新型コロナの影響で波乱に満ちた株式市場は広い分野で記録的回復

さて株式市場はどうなっただろう?

新型コロナウイルス、COVID-19の感染者が米国で増加していることを懸念して先週の市場は全面安となった。しかし米国時間3月2日の月曜日になると、外国企業を含め米国で上場している企業の株価は回復し、記録的な利益をもたらしている。

先週、新型コロナウイルスの感染によって国際的な経済の減速に対する懸念が高まり、世界的に株価は暴落した。週末も新型コロナ関連のニュースは流れ続け、感染者、死亡者が増え続けていることが報じられた。

しかし週が明けると米国の投資家のマインドは熊(弱気)から雄牛(強気)に変わり、買いが入り始めた。記録的な下げは、記録的な上げとなった。3月2日の市場では、

  • ダウは1293ドル(約13万9605円)、5%強アップ
  • S&P 500は136ドル(約1万4684円)、4.6%アップ
  • テクノロジー系株が多いNasdaqは385ドル(約4万1564円)、4.5%アップ

市場全般の上げ潮に乗り、Twitterは8%アップで引け「もの言う株主」がトップの交代を狙っているというニュースも流れた。

ただし、すべての企業が上げ潮に乗れたわけではない。 いささか驚きだが、ベンチャーキャピタルのBessemerがまとめているSaaS企業のインデックスの上昇はわずか1.5ポイントにとどまった。つまりその前の暴落で失った価値をほとんど取り戻していない。 この傾向が続くようだと、株価が全面的に戻しているという楽観主義をいささか修正する必要が出てくるだろう。つまり上げ潮もジャンルによるのだと考えねばならない。かつて投資家は、SaaS企業は収入と利益の双方を拡大させ続けると期待して空前の高値を出現させた。

暗号通貨関係企業さえ好調で、bitcoinに続いて4%前後アップした。

Nasdaq総合指数は、この1年の高値(史上最高値)と比べるとまだ9%前後低い。 つまりまだ回復の余地があるはずだが、実際そうなるかどうかは市場のみが知っている。ただし下げ一色は終わり、上下する値動きが戻ってきたということ間違いない。

アップデート:この間の乱高下に関連してTechchCrunchでも最近紹介したRobinhoodの運命に留意する必要がある。この無料オンラン株取引アプリは取引が殺到したためにダウンした。アプリが成功したのはよいが、サービスを稼働させ続けるために苦労しているようだ。企業価値が数十億ドル(数千億円)にも達する企業にとってダウンタイムは名誉ではないだろう。

画像:Drew Angerer / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

DX支援やスタートアップスタジオ事業のSun Asteriskが10億円を追加調達

企業の事業開発支援やIT人材育成など複数の事業を手がけるSun Asteriskは3月3日、事業会社やVCを引受先とする第三者割当増資と金融機関からのデットファイナンスにより総額で10億円を調達したことを明らかにした。

今回は昨年12月に実施したラウンドの追加調達という位置付け。前回の農林中央金庫に続いて複数社が新規投資家として参画し、本ラウンドの累計調達額は20億円となった。Sun Asterisk代表取締役CEOの小林泰平氏によると各投資家とは今後積極的に事業連携を進めていくという。

  • ソニーネットワークコミュニケーションズ
  • Sony Innovation Fund by IGV(Innovation Growth Ventures)
  • 加賀電子
  • リバネスキャピタル
  • 15th Rock Ventures

Sun Asteriskは現在4ヶ国6都市にて1500名以上のエンジニアやクリエイターが在籍するデジタル・クリエイティブスタジオだ。

これまでスタートアップから大企業まで300社以上の事業創出やプロダクト開発をサポート。スタートアップ支援の文脈では昨年6月よりスタートアップスタジオ事業を本格的にスタートし、エンジニアリソースや蓄積してきたナレッジを武器にスタートアップの成長に伴走している。昨年11月に6000万円の資金調達を実施したテナンタなどが支援先だ。

また事業開発の担い手となるテクノロジー人材の育成にもかなり力を入れてきた。ベトナムのトップ大学と産学連携したIT選抜コースの運営や、日本国内でのエンジニアスクールなどを通じて常時2000名以上の人材育成を行なっているという。

Sun Asteriskの事業内容や現状については前回の記事で詳しく取り上げているので、そちらも合わせて参照いただきたい。

投資家と連携し「イノベーションのタネ」の社会実装へ

冒頭でも触れた通り、今回のラウンドではすでに発表されていた農林中央金庫に加えて5社が新たに投資家として参画した。

各社は分野こそ異なれど「イノベーションに繋がるタネ」を保有しているという観点では共通する部分も多い。彼らが掘り起こしてきたものにSun Asteriskの持つテクノロジー人材や事業開発ナレッジを掛け合わせることで、社会実装や事業育成に繋げていきたいという狙いがあるようだ。

ソニー関連ではソニーネットワークコミュニケーションズおよびSony Innovation Fundから資金を調達しているが、これは「ソニーグループと組んで大きなチャレンジをする」ことを見据えたもの。ソニーが持つさまざまな要素技術をプロダクトに落とし込み、社会へ届けていくことを大きな目的とする。

リバネスキャピタルと15th Rock Venturesの2社は共に先端領域の研究やアイデアを社会実装する役割を担っている企業だ。リバネスはバイオを始めディープテックやリアルテックの研究開発に強く、15th Rock VenturesはHuman Augmentation(人間拡張)領域のスタートアップを支援している。

まさに両社ともイノベーションに繋がるタネを多数持っているため、その事業化をSun Asteriskがテックパートナーとして一緒に進めていく形だ。

電子部品などエレクトロニクス分野に強い加賀電子とは、IoT分野での事業拡大に向けて協業する。たとえば最近ではIoT関連の取り組みでエッジコンピューティングの話を聞く機会が増えてきたが、そのためにはエッジデバイスについての専門的な知見が欠かせない。Sun Asteriskでもこれまで複数のIoTプロジェクトに取り組んできたものの、同社は必ずしもハードウェア領域に強みを持つ企業ではない。ハードウェアの知見や技術を持つ加賀電子とタッグを組むことでIoT分野の事業を加速させる計画だ。

スタートアップスタジオでは数億円規模の予算で10数社を支援

上述した取り組みを含め、Sun Asteriskでは今後エンタープライズ企業とのデジタル技術を用いたプロジェクトに力を入れていく方針。単なる業務効率化ではなく業務プロセスの変革やデジタル企業へのアップデートに向けたビジネスモデルの創出を目指し、たとえばジョイントベンチャーの立ち上げなど、より密に連携した新たな協業モデルも視野に入れているという。

スタートアップスタジオに関しても数億円規模の予算を設け、10〜20社に対して出資と技術支援をしていく方針。教育事業ではベトナムに加えマレーシア、インドネシアへも進出済みで、産学連携モデルをグローバル規模に広げていきたいとのことだ。

Googleは新型コロナの影響で同社最大のカンファレンスCloud Nextをオンラインで開催

米国時間3月2日にGoogleは、COVID-19新型コロナウイルスの影響を考慮し、同社主催の年次カンファレンスであるCloud Nextのオフラインでの開催を中止すると発表した。クラウドに特化した同イベントは3万人前後の参加者が見込まれる同社最大のカンファレンスだ。

最近のイベント中止の流れからみて、この発表は大きな驚きではない。数日前には、FacebookがF8デベロッパーカンファレンスを中止している。

Cloud Nextは4月6日から8日にカリフォルニア州サンフランシスコで開催される予定だった。しかし、Googleは通常行われていたオフラインイベントの代わりに、オンラインイベントを「Google Cloud Next ’20: Digtal Connect」と題して開催する。したがって、基調講演や分科会などは予定どおり行われ、さまざまなエキスパートとつながる機会も残されている。

「イノベーションはGoogleのDNAであり、この強みを活かして2020年もみなさんが没頭し想像をかきたてられるイベントを、移動のリスクなしに実施する」と3月2日の発表内でGoogleは語った。

バーチャルイベントの参加は無料で、カンファレンスのチケットは自動的に払い戻されるとGoogleからの参加者へのメールにある。カンファレンスの予約システム経由で申し込んだホテル予約も自動的にキャンセルされる。

こうなるとGoogleのもうひとつの大イベントである I/Oが気になる。こちらは5月12日から14日にカリフォルニア州マウンテンビューで行われる予定だ。同様に、ライバルともいえるMicrosoftのBuildカンファレンスも5月19日からシアトルで行われる。いずれも両社にとって重要な年間ニュースイベントだが、現状を鑑みると中止になっても驚く人はいないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

エンジニアやデザイナーと企業をつなぐ副業・複業採用プラットフォーム「Offers」運営が1億円調達

エンジニアやデザイナーに特化した副業・複業採用プラットフォーム「Offers」を運営するoverflowは3月3日、複数の投資家よりシードラウンドで1億円を調達したことを明らかにした。

2017年6月創業の同社にとっては今回が初めての外部調達。調達した資金は主に人材採用に用いる計画で、Offersのさらなる機能拡充やサポート体制の強化を進めていく。なお今回overflowに出資した投資家陣は以下の通りだ。

  • East Ventures
  • DNX Ventures
  • 名村卓氏(メルカリ執行役員CTO)
  • 佐久間衡氏(ユーザベース取締役候補 B2BSaaS事業 CEO)
  • 永見世央氏(ラクスル取締役CFO)
  • 朝倉祐介氏(シニフィアン共同代表)
  • 胡華氏(メルカリ / Advanced Technology)
  • その他複数の投資家

約2年の「正社員ゼロ、副業・複業経営」経験を活かして開発

Offersは2019年5月にα版リリース以降、現在までに累計で50社以上が活用し、数千人規模の個人ユーザーが登録している副業・複業採用プラットフォームだ。

企業が求人を出して応募を待つのではなく、登録されているエンジニアやデザイナーにオファーを送って採用するダイレクトリクルーティング型のサービス。各ユーザーのプロフィールページを通じて「定量(スキル偏差値)」「定性(ソーシャル)」「レファレンス(共通の知人)」という3つの情報をチェックし、自社にマッチした人材と接点を持てることが企業にとっての特徴になる。

個人ユーザーは、複数のSNSアカウントを連携することによっていちいち手打ちで入力せずとも自動で履歴書を作ることが可能。GitHubやQiitaのアカウントを紐付けておけば、言語ごとのスキル偏差値も算出される。

偏差値は自分の書いコードや記事の量、他者からの評価などから割り出されるもので、参照ソースや算出ロジックに違いはあれど「Findy」や「LAPRAS」と似ている部分もある。良質なアウトプットをしていればスコアが高くなり、それだけ採用担当者の目にも留まりやすい。

このように生成されたプロフィールを基に企業は候補者を絞り込んでいく。スキルや経歴だけでなく、連携しているSNSの投稿なども踏まえて定性的な部分の相性を確かめたり、社員と候補者との共通の繋がりをチェックすることもできる。気になるユーザーが見つかれば企業側からオファーを送り、マッチングした場合にはチャット形式でのコミュニケーションが始まる仕組みだ。

overflow代表取締役CEOの鈴木裕斗氏によると、企業からはオファーの簡単さや返信率の高さが好評なのだそう。Offersでは副業が軸になっているため、正社員採用と比べてユーザー側の敷居が低いのが1つのポイントだ。転職や副業の意欲を示しているユーザーを絞り込めるほか、プロフィールページの豊富な情報から自社に合いそうな候補者を探せるので“明らかなミスマッチ”を事前に防げるのも大きい。

料金体系は成約時に20〜80万円の手数料を得るモデルで、企業と個人ユーザーの契約内容(月間の稼働時間)によって具体的な金額が決まる。

副業プラットフォーム自体はすでにいくつかあるものの、Offersが面白いのは運営のoverflow自体が創業から約3年にわたって「正社員ゼロの副業・複業経営」を実践し続けてきたこと。これまで同社には累計270名のメンバーが携わっているが、創業者を除く全員がフリーランスや本業を別に持つ副業メンバーたちだ。

この少々特殊なチーム編成はサービスにも活かされていて、たとえばつながりを可視化する機能は自社の経験も踏まえて実装したもの。overflowの副業メンバーは約8割が紹介経由でチームに加わっているそうで、共通の知人や人の繋がりを見える化することにはこだわりがあるようだ。

また企業をサポートするカスタマーサクセスチームはエンジニアないしエンジニア採用経験があるメンバーのみで構成され、現場経験と副業採用の実体験を合わせることでクライアントの「エンジニア・デザイナー×副業(複業)採用」を支援している。

複数回のピボットの末にたどり着いた副業プラットフォーム

overflowはサイバーエージェント時代の同僚だった鈴木氏、田中慎氏(代表取締役CPO)、大谷旅人氏(共同創業者 CTO)の3人が2017年6月に立ち上げた。

田中氏と大谷氏はともにエンジニアとしてサイバーエージェントなどで活躍。鈴木氏は同社のAmebaプラットフォームの管轄責任者を経て、iemoの代表取締役やDeNAキュレーションプラットフォームの広告部長などを務めてきた人物だ。

そんな3人が創業したoverflowのテーマは「時間を増やす」こと。人々が自由に使える本質的な時間を増やすべく、その障壁となるものや、世の中の非効率をなくす事業を考えた結果、最初に着目したのが「お金の問題」だった。

そこでoverflowではライフプランを作ると専門家からそれに沿ったアドバイスをもらえる「お金のパーソナルトレーナー」サービスを考案。会社としてはPMFを達成するまで外部調達を実施しないことを決めていたため、同サービスを開発する傍らキャッシュを稼ぐ事業としてコンテンツ制作やメディア運営に関するコンサルティング事業も手がけた。

最終的には事業の将来性などを検討した結果、お金のサービスからのピボットを決断。そこから現在のOffersに至るまでにも「4〜5個のプロダクトを試した」(鈴木氏)そうだ。

「(金融サービスの運営を通じて)たくさんの相談を頂いたが、ほとんどのアドバイスは収入を増やすか支出を減らすかになる。支出を減らす施策は結果的に本人の自由を制限する方向に向かいやすいこともあり、個人の収入を増やせる仕組みを次の事業を通じて作りたいと思った」

「その時ふと自分たちの2年間を振り返って気づいたのが『正社員ゼロ』でずっと会社を作ってきたということ。副業・複業メンバーだけでも色々な新規事業にチャレンジできていたし、コンサルティング事業では成果も出せていた。副業のインパクトの大きさや、働き方を自由に選択できる環境の必要性を自社の経験を通じて感じていたことに加え、ちょうど副業がトレンド化し始めたタイミングでもあったので、この領域で新しい事業を作ってみようと開発したのがOffersだ」(鈴木氏)

目指すのは「フレキシブル経営」のインストール

そのような背景で2019年5月にα版リリースを迎えたOffersは、上述した通り1年間で累計50社に導入。プロダクトやCS体制の作り込みも進み、クライアントの反応も含めて手応えを掴めたため、さらなる事業拡大に向けて初の外部調達に踏み切った。

調達した資金は社内の体制強化に用いる計画。Offersには現在20名近くのコアメンバーがいるが(もちろん正社員メンバーはゼロだ)、新たに人員を加えてプロダクトの機能拡充なども進めていく。

鈴木氏によるとOffersでは「3次元構想」を掲げていて、今後は大きく3つの方向に拡張する方針。別職種への拡張やグローバル展開など市場拡大を狙うほか、副業にチャレンジしたい人のボトルネックを解消する新規事業(たとえば確定申告を簡単にするサービスなど)、個人のパフォーマンスデータを活用した採用モデルの構築などに取り組む予定だ。

「自分たちが目標としているのは雇用形態にとらわれない人材採用により、経営スピードを最大化するとともに個人の働き方を自由にする『フレキシブル経営』を多くの企業に広げていくこと。企業がその経営スタイルをインストールするための手段を探した際、Offersが1番使いやすいサービスになっている状態を目指してプロダクト開発を進めていく」(鈴木氏)

不確実な時代のテクノロジー

近未来のテクノロジーについて議論しようとするとき、まず疫学について話さなくてはならないのは決していい兆候ではない。しかしながら、今はその時だと言わざるをえない。1週間前私は「パンデミックがやってくる」と書いた。残念ながら、それ以来私が間違っていたことは証明されていない。

現時点の推測では、中国のような厳格な措置がなされないかきり、コロナウィルスは今後一年のうちに世界の成人の4070%に感染する(ただし、これは非常に重要なことだが、ほとんどのケースで症状は軽微あるいは無症状である)。

当然さまざまな疑問が湧いてくる。最も重要なのは「伝染を阻止することはできるのか?」ではない。答えはすでに明確なノーだ。最も重要なのは「伝染は速いのか遅いのか?」だ。この違いは極めて重要だ。先週のツイートとグラフを再掲する。

急激に立ち上がっているように見える曲線は、医療システムに過大な負荷がかかるリスクを生み、あらゆる状況を悪化させているが、実際には感染者のうち医療措置を必要とする割合はごくわずかだ。幸い、少なくとも私にとって優れた医療システムと強力な社会一体性、そして有能な指導体制のある国では、曲線を対応可能な勾配まで引き下げられる可能性が高い。

残念ながら、筆者のようにこの世界一裕福な国に住んでいる人には、上記3つの条件が「ひとつも」当てはまらない。しかしここは楽観的に米国の強大な富が最悪のシナリオを回避してくれると仮定しよう。それでどうなるのか?

では、世界のサプライチェーンは破綻しているのか、および、人々の多くは引きこもり生活を行っているかを月単位で見てみよう。前者はすでに始まっている

ロサンゼルス港では、コロナウィルスが船舶運航と海外サプライチェーンに与える経済打撃によって今月のコンテナ量が25%減少すると予測している。4つに1つ、アジアからの輸入品が突然来なくなることを想像してほしい。影響はもう始まっている

需要と供給の同時ショックを前にして、不況を避けられることは想像できない。さらに、もしCovid-19が伝染したニュースが出るたびに株式市場が数%下がり続けるとすれば、1~2カ月のうちにダウ平均株価は300、FTSEは75になっているかもしれない。しばらくの間その手のニュースは定常的にやってくると私は予想している。トレーダーたちもいずれ気づくだろう。では、テクノロジー、そしてテック業界には何が起こるのか?

わかりきったことは、リモートワークやコラボレーションを可能にしたり便利にしたりするテクノロジーは成長する。バイオテクノロジーとヘルステックは新たな注目を浴びるだろう。しかし、全般的にみて、これが世界中のテクノロジーによる変化を加速するだろうか?

1年と少し前、私は「テクノロジー・スタートアップは景気後退に備えよ、今やるべきことはこれだ」という記事を書いた(専門家は2019年終わりか2020年始めと予測した)。拙文を以下に引用する。

一方、「ソフトウェアが世界を食い尽くす」現在、すべての産業はソフトウェア産業になりつつあるので景気後退はこのシフトを加速する」という理論がある。こうした過激なディスラプトによって苦しめられる個人の数を考えると無条件に喜ぶことはためらわれる。しかし一部の起業家はこのプロセスから利益を得るし、長期的かつマクロの観点からはこうした展開はあり得る。景気後退は隕石の衝突のようなもので、それが恐竜を滅ぼし、身軽な哺乳類―ソフトウェア企業―の繁栄をもたらすかもしれない。

仮にこうした理論が事実であっても、多数の個別企業が激しく揺さぶられることは間違いない。起業家は支出を抑えることが至上命題となる。長期的には大きな価値を生む可能性があるが、短期的には利益を生まないプロジェクトはまっさきにコストカットの対象になるだろう。消費者は財布の紐を固く締めるようになるだろうし、アプリを購入したり広告をクリックしたりする回数は現象するだろう。誰もが万一に備えてキャッシュを後生大事と抱え込み、リスクの大きい投資をしなくなるだろう。

どれをとっても、経済的でなく物理的ショックによって起こる不況より重要でないとはいえない。私が予想するに、不況は比較的短期で急激にやってくる。そして今度はパンデミックと景気後退が事実上同時に起きている。しかしそれまでの間、怖くなるほど面白い月日を経験することになる可能性は高い。面白さの度が過ぎないことを願うばかりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

飲食店の手配から調べ物まで“面倒ゴト”をLINEでお願いできる「メンド」が事前登録開始、約1.1億円の調達も

「明日の会食のお店探しと予約をしてくれない?」「来週出張が決まったから宿と航空券の手配をお願いしたい」「通っているジムの解約手続きをして欲しい」——。

somewhereが手がける「メンド」は、そんな日常生活におけるちょっとした面倒ごとやお願いごとをLINEのチャットで相談するだけでサポートしてもらえる“オンラインパートナーサービス”だ。

概念はいわゆる「オンラインアシスタント」や「オンライン秘書」にも近いが、LINEを使ってカジュアルに相談できるのがメンドの大きな特徴。somewhere代表取締役の甚田翔也氏は「アシスタントに依頼するというより、気の知れた後輩にお願いごとをするような感覚で使える」と言う。

これまでメンドは招待制のサービスとしてひっそりと運営されていたが、これから少しずつ間口を広げていく計画。それに向けて本日3月2日より、ユーザーの事前登録受付を開始した。

合わせてsomewhereでは開発面やオペレーション面などの組織体制を強化するべく、複数の投資家から約1.1億円を調達したことも明かしている。この調達は2回に分けて実施されたもので、2019年3月のエンジェルラウンドにて個人投資家11人から3500万円、同年12月のシードラウンドにてVCや事業会社、個人投資家7人から7500万円を集めたという。主な投資家陣は以下の通りだ。

  • 佐藤裕介氏
  • 河合真吾氏
  • 古川健介氏
  • 西川順氏
  • 有川鴻哉氏
  • 赤坂優氏
  • 河合聡一郎氏
  • 尾上玲円奈氏
  • 有富丈之氏
  • 山岡佑氏(ここまでは昨年3月のエンジェルラウンドの投資家)
  • 千葉道場ファンド(これ以降は12月のシードラウンドの投資家)
  • FGN ABBALabファンド
  • 社名非公開の事業会社1社
  • 宮田昇始氏
  • 西野伸一郎氏
  • 伊藤久史氏
  • 松宮大輝氏

身の回りの“面倒”を解決する「対話型の検索+実行エンジン」

メンドは非常にわかりやすいサービスだ。ユーザーは困ったことがあった際にLINEのチャットを使ってメンドに話しかけるだけ。移動中の電車やタクシーの中でも、エレベーターに乗っている時でも、なんならトイレに入っている時でもスマホが手元にあればいつでも使える。

甚田氏によると利用用途の半分は「いい感じの飲食店を探して予約して欲しい」といった食事関連の相談なのだそう。そのほか旅行に関する交通機関や宿の手配から、Webを使った簡単な調べごと(公共手続きの流れを調べて教えて欲しいなど)、商品購入(消耗品をAmazonで代理注文したりバイク便の手配をする)などお願いの幅は広い。

「メンドは『対話型の検索+実行エンジン』。忙しくて自分でやる時間がなかったり、単に面倒くさかったり。そんな時にLINEで話しかけてもらうだけで預かっているユーザーさんの情報や過去の依頼履歴などを基に予約手配や問い合わせ、商品の購入などさまざまなアクションを代理実行する。まだ規模は小さいが、消費行動における一次受けとして、何か困った時に『とりあえずメンドに相談する』という流れを作れてきた」(甚田氏)

現時点では音声アシスタントみたいにAIが勝手に答えを返してくれるわけではなく、大部分を人力で対応。LINEの向こう側にメンドのパートナー(チャット担当者)が待機していて、彼ら彼女らが各ユーザーをサポートする構造だ。

「近年はWeb上に情報が溢れ取捨選択コストが上がっている。Amazonのレビューやグルメサイトの評価点数も信頼できなくなってきたという人も少なくない。メンドではその道のプロや詳しい人の知見・データを集めたデータベースを作り、ユーザーさんから都度フィードバックをもらいながら常にアップデートをかけている。欲しいと思うタイミングでいつでも誰でも良質な情報を提供できるように、今はセンスの平準化をテーマに開発に取り組んでいるところだ」(甚田氏)

個人向けの料金プランは月額2万4800円から5万9800円まで大きく3つあり、プランごとに相談できる時間帯やお願いできる内容が異なる。どのプランも月額定額制のため何回相談しても料金は一緒だ。

原体験は知人へのオススメの飲食店紹介

甚田氏は学生時代からBASEやコインチェック、マチマチといったスタートアップでインターンを経験。新卒でマチマチに入社した後、フリーランスを経て2018年2月にsomewhereを創業している。

毎年ブログでその年に行って良かったご飯屋の情報をまとめて紹介するほど“ご飯好き”だったため、知人からオススメのお店を聞かれることも頻繁にあったそう。その都度相手の要望に合わせて美味しいお店を提案していたという。要は以前からメンドに近いようなことを個人的に実践していたわけだ。

「サービス案を模索している中で、お世話になっていた人から『気軽に使えるコンシェルジュサービスが欲しい』という要望をもらったのがきっかけ。クレジットカードのコンシェルジュなどは電話やメールでのやりとりが面倒で使いづらいという声も聞いていたので、それをチャットでカジュアルにできればお金を払って使いたい人はいるのではと考えた。(チャットでご飯屋さんの相談に乗っていたこともあり)コミュニケーションの進め方やポイントはある程度わかっていたので、まずは自分でやってみようと始めた」(甚田氏)

最初はFacebookメッセンジャーを使って、ご飯以外のお願いごとも含めてさまざまな依頼に自身で対応することからスタートした。ちなみにサービス名は甚田氏のニックネームをとって「じんたんコンシェルジュ」だ。

そこからオペレーション体制を整え、少しずつユーザー数を拡大。スタートアップの経営者や個人投資家を中心に数十人規模のユーザーに使ってもらう中で一定のニーズがあることも検証できたため、約1年が経過した2018年11月にサービス名を「メンド」に変えて内容や料金体系などを整理した。

サービスを広げていくにあたってはチャットでのコミュニケーションをよりシステム化して一気にユーザー獲得を進める選択肢もあったが、あえて属人的なやりとりにこだわり、拡大を急がない道を選んだ。

「最初からシステマチックにやりすぎると、人と人とのコミュニケーションの要素が薄れてしまって使い勝手が悪くなる。ユーザーさんにヒアリングをしている中で、コミュニケーションをしていてどこまで疲れないかが1つのポイントになると感じた。距離が遠くなると『こんなお願いして良かったんだっけ?』と思われてしまう。後輩的な立ち位置で、気軽に相談できる関係性を構築できれば、それが競合優位性にも繋がる」(甚田氏)

周囲からは認知を取るために「用途を絞ってバーティカルなサービスにした方がいいのでは?」という声もあったが、その道も選択しなかった。結果的には利用用途を狭めすぎなかったことで、ユーザー起点でどんどん新しい使われ方が生まれている。

たとえば「ダイエットのサポートをメンドにお願いする」という使い方はその一例だ。毎日の夕食における摂取可能カロリーをメンドからリマインドし続けることで、半年間で約10kgのダイエットに成功したユーザーもいるという。

「自分たちが解決したいペインは人々の『面倒』という欲求そのもの。ユーザーさんの生活における面倒なことは全てサービスとのタッチポイントであり、何か面倒なことに直面した時に頼られるサービスでありたい。面倒と感じることは人によってそれぞれとの考えもあり、特定の用途に限定することなく運営してきた」(甚田氏)

個人がマイクロタスクをアウトソーシングする時代へ

じんたんコンシェルジュ時代を含めると開始から約2年。初期に比べると社内の体制やナレッジもかなり整備されてきた。そんな中で実施した今回の資金調達は、人材採用の促進やセキュリティへの投資などを通じて、もう一段プロダクトを磨き込むことが目的だ。

採用面ではパートナーを中心にオペレーション面を強化するほか、エンジニアの採用にも力を入れる。甚田氏の話では顧客対応ツールや依頼されたタスクの管理ツールを始めとした社内用ツールの開発を進める予定で、LINEでは実現できない機能や蓄積できないデータなどは内製のシステムで対応していくことを検討しているという。

将来的にはテクノロジーの力で解決できる部分を増やし、現在は人力ベースのメンドのやりとりも「半ソフトウェア化」する計画だ。

「メンドは時間をお金で直接的に購入できるサービスという側面もあり、お金を払うことで面倒を解消できたり、精神的な負担を和らげたりもできる。今後も情報量が増えれば、選ぶコストはさらに上がっていくはず。メンドが生活全領域でユーザーさんの意思決定や困りごとの解決をサポートすることで、ユーザーさんが自分のやりたいことにしっかりとリソースを割けるようにお手伝いしていきたい」(甚田氏)

冒頭でも触れた通りオンラインアシスタントサービスというくくりで考えると、国内でも複数のサービスが存在する。法人向けであれば「CASTER BIZ」や「ビズアシスタントオンライン」などを始め、経理など特定の領域に特化した「メリービズ」のようなものもある。

個人向けでは500円から様々なタスクを依頼できる「My Assistant」やメンドと方向性の近い「nene」のほか、文脈は少し違ってくるものの領域特化のサービスとしては「ペコッター」や「ズボラ旅 by こころから」も似たような使い方ができるかもしれない。

甚田氏が話すように、情報量の増加とともに意思決定にかかるコストが増える中で、自分が使える時間を少しでも増やすために「個人が身の回りのマイクロタスクをアウトソーシングしていく流れ」は今後加速していくのではないだろうか。

その文脈においても、メンドの今後の動向に注目だ。

トラック輸送の改善に取り組むサンディエゴのFlock Freight

「貨物の動きを変えたい」。Flock Freightの創業者でCEOのOren Zaslansky(オーレン・ザスランスキー)氏は話す。

過去2年、ひっそりと操業してきた同氏の会社は、貨物輸送の新しいソリューションを伴ってステルスモードで登場した。「そのソリューションは運送業者により多くの金をもたらし、現在貨物向けに展開されているハブアンドスポークモデルにおける非効率をなくし、荷主に良い条件を提供する」と同氏は主張する。

サンディエゴに拠点を置く同氏の会社はまた、直近では最大となる5000万ドル(約54億円)を調達した。

ザスランスキー氏にとって貨物輸送は家業だ。「私の両親は引越し業を生業とする家庭で育った。そして私自身は起業と貨物という環境で育った」と語る。

この2つのものへの情熱が、大学を中退し、サンディエゴエリアでのトラック事業開始へと彼を駆り立てた。彼はまた、サプライチェーンのロジスティックをサポートしようと仲立業も立ち上げた。トラック事業、そして仲立業に馴染んでいたことがFlock Freightの創業と、今週初めにクローズした新たな投資ラウンドにつながった。

Flock Freightは、荷主が少量の商品を動かす方法を変えるために資金調達した。ハブアンドスポークオペレーションで動かさなければならないトラック積載量に満たない量のものが対象だ。ハブアンドスポークオペレーションでは商品の輸送にかかる時間が長くなり、また車両への積み下ろしで商品破損の可能性が増す。

「ハブアンドスポークを省きたい」とザスランスキー氏は話す。「我々はカープールになりたい。貨物の動きを変えるためにテクノロジーを使う」。

Roadieのようなサービスを通じて届けられるかなり少量のオーダーのことをザスランスキー氏は話しているのではない。配達会社Roadieは2019年2月にHome Depotのリードで3900万ドル(約42億円)を調達した。

あくまでもトラックの話で、長さ70フィート(約21m)のトレーラートラックのカープールだ。Flock Freightは中小のトラック輸送会社に声をかけ、こうした企業がすでに請け負っている荷物のオーダーを統合する。「トラックの荷台の空きを埋めるためにサードパーティーと連携を取るのに慣れている業者に働きかけている」とザスランスキー氏は言う。

目下、それは1100億ドル(約12兆円)の貨物・ロジスティック市場の15%にあたる。

Flock Freightへの新たな投資はSignalFireGLP Capital Partnersが2月中旬に実施した。この2社は、損害請求が減らせる、複数の荷主から荷物を集める、排気ガス40%抑制のための最適化したルートの配達ができる、配達率97.5%を保証するというFlock Freightの主張にかなり魅せられたようだ。

Flock Freightの発表文によると、Tuft & NeedleやTitan Supply Groupといった企業がすでにFlock Freightのサービスを使っている。

Flock Freightはトラックの余剰の輸送能力を確保し、荷主に使った分だけの料金を課すことでマーケットを形成している。「我々は荷主に対して『荷物はトラックの75%を占めた。だからその75%分だけを請求する』と言いたい」とザスランスキー氏は話した。「運送業者向けには、Flock Freightが支払うのは100%で、10フィートの貨物を追加してさらに1000ドル払う」と述べた。

画像クレジット:5m3photos / Getty Images under a Royalty-free license.

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(翻訳:Mizoguchi

「Zombs Royale」のEnd Gameが約3億2000万円調達

End Game InteractiveのCEOであるYang C. Liu(ヤン・C・リュウ)氏は、彼と共同創業者であるLuke Zbihlyj(ルーク・ズビリジ)氏が現在何をしているのかについて、あっけらかんと次のように語る。「私たちはただゲームを開発しているところです。正直なところ、私たちは何をしているのか、わかっていないのです」

この無計画宣言にもかかわらず、End Gameは名のある投資家グループから300万ドル(約3億2000万円)のシード資金を調達した。今回のラウンドはゲームに注力するMakers Fundが主導し、「Clash of Clans」の開発元であるSupercell、UnityのCEOであるDavid Helgason(デビッド・ヘルガソン)氏、TwitchのCOOであるKevin Lin(ケビン・リン)氏、TwitchのVPであるHubert Thieblot(ヒューバート・シーブロット)氏、Main Street AdvisorsのDanny Epstien(ダニー・エプスタイン)氏、そしてScooter Braunの音楽エグゼクティブであるAlexandre Cohen(アレキサンダー・コーエン)氏が参加している。

リュウ氏の話によれば、彼とズビリジ氏が最初に始めたのは、既存のゲームに関連するウェブサイトの制作だった、たとえばPokemon GOのポケモンを探すためのサイトPokéVisionなどがその例だ。しかし、彼らはSlither.ioのようなブラウザベースのシンプルなマルチプレイヤーゲームの成功に触発されて、独自のゲームを開発。最初はZombs.ioを、次にSpinz.ioそしてZombs Royaleを開発した。

End Gameによれば、タイトルを合わせると1億6千万人以上のプレーヤーを獲得し、1日で100万人がプレーしているという。特にZombs Royaleは大ヒット作のようだ。このバトルロワイヤルゲーム(1つのマップで最大100人のプレイヤーが対戦できる)は、2018年に最もGoogle検索されたゲームの1つだった。

リュウ氏は、こうしたチームによる成功が、彼らをゲーム開発に集中させるようになったのだと述べる。「私たちは、みんながただ使うだけの製品を作りたいのだろうか? それともみんなが学校に行ったり、仕事に行ったり、夢を見てしまうようなゲームを作りたいのだろうか?」

End Gameの創業者たち

Zombs Royaleは4週間足らずで開発されたとされるゲームだが、リュウ氏によれば、2018年初めに最初のローンチを行って以降、チームはゲームの保守とスケールアップの対応に大部分の時間を使ったのだという。そして2019年は新しいチームづくりと、次のゲームであるFate Arenaの開発に費やされた。このゲームは近日中にPC、モバイル、その他のプラットフォーム上で発売される予定になっている新しい「オートチェス」ジャンルのタイトルだ。

リュウ氏によれば、シンプルな2Dアートを用いたこれまでのEnd Gameの製品とは異なり(「Zombs RoyaleとSpinzで、私はアートを担当しましたが、それらはひどいできでした」と彼は語った)、Fate Arenaは「3Dで高精度のアートスタイル」を採用しているということだ。

しかし、同社のゲームがこれまでのような素朴なものではないように見え始めたとしても、依然として目標は迅速な開発と反復だ。リュウ氏はこのシードラウンドの資金を、他のクロスプラットフォーム、マルチプレイヤーゲームを開発するための「たくさんの試行錯誤」に注ぎ込みたいと語る。

「私たちは迅速な実験を行えることに誇りを持っています」と彼はいう。そして重要な点は「噛み砕ける以上には、齧り取らないことです」と付け加えた。 「私たちは、(ゲームを)最初からスケールアップできるように設計しています。とはいえ、最低限でも100個のクエストを作らなければならない『World of Warcraft(非常に大規模なオンラインゲーム)』のようになる必要はありません。私たちは、より大きな何かへと拡大することができる、小さな出発点を持つゲームに焦点を当てています」

Supercell Developer Relationsの責任者であるJaakko Harlas(ジャッコ・ハラス)氏も、資金調達の発表時の声明で同様の点を指摘していた。

多くの企業は、自分たちがどれほどすばやく動いているかをすぐに口にします。ですが、End Gameのようなチームに出会うことで、無駄のない迅速な動きが何を意味しているのかを、本当に理解するのです。ヤン、ルークそしてチームは、自分たちに娯楽を生み出す真の才能があることをすでに証明しています。私たちは、次の大ヒットゲームを目指す彼らをサポートすることを楽しみにしています。

関連記事:This new venture fund has more than $180 million to invest in interactive entertainment startups

画像クレジット: End Game Interactive

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(翻訳:sako)

SpaceXの採用面接で試されるのは優れたイノベーション精神

米空軍主催の空中戦に関するシンポジウムであるAir Warfare Symposiumで、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は新旧さまざまな話題に触れたが、特に人びとの関心を集めたのは、SpaceXにおける雇用と解雇のやり方だ。そこは、世界で最も技術者に対する要求レベルが高いエンジニアリング企業といわれている。

同社はイノベーションを誇りとし、その最高経営責任者は面接でも最高レベルのイノベーション精神を求める。

「面接ではイノベーションといった優れた能力のエビデンスを問うことが多いけど、我々は面接で、新しい技術を創造したいと思っている人を選ぶ」とマスク氏はいう。

この気まぐれなCEOは、面接における応募者のイノベーション志向の有無をどこで見分けるのか、応募者の前歴の何に着目するのかなど、詳しいことは述べなかったが、しかしイノベーションは、同社の雇用過程における重要な要素だ。

マスク氏によると、イノベーションの強調は同社のボーナスの構造や昇進の決定、そして究極的には彼/彼女の勤務年限にも影響が及ぶ。

「ボーナスはイノベーションへのご褒美だが、失敗を恐れてイノベーションをトライしない者にはペナルティをとられる。つまり解雇される」とマスク氏は語る。

イノベーションをし損なうことだけではなく「その社員のイノベーション志向がとても良質なものでなかったら、同じく会社を追われる」のだそうだ。

イノベーションの重要視は、企業と国家にとって競争に勝ち抜くために大切なことだ。マスク氏によると、テスラでもSpaceXでも知財を盗むことに対してはいちいち気にしない。どの企業も、3年以上先の技術開発で競争の先頭に立つことを望んでいるからだ。

さらにマスク氏は「知財の保護を実現する方法は、迅速にイノベーションを起こすことだ。イノベーションのスピードがすべてを決める。チームにはいつもそう言っている。重要なのは、毎年イノベーションを起こすことだ」という。

IBMのような、巨大なパテントポートフォリオと、研究所に何千ものイノベーションを抱えているところは異論を唱えるかもしれない。しかしマスクの論点は企業に限定されるものではなく、国民国家にも当てはまる。

マスク氏が具体的に言及したのは、アメリカが中国と互角に競争できるために必要なイノベーションだ。中国は数年以内に、アメリカの2倍から3倍の経済規模になるかもしれない。

マスク氏曰く「戦争の基盤は経済だ。相手の半分しかリソースがなければ、イノベーションに励まないかぎり負ける。アメリカは、軍事的にも二番手になるだろう」

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マーケットプレイスの作り方(2)サプライかデマンド、どちらにまず集中するべきか?

編集部注:本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するPodcast「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。当シリーズ第一弾「Airbnb、Uberから学ぶマーケットプレイスの作り方(1)マーケットプレイスを制限する」はこちらから是非。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。普段は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。今回も前回に引き続き、Lenny Rachitskyさんから許可を頂き、翻訳した「マーケットプレイスの作り方」シリーズをお送りします。前回を読まれていない方はこちらから読めます。

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本シリーズは、大きく3つのフェーズに分けての構成になります。

1) フェーズ1:ニワトリとタマゴ問題について
マーケットプレイスを拘束・制限すること
 ・サプライ側かデマンド側、どちらにまず集中するべきか?(←今回)
・初期サプライの伸ばし方
・エンドユーザーの伸ばし方
2) フェーズ2:マーケットプレイスのスケールの仕方
・サプライ側とデマンド側のどちらが伸び悩んでいるかをどう判断するべき?
・スケール時のグロース戦略
・クオリティー担保戦略
・学び・やり直すと何を変える?
3) フェーズ3:マーケットプレイスの進化させる方法
・「Managed」(管理された)マーケットプレイスへの進化する方法とは?
・新規事業の追加方法 ・新規事業の追加方法

前回記事では、マーケットプレイスの「制限」を決めることについて話をした。今回は、サプライ側(供給)を伸ばすか、デマンド側(需要)を伸ばすかリソース分担の判断の時期がやってくる。ニワトリとタマゴ問題だ。

目次

成功した企業はほぼサプライ側にフォーカスしている

僕がインタビューした17社中の14社(約80%)がサプライ側にフォーカスしていたことが分かった。サプライ側にフォーカスした会社は、サプライを集めることによってデマンドが増える仕組み、もしくはデマンド側は口コミで増えるパターンが多い。

この表は、左がサプライ側にフォーカスした企業、右がデマンド側にフォーカスした企業だ。デマンド側にフォーカスした3社は、サプライ側を積極的に集める必要がなかったのが明らかだったため、すぐにデマンド側にリソースを費やすことにした。そして、ある1社は、自社プロダクトがマーケットプレイスではないと気付いた会社もあった。

サプライにフォーカスした会社8つの事例

事例1:Thumtack(サービスマーケットプレイス)
「サービスを開始したとき、eBayやCraigslist、Amazonなど大手マーケットプレイスを見ていた。そこで2つの共通点を見つけたんだ。1つは「サプライをすべて囲い込んでいること」、2つ目は「ダサいプロダクトとブランド」だということをね。サプライ側がすべてだと気付いて、ひたすらフォーカスした。ブランドやプロダクト作りは流動性が高くなるまで延期。他のスタートアップは違う方向性で動いてたが、それは間違えだった。初期にスケールされたサプライを作るのが何よりも大事。」— Sander Daniels氏 (co-founder of Thumbtack)

事例2:Eventbrite(イベント作成・管理サービス)
「初期はサプライを増やすことだけに集中した。サプライを増やすとデマンドが勝手に増えることがわかったんだ。イベント作成者がサイトへのトラフィックを作ってくれた。サプライ側が一番獲得するのが難しいと知って、まずそこにフォーカスした。」— Tamara Mendelsohn氏 (VP and GM at Eventbrite)

事例3:Lyft(配車アプリ)
「Lyftでは、圧倒的にサプライ側のグロースがデマンドのグロースを導いた。」— Benjamin Lauzier氏 (ex-growth at Lyft, Director of Product at Thumbtack)

事例4:DoorDash(フードデリバリーサービス)
「私たちと類似しているマーケットプレイスのグロース戦略を見たときに、みんな同じプレイブックだった。レストランの獲得とデリバリー人材を獲得するとエンドユーザーを獲得できる。一番のグロース基盤はサプライ側だった。サプライがデマンドを増やす。」— Micah Moreau氏 (VP Growth at DoorDash)

事例5:Etsy(ハンドメイドのマーケットプレイス)
「初期は売手側にフォーカスした。マーケットプレイスは売り手側のリスティングが無ければ買手側が集まらないからね。売手側が買手になるケースも多かった。」— Nickey Skarstad氏 (ex-Director of Product at Etsy, VP of Product at The Wing)、Dan McKinley氏(ex-Etsy, Principal Engineer at MailChimp)

事例6:Caviar(高級品市場向けのフードデリバリーサービス)
「レストランにしか集中しなかった。飲食だとレストラン(サプライ側)がデマンドを引き寄せた。そのブランドで食べたいユーザーを連れてきてくれるからね。」— Gokul Rajaram氏 (Caviar Lead)

事例7:Instacart(食料品の即日配達サービス)
「いつもデマンド側の前にサプライ側のオンボーディングをしていた。」— Max Mullen氏 (co-founder Instacart)

事例8:GrubHub(フードデリバリーサービス)
「スケールするにはまずサプライ側から行った。」— (ex-growth at GrubHub, CPO at Eventbrite)

残りの3社は、サプライが勝手に成長する事業だった

これはサプライ側が超簡単に提供できる、超フレキシブルに出せるのがキーとなる。もしくはZillowのケースだと公開データを使うこと。

事例1:Rover(ドッグシッターのマーケットプレイス)
「我々はデマンド(飼い主)が足りてなかった。サプライ(シッター)は、犬好きで、家にいながら$50もらえるのであればRoverを使うのは当たり前。デマンド側のユーザーの行動変化が必要だった。Airbnbと似ていて、他人に犬の面倒を見てもらう信頼性を作るのが難しかったよ。」— David Rosenthal氏 (ex-Rover, GP at Wave Capital)

事例2:TaskRabbit(お手伝い系マーケットプレイス)
「TaskRabbitはサプライが足りなくなることはなかった。何千人とウェイトリストに載っているサービス提供者がいたが、デマンド側のハードルが高かった。後々、サプライ側に登録手数料を取ってサプライ側のボリュームを減らしてクオリティを高くしたんだ。」— Brian Rothenberg氏 (ex-growth at Eventbrite and TaskRabbit, Partner at defy)

事例3:Zillow(不動産売買マーケットプレイス)
「私たちは少し特殊でサプライとは言えないサプライ(公開データ)を取得して始めた。それを使ってデマンドを作り、それを元に本当のサプライ(リスティング)を獲得しに行った。本当のサプライは最初のデマンドを作らなければ獲得できなかったと思う。」— Nate Moch氏 (VP at Zillow)

マーケットプレイスじゃないと気付いた「Patreon」

Patreon(クリエイター支援サービス)
「Patreonがマーケットプレイスだと勘違いしている人は多い。実は、チーム内でも最初そう思っていた。運良く途中でビジョンとKPI、PMFと合わせられ、自社のサービスがマーケットプレイスじゃないと気付いたことが一番の救いだった。例えば、クリエイターの検索機能をロードマップから消したよ。”Etsyの卒業問題”と同じく、クリエイターが大きくなるとEtsyが合わなくなることに気付く。だから僕たちは、ワードプレスみたいなサービスを作ることに専念し、YouTubeが真似できない物を作れた。」— Tal Raviv氏 (Growth at Patreon)

次回は、初期のサプライ側の成長事例と12個のよくある成長戦略について話をしたいと思います。

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Written by Lenny Rachitsky (@lennysan) | Translated by Tetsuro (@tmiyatake1) | Edited by Miki (@mikirepo)

 

ビジネスでリアルに使えるスペースを時間単位で簡単予約できるPit inが資金調達

写真右端:Pit in代表取締役CEO・中村知良氏

空間を時間単位で提供するサービスといえば、古くからある貸し会議室から「スペースマーケット」のようなマッチングプラットフォームまで、今や、さまざまな選択肢が選べるようになっている。2019年4月に創業したPit in(ピットイン)が提供するのも、時間・分単位で多目的に使えるスペースのサービスだ。

「あらゆる空間をレスポンシブにする」をビジョンに掲げるPit inは、ソフトバンク出身の代表取締役CEO・中村知良氏が、不動産系スタートアップのイタンジ創業者である伊藤嘉盛氏と共同創業した会社。彼らの「レスポンシブスペース」とは、不動産の非稼働在庫を「年契約」ではなく「時・分単位」で利用可能にする“フラグメント化”と、単一の事業所によるシングルユースから複数業態で利用できる“マルチユース化”により、ユーザーの多目的なニーズに応えようというものだ。

2020年2月現在、渋谷、六本木、新橋で計7拠点を自社で開発・運営するPit in。テナントが決まりづらい、築年数が古いビルでサービスを展開しており、オープンから累計で、延べ1万3000名超のユーザーに利用されているという。

冒頭に挙げたように、コワーキングスペースや貸し会議室、あるいはスペースシェアのプラットフォームなど、「時間単位でスペースを借りる」というニーズに対しては、既に対応するサービスがいくつもある。そうした中でPit inが特徴とする点について、中村氏は「内装デザインから清掃・管理などのオペレーション、予約まで、顧客体験を一気通貫で提供できるところだ」と説明する。

「スペースマーケットなどのマッチングプラットフォームは、物件を持たない“メディア”だと捉えている。我々は物件を借り上げて開発し、オペレーターとして運営する。また、格安のレンタルスペースでは、Wi-Fiの速度などが、ビジネスで利用する際に必要なレベルになかったり、無人で運営する前提となっていて、清掃やメンテナンスが行き届いていなかったりすることも多い。Pit inでは、社外でも安心してビジネスユースで使えるスペースの提供を行っている」(中村氏)

また、予約の簡単さも特徴だというPit in。コワーキングスペースはファシリティや環境面では安心できるが、予約が完了するまでに事前契約や見積もりなど、手間がかかることも多い。Pit inでは、オプションや清掃料などの複雑な料金体系を排除し、5分ほどで予約完了できるサイトを自社で開発。ユーザー予約体験にも自信があるという。

創業のきっかけについて中村氏は「自分たちが手軽に使える打ち合わせ場所がなくて、自分たちが欲しかったサービスを作った」と話している。「世の中にはまだ、ビジネスで安心して使えるスペースが不足している。自分たちのオフィスとして使える場を、もっと増やしたい」(中村氏)

Pit inは2月28日、伊藤氏が代表を務めるトグルのグループ企業・社員と不動産テックVCのデジタルベースキャピタルを引受先として、総額約3000万円の資金調達を実施したことを明らかにしている。

調達資金は新規拠点の開発、予約サービスの開発に充てるというPit in。中村氏は「都内のほかの地域にまずは拠点を展開し、その後大阪など各都市部にも進出したい」と話しており、2020年内に全国50拠点の開発・運営を目指すとしている。

新コロナ感染拡大でゴールドマン・サックスが米企業ゼロ成長を予測、株式は再値下がり

新型コロナウイルスが経済成長に影響を及ぼすとの懸念から、米国株式市場は2月27日に再び大きく下げた。そして多くのテック企業が直近の売上高や業績予想に感染拡大の影響を盛り込み始めた。

正午の時点でダウ平均はおおよそ650ポイント下げ、ナスダックも240ポイント下げた。いずれも今年初めに達成した過去最高値からかなりの下落だ。

米国(北カリフォルニア)で初めて市中感染が報告されたのに伴い、ドナルド・トランプ大統領は昨夜、広がりつつあるコロナウイルス感染への政権の対応を国民に示した。大統領のスピーチは感情的なもので、世界そして米国が受けるコロナウイルスの影響はかなり大きく、想定していた以上長引くかもしれないとの懸念を抑制することはできなかった。

そして本日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)は、コロナウイルスの影響で米企業の2020年の利益成長率はゼロになる、との経済見通しを発表した。グローバル経済の落ち込みからして、多くのアナリストが最近の市場のレベルはデタラメだとするのに消極的だったことが明らかになった一方で、ゴールドマン・サックスがはっきりとさせた。

銀行はいま、他のアナリストグループの予測と反対の立場だ。つまり、マーケットの残りはゴールドマン・サックスのサイドにつき、もしくはより深刻にとらえていることを意味する。株式市場は、少なくとも今日の取引ではゴールドマン・サックスと同様に考えているようだ。

ハイテク株に目を向けると、今日の取引ではSaaSとクラウドの企業が再び大きく下げている。Bessemer-Nasdaqクラウド指数は今日1.45%下がった。直近の最高値からは10%超下がっている。公開SaaS企業の新たな株価は、連動するスタートアップやベンチャーキャピタルの業界にとってうんざりするものだ。公開ソフトウェア企業の価値がこれまでになく高まっていることもあり、スタートアップやベンチャーキャピタルはこの分野に大きく賭けてきた。

実際、投資家らは特定の価格/セールス方程式で値を算出するのに、時価総額の代わりに企業価値を使い、多くのSaaSやクラウド企業を直近の売上の12倍超に押し上げてきた。そうした数字は株式市場でリアルタイムに変更されている。これは数千億ドルにもなる未公開企業の株に影響を及ぼすことになる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

一度の測定だけで切断作業は不要、ShapeMeasureのスマートツールとロボカッター

私たちは、自分の家が完全に直角で、他の部分も非常に規則的な寸法で建てられていると思いがちだが、実際にそうであることはめったにない。このことが原因でリフォームは複雑で面倒な作業になる。ShapeMeasureは、空間を自動的に測定するデバイスと、必要な木材を正確なサイズに切断するロボットを使用して、この困難を軽減し、プロセスを大幅に短縮および簡単なものにしたいと考えている。

創業者のBen Blumer(ベン・ブルマー)氏は、総合建築請負業者だった父親の影響で、早くから建築技術と修繕技術に触れていたが、自身のリフォームを行っている最中に、この会社を生み出す天啓を受けた。

「フローリング作業者を見てショックを受けたのです。その人物には10年の経験があり、仕事の結果は素晴らしいものでしたが、1段分の階段を設置するのに1時間以上かかっていたのです」とブルマー氏は言う。「そこで私は『少しの技術を使えば、ここで大いに役立つ可能性がある』と考え始めました」。

当時そのようなプロジェクトに取り組む時間があった彼は、元総合建築請負業者だった友人を誘い、中国のハードウェアアクセラレータであるHAXに応募した。その結果彼らはほどなく自身のアイデアを追求するために深圳に向かうことになったのだ。

彼らの取り組む主な課題は階段だ。それらは注意が必要で、特に古い家では相当に狂いが生じている可能性がある。たとえば、各階段の幅がおよそ35インチ(約89cm)であることがわかっていたとしても、ある段は実際には35.05インチ(約89.03cm)である一方で、次の段は34.95インチ(約88.77cm)かもしれない。同様に、角度が90度もしくは図面上想定されているものから、わずかにずれている場合もあるだろう。すべての階段を丹念に測定して、わずかに異なる寸法へと木材を手作業で切断することには、非常に時間がかかる。開発されたツールShapeMeasureは、そうした作業を文字どおりボタンひと押しの作業に変える。

彼らが作り出したデバイスは、本質的には自身の周囲を広く測定できる超精密なライダー(Lidar)であり、その詳細部分こそが同社の秘密のノウハウの一部を構成しているのだ。これにより、当初の利用目的である階段の場合には、デバイスの回りの正確な寸法と取り付け角度が測定できる。HAXのNoel Joyce(ノエル・ジョイス)氏の助けを借りて生み出されたこのデザインは、当初の「エイリアン」のようなものからハンディ掃除機のようにも見えるものへと落ち着いた。

明らかに、彼のシャツに書かれた文字「Measure once, Cut once」(測定は一度、切断も一度)はこの記事の見出しと矛盾しているが、切断作業を人がしなければならないものではなく自動化されたプロセスとして考えるなら、私の見出しは意味が通じる。

「私たちは、HAXのリードインダストリアルデザイナーであるノエル・ジョイス氏と協力していました。私たちは、工具のように見えて、そのようにも感じられる製品を狙っていました。建築請負業者に何か新しいことを試してもらうよう説得しようとするなら、その方が親しみを感じてくれるはずだと思っていたのです」とブルマー氏は語る。「ノエルの美しいフォームファクターに収まるように、部品集めに多大な時間を費やし、スキャニング機構の再設計を行いました。結局のところ、建築請負業者たちは外観を気にしないことがわかりました。彼らはデザインを気に入ってくれましたが、その機能性にもっと興奮してくれたのです」。

対象の形状がスキャンされてチェックも終わったら、その情報をShapeMeasureの他のデバイスに送信できる。それは、木材を階段として組合わせるのに必要な正確なサイズと形状にカットする、木材切断ロボットシステムだ。もちろん、建築請負業者はそれらを適切な場所に持って行って、適切と思われる方法で取り付ける必要があるが、これまでは大変だった手順が大幅に簡素化されたのだ。

この機械は他の木材切断装置に似ているが、操作がより単純で簡単だ。「世の中にはたくさんの自動切断システムがありますが、多くの場合、それは大きく、重く、高価で、プロのCNC技術者が操作します。通常そのような機械で床材を切断するには、治具のセットアップ、各ボードのクランプと再クランプ、切断する各階段のカスタムgcodeの生成が必要です」とブルマー氏は言う。それらは、数倍コストがかかり、採用が難しい場合がある。「私たちが開発している切断ソリューションは、コンパクトでクランプを必要とせず、わずか数時間のトレーニングで操作できるようになります」。

単に長さや幅を切り揃えることだけが問題なのではない。階段に対する造形やその他の装飾しようとすると、そもそも現実的ではないか、少なくとも人手でやるには時間がかかりすぎるような複雑なカットが必要になる場合がある。

ShapeMeasureマシンで作成された複雑なカットの例

結果として、施工プロセスの開始から終了までの時間をおよそ4分の1にできると彼らは判断した。もしこれが少し楽観的な数字だと思うなら、これは単なる机上の空論ではないことを知ってほしい。彼らは最初の段階からこれらの数値を裏付けられるように注意を払ってきた。

「スピードアップデータを非常に真剣に捉えています」とブルマー氏は語る。「それが私たちの最高の指標だからです!会社のために最初に購入したものの1つは、ストップウォッチ1ダースでした。私たちはShapeMeasureのラボや、とり散らかった実際の建築現場での利用を行っています。すべての瞬間を撮影・計時し、そして記録しています」。

興味深いことに、事前切断された木材を使うことでまた別の改善につながった。チームは、利用者が接着剤やその他の部品を使用する率の向上に対応するためのバケツをデザインしたのだ。これは、塗装速度を大幅に改善してしまうと、塗料をローラートレイに十分な速度で混ぜて注ぐ部分が新しいボトルネックになってしまうことに似ている。

現在同社は、ShapeMeasureの「マイクロファクトリー」を短期間で国内のどこででも簡単にセットアップできるように、標準的な手順とパッケージの確立に取り組んでいる。そして、彼らはその後のプロセスを加速するために、資金を調達することを「検討」している最中だ。ブルマー氏はまずは彼自身の資金でプロトタイプを開発し、HAXから少し資金を引き出した後、事業を始めるやめに小規模なプレシードラウンドを実施した。

幸運とちょっとした努力で、ShapeMeasureは建築請負業者で差別化を打ち出すことができた。見積もりの中の1ドルが大切なように、1時間の作業がとても大切なのだ。

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(翻訳:sako)

電子メールデータ抽出を自動化するAlkymiが5.5億円調達

電子メールや添付ファイルから財務データをコピーして貼り付けるといった、多くを手動に頼る業務プロセスに対して、インテリジェンスの導入を狙うアーリーステージのスタートアップであるAlkymi(アルケミー)が、米国時間2月26日に500万ドル(約5億5000万円)のシード資金とともにサービスをローンチした。

ラウンドを主導したのはCanaan Partnersで、以前からの投資家Work-Benchも参加している。また、SimCorpも戦略的投資家として貢献している。投資契約中の条項に基づき、CanaanのJoydeep Bhattacharyya(ジョイディープ・バタチャリア)氏はAlkymi取締役会のメンバーとなる。

創業者でCEOのHarald Collet(ハラルド・コレット)氏によれば、Alkymiは仕事の面倒な手作業の多くを自動化することを目標に、ビジネスアナリストのメール受診箱に機械学習を適用しようとしている。同社が開発したのは、これまではアナリストたちが手作業で、アプリケーション、スプレッドシート、そしてデータベースに対してコピー&ペーストをしなければならなかったデータを、自動的に抽出するソリューションだ。

「Alkymiが行っているのは、電子メールとドキュメント関連タスクの自動化に焦点を合わせることですが、特に力を入れている点は、ビジネスアナリストの皆さんがビジネスデータープロセシングセンターやファイナンスデータを抽出して他のビジネスプロセスに流し込む作業(の自動化)です」とコレット氏はTechCrunchに語った。

現段階では、このサービスは金融サービスと緊密に結びついている、金融業界はコレット氏が過去20年の経験を持つ業界であり、このアプローチから多大な利便性を受ける筈だ。彼は利用例として投資資産マネージャーの場合を挙げた。こうした人物は、投資に関するデータが記載された電子メールを受信し、データをコピーしてアプリケーションまたはデータベースにペーストする、そしてこの作業を何度も繰り返して全体的な投資パフォーマンスを報告する。Alkymiはこのデータの一部を自動的に抽出し、手動での全体的なコピー&ペーストの作業を削減する。

GIF提供: Alkymi

基礎となるマシンモデルを訓練するには、操作のサイズと複雑さに応じて数時間から数日の時間がかかるが、コレット氏によれば、一度その訓練が終了したなら、ソフトウェアは自分の知っているものを処理しつつ、扱えないものに関しては人間による作業のために取り分けることができるようになる。そしてその結果から典型的な機械学習のループを通してさらに学習を行う。時間が経つにつれて、ビジネスアナリストたちは、分析を始めるためのデータ入力に時間を費やすのではなく、分析そのものにより多くの時間を使うことができるようになる。現時点では、彼らは40〜50%を自動化することから始めることを狙っている(複雑ではないデータセットの場合それ以上のレートを狙う)。

また今は、同社は金融サービスに注力しているが、長期的には、徐々に他の業種にも拡大していく計画だ。現状としては、有料の金融サービス顧客によって急速に成長している。また、金融サービスの専門家を対象としたプラットフォームでサービスを提供する、投資家のSimCorpとも提携している。

会社は2017年に創業され、コレット氏は製品を開発する前に、潜在的な顧客たちと対話を重ねた。オンプレミスバージョンおよびクラウドバージョンを提供し、ワークフローごとに請求を行う。現在、ニューヨークに本拠を置き、7人の従業員を抱えるが、今年は倍増する計画だ。

画像クレジット: Wavebreakmedia / Getty Images

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(翻訳:sako)

肌診断を軸にしたカスタマイズサプリD2Cの「FUJIMI」が新商品としてフェイスマスクを発売へ

肌診断を軸にカスタマイズ処方を提案するD2Cブランド「FUJIMI」を展開するトリコは2月27日、新プロダクトとしてカスタマイズフェイスマスク「FUJIMI BEAUTY FACE MASK」の予約販売をスタートした。

FUJIMIの特徴はオンライン上で実施する約20問の肌診断の結果をもとに、ユーザーごとにカスタマイズした商品を届けていること。睡眠時間や食生活などに関する質問を通じて今の肌の状態をチャートやスコアでわかりやすく可視化し、なりたい肌の方向性を見極めた上で個々にあった処方を提案する。

今回FUJIMIが開発したカスタマイズフェイスマスクは2層式となっていて、肌診断の結果に合わせて処方された2種類の美容液を使用直前に自身で混ぜ合わせて使用する。

パッケージ上部の第一美容液に含まれるのは、今の肌の課題に対して効果的にアプローチする「トラブル修復特化型」の美容液成分。たとえば保湿成分の”ヒアルロン酸”や肌荒れ防止効果などを持つ”パンテノール”などが該当する。

もう一方のパッケージ下部の第二美容液には「なりたい肌を叶えるため」に必要な美容液を配合しており、保湿力の高い”シロキクラゲ多糖体”、肌を正常な状態に戻す鎮静効果の高い”ボタンエキス”などが含まれるという。

香りについてもフレッシュマンダリンやフローズンフローラルなど3種類の中から好みや気分に合わせてカスタマイズできる。肌の状態に応じて肌診断を再度実施することはもちろん、同じ診断内容で香りだけ変更して楽しむことも可能だ。

料金は1箱6枚入りで6400円(税、送料別)、定期購入の場合は4980円(税別、送料は無料)。本日から予約販売をスタートし、3月16日より一般販売を始める予定だ。

FUJIMIが第一弾プロダクトとして昨年4月に提供を開始したカスタマイズサプリメントでは、2020年1月末までに約40万人が肌診断を実施済み。昨年10月に1.5億円を調達した時と比べても、ユーザーの翌月継続率は引き続き90%以上を保っているほか、新規顧客も純増しサプリメント単体で月間売上は約3倍に伸びているという。

第二弾となるフェイスマスクではその40万人の診断結果をベースとしてユーザーが必要としている成分を厳選。サプリメントが体の内側からアプローチする商品だったのに対し、今回は外側からケアできるアイテムとして開発した。

トリコによるとフェイスマスクを選んだ理由としては、サプリと同様に既存のスキンケアにプラスケアとして使用できるのも大きいそう。加えて他ブランドへのスイッチングコストが低い商品のため、このプロダクトをきっかけに新規ユーザーの獲得も見込んでいる。

もちろんFUJIMIにおいても乗り換えのリスクはあるが「肌診断で処方を提案するので、その時の悩みに合わせた処方に組み直すことが可能になり、その分LTVをあげることができると考えている」とのことだった。

「調達のタイミングから仕込んでいたFUJIMIの第二プロダクトであるフェイスマスクは、価格的にもサプリより幅広い年齢層の方にアプローチできると考えています。またFUJIMIの共通の肌診断を通して、サプリだけでなく複数プロダクトを提供できることによるCPA改善・クロスセルを狙います。今後も、カスタマイズスキンケアの領域で新プロダクト開発を進め、FUJIMIのブランド認知拡大を目指します」(トリコ代表取締役社長の藤井香那氏)

不動産仲介会社の業務効率化SaaSを手がけるオープンルームがKVPから2500万円調達

不動産業向けの業務効率化SaaS「Forest(フォレスト)」を開発するオープンルームは2月27日、KVPを引受先とする第三者割当増資により2500万円を調達したことを明らかにした。

同社はドイツ証券の不動産投資銀行部で働いていた経験を持つ田沼豊寿氏が2017年9月に立ち上げたスタートアップだ。過去にエンジェル投資家より資金調達をしているものの、VCからの調達は初めて。今回も含めたシードラウンドでの累計調達額は約4000万円になるという。

Forestは不動産仲介会社が顧客に物件情報を紹介する際に行なっている「オビ替え」を簡単にする機能を軸に、物件情報管理や顧客への物件提案を効率化するサービスだ。

オビ替えとは物件を紹介する際に使う“物件チラシ”に記載された会社情報を他社のものから自社のものへと変更する作業のこと。多くの不動産会社は自分たちだけで何百もの物件を扱っているわけではないので、他社が扱う物件情報を顧客に紹介することも多い。ただしそのまま渡しては他社の情報が載った状態で顧客の手に渡ってしまうので、会社の情報を自社にものに変える必要があるわけだ。

田沼氏の話ではこのオビ替えが担当者の負担になっているそう。「一度紙で印刷した後に会社情報が記載された部分を折り返し、その部分に自社の情報を記入した紙を重ねて再度印刷する」というやり方を何年も前から続けている会社が多いほか、無料で使える画像編集ツールなども存在はするもののオビ替えに特化しているわけではないため使い勝手に課題があったという。

そこでForestではWeb上で簡単にオビ替えをできる画像編集機能を開発。図面上の文字を認識するOCR機能を用いて物件情報をデータベース化できる仕組みや、クラウド上で顧客に物件提案ができるCRM機能などと合わせて提供している。

サービスの正式ローンチは昨年末ながら、画像編集機能を切り出した無料版を公開したことで300社以上が導入。有料版のForest PROの場合は顧客ごとに専用ページが発行され、わざわざメールなどに物件情報を添付して送付する手間もなく、クラウド上で物件提案を始めとしたコミュニケーションができるようになる。

「顧客にメールなどで複数の物件を紹介する際、オビ替えからメール送付するまでの一連の工程で30分ほどの時間がかかることもあったが、Forestを使うことで4〜5分ほどに短縮される。オビ替えだけでなく物件提案のやり方などもまだまだ改善の余地が大きい。それらの業務をクラウド上で、システマティックに実施できる基盤を整えていきたい」(田沼氏)

オープンルームでは今回調達した資金を活用して組織体制を強化し、OCRやCRMを始めとしたプロダクトの機能拡充を進める計画。ゆくゆくはオビ替えを入り口として膨大な数の物件図面をデータ化し、不動産会社が物件情報の収集や活用に役立てられる物件データベースの構築を目指すという。

クックパッドが不動産領域の新事業、理想のキッチンを軸に部屋を探せる「たのしいキッチン不動産」公開

料理レシピサービス「クックパッド」などを展開するクックパッドは2月27日、理想のキッチンから部屋を探せる不動産情報サイト「たのしいキッチン不動産」をリリースした。

たのしいキッチン不動産は、住宅のキッチン環境をより良くすることを目的とした「たのしいキッチン」事業の第一弾サービスという位置付けだ。同サービスはグッドルームと提携して提供。まずは東京都内の一部地域(渋谷区、新宿区、目黒区、品川区、世田谷区、その他)からスタートし、対象エリアを順次広げていく計画だという。

部長としてたのしいキッチン事業部を牽引するのは、2018年8月にクックパッドが買収したウミーベの創業者でもある渡部一紀氏(界隈ではカズワタベという名前の方が知られているかもしれない)。渡部氏は「クックパッドやクックパッドマートは自宅に料理をするための環境が整っていることを前提としたサービス。料理を楽しむ人を増やすためには、その人たちが快適なキッチンのある住宅を見つけられるような仕組みが必要だと考えた」と不動産領域で新サービスを始めた背景を語る。

細かいキッチンスペックごとに物件検索、独自のキッチンスコアも

一言で紹介すると、たのしいキッチン不動産は「キッチン設備を軸に物件が探せる不動産情報サイト」だ。基本的な構造は引越しの際などに多くの人が使った経験があるであろう物件検索サイトと同じで、条件を入力すると該当する物件をリストアップできる。要は非常にシンプルなサービスだ。

ただありそうでなかったのが料理好きな人をターゲットとして、キッチン設備に焦点を当てていること。「3口コンロ以上」「魚焼きグリル付き」「大型冷蔵庫対応」「広々調理スペース」「広々シンク」など、かなり細かいキッチンスペックごとに物件を絞り込める。

物件ページではキッチン全体だけでなく設備や収納の中身の様子がわかる詳細写真を複数枚掲載し、調理スペースの広さやシンクの大きさなどの情報も記載。さらにユニークな取り組みとして、各物件ごとに「KiT(キット)」という独自の“キッチンスコア”が算出されている。

このスコアは調理スペースの広さや収納力などを基にキッチンの充実度を数値化したもの。ユーザーにとってはキッチンの総合力をひと目で把握したい場合に便利な指標となっていて、スコアの高い順に物件を並び替えることも可能だ。

「キッチンの重要度が高い人にとって、キッチンで物件を選ぶための基準となる指標が存在しなかった。指標があればそれを使って気になる物件を比較したり、スコアが高い順から物件を探したりといった使い方もできる」(渡部氏)

現時点では掲載物件数もかなり限られているし、「SUUMO」を始め他社サービスの方が自分にとっては使い勝手がいいという人も少なからずいるだろう。

一方で「SUUMOのようになんでも載っているサイトではないけれど、料理を楽しみたい人にとっては1番満足できるサイトを目指している」と渡部氏が話すように、物件を探す際にキッチン環境を重要視している人にはかなり響くサービスと言えそうだ。

料理を楽しみたい人が自分に適した住宅を見つけられる場所へ

近年、未婚率の増加や核家族化の影響などから単身世帯が増加していて、2040年には単身世帯の割合が約40%に達するとの予測もある。

単身世帯用の賃貸住宅でネックになるのが狭い調理スペースだ。特に都内の単身世帯向け賃貸住宅では約4割が延べ面積29m²以下。キッチンはまな板も置けないほど調理スペースが狭かったり、コンロが一口しかなくて同時調理が難しかったり、 調理器具や食器を収納するスペースが少なかったりといったように、料理しづらい環境であることも多い。

東京圏への人口集中や単身世帯の増加が進めば、不便なキッチン環境の住宅に住む人がさらに増えることも予想される。そうなれば料理を楽しむ人も減り、クックパッドにとっても望ましい状況ではない。

渡部氏は新規事業を考えるにあたり様々なアイデアを検討したそうだが、最終的に「物理的なキッチン環境」に注目したのはそんな社会背景も影響しているそうだ。

「自分自身、1Kの部屋に住んでいた時はキッチンスペースが狭くてほとんど料理をしなかったが、キッチンにゆとりがある部屋に引っ越してからは料理が楽しくて自炊の機会も増えた。料理を楽しめるかどうかは物理的なキッチン環境によって大きく左右され、その環境が整っていないことが根本的な課題なのではないかと気づいた」(渡部氏)

実際にクックパッドが都内に住む25〜54歳の男女500人に対して実施したアンケートでは、引越し先の物件を選ぶ際に重要視される「家賃」「駅までの距離」「リビングの広さ」といった条件を妥協しても「充実したキッチン環境がある物件を選ぶ」と答えた人が過半数を超える結果となり、物件探しにおけるキッチン環境を重視するニーズが見えてきたとのこと。

別途実施したインタビュー調査でも「キッチン設備や広さが、料理のしやすさに大きく関わってくる」ことや「キッチン利用頻度が高い人は、キッチン環境の良し悪しが日々のストレスに影響するため、物件選びにおいてキッチン環境を重視する」などの傾向が掴めたという。

そこで「キッチンが充実した環境づくり」をテーマに具体的なプロダクトの方向性を模索。すでにキッチンの充実した物件自体はいくつも存在するものの、それらになかなかスポットライトが当たっていない状況に目をつけ、キッチンにフォーカスした物件検索サイトを立ち上げた。

「料理は好きだけど、充実したキッチン環境がないことで諦めてしまう人も中にはいる。まずは料理を楽しみたい人が自分に適した住宅を見つけられる仕組みを確立する。この仕組みが広がれば、キッチンが充実した住宅が目立ちやすくなり、注目されやすくもなる」

「キッチンスコアを作った理由の1つは、部屋探しの際の参考指標として使ってもらえるようになればスコアが高い物件ほど入居者が決まりやすくなり、最終的にキッチンを良くすることが不動産価値の向上にも繋がる可能性があると考えたから。そうなれば不動産住宅会社もキッチンを重視した住宅を供給しやすい。ゆくゆくはスコアを広く流通させたいと考えていて、そうすることで世の中の住宅のキッチン環境をより快適にし、誰もが毎日の料理を楽しめるような社会を目指したい」(渡部氏)

アップルが年内にインドでオンライン販売を開始、直営店は2021年オープン

10年もの間、Apple(アップル)はインドでの製品販売をサードパーティの業者や店舗、マーケットプレイスに全面的に頼ってきた。それが今年、変わる。

米国時間2月26日に開かれた定時株主総会で、CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は投資家に対し、アップルは年内のどこかで世界で2番目に大きいスマホマーケットであるインドでオンラインストアを開き、来年には初の直営店をオープンさせると話した。「私はインドの可能性をかなり信じている。無比の活気と人口を抱えた国だ」とクック氏は述べた。

TechCrunchは先月、アップルがオンラインストアを2020年第3四半期にオープンさせる計画で、実店舗の開設は年内はなさそうだと報じた。

米国のテック大企業にとっておそらく最後の大きな成長マーケットであるインドは、プレミアムなアイテムを販売するアップルやその他の企業にとって「難物」だった。

インドは成長を続けている大きなマーケットだが、多くの人々はアップル製品を買う経済的余裕がない。調査会社のCounterpointによると実際、インドで出荷される大半のスマホの価格は150ドル(約1万7000円)以下だ。

また、アップルにとってはインド政府が電子機器に課している輸入税も問題だった。税分を価格に乗せるため、iPhoneはインドの人にとってより高価なものとなる。

iPhoneの価格を下げようと、同社はインドでさまざまなアピールを試みてきた。何年もの間、インド政府に税制上の優遇措置を求めてきたがその交渉は実を結ばず、同社はすべての中国のスマホメーカーがインドでしたことへと舵を切った。インドでのスマホ組み立てだ。

インド政府はインドで電子機器を組み立てる企業にいくつかのインセンティブを与えている。実現には2年かかったが、アップルの提携企業であるFoxconn(フォックスコン)とWistron(ウィストロン)は幅広いモデルのiPhoneをインドで組み立てている。これにより、最新ラインアップを除くより多くのモデルの価格が下がった。

こうした動きは同社にとって役立つものだったことが証明された。調査会社のCanalysの推測では、アップルは昨年12月までの四半期にインドで92万5000台近くのiPhoneを出荷した。この数字は前年同期比200%増で、同社にとってインドマーケットでの最高の年だったとCanalysは付け加えた。

CanalysのアナリストであるMadhumita Chaudhary(マデゥミタ・チョウドリィ)氏は、アップルはより攻勢をかけようと銀行と組んで顧客にさらなるインセンティブを提供している、と話した。これが功を奏して、アップルはAndroidスマホが99%を占めるインドのスマホ市場でシェアを伸ばした。

同社はまた、インドの視聴者に提供する映画やテレビ番組を増やすためにコンテンツスタジオとも協議してきた。これまで報道されていないことだが、例えば2年前に同社はEros Nowを3億ドル(約330億円)で買収する詰めの話し合いをしていた。アップル株の持分を増やすというオプション付きだった、とこの件を直接知る情報筋が数カ月前にTechCrunchに話した。

しかしこの買収案件は実現しなかった。

TechCrunchはまた、クック氏がオンラインストア開店でインドを訪問するかもしれないと先月報じた。この件についてアップルはコメントしなかった。

インドは昨年、単一ブランドを扱う外資系小売に対する規制を緩和した。これによりアップルのような企業が実在店舗を開店させる前にオンラインストアを開設することができるようになった。

画像クレジット:INDRANIL MUKHERJEE / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

「ファッション・ビューティテック テクノロジーマップ・リスト 2020」を公開、MERYが2020年上半期の女子のトレンド予想を発表など

【2/3-2/9 FemTech & BeautyTech】

2月3日から2月9日の1週間に発表された、FemTechやBeautyTechを中心とした領域における、特に注目すべきニュースをまとめて紹介する。

pilot boatが「ファッション・ビューティテック テクノロジーマップ・リスト 2020」を公開。国内外200社を掲載

スタートアップ支援を行うpilot boatは2月4日に「ファッション・ビューティテック テクノロジーマップ2020」と「ファッションテック ・ ビューティテック テクノロジー リスト 2020」を公開した。

マップにはファッションテック・ビューティテック関連の「国内のスタートアップで、すでに上場・買収された企業」、「海外のスタートアップで、国内に類似サービスがない企業」、「海外のユニコーン・スタートアップ企業」、「その他、作成者であるpilot boatが、閲覧者に資すると判断した企業」が200社掲載。マップとリストは連動しており、マップに掲載されているサービスの詳細をリストで調べることができる。リストには「会社名」「サービス名」「サービス説明」「資金調達額」などを掲載。本来は有料公開だが、2020年2月中に限り、マップのみ特設サイトで無料公開している。

マップを制作したpilot boatの納富氏は「数々の講演やイベントを行ってきたなかで、ファッションテックやビューティテックの全体像が社会に共有されていない現状を踏まえ、マップ・リストの公開・作成に至った」としている。

定額制のサブスクリプションを提供する美容室検索サイト「Miluna Beauty」を公開。今夏に正式ローンチを予定

FOSCHIA JAPANは定額制のサブスクリプションを提供する美容室検索サイト「Miluna Beauty(ミルーナ ビューティー)」を公開した。

「Miluna Beauty」は全国のサブスクリブションサービスを提供する美容室を集めたポータルサイトで3つの特徴が挙げられる。

1つ目は月額 980 円からカットを使用できる点。カラー中にネイルのサービスを受けられるなど、時間効率よくサービスも提供するため、低価格化を実現している。2つ目は掲載店の料金が一律である点。価格競争から美容室が守ることで、技術力と接客力のみで集客を狙える。3つ目は最上級プランに加入すると、ヨガやエステ、料理教室など好きな組み合わせのサービスを定価以下で受けられる点。ユーザーはサブスクリプションの恩恵を最大限に受けることができるとしている。

正式にサービスローンチするのは今夏を予定しており、現在は加盟店を募集中。一般ユーザーの利用は春頃をめどに募集開始する。

「むっちりクレープ」、「ピスタチオカラー」、「フラグメントケース」MERYが2020年上半期の女子のトレンド予想8選を発表

女性メディア「MERY」を運営するMERYは、2月7日に「MERY」で人気の検索急上昇ワードや記事を基に「2020年の女子のトレンド予想8選」を発表した。

「むっちりクレープ」は、もっちりとした生地に包まれてクリームがたくさん入ったクレープのこと。2019年のタピオカドリンクを手持ちした写真がインスタ上に溢れていたが、今年は持つものがクレープに変わるのかもしれない。「ピスタチオカラー」は取り入れやすくて個性を出せる色として注目されている以前はラテカラーが流行っていたためそれと合わせやすいのも人気の秘密では、と分析している。「フラグメントケース」はカードポケットがたくさんあり、ファスナーなどが付いていて、多少の小銭や現金を持ち歩くことができる財布のようなもの。キャッシュレス・各種Payサービスの充実で財布がトレンドとなっているようだ。

その他の「参戦服」、「インスタは美術館」、「ジェンダーレスコスメ」、「バレットジャーナル」、「水光肌」についてはMERYの公式noteで解説されている。

ベルリン発の都市農業スタートアップInfarm、夏より東京都内の紀ノ国屋で農産物の提供開始

ベルリン発の都市農業スタートアップInfarmは2月26日、JR東日本、紀ノ国屋、そして食品流通会社のムロオと連携し、日本での都市農業の拡大を推進していくことを発表した。

JR東日本とのパートナーシップを通じて、同社の子会社である紀ノ国屋の東京都内のいずれかの店舗で、今年の夏より、Infarmのプラットフォームを使い生産された収穫物を日本の消費者に提供していく。ムロオとの連携では、2021年以降、Infarmの日本全国への段階的な展開を目指す。

2013年に設立されたInfarmは、全体で毎月25万以上の植物を収穫する、同社いわく世界最大の都市農業プラットフォームの1つ。現時点では、デンマーク、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、英国、米国、スイスで事業を展開。合計で600以上のモジュール式栽培ユニットを店舗や流通センターで展開している。2019年6月にはAtomicoがリードしたシリーズBラウンドを発表した同社は、累計で1億ドル(約110億円)以上を調達している。

「Farming-as-a-Service」とも呼ぶことのできる、InfarmのBtoBtoCのビジネスモデル。提供するモジュール式ユニットは、スーパーやレストランの中に設置することができ、顧客は自ら収穫し、新鮮な野菜を購入できる。垂直農業のため比較的場所をとらないほか、従来の大規模農業と比較し、水の使用量は約95%、肥料は約75%、輸送コストは約90%削減することに成功しているという。

IoTや機械学習、クラウドの技術を使い、遠隔地より管理・操作ができ、かつ、人里離れた倉庫ではなく人々が住むエリアで展開できることがInfarmの強みだ。

Infarmの共同創業者でCEOのErez Galonska(エレズ・ガロンスカ)氏はTechCrunch Japanの取材に対し、「東京は日本で最も密度の高い都市で、解決しなければならない課題がある。廃棄物、農薬の使用、など」と話す。Galonskaは「加えて、日本人の野菜摂取量は多いため、市場も大きい」と説明。そして、多くの農家は高齢なため、「若い世代に最新技術を使った農業を知ってもらい興味を持って欲しい」(Galonska氏)

写真中央がInfarmの共同創業者でCEOのErez Galonska氏

ローカライズという観点では、日本で例えばジェノベーゼバジルを販売しても需要があるかわからないため、水菜なのか紫蘇なのか、今年の夏、都内の紀ノ国屋での提供開始に向けて農産物を選定中だ。Galonskaいわく、ムロオとの連携では、流通センターを農産物の栽培・収穫の場にし、そこから都内のスーパーに供給していく。

Infarmは2020年、まずは紀ノ国屋いずれかの店舗での提供を開始し、2021年には都内での拡大を目指す予定だ。