レシピ動画サイトのdelyがソフトバンクなどから33.5億円の大型調達、新規事業やM&Aも視野に

この2年ほどで大きく市場を拡大させたレシピ動画サービスだが、その競争はさらに激化しているようだ。2017年末には「DELISH KITCHEN」を運営するエブリーが20億円超の資金調達を発表して業界を騒がせたが、今日1月22日には「kurashiru(クラシル)」を運営するdelyがその金額を上回る33億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。今後は調達した資金をもとに、人材やマーケティングを強化。さらに新事業やM&Aなども視野に入れているという。

今回の資金調達はソフトバンク、YJキャピタルの運用するファンドであるYJ2号投資事業組合、アカツキ、ユナイテッドなどを引受先とした第三者割当増資。なおYJキャピタルやユナイテッドはdelyの既存投資家だ。今回の調達により、同社は累計約70億円を調達したことになる。

dely代表取締役の堀江裕介氏

delyは2014年の創業。もともとはデリバリーサービスを展開していたが、約半年でピボット。その後はキュレーションメディア事業を展開。その中で反響のあった「動画」を軸にして、現在のクラシルを作った。

クラシルは当初、FacebookやInstagramなどのプラットフォームに動画を掲載する「分散型」の動画コンテンツを配信していたが、その後スマホアプリを展開。2017年8月には、レシピ動画数が世界一になった(ナイルの「Appliv」調べ。料理レシピ動画掲載アプリ内のレシピ動画数)と発表した。同年12月時点でのアプリダウンロード数は1000万件を超えた。

「マーケティングコストをかけたこともあるが、テレビ(でのプロダクト紹介)での露出も多いので、マスへ展開できつつある。本来オンラインマーケティングとテレビCMだけでは時間がかかるところが、うまくいっている。僕自身もテレビに何回か出演しているが、そこまでになるとテレビCMを見てもダウンロードしてくれないような属性……例えばガラケー(フィーチャーフォン)からスマートフォンに変えたばかり、というような人にもリーチできるようになってきた」(dely代表取締役の堀江裕介氏)

そう語る一方で、「料理のサイトでは、お金がかかるのは分かっていた。50億円なり、100億円なり必要だと思っていた。スピードが速い戦いではあるが、想定どおりだ」(堀江氏)と周辺環境も踏まえて説明する。

クラシルでは現在、タイアップ広告のほか、アドネットワークと月額480円の課金サービスを展開してマネタイズを進めている。

「課金は積み重ねるモデルなので、直近は広告(アドネットワーク)が中心になる。またタイアップも順調。(クライアントとして)想定していた上位50社に関してはほとんどタイアップをやらせてもらった。メーカーの広告予算は『テレビCM+ネット広告』で毎年すでに用意されているので、(その年度の)途中から入るのは難しかった。だが、一度やってくれた企業は翌年の予算を用意してくれている」

「(クックパッドなどの競合と)コンペでバチバチに当たるかというとそうでもない。オンラインに対する予算は全体的に増えており、かつ分散している。彼ら(クライアント)にとって『次のヘビーユーザー』となる40歳以下の層は、テレビを観なくなってきている。そこに当てるのはモバイル動画。テレビが観られないようになってから、その層にアプローチするのでは遅い。そういう流れができている」(堀江氏)

業績については開示していないが、狙えば今年度の単月黒字化も見えている状況だという。「とは言えまだまだ成長フェーズ。(黒字化するより)広告費用にどんどんつぎ込む」(堀江氏)

また冒頭に触れたとおり、今後は新規事業の展開に加えて、スタートアップのM&Aや投資も検討しているという。

「料理のメディアだけに閉じたマーケットは(規模が)見えているので、会社としては事業を複数作ろうとしている。今で言えば仮想通貨回りだとか、いろいろなものがある。僕は『モバイル動画』の波(トレンド)にはギリギリ乗れたが、それまで大きな波はなかった。今の会社を経験しつつも、新しいことを探し続けるのは役目では無いのか。どこまでいっても『大きいこと』を言ってしまうので、いつも自分との戦い。でもそれを達成しつつあって、やっと“ほら吹き”から“マトモ”になってきた」(堀江氏)

現在は新規事業に向けた人材も採用中だ。海外で活躍するエンジニアなども新規事業に向けて採用を薦めているという。「情報を僕自身が取って、インタビューして、発信して、仲間を集めるフェーズだと思っている」(堀江氏)

Appleがハウツー動画用に新たなYouTubeチャンネルをローンチ

Appleがソーシャルメディア上のプレゼンスをさらに拡大しようとしている。同社は新たなYouTubeチャンネルをローンチし、iPhoneやiPadといったAppleデバイスの操作方法に関する動画の配信をスタートさせた。現在投稿されている動画は、スクリーンショットの撮り方やメールにファイルを添付する方法、写真の削除の仕方、壁紙の変え方など、よくあるシンプルな操作に関するもの。

ほとんどの動画は1.5分ほどで、1番長いものでも2分程度と構成はかなりコンパクト。アクセシビリティを考慮し、各動画には英語字幕がついているほか、全ての動画で左側に説明文、右側にデバイスの様子が表示されるようになっている。

この新しいチャンネルを発見した9to5Macによれば、Appleは以前にもメインのYouTubeチャンネルに「ハウツー動画」を投稿していたとのこと。

まだAppleは今後のチャンネル運営に関する情報を発表していないが、もしかしたら今後はiOSデバイス以外の動画も投稿されるようになるかもしれない。また、現在視聴できる10本の動画は全て同じタイミングで投稿されているため、動画の投稿頻度もわかっていない。

既に1万5000人以上が新チャンネルに登録しており、各動画の再生回数は最低でも1000回を超えている。今のところ1番人気の動画は『how to take a screenshot(スクリーンショットの撮り方)』で、再生回数は1万7000回にのぼる。

ちなみに今回明らかになったYouTubeアカウント以外にも、Appleはさまざまなソーシャルメディアのオフィシャルアカウントを持っている。

メインのYouTubeチャンネルに加え、TwitterにはAppleApple EducationApp StoreApple Supportの個別アカウントがあり、Facebookページ複数Tumblrアカウント、さらにはInstagramアカウントも複数存在する(最近追加されたInstagramアカウントには、iPhoneで撮影された写真が投稿されている)。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

「今までにないカルチャーの届け方を発明したい」インスタストーリーメディア「lute」が8000万円を調達

「インスタ映え」が2017年の流行語大賞候補になるほど、日本国内でも知名度が高まり多くのユーザーを抱えるInstagram。中でも24時間で投稿が消えるStories(ストーリー機能)は若い世代を中心によく活用されている。

そんなInstagram Storiesを使って様々な短尺動画コンテンツを配信しているのが、カルチャー系メディア「lute」だ。同サービスを提供するluteは11月17日、gumi ventures、Candee、allfuzおよび個人投資家から総額8000万円を調達したことを明らかにした。

luteは分散型の動画メディアとして2016年にβ版をリリース。ライフハッカー編集部を経てエイベックス・デジタルに入社した五十嵐弘彦氏が、社内の新規事業として立ち上げたのが始まりだ。もともとはアーティストのMVやライブ映像、ドキュメンタリーといった動画をYouTubeを中心に展開していた。

そこから主戦場をInstagramに移し、2017年8月にInstagram Storiesメディアとして正式にスタート。同時期に独立する形でluteを設立、五十嵐氏が代表取締役社長に就任している。

「デジタルネイティブ世代は、MacBookなどPCを持ってない人も多くiPhoneで動画コンテンツを視聴する。そのような世代で特にカルチャー系の情報に関心が高いユーザーが集まっているのがInstagram Storiesだと考えた」(五十嵐氏)

luteで配信されるコンテンツには、アーティストが影響を受けた映画やMVなどの作品をバイオグラフィーと重ねながらプレゼン形式で紹介する「マイベスト」や、長尺のインタビューの中から印象的な一言をピックアップした短尺動画を「インタビュー」などがある。

「情報過多の社会においては、若い人達が1つのコンテンツに対して使ってくれる時間も限られる。luteのミッションは素晴らしいカルチャーのエッセンスを短時間に凝縮して届けること」(五十嵐氏)

動画自体は短尺ですぐに視聴できるものだが、スワイプアップ機能を使って商品ページや長尺の本編インタビューへ誘引するなど、Storiesの特徴を踏まえてコンテンツの見せ方を工夫している点は興味深い。先日Instagramでハッシュタグをフォローできる機能についても紹介したが、配信先のプラットフォーム自体が日々進化している。五十嵐氏の話では、新しい機能も活用しながら今後より楽しいコンテンツを作っていきたいということだ。

「人気を集めるコンテンツは動画というよりも雑誌の感覚に近いものが多いなど、3ヶ月取り組んできた中でわかったことも多い。Storiesはシンプルな設計だが、その中でユーザーと連動して楽しめるようなコンテンツや今までにないカルチャーの届け方を発明したい」(五十嵐氏)

また現在luteではカルチャーメディアに加えて、マネージメント事業や受託事業も手がけている。「エンタメ業界はビジネスモデルの転換期を迎えている。(複数事業を連携させながら)アーティストなどが稼げるビジネスモデルを作っていく」(五十嵐氏)

Instagram「ストーリー」、WhatsApp「ステータス」3億DAUを突破――Snapchatの約2倍

Snapchatのコピーとも言えるInstagramとWhatsAppの機能が引き続き人気を博している。11月1日(現地時間)に行われた四半期決算説明会にて、Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグはInstagramの「ストーリー」と、WhatsAppの「ステータス」のデイリーアクティブユーザー数(DAU)が3億人に達したと発表した。ちなみに、ストーリーは今年の6月ステータスは7月に、2億5000万DAUを突破している。これで両機能のDAUは、本家Snapchat(DAU:1億7300万人)の倍近くまで伸びたことになる。また、ロシアの大統領選干渉疑惑をものともせず、Facebookの第3四半期売上は好調で、株価は新高値を更新した。

