アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ

Apple(アップル)は、既知の児童性的虐待素材を検知し、ユーザープライバシーが守られる方法で警察機関に通報する技術を2021年中に展開する。

Appleは、児童性的虐待素材(CSAM)の検出は同社のサービスを使用する子どもたちをオンライン危害から守ることを目的とした新機能の一環であるとTechCrunchに語った。子どものiMessage(アイ・メッセージ)アカウントを通じて送受信される性的に露骨な画像をブロックするフィルターもその1つだ。他にもユーザーがSiri(シリ)や検索でCSAMに関連したことばを検索しようとした時にブロックする機能もある。

Dropbox(ドロップボックス)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)をはじめとするほとんどのクラウドサービスは、サービスの利用規約に違反したりCSAMなどの違法コンテンツを検出するためにユーザーのファイルを監視している。しかしAppleは長年、クラウド上のユーザー・ファイルの監視に抵抗しており、データがAppleのiCloud(アイクラウド)サーバーに到達する前に暗号化するオプションをユーザーに提供している。

Appleは自社の新しいCSAM検出技術であるNeuralHash(ニューラルハッシュ)について、クラウド上ではなくユーザーの端末上で動作し、ユーザーが既知の児童虐待画像をiCloudにアップロードしたことを検出できるが、一定のしきい値を超え一連のチェックでコンテンツが検証されるまで画像は復号化されないと説明した。

Appleの取り組みのニュースは、米国時間8月4日、ジョンズ・ホプキンス大学の暗号学専門のMatthew Green(マシュー・グリーン)教授が新技術の存在を一連のツイートで公開したことで明らかになった。このニュースには、一部のセキュリティ専門家とプライバシー擁護者だけでなく、ほとんどの他社にないAppleのセキュリティとプライバシーへのアプローチに馴染んでいるユーザーも抵抗を示した

Appleは不安を鎮めるべく、暗号化のさまざまな暗号化の複数レイヤーにプライバシー対策を施し、Appleによる最終的な手動レビュー審査に至るまでに複数の段階が必要になるような方法で実装している。

NeuralHashは、1、2カ月後に公開が予定されているiOS 15およびmacOS Montereyに搭載される予定で、ユーザーのiPhoneまたはMac上にある写真を文字と数字の独特な並び(ハッシュと呼ばれる)に変換する。画像がわずかに変更されるとハッシュが変更されてマッチングが阻止される。Appleによると、NeuralHashは同一あるいは外観の似た画像(たとえば切り抜きや編集を施された画像)から同じハッシュが作られるように動作する。

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画像がiCloud写真にアップロードされる前にハッシュは、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)などの児童保護組織から提供された児童虐待画像から得たの既知のハッシュのデータベースと端末上で比較される。NeuralHashはPrivate Set Intersection(プライベート・セット・インターセクション)と呼ばれる暗号化技術を用いて、画像の内容を明かすこともユーザーに警告することもなくハッシュの一致を検出する。

結果はAppleにアップロードされるが、そのままでは内容を見ることはできない。AppleはThreshold Secret Sharing(しきい値秘密分散法)と呼ばれる別の暗号化原理を用いることで、ユーザーのiCloud写真中の既知の児童虐待画像が一定のしきい値を越えた場合にのみコンテンツを解読できる。しきい値が何であるかについてAppleは明らかにしていないが、こんな例を示した。ある秘密が1000ピースに分割され、しきい値が児童虐待画像10枚だったとすると、その秘密は10枚の画像のどの1つからでも再構築できる。

これは、Appleが一致した画像を解読し、手動でコンテンツを検証することで、ユーザーのアカウントを停止し、画像をNCMECに報告し、その後その画像が警察機関に渡る可能性があるということを意味している。Appleはこのプロセスについて、クラウド上のファイルを監視するよりもプライバシーに配慮している、なぜならNeuralHashが検出するのは既知の児童虐待画像のみであり新しい画像ではないからだと述べている。Appleは、1兆分の1の確率で誤検出の可能性があるが、アカウントが誤って停止された場合に異議申し立てをする手続きがあるという。

AppleはNeuralHashの仕組みに関する技術情報を自社ウェブサイトで公開している。文書は暗号学専門家の査読を受けており、児童保護団体からも称賛されている。

しかし、児童性的虐待と戦うさまざまな取り組みが広い支持を得ている一方で、アルゴリズムに委ねることに多くの人々が違和感を示す監視の要素がそこにはある。また、セキュリティ専門家の間には、Appleがこのテクノロジーをユーザーに適用する前にもっと公開議論をすべきだと指摘する声もある。

大きな疑問は、なぜもっと早くではなく、今なのかだ。Appleは、同社のプライバシーが保護されたCSAM検出技術はこれまで存在しなかったと語った。一方でAppleのような会社は、ユーザーデータを保護している暗号化技術を弱体化するか裏口を提供することで警察機関の凶悪犯罪捜査を可能にすべし、という米国政府や同盟国からの大きな圧力にも直面している。

テック巨人らたちは自社システムの裏口を提供することを拒否し続けてきたが、政府によるアクセスをさらに遮断しようとする取り組みに対する抵抗を受けている。iCloudに保存されているデータはAppleがアクセスできない形で暗号化されているが、Reuters(ロイター)の2020年の記事によると、AppleはiPhoneのiCloudへのフルバックアップを暗号化する計画を、捜査を阻害するとFBIから抗議されて中止したという。

Appleの新しいCSAM検出ツールが公の場で議論されていない点についても、このテクノロジーが児童虐待画像を大量に送りつけて被害者のアカウントを停止に追い込むなど悪用の恐れがあるという懸念を呼んだ。しかしAppleは、手動レビューによって起こりうる悪用の証拠を検査するとして問題を軽視している。

Appleは、NeuralHashはまず米国で展開すると語ったが、世界的な展開の可能性や時期は明らかにしていない。最近まで、Facebook(フェイスブック)をはじめとする企業は、EU全体で児童虐待検出ツールが強制的に停止させられていた。当地でプライベートメッセージの自動監視が禁止されたためだった。Appleは新機能について、iCloud写真は使う義務がないので厳密には選択的であるが、使用するなら必須であると説明した。つまるところ、あなたの端末はあなたの所有物だが、Appleのクラウドはそうではない、ということだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiCloud子どもプライバシー個人情報児童ポルノ対策iOS 15macOS Monterey警察

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

コロナ禍でも4〜12歳の子どもたちに少人数で質の高いオンライン教育を提供するbina、孫泰蔵氏も投資

新型コロナウイルス感染流行の影響で学校が閉鎖され、初等教育への深刻な被害が懸念される中、この分野に続々とEdTech(教育テクノロジー)企業が参入してくるのは当然と言える。しかし、それは同時に、初等教育の惨状を浮き彫りにするものでもある。World Bank(世界銀行)によると、全世界で約4000万人の教師が教育現場から離れているという。15億人の初等教育課程にある子どもたちのうち、質の高い教育を受けられる子どもはごくわずかであり、世界には約5800万人の初等教育を受けられない子どもたちがいて、そのほとんどが女児である。

だから、このような幼少期にオンラインで教育を受けられる機会を広げ、状況を変えることは非常に大きな意味がある。なぜなら、オンラインではクラスの人数を減らし、授業の質を向上させることが可能だからだ。

これが、自ら「デジタル初等教育エコシステム」を謳うbina(ビナ)という企業の元になる考え方だ。ドイツのベルリンを拠点とする同社はこの度、4歳から12歳までの児童にオンライン教育を行うことを目的に、140万ドル(約1億5300万円)の資金を調達した。

今回の資金調達ラウンドは、日本の億万長者の1人である孫泰蔵氏が主導した。他の投資家やアドバイザーには、分散型プロトコルのPolkadot(ポルカドット)を開発したParity Technologies(パリティ・テクノロジーズ)の創業者Jutta Steiner(ユッタ・シュタイナー)氏や、英国の元教育大臣のLord Jim Knight(ジム・ナイト卿)などが名を連ねている。

Binaの特長は、6人という非常に少人数のオンラインクラスの規模(経済協力開発機構のデータによる世界平均の3分の1)であることだ。

さらに同社は、国際標準をカバーする「適応性の高い学習方針」、8年以上のデジタル教育経験を持つ教師、データに基づいた教育的アプローチの決定などを誇る。

binaの創業者でCEOを務めるNoam Gerstein(ノーム・ガーシュタイン )氏は次のように述べている。「私は世界中の生徒、教師、保護者に長年インタビューしてきましたが、新しいシステムのデザインが必要であることは明らかです。当社の創業家とともに、私たちはすべての子どもが質の高い教育を受けることができ、教育者のスキルが評価され、それを継続的に発達させることができ、親が仕事と家庭生活のどちらかを選ぶ必要のない世界を築いていきます」。

また、ガーシュタイン氏によれば、同社は学校とともに成長する児童に、会社の株式(RSU)を付与しているという。現在は中央ヨーロッパ時間の英語を話す児童向けに授業を提供しているbina Schoolは、政府、NGO、学校組織向けのSaaS製品を計画している。

「私たちは現在、Outschool(アウトスクール)、Pearson Online Academy(ピアソン・オンライン・アカデミー)、Primer(プライマー)、Prisma(プリズマ)といった企業と競合しています」とガーシュタイン氏は電話で話してくれた。「これらの大手企業とは2020年からの第1段階で競合しています。しかし、私たちは戦略を2つの段階に分けて構築しています。第1段階は実際にスクールを構築し、それを『実験的』スクールとして運営すること。そして第2段階は、私たちが『サービスとしてのbina』と呼んでいるもので、SaaS、つまり『サービスとしてのスクール』です。これはNGOや政府と協力して、授業システムや教師の認定、トレーニング、ライセンス供与を行うというものです。この2つ目の部分では、私たちは実際に大規模な学校認可システムと競合するわけです」。

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カテゴリー:EdTech
タグ:binaベルリン子ども教育資金調達

画像クレジット:bina team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

Instagram(インスタグラム)は米国時間7月27日朝、若年層のアクセス拡大に向けて、同社のアプリを10代のオンラインユーザーにとってより安全な場所にするため、いくつかのアップデートを発表した。同社によると、ユーザーが16歳未満(EUを含む一部の地域では18歳未満)の場合、サインアップの際、デフォルトで非公開アカウントに設定される。

また、16歳未満の既存ユーザーがまだアカウントを非公開に切り替えていない場合は、非公開に設定するように促す。加えて同社は、他の10代のユーザーからブロックされたり報告されたりした大人からの迷惑なコンタクトを抑制することを目的とした新しいテクノロジーを導入するとともに、広告主が10代のユーザーにリーチする方法も変更する。

若年層のユーザーにとって最も注目すべき変更は、非公開アカウントへの移行だ。

これまで、ユーザーがInstagramの新規アカウントを登録する際には、公開アカウントか非公開アカウントのどちらかを選択するよう求められていた。しかし、Instagramによる調査の結果、若年層ユーザーの10人中8人が登録時に「非公開」を選択していたことが判明したため、今後は16歳未満のユーザーに対しては「非公開」をデフォルトにするという。

画像クレジット:Instagram

ただし、16歳未満のユーザーに「非公開」であり続けることを強制するものではない。登録時を含め、いつでも公開アカウントに切り替えることができる。既存の公開アカウントを持つユーザーには、非公開にすることのメリットや変更方法がアプリから通知されるが、Instagramは、非公開への変更を強制するものではないとしている。

2021年1月、ライバルプラットフォームであるTikTok(ティックトック)も18歳未満のユーザーの非公開設定をデフォルトとする更新を発表しており、Instagramの今回の変更は、その動きに追従するものだ。TikTokの場合は、13歳から15歳までのユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に変更しただけでなく、コメント、動画のダウンロード、デュエットやスティッチなどTikTokの他の機能を含め、10代のユーザーのアプリ利用方法に関連するコントロールも強化した。

Instagramは、10代のユーザーにデフォルトのアカウントタイプを提案するに留まり、その他の設定を制限するまでには至っていないが、未成年者が使用するアプリに大人が参加することで生じる問題に対処するための措置をとっている。

同社は、新しいテクノロジーによって、最近10代のユーザーからブロックされる、または迷惑行為が報告されるなど「不審な行動」を取るアカウントを特定するという。これは、Instagramが不審な行動を特定するために使用する数多くのシグナルの1つに過ぎないが、同社は、このシステムをいたずらに利用されたくないため、他のシグナルについては公表しないとしている。

そして「不審」と判断された場合、Instagramはそういった大人のアカウントが若年層のアカウントとやり取りできないように制限する。

まず、Instagramは、そういった不審な大人のアカウントの「発見」「リール」、および「おすすめ」機能に対して、若年層のアカウントを表示しないという措置をとった。また、たとえ大人が検索で若年層のアカウントを見つけても、そのアカウントをフォローすることはできない。そして、若年層のユーザーが他のユーザーの投稿に付けたコメントを見たり、若年層のユーザーの投稿に自分のコメントを残したりすることもできない。

(Instagramによると、10代のユーザーが親の目を逃れるために自分の親を報告したりブロックしたりしても、制限をかけるアルゴリズムは複数のシグナルを組み合わせて使用するため、そういった目論見は上手くいかないという)。

この新しい制限は、2021年初めにInstagramが導入した、10代のユーザーにフォローされていない大人がそのユーザーにコンタクトを取ることを制限するテクノロジーに基づいている。これにより、10代のユーザーは、家族や家族ぐるみの友人との交流を保ちつつ、知らない大人からの不要なコンタクトを制限することが可能になった。

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TikTokやYouTube(ユーチューブ)などでは、若いユーザーら(多くの場合、大人の男性から性的なからかい嫌がらせの対象となる少女たち)の動画に、不適切なコメントが残されることが多いが、問題のある大人を10代の若者のコンテンツから切り離すという今回のInstagramの措置は、他のソーシャルネットワークでの対策よりもさらに進んだものだ。YouTubeのコメント欄にはかつて小児性愛者のグループが集まっていたこともあり、YouTubeは未成年の子どもが登場する動画へのコメントを全面的に無効にした。

Instagramでは、コメント欄を全面的にブロックするのではなく、悪質なユーザーを特定し、未成年者が作成したコンテンツを見つけにくくすることで、悪質なユーザーを排除している。

今後数週間のうちに実施されるもう1つの大きな変更は、18歳未満(一部の国ではそれ以上)の若年層をターゲットとした広告の掲載を希望する広告主に影響がある。

画像クレジット:Instagram

10代のユーザーの興味、あるいは他のアプリやウェブサイトでの閲覧に基づく情報など、広告主は、これまで利用可能だったターゲティングオプションが利用できなくなり、代わりに、年齢、性別、位置情報に基づいたターゲティングのみが可能となる。これは、Instagram、Facebook(フェイスブック)、Messenger(メッセンジャー)で実施される。

同社によると、若年層は、インタレストベース広告のオプトアウトに関連する意思決定を適切に行えない可能性があるという、若年層支援団体からの提言を考慮し、今回の制限に至ったという。

しかし実際には、Facebookの10億ドル(約1100億円)規模のインタレストベース広告ネットワークは、規制当局競合他社からの圧力を受けており、同社は、事業の潜在的な変化が間近に迫っていることを想定して、広告以外にもeコマースなど、収益の多様化に取り組んできた。

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ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

例えば、Apple(アップル)は最近のiOSアップデートにおいて、Facebookがサードパーティ製アプリからデータを収集することを制限するために、ユーザーがデータトラッキングをオプトアウトできる機能を追加した。すると、ほとんどのユーザーがトラッキングに対して「拒否」を選択したという。一方、若年層支援団体などは、現行の児童オンラインプライバシー保護法などですでに保護されている13歳未満の子どもだけでなく、テック企業は18歳未満の子どもに対してもパーソナライズド広告をオフにすべきだと主張し、同業界に対する圧力を強めている。

その一方で、Instagramは、13歳未満の子どもたちにアプリを公開することを検討してきた。今回の一連の変更によって、若年層ユーザーの安全に配慮した上で事業を拡大していることを規制当局に示すことができるのではないか、と同社は期待している。

関連記事:消費者団体が13歳以下の子ども向けInstagramの開発中止をフェイスブックに要望

この点についてInstagramは「ユースアドバイザー」グループを拡大し、Stiftung Digitale Chancen(シュティフトゥン・デジテイル・チャンセン)のJutta Croll(ジュッタ・クロール)氏、Sangath(サンガス)およびIt’s Okay To Talk(イッツ・オーケー・トゥ・トーク)Pattie Gonsalves(パティ・ゴンサルベス)氏、ParentZone UK(ペアレントゾーン・ユーケー)のVicki Shotbolt(ヴィッキー・ショットボルト)氏、AAKOMA Project(エイコマ・プロジェクト)のAlfiee M. Breland-Noble(アルフィー・エム・ブレランド・ノーブル)氏、ノースイースタン大学のRachel Rodgers(レイチェル・ロジャース)氏、コーネル大学のJanis Whitlock(ジャニス・ホイットロック)氏、Future of Privacy Forum(フューチャー・オブ・プライバシー・フォーラム)のAmelia Vance(アメリア・ヴァンス)氏などの専門家を新たに加えたと発表した。

また、Family Online Safety Institute(FOSI、ファミリー・オンライン・セーフティ研究所)、Digital Wellness Lab(デジタル・ウェルネス・ラボ)、MediaSmarts(メディアスマート)、Project Rockit(プロジェクト・ロックイット)、Cyberbullying Research Center(サイバーブリング・リサーチ・センター)などの団体も参加している。

同社はまた、年齢認証や親の同意の基準についても議員らと協力しており、今後数カ月のうちに詳細を発表する予定だ。Instagramは今回の発表に関連して、ユーザーの年齢を推定するAIテクノロジーを使用していると述べている。例えば、あるユーザーが別のユーザーに対して「誕生日おめでとう」や「15歳、おめでとう」と送ったメッセージをシグナルとして検出し、それによってユーザーの年齢を絞り込むというものだ。このテクノロジーは、今回発表された新たな制限を含め、一部の大人が若年層のアカウントにコンタクトすることを阻止するためにすでに使用されている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Instagram10代子ども広告SNS

画像クレジット: Instagram

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

ユーススポーツ組織運営を助ける「オペレーションシステム」を目指すLeagueApps

ユーススポーツは、家族の絆を深め、子どもたちが自信とスキルを身につけることに貢献する。地域社会になくてはならないものだ。

しかし、ユーススポーツのリーグを起ち上げ、育て、維持するためには、どれだけの仕事が必要であるかということを、考えている人は少ない。それは大変なことだ。米国時間7月19日、ユーススポーツ組織の運営システムを手がけるLeagueApps(リーグアップス)は、シリーズB投資ラウンドによる1500万ドル(約16億5000万円)の資金調達を発表した。

従来から出資していたContour Venture Partners(コンツアー・ベンチャー・パートナーズ)が主導した今回のラウンドには、Major League Baseball(メジャー・リーグ・ベースボール)と、Los Angeles Dodgers(ロサンゼルス・ドジャース)のオーナーシップグループの個人投資部門であるElysian Park Ventures(エリュシオン・パーク・ベンチャーズ)も参加。2010年の設立以来、LeagueAppsの資金調達総額は3500万ドル(約38億5000万円)に達した。

また、オリンピックの金メダリストであるJulie Foudy(ジュリー・フーディ)氏とSwin Cash(スウィン・キャッシュ)氏、NFLのベテラン選手であるDerrick Dockery(デリック・ドッカリー)氏、Spurs Sports & Entertainment(スパーズ・スポーツ&エンターテインメント)の会長であるPeter J. Holt(ピーター・J・ホルト)氏、PRO Sports Assembly(プロ・スポーツ・アッセンブリー)の創業者兼社長であるLaura Dixon(ローラ・ディクソン)、投資管理会社のHamilton Lane(ハミルトン・レーン)など、多数の新規および既存の支援者が今回のラウンドに資金を提供した。

ニューヨークを拠点とするLeagueAppsは、ユーススポーツ団体の円滑な組織化を支援することに取り組んでいる。同社が登録・管理ソフトウェアは、スポーツ団体のリーダーたちが、リーグ運営のプロセスをより円滑に管理し、より効果的にコミュニケーションをとり、より効率的に支払いを徴収できるようにするために開発されたものだ。

「彼らのプログラムを推進させるために必要なすべてのツールを、我々は構築しました」と、LeagueAppsのCEOであり、共同設立者であるBrian Litvack(ブライアン・リトバック)氏はいう。それらのツールによって、ユーススポーツ団体のリーダーは、ウェブサイトの構築、登録の受付、コーチや保護者へのメッセージの送信、運営組織や協会との情報共有などの手段を手に入れることができる。

「ローカルスポーツのオーガナイザーは、スポーツ開催を実現するために、地域コミュニティの中で重要な役割を担っています」と、リトバック氏は述べている。

画像クレジット:LeagueApps

LeagueAppsはソフトウェア自体に価格や使用料を課すのではなく、前払いで少額の料金を徴収し、その後はプラットフォームを介して行われた取引のパーセンテージに応じて料金を徴収する。つまり、ユーザーにお金が入らなければ、同社もお金を得ることができないのだ。

そのため、2020年に新型コロナウイルス感染流行が発生した際には、他の企業と同様に同社も少々打撃を受けた。しかし、それ以降は回復し、さらに収益を伸ばしている。

2021年の春、このプラットフォームはトランザクション処理額が20億ドル(約2200億円)を超え、2019年の夏に到達した10億ドル(約1100億円)の2倍になった。2016年から2019年の間には、275%の収益成長を遂げている。現在は3000以上のスポーツ団体が、LeagueAppsをオペレーションシステムとして使用している。

2021年には400万件以上のスポーツ登録を処理すると、同社では予測している。

フラッグシップソフトウェアに加えて、同社の「NextUp(ネクストアップ)」プラットフォームは、オーガナイザーにリーダーシップ開発とネットワーク構築の機会を提供することを目的として設計されたものだ。さらに同社では、恵まれない地域でのスポーツを通じた青少年育成プログラムに焦点を当てた慈善活動プログラム「FundPlay(ファンドプレイ)」も運営している。

Contour VenturesのMatt Gorin(マット・ゴリン)氏は、スポーツをしている子どもを持つ親として、LeagueAppsへの投資に惹かれたと語っている。同氏の見解では、この会社は「大きいが断片的な」市場に取り組んでいるという。

「私は、ユーススポーツ体験とそれを提供する組織が、子どもや家族、そしてコミュニティにとってどれほど重要であるかを身をもって体験してきました」と、ゴリン氏は述べている。「LeagueAppsは多くの点でユニークであり、特に成熟しつつあるユーススポーツ市場に対して、テクノロジーとコミュニティ、顧客サービス、そしてインパクトを融合させるという、他に類を見ないアプローチとコミットメントを提供しています」。

LeagueAppsは、新たに調達した資金を主に製品とエンジニアリングへの投資に充て、ユーススポーツ組織に「より多くのソリューションを提供」することを計画している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:LeagueApps資金調達スポーツ子ども

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

数々の賞を受賞したゲーム「Alto’s Adventure」のSnowmanが子供向けアプリ会社Pok Pokを設立

数々の賞を受賞したiOSゲーム「Alto’s Adventure」「Alto’s Odyssey(アルトのオデッセイ)」「Skate City」などを開発した小規模な開発スタジオであるSnowman(スノーマン)が、教育的な子ども向けエンターテインメントに特化した新会社Pok Pok(ポク・ポク)を設立した。Pok Pokは、2021年5月末に最初のタイトル「Pok Pok Playroom」を発表している。このゲームタイトルは、未就学児を対象に、遊びを通して創造的思考を引き出すことを目的としている。

今回の発表は、Snowmanがゲーム開発スタジオとしてではなく、アプリメーカーとしての原点に立ち返るものだ。

実際、同社の最初のiOSアプリである「Checkmark」は、iPhoneユーザーに位置情報を利用したリマインダーを提供する生産性向上のためのアプリだった。しかしその後Snowmanはゲーム制作にシフトし、CirclesやSuper Squaresなどの初期リリースでモバイルゲームの需要を開拓した。しかしSnowmanが本格的にゲームへの進出を開始したのは「Alto’s Adventure」が登場してからだった。

Snowmanの共同設立者でクリエイティブディレクターのRyan Cash(ライアン・キャッシュ)氏は「Snowmanのことをビデオゲームの開発スタジオであると考えたことはありません。多くの人はSnowmanを開発スタジオだと思っているでしょう。今のところ私たちはゲーム開発でしか知られていません。これは私たちのコアビジネスのようなものです。しかし、私たちは自分たちのことを、クリエイティブな作業が好きな実験屋が集まるチームだと考えています。今はたまたまビデオゲームですが、これからも何が起こるかわかりませんよ」と語る。

画像クレジット:Snowman

Pok Pokは、実はSnowmanの実験の文化から生まれた。

Snowmanの社員であるMathijs Demaeght(マティス・デマエト)氏とEsther Huybreghts(エスター・ユイブレシュト)氏は、現在それぞれPok Pokのデザインディレクターとクリエイティブディレクターを務めているが、彼らの息子のJames(ジェームズ)が幼児だった頃、彼を楽しませるためのアプリを探していた。しかし、自分たちが探しているようなアプリがあまりないことに気づいた。

エスターは、彼を怒らせないもの、あまり専門なものではないもの、ゲーム要素がないものを求めていたと説明する。

その後次男のJack(ジャック)が生まれたとき、彼らは自分たちが欲しいと思うアプリを作ってみようと考えた。大まかなプロトタイプをライアンに見せたところ、彼はそれに可能性を見出し、彼らにやってみなさいと言ったのだ。

ライアンの姉であるMelissa Cash(メリッサ・キャッシュ)は、ディズニーで乳幼児向け製品の開発に携わっており、当時「アルトのオデッセイ」の立ち上げを手伝っていた。彼女は、エスター氏とマティス氏が取り組んでいるものを見て、感銘を受けた。

画像クレジット:Snowman

「私は5年間、子ども向けの商品の仕事をしてきましたが、このようなものは見たことがありませんでした。その時、この先20年はこの仕事をしていきたいと思ったのです」と彼女は語る。メリッサ氏はこのプロジェクトに参加し、現在はPok PokのスピンアウトのCEOを務めている。

Pok Pokは法律的には独立した会社だが、Snowmanと密接な関係を保っている。

メリッサ氏はまたこう語る。「私たちはSnowmanの中でPok Pokをインキュベートしてきました。デスクを一角に移動し、全員がメンターとして、同僚として、グループで共同作業をしています」。ライアンもやはり関わっている。「ライアンは、私たちのアドバイザーであり、ヘルパーであり、すべてです。私たちはまだ彼のための肩書きを思いついていないほどです」と彼女は付け加えた。

現在、Pok Pokのチームは6人の正社員から成るが、プロジェクトでは請負業者や専門家と協力する。一方、Snowmanは20人以上で、ほとんどがトロントにいる。しかし、Snowmanの社員の中には、30%から50%の時間をPok Pokに費やしている人もいるとライアンはいう。

当面、Pok Pokは自己資金で運営されているが、これはSnowmanが他の分野で成功を収めているおかげでもある。「アルト」シリーズだけでなく、Apple Arcade(アップルアーケード)の「Where Cards Fall」や「Skate City」など、いずれも現在PCやコンソールに展開している。また、Slingshot and Satchel(スリングショット・アンド・サッチェル)とのコラボレーションである「DISTANT」にも取り組んでいる。

2歳から6歳までの子どもを対象としたPok Pok Playroomは、Pok Pokの第1弾タイトルとして、5月20日に配信を開始した。このアプリには、子どもたちが創造的に遊べる、6つのいわゆる電子玩具が収録されている。また、これらのおもちゃは、子どもの成長に合わせて成長していく。

例えば、積み木のおもちゃは、形を動かしたいだけの幼児にとっては魅力的だが、年齢が上の子どもなら街を作ることができるかもしれない。お絵かきのおもちゃは、小さいうちは落書きができるが、大きくなってからはキャンバスになる。また、musical blobsという心を落ち着かせるおもちゃもある。これは、ラバライトのようなもので、さまざまな形の塊が跳ねたり、触ると反応したりするものだ。

すべてのおもちゃは、自由に使えるように設計されている。正しい使い方や間違った使い方はない。また、Pok Pok Playroomはゲームではない。レベルをクリアしたり、目的を達成するものではなく、買うものもない。

Pok Pok Playroomが、例えばToca Boca(トッカ・ボッカ)のようなライバル企業のゲームや電子玩具と比べて違うのは、より教育的でリアルな設計になっていることだ。

エスター氏はこう語る。「私たちは教育的なアプローチをとっており、今後のアプリについても、発売後のPok Pok Playroomがどのように成長しようとも、そのようなアプローチをとる予定です。例えば、Pok Pok Playroomには、ユニコーンも魔法使いも登場しません。すべてが現実に即しています。私たちは、子どもたちと一緒に、世界がどのように見えて、どのように機能するのかを探りたいのだと思います。私たちには、すべての子どもたちを対象にした、いわゆるアルファベットや数字では必ずしもない教育的なアプローチについてのアイデアがたくさんあります」。

画像クレジット:Snowman

また、Pok Pokでは、多様性の問題を避けるために、しゃべる動物や架空のキャラクターは使わない。代わりに、すべての人種、すべての性別、すべての家族構成、さまざまな能力や障害を持った人たちがアプリの中に登場する。

エスター氏は次のように述べる。「子どもたちがアプリの中で自分や家族、友人を認識できるようにすることは、私たちにとってとても重要なことです。私たちのチームにとって、誰もがありのままの自分や家族の姿を尊重されていると感じることがとても重要なのです。私たちはその点でトップランナーでありたいと思っています」。

約3年前から開発を進めてきたこの新アプリは、サブスクリプション方式で価格が設定されており、時間の経過とともに「電子玩具」が追加されていく。

Pok Pokは就学前の子どもを対象としているが、将来的には次の年齢層やその他のタイプの学習者を対象とした創造的なプロジェクトの設計を見越している。

Pok Pok Playroomは、発売に先立ち、約250世帯でベータテストを実施した。

Pok Pok PlayroomはiPhoneおよびiPadで利用でき、5月20日午前9時(米国東部時間。日本時間5月20日午後11時)より、14日間の無料体験版を提供する。その後の価格は、月額3.99ドル(約440円)または年額29.99ドル(約3300円)で、アプリ内課金はない。

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カテゴリー:EdTech
タグ:SnowmanPok Pokアプリ子ども

画像クレジット:Snowman

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

子どもがCEOになって実際にオンラインショップを経営、様々なことも学べるプラットフォーム「Mighty」

子どもたちがある年齢に達するまで、充実したプログラムは学校、スポーツ、キャンプなどに限られており、お金を稼ぐ機会はほとんどない。

しかし現在、 創業1年のロサンゼルス拠点のMighty(マイティ)というスタートアップが、子ども向けのShopify(ショッピファイ)のようなプラットフォームを構築し、子どもたちに新たな選択肢を提供しようとしている。同社は、GOOD誌を創刊した創業者のBen Goldhirsh(ベン・ゴールドハーシュ)氏と、Etsyに5年近く在籍し、Sidewalk Labsのアドバイザーを務めたDana Mauriello(ダナ・マウリロ)氏が率いていて、フィンテック、EdTech、エンターテインメントが交わるところでサービスを提供しているとファミリーにアピールする。

よくあることだが、コンセプトは創業者自身の経験から生まれた。コスタリカに住んでいたゴールドハーシュ氏は、生徒6人という小さな学校に通う2人の娘のことが心配になり始めた。勉強が米国の学校に比べて遅れをとっているのではないかと懸念し、ソフトウェアプラットフォームであるKhan Academy(カーン・アカデミー)を使って放課後に勉強させ始めた。しかし、娘たちの反応は決して良いものではなかったという。

「彼女たちは、『ふざけないでよ、お父さん。学校から帰ってきたばかりなのに、また授業を受けさせる気なの』という感じでした」。

どうすればいいのかわからず、同氏は子どもたちが作っていたブレスレットをオンラインで販売することを勧めた。そうすれば、必要な数学のスキルを身につけることができるだけでなく、起業資金やビジネスプラン(それを書かせた)、マーケティングについても学ぶことができると考えたのだ。この「プロジェクトベースの学習」が成功したことを友人に話すと「うちの子にもやってくれないか」と頼まれるようになったという。

ゴールドハーシュ氏はマウリロ氏がEtsyに入社する前に運営していたクラウドファンディングのプラットフォームに投資していた。時が経ち、ゴールドハーシュ氏とマウリロ氏は、今はまだベータ版のスタートアップMightyの舵取りをし、Mightyは3000人の「CEO」のホームになっている。

この関心は驚くべきものではない。子どもたちは、歴史上最も多くの時間をオンラインで過ごしている。かつて子どもたちを雇っていたような実社会的なビジネスの多くは、規模が縮小している。ベビーシッターや街角でのクッキー売りを除けば、高校以前に仕事を見つけるのは困難だ。米労働省の公正労働基準法(Fair Labor Standards Act)では、14歳以上を雇用の対象としているからだ。それでも、多くの雇用者は、若い従業員は割に合わない仕事をしているのではないかと心配している。

投資家はこれがかなり堅実な考えだと思っている。Mightyは最近、Animo Venturesがリードする650万ドル(約7億2200万円)のシード資金を調達した。ラウンドには、Maveron、Humbition、Sesame Workshop、Collaborative Fund、ファミリーオフィスのNaHCO3などが参加した。

しかし、子ども向けのプラットフォームを構築するのは難しい。まず第1に、11歳の子どもたちの多くは、自分のビジネスを長期にわたって維持するために必要な粘り強さを持ち合わせていない。ゴールドハーシュ氏は、このビジネスを「21世紀のレモネードスタンド」に例えているが、午後の終わりに消滅しないビジネスを運営するというのとはまったく異なる命題だ。

ゴールドハーシュ氏は、どんな子どもでも、自分のビジネスに「努力」しなければならないとか、一定の軌道に乗せなければならないということを聞きたがらないとを認める。だが、起業家精神が旺盛で、継続的に活動している人もたくさんいると話す。実際、ゴールドハーシュ氏は、今回のシード資金によって、若いCEOたちを満足させるためにやるべきことがたくさんあるという。

例えば、多くの人が不満に思っているのは、自分の手作りの商品をMightyで売ることができないことだ。その代わりに、帽子やトートバッグ、ステッカーなど、自分でカスタマイズしたアイテムを販売してもらい、それをMightyの現在の製造パートナーであるPrintfulが製造し、最終顧客に発送する(Mightyユーザーは、Mighty同様に売上の一部を受け取ることができる)。

また、Mightyは、ナショナルジオグラフィックでも販売を行っているインパクトマーケットプレイスのNovicaと提携し、世界の職人が作った商品を販売することもできるようになった。

最初の段階では、できるだけ摩擦の少ないプロセスを導入することを考えていたが「顧客たちは怒りました。私たちにもっと多くを要求してきました」とゴールドハーシュ氏は述べた。同氏によると、Mightyは今後、小規模な起業家が自分で作った商品を販売できるようにする他、現在はサポートしていないサービスも提供していく予定だという。

収入源としては、売上高に基づく取引手数料の徴収に加えて、まだ公にする準備は整っていないがサブスクリプションサービスを導入することを計画している。

全体的に興味をそそられるが、MightyはShopifyのような既存のプレイヤーとの競争に勝たなければならないかもしれない。また、Mightyがやろうとしていることに対して、子どもの擁護者とまではいかなくても、親たちが反発することも考えられる。結局、起業というものは、気分を高揚させたり、意気消沈させたりするものだ。それは、一部の人が幼い年齢の子どもを乗せたがらないかもしれないローラーコースターだ。

しかし、マウリロ氏は、今のところそのようなフィードバックはないという。例えば、Mightyは最近、若いCEOたちがお互いに励まし合ったり、営業のヒントを交換したりできるオンラインコミュニティを立ち上げ、彼らはそこに積極的に関わっているという。

また、マウリロ氏は、スポーツや楽器を習うように、Mightyでお店を作ることで学べることがあると主張する。ストーリーテリングや売り方もそうだが、重要なのは、若い顧客が「失敗しても立ち直って、またチャレンジすればいい」ということを学んでいることだと同氏は話す。

ゴールドハーシュ氏は「『思っていたよりも難しい』と感じている子どもたちは絶対にいます。ただサイトを立ち上げてお金が入ってくるのを見ていればいいというわけではありません。それでも、子どもたちは、自分たちが目にする成功が、自分たちで稼いだものだという事実を気に入っていると思います」と付け加えた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:MightyCEOオンライン学習eコマース子ども

画像クレジット:Klaus Vedfelt

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがAlexaで利用できる子供向けの「読書仲間」と音声プロフィールを公開

米国時間6月29日、Amazon(アマゾン)はAlexaを子どもの読書仲間にする新機能と、家中の全Echoデバイスで子どものAlexaエクスペリエンスをパーソナライズする音声プロフィールのサポートを発表した。この2つの機能は連携して動作する。音声プロフィールによってAlexaは話者を特定するので、デバイスは「Alexa、読書をしよう」というようなリクエストに適切に対応できるようになるのだ。Alexaはリクエストを受けて、Amazonが「Reading Sidekick」と呼んでいる読書仲間エクスペリエンスを開始する。

この機能はAmazon Kids+サブスクリプションが必要であるため、Alexaデバイスの全ユーザーが利用できるわけではない、このサブスクリプションサービスは月額2.99ドル(約330円)で、多くの子ども向けの本、テレビ番組、映画、教育アプリ、ゲームの他、広告なしのラジオステーションとプレイリスト、Audibleのブック、限定のAlexaスキルといったEchoデバイス向けプレミアムコンテンツも利用できる(Amazon Kids+は、日本ではプライム会員は月額480円、一般会員は月額980円。ただしFireやKindleのキッズモデルを購入すると1年間無料)。

画像クレジット:Amazon

サブスクリプションを購入したら、子どもはAlexaに一緒に読書をしようと話しかけ、互換性のある紙の書籍または電子書籍を選んで読み始める。Alexaは何の本を読んでいるかを尋ねる。また、たくさん読みたいか、少しだけか、順番に読むかも尋ねる。この機能を使えるのはAmazon Kids+サブスクリプションに含まれる6〜9歳向けの数百冊の書籍で、紙の書籍も電子書籍も対象となっている。子どもが読む番になったらAlexaはそれを聞いて、上手く読めていればほめ、つまづいたら助ける。

子ども向けAlexa音声プロフィールも米国時間6月29日から公開が開始される。この機能をオンにすると、保護者は家族内の子ども、最大4人の音声プロフィールをそれぞれ作成でき、Alexaのエクスペリエンスが各人に応じてパーソナライズされる。つまり、Alexaはあらかじめ構成された適切なペアレンタルコントロールを自動で適用して、不適切な音楽を自動でフィルタリングし、通話やメッセージの送信先を承認された連絡先のみに制限し、保護者が前もって承認したAlexaスキルしか使えないようにする。また、子ども向けのゲーム、スキル、音楽、動画が利用できるようになり、子どもからの問いかけにはそれに応じた対応をする。

このような機能によりAlexaのエクスペリエンスは家族にとってこれまで以上に楽しく便利になるが、その一方で保護者は子どもの声が録音され、分析され、一定の期間保管されることを考慮しなくてはならない。現在、Amazonは子どもの質問やリクエストに対するAlexaの理解を向上させるために、子どもの声の録音を使って音声認識と自然言語理解システムをトレーニングしている。録音を人間が検討することもある。このように使われたくない保護者は、Alexaアプリの設定から子どもの履歴に関連する録音を1つずつ、または全部いっぺんに削除できる。3カ月または18カ月で録音を自動で削除する設定にしたり、音声によるリクエストで録音を削除したりすることもできる。

ただし、保護者が子どもの声の録音を保存しない設定にした場合、ペアレントダッシュボードから子どもがこれまでにリクエストした内容の履歴をたどることはできない。

Reading Sidekickや音声プロフィールなどの機能を有効にする前に、あるいはもっと広く考えるとスマートスピーカーのようなものを家庭に持ち込むかどうかについて、保護者は自分の家庭に適した判断を下す必要がある。

Amazonによれば、子ども向けAlexa音声プロフィールは7月2日(金)までにAmazonの全顧客に提供されるという。Reading Sidekickは米国時間6月29日から提供が開始されている。

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タグ:AmazonAlexa子ども音声認識音声操作読書

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

グーグルが子供向けオンライン安全カリキュラムを更新、オンラインでのいじめやハラスメントに関するレッスンも追加

Google(グーグル)は、米国時間6月16日、同社のデジタルの安全性と市民権に関わるカリキュラム「Be Internet Awesome」のアップデートと拡張を発表した。学齢期の児童が責任感を持ってインターネットを行き来できるようになることを狙ったカリキュラムだ。Googleによると、4年前に導入されたこのカリキュラムも、現在では3カ国数百万人の子どもたちに届いている。今回のアップデートで、Googleは、と教育者のためのレッスンを10 個ほど増やし、オンラインゲームや検索エンジン、動画の消費、オンラインの共感、サイバーいじめなどのテーマを加えている。

Googleはニューハンプシャー大学の対児童犯罪研究センターに依頼してこの事業を評価してもらい、2019年には重要なアップデートとして、偽情報やフェイクニュースの判断方法を子どもたちに教えるためのレッスンを追加している。

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当時の評価では、この事業がサイバーいじめやオンラインの市民性とウェブサイトの安全性といった部分では、子どもたちの助けになっているが、その他の部分に関して改善が必要だと指摘されていた。

Googleはその後、Committee for ChildrenThe Net Safety Collaborativeといったオンラインでの安全性に関するエキスパートと協力して教材を改訂している。その結果、現在では、レッスンが年齢集団や学年別に調整され、テーマも増え、家族向けのリソースも加わった。

今回の新レッスンには、オンラインゲームと検索エンジン、動画消費に関するガイダンスが含まれ、児童生徒がサイバーいじめやオンラインでのハラスメントに対応できるようになるための社会や感情に関する学習も追加されている。

例えば一部の新レッスンでは検索メディアのリテラシーが議論され、Googleといった検索エンジンの正しい使い方とリンク、それらが返す結果を評価することを学ぶ。これらのレッスンが、メディアリテラシーに関する既存の教材に加わった。

他にも、オンラインでの共感の実践や親切の示し方、いじめなどの不適切で気が動転するようなものを見た / 遭遇したときの対応方法などのレッスンも加わっている。

オンラインゲーム関連のコンセプトが新レッスンに織り込まれたのは、リアルタイムチャットで他のプレイヤーと対話することも増えており、現在の子どもたちがオンラインゲームにおける大量のソーシャルなコミュニケーションを経験しているからだ。

また子どもたちは、「本当に子どもなのか」など、いろいろな視点からオンラインゲーマーの人物を検証できるようになる。教材は、オンライン上の人と共有してはいけない種類のプライベートな情報について説明している。

新たに追加された家族向けリソースでは、今回アップデートされたカリキュラムが親を、テクノロジーの利用を家族で管理するためのコツやツールの情報を提供する最近立ち上げられたオンラインハブ「families.google」に誘導する。

GoogleがアップデートしたFamily Linkアプリは、どのアプリをいつなら使ってよいかを、親が設定することが可能で、実際に子どもたちが画面を見たり、使ったりした時間が親に報告される。また2021年初めにはYouTubeに対するペアレンタルコントロール機能が加わり、YouTube Kidsの層よりも年は上だが、まだ自由に視聴させたくない年齢層、つまりティーンや10〜13歳の子どもたちの利用もコントロールできる。

Googleによると、アップデートされたカリキュラムは米国時間6月16日から、親や家族、教師、教育者らがBe Internet Awesomeのウェブサイトで利用できる。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Google子ども10代ペアレンタルコントロールメディアリテラシー

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルがようやく開発者向けにスクリーンタイムAPIを公開

2018年に公開されたiOS 12で、Apple(アップル)は独自の内蔵スクリーンタイム追跡ツールと制御機能を導入した。そして独自のスクリーンタイムシステムを実装したサードパーティアプリの取り締りを開始した。同社は彼らの方法がユーザーのプライバシーを危険に晒しているためだと説明した。当時なかったものは何か?デベロッパーがAppleのスクリーンタイムシステムを利用して、独自の体験を作り出すためのスクリーンタイムAPIだ。それがようやく変わった。

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米国時間6月7日に行われたAppleのWorldwide Developer Conferenceで、同社はスクリーンタイムAPIを発表した。デベロッパーがユーザープライバシーを守りながら、ペアレンタルコントロール体験を開発できるフレームワークだ。

iOS SDK(ソフトウェア開発キット)には新しいSwiftフレームワークが3種類追加され、デベロッパーは子どもがデバイス上でできることを親が管理して制限を加えるためのアプリを開発できるようになった。

このAPIを利用するアプリは、アカウントのロック、パスワード変更の禁止、ウェブトラフィックのフィルタリング、利用できるアプリの制限などさまざまな制約を設定できる。こうした設定はAppleのスクリーンタイムシステムですでに可能だが、デベロッパーは自社ブランドの元で独自の体験を提供できるようになり、Appleのシステムが提供する機能を拡張することもできる。

APIを利用するデベロッパーのアプリは、それ自身をロックして親の承諾なしにデバイスから削除できなくすることもできる。

アプリは親の本人認証を行い、そのユーザーが管理しようとしているデバイスが家族のものであることを確認できる。さらに、Appleによると、このシステムはユーザープライバシーを損なうことなく、親が制限したいアプリとウェブサイトを選ぶことができるという(システムはアプリの識別子やウェブサイトのURLの代わりに、解読不能なトークンだけを返すので、サードパーティはユーザーが使ったアプリやウェブ閲覧の詳細などの個人的データをアクセスできない、とAppleはデベロッパーに伝えている。このため、怪しげな会社がスクリーンタイムアプリを作りアプリ利用に関するユーザーデータを収集する、といったことはできない。

サードパーティアプリは、アプリごとあるいは行動のタイプごとに専用のタイムウィンドウを作り、まもなく時間切れになることを子どもに警告できる。時間になると、管理アプリはウェブサイトやアプリへのアクセスをロックし、子どもに宿題の時間であることを伝えたり、デベロッパーの考えるその他の体験を提供する。

一方で、アプリは子どもが宿題や読書や手伝いなどの仕事を終えたらスクリーンタイムをもらえるインセンティブを設定することもできる。

デベロッパーは、一連の機能を利用してAppleの基本的制御機能の上に独自のアイデアを載せることで、Apple自身のスクリーンタイムシステムにない新たな体験をデザインすることもできる。スクリーンタイムの管理がもっと簡単になりニーズに合わせてもっとカスタマイズできるようになるのなら、親は渋々財布の紐を緩めるだろう。

「ファミリー」環境以外にもスクリーンタイムを利用するアプリはある。例えばメンタルヘルスや幸せな生活などだ。

もちろん、デベロッパーたちはスクリーンタイム機能が公開された時からAPIの提供を求めてきたが、Appleは開発の優先順位を上げなかった。しかし、2020年の反トラスト公聴会でライバルのスクリーンタイムアプリを禁止した行為が取り上げられてから事態は変化した。当時Apple CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は会社の決定を擁護し、アプリはMDM(モバイル・デバイス・マネージメント)技術を使用しており、それはホームユースではなく大企業の従業員向けデバイスを管理するために作られていると説明し、それがプライバシーリスクになる、と述べた。

関連記事:アップルのクックCEOが他社のスクリーンタイムアプリを排除した理由を米独禁法公聴会で弁明

WWDCでAppleは同APIの仕組みを詳しく解説するセッションを用意しているので、その時のデベロッパー向け情報が公開されれば、詳しいことがわかるはずだ。

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タグ:AppleWWDC 2021WWDCiOSiOS 15APISDK子どもスクリーンタイムプライバシー独占禁止法

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

サステナビリティに配慮しながら赤ちゃんにも優しいKudosのコットン製使い捨ておむつ

子育て経験のある人なら、使い捨ておむつの驚くほど狭い世界をよくご存知だろう。救いの手がやってくるかもしれない。

Kudos(クドース)は、使い捨ておむつをサステナビリティに配慮して再発明しようとするスタートアップだ。米国時間6月1日、240万ドル(約2億6000万円)のシードラウンドを完了した。出資者はFoundation Capital、XFund、PJC,Precursor Ventures、Liquid 2 Ventures、SV Angel、Underscore VC、Alpha Bridge Ventures、April Underwoodなどとなる。

共同ファウンダーでCEOのAmrita Saigal(アムリタ・サイガル)氏はKudosについて、Cotton Inc.の Cotton Naturalマークを取得した最初で唯一の赤ちゃん用使い捨ておむつだと説明した。赤ん坊の肌に触れるのがプラスチックではなく綿100%だからだ。また、現状の大手ブランド使い捨ておむつと比べて、植物由来材料を4倍多く使っている。

使い捨ておむつは多くの層で構成されている。Huggies(ハギーズ)、Pampers(パンパース)などの標準的紙おむつには、石油化学製品、ポリエステルなどの繊維をはじめ多くのプラスチックが使われている。事実、ある柔らかく感じている使い捨ておむつのトップシート(赤ちゃんの肌にふれる部分)も、ほとんどがプラスチックで作られている。

Kudosはその代わりにオーガニックコットンを使う。グリーンな材料を使うことに注力して、おむつの吸収部分には森林協議協会を通じて収穫された完全脱塩素の綿毛パルプを使っている。

それだけではない。性能はおむつの材料と同じく重要だとセイガル氏は説明し、多くの親たちは環境に優しい製品を使うことは性能を犠牲にすることだと思っている、と語った。親たちは自分の赤ん坊のための製品に関して、自分自身のためよりもずっと高い基準を持っている、と彼女は説明した。

「女性用ケア商品のことを考える時、私は環境に優しい製品を選ぶことがありますが、少々性能が落ちるのが苦痛であっても自分のことなので我慢できます」とセイガル氏はいう。「しかし親として、もし子どもに発疹ができれば自分の生活と睡眠に影響します。紙おむつに関して、親はサステナブルな製品に対して(自分のものと)同じ余裕を持てません」。

読者は気になっているかもしれない、私と同じく、この種の製品の防御力について。大手企業がもっとサステナブルなコットン製おむつを開発するのをどうやって止められるのか。

セイガル氏によると、大手ブランドはプラスチックからコットンに切り替えるために生産プロセス全体を見直す必要がある。実はセイガル氏はP&G(ピーアンドジー)で働いていたことがあり、KudosのおむつエンジニアリングアドバイザーであるJim Keighley(ジム・キーリー)氏(P&G時代の上司)ともそこで出会った。

キーリー氏は声明文で次のように語った。

大手ブランドは接着機械を完全に作り直す必要があります。どの会社でも使っている圧着技術はプラスチック由来の材料にしか使えないからです。それには多大な時間と予算の投資が必要で、市場のリーダーとして現行製品を製造している柔軟性を損なうことにもなります。

KudosはD2C(消費者に直接販売)サブスクリプションモデルを採用しており、赤ちゃんの身長、体重の変化に応じたサイズのボックスが月額78ドル(約8550円)で送られてくる。好みのボックス(3~5日分)を14ドル(約1530円)で単体購入することもできる。

カテゴリー:その他
タグ:Kudos育児子どもサステナビリティコットンサブスクリプション資金調達

画像クレジット:Kudos

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nob Takahashi / facebook

EUがTikTokの利用規約を調査、子供の安全に関する苦情を受け

EUは現地時間5月28日、欧州の複数の消費者保護当局が2021年初めにTikTok(ティクトック)に対して提起した懸念に対応するため、同社に1カ月の期間を与えたと発表した。

欧州委員会は、動画共有プラットフォームである同社の商慣行とポリシーに関し、同社と「正式な対話」を開始した。

欧州委員会は特に懸念される領域として、密かなマーケティング、子どもを対象としたアグレッシブな広告手法、TikTokのポリシーの特定の契約条件を挙げた。

司法長官のDidier Reynders(ディディエ・ラインダーズ)氏は声明で「現在のパンデミックはデジタル化をさらに加速させています。これは新しい機会をもたらしましたが、特に脆弱な消費者にとっては新しいリスクも生み出しました。EUでは、動画内のバナーなどの偽装広告で子どもや未成年者を標的にすることは禁止されています。本日開始する対話は、TikTokが消費者保護のためにEU規則を順守するサポートになるはずです」。

背景には、欧州消費者機構(BEUC)が2021年2月、欧州委員会にTikTokのポリシーと慣行に関する多数の指摘を含めた報告書を送付したことがある。指摘事項の中には不公正な条件や著作権に関する取り扱いがある。また、プラットフォーム上で子どもが不適切なコンテンツにさらされるリスクも指摘し、TikTokのミスリーディングなデータ処理とプライバシーの取り扱いについて非難した。

関連記事:TikTokが欧州で消費者、子どもの安全、プライバシーに関する訴えを受ける

EU15カ国の消費者団体がほぼ同時期に苦情を申し立て、各国当局にソーシャルメディアの巨人の行動を調査するよう求めた。

EUの多面的な行動は、TikTokにとって、単に欧州委員会が小さな印刷物の詳細を調べているということではなく、各国の消費者保護当局のネットワークからの質問に直面していることを意味する。ネットワークを共同で主導しているのは、スウェーデンの消費者庁とアイルランドの競争・消費者保護委員会(プラットフォームに関連するプライバシーの問題を扱う)だ。

にもかかわらず、BEUCは欧州委員会がまだ正式な執行手続きを開始していない理由を問いただした。

「私たちは、各国当局がこの『対話』の中で屈服しないことを望んでいますが、これが執行手続きの正式な開始ではないことも理解しています。BEUCが提起したすべての点に取り組む消費者にとって、良い結果につながる必要があります。BEUCはまた、合意に達する前に、事前相談が持ち込まれることを望んでいます」と広報担当者はTechCrunchに語った。

TechCrunchがコメントを求めたところ、TikTokは公共政策ディレクターのCaroline Greer(キャロライン・グリア)氏のコメントとして、欧州委員会のアクションに関して次の声明を送ってきた。

「消費者保護や透明性などの問題に関する規制当局やその他の外部ステークホルダーとの継続的な取り組みの一環として、アイルランド消費者保護委員会およびスウェーデン消費者庁との対話に取り組んでおり、すでに導入した措置について議論することを楽しみにしています。さらに、16歳未満のすべてのアカウントをデフォルトで非公開にし、ダイレクトメッセージングへのアクセスを無効にするなど、若いユーザーを保護する多くの措置を講じています。さらに、18歳未満のユーザーはバーチャルギフトを購入・送受信することはできません。また、デジタルコンセントの年齢未満のユーザーに直接訴えかける広告を禁止する厳格なポリシーもあります」。

同社は、パーソナライズド広告を打つ際、年齢確認を実施していると述べた。ユーザーが広告を受け取るには、13歳以上であることが確認されている必要がある。また、EU各国でデジタルコンセントの年齢を超えていることや、ターゲット広告を受け取ることに同意していることも必要だ。

しかし、TikTokの年齢確認技術は以前から脆弱であると批判されてきた。イタリアのデータ保護当局が最近、子どもの安全を対象とする緊急措置を取ったため、TikTokはイタリア国内での年齢確認プロセス強化を約束することになった。

TikTokは2021年5月初め、イタリアの執行措置を受け、13歳未満のユーザーであるとの疑いがある50万超のアカウントを削除した。さらにこの件は、13歳未満のユーザーが、プラットフォーム上のターゲット広告に日常的にさらされていないと本当に主張できるのかという疑問を投げかけることになった。

関連記事:TikTokがイタリア当局の全ユーザー年齢確認命令を受け50万超のアカウントを削除

TikTokは、スポンサーコンテンツに明確なラベルづけを行っていると主張している。だが、同社はまた、ビデオ広告に付されるラベルを「スポンサー」から「広告」に切り替えてより明確にするなど、最近いくつかの変更を加えたことにも言及した。

また、TikTokによると、新たにトグルを設け、他のユーザーによって広告にさらされる可能性がある場合に、それをはっきりさせるよう取り組んでいるという。トグルにより、そのユーザーが自分のコンテンツに広告が含まれていることを目立つよう開示できるようにする。

TikTokは、このツールは現在欧州でベータテスト中だが、2021年の夏に一般への提供に移行する予定であり、コンテンツに広告が含まれている場合、常にこのトグルを使用するようユーザーに求める利用規約の修正を予定していると述べた。(ただし、適切な強制力がなければ、見過ごされ、簡単に悪用される設定になってしまう可能性がある)

同社は最近、欧州事業に関して提起されている懸念の一部に対処する動きの一環として、欧州に透明性センターを設けると発表した。EUで展開されているすべてのデジタルプラットフォームに対して徐々に強まる監視に備えることも目的としている。EUは現在、デジタルルールブックの更新に取り組んでいる。
関連記事:TikTokが米国に続き欧州に「透明性」センターを設置、専門家に取り組みを開示

カテゴリー:ネットサービス
タグ:EUTikTok子どもSNSBEUC

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

英国が子どものためのオンライン安全法案の草案を発表

英政府が、オンライン上のコンテンツや言論を規制しようと長きにわたって議論を進めてきた(子どもの)「安全確保」計画を公開した。

Online Safety Bill(オンライン安全法案)制定に向けた動きは、数年にわたって続いていた。以前の計画では、子どもがオンライン上の不適切なコンテンツにさらされることを防ぐ目的もあり、英国内でオンラインのポルノにアクセスする際の年齢確認を義務化する試みがあったが、こちらは非現実的として広く批判され、ひっそりと取り下げられた

当時の英政府は、オンライン上のさまざまな危険を規制する包括的な法案の策定に注力すると述べた。今回、それが達成された様子だ。

145ページにわたるオンライン安全法案は、123枚の補足資料と146枚のインパクト評価とともに、gov.uk(英政府の公式ウェブサイト)のこちらのウェブサイトにて公開されている。

本草案では、ユーザーがオンライン上で違法および / または有害なコンテンツにさらされる危険を防ぐため、ユーザーが生成したコンテンツの管理義務をデジタルサービスプロバイダーに課している。

英政府はこの計画を世界においても「画期的」なものと位置付け「テクノロジー企業が新時代で負う義務の先駆けであり、オンライン界に公平さと責任をもたらすもの」と主張している。

批評家は、プラットフォームによる過度な検閲を促すことで表現の自由が脅かされるだけでなく、提出法案がデジタル企業にとって法務および業務上大きな負担となるため、技術革新の減退につながる可能性があると警鐘を鳴らしている。

議論が本格化するのは、これからだ。

本法案は今後、下院議員による合同委員会で徹底的に調べられたのち、年内には最終版が正式に議会に提出される。

本法案が施行されるまでどのくらいの時間がかかるのかはまだ不透明だが、英政府は議会の過半数を獲得しているため、世間で大騒動が起きたり与党内で多数が反対に回ったりしない限り、オンライン安全法案は確実に制定の道をたどるだろう。

デジタル相のOliver Dowden(オリバー・ダウデン)氏は声明でこう述べている。「本日発表した画期的な法案は、英国が世界を率いるリーダーであることを示すものだ。この法案はテクノロジー企業が新時代で負う義務の先駆けであり、オンライン界に公平さと責任をもたらすものである」。

「私たちは、我々の権利を保護する新たな措置を通じてインターネット上で子どもたちを守り、ソーシャルメディアで見られる人種差別的発言を厳しく取り締まることで、真に民主的なデジタル時代を切り開いていく」。

英政府がオンライン安全法案の草案を作成する上で要した期間の長さは、法によって「インターネットを規制」する試みがいかに困難かという点を裏づけている。

DCMS(デジタル・文化・メディア・スポーツ省)の広報担当者は、以前「インターネットを安全にしようとする政府の奮闘」についてうっかり漏らしたことがある。英国のオンライン安全法案をめぐる勝者と敗者が誰になるのか、現在はまだ疑問だ。

安全性か、民主主義か

本計画に関するプレスリリースにて、デジタル・文化・メディア・スポーツ省はこの「歴史的な法令」が「子どもたちの安全を守り、人種差別を撤廃し、オンライン上の民主主義を保護する」と主張する。

とはいえ、壮大な目標がいくつも並んでいることからわかるように、関連する分野の範囲はとても広いだ。規定の間で矛盾が生まれ、法令の一貫性が失われてしまえば、失敗のリスクも非常に高い。デジタル企業の業務にも、必要なコンテンツにアクセスしようとするインターネットユーザーにとっても足かせとなってしまう。

本法案は広範囲に適用される模様だ。大手のテクノロジー企業やソーシャルメディアサイトにとどまらず、ユーザーが生成するコンテンツをホストしたり、単にオンラインで人と対話するサービスを提供したりするさまざまなウェブサイト、アプリ、サービスが対象となる。

サービスの領域では、違法コンテンツおよび(大手サービスの場合は)有害なコンテンツを削除および / または制限する法的義務が課せられ、ユーザーを保護する義務を怠った場合は多額の罰金が命じられる可能性がある。さらには、子どもの性的搾取に該当するコンテンツについては、警察に報告する義務も課せられる。

放送メディアと通信分野の取り締まりを担当する英国の通信監視機関Ofcom(オフコム)は、本計画にて英国内のインターネットコンテンツの監視機関としての役割も担う予定だ。

オフコムはユーザー保護の新しい義務を怠った企業に対し、最大1800万ポンド(約28億円)または世界売上高の10%(のどちらか高額な方)を罰金として科す権限を持つ。

この監視機関は、サイトへのアクセスをブロックする権限も有するため、プラットフォーム全体を検閲する可能性も潜んでいる。

厳格なインターネット規制の制定を支持する活動家の一部は、役員階級の目を有害コンテンツ防止策の遵守にしっかりと向けるため、CEOに対する刑事制裁も法案に含めるよう英政府に圧力をかけている。大臣らはここまで厳格な措置の制定は予定していないものの、デジタル・文化・メディア・スポーツ省は、将来的には刑事犯罪での役員の起訴も検討するとし、こう補足している。「テクノロジー企業が安全性向上のための取り組みを強化しない場合、この措置を追って導入する可能性もある」。

インターネット上のプラットフォームに対する規制強化については、英国内の世論は大きく賛成に傾いている一方で、問題となるのは具体的な計画の詳細だ。

本計画は英政府が私有企業に言論の取り締まりをさせることになるため、人権活動家や技術政策の専門家らは、当初から本計画がオンライン上の表現を委縮させるのではないかと警告を重ねてきた。

法律の専門家も同様に、この枠組みの非現実性について警鐘を鳴らしている。「有害」といった概念、さらには新たに「民主的に重要」と位置づけられるコンテンツ(英政府は特定のプラットフォームに対し、これを保護する特別な義務を課そうとしている)の定義が困難なためだ。

わかりやすいリスクとしては、デジタル企業が負う膨大な法的責任の不透明さが挙げられる。英国内のスタートアップ企業の革新に加え、サービス提供状況は大きな影響を受けることとなる。

2019年のホワイトペーパーで公開された法案の前身には、表題に「有害」という単語が使われていた。その後、この単語はより穏やかな「安全」に置き換えられたわけだが、法的な面での不透明さは解消されていない。

法案の主眼は依然として「有害」とされる漠然とした何かを抑制することに向けられている。オンライン上のアクティビティにさまざまな形で関連または関係しているものが対象で、なかには違法なコンテンツもあれば単に不快なコンテンツも含まれる(対象の大半は、Instagramなどのプラットフォーム上で自殺に関するコンテンツが子どもにさらされた事例など、注目を浴びたメディア報道に基づいている)。

具体的な内容としては、いじめや暴言(オンライン荒らし)から、違法コンテンツ(子どもの性的搾取)の流布、単に子どもが見るには不適切なコンテンツ(合法ポルノ)まで多岐に及ぶ。

最新の草案を見ると、ある特定のオンライン詐欺(恋愛詐欺)もまた、英政府が法令で規制しようとしている危険の1つのようだ。

包括的な「有害」コンテンツの枠組みを作る英国のアプローチは、欧州連合のDigital Service Act(デジタルサービス法)とは対照的だ。デジタルサービス法は欧州連合のデジタル規則を改訂する目的でオンライン安全法案と並行して策定が進められており、こちらは違法コンテンツに注意が集中している。内容としては、連合内で違法コンテンツの報告手続きを統一すること、そしてeコマース市場で危険な商品が販売されているリスクに対処すべく、顧客の本人確認を必須とすることだ。

英国の法案がオンライン上の表現に影響を及ぼしかねないとする批判に対し、英政府は本日、人々がオンラインで自由に表現する権利を強化する措置を追加で講じると発表した。

また、この措置は英国におけるジャーナリズムの保護に加え、政治に関する民主的な議論を保護する役割も果たすという。

しかし、こうした条項が本来の法案と相反しているように見えることから、このアプローチにはすでに疑問の声が上がっている。

例えば、報道コンテンツの取り扱い方をめぐるデジタル・文化・メディア・スポーツ省の議論によると、ニュース発行社の公式ウェブサイトは法令の対象にはならない(サイトに投稿される読者のコメントも対象外)こと、また対象サービスにて共有された「一般に認知されているニュース発行社」の記事は、報道以外のコンテンツに適用される法的義務からは除外されることがわかっている。

プラットフォームに、報道コンテンツへのアクセスを保護する法的義務があるのは事実だ。(「つまり、『デジタルプラットフォーム』はコンテンツのモデレーションを実施する際にジャーナリズムの重要性を考慮しなければならないということだ。削除されたコンテンツについてはジャーナリストの控訴手続きを迅速に行い、報道コンテンツを恣意的に削除した場合はオフコムから責任を問われることとなる」とデジタル・文化・メディア・スポーツ省は述べている)

しかし一方で、英政府は「市民ジャーナリストのコンテンツはプロのジャーナリストによるコンテンツと同様の保護を受ける」とも述べているのだ。とすると「一般に認知されている」ニュース発行者(対象外)と市民ジャーナリスト(こちらも対象外)、そして単にインターネット上にブログ記事やコンテンツを投稿しているおじさん(おそらく対象?)のそれぞれの線引きは具体的にどのように行われるのか、見方は人によってさまざまだろう。

政治的発言を保護する取り組みは、デジタルサービスにおけるコンテンツモデレーションを複雑化することにもなる。例えば、人種差別的な意見を持つ過激派集団は、自身のヘイトスピーチや差別発言を「政治的意見」としてごまかすこともできるからだ(人種差別主義で有名な活動家も自らを「ジャーナリスト」と名乗るかもしれない)。

デジタル・文化・メディア・スポーツ省の声明によると、企業は「特定の政治的意見に対する差別をしてはならず、所属政党に関わらず、多様な政治的意見を平等に保護しなければならない」という。

「こうしたコンテンツを保護する政策は明確かつ現実的な規定と条件によって定める必要があり、企業がこの政策に従わない場合はオフコムによる強制措置を受けることになる」声明はさらに続く。「コンテンツのモデレーションを行う際は、企業は該当コンテンツが共有されている政治的背景を考慮する他、民主的に重要な場合はそれを高度に保護する必要がある」。

プラットフォームはこうした相いれない条件をすべてバランスよく遵守する責任を負うことになるというわけだ。今後、オフコムが表現の自由を尊重する形でコンテンツモデレーションを行うための行動規範が作成される予定だが、企業が何かミスをした場合はいつでもオフコムから多額の罰金を科せられる危険がある。

興味深いことに、英政府はFacebook(フェイスブック)が考案した「監督委員会」モデルを好意的に受け止めているようだ。この監督委員会では、委員らが「複雑な」コンテンツモデレーションの事例について判断を下す他、発言のニュアンスの取り違いやコンテンツの不必要な削除を招く恐れがあるとして、AIフィルターの過度な使用を抑制している(以前、テロ関連のコンテンツの削除を高速化する目的で、英政府がプラットフォームに対してAIツールの導入を強く求めていたことを踏まえると、非常に興味深い動きといえる)。

「本法案は英国に住む人々がオンライン上で自由に表現し、多元的かつ率直な議論に参加する権利を徹底的に保護する」デジタル・文化・メディア・スポーツ省はこう続けている。「対象に含まれる企業はすべて、自らの責任を果たすうえで表現の自由の保護を考慮に入れ、必要な措置を取らなければならない。これらの対策はオフコムが作成する行動規範で定められるものの、背景情報が重要となる複雑な事例については、人間の監視官を含める必要がある場合も想定される」。

「企業のサービスを利用する人には、正当な理由なくコンテンツが削除された場合に即座に控訴手続きを行う手段を用意する他、不当にコンテンツが削除された場合は、企業は該当コンテンツを再公開しなければならない。ユーザーはまた、オフコムに控訴することができ、こうした告訴はオフコムのホライズン・スキャニング、調査、および強制措置の大部分を形成する」声明はさらに続く。

「カテゴリー1のサービス『最大かつ最も一般的なサービス』には、追加の義務が課せられる。これらのサービスは表現の自由に与える影響について最新の評価を実施してそれを公開し、マイナスの影響がある場合はそれを最小限に抑える対策を行動で示さなければならない。これらの措置はオンライン企業の対策が限定的になるリスクを取り除く他、オンライン安全性の義務を果たすためにコンテンツを過度に削除する事態を防ぐものである。後者の例としては、AIのモデレーション技術が風刺などの無害なコンテンツを誤って有害と判断してしまう場合などが挙げられる」。

本計画においてわかりにくい別の要素は、法案にいわゆる「ユーザーが生成する詐欺」(偽の投資機会についてのソーシャルメディアでの投稿や、デーティングアプリでの恋愛詐欺など)への対応策が含まれていながら、広告、メール、偽ウェブサイトなどを使って行われるオンライン上の詐欺行為は対象外だという点だ。デジタル・文化・メディア・スポーツ省によると「本法案はユーザーが生成するコンテンツにおける危険に焦点を当てている」。

とはいえ、インターネットユーザーが簡単かつ低コストでオンライン広告を作成し、掲載できる(基本的に、Facebookをはじめとするプラットフォームは料金を払う人なら誰にでも広告ターゲティングツールを提供している)のなら、広告による詐欺を規制から除外する理由はあるのだろうか?

どうやら、ここでの線引きは無意味なようだ。数ドル(数百円)払って虚偽の情報を広めようとする詐欺行為は、無料のFacebookページで秘密の投資アドバイスをうたう投稿をする詐欺行為と比べて何ら変わりはない。

つまり、線引きがランダムでずさんな場合、規則の一貫性やわかりやすさが失われ、抜け穴が存在しやすくなるリスクが生まれてしまうのだ。

並行して、英政府は特に大手テクノロジー企業を規制するため、競争を促す壮大な事前規制制度の考案を進めている。大手プラットフォームの規制制度と、有害なデジタルコンテンツを広範囲で規制するオンライン安全法案の2つの枠組みがある中、双方で義務の矛盾や重複が生まれないようにする難題は、まだ前途に立ちはだかっている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:イギリス子どもデジタル・文化・メディア・スポーツ省SNS

画像クレジット:Aping Vision / STS / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

マリオ風ゲームで女の子にコーディングを教えるErase All Kittensが1.08億円のシード投資を調達

Erase All Kittens創設者ディー・サイガル氏とレオニー・バン・ダー・リンダ氏

Erase All Kittens(EAK、イレース・オール・キトゥンズ)は、8歳から12歳の子ども向けに「マリオ・スタイル」のウェブゲームを開発したEdTech系スタートアップだ。ただし、このゲームには特別な仕かけがある。女の子のコーディング学習の意欲を湧かせるゲームなのだと、同社は強調する(ほとんどのコードは男性が書いているのが現実だからだ)。100を超える国々でプレイヤーが16万人に達した現在、同社はTwinkl Educational Publishing(トウィンクル・エデュケーション・パブリッシング)主導のシードラウンド投資100万ドル(約1億800万円)を調達した。このラウンドには、A Black Square(エイ・ブラック・スクエア)ファミリーオフィスのChristian Reyntjens(クリスチャン・レンジェンス)氏が初めて参加し、その他以前からの支援者であるShazam(シャザム)の創設者の1人も加わっている。

これまでのEAKゲームは無料だったが、2021年7月に公開される新しいゲームは有料化される予定だ。これにより、製品のビジネスモデルを強化する狙いがある。

EAKによれば、プレイヤーの55%は女の子で、95%はゲームをプレイした後に、コーディングのことをもっと学びたいと思うようになったという。現在EAKは、3000の学校で利用されている。そのほとんどは英国と米国だが、パンデミックによるロックダウンの影響で、トラクションは500%まで伸びた。

コーディング教育用のツールは、大半が男性によって作られているため、自然と男の子にアピールするものになっているというのがEAKの主張だ。非常に硬直的で指導的な形で繰り返しコーディングを教え込むやり方は、女の子よりも男の子の心に訴えるものだとEAKは話す。

女性チームによって創設されたこの企業には、子どもたち、特に女の子がコーディングに対する考え方を改めさせるプラットフォームがある。2年間の研究開発の結果、高度にゲーム化された物語形式の遊びを通じて、HTML、CSS、Javascriptなどのスキルを、8歳からの子どもや女の子が学べるゲームが完成した。たとえば子どもたちは、ゲームの旅の間にキャラクターたちとチャットができる。その中には、熟練の起業家でユニコーンの人魚Tarquin Glitterquiff(ターキン・グリッタークイフ)というキャラクターもいる。

「プレイヤーは、夢のインターネット宇宙に暮らす仔猫たちを救うために、ゲームをプレイしながらレベルを作ったり修正したりして、コード編集によりゲーム環境を管理します」と共同創設者でCEOとクリエイティブディレクターを務めるDee Saigal(ディー・サイガル)氏は話す。サイガル氏のチームに加わったのは、共同創設者Leonie Van Der Linde(レオニー・バン・ダー・リンダ)氏、CTOのRex Van Der Spuy(レックス・バン・ダー・スプイ)氏、上級ゲーム開発者Jeremy Keen(ジェレミー・キーン)氏、2DゲームアーティストMikhail Malkin(ミクヘイル・マルキン)氏だ。

画像クレジット:Erase All Kittens game

現行のゲームはHTMLの技術とURLの作り方を教えるものだが、新しいゲーム(2021年7月に公開予定)では、HTML、CSS、Javascriptのスキルが学べる。コーディングの理論を学んでも、すぐに実際の開発者のようにウェブ上でゲームが作れるわけではなく、そこには大きなギャップがある。それを埋めようという狙いだ。

サイガル氏はこう話す。「私たちは、女の子が本当に好きになれるコーディングゲームを開発しています。そこでは、創造性が大きな柱になっています。コードを書けば、すぐにその結果が見られます。ゲームの進め方にはいくつもの道があり、物語の中にコーディング学習が溶け込んでいます」。

さらに同氏は続ける。「私は小さいころ、ゲームデザイナーに憧れていました。ゲームのアイデアを考えるのが大好きだったのですが、コーディングはまったく太刀打ちできない難関に感じていました。学校ではコーディングは教えてくれません。私と同じようにゲームを作りたいと思っている人も周囲にはいませんでした。なので、それは私には不可能なことなのだと思っていたのです」。

「ターゲットとなるオーディエンスの調査をしていたときにわかったのが、女の子の最大の障害は、幼少期から、未だにジェンダーのステレオタイプにはめられていることでした。学校に上がるまでに、それは雪だるま式に大きくなり、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の自信はすでに失われています。教師たちも女の子には期待しません。結果としてそれが成績を下げ、年齢を重ねるごとに、ギャップは広がる一方となります」。

EAKと競合するツールに、Code Kingdoms(コード・キングダムズ)、Swift Playgrounds(スウィフト・プレイグラウンズ)、CodeCombat(コードコンバット)などがある。しかし、これらのゲームは女の子向けというより、はるかに男の子向けだとサイアル氏はいう。

新しいゲーム(下の動画)は、世界中の学校や両親に販売される。EAKではまた、ワン・フォー・ワン方式の支援も行っている。つまり、1つの学校がアカウントを購入するごとに、テック企業、教育団体、NGOなどの提携団体を通じて恵まれない学校に寄付が送られるというものだ。

Twinkl(トウィンクル)の共同創設者にしてCEO、またはTwinklHive(トウィンクルハイブ)のディレクターであるJonathan Seaton(ジョナサン・シートン)氏はこう話す。「Erase All Kittensのパートナーになれたことを本当にうれしく思っています。デジタル企業であるTwinklは、子どもたちにデジタル時代で成功する準備をさせることの重要性を認識しています。このパートナーシップによって大きな変化を起こせると、私たちは確信しています」。

「私たちのチームは、女の子たちを励まし、コード学習と独自のデジタル創作物の制作の機会を平等に与えるというErase All Kittensの使命を後押しできることに、特に胸躍らせています。すべての子どもたちが平等に学習機会を得ることは、Twinklのビジョンの中核でもあり、双方の企業の提携関係を深める決定的な動機でもあります」。

画像クレジット:Erase All Kittens

Erase All Kittensは、ジェンダー格差がますます広がる世界のスキルの格差に対処したいと話している。PWCによると、テック業界で働く女性の割合は24%に過ぎず、全エンジニアのうち女性はわずか12%だ。また、英国の女子学生で就職先の第一志望に技術職を選んだ割合はたったの3%だった。

Childwise(チャイルドワイズ)の調査では、女の子のうち90%は、最初の挑戦でコーディングを諦めている。11歳になるまでにSTEM分野への興味を失えば、二度と興味を持つことはないという。これはテック業界にとって、そして投資家にとって、実に深刻な問題なのだが、拡大は続いている。

関連記事:犯罪歴のある人にコーディングを教え社会復帰をサポートする無料プログラム「Justice Through Code」

カテゴリー:EdTech
タグ:Erase All Kittens子どもコーディングジェンダーSTEM教育

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(文:Mike Butcher、翻訳:金井哲夫)

AmazonがFireタブレットの新ラインアップとキッズモデルを発表、ワイヤレス充電対応版も

米国時間4月27日朝、Amazon(アマゾン)からタブレット端末に関するニュースが続々と発表された。その中でも特に注目を集めているのが、2つの新しい10.1インチデバイス「Fire HD 10」と「Fire HD 10 Plus」の発売だ。Fire HD 10は、明るさを向上させた1080pディスプレイ、オクタコアプロセッサ、3GBのRAMを搭載しており、前バージョンと比べてメモリは50%増量した。

デバイスは薄型軽量化を実現し、バッテリー駆動時間は12時間となった。これまでと同様、この製品の目玉となる特徴は価格だ。本体価格は150ドル(米国で約1万6300円、国内価格1万5980円)で、32GBのストレージが含まれており、64GBにアップグレードすることが可能。30ドル(約3260円)追加することでRAMが3GBから4GBに増し、ワイヤレスQi充電機能が追加され、デバイスのフィニッシュがアップグレードされた「Plus」を購入できる。

また、Fire本体+キーボード付きカバー+Microsoft 365 Personalの1年版サブスクリプションがセットになった220ドル(約2万3900円、国内価格2万4980円から)のバンドル製品「エッセンシャルセット」もある。または、マグネット式のキーボード付きカバーを50ドル(約5430円、国内価格5980円)で別途購入することも可能だ。

子ども向けの「Fire HD 10 Kids(Fire HD 10キッズモデル)」タブレットも同様にアップグレードされており、バッテリー駆動時間はそのままに、10.1インチのHDディスプレイを搭載している。このタブレットは、キックスタンドとハンドルが一体となった子ども用の保護カバーに包まれている。価格は200ドル(約2万1700円、国内価格1万9980円)で、対象年齢は3歳から7歳だという。

画像クレジット:Amazon

そこに加わるのが「Fire Kids Pro」だ。コンシューマー向けハードウェアに関しては「Pro」という言葉の意味はもう完全に失われているかもしれない。ここでは、少し大きくてテクノロジーに精通した子どもたち、つまり6歳から12歳を対象としたデバイスであることを意味している。このデバイスにはアクセスが制限されたデジタルストアが含まれており、その中にはDisney+、Spotify(スポティファイ)、Minecraft(マインクラフト)、Zoom(ズーム)などの大手アプリが含まれていて、子どもたちがリクエストできるようになっている。これらのコンテンツは、ペアレンタルコントロールによって監視することができる。

画像クレジット:Amazon

このタブレット端末にはブラウザが搭載されている(こちらもアクセス制限付き)。YouTube(ユーチューブ)は遠隔学習の重要な要素となっているため、初期設定ではYouTubeへのアクセスがオンになっているが、保護者がアクセスを制限することも可能とのこと。しかし、YouTubeアプリはない。これは、Google(グーグル)がFireタブレット用のアプリを作っていないからだ。おそらく、両社の間には継続的な摩擦があるのだろう。

さらに小型の「Fire 7 Kids Pro」は100ドル(約1万900円)「Fire HD 8 Kids Pro」は140ドル(約1万5200円)となる。これらのデバイスは4月27日より予約受付を開始し、5月26日に出荷予定だ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AmazonFire HD子ども向け

画像クレジット:Amazon

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

子供に照準を合わせたフィンテック「Greenlight」がシリーズDで283億円調達、評価額は約2倍の2500億円に

子どもにやさしい銀行口座として親に売り込んでいるフィンテック会社のGreenlight(グリーンライト)が、シリーズC調達ラウンドで2億6000万ドル(約283億円)を調達した。評価額は約2倍増の23億ドル(約2500億円)だった。

今回のラウンドは、ジョージア州アトランタ拠点のスタートアップが、12億ドル(約1300億円)の評価額で2億1500万ドル(約230億円)を調達してからわずか数カ月のことだ。最新ラウンドの結果、Greenlightの2014年創業以来の調達総額は5億5500万ドル(約600億円)を超えた。

シリーズDをリードしたのはAndreessen Horowithz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)で、他に既存出資者のTTV Capital、Canapi Ventures、Wells Fargo Strategic Capital、BOND、Fin VCおよびGoodwater Capital、新規出資者のWellington Management、Owl VenturesおよびLionTree Partnersが参加した。

2017年に子ども向けデビットカードを発行して以来、同社は300万以上の親と子どものために口座を開設し、アプリを通じて1億2000万ドル(約131億円)以上の預金を集めた。2020年9月に資金調達した際は口座数200万件、預金額5000万ドル(約54億円)だった。

全体では、前年比で売上は「3倍以上」、プラットフォームの親と子の人数は2倍以上に増え、過去1年間にチームの人数は2倍になった、とGreenlightはいう。

画像クレジット:Greenlight

「Greenlightはファミリー財務分野でまたたく間にリーダーになりました」とAndreessen HorowitzのゼネラルパートナーでGreenlightの取締役に就任予定のDavid George(デビッド・ジョージ)氏は声明で語った。「Greenlightは、親が財務に明るい子どもたちを育てる手助けをするために作られ、その使いやすい金銭管理ツールと教育コンテンツの画期的な組み合わせによって、同社は世界で最も愛され信頼される家族向けブランドになる好位置にいます」。

会社は自らのサービスがデビットカードだけでなく、アプリを使って親が口座に入金し、お小遣いやお駄賃を渡したり、子どもたちの使えるお金を管理したりできることをアピールしている。2021年1月、Geenlightは子どものための教育投資プラットフォームであるGreenlight Maxを立ち上げた。このプラットフォームを通じて、子どもたちはMorningstarによる分析とともに株式を調査できるほか、親が承認すれば、Apple(アップル)、Tesla(テスラ)、Microsoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)などの企業に実際に投資することもできる。

以前、TechCrunchが報じたように、これは世代全体を財務サービスプラットフォームに囲い込める可能性のある大きなビジネスであり、おびただしい数の会社が似たような看板を掲げて参入している理由の1つだ。Kard(カード)、Step(ステップ)、Till Financial(ティル・フィナンシャル)、Current(カレント)などが米国内で同様のビジネスを展開しており、Y Combinatorから最近出てきたMozper(モズパー)は、ラテンアメリカにこのモデルを持ち込もうとしている。(StepCurrentも大型ラウンドを本日、4月27日に発表しており、Till Financialはシードラウンドを先週発表した。ちなみにa16zはCurrentのラウンドもリードしている)。

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貯金箱はもういらない、Till Financialの子ども用出費管理アプリがメリンダ・ゲイツ氏の支援を獲得

「私たちGreenlightのビジョンは、子どもたち全員が財政的に健康で幸福な人間に育つ世界を作ることです」とGreenlightの共同ファウンダーでCEOのTim Sheehan(ティム・シーハン)氏は語る。

パンデミックによって、パーソナルファイナンス(個人の財政)の良い習慣を身につけることの大切さがますます強くなっている、と同社はいう。

「家族が一緒に過ごす時間がかつてないほど増え、多くの人達がこれを子どもたちにお金について教える良い機会だと捉えていることで、当社製品に対する需要は高まっています」と同社はいう。

Greenlightの共同ファウンダーであるティム・シーハン氏とJohnson Cook(ジョンソン・クック)氏(画像クレジット:Greenlight)

Greenlightは新たな資金を、プロダクト開発を加速してプラットフォームに財務サービスを追加するとともに、戦略的販売パートナーへの投資と地域の拡大に使うという。現在の従業員275名に加えて、今後2年間にあと300名を雇い、特にエンジニアを増やす計画だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Greenlight子ども資金調達デビットカード

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

貯金箱はもういらない、Till Financialの子ども用出費管理アプリがメリンダ・ゲイツ氏の支援を獲得

現代は、子どももティーンエイジャーも、出費管理の権限を広げたいと思っている。

今でも、その年齢層のための節約と出資を目的とした金銭管理サービスやアプリは数多い。とりわけよく知られている人気アプリの代表にGreenlight(グリーンライト)があるが、そこへ別の角度からアプローチするスタートアップが登場した。子どもたちの出費管理能力の改善を目指す企業だ。

Till Financial(ティル・ファイナンシャル)は、子どもたちを賢い消費者にするための家族向け連帯金銭管理ツールだと自らを称している。ニューヨークを拠点とする同社のバンキング・プラットフォームは、親子間で「オープンで正直」な話し合いを促すようデザインされている。このほど500万ドル(約5億4000万円)を調達し、そのゴールに一歩近づいた。

このラウンドには大勢の投資家が集まった。Elysian Park Ventures、Melinda Gates(メリンダ・ゲイツ)氏のベンチャーファンドPivotal Ventures、Magnify Ventures、Afore Capital、Luge Capital、Alpine Meridian Ventures、The Gramercy Fund、Stadium Goods(ステイディアム・グッズ)の創設者とCEOらによるファミリーオフィスSM Ventures、Lightspeed Venture PartnersのScout Fundなどだ。また、フィンテック企業Petal(ペタル)の創設者たち、酒類マーケットプレイスDrizly(ドリズリー)の創設者たち、Transactis(トランザクティス)の社長、1-800-Flowers(ワン・エイトハンドレッド・フラワーズ)の社長といったエンジェル投資家も参加している。

Tillの目標の1つに、子どもたちが「実践で学ぶ」手助けをして、自信を持って出費の判断ができるように育てることがある。同社は子どもに銀行口座と、デジタルと実際のデビットカードを与え、目標に基づいた節約を行わせる。たとえば、ある十代の若者がiPadを買いたいと思ったとする。Tillは、iPad購入のためのお金を貯められる銀行口座を開設し、おじいさんやおばあさんなどの家族に、その口座に同じ金額か、それ以上の資金援助ができるようにする。また、Netflix(ネットフリックス)やSpotify(スポティファイ)の利用料など、継続的な支払いも行えるようにして、毎回決まった日に必ずお金を払うというのはどんな感じかを体験させる。

「両親も現在の銀行のサービスも、節約という面に限れば重要な部分が欠けています。私たちは第一に、節約と出費を手助けして、子どもたちが『賢くお金を使う人』になるための準備を整えます」と、Tom Pincince(トム・ピンシンス)氏とこの会社を共同創設したTaylor Burton(テイラー・バートン)氏は話す。「Tillでは、子どもたちはしっかり考えて目的のあるお金を使う方法を学び、同時に両親は、透明性と信頼性によって信用を深めることができます」

ピンシンス氏は、この市場は明らかに手薄だと感じてる。

「旧来型の銀行は、子どもたちにはまったく関心がなく、初期のデジタルプレイヤーたちも、そこをまったく見落としています」と彼はいう。

子どもをターゲットにしたアプリは山ほどあるが、正しいプレイヤーのための空間が大きく残されているとピンシンス氏は考えている。

「現実に8歳以上18歳未満の子どもたちは、銀行口座を持たない最大の集団だということです」と彼は話す。「私たちは、お子さんの財布を握ろうと必死になっているのではありません。その財布の中の最初の製品になろうとしているのです」

たしかに、これは大きな市場だ。米国の平均的な中流家庭では、子ども1人あたり18歳になるまでにかかる費用は28万4570ドル(約3070万円)にのぼる

このプラットフォームは、すべての家族が無料で利用できる。これは早々にPayPal Ventures(ペイパル・ベンチャーズ)の運営パートナー兼COOのPeggy Mangot(ペギー・マンゴット)氏の目に留まった。彼女は個人的に、Tillのシードラウンド投資に参加している。PayPal以前、マンゴット氏は、子どもたちに責任ある出費の習慣を身につけさせることを目指したWell Fargo(ウェル・ファーゴ)の手数料なしのモバイル・バンキング・アプリGreenhouse(グリーンハウス)の開発を率いていたこともある。

マンゴット氏には3人の子どもがあり、子どもたちがオンラインで買い物をするときには彼女自身のクレジットカードを渡していたと振り返る。また、店に買い物に行くときや友だちと会うときには、現金を渡していた。

「しかしそれでは、子どもたちにお金の意味が伝わりません。モノの値段を本当に理解する機会がなく、所有している意識も芽生えません」と彼女は話す。「現金やカードを渡すのが私だけだからです」

マンゴット氏がTillに惹かれたのは、子どもたちの「尊厳を重視し介在してくれる」からだという。

また彼女は、お金に関する大切な教訓を小さい時期から学ばせることで、世の中にはもっと責任感のある大人が増えると信じている。

「早い時期から子どもたちにそうしたツールを持たせることで、独立して小切手や請求書を自分で管理しなければならなくなる前に、何年もかけて体験を重ねられます」とマンゴット氏はTechCrunchに話した。「これが広く受け入れられたなら、金銭的な意識と自信と管理能力に満ちた若者が、これまでになく増えることになるでしょう」

Tillは、交換手数料で収益を得ることはせず、ユーザー特典としての商品を提供する業者との提携で利益を出そうとしている。また、ユーザーが大人になり、別の必要性が生じたときに金融機関を紹介する紹介料で利益を得ることも考えている。

「お子さんたちの生涯の銀行になろうとは思っていません。私たちは最初の銀行になりたいのです」とピンシンス氏はいう。「なので、彼らが大人になったとき、私たちは彼らをハイタッチでプラットフォームから送り出し、最初の大学の学資ローンや最初のクレジットカードの契約へと導くことになります」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Till Financial子ども10代資金調達

画像クレジット:Till Financial

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:金井哲夫)

消費者団体が13歳以下の子ども向けInstagramの開発中止をフェイスブックに要望

35の消費者啓発グループの連合と子どもの発達の専門家64人は、Facebook(フェイスブック)にInstagram(インスタグラム)の13歳以下の子ども向けバージョンを立ち上げる計画を再考するよう求める書簡に共同署名した。Facebookは子ども向けバージョンを開発していることを認めていた。書簡の中でグループや専門家は、ソーシャルメディアが幼い子どもや思春期の子どもの身体的健康と心身の幸福全体に関するいくつかのリスク要因にリンクしていると主張している。

書簡は、大企業と企業が子どもをターゲットとしていることに対するキャンペーンを牽引している啓発グループCampaign for a Commercial-Free Childhoodが書いた。

同グループは、ソーシャルメディアが若年層の発達にいかに影響を及ぼすか、そうしたアプリがもたらし得る危険性を強調している。

「多くの研究機関が、デジタルデバイスやソーシャルメディアの過度な使用は思春期の子どもにとって有害だと指摘しています。特にInstagramは子どもやティーンエイジャーに絶えずデバイスをチェックするよう、そしてフォロワーと写真を共有するよう促すために、若い人々の取り残される不安や仲間に認められたいという強い思いを悪用しています」と書いている。「外観や自己表現、そしてブランディングへのプラットフォームの執拗なフォーカスは、思春期の子どもたちのプライバシーや心身の幸福にとって問題となっています。幼い子どもは特にそうした問題に対応するほどに発達しておりません。この大事な発達時期に社会的なやり取り、友人関係、内なる強みや困難への対処法を学んでいます」ともある。

公衆衛生研究や他の論文を引用しながら、書簡は過度なスクリーンタイムとソーシャルメディアの使用が肥満や低い心理的幸福度、睡眠の質の低下、うつや自殺観念のリスクの増加、その他の問題など子どもにとってさまざまなリスクにつながっていると指摘している。思春期の女子は仲間の気を引くために性的な自撮りを投稿するプレッシャーを感じていて、米国のティーンエイジャーの59%がソーシャルメディアでいじめにあったことがあると報告した、と書簡にはある。

グループが抱えるもう1つの懸念は、Instagramのアルゴリズムの使用だ。アルゴリズムは子どもが次に観たりクリックしたりするかもしれないものを提案でき、子どもは「かなり影響されやすい」とグループは指摘している。

グループはまた、年齢をごまかしてInstagramプラットフォームを使用している13歳以下の子どもがいることをFacebookは知っていて、こうしたユーザーはすでに使っているものよりも「お子様向け」バージョンだととらえているものへは移行しないだろうと指摘している。つまりこれは、FacebookがInstagramアカウントを持っていない幼い子どもを「キッズバージョン」でターゲットにしていることを意味する。

提起されている懸念にもかかわらず、Instagramの若いユーザーを取り込もうという計画は抗議の影響を受けることはなさそうだ。ソーシャルメディアでInstagramが現在最も競合しているTikTok(ティクトック)はすでに13歳以下の子ども向けのエクスペリエンスを開発した。そしてTikTokは、米国の子どもプライバシー法COPPA違反でMusical.ly(TikTokの前身アプリ)を調査した連邦取引委員会(FTC)との和解の結果、アプリに年齢確認を導入することを余儀なくされた。

Facebookもまた既存の未成年ユーザーをCOPPA順守のエクスペリエンスへと正しく誘導するためにInstagramに年齢確認を導入しなければならない、という似たような状況になるかもしれない。少なくとも、Facebookはアプリに13歳以下の子どもを取り込むべきではないという主張に対して反論する材料を持っている。たとえ違反とみなされたとしても、FTCの罰金はテック大企業の売上高からすると痛くも痒くもない

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啓発グループの書簡の前に、複数の民主党議員も2021年4月、子どものプライバシーと心身の幸福を守るFacebookの能力に関する懸念を示すために同社のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏宛に書簡を送って追求している。この書簡では、子どもが正式に許可されていないユーザーとチャットできる設計上の欠陥が見つかったMessenger Kidsを具体的に引き合いに出した。議員らは4月26日までに質問に応えるようFacebookに求めている。

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ザッカーバーグ氏は2021年3月にあった議会公聴会で、子ども向けInstagramの計画を認めた。その際、アプリがどのように機能するかについて「検討の初期段階にある」と述べたが、親の監視や関与のようなものを含むかもしれないとした。これはFacebookが今日Messenger Kidsで提供しているもの、そしてTikTokがファミリーペアリングというペアレンタルコントロールで行っているものと似ている。

別の言葉でいうと、マーケットは子どもがすでに親の許可の有無に関係なくソーシャルメディアを使っていることを認める方へとシフトしている。その結果、企業は現実に即して機能や年齢確認を構築している。もちろんこの計画の短所は、一度13歳以下の子ども向けのソーシャルアプリ作成を正当化すれば、企業は公衆衛生の観点からはリスクのあるエクスペリエンスに幼い子どもを引き込む法的権利が与えられるということだ。

Campaign for a Commercial-Free Childhoodは米国時間4月15日、Facebookに子ども向けInstagramの計画を中止させるため、誰でも署名できる請願書も立ち上げた。

Facebookにコメントを求めたところ、以下の声明が送られてきた。

当社はInstagram子ども向けバージョンの検討を始めたばかりです。開発するあらゆるエクスペリエンスは安全とプライバシーを優先しなければならないことに異論はありません。当社は子どもの発達、子どもの安全、メンタルヘルスの専門家に意見を求め、そしてプライバシー擁護者にも案内します。加えて、開発する13歳以下のInstagramには広告は掲載しません。子どもはインターネットを使用しているというのが現実です。子どもたちは家族や友達とつながったり、楽しんだり、学習したいのです。そして当社は安全で年齢にふさわしい方法で子どもたちがそうしたことをできるようにサポートしたいと考えています。また、子どもがアプリにアクセスするために年齢を誤魔化しているという業界が抱える問題に対する実用的なソリューションを見つけたいとも考えています。13歳以下がInstagramを使用することがないよう新たな年齢確認の手法に取り組んでおり、年齢にふさわしく、そして親によって管理される子ども向けのInstagramエクスペリエンスを模索しています。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

米議員がInstagramの子ども向けサービスの詳細についてザッカーバーグ氏に質問状

米民主党の議員たちが今週、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に書簡を送り、子供向けバージョンのInstagramを管理する計画について同CEOに圧力をかけた。2021年3月の議会による聴聞でザッカーバーグ氏は、BuzzFeedの記事を確認して、同社が低年齢ユーザー向けにデザインされた年齢制限バージョンを検討していることを認めている。

書簡に署名している民主党の上院議員Ed Markey(エド・マーキィー)氏(マサチューセッツ州)とRichard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)氏(コネチカット州)、下院議員のLori Trahan(ロリー・トレーハン)氏(マサチューセッツ州)とKathy Castor(キャシー・カスター)氏(フロリダ州)は、幼いユーザーたちのプライバシーとウェルビーイングを保護する同社の能力について「深刻な懸念」を表明している。

「子どもを対象とする新しいプラットフォームやプロジェクトが、それらのユーザーの福利を最優先していることを確証する義務がFacebookにはある。そして私たちは、Facebookにこの義務を満たす用意があることを疑っている」と議員たちは述べている。

彼らは、子どもたちが自らのプライバシー制限を越えてチャットできる欠陥があったMessenger Kidsといったこれまでの失敗を挙げている。

議員たちはその書簡「ソフトウェアにはバグがつきものだが、この話はオンラインの子どもたちへのプライバシーの脅威が存在することを証明し、同社のプラットフォームへ熱心に招いている子どもたちを保護する能力がFacebookにはないことを実証している」と記している。

「Facebookのプラットフォームにおけるこれらおよびその他のプライバシーとセキュリティに関する問題に鑑み、Instagramの低年齢ユーザー向けバージョンでFacebookが子どもたちのプライバシーを適切に保護できるという確信が、私たちにはない」。

この書簡は、同社が将来の子供向け製品に関する包括的で具体的な質問に解答する期限を4月26日と定めている。

書簡で議員たちは、Facebookの低年齢ユーザーのプライベートデータの扱い方について多くの質問を投げかけ、さらにアカウントが終了したときそのデータは削除されるのか、とも尋ねている。また同社は、子どもたちに広告のターゲティングをしないことと、アプリをより中毒的にするプッシュ通知や特定の行為誘導機能を採用しないことを厳守しているか、とも尋ねている。

2021年3月の下院における大手テクノロジー企業の聴聞会では、両党の議員からなる委員会のメンバーがザッカーバーグ氏を質問攻めにした。下院議員のカスター氏は、現在のInstagramにある年齢ガイドラインをうまくごまかして、大量のアダルト向けポストやビデオ、広告などでいっぱいのプラットフォームを使っている低年齢ユーザーについても、彼に質問をした。

「もちろん、13歳未満の子どもがInstagramにいることを、どの親も知っています。問題は、あなたがそれを知っていることです」とザッカーバーグと述べた。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)