アマゾンがようやくKindleソフトウェアを大幅にアップデート、より読書しやすいデザインに

それが「本当の本」なら、アップデートは必要ないし、本を読むソフトウェアも変わる必要がない。しかし、現在、私たちが頼りにしているKindleは、本であるだけでなく、Wi-Fiに接続されるデジタルデバイスであるため、変わることができる。Amazon(アマゾン)は、Kindleが登場してから数年になる米国時間9月13日、初めてとなるその重要な設計変更をようやく発表した。

今回のリニューアルでは、ホーム画面の下部に2つのタブバーを追加され、「ホーム」と「ライブラリ」の画面を簡単に切り替えることができるようになっている。よく使う機能にアクセスするために、Kindleは画面上部に矢印を導入している。この矢印をタップすると、機内モード、Bluetooth、ダークモード、同期、その他の設定メニューにアクセスするためのボタンが表示される。また、明るさを調節するスライダーもある。

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Amazonは米国時間9月11日に、アップデートについて数週間後に展開すると通知しているが、特定のモデル、Kindle(8世代以降)、Kindle Paperwhite(7世代以降)、Kindle Oasisユーザーの多くはすでにこのアップグレードをダウンロードしている。自分の機種がよくわからない人は、ここで調べよう。ただし2015年以降に購入したモデルであれば、おそらく大丈夫だ。KindleをWi-Fiに接続しているユーザーはアップデートが自動的にインストールされるが、ここで手作業でダウンロードしてもいい。

同社によると、ホームとライブラリ表示の改良を年内は続けていくとのこと。ホーム画面で左にスワイプすると、ライブラリから最近読んだ本が表示されるようになる。また、ライブラリ画面には、新しいフィルターやソートメニュー、新しいコレクション表示、インタラクティブなスクロールバーが導入される。

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これは、Kindleが2016年頃にリリースしてから最大のデザイン的なアップデートになる。もしあなたが今年の夏の読書を終えたときに、ユーザーインターフェースが古くなったと感じていたのであれば、Amazonも同じ気持ちだったということだ。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

iPhone内蔵カメラが高出力バイクエンジンの振動で性能が低下する可能性をアップルが警告、原付も振動減衰マウントを推奨

iPhone内蔵カメラが高出力バイクエンジンの振動で性能が低下する可能性をアップルが警告、原付も振動減衰マウントを推奨

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アップルはiPhone内蔵のカメラが、高出力オートバイのエンジンから発生する特定の振動周波数に晒されると性能が低下する恐れがあると警告するサポート文書を公開しました

この件が影響する可能性があるのは、光学式手ぶれ補正(OIS)クローズドループ方式のオートフォーカス(AF)機能を搭載した一部モデルです。これらiPhoneのカメラレンズは、写真やビデオを撮影する際の動きや振動を補正するためにジャイロスコープや磁気センサーを使用しているため、この損傷を受けやすくなっているとのことです。

iPhone搭載のOISやクローズドループAFは耐久性を考慮して設計されているものの「OISのようなシステムを採用している多くの家電製品と同様に」(つまりiPhone内蔵パーツが特に脆弱というわけではなく)特定の周波数範囲内での高振幅振動に直接、長時間さらされると性能が低下し、写真や動画の画質が低下することがあると述べられています。

こうしたリスクから、アップルは振動が直接伝わってくる可能性あるシャーシやハンドルバーにiPhoneを直接取り付けないようユーザーに推奨。また原付や電動スクーターのような小型エンジン機器でも、直接iPhoneを取り付ける場合には振動を軽減するマウントを使い、損傷のリスクを減らすよう呼びかけています。

いきなりアップルがサポート文書を掲載した理由は不明ですが、これまでもマウンテンバイクでさえ取り付けたiPhoneのカメラが壊れたOISが機能しなくなったとの報告は多数ありました。

またOISやクローズドループAFについては、今年初めに磁石を内蔵したアクセサリを使うと一時的にカメラの性能が低下する可能性があると公式に警告されていました。こちらは(一般的には)磁石をiPhoneから離せば直りますが、物理的な振動の場合は永久的に壊れる可能性があり、より注意が必要と思われます。

OISやクローズドループAFはiPhone 7以降の全モデル、およびiPhone 6 PlusとiPhone 6s Plusに搭載されており、古めのモデルを持つ人も振動の激しい乗り物には直接取り付けないほうがよさそうです。

(Source:Apple。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

【レビュー】フェイスブックのスマートグラス「Ray-Ban Stories」は「おもちゃ」レベルを超えている

このFacebook(フェイスブック)初のスマートグラスは、Facebook製品のようには感じられない。

Facebookのロゴが刻印されていたり、小さな文字でその名前がシリアルコードの横に印字されていたりもしない。この製品は「Facebook Stories」でも「Ray-Ban(レイバン)のFacebook Stories」でも、あるいは「FacebookとのコラボレーションによるRay-Ban Stories」でもないのだQuest 2やPortalのような他のFacebookデザインハードウェアとは異なり、このRay-Ban Stories(レイバン・ストーリーズ)は、まるで同社がヒットのためのユースケースを正確に知っていたかのように、より自己認識し抑制されていて、余計なことをしようとするのをやめたもののように感じられる。

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アイウェア大手の仏EssilorLuxottica(エシロール・ルクソティカ)と提携して作られたこのメガネは、Facebookがこれまで販売したものの中でも最も基本的なデバイスだ。できることも限られている。写真や動画を撮ることができ、電話をすることができ、そして音楽を聴くことができるだけだ。そう、それだけだ。しかし、フレームのアームに埋め込まれたニアイヤー(耳近傍)スピーカーを使ってオーディオを聞けるようにしたことで、これらは5年前に出荷されたSnap(スナップ)のSpectacles(スペクタクルス)よりもはるかに実用的なデバイスとなった。

左はレイバンの従来型のWayfarers(ウェイファーラー)と右はスマートグラスのRay-Ban Stories Wayfarers(画像クレジット:Lucas Matney)

ではこのデバイスの機能と、日常での使用感について少し掘り下げてみよう。

299ドル(約3万2900円)のRay-Ban Storiesの特徴の1つは、ほとんど目立たないように着用できることだ。周りの人たちはおそらく、わずかに大きめのサイズよりも、カメラに気づく可能性の方が高いだろう。それはすでに革命的な進歩で、Spectaclesが実際に乗り越えることができなかった「おもちゃ」のレベルを超えることが実現している。標準のWayfarer(ウェイファーラー)デザインのフレームが平均よりも厚いことを考えると、レイバンとのパートナーシップは特に好ましいものだ。

周囲の人が気づく可能性が高いのは、メガネのフレームをタップしてメガネを制御するときだ。右側のアーム上のボタンを押すと30秒の動画が撮影され、長押しすると写真を撮ることができる。また「Hey Facebook、take a video(ヘイ、フェイスブック。ビデオを撮影)」という音声コマンドを使うこともできるし、写真撮影時にも同じことができる(とはいえ、私は公共の場で近くの誰かがこの言葉をいうのを耳にするのが心地良いかどうかは疑問だ)。またかなり控えめな印ではあるが、カメラが映像をキャプチャしている最中は、小さなLEDライトが点灯する。

画像クレジット:Lucas Matney

メガネの写真と動画の品質は中程度だが、デバイスのサイズを考えると、十分に許せるレベルだ。2つの5MPカメラは、2592×1944ピクセルの写真と1184×1184ピクセルの正方形フォーマットの動画を撮影することができる。品質は10年ほど前のスマホカメラ並みのようで、まだまだ改善の余地があることは明らかだ。アップロード中に行われる携帯電話での後処理によって、写真の画質が改善される。露出が高くなって暗い場所がある程度明るくなり、ややポップなものとなる。

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カメラを2つ持つことで、写真に3D効果を追加することができるが、現時点ではフィルターは優れたものではなく、正直なところそれほどでもない。できれば、Facebookにはこの先ソフトウェアにもう少し投資して欲しいが、写真の品質がかなり低いことを思うと、最初に2台のカメラを搭載した理由を完全には理解できない。

また、メガネを使用するには、View(ビュー)という名の新しいFacebookのアプリにリンクする必要がある。これは基本的に、外部デバイスからメディアを携帯電話にアップロードするためのシンプルなメディアビューワーアプリだ。このアプリを使って、写真やビデオをカメラロールに保存したり、FacebookやInstagram(インスタグラム)に共有したりする前に、すばやく編集することもできる。

画像クレジット:Lucas Matney

オーディオはおそらくこのメガネの中で最も興味深い部分だ。このニアイヤー(耳近傍)スピーカーは、静かな空間ではその品質に驚かされるが、騒がしい環境にいると不満を感じるだろう。Facebookにとって残念なことは、ほとんどの屋外スペースは多少なりとも騒がしいし、サングラスはほとんど屋外で使用されるものだということだ。いざというときには屋外で音楽を聴くために使うこともできるだろうが、正直なところ自分のAirPodsをすぐに置き換えられるものとは思えない。このオーディオは、通話などのローファイなアクティビティに向いているが、屋外を歩いているときには3つのマイクアレイがバックグラウンドノイズを拾いすぎるという問題もあった。

バッテリーの寿命はかなり厳しいが、ケースでバッテリーを充電することもできる。これは、メガネを保管するのにも最適な場所だ。ケースは少しかさばるものの、Facebookはレンズを保護するためのマイクロファイバーポーチも別に提供している。Facebookによれば、6時間のオーディオ連続使用が可能で、それ以外の場合には「終日」の使用が可能だという。

奇妙なことだが防水性はもちろん防滴性も備わっていない。これは、サングラスとしては優れた品質とは思えない。これは、厚いフレームのサングラスがスマートグラスのデザインにとってより理に適っていることを示す一方で、この製品が実際には屋内向けであることを示している。

画像クレジット:Lucas Matney

本製品はFacebook初のハードウェアではないが、そこに会社の成熟の歴史を見ることができる。

本製品はAR / VRデバイスではないが、Ray-Ban Storiesのデザインの中に、Oculus Goから生まれたオンイヤーオーディオ、Gear VRを彷彿とさせるタッチパッドインターフェース、Questで最初に採用されたシンプルで抑制されたオーディオコントロールなど何世代にもわたるOculus製品を垣間見ることができる。今回のハードウェアは、長年に渡って徐々に認識は高まってきたものの、基本的にはVRに無関心な人々に販売することから学んだ機能と教訓を凝縮したものだ。

一方Facebookには、マスコミで敵の機嫌をとり、平均的なインターネットユーザーからは大いなる不信を獲得してきた歴史がある。同社はこれまでそのメッセージを台無しにし、その過程でブランド名を毀損してきたその歴史もわかっている。それらがおそらく、今回Facebookのブランドをほとんど目立たせないデザインにつながったのだろう。確かにRay-Ban Storiesには批判者が出てくるだろうが、Facebookが機能性を保守的にして、将来を見越したパッシブセンサーをあまり多く搭載しないよう選択したことは、彼らに有利に働くだろう。

Facebook Viewアプリはシンプルなものであり、またFacebookはStoriesを使用してキャプチャされた写真や動画は広告には使用されないと説明している。とはいえ、2013年のGoogle Glassのデビュー以来、私たちは確かに長い道のりを歩んできたものの、顔にあるカメラは、公共の場でのプライバシーに関しては依然として不快感を覚えさせる。このデバイスは間違いなくその話を大いに再燃させるだろう。

画像クレジット:Lucas Matney

そうした議論はさておき、私の最も強調したいポイントは、 Ray-Ban Storiesが非常に重要な製品のように感じられるということだ。これは、顔に装着するウェアラブルというアイデアを実際に販売する製品なのだ。

メガネはスマートにデザインされていて、目立たないように着用できる。だが、Facebookがそのような野心的なフォームファクターを実現するために多くの犠牲を払ったことは明らかだ。このメガネは正直なところ特に何かをうまくこなせるわけではない。写真と動画の品質はかなり劣っているし、インフレームスピーカーは屋外でのパフォーマンスが低く、通話体験も最も快適とはいえない。299ドル(約3万2900円)という価格は、この第一世代製品を一部の人に売り込むことを難しくするかもしれない。とはいえ、今回Facebookは、拡張現実の未来への道のりの足がかりとなることを繰り返し示してきた製品に対して、ほぼ正しい妥協をしたと思う。

FacebookのRay-Ban Storiesと、私が持っていた旧来のRay-Ban 2140 Wayfarersを並べてみた(画像クレジット:Lucas Matney)

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画像クレジット Lucas Matney/TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:sako)

米アマゾンがAlexa搭載の初の自社ブランドテレビ2種発売へ

米Amazon(アマゾン)が43インチのAmazon Fire TV Editionを発売するために2017年にサウスカロライナ拠点のElement Electronics(エレメント・エレクトロニクス)とチームを組んで以来、これは必然だったように感じる。Amazonはまた、人気の音声アシスタントを搭載するためにサードパーティーのテレビ会社数社とも提携したが、同社は9月9日、2種のスマートテレビFire TV Omniシリーズと4シリーズを投入し、さらに一歩踏み込むことを明らかにした。

同社はこれらを「初のAmazon製スマートテレビ」と呼び、すでに作られて他の会社のブランドで展開されているものに音声テクノロジーを搭載するのではなく、ゼロから作った独自のテレビであることをほのめかしている。

Fire TV Omniシリーズが主力製品で、もう1つのものよりもプレミアムだ。しかしその価格は予定どおりであれば、410ドル(約4万5000円)からとかなり安めだ。前述のAmazonブランドのElementシステムより40ドル(約4400円)安い。

