HBO MaxとDiscovery+が合併、1つのサービスに統合される

先週、Discovery(ディスカバリー)の株主がWarnerMedia(ワーナーメディア)との合併を承認し、米国最大のメディア企業の1つが誕生するというニュースがあったが、この合併が両社の消費者向けストリーミングサービスであるHBO MaxDiscovery+にどのような影響を与えるのかがわかる、ヒントがある。米国時間3月14日朝、DiscoveryのCFOであるGunnar Wiedenfels(グンナー・ウィーデンフェルス)氏は、両社が2つのストリーミングサービスを1つのサービスに統合する計画であることを明らかにしたのだ。しかし、この変更には時間がかかるため、早急に何らかの暫定的なソリューションを提供する予定だ。

具体的にどのようなソリューションになるかは、あまり明確ではない。

ウィーデンフェルス氏は、月曜日に開催されたドイツ銀行の第30回メディア・インターネット・テレコム会議でのプレゼンで「そのため、すぐにでも、バンドルアプローチを準備し、シングルサインオン、コンテンツを他の製品に取り込むなど、早い段階で何らかの利益を得られるよう取り組んでいます」と述べた。

「しかし、主な目的は技術的なプラットフォームを調和させ、非常に強力な消費者直結型の製品とプラットフォームを構築することであり、これにはしばらく時間がかかるだろう」と述べた。また、現在大きなコスト要因となっている、サービスのマーケティングを最適化することで、両社はより直接的な利益を得ることができるようになると同氏は述べている。

430億ドル(約5兆円)規模のこの合併は、米国EUの承認を得て第2四半期に完了する予定だが、新しいWarner Bros. Discovery(ワーナー・ブラザース・ディスカバリー)は、HBO/HBO Max、CNN、Warner Bros. (TV and film studios)、DC Films、TBS、TNT、TruTV、Cartoon Network/Adult Swim、Turner Sportsなどと、従来のケーブルテレビ加入者が知っている DiscoveryのHGTV、Discovery Channel、Discovery+、Food Network、TLC、ID、Travel Channel、Animal Planet、Science Channel、OWNなどを統合した、強力なメディア帝国となることが予想される。この取引が完了すると、新メディア会社はDiscoveryのCEOであるDavid Zaslav(デヴィッド・ザスラブ)氏によって運営され、ウィーデンフェルス氏は引き続きCFOとして統合会社で務めることになる。

今朝のイベントで、ウィーデンフェルス氏は、2つのストリーミングサービスを組み合わせることで、それぞれのサービスが単独で行うよりも、男性と女性の両方の層によりよく届くようになることを示唆した。

画像クレジット:Discovery

「HBO Maxはよりプレミアムで男性向けな位置づけにあり、Discoveryは女性向けです。HBO Maxの出来事中心のコンテンツに対して、Discoveryのコンテンツは日常的に楽しんでいただけるものです。これらを合わせると、老若男女を対象とした四象限で最も完成度の高い製品ができることは間違いないと思っています」と述べている。

また、ウィーデンフェルス氏は、長期的な戦略として、サービスをバンドルするのではなく、組み合わせるという決断に至った同社の考え方について、さらに詳しく説明した。Disney(ディズニー)がこれまでバンドルで成功してきたことを認めながらも、同社は「20万時間のコンテンツポートフォリオ」を含む「完璧な火力」を、価値あるタイトルと迅速に投入する新しいタイトルと、1つのソリューションにまとめることが競争力を高めるための最善の方法だと考えるようになったという。

この2つのサービスは、2021年末までにHBO Maxが全世界で7380万人Discovery+が2200万人に達するなど、すでに単独でも確かな加入者数を誇っている。

HBO MaxとDiscovery+がすでにそのモデルで成功を収めているように、最終的に登場する統合サービスも、広告サポートと広告なしの層を提供する可能性が高いとCFOは指摘している。

「これは、我々にとって非常に効果的です。Disneyも同じ結論に達したと聞いてうれしく思いました」とウィーデンフェルス氏は語った。「プレミアム価格を支払ってもいいという層があります。もう1つは、もっと安い価格がいい、広告なんて気にしないという人たちです」このようなユーザーは、驚くことに数分の広告を本当に迷惑なものだとは思っていないという。

「そのため、私たちが市場に出てくる時は、そのような構造になる可能性が非常に高い」と述べた。

同社によると、このサービスを市場に投入するタイミングは、数週間ではなく数カ月かかるというが、数年ではなく数カ月で実現したいとのことだ。

今後のサービスの価格はまだ不明だが、HBO Maxは広告付きで月額9.99ドル(約1170円)、広告なしで月額14.99ドル(約1760円)、Discovery+は広告付きで月額4.99ドル(約580円)、広告なしで月額6.99ドル(約820円)となっている。

この合併に先立ち、ストリーミングの世界では、エコシステムの競争力向上が既存企業に影響を与えているようで、少しずつ整理がされてきている。例えば、Netflixはここ数年来、加入者数の伸びが低下している。同社は現在、加入者を増やし、維持する方法として、モバイルゲームの追加を通じてサービスの付加価値を高めようとしている。一方、Disneyは、Hulu/Disney+/ESPN+のバンドルサービスをより魅力的なものにし、一部の高価なアドオンをコアバンドルの一部とすることで加入を促進している。また、Paramount+は、この夏からShowtimeを直販サービスに加え、サービスを統合することを決定した。

画像クレジット:Presley Ann/Getty Images for WarnerMedia

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

メタ、南アフリカで独占禁止法違反の疑いで起訴される

Meta(メタ)は、南アフリカの競争規制機関である競争委員会(Competition Commission)が、政府のスタートアップであるGovChatと#LetsTalkが同社のWhatsApp Business APIを使用することを阻止する意図が競争的でないと判断したため、起訴の危機に直面している。

2021年3月から同社に対する不公正行為の申し立てを調査してきた同委員会は、支配的地位の濫用や制限的慣行に関する苦情を裁定する競争審判所(Competition Tribunal)にMeta(旧Facebook)の起訴を付託した。

その付託の中で、規制当局はMetaに「最大ペナルティ」である米国企業の現地での売上高の10%の罰金を払わせるよう勧告している。

同委員会は、Metaが「2020年7月か同時期」に、GovChatと#LetsTalkが同社のWhatsApp Business APIを使用できないようにすると脅したと主張している。さらに、Metaはスタートアップによるデータ使用について不当な制限を課し、Metaの製品と競合する可能性のある新製品やサービスを革新して開発する能力を制限したと付け加えている。

「……WhatsApp Business APIへのアクセスを規定する規約は、GovChatがもたらす潜在的な競争や、Facebookが新しいサービスや製品の開発を可能にするために取得した膨大なデータなどの面でFacebookを保護し、競争から遮断するために設計されています」と規制当局は声明で述べている。

GovChatは、WhatsApp Business APIを使用してリアルタイムのコミュニケーションを促進する市民エンゲージメントプラットフォームとして、南アフリカ政府によって2018年に立ち上げられた。現在、政府のデータによると、870万人のアクティブユーザーを抱え、5億8200万件以上のメッセージを処理している。

GovChatは、道路の穴などの市民問題に関する警告や苦情の発信源となっているほか、新型コロナのパンデミック時の救難支援など、社会保障の申請処理に政府によって利用されてきた。GovChatのプラットフォームを通じて、これまで1330万件以上の申請が提出されている。

今回の送検は、南アフリカを含むアフリカ5カ国の競争監督機関が、アフリカのデジタルプラットフォームの出現と拡大を制限する障害に対する共同行動を促進することなどを議題とする覚書に署名した数日後に行われた。この合意の他の締約国は、エジプト、ケニア、モーリシャス、ナイジェリアである。

MetaはTechCrunchに送った声明の中で「WhatsApp(ワッツアップ)が市場から企業を排除しようとしたり、反競争的行為を行ったことを示す証拠はない」と述べ、一方でGovChatは「当社のオンボーディングプロセスを経ずにWhatsApp APIに組織を登録することにより設定条件に違反した民間企業です。これは、当社サービスの利用を希望するすべての組織に要求されるもので、当社のサービスを誰が利用しているかを把握し、組織が当社のプライバシー保護方針に同意していることを意味します。WhatsAppは、独自のWhatsApp Business APIと世界中のユーザーの利益を守るために、あらゆる合理的な手段を講じる権利を擁護します」と述べている。

また、南アフリカのWhatsApp広報担当者は次のように述べた。「WhatsAppは、信頼できる情報源から重要な情報を人々に提供するのに役立っており、南アフリカ国民と政府をつなぐ役割を担っていることを認識しています。だからこそ、国際的に認められた規制基準を遵守してGovChatと協力し、このサービスを提供したいのです」。

「ですが、GovChatは、国民とその情報を保護するために作られた我々のポリシーに従うことを繰り返し拒否し、国民よりも自らの商業的利益を優先させることを好んでいます。我々は、WhatsAppを悪用から守り、ユーザーを保護し続けます」と広報担当者は述べている。

世界的に見ても、Metaは反競争的な行為の可能性があるとして、さまざまな監視の対象となっている。つい先週、欧州委員会は、MetaとGoogle(グーグル)の間のオンラインディスプレイ広告サービスに関する協定(コードネーム「Jedi Blue」)がEUの競争規則に違反しているかどうかを評価するため、正式な反トラスト調査を開始した。

2018年9月のJedi Blue契約は、MetaのAudience NetworkがGoogleのオンライン広告枠入札プログラム「Open Bidding」に参加できるようにしたもので、この動きは他のアドテクサービスプロバイダーを排除して「オンラインディスプレイ広告の市場における競争を歪め、パブリッシャー、ひいては消費者に不利益を与える可能性がある」と欧州委員会は指摘している。

一方、米連邦取引委員会は、ソーシャルメディア大手のMetaが、約10年前にInstagram(インスタグラム)とWhatsAppを買収するなど、反競争的行為によってSNSの独占を違法に維持しているとして、メタを違法独占で提訴している。

本記事はMetaからのコメントを含め更新された。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Annie Njanja、翻訳:Den Nakano)

Google Cloudが大幅値上げ、2022年10月1日から実施

クラウドインフラのレンタル料金は、通常時間が経つにつれて安くなるが、米国時間3月15日、Google Cloud(グーグル・クラウド)がその流れに逆らって、多くのコアサービスで大幅な値上げを発表した。この値上げは、Googleが「より柔軟な価格モデルとオプション」を提供したいとの名目で発表したもので、2022年10月1日から実施される予定だ。もちろんほとんどの開発者は喜んでいない

悪いニュースばかりでもない。Googleの米国、欧州、アジア地域のアーカイブストレージの一部が値下げされ、より低価格のPersistent Diskアーカイブスナップショットオプションも登場する。また「Always Free Internet」(オールウェイズ・フリー・インターネット)の容量を1GB/月から100GB/月に引き上げる。

しかし、マルチリージョンのNearline(ニアライン)ストレージなど、ストレージの中核機能の多くは50%値上げとなる。Google CloudのColdline Storage Class A(コールドライン・ストレージ・クラスA)の利用料金は、1万オペレーションあたり0.10ドル(約12円)から0.20ドル(約24円)へと倍増となる予定だ。また、複数のリージョンに配置されたCloud Storageバケットから同じ大陸のリージョンにあるサービスのデータを読み出すことはこれまで無料だったが、今後は同じ大陸にあるGoogle Cloudのロケーション間で行われる他のデータ移動と同じように課金対象となる。

ロードバランシングもまた、0.008ドル(約0.94円)から0.012ドル(約1.42円)の「データ送信処理料金」をGoogleが適用することによる値上げが行われる(地域によって料金は異なる)。Googleは、これで他の主要なクラウドプロバイダーと価格を揃えることができるという。

同社のFAQにはこう書かれている「Google Cloud は、ビジネスを変革するための革新的なソリューションを、顧客志向の一貫した方法で提供しています。従量制の料金体系により、お客様はご利用になるサービスに合わせたコストでご利用いただけるようになります。また、お客様は主要なクラウドプロバイダーとのサービスをより簡単に比較することができるようになります」。

他の大手クラウドプロバイダーのマーケティングチームは、この発表に大喜びだろうが、大量のデータを動かすのは大変なことだ。データの重力が話題になるのには理由がある。これは、顧客の流出を恐れることなく価格を引き上げることができる分野の1つだからだ。

発表の文言はきれいに飾られているが、Googleはこれらの変更がもたらす影響を明確に認識している。FAQに書かれた、顧客は「アプリケーションを新しいビジネスモデルに合わせ、価格変化の影響の一部を和らげるために、現在の利用方法を適応させる必要があります」と書かれていることがそれを物語っている。

Google(特にGoogle Cloud)は、顧客がサービスに依存しているにもかかわらず、ほとんど無作為にサービスを停止するという世間の認識にすでに苦しめられている。その認識に、無作為に値上げを行うという認識も新たに加わった。同社が設定した野心的な成長目標を達成するために、セールスチームは残業を余儀なくされそうだ。

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

南紀白浜空港でHoloLens 2利用のスマートメンテナンスや複数ロボットの協調制御による来訪者案内などローカル5G活用実証

南紀白浜エアポート日本電気(NEC)、THKオリエンタルコンサルタンツは3月14日、和歌山県南紀白浜空港においてローカル5Gなどのテクノロジーを活用し様々な課題解決を図る実証実験を実施すると発表した。

また、日本マイクロソフト凸版印刷が協力し、MR(複合現実。Mixed Reality)やロボットによる新技術・新サービスを試行する。今回の実証実験により、地方の業務環境創出と来訪者増大を目指す。実証期間は2023年3月31日まで。

実験は3種類あり、南紀白浜空港の空港ターミナル内と航空機の駐機場所(エプロン)、滑走路周りの場周道路を対象に行われる。これらの場所において、4.8~4.9GHzを利用する固定型と可搬型のローカル5G基地局を活用し、高速大容量・低遅延なローカル5Gネットワークを構築する。

HoloLens 2を利用したスマートメンテナンス

Microsoft HoloLens 2、NECの点群データ活用侵入検知技術、ローカル5Gの大容量通信を組み合わせて制限表面を樹木などが超えていないか分析・検知し、点検者のHoloLens 2に表示を行い点検時の見落としを防ぐ。制限表面とは、航空機の安全な航行を目的として飛行場の周辺空間に設定される面のこと。また路面劣化などの点検時は、HoloLens 2上で現実空間に過去の点検記録を重ね合わせて表示し、目視よりも作業時間を短縮し確認の効率化を目指す。熟練労働者の技術力継承の一助とし、生産性が高い業務環境創出を実現する。

制限表面を超えた樹木を検知した際のHoloLens 2の映像

制限表面を超えた樹木を検知した際のHoloLens 2の映像

複数ロボット協調制御による来訪者案内・デジタルサイネージ広告

THKのサイネージロボットとNECの複数ロボット協調制御技術を活用し、空港内を2台のロボットが協調連携しながら分担して来訪者を目的地まで案内する。案内後は移動型デジタルサイネージによる宣伝広告に切り替わる。加えて、ローカル5Gネットワークを利用しロボット搭載カメラから映像を取得することで、オペレーターが遠隔地からロボットを操作し案内することも可能。これにより、案内スタッフのテレワークの実現と、省人化・無人化されたサービスや業務の柔軟かつスピーディーな開発・社会実装に大きな役割を果たすとのこと。

1台目のロボットから2台目のロボットに案内を引き継ぐ様子

1台目のロボットから2台目のロボットに案内を引き継ぐ様子

MR空間でペイントしたオリジナル飛行機の着陸見学

南紀白浜空港では、バックヤードツアーとして、滑走路の間近からの航空機の離発着見学など普段は立ち入ることのできない空港の裏側を巡る体験ツアーを実施している。このツアーのコンテンツ拡充を見据え、ローカル5Gの低遅延・リアルタイム伝送という特徴とMR技術とを活用し、新たな観光体験を提供する新サービスの実証を行う。

6社は、将来的にHoloLens 2などMRデバイスにおける現実空間とデジタル空間の位置を調整する方法の高度化や、複数ロボットの協調制御機能を空港・他業種のソリューションに応用するなど、今後もローカル5Gを活用し南紀白浜空港の魅力を向上させ、生産性が高く働きがいのある業務環境の創出、来訪者の増加という課題解決を目指す。

研究成果の迅速な公開とオープンサイエンス推進に向け、本格的プレプリント(査読前論文)サーバーJxivが3月24日公開

研究成果の迅速な公開とオープンサイエンス推進に向け、日本初のプレプリント(査読前論文)サーバーJxivが3月24日運用開始

科学技術振興機構(JST)は3月11日、査読前の研究論文(プレプリント)を公開するためのプレプリントサーバー「Jxiv」(ジェイカイブ。https://jxiv.jst.go.jp/)の運用を、2022年3月24日から開始すると発表した。arXiv(アーカイブ)をはじめ、プレプリントの公開が世界的な流れになっていることから、JSTは、研究成果の迅速な公開とオープンサイエンスの推進を目指してJxivを構築した。

研究論文を発表するには、学術誌に投稿し、査読や修正を経て掲載され、一般に公開されるという流れになる。しかし、査読や修正には長くて数年の時間がかかることもある。そのため研究成果をいち早く公開して研究コミュニティーに貢献しようと、プレプリントを公開する研究者がいる。それがこのコロナ禍で研究成果の早急な共有が求められるようになり、プレプリントの公開が急増したという。一方、日本にはプレプリントを公開できる本格的なサーバーがなかったため、世界に比べてその公開数は少なかった。

Jxivには、自然科学、人文学、社会科学、学術融合領域などすべての研究分野のプレプリントを、国内外から投稿できる。論文は日本語でも英語でも構わない。ただし投稿には、研究者のための識別コード「ORCD」と、JSTが運営する研究者用情報データベース「researchmap」のIDを所有していることが条件となる。

投稿されたプレプリントは、スクリーニングを経て、論文や研究データの国際的な識別子「DOI」(Digital Object Identifier)と、再利用のためのライセンス条件が付与され、オープンコンテンツとして公開される。学術誌から出版されるまでの間に改版することも可能。学術誌で査読付き論文として出版・公開された後もJxivでの公開は継続される。プレプリントの投稿、公開、閲覧はすべて無料(閲覧の際には、専門家の査読を経ていない点に注意)。

学術誌から出版される前に研究成果を公開できるようにすることで、「研究者自身の研究が加速するだけでなく、研究コミュニティー全体の活性化も期待できます」とJSTは話している。

ロシア、脅迫どおりInstagramのアクセスをブロック

ロシアは現地時間3月14日、Meta(メタ)傘下のInstagram(インスタグラム)をブロックするという脅迫を実行し、同国のユーザー数千万人へのアクセスを遮断した。

ロシアではInstagramは人気だ。Sensor Towerのデータによると、Metaのアプリの中で、ユビキタスなメッセージングサービスWhatsApp(ワッツアップ)に次いで2番目に人気がある。2014年以降、ロシアのApp StoreとGoogle Playで合わせて1億6600万回インストールされていて、Facebook(フェイスブック)の3倍人気がある。

ロシア政府は48時間の「移行期間」を経てInstagramへのアクセスを制限すると同国の検閲機関Roskomnadzorが発表した後、InstagramのトップAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は同国の8000万人に影響を与えるロシアの行動を非難した。

「ご存知のように、Meta Platforms Inc.は3月11日、同社のソーシャルネットワークFacebookとInstagramにロシア市民に対する暴力の呼びかけを含む情報の投稿を許可するという、前例のない決定を下しました」とRoskomnadzorは3月11日のブログ記事で、Metaがロシア人に対する暴力を助長したと非難している。

ロイターは先週、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえてMetaがコンテンツポリシーを密かに調整し、ウクライナ国内でのロシア兵に対する暴力の呼びかけを認めていると報じた

同社のグローバル問題担当のNick Clegg(ニック・クレッグ)社長は、このポリシーの変更を「自衛の表現としての言論に対する人々の権利を守る」ための一時的な変更と位置づけ、これを擁護した

「事実、もし私たちが何の調整もなしに標準的なコンテンツポリシーを適用した場合、私たちは今、侵攻する軍に対する抵抗と怒りを表現する普通のウクライナ人のコンテンツを削除することになり、それは当然受け入れ難いとみなされるでしょう」とクレッグ氏は書いている。

ロシア政府によるInstagramの制限は厳しいように聞こえるが、経験豊富なユーザーはブロックされた同アプリにアクセスするためにVPNとTorを使って自分の位置情報を隠す方法を見つけることができる。Twitter(ツイッター)は先週、ロシアの規制を考慮して独自の検閲回避策を開始し、ユーザーを専用Torバージョンに誘導している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

「東京ガールズコレクション」の世界観を完全再現した公式ファッション・メタバース「バーチャルTGC」が正式公開

「東京ガールズコレクション」の世界観を完全再現した公式ファッション・メタバース「バーチャルTGC」が正式公開IMAGICA EEX(イマジカ イークス)と、ファッションフェス「東京ガールズコレクション」(TGC)を企画・制作するW TOKYOは3月14日、TGC公式メタバース「バーチャルTGC」の本格ローンチを発表した。両社共同開発のもと2021年β版として公開していたもので、本日Android版iOS版アプリを公開した(開発プラットフォームはLUDUS)。3月21日開催の「東京ガールズコレクション 2022 SPRING/SUMMER」をバーチャル空間でも体験できるとしており、生配信などを行う予定。

バーチャルTGCは、従来リアル会場で公開していたファッションショーやアーティストライブの熱狂、話題のアイテムを試用できるブースなど、TGCの世界観を3Dバーチャル空間に再現したというもの。また、バーチャル空間ならではのアトラクションやスペシャルイベントなど、様々なコンテンツを追加した「リアルより楽しいかもしれない」メタバースアプリとしている。「東京ガールズコレクション」の世界観を完全再現した公式ファッション・メタバース「バーチャルTGC」が正式公開

空間内では、「ロビーエリア」「ステージエリア」「VIPラウンジ」の3エリアを用意。ロビーエリアでは、ブースやSNS映えスポット、アトラクションなど様々な体験コンテンツを設置。ステージエリアには巨大スクリーンが設置され、リアル会場のバーチャルTGC専用カメラによる独自アングル映像で、臨場感の高いスペシャルパブリックビューイング(生配信)を実施するという。またVIPラウンジは、空間内に隠された5つの鍵を集めると入室可能になる。VIPラウンジ限定のイベントも開催。「東京ガールズコレクション」の世界観を完全再現した公式ファッション・メタバース「バーチャルTGC」が正式公開

ユーザーは、今季のトレンドを取り入れた、ファッション・メタバースならではのスタイリングやヘアスタイルのアバターから好みのものを選択して参加可能。また今回より、細かく顔のパーツをカスタマイズでき、自分だけのオリジナルアバターを作れるようにした。「東京ガールズコレクション」の世界観を完全再現した公式ファッション・メタバース「バーチャルTGC」が正式公開

毎日のログインや巨大迷路クリア、ブースに設置されたガチャなどで入手できる「デジタルコイン機能」を新たに追加。集めたデジタルコインはロビーエリアに設置されたITEM SHOPで使用可能。アバターの洋服やアクセサリーなどを購入できる。「東京ガールズコレクション」の世界観を完全再現した公式ファッション・メタバース「バーチャルTGC」が正式公開

YouTubeがロシア国営メディアを世界的にブロック

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対応するポリシーをさらに拡大し、YouTube(ユーチューブ)はクレムリンの支援を受けたメディアを、欧州だけでなく世界的にブロックすると発表した。欧州では現地時間3月2日以降、ロシア国営メディアであるRT(旧ロシア・トゥデイ)とSputnik(スプートニク)、およびその子会社が、欧州連合(EU)による制裁として、放送や配信を禁じられている

このコンテンツをブロックするYouTubeの措置はいかなる法的義務をも上回るものだが、まったく前例がないわけではない。Apple(アップル)はウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相から要請を受け、世界中のApp Store(アップ・ストア)からRTとスプートニクのアプリを引き上げた。フェドロフ副首相はアップルのTim Cook(ティム・クック)CEO宛に、ロシアでのデバイス販売の停止とApp Storeへのアクセスを完全に遮断することを求める書簡を送っているアップルはロシアでの製品販売も停止した)。

つまり、YouTubeの文言は、EUが制裁した(合計で)6つのRTとスプートニクの事業を禁止するよりも、さらに進んでいく可能性を示唆しているということだ。同社は現在「ロシアの国営メディアとそれに関連するYouTubeチャンネルへのアクセスを、全世界的にブロックしている」と書いている(なお、TechCrunchでは禁止の範囲についての明確化を同社に求めているところだ)。

YouTubeがツイートで発表したポリシーの更新によると、ロシアの国営メディアに対するYouTubeのブロック拡大は「直ちに実施」されるものの、この変更が有効になるまで時間がかかる可能性があると注意を促している。同プラットフォームは「システムの立ち上げには時間がかかることが予想されます」と書いている。

もう1つの新たなステップとして、YouTubeはそのコミュニティガイドラインにある特定のポリシーから、ウクライナに焦点を当てた執行を実施するという。それは「十分に立証されている暴力事件」を、否定、軽視、または些細なものとして矮小化するコンテンツを禁止する規定だ。「私たちは現在、このポリシーに違反するロシアのウクライナ侵攻に関するコンテンツを削除しています」と、YouTubeは述べている。

ここまで執行を強化することは、おそらく初めてであり(ポリシー自体は新しいものではないが)、これはウクライナ国内で起こっていると報じられている現実を否定するため量産され、急速に流布されているロシアのプロパガンダに対応することを意図しているものと思われる。

例えば、ウクライナ南部の港町マリウポルがロシア軍に砲撃され、産科・小児科病院が爆破された最近の事件では、ロシアのメディアはすぐに陰謀論の標的にして、写真や動画に写った犠牲者が俳優であるとか、怪我をした演技をしていると示唆した。さらに、ウクライナ軍兵士の大隊が狙撃位置についたため、病院から患者や職員がいなくなり、病院そのものが正当な標的となったという、同じ様な偽りの主張も行っている。

TechCrunchは、この執行発表に関するより幅広い背景についても、YouTubeに質問を送っている。

YouTubeは、ウクライナ関連の措置を講じた最近の更新を実施して以降、ヘイトスピーチポリシー、誤報に関するポリシー、映像コンテンツなど、多くのポリシーに違反しているとして、1000以上のチャンネルと1万5000以上の動画を削除したと発表している。

また、YouTubeは戦争に関する「質の高い」情報を増幅させる、つまりクレムリンのプロパガンダよりも真実の報道が優先されるようにするという、以前発表した施策の進捗を示したいとも考えている。ユーザーをこのコンテンツに誘導する(ホームページのニュース速報と「トップニュース」セクションを通じて)変更を行って以来、ウクライナの「信頼できるニュースソース」の視聴回数は約1700万回を超えたと述べている。

ロシアのYouTubeユーザーを対象とするさらなるステップで、YouTubeは同国のYouTube広告およびGoogle(グーグル)広告を一時的に停止した措置を拡大し、ロシアのユーザーが同プラットフォーム上で収益化できる方法のすべてをカバーするようにした、つまり収益を生み出す機会をすべて断ち切ったことも認めた。これまでYouTubeは、ロシアのユーザーにいくつか収益化するための選択肢を残していた。

Googleはまた、ロシアの銀行を標的とする西側の制裁措置によって生じた「決済システムの混乱」を理由に、ロシアにおけるGoogle Play(グーグル・プレイ)ストアでの課金や、YouTubeの支払いシステムを一時的に停止すると、米国時間3月10日に発表している

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「アニメとコミックとゲーム」好きのためのバーチャルソーシャルアプリ「MEW」が米国でコミックファンを魅了

MEWの北京のオフィス。社員たちはアニメとコミックとゲーム(ACG)のファン

Raven Gao(レイヴン・ガオ)氏は、メタバースの波に乗るために「MEW」というバーチャルのソーシャルプラットフォームをつくったのではなかった。彼はTencentにいた人と一緒に、2019年半ばにMEWを作り始めたが、それは彼自身のような、人付き合いがヘタで内向的な者のための、バーチャルな安息所を作りたかったからだ。

MEWのインターフェースを初めて見た人は、戸惑うかもしれない。しかしこのアプリ独特の言葉遣いやグラフィクスは、「アニメと漫画とゲーム(ACG)」好きたちのサブカルチャーに明確にアピールするものだ、とガオ氏はいう。キュートなアニメ風の画像と柔らかい色遣いがアプリを飾り、コマンドボタンの言葉はACGファンにとっておなじみの用語だ。たとえば「signup」(ユーザー登録をする)ではなくて「create your traveling file(あなたの旅のファイルを作る)」となっている。ユーザーは、他のユーザーが管理しているDiscordに似たデザインの「本拠地」と呼ばれる関心別のハブで対話をする。MEWという名称は「Members of the Excellent World(すばらしい世界の仲間たち)」の略だが、ファンタジー好きたちの仲間意識が溢れている。

MEWの最初のバージョンは2020年の半ばにローンチされ、その広がりは今でも大きくはない。毎日のアクティブユーザーは数万人だが、滞在時間は平均100分間と長い。ゲームや映画やアニメなど、自分の関心のハブに住み着くことになるが、自己改善やフットボールなど、作品の固有名詞ではなく普遍的な話題もある。

シリコンバレーのMakers Fundが2020年初めにガオ氏に関心を示したが、当時中国の投資家たちの多くは、この創業者のことをTencentのような大手がすでに支配する業界で新たなソーシャルネットワークを作ろうとしている「変人」だと考えていた。2021年にはメタバースが米国でも中国でもブームになり、MEWの親会社であるTrophにも、突然自国の投資家たちが殺到した。

Trophは2021年末に、中国の5Y CapitalとZoo Capitalから資金を調達し、資金の調達総額が1000万ドル(約11億7000万円)ほどになったが、同社はこれまで資金の額を発表していない。

MEWアプリのスクリーンショット

現在、バーチャルな世界とメタバースを作るというスタートアップが氾濫している。しかしながら、それらの一部はリアル世界を模倣する、バターを使ったソーシャルプラットフォームであるにすぎない。そして、それら以外は少しソーシャルな部分があるゲームにすぎないとガオ氏はいう。

対照的にMEWでは、自分のオンラインにおける分身を誠実、正直かつ快適に生きることが求められる。

共同創業者のQiang Li(チャン・リ)氏は、中国のPC時代に最も人気のあったソーシャルネットワークであるTencentのQQに5年間在籍し、メッセンジャーのiPad版のフロントエンドチームを率いていた。現在でもQQは、ゲーム化された機能を多く持ち、中国の若者の間で大きな人気を誇っている。

MEWはまだマネタイズを始めていないが、ガオ氏は、広告やサブスクリプションや寄付といった従来のソーシャルネットワークにおける一般的な収益化のではない方法をとりたいと考えている。ユーザーを巻き込み、収入を共有するような方法が彼の狙いだ。

「ユーザーが私たちのプロダクトに貢献できて、報酬をシェアできる方式を探求したい」とガオ氏いう。

そのようなインセンティブの仕組みとして、当然ブロックチェーンがその候補として思い浮かぶが、ガオ氏によると、短期的にはコインの発行やブロックチェーンの採用はしないという。

Trophの2022年における目標は米国進出で、中国と同じく、ゲームやアニメのファンの心を捉えたいとのこと。現在、中国に約30名のスタッフがいるが、米国のスタッフは現地で精力的に雇いたいという。

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ロシアがインスタグラムをブロックすると発表

ロシア政府はInstagram(インスタグラム)へのアクセスを制限すると発表した。同国がウクライナ侵攻以来、海外の主流テックプラットフォームを標的とした最新の国家規制となる。

ロシアは、ロイターが先に報じた、Meta(メタ)によるヘイトスピーチポリシーの変更が原因だと非難している。

だがこれは、プーチン氏がデジタル情報圏に対する支配力を強め続け、ロシア市民が国家のプロパガンダを迂回して戦争に関する検閲されていない情報にアクセスするのを阻む動きと一貫している。例えば、ロシア軍に関する独立した報道を犯罪とする新法(「偽」の情報を広めた者には最高で15年の懲役の脅威が伴う)が可決されている。

ロシア政府はInstagramのブロックを発表した声明の中で、インターネット規制当局Roskomnadzorが、Meta傘下の写真共有サイトであるInstagramへの「アクセスを制限する」と述べた。このプラットフォームが、兵士を含むロシア国民に対し「暴力行為を行うよう呼びかける内容を含む情報資料」(機械翻訳による翻訳)を広めるために使われているとある。

ロシア連邦検察庁の要求に基づき、ロシア連邦のInstagramソーシャルネットワーク(Meta Platforms, Inc.が所有)へのアクセスが制限されることになりました。

Instagramのソーシャルネットワークは、兵士を含むロシア連邦の市民に対して暴力行為を行うよう呼びかける内容を含む情報資料を広めています。

本稿執筆時点で、ロシア国内のある関係者は、Instagramのアプリはまだアクセス可能だと話した。しかし、同筋は「すべての携帯電話事業者とインターネットプロバイダーがブロックするまでに、通常数日かかる」と指摘した。

ロシア国内ではすでにFacebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)が規制の対象となっていたが、同国で非常に人気の高いInstagramはこれまで規制の対象として名前が挙がっていなかった。

Instagramのロシア国内でのユーザー数は約6000万人とみられている。

Facebookは2月25日、ロシア国内で「部分的」な規制を受けた。同プラットフォームは以前、多くの国営メディアへのアクセスを制限していた。

同じ頃、Twitterのユーザーからもサイトへのアクセスに関する問題が報告された。同社はその後、ロシアのユーザーによるサービスへのアクセスが「困難」だという報告があったことを認め、完全なアクセスを回復するために取り組んでいることを明らかにした。

Twitterはそれから専用の「Tor onion」サービスを開始した。国家の検閲を回避して同社のネットワークにアクセスしようとする人のための回避策を提供している。 Facebookは2014年からTorサービスを提供している。

Instagramに対するロシアの動きは、Metaによるポリシー変更に続くものだ。Metaのポリシー変更は、人権上の理由(国連からの指摘を含む)で多方面からの批判に直面している。

ロイターは3月11日、Metaがウクライナ戦争を踏まえ、一部の国のユーザーが一部のロシア人に対する暴力を呼びかけることを一時的に許可したことを確認したと報じた。つまり、Metaが標準としているヘイトスピーチに関する規約を一時的に停止したということになる。

「ロシアのウクライナ侵攻の結果、『ロシアの侵略者に死を』といった暴力的な言論のような、通常は規則に違反する政治的表現を一時的に許可した」と、Metaの広報担当者はロイターに声明を出し、さらに次のように述べた。「ロシアの民間人に対し暴力を求める信憑性を伴う呼びかけは、依然として認めていません」

ロイターが確認したコンテンツモデレーターへの内部メールには、ロシアのプーチン大統領やベラルーシのルカシェンコ大統領に向けられた殺害予告も許可される、ただしその予告が他の人も標的にしている、または追加の「信憑性の指標」(場所や方法など)を含んでいる場合は別だと明記されている。

Instagramの制限を発表したRoskomnadzorの声明は、ヘイトスピーチポリシーの変更に関するMetaの広報担当による発表(ロシア政府はAndy Stone=アンディ・ストーン氏を名指しで特定)を引用し、ポリシー変更により多くの国の住民が「軍人を含むロシア市民に対する暴力の要求を含む情報を投稿」できると主張している。

Meta傘下の別のプラットフォームであるメッセージングアプリのWhatsApp(ワッツアップ)が同様の規制に直面するかどうかは明らかではない。

WhatsAppはコメントを控えた。しかし、開かれたソーシャルネットワークではないため、ロシア当局の扱いは異なるという報道もある。

しかし、ロシア政府はある点でさらに踏み込んだのは確かだ。これと並行して、国家調査委員会は3月11日、ロシアでMetaとその従業員に対して刑事告訴したと発表した。どうやら、反テロ法を徹底的に活用して、同社を「過激派組織」(「ロシア連邦の市民に対する殺人と暴力の違法な要求」と表現している)に指定するようだ。

「そうした行為には、ロシア連邦刑法第280条及び第205条第1項(過激派活動の公募、テロ活動の援助)に基づく犯罪の兆候も含まれます」と、ロシアの調査委員会は3月11日、Metaの暴力行為を認めるポリシー変更に言及した。

「刑事事件の一部として、アンディ・ストーン氏とアメリカ企業の他の従業員の行動を法的に検討するため、必要な調査措置が実施されている」と付け加えている。

ロシアには長い間、プーチン政権の批判者に向けられ、自己検閲を促すような強硬な「反テロ」法がある。

2016年の改定では、「過激派」に対する最高刑が4年から8年に引き上げられた。例えば、ウクライナへのロシアの関与に批判的なソーシャルメディア利用者に対して、この罪がますます問われるようになったとGuardian(ガーディアン)は当時報じている。

ロシアは現在、米国を拠点とするストーン氏、そして潜在的には他の無名のMeta従業員に対して、過激派だとして告発するつもりのようだ。

明らかに、ロシアにいるMetaのスタッフは、逮捕や拘留の最大のリスクに直面している。主要なグローバルプラットフォームがトップダウンで適用する中央集権的なポリシー決定に伴う、非常に現実的な現場レベルでのリスクが、改めて浮き彫りになった。

MetaとInstagramに対し、この最新の動きについてコメントを求めている。

更新:InstagramのAdam Mosseri(アダム・モセリ)CEOは、8000万人のロシア人に影響を及ぼすと示唆した禁止令を「間違っている」とし、ツイートで反論した。

MetaのNick Clegg(ニック・クレッグ)社長も、ロシアが同社を過激派組織として指定する計画を非難した。Twitterに投稿した声明で、ウクライナ国内でロシアに対するヘイトスピーチを一定程度認めるポリシー修正は、「自国への軍事侵攻に対する自衛の表現としての言論の権利」を守るために必要だと弁明している。

「私たちは、ロシア恐怖症や、私たちのプラットフォーム上でのロシア人に対するいかなる差別、嫌がらせ、暴力も容認しません」とクレッグ氏と付け加え、ポリシーの変更は「一時的」であり「異常で前例のない状況下で行われた」と述べた。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Netflix、Disney+の発表を受けても広告付きオプションはまだ計画にないと述べる

Disney(ディズニー)は先週、同社のストリーミングサービスのDisney+に広告付きの定額制を導入する計画を発表したが、Netflix(ネットフリックス)は、自社の顧客向けに同様のオプションを用意することは当面の間、考えていないとしている。今週開催されたMorgan Stanely(モーガン・スタンリー)のテクノロジー・メディア・テレコム・カンファレンス で、NetflixのCFOであるSpencer Neumann(スペンサー・ノイマン)氏は、Netflixは必ずしも広告に反対しているわけではないが、広告付きモデルに傾倒することは「我々の計画にはない」と説明している。

この役員に投げかけられた質問は、Netflixがサービスのエントリープライスポイントを下げる方法として、広告の利用を考えられるかどうかというものだった。そうすれば、Netflixが価格に対してより敏感な市場を含む、よりグローバルな市場で地位を確立しようとする際に、Netflixの競争力を高めることができるだろう。例えば、Netflixが最近会員価格を下げたインド市場などだ。

しかし、ノイマン氏は、Netflixは「長期的な収益の最適化」に注力しており「会員にとってすばらしい体験となるような方法でそれを実現したい」と、同社の現在のサブスクリプションモデルを擁護している。

広告を導入することで、確かにサブスクリプションの料金が下がり、その結果、より多くの登録者が集まるかもしれないが、エンドユーザーの体験が損なわれる可能性もあるというのが、ここでの基本的な考え方のようだ。もちろん、CFOは、Netflixの計画が変更された場合に備えて、少しヘッジをかけ、もし同社が優れたユーザー体験を提供するという目標を達成できる広告付きスペースで活動する方法を見出したら、おそらくそうするだろうとも付け加えた。「決して絶対にないとは言いません」と述べた。

「今現在、私たちはすばらしいモデルと、グローバルに展開できるサブスクリプションビジネスを持っていると考えています」とノウマン氏はいう。「2年前の売上は200億ドル(約2兆3000万円)程度でしたが、今は300億ドル(約3兆5000万円)です。世界のどの地域でも健全な成長を遂げています」と語る。

もちろん、この威勢のいい言葉は、Netflixのビジネスの状況を完全に反映しているとは言えないかもしれない。今日の投資家たちは、たとえそれがサービスに広告を追加して価格を下げることであっても、Netflixがどこまで目先の成長を追い求めるべきか議論しているのである。そして、Netflixは2021年第4四半期の決算で、加入者数の伸びについてウォール街の予測を下回ったばかりだ。同社は当時、この落ち込みは一時的なもので、人気番組 『ブリジャートン家』 の第2シーズンなど、より期待されている番組のいくつかが四半期後半に開始されたことを反映したものだと主張していた。しかし、同社は株主宛ての手紙の中で、ライバルストリーマーとの競争激化が「当社の限界的な成長に影響を与えている可能性がある」と認めている。

現在、Netflixは、HuluやPrime Videoといった古くからのライバルに加え、Disney+、HBO Max、Paramount+、NBCU(NBCユニバーサル)のPeacockといった多くの新しい競合に直面している。

Paramount+とPeacockは、広告付きのオプションでスタートした。HuluはCM付きとCMなしの両方のプランがある。また、HBO Maxは2021年、広告付きサブスクリプションを開始した。そして今、Disney+が参入している。そのため、Netflixは、低価格の広告付きプランを持たないトップストリーマーの中で、ほぼ唯一の存在となっている。Amazon(アマゾン)のPrime Videoが広告を掲載していないのは事実だが、これは非常に異なるビジネスモデルの一部である。Prime Videoは、Amazonの高速配送オプションに代表される他の多くの特典を含む、より大規模で高価な定額制サービスの一部に過ぎないからだ。

一方、Netflixは、一部の市場で値下げとは正反対のことを行っている。代わりに、価格を上げているのだ。米国では、1月にNetflixは、プランによって1ドル〜2ドル(約1116円〜233円)の値上げを行った。今日(米国時間3月10日)、Netflixは英国とアイルランドでも値上げをすると発表した。

ノイマン氏は、この競争がいずれNetflixの広告に対する考え方に影響を与える可能性があることを認めた。

「私たちの計画にはないことですが、他社はそこから学んでいます。だから、他社がやっていることを無視することはできません」と認めた。「しかし、今のところ、それは我々にとって道理にかなっていないことなのです」と語る。

CFOは、カンファレンスでNetflixのビジネスの他の側面についても語った。彼は、ロシアの恐ろしいウクライナ侵攻を受けてNetflixが最近ロシアから撤退したのは、戦争の中で起こっている「本当の人間の苦しみ」を受けてなされた決定であることを最も重要な点として指摘した。しかし、その機会に関連して、ビジネスの観点からは、同国における制裁、規制の問題、決済に関する課題もあり、そこで事業を行うことはあまりにも困難となった。ロシアは、Netflixの収益の1%未満を占めているという。

Netflixの新興ゲーム事業についても簡単に質問されたが、ノイマン氏は、これを非常に初期の段階にあると特徴づけた。最初の12カ月は、ゲームをホストして世界中のアプリストアに配信するためのインフラという意味で「配管を正しくする」ことに集中していた。現在、同社は、ゲームの定着率やプレイ時間、会員が映画やテレビに対してどのような価値観を持っているかを学ぶことに取り組んでいる。

また、Netflixは現在までに約14のゲームをサービス上でリリースしているが、年内には「その何倍ものゲーム」をリリースする予定であり、新しいタイトルをより早く展開する計画を示していると述べた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

海外旅行予約アプリ「NEWT」を運営する令和トラベル、旅行販売を行う「NEWTメタバース支店」を期間限定オープン

海外旅行予約アプリ「NEWT」(ニュート)を提供する海外旅行代理店の令和トラベルは3月10日、海外旅行をより身近に感じてもらうため同社初となる店舗「NEWTメタバース支店」をメタバース上に期間限定でオープンすることを発表した。会場は、バーチャルSNS「cluster」のクラスターが開催するゲームクリエイターフェス「ClusterGAMEJAM 2022 in SPRING」。

NEWTメタバース支店は、バーチャル空間でリアルの海外旅行を販売する「完全バーチャル旅行代理店」。店舗まで物理的な距離を移動することなく、全国どこからでも気軽に参加できる。

販売商品例としては、20万円から(大人/1名/諸税込)の「ホノルル5泊7日」、12万円から(大人/1名/諸税込)の「バンコク3泊5日」ほか、ユーザーの要望を受け店舗スタッフが最適なプランを作成するなどの対応も行う。

「NEWTメタバース支店」店舗情報

  • 店舗名:NEWT(ニュート)メタバース支店
  • 接客期間:
    3月11日20時~22時(最終受付21時30分)
    3月17日20時~22時(最終受付21時30分)
    店舗自体は、プレイベント期間を含め3月11日から27日まで設置される
  • 会場:ClusterGAMEJAM 2022 in SPRING

アクセスするには、まずclusterのアプリをダウンロード。インストールおよびアカウント作成後、ClusterGAMEJAM 2022 in SPRINGの会場となるワールドに移動する。

2021年4月設立の令和トラベルは、「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに掲げ、海外旅行における新しい体験・社会価値の提供を目指すデジタルトラベルエージェンシー。旅行業界における予約や管理業務のDXを最大化し、これまでになかった「かんたん・おトク・えらべる・あんしん」な海外旅行ツアーやアプリを提供する。

TikTokが音楽配信プラットフォームのSoundOnを公開

TikTok(ティックトック)は現在の音楽業界にすでに多大な影響与えており、アプリ内で人気の曲はチャートの上位にランクインする。今度は自分の音楽をもっと聴いてもらいたいアーティストを支援するために独自の音楽マーケティング・配信プラットフォーム「SoundOn」を開始する。この新しいプラットフォームでは、アーティストは自分の音楽をTikTokと、TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)の音楽ストリーミングサービスのRessoに直接アップロードでき、さらにApple Music、Spotify、Pandora、Deezer、Tencent(テンセント)のJooxといったグローバルなストリーミングプラットフォームにもアップロードできる。

配信に対する課金はなく、プラットフォームは手数料を請求しない。TikTokは、ByteDance傘下のプラットフォームに関しては無期限で使用料の100%をSoundOnから音楽クリエイターに支払うとしている。これにはTikTokでの配信の他、ブラジル、インドネシア、インドのRessoと、ByteDanceの動画編集アプリのCapCutの分が含まれる。

グローバルのストリーミングサービスに関しては、そのアーティストの1年目は100%が支払われるが、2年目以降は90%に下がる。比較のために挙げると、競合のDistroKidはサブスクリプションベースでアーティストとレーベルに対して課金し、アーティストは売上の100%を受け取れる。一方、TuneCoreは曲またはアルバム単位で配信に対して課金するが、こちらもアーティストはストリーミング売上の100%を受け取れる。

SoundOnのFAQによれば、アーティストはすべての権利と使用料を保持する。つまりマスターを所持しつつ、さらに使用料の100%(または一定期間後に90%)を受け取れるということだ。

画像クレジット:TikTok

SoundOnは音楽配信の仕組みだけでなくプロモーションのためのツールやサポートも提供する。具体的にはオーディエンスのインサイトと開拓、SoundOnマーケティングチームからのアドバイス、TikTokのミュージックタブの利用(自分のプロフィールページから曲へリンクできる)、TikTokによる認証、RessoとCapCutでの紹介、TikTokプラットフォームのクリエイターマーケティングを活用したプロモーションの支援などだ。

SoundOnのウェブサイトには、このプラットフォームでリリースするとTikTokクリエイターの目に触れると書かれている。

ウェブサイトでは以下のように説明されている。「TikTokクリエイターはこのプラットフォームの活力源であり、サウンドがヒットする理由です。あなたがこのプラットフォームでリリースすると、我々は多様なクリエイターがあなたの曲を使って動画を制作するように働きかけます。これによりあなたのファンは広がり、クリエイターたちの新しいコミュニティにリーチできます」。

SoundOnのバリュープロポジションに対するTikTokのマーケティング面としては、このサービスはキャリアの浅いアーティストに特にアピールするかもしれない。TikTokにはバイラルのトレンドがあり、特別にプッシュされれば自分がブレイクして多くの人へのリーチとにつながると理解されているからだ。その後、ファンは音楽ストリーミングサービスでそのアーティストをフォローし、その売上が自身の収入になる。

TikTokの音楽担当グローバル責任者のOle Obermann(オーレ・オルバーマン)氏はSoundOnの提供開始に関する発表の中で「TikTokには新人のアーティストや音楽クリエイターたちの活気に満ちあふれたコミュニティがあり、SoundOnはこうした人々がキャリアの最初の一歩を踏み出せるようにと開発されました。SoundOnチームはクリエイターが大きなステージへと成長するジャーニーをガイドし、TikTokの専門性とパワーをアーティストのために活かします。我々は新しい才能が表に出てきて前進し、SoundOnがますます多様化し成長するグローバルな音楽業界に貢献することをたいへん楽しみにしています」と述べた。

SoundOnプラットフォームでは2021年秋からベータテストを実施し、今後は米国、英国、ブラジル、インドネシアで一般に広く使えるようになる。すでにこのサービスを利用しているアーティストとクリエイターの人数は明らかにされていないが、Muni Long(マニー・ロング)、Games We Play(ゲームス・ウィ・プレイ)、Abby Roberts(アビー・ロバーツ)、Chloe Adams(クロエ・アダムズ)らが利用している。

TikTokが音楽配信分野に参入するのはSoundOnが初めてではない。同社は2020年にUnitedMastersとの提携を発表し、これがTikTokと音楽配信企業との初の統合になった。

ByteDanceが音楽配信を拡大するのはストリーミングサービス事業者としてはよくある流れだ。例えばAppleは2021年に、NBAやESPN、そしてTikTokとも大型契約を交わしているUnitedMastersに投資した。SpotifyはDistroKidに小規模な出資をしているが、2021年秋に出資分の3分の2を1億6700万ドル(約193億7200万円)で売却した。

TikTokによれば、SoundOnに関心のあるアーティストはus.soundon.globalまたはsoundon.globalで登録できる。

画像クレジット:TOLGA AKMEN / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ツイッター、最新アップデートでレコメンデーションアルゴリズムの回避が容易に

米国時間3月10日、Twitterがアプリをアップデートして、アルゴリズムが集めた「ホーム」のタイムラインと「最新ツイート」を表示するフィードを容易に切り替えられるようにした。これまでは、タイムラインの切り替えは画面右上部にある「火花アイコン(星印の)」をタップし、元に戻るにもそうしていた。しかし、本日からiOSアプリではそのアイコンをタップすると、TwitterのHome(ホーム)ページ上で「ホーム」と「最新」の両方のタイムラインをピン止めして、スワイプするだけで行ったり来たりできる。

 

「ホーム」と「最新」のタイムラインがiOS上ではスワイプで移動できます。もうすぐAndroidとウェブでもそうなります。✨アイコンをタップして、最新ののタイムラインをホームタブにピン止め(または外す)すると、簡単にアクセスができます。

Twitterの説明によると、このアップデートで増えたオプションにより、最近のポストを「もっと目立ち、見やすく」した。また、現在、どっちを見ているのかわからなくなる混乱を少なくしている。

この変更は、一般的にテクノロジー企業によるアルゴリズムによるレコメンデーションシステムと、その内部的仕組みに関する透明性の欠如に対する規制圧力が増している時期に行われた。たとえば米国国会議員の超党派グループは、テクノロジー企業がユーザーデータを利用したレコメンデーションをしないバージョンを提供することを要求した「フィルターバブル透明性法案」を提出している。つまりこの法案は、ユーザーにテクノロジー企業のレコメンデーションアルゴリズムを無効にできる選択肢を与えることを求めている。

それ以降、Instagramは、時系列フィードの選択肢を再導入すると約束した。最新の投稿がトップに表示されるため、逆時系列と呼ぶべきかもしれない。

しかしTwitterにはすでにそのような選択肢があり、それを知らない人がいるだけで、最新の変更により機能がもっと目立つようになるかもしれない。火花アイコンは以前と同じ場所にあるが、それがTwitter自身にとっても使いやすくなった。

「最新ツイート」のフィードは、ユーザーの選択をサポートするだけでなく、ニュース速報のような状況で、情報の即時性が重要で、見逃したかもしれない「最高」のコンテンツをアルゴリズムが提案するよりも人々が注目するツールでもある。ロシアとウクライナの戦争が勃発し、現地で起きていることを知るためにソーシャルメディアのアプリを利用する人が増えている現在、特に有効な手段だろう。

Twitterは2021年10月にこの機能の公開テストを開始、フィードバックが良好だったので一般公開に踏み切った。

ローンチの時点ではiOSのみだが「近く」Androidとウェブにも展開される。その具体的な日付を確認しようとしたが、Twitterは「数週間後」とだけ述べている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Netflixは「栄光のグランプリ」でF1を台無しにしたたのか

2021年のF1に注目していた人なら、Netflix(ネットフリックス)のドキュメンタリー「Formula 1:Drive To Survive(Formula 1:栄光のグランプリ)」の最新シーズンはきっとすごいことになると知っている。

うれしいことに、もう間もなくだ。「栄光のグランプリ」シーズン4が3月11日に公開される。Netflixは米国時間3月9日に予告編を公開した。

さて、話はここからだ。

「栄光のグランプリ」はF1に大きな影響を与えた。スポーツに同じぐらいの影響を与える番組は、もしあるとしてもごくわずかだ。

The Guardianによれば、2021年にF1の総合視聴率は40%以上上昇し、米国でこれまでに最も多くF1が視聴された年になった。同サイトによれば、2021年にF1ファンは世界で7300万人増えたと推計されている。

米国人にとってモータースポーツといえばNASCARだったが、2022年にはマイアミがF1のカレンダーに追加され米国で2レースが開催されるほどの熱狂となっている。まさにマイアミらしく、コースレイアウト付近にはビーチクラブもあるようだ。

NetflixのドキュメンタリーシリーズとF1人気を短絡的には語れない。ただ、因果関係ではないにしても、少なくとも相関関係があることはまちがいないだろう。

しかし、このコインには裏面がある。私自身はNetflixのドキュメンタリーシリーズに引っぱられた新米のF1ファンだが、古くからのF1ファンに共通する思いがあることに気づいた。Netflixの番組がF1をダメにしている、というのだ。

説明のために、2021シーズンを簡単に振り返ろう。

メルセデスAMG・ペトロナスはここ10年近くF1の覇者だ。このチームは2020年まで7年連続でコンストラクターズ・ワールド・チャンピオンシップ(チームとしての成績)とドライバーズ・ワールド・チャンピオンシップ(ドライバーごとの成績)の両方でタイトルを獲得した。

予定されている大幅なレギュレーション変更に備え、メルセデスはリソースとエネルギーの大半を2022年シーズンに集中させることを決め、ライバルであるレッドブル・レーシング・ホンダがタイトル争いに加わる余地が生まれた。そして実際にそうなった。

レッドブルのファーストドライバーでF1界の悪ガキとも呼ばれるMax Verstappen(マックス・フェルスタッペン)と、ドライバーズチャンピオンのタイトルを7回獲得し多くの記録を保持するメルセデスのSir Lewis Hamilton(サー・ルイス・ハミルトン)はシーズンを通して互角に戦い、多くのレースで1位と2位を分け合った。

最後の4レースを残してハミルトンはドライバーズポイントで遅れをとっていたが、まずはそのうちの3レースで勝った。2021年ドライバーズタイトルの行方は最終戦のアブダビに持ち越された。F1でここまでもつれるシーズンはまれで、ことにメルセデスが絶対王者となってからはそうだった。

最終戦のほとんどの時間帯でハミルトンが先行するが、レッドブルでフェルスタッペンのチームメイトであるCheco Perez(セルジオ・ペレス、愛称が「チェコ」)がハミルトンの頭を押さえ、フェルスタッペンがオーバーテイクするチャンスを作る。セーフティカーが2回入り(1回はバーチャル、もう1回はリアル)、フェルスタッペンはフレッシュタイヤに交換、一方のハミルトンとメルセデスはトップを維持するために古いタイヤのままコースにとどまる選択をした。

(セーフティカーはコース上の障害物などのアクシデントが解決するまでの間に導入される。セーフティカーが入っている間、ドライバーはスピードを落とさなくてはならず、オーバーテイクは禁止されている)

ここで驚きの展開となった。

2回目のセーフティカーはクラッシュによるものだった。規則では、セーフティカーが入っている間に周回遅れの車はセーフティカーを追い越し、実際の順位の通りに並ぶことになっている(周回遅れやタイヤ交換のピットインのために順番が入り乱れることはよくある)。さらに規則では、周回遅れの車がすべて正しい順位に並んでからセーフティカーは次の周回の終了時点まで走り、レース再開となる。

FIAレースディレクターのMichael Masi(マイケル・マシ)はこのルールを無視し、トップのハミルトンと2位のフェルスタッペンの間にいる車にだけアンラップを指示した。さらに、1周早くセーフティカーを退かせた。

つまり、レースはセーフティカー先導のまま終わるべきだった。その終わり方は興ざめではあるが規則通りだ。しかし、そうはならなかった。

フレッシュタイヤを履いたフェルスタッペンは最終ラップでやすやすとハミルトンを抜き去ってこのレースに勝ち、そしてドライバーズタイトルを獲得した。

Netflixから入った新しいファンをとどめておくために運営が演出したのだと感じるF1ファンがたくさんいても不思議ではない。さらにいうと、ハミルトンとフェルスタッペンを拮抗させるためであるかのように思われる「疑問のある」判断は2021シーズンでこれが初めてではなかった。

何であれスポーツの公平性への干渉をうかがわせることがあれば、古くからのファンが動揺するのはもっともだ。

レッドブル・レーシングのChristian Horner(クリスチャン・ホーナー)代表(ちなみに妻はスパイス・ガールズのジンジャー・スパイス)といった人々は、せいぜいが見当違い、ひどい場合には女性に対して嫌悪感を持ちつつも、Netflix効果を享受しているようだ。

前述したように私は「栄光のグランプリ」がきっかけとなったまさに新しいF1ファンなので、確かに見方は偏っている。しかし私はF1が魅力的で複雑でアドレナリンが出るスポーツであることを知った。そういうふうにオーディエンスを魅了するものは、おそらく良いものだと思う。

私はストーリーをおもしろくするためにルールを調整したり曲げたりするのが正しいと考えているのか。断じてそれはない。私はそんなことが確かに起きたと言っているのか。それについてはまったく手がかりを持っていない。

私はただ、3月11日に始まる「栄光のグランプリ」最新シーズンを大量に摂取し、そのエネルギーを2022年のF1にそのまま注ぎ込むつもりだ。ご一緒にいかがですか?

画像クレジット:Netflix

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(文:Jordan Crook、翻訳:Kaori Koyama)

ツイッター、ロシアのユーザーがインターネットブロックを回避できるTorサービスを開始

Twitter(ツイッター)は、ウクライナ侵攻後のロシアでブロックされた数日後、Tor(トーア)オニオンサービスを起ち上げた最新の大手テック企業となった。このサービス開始により、ロシアのTwitterユーザーは、国全体で情報の流れを妨げている政府のインターネットブロックを回避できるようになる。

米国時間3月8日に発表されたこのプロジェクトの背後には、Torネットワークに長く携わってきたサイバーセキュリティ研究者Alec Muffett(アレック・マフェット)氏がいる。Twitterの新しいTorサービスは、マフェット氏が開発した、ウェブサイト所有者が数分で自分のサイトのドメインに「.onion」URLを追加できるEnterprise Onion Toolkit(エンタープライズ・オニオン・キット、EOTK)というツールをベースに、Twitterの「並外れた生産要件」に合わせてカスタマイズされたバージョンとなっている。

「これはおそらく、私が今まで作成した中で最も重要かつ待望されたツイートです」と、マフェット氏はツイートしている。「Twitterに代わって、彼らの新しいTor Projectオニオンサービスを発表できることを、大変うれしく思います」。

マフェット氏によると、このソーシャルメディアプラットフォームのTor版は、同氏がFacebook(フェイスブック)のTorサービス開始を手伝った2014年から、ゆっくりと開発が進んでいたという。Facebookは2016年の時点で、Torブラウザーを使って同プラットフォームにアクセスする人の数が、100万人を突破したと発表している。

Torネットワークは「オニオンルーター」とも呼ばれるもので、インターネットトラフィックを暗号化し、世界中にある何千ものサーバーを経由することで、ユーザーに匿名性と、監視や検閲からの自由を提供する。

Twitter in the Tor browser.

TorブラウザでTwitterを閲覧したところ(画像クレジット:TechCrunch)

TwitterがTorサービスを開始したのは、ロシアが情報の自由な流れを弾圧し続ける中、同国の通信規制当局であるRoskomnadzor(連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁)によって同ソーシャルネットワークのサービスがブロックされているようだと報道されてから、わずか数日後のことだった。この報道を受け、TwitterはTechCrunchに対し、ロシアのユーザーが同社のサービスに「ますますアクセスしにくくなっている」ことを認め、調査を行い完全なアクセスを回復するよう取り組んでいると述べていた。

Twitterは、Torサービスのタイムリーな開始が、ロシアにおける明らかなブロックと直接関係があるかどうかについては言及を避けたが、Twitterの広報担当者は、ユーザーがよりアクセスしやすいサービスを提供するための取り組みは、同社にとって「継続的な優先事項」であると述べ、Twitterがサポートするブラウザに、現在はTorが含まれていることも指摘した。

TwitterのTorバージョンのアドレスは次のとおり。twitter3e4tixl4xyajtrzo62zg5vztmjuricljdp2c5kshju4avyoid.onion

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾン、マイクロソフト、グーグルの3社がロシアでのクラウド販売を停止

ウクライナでの戦争が続く中、Exxon(エクソン)、Visa(ビザ)、McDonald’s(マクドナルド)、Coca-Cola(コカ・コーラ)などさまざまな企業がロシアでの販売を停止している。Adobe(アドビ)、Apple(アップル)、PayPal(ペイパル)といったテック企業も、ここ数週間のうちにこれに加わっている。

我々はAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、IBM、Cloudflare(クラウドフレア)といった世界トップクラスのクラウドインフラストラクチャベンダーに、ロシアのウクライナ攻撃に対する各社の対応を問い合わせた。各社とも、公開ブログ記事をそのまま伝えたいメッセージとして共有したが、Google Cloudだけは例外で、自社の立場を表明する簡単な声明をTechCrunchに送っている。

AWSは3月4日のブログ記事で、ロシアに同社のデータセンターはなく、方針としてロシア政府とは取引していないことを示した。また、ロシアの顧客はいるが、いずれも本社はロシア国外にあるとし、販売停止には至らなかったと述べていた。しかし3月8日、同社はブログ記事を更新し「ロシアとベラルーシにおけるAWSの新規サインアップを停止した」と変更した。

Microsoftもロシア向けの販売停止という措置をとった。「本日、ロシアにおけるMicrosoftの製品およびサービスの新規販売をすべて停止することを発表します」と、Brad Smith(ブラッド・スミス)氏はこの措置を発表した3月4日のブログ記事で書いている。その中にはAzureのインフラサービスも含まれていると思われる。

3大クラウドインフラベンダーの最後を飾るGoogleについては「現時点では、ロシアではGoogle Cloudの新規顧客を受け入れていないことが確認できています。引き続き、動向を注視していきます」と述べている。

IBMも同様の立場をとっており、Arvind Krishna(アルヴィンド・クリシュナ)CEOが書いた3月7日のブログ記事で、ロシアでの販売を停止することを発表している。「先週のウクライナ戦争に関する発表に対し、多くの方からご意見をいただきました。まず、はっきりと申し上げておきたいのは、当社はロシアでのビジネスをすべて停止したということです」とクリシュナ氏は投稿の中で述べた。

Cloudflareは純粋なクラウドインフラベンダーではなく、ロシアやウクライナを含む世界中の数百のデータセンターを通じて、安全なインターネットアクセスの提供を支援している。インターネットプロバイダーである同社は、ロシアでのサービス停止を求める声がある中で、同国でのインターネットを維持することが重要だと考えている。

「さらに、ロシア国内におけるCloudflareの全サービスを停止するよう求める声も複数寄せられています。当社はこれらの要請を慎重に検討し、政府や市民社会の専門家と議論を行いました。それらの専門家と協議した結果、ロシアに必要なのはインターネットアクセスの拡大であって、縮小ではないというのが我々の結論です」と同社はブログで書いている

今週発表されたIDCのレポートによると、これらの措置をとるクラウド企業が受ける経済的影響は、おそらくわずかなものであろうということは注目すべき点だ。「IDCは、ロシアとウクライナのICT支出が急減し、ゆっくりと回復すると予測していますが、この減少による世界的な影響は幾分限定されています。この2カ国を合わせても、欧州の全ICT支出の5.5%、世界の1%を占めるに過ぎません」と同社は報告している。

画像クレジット:Ralwel / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Den Nakano)

グーグル、ロシアでPlayストア課金とYouTubeの決済を停止

Google(グーグル)は、ロシアの銀行に対する西側の制裁措置に関連した「決済システムの混乱」を理由に、ロシアでのモバイルアプリストアPlayでの課金を停止し、YouTube(ユーチューブ)ユーザー向けの決済サービスを一時停止している。

ロイター通信が先に報じたこの事態は、ロシアのウクライナ侵攻と、それに続くロシアの銀行に対する制裁をきっかけに、欧米がプーチン大統領の欧州での戦争に対する経済的対応を選択したことに起因している。

Android開発者向けウェブサイトのサポートノートで、GoogleはPlayの課金停止を認め、こう書いている。

「決済システムの混乱のため、当社は数日内にロシアのユーザーのためのGoogle Playの課金システムを一時停止する予定です。これにより、ユーザーはロシアでGoogle Playを使用してアプリやゲームの購入、サブスクリプションの支払い、デジタル商品のアプリ内購入を行うことができなくなります。無料アプリは引き続きPlayストアで利用できます」

別のノートでは「最近制定されたPlay開発者に対する国際制裁」に関して、Googleは次のように述べている。

「当社は、適用されるすべての制裁および貿易コンプライアンス法を遵守することを約束し、最新のガイダンスを引き続き監視しています。影響を受ける地域のユーザーは、無料アプリのダウンロードを含め、引き続きGoogle Playを利用することができますが、購入することはできません」

また、FAQ(よくある質問とその回答)では、制裁を受けた地域の既存のサブスクリプションは、請求サイクルの終了時にキャンセルされることをPlayの開発者に警告している。

「状況は急速に進展しているため、このページに戻ってきて最新情報をチェックすることをお勧めします」と付け加えている。

YouTubeの広報担当者は、ロシア国内での支払いベースのサービスの「一時停止」を認め、以下の声明をTechCrunchに送ってきた。

「当社は最近、ロシアですべてのGoogleとYouTubeの広告を一時停止しました。追加措置として今この一時停止を、ロシアの視聴者向けのYouTubeプレミアム、チャンネルメンバーシップ、スーパーチャット、商品販売を含むすべての収益化機能に拡大しています」

支払いベースのYouTubeサービスの停止が米国太平洋標準時3月9日午後1時時点でロシアで実施されたとTechCrunchは理解している。YouTubeプレミアム会員、チャンネル会員、スーパーチャット、スーパーステッカー、商品販売に影響を及ぼしている。

今回の措置は、以前発表されたロシア国内でのGoogleのサービスに対する制限を拡大するものだ。

同社は3月4日、同国における自社の広告販売の停止を発表した。ただし、ロシア人向けの広告販売を完全に打ち切ったわけではなく、その時点では、同国の事業者がロシア国外で配信される広告を購入することは引き続き許可すると述べている。

現在、PlayとYouTubeでの決済を妨害している銀行制裁によって、Googleがロシアでの残りの広告販売を停止せざるを得ないかどうかは確認されていない。ロイター通信によると、ロシアのYouTubeチャンネルは、広告や有料機能を通じて国外の視聴者から収入を得ることができるため、完全に遮断されるわけではないとのことだ。しかし、西側の制裁が厳しくなるにつれ、ロシア人が外国企業との間で決済を行ったり、支払いを受け取ったりすることはますます難しくなっているようだ。

ここ数日でApple(アップル)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Microsoft(マイクロソフト)といった他のハイテク大手も、ロシアでの販売や事業を停止する同様の措置を取っており、プーチン大統領のウクライナでの戦争に対する抗議としてロシアを事実上ボイコットしたり同国から撤退したりする多国籍企業の増えつつあるリストに加わっている。

また、ロシア政府が支援する国営メディアのRussia TodayとSputnikに対するEUの制裁に対応して、Googleなどが2社のYouTubeチャンネルアプリのジオブロックを発表するなど、テックプラットフォームはロシアの偽情報への対応を調整する措置も取っている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグル、ウクライナのAndroid携帯に空襲警報機能を追加

Google(グーグル)は米国時間3月10日、ウクライナのAndroid携帯電話向けに、迅速な空襲警報システムの導入を開始すると発表した。この新機能は、ロシアによる今なお続くウクライナへの侵攻を受けた同社の最新の措置だ。

「悲劇的なことに、ウクライナの何百万人もの人々は現在、空爆警報に頼って安全な場所に避難しようとしています。ウクライナ政府の要請を受け、そして同政府の協力を得て、当社はウクライナのAndroid携帯電話向けに迅速な空襲警報システムの展開を開始しました」と、グローバルアフェアーズ担当社長のKent Walker(ケント・ウォーカー)氏はこの発表に関するブログ記事で述べた。

ウォーカー氏によると、同社のシステムの展開はウクライナの既存の空襲警報システムを補完するもので、ウクライナ政府によってすでに配信されている警報に基づいている。

Googleのエンジニアリング担当副社長Dave Burke(デイブ・バーク)氏は一連のツイートで、このシステムは、同社が地震警報用に構築した低遅延警報メカニズムを活用していると説明している。また、バーク氏はこのシステムが3月10日から展開されており、今後数日間でウクライナのすべてのAndroid携帯電話を対象とする予定だと述べている。

TechCrunchは同システムの詳細についてGoogleに問い合わせており、回答があり次第、この記事を更新する。

同じブログ投稿でGoogleはまた、同社がプラットフォーム全体で多くのロシア国営メディアのレコメンデーションを制限する取り組みを継続することを発表した。同社はまた、ロシアにおける商業活動のほとんどを一時停止している。

「ロシアでのGoogle広告を一時停止するという先週の発表に続き、当社はロシアにおける商業活動の大部分を一時停止しています。ここには、ロシアに拠点を置くすべての広告主を対象にした、当社の世界中のプロパティとネットワークでの広告、クラウドの新規登録、当社サービスのほとんどの決済機能、ロシアのYouTube視聴者向けのマネタイズ機能などの停止が含まれます」。

Googleによると、検索、Gmail、YouTubeなどの無料サービスはロシアで引き続き展開されている。同社は今後も動向を見守るとしている。

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Workbounceの「GoogleとSlackの融合」B2B営業チーム向けツール、Index Venturesから約3.1億円を調達

Workbounceの創業者たち(画像クレジット:Workbounce)

商用製品の販売は昨今かなり複雑なプロセスになっており、パンデミックはそれをさらにややこしくした。営業チームは、特にやりとりの多くがバーチャルであるハイブリッドな世界では、自社製品への信頼を築くことの難しさに阻まれがちだ。Highspot、Seismic、Showpadのようなレガシーセールスツールは、異なる時代に作られたということもある。

英国を拠点とするWorkbounce(ワークバウンス)は、複雑な製品に関する膨大な量のコンテンツを検索できるようにし、営業担当者が案件を獲得するために必要な情報を見つけられるようにすることが解決策になると考えている。これは、プラットフォームに依存せず、Googleドライブ、Slack(スラック)、Notion(ノーション)などのツールに接続することで実現される。同社は、この製品を営業チーム向けの「Google meets Slack(グーグルとスラックの融合)」と呼んでいる。

このたび同社は、Index Venturesとエンジェル投資家のグループから270万ドル(約3億1300万円)の初期段階の資金を調達した。この資金調達はタイムリーなものだ。Crunchbaseによると、セールスイネーブルメントツールへの投資は過去5年間で22倍に成長しており、2017年の2100万ドル(約24億3300万円)から2021年には4億7700万ドル(約552億6500万円)に増加している。

Rowan Bailey(ローワン・ベイリー)氏とAdam Smith(アダム・スミス)氏(2021年3月にWorkdayが7億ドル / 約811億円で買収した従業員フィードバック企業Peakonの最初の採用者の1人)によって2021年初めに設立されたWorkbounceは、営業チームが使用するすべての異なるナレッジハブへの単一のエントリポイントとして機能するという。

共同創業者兼CEOのスミス氏は声明でこう述べている。「企業が営業やカスタマーサービスチームを通じて顧客と1対1でエンゲージする方法は変化しており、それは顧客の期待の高まりと、我々の働き方のシフトの両方が原因です。次世代のB2B関係は、単に製品やサービスを販売するだけでなく、ソリューションに向けたコラボレーションが重要になるでしょう」。

Workbounceは、そのリモートファーストの構造は、ポストパンデミックの世界のために構築されているという。

「Workbounceは、営業ナレッジにアクセスし、B2Bの顧客関係を改善するための主要なツールになる可能性を秘めています」とIndex Venturesのパートナー、Hannah Seal(ハンナ・シール)氏は付け加えた。「職場が変化するにつれ、適切な情報を適切なタイミングで見つけることがますます困難になっています。Workbounceはこの問題を解決し、営業チームが顧客とエンゲージし、取引を成立させることを支援します」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Den Nakano)