海外スタートアップ系ニュースを自動収集するキュレーションエンジン「DANGO」公開

告知ポストになりますが、海外のスタートアップ系ニュースを自動収集して紹介するキュレーションエンジン「DANGO」をリリースしたのでお知らせさせてください! — SEO Japan

普段、SEOやコンテンツマーケティング、スタートアップに関する情報を翻訳配信しているSEO Japanですが、権利関係の理由もありますが、元ネタとなっている海外サイトは数十前後です。私の仕事柄、ウェブマーケティング系のネタとは別に海外のスタートアップ情報を常に観測する必要があるのですが、Techcrunch等、特定メディア以外に様々な媒体から幅広くスタートアップ系ニュースを集めることができていなかったので、今回自分たちで作ってしまったのが、海外スタートアップ系ニュース自動収集キュレーションエンジン(長い。。。)のDANGOです。スタートアップ系ニュースを英語で日々収集している人には多分かなり便利なサービスになっていると思いますので是非ご活用ください。数千近いメディアを対象にしていますので、普段目にしないサイトからの意外なスタートアップ系ニュースなども時折紹介されるのではと思います。レスポンシブ対応なので、PCはもちろん、iPhone、iPad、Androidなどなど、自由にご覧いただけます。

ちなみにDANGOは私が開発者と相談しながら長年に渡って地道に開発してきたトレンド発見エンジンがベースになっています。今後このエンジンを使って色々新サービスをリリースしていきたいのですが、今更英語圏でニュースサービスをリリースしても仕方ないですし、方向性を模索しています。日本語対応もほぼできていますが、日本も既にGunosyやSmartNewsなど素晴らしいニュースエンジンがあるので、何かに特化してサービス展開したいと考えています。技術的にはDANGOはそもそもスタートアップ関連ニュースが少ないので余り力を発揮していませんが、同一ニュース排除は当然として多重クラスタリングによる自動カテゴリ分類、時間軸でのトレンド抽出等が強みです。ニュースソースはDANGOはRSSフィードをクロールしていますが、Twitterのツイートやウェブページのクロールも可能です。アイデアある方はご一報ください m(_ _)m

DANGO
http://dan5.jp/

SEOに長く携わりすぎたせいか、最近は「検索」より「発見」に興味がある私です。DANGOは1つの実験的アウトプットですが、今後も色々とサービスリリースしていきたいと思っています。ちなみにDANGOの発音はダンゴ三兄弟のダンゴではなく、タランティーノの映画「ジャンゴ」風でお願いします。 — SEO Japan [G+]

予約不要、リアルタイムで先生が添削してくれる英会話チャットアプリ「Eigooo!」

思い立ったが吉日と、英語を学びたいと思った時にすぐに英会話チャットができるアプリ「Eigooo!(エイゴー)」がローンチした。アプリを起動して「今すぐチャット」をタップすれば、予約不要で先生がチャットに対応し、間違った英語をその場で添削してくれる。月額料金は20時〜24時に使えるプランが2000円(添削付きは2400円)、7時半〜24時まで使えるプランが3000円(添削付きは4000円)。50メッセージまでは無料で投稿できる。

英会話の先生の人数は非公表だが、英語以外を母語とする人のための英語「ESL(English as a Second Language)」の教師資格を持っている外国人などが担当。ユーザーがメッセージを投稿してから、遅くとも5分以内には返信が来るそうだ。今後はユーザーのプロフィールページを実装して、趣味が似た先生をマッチングするなどして話を盛り上げる工夫をするのだという。

Eigooo!の添削機能は、会話を途切らせることなく、正誤の両文章を対比させ、どこが間違っていたかを指摘する。添削は自動で保存されるため簡単に復習できる。英会話で間違えるのが怖いという人でも、Eigooo!はテキストチャットなので積極的に使えそうだ。「ただ英語がしゃべれるだけの先生と異なり、文法がしっかりしているため正しい英語を学べる」と、アプリを運営するEigooo株式会社の創業者兼CEOのピーター・ローゼンバーグ氏は流暢な日本語で話す。

ピーターはUCLAで言語学を学んだ後、東京・三鷹の国際基督教大学に留学。日本語を学ぶにあたっては友人との日本語チャットが大いに役立ったが、「友達の気分でレスポンス速度が左右されたり、自分の日本語が必ずしも直されなかった」と振り返る。この問題を解決すれば優れた学習ツールになると考え、即レスポンスがあり、その場で間違いを添削してくれるEigooo!を立ち上げた。同社はベンチャー企業を支援する「Movida Seed Acceleration Program」の第4期メンバーでもある。

Eigooo創業者兼CEOのピーター・ローゼンバーグ氏


Yahoo、非同期タイプ写真共有サービスのDaysを運営するWanderを買収

先日、非同期型写真共有サービスを展開するDaysというサービスについての記事を投稿した。このサービスを運営するのはニューヨークにあるWanderだが、このたびYahooがこのWanderを買収することとなった。

買収金額などについては明らかにされていないが、業界内にながれる噂によれば1000万ドルを上回る額だとの話だ。Jeremy Fisher率いるWanderは、これまでに合計で120万ドルの資金を調達してきていた。

Wanderはもともと2012年にTechStarsからの支援によりスタートした。コンテンツ制作関連のサービスを行おうとするスタートアップで、そもそもは旅行関連のコンテンツを公開するための仕組みを提供するプラットフォームを提供しようとしていた。しかしすぐにピボットを行い、そして先日紹介したDaysをリリースするに至ったのだ。

Daysとは、写真やGIFを「Day」というパッケージにまとめ、そしてそれらを翌日にまとめて公開するというスタイルの写真共有サービスだ。リアルタイムで瞬間をシェアしていくのではなく、1日の「ストーリー」をシェアしようというコンセプトに則ったものだ。

日々の要素を1日単位でまとめることで、たとえば朝に飲んだコーヒーや、一緒に暮らす猫の様子などが、ストーリーをもつようになり、他の人とシェアする意味を持つようになるというわけだ。

ブログによれば、Daysアプリケーションはこれまで通りの形で提供され、Wanderによってサポートされるとのこと。またYahooのMobile and Emerging Productsチームにて「エキサイティングな新プロジェクト」にもとりかかるとのこと。

ブログ記事の全文を原文にて掲載しておく。

We’ve spent the past few years figuring out how to make content creation as habitual as content consumption. That’s the idea behind Days, the daily visual diary we launched in May 2013. Nine months later, we’re excited to announce that we’ve accepted an offer to bring our work on daily habits to Yahoo. We started our company with the vision of transforming daily habits, and we’re proud to be joining a new one that shares that mission.
Our entire team will be joining Yahoo’s NYC-based Mobile and Emerging Products group, where we’ll continue on as a startup team within a larger organization. The Days app will live on as a standalone entity, and we’ll also be working on some exciting new projects that we can’t talk about just yet.
Sincerest appreciation to our investors, our advisors, our friends and families, the good folks at Apple, and, most importantly, our users! Your days have inspired us and it’s been beyond rewarding watching the product and community we’ve built together evolve and grow. We are so grateful, thank you!
If you have any questions, please tweet @wander or email us via founders@onwander.com.
Happy Days,
-Jeremy, Keenan, Lara, Sean, and Whitney

Marissa Mayer指揮下のYahooは、積極的に企業買収を行っており、この18ヵ月で行った買収件数は15件以上になる。この動きは彼女がCEOとして就任する前にあった停滞イメージを完全に払拭するものとなっている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Crunchies賞、受賞者決定―最優秀スタートアップはKickstarter、最優秀ハードウェアはOculus VR

第7回を迎えたわれわれのCrunchies賞の最優秀スタートアップ賞は、CloudFlare、Snapchat、Twitter、Uberという強敵を破ってKickstarterが獲得した。Chris Saccaが最優秀エンゼル投資家賞、DropboxのDrew HoustonとArash Ferdowsi が最優秀ファウンダー賞、Tinderが新スタートアップ賞、Oculus VRが最優秀ハードウェア賞をそれぞれ受賞した。

―受賞者の発表セレモニーの開始にあたってホストのJohn Oliverは(多少は激励の意味もあったろうが)「Crunchiesに敗者はいない。ノミネートされたものはすべて勝者だ。ただ受賞を逃したものがいるだけだ」と述べた。われわれはすべてのノミネーション対象者に深い敬意を払い、クレージーなイノベーションを日々生み出しているスタートアップとそのファウンダーたちを賞賛するものだ。

各部門の受賞者は以下のとおり。


最優秀テクノロジー
Apple A7 Processor – ―次点
Bitcoin – ―受賞者
Node.js
Planet Labs low-cost satellites
Project Loon

最優秀共同消費サービス
Airbnb – ―受賞者
Crowdtilt
DogVacay
Homejoy
Lyft – ―次点

最優秀eコマース・アプリケーション
BarkBox
Good Eggs
Polyvore – ―次点
Warby Parker
Wanelo – ―受賞者

最優秀モバイル・アプリケーション
Mailbox
Snapchat – ―受賞者
Tinder
VSCO Cam
WhatsApp
Vsco Cam – ―次点

最速成長スタートアップ
Lulu
QuizUp – ―次点
Tinder
Upworthy – ―受賞者
Whisper

最優秀ヘルス・スタートアップ
Fitbit
MyFitnessPal
One Medical Group – ―受賞者
Oscar – ―次点
Practice Fusion

最優秀デザイン
Exposure by Elepath
Nest Protect
Pencil by FiftyThree – ―受賞者
Hi
Yahoo Weather – ―次点

最優秀自己資金スタートアップ
Grammarly – ―次点
Imgur – ―受賞者
NerdWallet
SmugMug
TaskUs

最優秀エンタープライズ・スタートアップ
Box
ClearSlide
New Relic – ―次点
Optimizely
Zendesk – ―受賞者

最優秀国際スタートアップ
BlaBlaCar – ―次点
Huddle
Supercell
Waze – ―受賞者
Xiaomi

最優秀教育
Code.org – ―次点
CreativeLIVE
Duolingo – ―受賞者
Khan Academy
Treehouse

最優秀ハードウェア
3D Robotics – ―次点
Oculus VR – ―受賞者
SmartThings
Sonos
Square

最優秀エンタテインメント
Candy Crush Saga – ―受賞者
Netflix – ―次点
Tinder
Vibease
Vine

最大ソーシャル・インパクト
Code.org – ―次点
Crowdtilt
Edward Snowden’s NSA Revelations – ―受賞者
StopWatching.Us
Watsi

最優秀エンゼル投資家
Steve Anderson
Michael Dearing
Keith Rabois
Babak Nivi & Naval Ravikant – ―次点
Chris Sacca – ―受賞者

最優秀ベンチャーキャピタリスト
Peter Fenton (Benchmark) – ―受賞者
Jim Goetz (Sequoia Capital)
Reid Hoffman (Greylock Partners)
Bill Maris (Google Ventures)
Bijan Sabet (Spark Capital) – ―次点

最優秀ファウンダー
Arash Ferdowsi & Drew Houston (Dropbox) – ―受賞者
David Karp (Tumblr)
Aaron Levie (Box) Lee Holloway , Matthew Prince & Michelle Zatlyn(CloudFlare) – ―次点
Deena Varshavskaya (Wanelo)

最優秀CEO
Jeff Bezos (Amazon)
Dick Costolo (Twitter) – ―受賞者
Travis Kalanick (Uber) – ―次点
Marissa Mayer (Yahoo!)
Elon Musk (Tesla Motors & SpaceX)

最優秀2013年創立スタートアップ
Anki
Coinbase – ―次点
Glow
Tinder – ―受賞者
Whisper

最優秀スタートアップ
CloudFlare
Kickstarter – ―受賞者
Snapchat
Twitter
Uber – ―次点

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


CESで話題を集めた折りたたみ式電動スクーターのUrb-E、15万ドル目標にてIndiegogoに登場

1月のCESでは、いろいろと面白そうなプロダクトやプロジェクトを紹介した。その中でとくに面白そうだと感じたのがUrb-Eだった。折りたたみ式の電動スクーターだ。

このUrb-Eが、ついにIndiegogoに登場した。このIndiegogoでのキャンペーンにあわせ、2つのタイプが用意されている。

まずひとつは3輪タイプのもので、「Urb-Eコミューター」と名付けられている。より安定したスムーズな乗り心地を提供する。もうひとつは「Urb-E GP」で、2輪タイプでより小回りがきくようになっている。最高速度やモーター出力などのスペックは双方ともに同じだ。

このUrb-Eは折りたたむとキャリーバッグ風の形状・サイズとなり、重さも30ポンド弱(14kgほど)で容易に持ち運べるようになる。電車などで移動した後の、最終行程用の乗り物として便利に使うことができそうだ。

最高速度は時速15マイル(24km)ほどで、一度の充電で20マイル(32kmほど)を走ることができる。色については何種類か用意されていて、また自分でもいろいろとデザインを楽しむことができるようになっている。

また、出荷段階ではスマートフォンを装着して充電するためのパーツも同梱されるようになるとのこと。また専用アプリケーションでUrb-Eの充電状況などの確認もできるようになるとのことだ。

製作者であるGrant Delgattiは、Urb-Eのようなプロダクトの場合、KickstarterよりもIndiegogoの方が相応しいと考えたのだそうだ。きっとIndiegogoコミュニティにて好意的に受け入れられると期待していると述べている。

Urb-Eのキャンペーン期間は40日間で、調達目標額は15万ドルだ。Urb-Eを手に入れるための最低金額は「超早期割引」で1599ドルとなっている。この枠がうまった場合、次は「早期割引」の1699ドルとなり、残りは1799ドルとなる。出荷予定は夏の終わり頃を予定しているとのことだ。

Indiegogoのキャンペーンページはこちらになっている。詳しい情報も上がっているので、興味のある人はそちらをチェックしてみよう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


提携先ベンチャーの視点で語る「ヤフーと組んで良かったこと、悪かったこと」とは


ベンチャーにとってヤフーとの提携は良いことずくめなのか、悪いことはないのか――。2月7日、こんなテーマでヤフー経営陣と提携先であるグリーの田中良和社長、アスクルの岩田彰一郎氏、コミュニティファクトリーの松本龍祐社長がトークを繰り広げた。トークセッションは、ヤフーとの提携に関心がある企業を招待するセミナー「Yahoo! JAPAN 提携・出資説明会 2014春」(関連記事:先着300社、ヤフーが協業・出資に興味のあるスタートアップを今年も募集)の一コマとして開催されたもの。会場には300社を超える企業が詰めかけ、興味深そうに耳を傾けていた。

アスクルの岩田彰一郎氏

「提携直後は株価が暴落したが、めちゃくちゃ良かった」と振り返るのは、2013年4月にヤフーから約330億円の出資を受けたアスクルの岩田社長。当時、証券アナリストからは「なぜ保守的なヤフーと組むのか」と批判されたが、新経営陣と初めて会った時に「自分たちも爆速で走れる」と確信。ヤフーの集客や決済と、アスクルの物流網を組み合わせれば「ECの最強タッグ」が組めると考え、一目惚れで資本・業務提携が決まったと話す。提携半年後の10月には両社でネット通販サイト「LOHACO(ロハコ)」を立ち上げた。

グリーは2012年11月、ソーシャルゲームやコンテンツの相互活用などで包括的な業務提携を発表。同社の田中社長は、ヤフー経由で「相当なトラフィック」を獲得できたことに加えて、仕事の仕方を学べたのが大きかったと語る。

「取締役会の資料でも作り方がぜんぜん違う。ヤフー規模の会社の監査体制はどうなのかと気になって、監査役を紹介してもらったりと、提携先でないと聞きにくいことも聞けた。事業のシナジーだけでなく、会社としての学びがあった。」

コミュニティファクトリーの松本龍祐氏

2012年9月、ヤフーに約10億円で買収されたコミュニティファクトリーは、写真加工アプリ「DECOPIC(デコピク)」を手がけるスタートアップ。2013年4月にオフィスをヤフー社内に移し、自社サービスの開発を続けながら、ヤフーのアプリ開発室室長を務める松本氏は、「ヒト・モノ・カネ」の多さを実感したという。

「4月以降、メンバーの人数が2倍以上増え、アプリのユーザー数も半年で2倍になった。社内にはAWSのような環境や決済などの仕組みがひと通り揃っていたので、フロントの開発部分に集中できたのが大きい。」

ヤフーからのトラフィックは「濡れ手に粟」ではない

グリーの田中良和氏

業務提携、資本提携、子会社化……と立場は異なる3人は、三者三様でヤフーとの提携のメリットを挙げる。その一方で、当初の見込みと違ったことはなかったのか?

この点について松本氏は、「ヒト・モノ・カネがばんばん投入してもらえると思っていたが、半年くらいはトントン拍子に行かなかった」と語る。とはいえ、その理由は「ヤフーに対する理解度が足りなかった」ためで、オフィスをヤフーに移して物理的な距離が近づいたことで、提携にスピード感が増してきたという。

ソーシャルゲーム領域でトラフィックを獲得できたことをメリットに上げた田中氏だが、「濡れ手に粟ではなかった」と振り返る。「ヤフーは子供から老人までが幅広く使っているが、グリーのユーザー層と異なればコンバージョンも悪くなる」。この発言にはモデレーターを務めたヤフー副社長の川邊健太郎氏も「当時はこれだけトラフィックを送ってるんだとヤフーが言うと、グリーも送り込まれても換金しないと言い合うことがあった」と認める。

こんな企業がヤフーにフィットする

ヤフーの川邊健太郎氏

それでは、ヤフーとの提携はどういった企業がフィットするのか。

この点について松本氏は、「ヤフーが弱い部分にハマると良いお見合いになるのでは」と指摘。当時は「女性向けサービスが強くない」と見ていて、提携するメリットを見出したのだという。とはいえ、ヤフーに子会社化されるにあたっては、「自分たちがベンチャーであることを考えると最初は怖かった」が、実際にM&Aされるとスケールの違いが面白かったと語る。

「ネット業界のデバイスシェアやEC化率が何%だからこうなる、といった膨大なデータが社内にあって、それに基づいて新しい戦略を作っていくのはゲリラ的なベンチャーとはぜんぜん違う。こうした仕事のやり方はメンバーの成長にもつながった。ヤフーはいろんな会社を買収しているので、社内に面白いメンバーが多く、一緒に仕事をするのがエキサイティング。」

ヤフーが弱い部分という点では、「グリーにとってゲームがフィットした」と語る田中氏。また、組織面では「ヤフーのような大きな会社と一緒になって動かしていくには、組織を動かすプロトコルを知っていないとやりにくいかもしれない」と指摘。偶然にもグリーでヤフーとの協業を進めている社員は「元ヤフーさんが多い」ことから、来場者に向けては「提携前にはヤフーの社員を引き入れることから始めては」と呼びかけて会場を笑わせる一幕もあった。

ヤフーの大矢俊樹氏

こうした意見に対して、ヤフーの最高財務責任者(CFO)を務め、同社投資子会社のYJキャピタル社長でもある大矢俊樹氏は、「事業的な補完関係も重要だが、最終的には勢いも大事」と語る。「両社が『やろう』と最後に踏み切れるかどうかは相手との信頼関係によるところが大きい。やらない理由は簡単に100個ぐらい挙げられるが、最後に後押しするのは腹を割った関係かどうか」。

2012年4月に経営陣を刷新したヤフーは新体制以降、31社に総額750億円を出資、そして提携先企業が期待するヤフーからのトラフィックは累計で約15億クリックに上るのだという。新体制になってまもなく2年。川邊氏は「外見のサービスは変わっていないかもしれないが、経営の仕組みや精神は完全にベンチャーに戻したつもり」と述べ、来場者に協業を呼びかける。ベンチャー魂を取り戻したヤフーは、同社が経営理念に掲げる「爆速」で世間を賑わせるサービスを生み出せるか。期待したい。


北極圏の凍結した湖面に開けた穴(水の中)に海パン一枚で入るピッチコンテスト

今日(米国時間2/7)はシリコンバレー全体がSecretのセキュリティ問題で騒々しかったが、地球の反対側ではそれよりもクールでコールドなことが起きていた。

北極圏に近いフィンランドのオウル市で、地元のテクコミュニティが、スタートアップのピッチ(売り込み)コンテストをささやかに開催した。

そのルールは?

時間制限はないが、凍った湖面に主催者が開けた、北極熊が泳げる程度の大きさの穴の中でピッチすること。

着てよいものは、海パンやふつうの服のみ。ダイビングスーツやウェットスーツは不可。

招待状にはこう書かれている: “最初は呼吸困難を感じるかもしれない。でもそれは正常で無害だから、平気だよ。すぐに、呼吸できるようになる”。

26社が水に飛び込んだが、優勝は企業にフィットネスのプログラムを提供しているLaturiだ。次席入賞のTosiboxは、リモートアクセス用のプラグ&プレイデバイスを売っている。もう一社、Minus Degree Mobileはモバイルアプリのデベロッパだ。

下のビデオは、3時間近くある。全部は見なかったけど、最初は北極熊のぬいぐるみを着た男が勝ち誇ったように自転車に乗ってやってくる。

33:00では、半裸の男が氷に開いた穴の中でヴァイオリンを弾く。1:47:00あたりでは、おかしなフォークダンスのようなものを見られる。

では、お楽しみを!。本誌のDisrupt Battlefieldなどのイベントの担当者には、きっと参考になるはずよ。

toosa on livestream.com. Broadcast Live Free

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


社内SNS「gamba!」、”スマホ日報”をコンセプトにモバイル対応強化

社内の日報を共有するサービス「gamba!(ガンバ)」が7日、スマートフォンとタブレットのブラウザー向けに最適化した。“スマホ日報”をコンセプトにリニューアルし、これまでPC上のブラウザーのみで対応していた一部機能が、スマホとタブレットからも利用できるようになった。

gamba!は業務の進捗状況を投稿したり、スタッフ同士でコミュニケーションを図れる社内向けSNS。2012年12月にベータ版をリリースし、現在までに文具・オフィス用品のプラスなど累計2000社以上が無料のトライアル版を導入。有料版の導入数は非公表だが、運営元のgambaによれば、トライアル版は毎月300〜400社が新規登録するなど好調なのだという。

2013年10月には、Skyland Venturesから2200万円を調達(関連記事)。同月にはiPhoneアプリを公開し、今では利用者の4割近くはスマホ・タブレット経由でアクセスしているそうだ。「特に帰宅途中に日報を提出したり、通勤途中に部下の日報を確認するなど、モバイル端末との親和性が非常に高いことがわかった」(gambaの森田昌宏社長)。

モバイル端末からの利用が増える一方、これまではアプリがないAndroidやiPadはブラウザー経由でグループ設定やアカウント管理などの一部機能が利用できなかった。今回、スマホとタブレットに最適化したことで、最大7割近くのアクセスがモバイル端末経由になると見込んでいて、2014年内に8000社のトライアル申し込み獲得を目指す。

社内向けSNSとしては、Microsoftが2012年6月に12億ドルで買収したYammerが有名(関連記事)。gambaは現状、従業員数20〜50人程度の中小企業が主に導入しているが、今後はISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)のような管理体制や、ユーザー管理機能を強化するなどして、大企業への導入を図る考えだ。


ネット印刷通販のラクスル、Wilなど6社から14.5億円を調達

ネット印刷通販のラクスルは2月6日、WiLをリードインベスターとして第三者割当増資を実施し、総額14億5000万円を調達したことを明らかにした。割当先はこのほか、グローバル・ブレイン、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、プラス、GMOベンチャーパートナーズ、ミクシィの合計6社。

ラクスルは、日本各地にある印刷会社をネットワークし、各社の非稼働時間を活用することで、低価格な印刷物を提供するサービス。調達した資金をもとに、顧客サポートを強化したり、印刷物デザインやチラシ配布などサービス領域を拡大する。ラクスルによれば、自社のビジネスモデルは海外にはないとしており、グローバル展開も視野に入れている。

今回の資金調達ではベンチャーキャピタルだけでなく、オフィス家具や文房具のプラスやミクシィといった事業会社とも資本・業務提携を実施。プラスとは共同で印刷物を販売したり、ラクスルがプラスの物流機能を活用して配送コストの低減や短納期商品の強化を図る。ミクシィともサービス連携について協議を進めていく。


あるスタートアップが、QRコードで米国版「マネーの虎」を「ハック」した方法

「Shark Tank」をご存じない方のために書いておくと、これはABCのテレビ番組で、1組の起業家が自分の会社や製品について、投資家たちの前でプレゼンを行う。目的は、ビリオネアのMark Cubanやファッション界の巨人Daymond Jon、インターネットの大御所、Robert Herjavecを始めとする数々の出演者から、事業拡大なり何なりのための資金を引き出すことだ。

番組は、日本の番組「マネーの虎」のアメリカ版で、フォーマットはかなり似かよっている。希望に満ちた起業家が登場し、シャークたちを相手に自社の製品やサービスを売り込み議論をする。シャーク一人一人がそれぞれ投資するか否かを決める。

数ヵ月前、Scanのファウンダー、Garrett Geeは、Shark Tankへの出演依頼を受け、彼のスタートアップを投資家らに売り込んだ。Geeは自社株5%と引き換えに100万ドルの調達を見込んでいた ― 結論から言えば ― シャークたちがこの会社の将来を見つけることはなかった。結果的にはOKで、ScanはEntreeをはじめとする既存投資家による700万ドルの調達ラウンドを完了したことを、番組放映の前日に発表した。

しかし、私がGeeから彼のShark Tankでの体験を聞いたところ、それは実に興味深いものだった。

出演にあたっての規則の1つに、収録中URLを見せてはいけないというものがある。Geeと彼のチームは、Scan.me から “.me” の部分を消したスペシャル版ロゴマークをデザインしなけれはならなかった。そして彼はプレゼン(下のビデオで見られる)の中で、同社サービスのデモに必要な大きなQRコードが書かれたパネルを使った。

TechCrunchの読者であれば、URLは禁止だが、設定可能なQRコードなら許されることの意味がおわかりだろう。

「あらゆる資料からウェブアドレスを削除させられましたが、私がQRコードを持つことは全面的に容認されていました。永久に変更可能なURLを」

Scanが番組用にQRコードを作った時、当初はどこへも飛ばないダミーURLを使い、デモがうまくいくかどうかを試した。実際Geeの端末は収録中「機内モード」になっていたので、そもそもどこへも行くはずがなかった。

しかし、数ヵ月後の放映直前になって、Geeは突如ひらめいた。Scanはつい最近、企業が簡単に購読受付できるために、自社のInstagramアカウントに転送する機能を追加したところだった。そこで、彼はQRコードの飛び先を自分のInstagramフィードへ向け、更新ボタンを押した。そして、すぐにそのことを忘れた。

「私の目的は、番組のシステムを〈ハック〉することでも、規則を破ることでもありませんでした」とGeeは言う。「でも、私がそして誰もが驚いたことに、人々は実際にスキャンしたのです」。

翌朝、Geeはダッシュボードで3100件のスキャンが彼を待っていることと、大量のInstagramフォロワーが増えていることに気付いた。ユーザーは彼の写真にコメントを付け始め、番組の最中にコードをスキャンしてアプリをダウンロードし(リンクは表示されていなかったが)、彼のInstagramにジャンプしたことを書いた。

その後数日間、Geeは大量の人々がビデオやストリーミングやABC.comで番組を見たことを知った。

「当社の最新機能を、誤って非常にうまく使ってしまいました」とGeeは言う。

番組の効用は他にもあった。Scanのアプリはカテゴリー内の有料アプリ第1位に返り咲いた。再放送の後にさえダウンロードやレビューの嵐が起きた。そして、Geeによると、すべてが素晴しい体験だった ― 資金調達とは全く異なるものではあったが。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


動画制作に特化したクラウドソーシング「Viibar」、グロービスなどから3億円調達

Viibarの上坂優太社長

動画制作に特化したクラウドソーシング「Viibar(ビーバー)」を運営するViibarは5日、グロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズに対して総額3億円の第三者割当増資を実施した。日本でも徐々に動画コンテンツのニーズが高まりつつあるが、Viibarは市場価格の半分以下のコストでの動画制作を実現することで、この市場でのシェア獲得を狙っている。

動画制作は発注先や予算の相場がわからなかったり、多重な下請け構造でコストが高く付いてしまうこともある。オフラインでの度重なる打ち合わせや素材の受け渡しは、クライアントとクリエイター双方にとって煩雑なものだ。Viibarの上坂優太社長は、「こうした動画制作業界の構造的問題を改善すべく、クライアントと国内外の優秀なクリエイターをマッチングするプラットフォームを立ち上げた」と語る。

発注の流れとしてはまず、クライアントが動画の目的や盛り込む要素、予算などを入力して仮払い決済を行う。その後は自動的に企画案のコンペが開催され、プロジェクトリーダーとなるクリエイターが絵コンテを投稿する。クライアントはその内容やクリエイターの過去の実績を見て発注先を選定する。なお、クリエイターはViibarに過去の作品を送り、審査に通過した人だけが登録できる。

選定されたプロジェクトリーダーは、Viibarに登録するシナリオライターやカメラマン、編集者、サウンドクリエイターなどを集めてチームを編成する。制作進行はプロジェクトリーダーとクライアントがオンラインでやりとりする。動画のアップロードやダウンロード、プレビュー、修正指示など制作に関するすべての作業はViibar上で完結するため、オフラインでの作業と比べて時間も金額も削減できるのだという。

動画はアニメと実写に対応し、予算に応じて30万円〜、60万円〜、100万円〜のプランが選べる。過去にはヤフーや楽天、ミクシイなどの大手もViibarで1分程度のプロモーション動画を制作している。

絵コンテ提案画面

Viibarの強みは、動画制作の各分野のプロフェッショナルを多数抱えていることだと、上坂氏は語る。ひと口に動画制作と言っても、監督や脚本家、カメラマン、エディター、音楽家、ナレーター……とプレイヤーはさまざま。「クラウドソーシングでこれだけのクリエイターを抱えているのはViibarだけ」。

Viibarは2013年4月に設立したスタートアップ。現在29歳の上坂氏は大学卒業後、映像制作会社で企画・制作を担当。その後、インターネットでのコンテンツ商流を学ぶために楽天に入社し、楽天市場のマーケティング戦略立案などを手がけてきた。現在のビジネスモデルは楽天のTVCMを担当した際の問題意識から生まれたものだという。創業当初は「イケてるクリエイターに個別にアプローチしていた」が、現在は「数百人規模」に拡大。年内に数千人規模に増やし、クリエイターが創造性を最大限発揮できるプラットフォームを構築したいと話している。


スタートアップ創業者の平均年収は?アンケートで判明した意外と寂しい懐具合

スタートアップ創業者にも学生~20代後半から勝負をかけた若手起業家、30~40代の十分な経験と知識があるベテラン社会人から、既に収めた成功に物足りない連続起業家まで色々いるわけですが、微妙に気になるのがその給与。全て自己資金でやっているならともかく、他人の出資を受けている際は余り貰いすぎていても人生かけてない気がします。とはいえ普通の企業に勤めていれば、それなりに稼いでいそうな(&家庭もある)ベテラン社会人が起業する場合は最低限稼ぐべき生活費の額も高そうです。一般的にはまとめて「IT社長」で小金持ってそうな雰囲気なのかもしれませんが 汗、会社や人によって千差万別であろう、業界人であっても相当仲良くないと詳しくは聞けないスタートアップ創業者の報酬について、米国で調査を行った結果が興味深かったのでここに紹介します。日本とは若干事情も違うでしょうが、これからの世の中、国境を越えてグローバルで勝負しようと思っているあなたには気になる内容? — SEO Japan

スタートアップを経営しているなら、自分の給与を幾らに設定しているだろうか?CompassがThe Next Webに提供してくれたデータによると、多額の給与を求める経営者は割と少ないようだ。

Compassは、同社のベンチマーキングツールを用いる世界中の1万1160社のスタートアップから、給与に関するデータを集めた。シリコンバレーでは、スタートアップの創業者の75%は、年収を7万5000ドル(約759万円)以下に決めており、そのうちの66%は、5万ドル(約506万円)を下回る。各国の給与の平均は、低い国では、インドの3万208ドル(約305万ドル)から、高い国では、オーストラリアの7万2363ドル(約731万円)と、国によって大きく異なる。

今から6年前の2008年、投資家のピーター・ティエル氏は、CEOの給与の低さは、スタートアップの成功を判断する上で最高の基準になると推測していた:

「CEOの給与が低ければ低いほど、成功する確率は高い」

「CEOの給与は、他の従業員の給与の上限となる。高い金額に設定していると、多額の資金が必要になる。CEOの利益と投資家のバランスが取れている必要がある。しかし、それよりも重要な問いは、会社の使命が、新しい製品を生み出すことか、あるいは、ただ単に給与をもらうことかどうかである。

「ただし、実際問題として、1つだけ質問をするなら、給与の金額を問うことにしている。」

消費者がお金を払ってでも使いたい製品を作る方が、経営陣の給与よりも重要だ、と言う声もあるが、経費を意識する姿勢は、責任感のあるファウンダーの常識的な考え方を示す。どうやら、大半のスタートアップは、自らの給与の金額で、この考え方を体現しているようだ。

Founder salary overview What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one

スタートアップ創業者の給与 概要

インドを除き、スタートアップの創業者の給与は、驚くほど似ている(この記事の最後に掲載する表を参照してもらいたい)。サンフランシスコのような物価の高い地域で生活することを考えると、シリコンバレーのスタートアップの給与の低さは特に目につく。

スタートアップの段階が、ファウンダーの給与に影響を与えているのでは?と疑問を持つ方もいるだろう。しかし、実は、思っているほど大きな影響は与えていない。事実、スタートアップの創業者の給与は、製品が大幅に成長する段階に達するまでは、年収4万5000ドル(約456万円)以下をキープする傾向がある。また、成熟期に入ったスタートアップでも、平均の年収は7万109ドル(約710万円)であり — スクルージ・マクダックのような生活を送ることは出来ない。

Founder salary by product phase What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one

製品の段階別 スタートアップ創業者の平均年収

コンセプト

実用レベルのプロトタイプ

開発

機能製品(ユーザーを限定)

機能製品(大幅に成長する)

成熟

思った通り、投資のレベルは、ファウンダーの給与により強いインパクトをもたらす。それでも、「さてと、銭のプールで泳いでくるか」と言えるほどの額ではない。

Founder salary by funding level What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one

投資レベル別 スタートアップ創業者の平均年収

給与に関して、情報を公開しているスタートアップは少数派であり、給与の全般的な状況を示唆するデータには、たとえ少しであっても、好奇心をそそられる。 最初のドットコムバブルの日々を覚えているなら、シャンパンをがぶ飲みし、プライベートジェット機を所有し、豪遊するスタートアップのファウンダーのイメージが、今も残っているかもしれないが、現代の大半のスタートアップの現実とは程遠いように思える。IPOを実現するまで、その夢は取っておいた方がよさそうだ。

Silicon Valley1 What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one
Berlin What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one

India What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high oneLondon What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one

Sao Paulo What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high oneTel Aviv What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one

Toronto What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one


この記事は、The Next Webに掲載された「What salary does the founder of your favorite startup get? Probably not a very high one」を翻訳した内容です。

インドはともかく、大半の国地域で給与水準が似ていることに驚きました。西海岸はもう少し高いと思っていましたね。もっとも若手経営者に寄るスタートアップが多いことも理由かもしれませんが。実際。1750万円以上貰っている率も高いですし。サンパウロも高給取りが多いのが逆に興味深いです。ブラジルの事情考えるに、大企業と関係あるスタートアップか元々お金持ちがやっているケースが多いのかもです。日本のデータは入っていませんが、多分同じような感じだとは思いますが、さてさて。だから何というわけではありませんが、普段知ることが無いだけに興味深いデータでした。 — SEO Japan [G+]

スタートアップを1000億企業に成長させた5つのパターン

企業の株価も好調な中、スタートアップが急速に大成長を遂げ、数年で1000億ドル企業(今ならほぼ1000億円)に達する例も増えています。最も売上というより時価総額の話ではありますが、いずれにしても生まれたばかりのスタートアップが短期間でそこまで評価される市場があるというのは、起業家やベンチャー企業にとっては夢のある話ですし、やりがいも出るというもの。とはいえ、実際そこまで達したスタートアップはごく一部に過ぎず、大半は倒産、失敗、安値で売却、中途半端な規模で停滞(ドキリ)しているわけです。今回は栄えて1000億企業に成長したスタートアップの事例から成長・成功の方程式を探ってみようという、その界隈の人であれば気になる記事をThe Next Webから。 — SEO Japan


Bureau Of Engraving And Printing Prints New Anti-Counterfeit 100 Dollar Bills

この記事は、もともとGeektimeに投稿されたものである。

一流のインターネットスタートアップ — Billion Dollar Club(ビリオンダラークラブ: BDC) — とその他大勢を分け隔てる5つの戦略(パターン)が存在する。

過去数年、私は成功を導く習慣を研究してきた。消費者の行動、習慣の形成、思考パターン、そして、継続的な進化に対する人間の脳の能力に関する書籍、専門家が綴った記事、そして、TEDのプレゼンを手当たり次第チェックしてきた。そして、成功の裏側にあるパターンを探るため、多くのスタートアップを調査した。

また、私には数億ドルの利益を上げる消費者向けインターネット企業を分析する趣味がある。この努力が実り、右肩上がりの成功をもたらすパターンを幾つか特定することが出来た。

有名なフットボールコーチのトニー・ダンジー氏は、かつて、このように発言したことがある: 「チャンピオンは、特別なことをしているわけではない。普通のことを、意識せずに行っている。しかし、あまりにも早いため、他のチームがついていけない。チャンピオンは、学んだ習慣に従っているだけだ。」

チャールズ・ドゥイーグ氏は、ダンジーコーチの哲学を、著書「The Power of Habit」の中で取り上げている。このストーリーでは、かつて、弱小チームであったタンパベイバッカニアーズのコーチにトニー・ダンジー氏が就任し、習慣、あるいは、パターンの一部を変えて、短期間のうちに、チームをプレイオフへと導き、見込みのない負け犬から、NFL史上、指折りの強豪チームへと進化させた経緯が描かれている。

この本は、習慣の変化が成功への道を切り開く仕組みを巧みに説明している。 ドゥイーグ氏は、頂点に上りつめるためには、成功には関係のない習慣を特定し、変える必要があると主張している。

ここで疑問が生じる: 一体、その習慣を何に変えればいいのか?ダンギーコーチ曰く、勝つための習慣に変える必要があるようだ。

ユーチューブ、ピンタレスト、Chegg、グルーポン、Airbnb、Shazam、インスタグラム、Waze、そして、ツイッター等の数十億ドル規模の消費者ウェブサービス — ビリオンダラークラブの会員 — は、共通の5つのパターン、または、基礎的な習慣を採用し、その結果、一夜にして成功を収め、ビリオンダラークラブの仲間入りを果たしていたことが分かった。

この習慣に関する私の見解をこれから挙げていく。

習慣 #1: 感情と実用性を分ける: 感情に訴えるメッセージ、もしくは、実用的なメッセージを送る

新しい製品に関して、ビリオンダラークラブに属する企業は、製品を市場に投入する際に、実用的 — 実用的な面を強調 — もしくは、感情に訴える — ユーザーに対する感情、または、心理的なメリットを強調 — 簡潔なメッセージを送っていた。

例を幾つか挙げていく: ツイッターは、感情面でのソーシャルなニーズに狙いを定め、個人的な体験と意見を友達とシェアするよう促した。

一方、Shazamは、ワンタッチで稼働する楽曲認識検索エンジンに対する、実用的なニーズに応じていた。

ピンタレストもまた実用的なメッセージを初期に送っていた — ピンボタンを1回クリックするだけで、写真を保存 & シェアする。ユーチューブは、世界中のユーザーと動画をシェアする点をアピールした。Airbnbは、貸別荘史上に狙いを絞っていた。

グーグルは、検索バーのみを持つ、使いやすく、シンプルで、洗練されたデザインのホームページを提供し、ウェブ検索を実践的な取り組みに変えた。アップルは、「コンピュータをすべての人の手に」と言う使命の下に、テクノロジーの魔法とも言える、PCを所有する願望にアピールした。

pinterest tnw 520x5012 5 patterns behind successful billion dollar consumer Web companies

グーグル検索をしていなかった頃、ツイートを投稿していなかった頃、あるいは、ピンしていなかった頃をなかなか思い出すことが出来ないほど、このようなサービスは定着している。

ダニエル・カーネマン教授やダン・アリエリ博士等の行動主義経済学者は、根本的なメッセージが、感情、または、論理に訴えかける場合、ユーザーは早く決断を下す傾向があると指摘している。この決断は、製品の存在を知り、調べ、受け入れ、そして、最終的に購入するレスポンスの全域に当てはまる。

意識の中に製品を記憶させ、ニーズを作り出すことが、最も重要である。要するに、革新的 & 画期的な製品に対する意識作りは、製品の開発と同じぐらい大事なのだ。

この手法は明確な目的 — 心に、早く働きかける — を持つ。適切なメッセージを脳の適切な場所に送り込み、製品を選び、利用する決断を楽に下す環境を作り出すのだ。

習慣 #2: 究極を目指す: 1つのシンプルで、究極の機能を作る

ビリオンダラークラブの面々は、製品をリリースする際、1つの主要な機能を介して、新たな意識に訴えるメッセージを送り込んでいた。このたった1つの強力な機能が、アプリのDNAとなり、この機能を土台として、後に多くの製品が開発されていった。

ピンタレスト、Shazam、ユーチューブ、GetTaxi、インスタグラム、Snaptchat、ツイッター、そして、Waze等のアプリは、たった1回(時には2回)のクリックで、価値を与えることに成功しており、その結果、究極にアクセスしやすく、ユーザーフレンドリーで、何よりも、日常生活から切り離すことが出来ない存在として定着している。このたった1つの機能が、文字通り指先に刻印されている — これこそが、究極の製品の証である。

また、刺激のレベルが高まるにつれ、反応の領域は減っていく。

ユーザーは、ハイレベルの刺激に慣れ、この刺激を無視することが出来るようになる。すると、簡単に退屈してしまい、物新しさをほとんど感じなくなる。そのため、「究極」のメッセージ、または、ユーザー体験は、耳障りな宣伝との差別化を達成する上で欠かせないツールだと言える。

恐らく、この「究極」を支持する人物の中で、最も有名なのは、アップルを創設し、同社を代表する故スティーブ・ジョブズ氏だと考えられる。ジョブズ氏は、創設当時から究極のアプローチ、そして、製品のミニマリズムデザインに固執していた。.

従業員に強烈に反対されものの、ジョブズ氏は、革命的なミュージックプレイヤー – iPod – の発売にこだわった — このデバイスには、たった1つのボタンしか搭載されていなかった。スティーブ・ジョブズ氏は、世界初の単一のボタンで動くMP 3プレイヤー(これこそ、究極のアプローチである)のコンセプトが生まれるまで、何度もエンジニア達に作業をやり直させていた。

同氏は、iPadを開発する際にも同じアプローチに固執した — シンプルで、流線型のデザインを維持するため、USBポートの搭載を断固として認めなかった。そして、ジョブズ氏がこだわり抜いたiPadは、消費者から絶大な支持を受けることになるのである。

習慣 #3: 約束する: ユーザーの期待を製品に合わせる

新しい製品を発売する際、会社は、顧客に対して約束をする — 製品を利用することで得られるメリットを顧客に伝える。キャッチフレーズのような公式なメッセージもあれば、- 暗黙のメッセージもある。

要するに、会社は、約束を介して、製品をユーザーの期待に合わせるのだ。ここで大事なことは、約束が小さい点である。

ツイッターは、単純に140文字のテキストを他のユーザーとシェアする権利をユーザーに与えている。それだけだ。この約束によって、ユーザーはこのサービスを使い続けることになった。現在、「Social Networking and Micro blogging」(ソーシャルネットワーキング & マイクロブロギング)と言うキャッチフレーズが用いられているものの、初期の約束は、今でもユーザーの心の中に残っている。

ビリオンダラークラブのメンバー、ピンタレストは、ウェブで気に入った写真を一瞬のうちに保存することが出来ると約束した。現在は、ピンに加え、リピン、シェア、そして、美しいボードを作成する機能も提供しているが、(現在も提供している)「写真をピンで留める」機能が、同社の基幹となった。

Fiverrは、5ドルのマーケットを作る約束と共にサービスを開始した。 現在、様々な分野のサービスが提供されている。しかし、優れた安価なマーケットを探す際、サービスを5ドルで購入することが出来ると言うFiverrの約束が、今でも思い浮かぶ — そして、Fiverrは、今でもこの約束を守っている。

グーグルは、ユーザーが思いつく検索に対する結果を提供すると約束し、アップル — そう、アップルは、イノベーションを公約した。

今度は、Wazeを例にとって考えてみる。現在、Wazeは、「outsmarting traffic together」(一緒に渋滞の裏をかけ)と言うキャッチフレーズを用いている。しかし、サービスを立ち上げた当初、Wazeは、すぐに製品を市場に普及させるため、ベータ版を無料で提供していた。

waze 540x405 5 patterns behind successful billion dollar consumer Web companies

ベータ版は、無料の必要最低限のGPS機能 — 地図もなければ、渋滞情報の更新もなく、さらには、速度取締器の警告もない — を提供することを約束していた。ユーザーは、故障やバグの発生を厭わずにこのサービスを利用した — メジャーな問題が解決されるまで、運転を続け、製品を使い続けたのだった。

その理由は、無料だったためだ。当時、優れた無料のGPSを提供している会社は他になかった。このベータ版によって、顧客ロイヤルティが形成されたのだ。

ビリオンダラークラブの会社は、全て小さな約束から着手していた点は、特筆に値する(スティーブ・ジョブズ氏が並外れた約束をしたアップルを除く)。製品の提供を始めた段階で、具体的な成果を約束した会社、そして、製品が日常生活の大事な一部になるにつれ、その後、加えられていった補足の機能の開発に力を入れた会社はなかった。

初期の約束を確立することで、顧客の期待を、製品の機能に合わせていた。これが、成功を導くパターンとなった。

また、ビリオンダラークラブのメンバーは、実現可能な期待を抱かせていた。成果ではなく、製品に焦点を絞る約束は、製品を確実に成功に導く。なぜなら、期待を抱かせ、その期待が満たされると、苦情は起きず、顧客の忠誠心が構築されていくためだ。

習慣 #4: 「何でも」ボタン: ユーザーは会社の成長を喜ぶ

この「何でもボタン」製品は、ユーザーにメリットを与えるだけでなく、ユーザーが、このボタンを利用するだけで、会社の規模は拡大していく。その結果、ユーザーにとっての利便性が高まっていく。

この循環プロセスが、意図的か偶然かどうかは別として、会社が価値を創造し、収益を上げる上で、役に立つことだけは間違いない。

そのため、Wazeを利用したままにしておくと、ユーザーは交通状況の更新に貢献する。ツイッターのユーザーがツイートを投稿すると、同社は、最新の社会の出来事およびトレンドについていくことが出来る。フェイスブックでインスタグラムを利用すると、出発点で目指していた — フェイスブックで最も多く利用される写真共有アプリに成長する。

グルーポンは、当初、消費者の購買力を高めることに力を入れていた。新たにユーザーが加わる度に、よりお得な取引が生まれ、また、グループ全体の購買力に大きな力が加わる仕組みになっていた。

ピンタレストは、ユーザーがボードに写真をピンして、画像を増やす度に、価値を創造する。ユーザーは、自らの体験に貢献するだけではなく、その他のユーザーのアプリの価値を高め、会社の価値も高めている。「私のモノは、私のモノ。私のモノは、誰でも使うことが出来る。それでも、価値は得るのは私だけ。」と言う基本的な原則が、ピンタレストを動かしている。

バーチャルの世界では、たった1つの製品をシェアすることで価値を得られるため、「私が(ユーザー)楽しむと、君(会社)が成長する」戦略は、天才的なアプローチだと言えるだろう。

習慣 #5: アセットの構築: 最高の製品を目指すか vs. 最も利益を上げる製品を目指すか

最後に、ビリオンダラークラブの会社が、設立当初から、特定のデータを集める取り組み、または、当該の分野で1番になる取り組み、あるいは、ビジネスモデル、もしくは、売り上げに焦点を絞っていた点について説明する。

ビリオンダラークラブの会社は、通常、次の2つのうちのいずれかのモデルに該当する:

アセット #1:「最高の製品を目指す」

このモデルは、フェイスブック、インスタグラム、Waze、ツイッター、グーグル、ユーチューブ、ピンタレスト、そして、Shazamによって採用されたアプローチであり、その一部は、実際に収益を提示することなく、ビリオンダラーの評価を受けていた。

価値によってビリオンダラーの基準を満たした後、収益を生み出した企業もある。いずれにせよ、全ての起業が、それぞれのデジタルデータの分野で、最高、最大、そして、最強の製品になることに力を入れていた。

ツイッターは、ユーザーのアップデートが最も多く、インスタグラムは、フェイスブックで最も多くの写真を共有し、Shazamは、オーディオ検索アプリとして定着し、そして、Wazeは、無料のナビゲーション & 交通情報更新アプリとして、No. 1の地位を獲得している。

最大、そして、最高の製品となると、株式を公開する際に、大勢の投資家が押し寄せてくる。

アセット #2:「出来るだけ利益を出す」

115809566 220x136 5 patterns behind successful billion dollar consumer Web companies

Chegg、GetTaxi、Airbnb、そして、グルーポンは、製品を市場に投入した瞬間から、利益を上げることに焦点を絞る、積極的なビジネスモデルを武器とする会社の代表例である。ここでは、製品が生まれた時から、利益を得るパターンが目立つ。

製品の利用を強化するための機能を追加することに力を入れ、売り上げの増加を支える取り組みが行われる。すると、利益はとめどなく溢れてくる。

このような成功を勝ち取る習慣は、パーツとして、より大きな成果を構成している。今回紹介した5つのパターンは、それぞれが独立しており、スタートアップをビリオンダラークラブに相応しい会社に成長させた戦略的な習慣と言っても過言ではない。

現代は、「スーパー製品」の時代であり、企業は、シンプルでありながら、優れた製品を作り上げ、数年、もしくは、数ヵ月でビリオンダラー(10億ドル)の評価を受けることが出来る — これは、フェイスブックが登場する以前の時代では、絶対に考えられないことであった。

私達は、分析、および、解析することで、そして、プロの言葉と指摘を通して、このような成功のパターンを学び、得た情報を自分自身の挑戦に適用することも、そして、他の人達と共有することも出来る権利に恵まれている。


この記事は、The Next Webに掲載された「5 patterns behind successful billion-dollar consumer Web companies」を翻訳した内容です。

5つのパターンというか、まとめると、徹底的に目的を特化したシンプルな製品を作るということなのですかね(大ざっぱすぎてゴメンナサイ)。確かにそこまでシンプルに落とし込まなければグローバルで短期間に普及しないと思いますし、全く売上が追い付いていないにしろ、多数のユーザーを獲得さえすればスケーラビリティや将来性を買われて「時価」総額という意味での1000億円をつけられること十分可能な時代になったということでしょうか。こういうサービスを意図して作って成功させるというのは宝くじに当てることに近い気もしますが、それでも単純な運だけでなくアイデア、才能、技術、情熱、諸々を結集して成功の確率を高めることはできるのでしょうし、そんなグローバルドリームに憧れて今日も起業するアントレプレナーが世界中で尽きないのでしょう。なんて、達観するには早すぎるので私も地道に頑張りたいと思います。。。 — SEO Japan [G+]

女の子向けテクノロジーおもちゃのスタートアップ、GoldieBloxのスーパーボウル広告に拍手

日曜の晩、約1億1000万人がテレビにかじりついてスーパーボウルでシアトル・シーホークスがデンバー・ブロコスに快勝した試合とそこに散りばめられた30秒のおそろしく高価なスポットCMに見入った。今年Fox Sportsはスポット1枠ごとに450万ドルを要求し、アンハイザー・ブッシュ、シボレー、ペプシといったブランドがしぶしぶ財布をはたいた。

しかしひときわ異彩を放ったのは、社員15人のテクノロジー・スタートアップ、 GoldieBloxのCMだった。このサンフランシスコの会社は小さな女の子向けのテクノロジーおもちゃを作っている。4日前に、GoldieBloxはIntuitが主催するスモール・ビジネス・ビッグゲーム・チャレンジで優勝し、世界でもっとも高価なCM枠を獲得したことを発表した。

ちなみにGoldieBloxのスーパーボウル広告はBeastie Boysとの法律紛争を丸く収めるのにも役立つかもしれない。同社は無許可で Beasty Boysのパロディー広告を作ったということで訴えられている。スーパーボウル広告はSladeの“CumFeel The Noize”をカバーしているが、こちらはちゃんと金を払ってライセンスを得ているのだろう。

こんな小さな会社がスーパーボウルでCMを流せるというのはめったにないことだ。GoldieBloxのCMは大勢の女の子たちがピンクのお人形やら例によって例の如き退屈なおもちゃを抱えて集まり、ロケットに載せて宇宙に打ち上げてしまうというストーリーだ。スーパーボウルCMといえばマッチョな性差別的広告がうんざりするほど流れるのが通例だが、GoldieBloxCMは気持ちのいい解毒剤となった。Intuit自身も税務申告のソフトというスーパーボウルで興味を引きにくいプロダクトのCMづくりに頭を悩ませることなくイメージアップを実現できた。なにしろスーパーボウルの広告主に文句を言うための専用アプリがRepresentation Projectによって作成されているくらいだから、Intuitの戦略は賢明だったいえる。

いちばん評判の悪かった広告がどれになるかまだわからないが、Twitterの反応ではSodaStreamとフォルクスワーゲンがありがたくない番付のトップに並んでいるようだ。こちらは昨年のスーパーボウルのもっとも性差別的CMのリストで、ビキニモデルがフィッシュバーガーを食べるCarl’s Jr’sの傑作などが入っている。

しかし幸いなことにスーパーボウルCMの女性向けと男性向けの差は毎年縮まっている。たとえば昨年、GoDaddy.comは最悪の性差別的CMの烙印を押されてしまったが、今年は劇的に調子を変えてきた。今後とも企業は注目を集めながらも性差別的でない広告づくりに努力していくだろうと期待したい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


海外のエンジニアチームに日本語でアプリ開発を依頼できる「セカイラボ」

世界中のエンジニアチームに仕事を発注できるサービス「セカイラボ」が2月3日にローンチした。国内のIT人材不足が指摘される中、中国やベトナムなど費用対効果の高い地域のエンジニアチームに対して、日本語で大規模な開発を依頼できるのが特徴。運営するのは音楽配信サービスやゲーム開発を手がけるモンスター・ラボのグループ会社で、シンガポールに本拠を置くSekai Lab。サービス開始1カ月で8カ国、1000人、200チームの受注体制を整えたいという。

情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2013」(PDF)によれば、新規事業の開発を担当する人材が不足していると答えた企業は実に9割以上。最近ではネット上で発注者と受注者を結ぶクラウドソーシングでもエンジニアと仕事をやりとりすることがあるが、Sekai Lab代表取締役COOの大熊一慶氏は、「クラウドソーシングの仕事の8割は受発注者が1対1でやりとりをする50万円以下のプロジェクト。中規模以上の案件を依頼することは難しい」と指摘する。

そこでSekai Labは、中国やアジアをはじめとする8カ国のエンジニアのチームに対して、日本語だけで大規模な開発を安価に発注できるプラットフォームを構築。サイト上では「Webサービス」や「iPhoneアプリ」といったジャンル、「iOS」や「Unity」といったスキル、キーワードで最適なエンジニアチームを率いるリーダーを検索し、パートナーシップを組むことができる。

検索対象となるチームには必ず日本語が話せる人材がいるため、開発のやりとりも日本語で対応可能。エンジニアチームは当初、日本と海外に開発拠点がある企業が対象だが、今後は海外のみに拠点を構える企業も集めていく。Sekai Labは、プラットフォームを用意するだけでなく、企画や設計、検証など海外開発でトラブルになりがちな部分をサポートする。

発注者のメインターゲットはウェブサービスの新規事業を手がける大手企業。発注料金としては、日本で1人月70〜80万円くらいの費用が、ベトナムだと18万円、ミャンマーだと10万円程度に抑えられるのだという。Sekai Labはエンジニアチームに対して、受注金額の9〜12%を手数料として受け取る。「開発の全範囲で手厚くサポートするため、クラウドソーシングサービスの手数料と比べて価格は高めに設定している」(大熊氏)。発注企業の手数料は無料。

システム開発や運用管理を海外事業者に委託するオフショア開発は、人件費が高い日本では安価な労働力を大量に得られるのがメリットだ。その反面、大熊氏は「言われたものを作るだけで、クリエイティブなサービスを作るイメージがない」と指摘する。Sekai Labの親会社であるモンスター・ラボは、ウェブサービスの新規事業を企画から提案・受注したり、実際に海外で開発してきたノウハウや実績が強みといい、「安かろう悪かろうのイメージがあるオフショア開発を再定義したい」と大熊氏は意気込んでいる。


無料EC「BASE」が独自カード決済導入、三井住友カードなどと提携

無料でネットショップを開設できるサービス「BASE」を運営するBASEは、三井住友カードと決済代行サービスのスマートリンクネットワークと提携し、3月1日より独自のカード決済システムを導入する。現在のカード決済はPayPalを活用していて、購入時には外部ページに遷移している。新決済システムはBASE上で決済が完結するため、買い手は利便性が向上する。BASE店舗オーナーとしても、決済完了までのページ遷移数が減るため、コンバージョン率が上がることが見込まれる。

新決済システムの移行にあたり、1月31日より既存のBASE店舗オーナーに事前受付を開始。カード決済のシステム料は据え置きで、「代金の3.6%と40円」が別途かかる。店舗オーナーは通常、独自でECサイトを構築する際にカード決済を導入するには、カード会社の審査を受けなければならない。しかし、BASEで出店することで、ECサイト開設時からカード決済が利用できることになる。

BASEは初期費用や月額費用だけでなく、販売手数料も無料のサービス。カード決済時の手数料は発生するものの、「現時点でマネタイズはしていない」(BASEの鶴岡裕太氏)。今後はオプションの機能で課金する可能性はあるが、「今年いっぱいは大規模なマネタイズの予定もない」という。1月末時点でショップ開設数は7万店に上り、毎月30〜40%増えているのだという。


統計分析ツール「xica adelie」のサイカ、セールスフォースなどから1億円調達

専門知識がないビジネスパーソンでも使える統計分析ツール「xica adelie(サイカアデリー)」を提供するスタートアップのサイカは1月30日、セールスフォース・ドットコム、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、アーキタイプベンチャーズの3社を割当先とする総額1億円の第三者割当増資を実施した。これに伴い、セールスフォースのPaaS環境「Heroku(ヘロク)」を利用し、クラウド型営業支援(SFA)ツール「Sales Cloud」と連携した統計分析アプリケーションを提供する。

xica adelieは、企業が保有する多様なデータの中に潜む関連性を見つけるサービス。例えば、売上という「成果」に対して、CM放映回数、チラシ配布枚数、天候、曜日などの「要素」がどのように影響するかを検証する。具体的にはCM放映2週間後に売上が100万円アップ、チラシを配布した週に売上が10万円アップ、天候は売上と無関係……といったことを分析し、各要素が「いつ」「どれくらい」成果に影響するかを数値化できる。従来こうした分析には統計の知識を持つ担当者や専用ツールなどが必要だったが、xica adelieは、これを誰にでも使えるツールとする。

xica adelieのイメージ

今回の資金調達によりサイカは、セールスフォースのユーザー向けアプリマーケットプレイス「Salesforce AppExchange」を通じて、Sales Cloudと連携した新たな統計分析ツールを提供していく。サイカは昨年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇し、マイクロソフト賞を受賞している。

サイカ代表取締役CEOの平尾喜昭氏


本の要約サイト「flier」がサイエンス領域を強化、理系集団「リバネス」と提携で

話題の書籍の全体像を10分程度でわかる内容に要約して配信するサービス「flier(フライヤー)」は1月28日、サイエンス領域のコンテンツ配信を開始した。すべての社員が理系修士号・博士号取得者であるリバネスと提携して要約をアウトソーシングする。今後は理工書の要約コンテンツを毎月5冊ペースで配信していく。リバネスはサイエンスに特化した教育事業や研究開発などを手がけている。

同様のサービスは欧米を中心に展開し、1000万超のユーザーを獲得するgetAbstractが有名。flierはコンサルティング会社で執筆経験がある創業者らが2013年10月にローンチし、毎月20冊ペースで要約コンテンツを配信している。20冊のサンプルを閲覧できる無料プランのほか、有料コンテンツは月額525円で5冊、月額2100円で読み放題。要約する書籍はすべて出版者から許諾を得ていて、その内容は出版者の担当編集者がチェックしている。

運営元のフライヤーによれば、これまでに要約したコンテンツは約100冊。会員数は昨年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇して以降、順調に伸びているといい、現在は7000人に上るのだとか。今回のリバネスとの提携は、難解でとっつきにくいと思われがちな理工書を、文系出身者にもわかりやすく要約できるのがメリットだとしている。


Airware、民生用ドローンの活用拡大に向け、密猟者からクロサイを守るプロジェクト等を実験中

Airwareは、平和利用のためのドローン普及を目指すスタートアップだ。ドローンに関わるハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアの開発を行っているこのAirwareだが、平和利用の一形態として、アフリカはケニアにおける密猟防止策としてのドローン活用を提案している。こうした提案を通じて、年内にもドローンの平和的商業利用マーケットを確立したいと考えている。

Airwareの設立は2010年で、Y Combinator 2013年3月卒業組のひとつだ。一般的に想定されるビジネスシーンのみではなく、精密農業、土地活用管理、送電線点検作業、油井やぐらのメンテナンス、あるいは災害救助活動などの用途での活用も視野にいれているそうだ。

先述のようにAirwareでは、ドローンのハードウェアや、基本となる操作運用システムなどを作成する。そこに各特定用途向けのアプリケーションを搭載して運用するというイメージになる。これにより、ドローンを実際の業務に活用しようとしている企業も、いちから無人航空機(UAV)の開発を行う必要がなく、活用に至る障壁が低くなるということになる。

このAirware、2013年5月にはシリーズAにて1070万ドルを調達している。主導したのはAndreessen Horowitzで、Google VenturesRRE VenturesLemnos LabsPromus VenturesShasta Ventures、そしてFelicis Venturesなども参加している。ちなみにこれは、デモ・デー後の調達額として、Y Combinatorの歴史上で最高額となるものだ。調達資金は、軍事用ドローンと最近いろいろと登場しつつある趣味のドローンの中間となる、すなわち過不足無く商業目的に活用できるドローンの開発に充てられている。

今年後半には、Airwareの商業用ドローンはベータ段階を終え、広く実用に供される予定となっている。しかしそこに向けて、世の中のドローンに対するイメージを変える必要もあると考えているようだ。「ドローンの有益な活用法を世の中に伝えたいのです」とAirwareのファウンダー兼CEOであるJonathan Downeyは述べている。

昨年末に話題になった、ジェフ・ベゾスのAmazon Air Primeは、ドローンの認識を新たにするのにひと役買ったものと思われる。しかし、これはあくまでも実験段階のもので、まだまだそれなりの人口密度のあるところでのドローン実用化は難しい面もある。Airwareとしては、すぐにも利用できる分野についての知識を、世に伝えたいと考えているのだ。

そうした目的で、Airwareは昨年12月に部隊をケニヤのオル・ペジェタ野生動物保護区に送り込んだ。東アフリカ最大のクロサイ生息地だ。ドローンのオンボードカメラを使って、密猟者の侵入をモニターしようと試みたのだ。Airwareによると「Airwareの自動飛行プログラムを搭載したドローンを飛ばすことにより、抑止効果と監視効果が期待されます。リアルタイムのビデオ映像と、赤外線映像(動物と、そして密猟者の存在もわかります)をパトロール部隊に送ることができるのです。カメラは固定式のものと、ジンバルマウントのものが利用できます」とのこと。実際に飛ばしている様子は下のビデオで見ることが出来る。

広大な地域を徒歩や車で監視して回るのは非常に大変なことだ。かといってヘリコプターや飛行機を使って見て回るとなると、多大なコストが発生してしまう。ここでアピールするのがAirwareのドローンだ。オル・ペジェタ野生動物保護区のパトロール部隊は、簡単なインタフェースを通じて保護区のあちこちでドローンを飛ばし、そして日夜にわたって密猟者の侵入を監視することができるのだ。

Downey曰く「多くの人に(非軍事目的のドローンの)活躍の様子を見てもらいたいと考えています。そうすればドローンの有効性に気付いてもらうことができ、家庭での利用に向けたイメージもできてくると思うのです」とのことだ。ドローンは平和的とは言えない用途で、まず注目を集めることとなってしまった。しかしこれはドローンのみが「恐ろしいもの」であるというわけでなく、テクノロジーの持つ性質によるものだとも言える。テクノロジーを「どのように」利用するかが問題なのだ。もちろん「戦争の親玉」を目指す人もいるのだろう。しかしAirwareは人間を攻撃するためでなく、人間に役立つドローンを生み出していこうと努力しているのだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


専門知識いらずのクラウド会計「マネーフォワード」正式版、価格優位でシェアトップ狙う

専門知識がなくても確定申告や会計処理を可能にするクラウド型会計ソフトといえば、2012年のTechCrunch Tokyo(TC Tokyo)でデビューを果たし、翌年3月にローンチした「freee」がある。その対抗馬と目されるのが2013年のTC Tokyoでお披露目となった「マネーフォワード 確定申告」および「マネーフォワード For BUSINESS」だ。1月27日に正式版サービスを開始した。料金プランは個人版で無料プランを用意したり、法人版ではfreeeを意識して安めに設定し、一気にシェアトップを狙う考えだ。

トップ画面のイメージ図

マネーフォワード 確定申告/マネーフォワード For BUSINESSは、確定申告や会計・経理業務を可能な限り自動化するクラウド型会計ソフト。銀行やクレジットカードなど1400以上の金融機関から入出金データを自動取得したり、学習機能で仕訳のルールを作成したり、仕訳データをもとにキャッシュフロー計算書や決算・税務申告関連のレポートを作成するなど、手入力の手間が大幅に省けるという。クラウド型サービスであるため、会計ソフトが少ないMacやiPadなど端末を選ばず、ブラウザー経由で使用できるのも特徴だ。

仕訳画面のイメージ図

料金プランは個人向けのマネーフォワード 確定申告が、基本機能無料のフリーミアムモデル。無料版は仕訳登録数が月間15件まで、仕訳の精度を高めるための学習ルールを登録できるのが月間5件までという制限がある。月額800円のプレミアムプランに加入すれば、これらの制限がなくなるとともに、帳簿データを他社ソフトの形式でエクスポートしたり、同時に閲覧・編集するユーザーを最大3名まで招待する機能なども利用できる。法人会計向けのマネーフォワード For BUSINESS(法人会計)は45日間無料で利用可能で、その後は月額1800円。

マネーフォワードは2013年11月にベータ版を公開(関連記事:マネーフォワードがクラウド会計に参入、専門知識不要の自動入力サービス)。正式版開始に伴い、青色申告・白色申告用の申告書の作成、家族や社員、税理士などと共同でデータを閲覧・編集するためのユーザー招待機能、「弥生」「会計王」「勘定奉行」など他社会計ソフトのデータのインポート機能などを追加した。また、領収書やレシートをスマートフォンで撮影し、データを自動で取り込む無料アプリも公開。レシートを読み取るアプリは数多くあるが、形式が複数ある領収書を読み取れるアプリは日本初だという。

実はベータ版公開時、料金プランはfreeeと同じで個人向けが980円、法人向けが1980円と発表していたが、正式版のリリースにあたって価格を下げたかたちだ。以前、マネーフォワードの辻庸介CEOにインタビューした際には「競合との価格競争は避けたい」と漏らしていたが、なぜ価格を下げたのか。

改めて聞いてみたところ、「今年中にクラウド会計ソフトのナンバーワンシェアを取る意気込みの表れ。今後もお金のプラットフォームになるための機能やサービスを追加する予定で、お金を払ってGmailも使えばカレンダーも使うGoogle Apps for businessのような存在になりたい。そのためには(値段を下げてでも)使ってもらわなければ」と話している。

マネーフォワードの辻庸介社長