InstagramやFacebookのストーリー機能、さらには「Messenger Day」を含め、Facebookのプロダクトのほとんどが今やARフィルターを備えているため、もはや機能面でSnapchatとの差はほぼない。つまり、今後は単なるSnapchatのコピーを超えた機能が生まれる可能性があるということだ。とは言っても、まずはパーソナルアバターの「Bitmoji」位置情報を共有できる「Snap Map」を真似た機能が登場することになるだろう。そんな中、先日Instagramが「Superzoom」機能をローンチし、ユーザーはズーム機能を利用してドラマチックな動画が撮影できるようになったほか、「Stop Motion」機能のテストも進められている。

Instagramのストーリー機能

Facebookは単純なアプリの利用時間から「有意義な時間の過ごし方」へとフォーカスを移そうとしているため、動画コミュニティを育むことには大きな意義がある、とザッカーバーグは四半期決算説明会で語った。「ソーシャルメディア上で友人や家族と交流すると、有意義な時間を過ごしたと感じやすく、満足感に繋がる可能性があるという研究結果がある。しかし受動的にコンテンツを消費しているだけのときは、そうとは言えないだろう」

WhatsAppのステータス機能

InstagramのストーリーやWhatsAppのステータスは、実質的にはP2Pの動画共有機能で、主に仲の良い友人同士が近況をチェックするのに使われているため、プロが作ったコンテンツでは実現できない方法で、コミュニティの感覚を高められるのだ。しかもユーザーはかなりしっかりと動画を視聴していることがわかっており、各動画の合間に広告を挿入し始めたFacebookにとっては、ストーリーやステータスの人気が追い風になるだろう。

今では、Instagramアプリ全体のDAUにあたる5億人のユーザーのうち、半数以上がストーリー機能を利用しているため、同機能はInstagramの未来を担う存在になりつつあると言えるだろう。その証拠に、Instagramはフィード画面の中央にストーリーのプレビュータイルを設置し、動画の視聴を促そうとしている。中にはこれまで通りインスタ映えする写真を投稿したいと思う人もいるだろうし、画面をスクロールするうちにそんな写真をすっ飛ばしてしまう人もいるかもしれないが、Facebookはストーリー機能を使ってユーザーのクリエイティビティを刺激し、コンテンツの消費量を増やそうとしているのだ。「消える動画」を最初に考案したのはSnapchatだったが、この新しいソーシャルメディアを最終形まで進化させるのはInstagramかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

スキマ時間の視聴ねらう短尺・プロ制作の動画アプリ「30」、テレビ局やエイベックスが出資

AbemaTVYouTubeのように比較的長尺でテレビ同様の「番組」の体裁で届けられるものから、InstagramのStoriesやMixChannelのように短尺でコミュニケーション用途のもの、さらにはSHOWROOMLINE LIVEのようなライブ配信サービスまで、動画コンテンツの幅は広くなっている。そんな中で、「短尺・プロ制作」という切り口でこの領域に挑戦するのがFIREBUGだ。同社は9月19日に動画アプリ「30(サーティー)」を公開した。

30は、その名の通り30秒ほどの短尺の動画を配信する動画アプリだ。サービスの利用は無料。ユーザー登録なども必要ない。バラエティ、ニュース、アニメ、マンガ、スポーツ、趣味、美容、ファッション、ヘアアレンジ、癒し系といったカテゴリのコンテンツを縦型の動画で1日5本程度配信(今後は毎月300本単位での動画制作を進める)。お気に入りの動画はブックマークに入れてあとから視聴したり、SNSにシェアしたりできる。配信する動画コンテンツは、FIREBUGや同社のパートナー企業が制作。いずれもテレビ番組やCMの制作実績があるプロだという。

FIREBUGが30で狙うのは、仕事や勉強の合間、スマートフォンを触っているような「スキマ時間」だ。同社の調査によると、スマートフォンユーザーの1日のスキマ時間は1回10分未満、トータルで1時間程度というケースが多いのだという。そうなると、例えば長尺・プロ制作の動画や、コミュニケーションを軸にしたライブストリーミングは視聴に向かない。

「ユーザーは10分20分をムダにしたくない。例えYouTubeを観るにしても、キュレーションされていないので観たくないものも観てしまう。であれば、そこで誰かが『編成』をしてあげればいい。そこ(隙間時間)に面白いものを提供できれば、チケットを買ったり、明日どこかに出かけたり、ということも提案できる」

「世代別に見れば、10代などはもうみんなスマートフォンを持っている。それなのに、(スマホに特化して)エンタメ領域でズシンとしたコンテンツはまだない。スマホ・スキマ時間と考えるとやはり動画(のニーズはある)」(FIREBUG代表取締役の佐藤詳悟氏)

ビジネスモデルは広告。テレビで言うところのタイムCM(番組枠内のCM)とスポットCM(番組枠と関係ない枠でのCM)を展開する予定。将来的には位置情報と連動した動画広告なども展開する計画があるという。

テレビ番組や雑誌といった既存メディア、配給会社、芸能事務所などとの連携も進めていく。また、ユーザー投稿の動画を編集して番組を制作するような企画も進めるとしている。「面白いものを作ってテレビ局や配給会社と組んで、マスなものを作っていく。(ユーザー投稿に関しては)YouTubeだと埋もれてしまう動画であっても、キュレーションして、編集して出していきたい。再生数を元に投稿者に還元できる仕組みも作っていく」(佐藤氏)

FIREBUGは2016年2月の設立。7月にはRKB毎日放送およびエイベックス・ベンチャーズ、個人投資家などから資金調達を行っている(金額は非公開だが、関係者によると数億円程度)。代表の佐藤氏は吉本興業でマネージャー業を経験した後、2015年1月にクリエーターのエージェント会社であるQREATOR AGENTを立ち上げた(同社は現在FIREBUG子会社となっている)。FIREBUGではこれまでテレビ番組やウェブ動画、イベントなどの企画やプロデュース、PRなどを手がけている。

FIREBUG代表取締役の佐藤詳悟氏 (C)ozone kazuki

次期Chromeは耳障りなビデオ自動再生を無音化へ――Googleが機能とポリシーを変更

ウェブを見ていて非常に不愉快なことの一つは―広告を別にすれば―開いたページが勝手に大音量でビデオの再生を始めることだろう。これはユーザーを驚かせ、苛立たせるだけでなく、データ転送量も食ってしまう。特にモバイルの場合は痛い。Googleはこの問題に対処する計画だ。近く公開される次期のChrome(Chrome 64)ではGoogleは自動再生に制限を加える。

公式ブログによれば、自動再生が許可されるのは無音(ミュートされているか音声トラックなしの場合)、あるいはユーザーがそのページに興味を示していると判断された場合に限られる。後者の場合、ユーザーの興味はいくつかの基準によって判定される。たとえば、デスクトップからユーザーがそのサイトをひんぱんに訪問してビデオを再生していた場合、表示されたページをクリックないしタップした場合、またモバイルデバイスのホームスクリーンにサイトを追加した場合などだ。

ただしその一方で、 Googleはモバイルでのビデオの自動再生に対するユーザー保護手段の一部を無効化する。Chrome for Androidの場合、「自動再生を無効にする」オプションは廃止される。また現在、モバイルでChromeのデータセーバー・モードを有効にすると、自動的に自動再生がブロックされるが、次期Chromeではこれも廃止される。

Googleによれば、こうした変更で「自動再生ブロックの信頼性が増す」という。しかし実際にはそうでない場合もありそうだ。ユーザーがすでに何らかの方法で自動再生をブロックしている場合、今後設定に注意を払わないと自動再生が増えることになるだろう。

ただしGoogleはChrome 64以降でポリシーを変更し、かつ Chrome 63以降で個別サイトの自動再生の音声をを完全に停止するオプションを加えた。ユーザーがあるサイトをひんぱんに訪問するものの、ビデオの自動再生の音声が耳障りだという場合(ニュースメディアや情報サイトなどでそういう場合がありそうだ)、ユーザーはビデオ再生を永続的にミュートすることができる。

この設定はサイトごとに記録され、ブラウザのタブを閉じ、後で再び開いた際にも維持されるという。

10月に公開されるChrome 63の安定版にサイトの音声停止が搭載される。自動再生に関する新しいポリシーが適用されるのは12月のChrome 64ベータからとなる。f Chrome 64の安定版の公開は2018年1月が予定されている。

Googleが対処を準備しているのは自動再生だけではない。Chromeネーティブの広告ブロック機能も開発中だという。これはAndroidデベロッパー・キットにもこの夏追加された。

このブロッカーの広告選択基準はCoalition for Better Adsが制定する業界標準にもとづいている。これによれば画面の大部分を覆うように表示され、コンテンツを読むためにカウントダウンが終わるのを待たねばならないような広告や繰り返しポップアップするような広告がブロック対象に含まれる。この広告ブロッカーは来年ブラウザに搭載されるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ストリーミング機器のRokuがIPO申請――財務情報から読み解く今後の展開

【編集部注】執筆者のAlex WilhelmはCrunchbase Newsの編集長で、VCに関するTechCrunchのポッドキャストEquityの共同司会者でもある。Crunchbase NewsのTwitterFacebookをフォローして最新情報を入手しよう。

先週金曜日、Rokuは財務情報や事業戦略の詳細が記載されたフォームS-1(上場申請書)を提出した。

同書類によれば、彼らはIPOで1億ドル調達しようとしているようだ。しかしこの数字が仮の値であることは周知の事実で、実際の調達額はそれ以上にも以下にもなり得る。

なお、これまでにRokuは2億ドル以上を調達してきた。

株価指数が過去最高に近い値を記録し、動画がメディア界の中心的存在となり、IPOで良い結果を残すテック株が出る(苦しんでいる企業もいるが)中、10億ドル前後の評価額での上場が噂されているRokuが市場に飛び込もうとしている。

そこで、Rokuのビジネスモデルや収益、そしてそれらの情報をどう解釈すればいいのかについて考えてみたいと思う。

Rokuのビジネスモデル

Rokuはテレビ用ストリーミング端末の販売に加え、ストリーミングサービスを手がける企業と手を組み、彼らのコンテンツを消費者のもとに届けるサービスを提供している。さらに広告ビジネスもRokuの収益源のひとつだ。ストリーミング端末以外の売上のことを、同社は「プラットフォーム収益(plartform revenue)」と呼んでいる。

フォームS-1の中には、それぞれの収益源が以下のように説明されている。

プレイヤー収益(player revenue)はストリーミング端末の販売によるもので、プラットフォーム収益(platform revenue)は広告収益と動画サービス各社とのレベニューシェアから構成されている。プラットフォーム収益は、ユーザーがRokuのプラットフォーム上でコンテンツを消費することで発生する。今後もストリーミングプラットフォームの収益化を推し進め、プラットフォーム収益の拡大を目指す。

Rokuの売上全体に占めるプラットフォーム収益の割合は年々増えてきている。具体的な売上構成比の推移については以下のグラフ(Jackdaw ResearchJan Dawson作成)を確認してほしい。

後述の通り、プレイヤー事業とプラットフォーム事業の利益率には大きな差があるため、売上高構成比の変化は重要なポイントだ。

プラットフォーム収益の割合増加は、最近Rokuがハードウェアの直接販売よりも(Rokuのソフトを搭載したテレビを製造する)ハードウェア企業とのパートナーシップを通じてユーザー数を伸ばしていることと関係しているようだ。つまり、Rokuは利益率の悪いハードウェア販売に力を入れずとも、新たなアクティブユーザーを獲得できるということだ。

ここまでの情報をまとめると、Rokuはストリーミング端末を販売してプレイヤー収益をあげ、Roku搭載テレビを普及させるためにテレビメーカーとパートナーシップを結び、広告とストリーミング企業とのレベニューシェアからプラットフォーム収益をあげている。

かなりわかりやすい構造だ。それでは、事業の規模はどのくらいなのか?

Rokuの収益損失額について

本題に入る前に、まずは全体の数字を確認してみよう。

フォームS-1からとった下の表には、2015・2016会計年度の業績、2016年前期(暦年)と比較した2017年前期の結果が記載されている。なお各数字の単位は1000ドルのため、「119,116ドル」は実際には「119,116,000ドル」であることをお忘れなく。

これまでのところ、2017年は売上額が増え純損失額が減少しつつある。2016年は2015年に比べて売上が増加したものの、損失額もわずかに増えてしまった。

2017年前期の売上額は前年比で23%伸びている。これには先述の収益源の変化が一部関係しているため、23%という数字は額面よりも大きな意味を持っている。

売上構成比の変化

売上構成比が変化したため、収益の移り変わりの確認には少し工夫が必要だ。まずプレイヤー収益の四半期別推移は下降傾向にあり、例えば2017年第2四半期の売上は第1四半期よりも少ない。さらに2017年第2四半期のプレイヤー収益は前年比でも下がっている。

つまり同社のハードウェア事業は全体として下降傾向にあると言える。その一方で、プラットフォーム収益は継続的に増えており、四半期ごと(暦年)の推移は以下の通りだ。

グラフが示す通り、2016年第4四半期から2017年第1四半期の微減を除けば、Rokuのプラットフォーム収益は順調に増加している。そもそも広告を販売している企業の収益の一部は、休暇が集中する第4四半期が終了した後に減少する傾向にある。それを考慮すると、Rokuの売上減少幅はむしろ小さく、2017年第2四半期には減少分を既にカバーできている。

投資家がこれをどう見るかはIPOの結果を待つしかないが、同社のプラットフォーム収益が前年比で約100%増という劇的な伸びを見せていることには変わりない。

全体を見てみると、2017年第2四半期の売上は9962万ドルで、第1四半期の1億9万ドル、2016年第4四半期の1億4734万ドルを下回っている。このように前四半期との比較では売上が減少傾向にあるものの、前年同期比だと直近の4四半期の売上額は全て増加している。

もしも投資家がプラットフォーム収益の伸びをもとにRokuの未来を信じられれば、前四半期と比べての売上減というのはそこまで問題にならないかもしれない。

それでは、なぜ投資家がプレイヤー収益よりもプラットフォーム収益を重視する可能性があるかというと、Rokuの利益の大部分がプラットフォーム事業によるものだからだ。Jackdaw ResearchのJan Dawsonが作成した別のグラフを見てみると、どれだけプラットフォーム事業の利益率が高いかがよくわかる。

これはかなりの差だ。ではここから何が言えるだろうか?

Rokuの財務情報を読み解く

Rokuはハードウェア事業からの脱却を図ろうとしている可能性が高い。利益率の低さを考えると、少なくともハードウェア事業を引き続きメインの収益源とするつもりはないだろう。これは自社でコンテンツを制作していないOTT(オーバー・ザ・トップ:ネットを通じたコンテンツ配信サービス)企業の目指す姿としては納得がいく。

熾烈な競争が続くコンテンツビジネスの状況を考えると、このような方向転換の可能性もゼロではなかった。Facebokがオリジナル動画に力を入れ始め、コンテンツに大金をつぎ込むNetflixAmazonが対抗し、Appleも攻勢を強め、Microsoftは一旦手をつけた動画事業を取りやめた

もしかしたら、競争が激しいからこそRokuのビジネスは上手くいっているのかもしれない。彼らは消費者へと繋がる流通チャンネルを持っており、コンテンツ企業はまさにそのチャンネルを求めている。両者の相互作用もあって、RokuのARPU(ユーザー1人あたりの平均売上額)は以下のような動きを見せているのではないだろうか。

ユーザー数を急増させた実績を持つRokuにとってこれは良い兆候だ。利益率の良いビジネスを短期間に成長させるということには大きな価値がある。

しかしRokuの評価額について確かなことは言えない。ある事業の売上は下降傾向にあり、赤字続きながらも大きな可能性を秘めた同社に、どんな評価額がつくのか楽しみだ。

詳細についてはフォームS-1を確認してもらい、何か面白いことに気づいたら連絡してほしい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

LinkedIn、動画投稿機能を一般公開――将来的にはライブ動画、動画広告も導入か

ソーシャルネットワークの世界では動画の重要性がますます高まっている。FacebookやTwitterをはじめとする各サービスが、トラフィックの獲得やエンゲージメント率の向上、さらにはテレビ業界の高額な広告料を狙って動画機能の拡充に努めている。Snapchatにいたっては開発時点から動画をサービスの中心に据えてきた。

Microsoft傘下のLinkedInもようやくその仲間に加わろうとしている。本日(現地時間8月22日)同社は、iOS・Androidアプリ経由で動画をアップロードできる機能を全ユーザーに対して公開すると発表した。

彼らの狙いは、進行中や完了したプロジェクト、製品デモなど、仕事の様子を動画でユーザーに共有させることだ。その様子はSnapchat系以外のソーシャルサイトの動画機能とよく似ている。動画に興味を持っているものの何から手をつければいいかわからないというユーザーに向けて、説明書まで準備されている(Snapchatとは大違いだ)。

実は今回発表された機能は全く新しいものではない。LinkedInは今年に入ってから対象を絞って動画投稿機能をローンチし、その結果は彼らの願い通りだった。動画コンテンツはそれ以外と比較して20倍以上もシェアされやすいということがわかったのだ。それ以前にも、同社は昨年インフルエンサーによるQuora風のQ&Aサービスがローンチしており、厳密な意味で言えばLinkedInは既に動画コンテンツの分野に足を踏み入れていた。

そう考えると、動画投稿機能の一般公開はようやくという感もあるが、5億人のLinkedInユーザーにとっては、流行りに乗り切れないLinkedInというのはそこまで驚くべきことではないのかもしれない。

これまでも同社は、比較的動きが遅いソーシャルサイトとして知られていた。「LinkedIn」と「ようやく(finally)」という言葉を組み合わせてGoogle検索してみれば、TechCrunchだけでなくさまざまなメディアで、同社がモバイル(AndroidiPadへの対応、さらにはモバイル・ウェブ版の統一)やコミュニケーション・シェア機能の拡充新興国への進出といった波に乗り遅れてきた様子が報じられているのがわかる。

なぜ動画機能のローンチにここまで時間がかかったのかという質問に対し、同社の広報担当者は「私たちはユーザーが仕事に関連したコンテンツを制作・シェアする手段の拡充に注力してきた。パブリッシングツール同様、動画機能の導入にあたっては、現状のコンテンツの投稿、共有、発見フローを変えず、さらにユーザーエクスペリエンスを向上するような形になるよう試行錯誤を繰り返した」と語った。

何はともあれ、ようやく動画機能がローンチされたことで、今後同機能がどのようなプロダクトへ進化していくのか、そしてこれまでにローンチされた機能や将来的に開発予定のものとどのようなシナジーを生み出していくのかに関して興味が湧いてくる。

そこでカギになるのがライブ動画だ。

今年LinkedInはFacebok Liveのプロダクトマネージャーを務めていたPeter Roybalを密かにチームに迎え、今後彼が動画ビジネスを率いていく予定だ。Roybalの上司は、LinkedInが去年買収したRun HopというスタートアップのファウンダーPete Daviesで、彼は現在LinkedInのコンテンツ・パブリッシング機能全体を管轄している。ソーシャル界の雄Facebookのライブ動画配信プラットフォームを管理していたRoybalの参画により、LinkedInが今後動画機能をどのような方向に導こうとしているのかある程度予想がつく。

会社のプロフィールページ、教育サービス、採用支援、プロフェッショナルネットワークといった、LinkedInがこれまでに構築してきたサービスとライブ動画の相性の良さは言わずもがなだ。

教育分野に関し、LinkedInはLynda.comを15億ドルで買収した後、LinkedIn Learningと呼ばれるサイトをローンチし、従業員向けの教材を探している企業や個人に向けてオンラインコースを提供している(さらに現在は個別指導機能のテスト中)。

これらの分野では、文字ベースでやりとりできる機能が付いた一対多数配信、そして一対一のビデオチャットの両方が有効活用できる。

特に長年LinkedInの収益の大部分を担ってきた採用ビジネスにおける一対一ビデオチャットの有効性(企業や求人の宣伝、候補者の面接など)は明白だ。

(ちなみに現在Microsoftが運営しているSkypeとLinkedIn間のコラボに関する話は全く聞かないが、Skypeも面接用のプラットフォームを開発中との噂を耳にしたことがある。Microsoftは本件に関するコメントを控えているが、既に企業の面接でSkypeが広く利用されていることを考えるとこの動きには納得がいく)

「ライブ動画やビデオチャットを利用することで、サービスに全く新しい側面が加わるため、将来的な可能性としては興味を持っている」と広報担当者も語っている。

その他に近い将来LinkedInが動画を活用するであろう分野としては、広告や企業動画が挙げられる。

企業動画の配信に関しては「近日中にローンチ予定」と広報担当者は話しており、別の情報筋によれば、企業動画はプロフィールページ以外にも掲載されるようになるとのこと。これに関連し、LinkedInはハッシュタグを使ってコンテンツが検索できるページ(例;#TED2017)を改良中で、今後このページが動画の拡散に使われることになるだろう。

上述の機能やサービスは全て、何のためにLinkedInが動画に力を入れはじめたのかということに繋がってくる。その目的は、ずばり広告だ。

Facebook、Twitter、Snapchat、YouTube、Yahoo/AOL/Oathといった企業が既に気づいた通り、今日のデジタル広告界では動画こそが王様だ。LinkedInも動画コンテンツを充実させることで、動画広告に近づける。

「現時点では動画広告は掲載しておらず、今はエクスペリエンスの向上やユーザーからの情報収集に努めている。しかし動画広告の導入は自然な流れであり、将来的なプランとして検討中。今のところ具体的な計画はないが、さまざまな可能性を模索していきたい」とLinkedInは語った。

多くの可能性が広がっていると同時にゴールが見えづらい動画ビジネスだが、LinkedIn(そしてMicrosoft)の次なる狙いであることは間違いないようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

ディズニー、2019年に独自ストリーミングサービスを開始――Netflixからは引き揚げ

ディズニーの本日(現地時間8/8)の発表は避けられない結果だった。同社は2019年に独自のストリーミングサービスを開始し、同年中にNetflixで配信されている映画を引き揚げると発表したのだ。しかし、ディズニーがストリーミングサービスをローンチするのはこれが初めてではないと気づいた人もいるかもしれない(つまり新サービスはアメリカの消費者にとっては初ということになる)。実は同社はDisneyLifeと名付けられたストリーミングサービスを2015年からイギリスで運営しており一時的ではあったが中国でも過去に同サービスが利用できた。

もともとDisneyLifeは、後の大々的なローンチを見据えたディスニーの実験的なサービスとして考えられていた。

インフラ面だけでなく、どんなコンテンツや機能をユーザーが求めているのか、さらにはペアレンタルコントロールがどのように機能するかといったことをテストするためのプラットフォーム、という位置づけだ。DisneyLifeでは、1世帯(最大6人)あたりの少額の月額利用料を支払うだけで、ディズニー映画やテレビ番組のほか、音楽、オーディオブック、電子書籍などをデスクトップ、モバイル端末、テレビ(AirPlay、Chromecast経由)で楽しむことができる。

つまり同サービスはディズニー版Netflixのようなもので、ディズニーが将来世界中でローンチするであろうストリーミングサービスの姿を暗示するような存在だった。

Financial TimesはDisneyLifeのローンチ当時、同サービスのプラットフォームは将来的に他の目的(マーベルやスター・ウォーズ用など)にも利用できるだろうと考えていた。

しかし、DisneyLifeはこの度ディズニーが実質的に買収したBAMTech(ストリーミングサービスプロバイダー)とは関係していない。本日の発表によれば、ディズニーは同社への15億8000万ドルの出資を決めた(現在承認待ち)とされており、これでディズニーの持株比率は75%に増える。

昨年の10億ドルにのぼる出資の結果、ディズニーは既にBAMTechの少数株主になっていた。さらに当時のディズニーの発表では、翌年(=今年)にはBAMTechの支配権を取得できるようになるとされていたのだ。

2019年にローンチ予定の新サービスは、BAMTechが運営を担当することになっている。さらに同社は、ディズニー傘下のESPNが来年ローンチする、スポーツに特化したストリーミングサービスも手がけるようだ。

その一方で、マーベルやLucasFilm(スターウォーズ)のコンテンツが新サービス上で配信されるかどうかというのはまだハッキリしていない。本日発表された配信予定作品の中には、マーベルやスター・ウォーズの作品は含まれておらず、新サービス発表後に行われた業績発表の中では、これらの作品の扱い(サードパーティーへのライセンス or 新サービスへの統合)について未だ検討中との発言があった。

配信作品について、ディズニーは「ディズニーとピクサーの最新ライブアクション・アニメ映画」と発言するに留まり、具体的な名前が挙がった作品は『トイ・ストーリー4』、『アナと雪の女王』シリーズ、ライブアクション版『ライオンキング』と想定の範囲内だった。

さらに同社は、今後オリジナルコンテンツ(映画、テレビ番組、短編動画)の制作に注力し、新たなコンテンツが続々と追加されることになると語った。また、「限定コンテンツ」(詳しい説明はなかった)も配信予定とのこと。

もう一点気になるのは、ディズニーが本当にDisneyLifeで学んだことを新サービスに反映させるとすれば、テレビ番組のライブ配信も行われるかもしれないということだ。DisneyLifeでは、Disney Channel、Disney XD、Disney Junior Liveの番組をライブ視聴できる。ディズニーはライブ配信については触れなかったが、これらのチャンネルの番組は新サービス上で配信予定だと語った。

新サービスの利用料やローンチ日についてはまだわかっていないが、ディズニーによれば同サービスは世界中に展開される予定で、個々の市場における現状の契約を勘案して順次ローンチするとのことだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

目指すは”動画ストリーミング界のAndroid”――Iflixが1.3億ドル調達

アジアを拠点に、新興市場に向けてNetflixのような動画ストリーミングサービスを提供しているIflixが、この度事業拡大を目的に1億3300万ドルを調達した。

BuzzFeedやVice、Rokuなどの株主でもあるアメリカのメディア・コングロマリットHearstがリードインベスターを務めた今回のラウンドには、シンガポール経済開発庁の投資部門EDBIやDBS銀行(旧シンガポール開発銀行)の取引先らが新規に参加。既存株主のEvolution Mediaやイギリスのテレビ局Sky、マレーシアのCatcha Group、Liberty Global、Jungle Ventures、PLDTも同社への追加出資を決めた。

Iflixは2015年5月にローンチし、当初はアジア数か国で営業していた。現在利用料は月々約3ドルに設定されており、中東・アフリカを中心に市場を拡大した結果、進出先は19か国にまで増加した。また、これまでの累計調達額は約3億ドルにおよぶ。その内訳は今回の1億3300万ドルに加え、ローンチ前の2015年に調達した3000万ドル、昨年Skyから調達した4500万ドル、さらに今年3月に調達した9000万ドルだ。

直近のラウンドでの評価額は5億ドルだったが、今回の評価額は公表されていない(現在TechCrunchにて情報収集中)。

Iflixの1番分かりやすい競合としてはNetflixが挙げられるが、登録者数が1億人を超え、2017年第2四半期だけで520万人もの新規登録者を獲得した同社と肩を並べるような企業はほとんど存在しない。むしろ通信企業SingtelやPCCW Media傘下のVuclipを株主に持ち、東南アジアでサービスを提供するシンガポールのHOOQや、各国で個別にサービスを提供している現地ストリーミング企業の方がIflixの競合と呼ぶにはふさわしいだろう。

Iflixは3月に登録者数が500万人に達したと発表したが、今回の発表内では登録者数には触れなかった。その代わりに同社は「驚異的な成長を遂げ」、ここ1年で登録者数は3倍、ユーザーのエンゲージメント率は2倍に伸びたと語った。さらに売上も前年比で230%増加したとされているが、具体的な数字は公表されていない。

Iflix CEOのMark Brittは、TechCrunchとのインタビューで、Netflixとはターゲット層が異なるため同社との比較はあまり意味をなさないと語った。

「正直に言って、Netflixを競合としては見ていない。私たちはIflixのことを大衆市場に新しいサービスを提供する企業ととらえている」と彼は話す。

NetflixのターゲットはiPhoneなどのハイエンドデバイスを所有し、十分な可処分所得とクレジットカードを持つエリート層なのだとBrittは説明する。さらに彼は、Iflixのターゲット層は逆にローエンドのデバイスで良質とはいえないインターネット環境を使いながらも、モバイル端末でコンテンツを消費したいと考えている人たちなのだと言う。

「Netflixが動画ストリーミング界のiPhoneだとすれば、私たちはAndroidを目指している」とBrittは付け加える。「私たちは上流階級にとっての二番手――つまりNetflixユーザーであればIflixにも登録した方がよいというくらいの存在――になることも全くいとわない。しかし、大衆市場ではコンテンツのほとんどがモバイル端末上で消費されている」

 Iflix会長のPatrick Grove。今年タイのバンコクで行われた販促イベントにて

確かに動画ストリーミング市場の規模は、複数の企業が共存できるくらいの大きさだ。Media Partners Asiaの最近のレポートでは、アジアのオンライン動画市場の規模は2020年までに200億ドルを超えるとされている。ただし、Iflixが現状サービスを提供していない(かつ現地企業が覇権を握っている)中国を除くと、この数字は32億ドルにまで減ってしまう。

そんな状況をものともせず、IflixはNetflix同様オリジナルコンテンツの制作に力を入れている。同社は今年に入ってから、マレーシア発のアンダーグラウンドなコメディー番組の配信をスタートさせ、十数カ国にまで配信先を拡大中だ。また今年の3月には、Nerflixでグローバルテレビジョン担当VPを務めていたSean Careyをチーフ・コンテンツ・オフィサーに迎えた。さらにIflixはインドネアシアのサッカーリーグの放映権獲得と共にライブスポーツの分野にも進出し、Brittは今後各地の配給会社や制作会社から現地コンテンツを買い取り、さらにローカル市場へのフォーカスを強めていくと話す。

「私たちにとって重要なのは、欧米で作られた作品ではなくローカルコンテンツだということがわかった。トップ10に含まれる作品のほとんどは、ある特定の地域や国をターゲットにしたものだ」とBrittは語る。「大量の番組を一気に消費するのには欧米の作品の方が適しているかもしれないが、大衆市場へのリーチという観点では、現地の制作・配給会社が持つコンテンツの方が強い」

独占配信や封切りにフォーカスした作品数の増大にこそ、今回の調達資金が使われる可能性が高い。さらにBrittは新たな市場への進出についてもほのめかしており、既存市場と性質が近い南米には特に興味を持っているという。

「世界的に見て、新興市場にはかなり大きなチャンスが眠っている」と彼は付け加える。「ほとんどの新興市場で、ここ数年のうちにテレビ業界の勢いは停滞するどころか減速し始めている。世界中の新興階級が25歳以下の人たちを中心に構成されていることを考えると、テレビは過去のプロダクトと言っても過言ではないだろう」

「13億人におよぶと言われる(新興市場の)人々に向けられた新しいエクスペリエンスが、今後数年間でどのような形になっていくかについて(制作会社や興行主と)話を進めているプラットフォームはIflixだけだ」とBrittは話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

人気写真加工アプリVSCOが動画にも対応――対象は有料ユーザーのみ

VSCOはフォトグラファーの間ではかなり名の通ったブランドで、デスクトップ版のプリセットに加え、フィルム写真風のフィルターや細かな編集ができるツールの揃ったモバイルアプリも人気を博している。これまでは写真に特化していたVSCOだが、この度iOS向けの新たなツールをローンチし、動画編集の分野にも手を伸ばそうとしている。この新しいツールを使えば、ユーザーはスマートフォンで撮ったさまざまなサイズの動画にフィルターを適用し、編集後の動画をソーシャルメディア上でシェアできるようになる。

VSCO独自の画像処理プラットフォームであるSENSを利用したこのツールは、30fpsの4K動画・60fpsのフルHD(1080p)動画までサポートしており、それ以下であれば動画の解像度や長さに制限はないと同社は語る。

動画編集分野への進出にあたっては、上記のSENSこそが他社アプリとの機能面における差別化のポイントだとされている。VSCOの共同ファウンダーでCEOのJoel Floryは、動画編集ツールのローンチ以前にも、SENSのおかげでiOSの高画質RAWフォーマットや短い動画をアプリ内で扱えるようになったと、6月のFast Companuとのインタビューで語っていた。

しかし、VSCOユーザー全員が新しい動画編集ツールを使えるというわけではない。この機能が使えるのは「VSCO X」と呼ばれる有料プランに加入しているユーザーだけだ。

VSCO Xとは年額19.99ドルで加入できる有料メンバーシップで、加入者は毎月追加される新しいプリセット、ツール、情報コンテンツなどを利用できる。

VSCOによれば、動画編集ツールはAndroidに先駆けて、まずiOSのVSCO Xメンバー向けに公開されるとのこと。

iOSのVSCO Xメンバーは、動画編集ツールに関する情報が記載されているStudio内のバナーをタップすれば、新しいツールを使うことができる。

ツールを開くとカメラロール内の動画が表示されるので、そこから編集したい動画を選択。編集時は、VSCO Xライブラリー内のプリセットに加え、コントラストや彩度といったスタンダードな編集項目も利用可能だ。編集後の動画はカメラロールに保存されるので、ソーシャルサイトで共有したい場合はそこから選択すればOK。

「VSCOのミッションはより良いクリエイターを生み出す手助けをすることです。数あるカテゴリの中でも、動画は現在私たちが情熱を持って取り組んでいる分野です」とFloryは動画編集ツールについて語る。「VSCO Xメンバーに対する動画編集ツールの提供は、無限の可能性を秘めたVSCOの動画編集ツール開発の第一歩だと考えています」

VSCOには若者が中心の活発なコミュニティもある、と同社は話す。月間アクティブユーザーの88%はミレニアル世代とジェネレーションZ(1990年代中頃から2000年代中頃までに生まれた若年層)で構成されており、70%のユーザーが毎日アプリを使ってコンテンツを作っている。またVSCOによれば、アプリ内のMAU(月間アクティブユーザー数)は、昨年はじめに3000万人のマイルストーンに到達したとのこと。

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当時VSCOは、新しい分野への進出の意向を示していた。さらにその後同社は、AdobeでCreative CloudのローンチのビジネスオペレーションやM&A、ビジネスディベロップメントなどを担当していたBryan MasonをCOOに迎えた。

現在VSCOアプリは、App Storeの中でも競争が激しい「写真/ビデオ」カテゴリで15位にランクインしている。ランキング上位には、Instagram、YouTube、Snapcat、Google Photo、Musical.ly、Facebook Moments、Adobe Photoshopなど大手企業の名前が並ぶ。

これまで同社はそこまで動画に力を入れていなかった。写真以外のフォーマットとしては、GIF制作用のDSCOと呼ばれるアプリを以前ローンチしたが、これは今年の2月にVSCOのメインアプリに吸収された。

iOS版のアプリはApp Storeから無料でダウンロードでき、Android版も「数週間のうち」に公開されるとVSCOは話している。しかし、今のところデスクトップ向けの動画編集ツールが公開される予定はない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

ネットの人気動画が一気に見れるアプリ「ViMET」、運営元が総額7000万円を調達

ViMET(ビメット)」はYouTubeとTwitteから収集した人気動画を視聴できるiOSアプリだ。ViMETを運営するEMET Creationは、本日総額7000万円の第三者割当増資を実施した。引受先はEast Ventures、傳田アソシエイツ代表取締役社長の傳田信行氏、SHIFT代表取締役社長の丹下大氏、その他個人投資家が参加している。

ViMETは収集した動画コンテンツを「話題のテレビ」「人気ツイート」「エンタメ」「ニュース」といったチャンネルに分けて配信している。動画は数十秒から数分程度のものが多く、動画は連続で再生される。人気動画の配信に加え、ユーザーの視聴時間やアクションから各ユーザーの好みを学習し、それぞれにおすすめの動画を提供する機能も実装している。

ViMETは2015年8月にサービスを開始し、2017年6月までに50万ダウンロードを突破した。

今回の資金調達では、マーケティングと開発体制の強化、そしてコンテンツの拡充を行う予定とEMET Creationの代表取締役社長を務める柳本創氏は説明する。

オリジナルコンテンツの制作に加え、今後出版社やテレビ局といった企業と提携し、企業の持つコンテンツとインターネットユーザーを最適な形でつなぐ施策を考えているという。例えば10秒くらいの短い動画でテレビ番組の見所をViMETで紹介し、実際の番組の視聴につなげるといった組み方を想定していると柳本氏は話す。

「中高生はテレビを見ていないと言われていますが、実際にはTwitterなどで話題になっている動画などは見ています」と柳本氏は話す。インターネット上では良質なコンテンツが埋もれてしまいがちだが、良いコンテンツをしっかりユーザーに届けられる最適なフォーマットをViMETで提供したいと柳本氏は話している。

EMET Creationは2014年5月創業。2014年11月には、今回のラウンドにも参加しているインテル日本法人の代表取締役社長を務めた傳田信行氏をはじめ、複数のエンジェル投資家から約2000万円を調達した。2015年5月にもエンジェル投資家から2000万円を資金調達している。今回の調達を含めると累計で約1億1000万円の調達となる。

iOSのLive PhotosをGIF化するGoogleのMotion Stillsアプリ、Android版が登場

【抄訳】
Googleは昨年、iOSのLive PhotosでいろんなことができるアプリMotion Stillsをリリースした。ぼやけたフレームを切り取ったり、画像を安定させたりできるほかに、Live Photosのインスタント動画を、多くの人と共有できるGIF画像に変換することもできた。そして今日(米国時間7/20)Googleは、若干変更を加えたMotion StillsをAndroidでも使えるようになった、と発表した。

AndroidにはLive Photos機能がないのにMotion Stillsとはどーゆーことだ? ご存知のようにLive Photosは、Appleが2015年に導入した機能で、iPhoneユーザーがふつうにスナップ写真を撮ると、写真が超短編の動画にもなる、という仕掛けだ。

しかし今年の後半に発表される予定のiOS 11では、LivePhotosの編集機能が最初からとても充実しているので、サードパーティのアプリケーションがなくても切り取り、重要シーンの取り出し、エフェクトを加える、などの作業ができる。ループ・エフェクトもあるから、Live PhotosをGIF的に見ることもできる。〔GIFへの変換機能は?〕

そこでGoogleは、せっかく作ったMotion Stillsの、ユースケースを広げよう、と決意したのだ。まず自分のプラットホームであるAndroidから。

同社によるとAndroidアプリのMotion Stillsには、Live Photosと同じように、写真を撮ったらすぐにそれが、共有可能な短編のビデオクリップにもなる、という機能がある。使い方は。Motion Stillsをタップして写真を撮るだけだ。Google版のLive Photosか? そう、まさにそのとおり。

もうひとつの新しい機能Fast Forward(早送り)は、長い録画を短くする。対応する最長は1分まで、処理はスマートフォン上で行われる。動画の再生速度は1から8倍まで指定可能だ。Googleはビデオ圧縮技術に工夫を凝らして、早送りでもなめらかで安定の良いクリップを作っている。オリジナルがぐらぐらしていても、友だちとシェアして恥ずかしくない動画へと加工される。

技術的な詳細に興味(と理解)のある人は、このドキュメントや、そこからリンクされているWikipediaをお読みいただきたい。

下のデモビデオ(GIF)は、オフロードバイク(自転車)のツアーを、Motion Stillsで早送りしている:

通常の動画のGIF化にも、Google独自の技術を使っている。撮影〜録画時に各フレームを拾っていくので、なめらかなGIF画像が、撮影が終わると同時に完成している。

Googleによれば、このアプリをきっかけとして同社は、短編ビデオに関する技術の実験を今後も続けていく。そしてその技術の一部は、将来のGoogle Photosで利用されるかもしれない。

Android版のMotion Stillsは、Google Playで無料でダウンロードできる。Androidは5.1以上であること。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Netflixがマルティエンディングの子ども向け作品をローンチ――自分で物語の進行を選べるように

Netflixは本日(現地時間6月20日)より、”インタラクティブ”動画をローンチすると発表した。これは、ユーザーの選択によってストーリーが変わる、ゲームブックのような仕組みの動画のことを指している。今年に入ってから噂が立っていたこの仕組みは、まず子ども向けの番組に導入される予定だ。Netflixによれば、特に子どもはスクリーンに触れたりスワイプしたりするのに加え、お気に入りのキャラクターと一緒に”遊ぶ”のが好きだという。

大人向けの番組にも今後同じような仕組みが採用される可能性はあるが、具体的な計画についてはまだ発表されていない。

インタラクティブ動画の第一弾となる『Puss in Book: Trapped in an Epic Tale』は本日より世界中で配信され、『Buddy Thunderstruck: The Maybe Pile』も7月14日から配信が始まる予定だ。Netflixが分岐物語(branching narrative)と呼ぶインタラクティブ作品の3つ目が『Stretch Armstrong: The Breakout』で、こちらは来年中の配信が決まっている。

『Puss in Book』では選択肢を選ぶ場面が13か所あり、最終的には2種類のエンディングに帰結するようになっている。さらに作品の視聴時間は、選択肢によって18〜39分の間で変化する。

インタラクティブ動画はほとんどのスマートテレビとiOSデバイスで楽しめるとNetflixは話しているが、現在のところNetflixのウェブサイトとアンドロイドデバイス、Chromecast、Apple TVには対応していない。

視聴者となる子どもたちは、各キャラクターに関するさまざま選択肢を選ぶことで、そのキャラクターのアクションや物語を自分で形作ることができる。つまり、選択肢によって結末が変わるので、同じ作品であっても何度も楽しむことができるのだ。

Netflixはインタラクティブ動画のローンチ前に、このアイディアに対するフィードバックを得るため、親と話し合いの場を設けたという。その結果、インタラクティブ動画には従来の作品よりも子どもをひきつける効果があり、さらに子どもたちに何らかの意思決定をさせることができると、親はポジティブな印象を持っていることがわかった。

とはいっても、Netflixがインターネットベースのサービスだからこそできることだと語っているこの試みは、まだ実験段階の域を出ない。現段階でのゴールは、ユーザーがコンテンツとどのように関わり合うのかを測定し、そこから洞察を得ることだ。具体的には、どのストーリーラインが人気かや、複数のエンディングがあることでユーザーは同じ作品を何度も見るようになるのか、といったことをNetflixは観察しようとしている。

子どもの視聴者を喜ばせる仕組みとして、インタラクティブ動画というのは一定の効果があるように感じられる。そして、子どもを取り込むことができれば、Netflixは既存ユーザーである家族を留めておけるようになるばかりか、新たな家族をユーザーとして獲得できるようになるかもしれない。しかし、ゲームブックの仕組みは本やゲーム、アプリではうまくいったものの、動画に採用するとなると、制作期間が普通の作品よりも増え、技術的な問題も発生してくる。例えば、複数の分岐点がある場合、早送りや巻き戻しをどのように行えばいいのだろうか?

その一方でもっと視野を広げてみると、インタラクティブ動画というのは、既に子ども向け番組では一般化している「第四の壁を破る」というトレンドが変化したものに過ぎないと気づく。昔の子ども向け番組から『セサミストリート』、さらには『ドーラといっしょに大冒険』といった最近の作品にいたるまで、キャラクターが画面を見ている子どもに向かって語りかけたり、指示を出したりするという演出は広く用いられており、教育番組であればこれが記憶の定着率のアップにも繋がるということがわかっている。この仕組みに慣れている子どもたちであれば、Netflixのインタラクティブ作品も抵抗なく楽しめることだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

再生中の動画から画面遷移なしで商品を直接購入——スマホ動画広告のFIVEが新プラットフォーム

アプリを中心に、スマートフォン向けの動画広告プラットフォームを展開するFIVE。同社が、これまでのノウハウをもとに、動画広告の枠を使って、遷移なくコマースやアンケートを実施できる新たなプラットフォームを展開する。プラットフォーム名は「Interface by FIVE」。5月30日よりGMOメディアが提供するアプリ「プリ画像」上で第1弾となるクライアントのキャンペーンを開始する。

FIVEは2014年10月の設立。社名の「FIVE」のとおり、5秒程度の短尺な動画広告をアプリ向けに配信する動画広告プラットフォーム「FIVE VIDEO NETWORK」、10代向けアプリに特化した動画広告マーケットプレイス「Moments by FIVE」を展開してきた。現在ではスマートフォンのウェブサイト向けにも動画広告を展開。アプリだけでも月間で約2700万人のユニークユーザー(メディア間重複を除く)にリーチしているという。また、短尺の動画クリエイティブにも強い制作チームを自社内に保有。アプリの特性に合わせた動画制作が可能だという。

FIVEのアプリにおける月間アクティブユーザー数の遷移

全画面動画から遷移なしで商品の購入までを実現

そんな同社が3つ目のプロダクトとして提供するのが、Interface by FIVE(Interface)だ。FIVEが提供するSDKを導入したアプリ上の広告枠に動画を配信。ユーザーは枠をタップして動画を全画面で再生し、動画上のボタンをタップすることで、画面の遷移やブラウザの起動をすることなく、直接商品購入やフォーム入力の画面を表示して、アクションを完結できるというもの——と言葉で説明するよりも、まずは以下の動画を見てもらうのが、一番分かりやすいだろう。

決済機能も備えているため、動画で紹介した商品をそのまま販売することが可能なほか、キャンペーンやサンプリングなどに利用できるとしている。通常スマートフォン上では、アプリから広告を経由して商品を購入したりする場合、いったんブラウザに遷移するため、どうしても体験としては「途切れてしまう」と感じることはないだろうか。Interfaceはアプリ遷移のない、スムーズな購入体験を実現できるという。

「当初のプロジェクト名は『LP(ランディングページ)キラー』でした。LPに遷移すると、体験がぷつっと途切れてしまう。Interfaceは、動画広告なのに外部のLPに遷移しないというところがポイント。そこで購入やアンケートまでが実現できます。動画広告をただ『見るもの』とするのではなく、インターフェースにしていきたいと考えています。グローバルで見てもモバイルコマースは(コンバージョンレートが)1%程度。100人いたら99人がクリエイティブを見ても、買わずに帰ってしまう状況です。この数字を圧倒的に変えられないかと思っています」(FIVE代表取締役社長の菅野圭介氏)

FIVEでは、これまでアプリを中心にした動画広告ネットワークを作ってきた。その中で、例えば10代向けのアプリであれば、どんなキャスティングをして、どんなアプローチをすればユーザーに「刺さる」のか、ということを学んできたのだという。このノウハウは、Interfaceでのクリエイティブ制作においても武器になるという。また、国内の主要インフルエンサーの事務所とも提携しており、「キャスティングでも(商材が)ピンぼけしないようにできる」(菅野氏)とのことで、ただプラットフォームを提供するだけでなく、企画からキャスティング、動画制作、配信、決済までをワンストップで提供していくことがこのプラットフォームの強みだという。今後はネットショッピングの事業者や、商品を持つメーカー、マーチャントと組むことで、「商材×アプリ」として最適な組み合わせを自ら企画し、提案していくことも予定する。

スマートフォンが「自動販売機になる」

菅野氏は「スマートフォン(の画面が)自動販売機みたいなものになる」と語る。もちろんブラウザでECサイトにアクセスして商品を買うという、PCウェブの世界での行動はスマートフォンでもおなじみかもしれないが、菅野氏が言うのは、スクリーンに映った映像をパッと見て、そのまま購入に繋がる。商品の購入を喚起させるところから、ボタンを押して購入するまでの一通りのアクションを実現するインターフェースになる、ということだ。もちろん広告がユーザーに受け入れられるのかという話はあるが、菅野氏は「ビジネス抜きで考えると、(Interfaceを使った)面白いコンテンツ、雑誌の特集みたいなモノができないかとも考えている」と語る。

ただ、Interfaceの展開はこれまでの動画アドネットワークを中心とした同社のビジネスとは、(資産こそ生かせても)大きく構造が変わることは間違いない。菅野氏は「既存事業とは利益率もキャッシュフローも変わるし、成否によって今後の事業計画も大きく変わる」とした上で、「だがFIVEは、もともとアドテク会社になる、というつもりはない。モバイルの映像流通を一手に担いたいと考えている」と語った。「僕らは最初から欲張ってきたが、今となってはそれが良かったと思っている。動画広告のプラットフォームとクリエイティブを両方やって、運用型の動画広告から始まったが、今はブランディングの動画広告もやっている。アプリを中心に展開してきたが、今ではウェブもやっている。ここまでできると、どんなパブリッシャーでも満足度に繋げることができる」(菅野氏)

FIVE代表取締役社長の菅野圭介氏

デスクトップ版YouTubeのデザインが一新――見た目以上に大きな変更が

今週の月曜日にYouTubeは設立12周年を迎え、これを記念し5月2日にはデスクトップ版YouTubeのデザインが一新された。Googleが提唱するデザインフレームワーク「Material Design」が反映された新しいインターフェースは、さらにすっきりとしたシンプルなデザイン、そしてデバイスを超えた統一感を意識してつくられている。ダークモードの導入や検索機能・チャンネルページの一部変更、フルスクリーンを利用せずに動画を大きく表示できるシアターモードのアップデートなど、機能面でもいくつか変更が加えられた。

しかし中身をよく見てみると、今回のアップデートはYouTubeにとってこれまでで1番大きな変化なのかもしれないと気づく。

同サイトは、数年前に行われたディベロッパー向けのGoogle I/Oカンファレンスで発表された、オープンソースJavaScriptライブラリーのPolymerをベースに再構築されているのだ。彼らはPolymerを採用することで、ウェブコンポーネントを再利用することができるようになった。

Polymer上にYouTubeを作り直すというプロジェクトは1年ほど前にはじまった。ユーザーはその変化にあまり気付かないかもしれないが、これこそがデザイン変更のもっとも重要なポイントだ。

「いったんPolymerで何かを構築すれば、そのコンポーネントをすぐに再利用できるようになります」とYouTubeでプロダクトマネジメント担当VPを務めるManuel Bronsteinは、Polymerについて説明する。「Polymerは特定の機能に関するテクノロジーというよりは、むしろリリースまでの速度を上げる仕組みようなものです。Polymerを利用することでもっといろんな可能性を模索できるので、必然的に私たちが出来ることの幅も広がってきます」と彼は話す。

例えば新たに導入されたダークモードに関して言えば、Polymerを使うことで開発プロセスを簡素化することができた。

このテーマは先月の時点で発見されていたが、当時ユーザーはダークモードを有効化するためにChromeの設定を一部変更しなければならなかった。

しかしデザイン変更により、今ではYouTube上のスイッチをクリックするだけでダークモードのON/OFFを切り替えることができる。既存の白い背景を黒に変更することで、暗い場所や夜間でも動画を見やすくするというのがダークテーマの狙いだ。さらに画面のまぶしさが抑えられることで、目にも優しく、ユーザーは動画の本来の色彩を感じることができる。

まだパソコン以外のデバイス向けのアプリにダークテーマが展開されるかどうかは発表されていないが、YouTubeはまずユーザーに広く受け入れられるかどうかを確認すると話している(とは言っても、モバイル版にもダークテーマが導入されるのが当然のように感じられる。というのも、結局のところTwitterにある機能であれば、YouTubeにも搭載されるはずだからだ)。

写真上: 旧サイト

写真上:新サイト

しかし、初めて新しいサイトを訪れたときに最初に気がつくのは、Material Designの影響が見受けられる箇所だ。左側に配置されたナビゲーションバーは、スクリーンの左上にあるハンバーガーメニューをクリックすると隠すことができ、現状のモバイルアプリと同じような見た目になる。

ナビゲーションバーのトップに表示されているセクションは、ホーム、急上昇、登録チャンネルの3つで、その次にライブラリ(保存・購入した動画、再生リストなど)、個別の登録チャンネルが続く。

また、ホームページをスクロールしていくと、無限スクロールが採用されていることに気がつく。新サイトでは、下に行けば行くほど登録チャンネルの動画や、ユーザーの視聴傾向をもとにYouTubeがオススメする動画が表示されるようになっているのだ。

チャンネルページに飛ぶと、こちらも少し雰囲気が変わっている。

写真上:旧チャンネルページ

写真上:新チャンネルページ

新しいチャンネルページでは、バナーがブラウザの幅いっぱいに表示されるようになっており、ヒーローメディア(チャンネルについて紹介している動画や最新の動画など)も以前に比べて大きくなっている。

チャンネルページのナビゲーション(ホーム、再生リスト、チャンネル、フリートーク、概要など)も前より大きくなり、さらにシンプルになった。チャンネルセクションはサイドバーからタブ下に移動されているほか、以前よりすっきりしたサイト上では赤い「チャンネル登録」ボタン(こちらも前より大きくなった)もかなり目立つようになっている。

さらに実際に動画を見てみると「シアターモード」が以前より少し大きくなり、背景が黒くなったことに気がつく。

検索結果のリスト内でもチャンネル登録ボタンが目立つようになっており、新デザインでは検索内容とチャンネルがマッチしていると同ボタンがトップに表示される。またその影響で、検索結果内でチャンネルと動画を見分けやすくなった。

すぐには気づかないかもしれないが、新しい機能を試しているうちにサイトのスピードも上がったように感じる。もちろんスピードには回線速度や使っているデバイスなど、さまざまな要因が関係しているが、もしも早くなったと感じる人がいたらそれは気のせいではない可能性が高い。

Polymerへの移行により、YouTubeのチームはレイテンシーの改善に注力できるようになったのだ。

「レイテンシーには常に改善の余地があります」とBronsteinは話す。「どうすればユーザーにメディアを届けるスピードを上げられるか、ということを私たちは常に考えています。ユーザーが見たいと思うコンテンツを届けるのにかかる時間は、短ければ短いほどいいですからね」

現時点で新サイトを利用するためには、youtube.com/newから設定を有効化しなければいけない。そしてアカウントメニューの「以前のYouTubeに戻す」を選択すれば、旧デザインに戻すこともできる。

YouTubeは新デザインがまだ完全には出来上がっていないと話しており、新しいサイトを試せる人の数には上限が設定される予定だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

YouTubeでもFacebookでも、気に入った動画は「REClike」で一括管理

FacebookでもTwitterでも動画コンテンツをよく見かけるようになったが、前見た動画を後から探すのが難しいと思ったことはないだろうか。記事なら、あとで見返す時のためにコンテンツを集めておけるブックマークサービスはいくつもある。今回紹介するREClike(レックライク)はそれに似て、サービスを横断してお気に入りの動画を管理、共有するためのサービスだ。4月17日、REClikeは従来の動画管理機能の他にタイムラインの実装と人気動画を発見できるページをアップデートした。

REClikeはYouTube、Vimeo、Facebook、Twitterの動画に対応していて、動画を追加するにはリンクを貼るか、あるいはYouTubeかVimeoならREClikeの検索機能で特定の動画を見つけることができる。また、動画を1クリックでREClikeに追加できるGoogle ChromeとSafari用の拡張機能も提供している。

取り込んだ動画は好きなようにリストにまとめることができ、リストは友人と共同で管理することも可能だ。リストは全体に公開する以外にも、特定ユーザーのみ、あるいはリンクを知っている人全員といった公開範囲を設定できる。

サービスは全体的にシンプルで、この画像のようにドラッグ&ドロップで動画をリストにさくさく移動できるのが心地良かった。

REClikeはRoppyaku有限責任事業組合が提供しているサービスだ。Roppyakuは3人で運営していて、それぞれ映像やウェブ制作の仕事をしながらREClikeを立ち上げたと代表を務める八木氏は話す。

「REClikeは、映像の仕事を進める上で自分たちが欲しいと思っていたものを形にしたものです」と八木氏は言う。映像制作の仕事では、新しい映像作品を作るためのレファレンスを探したり、あるいはクライアントと映像のイメージのすり合わせをしたりするのに、日頃から多くの動画を収集しているという。これまでは動画プラットフォームを横断して動画を管理する方法がなく、そこに課題を感じていた。Pinterestで好きな画像をボードに集めておくように、動画を集めてリストにまとめるためのツールとしてREClikeを制作したと説明する。

REClikeは2016年10月にリリースし、これまでに6万の動画コンテンツがREClikeに集まったと八木氏は言う。頻繁に使っているコアユーザーは映像業界や広告業界の人が多いが、最近では仕事目的ではないユーザーの利用も増えているという。YouTubeやVimeoの動画を「おもしろ動画」や「MV」などのジャンルごとに動画をまとめて視聴を楽しんだり、絵を描くためのティップス動画をリストにまとめて仲間と共有したりするのにREClikeを活用しているそうだ。

今回、一般のユーザーにもREClikeをより楽しんでもらえうよう、動画発見を促進する「見つける」ページの改修とタイムラインの実装に至ったという。REClikeの「見つける」ページではカテゴリーごとに動画を探したり、他のユーザーがキュレートした動画リストなどから良い動画コンテンツに出会えるようにした。気に入ったユーザーやリストをフォローしておけば、タイムラインで最新のアップデート情報を随時チェックできると八木氏は説明する。

将来的にサービスのマネタイズも考えているが、まずは各ユーザーが様々な動画サービスから良い動画をキュレートし、ユーザー同士が動画を教え合ってコミュニケーションを取り、楽しんでもらえるサービスに成長させたいと八木氏は話す。Roppyakuは現在有限責任事業組合として運営しているものの、今後株式会社への移行も検討したいと話している。

Apple純正ビデオクリップアプリ「Clips」、想像以上に動画編集が楽だった

SnapchatやInstagramストーリーなど、毎日のちょっとした1コマを録画してシェアするアプリが人気を博しているが、Appleも動画領域で存在感を高めていきたいようだ。3月21日、Appleは真っ赤なiPhoneなどを発表した同じ日に、誰でも簡単に楽しい動画が作れるアプリ「Clips(クリップス)」をローンチすると予告した。そして4月6日、ついにこのアプリがローンチしたので、TechCrunch Japanでも早速試してみた。

ClipsはVineみたいにクリップを撮影して、フィルターや絵文字をつけて編集できるアプリだ。Clipsでは四角い動画が撮影でき、クリップをつなぎあわせることで少し長めの動画を作ることもできる。

クリップのフィルタと文字や記号のオーバーレイ機能

アプリを立ち上げるとすぐ動画撮影画面が現れる。赤い「長押しで録画」ボタンを押すと撮影が始まり、離すと録画が止まる。クリップに適応できるフィルターはコミック風のものなど7種類あり、文字や記号、絵文字なども選んで付け加えることができる。絵文字の大きさや角度を変えるのもピンチ操作ででき、直感的だ。ただ、Instagramストーリーにあるような手書き入力の機能はない。

動画撮影の部分でClipsが他社アプリと違うのは、録音中の登場人物の発言を拾ってテキストに起こしてくれる「ライブタイトル」機能があることだ。Appleのプレスリリースによると、このライブタイトル機能は36言語に対応しているという。

しばらくClipsを使ってみたが、とにかく編集方法がわかりやすく、使いやすかった。それもInstagramストーリーやSnapchatのようにフィルターや絵文字を加えたレベルの動画編集ではなく、もう少し手の込んだ編集ができる。例えば、Clipsは動画の最初や最後、シーンの切り替え時などに使えるアニメーションをいくつか用意している。映画の最後にぴったりな「完」のアニメーションや「お誕生日おめでとう」などの画面があるので、動画の用途に合わせて選べる(文字を変えることも可能)。

タイトルアニメーションとサウンドトラック画面

クリップの並び替えもトリムの操作も簡単だ。クリップの並び替えはクリップをタップしてドラッグする。トリムは「はさみ」アイコンをクリックして、動画のタイムライン上で必要な部分を指定するだけだ。

作った動画にBGMが付けられるのも気が利いてる。右上の音符アイコンをタップして、サウンドトラックから「ポップ」「センチメンタル」「レトロ」などのテーマ別の音楽があるので、動画に合うものが選べる。ClipsはAppleのミュージックアプリとも連動していて、購入した楽曲をBGMとして選択することも可能だ。

今回はエフェクトをいろいろ試していたのもあり、この7秒程度の動画を作るのに数十分かかってしまった。使い方に慣れれば、もっと短時間で作れると思う。

完成した動画はFacebook、YouTube、LINE、Messengerなどに投稿する機能はあるが、それ以外のソーシャル機能はない。ClipsはVineやFacebookのように他のユーザーが投稿した動画を見れるようなソーシャルアプリではなく、動画編集に特化したツールと言える。その特徴は、Appleが1999年に発表したiMovieと共通しているとも言えるだろう。2000年にiMovieの新バージョンiMovie 2を発表した時、スティーブ・ジョブズは「iMovie 2により、コンシューマユーザの皆さんがご自分のMacで、より簡単にプロフェッショナルクオリティのデスクトップムービーを作ることが可能になり、作品を友人や家族、クラスメートと共有できるのです」とリリースに記している。このClipsは、今度はモバイルで手軽に楽しくムービーを作ることを可能にしたい考えのようだ。

Insta360 Airは、Androidにお手頃価格で簡単な360度写真と動画をもたらす

これまで以上に多くの場所で360度ビデオとイメージを共有できるようになった。とはいえそのコンテンツをまずはどうやって取り込めばよいだろうか?Insta360は、利用者の持つスマートフォンへの比較的安価なアドオンで少し名前が売れてきている。これを使えば360度の録画と放送を行うことが可能になる。129.99ドルのInsta360 Airは、同社のAndroidデバイス用アクセサリだ。小さなパッケージは写真道具箱に気軽に追加できる。

Insta360 AirはUSB CもしくはマイクロUSBコネクターを備えた小さな球体だ。どちらのタイプのAndroidで利用するかによって、どちらのバージョンを買うかが決まる。私はGoogle Pixel XLとペアリングすることにした。ということで使っているのはUSB Cバージョンだ。コネクターはボールに固定されているので、選択は賢く行おう。もし将来新しいデバイスを買ってコネクタ形状が変わったら、もう1台Insta360を購入しなければならない。

とはいえ、固定コネクタにこだわることで、Airはデザインも、使い勝手も、構造も、とてもシンプルなものになっている。それは非常にしっかりとしていて、比較的頑丈な感触の、硬いプラスチックの球だ。360度写真のためにAirに装着された2台のカメラのレンズを保護する、ソフトシリコンのケースもついてくる。そのよく考えられたデザインは、カバンのなかで殆ど場所をとらず、ぶつけたり、落とした場合のショックからカメラを保護する役割も果たす。そして、球形のカメラ本体のコネクターを延長できるように、USBを延長するアクセサリーも付属している。

  1. insta360-air1.jpg

  2. insta360-air2.jpg

ボールを携帯電話のUSBコネクターに接続するだけで、動作が始まる。まだアプリをインストールしていない場合にはGoogle Playからのインストールを促されるが、既にインストール済ならそのままアプリが起動する。画面上でイメージプレビューを見る際に、カメラが正しい方向を向くように、携帯電話上の表示方向は上下逆になる。

Insta360 Airで写真やビデオを撮影すること自体は、スマートフォン内蔵カメラで撮影を行うのと同じくらい簡単だ。しかし慣れるまでには少々時間が必要だ、なにしろこれまでのように「正しい」ショットを撮ろうと何かを狙うというやり方ではないからだ。興味深い高さで、例えば電話を高く差し上げたり、低い位置で撮ることが、良い結果を生み出すことにつながるようだ。撮影の後でもキーフレームや開始フレームを設定できるので、現在カメラが何に「向けられて」いるのかについて、あまり真剣に考える必要はない。

写真は、Instagramを含む様々なソーシャルネットワークで簡単にシェアができるが、特にFacebookでのシェアがお勧めだ。Facebookが360度をネイティブにサポートしているので、投稿した写真は友人たちのFBフィード上で簡単に効果を発揮することができる。見る側がモバイルを使っているなら携帯電話を動かすことで画像を回転させることが可能だ。

下に埋め込まれた例からも分かるように、イメージの品質も良い。例えばDaydreamを使ってGooglePhotoを見るなどの没入型のVRを使った場合には、解像度の限界に気が付いたかもしれない。Insta360はそれを「3K」と言っている。しかしこの記事にあるようなデスクトップやモバイルの埋め込み映像を見る場合には、十分に詳細で品質も素晴らしい。特に2台のカメラからの180度の画像を縫い合わせて映像がブレないようにしている裏方のソフトウェアの働きが優れている。

要するにInsta360 Airは、iOSにフォーカスした以前の製品Insta360 Nanoのように、手頃な価格でサラウンドイメージとビデオをキャプチャできる、素晴らしい製品だ。Nanoと違い、バッテリーを内蔵していないので、スマートフォンなしには利用することができない。しかし新しいギミックも用意されている、付属品のフレキシブルなUSBケーブルを用いれば、コンピューターに繋いでライブストリーミングを行うことができる。このことでスマートフォンを利用する際のバッテリーやプラットフォームの問題を避けることができる。

基本的に、これはあなたの写真武器庫に沢山の柔軟性を加えるツールだ。そしてこの先私のカメラバックの中で、恒久的に場所を占めることになるだろう。

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(翻訳:Sako)

VICEがSnapchat Shows向けのオリジナル番組を発表―、メディアプラットフォーム化が進むSnapchat

Twitterと同じように、Snapchatは、画像・動画のシェアやメッセージのやりとりだけでなく、ユーザーはSnapchat上でメディアを消費することもできると謳っている。本日Snapchatは、オリジナルコンテンツのラインアップ拡大に向けて、VICEとパートナーシップを結んだと発表した。今後ユーザーはVICEのオリジナルシリーズをSnapchat上で視聴できるようになる。まずは、VICELANDが制作するシリーズで”Hungry Hearts with Action Bronson”と名付けられた、男女交際に焦点を置いたリアリティ番組が放映される予定だ。

今年中に放映が開始される予定のこの番組は、8エピソード分しか制作されないとのこと。番組内では、ラッパー/シェフ/俳優のAction Bronson(ステージネーム:Arian Asllani)が、予め用意されたデートにカップルを送り出し、ふたりが食事をする様子などを実況中継する。そして毎回番組の最後に、カップルが2回目のデートに行くことになるかどうかをBronsonが予想し、その後に結果が発表される。

なお、Bronsonが現在出演しているVICELANDの旅行・グルメ番組”Fuck, That’s Delicious”と同じチームが、この番組の制作を担当している。

VICEはSnapchat向けに複数の番組を制作する予定で、”Hungry Hearts with Action Bronson”がその第1弾となる。同社は、他にどんな番組が放映されるかについては明らかにしていないが、広報担当者は、リアリティ番組以外にもVICELANDやVICEの様々な番組がSnapchatを通じて放映される可能性があると語っている。

今回のコラボレーションは、以前両社の間で結ばれたパートナーシップを拡大したようなものだ。VICEは2015年のSnapchat Discoverローンチ時、Snapchatのグローバル・ローンチ・パートナーを務め、Snapchat Discoverを通して、ミュージシャンやアーティスト、起業家や一風変わった人に関するニュース速報や教養番組を放映していた。

またSnapchatは、VICE以外のメディアともオリジナルコンテンツ制作に関してタッグを組み、NBCやABC、BBC、Turner、The New York Times、Discovery、Time、A+E Networksとは既に契約が交わされている。中でも、NBCの”Saturday Night Live”のSnapchat版や、“The Tonight Show Starring Jimmy Fallon”、“The Voice”といった人気番組のSnapchat向けコンテンツは話題を読んだ。

ABCは”The Bachelor”のSnapchat用コンテンツを制作しており、A+E NetworksもSnapchat Shows初となる台本なしのリアリティ番組”Second Chance”の制作に取り掛かっている。一方BBCも最近この輪に加わり、2006年に放映され高い評価を得た自然番組”Planet Earth”の続編となる”Planet Earth II”のSnapchat版の放映を開始した。

各メディアの人気番組と関連付けられることの多いSnapchat Showsだが、彼らの狙いは番組の舞台裏の様子をユーザーに届けることよりも、むしろ単独のオリジナル番組を放映することにある。オリジナルコンテンツが増えれば、花輪のオーバーレイや時間と共に消える文字などにあまり興味がない消費者もSnapchatに興味を持つ可能性があるばかりか、Snapchatは広告掲載を通じて新たな収益源を手に入れられる。

VICEにとってのSnachatとのコラボは、現在積極的に推し進めているモバイル戦略の一環だと考えられる。最近同社は、モバイル事業者とのパートナーシップを通じた、アジア太平洋地域への進出計画についても発表していた。

(画像提供:VICE)

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter