退院後、母乳育児の悩みをバーチャルカウンセリングで継続的にサポートするSimpliFed

赤ちゃんへの授乳にはさまざまな形があるが、人生の新たなマイルストーンとなるこの時期は、親がなかなかサポートを受けられないと感じる領域でもある。

SimpliFedは、ニューヨーク州イサカを拠点に、バーチャルで授乳および赤ちゃんの摂食支援プラットフォームを提供する企業だ。同社はThird Culture Capitalが主導したプレシードラウンドで、50万ドル(約5500万円)の資金を調達したと発表した。

SimpliFedの創業者兼CEOのAndrea Ippolito(アンドレア・イポリート)氏(画像クレジット:SimpliFed)

バイオメディカルエンジニアで、2人の子供の母親でもあるAndrea Ippolito(アンドレア・イポリート)CEOがSimpliFedのアイデアを思いついたのは3年前のこと。第一子を出産した後、授乳に苦労した彼女は、そうした経験をしているのは自分だけではないことに気づき、誰もが乳幼児の授乳に関する情報やサポートにアクセスできるような方法はないかと考え始めた。

イポリート氏はTechCrunchに次のように語った。「退院後は、私たちにとって肝心なときです。これはメディケイドにおける大きな問題であり、単にアクセスを増やすだけではなく、授乳のための継続的なサポートを提供し、(そのプロセスに支払いを提供するために)健康保険という難問を解決することが重要です。当社は、母親がどのように授乳するかにかかわらず、乳児の食事摂取ゴールを達成し、各々の母親にとって授乳がどのようなものであるかを理解する手助けをしたいと考えています」。

米国小児科学会は、母親が最長6カ月間授乳することを推奨している。しかし、米国疾病対策予防センター(CDC)によると、60%の母親が、母乳量や赤ちゃんがうまく吸わないトラブル、病気、サポートのない職場環境などの理由で、意図した通りの期間授乳していないと推定されている。

SimpliFedのプラットフォームは、赤ちゃんの栄養状態に関するエビデンスに基づいた情報を提供する、誰もジャッジされることのないゾーンだ。このプラットフォームは、出産前後に母親と赤ちゃんが受ける典型的なケアに取って代わるものではなく、問題が発生したときにサポートを提供するものだと、イポリート氏は述べている。ラクテーションエキスパートによる初回15分のバーチャルコンサルテーションは無料で、その後の60分のセッションは1回100ドル(約1万1000円)で予約できる。また、継続してケアを受けたいクライアントのために、将来的なメンバーシップオプションも予定されている。

今回の資金は「テレラクトレーション」プラットフォームをさらに発展させ、会社の拠点拡大に向け、従業員を追加雇用するために使用されるとイポリート氏は述べている。このプラットフォームは、1000人の母親と共同でプログラムを設計するための臨床研究に向けて準備を進めている。また長期的な目標として、医療保険のネットワークに入り、保険プランから支払いを受けることを目指し、支払者やプロバイダーとの関係を構築していきたいと考えている。

Third Culture CapitalのマネージングパートナーであるJulien Pham(ジュリアン・ファム)氏は、10年前に「MIT Hacking Medicine(MIT ハッキングメディスン)」ハッカソンでイポリート氏と出会ったという。医師でもある彼は、赤ちゃんに最適な栄養を提供することがいかに大きなチャンスであるかを身をもって体験した。

「米国の文化は年々進化しており、ミレニアル世代の母親たちは、これまでとは求めるものが違います。その点、SimpliFedは適切なタイミングで登場したといえるでしょう。アンドレア(・イポリート)は、まさにダイナモです。私たちは彼女のエネルギーと、母親として彼女自身がその最前線にいるところが気に入っています。この問題に取り組むには彼女が最も適任であることから、当社は彼女を支援します」。

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画像クレジット:Vladmir Godnik / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

1年で収益3倍超、シンガポールの介護サービス企業「Homage」がシリーズCで約33億円調達

介護に特化したスタートアップであるHomageは、シンガポールの政府系ファンドTemasek(テマセク)が100%出資するSheares Healthcare Groupが主導するシリーズCで3000万ドル(約33億円)を調達した。その他にも、新規投資家のDG Daiwa VenturesとSagana Capital、既存投資家のEast Ventures(Growth)、HealthXCapital、SeedPlus、Trihill Capital、Alternate Venturesが参加した。

今回の資金調達は、Homageの技術開発、高齢者・障害者ケアの支払者やプロバイダーのインフラとの統合の継続、病院や介護事業者とのパートナーシップを通じた地域拡大の加速に使用される。Homageは現在、シンガポール、マレーシア、オーストラリアで事業を展開している。

シンガポールを拠点とする同社は、介護士、看護師、セラピスト、医師による家庭訪問、遠隔医療、慢性疾患向けサービスなどを提供している。Homageのプラットフォームがスケールアップできる理由の1つはそのマッチングエンジンにあり、高齢者や慢性疾患を抱える人などの顧客が、自分のニーズに最も適したプロバイダーを見つけられるようサポートしている(最終的なマッチングはHomageのチームが行う)。

同社によると今回の資金調達は募集額以上に申し込まれたものとなり、東南アジアおよびオセアニア地域のオンデマンドケアプラットフォームがこれまでに調達したラウンドの中で最大級のものとなった。これにより、Homageの累計調達額は4500万ドル(約49億4000万円)を超えた。

シリーズCの一環として、Sheares Healthcare Groupのチーフコーポレートディベロップメントオフィサー(CDO)であるKhoo Ee Ping(クー・イー・ピン)氏がHomageの取締役会に加わる。

Homageは現在、事前に審査され、訓練された6000人以上の介護専門家の地域ネットワークを持っている。2021年にはシンガポール以外の地域での事業が前年比600%以上の成長を遂げ、過去1年間で収益が3倍以上になったという。

関連記事:家族と最適な介護者とを引き合わせるHomageのCEOが「世界の高齢化にテクノロジーをどう生かすか」を語る

画像クレジット:Koh Sze Kiat / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

放射線治療を最適化する「スマート放射線がん治療室」がNEDOの研究開発型スタートアップ支援事業に採択

放射線治療を最適化する「スマート放射線がん治療室」がNEDOの研究開発型スタートアップ支援事業に採択

「小型陽子線がん治療装置」の開発を進めるビードットメディカルは9月6日、国立成育医療センターとの共同研究「スマート放射線がん治療室の実用化開発」が、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究開発型スタートアップ支援事業「Product Commercialization Alliance」(PCA)に採択されたことを発表した。

陽子線治療は腫瘍をピンポイントで狙い撃ちにできる高度な治療法だが、誤って腫瘍周囲の臓器に照射すると大きなダメージをもたらすというリスクがある。そのため、治療前に照射位置を決める「患者位置決め」という作業が重要になる。しかし、それが治療時間の大部分を占め、治療室の占有時間も長い。特に子どもやお年寄りの場合は、さらに時間がかかる傾向にあるという。

ビードットメディカルによる「スマート放射線がん治療室」は、患者位置決めを治療室とは別の場所で行うという新たな試みで、AIスケジューラー、患者を自動走行で運ぶシャトル治療台、位置決めを行う3次元カメラなどの技術を組み合わせたシステムとなっている。これが実用化されれば、治療室の1人あたりの占有時間を短縮でき、より多くの患者の治療が可能になる。

今回、PCAに採択されたことで、ビードットメディカルはこの「スマート放射線がん治療室」の開発に着手し、同時に「小型陽子線がん治療装置」の開発も加速するとのこと。

放射線治療を最適化する「スマート放射線がん治療室」がNEDOの研究開発型スタートアップ支援事業に採択

ビードットメディカルは、量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所認定のベンチャー企業。開発中の「小型陽子線がん治療装置」の開発は、NEDOとAMED(日本医療研究開発機構)の支援を受けた事業で、既存のX線治療室に収まるよう、大幅に小型化され、低価格化されるという。

夜間・休日など病院の時間外に子どもの健康相談が行える「キッズドクター」が福岡エリアでも夜間往診を開始

時間外の小児健康相談アプリ「キッズドクター」が福岡エリアでも夜間往診を開始、夜間・休日往診の「コールドクター」と連携

夜間や休日などに子どもの健康相談ができるアプリ「キッズドクター」(Android版iOS版)を提供するノーススターは9月6日、夜間と休日の往診サービスを提供するコールドクターと連携し、福岡エリアでの往診サービスを開始したことを発表した。

キッズドクターは、子どもの健康に悩んでいる保護者に「医師や看護師に気軽に相談できる安心を届ける」サービス。平日夜間や休日の病院が開いていない時間など病院の時間外に、看護師による「チャット健康相談」、医師と会話ができるオンライン診療、医師が自宅に訪問する「夜間往診」などを受けられる。

キッズドクター概要

  • チャット健康相談:厚労省指針に基づき、看護師チームが、医学的判断の伴わない一般的な医学的情報の提供や受診勧奨を行う。子どもの健康に関する悩みや、病院が空いていない時間の子どもの急な体調不良時に「今の症状だと受診したほうがいいのか?」という悩みに、迅速に応える
  • オンライン診療・夜間往診予約:オンライン診療では、かかりつけのクリニックが開いていない時間に、スマホを通して医師と会話ができる。夜間往診予約では、患者の自宅に医師が訪問する往診サービスを予約できる。健康保険・こども助成金なども適用可

またコールドクターは、夜間と休日に健康保険が適用可能な往診を受けられるサービス。医療機関と連携して400人以上の医師が登録している。

これまで「キッズドクター」は、名古屋市内、東京市部、大阪、兵庫エリアで往診サービスを行っており、今回、福岡市(東区、博多区、中央区、南区、城南区)、小郡市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡(志免町、須惠町、新宮町、粕屋町)での往診サービスを始めた。

今後も、対象エリアと時間の拡大を進めてゆくとノーススターは話している。

夜間往診の新規対応地域(地域・時間は順次拡張予定)

  • 福岡県:福岡市(東区、博多区、中央区、南区、城南区)、小郡市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡(志免町、須惠町、新宮町、粕屋町)
  • 受付時間:福岡地域では月・火・木の19時~24時(祝日は除く)の時間で診察予約を受付

 

2型糖尿病の治療など個人に合わせた健康的な食事・生活習慣アドバイスを提供するOvivaが約88.1億円調達

2型糖尿病の治療をはじめ、より多くの人がサポートを受けられるように、個人に合わせた食事や生活習慣のアドバイスをアプリで受けられるデジタルサポートサービスを提供している英国のスタートアップ企業Oviva(オビバ)は、シリーズC資金として8000万ドル(約88億1000万円)の調達を完了した。これにより、これまでの調達額は1億1500万ドル(約120億6700万円)となる。

ヘルステック事業が成長した「すばらしい1年」の後のさらなる拡大のために使用される、と同社が語る今回の資金調達は、Sofina(ソフィーナ)とTemasek(テマセク)が共同で主導し、既存の投資家であるAlbionVC(アルビオン・ヴェンチャー・キャピタル)、Earlybird(アーリーバード)、Eight Roads Ventures、(エイトローズ・ベンチャーズ)、F-Prime Capital(エフプライム・キャピタル)、MTIPに加え、数名のエンジェル投資家が参加している。

このような成長を支えているのは、富裕層では、肥満や2型糖尿病(食生活の乱れや運動不足が原因とされる)などの健康状態が増加し続けているという欧米の社会状況だ。一方で、一般的には、サービス提供にかかる費用の増加に対処するために、これまでの対応型ではなく予防型の医療の概念により注目が集まっている。

体重やそれにともなう健康状態(糖尿病など)をコントロールするための生活習慣管理の分野こそ、Ovivaの出番だ。Ovivaは、医療従事者が提供する個別のケアと、患者が食事内容を確認したり、サポートを受けたり、個々の健康目標に向けた進捗状況を把握したりするためのデジタルツールを組み合わせた複合サポートを構築している。

このアプローチを裏付けるように、23本もの査読付き論文が発表されており、肥満を抱える人々の6カ月後の体重が平均6.8%減少し、一方、専門家向けプログラムでは、12カ月後に53%の患者が2型糖尿病の緩和を達成しているという主要な結果が出ている。

Ovivaは通常、デジタルでのサポートプログラムを健康保険会社(または公的な医療サービス)に直接販売し、健康保険会社はその顧客や患者に同社のサービスを提供(または紹介)する。現在、同社のプログラムは英国、ドイツ、スイス、フランスで提供されているが、今回のシリーズCの目的の1つは、展開規模のさらなる拡大だ。

「当社が提供するダイエットや生活習慣の改善に対して、医療制度による償還が行われているヨーロッパの市場、特にデジタル償還のための具体的な経路が確立されている市場に規模を拡大していきます。励みになるのは、より多くの医療制度が、そのようなデジタル償還のための具体的な方針を作り始めているということです。例えば、ドイツではDiGAがあり、ベルギーでもここ数カ月の間に準備されました」とOvivaはTechCrunchの取材に語っている。

これまでに同社は20万人を治療してきたが、ヨーロッパの人口が高齢化していることもあり、対応可能な市場は明らかに巨大だ。Ovivaによると、現在3億人以上の人々が、食生活の乱れによって引き起こされているか、あるいは個人に合わせた食生活の改善によって最適化することができるような「健康上の問題」を抱えているそうだ。さらに、現在、デジタルケアを受けているのは「ごく一部」に過ぎないと指摘している。

Ovivaはこれまでに、医療機関、保険会社、医師など5000以上のパートナーと提携し、自社の技術をより多くの人に利用してもらうことで、さらなる規模の拡大を目指してきた。過去1年間で、治療を受けた人と収益の両方が「2倍以上」になったという。

今回のシリーズCでは、食生活や生活習慣に起因する健康障害でサポートを必要としているヨーロッパの「数百万人」の人々にサービスが届くようにすることを目標としている。

また、規模拡大戦略の一環として、2022年末までにチームを800人に拡大する予定だ。

デジタルケアと対面ケアの比較において、デジタルでサービスを提供することにともなう潜在的なコスト削減効果はさておき「最も顕著な利点」はその受診率と完遂率であるという研究結果が出ているとし「私たちは、労働年齢層やマイノリティなエスクニックグループなど、支援が難しいとされるグループにおいても、70%以上の受診率と80%前後の高い完遂率を一貫して保ってきました。一方、ほとんどの対面式サービスでの受診率および完遂率は50%未満なのです」と述べている。

競合他社について質問されたOvivaは、Liva Healthcare(リバ・ヘルスケア)とSecond Nature(セカンド・ネイチャー)をこの地域での最も近い競合他社として挙げている。

「WW(旧Weight Watchers)も、償還を受けることができる一部の市場では、デジタルソリューションの点で競合しています。他にも、新しい方法でこの市場に参入しようとする企業はたくさんありますが、それらは償還対応していなかったり、ウェルネスソリューションなのがほとんどです。ヨーロッパでは、他の多くのアプリと同様に、Noom(ヌーム)が自己負担の消費者向けのソリューション分野で競合しています。しかし、私たちの考えでは、彼らの市場は、医療費が支払われる私たちがいる市場とはまた別のものだととらえています」。と付け加えている。

シリーズCでの資金調達は、既存市場での存在力を高め、新たな市場にターゲットを絞って拡大していくことに加えて、M&Aの機会を通じて事業をさらに拡大していくことも視野に入れているとOvivaは語っている。

「新しい国に進出する際には、新しい組織を一から立ち上げることや、強力な医療ネットワークを持つ既存の企業を買収することのどちらも視野に入れていて、当社の技術が患者により優れた医療ケアと価値創造のために活用できると考えています」と語っている。

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画像クレジット:Danny O. / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Akihito Mizukoshi)

化学療法による脱毛を過去のものにするLuminateの被る医療用デバイス

化学療法による脱毛は、医療における副作用の中でも目立つものの1つであり、しかも自分の病気や受けている治療を知られたくない場合でも知られてしまうこともある。そこでLuminate Medicalは、特殊な医療用ウェアラブルデバイスで化学薬品が毛包に入り込むことを防ぎ、人生最悪の損失を防ぎ、このあまりにも目立つ状態を過去のものにしようとしている。

LuminateのCEOであるAaron Hannon(アーロン・ハノン)氏と共同創業者のBárbara Oliveira(バルバラ・オリベイラ)氏は、患者や医師に、がんの治療でイノベーションが必要と思われる分野について尋ねると「脱毛が話題になることがとても多いので驚いた」とハノン氏は語る。「それ以来、私たちは研究開発を化学療法による脱毛をなくすことにフォーカスすることにしました」。

患者が化学療法を受けると、抗がん剤が血液によって全身に行き渡る。それによって衰弱や吐き気といったさまざまな副作用が起こり、長期的には薬物が毛包を害して脱毛が起きる。Luminateがアイルランド国立大学ゴールウェイ校と共同で開発したソリューションは、そもそも血液がそれらの細胞に到達しないようにするというものだ。

画像クレジット:Luminate

そんな効果を有するデバイスは、頭に装着する一種の圧力装置だ。ただし柔らかい素材を使っているため不快感はなく、ハノン氏によると圧力も注意深くモニターされているという。

また、それらの細胞に血流が行き渡らなくても危険はない。「圧力療法は十分に研究されている分野です。細胞を傷つけない治療方法を適用できる時間についても、何年も前から研究されていて多くの文献があります。効果と快適性を両立させるためには、若干の機械工学が必要です」とハノン氏はいう。

患者はそのキャップを化学療法を受けているときとその後に装着する。頭皮への血流だけを制限するため、薬は腫瘍やがんの患部がどこにあっても順調に行き渡り、同時に毛包を損傷から守る。

最初の動物実験では体毛の80%が維持され、有害な副作用はなかった。本格的な人体実験は今後の課題だが、健康な患者に対するこのヘッドセットの血流阻止効果は、人に対して予想したとおりだった。

ハノン氏は「この療法がさまざまなタイプの毛髪に有効だとわかってとてもうれしい」という。たしかに、短い毛や真っ直ぐな毛など、毛のタイプを限定する治療方法だと、利用できない人が多くなってしまうだろう。

画像クレジット:Luminate/Wild Island Pictures

ハノン氏によると、圧力ではなく頭皮を冷やす方法もあるが、そちらはウィッグの価格が高すぎるとのこと。費用は患者1人あたり数千ドル(数十万円)であるため、もっと安価なデバイスを開発する余地は十分にある。

脱毛は保険などの保障が症状として認め、ウィッグも対象になっていることが多い。Luminateのデバイスが各種の保障で認められるためには、時間とエビデンスがもっと必要だ。しかしチームは、保険があれば患者負担は1500ドル(約16万5000円)程度に抑えられると確信している。ウィッグだけでなく、より高額な脱毛治療もいろいろある。化学療法で「髪を失わない」にチェックを入れてその費用が1500ドルなら、ためらう人は少ないのではないか。

画像クレジット:Luminate

しかしLuminateは、今後はデバイスの費用を払えない人にも提供していきたいと思っているため、FDAの認可や米国での発売、ヨーロッパ各国への進出などにより、大量生産による低価格化を考えている。

Y Combinatorの夏季を卒業したばかりのLuminateは、幸運にもアイルランド政府の補助金を獲得した。政府補助金であるため、投資と違って非希釈性だ。今後の規模拡大や国際化にはもっと資本が必要だが、現在のところチームはデバイスを最初の患者の手に、そして頭に、渡すことだけで精一杯だ。

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画像クレジット:Luminate/Wild Island Pictures

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

頭部特化で小型軽量化したポータブルMRI機器が試験段階に、途上国や医療資源限られる地域の脳卒中治療に期待

頭部特化で小型軽量化したポータブルMRI機器が試験段階に、途上国や医療資源限られる地域の脳卒中治療に期待

Hyperfine

厚生労働省が発表する日本人の死因順位において、脳卒中(脳血管疾患)は常に上位(だいたい3~5位)にランクされていますが、その治療において最も重要なのがスピード。症状にもよるものの、発症して4~5時間以内に適切な処置が行われなければ、脳の血流が足りなくなり、神経細胞が障害されてしまいます。

脳卒中の処置では、まず最初にその症状が血液凝固剤で治療可能な血栓によるものなのか、それとも手術が必要な脳内出血によるものなのかを見分けるため、頭部MRI / CT検査をすぐに行わなければなりません。しかし、MRI / CT機器がすぐに使える状況になければ、死亡リスクは一気に高まってしまいます。

イェール大学と、同大学との関わりが深い医療技術インキュベーター4Catalyzerの一部門、Hyperfineは、スキャンする場所を頭部に特化することで、一般的なMRI機器に対して必要な磁石のサイズを縮小、1/10に軽量化し、使用電力を1/35、コストを1/20に抑えた可搬式MRIマシンを開発しています。

可搬式であるため、患者がMRIマシンのある場所へ移動するのではなく、患者のそばへ機器を持っていくことが可能。電源もコンセントから取ることが可能。2020年に行われた研究では、腫瘍や脳卒中など30人の患者を対象として、うち29人の異常を正確に検出することができました。

今回の研究ではイェール・ニューヘブン病院の144名の患者を対象に、従来のMRI機器とポータブルMRIで撮影した頭蓋内出血や急性虚血性脳梗塞の患者と健常者のMRI画像を専門スタッフの目で診断し判別しました。その結果、ポータブルMRIの画像では80%の精度で正しい判別が可能だったとのことです。

研究の共同執筆者であるKevin Sheth氏は、このようなMRI装置は大きな医療施設がすくない地方の病院や発展途上国など、医療資源が限られた環境での人命救助に役立つことは間違いない」と述べています。

研究者いわくこの研究は、脳出血の様子と臨床的な意味合いを検証するためにポータブルなMRI装置を使使った初めての事例とのこと。チームは頭部外傷や脳腫瘍の診断やモニタリング、高血圧などの危険因子を持つ人々の脳の健康状態の評価に、ポータブルMRIが役立つ可能性を検討しており、実用化に向けてアメリカ心臓協会(AHA)、米国立衛生研究所(NIH)、およびHyperfine Research社からの資金提供を受けて研究を継続しています。

(Source:Nature Communications。Via Yale NewsEngadget日本版より転載)

線維筋痛症のデジタル治療プログラムがFDAの画期的医療機器指定を取得

デジタル治療のスタートアップSwing Therapeuticsは、スマートフォンを利用した12週間の線維筋痛症管理プログラムで、FDA(米食品医薬品局)からBreakthrough Device Designation(画期的医療機器 / デバイス指定)を受けた。これは同社にとって初の画期的指定であり、2021年予定されている多数の臨床試験に先立つものとなる。

Swing Therapeuticsは2019年に設立され、JAZZ Venture Partnersが主導するシードラウンドで合計900万ドル(約9億8600万円)を調達している。同社は慢性疼痛、特に線維筋痛症の管理に注力している。

このFDAの画期的指定は、同社がUniversity of Manitoba(マニトバ大学)で最初に設計・試験を行ったアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)プログラムをスマートフォンに適用したことに与えらたものだ。Swing Therapeuticsはこのプログラムを独占的にライセンスし、独自の電話ベースバージョンを形成するのにそれを適応させた。

「私たちは基本的に、マニトバ大学のプログラムをプログラムの基礎として使用し、その上に実際的な構築を施しました。そしてそれを現代のスマートフォンのインターフェイスに最適なエクスペリエンスに適応させました」とSwing Therapeuticsの創業者でCEOのMike Rosenbluth(マイク・ローゼンブルース)氏は語る。

このFDAの指定により、Swing Therapeuticsはプロダクトの一連の臨床試験を実施する際に、FDAによる迅速な審査が可能になる。

現在のところ、線維筋痛症の治療法は確立されていないが、FDAは症状の管理に役立つ3種類の薬を承認している。Lyricaは、通常は神経損傷の治療に処方されるが、線維筋痛症の治療にも使用される。Cymbaltaは、元々はうつ病、不安症や糖尿病性神経障害の治療薬として開発された。Savellaは、うつ病の治療法に近いSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)である。

薬剤の世界の外では、ACTが慢性疼痛(線維筋痛症を含む)のある患者に有用であるというエビデンスがいくつか得られている。

例えば、ACTおよび慢性疼痛に関する25件の研究を対象としたメタレビューでは、ACT療法は疼痛強度にわずかな影響しか及ぼさないことが明らかにされた。しかし、痛みを受け入れるように(無視するのではなく)患者に教える治療プロセスは、抑うつ、不安、生活の質における中程度から長期の改善と関連していた。

「ACTが行っているのは、症状やコントロールできないことを患者が受け入れるのを支援することです。ACTは、自分にとって本当に重要な価値観について考えるのを助けてくれます」とローゼンブルース氏。「そして、患者はその価値観に合わせて行動ベースの変更を試みるのです」。

その一環として、Swing Therapeuticsのプラットフォームは、治療管理ツールとして医師によって処方されるように設計されている。処方されると、患者は41セッションの受け入れとコミットメントのセラピープログラムに入る。このプログラムは完全に携帯電話上で実行されるもので「毎日の服用」に分割されている。「毎日の服用」には、マインドフルネスセッションや短い文章を書くことを促すプロンプトが含まれることもある。

Swingのスマートフォンプログラムのベースとなっているマニトバ大学のプログラムには、その名の通りに行われる無作為化比較試験がある。これは当初、通常通りの治療を受けたか、通常の治療に加えて8週間のオンラインコースでACTを受けた参加者67人を対象とした研究で検証された。

コースの完了は、抑うつ症状の改善および睡眠、疼痛知覚、疲労または心理的苦痛に対する線維筋痛症の影響を測定する線維筋痛症影響質問票(FIQ-R)の患者スコアの改善と関連付けられた。このコースは患者の「痛みの受容」を改善し、そのメカニズムを通して線維筋痛症のエクスペリエンスを改善するのに役立つように見受けられた。

重要なのは、Swing Therapeuticsプログラムがマニトバ大学のプログラムとは少し異なる点だ。つまり、コンピューター上では8週間であるのに対し、スマートフォン上では12週間以上、ほぼ毎日の使用を想定して設計されている。このようなわずかな変化であっても、このアプローチが線維筋痛症患者にこの特異的なACT療法プログラムの恩恵をもたらすことを保証するために、独自の臨床試験が必要となる。

Swing Therapeuticsは、これらの臨床試験のいくつかを異なるステージで実施している。

この春、Swingは、線維筋痛症の適応治療に関する67人のパイロット試験の登録を完了した(患者は実薬対照群またはACTデジタル療法群に割り付けられた)。この研究は進行中である。Swingは先に、REACT-FMと呼ばれる大規模な研究も開始した。本研究は現在募集中で、ACTプロダクトを2週間使用する100人から150人程度の患者を登録することを目指している。

そして同社はまた、第Ⅲ相無作為化比較試験の開発フェーズにある。この研究の完了後、同社はFDAにプラットフォームの完全な承認を申請する。ローゼンブルース氏によると、この研究は2021年末にローンチされる予定だという。

FDAの画期的治療法指定は、すでにこれらの研究の形成に役立っている。臨床試験が続けば、このデバイスは迅速な審査を受け続けることになり、プラットフォームの臨床試験をスムーズに進めることができる。

「FDAとのチャネル対話が可能になったことは、非常に有益であることを実感しました。そうすることで、臨床試験のデザインと私たちのアプローチがFDAが期待するものと一致するように、協調していくことができます」とローゼンブルース氏は語った。

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画像クレジット:Swing Therapeutics

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

ArtMarie via Getty Images

Googleとアップルが共同開発した新型コロナ接触通知APIは世界各国のアプリに採用され、日本ではAndroid版の「COCOA」が数か月にわたって事実上機能していなかった一件もありつつも、英国では6000人もの命を救ったと推計されています。

しかしGoogleとアップルの本国である米国では、このAPIを使ったアプリはほとんど失敗に終わったとの調査結果が発表されています。

米Business Insiderの調べによると、米国の多くの州ではアプリ開発さえ行われず、作られても利用率も低く、わざわざアプリに感染記録を残しているユーザーもほとんどおらず、まるで役に立ってないと判明したとのことです。

この報告では、連邦政府から個人に至るまで様々な失敗例が紹介されています。まず最初の問題は、ホワイトハウス(米行政府)が米国で共通の接触通知アプリを作らず、各州に委ねていたことです。

FTC(米連邦取引委員会)の元チーフテクノロジストは、個々の州にアプリ開発を任せたことが全国的な認知度を高め、ユーザーに検査結果を入力してもらう努力を妨げたのではないかと推測。さらに「もし連邦政府がシステムを支援し、このアプリや同種のアプリを全米に広く展開していたら、この数字(使用率)はおそらく大きく変わっていたでしょう」と述べています。

第2に、米国の約半数の州がそもそもアプリを開発しない道を選んだことです。サービスを利用できた28州および準州の人口は約1億8680万人。つまり、残り1億4150万人(全人口の43.1%)もの米国人が一切カバーされなかったわけです。

第3にアプリを展開した州でも、プロモーションや教育が不十分であったため、利用率が極めて低かったことです。一部の州では住民にサービスを検討してもらうことさえ困難であり、たとえばアリゾナ州では人口の1.3%しかアプリを導入しないまま、2021年7月にはプログラムを終了したとのことです。ほかミシガン州では住民の6.3%、ワイオミング州では0.69%(約4000人)しかアプリを入れなかったという低調ぶりです。

最後に、新型コロナの陽性反応が出た人々のうち、実際にアプリに記録した人はわずか2%でした。接触通知アプリは、陽性診断を受けた本人がアプリを通じて報告し、その人と濃厚接触した可能性のある人々に警告することが目的のため、98%もの陽性ユーザーが記録を付けなければまったく意味を成さないことになります。

これは同じAPIを使っている英国民保険サービス(NHS)のアプリでは、実に感染ユーザーの40%以上が報告していたこととは対照的ではあります。

米9to5Macは、多くの米国人が接触通知アプリを「自分の居場所や会った人を追跡している」と勘違いしていたと指摘。その原因のひとつは偽情報ではあるのですが、もう一つは政治家らが接触通知アプリを使っても安心だと説得するどころか、アプリの使用に積極的に反対していたためだと推測しています。

新型コロナワクチンについてもYouTubeで誤情報を拡散する動画がはびこっているほか、ロシアが自国製ワクチン売込みのために偽情報を広めているとの報道もありました

人類と新型コロナとの戦いは、一方で人流を減らしたりワクチン接種を進めるといった物理的な対策をしつつ、他方では反ワクチン主義者の出会い系アプリなど誤情報を抑止することも必須のため、いっそう困難となっているといえそうです。

(Source:Business Insider。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

アジア全体で心のケアをより身近にしたい遠隔メンタルヘルスケアのIntellectが約2.4億円調達

シンガポールを拠点とし、アジアでのメンタルヘルスケアをより身近なものにしたいと考えているスタートアップ「Intellect(インテレクト)」は、プレシリーズAで220万ドル(約2億4000万円)の資金を調達したと発表した。Intellectは、8月末にデモデーを開催する予定のY Combinator(Yコンビネータ)の現在のバッチに参加している。

今回の資金調達は、再出資となるInsignia Venture Partnersがリードし、Y Combinator、XA Networkの他、Rainforest(レインフォレスト)の共同創業者であるJ.J.Chai(J・J・チャイ)氏、PreneeticsおよびCircleDNAの創業者であるDanny Yeung(ダニー・イェン)氏、Google(グーグル)のグローバルHRオペレーション担当ディレクターであるGilberto Gaeta(ジルベルト・ゲータ)氏などのエンジェル投資家が参加した。

これにより、Intellectの1年前の立ち上げからの資金調達額は、同じくInsigniaが主導した2020年12月に発表されたシードラウンドを含め、300万ドル(約3億3000万円)となった。

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Intellectは主に2つの製品スイートを提供している。認知行動療法(CBT)をベースにしたセルフガイドプログラムを提供するコンシューマー向けアプリと、オンラインのセラピープログラムや遠隔医療サービスを提供する雇用者向けのメンタルヘルス福利厚生ソリューションだ。現在、アプリのユーザー数は250万人を超え、同社はFoodPanda(フードパンダ)、Shopback(ショップバック)、Carousell(カルーセル)、Avery Dennison(エイブリィ・デニソン)、Schroders(シュローダー)、政府機関など、20社の企業顧客を抱えているという。

創業者兼CEOのTheodoric Chew(テオドリック・チュー)氏はTechCrunchに対し、Intellectの利用率は従来のEAP(従業員支援プログラム)ヘルプラインソリューションよりも高いと語った。同社のメンタルヘルスベネフィットソリューションは、従業員数5000人以上の企業に採用された後、平均して3カ月以内に約20%から45%のエンゲージメントが得られている。

アジアの多くの文化では、メンタルヘルスの問題に対する強い偏見がいまだに残っているが、新型コロナウイルスパンデミックの精神的な影響に人々が対処し続けていることから、この1年半で変化してきたとチュー氏はいう。「個人から企業、保険会社、政府まで、さまざまな人々や組織が、今日、個人や組織レベルでのメンタルヘルスケアを非常に迅速に優先しています」。

Intellectはゼロ知識暗号化によりユーザーのプライバシーを保護しており、同社や雇用主は、ユーザーの記録や、コーチやカウンセラーとのコミュニケーションにアクセスすることはできない。雇用主と共有されるインサイトはすべて集約および匿名化される。チュー氏によると、同社はISO、HIPAA、GDPRといった主要なデータプライバシー規制にも準拠しているという。

Intellectは現在、シンガポール国立大学、キングス・カレッジ・ロンドン、クイーンズランド大学、シンガポール総合病院などの機関と10件の共同研究を行っている。これまでの研究では、ユーザーの精神的な安定、ストレスレベル、不安感の改善が実証されているとのこと。

今回の調達で得られた資金は、より多くのアジア市場に進出するために使用される。Intellectは現在12カ国でサービスを提供し、11言語に対応している。

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画像クレジット:d3sign / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

睡眠中の脳卒中も早期に警告、治療開始までの時間を短縮するZeitのウェアラブルデバイス

脳卒中のリスクがある人は、進行中の脳卒中の兆候に常に注意を払っているが、寝ているときに注意を払うことは誰にもできない。つまり、何千人もの人が「目覚めたときの脳卒中」に見舞われ、数時間後にようやく判明するということだ。Zeit Medicalが開発した脳モニタリングウェアラブルは、脳卒中の兆候を早期に発見して病院に搬送することで、脳卒中によるダメージを軽減し、命を救うことができる。

数十年前までは、脳卒中の患者を助けるためにできることはほとんどなかった。しかし、90年代には有効な薬が使われるようになり、その少し後には外科手術も行われるようになったのだが、それらはいずれも脳卒中発症後数時間以内に処置する必要がある。

Orestis Vardoulis(オレスティス・ヴァルドゥリス)氏とUrs Naber(ウルス・ネーバー)氏は、脳卒中に関する911コールから被害者が必要な治療を受けるまでの時間を短縮するために、多くのリソースが使われているのを知り、Zeit(ドイツ語で「時間」の意)を立ち上げた。同社は、Y CombinatorのSummer 2021グループに参加している。

「以前は何もできなかったが、突然、いかに早く病院に行けるかが重要になってきた」とネーバー氏は語る。「脳卒中になると、すぐに脳が死滅し始めるため、時間が最も重要だ。911番通報から搬送までにかかる時間、そして病院の扉を開けてから治療にあたるまでの時間を短縮しようと多くの人が力を注いできたが、誰も911番通報の前に起こる時間には対応していない。だから、イノベーションが必要な分野だと思った」。

本人が気づかないうちに脳卒中を発見できれば、救急車が呼ばれるよりもずっと前に、本人や周囲の人に警告して病院に搬送することができる。しかし、これを実現するためには、手術室での作業が必要となる。

EEG信号の特性が変化した場合、このアルゴリズムによってすばやく検出することができる(画像クレジット:Zeit)

手術を行う外科医や看護師は、患者のバイタルを注意深く観察し、脳波から脳梗塞の兆候を見極めることができる。

「脳波には特定のパターンがあり、彼らはそれらを目で捉えられるように訓練されている。私たちは、最も優秀な神経学者から、彼らがこのデータをどのように視覚的に処理するかを学び、それを自動的に検出するツールを作った」とヴァルドゥリス氏はいう。「この臨床経験は本当に役に立った。というのも、彼らが信号内の特徴を定義付けするのを助けてくれたおかげで、何が重要で何が重要でないかを決定するプロセスの進行を加速させることができたからだ」。

チームは、脳からの関係する信号をモニターするコンパクトなEEGを内蔵した、柔らかいウェアラブルヘッドバンドを作った。このデータがスマートフォンのアプリに送られ、前述のパターンで訓練された機械学習モデルによって分析され、何かが検出されると、ユーザーと事前に指定した介護者にアラームが送られる。また、自動的に911に通報するように設定することもできる。

「私たちが分析したデータの大部分は手術室から出てきたものだ」とヴァルドゥリス氏は語る。このデータをすぐに整合性チェック用データと照合することができる。「その結果、手術室で発生した事象を偽陽性ゼロで確実に捉えることができるアルゴリズムがあることがわかった」。

この結果は、複雑な変数が少ない家庭でも活用できるはずだとのこと。それを実験するために、すでに一度脳卒中にかかったことのある、ハイリスクと言われる人たちのグループと協力して進めている。脳卒中やそれに関連する症状(臨床的にはさまざまなカテゴリーに分類される)が発生した直後の数カ月間は、2回目が多発する危険な時期だ。

画像クレジット:Zeit

「現在、ヘッドバンドと携帯電話をセットにした研究用キットを、研究に参加している人たちに届けている。ユーザーは毎晩それを装着している」とヴァルドゥリス氏はいう。「我々は、2023年のどこかのタイミングで商業化できるような道筋を準備しているところだ。この認可を得るために必要な臨床証明を明確にするため、現在FDAと協力して動いている」。

脳卒中のリハビリテーションを行うBrainQと同様に、彼らのものも「画期的なデバイス」の分類に位置づけられており、試験や認証を迅速に進めることができる。

「まずは米国での販売を開始するが、世界的にもニーズがあると考えている」とネーバー氏はいう。「高齢化がさらに進み、障害者介護のサポート体制がさらに整っていない国もある」。このデバイスは、これまで定期的に病院に通わなければならなかった多くの人々にとって、在宅介護や障害者介護のリスクとコストを大幅に低減することができる。

現在の計画では、データと協力してくれるパートナーを集め続け、大規模な研究を準備することになっている。この研究は、このデバイスを直販から、費用払い戻しの適用(保険適用など)の対象にするために必要なものだ。また、現在は脳卒中に焦点を当てているが、このメソッドは他の神経疾患の検査にも応用できるはずだ。

「将来的には、脳卒中のリスクがある人全員にこのデバイスが支給されるようになることを期待している」とヴァルドゥリス氏は述べている。「私たちは、このデバイスが脳卒中の治療において現在欠けているパズルのピースであると考えている」と述べている。

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画像クレジット:Zeit

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Airbnbに触発されテレヘルスのHims & Hersはアフガン避難民に1万回の無料医療訪問を提供

米国時間8月26日、Hims & Hersの共同創業者でCEOのAndrew Dudum(アンドリュー・デュダム)氏は、同社が故国を脱出したアフガン難民のために1万回のプライマリーケアとメンタルヘルスのための診察を提供すると発表した。

2017年にサンフランシスコで創業したHims & Hersは、消費者と医師などの専門家を結びつける複数科目のテレヘルスプラットフォームを構築した。

デュダム氏はブログで、Hims & Hersは「緊急に対応すべき道徳的責任を感じた」と述べている。

「現在、世界中の目と心が当然ならアフガニスタンとその大量の避難民に注がれている。これらの人たちが求めているのは、人間として最低限の要求だ」とデュダム氏はいう。

デュダム氏によると、Hims & Hersは、厳選されたNGOや非営利団体、翻訳者やプラットフォーム上のプロバイダーなどの関連パートナーと協力して、「難民がこれらのサービスを認識し、必要な緊急支援を受けられるようにする」ことを計画している。難民の人たちには、すぐに診察を受けることができるようにする。

医療費はHims & Hersが負担するが、医師などの専門家からの、サービスの無償提供にも期待しているとCEOは述べている。

デュダム氏はTwitter上で、AirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏による、アフガニスタンでタリバンが権力を握ろうとしている間、世界中で生まれるアフガン難民の内およそ2万名に仮住居を提供する計画についての最近の発表がヒントになったという。

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画像クレジット:Twitter

同社がこの計画を展開しようとしている間、何万人もの人びとがアフガニスタンを脱出しようとしている。そして各国の企業や政府はこの危機の中、国を逃れてきた難民の支援という圧力の高まりを感じている。国連難民高等弁務官によると、アフガニスタンからの登録難民は現在250万近くになる。2021年8月半ば以来、首都カブールから同国を脱出した人たちは今週初めの時点でおよそ5万8700名にのぼる。

WhileHims & Hersは現在、テレヘルスのプラットフォームに成長したが、今でもそのルーツであるミレニアル世代のための性のウェルネスといった健康サービスは続けている。同社はブランクチェック企業Oaktree Acquisition Corpとの逆(さか)さ合弁を完了し、1月にニューヨーク証券取引所に上場している

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画像クレジット:Hims & Hers

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

サウナで「ととのう」を見える化。KDDI総合研究所関連プロジェクトにてVIE STYLEが開発開始

サウナで「ととのう」とは、サウナと水風呂を繰り返すことで訪れるある種のトランス状態のような感覚のこと。

感覚的な状態のため言葉で表したり共有するのが難しいのですが、これを可視化するシステムの開発をVIE STYLEがスタートしたと発表しました。

これは、KDDI総合研究所の研究拠点「KDDI research atelier」が実施する取り組み「FUTURE GATEWAY」のプロジェクト「Hoppin’ Sauna」からうまれました。「いつでもどこでも、呼べばサウナがやってくる」をコンセプトに、労働生産性の向上や医療費抑制への貢献を目的にしたものです。

VIE STYLEのイヤホン型脳波計「VIE ZONE」を活用して、脳波をはじめとするさまざまな生態情報を高精度に取得、「ととのう」プロセスを数値化して個人差や体調差を定量的に表現。さらに、被験者の視覚や聴覚、触覚に嗅覚などを刺激したときのフィードバックから「ととのう」プロセスの可能性を検証、最適化を目指します。

すべての歯科医を虫歯を迅速に見つける「スーパー歯科医」にすることを目指すAdra

ヘルスケアのさまざまな分野がそうであるように、歯科も着々とテクノロジーを取り入れている。その多くは歯科矯正の分野だが、Adraなどのスタートアップは歯科医の日々のワークフロー、特に虫歯の発見にAIを活用しようとしている。2021年に世界の歯科医療の市場規模は4350億8000万ドル(約47兆6800億円)になると見られている。

シンガポールを拠点とするAdraは2020年に構想を開始し、2021年に創業した。共同創業者のHamed Fesharaki(ハメド・フェシャラキ)氏は歯科医として10年以上のキャリアがあり、シンガポールで2カ所の医院を経営している。

フェシャラキ氏によれば、歯学部でX線画像の読み方は習うがきちんと読めるようになるには数年かかるという。また歯科医は患者の間を飛び回っているので、X線画像を読む時間が数分間しかないこともしばしばだ。

こうしたことから、共同創業者のYasaman Nematbakhsh(ヤサマン・ネマトバクシュ)氏によれば、歯科医は最大40%の確率で虫歯を誤診するという。同氏のバックグラウンドはイメージングで、見えにくいガンをAIで特定する機器を開発していた。フェシャラキ氏はこれを歯科にも応用できるのではないかと考えた。

フェシャラキ氏はTechCrunchに対し、Adraは経験豊富な歯科医のような見方を提供することですべての歯科医を「スーパー歯科医」にしようとしていると語った。同社のソフトウェアを使うと歯科のX線写真から虫歯などの歯の問題を短時間で検出でき精度は25%向上するため、歯科医院ではその分患者により良い医療を提供し収益を増やせる。

Adraのソフトウェアのサンプル(画像クレジット:Adra)

フェシャラキ氏は「我々は経験豊富な歯科医の視点を活かし、X線写真を画像に変換することによって問題点を表示して、何に着目すればいいかを理解できるようにします。最終的に判断するのは歯科医ですが、我々が経験的な要素を取り入れることで歯科医が比較検討をするのに役立ち、助言を提供できます」と述べた。

問題のある箇所とその程度をすばやく示すことで、歯科医は治療法を決めることができる。例えば詰め物をするのかフッ素を使うのかしばらく様子を見るのか、ということだ。

もう1人の共同創業者であるShifeng Chen(シーファン・チェン)氏とともにAdraはYコンビネーターの夏学期を終了し、これまでに25万ドル(約2700万円)を調達した。フェシャラキ氏は、正式にシード資金調達を実施しエンジニアを増やしてユーザーエクスペリエンスの向上や機能の追加に取り組む意向だ。

同社はいくつかの歯科医院で試験運用をしており、米国食品医薬品局の認可取得に向けて試験をする医院をさらに増やしたい考えだ。フェシャラキ氏は認可を受けるまで6〜9カ月かかるだろうと予測している。認可の後、2022年後半か2023年前半に製品として販売を開始できるだろう。

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画像クレジット:Adra

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

心不全の「デジタル治療」でFDAのブレークスルーデバイス指定をボストンのBiofourmisが取得

ボストンを拠点とするBiofourmis(バイオフォーミス)の創業者、Kuldeep Singh Rajput(カルディープ・シン・ラジプート)氏は、心不全患者が処方箋に加えてウェアラブルセンサーとアプリを持って退院するという未来を思い描いている。そして2021年7月下旬、FDAによる新たな指定により同社はその目標に一歩近づいた。

2015年に設立されたBiofourmisは、患者のケアを「拡張」するためのソフトウェアを開発するデジタルセラピューティクス企業である。これまでに約1億4500万ドル(約159 億円)の資金を調達し、約350人の従業員を抱えているとラジプート氏は説明する。

BiofourmisのBiovitalsHFは米国時間7月29日、心不全の投薬モニタリングのためのプラットフォームとして、FDAのブレークスルーデバイス指定を受けた。ブレークスルーデバイス指定が必ずしもFDAの認可を意味するわけではないが、これにより審査プロセスの迅速化を可能にし、開発中に連邦政府機関から専門知識を得ることができるようになる。

ラジプート氏によると、Biofourmisには大きく分けて2つの注力分野があるという。1つ目は製薬会社と共同でのデジタル治療法の開発(例えば、投薬のためのアプリや、健康状態をモニターできるセンサーなど)。2つ目は、急性疾患の患者に向けた、自宅でのフォローアップケアである。

前者への進出の一例がBiovialsHFだ。これまでに同社は、冠動脈疾患や心房細動などの疾患の「パイプライン」に対するデジタル治療法を開発しており、また化学療法を受ける患者や慢性的な痛みに対処するためのデジタル治療法も計画している。しかし、BiovitalsHFシステムはFDAのブレークスルー指定を受けた最初の製品であり、ラジプート氏はこれを同社の「主要デジタル治療」と呼んでいる。

BiovitalsHF製品は心不全患者の服薬管理を目的としたソフトウェアプラットフォームである。予め決まった処方箋をもらっていても、心不全患者が自宅に戻ってから薬の量を調整する必要が出てくることがあることから、この発想が誕生した。

心不全の治療では医師が複数の薬剤を使用することが多く、また時の経過とともに投与量を変更することも少なくない。特にACE阻害剤とβ遮断剤の2種類の薬の場合は、漸増、つまり患者が低用量で治療を開始し、時間をかけてゆっくりと用量を増やし、最適な「目標」用量を達成するプロセスが必要になることがある。

しかし、漸増は実生活では困難だ。2020年のある研究では、最適な投与量が達成されているのは心不全患者の25%以下だと示唆されている(他の研究では1%以下という結果になっているものもある)。2017年のCardiac Failure Reviewの解説によると、ACEの目標用量を守っている患者はわずか29%、β遮断剤の目標用量を守っている患者は18%と推定されている。

一方、臨床試験では、多くの患者が50〜60%の割合で最適な量を達成することができており、試験中での服用と実際の服用にギャップがあると考えられている。

BiovitalsHFは、ウェアラブルデバイスからデータを収集および分析することで、患者が退院した後の服薬調整プロセスを効率化したいと考えている。そのデータが、患者の健康状態に応じて薬を漸増させるために使われるというわけだ。

患者、ウェアラブルデバイス、外部の検査結果からの情報をもとに薬の投与量を調整するこのソフトウェア。ウェアラブルデバイスが心拍数、呼吸数、ストローク量、心拍出量などのデータを収集し、その一方で患者が自分の症状をアプリに報告、医師は検査結果を入力する。

「センサーを使って患者から収集したデータとモバイルプラットフォームに基づいて、自動的に増量や減量、薬の切り替えを行い、患者が適切で最適な量を服用できるようにします」とラジプート氏は話す。

すると患者には薬の調整が行われることを知らせる通知が届くという仕組みである。

BiovitalsHFプログラムはまだ概念実証試験が一度しか行われていないが(詳細は後述)、Biovitals患者モニタリングプラットフォームはこれまでに他の疾患でもテストされている。

例えば、香港のクイーン・メアリー病院では、バイオセンサーを1日23時間装着した、軽度の新型コロナウイルス(COVID-19)患者34人のモニタリングにBiovitalsシステムが採用されている。Scientific Reportsに掲載された論文によると、このプラットフォームは患者が悪化するかどうかを93%の精度で予測し、入院期間を78%の精度で予測することができたという。

BiovitalsHFシステムはこれとは少し異なる。患者をモニタリングすることを目的としてはいるものの、ラジプート氏が目指すのは、このテクノロジー自体を治療プログラムとして投与するということである。

つまり医師がBiovitalsHFプログラムを3カ月間「処方」し、ソフトウェア自体が患者の治療結果をモニターし、投与量を決定するということだ。

Biovials HFを単なる意思決定支援ソフトウェアとしてではなく、治療レジメンとして販売できるようにすることが目的なのである。わずかな違いのように感じるが、つまり同社は単なるデリバリーデバイスではなく、それ自体が医薬品のような存在になろうとしているわけである。

「デジタル治療用の製品ラベルには、臨床決定支援のための単なるモニタリングツールではなく、実際の治療効果が記載されています」とラジプート氏は話す。

当然、このような主張をするからにはしっかりとした結果が必要だ。同社は2021年3月に終了した概念実証臨床試験で、このコンセプトの初期テストをすでに行っているが、有効性を証明するためには今後さらに多くのテストを行う必要がある。

この試験では282名の患者を90日間モニターし、BiovitalsHFを使用している人と通常の標準治療を受けている人を比較。このプラットフォームが薬の投与量を最適化できるかどうか、つまり、この場合は最適な投与量の50%以内に収めることができるかどうかを判断するというのがこの試験の目的である。

同研究の結果はまだ公表されていない。しかし、ラジプート氏によるとこの研究はそのエンドポイントを満たしており、患者の生活の質や心臓の健康状態の改善にもつながっているようだ。

「3カ月以内に、患者のQOLや心機能が大きく改善され、血中バイオマーカーであるNT-proBNP(心不全のマーカー)も減少しました。これをもとにFDAにデータを提出したところ、ブレークスルー指定を受けることができました」と話している。

同社は査読付きジャーナルへの掲載に向けて、このデータを提出したという。

ブレークスルー指定を受けたことで、BiovitalsHFの開発が急速に進むかのように思えるが、実際はFDAの正式承認はおろか、市販承認に至るまでの道のりはまだ長いと言えるだろう。

「ピボタル試験はすぐにでも開始する予定です。そしてFDAへの正式な申請は、来年の6月か7月頃になると思います」とラジプート氏は話している。

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

Luxonusが被曝の心配がない超高解像度光超音波3Dイメージング装置を開発

  1. Luxonusが被曝の心配がない超高解像度光超音波3Dイメージング装置を開発

医療用の新しい画像装置を開発するLuxonus(ルクソナス)は8月24日、近赤外レーザーと超音波を融合させた光超音波イメージング技術を用いた超高解像度3Dイメージング装置の開発を発表した。

これは、近赤外波長のパルスレーザー光を体内に照射し、その際に血中ヘモグロビンから発生される超音波を512個の超音波センサーで捉え、3D画像を作り出すというもの。体表から3cmほどの深さまで、微細な血管の状態を撮影できる。利点としては、X線や造影剤を使わず放射線の被曝の心配がないこと、安全で簡便であるため専用の部屋が必要ないこと、リアルタイムの3D動画の撮影、酸素飽和度の画像化、血管とリンパ管を同時に画像化といった「機能画像」の撮影も行えることなどが挙げられる。

現在は、医師との間で、治療をターゲットとした応用方法を検討中とのこと。また臨床用だけでなく、実験小動物を対象とした基礎医学研究分野に向けた製品も開発している。これを使えば、動物の体内を、生きたまま安全に撮影ができるという。

猫用トイレの下に置くだけで体重やトイレ回数・量・滞在時間を自動記録するIoTデバイス「Catlog Board」の一般販売が開始

猫用トイレの下に置くだけで体重やトイレ回数・量・滞在時間を自動記録するIoTデバイス「Catlog Board」の一般販売が開始

RABOは8月23日、普段利用しているトイレで猫の体重とおしっこやうんちの量・回数などを自動で記録する健康管理デバイス「Catlog Board」(キャットログ・ボード)の一般販売を開始したと発表した。またiPhoneアプリAndroidアプリの機能アップデートを行った。

デバイスの本体価格は1万6280円(税込)で、アプリ利用料月額580円(税込)の猫バカプランの利用が必須。首輪型デバイス「Catlog」およびCatlog Boardどちらも1つの共通のアプリで利用可能で、デバイスを併用しても月額料金は1オーナーにつき月額580円となる(複数の猫がいる場合も月額料金の追加課金はない)。猫用トイレの下に置くだけで体重やトイレ回数・量・滞在時間を自動記録するIoTデバイス「Catlog Board」の一般販売が開始

RABOによると、猫の場合7匹に1匹以上が泌尿器の病気にかかっているというデータもあり、排尿の状態を管理することは、すべての猫にとって重要という。しかしトイレを変えるだけでおしっこやうんちをしてくれなくなったり、別の場所で粗相をしてしまったりする例があるそうだ。そこでCatlog Boardでは、トイレや猫砂などを変えることなく、普段利用しているトイレの下に置くだけで毎回自動で猫様の体重データと排泄量・トイレ回数のデータを取得し、インターネット経由でCatlogアプリに表示するようにした。

猫用トイレの下に置くだけで体重やトイレ回数・量・滞在時間を自動記録するIoTデバイス「Catlog Board」の一般販売が開始猫用トイレの下に置くだけで体重やトイレ回数・量・滞在時間を自動記録するIoTデバイス「Catlog Board」の一般販売が開始

またCatlog Boardは、これら体重推移などの計測データを記録しておくことが可能。子猫の成長記録から、シニア期の体重コントロールまで、一生涯利用できるとしている。また、避妊去勢手術の後に太ってしまった猫や、糖尿病や関節炎などの病気でやせなければならない猫のダイエット管理も行えるとしている。

さらに同社調査によると、猫と一緒に暮らす世帯の約4割が多頭飼い、つまり2匹以上の猫と暮らしていることから、Catlog Boardは多頭飼いに対応しているという。それぞれのお気に入りトイレの下にCatlog Boardを置いておくと、猫個別の体重や排泄量、トイレの使い方のクセなどの複数の指標から、識別タグやカメラがなくてもCatlog BoardのAIがどの猫がトイレを使ったのかを学習して判定する。猫用トイレの下に置くだけで体重やトイレ回数・量・滞在時間を自動記録するIoTデバイス「Catlog Board」の一般販売が開始

ちなみに、1世帯あたりの平均飼育頭数も年々増えており現在は約1.8匹と、猫は多頭飼いの傾向にあり(ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査)、トイレの数は猫様数×1.5が理想の数といわれているという。

このほかCatlog Boardは、市販の乾電池や充電池で約6ヵ月間利用可能。また防水対応のため、万が一おしっこが漏れてしまった時にも安心という(完全防水・完全防塵対応ではない)。完全コードレスのため、紐状のものが大好きな猫が、電源コードにじゃれついたりかじったりする不安もないとしている。猫用トイレの下に置くだけで体重やトイレ回数・量・滞在時間を自動記録するIoTデバイス「Catlog Board」の一般販売が開始

アルカディア・システムズが新型コロナ余剰ワクチンとキャンセル待ち希望者のマッチングシステムを試験運用開始

ワクチンを1本も無駄にしない、アルカディア・システムズがキャンセル待ち希望者と余剰ワクチンのマッチングシステムを試験運用開始

医療現場で役立つITソリューションを提供するアルカディア・システムズは8月23日、新型コロナウイルスの余剰ワクチンとキャンセル待ちの接種希望者とをマッチングさせるシステム「VAMCS」(ヴァンクス)を開発し、8月中に複数施設での試験運用、また9月には全国展開をはかる予定と発表した。

新型コロナワクチンの不足が続いている。一部には突然の予約キャンセルなどで余ったワクチンをキャンセル待ちの人に融通する措置を講じているクリニックなどもあるが、それには電話連絡や待機者のリスト管理などの業務負担が大きく、実施したくてもできない施設があるとアルカディア・システムズは言う。そこで同社は、ワクチンの簡単な余剰登録をするだけで、メールで自動マッチングをするVANCSを協力施設の指導の下開発した。

キャンセル待ち希望者は、1人で5件まで医療施設に登録でき、医療施設でワクチンの余剰が発生すると順番にメールが自動送信される。医療機関に来訪できる人とマッチングできるまで、15分ごとに次の人へ順番が回され、連絡が行くという仕組みだ。ワクチンは希釈後6時間で利用できなくなるため、すぐに応諾できる方をマッチングできるようにしている。希望者は、有効期限内(メール到着から15分以内)にシステムに応諾の入力をすることで接種予約が完了する。

医療施設の側では、希釈時間、受付終了時間、ワクチン種類、余剰数(シリンジ単位)を入力するだけで、マッチングが開始される。

8月17日の時点で、試験運用に参加している施設は以下のとおり。

  • 福岡東ほばしらクリニック(福岡県福岡市)
  • 岸辺くすのき透析クリニック(大阪府吹田市)
  • 横田クリニック(大阪府大阪市)
  • 下地診療所(沖縄県宮古島市)
  • 大正くすのきクリニック(大阪府大阪市)
  • 一般財団法人 医療情報健康財団(福岡県福岡市)
  • 中馬病院(兵庫県尼崎市)

また現在、試験運用に参加を希望する医療施設を募集している。試験運用に応じた施設には、システムが無償で提供される。9月中予定の本格運用に移ると、医療施設には月額2000円(税抜)の経費がかかるが、試験運用の参加施設は9月以降も無償となる。

アルカディア・システムズは、「VAMCS」というネーミングにはある願いを込めているという。「Vaccines Available Matching Circle System for COVID-19」の頭字語なのだが、この中の「Circle」には、ワクチンの循環という意味のほかに、「みんなで協力して新型コロナウイルスとの闘いに打ち勝てるように」との思いも表現されているとのことだ。

医療用注射剤を代替するカプセル剤開発のRani TherapeuticsがIPO申請

医療用注射剤の代替となるカプセル剤の開発を進める、サンノゼを拠点とするRani Therapeuticsが米国時間7月30日金曜日に株式を公開した。

S-1申請書によると、IPO前週の株価は14ドル(約1500円)から16ドル(約1700円)の間と推定されている。金曜日に株価はやや下がり、約11ドル(約1200円)でデビューした。Rani Therapeuticsはこれで約7300万ドル(約79億6000万円)を調達した。

Raniのデビューは、セラピューティクス分野でのIPO活動が相次ぐ中でなされた。2020年には71のバイオテック企業が上場を果たしている。2021年はすでに59社がIPOを行っており、さらに多くの企業が現在進行中だ。7月30日だけで、Rani Therapeuticsを含む8つのバイオテック企業の取引開始が見込まれている。

Rani Therapeuticsの意識は、同社を取り巻くIPO活動というよりも、自らに向けられており、創業者のMir Imran(ミール・イムラン)氏の言葉を借りれば「レーザー光線のように集中」している。同社の主力製品であるRaniPillの第I相試験で、臨床への応用が期待される初期のエビデンスを得たことで、株式公開の決定が後押しされる形となった。

「私たちはすでに人を対象とする段階に入っており、間違いなくオーラルバイオロジクスを実現する確固たる道を歩んでいます。これはライフサイエンスの方向性を示す注目すべき特異な市場であり、私たちはこの分野でイノベーションを推進することに大きな興奮を覚えています」とイムラン氏はTechCrunchに語った。

Rani Therapeuticsの主力製品はRaniPillというカプセルで、通常は注射で投与される薬剤を体内に送り込む。TechCrunchはこの薬についてここで詳しく説明しているが、いくつかの基本的なステップに沿って作用するものだ。

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カプセル剤は胃酸に強いコーティングで覆われている。カプセル剤が小腸に入ると、コーティングが溶け、小さなバルーンを膨らませる。その小さなバルーンが膨らむと、微小針によって薬剤が注入される(微小針は薬剤投与後に溶解する)。その後、同社のS-1申請書によると、バルーンの残りの部分は「通常の消化過程を経て排泄される」。

このプロセスはすべてカプセル剤の中で行われる。見た目はジェルカプセルのようだ。

患者が注射よりも経口薬を好むことを示唆するエビデンスがいくつか存在する。例えば、がん患者を対象とした研究では、通常の注射よりも経口療法に対する患者の選好が明確になっている。ただし、すべての状況に当てはまるわけではない。一部の患者では、大量の錠剤を服用するよりも、注射で投与される長時間作用型の薬剤に対する選好が示されている(一部のHIV患者でこの傾向がみられる)。

しかし、注射針はあまり快適なものでない。2019年に発表された35件の研究のレビューとメタアナリシスによると、若年成人の20%から30%が注射針の使用を懸念しており、治療やワクチンを避ける人もいるという。

Rani Therapeuticsは、FDA承認済み薬剤のカプセル剤の開発を進めているが、これらの薬剤は多くの場合通常の注射で投与されるものだ。次の薬剤が開発対象に含まれている。

  • 末端肥大症または消化管の神経内分泌腫瘍(NET)に対するオクトレオチド
  • 乾癬性関節炎に対するTNF-α阻害薬
  • 骨粗鬆症に対する副甲状腺ホルモン(PTH)
  • HGH欠損症に対するヒト成長ホルモン(HGH)
  • 甲状腺機能低下症に対する副甲状腺ホルモン

同社の研究サイクルの中で最も進んでいる製品は、オクトレオチド(治験での名称はRT-101)を投与するために開発されたカプセルで、62人の参加者を対象とした第I相臨床試験で試験された。S-1申請書で部分的に報告された試験結果では、オクトレオチドのバイオアベイラビリティが注射薬と比較して65%であることが示された。このことは、カプセルが効果的に薬物を体内に取り込むことができることを示唆しているが、これらの結果はまだ初期段階にある。

Rani Therapeuticsは2022年に、骨粗鬆症治療薬のPTHとヒト成長ホルモンの2つの第I相試験を開始する。現在開発中の残りの薬についての研究は、2023年に予定されている。

同社の究極的な目標は、RaniPillを特定の薬剤とは切り離して妥当性を検証することにある。同社は、薬物を使用せずに臨床試験でRaniPillを試験できる治験用医療機器に関する適用除外(IDE)の承認取得を進めている。この研究は、製品が反復投与に対してどの程度安全かを明らかにすることを目的としており、2022年に開始される予定だ。

「引き続き薬を使ったデータの生成を進めていきたいと考えています。私たちは今後も薬を作ることになるからです。ですが、プラットフォームの安全性と忍容性を確立することは重要です」とイムラン氏。「ですから、この点(薬剤と切り離した妥当性の検証)にも高い重要性を見出しています」。

同社のリーダーには、バイオテック分野で成功したイグジットの実績がある。

Rani Therapeuticsは、2012年にミール・イムラン氏によって設立された。イムラン氏は1985年に、後にEli Lillyに買収されたIntec Systemsの一員として、植込み型除細動器を開発した。それ以来、同氏は20社に及ぶ医療機器企業を立ち上げている。そのうちの15社はすでにIPO済みもしくは買収済みだ。

しかし現時点では、Rani Therapeuticsの財務は大幅な損失を計上している。2019年と2020年の純損失は、それぞれ2660万ドル(約29億1200万円)と1670万ドル(約18億2800万円)だった。2021年3月現在、同社は1億1960万ドル(約130億円)の赤字を計上している。

これまでの資金調達総額は約2億1150万ドル(約230億円)で、これには今回のIPOで獲得したキャッシュは含まれていない。Rani TherapeuticsはIPOで調達した7300万ドル(約79億6000万円)をIDEの研究資金に充て、さらなる臨床試験を実施する計画だ。

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画像クレジット:Rani Therapeutics

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

心電図読み取りAIを開発するCardiomaticsが約3.5億円を調達

ポーランドを拠点とするヘルステックAIスタートアップのCardiomatics(カーディオマティクス)が、心電図読み取り自動化技術の普及に向け、シードで320万ドル(約3億5200万円)を調達したと発表した。

このラウンドは、中東欧のVCであるKayaがリードし、Nina Capital、Nova Capital、Innovation Nestも参加した。

シード資金には、ポーランド国立研究開発センターからの100万ドル(約1億1000万円)の非エクイティーの助成金も含まれている。

2017年創業の同社は、心臓専門医や臨床医などの医療従事者が心電図を解釈する際に、診断を迅速化・効率化するクラウドツールを販売している。約20種類の心臓の異常や疾患を検出・分析する作業を自動化し、訓練を受けた人間の専門家が行うよりも早く、スキャンに関するレポートを数分で作成するソフトウェアだ。

Cardiomaticsは、自社の技術がヘルスケアへのアクセスの大衆化に貢献しているとアピールしている。このツールにより、心臓専門医はワークフローを最適化し、より多くの患者を診察・治療できるようになる。また、総合診療医や小規模な診療所では、患者を専門病院に紹介することなく、心電図分析を提供できるとしている。

このAIツールは、これまでに300万時間以上の心電図信号を商業的に分析しており、スイス、デンマーク、ドイツ、ポーランドなど10カ国以上・700以上のクライアントに利用されているという。

このソフトウェアは、現段階で25台以上の心電図モニター機器と統合することができる。既存の医療用ソフトウェアとの差別化を図るため、最新のクラウドソフトウェアインターフェースを提供しているとアピールしている。

AIが読み取る心電図の精度はどのように検証されているのか、同社は次のように話す。「アルゴリズムの開発に使用しているデータセットには、約10万人の患者の100億回以上の心拍数が含まれており、体系的に増やしています。データセットの大部分は当社が独自に構築したもので、残りは一般に公開されているデータベースです」

「データの90%はトレーニングセットとして、10%はアルゴリズムの検証とテストに使用しています。データ中心のAIの常として、テストセットを非常に重要視しており、クライアントからのシグナルを可能な限り表現しているかどうかを確認しています。私たちは、アルゴリズムとデータの両方を継続的に開発する中で、アルゴリズムの精度を月1回の頻度で実験的にチェックしています。当社のクライアントも臨床現場で毎日チェックしています」

Cardiomaticsは、今回のシード資金を、製品開発への投資、既存市場での事業活動拡大、新規市場参入のための準備に使用すると述べている。

「今回のラウンドで調達した資金は、市場をリードするAI技術のスケールアップや、医師への最高の体験の提供など、欧州全域における速いペースでの拡大計画を支えるために使います。新しい市場に投入する製品も準備します。将来の計画には、FDA(米食品医薬品局)認証の取得や米国市場への参入も含まれています」と付け加えた。

このAIツールは、2018年に欧州の医療機器認証を取得した。ただし、欧州連合の医療機器とAIに関する規制は進化を続けており、今年初め(5月)には、欧州連合の医療機器指令(現EU医療機器規則)が更新された。

また、新しいAIアプリケーションのためのリスクベースのフレームワーク(別名「人工知能法」)も登場し、CardiomaticsのようなAIヘルステックツールに対するコンプライアンス上の要求が拡大している。安全性、信頼性、自動化された結果に偏りがないことを実証するなどの要件が導入されようとしている。

規制の状況について同社はこう答えた。「2018年に発売したとき、私たちは欧州で医療機器として承認された最初のAIベースのソリューションの1つでした。ペースに遅れないように、私たちは欧州の状況と、AIのアプリケーションを規制するためのリスクベースのフレームワークの立法化のプロセスを注意深く観察しています。また、近々導入される可能性のある規制や要件の草稿も注視しています。人工知能に関する新たな基準や要件が導入された場合には、直ちに会社や製品の運用へと導入し、製品の信頼性と安全性を確保するための必要な証拠とともに、文書化とアルゴリズムの検証を進めていきます」

だが、心電図読み取りアルゴリズムの有効性を客観的に測定することは困難であることも認めた。

「アルゴリズムの有効性を客観的に評価することは非常に困難です」と同社はTechCrunchに話した。「ほとんどの場合、1台のデバイスで登録された、特定の患者グループの狭い範囲のデータを使って評価します。我々は、さまざまなグループの患者の、異なる記録装置からの信号を受け取ります。私たちは、この効果を評価する方法に取り組んでいます。当社のアルゴリズムなら、記録装置やテスト対象となる社会集団など、研究に伴う様々な要因に関わらず、確実に有効性を評価することができるでしょう」

「解析を医師が行う場合、心電図の解釈は、経験、規律、芸術の産物となります。人間が心電図を解釈するときは曲線を見ます。それは視覚的な層として機能します。アルゴリズムは絵ではなく数字の流れを見るので、タスクは数学的な問題になります。しかし、結局のところ、この領域に関する知識がなければ、効果的なアルゴリズムを開発することはできません」と同社は付け加えた。「私たち医療チームの知識と経験がCardiomaticsの芸術作品です。アルゴリズムは、心臓内科医が生成したデータでもトレーニングされていることを忘れてはなりません。医療従事者の経験し機械学習には強い相関関係があります」。

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画像クレジットScience Photo Library / Getty Image

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi