二輪ライドシェアの元社員が電動二輪車のマーケットプレイス「Ridepanda」を米国に開設

Chinmay Malaviya(チンメイ・マラヴィヤ)氏とCharlie Depman(チャーリー・デプマン)氏は、Bird(バード)やLime(ライム)、Scoot(スクート)などの会社で働いてきたことで、離陸したばかりのシェアードマイクロモビリティー業界の中心に自分たちがいることを認識した。二人はベンチャー資金の調達、急速に伸びる需要、製品の欠陥や規制による障壁への対応という、ジェットコースターのような生活を体験した。その真っ最中に、二人は業界の転換とチャンスに気づいた。

「私たちは立場を生かし、モビリティーで大きな変化が起きていたことを見つけました。それは個人所有の問題です」とマラヴィヤ氏が先月のインタビューでTechCrunchに話した。「利用者は電動スクーターや電動アシスト自転車や電動モペッドを自分で持ちたいと思っていたのです」。

LinkedInで知り合った両氏は、Eバイク(電動アシスト自転車)や電動モペッド、電動スクーターを探して吟味し、購入するためには、Google(グーグル)やAmazon(アマゾン)で検索する以上にいい方法がなかったことに目をつけた。そして、軽電動乗り物のためのオンラインマーケットプレイス「Ridepanda」(ライドパンダ)が生まれた。

二人を「light electric vehicle」(軽電動乗り物)のエバンジェリストと呼んでも間違いはないだろう。General CatalystおよびWill Smith(ウィル・スミス)氏のDreamers Fundから金額非公開のシード資金を調達したRidepandaを、電動アシスト自転車、電動スクーター、電動モペッドをもっと多くの人の手にもたらすというミッションを達成する最善の方法だと考えている。

「小さくて静かでエコでしかもずっと楽しい乗り物を使えるようにすることで、もっと幸せで効率的な町をつくることが私たちの願いです」とマラヴィヤ氏は言う。軽電動乗り物は、ほとんどが5マイル(8km)以下と言われている人々の移動に特に適していると同氏は付け加えた。

2020年始めに二人が立ち上げ最近ベールを脱いだスタートアップは、ワンストップ「Eライド」ショップとして、電動乗り物の専門家による評価やカスタマイゼーション情報などを提供し、購入者が最適の製品を見つける手助けをすることを目的にしている。Ridepandaは、9月にウェブサイトを改修し、ユーザーが自分にあった製品をクイズ形式で見つける「ridefinder quiz」(ライドファインダー・クイズ)やその他のサポートサービスを新たに開始した。「pandacare」というブランドのそのサービスは、保険、組み立て、修理、メンテナンスなどの情報や正しいヘルメットの見つけ方などをユーザーに届ける。

Ridepandaを訪れたユーザーは「ridefinder quiz」をクリックすると、電動アシスト自転車、モペッド、スクーターの種別、身長、体重、もっとも多い利用場面、さらには折り畳み式かどうか荷台の大きさなど最後に予算を選択する。すると条件にあった製品がいくつか表示される。こうした手順を省略して、3つの製品タイプや「commute」(通勤)、「adventure」(冒険)、「delivery」(配達)、「accessibility」(アクセシビリティー)などの利用場面から検索することもできる。

「電動アシスト自転車や電動スクーターや電動モペッドなら何でも載せているわけではない」と同社のCTOであるデプマン氏は言う。

「私たちは多種多様な電動乗り物のカンブリア爆発のような現象を見てきました。実際、イマフ数百種類以上の選択肢があります」と同氏。「アマゾンのウェブサイトに行けば、それぞれのカテゴリーで150種類以上が見つかり、ふるいにかけるのは実に難しい。つまり私たちがバックエンドに作っているのは評価システムなのです」。

「製品がプラットフォームに載るためには、一定の条件と評価基準を満たさなくてはならない。Ridepandaは、性能、安全性、持続性、耐久性、修理のしやすさから製品を評価している」と同氏は説明する。評価は、バッテリー、モーター、ブレーキなど個々の部品ごとに行われる。

現在Ridepanda米国市場に焦点を合わせており、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ポートランド、サンフランシスコ、およびシアトルが対象だ。顧客向けの融資を提供しているほか、サブスクリプションサービスも計画しているが、時期を含めてまだ決定していない。

「今は、雑音と決断疲れと戦っているのだと思っています」とマラヴィヤ氏は締めくくった。。

カテゴリー:モビリティ
タグ:マーケットプレイス

画像クレジット:Ridepanda

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フリーランサーのための公平なマーケットプレイスを目指すBraintrustが約19億円調達

今夏にローンチしたフリーランスの技術者やデザイナーのネットワークBraintrustが、1800万ドル(約19億円)の資金調達を発表した。

共同創業者でCEOのAdam Jackson(アダム・ジャクソン)氏は「テクノロジー企業は独立の契約社員にもっと思いやりを持って対応すべき」(未訳記事)とTechCrunchに寄稿したことがある。同氏はメールで「サンフランシスコのスタートアップはその考え方を現実化しつつあり、フリーランス労働者の従来のマーケットプレイスとはやり方がずいぶん違う」とのこと。

Braintrustの場合はまず、実際に雇用をしている企業にのみ課金する。プロジェクトに参加したり参加を申し込んだりしたフリーランサーには1銭も払わないし、プロジェクトから得た賃金に対しても手数料を請求しない。さらに同社は、新たな顧客を招待したりフリーランサーの能力を評価してネットワークを構築したユーザーには、Btrustと呼ばれる暗号通貨で報酬を払う。その暗号通貨のトークンは、ネットワークが今後進化したときの所有権、株のようなものになるようだ。

「Uberがそのドライバー全員に会社の所有権の一部を与えたら一体どうなるか、想像してみてください。Braintrustは100%、ユーザー所有になるでしょう。このプラットフォームに参加した者は誰でも、この事業の投資者なのです」とジャクソン氏は説明する

Braintrustを利用する企業は、自社で求人する場合と同じく、フリーランサーに仕事を任せられる。同社のクライアントにはすでに、NestléやPacific Life、Deloitte、Porsche、Blue Cross Blue Shield、TaskRabbitなどの一流企業が名を連ねている。

このプラットフォーム上の人材は多くが専門職だが、多くの人が新型コロナウイルスの感染蔓延で仕事を失っている。「フリーランサーとして求職する人材が大量に殺到している」と同氏。

なお同社は、600万ドル(約6億3200万円)のシード資金を調達した直後から黒字になっている。今回調達した資金は、コアチームの構築と求人企業の増大に向けられる。「Braintrustは企業がプロダクトのロードマップとイノベーションを加速するために存在しており、今回の資金投入はまさのその事業を進めるために投下します」とのこと。

新たな投資ラウンドはACMEとBlockchangeがリードし、新規投資家としてPanteraとMulticoin、およびVariantが参加した。

関連記事:コロナ禍で増加するフリーランスが参加するプロジェクトを管理するFiverr Business

カテゴリー:HRテック
タグ:Braintrustフリーランスマーケットプレイス

画像クレジット:PayPau / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Shelf Engineはスーパーの食品廃棄を減らすアイデアで13億円を調達

シアトルを拠点とするShelf Engine(シェルフ・エンジン)は、最初の数カ月間、スーパーや食料品店での在庫処理の最適化を業務としてきたが、まったくの無名だった。

4年ほど前、共同創設者のStefan Kalb(ステファン・キャルブ)氏とBede Jordan(ビード・ジョーダン)氏がソルトレークシティーの外れにスキー旅行に出かけたときから、米国の食品廃棄問題に何か具体的な手立てはないものかと話し合うようになった。

キャルブ氏は、いくつもの企業を創設してきた起業家だ。最初に立ち上げたのはMolly’s(モリーズ)という食品流通企業だった。それは2019年に、HomeGrown(ホームグロウン)という会社に買収された。

ウェスタン・ワシントン大学で保険数理学の学位を取得したキャルブ氏は、世界を変えようと食品会社を立ち上げたと語る。実際、Molly’sでは健康的な食事を提唱していた。しかし、キャルブ氏とMicrosoft(マイクロソフト)のエンジニアであったビード氏がShelf Engineで取り組んでいることは、むしろインパクトというべきかも知れない。

食品の無駄は、米国民に安全で安価な食料が行き渡らないという大きな問題を助長するばかりか、環境にも悪い。

Shelf Engineは、生鮮食料品の需要予測を提供することで、この問題に対処しよう計画している。そうすることで、発注システムから非効率性を閉め出そうという考えだ。パン売り場と、特に足が早い生鮮食品の売り場では、一般的におよそ商品の3分の1が廃棄されている。Shelf Engineは店に売上げを保証し、売れ残りについてはすべて同社が代金を支払うことにしている。

画像クレジット:OstapenkoOlena/iStock

Shelf Engineは店に並ぶ特定商品の普段の売上げに関する情報から、その商品の需要がどれほどあるかを予測する。同社の利益は、供給業者に支払う商品代金と、食料品店に卸す価格との差額から得られる。

こうすることで、食料品店は食品廃棄量を減らせるのと同時に、より豊富な種類の商品を棚に並べることができるようになる。

当初Shelf Engineは、食料品店向け商品の販売で市場に乗り込んだのだが、マーケットプレイスに転向し、店の棚に陳列される特定商品の需要を予測するモデルを完成させたときから注目を集めるようになった。

ビード氏とキャルブ氏の次なる計画は、規格外農産物の小売り業者や食料品のアウトレット販売業者などの二次的販売経路の見識を高めることだ。

同社のビジネスモデルは、すでに米北西海岸地区の400ほどの店舗で実証済みであり、市場に打って出るための新たな資金1200万ドル(約13億円)も獲得したと、キャルブ氏は話す。

この資金はGaryy Tan(ゲイリー・タン)氏のInitialized、GGVからの出資だ。ちなみにGGVの業務執行取締役Hans Tung(ハンス・タン)氏はShelf Engineの役員に加わった。さらにFoundation Capital、Bain Capital、1984 Ventures、Correlation Venturesといった企業も参加している。

Shelf Engineへの投資は、Signia VenturesのパートナーSunny Dhillon(サニー・ディロン)氏がTechCrunch Extraに寄稿していたように、食料品店に新しいテクノロジーを活用するという流れに乗っている。

「食料品の利幅は常にカミソリの刃のように薄く、儲かっている食料品店と儲かっていない食料品店の差は、1ドルあたりほんの数セント程度だ」とディロン氏は書いている。「従って、食料品の電子商取引がますます受け入れられるようになるにつれ、小売業者はフルフィルメント業務(マイクロフルフィルメントセンターなど)だけではなく、顧客の玄関先まで配達してスピードと品質を確かなものにするロジスティックス(ダークストアなど)の最適化も図らなければならない」。

しかしディロン氏が提唱する、マイクロフルフィルメントセンターやダークストアを活用した配達に限った食料品ネットワークだけがすべてではない。既存の不動産や注文に応じたショッピング方法を有するチェーンにも、生鮮食料品の利益を高める道はまだまだある。

画像クレジット:nadia bormotova / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

欧州で生花のサプライチェーンの再編を目指すスペイン拠点のColvinが16億円調達

シリーズB投資1500万ドル(約16億円)を調達したことを発表したColvin(コルビン)は、一見すると生花や観葉植物の配達業者のようだが、共同創設者でCEOのAndres Cester(アンドレス・セステ)氏が言うには、このスタートアップの視野はもっとずっと大きい。

「私たちは、世界の花の取引を再編成したいという野望を抱いて会社を興しました」とセステ氏。どうやら同氏と共同創設者でCOOのSergi Bastardas(セルギ・バスタルダス)氏は、花のサプライチェーンの調査を始めたとき、業界が生産者と販売者とに「断片化」されていて、しかし同時に、世界で販売される花の球根の77%を扱うオランダのアールスメール花市場に集権化されていることに気づいたようだ。

「仲買人が入ることで花は結果的に高価になるが、価格のうちで生産者が受け取れる割合は小さく、消費者の手元に届くまでに長い時間が掛かってしまう」とセステ氏は言う。

そこで彼らは、消費者が生産者から直接花を買えるマーケットプレイスを作った。仲介業者はColvinだけだ。ここでは、ライバルのオンライン販売業者と比較して平均50〜100%の節約ができるとセステ氏は話している。例えば、Colvinのウェブサイトに掲載されているブーケは、どれも33〜34ユーロ、およそ4000円程度だ。

生花業界は全体的に新型コロナウイルスのパンデミックによる打撃を受けているが消費者はオンライン購入に目を向け始めたことから「Colvinの売上げは前年比で4倍、1日の出荷量は100万ドル(約1億700万円)に相当するまでになった」とバスタルダス氏。苦労したのは、花を約束した時間帯に確実に届けることだったと同氏は話す。

画像クレジット:Colvin

Colvinが消費者への直接販売を始めたのは、それが生産者からの販路を確立するための適切な方法だったからだとセステ氏は説明する。そしてその直販方式が収益性の高い「金を生むビジネス」となった。だが、彼らはその先にもっと大きな目標を掲げている。小売店に花を卸してくれる卸売り業者に向けた販売だ。「私たちは、B2B部門の事業が利益と価値の大部分を支えるようになると考えています」。

Colvinはスペインで起業し、現在は、スペイン、イタリア、ドイツ、ポルトガルで事業展開をしている。米国進出は当面は考えていないが、「本当にそれが良いと思えば、生花業界の仕組みを再編していずれは米国に進出するでしょう」とセステ氏。

このスタートアップは、現在までに2700万ドル(約29億円)を調達した。今回のラウンドは、イタリアの投資ファンドMilano Investment Partnersが主導し、P101 SGRとSamaipataが参加している。社名の由来が気になる方のためにお伝えするが、公民権運動の先駆者であるクローデッド
・コルビンに因んでいるとバスタルダス氏は教えてくれた。コルビンは、ローザ・パークスの逮捕事件の数カ月前に、アラバマ州モンゴメリーで、バスの座席を白人に譲らなかったことで逮捕されている。

生花販売スタートアップには似つかわしくない選択のようだが、バスタルダス氏によれば、創設者たちはコルビンの物語と行動に影響を受けたのだという。つまり「小さな行動がいくつも集まることで、業界を根本的に変えることができる」というものだ。

関連記事;鉢植え観葉植物専門のスタートアップThe Sillが500万ドルを調達
画像クレジット:Colvin
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(翻訳:金井哲夫)

子供の足をスマホで計測できるマーケットプレイス運営のJenzy

フィラデルフィアで女性が設立するスタートアップの中でも、Jenzy(ジェンジー)ほど大きな期待を抱かせるものはないだろう。オンラインマーケットプレイスと子供の足のサイズを計るバーチャル計測サービスを提供する企業だ。

モルガン・スタンレーのMulticultural Innovation Lab(マルチカルチュアル・イノベーション・ラボ、多文化イノベーション研究所)から125万ドル(約1億3700万円)の投資を受けたこの企業は、絶望から生まれ、2つの大陸で育てられた。

Eve Ackerley(イブ・アケリー)氏とCarolyn Horner(キャロリン・ホーナー)氏の2人の共同創設者は5年前、中国の雲南省の別々の場所で英語教師をしていたときに出会った。物が買える店が少なかったため彼女たちはネット通販に頼っていたのだが、靴を探していたときネット通販の最大の欠点に気がついた。適切なサイズの靴を見つけられないことだ。

写真に向かって左から、Jenzyの共同創設者であるキャロリン・ホーナー氏とイブ・アケリー氏

米国に帰ってきても、その記憶は2人から離れなかった。そこで彼女らは、スマートフォンだけで足のサイズが測れるアプリケーションの開発に着手し、小売店と協力して、女性が自分の足のサイズを正しく知り、適正な靴が買える仕組みを作った。

このアイデアが発展し、初めて会社を設立したこの2人は、靴の購入が厄介なのは大人ばかりではないことに気がついた。正しいサイズを知ることと適切な靴が買えるマーケットプレイスは、子供にこそ必要だと。

「私たちの事業でもっとも独創的な部分は、プラットフォームで扱われるすべての靴を標準化したことです」とホーナー氏は言う。

Jenzyは、コンバース、サッカニー、ケッズといったブランドと共同で、足にぴったり合う子供靴を提供している。「子供は、片方の足のサイズが6で、もう片方が7ということもあります」とホーナー氏。Jenzyなら、それぞれの足にぴったりの靴が届く。「Jenzyで計測すれば、確実に正しいサイズの靴が届けられるよう、卸売業者と協力しています」。

小売店にすれば、大きな負担となっている部分を削減できる。この業界では返品率は30%にのぼるが、Jenzyなら15%まで減らせるとホーナー氏は言う。この節約幅は110億ドル(約1兆2000億円)産業にとって非常に大きいとホーナー氏は見積もっている。

Jenzyは、最初のバージョンのアプリを2017年7月に提供開始したが今年の初めにアップデート版をリリースした。ホーナー氏の概算では、5月から今日までに同社は2万5000の足を測定し、アプリのダウンロード数は1万5000に達するという。

「この計画は、中国から戻った後でも、まだ私たちの興味が続いているかを確かめるものでした」とホーナー氏は会社設立時を振り返って言った。

当初2人は、カリフォルニアにあるアケリー氏のパートナーの自宅で作業していたが、後に子供靴に方向転換すると、ベータテスターたち(子だくさんのホーナー氏の家族だ)と密接に仕事を進めようと、フィラデルフィアに移った。

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(翻訳:金井哲夫)

スニーカーの巨大マーケットプレイス「StockX」の鑑定プロセスと今後の戦略

Joshua Luber(ジョシュア・ルーバー)氏は、企業評価額10億ドル(約1080億円)のスニーカー帝国「StockX」の共同創業者だ。これは「本物を適正な価格で売り買いできる」ことがセールスポイントのスニーカーのマーケットプレイスとして急成長したが、ルーバー氏によればまだ「ほんの入口にたどり着いたに過ぎない」という。

消費者自身も売り手になってブランド商品を取引できるマーケットプレイスはこのところ急成長している。StockXも最近5番目のカテゴリーとしてコレクター向けアイテムを集めた「コレクティブル」を追加した。「いわば、eBayの進化した姿で、株式市場に似た仕組みでアイテムの価格を決定する。StockXの核心は、適正な市場価格の発見だ」と同氏は言う。

我々(Burns, Cao)は、StockXの1400平方mにもおよぶデトロイトの鑑定センターを訪れ、鑑定プロセスを見ると同時にLuber氏からも話を聞くことができた。

以下は、Matt Burns(マット・バーンズ)記者のインタビュー概要だ、

Matt Burns(MB):StockXの本質は何か?

Josh Luber(JL):我々はeBayの進化形態で、売り手と買い手を結びつけてマーケットプレイスを作ることだ。ただし我々は株式市場が株価を決定するメカニズムを参考にして、スニーカーであれ他のアイテムであれ、適切な市場価格を発見する。

MB:この施設では何が行われているのか?

JL:売り手が発送したスニーカーやカジュアル衣料はまずここに来る。ここでは検品と鑑定が行われる。朝届いた商品はその日のうちに処理される。

MB:鑑定には特別な資格が必要?

JL:理論的には誰でもできるようになる。しかし毎日たとえばスニーカーばかり何百足も鑑定するわけだから、やはりその商品に対する愛着がないと難しい。

スニーカー鑑定部門責任者(SAC):まず箱をチェックする。次に書類がそろっているか確認する。スニーカーを箱から取り出して正しい一足になっていることをチェックする。左ばかり2つとか左右ばらばらとかでないことを確かめる。スニーカーの外観を360°観察し、続いて細部をチェックする。

MB:特に注目する部分は?

SAC:スニーカーのモデルによっていろいろだがステッチはしっかり見る。最後ににおいを嗅いでみる。売り手によってはタバコやペットの臭いが残っていることがある。納得がいったら鑑定済みのタグを取り付ける。

MB:ニセモノだったらどうするのか?

SAC:売り手はニセモノだと知らずに売りに出すことが多い。「これはニセモノだ」という鑑定結果をつけて売り手に送り返している。

MB:StockXの今後の戦略は?

JL:1つはユーザーの拡大だ。いままで中古品を売り買いすることを考えなかった層にもStockXを拡大したい。もうひとつカテゴリーの拡大だ。既存のカテゴリーに出品されている中にレアもの、限定アイテムなどがよく含まれていた。そこで自然の成り行きとしてコレクティブルというカテゴリーを新設した。スター・ウォーズやGIジョーのおもちゃなど有望だ。

MB:スニーカー帝国を運営するようになってもやはり個人的にスニーカーが好きか?

JL:実は好きだ。気づいてみると(StockXをスタートしたときすでに著名なスニーカーのコレクターだったが)、さらにたくさんスニーカーを買っている。

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滑川海彦@Facebook

小さな農家のための農産物マーケットプレイス運営のWeFarmが14億円を調達

FacebookやInkedInなどの巨大ネットワークは、ソーシャルメディアの世界で強大な引力を発揮している。膨大な数のオーディエンスによってそのプラットフォームは、広告や情報を求める人たちにとって、非常に多くの人たちにリーチできる重要な場所だ。しかし、そうした成長と並行して、狭い特定の分野に特化したプラットフォームやネットワークの役割も消えてはいない。

米国時間10月29日、あらゆるコミュニティーの農家に焦点を当てた、そんなネットワークが成長を促進させる投資ラウンドを獲得した。

小規模農家(つまり大手農業ビジュネスに管理されていない農家)のためのマーケットプレイスとネットワークサイトWeFarm(ウィファーム)は、シリーズAの投資ラウンドとして1300万ドル(約14億円)を獲得した。より多くのユーザー(つまり農家)を増やし、農家の要求に応えるサービスを充実させるためにこの資金は使われる。

今回の投資により、WeFarmが調達した資金の総額は2000万ドル(約21億8000万円)となった。このラウンドは、True Ventures(トゥルー・ベンチャーズ)主導のもと、AgFunder(アグファンダー)、June Fund(ジューンファンド)、前回の投資会社であるLocalGlobe(ローカルグローブ)、ADV、 Norrsken Foundation(ノースケン・ファンデーション)その他が出資している。

WeFarmには、現在、190万人の登録ユーザーがおり、マーケットプレイスの提供を開始したところだ。農家と、種子や肥料などの農業資材や農具を扱う業者とを結びつけるもので、最初の8カ月間の運営で100万ドル(約1億800万円)を売り上げた。そこにビジネスの場があるという証だ。同社は、この成長は実際「AmazonやeBayのアリーステージよりも早い」と話していた。

WeFarmは英国ロンドンに本社があるが、同国以外のヨーロッパにもユーザーがいる。創設者でCEOのKenny Ewan(ケニー・ユワン)氏がインタビューで話したところによると、発展途上国の経済圏でさらに多くの堅調な活動や成長が見られるという。そこでは小規模農家が大半を占めているものの、農業従事者は近代的なデジタルサービスの恩恵をほとんど受けられずにいる。

「私たちは、世界の小規模農家のエコシステムを構築しています」とユワン氏。彼によると、世界にはおよそ5億箇所の小規模農地があり、そこで10億あまりの人が働いているという。広さは通常1.5から2ヘクタールほどで、米、コーヒー、畜牛、野菜といった主要商品作物を生産している。「おそらくこれは、グローバルサプライチェーンの75〜80%を占める地球最大の産業です。しかし、まだ誰も彼らのためのものを作っていません。さまざまなレベルでそれは重要な意味を持ちます」

一方、WeFarmが提供するサービスは二重構造になっている。無料で参加できるネットワークは、まずは相談所として機能する。他の農家と同じコミュニティーに暮らしながら、孤立しているような人たちが、農業や小規模農地に関する問題について、互いに質問したり助言を得たりできる。Facebookというより、Stack Exchangeといった感じだ。

それが、WeFarmの2つめの乗り物、つまりマーケットプレイスを自然に成長させる。ユワン氏は、始めは地元の商品供給業者と手を組み(そして重要なこととして業者を審査し)、農家との間を取り持ち、農家が必要とする資材やサービスの広範なエコシステムを築いてきたと話していた。

長期的には、その目的は、小規模農家が資材の交換を行ったり、作物を販売したりできる場所の提供に広がっていく。

販売資材への橋渡しに加え、WeFarmはそれを支える電子商取引の管理も手伝っている。例えば、アフリカなどの地域では、モバイルウォレットが事実上の銀行口座とクレジットカードの代役を果たしているため、SMSで支払いができることがとても重要になるのだ。

「私たちのユーザーの90%にとって、私たちが唯一の利用可能なデジタルサービスになっています。そのため、彼らの信頼に完全に応えることが重要なのです」とユワンは言う。「これは、地球最大の産業の信頼のネットワークであり、私たちはそれを確実に機能させなければなりません」。

True Venturesなどの投資家にとって、これは長期戦になる。金銭的なリターンは道徳的な見返りほど明確ではないかも知れない。

「ケニーとWeFarmのスタッフが世界の農家を力づける姿に、大変に感銘を受けました。その未来に、私たちは大きな可能性を見ています」とTrue Venturesの共同創設者Jon Callaghan(ジョン・キャラハン)氏は声明の中で述べていた。「この会社は、単にインパクトドリブンなだけではありません。WeFarmマーケットプレイスの目覚ましい成長は、食品サプライチェーンを通じて、小規模農家と、あらゆる人に利益をもたらすために彼らが必要とする、より多くのものとを結びつけるという、興奮させられるような商業的好機を実証しています。これはビッグな、地球規模のビジネスです」。

それでも、非常に大きなロングテールであることを考えると、小規模農家コミュニティーの基盤を固め管理ができる企業なら、同じように非常に価値の高いビジネスを手にすることができるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

DataHawkのeコマース分析ツールを使ってAmazonのリスティングを最適化しよう

DataHawk(データホーク)を紹介しよう。いわばAmazonのリスティングのためのApp Annieになろうとしているフランスのスタートアップだ。同社のソフトウェアを利用すると、商品と検索結果を追跡できるようになる。競合と自分自身の状況について詳しく検討することが可能となるわけだ。

サードパーティが、直接Amazonマーケットプレイスに商品を掲示して販売することが盛んになるにつれて、この種のソフトウェアは、ますます重要になってきている。

Amazonで商品を販売している人にとって、検索結果は、商品の売れ行きを左右する重要な要素だ。多くの顧客は商品を検索し、最初に表示されたものを検討する。そこで、主要なキーワードに対して、できるだけ上位にランクされたい、ということになる。

DataHawkを使えば、任意のキーワードを追跡し、それに対する検索結果が時間とともにどのように変化するかを確認できる。こうして、もし売上が落ちた場合には、その理由がわかるようになる。このプラットフォームを使って、リスティングを修正し、ランキングの上昇を狙える。

また、商品を直接追跡して、商品のタイトル、価格、レビュー、説明の変化を調べることも可能だ。DataHawkでは、スクレイピングによってデータを収集しているので、自分の商品だけでなく、競合の商品をモニタリングすることもできる。

DataHawkのインターフェースからのデータは視覚化して表示したり、すべてExcelのスプレッドシートにエクスポートすることも可能。電子メールによってアラートを受信する機能もある。

DataHawkは、Axeleo Capitalとエンジェル投資家から130万ドルを調達した。同社は、これまでに140の顧客を獲得している。そのうちの80%は米国の顧客であり、PharmaPacks、Pfizer(ファイザー)、L’Oréal(ロレアル)なども含まれている。現在、毎日260万もの商品を追跡しているという。

同社のソフトウェアは、SaaS(software-as-a-service)として運営されている。サービスを試用するためのフリープランもある。月額プランでは、追跡する製品やキーワードの数に応じて料金が加算される仕組みだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Spotifyが音楽制作マーケットプレイスのSoundBetterを買収

米国時間9月12日Spotify(スポティファイ)は、レーベルに対してストリーミングロイヤリティを支払うことを前提にした自身のビジネスモデルを多様化するために、アーティストたち向けのサービス構築を行うための新たな一歩を踏み出した。アーティスト、プロデューサー、そしてミュージシャンを特定のプロジェクトでつないだり、音楽の提供とライセンシングを橋渡ししたりすることを助ける、音楽制作マーケットプレイスであるSoundBetter(サウンドベター)を買収したのだ。

SoundBetterは約18万人の登録ユーザーを抱えており、これまでにミュージシャンやプロデューサーたちに1900万ドル(約20億円)以上の支払いを行ってきた。その平均値は現在毎月平均100万ドル(約1億800万円)である。同社はプラットフォームを通して行われるそれぞれの取引から、手数料を徴収している(徴収率は非公開)。

買収の金銭的条件は明らかにされていない。つまりそれは、2億3200万人のユーザーを抱え、そのうちSpotify Premium購読者が1億100万人もいる、240億ドル(約2兆6000億円)規模のストリーミング大手にとって、大きな金額ではないだろうということを意味している。ニューヨークに拠点を置くSoundBetterは、500 Startups、Foundry Group、Eric Ries、そしてAOL傘下でNautilusと呼ばれていた頃のVerizon Venturesといった投資家たちから資金を調達していた(情報開示、TechCrunchはVerizon Mediaの一部である)。金額は非公開となっている。Drummond Roadなどからの転換社債を使ったその最後の資金調達は2015年に遡る。

SoundBetterはこの買収によって閉鎖されることはない。広報担当者はTechCrunchに対して、Spotifyと同様にビジネスを続けることを認めた。そしてスタートアップは、現在SoundBetterのサービスとSpotify for Artists(現在ミュージシャンやその他へSpotifyトラックの分析データやマーケティングを助けるその他のサービスを提供している)の統合に取り組んでいる。

SoundBetterは、2012年に現在はCEOを務めるShachar Gilad(シャチャー・ギラッド)氏)とCTOを務めるItamar Yunger(イタマル・ユンガー)氏によって創業され、現在2つの主要なサービスを運営している。その主な事業は、ミュージシャンが音楽トラックを仕上げるために、歌手、サウンドエンジニア、プロデューサー、その他の音楽およびオーディオの専門家を探すためのオンライン市場だ。音楽に特化したFiverrまたはBehanceを想像してみてほしい。同社は今年6月には、Tracksと呼ばれる新しいマーケットプレイスを立ち上げている。これは完成した音楽をライセンスしたい人のためのマーケットプレイスで、ここにはEpidemic Sound(エピデミックサウンド)のような競合相手がいる(Epidemic Soundは今年の始めに3億7000万ドルの評価額の下に資金調達を行っている)。

興味深いことに、かつてSpotifyは自身で直接音楽配給を行うプラットフォームを立ち上げようとしたことがある。その中にはミュージシャンがクロスプラットフォームでアップロードが可能な音楽配信サービスDistroKidへの投資も含まれている。しかしそうした試みはベータ版を脱することはなく、この7月には閉鎖された。SoundBetterへの道を開くために、この閉鎖が行われた可能性があるため、この決定は今ではより意味が理解できる。

実際、Spotifyにとってこの取引は、同社が音楽エコシステムのアーティストやその他の人々のために、より多くの裏方サービスに投資し続けるというメッセージなのだ。これを行う理由は、いくつか存在する。

まず、ミュージシャンたち自身の財政的苦境がある。彼らはSpotifyから得られる収入が少ないことを、長い間嘆いてきたので、追加のお金を稼げる、または少なくとも自分の仕事をより効率的に行えるような追加のサービス提供することは、両者の関係をただ良くするだけだ。

第2に、Spotify自身にとっての、Spotifyのストリーミングビジネスの基本に関わる問題である。同社は、その創業以来、権利者に対して130億ユーロ(約1兆5000億円)以上の支払いを行っていると語っている。各ストリーム毎に支払いが行われていて、常にレーベルとの間で再交渉が行われているが、それでも基本的なビジネスモデルでは依然として損失を出しているのである(とはいえ損失は縮小しているように見える)。

第3に、多様化はビジネス全体に対するストリーミング側の圧力をある程度取り除くのに役立つ。収益性は脇に置いたとしても、先の四半期でSpotifyはサブスクリプションの成長目標を達成できなかったことに対する批判に晒されたのだ(そして株価も下落した)。

「クリエイター向けのツールを構築する際には、彼らが成長するために必要なリソースを提供したいと考えています。SoundBetterも同じビジョンを持っています」と声明で語るのは、Spotifyのクリエイターで、製品担当VPのBeckwith Kloss(ベックウィズ・クロス)氏だ。「私たちは、SoundBetterを通じてクリエイターの皆さんが、インストゥルメンタリストからソングライター、プロデューサーに至るまでの、トッププロフェッショナルのネットワークを活用して、トラックを完成させることができるメリットを得られることだけでなく、収入を生み出せることも楽しみにしています」。

Spotifyはここ数年に渡って、同社のプラットフォームを音楽ストリーミングを超えて活用できる資産のリストを増やしている。最近ではナレーションコンテンツへの注目が高まっていることを受けて、SoundTrap(2017年にSpotifyが買収)を介したクラウドベースのスタジオサービスを提供したり、Anchor(昨年買収)によるポッドキャストプラットフォームを提供したりしている。

しかし、音楽は変わらずプラットフォームの心臓であり、有料ストリーミングサービスは物理的な音楽ビジネスを犠牲にしながら成長を続けている。そのため、Spotifyはそのビジネス分野も強化し続けている。とりわけAppleのような競合他社が、従来のレーベルを迂回するために、アーティスト向けの独自のサービスを構築し続けていることも、そうする理由だ。

SoundBetterは、比較的小規模なビジネスとはいえ、ビッグネームをかなり抱えた、まずまずのビジネスを行っている。同社は「カニエ・ウエストのプロデューサー、フーバスタンクのドラマー、ジャミロクワイのギタリスト、ビヨンセのソングライター、ジョー・コッカーのベーシスト、ハービー・ハンコックのエンジニア、モリッシーのギタリスト、ザ・キラーズのミキシングエンジニア、ジョージ・マイケルのマスタリングエンジニア」たちがサービスを使用していると表明している。買収によってその規模は大きく伸びるだろう。Spotify for Artistsは現在、40万人の登録ユーザーを獲得しているが、デジタル音楽配信の基盤としてのプラットフォームを使い、SoundBetterが構築したようなものを含む適切なサービスの組み合わせれば、そのユーザー数がはるかに大きくなることをSpotifyは期待している。

「SoundBetterは、世界の176か国と1万4000の都市にまたがるメンバーコミュニティとともに、世界中で音楽およびオーディオ制作の専門家を探せる、最も包括的なグローバル市場を提供しています」とSoundBetterの共同創業者でCEOであるシャチャー・ギラッド氏は語る。「私たちは、Spotifyのグローバルな規模、リソース、ビジョンを活用してネットワークを拡大し、あらゆるレベルのアーティストの皆さんにさらなる経済的チャンスをもたらすことを楽しみにしています」。

画像クレジット: stockcam (opens in a new window) / Getty Images

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(翻訳:sako)

日本人が米国で創業したAnyplaceがUber初期投資家らから資金調達、“ホテルに住める”サービス拡大へ

Anyplaceの創業者でCEOを務める内藤聡氏

「米国に来て約4年。ずっと僕と共同創業者の2人でやってきたけれど、最近ようやく人数が増えて、売上もできて会社っぽくなってきた。ただここまで来るのにすごく時間がかかって、最初の数年は闇歴史だった」——ホテルを賃貸できるサービス「Anyplace」を米国で運営するAnyplaceの内藤聡氏は、会社の現状についてそう話す。

同社は10月16日、シードラウンドで数億円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。内藤氏によると今回のラウンドにはUberの初期投資家であるJason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏をはじめ、日米のエンジェル投資家やVCが複数参加しているという。

以下は一部の投資家のリストだ(あまり馴染みがない名前もあると思うので、代表的な出資先も合わせて記載する)。

  • Jason Calacanis氏(LAUNCH Fund):  Uber、Robinhood、Thumbtack.
  • FundersClub :  Instacart、Coinbase、Flexport
  • UpHonest Capital : Zenreach、Checkr、Chariot
  • Jonathan Yaffe氏 :  Lyft、Getaround、Palantir
  • Bora Uygun氏 : Robinhood、HOOKED
  • Hugo Angelmar氏 : Postmates、Blue Bottle Coffee

今では毎日のように国内スタートアップの資金調達ニュースが出ているけれど、日本人起業家が米国で立ち上げたスタートアップのトピックはほとんどない。ましてや著名な投資家から資金を調達したとなると、かなりのレアケースと言えるだろう。

とはいえ冒頭の内藤氏の話が物語っているように、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかったようだ。

いくつものサービスを試しては閉じた数年間

スタートアップの情報通の人であれば、もしかすると「シリコンバレーによろしく」というブログメディアを知っているかもしれない。これはかつて、内藤氏が学生時代に運営していたシリコンバレーのテクノロジーに関する情報をまとめたブログだ。

Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグの物語を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』を見たことがきっかけで、スタートアップに興味を持ったという内藤氏。それ以降は当時「セカイカメラ」を開発していた頓智ドットでアルバイトをしたり、ブログでの情報発信を機にEast Venturesでアソシエイトとして働く機会を得たり、といった形でスタートアップ界隈に関わってきた。

TwitterとSquareを立ち上げたジャック・ドーシーを始めシリコンバレーの起業家への憧れが強かったこともあり、「やるなら(彼らがいる)メジャーリーグでやってみたい」という思いから大学卒業のタイミングで渡米。最初の1年間はサンフランシスコでスタートアップ向けのシェアハウスとインタビューメディアを運営した後、現地で会社を創業している。

ただ創業から2年間は内藤氏にとって苦しい時間が続いた。当時の状況からジェイソン氏より出資を受けるまでの詳細は彼のブログにも詳しい記載があるけれど、最初に立ち上げたのはAirbnbで売れ残った在庫を直前割引価格で販売するマーケットプレイスだ。

最初に立ち上げた「Instabed」はHotelTonightとAirbnbを掛け合わせたようなサービスだった

満を持してリリースしたものの、ホストの獲得コストの高さや他プラットフォームへの依存度の大きさなどがネックとなりクローズを決断。それ以来、中古家具のレンタルサービスなど複数の事業を試しては閉じるの繰り返しで、自信を失ってしまった時期もあったという。

「(自分が上手くいっていない一方で)日本では同世代の起業家が活躍している。焦りや悔しい気持ちも強かった」(内藤氏)

そんな内藤氏の支えとなっていたのが、松山太河氏(East Ventures)や小林清剛氏(ノボット創業者)を始めとした支援者たちの存在だった。彼らの応援も受けながら試行錯誤を続けた末に生まれたのが、現在も手がけているAnyplaceだ。

みんなが当たり前に受け入れている“痛み”は何か

「米国に来てから引っ越しが辛いし面倒だと改めて感じた。物を移動させないといけなくて、特に家具なんかは持っていくにしろ捨てるにしろ時間もお金もかかる。新居で新しい生活を始める際には水道や電気、ガス、Wi-Fiのセットアップも必要だ。しかも米国では1年契約が一般的で、早期の退去には違約金も発生する。(こうした状況に直面して)全然フレキシブルじゃないなと」(内藤氏)

Anyplaceはそんな内藤氏自身が抱えていた課題を解決するために開発された。1ヶ月単位でホテルの空き部屋を借りられるマーケットプレイスで、現在はサンフランシスコとロサンゼルスで展開。月あたりの料金は安いところだと約1300ドル、平均でもだいたい1600ドルだ。

家賃相場の高いサンフランシスコでは1ルームのアパートが3000ドルほどするそうなので、居住用のスペースとして考えてもお手頃な価格と言えるだろう。

UberやInstacartなど、世の中のいろいろなものがオンデマンド化されてフレキシブルになっている一方で、賃貸に関してはまだまだ変革の余地がある。そして何より「自分が欲しいが、まだ世の中にないもの」を突き詰めるということが、内藤氏が試行錯誤の中でたどり着いたプロダクトの見つけ方でもあった。

「(引っ越しにまつわる面倒臭さが)多くの人にとっては当たり前のことで、そこに対して疑問にすら思わない人さえいる。だからこそ、そこには凄い大きなチャンスがあるんじゃないかと思ってこの課題に取り組むことに決めた」(内藤氏)

通常の賃貸とは違い、家具やWi-Fiを含めた必要なインフラが一通り揃っているのもAnyplaceの特徴。月額の料金には光熱費のほか、部屋の清掃代も含まれる。現在は7割が引っ越しや出張、留学の際などに一時的に使うユーザー。残りの3割はまさに賃貸用途で継続的に活用しているそうだ。

一方のホテルにとっても、予約の埋まっていない空き部屋を運用して収益を得る新たな手段になり得るだろう。「ホテルはシーズナブルなビジネスなので、1年を通してみると閑散期もある。そういったホテルに対して安定した収益を提供するためのサービスだ」と話をすれば、興味を示すホテルも少なくないという。

ホテルにしてみれば「ちゃんとしたユーザーが使ってくれるのか」という不安も当然あるだろうが、それについてはAnyplace側で利用者のクレジットスコアや犯罪履歴などをチェックしてスクリーニングしたり、保険のようなシステムを整備することで対応している。

自社サイトなしでも顧客がつき、出資を受ける

内藤氏の話を聞く中で、個人的におもしろいなと感じたのがプロダクトの始め方だ。

Anyplaceのアイデアを思いついたのち、まず内藤氏が取り組んだのはホテル側のニーズを調べること。実際にサンフランシスコ市内のホテル全てに電話をかけてヒアリングをしてみたところ、いくつかのホテルでは月1600ドルで貸しても良いと返答があった。

初期のAnyplace。当初は「LiveHotel」というサービス名で運営していた

それならばと、今度は「Weebly(ウィーブリー)」というウェブサイト作成ツールを駆使して、ホテルのスクリーンショットと価格を掲載したシンプルなページを作成。これを今度はコミュニティサイト「craigslist」に載せて反応をみてみたところ、1人の男性の入居が決まったのだという。

実は内藤氏曰く「(投資家の)ジェイソンと会った時もまだサイトはなくて、ペライチのページだった」そう。その状態でもお金を払って使いたいという顧客がいて、シリコンバレーの著名な投資家からも出資を受けられるというのはすごく興味深いし、内藤氏にとっても自信に繋がったようだ。

ジェイソン氏にダメ元でメールにてピッチをした際の返信内容。内藤氏によると「neat!」とは「うまい!」という意味なのだそう

目指すはホテルを予約する感覚で部屋を借りられるサービス

そんなAnyplaceは2017年1月のローンチからもうすぐ2年を迎える。現在はサンフランシスコとロサンゼルスを合わせて約30件のホテルが掲載されていて、流通総額は年間ベースで1億円を超えた。

とはいえまだまだ改善点も多く、実現したいアイデアや機能もほとんど形にできていないという。たとえばホテル側が使うダッシュボードも現在開発を進めているところで、今はアナログなやりとりに頼っている部分も多いそうだ。

まずはメインとなるプロダクトの機能開発を進めながら、これから半年でニューヨークを皮切りに米国内の都市に広げていく計画。それ以降は英語圏を中心にグローバル展開を進めていきたいと話す。

「目指しているのは、ホテルを予約するような感覚で部屋を借りられるサービス。まずはホテルからスタートして、ユーザーをしっかりと集められれば自分達にも交渉力がつく。(通常の賃貸物件も含めて)ゆくゆくはバラエティに富んだ部屋を楽に借りられるサービスにしていきたい」(内藤氏)

“住”をもっとフレキシブルにするという観点では、他のオンデマンドサービスとの連携も進めていきたいそう。オンデマンドで洗濯してくれるサービスやフードデリバリー、移動など「Anyplaceを使うことで生活に関わるサービスのディスカウントを受けられるような仕組みができれば、サービスの魅力も高まり『賃貸を探すときはAnyplaceを使う』動機にもなる」と考えているからだ。

それを実現するには乗り越えるべき壁はいくつもあるが「こっちでやるからには次のUberやAirbnbになるような、世界中で使われるプロダクトを作りたい」という思いは以前から変わっていないという。

「(米国には)中国人や韓国人のファウンダーで成功している人は多いけれど、日本人はそこまで多くないし、悔しい思いもある。たとえばZoomのファウンダーは中国人で英語も上手くないけれど、米国でユニコーン企業を作って、Glassdoorで最も支持されるCEOに選ばれた。僕も英語はまだまだだし、いまだにコミュニケーションの壁を感じる時もあるが、(シリコンバレーで活躍する起業家の一角に)日本人が入ってもいいはず。そこを目指して良いプロダクトを作るチャレンジを続けていきたい」(内藤氏)

間もなくFacebookはMarketplaceに対して、カテゴリー化、価格提案、そしてビジュアル検索のためにAIを導入する

Facebookは、そのFacebook Marketplace(Craigslistの競合相手)の2周年の記念日を、AIで支援された新しい機能のリリースと共に祝っている。同社によれば、それは具体的には販売を容易にするための、価格帯の提案や自動カテゴリー化機能である。また同社は、製品のお勧めをするためにAIを利用するカメラ機能をテスト中であるとも語っている(訳注:Facebook MarketplaceはメルカリやeBayのように物品を売買する仕掛けだが、日本ではまだ開始されていない)。

しかし、価格帯の提案やカテゴリー化を自動化することは、Facebook独自のものではない。例えば今年の初めにeBayは、そのモバイルアプリに、構造化データや予測分析などの技術を使って出品作業を簡単にする機能を導入した し、Letgo(中古品売買アプリ)では一般化された価格提案も行うことが可能だ。

Facebookの場合には、アイテムのカテゴライズを写真と説明に基いて行うことが可能で、その後売り手が選択できる価格帯の範囲(例えば50ドル〜75ドルなど)を提案するとしている。同社によれば、この自動提案機能が有効になっている場合には、売り手が出品を諦める可能性が低いということが分かったという(この機能が有効になる前は、売り手のうち9%が出品作業を諦めていたと指摘している)。


MarketplaceとAI(Facebookの投稿より)

Facebookはまた、AIを使用している他のいくつかの機能にもスポットを当てている。例えば売り手がアップロードした写真のライティングを自動的に改善したり、不適切なコンテンツを検出して削除するといった機能だ。

また、AIベースではないが、同社は新たな売り手と買い手の評価についても説明している。これを使えば、ユーザーたちは経験を評価し、感想を残すことができる。

さらに将来的には、もっと面白い機能が導入されるかもしれない。Facebookは、スマートフォンのカメラを使うことで、Marketplaceを欲しいものを見つけるためのより強力なツールへと変身させる計画をほのめかしている。たとえば、同社はそのブログ記事の中で、お気に入りのもの(例えば友人のクールなヘッドホンなど)にカメラを向けて写真を撮れば、Marketplaceが似たようなアイテムを、出品リストから探してくれるようになるだろうと書いている。

こうしたビジュアルな検索技術は、もちろんeBayや、Pinterest、さらにはGoogleでさえ採用する(その1その2)一般的な機能だ。Facebookはここしばらくの間、それに追い付こうとしてきた。

さらに進んで、Marketplaceに対するFacebookの計画は、Pinterestに対してより直接的に対抗するものになっている。彼らは将来的にはユーザーのホームデザインをAIを使って支援したいと語っている。例えばリビングルームの写真をアップロードすると、買うべき家具の提案を受けることができるといったものだ。家のデザインとインスピレーションは、もちろんPinterest、Houzzなどのサイトにつきもののの機能であり、最近はHutchなどの新規業者も参入している。

とはいえ、幾つかの機能が現在欠けているとしても、Facebook Marketplaceは無視できるものではない。Facebookのサイズと影響力のおかげで(そしてユーザーにアイコンをタップし続けることを強制する、Marketplaceのしつこい赤いバッジ表示のおかげで)、いまや毎月全米の3人に1人が使うまでに成長したと同社は語っている。

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(翻訳:sako)

クックパッド、料理道具やうつわを作り手から直接買えるマルシェアプリ「Komerco」公開

最近はあまりやっていないのだけど、以前はスーパーやコンビニで買った惣菜や冷凍食品をわざわざお気に入りのうつわに移してから食べたりしていた。おそらく味自体が変わることはないのだけど、なんとなくその方がテンションがあがるし、美味しくなるような気がするからだ。

僕のどうでもいい個人的な話はさておき、クックパッドが6月26日に公開した「Komerco(コメルコ)」は、料理をするなら道具道具やうつわにもこだわりたい、という人にとってピッタリなサービスと言えそうだ。

Komercoは簡単にいうと、クリエイターが出品した料理系のクラフト作品を買えるマルシェアプリ。クラフト作品のマーケットプレイスでは「minne」や「Creema」などがあるが、その料理系アイテムに特化したサービスだと考えるとわかりやすいかもしれない。

Komercoに並ぶのは、クリエイターが自ら手がけたこだわりの作品のみ(製作者かプロデューサーでなければ出品できない)。提供開始に合わせて100名を超えるクリエイターが参加し、約1500品が出品されている。

僕もアプリをざっと見てみたが、食器やプレートだけでなく包丁やまな板、鍋といった調理器具、エプロンなど作品の種類も豊富だった。

ユーザーはこれらの作品をKomerco上で購入できるほか、作品のストーリーを紹介する記事コンテンツ「コメルコバナシ」を楽しめる。一方のクリエイターにとっては料理を楽しみたい人に自分の作品をアピールする新たなチャネルとなりうる。

ショップの開設や出品の登録はクリエイター専用のアプリから各自が行う。月額利用料や出品料は無料で、作品が売れた際に15%の販売手数料が発生する仕組みだ。

なおクックパッドでは同サービスのリリースに際して「『料理道具やうつわなどモノとの出会いをきっかけに、料理がもっと楽しくなる』という体験を、Komercoの提供を通じて広げていき、毎日の料理を楽しみにする人を増やすことを目指します」とコメントしている。

今後はクックパッドのレシピを参考にしながら、Komercoで買った調理器具を使って料理を作り、同じくKomercoで買ったうつわに盛り付けて楽しむ、といったユーザーも増えていくのかもしれない。

オーガニック農家と消費者をつなぐ「食べチョク」が4000万円を調達、好みの野菜が届く新サービスも

(写真上段左から)CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏、アドイノベーション代表取締役の石森博光氏、エウレカ創業者の赤坂優氏(写真下段左から)ビビッドガーデンCOOの大河原桂一氏、ビビッドガーデン代表取締役CEOの秋元里奈氏

オーガニック農作物のC2Cマーケットプレイス「食べチョク」を提供するビビッドガーデン。同社は2月8日、エウレカ創業者の赤坂優氏、CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏、アドイノベーション代表取締役の石森博光氏、アカツキ代表取締役の塩田元規氏ほか1名の個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額4000万円を調達したことを明らかにした。

ビビッドガーデンは2016年11月の設立で、外部からの資金調達は今回が初めて。調達した資金を基に人材採用やサービスの改善、拡張を進めていく方針。その一環として、本日よりユーザーの好みに合ったオーガニック野菜を定期的に届ける「食べチョクコンシェルジュ」の提供も始めている。

正式リリースから2ヶ月で登録農家が100件に

食べチョクについては2017年8月の正式リリース時にも紹介したが、同社の基準をクリアしたオーガニック農家のみが掲載されたマーケットプレイス。ユーザーと農家を直接つなぐC2Cのモデルだ。

農薬や肥料を使っていない生産物が、鮮度の高い状態で自宅に届く(最短で24時間以内)ことが特徴。時にはスーパーではあまり手に入らないような、珍しい野菜を購入できるという利点もある。

8月時点で60件ほどだった登録農家数は、メディア掲載や農家間の口コミの効果もあり2ヶ月で約100件まで増加した。

ビビッドガーデン代表取締役社長の秋元里奈氏によると、農家にとって食べチョクは「自分たちのこだわりをしっかりと理解してもらった上で販売できる、専用のホームページ」のような位置づけだという。新しい販路になりえるだけでなく、顧客と直接コミュニケーションをとれることをメリットに感じる農家が多いそうだ。

また中には野菜作りは得意でも、商品設計やマーケティングが苦手な人もいる。そこは食べチョクが商品の文言や紹介の仕方を細かくサポート。「風邪予防」などサイト全体で特集パッケージを組み、該当する農家を複数紹介することもやっているという。

秋元氏の実家は以前から農業を営んでいたものの、市場出荷のみで経営を維持することが難しくなり、遊休農地に。小規模農家の販路拡大という課題解決に向けてスタートしたのが食べチョクだ。ただ秋元氏自身がDeNAを経て企業していることをはじめ、チームや今回の投資家陣はIT業界のメンバーが中心。サービス設計や細かい施策などにはそのカラーも反映されている。

ユーザーの好みに合わせて最適な野菜が届く新サービス

一方ユーザー側についても、首都圏エリアで小さな子どもを持つ30代の主婦を中心に利用者が増加。特にリピート率が50%と予想より高い数字になっているという(新たにリリースする定期購入サービスなどを通して、この数値はさらに改善できる余地があるそう)。

「(小さい子は)食べ物の影響が出やすいため、食材に気を使う親御さんが多い。オーガニックということに加え、生産者の顔が見え直接やりとりできる点も安心につながる。他と比べて必ずしも安いわけではなくても、作り手から直接買いたいというニーズがあることがわかった」(秋元氏)

たとえば毎週土日に青山で開催されるファーマーズマーケットには約1万人が集まり、農家を含む生産者と消費者が直接やりとりしながら盛り上がるという。秋元氏いわく、食べチョクは「青山ファーマーズマーケットのオンライン版」のイメージに近いそうだ。

ただ農家や品数が増えるにしたがって、ユーザーからは「何を選んだらいいのかわからない」という声も届くようになった。そんな悩みを解決するためにリリースしたのが、食べチョクコンシェルジュだ。

同サービスでは最初にユーザーが食材の好き嫌いや、オーガニック志向性などを登録して注文する。するとその情報に合わせて最適な農家を運営側で選定し、農作物が届く。届いた作物の感想を送ることで、次回以降さらに好みにあったものが配送されるという「定期購入型」のオーダーメイドサービスだ。

プランはSプラン(税込、送料込みで月額2980円)、Mプラン(同3980円)、Lプラン(同4980円)の3つを用意。今回のサービスでは毎回農家を固定しない形をとるが、今後はAmazonの定期便のように、特定の農家から定期購入できる仕組みも検討するという。

農家にファンがつく“コミュニティ”目指す

秋元氏によると現在の食べチョクは「いろいろなテストを繰り返し、ノウハウを貯めている」フェーズ。そこで培ったナレッジを農家に提供したり、サービスの改善に活かしたりすることで、このプラットフォームを広げていく方針だ。

「将来的に目指しているのは、ECサイトではなくて農家と消費者がつながるコミュニティ。生産者に直接ファンがつくような場所を目指したい」(秋元氏)

たとえば今後は食材だけでなく、食べ方の提案を一緒にすることなども考えているという。現在でも中には自作のレシピを同封している農家もあり、ユーザーからの評判もいいそう。野菜の味を活かした食べ方を伝えることは、双方にとって大きなメリットがある。

ちょうど1月にクックパッドが運営するアクセラレータープログラムに採択されたこともあり、新たな取り組みを検討しているという。

「とはいえ(コミュニティの実現に向けては)超えなければいけない障壁もまだ多い。ITに慣れている農家ばかりではないので、まずはどんな人でも気軽にWebで発信できるような仕組みを整えていく必要がある。生産者と消費者の距離感が近づくような方向で、サービスを大きくしていきたい」(秋元氏)

オーガニック農作物を農家から直接買えるマーケットプレイス「食べチョク」、正式サービス開始

東京・根津に店舗を持ち、都内に宮崎県産の野菜をデリバリーするベジオベジコ、農家・生産者とレストランの直接取引を実現するプラネット・テーブルなど、テクノロジーで農作物の消費や流通のあり方を変えるスタートアップが続々生まれているが、今回紹介するのは、個人の消費者と農家をマッチングするサービスだ。ビビッドガーデンは8月17日、オーガニック農作物の生産者と消費者をマッチングするマーケットプレイス「食べチョク」を正式リリースした。

食べチョクは、同社が設定した基準を満たしたオーガニック農家が出品者となり、自らが手がける農作物を1箱から出品、販売できるサービス。ユーザーがサイト上から農作物を購入すると、中間業者を入れることなく農家がすぐに直送するというもの。農家の月間手数料は無料で、リスクなく参加できることから、問い合わせも増えているという。正式サービスローンチ時には計60のオーガニック農家が出品者として登録する。

「食べチョク」の仕組み

5月にベータ版としてサービスをオープン。ノンプロモーションながら、口コミを中心にユーザーを増やしているという。今回、ベータ版でのユーザーの声をもとにサイトを改修。出品する商品についても「BBQセット」「珍しい果物セット」といったように、ユーザーの用途に合わせたパッケージを農家と協力して作っているという。「ベータ版のユーザーからは、『おいしかったのでギフトとして友人に送りたい』『夏のBBQなど、イベントに向けて購入したい』という声が多くあったため、カテゴリで商品を探せるようにしている」(ビビッドガーデン代表取締役社長の秋元里奈氏)。また、農作物に痛みや不備があった際の補償制度も用意。出品システムも改良し、農家の負担を削減しているという。

ビビッドガーデン代表の秋元氏の実家は、もともと農家を営んでいたが、市場出荷のみでのビジネスを継続することが難しく、現在では遊休農地となっているのだという。そこで、同じ悩みを抱える生産者の力になりたいという思いから、小規模農家の販路拡大を支援すべく食べチョクを立ち上げたと語る。

今後は正式リリースにあわせて、プロモーションも展開する。まずは二子玉川エリアを中心に、リアルイベントなども展開。年内にもユーザー数を数千人規模に、農家を100件規模に拡大することを目指す。「農家も数ではなく質を高めつつ、サービスを広げていく」(秋元氏)

「食べチョク」で取り扱う農作物について

子ども向けアクティビティ・習い事のマーケットプレイスKidPass――運営元が510万ドルを調達

子ども向けのアクティビティや習い事を検索・予約できる月額制会員プログラムKidPassは、この度シリーズAで510万ドルを調達したと発表した。現在ニューヨークでサービスを提供している同社だが、今回の調達資金を使って今後ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、ボストン、フィラデルフィア、ワシントンDC、シカゴをはじめとするアメリカの主要都市へ進出していく予定だ。

Javelin Venture Partnersがリードインベスターを務めた今回のラウンドには、CoVentureやY Combinator、TIA Ventures、Bionic Fund、Cocoon Ignite Ventures、FJ Labsなど既存・新規投資家が入り混じって参加した。

また、この資金調達を受けて、Javelin Venture PartnersのマネージングディレクターJed Katzと、Zola社長のRachel JarrettがKidPassの取締役に就任した。

KidPassのアイディアは、ヨガやサイクリング、ピラティス、ダンスといった大人向けのアクティビティを予約できる会員制サービスClassPassに似ている。名前も似ている両社だが、特別な関係はない。

しかし、サービス内容についてもKidPassとClassPassには類似性が見られ、ユーザーは月々の料金を支払うだけで街中のさまざまなアクティビティに参加できるようになっている。

KidPass共同ファウンダーのSolomon Liouは、一緒会社を立ち上げたAaron Kaufman、Chhay Chhun、Olivia Ballvéそして彼自身が親になり、子ども向けの良いアクティビティを探すのがとても大変で時間がかかることに不満を感じたため、KidPassを設立することにしたと説明する。

「レストランや医者、タクシーなどをすぐに予約できるモバイルアプリが存在する一方で、子どものアクティビティ用のアプリはありませんでした」とLiouは話す。「ほとんどの場合、親御さんは未だに口コミやGoogleの検索結果を頼りに子ども向けのアクティビティや教室を探しています。これはとても時間がかかる作業ですし、有用な情報を見つけるのも難しい上、そもそもウェブサイトを準備していない団体もたくさんあります」

さらに、もし好みのアクティビティや教室を見つけられたとしても、ほとんどが対面での入会手続きのみ受け付けているほか、子どもが気にいるかどうか知る前の段階で、ひと学期分の料金を前払いしなければならないこともあるとLiouは付け加える。

KidPassでは現在3種類のプランが準備されており、1番安いプランは月額49ドルだ。ユーザーはプランに応じて配布されるクレジットを使って、ダンスや図画工作、スポーツ、美術、キャンプ、科学・テクノロジー、水泳、料理、フィットネス、勉強などさまざまなアクティビティに参加できる。

また、Gymboree、Kidville、Music Together、Super Soccer Stars、Physique Swimming、The Craft Studio、Chocolate Works、the Museum of Modern Art、YMCA、JCCなど900以上の団体がKidPassのプラットフォームに参加している。

2016年1月のローンチ以降、KidPassの登録世帯数は2万に達し、同プラットフォームを介したアクティビティの予約数は10万件以上にのぼる。ニューヨークには3000人の登録者がおり、KidPassは毎月20〜30%のペースで成長しているとLiouは話す。

同社のサービスでは、アクティビティ参加時に必要なクレジットが毎月配布されるようになっており、基本プランだと月に10クレジット使え(サポートしている子どもの数は最大2人)、真ん中のプランだと最大5人までサポートされており、月々25クレジット使える。そして一番上のプランでは、利用できる子供の数に制限はなく、毎月50クレジットが配布される。

1、2クレジットで参加できるアクティビティもあれば、中にはキャンプなど10クレジット以上必要なものもある。忙しくて全てのクレジットを使い切れなかったときのため、使っていないクレジットは3か月間持ち越しが可能だ。

このクレジット制度のおかげで、KidPassはClassPassを苦しめた問題を避けることができるかもしれない。ClassPassは利益を確保するために、利用料の値上げ、そして無制限プランの廃止を余儀なくされたのだ。

「(クレジット制度のおかげで)私たちはアクティビティごとに値段を変えられるので、親御さんにお得な料金を提示しつつも、パートナーである運営団体とユーザーである家族を支えるマーケットプレイスとして、ユニットエコノミクスを成り立たせることができるのです」とLiouは語る。「このビジネスモデルのおかげで粗利は黒字ですし、採算の取れない無制限プランは意図的に導入していません」

親が各アクティビティを運営する団体へ直接コンタクトせずに、KidPassのようなサービスを使う理由はいくつかある。

しかし、もっとも重要なのは、KidPassを使うことでさまざまなアクティビティに関する情報を簡単に入手できるという点だ。子ども向けの習い事やアクティビティの数はかなり多いため、親はどんなオプションがあるのか把握しきれていない可能性がある。さらに、お試し期間なしに複数回分の参加費を支払うのを敬遠する親もいるだろう。

KidPass以外にも、SawyerPearachuteが同じ業界でしのぎを削っている。

新しい都市への進出だけでなく、KidPassは今回の調達資金を使って、アクティビティを運営している団体向けにクラス管理やオンライン登録、スケジュール、決済まわりのソフトの開発を行っていく予定だ。なお、既にいくつかの団体がプライベートベータ版のソフトを利用している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

StockXが600万ドルを調達―、株式市場のようなスニーカーのマーケットプレイス

COPENHAGEN, DENMARK - FEBRUARY 01: Ida Camilla Pedersen wearing Yeezy Sply 350 sneaker at the Copenhagen Fashion Week Autumn/Winter 17 on February 1, 2017 in Copenhagen, Denmark. (Photo by Christian Vierig/Getty Images)

スニーカーのマーケットプレイスを運営しているStockXが、Mark WahlbergやScooter Braun、Waleといった著名投資家が参加したラウンドで600万ドルを調達したと発表した。なお、以前のラウンドには、EminemやSV Angel、Detroit Venture Partnersらが参加していた。

スニーカーの中古市場はこれまでにないほど盛り上がっている。この分野を牽引しているGOATは、モバイル限定のマーケットプレイスを運営しており、ここ半年で3000万ドルを調達したほか、150万人のユーザー数を誇っている。オンラインと店舗の両方でスニーカーを委託販売しているStadium Goodsも、最近460万ドルの資金を調達したばかりだ。

しかし、StockXの仕組みには競合他社とは少し違った点がある。彼らは自分たちのことを「モノの株式市場」と呼んでおり、本物の株式市場のように「売値/買値」のメカニズムを利用して、売り主と買い主を結びつけているのだ。

例えば、買い主がある靴に650ドルの買値をつけたとして、売り主はその靴を680ドルで売ろうとしている場合、最終的に両社の希望価格がマッチした段階で、実際の取引が行われるようになっている。

このモデルの主な利点は取引の透明性だ。買い主は自分の希望価格にあとどのくらいの金額を足せば、売値を満たすことができるのかハッキリとわかり、売り主も自分が売ろうとしている靴を、どのくらいの価格であれば買いたいと考えている人がいるのかリアルタイムで把握できる。

さらに売値/買値モデルによって、他のユーザーと競り合いたくない人は、そのときの売値もしくは買値で即座にスニーカーを売買することもできる。

またStockXは、このリアルタイムの価格情報を利用して、バーチャル「ポートフォリオ」を作るサービスも提供している。ユーザーが自分の持っている靴をリストアップすると、それぞれの市場価格がリアルタイムで反映されるので、ユーザーはコレクションの合計価格(≒時価総額)をトラックすることができる。

品質管理に関しては、競合他社と同じようにStockXも鑑定プロセスを設けている。そのため、売り主はまず商品をStockXに送り、そこでスニーカーが本物だと認定された後に、買い主のもとへ商品が送られるようになっている。

StockXは今回調達した資金を使って、スニーカービジネスを拡大する以外にも、別のコレクター品を扱っていこうとしている、と共同ファウンダー兼CEOのJosh Luberは説明し、具体的に時計とハンドバッグをその候補に挙げていた。中古市場の規模が大きく、鑑定プロセスが必要になりそうなものであれば、StockXはどんな商品でも扱っていくのかもしれない。

新たな商品群以外にも、StockXはアメリカ国外に住む人が同社のプラットフォーム上で商品を販売できるように準備を進めていくと話している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

GOATが新たに2500万ドルを調達ー成長を続けるスニーカー専用マーケットプレイス

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コレクター向けスニーカーの中古市場は引き続き成長を続けており、主要投資家もスニーカーヘッズ(熱狂的なスニーカーファン)向けサービスへの投資を加速させている。このトレンドにのって、ロサンゼルス発のGOATが新たに2500万ドルを調達した。Accel Partnersがリードインベスターとなった今回のラウンドで調達した資金は、人員の増強と流通網の拡大に充てられる予定だ。

GOATは、コレクター向けスニーカーの売買ができる、モバイル限定のマーケットプレイスだ。これまでにあったマーケットプレイスとは違い、GOATはユーザーにYeezyの偽物を掴ませないよう、商品の鑑定に特に力を入れている。さらに同社は、ユーザーのもとにボロボロのジョーダンが届いてしまわないよう、スニーカーの状態もしっかりとチェックしている。

GOATは昨年8月に、Matrix PartnersUpfront VenturesWebb Investment Networkなどから500万ドルを調達したばかりだ。しかし目覚ましいスピードで成長している同社には、投資を希望する企業からの問合せが後を絶たない。

今回GOATがAccelからの出資を受け入れた理由のひとつは、AccelがこれまでにもEC企業を大きく成長させてきた実績を持っているということだった。そしてもうひとつの理由が、パートナーのRyan Sweeney自身もスニーカーヘッドで、GOATのビジネスを本質的に理解しているということだ。

これまでにBraintreeやGroupon、Lightspeed、VSCOといった企業に出資し、おびただしい数の靴を持っているSweeneyは、今後GOATの取締役を務める予定だ。

しかしCEOのEddy Lu自身が「昨年の春に調達した500万ドルにもほとんど手をつけていません」と言っている通り、ここで大事な問いは、誰が出資したかというよりも、なぜ今なのかということだろう。それについてLuは、前回の資金調達以後ユーザー数が150万人へと増加し、取引総額(GMV)も当時の10倍に増えたと話す。

その結果、GOATは人員不足に陥り、現在カルバーシティに抱える3つの倉庫ではオペレーションが追いつかなくなってしまったのだ。

「もともとは2500平方フィートの倉庫からスタートして、昨年の中旬にスペースが足りなくなりました」とLuは話す。それからGOATは、道を挟んで向かい側にあった4000平方フィートの倉庫を追加し、その後さらに近くの7000平方フィートの倉庫が追加された。今回の調達資金を使って、GOATは再び全ての在庫を一か所におけるようなスペースをみつけたいと考えている。

もっと重要なのが商品の配達までのスピードで、GOATは東海岸に新しく流通センターを設置し、オペレーションを加速させようとしている。現在のところ、全ての商品の鑑定はロサンゼルスの拠点で行われているため、例えばニューヨークシティにいる売り主や買い主には余計な時間がかかってしまう。しかし「将来的にはどの地域へも2日で配送を完了させたい」とLuは話す。

さらにGOATは、2017年中にモバイルアプリのアップデートも行おうとしており、売り主がもっと簡単に商品をアップできるような仕組みを検討している。「GOATのようなマーケットプレイスでは、商品の流動性がカギになってきます」とLuは言う。つまり同社は売り主側の仕組みを改良することで、買い主が探しているスニーカーがいつでもみつかるような環境をつくろうとしているのだ。

GOAT以外にも、スニーカー市場に目を付け、最近資金調達を行ったスタートアップがいる。ニューヨークに拠点を置くStaduim Goodsだ。同社もオンラインでスニーカーを販売しており、最近Forerunner VenturesやThe Chernin Group、Mark Cubanから460万ドルを調達していた。しかしLuは、Stadium GoodsのことをGOATのサービスを補完するような存在だと考えている。

Luによれば、GOATはマーケットプレイス型のサービスにフォーカスしている一方、Stadium Goodsはオムニチャンネルのアプローチをとっており、実店舗やオンラインでの販売にに加えて、GOATのようなマーケットプレイスを通じての販売も行っているのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

スキルのC2Cサービス「ココナラ」が物販にも進出ーー今春からハンドメイド作品の取り扱いを開始

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個人のスキルのマーケットプレイス「ココナラ」は、本日ハンドメイドのEC領域に進出することを発表した。「ココナラ ハンドメイド」は2017年3月8日に正式ローンチする予定で、出品者の登録は本日より受け付ける。

2012年にサービスを開始したココナラは、ユーザーが自身の知識・スキル・経験を売買できるC2C型のマーケットプレイスだ。もともと出品サービスは一律500円だったが、現在は購入者がおひねりを追加したり、価格設定も5万円を上限に変更したりできる。人気の商品は占いやイラスト作成などだが、ビジネス用途でもリサーチ代行やプレスリリースのチェック作業といったサービスの出品がある。

ココナラ自体は無形サービスに特化したマーケットプレイスだが、「ココナラ ハンドメイド」のローンチでモノの出品もできるようになる。ココナラのユーザーとハンドメイド作品のマーケットプレイスのユーザーの親和性が高いとココナラ代表取締役の南章行氏は話す。

例えば、これまでココナラでは結婚式のウェルカムボード用のイラストを作成するサービスなどの出品があり、完成した作品を郵送したいというニーズがあった。これまでは商品の郵送には対応していなかったが、「ココナラ ハンドメイド」ではそれができる。「ココナラ ハンドメイド」はココナラとは別サイトで運営するが、ココナラのカテゴリーの1つのように見せ、相互送客していくという。

ココナラの創業当初から、ハンドメイド作品を扱う構想はあったと南氏は話す。ただ、ココナラのミッションは、個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする人に結びつけるプラットフォームを提供することだ。それを体現するのが無形サービスのマーケットプレイスと考え、ココナラを開始したという。今回、ハンドメイド作品のマーケットプレイスへの需要を感じ、「ココナラ ハンドメイド」を開始するに至った。

ココナラの最終的な目標は「相談のゲートウェイ」になることと南氏は説明する。「何か相談したいことがある場合、人はその先のソリューションを求めていて、それは大きなマーケットです」と言う。例えば人間関係で悩んでいる人は、まずは弁護士に相談し、その先で弁護士に調停の依頼するといったようにだ。悩みがあるとき、これまで多くの人はGoogleを使ってソリューションを検索することが多かっただろう。一方、ココナラでは、悩んだときは誰かに相談してから、ソリューションを決めるという流れを作り出したい考えだ。

人は様々な悩みを抱えている。ココナラは分野に特化してサービスを展開するのではなく、様々な分野を取り揃えることで、どんな悩みでも「悩んだときはココナラ」という立ち位置を確立する戦略だという。

ココナラは2016年8月、「ココナラ法律相談」サービスをローンチしているが、これも相談のゲートウェイの先にあるソリューションとユーザーをつなぐ位置付けにある。ココナラ法律相談では、ユーザーは登録弁護士に無料で法律相談ができる。ココナラは、ユーザーが弁護士に有料の法律サービスを依頼するときに送客手数料を得るモデルを採用している。現在、250名ほどの弁護士が登録しているという。

ココナラの出品数は10万件を超え、流通高は創業以来、毎年約3倍の成長率で伸びていると南氏は説明する。単価は低くても、このような売上が立つのは継続課金率が高いためで、この継続課金率の高さも、多様な分野を取り揃えていることが貢献しているという。ユーザーはずっと同じカテゴリーの出品サービスを購入するのではなく、異なるカテゴリーの出品サービスを購入する傾向にあるそうだ。今回の「ココナラ・ハンドメイド」は、ココナラの間口を広げ、集客エンジンを強化する位置付けと南氏は説明する。

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ハンドメイドのC2Cサイトには、Creemaやminneなどが先行している。他サービスと競合することについて南氏は、ハンドメイド領域は一社総取りではなく、ユーザーは欲しいと思えるモノがある場所を訪れるため、後発でも十分にマーケットを取れるだろうと話す。また、ココナラには、ハンドメイド作品のマーケティングやノウハウの相談やアドバイスをするサービスとして出品しているユーザーもいるそうだ。ココナラではモノとサービスの両方を提供していくことで、ハンドメイド作家を生み、育てられるマーケットになることを目指すと南氏は話している。

ソーシャルメディアでお小遣い稼ぎ ー UGCマーケットプレイスのLobsterが100万ポンドを調達中

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ユーザーが生成したコンテンツ(UGC)のマーケットプレイスを運営しているLobsterが、スケールアップに向けてシリーズAで100万ポンドを調達しようとしている。既に目標額の85%が集まっており、残りの投資家の意向も来週中にはまとまる予定だ。

既に投資を決定している投資家には、現在Lobsterの開発チームが拠点を置くモスクワでコーワーキングスペースを運営しているKL10CH(”The Key”という名でも知られている)や、Otkritie Capitalの前CEOで50万ポンドの出資を決めたNikolay Katorzhnovのほか、少額出資を予定している複数の投資家が含まれている。現在足りていない資金は、イギリスや海外のエンジェル投資家、そして以前のラウンドに参加していた投資家から調達される予定だ。

2014年のTechCrunch Disrupt EuropeでBattlefield決勝に出場していたLobsterは、先日行われたシードラウンドで、Wayra UKやイギリスのエンジェル投資家、そしてクラウドファンディングプラットフォームから70万ポンドを調達していた。

同社は、ブランドや広告代理店をターゲットとして、UGCを簡単に広告で使えるようなライセンシングプラットフォームを運営している。Lobsterの顧客は、同社のプラットフォーム上でソーシャルメディアで使えそうな(使い古されたストック写真ではなく)オーガニックな素材を簡単にみつけ、そのライセンスを購入することができる。同社はサブスクリプション制を採用しており、顧客は複数のプランから自分にあったものを選べるほか、1ヶ月のお試し期間も準備されている。

ソーシャルメディアユーザー(=Lobsterのコンテンツクリエイター)側のメリットは、いつものようにソーシャルメディアを利用するだけで、お小遣い稼ぎができるということだ。

共同ファウンダー兼CEOのOlga Egorshevaは、アメリカとアジアに開設予定のオフィスとともに、シリーズAで調達した資金を利用して海外でのマーケティングやパートナーシップ締結に力を入れていくと話す。また同社は、昨年ローンチしたAI検索エンジンを強化し、コンテンツのランク付けの精度を上げるとともに、関連コンテンツをもっとみつけやすくしようとしている。

「今回のラウンドは、私たちが次のステップに進む上で大きな意味を持っています。私たちは今ちょうど、クリエイターだけでなくコンテンツを利用する顧客の規模を拡大していく上での岐路に立っており、今後重要な市場でビジネスを成長させるために資金が必要なんです」と彼女はTechCrunchに対して語った。

「現在アメリカに顧客企業が数社、そしてアメリカを含む世界中にLobsterを利用しているクリエイターがいますが、私たちはAPIを利用してもっとアメリカの広告代理店やメディア企業などの法人顧客を重点的に攻めていきたいと考えています」

先週Lobsterは、イギリスのウェブサイトビルダーMoonfruitと初となるAPI統合を行ったと発表したが、今後さらにこの分野に力を入れようとしているようだ。Lobsterは10社以上とのAPI統合をQ1・Q2を通しての目標にしており、将来的にはPhotoshopと同社のプラットフォームを連携させようとAdobeとも話を進めている。

コンテンツに関し、Lobsterは今のところInstagram、Flickr、Facebook、Vk、YouTube、Vimeoをサポートしているほか、クリエイターはDropboxやVerizon Cloudなどのクラウドストレージサービス経由でも、コンテンツをLobster上で公開できるようになっている。

コンテンツの公開にあたり、クリエイターは全ての写真や動画を自動でLobsterと同期するか、自分で同期したいファイルやフォルダをピックアップするか選択することができる。ファイル公開後は、プラットフォームがハッシュタグや位置情報、タイトル、画素数などの情報をファイルから抽出し、検索にひっかかりやすいようにメタデータをインデックス化する。Egorshevaによれば、新しいメタデータが追加されても自動で情報が抽出されるようになっているため、クリエイターは既にLobster上で公開したファイルをアップデートしなくてもいい。

さらにLobsterのAI検索エンジンには、検索精度を上げるための自動タグ付け機能や、コンテンツの色に基いたフィルター機能(ブランドカラーに合ったフコンテンツをみつけるのに便利)、顧客がアップロードした画像と似たコンテンツを表示する機能などが搭載されている。

また同社のAIには顔認識機能も備わっているので、例えば人が含まれているかいないかでコンテンツをフィルリングできるほか、性別や民族、年齢、表情や感情表現のように、もっと細かな条件でコンテンツを絞り込むこともできる。

AI検索エンジンは動画コンテンツにも対応しているが、Lobsterは今回の調達資金を使って、理想的には既に動画検索テクノロジーを開発したことがあるようなAIスタートアップと提携し、この機能をパワーアップさせたいと考えている。

「(現在の)AIの一部は、スタンフォード大学が開発したテクノロジーを、Lobsterの開発チームが改変し、ソーシャルメディアフィードや私たちが保有するソーシャルメディアのデータベースに対応させたものです。今後はAI業界の企業とも協業していきたいです」とEgorshevaは話す。

現在Lobsterに登録している約1万7000人のクリエイターは、InstagramやFacebook、Flickr、Youtubeなどを通してコンテンツをライセンスしており、顧客が利用できるコンテンツの数は500万点以上にのぼる。

さらに顧客はプラットフォーム上で公開されているコンテンツを利用するだけでなく、(上位のプランに登録すれば)Lobsterがサポートしているソーシャルメディアの一般ユーザーから自分たちが求めているコンテンツを募集することもできるため、コンテンツ数は最大300〜400億点に達する。

またLobsterは、(Egorshevaいわく)ライセンシングのプロセスを簡素化するため、一般的な非独占契約を使っているが、これまでにプラットフォームを経由せずに独占契約もいくつか結んでおり、もしも需要が増えれば独占契約をオプションに含めることも検討していくとEgorshevaは話す。

コンテンツの価格はソースや画質、既に他の顧客が使ったことがあるかといった情報をもとに、プラットフォームが自動で設定している。ライセンシングにあたっては、100万ビュー/再生以下のコンテンツ用と100万を超えるビュー/再生数のコンテンツ用(こちらの方が高い)の2種類の価格が準備されている。

Lobsterはライセンス料の25%を手数料として受け取り、残りの75%がPayPal経由でクリエイターに支払われる。

クリエイターにとってのもうひとつのメリットが、モデルリリース(写真に写っている人から、商業利用に関する許諾をもらうこと)に関する機能だ。Lobsterは署名済みの紙やPDFのフォームを回収する代わりにリンクを生成し、クリエイターがFacebook経由で利用許可を貰えるような仕組みを提供している。

単なるレポジトリではなく、積極的にコンテンツをかき集めて販売する同社のアプローチこそ、Lobsterの”戦略的な強み”だとEgorshevaは考えている。

「他のサービスにも登録しているファイルをLobsterへ再度アップロードさせるのではなく、私たちは既にオンライン上にたくさんあるコンテンツを探し出すというやり方をとっています」と彼女は語る。

「そうすることで、私たちのプラットフォームもほぼ際限なくスケールすることができるんです」と彼女は付け加える、「というのも、私たちはコンテンツ自体を保管するのではなく、データを引っ張ってきて保存し、検索アルゴリズムがそのデータを解析するようにしていますからね」

さらに、Lobsterはコンテンツの収集元をソーシャルメディアに絞っており、金銭的なメリットによってクリエイターのソーシャルメディアへのエンゲージメントが高まる可能性もあることから、各ソーシャルメディアも同社のアプローチを気に入っているとEgorshevaは主張する。

「私はソーシャルメディア各社に対して何度も売上を分け合う提案をしてきましたが、彼らはLobsterから得られる(または得ようとしている)エンゲージメントの方がずっと価値があると話していました」

現在LobsterはHills PetsやColgate Palmolive、さらにColgate Palmolive傘下の広告代理店Red Fuse/WPPを含む30社と契約を結んでいる(Hills Petsが可愛い犬の写真を求めているのは容易に想像がつく)。

そして同社は今のところビジュアルコンテンツにフォーカスしているが、将来的にはSoundCloudのようなプラットフォームを使って、ユーザーがつくった音楽のライセンシングをしていくことも検討したいとEgorshevaは話す。

ところでクリエイターはLobsterでどのくらい稼げるのだろうか?広告代理店が気に入るようなスタイルのコンテンツを提供しているユーザーであれば、数百ポンド稼ぐこともできるとEgorshevaは言っているが、実際のところは(少なくとも欧米のユーザーにとっては)お小遣い程度(”数ポンドから数十ポンド”)のようだ。

一方で、いずれにしろどこかにアップロードするであろうコンテンツから収入を得られるという意味では、Lobsterは”パッシブワーク”用のプラットフォームであり、少なくともソーシャルサイトにメディアを頻繁にアップロードする人にとってのLobsterの本当の魅力は、”無料のお金”を受け取れるチャンスだと言える。

「ただアカウントを連携して、いつも通りソーシャルメディアを使うだけで、コーヒーやビール分のお金が浮くと考えれば、なかなかのインセンティブではないでしょうか」とEgorshevaも話している。

「ヨーロッパやアメリカなどの先進国では、広告キャンペーンにコンテンツが利用されるということや、どこかにあるコンテンツを勝手に使ったり、画像のスクリーンショットを使うのではなく、きちんとクリエイターから許可をとる文化を育むという金銭面以外でのインセンティブが機能しているように見受けられます」と彼女は付け加える。

「例えばインドや東欧のユーザーの状況は全く違います。新興国では物価の違いもあり、Lobsterからの収入が大きなインパクトを持っているので、彼らは報酬にも魅力を感じているとわかっています」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ネイティブと話し放題 ー ランゲージエクスチェンジアプリのTandem

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Tandemのアプリを使い始めて間もなく、気づけば私はドミニカ共和国出身で35歳のJuanに、”will”という助動詞の微妙な使い方を説明しようとしていた。

私はその前に彼に対して、スペイン語の過去形の複雑さは、英語を母国語とする人には理解しづらいと伝えていた。すると彼から「私も英語で似たような問題に困っているんです」とすぐに音声メッセージで返事がきて、彼は”will”の理解に苦しんでいることを打ち明けたのだ。

これがTandemの日常だ。Tandemでは、言語を学ぶ世界中の人が集まり、お互いにチャットを交わしている。年齢や顔写真が表示されたプロフィールを眺めながら、誰を選んでどのようにゼロから会話をスタートさせようかと考える様子は、少しTinderを彷彿とさせるが、デート目的でこのアプリを使うことはできない。

赤の他人同士をマッチさせて、お互いが勉強したいと思っている言語の練習を促すというのがこのプラットフォームの目的だ。アプリを開くと、ユーザーが勉強中の言語のネイティブスピーカーで、かつそのユーザーの母国語を勉強しようとしている人がリストアップされるので、お互いの勉強を助け合えるようになっている。

アプリを使い始めるにあたって、ユーザーはプロファイル上に自分の興味があることや、どの言語(もしくはその言語のどういった点)を勉強したいのか、さらに話したい内容(またはどういった相手と話したいか)などを記載し、自分の顔写真もアップロードしなければならない。

つまり簡単に言えば、Tendamは言語を学んでいる人同士を結びつけ、チャット機能という練習の場を提供しているメッセージアプリなのだ。

世の中は言語学習をサポートするアプリやサービスで溢れかえっている。しかしベルリンに拠点を置くTandemは、ユーザー同士が無料でスピーキングの練習ができるプラットフォーム作りにフォーカスすることで、比較的ニッチな市場を築くことができたと考えている。なおTandemアプリはテキストメッセージ以外にも、音声・動画メッセージをサポートしている。

iOSアプリは2015年2月から公開されており、昨年9月にソフトローンチされたAndroidアプリもこの度正式にリリースされた。ちなみにTandem自体の開発は2014年の秋にスタートした。

アクティブユーザー数は120万人(アプリのダウンロード数は150万)で、共同ファウンダーのArnd Aschentrupによれば、現在Tandemは11種類の手話のほか、今までにない(ちょっとふざけた)言語として絵文字、ドスラク語、クリンゴン語を含む合計148言語をサポートしている。

DuolingoMemriseBabbelBusuuなどは、ビギナーが単語を覚えて言語学習の第一歩を踏み出すには素晴らしいサービスです。しかし実際に言葉を話さずして、新しい言語を習得することはできません。そして無料でスピーキングの練習ができるのはTandemだけです」とAschentrupは主張し、Tandemのアイディアはいわゆるランゲージエクスチェンジに基いていると話す。

「私たちは、興味のあることや学習上のゴールでユーザー同士をつなげたり、会話のきっかけをつくるゲームを準備したりすることで、ユーザーができるだけ簡単に会話をスタートさせて、練習ができるようにアプリを設計しました」

「現在Tandemには1万1026組の言語ペア(ノルウェー語とスウェーデン語など)が存在し、面白いことに、少数派で息の長い言語ペアがアプリの使用率の半分以上を占めています」と彼は付け加える。

私もTandem上で、英語を勉強しているスペイン語のネイティブスピーカー何人かと話をした後、このアプリには何か特別な魅力があると感じるようになった。コミュニティ全体がとても良い雰囲気を醸し出しており、ユーザーはお互いに丁寧で熱心なコメントをレビューとして残している。

一方で、Tandemのコミュニティへアクセスして他のユーザーとやりとりをするためには、プロフィールが承認されなければならない(Tandemは自分たちのことを”言語学習者のための会員制コミュニティ”と呼んでいる)。

さらに承認プロセス中には、不適切な行動をとるとどうなるかということがハッキリと伝えられる。基本的なルールとしては、他のユーザには敬意を持って接する、ナンパは禁止、スパムも禁止、さもなければアクセスを禁じられる(さらにある程度テキストでのやりとりをしないと、音声・動画メッセージは送れないようになっている)。

「私たちは、ユーザーが何か間違っても恥ずかしいと感じないように、フレンドリーで温かいコミュニティーをつくろうとしています」とAschentrupは話す。さらに彼は、17〜35歳のユーザーが全体の80%、女性が全体の60%を占めていると言う。「160ヶ国から集まったユーザーとともに、今後もさまざまな国や地域の人をTandemにむかえたいと思っています」

使い慣れていない言語で赤の他人と会話をはじめるというのは、当然簡単なことではないが、プラットフォーム上にいる全員が新しい言語を学ぼうとしているので、ユーザーは恐れを感じる必要がない。

ユーザーに熱意があるのは素晴らしいことだが、スピーキングというのは言語学習のひとつの要素でしかなく、話しているだけではしっかりとした文法の基礎を身につけることはできないだろう。つまり新しい言語を習得するには、スピーキングの練習と文法に関する学習の両方が必要なのだ。そしてTandemのプロフィールに、私が「スペイン語の過去形を練習したい」と書いたところで、すぐに無料の文法レッスンをたくさん受けられるわけではない。

ここがTandemのビジネスモデルの上手くできたところだ。同社はTandemのコミュニティに対して、本物の講師との有料レッスンを販売し、売上の一部(現状20%)を手数料として受け取っているのだ。私も実際にTandemを使ってみて、有料レッスンを試してみたいと感じた。

プラットフォーム上では、Tandemの審査を通過した約150名の講師が、有料レッスンを提供しているとAschentrupは話す。人数から言ってこの制度はまだはじまったばかりだが、彼によれば、これまでのところ講師全員が「紹介や講師自身からの応募」を経てTandemに登録している。

一方オンラインで言語レッスンを提供するプラットフォームは既にたくさんあるため、Tandemも厳しい競争に直面している。それでは良い講師をTandemにひきつけるために、彼らはどんな戦略をとっているのだろうか?Aschentrupによれば、彼らは講師に出来る限りシームレスでモバイルな環境を提供しようとしている。さらに講師はレッスンの価格を自分で設定することができる(少なくとも今のところは)。

「Tandemは、講師がスマートフォンやタブレット上のアプリだけを使って、自分のレッスンを管理(生徒探し、予約管理、言語学習のための総合コミュニケーションツール、予約ごとの即時支払)できる唯一のプラットフォームです」と彼は話し、さらにTandemのアプローチは「言語を教える上で面倒な部分を全て取り払い、その代わりに心地よく、楽しくて一貫性のあるモバイルエクスペリエンスを提供しています」と言う。

現在Tandemは、系統立った学習環境を提供するための新たな機能を盛り込むといった方法を使い、ユーザー数を増やそうとしている。そしてユーザーコミュニティが大きくなれば、結果的に講師の数も増えてゆくだろう。

「次のステップは、もっと系統立った言語学習環境をユーザーに提供するということです。具体的には、適切なエクササイズを準備して、ユーザーが自分の達成度を確認しながら、学習スピードを加速させられるような仕組みを作っていきたいと考えています」とAschentrupは話し、「ユーザーと講師の数が増えるにつれて、ネットワーク効果が高まっているのを確認できています。つまりコミュニティが成長すればするほど、ユーザーや講師全員にとってのTandemの価値が高まっているんです」と付け加える。

直接的な競合サービスとして、彼は中国のランゲージエクスチェンジアプリHelloTalkを挙げているが、このアプリは「Tandemに比べてコミュニティにあまり力を入れていない」と主張する。その他にも彼は、ウェブベースの言語講師のマーケットプレイスであるiTalkiやVerblingが、Tandemの競合にあたると考えている。

資金面に関し、Tandemは2015年に行われたシードラウンドで60万ユーロを調達したと発表した。またこのラウンドには、エンジェル投資家のAtlantic Labs (Christophe Maire)、Hannover BeteiligungsfondsMarcus Englert (Rocket Internet会長)、CatagoniaLudwig zu SalmFlorian LangenscheidtHeiko HubertzMartin Sinner、Zehden Enterprisesらが参加していた。

さらに同社は昨年、Faber VenturesRubyLight、さらには2015年のラウンドに参加していたHannover Beteiligungsfonds、Atlantic Labs、Zehden Enterprisesから200万ユーロを調達した。

現在のTandemの市場規模トップ5は、アメリカ、中国、ブラジル、イタリア、メキシコだが、ユーザー比率が10%を超える国はひとつもないとAschentrupは話し、以下のように締めくくった。

「引き続きTandemはとてもグローバルなアプリであり続けます」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter