マッチング系アプリの決済に関するオランダにおけるアップルの罰金総額が約68億円に

出会い系アプリの決済方法に関してオランダで独占禁止法上の命令を受けたApple(アップル)に対する罰金の額は、継続的なコンプライアンス違反で規制当局が10回連続で毎週500万ユーロ(約6億8000万円)を科して5000万ユーロ(約68億円)となり、(現時点では)最大額に達した。

しかし、消費者市場庁(ACM)は現地時間3月28日、Appleが前日に直近の提案を修正したことを受け、修正提案は「出会い系アプリのプロバイダーにとって決定的な条件となるはずだ」と述べ、より前向きにとらえている。

完全な詳細を受け取り次第、当局は市場のフィードバックを求め、提案が受け入れられるかどうか早急に決定すると述べた。しかし、その評価にどれくらいの時間がかかるか、また修正案自体の詳細については、何ら情報を提供していない。また、修正案が受け入れられないと判断された場合、Appleはさらなる罰則を受ける可能性があるとも警告している。つまり、すでに数カ月に及ぶこの騒動は、まだ終わらないかもしれない。

Appleによるこれまでの提案は、当該開発者に不合理な摩擦をもたらすとしてACMによって拒否された。

3月28日発表された声明の中で、オランダの規制当局は次のように述べている。「ACMはAppleの今回の措置を歓迎します。修正された提案は、App Storeの利用を希望する出会い系アプリのプロバイダーにとって決定的な条件となるはずです。最終的な条件についての提案を受け取った後、ACMはそれを市場参加者に提出し、協議を行う予定です。ACMはその後、Appleがこれらの確定条件を実施する際に、出会い系アプリにおいて代替の支払い方法が可能であるべきというACMの要件を遵守しているかどうか、できるだけ早く判断を下す予定です」。

「先週末までは、AppleはまだACMの要件を満たしていませんでした。そのため、10回目の罰金を支払わなければならず、Appleは最大5000万ユーロの罰金を支払わなければならないことになります」と付け加えた。「Appleが要件を満たしていないという結論に達した場合、ACMはAppleに命令遵守を促すために、定期的な罰金支払いを条件とする別の命令(今回はより高い罰金となり得る)を科す可能性があります」。

TechCrunchはAppleに対応を問い合わせている。

ACMの命令は2021年までさかのぼるが(しかしAppleによる法廷闘争により、報道は制限された)、オランダの出会い系アプリが希望すればデジタルコンテンツのアプリ内販売を処理するのにApple以外の決済技術を使用できるようにするというACMが命じた権利の付与をめぐる世論戦は1月から続いている。

この件は、ACMがこのような命令を出す権限を与えられている欧州の小さな1つの市場内のアプリのサブセットという、ほとんど滑稽なほど小さなものに見えるかもしれない。一方で、デジタル市場法(DMA)として知られる汎EUデジタル競争法の改正が進行中で、ビジネスユーザーに対するFRAND(公平、妥当、差別のない)条件、相互運用性要件の組み込み、自己参照のような反競争的行為の禁止など、ゲートキーパーである大手の「すべきこと」と「すべきでないこと」といった領域における行動基準を前もって定義することで、近い将来、最も強力なプラットフォームがEU圏内でどのように活動できるかを再構築しようとしている。

つまり、ACMの命令は、今後予想されるEUの大きな要求の縮図を垣間見せている。

DMAはAppleのApp Storeにも適用される可能性が高い。そのため、オランダのケースはEU内で高い関心を集めているが、これは少なくとも今秋以降、欧州委員会がゲートキーピングプラットフォームの事前監視に切り替える際に、執行上の大きな課題を突きつけるものだからだ(EU機関は先週、DMAの詳細について政治的に合意したが、正式な採択はまだ先だ)。

市場改革の下では、欧州委員会が科すことのできる罰則の規模はかなり大きくなり、違反が繰り返される場合には全世界の年間売上高の20%にも達する。したがって、プラットフォーム大手にとっては無視できない体制となりそうだ。

もう1つの重要な変化は、DMAが積極的に行動し、EUの競争規制当局が変更を命じる前に数カ月あるいは数年かけて遵守していないことをを証明する必要がなく、最初から遵守を求めるようになることだ。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

出会い系アプリ決済めぐる独禁法違反でアップルがオランダで9回目の罰金、当局に新たな提案も

Apple(アップル)は、出会い系アプリに関連する独占禁止法上の命令をめぐり、オランダで再び罰金を科された。この命令は、AppleのiOS向けアプリ内決済APIしか使えないよう縛るのではなく、開発者が希望すればサードパーティーの決済技術を利用できるようにすることを求めている。

消費者市場庁(ACM)は1月以来、命令を継続的に遵守していないとしてAppleに対し一連の罰則を(週ごとに)科している。

今回で9回目となる500万ユーロ(約6億7000万円)の罰金により、この問題に関するAppleに対する罰金総額は4500万ユーロ(約60億円)に達した(来週までに再び規制当局を満足させられなかった場合の最大総額は5000万ユーロ[約67億円]だ)。

Appleはこの間の一連の罰金に対して、規制当局が明らかに異なる(反対の)見解を示しているにもかかわらず、命令を遵守していると主張している。

ACMは、Appleの対応を失望するもの、かつ不合理なものとし、Apple以外の決済技術を使用してアプリ内決済を処理する法的資格を得ようとする開発者に、単にそうすることを容易に選ばせるのではなく、不必要な障害を作り出していると非難している。

この争いは何週間も続いていて、また新たに罰金が科せられたにもかかわらず、Appleによるシフトの兆しがあるかもしれない。ACMによると、Appleは現地時間3月21日に「新しい提案」を提出した。ACMはその合否を決定するために精査しているとした。

「我々は今、これらの提案の内容を評価するところです」とACMの広報担当者は声明で述べた。「そうした状況下で、さまざまな市場参加者と話をする予定です。この評価をできるだけ早く完了させることが目標です」。

ACMは、Appleがこの修正されたコンプライアンスオファーで提案している内容の詳細を明らかにしていない(そして当局はより詳細な情報の求めには応じなかった)。

「先週末まで、AppleはまだACMの要件を満たしていなかったことに留意すべきです」と広報担当者は付け加えた。「そのため、同社は9回目の罰金を支払わなければならず、同社が支払わなければならない総額は現在4500万ユーロに達しています」。

Appleにもこの展開についてコメントを求めたが、本稿執筆時点では回答はない。

更新:Appleはコメントを却下した。

ACMの独禁法命令はオランダ国内でのみ適用され、アプリの一部(出会い系アプリ)にのみ適用されるため、テック大手の壮大でグローバルなスキームの中ではかなり些細なことに見えるかもしれない。しかし、国の規制当局とプラットフォームの巨人の間の綱引きは、欧州連合(EU)でかなりの注目を集めている。つまり、この法執行は、政策立案者が主要な競争改革の最終的な詳細を打ち出す中で注視されている。

EUは、デジタル競争政策(デジタル市場法、通称DMA)の長年の懸案であった改革を完結させようとしている最中であり、これは最も強力な中間インターネット・プラットフォームのみに適用される予定だ。

AppleはDMAの下で「ゲートキーパー」に指定されることがほぼ確実であるため、これは関連性がある。DMAでは、デジタル市場をよりオープンで競争しやすいものにすることを意図した、反トラスト法遵守の積極的な体制が導入されることになる。例えば、プラットフォームがアプリケーションを交差結合することを禁止、あるいはロックインを強制し、同時に相互運用性のサポートやサービスの切り替えを義務化する。つまり、Appleは今後、同様の(実際にははるかに広範な)汎EU反トラスト法に基づく命令に直面する可能性があり、第三者に対してどのように行動しなければならないか(してはならないか)を規定されることになる。

EUの反トラスト部門を統括し、デジタル政策立案を主導するMargrethe Vestager(マルグレーテ・ヴェスタガー)委員は2022年2月の講演でオランダの事例を取り上げ、Appleが同意できない競争法の判決に従うよりも、定期的な罰金を支払うことを「本質的に」好んでいると非難している。また、AppleのApp Storeにおけるサードパーティアクセスに関する義務について「……DMAに含まれる義務の1つになるだろう」と警告している。

この来る汎EU法は、重大な効力を持つ。世界の年間売上高の最大10%の罰金を科すことができ、またゲートキーパー解体を命令する構造的救済を適用することによって、欧州連合が組織的なルール違反に対応することができる。

したがって、DMAの対象となるハイテク企業にとっては「遵守 vs 拒否」の計算は罰則を「ビジネスを行うためのコスト」として帳消しにできる場合にのみ可能であり、再起動したEU競争体制の下では根本的なバランス再調整を模索することになる。500万ユーロ、あるいは5000万ユーロの罰金で事業運営に影響を与えることはできないが、数十億ユーロ(数千億ユーロ)にもなり得る罰金は、法的要件を回避し続けることによって、規制当局が解体用ハンマーを手にせざるを得なくなるリスクと背中合わせで、コンプライアンスとはまったく別次元の話のようだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

メタ、南アフリカで独占禁止法違反の疑いで起訴される

Meta(メタ)は、南アフリカの競争規制機関である競争委員会(Competition Commission)が、政府のスタートアップであるGovChatと#LetsTalkが同社のWhatsApp Business APIを使用することを阻止する意図が競争的でないと判断したため、起訴の危機に直面している。

2021年3月から同社に対する不公正行為の申し立てを調査してきた同委員会は、支配的地位の濫用や制限的慣行に関する苦情を裁定する競争審判所(Competition Tribunal)にMeta(旧Facebook)の起訴を付託した。

その付託の中で、規制当局はMetaに「最大ペナルティ」である米国企業の現地での売上高の10%の罰金を払わせるよう勧告している。

同委員会は、Metaが「2020年7月か同時期」に、GovChatと#LetsTalkが同社のWhatsApp Business APIを使用できないようにすると脅したと主張している。さらに、Metaはスタートアップによるデータ使用について不当な制限を課し、Metaの製品と競合する可能性のある新製品やサービスを革新して開発する能力を制限したと付け加えている。

「……WhatsApp Business APIへのアクセスを規定する規約は、GovChatがもたらす潜在的な競争や、Facebookが新しいサービスや製品の開発を可能にするために取得した膨大なデータなどの面でFacebookを保護し、競争から遮断するために設計されています」と規制当局は声明で述べている。

GovChatは、WhatsApp Business APIを使用してリアルタイムのコミュニケーションを促進する市民エンゲージメントプラットフォームとして、南アフリカ政府によって2018年に立ち上げられた。現在、政府のデータによると、870万人のアクティブユーザーを抱え、5億8200万件以上のメッセージを処理している。

GovChatは、道路の穴などの市民問題に関する警告や苦情の発信源となっているほか、新型コロナのパンデミック時の救難支援など、社会保障の申請処理に政府によって利用されてきた。GovChatのプラットフォームを通じて、これまで1330万件以上の申請が提出されている。

今回の送検は、南アフリカを含むアフリカ5カ国の競争監督機関が、アフリカのデジタルプラットフォームの出現と拡大を制限する障害に対する共同行動を促進することなどを議題とする覚書に署名した数日後に行われた。この合意の他の締約国は、エジプト、ケニア、モーリシャス、ナイジェリアである。

MetaはTechCrunchに送った声明の中で「WhatsApp(ワッツアップ)が市場から企業を排除しようとしたり、反競争的行為を行ったことを示す証拠はない」と述べ、一方でGovChatは「当社のオンボーディングプロセスを経ずにWhatsApp APIに組織を登録することにより設定条件に違反した民間企業です。これは、当社サービスの利用を希望するすべての組織に要求されるもので、当社のサービスを誰が利用しているかを把握し、組織が当社のプライバシー保護方針に同意していることを意味します。WhatsAppは、独自のWhatsApp Business APIと世界中のユーザーの利益を守るために、あらゆる合理的な手段を講じる権利を擁護します」と述べている。

また、南アフリカのWhatsApp広報担当者は次のように述べた。「WhatsAppは、信頼できる情報源から重要な情報を人々に提供するのに役立っており、南アフリカ国民と政府をつなぐ役割を担っていることを認識しています。だからこそ、国際的に認められた規制基準を遵守してGovChatと協力し、このサービスを提供したいのです」。

「ですが、GovChatは、国民とその情報を保護するために作られた我々のポリシーに従うことを繰り返し拒否し、国民よりも自らの商業的利益を優先させることを好んでいます。我々は、WhatsAppを悪用から守り、ユーザーを保護し続けます」と広報担当者は述べている。

世界的に見ても、Metaは反競争的な行為の可能性があるとして、さまざまな監視の対象となっている。つい先週、欧州委員会は、MetaとGoogle(グーグル)の間のオンラインディスプレイ広告サービスに関する協定(コードネーム「Jedi Blue」)がEUの競争規則に違反しているかどうかを評価するため、正式な反トラスト調査を開始した。

2018年9月のJedi Blue契約は、MetaのAudience NetworkがGoogleのオンライン広告枠入札プログラム「Open Bidding」に参加できるようにしたもので、この動きは他のアドテクサービスプロバイダーを排除して「オンラインディスプレイ広告の市場における競争を歪め、パブリッシャー、ひいては消費者に不利益を与える可能性がある」と欧州委員会は指摘している。

一方、米連邦取引委員会は、ソーシャルメディア大手のMetaが、約10年前にInstagram(インスタグラム)とWhatsAppを買収するなど、反競争的行為によってSNSの独占を違法に維持しているとして、メタを違法独占で提訴している。

本記事はMetaからのコメントを含め更新された。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Annie Njanja、翻訳:Den Nakano)

EUのデジタル政策責任者、オランダの反トラスト命令を無視するAppleに苦言

欧州連合(EU)のデジタル政策責任者Margrethe Vestager(マルグレーテ・ヴェスタガー)氏は、Apple(アップル)が、出会い系アプリがアプリ内コンテンツを販売する際にサードパーティの決済技術を利用することを認めるよう求めたオランダの反トラスト命令の遵守を回避するために、意図的に罰金を支払うことを選択していると指摘し、同社を非難した。

Appleは現地時間2月21日、オランダで5回目の罰金500万ユーロ(約6億5000万円)を支払った。この問題に関して同社がオランダの競争当局からこれまでに科された罰金総額は2500万ユーロ(約32億円)に達したが、依然として命令は遵守されていない。

米国で2月22日に行われた講演で、EUの競争部門を率いるヴェスタガー氏は、デジタル政策の重要な柱である今後導入されるデジタル市場法(DMA)に言及した。この法律は、最も強力で中間的な技術プラットフォーム(別名「ゲートキーパー」)に事前ルールを適用する。同氏はまた、支配的プラットフォームによる不正行為と積極的に戦い、デジタル市場の公正性を回復するために、EU議員が課す予定の「すべきこととしてはならないこと」のリストを効果的に執行することが喫緊の課題であることも示唆した。

「一部のゲートキーパーは、時間稼ぎをしたり、規則を回避しようという誘惑に駆られるかもしれません」と同氏は警告した。「オランダにおけるAppleのこのところの行為は、その一例と言えるかもしれません。私たちの理解では、Appleは、サードパーティが同社のアプリストアにアクセスするための条件に関するオランダ競争当局の決定に従うよりも、定期的な罰金を支払うことを基本的に望んでいるようです。そしてそれは、DMAに含まれる義務の1つにもなります」。

ヴェスタガー氏の発言について、TechCrunchはAppleに問い合わせている。

また、デジタル領域で市場規制が成功する可能性を最大限に高めるために、テック大企業に対して事前の競争ルールを適用するというEUのアプローチと足並みを揃えるか、少なくとも支持するよう米国の議員に訴える前に「コンプライアンスを確保するためには、欧州委員会が十分なリソースを有することを含め、効果的な法執行が鍵となります」とヴェスタガー氏は述べた。

「ゲートキーパーに関する私たちの取り組みが、他の地域にも同じように刺激を与えればと思っています」と同氏は語った。「例えば日本、英国、オーストラリアでは現在そうなっています。米国では、いくつかの法案が議会と上院で進行中ですが、それらは私たちの提案と多くの特徴を共有しています。これは、世界的なコンセンサスが得られていることを意味し、非常に心強いことです」。

往々にして法案は議会や上院を通過しない。しかし、EUは、米国の議員たちが団結してデジタル競争改革を実現させることを望んでいると明確にしている。

ヴェスタガー氏はまた、貿易・技術評議会や「これらの問題に対する共通のアプローチを見つけるために再構築された大西洋横断パートナーシップ」と同氏が呼ぶものについて言及し「私たちのデジタル法案の影響は、EU域内と同様に域外で起こることに左右されます」とも述べた。

「特に競争政策に関しては、新しいTechnology Competition Policy Dialogue(技術競争政策対話)を立ち上げましたが、これは私たちの長年の協力の伝統に基づくものです」とも指摘し、次のように付け加えた。「EUと米国は、最終的にまったく同じ法律を制定することはないかもしれないが、市民を保護し、市場を公正かつオープンに保つためのデジタル政策の策定に関しては、同じ基本的ビジョンを共有していることがますます明らかになってきています」。

つまりここではっきりとしているのは、DMAがデジタル市場の不均衡を是正する有効な手段になるとEUは確信していないということだ。そして、世界で最も強力なテック企業を規制するためには、米国を含むグローバルな対応が必要であり、実際にこれらの企業の多くは米国に本社を置いていているため、米国も含まれなければならない。

そのためヴェスタガー氏は、米国の聴衆を前に、DMAが「客観的かつ非差別的」であることを強調し、欧州が米国のテック企業のみを罰するような規則を考案して保護主義的であるという非難に対抗しようとしている。

「執行機関としての信頼性と自由で開かれた貿易へのコミットメントの両方が、関係する企業がどこの国に本社を置いているかに関係なく、平等に取り組むことを求めています」とヴェスタガーは訴えた。「ゲートキーパーは、欧州市場における規模やリーチに基づいて指定されることになります」。

欧州連合がテック企業に対してデータ保護規則を強力かつ統一的に執行することに失敗し続けていることも、ここで示唆されているようだ。米国はもちろん、包括的な連邦プライバシー法をまだ整備していない。

画像クレジット:Emmanuel Dunand / AFP / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルに5回目の罰金、出会い系アプリの決済めぐりオランダ独禁当局との対立続く

オランダの競争当局は、決済技術および同国の出会い系アプリに関する独占禁止命令に遵守しなかったとして、Apple(アップル)に科した罰金を再び引き上げた。

5回目の罰金として500万ユーロ(約6億4900万円)が科せられたことにより、Appleは2500万ユーロ(約32億3700万円)の支払い義務を負うことになり、命令に従っていないとみなされ続ければ、最大で5000万ユーロ(約64億7200万円)に達する可能性がある。このような状況の中、同社は、解決策を提示するどころか障壁を作り続けていると、いら立ちを隠せない様子の規制当局から非難された。

消費者市場庁(ACM)は、声明で次のように述べている。

過去1週間の間に、AppleからACMの要求を満たすような新たな提案は得られませんでした。そのため、Appleは5回目の罰金を支払う必要があります。つまり、すべての罰金の総額は現在2500万ユーロ(約32億3700万円)となります。

「当庁はAppleに対し、どのようにすればACMの要求事項を満たすことができるかを明確に説明しました。ですがこれまでのところ、Appleは真剣な提案をすることを拒否しています。特に、12月24日にACMの要求が裁判所で支持されたことを考えると、Appleの態度は遺憾です。Appleのいわゆる「ソリューション」は、独自の決済システムを利用したいと考えている出会い系アプリ業者にとって、あまりにも多くの障壁を設けています。

「Appleが支配的地位にある企業であることはすでに確立されました。それには、同社サービスの購入者、さらには社会全体に対する責任が伴います。Appleは、自社のサービスを利用すのに妥当な条件を設定しなければなりません。その文脈において、Appleは同社の支配的地位を濫用してはなりません。Appleの規約は購入者の利益を考慮したものでなければなりません。

規制当局の広報担当者は、先週の提案が「不合理」であると判断されて以来、Appleが新たな提案を行っていないことを確認した。

「Appleがこの命令に従うことを期待しています」と同担当者は付け加えた。「それができなければ、定期的な罰金支払いの対象となる、別の命令を下す機会となります」。

ACMからの最新の罰金に対するコメントをAppleに求めているが、同社の広報部門はここ数週間、罰金や告発の件数が増えていることから、これからの問題に備え静かにしているようだ。

Appleに収益の大部分を渡さずにデジタルコンテンツを販売したいと考えている一部のアプリからの苦情を取り締まろうとする、欧州の(小さな)一国の競争規制当局と、自らのエコシステムのコントロールを維持しようとする巨大プラットフォーム企業との間での争い。これは、EU(およびその他の区域)がデジタル巨人に対して、厳しい事前規制とそれに見合った罰則を採用(および施行)した場合にどうなるか、今後のはるかに大きな戦いを予見させるという点で有益だ。

例えば、導入が急がれているEUのデジタル市場法(DMA)案では「ゲートキーパー」と判断されたプラットフォームが、事前に設定された運用上の義務のリストに違反していた場合、全世界売上高の10%を上限とする罰金などの制裁措置が講じられる可能性がある。

そうなればAppleの場合は、2500万ユーロ(約32億3700万円)ではなく、2500億ユーロ(約32兆3700億円)に近い罰金が科せられることになる(クパチーノにとって、軽く見ることがより難しくなるのは確かだ)。

それでも、規制当局が、リソース豊富なテック巨人を自分たちの思うように踊らせようとするのは至難の業であることは明らかだ。

ACMの苦情に対するAppleの対応は、規制当局が不公平だと判断したからといって、儲かる収入源を簡単に放棄する気はないことを示しており、同社は代わりに事業を再構成して、ほぼ同じ手数料を取るための新しい方法を見つけることで、それに対抗しようとしている(Appleは、サードパーティの決済技術を利用するオランダの出会い系アプリに対して、App Storeの標準的な手数料30%に対して、売上の27%の手数料を請求すると述べている)。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

収益に影響を与えるような規制上の制限を回避することに大きなインセンティブを持っている、高速なイテレーションを武器とするテック巨人を取り仕切ることは、我々がこれまで見てきたように、果てしない遅延に負けてしまいがちなゲームだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Den Nakano)

マイクロソフト、アクティビジョン・ブリザード買収の規制対策でMicrosoft Storeがオープンであることを表明

Microsoft(マイクロソフト)は、世界有数の人気ビデオゲームの数々を傘下に収める計画に対する議会の圧力を和らげようとしている。同社は2022年1月、Activision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)を687億ドル(約7兆9400億円)で買収する意志を表明した。実現すれば史上最大規模のゲーム買収になる。

この買収は必ずしも不幸な運命にあるわけではないが、今はMicrosoftにとって規制当局の注目を引くことがリスキーな時期だ。米国では、議員と規制当局がこのテック巨人の同業者たち、具体的にはMeta(メタ、前Facebook)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)らに強く焦点を合わせている。ソーシャルネットワークや広告、オンラインマーケットプレイスに関する議論の中にMicrosoftの名前は出ていないため、これまでこの巨大企業はそのサイズにも関わらずかろうじて当局の網の目をくぐってきた。

しかしActivision Blizzardとの取引が審議の対象になると、それが続く可能性は低い。2022年2月初めにBloomberg(ブルームバーグ)は、この買収提案がFTC(連邦取引委員会)の審査を受けるだろうと報じた。現在のFTC委員長であるLina Khan(リナ・カーン)氏は、過熱するテック業界の統合を破壊することに精を出している反トラスト学者だ。

MicrosoftのBrad Smith(ブラッド・スミス)プレジデントは、2月9日のブログ投稿で、規制当局の話題に直接触れ、あくまでも協調的な姿勢を打ち出しながら、規制当局の提案を受けて同社が採用する予定の「Open App Store Principles(オープンアプリストア原則)」の概要を示すとともに、世界で最も人気のあるゲームタイトル群を手に入れる同社自身の計画を発表した。

Microsoftは、この新たな方針を規制の変化に適応するための予防的取り組みであると説明しているが、同時に、連邦政府がこの買収を承認することへのアピールであることは明白だ。

生まれつつある新時代のテック企業規制は利益とリスクの両方をもたらす、と私たちは認識しています。それは1つの企業にとってだけでなく、私たちの業界全体にとってのことです。すでに指摘されているように、どんな新たな規制にもリスクがあり、公正なヒアリングと十分な検討が必要です。しかし当社は一企業として、規制と戦うのではなく順応することに今後も焦点を当てていきます。当社が20年にわたり反トラスト法を遵守し、自らの経験から学んで来たことが理由の1つです。変わることは簡単ではありませんが、新しいルールに順応し、革新を起こすことは可能であると私たちは信じています」

スミス氏がここで提示した原則は、規制当局の関心対象である問題にいくつも触れており、アプリストアのデータを使ってデベロッパーと競争しないこと、自己優先を行わないことへの誓約も含まれている。さらに同社は、自社の決済システムの使用をデベロッパーに強要しないこと、あるいは他のプラットフォームでの有利な取引についてデベロッパーが顧客とやり取りするのを妨げないことも約束している。

Microsoftは、一連のオープン化原則はWindows(ウィンドウズ)向けに作ったガイドラインを改変したものだが、Xboxにも「今日から」適用するつもりだという。気になるのは、同社が約束した中に、Microsoft Storeでの決済オープン化に関する重要事項が入っていないことだが、他の原理を実行に移すことで穴埋めしていくつもりだと話した。

当社は、アプリストアのデベロッパーがアプリ内決済で我々の決済システムを使用することを強要しません。

当社は、アプリストアのデベロッパーが、我々のアプリストアで他のアプリストアよりも有利な条件を提供することを強要しません。

当社は、当社以外の決済処理システムを使用する、あるいは他のアプリストアで異なる取引条件を提供することを選択したデベロッパーをに不利に扱いません。

当社は、デベロッパーが価格設定や提供するプロダクト、サービスなど、合法的ビジネス目的のために、自社アプリを通じて顧客と直接やり取りすることを妨げません。

スミス氏はさらに、今回の取引を巡る懸念のいくつかについても直接答えた。同氏は、取引が成立した場合でも、「Call of Duty(コール・オブ・デューティー)」はSony(ソニー)のPlayStation(プレイステーション)で「既存および将来の契約に関わらず」引き続きプレイ可能であることを確認した。これでSonyコンソールのオーナーが置き去りにされる心配はなくなった。

「Nintendo(ニンテンドー)の成功しているプラットフォームのサポートにおいても同様の手段を講じる予定です」とスミス氏は書いている。「業界にとってもゲーマーにとっても当社のビジネスにとってもこれが正しい行動だと信じています」。

スミス氏は「Activision Blizzardの他の人気タイトル」も同じ扱いを受け、ただちにMicrosoft独占になることはないことを強調した。「Call of Duty」以外に、Activision Blizzardとの契約には、「OVerwatch(オーバーウォッチ)」「World of Warcraft」「Diablo(ディアブロ)」「Starcraft(スタークラフト)」「Hearthstone(ハースストーン)」「Candy Crush(キャンディークラッシュ)」など数多くのヒットゲームが含まれる。

ゲーム・コンソール戦争は新時代に入った

Microsoftがこの巨大契約を、ゲーマーをゲーミング方程式のXbox側に引き寄せるために使わないことはとても考えられないが、ゲーム機戦争はかつてほど重要ではなくなっている。少なくとも、我々がこれまで考えていたような意味では。

Epic(エピック)対Apple(アップル)裁判の際、Microsoftはハードウェア販売には補助金を出しており、Xboxコンソールで利益を上げていないことを認めた。ゲーム売上とゲームサブスクリプションサービスが、実際にゲーム機メーカーが利益を上げる仕組みではあるが、ハードウェアもまったく関係ないわけではない。アプリモデルとよく似て、ゲーミングでも顧客をソフトウェアストアに呼び寄せ、確保し続けることがすべてだ。みんなの欲しがるハードウェアを作ることは、そのための主要な手段の1つだ。

ユーザーが他のメーカーのコンソールでゲームをプレイすれば、そのライバルは分け前(30%が標準的)を受け取るが、それでも自分たちは利益を得る。Microsoftにとって、彼らのゲーミングエコシステムをどこまでオープンにすべきかは、その計算と、ヒットタイトル(特にサブスクリプションとゲーム内購入のあるもの)を他のプラットフォームでもプレイ可能にしておくことによる顧客ベースの拡大との均衡がすべてだ。

スミス氏はブログでこの現実を明確に認め、アプリストアはゲーム業界の未来でも現在でもあると指摘した。「Windowsがオープンで広く使われるプラットフォームへと進化してきたように、ゲーミングの未来も同様の道をたどると私たちは見ています。【略】私たちのビジョンは、ゲーマーがどのゲームもどのデバイスでもどこででもプレーできるようにすることで、クラウドからのストリーミングもその1つです」とスミス氏はいう。

もちろん現在のアプリストアの仕組みは将来の変更対象だ。現在、議会を通過しようとしている反トラスト法案、American Innovation and Choice Online Act(米国のオンラインでのイノベーションと選択に関する法案)は、企業が自社プラットフォームで自己を優先的に扱い、競合相手を不利な立場に置くことを明示的に禁止するだろう。別の法案、Open App Markets Act(オープンなアプリ市場法案)もソフトウェアプラットフォームが過去10年間追求してきた壁に囲まれた庭を取り壊そうとしている。両法案とも、2022年1月に委員会を通過しており、Microsoftのような企業に重くのしかかる可能性は高い。たとえ、アプリストアや他のソフトウェアマーケットプレイスを崩壊させかねない一連の変更がゲーミングプラットフォームを対象としないとしても。

「私たちはワールドクラスのコンテンツがあらゆるプラットフォームを通じてすべてのゲーマーにもっと簡単に届くようにしたいのです」とスミス氏は書いた。「コンテンツ制作におけるイノベーションと投資が増え、流通の制限を減らすよう私たちは推進していきます。要するに、世界にはオープンなアプリ市場が必要であり、それにはオープンなアプリストアが必要なのです」。

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画像クレジット:Anadolu Agency / Contributor / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップル、オランダのデートアプリの決済に関する命令で再び罰金を食らう

デートアプリの支払い方法をめぐって、オランダでApple(アップル)の反トラスト法違反が続いている法案が、さらに500万ユーロ(約6億6000万円)増えて1500万ユーロ(約19億8000万円)になったことを同国の消費者保護・市場監督局(Authority for Consumers and Markets、ACM)が認めた。

このペナルティは消費者保護・市場監督局の命令に関わるもので、それによるとAppleは同国のデートアプリがデジタルコンテンツを販売した場合、その代金の支払いに関して、Appleに手数料をもたらすApple自身の決済インフラの使用を強制するのではなく、サードパーティの決算プロバイダーの使用を容認しなければならない。

iPhoneのメーカーであるAppleは2021年以来、オランダの命令に逆らい、控訴を続けてきた。しかし2022年1月、最初のコンプライアンスの締切とペナルティ執行の脅威が近づくにともない同社は、アプリがApple以外の決済技術に接続することに合意し、オランダのApp Store上にあるデートアプリに限り、2つの「オプション的資格」を導入するとした。それによりアプリは、命令が指示しているように別の決済処理の選択肢をユーザーに提供できる。

しかしAppleの1月のコンプライアンスの主張を、ACMはただちに無効として罰金を科した。どうやら規制当局は、Appleが命令のすべての要求に従うことをためらっている点を問題にしたようだ。

ACMの命令に対するAppleの抵抗に関する裁判所命令は、まだ一部しか公表されていないため、消費者保護・市場監督局は、現在、言えることに限界があると述べている。

一方、Appleは命令に逆らうことをPRに活かそうとしている。そして1月の声明では「複数の決済サービスを使えることによりユーザー体験が損なわれ、プライバシーとデータのセキュリティに新たな脅威が作り出される」と主張している。

自分たちのデートアプリにApple以外の決済技術を使いたいと思っている開発者にAppleが提供した情報も、できる限りその決定に二の足踏ませようとしている。つまりAppleの主張では「ユーザーはApp Storeの機能の一部を使えなくなり、そのような販売方法によって発生する返金や購入履歴やサブスクリプションの管理といったサポートの欠如により、ユーザー自身がそれらの責任を負うことになる」という。

の新たな打撃でAppleは、Apple以外の決済技術を使うデートアプリからの販売に関しては27%の手数料を課すと発表した。これはAppleが通常、アプリ内購入に課している30%とほぼ同額だ。

つまり、標準料金のわずかな割引と、カスタマーサービスの責任、および技術的な諸経費を追加するだけでは対象となるアプリの収益が増えるとは思えない。これは、Appleが、ローカル開発者がサードパーティの決済システムを使用することをできるだけ難しく、そのハードルを高くしようとしていることを示唆している。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

しかしこれは、Appleのアプローチが偽りのコンプライアンスを選択することであることを意味している。ACMの命令の字面ではなくその精神に反して、同社は外部決済を使うことを開発者にとってほとんど魅力のないものにしている。しかしながらACMの最新のペナルティは、Appleが規制当局が命令で強制していることの中核にさえ達していないことを示唆している。

懸案のコンプライアンス問題の詳細を尋ねたところ、競争当局は、Appleが完全な情報を提供していないと答えた。これはおそらく、Appleがコンプライアンスに従っているかどうかを正しく評価できないと感じていることを意味する。

「ACMは、Appleが定期的な違約金支払いを条件とする命令を遵守するために既に実施したとする変更について、Apple自身からまだ何らの情報も受け取っていません。当該命令に基づき、Appleはこれを行うことが要求されています。Appleは、そのような情報を適時に、また完全な形で提供していないため、Appleは引き続き同命令に定められた要件を遵守していないことになります。そのため、Appleは3回目の違約金を支払わなければならず、Appleが支払わなければならない総額は現在1500万ユーロに達しています」と広報担当者は述べている。

「Appleのウェブサイトに掲載されている情報だけでは、同社が定期的なペナルティ支払いを条件とする命令で定められた実質的な要件を遵守しているかどうかを評価することはできない。ACMは、Appleの行動と行為に失望しています。私たちは、Appleが最終的にACMの要求事項を遵守することを望んでいます。しかも、これらの要件は裁判所によって支持されています」と付け加えた。

Appleにコメントを求めたが、本稿を書いている時点では返事はない。

金儲け主義の巨大企業にとって、比較的小さな欧州の単一市場のアプリのサブセットなど大した問題ではないかもしれないが、同社のApp Store手数料モデルは現在、世界中の開発者からの苦情や規制の圧力にさらされている。

つまり、Appleは市場ごとに足を引っ張り、現地の開発者に複雑さと疑念をもたらし、一般的にこのプロセスを遅くて辛いものに空回りさせるよりも、App Storeの中核的な収益モデルを切り崩すような大規模で意味のある変更をすばやく行うことの方が、ビジネスにとってはるかに大きなリスクとなると考えているだ。

ACMによると、Appleのノン・コンプライアンスの罰金は毎週上昇し、最大の5000万ユーロ(約66億円)に達するまで上がり続ける。しかしそれは、時価総額2兆8170億ドル(約325兆円)の企業にとってポケットの小銭であるため、この問題を困難で不快なものにし続けても問題ない。

とはいえ、ヨーロッパの市場の一部は現在、競争法の改定に取り組み、テクノロジー大手からの途方もないチャレンジに対応しようとしている。たとえばEUのDigital Markets Actは、インターネットのいわゆるインターネットの「門番たち」のための先取り的ルールの提案だ。またドイツの、すでに法律として成立した規則は「すべての市場で重要な意義を持つ」プラットフォームに対する権力の迅速な介入について定めている。現在、その対象企業はGoogleだ

ドイツ連邦カルテル事務局はAppleのApp Storeの捜査に関してオープンな手続きをとっているが、こちらも同社のやり方が競争に関するローカルな限度を超えそうなときは、規制のギアをさらに上げるだろう。

英国でも、競争保護促進のためのリフォームが進んでいる。こちらも議会の判断で「大きな市場ステータス」を持つとされるテクノロジー大手に対する特別法を導入できる。

このように各国の議会は、気に入らないルールを単純に無視しようとするプラットフォームをターゲットとする権力を急速に強化している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

裁判所の命令により、マッチングアプリの開発者はオランダでApple(アップル)のアプリ内課金システムを使用する必要はなくなった。また、これらの課金決済はAppleによって処理されないため、Appleはデジタル購入の際に通常の30%の手数料を取ることはない。しかし、サードパーティの決済システムを利用する開発者は、依然として手数料を支払わなければならない。Appleは27%の手数料を請求する予定だ。

オランダの反トラスト法問題を把握していない人のために説明すると、オランダ消費者市場庁はもともと、Appleが非常に特殊なケース、つまりマッチングアプリ開発者が販売する「superlike」や「boost」といったデジタルコンテンツでオランダの競争規則に違反していると指摘していた。

これは、Appleのアプリ内課金システムにとって、別の新たな脅威となる。韓国では、デジタル決済に関する新法に基づき、Appleはサードパーティーの決済システムを認めることに同意した。また、米国と欧州では、いくつかの訴訟が進行中だ。

オランダに関しては、Appleは外部決済を認めることはユーザーの利益にならないと主張し、反トラスト法に基づく決定について上訴している。

「これらの命令がユーザーの最善の利益になるとは思えません。当社はACM(消費者市場庁)の決定を受け、高等裁判所に上訴しました。これらの変更がユーザーの体験を損ない、プライバシーとデータセキュリティに新たな脅威をもたらすことを懸念しています。一方、当社は本日開始する、義務付けられた変更を行う義務があり、近日中にさらなる情報を提供する予定です」と同社は1月に述べた。

オランダの競争当局は、Appleが裁判所命令に従う最初の期限を過ぎていることからすでに500万ユーロ(約6億5000万円)の罰金を科しており、同社に選択の余地はあまりない。

Appleは現地時間2月4日、マッチングアプリの開発者がオランダで代替決済システムを利用する方法を説明するドキュメントページを更新した。これはかなり技術的なものに関する文書で、開発者がどのように代替支払いオプションを提供できるかを説明している。

しかし、Appleがアプリ開発者に手数料を請求する予定であることも書かれている。基本的に、Appleが取引を扱わないため、開発者はApp Storeの手数料を3%カットされる。しかし同社は、提供するさまざまなサービスに対して27%の手数料を請求することは、まだ正当だと考えている。

ACMの命令に従い、サードパーティのアプリ内決済プロバイダをリンクアウト、または使用する権利を付与されたマッチングアプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払うことになります。Appleは、付加価値税控除後のユーザが支払う価格に対して27%の手数料を請求します。これは、決済処理および関連する活動に関連する価値を除いた率です。開発者は、サードパーティの決済プロバイダーによって処理された売上について、オランダの付加価値税(VAT)など、適用される税金の徴収と送金に責任を負います。

アプリ開発者は毎月、App Storeでホストされているアプリに関連するデジタル売上を報告する必要がある。その後、Appleは27%の手数料の請求書を送付する。

つまり、開発者はAppleの決済システムを回避することで、追加でかなりの収益を得ることはない。しかし、それだけではない。サードパーティの決済システムには技術的な費用もいくらか発生する。

マッチングアプリではよくあることだが、複数の国にユーザーを持つアプリ開発者の場合、同じアプリのバイナリを提出することはできない。開発チームは、オランダ語のアプリとオランダ語ではないアプリの2種類のバイナリをまとめて提出しなければならない。

Appleは、サードパーティの決済システムを使用することを可能な限り難しく、高価にしたいと考えている。ほとんどの開発者は、Appleのアプリ内課金APIを使い続ける可能性がある。

「Appleのアプリ内課金システムを使い続けたいマッチングアプリの開発者は、そうすることができ、追加で何かを行う必要ありません」とAppleは書いている。

しかし、それは同社がただ時間を稼いでいるように感じられる。App Storeは依然として、さまざまな管轄区域で独占禁止法の厳しい監視下に置かれている。Appleは、最初の裁判所命令や競争促進的な改革を回避する方法を見つけるだろう。しかし、規制当局が本当にAppleのアプリ開発者向け手数料を下げたいのであれば、もっと賢くなるはずだ。

 画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

テクノロジーへの取り締まりが、今後の米国・中国間の競争の運命を握る

TechCrunch Global Affairs Projectは、テックセクターと世界の政治がますます関係を深めていっている様子を調査した。

今、テクノロジー大手は苦境に立たされている。野心的なテクノロジー企業はかつて、中国で比較的独立して活動できる数少ない企業の1つだった。以前、Alibaba(アリババ)のJack Ma(ジャック・マー)氏やDidi(ディディ)のJean Liu(ジーン・リュー)氏のようなテックリーダーは、ダボス会議で主役級の存在感を放つ、中国イノベーションの世界的なシンボルとなっていた。しかし今は違う。

2020年マー氏が中国の規制当局を批判する発言をした後、Alibabaの記録的なIPOは延期され、また同氏は数カ月間、事実上「行方不明」となっていた。Tencent(テンセント)は反トラスト法違反で多額の罰金を科せられている。2020年以降、両社はそれぞれの企業価値の約20%を失い、その総額は3000億ドル(約35兆円)以上に達している。Didiの株価は中国のアプリストアからの削除命令を受けた後、40%も下落している。最近では中国の規制当局がEdTechやゲーム業界に新たな規制を課し、さらには暗号資産を全面的に禁止している。

米国テクノロジー業界の重鎮らは自由を手にしているようにも見えるが、実際は彼らや彼らのビジネスも政府の監視下に置かれている。Lina Khan(リナ・カーン)氏、Tim Wu(ティム・ウー)氏、Jonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏といった反トラスト法を擁護する有力者たちがいずれもバイデン政権で要職に就いており、また米国議会ではプライバシーや年齢制限など、テクノロジー企業を規制する新たな法案が検討されている。

北京でもワシントンでも(そして何年もテクノロジー企業と戦ってきたブリュッセルでも)「大手テクノロジー企業はあまりにも強力になりすぎて責任を取れなくなっている」というコンセンサスがますます明確になってきている。政府はイデオロギーの違いを超えて、公共の利益の名のもとに何らかのコントロールを行わなければならないと考えている。今、創業者、経営者、投資家にとって、政治的リスクがかつてないほど高まっているわけだ。

しかし、表面的には似たような取り締まりに見えても、両国の反トラスト法戦略の意味するところはこれ以上ないほど相違している。中国では、反トラスト法の取締りは与党である共産党の指揮棒に運命が委ねられている。しかし米国の反トラスト法のムーブメントは一様ではない。

米国がまだ始めたばかりのことに対して中国は断固たる行動を取っている。しかし、データプライバシーや子どものスクリーンタイムの制限を謳う中国政府の取り組みは、その真の目的である政治的・経済的な完全支配のための布石にすぎない。事実上独立した市民社会が存在しない中国では、テクノロジー産業は共産党以外に権力を持つことができる数少ない場所の1つとなっていた。しかしこれまで以上に抑圧的な習近平政権では、このような独立した力の源が受け入れられることはない(香港を参照)。党の方針に従わなければ中国国家の強大さに直面するぞというメッセージは明確である。

さらに、中国はパワーの拡大を目指している。中国はかねてより次世代技術の支配を目指しており「China Standards 2035」プロジェクトの一環として、5GやAI、再生可能エネルギー、先進製造業など、数多くの重要な産業や分野の標準化の設定を積極的に進めている。これを実現するための主要戦略として、中国は国際的な基準設定団体を水面化に支配しようと試みていたのだが、北京はこれらのテクノロジーを開発する企業をコントロールすることも同様に重要であると気づいたのである。Huawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)、TikTok(ティックトック)の3社は、欧米の政治家が懸念しているような積極的なスパイ活動は行っていないかもしれないが、彼らの利用が広がれば広まるほど、中国の規格が世界のデフォルトになっていくことになる。

関連記事:国際的な技術標準での優位性を狙う中国の次の計画

ジャック・マー氏の運命と中国の5GリーダーであるHuaweiの創業者一族の運命を対比してみるといい。Huaweiは中国のテクノロジーを世界の多くの国でデフォルトの5Gキットとすることに成功。これにより中国の技術的信頼性が高まり、いくらマー氏が共産党員でもこの功績の比較にはならない。Huaweiは当然北京との親密さを売りにしており、Huaweiを選ぶことは中国への信任投票の代名詞となっているが、その分のリスク存在する。米国は、Huaweiと中国の治安機関との関係を懸念して同社に対する反対運動を実施。その結果、Huaweiが米国の対イラン制裁に違反したとして、同社創業者の娘でCFOのMeng Wanzhou(孟晩舟)氏がカナダで逮捕されるに至ったのである。

しかし、忠誠心が報われないわけではない。北京は2人のカナダ人を逮捕し、彼らの拘留を利用して晩舟氏の釈放に向けた取引を成功させた。例えHuaweiが以前は北京に忠誠を誓っていなかったとしても、今は確実に誓っているだろう。中国の他のテクノロジー大手にとっての教訓になったのではないだろうか。

中国の弾圧により投資は冷え込み、人材は浪費され、恐らく中国の強力なテクノロジー部門を築いてきた起業家精神も失われたことだろう。しかし、権力を振るってテクノロジー企業を屈服させることには間違いなく成功している。

北京が国益のためにテクノロジー大手を弾圧する一方で、米国が自国のテクノロジー大手を取り締まっている理由は一体何なのだろうか?米国の独禁法取締官はテクノロジーパワーの肥大化を懸念しているかもしれないが、より競争力のある部門がどうあるべきかという戦略的ビジョンを持っているとは信じ難い。米国の大手テクノロジー企業はその規模が米国の競争力に不可欠であるという主張をすることがあるが、彼らも政府も、自分たちが「アメリカンパワー」の作用因子であるとは考えていない。実際、米国議会がテクノロジー企業と中国のどちらをより敵視しているのか、判断に迷うほどである。

反トラスト法を支持する人々は、Google(グーグル)やApple(アップル)といった企業を解体するか、少なくとも規制することで全体的な競争力が高まり、それが政治や米国のテクノロジー分野に広く利益をもたらすと信じている。AmazonからAWSを、 Facebook(フェイスブック)からInstagram(インスタグラム)を切り離すことで、消費者にはメリットがもたらされるかもしれないが、これがテクノロジーに関する米国の優位性を維持することにどうつながるだろうか?それはまったく不明である。

これまでの米国におけるハンズオフ型の資本主義システムは、オープンでフラット、民主的であり、世界の歴史上最高のイノベーターを生み出してきた。同産業は政府が支援する研究の恩恵を受けてきたが、政府との関係の「おかげ」ではなく、むしろ政府との関係があったにもかかわらず、成功を遂げることができたのだ。米国企業が世界的に信頼されているのは(ほぼ)そのためであり、政権の動向に左右されることなく、法の支配を遵守することが知られているからなのである。

テクノロジーにおける米国と中国間の競争は、この前提を根底に検証されなければならない。政府から独立して運営されている分散型かつ非協調的な産業が、超大国によって編成された一産業に対して優位性を維持できるのか?

筆者はそれでも米国の(そして同盟国の)イノベーションは、これまで通り成功し続けると楽観視している。開放性は創意工夫を生むのである。米国の研究とスタートアップはどの国にも劣っておらず、そして競争に適切に焦点を当てることで、発展が到来するのである。

しかしだからといって、少なくとも限定的な国家戦略がまったく不必要というわけではない。米国に中国のような産業政策が必要だと言っているわけではない。結局のところ、中国のトップダウンモデルは壮大な無駄を生み出し、それが何十年にもわたって中国経済を圧迫することになる可能性があるのだ。企業を強制的に壊してしまうような露骨なやり方では、かえって害になることが多いだろう。

その代わりに米国の議員たちは、反トラスト法に関するヨーロッパの見解に賛同しつつある今、大西洋をまたいだグローバルな競争基準の賢明なフレームワークを開発すべきだ。新設されたU.S.-EU Trade and Technology Council(米欧通商技術評議会)とQuad(日米豪印戦略対話)のテクノロジーワーキンググループが協力を促進し、フェアプレーを維持する善意の民主的テクノロジーブロックを作るための基礎を築くべきなのである。

商業的なアウトカムに影響を与えることなく、政府が支援を行うというこのような中間的な方法には前例がある(冷戦時代に生まれたシリコンバレーの例など)。米国のテクノロジー産業の起業家精神を阻害することなく、ガードレールを提供するためにはこの方法が最適だ。

議会や行政がテクノロジー競争をどう扱うかを検討する際、現在の弊害を是正するだけではなく、米国のテクノロジーそのものの未来を描くことを念頭に置くべきである。なんと言っても米国経済のリーダーシップがかかっているのだから。

編集部注:本稿の執筆者Scott Bade(スコット・ベイド)はTechCrunch Global Affairs Projectの特別シリーズエディターで、外交問題についての定期的な寄稿者。Mike Bloomberg(マイク・ブルームバーグ)の元スピーチライターで、「More Human:Designing a World Where People Come First」の共著者でもある。

画像クレジット:Anson_iStock / Getty Images

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(文:Scott Bade、翻訳:Dragonfly)

米国35州・マイクロソフト・電子フロンティア財団がEpic支持を表明、アップル対Epic裁判はまだまだ続く

アップル対Epic裁判、米国35州・マイクロソフト・電子フロンティア財団がEpic支持を表明

CHRIS DELMAS/AFP via Getty Images

アップルとEpic Gamesが『フォートナイト』のアプリ内課金をめぐって揉めている訴訟はいったんは判決が下されました。が、両社とも判決を不服として控訴したため、法廷での戦いはまだまだ続く見通しです。

この訴訟については、米国35州の司法長官とマイクロソフト、そして電子フロンティア財団が、Epicを支持することを表明しました。各州の弁護士が控訴裁判所に提出した準備書面では「アップルによるApp Storeの管理は独占禁止法に違反しない」とする先の判決を覆すべきだと主張されています。

Epic Gamesがアップルに対して起こした「App Storeの管理が独占禁止法に違反する」ことを問う裁判では、アップルにはアプリ開発者がユーザーを独自の決済システムに誘導することを認めなければならないとの判決が下されました。

その一方でアップルが反訴した「問題は独禁法違反かどうかではなく、EpicがApp Store開発者としての契約に違反して独自の決済システムを使ったこと」に関してはアップルの主張が認められ、Epic側にはアップルが本来得るべきだった手数料の支払いが命じられています

これによりEpicは金銭的には敗北を喫した一方で、アップルに対して「12月9日までに開発者がアプリ内でユーザーを他の決済システムに誘導できるようにしなければならない」との判決が下されたことで、一定の勝利を勝ちえたはずでした。

アップルはこの命令に対して期日延期を要請し、一度は却下されたものの、12月には控訴裁判所が延期に合意したことで先送りに成功しています。つまりアップルとEpicとの控訴審が終わるまで、App Storeアプリ内に外部決済リンクを認めることは何年も先延ばしにされるかもしれないわけです。

さて今回、35の州政府が提出した準備書面では「アップルはiPhone向けのアプリ配信とアプリ内課金ソリューションを独占し続け、競争を抑圧し、年間ほぼ1兆ドル規模のスマートフォン業界で超競争的利益(競争の激しい市場で維持できる利益を超えた利益)を蓄積しています」と簡潔に書かれています。

またMSも準備書面を提出し、同社が隣接する市場で「競争を封じるためにiOSを支配する」ことを可能にすると主張。「アップルがオンラインサービスを持つ全ての企業とiPhoneユーザーの間に介入することが許されるなら、巨大なモバイル経済のほとんどはアップルの干渉と最終的な支配から逃れられられない」と述べられています。

MSは自社のクラウドゲーミングサービスをiPhone向けに展開する上で大きな制約を受けたこともあり、以前からアップルを遠回しに批判していました

アップルはEpicとの訴訟について「(先の)判決が控訴で肯定されることを楽観視している」として、勝利を確信しているとの趣旨をコメント。さらに我々は、App Storeは消費者のための安全で信頼できる市場であり、開発者のための絶好の機会であることを保証するために引き続き取り組んでいきます」と述べています。この声明は、米上院で審議されているアプリストア規制法案へのけん制も兼ねていると思われます。

しかしアプリ課金については、アップルに対して自社システム以外の決済方法を認めるようオランダや韓国ほか世界各国で圧力が高まりつつあります。そこに米国の35州も加わるとなれば、アップルもいつまでも現状を守り続けるのは厳しいかもしれません。

(Source:CNETFOSS PATENTEngadget日本版より転載)

ユニコーン以上の価値があるWorkplaceにスピンアウトして欲しいVCと、それを手放したくないフェイスブック

Workplace(ワークプレイス)とは、もともとFacebook(フェイスブック)が従業員同士のコミュニケーションの場として作ったアプリである。友人や家族と楽しむためのものとして定着したFacebookと実質的に同じこのツールは、現在700万人以上のユーザーに利用されており、企業の社内コミュニケーションを支援するアプリとして地位を確立している。そして今、この人気を背景にWorkplaceには別の意味での注目が集まっているようだ。

Meta(メタ)に社名を変更する前、Facebookが企業投資家から「Workplaceをスピンオフして、スタートアップとしてバックアップさせて欲しい」という提案を受けていたという事実が浮上した。関係者によれば、この取引によってWorkplaceが独立していたら、少なくとも10億ドル(約1138億ドル)の「ユニコーン」として評価されていたとのことである。

情報源によるとこの話は進まなかったようだが、それは主にFacebook(現在はMeta)がWorkplaceを「戦略的資産」と見なしたからだという。MetaがFacebookやInstagram(インスタグラム)などのプラットフォーム上の広告から得ている数十億ドル(数千億円)に近い売上を、Workplaceが上げているわけではない。しかし、Metaの多様な側面を市場に強調するためには、Workplaceが重要なのだという。規制当局にとって、Facebook / Metaはあまりにも強力すぎるソーシャルネットワークなのであるのに対し、企業組織にとってFacebookは広告を販売する以外にもまだ多くのポテンシャルを秘めている存在なのである。

情報源によると「WorkplaceはFacebook(およびMeta)を大人っぽくみせてくれる」のだという。

MetaとWorkplaceの広報担当者はこの記事へのコメントを控え、何も伝えることはないと述べている。

どの投資家が関係していたかは明らかにされていないが、ある関係者によるとその企業投資家とは、資本注入を目的とした後期の成長ラウンド投資に重点を置く、エンタープライズに特化した投資家だという。

スピンアウトしたWorkplaceに出資しようという彼らのアプローチは、2021年レイトステージの投資家やプライベートエクイティの投資家らが成熟した大規模なテック企業を買収するために活動を活発化させていた時期(今もそうだが)と重なっている。Thoma Bravo(トーマス・ブラボー)は2021年、350億ドル(約3兆9840億円)を調達してこの分野でより多くの買収機会を得ようとしていたと報じられている(そしてそのためにさまざまな投資や買収を行ってきた)。2021年のプライベートエクイティによる買収総額は約800億ドル(約9兆円)に達し、2020年に比べて140%以上増加しているとBloomberg(ブルームバーグ)は推定している。

このペースは2022年も衰えそうにない。その中には、あまり主要ではなく収益性の悪い、どちらかといえば低迷中の資産を合理化してより多くの資本を回収しようと、大手テクノロジー企業に対して事業のスピンアウトを持ちかけるPE企業もある。ちょうど今日、Francisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)はIBM(アイビーエム)のWatson Health(ワトソン・ヘルス)事業を約10億ドル(約1138億ドル)で買収することを発表した

SaaS展開の足がかりを構築

Metaの場合、Workplaceをスピンアウトさせるためには、2つの面での展開が必要となる。

企業面では同社の解体を求める声が上がっている。2022年1月初め、米連邦取引委員会(FTC)がWhatsApp(ワッツアップ)とInstagramの売却を求める訴訟の継続を裁判所が認めた他、報道によるとVR部門が反トラスト法違反ではないかという別の調査も行われているという。一部の投資家や株主にとってこの状況はチャンスだが、Metaにとってはあらゆる資産の保持を正当化するための検討が必要になってくるだろう。

Workplaceはこの数カ月間、重要な岐路に立たされていた。

多くの人材が離職したのである。その中には、1月BREX(ブレックス)のチーフプロダクトオフィサーに就任したKarandeep Anand(カランディープ・アナンド)氏や、ロンドンのベンチャー企業Felix Capital(フェリックス・キャピタル)のパートナーに就任したJulien Codorniou(ジュリアン・コドルニウ)氏というトップ2人の幹部も含まれている。その他多くの人たちも、新たな旅路をスタートさせるため同社のビルを去っていった。

これはMetaのPRの失敗が原因なのではなく、むしろごく自然な現象なのだと私は聞いている。これまでここにいたのはWorkplaceを一から作り上げるために集められた人々だ。同社の製品が成熟し、より明確な焦点を持った今こそ、新たな人員が入社して次のステージに取り組むのに適切な時期であるのだという(私の個人的な意見だが、Workplaceの新リーダーであるUjjwal Singh[ウジワル・シン]氏は、今のWorkplaceを率いるのにふさわしい人物だと感じている)。

しかしそれとはに、Metaが常に世論からバッシングを受けていることで従業員が疲弊しているのではないかという報道もある。Workplaceもこれは人ごとではない。以前Workplaceは最大手のレストランチェーンと大きな契約を結んだと私たちは理解しているのだが、その顧客は昨秋、穏やかでないニュースの数々と「評判の問題」を理由にその発表を控えるよう求めてきたという。

「他のSaaS企業ではありえないことだ」とある人物はいう。

これはWorkplaceを親会社から切り離すための良い理由となったはずだし、スピンアウトへの一歩ともなりえただろうが、Metaはそうは感じていないようだ。

Workplaceは製品として展開された当初から、実は大きな変化を遂げている。

もともとFacebookの「仕事版」として設立されたWorkplace。Facebookの従業員がすでにFacebookを使ってプライベートなグループでコミュニケーションをとっていたのを発展させたもので、Slack(スラック)やその他の職場向けチャットアプリの台頭に対抗する形で登場した。何十億もの人々がすでにFacebookを利用しているのだから、 当然Workplaceに優位性があるだろうというのが同社の当時の考えである。異なる種類のユーザーをターゲットにした新サービスを導入し、広告収益ではなく有料化という異なるビジネスモデルを採用することで、同社にとって新たなビジネスの可能性の扉を開いたのだ。

時とともにWorkplaceの焦点が変わろうとも、この戦略が変わることはほとんどない。もともとWorkplaceは、SlackやTeamsに対抗するためにナレッジワーカーを対象とした他の職場生産性向上ツールとの統合を数多く導入していたのだが、時が経つにつれ、Workplaceは主にモバイルで雇用主とコミュニケーションをとるデスクレスワーカーに支持されるようになったのである。つまり、ナレッジワーカーとデスクレスワーカーの両方に対応するコミュニケーションアプリになることがWorkplaceのスイートスポットとなったのだ。

「Teams、Slack 、Workplaceのどれかを選んでもらうのではなく、両方持っていてもいいのではないかと気づいたのです。他の会社はナレッジワーカーのためのリアルタイムのメッセージングコミュニケーションを扱って、Workplaceはそうではないサービスをすべての人のために提供すれば良いのです」と関係者は振り返る。

そして、これが現在の Workplace の戦略の指針となっている。最近では、Microsoft Teams(マイクロソフトチームス)の機能をプラットフォームに統合して補完を行っている他、先に、同社はWhatsAppとの新たな統合を発表した。これはすでに最前線のチームに人気があるのだが、今後はWorkplaceでのコミュニケーションのため、より正式なインターフェースとなるようだ。また、MetaのVR事業とPortal(ポータル)との統合やサービス提供も予定されているという。

同社が最新のユーザー数を公表するのは2022年の後半になる予定だが、ある関係者によるとWorkplaceのユーザー数は現在1000万人近くに達しており、Walmart(ウォルマート)やAstra Zeneca(アストラゼネカ)など世界最大級の企業もその顧客リストに含まれているという。

Workplaceはこれまでに独立型製品として販売されていたこともあるが「今後独立型のアプリケーションとして販売されることはないと思います」と関係者は話している。

その代わりに、例えばビジネスメッセージングとWorkplaceを組み合わせて販売したり、Facebookのログイン機能と組み合わせて販売したりと、Metaにはさまざまな可能性が広がっている(CRMのスタートアップであるKustomer買収の背景には、このような企業への幅広い売り込みがあると思われるが、この買収はまだ完了していない)。

Workplaceを手放す準備などもっての他で、Metaはより大きなSaaSビジネスを構成する足がかりとしてWorkplaceを位置づけているようだ。果たしてMetaは独立会社のように、そのチャンスを逃さずに動けるだろうか。それができなければVCが舞台のそでで出番を待っているのである。

画像クレジット:Workplace

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

ワシントン州による調査後、「Sold By Amazon」での価格操作に対してアマゾンは2.6億円を支払い、プログラムも終了

Amazon(アマゾン)は、225万ドル(約2億6000万円)を支払い、中断していた販売プログラムを永久に停止しなければならない。同社が実質的な価格操作を行っていたとする、ワシントン州司法長官による調査および訴訟を受けたものだ。

「Sold By Amazon」は基本的に次のような仕組みだった。Amazonがサードパーティの販売者と連絡を取り、商品の最低価格について合意する。Amazonがそれ以上の値段でその商品を売れば、利益を分配する。ある意味、卸売りで大量に仕入れて転売するのとあまり変わらない。しかし、Amazonがストアで商品の価格や見せ方を激しく変えるその手法のために、実際にはまったく異なったことが起こった。

州司法長官室の説明によると、Amazonは結局、他の小売業者に合わせてその商品の価格を上げ、売り手が割引を提供するのを防いでいた。その結果、購入者は、Amazonが好きなように価格を設定できるAmazon自社ブランドの購入に走ることが多かった。

Sold by Amazonに登録されている商品の大半は、価格が人為的に高く設定されたままになっていた。

価格が上昇すると、一部の販売者は、プログラム対象製品の売上とそれによる利益が著しく減少した。価格上昇に直面したネットユーザーは、Amazonの自社ブランド商品、特にプライベートブランド商品を購入することを選択することもあった。その結果、消費者が「Sold by Amazon」プログラムに登録された商品に高い値段を払うか、あるいはAmazonで提供される同一または類似の商品を購入するかにかかわらず、Amazon自身の利益が最大化されることになった。

これは売り手にとって不利な取引に聞こえる。だが、より根本的には、ワシントン州のBob Ferguson(ボブ・ファーガソン)司法長官は、この行為は州の反トラスト法に違反していると主張した。Amazonは店舗かもしれないが、自社の商品も販売しており、問題のサードパーティの販売業者とは競合関係にある。そして、競合する2社が商品のコストをコントロールする密約を結ぶことは、価格操作の定義とほぼ同じだ。

Amazonはファーガソン司法長官の見解に反論し、すべては顧客のためであり、完全に対等だと述べた。また「司法長官の調査とは無関係なビジネス上の理由」でプログラムを停止したと主張している。「私たちはプログラムが合法的であったと強く信じていますが、この問題が解決されることを歓迎します」と同社はTechCrunchに声明で述べた。

それにしても、2018年から拡大していたプログラムが、独禁法当局が嗅ぎ回った直後にほぼ停止してしまうとは、何という偶然だろうか。「調査は2020年3月に開始し、Amazonは6月にプログラムを停止した」と、州司法長官室のDan Jackson(ダン・ジャクソン)氏は述べた。おそらく、単にタイミングの問題だったのだろう。

とにかく、Amazonは法廷で争うよりも、225万ドルの支払い(これは州司法長官室の反トラスト部門の財源に直接充てられる)と、同社がこのプログラムの再開をいかなる形であっても禁じることを求める同意協定に同意した。

「Amazonのような巨大企業が利益を上げるために価格を固定すると、消費者が損をします。今日の措置は、製品の革新と消費者の選択を促進し、ワシントン州および全米の販売者にとって市場の競争力を高めるものです」とファーガソン司法長官は述べた。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

オランダ当局がアップルに約6.4億円の罰金、出会い系アプリの独占禁止法違反で

オランダの競争当局は、同国の出会い系アプリがサードパーティの決済技術を利用できるようにするよう求めた命令に従わなかったとして、Apple(アップル)に500万ユーロ(約6億4000万円)の罰金を科した。

来週までに当局が求める要件を満たさなければ、同社はさらに500万ユーロの罰金が科される可能性があり、その後も毎週、数カ月にわたって、この命令に関連して最大5000万ユーロ(約64億円)の罰金が課される可能性がある。

この罰金は、オランダの監視機関である消費者・市場庁(ACM)が2021年に出した命令に関連するものだ。当局はAppleが独占禁止法に違反していると判断し、出会い系アプリプロバイダーに押し付けている条件を見直すよう命じていた。

独占禁止法上の問題となっているのは、デジタルコンテンツの販売にApple独自のアプリ内決済インフラ(別名IAP API)を使用することを義務付けるApp Storeの規約で、AppleはこのAPIを通じて手数料を徴収している。

Appleの規約では、出会い系アプリが代替決済システムを利用することも禁止している。

当局は、出会い系アプリがアプリ内で他の支払い方法に言及することをAppleが禁止していることも問題視した。

ACMは1月24日、Appleが命令に従っておらず、出会い系アプリに関する規則を命令に沿うよう修正しなければならないと発表した。

「出会い系アプリのプロバイダーがApp StoreでApple以外の決済システムも利用できるようにしなければならない。加えて、出会い系アプリのプロバイダーは、アプリ外の決済システムを参照できなければならない」と発表にはある。

現在も続くAppleの違反の全容は、明確に述べられていない。しかし、重要なのは、Appleが求められていることをまだ行っておらず、実際に出会い系アプリのプロバイダーが他の決済システムを利用できるようにしていないことのようだ。

オランダ当局はまた、出会い系アプリのプロバイダーがApple以外の決済インフラを利用することを難しくするためにAppleが構築したと示唆する障壁を批判している。

「Appleはいくつかの点で要件を満たしていない」とACMは書いている。最も重要なのは、Appleが条件を見直さなかったことであり、その結果、出会い系アプリのプロバイダーはいまだに他の決済システムを利用できないでいる。現時点では、出会い系アプリのプロバイダーは、単に「関心」を表明することしかできない。

「加えてAppleは、出会い系アプリのプロバイダーがサードパーティの決済システムを利用することに対して、いくつかの障壁を設けた。これもACMの要求と相反する。例えば、Appleはアプリプロバイダーに対して、アプリ外の決済システムを参照するか、代替の決済システムを参照するかの選択を迫っているようだ。これは許されない。プロバイダーはどちらの選択肢も選ぶことができなければならない」。

ACMは2021年に下した決定で、出会い系アプリに対する条件を修正する必要があるとAppleに伝えた。しかし、TechCrunchが報道したように、Appleは差止命令を求め、命令への対応を遅らせることに成功した(命令の一部はまだ封印されたままだ)。

また、同社はこの命令の適用を1月中旬まで遅らせることもできた。

Apple以外の決済インフラで処理されたデジタルコンテンツの販売について、同社はオランダの出会い系アプリから依然として手数料を徴収する意向があることが先週明らかになった。開発者向けサポートノートには「ACMの命令に従い、リンクアウトまたはサードパーティのアプリ内決済プロバイダーを使用する資格を与えられた出会い系アプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払う」と記されている。

本稿執筆時点では、その主張はAppleの「StoreKit External Purchase Entitlement」(ACM命令に言及している)に関する投稿にまだ掲載されている。そして、封印されたままの命令の一部は手数料に関係している可能性がある。しかし、詳細を確認することはできていない。

Apple以外の決済システムを使用するアプリにも手数料を課すことができるというAppleの主張について、TechCrunchは先週ACMに問い合わせたが、当局の広報担当者は回答を却下した。「裁判所が支持し、公表を許可した命令の部分しか言及できない」とのことだ。

一方、Appleのサポートサイトは、Apple以外の決済手段を導入するための明確なプロセスを提供する代わりに、関心のあるデベロッパーに「developer interest form」を紹介するにとどまっている。

説明文も「間もなく」詳細情報が提供される、という曖昧な表現にとどまっている。

オランダの出会い系アプリが代替決済手段を導入するための手続きの実装遅れによってAppleに500万ユーロの罰金が発生した(そして増えている)。

もちろん、数百万ドル(数億円)の罰金、あるいは5000万ユーロ(約64億6000万円)の罰金でも、Appleは騒ぎはしないだろう。

しかしいま、App Storeの規約に対する複数の競争法上の苦情や調査はAppleにとってはるかに大きな懸念となっている。これらはアプリ内課金で徴収する手数料を攻撃していて、EU英国アジア米国ではデベロッパー向けの契約条件について当局が調査し、命令が出されているところもある。

短期的には、そして(または)AppleがApp Storeの競争に関する苦情をなくすような実のあるグローバルな競争改革の提案をしない場合、各市場 / 地域の規制当局がAppleの規約の評価に注意を向けるため、iOSアプリ開発者のための規制のパッチワークが迫っている。

差し当たり、iOSアプリの競争と価格設定に関する消費者と開発者の勝利は、しぶしぶもたらされる可能性が高く、苦労して勝ち取るもののようだ。

しかし、Appleの契約条件の事前規制は現在多くの市場で検討されており、その明確な目的は、行動修正を加速させることにある。つまり、故意に遅らせるという戦略は、将来的にもっと高くつくことになりそうだ。

ACMの罰金についてAppleにコメントを求めている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグル、広告ビジネスをめぐるテキサス州の反トラスト法訴訟で棄却を要請

米国時間1月21日、Google(グーグル)はテキサス州が主導する反トラスト訴訟中の訴因の大半を却下するよう連邦裁判所に求める申し立てを行った。同社は訴状の中で、テキサス州の訴訟は「信用できない」し、州は同社の広告ビジネスが独占禁止法に違反していることを証明できなかった、と主張している。

Googleの経済政策担当ディレクターであるAdam Cohen(アダム・コーエン)氏は、ブログの中で「Paxton(パクストン)州司法長官の主張は、光よりも熱に満ちており、この事件を裁判にかける法的基準を満たすとは思えない。訴状は、私たちのビジネス、製品、および動機を不当に表現したものであり、私たちは、妥当な反トラスト法上の主張を提示しなかったことを理由に、これを却下する方針です」と述べている。

テキサス州のKen Paxton(ケン・パクストン)司法長官は、Googleがオンライン広告の独占を違法に維持したと主張する訴えを2020年末に発表した。テキサス州は11月に初めて提訴したものの当時は編集されていた訴状を先週、新たに更新し、裁判官から訴状の詳細を公開するよう命じられる前だった。

アラスカ、アーカンサス、フロリダ、アイダホ、インディアナ、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、モンタナ、ネバダ、ノースダコタ、サウスカロライナ、サウスダコタ、ユタ、ケンタッキー、そしてプエルトリコがこの訴訟に加わり、Googleの責任を問う訴訟に加わっている。。

関連記事:複数州にまたがる最新グーグル反トラスト訴訟は広告ビジネスが標的

Googleは、パクストン氏は「明確な事実がたくさんあるのに、それらを看過または誤解」しており、その中には同社がオンライン広告の支配を維持するために、Facebookとの取引で、新たに登場してきた「ヘッダー入札」と呼ばれる広告購入プロセスを封殺したという主張している。

The New York Timesの記事によると、2018年にFacebookはその関係を発表したが、Googleが自分の競合他社に「他のパートナーには提供しなかった、オークションで成功するための特別な情報とスピードの利点を与えた(そこには『勝率』の保証も含まれていた)」ことは公表しなかった。

自らも反トラスト法で苦境に立たされているMetaも同様に、同社にInstagramとWhatsAppを売却させる可能性がある反トラスト法訴訟の却下を裁判所に求めたが、裁判官は2022年1月初め、FTCの再提訴を許可するとの判決を下した。

関連記事:グーグルがGoogle Playの課金をめぐり大規模な反トラスト訴訟に直面

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

集合住宅におけるインターネットプロバイダーの囲い込みを抑制する米FCCの提案

その建物で、他の人が使っているブロードバンドプロバイダーと同じものを使わなければならない。米国で新しいアパートに引っ越した人の多くが、同じ経験をしたことがあるだろう。しかし、米FCCの新しい提案が採用されれば、このようなロックインは少なくなり、プロバイダーと建物オーナーとの間の収益配分を防ぎ、競合他社に門戸が開かれる可能性がある。

アパートのプロバイダーが1社になってしまうのは、建物の配線費用の問題だ。投資が報われるのは当然としても、ISPは地域全体をおさえる方法を見つけ。

例えば、大きな集合住宅との契約では、建物の管理者がキックバックを受け取るなど、(技術的には)合法的な場合もある。また、既存のルールに抜け穴があり、競合他社がインフラを共有することが法外に高くつくようにISPが仕組んでいる場合もある。

米国時間1月21日、FCCのJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)委員長が内部的に配布し、プレスリリースにまとめた提案は、このような汚い手口のいくつかを防止し、軽減するものだ。収益分配契約を全面的に禁止し、その他の取り決め(マーケティングなど)をテナントに開示することを義務づけ、配線をリースまたは共有されたりすることを意図しているのに事実上独占できるようにしている抜け穴を塞ぐものだ。

「米国民の3分の1以上がアパート、モバイルホームパーク、コンドミニアム、公共住宅に住んでおり、ブロードバンド競争と消費者の選択肢を閉め出す行為を取り締まる時期にきています。消費者には、自分が住んでいる建物でプロバイダを選択できる権利があります。全米の何百万というテナントのために、ブロードバンドの競争的選択の障害を取り除くために、委員会のみなさんが力を貸してくれることを楽しみにしています」とローゼンウォーセル氏は述べた。

委員会は最近、本問題の調査を開始し、意見募集を開始し、証拠を調査した。当然のことながら、委員会は「委員会の目標に反して競争を阻害し、競争力のあるプロバイダーがアパート、マンション、オフィスビルのユニットテナント向けにサービスを提供する機会を制限する新しい慣行のパターン」を発見した。

ローゼンウォーセル氏の提案は、これらの過程を踏まえている。画期的な新しい規則ではないが、ちょっとした問題解決であり、ISPたちが共通して行っている不正行為を真正面から狙い撃ちしている。提案はFCCの票決の前に一般公開され、それがたとえ明日であっても、事態を修復するためのかなりの猶予期間があるだろう。すぐにプロバイダーを変えたいと思っていた人には選択肢はない。しかし来年になれば、事態は変わっているだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テック大企業をターゲットにした米国初の独禁法案が現実味を帯びてきた

テック企業が自社の製品やサービスを優遇することを防ぐ米上院の大型の法案が、議会における重要なハードルを通過し、法制定に一歩近づいた。

上院司法委員会は米国時間1月20日「American Innovation and Choice Online Act(米国のオンラインでのイノベーションと選択のための法案)」を採決し、注目を集める反トラスト法案を上院本会議での採決へと前進させた。この法案は、5人の共和党議員が上院民主党議員に加わって法案を推進し、16対6で委員会を通過した。

同法案は、テックプラットフォームが「自社の製品やサービスを優遇したり、ライバル企業に不利益を与えたり、プラットフォーム上の競争に重大な損害を与えるような形でプラットフォームを利用する企業を差別したり」することを禁止する。また、支配的なプラットフォームが他のサービスとの相互運用性を妨げたり、プラットフォーム上の他社のデータを活用して競合することも禁じられる。

こうした目的を達成するため「American Innovation and Choice Online Act」は、反トラスト法執行機関に「強力で柔軟な手段」を与え「民事罰、広範な差止命令、緊急暫定措置、役員報酬の没収の可能性」などを認めている。

上院司法委員会競争政策・反トラスト・消費者権利小委員会の委員長Amy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主・ミネソタ州選出)は、この法案を「インターネットの夜明け以来」上院議場に向かう初のテック大企業競争法案だと称賛している。この法案は、1月20日には進行を妨げなかったものの、最終的な文言に影響を与える可能性がある、いくつかの修正で変更が見られるかもしれない。

混み合い、ほとんど失速している立法議題に盛り込むために上り坂をのろのろと進んでいる一方で、法案の勢いは顕著で、これを受けてGoogle(グーグル)とApple(アップル)は今週初めにコメントで意見を述べている。

「毎日、何百万人もの米国人が新しい情報を見つけて、物事を成し遂げるためにGoogle検索、Maps、Gmailのようなオンラインサービスを使用しています」と Alphabet(アルファベット)のグローバル問題担当社長兼最高法務責任者Kent Walker(ケント・ウォーカー)氏はブログ投稿に書いた。「……下院と上院で議論されている法案は、そうしたサービス、他の人気オンラインサービスを壊す可能性があり、その結果、今ほどに有用かつ安全なものでなくなり、そして米国の競争力を損ないます」。

Appleはまた、上院司法委員長Dick Durbin(ディック・ダービン)氏、共和党の有力委員Chuck Grassley(チャック・グラスリー)氏、反トラスト小委員会委員長クロブチャー氏と小委員会の有力メンバーMike Lee(マイク・リー)氏に手紙を書き、介入を模索した。

「ソーシャルメディアに関する複数の論争、長い間無視されてきた子どもへのリスクに関する内部告発、重要なインフラを妨害するランサムウェア攻撃を目撃した激動の年を経て、議会が米国人の個人デバイスのプライバシーとセキュリティの保護をはるかに困難にする措置を取るとしたら、それは皮肉です」とAppleの政府問題担当シニアディレクターのTim Powderly(ティム・パウダリー)氏は書いている。「残念ながら、これらの法案はそうなりそうなものです」。

2社は、別の法案「Open App Markets Act(オープンアプリ市場法)」とともに、この法案が消費者セキュリティに害を及ぼすと主張した。オープンアプリ市場法案は、OSを管理する企業にサードパーティーのアプリやアプリストアを認めさせ、開発者が消費者に対して、同じソフトをより安い価格で入手できる場所を教えることを認めるというものだ。

関連記事:モバイルアプリのアプリストア支配の打破で上院が新法案

1月17日の週に、Yelp(イェルプ)、DuckDuckGo(ダックダックゴー)、Sonos(ソノス)、Spotify(スポティファイ)、Proton(プロトン)、Match Group(マッチグループ)、スタートアップアクセラレーターのY Combinator(Yコンビネーター)を含むテック企業グループと、ベンチャーキャピタル企業のInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)が、反自社優遇法案への賛成を表明した。

「米国や世界各国の政府の調査から、支配的なテック企業が、競争、消費者、イノベーションを阻害するゲートキーパーの地位を獲得して市場に定着させるために、多くの反競争的な自己優遇戦術を使用していることが明らかになっています」と、各社は記している。「The American Innovation and Choice Online Actは…デジタル市場の競争を回復し、消費者が望むサービスを選択できるよう、障壁を取り除くために自社優遇をターゲットにしています」。

テック産業の規制は、議会で超党派の協力を促す珍しい問題であり、そうした法案の進捗がまだ這うようなものだとしても、テック産業がそのビジネスに対する新しい規制を予想すべきものだ。

この法案は、上院議員のエイミー・クロブシャー氏(民主・ミネソタ州選出)とチャック・グラスリー氏 (共和・アイオワ州選出)が提出し、Dick Durbin氏 (ディック・ダービン、民主・イリノイ州選出)、Lindsey Graham氏(リンゼイ・グラハム、共和・サウスカロライナ州選出)、Richard Blumenthal氏(リチャード・ブルーメンソール、民主・コネチカット州選出)、John Kennedy氏(ジョン・ケネディ、共和・ ルイジアナ州選出)、Cory Booker氏(コリー・ブッカー、民主・ニュージャージー州選出)、Cynthia Lummis氏(シンシア・ルミス、共和・ワイオミング州選出)、Mark Warner氏(マーク・ウォーナー、民主・バージニア州選出)、Mazie Hirono氏(メイジー・ヒロノ、民主・ハワイ州選出)、Josh Hawley氏(ジョシュ・ホーリー、共和・ミズーリ州選出)、Sheldon Whitehouse氏(シェルダン・ホワイトハウス、民主・ロードアイランド州選出)およびSteve Daines氏(スティーブ・デインズ、共和・モンタナ州選出)が共同スポンサーになっている。

下院版の法案は、下院反トラスト小委員会の委員長David N. Cicilline氏(デイビッド・シシリー二、民主・ロードアイランド州選出)と有力委員のKen Buck氏(ケン・バック、共和・コロラド州選出)が主導し、すでに委員会を通過して投票の準備が整っている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

FTCがMetaのVR事業を独占禁止法違反で調査中との報道

Metaに対するFTC(米連邦取引委員会)の反トラスト訴訟が、今週初めに重要なハードルをクリアしたことに続き、この同委員会はさらに、MetaのVR事業に対しても強い関心を寄せているようだ。

Bloombergの記事によると、FTCと複数の州の司法長官は、Metaのバーチャルリアリティ部門を「反競争的行為の可能性」で調査しているという。ニューヨークが州レベルの調査を主導しているとされ、MetaのVR体験のためのアプリを開発する外部のソフトウェア開発者とチャットしているとのこと。

記事によると、州と連邦の職員たちは、同社がどのようにして、反競争的な行いに関わり、VR市場における競争を妨害したかを調べている。職員たちはまた、同社がVRヘッドセット「Quest 2」の価格をどのようにして下げ、それを消費者にプッシュして競争をブロックしたかについても、関心を持っている。

FTCがMetaのアプリストアとハードウェア、ソフトウェアを調べている事実は、同社の買収案件が、次の時代のインターネットビジネスを定義する道標になるかもしれないこの反トラス訴訟における、唯一の視点ではないことを示唆している。

2021年12月、The InformationはFTCがMetaが申請しているVRフィットネスアプリ「Supernatural」の買収、その4億ドル(約456億9000万円)を超える取引を調べていると報じている。

今週初め、ある判事は、FTCがMetaの子会社であるFacebookに対して行っていた大規模な反トラスト法違反訴訟を継続できると判断し、これを阻止しようとする同社の取り組みを拒否した。2021年12月、Facebookは裁判所に訴えの却下を求め、ビッグテック解体推進派のLina Khan(リナ・カーン)FTC委員長に退陣を迫っていた。

FTCはその訴訟で、Facebookがソーシャルメディア分野のライバルを押さえ込むために市場力を乱用していると非難し、親会社のMetaにInstagramとWhatsAppを売却させるよう裁判官に求めるところまで踏み込んでいる。

「しかし、これらの理論を補強するために今回主張された事実は、特に被告が主張する独占の輪郭に関して、以前よりもはるかに強固で詳細である」とJames Boasberg(ジェームズ・ボースバーグ)連邦地裁判事は記している。

「……FTCは、その主張を証明するために、この先、困難な課題に直面する可能性がありますが、裁判所は、現在、弁論の要件をクリアし、証拠開示に進む可能性があると考えている」と述べている。

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「コピーされて殺された」、ショート動画アプリPhhhotoがフェイスブックを反トラストで訴える
英国でMeta集団訴訟、競争法違反で約3520億円求める

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

英国でMeta集団訴訟、競争法違反で約3520億円求める

Facebook / Meta(フェイスブック / メタ)が数年にわたり英国でソーシャルネットワークでの支配力を乱用していたとして、強力な訴訟ファンドの支援を受けた競争法の専門家が、同社に対し競争法違反で数十億ドルの集団訴訟を起こす。原告側が勝訴すれば、Facebookは31億ドル(約3520億円)の損害賠償金を英国ユーザーに支払わなければならなくなる。

集団訴訟は、Facebookの親会社であるMetaを相手取っていて、現地時間1月12日にロンドンにある英国の競争審判所に訴状が提出された。

この訴訟では、4400万人の英国のユーザーが2015年から2019年の間にデータを搾取され、Facebookはそうしたユーザーに賠償金を支払うべきだと主張するという異例のアプローチを取っている。Facebookの支配により、事実上、他に実行可能なソーシャルプラットフォームがなかったユーザーの個人データやプライベートデータをFacebookはすべて奪い、その見返りとしてユーザーが得たのは、実質的に友人や家族に赤ちゃんや子猫の写真を投稿できることだけだったと主張している。

ライザ・ロブダール・ゴームセン博士

この訴訟は、国際競争法の専門家であるLiza Lovdahl Gormsen(ライザ・ロブダール・ゴームセン)博士(写真上)が主導している。ロブダール・ゴームセン氏は、Facebookの市場支配について英国議会で意見を述べ、それに関する法的な学術論文も執筆した。

ロブダール・ゴームセン氏の訴えは、Facebook(最近Metaに社名変更した)が英国のFacebookユーザーに対して「不当な価格」を設定したという考えに基づいている。

Facebookにアクセスを許可するために設定された「価格」は、英国ユーザーの非常に貴重な個人データの放棄であり、その見返りとして、Facebookが巨額の収益を上げる一方で、ユーザーは単にFacebookのソーシャルネットワークプラットフォームへの「無料」アクセスを得ただけで、金銭的補償はなかった。

この主張で重要なのは、Facebookがユーザーのデータを自社プラットフォームに閉じ込めることによってだけでなく、Facebookピクセルで他のウェブサイトでもユーザー追跡し、ユーザーに関する深い「ソーシャルグラフ」データを生成することによって英国ユーザーを「囲い込んだ」ということだ。

ユーザープロフィールがCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルのような論争の中で何度も再浮上し、その市場利用を実証したことがロブダール・ゴームセン氏の主張を支えている。

ロブダール・ゴームセン氏の弁護士であるQuinn Emanuel Urquhart & Sullivan(クイン・エマニュエル・アークハート&サリバン)法律事務所は、Metaに書面でこの主張を通知している。ロブダール・ゴームセン氏は、影響を受ける人々、すなわち2015年10月1日から2019年12月31日の間に少なくとも1回はFacebookを利用した英国に居住するすべての人の代表を務める。

この「オプトアウト」集団訴訟は、Metaに対するこの種のものとしてはイングランドおよびウェールズでは初だ。オプトアウト訴訟であるため、Facebookの400万人の英国ユーザーは、損害賠償を求めるために積極的に訴訟に参加する必要はなく、訴訟からオプトアウトすることを選ばない限り、訴訟に加わることになる。

この訴訟に対する資金援助は、世界最大の訴訟資金提供者の1つであるInsworth(インスワース)が行っている。Quinn EmanuelとInnsworthは、過去にこの種の消費者集団訴訟を起こした実績がある。

Metaに関してはより広い背景があり、同社は米国での消費者集団訴訟、世界中での規制措置にも直面している。米連邦取引委員会(FTC)が起こした反トラスト訴訟ではInstagram(インスタグラム)とWhatsApp(ワッツアップ)のプラットフォームから分離される可能性がある。

ロブダール・ゴームセン氏は声明の中で、次のように述べている。「登場してからの17年で、Facebookは英国で友人や家族と確実に1カ所でつながることができる唯一のソーシャルネットワークとなりました。しかし、Facebookには暗い面がありました。市場支配力を乱用し、英国の人々に不当な利用規約を課し、個人情報を搾取していました。私は、Facebookにデータを搾取された4400万人の英国人のために、数十億ポンド(数千億円)の損害賠償を確保すべく、この裁判を起こします」。

筆者はロブダール・ゴームセン氏と電話で話したが、その際、Twitter(ツイッター)やMyspace(マイスペース)のような他のソーシャルネットワークが利用可能だったとFacebookは主張することができるかどうか尋ねた。

「TwitterやSnapchat(スナップチャット)などでは、人々は家族や友人と同じようにつながることができないと思います。Facebookはかなりユニークなやり方をしています」。

今回の訴訟は、Facebookピクセルが他のウェブサイトにも遍在していることにも基づいている。それがこの訴訟でどのような意味を持つのか、筆者は尋ねた。

「自分がFacebookのユーザーだと想像してください。自分のデータがFacebook.comで利用されることは承知しているかもしれません。しかし、ピクセルは、あなたがサードパーティのウェブサイトを利用するときに意味を持ちます。そのサードパーティのウェブサイトはもちろんFacebookとは何の関係もありません。つまり、Facebookは、あなたが実際にサインアップしたという以上に、ずっとたくさんのあなたのデータポイントを作り出しているのです」とロブダール・ゴームセン氏は述べた。

ユーザーは設定の奥深いところでFacebookのプラットフォームから自分自身を削除することは可能だが、実際には、ユーザーの大多数は削除方法がわからず、それが可能であることさえ知らない、と同氏は主張している。

ロブダール・ゴームセン氏は、英国国際比較法研究所(BIICL)の上級研究員、競争法フォーラムのディレクター、国際競争ネットワークの非政府顧問、Journal of Antitrust Enforcement(OUP)の諮問委員会の委員を務めている。

TechCrunchはFacebookにコメントを求めたが、記事公開時点では回答はなかった。

画像クレジット:Dr Liza Lovdahl Gormsen

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

ニュースアグリゲーションにおける立場乱用疑いでインドがグーグルを調査へ

インドの独占禁止監視当局は、検索大手Google(グーグル)がニュースアグリゲーションにおける支配的な立場を「乱用」して、メディアに不当な条件を課していると主張する報道機関からの苦情を受け、Googleに対する調査を命じた。

インド競争委員会は現地時間1月7日、Googleが特定のオンラインサービスを支配している、と述べた。最初の見解は、Googleが現地の独占禁止法に違反しているというもので、フランスとオーストラリアの新しい規則を指摘した。同社は両国で「両者間の交渉力の不均衡とその結果としてのGoogleによる不当な条件の押しつけ」を解決するために、コンテンツの有料ライセンスについて報道機関と「公正・誠実な交渉」に入ることを求められている

「情報提供者の申し立ては、Googleが運営するこの垂直統合型エコシステムの中で見た場合、報道機関はGoogleが課す条件を受け入れるしかないというものです。Googleは、さまざまな報道機関とニュース読者との間のゲートウェイとして機能しているように見えます。報道機関にとってもう1つの選択肢は、Googleが生み出すトラフィックを見送ることであり、それは彼らの収益にとって不利となります」とインド競争委員会は21ページに及ぶ命令書の中で述べている。

この調査は、インド最大のメディア企業数社のデジタル部門で構成されるデジタルニュース出版社協会からの苦情を受けてのものだ。同協会によると、同協会の会員は、トラフィックの半分以上をオンライン検索エンジンから得ている。この部門はGoogleが明らかに支配しており、市場をリードする立場を利用して同社は出版社にいくつかの不利な条件を強要することができた、と同協会は主張している。

広範な苦情の中で協会は、ニュースアイテムのスニペットを表示するGoogleが報道機関へのビジターの数を制限して広告収入に影響を与え「その間、同社はその結果ページで広告収入を稼ぎ続け」つつ「検索クエリのボリュームから生じる検索アルゴリズムを強化している」と指摘している。

「また、報道機関Informant(インフォーマント)のメンバーとOPs(Googleとその子会社)の間で締結された広告収入分配に関する契約の条件は、OPsによって一方的かつ恣意的に決められており、Informantのメンバーは何の交渉力もなく、条件をそのまま受け入れる以外に選択肢がないとの主張があります」と当局は述べた。

「AMPシステムの唯一の代替案は、報道機関がGoogleを購読することであり、これは報道機関に不利益を与え、Googleを利することになります」と当局は述べている。同協会は、GoogleがAMPフォーマットの使用を強要しており、それが報道機関の収入に影響を及ぼしていると非難している。

Googleの広報担当者は、コメントの要請に応じなかった。

「よく機能する民主主義では、ニュースメディアが果たす重要な役割を損なうことはできません。すべての利害関係者の間で収益の公正な配分を決定する競争プロセスに害を及ぼさないよう、デジタルゲートキーパー企業がその支配的地位を乱用しないようにする必要があります」と、当局は付け加えた。

1月7日の調査は、インドの競争監視当局がここ数週間で命じた一連の調査の中で最新のものだ。インド競争委員会は2021年末に、Apple(アップル)のApp Storeの運営方法について調査を命じ、Appleに狙いを定めた最新の国になった。

画像クレジット:Sanjeev Verma / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tencentは投資を続けつつも緊密な提携企業の株式を売却、中国政府のご機嫌とりか

Tencent Holdings Ltd.のマーティン・ラウ社長と、ポニー・マー会長兼CEO(画像クレジット:Brent Lewin/Bloomberg via Getty Images)

中国のインターネット界の巨人Tencent(テンセント)は、その膨大なポートフォリオを売却している。現地時間1月4日、同社はシンガポールのインターネット複合企業であるSeaの30億ドル(約3480億円)以上の株式を売却する計画を発表し、Seaの株式を21.3%から18.7%に切り下げ、議決権を10%以下にすることを発表した。

この動きは、TencentがJD.comの株式1600万ドル(約18億6000万円)を株主に渡すことを決定してから1カ月も経たないうちに行われた。この移行により、JD.comにおけるTencentのポジションは2.3%程度に低下することになる。この取引の一環として、Tencentの社長兼CEOであるPony Ma(馬化騰、ポニー・マー)氏の最側近Martin Lau(マーティン・ラウ)氏はJD.comの取締役を退任することになる。

中国のeコマース事業者JD.comとシンガポールのエンターテインメントとeコマースグループのSeaは、Tencentの最も重要な戦略の一部だ。同じくTencentが支援するPinduoduoが台頭する以前、JD.comは拡大するAlibabaのeコマース帝国に対するTencentの主要な防衛策だった。Seaのゲーム運営会社Garenaを通じて、Tencentが所有するタイトルは東南アジア全域で展開されている。

関連記事:中国eコマースのPinduoduoが利益のすべてを農業に投資する理由

Tencentは、中国の独占禁止法違反の取り締まりと「共同富裕」キャンペーンを背景にこれらの売却を行った。そのため、Tencentは政府のご機嫌を取るために、自ら強固な同盟関係を解消したのではないかという憶測が飛び交っている。この主張は、Tencentが株主へのクリスマスプレゼントとして、JD.comの株式分配を行ったことの説明にもなりそうだ。ビッグテックの影響力を抑制しようとする中国政府の取り組みに対する同様の回答として、AlibabaはTwitterに似たWeiboの株式の約30%を国営コングロマリットに売却することを検討していると、Bloombergは2021年12月に報じている。

TencentによるSea株売却の根拠は、あまり明確ではないようだ。一部の投資家は、中国からの投資に対するインドの厳しい姿勢と関連している可能性を指摘している。Seaのeコマース部門Shopeeは、インド市場に参入するための準備を進めてきた

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Tencentは、他のハイテク大手に対する影響力を減らそうとしているにもかかわらず、Tencentは全体的な投資ペースは落としていない。中国のスタートアップデータアグリゲータであるIT Juziによると、創業23年となる同社はこれまでに1200社以上に投資している。2021年だけでも278社に1300億元(約2兆3732億円)以上を投入し、過去最高を記録している。フードデリバリープラットフォームのMeituan、動画共有サイトのBilibili、Pinduoduoなど、他の主要な盟友に対するTencentの影響力を削いでいくのかはわかっていない。

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(文:Rita Liao、翻訳:Katsuyuki Yasui)