システム障害に対応するエンジニアのための共同作業ノートブック「Fiberplane」

アムステルダムを拠点とするFiberplane(ファイバープレーン)は、Googleドキュメントのグループ編集に似た方法で、SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニア)がインシデントに取り組むための共同作業ノートブックを構築している。このアーリーステージのスタートアップ企業は現地時間9月16日、シードラウンドにおける750万ユーロ(約9億7000万円)の資金調達を発表した。

この投資ラウンドは、Crane Venture Partners(クレーン・ベンチャー・パートナーズ)とNotion Capital(ノーション・キャピタル)が共同で主導し、Northzone(ノースゾーン)、System.One(システムワン)、Basecase Capital(ベースケース・キャピタル)が参加した。

通称Mies(ミース)と呼ばれているMicha Hernandez van Leuffen(ミシャ・ヘルナンデス・ファン・ロイフェン)氏は、Fiberplaneの創業者でCEOだ。以前起ち上げたスタートアップのWerker(ワーカー)が2017年にOracle(オラクル)に買収されたことをきっかけに、ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏はより大きな会社の一員となり、そこで(どこの会社でも起こる)障害への対応に苦労している人々を目にした。

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「私たちは常にメトリクス、ログ、トレースの間を行ったり来たりして、私はいつもこれを宝探しと呼んでいるのですが、機能停止やダウンタイムの根本的な原因を突き止めていました」と、ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏は筆者に語ってくれた。

同氏はこの経験から、インシデント対応に関するいくつかの重要な洞察が得られたという。1つ目は、すべてのインシデントデータを集めておく集中的な場所が必要だということ。2つ目は、分散したシステムを管理する分散したチームが、しばしば異なるタイムゾーンを越えて、リアルタイムに協力する必要があるということだ。

2020年8月にOracleを退職した同氏は、DevOps(デブオプス)チームやSREに、組織内の他のチームがGoogleドキュメントやNotion(ノーション)などのツールで行っているのと同じようなグループ編集機能を与えることができないかと考え始め、新会社のアイデアを具体化させていった。

同氏がFiberplaneで作り上げたものは、SREがさまざまな種類のデータを取り込み、インシデントを解決するために共同作業を始めるためのコラボレーションノートブックだ。同時にこのノートブックには、何が起き、どのように問題を解決したかという自然な監査証跡を残すことができる。Googleドキュメントを複数の人が編集できるように、このノートブックにもさまざまな人が参加できるようにすることで、当初の構想を実現している。

複数の人が関わっているFiberplaneのコラボレーションノートの例(画像クレジット:Fiberplane)

しかし、彼はそこで止まるつもりはない。長期的なビジョンとしては、SREやDevOpsチームが障害のあらゆる側面に対応できる運用プラットフォームを目指している。「これは私たちの出発点です。しかし、ここからさらに拡大して、いわばSREのワークベンチとして、インフラを指揮・管理できるものにしたいと考えています」と、同氏は述べている。

現在、Fiberplaneでは13名の従業員が働いており、今も成長を続けている。彼らは、今の彼らがそうであるように、多様性のある会社を作るための方法を模索しており、より多様な候補者を見つけるための具体的な戦略を検討している。

「私たちは多様な人材を雇用するために、当社のトップ・オブ・ザ・ファネルのプロセスを再検討しているところです。当社の取り組みとしては、社会的弱者のコミュニティに求人情報を掲載したり、求人情報の記述をジェンダーデコーダにかけたり、求人情報の公開期間を長くしたりしています」と、Fiberplaneのマーケティングマネージャーを務めるElena Boroda(エレナ・ボロダ)氏は述べている。

ヘルナンデス・ファン・ロイフェン氏はアムステルダムを拠点としているが、同社は英国、ベルリン、コペンハーゲン、そして米国でも人材を雇用しているという。従業員の大半がアムステルダムに住んでいるため、オフィスが再開される際にはアムステルダムを中心拠点とする計画だ。

画像クレジット:lemono / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

オープンソースでオープンエンドなアプローチによる新時代の企業向けエンタープライズAPI管理ツールのTykが約38.4億円調達

APIは今日、多くの企業のITシステムの歯車を回す役割を果たしている。しかし、APIの数や使用方法が増えるにつれて、APIがどのように連携しているか(あるいは連携していないか)を追跡することは複雑になり、何か問題が発生した場合には致命的な問題になる可能性がある。この問題を解決する革新的な方法を開発したスタートアップ企業が、そのアプローチを採用する大企業の支持を得て、資金調達を発表した。

Tykは、GraphQLを使用する普遍的なインタフェースにより、ITシステム内部の複数のエンタープライズAPIにアクセスして管理する方法を開発した。同社はこのほど3500万ドル(約38億4000万円)の資金を調達して、新たな雇用と、現在ユーザーに提供しているツールの強化と拡張に投じようとしている。Tykは、APIとそれらが作り出すデータを管理する方法を彼らの造語で「universal data graph(ユニバーサルデータグラフ)」と呼び、今ではそのツールを、Starbucks(スターバックス)やSociete Generale(ソシエテジェネラル)、Domino’s(ドミノピザ)などおよそ1万社がAPIの管理に利用している。

今回の資金調達ラウンドはScottish Equity Partners(SEP)がリードし、MMC Venturesが参加した。後者は、Tykが最初の5年間、自己資金で2019年に最初の資金調達をしたときの投資家だった。Tykはロンドンの企業だが、実体はかなり分散しており、たとえば共同創業者の1人は現在、ニュージーランドに住んでいる。今後の雇用と成長も、分散型で行くつもりだ。資金調達額はこれまでの合計で4000万ドル(約43億9000万円)ほどだ。

Tykは「タイク」と発音し、「ちびっこ」とか「がき」という意味がある。最初は共同創業者で現CEOであるMartin Buhr(マーティン・ビュール)氏の、オープンソースのサイドプロジェクトとして始まった。当時、彼の仕事のメインは一種の「ロードテスト」(負荷試験)だった。

現在のITはサービス指向のアーキテクチャに変わっており、社内のアプリケーションに接続するためにもAPIを利用している。そこで彼が考えたのは、コードに対する考え方を変えて、それらがAPIのコントロールにも使えるようにすることだ。さらにまた、ビュール氏が見たかぎりでは、当時市場にあったAPI管理プラットフォーム(有名だったのはKongやGoogleに買収されたApigee、RedHatが買収し今やIBMの一部である3scale、今ではSalesforceの一部であるMuleSoftなど)には、彼が求める柔軟性がなかった。「だから自分で作ることにした」とビュール氏はいう。

関連記事:Google、API開発の上場企業、Apigeeを6億2500万ドルで買収へ

それはオープンソースのツールとして作られ、他社の技術者たちもそれを使い始めた。関心はさらに増して、利用に興味を持った大手企業から「なぜ有料にしないのか」という質問を受けるようになった。それは、ここでビジネスが成立する可能性があることを示す確かな兆候であり、有料にすればさらに信用を得られるということでもある。

「そこで、ゲートウェイをオープンソースにして管理の部分をライセンス方式にしました」とビュール氏はいう。それにより、James Hirst(ジェームズ・ハースト)氏を共同創業者とするスタートアップ、Tykが生まれた。数年前に、あるデジタルエージェンシーでビュール氏と一緒に仕事をしていたハースト氏は、同社のCOOになった。

Tykを作った動機は、複雑化する環境下で働く顧客に向けた独自のセールスポイントとして残った。

「Tykへの関心に火をつけたものは、これまでのAPI管理ツールに対する不満です」とビュール氏はいう。現在のアプリケーションの主流であるアーキテクチャは複数のクラウドと複数のコンテナを使う複雑なアーキテクチャであるため、もっと優れた管理を必要としている。「いまはまさにコンテナ化やKubernetesやマイクロサービスの台頭期です。それに対して私たちのマルチデータでマルチベンダーのクラウドモデルへのアプローチは、極めて柔軟性に富み、分割に対して自己回復力があり、それは他社にできなかったことです」とビュール氏は語る。

「私たちはデベロッパーの世界に入り込んで本物の価値を提供していますが、何を選ぶかは彼らが決めることです。しかし私たちは、市場の明確な変化に対応しています」とさらにハースト氏はいう。たとえばTykが挑戦する次の課題は、複数のAPI間に衝突があるときの、管理層の対応だ。

ビュール氏は「マイクロサービスを使っているチームが致命的な変更を行ったときは、それを明示的にシステムに報告したい。計画では、その問題にフラグを立てて、それに対するテストを行いたい。そのやり方はだめだ、と言ってその理由も指摘したい」という。

Tykの顧客リストはそれが公表される前から企業の関心を呼び、今後のユーザーが一気に増大することを予感させる。SEPのディレクターMartin Brennan(マーティン・ブレナン)氏は、声明で次のように述べている。「MartinとJamesはワールドクラスのチームを作り、今度の資金によってTykはそのAPI管理プラットフォームの成長を加速できるでしょう。特に重要なのは、2021年の初期にローンチしたGraphQLによるUniversal Data Graphプロダクトです。チームが彼らのグローバルな意欲を実現していくとき、そのお手伝いができることは喜ばしい」。

このラウンドで、SEPのパートナーであるKeith Davidson(キース・デイビッドソン)氏が役員ではないディレクターとしてTykの取締役会に加わる。

画像クレジット:alphaspirit/Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Folkは営業以外のチームにも役立つ新しい連絡先関係管理ツール

Folk(フォーク)」は、欧州のスタートアップスタジオであるeFounders(eファウンダーズ)から起ち上げられた新しい生産性向上ツールだ。このスタートアップは、Accel(アクセル)が大勢のビジネス・エンジェルを集めて行ったシード資金調達ラウンドで、330万ドル(約3億6000万円)を調達した。

専門的な環境での連絡先や人間関係の管理を行うツールと聞いても、他のいくつもの企業がすでに解決してしまっていると思うかもしれない。このようなCRMと呼ばれる考え方に基づいて、いくつもの製品や企業が登場している。人気の高いCRMプラットフォームには、Salesforce(セールスフォース)やHubSpot(ハブスポット)などがある。あなたの営業チームもきっとCRMを愛用していることだろう。

しかし、CRMとは具体的にどのような意味なのだろうか?それはCustomer relationship management(顧客関係管理)だ。もしあなたが顧客を持たないチームで仕事をしているのであれば、CRMは最も適切なツールとはいえない。例えば、広報チームはジャーナリストと、物流チームはサプライヤーと、イベントチームはさまざまな種類のパートナーを相手に仕事をしている。

これらのチームでは、おそらくCRMを使っていないだろう。代わりに共有のスプレッドシートに頼っていたり、情報がサイロ化してしまったりということがよくあるはずだ。Folkは、企業のこのような営業以外のチームのための関係管理ツールになりたいと思っている。

同社はこの新しいコンタクトツールのカテゴリーに名前を付けようと考えて、Extended Relationship Manager、略して「xRM」と呼ぶことにした。「xRMの『x』は『誰でも』を意味します。これは顧客の管理だけでなく、例えば、ジャーナリスト、サプライヤー、パートナーなどの管理にも使用できるのです」と、FolkのThibaud Elziere(ティボー・エルジエール)CEOは声明の中で述べている。

画像クレジット:Folk

Folkは視覚的にはスプレッドシートのように見える。ユーザーは特定の情報を持つ列を追加することができ、タグを使ってプロジェクトの進捗状況を把握することもできる。Airtable(エアテーブル)と同じように、表示をフィルタリングしたり、データを並べ替えたり、表をさまざまな方法でソートすることなどもできる。

連絡先をクリックすると、専用の連絡先ページが開く。これによって快適にデータを変更したり、より多くの情報を見ることができる。コメントの追加したり、連絡先を同僚に割り当てたり、その連絡先とのやり取りを見返したりもできる。

画像クレジット:Folk

Folkにミーティングの予定を入力したり、メールのやり取りをコピー&ペーストしたりする必要はない。Folkは、Gmailや Googleカレンダーのアカウントから自動的にデータを引き出すからだ。これによって、チームの誰かがパートナーと密に連絡を取り合っているかどうかを、チーム全体で確認することができる。いくつかの連絡先をチームの他のメンバーと共有し、個人的な連絡先は自分だけが見られるようにするという選択も可能だ。

今回の投資ラウンドには、Accelに加えて、企業の運営に関わるような35人の投資家も参加している。どこの会社のどんな役職にある人物が投資しているかは、この記事の最後に掲載した表で確認できる。

FolkのCEOであるティボー・エルジエール氏が、eFoundersの共同設立者でもあることも注目に値するだろう。このスタートアップスタジオからは、Front(フロント)、Aircall(エアコール)、Spendesk(スペンデスク)など、いくつもの人気の高いSaaSツールが誕生している。エルジエール氏が使っているFolkの画面には、Folkを商業的に成功させるために活用できる幅広い連絡先のネットワークが、インプットされているに違いない。

Folkのシードラウンドに参加したビジネスエンジェルのリスト

 

画像クレジット:Jostaphot / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Unicodeコンソーシアムが「Unicode 14.0」を正式発表、溶ける顔や敬礼など37個の絵文字を追加

Unicodeコンソーシアムが「Unicode 14.0」を正式発表、溶ける顔や敬礼など37個の絵文字を追加

Emojipedia

Unicodeコンソーシアムは9月14日(現地時間)、Unicode 14.0を発表しました。テキスト規格に838文字が新たに追加されており、このうち37個は新しい絵文字となっています。

例年、Unicodeの新バージョンは3月頃に発表があるのですが、今年はコロナの影響によりリリースが遅れていました。なお、絵文字の内容としては7月に公開されたドラフトから変更はありません。

Unicode 14.0の新しい絵文字候補が公開。肌色違いの握手や妊娠中、低バッテリーなど

新しい絵文字としては、溶ける顔や敬礼顔などのほか、豆、ミラーボール、残りの少ないバッテリーなどが目立つところ。また、技術的にこれまで難しかったという2つの肌色を使った握手なども追加されています。

Unicodeコンソーシアムが「Unicode 14.0」を正式発表、溶ける顔や敬礼など37個の絵文字を追加

Emojipedia

中でも目を引くのは、妊娠中の男性の絵文字。なかなか使いどころが難しそうですが、文脈によっては、「食べ過ぎてお腹がいっぱい」などの表現に使えるかもしれません。

これらの新しい絵文字(Unicode 14.0)は、Googleは年内にサポート予定ですが、AppleやTwitter、Facebookなどの企業は、例年通りならリリースから半年ほどしてからサポートされることが多くなっています。このため、これらの企業のサービスでは、2022年前半まで待つ必要があるかもしれません。

Unicodeコンソーシアムが「Unicode 14.0」を正式発表、溶ける顔や敬礼など37個の絵文字を追加

Emojipedia

(Source:UnicodeemojipediaEngadget日本版より転載)

マイクロソフトがOffice 2021を10月5日にリリース

Microsoft(マイクロソフト)は生産性スイートの次期コンシューマー版であるOffice 2021を10月5日にリリースする。Windows 11の提供開始日と同じだ。以前のOffice 2019と同様、Office 2021は1回限りの購入でWindows、macOSの両方で利用できる。同社のMicrosoft 365サブスクリプションを利用したくない人向けのものだ。

Microsoftは間もなくOffice 2021の詳細を明らかにすることを約束したが、The VergeのTom Warren(トム・ウォーレン)氏の報道で我々は概要を知っている。MicrosoftがCloudにアクセスできない法人顧客向けに9月16日リリースしたソフトウェアの異なるバージョンのOffice LTSCと同じような改善が図られているということだ。その他、アクセシビリティ機能とダークモードのサポートも追加している。また、以前の発表からMicrosoftが少なくとも5年間はソフトウェアサポートを行う計画で、ソフトウェアは32ビットあるいは64ビットのシステムで使えることもわかっている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor BonifacicはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nariko Mizoguchi

共有受信メールボックスのFrontがより深いCRM統合を備えた顧客中心の機能を導入へ

カスタマーコミュニケーションプラットフォームのFront(フロント)が、米国時間9月15日、3つの新機能を紹介するイベントを開催する。これらの新機能は、Frontのユーザーインターフェイスから直接顧客に関するより多くの情報を表示することに重点を置いている。

Frontをご存知ない方のために説明すると、同社は、チームとして受信メールを操作できるようにする「共有メール受信ボックスプロダクト」の会社としてスタートした。例えば企業がsupport@companyname.com、sales@companyname.com、jobs@companyname.comなどのメーリングリストを使っている場合、複数のチームメンバーがFrontを使って受信メールを見ることができる。

返信する前に、そのメールを特定のチームメンバーに割り当てて会話の優先順位付けをしたり、コメントセクションで現在の会話について話し合ったり、送信する前にメールの下書きを他のメンバーに見せたりすることができる。

時間が経つうちに、Frontはより多くの通信チャネルを統合するように進化してきた。いまでは、SMSでのメッセージ交換、ウェブサイト上での顧客とのライブチャット、Facebook(フェイスブック)メッセージなどにFrontを使用することができる。同社はまた、より強力な機能でも製品を改良してきた。

例えば簡単な「if this then that」(もし…だったら…する)ルールを使用してワークフローを自動化するルールを設定することができる。これは、作業を複数のチームメンバーに分配し、適切な人が受信メッセージをできるだけ早く確認できるようにするための良い方法だ。

米国時間9月15日に同社が発表する新しい機能は、営業、サポート、カスタマーサクセスチームなどの、より大きな顧客とやり取りするチームに特に役立つ機能だ。まず第一に、Frontのユーザーは、受信トレイからやり取りしている顧客について直接詳しく知ることができるようになる。

新しくなったコンテキストパネルは、クライアントのために複数のメンバーがやりとりして対処しているチームにとって、より役立つものになる。誰か特定の人の過去の会話を表示する代わりに、このクライアントのために働いているすべての人の過去の会話を表示することができる。

Frontは、Salesforce(セールスフォース)やHubSpot(ハブスポット)などのCRMとすでに統合されている。今回の新機能で、データをコンテキストパネルに簡単に取り込むことができるようになった。アカウント所有者の名前、顧客セグメント、およびこの顧客とのSLA(サービスレベル契約)コミットメントを確認できる。

画像クレジット:Front

次に、FrontはCRMとの緊密な統合による、新しい自動ルーティング機能を追加している。例えばCRM上でアカウント所有者の名前を見つけて、受信するメールをそのアカウント所有者に直接割り当てることができる。

もしSalesforce上でアカウント所有者が変更された場合には、Front内のルールも自動的に更新される。重要な顧客からメッセージを受信した場合には、CRMから年間収益データを取得し同時にVIPタグを設定することもできる。

画像クレジット:Front

最後に、Frontはまもなく分析ページをアップグレードする。例えば特定のアカウントに対するチームのパフォーマンスを追跡し、それをSLAと比較することができるようになる。

これらのアップデートは、Frontを、高額B2B契約を結んでいる大企業のクライアントに対して、より適切に機能するツールとして位置付けることになるだろう。現在のFrontの顧客には、Shopify(ショッピファイ)、Dropbox(ドロップボックス)、Flexport(フレックスポート)、Checkout.com(チェックアウト・ドット・コム)、Lydia(リディア)、Airbnb(エアービーアンドビー)などが並んでいる。

画像クレジット:Front

画像クレジット:Mark König/Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

コードレベルでプライバシー遵守を実現するRelyance AIがシリーズAで約27.3億円調達

プライバシー関連法へのコンプライアンスをコードのレベルでチェックするアーリーステージのスタートアップRelyance AIが米国時間9月15日、2500万ドル(約27億3000万円)のシリーズAを発表した。また同社は、未発表だった500万ドル(約5億5000万円)のシードラウンドも公表した。

シリーズAをリードしたのはMenlo VenturesとUnusual Ventures、そしてシードラウンドはUnusualが単独でリードした。契約条件に従い、Unusualの連続起業家Jyoti Bansal(ジョティ・バンサル)氏が取締役会に加わる。彼のパートナーであるJohn Vrionis(ジョン・ブリオニス)氏も、シードラウンドの直後に加わっていた。MenloのMatt Murphy(マット・マーフィー)氏はオブザーバーとして加わる。同社の調達総額は3000万ドル(約32億8000万円)になる。

Relyance AIは、データがコンプライアンスを維持していることをコードのレベルで調べて検証するという、珍しい手法を採る。そのため契約や既存の法務要件などをコードとして取り入れ、企業がコンプライアンスを確保する。CEOで共同創業者のAbhi Sharma(アビ・シャルマ)氏によると、コードレベルのチェックこそがソリューションの鍵だ。シャルマ氏によると「世界で初めて、私たちは法的コンプライアンスや規制をソースコードに作り込んでいます」。

「Relyance AIは顧客のインフラストラクチャのDevOpsパイプラインに実際に組み込まれるため、新しいETL(データの抽出加工書き込み)パイプラインが作られたり、機械学習のモデルが新たなソースコードを受け取る度に、コンパイラーのような分析を行って、個人の秘密データが内部のマイクロサービス間やデータレイク間、データウェアハウス間でどのように流れるかをチェックします。得られたメタデータ分析を、企業内のプライバシーとコンプライアンスのプロフェッショナルに返します」。

同社の別の創業者で共同CEOであるLeila R. Golchehreh(レイラ・R・ゴルチェレ)氏は、コンプライアンス業務のベテランであり、これまでにも多くの企業のコンプライアンス遵守を指導してきた。彼女によると、Relyance AIにより企業はポリシーや契約をコードとして定義できる。

ゴルチェレ氏は「私たちのやり方は、契約の取り込みを重視しています。実際のところ、私たちは企業がデータ保護協定をつくる場合の、良い協定を書くためのアルゴリズムを作ってきました。私たちは適切な関連条項を取り出して、それを企業の業務実態と突き合わせています。不整合があったら、それをデータ不整合のインテリジェントなインサイトとして取り上げます」という。

共同創業者たちによると、現在、社員は32名だが今後1年〜1年半以内に2〜3倍にしたいという。ゴルチェレ氏とシャルマ氏はダイバーシティを自ら実現している共同創業者仲間であり、それを今後の同社のモデルにしたいという。2人によると、一般的にリモートファーストはダイバーシティの普及に貢献しているが、同社は内規でもそれを勧奨しているという。

「一緒に仕事をしているリクルーターたちも『私たちもいい人間と多様な人間を雇いたいんだ』という。企業としてのRelyance AIは、ジェンダーも人種も異なる2人が一緒に始めた会社の好例です。願わくば、規模を拡大していく中で、それを会社に伝えるという私たちの仕事ができると思います」とシャルマ氏はいう。

2人の創業者は長年の友人だが、2019年のある日、ディナーでピザを食べながら、会社を作ろうという話になった。アイデアがまとまって会社を興したのが2020年2月だ。彼らはコンプライアンスのプロたちにいろいろ話を聞いてて、求められる要件を理解した。そして2020年7月に、現在のソリューションを構築し始めた。2021年2月にはベータ版をリリースし、3月には密かに営業を開始した。

彼らのソフトウェアの、現在の初期の顧客にはDialpadやPatreon、SamsaraそしてTrueなどがいる

画像クレジット:SurfUpVector/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

GrammarlyのSDKで自動化テキストエディティングを自分のウェブアプリケーションに埋め込み可能に

人気の高い自動編集ツールGrammarlyが米国時間9月14日、Grammarly for Developersのリリースを発表した。同社はこの取り組みをText Editor SDKのベータで開始し、プログラマーはGrammarlyのテキスト編集機能をどんなウェブアプリケーションにも埋め込むことができるようになる。

GrammarlyのプロダクトとプラットフォームのトップであるRob Brazier(ロブ・ブレイジャー)氏によると、このSDKのベータリリースでデベロッパーにGrammarlyの自動化エディティングの全能力にわずか数行のコードでアクセスできる。ブレイジャー氏によると「文字どおりわずか2行のHTMLで、デベロッパーはGrammarlyのアシスタンスを自分のアプリケーションに加えることができ、ユーザー全員に、ユーザー自身がGrammarlyをインストールしたり登録することなく、ネイティブのGrammarly体験を利用できるようにする。

そのような外見の下では、デベロッパーは、人工知能の知識や経験がなくても、高度な自然言語処理(NLP)の技術にアクセスできる。要するにデベロッパーは、Grammarlyがすでに作ったものを利用するだけだ。

デベロッパーが作ったアプリケーションのユーザーはGrammarlyのユーザーにならなくてもよいし、うれしいところだが必要があればGrammarlyのアカウントにログインして、そのすべての機能にアクセスできる。ブレイジャー氏は、次のようにいう。「ユーザーにGrammarlyのサブスクリプションがあれば、そういうユーザーは自分のGrammarlyアカウントをデベロッパーのアプリケーションにリンクできる。彼らはGrammarlyにサインインでき、そのアプリケーション中で直接、サブスクリプションで可能な機能をアンロックできる」。

ブレイジャー氏によると、これ(Text Editor SDK)はあくまでもスタート地点であり、基本的な機能だけにとどめ、フィードバックに基づいて今後加える機能を決めていく。「もっとも単純な機能からスタートして、できるだけ多くのユーザーに使ってもらいたい。だからこれは、相当シンプルなプロダクトだ。今後は徐々に進化して高度なソフトウェアに育つだろうが、コードを2行だけ書けば使えることは変わらない」という。

同社がデベロッパーツールを提供するのはこれが初めてだが、これによってプログラマーは自分のアプリケーションの中でGrammarlyの機能にアクセス可能になり、そんな機能をアプリケーションに埋め込める。Zoomも2020年SDKをリリースしたとき同じことを行い、アプリケーションからビデオサービスを利用できるようにしたが、デベロッパーツールの提供に関してはZoomの方がずっと先輩だ。GrammarlyもZoomも人気が拡大したら次のステップは、そのプラットフォームの強いところを公開することだ。Grammarlyの場合は、テキストエディティングの機能をデベロッパーが自分のアプリから利用できるようにする。実はこの考え方を2007年のForce.comで最初に実装したの、はSalesforceだった。

今後どうなるかいうのは早すぎるとブレイジャー氏はいうが、このやり方は、これまでのサブスクリプションに加えて、Grammarlyの新しい収益源になる可能性がある。いずれにしても今回の発表は、プラットフォームの各部をデベロッパーに公開して、Grammarlyの技術者たちがGrammarlyに込めた成果を利用できるようにする大きな戦略の第一歩だ。関心のあるデベロッパーは、ベータプログラムへの参加を申し込むことができる

関連記事:Zoomがビデオサービスへの参入を支援する新SDKと開発者向けリソースポータルを発表

画像クレジット:Grammarly

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

写真やビデオの「出所」データで改ざんを防ぐTruepicがマイクロソフト主導ラウンドで約28億円調達

デジタル画像認証ソフトウェアプロバイダーのTruepic(トゥルーピック)はMicrosoft(マイクロソフト)のベンチャーファンドM12がリードしたシリーズBラウンドで2600万ドル(約28億円)を調達した。

Adobe、Sony Innovation Fund by IGV、Hearst Ventures、そしてStone Point Capitalの個人も同ラウンドに参加し、サンディエゴを拠点とするTruepicの2015年の創業からの累計調達額は3600万ドル(約39億円)になった。

フェイクかどうかを感知するのではなく、特許を取得している「保証された」カメラテクノロジーが本物であることを証明する、とTruepicはいう。同社のテクノロジーは写真やビデオを、その「出所」データ(オリジン、コンテンツ、メタデータなど)で、対象とする受信者に届く前に画像改ざんされないよう暗号技術を用いて保護する。

ダークウェブやソーシャルメディア、あるいは画像の時間やロケーションについてのメタデータを変更できるソフトウェアを介して購入できる偽りの写真や個人情報が増えている中で、同社のソフトウェアは写真がどこで撮影されたのかを認証し、巧みに操作されていないことを証明することができる、と同社は話す。

「我々のアプローチは、撮影された時点でのコンテンツの信憑性を認証するという点でユニークです。この手法は、『出所ベースのメディア認証』とも呼ばれていて、異常や撮影後の編集を感知するものとは異なります」とTruepicのCEO、Jeff McGregor(ジェフ・マクレガー)氏は語る。「フェイクの画像やビデオの感知は実行可能ではなく、スケーラブルでもないと考えています。出所ベースのメディア認証はユニバーサルなオンライン上のビジュアル信頼に向けた最も有望なアプローチです」。

Truepicのカメラテクノロジーはソフトウェアベースで、モバイルデバイス上で動く。マクレガー氏によると、デバイスのカメラで撮影された写真とビデオは、編集されていないオリジナルの画像であることが暗号化されて保証されており、日時や場所などの「信頼できる」メタデータも含まれているという。

13もの特許を持つTruepicのテクノロジーは特に、ますます増えている金融サービス企業の間で人気だと同氏は話す。例えば保険会社はリモートで保険請求を認証するのにTruepicのテクノロジーを使っている。これは新型コロナウイルス感染症のパンデミックの間、対面でのやり取りがとにかく避けられていた初期には特にかなり有意義だった。しかし他にも多くのユースケースがある、とマクレガー氏はいう。

Truepicは正しいことをしているに違いない。同社のテクノロジーはEquifax、EXL Service Inc、Ford Motor Company、Accion Opportunity Fund、Palomarなど100社超に使用されている。

Truepicの売上高は2020年、保険、銀行、クルマ、P2Pコマース、プロジェクト管理、国際開発産業などでの「クライアント数の劇的な成長」のおかげで300%超増えた、と同社は話す。ただ、マクレガー氏は具体的な売上高の公開は却下したため、売上高の300%成長がどれくらい大きかったのか知ることはできない。同社は現在、中核テクノロジーのディストリビューションのスピードに注力しているため、意図的にまだ黒字になっていない、と同氏は付け加えた。

同氏によると、信用できない写真やビデオがかなり広く出回っているため、Truepicのテクノロジーのユースケースは広範にわたる。同社の顧客には、デジタル写真やビデオコンテンツを取り入れており、かつそうしたコンテンツに高レベルの信用度を求める組織が含まれる。例えばTruepicは保険会社、銀行、P2Pコマース、オンラインマーケットプレイス、不動産とフランチャイズの組織、保証プロバイダー、クルマの会社などと協業している。同氏によると、一般的に住宅レンタルやニュースメディア、オンラインデーティング、ソーシャルメディア、eコマース、シェアリングエコノミー、従来型メディアなど、ビジュアルメディアに頼っているプラットフォームを持つ企業はTruepicのテクノロジーの恩恵を受けることができる。

「すべてのデジタルコンテンツのオリジンや信憑性が検証でき、それによってオンラインで視聴するものにより高い信頼を置ける世界をイメージしています」とマクレガー氏は語った。

M12プリンシパルのJames Wu(ジェームズ・ウー)氏は、オンライン上のディープフェイクのビデオや合成メディアの数はねずみ算式に増えていると指摘した。

「悪用され、巧みに操作されたメディアはネガティブな政治論や評判への影響、そして不正請求などにつながりかねません」とウー氏はメールで述べた。「合成メディアの普及は企業、特に確立されたブランドにとって増大しつつあるビジネスリスクであり、Truepicのようなソリューションは企業のエンド・ツー・エンドの詐欺管理戦略において不可欠なものになるでしょう」。

そして同氏は、Truepicは写真やビデオファイルに含まれるデータの完全性を証明する最も信頼性の高い方法であるとM12が考えている証明技術の「パイオニア」だと述べている。

「合成メディアにはかなり投資されてきましたが、コインの裏側、つまり合成メディアが悪用される場合を考えている人はごくわずかです。Truepicはオンライン上の真実性の共有を維持するためのツール提供において先頭を走っています」と同氏は語った。

Truepicは新たに調達した資金の一部を新プロダクトTruepic Lensの迅速なリリースに使う計画だ。Truepic Lensは「産業、ユースケース問わず」サードパーティのアプリで「信頼できる」画像撮影ができるようにする、とマクレガー氏は述べた。

「これはサービスを提供する上で信頼できるメディアを必要とするあらゆる顧客に向けた1つの統合ポイントを作り出します」。

同社はまた、現在展開している旗艦プロダクトTruepic Visionの流通を増やすのにも資金を使う。このプロダクトは、世界中のどこからでも信頼できる写真やビデオの「速攻の」レビューをリクエストできる「ターンキー」プラットフォームだ。

当然のことながら、同社は採用も進める。現在の従業員数は50人で、1年前から約25人増えた。今後18カ月で100人へと倍増するとマクレガー氏は見込んでいる。

画像クレジット:Truepic Lens / Truepic

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがパスワードレス認証を一般消費者向けアカウントにも導入へ

Microsoft(マイクロソフト)は、すべての消費者向けMicrosoftアカウントにパスワードレス認証オプションを導入することで、ユーザーのパスワード離れをさらに推し進めようとしている。

同社は業界の他の多くの企業と同様に、従来のパスワードベースの認証との戦いをしばらくの間続けてきた。脆弱なパスワードや再利用されたパスワードは、推測されたり、自動化されたブルートフォース攻撃の格好の標的となるからだ。

関連記事:Windows 11の提供開始は10月5日から、マイクロソフトが発表

そのため、数週間後に迫ったWindows 11の発売に向けてMicrosoftは、これまで法人顧客のみに提供していたパスワードレス認証オプションを、すべてのMicrosoftアカウントに展開すると発表した。これによりユーザーは、OutlookやOneDriveなどのサービスに、パスワードを使わずにサインインできるようになる。代わりに、ユーザーはMicrosoft Authenticatorアプリ、Windows Hello、セキュリティキー、SMSまたはEメールで送信されるコードを使用できる。

ただし、Office 2010以前のバージョン、リモートデスクトップ、Xbox 360など、一部のMicrosoftアプリケーションでは、引き続きパスワードが必要となる。同様に、現在サポートされていないバージョンのWindowsを使用しているユーザーも、まだパスワードを捨てることはできない。この機能はWindows 10とWindows 11でのみサポートされる。

Microsoftによると、パスワードレス認証は今後数週間のうちに一般ユーザーのアカウントに導入される予定とのことで、まだすぐにはパスワードを捨てられないかもしれない。また同社は、Azure ADアカウントのパスワードをなくす方法にも取り組んでおり、管理者は特定のユーザーに対してパスワードを必要とするか、許可するか、あるいは存在しないかを選択できるようになるという。

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

韓国がグーグルに罰金194億円、OSで支配的地位を乱用

韓国公正取引委員会(KFTC)は現地時間9月14日、Android(アンドロイド)オペレーティングシステム(OS)マーケットで支配的な地位を乱用したとしてGoogle(グーグル)に1億7700万ドル(約194億円)の罰金を科したと発表した

韓国公取の声明によると、Googleはanti-fragmentation agreements(AFA、反フラグメンテーション協定)を通じてSamsung Electronics(サムスン電子)やLG Electronics(LGエレクトロニクス)など韓国のスマホメーカーがAndroid OSをカスタマイズするのを禁じることで市場の競争を制限した。

AFAでは、スマホデベロッパーはAndroidの修正版である「Androidフォーク」をインストールしたり開発したりすることは許されない。

韓国公取はGoogle LLC、Google Asia Pacific、Google Koreaが韓国のスマホデベロッパーにAFA締結を課すことを禁じ、既存バージョンの詳細を変更するよう命じた。この新たな措置はモバイル端末だけでなく、スマートウォッチやテレビなどAndroidで駆動する他のスマートデバイスにも適用される。

Androidの互換性プログラムは韓国のモバイルオペレーターオーナーとソフトウェア開発者でのイノベーションを促進し、韓国の消費者のより良いユーザーエクスペリエンスにつながった、とGoogleは声明文で述べた。「今日発表されたKFTCの判断はこうした恩恵を無視していて、消費者が享受しているメリットを過小評価しています。当社はKFTCの命令に対し控訴します」と同社の広報担当は述べている。

反競争の慣行をめぐって2016年7月からGoogleを調査していた、と韓国公取の広報担当は話した。

KFTCの発表によると、中国を除く世界のモバイルOSマーケットにおけるGoogleのシェアは2010年の38%から2019年には97.7%に拡大した。

GoogleのAFAはまた、同社のOSを使っているスマートウォッチやテレビといったテック企業の新デバイスの発売も制限してきた。ここには2013年のSamsungのスマートウォッチ、2018年のLG ElectronicsのLTEスマートスピーカー、2018年のAmazon(アマゾン)のスマートテレビなどが含まれる。

韓国の監視当局はPlay Storeアプリマーケットや請求システム、広告マーケットなどでも調査している。

一方、同国の放送通信委員会のプレスリリースによると「反グーグル法」は9月14日に施行された

韓国では8月下旬に、GoogleやAppleなどグローバルなテック企業がアプリ開発者に対して占有のアプリ内決済サービスの使用と手数料を強要することを禁じる法案が成立している

関連記事:世界初、韓国がグーグルとアップルのアプリ内課金手数料を抑制する「反グーグル法」可決

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

次期iOS 15のアップデートは9月21日から

米国時間9月14日の発表イベントの直後、Apple(アップル)はiOSの次期メジャーバージョンがまもなく登場することを明らかにした。iPhoneユーザーは日本時間9月21日にiOS 15にアップデートできるようになる。同社は2021年6月のWWDCでiOS 15を初めて紹介した

iOS 15の最大の変更点は新機能の「集中モード」だ。「おやすみモード」以外にもさまざまなモードを設定できる。アプリや、通知を許可する連絡先を選び、何に集中するかを設定する。例えば「作業」「睡眠」「ワークアウト」などのモードを自分で作成できる。

新しくなった「天気」や地図が更新された「マップ」、機能が充実した「FaceTime」など、全般にわたって新機能がたくさんある。「Safari」も外観が新しくなる。発表直後はやや物議を醸していたが、その後Appleはフィードバックに耳を傾けて調整した。

関連記事
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アップルが物議を醸しているiOS 15のSafariの変更を最新ベータで微調整

iOS 15では写真に写っている文字が認識される。テキスト認識表示と呼ばれているこの機能により、写真の中のテキストを選択し、コピー&ペーストできる(訳注:テキスト認識表示は英語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に対応)。アクセシビリティの機能としても有効だろう。iOSはこの情報をSpotlightで利用する。写真の中のテキストをSpotlightで直接検索し、関連する写真を探せる。これらの機能はデバイス上で処理される。

iPhone 6s以降、iPhone SEの第1世代と第2世代、iPod touch(第7世代)はiOS 15にアップデートできる。アップデートは無料だ。

iOS 15のベータ版が動作しているデバイスには、9月21日の正式リリースを前にRC版が公開されている。

現状のままiPhoneを使いたい場合は、iOS 15にアップデートしない選択肢もあるとAppleは公表している。当面はiOS 14向けのセキュリティアップデートが引き続き提供される。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

会計ソフトIntuitが約1兆3200億円でのメールインフラMailchimp買収と認める

米国時間9月13日午後、Intuitは同社がMailchimpの買収を進めているという根強い噂を認めた。120億ドル(約1兆3213億円)が投じられることで、有名なメールインフラ企業は同社の傘下に加わることになる。

Intuitは、メールマーケティングで知名度が高いとはいえないが、税金の計算をするソフトウェアTurboTaxでよく知られている(これと関連してレントシーキングの継続を求める政府へのロビー活動でも)。また最近では、Credit Karmaの買収と、やや昔に行ったMintの買収でも知られている。

Mailchimpの買収は現金と株の両方で行われる。

「なぜIntuitは、時価総額の10%も使ってメールマーケティング企業を買うのか?」今、あなたの頭の中に疑問が湧いていても当然だ。

プレスリリースによると、Intuitは、この買収が「同社による世界中の繁栄の強化と、同社がAIによるエキスパートのプラットフォームになることを促進する」と考えているという。いつもなら、同社のビジネス口調を読みやすい口調に翻訳すべきだが、ちょっとむずかしい。

同社はもっとわかりやすく、Mailchimpの買収で、同社が前から共有していた2つの戦略、すなわち小企業の成長のためのセンターになることと、小企業のミッドマーケットに革新をもたらすことを加速できるというべきだった。

この方がずっとわかりやすい。IntuitのQuickBooksサービスは中小企業によく知られている。おそらくIntuitは、小企業向けに販売できるサービスはもっとあるはずと考えている。少々無理も感じられるが、トップが到達した結論は、2つの企業のシナジー効果には、この買収の値札ショックを補償してあまりあるものがある、というものだ。

Intuitの株価は時間外でわずか0.15%上昇したが、これはウォール街がこの買収に対して肩をすくめているためだろう。しかも買収のリークのされ方と最終結果はややごたついた。それが、Intuitの株価にすでに織り込み済みだったかもしれない。

Mailchimpの本社のあるアトランタでは、この買収は歓迎されている。Mailchimpは、自己資本のみでやってきたことで有名だ。しかも、シリコンバレーの外で、ベンチャーキャピタル抜きでデカコーンになれるのなら、まさにその生きた証拠がここにある。

