とフェイスブックのソーシャル帝国の解体が不可欠だと要求している。

このほか、フェイスブックはドイツでも訴訟を抱えている。連邦カルテル庁(FCO)は、所有するサービス間でフェイスブックがいかにデータを統合できるか、制限を設けることを検討している(未訳記事)。

FCOはまた、新規のOculusユーザーはキットを使うためにフェイスブックアカウントを持っていなければならないと指摘したうえで、フェイスブックが最新のOculus VRキットの使用をFacebookアカウントと紐付けている件も調査していると2020年12月に発表した。今夏、フェイスブックは既存のOculusアカウントのサポートを2023年までに終了すると明らかにしている。

関連記事:Facebookが全米46州からの大型反トラスト訴訟に直面

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookOnavoオーストラリアプライバシー訴訟

画像クレジット:Onavo Protect

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(翻訳:Mizoguchi

Gmailがまたダウン(現在修復済み)

米国時間12月14朝(日本時間12月14日夜)のように完全にダウンしたわけではないようだが、Gmailユーザーから、メールサービスに重大な問題があるという報告を数多く届いている。

Gmailが特に遅いと報告しているユーザーもいれば、常にエラーメッセージが表示されていると報告するユーザーもいる。一方、TechCrunchのあるライターは、彼がGmailアカウントに送っていたメールがすぐ跳ね返ってきて、Gmailのサーバーが「550-5.1 .1あなたがアクセスしようとしたメールアカウントは存在しません」というエラーで応答したことに気付いた。

Google(グーグル)はサービスダッシュボードで問題を確認し、太平洋時間米国時間12月15日午後1時30分(日本時間12月16日午前6時30分)に「かなり」のユーザーに影響があるとしている。

Gmailがユーザーの大部分に影響を与えているという問題を認識している。影響を受けるユーザーはGmailにアクセスできるが、エラーメッセージが表示されたり、待ち時間が長くなったり、そのほかの予期せぬ動作が発生したりする。

同午後2時30分(日本時間午前7時30分)のアップデートで、グーグルは「この問題の調査を継続する」と述べ、午後3時30分(日本時間午前8時30分)現在、同社は午後4時00分(日本時間午前9時)までに問題が解消されると予想しているが、時間が変わる可能性もあるとも述べている。

【更新 午後4時15分(日本時間午前9時15分)】
グーグルは問題が解決したと発表した。

一方、暗号化された電子メールサービスのProtonMailは、上で述べた電子メールのバウンシング問題は広く行き渡っており、Gmailユーザーに送られた多くの電子メールは永久にバウンシングされるとツイートしている。

もし現在、Gmailユーザーに重要なメールを送っているのなら、この問題が完全に修正されるまで待ちたいところだろう。ここ数時間以内に送った場合は、実際に届いているかどうかを再確認して欲しい。

関連記事:Gmail、YouTube、Googleドライブなどが日本を含む複数国で一時ダウン、現在ほぼ復帰

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGmailシステムダウン

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

レディー・ガガの元マネージャーらがテクノロジーでアーチストを支える「Q&A」を創業

Q&A」は、音楽産業のためのテクノロジーを開発するスタートアップで、共同創業者は業界のインサイダーでレディー・ガガの最初のマネージャーだったTroy Carter(トロイ・カーター)氏と、彼の長年の協力者であるSuzy Ryoo(スージー・リュウ)氏だ。米国時間12月14日、同社はその「Venice Innovation Labs」という部門を通して、一連の新しいソフトウェアプロダクトをローンチした。

レコード会社は、それらの新しいツールを使って新曲をベータテストし、アーチストを管理し、楽曲を容易にかつ効率的に配布できる、と同社の声明で述べている。

新部門からの最初のリリースはStreamRateで、新曲がリリースされる前に感情分析を行う。Venice For Labelsは、複数のアーティストやマネージャー、モニターなどの間でのギャラなどの分配を管理し、レーベルがその一覧リストを調べられるようにする。

同社はまた、アドバイザーチーム「Premium Services」による戦略的マーケティングにより、宣伝などに人間的なタッチを加える。北米ではRay Kurzeka(レイ・クルゼカ)氏、英国ではMatt Ott(
マット・オット)氏がチームのリーダーとなる。

「テクノロジーは音楽の消費方法を急速に変えつつあるが、私たちの業界のインフラはまだ十分に整備されていない。私たちはレーベルが喜ぶ、美しくて直感的なツールや、彼らを変えるようなサービスを密かに開発してきた。私たちのビジョンは、才能あるアーティストと彼らを日々サポートするレーベルを強化するための本物のコミュニティを作ることだ」とQ&Aの社長であるスージー・リュウ氏はいう。

カテゴリー:その他
タグ:Q&A音楽

画像クレジット:Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

10分でグローサリーを配達するドイツのGorillasが約46億円調達

ハイパーローカルな配送センターを所有・運営し、すでにベルリンでサービスを展開しているグローサリー配達スタートアップGorillas(ゴリラス)がシリーズAラウンドで4400万ドル(約46億円)を調達した。

本ラウンドはヘッジファンドのCoatueがリードし、欧州の匿名投資家が参加した。CoatueのDaniel Senft (ダニエル・センフト)氏とBennett Siegel(ベネット・シーゲル)氏がGorillasの役員会に加わる。

AccelとIndexが本ラウンドに参加すると報道されていたが、結局投資しなかったことは注目に値する。Atlantic Food LabはGorillasの120万ユーロ(約1億5000万円)ほどだったとされているシードラウンドに拠出した。

今年5月にKağan Sümer(カーガン・シュメール)氏とJörg Kattner(イェルク・カットナー)氏によって設立され、ベルリンとケルンで事業展開しているGorillasは平均10分でグローサリーを届ける。ギグエコノミーモデルと異なり、同社は直接ライダー(配達人)を雇用し、家庭用品とともに新鮮なグローサリーを最短かつ「小売価格」で買い物客に届けることができると強調している。週に一度の買いだめから漏れるグローサリーマーケットに対応しようとしている。

一部の人は、Deliveroo(デリバルー)やUberEats(ウーバーイーツ)上で運営されている配達専門のレストラン、ダークキッチンにかけて、Gorillasが試しているモデルのことを「ダーク」コンビニエンスストアと名付けた。Gorillas、そしてDijaやWeezyのような欧州の競合他社はローカル配達オンリーのグローサリー・コンビニエンスストアを構築している。これらスタートアップはまた米国のgoPuffともよく比較される。

GorillasのCEO、Kağan Sümer氏は、配達モデルも含め巨大スーパーは消費者がスーパーマーケットとサプライチェーンのニーズに合わせてグローサリーの買い物を計画するようにデザインされていて、消費者のニーズに合わせてではない、と話す。

これは長期保存が可能な商品、生鮮食品でも賞味期間が長いもの、そして週ごとのまとめ買いに対応するモデルでは特に機能する。しかし2つのユースケースにとっては不便だ。大事な食材がないなどの「緊急」の買い物のとき、そして今すぐ消費したいものを中心に冷蔵庫の中身を素早く補充したいときだ。

「最大の問題は、大量買いが過剰に提供されていることです。つまり言いたいのは、スーパーのインフラ全てが大量買いを想定して形成されているということです、とシュメール氏は話し、これによりマーケットの3分の1が十分にサービスを利用できていないと主張した。