「スマートテレビは何十年も出回っていますが、それらが本当にスマートだとは思いません」とAmazon副社長のDaniel Rausch(ダニエル・ラウシュ)氏は話す。「顧客が本当に欲するであろうものに比べて、それほど有能ではありません。多くの場合、テレビは受動的な経験を提供します。相互にやり取りするのは複雑で難しいものです。我々のリビングルームにはさまざまな種のデバイスやコンテンツエクスペリエンスがあります。それを顧客側で調整するのは、おそらく複雑さが増すばかりだと思います。音声とアンビエントコンピューティングでもってテレビはより多くのことができるようになり、顧客のためにテレビはよりスマートになる可能性を秘めていると確信しています」。

SamsungやLGがしのぎを削る(何十年も噂されているAppleテレビはこれまでのところ実を結んでいないようであるにしても)競争の激しい分野にAmazonは参入しようとしている。当然、AmazonはAlexa統合とは区別しようとしている。Omniの方はテレビ視聴から音楽、ゲームまでさまざまなアクティビティに音声を使うために遠距離テクノロジーを活用している。

システムは最近導入されたAlexa会話を採用し「Alexa、何を観たらいい?」(このコマンドはベータ版では2021年後半までは使えない)「Alexa、Netflixのコンテンツを再生して」(同様に秋までは使えない)といったコマンド、そしてTikTokでも同様のコマンドなど、より自然な感じでアシスタントに尋ねる方法を提供している。人気を博しているソーシャルネットワークのTikTokは英国、ドイツ、フランスのFire TVでの提供が始まり、間もなく北米でも展開される。もしすごくのめり込んでいるなら最大75インチのスクリーンでショートビデオを観ることができる。

画像クレジット:Amazon

Omniのサイズは43、50、65、75インチで、解像度はすべて4Kだ。HDR10、HLG、Dolby Digital Plusが実装され、2つの大型モデルはDolby Visionもサポートしている。Omniと安めの4シリーズの違いはさほど多くはないようだ。4シリーズは370ドル(約4万1000円)からで、サイズは43、50、55インチ。こちらも解像度は4Kとなっている。この2つのラインナップの最大の違いは、4シリーズが近接のAlexa対応能力をリモートにビルトインしていることだ。Omniの方は遠距離テクノロジーを搭載している。

新しいテレビは2021年10月に発売される。

画像クレジット:Amazon

テレビには新Amazon Fire TV Stick 4K Maxがついてくる。55ドル(約6000円)するこのストリーミング用スティックは、高パフォーマンスを約束するクアッドコア1.8GHzプロセッサと2GBのRAMを内蔵し、上記の多くの音声機能を提供する。スティックはWi-Fi 6、そして当然のことながらAmazonのゲーミングサービスLunaにも対応する。

おそらく少々驚くのは、Pioneer(パイオニア)の社名が入っていることだろう。儲けが少ないために愛しのプラズマから撤退して数年、PioneerはAlexaリモートとセットになった新しい4Kでテレビ分野に戻ってくる。43インチのバージョンは9月にAmazonとBest Buyで発売される予定で、50インチの方はその2カ月後になる見込みだ。

一方、東芝のテレビには遠距離テクノロジーがビルトインされている。55、65、75インチの3モデルで、2022年春発売の予定だ。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

大手IT関連機器メーカーのレノボが2021年9月8日開催のプライベートショー『Lenovo Tech World 2021』に合わせて、Windows 11搭載ノートPCの第一陣となる製品を海外向けに発表しました。

その中でも最大の注目モデルが、14インチ/2880×1800解像度/16:10仕様の有機EL(OLED)画面を搭載し、本体重量1.1kgからのモバイルノートPC『Yoga Slim 7 Carbon』。

日本では“白いカーボン”などのキャッチコピーで知られる13.3インチ機『Yoga Slim 750i Carbon』の大画面+AMD CPU版モデルとも呼べる位置づけです。

発売はWindows 11のリリースとほぼ同時となる2021年10月から、米国での価格は1289.99ドルから。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

有機EL搭載だけあり、液晶パネルとのコントラストや色域比較イメージも。仕様は後述しますが、いよいよ高級モバイルノートPCも“世代交代”が本格化しそうな仕様です

「世界最軽量の14インチ有機EL画面搭載ノートPC」を謳うこのモデルの特徴は、ノートPC用としては新世代となるアスペクト比16:10の有機ELパネル(これまでは、PC用としては16:9のみでした)をはじめ、CPUには8コア16スレッド対応のAMD『Ryzen 7 5800U』を、単体GPUとしてNVIDIA『GeForce MX 450』を搭載可能など、2021年末のモバイルノートPCとしてヘビーユーザーが欲しい機能を満載した“欲張りセット”的な仕様という点。

本体重量は現行13.3インチ版の約966gから140gほど増し1kgをオーバーしてしまいますが、仕様の充実度は間違いなくそれ以上と呼べるレベルです。

・参考記事:レノボ「白いカーボン」は966g高級モバイル。2560×1600液晶のYoga Slim 750i Carbon発表(2020年12月)

本体色は、13.3インチ版のホワイトとは一転し、シルバーとグレーの中間的な『クラウドグレー』。本体外装は現行モデルに引き続き、カーボンファイバーとマグネシウム合金を採用。本体重量は公称1.1kg、薄さは14.9mmからとなります。レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

第一の注目点は、搭載される有機ELパネルです。上述したように、ノートPC用としてはアスペクト比16:10の有機EL、という時点で目新しいもの。

さらに解像度はQHD+(2880×1800)、最高リフレッシュレートはモバイルノートでありながら90Hz、さらに総合的な画質ではVESAの『DisplayHDR TrueBlack 500』認証をパスするなど、モバイルノートPCとしては驚異的な数値が並びます。

HDR映像ソースではドルビービジョンに対応し、最高輝度はHDR映像ソースによって上げられるタイプ(iPhone 12系などと似た仕様です)となっており、通常時は400nitながら、HDR映像ソースなどでのピーク値は600nitとなる仕様に。

色域はデジタルシネマ仕様であるDCI-P3を100%カバー、出荷時カラーキャリブレーション(色較正)済みで色差(ΔE)は2以下、さらに4辺ナローベゼル設計……など、最新世代だけあり、モバイルノートPCとしては(現行の有機ELパネルを含めてさえも)ちょっと驚くような仕様です

なお隠れた特徴として、レノボのプレスリリースではパネルメーカーに関してSamsung Display製を明示しています。

加えて視力保護の観点では、第三者認証機関であるTUV Rheinland(テュフ ラインランド)のEye Comfort認証を得ている点も特徴。これは同社のディスプレイ認証で一般的なブルーライトカットに関してのみならず、反射防止処理やフリッカーフリーの効果についても規定された、より上位的な認証となっています。

さらにタッチ対応もオプションで選択可能。その場合の表面ガラスは、おなじみコーニングのゴリラガラスを採用します(ただし世代は非公開)。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

キーボードは現行のYoga 7シリーズとほぼ共通。Enterキー周りの“複数配列を兼用するための変形レイアウト”も引き継がれます

この超強力な液晶パネルに応じて、基幹パーツも現状のモバイルノートとしては最も強力、と言っても過言ではない布陣が敷かれます。

CPUはAMDのノートPC用Ryzen 5000Uシリーズ。モバイルノートだけありTDP(性能と発熱、消費電力の目安となる数値)は15W版となりますが、最上位には“Zen 3”世代のCPUを8コア搭載し、16スレッドの同時実行が可能な『Ryzen 7 5800U』を搭載可能です。

さらにグラフィックス部オプションとして、単体GPUのNVIDIA『GeForceMX 450』も搭載可能。Ryzen 5000Uシリーズは内蔵GPUも比較的強力ですが、これをさらに強化できる仕様。昨今のモバイルノートで単体GPUが搭載可能という時点で、非常に珍しい仕様です。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

天板は現行Yogaシリーズに共通したシンプルな仕上げ。右側面には電源ボタンとカメラオフ用スライドスイッチ、USB Type-C端子を備えます

RAMはノートPC用Ryzenでは最速となるLPDDR4Xタイプで、最大16GB。ここまで充実の仕様で32GBオプションがないのは残念ですが、おそらく価格バランスも考慮されたものと想定されます。

ストレージは、最大1TBのNVMe(PCI Express接続)のM.2 SSDと、イマドキとしては標準的な仕様です。

これだけ強力な心臓部となるとバッテリー駆動時間が心配、という方もいるでしょうが、そちらもしっかりと強化。容量は61Whと、13.3インチ版の50Whより大幅増になりました。

これにより公称バッテリー駆動時間は最大14.5時間をキープ。強力な有機ELパネルやCPU、GPUを搭載しつつも、昨今のモバイルノートとしての水準を満たす仕様。また急速充電も「15分で約3時間分」とアピールする、かなりの速度です。

隠れた特徴はスピーカー。現行モデルと同じくドルビーアトモス対応ですが、搭載位置は大きく変更され、キーボード左右になりました。現行モデルでは底面側だったため、実際の音質や定位は改善が期待できます。

またこのスピーカーグリルは冷却孔も兼ねるシステム。強力な基幹パーツから発生する熱対策の手助けともなっています。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

左側面にはUSB Type-C×2基とヘッドセットジャックが配置。ACアダプタはType-C経由となる仕様です

拡張端子は、USB Type-C×3基(速度は全て10Gbps、ただし電源入力とDisplayPort Alt Mode対応は内2基のみ)と、3.5mmヘッドホン/マイク兼用オーディオ入出力。さすがにCPUがRyzen系だけあってかThunderboltには非対応ですが、現行世代の水準と呼べそうです。

本体の堅牢性に関しても、現行モデルに引き続き9種の『MIL-STD 810H』テスト(米軍調達仕様)をパス。厳しい動作環境や物理的な衝撃にも強い点をアピールします。

使い勝手の面では、現行モデルから引き続き、のぞき見警告機能『プライバシー・アラート』機能を継承。Webカメラ部に搭載された赤外線カメラとTOFセンサーにより、離席時の自動画面ロックや復帰なども行えます。

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800

プレスリリースでの仕様一覧。有機ELパネルに関する仕様は、改めて見ても壮観と呼べるレベルでしょう(なお、「AAR」とはいわゆる「画面占有率」です)

レノボが重量1.1kgの14型ノートYoga Slim 7 Carbon発表、Ryzen 5800Uで16:10有機EL・解像度2880×1800このようにYoga Slim 7 Carbonは、モバイルノートPCのヘビーユーザーが欲しくなるようなディスプレイと基本性能をジャストで備えてきたかのような、非常に魅力あふれる意欲作。

重量こそ1kgの大台を上回るものの、高解像度かつ広色域な有機EL画面と快速処理という特徴を思い切り追求したかのような仕様に魅力を感じるEngadget読者も少なくないはずです。

昨今のレノボのYogaシリーズの製品展開から予想するに、日本での発売も期待できそうなモデルだけに、可能であれば早め、かつ内外価格差少なめでの発売を期待したいところでしょう。

(Source:レノボ ニュースリリース(英語版)Engadget日本版より転載)

IBMが新型「Power E1080」サーバーを発表、エネルギー効率とパワーの劇的な向上を約束

強力なサーバーを稼働させる大規模なデータセンターでは、膨大な量の電力が使われていることを私たちは知っている。とりわけ気候変動が問題になっている今、電力消費量を削減できるのであれば、何であれ歓迎すべきことだ。その点においても注目されるのが、最新の「Power10」プロセッサーを搭載した新しい「IBM Power E1080」サーバーである。

IBMの主張によれば、競合する126台のサーバーで行っていた作業を、たった2台のE1080に集約することで、エネルギーコストを80%削減できるという(同社推定)。さらに同社は「この新サーバーは、主要なSAPアプリケーションのパフォーマンスを測定するSAPベンチマークにおいて、x86ベースの競合サーバーが使用するリソースの半分しか必要とせず、40%の差をつけて世界新記録を達成した」と述べている。

Moor Insight & Strategy(ムーア・インサイト・アンド・ストラテジー)社の創設者兼主席アナリストで、チップ業界に詳しいPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏は、このシステムが達成できることについてのIBMの大胆な主張は、ハードウェア設計の観点から見て納得がいくと語っている。「SAP、Oracle(オラクル)、OpenShift(オープンシフト)のワークロードについての同社の主張は、同じ性能を得るために必要なソケットや物理プロセッサの数が単純に少なくて済むという点で、まずは納得できるものでした。これらの数値は、(将来的に)Sapphire Rapids(サファイアラピッズ)に置き換えられることになっているIntel(インテル)のCascade Lake(カスケードレイク)と比較したものです」と、同氏は述べている。

IBMのPower Systems Group(パワー・システムズ・グループ)でバイスプレジデント兼ビジネスライン・エクゼクティブを務めるSteve Sibley(スティーブ・シブリー氏)によれば、この新しいサーバー(およびそれを実行するPower10チップ)は、スピード、パワー、効率、セキュリティの組み合わせを求める顧客のために設計されているという。「ここで我々が提供する拡張性とパフォーマンスは、お客様の最も高い要求に迅速に対応して拡張でき、機敏性をさらに高めることが可能です」と、同氏は述べている。

顧客に用意された選択肢としては、E1080サーバーを買い取り、企業のデータセンターに設置することもできるし、あるいはIBMのクラウド(場合によっては他社のクラウドも)からサービスとしてサーバーアクセスを購入することもできる。または、サーバーをレンタルして自社のデータセンターに設置し、分単位で支払うことでコストを軽減することも可能だ。

