Evernote、元Googleのクリス・オニールが新CEO、ファウンダーのフィル・リビンはエグゼクティブ・チェアマン

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今日(米国時間7/20)、Evernoteのトップに異動があった。Chris O’Neillが新CEOにスカウトされ、ファウンダーのPhil Libinはエグゼティブ・チェアマンに就いた。これに伴ってLibinは今後「Evernoteの次世代プロダクト開発にさらに密接に関わっていく」ということだ。

O’NeillはGoogleで10年近くさまざまな職を経験してきたが、最近はGoogle [X]のグローバル・ビジネスの責任者を務めた。

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LibinはプレスリリースでO’Neillを次のように紹介している。

Chrisは世界に最大限のインパクトを与えられるよう企業をスケールさせるという現在Evernoteがもっとも必要とする能力の持ち主だ。彼はチームの文化と価値を維持しながら驚くべき成長を実現させるリーダーとして高い評価を受けてきた。ChrisをEvernoteに迎えることができて嬉しく、また光栄に思っている。

Libinが2013に語った有名なエピソードだが、Evernoteは2008年にほとんど運転資金が底を尽きかけたことがある。

われわれはパニックに陥った。私は1週間というもの知り合いのすべてに電話をかけまくった。

7年後の現在、Evernoteは1億5000万人のユーザーを擁し、膨大なメモやクリップをホスティングしている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

仮想デスクトップの“完全SaaS”を実現したWorkspotが営業のグローバル展開のために$5Mを調達…Macデスクトップも仮想化

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どこにいても‘そこが’仕事場になる、という意味のWorkspotは、仮想デスクトップのプロバイダにふさわしい名前だ。それをさらに、よりふさわしくしたい同社はこのほど、技術の改良と企業向け営業の拡大を目指して500万ドルの資金を調達した。幹事投資会社はHelion Ventures、これにTranslink CapitalとQualcomm Venturesが参加した。

企業向けの営業は、世界の2000社を対象に行っていく。また合衆国国内では、中企業やFortune 500社企業にも営業を仕掛けていく。

仮想デスクトップをSaaSで提供している企業はほかにもあり、それぞれが、会社のアプリケーションやドキュメントへの、社員のパーソナルコンピュータからのアクセスをサポートしている。しかしWorkspotの特長は、サーバやクラウドインフラをユーザ企業がセットアップしなくてもよいことだ。つまりユーザの手を煩わすことのない“完全なSaaS”だ。

たとえば同社の最大のコンペティタであるAmazon WorkSpacesでは、ユーザがAmazon Web Services(AWS)使って自分とこのソフトウェアやデータをそっちへ移さなければならない。

“そのやり方はセキュリティに不安があるし、アプリケーションとデータをサードパーティのクラウドへ移動する作業は、相当に面倒だ。Workspotのソリューションは、既存のセキュリティモデルとインフラストラクチャをそのまま利用する。会社のデータも、今あるそのままでよい”、協同ファウンダでCEOのAmitabh Sinhaはそう主張する。“会社のアプリケーションやデータをどこへも移動する必要がない”。

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社員は自分のPCやモバイルデバイスでWorkspotのクライアントやアプリを開き、PINを入力する。すると仮想デスクトップが表示され、会社のアプリケーションやファイルやVPNを使えるようになる。

Apple製品を使っている企業からの要望に応えてWorkspotは最近、Macのサポートを加えた。これで、これまでMac上でWindowsの仮想マシンしか使えなかったMacユーザも、Workspotを喜んで使えるようになるだろう。このMacサポートは、最近のレティナディスプレイのMacbook Proでも利用できる。

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Intel、2015年2Q売上は予測超の132億ドルで、時間外株価は6%高

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今日(米国時間7/15)の市場取引終了後、Intel Corporation(INTC)は第2四半期決算報告を発表した。売上は132億ドル、1株当たり利益(EPS)は0.55ドルだった。

同社の売上は1年前の同四半期から5%下落し、純利益も3%減った。しかし、EPSは1年前と同じ5セントだった。

ウォール街の総意は、EPS 0.50ドル、売上130.4億ドルだった。この予測値は、同社ガイドラインの132億ドル(前後幅5億ドル)と一致していた。

Intelのデータセンター部門の売上は39億ドルで、対前期比5%増、対前年同期比10%増だった。モノのインターネット部門は未だに比較的小規模な部門ながら5.59億ドル、前期比5%増、前年比4%増を売上げた。

また同社は、第6世代Intelプロセッサー、Skylakeが製造段階に入り、2015年後半に出荷されることも発表した。

通常取引時間内のIntel株は、始値29.65ドル、終値29.70と横ばいだった。予測を上回った決算発表後、INTC株は時間外取引で7%以上高値をつけている。

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Y Combinator出身のInterviewed、自動化シミュレーションを使って採用候補者を評価

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Y Combinatorの最新スタートアップ学期を卒業したInterviewedは、雇用者が適切な採用判断を下す手助けをする。

雇用者が候補者の面接スキルに心を奪われて、後になって現場スキルのないことに気付くことは珍しくない。Interviewedは、営業、カスタマーサポート、管理部門等の非技術職に応募してきた候補者のための、高度なシミュレーションを作成することでその問題を解決する。

Interviewedのシミュレーションは驚くほどリアルで、メールや電話等を模倣するツールもある。例えば、3つの部分からなる営業シミュレーションは、最初にコールドメール(突然の営業メール)を1通書き、次に顧客の問い合わせに返信し、最後に潜在顧客に対して(自分の本物の携帯電話を使って)コールドコールを行う。

電話シミュレーションには様々な反応経路があり、候補者が何を言ったかに基づいて異なる反応が返ってくる。同社によると、候補者がかけるたびに、秘書が留守電につないだり、購入担当マネージャーと話をさせる等、8種類の反応を返す。

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シミュレーションにはFAQも入っていて、候補者が働く仮想会社に関する必要な予備知識(価格、機能等)を与えてくれる。それ以外、候補者は単独で振舞う。

Interviewedは、スキルよりも候補者の持つ知識に関心のある採用担当マネージャーのために、不動産法や財務会計等のテストも行う。

42 Floors(YC 2012年冬卒)の初期メンバーらが立ち上げた同サービスは、商業不動産スタートアップとして会社が急速に採用を進めていた時期に着想された。同社は採用した社員の実際の能力が、履歴書や資格が示すものと異なっていることに気付かされていた。

Inteviewedの共同ファウンダー、Darren Nixによると、一部の企業では独自に面接シミュレーションを実施しているが、プロセスに時間がかかりすぎるため採用直前の段階で使用されることが多い。

シミュレーションを自動化することによって、Interviewdのプラットフォームでは企業がこうしたシミュレーションを大規模に実施することが可能になり、必要なスキルに恐ろしく長けた人物を見逃がす危険を減らせる。

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同サービスはシミュレーションごとに1~5(0.5刻み)のスコアを付ける。自動スコアリングプロセスの精度について聞かれたNixは、テスト結果の数値は広く分散しており(1つの数値のまわりに集中していない)、これはシミュレーションがうまくいっている兆候だと言った。

Nixは、サービスが機械学習を用いて、候補者の判定方法を継続的に改善していくことも説明した。

同社は、小さな会社向けのパッケージ版に加え、大企業向けにカスタマイズ可能なシミュレーションを提供する計画だ。行く行くはInterviewedが集中雇用センターを作り、ユーザーがそこでシミュレーションを体験すると、結果はそのスキルを持つ候補者を雇いたい企業に直接送られるようにすることを考えている、とNixは語った。

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Google、クラウドコンピューティングでWindowsサーバーのサポートを一般公開

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いささか妙な組み合わせに感じられないこともないが、今日(米国時間7/14)、GoogleはCompute EngineプラットフォームにおけるWindowsサーバーのサポート一般に提供すると発表した。これによりGoogleのCloud EngineでWindows Server 2012 R2とそれより古いWindows Server 2008 R2を稼働させるユーザーはCompute Engine SLA の適用を受けることができるようになる。.

今後リリースされる次世代プロダクト、Windows Server 2016やその極小化バージョンであるNano Serverのサポートも準備中だという。

これによりGoogleのクラウドを利用するデベロッパーはActive Directory、 SQLサーバー、SharePoint、Exchange、ASP.NETサーバーが使えるようになる。GoogleはMicrosoft License Mobilityをクラウドのユーザーに提供しているので、Microsoftの顧客は既存のソフトウェア・ライセンスを追加料金の支払なしでオン・プレミスからGoogleのクラウドへ変更できる。

ただし、GoogleはWindowsサーバーをプレミアムOSに分類しているため、そのインスタンスにはUbuntu、CentOS、DebianなどのLinuxよりやや高い料金がかかる。 (SUSEとRed Hat EnterpriseもプレミアムOS)。

ここ数ヶ月、Googleはクラウド・コンピューティングにおけるWindows Serverのサポートを強化してきた。これには、 マルチ・キューGRO(generic receive offload) (Googleによれば最大7.5Gbps)のサポートが含まれる。

Microsoftのエコシステムに含まれるISV(Independent Software Vendors)の膨大な数を考えれば、その一部がすでにWindows ServerをGoogleのクラウドプラットフォーム上でサポートしていても不思議ではない。Googleは今日の発表で、そういうISVの例として特にSwiftPage、nGenx、IndependenceITの名を挙げている。

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立替え精算サービスのAbacus、採用候補者と契約社員もサポート

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Abacus(YC W14:Y Combinator 2014年冬学期卒)は、社員が会社経費の立替金を簡単に精算するためのプラットフォームだ。毎月末に申請用紙を提出する代わりに、その場でレシートの写真を撮り、会社の承認を得た後、1~2日後に支払われる。

同社は昨年大きく事業を拡大し、DropboxStripeManaged by Q等の顧客と契約した。しか彼らは、これらの会社の中には、1度か2度精算しただけで、その後使うのをやめてしまうユーザーがいることに気が付いた。これは典型的なユーザー行動ではない。大部分の社員は頻繁にAbacusを使って立替金を請求している。

いろいろ調べた結果Abacusは、それらの会社が「秘かに」、このアプリを使って、面接候補者の旅費(企業の本社への航空運賃等)や、パートタイム社員が仕事で購入したサプライ品の精算をしていることを突き止めた。

Abacusの共同ファウンダー、Omar Qariによると、彼のチームが見つけるまでに、各企業は計2000人以上の採用候補者への払戻しにAbacusを使用していた。Abacusは、このハックを正式機能に変えることを決め、今日(米国時間7/7)から採用候補者と独立契約社員への払戻しを公式サポートした。この新機能によって、企業はこの種の払戻しにかかる時間を平均40日から2日へと短縮できる、とQariは言っている。

またQariは、採用候補者の旅費精算を支援して少人数のグループで試用してもらうことが、大企業に入り込む絶好のきっかけになるとも言っている。具体的な名前は挙げなかったが、近々ある主要上場企業が採用候補者の旅費精算にAbacusuを使うと話していた。

Abacusは、こうした特殊な利用形態についても料金は同じ、毎月1ユーザー当たり5ドルを適用する。

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【関連記事:「bizNote Expense」はスタートアップの経費精算業務を効率化する[ TechCrunch Japanオリジナル記事]

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Windows 8のシェアは16%で打ち止め、Windows 10に賭けるMicrosoft

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Windows 8の、Microsoftオペレーティングシステム階層トップに座る日々は終った。幅広き後継者、Windows 10が、今月中に公開され、それはWindows 8の市場シェアが縮小しはじめることを意味している。

賛否噴出のOSは、2つのバージョンを合わせて6月に市場シェア16%を超えたNetMarketShareの調査による。これはWindows 7のシェア約60%に比べると大きく見劣りし、未だにWindows XPが12%を維持していることを考えると、残念ともいえる数字だ。

2001年に一般公開されたOSが、未だにMicrosoftの主役の75%を占めている。これをWindows 8効果、と呼ぶこともできる。

上の数字は、なぜWindows 10がMicrosoftにとって重大な意味を持つかを浮き彫りにしている。この会社が前回Windows 7を上回る何かを作ることに失敗した結果、世界の大部分の人たちは、この2つの携帯電話が大人気だった頃に登場したオペレーティングシステムを使っている。