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)

画像クレジット:Smith Collection/Gado

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マイクロソフトがM1 MacでのWindows 11動作について「サポートは想定されていない」とコメント

マイクロソフトがM1 MacでのWindows 11動作は「サポートは想定されていない」とコメントマイクロソフトの最新OS「Windows 11」は10月5日から提供予定の一方で、macOS上で様々なOSを仮想化して動かせる「Parallels Desktop 17」もWindows 11対応を謳っています。これにより、M1 Mac上でもWindows 11を仮想環境で利用できるとの期待を集めていました。

が、MSがM1 Mac上でのWindows 11動作につき「サポートは想定されてない(unsupported scenario)」と回答したことが明らかとなりました。

この声明は、MSの広報担当者が海外テックメディアThe Registerに語ったもの。同誌がParallels Desktop 17をインストールしたM1 Mac上で動かしていたWindows 11仮想マシンが、DevチャネルのWindows Insiderビルドでハードウェア互換性エラーを起こし始めたことをきっかけに、MSに質問したかっこうです。なお、この不具合はParallels Desktop 17のバージョン17.0.1では解決しているとのことです。

The RegisterがM1 Mac+ParallelsでWindows 11の実行がサポートされるかどうかを尋ねたところ、MS側は「サポートは想定されていない」と回答。さらにM1 Macのハードウェア上でWindows 11を直接実行することもサポートされていないと付け加えています。

少なくともWindows 10の動作については、MSとParallelsは公式に協力している可能性も窺えただけに、期待をかけていたM1 Macユーザーには残念なところです。もっとも、これまでMSがM1+ParallelsでのWindows 11動作に関しては(少なくとも観測範囲では)ノーコメントだったこともあり、一方的な期待が空回りしただけとも言えそうです。

The RegisterはWindows 11の正式リリース直前に、一部のSurface Pro XつまりMS謹製ArmベースPCでのバグチェックや、タスクバーが消えたりスタートメニューが機能しなくなるなど既知の問題がまだ残っているとも指摘しています。MSが自社製PCでのバグが取り切れていないなかで、他社のM1 Macに構っている余裕はないのかもしれません。

(Source:The RegisterEngadget日本版より転載)

米国IPOで評価額9900億円を目指すインド生まれの顧客管理ソフトウェアFreshworks

Freshworks(フレッシュワークス)は米国時間9月13日に、米国の新規株式公開(IPO)で最大90億ドル(約9900億円)の評価額を目指していることを明らかにした。同社はIPOで8億ドル(約881億円)以上を調達することを望んでいる。

もともとはインドで設立され、現在はSalesforceに対抗する、このカリフォルニアの企業は、28ドル(約3081円)から32ドル(約3522円)の価格帯で2850万株を売却する計画だと語った。もし同社がその上限でその株を売ることができれば、9億1200万ドル(約1004億円)を調達することになる。Freshworksは、もともと8月下旬にIPOの書類を提出していたが、いくつかの数字を開示していなかった。

創業11年の同社は、2019年11月の直近の資金調達ラウンドでは35億ドル(約3852億円)と評価された。この問題に詳しい人物は、スタートアップは2021年初めに50億ドル以上の評価額でIPO前ラウンドを行うことも検討したが、結局それは行わないことにしたとTechCrunchに語った。

関連記事:顧客管理ソフトウェアのFreshworksがシリーズHで約160億円を調達

Accel、Sequoia Capital India、Tiger Global、CapitalGなどが、投資家として連なるFreshworksは、CRMからヘルプデスクソフトウェアに至る、さまざまなビジネスソフトウェアツールの開発および提供を行っている。近年には、顧客に一連の統合ビジネスツールを提供するためにエンタープライズSaaSプラットフォームを構築し、製品提供の拡大を積極的に追求してきた。

NASDAQへFRSHのシンボルでの株式上場を申請したこのスタートアップは、現在5万を超える顧客にサービスを提供し、2021年上半期の収益は、前年同期の1億1100万ドル(約122億2000万円)から1億6900万ドル(約186億円)に増加した。同時に、純損失は1年前の5700万ドル(約62億7000万円)から980万ドル(約10億8000万円)に減少した。

「まず第一に、International Data Corporation(IDC)の業界調査に基けば、約1200億ドル(約13兆2000億円)ものの巨大なアクセス可能市場があると信じています」と同社は9月13日に更新されたS-1ファイリングの中で述べている。

「そして第二に、社内のデータと分析に基づいて、当社の製品の年間の潜在的な市場機会は770億ドル(約8兆4800億円)と見積もっています。[…]お客様が当社の製品をより多く採用し、使用を拡大していただくことで、当社の推定市場機会は拡大し続け、当社の製品を使用するための顧客あたりの加重平均ARR(年間経常収益)が増加すると予想しています」。

最近TechCrunchは、Freshworksの共同創業者で最高経営責任者のGirish Mathrubootham(ガーリッシュ・マシュルブーサム)氏にビジネスについて話を聞いた。マシュルブーサム氏は、インドで最も尊敬されている起業家の1人だ。マシュルブーサム氏は、世界で2番目に大きなインターネット市場でアーリーステージのSaaSスタートアップを支援するために、3人の友人とともに、2021年7月下旬に8500万ドル(約93億6000万円)のベンチャーファンドを立ち上げている

画像クレジット:Freshworks

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

デベロッパーの安全なコードをサポートするSnykがまたも大型の資金調達、バリュエーションは約9340億円に

デベロッパーがより安全なコードを提供できるようにするボストン拠点のレートステージスタートアップSnyk(スニーク)は米国時間9月9日、またも大型の資金調達ラウンドを発表した。今回は85億ドル(約9340億円)のバリュエーションで5億3000万ドル(約580億円)を調達し、うち3億ドル(約330億円)が新規、残る2億3000万ドル(約250億円)がセカンダリーだ。セカンダリーの方は従業員やアーリー投資家がストックオプションを現金化するのに使われる。85億ドルというバリュエーションは同社が3億ドルを調達した2021年3月の47億ドル(約5170億円)から大幅にアップしている。

関連記事:アプリケーションセキュリティのSnykが評価額5100億円で約326億円を調達、トップ人事を増強しIPO間近か

投資家の長いリストは、パブリック投資家、VCファーム、戦略投資家の興味深いミックスだ。Sands CapitalとTiger Globalが本ラウンドをリードし、新規投資家としてBaillie Gifford、Koch Strategic Platforms、Lone Pine Capital、T. Rowe Price、Whale Rock Capital Managementが参加した。既存投資家からもAccel、Addition、Alkeon、Atlassian Ventures、BlackRock、Boldstart Ventures、Canaan Partners、Coatue、Franklin Templeton、Geodesic Capital、Salesforce Ventures、Temasekが参加した。

Snykによると、今回のラウンドによりセカンダリーラウンドを除く累計調達額は7億7500万ドル(約850億円)となった。Crunchbaseのデータによると、セカンダリーラウンドを含めると13億ドル(約1430億円)になる。Snykはものすごい速さで資金を調達してきた(過去3回のラウンドにはSnykの資金とセカンダリーラウンドが含まれる)。

Snykは売上高の具体的な数字を公開していないが、ARR(年間計上収益)は前年に比べて158%成長した、と同社は述べた。今回の投資家リストとバリュエーションの信頼性を考えると、同社がかなりの額を稼いでいることがうかがえる。

SnykのCEOであるPeter McKay(ピーター・マッケイ)氏は、新たに調達した資金でチャンスが来たときに買収するというフレキシビリティーが得られる、と話す。買収については、同社は常々「非オーガニック」成長と呼んでいる。「今回の資金の一部は非オーガニック拡大のために使われると確信しています。これまでに当社は3件の買収を行い、いずれも当社にとってかなりの成功でした。ですので、当社が確かに注力しているところです」とマッケイ氏は筆者に語った。

Snykの2021年初めの従業員数は400人で、2021年末までに倍になると見込んでいると同氏は話す。多様性に関しては、完璧ということはないが、懸命に取り組んでいるとのことだ。

「多様性を生み出すために世界中で良いプログラムを多く構築することができ、当社はかなり分散されているために当社のカルチャーは常に本質的に包括的でした」とマッケイ氏は付け加えた。「なりたい姿にかなり近づいている、と私は絶対に言いません。ですので、はっきりさせておきたいのです。取り組まなければならないことはまだたくさんあります」と述べた。

いつ上場するかを決めるのに今回の資金でフレキシビリティ要素が加わった、とマッケイ氏は話す。というのも、上場するときは新たな資金調達を要するときであって、上場企業でなければならない、というものではないからだ。「今回の資金調達で当社は非常に評判の良い強力なパブリック投資家からの支援を獲得でき、これによりタイミングを選ぶことに関して財務面でのリソースを得ました。当社は上場時期をコントロールしていて、正しい時期に実行します」と述べた。

画像クレジット:scyther5 / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

マーベルの定額コミック読み放題アプリ「Marvel Unlimited」がアップデート

Marvel(マーベル)が定額制コミックアプリ「Marvel Unlimited(マーベル・アンリミテッド)」の新バージョンをリリースした。今回のアップデートでは、スマートフォンやタブレット端末の画面に合わせてデザインされた高解像度の縦型コミック「Infinity Comics(インフィニティ・コミックス)」の配信が始まている。当初は27作品のInfinity Comicsが提供されているが、年内には100作品以上が読めるようになる予定だ。その中には「X-Men Unlimited(エックスメン・アンリミテッド)」「Captain America(キャプテン・アメリカ)」「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」「Deadpool(デッドプール)」「Shang-Chi(シャン・チー)」「Venom / Carnage(ヴェノム / カーネイジ)」などのシリーズが含まれる。

すべてが新しく、すべてが違うMarvelUnlimitedを体験せよ。

マーベルコミックを読むために必要なものがすべて揃ったアプリ! マーベル・ユニバースに飛び込むためのアップデートされた機能をご紹介します。

マーベル・エンターテインメント

Disney Media & Entertainment Distribution(ディズニー・メディア&エンターテインメント・ディストリビューション)の協力を得て一から作り直されたこのアプリでは、コミックをオフラインで読むための無制限のダウンロードが可能になり、コンテンツを別の場所で共有することができるようになった。他にもマーベルは、合理化されたデザイン、安定性の向上「クラス最高のスピードと検索ツール」、自分の好みに基づいてカスタマイズされる読書ガイドなどの改良を約束している。また、Marvel Insider(マーベル・インサイダー)のメンバーは、このアプリを利用することでポイントを貯めることもできる。

月額プランは10ドル(約1100円) / 月、標準年間プランは69ドル(約7600円) / 年。年間99ドル(約1万900円)の「アニュアル・プラス」プランは、月額プランや標準年間プランの特典に加え、メンバーシップキット、イベントへの招待、shopDisney(ショップディズニー)での割引などが含まれる。

Marvel Unlimitedには現在、2万9000冊以上のコミックが登録されており、毎週追加されていく。しかし、紙のコミックが店頭に並んでから作品がアプリに反映させるまでには、少なくとも3カ月のギャップがある。

今回のアップデートは、とっくに更新されるべき時期が過ぎたと思われていたアプリにとって、歓迎すべきものだ。Disney+(ディズニープラス)でマーベルの「What If…?(ホワット・イフ…?)」シリーズを観ていて、あるいはMarvel Cinematic Universe(マーベル・シネマティック・ユニバース)で他の作品を観ていて、コミックも読んでみたいと思っていた人は、この機会にMarvel Unlimitedを試してみてはいかがだろうか。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Kris Holtは、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Marvel

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

オープンソースのバックエンド・アズ・ア・サービスSupabaseが約33億円調達

バックエンド・アズ・ア・サービス(backend-as-a-service)のSupabaseは今週、シリーズAで3000万ドル(約33億円)を調達したことを発表した。

Supabaseはよく、GoogleのFirebaseのオープンソース版だと説明される。Firebaseを知ってる人にはそれでもよいが、そうでない人にとってSupabaseはデベロッパーによるプロジェクトの構築を助けるツールの集まりであり、開発の楽屋裏で行われる大量の仕事( 例:データベースのデプロイ)を自動化して高速化する。

プロジェクトを作成すると、Supabaseは、Postgresデータベース、データベースの変更に応じて自動的に進化(ドキュメント化)するデータベースとのやりとりのためのAPI、一般的なログインプロバイダー(Facebook、Twitter、Google、Appleなど)と親和性のあるユーザー認証システム、画像や動画のアップロードなどを処理するストレージシステム、そしてそれらすべてを監視・管理するためのUIを提供。最新のアプリケーションやサービスを構築するために必要な多くの作業を、数回のクリックで済ませることができる。

Supabaseはホビーで使う(あるいは試用する)のは無料だが、大きなデータベースやデータのバックアップなどが必要になれは、月額の利用料金は1プロジェクトにつき25ドル(約2750円)からとなる。デプロイを自分で行って¥もよいが、面倒な作業が多いし、今のところ管理用のUIは提供されない。

2020年12月の600万ドル(約6億6000万円)から数えると、今度のシリーズAはかなり早い。同社によると、このラウンドは主にCoatueがリードし、一部はGitHubの共同創業者であるTom Preston-Werner(トム・プレストン-ウェルナー)氏や、PagerDutyの共同創業者Alex Solomon(アレックス・ソロモン)氏、Dockerの共同創業者Solomon Hykes(ソロモン・ハイクス)氏などの、新たに参加した高名なエンジェル投資家たちが投資した。

関連記事:Firebaseなどのオープンソース代替製品を提供するSupabaseがモバイル開発環境向けに6.2億円調達

Supabaseの共同創業者であるPaul Copplestone(ポール・コプルストーン)氏によると、チームは現在24名で、世界中に散らばっている。「うちは最初からリモートだよ」と氏はいう。

その理由は2つある。パンデミックが広がり始めたときに同社の成長が始まった。そして同社は主に、Supabaseを構成しているツールを作って寄与、貢献している人たちを雇用している。彼らがすでに良い仕事をしているときに、わざわざ引っ越しをしてオフィスにきてもらう必要はない(Supabaseの本社はシンガポール)。

「私たちはおそらく製品で6種類ほどのツールを使っています。そしてそれらの1つ1つに、リードメンテナーがいます。その場合、オープンソースのコントリビューターがいれば、世界のどこに住んでいてもその人にお願いしています」とコプルストーン氏はいう。

Supabaseは、Y Combinatorの2020年夏を卒業したが、実はこの学期からYCのクラスは全員がリモートになった。それでも大人気で、夏季は200社ほどが参加した。それだけ多いと目立つのも難しいが、でもSupabaseは、最初からあちこちで話題になっていた。

関連記事:Y Combinatorが2020年夏季からアクセラレータークラスを全面的にリモートへ移行

Supabaseのバックエンドは、こんな画面で立ち上がる。

画像クレジット:Supabase

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ミュージシャンが自分たちのために作ったiPhone用音楽録音アプリ「Tape It」登場

2021年3月にAppleは、ミュージシャンがすぐに音を録り新曲のアイデアを育てることのできるiPhoneアプリ「Music Memos」の新規ダウンロードを正式に停止した。そして現在、「Tape It」という新しいスタートアップがオーディオの録音を便利にするアプリの空白地帯を埋めようと参入している。このアプリは優れた音質と楽器の自動検出、そしてマーカーやメモ、画像のサポートなどの機能を備えている。

Tape Itのアイデアはミュージシャンである友人同士の2人、Thomas Walther(トーマス・ワルサー)氏とJan Nash(ジャン・ナッシュ)氏から生まれた。

ワルサー氏は自身が共同で創業したオーディオ検出スタートアップのSonalyticが2017年にSpotifyに買収された後、3年半Spotifyに在籍した。もう1人のナッシュ氏はクラシックの教育を受けたオペラ歌手で、ベースを演奏しエンジニアでもある。

この2人に、デザイナーでミュージシャンのChristian Crusius(クリスチャン・クルシウス)氏が加わった。クルシウス氏はAccentureに買収されたデザインコンサルティング会社のFjordに在籍していた。

長年ともにバンド活動をしていた創業者チームが自分たちの欲しいものからTape Itの開発を思いついたとワルサー氏はいう。同氏はSpotifyの新しい部署であるSoundtrap(これも2017年にSpotifyが買収したオンラインミュージックスタートアップ)での勤務を終えた後、音楽制作に関わる仕事にもっと取り組みたいと考えるようになった。Soundtrapは一部の人には役に立ったが、同氏やバンド仲間が求めるようなものではなかった。同氏らが求めていたのは、スマートフォンで音楽を録音できるシンプルなツールだった。ミュージシャンが現在Appleのボイスメモアプリでよくやっているように、そしてダウンロード停止となるまでの短い間はMusic Memosアプリでやっていたように。

画像クレジット:Tape It

ワルター氏は「アマチュアであってもプロのツアーミュージシャンであっても、自分のスマートフォンでアイデアを録音するでしょう。スマートフォンはいつも持ち歩いているからです。カメラとまったく同じです。最高のカメラはいつも持っているカメラです。そして最高のオーディオ録音ツールはいつも持っているツールです」と説明する。

つまり録音をしたいときの最も簡単な方法は、ノートPCを開いて何本もケーブルを接続し、それからスタジオソフトウェアを起動することではない。iPhoneで録音ボタンをタップすることだ。

Tape Itアプリはまさにその通りに使えるが、iPhone標準のボイスメモアプリより優位な機能も備えている。

録音する際に、Tape ItはAIを活用して自動で楽器を検出し、カラフルなアイコンを付けて録音データを見つけやすくする。録音のファイルに自分でマーカーを付けたり、詳細を忘れないようにメモや写真を追加したりすることもできる。これは後で録音を確認する際に便利でしょう、とワルサー氏はいう。

画像クレジット:Tape It

同氏は「かっこいいギターのサウンドが録れたら、アンプのセッティングを写真に撮って追加できます。これはミュージシャンがよくやっていることです。サウンドを再現する最も簡単な方法です」と説明する。

シンプルでありながら斬新な機能としては、文章の段落を区切るかのように長い録音データを複数の行に分割できる。同社はこれを「タイム・パラグラフ」と呼んでいる。デフォルトでは水平方向にスクロールする1つの録音データになっているのが一般的だが、分割することで長いセッションを聴きやすくなると同社は考えている。

画像クレジット:Tape It

スマートな波形とオプションのマーカーや写真のおかげで、録音の目的の箇所に戻りやすい。録音をお気に入りに追加すれば、最高のアイデアやサウンドの一覧をすぐに表示できる。iOSのメディアセンターと統合されているので、いつでも時間があるときに音楽を再生できる。

Tape Itの際立った特徴は「Stereo HD」の音質をサポートしていることだ。iPhone XSやiPhone XRといった新しめのモデルに内蔵されている2つのマイクを利用し、社内で開発したAIテクノロジーやノイズ低減技術などを使って音質を向上している。この機能は年額2200円のサブスクで利用できる。

今後Tape ItはAIなどのテクノロジーを開発してさらに幅広く活用し、音質を向上させる予定だ。コラボレーション機能、録音データの読み込みやプロ用スタジオソフトウェアへの書き出しのサポートも計画している。こうなっていくと最終的にTape Itは、SoundCloudがコンシューマ向けサービスにシフトする前に目指していたのと同じ市場に参入していくことになるだろう。

しかし共有機能を追加する前に、まずはシングルユーザーのワークフローを確立したいとTape Itは考えている。

ワルサー氏は「自分専用の便利なものを作るのが重要であると判断しました。コラボレーション機能があったとしても、使うのが好きでないものは使われなくなるでしょう」という。

Tape Itの3人はストックホルムとベルリンに拠点を置いている。現在はブートストラップの段階だ。

iOS版アプリは無料でダウンロードできる。MacとWindowsで使えるデスクトップ版は後日リリースされる。Android版は計画されていない。

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画像クレジット:Tape It

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ツイッターがついに「コミュニティ」機能導入、簡単に共通の関心事でつながれるように

Twitter(ツイッター)は、最新ニュースをフォローしたり、関心のある人たちが行っていることを追いかけたりするのに便利な場所だが、発見機能が比較的不足していることと、組織化されたコミュニティスペースがないために、積極的に探さない相手とつながることは困難だ。

Twitterはそれを変えようとしている。最近Twitterは新機能に熱心だが、その最新の実験は「Communities(コミュニティ)」というものだ。これは共通の関心事で簡単につながれるようにデザインされている。ユーザーは、この新しいソーシャルハブに参加して、通常のフォロワー相手ではなく、共通の関心を持つ他の人びとに向かって直接ツイートすることができる。こうしたツイートは今まで同様公開されたものだが、返信できるのは同じコミュニティの他のメンバーに限定される。

コミュニティはユーザーによって作られるようになるが、Twitterによれば今のところ「制限付き」であるため、ほとんどの人は自分のグループを開始するまでに数カ月待つ必要がある。最初期のコミュニティは「犬、天気、スニーカー、スキンケア、占星術」など、Twitterで人気があり一般的には穏やかなトピックを中心に展開する。Twitterのサンプル画像には、暗号資産、植物、黒人の女性写真家も含まれている。

テストは米国時間9月8日に始まり、iOSアプリの下部の専用の場所またはTwitter.comのサイドメニューにメニューが表示されるようになる。Twitterによれば、Android(アンドロイド)ユーザーもコミュニティのツイートを読むことができるようになるとのことだが「より多くの機能」も間もなく登場するらしい。おそらく、専用のアプリタブと、新しいグループに登録して参加する機能だ。

コミュニティは、指定されたモデレーターによって作成および管理される。モデレーターは、DMを介して他のユーザーをグループに招待したり、グループ内に投稿されたコンテンツを削除することができる。当初は招待がコミュニティ参加への唯一の方法だが、Twitterには、人びとが集いたい場所を簡単に見つけられるようにするための発見機能に対して、いくつかの大きな計画があるようだ。

TwitterのスタッフプロダクトマネージャーのDavid Regan(デイビッド・リーガン)氏はこの機能を発表したブログ投稿で「一部の会話はすべての人を対象としているわけではなくて、ユーザーが話したいことについて話したい人だけが対象です」と述べている。「……私たちは、公開されたやりとりを引き続きサポートし、人びとが自分の興味に合ったコミュニティを見つけられるように支援すると同時に、会話のためのより親密なスペースを作成したいと考えています」。

ソーシャルメディア上のユーザー主導のコミュニティスペース、特にアルゴリズムによる発見が組み込まれたコミュニティスペースでは、モデレートが大きな懸念事項となる。Twitterによると、コミュニティに投稿されたコンテンツは誰でも読んだり、報告したり、引用したりできるので、有害なコンテンツにフラグを立てるためには、プライベートFacebookグループのようにコミュニティのメンバーである必要はない。Twitterは、問題のあるコミュニティを積極的に特定するために「新しいレポートフローと特別の対応アクション」に取り組んでいると語っている。

コミュニティの導入は、クリエイターコミュニティの関心を引きたいTwitterの最近の取り組みを反映している。同社は今月初めに、有料サブスクリプションツールであるSuper Follows(スーパーフォロー)を展開し、また最近一部のユーザーを、音声部屋であるチケット制スペースのためのチケット販売へと招待した。また、現在一部のアカウントでのみ利用可能なTip Jar(チップジャー)と呼ばれる機能を使用して1回払いの投げ銭機能をテストしている。

今回の「コミュニティ」機能は、コミュニティ構築のためのよりダイナミックな場所としてプラットフォームを再考しようと苦しんでいるTwitterにとって、かなり大きな出発点だ。Twitterにサブコミュニティのための重要な場所を切り開くことで、同社はDiscord(ディスコード)やReddit(レディット)のようなプラットフォームの方向に徐々に進んでいるように見える。そうしたプラットフォームはすべてが自主モデレートされた関心ベースのコミュニティを中心に展開している。そうしたプラットフォームは、それぞれモデレート上の頭痛の種に取り組んでいるが、特定の関心主導型のコミュニティは、通常のTwitterでのやり取りが比較的浅くみえるほど、ユーザーを深い場所へ連れていく。

このコミュニティ機能の導入は、現時点で10年以上ほとんど変更されていない有名ソーシャルネットワークにとって興味深い方向性だ。テストが上手く行けば、コミュニティはユーザー間を結ぶメディアとなり、ソーシャルネットワークをもっとダイナミックな場所にすることができるだろう。だがそれは、Twitterが新たに生まれるサブコミュニティの成長を促すことと、それらを安全に保つことの間で適切なバランスをとることができる場合にのみ可能だ。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)