「当社のシステムは、いわゆる購入のベースコストという観点からすると少々高価ですが、当社ではお客様が実際に(E1080サーバーを)サービスベースで購入し、分単位の粒度で料金を支払うこともできるようにしています」と、シブリー氏は語る。

さらに、Power10チップをベースに初めて発売されるこのサーバーは、内部でRed Hat(レッドハット)のソフトウェアが動作するように設計されており、このことはIBMが2018年に340億ドル(約3兆7000億円)で買収したRed Hatに新たな活躍の場を与えている。

関連記事:IBMが約3.7兆円でRed Hat買収を完了

「Red Hatのプラットフォームをこのプラットフォームに導入することは、RHEL(Red Hat Enterprise Linux、レッドハット・エンタプライズ・リナックス)オペレーティングシステム環境からだけでなく、OpenShift(オープンシフト、同社のコンテナプラットフォーム)からも、アプリケーションをモダナイズするための重要な手段となります。また、当社のRed Hat買収とそれを活用することのもう1つの重要な点は、Red HatのAnsible(アンシブル)プロジェクトや製品を活用して、当社のプラットフォームの管理と自動化を推進していくということです」と、シブリー氏は説明する。

2020年4月にIBMのCEOに就任したArvind Krishna(アービンド・クリシュナ)氏は、一部のコンピューティングがクラウド上に存在し、一部がオンプレミスに存在するハイブリッド・コンピューティングに会社の重点を移そうとしている。今後は多くの企業が何年もの間、同じ状況になるだろう。IBMは、Red Hatをハイブリッド環境のマネジメントプレーンとして活用し、さまざまなハードウェアおよびソフトウェアのツールやサービスを提供したいと考えている。

Red HatはIBMの傘下で独立した企業として活動を続けており、顧客にとって中立的な企業であり続けたいと考えているものの、ビッグブルーは可能な限りその提供物を活用し、自社のシステムを動かすために利用する方法を模索し続けている。E1080はそのための重要な手段を提供することになる。

IBMによると、新型サーバーの注文受付は直ちに開始されており、納品は2021年9月末より始まる見込みだという。

画像クレジット:IBM(Image has been modified)

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Sila Nanotechnologiesの次世代バッテリーがWhoopのウェアラブルデバイスで初めて商用利用

米国時間9月8日、Sila Nanotechnologiesの次世代バッテリー技術がWhoopのフィットネストラッカーの新製品で商用製品デビューを果たした。これは、1つのセルにできるだけ多くのエネルギーを低コストで詰め込もうとするこのシリコンバレーの企業にとって10年にわたる謎解きのような研究開発の成果だ。

バッテリーの化学的な改良にはこれまでの数年間で数十億ドル(数千億円)が投じられ、さまざまなスタートアップが、アノードやカソードを、シリコンや固体電池企業の場合はリチウムのような変換材料に置き換えようとしている。

Silaのバッテリー化学のレシピは、バッテリーセルのアノード中のグラファイトをシリコンで置き換えて、エネルギー密度が高く安価なバッテリーパックを実現する。BASFなどその他の企業は、エネルギー密度の高いカソードを作ることにフォーカスしている。

現在では、さまざまな企業がさまざまな化学構造のバッテリーの実現を目指しているが、それらはいずれも今日のリチウムイオンバッテリーのように、従来的なセルの技術をそのまま継承している。最新のヘルス&パフォーマンストラッカーであるWhoop 4.0で使用されるSilaのバッテリーは、この数十年間において世界で初めて市販の次世代バッテリー化学製品となる。

Sila Nanotechnologiesの創業者でCEOのGene Berdichevsky(ジーン・ベルディチェフスキー)氏は「小さなフィットネストラッカーは、些細なものにしか見えないかもしれませんが、市場に初めて登場する弊社の革新性を実証するデバイスです。今後、もっと大きくなりあらゆるものの電動化に使われることになるでしょう」という。

電気自動車と、それらを動かすSilaの役割が、ベルディチェフスキー氏のいう「あらゆるものの電動化」リストのトップにある。そして同社は、そこでもすでにリードしている。

Sila NanotechnologiesはBMWやDaimlerとのバッテリーに関するジョイントベンチャーで、同社のシリコンアノード技術を使ったバッテリーを開発する。自動車としての市販開始は、2025年の予定となっている。

「Whoopの成功を自動車に持ってくる方法にはさまざまなものがある。今日では、走行距離の長いクルマが欲しければ大型車を買えばいい。小型のEVはバッテリーをたくさん倒産できたいため、その距離も短くなります。しかし、弊社の技術が自動車業界で本格的に採用されることになれば、走行距離600kmのシティーカーの実現も可能です。これにより自動車産業におけるより広い分野で、電動化を目指せるようになるでしょう」とベルディチェフスキー氏は語る。

2021年9月初めに、36億ドル(約3967億円)の評価額で2億ドル(約220億円)を調達したWhoopは、Whoop 4.0をウェアラブルデバイスとして市場に投入するが、Sila製バッテリーのおかげで、そのサイズは前モデルよりも33%小さい。ベルディチェフスキー氏によれば、そのエネルギー密度は17%高いという。しかもバッテリーの高密度化でウェアラブルデバイスが小さくなるだけでなく、Whoop 4.0は、睡眠のコーチングや触覚によるアラート、パルスオキシメーター、皮膚温度センサー、ヘルスモニターなど機能が豊富になり、しかもバッテリー寿命は前モデルと同じ5日間のままだ。

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「弊社のような化学構造が可能になったことによって、これまでできなかったことができるようになったのが大きい」とベルディチェフスキー氏はいう。

Whoopの場合は、同社がAny-Wearと呼ぶ新技術により、バンドなど腕時計以外の部分もウェアラブル化し、胴体や腰、ふくらはぎなどからもデータを集めることができる。

製品の成功の鍵となるのは、Sila製バッテリーの新しい化学構造だけでなく、重要なのはむしろ製品のスケーラビリティだ。スケーラビリティは、Silaのロードマップに最初から存在する。

ベルディチェフスキー氏は「弊社のサイエンティストとエンジニアには、最初の頃からグローバルに利用される日用品向けの設計はそのまま、数百万台のクルマの設計に活かすことができると言っています。両者は大量生産の技術という点で共通しており、平面リアクターではなく体積リアクターを使える点が大きい」という。

この、リアクターのタイプの違いについては、次の例がわかりやすいかもしれない。小さな広場で大群衆に食事を提供するためには、大鍋でチリをつくる、つまり体積型の方が1人1人にピザパイを提供する、つまり平面型よりも効率がいい。

また、ベルディチェフスキー氏は、スマートフォンや自動車、ドローンなどのバッテリーを供給するあらゆるのバッテリー工場のプロセスに、シームレスに組み込むことができるものでなければならないとチームに語っている。

ベルディチェフスキー氏によると、Silaはすでにスケーラビリティを2度実証している。最初は、ラボからパイロット事業への100倍のスケールで、約1リットルサイズの体積リアクターから始まった。9月8日に結んだWhoopとのパートナーシップが2度目のスケールアップで、5000リットルのリアクターを実現した。5000リットルのリアクターは、その上に人間が2人乗れるような大きさだ。次の段階のスケールアップは、3年後を狙っている自動車に載せられる量となる。

「現在、自動車に搭載されていない理由は、実際に自動車に搭載するためには100倍のスケールアップが必要であるためです。しかし、材料は同じです。”粒子や粉末は、これまでに作ったどのスケールのものも同じです」とベルディチェフスキー氏はいう。

画像クレジット:Whoop

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

さらにコンパクトになったDJIのスマホ用スタビライザー「OM5」発売、1万7930円

DJIのカメラスタビライザー技術は、ドローン技術の延長線から始まったものだが、今や独自の強力なラインに発展している。2020年のちょうど今頃、同社は「Osmo(オスモ)」製品の中でスマートフォン用に設計された「Osmo Mobile(オスモ モバイル)」を、よりシンプルに「OM」へとリブランドすることを発表した。そして米国時間9月8日、その最新モデル「OM 5」が登場。よりコンパクトなデザインになり、被写体追従性が向上し、スマートフォンに取り付けるクランプもアップグレードされている。

携帯性は今回の最大のセールスポイントだろう。2020年のモデル「OM 4」に比べて、サイズはざっと3分の1ほど小さくなり、重量もかなり軽くなっている。より角度をつけた撮影が可能になる伸縮性の延長ロッドも内蔵された。さらに手元にボタンが追加されるなど、物理的な操作性も向上している。

画像クレジット:DJI

DJIは今回、エントリーレベルのユーザーにもう少し焦点を当てているようで、新機能の「ShotGuide(ショットガイド)」を使えば、初心者でもチュートリアルを参考にしながら撮影し、自動編集で簡単に動画を作成できる。被写体トラッキング性能もアップグレードされた。「ActiveTrack 4.0(アクティブトラック4.0)」は、最大5m/sのスピードで、最大3倍のズームを使ったトラッキングに対応し、同社によれば「被写体が激しく動いていても正確に認識し続け、被写体をフレームの中心に捉えながら安定したトラッキング」を行うという。

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この3軸ジンバルには、DJIらしく多くの撮影モードが備わっている。ハンドジェスチャーで動画撮影の開始・終了を操作できるジェスチャー操作、タイムラプス / モーションラプス/ ハイパーラプス、パノラマ、DynamicZoom(ヒッチコック風の効果)、スピンショット(スマートフォンを回転させ、スピン効果が加えられる)、そして自動レタッチの美顔効果などだ。また、プリセットのジンバル動作や音楽を利用できるストーリーモードのテンプレートも多数用意されているが、これらは基本的にSNS向けの短編動画を簡単に作成するためのものだ。

新しいスマートフォン用クランプは、ケースの上からでも装着できるように設計されている。つまり、OM 5にスマートフォンを装着するためにプロテクションを外す必要がない。さらに明るさと色温度を調整できる補助ライトを携帯電話の前面に追加する「Fill Light Phone Clamp(補助ライト内蔵スマートフォンクランプ)」も、別売りアクセサリーとして用意される。日本での価格は税込6160円で、後日発売される予定だ。

DJI OM 5は公式オンラインストアで先行販売中。日本での価格は税込み1万7930円となっている。

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画像クレジット:DJI 

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

レノボが12.6インチAndroidタブ「Lenovo Tab P12 Pro」発表、120Hz有機EL採用で重量565g

レノボが12.6インチAndroidタブ「Lenovo Tab P12 Pro」発表、120Hz有機EL採用で重量565g

Lenovo

開催中のLenovo Tech World 2021イベントで、レノボがAndroidタブレットの新フラッグシップ製品 Lenovo Tab P12 Pro を発表しました。

Lenovo Tab P12 Pro はDolby Vision対応の12.6インチ有機ELディスプレイ、Dolby Atmos対応クアッドスピーカーを備えた「パーソナルホームシアター」であると同時に、Lenovo Precision Pen 3ペン対応で手書きやクリエイティブ用途にも、大型トラックパッド搭載の着脱式キーボードでプロダクティビティ用途にも対応する万能性が売りの高性能タブレット。

レノボが12.6インチAndroidタブ「Lenovo Tab P12 Pro」発表、120Hz有機EL採用で重量565g

Lenovo

iPad Pro 12.9インチに近い画面サイズでありつつ5.63mmの薄さ、565gの軽さも特徴。着脱式のキーボードは大きなトラックパッドを備え、キーピッチ19mm・ストローク1.3mmの本格的な仕様ながら、合体した状態でも約1kgと比較的軽量です。

さらにレノボの新たな「ワイヤレス コネクティビティ・フレームワーク」Project Unity に初めて対応。PCのワイヤレス サブディスプレイとして機能しつつ、Androidのネイティブアプリも並べて同時使用できるなど、Windows PCとの連携を強化しています。

レノボが12.6インチAndroidタブ「Lenovo Tab P12 Pro」発表、120Hz有機EL採用で重量565g

Lenovo

Lenovo Tab P12 Pro の主な仕様は、

  • 12.6インチ 2560 x 1600 (16:10) AMOLEDディスプレイ(120Hz対応、最大輝度600nit、色域107% NTSC、Dolby Vision / HDR10+対応)
  • Snapdragon 870プロセッサ、モデルにより最大8GB LPDDR5 RAM・256GBストレージ
  • 5Gモデル・WiFiモデル
  • JBLクアッド SLSスピーカー、Dolby Atmos対応
  • 10200mAhバッテリー、45W急速充電対応、ストリーミング動画再生 最大17時間
  • 本体重量 565g
  • Android 11

同クラスのタブレットである iPad Pro 12.9インチ(2732 x 2048、縦横比4:3)と比較すると、表示面積は10%ほど狭く画素数も下がるものの、重量は120g近く軽量です。

着脱式のキーボードはキーピッチ19mm・キーストローク1.3mm、大きめのトラックパッドと16のファンクションキー搭載。タブレット側面のPOGOピンと磁力で合体します。

参考までに、iPad Proの Magic KeyboardはiPad本体(約680g)より重く、Smart Keyboard Folioは比較的軽いもののトラックパッド非搭載。

Lenovo Tab P12 Proのキーボードは本体と一式揃えても約1kgの軽さでトラックパッドを備え、キーストロークは Magic Keyboard の1mmよりも深い1.3mmとなっています。

レノボが12.6インチAndroidタブ「Lenovo Tab P12 Pro」発表、120Hz有機EL採用で重量565g

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Lenovo Tab P12 Pro が初めて搭載する Project Unity は、レノボのWindows / Android連携フレームワークのようなもの。

画面に表示されたPINの入力で簡単にWindows 10 / 11 PCとワイヤレス接続でき、タブレットを画面拡張やミラーリング対応のサブディスプレイとして、またWindowsアプリにタッチやペン入力が可能な「液タブ」的に使えます (有機ELなので「有タブ」?)。

Project Unity の面白いところは、単なる受け身のワイヤレス ディスプレイとしてフル画面を明け渡すのではなく、AndroidアプリとWindowsアプリを共存させて使えるところ。Windowsをマルチディスプレイで使いつつ、Androidにしかないアプリを別窓で並べて利用できます。

レノボによると、Project Unity はワイヤレス コネクティビティ フレームワークとして、今後ももっと多くのデバイスの接続や管理、データストレージといった機能を追加してゆく予定。Windows 10 / 11アプリは Microsoft Storeからダウンロードします。

Lenovo Tab P12 Pro の価格は、WiFi モデルのタブレット単体で 609.99ドルから。5Gモデルは欧州中東アフリカ等の一部地域で899ユーロから。どちらも10月より販売予定です。

(Source:LenovoEngadget日本版より転載)

FeliCa対応の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip3」国内版、ドコモ・KDDIが10月上旬発売

FeliCa対応の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip3」国内版、ドコモ・KDDIが10月上旬発売

サムスン電子ジャパンが「Galaxy Z Flip3」の国内モデルを発表しました。国内版はFeliCaに対応する点などが海外版と異なります。NTTドコモとKDDIが10月上旬に発売予定。価格はドコモ版が14万8896円、KDDI版はのちほど追記します(いずれも税込)

「Galaxy Z Flip3」は、ディスプレイを縦に折ってコンパクトにできるフォルダブルスマートフォンです。ガラケー(フィーチャーフォン)のように、パカパカと開閉して使えます。

前モデル(Galaxy Z Flip)からの進化点としては、画面サイズを維持しつつも本体をわずかに小型化。畳んだ状態のサイズは72.2 x 84.4 x 17.1〜15.9mm、開いた状態では72.2 x 166 x 6.9mmで、重量は183gです。さらにIPX8防水にも対応します。FeliCa対応の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip3」国内版、ドコモ・KDDIが10月上旬発売

ディスプレイは6.7インチ フルHD+(2640 x 1080)で、新たに120Hz表示に対応します。

畳んだ際に使用するサブディスプレイも前モデル比で4倍に大型化。1.9インチ 260 x 512解像度の有機ELとなり、時刻や通知の表示だけでなく、ウィジェットなども表示できます。また、カメラのライブビューモニタとしても利用できます。FeliCa対応の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip3」国内版、ドコモ・KDDIが10月上旬発売

プロセッサは5nmのオクタコアCPU「Snapdragon 888」を採用。RAMは8GB、ストレージ容量は128GBまたは256GBです。

背面カメラは広角レンズ(画角78°)と超広角レンズ(画角123°)の2眼構成。画素数はいずれも1200万画素で、F値とピクセルサイズはそれぞれF2.2・1.12μm、F1.8・1.4μmです。インカメラは1000万画素で、画角は80°となっています。

ファッション性を訴求

国内版の本体カラーは「ファントムブラック」と「クリーム」の2色展開。サムスンは本端末の魅力を「ファッショナブル・コンパクト」と表現しており、6.7インチ(アスペクト比 22:9)の大画面を、ポケットや小さなカバンに入れて難なく持ち歩ける点をアピールしています。FeliCa対応の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip3」国内版、ドコモ・KDDIが10月上旬発売

ファッショナブルをうたう通り、さまざまなケースやカバー、アクセサリーもあわせて国内発売します。FeliCa対応の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip3」国内版、ドコモ・KDDIが10月上旬発売

折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold3」国内版発表、FeliCa対応でドコモ・KDDIが10月上旬発売

折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold3」国内版発表、FeliCa対応でドコモ・KDDIが10月上旬発売

サムスン電子ジャパンがGalaxy Z Fold3の国内版を発表しました。

折りたたみスマートフォンのGalaxy Zシリーズとして初めてFeliCaを搭載した点などが特徴で、NTTドコモとKDDIが10月上旬以降に発売予定。予約は9月8日より受け付けます。価格はドコモ版が税込23万7600円、KDDI版は後ほど追記します。

Galaxy Z Fold3は、閉じて6.2インチ、開いて7.6インチの折りたたみスマートフォンです。

従来モデルからの進化点としては、スタイラスペンであるS-Penに対応。7.6インチの大画面をキャンバスにして、イラストや図、メモも手書きで残せます。

折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold3」国内版発表、FeliCa対応でドコモ・KDDIが10月上旬発売
加えて、インカメラも画面内埋め込み式となり、本機を開いた状態では、一見するとインカメラがどこにあるのかわかりません。これは、インカメラ部分の画素密度を低くし、光が通るための隙間を設けることで実現していて、近づくと画素密度の粗さから、インカメラの位置がはっきりとわかります。

折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold3」国内版発表、FeliCa対応でドコモ・KDDIが10月上旬発売
また、折りたたみスマートフォンとしてはじめてIPX8規格の防水性能にも対応。これは、1.5mの水深に30分間沈めても動作に支障のない耐水性能で、本体にうっかり水がかかっても安心です。

折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold3」国内版発表、FeliCa対応でドコモ・KDDIが10月上旬発売
カラーはドコモ版が「ファントムブラック」の1色、KDDI版が「クリーム」「ファントムブラック」の2色展開。いずれもS-Penは同梱しません。

製品の詳細はこちらの記事もご覧ください。

Galaxy Z Fold3 動画ハンズオン。フォルダブル主流化を予感する完成度

Sペン対応「Galaxy Z Fold3」を徹底解説。Noteを捨てFoldに注力する理由(石野純也)

Engadget日本版より転載)

殺菌消毒剤・漂白剤・消毒用アルコールを使用し丸ごと洗浄可能な有線マウスがKensingtonから新発売

殺菌消毒剤・漂白剤・消毒用アルコールを使用し丸ごと洗浄可能な有線マウスがKensingtonから新発売

事務機器メーカーのアコ・ブランズ・ジャパンは2021年9月6日、Kensington(ケンジントン)ブランドの有線マウス「ProFit有線ウォッシャブルマウス」を発売しました。税込みの価格は4000円。3年保証付。販路はAmazon.co.jp。

最大の特徴は本体を丸ごと洗えること。IP67と同等の防塵耐水性を持ち、研磨剤不使用の洗剤、石けん、多目的洗剤、殺菌消毒剤、漂白剤、消毒用アルコールを使用し、マウス本体を水にひたして洗浄できます(USBコネクターは水にさらさないこと)。最大濃度はアルコール75%、殺菌消毒剤0.06%、洗浄剤のPH範囲6.0-8.0となっています。

また、左右対称の手に馴染む形状で右利き、左利き両ユーザーでも使え、高精細な1600DPIで素早く反応するとしています。ソフトウェアのダウンロードやインストール不要という点も売りのひとつです。本体サイズはW68×D117×H38mm、重さは75g。

発売に至った背景について、同社は「日常的に使用するPCアクセサリー等の衛生管理への関心の高まりを受け、繰り返し洗って使用でき衛生的なPC作業環境を保つことのできる製品を発売した」と説明しています。

衛生環境を重視するユーザーには、KensingtonのProFit有線ウォッシャブルキーボード(型番:K64406JP/K64407JP)と併用するよう勧めています。

  1. 殺菌消毒剤・漂白剤・消毒用アルコールを使用し丸ごと洗浄可能な有線マウスがKensingtonから発売

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Engadget日本版より転載)

凸版印刷が人の集中状態を計測できるイヤホン型脳波デバイス「b-tone」発売、2025年度までに累計約10億円の売上げ目指す

凸版印刷が人の集中状態などを計測できるイヤホン型脳波デバイス「b-tone」発売、2025年度までに累計約10億円の売上げ目指す

凸版印刷は9月7日、簡易に人の集中状態を計測できる小型・軽量のイヤホン型脳波デバイス「b-tone」を9月8日から発売すると発表した。同社が2020年6月にリリースした集中力を高める空間演出ソリューション「Your Space」(ユアスペース)との連携によるサービスの最適化を目指す。また、働き方・学び方領域を中心とした共創パートナーを募集し、b-toneで取得したデータを活用するビジネスを推進するとのこと。

b-toneは、集中やリラックスの状態を可視化することで個人のパフォーマンス向上を支援するデバイスとして、2021年2月に韓国SOSO H&Cと共同開発したもの。スマートフォンに専用アプリをインストールすれば、いつでもどこでも計測ができる。計測データはクラウドに保管され、ダウンロードして再加工や再分析が行える。

展開例としては、「学習塾・公教育」「オフィス」「スポーツ・eスポーツ」「瞑想・マインドフルネス」が提示されている。

学習塾・公教育では、生徒の集中力モニタリングや集中データを蓄積して授業や教材の評価に活用する。オフィスでは、自分にとって最適な働き方の分析。スポーツ・eスポーツでは、「ベストパフォーマンスの状態」の可視化による再現性の向上。瞑想・マインドフルネスでは、瞑想状態の可視化による再現性の向上などとしている。

ヘルメット型やヘッドバンド型に比べ小型軽量であるため、長時間の測定が可能。心拍数や3軸加速度計による姿勢のモニターも行えるため、脳波からは集中、ストレス、リラックスの状態、心拍からは活動量、加速度からは運動量や首の動きといった数多くの情報が取得できる。イヤホンとしても利用可能なため、eラーニングやテレビ会議などに参加しながら自然な測定を行えるという。

デバイスの取得指標と推定可能項目

  • 取得指標:脳波・心拍・3軸加速度
  • 推定可能項目(将来的な構想も含む):脳波(集中・ストレス・リラックス)、心拍(集中・心拍数・活動量)、3軸加速度(集中・運動量・首の動き)

価格は、パッケージ一式(b-tone端末1台、専用アプリインストール済みスマートフォン1台、その他付属品)が8万円。システムランニング費として月額8000円がかかる。

今後はb-toneを普及させ、これを活用した各種パフォーマンス向上ソリューションを提供するとのこと。2025年度までに、関連受注を含めて累計約10億円の売上げを目指す。

【レビュー】Booxタブレットは拡大する電子書籍リーダー市場で歓迎される選択肢

電子ペーパーデバイスに関して言えば、Kindleはもちろん人々が最初に思い浮かべるブランドだが、筆者はKoboやreMarkableのゴスペルも広めるよう全力を尽くしてきた。中国の電子書籍端末メーカーBooxは、この分野への比較的新しい参入者であり、そのデバイスは実験的だが、モノクロタブレットというニッチ市場では有用な選択肢だ。実際、筆者のお気に入りの小型デバイスが作られている。

関連記事:あらゆる面で初代を上回りニッチを貫くE Inkタブレット「reMarkable 2」

親会社のOnyxのブランドであるBooxは、ポケットサイズから中型サイズの電子書籍リーダー、A4サイズのタブレットまで、あまりにも幅が広すぎるという人もいるかもしれないが、さまざまなデバイスを提供している。そのブランディングは特に記憶に残るものではなく、わずかにアップデートされたバージョンがかなり定期的に出てくる。筆者が試してみたいと思っていたデバイスが、実際にはこの記事を執筆するまでの間に置き換わっていた。

統合された側面はOSで、Android 10の修正版であり、読み込みと生産性のための専用アプリがいくつか搭載されている。中国の消費者を念頭に置いて作られたこのサービスは、おそらくTechCrunch読者の方でも聞いたことのないものになるだろう。

Booxのいくつかのデバイスを試したが、最もシンプルなのは電子書籍リーダーPoke 3、より大きく複雑なNote 2、そしてスリムなNote Airと巨大なMax Lumiという具合だ。最近筆者は、eインクの最新カラースクリーンKaleido Plusを採用したNova 3 Colorに注目している。

実際には、電源を入れていないと、おそらくこれらのデバイスがすべて同じ会社のものであることはわからないだろう。ハードウェアスタイルはかなり異なるが、もちろん、グレーがかった色味でスクリーンを囲んでいる黒いタブレットには、表現の余地があまりない。

小さいながら大物

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

最もシンプルでなじみのある6インチの電子書籍リーダーから始めよう。このカテゴリーにはKindle PaperwhiteとKobo Clara HDがあり、前者はおそらくAmazonが作っている最高の製品だが、筆者は正直なところ、品質は劣るものの後者の方が好みだ。

この分野でBooxは、(数ある中で)取り立ててキャッチーな名前というほどではないPoke 3を持っているが、フォームファクターでそれを補っている。このような小さなリーダーにとってはかなりプラトン的に理想的だ。とても気に入ったので別のレビューにまとめているが、基本的なことをここで紹介しよう。

6インチ、300ppiのスクリーンはKindleやKoboと同等の品質で、Clara HDと同様にフロントライトの色温度調節が可能だ。デバイスの前面は完全に平らになっており、筆者の好みにぴったり合っている。ベゼルの幅も広すぎず狭すぎず、持ちやすい。ポケットに入れて持ち運べるシームレスなデザインで、粉粒や水こぼれにも強い(耐水性は主張していない)。上部に電源ボタン(ありがとう)、下部にUSB-Cポートが1つある。

ハードウェアに関しては、まったく批判はない。それはもっと薄くなるかもしれないが、その寸法は、人間工学に悪影響を与えることなしにこれより小さくすることはできなかったのだと思う。その厚さを1ミリ削ることも考えられるが、そうしてもほとんど気づかないだろう。

OSはAndroidの高度にカスタマイズされたバージョンで、付属するすべての長所と短所が備わっている。筆者はKoboのインターフェースのシンプルさの恩恵を常に享受してきたが、それを複雑にしようとしているかのようだ。BooxのOSはパワフルだが、入り組み過ぎていて、どのオプションを利用可能にし、ユーザーにとってわかりやすくするかを決めるのが難しい。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

リーダーアプリのNeoReaderは、膨大なファイルフォーマットをサポートしており、ビューの変更、ブックやPDFのハイライトやメモなどを行うための巨大なコントロールセットを備えている。これは、フォントの調整やその他の基本的なことしか必要としない小型のデバイスよりも、大型のデバイスに適している。

すでに自分のコンピューター上に置かれている電子書籍を読むだけなら、デバイスのストレージ上の「Books」フォルダにドラッグするだけで済む。このタブはデバイスの電源を入れると表示され、いつでも簡単にアクセスできる。米国では利用できないが、すべてのタブに対応したビルトインストアがあり、ディレクトリを検索するためのファイルマネージャータブと、アプリと設定のためのタブがある。

アプリは別のカスタム状況だ。これは中国のデバイスであり、最近では何と呼ばれているかはともかく、一般的なGoogle認証のあるアプリストアはない。その代わり、PocketやGoodReader、KoboやKindleアプリなど、最も利用されている多数のリーディングアプリを独自のストアで提供している。しかし、これらは本質的にサイドロードされている。例えば、Kindleアプリは数カ月古い。これは決して大問題というわけではないが、このデバイスをそのまま使うには、Booxとそのプロキシアプリストアにある程度の信頼を置く必要がある。

関連記事:【レビュー】大型化し手書きメモもできる電子書籍リーダー「Kobo Elipsa」

もちろん、設定でGoogle Playサービスを有効にすることもでき、そこに公式ストアが追加される。しかしほとんどの人にとって、これはすでに過度の作業だ。私たちは電子書籍リーダーの選択において、一般的にシンプルで極めて簡単に使える、という点で甘やかされていると同時に恵まれていない。Androidに詳しくない人は、このデバイスを使ってKoboやKindle、おそらく後者の中から読むものを選ぶだろう。

それでも思い切った行動を取ることを望む人々にとっては可能性が豊富にある。筆者としては、Poke 3のフォームファクターが非常に気に入っているので、どのOSを使っても構わない。それに、普通は時間の99%が本の中のことに費やされるだろうから、その部分がうまく機能すれば、残りは単にケーキの上にアイシングするようなものである。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

6インチのスケールでは、それはあまりにも多すぎるように思える。ただしBooxの大型デバイスでは、柔軟性はより意味を持ち始める。Note 2(現在は3)、Note Air、Max Lumiのアイデアは、Androidタブレットのほぼすべての機能を、電子ペーパースクリーンの利点とともに提供することだ。そのため、レーシングゲームをするのは簡単ではないが、iPadよりもreMarkableを使っている人にとっては魅力的だろう。

関連記事:色温度を調整可能なE Inkディスプレイ搭載Androidタブ「BOOX Note 2」

多くの文書を読む場合、明るいタブレットスクリーンで読むのは、あるいはもっと言えば暗いスクリーンで読むのはいただけない。電子ペーパーのスクリーンの方が作業には適しているが、それに向けた最良のデバイスであるreMarkableは、会社の哲学全体がフォーカスを中心に回っていることから、達成できることが極めて意図的に制限されている。そのため、電子ペーパーのように読みやすいAndroid端末の機能を求める人がいるのは間違いない。いずれにせよ、Booxはそう考えている。

Note 2とMax Lumiは関連しているように見える。印象的な大きさの目立たない黒いタブレットであり、筆者の限られたハードウェアの探求の中では優れた品質だと思われた。Note Airは特筆すべきものではないと言わざるを得ず、実際にそれを見たとき、reMarkable 2のクローンだと思ってしまった。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

その第一印象は、筆者にとってあまり寛容なものではなかった。この2つはいくつかの重要なデザイン要素を共有しているが、実際にはかなり異なっており、Boox自身の他のデバイスを作る能力が疑わしい点を好意的に解釈するように導いてくれた。青とオレンジのモチーフは秀逸というほどではないが、他のデバイスとの違いを際立たせるのに効果的で、すべてのデバイス(特にAir)は薄くてよくデザインされている。

すべてのタブレットにはフロントライトが搭載されており、このような大きなスクリーンで実現できるかどうかについて懐疑的な見方をしていたが、それは不要なことだった。Poke 3と同様、ライトは明るさと色温度の両方を調節できる(少々微妙ではあるが)。

カラー電子ペーパーは依然として十分とはいえない

画像クレジット:Devin Coldewey

Nova 3 Colorは、eインクの最新カラー電子ペーパー技術を採用した7.8インチスクリーンを搭載している。筆者は常にこの技術の可能性に期待してきたが、カラー電子ペーパースクリーンのコントラストの悪さ、リフレッシュ速度の低さ、ゴーストなどの欠点に悩まされてきた。今回の最新版は、修正に向けてある程度の動きを見せているが(ソフトウェアのアップデートもそれを後押ししている)、残念ながら妥協点は多すぎる。

ハードウェアは他のBooxデバイスと似ており、しっかりしていて控えめだ。違いはすべてスクリーンにあり、デバイスがオフのときでもカラーで表示されている。カラー電子ペーパーは、画像を形成する微小な白黒のビーズと、変更可能なカラーフィルターの層を組み合わせることで機能する。これは他のものと同様にフロントライトが付いていて、色をポップにするのに大いに役立つ。

まだゴーストの問題は残っているが、例えばコミックを読んでいるときは、すべてのページをリフレッシュするように設定することで(ほんの数秒しかかからない)問題は解消される。ウェブページのような動的なコンテンツを使ってこれを行うのは容易なことではないが、もちろん電子リーダー上でウェブをナビゲートすることはすでに目新しいものだ。

カラー電子ペーパーは、コントラストとは言わないまでも彩度が不足している(画像クレジット:Devin Coldewey)

さらに気になるのは、カラーレイヤーがもたらすコントラストの低下と解像度の顕著な低下である。カラーコンテンツを表示すると、通常のLCDエイリアシングとは異なるが、依然として視認可能な明確なスクリーンドア効果が現れる。グレースケールのコンテンツでは、モアレなどの干渉パターンが中間調になることがある。

ブックは問題ないように見えるが、普通のモノクロeインクディスプレイほど鮮明ではないスクリーンドア効果が常に存在し、コントラストが低下している。それでもかなり読みやすいが、安価なデバイスの方がうまく機能するなら、これを正当化するのは難しい。

カラースクリーンのテキストは、モノクロスクリーンのテキストよりも鮮明さとコントラストが低い(画像クレジット:Devin Coldewey)

Booxがeインクの最新スクリーンを提供してくれたことには感謝しているし、電子書籍リーダーにもう少しタブレットのDNAを入れたい人には有益かもしれない(現時点では2つのカテゴリーはあまり区別されていない)。しかし、カラーはほとんどの場合、十分に加算されず、過度に減算されてしまう。

それですべてか、それとも薄く引き伸ばしすぎか

OSは筆者の知る限り、これらすべてで同じだが、これらのデバイスでは単に読むだけでなくインタラクティブ性に焦点が移っている。BooxはWacomのようなペンを作っていて、それを使って大きなタブレットの表面に文字を書くことができるが、reMarkableのような応答性や精度には遠く及ばない。

とはいえ、スケッチやライティングの最終的な仕上がりは満足のいくものだった。ただしOSが追いついてその文字にアンチエイリアスを施すまでには少し時間がかかるだろう。特にブラシについてはグラデーションに優れていると感じた。

Booxタブレットが他の同種のタブレット(つまりreMarkable、旧Sony Digital Paper Tabletおよびその他いくつかのニッチなデバイス)の上に持っているものの1つは、PDF処理に関するものだ。Booxデバイスでは、PDFを簡単にナビゲートしてマークアップすることができ、元のファイルは単に落書きやメモが追加されたような状態で保存される。reMarkableで書類をマークアップするのは簡単だが、やや使いにくいアプリのために共有やソートが少々面倒になっている。筆者は、元のファイル(常にどこかにコピーがある)を修正して、デバイスから直接メールするというシンプルなアプローチを好む。Booxデバイスはまさにそのようなシンプルさだ。

リーダーやノートブックの他にも、タブレットユーザーにとって便利なアプリがいくつか含まれている。期待通りの機能を備えたブラウザがある。Chromiumベースで、レンダリングは良好だが、ゴーストはひどい。そしてボイスレコーダー、ミュージックプレイヤー、カレンダーなど、もちろんGoogleアプリストアやビルトインストアからもダウンロードできるものも他にたくさんある。もし望むのであれば、こうしたとても包括的なデバイスを作ることもできる。

この種の電子ペーパータブレットの市場がどれだけ大きいのか、筆者にはよくわからない。しかし、これらのデバイスは何か興味深くてユニークなものを提供していると感じている、とはいえ、iPadが大型のBooxタブレットの半分の価格で手に入り、ほとんど同じことができる、という事実を回避するのは難しいだろうと思うが。

ただし、これらの電子ペーパーデバイスにはそれなりの魅力があり、長い文書を読んだり、校正したりするつもりなら、いくつかの理由からiPadよりもこれらのデバイスの方が優れている。Booxのラインナップにはこれまで以上に多くの選択肢が用意されており、それは間違いなく良いことである。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

小売・医療・建築現場などデスクレスワーカー向けに音声によるグループトークシステムを手がける「BONX」が7億円調達

飲食・医療・建築現場などデスクレスワーカー向けに音声によるグループトークシステムを手がける「BONX」が約7億円のシリーズD調達

BONXは9月6日、シリーズDラウンドにおいて、総額約7億円の資金調達を完了したと発表した。引受先は、グロービス・キャピタル・パートナーズ、森トラスト、JR東日本スタートアップなど。

調達した資金により、「チームの笑顔と未来をつくる」というBONXのミッション実現に向け「チームワーク」に投資する。具体的には、現場のさらなるチームワーク向上を目指した音声プラットフォームの開発、音声DXを推進するパートナーとのチームワークを高めるための環境整備を進める。小売・医療・建築現場などデスクレスワーカー向けに音声によるグループトークシステムを手がける「BONX」が約7億円のシリーズD調達

また、エンタープライズ向けプランの拡充も実施。セキュリティ強化や多人数での利用など、エンタープライズの顧客からの要望にも応える形でさらなる機能拡張を進める。小売・医療・建築現場などデスクレスワーカー向けに音声によるグループトークシステムを手がける「BONX」が約7億円のシリーズD調達

BONXは、グループトークソリューション「BONX WORK」と専用イヤフォン「BONX Grip」「BONX mini」、また2022年発売予定の「BONX BOOST」を通じて、現場で働く「デスクレスワーカー」に最適なチームコミュニケーションを提供。ハードウェアとソフトウェア(Android版iOS版)をセットで提供することで、現場業務に最適化されたUXの実現をはじめ、音声データの取得という観点からもハードウェアのノイズキャンセリング機能を最大限活用でき、より正確な音声データの取得も可能としているという。小売・医療・建築現場などデスクレスワーカー向けに音声によるグループトークシステムを手がける「BONX」が約7億円のシリーズD調達

同社によると、現場では非常に多くの「声によるコミュニケーション」が行われており、その主流は電話やトランシーバーという。チャットツールやビデオ通話アプリでは作業を中断してスマホやタブレットを操作する必要があることから現場仕事と相性が悪く、現場の「声によるコミュニケーション」には非常に多くの可能性が残されているとした。小売・医療・建築現場などデスクレスワーカー向けに音声によるグループトークシステムを手がける「BONX」が約7億円のシリーズD調達

さらに、音声データの活用を通じた音声DXを、社内リソースだけでなく社外のパートナーとチームで推進し、ノンデスクワーカーの「チームワーク」向上に貢献していきたいと考えているという。そのため、今回「チームワーク」への投資を使途とした資金調達を実施したとしている。

同社CEOの宮坂貴大氏が2014年11月に設立。アクションスポーツ中における仲間とのコミュニケーションの課題からBONXを着想し、2016年12月に「BONX Grip」として発売を開始した。2017年12月には法人向けサービス「BONX for BUSINESS」(現在はBONX WORK)をスタート。アクティブスポーツのみならず、小売・介護・飲食・宿泊・病院・建築現場・リモートワークなど、あらゆるシチュエーションでのチームの成長に貢献するとしている。

ドイツ政府がEUに対しスマホメーカーによる7年間のセキュリティ更新・パーツ供給の義務づけを提案

ドイツ政府がEUに対しスマホメーカーによる7年間のセキュリティ更新・パーツ供給の義務づけを提案

sigoisette via Getty Images

ドイツ政府が欧州委員会に、スマートフォンメーカーにセキュリティアップデートやスペアパーツを7年間提供するよう義務づけることを提案したと報じられています。

ドイツのニュースメディアHeise.de(ハイス・オンライン)によると、ドイツ連邦政府はスマートフォンやタブレットの修理・サービスに関する規制を変更するために、欧州委と交渉を開始したとのことです。欧州委はスペアパーツの供給につきスマートフォンでは5年間、タブレットでは6年間を義務づけることを計画していますが、ドイツはこれらを7年間に延長したいかまえです。

そうした期間の延長に加えて、ドイツ政府はスペアパーツを「妥当な価格」で提供されるのを望んでいるとのことです。これにはメーカーがスペアパーツの価格を公表し、時間の経過とともに値上げしないことも含まれています。

さらにスペアパーツが目的地に到着するまでの期間についても、欧州委の案では最大で5営業日に対して、ドイツはより短い期間の配送を義務づける意向とのこと。それに加えて修理期間が長くかかる場合は、顧客は修理ではなく本体の交換を選べる可能性にも言及されています。

しかしスマートフォンメーカーが望んでいるのは、それとは真逆のことです。Googleやサムスンのほかアップルも加入している業界団体DigitalEuropeはセキュリティアップデートを3年、機能アップデートを2年に限ることを提案。それに加えて、スペアパーツの提供義務もディスプレイやバッテリーに限り、カメラやマイクなどは「故障することはほとんどない」として除外を求めています。

今回の提案はiPhoneも対象としていますが、アップルはたいてい5年間もの機能およびセキュリティアップデートを提供しています。

かたやAndroidデバイスメーカーの多くが提供するセキュリティアップデートは、多くが3年以下に留まっており、もしもドイツ案が通れば影響はより大きいと思われます。サムスンは今年初めにセキュリティアップデートを最低4年間提供する(2019年以降の端末に限り)と発表しましたが、それ以前は2年ないし3年でした。

数年前のデバイスを末永く使い続けられることはユーザーにも有り難く、また電子廃棄物を減らすことにつながり環境保護にも貢献できると思われます。が、スマートフォンメーカーにしてみれば旧製品が修理され続ければ新製品を売る妨げにもなりかねず、また過去モデルの部品を確保する負担ものし掛かってくるはず。今後もスマートフォン業界からロビー活動など、政治的な働きかけが続けられるのかもしれません。

(Source:Heise.de。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

多様な素材が使える3Dプリンターを開発したAON3DがAstrobotic提携、月面着陸機の部品を製造

3Dプリントが大いに注目を集めているのには理由がある。3Dプリンターは新たな形状の物体を作り出すことができ、しかも従来の製造方法に比べてはるかに軽量な素材を使用できることが多い。しかし、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形技術による製造方法)の訓練を受けていない企業や、従来の3Dプリントには適さない素材を使用しなければならない企業など、多くの企業にとっては依然として参入障壁が高いことも事実だ。

3Dプリントのスタートアップ企業であるAON3D(エオン3D)は、自動化を推進することと、さらにこれが重要なのだが、より多くの素材を3Dプリントできるようにすることで、これら両方の障壁を取り除きたいと考えている。そのためにのシリーズAラウンドで1150万ドル(約12億6500万円)の資金を調達した。

AON3Dは、熱可塑性樹脂のための工業用3Dプリンターを製造している。共同設立者のKevin Han(ケビン・ハン)氏は、AON3Dのプラットフォームの特徴について、材料にとらわれないことだと説明する。同氏によれば、7万種類以上の市販されている熱可塑性樹脂複合材や、カスタムブレンドの材料を使用することができるという。顧客が使用している既存の材料を3Dプリントに対応させることができる。これこそが、同社の真のブレークスルーだと創業者はいう。

「ハードウェアのコストのみならず、材料の面でも大きな革新がありました」と、共同設立者のRandeep Singh(ランディープ・シン)氏は、TechCrunchによる最近のインタビューで説明した。「私たちは、大手企業の新素材を取り入れることができます。【略】お客様が特定の理由から使用する必要があると思われる素材を取り上げて、多くのテストを行い、3Dプリント可能なプロセスに変えています」。

これによってAON3Dは、3Dプリントを採用したくても材料を根本的に変えることができない多くの企業に、積層造形製法の可能性を広げることができるという。AON3Dのプロセスなら、その材料を変える必要がありません、とハン氏は説明する。

AON3Dは、モントリオールのマギル大学で材料工学を専攻していたときに出会ったハン氏、シン氏、そしてAndrew Walker(アンドリュー・ウォーカー)氏の3人によって設立された。彼らは1台あたり数千万円もする非常に高価な3Dプリンターと、数万円で買える一般消費者向けの3Dプリンターの間にある市場のギャップに着目してこの会社を起ち上げた。

当初は3Dプリンターの操作をサービスとして事業を始めたが、2015年にKickstarter(キックスターター)キャンペーンで最終的に8万9643カナダドル(約786万円)を集め、同社のデビュー作である3Dプリンター「AON」を支援者に届けた。それから6年が経ち、彼らはこれまでに合計1420万ドル(約15億6000万円)の資金を調達してきた。

今回のラウンドはSineWave Ventures(サインウェーブ・ベンチャーズ)が主導し、AlleyCorp(アレイコープ)とY Combinator Continuity(Yコンビネーター・コンティニュイティ)が参加。また、BDC、EDC、Panache Ventures(パナシェ・ベンチャーズ)、MANA Ventures(マナ・ベンチャーズ)、Josh Richards(ジョシュ・リチャーズ)氏 & Griffin Johnson(グリフィン・ジョンソン)氏、SV angels(SVエンジェルス)も出資した。

AON3Dは、プリンターやカスタマイズされた材料を販売するだけでなく、継続的に企業と協力して、プリンターの使用範囲が企業の製造したい部品に適していることを確かめるために、積層造形のトレーニングを行っている。

AON3Dは航空宇宙業界にも多くの顧客を見つけている。その理由の1つとして挙げられるのが重量面でのメリットだ。これは主にペイロードのサイズによって経済性が左右される宇宙関連企業にとって、非常に重要なことだからだ。さらにコストや時間、そして射出成形など従来の製造プロセスでは不可能な形状を使用できるという利点もある。

顧客の中には、2022年にSpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットで着陸機を月に送ることを目指している月探査スタートアップのAstrobotic Technology(アストロボティック・テクノロジー)も含まれる。このミッションには、AON3Dの高温プリンター「AON M2+」で印刷された数百個の部品が使用される。これらはおそらく、初めて月面に触れることになる相加的に製造された部品となるだろう。これらには、アビオニクスボックスで重要な部品となるブラケット構成部品などが含まれる。

画像クレジット:Astrobotic

「このパートナーシップにより、Astroboticは使いたい素材をすぐに使うことができるようになりました」と、シン氏は語る。「それまで、同じ材料を別のプロセスで使えるようにするためには、非常に長いリードタイムが必要でした」。例えば、高機能ポリマーを使った射出成形のリードタイムは何カ月もかかるが、3Dプリントなら1日か2日で済むと、同氏は付け加えた。

将来的には、今回調達した資金をもとに本格的な専用の材料ラボを建設し、チームを拡大していくという。同社はこの材料ラボから得られるデータを利用して、3Dプリントのプロセスを完全に自動化し、あらゆる企業が自社製品に積層造形製法を利用できるようにしたいと考えている。

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画像クレジット:Aon3D

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】Galaxy Watch 4 Classicは均整のとれたスマートウォッチ、サムスンとグーグルがそれぞれの強みを活かし協力

スマートウォッチ界は、Apple対世界という構造になっている。CounterPointが発表した最新の数字によると、Apple Watchが第1四半期の世界出荷台数の3分の1以上を占めている。Samsung / Tizenの市場シェアは8%で、遠く離れてはいるが、しかし立派な2位だ。GoogleのWear OSは4%弱で5位となっており、他のカテゴリーでは圧倒的な優勢を誇る両社が、競争上の優位性を求めて躍起になっていることがよくわかる。

Googleにとって、解決策は2つだった。まず、Fitbitの買収により、既存の市場が事実上2倍になったこと。そして長い間、Tizenの困難の中にいたSamsungにWear OSへの復帰を説得すること。Samsungにとって、GoogleのOSに戻ることは、開発者のアクセスとその結果としてのアプリを考えると理に適っている。また、Googleがサポートの問題を解決してくれるのであれば、それに越したことはない。

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純粋な市場シェアという点では、Samsungが明らかに優位に立っている。また、独自のTizenの開発は、世界的に注目されたわけではないが、当大手企業は2位の座を確保することができた。SamsungがGoogleに復帰するとしたら、独自の条件下で行う必要があるのは明らかだ。

画像クレジット:Brian Heater

Google I/Oで発表された、スマートウォッチ分野における両社の協力体制に続き、Samsungは先週、その成果の第一弾としてようやく「Galaxy Watch 4」を発表した。標準モデルとクラシックモデルの両方が用意されたこの新しいウェアラブル端末は「Wear OS Powered by Samsung」を搭載している。これは現実的には、SamsungがGoogleと緊密に協力して、Wear OSのカスタマイズ版-Tizenのように見え、Tizenのように泳ぎ、Tizenのように鳴くものーを構築したということだ。

これは、Samsungが何年もかけて構築してきた体験の親しみやすさを失うことなく、苦労しながらも強固なウェアラブルOSのエコシステムに向けて前進するための努力だ。正直なところ、私はこれに賛成だ。SamsungとGoogleのチームは、それぞれのエコシステムの特徴を見極め、両者の長所を活かした体験を構築するというすばらしい仕事をしている。Googleにとっては理想的な状況であり、他の大手ハードウェアメーカーを採用することで、Googleにとってもメリットがあることは間違いない。とはいえSamsungほど勢いのあるメーカーは業界にはいないのだが。

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それに加え、Galaxy Watch 4は、数世代にわたるハードウェアの改良と健康機能の改善により、Appleと互角に渡り合える数少ないスマートウォッチの1つとなっている。Appleと同様に、この新しいウェアラブル端末は、Samsungのエコシステムと明確に結びついている。結局先日の発表も、どう見てもエコシステムの活動の一環だった。

画像クレジット:Brian Heater

新しいGalaxy Budsは、Samsungユーザーにとって最高のイヤフォンであることは間違いないが、同じことがSamsungの堅実な新しいスマートウォッチにも言える。Samsungは、Wear OSによって第三者にオープンになってきているが(Appleよりもその程度は低いが、正しい方向への一歩だ)、それでもこれは明らかにSamsungのスマートウォッチであり、SamsungのモバイルハードウェアやSamsung自身のアプリとの相性が最も良いのだ。これは、世界No.1のスマートフォンメーカーだからこそできるギャンブルだろう。iOS以外の残りの市場では、Huawei、Garmin、Fitbitが戦えばよい。

スマートフォンやイヤフォンと同様に、Galaxy Watchシリーズも、その仕組みは必ずしも一筋縄ではいかなかった。長年にわたり、さまざまなモデルやSKUを模索してきたが、ようやく合理的な仕組みにたどり着いたと思う。実質的には、触覚技術を用いベゼルを組み込んだ下位モデルのGalaxy Watch Activeは標準的なGalaxy Watchに、標準的なGalaxy WatchはGalaxy Watch Classicになった。

ここまで書いてきて、頭で考えていたほど簡単なことではないことがわかった。基本的には「Galaxy Watch 4 = より薄く、軽く、スポーティに」ということになる。Galaxy Watch 4 Classicは、デジタルベゼルからSamsungのトレードマークである回転式ハードウェアベゼルに変更され、少し上品な外観になっている。

画像クレジット:Brian Heater

先ほども言ったが、もう一度これを言いたい。回転ベゼルは、Samsungのエースだ。スマートウォッチ業界では、Appleに勝るとも劣らないエリアだ。Appleのクラウンもいいが、スマートウォッチのインターフェースを操作するには、現在のところベゼルが最適だ。AppleがGalaxy Watch 2でベゼルを廃止し、デジタル版を採用したときは、正直言って私は戸惑った。SamsungはGalaxy Watch 3ではそれを考え直し、復活させたのだ。

以前の私のレビューを読んだ人は、私がこれまでのSamsungの時計で一番こだわっていたのがサイズであることをご存知のことだえろう。以前のウォッチは巨大だった。私は小柄な人間ではないし、手首が異常に小さいわけでもないけれど、そんな私でも装着して歩き回るのに苦労した。大きくて不格好な時計が好きな人もいるだろうが、これらのデバイスのサイズが1つしかないというのは、最初から潜在的な利用者が大きく制限されていると言える。

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ありがたいことに、今回はいくつかの選択肢がある。Galaxy Watchには40mmと44mmのバージョンがあり(それぞれ250ドルと300ドル[約3万2840円])、Classicには42mmと46mmのバージョンがある(それぞれ350ドル[約3万8310円]と380ドル[約4万1590円])。デザインの違いだけなのに、かなりの金額が加算されていると思われることだろう。ClassicにLTEを追加すると、379ドル(約4万1480円)と429ドル(約4万6960円)になる。もちろん、これはApple Watch Series 6の399ドル(約4万3670円)という初値と比べると好意的に受け取ることができる。

私は中間に位置する42mmのGalaxy Watch Classicを選んだ。数日前からこのデバイスを装着しているが、とても良い選択をしたと思っている。デザインを考えると、46mmは私が日常的に使うには目立ちすぎる時計であることは間違いない。また、寝るときには大きすぎるだろう。

44mmバージョンの標準的なウォッチがどのようにフィットしたのかはまだ気になるところだが、回転ベゼルを選択できるのであれば、回転ベゼルを選ぶべきだ。Classicの40mmバージョンは、その機能性を求める手首の小さいユーザーにとっては良い選択肢となるだろう。Samsungが4つの異なるサイズを用意していることは正しい方向性だと言える。

画像クレジット:Brian Heater

多くの競争と同様に、Samsungはここでも健康面の機能でリードしている。パンデミックから1年半、私は運動量を増やそうと努力しているが、この時計は運動量をしっかりと検知してくれる。ウォーキングやランニングを自動検出するという点では、Apple Watchとほぼ同じだ。最近、ジムでボートを漕ぐようになったのだが、そこでもしっかりと仕事をしてくれる。ただし、朝のHIITになるとかなり難しく、ヨガはさっぱりだったので、Samsungの接続型のルーチンを使用している場合を除き、手動で開始するのがベストだ。

心臓の異常を検出するためのECGが搭載されている。心臓の不調の早期発見のために多くの医療関係者が推奨し始めている、いち早く標準化されたツールだ。体組成計は、2本の指をデバイスに当てると、骨格筋、体水分、代謝率、体脂肪率などの主要な健康指標を表示してくれる、目玉となる新機能だ。

睡眠トラッキングでは、血中酸素濃度、ライト / ディープ / レム、トータル睡眠スコア(ヒント:私の場合は低い)など、確かな情報が得られる。また、スマートフォンをそばに置いて寝ると、このアプリは夜中のいびきの時間も教えてくれる。これらの数値を総合すると、自分の睡眠パターンについて優れた実用的な知識を得られる。

画像クレジット:Brian Heater

もちろん、寝るときに時計を装着するのは、快適さの問題だけでなく、バッテリーの問題もある。Watch Classicのバッテリー寿命はまずまずで、標準的な使い方から軽めの使い方で、1日半を過ごすことができた。朝や昼に充電する時間を確保できれば、フィットネスや睡眠のトラッキングには十分だろう。ほとんどの用途には問題なく、特筆すべき点はない。

これらすべての要素が、確かなスマートウォッチ体験につながっている。Galaxy Watch 4は、Samsungユーザーにとって最高のスマートウォッチであると同時に、Android対応スマートウォッチとしても最高であると強く主張できる。

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画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】より洗練されたサムスンのGalaxy Fold 3、メインストリームとは言えないが正しい方向には向かっている

Samsung(サムスン)はGalaxy Noteの終了を宣言する準備がまだできていなかった。そのうちにという感じだ。2021年8月のUnpackedイベントの後、私たちが再び同社に質問をすると、担当者は次のように語った。

Samsungは、消費者のニーズを満たすためにプロダクトラインアップを絶えず評価し、ユーザーのモバイルエクスペリエンスを高めるテクノロジーを導入しています。新しいGalaxy Noteデバイスは2021年に発売される予定はありません。Samsungは代わりに、Noteのエクスペリエンスを拡大し続け、Sペンを含む生産性と創造性に関する多数の人気機能を、Galaxy S21 Ultraをはじめ、タブレットやノートPCなどの他のカテゴリを含むGalaxyエコシステム全体に展開する計画です。発表の準備が整い次第、今後のポートフォリオについてさらなる詳細をお知らせします。

これは正確には、2021年に新しいNoteが登場しないという前回の発表の繰り返しであり、答えとは言えない。単にチップ不足の問題なのかという質問に対して、Samsungは同様に曖昧な回答を送ってきた。

半導体市場の現在の変動性は、テクノロジー業界全体およびそれ以外の分野で認識されています。Samsungでは、そのインパクトを軽減するために最善の努力をしており、今後も供給面での課題を克服するためにパートナーと精力的に協働して参ります。

画像クレジット:Brian Heater

Galaxy Fold 3をNoteの10年にわたるファブレット王座の継承者と宣言するのは時期尚早だ。しかし、確かなこととして、Galaxy Sシリーズに導入されている新機能と同社のハイエンドなフォルダブルによって、このデバイスはかなり冗長なものになっている。一方、最も可能性が高いと思われるのは、Samsungの様子見の姿勢だ。Galaxy Fold 3の好調な売れ行きは、Noteの冗長性に対する説得力のある論拠として他に勝るものはない。しかし、それは依然として大きな「もしも」であり続けている。

Samsungが初期のFoldをエキサイティングな実験として位置づけたのは賢明だった。新技術をいち早く市場に投入することは決して容易なことではなく、特にSamsungが取引するような規模においてはなおさらだ。初代Foldには、信頼性とアダプションの両方に関して、いくつかの大きな疑問があった。ここでは前者をあまり重視せず(私たちはこれについて多くの記事を書いている)、最初のラウンドで何度か白紙に戻ったとだけ言っておこう。

後者については、同社は2019年、初年度に100万台を販売したことを明らかにした。それは驚くべき、そして印象的な数字だった。もちろん、同社がSやNoteシリーズで示しているような数字とは比べものにならないが、実証されていない2000ドル(約22万円)のデバイスが発売されて数カ月で実現したことを考えると、少なくともアーリーアダプターがこの波に乗ったことを示す良い兆候であったことは確かだ。

画像クレジット:Brian Heater

Fold2では、前機種の最大の問題のいくつかをより直接的に解決し、より堅牢でバランスのとれたデバイスを実現した。Fold3は、急進的な進化を遂げたわけではないが、重要なアップデートと改良が行われている。トップレベルの新機能は次のようなものだ。

  • Sペン対応
  • IPX8規格の防水性能
  • 少し大きめの外付けディスプレイ
  • アンダーディスプレイカメラ
  • 強化された内部スクリーンプロテクター、フレームおよびフロントガラス

では正確には、これらすべてがどのような結果になるのだろうか。Samsungにとっての答えはシンプルで、「新しいフラッグシップ機」である。これはモバイルの世界で使われている言葉の1つで、定義は曖昧だ。Samsungはこれまで、SとNoteシリーズという2つのフラッグシップ機を持っていた。これがNoteにとっての技術的な過渡期なのか、Galaxyシリーズの第3のフラッグシップの宣言なのかは、上記の言葉にかかっている。しかしながらSamsungが、同社のハイエンドなフォルダブルがメインストリームになる瞬間であると自信を示していることは示唆的である。

この製品をメインストリーム化するための最初のステップは簡単だ。価格である。Fold3は、どう考えても手頃な価格のデバイスではない。1800ドル(約19万8000円)という価格は、フラッグシップモデル2機種を合わせた価格とほぼ同じである。しかし、前機種からの200ドル(約2万2000円)の値下げは、正しい方向への大きな一歩と言える。Samsungが自身のテクノロジーをさらに拡張できるようになれば、事態は悪化し続けるだろうと考える向きもある。「手頃な」フォルダブルを求めている人は、実際には1000ドル(約11万円)を下回る価格の新しいFlipに目を向けるだろう。これについては後のレビューで詳しく説明しようと思う。

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新しいフォームファクターには必ず何らかの課題がある。Samsungのようなノウハウを持つ会社のものでさえも。オリジナルのFoldを携えて、壊れないように慎重に歩き回ったことを、筆者は直感的な記憶として覚えている。レビュープロセスでは、デバイスを自分のものと同じように扱うことが期待されるが、初期のFoldではその機会に恵まれず、2000ドルのスマートフォンをうっかり壊してしまうかもしれない、という緊張感に包まれることになった。

そして、そう、やってしまった。もちろん筆者が最初ではなかった。このデバイスを広く世に送り出す前にそれを強化すべき十分な問題があった。正しい動きだったことは確かである。Foldが壊れにくいとは誰も期待していなかったと思う。しかし繰り返しになるが、最初のユニットが満たさなかった、期待される標準的な使い方が存在するのだ。

主な修正点は2つあった。1つは、Samsung(およびその他)のスマートフォンに同梱されている取り外し可能な画面プロテクターに似すぎているように見えた保護フィルムを端まで広げたこと、もう1つは、一部のごみが入ることはあるが、プロダクトを開く過程でそれを一掃するブラシ機構をヒンジ機構の内部に追加したことだ。そうすれば、画面にダメージを与える前にそれを取り除くことができる。

第2世代は、より耐久性の高い折りたたみガラスにアップグレードされた。新しいバージョンでは、こうした保護機能がさらに強化されている。これは特に、箱を開けた瞬間に制限事項を列挙したリストを提示してこないFoldの初バージョンと言える。良い兆候である。原則として、ユーザーはおそらく同じような「標準的な使い方」に固執するはずだと私は思う。そして、おそらくそうしたケースの1つに投資する。結局のところ、1800ドルの端末なのだ。

画像クレジット:Brian Heater

耐久性の面で最も注目すべき点は、IPX8規格だ。これは、最大1.5メートルの耐水性を30分持続させる。同社のフォルダブルの製品ラインは、防水性と耐水性の点でやや遅れていたが、高級機種ではほぼ標準になっている。必要とされる複雑な機構を考えれば当然のことだ。ただし、等級の「X」は、ここでは防塵がないことを示唆すると言えよう。ヒンジが実際に粒子を入れるように設計されているという単純な理由によるものだ(前述の通り)。

デバイスの前面と背面は、Corningの最新作Gorilla Glass Victusで覆われている。Corningによると「当社のラボテストにおいて、Gorilla Glass Victusは、最大2メートルの硬い粗い表面への落下に耐えました。他社製の競合アルミノケイ酸塩ガラスは、通常、0.8メートルから落下すると破損します。さらに、Gorilla Glass Victusの耐スクラッチ性は、競合アルミノケイ酸塩よりも最大4倍優れています」。一方、本体とヒンジはSamsungが「Armorアルミニウム」と呼ぶ合金で作られており「現代のスマートフォンで使われている最も強力なアルミニウム」だという。

おそらく最も重要なのは、強化されたスクリーンプロテクターを搭載していることだろう。このプロテクターは側面まで広がっているため、はがそうとするのは難しく、またそうしたいという誘惑も少ない。追加された保護機能は、標準的な使用方法(タップしすぎると壊れてしまうようなスマートフォンは避けたい)とSペン機能の両方にとって必須だ。同社には現在、スタイラスとそれに含まれるすべての生産性機能を活用する3つのラインが存在する。

画像クレジット:Brian Heater

同社ではSペンProに加えてFold専用モデルも導入した。この50ドル(約5500円)のスタイラスは小型で、画面への圧力を軽減するために特別に設計された収納可能な先端を備えている。筆者は両方のスタイラスをいじってみたが、両者の劇的な違いには気づかなかったし、SamsungもProの使用について明確な警告を発していない。しかし慎重を期して筆者はFold Editionを選ぶことにした(古いバージョンのSペンを使用しようとする際は警告表示もある)。

同社はスタイラスの互換性について以下の声明をTechCrunchに送っている。

標準のSペンとは異なる周波数に設定されているため、互換性があるのは最新のS Pen Fold EditionとSペンProのみです。ただし、SペンProは、Samsung Galaxyタブレット、Chromebook、スマートフォンなど、他のSペン対応デバイスと互換性があります。上部にあるスイッチを使ってSペンProの周波数を切り替えることができます。

7.6インチのキャンバスは、Sペンの機能に適している。もちろん、他のフォルダブル同様、Foldの中央にはまだ折り目がある。Noteと比べると、慣れが必要だ。しかし、スタイラスペンを愛用している人にとっては、複数のアクティブウィンドウやアプリの分割表示のような生産性ツールが増えていることを考えれば、この機能はぴったりだ。Samsungはここでかなりの生産性ワークハウスを構築した。

もちろんNote(およびSシリーズ)と異なり、FoldにはSペン用のスロットが内蔵されていない。これは、構造的な整合性の問題があったために搭載されなかった可能性が高い。少なくとも、折りたたんだときにすでにかなり薄いデバイスに、余計な厚みが加えられてしまうだろう。Samsungは、スタイラスを持ち歩くことを真剣に考えていて、紛失を心配している人のために、Sペンケースを提供している。

メインディスプレイは2020年からあまり変わっていない。7.6インチ、120Hzのリフレッシュレート、2208×1768の解像度、HDR10+をサポート。6.2インチのフロントスクリーンはハイダイナミックレンジではないものの、60Hzから120Hzにアップされている。Fold2は2020年、エクステリアスクリーンのサイズをアップグレードしたが、これは大きな違いだ。開いた状態で処理しなくてもいいことはたくさんある。アスペクト比は依然として非常に細身で、ほとんどの場合に利用できるが、App Continuity機能は有効なアプリの画面間をシームレスに移動できる優れものだ。

画像クレジット:Brian Heater

スクリーンフロントに追加された最大のものは、実際には引き算のようなものだ。ピンホールカメラがメインスクリーンから消えている。それに代わって登場したのが、Samsungデバイス初のアンダーディスプレイカメラだ。この技術は、企業にとって長年の聖杯であった。この機能を提供したのはSamsungが最初ではない―OppoやZTEなどの企業がこの機能を少し前から提供している。Foldも同様の技術を採用しており、ホールパンチの上にピクセルの薄い層を貼り付けている。特にスクリーン上に白い画像が表示されている場合は、スポットは見える状態になるものの、一見したところではより空間的に切れ目のない印象になっている。

画像クレジット:Brian Heater

この空間を追跡してみると、これらのカメラの画像性能はこれまでのところ理想的とは言えないことがわかる。そしてSamsungも同じ運命にある。上の写真は、フロント10メガピクセルとアンダーディスプレイの4メガピクセルのカメラでそれぞれ撮影された。画面下のカメラには曇りやぼやけがあり、2021年の高級スマートフォンに期待される水準には達していない。

Samsungとの以前の会話では、同社はこのことについて、つまりはFoldが同社のスマートフォンの中で初めてこの技術を採用した理由についてかなり率直だった。それは、自撮り用に前面カメラのオプションが追加されたことによるもので、率直に言って、標準以下のカメラに依存する必要はないのだ。確かに写真を撮るときには頼りにならないだろう。大型のフォームファクターではすでにぎこちないことは確かだ。緊急時のテレビ会議には使えると思うが、それでもフロントの方がいいだろう。基盤技術が向上するのに合わせて、Samsungが今後のアップデートで改善できるものとして、これを提起したい。

画像クレジット:Brian Heater

画像クレジット:Brian Heater

一方、メインのカメラシステムは前回のバージョンからほとんど変わっていない。

  • 12MP / F2.2超広角、ピクセルサイズ:12μm、視野角:123度
  • 12MP / F1.8広角、デュアルピクセル AF、光学手ぶれ補正対応、ピクセルサイズ:8μm、視野角:83度
  • 12MP/ F2.4望遠、PDAF、光学手ぶれ補正対応、ピクセルサイズ:0μm、視野角:45度

