SpotifyがTikTokに似た縦方向ビデオフィードのテストを開始

TikTokのショートビデオのフィードはInstagramからSnap、YouTube、さらにNetflixに至るまで、多くの競合に模倣されている。今度はSpotifyも模倣の仲間に加わるようだ。Spotifyはアプリ内でDiscoverという新機能をテストしていることを認めた。Discoverはミュージックビデオを縦方向のフィードで表示する機能で、ユーザーは上下にスクロールして見ていく。お気に入りにしたりスキップしたりすることもできる。この機能が提供されているユーザーに対しては、アプリ画面下部のナビゲーションバーで「ホーム」と「検索」の間にタブが1つ増え、タブが4つになっている。

この新機能を初めて指摘したのはChris Messina(クリス・メッシーナ)氏で、Discover機能の動作を動画でツイートした。同氏はこの機能について、ミュージックビデオを表示するTikTok風フィードの「簡略版」と表現している。

メッシーナ氏はTechCrunchに対し、SpotifyのTestFlight版(iOS用のベータ版)でこの機能を見つけたと語った。ナビゲーションバーに新しいアイコンがあり、タップするとすぐにビデオのフィードが表示されるという。上下にスワイプしてフィードを移動する操作がTikTokによく似ている。さらにハートをタップして曲をお気に入りにしたり、3つの点のアイコンをタップして標準で使われている曲の情報画面を表示したりすることができると同氏は説明した。

同氏は、この機能はSpotifyに以前からあるCanvasのフォーマットを活用しているのだろうと推測している。

2019年に広く導入されたCanvasは、Spotifyアプリで曲とともに表示されるビデオをアーティストが設定できる機能だ。この機能にはユーザーからさまざまな意見がある。音楽を聴くときは静止画のアルバムアートワークだけが表示されている方が好ましくビデオがループしているのは邪魔だという人がいる一方で、ビデオのループが好きだという人もいる。ともあれCanvasはSpotifyが狙っていた効果をあげているようで、同社はユーザーがCanvasを見ているとストリーミングを継続し、曲を共有したり保存したりする傾向が強いと発表している。

メッシーナ氏が共有したビデオやそれ以外に我々が見たビデオから、縦方向のフィードで再生されているのは既存のCanvasビデオであることが確認できた。しかしSpotifyはこれに関してはっきりとは認めなかった。

TechCrunchはSpotifyに対し、この機能を広く公開する予定があるか、iOSとAndroidの両方で利用できるか、どのマーケットで利用できるかなどの詳細を問い合わせた。Spotifyは詳細を明らかにしなかったが、縦方向のビデオフィードのアイデアを試していることは認めた。

同社は「Spotifyはユーザーエクスペリエンスを向上させるために常に多くのテストを実施しています。最終的にユーザーエクスペリエンスの幅を広げることにつながるテストもあれば、重要な研究として実施されるだけのテストもあります。現時点で共有できる情報は、これ以上はありません」と補足した。

つまり、このテストはごく初期のものであり、広く公開されない可能性がある。しかし広く公開されなかったとしても、Spotifyの動きとしては驚くにはあたらない。同社はこれまでもソーシャルメディアで人気のフォーマットに目を向けてユーザーを引きつけようとしてきた。インフルエンサーが自分で作ったプレイリストを投稿できるストーリーズ機能をテストしていたこともある。しかしこの機能はSpotifyの全ユーザーに公開されることはなかった。

TikTokのフォーマットは人気のソーシャルプラットフォームに取り入れられてきた。Instagramのリール、SnapchatのSpotlight、YouTubeショート、Pinterestのアイデアピンなどだ。コンテンツを見つけるのに理想的なフォーマットであることも証明されつつある。例えばNetflixは最近、縦方向の短尺ビデオフィードをアプリに取り入れ、Fast Laughs機能として公開した。これは同社のコンテンツライブラリからクリップを配信するもので、番組をウォッチリストに保存したりストリーミングをすぐに開始したりするツールとなっている。これと同様に動画をベースとしたSpotifyのDiscover機能も、おなじみのフォーマットでユーザーに新しい音楽を紹介し、ユーザーの関心をSpotifyに伝える役割を果たすかもしれない。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Spotify、ネットフリックスの関連サントラ音楽やポッドキャストを集めた「Netflix Hub」を開始

Netflix(ネットフリックス)のお気に入りの番組のサウンドトラックを探している?拡大されたNetflixとSpotify(スポティファイ)のパートナーシップのおかげで、より簡単に探すことができるようになった。Netflixは米国時間11月23日、アプリ上で、人気番組や映画の公式サウンドトラック、プレイリスト、ポッドキャストを見つけることができる「Netflix Hub(ネットフリックスハブ)」を導入した。

Netflix Hubでは「ストレンジャー・シングス 未知の世界」「ペーパー・ハウス」「ナルコス:メキシコ編」「アウターバンクス」「イカゲーム」「チック、チック…ブーン!」「ブリジャートン家」「カウボーイビバップ」「ヴァージンリバー」「マイ・ブロック」などのサウンドトラックやプレイリストを提供している。

また「Okay, Now Listen」「Netflix Is A Daily Joke」「10/10 Would Recommend」「You Can’t Make This Up」などのNetflixに関連したポッドキャストや「The Crown:The Official Podcast」「Behind the Scenes:Shadow and Bone」などの人気番組を掘り下げたものがある。

他にも、Jay-Zが主導したサウンドトラック制作の舞台裏をファンに提供するNetflixの西部劇「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野」の拡張版アルバムなども、音楽やファンの新しい体験の一部となる。また「ペーパー・ハウス」パート5ボリューム2のコンテンツ・デスティネーションや、BuzzFeedのクイズのような、自分が「ペーパー・ハウス」のキャラクターの誰になるかを当てるゲームができるキャラクターマッチング経験などもある。

画像クレジット:Spotify/Netflix

このHubは、SpotifyとNetflixの既存のパートナーシップの上に成り立っているとSpotifyはTechCrunchに語った。両社はこれまでに多くの公式プレイリストで協力してきた。

Netflixは、Spotifyのアプリでハブを持つためのアクセス権を購入していない。つまり、これは広告商品ではなく、お金のやり取りもない。そのかわり、両社は、重なり合うファン層のために協力することに可能性を感じているのだ。

Spotifyのアプリにテーマ別の「ハブ」を導入する大手企業は、Netflixだけではない。最近では、SpotifyとPeleton(ペロトン)が同様の提携を発表し、Pelotonのインストラクターによるプレイリストを掲載した「Curated by Peloton(キュレイティッド・バイ・ペロトン)」ワークアウトハブを導入した。また、アプリ以外では、2021年初めにSpotifyは、アーティストのGIFを使ってユーザーに音楽を紹介するため、GIPHY(ギフィー)と提携した。

Netflixのコンテンツの一部をSpotify専用にすることは、Netflixにとって意味のあることかもしれない。というのも、音楽やポッドキャストを提供しているもう1つの大企業Apple(Apple MusicおよびApple Podcasts)は、Apple TV+ストリーミングサービスでNetflixの競合相手となっているからだ。Spotifyは、少なくとも現時点では、Netflixの中核市場に進出していないため、パートナーとして適していると言える。

Spotifyは、今後数カ月のうちに、より多くの専用コンテンツをNetflix Hubに展開する予定だという。

Netflix Hubは、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国、アイルランド、インドのフリーおよびプレミアムのすべてのユーザーが利用できる。

画像クレジット:Spotify/Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

ついにSpotifyが全世界のユーザーにリアルタイム歌詞表示機能を提供

Spotify(スポティファイ)は何年にもわたって、アプリ内歌詞に関するユーザーからの要望を特に米国で無視してきたが、米国時間11月18日、新たにLyrics(歌詞)機能を無料版、プレミアム版を問わず世界の全ユーザーに提供すると発表した。この機能は、歌詞サービスプロバイダーMusixmatchが提供するもので、SpotifyとMusixmatchがすでに結んでいる、インド、中南米、東南アジアのユーザーに歌詞を提供する契約を拡大する。

2019年に最初のテストを行った後、Spotifyは2020年に音楽に同期したリアルタイムの歌詞を世界26市場のユーザー向けに導入した。26市場のうち22市場が何らかのかたちで歌詞のサポートを得たのは初めてだったと、同社は当時述べている。その契約はその後、28市場に拡大した。日本のSpotifyユーザーも、SyncPowerとの単独契約により歌詞にアクセスできるようになっている。

しかし、その他の市場のユーザーは、2016年にGeniusと提携して開始した「Behind the Lyrics」という、歌詞に曲の意味やアーティスト、その他解説などトリビアを散りばめたものを提供する機能にしかアクセスできなかった。一方で、Spotifyのコミュニティフィードバックフォーラムを通じて何千人ものユーザーがここ数年、事実やバックグラウンド情報を挟んだ歌詞ではなく、リアルタイムの歌詞機能を希望するとSpotifyにアピールしていた。

そうしたユーザーの願いが、いま叶う。

SpotifyはTechCrunchに対し「Behind the Lyrics」を終了し、新しいLyrics機能に移行することを認めた。

歌詞は、プラットフォームにもよるが「Now Playing」ビューまたはバーから利用できる。

モバイルでは「Now Playing」画面から上にスワイプすると、曲の再生中にリアルタイムで歌詞がスクロール表示される。デスクトップアプリでは「Now Playing」バーからマイクのアイコンをクリックすることができる。また、Spotify TVアプリでは「Now Playing」画面の右上にある歌詞ボタンから「Lyrics」を有効にする。

同社によると、この機能はPlayStation 4、PlayStation 5、Xbox One、Android TV、Amazon Fire TV、Samsung、Roku、LG、Sky、Comcast向けのアプリを通じて、大画面で利用できるようになるとのことだ。

また、新機能では、モバイルの画面下にある付属のボタンからの共有が組み込まれていて、ユーザーは共有したい歌詞と共有先を選択することができる。

なお、無料版とプレミアム版では、歌詞の表示に違いはないとのことだ。

音楽アプリのリアルタイムの歌詞表示には、複雑な歴史がある。歌詞が音楽出版社から提供されない場合、企業はサードパーティのプロバイダーを利用する。しかし、そうしたプロバイダーは必ずしも公平ではない。例えばGoogleは、2019年にGeniusの歌詞集を盗用したとしてGeniusに訴えられた。Geniusは「現行犯」をとらえるために歌詞に秘密のコードを巧妙に埋め込んで追跡していた。それらの歌詞は後にGoogle.comの検索結果に表示された。しかしGoogleは、責任はパートナーであるLyricFindにあるとした。歌詞に関する大型の取引ではパートナーの選択肢が少なく、Genius、LyricFind、Musixmatchのいずれか(またはその組み合わせ)と提携する傾向があるため、Googleは提携を解消しなかった。

そうしたこともあって、2018年にAppleが数千のトップソングの歌詞についてGeniusとの提携を発表し、その2年後にGeniusの独占的なウェブプレイヤーとなったことは大きな話題となった。他のサービスでは、PandoraはLyricFindと連携しているとし、AmazonはLyricFindとMusixmatchの両方と連携しているとウェブサイトに記載されている。

今回の契約拡大により、Spotifyが提供されているすべての市場でLyricsが利用できるようになり、ライバルがSpotifyに対して持っている大きな競争力の1つがなくなる。

Spotifyによると、Lyricsは米国時間11月18日から全世界で提供が始まる。

画像クレジット:Stockcam / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpotifyがFindawayを買収、オーディオブックに進出

Spotify(スポティファイ)は、音楽以外の分野にも進出するため、数億ドル(数百億円)を投じてポッドキャスト事業を強化してきた。そこで、オーディオの別の形態に狙いを定め、デジタルオーディオブック配信会社であるFindaway(ファインダウェイ)を買収した。

Spotifyは、この買収の金銭的条件について明らかにしていない。買収は、規制当局の審査と承認を経て、2021年第4四半期に完了する予定だ。

2004年創業のFindawayは、世界中のリスナーに、より多くのオーディオブックを届けることに注力してきた。

同社は現在、さまざまなブランドや製品を展開しており、その中心は、コンテンツ制作者と再販業者をつなぐ大規模なオーディオブック配信事業だ。再販業者には、Apple、Google、Scribd、Audible、Nook、Rakuten Kobo、Chirp、Storytel(Spotifyのパートナー)、Overdrive、Audiobooks.comなどがいる。

Findaway傘下のブランドには、著者とプロのナレーターを結ぶFindaway Voices、一流の出版社向けにオーディオをプロデュースするAudioworks、図書館や学校に対しプリロードされたオーディオブック製品を提供するPlayaway、リスナーに多様なオーディオカタログを提供するOrange Sky Audio、開発者がオーディオブックの幅広いカタログを自社のプラットフォームに統合する際に必要なツールや技術を提供するAudioEngineなどがある。

Spotifyは、Findawayの約150人のチームを招き入れる。また、Findawayが行ってきたオーディオ業界への投資を活用していく予定だという。また、Spotifyの3億8100万人の月間アクティブユーザーへのアクセスに、オーディオブックを加えることも計画している。

「この買収をテコに、プラットフォームを拡大し、オーディオブック分野への参入を加速する計画です」とSpotifyのオーディオブック部門の責任者であるNir Zicherman(ニール・ジッカーマン)氏は話す。Spotifyのユーザーがオーディオブックにアクセスする場合、現在は他のプラットフォームを利用する傾向にあるが、今後はSpotifyのアプリの中でオーディオブックの消費を可能にしたいと考えている、とジッカーマン氏は説明する。当面、Spotifyのユーザーは、同社の新しいオープンアクセスプラットフォーム技術(OAP)と既存の認証情報を使って、Findawayや、Storytelなど他のオーディオブックパートナーのオーディオブックにアクセスすることになる。

だがOAPの用途はもっと広く、出版社が自社のビジネスモデルに合わせてコンテンツの販売方法を柔軟に選択できるようにするものだ。この先、消費者がSpotifyでオーディオブックのコンテンツを視聴するためのさまざまな方法が導入される可能性がある。

Spotifyによると、OAPが最初に統合されるのは2022年初めになる予定だ。

「業界として、オーディオブックには大きな可能性と成長が待ち受けていると考えています」とジッカーマン氏はいう。「SpotifyとFindaway、2社のすばらしいチームとすばらしい技術を組み合わせ、別々の会社だった場合よりも早く、そのような未来を実現したいと考えています」。

調査によると、オーディオブック業界は、2020年時点の33億ドル(約3800億円)から2027年には150億ドル(約1兆7000億円)に成長すると予想されている。Findawayに投資する価値があるとSpotifyが考えたのはそのためだ。また、Spotifyは、今回のFindawayの買収をオーディオブック分野での野心の始まりと捉えており、将来的にはさらにチームを拡大することも考えている。

Spotifyの計画では、Findawayは現在と同じように、さまざまなブランドやサービスを、同じスタッフやパートナーとともに、クリーブランド地域の本社から運営していく予定だ。このアプローチは、Spotifyが買収したポッドキャスト制作プラットフォームAnchorが、Spotifyの競合他社を含む他のプラットフォームへの配信を継続した例と似ている。

今回の発表の前に、Spotifyはオーディオブックへの関心を示していた。1月には「フランケンシュタイン」「ジェーン・エア」「説得」などの古典作品に著名人のナレーションをつけて、オーディオブックのフォーマットのテストを始めた。また、Daniel Radcliffe(ダニエル・ラドクリフ)氏、David Beckham(デビッド・ベッカム)氏、Dakota Fanning(ダコタ・ファニング)氏などのスターがナレーションを担当した「ハリー・ポッター」の第1作も提供している。

さらに5月には、オーディオブックのプラットフォームであるStorytelとの提携を発表した。これにより、Spotifyのユーザーは、同じくOAPを利用したSpotifyのアプリを通じて、オーディオブックにアクセスできるようになった(Findawayの買収が、同じような提携の話から生まれたのかどうかについてSpotifyは言及していないが、その可能性は高いと思われる)。

11月11日の買収は、Spotifyがオーディオという新たな投資分野を追いかけるために、ポッドキャストへのコミットメントから離れるというわけではない、ということのようだ。

「ポッドキャストは、今後も当社のビジネスにおいて重要な位置を占めます」とジッカーマン氏はいう。「これは、消費者が求めている、そして多くの場合、すでに聴いていると思われる新しいタイプのコンテンツへの進出です。そして、そのコンテンツをSpotifyでも楽しめるようにしたいと考えています」。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tencentとの提携でApple Musicに中国の音楽が増える

世界中のApple Musicユーザーはこれまで以上に多くの中国ミュージシャンの音楽を聴けることになりそうだ。Tencent傘下でオンラインミュージックのTencent Music Entertainment(TME)が現地時間11月8日、同社の「Music Cloud」プログラムに参加する「レコードレーベルとアーティスト」の作品が今後Apple Musicで配信されると発表した

Tencentが欧米大手のオンラインミュージックと手を組むのは、これが初めてではない。2017年に同社はSpotifyと株式交換について合意した。この合意にはコンテンツの共有は含まれていなかった。

TMEの発表は具体的ではなく、TMEもAppleも今回の計画について詳しく述べていない。この計画のポイントはTMWの「Music Cloud」とは何かということだ。これについてTMEは以下のように説明している。

TMEが公開する新しいグローバル音楽配信プラットフォームのTME Music Cloudには、コンテンツのセルフマネジメント、オンライン配信とプロモーション、利用料金の処理、音楽データのインサイトの機能もあり、幅広いパートナーレーベルやクリエイターに世界レベルでの多チャンネル配信を提供します。同時にTMEが持つ業界のリソースとTencentのソーシャルエコロジーにより、コンテンツクリエイターに対してコンテンツ制作やプロモーション、商業化に関して総合的に支援します。

この説明からすると、Music Cloudは大手レコードレーベルからの配信やマーケティングの支援がない、あまり売れていないアーティストに提供されるようだ。

この4年間、TMEはインディーズのミュージシャンを対象とするプラットフォームを構築し、作品の配信、ファンへのアピール、バーチャルコンサートの開催、そして最終的には収益化ができるようにしてきた。その代わり、TMEは作品に対してライセンスの権利を取得する。

しかしTMEにとっての本当の収入源は、台湾のJay Chou(ジェイ・チョウ)のようなトップミュージシャンの権利だ。ジェイ・チョウはユーザー確保の上で極めて価値が高い存在で、TMEは2017年にチョウの権利を侵害したとしてNetEase Musicを提訴した

TMEは長年にわたり、レコードレーベルの「ビッグ3」と呼ばれるユニバーサルミュージック、ワーナーミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメントから独占ライセンスを確保するために多額の資金を投じてきた。しかし中国がテック業界に対して独占的活動を取り締まり、TMEの厚い壁が壊れ始めている。2021年7月に中国の市場規制当局はTMEの「不公平な」市場活動に対して制裁を課し、オンラインミュージックの独占権を放棄するように通告した。

TMEが高額なライセンスの音楽をApple Musicと共有するとは考えにくい。もし共有すれば、この提携は代償をともなうだろう。TMEとAppleが詳細を明らかにすれば、さらに多くのことがわかるはずだ。今のところ、世界中のオーディエンスに聴いてもらえる可能性に中国の新人ミュージシャンが大きな魅力を感じることは確かだ。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

TC Tokyo2021特別セッション「YOASOBIプロデューサーが見たクリエイターエコノミー」開催決定

12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションがあるが、今回は、クリエイターエコノミーをテーマにした特別セッション「YOASOBIプロデューサーが見たクリエイターエコノミー」も行われる。

投稿小説を音楽にするというプロジェクトとして登場し、社会現象にもなった音楽ユニット「YOASOBI」。2019年のスタートから、コロナ禍という特殊な状況の中、どのように成長し、愛されるようになったのか。

THECOO代表取締役CEO平良真人氏

現在のエンタテインメント業界とテック業界との関係なども合わせて、YOASOBIプロジェクトを立ち上げたソニー・ミュージックエンタテインメントの屋代陽平氏、山本秀哉氏が登壇、日本をはじめ全世界的に盛り上がりを見せている「クリエイターエコノミー」についてのセッションとなる。

また、本セッションにはモデレーターとして、三度の飯よりロックが大好きというTHECOO株式会社の代表取締役CEO平良 真人氏も参加。今回のセッション撮影会場となるスタジオBLACKBOX³の運営も行うTHECOOは、会員制のファンコミュニティアプリFaniconの運営やインフルエンサーマーケティング関連事業を行っている。

参加者チケットは現在発売中。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。

チケット購入

本記事執筆時点では「早割チケット」は税込3500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。

Spotifyは「見て」ももらいたい、ビデオポッドキャスト用ツールを同社傘下Anchorのクリエイターに開放

Spotify(スポティファイ)は、買収、独占契約、その他のパートナーシップの間で、ポッドキャスティングにすでに約10億ドル(約1130億円)を投資している。そして、Spotifyは人々に聴くだけでなく、見てももらいたいと考えている。同社は米国時間10月21日、クリエイターがビデオポッドキャストできるようになる新しいツールを開始することを発表した。このツールは、Spotifyのポッドキャスト制作プラットフォームAnchor(アンカー)が提供するもので、一部のクリエイターのみを対象に、2020年にグローバルで開始したビデオポッドキャストを発展させたものだ。

当時、Spotifyは、ビデオポッドキャストのデビューラインナップには、Spotify Originals and Exclusives(オリジナル&独占)に加え、サードパーティ制作のポッドキャストも含まれていると述べていた。しかし、どんなクリエイターでも動画を配信できるわけではなかった。代わりに、YouTube(ユーチューブ)などの他の動画プラットフォームを利用する必要があった。

この状況が変わる時が来た。Anchorによって、現在のオーディオエピソードの作成・公開するのと同じように、クリエイターが自分のアカウントを使って動画をアップロードできるようになる。公開されたポッドキャストは、Spotifyのモバイルアプリ、デスクトップアプリ、ウェブプレイヤー、そしてほとんどのスマートテレビやゲーム機など、さまざまなプラットフォームで聴くことができる。また、クリエイターは、音声ポッドキャストと同様に、定額制を利用してビデオを収益化することができる。

関連記事:Spotifyのポッドキャストサブスクを米国の全クリエイターが利用可能に

クリエイターは価格を設定し、サブスクリプションに何が含まれるかを決めることができるが、Spotifyは、サブスクリプションによって独占的なビデオコンテンツへのアクセスを提供したり、クリエイターのポッドキャストのビデオ部分をアンロックしたりすることができると提案している。ビデオポッドキャストには、クリエイターの既存の広告パートナーも組み込むことができ、近々、より新しい自動化された広告にも対応する予定だ。

Spotifyは正式にAnchorクリエイターへのアクセスを開始したが、機能は徐々に展開されている。つまり、興味のあるクリエイターは、当面はウェイティングリストに登録する必要がある。ちなみに、Appleはすでに、ビデオポッドキャスティングのホスティングを、すべてのホスティングソリューションを使用するすべてのクリエイターに提供している。

一方、Spotifyのビデオラインナップには、The Ringer(リンガー)のHigher Learning with Van Lathan and Rachel Lindsay(ハイヤーラーニング・ウィズ・ヴァン・レイサン・アンド・レイチェル・リンゼイ)やThe Joe Rogan Experience(ジョー・ローガン・エクスペリエンス)などのオリジナル&独占番組のビデオポッドキャストが含まれている。また、Philip DeFranco(フィリップ・デフランコ)、Jasmine Chiswell(ジャスミン・チズウェル)、The WAN ShowJuicy Scoop with Heather McDonald(ジューシー・スクープ・ウィズ・ヘザー・マクドナルド)など、今後Spotifyで公開される他のビデオクリエーターも含まれる。

Spotifyは過去に、動画への進出を試みては失敗してきた。5年前に行ったオリジナルビデオへの最初の取り組みは大失敗に終わり、同社はしばらくの間、ビデオ計画を棚上げにしていた。しかし最近になって、同社はYouTubeをベースにした動画事業を持つスポーツネットワークのThe Ringerを買収し、動画への復帰の可能性を示唆した。その後も、TikTok(ティックトック)のスターからNetflix(ネットフリックス)の女優になったAddison Rae(アディソン・レイ)との契約など、動画への移行が可能な契約を次々と行っている。

今回のポッドキャストクリエイターへの動画配信の拡大は、YouTubeが自社のポッドキャスティング事業へのさらなる投資を検討しているというニュースに直結している。2021年10月、Bloombergは、YouTubeがポッドキャストに特化した初の幹部を採用すると報じた。実際にアップロードを開始するためのアクセスは、まだウェイティングリストによってブロックされているものの、このニュースを受けて、Spotifyが自社のビデオポッドキャスティングへの取り組みを推進することになったのかもしれない。

現在、Spotifyで動画コンテンツを探すには、見たい番組からエピソードページに移動し、再生ボタンを押してエピソードを開始する必要がある。画面下の再生バーをタップすると、動画がフルスクリーンで表示される。あとは、何をしているかに応じて、聞くか見るかを選ぶことができる。

ただし、動画に対応しているすべてのポッドキャストを簡単に確認する方法はまだない。Spotifyは、サービス開始時にビデオとして利用できるポッドキャストの数については明らかにしていないが、年末までに「数千」のポッドキャストへのアクセスを提供する予定であると述べている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

SpotifyがShopifyと提携、アーティストのプロフィールに商品販売セクションを追加

Spotify(スポティファイ)は米国時間10月20日朝、電子商取引プラットフォームを提供するShopify(ショッピファイ)との新たな提携を発表した。これにより、Spotifyのサービスを利用しているアーティストは、SpotifyのプロフィールとShopifyのストアを結びつけることができ、Spotifyのアプリを通じてファンに直接商品を販売することが可能になる。アーティストは、Spotify for ArtistのアカウントとShopifyのオンラインストアを連携させることで、商品カタログをSpotifyに同期させ、音楽ストリーミングアプリ内のプロフィールに任意の商品を表示することができる。

ファンはそこから商品を閲覧し、購入することができるようになる。この統合により、アーティストの既存のShopifyストアへのアクセスが容易になるだけでなく、まだ商品サイトを開設していないアーティストにとっては新たな収益源となり、すでに他の場所でウェブサイトを開設しているアーティストにとっては、Shopifyのプラットフォームに切り替えるよい理由となるだろう。

Shopifyによると、すでに何千ものアーティストのウェブサイトが運営されており、音楽だけでなく、彼らが「完全に認知される」ブランドを構築するためにビジネスを拡大している。

「今日のアーティストは起業家のようです。彼らは多面的なブランドやビジネスを構築しており、私たちは彼らがファンと出会うことを容易にしています。Spotifyに起業家精神をもたらすことで、アーティストが従来の商品モデルを超えて、収益化のための新しい方法を考えたり、コマースを通じてブランドを試したりすることを可能にしています」と、ShopifyのプロダクトディレクターであるAmir Kabbara(アミール・カバラ)氏は述べている。

画像クレジット:Spotify

また、Shopifyは、アプリのエコシステムが充実していることから、アーティストがオンデマンド印刷や商品発見ツールのような新しいサービスを実現するのにも役立つとしている。Shopifyのインフラは、多くのフォロワーを持つアーティストが新製品を発表したときなどに、大量のトラフィックを管理することもできる。

今回のShopifyとの提携は大きな意味を持つが、Spotifyが他社と提携し、アーティストがアプリを通じて商品を販売できるようにするのは初めてのことではない。Spotifyは、長年にわたり、アーティストのプロフィールを他の商品サービスプロバイダーと統合して提供してきた。現在は、Merchbar(マーチバー)との契約が行われているが、過去にはBandPage(バンドページ)Topspin(トップスピン)との提携もあった。

Merchbarでは、アーティストが自分のプロフィールに掲載する商品を3つ選ぶことができる。今回、Shopifyを利用しているアーティストも同様のことができるようになる。

アーティストは、まずデスクトップでSpotify for Artistの管理画面にログインし「プロフィール」タブを開き「マーチ」をクリックする。そこから、Shopifyのストアから3つのアイテムを選んでプロフィールに掲載する。現在、アーティストは1人のアーティストにつき1つのShopifyストアしか接続することができないようになっている。

Shopifyは、登録を促進するために、Spotifyアーティストが初めて登録した場合、90日間の無料トライアルを提供している。

ただし、Spotifyによると、この機能は現在「ベータ版」だという。世界中のすべてのアーティストがShopifyストアにリンクすることができるが、当面はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国のリスナーにのみ商品が表示される仕様になっている。

画像クレジット:Spotify

ShopifyとSpotifyは、新しいクリエイターエコノミーを実現するという点で共通しているが、両者の重点分野は異なる。Shopifyは、自社のeコマースプラットフォームをあらゆる種類のクリエイタービジネスを補足する存在だと考えているのに対し、Spotifyの関心は、アーティスト(現在はポッドキャストクリエイターも含む)の方だ。Spotifyはこれまで、アーティストのビジネス拡大を支援するために、チケット販売チップスーパーファン限定メールなど、クリエイター向けのツールを数多く展開してきた。

2021年初め、SpotifyのCEOであるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏とShopifyのCEOであるTobi Lütke(トバイアス・トビ・ルーク)氏は、Clubhouse(クラブハウス)のセッションに参加し、今日のクリエイターがマネタイズ戦略を多様化するさまざまな方法について語った。

その際、エク氏は、多くのアーティストがShopifyのプラットフォームを利用していることに触れ、Shopifyとの連携の可能性を示唆していた。

「今、成功しているほとんどのクリエイターは、オムニタレント(万能型のタレント)であり、オムニチャネルである」と彼は当時語っている。「つまり、YouTubeで動画をアップしたり、Instagramを利用したりしているのです。おそらく、ブランドをまとめてShopifyにアップしているでしょうが、音楽や商品もShopifyにアップし、音楽はもちろんSpotifyにアップして、ツアーもしているでしょう。このように、彼らはさまざまなことをして、さまざまなプラットフォームでファンとつながっているのです」とエク氏は語った。

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)a

Amazon Music Unlimited会員はヘッドフォンを問わず空間オーディオをストリーミングできるように

Amazon(アマゾン)は、米国時間10月19日からAmazon Music Unlimited会員はAndroidおよびiOSアプリで、現在使用しているヘッドフォンを使って空間オーディオをストリーミングできると発表した。同社は現在、2種類の空間オーディオをサポートしている。ソニーの「Reality Audio」と「Dolby Atmos」だ。

Amazonは2019年に初めて空間オーディオを導入したが、少数のデバイスに限定されていた。今回の拡張により、ユーザーが所有するあらゆるヘッドホンで空間オーディオを楽しめるようになる。

「我々は常に、可能な限り最高品質のオーディオが音楽ストリーミングの標準であるべきだと考えてきました。だからこそ今日、特別な機器を必要とせず、またアップグレードの必要もない空間オーディオを顧客に提供します」と、Amazon Music副社長のSteve Boom(スティーブ・ブーム)氏は声明の中で述べた。

ユーザーは、Echo Studioを含む一部のデバイスで、Alexa Castを使って空間オーディオをストリーミングすることもできる。また、Alexa Castによる360 Reality Audioに対応した機器としては、ソニーのワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」や「SRS-RA3000」、ホームシアターシステム「HT-A9」「HT-A7000」「HT-A5000」などが追加された。

加えて「Amazon Music Unlimited」の個人プラン、ファミリープラン、学生プランに加入しているユーザーは、追加料金なしで自動的にHDおよびUltra HDの音楽にアクセスできるようになる。

Amazon Music Unlimited個人プランの料金は、プライム会員が月額7.99ドル(日本では月額税込780円)、Amazonカスタマーが月額9.99ドル(月額税込980円)となっている。ファミリープランでは、月額14.99ドル(月額税込1480円)で最大6台のデバイスにAmazon Music Unlimitedをストリーミングできる。

Apple Musicが6月にiOS向け、7月にAndroid向けに空間オーディオを開始したように、空間オーディオを活用している音楽ストリーミングサービスはAmazon Musicだけではない。Apple MusicやAmazon Musicに対抗するため、Spotify(スポティファイ)は2021年初め、ロスレスオーディオを可能にするハイエンドのサブスクリプションサービス「Spotify HiFi」を展開すると発表した。

空間オーディオを活用しようとしているプラットフォームは、音楽ストリーミングサービスだけではないことも注目に値する。Clubhouse(クラブハウス)は9月、Android向けに空間オーディオを導入した。そしてNetflix(ネットフリックス)はこのほど、iPhoneとiPadのアプリで空間オーディオを提供すると発表した。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルがSiriでのみ利用できる安価なApple Music Voiceプランを発表、月額480円

Amazon(アマゾン)は2019年に、同社のEchoスピーカーでストリーミングする広告つき無料音楽サービスの提供を開始し、家庭でAmazon Musicをストリーミングするより手頃な方法を導入した。そしてApple(アップル)は米国10月18日「Voiceプラン」というApple Musicサブスクリプションの新しい低価格バージョンをデビューさせてAmazonを追撃する。Amazonのサービスと違って、Voiceプランは無料ではない。従来のものよりも安い月額4.99ドル(日本では月額480円)の広告なしのサブスクで、Siriの音声コマンドでのみApple Musicにアクセスできるようになっている。

本日開催されたイベントで同社が説明したところによると、新しいVoiceプランでは、今秋のサービス開始時にはまず17カ国でSiriを使ってApple Music内の曲やプレイリスト、すべてのステーションを再生できるようになる。気分や活動に応じた一連の新しいプレイリストや、パーソナライズされたミックス、ジャンル別のステーションにもアクセスできる。つまり、例えば、ディナーパーティーのための音楽や、1日の終わりに気持ちを落ち着かせるための音楽をSiriに流してもらえるようになる。何百もの新しいプレイリストが利用できるようになる、とAppleは話した。

SpotifyやAmazon Music、PandoraなどApple Musicのライバルは、すでにこうした機能を何年も前から提供している。なのでこれは、Appleがムードやアクティビティに合わせて選べるさらに豊富になったプレイリストでもってこの分野でのライバルに追いつこうとしていることになる。現在のところ、Apple編集のプレイリストは「Favorites Mix」「Chill Mix」「New Music Mix」「Get Up Mix」などのパーソナライズされたプレイリストを含む「Made for You」のラインナップに限られている。

新しいVoiceプランは「すべてのAppleデバイス」でApple Musicにアクセスするのに使えるとしているが、AmazonがEcho向けに提供している無料の音楽ストリーミングと同様、HomePodを念頭に置いて設計されたことは明らかだ。スマホやタブレット、パソコンなど、画面のあるデバイスを使っている場合、Siriに話しかけて音楽を再生するのは必ずしも理に適うものではない。しかし、主にAirPodsでApple Musicを聴いていて、すべてのコマンドを話すことに抵抗がない人にとっては、このサービスは興味深いものかもしれない。

Appleによると、このサービスはiPhoneをはじめiPad、Mac、Apple TV、Apple Watchなどのデバイスに加え、CarPlayでも利用できるという。

Apple Music加入者は、自分の音楽の好みに基づいた提案や、Siriを通じて最近再生した音楽のキューを表示する、カスタマイズされたアプリインターフェイスを目にする。また「Just Ask Siri」というセクションもあり、そこではSiriをApple Musicに最適化する方法を紹介している。

Apple Musicの他のサブスクには「個人プラン」と「ファミリープラン」があり、それぞれ月額9.99ドル(日本では月額980円)、月額14.99ドル(月額1480円)となっている。新Voiceプランも個人プランと同様に、1つの契約で利用できるのは1人に限定されている。このプランでは、9000万曲を超えるApple Musicの全カタログにアクセスすることができる。

画像クレジット:Apple

Voiceプランはオーストラリア、オーストリア、カナダ、中国本土、フランス、ドイツ、香港、インド、アイルランド、イタリア、日本、メキシコ、ニュージーランド、スペイン、台湾、英国、米国で提供される。

Siriを使って音楽をリクエストしている非加入者にもこのサービスを販促するとAppleはいう。非加入者はVoiceプランを7日間無料で試すことができ、自動更新はない。

新サービスの開始に合わせて、Appleは第3世代の新しいAirPodsと、カラフルなHomePod miniスマートスピーカーのラインナップも発表した。

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画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

PandoraがSoundCloudと提携し「明日のヒップホップスーパースター」を紹介する新番組を開始

SiriusXM(シリウスXM)傘下のPandora(パンドラ)は、SoundCloud(サウンドクラウド)と提携し「明日のヒップホップスーパースター」の音楽を紹介することを目的としたPandoraで利用可能な新ステーション「The Lookout by SoundCloud(ザ・ルックアウト・バイ・サウンドクラウド)」を起ち上げる。これは先日、Pandoraの親会社であるSiriusXMが、SoundCloudと提携し、Hip-Hop Nation(ヒップホップ・ネーション)チャンネルで同名の番組を開始したことを受けたものだ。2020年、SiriusXMはSoundCloudに7500万ドル(約85億8000万円)を出資していることもあり、同社がそのプロパティ全体でSoundCloudと手を組むことは意外ではない。

The Lookout by SoundCloudでは、Toosii(トゥーシー)、Sheff G(シェフG)、Metro Marrs(メトロ・マーズ)、Young Devyn(ヤング・デヴィン)、$NOT(スノット)、Dro Kenji(ドロ・ケンジ)、Cico P(シコP)、Flo Milli(フロー・ミリ)、Nevi(ネヴィ)、SoFaygo(ソー・ファイゴ)、Isaiah Rashad(イザヤ・ラシャド)、Sleepy Rose(スリーピー・ローズ)などの新しいアーティストを毎週紹介していく。このステーションでは、SiriusXMの同名の番組で聴かれる曲がフィーチャーされる。

「SiriusXMのHip-Hop Nationにおけるヒットを受け、今度はPandoraを新たなホームとするSoundCloudのトッププレイリスト『The Lookout』は、ファンが最高のヒップホップを発見するための最大のデジタルオーディオソースです」と、SoundCloudの音楽部門で暫定責任者を務めるR. Caiaffa(R.カイアッファ)氏は声明で述べている。「Pandoraと協力して『The Lookout by SoundCloud』を拡大することによって、新興ヒップホップ・アーティストのコミュニティを聞き、発見してもらうための役に立つという我々の共通の責務を強化することができます」。

この新しいステーションは、2019年に開始されたSoundCloudの最も人気の高いプレイリストの1つである「The Lookout」を起源とする。このプレイリストはその後、次世代のヒップホップの新星を発見できる場所として人気を博している。

SiriusXMは、The Lookoutがこれまでに、Pop Smoke(ポップ・スモーク)、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)、Roddy Ricch(ロディ・リッチ)、Rod Wave(ロッド・ウェーブ)など、有名になる前の今日のヒップホップ界の大物アーティストにスポットライトを当ててきたことを強調している。

SiriusXMが、SoundCloudとさまざまな協業を行うことで、より若いリスナーを惹きつけようとしていることは明らかだ。さらに、SiriusXMは最近、TikTok(ティックトック)のクリエイターをチャンネルのホストとして起用した「TikTok Radio(ティックトック・ラジオ)」チャンネルを開設し、そちらでも若いリスナーの獲得に力を入れている。このチャンネルは、TikTokの「For You(おすすめ)」フィードのラジオ版のようにデザインされたものだ。

ここ数年、SiriusXMとPandoraは、音楽とポッドキャストの両方で競争力を高めるために、Simplecast(シンプルキャスト)やStitcher(ステッチャー)の買収も行ってきた。最近では、SiriusXMがオーディオエンターテインメント制作スタジオのAudio Up(オーディオアップ)と提携し、新しいオリジナル脚本のポッドキャストを開発している。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが米国でポッドキャストやライブオーディオなどを集めた「オーディオ」ハブを公開

Facebook(フェイスブック)はオーディオの取り組みに対する投資を拡大しており、米国でモバイルアプリに新たに「オーディオ」を集めたハブの役割を果たす部分を設けた。ポッドキャスト、Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)、短尺のオーディオと、Facebookで配信されている各種のオーディオフォーマットを1カ所で発見できる。さらに同社によれば、Clubhouse(クラブハウス)のライバルであるLive Audio Roomsをグローバルで利用できるようにし、TikTok(ティックトック)のオーディオ版のような短いオーディオクリップのSoundbites(サウンドバイツ)という新しいプロダクトも公開を開始している。

新しいオーディオハブの初期バージョンは、米国の18歳以上のFacebookユーザーに対してiOSとAndroidで公開がすでに開始されていたが、正式には米国時間10月11日に発表された。Facebookのビデオのハブである「Watch」の上部からアクセスできる。オーディオコンテンツは聴くものであって見るものではないから「Watch」からというのはちょっと違和感がある。

Facebookは、新しいハブを設けたことでクリエイターにとっては自分の番組を見つけてもらいやすくなり、ユーザーにとっては好きなクリエイターのコンテンツを見つけ、知らないコンテンツを発見し、コンテンツを保存して後で聴くこともできるようになるとしている。提供開始時点では、オーディオのセクションにはすでにフォローしているクリエイターのコンテンツの他、パーソナライズされた提案、Facebookで人気のオーディオも表示される。

「オーディオ」ハブは、オーディオコンテンツを聞いたり多くのクリエイターをフォローしたりすることで時間が経つにつれて自分好みにパーソナライズされていくと同社は述べている。

この公開に合わせて、Facebookはオーディオプロダクト全般に関するアップデートも提供する。

2021年春に同社はオーディオの新機能として、ClubhouseのライバルであるLive Audio Rooms、短尺のオーディオプロダクトであるSoundbites、ポッドキャストのサポートを発表した。またSpotify(スポティファイ)との連携で音楽サービスをFacebook上でストリーミングする新しいミニプレイヤーも発表した。

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Live Audio Roomsは2021年6月に米国の著名人やFacebookグループに対して正式に公開された。それ以降、人々がつながり会話を交わす手軽な手段として機能しているとFacebookはいう。Lil Huddy(リルハディ)、Noah(ノア)、Miley Cyrus(マイリー・サイラス)、アメフトのクォーターバックであるRussell Wilson(ラッセル・ウィルソン)、歌手のBecky G(ベッキー・G)、コメディアンのSherry Cola(シェリー・コーラ)、Mereba Music(メレバ・ミュージック)などがこれまでにLive Audio Roomsを利用した。

画像クレジット:Facebook

Live Audio Roomsは米国以外の著名人やクリエイターと、米国以外を拠点とするFacebookグループにも順次公開されているという。iOSに加えてAndroidにもこの機能が導入され、デスクトップでもLive Audioを聴けるようになって、これまで以上に多くの人が利用できる。

一方、短尺オーディオのSoundbitesは2021年6月から注目のクリエイターなどを対象にテストが実施されている。テストには、コメディアンでベストセラー作家のJosh Sundquist(ジョシュ・サンドクイスト)、女優で社会活動に取り組むライフスタイルインフルエンサーのLolo Spencer(ロロ・スペンサー)、デジタルクリエイターのMolly Burke(モリー・バーク)などが参加している。最近になってテストに参加するクリエイターを増やし、Facebookによれば数週間以内にこれまでより多くの米国ユーザーにSoundbitesが公開される予定だという。

Facebookは、2021年前半に発表したポッドキャストのサポートにも引き続き取り組んでいると述べた。2021年夏に米国のユーザーはポッドキャストを利用できるようになった。最近ではポッドキャストの短いクリップをニュースフィードで共有できるようになり、Androidでは字幕に対応した(iOSでは未対応)。ポッドキャスト制作者はデスクトップとモバイルでFacebookページに自分のRSSフィードを追加できるようになった。ただし、ポッドキャストを聴取できるのは当面米国に限られる。

Facebookはオーディオエクスペリエンスの拡張を続けていると語る。Facebook上の有害コンテンツを自動で特定するなど、同社のコミュニティ規定に違反するコンテンツを見つけて対応するツールの開発に取り組んでいる。さらに同社は、規定に違反するオーディオコンテンツを検知して調整するテクノロジーとプロセスの両方を、学習を続けながら対応させていくと述べた。

このところ、Facebookには大変な日々が続いている。これまでで最長のシステム障害が発生し、米国上院では内部告発者がエンゲージメントベースのアルゴリズム、誤情報に対応する能力の欠如、人間よりも利益を優先する企業としての決定といったFacebookプラットフォームによって引き起こされる害悪について証言したニューヨーク・タイムズでは、Facebookの従業員はこの内部告発者の証言に対して意見が割れていると報じられている。同社はオーディオやライブオーディオに深く関わっていこうとしているが、これは節度を保つのが難しい分野だ。オーディオを安全な環境にするのに必要なテクノロジーを構築できなければ、Facebookはこれまで以上に誤情報が広がりやすいプラットフォームになる危険性がある。

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画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

SpotifyのClubhouseクローンがプレイリストと連携した週刊プログラム6本を追加

2021年の夏、Spotify(スポティファイ)は自社製ライブオーディオアプリでClubhouse(クラブハウス)のライバル、Spotify Greenroom(スポティファイ・グリーンルーム)を公開し、当初はユーザー生成ライブコンテンツが中心だが、近いうちにそれを補強するプログラムを追加することを約束した。米国時間9月13日、同社は約束どおり、ポップカルチャーと音楽に焦点を当てた6つの新しい番組を発表した。「プレイリストにインスパイアされた番組」、すなわちSpotify自身が作るプレイリストに基づいた番組もある。

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この中には、2019年に始まった人気のプレイリスト、Lorem(ローレム)に基づくものもある。Loremはポップ、R&B、ガレージロック、ヒップホップなど多岐にわたる音楽のミックスを紹介するプレイリストで若い、Z世代に焦点を当てている。現在、Spotifyで88万4000以上の「いいね!」が付いており、同プラットフォーム上で新しいアーティストがブレイクする場所の1つになっている。今後Loremのリスナーは、「Lorem Life」というSpotify Greenroomと繋がって、さまざまなカルチャーと音楽、環境、サステナビリティ、ファッション、宇宙などの議論の場を利用できるようになる。番組のホストはZ世代のインフルエンサーでTikTokのスターであるDev Lemons(デヴ・レモンズ)氏とMax Motley(マック・モトレー)氏で、アーティストや他のインフルエンサーを呼ぶ予定だ。米国東部標準時9月15日午後9時に放送が始まる。

もう1つ新しい「プレイリストにインスパイアされた」番組が「The Get Up LIVE」だ。この名前に聞き覚えがあるなら、それは「The Get Up」が2020年秋に始まったSpotifyの日刊モーニングショーであるためだ。音楽とトークを交えたラジオスタイルのコンテンツで、ホストはニュースやポップカルチャー、エンターテインメントなどをテーマに話をする。しかし、これまでそのコンテンツがライブプログラムとして提供されることはなく、事前に録音したものをプレイリストとしてリスナーに配信してデイリーのFMラジオ番組の雰囲気を作っていた。当初同プログラムは米国東部標準時9月15日午前11時に公開予定だったが、延期された。

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この公開時期は、通勤する人のための番組を提供するという当初のSpotifyの意図とは矛盾する。しかし、終わりのないパンデミックでリモートワークが拡大する中、通勤ユーザーへの取り込みは新プログラムにとって優先度が低いのかもしれない。それでもSpofityは、デイリーショーは今後も平常通り提供され、The Get up LIVE はそれを補完するものだとTechCrunchに語った。再放送があるのはそれが理由だ。

Greenroomの他の番組には、俳優のGarrett Clayton(ギャレット・クレイトン)氏と作家で教育者のBlake Knight(ブレイク・ナイト)氏のカップルがLGBTQIA+のニュースや問題を話し合う「A Gay in the Life」(毎週月曜日、米国東部標準時午後8時、本日開始)、ポッドキャスト「Watch What Crappens」のBen Mandelker(ベン・マンルカー)氏とRonnie Karam(ロニー・カラム)氏がホストになってリアリティーショーの概略やその他のポップカルチャーの魅力を紹介する「Take a Seat」、ホストの映画マニアでコメディアンのJon Gabrus(ジョン・ガブラス)氏が最新話題作のレビューと解説を行う「Movie Buff」(毎週月曜日、米国東部標準時午後11時から)、そしてSpotifyのプレイリスト「Most necessary」を補完してホストのB.Dot(ビー・ドット、Brian “B.Dot” Miller)氏が新進気鋭のヒップホップを紹介する「The Most Necessary:Live”」毎週火曜日。米国東部標準時午後9時から)がある。

これらの新プログラムに加えて、Deuxmoiの番組「Deux Me After Dark」も本日、米国東部標準時9月13日午後9時から放送され、2021年のMet Galのレッドカーペットの様子やゴシップの概要を、ゲストのWho What Wearの共同ファウンダーであるHilary Kerr(ヒラリー・カー)氏とともに語る。

画像クレジット:Spotify

現在、Greenroomは世界135カ国以上のリスナーに提供されており、スポーツ・サイトとポッドキャスト・ネットワークの「The Ringer」(ザ・リンガー)やPop Smoke(ポップ・スモーク)氏などのアーティストのライブオーディオとともに静かに広まっている。他に追加されたプログラムには、Men In BlazersDeaux Me After DarkTrue Crime Rewind、およびAsk The Tarotがある。番組の多くはライブ放送が終わった後もオンデマンドで公開されている。

Greenroomは2021年スタートで出遅れた。ルーツがスポーツトークライブ番組であることから、Spotifyの音楽ファンとは必ずしもつながりがなかった。加えて、競争相手は同サービスが生まれるきっかけとなったClubhouse(クラブハウス)だけでなく、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Reddit(レディット)、Discord(ディスコード)など数多い。その他大勢のライブオーディアアプリにユーザーの関心を引きつけるこめの特化したプログラムを持たないGreenroomは、iOSアプリのダウンロードがわずか14万1000回でGoogle Playはそれ以下だった。しかしSpotifyの同サービスに対する長期ビジョンは、Greenroomを、同社のフラグシップ・ストリーミング・アプリですでに提供されている音楽、アーティスト、プログラム、ポッドキャストとより密接に結びつけることだった。今回の新しい番組はその計画を実行に移した一例だ。

【更新:米国東部標準時2021年9月13日午後2時18分】Spotifyは発表の後、同社広報担当者は「スケジュール変更のため、The Get Up LIVEの公開を延期します。新たな公開日は近く発表されます」とTechCrunchに対して連絡、「The Get Up LIVE」の公開延期される。

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple MusicはShazamの技術でDJミックス内の楽曲に対しきちんと使用料を払おうとしている

Apple Music(アップル・ミュージック)は米国時間9月10日、DJミックスの作成に関わるすべてのクリエイターを個々に適切に特定して支払いを行うプロセスを作成したことを発表した。Apple Musicは、Appleが2018年に4億ドル(約439億5000万円)で買収した音声認識アプリShazam(シャザム)のテクノロジーを使用して、メジャーならびに独立レーベルと協力して、ミックスに登場するDJ、レーベル、アーティストの間でストリーミングロイヤルティを公正に分配する方法を考案しようとしている。これは、DJミックスが関係するすべてのクリエイターに対して長期的な金銭的便益を提供して、他のアーティストが繰り返しクリエイターの作品を利用して制作した場合でも、クリエイターに報酬が支払われるようにすることが狙いだ。AppleはShazamのテクノロジーの初の大がかりな統合として、その価値を認めているようだ。

これまでは、YouTube(ユーチューブ)やTwitch(トゥィッチ)などのライブストリーミングプラットフォームは、他のアーティストの曲の使用を著作権侵害としてフラグ付けする可能性があったため、DJがミックスをオンラインでストリーミングすることは困難だった。アーティストは、ライブセット中にDJが曲を再生されたときにはロイヤリティを受け取る権利があるが、ダンスミュージックの場合には、さまざまな曲を編集して混ぜ合わせて認識できないものにすることができるため、事情はさらに複雑になる。

Apple Musicは、2020年と2021年のトゥモローランドのデジタルフェスティバルのセットを含め、すでに何千ものミックスをホストしている、だがビルボードが6月にそれを指摘していたものの、今回の技術を正式に発表したのはこのタイミングになった。この発表の一環として、Studio !K7のDJ Kicksアーカイブが同サービス上で展開され始め、ファンは15年以上市場に出ていなかったミックスにアクセスできるようになる。

DJのCharlotte de Witte(シャーロット・デ・ウィッテ)氏は「Apple Musicは、ミックスにトラックが含まれているアーティストと、それらのミックスを作成しているアーティストに公正な料金を提供できるような連続ミックスを提供する最初のプラットフォームです。これは、誰もが公平に扱われる正しい方向への一歩です」と、Appleを代表する声明の中で述べている。「オンラインミックスを再び提供できることに、言葉ではいえないほど興奮しています」。

画像クレジット:Apple Music

ダンスミュージックファンにとって、DJミックスをストリーミングできる機能は画期的であり、Apple MusicがSpotify(スポティファイ)と競争するのに役立つだろう(SpotifyはAppleのポッドキャスティングの利用者を上回り、有料サブスクリプションで業界をリードしている)。Apple Musicはロスレスオーディオや空間オーディオを導入し、クラシック音楽チャンネルを買収したにもかかわらず、まだSpotifyには追いつけていない。だがDJミックスの追加によりさらに別のユニークな音楽機能が追加されることになる。

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だがApple MusicがDJロイヤルティの難問へ果敢に切り込んだとしても、パンデミックを乗り越えて生き残ったライブミュージシャンやDJの間で起こっている、より広範な危機に必ずしも対処できるわけではない。

Mixcloud(ミックスクラウド)のようなプラットフォームでは、DJが事前にライセンスされた音楽を使用してセットをストリーミングし、収益化を行うことができるが、Apple MusicのDJミックスにはユーザー生成コンテンツは含まれない。Audible Magic(オーディブル・マジック)と提携しているMIDiA Research(ミディア・リサーチ)は、ユーザー生成コンテンツ(UGC) が、リップシンクのTikTok(ティクトク)であれSoundcloud(サウンドクラウド)DJミックスであれ、音楽を使用するオンラインコンテンツが、今後2年間で60億ドル(約6589億8000万円)を超える価値のある音楽業界の金鉱になる可能性があることを発表した。しかし、Apple自身はまだUGCに投資していない。個人は、Soundcloudの場合のような、個人のミックスをプラットフォームにストリーミングをアップロードすることはまだできない。6月のビルボードレポートによると、Apple Musicは、プラットフォームが結合されたトラックの70%を識別したときのみ、ミックスをホストする。

Apple Musicは、ロイヤルティが正確にはどのように分割されるかについての質問には答えなかったが、これはミュージシャンたちがデジタル環境の中で生計を立てる方法を再考するための小さな一歩に過ぎない。

これらの革新はアーティストに報酬を与える役には立つものの、ストリーミングロイヤルティは、ミュージシャンがお金を稼ぐ方法のごく一部しか占めていない。Appleはミュージシャンに1回のストリームごとに1セント(約1.1円)を支払うが、Spotifyのような競合他社はそれよりもはるかに少ない額しか支払っていない。このことから、UMAW(ミュージシャンと関連労働者組合)は、3月にJustice at Spotify(Spotifyに公正さを)という名前のキャンペーンを開始した。これは、Appleと同じく1回のストリームあたり1セントの支払いを要求するものだ。しかし、特にプラットフォームからのストリーミングに対するわずかな支払いを考えると、ライブイベントはミュージシャンにとって不可欠なもののままだ。もちろん、パンデミックはツアーに対して良い影響を与えていない。さらに追い打ちをかけるような情報だが、2016年にエレクトロニックミュージック協会は、ダンスミュージックプロデューサーたちがライブパフォーマンスと認定されないまま使用された作品から1億2000万ドル(約131億8000万円)のロイヤルティをもらうことができなかったと推定している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文: Amanda Silberling、翻訳:sako)

Spotifyが友達と音楽の好みを合わせてプレイリストが作れる新機能「Blend」を正式公開

米国時間8月31日、Spotify(スポティファイ)は共有プレイリスト機能である「Blend」(ブレンド)を全世界のユーザーに正式公開した。今夏、Spotifyはこの新しい共有プレイリスト体験のベータテストを開始している。この機能は2人のユーザーが互いの好きな曲を1つの共有プレイリストにまとめられるもので、使われているテクノロジーはSpotifyのFamily Mix(ファミリー・ミックス)やDuo Mix(デュオ・ミックス)などの複数人プレイリスト機能と同じものだ。しかしBlendでは、無料ユーザーを含め誰でも自分たちの音楽テイストを融合できる。

新機能はベータ版以降、さらに進化したとSpotifyはいう。

Blend(すなわち2人の共有プレイリスト)を作ったユーザーには、両者のリスニング志向が似ているか異なっているかを表す「taste match score」と呼ばれる数値が与えられる。Blendを初めて作った後、スコアはパーセンテージで表され、どの曲が2人を結びつけたかを示すテキストが添えられる。

Blendにはカバーアートも付加されるのでユーザーは自分のプレイリストを見つけやすくなる。


プレミアムサブスクライバーには追加の特典がある。彼らのバージョンのBlendでは、リスナーはユーザーのどのお気に入り項目がプレイリストの各曲に貢献しているかを見ることができる。

Spotifyによると、Blendのテスト中、Olivia Rodrigo(オリヴィア・ロドリゴ)がBlendプレイリストで最も多くストリーミングされたアーティストのトップになり、Doja Cat(ドージャ・キャット)、Taylor Swift(テイラー・スウィフト)、The Weekend(ザ・ウィークエンド)、Lil Nas X(リル・ナズX)などが続いた。

この機能は、Spotifyに単に楽しい新機能を加えるだけではない。ユーザー獲得戦略の一環だ。無料ユーザーもBlendの作成や参加が可能なので、この機能はSpotifyが初めての人を誘う方法としても機能する。現在音楽にお金を払っていない人やライバルサービスをサブスクライブしている人も。そして、一度Spotifyアプリを使えば、使い続けてくれるかもしれない、という考えだ。

Blendは2021年6月にOnly Youという新しいアプリ内体験とともに発表された。Only Youはユーザーのお気に入り楽曲と聴取傾向に焦点を当てた機能で、Spotifyで人気の年間振り返り、Spotify Wrappedの年途中バージョンのようなものだ。BlendではOnly Youと同じくソーシャル・シェアリングがサポートされている。ユーザーはBlendの「data stories」を自分のSNSでシェアできる。これはBlendが作られた直後にポップアップするスクリーンと同じもので、Blendプレイリストの中でいつでも表示することができる。

こうして頻繁にリリースする機能でSpotifyが伝えようとしているより大きなメッセージは、同社がパーソナライゼーション技術に関して他を大きく引き離していることを、ユーザーやライバルに示すことだ。Spotifyのプレイリストのアイデアは多くのライバルが真似しているが、同社はすぐ後に新機能をリリースする傾向がある。Only Youや通勤者向けのプレイリストワークアウト向けさらにはアーティスト、ジャンル、年代に基づく新しいミックスのコレクションなどだ。

Blendは、SpotifyモバイルアプリのMade for Youタブから利用できる。初めに「Create Blend」、次に「invite」をタップして、自分のBlendに参加する友だちを選ぶ。友だちが承認すると、Spotifyがカバーアートとトラックリストを作り、あなたのtaste match scoreを表示する。「Share this Story」をタップすれば、data storiesをSNSでシェアできる。

Blendは米国時間8月31日から世界の全ユーザーに公開される。大規模な展開には時間がかかるので、すぐには出てこないかもしれないので、時々確認して欲しい。

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画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルがクラシック音楽配信サービスのPrimephonicを買収

米国時間8月30日、Apple(アップル)はクラシック音楽の提供を拡大するために、Primephonic(プライムフォニック)を買収したことを発表した。2014年にスタートしたアムステルダムを拠点とするPrimephonicは、これまでApple Musicの一般的なストリーミングのアプローチでは不足していた音楽ジャンルに、特に大きな貢献をすることになる。

サービスはApple Musicのプラットフォームに吸収されるため、単独での提供は事実上終了する。米国時間9月7日にPrimephonicは終了し、Appleは自社のストリーミングサービスをベースにしたクラシック音楽アプリを2022年に立ち上げる準備を進める。

Primephonicの共同創業者でCEOのThomas Steffans(トーマス・ステファンス)氏は、Appleが発表したプレスリリースの中で「アーティストのみなさんには、Primephonicのサービスと私たちがクラシック音楽の世界で行ってきたことを気に入っていただいていると思っていますが、今回Appleと一緒になることで、より多くのリスナーのみなさんに最高の体験を届けることができるようになります」と語っている。「クラシック音楽をメインストリームにお届けし、新世代の音楽家と次世代の観客を結びつけることができるのです」。

2020年発表されたPrimephonicのCTO Henrique Boregio(エンリケ・ボレジオ)氏へのインタビューによれば、150カ国でサービスが開始されているとのことだった。また、一般的なストリーミングサービスに比べて、より高い年齢層の人々が利用しているようだ。

エンリケ・ボレジオ氏は、2020年にMixpanel(ミックスパネル)に対して「当社のユーザーの多くは55歳以上で、高学歴で比較的裕福な生活を送っていらっしゃいます」と語っている。「クラシック音楽が好きになってお金持ちになるのか、それともその逆なのかわからないね、とオフィスでは冗談を言っています」。

Appleはこの先行う提供に関して「Apple Musicのクラッシックファンのみなさまは、作曲家やレパートリーごとのより優れたブラウジングや検索機能、クラシック音楽のメタデータの詳細な表示、さらに新しい機能や特典などの、Primephonicの最高の機能を備えた体験をお楽しみいただけるようになります」とコメントしている。

新しいクラシック音楽サービスが開発されている間、Primephonicの既存のユーザーには、Apple Musicの6カ月間 無料利用という形の特別提供を行う。

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画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文: Brian Heater、翻訳:sako)

Spotifyが1100億円を投じて自社株購入へ、なぜ?

音楽ストリーミングサービスのSpotify(スポティファイ)は現地時間8月20日、これから2026年4月21日までの間に最大10億ドル(約1100億円)を投じ、自社株を買い戻すと発表した。金額は同社の時価総額の2.5%弱に相当する。同日午前の同社の時価総額は410億6000万ドル(約4兆5160億円)。自社株買いのニュースを受け、株価は5.1%上昇した。

同社は以前、2018年にも同様の買い戻しプログラムを実施した

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公開企業が現金の一部を使い自社株の買い戻しを行うことは、何も新しいことではない。Apple(アップル)、Alphabet(アルファベット)、Microsoft(マイクロソフト)など、多くの公開企業が積極的な自社株買いプログラムを実施している。成熟した企業や成熟に向かう企業が、バランスシートの一部やフリーキャッシュフローの一定割合を自社株買いに充てることはよくあることだ。

こうした取り組みの目的は株主に現金を還元することだ。自社株買いは配当と並び、企業が株主に報いるための重要な手段である。また、企業は自社株を購入することで、個々の株式の価値を高めることができる。流通する株式数を制限することで、企業の株式数は減少し、その結果、理論的には1株あたりの価値が上昇する。1株あたりの企業の所有権の割合が増えるからだ。

Spotifyの株式は、過去1年間で1株あたり387.44ドル(約4万2600円)という高値で取引されてきたが、現在は本日の上昇分を含めても215.84ドル(約2万3700円)の価値しかない。その意味では、同社が現金を投入して自社株の買い戻しを行うことは理に適っていると言える。

しかし、上場したばかりの企業に余剰現金をどうするつもりかと尋ねても、通常、自社株買いという答えは返ってこない。例えば、TechCrunchはRoot Insurance(ルート・インシュアランス)のCEOであるAlex Timm(アレックス・ティム)氏に、最近の2021年第2四半期決算の後、手元現金で自社株を購入するつもりか聞いてみた。同社の株価はここ数カ月で下落しており、おそらく自社株買いによって株主に報いるには魅力的な時期だ。ティム氏はその考えを否定し、同社は長期的な視点で事業を展開しているのだと話した。それはこういう意味だ。現金を株主還元ではなく成長のために使う。

しかし、Spotifyは依然として成長企業ではないのだろうか。確かに、同社の価値は利益が重視された上で評価されているわけではない。例えば、2021年上半期、45億ユーロ(約5760億円)の売上高に対し、純利益はわずか300万ユーロ(約3億8400万円)だった。

もしSpotifyがまだ成長に力を入れる企業であるなら、独占的なポッドキャストのようなものへの投資に備え、資本を温存すべきではないだろうか。そうすれば、将来的に価格決定力を握ることができ、時間の経過とともにより強い売上高の成長と粗利益が可能になるかもしれないのだ。

その問いに答えるには、同社のバランスシートを確認しておく必要があるだろう。2021年第2四半期の業績から主要な数字を紹介する。

  • Spotifyは第2四半期を「31億ユーロ(約3970億円)の現金および現金同等物、制限付き現金、短期投資」とともに締めくくった。
  • また、第2四半期において、3400万ユーロ(約43億5000万円)のフリーキャッシュフローを生み出した。この数字は「一部のライセンサーへの支払い(第1四半期より延期)、ポッドキャスト関連の支払い、広告関連の売掛金増加にともなう運転資本増加」にもかかわらず、前年同期比で700万ユーロ(約9億円)増加した。

簡単に言えば、Spotifyが長期的に粗利率、ひいては純利益率の向上に重要だと一般に理解されている取り組みに資金を使っているにもかかわらず、同社はなお現金を投げ出すのだ。世界的に見て現金や同等の資産の価格が下がっているため、銀行口座に莫大な金額があってもほとんど稼げない状況の中、同社は資金の一部を自社株買いに充てる。

今後数年間で10億ドル(約1100億円)を投じても、同社のキャッシュポジションが大きく損なわれることはない。実際、同社は非常に豊富な現金を保有している。だがこの動きは、同社のバリュエーションを維持し、投資家を満足させるのに役立つかもしれない。さらに、最近の市場の評価より大幅に割り引いた金額で株式を購入するため、同社が自社事業の価値に長期的な信頼を置いていることを考えれば、ほぼ得をする結果となるのかもしれない。

現時点でのより良い質問は、株主のために富の一部を切り離すことを決めたSpotifyが奇妙な会社なのかどうかではなく、そこそこのキャッシュフローと肥大した銀行口座を持つ、損益分岐点に近いハイテク企業がなぜ同じことをしないのか、というものだろう。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpotifyがラジオDJ風の番組フォーマットを拡大「Music + Talk」としてグローバル展開、日本でも利用可能

Spotify(スポティファイ)は2020年秋、音楽とスポークンワードコメンタリーを組み合わせた新しいフォーマットを導入した。これによりクリエイターは、再生しようとしている曲についてDJや音楽ジャーナリストが自分の見解を語ってくれるラジオのような体験を再現することができる。現地時間8月18日、同社はこのフォーマットを「Music + Talk」と名付け、ポッドキャスティングソフトウェア「Anchor」を通じて世界中のクリエイターに提供開始した。

このようなブレンドオーディオ体験を提供したいクリエイターは、Spotifyの7000万曲におよぶフルカタログへのアクセスを提供するAnchorの新しいツール「Music」を使い、スポークンワードオーディオ番組に曲を挿入できるようになった。Spotifyによると、この新しいタイプの番組では、Spotifyの他のプラットフォームと同様に、トラックがストリーミングされるとアーティストに報酬が支払われる。また、ユーザーは番組内の音楽コンテンツに対して、お気に入りする、曲の詳細情報を見る、保存する、共有するなど、通常の操作を行うことができる。

