レビュー要員不足か?Facebookが新型コロナの偽情報広告を見過ごす

Facebookの広告チェックシステムは、新型コロナウイルスの偽情報が自分たちのユーザーをターゲットするのを防げなかったことがConsumer Reports(コンシューマー・レポート誌)の調査でわかった。

非営利の消費者擁護団体である同誌は、Facebookのシステムを試すために、Self Perservation Societyという架空組織のFacebookページを設定し、新型コロナウイルスに関する偽情報や誤解を招く情報を載せた広告を作った。30歳以下の人は「安全」であるという嘘や、新型コロナウイルスは「デマ」だといったメッセージだ。

ほかにも、漂白剤を「毎日少しずつ摂取して健康を維持する」よう人々を促すデマ広告もつくったと同誌は報告している。

実験結果はどうだったのか? Facebookのシステムはこれらの広告をすべて見逃し、問題も害を及ぼす可能性も見つけられなかった。「Facebookはすべて承認した」、とConsumer Reportsは言う。「問題の広告はFacebookから警告を受けることなく一週間以上配信予定になったままだった」

もちろん同誌は実際に配信される前に広告を取り下げ、Facebookユーザーが誤情報などにさらされることがないことを確認した。しかしこのテストによって、新型コロナ・パンデミックを狙った有害広告の発見、防止するためのFacebookの広告チェックシステムに、多くの抜け穴があることが露呈した。

この実験でFacebookが拒否した唯一の広告は、使用していた画像が理由で、人工呼吸式フェイスマスクのストック写真が用いられていたためだった。画像を「似たような別の写真」と置き換えたところ、Facebookはこの広告も承認した。

先月Facebookは、新型コロナのもたらす脅威を受けて、全世界のコンテンツ・レビュワーを「後日指示するまで」自宅待機としたことを発表し、その結果自動レビューシステムへの依存が高くなると語った。

「自動システムへの依存が高くなるため、間違いが起きる可能性がある」と発表文に書かれていた。

Consumer Reportの調査は、AI監視への高い依存によるこうした過ちがいかに深刻であるかを浮き彫りにした。Facebookは、家を出るな、ソーシャルディスタンスを保て、という公共の指示を無視するようユーザーを促したり、「安全」のために有毒物を飲むよう薦めたりする明らかに有害なメッセージを見過ごしていた。

Consumer Reportsの記事に対してFacebookは、同社が新型コロナウイルスに関連するポリシーに違反した広告を「何百万件」も削除してきたことを挙げて自らを弁護した。一方で、新型コロナウイルスに関する偽情報の排除は完璧にはほど遠いことも認めた。

「当社は新型コロナウイルスに関連するポリシーに違反する広告や商品掲載を数百万件削除してきたが、この非常時に関する有害な偽情報が当社サービスに拡散されることを防ぐべく、常にシステムの改善と強化に努めている」とFacebookの広報担当者、Devon Kearns氏がConsumer Reportsに話した。

Facebookのある広報担当者は、新型コロナ禍の中で何人の人間が広告チェックを行っているかを本誌が尋ねたとき、回答を拒んだ。しかし、同社は、現在「数千人」のチェック担当者が、在宅で作業可能であることをConsumer Reportsに伝えている。

さる2018年、Facebookは約1万5000人がコンテンツのレビューのために雇用されていると報告した。

(ユーザー)コンテンツのレビューと広告のレビューをそれぞれ担当している人の割合はわかっていない。しかし「数千」と1万5000を比べると、広告をチェックする目の数が著しく減っている可能性は高い(新型コロナ以前、Facebookは、世界で3万5000人以上が「安全およびセキュリティーチーム」で働いていて、その中にレビュワーが1万5000人いることにもよく言及していた)。

Facebookのコンテンツ・レビューチームは新型コロナに関連する打撃の結果著しく減っていることは明らかだ。現在何人の人間がコンテンツをレビューしているのか、Facebookは正確な数字の発表を拒んでいる。

Facebook広告のようなプラットフォーム(簡単に使えて、安価に偽情報を拡散できる)が害をもたらすリスクが、パンデミックの最中ほど高くなることはほかにない。市民の安全を守るために、政府や保険期間は必要な事実や行動規範を伝えなくてはならないときにだ。

Facebookが偽情報や誤解を招く情報の温床になることは、非常事態の公衆衛生を低下させる恐れがある。

先月同社は、新型コロナ関連の正統なニュースやウェブサイトのリンクをブロックしたことを公表した。AI手動の管理に切り替えた後のことだ。

先月末Facebookは、新型コロナ用マスクの広告を排除することに失敗し、公約を果たせなかった

同時にFacebookプラットフォームは、ユーザーが生み出す新型コロナ関連偽情報の温床でもある。塩水でうがいをしてウイルスを殺すといった偽の民間療法(殺せない!)や、「インフルエンザと同じ」(嘘!)などといって新型コロナの深刻さを軽視するような記事を、数多くのユーザーがシェアして拡散している。

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images(画像加工済み)

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitterのジャック・ドーシーCEOが1000億円超の新型コロナ救済基金を設立

Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は米国時間4月7日、一連のツイートで自身が所有するSquare(スクウェア)株10億ドル(約1090億円)を使って新型コロナウイルス救済に特化した基金を設立することを発表した。TwitterとSquare両社のCEOである同氏は、新ファンドをStart Small(スタート・スモール、小さく始めろ)と名付け、支払額と受取人の記録を公開スプレッドシートに掲載している。

ドーシー氏は発表の中で、Start Smallは将来、新型コロナに打ち勝った後は目標を転換し、少女の健康と教育とuniversal basic income(ユニバーサル・ベーシックインカム)に向けるつもりだと語った。

Start Small最初の寄付として、10万ドル(約1090万円)がAmerica’s Food Fundに贈られる。Leonardo DiCaprio(レオナルド・デカプリオ)氏とLaurene Powell Jobs(ローレン・バウエル・ジョブズ)氏が率いる新型コロナ・パンデミックで困難な生活を送っている人たちに食料を提供する取組みだ。

America’s Food FundのGoFundMeページによると、同ファンドの高額寄付者には他に100万ドル(約1億900万円)のOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)氏、500万ドル(約5億4000万円)のAppleらがいる。

1社ならず2社の上場企業を率いる米国のテック起業家が米国時間4月7日の午後に発信したツイートからわかったことは、とりあえず上記の通りだ。

Start Smallの資金にTwitterではなくSquare株を使った理由については「私はSquare株をずっとたくさん持っている。そして少し時間をかけて売る必要がある」とドーシー氏は後にツイートで説明している。

ドーシー氏の新たなプロジェクトについて、知るべきことがまだたくさんある。どう運営していくのか、(寄付の他に)投資もするのか、基金に興味のある人がどうやって申し込むのかなどだ。TechCrunchはSquareに詳細を質問しているので、情報が入り次第本稿を更新する予定だ。

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米政府がチーム・テレコムを正式組織化、通信インフラ事業への中国資本監視を強化

「チーム・テレコム」というのはシンプルな名前だが、国家安全保障関係の記事にうってつけの謎めいた響きがある。

チーム・テレコムはこれまで非公式なワーキンググループだ。この目立たないグループは国防省、国土安全保障省、司法省(管轄下官庁を含む)の担当者がFCC(連邦通信委員会)と協力して米国の電気通信インフラのセキュリティの評価と管理を行ってきた。

我々が知る範囲でいえば、グループの主な目的は、主要な通信インフラの所有権をモニターし、疑わしい勢力(つまり中国、ロシアなど)の手に渡らないようにすることだ。

2019年、Mark Harris(マーク・ハリス)氏はチャイナ・モバイルが米国市場への参入を申請してから却下の決定が出るまで7年以上も待ちぼうけの状態に置かれていたとExtra Crunch(有料)に寄稿している。

政府がチーム・テレコムを正式組織に格上げしたことにより。こうした非公式の取り扱いは過去のものとなった。新しい大統領行政命令はテレコム事業の許認可、買収、合併などFCCへの申請をチーム・テレコムの審査を正式なプロセスとして組み込んだ。

設置されたグループは「米国テレコムサービス分野における外国勢力参加評価委員会(Committee for the Assessment of Foreign Participation in the United States Telecommunications Services Sector)」というたいへん長い名前で呼ばれる(CAFPUSTSS?)。

委員会は「米国のテレコム事業への外国勢力の参加によって引き起こされる公益上の懸念の有無を国家安全保障および法執行の立場から評価することによってFCCを支援する」ものとされた。

チーム・テレコム同様、新しい委員会は司法長官、国防長官、国土安全保障長官で構成され、司法長官が委員長を務める。「委員会が処理する申請内容は米国政府の諜報責任者である国家情報長官に伝達され、分析を受ける」とされる。

7年間棚晒しという場合もあったチーム・テレコムとは異なり、新体制では審査のタイムラインにも基準が設けられた。行政命令によれば、当初の決定までが120日間、委員会が懸念を抱き追加審査の必要を認めればさらに90日間延長される。

FCCのAjit Pai(アジット・パイ)委員長は、短いコメントを発表し「大統領がチーム・テレコムのレビューを公式化し、これによって各省庁の専門家の評価が迅速にFCCに提供されるるプロセスを確立したことを高く評価する」と述べた。FCCは、オバマ政権時代の最後に提案され、それ以降継続しているチーム・テレコムに関するFCCとしてのルール作りを完了する予定だ。

チーム・テレコムの改革は、米国に対する外国勢力の投資全般を監視する組織であるCFIUS(対米外国投資委員会)の改革に準じたものだ。当初は諸官庁を横断する非公式なワーキンググループだったが、2018年に議会が改革法案を可決した後、2020年初めにCFIUSは正規の組織に改組された。

今回の改革で光ファイバーやモバイルネットワークなど米国の通信インフラの整備、拡張に関する事業の予測可能性が増すことは確かだが、同時に米国市場参入を図っていた中国などの事業者にとってはハードルがいっそう高いものとなるだろう。 事実、FCCは「China Mobile(チャイナ・モバイル)の(米国市場参入)申請を却下したことで2019年に示されたように、FCCは外国の脅威から我が国のネットワークを保護するために行動することを躊躇しない」と声明している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ボーイングが州の在宅命令に従い中型ジェット機787の生産を中断

米国時間4月6日の発表によると、Boeing(ボーイング)は知事の在宅命令に従って南カリフォルニア工場におけるボーイング787の生産工程をすべて中断し、実質的に同社の商用航空機の製造を完全に休止する。

休業は4月8日の第2シフトの終わりに始まる。

ボーイング787担当の同社副社長Brad Zaback(ブラッド・ザバック)氏は「我々のチームメイトの健康と安全を守り、州全体のウイルスの拡大と、我々のグローバルなサプライチェーンの信頼性に対するその影響、ひいてはそれらが787の事業にもたらす影響を評価することは、我々の責務である」。

ボーイングはすでに、シアトル地域の工場を閉鎖している。米国時間4月5日に同社は、ワシントン州のピュージェットサウンド地域とモーゼズレイクの工場における今後の生産も次の発表があるまで中断すると発表している。それらの閉鎖はワシントン州における新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散と、それによるサプライチェーンの不安定化が原因だ。

787の生産再開の日程は発表されていないし、同社のその他のオペレーションに関するガイダンスもない。

Boeing South Carolina(BSC)の社員でリモートワークが可能な者は、それを継続する。それができない者は10日間の有給休暇になる。同社によると、それは規定の倍の期間という。閉鎖がさらに続くようなら、従業員は有給休暇の継続または、退社による緊急時失業保険のどちらかを選ぶことになる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国株が新型コロナの懸念緩和で急反発

米国時間4月6日、米国株が元気を取り戻した。投資家が新型コロナウイルス(COVID-19)に関わるあらゆるプラス要因に飛びつき、主要インデックスはすべてプラス領域に転じた。

株式市場はもちろん経済ではない。そしてこれは、「デッド・キャット・バウンス」、大暴落の後の一時的な小幅回復にすぎない可能性が高い。問題はこれから先何回デッド・キャット・バウンスが起きるかだ。

そして、新型コロナ・パンデミックによる経済低迷が続いている中、新型コロナの新たな感染例の増加が減速しているというジョンズ・ホプキンス大学のデータを投資家は見逃さなかった。現在最も信頼されている同大学の新型コロナウイルスマップによると、3月31日に2万5200件だった米国内の新たな感染者数は、4月3日には3万3300件だった。そして4月4日はこの数字が2万8200に下がった。ただし、若干異なる結果を示している統計データもほかにはある。

今日の復調は、新型コロナの感染拡大が続き、最終的にピークを迎え安定するまで、今後数日、数週間で試されていくだろう。国立アレルギー感染症研究所の所長で政府の新型コロナ対策を指南するAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士は、感染者数と死者数は来週急増する可能性が高いと警告している。

今日の株式状況は以下の通りだ。

  • Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価):7.59%、1,597.21ドル高、終値2万2649.74ドル
  • S&P 500:6.95%、172.86ポイント高、終値2,661.51ポイント
  • Nasdaq composite(ナスダック総合指数):7.33%、540.15ポイント高、終値7,913.24

他にも、新たな売上ガイダンスやアナリストのコメントなどの間接的新型コロナ要因が、一部の株価を変動させた。

eBay(イーベイ)、Amazon(アマゾン)をはじめとするEコマース株もプラスの動きを見せた。中でもオンライン小売業のWayfair(ウェイフェア)はおそらくこの分野で最大の上昇だった。同社が3月末決算で粗利益が2倍以上に伸びたことを報告した後、36%高で寄り付いた。Wayfairの株価は41.7%高、終値は71.50ドルだった。

音楽ストリーミングのSpotify(スポティファイ)は、Raymond James(レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル)が同社株の投資判断を「strong by(強い買い)」から「market perform(中立)」に格下げし、新型コロナはエンゲージメント低下とダウンロード数減少を招き、ユーザーは室内で過ごす時間が増えたと説明したことで、株価は4%以上下落した。Spotify株はその日のうちになんとか回復し、終値は約0.33%高の122.52ドルだった。

この日はSaaS関連株も反発し、Bessemerのクラウドインデックスは6.79%上昇した。SaaSなどの新しいソフトウェアを扱う企業は、ここ数年大きく売上を伸ばしている。しかし、インデックス下落の後をたどり、未だに下げ相場の領域にいる。

我々は今、強い不安定経済期の中で決算発表シーズンに入ろうとしている。今後株式市場がどのように動くかは、企業が2020年第1四半期にどのような業績を上げ、将来をどう予測しているかに、少なくとも部分的には依存する。注目したい。

画像クレジット:Heye Jensen / Unsplash

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラが車載コンピュータやエアタンクで人工呼吸器を作るプロセスをビデオで紹介

Tesla(テスラ)は、他の自動車メーカー同様、設備を再編成して、新型コロナ危機のために人工呼吸器を作っている。下のビデオで同社は、人工呼吸器の設計プロセスの裏側を紹介している。

Ford(フォード)、General Motors(ゼネラルモーターズ、GM)と同じく、Teslaの技術者は自動車用の部品を使って人工呼吸器を作っている。理由は単純、自動車部品がそこにあるからだ。自動車会社というものは、最終組立てにむけて執拗なほどに部品を準備する。さもないと、例えばドアのハンドルがなければ生産ラインは停止する。ビデオの中でテスラのエンジニアは、できるだけ多くの自動車部品を使おうとしていると言っている。

たとえば、テスラの人工呼吸器はModel 3のインフォテイメントシステムを使ってModel 3の車載コンピューターを動かし、呼気マニホールドの気流調節に使う。サスペンションのエアータンクは酸素混合チャンバーとして利用する。Model 3のタッチスクリーンもコントローラーとして使っている。

テスラは、いくつかの米自動車メーカーと人工呼吸器を作るための部品と人材を供給するとともに、自社の資源を利用して人工呼吸器、レスピレーター、フェイスシールドなどを作ることを約束した。GMは、インディアナ州の自動車工場で人工呼吸器を製造する意向であり、まもなく1日当り5万枚のマスクを作れるようになると最近発表した。テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、近々同社のニューヨーク工場を人工呼吸製造のために、再稼働すると発言した。おそらく上のビデオで見られる人工呼吸器もそこで作られるのだろう。

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルが保護マスクを2000万枚以上調達、フェイスシールドの生産と出荷も開始

新型コロナ感染拡大を防ぐための個人防護具を医療従事者などに提供するためにサプライチェーン、従業員、パートナーらの総力を結集しているApple(アップル)は、2000万個以上のマスクを調達し、現在フェイスシールドの生産と出荷を進めている。CEOのTim Cook(ティム・クック)氏が声明で語った

アップルは世界中の新型コロナとの戦いを支援することに全力を注いでいる。このほど当社のサプライチェーンを通じて2000万枚以上のマスクを調達した。さらにわれわれの設計、技術、運用、パッケージの各部門がサプライヤーと協力して、医療従事者向けフェイスシールドの生産と出荷を行っている。

同社は世界各国の政府と話し合って、保有するマスクを最も必要としている場所に配布しようとしている。

なお、Appleのフェイスシールドが最初に配布されたのは、カリフォルニア州サンタクララ、シリコンバレーのカイザー病院で、先週始めに届けられたとCook氏は語った。

Cook氏によると、フェイスシールドは平たく梱包され100個入りの箱で出荷される。2分以内に組み立てられサイズは調整可能。Appleは今週中に100万個を出荷予定であり、その後も毎週100万個を追加し、最終的には米国以外にも配布することを目標としている。

「これはAppleにとって愛と感謝を込めた行為であり、今後われわれの努力の成果をさらに広く届けていきたい」とCook氏は言った。

今回のAppleの行動は、3Dプリンティングのスタートアップやメーカー数社がすでに行っている取組みに続くものだ。

関連記事:Private tech companies mobilize to address shortages for medical supplies, masks and sanitizer

カナダでは、子供向けの科学機器の開発を行っていたINKSmith(インクスミス)というスタートアップが、フェイスシールドの製造に転換し、需要に応えるために100人の新規従業員を雇用する。

「短期的には、州内の需要に応えられるよう規模を拡大するつもりだ。その後、カナダ全土の需要に応える」とINKSmithのCEOであるJeremy Hedges(ジェレミー・ヘッジス)氏がカナダの、ニュース機関、Global Newsで語った。

3Dプリンティング会社では、マサチューセッツ州拠点のMarkforged(マークフォージド)とFormlabs(フォームラブズ)、ニューヨーク州ブルックリンのVoodoo Manufacturing (ヴゥードゥー・マニュファクチャリング)などが米国でフェイスシールドなどの個人防護具を製造している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナによるカオスの中でテック企業の誤情報対応は

ソーシャルメディア企業は2016年以来、プラットフォームが悪用されてかなりの人に影響を及ぼすかもしれないという備えを怠ったとして、メディアでかなり叩かれ、社会的批判にさらされてきた。その悪用とは世界中の民主主義を妨害したり社会的分断の原因をつくったり、あるいは集団虐殺をたきつけたりする、といったものだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)により世界がカオスに、そして社会的隔離状態となるにつれ、ソーシャルメディア企業はそうした集中砲火から一時的に逃れている。新型コロナウイルス救援の取り組みに協力するために並々ならぬリソースを活用しているところでは特にそうだ。政府の官僚主義が衰えている一方で、世界は官僚的形式主義を超えて科学的進歩を早送りすることに熟練しているテック企業に目を向けている。しかし、たとえ我々があまり注意を向けていなくても同じ古い問題が頭をもたげている。

YouTubeに関しては、The Guardianと監視グループTech Transparency Projectの新たなレポートで、嘘のコロナウイルス治療法を宣伝するかなりのビデオの広告で同社が儲けていることが明らかになった。ウイルス感染を治療できるかもしれない方法として「民間療法、瞑想的音楽、ビタミンCのような処方サプリの健康を害すかもしれない量の摂取」など科学的でないものを助長するビデオでは、Liberty Mutual、Quibi、トランプの2020年再選キャンペーン、Facebookなどの広告が流れた。Facebookの場合、同社のバナー広告が、「わずかながらパワフルなシータ波を使うことによるポジティブ思考」がウイルスを寄せ付けないかもしれない、とうたう音楽をアピールするビデオで表示された。

パンデミックの初期段階では、YouTubeはコロナウイルスに関するあらゆるビデオでの広告を禁止した。3月中旬に、真に対象とすべきものが明らかになり、同社はポリシーを撤回し、一部のチャンネルに広告掲載を許可した。4月2日、同社は広告許可を拡大し、ガイドラインに従っている全ビデオに広告を許可した。ガイドラインの主なものの1つとして、「危険な療法や治療の宣伝」を含む医学的な誤情報の助長を禁じている。レポートにあるビデオのほとんどはジャーナリストの指摘を受けた後に削除された。

こうした例、そして他の多くも、この極めて特異なときに主要なテックプラットフォームがいかに判断しているのかという疑問を引き起こしている。ソーシャルメディア企業は、パンデミックが自社のワークフローにどのように変化を起こしているか、いつになく公表してきた。3月の電話会見で、Facebook創業者のMark Zuckerberg (マーク・ザッカーバーグ)氏は契約モデレーター1万5000人に有給休暇をとってもらっていることを認めた。つまり、同社のプラットフォーム上のコンテンツのフィルタリングではかなり人工知能に頼るようになっているため、ユーザーはより多くの「嘘」を目にすることが予想される。児童ポルノや深刻な暴力、ヘイトスピーチといった最も好ましくないコンテンツの選別作業は、心理的そして法的な結果を伴うことが考えられるだけに、家に持ち帰って行えるものではない。

YouTubeも同様に、人間によるレビューを補うために「一時的にテクノロジーに多くを頼る」と警告した。自動化されたプロセスは「ポリシーに反していないかもしれないビデオを含め」より多くのビデオの削除につながるかもしれない、ともしている。Twitterもまた、人間によるレビューを希望する手段も残しつつ、「悪意や操作性があるかもしれないコンテンツに対してあらゆるアクションをとるために」機械学習に頼っていると明らかにした。これらの企業は、現在の対応でどんなことが起こり得るのかについてはほとんど警告していない。

ひとたび日常が戻り、あるいは新たな日常に落ち着けば、モデレーションはどうなるのだろうか。人工知能がタスクをマスターし、人間のレビュワーを不要のものとするのだろうか(そうはならないだろう)。ソーシャルメディア企業は人によるモデレーションの価値を再認識して、そうした業務にあたる人を社内で増やし、フルタイムの従業員に提供されているような待遇を与えるのだろうか。悪夢のようなパンデミックで明らかになった多くの物事と同様に、結果はせいぜい漠としたものだろう。

不規則な調査レポートや事例のツイート、当局による事後検討など、プラットフォームの責任を問うアプローチがすでに断片的だったとしたら、真実はさらに遠のく。ましてや、新型コロナパンデミックにより、便乗値上げをする者やカオスの中でさらにカオスを作り出す悪党は数え切れないほどの新たなチャンスを手にしている。

我々はすでにイランで恐ろしい事態を目の当たりにした。そこでは数百人の人が産業用アルコールを飲んで死んだ。そうした人々は、産業用アルコールを飲めばウイルスから身を守ることができるかもしれないという扇情的な話を拡散する「転送メッセージがまた転送されたもの」で情報を得ていた。ほとんどの死で、犠牲となった命以上のことは気づかれもせず、広報規制のために報告もされず、注意をひくことすら抑制されるだろう。

コロナウイルスや未知のことについては多くのことが書かれてきたが、それらのほとんどは、ウイルスが全世界を脅かすもので、救命用品の在庫が先細る中で新型コロナウイルス患者が押し寄せて病院や健康施設を危機的な状況に陥れるものであることを強調する科学的な研究に基づいている。しかし誤情報、そして故意に拡散された誤情報の危機は、それ自体が不安定な要素だ。いまやビジネスを完全に滅茶苦茶にし、容赦無くニュースを独占した前代未聞のグローバル危機と混ぜ合わさっている。そして世界トップの権力を完全に常軌を逸した大統領選へと追いやっている。テック業界における米国の穏健主義に結びつく予想しなかった選挙結果では、我々がほとんど気にしていなかったソーシャルネットワークの表面下で極悪な力が働いていたことが明らかになったが、今回の誤情報危機はそのとき以来のものだ。

いずれにしろ、現在においては、パンデミックの最中に実行された新たなシステムがどこで間違い、どのような悪い結果を伴うことになるのか、外部の者が判断するのは困難だろう。そうした原因を判別するために、我々は企業の言葉、特に平時にさまざまな結果を伴ったリスクのある言葉に耳を澄ませる必要がある。人との結びつきにおいてかつてなくソーシャルネットワークに頼っているが、我々が日々没頭しているバーチャル・ポータルは依然としてブラックボックスで、これまでと同じく不可解なものだ。平常が打ち砕かれた暮らしにおける多くの要素と同様、唯一望まれることは変化だろう。

画像クレジット: Photo by Spencer Platt/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ蔓延のいま、我々は安全なオンライン投票について検討しなければならない

オンライン投票

予備選挙と選挙を延期した州が急速に増加している。ニュージャージー州は地方選挙の延期をも決定した。議会でさえ、今後挙がってくるパンデミック関連法案の採決をリモートな手段で行うべきという要求が高まっており、新型コロナウイルスの蔓延という前例のない事態に対処する中で、伝統から離れ、安全な選挙とは何かを再考している。

しかし、この議論では重要な背景を見落としている。多くの米国市民はすでに在宅でまたは海外からオンラインによる投票を行っているのだ。米国の23州およびワシントンDCでは一部の不在者投票をEメールで、また別の5つの州ではウェブポータルで行うことを認めている

我々は、一部の有権者にオンラインによる投票手段を提供することが義務付けられている2つの州の選挙担当官である。これらの有権者にとって、この議論は学術的なものではなく、必要上の問題である。従来の投票方式は海外在住者、軍勤務者、障害者にとって機能していない。選挙担当官として、市民の憲法上の権利を守るのは我々の義務であり、彼らがどのような環境にいるのであれ、また彼らの現実がどのようなものであれ、オンライン投票を実現することで、これらの2つのグループに属する人々が我々の民主主義に参画する機会が劇的に改善するのである。

オンライン投票を認めるか否かを議論すべきではない。そうではなく、問うべきは「電子的なかたちでの投票を促進するための最も安全な方法とはなにか」である。オンライン投票はすでに既存のものだからである。また一部の有権者グループにオンライン投票が必要とされており、そのニーズが近い将来拡大する可能性があるからである。

連邦投票支援プログラムが隔年で行う海外米国市民人口分析によると、全国で300万人の有権者が海外に在住しているが、そのうち2016年の選挙に投票したのは7%だけであった。同分析によると、投票方式におけるバリアを取り除くことで、投票率が30%上がることがわかった。また別の分析では、100万人近くの現役軍人が投票権を持っているにもかかわらず、2018年の選挙で実際に投票したのはそのうちの約23%にすぎなかったことが明らかになった

従来の郵送による不在者投票や決まった場所で行われる投票の仕組みはこれらの有権者の役には立たない。選挙権を奪われているのは、彼らだけではない。投票率について言えば、障害者を持つ3500万人の投票者にとっても現実は厳しい。2017年10月の米国会計検査院の報告書でも、プライバシーを守った形での投票を難しくする機械など、障害者が投票するにあたっての多くの問題が明らかにされた。 2017年のラトガース大学の研究で明らかになったように、過去2回の大統領選挙で障害者の投票率が2008年の57.3%から2016年の55.9%に下がっているのは無理もないことである。

新たなテクノロジーにより、海外に在住する米国市民や障害を持った有権者の投票へのアクセスが拡大され、確保される。ユタ州の最高齢の有権者である、106才のMacCene Grimmett(マッケーン・グリメット)さんについて考えよう。彼女が生まれた1913年には、女性の選挙権は認められていなかった。彼女は2年前に足首を負傷して以来、外出できなくなり、またペンをしっかり握ることも難しい。しかし昨年、モバイルデバイスのアプリのおかげで投票することができたのだ。テクノロジーによって力を得たマッケーンさんは、誰かに頼ることなく、匿名で、安全にそして威厳をもって、彼女の最も基本的な市民としての義務を遂行することができた。

全国で様々な規模の先行試験や検証が行われ、現在のところ前向きな結果が示されている。2019年にユタ郡が海外在住者に携帯電話による投票を提案したところ、投票率に飛躍的な増加が見られた。アプリを使って海外から投票した有権者の投票率は、投票日に実際に会場に出向いて投票した人の投票率よりも高かった。2019年には、オレゴン州でも市民に対しアプリによる投票を認めた

重要なのは、全ての先行試験に厳密に結果を精査する機能が含まれているため100%の精度を確保できる点である。

最終的な課題は、投票へのアクセスを最大化するために、安全で革新的な方法でいかにテクノロジーを継続的に用いるかである。安全は最優先事項である。我々は、相互につながりあった世界に住んでおり、海外の敵やその他の悪意のある組織が情報技術を使用して我々の政治システムを弱体化させようとしていることを深く認識している。今後に向けて進む中で、我々自身の責任として、自らの環境を理解しておくべきである。

これらの懸念は実際問題ではあるが、インタネットを基盤とした投票の必要性や潜在的なメリットを抑制するものであってはならない。我々のテクノロジーには全く綻びがないと盲目的に信じることはできないのと同様、何百万もの有権者の選挙権を無駄にし、選挙への信頼を揺るがすような無意味で全面的な不信に陥る必要もない。

大ざっぱな判断を下すのではなく、それぞれのケースを個別に検討する必要がある。例えば、アイオワ州では、不十分なトレーニング、検証の欠如や、ある政党による特定のテクノロジープラットフォームに関する政党幹部会での結果報告にトラブルなどがあったことが原因でオンライン投票がうまくいかなかった。その失敗がなぜユタ州の障害者やオレゴン州の軍人がアプリで投票し、承認することに悪影響を与えるべきなのだろうか?

全市民のために投票へのアクセスを確保することにより投票率を上げることは、我々の民主主義を守るために、最も優先すべき事項である。21世紀の今、投票に電子的な手段が含まれるのは必然の成り行きである。海外の有権者に関する問題に直面し、また国内ではCOVID-19のような新たな課題が発生し、人々が大勢集まり長い列を作ることは脅威と考えられる現在では特にである。

我々は投票へのアクセスを広げるため、システムを強化しより耐性の高いものにしつつ、試行や実験を継続していく必要がある。小規模の先行試験からはじめ、機能する点を確認し、結果を厳密に精査してから、それをまた新しい段階の検証へと活用していくのである。例えばアプリベースの投票はEメールで投票を返信するよりも安全であり、Eメールでは不可能な投票者の匿名性を保護することもできる(Eメールを開き、集計のため投票を紙の投票用紙に手書きでコピーする担当者は、誰が送信したかわかるため)。

これらはインターネット上での投票が現時点で成功を収めている側面である。我々がゆっくりと責任と自信をもって前進するのと並行し、これらの成功が議論が促進してくれるはずである。

【編集部注】寄稿者のAmelia Powers-Gardner(アメリア・パワーズ-ガードナー)は、2019年1月に就任したユタ州ユタ郡の郡書記官。Chris Walker(クリス・ウォーカー)はオレゴン州ジャクソン郡の郡書記官だで、2008年に初めて任命され、 その後2010年、2014年に再任された。

画像クレジット: NickS / Getty Images

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(翻訳:Dragonfly)

米国でも布マスク推奨へ、米疾病予防管理センターが一般人に布マスク着用の要請を出す見込み

米国時間4月2日にホワイトハウスは、症状のない非医療従事者がマスクを着用することを奨励していなかったこれまでのガイドラインを、間もなく変更する可能性が高いことを発表した。この変更はCDC(米国疾病予防管理センター)から「ガイダンス」(要請)として発行されことになると思われるが、新型コロナウイルス(COVID-19)危機の中で、連邦政府の権力を行使することを躊躇し続ける大統領はそれを義務化する予定はない。

なお医療グレードのマスクの供給は、新型コロナウィルスの被害を受けた場所、あるいは程なく被害を受けるであろう場所で供給が極めて厳しくなっている。そうした不足が続いているため、新しいガイダンスの中で使うことを要請されるのは、布製マスクおよび非医療用の顔面カバーのみが対象となることが予想されている。

4月2日のホワイトハウスの記者会見で、コロナウィルス対策本部の渉外コーディネーターであるDeborah Birx(デボラ・バークス)博士は、新しいガイダンスは「追加の」保護手段を与えるもので、置き換えるものとして意図されたものではないと強調した。「要請が出たとしたら、もし出たらの話ですが、それは追加の対策になるでしょう」とバークス博士は語った。

バークス博士は、ホワイトハウスとCDCが新しいマスク要請を出すことをためらった理由は、そのことで人びとに、米国の封じ込め活動の鍵となる重要なソーシャルディスタンシング(ウイルスに感染しないために他人と距離を空けること)対策に対する気の緩みを招きかねないからだったと語る。「私たちは皆さんに決して『さあ、マスクをしたぞ、だから自分は大丈夫だし、他の人にも感染させたりしない』と思って欲しくないのです」。

バークス博士が布製マスクによる新しい予防策の背後にある考え方を説明した際に、トランプ大統領も自身の根拠のない情報の解釈を発表した。「マスクをつけたかったら、つければいい」とトランプ大統領は言った。だが残念なことに「多くの場合は、スカーフのほうがいいだろうね、なにしろもっと厚いから」という誤った情報も付け加えた。

新しいガイダンスは今後数日のうちに、CDCから発表される予定だ。 ワシントンポストが入手したメモによれば、症状のない人がウィルスを感染させているという証拠から、CDCは布マスクの推奨を検討し始めたということである。ポリシーのドラフトには、CDCが「周りの人へのウィルスの蔓延を防止するために人々が取ることができる追加の公衆衛生対策として、コミュニティに対して布マスクの使用を推奨する」と書かれている。

米国時間4月1日にロサンゼルス市長のEric Garcetti(エリック・ガルセッティ)氏は、N95とサージカルマスクは医療従事者に直接渡されるべきであることを強調しながら、住民に対し公共の場では顔を覆うよう促した。

適切な個人用保護具(PPE)を入手できない医療従事者や、保護対策を講じたい人たちのために、自家製マスクを作る草の根職人たちの運動がすでに全国的に広がっている。多くのオンラインリソースが、マスクの作り方や縫わずに作る方法に関する、パターンやハウツーを提供している。これから出される布マスクに関する新しい連邦要請は、多くの企業が耐え忍ぶために創造的な動きをしている中で、企業が新型コロナウイルスとの闘いに役立つリソースを生み出す機会を提供することもできるだろう。

日本や韓国のような国では、パンデミック時以外でもマスク着用は日常的に行われているが、欧米諸国では一般的にマスク着用はあまり好まれていない。米国人に対して発せられている、医療従事者に医療用マスクを寄付するように促すメッセージと、同時に発せられているマスクは日常的な状況でウィルスに対する保護を提供しないことを示唆する当局からの混乱したメッセージによって、社会規範は混乱するかもしれない。

「皆さん、心からのお願いです。マスクの購入をやめてください!」、米国公衆衛生局長官 Jerome Adams(ジェローム・アダムス)氏は、2月下旬にこのように ツイートした。「マスクは一般市民が#Coronavirusに感染することを防ぐのには効果的ではありませんが、もし医療提供者が患者のケアをする際にマスクを入手できない場合には、医療従事者と私たちのコミュニティを危険にさらします!」。

米国人が行う個人用のマスクを買いだめは、すでに逼迫していた医療従事者のための個人用保護具の供給を、さらに悪化させる可能性があったため、危機の初期段階ではこのようなメッセージは意味があったかもしれない。

布製マスクは医療用マスクほど効果的ではないが、たとえ不完全であったとしても、ウィルスの蔓延を制限するためには何もないよりはましだ。インフルエンザが大流行した場合の自家製マスクの有効性を検証するために、2013年に行われた先見性のある小さな研究によれば、研究者たちは布製マスクを「最後の手段としてのみ考慮されるべきである。しかし、何も保護しないよりはマシだろう」という表現で推奨している。

ケンブリッジ大学出版局が発表した研究によれば、手作りの布製マスクと従来の外科用マスクの両方で、着用者が排出する感染性のある飛沫の量は「有意に」減少したが、感染防止効果は外科用マスクの方が3倍優れていたという。自家製マスクは医療用マスクのように使い捨てられることが少ないため、使用後に洗浄して感染性の飛沫を取り除く必要がある。

木曜日に保健当局は、マスクを使用することは、物理的な距離対策を緩和しても良いという意味ではないことを、注意深く強調した。

「マスクを使うことが、現在皆さんにお願いしている全ての対策の代替になるものではないということを肝に銘じておいてください!」とバークス氏はコメントした。

画像クレジット: SeongJoon Cho/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:sako)

米国市場は記録的失業数は影響せず再び株価が上昇

およそ660万人が失業保険を申請した歴史的失業率が報じられる中、米国の株価は米国時間4月2日の通常取引時間に上昇した。

新型コロナによる米国内死者数の恐ろしい推定値が株価の下落をよび、政府の感染速度緩和の対策による経済低迷が続く中、米国の主要インデックスはそろって上昇した。

一方で米国連邦政府は、 CARES法の刺激策の一環として2兆ドル近い資金を米国経済に投入する方法の詳細を詰めているところだ。そして製薬会社と医療機器会社は診断ツールの改善ウイルス治療の新たな方法の開発のために休みなく働き、ワクチン開発規制当局の承認プロセスに向けてゆっくりと進んでいる。

主要3インデックスの数字は以下のとおり。

  • Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価):+469.93ドル、+2.24%
  • S&P 500:+56.40ポイント、+2.28%
  • Nasdaq Composite:(ナスダック総合指数) +126.73ポイント、+1.72%

テック株の多いNasdaqの上昇率は主要インデックス中で最も低く、この良き日がテクノロジー業界にとって必ずしも明るいものではないことを示している。この事実は、SaaS関連およびクラウド株の大量売りによる急落が強調しており、ベンチャーキャピタルのBessemer(ベッセマー)が算出したクラウドインデックスはこの日1.4%下落した。Nasdaqはいまだに下げ相場の領域にいる。

今日の時間外取引でTesla株は、同社が株主を喜ばせる納車台数を発表した後値上がりした。気まぐれな自動車会社はこの3ヶ月の期間に8万8400台を納車したことを発表し、予測されていた7万9900台(FactSetによる)を上回った。

今後を見渡すと、新たな失業者数が示唆する大規模な経済的影響を市場が消化できているとは感じられない。雇用率が急落し、世界中の経済が商業より安全を優先する中、世界は一時停止や静止どころではなくなるかもしれない。われわれは大恐慌の第一週を見下ろしているのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAが新型コロナ対策のアイデアを全局員からクラウドソーシングで募集

NASAの局内でクラウドソーシングが行われる。世界で最も賢く創造的で才能に恵まれた問題解決集団が、業務の一環として日々現実世界のさまざまな課題を解決している場所だ。だからこそ、進行する新型コロナパンデミックとの戦いにNASAとそのリソースが貢献できる方法を考えるよう、NASAが全局員に呼びかけたことはわれわれにとって大きな励みになる。

NASAは、内部で問題解決に使っているクラウドソーシング・プラットフォームであるNASA@WORKを使用して、新型コロナ危機やそこから生まれるさまざまな問題に対処する新しい方法の創造的アイデアを募集する。すでにNASAはいくつかの方法に取組んでおり、スーパーコンピューターを使った治療方法の研究や、ウイルスを巡って進行中の重要な科学研究の見通しを立てるためのAIソリューションの開発などを行っている。

NASAが局員に向けて行っている公募は、ある程度選択的だ。解決策が最も緊急に必要とされる重要分野を特定し、ホワイトハウスその他のウイルス対策に関わる政府機関と協力して、個人防護具、人工呼吸器、新型コロナウイルスの拡散と伝染を追跡監視する方法などの不足や欠落を補うためにNASA局員の取り組みを集中させるかどうかを判断する。これは、NASAがその他の新型コロナ問題の解決策を聞こうとしないという意味ではない。最も緊急に必要だと判断したのが上記分野だというだけだ

この試みに生産的な時間制約を加えるべく、NASAは上記分野に関するアイデアをNASA @ WORKを通じて4月15日までに提出するよう求めている。その後、何が最も実現可能かを評価し、実現に必要な資源を割り当てるプロセスがある。結果としてつくられる製品やデザインはすべて「オープンソース化してどの企業も国も利用できる」ようにすると同局は言っている。ただし、そこで使われるテクノロジーによっては誰にでも利用可能とは限らない。

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg / Getty Images

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米国食品医薬品局が新プログラム導入で新型コロナ治療法の開発を加速

米国時間3月31日、米国食品医薬品局(FDA)は「新型コロナウイルス治療法をできるだけ早く市場に出す」ために公共・民間組織の密接な協同作業を支援する新しいプログラムを発表した。米国保健福祉省のAlex Azar(アレックス・アザー)行政官がプレスリリースで語っている。「新型コロナウイルス治療加速プログラム」(CTAP)と呼ばれるそのプログラムは、FDAが資源や人材を再投入するために、民間企業の研究者、科学者に「規制に関する助言、ガイダンス、技術支援を最速で与える」ことを目的にしている。

同局の提供した情報によると、CTAPは、新しい治療方法をFDAが認可するために必要な臨床試験や手続きを行う企業や研究者にかかる負担を軽減するために、すでにFDA内部で行われていた多くの作業を正式にするということのようだ。

一般社会の言葉で表現すると、FDAはさまざまな手続きを迅速化するために、臨床試験結果の評価を24時間以内に行い、一部の治療方法を患者単位に適用する例外的あるいは研究目的の利用に関する申請を「原則として3時間以内」に処理する。またFDAは、さまざまな組織やプログラムに適用できる合理的な手順を作り、テンプレート化された戦略によって処理時間をさらに短縮することも考えている。

FDAは内部組織の再編成によってこれを可能にした。別の仕事をしていた医療と規制の担当者を新型コロナ関連の承認専門にしている。

この種のプログラム導入の意味については何らかの議論が出てくるに違いない。一方でこのプログラムは新しい手法や、立証されていないが有望な技術を開発しているバイオテックのスタートアップを、FDAの密な協力によって支援できるようにする。しかしもう一方では、FDAは新型コロナ治療に関する強引とも思わえる決定に対してすでに批判を受けており、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンの緊急使用許可もその1つとなっている。

小規模な試験の結果は、この薬品が新型コロナ患者に一定の効果がありうるとしているが、問題は「ありうる」という部分であり、別の小規模な試験では一般的な抗ウイルス治療も同程度に効果的であることを示している。つまるところ、決定的なことをいうだけのデータはいずれにせよまだ存在していないということであり、この緊急使用許可に関していえば、新型コロナ治療のために備蓄することは、この薬品の一般的利用方法である関節リウマチの治療への利用が難しくなることを意味しており、患者の重篤度を進める恐れがある。

現在の新型コロナウイルスのパンデミックは、感染拡大と影響力において、少なくとも近代医療時代におけるウイルス蔓延という意味で前例のないものである。FDAは独自の方法でこの状況に対処する必要があるが、お役所仕事の効率化に対するプレッシャーがどんな結果を生むのか、批評家や識者が目を光らせていることは間違いない。

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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米トランプ大統領がソーシャルディスタンスの要請を4月30日まで延長

わずか数日前、「イースター(復活祭)までにこの国を正常化」し、少なくとも米国の一部地域ではルールを緩和できるだろうと言っていた米トランプ大統領は、政府のソーシャルディスタンス(人と距離をとって)のガイドラインを4月30日まで延長すると発表した。

「勝利を得る前に勝利を宣言するほど愚かなことはない。それは最大の敗北だ」とトランプ氏は言った。「よって、今後の2週間は全員がガイドラインを厳守することが極めて重要だ。私たちの副大統領が繰り返し掲げてきたガイドラインに従わなくてはならない。彼は何度も言ってきた。彼は本当に強く信じている。みなさんが協力してくれればくれるほど、この悪夢が早く終る。そのためわれわれは、感染拡大を遅くするためにガイドラインを4月30日まで延長する」。

トランプ氏は、政府の戦略に関するデータや情報の詳細を米国時間3月31日に公表する予定だと語った。「3月30日には非常に重要な声明を発表する」。

米国時間3月29日、国立アレルギー感染病研究所長のアンソニー・ファウチ博士は、米国の新型コロナによる死亡数は10~20万人に達すると語った。「本日大統領が4月末まで続けると語ったのは、よくやっているとみんなが時期尚早に考えないよう気をつけるためだ。よくやっているかもしれないが、それでも極限まで努力していきたい」とファウチ博士は言った。同氏は大統領の決定について「賢明で慎重」だと今日の記者会見で語った。

トランプ大統領は1日も早く国を正常化して経済を元通りに戻したいと言っていたが、ファウチ博士と新型コロナウイルス対策室長のデボラ・バークス氏の助言を受け入れたことから、少なくとも今のところ、計画は先送りになったようだ。

本日トランプ氏が語った新しい日付は6月1日だった。「6月1日までには復興が順調に進んでいるだろう」と大統領は語った。「6月1日には素晴らしことがいくつも起きると思う。この国は新型コロナに取り組む世界最大の医療体制をもっているという事実を、全国民が確信し、心強く思ってほしい」

現状、死亡率は2週間のうちにピークを迎えるとトランプ氏は言った。当初の「感染拡大を防ぐための15日間」キャンペーンがスタートしたのは、わずか2週間足らず前の3月15日だった。

関連記事:米国での新型コロナによる死亡者は10万人~20万人、米国立アレルギー感染病研究所長が予測

画像クレジット:JIM WATSON / Contributor / Getty Images / Getty Images

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米国での新型コロナによる死亡者は10万人〜20万人、米国立アレルギー感染病研究所長が予測

米国時間3月29日にCNNのニュース番組「State of the Union」で、米国最大の権威が米国内で感染が広がる新型コロナウイルスの状況について、恐ろしい予測を公表した。

Dr. Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ博士)は国立アレルギー感染病研究所(NAID)の所長を長く務め、新型コロナウイルスと戦う米国を率いる指導者だ。同氏が新型コロナウイルスに起因する致命的疾患による死亡者数は10万人から20万人に上る可能性があると予測した。この分野の第一人者として名高いファウチ氏は、SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)、MERS(マーズ、中東呼吸器症候群)、エボラ出血熱に続き、このたび新型コロナウイルスについても国の方針決定を支援する責任者を務めている。

ファウチ博士は、この推定値はモデルに基づくものであり、あくまでもモデル構築した際の仮定以上の正確性はないと警告した。新型コロナウイルスが数百万人の米国人の命を奪うという最悪のシナリオは「起こり得なくはないが、可能性はごくごく低い」と語った。

「モデルをつくれば、ワーストケースとベストケースのシナリオが必ずついてくる」とファウチ博士はCNNの Jake Tapper(ジェイク・タッパー)氏に話した。「ほとんどの場合、現実は中間のどこかにある。私が関わった疾病モデルで、実際にワーストケースが起きたことは一度もない。常に大きく外れている」。

ファウチ氏は、米国で「数百万人の感染者」が出る可能性は高いと信じているが、ウイルスの引き起こす極度のリスクを強調しつつも、モデル予測に依存しすぎないよう警告している。

関連記事:Watch Mark Zuckerberg talk live with epidemic expert Dr. Anthony Fauci

「このよう目標が定まらず容易に人々を誤った方向に導きやすい状況下では、予測を立てる必要はないのではないかと私は考える」とファウチ氏は言う。ニューヨークやニューオリンズなど「深刻な問題」を抱える地域での感染拡大は今も懸念すべき問題であり、現状のデータだけでも十分懸念の理由になる、と付け加えた。

米国時間3月29日現在、米国では2197名がウイルスとの戦いで命を失い、12万5313名の感染が確認されていることをジョンズ・ホプキンス大学のデータが示している。一部の地域で検査能力の不足が続いており、軽症あるいは無症状の多くは検査されていないことから、現実の感染者数はこれよりはるかに多い可能性が高い。

画像クレジット:Yuri Gripas/Abaca Press/Bloomberg / Getty Images

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新型コロナの影響で自宅待機中のTechCrunchスタッフを熱中させているもの

自宅待機中のTechCrunchスタッフを熱中させているもの

現在が困難極まりない状況であることは言うまでもない。まだ把握しきれていない新型コロナウイルスの突然の大規模な流行により、世界中の誰もが何らかの変化を余儀なくされている。

戸惑いや困惑は誰も同じだが、こんな時こそ新たなスキルや長年抱いている興味、はたまた頭脳を一切使わない気楽なエンターテイメントに没頭することで、気持ちがリフレッシュされ、日々の生活が満たされるかもしれない。自宅でできるワークアウトや癒しのバーチャル農業シミュレーター、弊社スタッフメンバーのペットを描くCatherineの驚くほどにハイクオリティな絵など、我々が熱中している数々のエンターテイメントを紹介する。

Natasha Mascarenhas(レポーター)

Bon AppétitのYouTubeビデオ

革新的なコンセプトとは言えないものの、Bon AppétitのYouTubeビデオは仕事後の気分を落ち着かせるのに最適。昔ながらの伝統料理に再度挑戦する気にさせてくれる、同社のインド系アメリカ人シェフPriya Krishnaのコンテンツは特におすすめしたい。ニュージャージーが好きならBradのビデオを。グルメシェフがHot Pockets(アメリカで人気の冷凍食品)などのニッチな食品を再現するビデオなら、Claireのコンテンツがおすすめだ。

Overcooked
Overcookedビデオゲームは好きではないけど、ハンバーガーの焼き方に関してルームメイトと真剣に語り合えるタイプならこのゲームを試してほしい。シェフになりきり、他のユーザーとレシピを完成させることが目的。思い通りに進まないと思わず燃えてしまう。

Catherine Shu(ライター)

ProcreateアプリとApple Pencil
ProcreateアプリとApple Pencilさまざあな画法を用いたスケッチが好きなのでデジタルアートに関しては半信半疑だったけど、ProcreateとApple Pencil(iPad Air上で使用)の組み合わせは意外にも優良。フリーハンドのスケッチと写真のトレーシング技術を組み合わせて独自の塗り絵を制作している。スケッチ入りの日記や友達のペットのポートレートを描くのが楽しみで、これはTechCrunchのハードウェアエディターであるBrianが飼っているウサギのルーシー。

日記を書く
日記を書く

または、本物のペンと紙を使ったスケッチはいかが?iPadを持っていなかったり、絵を描くことに興味がなければ日記がおすすめ。とても困惑させられることが多く、事態はエスカレートし続けている今日この頃。私の住む台湾でCOVID-19はすでに数ヶ月もの間、日々の生活に多大な影響を与え続けている。毎日起きたことや週ごとの感情を事細かく覚えておくことはとても難しく、たとえ数行でも日記に記録することでぼやけてきた日々の輪郭を縁取ることができる。

Brian Heater(ハードウェアエディター)

High Weirdness: Drugs, Esoterica, and Visionary Experience in the Seventies
High Weirdness70年代のサイケデリックなサブカルチャーの発展における、フィリップ・K・ディック、テレンス・マッケナ、ロバート・アントン・ウィルソンの役割を紐解いた分厚い参考書のような本。内容重め。

On cinema
On cinemaTim HeideckerとGregg TurkingtonによるOn Cinemaverseは、めくるめく知識の宝庫。ポッドキャストやシリーズ、映画、別シリーズ(Dekker)、数時間におよぶ模擬裁判の他、オスカースペシャルのライブストリーム7本など、すべてめちゃくちゃ面白い。

ケトルベル
ケトルベル埃をかぶったケトルベルを取り出してきた。これと朝のヨガ(Natasha Lomasの記事を参照)が、最近の自分にとっての運動のすべてと言えるだろう。ただの鉄玉と侮るなかれ。これ1つで驚くほど多くのワークアウトをこなすことができる。

「The Earth Is Not a Cold Dead Place」 Explosions in the Sky
Explosions in the Skyはっきりとした理由はないが、ここアメリカでの事態が酷くなって以来、自分はほぼインストルメンタル系の音楽しか聴くことができなくなっている。セロニアス・モンクやビル・エヴァンスなどのジャズピアノ、ジョン・フェイヒー、ジム・オルーク、カーキ・キングなどのギタリスト、CANやBorisなどのノイズ系が最近のプレイリストをしめている。だがポストロックバンドは別物だ。ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーやモグワイ、真のクラシックExplosions in the Skyは自分にとって揺るぎないロックンロールと言える。

Devin Coldeway(ライター)

リングフィット アドベンチャー
リングフィット アドベンチャー仕事後の毎日のエクササイズに役立つ、リング型のコントローラーを搭載したSwitchのフィットネスゲーム。ジムに通えない今となっては便利このうえない。

Stardew Valley
Stardew Valley真剣なゲームに興味のない友達とプレイするなら、平和な農業ゲームがおすすめだ。Discordをダウンロードするだけで農業体験を楽しめる。皆が同じプラットフォームにいることを確認するのを忘れずに。

Generative.fm
Generative.fm在宅勤務未経験者は大抵、仕事中にも耳障りにならないアンビエント音楽の大量なコレクションを持っていないだろう。このサイトを使えば、耳に心地よく作業の邪魔にならないストリームをエンドレスに聴くことができる。

時代劇モノの韓流&華流ドラマ
時代劇モノの韓流&華流ドラマアメリカのテレビドラマやシットコムの再放送に飽き飽きしているなら、韓国や中国の素晴らしい時代劇ドラマを見てほしい。『琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~』や『ミスターサンシャイン』など、見慣れたドラマとは一味違う作品が多く揃っている。

Darrell Etherington(サイエンスエディター)

RimWorld
RimWorld

資源を収集し発展させていく壮大で愉快なシミュレーションゲーム。PCとMacのどちらでも使うことができ、非常に簡単なシステムのみを要する。最近の拡張でさらに面白くなっている。

Zooniverse
Zooniverse持て余している時間を活用して、Zooniverseで進行中の科学研究にクラウドソーシングとして貢献するのはどうだろう。ラボでの結果を検証したり、アライグマを探したり。興味深いさまざまな研究に、すべて自宅から簡単に参加することができる。

Hello from the Magic Tavern
Hello from the Magic Tavernシカゴ出身のごく一般の男が、J・R・R・トールキン作品の世界観のようなファンタジーの世界を彷徨うという内容のロングランのポッドキャスト。すべて即興の現場からのストーリーテリングで、豊富なアーカイブが揃っている

Josh Constine(エディターアットラージ)

カウボーイビバップ
カウボーイビバップアニメに興味を持ったことはあるが、子供っぽく馬鹿げていると感じているなら、1997年のアニメシリーズ『カウボーイビバップ』を試してほしい。地球を崩壊させかけた事故後の近未来の宇宙を舞台に、賞金稼ぎらの葛藤と活躍を描いたものだ。ノワール調の美しいイラストとスタイリッシュなファッション、スリル満点のアクションにサスペンスに満ちたロマンスなどが、ヒップなジャズのサウンドトラックと共に繰り広げられる。2シーズン分をまとめてビンジウォッチ(イッキ見)するのも良いが、ほとんどのエピソードは一話完結的な内容のためちょっとしたエンターテイメント補給に最適だ。

Overwatch
Overwatch反射神経と経験が物を言うほとんどの一人称シューティングゲームでは、長くプレイしているゲーマー達にひるみ、負かされるのが日常だ。『Overwatch』は違う。皆が似たような武器やスキルを持つのではなく、この6対6の戦いでは、ユニークな攻撃やシールド、ヒーリング能力などを持つ21種類のキャラクターから1つを選ぶことができる。2丁の武器を操る不気味な暗殺者や巨大なハンマーを持つバイキングの騎士、チームメイトを復活させることができる天使のような医者など多岐にわたる。個々の努力よりもチームのキャラクターの相互作用の方が重要と言えるこのゲームは、自宅待機で孤独を感じている人々に最適だ。

Greg Kumparak(エディター)

Apex Legends
Apex Legendsバトルロワイヤルゲームのコンセプトは好きだけど『フォートナイト』の構築的側面には興味がないと言う場合、『Apex Legends』をチェックしてほしい。それぞれ独自の長所と能力を持つ12人の「レジェンド」の中から1人を選択し、他の2人のプレイヤーとチームを組んで最後まで生き残るのが目的だ。ほとんどのバトルロワイヤルゲームがそうであるように、「あと1ゲームだけ」と言っているうちに8時間連続でプレイしていたという事になるのがこのゲーム。Windows、Xbox One、PS4で使え、何と言っても無料!!なのが魅力だ。

Ask the StoryBots
Ask the StoryBots子供がいる環境での在宅勤務中、皆の平静を保つために一役買うのがテレビタイムだ。『Daniel Tiger』にも我慢できなくなってきたなら、『Ask the StoryBots』が活躍してくれる。星はどこから来るの?耳はどうやって音を聞くの?などの子供の質問に対し、StoryBotsがその答えを探しに行くというものだ。JibJab(その昔まだインターネット上の爆発的流行が日常ではなかった頃に起きた爆発的流行)を手掛けた兄弟デュオが制作し、Netflixに買収されたこの作品は、誰もが息抜きを必要としている時にぴったりの存在だ。正直に言うと、自分も同作品から学んだ知識がいくつかある。メロコアバンド、ナーフ・ハーダーの才能溢れるソングライター、Parry Grippがこの番組の多くの音楽を手掛けているのも嬉しい。曲が頭から離れないという問題は起こるが、『Baby Shark』の曲が離れないよりはましだろう。

MasterClass
MasterClass最高クラスの「遠距離学習」と言えば。ステフィン・カリーやプラットフォームに現れるその他のゲスト講師群を見て、ここでの教育に文句を言う者はいないだろう。

Lucas Matney(ライター)

あつまれ どうぶつの森
あつまれ どうぶつの森金曜のどうぶつの森リリースに向けて私の期待は大いに高まっていたが、サンフランシスコで州政府による自宅待機命令が出た後、私はたぬきちへ返済すべき厳しい住宅ローンが緩和されることを待ち望んでいる。過去のバージョンとどう異なるのかほとんど予測できないが、前回のリリースから8年ぶりの新作にただならぬ期待を寄せている。

Natasha Lomas(シニアライター)


YouTubeのフィットネスコミュニティはロックダウンの期間中、我々の正気と健康を保つために不可欠なものになるだろう。専門的なトレーニングにしても、一般的なレベルのフィットネスを実行するにしてもだ。私が1つだけチャンネルを選ぶとすれば『Yoga with Kassandra』になる。ヴィンヤサヨガと陰ヨガのクラスのミックスで、中には数時間に及ぶものもある。さまざまなレベルと興味に応えてくれるこのチャンネル。上級者向けクラスでは最小限の指示しか出されないため、ヨガムードで周囲を占領したくないリビングルームをシェアしている人には最適だ。ナマステ。

Matt Burns(マネージングエディター

ガンダムのプラモデル
ガンダムのプラモデル私はガンダムを観たことも読んだこともなく、このロボットに関する知識を全く持っていない。それでもこれを組み立てるのは最高に面白い。何が良いって糊が一切必要ないのだ。すべてのパーツは心地良く折りちぎれるし、必要なのはニッパーのみ。数時間もすれば、どうだ、巨大な銃を持ったロボットが完成する。さらに複雑化することも可能だ。奥行きを出すために極細のペンで各パネルを縁取るビルダーや、ダメージ加工や戦闘による傷を施すビルダーもいる。私は数パネルに着色をした。ルールなんてないのだ。

Anthony Ha(シニアライター)

スター・トレック:ピカード
スター・トレック:ピカードCBS All Access(米国外ではAmazon Prime Video)が配信する『スター・トレック』スピンオフの新シリーズの出だし数エピソードでは「次世代」の時代以降のどんよりとした未来を彷徨い、面白みに欠ける。だがペースは早まり、この闇こそが明るい未来を勝ち取るために必要な試練であり、我々には思いやり、好奇心、楽観主義が常に必要なんだと感じさせてくれるのである。
公園

公園

NEW YORK, NY – OCTOBER 23: Manhattan and Central Park are seen from the ‘Top of the Rock’ observation deck at Rockefeller Center on October 23, 2012 in New York City. Hedge fund billionaire John A. Paulson and the Paulson Family Foundation are donating $100 million to the Central Park Conservancy. It is thought to be the biggest gift ever to a public park. (Photo by Mario Tama/Getty Images)

 

外出に関するルールは地域によって異なるが、安全な距離を保った上での散歩や運動は多くの人々にとって重要だ。ここニューヨークではバーやレストラン、映画館などは閉まっているものの、多くの住民が緑あふれる公園に癒しを求めにきているようだ。(他人と1.8メートル以上の距離をとるのを忘れずに!)

Ingrid Lunden(エディター)

Pandemic(とその他のボードゲーム)
Pandemicコロナウイルスの悲劇を嘆くのはおしまい!パソコンの画面を離れてグループで楽しめる『Pandemic』ゲームは、世界中を研究所で埋め尽くすことが目的だ。ここから学べる素晴らしい教訓は単独の「勝者」はいないという事。治療法を発見するという目標を達成するため必要なのは皆との協力なのだ。私の家族が好きなその他ボードゲームは『Catan』『Ticket to Ride』『Perudo』など。

Kirsten Korosec(シニアレポーター兼エディター)

縄跳び
縄跳びドアに掛かっていた縄跳びを見てこれ使えるかもと思ったが吉日、縄跳びの楽しさを再発見した。イライラした時や長時間座りっぱなしの時、数分跳ぶことにしている。

整理整頓!
整理整頓!混乱した世の中で、私にとって整理整頓や掃除が役立っている。縄跳びを見つけたのもそのおかげ。

写真日記
写真日記 / Pixel 3Pixel 3のカメラを使いこなすため、今まで気にもしていなかった機能を掘り下げて学んでいる。自分の周囲にある物を被写体に、マクロ撮影や芸術的な写真(私の目には)を撮り続けている。猫の写真が大量にあるのは言うまでもない。毎日の写真が自分のムードを反映しているように見えるのが面白い。

Taylor Hatmaker(ライター)

ポケットモンスター ソード・シールド
ポケットモンスター ソード・シールド世界は混乱に陥っているが、最新のポケモンゲームにはリラックス効果とこれまで通りの安定感がある。それに、バーチャルな動物を捕まえて小さな球形の檻に閉じ込める作業をすることで、隔離された現在の状況もそんなに悪くないんじゃないかと思えるから不思議。

Duolingo/Memrise
Duolingo何も学んでいないような気がすると居ても立っても居られなくなる私にとって、言語アプリは最適なツールだ。初心者向けの日本語を学んだことがあるので、アプリでその記憶を取り戻そうとしている。幸いにも、隔離期間が終わるまでに暗記しなければいけない事はたっぷりあるようだ。

フォートナイト
フォートナイト予想に反して、ゲーマーでなかった妻を『フォートナイト』にハマらせることができたので、どうしても頭のスイッチを切り替えることができない時にプレイする事にしている。『どうぶつの森』シリーズや『Stardew Valley』のようなリラックスしたゲームとは全く異なる同ゲームだが、時間を忘れてのめり込みたい時には最適だ。新シーズンにはかなりマッチョな三毛猫、Meowsclesが登場する事も述べておきたい。

電子書籍の料理本
電子書籍の料理本電子書籍を購入して、理想の自分像が身に付けているべきスキルを習得するには最適なタイミングだ。私の場合は和食とタイ料理の基本を学ぶ事。これでもう外食する必要はなくなるだろう。最近は毎日料理をしているし、料理はこの状況下で正気を保つのに大いに役立っている。何かを作って、その一皿の素敵な写真を撮るのにたっぷりと無駄に時間を割く。ミシュランの星を獲得するわけではないが、達成感はこの上ない。もし失敗しても、パンケーキを作ったり気がすむまで作り直せばいいことだ。

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(翻訳:Dragonfly)

隔離中だからこそ、メディアが真に「ソーシャル」な存在に

自慢なし、計画なし、ありのままの私たち

今までは、自己アピールなどのためにInstagramのストーリーにコンテンツを投稿していた人が多かった。しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の拡がりとともに、それがなくなりかけているのである。誰も「クールなこと」をするために外出することはできないし、そもそもそうするべきではないと言われるだろう。

ハッピーアワーの写真や隔離中のディナーの計画をビデオチャットで共有することを除けば、日々の記録は止まってしまっている。奇妙なことだが、残っているものはずっと使ってきたソーシャルネットワークよりも、むしろソーシャルな印象を受ける。

Housepartyでつながる人たち

隔離中にHousepartyでつながる人たち(出典:StoicLeysのツイート)

話題となる材料が何もなく、できることはライブ配信くらいだ。新型コロナウイルスによって、最近の出来事を共有したいという欲求がかき消されてしまったようだ。外出もままならない退屈な雰囲気が漫然と広がっていく。今後のことがとても不確実なので、計画を立てることすらままならない状態だ。イベントや旅行の計画でワクワクしていても、外出禁止令が延長になればがっかりするだけであるのが目に見えている。今のことしか考えられないのである。

自慢することがなくなった状況で、ソーシャルメディアには何ができるだろうか。多くの人が、実は今こそ意外と面白いことに気付きはじめている。一種のスポーツになってしまったソーシャルメディアにおいて、多くの人はプレイの喜びを味わうのではなく、ただスコアボードをじっと見つめているだけだった。

だが、ありがたいことに、Zoomに「いいね」機能はない。

変わらないものはない。これに気付くと、何かを決めるときに他人の目を気にすることから自由になれる。大切なのは、見栄えや見た目ではなく、どのように感じるかとういうことだ。気持ちを落ち着かせ、笑い、孤独を和らげるのに役立つかどうか。そういうことこそ、本当にすべきことだ。家で読書、入浴、ボードゲームなどをするだけなら、何かを見逃してしまうのではないかとFOMO(取り残されることへの恐れ)を感じることもなくなるだろう。自分らしくさえあれば良いのだ。

社会的な生き物にとって、最も自然に感じるのは「つながっている」ということだろう。そしてそのつながりは、やったばかりのことを後からフィードで共有するのではなく、同じ時間を共有することによって感じられるものなのだ。真面目な目的を遂行するために開発されたプロフェッショナルなビデオ通話技術が、単に一緒にいたいという一見意味のなさそうな一体感を得るために使われているが、それはそれで良いのではないか。私たちの普段したいことは、幼少期に校庭や家の前でしていたこと「ただ遊ぶこと」なのだから。

Housepartyしよう!

その証拠に、グループビデオ・チャットアプリのHouseparty(ハウスパーティー)では、10代の若者たちが画面上に集まって、目的もなく時間をつぶしている光景を目にすることができる。新型コロナウイルスの拡大に伴い街が封鎖されているイタリアの場合、Housepartyは、1カ月前にはトップ1500にさえ入らないアプリだった。それが現在では、ソーシャルアプリの第1位、全体で第2位のアプリとなっている。他の多くの国でも、HousepartyはZoomに次いでチャートの上位を占めている。

先週の月曜日の3月16日に、Housepartyはすべてのチャートで1位を獲得した。TechCrunchがSensor Towerから入手した統計によると、Housepartyのダウンロード率が2月の平均値より323倍も高くなっているとのことだ。3月21日には、ポルトガル(371倍上昇)、スペイン(592倍上昇)、ペルー、アルゼンチン、チリ、オーストリア、ベルギー、英国で1位になったが、1週間前にはチャートにすら登場していなかったのだ。Apptopiaによると、Housepartyのスペインでのダウンロード回数は、3月1日時点で25回だったのが、3月21日には4万回に達したという。

Houseparty rockets

Housepartyは多くの国のチャートで1位に急上昇した

昨年、Housepartyは業績がかなり低調であり、6月にフォートナイトのメーカーであるEpic社に買収される前の時点では、米国のチャートで245位まで落ち込んでいた。しかし、第三者を介さずにつながりたいという需要が突然高まったため、Epic社が7月以降アップデートを怠っていたにも関わらず、Housepartyは活気を取り戻すことができた。

「Housepartyは、物理的に離れていても、なるべく人間的な方法で人々をつなぐように設計されている」と、スタートアップの共同設立者であるBen Rubin(ベン・ルビン)氏は述べている。「今はすべての人が孤立と不確実性を感じている。この重要な時期に、人間らしいつながりを何百万もの人々に提供できる製品が作れたことを、嬉しく思う」。

Houseparty以外でも世界中で人と直接つながることができるアプリの人気が急上昇している。スウェーデンでは、Googleハングアウトが優位を占めており、フランスでは、ゲーマー用チャットのDiscordが1位だ。オランダではMicrosoft Teamsが支配的である。Netflixを満喫した後、私たちに残された楽しみは、結局のところ、お互いだけなのだ。

地理的な制約とは無関係

すべての人が家に留まっている状況では、家のある場所はもはや何の意味も持たなくなる。友人の定義も、車で20分、電車で1時間といった範囲には限定されなくなるだろう。すべてのクラスがオンラインに移行したため、学生たちは皆Zoom大学に通うことになるなどと言われているが、同様にすべての人はZoom町の住人となったのである。通勤も短縮され、残っているのは招待URLの生成にかかる時間のみとなっている。

サンフランシスコ在住の筆者としては、バークレー湾の向こう側の友人でさえ、以前は遠く感じていたものだった。しかし今週は、普段遠すぎると感じていたシカゴやニューヨークなどの大切な人たちと、1時間ほどビデオ通話をすることができた。直接会ったことのない赤ちゃんを見て時間を過ごしたり、東海岸にいる両親とたびたび連絡することもできた。 両親との連絡は、今までにないくらい重要で緊急なものだった。

ZoomでボードゲームのCodenamesをしている

ニューヨークやノースカロライナの友人を相手に、ZoomでボードゲームのCodenames(コードネーム)をしている

通常、多くの時間をともにする相手は、周囲の知人たちだ。つまり、オフィスを共有している同僚たちや、たまたま近所に住んでいる友人たちといった具合である。しかし今や、各自がバーチャルな家族を選択し、構築するようになっている。考え方が変化しているのだ。つまり、自分にとって誰が役に立つか、面白い場所に招待してもらえるかといった基準ではなく、人間的な気持ちを感じさせてくれるのは誰かという基準への変化である。

John Legend Live

セレブたちも例外ではない。伝統的なポートレートや派手なミュージックビデオではなく、FacebookやInstagramライブで、普通の照明を使ったリアルな姿を見せるようになっている。John Legend(ジョン・レジェンド)が10万人の視聴者の前でピアノを演奏する傍らで、妻のChrissy Teigen(グリッシー・テイガン)はタオル姿のまま、何度も聞いたかのようにつまらなそうに座って「All Of Me」を聞いていた。これは、テレビで見るよりもリアルな光景だろう。

そして、連絡すべき相手に関する従来の考え方にとらわれることなく、今までの人生で付き合いのあった人たちに連絡する機会もある。大学時代のルームメイト、高校の仲間、影響を受けたメンターなどといった人たちが思い浮かぶかもしれない。さらに、もし今の試練の時期にまだ感情的な余力があるのなら、やるべきことはほかにもある。独身者や一人暮らしの人、街の中で細やかなサポートネットワークに恵まれていない人を誰か知っているだろうか。

そのようなつながりを作り直すことは、忘れかけている大切な記憶を取り戻すだけでなく、健全な思考を保つのにも役立つだろう。社会的な相互作用の中で仕事をし、遊んでいる人々にとって、外出禁止というのは孤独な監禁を意味しているからだ。孤立している人々に注意を払わなければ、精神衛生の危機はすぐそこである。

ミーム、危機に役立つ言語

しかし、そのようなつながりを保ち続けるにはエネルギーが必要で、簡単なことではない。ウイルスが健康と経済へ及ぼす影響のため、皆が不安でいっぱいになっている。筆者自身、朝ゆっくり起きて、1日の時間を短くしようとしたことが何度かあった。他愛もない世間話でも、不安を蒸し返すだけになってしまうため、話すことがなくなってしまうときもあるだろう。

幸いなことに、何も言わずにコミュニケーションがとれる方法がある。ミームを共有するのだ。

新柄コロナウイルスのミーム

義父が送ってきた画像。ミームが普遍的な言語になっていることがわかる

インターネット上では、新型コロナウイルスに反応して、世界中でブラックユーモアが大量に発信されている。インスタグラムのジョークアカウントに関するRedditスレッドのグループチャットから、25万人のメンバーを誇る「Zoom Memes For Quaranteens」のようなFacebookのグループまで、さまざま方法で危機を乗り切ろうとする動きがある。

ひきつった笑いでも、笑えないよりはましなのだ。ミームによって、忍び寄る不安や狂いそうになる気持ちを、生産的な何かに変えることができる。匿名なので、誰かが作ったものを気軽に共有することができるからだ。自宅隔離の間、人々に笑顔をもたらすことを目標に、ミームの作成に没頭することもできる。フィードとストーリーがなくなった後は、ミームを消費することこそ、新たな連帯の手段となるだろう。皆が一緒に体験しているこの地獄のような状況を、笑ってみるのもよいかもしれない。

コロナウイルスのミーム

流行の真っ只中で、ウェブの「精神的免疫システム」が始動したのだ。監禁状態で無抵抗になるのではなく、発達した「デジタル抗体」を開発し、孤独に立ち向かっている。コードネームのようなボードゲームを使えば、ビデオチャットにも彩りを添えられる。1回限りのライブストリームは、完全オンライン型の音楽フェスティバルとなり、ニューオーリンズやベルリンのサウンドを世界中に向けて配信している。ウェブ会議に対する「Zoombombing」という、新手の「荒らし」やいたずらさえ発生しているという。さらに、巨大IT企業に対する反発が始まって5年ほど経ったが、業界のリーダーたちにより、対等な関係のソーシャルセーフティネットや、客足が戻るまで中小企業が生き残るための対策なども立ち上げられている。

出来事は、共有するために探し求めるのではなく、隔離で残った唯一のもの、つまり自分自身を使ってイチから創作するものとなった。感染の波が過ぎ去った後も、この創造性のうねりや同時的な連帯感は強いままであってほしい。「見せびらかす」のではなく「姿を見せる」ことが、インターネットの最も良いところなのだから。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Dragonfly)

自治体から住民への通知を自動化する「BetterMe」開発のケイスリーが1.9億円を資金調達

写真後列中央:ケイスリー代表取締役CEO 幸地正樹氏

地方自治体のSDGs推進支援や行政機関向けプロダクトの開発に取り組むケイスリーは3月26日、モバイル・インターネットキャピタルが運営するMICイノベーション5号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資により、総額1億9000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。同社の外部からの資金調達はこれが初となる。

コンサルティングとプロダクトの両輪で社会課題解決目指す

ケイスリーは2016年4月、PwCコンサルティングでコンサルタントとして、主に官公庁向けの支援に従事していた代表取締役CEOの幸地正樹氏が「日本でもインパクト投資の手法として、(課題解決の成果に対し報酬を出す契約である)ソーシャルインパクトボンドの導入をもっと進めたい」と設立したスタートアップだ。

ケイスリーが目指すのは、社会課題解決の基盤づくり。これまでに、地方自治体のSDGs推進支援、ソーシャルインパクトボンドの導入推進など、新しい社会的課題解決手法の構築に携わってきた。地方自治体へのコンサルティング事業と、行政分野を対象にしたGovTechプロダクト事業を両輪として展開している。

2017年8月には、日本初のソーシャルインパクトボンドを組成し、八王子市で成果連動型の大腸がん検診受診率向上事業に行政アドバイザーとして関わったケイスリー。その後、広島県内6市で実施した大腸がん受診勧奨事業で得た知見もあわせ、厚生労働省の支援のもとで、2019年3月から沖縄県浦添市で機械学習と行動経済学の知見を用いたプロダクトの実証実験を開始した。浦添市では、大腸がん検診の受信を勧めるメッセージをSMS経由で、国民健康保険に加入する1万7000人の住民に自治体から自動で配信するサービスを、SMS配信事業のアクリートとの提携により行っている。

この実証実験をベースに、さらに公的通知自動化サービスとして進化させたのが、同社が開発中のGovTechプロダクト「BetterMe」だ。BetterMeは2019年10月、500 KOBE ACCELARATORSにも採択され、現在開発を本格化させている。

500 KOBE ACCELARATORSに参加したケイスリーのプロダクトチームメンバー。左から2人目が取締役CFO 森山健氏

ケイスリー取締役CFOの森山健氏は、「コンサルティングとGovTechの両輪で事業展開することで、自治体が抱える課題を発掘して、解決手法を見つけ、洗練し、プロダクトとして戻すという流れを作ることができ、PDCAをまわすことを可能にしている」と同社の特性について説明する。実際、自治体で支援を行うときにも役所の担当者と行動をともにして、住民からのヒアリングをもとにPDCAサイクルに反映しているという森山氏は「現場は大事」と語る。

事業のうち、コンサルティング領域では、現場に近いNPOから国際イニシアチブまで、さまざまな規模の組織について、産官学および金融との連携にかかわる戦略策定から、案件組成に不可欠な現場支援まで、幅広くサービスを提供しているという。

「IT系スタートアップがいきなり地方自治体へプロダクトを持ち込んで営業しても、門前払いされることも多い。ケイスリーでは、成果連動型のソーシャルインパクトボンドを取り入れる手法や、コンペで政策課題の解決を目指す方法をコンサルティングで伝え、課題解決のためにテクノロジーを掛け合わせることで、実際の社会課題解決につなげることを目指している」(森山氏)

また、官民が連携し、成果に連動して報酬が得られるソーシャルインパクトボンドの効用については、森山氏は次のように述べている。「課題に対して、例えばSMSのサービスというモノを売るのでは、1配信につき単価数円といったつまらないビジネスになってしまう。『受診者が増えたら1万円』といった成果・付加価値を売るという形に切り替えることで面白いサービスができ、行政コストの適正化も図ることができる」(森山氏)

浦添市のケースでは、職員が検診を勧める電話などをかけるのにかかる年間4万2000時間を人件費として換算すると、およそ1.3億円をSMSの自動送付で置き換えることができると試算。また受診率を12%改善できるとすれば、早期治療により適正化できる医療費は年間約2000万円と見積もられている。

行動経済学とデータでよりよい意思決定を促すプロダクトづくり

ケイスリーでは事業コンセプトに掲げる「社会課題を最速で解決するための基盤をつくる」を実現するために、データサイエンスと行動経済学を組み合わせ、プロダクトへ取り入れようとしている。

浦添市の実証では、単に自治体から住民への告知を紙からSMSに変えたというだけではなく、どういうメッセージを送るかでも、がん検診の受診率に差が出ているという森山氏。例えば、他の民間業者がこれまで手を付けていなかった、「無関心期」にある未検診者へのメッセージ配信では、受診率1%だったところが16%にまで向上したという。「文面は30パターンほど用意し、12回の配信でPDCAをまわして改善していったところ、よい実証成果が得られたと思う。メッセージへの反応(ナッジ)には地域性もあるようだ」(森山氏)

森山氏は「検診に行かない人には、交通手段がない、検診に行く時間やお金がつくれないなど、何らかの理由があり、これが検診率と密接に関連している。面倒くさがり屋だとか、健康意識が低いと決めつけるのではなく、これこそを行動経済学の知識で階層化していくと、よりよい成果が得られるだろう」と話す。「そのほか、気温と受診率などにも相関がある。今後、行政データや行動データなどのデータベースを拡張し、ビッグデータを解析することでも成果がさらに上がるのではないか」(森山氏)

「行動経済学はノーベル経済学賞を4回受賞している分野だが、紙と鉛筆で研究が行われている非常にアナログな世界。まだテクノロジーがそれほど使われていないので、これはチャンスだと感じている。行動経済学をデジタル化・インフラ化することで、現在手がけているがん検診の受診勧奨だけでなく、今感染症で話題になっているソーシャルディスタンス対策や、災害時の自治体からの迅速で的確な発信などにも役立てることができるようになるだろう」と森山氏は言う。

森山氏は「人間の意思決定の数理モデル化、ナッジと呼ばれる人の行動のきっかけとなるしかけ(浦添市の例ではメッセージの内容に当たる)、成果の効果測定の3つをそろえることで、PDCAサイクルをまわして、行動経済学のデジタル化に取り組むことができる」と考えている。

「行動経済学でアナリティクスカンパニーをやる、というのは世界でも例がない。行動経済学をデジタル化して、API開放することにより、ショートメッセージだけでなく、LINEでも、チャットボットと組み合わせても使えるようにできる。チャネルは多様化させるとして、エンジンとなる部分をこれから掘り下げていけば、世界にないサービス、テクノロジーが提供できると考えている」(森山氏)

調達資金は、500 KOBE ACCELERATORで本格化させた「BetterMe」の開発に活用するというケイスリー。特に、自治体向けサービスを開発するにあたって求められる行政ビッグデータの解析では、情報セキュリティ対策を重視し、インフラ、ネットワークに強いエンジニアの採用を強化すると森山氏は述べている。

「ガンダムに例えれば、僕らがやろうとしているのは、人間をニュータイプにする試み。また、これは消費者保護の取り組みでもあると考えている」という森山氏。「古典経済学で言うところの『合理的判断』ができないのが人間で、不確実性のもとでの人間の意思決定を科学するのが行動経済学だ。これをプロダクトに取り入れることで、『この広告に騙されたらダメだよ』『50代になったので、がん検診に行った方がいいですよ』と、チャットボットなどが分身として人間の判断を助けてくれるようになれば、人間はニュータイプになれるのではないかと思っている」(森山氏)

「行政に都合の良い市民を作りたいというのではなく、市民が情報を正しく認識して、よりよい意思決定を自分のためにできるよう、お手伝いしたい。それが行政が望む姿と重なっている領域で、事業を行っていきたい」(森山氏)

ニュースをソーシャルネットワークから得ている人は新型コロナに関する誤解が多い

Pew Research Centerが行った最近のアンケート調査によると、新型コロナウイルス(COVID-19)に関する情報は、それを主にソーシャルネットワークから入手する人ともっと伝統的なニュースソースから得る人の2派に分かれる。

Pewは3月10日から1週間、8914人の成人の米国人を調査し、彼らを政治や選挙のニュース得る主な手段で分類した。そして、多くのニュースをソーシャルメディアから得ると答えた人の中では、現在の科学者たちの合意事項である新型コロナウイルスのワクチンは1年以上後に利用できるようになると答えた人がわずか37%だった。そのほかの回答者分類グループは、地元のテレビを見る人を除き、どのグループも正答率が50%を超えた。ソーシャルメディアからニュースを得る人の3分の1は、ワクチンの利用可能時期に関してわからないと答えた。

また、主にソーシャルメディアからニュースを得る人の57%が「完全にでっち上げと思われる新型コロナウイルス情報を見た」と答えている。ニュースを主に印刷媒体から得る人では、その比率が37%だった。

もっと怖いのは、ニュースを主にソーシャルメディアから得る人が、新型コロナウイルスの脅威を誇張されていると感じていることだ。これらの人が45%がメディアは新型コロナウイルスの危険性を誇張しすぎていると答えている。主にラジオからニュースを得ている人も、44%がメディアはウイルスの脅威を大きく誇張していると答えている。印刷媒体派の人、つまりたぶんニュースにお金を払っている人は、そのように思っている人がわずか26%だ。

完全な調査結果は、PewのElection News Pathwaysプロジェクトに含まれている。それは、米国人の選挙関連ニュースの消費形態を調べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナ検査の「自己綿棒拭き取り」は医師による検体採取と同等の結果

今週、米国食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルス検査の自己検体採取を認めるガイドラインを改訂すると発表した。これは患者が自分で綿棒を使って鼻から検体を採取し、医療従事者に渡して検査するものだ。米国時間3月25日、UnitedHealth Group(ユナイテッドヘルス・グループ)は、大規模な相互監視研究の結果を発表し、この侵襲性の低い検体採取方法に切り替えることの科学的根拠を示した。

ただし自己拭き取りプロセスはFDA認可検査を行うことのできる場所を変えるわけではない。このガイドライン拡大は採取方法にのみ適用される。つまり多くのスタートアップが市場参入を期待している自宅における綿棒によるPCR検査は未だに保留されている。

この最新研究は、自己拭き取り方式が、新型コロナ感染者から医療従事者にウイルスを伝搬させる可能性を減らすだけでなく、医療専門家が患者の鼻孔の奥深くから検体を採取した場合と同等の効果があることを示している。ユナイテッドヘルスはBill & Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)、Quest Diagnostics(クエスト・ダイアグノスティクス)およびワシントン大学と共同でこの研究を実施し、ワシントン州のOptumCare(オプタムケア)診療施設で検査を受けた約500名の患者を対象とした。

自己拭き取り採取方法にはほかの利点もある。特別に訓練を受けた医療専門家が診療現場で検査に立ち会う必要がなくなることがその一つだ。これは要因不足による積み残しを解消するはずだが、検査を希望する患者の増加にともなう物資や検査機関の不足は今後も避けられないだろう。

画像クレジット:MIGUEL MEDINA / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook