【コラム】中国の労働文化の未来、労働者と経営者の間で揺れ動く労働規則

2021年8月下旬、中国の最高裁判所(最高人民法院)は、中国で最も悪名高い労働慣行の1つを違法とする判決を下した。

中国には「996」という略語があり、週6日、午前9時から午後9時までの勤務時間を示す。中国で急成長しているテック企業によって広められた「996」は、ストックオプションプランを持つ都会のスマートなスタートアップ企業の従業員がIPO(新規株式公開)や資金調達で億万長者になることを目指し、がむしゃらに働く姿をよく思い起こさせる。しかし「996」については、雇用者と従業員がそれをどのように理解し、適用するか、また規制当局がどのように見ているか、徐々に改善が見られる。


実際、8月26日の最高裁判決と人的資源・社会保障部から発表されたガイドラインは、テック企業とその高学歴で高給取りの従業員に影響を与えるだろう。しかし、この訴訟自体は、デジタル経済の階層のかなり下位に位置する労働者(中国主要37都市の平均を少し下回る月給8000元[約1240ドル、約14万2000円]の物流作業員)を対象としたものだ。

中国の規制当局は、雇用者と被雇用者の双方に対し、両者の関係を定義するルールを変える必要があるというメッセージを送っているようだ。最近の中国における多くの事例からわかるように、中国の指導者は、行動だけでなく、中国社会の中核を成す理念、心理、インセンティブ構造の変化を求めている。しかし、それがどのようなものなのか、具体的にはまだ見えてきていない。

オオカミのようなハングリー精神(文化)

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多くの中国企業を特徴づけている過酷な労働文化の結果であろうと、多くの企業が模倣した先駆的な例であろうと、Huawei(ファーウェイ)ほど996の労働文化の精神、メリット、潜在的な弊害をよく表すケーススタディはないだろう。

「オオカミの文化」として知られる、深圳(シンセン)を拠点とする通信業界の巨大企業は、その猛烈ぶりを特徴としている。「オオカミの文化」の意味は、誰に聞くかによって答えは変わる。好意的な解釈をすれば、それはある種の絆であり、チームメンバーを共通の目標に向かって協力し合う「群れ」と例えていると考えられる。しかし人によっては、もっと残酷な意味を持つ場合もある。2017年のファーウェイでの取材では、同社のある元社員は「ファーウェイでは『オオカミ文化』とは『食うか食われるか』という意味だ。社内の全員が互いに激しく競い合えば、外部からの脅威との戦いや競争に強い会社になるという考え方だと思う」と説明してくれた。

従業員がどのように考えているかにかかわらず、ファーウェイの文化の中核にある猛烈ぶりは、同社の成功に寄与してきた。同社の競合企業である欧州のEricsson(エリクソン)やNokia(ノキア)が、融通の利かない官僚主義、または独善的と批判されてきたのとは対照的に、ファーウェイはどんな困難が予想されてもプロジェクトを勝ち取って実現しようとする意欲を示し、世界中の通信ネットワークプロバイダーから支持された。

中国政府からの低金利の融資や自国市場での収益性の高い事業という好条件を生かし、海外事業への資金を得ることができたが、会社の文化を支える極端な熱意には競争原理もあり、他の中国企業が「996」という形でそういった精神を模倣した理由も説明できる。

ファーウェイをはじめとする中国企業は、今では一部の分野で最先端のイノベーターとみなされているが、創業当初は海外の同業者に技術力や知識で遅れをとっており、その克服に奮闘の日々が続いた。しかしその後、独自の技術や高度な技術での優位性はないものの、コストやスピード、そして発展途上国では特に厄介なビジネス上の障害を回避する柔軟性を発揮し、競争力を獲得した。

「中国のテック企業は、製品よりも実行力に価値を見出しているようだ」と、中国とシリコンバレーの両方でスタートアップを立ち上げたドイツ人起業家のSkander Garroum(スカンダー・ガロウム)氏はいう。そして「米国を中心としたテック企業のサクセスストーリーでは、1人の天才がすばらしい製品を生み出し、オープンなインターネットとオープンな経済のおかげで、単に製品の明確な優位性が広まることで規模を拡大していくというものが多い。しかし、中国や発展途上国の市場は、障壁が多く、オープンではないため、製品の良し悪しだけでなく、チームがどれだけうまく機能し、どれだけ一生懸命働いたかが規模の拡大では重要になる」と説明する。

このような話は真実を誇張して伝えられることも多いが、ライバル企業を凌駕しようとする姿勢は、多くの中国企業において誇るべきものとして見られている。ライドシェア企業であるDidi Chuxing(ディディチューシン)は、2010年代半ばの中国市場でのUber(ウーバー)とのシェア争いで名高い勝利を収めたが、そこには多数の要因があった。しかし、多くの関係者に聞いたところ、その答えは、単にローカルレベルでより良い仕事をしただけであり、ウーバーが戦い続ける価値がないと判断するまで、より激しく戦おうとしただけだというものが多い。

多くの企業は、それぞれの労働倫理とハングリー精神に基づき、特別優れた経歴は持たなくても、自分の身分を超えて高みを目指す人材を積極的に採用している。例えばファーウェイは「四線都市」や「五線都市」(6つの階級の内下位の2級)の若くて優秀な「第一桶金(人が大金を稼いだり、中流階級になったりする最初の機会)」を狙う人材を対象に採用活動を行っていることで知られている。

中国が成長し、企業が世界的に地位を高めると、過酷な労働時間ではあるものの、手厚い報酬を得ることができ、多くの中国国民が「第一桶金」の夢を叶えることができた。ファーウェイの従業員持株制度に登録している古くからの従業員の場合、年間の配当金は数十万ドル(数千万円)から数百万ドル(数億円)に上り、多くの場合、給料を上回っていたことが知られている。がむしゃらに働き、その苦労は報われたということだ。

企業による搾取を目的としたシステム

悪名高い過酷な労働文化で知られる中国では、法律上、労働者の権利が非常に保護されているというのは、直感的には意外に感じるだろう。実際、それらの法律はほとんど効力を発揮していない。

厳密にいえば、労働時間が標準的な週5日、40時間を超えた場合には残業代が支払われることになっているが、企業は法的義務を逃れるために、公式、非公式を問わず数多くの方法を利用することが知られている。

ファーウェイの場合は「striver pledge(努力家の誓約)」と呼ばれるものがある。これは、新入社員がおそらく表向きは「自発的」に署名する契約書であり、残業代や有給休暇の権利の行使を差し控えるというものだ。ファーウェイはこのような方法で注目されているが、同様の方法は一般的に行われており、ファーウェイほどの特典や出世の道を提供していない企業では特に多いようだ。

中国の国内企業と外資系企業の両方で働いた経験を持つキャリア豊富なある人事マネージャーは「当社の[ブルーカラーの]従業員の場合、残業代はすべて毎月の給料に含まれると契約で定められている」と説明しつつも「良いことではないが、私の知る限り、中国ではかなり標準的なことだ」と述べる。

労働法を逃れるもう1つの方法は、経営者に圧倒的な力を与える業績評価基準を作ることだ。「中国の企業では、欧米にならい業績管理に『成果物』の概念を取り入れているが、その解釈を極端に拡大することがよくある」と、かつて2つの大規模な中国欧州合弁企業で人事を統括していた女性幹部は語る(なお、この女性幹部も、この記事の多くの取材協力者と同様に、デリケートな政策問題について自由に話せるようにと匿名を希望した)。また「しかし『成果物』は多くの場合、達成できないだろう。従業員の「成果」が満足できるものかどうかは、管理職の判断に委ねられているためだ」とも述べる。この女性幹部は、自分のキャリアを通じてこのような慣行を阻止してきたといい、多国籍企業よりも中国のローカル企業でよく見受けられたと付け加えた。このような社内力学が働いた状況であれば、無数の搾取が行われている可能性があることは想像に難くない。

組合の利用を選んだ人たちは、企業だけでなく、国とも対立することが多い。中国では独立した労働組合は機能上違法であるが、国営の中華全国総工会(ACFTU)は以前から労働争議における労働者への支援に一貫性がないといわれている。

2019年、ファーウェイに13年間勤務した元従業員の李洪元氏が、退職金の交渉中に同社を脅迫したという容疑で251日間拘束された。検察当局は、不正行為を示す十分な証拠は確認できなかったとし、最終的に同氏を釈放したが、同氏の長期拘留のニュースを受け、ネット上ではファーウェイに対する激しい非難の声が上がった。

名目上は社会主義国である中国では、近年、労働問題に対する国民の不満が高まりつつあるようだ。2018年、エリート校である北京大学の警備会社が、中国南部での労働運動家への弾圧に抗議していた同大学のマルクス主義団体による抗議活動を取り締まった。また、GitHub(ギットハブ)に「996.ICU」というリポジトリが作成され、テック企業の過酷な職場環境に苛立っていた従業員らが不満をぶちまけ、非道な態度をとる会社に対して注意を喚起するためのオンラインフォーラムとして人気を博した。中国全土の疲れ切った若者たちの間では、一昔前の世代に見られるプレッシャーや野心を拒否する「躺平(タンピン、寝そべる)」というトレンドが人気を集め、政府は主要新聞でこの動きを激しく非難している

シュレーディンガーの労働時間:明記された法律と暗黙の規範

少子化を食い止めるために家庭に対する抑圧を軽減する必要性が増したことから、当局は中国における労働関係を規定してきた暗黙のルールを変えようとしている。

8月26日の判決を受けて、多くの企業が公式の方針を変更するために迅速に動いた。しかし、多くの企業や業界にとって、それ以上に大きな課題として立ちはだかるのは、文化や期待の問題だ。

TikTok(ティックトック)の親会社であるByteDance(バイトダンス)は、これまで公式に週6日制をとっていたことが知られていたが、この方針に終止符を打った。しかし、これは従業員らにとって必ずしも喜んで受け入れられるものではなかった。というのも、従業員は、勤務日数が減る代わりに、それに相応する給与の削減も受けたからだ。

中国の複数のインターネット企業で働いた経験のあるZhou(周)という名の女性は「私たちの多くは、納得した上でインターネット企業で働いている」とし「一生懸命働かなければならないことはわかっているが、その代わりにもっと多くのお金を稼ぐチャンスもあるはずだ」と説明する。そして「もし違うことを望むのであれば、別の会社で働くことにしていただろう」と、バイトダンスの一部の従業員が労働時間と給与の減少に憤慨するのは理解できるという。

一部の中国の技術系従業員の目には、労働時間に関する政府の厳しい要求に従うよう企業に対する圧力が強まることは、直接的な報酬に反映されない非公式な労働時間が増えるだけではないかと映っている。「知る限りでは、自分や自分のチームには何の変化もない」と、米国に上場している中国の人気インターネット企業の従業員は語る。「週末も働いているし、休日(10月1日の国慶節)にも働く予定だ。公式な休日だからといってビジネスが止まるわけではない」といい、また、時間外労働に対する残業代は「もちろん」ないと付け加える。

「ビジネスが止まるわけではない」という考えがあるからこそ、政府の規制が技術系従業員の労働条件改善に効果があるかどうか、疑問を抱く人もいるのだ。「バイトダンスは正規の労働時間と給与を減らしているが、何も変わらなければ何も問題はない」と、周氏は率直に述べ、そして「みんな仕事を続けたいし、昇進したいと思っている。だから当然、働けるだけ働く…あるいは、もっと給料の高い会社に移るだろう」と語る。

しかし、管理職に昇進すると、最近の政府からの指令を法律の文言と精神の両面から真剣に受け止めようとする傾向が非常に強くなる。「企業はこの問題に取り組んでいることを示さなければならないし、そうしなければ当局から見せしめにされる恐れがある」と、中国欧州合弁企業の人事担当者は語る。「人事部は全社的な監査を行い、従業員の勤務時間を明確に把握すべきだ」とし「最もありそうな対応は、少なくとも短期的にでもより多くの人を雇用し、それぞれが短い時間で働くことだろう」と付け加える。

しかし、多くの人が同意しているのは、中国の全体的な傾向だろう。習近平国家主席が「共同富裕」を唱え、巨大国営企業に通告しているように、中国の高成長時代は終焉を迎えようとしているようだ。しかし、政府がどの程度の変化を求めているのかはまだわからない。中国政府は久しぶりに、国営企業コミュニティに対し、今後は労働者よりも企業を圧倒的に優遇するようなことはないというシグナルを発している。問題は、その優遇措置のバランスをどの程度まで調整するかということだ。

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(文:Elliott Zaagman、翻訳:Dragonfly)

インフラ危機をゲームで解決!? マンホール蓋をスマホで撮影・投稿しポイントを稼ぐ#マンホール聖戦 〜東京23区コンプ祭り

日本のインフラ危機をゲームで解決!? マンホール蓋をスマホで撮影・投稿しポイントを稼ぐ#マンホール聖戦 〜東京23区コンプ祭り

市民参画型インフラ情報プラットフォームの構築・提供・運営を行うWhole Earth Foundation(WEF。ホール・アース・ファウンデーション)は10月22日、日本鋳鉄管と共同で開発し提供するゲーム「鉄とコンクリートの守り人」において、東京23区を対象に「#マンホール聖戦 〜東京23区コンプ祭り〜」を期間限定で開催すると発表した。開催期間は、2021年10月31日まで。対象は17歳以上。全国の方もサポート役で参加できるほか、様々な条件達成により獲得可能な計100万円以上相当分の金券を賞品として用意しており、お祭り要素のあるイベントとしている。

鉄とコンクリートの守り人は、国内のインフラ老朽化の課題に対し、日本にあるすべてのマンホール蓋を守り人(プレイヤー)が力をあわせて撮影・投稿しポイントや特典を得ながら、インフラの安全を確保することを目的とした「社会貢献型位置情報ゲーム」。マンホールコンプというゲーム性を採用し、写真の投稿やレビューによって日本全国のマンホール地図を力を合わせて完成させることを目指す。

日本のインフラ危機をゲームで解決!? マンホール蓋をスマホで撮影・投稿しポイントを稼ぐ#マンホール聖戦 〜東京23区コンプ祭り

2021年8月開催の第1回「マンホール聖戦IN渋谷」では約700人の参加者が集まり、渋谷区にある1万個のマンホールを3日間でコンプリートした。第3回目となる今回の「#マンホール聖戦」は、ゲームの参加者が協力しながら、過去最大規模の23区のマンホールのコンプリートする。

イベントに参加するには、「公式LINEに登録&詳細確認」を行い、LINE内にあるURLからウェブアプリに登録する。遊び方は、「東京23区 現在位置登録&投稿」「全国マンホール探索」「全国写真レビュー」の3種類。日本のインフラ危機をゲームで解決!? マンホール蓋をスマホで撮影・投稿しポイントを稼ぐ#マンホール聖戦 〜東京23区コンプ祭り

  • 東京23区 現在位置登録&投稿:近くのマンホールまで行き位置録後、「場所と状況がわかる写真」と「マンホールの蓋の写真」の2つをセットでアップロードする。プレイ時間は午前6時~午後6時まで
  • 全国マンホール探索:アプリ内で衛星写真を使ったマンホール探索を行い位置登録を行う
  • 全国写真レビュー:マンホール現場から投稿された写真をアプリ上でレビューする

WEFは「We Democratize Infrastructure Management」(インフラマネジメントを民主化する)というビジョンのもと、市民参画型のインフラ情報プラットフォームの構築・提供・運営を行うNPO。

人口が減少している日本において、老朽化が進むインフラにかかるメンテナンスコストの大きな負担が未来世代に転嫁されるのは、構造的に避けられない。この現状を打開すべく、WEFはゲーミフィケーションとデータサイエンス技術を活用し、インフラを利用する市民が主体的に参画する形でインフラ産業の革新を進めることに挑戦しているという。

WEFは、日々当たり前のように各種インフラを利用しているのにもかかわらず、その管理・運営体制がどうなっているのかを知るのは困難と指摘。そこで、インフラの実態を可視化することによって、情報の非対称性解消に寄与するとしている。またWEFは、公共の利益に資する情報を提供した市民ユーザーに対してインセンティブを付与し、高効率かつ低コストのインフラ維持管理プラットフォームを構築し、その普及推進に取り組むとしている。日本のインフラ危機をゲームで解決!? マンホール蓋をスマホで撮影・投稿しポイントを稼ぐ#マンホール聖戦 〜東京23区コンプ祭り

日本のインフラ危機をゲームで解決!? マンホール蓋をスマホで撮影・投稿しポイントを稼ぐ#マンホール聖戦 〜東京23区コンプ祭り

アドビが米国の全従業員に12月8日までのコロナワクチン接種を義務付け、未接種の場合は無給休暇

アドビが米国の全従業員に12月8日までのコロナワクチン接種を義務付け、未接種の場合は無給休暇

Morsa Images via Getty Images

Adobeが、12月8日までに新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けるとして、米国の全従業員にメールを送信しました。これは、米国のバイデン大統領による大統領命令に従うためのもの。

バイデン大統領は9月、全ての連邦政府職員と契約職員、請負業者、医療関係者に12月8日までのワクチン接種を義務付けると発表しています。Adobeは米国政府との取引が多く、2021年3月には、50州すべてと提携しAdobe Experience CloudとAdobe Document Cloudでサービスのデジタル化を支援すると発表しています。このこともあり、政府と取引をするならワクチン接種が必須になると判断したようです。

なお、社内アンケートによれば、米国従業員の93.5%がすでにワクチンを接種済みか、接種過程にあるとのことです。ワクチン未接種の場合、無給休暇の扱いになるようですが、宗教的・医学的理由でワクチンを接種できない場合は考慮するとしています。

ワクチン接種の義務付けはAdobeに限ったことではなく、IBMでも同様の措置を発表済み。また、Googleも7月に出社するすべての従業員にワクチン接種を義務付けるとしています。Appleはワクチン接種を義務付けてはいませんが、11月1日以降ワクチン未接種の従業員は毎日の検査報告が義務付けられます

(Source:CNBCEngadget日本版より転載)

【コラム】急速に進歩するデジタルID技術、#GoodIDムーブメントの精神がそれを支える

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、多くの技術的な変化を加速させた。2020年の春以前にZoomを知っていた人は何人いるだろう?急速に開発されたmRNA COVIDワクチンは、それ自体が科学技術の進歩の一例となっている。欧米では、さまざまな活動にワクチン接種の証明を求める動きが出てきているが、これはIDの進化がもたらす計り知れない可能性を予見させるものであると同時に、正しく行われない場合の落とし穴を警告するものでもある。

米国では、今のところ、接種証明は手書きした白黒の小さな紙(あるいはその写真)を使っていて、しかも個人のワクチン接種記録の詳細はしばしば手書きなのだ。まるで別の時代の遺物のように感じられる。これは欧州連合(EU)のデジタルCOVID証明書とは対照的だ。こちらの方はQRコードを読み取ることで、政府の医療システムから、ワクチン接種状況や新型コロナの検査結果、さらには感染に対する獲得免疫などのデータに瞬時にアクセスすることができる。

このデジタルCOVID証明書が、デジタルIDの一例である。各国政府は、世界で10億人が公的なIDを持っていないというグローバルな問題を解決するために、こうした技術の採用を徐々に進めている。IDを欠くことは、現代社会へ参加しようとする際の大きな障壁であり、仕事や学校へのアクセス、さらには日常生活の基本的な活動をも制限するものだ。デジタルIDは、銀行取引、投票、旅行、行政サービスの利用、ソーシャルメディアでのプロフィールや交流の保護などを、より簡単かつ安全にする。

しかし良いことばかりではない。デジタルIDは自由を制限し、監視を強化し、デジタルIDによって促進されるはずの多くのことを実際には困難にするために使用される可能性がある。例えば、ここ2、3年の間に、インドではプライバシー保護に関する懸念から、そしてケニアではマイノリティのコミュニティが必要書類から排除されていることが問題となって、国家のデジタルIDプログラムが論争の的となっている(実際、ケニアの高等裁判所は、政府がIDの導入において市民のプライバシーを適切に保護できなかったと判断し、IDを無効とした)。欧州でさえも、EUのCOVID証明書が、デジタルIDの確立に必要な厳しい「信頼のチェーン」に対応できない低所得国の人々の移動を制限することになるのではないかと批判されている。

これらは、過去10年間の大きなトレンドの一部であり、社会のあらゆるレベルの個人が、自分ではコントロールできないデジタルツールやプラットフォームへの依存度を高め、ある意味ではその虜囚となっている。このデジタルトランスフォーメーションは、新型コロナウイルスのパンデミックやバーチャルな交流への移行の中で、さらにその緊急性を増している。デジタルIDシステムの約束を実現するためには、個人の権利や自由を縮小するのではなく拡大することを確実にする、強固な政策と技術的な構造が組み合わせられなければならない。

これらのシステムが、自由と機会を、侵食するのではなく確実に拡大できるようなものにするためには、より多くの人々が声を上げる必要がある。だがデジタルID技術や政策の開発において、市民、住民、消費者のニーズ、経験、権利が考慮されないことがあまりにも多い。こうした考慮されない事柄を見逃し続けると、デジタルIDプログラムは、プライバシーを危険にさらし、セキュリティリスクをもたらし、ユーザーを排除し、疎外し、さらには危険にさらすという深刻な結果につながる可能性がある。このような欠陥のあるプログラムに依存している政府や企業は、データ漏洩、サイバー攻撃、経済的影響、そして社会的信用の喪失などのリスクを抱えている。

ここ数年、プライバシーとセキュリティを擁護する団体が、企業、政府、市民社会団体と協力して、デジタルIDの多くのメリットに対する共通の理解を深めるとともに、多くのリスクに対する懸念にも同様に対処してきた。彼らは、デジタルIDを開発するための道筋を作り上げ、Good ID(グッドID)という名の標準へとまとめ上げた。

Good IDアプローチには、人々が自由かつ安全にデジタルの世界に関わることができるようにするために、従うべきIDプログラムや政策を設計するためのプラクティスのフレームワークが示されている。デジタルIDは、プライバシーとセキュリティを優先し、個人が管理する保護された資産として扱われ、法律によって保護されなければならない。Good IDは、インクルージョン、透明性、アカウンタビリティーの重要性も高める。個人が自らのアイデンティティ管理に大きな役割を果たせるように強化するのだ。例えば、カナダのある企業は、現地の先住民コミュニティと協力して安全なデジタルIDを開発し、連邦政府によって保証されている権利をより簡単に守ることができるようにしている。

Good IDの推進は、Namati(ナマティ)やParadigm Initiative(パラダイム・イニシアチブ)などの草の根組織、ITS Rioオックスフォード大学などの研究者たち、MOSIPSmart Africa(スマートアフリカ)、Women in Identity(ウーマンインアイデンティティ)などの組織、世界銀行世界経済フォーラムなどの機関、Mozilla Foundation(モジラ財団)やBill and Melinda Gates Foundation(ビルアンドメリンダ・ゲイツ財団)などの慈善団体のリーダーたち、そして私自身の組織であるOmidyar Network(オミディア・ネットワーク)などの、世界的なムーブメントを引き起こした。#GoodIDムーブメントは、住民、政府、技術者、企業を巻き込んだ研究と推進を行いながら、対話を生み出してきた。

すでに、このグローバルな推進活動は、約40カ国の国内議論に影響を与えている。少なくとも25カ国がGood IDの要素を採用している。最も重要なことは、世界の約12億人の人々がより良いIDシステムを利用できるようになったことで、彼らがより完全にそして安全に、それぞれの社会、経済、選挙プロセスに参加できるようになったということだ。しかし、このコミュニティの活動は、デジタルIDがあらゆる場所で人々の信頼に値するものになるまで続く。

この5年間で、デジタルIDは新しい技術から徐々に一般的な技術へと進化し、その影響は広範囲におよび、さまざまな関係者から注目されている。紙の接種証明カードはあるにせよ、もう後戻りはできない。しかし、デジタルIDシステムがとても急速に導入されることで、間違った方向に進んで被害をもたらす危険性があることは明白だ。

だからこそ、洗練された最先端の技術を利用してデジタルIDシステムを構築しようとする世界的な動きには、優れた政策、透明なプロセス、説明責任に焦点を当てることが有効なのだ。テクノロジーコミュニティの精神は「すばやく動いて、破壊する」ことで知られている。私たちは#GoodIDムーブメントによって、社会をデジタル化する際のその勢いを、日々の市民のニーズ、経験、権利と調和させることができる。

編集部注:本稿の執筆者Robert Karanja(ロバート・カランジャ)氏は、Omidyar Network(オミディア・ネットワーク)のDirector of Responsible Technology and Africa Leadでケニアのナイロビを拠点に活動している。

画像クレジット:John M Lund Photography Inc / Getty Images

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(文:Robert Karanja、翻訳:sako)

アップルがワクチンを接種していない従業員に対し、毎日の新型コロナウイルス検査を義務付け

Apple(アップル)は、Google(グーグル)のように全従業員にワクチン接種を義務付けるような命令はまだ出していないものの、それでも新型コロナウイルスに関する指示は締め付けを増している。Bloombergによると、アップルはワクチンを接種していない社員に対し、自宅ではなくオフィスで仕事をしなければならない場合には、毎回ウイルス検査の義務付けを始める予定だという。9月にBloombergが報じたところによれば、アップルは従業員に、ワクチン接種状況を自主的に共有するよう求めていた。ワクチン接種状況の共有を拒否した人は毎日検査を受けなければならないが、ワクチンを接種した社員は週に1回の迅速検査だけで済む。

しかし、同社の小売店であるApple Storeの従業員は、消費者に接する仕事であるにもかかわらず、毎日の検査は課せられない。ワクチンを接種していないスタッフは、週に2回の検査が義務付けられており、ワクチンを接種したスタッフは、アップルのオフィスワーカーと同様に、週1回の迅速検査を受けるだけで済む。この巨大テクノロジー企業が今後、新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けるようになるかどうかはわからないが、Biden(バイデン)政権は以前、すべての連邦事業請負業者に対し、12月8日までに全従業員へのウイルス接種を義務付けるよう指示している。Bloombergが指摘するように、アップルは米国政府にも製品を販売しているのだ。

現在のところ、アップルは従業員に10月24日までに予防接種の状況を報告し、証明を提示するように指示したと報じられているため、11月1日から新規則を実施する可能性が高い。ワクチンを接種していない従業員は、アップルのオフィスや店舗で家庭用の迅速検査キットを受け取り、自分で検査をして、その結果を社内アプリを通じて報告しなければならない。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

画像クレジット:Apple / Apple

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

高専発スタートアップTakao AIが画像から自動的に点字翻訳する点訳エンジン「:::doc」試用版サイトを無料公開

「技術で人々の情報格差をなくす」をミッションとするTakao AI(タカオエーアイ)は10月20日、画像データを読み込んで点字に翻訳する点訳エンジン「:::doc」(テンドック)を開発し、試用版の無料体験サービスを開始した。

:::docは、画像データを独自のAIモデルで解析し、全自動で点字に翻訳する。深層学習(ディープラーニング)などの手法を採り入れることで画像の認識度を高め、文字や写真が混在する画像も、そのレイアウトから要約文章を生成でき、代表的な情報を重点的に点訳できるなど、「視覚に訴える情報のコンテキストを反映した自動点訳」を実現した。そのため、学校からの手紙、地域イベントのお知らせ、スーパーのチラシなどもリアルタイムでの点訳が可能となる。

高専発スタートアップTakao AIが画像から自動的に点字翻訳する点訳エンジン「:::doc」試用版サイトを無料公開点字翻訳は、高い専門知識を持つ点訳者によって1文字ずつ行われている。点訳者の数は少なく、また時間がかかるため、世の中の書類はほとんど点訳されていないという。まして、視覚障害者が文字情報をリアルタイムで読むことは大変に困難だった。それに対して:::docは、文字情報を面でとらえ、ほぼ瞬間的に点訳してくれる。

Takao AIは、高専DCONや高専プロコンで実績を持つ学生たちが2021年2月に設立したAIスタートアップ。写真などの画像を点字で伝えることはできないが、「視覚障害者に最大限の情報を伝える努力も社会の合理的配慮に含まれるべき」と話している。

試用版サイトはこちら

混雑情報を提供するVACAN Mapsが埼玉県44自治体・東京都目黒区・群馬県桐生市で衆院選の期日前投票所の空き状況配信

マップ型混雑情報を提供するVACAN Mapsが埼玉県44自治体・東京都目黒区・群馬県桐生市で衆院選の期日前投票所の空き状況を配信

AIとIoTを活用して施設の空き状況・混雑状況を地図上に表示するサービス「VACAN Maps」を運営するバカンは10月15日、第49回衆議院議員総選挙において、埼玉県内44自治体、東京都目黒区内、群馬県桐生市の期日前投票所の混雑情報を同サービスを通じて提供することを発表した。なお、県単位での導入は埼玉県が初となる。

VACAN Mapsは、専用アプリをダウンロードすることなく、スマートフォンやパソコンのインターネットブラウザでレストランやカフェ、トイレ、観光地、避難所などの空き情報をリアルタイムで調べることができるサービス。混雑状況の検知方法は、環境や予算に合わせ「店舗・施設に設置されたボタン型IoTデバイスを店員・施設スタッフが操作」「カメラで取得した施設内状況のデータをAIで自動判定」「スマートフォンなどから直接入力」など、さまざまな方法から選択できる。

今回の衆院選の期日前投票所では、投票所の職員が専用IoTデバイスを操作することで混雑情報を更新。空き状況は「空いています」「やや混雑」「混雑」の3段階で表示される。混雑を可視化し住民に情報を届けることで、当日投票時に比べ投票所が少ない期日前投票の混雑緩和、密を避ける環境づくりをサポートする。混雑情報のほか、投票所の場所や投票日などのデータも地図上に掲載されるため、投票率の向上につながる効果も期待される。サービスの提供は期日前投票に合わせて開始される。

マップ型混雑情報を提供するVACAN Mapsが埼玉県44自治体・東京都目黒区・群馬県桐生市で衆院選の期日前投票所の空き状況を配信

埼玉県内の対象となる自治体

川越市、熊谷市、行田市、飯能市、加須市、本庄市、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、深谷市、上尾市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、蓮田市、坂戸市、幸手市、日高市、吉川市、ふじみ野市、白岡市、伊奈町、三芳町、毛呂山町、越生町、川島町、鳩山町、横瀬町、皆野町、長瀞町、杉戸町、松伏町(計44自治体)

米国で大麻関連企業への投資が急増、2021年の平均投資額は昨年比165%増に

大麻関連企業のエクイティ資金調達額が、急速に過去最高を更新している。Crunchbaseのデータを分析すると、大麻企業はエクイティ資金調達でより大きな額の小切手を手にしていることが明らかになった。ラウンド数はシードラウンドから後期段階のラウンドへと移行しているようだ。

米国時間10月14日、大麻関連のテクノロジー企業として業界をリードするDutchie(ダッチー)が、新たに大規模な資金調達を行ったというニュースが報じられた。今回の3億5000万ドル(約400億円)を調達したシリーズDラウンドは、2021年3月に実施された2億ドル(約230億円)のラウンドに続くもので、同社の評価額は37億5000万ドル(約4290億円)に達した。Dutchieはこれまでに総額6億300万ドル(約690億円)を調達している。

関連記事:大麻の販売関連サービスのDutchieが新たな資金調達で評価額は前回の8倍に

Dutchieの他にも、2021年には大規模な資金調達ラウンドを実施する大麻関連企業が続出している。例えば、Jane Technologies(ジェーン・テクノロジーズ)は8月にシリーズCラウンドで1億ドル(約114億円)を調達し、Kadenwood(カデンウッド)は5000万ドル(約57億円)を調達したシリーズBをクローズした。また、私募投資で1億ドルを調達したMedMen(メッドメン)のように、IPO後の株式に目を向けている企業もある。Weedmaps(ウィードマップス)の親会社は、SPACと同時に3億2500万ドル(約372億円)の投資を受けている。

2021年の最初の5カ月間に大麻関連企業が実施した資金調達は132件で、その1件あたりの平均調達額は1500万ドル(約17億円)にのぼる。しかし、資金調達の激しさはその後も加速し、直近の5カ月間に大麻関連企業は73件の資金調達を実施しているが、平均調達額は2800万ドル(約32億円)と86%も増加した。これらの中には、シリーズDまでのプレシード投資の他、IPO後のエクイティ資金調達、エクイティクラウドファンディングなどが含まれる。

2020年の水準と比較すると、大麻関連の平均投資額は、2020年の750万ドル(約8億5800万円)から、2021年には1990万ドル(約22億7600万円)へと165%増加している。資金調達イベントの数も飛躍的に増加しており、2021年は現在までの10カ月足らずの間に、205件の資金調達ラウンドが報告されている。2020年は通年で176回だった。

投資額は、ほぼすべてのステージで増大している。Crunchbaseのデータによると、2021年のシードステージの平均投資額は186万ドル(約2億1300万円)で、2020年の平均約100万ドル(約1億1400万円)から85%増加。シリーズBとシリーズCの投資額は、それぞれ128%と154%増加し、平均投資額は1896万ドル(約21億7000万円)と1億167万ドル(約116億3000万円)となっている。ただし、この傾向には1つだけ例外がある。シリーズAの投資額は、前年同期比で25%減少しているのだ。全体的な傾向は増加しているにも関わらず、特定のステージのみが減少している明確な理由は見当たらない。

大麻は依然として連邦政府には違法薬物とされているが、企業は増え続ける規制に直面しながらも成長するための新しい方法を見出している。新型コロナウイルスの流行はそれを後押しした。感染流行初期の頃は、全国の薬局が必要不可欠なビジネスとみなされ、消費者受容が急激に高まった。2021年後半には、以前にも増して多くの米国人が大麻に慣れ親しんでおり、これには明らかに投資家も含まれている。

画像クレジット:Kimberly Delaney / Getty Images

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(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】もっと平等な社会をつくるためにテックイノベーターはこの3ステップを実行しよう

テクノロジーの分野は障がいのある人々にとって世界をより良く、よりアクセシブルな場所にする、イノベーションとコラボレーションのすばらしい事例で満ちている。

例えば補聴器によってかつては想像できなかったほどの音を多くの人々が知覚できるようになり、現在の次世代型補聴器はさらに臨場感があって効果が高くなっている。

手話を音声言語に翻訳する手袋を開発し、手話があまりできない人とリアルタイムで会話ができるようにしている科学者もいる。スマートフォンやビデオゲームといった日常的なテクノロジーもアクセシブルになり、テクノロジーのイノベーターたちにはもっと公平な社会をつくるためのインスピレーションと能力があることを証明している。

こうしたことはアクセシビリティを日々拡張する驚くべき技術革新のほんの一部だ。テクノロジーのアクセシビリティは、社会のつながり、職業の広がり、市民的関与に欠かせない。

だから私たちは歩みを止めることはできない。あらゆる人にとってのより良いテクノロジーを構築するために私たちができることを3つ紹介しよう。

コミュニティと関わりを持つ

プロダクトやサービスにはそれぞれ固有のアクセシビリティのソリューションが必要で、あるプロダクトを障がい者にとって使いやすくする方法を他のプロダクトに適用できるとは限らない。したがってテック企業はコミュニティと深く関わり、アクセシビリティの現在のペインポイントを見つけなくてはならない。

例えば障がい者にとって重要な課題であるウェブのアクセシビリティには、可能性のあるさまざまなソリューション、つまりテックイノベーターが評価し、選択し、実装しなくてはならないモデルがある。

コミュニティとの関わりは開発者に対して方向性を示すだけでなく、テックプラットフォームとそのユーザーとの間の結束を高め、プロダクトやサービスをコミュニティの人々に継続的に適応させていくことでアクセシビリティを最大化することができる。

また、コミュニティと関わって何が必要か、何が最も最適かを理解すれば、ウェブ開発者がいい加減な、あるいは無駄なソリューションを実装することを避けられる。

最も効果的な部分に集中し、ゴールを設定する

コミュニティとの関わりから得たインサイトをもとにして、最も効果を上げられる部分に集中しよう。最も切実なアクセシビリティの障壁を見きわめ、進捗の測定のために具体的なマイルストーンを決める。

デジタルアセットをもっとアクセシブルにしようとするテックイノベーターは、コンテンツクリエイターや開発者向けの内部的なゴールを設定し、既存の、あるいは開発中のデジタルコンテンツに戦略的な変更を加える必要があるかもしれない。

対象範囲や流れは企業によって異なるだろうが、最も効果を上げられる部分に集中し進捗を測定すればアクセシビリティのゴールを現実にすることにつながる。

リソースを惜しまない

アクセシビリティの向上は明らかにwin-winだ。より多くの人がデジタルプラットフォームやサービスに参加することにつながると同時に、テック企業にとってはユーザーの数やエンゲージメントのレベルが増す。

ただし前進するには投資が必要で、適切な計画がなければ全体としての成果は少なくなってしまうだろう。バックエンドのROIは極めて高いので、先行投資はユーザーベースに対するエンゲージ、コミット、強化のための頭金と考えよう。

デジタルのプロダクトは変化し進化するので、アクセシビリティの基準やベストプラクティスもそれに合わせていく必要がある。アクセシビリティの構築を一度限りのものと考え、長期的に継続可能な結果を提供できないようでは困る。そうではなく、常にコミュニティや利用者と関わっていこう。

テクノロジーは世界をもっと良くすることができる。それは、より多くの人がプラットフォームやサービスに参加できるようになったときに最も効果的に達成される。

編集部注:本記事の執筆者Ran Ronen(ラン・ロネン)氏は、Equally AIの創業者でCEO。

画像クレジット:Malte Mueller / Getty Images

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(文:Ran Ronen、翻訳:Kaori Koyama)

アップルが中国で人気のイスラム教コーランアプリをApp Storeから削除

BBCの報道によるとApple(アップル)は、中国政府の要請に応じて、イスラム教の聖典やその他の祈りに関連する情報を読むための人気アプリ「Quran Majeed」を中国のApp Storeから削除した。この動きは、外国のコンテンツを取り締まる、あるいは単にグレートファイアウォール内にそれらのコンテンツが存在することを困難にするという、中国における大きな規制変化の一環として行われている。ちょうど昨日(10月14日)、LinkedIn(リンクトイン)は、国家によるコンプライアンス要件の高まりを受けて、年内に中国版サイトを終了すると発表した。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

中国で最も人気のある宗教アプリの1つであるQuran Majeedは、全世界で利用可能で、約3500万人のユーザーがいる。

Quran Majeedアプリは、他の国のApp StoreやGoogle Playでは引き続き提供されているが、Google Playも厳密には中国では利用できない(ただし、VPNを介してアクセスすることは可能だ)。

Quran Majeedが最近削除されたことに最初に気づいたのは、AppleのApp Store上のアプリをモニタリングしているApple Censorship(アップル検閲)というサイトだった。

中国は公式にはイスラム教を宗教として認めているが、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒が多数を占めるウイグル人の人口に対する人権侵害や虐殺などで批判を浴びている。

この件に関してTechCrunchは、Appleにコメントを求めている。さらに詳しい情報が得られた場合、記事を更新する。

Appleはこれまで、現地のルールをどのように遵守するかについて、多くの論争に直面してきた。批評家たちは、特定の国におけるコンテンツに焦点を当てた規制の多くは検閲に相当し、Appleはそれに簡単に従いすぎると考えている。Appleは、規制に同意するかどうかにかかわらず、事業を展開する国の法律を尊重することが最優先事項であると主張している。

Appleの人権方針にはこうある。「当社は現地の法律を遵守する必要がありますが、時には政府と意見が合わない複雑な問題もあります」。

Appleが行うことには一貫性があるようだ。5月にニューヨーク・タイムズ紙が報じたところによると、同社は中国において、天安門広場、中国の精神運動である法輪功、ダライ・ラマ、チベットや台湾の独立など、禁止されている話題を扱っているアプリを削除する予定だという。

Appleのビジネスにはさらに複雑な要素があり、それは同社が国家の規則に従い続けることを意味している。中国はAppleにとって最大の市場の1つであり、また、同社ハードウェアのサプライチェーンを維持するために、この国に大きく依存している。

Quran Majeedは、中国のApple App Storeから削除された唯一のアプリではない。Olive TreeのBible(聖書)アプリも今週、中国で削除された。Olive Treeは、Appleが積極的に削除したと主張している。

画像クレジット:Quran Majeed App

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

京セラが会話をリアルタイムにアクリル板に表示するシステムを発表

京セラが会話をリアルタイムにアクリル板に表示するシステムを発表

京セラは10月12日、「わかりやすい字幕表示システム」を発表しました。このわかりやすい名称のシステムは、マスクの着用やアクリル板を挟んでの会話の聞き取りづらさを解消する為のものです。

仕組みとしては、話した内容をリアルタイムに認識し、透明なアクリル板などに字幕として表示します。文字を左右反転させた反転文字が同時にアクリル板に表示されるので、伝える側で音声が正しく変換されているかも確認できます。また、この反転文字は相手側には見えない仕組みとなっているそうです。

システムはスマートフォンとプロジェクタで構成されているので既存のアクリル板やビニールシートを活用できる導入の容易さも特徴の1つです。

京セラが会話をリアルタイムにアクリル板に表示するシステムを発表
「わかりやすい字幕表示システム」は10月19日(火)から開催される「CEATEC 2021 ONLINE」の京セラブースに参考出展予定です。また、IoT などを活用したオープンイノベーションを推進する「I・TOP 横浜」の取り組みの一環として、今後、横浜市中区役所にて実証実験も予定しています。

(Source:京セラEngadget日本版より転載)

【コラム】データプライバシーを全世界的に標準化すれば、それは真の意味で人類の進歩となるはずだ

中国は2021年8月、初めて抜本的なデータプライバシー法を可決した。今後、中国の個人情報保護法(PIPL)の対象となる中国の住民(中国の人口は世界で最も多い)と関わるであろうグローバル企業や意欲的なスタートアップ企業は、オンラインで売買やサービスの提供を行う際に影響を受ける可能性がある。

この法律自体は2016年に導入されたEUの一般データ保護規則(GDPR)と類似し、目新しいものではない。衝撃的なのは、GDPRが導入された際は企業に2年の準備期間があったのに対し、PIPLは2021年11月1日に施行されるということである。

PIPLを受けて、関連する企業はコンプライアンスの遵守を確立するために奔走することになる。また、データプライバシーの重要性と緊急性が世界規模で高まっていることも明らかになった。中国は、GDPR類似のプライバシー法を制定した17番目の国となるが、さて、いまだにプライバシー法を制定していない世界の超大国はどこだろうか?

米国は、消費者に焦点を当てた国家レベルのデータプライバシー法をいまだに採用していない。国民はオンライン上の個人データの管理強化を望んでいるにもかかわらず、である(複数調査による)。データプライバシー法の不整備は、特にテクノロジー業界に大きな影響を及ぼす。

さまざまな事象が急速に進む現在、データプライバシーの発展は明らかに重要な分岐点に達している。私たちのとる行動によっては世界中の何十億、何千億もの消費者に影響を与える可能性があり、また、小さなスタートアップ企業から巨大なグローバル企業まで、さまざまな企業の発展にも影響が生じる。今こそ慎重な検討が必要だ。

この記事では、最初に米国におけるデータプライバシー法の進展、およびこれが世界にとって何を意味するかを検討し、次にデータの最小化(「必要」かつ「適切で、関連性があり、限定された」個人データのみを処理する原則)の取り組みでこれらの問題に対応できるかを確認して、データプライバシーという難問に挑んでみる。最後に、データプライバシーという問題の解決に欠かせないこれらの要素を比較した上で、人々が自分のデータを確実に管理できる、世界規模のデータプライバシー基準を提唱することで締めくくりたいと思う。

米国におけるデータプライバシー

米国のデータプライバシーを取り巻く状況は複雑だ。連邦レベルでは、(動きがあるものの)包括的なデータプライバシーポリシーは存在しない。その代わりに医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)、消費者金融商品を対象としたグラムリーチブライリー法(GLBA)など、業界ごとのプライバシー規制がある。

13歳未満の子どもを保護するための児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)も存在する。また、連邦取引委員会(FTC)も、FTC独自のプライバシーポリシー(連邦取引委員会法)に違反しているアプリやウェブサイトを積極的に取り締まっている。

しかしながら、米国政府は、消費者のデジタルプライバシー権を保護するための包括的な法案を可決しておらず、各州が独自に対応している(例:カリフォルニア州のCCPA、バージニア州のVCDPA、コロラド州のColoPA)のが現状だ。このため多くの米国人のプライバシー権が侵害され、企業は何をすべきかを決めることができずに混乱している。

これが本来あるべき姿だと主張し、停滞した議会では意味のある消費者プライバシー法案を可決することはできないと警告する人々もいる。彼らは、仮に国家レベルのプライバシー法が可決されたとしても、内容は骨抜きにされ、慎重に構想された各州の法律にも悪影響を及ぼすだろうと考えているらしい。

それと同時に、50の州で異なるデータプライバシー法が存在することになる可能性も否定できない。どれも類似しているものの、それぞればらばらで、異なっている……正しく法を遵守しようとする企業にとっては悪夢のようなシナリオだ。この状況を世界規模に拡大してみよう。

データの最小化は唯一の解決策ではない

データプライバシーの問題に対処するための1つの方法として、データ最小化の原則が挙げられる。これは、企業が具体的な目的のためだけに個人情報を収集・保持することを認めるものである。

データ最小化の原則では、基本的には企業が収集するデータの量を減らすことが求められる。これには、マーケティングチームが収集するデータ量を減らしたり、データ保持のスケジュールを設定して使わなくなったデータを消去したりすることが考えられる。

これにメリットを感じる人もいるだろうが、現実的ではない。消費者に強く配慮する企業であっても、マーケティング担当者に対して潜在顧客の個人情報の収集を減らすように提案することはないだろうし、データを収集する正当な理由を探し出すことは間違いないだろう。

そして、たとえ目的が純粋なものであったとしても、個人情報や嗜好を調査して製品を開発し、ビジネスを成長させているスタートアップ企業にとって、この原則は有害なものになりかねない。この点で、データの最小化は、思わぬところでイノベーションを阻害する可能性がある。

さらに率直に言えば、消費者が自分自身のデータの取得・利用方法について選択できるようにすれば、データを最小化する必要はないと思われる。パーソナライズされたオーダーメイドの体験を好む消費者は、個人情報を共有しても問題ないと考えているケースもある。たとえば「Stitch Fix(スティッチフィックス)」「Sephora(セフォラ)」のようなブランドは、よりショッピングを楽しんでもらうために事前にたくさんの個人的な好みを質問しているが、多くのユーザーがそれを問題視していない。

世界規模のデータプライバシー基準の必要性

筆者は、このような複雑で微妙な問題が表面化し、企業や消費者を悩ませてしまうのは、皆が同じ見解を持つためのグローバルスタンダードが存在しないからだと考える。グローバルスタンダードが存在しない限り、他のいかなる法律や規則、基準も一時しのぎに過ぎない。

今こそ、世界中の消費者を保護し、企業が遵守すべき要件がどの地域でも同一になるよう、各国が合意できる基本原則を策定するときだ。

国際的なデータプライバシー法が乱立し、この地域の要件は厳しく、あの地域の要件は少しだけ異なる、といった状況になれば、企業がコンプライアンスを完全に遵守するのは不可能に近い。そうなるのも時間の問題だ。私たちは事態を収拾しなければならない。

データプライバシー基準は、国境を越えた公平性の基本を確立し、あらゆる段階の企業に適用される。そして、企業の国際的なビジネス展開は飛躍的に容易になる。

筆者は、今影響を受けている企業や地域が、国際的なデータプライバシー基準に向けた変化を促進してくれることを期待している。グローバル化を目指す企業にとって、地域で異なる基準は大きなマイナスであり、膨大なコストにつながっている。そういった企業が協力すれば、共通の解決策を見出すことができるだろう。推進力はそこにある。中国の動向を見れば、他の国が追随する日もそう遠くはないはずだ。

米国内でのデータプライバシー法の制定を待たずに、米国を拠点とする業界団体でさえグローバルスタンダードへの第一歩を踏み出そうとしている。例えばConsumer Reports(コンシューマーレポーツ)は解決策を検討するためのワーキンググループを立ち上げた。これにより、企業と消費者の双方を保護するためのデータプライバシーに関する世界的な関心が急速に高まる可能性がある。

データプライバシー基準の核心

データプライバシー基準はもはや必要不可欠であるといえるが、その策定にあたって忘れてはならないのは「消費者自身が、企業による自分の情報の扱いをコントロールできる」ようにしなければならないということである。

とりわけサービスやアプリケーションが取引を促進するために利用される場合は、消費者自身が、誰が自分の情報にアクセスできるのか、それはなぜなのかを知る権利を持つ。また、要求に応じて個人情報を削除させる権利や、企業が許可なく自分の情報を販売することを防ぐ権利も必要だろう。これらは基本的かつ普遍的な権利であり、政府機関や支援団体はこれを理解しなければならない。

マーケター、マーケティング担当者は不満かもしれないが、すべての消費者が自分の情報を共有することに反対していると考える必要はないだろう。実際には、前述の例のように、企業が個人情報を収集・保持することで、パーソナライズされた体験やショッピングができることを評価する人も少なくない。

消費者の選択権は、最終的にエコシステム全体の健全性を高め、企業が信頼と透明性を築くための新たな手段となる。企業も(地域ごとに)何種類もの消費者の権利を開発・管理するためにいつまでもあたふたする状況から解放される。

筆者は、スタートアップ企業がプライバシーファーストで設立されるようになると予想している。これは企業の差別化にもつながるだろう。しかし、変化の最大の要素は、消費者が世界のどこにいようと、個人情報を含むシステムが世界のどこにあろうと、自分のデータを確実にコントロールできるようにすることだ。データプライバシー基準は消費者の権利を保護し、混乱を解消して企業が効率的にビジネスを行えるようにする。他のアプローチでは同じことを合理的に行うことはできないし、大規模に展開することもできない。

データプライバシーを全世界で標準化し、私たち全員が同じステージに立つことができれば、それは真の意味で人類の進歩となるはずだ。

画像クレジット:Kardd / Getty Images

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(文:Daniel Barber、翻訳:Dragonfly)

テスラに人種差別訴訟で151億円の支払いを命令

Tesla(テスラ)は、カリフォルニア州フリーモントにある同社のEV工場で、差別や人種に関する誹謗を見て見ぬふりをしていたと告発した黒人の元従業員に対し、1億3700万ドル(約151億円)の賠償金の支払いを命じられたと、ワシントン・ポスト紙が報じた。サンフランシスコの連邦裁判所の陪審員は、2015年と2016年に契約社員として働いていたエレベーターオペレーターのOwen Diaz(オーウェン・ディアス)氏に、個人の人種差別雇用訴訟としては最大級とされる判決を下した。

ディアス氏は訴訟の中で「ジム・クロウ時代のような差別」に直面し、人種的な中傷を受けたと主張した。Teslaの従業員は、鉤十字の絵や人種差別的な落書き、侮辱的な漫画などを工場内のあちこちに残し、監督者は誹謗の阻止を怠っていたと主張している。「Teslaの先進的なイメージは、アフリカ系米国人従業員に対する屈辱的な扱いを覆い隠す飾りであった」と判決にある。

賠償金は、精神的苦痛に対して690万ドル(約7億5900万円)がディアス氏に支払われるが、大部分の1億3000万ドル(約143億円)はTeslaに対する懲罰的損害賠償だ。「米国で最も裕福な企業の1つが、自社工場での黒人に対する忌まわしい状況を清算しなければならないというのは、すばらしいことです」とディアス氏の弁護士であるLawrence Organ(ローレンス・オルガン)氏は話した。

「ここまでくるのに4年の歳月を要しました」とディアス氏はニューヨーク・タイムズ紙に語った。「肩の荷が下りたような気がします」。

Teslaの人事担当副社長Valerie Capers Workman(ヴァレリー・ケイパース・ワークマン)氏が判決を受けて書いたブログ記事の中で、同社は訴えを軽視した。「ディアス氏に加えて、他の3人の証人(いずれもTeslaの契約社員ではない)が、フリーモント工場のフロアで定期的に人種的な中傷(Nワードを含む)を耳にしたと裁判で証言しました」と同氏は書いている。「彼らは全員、Nワードの使用が職場では適切ではないことに同意していますが、ほとんどの場合、その言葉は『友好的』に使用されており、通常はアフリカ系アメリカ人の同僚も使用していると思われることに彼らは同意しています」。

Teslaは、ディアス氏の申し立てに対応して、2人の契約社員を解雇し、1人を停職処分にしたと付け加えた。そうした事実は判決を正当化するものではなく、同社は2015年と2016年の時点で「完璧ではなかった」ものの「大きな進展を遂げました」と述べた。同社は控訴するかどうか明らかにしていない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve Dent氏はEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

NTTが数学の真理探求と長期的研究開発強化に向け「基礎数学研究センタ」設立、量子コンピューティングの速さの根源解明

NTTが数学の真理の探求と長期的研究開発強化に向け「基礎数学研究センタ」を設立、量子コンピューティングの速さの根源など解明

NTTは10月1日、長期的視野に立った基礎数学研究を推進するための組織「基礎数学研究センタ」(Institute for Fundamental Mathematics)を、NTT研究所内に新設した。現代数学の基礎理論体系構築に取り組みつつ、「量子コンピューティングの速さの根源」の解明や、未知の疫病の解明、新薬の発見などにおいて、「現代数学の手法を駆使した今までにないアプローチの提案を通じた貢献」を目指すという。

同センターのミッションは、「現代数学の多様かつ広範にわたる未知なる課題」に取り組み、「数学の真理の探求」を推進することであり、以下のような課題解決に貢献することだとしている。

  • 現代数学の未解決問題への挑戦を通じて新たな基礎理論体系を構築し、量子コンピューティングの速さの根源の解明、量子計算機でも破れない暗号方式の考案など、「デジタルを超える量子技術の革新に向けた研究」の加速
  • 生命科学、脳科学、社会科学などにおける現象の相互作用や未解明な振る舞いに関する、トポロジーと幾何学、数論、関数解析などの現代数学の発展と各研究領域の研究者との連携
  • 各研究分野での現代数学の数理的な記述方法を探索し、未知の疾病の解明、新薬の発見、超大規模シミュレーションとAIの融合による災害予測、災害救助を本格的に担えるアバターやロボットの構築
  • 人間の脳のダイナミクスや人の行動メカニズム、記憶、思考、意識が生まれるメカニズムの解明、新たな脳型計算機実現に向けた理論の発展への寄与

今後は、基礎数学分野の第一級の研究者を招き学術貢献すると同時に若手を育成し、NTTが提唱する光による高速大容量通信のネットワークと情報処理基盤を構築する「IOWN」(Innovative Optical and Wireless Network)構想の実現にまつわる諸問題の解決を目指すという。

HACARUSと大阪ガスが地中レーダーによる地中埋設管の位置検知をAIが行う「AI自動判定ソフトウェア」開発

HACARUSと大阪ガスがガス管・水道管や電力・通信ケーブルなど地中埋設管の検知を行う「AI自動判定ソフトウェア」開発

産業向けのAIソリューションを開発・提供するHACARUS(ハカルス)は9月29日、大阪ガスと共同で、地中の埋設管の位置を自動的に判定できる「AI自動判定ソフトウェア」の開発を発表した。熟練技術者のノウハウをAI化して、地中の埋設管の調査を効率化するというもの。大阪ガスが、日本信号を通じて10月1日より発売する。

今回共同開発した同ソフトウェアを用いると、熟練の技術がなくても、AIにより埋設管位置を正確に判定できるようになるという。AIによって埋設管の位置の検出率89%を実現し、現場作業員の平均と比較して10%以上高い判定精度を達成したとしている。

HACARUSと大阪ガスがガス管・水道管や電力・通信ケーブルなど地中埋設管の検知を行う「AI自動判定ソフトウェア」開発

ガス工事などで道路を掘削する際、ガス管や水道管、電力・通信など各種ケーブルの埋設物を傷つけないよう、地中レーダーなどでその位置を正確に把握する必要があるが、検出されたレーダー波の解析には、熟練の技術者の勘と経験が物を言う。だが、少子高齢化、人材不足などにより熟練の技術者が減少する傾向にある今、そのノウハウを継承する方法が求められている。そこで、HACARUSは、同社独自のAI技術を活かして、そのAI化に取り組んできた。

AI自動判定ソフトウェアには、スパースモデリング(疎性モデリング)と呼ばれる、少ない情報から全体像を把握するAI技術が使われている。大量のデータを必要としないため、クラウドなどに接続する必要がない。そのためローカルで処理が行えるエッジ端末として、システムを既存の地中レーダーなどの装置(既存データ収集デバイス)に組み込むことができる。「今ある設備やオペレーションをなるべく維持しながら、AIを活用した匠の技やノウハウの継承が可能」とHACARUSでは話している。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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マイクロソフトがSurface新製品イベントで発表した「8つの新デバイス」のひとつは、PCでもタブレットでもスマホでもなく、ペンやマウスでもなく、Surfaceなどに貼り付けて使い勝手を向上する「アダプティブキット」でした。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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中身は触覚で手がかりになるバンプラベル(写真)、特定キーを分かりやすくするキーキャップラベル+アプリケータ、どのケーブルをどのポートに挿すか見やすくするポートラベル、SurfaceのキックスタンドやノートPCなどを開きやすくするオープナーサポート

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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キーキャップラベルはこれ。従来から様々な製品が市販されてきた「キートップに貼って特定キーを触覚で分かりやすくする」シールです。

こちらは色分けがない半透明のみ、かわりに○や\など指先で認識しやすい形状を数種類用意します。アプリケータはこのシールをぴったり貼りやすくあわせる補助具。

ただのシールなのでどのキーボードにも、あるいはどんな機器のキーにでも貼れますが、Surfaceアクセサリ扱いなのでサイズがちょうど良いこと、Fキー列などハーフサイズのキー用もあることが利点といえば利点。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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ポートラベルはこちら。色分けのほか、こちらも触覚でわかる手がかりで数組が用意されています。デバイスを持ち上げて側面を覗いたり、ケーブルを間違った端子に挿そうとして困惑することを防ぐ効果。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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オープナーサポートは、ノートPCの天板やSurfaceのキックスタンドなどを開きやすくするための粘着式フック。指を引っ掛けて開くものと、ストラップを結んで引いて開くものがあります。

あらゆるデバイスが薄くツルツルになってゆくなかで、わずかな窪みに指を引っ掛けて開くことを前提にする製品も増えましたが、誰でも簡単に使えるわけではありません。

Surface Adaptive Kit はマイクロソフトのデバイス部門アクセシビリティ ディレクター Dave Dameの指揮のもと、実際に様々な障碍を持つ人々や団体から意見を募り開発したプロダクト。

ひとつひとつはすでに売っているようなものですが、デバイスメーカーであるマイクロソフトが純正として用意することで、より多くの人が見つけやすく入手性が改善すること、他のツルツルなデバイスのメーカーにもこれくらいは用意して当然と追従するきっかけになる点ですばらしい取り組みです。

マイクロソフトがSurface Adaptive Kit発表、障がいがある方向けにPCのアクセシビリティを物理的に向上

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マイクロソフトのアクセシビリティへの取り組みといえば、足でも使える巨大ボタンを備えた Xbox Adaptive Controller は日本でも販売中です。

足でも使えるXbox Adaptiveコントローラ発表。拡張自在なアクセシビリティ製品

単にボタンや十字キーがでかい、床置き対応コントローラというわけではなく、各種のボタンや機能に対して3.5mmアナログ端子をずらりと用意して、市販のさまざまなデバイスを接続できるようにすることで、ユーザーそれぞれに異なるニーズに適応する点が特徴。

マイクロソフトによれば、視聴覚や運動などでさまざまな障碍をもった人は世界で10億人。またいまは無関係と思っていても、ほとんどの人はいずれ何らかの障碍を持つことになります (その前に死ななければ)。

マイクロソフトの最近のマントラ ” to empower every person and every organization on the planet to achieve more. ”、公式訳は「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること」が単なるお題目でないこと、「すべての人々」を額面通りのすべてに近づける取り組みがうかがえるプロダクトです。

Surface Adaptive Kit は国内で2022年前半に提供予定。

(Source:法人向け Surface アダプティブ キット – Microsoft Storeマイクロソフト アクセシビリティ ホームEngadget日本版より転載)

米連邦通信委員会が子どもたちの「宿題格差」解消へ基金から1320億円を全米の学校に給付

FCC(米連邦通信委員会)は、Emergency Connectivity Fund(ECF、緊急接続基金)から最初の小切手を発送した。この基金は、コンピュータやインターネットサービスの費用を負担し、学校における「宿題格差」を解消する取り組みだ。最初の12億ドル(約1320億円)の小切手は、すべての州とワシントンDC、グアム、プエルトリコの数千の学区に分配され、さらに多くの給付が予定されている。

ECFが解決しようとしている問題は、勉強や宿題、そして今では授業もすべてオンラインで行われるこの時代に、それらに参加するためのデバイスや適切なインターネット接続がない多くの生徒らのことだ。この状況が、すでにある不平等を悪化させている。彼らは、他のリソースにアクセスできず、彼らには非がないのに遅れをとってしまうことが多いからだ。

ECFはこうした状況に対処するために用意され、2021年初めにパンデミック対策法案の一環として資金が積み立てられた。同基金は総額70億ドル(約7700億円)のプログラムだ。学校や図書館が「これだけのタブレット端末やワイヤレスホットスポット、ブロードバンド接続の費用が必要だ」と正式に申請すると、一定期間にわたり資金が分配される。要求が妥当であり、書類が整っていれば、費用を負担してくれるようだ。

関連記事:米FCCがネット接続支援に1.08兆円の緊急支出開始、パンデミックによる悪影響が最も深刻な人々を支援

「イリノイ州セッサーのセッサー図書館のような地方の小さな図書館から、ボルチモア市の公立学校のような大規模な学区まで、この第1弾の資金援助により、300万台以上の接続機器が遠隔学習のために提供されます。デジタル格差の最も残酷な部分の1つを解消する大きな一歩となるでしょう」と、FCC議長代理のJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏はニュースリリースで述べた。

均等に分配されるのではなく、受け取った申請書に応じて分配される。金額が最も大きいのはニューヨーク州で2億4300万ドル(約267億3000万円、うち211億2000万円はニューヨーク市)、次いでテキサス州が9700万ドル(約106億7000万円)、カリフォルニア州が7100万ドル(約78億1000万円)となっている。ワイオミング州とサウスダコタ州はそれぞれ10万ドル(約1100万円)以下だった。基金からの2回目の支給に対し書類を提出した地区があった可能性がある。

そのため、米国時間9月28日に、2021年の7月から2022年の6月までに使用される機器やサービスを対象とする新しい申請期間が設けられた。FCCは第1回目の申請をまだ処理していると述べているため、もしあなたの地区の申請に対し回答がなくても、心配する必要はない。まだ申請していない地区は、さっそく申請してみてはいかがだろうか。

地区別・金額別に分類された受領者の全リストは、このリンク先のスプレッドシートで確認できる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

人身売買被害者の合成データでプライバシーを侵害せずにビッグデータ分析ができる

人身売買に効果的に対処するためには、対処する側がそれを理解する必要があり、最近ではそれは「データ」となる。残念ながら、被害者を知るための便利なインデクスはないが、でもこの秘密情報はいろいろなところで豊富だ。Microftと国際移住機関(International Organization for Migration、IOM)は、本物の人身売買データの重要な特徴をすべて備えているが、完全に人工的な新しい合成データベースで前進する方法を見つけたかもしれない。

各被害者は疑う余地もなく個人だが、人身売買が多い国や彼らが利用しているルートや方法、被害者の行き着く先など、基本的な高レベルの問いは統計の問題だ。トレンドやパターンを同定するためのエビデンスは防止活動にとって重要だが、これら何千もの個人のストーリーに埋もれていて、しかも公開されたくないものが多い。

IOMのプログラムコーディネーターであるHarry Cook(ハリー・クック)氏は、データセットを説明するニュースリリースで次のように述べている。「実際に見つかった人身売買の事件に関する管理データは、可利用なデータの主たる源泉だが、そのような情報は機密性が高い。IOMは過去2年間Microsoft Researchと協力して、そうしたデータを分析用にシェアし、それと同時に被害者の安全とプライバシーを守るという困難な課題において進歩できたことを、うれしく思っている」。

歴史的には、犯罪データベースや医療情報などは大量の編集をするのが常套手段だが、「匿名性を取り去る」この方法は、データを再構築しようとする真剣な試みに対して効果がないことが立証されてきた。現在では数多くのデータベースが公開され、あるいはリークされて、コンピューティングの力を誰もが利用できる時代であるため、編集された情報を極めて信頼できる形で提供できる。

Microsoft Researchが採った方法は、オリジナルデータをベースとして、ソースの重要な統計的関係を保持し、しかし場所・時期・個人等を同定できる情報がない合成データを作ることだ。「Jane Doe」を「Janet Doeman」に書き換えたり、彼女の故郷をクリーブランドからクイーンズに変えるのではなく、データに似通った性質のある10名弱の人たちのデータを合わせて、彼らを統計的に正確に表現している属性の集合をつくるが、それを使って個人を同定することはできなくなっている。

画像クレジット:Microsoft Research / IOM

当然この方法では元のデータの粒度は失われるが、機密性のあるソースと違ってこのデータは実際に使用できる。それはどこかのタスクフォースが分析して「そうか、次の人買いはXXXXで行われるのだ」というタイプの情報ではないが、このデータは直接的なエビデンスに基づいているため、政治や外交レベルで事実の記録として取り上げることができる。これまではもっと一般的に「X国と政府Zはこの件で無視できる」や「共謀している」などと言わなければならなかったのが、これからは確かなデータに基づいて「性的人身売買の36%はあなたの司法圏を通っている」と言えるようになる。

データが一種の強制手段として利用されるという意味ではなく、人間の悲惨のグローバルな交易を、一連のお互いに無関係な出来事の連鎖ではなく、1つのシステムとして理解することは、それ自身に価値がある。そのデータは、ここで見ることができ、その作り方を勉強したい人には、この事業のGitHubがある。

画像クレジット:SEAN GLADWELL / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】パラリンピック選手は金メダルを獲得するが、私たちはウェブアクセシビリティで選手を失望させている

1972年のパラリンピックで初めて金メダルを獲得した後、私は水泳競技チームと一緒にお祝いの夕食に出かけた。世界的なアスリートであるチームメイトたちが、車いすに乗せられて、アクセスの悪いレストランの数段の階段を上っていくという逆説的な光景は、今でも忘れられない。当時は決して珍しいことではなかったが、その日のプールでの勝利とは対照的に、この瞬間は特に際立っていた。

つり器具を装着して階段をゆっくり上がりながら、私はこの状況を皮肉に思った。パラリンピックのチャンピオンである私たちは、何百万人もの人々にインスピレーションを与える存在だった。私たちは固定観念を打ち破り、障害者が成し遂げられることについての一般の認識を変えていたからだ。しかし、社会から称賛される一方で、私たちは社会からは受け入れてもらえなかったのだ。

一般的な商品やサービスを利用するためには、超人的な体力と身軽さを必要とした。物理的な世界に完全に参加しようとすると、ハードルが高く、障害があった。当時、パラリンピックスポーツを通じて障害者の権利を促進しようとしていたパラリンピックムーブメントにとって、まだまだやらなくてはいけないことが残っていたのは明らかだった。それどころか、まだ始まったばかりだったのだ。

その後、私が参加した4つのパラリンピック大会では、よりアクセシブルな都市への移行が徐々に見られるようになってきた。それには、パラリンピックムーブメントが大きく貢献している。世界中のテレビにさまざまな障害者が登場することで、平等なアクセスの必要性がスポットライトを浴びるようになったのだ。

1980年のパラリンピックでのJoseph Wengier(ジョセフ・ウェンギアー)氏とチームメイトたち。左から2番目がウェンギアー氏。(画像クレジット:Joseph Wengier)

また、パラリンピックは開催都市にも要求し、都市のインフラのアクセシビリティを意味のある永続的なものに改善することを求めた。今日、確かにまだまだ改善の余地はあるが、障害者はほとんどの問題を解決し、かつてないほど社会に参加できるようになった。

しかし、インターネットが私たちの日常生活の中でますます中心的な役割を果たすようになると、私たちがこれまで経験し、戦ってきた排他的な物事が、新たな形で再び姿を表すようになってきた。最近の調査では、世界のトップ100万のウェブサイトを調査したところ、97%以上のホームページにアクセシビリティの問題が見つかったという。

キーボード操作に対応していなかったり、スクリーンリーダーが正しく動作しないレストランのホームページでは、これらの技術に頼っている人が料理を注文できないことがある。これは、車イスでの入店ができないのと同じことだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)が私たちの日常を変えた今、オンラインへの移行は加速している。より多くの企業がデジタル化を進めており、予約をするにも、食料品を買うにも、仕事に応募するにも、ウェブサイトが唯一の手段となっている。そのため、アクセシブルなウェブサイトの必要性はこれまで以上に高まっているのだ。これは、ちょっとした不便さや、新しい技術やサービスにアクセスできないというレベルの問題ではない。日常の基本的なニーズがオンラインに移行し、その過程でアクセスしにくくなっているのだ。このような状況を目の当たりにして、私は声を大にして自分の体験を伝えたいと思うようになった。

私たちがオンラインで東京でのお気に入りのアスリートのパフォーマンスのハイライトを見たり、ソーシャルメディアでアスリートを祝福したり、お気に入りのスポーツサイトでイベントの報道を読んだりするように、これらの企業が自分たちのウェブサイトをアクセシブルなものに変え、パラリンピックチャンピオンも同じことができるようにすることをみんなで要求しよう。

メダルを背景にパソコンに向かうウェンギアー氏の最近の画像。(画像クレジット:Joseph Wengier)

編集部注:本稿の執筆者Joseph Wengier(ジョセフ・ウェンジャー)氏は、パラリンピックに5回出場し、9個の金メダルを獲得した。現在は、アクセシビリティ技術を提供する企業UserWayのアンバサダーとして、よりインクルーシブなインターネットの発展を推進している。

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画像クレジット:Charly Triballeau / AFP / Getty Images

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(文:Joseph Wengier、翻訳:Akihito Mizukoshi)

中国版TikTokの「抖音」が14歳以下の利用を1日40分に制限・22時から6時まで利用できなくする青少年モード追加

中国版TikTokの「抖音」が14歳以下の利用を1日40分に制限・22時から6時までは利用できなくする青少年モード追加

China Stringer Network / Reuters

TikTokを運営する中国ByteDanceが、中国版TikTokである「抖音(Douyin)」について14歳以下のユーザー向けに青少年モード(Youth Mode)を追加すると発表しました。このモードではまた、1日の利用時間が40分までに制限されるほか、22時から6時までは利用できなくなります。

青少年モードでは、面白い科学実験や博物館や美術館のコンテンツ、全国の美しい風景に歴史的な知識の解説など、教育向けコンテンツも追加されるとのこと。

なお、Bloombergによると、Douyinとは別にXiao Qu XingあるいはLittle Fun Starという新しいアプリの提供も開始されたとしており、こちらも1日40分などの制限は同じですが、教育向けコンテンツのみを提供しているようです。

中国では、2018年に習近平主席が子供の近視率の増加を憂慮したことから、未成年者のゲーム・インターネット利用を規制する動きが強まっており、直近では、18歳未満のゲーム利用を週に3時間までに制限したばかりです。

週に3時間までの制限と比べれば、1日40分というのは大分軽い制限のようにも思えますが、香港で発行されているSouth China Morning Postによれば、Douyinユーザーのうち、12歳未満は0.34%、13~19歳が4.18%に過ぎず、それほど多くのユーザーには影響しないようです。ただし、Douyinはユーザーの統計データを公開していないため、この数値が正確である保証はありません。

なお、Douyinは、14歳以下のユーザーがこの規制を回避することができるかもしれないと認めており、ログインプロセスの抜け穴を探すバグ発見キャンペーン「DOU to find bugs」も実施しています。

(Source:ByteDanceEngadget日本版より転載)