自動運転ユニコーンAutoXが中国初となる無人ロボットタクシーのテストを深センでスタート

中国・深センの住民たちは、米国時間12月3日から真の意味での無人運転車を目にしている。Alibaba(アリババ)、MediaTek、Shanghai Motorsの支援を受けるスタートアップAutoXは、深センのダウンタウンに25台の無人運転車を配備し、中国で初めてとなる安全のための運転手や遠隔操作員の担当者なしで公道を自律して走る無人運転車のテストを行う。

AutoXの広報担当者は、まだこのロボタクシーは一般には公開されていないとTechCrunchに語っている。

このマイルストーンは、AutoXがカリフォルニア州からドライバーレステスト開始の許可を得てからわずか5カ月後のことであり、WaymoとNuroに続くものだ。

また中国が深センから上海まで規制上のハードルをクリアにし、補助金をアピールし、5Gインフラを整備することで自動運転車のスタートアップを誘致しようとしているのは、同国がスマートドライブ産業において米国の都市と同等にしたいと考えていることを示している。

その結果、各々の都市には、深センのAutoXとDeeproute.ai、広州のPony.aiとWeRide、蘇州のMomenta、そして北京のBaiduのApollo fleetなどといった企業が事業を展開することになっている。自動運転車のメーカー各社は、従来の自動車メーカーと密接に協力して、自社の車をよりスマートにし、将来の輸送に適したものにしようとしている。

「私たちは地方自治体から支援を得ています。深センでは自動運転車の法制化が急速に進んでいます」とAutoXの担当者は語っている。

ドライバーをフロントから、オペレーターをリモートセンターからなくすという決定は、中国で最も人口の多い都市の1つで行うには大胆な動きのように思える。AutoXは、XCUという独自の車両制御ユニットを装備しており、それは中国の都市の複雑な道路シナリオを処理するために必要な処理速度と計算能力を有していると主張している。

「『XCU』は、このような状況に対応するために何層にもおよぶ冗長性を提供します」とAutoXは、万が一マシンが故障した場合の車両の反応を尋ねられたときに答えた。

同社はまた、過去数年間に100台のロボットタクシーを使って、中国で最も密集した都市部を「何百万マイルもの距離」も走行した経験から学んでいると強調している。ライバル企業もまた、研究開発とパイロットテストに多額の投資をする一方で、自動運転アルゴリズムをトレーニングするために走行距離を積極的に稼いでいる。AutoX自身は、これまでに1億6000万ドル(約166億3000万円)以上を調達している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:AutoX自動運転ロボタクシー中国

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アリババとエチオピア航空が中国の新型コロナワクチンを輸送する低温物流設備を準備

中国は新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンを他の国々、特に緊密な関係にある国(Nature Research記事)と共有することを約束している(The New York Times記事)。​同国はワクチンを国際的に展開する準備はできていないが、大量輸送のためのインフラ整備進めている。

​今週、Alibaba(アリババ)はエチオピア航空と提携し、中国から他の国に温度管理がシビアな医薬品を輸送できるコールドチェーン(低温物流)を導入すると発表した。​航空貨物は、中国初となる国境を越えた医療用コールドチェーン施設がある深圳空港から週に2回、ドバイとアディスアベバ経由で各国に向けて出発する。

​「ワクチンの準備が整い次第、それを輸送する能力を私たちは確保しました」とアリババの物流部門であるCainiaoの広報担当者はTechCrunchに語った。

深圳は、中国におけるもう1つの大手物流事業者であるSF Expressの本拠地であり、同社はワクチンの保管と出荷にも取り組んでいる(SF Expressリリース)。

アリババの路線は、物流部門Cainiaoによって運営されており、同社は200以上の国と地域で事業を展開している。新型コロナ​のワクチンは通常、低温で保管する必要があるが、このワクチンを空輸することは国際航空運送協会の認定を受けている(IATAリリース)。たとえば客室には温度管理のモニターが設置され、エチオピア航空の貨物ターミナルには-23°Cから25°Cの間で温度調整可能な設備が備わっている。

​Cainiaoの国際サプライチェーン部門のゼネラルマネージャーであるJames Zhao(ジェームズ・ジャオ)氏は「コールドチェーン航空輸送の開始により、グローバルな物流能力がさらに強化され、新型コロナウイルスワクチンをはじめとする医薬品のグローバルな流通にワンストップソリューションを提供できるようになりました」と述べている。

​中国は新型コロナウイルスの大流行時、個人用保護具(PPE)の主要な輸出国(PBS記事)であり、またCainiaoからSF Expressまで、中国の物流大手はいずれも、医療救援物資の輸送に特化したプログラムを迅速に導入した。

カテゴリー:その他
タグ:Alibaba新型コロナウイルスCOVID-19中国ワクチン

画像クレジット:Cainiao Logistics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国の月着陸船「嫦娥5号」が月面着陸に成功、米国、旧ソ連に続く3カ国目の土壌採取に挑戦

中国の国営通信社は、月の岩石サンプルを地球に戻すことを目的とした月探査ロボット「嫦娥5号(Chang’e-5)」が着陸に成功したと報じた。打ち上げは11月23日に始まり、11月28日に月周回軌道に到達、11月30日に着陸機を打ち上げている。中国国家航天局(CNSA)の報告によると米国時間12月1日東部標準時午前10時(日本時間12月2日0時)すぎに無傷で月面に着陸するという目標を達成したという。

中国の嫦娥5号ミッションは月から土壌や岩石のサンプルを持ち帰るというもので、成功すれば中国は米国と旧ソ連に続く3カ国目となる。ミッションで月着陸船は、地球に最も近い月の側面(月の自転周期と公転周期は同じ約27日間のため、地球から見ると月は常に同じ面を向けていることになる)に着陸した。

今回の着陸は、ミッションにおける次のステップまで時間的な余裕がない。というのも、着陸機にはヒーターユニットが搭載されていないため、月の夜に耐えることができない。つまり今後、地球時間で14日間のうちにサンプルを採取しなければならず、12月16日か17日頃には戻ってくる可能性があることになる(すべて計画どおりに進めば、中国が月の石を持ち帰るのは私たちのTC Sessions: Space eventに偶然にも間に合うことになる)。

現在進行中の地球外のサンプルリターンミッションはこれだけではない。ロッキード・マーチンが設計した探査機は2020年11月に、地球近傍小惑星ベンヌのサンプル回収に成功したばかりで、2021年3月に再度出発する予定だ。NASAはまた、2020年7月に打ち上げた探査機「Perseverance」を使って、火星へのサンプル回収ミッションを開始している。

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カテゴリー:宇宙
タグ:嫦娥5号中国

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国のテック企業はこぞってグローサリー分野に注力する

中国の大手インターネット企業のほぼ全社がオンライングローサリーに関与している。ちょうど11月29日の週、Alibaba(アリババ)が創業2年のグローサリー共同購入会社Nice Tuan(ナイス・トゥアン)の4つめの資金調達ラウンドとなる1億9600万ドル(約205億円)のC3を共同でリードした。

中国の人々は、グローサリーを含め、ほぼすべてのものをオンラインで購入する。当初、グローサリーのeコマースの利用者は主に、eコマースの便利さに頼りながら育ったデジタルに精通しかつ配達のための料金を払うことを厭わない人たちだった。一方、多くの高齢者は一般に食材が安くで手に入る従来の生鮮市場に足を運ぶのを好む。

いま、中国のテック企業は全世代のグローサリー買い物客を急いで囲い込んでいる。かなりの資金を集めている新しいビジネスモデルとしてはNice Tuanがある。同サービスはいわゆるコミュニティ共同購入だ。

従来型のグローサリーeコマースにおいては、Alibabaのような仲介プラットフォームは通常、個人の買い物客を数多くの小売業者に結びつけ、玄関先まで商品を配達する。中国ではそうした商品は通常1時間以内に配達される。

それとは対照的に、コミュニティ共同購入は近所を管轄するマネージャーに頼っている。マネージャーは往々にしてパートタイムの仕事を探している主婦で、マネージャーが近所で販促をし、人気のWeChatメッセンジャーによるグループチャットで注文をまとめる。そしてマネージャーはサプライヤーに共同購入の注文を入れ、コンビニエンスストアなど地域のピックアップ場所で客に商品を渡す。

受け渡されるのを待つグローサリーバッグが山ほど店舗の隅にある光景は最近では珍しいものではない。このモデルは米国居住の中国人起業家に動機付けを与えた。

eコマースがユビキタスなものになっている中国においてすら、グローサリーショッピングの大半はいまだにオフラインで行われている。それが急速に変化している。調査会社iiMediaによると、グローサリー共同購入が始まったエリアは2020年に前年比100%増で、マーケット規模は720億元(約1兆1400億円)に達すると予想されている。

グローサリー共同購入と客によるピックアップは、玄関先まで配達される利便性が当たり前だった世界からの後退のように聞こえる。しかしグローサリー共同購入モデルにはいくつかのセールスポイントがある。グループチャットでのテキストによる注文は高齢者にとって利用しやすい。eコマースアプリはたくさんのボタン、そしてわかりにくい販売ルールがあり、使いづらさを高齢者は感じている。また、まとめ注文によりセールスマネジャーはサプライヤーからお得に購入できるかもしれない。もし共同購入会社が攻めの姿勢なら、展開するサービスにラストマイル配達をいつでも追加することができる。

中国のテック企業は明らかにオンライングローサリーについて強気で、成功のための投資を確固たるものにしようとポートフォリオを多様化している。Tencent(テンセント)はNice Tuanの主な競合相手であるXingsheng Youxuanの投資家だ(Bloomberg記事)。フードデリバリーサービスのMeituanは自前のグローサリー部門を抱えていて、従来型のデジタルグローサリー店舗、そしてWeChatベースの共同購入モデルを展開している。eコマースの新興企業Pinduoduoもグローサリー共同購入に対応している。Alibabaはすでに、オンラインとオフラインどちらでも展開しているHemaスーパーマーケットを運営している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ネットショッピンググローサリー中国

画像クレジット:A Nice Tuan user picks up her grocery order from a group-buying manager. Photo:Nice Tuan

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(翻訳:Mizoguchi

​トランプ政権が中国最大の半導体メーカーSMICを防衛ブラックリストに追加

Reutersの報道によると、世界最大級のチップメーカーの1つであるSMICは、米国防総省が中国軍が所有または支配している企業として指定する予定の企業に含まれている。2020年11月初め、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、2021年1月11日に施行予定の米国の投資家が防衛ブラックリストに載っている企業から証券を購入することを禁じる大統領令に署名した(米政府リリース)。

​SMICはReutersに対する声明で「米国政府との建設的かつオープンな交渉」を継続し、「中国軍と関係がなく、軍での使用や使用者のために製造しない」と述べている。

市場調査会社TrendForceによると、SMICは中国最大の半導体メーカーであり、世界の半導体ファンドリ市場の約4%を占めているという。​米国における同社の顧客にはQualcomm、Broadcom、Texas Instrumentsなどがある。

​現在、防衛ブラックリストには31社が登録されている(米国防総省リリース)。​Reutersによると、SMICは国防総省が追加を計画している4社のうちの1社だ。​他にはChina Construction Technology、China International Engineering Consulting Corp(中国国際工程諮詢公司)、China National Offshore Oil Corp(CNOOC、中国海洋石油集団)が計画されている。

​同社は2019年5月にニューヨーク証券取引所から上場廃止となったが、今回の決定は限られた取引量と高い管理コストが理由であり、米中貿易戦争や米国政府によるHuawei(ファーウェイ)や他の中国のハイテク企業のブラックリスト掲載とは異なると述べていた。

​SMICはすでに輸出規制の影響を受けており、主要な設備を米国のサプライヤーから購入することができない。​2020年10月初め、同社は株主に対して(Bloomberg記事)、米産業安全保障局が定めた輸出規制は、同社の生産に「重大な悪影響」をもたらす可能性があると述べていた。

​今回の大統領令と、国防ブラックリストに新たな企業が追加される可能性は、ファーウェイ、ZTE、ByteDanceなどに対して、トランプ政権が中国政府や軍との関係を理由に国家安全保障上の脅威となる可能性があると中国のハイテク企業に対して強硬な姿勢を示していることと一致している。​しかし、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が2021年1月20日に大統領に就任した後、現政権が行っている多くの政策の先行きは不透明だ。

​TechCrunchはSMICにコメントを求めている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:SMICドナルド・トランプジョー・バイデンアメリカ中国

画像クレジット:Su Weizhong/VCG / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アリババとファーウェイが急成長の中国巨大EV市場に参入

  1. 近頃は、中国のテクノロジー大手が既存の自動車メーカーと組むというニュースがない日はない。Alibaba(アリババ)やHuawei(ファーウェイ)などさまざまな企業は数兆ドル(数百兆円)といわれる中国の自動車市場に関連しようとしている。自動車産業は、5Gが成熟するにつれ、電動化への移行とインテリジェントなアップグレードの道を探っている。

中国大手の1つ、国有の自動車製造企業SAIC Motorは今週、Alibabaと上海の政府支援企業が少数株主となっているZhijiという新しい電動車部門を発表した(SAIC Motorリリース)。今回の提携は、XpengやNioといった中国のEV新興企業とその前身であるTeslaが、ここ数カ月で自社株を急騰させていることを受けたものだ。

 

AlibabaとSAICの関係は、2015年に遡る。そのとき両社は、インターネットに接続された車への1億6000万ドル(約166億5000万円)の投資を共同発表した(Reuter記事)。その後、この協力関係はさらに前進してBanmaと呼ばれるジョイントベンチャーを作り (「Zebra」とも呼ばれる)、音声によるナビや音声によるコーヒーのオーダーまでAlibabaはBanmaのための自動車関連技術を山のように開発した。その技術はもちろん、eウォレットのAlipayを前提している。

確かにAlibabaはSAICだけのためのサプライヤーではなく、何年も前からBMW(Business Wire記事)やAudi(Business Wire記事)とも一緒に仕事をしている。

SAICの新しいEVブランドに対してAlibabaは、「テクノロジーのソリューションのプロバイダー」であり続ける、と同社の広報担当者はいう。

自動車業界で大きく動いているほかのテクノロジー大手といえば、Huawei(ファーウェイ)だ。まさに今週、この通信機器とスマートフォンのメーカーは、そのスマートカー部門をこれまで携帯電話に注力していた消費者ビジネスグループと統合すると発表した(心声社区投稿)。消費者ビジネスグループはこれまで主に、ハンドセットにフォーカスしていた。今回、拡大されたグループを仕切るのが、モバイル業界の負け犬だったファーウェイを世界有数の企業へと成長させたといわれるRichard Yu(
リチャード・ユー)氏だ。

同社の声明によると、自動車におけるファーウェイの野心は「自動車を作らないがそのICT(情報と通信技術)の開発にフォーカスして自動車メーカーによる車の生産をアシストする」というものだ。同社が伝統的自動車メーカーの領域を侵す、という噂を否定している。

ファーウェイのスマートフォン事業は、米国の制裁にサプライチェーンを妨げて以来、打撃を受けている。同社は最近、低価格機のブランドHonorを売却してファーウェイから独立させ、通商関連の拘束から逃れようとしている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:AlibabaHuawei電気自動車中国

画像クレジット:AlibabaのBanmaスマートカーソリューション

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドが新たに43の中国企業アプリを禁止、安全保障の懸念を理由に

インドの中国アプリを禁止する動きは終わっていない。世界第2位のインターネットマーケットであるインドはここ数カ月で隣国である中国に関係する175超のアプリを禁止してきたが、米国時間11月24日にさらに43の中国企業のアプリを禁止すると明らかにした。

前回の禁止命令と同様、インドはこれらアプリを禁止する理由についてサイバーセキュリティの懸念を挙げた(インド政府リリース)。「インドの主権と保全、防衛、国防、治安を損なっている活動に従事しているこうしたアプリに関する考えに基づいてこの措置を取ることにしました」とインドのIT大臣は声明文で述べた。

大臣は「内務省サイバー犯罪コーディネーションセンターからの包括レポートに基づき」これらアプリを禁止する命令を出した、と話している。

禁止されたアプリには、このところランキングでトップになっていた人気のショートビデオサービスSnack Video、eコマースアプリAliExpress、配達アプリLalamove、買い物アプリTaobao Liveなどが含まれる。全リストはここで閲覧できる。現時点で、インドで使用されているトップ500のアプリに中国アプリは残っていないようだ。

11月24日の禁止命令はPUBG MobileやTikTokといったいくつかのアプリがインドでの復活を模索する中でのものだ。ここ数週間でPUBGはインドでローカル企業を登録(未訳記事)し、コンピューティング需要のためにMicrosoft(マイクロソフト)と提携し、インドに1億ドル(約105億円)投資することを公約した。それでも、インド政府はまだ何の反応も示していない。

世界で人口が最も多い2国の間にある緊張は、6月にヒマラヤで起きた軍事衝突でインド軍兵士20人超が殺害された後に高まった。以来、多くの人が中国製のスマホやテレビ、その他製品を破壊する様子を撮影したビデオを投稿し、「ボイコットチャイナ」感情がインドのソーシャルメディアでトレンドとなった。

4月にはインドは海外投資政策に変更を加え、近年インドのスタートアップに何十億ドル(何千億円)も投資してきた中国の投資家が新たにインドの企業に投資するには、インド政府からの許可を得ることを義務付けた。この措置により、インドのスタートアップのここ数カ月のディールフローにおける中国の投資家の存在感は著しく減っている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:インド中国

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

中国のオープンソソースソフトウェアに投資家が殺到しZillizが約45億円を調達

長年にわたり、中国の企業創設者や投資家はオープンソースソフトウェアにはほとんど興味を示さなかった。収益性の高いビジネスモデルとは思われていなかったからだ。だが、Zilliz(ジリズ)が資金調達した最新のラウンドを見ると、そうした態度に変化が起きていることがわかる。創立3年目になるこの中国のスタートアップは、非構造化データの処理を行うオープンソースソフトウェアを開発しているが、先日、4300万ドル(約45億円)のシリーズBラウンドをクローズした。

今回の投資により、Zillizの現在までの調達額は5300万ドル(約55億円)を超え、オープンソース企業としては、世界的にも大きない規模となる。歴史的に名高いプライベートエクイティーファンドHillhouse Capitalが主導し、Trustbridge Partners、Pavilion Capital、そして以前から投資を行なっている5Y Capital(元Morningside)とYunqi Partnersが参加している。

オープンソースが効率的なソフトウェア開発戦略であることに投資家たちが気づき始め、Zillizを支援するようになったのだと、Zillizの創設者でCEOのCharles Xie(チャールズ・シェイ)氏は、深圳で開かれたオープンソースミートアップにてTechCrunchに話した。このイベントでは、彼はLinux Foundation(リナックス財団)傘下の LF AIの中国人初の取締役会会長として講演を行なっていた。

「投資家たちは、この数年、Elastic(エラスティック)からMongoDB(モンゴディービー)まで、世界のオープンソース企業の好成績なエグジットを成功させています」と彼は語る。

「スターロード(シェイ氏のニックネーム)は、まず私たちに、未来のデジタル時代におけるデータ処理に関する彼のビジョンを話しました。私たちはクレイジーな考えだと感じましたが、信じることにしたのです」と、5Y Capitalのパートナー、Liu Kai(リウ・カイ)氏はいう。

この分野への投資には、1つ注意点がある。最初の3年か5年で利益を期待してはいけないということだ。「しかし、8年から10年のサイクルで見れば、これらの(オープンソース)企業は1000億ドル (10兆円)規模の評価額を得るまでになる」とシェイ氏は考えている。

Oracle(オラクル)でソフトウェアエンジニアとして6年務めた後、シェイ氏は米国を去り、故郷の中国に戻ってZillizを立ち上げた。近ごろの中国人起業家のご多聞に漏れず、シェイ氏はそのスタートアップの社名を英語にして、「創設当初からグローバル」だという信念をそこに刻み込んだ。Zillizは上海で設立されたが、目標は今後12カ月以内に「確固としたテクノロジーと製品」を提供できるようになり、本社をシリコンバレーに移すことだとシェイ氏は語る。中国は、有能なエンジニアの人件費が安く、分子構造から人々の購買行動、音声情報、動画コンテンツに到るまで、非構造化データが爆発的に増加しているという両面において、理想的なスタート地点だった。

「この地域の非構造化データの量は、人口と経済活動のレベルに比例しているため、中国が最大のデータソースである理由が簡単にわかります」とシェイ氏は話す。

同時に中国では、モバイルインターネットとAIの開発が急速に進んでいる。特に実生活での応用が顕著に発達していることから、中国がデータ処理ソフトウェアに最適な実験場なのだとシェイ氏は主張する。

いまのところ、Zillizのオープンソース製品Milvus(ミルバス)は、GitHub(ギットハブ)で4440回以上「スター」付けされ、コントリビューターおよそ120人、世界中の法人ユーザー約400社を惹きつけている。その半数は中国国外のユーザーだ。同社は広告費をまったく使わず、むしろGitHubやReddit(レディット)など、開発者のオンラインコミュニティーで積極的に活動することによりユーザーを獲得してきた。

今後Zillizは、新たな資金を使って海外で人材を集め、オープンソースエコシステムの拡大、クラウドベースの製品とサービスの研究開発を行う予定だ。2021年後半の収益化の開始にともない、いずれこれらが収益を生み出すことになる。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Zillizオープンソース中国

画像クレジット:Zilliz founder and CEO Charles Xie

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(翻訳:金井哲夫)

中国の人気動画サイトKuaishouがたった6カ月で1060億円を失った経緯

ByteDanceがTikTokとDouyinを別々に上場するという噂が、数カ月前からある。米国時間11月4日のBloombergの報道ではByteDanceが、IPO前の20億ドル(約2070億円)のラウンドを、1800億ドル(約18兆6030億円)という驚異的な評価額で要求しているという。

それらがまだ何も実現していないときから、ByteDanceの中国におけるライバルであるKuaishouは、米国時間11月5日の夜に香港でIPOすることを目指して動いていた。IPO趣意書は、その成長と費用の両方が天文学的な額であることを明かしている。

2011年に元Google(グーグル)のエンジニアがGIF画像を共有するために立ち上げたKuaishouは、中国におけるTikTokの姉妹サイトDouyinの強敵に進化した。Tencentが21.5%を保有する同社は、2020年の前半に68億元(10億ドル、約1060億円)の純損失を報告し、営業損失は75億7000万元(約1180億円)に達した。対照的に同社は、2019年の同時期に11億元(約170億円)の営業利益を記録した。

赤字の原因は、KuaishouのライトバージョンであるKuaishou Expressの大規模な宣伝のためでもある。Kuaishou Expressは、中国のテクノロジーに弱い層を対象にしている。ByteDanceと違い、Kuaishouは海外での人気はあまりなく、もっぱら中国での継続的な成長に依存している。

同社のマーケティング支出は2019年前半の30億元(約470億円)から2020年前半は137億元(約2140億円)に跳ね上がった。しかしその巨額の散財は報われたようだ。その有料のゲームであるライトバージョンアプリは1年で1億DAUを獲得した。

メインのアプリであるKuaishou本体は、6月に3億200万のDAUに達し、ユーザーはビデオクリップやライブのセッションを夢中になりこのアプリで1日85分を過ごしている。一方Douyinは、1月にDAUが4億を突破している(未訳記事)。

Kuaishouは「ショートビデオのアプリ」と思われているが、実際の売上の多く2020年前半では68.5%が、ライブのストリーミングによるものだ。そこではオーディエンスがホストにバーチャルアイテムを送って、それを1元(約15.6円)から2000元(約3万1260円)で売っている。そのほか広告も重要な収益源で、売上の28%を占める。また、eコマースやゲームからの売り上げもある。

情報筋によると、Douyinは2019年の売上の約67%が広告で、ストリーミングは17%だ。

このような売上の構成は、アプリのメインのユースケースを反映している。Kuaishouは、ユーザーのエンゲージメントを自慢することが多い。実際にその7億7600万の月間ユーザーの1/4以上がクリエイターでもある。そのためKuaishouはソーシャルアプリに近くて、視聴者とクリエイターがライブのストリーミングやギフト交換を通じて頻繁に対話している。

Douyinは有料コンテンツを重視し、メディアの一種に近い。中国のベンチャーキャピタリストの一部はDouyinを、広告を見せるためのデスティネーションサイトとみなしている(知乎投稿)。

売上に関しては、Kuaishouは2019年に391億元(約6110億円)を稼いだが、それは2019年のByteDanceの約1/3だ。しかし、ByteDanceにはもう1つの収益源があることを忘れてはならない。それは、ニュースと情報の集積サービスJinri Toutiaoだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:KuaishouTikTok中国

画像クレジット:Kuaishou IPO prospectus

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

TikTokを運営するByteDanceが電子書籍リーダーのZhangyueに約173億円を投資

ByteDanceはショートビデオのTikTokで売上を伸ばし中国のスタートアップを国際的に知らしめたが、テック大手が成長を加速させるために多くの新しい分野に進出しているのと同じことをByteDanceもしている。エンタープライズソフトウェアオンライン学習(未訳記事)に手を出してきたが、ここにきてByteDanceが中国最大の電子書籍サービスの1つであるZhangyue(掌阅)に投資するというニュースが届いた。

米国時間11月4日にZhangyueは、ByteDanceの完全子会社がZhangyueの株式の11%を11億元(約172億7000万円)で取得する計画を明らかにした。中国で上場しているZhangyueの現在の時価総額は120億元(約1884億円)で、上半期には同社のアプリで毎月1億7000万人のユーザー(Sina Finance記事)が小説や雑誌、漫画を読んだり、オーディオブックを聴いたりしている。

直接のライバルはTencentからスピンオフしたChina Literature(未訳記事)で、こちらは同期間の月間ユーザー数が2億1700万人であると主張している(China Literatureリリース)。

ZhangyueとByteDanceのパートナーシップは、中国でのスマートフォン普及により急成長しているオンライン書籍市場をターゲットにしている。市場調査会社のiResearchによると、2019年にユーザーは1日に1時間近く電子書籍アプリを利用していたという。サブスクリプションとライセンス料を含む電子書籍分野の売上は2020年に206億元(約3234億円)になると予測されている。これは2015年の66億元(約1036億円)からの増加だ。iResearchは、中国の電子書籍ユーザーは2020年中に5億1000万人に達すると予測している。

この株式取得で、Zhangyueと中国のデジタルエンターテインメントの巨人であるByteDanceが緊密に連携することになる。契約により、ByteDanceから1人がZhangyueの取締役となり、Zhangyueの知的財産のライセンスを受けられる。

一方のZhangyueは広告の購入、収益化、さまざまなテクノロジーなどの部分でByteDanceの支援を受ける。ByteDanceは、ショートフォームモバイルビデオアプリケーションのDouyin(抖音)やTikTok、ニュースリーダーのToutiao(今日头条)のユーザーが全体で数億人いるとしており、この成功により同社はブランドや広告主から人気を集める存在になった。

この提携により両社間の取引は株式取得の翌年に4億7000万元(約73億8000万円)相当になると見込まれ、これは株式取得前の年間2億7000万元(約42億4000万円)からの増加となる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ByteDanceZhangyue電子書籍中国投資

画像クレジット:Zhangyue

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(翻訳:Kaori Koyama)

中国の第3四半期スマホ出荷台数が減少、新型コロナのリバウンド需要続かず

中国は、初期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックから真っ先に立ち直った主要スマホ市場だった。厳しいロックダウン措置により、中国は新型コロナ第1波期間に比較的早く回復でき、他の国よりもスマホ出荷が戻り始めていた。

しかし第3四半期に再び減少し始めた。Canalysが発表したデータでは、前期比8%減となった。2019年同期比では15%減だ。長らく業界最大手として君臨してきたHuawei(ファーウェイ)の減速について、同社が現在も米政府との間に問題を抱えている点をCanalysは指摘している。そうしたHuaweiの困難は、Huaweiに次ぐメーカーであるVivo(ビボ)とOppo(オッポ)にカスケード効果をもたらした。

画像クレジット:Canalys

「Huaweiは、8月17日の米国による制裁を受けてスマホ出荷制限を余儀なくされました。制裁により第3四半期はチャンネルに空白が生じました。これは競合他社にはなかったものです。Huaweiは2016年にマーケットの主導権を握って以来、最も困難な状況に直面しています」とアナリストのMo Jia(モ・ジア)氏はリリースで述べた。「米政権の姿勢が変わらなければ、Huaweiは(Harmony)OSとソフトウェアエコシステムの構築にフォーカスし、事業戦略の転換を試みるでしょう。中国政府はグローバルプラットフォームに代わる国産のものを育てたがっています」。

Huaweiの中国本土におけるスマホ出荷台数は前年同期比18%減となった。VivoとOppoの出荷台数も減り、それぞれ前年同期比13%減と18%減だ。Xiaomi(シャオミ)は前年同期比19%増で、第3位との差を縮めた。一方、Apple(アップル)はiPhone 12の発売がずれ込んだにもかかわらず比較的堅調だった。Huaweiが引き続き困難に直面していることで競争が和らいだのかもしれない。

アナリストのNicole Peng(ニコール・ペン)氏は5G対応端末の導入でアップルは堅牢な立場にあると指摘し、「アップルにとってiPhone 12シリーズは中国本土においてゲームチェンジャーとなると予想されます。中国で販売されているスマホのほとんどがいまや5G対応ですが、アップルは大きな隔たりを埋めつつあり、累積している新5G端末需要は大きなものとなるでしょう」と話した。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:スマートフォンHuaweiApple中国

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

中国の宿題指導アプリYuanfudaoのバリュエーションが1.6兆円超え、最も価値の大きいEdTech企業に

2012年に創業された宿題指導アプリYuanfudao(猿輔導)の累計資金調達額が22億ドル(約2300億円)に達し、世界で最も価値の大きいEdTech企業Byju’s(ビジュース)を超えた。北京拠点のYuanfudaoの企業価値はいまや155億ドル(約1兆6000億円)で、これは3月時点の倍だ。

新たな調達は2020年3月に10億ドル(約1050億円)を調達したシリーズGの延長ではあるが、同社は2件の調達を別のラウンドとして捉えている。G1ラウンドはTencentがリードし、Hillhouse Capital、Boyu Capital、IDG Capitalが参加した。G2はDST Globalがリードし、CITICPE、GIC、Temasek、TBP、DCP、Ocean Link、Greenwoods、Danhe Capitalが加わった。

調達した資金はカリキュラムの開発や、大きなリモート学習ブームの真っただ中とあってYuanfudaoのオンライン教育サービス拡大に使われる。2018年(未訳記事)に同社はTechCrunchに売上高の大部分はライブコースの販売によるものだと語った。当時の最終目標は資金を調達して、プロダクトにAIをより活用し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることだった。

それから2年が経ったが、Yuanfudaoは中国内でユーザー(生徒)数を4億人へと倍増させた。今回の資金調達は、同社がライブ、オンラインコースワーク、学習のクローズドループシステムをさらに推進するのに使われる。

同社は現在、ライブ指導、オンラインQ&A、数学問題チェックなどさまざまなプロダクトを提供している。

Yuanfudaoは中国各地にある教育センターに従業員3万人を抱え、こうした教育センターがオンラインサービスのベースとなるかもしれない。同社は2014年に清華大学、北京大学、中国科学院といったトップ校やMicrosoft(マイクロソフト)と、AI研究所ならびにテックラボを設立。そうした研究機関の洞察をアプリに取り込むことが目的だ。Yuanfudaoは、生徒の弱点がどこにあるのかを判断するのにAIを活用できると考えている。そうすることで教師のカリキュラムやプロダクトデザインを改善できる。

概してアジアは教育支出が多く、学習成果に熱心な文化と相まって教育熱心なマーケットだ。そのため、デジタル学習へのシフトはすでにブームとなっていた教育マーケットに拍車をかけた。あるレポートによると、中国の教育経済規模は2年間で810億ドル(約8兆5000億円)になるという。

筆者の同僚、 Rita Liaoが指摘した(未訳記事)ように教育指導マーケットを狙っているのはYuanfudaoだけではない。他にも資金潤沢な競合企業があり、ここにはオンライン学習を専門とし、6月に7億5000万ドル(約785億円)を調達した北京拠点のスタートアップであるZuoyebang、シンガポールの政府系ファンドであるTemasekが投資するYiqizuoyeなどが含まれる。

カテゴリー:EdTech
タグ:Yuanfudao中国資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

アリババグループが中国スーパーマーケット大手Sun Artの経営権を3800億円で取得

Alibaba Group(アリババグループ、阿里巴巴)は米国時間10月19日、36億ドル(約3800億円)を投入して中国スーパーマーケットチェーン最大手、Sun Art(サン・アート、高鑫零售)の支配権を取得すると発表した。取引完了後、同グループはSun Artの72%を所有する。

他の国々同様、新型コロナウイルスによる都市封鎖は中国のオンライン食料品購入需要の増加をもたらし、これまで食料品を店頭で購入することを好んでいた買い物客も引き寄せた。封鎖が解けた後も、多くの人たちがネット購入を続けている。アリババのSun Artへの投資は、フランス拠点のAuchan Retail InternationalからA-RT Retail Holdings株式の70.94%を取得することによって実施される。A-RT RetailはSun ARTの株式の約51%を保有している。

契約完了後、アリババはSun Artを自社の財務諸表に組み入れる。Sun ArtのCEOであるPeter Huang(ピーター・ホアン)氏は同社の取締役会会長にも就任する。

アリババが最初にSuna Artに投資したのは2017年で、約28億8000万ドル(約3040億円)を費やして株式の36.16%を取得した。Sun Artは“New Retail” 戦略の一環として、RT-Martブランドを展開している。.

今回の「New Retail」の狙いは、実店舗でのオンライン注文の受け取り、サプライチェーンの統合、買い物客がeコマースと実店舗で同じデジタル支払い方法を使えるようにするなどの方法によって、オンラインとオフラインコマースの境界をなくすことだ。

中国にあるSun Artの実店舗484カ所はすべて、食料品はアリババのスーパーマーケット、Taoxianda(淘鮮達)とTmall(天猫)に、オンデマンド食品配達アプリと運送事業はEle.me(餓了麼)とCainiao(菜鳥)にそれぞれ統合される。これは顧客にとって、配達の迅速化と商品選択の幅が広がることを意味し、アリババにとってもサプライチェーンや事業運営の改善に役立つ情報源が増える。

他のeコマース企業もオンラインとオフラインの食料品購入を統合する同様のアプローチをとっている。アリババの最大のライバルであるJD(京東商城)は、スーパーマーケットグループのYonghui Superstore(永輝超市)やWalmart(ウォルマート)と同じような提携を結んでいる。

報道資料でアリババのDaniel Zhang(ダニエル・チャン)CEO兼会長は、「新型コロナウイルスのパンデミックが消費者のライフスタイルや企業運営のデジタル化を加速する中、このSun Artに対する取り組みによって、当社の『New Retail』ビジョンを強化し、さらに多くの消費者に完全統合された体験を届けることができる」と語った。

カテゴリー:その他
タグ:AlibabaSun Art買収中国

画像クレジット:Dong Wenjie / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本風に見える中国のバラエティストアMinisoが高値で米国でのIPOを果たす

日本にインスパイアされたライフスタイルグッズを世界中の消費者に届けるバリューストアチェーンに、投資家たちが飛びついている。Minisoは米国時間10月15日、ニューヨークでの新規株式公開で6億800万ドル(約640億2000万円)を調達した。初値は予定価格帯の16.50〜18.50ドル(約1740〜1950円)を上回る24.40ドル(約2570円)で、初日の終わりには4.4%の上昇となった。

創業7年のこの企業は、名前もブランディングも商品もウェブサイトも日本企業を連想させるものだが、実は生まれも育ちも中国だ。さまざまな面で無印良品、ユニクロ、100円ショップのダイソーと著しく似ていて(RADII記事)、日本のライフスタイルの先輩を模倣しているといわれている。

画像クレジット:Miniso

TencentとHillhouse Capitalが投資しているMinisoは、意図的に、誤解を招くような形で、自社を日本企業であるかのようにブランディングしている。プレスリリースや国ごとのサイト(日本語サイトはこちら)といったパブリックメッセージには「2013年に日本人デザイナー三宅順也と中国の若手起業家 葉国富により東京で創設され」と書かれている。しかしIPOの目論見書には日本発祥であるとの記載は見当たらない。

代わりに文書には、中国南部の大都市である広州が同社の最初の拠点で、葉氏が単独の創業者であり現在の最高経営責任者であると記されている。主要な取締役や経営陣はすべて中国人らしい。

ブランディングが混乱していることはさておき、Minisoが価格に敏感で多くの品物の中から選びたいと考える若者の支持を集めていることは否定できない。中国の来店者の80%以上は40歳未満だ。2020年6月時点で、近くに製造業者が多いため中国で販売されている商品の95%以上が50元(約790円)未満となっている。同社は毎週100種類の新しいSKUを発売するという目標を誇示している。

2019年のMinisoの収益は14億ドル(約1474億2000万円)に達した。これに対し創業71年のユニクロは178億5000万ドル(約1兆8800億円)、創業40年の無印良品は41億7000万ドル(約4400億円)だ。

ユニクロを思わせる鮮やかな赤色で飾られたMinisoの店舗は現在80カ国以上に広がり、4200店のうち40%は中国以外にある。店舗の90%以上がフランチャイズ店で、これが急速に拡大できた理由のひとつである。しかしこのモデルは、他社が運営する巨大な店舗ネットワークに対してMinisoのコントロールはあまり効かないということでもある。

カテゴリー:ニュース
タグ:Miniso中国IPO

画像クレジット:Miniso

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(翻訳:Kaori Koyama)

中国のデジタル人民元の大規模な実験が深圳でスタート

メーカーのコミュニティと製造業者のリソースで知られる深圳で、中国のデジタル人民元の実験が始まっている。

10月第2週に、深圳市は総額1000万元(約1億5700万円)のデジタル通貨を抽選で5万人の市民に配布すると発表した。市当局はモバイルの「赤い封筒」を通じて当選金を送る。これは中国でお金を贈る際に使われる赤い封筒をデジタル化したツールで、WeChatのeウォレットで最初に普及した。

デジタル人民元を暗号通貨の一形態と誤解するのは適切ではない。中央銀行が発行・管理し、中国の法定的、物理的な通貨のデジタル版として機能するもので、中央政府は通貨の流通を把握できる。現金が使われなくなりつつある中国において、WeChat PayやAlipayといったサードパーティの決済アプリを補完するものであって、置き換えるものではない。

例えば、中央政府は将来、出先機関に補助金をデジタル人民元で渡すかもしれない。そうすれば汚職などの問題を減らせる可能性がある。

中国は4つの都市でデジタル人民元の試験を始めるが、深圳はそのひとつだ。中国政府は8月に詳細は明かさなかったものの通知を出してい。今回の一般市民へのデジタル人民元の配布は、中央銀行が発行する仮想的な通貨に関する中国初の大規模な公開実験と見られる。

市当局の発表によれば、深圳の200万人近くの市民が抽選に申し込んだという。当選者はデジタル人民元公式アプリ内の赤い封筒で200元(約3100円)を受け取り、このバーチャルマネーを市内3000店以上の小売店で使うことができる。

中央政府の新しい文書には、今後の段階として深圳で公式のデジタル通貨研究所を通じて(漠然とした定義ではあるが)「フィンテックイノベーションプラットフォーム」を始動すると記載されている。この文書には、先端技術に対して海外から投資を集めるなど深圳の今後5年間の開発計画が記されている。深圳はデジタル人民元の研究開発や利用、国際協力の促進にも重要な役割を果たしていく。

2020年4月には、深圳のデジタル通貨研究所がモバイルアプリアーキテクトやAndroid開発者など技術職の募集を開始していた

深圳は1980年に中国初の経済特区に指定され、現在はTencent、Huawei、DJIといったテック大手や、HAXやTrouble Makerといったイノベーションハブの本拠地となっている。習近平国家主席は10月14日に経済特区40周年を祝う式典に出席するために深圳を訪れる予定になっている(ロイター記事)。

中央銀行がデジタル人民元を支えるロジックとインフラを提供する一方で、民間の銀行や企業が実用レベルでイノベーションを起こす余地は十分にある。最近ではライドシェアプラットフォームのDidiJDのフィンテック部門がそれぞれ、デジタル人民元の実生活での実装を加速させる計画を明らかにした。

カテゴリー:フィンテック
タグ:中国、デジタル通貨、深圳

画像クレジット:LIAO XUN / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルが中国App StoreからRSSリーダーのReederとFiery Feedsを削除

アップルはまるで中国のApp Storeで中国政府の検閲に満足できないサービスを探しているようだ。ReederとFiery Feedsという2つのRSS(Real Simple Syndication)リーダーアプリは、中国で 「違法」 とされるコンテンツを含んでいることを理由に、中国App Storeから削除されたと発表した。

中国ではあらゆる理由でアプリが禁止されている。RSSのフィードリーダーは、第三者のウェブサイトからコンテンツを取得し、ユーザーが中国のGreat Firewallをバイパスして、それ以外では禁止されている情報にアクセスすることを可能にするため、当局にとって特に厄介だった。

中国でRSSリーダーを利用している人は少ない。中国のインターネットユーザーの9億4000万人ともいわれる大多数は(Xinhua Net記事)は、ByteDance(バイトダンス)のToutiao(今日头条)やWeChat内蔵のコンテンツ購読機能などのアルゴリズムによるニュースアグリゲータから、地元の主要なニュースアプリまで、国内のサービスを通じてニュースを入手しているからだ。

大きな政治的な出来事や規制の変更は、アプリの削除の新たな波を引き起こす可能性があるが、今週2つのRSSフィードリーダーが削除された理由は明らかになっていない。似たようなサービスであるInoreaderは、2017年に中国のApp Storeから追放されている(未訳記事)。Feedlyも現在は中国で利用できない。

今回のアプリ削除は、中国におけるアップルの通常のビジネスの一環とも言える。中国のRSS取り締まりの歴史は2007年にさかのぼり、当局はウェブベースのRSSフィードアグリゲーターを全面的に禁止した。

Fiery FeedsのiOSアプリは、中国ではVPNを使わずに提供されていたが「同期されたサービスの一部はブロックされていた」とFiery FeedsはTechCrunchに明かした。Reederとアップルからのコメントは得られていない。

Fiery Feedsの広報担当者は「『禁止』は中国政府によるもののようなので、アップルに訴えたところで何の役にも立たない」と述べた。

画像クレジット:chinaoffseasonFlickr

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(翻訳:TechCrunch Japan)

TikTok、WeChatをめぐる騒動と、米中間で広がるデジタル格差

この10年で、中国と米国のテック企業のダイナミクスは大きく変わった。かつて中国は米国の有望な市場とみなされていたが、中国の技術革新と投資力が目に見えて高まるにつれ、その立場は逆転した。また、中国共産党のサイバーセキュリティ規制の対象が拡大されると、データプライバシー侵害を懸念する声が高まった。しかし、そんな中でも、両国が互いにアイデアを交換できていた期間は何年もあったように思う。ところが、関税戦争という政治的背景もあり、また最近、TikTokとWeChatに対してトランプ政権の大統領命令が発令されたせいで、そうした良い関係もすっかり損なわれてしまった。

米国商務省は先週、TikTokとWeChatの米国での利用停止を強制する予定だったが、両社に対する命令の執行は延期された。WeChatについては、米国地方裁判所裁判官は利用停止の一時的な保留を命じた。一方、TikTokの所有会社であるByteDance(バイトダンス)は、Oracle(オラクル)との複雑な交渉の最終段階を迎えている。

TikTokとWeChatをめぐる紛糾は、米国の中国テック企業に対する見方が大きく変化したことを明確に示している。TikTokは、中国企業による消費者向けアプリとして初めて米国で大きな地盤を築いただけではなく、米国の大衆文化にも大きな影響を与えた。ほんの10年前、いや5年前でさえ、このような事態になろうとは、ほとんど想像もできなかっただろう。

進出先としての中国

14億人の人口を抱える中国は長い間、中国政府による検閲が強化されていた時期でさえ、多くの海外テック企業から、もうかる市場とみなされてきた。2003年、中国公安部は、一般に「万里のファイアウオール」と呼ばれるGolden Shield Project(金盾)を開始した。目的は、中国のインターネットユーザーがアクセスできる海外のサイトやアプリを制限することだ。万里のファイアウオールは当初、主に反中国共産党コンテンツが掲載された中国語サイトに対するアクセスを制限していたが、やがて、より多くのサービスをブロックするようになった。

2006年1月26日、Google(グーグル)が中国本土進出を果たした翌日のノートパソコンの画面。グーグルは、北京当局によって禁止されているウエブサイトやコンテンツを検閲することに同意した後、新しいサービスを開始した。画像クレジット:AFP PHOTO / Frederic J. BROWN

中国共産党によるオンライン検閲は厳しくなる一方だったが、それでも多くの米国のインターネット企業は中国への進出を熱望していた。当時最も注目されていたのはGoogle(グーグル)だ。グーグルは2000年に、Google.comに中国語のサポートを追加した。

グーグル検索エンジンへは部分的にしかアクセスできず(ファイナンシャル・タイムズ紙の2010年版記事アーカイブによると、この原因は、中国の認可を受けたインターネットサービスプロバイダーによる「広範なフィルタリング」である可能性がある)、2002年には短期間ブロックされたこともあったが、それでもグーグルは、グーグルニュースの簡体字中国語版など、中国のユーザー向けに新しいサービスの提供を続けた。

2005年には、中国にR&D部門を設置する計画を発表した。そして翌年には、Google.cnを正式に立ち上げた。グーグルは、Google.cnを立ち上げるために、政治的にセンシティブなトピックの検索結果を排除することに同意し、物議を醸した。

このように中国政府に対して譲歩の姿勢を見せていたのにもかかわらず、グーグルと中国との関係は悪化し始めた。このことは、他の海外テック企業、とりわけオンラインサービスを提供する会社が中国市場への参入を試みるとどういう結果になるのかを暗示していた。YouTubeへのアクセスについては、ブロックと解除が繰り返されたが、Lhasa(ラサ)のデモに参加したチベット人を容赦なく殴打する場面を撮影したとみられる動画がアップロードされた後、2009年に完全にアクセス禁止となった。同じ年、フェイスブックとツイッターへのアクセスもブロックされた。

2010年1月、グーグルは中国でのネット検索の検閲を中止し、必要なら同国から撤退すると発表した。また、Google.cnでのすべての検索クエリをGoogle.com.hkにリダイレクトする措置も開始した。

ただし、中国でのR&D活動は継続し、セールス部門もそのまま残された(2018年のThe Interceptの調査で、グーグルは、Project Dragonflyというコードネームで中国での検索の検閲を再開したことがわかっている)。グーグル以外の米国テック企業も、たとえ自社のサービスが中国でブロックされても、中国市場への進出を諦めなかった。

フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は2010年代の半ばに、数回に渡って中国を訪問した。2015年には、研究開発の最先端である清華大学を訪問している。ザッカーバーグ氏はその前年に同大学の理事会メンバーとなっており、標準中国語で何度か一般講演を行っている。フェイスブックが同社サービスの中国版をリリースするという憶測が飛び交ったが、中国本拠の企業は、当時もその後も、フェイスブックの最も重要な広告収益源であった

さらに、国内企業の競争力強化を目指して策定された中国政府のポリシーが成果を上げ始め、2015年までには、大半の米国テック企業は中国市場に参入するために中国国内のパートナーを見つける必要に迫られることになった。中国が米国の技術イノベーションを求めるという図式は、こうして逆転し始めたのである。

ダイナミクスの変化

Google Playが中国でブロックされると、サードパーティー製Androidアプリストア登場の道が開けた。その1つが、中国インターネット大手Tencent(テンセント)のMy Appだ。

しかし、テンセントで最も影響力のあるアプリは、2011年にリリースされたメッセージアプリWeChatである。WeChatリリースの2年後、テンセントは、TenPayとの統合化によりモバイル決済サービス分野にも進出する。5年も経たないうちに、WeChatは、数億人のユーザーの日常生活に欠かせないアプリとなった。WeChat Payと、その主な競合相手であるAlibaba(アリババ)のAlipayは、中国の決済市場に革命を起こした。シンクタンクCGAPの調査によると、今や、中国の消費者決済の3分の1はキャッシュレス化しているという。

北京発 – 2020年9月19日:中国人の顧客が地元の市場で、モバイル端末上で動作するWeChatのQRコードを使って決済している。画像クレジット:Kevin Frayer / Getty Images

2017年、Wechatは、「ミニプログラム」をリリースした。このミニプログラムにより、開発者はWeChat上で動作する「アプリ内アプリ」を作成できるようになった。Tencentによればミニプログラムはあっという間に軌道に乗り、2年にも満たない短期間で、その数は100万、1日あたりのユーザー数は200万人に達したという。グーグルでさえ、2018年に独自のミニプログラムを密かにリリースした

こうしてWeChatは中国国内では広く普及したが、その存在は世界的にはまだあまり知られていなかった。特に、別のメッセージアプリWhatsAppと比較するとその差は歴然としていた。WeChatの月間アクティブユーザー数は10億人を超えていたが、そのうち海外のユーザー数は推計で1~2億人程度だった。その多くは、WeChatを使って中国本土の家族や仲間と連絡を取る中国人移民たちだ。というのも、WhatsApp、Facebook Messanger、Lineといった他の人気のメッセージアプリはすべて中国ではブロックされているからだ。テンセントは、Tesla(テスラ)、Riot Games(ライアットゲームズ)、Snap(スナップ)など、多くの米国企業に大口の投資を行っており、スナップの創業者Evan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏を含むテック起業家たちの間ではインスピレーションの源だと言われていたが、世界的な大ヒットアプリはまだ生み出したことがなかった。

その間、別の企業が競争優位を獲得し、テンセントが成功できなかった分野で成功を収めていった。

2012年にマイクロソフトのベテラン社員Zhang Yiming(チャン・イーミン)氏によって創業されたByteDance(バイトダンス)もやはり、創業当初、中国政府とのゴタゴタに巻き込まれた。同社が最初にリリースしたアプリはNeihan Duanziと呼ばれるソーシャルメディアプラットフォームで、そのユーザー数は2017年に2億人に達したが、翌年、中国国家広播電影電視総局によって不適切なコンテンツがあるとの指摘を受けたあと、利用停止を命じられた。こうした初期の挫折はあったが、バイトダンスはToutiao(中国トップのニュースアグリゲータ)などのアプリをリリースし、成長を続けた。

そして2016年に、同社を最も世に知らしめたアプリをリリースする。このアプリは中国でDouyin(抖音またはドウイン)と呼ばれている。バイトダンスは、海外でショートビデオ共有アプリを広める計画を以前から練っていた。中国のテックニュースサイト36Krのインタビューでチャン氏は次のように答えている。「中国のインターネット人口は世界全体の5分の1にすぎない。世界に進出しなければ、我々は、中国以外の市場に目を付けている同業他社に敗北することになる」。これは、中国を重要な市場とみなしてきた米国のインターネット企業の見方とまったく同じだが、(立場が逆転したという意味で)正反対であるとも言える。

ドウインの国際バージョンであるTikTokは、2017年にリリースされた。その年、バイトダンスはティーンエージャーに人気のリップシンクアプリMusical.lyを買収する。買収金額は8億ドル~10億ドル(約840億円~1050億円)と言われている。バイトダンスはMusical.lyとTikTokを統合して、両アプリの視聴者を一元化した。

2019年に入る頃には、TikTokは米国の10代~20代前半の若者の間で人気アプリとなったが、多くの大人たちは一体どこが良いのか理解に苦しんでいた。しかし、TikTokが一躍、Z世代文化の中心に出てくると、米国政府による監視の対象になり始めた。2019年2月、連邦取引委員会は、子どものプライバシー保護法に違反したとしてTikTokに570万ドル(約6億円)の罰金を科した

その数か月後、米国政府は国の安全保障に関わる問題としてTikTokの調査を開始したと見られている。これが、その後8月に発表された同社に対する大統領命令、バイトダンスと「信頼できるテクノロジーパートナー」であるOracle(オラクル)との不可解な新合意をはじめとする一連の出来事へとつながっていった。

2017年のサイバーセキュリティ法の影響

TikTokが安全保障上の脅威とみなされている国は米国だけではない。インド政府は今年6月、「国家の防衛と安全保障」を脅かすとして、59の中国製モバイルアプリを使用禁止としたが、その中にTikTokも含まれていた。フランスのデータセキュリティ監視機関CNILも、ユーザーデータの処理方法に関してTikTokを調査している

TikTokのデータ収集方法は、ターゲット広告からの収益に依存している他のソーシャルメディアアプリとほぼ同じだと考えているサイバーセキュリティ専門家もいるが、問題の核心は2017年に施行された中国のサイバーセキュリティ法にある。同法では、企業が中国国内で保存したデータについては、中国政府の要求に従う必要があると規定されている。バイトダンスは、米国ユーザーのデータは米国とシンガポールで保存されたものであるとし、中国政府による米国ユーザーのデータへのアクセスを拒否する、と繰り返し主張してきた。

2019年10月に出した声明の中でTikTokは次のように述べている。「当社のデータセンターはすべての中国国外に存在しているため、当社のデータはすべて中国の法律の対象外である。さらに、当社は、堅牢なサイバーセキュリティポリシー、データプライバシー、セキュリティ対策に特化した専任の技術チームも設置している」

同社はまた、同じ声明の中で、香港の抗議デモウイグル人などのイスラム教徒グループに対する中国政府の弾圧に関する動画を含むコンテンツの検閲についても懸念を表明し、「中国政府からコンテンツ削除の要請を受けたことはないし、受けたとしても応じるつもりはまったくない」と断言した。

米国におけるWeChatとTikTokの不確かな未来

しかし、バイトダンスは中国の企業であるため、最終的には中国の法律の規制を受ける。今週始め、バイトダンスは、オラクルとウォルマートにTikTokの全株式の20%を売却した後、残りの80%を保有すると発表した。その後、オラクルの執行副社長Ken Glueck(ケン・グリュック)氏は、オラクルとウォルマートは、TikTok Globalという新しく創設される会社に対して投資すると発表し、さらに、バイトダンスはTikTok Globalに対する所有権をまったく持たない、と付け加えた。

この発言は新たな疑問を生むだけで、最も知りたいことに答えていない。この米国版TikTokはバイトダンスとどのような関係になるのだろうか、また、今後も、大きな懸念事項である中国のサイバーセキュリティ規制の対象になるのだろうか。

バイトダンスがオラクルとウォルマートとの交渉を発表したのと同じ頃、米国の地方裁判所裁判官は、U.S. WeChat Users Alliance(米国WeChatユーザー同盟、米国ユーザーのWeChatへのアクセス保護を求める弁護士グループによって創設された非営利団体)米国政府を相手取って起こした訴訟の一環として、WeChatの全国規模での使用禁止を一時的に延期する決定を下した。Laurel Beeler(ローレル・ビーラー)裁判官は自身の見解として次のように書いている。「政府は、中国の活動は米国の安全保障に対する重大な懸念を提起するものであると明言しているが、すべての米国ユーザーに対してWeChatの使用を事実上禁止することでそうした懸念が軽減されるという証拠はほとんどない」。

同じサイトで、米国WeChatユーザー同盟は、8月6日のWeChatに対する大統領命令は、「米国憲法および行政手続法の多くの条項に違反している」と確信している、と述べている。同ユーザー同盟は、WeChatの使用禁止は、WeChatを使用して家族、友人、仕事仲間とコミュニケーションを図っている「米国の数百万人のユーザーの生活と仕事に重大な支障をきたすものだ」と主張している。

WeChatは厳重に検閲されているものの、ユーザーは、中国政府が神経質になっているトピックに対する検閲をうまく回避する方法を見つけていることが多い。例えば、ユーザーたちは、絵文字やPDF、およびKlingonなどの架空の言語を使って、Ai Fen(アイ・フェン)氏のインタビューを共有している。アイ氏は武漢市中心病院救急科主任の医師で、中国政府が新型コロナウイルスに関する情報を隠ぺいしようとした最中にあって同ウイルスについて警鐘を鳴らし続けた最初の人物の一人だ。

広がる格差

TikTokとWeChatに対する米国政府の措置の背景には、緊迫の度を増す政治情勢がある。Huawei(ファーウェイ)とZTEは2012年、超党派の下院委員会の報告で、米国安全保障の潜在的脅威として最初に名指しで指摘されたが、世界最大の通信機器サプライヤであるファーウェイに対する法的措置は、トランプ政権のもとでエスカレートしていった。具体的には、司法省によるファーウェイの刑事告発や最高財務責任者Meng Wanzhou(モウ・バンシュウ)氏の逮捕および起訴などだ。

米国政府の措置は、国の安全保障という名目で行われたものの、その影響を受けるのは、中国政府や中国の大企業だけではない。中国人留学生の入国ビザ規制が非常に厳しくなるなど、個人にも大きな影響が及ぶ。

同時に、習近平体制の下で万里のファイアウォールによる制限が強化されており、中国のサイバーセキュリティ法がますます強権的になり、市民データに対する当局のより広範なアクセスを許可するようになっている。また、ウイグル人やその他の少数民族の監視に、より洗練された監視テクノロジーが使われるようになり、2017年に強化が始まったVPNサービスの取り締まりにより、中国在住の人たちが万里のファイアウオールを回避するのはますます困難になっている。

そうした社会問題と比較すれば、ビデオ共有アプリの将来など比較的小さな問題と思えるかもしれない。しかし、この問題が、過去10年間の米中関係で最も不安な展開を見せていることは間違いない。

2016年のワシントン・ポスト紙の「中国はイノベーションを起こせないと信じたい米国を愕然とさせるテック業界の真実」と題する記事は、この展開を予見していたかのようだ。この記事で執筆者のEmily Rauhala(エミリー・ラウハラ)氏は「中国のテック業界は中国というパラレルワールドで繁栄している」と書いている。TikTokが米国の文化に与えた大きな影響は、2つのパラレルワールドが結合すると何が起こるのかをうかがわせるものとなった。しかし、地政学的な緊張という背景の中、今回のTikTokとWeChatをめぐる騒ぎによって別のことが明らかになった。それは、ニ大大国の市民によるアイデアと情報の相互交換は、彼らが制御できない状況の中でますます制限されるようになっているという事実だ。

関連記事:トランプ政権のTikTok禁止令が予想どおり遅れる

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:中国 WeChat TikTok

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(翻訳:Dragonfly)

WeWorkが中国事業の過半数株を中国企業に売却、大規模なローカリゼーション改革に着手か

中国市場への進出から4年後、急速な現金流出の多い拡大を続けてきたWeWorkは、中国への関与を清算することを決定した。WeWorkの中国部門は、2018年のシリーズBラウンドで最初にWeWork Chinaを支援した、上海に拠点を置くTrustbridge Partners(トラストブリッジ・パートナーズ)が主導する2億ドル(約210億円)の投資を確保したことを、WeWork米本社が発表した。リリースでは強調されていなかったのは、最新の資金調達が事実上、Trustbridge Partnersを支配株主にし、WeWorkを中国事業体の少数株主に残すということだ。

この投資は、多国籍企業の子会社から中国企業へ、世界的に認知されたブランドを持つWeWorkの中国事業の移行を実現する、いわばフランチャイズのようなものだ。

TechCrunchの声明で広報担当者は「WeWork Chinaは、WeWorkのグローバル本社との緊密な協力関係を継続し、「WeWorkブランドの一貫性とグローバルメンバーと従業員の満足度を確保する」と述べている。しかし、ほかの変化は進行中だ。売却の一環としてレイオフが実施されており、「多くのことが不確実なままだ」とこの件に詳しい人物は語る。WeWork Chinaはこの件についてコメントを辞退した。

WeWorkは、コワーキングブームの高さに乗って中国に到着した。そのブランド、サービス、シックなデザインは、長い間、資金力のあるスタートアップや開放的な大企業を魅了してきた。2016年以降、中国の12都市に100カ所以上のWeWorkスペースが誕生し、その中には地元のライバルであるNaked Hubから買収した数十のスペースも含まれている。現在、中国国内には6万5000人のメンバーがいるという。また、中国では長期リースにコミットしたくない顧客のためのオンデマンドサービスなど、さまざまな取り組みを開始しており、これはより多くの収益を生むに貢献する可能性がある。

グローバルではWeWorkは38カ国、843カ所オフィスで61万2000人のメンバーにサービスを提供している。中国はその拠点の約8分の1を占めているが、2018年の6分の1のシェアからは減少している。WeWork Chinaは、民間および政府補助の両方の安価な自家製の代替品と競合しているだけでなく、新型コロナウイルス時代の経済の弱体化と、不確実な米中関係にも対処している。現金を消費する市場で経営権を手放すことは、国内ですでに直面している問題を考えれば理にかなっていると思われる。

計画された新規株式公開の前にWeWorkは「貿易政策の不確実性が事業に悪影響を及ぼす可能性がある」と述べた。また「低価格市場である中国が利益率の足かせになっている」と強調した。

今回の投資を受けてTrustbridge Partnersは「WeWork Chinaの意思決定と管理、製品とビジネス、オペレーションと生産性に至るまで」の大規模なローカリゼーション改革に着手する」とWeWork Chinaの担当者は語った。新オーナーはその過程で、地域社会、不動産会社、中国企業とのパートナーシップを模索していくという。

WeWork Chinaは売却の結果、新たな上司を得る。Trustbridge Partnersのオペレーティング・パートナーであるMichael Jiang(マイケル・ジャン)氏が、最高経営責任者代理を務めることになる。同氏は以前、中国のフードデリバリーとオンデマンドサービスの大手である美団点評(Meituan)で上級副社長を務めていた人物だ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国は米国企業へのTikTok買収を認めず、合意に達しない状況を「ゆすり」と呼ぶ

9月20日とされていたTikTokの売却の期限はとっくに過ぎているが、関係者はまだ取引条件で合意に達していない。TikTokの親会社であるByteDanceと買い手であるOracleとWalmartは、アプリの将来的な所有権について相反するメッセージを出しており(未訳記事)、投資家とユーザーを混乱させている。一方、TikTokの売却に対する中国政府の不服は、日増しに明らかになっている。

OracleとWalmartが「いじめとゆすり」でTikTokを効果的に買収することを可能にする「汚い」「不公平」な取引を中国が承認する理由がないと、9月23日に中国共産党の公式英字新聞であるChina Dailyに掲載された社説は激しく非難している。

この社説では、2020年に10億ドル(約1050億円)の収益が見込まれているTikTokの成功に対して「明らかにワシントンが不安を感じている」と主張し、米国が「国のセキュリティを口実にしてこのショートビデオ共有アプリを禁止させたのだ」という。

この公的メッセージに対してByteDanceの受け取り方は複雑だろう。これまで同社は、中国政府と無縁であることを証明しようとしてきた。西側諸国で同社が自由に活動するための前提条件だ。

中国政府はすでに一連の輸出規則を修正して、TikTokの取引を複雑にしてきており、特定のAI技術を外国に売ることを制限している。ByteDanceも中国の国営メディアも、合意に技術移転は含まれない、と述べている。

トランプ政権は、納得できる条件に達しなければTikTokのダウンロードを禁ずるといっているが、現在すでに米国には1億のユーザーがいる。トランプ政権はTencentのWeChatの閉鎖も計画したが、しかしそれはサンフランシスコの地裁がブロックした

市場調査企業のSensor Towerによると、TikTokの米国におけるインストール数は、App StoreとGoogle Playを合わせて1億9800万、米国でのWeChatのインストールは2014年以来2200万近い。TikTokは米国に巨大なユーザーベースがあるが、WeChatを使っているのは主に中国に家族などがいる中国語を話すコミュニティの人びとだ。中国では欧米のチャットアプリが禁じられていることが多いため、WeChatが主流のメッセンジャーだ。

アプリ禁止の締め切りである9月20日の直前に中国の商務省は、TikTokとWeChatに対する「いじめをやめよ」と米国に呼びかけた(China Daily記事)。そして、止めなければ「中国企業の正統な権利と利益を保護するために対抗措置をとる」と通告している。

対抗策といえば、2019年に米国が通信機器大手のHuawei(ファーウェイ)に対する一連の不利益な措置を発表したとき中国は、「市場のルールに従わず」しかも「中国企業の正統な権利と利益を一血ル敷く損なう」外国企業と個人を対象とした「信頼できない企業リスト」を公表する(未訳記事)と明言したが、そのリストはまだ明らかになっていない(Reuters記事)。

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タグ:TikTok ByteDance WeChat ドナルド・トランプ 中国

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

中国の電気自動車メーカーWM Motorが1500億円超を調達、230万円台で3万台のEVを納車済み

中国の電気自動車のスタートアップであるWM Motor(WMモーター)は、ライバルであるTesla(テスラ)などによって競争が激化している中、超大型の資金調達を発表(WM Motorリリース)した。5年前に設立された同社は9月22日に、シリーズDラウンドで100億元(1540億円)を集めたのだ。調達した資金は、研究開発、ブランディング、マーケティング、販売チャネルの拡大に投下されるという。

Baidu(百度、バイドゥ)とTencent(テンセント)に支えられているWM Motorは、ニューヨークで公開されたNIO(ニオ)、Xpeng(シャオペン)、Li Auto(リ・オート)と並んで、中国で最も資金を集めたEVスタートアップの1つだ。今回の資本増強によりWM Motorは、新規株式公開に向けて準備を進めている可能性がある。Bloombergが7月に伝えたところによると、早ければ今年中にも中国版NASDAQともいえる科創板(STAR)マーケットへの上場を検討(Bloomberg記事)しているという。

資金調達のニュースの数日前、WM Motorは主要なパートナーとサプライヤーを発表(Weibo投稿)した。Qualcomm(クアルコム)のSnapdragonのコックピットチップ(Qualcommサイト)は、新興企業の車内体験の原動力となり、バイドゥのApollo自動運転システム(Apolloサイト)は、WM Motor車にセルフパーキング機能を提供する。Unisplendourは中国の清華大学を拠点としており、自動運転のハードウェア面を担当する。さらに集積回路メーカーのSino IC LeasingがWM Motorの「自動車接続」に取り組むことになる。

この新世代のEVメーカーは、モノづくりの経験が乏しいため外部との提携を模索するケースが多い。のライバルであるシャオペンも同様に、BlackBerry(ブラックベリー)、Desay EV(デザイEV)、NVIDIA(エヌビディア)と提携してスマートEVを提供している。

WM Motorは、中国のVolvo(ボルボ)、FIAT(フィアット)、吉利汽車(ジーリー)で役員を務めた経験を持つ自動車業界のベテラン、Freeman Shen(フリーマン・シェン)氏が創業したスタートアップだ。

同社は最近、今後3~5年の間に200億元(約3080億円)と3000人のエンジニアを、5Gを搭載したスマートコックピット、レベル4自動運転、その他の未来的な自動車技術に割り当てるという野心的な計画を発表(WM Motorリリース)した。Crunchbaseのデータと最新の資金調達額によると、これはこのスタートアップの総調達額のうちのかなりの部分を占めており、およそ30億ドル(約3140億円)以上と推定されている。

中国の地方政府は、半導体や電気自動車などの戦略産業に参入する企業を支援することが多い。例えば、WM Motorの最新の資金ラウンドは国有投資プラットフォームと国有自動車メーカーの上海汽車集団(SAIC Motor)が主導しており、どちらもスタートアップの本社がある上海に拠点を置いている。上海にはテスラのリチウムイオン電池の生産工場であるGigafactoty(ギガファクトリー)もあり(未訳記事)あり、米国の巨大企業が中国製の自動車を製造している場所でもある。

WM Motorは7月に、3万台目のSUV車EX5を納入(WM Motorリリース)したという。これには補助金が付くため価格は約2万2000ドル(約230万円)(WM Motorサイト)、車内にはビデオストリーミングや空気浄化などの機能が備わっており、同社によると顧客の70%近くを幼い子どもを持つ親が占めている(WM Motorリリース)という。

画像クレジット:WM Motor

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(翻訳:TechCrunch Japan)