Dropboxのユーザでない人でもDropboxにファイルをアップロードできるファイルリクエスト機能

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Dropboxが今日(米国時間6/17)から提供する新しい機能を使うと、Dropboxのアカウントのない人でもDropboxのユーザとファイルを共有できる。この機能は”File Requests(ファイルのリクエスト)”と呼ばれ、誰かにDropboxの自分のアカウントへ、自分が指定したフォルダへ、ファイルのアップロードを頼める。そのユーザインタフェイスはとてもシンプルで、ほしいファイルを指定し、アップロード先のリンクを特定の、あるいはいろんな人に配布する。Dropboxが相手にリクエストのメールを送る、という方式も選べる。

同社によると、これはユーザからの要望がいちばん多かった機能のひとつだ。従来のようにメールの添付ファイルでファイルをシェアしてもよいが、これはメールの多い人には面倒だ。またネット上のファイル共有サービスを利用するといっても、誰もが同じサービスを使ってるわけではない。

DropboxのFile Requests機能は、ファイルを必要とする人に主導権があるという意味で、メールによるファイル共有に代わるものだ。同社は、複数社からの入札文書を集める、クライアント(複数)にファイルを求める、家族の誰かが旅先で撮った写真を見せてもらう、など、いろんな用例を挙げている。

DropboxのプロマネChenLi Wangによると、“これまでは社内的に使ってテストしてきた。社内でいちばんおもしろかった用例は、ドキュメントのプレビューだ。プレビューをするチームがFile Requestsを募ったのだが、それはとても複雑なPowerPointのデッキだったから、チームの側から個別に候補作品にアクセスするのは至難だったのだ”。

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メールでは禁じられていることもある、ビデオのような巨大なファイル(数ギガバイト)でも、DropboxのFile Requestsなら送れる。

ファイルのアップロードを頼むとき相手に、そのファイルを入れるDropbox上のフォルダを指定できる。そのフォルダのリンクをDropboxがくれるから、それをみんなに配れるし、あるいはDropboxに、リンクをメールで送らせることもできる。

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Dropboxのユーザがほかの人にファイルのシェアをお願いするだけでなく、これによって、これまでDropboxのことを知らなかった人が、Dropboxのユーザになることもありえる。

そしてもちろん、すでにDropboxのユーザである人にファイルをリクエストしてもよい。そんな場合でも、ファイルアクセスが一点に集中しているFile Requests機能の方が、あちこちの共有ファイルを集めて回るより楽だ。

この機能はDropbox BasicとProの両方で使える。Businessのユーザへの供用開始は、数週間後だ。

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AWSがEC2の新しい汎用インスタンスM4をローンチ…ネットワーキングを高性能化

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Amazonは、同社のクラウドコンピューティングサービスEC2の新しいインスタンスタイプを発表するのは木曜日の午後遅くが良い、とどこかの占い師に言われたらしい。そこで同社は今日(米国時間6/11午後4時)、EC2の新しい汎用インスタンスタイプM4のローンチを発表した

この新しいインスタンスは、サイズがlargeから10x largeまで6種類あり(下表)、これまでの汎用インスタンスタイプM3と併用できる。前のM3インスタンスと同様に、新しいM4もデベロッパに、メモリの量と、ネットワーキングのスピードと、処理能力、この三者のバランスを提供することをねらっている。Amazonによると、この新しいインスタンスタイプは、とくに、“リレーショナルでインメモリのデータベースやゲームサーバ、大量キャッシング、バッチ処理、SAPやMicrosoft SharePointなどのビジネスアプリケーションに向いている”。
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M4インスタンスはAmazonのストレージサービスEBS向けに最適化され、プロセッサは同社がEC2のためにチューンナップしたIntel Xeon Haswellが使われる。最大サイズの10x largeは40の仮想CPUと160 GiBのメモリがあり、その大きさは現在のAWSの汎用タイプの中でも群を抜いて最大だ。

またAmazonのJeff Barrによると、M4インスタンスは今後、Amazon独自の高性能ネットワークI/O enhanced networking(従来の4倍のスピード)を使用し、レイテンシの乱高下を抑える。

EC2担当VPのMatt Garmanはこう述べている: “M4インスタンスは当社がカスタム化したIntel Haswellプロセッサと、大型のインスタンスサイズにより、EC2の汎用タイプインスタンスの能力をさらにアップする。またAmazon EBSへの専用帯域とEnhanced Networkingにより、さらに高性能なネットワークパフォーマンスをご提供する。これらの、汎用タイプインスタンスへの適用は、今回が初めてである。これらによりM4は、弊社の最強のインスタンスタイプの一つであり、計算力とメモリとネットワークリソースの均衡を必要とするワークロードのためには最高の選択である”。

現時点でこの新しいインスタンスが可利用なリージョンは: US East(Northern Virginia)、US West(Northern California)、US West(Oregon)、Europe(Ireland)、Europe(Frankfurt)、Asia Pacific(Singapore)、Asia Pacific(Sydney)、Asia Pacific(Tokyo)である。

今日のアップデートに伴ってAmazonは、M3インスタンスと、より処理能力重視のC4インスタンスの料金をいくつかのリージョンでそれぞれ5%下げる。新料金は、オンデマンドインスタンスには6月1日にさかのぼって適用され、リザーヴド(予約)インスタンスには本日から適用される。

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Microsoftがアプリケーション管理サービスBlueStripeを買収…ハイブリッドクラウドでトップを目指す

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Microsoftが今日(米国時間6/10)、アプリケーション管理サービスBlueStripeを買収したと発表した。同サービスは、さまざまなオペレーティングシステムやデータセンターやクラウド環境にまたがってデプロイされている企業のアプリケーションの、モニタリングやトラブルシューティングを助ける。Microsoftは今後、同社のSystem CenterツールやOperations Management Suite(OMS)などにこのサービスを統合していく。

Microsoftによると、すでにBlueStripeの顧客の多くが、OMSとの統合を行って、彼らのインフラストラクチャのパフォーマンスに関するより詳細なインサイトを得ている。

Microsoftは自社プロダクトへの統合の開始と並行して、BlueStripe単独の販売を停止する。ただしそれまでは、BlueStripeの既存の顧客のサポートを続ける。

買収の価額等は公表されていない。CrunchBaseのデータによると、BlueStripeは2007年の創業以来1350万ドルを調達しており、最近では2014年7月に52万5000ドルを起債している。同社のシリーズAの500万ドルとシリーズBの800万ドルは、Trinity VenturesやValhalla Partnersらが投資している。

