バイデン大統領はグーグル批判者を司法省の反トラスト部門のリーダーに起用

バイデン政権は米国時間7月20日に、強力なテクノロジー企業に政府が手綱を付ける手段の第3弾として、これまで巨大テクノロジー企業を熱心に批判してきたテクノロジー評論家であるJonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏が司法省の反トラスト部門を率いることを提案した。

カンター氏は弁護士として、Googleに対する反トラスト訴訟でYelpのような小企業を代表してきた長年の実績がある。現在の彼は自分の法律事務所を持ち、その専門分野は、国や州による反トラストの執行において原告を代弁することだ。

ホワイトハウスのプレスリリースでは、「その経歴を通じてカンター氏は一貫して、強力で有意義な反トラストの執行と競争政策の推進努力における指導的代弁者でありエキスパートだった」と述べている。革新派はこの指名を祝っているが、バイデン政権の新たな反トラスト鷹派たちの一部は、両方の政党から支持されている。

司法省の反トラスト局のトップにジョナサン・カンター氏が指名されたことは、労働者と消費者にとってすばらしいニュースです。彼は合併企業が市場で力を持ち競争力を強化することをチェックする戦いでリーダーであり続けました。

司法省はすでに、Googleに対する大規模な反トラスト訴訟を遂行している。その訴訟はトランプ氏時代の司法省が起こしたものだが、同社を、その検索および検索広告のビジネスにおける「不法に維持されている独占」で告訴している。指名が認められたらカンター氏は、Googleに対する司法省の大きな訴訟の舵取りを担うことになる。

2016年のThe New York Timeの署名入り論説でカンター氏は、Googleは悪名高くも反競争的な「行動規範書」に依存してその市場支配を維持していると論じている。カンター氏は、無料で広告に支えられたプロダクトをリリースして、結果的に市場の一角において「差別的で排他的な慣行」により競争を制限してきたGoogleの長い歴史を指摘している。

カンター氏は、バイデン政権下で強力な規制者の役割に上り詰めた高名なビッグテック批判者の、最も新しい登場者にすぎない。2021年6月月、バイデン大統領は熱烈なAmazon批判者であるLina Khan(リナ・カーン)氏をFTCの委員長に指名して承認を得た。3月にはバイデン大統領は、もう1人のビッグテック批判者であるコロンビア大学の法学教授Tim Wu(ティム・ウー)氏を、National Economic Council(国家経済会議)のテクノロジーと競争政策の専門補佐として指名した。

これらのどれを見ても、バイデンのホワイトハウスが国とビッグテックとの大きな戦いに臨んでいることを示している。一方、議会は一連のビッグテック法を準備しているが、しかしホワイトハウスは、立法改革の代わり、あるいはそれと一緒に、FTCやDOJを介して独自の規制を揮えるのだ。

MSNBCの最新のコメントでホワイトハウスは、通信品位法の230条も「再検討」している、と認めた。それは、プラットフォームをユーザー生成コンテンツの責任から免除する強力な法律の、ごく一部だ。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フェイスブックがFTCのリナ・カーン委員長を独禁法違反訴訟から除外するよう要求

Facebook(フェイスブック)がAmazon(アマゾン)の仲間に加わって、反トラストのタカ派であるLina Khan(リナ・カーン)氏が突然FTCの委員長になったことに警戒を示し、氏を同社に関するすべの決定から外すよう要求した。その主張はAmazonの場合とほぼ同じで、就任前のカーン氏のプロフェッショナルとしての意見が、このような企業は反トラストのルールに違反しているという、あまりにも過激なものだった、と両社は述べている。

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今回はFTCに提出された書簡をWSJが入手したが、FTC自身はコメントを断っている。書簡でFacebookは、カーン氏の最近数年間の学術的刊行物や他のメディア上の記事は、すべてが積もり積もって、氏を同社に関する決定から排除すべき根拠になる、と述べている。現在、Facebookに陳情書のコピーを求めているため、届き次第この記事をアップデートしたい。

WSJの記事によると、陳情書では次のように述べられている。「カーン委員長は一般的に公表される声明の中で一貫して、弊社自身が認めていない行為でFacebookを非難するだけでなく、その行為が反トラストの侵害に該当するという彼女の信念を述べてきた。新しい委員がすでに事実と法に関する結論を描き、ターゲットを事前に違法者と見なしているとき、デュープロセス(適正手続)はその個人が自己を除外することを要求している」。

FTCとカーン氏には、FacebookとAmazonからの除外要求に応じる能力がない。彼女は自分の指名議事の中で、このような除外要求があった場合にはケース・バイ・ケースで解決するとと述べている(金銭的ないし個人的関心なら自動的な除外になる)。おそらく彼女は今すでに、部内の倫理専門家と相談しているのではないだろうか。

たしかにカーン氏は、自らの政策の立ち位置を多くの記事や論文で発表してきた。その多くは、反トラストの規制当局が自分たちの法的権力の解釈と実行においてあまりにも保守的で、また、今日隆盛を極めている巨大テクノロジー企業の監督においてはあまりにも甘いと論じている。競合他社を買収したり、価格を人為的に下げて市場に圧力を加えたり、顧客データの収集と利用に関して虚偽を述べたりといった行動は、見逃されたり過小な罰で済まされていた。

特に彼女は、下院が2020年秋発行した反トラスト報告書で顧問弁護士を担当している。1966年から1970年までの事件ではAmazonとFacebookの圧力でFTCの委員が、彼が参加した議会の調査の間に「偏見」で除外された。たしかにそれは、訴えを取り上げるための有望な契機にはなるが、状況は決して当時と同じではない。私は法律家ではないがそんな私から見ても、今やいかなる訴えも、具体的な申し立ても事前審理すら為されず、ただFacebookやApple、Google、Amazonなどはすべて独占であるか、または市場に対する力を持っているという一般的な風説があるだけだ。そのため下院の2020年の報告書も、彼らにとっては痛くも痒くもない。

むしろ下院の報告書が見つけたメインの事項は、既存の法と規制が不備があり、いかなる訴訟もありえないということだ。確かにカーン氏はここ数年、まさにこのことを屋根の上から叫んできた。でもその結論は法律の問題であり、FTCの仕事ではない。まだ書かれてもいない法律が定義している反トラストの訴訟をカーン氏が事前審理することは、おそろしく難しいだろう。

カーン氏のFTCは、同委員会が抱えていたFacebookに対する反トラストの訴件の一部が棄却され、彼女の就任直後という初期にやや躓いたが、しかしそれは彼女のせいではない。それは、Facebookがソーシャルメディアを独占的にコントロールした、という訴件に十分な証拠がないため、判事がFTCにもう一度出直せと告げたものだ。それに対しカーン氏の意図は、補足文書を提出するか、または負けを認めて来年か再来年の別件のために力を結集するかのどちらかだろう。しかしいずれにしても、彼女に対して言われている「偏見」の問題を解決してから決定を発表するのがベストだ。なお、除外要求が現在行われている訴訟に影響を及ぼすか、という推測をFTCは断った。

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しかしFTCは、バイデン大統領の大統領命令という形で、ホワイトハウスから明示的な支持を得た。大統領令が優先的に取り上げているのは「支配的なインターネットプラットフォームの、特に若い競合他社の買収や連続的な合併、データの集積、『無料』のプロダクトによる競争、そしてユーザーのプライバシーへの影響」だ。これでカーン氏もおそらく前述の法的チャレンジに対してあまり痛みを感じないだろう。

AmazonとFacebookが提出した陳情は、同社自身がひとかけらもリスクを負わない(訴訟ではない)ものであり、単純に除外の挑発という外部的チャンスに賭けている。だから、陳情という形になっているのであり、それは彼らが今後必然的に独占的慣行をFTCとカーン氏から訴えられた場合に備えるパン屑でもある。法的反動は予測が難しいが、通常は訴状が最初からテーブルの上にあった方が後から持ち出すよりも良いというわけだ。

カーン氏の委員長着任により、FTC自身も改革が必要であり、Facebookのような企業を相手にできるだけの強さが必要だ。そして、これが、今後の長い々々勝負の最初の一手にすぎないことは、誰の目にも明らかだ。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

バイデン氏がビッグテックの「悪質な合併」阻止目指す大統領令に署名、過去のM&Aにも異議の可能性

バイデン政権は米国経済の一部の寡占化が進む分野、中でもハイテク業界に、大統領令によって強制的に競争を導入する大規模かつ野心的な計画を発表した。

「バイデン大統領は本日、企業統合の傾向を緩和し、競争を促進して、米国の消費者、労働者、農家、中小企業に具体的な利益をもたらすために、断固たる措置をとります」と、ホワイトハウスが公表した今回の大統領令に関するファクトシートには記されている。

バイデン氏が米国時間7月9日に署名したこの大統領令は、連邦レベルで12以上の異なる機関を巻き込み独占を規制し、消費者を保護し、世界最大級の企業の悪行を抑制するという、包括的な「政府一丸」のアプローチを開始するものだ。

このファクトシートの中でホワイトハウスは、大企業を取り締まる問題を連邦レベルで自らの手で解決しようとする計画を掲げている。テック分野に関しては、反トラスト法の施行権限を持つ連邦機関であるFTC(連邦取引委員会)と司法省の力を強めることが主な目的だ。

すでに規制の脅威にさらされているビッグテックにとって最も注目すべき点として、ホワイトハウスはここで、これらの機関は「過去の政権が以前に異議を唱えなかった悪質な合併に異議を申し立てる」法的手段を持っていると明確に主張している。つまり、一握りのハイテク企業を今日の巨大企業に育て上げた過去の買収案件を巻き戻す可能性があるということだ。大統領令は、反トラスト法を「精力的に」執行することを反トラスト当局に求めている。

連邦政府の監視は「支配的なインターネットプラットフォームに焦点を当て、とりわけ新興の競合企業の買収、連続的な合併、データの蓄積、『無料』の製品による競争、ユーザーのプライバシーへの影響などに注意を払う」としている。Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)が特にこの警告の矛先だが、Apple(アップル)も連邦政府の注意を免れることはできないだろう。

ホワイトハウスはファクトシートの中でこうも述べた。「過去10年間で、大手テクノロジー企業は数百社を買収しており、その中には潜在的な競争上の脅威を排除するための『キラーアクイジション』と呼ばれるものも含まれている。連邦政府機関は、これらの買収を阻止したり、条件を付けたり、場合によっては意味のある調査さえしなかった場合があまりにも多かった」。

最大手のテック企業各社は、競合他社を買収するという長年の戦略を当時は何の摩擦もなく行うことができたため、後から違法と見なすべきではないと主張してきた。しかし、今回の大統領令は、バイデン政権がそれを認めていないことを明確にしている。

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ホワイトハウスはまた、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を具体的に挙げ、消費者の選択を優先し、速度の上限や隠れた料金を明記したブロードバンドの「栄養ラベル」を制定するようFCCに命じている。こうしたラベルはオバマ政権下でFCCが取り組み始めていたが、トランプ大統領の就任後に廃止された。

大統領令はさらに、2017年に撤廃されたネット中立性ルールを復活させることをFCCに直接求めている。ルール撤廃の動きは、オープンインターネットの支持者や、恩恵を受けることになるサービスプロバイダー以外のテック業界のほとんどに広く恐怖を与えたものだった。

また、ホワイトハウスはFTCに対し、FacebookやYouTubeなどの無料サービスが巨大な帝国を築くために利用してきた、監視や「非常に多くのセンシティブな個人情報の蓄積」から消費者を守るための新しいプライバシールールを作成するよう要請する予定だ。ホワイトハウスはFTCに対しさらに、大規模なプラットフォームの寡占により成長を抑制されないよう、中小企業を保護するためのルールを策定するよう求めている。大企業は新進気鋭の競合他社を打ち負かすために、別の形のデータに基づいた監視で市場の優位性を乱用するケースが多いからだ。

最後にこの大統領令は、DIYや第三者による修理を阻害するような制約から消費者を解放する「修理する権利」ルールを導入するようFTCに促している。国家経済会議(NEA)長官の下に新設されたホワイトハウス競争評議会(White House Competition Council)は、新大統領令で示された提案を連邦政府が実行するための調整を行うとのこと。

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巨大テック企業を規制する米国の新たな独占禁止法案の方針

行政府の反トラスト法への取り組みは、FTCや議会での活動と並行して行われている。FTCサイドでは、バイデン大統領はLina Khan(リナ・カーン)氏という恐れられている反トラスト運動家を任命した。カーン氏はAmazonを激しく批判する若い法学者であり、連邦政府が独占を定義する方法を哲学的に見直すことを提案している。同氏は現在、委員長としてFTCを率いている。

米国議会では、テック業界を抑制することを目的とした超党派の法案が、多くのハードルを残しながらも法制化に向けて徐々に動き出している。2021年6月に下院司法委員会は、ハイテク業界のロビー活動に対抗するために別々に作成された6つの法案を審議した。これらの法案は、巨大なインターネットベース企業の現代のリアリティに対応できていない独占禁止法を近代化しようとするものだ。

今回の大統領令について、ハイテク分野の反トラスト法改革を主導しているAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員はこう述べている。「米国の独占問題に対処するためには、競争政策に新たなエネルギーとアプローチが必要です。それは、独占禁止法を更新するための法律を制定することを意味しますが、同時に、現行の法律の下で競争を促進するために連邦政府ができることを再考することも意味します」。

ホワイトハウスは、ここ数十年で企業統合が加速していることを挙げ、ひと握りの大企業が医療、農業、ハイテクなどの業界を支配しており、消費者、労働者、中小の競合企業は、それら大企業の過剰な成功の代償を払っていると主張している。バイデン政権は、これらの産業の一角にある企業に対して独占禁止法の執行に力を入れるとともに、労働市場や労働者保護を全体的に評価していくという。

「不十分な競争は、経済成長とイノベーションの妨げとなります。【略】経済学者たちは、競争が減ると、生産性の伸びが鈍化し、企業投資やイノベーションが減少し、所得、富、人種の不平等が拡大すると指摘しています」とホワイトハウスは述べている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルがGoogle Playの課金をめぐり大規模な反トラスト訴訟に直面

37人の司法長官からなるグループが米国時間7月7日、複数州にまたがる2件目の大規模な反トラスト訴訟をGoogle(グーグル)に対して起こした。

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は、テネシー州、ノースカロライナ州、ユタ州の司法長官と共同でこの訴訟を主導している。超党派の連合体は、カリフォルニア、フロリダ、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューハンプシャー、コロラド、ワシントン、およびコロンビア特別区を含む、米国の36の州を代表している。

「Googleは、その違法行為により何億ものAndroid(アンドロイド)ユーザーが携帯電話やタブレットにダウンロードする何百万ものアプリケーションを確実にGoogleだけに頼るよう動きました」と、ジェームズ氏はプレスリリースで述べた。「さらに悪いことに、Googleは、ただ競争を求めているだけの何百万もの中小企業の活力を奪っています」。

2020年12月には、35の州がGoogleが検索ビジネスの独占を維持するために違法行為を行っているとして、Googleに対して別の反トラスト訴訟を起こした。司法省は同年10月、検索に焦点を当てた独自の独禁法訴訟を起こした。

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超党派の州連合は、この新しい訴訟の中で、Googleが「誤解を招くような」セキュリティ警告を用いて、消費者や開発者を壁に囲まれた同社のアプリガーデンであるGoogle Play Store(グーグルプレイストア)内に留めるようにしていると主張している(下の埋め込み資料参照)。しかし、GoogleがAndroidアプリの開発者から徴収している手数料が、この訴訟の本質であると思われる。

「Googleは、潜在的なライバルがGoogle Play Storeに対抗するのを妨害する違法行為を行っただけでなく、アプリ開発者や消費者をGoogleの決済システムに不当に閉じ込め、高額な手数料を請求することで利益を得ています」と、コロンビア特別区司法長官のKarl Racine(カール・ラシーン)氏は話した。

Googleは、Apple(アップル)同様、すべてのアプリの決済処理を自社のサービスであるGoogle Play Billingに集約し、すべての決済から30%を徴収することで利益を得ている。ここで批判されていることは、アプリのエコシステムをさらに厳しく管理しているAppleにもあてはまり、今後もそうあり続けると思われる。Googleは、iMessageに相当する専用アプリを持っていないため、同じようにユーザーを囲い込むことはできない。

この訴訟ではアプリ市場におけるGoogleの「独占力」が議論されているが、部屋の中の象のような存在はAppleだ。Appleは、モバイルソフトウェア分野におけるGoogleの強力な直接の競合相手である。訴訟では、消費者がAndroidのエコシステムに留まるよう圧力を受けていると主張しているが、少なくともAndroidに関しては、その多くが最終的には慣れとサンクコスト(すでに発生し回収不能な費用のこと)に起因している。Appleに対する主張の方がはるかに強いと思われる。

テック企業がアプリ開発者から高額なモバイル決済手数料を搾取しているという声は、ますます大きくなっている。今回の複数州にまたがる訴訟は最新のものだが、この話題は、Epic GamesがAppleの手数料を回避したいがためにApp Store以外でモバイル決済を行うことを求めてAppleと裁判を起こして以来、白熱している。Epicが回避策を確立したとき、AppleはEpicをApp Storeから追い出し、Epic Games対Appleの構図が生まれた

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司法省は、Appleのアプリストアでの商慣習にすでに関心を持っていると言われている。いつでも同社に対して別の訴訟を起こすことができる多くの州の司法長官も同様だ。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルのApp Storeがドイツで調査の対象に、競争規制当局が「市場支配力」に向けた手続きを進行

ドイツの競争規制当局であるドイツ連邦カルテル庁(FCO)は、ビッグテックGAFAの「ビンゴ」カードを完成させ、Apple(アップル)に対する手続きを開始した。

当局はすでに2021年に入り、Amazon(アマゾン)Facebook(フェイスブック)Google(グーグル)に対して同様の調査を開始しており、本措置も、改正されたドイツの競争法の基準をiPhoneメーカーが満たすかどうかを判断するものとなる。

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2021年1月に施行された同法の第10次改正法により、連邦カルテル庁は、大規模なデジタル企業が「市場間競争において重要な影響(paramount significance)を与える」と判断された場合や、その反競争的行為への関与を防ぐ目的において、これらの企業の慣行に対して積極的に介入することができるようになった。

この競争法(通称、GWBデジタル化法)の重要な新条項、特に第19条aに関する議論が行われた先に行われたパネルディスカッションで、FCOのAndreas Mundt(アンドレアス・ムント)長官は、この競争法の更新はFacebookによるインターネットユーザーの「スーパープロファイリング」に対する長期にわたる(かつ先駆的な)訴訟の経験に影響を受けたと説明した。

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要するに、ドイツの競争法には現在、競争法とデータ保護を内包する有害性の理論があるということだ。ただしAppleの場合、同社が管理するテック帝国は概して(乱用というよりは)ユーザーのプライバシー保護と結びついている。

しかし、ドイツの反トラスト法に対する包括的な改正は、ビッグテックに広く向けられたものだ。FCOによる規制の対象となる条項を通じて、市場の開放を維持し、イノベーションを促進し、いかなる不正行為も阻止することを目的としている。当該規制の対象には、自己優遇やバンドル、巨大企業の融合商品による隣接市場への強引な参入、競合他社を締め出すために相互運用性やデータアクセスをブロックすること等が含まれている。

各ケースの特性や個別のエコシステム事業に応じて、条項が組み合わされて展開され、テック大手が法の下で対処され得るだろう。そのため改正法が実際にどのように機能するかはまだ未知数だ。これまでのところ、FCOはGAFAに対して法律を適用できるかどうかをそれぞれのケースで判定中である。

Appleの訴訟に関して、ムント長官は米国時間6月21日の声明で、App Storeの運営は調査の「主要な焦点」になると述べ、その理由として「Appleがサードパーティの事業活動にさまざまな方法で影響を与えることが考えられる」と指摘した。

「Appleがその専有OSであるiOSを用いて、複数の市場にまたがるデジタルエコシステムをiPhoneを中心に構築したかどうかを検証する」と同長官は続けた。「Appleはタブレット、コンピュータ、ウェアラブルを製造し、デバイス関連のサービスを数多く提供している。同社はさまざまなハードウェア製品の製造に加えて、 App Store、iCloud、AppleCare、Apple Music、Apple Arcade、Apple TV+などの提供をサービス事業の一環として行っている。これらの分野における同社の立場を評価するだけでなく、複数の市場レベルにわたる広範な統合、技術的および財務的資源の規模、データへのアクセスなどについて、さまざまな側面から検討していく」。

FCOはまた、Appleに対する「反競争的行為の可能性に関連した」多くの苦情が寄せられていることについてプレスリリースで言及した。例えば、iOS 14.5の導入でユーザー追跡が制限されたことに対する広告およびメディア業界からの抗議などだ。また、GWBの第19a条で禁止されている自己優遇の可能性として、同社独自のアプリケーションを排他的にプリインストールしたことに対する苦情も挙げられている。

「アプリ開発者はまた、Appleが提供するアプリ内課金システム『App内課金(In-App Purchase、IAP)』の義務的利用とそれにともなう30%の手数料率を批判している」とFCOは同プレスリリースで付言している。「これに関連して、AppleのApp Storeにおけるアプリ開発者のマーケティング上の制限についても対処されている。後者の苦情は、ストリーミングサービスのSpotifyに制限を課して自社サービスを優先させているとして欧州委員会がAppleに対し現在進めている訴訟と類似している。この点に関して、連邦カルテル庁は必要に応じて欧州委員会や他の競争当局と連絡を取る方針である。これまでのところ、さらなる手続きを開始する決定はなされていない」。

FCOの行動についてTechCrunchがAppleにコメントを求めたところ、広報担当者の名前で以下のような回答が送られてきた。

Appleはイノベーションと雇用創出の原動力であることに誇りを持っており、ドイツのiOSアプリ経済が支える雇用は25万件を超えています。App Storeによる経済成長と活動は、あらゆる規模のドイツの開発者に、世界中のユーザーと情熱と創造性を共有する同一の機会を与えるとともに、顧客が好みのアプリをダウンロードするための安全で信頼できる場所を作り、彼らが期待するプライバシー保護を提供するものとなっています。ドイツにはAppleの欧州最大のエンジニアリング拠点もあり、ミュンヘンのEuropean Silicon Design Center(欧州シリコンデザインセンター)に新たな10億ユーロ(約1320億円)の投資も行われています。当社のアプローチについてFCOと議論し、FCOの懸念についてオープンな対話を行う機会があることを期待しています。

FCOが裁定を下すと「重要な影響(paramount significance)」の認定は5年間続く。一方で、第19a条による訴訟は意図的に早められ、上訴はドイツの連邦司法裁判所(専属的管轄権を与えられている)に委ねられる。その目的は、Facebookのスーパープロファイリングに対するFCOの訴訟で起きたような、長期間に及ぶ長引く訴訟を回避することにある。同訴訟は、連邦カルテル庁がFacebookのデータ慣行の調査を開始してから5年もの月日が流れた2021年3月に、法的問題としてCJEU(欧州司法裁判所)に付託されたものだった。

GAFAが欧州最大の経済圏でどのように事業を展開していくのかという点において、今後数カ月から数年の期間は非常に重要な意味を持つだろう。そしてその延長線上で、多くの管轄区域がビッグテックを規制する方法に積極的な関心を寄せている中、欧州やそれ以外の地域でも同じような様相となる可能性が高い。

例えば2021年3月には、英国競争・市場庁(Competition and Markets Authority、CMA )がAppleのApp Storeの調査を開始している。同時に同庁は、テック大手への規制を強化することを念頭に置いた「競争促進」を生み出す国内法の改革に取り組んでいる。

また、欧州連合(EU)の立法者たちは2020年12月にデジタル市場法案を提出し、いわゆる「ゲートキーパー」プラットフォームのパワー市場に対処することを目指している。

FTC(米連邦取引委員会)がLina Khan(リナ・カーン)氏を委員長に任命したことも、米国におけるテック業界の反トラスト法に対する方針転換を意味するように思われる。

関連記事:英競争当局がアップルのApp Store独禁法調査を開始

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

インド当局がグーグルに対し印スマートTV市場での独禁法調査を命令

インドの独禁法監視当局は、Google(グーグル)が同国のスマートテレビ市場でAndroidの支配的地位を乱用しているとの疑惑について調査を命じた。このニュースは、Googleが広告テクノロジー分野での主導的役割を乱用しているとの疑惑について、EUが正式な反トラスト調査を開始した数時間後に発表された。

2020年にこれらの疑惑について調査を開始したインド競争委員会(CCI、Competition Commission of India)は、最初の審査で、Google(グーグル)が一定の反競争法に違反していると指摘した。このような規模の調査は解決までに数四半期、時には1年以上かかることもある。

「委員会は一応の見解として、端末メーカーが製造・流通・販売するすべてのAndroid端末について、ACC(Android Compatibility Commitments)への署名を条件にGoogleの独自アプリ(特にPlayストア)をプレインストールすることで、GoogleはAndroidの代替バージョン、すなわちAndroidフォークで動作する端末を開発・販売する端末メーカーの能力とインセンティブを減退させ、それによって商品やサービスに関する技術的・科学的な開発を制限し、競争法4条2項(b)に違反して消費者に不利益をもたらしたと考える」と、当局は24ページに及ぶ命令書で述べた。

「さらにACCは、OEMメーカーが、競合するフォークされたAndroid OSで動作する他のデバイスを製造、配布、販売することを禁じている。したがって、関連市場におけるGoogleの優位性と顕著なネットワーク効果を考慮すると、この制限によりそのようなフォークされたAndroid OSの開発者は市場へのアクセスを拒否されており、結果、同法4条2項(c)に違反している」とも述べている。

2020年にはインドに100億ドル(約1兆1100億円)の投資を行うことを発表し、ユーザー数では同国が最大の市場となっているGoogleは、不正行為を否定した。同社の広報担当者は声明で「当社のスマートテレビのライセンシング方法は、適用されるすべての競争法を遵守していると確信しています」と述べている。

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インド競争委員会は、Googleがテレビメーカーに対し、同社の「必須」アプリをすべてプリインストールし、代替アプリを選択できないようにすることは「スマートテレビ機器メーカーに不当な条件を課すことになり、競争法4条2項(a)(i)に違反する」と付け加えた。

「また、PlayストアにおけるGoogleの優位性を利用して、YouTubeなどが提供するオンライン動画ホスティングサービスなどの関連市場を保護することは、同法4条2項(e)に違反している。これらの点はすべて、詳細な調査を要する」とも競争規制当局は述べた。

2019年にインドで販売されたスマートテレビは約800万台に上り、そのうち60%以上がGoogleのAndroid OSを搭載していた。

インドでは、米国のテック巨人たちにとって厳しい1週間となっている。6月21日の夜、世界第2位のインターネット市場である同国は、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkartに打撃を与える可能性のある厳しいEC規則を提案した

この6月22日の命令は、インドがGoogleに対して開始した3件目の継続的な独禁法違反案件の調査となる。2020年末、インドの独禁法監視当局は、Googleが自社の決済サービスを促進するためにアプリストアの支配的地位を乱用した疑いで、同社に対する調査を開始していた。

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画像クレジット:Sanjeev Verma / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

米上院議員が「データ保護局」新設を提案、米国人のデータを取り戻せ

民主党のKirsten Gillibrand(カーステン・ギリブランド)上院議員は、テック企業が自分の庭で行う自由な侵入行為から米国人を守るべく、新たな連邦政府機関を設立する法案を再提出した

ギリブランド議員(民主党・ニューヨーク州)は2020年、データ保護法を提案した。プライバシーおよび既存政府機関が十分に対応できないことがわかっているテック企業に関する法的措置を講じるための法案だ。

「米国はプライバシーとデータ保護のための新しいアプローチを必要としています。そして議会は、人命より利益を重んじる民間企業から米国人を守る有効な解決策を見つける努力をする義務があります」とジリブランド議員は言った。

改定された法案は「データ保護局」の新設を約束した主旨を維持しており、オハイオ州のSherrod Brown(シェロッド・ブラウン)民主党上院議員との共同提案で、いくつかの修正が加えられた。

現在進行中のあらゆるテック企業反トラスト規制を巡る議論の精神を受け、2021年バージョンの同法案は、大手テック企業によるデータ収集業者の関わる合併や、5万人以上のユーザーデータの移動をともなうその他の取引を審査する権限をデータ保護局に与えようとしている。

他に「データの正義を前進させる」公民権機関の設立や、アルゴリズム、バイオメトリック・データの利用、子どもなど立場の弱い人々からデータを収集するなどの高リスクなデータ利用行為を、同局が審査、処罰できる権利が追加されている。

ギリブランド議員は、最新技術に対応した規制改革を「極めて重要」と述べており、それは彼女だけではない。2021年に民主党と共和党はほとんど一致点を見つけていないが、数多くの超党派反トラスト法案は、テック業界で最強の諸企業を抑制することがいかに重要であり、さもなくば止めようがなくなることを、ようやく議会が認識したことを示している。

データ保護法は、一連の新テック法案のような超党派の支持を受けていないが、史上最高値のビッグテックとの戦いへの関心の高さから、多くの支持を得られる可能性がある。テック業界を標的にした法案が数多く進められ中、超党派の支持を増やすことなく本法案が前進することは考えにくいが、だからといってこの考えが考慮に値しないわけではない。

議会で検討中の他の提案と同じく、本法案はFTC(連邦取引委員会)がビッグテック企業の不品行に対して意味のある罰を与えていないことを認識している。ギリブランド議員の構想では、データ保護局はFTCにできなかった規制強化を実現できるという。別の法案では、FTCに新たな強制力を与えられたり、吠えるだけでなく噛み付くための資金を注入して強化しようとしている。

連邦政府機関の使える道具を現代風に変えるだけでは十分でないかもしれない。テック業界のデータ巨人たちが10年以上をかけて異常増殖させたものを削減するのは容易ではない。これらの会社をここまで裕福にした米国人データの備蓄は、すでに野に放なたれているのだからなおさらだ。

強力なテック企業の持つそのデータを規制する戦に特化した新たな政府機関は、欧州独自の強力なデータ保護法とこれまで米国に欠けていた連邦規制のギャップを埋めるかもしれない。しかし、何かが起きるまでは、シリコンバレーのデータ亡者たちが熱心にその権力の真空を埋めようとするだろう。

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タグ:プライバシーデータ保護アメリカ民主党独占禁止法

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

大手テック企業に対する反トラスト調査の手を強めるドイツ競争規制当局がGoogle News Showcaseの徹底調査開始

ドイツ連邦カルテル庁(ドイツ語表記は「Bundeskartellamt」、英語表記は「Federal Cartel Office」、以下「FCO」)は非常に活発な競争規制当局だ。2021年に入って大手テック企業を規制する新たな力を得たFCOは、時を逸することなく行動しており、最近も3件目となるGoogle(グーグル)の調査を発表したばかりだ。

FCOが競争規制禁止に関して行っている最新の調査は非常に興味深い。なぜなら、調査対象となっているのがGoogle News Showcase(グーグル・ニュース・ショーケース、以下「News Showcase」)だからだ。News ShowcaseはGoogleの比較的新しい製品で、第三者パブリッシャーのコンテンツをキュレーションしたものをGoogle News(およびGoogleのその他のプロパティ)のストーリーパネルで表示するサービスだ。Googleはそのコンテンツに対してライセンス料を支払う。

Googleは2020年、News Showcaseのために世界各地のパブリッシャーとコンテンツのライセンス契約を締結し始めた。Googleはこの契約のために合計10億ドル(約1050億円)を出資すると発表しており、ドイツは同社がこの契約を締結した最初の国々のうちの1つだ。

関連記事:Googleがニュース新サービス立ち上げ、今後3年間で記事使用料約1050億円支払いへ

しかしながら、パブリッシャーのジャーナリズムに対してライセンス料を支払うという同社の動機はお世辞にも純粋とは言い難い。

Googleはこれまで何年にもわたり、コンテンツをタダで利用しているとしてメディア企業から厳しく告発されてきた。Googleはその度に「コンテンツの利用料は支払わない。なぜならオンラインの情報をまとめるサービスはそういう仕組みだからだ」と言って一歩も譲らなかった。同社はまた、そのようなメディア業界を無視しようとしてGoogle News Initiative(グーグル・ニュース・イニチアチブ)という名のデジタルイノベーション推進基金を作り、少額の助成金を配ったり、ワークショップや製品に関するアドバイスを無料で提供したりして「パブリッシャーのビジネスモデルが苦戦しているのはイノベーションに失敗したからだ」という印象を世間に与え、結果的にGoogleのアドテック事業はライセンス料の支払いを免れて、強圧的な姿勢を示し続けた。

一歩も譲らず、わずかな金しか出そうとしないGoogleのアプローチは長い間、規制当局の動きを食い止めてきたが、ついに「メディア企業のビジネスモデル対オンライン広告の複占」という問題に対する政治的な圧力が高まり、従来型のパブリッシャーと、コンテンツを仲介する大手テック企業との間のパワーバランスを是正しようと、各国の立法当局が動き始めた。

この件で最も有名な事例は、2021年初めにオーストラリア議会がニュースメディアへの支払いを義務づける法案を可決したことだ。

可決される前、同法案の対象とされていたFacebook(フェイスブック)とGoogleは、この法案が可決された場合は、オーストラリアでの全サービス停止や、サービス品質の低下、サービスの有料化などの深刻な結果を招くことになると警告していた。

実際はそのような結果にはならなかったが、同国の議員たちが審議の直前になって「2カ月間の調停期間を設ける」という条項を追加することに同意したことは確かだ。この調停期間内であれば、デジタルプラットフォームを提供するテック企業とパブリッシャーは仲裁人を介することなく自分たちで交渉を行うことができる。

批評家たちは、これではFacebookとGoogleは今後も自社に有利な条件を提示し、市場シェアの大きさを利用してオーストラリアの大手メディア企業が不利になるような契約を締結し続けることができてしまうではないか、という。しかも、外部から監督する者がおらず、そのようにして締結されたコンテンツ提供契約によってメディアの多様性や多数性が促進される保証はないし、ジャーナリズムの質の向上でさえも保証されていない。

EUではオーストラリアよりも早く議会が動き、2019年に著作権の対象範囲をニュースコンテンツのスニペットにも広げるという賛否両論あるEU指令が発効した(ちなみに加盟国による同指令の国内法化期限は6月7日月曜日だった)。

このEU指令をいち早く国内法化した加盟国がフランスだ。2020年にフランス国内でスニペットの表示を停止することによってこの法律からうまく逃れようとしたGoogleに対し、同国の競争規制当局はすばやく行動を起こして、ニュースの再利用料金を支払うように同社に命じた

関連記事:フランス競争当局がGoogleにニュース再利用の対価支払いを命じる

フランス規制当局の命令に対し、Googleはさらに曖昧な理由で反論したが、2021年初めに、コンテンツ再利用とNews Showcaseへの加入に対する料金をフランスのパブリッシャーに支払うことに同意した。つまり、法律で定められた支払い(ニュース再利用料)と、自社サービスへのコンテンツ提供ライセンス契約とをバンドリングしたのだ。これによって、法律によって義務づけられた支払いと営利契約とのバランスを把握することが難しくなった。

News Showcaseの問題点は、そのライセンス契約交渉が人知れず行われており、多くの場合は関連する法律が成立する前であるため、完全にGoogleの言いなりで交渉が進められるということだ。つまり、News Showcaseのライセンス契約により、Googleと、デジタル化によってビジネスモデルが壊滅的な影響を受けて収益源の確保に苦しむ従来型パブリッシャーとの間の不均衡なパワーバランスに対する懸念はさらに高まる危険がある。

Googleがいくらかコンテンツ料を支払うと突然申し出たら、その条件の内容に関わらず、交渉に応じるパブリッシャーは多いだろう。さらに、検索市場とコンテンツの発見可能性におけるGoogleの圧倒的な優位性を考えると、Googleの言い値でコンテンツをライセンス提供することに同意しないパブリッシャーは特に、コンテンツの露出を減らされるというリスクを負うことになるだろう(Googleは、例えばNews Showcaseのコンテンツが優先的に表示されるかどうか等の条件に基づいて、特定のメディアプロパティへトラフィックを流すよう調節する力を持っている)。

そのことが競争に及ぼす影響は明白だ。

それでも、FCOがこれほどすばやく行動を起こしてNews Showcaseの調査に踏み切ったのは見事だったと思う。

FCOによると、今回の調査はCorint Media(コリント・メディア)が申し立てた苦情に基づいて行うものであり、Google News Showcaseのサービスを発表されている通りにGoogle検索機能と統合させることが「自己優遇に相当する、あるいは競合する第三者が提供するサービスを妨害する可能性があるかどうか」を調べる予定だという。

FCOはまた、契約に「News Showcaseに加入するパブリッシャーに不利益をもたらす」理不尽な条件が含まれていないかどうか、特に「2021年5月にドイツの連邦議会および連邦参議院により導入された報道機関の付随的著作権の行使を不当に困難にする」ものでないかどうかについても調査する予定だと述べている。この付随的著作権は、EUの改正著作権指令で定められた報道機関の付随的権利を国内法化したものだ。

したがってFCOは、EUの著作権改正によってパブリッシャーが手にした新たな権利の行使を、GoogleがNews Showcaseを使って抑え込もうとしているかどうか、という問題の核心を調査することになる。

FCOはまた「GoogleのNews Showcaseサービスの利用条件がどのように定義されているのか」という点についても調査したいと話している。

GoogleがドイツでNews Showcaseのサービスを開始したのは2020年10月1日だ。開始当初、加入パブリッシャーは20社、対象メディアは50種類だった。現在はその数がもっと増えている。

FCOによると、News Showcaseの「ストーリーパネル」はもともと、Google Newsアプリに統合されていたが、現在はデスクトップ版のGoogle Newsでも見ることができるという。FCOはまた、ストーリーパネルが間もなくGoogle検索結果にも表示されるようになるとGoogleが発表したことにも言及した。それが実現した場合、Googleが欧州の検索市場で圧倒的優位に立っていることを考えると、News Showcaseをめぐる競争の力関係はさらにGoogle有利に傾くだろう。

FCOのAndreas Mundt(アンドレアス・ムント)長官は今回の調査に関する発表について、ある声明の中で次のように述べた。「Googleと協力することはパブリッシャーやニュースプロバイダーにとって魅力的な選択肢になり得るし、消費者に新たな、もしくはより良い情報サービスを提供することにつながる。しかし、そのことが個々のパブリッシャー間において不均衡を生み出す結果にならないように注意する必要がある。加えて、エンドユーザーへのアクセス提供という点でGoogleが優位な立場にあるからといって、パブリッシャーやニュースプロバイダーが提供する競合サービスが市場から締め出される状況になることは防がなければならない。Googleのサービスに加入するコンテンツプロバイダーの権利と義務との間で適切なバランスを確保することが必要だ」。

FCOの行動についてGoogleにTechCrunchがコメントを求めたところ、同社の広報担当者Kay Oberbeck(ケイ・オーバーベック)氏の名で以下のような回答が返ってきた。

News Showcaseは、Googleがジャーナリズムをサポートする数多くの手段のうちの1つであり、すべてのパブリッシャーに利益をもたらす製品と出資に基づくものです。News Showcaseは、ニュースコンテンツのための国際的なライセンシングプログラムです。加入企業は客観的かつ公平な基準に基づいて選出され、加入企業のコンテンツがGoogleの検索結果順位について優遇されることはありません。Googleはドイツの競争規制当局に全面的に協力する姿勢であり、FCOからの問い合わせにいつでも喜んで応じるつもりです。

FCOは今回発表したNews Showcaseの徹底調査とは別に、つい2021年5月、Googleに関する2件の調査を開始したばかりだ。そのうちの1件は、ドイツが大手テック企業を対象として新たに成立させた競争制限に関する改正法のしきい値をGoogleが満たしているかどうかを判定するためのもの、もう1件はGoogleのデータ処理慣行について詳しく調べるものだ。どちらも現在進行中である。

FCOは最近、Amazon(アマゾン)の市場における優位性に関する調査も開始したばかりだ。さらに、Facebook傘下のOculus(オキュラス)の事業に関する最近の調査を拡大することを検討している。Googleと同じく、Facebookの事業についても前述の改正法のしきい値を満たしているかどうかを判断するためだ。

2021年1月に発効したドイツ競争法の改正法により、FCOは、市場の乱用リスクを予防的に制御するため「市場全体における競争に重大な影響を及ぼす」とみなされる大手デジタル企業に対して以前よりも積極的に規制条件を適用する権限を得た。

FCOが大手テック企業に対してこれほど多くの調査を同時進行で行っていることは、FCOが少しの時間も無駄にしたくないと考えていることの現れだ。FCOは、大手プラットフォーム企業が引き起こしている独禁問題に関して、法的な根拠があると判断できたらすぐに予防的介入に踏み切れるように準備しているのである。

FCOはさらに、Facebookの「スーパープロファイリング」に対して先駆的な訴訟を起こしている。この訴訟は、プライバシー侵害を競争制限に関する懸念と結びつけ、大手テック企業によるユーザーのプロファイリングを大幅に制限する可能性がある。この訴訟については、すでに何年も調査と審議が行われてきたが、最近、主要な法的争点の解釈をめぐって欧州司法裁判所に付託された。

関連記事:ドイツ裁判所がフェイスブックに対する「スーパープロファイリング」訴訟を欧州司法裁判所に付託

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Googleドイツ独占禁止法メディアEU

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

アップルがようやく開発者向けにスクリーンタイムAPIを公開

2018年に公開されたiOS 12で、Apple(アップル)は独自の内蔵スクリーンタイム追跡ツールと制御機能を導入した。そして独自のスクリーンタイムシステムを実装したサードパーティアプリの取り締りを開始した。同社は彼らの方法がユーザーのプライバシーを危険に晒しているためだと説明した。当時なかったものは何か?デベロッパーがAppleのスクリーンタイムシステムを利用して、独自の体験を作り出すためのスクリーンタイムAPIだ。それがようやく変わった。

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米国時間6月7日に行われたAppleのWorldwide Developer Conferenceで、同社はスクリーンタイムAPIを発表した。デベロッパーがユーザープライバシーを守りながら、ペアレンタルコントロール体験を開発できるフレームワークだ。

iOS SDK(ソフトウェア開発キット)には新しいSwiftフレームワークが3種類追加され、デベロッパーは子どもがデバイス上でできることを親が管理して制限を加えるためのアプリを開発できるようになった。

このAPIを利用するアプリは、アカウントのロック、パスワード変更の禁止、ウェブトラフィックのフィルタリング、利用できるアプリの制限などさまざまな制約を設定できる。こうした設定はAppleのスクリーンタイムシステムですでに可能だが、デベロッパーは自社ブランドの元で独自の体験を提供できるようになり、Appleのシステムが提供する機能を拡張することもできる。

APIを利用するデベロッパーのアプリは、それ自身をロックして親の承諾なしにデバイスから削除できなくすることもできる。

アプリは親の本人認証を行い、そのユーザーが管理しようとしているデバイスが家族のものであることを確認できる。さらに、Appleによると、このシステムはユーザープライバシーを損なうことなく、親が制限したいアプリとウェブサイトを選ぶことができるという(システムはアプリの識別子やウェブサイトのURLの代わりに、解読不能なトークンだけを返すので、サードパーティはユーザーが使ったアプリやウェブ閲覧の詳細などの個人的データをアクセスできない、とAppleはデベロッパーに伝えている。このため、怪しげな会社がスクリーンタイムアプリを作りアプリ利用に関するユーザーデータを収集する、といったことはできない。

サードパーティアプリは、アプリごとあるいは行動のタイプごとに専用のタイムウィンドウを作り、まもなく時間切れになることを子どもに警告できる。時間になると、管理アプリはウェブサイトやアプリへのアクセスをロックし、子どもに宿題の時間であることを伝えたり、デベロッパーの考えるその他の体験を提供する。

一方で、アプリは子どもが宿題や読書や手伝いなどの仕事を終えたらスクリーンタイムをもらえるインセンティブを設定することもできる。

デベロッパーは、一連の機能を利用してAppleの基本的制御機能の上に独自のアイデアを載せることで、Apple自身のスクリーンタイムシステムにない新たな体験をデザインすることもできる。スクリーンタイムの管理がもっと簡単になりニーズに合わせてもっとカスタマイズできるようになるのなら、親は渋々財布の紐を緩めるだろう。

「ファミリー」環境以外にもスクリーンタイムを利用するアプリはある。例えばメンタルヘルスや幸せな生活などだ。

もちろん、デベロッパーたちはスクリーンタイム機能が公開された時からAPIの提供を求めてきたが、Appleは開発の優先順位を上げなかった。しかし、2020年の反トラスト公聴会でライバルのスクリーンタイムアプリを禁止した行為が取り上げられてから事態は変化した。当時Apple CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は会社の決定を擁護し、アプリはMDM(モバイル・デバイス・マネージメント)技術を使用しており、それはホームユースではなく大企業の従業員向けデバイスを管理するために作られていると説明し、それがプライバシーリスクになる、と述べた。

関連記事:アップルのクックCEOが他社のスクリーンタイムアプリを排除した理由を米独禁法公聴会で弁明

WWDCでAppleは同APIの仕組みを詳しく解説するセッションを用意しているので、その時のデベロッパー向け情報が公開されれば、詳しいことがわかるはずだ。

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タグ:AppleWWDC 2021WWDCiOSiOS 15APISDK子どもスクリーンタイムプライバシー独占禁止法

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックの広告データ利用について英国と欧州の規制当局が競争規則違反の疑いで調査開始

Facebook(フェイスブック)は、欧州で新たに2つの独占禁止法違反の調査を受けている。

英国の競争・市場庁(CMA)と欧州委員会は現地時間6月4日、ソーシャルメディアの巨人であるFacebookの事業に対する正式な調査開始を発表した。そのタイミングはおそらく協調して合わせたものと思われる。

英国と欧州の競争規制当局は、Facebookが広告顧客やSSO(シングルサインオン)ツールのユーザーから得たデータをどのように利用しているかを精査し、特にこのデータを、クラシファイド広告などの市場で、競合他社に対して不公正な手段として利用していないかどうかを調査する。

英国が欧州連合から離脱したことで、英国の競争監視当局は、EUが実施している反トラスト調査と類似または重複する可能性のある調査を、より自由に行うことができるようになった。

Facebookに対する2つの調査は、表面的には類似しているように見える。どちらも広告データをどのように利用しているかに大きく焦点を当てているからだ(とはいえ、調査の結果は異なるかもしれない)。

Facebookが恐れるのは、英国とEUの規制当局が、共同で調査を行ったり、調査結果を相互参照する機会を得て(いうまでもなく、英国とEUの機関間では多少の調査競争が行われる)、両者から規制措置が取られた結果、より高い次元の監視が同社のビジネスに適用されるようになることだ。

CMAは、Facebookがオンライン・クラシファイド広告やオンライン・デートのサービスを提供する上で、特定のデータの収集・使用を通じて競合他社よりも不当に有利な立場にないかということを調査しているという。

つまり、これらの同種のサービスを提供する競合他社に対し、Facebookが不当な優位性を得ているのではないかと懸念していると、英国の規制当局は述べている。

Facebookはもちろん、オンラインクラシファイド広告とオンラインデートの分野で、それぞれFacebook Marketplace(フェイスブック・マーケットプレイス)とFacebook Dating(フェイスブック・デーティング)というサービスを展開して収益を上げている。

CMAのCEOを務めるAndrea Coscelli(アンドレア・コシェリ)氏は、今回の措置に関する声明の中で次のように述べている。「私たちは、Facebookのデータ利用を徹底的に調査し、同社のビジネスのやり方がオンライン・デートやクラシファイド広告の分野で不当な優位性を築いていないかを見極めるつもりです。そのような優位性は、新規事業や小規模事業を含む競合企業の成功を阻むものであり、顧客の選択肢を狭める可能性があります」。

欧州委員会の調査も同様に、Facebookが事業を展開している市場で、広告主から収集した広告データを利用して広告主と競合し、EUの競争規則に違反していないかということに焦点を当てている。

ただし、調査の対象となる市場で特に懸念される例として、欧州委員会はクラシファイド広告のみを挙げている。

EUの調査にはもう1つの要素がある。それは、Facebookが同社のオンライン・クラシファイド広告サービスをソーシャルネットワークに結びつけることが、EUの競争規則に違反していないかを調べることだ。

これとは別の(国による)動きとして、ドイツの競争当局は2020年末、FacebookがOculus(オキュラス)とFacebookアカウントの使用を結びつけていることについて、同様の調査を開始した。このようにFacebookは、米国で2020年12月に提起された大規模な独占禁止法違反の訴訟に加え、欧州でも複数の独占禁止法違反の調査を受けており、各地で苦しい立場に置かれている。

関連記事:Facebookが全米46州からの大型反トラスト訴訟に直面

欧州委員会は「Facebookとも直接競合する企業が、Facebookでサービスを宣伝する際に、商業的に価値のあるデータを同社に提供する場合があります。Facebookはデータを提供した企業と競合するために、そのデータを利用している可能性があります」と、プレスリリースで指摘した。

「これは特に、オンラインクラシファイド広告プロバイダーに当てはまります。多くの欧州の消費者が商品を売買するプラットフォームであるオンラインクラシファイド広告プロバイダーは、Facebookのソーシャルネットワーク上で自社のサービスを宣伝していますが、同時にこれらの業者は、Facebook独自のオンラインクラシファイド広告サービスである『Facebook Marketplace』と競合しています」。

欧州委員会は、すでに実施した予備調査で、Facebookがオンラインクラシファイド広告サービスの市場を歪めている懸念が生じていると付け加えた。委員会は今後、このソーシャルメディアの巨人がEUの競争規則に違反しているかどうかを完全に判断するため、より踏み込んだ調査を行うことになる。

欧州委員会の競争政策で責任者を務めるEVPのMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、声明の中で次のように述べている。「Facebookは、毎月30億人近くの人々に利用されており、700万社近くの企業がFacebookに広告を出しています。Facebookは、そのソーシャルネットワークのユーザーや閲覧者の活動に関する膨大なデータを収集することができ、それによって特定の顧客グループをターゲットにすることが可能です。私たちは、特に人々が毎日商品を売買し、Facebookがデータを収集している企業とも競合しているオンライン・クラシファイド広告の分野で、このデータがFacebookに不当な競争上の優位性を与えているかどうかを詳細に調査していきます。現代のデジタル経済において、データを使用して競争を歪めることは、許されるべきではありません」。

今回の欧州の独占禁止法に関する調査についてコメントを求められたFacebookは、次のような声明を発表した。

当社は、Facebookを利用する人々の進化する需要に応えるために、常により良いサービスを開発しています。MarketplaceとDatingは、人々により多くの選択肢を提供し、どちらも多くの大手既存企業が存在する競争の激しい環境で運営されています。我々は調査に全面的に協力し、この調査が無意味であることを証明していきます。

これまで(特に) Google(グーグル)やAmazon(アマゾン)のような他の巨大テック企業に対して複数の調査と取締りを行ってきた欧州委員会の競争当局にとって、Facebookはちょっとした盲点だった。

しかし、ベステアー氏のFacebookに対する看過は、これで正式に終了した(Facebook Marketplaceに対するEUの非公式調査は、2019年3月から続いていた)。

一方、英国のCMAは、アドテック複占の翼を切り落とすという計画に基づき、FacebookやGoogleなどの巨大テック企業に真っ向から狙いを定めた、より広範な競争促進規制の改革に取り組んでいる。

関連記事:英国でテック大企業を監視する新部署「DMU」発足、デジタル分野の競争を促進

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タグ:FacebookSNS広告英国欧州EU独占禁止法CMA欧州委員会

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾン「プライムデー」は例年より早く6月21日・22日開催、米では独禁法調査の中で中小企業との提携アピール

Amazon(アマゾン)は、年に1度の有料会員(プライム会員)向けセールイベント「プライムデー」を6月21日(月)と22日(火)に開催すると発表した。Bloombergは以前、リークされた記録を元に同じ日程を報じていた。毎年恒例のこの大規模なセールは通常、ショッピングシーズンが一服する7月に開催されていた。しかし新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年のプライムデーは米国を含むほとんどの市場で10月まで延期された。

関連記事:アマゾンが米国でのプライムデーの遅れを認める、インドでは8月に開催すると発表

そうした変更にもかかわらず、アマゾンによると、中小企業(SMB)は2020年のプライムデーイベント中に35億ドル(約3836億円)以上の売上を記録し、前年比60%増となった。ただし同社は、プライムデー全体の売上量は明らかにしていない。

2021年、アマゾンは、中小企業の支援を目的とした新しいプロモーションを実施し、プライムデーをいち早くスタートさせるとのこと。6月7日からプライムデーが始まるまでの間、プライム会員は、参加している中小規模の販売事業者が販売する商品を10ドル(約1095円)以上購入すると、プライムデーのイベント期間中に利用可能な10ドルのクーポンを受け取ることができる(日本では1000円以上の買い物で1000円分のクーポン)。

このキャンペーンは、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、日本を含む一部の市場で実施され、同社によればアマゾン史上最大のスモールビジネス支援プロモーションとなる。キャンペーンには30万以上の販売パートナーが参加するという。

プライムデーはもともとアマゾンの買い物客たちに、多様なカテゴリーにわたる大幅な割引を提供することで、アマゾンプライム会員(有料会員)への移行を促すことを目的としていた。その中にはスマートスピーカー「Echo」や「Fire TV」など、アマゾン独自のコンシューマー向けハードウェアデバイスも含まれており、これらは例年ベストセラーとなっている。

今回も同様に、家庭用品、電子機器、美容、ファッション、アマゾンデバイスを対象としたセール・割引価格を同社は約束している。さらに前回に続き、Prime Video、Amazon Music、Prime Gamingなど、アマゾンの他の事業分野にもセールを拡大する。

そうしたセールの中の1つは現在すでに開始されており、プライム会員は、最大7000万曲を提供するオンデマンド音楽ストリーミングサービス「Amazon Music Unlimited」の4カ月無料トライアルに登録することができる(Amazon Music Unlimitedに新規登録の場合のみ)。同社は最近、Apple(アップル)が自社のMusicサービス加入者向けに同様のサービスを開始したのに続き、無料アップグレードとしてロスレスストリーミングに対応するようになった。

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プライムデー自体は2015年から開催されているが、アマゾンは最近、同社のビジネス慣行に対する規制当局の監視や反トラスト法に基づく調査が強化されていることを受けて、中小企業をどのように支援しているかに強くスポットを当てるために、このイベントを利用し始めている。

アマゾンの創業者で(まもなく「前」になる)CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が証言を求められた米国議会の公聴会に加えて、ワシントンD.C.司法長官のKarl Racine(カール・ラシーン)氏は2021年5月、アマゾンがサードパーティ販売業者に支配力を行使することで競争を阻害しているとして、同社を反トラスト法違反で提訴した。この訴訟は、アマゾンが自社のオンライン小売プラットフォーム上で価格を固定し、販売業者が他の場所で商品をより安く販売することを妨害することで、オンライン小売市場全体で人為的に高い価格設定を作り出していると主張している。

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さらにアマゾンは、マーケットプレイスを利用するサードパーティ販売業者の非公開データを利用して売れ筋商品をコピーしたり、同時に販売パートナーよりも低価格で売ることで中小規模の販売事業者に損害を与えているとして、EUを含む海外でも反トラスト調査を受けている。

アマゾンは「The Good Place(グッド・プレイス)」の主演女優で「アナ雪」の声としても知られるKristen Bell(クリステン・ベル)の好感度を利用した明るいムードの記者会見で、中小企業がアマゾンでいかにうまくやっているかをアピールした。このイベントでクリステンは、ドッグフードの「Pawstruck」やセルフケア製品の「Live by Being」など、お気に入りの販売業者に「インタビュー」を行ったが、彼らはもちろん、アマゾンとの提携についてすばらしいコメントしかしなかった。

クリステンは「Queer Eye(クィア・アイ)」のKaramo Brown(カラモ・ブラウン)や女優・コメディエンヌのMindy Kaling(ミンディ・カリング)とともに、 アマゾンのビデオショッピングサービス「Amazon Live」でも、お気に入りの販売者を紹介する予定だ。

またアマゾンは、中小規模の販売事業者や関連する取り組みについても広く紹介した。同社は2020年、250以上の新しいツールやサービスを提供し、販売パートナーが全世界で3億人の顧客にリーチするのを支援してきたと指摘した。

アマゾンのSmall Business Empowerment部門を率いるKeri Cusick(ケリ・キューシック)氏は、プレスブリーフィングの中でこう述べた。「米国内だけでも2020年1年間で、当社の中小規模の販売パートナーが毎分7200個以上、合わせて37億以上の製品を販売したことを考えると、感慨深いものがあります。全体では、約15万ドル(約1640万円)から増加し、売上平均は20万ドル(約2190万円)となり、米国では2万7000以上の販売者が50万ドル(約5480万円)以上の売上を達成しました」。

アマゾンは、もうすぐやって来るプライムデーのお得なセール情報については具体的に言及しなかったが、Le Creuset(ル・クルーゼ)、Tommy Hilfiger(トミー・ヒルフィガー)、Lego(レゴ)、Mattel(マテル)、Black & Decker(ブラック&デッカー)などの企業と提携し、プライムデーまで待っている間にも、同サイトで数十万製品のセールを開催すると述べている。

また、Alexa(アレクサ)デバイスを持っている米国ユーザーは「アレクサ、プライムデーについて教えて(Alexa, what are my deals?)」と尋ねることで、6月18日(金)から早期に買い物をすることができる(訳註:早期アクセスは地域により異なる)。

プライムデーは、Amazon.comまたは各地域のウェブサイト(日本ではamazon.co.jp/primeday)、スペイン語話者向けのAmazon.com/espanol、そしてアマゾンの実店舗でも利用できる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonプライムデーeコマース独占禁止法

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

ワシントンD.C.の司法長官がアマゾンを「オンライン小売市場の競争を阻害している」と提訴

ワシントンD.C.のKarl Racine(カール・ラシーン)司法長官は米国時間5月25日、Amazon(アマゾン)が反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとする新たな訴訟を発表した。この訴訟では、アマゾンがサードパーティ販売業者に支配力を行使することで競争を阻害していると非難している。

ワシントンD.C.の高等裁判所に提出されたこの訴訟は、アマゾンがその巨大なオンライン小売プラットフォーム上で価格を決定づけ、サードパーティの販売業者が他の場所で商品をより安く販売することを妨害していると主張。販売者は契約によりアマゾンの高額な手数料を価格に組み込まなければならず、そのことがオンライン小売市場全体で「人為的に高い」価格設定を作り出しているとラシーン司法長官は主張している。

このような慣行はコロンビア特別区の反トラスト法に抵触する可能性がある。司法長官事務所は、これによってアマゾンがオンライン小売市場で独占的な力を発揮していると主張する。

「アマゾンは、何が何でも勝利するために、オンライン小売市場における支配的な地位を利用してきました。サードパーティの販売業者や消費者を犠牲にして自社の利益を最大化する一方で、競争を阻害し、革新を抑えつけ、違法に市場を自らに有利な状況に偏向させています」と、ラシーン司法長官は述べている。

「私たちは、アマゾンがオンライン小売市場全体の価格を違法にコントロールしている状況に終止符を打つために、この反トラスト法に基づく訴訟を起こしました。地区住民の選択肢を広げ、競争、革新、選択を促進する公正なオンライン市場を、私たちは必要としています」。

今回のワシントンD.C.の司法長官による訴訟は、テクノロジー分野で最も強力な企業を一段階引き下げようとする州レベルの取り組みで最新のものだ。Facebook(フェイスブック)とGoogle(グーグル)は、反競争的な行為を行ったとして複数の州で訴訟を起こされており、連邦議員も反トラスト法の大幅な改正に向けて動き出している

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ティム・クック氏はEpic Games対アップルの反トラスト裁判でしらを切る

Apple(アップル)CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は米国時間5月21日、初めて証言台に立った。おそらくEpic Games(エピックゲームス)対Appleの反トラスト訴訟で最も期待されていた証言だ。しかし、クック氏はEpicの偽りや申し立てを激しく非難するのではなく、重要な質問の多くに対して答えなかったり答えられないとして、注意深く準備された穏やかな無知を装った。

この期待はずれの結果は派手な報道にはならないものの、AppleのApp Store(アップ・ストア)が独占に当たるとする少々疑わしいが危険な主張を無力化する効果はあるかもしれない。

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Appleの弁護人に呼ばれクック氏は証言台に立った、と法定に入ることを許されたメディア関係者2名のうちの1名であるLaw360のDorothy Atkins(ドロシー・アトキンス)氏が自身の詳細な証言ライブツイートで言った。クック氏からの引用は報じられたものであり逐語的ではないことに注意されたい。裁判所の速記録は後にまとめられて公開される予定だ。ちなみに、アトキンス氏による舞台装置の描写は魅力的かつ人間味あふれるものだが、EpicのCEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は少々風変わりに見える。

スウィーニー氏はEpicの弁護人席に座り手元のペンを見つめている。弁護士のGary Bornsten(ゲリー・ボーンステン)氏が時折耳打ちしている。クック氏はリラックスした様子で脚を組んでいる。たった今隣に座っている人の方を向き、何かを言った後、笑った。

自社の弁護士によるクック氏に対する質問は穏やかで、AppleのApp Storeが優れていてiOSユーザーにとって十分である理由を繰り返す一方で、厳しい競争が存在していることも説明した。クック氏は少数のデベロッパーとの確執が存在していることを認め、優先度のち外や発見の改善が必要であることなどを挙げたが、デベロッパーとユーザーを維持するために会社は努力を続けていると語った。

うわべだけの無邪気な無知は、クック氏がAppleの研究開発費の数字(最近3年の年額が150~200億ドル[約1兆6330億〜2兆1770億円])を尋ねられたときに始まった。具体的には、Appleはその金額のうちどれだけがApp Storeに向けられたかを推定できない、なぜなら「当社はそういう割当て方をしていないから」だと同氏は言った。つまり、個々のプロダクトのための研究予算は、それ以外と区別されていない。

いやいやそれは納得できない、そうだろう?Appleのような会社は自社の製品や研究にいくら使っているかを1セント単位で把握している。仮に完全に分類できないとしても(MacOSコードの進展がApp Storeの一機能に取り入れられるなど)、会社は自社のリソースがどう割り振られ、どんな効果を得ているかをある程度知らないはずがない。App Storeの研究開発費の控えめな見積もりとリベラルな見積もりの違いは少なくない可能性がある。おそらく数億ドル(数百億円)単位で。しかも、そうした見積もりは間違いなく社内では行われている。そうでなければ企業として愚かである。

しかし、その数字は公表されず分類されていないため、そしてその数字はある程度曖昧であるに違いないため、クック氏は「App Storeの2019年の研究開発費は5億ドル(約540億円)である」というような具体的数字はない、と堂々と語ることができる。

確かな数字がないことはEpicの拠り所をなくす。数字はどちら向きにでも使うことができた。もし大きければ、会社は金の卵を生むガチョウを守っている(市場支配力を行使している)。もし小さければ、卵を集めている(市場支配力を通じて家賃を集めている)だけだ。Appleにとって唯一勝つ方法は何も演じないことなので、クック氏は沈黙を演じ、その結果Epicの主張は憶測のように見える(そして、Appleがいうように、作り話のように見える)。

次にクック氏は、利益に関する指摘の先手を打って、競争の激しさを訴える同様の戦略を展開した。彼は約2750億ドル(約29億9380億円)の純売上高と21%の利益率だけを挙げ、AppleはApp Storeの売上を独立事業として評価していないと語った。

たしかに、App Storeが大きなビジネス構造と非常に強固に結合された部門であるというのはわかる。しかし、独立事業として評価できないという考えはばかげている。Appleのあらゆる部門や製品ラインと同じく、App Storeの業績が社内で詳細に分析され報告されていることは間違いない。しかし、法的な目的においては「App Storeの売上と利益はこれこれである」と言えるほど単純でないこともまたたしかであり、結果的にEpicの前提はくずされる。

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しかし、これはEpicが独立した調査が必要だと考えたほど重要なことだった。そしてEpicの弁護士は、証人尋問の最初に、裁判の初期に専門家が証言したAppleのApp Storeの営業利益は約79%であるという供述を持ち出した。

こうした数字を認めることも否定することもAppleの利益にはならいので、クック氏はここでも無知を貫いた。ただし、わずかに本性が覗いたのは、Epicの弁護士がクック氏に対し、MacとiOS App Storeを合わせた機密の売上数値を分割するよう依頼した時だった。Appleがこれに反論し、それは部外秘であり非公開裁判でのみ公開できるとした一方で、クック氏はiOSの数字はMacの数字より「ずっと大きい」と発言した。

ここに見られるのは、もう1つの財務上の巧妙なごまかしだ。iOSとMacの売上を混ぜ合わせることで、Appleはそれぞれいくら金が使われいくら稼いだかを曖昧にしている。それらを分離しようとしたEpicの試みは成功しなかったが、裁判官の目は節穴ではない。彼女はEpicと同じものを見ている、ただしぼんやりと。Appleは曖昧で操作しているように思われるリスクを取ってでも、Epicの法的勝利を否定しようとしている。

これは、クック氏がAppleとGoogle(グーグル)と結んでいる検索エンジンをiOSのデフォルトにする契約について質問されたときにもあらわになった。クック氏は、具体的数字は覚えていないと語った。

世界最大のテック企業のCEOが、もう1つの世界最大級のテック企業との10年に渡る数十億ドルの契約の詳細を覚えていないと言ったら、あなたは信じるだろうか?

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それ以外の証言はほとんど何も明らかにしなかった。クック氏は、中国などの現地法が技術的、政治的な障害になる地域での経営の複雑さを述べ、Appleが30%の手数料をとっているアプリ内購入の範囲を拡大したことについての議論を最小化した。非公開法廷での証言がもう少し行われたが、機密情報に関わるため我々が知ることはないだろう。

裁判は終わりに近づき、そこに驚きはほとんどなかった。双方が最初に主張を展開し、そのほとんどは裁判長による事実の解釈に委ねられる。劇的な驚きも決定的な証拠もなかった。それは何が独占的行為を構成するかに関する新たな主張にすぎなかった。AppleはAndroidとの競争は存在し熾烈であり、ゲームの世界ではWindowsとゲーム専用機とも競争していると頑なに主張した。

判決がどちらに傾いたとしても、控訴されて上級裁判所に行くことはほぼ必然だが、判決は、Epicの主張(とAppleのぼやかし)がどこまで受け入れられたかを示す強力な指標になる。いずれにせよ、EpicやAppleのApp Store手数料(会社がどう隠そうとも莫大な利益を挙げている)を批判するその他の人々にとって、目的はすでに達成されている。Appleが最初の100万ドル(約1億1000万円)に対する手数料を15%に引き下げたことは、デベロッパーの騒動とマスコミの酷評に対する答えであることは明らかであり、今Appleはソーセージがどうやって作られているかを守る立場に立たされている。

Appleの陽極酸化アルミニウムの塔を曇らせることは、少なくとも目的の一部なので、勝っても負けてもEpicは、払った金に見合うものを手に入れた気分かもしれない。ヨーロッパでの再戦はまだこれからだ。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:AppleEpic Games反トラスト法裁判ティム・クックApp StoreFortnite

画像クレジット:Josh Edelson/AFP

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

テック業界に対するリナ・カーン氏の時宜を得た懐疑論はFTCの承認公聴会を新鮮かつ友好的な方向に導くものだ

近ごろの承認公聴会がどう進むかは誰にもわからない。現状と大企業に挑みながらも重要な地位に指名された若い部外者にとっては特にそうだ。FTC委員のポジションに就く予定のLina Khan(リナ・カーン)氏はまさにそのような人物だが、米国時間4月22日に行われた上院商業委員会の承認公聴会で、意外なほど快適な時間を過ごした。おそらく、反トラストに対する彼女の因習打破的なアプローチが昨今の政策を良い方向に導いているからであろう。

コロンビア大法科大学院の准教授であるカーン氏は「Amazon’s Antitrust Paradox(アマゾンの反トラスト・パラドックス)」という鋭敏な論文を通じてテクノロジー業界で一躍有名になった。(同氏は最近、テクノロジー政策に関する下院の報告書にも寄稿している。)

2018年に同論文が発表されたとき、Amazonが自社の立場を乱用し始めたという印象は、一部の業界では常識化していたが、連邦議会ではあまり認識されていなかった。しかし、自由放任主義や不十分な規制がAmazon、Google、Facebookに(手始めに)モンスターを生み出しているという意識の高まりは、これらの新進企業を元の場所に戻す何らかの方法を見つける必要があるという、超党派の稀有な合意につながった。

それが今度は、目的を共有しているという感覚と、承認公聴会での仲間意識をもたらした。この公聴会はトリプルヘッダーで行われ、カーン氏はNASAの責任者に指名されたBill Nelson(ビル・ネルソン)氏、商務省の法律顧問に就任予定のLeslie Kiernan(レスリー・キーナン)氏とともに、実に有意義な、3時間ほどの短い会話を交わした。

カーン氏はバイデン政権の中で、ビッグテックなど手に負えなくなったビジネスに立ち向かうための新たなアプローチを提示している人物の1人だ。両陣営の上院議員から誠実な印象の質問が寄せられ、自信に満ちたカーン氏から真摯な申し分のない回答が提示された。

セクション230や、不正な委員会、上院議員に関するものを含め巧妙にカーン氏を導くいくつかの動きを避けながら、その回答は主に、こうした秘密主義の強力な企業に対する規制のアプローチにおいて、FTCは十分な情報を得てより先制的な行動を取るべきだという同氏の専門家としての意見を再確認するものとなった。

以下に、いくつかの主要な問題に対する同氏の見解を示す質疑応答を抜粋して紹介する(回答はわかりやすくするために若干編集されている)。

FTCがGoogle、Facebook、ニュースプロバイダーの争いに介入したことについて。

「すべてが議論の対象になる必要があります。明らかにローカルジャーナリズムは危機に瀕しており、新型コロナウイルス感染症を巡る現下の情勢は、信頼できるローカルニュースの情報源がない場合に引き起こされる、民主主義の深刻な緊急事態を浮き彫りにしていると思います」。

同氏はまた、広告市場の集中化や、業界全体に広範な影響を及ぼす可能性があるアルゴリズム変更などの恣意的な性質についても言及した。

画像クレジット:Graeme Jennings/Washington Examiner/Bloomberg / Getty Images

ソーシャルメディア企業は「一般通信事業者」と見なされるべきだというClarence Thomas(クラレンス・トーマス)氏の困惑する提案について。

「それは多くの興味深い議論を引き起こしたと思います」と彼女は極めて慎重に語った。「Amazonの論文の中で、私はこれらの支配的なデジタルプラットフォームについて考える際の2つの潜在的な道筋を特定しました。その1つは、競合法を施行し、これらの市場が競争的であることを確実にすることです」(独占禁止法の使用など)。

「もう1つは、規模の経済やネットワークの外部性があるために、これらの市場が少数の企業によって支配され続ける可能性があることを認識した場合、別のルールを適用する必要があるということです。私たちには、集中度が高い場合にどのような種類の規制を適用できるかについて考えてきた長い法的伝統があり、一般通信事業として捉えることはそうしたツールの1つです」。

「これらの企業の一部は現在、非常に多くの市場に統合されているため、どの特定市場を対象としているかによって、異なるツールのセットに対応する可能性があることを明確にしておく必要があります」。

(これは、一般通信事業や既存の独占禁止規則がこの問題の対処にまったく適さないということを表す非常に丁寧な言い方だ)。

FTCが承認した過去の企業合併を再検討する可能性について。

「同委員会のリソースは、経済の規模の拡大や、同委員会が検討している案件の規模と複雑度の増大に追いついていませんでした」。

「デジタル市場は特に急速に動いているため、市場への潜在的な集中を気にする必要はないという前提がありました。なぜなら、どんな力の行使も参入や新たな競争によって規律づけられるからです。もちろん今では、市場には実際に大きなネットワーク外部性があり、それによって市場をより厄介なものにしていることが理解されています。後から振り返ってみると、これらの合併レビューは機会を逸したものだったという感覚が高まっているのです」。

(ここでは、Blackburn[ブラックバーン]上院議員[共和党・テネシー州選出]がスペクトラムプラン ― 不正な委員会、上院議員について尋ねる前にカーン氏の「ポジション就任における経験の欠如」を指摘するという、数少ないネガティブな瞬間の1つが見られた)。

Facebookに対する指令のようなものを強制することの難しさについて。

「課題の1つは、これらの企業と執行機関や規制機関との間に存在する情報の非対称性です。いくつかのケースでは、当局が根底にあるビジネスの現実や、これらの市場がどのように機能しているかという経験的な現実に追いつくのに少し時間がかかっていることは明らかです。ですから、少なくとも、当局がペースを保つためにできることを確実に行っていくことが重要になります」。

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「ソーシャルメディアにはブラックボックスアルゴリズムという独自のアルゴリズムがあり、実際に何が起こっているのか把握するのを困難にすることがあります。FTCは情報収集能力を活用して、こうしたギャップの一部を緩和する必要があります」。

子どもをはじめとする脆弱なグループに対する保護をオンラインで強化することについて。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、家族や子どもたちがこうした[教育に関わりのある]テクノロジーに特に依存するようになっていることを考えると、その危険性は高まっています。そのため、ここでは特に注意を払う必要があります。従来のルールは、離れたところではなく、近いところに置くべきです。

全般的に見て、党派を超えた議論はほとんど見られず、双方において、カーン氏はその職務での実務経験がないとしても(FTC委員のような要職では珍しいことではない)、誰もが求めるような能力を備えた候補者だとの認識が多勢を占めていた。さらに独占禁止法や競合の問題について彼女が高く評価され、かなり断定的な立場をとっていることは、すでに規制の独走状態にあるAmazonとGoogleを一旦は守勢に立たせるのに役立つかもしれない。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:FTCアメリカ反トラスト法AmazonGoogleFacebookセクション230

画像クレジット:Saul Loeb-Pool/Getty Images / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

米上院は独禁法公聴会でアップルのApp Storeにおける不正防止の怠慢を非難

米国時間4月21日に米上院司法委員会の反トラスト法小委員会で開催されたヒアリングでApple(アップル)はApp Store における詐欺的行為についても追及を受けた。Appleはこれまで、App Storeにおける高額の手数料はAppleが詐欺、不正を防止し消費者を守るために必要だと主張していた。しかし最近デベロッパーコミュニティは「Appleは詐欺的であることが明白な有料・課金アプリに対して防止の努力を十分払わずこうしたアプリ全般に対する消費者の信頼損ねている。そのため合法的なサブスクリプション・ビジネスに対しても悪影響が出ている」と主張している。

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特にあるデベロッパーのKosta Eleftheriou(コスタス・エレフテリウ)氏はApp Storeにおける明白な不正を暴くことを自らの使命としている。エレフテリウ氏はいわば企業犯罪取締のワンマンアーミーとしてレビュー欄に大量のフェイク投稿を載せてユーザーを集めるなどの有害アプリをTwitter で告発し続けてきた。

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これまでに発見されたこうした詐欺行為の中でも特に目立つものは、あるユーザーの全財産であるビットコイン約60万ドル(6500万円)を騙し取った暗号資産ウォレットや、オンラインカジノを隠した子ども向けゲーム年間500万ドル(約5億4000万円)を騙し取ったVPNアプリなどがある。そもそもエレフテリウ氏をこの活動に向かわせる発端となった詐欺事件も詳しく報告している。同氏が開発したApple Watchアプリのライバルがマーケティング資料を盗み、アプリをコピーし、金を払って偽のレビューを投稿させたという。これによって詐欺アプリの方が優れた選択肢であるかのように見せかけて「ユーザーから年間200万ドル(約2億2000万円)をだまし取った」とエレフテリウ氏は主張する。

エレフテリウ氏のツイートは、アプリ開発者コミュニティで大きな注目を集めた。デベロッパーは自分が発見した詐欺の事例をエレフテリウ氏にメールで送るようになった。同氏は最近、さらに一歩を進め、App Store詐欺によって被った損害についてAppleを相手に訴訟を起こした

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上院の反トラスト法ヒアリングではエレフテリウ氏の名前は言及されなかったが同氏の努力が広く評価されていることは確実だ。

ヒアリングではJon Ossoff(ジョン・オソフ)上院議員(ジョージア州、民主党)がAppleの最高コンプライアンス責任者Kyle Andeer(カイル・アンディア)氏に対し「なぜアップルはこのような詐欺的アプリを摘発できないのか?」と質問した。オソフ上院議員は「これらが詐欺的アプリであるのは明白であり、そのようなものと判断するのは極めて容易なはずだ」と述べた。

上院議員は「なぜ我々は App Store における不正を発見するためにデベロッパー・コミュニティやジャーナリストからの情報に頼らねばならないのか?」と追求した。これはおそらくエレフテリウ氏の活動を念頭に置いたものだろう。

エレフテリウ氏自身は「(詐欺アプリの発見に)さして努力を払ったことはない」と述べている。「高い利益を上げているアプリについて不審なユーザーレビューがないか利用料金が高額ではないかチェックするだけです。その両方に当てはまるならおそらく詐欺です」という。

上院議員の質問に対しアンディア氏は「我々はApp Storeのセキュリティ強化と改善のために数千万ドル(数十億円)から数億ドル(数百億円)を投資しています」と述べて反論した。

アンディア氏は続けて「アプリストアにおけるセキュリティ強化と詐欺の防止はモグラ叩きです。このビジネスに携わっている全員がそう認めるでしょう。だからこそ、私たちは常に改善に取り組んでいます」と述べた。またAppleは不正行為者を発見するために膨大なリソースを新しいテクノロジーに投資していると主張した。同氏はApp Storeが消費者にリスクをもたらすアプリケーションを毎年何千も拒否していることを指摘した。

同氏はApp Store を運営しているのがApple でなかったら事態はさらに悪くなっていただろうとして次のように述べた。

誰しも完全な仕事はできません。しかし私たちは他社よりも優れた仕事をしていることを何度も証明してきたと思っています。App Store に登録されたアプリ以外のプログラムをサイドロードすることやサードパーティのアプリケストアにiPhoneを開放することはこの問題をますます悪化させるものと考えています。他のアプリストアや配信プラットフォームを観察すると、その状態は恐ろしいものです。

オソフ上院議員は、サイドローディングに関しては別途質問するとして詐欺アプリについて再度「Appleはこうした詐欺的アプリからも手数料を徴収していすね?」と質問した。

アンディア氏は「そういうことはないと考えてます。詐欺あるいは不正を発見すれば我々は直ちに是正措置を取ります。これは毎日行われています 」と答えた。

しかし、mAppleがApp Storeの詐欺からどの程度の利益を得ていたのかについては明確にならなかった。オソフ上院議員はAppleが詐欺による請求で得た収入の「全額」を被害者に返金したのかどうか、言い換えれば、これまでに契約したすべての顧客が、詐欺が確認されたときに返金を受けたのかを尋ねた。

アンディア氏の答えはいささか漠然としていたが、どうやら現行のシステムでは「詐欺を通報しまた苦情を申し立てた顧客については返金している」ことになっている受け取れた。同氏は、詐欺が発見された場合「顧客全員に返金している」とういう表現を避け「Appleは顧客が満足するよう取り計らっている」と慎重に答えた。アンディア氏はこう述べた。

もちろんAppleには毎日この作業を行っている専門チームがあります。私の理解によれば、チームは顧客の立場に立って懸命に働いています。顧客の満足が結局のところ私たちが最も重視する点です。もし顧客の信頼を失えば、Appleにとって痛手となります。

しかしエレフテリウ氏はこうした説明に満足していない。同氏は TechCrunchの取材に対して次のように述べた

昨日の公聴会でのオソフ上院議員の質問は的確なものでしたが、Appleは事実上回答から逃げました。デベロッパーコミュニティの全員はこれに対して怒りを感じています。App Storeでは何年も数百万ドル規模の詐欺行為がチェックされず見過ごされtえいています。しかしこれを発見するのは私のような個人でも簡単なのです。なぜAppleが見過ごしているのか、その理由についてAppleはまったく説明しませんでした。またApp Storeでの詐欺行為に対しAppleに責任があるのかどうかについても明確な回答をしませんでした。

Appleはこうした詐欺行為から利益を得ているように受け取れます。つまり後になって詐欺的と判明したアプリを削除しても、すべてのユーザーに被害金額を返金するのではないのです。私たちは10年以上にわたり、Appleの問題点を指摘し続けてきました。上院反トラスト法委員会には、こうした疑問の真相を究明するよう強く求めます。これには数年前にApp Storeでユーザーが疑わしいアプリに通報フラグを立てる機能を削除したAppleの不可解きわまる決定も含まれます

Appleにコメントを求めているがいまのところ回答がない。

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タグ:独占禁止法アメリカAppleアプリApp Store詐欺

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルとグーグルが上院の独禁法ヒアリングでサードパーティーアプリのデータ共有の詳細を問われる

米国時間4月21日、米上院で行われた反トラスト法に関するヒアリングでAppleとGoogleの代表がそれぞれのアプリストアで収集されたデータを不当に利用していないかどうか質問された。プラットフォームにアプリを登録しているサードパーティーの企業のデータを自社の製品開発に流用し、不当に競争力を得ることを防ぐために「厳しいファイアウォール」その他の内部ポリシーを設けているかどうかが焦点となった。Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員(コネティカット州、民主党)はAppleに対して「sherlocking(シャーロッキング)」という慣行について質問した。同上院議員はAppleの開発者コミュニティでは他のアプリをコピーする行為が一般的になっており「シャーロッキング」というニックネームで呼ばれていると指摘した。

Sherlock(シャーロット)というソフトウェアはWikipediaに1項目を立てた記事が掲載されているが、2000年代初頭にAppleが開発した検索ツールだ。サードパーティーのデベロッパーであるKarelia SoftwareはSherlockのライバルとなるWatsonという検索ツールを開発した。この製品の成功に対し、AppleはWatsonと同一の機能を自社のSherlock検索ツールに追加したためWatsonは事実上ビジネスの継続が不可能となった。後に「Sherlock」ないし「sherlocking」という呼び名はAppleがサードパーティーのデベロッパーのアイデアをコピーし、ライバルを脅かしたり潰したりすることを意味するようになった。

以後、デベロッパーコミュニティはAppleは多年にわたって数多くのアプリを「Sherlock」してきたと主張してきた。例えばデスクトップ・ウィジェットのKonfabulator、ポッドキャストマネージャーのiPodderX、ウェブサイト作成アプリSandvox、Mac OS Xの通知システムGrowl、さらに近年では、画面のブルーライト軽減ツールF.lux、iPadをサブディスプレイにするアプリDuetとLunaに加えてさまざまなスクリーンタイム管理ツールなどがそうだという。今回、TileはAppleのAirTagは不当な方法で同社の市場を脅かすものだと主張している。

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ブルーメンソール上院議員がヒアリングで質問した相手はAppleのKyle Andeer(カイル・アンディア)最高コンプライアンス責任者とGoogleのWislon White(ウィルソン・ホワイト)公共政策および政府関係担当シニアディレクターだ。同上院議員はAppleのアプリストアとビジネス戦略立案の間に何らかの「ファイアウォール」を採用しているか尋ねた。

アンディア氏は「上院議員の質問を正しく理解しているなら、AppleではApp Storeを管理するチームと製品開発戦略に携わるチームは別個の存在しです」と述べ質問をかわそうとした。

これに対しブルメンソール議員は「ファイアウォール 」の意味を具体的に説明した。つまり、それぞれを担当するチームが存在するかどうかではなく、App StoreとAppleの他事業部の間でデータ共有を禁止する社内規定の有無を尋ねているのだと述べた。

アンディア氏は「私たちは適切な管理を行っています」と答えた。

これに続いて「過去12年間、Appleはごく少数のアプリとサービスを導入したのみです」と述べた。いずれの場合においてもApp Storeには「サードパーティーによる数十の選択肢があり、そうしたライバルのアプリがAppleの製品より人気があることも多々ありました」とした。

アンディア氏は「我々はコピーしませんし、敵を潰したりしません。私たちがしているのは新しい選択肢と新しいイノベーションを提供することだけです」と述べた。

この主張は、SpotifyとApple Music、NetflixとApple TV +、KindleとApple Booksなど強力なライバルとの競争の場合には当てはまるかもしれない。しかしAppleがiPadをサブディスプレイにすることができる機能であるSidecarを導入したときのようにAppleが限定された領域で改良を行う場合は別だ。DuetやLunaのようなアプリがサブディスプレイ接続のニーズがあることを証明したもののSidecarの導入でサードパーティーのアプリは行き場を失った。

もう1つの例は、AppleがiOSに視聴時間制限機能を組み込んだときだ。サードパーティーのスクリーンタイムアプリのデベロッパーにAPIを提供しなかったため消費者はサードパーティーのアプリからAppleのスクリーンタイム設定機能にアクセスすることが不可能となった。このためユーザーはサードパーティーの専用インターフェースや独自機能を利用できなかった。

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ブルーメンソール議員はファイアウォールの存在に関するアンディア氏の答えた「ノー」だと断定した。

同じ質問を受けたGoogleのホワイト氏は「Googleにはサードパーティーのサービスからのデータの使用方法に対するデータアクセスコントロールが実施されていると理解しています」と答えた。

上院議員はこれが前述の「ファイアウォール」であるかどうかを明確にするようさらに迫った。議員はサードパーティのデータへの別チームの「アクセスを禁止しているかどうか」に明確に答えるよう求めた。

「Google自身のサービスと直接競合するような仕方でサードパーティーのサービスを利用することは禁止されています。Googleにはそれを管理する内部規定があります」とホワイト氏は述べた。

この時点で時間切れとなったため、ブルーメンソール上院議員は「フォローアップ質問は書面で行う」と述べた。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:独占禁止法アメリカAppleGoogleアプリApp StoreGoogle Play

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook

テクノロジー大手の買収をすべて禁止する共和党の独占禁止法案

テクノロジー大手を狙った独占禁止法がたくさん登場しそうな状況だが、さらにもう1つある。上院議員のJosh Hawley(ジョシュ・ホーリー)氏(共和党、ミズリー州)が今週提出した新法案は、テクノロジー大手の力を抑制するための厳しい措置を盛り込んでおり、特に合併や買収を公然と押さえ込もうとしている。

その「Trust-Busting for the Twenty-First Century Act(21世紀の企業合同の打破)」と題された法案は、時価総額が1億ドル(約110億円)以上の企業の、垂直合併を含むいかなる買収をも禁じる。法案はさらに、反競争的な活動に従事していて捕まった企業の財務的苦痛を大幅に強めるために、独占禁止で敗訴したいかなる企業も、そのような事業実践で得た利益を没収される。

ホーリー氏の法案の中心にあるのは、独占を違法とするSherman Act(シャーマン法)と、反競争的行為の範囲を広げたClayton Act(クレイトン法)をめぐる官僚主義を廃することだ。そしてFTCなどの規制当局がもっと容易に、企業の行為を反競争的と見なせるようにする。現在の時代遅れの独占禁止規則は、テクノロジー産業の現実に即していない、という重要な批判が前からあった。

この法案が民主党上院でさらに強化されることはなさそうだが、それでも重要性は高い。上院の独占禁止小委員会の議長であるAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)氏(民主党、ミネソタ州)は2021年初めに、買収によって競合他社を掬い上げる支配的な企業に対するバリアを作る法案を提出した。ビッグテックの力を削ごうとするクロブシャー氏自身のアイデアも、1世紀以上にわたって合衆国のビジネスをかたち作ってきた独占禁止法の改革にフォーカスしている。

共和党のこの法案は民主党の提案と一部重複しているかもしれないが、それでもトランプ時代の党派臭の強いビッグテック批判の面影はある。ホーリー氏は、シリコンバレーのこれまで眠っていた巨大企業が目を醒まし、米国人が消費する情報とプロダクトにあまりにも多くの力を行使するようになった、と批判している。民主党議員は当然こんな批判には与しないが、ホーリー氏の法案は、ビッグテックを狙った独占禁止の改革が、結論の部分では両党の考えが一致している政策分野であることを、明らかに示している。ただしその根拠については、意見が一致していない。

ホーリー氏の法案は最新だが、最後ではない。下院で独占禁止の取り組みを率いているDavid Cicilline(デイビッド・シシリーニ)氏(民主党、ロードアイランド州)は前に、1つの包括的な法案ではなく、複数の独占禁止改革法の連射を提案した。それらの法案集は、ターゲットが細かく分かれており、テクノロジー業界のロビイストたちが廃案に追い込むことが難しい。法案の提出は、2021年5月の予定だ。

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カテゴリー:その他
タグ:アメリカ独占禁止法米共和党

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルとグーグルがアプリストアの競争に関する米上院公聴会に出席

姿を見せない思われていたApple(アップル)が、2021年4月末に行われる同社アプリストアの独占禁止をめぐる上院の聴聞会に代理人を送ることを約束した。

先に上院議員のAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)氏(民主党・ミネソタ州)とMike Lee(マイク・リー)氏(共和党・ユタ州)はAppleに圧力をかけた。クロブシャー氏はこの小委員会の議長を務めており、テクノロジー業界で最も支配的な企業に対する独占禁止法上の懸念に焦点を当てている。

Google(グーグル)も出席するその聴聞会では、AppleとGoogleによる「消費者とアプリの開発者と競争に及ぼす、モバイルアプリケーションのコストと配布と可用性に関するコントロール」を徹底的に掘り下げられる。

アプリストアはテクノロジー業界において、二社による複占の嫌疑を最もかけられている部分だ。その疑いは、FortniteのメーカーであるEpic Gamesに対するAppleの高飛車な法定闘争で一層深まった。しかし一方ではテクノロジー大手に対する州レベルの規制もいくつか芽生えており、アリゾナでは、AppleとGoogleによるアプリストアの利益の簒奪から開発者を護る方策が模索されている

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先週の書簡で、クロブシャー氏と小委員会の有料メンバーであるリー氏は、Appleが4月21日に行われる公聴会に証人を送らないと決めたことを「唐突」に非難した。

「Appleが突然方針を変えて、4月に行われるアプリストアの競争の問題に関する小委員会で、証人の提供を拒否したことは、同社が他の公共の場では明らかにそれらの問題を議論する意思を示しているだけに、容認できない」と議員たちは述べている。

4月12日には、この圧力が効果を表したようで、Appleは公聴会への出席に合意した。この件に関して、Appleはコメントの求めに応じなかった。

議員たちはAppleの応諾を勝利に数えたが、同社CEOが出席するとは限らない。テクノロジー大手のCEOたちが議会に呼ばれる機会はここ数年増えているが、そこから得られる成果はむしろ減っているかもしれない。

テクノロジー企業のCEOたちは、AppleのTim Cook(ティム・クック)氏も含めて、議員から圧力を受けたときには実のあることを何も言わない術を学習している。CEOを引っ張り出すことは権力の誇示にはなるかもしれないが、テクノロジー業界の役員たちは一般的に、その長い証言の過程でほとんど何も明かさない。ヒアリングに本格的な取り調べが並行していない場合には、特にそうだ。

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カテゴリー:その他
タグ:AppleApp StoreGoogle独占禁止法アプリGoogle Play

画像クレジット:Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国が独占禁止にいよいよ本腰、アリババに約3010億円の記録的な罰金

中国の規制当局は、Alibaba(アリババ)が同国最大のインターネット複合企業の支配権を握ろうとしている中、独占禁止法に違反したとして、180億元(約3010億円)という記録的な罰金を科した。

2020年11月、中国はそのインターネット経済を対象とする包括的な独占禁止規制を提案した。12月下旬、国家市場監督管理総局(State Administration for Market Regulation、SAMR)は、当局がAlibabaの金融関連会社であるAnt Groupの新規株式公開を中止した数週間後に、Alibabaに対する反トラスト調査を開始したと発表した。

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Antの超大型IPOが延期、中国当局がアリババ創業者から事情聴取

中国における最上位の市場規制機関であるSAMRは現地時間4月10日に、Alibabaは2015年以来中国の商業者に、PinduoduoやJD.comなど複数のサービスから自由に選ぶのではなく、1つのeコマースプラットフォーム上でのみ販売すよう強制してその「市場支配力を乱用した」と発表した。ベンダーたちは、Alibabaの巨大なユーザーベースを利用するためにはAlibabaの側につくよう、圧力を受けることが多かった。

2020年の終わりごろより、TencentやAlibabaなどの大手インターネット企業は、過去の買収承認を得なかったなどの理由で、反競走的な行いに対するさまざまな罰金を科せられた。それらの罰金の総額は、テクノロジー企業が彼らの市場集中から得る利益に比べると微々たる額だ。その帝国の分割を命じられた企業は1社もなく、ユーザーは依然として、お互いに他社をブロックするスーパーアプリ間を渡り歩かなければならなかった。

関連記事:中国が独禁法違反でアリババとテンセント子会社に罰金処分

しかし最近の数週間で、中国の独占禁止当局がより深刻になっている兆候がある。Alibabaに対する最新の制裁金の額は、同社の2019年の売上の4%に相当する。

「本日、中国の国家市場監督管理総局から行政処分決定が出されました」とAlibabaは声明で述べた。「私たちは誠意をもってこの刑罰を受け入れ、私たちの決意を確実に遵守します。社会に対する責任を果たすために、法に則り誠実に行動し、コンプライアンス体制を強化し、イノベーションによる成長を目指します」。

テクノロジー企業が互いの間に築いてきた厚い壁も崩れ始めた。Alibabaの幹部Wang Hai(ワン・ハイ)氏が最近認めたところによると、AlibabaはWeChatのミニプログラムプラットフォーム上で同社のショッピング情報アプリを実行するための申請書を提出した。

何年もの間、AlibabaのサービスはTencentの広大なライトアプリのエコシステムに存在しておらず、現在では何百万ものサードパーティーのサービスが存在している。逆に、WeChatは決済手段としてAlibabaのオンライン市場には存在しない。もし承認されれば、WeChatを搭載したAlibabaのミニアプリは、両社の長い対立の前例を破ることになる。

関連記事:中国政府がジャック・マー氏のフィンテック帝国Ant Groupの「修正」計画を発表

カテゴリー:ネットサービス
タグ:中国Alibaba独占禁止法eコマース

画像クレジット:Qilai Shen/Bloomberg via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国が独占禁止にいよいよ本腰、アリババに約3010億円の記録的な罰金

中国の規制当局は、Alibaba(アリババ)が同国最大のインターネット複合企業の支配権を握ろうとしている中、独占禁止法に違反したとして、180億元(約3010億円)という記録的な罰金を科した。

2020年11月、中国はそのインターネット経済を対象とする包括的な独占禁止規制を提案した。12月下旬、国家市場監督管理総局(State Administration for Market Regulation、SAMR)は、当局がAlibabaの金融関連会社であるAnt Groupの新規株式公開を中止した数週間後に、Alibabaに対する反トラスト調査を開始したと発表した。

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中国における最上位の市場規制機関であるSAMRは現地時間4月10日に、Alibabaは2015年以来中国の商業者に、PinduoduoやJD.comなど複数のサービスから自由に選ぶのではなく、1つのeコマースプラットフォーム上でのみ販売すよう強制してその「市場支配力を乱用した」と発表した。ベンダーたちは、Alibabaの巨大なユーザーベースを利用するためにはAlibabaの側につくよう、圧力を受けることが多かった。

2020年の終わりごろより、TencentやAlibabaなどの大手インターネット企業は、過去の買収承認を得なかったなどの理由で、反競走的な行いに対するさまざまな罰金を科せられた。それらの罰金の総額は、テクノロジー企業が彼らの市場集中から得る利益に比べると微々たる額だ。その帝国の分割を命じられた企業は1社もなく、ユーザーは依然として、お互いに他社をブロックするスーパーアプリ間を渡り歩かなければならなかった。

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しかし最近の数週間で、中国の独占禁止当局がより深刻になっている兆候がある。Alibabaに対する最新の制裁金の額は、同社の2019年の売上の4%に相当する。

「本日、中国の国家市場監督管理総局から行政処分決定が出されました」とAlibabaは声明で述べた。「私たちは誠意をもってこの刑罰を受け入れ、私たちの決意を確実に遵守します。社会に対する責任を果たすために、法に則り誠実に行動し、コンプライアンス体制を強化し、イノベーションによる成長を目指します」。

テクノロジー企業が互いの間に築いてきた厚い壁も崩れ始めた。Alibabaの幹部Wang Hai(ワン・ハイ)氏が最近認めたところによると、AlibabaはWeChatのミニプログラムプラットフォーム上で同社のショッピング情報アプリを実行するための申請書を提出した。

何年もの間、AlibabaのサービスはTencentの広大なライトアプリのエコシステムに存在しておらず、現在では何百万ものサードパーティーのサービスが存在している。逆に、WeChatは決済手段としてAlibabaのオンライン市場には存在しない。もし承認されれば、WeChatを搭載したAlibabaのミニアプリは、両社の長い対立の前例を破ることになる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:中国Alibaba独占禁止法eコマース

画像クレジット:Qilai Shen/Bloomberg via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)