「ペンネはあるが、アラビアータではないとしましょう。今すぐ必要なソースをどうやって手に入れるか? その方法がないのです」

「なので我々は自問しました。もし人々が必要としているものを必要なときに提供する会社が登場したらどうなるか、と。我々の仮説は、そうなれば人々は感謝するだろうし、グローサリー購入を一層オンデマンドにシフトさせるだろう、というものでした」

Gorillasは「Faster than you(あなたよりも速い)」というスローガンを掲げ、配達料はわずか1.8ユーロ(約230円)だ。Gorillasについての疑問は、ユニットエコノミクスはどうなのかということだ。特に大規模展開するなかで、価格を大幅にあげない場合だ。「調達先との関係を通じて、我々は健全なマージンを確保していて、これにより小売価格で販売できます」とシュメール氏は述べた。「手堅いバスケットサイズ(買い物量)と調達マージンで、長期的に持続する事業を構築できます」

配達にかかる時間は平均10分だと同氏は話す。「フルフィルメントセンターを中心としたネットワークを通じて、狭い範囲で顧客にサービスを提供できます。究極的には、配達時間に関して完全に透明性のある効率的で素早いサービスの提供に努めます」とした。

一方で、新たに調達した資金はドイツ中にサービスを拡大し、それから欧州展開を加速するのに使われる。ドイツ以外での最初の展開はアムステルダムだ。加えてベルリンでのチーム編成にも資金を使う。来年の第2四半期末までにドイツ国内15都市と欧州で60カ所超のフルフィルメントセンターを展開する計画だと話している。

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画像クレジット: Gorillas

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(翻訳:Mizoguchi

JetBrainsのコラボレーションツールSpaceはプロジェクトに参加する多様な役割をサポート

Slackが280億ドルでSalesforceに買収されてから、チームのコラボレーションを支えるツールが燃えている。Notionは今熱々(あつあつ)だし、昨年はFrame.ioが5000万ドルを調達、Microsoft(マイクロソフト)にはFluidがある。そして、これまでさまざまなプログラミング言語のための統合開発環境(IDE)を作ってきたJetBrainsが、クリエイティブのチームのためのオールインワンのコラボレーションプラットホームSpaceの、一般公開にこぎつけた。

昨年からベータだったSpaceは、JetBrainsによるとベータ参加を希望する企業が35000社を超えていた。

Spaceは、チャットやチーム、プロジェクト管理、会議のスケジューリング、ユーザーの業種の特性に合ったワークフロー、そして文書化など、一般的なコラボレーションツールを組み合わせている。ソフトウェアの開発サイクルに合った使い方ができ、今後は企業内の役割や部課などの、特定のニーズを満たすツールを加えていく予定だ。

JetBrainsのCEO、Maxim Shafirov氏は曰く、「JetBrainsはデベロッパーのための企業としてスタートしたが、今ではうちのチームの40%がソフトウェア開発とは異なるクリエイティブを担当している。デザイナーやマーケティング、コピーライター、などなどだ。Spaceを作ったのは、そういう、仕事が異なる連中が一つのチームとして協働できるようにしたかったからだ。しかもそんなニーズは、ほかの企業にも必ずあるはずだ」。

Spaceには無料と有料があり、有料は一人月額8ドルからだ。また通常のクラウドバージョンのほかに、オンプレミスバージョンも近い将来提供する予定だ。

含まれている機能やツールは、チャット、会議、イシューボード、CI/CDの自動化、個人のトゥドゥリスト、そして後から加わった順番制のコードレビューだ。

今後はGoogle CalendarおよびOutlookと同期し、そのほかの人気ツールを統合する。拡張性という面では、SpaceのチームはHTTP APIやWebフック、SpaceのClient SDK、カスタムフィールド、オートメーションなどを導入している。今後はプライベート設定やマーケットプレースアプリケーションも加えたい。そして、もっとほかの拡張機能も。

関連記事: SpaceはSlackを超える開発者向け新プロジェクト管理プラットフォームになるか

画像クレジット: JetBrainsのSpaceプラットホーム

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アップルがIntelを上回るコア数のAppleシリコンチップをハイエンドMac用にテスト中との噂

Apple(アップル)が、現在同社のMacBook Pro、MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniに使用している独自設計のM1チップに比べて、コア数が大幅に多いAppleシリコンチップを開発していると報じられている。Bloombergによると、新しいチップには将来のiMacやより強力なMacBook Proモデルを対象として16の高性能コアと4つの高効率コアを備えたバージョンと、最終的には最初のAppleシリコン版Mac Proに搭載されるであろう32の高性能コアを備えたトップエンドバージョンがあるという。

現在のM1 Macは4つの高性能コアと4つの高効率コアで構成されている。また、Macのモデルに応じて、7つまたは8つの専用グラフィックコアが使用されている。アップルの次世代チップは、16の高性能コアバージョンへと直接ジャンプする可能性もあるが、Bloombergは製造プロセスの結果を見ながら、8つもしくは12のコアバージョンを使う可能性もあるという。特に新デザインの初期ステージにおけるチップ製造においては、それぞれのチップ上で使えないコアがたくさん発生しがちである。そのような場合、メーカーは歩留まりが向上するまでは、そうしたチップをしばしば脇にどけて、より少ないコア数の設計のものとして市場に供給する。

アップルのM1 SoC(画像クレジット:Apple)

次世代のAppleシリコンMacが、16、12、または8のいずれの高性能コアデザインを採用したとしても、Intel(インテル)の同等製品と十分な競争ができるはずだ。アップルからデビューしたM1ラインのMacモデルたちは、先代モデルだけでなく、よりハイエンドのIntelチップを搭載したより高価でパワフルなMacに比べても大幅に性能が向上したことから、批評家やレビュアーたちの称賛を集めている。

記事はまた、アップルが将来のiMacやProノートブック向けに使うための、16コアと32コアの両方のデザインを含む、新しいグラフィックプロセッサを開発しており、それどころかMac Proのようなハイエンドのプロ用マシンで使用するために、64コアと128コアのデザインも開発中であるとレポートしている。これらは、一部のアプリケーションではNVIDIA(エヌビディア)やAMDの専用GPUデザインにさえ匹敵するパフォーマンスを提供するはずだ。とはいえ記事によれば、2021年後半もしくは2022年になるまでは、いずれも出荷される製品に搭載されることはなさそうだ。

アップルは当初から、2022年までにライン全体を自社のAppleシリコンプロセッサに移行する計画であると述べている。現在販売されているM1 Macは第1世代のもので、アップルは、iPhoneやiPadのラインに組み込まれたトップエンドのAシリーズチップに非常に近いデザインを採用した最も低消費電力のMacから投入を開始した。次世代のMシリーズチップは、アップルのモバイルプロセッサーとの差別化がさらに進み、要求の厳しいプロフェッショナルのワークロードからの要求に対応するための、性能面で大きなアドバンテージを持つようになりそうだ。

関連記事:Apple Siliconファミリー初のチップ「M1」が登場

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleApple Silicon

画像クレジット:Apple

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(翻訳:sako)

