自動運転車用ソフトウェアを産業アプリケーションへ展開するためにOxboticaが48.3億円を調達

安全で信頼性が高く、費用対効果の高い自動運転車の登場を世界が待ち続ける中、自動運転車ソフトウェアの世界的先駆者の1社が、より直近のチャンスに対して注力するために、多額の資金を調達した。通常の道路外であるオフロード環境でのアプリケーションを構築するための技術を、産業界に提供することを狙う。

英国オックスフォードのスタートアップであるOxbotica(オクスボティカ)は、「universal autonomy(ユニバーサルオートノミー)」と呼ぶ技術を開発している。同社によればその技術は、使用されているハードウェアに関係なく、さまざまな環境で自動運転車のナビゲーション、知覚、ユーザーインターフェイス、車両管理、その他の機能を支える柔軟な技術だという。このたびOxboticaは有力な戦略的投資家や金融投資家たちからシリーズBラウンドとして4700万ドル(約48億3000万円)の資金調達を行った。

ラウンドを主導するのは石油・ガス大手BPの投資部門であるBP Venturesだ。他にラウンドに参加するのはBGF、安全装置メーカーのHalma(ハルマ)、年金基金のHostPlus(ホストプラス)、IP Group、Tencent(テンセント)、Venture Science(ベンチャー・サイエンス)、Doxa Partners(ドクサ・パートナーズ)がアドバイザーを務めるファンド群などである。

Oxboticaによれば、調達した資金はこの先顧客に向けて行われる展開のために使う予定だという。同社CEOによるとそのうちのいくつかは2021年中に稼働する予定とのことだ。対象となる顧客は鉱業、港湾物流などで、主要投資家がBPであることから、その顧客の規模や視野にあるプロジェクトが示唆されている。

CEOのOzgur Tohumcu(オスガー・トフムチュー)氏は、インタビューで「現在自動運転が必要とされている分野はどこでしょう?」という問いかけを口にした。「鉱山や港湾に行けば、車両がすでに使われているところを見ることができます」と彼はいう。「私たちは産業分野で大きな変革が起きていることを知っています」。

今回の資金調達と産業分野への注力は、Oxboticaにとって興味深い展開となる。スタートアップは2014年頃から存在していたが、元は学者であるPaul Newman(ポール・ニューマン)氏とIngmar Posner(イングマー・ポスナー)氏が一緒に創業したオックスフォード大学からのスピンアウトだった。その後ニューマン氏はCTOとしてスタートアップに残り、ポスナー氏はオックスフォード大学のAI教授のままだ。

これまでOxboticaは、たとえばNASAのマーズ・ローバーにセンサー技術を提供する(Financial Times記事)など、多くの注目を集めるプロジェクトに携わってきた。

時間をかけてSeleniumとCaesiumという名の2つの主要なプラットフォーム上に、それぞれナビゲーション、マッピング、知覚、機械学習、データエクスポートと関連技術そして車両管理を扱えるように技術を整えてきた。

ニューマン氏によると、Oxboticaが他の自律制御ソフトウェアプロバイダーと比べて際立っている点は、そのシステムが軽量で使いやすいところだという。

「私たちが得意とするのは、エッジコンピューティングの部分です」と彼はいう。「私たちのレーダーベースの地図は、1kmの範囲をカバーするためには、数百MBではなく10MBの容量を必要とするだけです【略】私たちのビジネスプランは、Microsoft(マイクロソフト)のような水平型のソフトウェアプラットフォームを構築することです」。だが、このような表現は、同社が開発しているものの価値に対して謙遜しすぎているかもしれない。Oxboticaはまた、自律制御システムに関連した膨大なデータを効率的に転送する方法も研究しており、シスコのような企業と協力して(PR Newswire記事)これらをオンライン化している。

近年では、Oxboticaは英国で路上における自動運転車の代名詞となっていたが、自動運転車のプロジェクトによくあるように、現状、すべてが期待通りには進んでいない。

Oxboticaが2018年にロンドンで始めた、自動運転パイロットプロジェクトのカーサービスAddison Lee(アディソン・リー)は、最初の車両を2021年には路上に投入するだろう予想されていた(未訳記事)。しかしそのプロジェクトは、Addison Leeが昨年Carlyle(カーライル)によって売却され(Addison Leeリリース)、同社がコストのかかる困難な目標だとして解体されたことで静かに幕が下ろされた。公的資金でバックアップされ、英国内の各都市に自動運転車を展開する予定のProject Endeavour(プロジェクト・エンデバー、プロジェクトサイト)はまだ道半ばのようだ。

ニューマン氏によれば、産業顧客への注目が、より野心的で大規模なアプリケーションと並行して進んでいるという。「道路外での応用である、精錬所、港湾、空港向けの産業用自動運転は、実際の路上自動運転に至る道の途中にあるものです」と彼はいう。異なるハードウェアで利用できるソフトウェアを提供する方針は堅持される。「私たちは常に『物理的対象ではなく、ただソフトウェアを(no atoms, just software)』というビジョンを掲げてきました」と彼はいう。「道は特別なものではありません。私たちのポイントは、どのようなハードウェアプラットフォームでも動作できるように、ソフトウェアの依存性をなくすことです」。

同社は、ハードウェアや応用に依存しない自律性に常に興味を持ってきたのだと主張しているだろう。だが最近では他の手段を試した結果、これまでのやり方ではなくOxboticaの戦略にならう他企業の例も増えつつある。そうした企業の中には、英国から出てきたもう1つの自動運転スタートアップであるFiveAI(ファイブAI)も含まれている。FiveAIは、元は自社で自動運転車の車両群を構築したいと考えていたが、2020年に他のハードウェアメーカーにソフトウェア技術をB2Bベースで提供する方針に切り替えた(未訳記事)。

これまでにOxboticaは約8000万ドル(約82億2000万円)を調達しているが、その評価額は公表していない。しかし、これからの展開や新しいパートナーシップによって、現状の市場の中でうまくいっていることが裏付けられるだろうと楽観視されている。

「BP Venturesは、Oxboticaに投資できることを喜んでいます。私たちは彼らのソフトウェアは自動運転車両の市場を加速できると信じているのです」と声明で語るのは、BP VenturesのマネージングパートナーであるErin Hallock(エリン・ハーロック)氏だ。「世界のモビリティ革命の加速への貢献は、顧客にソリューションを提供することに焦点を当てた総合エネルギー企業となるための、BPの戦略の中核をなすものです」。

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タグ:Oxbotica資金調達自動運転

画像クレジット:Oxbotica

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(翻訳:sako)

テスラの中国ライバルXpengがDJI系列LivoxのLiDARセンサーを採用へ

Tesla(テスラ)と中国のライバルである Xpeng(シャオペン、小鵬汽車)の間での戦いは、Xpengが自動運転の将来に対する姿勢を明確にしたことで、加熱している。先の週末に、Xiaomi(シャオミ)やAlibaba(アリババ)たちが投資家として支えるXpengが、Livox(ライボックス)のLiDARセンサーを採用することを発表した。Livoxは中国のドローンの巨人DJIと密接な関係を持つスタートアップだ。

リモートセンシング技術であるLiDARに、中国のサプライヤーを選択したのは、米中技術戦争の複雑さを反映したものだ。これまでTeslaは知的財産権の窃盗疑惑でXpengを告発してきたが、Xpengはそれを繰り返し否定してきた。一部の業界専門家を驚かせたのは、Xpengが2021年には量産型自動運転車にLiDARを搭載すると発表した(Twitter投稿)ことだ。これはTeslaとの差別化を行うためと思われる。Xpengの発表を知ったElon Musk(イーロン・マスク)氏は、XpengにはTeslaの技術が欠けていると一笑に付した。

マスク氏は、これまでずっと自動運転に対するLiDARの採用を「不必要で高価なセンサー」と呼んで却下してきた。その代わりにTeslaは、同社の自動運転車のためにニューラルネットワークのトレーニングとカメラを使った視覚認識に頼っている。中国企業の中には、マスク氏のビジョンに賛同するものもいる。たとえばDaimler(ダイムラー)が出資するMomenta(モメンタ)は、より安価なミリ波レーダーや高精細カメラの利用に賭けている(未訳記事)。

Xpengはすでに、データを収集するために複数のソースを利用している。特にカメラ、ミリ波レーダー、超音波といったセンサーたちだ。今回のLiDARの追加に関して同社は「道路状況をより正確に映像化できるようにすること」で、主要なシステムコンポーネントが故障した場合でも、自動運転車の運転を継続することができる「より高いレベルの安全性のための冗長性を提供する」と述べている。また、LiDARは「目標検知能力、測定精度、低環境光下やその他の困難な知覚条件下での性能を向上させる」と同社は主張している。

Livoxが選択されたことも興味深い。Velodyne(ベロダイン)やLuminar(ルミナー)のような成熟した海外技術も選択肢としてあるが、中国政府が主要産業の技術的自立を推し進めていることを考えると、Xpengの選択は予想されたものだ。一方、中国内でLivoxはBosch(ボッシュ)や中国の検索大手Baidu(バイドウ、百度)が支援するHesai(ヘサイ、禾賽科技)や、国営自動車メーカーのBAIC(北京汽車)やSAIC(上海汽車)から資金提供を受けているRobosense(ロボセンス)などの強敵に直面している。

Livox自体は、スタートアップ自身の説明によれば、2016年にDJI社内インキュベーションプログラムを通じて「独立企業」として設立されたという。同社のセールスポイントの1つは、独自の光電子走査方式を採用することで、LiDARの低価格化を実現できたことだという。

DJIは農業用ドローンのようなB2Bビジネスへの移行を進めているため、自動運転への進出はその目的に適っている。しかし、DJIとLiDARスタートアップとの関係は、少なくとも世間から見れば謎に包まれたままだ。Livoxの企業紹介文には、同社は「センサーの革新とハードウェア製造に対するDJIの深い専門知識に支えられている」と記載されており、その製品はDJIの公式小売店を通して販売されている。それ以外のDJIが株式を保有しているのか、経営を支配しているのかといった点に関しては触れられていない。

この件に詳しい人物の話によれば、結局のところLivoxは「もともとDJI内の単なるチームであり、後から別会社として位置づけられたものである」という。また一方で、「まるで製品ラインの1つのように」製造やサプライチェーンを含むDJIのリソースへのアクセスを行っている、ということだ。

Livoxが意図的にDJIから距離を置いている動機の1つとして考えられるのは、LiDARを中国との技術戦争における重要な分野と見なしている米国政府から、精査を受ける可能性を回避するためだと、その人物はいう。DJIは最近、米国政府の禁輸リストに追加された。このリストに掲載されたHuawei(ファーウェイ、華為)やSenseTime(センスタイム、商湯科技)のような他の中国のハイテク企業たちは、米国のサプライヤーから主要なコンポーネントを入手することを制限されている。DJIの創業者であり最高経営責任者を務めるFrank Wang(フランク・ワン)氏も、世間の注目度を下げたいと考えていると思われている。

LivoxとDJIからのコメントは得られていない。

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画像クレジット:Xpeng

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(翻訳:sako)

ソフトバンク出資のNuroが自動運転トラックのスタートアップIkeを買収

自動運転配達会社のNuro(ニューロ)がIke(アイク)を買収した。Ikeは自動運転トラックの商品化を目指してApple(アップル)、Google(グーグル)、Uber Advanced Technologies Group(ウーバー・アドバンスト・テクノロジーズ・グループ)の卒業生が創業したスタートアップだ。

買収と統合で忙しいシーズンを送った自動運転車業界におけるこの最新の取引は、深い関係と共有するテクノロジーを持つ2社を結びつけた。また、Nuroはローカル配送、Ikeは長距離貨物という異なる分野に自動運転車のテクノロジーを応用しようとしているが、2社の創業者は物流の分野で共通のビジョンがあると言う。

取引の金銭的条件は明らかにされていない。

2社の関係の中でNuroは巨人だ。バリュエーションは50億ドル(約5200億円)、従業員数は600人を超える。情報筋によると、Ikeは約60人の従業員を抱え、昨年時点のポストマネーのバリュエーションは約2億5000万ドル(約260億円)だった。ただし2社の創業者らは、これを古典的なシリコンバレーのアクハイヤー(人材獲得を目的とする買収)だとは捉えていない。Jur van den Berg(ジュール・バン・デン・ベルグ)氏およびNancy Sun(ナンシー・サン)氏と会社を共同で創業したIkeのCEOであるAlden Woodrow(アルデン・ウッドロー)氏によると、Ikeの従業員55名以上と創業者3名がNuroに合流する予定だ。

「会社創業時に掲げた原則をいくつか実現する明確な機会でした」とウッドロー氏は述べた。同氏は12月23日にMediumのブログ投稿で買収を発表した。

ウッドロー氏はTechCrunchに対し、Ikeにはまだランウェイ(資金調達なしで経営できる期間)が残っており、独立経営を続けるために必要な資金があると語った。それでも、自動運転車の会社を商業ベースに乗せるには、5200万ドル(約55億円)を超える資金のプールだけでなく提携が必要だ。Ikeは今秋、DHL、Ryder、NFIの車両にテクノロジーを提供することで合意に達したが、それらはまだ初期段階にすぎない。

Nuroの共同創業者で社長のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏はTechCrunchに、「Ikeのチームがどれほど素晴らしいか、そして彼らが開発したテクノロジーの質がどれほど素晴らしいかは極めて明白だと思います」と語った。「Nuroにとって特に魅力的なのはIkeが数年前にNuroのテクノロジースタックのライセンスを取得したためです。Ikeが開発したすべてのテクノロジーはそのスタック上にあり、共通のDNAがあります。Ikeが開発したテクノロジーは非常に簡単に移転することができ、ほぼプラグアンドプレイでシステムに組み込むことができます」

NuroはIkeが開発したテクノロジーを活用して、自社のローカル配達システムに取り込むだけでなく、将来の応用にも利用できるかもしれないとファーガソン氏は付け加えた。

将来の応用とは何か、という問いに答えは出ていない。Nuroによる特許出願は、熱々のホットピザやラテの配達から小型ロボットまでさまざまなアイデアを網羅している。Ikeのチームが加わったことで、Nuroはローカル配達だけでなく、スタートアップのGatik AIが注目を集めた領域である中距離の配達、その他のトラックを使った用途など他の種類の物流への応用へ拡大する可能性がある。ファーガソン氏は、R2と呼ばれるNuroのローカル配達ボットが最初の主要製品であると直ちに指摘した。

NuroはIkeにとって最高の家のように見えるかもしれないが、2つの情報筋はTechCrunchに、Ikeが少なくとも他の自動運転車の会社1社と取引について協議していたと語った。同情報筋は、その話はあまり進展しなかったと付け加えた。

創業物語

2社の創業者は、IkeをNuroのスピンアウトと表現することを好まない。技術面では正しいかもしれないが、2社のルーツは絡み合っている。

Nuroは、元Google(グーグル)のエンジニアのDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏が2016年6月に創業した。同社は当初ファーガソン氏とジュー氏が独力で経営していたが、2017年6月にはGreylockとBanyanからの投資で9200万ドル(約96億円)をAラウンドで資金調達し、NetEaseの創業者であるDing Lei(別名William Ding)氏にNuroの取締役会の席を与えた。

一方、バン・デン・ベルグ氏とサン氏は2人ともAppleの特別プロジェクトグループで働いていたが、2016年にAppleを去り、Uberに買収された自動運転トラックのスタートアップであるOttoに加わった。Google XのMakaniプロジェクトの製品リーダーであったウッドロー氏も2017年2月、自動運転トラックプログラムのグループ製品マネージャーとしてUber ATGに移った。

2018年にはOttoの創業者のうち最後の1人がUberを去り、自動運転トラックプログラムはひたすら落ちて行った。サン氏、ウッドロー氏、バン・デン・ベルグ氏は2018年春にはUberを離れた。数カ月後、Uberは自動運転トラック部門を閉鎖して自動運転車に集中した。

3人は当初、配達ボットと成長中のチームを収容するには小さすぎるNuroのオフィススペースで働いた。当時、サン氏のフォルクスワーゲンのキャンピングカーがIkeの会議室として使われていた。3人が7月に正式にIkeを設立する前にNuroのチームと数カ月間緊密に連携していたことが、カリフォルニア州とデラウェア州のビジネス記録が示している。Ikeという社名は、ドワイト ・D・アイゼンハワー大統領と彼が連邦補助高速道路法に署名して整備を後押しした米国の州間高速道路システムにちなんでいる。

最初のコラボレーションのポイントは、Nuroが開発したものをトラック輸送の新しい用途にどう応用するかを考えることだった。「これは私たちが独自の方向へ進む機会であり、Nuroがローカル配達に集中する間、私たちはそちらに真剣に取り組みました」とウッドロー氏は最近のインタビューで述べた。

Ikeは、Nuroのテクノロジー、特にハードウェアのデザイン、自動運転ソフトウェア、データの記録、地図、シミュレーションのライセンスを供与される。その見返りに、NuroはIkeのマイノリティ持ち分を取得した。

2018年10月にIkeがステルスモードから抜け出したとき、NuroはIkeとの関係を提携と位置づけ、「Ikeに自動運転とインフラのソフトウェアのコピーを提供し、その代わりにNuroはIkeの株式を取得しました」。

Ikeは小さく始め、仕事を進めるにあたりに穏便なアプローチを選んだ。2019年2月までにIkeは約30人を抱え、最終的にはBain Capital VenturesがリードするシードとシリーズAの資金調達ラウンドで5200万ドル(約55億円)を調達した。Redpoint Ventures、Fontinalis Partners、Basis Set Ventures、Neoもこのラウンドに参加した。Bain Capital VenturesのパートナーであるAjay Agarwal(アジェイ・アガワル)氏がIkeの取締役会に加った。

自動運転トラックに携わる他社とは異なり、Ikeの創業者は当時のブログ投稿で、最初の自動運転トラックを走らせることにこだわっていたわけではなかったと述べた。自動運転トラック配送業界の複数の情報筋によると、Ikeはシステムエンジニアリングのアプローチ、モーションプランニング、シミュレーションツールで業界内で高い評価を得ていた。

Ikeが静かに仕事を進めている間に、Nuroの方は2019年2月にソフトバンク・ビジョン・ファンドが9億4000万ドル(約980億円)を投資したおかげで注目を集めた。Nuroはチームを600人以上に拡大し、2018年にKrogerと提携しアリゾナで配送サービスを試験的に実施した。当初トヨタのプリウスを使用していたが、R1配達ボットに移行した。Nuroは、CVS、Domino’s、Walmartといった企業とも提携している。同社は、レストラン、食料品店、その他の企業向けのローカル配達サービス向けに設計されたR2と呼ばれる第2世代の車両を開発した。R2は今年初めに連邦政府から自動運転車の運用を許可する安全規定適用除外の認可を受けた。

投資家はNuroから離れたわけではなかった。新型コロナウイルスのパンデミックがシリコンバレーの多くのスタートアップの計画を遅らせた。しかしローカル配達の可能性など明るい点もある。Nuroは11月、シリーズCラウンドで5億ドル(約520億円)を調達した。ポストマネーのバリュエーションは50億ドル(約5200億円)だった。T. Rowe Price Associates, Incのアドバイスを受けたファンドや投資家がリードし、Fidelity Management & Research CompanyやBaillie Giffordなどの新しい投資家が参加した。このラウンドにはソフトバンク・ビジョン・ファンド1やGreylockといった既存投資家も参加した。

次に起こるのは何か

2社はNuroでよりシニアな役割を担うIkeの多くのエンジニアとの融合を始める。ウッドロー氏はCEOではなくなり、同氏の新しい役職は決まっていない。同氏の仕事は、自身の経験に基づく製品開発になると思われる。

Nuroがローカル配達に重点を置いているため、トラックを商品化するというIkeの使命は今のところ棚上げになっている。ローカル配達に目を向けるというその決定は、Ikeの創業者らがトラックへの情熱について何度も語った多くのコメントと対立するようにみえる。

「私たちが家で食べたり、触れたり、持ったりするものはすべて、おそらくどこかの時点でトラックに乗せられていたはずです」とサン氏は10月のTC Sessions: Mobilityイベントで述べた。「トラック輸送が実際に私たちの日常生活へ与える影響の大きさがまだまだ理解されていません」

しかし、ウッドロー氏と共同創業者らは、製品を世に送り出し、「私たちの多くが何年にもわたりさまざまな企業で取り組んできた自動化の約束を果たすこと」について語っている。

「結局のところこれは、Nuroはその約束を果たし、すぐにそれを実行し、非常に大きな規模で実行するという、信じられないほどユニークで本当に説得力のある立場にあると私たちは考えています」とウッドロー氏は言う。「それがNuroの申し出を受け入れ、こうして前進すると決めた原動力でした」

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タグ:Nuroソフトバンク・ビジョン・ファンド買収 / 合併 / M&A自動運転

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Mizoguchi

Nuroの無人運転配達車がカリフォルニア州初の商業運用許可を獲得、2021年早々にもサービス開始予定

無人配達スタートアップのNuro(ニューロ)は、カリフォルニア州車両管理局(DMV)から認可を受け、同州の公道で無人配達サービス事業の開始が許可されることになった。同社はこのハードルをクリアした最初の企業となる。

Google(グーグル)出身のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏によって2016年6月に設立されたNuroは、2021年早々に商用配達業務を開始する予定だ。いわゆる「Autonomous Vehicle Deployment(自動運転車両展開)」許可を取得することで、Nuroはサンマテオ郡とサンタクララ郡で商業的なサービスを運営することができるようになる。つまり配達料を請求できるようになるということだ。同社は2021年の早い時期に、1つのパートナーと1つの都市で、トヨタ・プリウスの自動運転車を使ってサービス開始を目指すと、同社の最高法務・政策責任者を務めるDavid Estrada(デビッド・エストラーダ)氏はいう。最終的には、無人配達専用車両として開発された「R2」と呼ばれるデリバリーボットに移行し、さらに多くのパートナーを追加して、地理的に拡大していく計画だ。

Nuroはパートナーや都市の名前を特定していないが、同社がマウンテンビューに本社を置き、以前から本社の近くで事業を開始する意向を表明していたことは注目に値する。

「初の展開許可証の発行は、カリフォルニア州における自動運転車の進化において、重大なマイルストーンです」と、車両管理局のSteve Gordon(スティーブ・ゴードン)局長は現地時間12月23日に発行されたプレスリリースで述べている。「この技術が発展していく中で、我々は引き続き公道の安全を念頭に置いていきます」。

この展開許可証はアサートン、イーストパロアルト、ロスアルトスヒルズ、ロスアルトス、メンロパーク、マウンテンビュー、パロアルト、サニーベール、ウッドサイドといった各都市を含むサンタクララ郡とサンマテオ郡の指定された区域の路上において、商業配達サービスで小型の無人運転車両の一群を使用する許可をNuroに付与するものだ。DMVによると、この車両の最高速度は時速25マイル(約40km/h)で、晴天時に制限速度が時速35マイル(約58km/h)以下の道路でのみ、運行が認められているという。

今回の発表は、米国時間12月23日に自動運転トラックのスタートアップ企業Ike(アイク)を買収したことを発表したNuroにとって、節目の年を締め括ることになった。

さらにNuroは5億ドル(約518億円)を調達し、資金調達後の評価額を50億ドル(約5180億円)に押し上げ、州や連邦政府の規制において重要な勝利をいくつか確保した。

この展開許可証を獲得するために、Nuroはこれまで長く曲がりくねった道のりをたどってきた。2017年、カリフォルニア州で自動運転車を規制する機関である同州のDMVは、運転席に人間のドライバーが乗車することを義務づけた自動運転車試験許可証をNuroに発行した。同社は当初、改造したトヨタ・プリウスをこの公道テストで使用し、同時にアリゾナ州とテキサス州では試験的な食料品の配達を行った。

2018年12月に同社は、テスト車両を荷物配達用に設計された車両の第一歩となる「R1」に移行させた。その第2世代にあたるR2と呼ばれる車両は2020年2月に発表された。ミシガン州に拠点を置くRoush Enterprises(ラウシュ・エンタープライゼス)との提携により、米国で設計・組み立てが行われたR2はLiDAR、レーダー、カメラを搭載し、「ドライバー」に周囲360度の視界を与える。重要なことに、NuroはR2の車両について米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から無人運転車の安全規定免除を受けた。この免除により、R2はサイドミラー、フロントガラス、前方走行時にシャットオフされるバックカメラを装備しなくても運用が可能になった。

Nuroは2020年4月に、カリフォルニア州DMVから無人運転車両をテストするための許可証を取得したが、これはついに同社が、R2デリバリーボットを公道で走らせることができるようになったということを意味していた。数十社もの企業がカリフォルニア州DMVから、安全のために人間の運転手を乗せた自律走行車のテストを行う許可を積極的に取得しているが、カリフォルニア州の公道で無人運転車をテストすることを許可されている(カリフォルニア州DMVサイト)のは、AutoX(オートエックス)、Cruise(クルーズ)、Nuro、Waymo(ウェイモ)、Zoox(ズークス)だけだ。

それでも、Nuroは12月23日に発行された展開許可証を受け取るまで、配達料を請求することができなかった。

無人運転タクシーで人を運ぶことを目指している自動運転の企業に比べると、Nuroの場合は商業運営の実現に向かう道がまだ少しだけ平坦だ。無人運転車を使う商用ライドシェアリングサービスは、乗客を運ぶためには、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)からも認可を取得しなければならない。また、乗車料金を請求するためには、CPUCによる追加の許可が必要となる。

乗客から運賃を徴収するための許可を得ることは、先月までは可能ですらなかった。CPUCは11月に、認可を受けた企業に自動運転車によるライドシェアの提供と課金を許可する2つの新しいプログラムを承認した。自動運転車技術業界は、運用者による運賃の請求と無人運転車両を使ったライドシェアの提供を可能にする規則変更を検討してもらうために、何カ月もCPUCに働きかけてきた。この決定は広く喝采を浴びたが、業界の一部では、この承認プロセスが商業的な自動運転タクシーの運用をさらに遅らせる可能性があると警告している。

自動運転タクシー事業者になる可能性のある企業は、CPUCとカリフォルニア州陸運局から適切な許可を受け、いくつかの報告要件を満たさなければならない。また、このプログラムに参加する企業は、安全計画と四半期報告書のほか、個々の運用区間における乗車場所と降車場所、車いす乗車可能な車両の有無と数、恵まれないコミュニティへのサービスレベル、そして車両が使用した燃料の種類、走行距離、乗客の移送距離などのデータを集計し匿名化した情報を、CPUCに提出する必要がある。

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タグ:Nuro自動運転カリフォルニア

画像クレジット:Nuro

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国の自動運転技術スタートアップ、WeRideがバスメーカー宇通から207億円を調達

中国で自律運転技術を開発しているスタートアップの中でも、最も多くの資金を集めている会社の一つであるWeRideは水曜日、中国のバスメーカーYutong(宇通客車)からストラテジックラウンド資金2億ドル(約207億円)を調達したと発表した。

WeRideのように次世代のレベル4運転基準を開発している企業では、大規模な投資は珍しくないが、これは車が人間の介入なしに大部分の運転状況を独立して処理できることを示している。

同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、WeRideはシリーズBラウンドの第一トランシェである今回のラウンドのバリュエーションを公開していない。

今回の新たな資金提供により、WeRideは創立57年の宇通客車と提携し、自律走行ミニバスや市営バスの製造に加え、研究開発、車両プラットフォーム、モビリティサービスの共同開発を行う。両社はすでに量産用の前置き型無人運転ミニバスを共同開発している。ハンドル・アクセル・ブレーキのないこのモデルは、都市部の公道での運行を想定して設計されているとWeRideは述べている。

中国の顔認証大手SenseTimeが一部を出資したシリーズAラウンドの完了を受けて、ルノー・日産・三菱の戦略的ベンチャーキャピタル部門であるAlliance Venturesは、2018年にWeRideのストラテジックインベスターとなった。

中国の自動運転スタートアップは軒並み、支出ばかりの事業のために資金を誘致しようと、競ってその進歩を披露している。例えば、アリババの出資を受けたAutoXは、大胆な動きで深圳の道路に無人運転車を配備し始めた。WeRideとそのライバル企業は、地方政策が未来志向の交通技術を支援している米国と中国の主要都市の両方で、さまざまなレベルの自律走行車をテストしている。

「(中国での)COVID-19のパンデミックを受けて、首府の態度は変化しており、自動運転とその商業的な将来にますます強気になっています。投資家は自動運転の潜在的なリーダーを逃したくないため、この分野では多くの投資が行われています」とWeRideの広報担当者は述べている。「当社のシリーズBラウンドは、多くの関心を集めています。」

WeRideの競合他社には、距離的にも近い広州のPony.ai、深圳のAutoXとDeeproute.ai、蘇州のMomenta、北京のBaiduなどが挙げられる。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達 自動運転 中国

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(翻訳:Dragonfly)

「アップルカー」の噂が再燃、2024年発売を示す新たな報道

Appleカー。このテクノロジー巨人のあまり秘密とはいえないプロジェクトが消滅した、というのはいい過ぎだったかもしれない。2019年に200人ほどメンバー削減されたApple(アップル)のいわゆる「Project Titan(プロジェクト・タイタン)」は、存続しているだけでなく、「画期的バッテリー技術」と自動運転技術を搭載した電気自動車を2024年までに生産する計画であると、Reuters(ロイター)が報じている。

どんな外観になるのか、製造パートナーが誰なのか、アップルが開発を続けている自動運転システムはクルマの一部になるのか、それともソフトウェア製品として他社に提供されるのか、何もわかっていない。Reutersの記事は、台湾の報道機関であるEconomic Daily Timesの報道に基づいており、そこにはアップルによる自動車部品や装備品の注文が同国で増加していると書かれている。ともあれ両報道とも、アップルが静かな少人数のチームであれ、クルマを諦めていないことの証拠を提供している。

Reutersの情報源は、これを乗用車だと説明しており、そうであればアップルは、自動運転テクノロジー会社でロボタクシーサービスの商業化を目指すWaymoとは違うカテゴリーに属することになる(Waymoは自社の乗用車向け自動運転技術をライセンスすることにも関心をもっているが、第一優先ではない)。

アップルでProject Titanの日常業務を指揮しているDoug Field(ダグ・フィールド)氏は、電気自動車メーカーのTesla(テスラ)で仕事をした後、2018年に同社に戻った。フィールド氏はTeslaでエンジニアリング担当上級副社長を務め、Model 3発売を支えた重要幹部の1人だった。フィールド氏の指揮の下、AppleカーはAlphabetのWaymoなどよりも直接Teslaと対決することになるかもしれない。

2020年12月上旬にBloomberg(ブルームバーグ)は、アップルがフィールド氏およびProject Titanチームを同社幹部であるJohn Giannandrea(ジョン・ジャナンドレア)氏の人工知能・機械学習グループ配下に移したと報じている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Apple自動運転電気自動車

画像クレジット:Anthony Kwan/Bloomberg / Getty Images(画像は加工済み)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MotionalとLyftが提携し2023年から米国主要都市でロボタクシー展開へ

自動運転車の商業化を目的とするAptiv(アプティブ)とHyundai(現代自動車)の40億ドル(約4140億円)の合弁企業であるMotional(モーショナル)は、Lyft(リフト)の配車ネットワークを使って完全ドライバーレスのロボタクシーサービスを2023年に米国の主要都市で立ち上げる計画だ。

Motionalが、ロボタクシーサービスの立ち上げ時期を具体的に示したのは初めて。LyftはラスベガスでMotionalのパートナーだったが、LyftがMotionalの商業化計画で主要パートナーとなると言及があったのも初めてのことだ。

今回の発表に先立ってネバダ州は2020年11月に、Motionalに完全ドライバーレスつまり運転席に誰も乗っていない車両の公道テストを許可していた。

MotionalとLyftが提携して3年になる。この提携は当初、2018年CESテックショー期間中にLyftのネットワークの自動運転車両で乗車を提供するという、1週間ほどの試験プログラムとして始まった。

MotionalとLyftの提携は、現代自動車との合弁会社設立よりも前に結ばれた。当時、MotionalはAptiv Autonomous Mobility Groupとして知られていた。常に人間のセーフティードライバーが乗り込んで展開されてきた実験は期間が延長され、現在も続いている。このプログラムでは2020年2月時点で、Aptiv(現在のMotional)の自動運転車両を使って10万回超の有料の乗車があった。

乗車回数が増えるにつれ、Aptivのラスベガスでの投資は拡大した。同社は2018年12月、自動運転車両を収容し、ソフトウェアとハードウェアシステムのR&D、認証、マッピングを専門とするエンジニアリングチームを置くために、13万平方フィート(約1万2000平方メートル)のテクニカルセンターをラスベガスに開所した。

Motionalは米国時間12月16日の発表について、提携の「飛躍的進歩」と表現する。ロボタクシーサービスは現代自動車の車両プラットフォームをベースにした次世代の車両を使用する。完全ドライバーレス走行、リモートでの車両アシストのために車両にはセンサーやコンピューター、ソフトウェアが搭載される。現在BMW 5シリーズとChrysler Pacifica Hybridミニバンを使用しているMotionalは、車両が「かなり」増えるだろうと話した。

ロボタクシーサービスをどの都市で展開するか、展開する車両の規模など詳細は明らかにしなかった。Motionalはボストン、ラスベガス、ピッツバーグでテストを行っている。Lyftとのロボタクシーサービス提携が初期に立ち上げられた都市以外でも展開される、とMotionalは明言した。ただし、Lyftが唯一のパートナーではない。2020年初め、Motionalはオンデマンドシャトル企業のVia(ビア)と2021年上半期に米国の都市で一般向けにシェアリングロボタクシーサービスを立ち上げることで契約を結んだ。目的はオンデマンドのシェアリングロボタクシーの青写真を描き、こうしたドライバーレスの車両が大量輸送機関に統合できるかを確かめることにある、と両社は述べた。

「この提携は、ドライバーレステクノロジーにおける我々のグローバルリーダーシップの証となります。我々は交通機関イノベーションの最先端にいて、ロボタクシーを研究から道路へと動かしています」とMotionalの会長でCEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は声明文で述べた。「目的は安全で信頼できる、そしてアクセスしやすいドライバーレスの車両を作るだけでなく、そうした車両を大規模に展開することにあります。これを実行するためにLyftと提携します」。

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GMの子会社Cruiseが運転手なしの自律走行車公道テストをサンフランシスコで開始

SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Honda(ホンダ)、T. Rowe Price & Associates(ティー・ロウ・プライス)から支援を受けているGMの子会社で、自律走行車を手がけるCruise Automation(クルーズ・オートメーション)は、サンフランシスコの公道で、同社が完全なドライバーレス車と表現する車両の走行テストを開始した。

サンフランシスコのサンセット地区で、同社初の公道におけるドライバーレス走行を行ったCruiseのDan Ammann(ダン・アマン)CEOは、それを「ひどく退屈なもの」そして商業サービスへの「謙虚な一歩」と呼んでいる。

「走行自体は非常に自然で、予測可能でした。従ってそれは一種の退屈であったといえます。しかし、すべてが正しく行われました」と、アマン氏は米国時間12月9日に記者団との電話会見で語った。「そして私達の目標は、その同じ経験をできるだけ早く、安全に、多くの人々が利用できるようにすることです。それは無人運転のクルマに乗れるようになることかもしれないし、あるいは自動運転の配達を実現することかもしれません」。

12月9日に、最初の走行試験の様子を収めたビデオを公開した。サンフランシスコのサンセット地区を走るクルマの運転席には誰も乗っておらず、安全のために助手席に人間のオペレーターが乗っていたことを、ビデオは示している。

Cruiseの完全自律走行車のテストは、限定されたエリアで行われており、そこは間違いなくサンフランシスコの中でも単純な環境の1つだ。下のビデオを観ればわかるように、テストは夜、あまり混雑していない地域で行われた。とはいえ、それは2019年末までに商用サービスの開始(未訳記事)を目指していた同社の進歩を示すものである。

業界の中には助手席に安全オペレーターを乗せていることや、「より簡単な」ジオフェンスで制限された狭いエリアで始めたことを取り上げ、但し書きが必要だと指摘する声もある。Cruiseによると、これはほんの始まりに過ぎず、最終的にはドライバーレスのテストエリアを拡大し、時間をかけてより複雑な環境を追加していき、安全のためのオペレーターを車両から取り除くことも視野に入れているという。

「我々はこれが技術競争であると同様に、信頼競争であることを認識しています」と同社の広報担当者であるMilin Mehta(ミリン・メータ)氏は電子メールで述べている。「それを考えると、自律走行の許可証の使用を始める際には、助手席に安全のためのオペレーターを乗せることになるでしょう。このオペレーターは緊急時に車両を停止させることができますが、標準的な運転操作にはアクセスできません。最終的には、この安全オペレーターは完全に取り除かれることになります」。

Cruiseは2020年11月、5台の自律走行車を使ってドライバーレステストを開始した。同社の他の車両は、人間のドライバーを乗せて通常のテストに使用され、その一部は地域のフードバンクに物資を届けるために使われる予定だ。

カリフォルニア州で自律走行車のテストを規制する機関であるカリフォルニア州陸運局は10月、サンフランシスコ市内の特定の道路で、運転手なしで5台の自律走行車をテストする許可をクルーズに発行した。クルーズは2015年より、人間のドライバーを運転席に乗せて自律走行車のテストを行う許可を得ている。

クルーズは2020年2月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から、州内で自律走行車による乗客輸送を行うための許可を得た。しかし、適切な許可を得た企業がドライバーレス車両を利用した乗客に料金を請求できるように、CPUCが規制を修正したのは11月に入ってからだった。

許可証を取得するためのハードルは以前よりも高く、現在では政府の承認を得るためのプロセスも必要になっている。業界の中には、不必要な官僚主義が加わり事業の展開を2年以上遅らせる可能性があるという主張もある。

政府の承認手続きは別にして、CPUCのウェブサイトの情報によると、CPUCの許可を得るためには、クルーズは30日間ドライバーレス走行をテストしたというデータを提出しなければならないという。

AutoX、Nuro、Waymo、Zooxもカリフォルニア州でドライバーレス車をテストする許可を得ている。Waymoは同社が「完全自律モード」と表現している機能を、カリフォルニア州の公道で、人間のドライバーを運転席に乗せずにテストしているが、まだ人間のオペレーターを車両から外すには至っていない。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Uberが自動運転部門Uber ATGを売却、購入したAuroraの企業価値は1兆円超え

Sequioa Capital(セコイア・キャピタル)とAmazon(アマゾン)が出資する自動運転車のスタートアップ、Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、Uber(ウーバー)の自動運転部門(Uber ATG)を買収する契約で同社と合意した。複雑な契約の結果、合併後の企業価値は100億ドル(約1兆400億円)に達する見込みだ。

AuroraはUber ATGのために現金を支払わない。Uber ATGは2019年にトヨタ、DENSO(デンソー)、およびSoftBank(ソフトバンク)のVision Fund(ビジョンファンド)から10億ドル(約1040億円)の出資を受けた後、企業価値が72億5000万ドル(約7550億円)になった。代わりに、UBerがATG持ち株をAuroraに譲渡し、4億ドル(約420億円)を出資する。その結果Uberは合併後企業の26%を保有することになると米国証券取引委員会(SEC)に提出した資料に書かれている。忘れている人にために書いておくと、UberはUber ATG株の86.2%(完全希薄化ベース)を保有している。Uber ATGの株主は、Auroraの少数株主になる。ちなみに契約が完了すると、Uberと既存ATG株主およびAuroraに継続雇用されるATG従業員を合わせると、Auroraの約40%(完全希薄化ベース)を保有することに注目されたい。

Uber CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は新たに拡張したAuroraの取締役に就任する。

2017年創業のAuroraは完全自動運転用ソフトウェアスタックの開発に注力する企業で、人間のドライバーが運転しなくても車両が高速道路や市街地を走ることのできるテクノロジーに基づいている。AuroraはGreylock Partners、Sequoia Capital、Amazon、T. Rowe Priceなど著名なベンチャーキャピタルや投資運用会社、メーカーなどの注目を集めた。理由の一部は創業者であるSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、およびChris Urmson(クリス・アームソン)氏が揃って自動運転業界で豊富な経験をもつベテランだからだ。

アームソン氏はGoogle(グーグル)の自動運転プロジェクトがスピンアウトしてAlphabet(アルファベット)傘下のWaymoとなる前の責任者だった。アンダーソン氏はTesla Model Xと同社のオートパイロットプログラムの開発・製造責任者として最もよく知られている。カーネギーメロン大学准教授のバグネル氏は、Uberの自律研究の立ち上げを支援し、ピッツバーグのAdvanced Technologies Center(先進技術センター)で自律・認知チームを率いていた。

Auroraはまず自動運転トラックを市場に出す計画だ。しかしアームソン氏は、同社がロボタクシーなど他の自動運転スタックのアプリケーションも追求を続けていると付け加えた。Uber ATGとの契約によって、Auroraは人材と運用可能な設備を手に入れる。しかし、契約はほかにも重要な意味が2つある。Uber ATGの出資者、特にトヨタとの関係構築、そしてUberとの提携による巨大ライドシェアリングプラットフォームの活用だ。

「私たちがこの会社をつくるとき念頭に置いていたのはスケールに合わせて作ること。誰もが最高の仕事ができる環境を作ろう、ということです」とアームソン氏は12月7日のインタビューで語った。「そしてそれから素晴らしいチームを探して引き入れる。これは才能とテクノロジーを組み合わせる方法の一つであり、今回はつながりを得ることもできました」。

この発表はTechCrunchの11月の記事を裏付けるとともに、ピッツバーグ、サンフランシスコ、トロントで操業している1200人のビジネスユニットであるUber ATGが、自分より小さなライバルと合併するという紛れもない大事業の幕開けである。

Uber ATGの社員全員がAuroraに合流するかどうかは明らかになっていない。Auroraでは600人の従業員が働き、サンフランシスコ・ベイエリア、ピッツバーグ、テキサス、モンタナ州モーズマンに拠点がある。少なくとも幹部の1人、Uber ATG CEOのEric Meyhofer(エリック・メイホーファー)氏は加わらない。

アームソン氏は、会社とそれぞれの技術の統合は急がず進めることを強調した。

「今後60日間に私たちが行う最もおもしろいことの1つは、2つチームを1つにすることです」とアームソン氏はいう。「その後、我々が市場に出す最初の製品を加速するテクノロジーは何かを少し冷静に見極め、既存のAuroraチームのものであれ、新しいAuroraチームで作られるものであれ、それを強化して推し進めます。それがアイデアでもコードでもハードウェアでも、市場に出す時間を早めるものであれば」。

会社は人材とテクノロジーの評価をできるだけ早く行う、とアームソンは語った。

Uberの自動運転車の歴史

Uberにとってこの取引は、会社がコアビジネスであるライドシェアリングとデリバリーに焦点を絞りつつある中、未だにスピンオフも売却もしていなかった金のかかる最後の部門を際立たせた。この1年間に、Uberはシェアードマイクロモビリティー部門のJumpを手放し、成長はするも未だ利益を上げていないロジスティクス部門のUber Freightの株を売り、Postmatesを買収した。Uberは、同社の無人空中タクシー事業のUber Elevateの買収を交渉中とも報じられている。

Uber ATGは長期的な金銭的利益が約束されている事業の1つだが、多くの痛みと論争と初期費用が、設立したほぼその瞬間から生まれ出た。

2015年初め、Uberは自動運転車への取り組みを開始し、カーネギーメロン大学のロボティクス研究所との戦略提携を発表した。この無人自動車テクノロジーを共同開発する契約は、Uberが研究所から何十人という研究者や科学者を引き抜く(WSJ記事)という結果になった。1年後、Uberは自動運転トラックのOttoを買収した。グーグルの花形エンジニアだったAnthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキー)氏とグーグルのベテラン社員であるLior Ron(リオ・ルロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドローネ)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏の3名が設立したスタートアップだ。

買収の2カ月後、グーグルはレヴァンドフスキー氏とルロン氏に対して2件の仲裁請求を行った。Uberはいずれの仲裁の当事者でもなかった。仲裁はうまくいったが、それとは別にWaymoが2017年2月に企業秘密窃盗と特許侵害でUberを訴えた。裁判まで行ったが2018年に和解したその訴訟で、Waymoはレヴァンドフスキー氏が企業秘密を盗み、その後それがUberによって使用されたと主張した。

裁判が終わりUberは開発を加速したが、そのほぼ直後に自動運転試験車の1台が、非常用運転手が運転席にいる状態で死亡事故を起こし、2018年3月に歩行者に衝突して死に至らしめた。業界全体が一時停止し、Uberはテストをすべて中断した。

Uberは2019年春にUber ATGを別会社化した。トヨタ、自動車部品メーカーのデンソー、およびソフトバンクのVision Fundから10億ドルの資金を調達した後のことだ。このスピンオフに関しても、Uberは金のかかる事態に直面する。Uberは11月、ATGおよび「その他のテクノロジー」(Uber Elevateを含む)で2020年9月30日までの9カ月間に3億300万ドル(約315億6000蔓延)の純損失を計上した。Uberは、ATGおよび「その他のテクノロジープログラム」の取り組みで4億5700万ドル(約476億円)の研究開発費が発生したとS-1書類に書いている。

Auroraの価値とは?

Uber ATGを悩ましてきた数々問題の傷跡をよそに、アームソン氏は同社には価値ある資産となる人材といくつかの興味深いテクノロジーがある、と主張する。

「自動車向け次世代ハードウェアを設計するために彼らが行なっていることは非常に興味深いものです」と同氏はいう。「ソフトウェア面で彼らは、予言および予言を認知システムと組み合わせる実に面白いアイデアを持っています」。

この契約に詳しいある人物は、Uber ATGには貴重で有能な中級レベルと初級レベルのエンジニアが在籍しているため、Auroraにとって特に魅力的な買収だと語った。

これはAuroraにとって初めての買収ではないが、最大で最も複雑であることは間違いない。2019年にAuroraは、モンタナ州ボーズマン拠点のLiDAR(ライダー)企業であるBlackmore(未訳記事)とシミュレーションのスタートアップである7D Labsを買収した。Auroraは自社の「no jerks(悪党はいない)」ポリシーと企業カルチャーを喧伝しつつ、何百という新しい人たちを吸収しようとしている。

合併後の統合には数カ月や数年かかることがあり、技術的あるいは戦略的な進捗を遅らせかねない。アームソン氏の考えは違うようだ。

「むしろ、目標実現を加速します」と彼は語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転ユニコーンAutoXが中国初となる無人ロボットタクシーのテストを深センでスタート

中国・深センの住民たちは、米国時間12月3日から真の意味での無人運転車を目にしている。Alibaba(アリババ)、MediaTek、Shanghai Motorsの支援を受けるスタートアップAutoXは、深センのダウンタウンに25台の無人運転車を配備し、中国で初めてとなる安全のための運転手や遠隔操作員の担当者なしで公道を自律して走る無人運転車のテストを行う。

AutoXの広報担当者は、まだこのロボタクシーは一般には公開されていないとTechCrunchに語っている。

このマイルストーンは、AutoXがカリフォルニア州からドライバーレステスト開始の許可を得てからわずか5カ月後のことであり、WaymoとNuroに続くものだ。

また中国が深センから上海まで規制上のハードルをクリアにし、補助金をアピールし、5Gインフラを整備することで自動運転車のスタートアップを誘致しようとしているのは、同国がスマートドライブ産業において米国の都市と同等にしたいと考えていることを示している。

その結果、各々の都市には、深センのAutoXとDeeproute.ai、広州のPony.aiとWeRide、蘇州のMomenta、そして北京のBaiduのApollo fleetなどといった企業が事業を展開することになっている。自動運転車のメーカー各社は、従来の自動車メーカーと密接に協力して、自社の車をよりスマートにし、将来の輸送に適したものにしようとしている。

「私たちは地方自治体から支援を得ています。深センでは自動運転車の法制化が急速に進んでいます」とAutoXの担当者は語っている。

ドライバーをフロントから、オペレーターをリモートセンターからなくすという決定は、中国で最も人口の多い都市の1つで行うには大胆な動きのように思える。AutoXは、XCUという独自の車両制御ユニットを装備しており、それは中国の都市の複雑な道路シナリオを処理するために必要な処理速度と計算能力を有していると主張している。

「『XCU』は、このような状況に対応するために何層にもおよぶ冗長性を提供します」とAutoXは、万が一マシンが故障した場合の車両の反応を尋ねられたときに答えた。

同社はまた、過去数年間に100台のロボットタクシーを使って、中国で最も密集した都市部を「何百万マイルもの距離」も走行した経験から学んでいると強調している。ライバル企業もまた、研究開発とパイロットテストに多額の投資をする一方で、自動運転アルゴリズムをトレーニングするために走行距離を積極的に稼いでいる。AutoX自身は、これまでに1億6000万ドル(約166億3000万円)以上を調達している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

MobileyeがLuminarと契約、2022年の無人タクシー実現に向けLiDARを供給

センサーの開発を手がけるスタートアップで、上場企業入りを目指すLuminarは、Intel(インテル)の子会社であるMobileyeに自律走行車用のLiDARを供給するサプライヤー契約を締結した。

米国時間11月20日に発表されたこの契約は、長い間自動車業界を支配してきた企業と組み合わされることで期待の星となりそうだ。

このサプライヤー契約は、Mobileyeの中心事業であるコンピューターによる視覚イメージ処理技術の規模とはほど遠いものの、いくつかの試験プログラムを超えて拡大が見込める重要なコラボレーションだ。LuminarとMobileyeは、約2年前から開発契約を結んでいる。今回の新たな契約は、両社にとって次の重要なステップを示すものだ。

Mobileyeのカメラを使ったセンサーは、ほとんどの自動車メーカーが先進的な運転支援システムをサポートするために使用している。現在、5400万台以上の車両がMobileyeの技術を搭載している。しかし、2017年に153億ドル(約1兆5900億円)でインテルに買収された同社は、ここ数年で手を広げ、いまや先進運転支援技術を超えて、自律走行車のシステム開発に向けて動き出している。2年前にMobileyeは視覚認識、センサー融合、REM(Road Experience Management)マッピングシステム、ソフトウェアアルゴリズムを含むキットを発売する計画を発表した。

Mobileyeはそれ以来、自動運転の野心をさらに高めており、業界の一部では、単なるサプライヤーに留まらず、無人タクシー事業に乗り出すという予期せぬ方向に発展するのではないかとみられている。

LuminarとMobileyeの現時点では小規模な契約は、まだ生産契約に過ぎない。LuminarのLiDARは、Mobileyeの第1世代の無人運転車に搭載される予定で、ドバイ、テルアビブ、パリ、中国、韓国の大邱市で試験運転が行われている。Mobileyeの最終的な目標は、無人タクシー事業を拡大し、その自動運転スタック(AVシリーズソリューション)を他の企業に販売することである。MobileyeのAmmon Shashua(アンモン・シャシュア)最高経営責任者(CEO)は、同社が2022年に商業的な無人タクシーサービスを開始することを目標にしていると述べている。

「つまり、この生産契約は基本的に、2022年のサービス開始に向けてMobileyeの車両に装備を整え、同社のカメラソリューションと併用することで、安全性と余剰性を確保する力となるわけです」と、Luminarの創業者でCEOのAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は最近のインタビューで語っている。

この「AVシリーズソリューション」の最初の用途は、Mobileyeが自社で所有する車両向けだが、ラッセル氏はその後の機会に興味を持っている。

「Mobileyeは、他のどんな民間の自動運転開発会社ともまったく異なる会社で、まったく異なる戦略を取っています」とラッセル氏は語る。「彼らは何千万もの製品を量産車に搭載しています。つまり、何かを量産するために何が必要なのかを知っているわけです。その波に乗り、量産車の分野に有利な立場として関わることができるというのは、私たちにとって特別な関心事でした」。

Luminarは他にも量産レベルの案件を獲得している。VOLVO(ボルボ)は5月、LuminarのLiDARと認識システムを搭載した自動車の量産を2022年に開始すると発表した。これらを使ってボルボは、高速道路用の自動運転システムを展開する。

いまのところ、LiDARはハードウェアパッケージの一部として、XC90から始まったボルボの第2世代の「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ」をベースとする各車にオプションとして用意されている。ボルボはLuminarのLiDARをカメラ、レーダー、ソフトウェアそしてステアリングやブレーキ、バッテリー電力などの機能を制御するバックアップシステムと組み合わせ、高速道路における自動運転機能を実現する予定だ。

ダイムラーのトラック部門は2020年10月、人間が乗っていなくても高速道路をナビゲートできる自律型トラックを生産するための幅広いパートナーシップの一部として、Luminarに投資したと発表している。

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タグ:LuminarIntel自動運転LiDAR自動車ロボタクシー

画像クレジット:Intel

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Lunewaveが自動運転用レーダーナビシステムの商品化へ前進、約7.3億円調達

自動運転車のための画期的なレーダー技術を開発するアリゾナのスタートアップLunewave(ルーンウェーブ)は、このシステムの商品化に向けた準備を整える中、700万ドル(約7億3000万円)の資金調達を行った。

今回の資金はProeza Ventures、Blue 9 Capital、Tsingyuan Ventures、Intact Venturesからの投資であると同社は話している。

この資金を使い、Lunewaveは一次サプライヤーと協力して、同社のレーダーセンサーの戦略的パートナーシップの確立と共同生産を継続すると、同社の最高責任者であり共同創設者であるJohn Xin(ジョン・シン)氏は話す。

3Dプリントで作られるルネベルグレンズは、広帯域幅、高利得、高容量により、あらゆる方向に複数の高品質なビームを生成できるという特徴がある。同社によれば、そのセンサー2基で今日使われているレーダーセンサー20基分をカバーできるという。

Lunewaveは、すでにOEM製造業者や配車サービス企業と、いくつもの開発前プロジェクトを済ませている。「製品の商品化のための正式契約によるパートナーシップ締結まで、あと一歩です」とシン氏。「第1四半期の終わりまでには、世界各地の一次サプライヤーとの戦略的パートナーシップを発表できる予定です」。

センサーを支える大きな柱はカメラ、LiDAR、レーダーだ。その中でもレーダーは、厳しい気象条件でもうまく機能できる唯一のものだとシン氏は考えている。「近ごろ業界内では、それが哲学的な議論に発展しつつあります」とシン氏。「しかし私たちは、センサーフュージョンを信じています。安全性が何よりです。私たちの仕事は、レーダーというソリューションを業者選定の候補にすることです」。

シン氏は、今回調達した資金は、同社の製品開発チームとセールスチームの人員強化と、製品の洗練のために使われると話している。現在、同社の製品開発には2つルートがある。1つは単純に「一目散」に進めるもの。もう1つは、自動運転レベル3、4、5を目指したものだ。

同社はまた、業務用車両市場に食い込みたいとも考えている。そこが、Lunewaveに本物の引き合いが来る場所だと、シン氏は見ている。

「先進運転支援システムと自動運転システムは、これからも車両への導入が続きます。レーダーがこの2つのシステムの中核的コンポーネントになることが、力強い成長につながると私たちは信じています」とPotenza Venturesの業務執行取締役Rodolfo Elias Dieck(ロドルフォ・エリアス・ディーク)氏は話す。

同社は、水平面で180度の視野と、今日使われているシステムの6倍の解像度で車の周囲の物体を検知(遠距離でも悪天候でも)できる技術を誇っている。

今回の投資の一環として、BMWの元取締役Peter Schwarzenbacher(ピーター・シュワルツェンバッハ)氏とDelphi(デルファイ)の元幹部であるJames Zizelman(ジェームズ・ジゼルマン)氏がLunawaveの取締役会に加わることになった。ジゼルマン氏は現在Stoneridge Control Devices(ストーンリッジ・コントロール・デバイセズ)の社長を務めており、それ以前は、Aptive(アプティブ)のエンジニアリング副社長、Delphi Automotive(デルファイ・オートモティブ)の幹部を務めていた。

「Lunewaveが市場に持ち込もうとしている技術は、究極の価値提案をもたらします」とジゼルマン氏はいう。「そのイノベーションは、視野、解像度、その他の特性に真に秀でた技術的能力のみならず、複数のレーダーユニットを、より高性能で費用対効果の高い1つのLunewaveデバイスに置き換えてしまう機会をも提供します」。

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(翻訳:金井哲夫)

自動運転トラックで食料・生活雑貨などを運ぶGatikがカナダ小売大手Loblawと提携

「中距離」専門の自動走行車両スタートアップGatik(ガティック)は、顧客がオンラインで注文したグローサリー、食料や生活雑貨、日常品などをWalmart(ウォルマート)のために輸送するのに自動運転ボックス型トラックを使用している。そして現在、GatikはシリーズAで2500万ドル(約26億円)を調達し、小売大手Loblaw(ロブロー)との提携の下、カナダに進出する。

Gatikは米国11月23日、トロントに配置する5台の自動運転ボックス型トラックが2021年1月からLoblawの商品輸送に使われると発表した。共同の試験事業として、全車両にセーフティドライバーが乗り込む。トロントエリアで10カ月にわたって走行するこのトラックは、カナダでは初の自動運転配達車両となる。

「多くのカナダ人がオンライングローサリーショッピングに目を向けるようになっていて、当社のサプライチェーンをより効率的なものにする方法を模索してきました。中距離の自動走行車両による配達は素晴らしい例です」とLoblawのデジタル担当上級副社長Lauren Steinberg(ローレン・ステインベルグ)氏は声明文で述べた。「今回の展開により、トロント内の店舗のPC Expressオンライングローサリー注文の需要に対応するために、当社の自動化された商品選別施設から1日に複数回商品を出すことができます」。

自動走行車両を使って配達する他の企業と異なり、Gatikは消費者をターゲットとはしていない。その代わり、同社は大型の配送センターから小売店舗へと商品を運搬するのに自動走行トラックを使っている。Loblawとの事業では、GatikはFord(フォード)のTransit 350ボックストラックに冷蔵設備、リフトゲート、そして自社の自動走行ソフトウェアを搭載する。

「小売事業者はロジスティック業務における最大の非効率性が中距離の商品輸送にあることを知っています。自動化された商品選別施設と小売店舗の間の距離が典型的なものです」とGatikの共同創業者でCEOのGautam Narang(ゴータマ・ナラン)氏は声明文で述べた。「それこそがGatikが取り組み、成功している分野であり、当社が顧客にすぐさま価値を提供できる理由です。Loblawのサプライチェーンの重要な問題を解決すべく提携できることをうれしく思います」。

Gatikの「中距離」B2BへのフォーカスはWalmart、そしてGatikのシリーズAラウンドを共同でリードしたWittington VenturesInnovation Endeavorsといった投資家を引きつけた。既存投資家のDynamo Ventures、Fontinalis Partners、AngelPadとともに、FM CapitalとIntact VenturesもシリーズAラウンドに参加した。同ラウンドはLoblawとの提携と一緒に発表された。Gatikの累計調達額は2950万ドル(約31億円)になる。

同社は調達した資金を北米での業務の増強、そしてカリフォルニア州パロアルトとトロントの施設での雇用に充てる計画だ。小売事業者との提携と車両配置の拡大を進めている、とナラン氏は述べた。

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タグ:GatikLoblawグローサリー自動運転資金調達カナダ

画像クレジット:Gatik

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(翻訳:Mizoguchi

ヒュンダイとAptiveの合弁会社がドライバーレス自動運転車両のテスト許可をネバダ州で取得

Aptive(アプティブ)とHyndai(ヒュンダイ)が自動運転車の商業化を目的に計40億ドル(約4165億円)を投資して設立した合弁会社Motional(モーショナル)は、完全無人の自動運転車両を公道で走らせる準備をしている。ネバダ州から走行許可を取得した。

同社の会長でCEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は米国時間11月17日、安全ドライバーが乗り込まない自動運転車両のテストをネバダ州が許可した、とブログへの投稿で発表した。

といっても、そうした車両が明日からラスベガスの通りを走るわけではない。自身のAVスタートアップであるnuTonomy(ヌートノミー)が2017年にAptivによって買収されたイアグンマ氏はその後Motionalに移ったが、Motionalが今後数カ月を同氏がいうところの「自ら課した厳しいテストと評価の期間」の完了に費やすと話した。目下進行中のテストと評価の期間には、公道・私道での自動運転車両のパフォーマンス・安全の研究が含まれる。そうしたタイムラインに基づくと、ドライバーレス車両の公道でのテストは2021年初めに始まりそうだ。

イアグンマ氏はまた、Motionalが「世界で最も尊敬されている安全評価者」の1人と協業していることも明らかにした。その人物の名前は明かさなかったが、安全と評価の進展度合いについての詳細が数週間内に発表されるとTechCrunchに語った。

Motionalはラスベガスを多少は知っている。Aptiv Autonomous Mobility GroupとしてMotionalは、バックアップドライバーが運転席に乗り込んだ自動走行車両のテストをラスベガスで数年間行った。同社は2018年1月、CES期間中にロボタクシーサービスをテストするためにLyft(リフト)と1週間のプログラムを展開した。ドライバーが乗り込んでの一時的な実験は延長され、現在も展開されている。2020年2月時点で、LyftアプリのためのAptivの自動運転車両で10万回超の有料の乗車があった。

Aptivのラスベガスでの投資は乗車数が増えるにつれ拡大した。同社は2018年12月に自動運転車両、そしてソフトウェアとハードウェアのシステムのR&Dと認証、マッピングを行うエンジニアチームを収容するため、13万平方フィート(12万平方メートル)のテクニカルセンターを同市に開所した。

イアグンマ氏によると、完全ドライバーレスのテストは、ラスベガスにおけるLyftネットワーク上での同社の自動運転車両の展開とは別となる。

Motionalと命名されたヒュンダイとの合弁会社が、ラスベガスそしてピッツバーグなど米国内の他都市、そしてシンガポールや韓国など海外でも取り組みを進めている。目的は、左側走行や右側走行、炎天下、大雨、高速道路、街中の通り、環状交差点、制御されていない交差点などさまざまな国の道路環境でナビゲートできるAVテクノロジーを構築することだ、とイアグンマ氏は話す。

不明なのは、こうしたドライバーレスの車両がどこで展開され、いつ一般利用が可能になるのかということだ。もしMotionalが、ドライバーレスのサービスをフェニックスエリアで広く展開し始めたWaymo(ウェイモ)に続くのであれば、プロセスはゆっくりしたものになり、テストは数カ月続くことになりそうだ。

もう1つわからないのは、Motionalがドライバーレスのサービスを展開するのにLyftや他の企業と提携するかどうかだ。2020年10月、MotionalとオンデマンドシャトルのVia(ヴィア)は一般向けの共有ロボタクシーサービスを2021年上半期に米国の都市で立ち上げる計画を発表した。両社はその際、オンデマンド共有ロボタクシーサービスの「青写真」を描き、こうした車両がどのように大量輸送に組み込まれるかを理解することが目的だと述べた。Viaとの提携はまずセーフティドライバーが乗り込んだ車両で始まる。

提携とサービスについての詳細は乏しい。MotionalとViaはサービス展開都市を特定せず、 サービスを展開する地理的範囲、使用される車両の台数やタイプも明らかにしなかった。ただ、サービスはMotionalがすでに展開している米国の都市の1つで立ち上げられると述べた。つまりボストン、ピッツバーグ、ラスベガス、サンタモニカのいずれかになると考えられる。

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Uberがトラブル続きだった自動運転技術部門ATGをライバルのAuroraに売却か

18カ月前、Uber(ウーバー)の自動運転部門である Uber Advanced Technologies Group(ATG)はトヨタやデンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドル(約1047億円)の出資を受けてバリュエーションが72億5000万ドル(約7600億円)になった。そのATGはいま、売りに出ている。競合相手のスタートアップがATG買収でUberと交渉中だ。この件に詳しい3人の情報筋が明らかにした。

Google(グーグル)、Tesla(テスラ)、そしてUberで自動運転技術に携わった3人の業界ベテランによって設立されたスタートアップAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)はUber ATG買収で交渉している。取引条件などはまだ明らかになっていないが、両社は2020年10月から交渉しており、そのプロセスは進展を見せていると情報筋は話す。

Uberの広報担当は、当社はこうした種の問い合わせには答えない、としてコメントを却下した。Auroraの広報担当は憶測についてはコメントしないと述べた。

交渉は決裂することもあり得る。しかしもしうまくいけば、Auroraの社員は3倍に増え、Uberにとっては短い社歴の間にいくつかの議論の種を抱え込むことになった費用のかかる長期的プロジェクトという荷をおろすことになる。

Uberは「売買」してきた

Uber ATGの売却は、ここ数カ月Uberが配車サービスや配達といった主要事業に注力し、また資金を注ぐことになったスピンオフや他のディールに続く動きだ。2年前の2018年、Uberのビジネスモデルは「上記のすべて的」なアプローチだった。配車サービス、マイクロモビリティ、ロジスティック、荷物・フードデリバリー、そして将来の自動運転ロボタクシーすらも含むあらゆる交通の形態から売上を生み出すことに賭けていた。

Uberが上場してから戦略は変わり、また新型コロナウイルスパンデミックが経済をひっくり返し、人々の暮らしを根本的に変えて以降、その戦略変更は加速した。過去11カ月、Uberはシェアリングマイクロモビリティ部門のJumpをたたみ、成長しているもののまだ黒字化を達成できていないロジスティック部門Uber Freightの株式を売り、Postmates(ポストメイツ)を買収した(Postmatesの買収は2020年第4四半期のクローズが見込まれている)。

Uber ATGは、価値が大きい最後のUberの所有物だ。多くの長期的約束、そしてかなりのコストをUber ATGは抱える。Uberは2020年11月に、 ATGと「他のテクノロジー」(Uber Elevateを含む)が2020年9月30日までの9カ月で3億300万ドル(約320億円)の赤字だったと報告した。UberはフォームS-1の中で、ATGと「他のテクノロジープログラム」の取り組みの研究・開発費用4億5700万ドル(約478億円)が発生した、と述べた。

4人の業界情報筋はTechCrunchに、Uberが今年、自動車メーカーを含む数社にATG売却を打診してきたと語った。また、Uber ATGがダウンラウンドの可能性に直面しており、これがAuroraとの交渉の裏にあるもう1つの動機かもしれない、とも話した。

2017年創業のAuroraは完全自動運転の構築に専念している。車が高速道路や街中の通りをドライバーなしで走行できるようにする技術だ。同社は著名なベンチャーファーム、資産運用会社、そしてGreylock Partners、Sequoia Capital、Amazon、T. Rowe Priceといった企業の関心と資金を集めてきた。創業者のSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏も出資している。

アームソン氏は、後にAlphabet(アルファベット)傘下のWaymo(ウェイモ)となるためにスピンアウトしたグーグルの自動運転プロジェクトを率いていた。アンダーソン氏はTeslaのModel XとAutopilotプログラムの開発・立ち上げを主導したことで最もよく知られている。カーネギーメロン大学の准教授であるバグネル氏はUberの自動運転部門立ち上げをサポートし、ピッツバーグにあるAdvanced Technologies Centerの自律・認知チームを率いていた。

Auroraは零細の新スタートアップから、いまやサンフランシスコのベイエリア、ピッツバーグ、テキサス、モンタナ州ボーズマンに事業所を展開し、従業員600人を抱える企業に成長した。ボーズマンは、Auroraが2019年に買収したLiDAR企業であるBlackmore(ブラックモア)の拠点だった。LinkedIn(リンクドイン)の記録によると、Auroraの現在の従業員の約12%が元Uber従業員だ。

そうした成長にもかかわらず、AuroraはUberを大株主にもつUber ATGよりもまだだいぶ小さい。Uber ATGは従業員1200人超を抱え、ピッツバーグやサンフランシスコ、トロントなどに拠点を構える。米証券取引委員会に提出された書類によると、UberのUber ATGの持分は86.2%だ。残りの投資家の持分は13.8%となっている。

Uberの自動運転車両テクノロジーへの参入は、同社がカーネギーメロン大学のNational Robotics Centerとの戦略的提携を発表した2015年に本格的に始まった。ドライバーなし車両テクノロジーの開発を共同で行うという提携は、Uberによる数十人ものNRECの研究者や科学者のハンティングにつながった。1年後、社内にAV開発部門を立ち上げ、共同創業者のTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏が当時率いていたUberはOtto(オット)という自動運転トラックのスタートアップを買収した。

この買収は最初からトラブル続きだった。Ottoはグーグルのスターエンジニアの1人Anthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキー)氏、それから3人のグーグルのベテラン、Lior Ron(リオル・ロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドローネ)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏らがその年の初めに共同で創業した。そして創業から8カ月も経っていなかったOttoをUberが買収した。

買収の2カ月後、グーグルはレヴァンドフスキー氏とロン氏に対して仲裁を要求した。どちらの要求にもUberは含まれなかった。この件は決着がついたが、それとは別にWaymoは2017年2月に企業秘密の窃盗と特許侵害でUberに対して訴訟を起こした。Waymoは2018年に和解した裁判の中で、レヴァンドフスキー氏が同社の企業秘密を盗み、それが後にUberによって使用されたと主張した。

和解の中でUberは、Waymoの機密情報をハードウェアやソフトウェアに組み込まないことに同意した。Uberはまた、シリーズG-1ラウンド時のバリュエーション720億ドル(約7兆5000億円)に基づく同社の発行株式の0.34%を含む賠償金を払うことにも同意した。当時、その額は約2億4480万ドル(約256億円)と算出された。

TechCrunchが最初に報じた裁判資料によると、Otto買収の初期にUberは2019年までに自動走行車両7万5000台を走らせ、2022年までにドライバーなしのタクシーサービスを13都市で展開できると想定していた。そうした野心的な目標を達成するのに、Uberは自動運転テクノロジーの開発に1カ月あたり2000万ドル(約21億円)を使っていた。

同社がそうした目標の達成に近づくことは決してなかった。技術的困難、Waymoとの裁判、トラブルに満ちたレヴァンドフスキー氏との関係、そして2018年3月にアリゾナ州テンペで同社の自動運転テスト車両が起こした死亡事故など、ミッションは狂った。

事故を受けて同社はテストを中止し、過去18カ月はより対外的なオペレーションをゆっくりと展開してきた。自動運転車両開発の事業は多額の資金を要することから、Uberはトヨタ、車部品メーカーのデンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドルを調達した後の2019年春にATGをスピンアウトすることになった。

公開企業としてUberがデビューする1カ月前にあったスピンアウトは、何カ月もの間、憶測の対象だった。費用のかかる事業を他の投資家と共有し、主要事業の業績と短期的な利益目標にフォーカスするための手段としてみられた。

Auroraは何を得るのか

トラブルはさておいて、Uber ATGはAuroraにとって魅力的な2つの重要かつ重大な要素を有している。人材とトヨタだ。

トヨタは2019年に現金を注入する前にUberに5億ドル(約523億円)を投資している。当時、2社は「Uber ATGの自動運転技術、トヨタの高度安全サポートシステムGuardianの強みを展開する」べく、トヨタのSiennaに自動走行技術を搭載したライドシェア車両の試験を2021年にUberのライドシェアネットワークで始める意向を発表した。

2019年のUber ATGへの投資により、トヨタのUberとの関係は深まった。

Uberが企業秘密窃盗に関する裁判でWaymoと対決している間に、Auroraは華々しく創業された。18カ月の間に同社はHyundai(現代自動車)、Byton(バイトン)、VW Group(フォルクスワーゲングループ)などと複数の提携を確保した。いくつかは立ち消えになったが、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)といった大手との提携も獲得した。いす取りゲームのような変化は、自動運転事業における有望なプレイヤーが多いことを示すものだ。この業界は、よく知られていない事業者や最善の技術とディールを求める移り気な車メーカーで溢れている。

2018年1月にAuroraと提携したVW Groupは2019年6月に、「提携が終了した」ことをTechCrunchに認めた。VW Groupは最終的に、もう1つの自動運転車両テクノロジー開発会社のArgo AI(アルゴAI)に出資した。Argo AIはFord(フォード)からの出資と取引を獲得していた。

現代自動車はAuroraの少数株を保有している一方で、2019年秋に自動運転テクノロジー企業Aptiv(アプティブ)との合弁会社の設立を決めた。AptivとのディールによるMotional(モーショナル)という合弁会社の両社の持分は50%ずつとした。Motionalへの両社の投資総額は計40億ドル(約4200億円)となる見込みだ(エンジニアリングサービス、R&D、IPの合算額を含む)。

それでもAuroraは勝利を収めた。同社は2019年春、Sequoiaがリードし、AmazonとT. Rowe Priceからの「巨額投資」があったシリーズBラウンドで5億3000万ドル(約555億円)を調達した。Auroraの当時のポストマネーでのバリュエーションは25億ドル(約2620億円)だった。直近では、Aurora内ではDavid Maday(デイビッド・メディ)氏の部屋が特に活発だ、と業界筋は話す。Auroraの新しい副社長である同氏は、21年にわたってGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)で事業開発とM&Aを統括した。

Auroraは常に、AVのブレインとなるソフトウェアとハードウェアを組み合わせた同社の完全自動運転技術は特定の車両に限定されないものだと述べてきたが、初期テストで同社はロジスティックではなくロボタクシーへの応用にフォーカスしているようだ。同社は2019年に、長距離トラックへの技術応用についてこれまでよりもオープンに語り始めた。特にBlackmore買収後に、応用により積極的になった。

Auroraは2020年7月、テキサス州に進出し、ダラス・フォートワースエリアでFiat Chrysler Pacificaのミニバンと大型トラックを使っての商業ルートテストを計画していると発表した。まずは少数のPacificaが当地に運び込まれるとされた。同社によると、年末までにトラックもテキサスの道路を走行する見込みだ。

Jumpの先例

よくわかっていないのは、Uber ATGの買収がどういう仕組みになるのかということだ。さらに重要なのは、果たしてAuroraがUber ATGに興味を持ち続けるのか、ということだ。たとえUber ATGのバリュエーションが若干減少したとして、外部からの追加の投資が確保できない限りAuroraの守備範囲を超えるか、Uberが株の一部を所有し続けるような買収構造にするか、となりそうだ。

後者の場合は先例がある。2020年初め、UberはLime(ライム)への1億7000万ドル(約178億円)の投資をリードした。複雑なディールの一環として、Uberは自社の自転車・スクーターシェアリング部門Jump(ジャンプ)をLimeに引き取らせた。

過去において、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏がUber ATGを切り離そうと熱心だという噂は時々あった。しかし新型コロナパンデミックでそれは鳴りを潜め、同氏や他の同社幹部は配車サービスという主幹事業に注力し始め、デリバリーに賭けた。マイクロモビリティ部門とUber Freightのスピンオフに加えて、同社はローカルのライバル企業との競争でコストが増大していた世界各地の事業の多くを売却した。

2人の情報筋によると、Uber ATG売却への関心はJumpのディール後に大きくなった。

ある業界投資家はUber ATG売却を、やや上昇傾向であることの恩恵を受けつつATGを切り離すことができる、Uberにとって興味深いプランBだと表現した。

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(翻訳:Mizoguchi

ホンダが市販車初となるドライバーの監視が不要な自動運転レベル3の「レジェンド」を2021年3月発売

Honda(ホンダ)はSAEレベル3機能の自動運転車を初めて量産するメーカーになったことを発表した。Honda Legend luxury sedanの完全認定済み自動運転装置付きモデルは2021年3月に日本で販売開始される。Hondaはこのニュースをプレスリリースで発表し、これは日本政府が同社の自動運転装置「Traffic Jam Pilot(トラフィック・ジャム・パイロット)」を認定したのを受けたもので、ドライバーは初めて、装置作動中実際に道路から目を離すことが許される。

同じ日本の日産自動車には、Pro Pilot Assist(プロ・パイロット・アシスト)という機能が以前からあるが、これはSAE基準のレベル2で、速度と操舵を自動制御できるが、運転席のドライバーは必要な時はいつでも手動制御に切り替えるよう常に準備しておく必要がある。SAEレベル3は、実際に無人運転であるとほとんどの専門家が感じられるカテゴリーに属すものでドライバーは車の制御を完全に任せることができる。レベル3はそれでも、システムの要求があった時にドライバーが代わって運転できなければならないが、レベル4、5ではその必要がない。

Tesla(テスラ)も独自の「完全自動運転」機能のベータプログラムを開始しており、徐々にテストドライバーを増やしているが、批評家によると、その名前と異なり実際には完全な自動システムではなく、規則の上でもその分類にはまだ入らないという。Hondaによる2021年3月のレベル3レジェンドの発売は、当局承認済みの量産自動運転システム初の本格的テストとして、世界中の規制当局と一般ドライバーが注目するだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転配達のNuroが新たに約526億円調達、ソフトバンクも追加出資

元Google(グーグル)のエンジニア2人が創業した自動運転配達スタートアップのNuro(ニューロ)が5億ドル(約526億円)を調達した。投資家らはロボティクスや自動走行車両のテクノロジーの長期的追求にまだ関心を持っていることをうかがわせる。ポストマネーのNuroのバリュエーションは50億ドル(約5260億円)だ。

今回のシリーズCラウンドはT. Rowe Price  Associates, Inc.のアドバイスを受けたファンドと投資家がリードした。また新規投資家としてFidelity Management & Research CompanyとBaillie Giffordが、そしてSoftBank Vision Fund 1、Greylockといった既存投資家も参加した。

Nuroは2016年6月にGoogleの元エンジニア、Dave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジウ)氏によって設立された。当初はファーガソン氏とジウ氏の資金で賄っていたが、投資家を引きつけるのに苦労はしなかった。NuroはシリーズAの資金調達ラウンドを2016年に中国で終え、NetEaseの創業者Ding Lei(ディン・レイ)氏がNuroの役員会に加わった。そして2つめの資金調達を米国で2017年6月に実施し、NuroのシリーズAラウンド調達総額は9200万ドル(約97億円)となった。しかし、自動走行車両テクノロジーを商業化しようと多くのスタートアップがしのぎを削る中でNuroのリードを支えたのは、2019年2月のSoftBank Vision Fundによる9億4000万ドル(約990億円)という巨額投資だった。この投資により、Nuroのバリュエーションは27億ドル(約2840億円)になり、18カ月で倍増した。SoftBankの資金によってNuroは従業員650人超の企業に成長した。

自動走行車両業界の他のスタートアップと異なり、Nuroは人ではなく荷物を運ぶために低速で走る電気自動走行車両のデザインに注力してきた。同社の最初のテストは、自動運転システムを搭載したトヨタのプリウスで行った。Nuroは2018年にアリゾナ州での配達サービス試験でKroger(クローガー)と提携した。試験では当初プリウスを使い、その後R1配達ボットに移行した。NuroはまたCVS、Domino’s(ドミノズ)、Walmart(ウォルマート)といった企業とも提携した。

それからNuroは第2世代車両R2を開発した。レストランやグローサリーストア、他の事業所向けにデザインされたこの配達ロボットは2020年初め、ドライバーレス車両として走行することできると米政府から例外として認められている。

「我々は安全、そして安価なローカル配達サービスに対する消費者需要における先例のないシフトを目にしている」とCEOで共同創業者のジウ氏は声明文で述べた。「世界のトップ投資家の多くと協業することになった今回の資金調達は、当社の世界に誇れる技術が人々の日常に受け入れられるという未来に向けて自信を与えてくれるものだ」。

R2をアリゾナ、カリフォルニア、テキサス州の公道でテスト走行させている同社はTechCrunchに対して、「複数の都市でサービスを構築し、複数のマーケットで展開するのには数年かかるが、新たな資金により今後しばらくは自信を持って成長できる」と述べた。Nuroは短期的には、ヒューストンでのサービス拡大と商業サービスでのR2活用を目指している。

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(翻訳:Mizoguchi

後付け自動運転システムを開発する中国のスタートアップPony.aiが276億円の資金調達、評価額5476億円に

中国のスタートアップ、Pony.aiが自動運転車ビジネスに参入したのは比較的新しいが、2億6700万ドル(約276億円)のベンチャー資金の調達に成功して53億ドル(約5472億円)の会社評価額を達成した。

今回のラウンドはカナダの教員年金基金を運用するTIPがリードした。画期的なテクノロジーを持つ後期スタートアップの成長を助けることを主な目的としている。ラウンドには中国のFidelity China Special Situations PLC、5Y Capital(以前のMorningside Venture Capital)、ClearVue Partners、Eight Roadsもパートナーとして参加している。資金は主として同社の研究開発に使われるという。

Pony.aiは創立以来4年の間に投資家、OEM、一次下請メーカーの支持を得ることに成功した。中国とカリフォルニアに拠点を持つ同社は、2020年初めのトヨタ自動車からの4億ドル(約413億円)を含めて(Pony.aiリリース)総額10億ドル(約1033億円)以上の資金を調達している。Ponyはトヨタ、Hyundai、Boschなどの著名な自動車メーカー、部品メーカーと提携している。

Ponyが開発している「バーチャルドライバー」は自動車というハードウェアに依存せず、乗用車からトラックまでモデルを問わず後付けできる自動運転システムだ。これは自家用車からライドシェアリング、ロジスティックスまで広い利用範囲を狙っている。同社によればすでに2019年に自動車関連メーカーに長距離輸送トラック向けのテクノロジーを提供していたという。しかし一般に最もよく知られているのは自動運転車によるタクシーサービス、いわゆるロボタクシーだろう。

Ponyはカリフォルニア州フリーモントとアーバイン、中国の広州でライドシェアリングと通勤システムのテストを開始している。Ponyによれば2019年にHyundaiの電動車、KonaとViaのロボタクシー、BotRideに同社の自動運転システムが搭載され公道で通勤用タクシー業務をテストした。これは完全な無人運転ではなく安全確保のために運転席には常に人間のドライバーがいた。BotRideのパイロットプログラムは2020年1月に終了した。

この後、Ponyはカリフォルニア州アーバイン地区でPonyPilotというロボタクシーの公開テストを始めている。新型コロナウイルスによるパンデミックに対応してPonyのロボタクシーも通勤などのシャトルサービスから企業向けパッケージサービスに重点を移している。2020年4月にPony.aiは通販プラットフォーム、Yamibuyに協力し、アーバイン地区で宅配業務の戸口配達部分、いわゆるラストワンマイルを実施することを発表した。Pony.aiは「パンデミックによりオンライン通販の需要が急増し、配送能力が逼迫している中、私たちのサービスは宅配能力の拡大を助けます」と述べている。

関連記事:ヒュンダイが自動運転車によるロボタクシーサービスをカリフォルニアで試験運用

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ダイムラーがLiDAR企業Luminarに投資、自動運転トラックの高速道路投入を推進

Daimler(ダイムラー)のトラック部門が、LiDAR(ライダー)の開発企業であるLuminar(ルミナー)に投資を行った。これは運転席に人間のドライバーを乗せることなく、高速道路を走行できる自動運転トラックを製造するための、より広範なパートナーシップの一環である。

この契約は、DaimlerとWaymo(ウェイモ)がトラックFreightliner Cascadia(フリートライナー・カスケディア)の自動運転バージョンを共同で開発する計画を発表(未訳記事)してからわずか数日後に公表された。これはロボタクシーや乗合車両を諦め、その代わりに自動運転技術がどのように貨物輸送に応用できるかに集中することにしたDaimlerによる、最新の動きである。

Daimlerによるこの非公開投資は、Luminarが特別目的買収会社(SPAC)であるGores Metropoulosとの合併の一環として調達した、1億7000万ドル(約177億8000万円)に加算される。Luminarは、2020年末に完了する見通しのGoresとの合併により上場企業となる。

Daimlerは、自動運転トラックの製品化を2本立てで目指している。同社は、「レベル4の自動化」が可能なトラックを開発するために社内で取り組んできた。この業界用語は、高速道路など特定の条件や環境において、人間が介入することなく、運転のあらゆる側面に対応できることを意味している。この取り組みが加速したのは、2019年春にDaimlerが、自動運転トラックスタートアップのTorc Robotics(トルク・ロボティクス)の過半の株式を取得してからのことだ。Torcはそれまで2年に渡ってLuminarと共同開発を行っていた。LiDAR(light detection and ranging radar)とは、レーザー光を使用して距離を測定し、車両の周囲の高精度な3Dマップを生成する仕組みだ。自動化された車両技術を安全かつ大規模に導入するための重要なハードウェアである。

この計画では、Torc Roboticsの自動運転システムとLuminarのセンサーをFreightliner Cascadiaトラックに統合し、同時に自動トラックを運用するためのオペレーションとネットワークセンターを構築する予定だ。Daimlerによると、Daimler TrucksとTorcの統合自動運転車両は、高速道路のハブからハブまでの適用、特に物流センター間の長距離で単調な輸送向けに設計される。

一方、Daimler Trucksは、Waymoが自動運転システムを統合できるように、冗長システムを備えカスタマイズされたFreightliner Cascadiaトラックシャーシも開発している。こちらの場合には、ソフトウェア開発はWaymo社内で行われる。Daimlerはシャーシ開発に集中するだけだ。

このデュアルアプローチは、量産型レベル4トラックを世界中の高速道路に投入するという、ダイムラーの野望を中心に据えることになる。またこの取引は、Luminar創業者のAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏の信念である最も商用車への可能性が高く道筋も短いものに集中し、利益の上がる会社を目指すという、Luminar社の戦略をよりはっきりと示すものだ、

ラッセル氏は最近のインタビューで「当社は、常に高速道路上での自動運転のユースケースを中心にしてきました。これは特に旅客用車両やトラックに当てはまります」と述べ、コスト効率の高い生産手段で量産化できる製品を提供することを目標としていると付け加えている。

Luminarはすでに、旅客用車両のユースケースを追い求める自動車メーカーとの契約を公表している。Volvo(ボルボ)は、Luminar社が開発したLiDARと知覚装置を搭載した車両を生産し、2022年から高速道路向けの自動運転システムを投入する予定だ。LuminarにとってDaimlerとの提携は2つ目のユースケースとなる。

「自動運転トラック輸送は、ロボットタクシーよりも大きく、おそらく近い将来には消費者向け車両と同等になる、信じられないほど価値あるビジネスモデルであると、私は絶対的に信じています」とラッセル氏は語る。

関連記事:LiDARスタートアップのLuminarが約3600億円のSPAC合併で株式公開へ

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タグ:DaimlerLiDARLuminar自動運転

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(翻訳:sako)

Teslaが「フル自動運転」オプションの価格を100万円超に引き上げ

Tesla(テスラ)は、その「Full Self-Driving(FSD、フル自動運転)」ソフトウェアアップグレードオプションを先週から段階的にリリースし始めているが、創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏の予告通り(未訳記事)、同時にその価格を1万ドル(約104万円)に引き上げた。これにより、パッケージの価格はこれまでの価格から2000ドル(約20万9000円)も(未訳記事)値上がりした。同価格は2019年5月から着実に上昇を続けてきている。

FSDオプションは、Teslaのドライバー支援技術Autopilotを補完するオプションのアドオンとして既に販売されていた。ただし、2020年10月のベータ版がローンチされるまでは、テスラのオーナーは機能自体を利用できないままだった。これはまだ限定的なベータ版に過ぎないものの、それでもマスク氏とTeslaがFSDという名の下に公開しようとしていたものに近いものである。Teslaは量産型の車両向けのフル自動モードを何年も宣伝し続けていた。

「フル自動運転」という名前にもかかわらず、FSDはSAEインターナショナル(米国自動車技術者協会)によって定義され、ほとんどの自動運転業界に受け入れられている自律性の基準の、レベル 4またはレベル5に相当する「フル自動」ではない。マスク氏はそれを「自律的でありながらも必要に応じて人間の監督と介入を必要とする」能力を持つ車として設計している。一方、SAE規格ではレベル4とレベル5(「真の自動運転」と見なされることが多い)はドライバーの介入を必要としない。

それでも、ユーザーからの初期のフィードバックによれば、この技術は色々な点で印象的なようだ。とはいえ、いかなる種類の自動運転ソフトウェアであろうとも、公共の場で人間の監視なしにテストすることは、信じられないほど危険な行為に思える。マスク氏は、年末までにはベータ版を終えてFSD技術が広く展開されるはずだと述べているので、彼は間違いなくその性能に自信があるようだ。

値上げは、彼と会社が抱く自信の、また別の表れなのかもしれない。マスク氏は常に、後日手に入る技術開発に初期段階からお金を払ってくれるユーザーに対して割引を行うよう振る舞ってきたので、そうした意味でもこの段階で価格が上昇することには意味がある。またこれは明らかに、Teslaの利益率を高めるのために役立つが、同社は既にアナリストが予想する売上と利益の両方を上回る結果を達成している。

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(翻訳:sako)