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要するにWindows 7はかなり古い。実際このOSの「メインストリーム」サポートなるものは今年既に打ち切られた。Microsoftは2020年まで、これを完全に捨てはしない。

つまり、多大な労力を注ぎ込んだWindows 8は、皮肉なことにMicrosoftを以前の自分自身との競争に曝している。もしWindows 10がWindows 7人口の大部分を魅することができなければ、何億という人々が、若さとはほぼ遠いオペレーティングシステムの元に置きざりにされることになる。

これは記憶に留める価値のある瞬間だ。なぜならMicrosoftがWindows 8によって自ら招いた混乱を説明しているからだ。Microsoftの、2~3年以内にWindows 10を10億台のデバイスで動かすという戦いは今始まる。

そうそう、もし今年末にWindows 10の市場シェアがどうなっているか賭けたい人がいたら、私にDMしほしい。

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Facebookの終値88.86ドルでまたも最高値を更新―時価総額2500億ドル弱

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今日(米国時間6/24)、Facebookはまたも最高値を更新した。立会時間終了時の株価は88.86ドルで、時価総額は2500億ドル弱となった。

アナリストが全体的にFacebookの先行きに好感していることがこのところ株価を押し上げている。先週金曜の終値は82ドル台だったから今日の値上がりは目覚ましい。Facebookほどの巨大企業になると株価が1%動くだけで何十億ドルもの価値が消えたり生まれたりする。

一方、Piper Jaffrayは Facebookの株価ターゲットを120ドルにアップしており、これは今日の株価に照らしてもきわめて強気の予測だ。RBC Capitalのターゲット価格も105ドルとなっている。Piper Jaffrayほどではないが、やはり強気だ。

現在のFacebookの時価総額は11桁の数字(コンマが3つ入る!)となっており、Walmartを上回っている。

株価は簡単に変動するので、そのときどきの絶対額にはそれほど大きな意味はない。それより興味深いのはアナリストの強気の理由だ。PiperはOculus Riftの出荷が近づいていることを挙げ、RBCはInstagramの価値を評価している。

全体として、投資家はFacebookの過去の大型買収を再検討し、それらの価値を認めて株価予測を修正しつつあるということのようだ。ここ数年のマーク・ザッカーバーグのM&A戦略は実を結びつつある。

2012年の株式上場後、今となっては信じられない話だが、Facebookはかなりの期間にわたって20ドル以下で取引されていた。

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Verizon、AOL(とTechCrunc)の買収を完了―コンテンツ事業の切り売りの兆候なし

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Verizonの仕事は速かった。先ほど、Verizonは(TechCrunchの親会社である)AOLの買収手続きを完了したと発表した。発行済株式を1株50ドルのキャッシュで購入し、総額は44億ドルとなる。この買収は一月前に発表されたばかりだ。

当初の買収発表の声明で、AOLのCEO、Tim Armstrongが引き続きAOL事業部の指揮を取るとされた。この点に関してもう少し詳しい情報が入ってきた。AOLはVerizonの広告事業を統括するデジタルメディア・サービス事業部に統合され、Armstrongがそのトップに就く。これまで同事業部のプレジデントだったBob TooheyはArmstrongの下に就く。 Armstrong自身はプロダクト・イノベーションと新事業担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのMarni Waldenの下に就くことになるという。

これまでもVerizonがAOLの広汎なメディア資産をどのように扱うかについてさまざまな観測が出ていた。VerizonのAOL買収の狙いは主として広告ネットワークにあったといわれているが、広告ネットワークとデジタルメディアにはVerizonの既存ビジネスとさまざまな相乗作用がある。

買収と前後してHuffington Postには売却の噂が流れたが、HuffPoにせよ他のサイトにせよ、これまでに売却の兆候は見られない。(われわれはこの点についても引き続き取材を行う。言うまでもないが、何か変化があれば報告する)。

面白いことに、Verizonは他の分野で資産の売却を行った。今日(米国時間6/23)、Verizonは認証ソフトウェアのCyberTrust SSLをDigiCerに売却したことを発表した。価格は明らかにされていない。ただしVerizonはDigiCertの再販業者として引き続きCyberTrust製品をエンタープライズ向けに販売するという。

Update:さきほど買収について説明する15分間のカンファレンスコールが行われたが、報告に値するような情報は特に出なかった。 ああ、ただ、われわれAOLの社員にはVerizonから歓迎の意味でVerizonのEllipsis 8タブレットがプレゼントされるらしい…

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Microsoft、会計年度末を控えて組織を一新―マイヤーソンは権限拡大、エロップは去る

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今朝(米国時間6/17)、Microsoftは大規模な組織改革と幹部人事を発表した。これに伴って最高幹部の何人かはMicrosoftを離れる。サティヤ・ナデラは社の内外に宛てたメモで「今回の改革は人材をMicrosoftの戦略によりよくマッチさせるためのもの」と説明している。Microsoftにとって今月は会計年度末に当たる。

長年にわたってセクショナリズムと派閥抗争で名高かったMicrosoftの悪しき伝統が改善されるのか注目だ。

Myerson

OSの責任者だったTerry Myersonは今回の改革で権限を拡大した。Myersonは新たに設けられたWindowsとデバイス・グループのトップとなった。この事業部はWindows OSとそのハードウェアを共に統括する。

Windowsとデバイス・グループは、Windows OSに加えて、Lumia、HoloLens、Surface Hub、Xbox、Surfaceなどのハードウェアを担当する。

 

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OSとハードウェアをMyersonの下に統合するのはWindows 10がXbox、 Lumia、Surfaceなどすべてのハードウェアで横断的に作動するようになったことを反映しているのだろう。これらのデバイスはWindows 10のインストール・ベースの拡大に重要な役割を果たすことになる。

Appleは長年にわたってハードとソフトの協調で高い評価を得てきた。オペレーティング・システム・グループとデバイス・グループを統合したのはMicrosoftもこれにならおうとしているのだろう。

大きく権限を拡大したMyersonは次期CEOの候補として存在感を増した。

Elop

Elopは去る。

この大物の出戻り組は2年もたなかった。Stephen ElopはMicrosoftからNokiaに移り、続いてそのハードウェア部門がMicrosoftに買収されるのに伴って復帰してきた。スマートフォンを含めたハードウェア事業をMyersonが指揮することになってElopの居場所はなくなったわけだ。

Windows 10 for Phones

Guthrie

Myersonに次いでSoctt Guthrieも権限を拡大した。クラウド事業のトップの地位は保持したまま、企業向けにCRMなどのビジネス・ソリューションを提供するMicrosoft Dynamicsの責任者となった。

MicrosoftによるとDynamicsの売上は20億ドルに上るという。 エンタープライズ向けクラウド事業のBoxの今年度の売上は3億ドルで、時価総額は20億ドルだということを考えるとDynamicsの規模の大きさが分かる。

Tatarinov

Dynamicsチームの現在のトップ、Kirill Tatarinovは去る。ナデラのメモの言い回しは慎重だが、どうやらDynamicsチームは他事業部に分割吸収されるのかもしれない。

Lu

アプリケーションとサービス・グループのトップ、Qi Luは新たにエンジニアリング部門のトップも兼任する。Luも昇任組だ。

【後略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

標準化はエンタープライズソフトウェアに秩序をもたらす

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今週、Hilton at Torrey Pinesで行われたCloud Identity Summitの会場をさまよって、はっきりしたことが一つある。企業の規模が大きくなるとあらゆる物事が複雑化し、その複雑化に対抗する一つの方法は標準を制定することである。

実際、カンファレンスを横断する永続的テーマは、このアイデンティティー(個人認証)に関わるあらゆる物事を行うための標準的方法が必要だということだった。それは業界がOAuth等の一連の標準によって解決しようとしている問題だ。OAuthは、Twitter等の識別情報を使って他のサービスに容易にサインインできるシステムだ。

他にも様々な略語からなるサービスが山ほどあり、私はGoogleで調べるのに多くの時間を費した。

ID管理の第一人者、Ping IdentityのCEO、Andre Durandはこれらの標準を、あらゆる会社がアイデンティティ事業を構築できるプラットフォームだと考えている。もし、みんなが基本的方法に同意すれば、彼の会社のように、その標準の上に作ったもので差別化することができる。実際オープンなプラットフォームは、業界発展における証明された方法である。

Salesforceのアイデンティティー担当シニアディレクター、Ian Glazerは、ユーモラスだが当を得たキーノート講演でこう言った。標準を守らないことは、有毒廃棄物をたれ流しているのと同じだ。そんなやり方で運営する者は自らの顧客がよほど嫌いに違いない、とも彼は言った。

最終的に、同じルールとライブラリーに基づいて運営することが誰にとっても理にかなっている。その結果、企業は永遠に車輪を再発明し続ける― あるいは何十種類もの車輪を使う ― という顧客にもデベロッパーにもカオス的な状態を避けることができる。

「大企業ユーザーは、アイデンティー標準が自分たちの展開あるいは利用するサービスの自然な一部になることを望むだろう」とGlazerは言った。そうした標準を実装しようとすることに対して何人も料金を請求すべきではない、むしろその逆だ。「悪い習慣をサポートし続けることに対して料金を課すべきだ」と彼は言った。

アイデンティティーに関して言えば、アプリ毎に新たなパスワード検問を設置できないのは明らかだ。誰にとっても維持困難な状況だからだ。そこで登場するのが連合アイデンティー、デジタルパスポートを持って国境を越えるように、個人がアイデンティティーを持ち歩く概念だ。

「境界には防衛上の役割がある」とDurandは言い、しかしサミットのメインテーマを繰り返してこう言った、「アイデンティティーはボーダーレスだ」。

「アイデンティティーは新しい境界、この概念はあらゆる分野に適用できる」と彼は言った。

これまで見てきたように、標準化はアイデンティーだけでなくあらゆる業界に秩序をもたらし、その秩序は概して良い結果を招く。Identerati ― Pingはゲストたちをこう呼ぶ ― はそれを知っている。これはあらゆる業界が学ぶべきことだ。

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一枚岩的な巨大アプリケーションのITは終わり、多様なサービスを自在に組み合わせる時代に…それを手伝うMuleSoftが急成長

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いろんなソフトウェアやサービス、データソースなどを統合して一本化するプラットホームMuleSoftが今日、1億2800万ドルという巨額な資金調達を行った。

そのシリーズGのラウンドを仕切ったのはSalesforce Venturesで、ServiceNowとCisco Investmentsが参加した。またそのほかに、Adage Capital Management、Brookside Capital、Sands Capital Venturesなど、主に上場企業を対象にしているファンドも加わり、さらにこれまでの投資家NEA、Lightspeed Venture Partners、Meritech Capital Partners、Bay Partners、Hummer Winblad Venture Partners、Morgenthaler、およびSapphire Venturesも加わった。

投資家の数がとても多くて、その顔ぶれもさまざまだ。これで同社の総調達額は、2億5850万ドルという途方もない額になる。これだけ大きな資金調達は、通常、IPO近しの兆候だ。

MuleSoftのCEO Greg Schottはこう語る: “公開企業向けの機関からの投資を受け入れる決定をしたのは、そういう関係を築きたかったし、公開市場の投資家たちのやり方を知りたいと思ったからだ”。

彼によると、確かに規模的には公開企業になってもおかしくないし、今回の資金調達をその方向へのステップと取られてもしょうがないが、当然ながらその日程等を今明らかにすることはできない。彼曰く、“Q1の決算からの予測では、今年の年商は1億ドルに達するだろう。うちは急成長しているし、上場してもよい規模だ。すでにその気はあるから、残る問いはそのタイミングだ”。しかし現時点では、プライベートラウンドで資金を調達して成長を継続するべき、と彼は判断したのだ。

MuleSoftは、さまざまなアプリケーションやデータやデバイスを結びつけるプラットホームを提供している。確かに、今、そういう需要は多い。今回のように多数かつ多様な投資家が、同社の継続的な成長に関心を示すのも、当然だ。

Schottによると、20年か30年ぐらい前までは、企業は一枚岩的なアプリケーションを作って、それにありとあらゆる複雑なことをさせていた。でも今では、あらゆるものが細切れになっている。そういう細片をうまく糊付けして使うのが、今のやり方だ。各細片は、どこかのSaaSのこともあれば、何かのアプリケーションのこともあり、あるいはインターネットに接続されたデバイスのこともある。非常に多様だ。

同社が急成長している理由も、いろんなものを互いに接続して使うという需要が、今はものすごく大きいからだ。MuleSoftのプラットホームを利用すると、それが簡単迅速にできる。各部を結びつけるためにいちいちコードを書かなくても、MuleSoftがすべて、面倒を見てくれる。

ServiceNowやSalesforceのようなSaaS企業がMuleSoftに関心を持つのも、そのためだ。彼らは、顧客がさまざまなサービスを縫い合わせることの重要性を、よく理解している。オープンなAPIがあるだけでは、それらを使いこなす仕事がたいへんになるが、MuleSoftのようなミドルマンがいれば、複数のサービスをまとめてくれるのだ。

“うちはAPIも提供しているから、コードを手書きする必要がない。それによってITのコストが下がり、顧客企業内の開発過程もスピードアップする”、と彼は述べる。

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交通系ICカードをAndroid端末にかざせば処理完了、経費精算サービス「Staple」がバージョンアップ

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クラウドキャストのスマートフォン向け経費精算サービス「Staple」。2014年10月(iOS版のみ。Android版は2015年3月)にスタートしたこのサービスがバージョン2にアップデート。新たに、NFC/おさいふケータイ対応のAndroid端末を使った交通系ICカードの自動読み取り機能を実装した。

Stapleは面倒な経費精算を、専用のスマートフォンアプリを使って手軽に入力できるサービスだ。個人および10〜20人規模の程度の中小企業のほか、各種イベントをはじめとした短期プロジェクトでの利用を想定している。

今回のリニューアルにあわせて、新アプリの「Stapleリーダー」を公開。ユーザーがNFC/おさいふケータイ対応のAndroid端末上でこのアプリ起動し、交通系ICカードをタッチすれば、カードの使用履歴を自動で取得。データはStapleのクラウド上にアップロードする。

あとはStapleのウェブサイトにアクセスするかアプリを起動し、勤怠に関わるデータを選択すれば、自動的に経費精算の一覧に反映される。これでもう、Excelにいちいち移動の記録を書き込んでいくという手間から開放されるわけだ。取り込んだデータは修正不可能なため、不正な処理も起こらない。また定期区間なども自動で処理され、二重に経費を申請するといったこともなくなる。

利用手順

実はこの機能、Staple開発時からユーザーから要望が高かったのだそう。「この機能さえあれば導入したいという声もよく聞いていた」(クラウドキャスト代表取締役の星川高志氏)

またこの機能のほか、外部サービスとの連携を強化。すでに連携済みの弥生会計に加えて、freeeやMFクラウド会計、A-SaaS、FreeWay、勘定奉行の合計5サービスに対して、経費データのインポートが可能になった。

“ちょうど良いERP”を実現、クラウドで勤怠や経費精算を一元管理するチームスピリットが4億円調達

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勤怠管理に経費精算、電子稟議……と従業員が日々入力するデータの数々。そのツールがバラバラだと、面倒くさいことこの上ない。こうしたデータをセールスフォース上で、1回のログインですべて作業できるようにしたのが「TeamSprit」だ。

運営元のチームスピリットが15日、シリーズCで総額4億円を調達した。このラウンドを仕切ったのはDraper Nexus Venture Partners。これに米salesforceや日本ベンチャーキャピタルが参加した。

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TeamSpritは勤怠管理から就業管理、経費精算、工数管理、電子稟議といった、基幹業務につながるシステムをクラウドで一元管理。各機能を連動させ、必要なデータだけを既存の会計や給与計算のシステムに取り込める。導入にコストや時間がかかるERPと比べ、“ちょうど良いERP”を実現すると同社は謳っている。

料金は1ユーザーあたり月額600円。salesforce.comのクラウドプラットフォーム「Salesforce1」に対応しているため、iOSやAndroidなどマルチデバイスで使えるアプリを標準装備する。

サービス開始3年で360社、4万人以上が利用。主に社員100人前後で、大企業の子会社や上場が視野に入ってきたスタートアップが導入しているようだ。

調達した資金ではセールスマーケティングを強化。増資に伴い、リードインベスターを務めたDraper Nexusの倉林陽氏が取締役に就任する。倉林氏はsalesforceの元日本投資責任者。当時から引き続いて、チームスピリットを支援することとなる。

Microsoft、ハイブリッドクラウド戦略を強化―Azureがオンプレミスのデータセンターで稼働へ

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Microsoftは以前からエンタープライズ・ユーザーに対するハイブリッド・クラウドの提供に力を入れてきた。今週、Microsoftはこの戦略をさらに一歩推し進め、Microsoft Azure Stackを発表した。この新サービスはAzureのクラウド・アプリの導入、運用、管理をあらゆるデータセンターに提供するものだ。データセンターは企業のオンプレミスのものであってもホスティング会社のものであってもよい。

Azure Stackはソフトウェアによるネットワーキング、ダイレクトアタッチストレージの共有、バーチャルマシンの運用とセキュリティー管理、オンプレミス・データセンターのクラウド運用モニタなどMicrosoftのクラウド・テクノロジーを広汎に提供する。IT管理者のための新しいプライベート・クラウドのソリューションだ。デベロッパーにとっても専用アプリを既存のデータセンターで運用するのが容易になるだけでなく、スケールを拡大する必要が生じた場合でも即座に対応が可能になる。

MicrosoftはAzure Stackの上でマイクロサービスを走らせるためにAzure Service Fabricという新しいサービスもリリースした。デベロッパーは新しいAzure Resource Managerを使って、パブリック・クラウドのAzure上でもプライベートなデータセンターのAzure Stack上でも自由にアプリケーションを運用できる。 .

現在のところ、Azure StackがサポートするのはWindowsとLinuxのバーチャルマシンだ。エンタープライズ・ユーザーの大部分がこの両プラットフォームを利用しているとMicrosoftは考えている(ただしコンテナへのシフトも広がっている)。今後Microsoftはさらに広汎なAzureサービスをAzure Stackに導入する計画だ。

このサービスにはAzure Preview Portalが統合されているので、デベロッパーは必要とするサービスを自分でローカルクラウドにプロビジョニニングできる(また必要が生じればそのままパブリッククラウドにも展開できる)。 このサービスにはさまざまなエンタープライズ向け課金機能も含まれる。現在IT部門はクラウドサーバーをプロビジョニングするためにそれを迂回することに決めたグループに対処しなければならない。新しいソリューションによってこうした必要がなくなる。

Microsoftのクラウドプラットフォーム・マーケティングのゼネラル・マネージャー、 Mike Schutzは私の取材に対して「Microsoftはカスタマーのデータセンターをクラウドの拡張と考えている。カスタマーはAzureを自らのプライベートクラウドの拡張と考えることができるようになるだろう」と述べた。

Azure Stackは今年の夏の終わり頃にプレビュー版が公開される予定だ。一般向けに正式リリースされるのはWindows Server 2016と合わせて2016年になる。

またMicrosoftは今日(米国時間5/4)、IT部門がオンプレミス、パブリックの双方でクラウド・アプリケーションを運用することを助けるためのOperations Management Suiteを発表した。これは。アプリケーションがどこで、どんなプラットフォーム(Azure、AWS、Windows Server、Linux、VMWare、OpenStackをサポート)上で作動していてもモニターできるツールで、Azureチーム自身がクラウドを運用する際に得た豊富な経験がフィードバックされているという。

このツール・スイートにはログ解析、セキュリティー、運用オートメーション、アプリケーションとデータの保護の各ツールが含まれる。 将来Microsoftはさらにクラウド・ベースのパッチ、インベントリー、アラート、コンテナ管理などのサービスを加えていく計画だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ビッグデータ対応を軸にITとデータセンターの運用/管理環境を一新するRocanaが$15Mを調達

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Rocana(元ScalingData)が、Google Venturesがリードし、General Catalyst PartnersとToba CapitalおよびPaul Sagan(元Akamaiの会長で現在はGeneral Catalystの常勤役員)が参加したシリーズBのラウンドで、1500万ドルを調達したことを発表した。

これで、同社の総調達額は1940万ドルになる。

Rocanaは大型データセンターの問題発見と修復を単純化し迅速化する。各企業のサービスのモバイル化とクラウド化の進展により、それら混成環境における問題発見がますます難しくなっている、とRocanaの協同ファウンダでCEOのOmer Trajmanは説明する。

Rocanaが得意とするのは、問題が起きたときにシステムをずっと低レベルまで下(お)りていって調べる”root cause analysis”(根本原因の分析)と呼ばれる手法だ。

企業はそれまで、理解も制御も容易な、比較的シンプルなシステムを利用していたが、しかし今日では、OpenStack、Hadoop、Dockerなどなど、多様な技術を使いこなさなければならない。これらのツールは一部の困難な問題を解決してくれるが、同時にユーザのシステムの複雑さを増大させる。

General CatalystのパートナーDonald FischerはRocanaに惹かれた理由を、企業ITのこのような環境変化に取り組むための新しい方式を開拓しているからだ、と言う。“私の眼下に広がる視野の中では、いろんなものが複雑性を増し、とくにデータセンターでデプロイされるものが、(単一ベンダのストレートなソリューションではなく)ますます異種混成的になりつつある”、と彼は述べた。

しかも彼の耳に入ってくるのは、シンプルなデータセンターのために設計された従来型のツールが、時代遅れで使い物にならない、という声だ。“ITの運用をを管理するためのツールを見渡すと、どれも老馬だ。IBMやHP、BMCなどのツールさ。どれも、DockerやOpenStack、Mesosphereなど以前の製品だ。それらのツールが、もはや役に立たない、という声が沸き起こっている”、と彼は語る。

そこで、Rocanaのようなスタートアップに機会が開ける。ファウンダたちは、データセンターの問題の根幹にあるのがビッグデータの問題だ、と見ている。日に日に複雑性を増しているシステムの、いろんなところから、雑多な、統一性のないデータが大量に入ってくる。それらに対応するためにRocanaは、Hadoopと、その関連技術Apache Spark(分散クラスタ、インメモリ処理)とApache Solr(検索エンジン)を選んだ。

アプリケーションのパフォーマンス管理というとNew RelicやAppDyamicsなどのサービスがすでにあるが、Trajmanによると、彼らはどちらかというとRocanaがやってることを補完するものだ。

“New Relicはアプリケーションのレベルでパフォーマンスやその問題を理解させるが、うちのようにインフラまで下(お)りて行くと、まったく違う光景が見えるのだ”。

つまり彼によるとNew Relicは、アプリケーションのどこで何がおかしくなっているか、を教えてくれるが、Rocanaはインフラストラクチャのレベルでユーザが問題を詳細に理解し、それらを修復する方法を提供する。

ITの運用スタッフに詳細なインフラストラクチャとソフトウェアの分析を提供する、という点ではむしろ、DataDogがコンペティタかもしれない。

いずれにしても、市場の特定の部分だけを対象に頑張っているスタートアップは、それほど多くはない。Rocanaは、20名の社員がボストンとサンフランシスコにいる。Trajmanは、今回得られた資金で社員数を2〜3倍に増やしたい、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

日本郵政、高齢者サービスでApple、IBMと提携―iPadとAI利用で見守りやヘルスケアなど提供へ

2015-05-01-japanpost

今朝(米国時間4/30)、日本郵政グループの西室泰三社長はAppleのCEO、Tim Cook、IBMのCEO、Ginni Romettyと共にニューヨークで記者会見を行い、共同で新事業に取り組むことを発表した。これはIBMとAppleのエンタープライズ事業での提携の成果の一つだ。

この夏発表されたApple/IBM提携では、IBMは大企業向けのソフトウェアを開発すると同時に大企業クライアントへのAppleのハードウェアの販売を助けることになっている。日本郵政は急速に増える日本の高齢者に対するユニークなサービスを提供するために、Apple/IBM提携のメリットを生かす考えだ。

西室社長は、記者会見の冒頭で、現在国有事業である日本郵政グループが今年中に株式上場を行う予定であり、同グループは「総合的なライフスタイルサポートサービス」の提供者に変身する計画だと述べた。日本郵政グループ(西室社長はその歴史は1871年に遡ると述べた)は巨大な保険事業を展開しており、IBMとAppleの協力を得てヘルスケア・サービスの拡充を図っていくことになる。

日本では65歳以上の人口が2006年の20%から2055年には38%に増加すると予測されるなど急速に高齢化が進んでおり、こうしたサービスを必要としている。日本郵政は高齢者サービスの拡充あたって2つの大きな柱を考えており、その第一の柱のカギとなるのがiPadだ。

西室社長は「高齢者にも使いやすいことで知られるiPadをベースにユーザー体験をデザインしていく」と述べた。その際にアプリの開発とクラウド・サービスでIBMの助けを借りることになる。日本郵政はヘルスケアサービスのコミュニティーを構築し、iPadとその上で動くアプリによって日本の高齢者にネットワーク化したサービスを提供する。2020年まで400万から500万世帯に普及させたい考えだという。日本郵政の高齢者サービス構想の第二の柱は、このサービスと既存のサービスとの統合だ。

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西室社長は「わが国の高齢化は急速であり、効果的な対策が求められている」と述べた。この点についてはIBMのRomettyも「高齢化は近くアメリカでも重要な問題となるだろう。アメリカだけでなく世界的に対策が必要とされる課題だ」と補足した。Romettyによれば、2050年には世界の人口の21%が「高齢者」に分類されるようになり、うち64ヵ国では高齢者の割合が30%にまで高まるという。

RomettyはIBMの日本郵政への協力は次の3点になると説明した。

その第一は、生活の質を高めるアプリの開発だ。独自開発とサードパーティーのアプリの統合の双方を行うが、いずれもアクセシビリィテーを最優先する。開発のターゲットはモバイル中心でアクセシビリィテーを高度に備えた点でiOSとなる。第二に、IBMは人工知能などの活用により現在提供されていないさらに高度なアクセシビリィテー機能を開発する。第三に、高齢者サービスを提供するバックエンドのレイヤーを提供する。

AppleのTim Cookはこのイニシアチブを「画期的」と評し、「日本だけでなく、グローバルに大きな影響を与えるものだ。われわれ3者とさらにそれぞれの協力者のチームは何百万という人々の生活を劇的に改善することを目指していく。(西室)泰三さんと日本郵政が示したこの分野におけるパイオニアになろうとする勇気、大胆さ、野心は賞賛すべきものだ」と述べただ。

Cookは日本郵政との共同事業に参加できたことはApple/IBMの「圧倒的な可能性」を実証するものだとしている。CookはまたAppleのヘルス事業への取り組みがさらに幅広い目標を持つことを説明し、HealthKit、ResearchKitなどを例に挙げた。CookはAppleのこれまでのヘルス分野での取り組みが日本郵政との事業に理想的な基盤を与えることも指摘した。

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現在、日本郵政の社員が行っている高齢者顧客の安否確認訪問をiPadで拡張、効率化するデモが披露された。 このデモでは日本郵政の社員が高齢者顧客と話をしながらiPadの設定を助けた。提供されるサービスには病院の診察の予約、処方薬を飲むよう促すメッセージ、荷物の受け取りなどがあった。

デモ・アプリにはAmazonのKindleタブレットのMaydayサービスのようにヘルプを提供する大きなクエスチョンマークのアイコンが表示されていた。また地域の配管事業者などは事前に審査を受け、承認されればこのシステムを通じてサービスを提供することができるという。

Appleがパートナーとして選定された理由について質問された西室社長は、「Appleがこれまでに実績を挙げてきた視覚、聴覚にハンディキャップのあるユーザーへのアクセシビリティーの提供は同社を選定した大きな要素だ」と述べた。最近Apple Watchに採用された振動を利用したタプティック・フィードバックなど、Appleデバイスのアクセシビリティーは今後もいっそう改善されるだろう。

RomettyはIBMのWatson人工知能を利用したWatson Healthがサービスのカギとなると述べた。また「世界中でこうした取り組みの必要性が高まっている。日本では日本郵政がすばらしいパートナーとなったが、他の地域ではそれぞれの実情に合わせて政府や民間企業とも協力していく」と述べた。

アメリカでは保険会社に詳細なヘルスケアデータを引き渡すことに懸念が生じるのではないかという質問に対して、Romettyは「データの種類によってきめ細かくオプトン、オプトアウトができるようにしていく。またビッグデータとして有益な分析を行う際には、個人が特定されないよう情報には匿名化処理を行う」と説明した。

高齢者ケア、高齢者サービスは今後多年にわたって急成長を続けることが確実なマーケットだ。今日の発表はIBMとAppleがこの分野にきわめて有望な一歩を踏み出したことを告げるものだ。日本における高齢化の進展の急速さを考えると、巨大な日本郵政グループは理想的なローンチ・カスタマーといえる。一方で、しばらく前からAppleのiPadセールスは頭打ちの傾向を見せていたが、これに対しても好影響が期待できるだろう。

Cookは「アメリカでも同様のプログラムは考えられるが、実現はまだ先のことになるだろう」と述べた。またIBM/Apple提携について「現在すでに22のアプリが公開されており、今年中にその数は100種類まで増えるだろう」と語った。

Appleジャパンのサイトにアメリカでのプレス発表資料の抄訳が掲載されている。日本郵政グループ、IBM、Apple、日本の高齢者がサービスを通じて家族・地域コミュニティーとつながるために、iPadと専用アプリケーションを提供 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MesosphereがGoogleのKubernetesを“データセンターのためのオペレーティングシステム”に導入

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Googleは同社製のKubernetesを、大きなクラスタ集合やコンテナ集合を管理するための標準技術にしたいようだ。同じくコンテナに注力している、データセンターのためのオペレーティングシステムを自称するMesosphereも、クラスタ集合の一元管理のデフォルトの座をねらっている。だから両者は一見すると競合するようだが、しかし今日(米国時間4/22)のGoogleとMesosphereの発表によると、Mesosphereがこれからは、同社のDatacenter Operating System(DCOS)にKubernetesを統合する。

Google自身はデータセンターのクラスタ管理に同社製のBorgを使っている。GoogleがBorgの名を表に出したのはほんの数年前だが、最近では、KubernetesはBorgを大いに参考にしている、とおおっぴらに公言している。

GoogleのプロダクトマネージャCraig McLuckieはこう述べる: “Kubernetesは最初からこれらの機能を誰もが使えるために設計され、社内でBorgという名前で知られているシステムを作った技術者たちが、その開発を担当した”。

そしてこのたび両社のコラボレーションにより、KubernetesとMesosphereのそれぞれ良い点を合体させてデベロッパに提供できる。ターゲットは主に、企業だ。

かねてからMesosphereの売りは、どんなに大きなデータセンターでもまるで一台のコンピュータのように操作/管理できることにある。 MesosphereのベースになっているオープンソースのプロジェクトApache Mesosは、複数のマシンにわたるジョブ分散とジョブスケジューリングを担当し、リソース利用の最適化を図る。

このたびのMesosphereとKubernetesの統合により、デベロッパはMesosphereのDCOSのインタフェイスからKubernetesのクラスタを管理でき、KubernetesにはなかったMesosphereの高度な機能のすべてにアクセスできる(高い可利用性や高度なスケジューリングなど)。DCOSを使うと数千ものノードにわたってKubernetesをデプロイでき、それらのノードは、ベアメタルでも仮想マシンでも、あるいはオンプレミスでもクラウドでも、どこにあってもよい。

また、KubernetesとMesosphereの統合により、Kubernetesのアプリケーションはそのほかのデータセンターサービス(Hadoop、Cassandraなどなど)とクラスタをシェアできるので、企業としてはアプリケーションが複数あっても同じクラスタを複数設ける必要がなくなる。

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MesosphereのCEOで協同ファウンダのFlorian Leibertはこう述べる: “Googleとの協働により、クラウド起源のアプリケーションをどこででも動かすための、堅牢な共通スタックをパッケージできた。MesosphereのEnterprise KubernetesをMesosphere DCOSに統合したことにより、企業はクラウド起源のアプリケーションをSparkやHadoopなどを含む、リッチなマルチサービスの環境で、しかも、高い信頼性とセキュリティとエラスティックなやり方で動かせるためのアーキテクチャを、初めて持つことになる”。

Mesosphereは今後、Kubernetesに関しても企業向けサポートを提供して行く。この件でGoogleは、対顧客サポートを担当しない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

IBM、2015年Q1の利益は予測越え、売上196億ドルは期待外れ

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本日(米国時間4/20)の取引時間終了後、IBMは2015年第1四半期の決算報告を発表 した。同社の1株当たり利益は予測を上回る2.91ドルだったが、売上195.9億ドルはウォール街予測の196.4億ドル

に届かなかった。

これで同社は連続12四半期の売上減。

IBMの状況には多少説明が必要だ。それは同社が通貨の強さに応じて必要な調整を行っていること、および最近の事業整理についてだ。1年前の四半期と同じ為替レートを使用し、スリム化した現在の会社に調整すると、IBMの売上は前年並みである。

こうした影響の調整をしないと、IBMの売上は12%下落したている。IBMから提供された非調整の部門別対前年売上比の表を下に貼った。

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IBMの売上減がごくわずかであることに注目されたい。つまり、減少は見た目ほど急ではなく、予測ともほぼ一致している。

IBMはある意味でMicrosoftに似て、現在クラウドへの移行と伝統的事業からの離脱を成し遂げつつある。これは新たなテクノロジー経済の中で収入源を再発明し、他を切り捨てる必要があることを意味している。変遷の道は険しそうだ。

会計第1四半期終了時の保有現金および相当物は88億ドルだった。IBMは十分な資本を持ち、現金は前四半期の85億ドルから増えている。ただし、前年同期の90億ドルからは下がっている。

IBMは、2015年通年予測を「維持している」と発表した。フリーキャッシュフローは現状維持、1株当たり経常利益15.75~16.50ドルと予測している。同社は「高価値、高利益率」な企業としてこの1年を終えるつもりだと話した。

時間外取引の株価に動きはなく、その前の通常取引で強い上昇を示した。現在同社の時価総額は1600億ドルを越えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoft、エンタープライズ向けコミュニケーション・ツールのSkype For Businessを正式公開

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MicrosoftのSkype for Businessは、エンタープライズ向けの新しいコミュニケーション・ツールで、従来のLyncの後継となる。今日(米国時間4/14)、MicorosoftはOffice 2013の4月のアップデートの一部としてSkype for Business〔日本版〕を正式公開した。同時にLync Onlineを利用しているOffice 365のユーザーに対してSkype for Business Onlineが公開された。

このサービスのテクニカル・プレビュー版が公開されたのはほんの数週間前なので、さらに準備とテストの期間が必要な企業ユーザーも一部にあるとMicrosoft自身も認めている。このアップデートを説明する今朝のブログ記事によれば、こうしたユーザーの場合、従来のLyncとSkype for BusinessのユーザーインターフェイスをIT管理者が必要に応じて使い分けることができるようにしてあるという(当面Lyncを使い続けるための情報はこちら)。ただし、Lync OnlineからSkype for Business Onlineへの切り替えについては5月中に全ユーザーについて完了させるとMicrosoftでは述べている。

Skype for Businessは一般ユーザー向けSkypeのクライアントとほぼ同様のルック・アンド・フィールだが、エンタープライズ級の高度なセキュリティーが備えられ、またIT部門による管理、コンプライアンスのモニターなどが可能となっている。Skype for Businessを利用したコミュニケーションはActive Directoryを通じて認証され、暗号化されている。社内への導入とユーザー・アカウントをIT部門が管理することができる。また必要があれば、社内の電話交換網(PBX)やレガシーのビデオ会議システムなどと統合して運用することも可能だ。

またSkype for Businessのユーザーは社内でチャット、音声通話、ビデオ通話が可能になるだけでなく、Android、iOS、Mac、Windowsの各アプリとウェブ上でSkypeを利用している全世界3億人の外部のユーザーともコミュニケーションができる。SkypeはOfficeに統合されており、チャットや音声通話、ビデオ会議をOfficeアプリ内から利用できる。

LyncをSkype for Businessで置き換えるという計画はエンタープライズ向けサービスを“for Business”というブランド名で統一する一環として去年発表されていた。 Microsoftではエンタープライズ向けクラウド・ストレージをOneDrive for Businessというブランド名で展開している。

〔日本版〕日本のMicrosoftによると、Skype for Businessは1ユーザー当たり月額220円から。ただし25人までの無料プランも用意されているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+