フードロボットのスタートアップKarakuriが自動食堂を公開、8.8億円の資金も調達

先週私は、新しい種類のロボットが、長年SFが描いてきたように、どのようにして私たちに食べ物を作り、提供することができるのかを、自分自身の目で見ることができた。米国時間12月3日、食品ロボットスタートアップのKarakuri(カラクリ)が、食事を作る初めての自動食堂を発表した。「DK-One」(DKワン)という名のロボットだ。また同時に同社は、firstminute capitalが主導し、Hoxton Ventures、Taylor Brothers、Ocado Group、英国政府が支援するFuture Fundからの資金提供を含む、630万ポンド(約8億8000万円)の資金調達も明らかにした。これによって、同社は合計1350万ポンド(約18億9000万円)を調達した。

Karakuriのロボットシステムは、当初は朝食用ボウル(シリアルなど)を用意するために設計されていた。しかしこの技術は、この先レストラン、学生/社員食堂、ビュッフェ、ホテル、スーパーマーケットなどの、多くのシナリオで採用されることになるだろう。野菜工場などにも導入されるかもしれない。それが持つ際立った強みは、徹底的にオーダーメイドされた食事を生み出すことで、「パーソナライズされた栄養」を手の届くものにできることだ。ロボットが料理を用意する映画を何か覚えているだろうか?要するにそれだ。

また、人間が作る食べ物に比べて、ロボットが本来持っている清潔さや効率の良さから、ポストコロナの世界では、この技術が受け入れる可能性が高い。とはいえ、Karakuriは人間に取って代わるものではなく、人間の能力を増強するためのものだ。通常ならロボットの方がはるかに適している低レベルの仕事に、長く従事しなければならないキッチンスタッフに代わって、退屈で反復的な仕事を引き受けることになる。

DK-Oneロボットは、最新のロボット技術、センシング技術、制御技術を駆使したKarakuri初の試作マシンである。それは、栄養上の利点やレストランのパフォーマンスを最大限に引き出し、食品の無駄を最小限に抑えながら、高品質の温かい食事と冷たい食事を用意することができる。

ポストコロナの制約の中で、顧客サイトにおけるDK-Oneのさらなるテストは、2021年前半に実施される予定だ。

DK-Oneロボットは、円形の筐体の内部を猛スピードで移動し、顧客が好みに合わせてアプリで調整し決定した食材を、毎回正確に計量する。つまり誰でも、何かを注文する際に、毎回の食事の食材、栄養素、カロリー、量をそっくりそのまま把握できるようになるということだ。

1台の装置あたり最大18種類の食材を扱うことが可能で、各食材は適温に保つことができる。ウェットフード、ドライフード、ソフトフード、ハードフードを含むあらゆる種類の食材を、お皿、ボウル、または様々な食器に投入することができる。

それは非常に正確に行われるため、食品廃棄になる部分を削減し、リアルタイムに食材のデータを得ることができる。利益率の少ないレストランのオーナーは、こうしたロボットを反復作業に利用することで改善を行うことができるだろう。つまり他の従業員たちは、より複雑で実りある充実した仕事を任されることができることを意味している。これは既存の業務用キッチンにも簡単に取り入れることができる。

Karakuriの共同創業者でCEOのBarney Wragg,(バーニー・ラッグ)氏は声明の中で次のように述べている。「今回が、DK-Oneの商業的ならびに栄養的便益性を実際の世界で実証するための、試作機を使う最初の機会になります。これを通して、私たちの食の未来のビジョンを示すことができることでしょう」。

Karakuriは、以前ARMで一緒に働いていた長年の友人であり同僚でもあるSimon Watt(サイモン・ワット)氏とラッグ氏によって創業された。2018年4月にはFounders FactoryのベンチャースタジオがKarakuriに出資し、Brent Hoberman(ブレント・ホバーマン)氏が会長として取締役会に参加し、共同創業者にも加わった。

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米Google Playが選んだ2020年ベストアプリは睡眠改善のLoóna、コロナ時代を反映

その年に人気を集めたアプリを毎年発表しているGoogle(グーグル)は12月1日、ベストオブ2020アワード発表した。賞が贈られるゲーム、映画、本のアプリのリストだ。驚くことではないが、Google Playのユーザー、そしてエディターが選んだ最優秀アプリには2020年がストレスの多い年だったことが反映されている。睡眠アプリのLoóna(ルーナ)が米国の2020年「ベストアプリ」のタイトルを獲得した。その一方でGoogle PlayユーザーのみではストリーミングサービスのDisney+(ディズニープラス)を選出した。

Loónaは今年受賞するにふさわしいアプリだ。睡眠を改善するこのアプリは、日中から溜まって睡眠中に増幅するネガティブな感情にユーザーが対処するのをサポートする気分転換体験を約束する。不安やストレスが大きくなるにつれ、睡眠パターンやレム睡眠の調子が狂う、とLoónaは説明する。これに対処するために、Loónaは活動ベースのリラクゼーション、ストレスを除くのに役立つストーリーテリングとサウンドを組み合わせた毎晩の「sleepscapes(スリープスケープス)」を提供する。

ユーザーが目を閉じたり居眠りしたりする他の睡眠アプリや瞑想アプリと異なり、Loónaはスマホを使いながら人々を落ち着かせることを目的としている。Loónaはまた今年「soundscapes(サウンドスケープス)」という音楽プレイリストも導入した。

画像クレジット:Loóna

10月にLoónaは、サブスク利用者の毎日のアプリ(iOSでも利用できる)の平均使用時間が34分だと明らかにした。トライアルから有料サブスクへの平均コンバージョン率は52.5%だった。しかし今ではユーザー数は50万人に達し、ユーザーのこれまでのLoóna使用時間は3500万分を超える。バージョン2.0でLoónaは、現在ベッドタイムのリラックスに完全にフォーカスしているアプリから、より広範なムード管理アプリに変更する計画だ。ムード管理アプリとして睡眠や起床サイクルをサポートする。またパーソナライズされたコンテンツレコメンデーションも加えることにしている。

Loónaの他に、Google Playのエディターたちは、ミステリーを解き明かしながらの「探検すべき素晴らしい世界」をプレイヤーに提供しているとして無料のアクション・ロールプレイングゲームGenshin Impactを選んだ。miHoYoの初のオープンワールドゲームは単純なマジック、キャラクター切り替え、そして新しいキャラクターや武器、他の追加物を入手するためのガチャゲーム収益化の機能を搭載している。

しかしGoogle Playユーザーは今年のベストゲームにSpongeBob: Krusty Cook-Offを選んだ。

新型コロナウイルスによるロックダウンの恩恵を受けた別のアプリとしてはDisney+がある。ユーザーのベストアプリに選ばれた。このストリーミングサービスは、外出がままならなくなった家庭が子供を楽しませるのに役立った。加えて「The Mandalorian」といった新しいコンテンツにより大人の間でもヒットした。

賞を獲得したアプリの他に、Googleは特筆すべきいくつかのアプリを紹介した。Chris Hemsworth(クリス・ヘムズワース)氏のトレーニングアプリCentr、行動修正アプリIntellect、それからThe Gardens BetweenHarry Potter: Puzzles & SpellsSky: Children of the Lightといったゲームなどだ。

Play Storeはまた、ベスト競争ゲーム、ベストインディーズ、ベストピックアップ&プレイ、ベストゲームチェンジャーといった独自の賞をさまざまなゲームのサブジャンルに贈った。これらの賞を獲得したアプリはBrawlhalla、Bullet Echo、GWENT: The Witcher Card Game、Legends of Runeterra、The Seven Deadly Sins: Grand Cross、Cookies Must Die、GRIS、inbento、Maze Machina、Sky: Children of Light、Disney Frozen Adventures、DreamWorks Trolls Pop、EverMerge、Harry Potter: Puzzles & Spells、SpongeBob: Krusty Cook-Off、Fancade、Genshin Impact、Minimal Dungeon RPG、Ord.、The Gardens Betweenなどだ。

その他に人気だったアプリは、ベスト毎日のエッセンシャル、ベストパーソナル成長、ベスト隠された宝、ベストファン、ベスト永遠のアプリといったカテゴリーで受賞した。Calmaria、Grid Diary、The Pattern、Whisk、Zoom、Centr、Intellect、Jumprope: How-to Videos、Paired: Couples App、Speekoo、Cappuccino、Explorest、Loóna、Paperless Post、Tayasui Sketches、Bazaart、Disney+、Dolby On、Reface、Vita、GreenChoice、Medito、ShareTheMealなどだ。

2020年ベストの映画に選ばれたのは「Bill & Ted Face the Music」「Just Mercy」「Miss Juneteenth,」「Onward」「Parasite」など。ベストのにはBarack Obama(バラク・オバマ)氏の「A Promised Land」、N.K. Jesmin(N.K. ジェスミン)氏の「The City We Became」、Tochi Onyebuchi(トチ・オンエブチ)氏の「Riot Baby」、Allie Brosh(アリー・ブロシュ)氏の「Solutions and Other Problems」、Alexis Daria(アレクシス・ダリア)氏の「You Had Me at Hola」などが選ばれた。

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AlphabetのDeepMind、AIベースのタンパク質構造予測で歴史的なマイルストーンを達成

Google(グーグル)の親会社Alphabet(アルファベット)の傘下にあるAI技術企業DeepMind(ディープマインド)は、AIを使ったタンパク質の構造予測で大きなブレイクスルーを達成した。同社は米国時間11月30日、そのAlphaFold(アルファフォールド)システムが、50年前から科学界を悩ませてきた重要課題だったタンパク質のフォールディング(折りたたみ)問題を解決したと発表した。今回のAlphaFoldの進歩は、疾患の理解や将来の創薬、製薬の分野で、大きな飛躍につながる可能性がある。

AlphaFoldが今回合格したテストが示すものは、AIがタンパク質の構造をわずか数日のうちに、非常に高い精度で(実際、原子の幅の範囲内で正確に)把握できるということだ。これは疾病がどのように治療できるかを発見するために重要な、極めて複雑な仕事であるだけでなく、有毒廃棄物のような生態系の中で危険な物質を分解するための、最適な手法を見つけ出すような大きな課題を解決することも可能となる。おそらく「Folding@Home」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれない、これは、タンパク質のフォールディング実験に個人が自分の家庭用コンピュータ(かつてはゲーム機)の処理能力を提供できるプログラムだ。こうした大規模なグローバルクラウドソーシングの取り組みが必要だった理由は、従来の方法では部分的なフォールディングの予測にも何年もかかり、直接コストや計算リソースの面で非常に高価だったからだ。

DeepMindのアプローチは「Attention-based(アテンション・ベースド)ニューラルネットワークシステム」(基本的に、効率を上げるために特定の入力に注目できるニューラルネットワーク)も利用している。システムは、タンパク質のフォールディング履歴に基づいて、可能性のあるタンパク質のフォールディング結果の予測を継続的に洗練させていくことができるため、結果として非常に正確な予測を提供することができる。

タンパク質がどのようにして折りたたまれるのか、つまり、最初に作られたときのランダムなアミノ酸の列から、どのようにして最終的に安定した複雑な形の3D構造になるのか、病気がどのようにして広がっていくのか、そしてアレルギーなどの一般的な状態が、どのように引き起こされるのかを理解するための鍵となる。折りたたみのプロセスを理解していれば、それを変える可能性も生まれ、感染症の進行を途中で止めたり、逆に、神経変性や認知障害につながるフォールディングの間違いを修正したりすることができる。

DeepMindによる技術的な飛躍は、こうしたフォールディングをはるかに短時間かつ省資源の処理で正確に予測することを可能にし、病気や治療法の理解が進むペースを劇的に変える可能性がある。この成果は、私たちが現在苦痛に直面している新型コロナウィルス感染症(COVID-19)同様の、将来起こりうるパンデミックなどの世界的に重大な脅威に対処する役に立つだろう。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のような脅威が将来新たに出現した際に、初期の段階でウイルスのタンパク質構造を高い精度で予測することで、効果的な治療法やワクチンの開発をスピードアップできるのだ。

カテゴリー:バイオテック
タグ:AlphabetDeepMindタンパク質

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(翻訳:sako)

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

友人や家族などとコミュニケーションを楽しみながらグループ購入を行える「シェア買い」アプリ「カウシェ」(KAUCHE。Android版iOS版)開発・運営のX Asiaは11月30日、約1.8億円の資金調達を発表した。取引先はANRI、グローバル・ブレイン、千葉道場ファンド。調達した資金は、カウシェの機能開発、人材採用などの強化に用いる。

また、11月30日のAndroid版リリースを記念し、「Androidアプリ リリース記念キャンペーン」も開始した。先着300名限定の特別クーポン(1人1回利用可能)のプレゼントを行っている。期間は12月6日23時59分まで。

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

カウシェは、ショッピングの醍醐味ともいえるコミュニケーションをオンラインで実現するアプリ。買い物可能な商品は食品や酒類を含む飲料など。

X Asia 代表取締役CEO 門奈剣平氏によると、従来ECサービスのように(ひとりだけで)目的の商品を購入できればよいという形態ではなく、ショッピングセンターやデパ地下などで魅力的な商品を偶然見つけて、「この商品、よくない?」「一緒に買おうよ!」といったやり取りやつながりを楽しみつつ、購入できるショッピング(醍醐味)アプリを目指しているという。買い物ならではの楽しさの実現のため、あえて検索機能を用意していないそうだ。

カウシェでは、購入したい商品を選び、割引価格での購入を決定後に、「シェア買いURL」情報をLINE・Twitter・InstagramなどのSNS上でシェアすることになる。この時、24時間以内に(自分以外の購入者として)友人・家族など1人以上が商品の購入を決めると「シェア買い」が成立し、価格の最大70%引きの値段で商品を入手できる(商品により割引率は異なる)。24時間以内に「シェア買いが成立しなかった場合」は、全額返金となる。なお、シェア買いは匿名参加も可能で、個人情報を他の希望購入者に明かすことなく買い物を行うこともできる。

シェア買いが成立した製品については、個別決済・個別配送が行われるため、集金や割り勘などの手間がない。9月25日よりApple Payに対応し、iOS版の場合よりスムーズに買い物を楽しめる。

友人とのつながり・会話を楽しみつつグループ購入できる「シェア買い」の「カウシェ」が約1.8億円調達

2020年4月創業のX Asiaは、カウシェ(iOS版)を2020年9月より提供開始。リリース初日に1000リットル以上の水が「シェア買い」されたという。iOS版リリースから現在までに、購買者数が約4倍に増えたほか、カウシェ掲載商品数は1500点以上に到達。より多くの方に「シェア買い」購入体験を届けたいとしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:X Asiaカウシェ資金調達(用語)食品(用語)ネットショッピング / eコマース(用語)日本(国・地域)

24時間経ち消えたはずのTwitterフリートを後から見ることができるバグが判明

Twitterもようやく 、ユーザーが消えるコンテンツの投稿を試せるソーシャルメディアとなった。TwitterがFleets(フリート)と呼ぶその機能は、モバイルユーザーが写真や動画にテキストを加えて、24時間後に消える短いストーリー(未訳記事)を投稿できるようにする機能だ。

しかし、あるバグによってフリートが適切に削除されず、24時間の期限が切れたあとでも、ずっとアクセス可能になっていた。このバグの詳細は、機能提供開始から1週間も経たない米国時間11月21日に、一連のツイートとして投稿された。

このバグによって、ユーザーのフリートが読まれたことも、誰によってそれが行われたのかも通知されることなく、誰でもユーザーのフリートにアクセスしダウンロードできることができる。つまり、このバグを悪用することで有効期限が切れた後に、ユーザーのフリートがアーカイブされる可能性があるのだ。

このためには開発者APIを介してTwitterのバックエンドシステムと対話するように設計されたアプリを使用する。返されるのは、サーバからのフリートのリストだ。各フリートには独自のダイレクトURLがあり、それをブラウザで開くと、画像またはビデオとしてフリートがロードされる。しかし、24時間経過した後でも、サーバーはTwitterアプリのビューからすでに消えているへのリンクを返すのだ。

Twitterに対して問い合わせを行ったところ、広報担当者は現在修正中だと回答した。「一部のフリートのメディアURLが、技術的な回避手段を通じて、24時間経過後もアクセスできてしまうバグの存在は認知しています。私たちは修正に取り組んでいて、ほどなく修正版が公開される筈です」。

Twitterは、この修正によってフリートが正しく期限切れになることを認め、それでも個別のフリートは最大30日間はサーバーから削除しないと述べた。さらにあるフリートがルール違反を犯していた場合には、そのフリートをさらに長期間保存するだろうとも語った。私たちも、期限が切れた後でも、まだ直接 URLを使ってフリートを読み込むことができることを確認した。

フリートは慎重に。

留学生の大学入学手続きやキャリア構築を一元サポートするプラットフォーム「Nestlings」

留学生向けの大学入学手続きは時代遅れだ。まず、米国の学生がさまざまな大学への出願を1カ所で行えるワンストップのアプリケーションはない。留学生は、独自の要項や入学手続きを持つ何千という大学を1つ1つあたらなければならない。

それは時間を要する複雑な作業だ。カリフォルニア州クパチーノに拠点を置くNestlings(ネストリングス)はそこに着眼した。Apple(アップル)のプロダクトマネジャーだったSowmya Satish(ソウミア・サティシュ)氏と彼女の夫Raj Basavaraju(ラジ・バサヴァラジュ)氏が設立したNestlingsは、留学生のために大学入学手続きを簡素化しようとしている。

15年近く前にバサヴァラジュ氏はグラスゴー・カレドニアン大学で修士号を取得するためにバンガロールを後にした。

「勉強しようとしていたとき、私は適切なコースやプログラムを見つけることができませんでした。わずかなサポートしかありませんでした」と同氏は回顧した。「安全性やライフスタイル、そして実際にかなり重要な情報など、すべての必要情報を得るのは簡単ではありませんでした」。そこで同氏は情報をオンラインに集約し、海外で学ぶことに興味を持っている他の学生がアクセスできるようにするというアイデアを思いついた。

基本的にNestlingsは、留学生が米国、英国、カナダの大学を探し、1つの願書で複数の大学に出願するのをサポートするプラットフォームだ。このサービス以外に、Nestlingsは学生が進みたいと考えている分野のメンターと学生を結びつけて学生がアドバイスが受けられるようにし、また卒業後に就業機会を得られるようにサポートしたいと考えている。

「出願のためのポータルというだけでなく、学生のキャリア構築を手伝うというのが当社の最終目標です」とサティシュ氏は話した。

Nestlingsは、高等教育を追求しようと決めた瞬間から、卒業時あるいは卒業後の職探しまで、学生のプロフェッショナル設計の一部になろうとしている。

他の学生募集プラットフォームと同様、多くの学生がプラットフォームを利用して初めてNestlingsはうまくいく。そのため、Nestlingsは学生が無料でプラットフォームを利用できるようにし、その代わり大学や雇用主といったパートナーが、Nestlingsの学生を採用したときに課金する。

これまでのところ、Nestlingsはプラットフォームに学生3万人を抱える。180超の大学と提携し、直近では東南アジアで最大のテストセンターの1つと非独占パートナーシップを結んだ。テストセンターはエージェントに手数料を払うことなく、そして広告を出したりすることなく多くの学生をプラットフォームに引き込むNestlingsの戦略の一環だ。

アーリーステージのスタートアップとして、Nestlingsには強力な競合相手がいる。最近14億ドル(約1450億円)のバリュエーションで7500万ドル(約78億円)を調達したApplyBoard(アプライボード)だ。ApplyBoardもNestlingsと同じく、学生が海外の大学に願書を出す手続きをサポートしている。しかしApplyBoardは、Nestlingsよりかなり大きなレイトステージの企業だ。ApplyBoardにNestlingsについてどう思っているのかコメントを求めたが、返事はなかった。

それでもNestlingsは、単なる大学入学ではなく学生の成功全般に照準を当てることで競争に勝ちたいと考えている。同社がAdmitAlly(アドミットアリー)を買収したのは、部分的には学生の成功にフォーカスしているためだ。AdmitAllyはシンシナティ拠点のビデオチャットプラットフォームで、現役大学生をメンターや大学志願者とマッチンングする。

買収についてサティシュ氏は「パンデミックの間は特に、わざわざ一からやり直して時間を無駄にしたくはありませんでした。そしてNestlingsの既存のサービスにすばやくテクノロジーを溶け込ませることができました」と述べた。「学生はいまキャンパスを訪問できず、リクルーターも海外に行けないため、今度の留学生募集はタフなものになるでしょう」。

Anu Vora(アヌ・ボラ)氏が創業したAdmitAllyの売却価格は明らかにされなかった。しかしディールの一環としてボラ氏はNestlingsの取締役となり、またNestlingsの投資家にもなった。AdmitAllyと並行して、ボラ氏は投資会社でインキュベーターのCandid Venturesを運営している。ボラ氏はNestlingsのシードファンディングに150万ドル(約1億5600万円)を出資した。

大学などの高等教育はいま、少ない出願やリモートスクーリングなどに直面しているが、Nestlingsは留学生が米国の教育を希望するという長期的ビジョンに賭けている。その見方が正しい場合のみ戦略はうまくいく。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Nestlings

画像クレジット:Tribune News Service / Getty Images under a Dallas Morning News / Contributor License.

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(翻訳:Mizoguchi

TeslaがS&P500種株価指数の構成銘柄に、12月21日取引前に追加

Tesla(テスラ)がS&P500種株価指数に採用される。同社にとって、投資家ベースを拡大し、またApple(アップル)やBerkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)、Microsoft(マイクロソフト)といったヘビー級と同じ地位を得るマイルストーンだ。

米国時間11月16日のS&P Dow Jones Indices(S&P ダウ・ジョーンズ・インディシーズ)の発表により、Teslaの株価は時間外取引で終値を13.7%上回った。12月21日の取引開始前にテスラがベンチマークインデックスに正式に加わる、とS&P Dow Jones Indicesは声明文で説明した。

テスラはS&P500への追加時にベンチマークで最も価値の大きな企業の1社となる見込みだ。同社の規模が大きいため、S&P Dow Jones Indicesは浮遊株調整時価総額でテスラ株を1度に追加するか、それとも2度に分けるか検討中だ。

「テスラは過去10年で最も規模の大きな追加の1つとなり、従ってS&P500の歴史の中で最大のファンド売買の1つを生み出すでしょう」とS&P Dow Jones Indicesは声明文で述べた。「しかしながらTeslaは流動性があり、来たる12月の四半期銘柄入れ替えでのテスラ株の追加は、ストックオプション、株式先物取引、株価指数オプション、株価指数先物の期限と同時に起こり、これは資金調達取引を促進するのに貢献するかもしれません」

S&P500への採用は、インデックス連動のファンドを持つ投資家が株式購入を余儀なくされるなどメリットがある。すでにTeslaの株価は上昇し、これは投資家がテスラ株を購入するために他の株を売却しなければならないことを意味する。逆に既存投資家は需要を利用して売却するかもしれない。結論、従来移り気な株はもっと移り気になりそうだ。

ベンチマークへの採用は、テスラが2020年8月に普通株1株を5株に分割したのに続くものとなる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:Mizoguchi

macOS Big Surが公開された

Appleのデスクトップソフトウェアアップデート11.0は、未来のMacの基礎を築く

ついにその日が来た。永遠に待ちぼうけを食らわされるかと思わせた、macOSの最新バージョンBig Sur(ビッグ・サー)が、やっと到着したのだ。想像上の産物ではなかったのだ。確かにいまさら時間についてあれこれ言うのは無意味だが、WWDCでの発表から本日(米国時間11月12日)のリリースまで、実に5ヶ月近くの長い時間がかかった。

間違いなく、それにはたくさんの理由がある。なにより今年は、できるだけ丁寧に扱うべき特別な年だった。またこれは、デスクトップオペレーティングシステムにとって、かなり大きな年次アップデートでもあった。そして、もちろんこれは、この14年間に行われた、Appleのハードウェアに対する最大の変更である新しいARMベースのMacのために、公式に開発されたmacOSの最初のバージョンなのだ。

私は6月以降、開発者や少数の怖いもの知らずたちと肩を並べて、私の所有するマシンの1台でこのオペレーティングシステムのベータ版を利用してきた。私たちがヒーローだとは言わないが、そうではないとも言わない。結局のところ、それは自分で口にすべきことではないだろう。

今回のアップデートでは、数多くのデザイン上のアップデートがもたらされているが、その多くが、macOSとiOSの間の境界線をぼかすという長年の流れに沿ったものだ。この先Appleシリコンが次世代のMacを牽引するにつれて、その流れはますます強まるだろう。少なくともその流れは、ずっと以前にAppleのソフトウェアデザインのポールポジションを取ったiOSの観点からは理にかなったものだ。iOSは、最終的にはデスクトップへ導入された多くの機能を、まず最初に実装してきた。

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変更の多くは微妙なものだ。メニューバーの背がより高くより半透明になり、背景も変更され、システムの明暗モードが切り替わる際に変化する。Finder(ファインダー)のDock(ドック)が画面の下部から少し上に浮かぶようになり、メニューには少し余裕の場所が差し込まれた。ウィンドウにも多少の余裕が生まれ、メールやカレンダーなどの自社製アプリには新しいシンボルが散らばっている。

画像クレジット:Brian Heater

アイコンの形状は、よりiOS風のスクワーコー(squircle、スクエア+サークルからの造語で、角の丸まった正方形のこと)デザインに変化したし、全体に微妙な変更が加えられている、たとえば「メール」のアイコンには、ほとんど見えないテキストでAppleの本社の住所である「Apple Park, California 95014」が書き込まれている。他の多くの変更と同様に、ここでの要点は、Big Sur全体とAppleのエコシステム全体に一種のスタイルとしての一貫性を提供することだ。

画像クレジット:Brian Heater

しかし、Finderに対する最も直接的で明らかな変更は、コントロールセンターの追加だ。この機能は、iOS/iPadOsから直接借用されたもので、シンプルでクリーンで半透明な一時ウィンドウを画面の右上に表示する。個々のコントロールパネルは、メニューバーに直接ドラッグアンドドロップすることができる。Touch Barと一緒に導入されたコントロールセンター機能のようなものを思い出させるが、何よりも大きなボタンやスライダーは、画面に手を触れるようにと誘いかけてくる。こうなるとAppleが、Appleシリコンを内蔵した未来のタッチスクリーン式Macの基盤を築き始めている、という想像を振り払うことは本当に難しい。

画像クレジット:Brian Heater

嘘は言わないが、私は「通知センター」をきちんと使ったことはない。Appleがいくつか前のアップデートから、通知センターをデスクトップに持ち込もうと考えた理由は理解できるが、とにかくモバイルのようには一元化されていなかった。それは私の普段のワークフローにもフィットしなかった。Appleはこの機能を調整し続けていて、今回はかなり大掛かりな改修となった。残りの多くのアップデート同様に、それはAppleがスペースをどのように使用するかにかかっている。

今回のアップデートで(専用のボタンではなく)メニューバーの日付と時刻をクリックすることで通知センターにアクセスできるようになった。ここで最も魅力的な2つの変更は、通知とウィジェットがグループ化されたことだ。ここでもiOSからの借用が行われていて、通知がグループごとに積み重ねられるようになった。積み重ねられた通知をタップすると、下に向かって展開される。左肩に表示された「X」をクリックして通知を消すこともできる ―― だがやはり、もしスワイプして消すことができれば、もっと満足できるだろう。また、通知項目と対話する機能も注目できる。通知の中から、直接メッセージに返信したり、ポッドキャストを聴くことができる。ワークフローの一部としてそうした機能をすでに使用している人にとっては、これは素晴らしい機能追加だ。

画像クレジット:Brian Heater

システムはまた、新しいウィジェットを通知と同じ列に追加して、最新バージョンのiOSのやり方に寄せている。現在、このウィジェットには、カレンダー、天気、ポッドキャストなどのApple製アプリと、App Storeを介して利用可能な追加のウィジェットが含まれる。ウィジェットの追加と削除、およびサイズ変更を行うことができる。十分な余地のある画面では、他のアプリケーションで作業している間、開いたまま固定するために、それらを最上位にピン留めしておくことができれば便利だろう。

サウンドも、全体的にアップデートされている。新しく録音された起動チャイムと同様に、変更はほとんど微妙なものだ。より顕著な変化は、ファイルの移動を行うときなどに感じることができる。素敵なハミングサウンドだ、これはこれまでの、冷たいバネのような音よりも快適だ。以下の動画には、私にはまとめる時間がなかったサウンドのすてきな一覧がまとめられている:

Apple製アプリには、いくつかの重要なアップデートが加えられている。Safari(サファリ)のアップデートはその中でも、ウェルカムページを始めとして、最大のものだ。バックグラウンド画像は、自分のライブラリにあるものや、Appleが事前に選択した写真を使って設定することができる。もう少しダイナミックなものがあると良いのだが。たとえば事前に手作業で選んでおいた画像やAIを使ってライブラリから選んだ最高の画像を順番に切り替えてくれるとか。まあとはいえ今回の実装は良くできているし、タブをオープンしたときに馴染みのあるものが目に入るのは好ましい(私の個人的なケースでは、私のアパートに家賃も払わずに住んでいるウサギの画像だ)。

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さらに、ホームページのカスタマイズとして、お気に入り、頻繁に訪問するサイト、リーディングリスト、さらにはSafari がブロックしたトラッカーの数などがわかるプライバシーレポートなどを表示することができる。プライバシーレポートをクリックすることで、ブロックされた特定のトラッカーの詳細プロファイルや、トラッキングを行っているサイトが表示される。どうやら私のコンピューターからSafariを使って訪れたサイトの80%はトラッカーを使っているようだ、うげっ。

Safariに組み込まれた翻訳機能は、Chrome(クローム)に対抗するための素晴らしい一歩だ。翻訳サービスの分野ではGoogle(グーグル)が長年のリーダーを務めてきていた。AppleのブラウザSafariは、モバイルでは大きな市場シェアを持っている(iOSのデフォルトのブラウザであることが大きな理由だ)が、デスクトップ市場の調査では、シェアは8〜10%のどこかに落ち着くことが多い。とはいえ、現在翻訳機能はベータ版であり、現在翻訳されるのは、英語、スペイン語、簡体字中国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、ブラジルポルトガル語などに限られている。もちろんAppleがそのリストを更新し続けることは間違いない。

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私が高く評価したいのは、タブの上にマウスを置くと表示される、ウェブサイトのプレビューだ。これは、タブを使いすぎる傾向のある私たちにとって、素晴らしい追加機能だ。今では多くの、いやほとんどの人がそうした傾向を持っているのではないかと思う。またAppleは、タブにサイトのファビコンも追加した。これもまた、サイトを素早く識別する役に立つはずだ。

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内部の改良も同時に行われ、サイトのレンダリングが速くなり、電力利用効率も向上した。Appleは、Safariを使えば、Firefox(ファイアフォックス)やChromeに比べて、ストリーミングビデオの再生時に、バッテリー寿命を最大3時間程度伸ばせるはずだという。これはとても大きな違いのように見えるが、間違いなくApple製ソフトウェアを使用する利点はあるだろう。たとえ同社が今でもデスクトップ市場のシェアを広げるための、急坂を登っている最中であるとしても。「マップ」は、AppleがGoogleからかなり厳しい競争を強いられている、また別の場所だ。最新データでは、Googleマップは67%前後の市場シェアを握っている。Appleからの提供は、明らかに遅いスタートだったが、AppleはGoogleに追いつくためにかなり必死の努力を重ねている、そして今では、いくつかの点ではGoogleを上回るようになった。

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もちろん、そうしたアップデートの多くは、パンデミックが起こっていないときならもっとチェックしやすいものだ。まあしばらくの間は、360度ルックアラウンド機能(Apple謹製Googleストリートビュー対抗機能)のようなもので、代わりに楽しむのが良いだろう。機能は比較的限られているものの、屋内マップも使える。空港や屋内ショッピングモールなどの一部のスポットで、その機能をチェックすることができる。その他の主な追加には、充電ステージ経由の移動を計画できる電気自動車ルート案内、サイクリングルート案内、主要都市の渋滞地域に関するマップなどがある。

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「メッセージ」へのアップデートのいくつかは、ここで言及する必要があるだろう。その多くは、iOSの最新バージョンでも導入されたものだ(OS間で同等性が実現されることは稀だったが、おそらく今後はより一般的になるだろう)。今回の場合、なぜAppleがこうしたものを一度にロールアウトしたかったのかは明らかだ。

このアップデートにより、デスクトップ全体でのメッセージの堅牢性が向上した。追加された機能には、ミー文字エディタやスタンプ、紙吹雪やレーザーなどのメッセージ効果、改善された写真選択機能などがある。会話はアプリの上に固定でき、グループチャットは改善されて、グループ写真、特定のメッセージへのインライン返信、@記号でユーザーに通知する機能などが含まれるようになった。それはSlackの代替ではないし、そうなろうともしていない。

ベータが数ヶ月続いて、Big Surはついに皆の手に届いた。アプリやシステムへの重要なアップグレードが目立つが、Appleの視点から見てさらに重要な点は、ARMを搭載したMacの最初の基礎を築き、同社の主要な2つのオペレーティングシステム間の統一に向けてその行進を続けているということだ。

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今週の記事ランキング(2020.11.8〜11.12)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。今週の1位は、「PlayStation 5レビュー、次世代コンソールは優秀だが慌てて手に入れる必要はない」というニュースだ。他のランキングについても振り返ってみよう。

ソニーがAIロボティクス領域のドローンプロジェクト「Airpeak」始動、2021年春に事業開始

ソニーがAIロボティクス領域のドローンプロジェクト「Airpeak」始動、2021年春に事業開始

ソニーは11月9日、AIロボティクス領域における、ドローンに関する新プロジェクト「Airpeak」(エアピーク)の開始を発表した。2021年春の事業開始に向けて準備を進め、近日中に、同活動に参画を希望するプロフェッショナルサポーターの募集を開始する予定。

同プロジェクト情報は「Airpeakウェブサイト」で随時アップデート予定。

同社は、イメージング&センシング技術や、リアリティ、リアルタイム、リモートの「3Rテクノロジー」を活用し、ドローンのさらなる発展や最高峰の価値創出に貢献するという志を込め、ブランドを「Airpeak」(エアピーク)と命名したという。

Airpeakは、映像クリエイターの創造力を余すことなく支援し、エンタテインメントのさらなる発展に加え、各種産業においても一層の効率化や省力化に寄与することを目指す。

また、これまでドローンの活用が困難だった環境においても最高水準の安全性、信頼性により安心して利用できるよう、プロジェクトを推進する。

ソニーは今後、プロジェクト関連情報を継続的に発信するとともに、Airpeakの体験機会を通じてドローンユーザーからフィードバックを得る共創活動を重ね、2021年春の事業開始に向けて準備を進める。また近日中に、同活動に参画を希望するプロフェッショナルサポーターの募集を開始する予定。
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サウジアラビア政府系ファンドがインド最大の小売Reliance Retailに約1340億円出資

2020年、Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏の通信ベンチャーJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)に15億ドル(約1550億円)を(未訳記事)、光ファイバー事業に5億ドル(約520億円)超を(未訳記事)投資したサウジアラビアのPublic Investment Fund(PIF、公的投資基金)が、インドで最も裕福なアンバニ氏の事業を支援するために再び戻ってきた。

政府系ファンドであるPIFはインド最大の小売チェーンであるReliance Retail (リライアンス・リテール)の持ち分2.04%を13億ドル(約1340億円)で取得する。この投資により、2006年創業のReliance Retailのバリュエーションは624億ドル(約6兆4500億円)になる。

Reliance Retailはインド国内6500超の市町村に約1万店を展開し、2020年初めの時点では毎週350万人が利用していた。同社が今年9月以降に調達した額は64億ドル(約6600億円)を上回る。

2020年、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)などを含むさまざまな投資家からJio Platforms向けに200億ドル(約2兆670億円)超を集めたアンバニ氏は、今年末までにReliance Retail向けに数十億ドル(数千億円)を調達する。Reliance Retailへの出資が見込まれる企業の1社はAmazon(アマゾン)で、同社はすでにインドの小売事業に65億ドル(約6720億円)超を注いできた。

Relianceが、インドで2番目に大きい小売チェーンFuture Retailの事業の一部を34億ドル(約3500億円)で買収するという案件は現在行き詰まっている。Future Retailの子会社の1つの少数株を所有するアマゾンは、RelianceとFuture Retailのディールを阻止すべく法的手段に出た。Future RetailとReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)はこのディールを進めるつもりだと述べた。

「Relianceは、サウジアラビア王国と長年関係を持っています。PIFはサウジアラビアの経済トランスフォーメーションの最前線にいます。 Reliance Retailの重要なパートナーとしてPIFを歓迎します。また、インド国民13億人と何百万という小売店の暮らしを豊かにすべく、インドの小売部門を変革する野心的な取り組みを続けるにあたって、PIFの持続的なサポートとガイダンスに期待しています」とアンバニ氏は声明で述べた。同氏はReliance Retailの親会社Reliance Industriesを経営している。

Reliance Retailは2019年に、Jio Platformsとの合同ベンチャーJioMart(ジオマート)を通じてeコマースの分野に進出した。JioMartはいま、インド国内200以上の市町村で店舗を展開し、またWhatsApp(ワッツアップ)統合でフェイスブックと提携している。2020年初めにJio Platformsに57億ドル(約5890億円)を投資したフェイスブックは、インドの6000もの家族経営店や中小企業をデジタル化するためにRelianceと協業するさまざまな方法を検討していると述べた。

「インドで最もエキサイティングな部門をリードしているReliance Industriesとの信頼できるパートナーシップをさらに深化させることを嬉しく思います」とPIF総裁のYasir Al-Rumayyan(ヤセル・ルマイヤン)氏は声明文で述べた。「今回の投資は、サウジアラビア国民へのリターンを生み出し、サウジアラビアの経済分散を押し進めるというPIFのコミットメントを示すものです」。

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顧客とのコミュニケーションフローを構築するノーコードプラットフォームのUshurが26億円調達

ノーコードはエンタープライズソフトウェアの一角を占めている。コーディングなしで独自のAIベースの顧客コミュニケーションフローを作成できるプラットフォームを開発したUshur(アッシャー)というスタートアップが成長の燃料となる資金の調達を発表した。

同社は、Third Point Ventures(アクティビスト投資家でヘッジファンドの大物Daniel Loeb=ダニエル・ローブ氏が設立し運営するファンド)がリードしたシリーズBラウンドの資金調達で2500万ドル(約26億円)を獲得し、既存の投資家8VC(Joe Lonsdale=ジョー・ロンズデール氏のファンド)も参加した。Ushurの調達総額は3600万ドル(約38億円)になった。

Ushurは同社のバリュエーションを開示していないが、急速に成長している。同社は現在、保険セクター(顧客との会話や会話中にデータを収集することに関しては大きなセクター)に力を入れており、ユーザーとしてAetna、Irish Life、Tower Insurance、Unumを抱える。同社は、チャットボット(Ushurはバーチャル・カスタマー・アシスタントと呼ぶ)、自動化された電子メール応答フロー(ブランド名はSmartMail)、カスタマーサービスエージェントが迅速にサービスを提供するためのツール(FlowBuilder)を開発している。Slack、ServiceNow、Salesforce、Jiraへ統合するAPIを必要とするユーザー向けに用意しており、英語だけでなく60の言語で動作する。

現在、金融サービス会社や通信会社もターゲットにしており、新型コロナウイルスのパンデミックの間に需要が増加したため、販売とマーケティング機能を拡大し、ビジネスを成長させ続けるために資金を使用する予定だと創業者でCEOのSimha Sadasiva(シンハ・サダシバ)氏はインタビューで語った。

eコマースやその他のオンライン企業だけでなく、すべての企業が顧客とのバーチャルなやり取りに多く直面しており、Ushurのようなソリューションを使うようになった。

これは「テクノロジー」を中核に据えていない企業に特に当てはまる。そうした企業ではテクノロジーを基盤にしたサービスをゼロから構築して実行する社内の人材やその他のリソースが不足していることがある。同時に、そうしたサービスを実装するサードパーティーとの連携にかかるコスト(および時間)が不要なソリューションも探している。これはRPA(ロボットによるプロセス自動化)ソリューションに関して言える、とサダシバ氏は言う。RPAでは、ソフトウェアを製作および実装するために、通常は技術的な専門知識またはシステムインテグレーターを必要とする。

「ノーコード」と入力してほしい。これはソリューション、実際にはソフトウェアプラットフォームだが、裏であらゆるコーディングが支えている。ユーザーがプログラムをまとめたり、データベースにクエリを実行したり、知識を必要とせずに計算を実行したりできる、使いやすいインターフェイスを前面に出している。コーディングレベルでどうすれば良いかを知っている必要はない。通常は低コストだ。

「RPAツールに1ドル使うと、それを展開するためにさらに3〜4ドルが必要となります。だから当社が非常に競争力を持っているわけです」とサダシバ氏は言う。Irish Lifeが代理店向けに開発した電子メールサービスは、通常の問い合わせ処理時間を2.5~3時間から「1秒未満」に短縮し、リソースを40%削減したと同社は主張する。

明確にしておきたいが、これは既製のソフトウェアではない。顧客の必要に応じてカスタマイズし、自然言語処理(これも裏で構築されている)によって強化されたフローだ。

「すでに何百ものテンプレートが作成されています」とサダシバ氏は述べる。「しかし重要なのは、それらがレゴのピース、つまりビルディングブロックのようなものであるということです。当社はたくさんの新しい形やオブジェクトを作るための組み立てキットを提供しています」

ノーコードおよびローコードだと自社をマーケティングしている企業はたくさんある。実際、プログラマーでなくても使用でき、ソフトウェア会社が必要だと考えるものではなく、自社が必要とするものが構築できる柔軟性を持つコミュニケーションツールやそれがもたらす生産性には大きな需要がある。Ushurは投資家や顧客からの後押しを感じている。

Third Point VenturesのマネージングパートナーであるRobert Schwartz(ロバート・シュワルツ)氏は声明で、「Ushurはエンタープライズソフトウェアの最大の進歩の真っ只中にいます」と述べた。「個々にあわせた作りになっていると感じられるのに、企業に驚異的な効率をもたらす自動化。顧客が簡単かつ信じられないほど迅速に展開してメリットが得られるようなノーコード設計。本当に顧客のことを考えた上でもたらされる顧客体験。Ushurは実行力を伴い、信じられないほどの仕事をしています」。

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