ロボット資産運用のウェルスナビが総額45億円を資金調達、預かり資産額は600億円超

アルゴリズムで自動化された個人向けの資産運用サービス、ロボアドバイザーの「WealthNavi」を提供するウェルスナビは2月5日、総額45億円の資金を調達したと発表した。調達の内訳は、未来創生ファンドグローバル・ブレイン、ソニーのCVCであるSony Innovation FundDBJキャピタルSMBCベンチャーキャピタルみずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資による15億円と、複数の金融機関からの融資などによる30億円。

ウェルスナビでは2015年4月の設立以来、2015年7月に5000万円のシード資金をインフィニティ・ベンチャー・パートナーズ(IVP)から調達し、以後、グリーベンチャーズ、IVP、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルおよびDBJキャピタルから2015年10月に約6億円を調達、SBIホールディングス、SBIインベストメント、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、DBJキャピタル、IVPから2016年10月に約15億円を調達している。

2016年7月に一般公開されたロボアドバイザーサービスのWealthNaviは、富裕層や機関投資家が利用してきた資産運用アルゴリズムなどを使い、自動で国際分散投資を行う。クラウド経由で一般消費者でも知識や手間をかけずに、資産運用ができる仕組みだ。

またウェルスナビでは、2017年5月におつりで資産運用を始められるiOSアプリ「マメタス」をローンチしている。マメタスは、クレジットカードで支払った時のおつり分を計算し、毎月一定額をWealthNaviによる資産運用に回す仕組みとなっている。

日本のロボアドバイザーサービスには他に、お金のデザインが提供する「THEO(テオ)」、楽天証券が提供する「楽ラップ」、マネックス・セゾン・バンガードが提供する「MSV LIFE」などがあるが、預かり資産と運用者数ではWealthNaviが現状、頭一つ抜けている。1月24日時点で、申込件数7万口座、預かり資産額は600億円を超えるという。

ウェルスナビでは今回調達した資金について、経営基盤の拡大・強化、WealthNaviやマメタスの新機能拡充や機能改善、運用体制のさらなる強化、マーケティングおよびプロモーション活動の推進に充てる、としている。

月定額のカーレンタルサービス「SmartDrive CARS」発表、安全運転で料金割引も

自動車のビッグデータ解析ビジネスを展開するSmartDriveは2月5日、毎月定額制のコネクテッドカー・レンタルサービス「SmartDrive CARS」を開始すると発表した。

SmartDriveは、自動車に取り付ける専用デバイスから50〜60項目にわたるデータを取得・解析し、それをもとに自動車保険の開発や走行データ可視化サービスなどを展開するスタートアップだ。そのようなデータを利用して、安全運転の度合いによって掛け金が変動するテレマティクス保険をアクサ損害保険と共同で開発するなどの実績がある。

SmartDriveが今回発表したSmartDrive CARS(以下、CARS)では、同社が開発したデータ取得用デバイスを新車に標準搭載し、それを月々定額でユーザーに貸し出す。毎月の利用料には税金、自賠責保険料、メンテナンス費などがパックとして含まれているため、ユーザーは余計な心配をせずに“移動”というサービスだけを享受することができる。

利用料金は車種にもよるが、安いもので月額2万円程度。具体例としては、600万円ほどのランドクルーザーを1年間借りる場合には月額約7万円の料金で利用可能だという。

所有する“モノ”ではなく“移動サービス”としてクルマを捉える動きは加速している。トヨタ自動車代表取締役の豊田章男氏はCES 2018の壇上で、トヨタが今後「モビリティサービス・カンパニー」へ生まれ変わることを明言した。2017年12月にはトヨタモビリティーサービスという名の新会社が設立されていることからも、トヨタがこの変革に本気で取り組んでいることが伺える。

また、2018年1月には定額制のマイカー賃貸サービス「カルモ」がリリースするなど、すでにこの分野には新しいプレイヤーが続々と誕生しつつある。そんなモビリティーサービス市場へ新たに参入するSmartDrive。彼らの攻めの一手は、データだ。

SmartDrive CARSのサービスイメージ図

SmartDriveは既存サービスの「DriveOps」などを通じて、自動車データの収集と解析に関する知見を貯めてきた。同社がこれまでに解析したクルマは2万台を超える。

その強みを生かし、CARSにはデータを貯めれば貯めるほどサービスがより便利に、よりお得になる仕組みが盛り込まれている。

同サービスでは、自動で診断される安全運転スコアに応じてポイントが付与され、溜まったポイントは他のショッピングポイントなどに交換することができる。また、安全運転を続けることで月々の利用料金が安くなるなどの仕組みも検討中だという。

将来的には、クルマの位置情報を利用することで、ガソリンスタンドに入ると自動的にクーポンが届くなど、データとリアル店舗を組み合わせた取り組みなどにも期待できそうだ。

「あるショッピングセンターで買い物をしなくなったユーザーが、その代わりにいったいどこで買い物をしているのかなど、クルマから取得できるデータには大きな価値がある。そのようなデータを販売し、ユーザーに還元することで月額利用料がどんどん安くなるモデルを作る。最終的には、クルマを完全無料で手に入れる時代が来るかもしれない。クルマを入手することの対価として、お金ではなくデータを払うという時代です」(北川氏)

SmartDriveはCARSを2018年春にリリース予定で、選べる車種やそれに応じた利用料金などの詳細は順次公開していくとしている。

同社は2013年10月の創業で、2017年4月にはシリーズBラウンドで10億円の資金調達を実施している。なお、当時同社はシリーズBにおける出資企業を非公開としていたが、同ラウンドにはSMBCベンチャーキャピタル産業革新機構住友商事Sony Innovation Fund、FoxconnグループのCVCである2020、みずほキャピタルが参加していたことをTechCrunch Japanに明かした。

仮想通貨の確定申告サービスが続々公開――freeeが損益計算ツールをリリース、マネフォも支援プログラム

2018年に入ってもう1カ月が過ぎた。いよいよ今年もあのイベントがやってくる。そう、確定申告だ。

毎年この時期はバタバタする人が増えるけれど(まさに僕もその1人だ)、今年はビットコインを中心とした「仮想通貨」が急速に広がったことで、例年以上に混乱する年となるかもしれない。

国税庁は2017年9月に「ビットコインを使用することにより生じる損益は、原則として雑所得に区分する」という旨のタックスアンサーを発表。12月には所得の計算方法に関するガイドラインも公開した。

ただし大枠については見解が示されているものの、完全に制度が整っている段階とは言えず、「正直どうしたらいいのかわからない」という人もいるだろう。

詳しくは後述するが、そのような「仮想通貨の確定申告」の問題を解決しようとするスタートアップが、2018年に入り増えてきている。クラウド会計ソフトなどを展開するfreeeもそのうちの1社。同社は2月5日、仮想通貨の損益計算ツール「会計freee for 仮想通貨」をリリースした。

制度が追いついておらず、納税のハードルが高い

確定申告の対象者にとって大きな障壁となるのが、国税庁が示す方法に対応するために必要な「取引時のレートの取得」だろう。

「取引所ごとにレートが異なるため、正確な計算には各取引所で当時のレートを取得する必要がありかなりハードルが高い。また仮想通貨の課税制度も複雑。今後新たな技術がでてきた時にイノベーションを阻害しないためにも、もう少し制度や仕組みが追いついてくる必要がある」(freee 担当者)

国税庁のガイドライン公開などに伴って、freeeにも仮想通貨が絡んだ確定申告についての問い合わせが増加。対象者向けのセミナーの募集をしたところ、公開から2時間もたたない間に200人以上の申込みがあり、想定していた400人の枠が1日で埋まってしまったという。

「今まで自分で申告をやったことがないサラリーマンも多い。周りに話の聞ける専門家がいないケースも多く、そもそも確定申告が必要なのか把握できていない人もいる状況」とのことで、年明けから急ピッチで損益計算ツールを開発した。

会計freee for 仮想通貨は対応する取引所の履歴(CSV)をアップロードすると、国税庁のガイドラインに基づく形で仮想通貨の損益計算をしてくれるツールだ。売却と仮想通貨のトレードに対応し、取得価格の計算方法は総平均法を用いる(freeeが利用許諾を得ている外部サービスの過去レート情報をもとに計算)。仮想通貨を利用した商品購入については対象外となる。

現時点での対応取引所はbitFlyerとbitbankの2つで、今後は取引所の拡大や移動平均法での計算に対応することも検討するという。損益計算ツールの利用については無料。会計freeeのユーザーであれば、取得した結果を確定申告書類にも反映できるのが特徴だ。

無料で利用できる一方で、対応する取引所の数が限られるなど他のツールに比べて圧倒的に優れているとは正直言えないかもしれない。

ただその点については「損益計算ツールでマネタイズしたい、他社に負けないツールを作りたいというわけではなく、困っている人が多いので少しでも助けになればと開発した。会計ツールこそがウリなので、仮想通貨に関する申告が(初めて申告する人でも)わかりやすいような設計をした」としている。

マネーフォワードなど複数社が申告サポートサービス公開

冒頭でも触れたとおり、損益計算ツールを中心とした仮想通貨の税務関連サービスが増え始めている。TechCrunch Japanでは1月に「G-tax」を提供するAerial Partnersを紹介した。G-taxは10の取引所に対応する無料の損益計算ツール。これに加えて同社では仮想通貨税務に詳しい税理士を紹介する「Guardian」も手がけている。

ゴールドマン・サックス出身の起業家が手がかる「Cryptact」は13の取引所、1476種類の仮想通貨に対応。すでに8500人が登録していて、EY税理士法人との税務顧問契約も発表した。

また損益計算ツールではないが、マネーフォワードもAerial Partnersと連携した仮想通貨申告サポートプログラムを2月2日に始めたばかり。仮想通貨取引に関する確定申告者に対して、認定仮想通貨税理士が損益計算や申告書作成などを支援するという。

確定申告期間に向けて、この領域は今後さらに盛り上がっていきそうだ。

“実はコンビニよりも数が多い”歯科医院向けCRMのDentaLightが1.6億円調達

歯科医院向けの予約・CRMサービス「ジニー」などを展開するDentaLightは2月5日、500 Startups Japanドーガン・ベータF VenturesBEENEXT、および千葉功太郎士、秦充洋氏、山口英彦氏ら複数の個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達金額は約1億6000万円だ。

DentaLightのメンバー。写真中央が代表取締役の藤久保元希氏

DentaLightは歯科から予防医療に挑むことを目指し、歯科医院向けの予約・CRMサービスのジニーや、診察券代わりに利用できるアプリ「my Dental」などを提供するスタートアップだ。

ジニーでは、これまで紙で運用されることの多かった予約台帳をオンライン上で運用できるほか、予約の”うっかり忘れ”を防ぐために、診察日が近づいた患者に自動でリマインドメール(SMSかE-mail)を送ることができる。また、歯のメンテナンス時期が近づいた患者をリストアップすることも可能なので、医院からの能動的な集客にも役立てることができる。

DentaLight代表取締役の藤久保元希氏に聞けば、歯科医院には「サブカルテ」なるものがあるのだそう。これは、電子化が進む通常のカルテとは違い、医院ごとに独自のフォーマットで作られている紙の書類だ。そこには、「家族は何人」や「ホワイトニングに興味がある」など、今後の患者とのコミュニケーションや集客に役立ちそうな情報が雑多に書き記されているという。

なぜ、わざわざ別の資料にそういった情報を書くかというと、基本的に電子カルテには「どこどこの歯に治療を行った」など、その後の保険請求につながる事柄しか書かないからだ。しかも、そうして別資料として作られたサブカルテは患者ごとに分けられたクリアファイルに入れられ、そこに問診票、見積書のコピー、Web検索結果をプリントしたものなどが一緒に入れられているような状況だと藤久保氏はいう。そこをテクノロジーで置き換えるのがジニーの役割だ。

また、歯科医院は激しい競争にさらされている。日本歯科医師会の発表によれば、日本全国にある歯科医院の数は約6万8000軒。これは全国にあるコンビニの店舗数(2017年12月現在で約5万5000店舗)よりも多い数字だ。そういえば、僕の自宅近くにある古い商店街のなかだけでも3軒はある。ちなみにコンビニは1軒だけだ。

藤久保氏は、「競争が多い歯科医院は集客に苦労している。サブカルテに書かれた情報こそ、その後のアップセルやコミュニケーションにおいて重要な情報なのに、それがしっかりと管理されていない」と語る。自身がマーケッターでもあった藤久保氏は、サブカルテに書かれた情報をオンライン上で管理することができれば歯科医院の集客の助けになると考え、ジニーを開発した。

ジニーはフリーミアムの料金モデルを採用。予約機能だけを利用できる無料のフリープランと、患者のリストアップなどマーケティング機能も利用できる月額2万8000円のスタンダードプランが用意されている。同サービスはこれまでに50の歯科医院に導入されている。

ただ、正直に言うと、ジニーには個人的に残念と思う点もある。ジニーを使えば患者に予約のリマインドメールを送ることはできるが、そこから実際に予約するためには、メールに書かれた電話番号に電話をかける必要があるのだ。せっかく「myDental」というユーザー向けアプリもあるのだから、それを通して予約ができれば電話嫌いな僕としては助かるのだが。

それについて藤久保氏に聞くと、アプリを通した予約機能はもちろん実装を目指していたが、それに至るまでには大きな障害があったのだという。

医院が提供する治療のなかには、特定の医師でなければ提供できないものがある。また、治療には長く時間がかかるものもあれば短くて済むものもある。そのため、そのような事情を理解してスケジュールの前後を調整できる受付係が必要だという意見が歯科医院から多くあがったのだそうだ。つまり、医院側からすれば、アプリのスケジューラーに空きがあってもそこに“勝手に入れてもらっちゃ困る”というわけだ。

とは言え、ユーザー側からするとアプリから予約できた方が便利であるのは間違いない。アプリを通した予約機能について藤久保氏は、「導入前のヒアリングなどを通して医院ごとの事情を理解し、それをインプットとしてシステム上に反映することができれば、アプリを通した予約機能も実装できる」と話す。

DentaLightは2013年10月の創業。今回の資金調達が同社にとって初の外部調達となる。

ニンテンドースイッチの販売台数が1300万台を突破。任天堂は「Wiiを超える勢い」をアピール

eng-logo-2015任天堂は1月31日、2018年3月期第3四半期決算説明会にて、同社の据え置きゲーム機「ニンテンドースイッチ」が年末商戦で販売台数を大きく伸ばし、現時点では全世界で累計1300万台を突破したことを明らかにしました。今期(2018年3月まで)の販売数量予想は、昨年10月の1400万台から100万台増の1500万台に上方修正されるとのこと。

任天堂はスイッチ売上の好調のみならず、その勢いが最も普及スピードが早かった同社の据え置きハードのWiiと肩を並べるか、地域によっては上回るペースである事実を強調。Wiiが象徴していた任天堂の黄金期が再び到来したことを印象づけています。

すでに1月4日、米任天堂はニンテンドースイッチが北米市場にて発売後10ヶ月で480万台を売上げ、Wiiの400万台を抜いて同社の据え置きゲームハード史上最速の記録を更新したと発表していました。

今回の報告では、北米に合わせてヨーロッパ市場や日本国内市場でのセルスルー(メーカーからの出荷台数ではなく、実際に消費者に販売された台数)推移を公表しています。

いずれの市場でも販売台数を伸ばし、ヨーロッパではWiiと肩を並べ、国内でも「ホリデー商戦にしっかりとした数をお届けすることができ」たとのこと。文面ではWiiとの比較に触れていない日本では、逆にWiiの勢いが凄まじかったと分るのがご愛嬌でしょうか。

続いてソフトについては、発売1年目にして、すでに3タイトルが600万本を超えるセルスルーを記録し、依然として販売を伸ばしているとのこと。

昨年3月発売の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はスイッチ版だけで600万本、4月の『マリオカート8 デラックス』は650万本超え、10月に発売されたばかりの『スーパーマリオ オデッセイ』は750万本以上もの爆発的な大ヒット。

昨年7月発売の『スプラトゥーン』も450万本を超え、すでに前作のWii U用『スプラトゥーン』を上回っているとか。本体装着率(ハード本体一台に対するソフト販売本数の割合)は約60%にもおよび、スイッチ本体との同梱版が売れに売れたようです。

さらに任天堂は、これら上位4タイトルにつき「早期に複数揃えられたこと」と「本体装着率の高さ」を、グラフを駆使して解説。そこで比較される対象は、かつて1億163万台も売れた自社のWiiであり、同社にとって「Wii超え」が悲願であることが伺えます。

提示されたグラフでは、Wii普及の起爆剤となった『Wii Sports』の装着率が90%近くで、スイッチ勢もさすがに及ばず。とはいえ、これは「米欧市場ではWii本体に同梱して販売」したものだからと、『Wii Sports』の本体同梱分を灰色にして除外した別バージョンも用意している周到さです。

こうした適正化を行うと、『Wii Sports』の純粋な(本体とは別にソフトを買った)本体装着率は20%以下に。『はじめてのWii』は40%台、『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』は30%以下、『マリオパーティ8』も20%以下に落ち着き、スイッチの上位4タイトルを下回っています。

グラフから推測できるのは、スイッチ本体と同時に数本のソフトを買うか、最初のゲームをクリアした後に次々と他のタイトルも買い集めるユーザーの消費行動でしょう。

任天堂が言う「新ハードの立ち上げ時期に、こうしたヒットタイトルが複数生まれたことは、単に特定のソフトが一定数量売れた、ということ以上の意義がある」とは、スマホアプリの隆盛と裏腹に失われていった「据え置きハードのソフトを買う習慣」の復活を意味しているとも思われます。

しかし、発売1年目には絶好調だったWiiが勢いを落としたのは(2009年をピークに、2010年から下降)しだいに魅力的な新作ソフトが不足していったからでしょう。スイッチの今後は、1年目のブームをさらに加速させるタイトルが2年目、3年目に出続けるかにかかっているのかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

金融庁がコインチェックへの立入検査、CAMPFIREなどみなし仮想通貨交換業者15社にも報告徴求命令

金融庁は2月2日、資金決済法に基づきコインチェックへ立入検査を行ったことを明らかにした。

1月26日に580億円に相当するNEMの流出が発覚してからちょうど1週間が経った。28日にコインチェックが保有者約26万人に日本円での返金を発表、翌29日には金融庁が同社に対し業務改善命令を発令したばかり。2月13日までに事実関係や原因の究明、顧客への適切な対応などを「書面で報告すること」ということだったが、それを待たずしての立ち入り検査となった。

金融庁では合わせて1日に同社以外の仮想通貨交換業者(16社)と、みなし仮想通貨交換業者(15社)に対しシステムリスク管理態勢に関する報告徴求命令を出したことも明かしている。

コインチェックは金融庁の審査待ちで「みなし仮想通貨交換業者」という扱いだったが、同じく現在審査中とされる15社の社名も公開された。

  • みんなのビットコイン
  • Payward Japan
  • バイクリメンツ
  • CAMPFIRE
  • 東京ゲートウェイ
  • LastRoots
  • deBit
  • エターナルリンク
  • FSHO
  • 来夢
  • ビットステーション
  • ブルードリームジャパン
  • ミスターエクスチェンジ
  • BMEX
  • bitExpress

なおbitFlyerやテックビューロなど仮想通貨交換業者16社については金融庁のサイトで公開されている。

 

 

任天堂、マリオ映画化は『ミニオンズ』のイルミネーションと提携。宮本茂も共同プロデュース

eng-logo-2015任天堂とイルミネーションは、『スーパーマリオ』を扱ったアニメ映画の企画開発を開始したと発表しました。

イルミネーションは、米国に拠点を置く映画制作会社。ユニバーサルスタジオの子会社であり、主に3DCGアニメを制作しています。代表作は『怪盗グルーの月泥棒』や『ミニオンズ』など。イルミネーションがスーパーマリオのアニメ映画を制作することは以前よりされており、それが現実となった形です。

今回の企画開発にあたり、プロデューサーは任天堂代表取締役フェローで「スーパーマリオ」シリーズの産みの親でもある宮本茂氏、および、イルミネーション創業者で代表のChris Meledandri氏が共同担当。両者は次のような声明を出しています。

「任天堂はこのプロジェクトを通じて、ゲーム以外の形においても任天堂IP(知的財産)を積極的に活用し、世界中で一人でも多くの皆様を笑顔にするための努力を続けてまいります」(任天堂 宮本茂氏)

「イルミネーションはこのプロジェクトを通じて、世界中の全年齢のお客様に、スーパーマリオという世界で最も有名なフランチャイズの愛されるキャラクターとストーリーに繋がっていただき、全てのプロパティに喜びと発見を注入するという会社の命題の達成に取り組み続けます」(イルミネーション Chris Meledandri氏 )

また任天堂によると、スーパーマリオの映画化は「任天堂IPを積極的に活用するための新しい取り組み」であるとのこと。映画の公開時期や具体的な情報については「皆様にお楽しみいただける映像がご用意できた段階で、改めてお伝えしたいと思います」とコメントしています。

スーパーマリオがハリウッド映画化?「ミニオン」のスタジオと協議中、宮本茂氏も制作に関与との報 (2017年11月)

Engadget 日本版からの転載。

資産管理業の自動化ソリューションを提供するロボット投信が4億円を調達

金融機関向けに資産運用業務の自動化ソリューションなどを提供するロボット投信は2月1日、インキュベイトファンドテックアクセルベンチャーズ三菱東京UFJ銀行SMBCベンチャーキャピタルカブドットコム証券みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資により、総額約4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

ロボット投信は2016年9月にもインキュベイトファンドから1億円を調達。今回はそれに続くラウンドとなる。

同社が手がけるのは、いわゆる金融機関向けの「RPA(Robotic Process Automation)」サービスだ。ここ半年ほどでも複数の大手企業に対して、テクノロジーを活用した資産運用業の効率化、自動化ソリューションを提供している。

  • カブドットコム証券へ投資信託の信託報酬実額シミュレーションツールと基準価額変動要因分析ツールの提供(2017年7月、9月)
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券へ「Amazon Alexa」に対応する情報配信サービス「投資情報」スキルの提供(2017年11月)
  • みずほ証券へ電話自動応答システムを用いた投資信託および市況概況情報のサービス提供(2017年12月)

これらのRPAソリューションに加えて、ロボット投信では投資信託データや株式データといった金融・経済データの提供、ロボアドバイザーエンジンの開発も行っている。

ロボアドザイザーといえば「THEO」のお金のデザインや、「WealthNavi」のウェルスナビなど、消費者向けのプロダクトを開発するスタートアップの活躍が目立つ。ロボット投信のように法人向けにロボアドバイザーエンジンを提供するスタートアップというのは、なかなか表に出てこない存在かもしれない。

今回調達した資金をもとに、今後はより幅広い事業領域で資産運用RPAソリューションの開発に着手。テクノロジーを活用した資産運用プラットフォームの構築を進めていくという。

名作マリオカートがいよいよスマホに登場、任天堂が今年度中に配信予定

任天堂は2月1日、スマートフォン向けアプリ「Mario Kart Tour(マリオカート ツアー)」を開発中であることをTwitter上で明かした。2019年3月までの配信開始を予定している。

詳細は明かされていないものの、マリオカートツアーについては1月31日に開催された決算説明会の資料でも触れられている。

任天堂のスマートデバイス事業の主な目的は「任天堂IPに触れる人口の最大化」、「スマートデバイス事業単体での収益化」、「ゲーム専用機事業との相乗効果」の3点。

すでに2億ダウンロードを突破し、月間アクティブユーザー数も2000万人前後を誇る「Super Mario Run(スーパーマリオ ラン)」を筆頭に、「どうぶつの森 ポケットキャンプ」や「Fire Emblem Heroes(ファイアーエムブレム ヒーローズ)」など複数のアプリを通じて任天堂IPを広げていく方針。

今回発表されたマリオカートツアーも大きな注目を集めそうだ。

アカツキが「エンタメ×テック」ファンドの投資先公開、人工流れ星やMRお化け屋敷など国内外8社

モバイルゲームなど複数のエンターテイメント事業を展開するアカツキは2月1日、2017年10月に設立した「Akatsuki Entertainment Technology Fund」の出資先を公開した。

同ファンドは国内外のARやVR、MRを中心とした「テクノロジー×エンタメ」領域のスタートアップに対し、シード〜シリーズAのラウンドで1社あたり1000万円〜1億円の出資をするというもの。映画やゲームだけでなく、広い範囲でエンタメの要素がある事業は出資の対象となる。

これまで日本企業2社を含めた計8社へ出資。今回そのうち6社については企業名も公表している。

  • ALE (日本) : 人工流れ星事業ほか宇宙関連エンターテイメント事業、衛星事業
  • Fable Studio(米国): AR・VR上でのAIキャラクターエンジンの開発
  • HypeVR(米国): 奥行きのある360度画像の撮影・VR化、データ圧縮技術開発
  • Super Media Future(米国): リアルタイムモーションキャプチャ技術を使用し、AR上でアバターを表示されるアプリを開発
  • RosieReality(スイス): 子ども向けロボティクス学習ARアプリ開発
  • ティフォン(日本) : ロケーションベースのMRアトラクションの開発・運営

日本の2社についてはすでに知っているという人も多いかもしれない。ALEはゴールドマン・サックス出身の岡島礼奈氏が創業した、「宇宙×エンタメ」領域のスタートアップ。プロダクトはもちろん、2016年にエンジェルラウンドで7億円を調達したことでも話題となった。

ティフォンは以前TechCrunchでも紹介している。詳細についてはそちらを参照してもらえればと思うが、都内で体験できる「MRお化け屋敷」を運営。同社はディズニーからも出資を受けている。

アカツキではモバイルゲームの開発を手がける一方で、ライブエクスペリエンス事業としてリアルなコンテンツ作りにも取り組んできた(「Wowful」「そとあそび」などのプラットフォームに加えて、アカツキライブエンターテインメントを通じてコンテンツも提供)。

アカツキ取締役CFOでファンドのメインディレクターを務める小川智也氏の話では「事業として一緒に何かやれそうか」が出資の基準のひとつとなっているそう。具体的な動きはこれからだというが、今後各社とは協業を進めていきたいという。

「ティフォンとはたとえばリアルなコンテンツの共同開発、またはその体験を広げていくプラットフォームの提供などが考えられる。ALEについてはこれから『コト消費』が伸びると考えて出資した。(アカツキでは)自社でイベントのプロデュースなどもやっていて、その面で協業できる可能性もある」(小川氏)

VR向けヘッドマウントディスプレイで知られるOculusで昨年閉鎖された、オリジナルVRコンテンツ制作部門「Oculus Story Studio」の元メンバーが創業したFable Studio、チューリッヒ工科大学のプロジェクトがスピンアウトする形で設立されたRosieRealityにも出資。米国にも拠点を開設することで、海外のユニークな企業ともつながりができているという。

「エンタメ領域では事業会社ならではのバリューも出せる。日米に拠点を持つエンタメ×テクノロジーに特化したファンドとしてユニークなポジションを狙えると思っているので、今後も積極的に動いていきたい」(小川氏)

富士フィルムがXeroxを傘下に――人員削減は1万人規模

今週、日本の富士フィルムはXerox株式の過半数を取得することを発表した。このニュースは、長年アメリカのテクノロジーを代表してきた企業であり、写真複写機の代名詞にもなってきたXeroxがオフィスから紙が消えつつあることにより複写機でもプリンターでも苦戦を余儀なくされていることをあらためて印象づけた。今週、両社の取締役会は富士フィルムがXerox株式の50.1%を取得することを承認した。

富士フィルムとXeroxの提携がさまざまなプロダクトのブランド名に与えた影響は非常に複雑だが、ビジネスとしてみた場合、背景はだいたいこういうことだ。富士フィルムとXeroxは1962年に富士ゼロックスを合弁で設立した。この共同事業は主として日本・アジ太平洋地区で行われ、Xeroxはアメリカ、ヨーロッパででの事業に専念していた。現在の持ち分比率は富士フィルムが75、Xeroxが25だ。

今回の契約で、既存の富士ゼロックスはまずアメリカ Xeroxの子会社となる。新会社は―ここから面倒なことになるが― Fuji Xeroxという名称になる。そのFuji Xerox株の過半数を富士フィルムが保有する。混乱を避けるために新しいジョイント・ベンチャーは一時New Fuji Xeroxと呼ばれる。

下はプレスリリース中の経営統合の流れを示した図だ。これで多少わかりやすくなっただろうか? 

両社ともオフィスが急速にペーパーレス化する流れの中で利益を確保するために苦闘してきた。新会社についてひとつ確実なことは、大規模なレイオフが実行されることだ。新会社は、2020年までに主としてアジア・太平洋地区で、1万人以上の人員削減を実行する予定だ。

ではあるものの、富士フィルムは今後の見通しについて強気だ。プレスリリースによれば、「統合された新会社は2020年までに総額17億ドル(うち12億ドル分は2020年まで)のコスト削減を実現する」という。

画像: James Leynse/Corbis via Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


<

LINEモバイルがソフトバンク傘下に。戦略的提携に向け基本合意

eng-logo-2015LINEモバイルとソフトバンクが、戦略的提携についての基本合意に達したことを発表しました。

基本合意の内容は、LINEモバイルが実施する第三者割当増資をソフトバンクが引き受ける形での資本提携と、MVNO事業推進のための業務提携の2つ。詳細は今後の協議により決定するとのことです。

本取引は2018年3月頃に完了予定とされており、取引完了後の出資比率はLINE49%、ソフトバンク51%。LINEモバイルはこれまで、LINEの100%子会社として、ドコモ回線を使ったMVNO事業を展開していましたが、実質的にソフトバンク傘下の企業となります。

LINEモバイルは、2017年12月にはユーザー1人あたりの平均月額サービス利用料(Average Revenue Per User/ARPU)が前年同月比約1.3倍に、サービス開始からこれまでの平均月間解約率は0.92%と順調に成長を続けてきたとのこと。しかし、多角化したユーザーニーズに対応し、ユーザーの生活に寄り添ったモバイル通信サービスの提供を拡大させていくため、ソフトバンクとのパートナーシップを決めたとのこと。

なお、現在契約中のユーザーはこれまで通りサービスを利用可能とのことです。

Engadget 日本版からの転載。

ZOZOで体型データにピッタリのTシャツやデニムパンツをオーダーメイド

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布とプライベートブランド(PB)「ZOZO」の立ち上げを発表したのは、昨年11月のことだった。しかし、ZOZOSUITには予約が殺到。生産量が足りなくなって、2017年内の配送ができず、PBスタートも延期となっていた。

そして今日(1月31日)ついに、満を持して、ZOZOの商品が販売開始となった。ZOZOでは、体の寸法を瞬時に採寸できる、伸縮センサーが内蔵された上下セットの採寸ボディースーツ、ZOZOSUITで計測したデータから、一人ひとりの体型に合わせた服をオーダーメイド式で製造・販売する。

生産が遅れていたZOZOSUITについても、1月31日から随時配送が始まる。ただし11月中に予約した人で最大6ヶ月、12月以降に予約した場合は最大8ヶ月程度待つ可能性があるそうだ。

ZOZOブランドの商品は、クルーネックTシャツやデニムパンツなどのベーシックアイテム。これまで、着心地と見た目のシルエットの両面で満足できるアイテムの研究開発を進めてきたという。特に商品開発においては、あらゆる体型を考慮して、1タイプで数千から数万種類にもなるサイズパターンを作成し、それを高品質・短納期・低価格で製造するために、生産プロセスのIT化や自動化を図り、オーダーメイド注文に対応するための生産ラインを整えたということだ。

また、通常のオーダーメイドでは納期に数週間から数カ月かかるところを、体型データと需要をあらかじめ分析することで、高需要が見込まれる特定のサイズパターンについて一定量の在庫を抱え、注文後すぐに届けられるようにしていく。アイテムにもよるが、即日から約2週間以内での納品を目指す。

ZOZOSUITで計測した体型データは、ZOZOだけの利用で終わるわけではない。ZOZOTOWN内の他の商品についても、自分に合うサイズのアイテムが検索できる新機能「自分サイズ検索」が導入された。

自分に合ったサイズの商品のみを表示させることができるので、カテゴリやブランドからの検索では膨大な数のアイテムの中で埋もれていた商品やブランドとの出会いが期待できるという。

スタートトゥデイは同日、ファッションを科学的に解明するプロジェクトチーム「スタートトゥデイ研究所」も発足させている。2017年10月にスタートトゥデイが買収した、VASILY代表取締役の金山裕樹氏が研究所のプロジェクトリーダーを務める。

スタートトゥデイグループが保有する情報資産には、約3000万件のブランド公式商品データや、約1000万件のコーディネートデータ、約2300万人のユーザー情報、年間約3000万件の物流関連データなどがあり、さらに今後、ZOZOSUITで体型データも蓄積されていく。

「ファッションを数値化する」をミッションにうたう、この研究所では、これらの既存データや体型データを使って、「“美しい、カッコいい、かわいい”ファッションとはいったい何なのかを科学的に解明する」という。

また、このミッションに賛同し、AIや暗号化技術、ビッグデータ、AR/MR/VR、ロボット工学などの技術分野でともに研究を行う研究者やエンジニア、企業を研究所では募集しているそうだ。

TechCrunch Japanでは、一連の発表について、スタートトゥデイ代表取締役社長の前澤友作氏とVASILYの金山氏にインタビューを行っている。PB構想、ZOZOSUIT開発の裏側や研究所の狙いについて詳しく聞いているので、そちらもぜひ読んでみてほしい。

LINEが仮想通貨事業などの金融事業への参入を本格化、新会社を設立

モバイル決済サービス「LINE Pay」がリリースされたのは、2014年12月のこと。3年を経過して、2017年には全世界での年間取引高が4500億円を超え、登録ユーザー数は4000万人となった。そのLINE Payに続き、LINEがついに、というか、ようやく、というべきか、仮想通貨取引所などをはじめとする金融事業に本格的に乗り出す。

1月31日、LINEは金融事業関連の新会社「LINE Financial」の設立を発表した。1月10日に資本金50億円で設立された新会社の代表取締役には、LINE代表取締役社長の出澤剛氏が就任している。

LINE Financialでは、仮想通貨交換や取引所、ローン、保険といった金融関連サービスを、コミュニケーションアプリのLINE上で提供すべく準備を進め、金融事業の拡大を図っていく。また、現在メッセンジャー運用で培ってきたセキュリティへの対応に加え、ブロックチェーン技術などの研究開発も推進することで、安全で便利な金融サービスの提供を目指すという。

仮想通貨事業関連に関して、同社は既に金融庁への仮想通貨交換業者登録のための手続きを開始し、審査中とのことだ。

世界中のクールなサーフィン動画を集めたアプリ「NobodySurf」、運営のreblueが2.3億円の調達

アプリを立ち上げれば、すぐに心地よい音楽とサーフィンの動画が流れ出す。数分の動画が終われば、また新しい音楽とサーフィン動画が続く。まるでSpotifyに代表されるようなサブスクリプション型の音楽配信サービスのプレイリストのように、クリエーターやサーファー、エリアごとの動画や、新作動画などが次々に再生されていく。reblue(リブルー)の手がける「NobodySurf」はサーフィン好きにはもってこいの動画サービスだ。現在スマートフォンアプリ(iOS/Android)のほか、ウェブサイト、Instagramをはじめとするソーシャルメディアで動画を配信している。

サービスを手がけるreblueは1月31日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)およびアドウェイズ、Supership取締役で個人投資家の古川健介氏、元nanapi CTOの和田修一氏などを引受先とした総額2億3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした(GCPが2億円、その他投資家で合計3000万円)。同社はこれまでに、アドウェイズのほか、古川氏を初めとする個人投資家複数名から出資を受けており、本ラウンドまでの累計調達額は2億8000万円になる。

reblueの設立は2014年9月。代表取締役の岡田英之氏は伊藤忠商事の出身。13年間のキャリアのうち、後半の6年間はグループ企業であるエキサイトに在席。スマートフォンアプリの事業を担当したのちに起業した。

「インターネットの好きなところは2つ。『個をエンパワーすること』そして『国境を完全に越えていけること』。いいモノを作っているけれどもスポットライトが当たっていない人達がいて、それを伝えれないか、ということを考えていた」(岡田氏)

そこで事業に選んだのは、自身の趣味でもあるサーフィンだった。2016年9月にテスト版のNobodySurfをリリース。2017年6月にはアプリをバージョンアップし、本格的に運用を開始した。

「サーフィンは米国(本土)とハワイ、オーストラリアを除くと非常にニッチなアクティビティ。(サーフポイントも)世界中に点在しているが、それぞれのコミュニティ自体は離れているしニッチなので、例えいいサーフ動画を作っている人がいたとしても、よそでは知られていない。動画クリエーターも、動画を見て楽しめるサーファーどちらも世界に点在している状況。それを繋げる仕組みを、モバイルと動画、インターネットで作ろうとしたのがNobodySurfを作ったきっかけ」(岡田氏)

サーフィンには大きく分けて競技サーフィンとアクティビティとして楽しむフリーサーフィンがあるが、NobodySurfが扱うのはフリーサーフィン。ソーシャルメディアや動画配信サービスにアップロードされたフリーサーフィンの動画について、クリエーターに直接交渉、許諾を得た上でNobodySurf上で配信する。これまで4000件の動画を集めているという。

reblue代表取締役の岡田英之氏

サービスの特徴となるのは、動画へのタグ付けだ。クリエーター名やロケーション(国名、地域)、サーファー名、波のサイズなど、専用のCMSを使いつつ、人力でタグを付与している。

「メジャーなエンターテインメントであればデータ自体が充実しているが、(サーフィンのような)ニッチなところはできていなかった。だから動画が見つからなかったり、見ている動画に関連する最適なタグを紹介するといったことができなかった。今は世界でおそらく唯一のサーフィンデータベースになっている」(岡田氏)のだという。

ちなみに2017年の実績でアプリは54万ダウンロード。海外ユーザーが全体の75%で、100カ国にもおよぶ。動画再生回数は7100万回。世界のサーフィン人口は3500万人とも言われてるそうで、現状でも決して低くない数字ではないだろうか。SNSでの動画配信も好調で、特にInstagramが急成長している。ソーシャルでの動作再生回数は2017年12月時点で1000万回で、これまで中心となっていたFacebookの割合をInstagramが追い抜いたという。海外からのアクセスを意識してサイトは全面英語。加えて文字を極力読まなくても楽しめるデザインにした。

Instagram動画再生数の推移

reblueでは調達した資金をもとにサービスを拡大。機能強化や動画・クリエーターの発掘を進める。また同時に動画の保存機能などを拡張する課金サービスを2018年前半にもスタートする予定だ。将来的にはクリエーターへの収益の還元やポートフォリオ機能の強化も進めていくという。

「サーファーに特化したエンタメビジネスを展開していく。まだ先の未来のことを言えば……例えばNobodySurfを通じてイギリスにいるサーファーがメキシコの波について知り、そこに行くために旅行を予約し、現地のクリエーターが動画を撮影する、ということが起こっていくはず。そんな新しいサーファーの文化圏を作っていきたい」(岡田氏)

嘘か真か? 次期iPhone Xのウワサまとめ

eng-logo-2015全面ディスプレイに顔認証など、新機軸を携えて2017年11月に発売された「iPhone X」。その後継モデルの噂がここにきて盛り上がりを見せています。具体的には、液晶採用の廉価モデルや、大画面6.5インチの「iPhone X Plus」(仮)など。Engadget日本版でも次期iPhone Xに関するさまざまな記事を掲載してきました。本記事ではその振り返りをお届けします。

(最終更新:2018/01/30 14:30)

2018年型iPhone XにはRAMが4GB搭載?バッテリーも増量されるとのうわさ

現行のiPhone XのRAMは、iPhone 8 PlusやiPhone 7 Plusと同じく3GBと報じられました。最近のハイエンドAndroidスマートフォンが4GB〜8GBを搭載しているのに比べると控えめな印象を受けましたが、今年はついに増量されるのかもしれません。(つづき

iPhone X、ノッチ不評で2018年夏には生産終了?秋に新モデル登場か(KGIアナリスト予測)

アップルの未発売製品に関連する情報予測でその名を知られるKGI証券のアナリストMing-Chi Kuo氏が、「iPhone Xは2018年夏に生産を終了する」との予測を公表しました。特にディスプレイ上部の凹部いわゆる”ノッチ”のデザインが不評で中国市場におけるiPhone Xの人気が下降しており、秋にはデザインの見直しをはかった新モデルが出るだろうとのこと(つづき

6.1インチの新iPhoneはJDIの「日の丸液晶」を採用?ベゼルレスで9月〜10月に発売との噂

6.1インチ新型iPhone X向け液晶パネルの供給元は日本メーカーのJDI(ジャパンディスプレイ)で、日の丸液晶こと「フルアクテイブ」?フルアクティブは18:9という縦長のアスペクト比、ベゼル幅0.5mmという狭額縁に対応しており、iPhone Xと同様のベゼルレスデザインになる可能性も(つづき

iPhone X(2019)はノッチが小さくなる可能性? 顔認識モジュールと前面カメラが統合のうわさ

現状では唯一のFace ID対応製品であるiPhone Xの前面にはノッチ(凹型の切り欠き)がありますが、ここにはTrue Depthカメラほか顔認識モジュールや前面カメラが内蔵。これらの統合が進むことで、ノッチが小さくなるのではないかと推測されます(つづき

2018年は6.5インチの『iPhone X Plus』追加、安価な6インチ液晶モデルも増えて3機種編成?

iPhone X の品薄が続くなか、来年のiPhoneラインナップについて新しい情報が出てきました。2018年のiPhoneは、「今年の初代 iPhone Xと同サイズの後継モデル」「Xと同じ縦横比で6.5インチ級の iPhone X Plus (仮)」そして「Xと同じオールスクリーン(+ノッチ)のスタイルを採用しつつ、液晶ディスプレイでサイズ中間の6.1インチモデル」の3種類になるかもしれません。(つづき

番外編:iPadにもFace ID採用?

iPhone SE2 (仮)はまだ出ない?「出るとして高速化と値下げ程度」とアナリスト予測

iPhone SE の後継モデル、iPhone SE2 (仮) につき様々なうわさが飛び交っていますが、アップルの開発計画に詳しいKGI証券のアナリストMing-Chi Kuo氏は、フルモデルチェンジや夏前発売といった説に疑いを投じるリサーチノートを発表しました。(つづき

Face ID採用の新型iPadが登場? iOS 11.3ベータ版の中に「modern iPad」の文字列が見つかる

iPhone Xと近い要素を実装する新型iPadが登場するかもしれません。具体的には、ベゼルレス化され、生体認証に顔認証(Face ID)が導入される可能性があるそうです。(つづき

Engadget 日本版からの転載。

仮想通貨ウォレット「Ginco」開発がグローバル・ブレインから1.5億円を資金調達

仮想通貨のウォレットアプリ「Ginco」を開発するGincoは1月31日、グローバル・ブレインが運営するファンドから、総額約1.5億円の資金調達を実施したと発表した。

同社は2017年12月の設立。代表取締役の森川夢佑斗氏は、京都大学在学中にブロックチェーン技術を活用したプロダクト開発やコンサルティングを行うAltaAppsを創業し、『ブロックチェーン入門』などの著書もある。

写真左:グローバル・ブレイン 代表取締役 百合本安彦氏、右:Ginco 代表取締役 森川夢佑斗氏

同社は「ブロックチェーン時代の新しい価値取引を実現する銀行を目指す」として、スマートフォンで安全に仮想通貨を管理するためのクライアント型のウォレットアプリ、Gincoを開発している。クライアント型ウォレットでは、秘密鍵をサーバーで集中的に保存する集中型ウォレットやウェブウォレットと比較すれば、外部からのハッキングなどで資産を失うリスクが低い。

また、1月26日に仮想通貨取引所「Coincheck」で起きた不正流出で問題となった、「取引所に預けたままの資産がハッキングによって流失するリスク」も避けられる。利用者同士で直接送金ができるため、取引所などを経由するよりスムーズに送金が可能だという。

Gincoではまず、2月初旬にEtheriem(イーサリアム)の基軸通貨ETH(イーサ)に対応した、iOS版ウォレットアプリのベータ版リリースを予定しており、現在事前登録を行っている。その後のアップデートで、イーサリアム上のトークンERC20やBTC(ビットコイン)、XRP(リップル)といった主要な仮想通貨に順次対応していく。

同社では「仮想通貨を利用する世界中の人に、Gincoを利用してほしい」として、今回の調達資金により、グローバルなマーケティングの準備をする予定。また、ブロックチェーン技術に精通した開発者の採用強化と育成を行っていく。

決済のコイニーとネットショップのSTORES.jpが経営統合、持株会社「ヘイ」を設立へ

決済サービスを手がけるコイニーと、ネットショップ開設サービス「STORES.jp」を手がけるブラケットが経営統合をすることが、関係者筋からの情報で明らかになった。2月1日付けで新たに事業持ち株会社のヘイ(hey)を設立。その参加にコイニーとブラケットが参画するという(厳密には2月1日付けで現在のコイニーをヘイに社名変更、新設分割で新会社としてコイニーを立ち上げ、旧コイニーの事業を継承。またヘイがブラケットを株式交換で100%子会社化、さらにブラケットがストアーズ・ドット・ジェイピーに社名変更するというスキームだ)。

ヘイの資本金は約10億7000万円。代表取締役社長には、フリークアウト・ホールディングス代表取締役社長の佐藤裕介氏、代表取締役副社長にはコイニー代表取締役の佐俣奈緒子氏、取締役にはブラケット代表取締役兼 CEOの塚原文奈氏、同取締役会長の光本勇介氏がそれぞれ就任する予定だ。日経新聞でも本件を報じているが、関係者からの話を総合すると、佐藤氏が筆頭株主になるほか、同氏を含めた4人の経営メンバーで株式の過半数以上を保有。加えてフリークアウトホールディングスも大株主として同社に出資しているという。

そういえば昨年末にアンケートを実施した「2018年のトレンド予想」の記事において、個人投資家としても活動する佐藤裕介氏が「個人発の商売が、手数料の高いプラットフォームの外へ出る」といった予想を語ってくれたが、今回の「決済とECプラットフォームの連携」という座組みは、まさにそんな個人発の商売の可能性を広げるアプローチになるのではないだろうか。STORES.jpと同じくネットショップ開設サービスを提供するBASEも、1月に15億円の資金調達と決済事業のPAY.JPの分社化を発表したばかりだ。

なおコイニー、STORES.jpはいずれも2012年にサービスを開始。いずれも非上場のため詳細な実績は公開していないが、これまでTechCrunchで報じてきたところで言えば、コイニーは2017年2月のインタビューで、「3年前から月間決済額は100倍に成長している」ということだったし、STORES.jpは2016年10月のインタビューで「2015年10月以降は単月黒字、右肩上がりの成長を続けている」ということだった。

和製Amazon Homeとなるか、スマートロック活用で不在でも宅配・家事代行サービスが受けられる新プロジェクト

写真左から:セーフィー 小室氏、パルシステム東京 小林氏、ホワイトプラス 井下氏、ライナフ 滝沢氏、honestbee 宮内氏、タスカジ 和田氏、ベアーズ 後藤氏

スマートロックをを軸に不動産サービスを展開するスタートアップ、ライナフは1月30日、家に不在でも宅配や家事代行サービスが受けられる「サービスが入ってくる家」プロジェクトを2月下旬より開始することを発表した。東京都大田区にある36居室の新築賃貸マンション1棟で、同社のスマートロック「NinjaLock(ニンジャロック)」を全戸に導入。オートロックの共有エントランスを開錠するシステム「NinjaEntrance(ニンジャエントランス)」も設置し、宅配や家事代行サービスを提供する5社との提携により、不在時にもサービスが受けられる住まいを提供する。

提携先企業は、生鮮食品宅配サービスのパルシステム東京、宅配クリーニングのホワイトプラス、買い物代行サービスを提供するhonestbee Japan、家事代行スタッフのマッチングサイトを運営するタスカジ、家事代行サービス提供のベアーズの各社だ。また、ライナフのスマートロックとは別にIoT機器として、玄関部分を撮影するためのクラウドカメラ「Safie(セーフィー)」をセーフィーが提供する。

個別の各サービスの利用料金は利用者が各社へ直接払うが、IoT機材等設備の初期費用や通信・保守など運用に関わる料金は、居住者ではなく、物件の所有者や不動産管理会社などが負担する形となる。

ライナフはこれまで、スマートロックなどのIoTハードウェアと連動して、不動産オーナーや管理会社向けに空室活用のための「スマート内覧」「スマート会議室」「スマート物確」といったサービスを提供してきたが、「サービスが入ってくる家」プロジェクトを機に、住まいに関する生活関連サービスにも取り組む。

プロジェクト推進のため、あえてアナログな運用を選択

ライナフ代表取締役社長の滝沢潔氏によれば「プロジェクトにあたっては、大きなシステムは作っていない」とのこと。「いろいろな提携先と新しいことを始めよう、というときにスマホアプリを新たに作ったり、端末を配布したり、といった大がかりなことをやろうとすると、だいたいプロジェクトが進まなくなるので」と滝沢氏は言う。

その代わりに、このプロジェクトのためにライナフが用意したのは、スマートロックなど既存のIoTハードウェアと、24時間運営のオペレーション専用コールセンターだった。

共有エントランス部分と居室玄関ドアに設置されたスマートロックを開錠するのは、提携先サービススタッフではなく、コールセンターが担当。宅配サービスや家事代行に訪れたスタッフがコールセンターへ電話をかけると、オペレーターがサービスの予約状況を照会。スタッフの本人確認のための質問をいくつか行い、インターネット経由で鍵の開閉を遠隔操作する。

滝沢氏は「あえてアナログに、コールセンターへの電話による運用にした。これは、事業者の担当スタッフが必ずしも全員がスマートフォンを持っているわけではないことや、リテラシーなどに配慮した結果。ゆくゆくは自動化したいが、今の段階ではこれが最適と考えている」と話している。

入居者は、スマートフォンのNinjaLock専用アプリで、いつでも玄関ドアの開閉履歴を確認することができる。また、玄関部分の映像をスマートフォンアプリから確認できるクラウドカメラSafieと、玄関ドアとは別の錠前付き室内扉を設置することで、不在時のセキュリティが強化されている。

セキュリティと言えば、スマートロックの安全性への疑問や、室内にネット経由でアクセスできるカメラが設置されていることへの不安を持つユーザーもいることだろう。この点に関して滝沢氏はこう説明している。

「カメラについては、室内全体を撮影するものではなく、あくまで玄関の出入りをチェックするためのものなので、玄関だけを写すように設置する。また、スマートロックだけでは心配、という方のために別途鍵がかかるドアを内側に用意している。それでも気になる、という方もご心配なく。これらの機材はすべて電気で動作するので、電源や電池を抜けば動かなくなる。『サービスが入ってくる家』に利便性を感じてもらえて、より良いサービスを受けたい、と納得していただけたなら、また使ってもらえばよいと考えている」(滝沢氏)

物流のラストワンマイルが変化するのではないかとの期待

滝沢氏は、2017年3月の取材でも「サービスが入ってくる家」のコンセプトについて語っている。スマートロックを設置した家の外側・内側の2枚のドア。ドアとドアの間に設けられたサービスゾーン。サービスゾーンで受け渡しされる荷物・食材やクリーニングなどの宅配サービスと、内側のドアの奥まで入って提供される家事代行サービス。今回のプロジェクトはおおむね、これらを踏襲したものとなった。滝沢氏は、プロジェクトを「IoTで実現する現代版の土間」と表現している。

プロジェクト発足の背景には、単身世帯、共働き世帯の増加と、インターネット通販などによる宅配、家事代行サービスのニーズの高まりがある。

宅配サービスや家事代行サービスの利便性を、より享受したいはずの単身者や共働き世帯ほど、日中家を空けることが多くて、宅配物の受け取りや家事代行スタッフとの鍵の受け渡しが難しい。ライナフでは、これからの不動産には「家主不在時でも安心してサービスを受けられる家」が求められる、として、広さや機能などのハード面だけでなく、ITを利用して柔軟にサービスが受けられる、ソフト面が充実した住まいを提供すべく、今回のプロジェクトを立ち上げた。

滝沢氏は「今回、プロジェクトにパルシステムなどの宅配サービスが提携先として参加し、宅内への配送を行うことに注目している」と言う。「大手の宅配業者は、防犯などの観点から宅内への配送に対して消極的。今回の提携先の宅配サービス運用がうまくいくようであれば、今後、宅配便の大手に参画してもらうことも期待できる。物流のラストワンマイルの変化を促すことにもつながる」(滝沢氏)

確かに現状でも宅配ボックスを利用して、不在時に荷物を受け取ることは可能だが、ミネラルウォーターなど重い荷物は、玄関先まで運んでほしいものだ。滝沢氏は「近所の八百屋や魚屋、弁当屋から配達されたものを、玄関の内側に置いた冷蔵庫に入れておいてもらえるようになれば、新鮮でおいしい食材を帰宅してすぐに手に入れることができる。ひいては商店街など、地域の活性化にもつながれば、とも考えている」とも語っている。

「日本初の不在時サービス対応マンション」となる今回のプロジェクト対象物件は、賃貸マンションで新築だが、滝沢氏によれば「我々が提供するスマートロックもスマートエントランスシステムも後付けタイプなので、大がかりな工事不要で設置できる。既存の物件の価値向上のために利用してもらうことも歓迎する」とのこと。1棟単位でなく、物件ごとでの利用も可能だという。

また賃貸だけでなく、分譲マンションにもサービスを広げたいと滝沢氏は話す。現在、スマートエントランスシステムのNinjaEntranceは東京と大阪を中心に130棟のマンションに設置されているが、分譲マンションでは、共有エントランスへの開錠システム設置に管理組合の許可が必要で、これまで導入のハードルが高かった。滝沢氏は「各社との提携によりサービスをパッケージ化することで、住まいの価値向上や便利さを提供し、単なる開錠機能だけではないサービスを広げたい」と語る。

「宅内へのサービス提供には、不動産管理会社も乗り出したいと考えているはずだ」と滝沢氏は続ける。「ただ、宅内プラットフォームでは『宅内へ入っていく』こと自体に、うさんくさいイメージもついてまわりがち。ライナフが、サービス提供会社をまとめて巻き込むのを担当することで、管理会社も取り入れやすくなるのではないか」(滝沢氏)

サービスを提供する提携各社はそれぞれ、プロジェクトに以下のような期待を寄せている:

「生鮮品宅配サービスで課題となる再配達が解消されること、配達担当の残業が削減できること、利用者の不満が軽減できることで、コストの削減や雇用問題の解決にもつながるのではないかと考える」(パルシステム東京 事業運営部部長 小林秀信氏)

「宅配クリーニングを手がける当社でも、物流のイノベーションにつながるサービスを検討している中で、こうしたプロジェクトでノウハウが得られればと思っている」(ホワイトプラス 代表取締役社長 井下孝之氏)

「このプロジェクトが地域コミュニティの活性化、地域への貢献につながるのでは、というところにワクワクしている。家事コンシェルジュサービスの日本へのローカライズのきっかけとしても期待している」(honestbee Coutry Manager 宮内秀明氏)

「鍵の受け渡しは家事代行では大きな課題。顧客もハウスキーパーも互いに安心してサービスの利用・提供ができるのは良いこと。宅配や買い物代行で受け取った食材をキーパーが料理するなど、家事の“ラストワンマイル”サービスを提供できるプラットフォームにもなると思う」(タスカジ 代表取締役社長 和田幸子氏)

「今までの家事代行サービスでは、レポートなどアナログなログしか残せなかったが、クラウドカメラやドアの開閉記録が残ることで、行動ログをデジタルに残すことができる。サービス品質の向上も目指せると考えている」(ベアーズ マーケティング部部長 後藤晃氏)

米国ではAmazonが、スマートロック連動で不在時でも家の中に荷物を届けてくれる「Amazon Key」サービスを、2017年11月から一部地域でスタートしている。配達以外ではハウスクリーニングのMerry Maidsや、ペットシッターサービスのRover.comなど、1200以上のサービスを「Amazon Home Services」として、今後数カ月以内に提供していく、ということだ。

滝沢氏は「日本では米国から半年から1年遅れて、同様のサービスが始まることが多い。それを考えれば、実証実験ではなく実サービスとしては日本初のスマートロックを活用した不在時の宅内サービスが、数カ月遅れでスタートするのだから、そう遅れていないだろう」と話している。「住宅×IoT×サービスの分野では、日本はよいポジションにあると考える。配送サービスのクオリティの高さもあわせて考えれば、アメリカより上という見方もできる」(滝沢氏)

「サービスが入ってくる家」が普及すれば、宅内サービスのセキュリティに対する考え方が変わるのではないかと滝沢氏は言う。「利用が浸透してきた家事代行サービスの世界では、実は、合い鍵を預かって不在宅でサービスを提供するケースが6割を超えるとも聞いている。このサービスでも普及にともない『不在でも大丈夫みたい』『便利』といった評判が広まれば、玄関“内”でサービスを受けることが当たり前になっていくだろう」(滝沢氏)

LITALICO、障害者と就労支援事業所のマッチングサービス「LITALICO仕事ナビ」開設へ

リタリコ取締役の中俣博之氏

日本でも“ダイバーシティ”の浸透や、障害者雇用促進法の改正により、障害を持ちながら働く人の数は年々増え、2016年度の時点で47万人以上が民間企業に雇用された。2018年4月からは、企業の障害者の法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられることもあり、この増加傾向は今後も続く見通しだ。こうした時代を背景に、障害がある人の就労を、就労に必要な知識や能力の向上に必要な訓練などで支援する「就労系障害福祉サービス」の事業所も増加。各施設が特色のあるサービスを提供するようになってきている。

就職を目指す障害者のための就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を全国で展開するほか自閉症やADHDといった子供向けの学習教室「LITALICOジュニア」、子供向けのIT・モノづくり教室「LITALICOワンダー」などを手がけるLITALICO(リタリコ)は1月29日、障害がある「働きたい」人が、それを支援する就労支援事業所を検索し、マッチングする情報サイト「LITALICO仕事ナビ」を開設することを明らかにした。サービスは3月にもスタートする。

LITALICOが2017年12月に行った調査では、就労支援事業所を探したことのある人のうち、8割以上が「自分にふさわしい事業所の探し方がわからなかった」と回答(「(非常によく/まあ)あてはまる」と回答した人の合計)。同調査では、就労支援事業所をどのように探したかという質問に「パソコン(PC)で検索した」と回答した人が最も多く、6割以上となっている。ところが事業所側では、インターネットを活用したアピールに費用や手間をかけられず、新しい利用者を集めるための活動が難しいのが実情だ。

就労支援事業所は、就職を希望する障害者を支援することで(補助金をベースに)お金を得るが、彼らが企業に就職すればするほど通所者が減り、売上が下がってしまうという構造になっている。だが、事業所の実績として求められるのは就職者数。つまりは、ビジネスとして成功するためには就職者を多く出す必要があり、そのためには常に通所者を補える状況を作らないといけない。つまり集客力や問い合わせの窓口は重要だとリタリコ取締役の中俣博之氏は説明する。

そんな就労支援事業所が抱える課題の解決を目指すのがLITALICO仕事ナビ。「就労支援事業所を探したい障害者」と「新規利用者を集めて定員を埋めたい事業所」の両方の課題を解決するために提供されるプラットフォームだ。

仕事ナビでは、利用者が各事業所の情報を統一したフォーマットで閲覧でき、施設が対象とする障害種別やこだわりポイント、就職実績などを確認することで、最適な事業所を選びやすくする。また事業所は、施設の紹介ページを設けることで、ページ運用や問い合わせ管理を仕事ナビ上で一括して対応することが可能。新規利用者を集めるための時間・コストを削減することができる。紹介ページは初期費用無料で設置でき、低コストで運用可能だという。今後は年間1回以上、首都圏を中心にフリーペーパーの刊行も予定している。なお、自社で展開する就労支援事業所であるLITELICOワークスに関しては、1年間は同プラットフォーム上には掲載しないとしている。

「福祉の業界はITの業界で言えばようやく2000年代になったところ。これまで億単位の開発コストをかけて(LITALICO仕事ナビのような)プラットフォームを開発するところも無かった」——こう語る中俣氏はDeNAの出身。これまではネットの最前線でビジネスをしていたが、社会をよくすることをビジネスとして手がける同社に共感して2014年にリタリコに参画したという。同社はネット企業出身者などエンジニアの採用も進めており(執行役員CTOの岸田崇志氏もグリーの出身だ)、発達障害児向け学習アプリなどの開発も行っている。