一方、番組自体は、Spotifyの無料会員とプレミアム会員の両方が視聴できる。有料会員はこれらの番組を聴く際にフルで曲を再生できるが、無料ユーザーの場合、ライセンス権の関係で30秒の曲プレビューしか聴くことができない。

このフォーマットは、2019年に導入された、同じく音楽とポッドキャストを組み合わせたPandora(パンドラ)の「Stories」をやや彷彿とさせる。ただしPandoraの場合は、アーティストが音楽に自らコメンタリー(曲のインスピレーションについて語るなど)を加えられるようにすることに重点が置かれていたが、Spotifyでは、誰もがお気に入りのプレイリストにオーディオコメンタリーで注釈を付けられるようにしている。

Spotifyによると、2020年のローンチ以来、ユーザーからのフィードバックを受けてこの製品には多少の調整が加えられたという。現在では、1つのエピソードの中で音楽とトークのセグメントを視覚的に明確に区別し、エピソードページに音楽のプレビューを掲載している。SpotifyはTechCrunchに対し、これまでにクリエイターがこのフォーマットを使って「何万」もの番組を制作したと述べているが、現時点では正確な数は明らかにしていない。

「Music + Talk」番組を制作する機能は今回のグローバル展開に先立ち、米国、カナダ、英国、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなど、一部の市場で提供されていた。

今回の拡大により日本、インド、フィリピン、インドネシア、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、オランダ、スウェーデン、メキシコ、ブラジル、チリ、アルゼンチン、コロンビアなど、多くの主要国のクリエイターが利用できるようになった。これにともない、SpotifyのMusic + Talkオリジナル番組のカタログもアルゼンチン、ブラジル、コロンビア、チリ、インド、日本、フィリピンの番組が新たに追加される。

またSpotifyは、独自のSpotify Original番組である「Music + Talk.Unlocked」を立ち上げ、この機能のマーケティングをより強力に開始する予定だ。同番組では、このフォーマットを試してみたいと考えているクリエイターにヒントやアイデアを提供していく。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify音楽ストリーミングクリエイター

画像クレジット:Spotify

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

ストリーミングサービスのPlexが「音響的に似ている」曲を集めたプレイリストを作る機能を公開

メディアソフトウェアメーカーのPlexは、2020年にサブスク専用音楽アプリPlexampをリリースした。このアプリ名は、かつてのWinampに代わるものを目指すことを表している。米国時間8月12日、同社はPlexampアプリをアップデートし、Super Sonicという新機能を搭載した。これは例えば音楽のジャンルが一致するというようにメタデータだけを使うのではなく、「音響的に」似ている曲を集めたプレイリストを作れる機能だ。

同社は、ユーザーのライブラリにある曲が別の曲とどのように関連するかを音で判断するためにSuper Sonicを開発したと説明する。これは多くの曲を含むカタログにアプローチする方法のひとつで、雰囲気やトーン、テンポなどの属性に基づいて曲を分類するPandoraのMusic Genome Projectのようなものを思い起こさせる。

画像クレジット:Plex

しかし熟練の音楽学者が多くの属性をもとに曲を解析するMusic Genome Projectとは異なり、Super Sonicはテクノロジーを使う。

Plexampの新しい音響解析機能は、ニューラルネットワークとAIを活用してライブラリ中のすべての曲、アルバム、アーティストをマッピングする。Super Sonicはその解析の中から50ほどのパラメーターを抜き出して、適切に重みづけする。「音響的に似ている」とはN次元の空間において2つの点が近いことを指しているとPlexは説明する。

この新機能の設定にはCPUにかなり大きな負荷がかかり、ライブラリのサイズによるが数時間から数日かかることもある。しかし完了後はこの機能を使って音楽を発見できる。メタデータが少ない、あるいはまったくないインディーズや無名の音楽をたくさん聴く人にとっては、特に有効だろう。

解析が完了すると、新しいRelated Tracks(関連のある曲)機能で音響的に似ている曲が表示される。標準的なメタデータだけでは一致しない曲が出てきて驚くこともありそうだ。

もうひとつ、Mixes for You(あなたのためのミックス)にはユーザーがヘビロテした曲が集められ、さらに最近のお気に入りの他に音響的に似た曲も追加される。サーバーは以前に聞いていた曲をベースにしたミックスもいくつか作るので、さらにさまざまな曲が見つかる。

人気があったが数年前にメタデータプロバイダーの変更に伴って廃止されたPlex Mixに代わるものとして、新しいラジオ機能も公開する。音響的に似ている曲やアルバム全体を再生するTrack RadioとAlbum Radioに音響のデータが使われる。

画像クレジット:Plex

Super Sonic以外の新機能としては、アルバムをタイプごと(「デモ」や「ライブアルバム」など)に整理したり絞り込んだりする機能がある。またOn This Day(この日)機能では、アルバムの節目、例えばアルバムが20年前、30年前、50年前にリリースされたといったことがわかる。

画像クレジット:Plex

新しい音響解析機能を使えるのは有料のPlex Passのサブスク利用者で、macOS、Windows、LinuxのいずれかのマシンでPlex Media Server v1.24.0を動作させる必要がある。ただしARMのCPUには対応していない。

画像クレジット:Plex

Plexはパワーユーザーにもっとアピールできるサブスクリプションにしようと以前から取り組んできた。登録ユーザーはおよそ2500万人だが、パワーユーザーは多くない。しかし現在、同社の利益はサブスクの売上に完全に依存しているわけではない。無料の広告付きストリーミング市場に進出し、資金調達も実施した

現在Plexは、ストリーミング事業をレンタル、購入、サブスクリプションといった分野に拡大しようとしている。しかしSuper Sonicを見ればわかるように、Plexはデジタルメディアのコレクターや大ファンであるコアなオーディエンスにアピールするテクノロジーを今後も探り続けるだろう。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

書く瞑想ジャーナリングアプリ「muute」が「Spotify」と機能連携、音楽と感情の関係性をAIで分析可能に

書く瞑想アプリ「muute」が「Spotify」と機能連携、音楽と感情の関係性をAIで分析可能に

「楽しくワクワクするデジタル体験を創造するデジタルプロダクト」の企画開発・運営を行うミッドナイトブレックファストは7月28日、AIジャーナリングアプリ「muute」(ミュート。Android版iOS版)と音楽ストリーミングサービス「Spotify」とを機能連携させ、「いつ・どのような音楽を聴いたか、どのように感情と関係しているか」を振り返る機能を追加したことを発表した。同時に、muuteに書き込んだ自分の感情の推移や記録をAIが分析してフィードバックを行う「インサイト機能」のリニューアルも実施した。

muuteは、ジャーナリング、つまり頭に浮かんだことをありのままに記述することで日々の行動を振り返り、自己肯定感につなげるという「書く瞑想」とも呼ばれるマインドフルネスの技法を中核に、メンタルヘルスを支援するアプリ。muuteでは、ユーザーが書き込んだ記録からAIが感情や思考を分析して提示することで、感情や思考が客観視でき、自分でも気がつかなかった価値観や願望を発見できるという。

今回はこれに「Spotify」が連携することとなり、「よく聴いたアーティスト」「よく聴いたアルバム」「聴いた音楽の特徴」などから、「最近視聴した曲TOP15」「最近視聴したアルバムTOP15」「最近聴いた中で一番明るい曲」「最近聴いた中で一番しんみりした曲」といった分析結果が示されるようになる。また、ジャーナリングの分析結果と音楽の分析結果を比較して、感情の変化と聴いた音楽との関係も知ることができる。

ミッドナイトブレックファストでは、「音楽視聴という行動軸での新しい観点から、さらに自分自身に対する理解を深め、muuteのミッションである『一人一人が自分らしさを受け入れられる社会をつくる』ことにより貢献できるツールとなることを期待しています」と話している。

書く瞑想アプリ「muute」が「Spotify」と機能連携、音楽と感情の関係性をAIで分析可能に

インサイト機能のデザインを一新、毎週フィードバックを示する「ウィークリーインサイト機能」も強化

インサイト機能のリニューアルでは、毎週フィードバックを示してくれる「ウィークリーインサイト機能」が強化された。これまでは、「muuteからのレター」「よく使った言葉」「印象に残った瞬間」「感情の空模様」「感情のリズム」「頭の中を占めるもの」「歩数と感情の関係」が提示されていたが、新たに「週間サマリー」「ポジティブ/ネガティブな投稿分析」「行った場所」「投稿状況」が加わり、前週のインサイトの比較も可能になった。

またインサイト機能のデザインも一新され、テキストの表示を縦スクロールから横スクロールに変更、1枚ごとに読み物風に表示することで振り返りやすさを向上、各フィードバック項目に画像や端的な説明を加えて理解度を高める、といった改良がなされた。

書く瞑想アプリ「muute」が「Spotify」と機能連携、音楽と感情の関係性をAIで分析可能に

muuteは、2020年112月にリリースされ、2021年1月にはAppStoreの「フィットネス/ヘルスケア部門」で1位を獲得した。同社の利用実態レポートによれば、ユーザーの9割が「よりよく自分を知ることにつながった」と回答しているという。

オーディオメーカーSONOSが2019年11月に発表したレポート 『音楽がもたらすストレス社会に生きる現代人への様々な効果』でも示されたように、音楽には「ストレス解消」や「モチベーションの維持・向上」といった効果があるとのことだが、「Spotify」との連携により、その相乗効果も期待されている。

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精神科医が監修のオンラインカウンセリング「マイシェルパ」が資金調達とサービス開始発表
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AIが思考と感情を分析するメンタルケア手法「ジャーナリング」を支援するmuuteアプリ

カテゴリー:ヘルステック
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