7.6インチと6.2インチのビューファインダーを切り替えられるという利点もあり、すばらしい写真が撮れる優れたカメラ構成になっている(正直なところ、フルスクリーンはほとんどのシーンで撮影にはやや使いにくいため、筆者は概ね小型のファインダーにこだわった)。

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    画像クレジット:Brian Heater
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バッテリーは4500mAhから4400mAhへとわずかに低下し、ディスプレイの背面にある2つのモジュールに分かれている。小さいものではあるが、間違った方向への一歩である。このような大型デバイスは、電力を食う傾向がある。使い方にもよるが、1日は乗り切れるだろう。多くの人が家に閉じこもっている限り、これは大きな問題にはならないだろうが、おそらくプラグを入れずに1日中座って動画に夢中になれるようなものではないだろう。

当然のことながら、Foldには最新のSnapdragon 888が搭載されている。Samsungから送られてきたモデルには12GBのRAMと256GBのストレージが備わっていた。このストレージを倍にすると、価格は1900ドル(約20万9000円)になる。

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SamsungがFoldを、問題を抱えたアーリーアダプターの技術から2世代の間にはるかに安定したものに変えるのを見るのは、実に印象的である。しかし同社は、フォルダブルというコンテキストの中でメインストリームのような言葉を振り回す準備はできているものの、そのような目標がまだ遠い先にあるという感覚を振り払うのは難しい。

価格は正しい方向に向かっているが、それでもこの製品は依然として、ほとんどの人にとって手に負えないほど高価だ。大型スクリーンの利点はすぐにわかるが、なぜそのような製品が必要なのかという質問には答えられない。多くの場合、このフォームファクターはまだ少し扱いにくい。

Galaxy Noteが突然冗長になるとすれば、FoldよりもGalaxy Sシリーズの方に多くの責任がある。また、もしSamsungが真に主流のフォルダブルエクスペリエンスを追求しているのであれば、Galaxy Z Flipをより長期的に検証していくことも考えられる。サイズ、価格、柔軟性、そして見た目の良さという点では、これに勝るものはない。

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】サムスンのダークホース、Galaxy Z Flip 3は過去最高の折りたたみ式スマホだ

土曜日に少々長めの散歩をした。パンデミックの間に、屋内で長時間過ごした後の気分転換に散歩するのが習慣となった。今までなら地下鉄に乗ってしまって見逃していた町の様子を歩きながらみる。この土曜日の散歩は、ぶらぶら歩きというよりは行き先が決まっていて、ハリケーンヘンリーが東海岸を直撃する前にと思い、新しくオープンしたTrader Joe’sに向かった。

散歩の途中に降ってきた雨を避けるため、ロングアイランドシティーでフードコートを見つけて入り、シャワルマを注文し、ポケットからGalaxy Z Flipを取り出す。電話を開き、新しいGalaxy Budsを耳に装着し、MLB.TV アプリで、野球観戦をした。こんなとき、Flipは本当に役に立つ。ランドスケープモードで135度に開くと、6.7インチのスクリーンを立てた状態で見ることができる。試合が終了したので(ネタバレだが、試合結果はよくなかった)、携帯を閉じてポケットに入れ、また歩き出す。

携帯電話が常に目新しいテクノロジーを備えているとは限らないが、幸運な場合には、自分の感性に応えてくれる電話に会えることもある。最初のFlipが登場した時には、随分前に廃れたクラムシェル型携帯電話について人々はたくさんのジョークを言い合った。もちろん、そうした風潮がすぐに消え去ることはなかったが、最初のFlipは、多くの人に、折りたたみ式携帯電話に注力するというSamsungの方向性は正しいという印象を抱かせた。

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最初のGalaxy Foldにまつわる初期の欠陥(他の記事でそれらをすでに取り上げた)はさておき、このデバイスも扱いやすくはない。折りたたみ式スクリーンが、折りたたみ式でなくては不可能な大きさのスクリーンを持ち歩くことを可能にしてくれるのは事実だが、しかし閉じた状態のデバイスはかさばり、それを開く機会は容易には訪れない。Flipは、スクリーンのサイズと携帯性の違いをうまく切り分けている。ディスプレイサイズの観点で言えば、Flipは事実上2つにおりたためポケットにすっぽりおさまるGalaxy Noteといったところだ。

Samsungの折りたたみ式で話題の中心となっているのはGalaxy Z Foldで、この話題の発信元はSamsung自身だ。同社は、Foldを最近の主力製品と位置づけるために多くのことをしてきた。これにはNoteのラインナップを増強する、または置き換えるなどといったことも含まれる。Fold 3にS Pen機能が追加されていることで境界線が曖昧になっているが、Samsungの既存の主力製品と、同社が思い描く今後の折りたたみ式製品との橋渡し役としてはFlipの方があきらかに適役である。

関連記事:値下げされ(相対的に)手を出しやすいサムスンの新フォルダブル「Galaxy Z Flip」は約11万円から

折りたたみ式製品を主力にすることは、なかなか難しい提案である。発売した途端に、Samsungは生産の問題とともに2000ドル(約22万円)という価格設定で否定的な報道に見舞われた。この価格は、基本的に丁重に扱わなければならない製品としては高額だ。毎日の生活に必要な製品を当たり前に使用していて誤って壊してしまわないかと心配するのはいただけない。Flipは初期の折りたたみ式製品の失敗から学び、より頑丈なデザインと耐水性を備えたものになった。

しかしながら、より重要なのは、おそらく価格設定だろう。Galaxy Z FlipはSamsungの折りたたみ式製品としては初の1000ドル(約11万円)を下回る製品である。ほんのわずかではあるが、確かに1000ドルを下回っており、これはSamsungやAppleのような高価な携帯電話と似たような価格かもしれないが、折りたたみ式製品としては本当に大きな勝利と言える。最初の数世代の折りたたみ式携帯は、程度の差こそされ、いずれも目新しさだけで生き残ってきた。

画像クレジット:Brian Heater

市場に投入される折りたたみ式デバイスが増えるにつれ、目新しさよりも機能が重視されるようになってきている。しかし人気の高まりは、裾野の拡大をも意味するわけで、その結果、価格は下がっている。ここへきて初めて、 Samsungの折りたたみ式携帯を1台買おうとするなら、電話2台分の支払いをしなければならない、というわけではなくなった。これはGalaxy Foldの価格が前の世代の製品より200ドル(約2万2000円)下がったことよりも、ずっと大きな意味合いがある。

同社は次のように発表している。「Galaxy ZFold3とGalaxyZ Flip3の予約注文を発表してからわずか10日で、2021年全体でのSamsungの折りたたみ式携帯の全世界の売上をすでに上回り、またこれまでのSamsungの折りたたみ式携帯の予約注文の中で最大の売上を記録しました」。これには、低価格であること、デザインが堅牢になっていること、Noteの新機種が発表されていないこと、顧客に向けて予約注文を熱心に宣伝したことなど、さまざまな要因が関わっているとは思うが、少なくともこのシリーズが正しい方向に向かっているということはできるだろう。

予想通り、同社の数字は、FoldとFlipの売上を分けて示したものではない。確かに、 Foldには多くの機能が備わり、7.6インチスクリーンは長編映画を見るなら6.7インチスクリーンよりよいだろう。しかし、ほとんどの人にとってほとんどの場合に望ましい製品はGalaxy Flipだろう。筆者は、Samsung Galaxy Z Flipは折りたたみ式携帯市場において最も主流の製品だと断言できる。

折りたたみ式の重要性をさほど感じていないなら、当然のことながらこうした言葉もそれほど心に響かないだろう。しかし、モバイルの未来の鍵となるものに飛びつきたいと考えている人の大部分にとっては、Flipこそ、明確なチョイスだ。過去の遺物としてクラムシェルデザインをからかうのは簡単だが、そもそも電話がそのようになデザインになったのには理由があるのだ。クラムシェル型の電話が消え去っていった大きな理由の1つは、今までスマートフォンが折りたたみ式ではなかったせいだろう。

画像クレジット:Brian Heater

Samsungのデザインは的を得たものだ。The Flip 3は今のところ、同社の最も見栄えのよい折りたたみ式製品で、デュアルカラーのシェルは印象的だ。Samsungが筆者に送ってきたクリーム色のものは特に好みというわけでもなかったがグリーン、ラベンダー、 またプレーンブラック、ホワイトでさえとてもすばらしい。これらのカラーは、外部ディスプレイが設置されている部分の黒とよくマッチしている。この部分は1.1インチから1.9インチに増えた。わずかな違いに聞こえるかもしれないが、このサイズのスクリーンではなかなかの増加と言えるだろう。

もちろん、Foldで得られるような完全な外部スクリーン機能はFlipにはない。Flipのディスプレイは通知をさっと見たいときの二次的スクリーンにはなる。それを取り出せば、時間、日付、バッテリーの残存量を見ることができ、右にスワイプすると、通知を見ることができるようになっている。

左にスワイプすると、アラームやタイマー、また天気、メディアの再生(事実上オーディオの再生 / 一時停止)、Samsung Health Metricsといったウィジェットをスクリーンに追加するオプションも表示される。このリストは今は短いが、多くの人がFlipを使用するようになれば、もっと長くなるだろう。下にスワイプすると、簡単な設定をすることができ、上にスワイプするとSamsung Pauseが表示される。

多くの人が電話の使用を控えようと努力している昨今、画面を2つに折りたためるのはありがたいことだ。これは、Foldの7.6インチスクリーンを分割して6.2インチにする形態よりもメリハリのある境界線になる。つまり電話が閉じている時は、通知を確認している時であり、電話が開いている時はなにかの作業をしている時だ。Flipなら電話を開く時もずっと簡単である。片手で開ける技はまだ身につけていないが、事実上本を開くようなかたちになっているFoldよりも、急いで開くにはずっと適している。スピードということでこの形状が最も問題になるのは、写真をさっと撮る方法がないことだ。

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写真を撮るには時間がかかり、電話をあけて内部のビューファインダーを見る必要がある。ただし、電源ボタンを二度押しすることで、小さなビューファインダーを兼ねている小さな正面スクリーンでセルフィーを撮ることはできる。左にスワイプすると静止画の切り替え、上下にスワイプすることでズームレベルを変えることができる。やや不格好で優雅さに欠けるが、12メガピクセルのカメラのペア(広角と超広角)を使用すると、ほとんどのピンホールカメラ(Flipの10メガピクセルレンズを含む)よりもはるかに優れたセルフィーを撮ることができる。

Foldと同じで、リアカメラ(見方によってはこれらも正面カメラといえる)はFlip 2以来、概ね変わっていない。2021年の今、デュアルカメラシステムは時代遅れと感じられるほどだが、Samsungが長年かけて培ったカメラソフトウェア技術と合わせ、ほとんどの目的に適った機能を持っている。22:9のアスペクト比であることから、画面の4分の1以上が制御のために割かれるのはやむを得ない。

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このアスペクト比はコメントに値する。この比率だと、開いた時、大変長い。GmailやTwitterをスクロールするような場合、たくさんの件数が表示される。しかしビデオを見る時には、スクリーンの周囲のピラーボックスやレターボックスが見えてしまうことが多いだろう。ビデオ界は22:9のアスペクト比に対応できていないし、おそらく今後も対応することはないだろう。

そして当然ながら、継ぎ目がある。それも素敵な2640×1080、425ppi画面の真ん中にである。折りたたみ式の技術に予期せぬブレークスルーが起きない限り、はっきり言ってこの継ぎ目がすぐにも消えることはないだろう。これは売上の妨げになる可能性もあるが、これらのデバイスをしばらく使うと、概ね慣れてしまう。

Foldと同様、FlipはSnapdragon888プロセッサで動作している。予想できることだが、コストが低いことと、RAMおよびストレージの容量が低いことは連動しており、Foldの12および256GBに対し、Flipでは8および128GBとなっている。余計に150ドル(約1万6500円)払うと、ストレージを256GBにアップグレードすることができる。Samsung はほとんど内部を切り詰めてはいないものの、3300 mAhバッテリーは十分とは言えない。

Foldでもバッテリー寿命は問題だが、Flipではより大きな問題であり、実際のところ、Flip最大の問題である。中程度から頻繁な使用では、1日が終わる前に再度充電する必要がある。パンデミックの現在、これは大きな問題ではないかもしれないが、世界が通常運転に戻るにつれ、検討すべき問題になるだろう。充電のできない長時間のフライトなどは問題外である。

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繰り返しになるが、筆者は残念ながらこれが売上の障害になると思う。1000ドルも支払うなら、一日バッテリーの心配をせずに使用できる電話が欲しいのは当然だ。これについては、Samsungが第4世代で焦点を当てるべき課題であることは明確だ。

現状では、Galaxy Z Flip 3には強力なアルミニウムフレーム、改良されたスクリーンプロテクター、IPX8防水(Foldレビューで概説されている理由により、防塵等級なし)など、前世代から引き継がれた強みが備わっている。この携帯電話は完璧とは言えないかもしれないが、1000ドル未満であり、Samsungの折りたたみ式携帯電話が3世代でどれだけ進化したかを示す強力な製品となっている。

SamsungがFoldを折りたたみ式携帯の主力としているために、Flipは2番手的な位置付けになっている。しかし、折りたたみ式携帯の世界に入っていこうと考えているほとんどの人にとっては、Flipがより気楽に手に取ることのできるチョイスだろう。

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)