空間音響技術スタートアップのクレプシードラ、自宅トイレがお化け屋敷になる「密閉シアター『いるかもしれない』」発売


空間音響技術のスタートアップ「クレプシードラ」は11月18日、独自の空間音響技術を活用したスマホ音声ホラーコンテンツ「密閉シアター『いるかもしれない』」の発売を開始した。

11月19日は「世界トイレの日」。「一年で最もトイレに関心が集まる」というこの日に先立ちクレプシードラが発売を始めたこの体験コンテンツは、音の臨場感、繊細さ、質感を再現し、あたかもその場にいるような音響体験を実現する空間音響技術「Re:Sense」を活用した、「聞いているだけでリアルな世界に引き込まれていく」というもの。

あなたはご存知ないかもしれない。
その家のトイレでは、女性が亡くなっている。恋愛のもつれから、自ら命を絶ったようだ。
亡くなったとき、不審な点が1つあった。女性の口腔内に鈴が残されていたらしい。
思い当たることはないだろうか?
深夜にトイレに入ったとき、チリンと鈴の音が聴こえたことは。
おっと、振り返ってはいけない!
背後のトイレのタンクを見てはいけない…

といった感じ。

遊び方はこうだ。販売サイトでコンテンツを購入手続きを行い、送付されるURLにアクセス。ヘッドホンを装着して、電気を消したままトイレに入って便座に座る。スマホは画面を伏せるかポケットに入れて、「女の霊の気配に集中」する。

このコンテンツをプロデュースしたのは、30年近くにわたりお化け屋敷を作ってきた、お化け屋敷プロデューサーの五味弘文氏。Re:Senseを体験したときに強い衝撃を受け、多くの人に体験してほしくなったと話している。

これは、自宅のトイレだけでなく、マンションの一室やタクシー、教室などの閉鎖空間を舞台に「あるはずのないなにかと出会う」体験型コンテンツ「密閉シアター」の第1弾。今後は、ホラーだけでなくサスペンスやミステリーなども想定しているそうだ。

「密閉シアター『いるかもしれない』」は500円のところ、現在は期間限定の350円(税込)で提供されている。購入はこちらから

Spotifyのポッドキャストサブスクが米国以外のクリエイターに拡大、ただし日本は含まれず

Spotify(スポティファイ)は2021年8月に米国のクリエイターを対象にポッドキャストのサブスクリプションを公開したが、米国時間11月17日から対象を米国以外のクリエイターにも拡大する。同社によれば、クリエイターが「サブスク利用者限定」コンテンツを作れるこのサービスは、新たに33のマーケットで利用できるようになる。

ポッドキャストのサブスクが米国で正式に公開された際、Spotifyはサービスに関していくつか重要な変更を実施した。それ以前は、クリエイターは有料番組の価格を3通りからしか選べなかった。しかし同社はクリエイターがもっと柔軟な価格設定を望んでいることを把握し、0.49ドルから150ドル(約55円から1万7000円)まで20通りの価格を用意した。

また、同社はクリエイターが自分の番組をサブスクで利用しているリスナーの連絡先情報をダウンロードできるようにした。これを活用してクリエイターはリスナーと直接的な関係をさらに深めることができる。

今回のグローバル展開にあたり、Spotifyは新機能の追加はしていない。同社は今回の拡大について、ポッドキャストのサブスクをより多くの人に利用してもらうためとしている。

ポッドキャストのサブスクプラットフォームはSpotifyだけではない。Appleもサブスクを提供しているが、Appleはクリエイターの売上30%を徴収し、2年目には15%になる。これは他のサブスクアプリと同様だ。一方のSpotifyは、最初の2年間は売上からの徴収をしないことにより、サービスを成長させようとしている。徴収なしの期間が終了すると、Appleよりずっと少なく、たった5%を徴収する計画だ。

Spotifyのサブスクポッドキャストサービスは、同社のポッドキャスト制作プラットフォームであるAnchorを通じて提供される。AnchorではiOSとAndroidの両方ですでに29のマーケットでサブスクを利用でき、残る4つのマーケットでは来週(11月22日の週)から利用できるようになる。

すでに提供開始しているマーケットは、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、ベルギー、ブルガリア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国。来週にはカナダ、ドイツ、オーストリア、フランスでも開始する。

 

他にポッドキャスト関連のニュースとして、SpotifyはBad Robot Audioとの複数年の独占契約を発表した。Bad Robot Audioは、プロデューサーのJ.J. Abrams(J・J・エイブラムス)氏が2001年に創業した制作会社であるBad Robotの新しいオーディオ部門だ。

Bad Robotは「LOST」「エイリアス」「FRINGE / フリンジ」「パーソン・オブ・インタレスト 犯罪予知ユニット」「キャッスルロック」「ウエストワールド」などのテレビ番組や「SUPER8 / スーパーエイト」「スター・ウォーズ / フォースの覚醒」「スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け」などの映画を制作し「スター・トレック」「ミッション:インポッシブル」「クローバーフィールド」の共同制作もしている。

新しい部門を率いるのはAudibleやSpotifyで著名なエグゼクティブだったChristina Choi(クリスティーナ・チョイ)氏で、同氏はBad Robotのポッドキャスト責任者に就任する。Bad RobotはSpotifyで提供する番組について詳細をまだ明らかにしていないが「ノンフィクションとフィクションのポッドキャスト作品」の両方を含むだろうと述べている。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

B2BメインのWaldoがコンシューマー向け有料写真共有サービスプランを提供開始する理由

Waldo(ウォルドー)は、フォトシェアリングプラットフォームとして長年、企業、学校、キャンプ、スポーツその他の組織にサービスを提供してきた。このほど、アンチFacebook感情の高まりに乗じて、新たな消費者向けサービスを開始した。同社は米国時間11月17日、家族や友達の間で写真を共有するサービスを公開し、FacebookやInstagramなどの主要ソーシャルメディアに変わる「広告のない無毒な」プライベート空間を特徴としている。

もちろん、それはWaldoの宣伝文句にすぎない。消費者は、ほぼ間違いなく、ブライベートで広告のない写真共有サービスをソーシャルメディア以外で「すでに」使っている。Googleフォトなどのプラットフォームで招待のみのフォトアルバムを作ったり、Apple(アップル)のiCloudを通じてプライベートに写真を共有できる。暗号化されたメッセージアプリで写真を送ることもできる。それでもWaldoは、クロスプラットフォームで利用できる特徴ある機能をもつスタンドアロンアプリの入る余地があると信じている。

Waldoアプリは、iOSとAndroidおよびウェブ版が提供されていて、写真愛好家向けにデジタル一眼のワイヤレスアップロードにも対応している。このサービスをプライベートシェアリングに使いたい人は、イベントのためのギャラリーを作って、共有したい人たちを招待する。共有ギャラリーに集まった人たちは、自分の写っている写真に関するアラートを、Waldoからプッシュ通知かテキストメッセージで受け取る設定にオプトインできる。

アプリでは、写真のオーナーとコメントする人だけに見えて、同じアルバムに参加している他の人には見えない、クローズドなコメントやリアクションも可能だ。

新しいコンシューマー向けプランには、Plus(メラス)とPremium(プレミアム)があり、料金はそれぞれ月額4.99ドル(約570円)と9.99ドル(約1140円)。前者は家族メンバーを5人まで、後者は10人まで登録できる。招待や寄稿者の人数制限はない。Plusでは100 GB、Premiumは200 GBのストレージを使える。

これらは、巨大テックライバルたちの提供するプランよりも高額だ。たとえばGoogle One Basic(グーグル・ワン・ベーシック)の写真とファイル合わせてストレージ100GBのプランは月額1.99ドル(約230円)、200GBは2.99ドル(約340円)で使える。 iCloud+は、米国で50GBが月額0.99ドル(約110円)、200GBが2.99ドルだ。このためWaldoは、同社の顔認識を用いたスマート通知やプライベートリアクション、カスタムプリントなどの機能を強調して消費者にアピールする必要があるだろう。

Waldoは、キャンプ、学校、教会などで、親たちとプライベートに写真を共有するツールとしてWaldoを使っている専門分野との既存の関係を足場にしていく計画だ。

過去5年間、Waldoは消費者市場以外で徐々に存在感を高めてきた。現在同サービスには「数十万人」の顧客がいて、これにはWaldoを利用している学校や企業の家族や社員も含まれている。ビジネスユーザーは、アプリの顔認識機能を(親の許可を得て)利用し、生徒やキャンパー、イベント参加者などを自動認識してタグ付けすることができる。こうすることで、親は自分の子どもが写っているわずかな枚数の写真を見るために何百枚もの写真をめくる必要がなくなる。

同社の有料サブスクリプションサービスは米国・カナダで多くのグループに採用されているが、Waldoは売上を公表していない。

Waldoはこの計画を、現在のB2Bサービスからの転換ではなく、新しいユーザー層の開拓だとTechCrunchに語った。

すでにWaldoアプリを自分の端末にインストールしている親たちは、同社の消費者向け写真共有サービスに移行する可能性があると同社は見ている。なお、共有された写真に招待された人は、参加するためにアプリをダウンロードする必要はなく、どの端末からでもアプリをインストールせずウェブブラウザーを使ってサービスを利用できる。

子どものキャンプを通じてWaldoのユーザーになっている私から見て、この展開は理に適っている。Waldoでシェアされている子どもの写真を祖父母に見せるために別のプラットフォームで再シェアするよりも、Waldoの消費者向けプランに入って「キャンプ写真」のアルバムを家族にプッシュ通知する方が簡単そうだ。

「当社顧客には引き続きWaldo Proソリューションを提供していきます。家族の写真をすべて、誰が撮影したかによらず、クラウドベースでモバイルフレンドリーな1か所に置きたいと考えている家族にとって、新しいプランは重要な付加価値だからです。安全な写真共有プラットフォームの恩恵を受けている当社のコミュニティにとっても大きな利益です」とWaldoのCEOであるRodney Rice(ロドニー・ライス)氏がTechCrunchに話した。

「Waldo PlusとPremiumの発売は、プラットフォームを当社の『Waldo化』されたコミュニティのメンバーだけがアクセスできるものから、消費者全員が日々の写真共有やあらゆるイベントに利用できるものへと開放する当社の方針を表すものです」とライス氏は言った。

画像クレジット:Waldo

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナで注目が集まるアウトドア、トレイル用アプリのAllTrailsが約171億円を調達

新型コロナウイルス感染症の影響での利用増を受け、ハイカー、バイカー、クライマーなどアウトドアを楽しむ人々の間で人気のAllTrails(オールトレイルズ)は米国時間11月17日、事業をさらに加速させるべく、世界的なプライベートエクイティ企業であるPermiraのグロース・ファンドから1億5000万ドル(約171億円)を調達したと発表した。先行投資家であるSpectrum Equityは、今回の調達後も引き続き同社の筆頭株主だ。

多くの企業がそうであるように、AllTrailsもパンデミックが消費者の行動に与えた影響の恩恵を受けた。ロックダウンやソーシャルディスタンシングの措置が取られる中、多くの人々がアウトドア探索や自然との触れ合いに再び興味を持つようになり、どこへ行こうか検討するのにAllTrailsが提供する30万超のハイキング、ランニング、マウンテンバイク用トレイルの広範なコレクションに目を向けた。

「新型コロナは、我々が何年も前から見てきた傾向を加速させるものでした」とAllTrailsのCEOであるRon Schneidermann(ロン・シュナイダーマン)氏は説明する。「パンデミック以前から、世界人口の約3分の1が何らかのアウトドアレクリエーションを定期的に行っていました。そして世界のほとんどの国で、レクリエーションやエクササイズのために歩くことが圧倒的に人気のアクティビティとなっています。トレイルランニングやマウンテンバイク、キャンプやバックパッキングなどを加えると、その数はさらに増えます」。

過去18カ月でAllTrailsモバイルアプリのユーザー数は増加し、現在190カ国で4000万回以上ダウンロードされ、ユーザー3000万人が登録している。1億人以上のユーザーがここ12カ月でAllTrails.comにアクセスしてトレイルを探した。同社は通常、売上高や有料会員数を継続的に開示していないが、1月には有料会員数100万人突破のマイルストーンを祝った。

新型コロナによるロックダウンは(今のところ)ほぼ終了したが、AllTrailsへの需要は衰えていない、と同社は話す。

「世界が再び開かれるにつれ、アウトドアとのつながりが持続しているのを目の当たりにしています」とシュナイダーマン氏はいう。「このアウトドアへの固執はアプリの使用率と頻度に現れており、登録率、ユーザー生成コンテンツの貢献率、フリーミアムへの転換率、購読者の維持率が全体的に向上しています」とも話す。

しかし、AllTrailsは資本を調達する必要はなく、2017年から利益を上げている。むしろ同社は、既存の勢いを加速させるために、新たな資金投入を選んだ。調達した資金は、製品開発、AllTrailsチームの増強、国際的なコミュニティの拡大に使用される。

現在、AllTrailsユーザーの約3分の2は北米居住だが、欧州、アジア、ラテンアメリカでも高い成長率が見られる。

また、シュナイダーマン氏によると、2021年は3年連続で従業員を2倍に増やす予定で、これは主にR&Dと製品開発への投資によるものだ。現在、エンジニアリング、デザイン、財務、オペレーション、プロダクトなどの分野で人材を募集している

画像クレジット:AllTrails

AllTrailsのアプリは現在、検索、発見、レビュー、そしてオフラインでも使える広範な地図を提供しているが、2022年にアップグレードされる予定だ。

差し当たってこのアプリは、トレイルのレビューや写真といったユーザー生成コンテンツを提供しているものの、ソーシャル性よりも実用性を重視している。例えば、雨が降った後にトレイルがぬかるんでいないか、小さな子どもと一緒にハイキングするには急勾配すぎないか、週末には混雑していないかなど、ユーザーが投稿することで、他のユーザーはレビューから恩恵を得られる。一方、投稿されたトレイルの写真を見れば、そのトレイルがどんなものか、どんな景色が待っているのかを知ることができる。しかし、AllTrailsのユーザーの多くは、ハイキングやサイクリングに行く場所のインスピレーションを得るために、Facebookグループのような他のネットワークを利用している。

今回の資金調達により、AllTrailsは自社製品への投資を計画しており、今後1年で、無料・有料を問わずコミュニティのつながりを深めることを目的としたさまざまな新機能を提供していく予定だ。

「我々は、パーソナライゼーションによる検索・発見体験の向上、トレイル上でのナビゲーション体験の向上、追加言語サポートによる世界中のユーザーへのアクセスの拡大、そしてコミュニティが交流し、経験を共有し、お互いに刺激し合うためのより多くの方法を作り出すことに、大きなチャンスがあると考えています」とシュナイダーマン氏は話す。

Klarna、Minted、Zwiftなどを支援し、最近ではMcAfeeの買収にも貢献したPermiraについては、AllTrailsのグローバルでの事業活動を拡大する上で特に役立つと同社は考えている。

「継続的な海外事業拡大は当社にとってかなりの優先事項であり、Permiraがもたらすグローバルなリソースの活用に特に期待しています」としている。

今回の資金調達に伴い、PermiraのシニアアドバイザーでAdobeの元CEOであるBruce Chizen(ブルース・チゼン)氏と、RobinhoodのCOOであるGretchen Howard(グレチェン・ハワード)氏がAllTrailsの取締役会に加わる。

AllTrailsは2018年10月にSpectrum Equityから7500万ドル(約85億円)を調達している。

画像クレジット:Christoph Wagner / Getty Images under a license.

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Mediumがオーディオ学習プラットフォームのKnowableを買収

米国時間11月16日、Mediumが2021年の3件目であり最後となる買収を発表した。買収するのはKnowableだ。Knowableはポッドキャストのようなコースを配信するオーディオベースの学習プラットフォームで、Reddit共同創業者のAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、NASA宇宙飛行士のScott Kelly(スコット・ケリー)氏、フードジャーナリストのMark Bittman(マーク・ビットマン)氏などが登場している。

Mediumは2021年にブラウザベースのグラフィックデザインツール「Projector」とソーシャル読書アプリ「Glose」を買収した。

ポッドキャスティングやライブオーディオの業界が拡大する中で、KnowableはMediumがオーディオ教材を求める人々に応える役割を果たすだろう。Knowable共同創業者のWarren Shaeffer(ウォーレン・シェーファー)氏はオーディオ担当バイスプレジデントとしてMediumにジョインし、同氏以外のKnowableのメンバーもジョインする。シェーファー氏はTechCrunchに対し、MediumとKnowableのチームはすでに補完的な取り組みを始めており、詳細は2022年の早い段階で発表する見込みだと述べた。

シェーファー氏はTechCrunchに対して次のように述べた。「専門家やソートリーダーがKnowableでコンテンツを提供しており、その中にはMediumですでに活躍している人もいます。Mediumは自身の成果を共有する、収益化可能な新しいフォーマットです。Knowableのレッスンはすぐに消え収益化できないソーシャルオーディオと、大変な労力を要するポッドキャストやオーディオブックとの間に位置するものです。Knowableが制作サイドの難しい部分を担当することで、クリエイターはオーディオに不慣れであってもすばらしいコンテンツを提供できます」。

画像クレジット:Knowable

Knowableは2019年に創業し、Andreessen Horowitz、Upfront、First Round、Initializedから資金を調達した。月額9.99ドル(約1100円)で100以上のコースを利用できるが、この買収を記念して年額25ドル(約2800円)のキャンペーンを2021年末まで実施している。買収に伴い、Knowableは独立したプラットフォームとして存続するが、将来的にはMediumのサブスクリプションバンドルに含まれる可能性がある。

シェーファー氏は「人々がポッドキャストを聴く最大の理由としてあげるのは学習です。KnowableとMediumは新しいオーディオエクスペリエンスを開拓し、クリエイターとリスナーの両方に対してこのニーズにさらに応えていきます」と述べた。

Knowableはコースを作りたい専門家やソートリーダーから申請を受け付けている。申請が通ると同社がコース開発に協力する。同社は四半期の収益の30%と紹介したメンバーシップの30%を、コースを公開しているクリエイターに分配する。

画像クレジット:Knowable

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

フリーランスのためのネットワークContraがTikTokと提携、ソーシャルビデオアプリにLinkedInテイストを追加

フリーランスのためのネットワークContraがTikTokと提携して、ユーザーが自分の履歴書や代表的作品集を、TikTokのサードパーティ統合ツールであるTikTok Jumpで展示できることになった。つまりクリエイターは、自分のContraのプロフィールを自作のTikTokビデオにリンクして、プロとしてのポートフォリオを披露できる。

またクリエイターは「View My Portfolio」のリンクをTikTokの自分のコンテンツに加えられる。するとそのリンクをタップして、クリエイターのプロフィールを見たり、サービスを知り、コラボレーションをリクエストしたりできる。

Contraによれば、この統合によってプロフェッショナルな仕事や作品を共有しやすくなり、新たな見込み客をつかまえられる。計画ではJumpの統合をもう1つ立ち上げて、求人企業がTikTokにポストしたコンテンツにリンクがあり、求職者はそこに自分のContraプロフィールをつけて応募できるようにする。同社によると、このパートナーシップにより独立系のワーカーは古典的な履歴書の代わりに、もっとおもしろい方法で自分の仕事や作品を展示できる。

Contraの創業者でCEOのBen Huffman(ベン・ハフマン)氏は次のように述べている。「キャリアに関するアドバイスをもらったり、すばらしい役割について見つけたりする場所として、TikTokはトップの位置にある。クリエイターが自分のすばらしいプロフェッショナルな作品をこのプラットフォーム上で披露できることは当然だ」。

2021年初めにContraは、Unusual Venturesのリードで1450万ドル(約16億6000万円)のシリーズAを調達した。これには、Cowboy VenturesやLi Jin(リ・ジン)氏が最近発表したAtelier Venturesが参加した。さらに2週間前に同社は、NEAがリードする3000万ドル(約34億3000万円)のシリーズBを調達し、こちらはUnusual VenturesとCowboy Venturesが参加した。

同プラットフォームは、プロフェッショナルたちが、プロジェクトベースのアイデンティティと、LinkedInのような役割ベースのアイデンティティの両方を載せたプロフィールを作ることを求めている。Contraの目標は、独立のワーカーがシグナル性が高い紹介ネットワークを作って新しい仕事の機会を得ることだ。LinkedInでは会った人を誰でも「コネクション」に加えられるが、Contraでは各ネットワークでの仕事経験を要する。

同社のTikTokとのパートナーシップで、多くのミレニアル世代やZ世代の人たちに届くことができ、仕事の機会も増えるだろう。TikTok Jumpは6月にローンチして以来、QuizletやWikipedia、BuzzFeed、Jumpropeなど多くの企業とパートナーして、それぞれに独自の統合を作ってきた。

画像クレジット:Nur Photo/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

英Amazonで1月19日から英国発行Visaクレジットカードが使えなくなる

Amazon(アマゾン)がVisa(ビザ)との闘いをエスカレートさせている。2022年1月19日から、Amazonは英国で発行されたVisaクレジットカードの取り扱いを停止する。英Amazonの顧客にこの変更がメールで伝えられ、クレジットカード取引にともなってVisaが高額な手数料を課していることが理由であるとされている。Amazonの利用者は年末年始の買い物にはVisaクレジットカードを使うことができるが、その後はVisaデビットカード、またはMastercardやAMEXなど他のクレジットカードに切り替える必要がある。

Amazonの広報は発表の中で以下のように述べている。

カード利用にともなうコストは、お客様にベストプライスを提供しようと努力している企業にとって常に障壁です。こうしたコストは技術の進歩にともない減少してしかるべきですが、実際にはコストは下がらずむしろ上がっています。Visaの利用手数料が依然として高額であることから、残念ながら当社のAmazon.co.ukでは英国で発行されたVisaクレジットカードの利用を2022年1月19日に停止します。お客様は引き続きVisaデビットカードを含むすべてのデビットカード、およびVisa以外のクレジットカードを利用してAmazon.co.ukでショッピングをしていただけます。決済に関する状況が世界中で急速に変化する中、当社は今後もお客様のために革新を続け、世界中の当社ストアで速く、安く、包括的な支払い方法を追加し推進していきます。

一方Visaの広報は「Amazonが今後消費者の選択を狭めると脅しをかけていること」に失望していると述べ「消費者の選択が限られている場合に、勝者はいない」とした。Visaはさらに、カード会員が「2022年1月にAmazonが課す制限を受けることなく」ウェブサイトで英国発行のVisaクレジットカードを使い続けられるようにAmazonとの間で解決に取り組んでいると述べた。ちなみに、Amazonと他のクレジットカード企業との関係はもっと良好だ。英Amazonは現在、消費者向けクレジットカードでMastercardと、ビジネスカードではAMEXと提携している。

AmazonとVisaはお互いから有利な条件を引き出そうとして闘いを公開しているのかもしれない。Amazonはここ数カ月間、Visaに圧力をかけてきた。シンガポールのAmazonサイトでは9月15日からVisaクレジットカードでの購入に0.5%の追加料金を課し、その1カ月半後にはオーストラリアでもVisaでの購入に追加料金を課すようになった。どちらの場合もAmazonは、Visaクレジットカード以外の支払い方法を追加した顧客に対し、ギフトカード(30シンガポールドル / 約2500円、20オーストラリアドル / 約1600円)を提供した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Håkan Dahlström Photography / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Mariella Moon、翻訳:Kaori Koyama)

Slackがワークフロー構築を容易にする開発者向けのビルディングブロック機能を発表

Slackは、Slack内でアプリケーションを動かして面倒な切り替えを減らすことで、常にコミュニケーションツールとして差別化してきた。米国時間11月16日のSlackのFrontiersカンファレンスでは、新しいビルディングブロックによるアプリ統合の進化が発表される。ビルディングブロックとは開発者が構築するパッケージ化されたワークフローのコンポーネントで、ビルディングブロックをつなぎ合わせて使うことができる。

Slackのプロダクトマネジメント担当シニアバイスプレジデントであるSteve Wood(スティーブ・ウッド)氏は、再利用可能なビルディングブロックを提供しようとしたため、新しいアプローチではプラットフォーム全体を再設計する必要があったと語る。これまで開発者はSlack内のアプリを作ることができ、それは開発者の意図の通りに動作した。新しいビルディングブロックはユーザー側がコントロールできるため、プラットフォーム全体がもっと利用しやすく、カスタマイズ可能になるはずだ。

ウッド氏は「この新しい世界で、我々はまさに(プラットフォームを)リミックス可能なものとして前進させていきます。ユーザーがアプリをインストールするとビルディングブロックを利用できるようになり、ビルディングブロック同士をつないで、チャンネル内でビルディングブロックがお互いにやりとりできるようになります。ビルディングブロックをつなげば、やりたいことのために必要なワークフローを構築できます」と説明した。

画像クレジット:Slack

同氏は、業務に必要なアプリがどんどん増えていくことを背景にこのアプローチが生まれたとし、今後はSlackのワークフローの中でアプリをつなぎ合わせて目的のタスクを選択できるようになると述べた。ユーザーがSlack内で、あるいはSlack以外のアプリを切り替えを余儀なくされるのではなく、ソフトウェアがユーザーに代わって仕事をする。

ウッド氏は、Slack内で障害に関するZendeskのヘルプデスクチケットが発行される例を挙げている。自動化された緊急対応ワークフローが動き出して、PagerDutyのアラートが発せられ、重要人物を集めたZoomミーティングが自動で始まり、Boxから緊急対応チェックリストが引き出され、インシデントに関する記録を取るためにGoogleドキュメントで書類が開く。

ツール自体は開発者がファンクションとトリガーを構築するためのインターフェイスで、開発者はSlackの新しいコマンドラインインターフェイスで開発ができる。トリガーによってワークフローを動かすファンクションが開始される。構築したものは単独のアプリとしてもビルディングブロックとしても保存でき、開発者は複数のビルディングブロックをつなぎ合わせることもできる。

CCS Insightのアナリストでワークフローのトランスフォーメーションを担当するAngela Ashenden(アンジェラ・アシェンデン)氏は、Workflow BuilderツールとともにSlackの統合機能をすでに使っている企業にとってこのアップデートは好ましいはずだという。

アシェンデン氏は次のように説明する。「この新機能はアプリとワークフローを作成するプロセスの高速化を目指しています。プロセスのさまざまなパーツ間のギャップを埋め、テック系か非テック系かにかかわらず誰もがこれまでよりも簡単にワークフローを構築し、日々のワークフローを共有して利用できるようになるでしょう。目的は従業員がワークフローをアドホックで、あるいは個人のプロセスで利用できるようにすることであり、チームのプロセスももっと明確にすることです」。

IDCのアナリストでソーシャルやコラボレーション分野を調査するWayne Kurtzman(ウェイン・カーツマン)氏は、ビルディングブロックのコンセプトは必ずしも目新しくはないものの、これによりSlackは組織内でワークフローを動かし、単なるコミュニケーションを超える場としてさらに幅広くアピールするだろうと述べた。

カーツマン氏は「Slackにはこれまでにも(統合の)機能があり、ブロックのおもちゃのように簡単に作れることを狙っていました。使いやすくて再利用でき、またユーザーがオートメーションへの理解を深めていくことで、この機能はさらに幅広く使われるだろうと私は予想しています」と語った。

ウッド氏は、数日中にプライベートベータを公開するが、最終的にはビルディングブロックのライブラリやマーケットプレイスのような配布システムが公開されるだろうと述べた。これはまだ検討段階だ。SlackのWorkflow Builderのアップデートも予定されており、これを使うと非テック系のエンドユーザーがあらかじめ用意されたビルディングブロックをつなげて、テンプレート化された便利なワークフローを作ることができる。

このツールは2022年中にリリースされる見込みだが、ビルディングブロックが説明通りに動作するのであれば、Slackはコミュニケーションの意味合いを弱め、ワークフローやプロセスオートメーションにシフトしていくのかもしれない。それは、Salesforceとより深く統合するために重要なことだろう。Salesforceは2020年末にSlackを270億ドル(約3兆円)以上で買収した

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

Snapchatのフィルター、Lightroomの編集機能、Photoshopの柔軟性などを持つパワフルな写真編集ツール「Facet」

ひと言で言えば、Facet(ファセット)は、APIを使ってアクセスできるAI搭載の写真編集ツールを開発した。これにより、Snapchatの写真フィルター、Adobe Lightroomの編集機能、Photoshopの柔軟性、Figmaなどのコラボレーション力を合わせたような、非常にパワフルな写真編集ができるようになる。しかも、このツールは、これまでの写真編集の分野では目にしたことがないことができる。Facetは、Accel(アクセル)、Basis Set Ventures(ベイシスセットヴェンチャーズ)、Slow Ventures(スロウヴェンチャーズ)、South Park Commons(サウスパークコモンズ)の参加とともに、Two Sigma Ventures(ツーシグマヴェンチャーズ)から1300万ドル(約14億8900万円)を調達した。

私はかつてプロの写真家だったこともあり、写真に関する本を20冊ほど書いているので、私は写真に大きな興味を持っている。Facetから写真編集の分野で何か新しいものを提供すると連絡があったときは、かなり興奮したが、その後「非常に困惑した」。創業者や投資家と1時間ほど話をしても、このツールが何なのか、誰のためのものなのか、はっきりと理解できなかった。

しかし、実際にこのツールを使ってみると、すべてが明らかになった。オークランドで開催されたダンスイベントLindy by the Lake(リンディバイザレイク)で撮影したダンス写真をギャラリーにアップロードして、Facetに任せてみた。ウェブベースのエディターは、学習曲線が非常に急で、いわば学習の壁のようなものがあるが、Photoshopでは不可能ではないにしても、難しい編集をすぐに行うことができた。

私が作成したフィルターの1つは「背景を検出し、ぼかして脱色する」というものだ。画像の前景 / 背景の検出は完璧ではなかったが、うまくいった写真については、写真編集ソフトで個々の画像を開いて編集することなく、非常にすばやく写真をポップにすることができた。

左側の画像は、Facetによって背景が自動的に脱色され、ぼかされたもの。右がオリジナルの画像。結果は完璧ではないが、Facetは数分で200枚の写真にこのような処理を行うことができた。これはAI画像編集の驚くべき成果だ。Photos by Haje Kamps, editing by Facet’s AI.

Facetは、膨大な量の写真を用意してプレゼンテーションを行うような商用レベルの画像編集に特化していますが、Photoshopと同様に、画像制作者の創造性次第で何十通りもの使い方が可能だ。

「人々が画像を編集し、その変更を重ねていくとき、私たちはすべての編集を分析し、より大きなコンテンツライブラリに転送する方法を考え、自動的にプリセットを作成します。これは、キャンペーン全体でブランドの一貫性を維持し、すべての製品や写真に一貫性を持たせるために非常に有効です」、FacetのCEO兼共同設立者であるJoe Reisinger(ジョー・ライジンガー)氏は述べている。「例えば、Spotifyのような場合です。アルバムカバーで有名なデュオトーン効果を見たことがあると思います。私たちはそれを作成し、APIエンドポイントで再利用可能な画像編集パイプラインを提供することで、何千枚もの写真を非常に迅速に処理することができます」。

同社の選択・フィルタリングツールは強力で、無限の拡張性を持っている。趣味の写真家が使用できるコンシューマーグレードのプラットフォームを持っているが、同社が本当に輝くのは、クリエイティブなソフトウェア開発者がこのツールを使用してAPIを利用するときだ。

ライジンガー氏は「印刷中心の古いソフトウェアをインターネット時代に適応させようとするのではなく、コンテンツを意識した画像編集プラットフォームで、クリエイターが必要とするツールを一から構築しています」と語っている。

Facetのインターフェースの一例。このスクリーンショットでは、脱色と背景のぼかしをツールに依頼した。うまくいったときは信じられないほどすばらしく、Lightroomに何年も前からできるようになって欲しいと思っていたことだ。うまくいかないとき(中央2枚の写真のように、女性の足だけに色がついていたり、ダンサーの顔を前景として検出できなかったりしたとき)は、少し残念だ。とはいえ、Photoshopのレイヤーファイルとして画像をダウンロードすることができるので、それを整えるのは簡単だし、編集の時間も大幅に短縮されるだろう。the Facet toolのスクリーンショット。

「Facetで気に入っている点は、非同期のコラボレーションが可能なことです。写真のスタイルを定義しておけば、デザイナーはそれぞれの写真を手動で編集しなくても、たくさんの写真に同じスタイルを使うことができます。写真の見た目と感じをプログラムでエンコードし、それを画像間でコピーすることができます」今回のFacetの主な投資家であるTwo Sigma VenturesのパートナーであるDan Abelon(ダン・アベロン)氏は語った。「誰かのスタイルが気に入れば、それを自分の画像に適用することで、リアルタイムなコラボレーションの世界が広がります」。

「これは単に金儲けのためだけではありません。Facetは、クリエイティブなコミュニティやウェブの世界に大きな影響を与えようとしています。ウェブ全体に影響を与えたいという気持ちが伝わってきて、私たちもその点にとても惹かれました」とアベロン氏は語っています。

同社は、シリーズAの次のステップとして、チームの拡大、牽引力の強化、市場参入戦略の構築など、最近拡大した資金を活用していく予定だ。Facetでは、無料トライアルにサインアップして試用することができ、有料プランは、プロフェッショナルユーザーが月額24ドル(約2700円)、APIを必要とするハイエンドチームユーザーが月額50ドル(約5700円)からとなっている。

画像クレジット:Gabriella Achadinha under a CC BY 4.0 license.

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Yuta Kaminishi)

ギフトを贈るモバイルアプリ「Goody」がホリデーシーズンに合わせさらなる資本を獲得

Goodyの共同創業者兼CEOのエドワード・ランド氏(画像クレジット:Goody)

ギフトを贈ることは必ずしも簡単ではないが、Goody(グッディ)は、それをテキストを送るのと同じくらい簡単にしたい。

マイアミを拠点とする同社は、2020年12月に、ローブからクッキー、多肉植物、スパトリートメントまで、厳選されたギフトのリストとともに始まった。必要なサイズを知らなくてもギフトを選ぶことができ、受け取った人はサイズや種類を選んだり、同じような価格のギフトと交換したりすることができる。

Goodyのアプリ画面(画像クレジット:Goody)

Goodyは消費者向けのアプリとしてスタートし、現在は企業間のギフト用にGoody+というウェブサイトも展開している。Goody+は4月にサービスを開始して以来、1000社以上の企業が利用している。

この11ヵ月間、同社は好調で、2021年3回目のラウンドを迎え、共同創業者兼CEOのEdward Lando(エドワード・ランド)氏が「ステップアップ」と呼ぶ1500万ドル(約17億1900万円)の資金を、Lantin America Fund(ラテンアメリカファンド)を通じてSoftBank(ソフトバンク)から調達した。

「2021年初めにNEAから1310万ドル(約15億円)のシリーズAを調達し、Index(インデックス)から400万ドル(約4億5000万円)のシードラウンドを調達した後、我々には十分な資金がありました」、ランド氏はTechCrunchの取材に対し語った。「チームに資金を投入しましたが、多くの関心が寄せられていました。また、ホリデーシーズンはeコマース企業にとって大きなイベントですので、完全なシリーズBは行わず2022年に行うことにし、拡大のために高い条件で資金を調達することにしました」。

短期間で約3200万ドル(約36億6800万円)を調達したGoodyは、今後のブランドとの提携を含め、法人向けギフトの既存製品、機能、サービスの拡大に注力している。新機能の中には、アプリ内で誕生日のリクエストをすると、ユーザーにポイントが付与されるというゲーム性のあるものもある。

消費者向けアプリとデスクトップツールを合わせて、2021年の第2四半期から第3四半期にかけて5000%の成長を記録しており、ランド氏は9月と10月に送られたギフトの量が615%増加したと述べている。

「Goodyへの投資には期待しています」、SoftBank Lantin America FundのマネージングパートナーであるShu Nyatta(シュウ・ニャッタ)氏は、書面による声明で述べた。「企業向けのギフトや従業員のエンゲージメントには、多くの空白があります。このスペースに消費者レベルの楽しいアプローチを提供するチームを見るのはとてもエキサイティングです。私たちは、Goodyが米国だけでなく、ラテンアメリカでもサービスを拡大できるよう支援していきたいと思います」。

Goodyは、2420億ドル(約27兆7400億円)の市場規模があると推定されているギフトサービス、特に法人向けのギフトサービスに資金を集めた最新の企業だ。2021年これまでに、Reachdesk(リーチデスク)が4300万ドル(約49億円)、Sendoso(センドソ)が1億ドル(約114億円)、Alyce(アリス)が3000万ドル(約34億円)を調達している。

ランド氏は、2022年までにGoodyを「米国における主要な雇用者の幸福とエンゲージメントのプラットフォーム」のレベルに押し上げるために、このパイの大きな部分に食い込もうとしている。また、フランスで育った彼は、ラテンアメリカに加えて、他の国での展開も視野に入れている。

 

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

ギフトを贈るモバイルアプリ「Goody」がホリデーシーズンに合わせさらなる資本を獲得

Goodyの共同創業者兼CEOのエドワード・ランド氏(画像クレジット:Goody)

ギフトを贈ることは必ずしも簡単ではないが、Goody(グッディ)は、それをテキストを送るのと同じくらい簡単にしたい。

マイアミを拠点とする同社は、2020年12月に、ローブからクッキー、多肉植物、スパトリートメントまで、厳選されたギフトのリストとともに始まった。必要なサイズを知らなくてもギフトを選ぶことができ、受け取った人はサイズや種類を選んだり、同じような価格のギフトと交換したりすることができる。

Goodyのアプリ画面(画像クレジット:Goody)

Goodyは消費者向けのアプリとしてスタートし、現在は企業間のギフト用にGoody+というウェブサイトも展開している。Goody+は4月にサービスを開始して以来、1000社以上の企業が利用している。

この11ヵ月間、同社は好調で、2021年3回目のラウンドを迎え、共同創業者兼CEOのEdward Lando(エドワード・ランド)氏が「ステップアップ」と呼ぶ1500万ドル(約17億1900万円)の資金を、Lantin America Fund(ラテンアメリカファンド)を通じてSoftBank(ソフトバンク)から調達した。

「2021年初めにNEAから1310万ドル(約15億円)のシリーズAを調達し、Index(インデックス)から400万ドル(約4億5000万円)のシードラウンドを調達した後、我々には十分な資金がありました」、ランド氏はTechCrunchの取材に対し語った。「チームに資金を投入しましたが、多くの関心が寄せられていました。また、ホリデーシーズンはeコマース企業にとって大きなイベントですので、完全なシリーズBは行わず2022年に行うことにし、拡大のために高い条件で資金を調達することにしました」。

短期間で約3200万ドル(約36億6800万円)を調達したGoodyは、今後のブランドとの提携を含め、法人向けギフトの既存製品、機能、サービスの拡大に注力している。新機能の中には、アプリ内で誕生日のリクエストをすると、ユーザーにポイントが付与されるというゲーム性のあるものもある。

消費者向けアプリとデスクトップツールを合わせて、2021年の第2四半期から第3四半期にかけて5000%の成長を記録しており、ランド氏は9月と10月に送られたギフトの量が615%増加したと述べている。

「Goodyへの投資には期待しています」、SoftBank Lantin America FundのマネージングパートナーであるShu Nyatta(シュウ・ニャッタ)氏は、書面による声明で述べた。「企業向けのギフトや従業員のエンゲージメントには、多くの空白があります。このスペースに消費者レベルの楽しいアプローチを提供するチームを見るのはとてもエキサイティングです。私たちは、Goodyが米国だけでなく、ラテンアメリカでもサービスを拡大できるよう支援していきたいと思います」。

Goodyは、2420億ドル(約27兆7400億円)の市場規模があると推定されているギフトサービス、特に法人向けのギフトサービスに資金を集めた最新の企業だ。2021年これまでに、Reachdesk(リーチデスク)が4300万ドル(約49億円)、Sendoso(センドソ)が1億ドル(約114億円)、Alyce(アリス)が3000万ドル(約34億円)を調達している。

ランド氏は、2022年までにGoodyを「米国における主要な雇用者の幸福とエンゲージメントのプラットフォーム」のレベルに押し上げるために、このパイの大きな部分に食い込もうとしている。また、フランスで育った彼は、ラテンアメリカに加えて、他の国での展開も視野に入れている。

 

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

自動車フリマ「カババ」を運営するアラカンが資金調達、累計調達額が4億円に到達

面倒な手続きなどをプロが完全代行する自動車フリーマーケット「カババ」を運営するアラカンは11月15日、シリーズAラウンドにて第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は三菱UFJキャピタル、Z Venture Capital 、名古屋テレビ・ベンチャーズ。累計調達額は4億円となった。調達した資金は、関東・関西・中部エリアにおける人材投資、認知度向上のためのプロモーションの強化へあてる。

カババは、車を売りたい人と買いたい人をマッチングするプラットフォームサービス。ネット上のみで完結するほか、自動車の個人間売買における鑑定ほか面倒な手続きなどを完全代行することで、車を売りたい人・買いたい人の双方にメリットを提供するという。

車を売りたい人のメリット

・面倒な手続きはプロが完全代行
・手数料は一切かからない
・相手(買手)と会わずに完結できる

車を買いたい人のメリット

・価格も品質も全車、プロが鑑定済み
・個人売買なのに、ローンでも購入可能
・相手(売手)と会わずにネット上のみで完結

アラカンによると、店舗や常駐営業スタッフなし、在庫リスクなしという仕組みにより固定費を最小限に抑えており、買い手の手数料を安価に設定しているという。

フェイスブックの新たな学術研究用APIがアーリーアクセスで公開

今週から、ひと握りの学術研究チームが、世界最大のソーシャルネットワーク上のほぼすべてのデータをリアルタイムに集約するために設計された、Facebook(フェイスブック)の新しいツールにアクセスできるようになった。

誰がどのようにFacebookのデータにアクセスできるのかということに関しては、現在Meta(メタ)となったFacebookは、2018年に起きたケンブリッジ・アナリティカ(CA)のスキャンダルの余波をいまだに受けている。このスキャンダルでは、政治コンサルティング会社であるCAが何百万人もの無自覚なFacebookユーザーの個人データを入手し、有権者に関する詳細なプロファイルを構築した。Facebookはその後の3年間、何千ものAPIを停止していたが、ようやく学術研究のための幅広いアクセスを再開し始めたところだ。

TechCrunchは、このFacebookの新しい学術研究用APIをプレビューし、さらにFacebook Open Research & Transparency(FORT)チームでこのプロジェクトを率いたFacebookプロダクトマネージャーのKiran Jagadeesh(キラン・ジャガディーシュ)氏に話を聞いた。

関連記事:フェイスブックがSNSを研究する学術コミュニティ向けに「Researcher API」リリース予定

ジャガディーシュ氏はTechCrunchに「これは始まりに過ぎません」と語り、このResearcher API(リサーチャーAPI)は同社が最終的に提供したいツールキットのベータ版であると説明した。2021年のF8で初めて発表されたこのAPIは、Python(パイソン)ベースで、オープンソースのノートブックインターフェースであるJupyterLab(ジュピターラボ)上で動作する。

Facebookが遭遇した過去の多くのプライバシー問題が考慮されて、新しいResearcher APIには最初にいくつかの注意が払われている。まずこのAPIは、少数の身元の確かな学術研究者にのみ、招待制で提供される。2022年2月には、最初のテストグループ以外にもアクセスを拡大することが計画されている。そこではトライアルで得られたフィードバックをもとに、すべての学識経験者に広く提供が行われる予定だ。

もう1つの注意点は、このResearcher APIが、ジャガディーシュ氏が「デジタル・クリーンルーム」と表現する、厳しくコントロールされた環境で動作するということだ。APIにアクセスできる学術研究者は、FacebookのVPNを介して環境に入り、データを収集して数値計算を行うことができるが、生データではなく分析結果のみがエクスポートできる。

これは、ユーザーのプライバシーを保護し、分析されたデータからユーザーが再識別されることを防ぐためのものだが、Researcher APIが収集する公開データはすでに出回っているものなのに、Facebookの既存ツールでは集約して分析するのが難しいという制限は、同社の批判者の一部を刺激するかもしれない。

このAPIでは、ページ、グループ、イベント、投稿の4種類のリアルタイムFacebookデータにアクセスできる。いずれの場合も、このツールは公開データのみを利用し、当初は米国およびEU内のソースからのみの抽出を行う。グループとページについては、APIでデータを利用するためには、少なくとも1人の管理者がサポート対象国にいる必要がある。

このツールを使うことで、研究者は大量の生のテキストを感情分析のような手法を使って分析することができる。なお感情分析とは、人があるテーマについて話すときに、その人が表現している価値や感情を追跡するものだ。研究者は、データの大半を占めるテキストベースの投稿に加えて、グループやページの説明、作成日、投稿へのリアクションなどの関連情報にもアクセスすることができる。

ただし生の画像のようなマルチメディアデータや、コメント、ユーザーの属性データ(年齢、性別など)は含まれない。また、このAPIはInstagramからデータを収集することもないが、ジャガディーシュ氏は、研究者にとってInstagramは非常に価値のあるプラットフォームであることを認識していて、彼のチームはInstagramのデータを利用できるようにする方法を模索している最中だ。

FORTチームは、学術研究者と密接に協力して、ジャガディーシュ氏が「現在進行形」と表現する現在のツールを開発・構築していきたいと考えている。Metaは、最初のアカデミックパートナーはまだ決まっていないとしながらも、開始にあたって世界の23の学術機関から研究者を招待している。

チームのオンボーディングプロセスを完了し、プライバシーポリシーに同意した研究者には、米国時間11月15日(月)にアクセスが許可された。Facebookは、研究内容にアクセスする人に対して、データ内の特定の個人を再識別しないことなどを含む、プライバシーに関する制約に同意することを求めている。

現在、この研究用APIはひと握りの学術機関のみに提供されているが、FORTチームはジャーナリストを含む他のグループへのアクセス許可を検討する予定だ。その目的は、研究者やジャーナリストたちに、チームが何を目指しているのかを透明性をもって示す、公開ロードマップを作ることだ。

同社は、研究コミュニティでの信頼を築くために多くの努力を払わなければならない。8月にFacebookは、ニューヨーク大学のCybersecurity for Democracy(民主主義のためのサイバーセキュリティ)プロジェクトに所属する、著名な研究者2名の広告データへのアクセスを遮断し、多くの学者や規制当局の非難を誘発した。この研究者たちは、Ad Observer(アド・オブザーバー)と呼ばれるオプトイン方式のブラウザツールを使って、誤報や政治広告の追跡に焦点を当てていた。9月になってFacebookは、Social Science One(ソーシャル・サイエンス・ワン)と呼ばれるエリート研究者グループに対し、不完全なデータを提供したことを謝罪したが、これは数カ月にわたる作業と分析を台無しにするミスだった。

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・Facebookが2020年の米大統領選挙に関する広告のターゲティングデータを研究者に公開
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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

Snapchatがソニーミュージックと提携、新AR音楽レンズの計画を発表

SnapchatはSony Music Entertainmentとの契約により、同社アーティストたちの音楽をアプリのSounds libraryライブラリに追加することになった。Snapchatはまた、ARによるミュージックレンズという機能を作っていることを明かした。まず「Sound Lenses」という機能は、映っている人の顔を実際にその曲を今歌っているように見せる。また「Cameo Sound Lenses」はビジュアルエフェクトを加える。

同社によると、現在、同プラットフォーム上で拡張現実を利用している人は1日で約2億に達し、新しい「Sound Lenses」機能があれば、ユーザーのために、さらに没入的な音楽体験を作ることができる。Snapchatは過去数年間、さまざまな方法でARを利用してきた。最新は、そのARにフォーカスしたLens Studioに複数のアップデートを加えたことになる

SnapchatとSony Music Entertainmentのパートナーシップは、ユニークなサウンドがソーシャルアプリにとって競争上有利になってきたことの表れだ。その最新のローンチでSnapchatのユーザーは、自分のスナップにSony Musicのアーティストの音楽を著作権の心配なく含めることができ、それを他のユーザーに送ったり、Snapchat Spotlightにポストしたりできる。

この新しいパートナーシップの2週間前にSnapchatは、NBCUniversalと契約を結び、ユーザーはNBCU TVの番組のいろいろなオーディオクリップを、やはり著作権料Snap負担で使えるようになった。同社は他にもさまざまなスタジオや音楽企業とパートナーしている。例えばUniversal Music Group、Warner Music Group、NMPA、Warner Chappell、Kobalt、BMGなどだ。

TikTokは、ユーザーが自分の短編ビデオに自由に付けられる音楽として大きなカタログを提供しているが、Snapchatはそれと競合したい。ユーザーがいろいろな曲を使えることは、TikTokとの競合に欠かせない。そこで2020年同社はSoundsをローンチした。この音楽機能によりユーザーは、自分のSnapに音楽をつけることができる。

Snapchatの親会社であるSnapによると、Soundsを立ち上げてから、そこからの音楽をつけたビデオは5億2100万作成され、310億ビューに達した。しかしSoundsはTikTokとの競合だけが目的ではなく、Soundsで作られたビデオ全編(送信とポストと保存を含む)の45%近くがDMで送られている。

SoundsのSony Musicのカタログは全世界のSnapchatユーザーが、iOSとAndroidの両方で利用できる。

画像クレジット:Snap

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

楽天市場で「ライブ動画配信」が可能に、ライブコマース本格始動

楽天市場で「ライブ動画配信」が可能に、ライブコマース本格始動

楽天のECサービス「楽天市場」でライブ動画配信機能の本格提供が11月15日に始まりました。

出店店舗は、各店舗ページで最大90分間のライブ動画配信が可能になり、写真や商品説明文では伝えきれなかった商品の特徴や魅力を、動画で訴求できるようになります。

また、「楽天市場」内で開催する「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」、季節のイベントなどと連動。各店舗のライブ配信を紹介するページ「楽天市場ショッピングチャンネル」にて最大30分間のライブ動画を配信することもできます。

ユーザーは、スマートフォンやパソコンから配信動画を視聴し、リアルタイムでコメントや商品に関する質問を投稿できます。出店店舗や動画出演者と双方向でのコミュニケーションを取りながら、商品を検討し購入できるほか、視聴者限定の特典を提供することもできます。

(Source:楽天市場(PRTIMES)Engadget日本版より転載)

フェイスブックの広告ツールが特定の個人をターゲティングできることを研究者グループが発表

スペインとオーストラリアの学者とコンピュータ-科学者のチームによって執筆された最新の研究論文で、Facebook(フェイスブック)のプラットフォームがユーザーに割り当てる関心事項について十分に認識していれば、Facebookのターゲットツール使用して、特定の個人のみに排他的に広告を配信できることが実証された。

「Unique on Facebook:Formulation and Evidence of (Nano)targeting Individual Users with non-PII Data(Facebook上での一意性:非個人データによる個人ユーザーのナノターゲティングの定式化と証拠)」と題するこの論文では、Facebookのプラットフォームによってユーザーに割り当てられた趣味・関心事に基づいて、ユーザーを一意に識別できる可能性を示すメトリックを定義する「データ駆動モデル」が説明されている。

研究者たちは、Facebookのアドマネージャーツールを使用して、意図した特定のFacebookユーザーのみに届くように多数の広告をターゲット配信することができることを実証した。

この研究では、Facebookの広告ターゲットツールが有害な目的に利用される可能性について、新たな疑問を投げかけている。さらには、Facebookがユーザーについて収集している情報を使用して個人を特定できる、つまり、ユーザーの趣味や関心のみに基づいてFacebook上の膨大なユーザーから1人を選び出すことができるという状況を踏まえ、Facebookの個人データ処理帝国の合法性についても疑問を呈している。

この研究結果により、行動ターゲティング広告の禁止または段階的廃止を求める議員に対する圧力が強まる可能性がある。行動ターゲティング広告は、個人的にも社会的にも害を及ぼす可能性があるため、何年にも渡って非難の対象になってきた。少なくとも今回の論文によって、こうした侵襲的なツールの使用方法について確固とした抑制と均衡を求める声が高まりそうだ。

また、この研究では、こうした独立系の研究機関でもアルゴリズムを利用したアドテックを調査できることの重要性も浮き彫りになっており、研究者のアクセスを遮断しないように求める対Facebookの圧力も強まるに違いない。

Facebookの関心は個人データ

「私たちのモデルで検証した結果、Facebookによってあるユーザーに割り当てられた関心事集合のうち4つの大変珍しい関心事または22のランダムな関心事によって90%以上の可能性でそのユーザーをFacebook上で一意に特定できることが明らかになりました」とマドリード大学Carlos III、オーストラリアのGraz University of Technology(グラーツ工科大学)、スペインのIT企業GTD System & Software Engineering(GTDシステム&ソフトウェアエンジニアリング)の研究者は書いている。これにより、1つの重要な事実がわかる。つまり、Facebookが認識している珍しい関心事または多くの関心事を持つ個人は、Facebook上で、数十億人という膨大なユーザーの中からでも容易に特定できるということだ。

「この論文は、私たちの知るかぎりでは、世界規模のユーザーベースを考慮した上で個人の一意性について調査した最初の研究です」と彼らは続け、28億人のアクティブなユーザーに対するデータマイニングというFacebook固有のスケールについて言及した(注:Facebookはユーザー以外の情報も処理している。つまり、Facebook上でアクティブなインターネットユーザーよりもさらに広範なスケールの人たちにリーチしている)。

研究者たちは、今回の論文は「Facebookの広告プラットフォームを体系的に悪用してインターネット上の非個人識別情報データに基づくナノターゲティングを実装できる可能性」について最初の証拠を提示するものであることを示唆している。

Facebookの広告プラットフォームが、1対1で相手を巧みに操るためのパイプの役割を果たしていることについては早くから論争が繰り広げられてきた。例えば2019年のDaily Dotの記事には、性生活に不満を抱えている夫に、妻やガールフレンドを心理的に操作するサービスを販売していたSpinner(スピナー)という会社の例が紹介されている。挑発的で無意識に相手を操作する広告がターゲットのFacebookやインスタグラムのフィードにポップアップ表示されるというものだ。

今回の研究論文では、2017年に起こった英国の政治生命に関する事例にも言及している。労働党の選挙運動の最高責任者がFacebookのカスタムオーディエンス広告ターゲティングツールを利用して、党首のJeremy Corbyn(ジェレミー・コービン)氏をだますことに成功したのだ。ただし、このケースでは、ターゲットになったのはコービン氏だけではなかった。彼の同僚や彼と同じ考えの数人のジャーナリストにも広告が送られた。

今回の研究チームは、Facebookのアドマネージャーツールを利用すれば、特定の1人のFacebookユーザーに広告を送ることができることを実証している。彼らはこのプロセスを「ナノターゲティング」と呼んでいる(現在のアドテックで「標準的」な「インターネットベース」の広告をユーザーグループに送るマイクロターゲティングとは異なる)。

「本稿では、21のFacebook広告キャンペーンによって実験を実施することで、広告主がユーザーの関心事を十分に認識していれば、Facebook広告プラットフォームを体系的に悪用して特定のユーザーに排他的に広告を配信できることを論文の3人の執筆者が証明する」と論文には書かれており、この論文は「ターゲットユーザーの関心事のランダム集合を認識するだけで、Facebook上に1対1のナノターゲティングを体系的に実装できる」という「最初の経験的証拠」を提示するものだとしている。

彼らが分析に使用した関心事データは、彼らが作成し、2017年1月以前にユーザーによってインストールされたブラウザ拡張機能を介して、2390人のFacebookユーザーから収集されたものだ。

この拡張機能はData Valuation Tool for Facebook Users(Facebookユーザー向けのデータ評価ツール)と呼ばれ、各ユーザーのFacebook広告設定ページを解析して、ユーザーに割り当てられた趣味や関心を収集すると同時に、Facebookのブラウジング中にそのユーザーに配信される広告によってFacebookにもたらされる利益のリアルタイムの推測値を計算する。

関心事データは2017年以前に収集されたものの、Facebookの広告プラットフォームを介して1対1のターゲティングが可能かどうかをテストする研究者たちの実験は2020年実施された。

「具体的には、この論文の3人の執筆者たちをターゲットとするナノターゲティング広告キャペーンを設定しました」と彼らはテスト結果について説明する。「私たちは、Facebookが各ターゲット執筆者に割り当てた関心事のリストから5、7、9、12、18、20、22個をランダムに選択したものを使用して各執筆者向けにオーディエンスを作成することで、データ駆動型モデルが実際に機能するかどうかをテストしました」。

「2020年の10月から11月の間に合計21回の広告キャンペーンを実施して、ナノターゲティングが現在実現可能であることを実証しました。実験でモデルの実施結果を評価したところ、攻撃者があるユーザーについて18個以上のランダムな関心事を認識していれば、そのユーザーに対して非常に高い確率でナノターゲティングを実行できることが分かりました。実験で18個以上の関心事を使用した9つのうち8つの広告キャンペーンで、当該ユーザーのナノターゲティングに成功しました」。

したがって、Facebookに18個以上のあなたの関心事が登録されている場合、あなたを巧みに操ることを目論んでいる人物にとって、それらの関心事は極めて興味深いものになる。

ナノターゲティングは止められない

1対1のターゲティングを防ぐ1つの方法として、Facebookが最小オーディエンスサイズに厳しい制限を課す方法が考えられる。

今回の論文によると、Facebookは、キャンペーンのオーディエンスサイズが1000人を超える(以前は21人以上だったが2018年にFacebookが制限値を上げた)可能性がある場合、アドキャンペーンマネージャーツールを使用して「Potential Reach(潜在的リーチ)」値を広告主に提示しているという。

しかし、Facebookは、実際には、この潜在的リーチよりも少ないユーザーをターゲットとするキャンペーンを広告主が実施することを禁止していない。ただ、メーッセージがリーチする人の数が極めて少ないことを広告主に知らせないだけだ。

研究者たちは、複数のキャンペーンで、1人のFacebookユーザーに無事広告が届いたことによってこの事実を実証することができた。その結果、広告のオーディエンスサイズはFacebookの広告レポート生成ツールによって生成されたデータを参照したものであること(「Facebookにより1人のユーザーだけにリーチしたことが報告された」)、ウェブサーバー上にユーザーが広告をクリックすることによってのみ生成されるログ記録が存在することによって確認された。さらには、ナノターゲティングの対象ユーザーに広告とそれに付随する「この広告が表示されている理由」オプションのスナップショットを取得してもらった。このオプションの値は、ナノターゲティングに成功したケースのターゲティングパラメーターに一致していたという。

実験結果のサマリーには次のように追記されている。「本実験から得られた主な結論は次のとおりである。(i)攻撃者がターゲットユーザーから18個以上の関心事を推測できる場合、Facebook上の特定の1人のユーザーをナノターゲティングできる可能性は非常に高い。(ii)ナノターゲティングは非常に低コストで実現できる。(iii)本実験によると、ナノターゲット広告の3分の2は有効キャンペーン期間中7時間以内にターゲットユーザーに配信されると予想される」。

ナノターゲティングの防止対策について議論されているこの論文の別のセクションでは、Facebookが課しているとされるオーディエンスサイズの制限は「まったくの無効であることが判明した」と主張しており、20人というオーディエンスサイズ制限は「現在適用されていない」と断言している。

また、Facebookがカスタムオーディエンス(広告主がPIIをアップロードできる別のターゲティングツール)に適用しているという100人制限の回避策も提示されている。

以下論文より抜粋する。

広告主による極めて少数のオーディエンスをターゲットとする広告の配信を防ぐためにFacebookが実装している最も重要な対策は、オーディエンスを形成するユーザーの最小数に制限を課すというものだ。しかし、この制限はまったくの無効であることが判明した。本論文の結果に動機付けられたFacebookは、アドキャンペーンマネージャーを使用して20人を下回るサイズのオーディエンスを設定することを禁止した。我々の調査では、この制限は現在適用されていない。その一方でFacebookは、最小カスタムオーディエンスサイズを100人とする制限を課している。セクション7.2.2で説明するとおり、この制限を回避して、カスタムオーディエンスを使用してナノターゲティングによる広告キャンペーンを実装するさまざまな方法が文献で紹介されている。

この論文では、全体を通して、インターネットベースのデータを「非個人識別情報(non-PII:Personally Identifiable Information)」と呼んでいるが、このような枠組みは欧州の法律のもとでは無意味であることを忘れてはならない。欧州では、一般データ保護規則(GDPR)のもとで、個人データについて非常に広い見方をしているからだ。

PIIという言葉は米国でのほうがより一般的だ。米国では、欧州のGDPRに相当する包括的な(連邦)プライバシー法というものがないからだ。

アドテック企業もPIIという言葉を使いたがる。ただし、それはずっと限定されたカテゴリでの話だ。アドテック企業が実際に処理するすべてのデータ(個人を識別およびプロファイリングして広告を配信するために使用できるデータ)という意味ではない。

GDPRのもとでは、個人データとは個人の名前やメールアドレス(つまり、PII)などの明白な識別子だけでではなく、個人を特定するために間接的に使用できる情報(居場所や関心事など)も含まれる。

以下に、GDPR(第4(1)項)の関連部分を抜粋する(強調部分はTechCrunchによる)。

「個人データ」とは、識別されている、または識別可能な自然人(データ主体)に関する任意の情報を指す。識別可能な自然人とは、特に、名前、識別番号、場所データ、オンライン識別子などの識別子、またはその人の身体的、生理的、遺伝的、精神的、経済的、文化的なアイデンティティに固有の1つ以上の要素を参照することで、直接または間接に識別可能な自然人のことである。

他の研究でも数十年に渡って繰り返し示されていることだが、個人は、クレジットカードメタデータNetflixの視聴習慣など、わずかな「非個人識別情報」があれば再特定できる。

膨大な数の人たちをプロファイリングし広告のターゲットにするFacebookは、継続的かつ広範囲にインターネットユーザーの行動をマイニングして関心事ベースのシグナル(つまり、個人データ)を収集し、個人プロファイリングを行って各個人に合わせた広告を配信する。そのFacebook帝国が、世界中のほとんど誰でも巧みに操作できる(ただし、相手について十分な知識があり、その相手がFacebookのアカウントを持っていることが条件)可能性のある攻撃ベクトルを作り出したとしても何も驚くには当たらない。

しかし、それが法的に問題のないことであるとは限らない。

実際、人々の個人データを処理して広告ターゲティングを行ってもよいというFacebookの主張の法的根拠は、EUで長年に渡って問題とされてきた。

広告ターゲティングの法的根拠

Facebookは以前、ユーザーは自身の個人データが広告ターゲティングに使われることについて同意していると主張していた。しかし、Facebookは、行動ターゲティングのためにプロファイリングされることを承諾するのか、ただ友人や家族とつながりたいだけなのかのどちらかをユーザーに選択してもらう際に、見返りを求めず、具体的で、明確な情報に基づいて選択できるようにしていない(ちなみに、見返りを求めず、具体的で、明確な情報に基づく同意というのは、同意についてのGDPRの基本的なスタンスだ)。

Facebookを使うには、自分の情報が広告ターゲティングに使用されることを承諾する必要がある。これは、EUのプライバシー運動家が「同意の強制」と呼ぶものだ。つまり、同意ではなく、強制だ。

しかし、2018年5月のGDPR施行以来、Facebookが合法的にヨーロッパ人の情報を処理できるのは欧州のユーザーが広告の受信についてFacebookと契約している状態だからだ、という主張に切り替えたようだ。

FacebookのEU規制当局として主導的立場にあるアイルランドのデータ保護委員会(DPC)によって今週始めに公開された仮決定では、こうした暗黙の主張変更は透明性に欠けるとして、Facebookに対し、3600万ドル(約40億9500万円)の罰金を課す提案をしている。

DPCは、Facebookの広告契約の主張には問題があるとは考えていないようだが、欧州の他の規制当局は問題があると考えており、アイルランドの仮決定に意義を唱える可能性が高い。この件に関するFacebookのGDPRに対する不満をめぐる規制当局側の調査は今後も続き、当分は終わりそうもない。

仮にFacebookがEUの法律を回避しているという最終判断が下った場合、Facebookはユーザーに対し、ユーザーの情報を広告ターゲティングに使用できるかどうかについて見返りを求めない選択肢をユーザーに与えることを強制されることになる。そうなると、Facebook帝国に存在の根幹に関わるような風穴をあけることになる。というのも、この研究でも強調しているとおり、(ターゲティング広告に利用せずに)保管しているだけの関心事データでも個人データになるからだ。

それでも、Facebookは、問題など存在しないと主張するいつもの常套手段を使っている。

今回の研究に対して回答した声明の中で、Facebookの広報担当はこの論文を「当社の広告システムの動作原理についての理解が間違っている」として一蹴している。

Facebookの声明では、この研究者たちの結論の核心部分から注意をそらして、彼らの研究結果の重要さを矮小化しようとしている。以下に、広報担当の言明を示す。

この研究は当社の広告システムの動作原理を間違って把握しています。広告ターゲティングに使用する特定の人に関連付けられた関心事のリストは、その人がそのリストを共有することを選択しないかぎり、広告主が見ることはできません。このリスト、つまり広告を見た人を特定する具体的な詳細情報がなければ、この研究者たちの手法を使って広告主が当社のルールを破ろうとしても無駄です。

Facebookからの反論に答えて、論文の執筆者の1人であるAngel Cuevas(アンヘル・クエバス)氏は、同社の議論を「残念だ」と表現し、問題がないなどと主張するのではなく、ナノターゲティングのリスクを防止するためのより強力な対策を実装すべきだとしている。

この論文では、ナノターゲティングにともなう数多くの有害なリスクが指摘されている。例えば心理的説得、ユーザーの操縦、脅迫などだ。

「驚くのは、ナノターゲティングが実現可能であり、対策は広告主がユーザーの関心事を推測できないと仮定することくらいしかないことをFacebook自身が暗黙に認識していることです」とクエバス氏はいう。

「広告主がユーザーの関心事を推測する方法はいくらでもあります。この論文でも、(ユーザーからは研究目的で行うという明示的な同意を得た上で)ブラウザのプラグインを使って実際に試してみました。それだけではありません。関心事の他にも、(今回の研究では試しませんでしたが)年齢、性別、都市、郵便番号などのパラメーターもあります」。

「これは残念なことです。Facebookのようなテック大手は、広告主がFacebookプラットフォームでのオーディエンスサイズを決めるために後で使用できるようユーザーの関心事を推測することなどできないという前提に頼らずとも、もっと強力な対応策を実現できるはずです」。

例えば2018年のCambridge AnalyticaによるFacebookデータの悪用スキャンダルを覚えているだろうか。Facebookのプラットフォームにアクセスした開発者が、クイズアプリを使って、気づかれることも同意を得ることもなく、数百万人のユーザーのデータを抽出することができたという事件だ。

つまり、クエバス氏のいうとおり、広告主 / 攻撃者 / エージェントが同じような不透明でずるいやり方を実装してFacebookユーザーの関心事データを取得し、特定の個人を巧みに操ることは決して難しくない。

論文の注には、ナノターゲティングの実験を行った数日後、テスト用キャンペーンに使用したアカウントがFacebookによって何の説明もなく閉鎖されたと記載されている。

Facebookからは(アカウントが閉鎖された理由も含め)論文に記載した具体的な質問に対する回答はなかった。だが、もしFacebookがナノターゲティングの問題を認識していたから閉鎖したのであれば、なぜそもそも特定の1人のユーザーをターゲットとする広告の配信を防ぐことができなかったのだろうか。

訴訟の増加

この研究結果は、Facebookの事業にどの程度広範囲な影響を及ぼすだろうか。

あるプライバシー研究者の話によると、この研究はもちろん訴訟に役立つという。欧州では、特にFacebook(広くはアドテック全般)に対するEU規制当局のプライバシー保護対策が遅々として進んでいないため、訴訟の数が増えている。

また別の研究者は、今回の研究結果は、Facebookが、個人データは処理していないと見せかけておきながら、実はユーザーの体系的な再特定化を大規模に行っていることを浮き彫りにしていると指摘する。つまり、Facebookは膨大な数のユーザーの膨大なデータを蓄積しており、個人情報の処理に制限を設ける程度の範囲の狭い法的規制など事実上回避できてしまうことを示唆している。

このため、行動ターゲティング広告がもたらす害を抑える有意義な制限を課そうとする規制当局は、Facebook独自のアルゴリズムが同社が保持する膨大なデータ内を検索して、その中からユーザーの代理人に相当するパラメーターを探し出して利用するという方法に気づく必要がある。また、同じような論法でFacebookのアルゴリズムによる処理は法的な制限を回避する可能性がある(例えばFacebookが慎重に扱うべき関心事の推測の問題で使った戦術)ことも認識しておく必要がある。

別のプライバシーウォッチャーで独立系の研究者でコンサルタントのDr Lukasz Olejnik(ウカシュ・オレジニク)博士は、今回の研究を驚くべきものだとし、過去10年間で最も重要なプライバシー研究結果のトップ10に入る内容だと説明する。

「28億人から1人を特定するのはとてつもないことです。Facebookプラットフォームは、そのようなマイクロターゲティングが行えないようにする予防策を講じていると主張しているにもかかわらず、です。この論文は、過去10年間で最も重要なプライバシー研究結果のトップ10に入ります」と語る。

「関心事は個人データに含まれるとするGDPR第4(1)項の意味する関心事によってユーザーを特定することができるようです。ただし、こうした処理をどのようにして大規模に実行するのかは明確に示されていませんが(ナノターゲティングのテストは3人のユーザーに対してのみ実行された点を指摘して)」。

オレジニク氏は、この研究はターゲティング広告が個人データ、そして「おそらくGDPR第9項の意味における特殊なカテゴリのデータにも」基づいて行われていることを示していると指摘する。

「これはつまり、適切な保護対策が行われていないかぎり、ユーザーの明示的な同意が必要であることを意味します。しかし、論文の内容から、私たちは、そうした対策は存在しているとしても不十分だという結論に達しました」と同氏は付け加えた。

今回の研究はFacebookがGDPR違反を犯していることを示していると思うかという質問に対し、オレジニク氏は「DPAは調査を行うべきです。その点は疑問の余地がありません」と話す。「技術的には難しい案件かもしれませんが、立件は2日もあればできるはずです」。

我々はこの研究結果をFacebookの欧州DPAで主導的立場にあるアイルランドDPCに知らせ、GDPR違反があるかどうかを判定するための調査を行うかどうか聞いてみたが、本記事の執筆時点では回答がなかった。

マイクロターゲティングの法的禁止に向けて

この論文によってマイクロターゲティングの法的禁止を肯定する論拠が補強されるかという質問に対し、オレジニク氏は、歯止めをかけることは「前進ではある」が、問題はその方法だと答えた。

「全面禁止にする場合、現在の業界および政治環境の対応準備ができているかどうかは分かりません。とはいえ、少なくとも、技術的な防止策は求めるべきです」と同氏はいう。「(Facebookによれば)すでに防止策は講じているということですが、(ナノターゲティングの件については)防止策は存在しないも同然のようです」。

オレジニク氏は、グーグルのプライバシーサンドボックス案に組み込まれているアイデアを一部利用すればすぐに変化が起こる可能性があると提案する。しかし、同案はアドテック各社が競争監視につながるとして不満を表明したため頓挫してしまっている。

マイクロターゲティングの禁止についてクエバス氏に意見を聞くと、次のように答えてくれた。「私の個人的な立場から言わせていただくと、我々はプライバシー保護のリスクと経済(求人、イノベーションなど)とのトレーオフについて理解する必要があるということです。私たちの研究によると、アドテック業界は、個人識別情報(メール、電話、住所など)について考えるだけでは不十分であり、オーディエンスの範囲を特定する(絞り込む)方法についてより厳しい対策を実装する必要があることは明らかです。

「その上で申し上げますが、私どもはマイクロターゲティング(少なくとも数万人規模のユーザーにオーディエンスを限定できる能力と考えます)を禁止することには反対です。マイクロターゲティングには重要な市場が存在しており、そこでは多くの仕事が生まれています。また、必ずしも悪いこととは限らない興味深いことが行われている極めて革新的な分野でもあります。ですから、マイクロターゲティングの潜在能力をある程度制限してユーザーのプライバシーを保護するというのが私どもの立場です」。

「プライバシーの分野で未だに解決されていない疑問は同意だと思います」と同氏はいう。「研究コミュニティとアドテックエコシステムは、(理想的には協力して)十分な説明を行った上での同意をユーザーから得るための効率的なソリューションを作成するために取り組みを進める必要があります」。

大局的な話をすると、欧州では、AI駆動形ツールの法的要件がおぼろげに見え始めたところだ。

EUでは2021年初めに提案された人工知能の高リスクの応用を規制する法律が施行される予定だ。この法律では「人の意識を超えて作用する行動を大きくねじ曲げるためのサブリミナル技術で、その人または別の人に心理的または身体的な害を及ぼすかその可能性のある技術」を展開するAIシステムの全面禁止が提案されている。

そのため、Facebookのアドツールが脅迫や個人の心理的操作に利用されないようにするための適切な保護策を同社がまだ実施していない場合、FacebookのプラットフォームがEUの将来のAI規制のもとで禁止に直面するのかどうかを推測してみるのは少なくとも興味深い。

とはいえ、現時点では、Facebookのターゲティング帝国にとっては、相変わらずもうかるビジネスである。

クエバス氏にFacebookプラットフォームに対する今後の研究計画について尋ねると「次の研究で是非やりたいのは、関心事と他の人口統計情報を組み合わせることでナノターゲティングが『より容易になる』のかどうかという調査です」。

「というのは、広告主がユーザーの年齢、性別、都市(または郵便番号)といくつかの関心事を組み合わせてユーザーに対してナノターゲティングを実行できる可能性が非常に高いからです」と同氏はいう。「こうしたパラメーターをいくつ組み合わせる必要があるのかを知りたいのです。年齢、性別、住所と数個の関心事をユーザーから推測するほうが、数十の関心事を推測するよちもはるかに簡単です」。

このナノターゲティングの論文は2021年12月のACM Internet Measurement Conferenceでのプレゼンテーションとして受理されている。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

韓国のプロップテックRsquareがシリーズCで約82億円調達、東南アジアで事業拡大

韓国の商業用不動産仲介市場は細分化されており、不正確な物件情報、高額な仲介手数料、複雑な事務手続きのために、テナントが新しいオフィスを見つけるのは困難だ。ソウルを拠点とするプロップテックのスタートアップRsquare(アールスクエア)は、テナントが複数の物件を比較してオフィスを探せるよう、プロセスをデジタル化するためにデータ駆動型のプラットフォームを構築した。

RsquareのCEOであるJohnWoo Lee(ジョンウー・リー)氏は、TechCrunchのインタビューで、Rsquareが7200万ドル(約82億円)のシリーズCをSTIC Investmentsから調達したと話した。今回の資金調達により、累計調達額は約9500万ドル(約108億円)になった。

Rsquareは今回調達した資金を、AIを活用したプロップテックプラットフォームの高度化、商業ビルの取引やフルフィルメントセンターの仲介サービスの加速、来年までに従業員を400人に増やすことに使う、とリー氏は述べた。10月時点での従業員数は354人だ。

また、リー氏によるとソウルに本社を置く同社は韓国、そしてシンガポール、ベトナム、インドネシアといった東南アジアのプロップテック分野でさらなる投資を行う計画だ。同社は、2020年にベトナムのプロップテックスタートアップPropzyに、2019年にインドネシアのプロップテックMamikosに投資している。

6月にベトナムにオフィスを開設したRsquareは、2021年11月中にシンガポール、2022年にインドネシアに進出する予定だとリー氏は付け加えた。

2009年創業のRsquareは、スタートアップのオフィス探しを支援するため、2015年にオフィス仲介サービスを開始し、その後、中小企業や大企業向けへとプラットフォームを拡大してきた。2016年には、シリーズBでYahoo Japan CapitalとSoftBank Ventures Asiaから380万ドル(約4億円)を調達したことをきっかけに、オフィスのインテリアデザインサービスを提供する完全子会社Rsquare Designを設立した。

Rsquareの差別化のポイントとして、リー氏は創業以来収集してきたオフィスの家主やテナントの情報を含む商業ビルのデータを挙げる。同社は、韓国の50拠点で12万件以上の商業ビルデータ、ベトナムでは約1万件の商業施設データを蓄積しているという。同社によると、そのリアルタイムなデータベースは詳細な情報を提供し、従来の商業ブローカーに比べて、時間とコストを50%以上削減できる。同社は韓国で、2万1000人以上の顧客に1万件以上のオフィス仲介取引を行ってきた。

パンデミックは世界中の商業用不動産市場に打撃を与えた。Rsquareも同じくパンデミックに見舞われたが、2020年後半から多くの韓国企業がオフィスを再開し始めたため、急速に回復しているとリー氏は話す。同社は、2020年に5520万ドル(約63億円)の売上を計上し、その前の8カ月間の売上高は8500万ドル(約97億円)だった。新型コロナウイルス感染症のロックダウンが緩和されることで、2021年の売上高は2020年の2倍になると予想しているという。

エグジット計画に関しては、同社はすぐには株式公開を予定しておらず、2年以内に実現することはないだろうとリー氏は話した。2年ほど前にWeWorkを含むグローバルな戦略的投資家からM&Aの打診を受けたことがあるが、当時は彼らとのシナジー効果を見出すことができなかったと、M&Aの可能性について聞かれたリー氏は答えた。Rsquareは今後2年間、事業の拡大と海外市場へのさらなる浸透に注力するとも語った。

画像クレジット:Rsquare office in Seoul / Rsquare office in Seoul

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

消えてしまうツイートにサヨナラ、Twitterがウェブ版で新しいツイートの自動読み込みを廃止

Twitter(ツイッター)はウェブ(ブラウザ)版プラットフォームを更新し、ユーザーが新しいツイートを見る方法を変更した。これにより、Twitterはウェブ上のタイムラインを自動的に更新しなくなり、ユーザーが新しいツイートを読み込むタイミングを決めることができる機能が搭載される。Twitterは、これまでユーザーのタイムラインが自動的に更新されると、読んでいたツイートが途中で消えてしまうことがよくあったと認めていた。今回の変更により、ユーザーは自分のタイムラインの上部にあるツイートカウンターバーをクリックすることで、好きな時に新しいツイートを読み込むことができるようになる。

Twitterは9月に、ユーザーがツイートを読んでいる間に消えてしまわないように、ツイートの表示方法を変更すると発表した。なお、TwitterのiOS / Androidアプリでは、ユーザーがアプリを開いたとき自動的にタイムラインは更新されない。その代わり、ユーザーはナビゲーションバーのハイライトされたホームボタンをクリックして、新しいツイートを読み込むことができる。

また、Twitterは最近、2021年初めにモバイルでフルサイズの画像プレビューを導入した後、ウェブでの画像プレビューも自動的にトリミングしないと発表した。ウェブ版のTwitterではこれから、画像はトリミングされることなくフルサイズで表示される。これによりタイムラインに表示される画像の大きさを心配する必要はなくなり、撮影時と同じように表示されることになる。

これらの微調整は、Twitterが自社のプラットフォームを強化し、サービスをより利用しやすくするために行っているものだ。最近では、ユーザーが自分のSpacesへのダイレクトリンクを共有することで、他のユーザーがTwitterにログインすることなく、ウェブ上でライブオーディオセッションを聴くことができる機能を提供している。また、今年初めにカナダとオーストラリアで開始したプレミアムサブスクリプションサービス「Twitter Blue」を、同社は米国時間11月9日に米国とニュージーランドでも提供開始した。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Dragonfly)

ツイッターがスレッドをまとめて共有するアプリ「Threader」を買収

Twitter(ツイッター)は米国時間11月15日、ユーザーがTwitter上で長いスレッドを目にしやすくなるよう、Twitterのスレッドをまとめ、お気に入りを共有できるアプリThreader(スレッダー)の買収を発表した。ユーザーがスレッドに返信し、Threaderのプロフィールをタグ付けし「compile(まとめる)」という言葉を書き込むと、Threaderのボットがスレッドを記事のように読みやすい形式で表示するリンクを作成する。

「我々は、280文字(半角で)という制限の中で、より長い考えを表現するために努力しているTwitterユーザーが共有しているすばらしいコンテンツに気づきました。しかし、そうしたコンテンツは見つけにくく、読みづらいものでした。我々はTwitter上で共有されているこのようなすばらしいストーリーや知識にスポットライトを当てたいと感じていました」とThreaderはブログへの投稿に書いている。

ちょうど先週、Twitterプラットフォーム上でのユーザー体験を向上させる機能を提供する有料サブスクプロダクトTwitter Blueが米国とニュージーランドで始まった。そうした機能の1つがリーダーモードだ。Threaderアプリと同様の機能を持ち、スレッドを邪魔にならない形で表示する。Twitterによると、Threaderの共同創業者Marie Denis(マリー・デニス)氏がリーダー機能の構築に協力したとのことだが、TwitterはThreaderの実際のプロダクトを自社の技術スタックに統合しなかった。

買収の条件は明らかにされていないが、デニス氏はTwitterのLongformチームに加わり、リーダーなどの機能や他の類似プロダクトに携わる。買収の一環としてThreaderは30日以内にサービスを停止するため、同アプリのファンがThreaderのリーディング体験を維持したい場合は、月2.99ドル(約340円)を払ってTwitter Blueに加入する必要がある。

今回の買収は、Twitterが最近行ってきたいくつかの買収の1つに過ぎない。主な買収案件には、ニュースレター・プラットフォームのRevueと、Twitter Spacesの基礎を築いたBreakerがある。そしてTwitterは2021年10月に、グループチャットアプリのSphereを買収したばかりだ。

画像クレジット:Threader

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Spotifyが教育番組「EDUCAST 熱中大学」配信、国内オリジナル番組として初の「ビデオポッドキャスト」形式導入

Spotifyが教育番組「EDUCAST 熱中大学」配信、国内オリジナル番組として初の「ビデオポッドキャスト」形式導入

Spotify

Spotifyは11月15日、その道のプロフェッショナルとして第一線で活躍するZ世代のクリエイターやインフルエンサーたちに、技術やノウハウ、独自の人生哲学などを学ぶ、講義形式のオリジナル教育ポッドキャスト番組「EDUCAST 熱中大学」の配信を開始しました。番組は日本テレビとの協業で作成されているとのこと。

EDUCAST 熱中大学は、国内オリジナル番組として初めて、ビデオポッドキャストのフォーマットを採用したのも特徴です。通常、ポッドキャストは音声のみですが、ビデオポッドキャストは映像も配信。動画コンテンツとしても利用できるというもの。とはいえ、音声がメインであることに変わりはなく、映像を見ずに音声のみでも番組として成立しています。

ビデオポッドキャストは、海外では2020年7月からサポートされているものですが、視覚情報を伴うことで、クリエイターをより身近に感じられると好評を得ているとのことです。

なお、EDUCAST 熱中大学は、Spotifyが提供する音声コンテンツ制作ツールAnchorを利用しており、Anchorに実装されているQ&A機能や投票機能を活用し、リスナーから各エピソードで最も印象に残った言葉を募集するとのこと。

各回3エピソードずつ、隔週月曜日の18時ごろに配信を行うとしています。

(Source:PR TimesSpotifyEngadget日本版より転載)