Microsoftによると、BlueStripeは企業によるITインフラの監視を助け、とくに、彼らのネットワーク上で今どんなアプリケーションが動いていて、それらがどんな依存関係にあるかを自動的に発見して視覚化する。それによってIT部門はシステムのメンテナンスを 各サービスの目的に即して行えるようになり、アドミンは問題の所在と原因を素早く見つけられる。

BlueStripeのホームページには、こう書かれている: “Microsoftとは長年協働しており、同社は弊社の重要な顧客でもあり、技術的な支援者でもあり、そしてIT管理のパートナーでもある。新しいデータセンターやクラウドソリューションが今後続々と市場に登場してくるので、BlueStripeの技術はより重要な役割を発揮するようになる。ITイノベーションの次の大波の一部になれることに、大きな期待を抱いている”。

このところMicrosoftは、企業によるハイブリッドクラウドの運用を助けるための、さまざまな手をうってきている。今日の買収も、そういう動きの一環だ。Microsoftのエンタプライズクラウド担当ゼネラルマネージャMike Neilが書いた声明文によると、“最近弊社が、Microsoft Azure StackやOMS、Windows Server 2016、そしてSystem Center 2016などを相次いで発表してきたことでもお分かりのように、Microsoftはハイブリッドクラウドソリューションの提供でトップに立つことと、弊社の顧客にサポートを提供して行くことにコミットしている”、という。ただし、Azureのサービスの一部をデータセンターに持ち込むAzure Stackは、現時点では約束であり、まだ実現していない。

しかしNeilは、“本日の買収はその約束をまた一歩実現に近づけるものであり、さらに柔軟性に富むハイブリッドクラウドをITに提供し、顧客のみなさまが日々、もっとも重要なことにより集中できるようにする。それにより、企業の価値を急速に高めて、イノベーションを加速する”、と書き加えている。これはMicrosoftにとっても、未来への壮大な約束だ。

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パブリッククラウドという共有的インフラへ移行した企業ITのリアルタイムリソース管理を助けるAppFormixが$7Mを調達

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企業が、パブリッククラウドという共有的なインフラストラクチャを新たなITの場、自分たちのアプリケーションを動かす環境として選んだとき、その環境を効果的かつ効率的に使いこなすための具体的なノウハウをあらかじめ持っていることは稀だ。そういう企業を助けてガイドするサービスAppFormixが今日(米国時間6/9)、August Capital率いるシリーズAのラウンドにより、700万ドルを調達したことを発表した。

その発表と併せてステルス状態を脱した同社によると、今日(こんにち)のアプリケーションは必然的に仮想マシンやコンテナの上で動くことになり、そのためのインフラをほかのアプリケーションやテナントと共有することになる。そのためにアプリケーションは、リソースを他と競合することになりがちである。AppFormixは、サーバやストレージやネットワーキングのセットアップをモニタするオペレータやデベロッパを助けるために、リソースの競合状態やボトルネックが一箇所ですべて分かる単一のダッシュボードを提供する。同社のサービスはさらに、オペレータがリソースの競合状態を解決する場合のポリシーのセットアップを助ける。

DevOpsのプロフェッショナルたちはAppFormixを使って、自分たちのOpenStackのセットアップ上のコンテナや仮想マシンを管理し、またApache MesosやGoogleで育ったKubernetesなどのコンテナ技術によりアプリケーションを管理する。

現在のAppFormixはこのようなユースケースに力を入れているが、今後はクラウドのモニタリングや管理にも手を広げていく意向だ。

同社のファウンダでCEOのSumeet Singhは、この畑におけるかなりの経験者だ。それまでの彼はMicrosoft Azureの主席開発マネージャ、その前にはCiscoのデータセンター長だった。

彼は曰く、“さまざまなタイプのインフラストラクチャごとに、それぞれ異なったツール集合があるという状態は、過去の技術だ。インフラストラクチャ全体のリアルタイムの可視性がある、という状態が未来の姿であり、そのためにはITの全域にわたるすべてのツールとチームが一点に収束しなければならない。クラウドというインフラストラクチャは、共有的なインフラストラクチャだ。インフラストラクチャのアプリケーションのレベルでの可視性を提供し、アプリケーションによるそういう共有的インフラストラクチャの使われ方ををプログラムによって管理できるAppFormixは、より経済的で信頼性に富み、アジャイルなソフトウェア定義データセンターを可能にする”。

同社のサービスは目下ベータだが、本年の第三四半期には一般的な供用が開始される予定だ。

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Dropbox for Businessにエンタープライズ向けの新機能―2段階認証、Active Directory連携など

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今日(米国時間6/4)、Dropboxはエンタープライズ向けの新機能をいくつか追加したことを発表した。主として大企業ユーザーのDropbox for Businessに対する信頼感を高めるのが狙いだ。

Dropboxはエンタープライズ・ユーザーの獲得に苦闘してきた。たしかにDropbox for Businessのユーザー数はかなり増えており、同社によれば10万社以上で、MITやHard Rock Cafeなどの著名な組織が含まれるという。しかしライバルのBoxやEgnyteは早くからエンタープライズ分野に進出していた。Dropboxがエンタープライズ市場に参入するのは遅かったが、たゆまずビジネス向けツールの整備を進めている。

2週間ほど前にビジネス・ツール開発の責任者、Ilya Fushmanを失ったのはDropboxにとっては痛手だっただろう。FushmanはIndex Venturesに加わった。この1年Fushmanの右腕を務めてきたRob Baesmanが新しい責任者となる。

さて、今日Dropboxが発表した新機能は次のようなものだ。

特に目を引くのは2段階認証のサポートだ。セキュリティーの確保に神経を尖らせる大企業は、ユーザーのファイル・アクセスに2段階認証を強制することができるようになった。認証に失敗した場合、再認証の手順は自動的に案内される。システム管理のレイヤーは3段階になった。Baesmanによれば、多くの大企業が採用している管理方式にならったものだという。

また既存のフォルダーの共有管理が改良された。これまでこの点がやりにくいとしてユーザーから改善の要望が出ていた。Dropbox for Businessにデータ漏洩防止(DLP)やデジタル著作権管理(DRM)ツールをプラグインとして提供しているベンダーにとってはことに朗報だ。

共有フォルダーAPIは共有管理を直接かつ自動的に実行できるので管理者の手間を大いに減らす。たとえばDLPツールの場合、ユーザーが内規に違反して、たとえば社会保障番号などを共有しようとした場合、ツールが自動的にそのファイルアクセスをブロックできる。

さらにMicrosoftのActive Directoryへのコネクターが追加され、ユーザーはAPIを利用してActive Directoryにアクセスことができるようになった。これはActive Directoryを利用してユーザー認証を行っている大企業がDropbox for Businessを利用する際の導入作業を大幅に効率化する。

これらはいずれも単独では驚天動地の新機能というわけではないが、Dropbox for Businessが全体として着実に進化を続けていることの証左となるだろう。Dropboxはアップデートのたびに新たなAPIなどのツールを通じて、多くの大企業が利用しているさまざまな社内システムへの適合性を高めている。Dropobx for Businessは企業にとって魅力的な選択肢になりつつある。

Featured Image: Ian Lamont/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

PistonをCiscoが、Blue BoxをIBMが買収、OpenStack市場の整理統合が進む

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Ciscoが今朝(米国時間6/3)、プライベートクラウドとOpenStackの専門企業Piston Cloud Computingを買収した、と発表した。同社は昨年秋にはMetacloudを買収しており、このようにOpenStackのスタートアップを大企業が買収することによる市場の統合化が、始まっているように見える。

CiscoだけでなくIBMも最近、OpenStackによるプライベートクラウドサービスBlue Boxを買収している。OpenStackの支配をめぐる大企業間のタタカイが、いよいよ熾烈になってきたようだ。

OpenStackは明らかに成熟期を迎えており、成熟期を示す現象の一つとして、スタートアップたちのドミノ倒しが始まっている。そしてOracleやIBM、HP、EMC、などの大企業が、これらの企業の価値に着目して、OpenStackという成長市場の、なるべく大きな分け前を手中に収めようとしている。OpenStackの技術は人材が乏しいから、必然的に、自社で新たに部門を作るよりも、すでにあるものを買う、という選択になるのだ。

そしてCiscoやIBMなどの企業は、必要とする人材だけでなく、貴重な関連知財も入手する。

OpenStackは今年で6歳になるオープンソースのコンピューティングプラットホームで、最初はAmazonのクラウドコンピューティングサービスの急成長に対する対抗勢力として構想された。OpenStackでは、パブリックな、あるいはプライベートなクラウドを作る方法も最初からオープンであり、基本機能であるコンピュート、ストレージ、およびネットワーキングをはじめ、今日の現代的なクラウドコンピューティングプラットホームが必要とするサービスがすべて揃っている(顧客先の実装はプライベートクラウドが多いが)。また、Hadoopやコンテナなど、このところ使われる機会の多いソフトウェアパッケージを、その上で容易に動かすためのさまざまな方法も提供している。

OpenStackは最近とくに、関心と利用が広がったため、大企業の目にとまることになり、彼らもその市場に参戦してきた。大企業は複雑なプライベートクラウドを求める顧客を多く抱えているので、OpenStackのまさにオープンな技術に、開発の効率化や低費用化などの機会を見出そうとしている。そこでたとえばOracleは先月、廃業したNebulaから40名の技術者を拾い上げ、自社のOpenStack部門の増強を図った。EMCが昨秋CloudScalingをさらったのも、類似の例の一つだ。

皮肉なことに、Pistonの協同ファウンダで最初のCTOだったJoshua McKentyは、OpenStackの初期の支持者だったが、最近では“このプロジェクトは心を失った”と嘆き、隔年で行われるOpenStack Summitにも行かなくなった。彼がそう感じた理由は、プロジェクトの企業化だ。その彼が今回は、その憎むべき企業化に自ら手を貸したのだ。

Pistonのメインのプロダクトは、OpenStackのためのオペレーティングシステムCloudOSだ。それの主な利点は、サーバのクラスタ群をあたかも単一のリソースプールのように管理できることだ。Mesosphereが、そうであるように。

Blue BoxはOpenStackをベースとするマネージドクラウド(管理サービスつきのクラウド)のプロバイダで、IBMは同社のハイブリッドクラウド戦略を加速する方法の一つと見なしている。戦略というのは、IBMはいずれ、ハイブリッドクラウド市場を支配するつもりだからだ。Blue Boxの買収により、顧客はデータとアプリケーションを、複数の互いに異なるクラウド環境にまたがって、デプロイできるようになるだろう。

OpenStackプロジェクトの成長とともに、そのまわりにスタートアップたちの大きなエコシステムが形成された。しかしこれらの企業にとっては、エコシステムそのものの成長と充実が遅いため、その利用はまだあまり活発でない。

今年バンクーバーで行われた最新のOpenStack Summitでは、ComcastやWalmartのような優れた実装例が紹介されたが、でもまだ、OpenStackに関しては、小規模な試用、実験、あるいは様子見、という段階の企業が多い。OpenStackは、構造が大きくて複雑なため、実装が難しいのだ。

スタートアップから見ると、エコシステムの成長のペースは遅い。だからその反作用として、大企業への吸収も避けられないだろう。この休眠状態に耐えられるのは、OpenStackがメインの収益源ではない企業だけだ(たとえばOpenStack以外で稼いでいるストレージやネットワーキングの企業)。そのほかの、OpenStackをメインでやってきた企業、たとえばMirantisなどは、市場が十分成熟するまで持ちこたえることができず、今にも買収されそうな瀬戸際に立っている。

CiscoやIBMのような大企業は、この、実装〜実採用のペースの遅さから漁夫の利を得ようとしている。停滞している企業をさっさと買い上げて、自分たちのOpenStackショップを作るのだ。しかしそうやってビッグネームがOpenStackづいてくれば、小さなスタートアップしかいなかった時代に比べて、採用のペースが大きく上がることも期待される。

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Apple、音楽ストリーミング・サービスを来週発表へ―聞き放題で月10ドル

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どうやら来週Appleは音楽ストリーミング・サービスを発表するようだ。Wall Street Journalによれば、このサービスは聴き放題で料金は月額10ドルだという。内容、機能ともにSpotifyによく似ているが、広告ベースの無料版は提供されず、iTunes Radioに委ねられる。また有名アーティスト、タレントが選曲、ホストするチャンネルが提供されるという。

Appleが音楽ストリーミングを準備しているというニュースはTechCrunchを含め、多くのメディアが報じてきた。今回の音楽ストリーミングは、すくなくとも部分的には、さきごろ買収したBeatsをベースにしているはずだが、独自のストリーミング(ブランド名としてはAppleないしiTunesを冠することになるだろう)の開始後もBeats Musicは当面運営を続けるという。

WSJの記事によれば、新サービスはiOSのアップデートとして公開され、一部の楽曲は無料で聞けるという。Android向けには独立したアプリが提供される。iTunes Radioの新しいチャンネルは有名なアーティストやタレントが番組ホストを務めるかたちになる。ホストはBBC Radio 1からもスカウトされたという。Beatsの共同ファウンダーでもあるDr. Dreも番組の一つを受け持つことになると記事は伝えている。

月額10ドルという料金はSpotifyやRdioの有料版と同レベルだが、Appleのブランド・イメージ、豊富な楽曲コレクション、著名タレントがホストするチャンネルなどは衛星ラジト、地上波ラジオを含めてライバルにとって手強い存在となるだろう。

Appleは強大なブランド力によってアメリカで膨大なユーザーを集めることに成功しているだけでなく、国際的な拡大においてもGoogleやAmazonに先行している。新サービスの国際的な展開にも注目したい。

今回の報道はAppleが新サービスを来週、実際に開始するのか、あるいは発表に留まるのかについては明らかにしていない。通常、AppleはOSのメジャー・アップデートをWDC(Worldwide Developer Conference、今年は6月8日)のキーノートでプレビュー版として公開する。その後、9月の新しいiPhoneの発表に合わせて一般公開するというスケジュールだ。

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Microsoftが企業のDevOps的実践を支援するツールとドキュメンテーション(eブック)をローンチ

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Microsoftが今日、企業のデベロッパやITスタッフ、あるいは開発専門のデベロッパショップによる、DevOps的実践を支援する新しいプロジェクトを発表した。そのひとつは、開発実践の改良策を提案する自己評価ツール、もうひとつは、この分野におけるMicrosoft自身の過去数年間の知見を綴ったeブックだ。

MicrosoftのSam Guckenheimerがこう語る: “クラウド上のサービスを何百万ものユーザに対応してスケールしていく技術で優れた存在になるためには、われわれ自身が学ぶべきことが多かった。そして、そのための上手な実験のやり方や、技術的に足りない部分を管理する方法については、学習の成果をシェアしてほしいという要望が多かった”。

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Guckenheimerによると、そのツールは正しくない実践のすべてを指摘するものではない。

むしろそれは、今やってることを改善するためには次に何をやるべきか、を推奨する。この自己評価ツールはたとえば、技術的な不備を解決しようとするときは、まず静的な分析をして現在のコードの、いくつかの基本的な測度(今後の比較等の基準となる数値)を把握せよ、と勧める。

“いくつかの測度で表される、それらの実践領域を調べて、それらをより効果的にするための、‘チェスの次の手’を提案する”、とGuckenheimerは述べる。“それらは、最初からクラウドで生まれ育ったような企業ならすでに実践していることばかりかもしれないが、われわれのところに助言を求めにくる企業も、たいへん多いのだ”。 なお、彼が強調するのは、このツールが提供する推奨事項がどれも、特定の技術や企業には依存していないことだ。Microsoftのプロダクトにすら、依存していない。

“一貫して言えるのは、たった一つの、これしかない、という答は提供しない、ということだ。もっともリクエストの多いニーズに応えようとしているが、それはツールに関するニーズではない。ツールなら、すでに、Gitもあるし、さまざまなモニタリングツールもある”、と彼は言う。抱える問題はもっぱら、実践の領域に集中しているのだ。

〔DevOps、オペレーション的部分もやるデベロッパ、デベロッパ的部分もやるオペレータ、参考記事(未訳)。〕

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資格講座を半額以下で、オンライン予備校「資格スクエア」が1億円調達

資格スクエアはこれまで手元に置いていた分厚い本が不要になると語る、サイトビジットの鬼頭政人社長

「資格スクエア」は司法書士や行政書士、弁理士といった資格試験のオンライン予備校だ。教室の賃料や教材の印刷費といった運営コストがない分、一般的な予備校の半額以下でオンライン講義を提供している。

例えば、国家試験の最難関と言われる司法試験の予備試験コースは19万8000円、行政書士コースは9万6000円、宅建コースは3万2400円といった感じだ。わかりやすく言えばTACやLECといった資格取得学校のオンライン版で、「リアルを超えるオンライン予備校」を目指している。

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「従来のeラーニングはリアル予備校の劣化コピー」

2013年12月に開校。講義の動画は4000本を超え、毎月100本ペースで増えている。

今年2月には、資格試験勉強に必要な要素をオンライン化した学習システム「資格スクエアクラウド」を導入。司法試験の予備試験コースでは、オンライン上でレジュメ(教材)を閲覧・編集したり、条文や判例を参照するページヘのリンクを追加した。従来は紙の教材にメモしたり、気になる条文や判例が出てくれば動画を一時停止して、手元に置いてある参考書で調べていたのが、すべてオンライン上で完結するというわけだ。

各受講者の単語帳を共有する「クラウドスタディ機能」も追加した。例えば、司法試験で覚えておきたい規範をまとめる単語帳(論証集)であれば、最新判例のエッセンスなどを盛り込めるようになる。「最新判例を踏まえることで、採点者から『こいつ知ってるな』と思われる答案が作れる」と、資格スクエアを運営するサイトビジットの鬼頭政人社長はその効果を強調する。

従来のeラーニングについて鬼頭氏は、「リアル予備校の劣化コピーに過ぎない。せいぜいレジュメがPDF化されている程度」と辛辣だ。「時間や金銭的にリアル予備校に行けない人が、やむなく選んでいる部分もある」。

各受講者の単語帳を共有する「クラウドスタディ機能」

各受講者の単語帳を共有する「クラウドスタディ機能」

忘却曲線に基づいた復習システムで記憶の定着図る

5月26日には、教育領域に特化した独立系VCのVilingベンチャーパートナーや複数のエンジェル投資家を引受先として、約1億円の第三者割当増資を実施。調達した資金をもとに、講義終了後に答える演習機能を追加する。

演習は単なるマルバツ問題ではなく、「もちろんマル」「たぶんマル」「たぶんバツ」「もちろんバツ」という選択肢を提示。マルバツ問題に「自信の有無の要素」を加える。現在開発中の忘却曲線に基づいた復習システムでは、不正解だった問題だけでなく、自信がなくて正解した問題も出題し、記憶の定着を図る。

現在の会員数は約3000人。ネット経由の申し込みに加え、月1〜2回ペースで開催するセミナーを通じても受講者を募り、今年度中に1万人を目指している。なぜリアルのセミナーを開くのかというと、実際に会ってから入会した受講者のロイヤルティが格段に高いからなのだとか。

「確かにセミナー経由の会員獲得はスケールしませんが、参加者の方が学習継続率が高く、口コミで広めてくれたりします。SEOやリスティングだけじゃ語れない世界が、そこにはあるんです」。

資格スクエアはこれまで手元に置いていた分厚い本が不要になると語る、サイトビジットの鬼頭政人社長

資格スクエアはこれまで手元に置いていた分厚い本が不要になると語る、サイトビジットの鬼頭政人社長

OpenStackはコンテナを温かい抱擁で迎え入れる

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このところ急成長しているコンテナへの関心が、OpenStackにとって脅威とも別の選択肢とも取られることがある。OpenStackは2010年にRackSpaceとNASAが作った、クラウドコンピューティングのためのオープンソースのインフラストラクチャだが、コンテナとそれを管理するMesosphereやKubernetesなどとの組み合わせは自分で自分のインフラストラクチャを管理できるから、OpenStackというレイヤは要らない、とする説だ。

しかし、OpenStackのコミュニティからのメッセージは、違う。今週バンクーバーで行われているOpenStack Summitでは、実はむしろ、コンテナがホットな話題だ。OpenStack FoundationのCOO Mark Collierが今日(米国時間5/19)行ったキーノートでも、コンテナに長時間が割かれた。

彼のメッセージの中心的なポイントは、OpenStackを統合化エンジンとして考えよ、というものだ。数年前にはプロジェクトをさまざまなハイパーバイザと統合して仮想マシンを管理していったように、今およびこれからはコンテナと、GoogleのKubernetesのようなコンテナ管理プラットホームを、OpenStackとそのプロジェクトに統合していくだろう。

“コミュニティとして重要なのは、OpenStackを、何でも受け入れる統合化エンジン、と考えることだ”、とCollierは言う。“それによってユーザを、成功に向かう正しい位置につけることができる。ストレージでもネットワーキングでも、OpenStack自身が車輪を再発明することはなかったが、コンテナに関してもそれは同じだ”。

この点を強調するためにCollierはGoogleのクラウドソリューションアーキテクトSandeep Parikhをキーノートのステージ上に招き、Kubernetesが一つの分散アプリケーションをOpenStackのクラウドとGoogleのクラウドインフラストラクチャの両方で動かす様子とそのやり方をデモした。

またOpenStack Foundationが最近ローンチした’Magnum’プロジェクトは、コンテナをプロジェクトにより深く統合する際に必要となる実装技術の面倒を見てくれる。OpenStackのコンピュートプラットホームNovaも、かなり前から一定のコンテナサポートを提供している。

結局のところ、OpenStackはデベロッパたちに、彼らが自分のワークロードを管理するための単一のAPIを提供しなければならない、ということなのだ。その管理の対象は、コンテナの上で動くものもあれば、仮想マシン上もあり、両者の併用もある。どちらかを排除するいわれはない。

OpenStackのベンダたちも、これと同じことを言っている。OpenStackという一つの技術があるからといって、それが何から何まですべてを提供しなければならない理由はない。OpenStackにコンテナを統合すれば、デベロッパはコンテナのアドバンテージとOpenStackのインフラストラクチャサービス(セキュリティ、認証、ネットワーキングなどなど)を組み合わせて利用できるのだ。

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GoogleがCloud Computingの料金を最大30%値下げ、アイドルリソースを使う超安価なインスタンスをローンチ

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Googleが今日(米国時間5/18)またまた、同社のクラウドコンピューティングプラットホームの料金を値下げした。また、企業がクラウドコンピューティングの利用でさらに一層の省マネーを図れるための、新しいインスタンスタイプを導入した。

今日の値下げはCompute Engineが中心で、最小のインスタンスで最大30%の下げとなる。その、Google Cloudプラットホーム上のMicroインスタンスは、通常の利用で1時間0.006ドル(0.6セント)になる。そのほかのインスタンスは、これほど激しくはなくて、High CPUインスタンスで5%、Standardインスタンスで20%の値下げとなる。

Googleの主張によると、これでGoogle Cloud Platformの利用料金は多くのワークロードにとって40%安くなるそうだ。例によってこういう数字は、眉に少し唾をつけて見る必要があるが、しかし誰の目にも明らかなのは、Googleがクラウドコンピューティングを継続的に値下げしてAmazonやMicrosoftなどに勝ちたい、というその意志だ。

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今日同社は値下げと並行して、preemptible instances(プリエンプティブルインスタンス)と呼ばれる新しいインスタンスタイプのベータをローンチした〔仮訳: (ユーザでなくシステム側に)先買権のあるインスタンス〕。Amazonのspotインスタンスにやや似ているこのインスタンスは、Googleのデータセンターのアイドルリソースを使うので、standardインスタンスよりも70%安くなる。

ただしCloud Platformは、リソースが必要になったらそのインスタンスを、30秒の警告ののちに終了させる。このインスタンスの上では、フォールトトレラントなサービスしか動かすべきでない、ということ。spotの場合と同じく固定料金なので、料金の変動を心配する必要はない。

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CanonicalがCephやOpenStack Swiftと組んでソフトウェア定義ストレージAdvantage Storageをローンチ

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Canonicalは今でもLinuxのディストリビューションUbuntuで有名だが、しかし最近の同社は、OpenStackを中心とする企業向け有料サービスで稼ごうとしている。カナダのバンクーバーで行われたOpenStack Summitで、CanonicalのファウンダMark Shuttleworthが、同社の最新のプロダクトUbuntu Advantage Storageを披露した。

Canonicalはこのサービスを、”ソフトウェア定義のストレージサポートサービス”と呼ぶ。企業が自分用のストレージサービスをコモディティハードウェアのクラスタ上にデプロイし、そのサポートサービスをCanonicalが提供する(デフォルトではLevel 1)。そのために同社は、ソフトウェア定義ストレージに関する既存のサービスCephやストレージモジュールOpenStack Swift、NexentaEdge、それにSwiftのベースであるSwiftStackなどとパートナーする。

Advantage Storageが既存の企業向けストレージサービスと異なるのは、ストレージの物理的容量ではなく、企業が実際に使っている容量に基づいて課金されることだ。レプリカやリダンダンシーやバックアップに関しては、課金されない。Shuttleworthは今日(米国時間5/18)のOpenStack Summitで、“オンプレミスのOpenStackの料金をパブリッククラウド並にしたい”、と語った。

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Canonicalのファウンダ(趣味は宇宙飛行)Mark Shuttleworth。

CanonicalにはOpenStackクラウドの設営サービスBootStackがあり、今回のストレージサービスの料金は、ユーザ企業がすでに独自にクラウドをデプロイしているか、それとも新規にCanonicalに発注するかで、異なる。

また売上は、このサービスの基盤となっているCephやSwiftなどと分有する。

“弊社は世界最大のオープンストレージクラスタのサポートを提供しており、そしてこれからは、その提供物を顧客の実際の使用に基づいて課金することにより、新規顧客が利用を開始しやすいようにする”、とShuttleworthは述べる。“管理と統合を完全に自動化することによって、小さなクラスタの場合ですら、最初の日から第一級のユーザ体験をご提供できる”、という。

ついでにShuttleworthは、Canonicalのハイパーバイザ製品LXDについて簡単に触れた。彼はこのプロダクトを“lightervisor”(軽量ハイパーバイザ)と呼び、同社による最近のベンチマークではLinuxのKVMのハーパーバイザよりも大幅に高性能だった、という。具体的には、新しいインスタンスのローンチがKVMよりも94%速く(約2倍)、レイテンシは57%少なかった。

彼はまた、LXDをDockerのようなコンテナ技術と比較する報道が多いが、両者は完全に併用可能である、と述べた。LXDは仮想マシン技術であり、Dockerのようなプロセスコンテナではないからだ。

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OpenStackクラウド設営サービスのAnsibleがCiscoやCSC、HP、Rackspaceなどとパートナーして大幅アップデート

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IT自動化サービスAnsibleが今日(米国時間5/18)、HPやRackSpace、CSC、Ciscoおよびオープンソースのコミュニティとパートナーシップして、OpenStackによるクラウドの展開と管理を容易化するサービスを提供して行く、と発表した。

オープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームOpenStackは、今やきわめて強力だが、その実装と展開はきわめて容易とは言いがたい。このプラットホームは構成部位の数が多くて、それらをシームレスにまとめて構成するのが難しい。AnsibleはOpenStackクラウドの管理サービスをすでに部分的に提供していたが、これからはこれらのパートナーとの協働で、その過程をさらにシンプルにしていく。

その新しいサービス名”Simple OpenStack Initiative”によりAnsibleの既存のOpenStackモジュールが改良され、またそのほかのOpenStack関連プロジェクトも、ITユーザの使い勝手を中心に見直しが行われる。それらがすべて、Ansibleのオープンソースプラットホームと同社の商用サービスAnsible Tower(AnsibleのUI)に統合される。

Ansibleはすでに多くの点で、OpenStackを構成しオーケストレーションする際のデファクトスタンダードだが、今ではPuppetや、CanonicalのMAASJujuのツールなど、コンペティタも現れている。セットアップしたいクラウドのタイプに合わせて、サービスやツールを選ぶ時代になりつつある。

OpenStackは複雑なシステムだから、競合はむしろ、そのエコシステムを強力に前進させる契機になりえるだろう。

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マーケティングデータを一気通貫で分析、「B→Dash」運営のフロムスクラッチが3億円調達

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「収益に一番直結するチャネルがわからない」「複数のツールを使うと手間とコストがかかる」「情報量が多すぎて見づらい」――。

企業のウェブ担当者にありがちな悩みである。コンバージョン数やCPAを追いかけても、本当に収益につながっているか不明。わからないので様々なツールを試してみても、見るべき指標が重複する。重複を解消しようと自分で各レポートを組み合わせるのも大変……というわけだ。

企業のマーケティングプロセス全体のデータを統合し、一気通貫で分析するSaaS型マーケティングプラットフォーム「B→Dash」は、こうしたウェブ担当者の悩みを解決しようとしている。ウェブ集客から顧客管理までと、マーケティングの入口から出口までを一元管理できる。

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例えば、認知や流入、回遊といった「集客プロセス」は、Google AnalyticsやSiteCatalystで分析できる。しかし、メール配信やコンテンツ、ソーシャルメディアの管理といった「集客後のプロセス」となると、HubspotやMarketo(マルケト)、オラクルのEloqua(エロクア)といったツールが必要になってくる。

最近ではDMPやマーケティングオートメーションが話題だが、これらはGoogle AnalyticsやSiteCatalystのようなアクセス解析ツールとの接続が前提。バラバラのサービスを導入したせいでデータ間の断絶が起き、運用工数やコストだけが増えてしまうケースもあると、B→Dashを運営するフロムスクラッチは指摘する。

これに対してB→Dashは、他のサービスとの連携ではなく、集客から顧客管理までの機能をオールインワンで実装。同社はこれを「プライベートマーケティングプラットフォーム」という独自の名称をつけている。料金はプラットフォーム開発費用が100万円〜、月額課金が50万円〜。昨年11月に販売開始し、デジタルマーケティングに注力するB2C企業を中心に50社が導入している。

15日には、Draper Nexus Venture Partnersと伊藤忠テクノロジーベンチャーズなど4社を割当先として、総額約3億円の資金調達を実施したことを発表。B→Dashの新規機能開発や組織体制の強化を図る。

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素人でも使える統計分析ツールのサイカが2億円調達

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専門知識不要で使えるクラウド統計分析ツールを手がけるサイカは15日、総額2億円の資金調達を実施したと発表した。同社は2013年10月、企業が持つデータに潜む関連性を見つけられるツール「adelie」を公開。売上という「成果」に対して、CM放映回数、チラシ配布枚数、天候などの「要素」が、お互いにどのように影響したのかを自動抽出してくれる。

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例えば、アパレル販売メーカーが導入した場合、CM放映後に売上が100万円アップ、チラシ配布週に売上が10万円アップ、天候は売上と無関係……といったことを分析。これによって、経験の裏付けや盲点の発見、未来の予測ができるようになるわけだ。

通常、統計分析をするには専用ツールだったり、成果と要素の関係を読み解く専門家が必要。一方、adelieは企業が持て余すExcelデータをインポートするだけで、相関するデータを自動抽出するのが特徴。ヤフーやリクルート、GUなど40社以上が導入している。

営業マンの「行動の効果」を数字で表す

2014年1月には米Salesforceなどを引受先として、1億円の資金調達を実施した。以降、Salesforceのクラウド型営業支援ツール「Sales Cloud」と連携し、営業マンの行動データに基づいて最適な行動を提示するツール「Rockhopper」を開発。今月リリースした。

Rockhopperは、セールスパーソンの「行動の効果」を数字で示す営業支援ツール。例えば、家電量販店向けにルートセールスする企業が導入した場合、「売場作成」「商談」「店頭での接客」などの行動と、それに費やした時間をプルダウンメニューから入力する。これにより、「売場作成は1時間につき800円の効果」「接客は成果への影響なし」といったことがわかる。

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Rockhopperの利用イメージ

 

セールスパーソンにとって、活動記録を逐一報告しようとすると、本業が圧迫されてしまうことも少なくない。Rockhopperは行動記録に最適化したインターフェイスを採用したことで、日々の報告業務の負担を軽減。すでに導入した大手電機メーカーでは、行動データの入力率が23%から97%にも上がったのだという。

現場で記録されたデータは、アプリ上で一覧可能。営業マネージャーは分析結果を見ながら改善点をアドバイスできる。アプリ上で「ノウハウを学ぶべき営業マン」と「ノウハウを教えるべき営業マン」をリコメンドし、マッチングする機能もある。

今回調達した資金は主に、Rockhopperの開発に投入。エンジニアや、adelieやRockhopperを導入した企業向けのサポート要員も増やす。増資に伴い、リードインベスターを務めたDraper Nexus Venture Partersに在籍する倉林陽氏がサイカの取締役に就任している。倉林氏はSalesforceの元日本投資責任者。サイカとしては、ベンチャー経営やSaaS事業の知見を得る狙いがあるようだ。

サイカは2013年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇し、マイクロソフト賞を受賞している。

“ちょうど良いERP”を実現、クラウドで勤怠や経費精算を一元管理するチームスピリットが4億円調達

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勤怠管理に経費精算、電子稟議……と従業員が日々入力するデータの数々。そのツールがバラバラだと、面倒くさいことこの上ない。こうしたデータをセールスフォース上で、1回のログインですべて作業できるようにしたのが「TeamSprit」だ。

運営元のチームスピリットが15日、シリーズCで総額4億円を調達した。このラウンドを仕切ったのはDraper Nexus Venture Partners。これに米salesforceや日本ベンチャーキャピタルが参加した。

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TeamSpritは勤怠管理から就業管理、経費精算、工数管理、電子稟議といった、基幹業務につながるシステムをクラウドで一元管理。各機能を連動させ、必要なデータだけを既存の会計や給与計算のシステムに取り込める。導入にコストや時間がかかるERPと比べ、“ちょうど良いERP”を実現すると同社は謳っている。

料金は1ユーザーあたり月額600円。salesforce.comのクラウドプラットフォーム「Salesforce1」に対応しているため、iOSやAndroidなどマルチデバイスで使えるアプリを標準装備する。

サービス開始3年で360社、4万人以上が利用。主に社員100人前後で、大企業の子会社や上場が視野に入ってきたスタートアップが導入しているようだ。

調達した資金ではセールスマーケティングを強化。増資に伴い、リードインベスターを務めたDraper Nexusの倉林陽氏が取締役に就任する。倉林氏はsalesforceの元日本投資責任者。当時から引き続いて、チームスピリットを支援することとなる。

クラウド化企業のためのアプリケーションデリバリネットワークInstart Logicが$43Mの拡張ラウンドを完了

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クラウドアプリケーションのデリバリをスピードアップするサービスInstart Logicが今日(米国時間5/13)、新たな投資家Four Rivers GroupとHermes Growth Partnersがリードするラウンドにより4300万ドルを調達したことを発表した。既存の投資家Andreessen HorowitzとKleiner Perkins Caufield & Byers、およびTenaya Capitalもこのラウンドに参加した。

同社の調達総額はこれで9500万ドルになり、新たな資金は人員増によるR&D部門の拡張に充てられる。同社はまた、国際展開の拡大にも触れている。“これまでは北米ドミサイル企業からの売上が主体だったが、今後はヨーロッパやそのほかの地域にも営業努力を拡大していきたい”、とInstart LogicのファウンダでCEOのManav Mitalが語っている。“これまでも、弊社の顧客の顧客は世界中に分散しているので、弊社の業務も必然的にグローバルであった”、とも。

従来のCDN(content delivery network)は主に静的なファイルを扱うが、Instart Logicはアプリケーションのスピードアップを手がける。そのための手法の一つがアプリケーションの分割と呼ばれ、アプリケーション全体を一回のダウンロードで配布せず、ユーザがそのアプリケーション/サイトを使うに十分な最小部分をまず送り、そのほかの部分はバックグラウンドでダウンロードさせる。また、そのほかの類似サービスと同様に、画像のサイズやフォーマットの最適化、圧縮なども行う。

有名企業の顧客の中にはストックフォトサービスのShutterstockもおり、同社はWebトラフィックのすべてをInstart Logicにゆだねている。そのほか、EviteやNasty GalもInstart Logicを利用している。
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また今日同社は、大物スカウトも含む役員人事の一新を発表した。まず、ToshibaのOCZ Storage SolutionsユニットのCFOだったRafael Torresが、同社の新たなCFOになる。さらに、CiscoのShailesh Shuklaをプロダクト担当VPとして、Jive Softwareの技術担当VP Justin FitzhughをInstat Logicの同職VPとして迎える。

“弊社は世界クラスのチームを築いて革新的な技術を開発し、顧客が抱えるもっとも困難なアプリケーションデリバリの課題に取り組んでいきたい”、とMitalは述べている。“Instat Logicを利用する企業は今、世界的に増えつつあり、そのことが、弊社の技術力に対する信頼と評価の証である”、とも。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleもついに社内業務を完全にクラウド化

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今週Googleは「われわれはクラウドにオールイン〔ポーカーでチップを残らず賭けること〕する」と発表した。クラウド・サービスのパイオニアとして特に大胆な決断のようには聞こえない。しかし今日(米国時間5/13)のWall Street Journalの記事によると、Googleは社内業務に用いられるほとんどすべてのアプリをインターネット経由のクラウドアプリにしたという。

Googleはわずか2年前の2013年でも社員が外部クラウド上のアプリを使うことをセキュリティー上の理由から禁止していた。大手クラウド事業者が、クラウドを信頼できず、社員に私有デバイスの持ち込みや外部クラウドの利用を禁止するというのは笑うべき矛盾だと批判された。

しかしGoogleもここに来て他の大企業と学んだのと同じ教訓を学んだのだろう。企業のファイアウォールはセキュリティーを保証しない。Googleは社員がどこにいようと、どんなデバイスを用いていようといちいち身元を認証し、会社の建物の外からであろうと中からであろうと一切の通信を暗号化しなければならないことに気づいたようだ。

Sonyの大規模なデータ漏えい事件の直後に、MicrosoftでWindows事業部のプレジデントを務め、現在はBox顧問のスティーブン・シノフスキーは「伝統的なファイアーウォールで守らた企業内データセンターのほとんどよりクラウドの方がずっと安全性が高い」とブログに書いた。

シノフスキーはSonyやTargetが見舞われたようなハッキングによるデータ漏えいがクラウドでは決して起きないと保証はできないとしながらも、クラウド事業者のセキュリティーを破るほうが一般企業のセキュリティーを破るよりはるかに困難だろうと指摘している。

Bessemer Venture Partnersのパートナー、David Cowanは1990年代から企業のセキュリティーを調査しているが、シノフスキーの意見に概ね賛成している。ただし、すべてのクラウド事業者のセキュリテイーレベルが同一ではないと注意を促している。Cowanはわれわれの取材に対してこう語った。

AmazonやGoogleなど有力クラウド事業者のセキュリティーが一般企業が独自に開発したセキュリティーより優れているという点については完全に同意する。

現在われわれが利用するアプリやウェブサイトのバックエンドはさまざまなレベルのクラウド・サービスによって支えられている。しかしデジタル生活をささえるこうしたちょっとしたアプリの背後にあるクラウドが必ずしもGoogleやAmazonなみのセキュリティーを備えているとは限らない[という問題がある]。

急成長したクラウド企業、Boxの場合、しばらく前から社内業務のほとんどをクラウド化している。 CITEworldの2014年3月の記事で当時のCIO、Ben Hainesが「われわれはクラウドにすべてを託している。それによってオンプレミスの処理であったら生じるはずのあらゆるコストをなしですませている」と書いている。

どうやらGoogleも今週になってBoxと同じレベルに達したようだ。現在のビジネス環境では、社員は地理的にどこにいようと、どんなデバイスを用いていようと、企業データにアクセスできなくてはならない。したがって「クラウドにすべてを託す」以外に現実的な方法はないだろう。

しかし問題は多くのIT専門家が伝統的なセキュリティー概念にしがみついて離れようとしないことだ。この1年半ほどの間にわれわれはSony、Target、Anthem、JPMorganその他で起きた大規模なデータ漏えい事件から、いくらファイアーウォールの陰に隠れてもセキュリティーは守られないという教訓を得たはずだ。

Googleもやっとこのことを認めたのだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

名刺管理のSansanがオープン化、API公開でビジネスインフラ目指す

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法人向け名刺管理サービス「Sansan」がオープン化する。運営元のSansanが8月中旬をめどに、APIを無償で公開。APIを利用するパートナー企業は、Sansanの名刺情報を組み込んだソフトやサービスを開発・販売できる。現時点でマイクロソフトやセールスフォース、日本郵便など20社がパートナー企業に名乗りを上げている。

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Sansanはユーザーがスキャンした名刺を、OCR処理とオペレーター入力でデータベース化。名刺情報はクラウドを通じて組織内で共有できる。日経テレコンやダイヤモンド社の人事情報をもとに名刺情報を更新したり、同じ会社の社員が受け取った名刺を共有する機能もあり、クラウド上で常に最新の顧客情報を閲覧できるのが強みだ。

APIオープン化により、どういった連携製品が出てくるのか。例えば、はがきのデザインから投函までの一連の作業を依頼できるポータルサイトを開発中の日本郵便は、Sansanの名刺データベースと連携し、宛名の印字に活用する予定だ。

そのほかには、顧客管理データベースを手がける企業であれば、キーマンの情報が常に最新の状態に保たれる営業支援システムを構築できる。あるいは、名刺交換した顧客の情報が地図上にプロットされ、近くの営業先をすぐに参照できるマップも作れそうだ。

Sansanは2015年4月時点で3000社が導入していて、2017年までに1万社の導入を見込んでいる。今回のオープン化では、名刺データと連携した300以上の製品が生み出されると見ていて、これによってSansan自体の導入企業も増えると見込んでいる。

Sansan以外にも名刺をデータ化するサービスは珍しくないが、「名刺データを自由に活用できる世界は、誰も想像できていない」と、取締役の富岡圭氏は指摘する。「1年間で世界中で流通する名刺は100億枚以上。これまで捨てられていた情報を生かし、ビジネスインフラとしての価値を生み出したい」。

Sansan取締役の富岡圭氏

Sansan取締役の富岡圭氏

寿命の短い第二鍵によるクラウド認証を提供するScaleFTがシードで$800Kを調達

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Rackspaceの元役員や技術者たちが始めたDevOpsサービスScaleFTが今日(米国時間5/11)、本家Rackspaceからの戦略的投資として80万ドルのシード資金を獲得した、と発表した。この投資ラウンドには、CoreOSのCEO Alex Polviなど、数名のエンジェル投資家も参加した。なお、PolviはRackspaceの出身だ。

前から報じられているように、RackspaceはクラウドサービスとしてAmazon(AWS)やGoogle、Microsoftなどと競合するだけでなく、それらのユーザを顧客とするサービスを提供しようとしている。ScaleFTの協同ファウンダでCEOのJason Luceが言うように、ScaleFTのプロダクトはRackspaceのそういう最近の方向性にもフィットしているのだ。

Luceは今日の声明文の中で、“RackspaceはAWSやGCE、Azureなどのユーザが利用するサービスを積極的に手がけてきたが、ScaleFTはそういうRackspaceのOpsチームが彼らの新しい戦略のために必要とするツールを、より高度化する。Rackspaceが弊社の取り組みを支援するのは、そのためである”、と述べている。

同じく今日ローンチするScaleFTの最初のプロダクトScale Accessは、サーバへのアクセスをより容易に、そしてよりセキュアにする。同社の主張によると、SSHの秘密鍵に基づく認証ソリューションは、面倒であるだけでなく、実はそれほどセキュアではない。“今あるRSAやX.509、SSHなどの技術はあまりにも複雑なので、企業がそれらをもっとも効果的に利用することが難しい”、とLuceは述べている。

それに対してScale Accessは、有効期間が数分と短いキーを使用し、その認証ソリューションはGoogle AppsやSAMLのようなシングルサインオンのソリューションに統合できる。そのためそれは、認証のための第二要素を必要とするツールで利用できる。

つまりSSHをそのまま使えるし、AnsibleなどのIT自動化ツールも従来どおり使える。そしてScaleFTのサービスが、VPNやWebアプリケーションや、そのほかのインフラストラクチャサービスへの証明を発行するのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa