Skyryseは離陸から着陸まですべて自動操縦可能なヘリの飛行技術をデモ

Skyryseは3年前に創立された運輸系のスタートアップ。他のほとんどの会社と比べて、異なる角度から航空の未来にアプローチしている。新しいタイプの航空機を製造するスタートアップは、よく見かけるだろう。たとえば、電動パワートレイン、複数のローターを備えた垂直離着陸機など、いろいろある。Skyryseは、もっと基本的かつ包括的なレベルから始めるのがスマートなアプローチだと考えている。それは、自動操縦技術の「スタック」だ。あらかじめ、安全に飛行できることが実証されている航空機でも動作するもの。

Skyryseのモデルは、創立者でCEOのマーク・グローデン(Mark Groden)氏が私に説明してくれたように、幅広い適用性、信頼性、冗長性、および安全性をすべて満たしている。同社の主力製品は、「Skyryse Flight Stack」と呼ばれ、今回、Robinson R-44ヘリコプターを実際に飛ばすモンストーレーションとともに公開された。この技術スタックには、以下のような様々な機能が含まれる。つまり、完全な自動操縦としても人間のパイロットのアシスタントとしても動作するシンプルなフライト制御機能、故障が発生しても安全に動作するフライト制御自動化機能、安全な操縦限界の監視と操縦への介入機能、監視と警告機能を備え、ネット接続されたインテリジェントなヘリポート、既存のFAAシステムと連携するように設計された航空管制コンポーネントなどだ。

Skyryseとそのアプローチは、次のようなグローデン氏の信念に基づいたもの。つまり、都市の内側、あるいは周辺の移動を管理するソリューションが、グリッドを調整したり、ネットワークの経路に沿って人や物の流れを変更するだけでは対処できない段階まで、都市のインフラストラクチャが発達してしまった、という信念だ。それに対して彼は、利用可能な潜在的なソリューションに関する、ずっと基本的な認識の転換こそが必要なのだと考えている。

「私はかなり若いときに、自動車を前提としたインフラストラクチャ上に構築された輸送システムは、もはや私たちの都合に合わせてくれないことに、基本的なレベルで気付きました」とグローデン氏は説明する。「むしろ反対に、今は私たちの方が、交通システムに仕えている状態です。たとえば、私や、Skyryseで働く多くの人々が住むロサンゼルスの場所は、交通システムの都合で決められてしまいます。通う必要のある場所に通えるかどうかどうかによって、住む場所が決まってしまうのです」。

「現実的には、この100年間、ほぼ進化していないということです」と彼は付け加えた。「私たちは、既存の運輸インフラストラクチャについて、できるだけ多くのスループットを得ようと努力しています。しかし、この問題を解決する唯一の方法は、インフラストラクチャというものから脱却することなのです。インフラストラクチャに依存するアプローチには、得られるスループットに限界があります」。

グローデン氏の論拠は、自動操縦の航空輸送技術を探求している他の人々と、それほどかけ離れたものではない。たとえば、Kitty Hawk(キティホーク)とGoogle(グーグル)による自動運転車プロジェクトの創立者、セバスチャン・スルン(Sebastian Thrun)氏は、同じような理由で、空中での自動操縦に取り組むほうが、地上の自動運転よりも、実際にはずっと簡単に成果が得られるだろうと、常々話している。ただし、Skyryseのアプローチは、この問題に取り組む他のアプローチとは異なっている。というのも、Skyryseが考えているのは、単に空飛ぶ車ではなく、システム全体を開発することだからだ。

「私たちは、最も速く、最も安全な輸送システムを、人々とコミュニティのために提供したいと考えています」とグローデン氏は言う。「自動化は、手の届くような価格を実現し、いずれは誰でも使えるようなものにするために不可欠だと考えていますが、自動化以上のものが必要です。これは、ある意味列車システムに喩えられるようなものなのです。「機関車」が「線路」の上を走っていくには、まず線路が必要ですし、ポイントも必要、通信のためのアーキテクチャも必要、その他もろもろが必要となります。それを自動化するには、さらにいろいろ必要となるでしょう。このような輸送システムをサポートするフルスタックのテクノロジーシステムこそが、私たちが注力しているところなのです」。

そのためにSkyryseは、有能な運輸の専門家とエンジニアで構成されたチームを抱えている。そのメンバーには、Airbus(エアバス)、Boeing(ボーイング)、Ford(フォード)、JetBlue(ジェットブルー)、Moog(ムーグ)、SpaceXといった企業での勤務経験を持つ人が加わっている。SkyryseのCTOは、ゴンザロ・レイ(Gonzalo Rey)博士が務める。以前は、MoogでCTOを務め、ボーイング787とエアバス350のフライトコントロールの作動システムの開発を監督した経験も持つ。一方、COOのブライアン・コールター(Brian Coulter)氏は、かつて、JetSuite AirとJetBlue、両方を共同創立した。さらに航空産業での業務経験も併せ持っている。

今回、同社はその技術が既存の航空機と、航空管制システムの環境で機能することを実証した。これは、実世界での実現可能性という観点からして、この業界で見られる多くの新機体のデモよりも、ずっと有望な成果と言える。Skyryseはまた、昨年8月に発表したシリーズAに加えて、1300万ドル(約14億2400万円)を獲得し、合計3800万ドル(約41億6300万円)の資金を調達したことを明らかにした。今回のラウンドには、フォード自動車のビル・フォード(Bill Ford)会長も参加している。これはSkyryseのアプローチが、従来の運輸モデルをひっくり返す可能性があるという兆しだと、グローデン氏は自信を深めている。

カーシェアリング、配車システム、そして最近ではオンデマンドの電動自転車とスクーターのサービスは、どれも、都市の混雑と交通渋滞を緩和できると主張している。しかしこれまでのところ、いずれも問題を解決する助けにはなっていない。自動操縦の航空輸送は、実際に違いをもたらすソリューションとなり得るだろう。Skyryseは、フルスタックによるアプローチで、それを可能にするスタートアップなのかもしれない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Elroy Airの自律型ハイブリッド航空機が貨物コンテナのピックアップに成功

現時点では、自律飛行する航空機での輸送は確かな未来であるようだ。特に、人的な危害の可能性の懸念がそれほど大きくない、貨物に関しては。この目標を追求している企業の1つがElroy Airである。同社は300ポンド(約140kg)以上の貨物を300マイル(約480km)先まで運べる、ハイブリッド電動垂直離着陸機(VTOL)を開発した。これは、一部の中長距離向けの地上貨物輸送ルートを代替するのに適した距離である。

現在Elroy Airは、人間が作業をしなくてもコンテナを自分でピックアップする、新しいシステムをいくつか披露している。これは非常に興味深い機能であり、24時間体制での運用や少量かつ緊急での物資輸送など、貨物輸送の効率を大幅に向上させる可能性を秘めている。

Elroy Airは自動で貨物を積み込む機能や、大きな充電インフラを必要としない高効率なハイブリッド燃料システムなどのアプローチによって、他のシステムよりも先に商業化できると考えている。同社は商業用途、人命救助、軍事産業の幅広い顧客にサービスを提供することを目指しており、今年初めに最初のテスト飛行を実施した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

エアタクシーサービスを目指すLiliumが都市向け電動垂直離着陸機による試験飛行

近年では、誰もが独自の電動垂直離着陸機(eVTOL)を作ろうとしているようだ。都市を移動する交通手段の次なる大きな変化を予測するために、これらの乗り物の開発競争が行われているのは明らかだが、これまでに目にしたものは実現性に乏しかった。しかしミュンヘンに拠点を置くスタートアップのLilium(リリウム)は、独自の都市型飛行機を開発しており、本日12月19日に公開された動画は期待以上のものだ。

上の動画は、実際には10月初めに行われたテストのもの。Liliumによると、すでにテスト期間は完了しており、フェーズ2に移行している。動画では実際に飛行機が3分間飛行し、垂直離着陸のプロセスを経て、旋回しながら浮上した地点に戻っていく様子が映し出されている。

これは、Lilium Jetのユニークな推進方法による飛行能力と比べると、比較的低速のデモンストレーションである。同機は最高時速100kmで飛行でき、またジェットのフラップを完全に平らな角度にできれば、より速く水平方向に飛行できるだろう。最終的にLiliumは、自社の飛行機にて(少なくとも最初の数年間の有人飛行を実施した後に)市街地で人々を輸送するエアタクシーサービスを検討している

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

電動キックスクーターのLimeが週ごとのサブスクリプションを提供

Lyft(リフト)と提携先のUber(ウーバー)に続き、Lime(ライム)も電動スクーターのサブスクリプションを開始した。LimePassと呼ばれるこのサービスは、1回につき1ドルや1ユーロを支払うのではなく、無制限に乗車できる(移動ではない)電動スクーターを1週間単位で利用可能だ。

LimePassは現在、米国、オーストラリア、ニュージーランドにて展開されている。さらにLimeは来月初めに、このサービスを他の市場でも展開する予定だ。LimePassの料金は市場によって異なるが、Limeによると米国のほとんどの都市では4.99ドル(約550円)かかるという。つまり、元を取るには少なくとも週に5回はLimeを利用する必要がある。Limeがこのようなやり方をするのは賢明で、以前と変わらず毎回の移動から利益が得られ、人々にもっと多くの乗車を促せるからだ。

世界中のライダーの50%以上が、市街地での通勤や日常的な移動においてLimeを信頼している」と、Limeでプロダクトマネージャーを務めるKevin Shi(ケビン・シ)氏は声明で述べた。「新しいLimePassを利用することで、より効率良く街を移動し、忙しいスケジュールをやりくりできることを誇りに思う」。

来年初めに、Limeはアフリカで初めて電動シェアスクーターを展開する企業になる予定だ。米国やヨーロッパでは公共の歩道にスクーターを設置しているが、アフリカではスクーターは市中のプライベートなエリアに設置される。

今年初め、LimeはBain Capital主導のシリーズDラウンドで3億1000万ドル(約340億円)を調達した。このラウンドにより、これまで調達した資金の総額は8億ドル(約880億円)を超えた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

フォルクスワーゲンは自動運転の電動シャトルを2022年までにカタールに配備

VW(フォルクスワーゲン)グループとカタールは、自動運転シャトルとバスによる公共交通システムを開発し、2022年までに首都ドーハに配備することに合意した。

画像クレジット:VW

米国時間12月14日にVWグループとQIA(カタール投資庁)が署名した契約は、VWグループの4つのブランドを含む大きなプロジェクトとなっている。そのブランドとは、Volkswagen Commercial Vehicles(フォルクスワーゲン・コマーシャルビークルズ)、Scania、共有ライドサービスのMOIA、アウディの子会社のAID(Autonomous Intelligent Driving)のことだ。

このプロジェクトの目的は、自動運転の電動シャトルと同バス、法的枠組み、都市インフラ、そこで商用サービスを展開するために必要な配車用ソフトウェアを含む、輸送システム全体を開発することにある。自動運転車両は、既存の公共交通機関と併走することになる。

「都市を発展させるためには、イノベーションの新しい波が必要です」と、QIAのCEO、Mansoor Al Mahmoud氏は声明で述べた。「AIによって運行される排出物ゼロの輸送技術は、渋滞を緩和し、エネルギー効率を改善しながら、都市のモビリティを促進するのに役立ちます」。

ここで使われる車両群には、Volkswagen Commercial Vehiclesが供給する35台の自動運転電気自動車、ID. Buzzが含まれている。ドーハのジオフェンシングされたエリア内の半固定的な経路をシャトル運行して、最大4人の乗客を運ぶ。もっと大人数のグループなら、それとは別に用意される10台のScaniaバスが運ぶことになる。

シャトル車両とバスのプライベートなテストは、2020年に開始される予定となっている。実地テストが始まるのは2021年になりそうだ。VWとQIAによると、このプロジェクトは2022年末までには実用化される予定となっているという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

公共交通の自動運転に注力するBluespace.aiが約3.8億円調達、行政との話し合いも開始

自動運転技術を開発するBluespace.aiは、米国時間12月13日にFusion Fundがリードするシードラウンドで350万ドル(約3.8億円)の調を発表した。そのほかにもYouTubeの共同創業者であるSteve Chen(スティーブ・チェン)氏や台湾の半導体工場を持つUMC、Kakao Ventures、GDP Ventures、Atinum、Wasabi Ventures、Blue Ivy Ventures、Plug n Play、そしてSLV Capitalなどが投資している。

同社は、公共輸送車両のための自動運転ソフトウェアを開発しており、現在は行政機関や公共交通事業者と会合を重ねている。創業者の1人であるCEOのJoel Pazhayampallil(ジョエル・パシャヤンパリル)氏は、今年前半にApple(アップル)が買収したDrive.aiの共同創業者であり、社長兼COOのChristine Moon(クリスティン・ムーン)氏は過去にGoogleのNexus事業のパートナーシップ担当などの役職を務めた。

Bluespace.aiのチームには、ZooxやLyft Level 5、Voyageなどの自動運転企業にいた人もいる。彼らは共同でカリフォルニアとフロリダで自動運転車の車隊を立ち上げたこともある。

ムーン氏はTechCrunchへのメールで「Bluespace.aiのソフトウェアを使えば自動運転車の運用における安全性を、現在のように何百万マイルもテスト走行させなくても検証可能だ。これにより短期間で公共交通の自動化が実現可能になり、都市の交通をより公平でアクセスしやすく、持続可能なものにできる」と述べている。トヨタやボルボといった自動車メーカーやMay Mobility、Optimus Rideといったスタートアップが、公共交通の自動運転化について研究開発を進めている。

同氏によると、特にBluespace.aiの研究開発は、交通量および交通容量の大きい幹線道路の能力と効率を上げることにフォーカスしていると言う。ほかのスタートアップが主に、主要な公共交通システムの一部である低速車による最初と最後の1マイルにおけるソリューションに対して第一に注力しているのに対して、Bluespace.aiの狙いは公道を通常の車速で走る大型車両でも安全に走行できるようにし、乗客容量を大きくすることにある。

Fusion FundのマネージングパートナーであるLu Zhang(ルー・チャン)氏は報道機関向けに「自動運転車の分野における投資をたくさん見てきたが、BlueSpace.aiはテクノロジーへの革命的なアプローチと、市場への提供が近未来的である点で傑出している。同社の創業者チームにはとても強力なテクノロジーのバックグラウンドがあり、フロリダやテキサス、そしてカリフォルニアにおける自動運転車サービスのローンチにより、十分な経験もある」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アウディは自ら運営するライドシェアサービスを南ドイツで実験

Audi Business Innovation(アウディ・ビジネスイノベーション)は、南ドイツでBITSと呼ばれるライドシェアサービスをテストしている。ガソリン車と電気自動車の両方からなるフリート(車群)を使うもの。

アウディは、このサービスを管理するために、Fleetonomy(フリートノミー)に協力を仰いだ。ホワイトラベルの配車アプリサービスと、フリート管理テクノロジーを提供する会社だ。

同社は、車両の利用率を管理し、効率を向上させる技術を開発している。メンテナンスのタイミングを調整し、需要と供給のバランスをリアルタイムで可視化する技術によるもの。

このサービスでは、電動車と内燃機関車を組み合わせて、南ドイツ全域をカバーする長距離の運行を提供する。

「お客様に柔軟なモビリティを提供する必要性が高まっています。そこは、自動車業界にとって注力すべき領域に加えられるはずです」と、アウディ・ビジネスイノベーションのNico Gropper(ニコ・グロッパー)氏は声明で述べている。「私たちはそうした領域の開発で、常に最前線にいることを目指しています。電動車と内燃機関車の両方を含むサービスは、スムーズに運営するために、さらに高いレベルの複雑さに対処する必要があります。そうした複雑な課題を解決するためには、適切なテクノロジーパートナーと協力することが不可欠です。そうしてこそ、サービスの運用面でも、財務面でも成功することができるのです」。

アウディは、10月の初期段階のテストを成功させ、このサービスをさらに拡張することを計画している。Fleetonomyとの新しいパートナーシップにより、アウディとしては、アプリを活用したカスタムメイドの配車サービスと、電動車と内燃機関車を組み合わせた車群を管理する手法の両方を手にすることができた。

この技術を使うことで、走行距離が問題となる状況を解決できる。あらかじめ距離が分かっている走行に対して、それに適した車を配置できるからだ。そのため、バッテリー容量はそれほど問題ではなくなる。また経路も、充電時間と充電可能な場所を考慮して最適化するよう管理できる。

Fleetonomyによって、アウディは配車とスケジューリング管理用のダッシュボードが使えるようになった。また、乗客とドライバーの両方に向けたモバイルアプリも提供できる。これは自動車メーカー自身がコントロールするUberのような世界だ。

「世界中の自動車メーカーは、オンデマンドのモビリティサービスのプロバイダーとしての役割まで果たすようになっています。そして、収益性を確保するのはもちろん、素晴らしい乗車体験を提供できるサービスを作り出すため、フリートを管理する効率的な方法を探し求めています」と、Fleetonomyの創立者兼CEOであるIsrael Duanis(イスラエル・ドゥアニス)氏は声明で述べた。

「Fleetonomyの高度なモビリティプラットフォームは、アウディ・ビジネスイノベーションの新しいモビリティプロジェクト、BITSを支える技術の候補となり、この業界初のサービスを実現するためのテクノロジーパートナーに選ばれたことを非常に光栄に感じています。アウディ・ビジネスイノベーションが掲げるNew Mobility(ニュー・モビリティ)への旅をサポートし続けることを楽しみにしています」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Walmartが自動運転スタートアップNuroと自動配送実験をヒューストンで実施へ

Walmart(ウォルマート)は米国時間12月11日、新たな試験プログラムを発表した。食料品の自動宅配実験をヒューストンの店舗で来年から始めるという。ウォルマートは、無人で商品を顧客に配達する技術を持つロボティック企業であり自動運転車のメーカーのNuro(ニューロ)と提携している。このプログラムでは、Nuroの車両はウォルマートのネット通販で注文された食料品を、ヒューストンでのサービスを希望し選ばれた一部の顧客に届けることになっている。

この自動配送サービスでは、ニューロが特別に開発した荷物専用の配送車R2が使われる。トヨタ・プリウスをベースにした食料品専用の配送車と同じく、これにはドライバーも客も乗車できない。プログラムの目的は、食料品自動配送の実効性とこうしたサービスがウォルマートの顧客サービスをどれだけ改善できるかを確かめることにある。

Nuroはこれまで、自動運転スタックの開発と、地域の家庭に商品やサービスを届ける特注の無人車両にそのスタックを組み合わせることに力を入れてきた。その車両には2つの荷物室があり、食料品のバッグを最大で6つ積むことができる。ソフトバンク、Greylock Partners(グレイロック・パートナーズ)、Gaorong Capital(ガオロン・キャピタル)などのパートナーから10億ドル(約1080億円)を超える投資を受けている。3月には、ソフトバンクビジョンファンドから94000万ドル(約1020億円)の融資を受けたことを発表している。

同社は自動配送の研究で知られているが、自動運転トラックのスタートアップのIke(アイク)に自動運転技術のライセンス供与も行っている。Ikeは現在、Nuroのスタックのコピーを所有している。その企業価値は、最新のラウンドを元にすると数十億ドルに達する。Nuroも、Ikeの少数株を取得している。

Nuroにとっては、ウォルマートとの提携が初めてではない。2018年にはKroger(クロガー)と提携して(Krogerの食品と医薬品販売部門Fry’sも含まれる)自動運転版のプリウスと、カスタム生産のロボットR1の試験を進めている。R1は安全のためのドライバーを乗せずに自動運転ができる車両として、アリゾナ州フェニックス郊外の街スコッツデールで配送サービスを行っていた。2019年3月には、NuroはKrogerとの共同サービスをテキサス州ヒューストンに移し、自動運転版プリウスで運用を開始した。2020年、Nuroは第2世代のロボットR2を使い、Kroger、ドミノ、ウォルマートとの共同試験に臨む。

またウォルマートにとっても、Nuroが最初の自動運転パートナーというわけでもない。ウォルマートは今年の初めに、スタートアップのUdelv(ユーデルブ)と組んで食料品の自動配送実験をアリゾナ州実施した。さらに今年の夏には、アーカンソー州ベントンビルにあるウォルマート本社近くの大型倉庫から食料品を配達する実験を自動運転車のスタートアップであるGatik AI(ガーティックAI)と進めた。さらに、2018年には自動運転の企業のWaymo(ウェイモ)と、ウォルマートの食料品配送トラックを使ったパイロット事業を立ち上げている。食料品の自動配送実験は、フォードや宅配業者のPostmates(ポストメイツ)とも協業している。

「無類の規模を誇る私たちは、何百万もの家庭に食料品を宅配でき、この業界の未来へ向けたロードマップを描くことができます」と、ウォルマートのデジタル事業上級副社長Tom Ward(トム・ワード)氏は述べている。「その過程で私たちは、私たちの店舗からお客様のご自宅の玄関まで、自動運転技術を応用して食料品をお届けするための方法を、いくつも試してきました。この技術は、私たちの食料品集配サービスと、お客様の日常を少しだけ楽にするという私たちの理念の、ごく自然な延長線上にあるものと信じています」と同氏。

ウォルマートの食料品ネット通販事業は成長著しいが、外部の配送サービスとの提携に依存しているのが現状だ。今のところウォルマートは、Point Pickup(ポイント・ピックアップ)、Skipcart(スキップカート)、AxleHire(アクスルハイヤー)、Roadie(ローディー)、Postmates、DoorDash(ドアダッシュ)といった全米の配送業者と提携して配達業務を円滑に回している。Delv(デルブ)、Uber(ウーバー)、Lyft(リフト)との提携も試したが、今は解消している。2019年末には、ネットショップのウォルマート・グロサリーは、3100件近い集配場と1600件の店舗で食料品の配送サービスを行う予定だ。

ウォルマートの食料品ネット通販事業への投資は、売り上げの急増と、Amazon(アマゾン)やTarget(ターゲット)のShipt(シプト)、Instacart(インスタカート)などと価格的にも競合できる選択肢を顧客に提供するという利便性をもたらした。第3四半期には、ウォルマートの食料品事業はネット販売の売り上げを、35%増という期待を上回る41%増にまで拡大させた。これにより、収益増の記録更新が続き、米国で21四半期連続の売上増となった。

今四半期は、ウォルマートは1279億9000万ドル(約13兆9000億円)という収益により株価は1ドル16セント上昇した。しかし、ウォルマートの電子商取引事業は、新しい技術や企業買収のために資金が減り続けており、社内の緊張が高まっている。ウォルマートによると、ニューロとのパイロット事業は2020年に開始されるという。

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(翻訳:金井哲夫)

自動運転車を開発のWaymoが模倣学習のLatent Logicを買収、シミュレーション技術を深化

自動運転車を開発中のWaymo(ウェイモ)が、オックスフォード大学のコンピューターサイエンス学部からスピンアウトした英国の企業、模倣学習によるシミュレーション技術を開発しているLaten Logic(ラテン・ロジック)を買収した。Waymoはこれまでも、シミュレーションの技術を強化する方法を探していた。

この買収を契機にWaymoは、英国のオックスフォードにヨーロッパで初めてのエンジニアリングハブを立ち上げる。ただしこれでWaymoのヨーロッパと英国への進出と投資が一段落するわけではなく、元Googleの自動運転プロジェクトで今やAlphabet傘下の企業である同社は、英国とヨーロッパでチームを成長させる機会を今後も求めていくことを表明している。

今年の前半にWaymoは、ルノーおよび日産との独占的パートナーシップにより、フランスと日本における自動運転による商用の乗用車と貨物車の、あるべき仕様について研究していくことになった。10月にWaymoは、パリにおける自動運転用交通ルートの整備についてルノーと共同研究していると発表した。

Waymoはその自動運転車開発事業の柱の1つとしてかねてからシミュレーションを挙げていたが、Latent Logicは模倣学習と呼ばれる機械学習の方法により、Waymoが行うシミュレーションをより現実に近いものにするだろう。

模倣学習の模倣は主に人間を模倣するという意味なので、Waymoの場合は車を運転している人や自転車に乗ってる人、そして歩行者の行動をモデル化する。重要なのは、人間を模倣するとその間違いや不完全な運転操作なども模倣して、よりリアルなシミュレーションになるので、Waymoの行動予測や事前対応のシステムの改善が期待されることだ。

Waymoは買収の財務的詳細を公表しないが、Latent Logicの二人の創業者であるShimon Whiteson(シモン・ホワイトソン)氏とJoão Messia(ジョアン・メシア)氏、CEOのKirsty Lloyd-Jukes(カースティ・ロイド・ジュークス)氏、そして主な技術者たちはWaymoに行くようだ。Latent Logicのチームは、オックスフォードに留まる。

Latent Logicの共同創業者でチーフサイエンティストのホワイトソン氏は「Waymoへの参加により、安全な自動運転車という私たちの夢が実現に向けて大きく飛躍する。模倣学習を使って路上の本物の人間をシミュレートすることにより、わずか2年で私たちは有意義な進歩を遂げた。私たちのこの知見とWaymoの人材、リソース、そして自動運転技術においてすでに達成した進歩を組み合わせて達成できることに、私たちは今からとても興奮を覚えている」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ポルシェの電動スポーツカーTaycan Turboの航続距離はEPA基準で323km

米国時間12月11日に掲示された米政府レーティングによると、ドイツ自動車メーカーであるPorsche(ポルシェ)初の電気自動車となるTaycanのモデルの1つ、Taycan Turboの航続距離はEPA基準で201マイル(約323km)であることが明らかになった。

TurboはTaycanの初のバリアント(異なるモデル)で、米環境保護庁(EPA)から推定レンジが出された。推定レンジは、その車両が1回のフル充電でどれくらいの距離を走行できるのかを示すもので、TurboのレンジはTesla(テスラ)のModel Sなど他の競合車両に遥か遠く及ばない。また、Jaguar(ジャガー)のI-PaceやAudi(アウディ)のe-tronなどを含む他のハイエンドな電気自動車の後塵も拝している。

Model Sの航続距離が長いバージョンはEPAレンジが373マイル(約600km)あり、Taycan Turboとの差は最も大きい。Model Sのパフォーマンスバージョンのレンジは348マイル(約560km)だ。Taycan Turboの航続距離は2018年に発売されたJaguarの電気自動車I-Paceを下回っている。I-Paceの推定レンジは234マイル(約376km)だ。しかしJaguarはI-Paceレーシングシリーズで習得したことを通じてI-Paceのレンジを12マイル(約19km)のばすことができるとこのほど明らかにした。

WLTPとして知られる欧州基準ではTaycan Turboのレンジは279マイル(約449km)とされている。EPAレンジのほおうが低くなったにもかかわらず、がっかりしていないとポルシェは話した。

「日々のニーズに間に合う十分なレンジという、顧客が我々のプロダクトに期待する伝統的なパフォーマンスを考慮しながら真のポルシェを模索した」と同社広報はTechCrunchに語った。「Taycanは、Porscheならこうあるべきというパフォーマンスや走りのために作られた驚くべき車だ」。

ポルシェはTaycan Turbo SとTaycan Turboを9月に正式発表した。この2種は、4ドア電動スポーツカーTaycanのよりパワーのある高価なバージョンで、ベース価格はそれぞれ18万5000ドル(約2000万円)と15万900ドル(約1640万円)だ。

10月にポルシェは、主要モデルよりも8万ドル(約860万円)ほど安いTaycan 4Sと呼ばれる安価バージョンを明らかにした。4Sを含め全Taycanのキャシーとサスペンション、永久磁石同期型モーター、その他諸々は同じだ。しかし、パフォーマンスバッテリープラスのオプションを提供する3つめのバージョンは少し軽量で安く、先に発表されたハイエンドバージョンよりもスピードはわずかに遅い。

Taycanにはいくつかのバージョンが用意されるとポルシェはずっと言ってきた。その中でも米国に最初に到着するのは2020 Taycan Turboとなりそうだ。

EPAレンジについては論じていないとする一方で、ポルシェはそれを上回る追加のデータを共有するため、米国時間12月11日にディーラーに電子メールを送っている。

Taycanを扱うディーラーにポルシェが送った電子メールによると、Taycan Turboのレンジを評価するために、AMCI Testingに独立したテストを依頼した。この自動車調査会社が5回のテストサイクルでのパフォーマンス平均で計算した結果、レンジは275マイル(約442km)だった。

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(翻訳:Mizoguchi)

ヘリコプターシェアのAirXが広島エリアに進出、ヘリコプタークルージングプランを販売開始

首都圏と関西圏でヘリコプターのシェアリングやチャーターのサービスを手掛けるAirXは12月12日、広島エリアでのヘリコプタークルージングの取り扱いを開始した。12月21日〜25日の5日間は広島市内イルミネーションを堪能できるクリスマス限定遊覧プランも販売する。

同社はエアモビリティーの活用によって新しい移動手段を提供することを目指す、2015年2月に設立されたスタートップ。企業などが所有する使用頻度の少ないヘリコプターを共用できる仕組みを作って有効活用し、箱根や成田空港など都心から少し離れた「中距離」の目的地に短時間で向かうための手段を提供してきた。現在のところヘリコプターのシェアはクルージングや富裕層の移動手段として利用されているが、騒音の少ない機体の登場や飛行場やヘリポートの着陸料が安価になれば、都内での一般消費者向けの運行も現実味を増す。

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なお、今回販売するプランは以下のとおりで、予約サイトでコースや日時を選んで申し込める。

昼プラン

  1. ヘリコプターで広島の街を一望!8分で観光名所をクルージング
    税別価格:2万2400円
    広島市内上空をヘリコプターでクルージングし、平和記念公園、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島、広島駅、瀬戸内海、原爆ドーム、広島城などを8分間で巡る。
  2. ヘリで広島市内・宮島を満喫!17分間の広島周遊プラン!
    税別価格:4万7600円
    広島市内と宮島上空をヘリコプターでクルージングし、平和記念公園、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島、広島城に加え、宮島、厳島神社、瀬戸内海などを17分間で巡る。広島の観光名所を一気に楽しむことができる。

夜プラン(12月21〜25日限定販売)

  • クリスマス限定!ナイトフライト広島ヘリコプタークルージング
    税別価格:3万800円
    期間:12月21日~25日
    クリスマスの広島市内上空をヘリコプターでクルージング。平和記念公園、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島、広島駅、瀬戸内海、広島城などを巡る10分のクリスマス限定のナイトクルージングとなる。市内のイルミネーションが光る夜景をより一層きれいに楽しめる。
    時間:17:30、17:45、18:00、18:15、18:30の1日5回出発、各10分間

11月にインテルとの協業を発表した電気自動車開発のNioが北米本社で141名をレイオフ

電気自動車を開発しているスタートアップ企業であるNioが、北米本社で141名をレイオフする。カリフォルニア州の雇用開発局(Employment Development Department of California)の文書によると、同社のサンノゼオフィスの社員は12月6日に通告を受け取っている。

本社が上海にあるNioは先月、Intel(インテル)傘下で、専用カメラを利用した高度運転支援システム (ADAS)を開発しているMobileyeをパートナーして、消費者向け自動運転車を開発すると発表した。そのパートナーシップの協定では、Mobileyeが設計した自動運転システムをNioが生産することになっていた。

インテルとのパートナーシップは、困難な1年を経たNioにとって明るいニュースだった。Nioの第3四半期は適切な価格政策により売り上げは伸びたが、2月末以降株価は78%落ち込んだ。

同社は今年の第1と第2の四半期に損失を計上し、6月には中国における電池の発火により自発的に電動SUV車であるES8を5000台リコールしたことで、生産量と納車数の低下を招いた。9月の決算報告でCEOのWilliam Li(ウィリアム・リー)氏は、第3四半期末までに9900人の従業員を7800人に減らすなどによりコスト削減に努める、と述べた。Nioのオフィスは北京、ロンドン、ミュンヘンなど11の都市にある

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Wheelsがヘルメット装着で20%割引の電動自転車を展開

Wheelsは10月に5000万ドル(約54億円)の資金調達を実施したのに続き、ペダルのない電動自転車用のヘルメットシステム「smart」を発表した。ヘルメットは自転車の後部のフェンダーに固定されており、ライダーがヘルメットを被っているかどうかを感知するセンサーが搭載されている。

ヘルメットの着用を奨励するため、Wheelsはライダーがヘルメットのロックを解除し、乗車中に装着した場合、20%の割引を提供する予定だ。同社はWagの共同創業者であるこJosh and Jonathan Viner(バイナー兄弟)が設立したスタートアップで、他の自転車シェアスタートアップとの差別化を図るべく、交換可能なパーツとバッテリーを含むモジュラー設計を採用している。Wheelsによると、製品のライフサイクルは他の自転車と比べて4倍になるという。なお、JUMPも最近自転車用の交換可能なバッテリーの構想を発表している。

Wheelsは現在、オースティンやサンディエゴ、ロサンゼルス、アトランタ、シカゴ、ダラス、マイアミ、クリーブランド、ストックホルム、スコッツデールなど10都市でサービスを展開中だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

JapanTaxiが忘れ物防止タグ捕捉機能を車載開始、タクシーが動くTileレーダーに

JapanTaxiは12月11日、IoTを活用した見守りサービスを提供するottaと、230の国と地域で販売している忘れ物防止タグ「Tile」の開発元であるTileとの提携を発表した。本日12月11日より、全国で2万台のタクシーの後部座席に設置されているマルチ端末「JapanTaxiタブレット」の全台にTileの検知システムを導入する。これによりTileを利用しているユーザーは、自分が落としたり、置き忘れたりした財布などを見つけられる確率が高まる。

TileはBluetoothでスマートフォンなどと通信することで、Tileを入れた財布やバッグなどの紛失を防止するコインサイズのタグ。紐付けているスマートフォンからTileが離れるとアラームを鳴らせるほか、置き場所がわからなくなったTileの場所をスマートフォンからの操作で音で知らせることが可能だ。

さらにTileは、専用アプリをインストールしたほかのユーザーのスマートフォンとも通信して現在地を捕捉後、自分のスマートフォンにその場所を知らせてくれるため、屋外での落とし物も見つけやすくなる。

今回、JapanTaxiのタブレットを搭載するタクシーで、Tileの専用アプリと同様、Tileの位置情報の捕捉が可能になる。タクシーをよく使うユーザーはもちろん、24時間走行しているタクシーがTileタグを見つけるレーダーの役目を果たすことになる。

過去には似た事例として、MAMORIOが東急と組んで、忘れ物防止タグであるMAMORIOの位置情報を捕捉する専用アンテナ(MAMORIOアンテナ)を東急東横線渋谷駅に設置し、紛失物の位置情報を通知するサービスを提供していた。

Wazeが未除雪路の報告機能を追加、雪道運転の安全性を向上

クラウドによるナビゲーションアプリを開発するGoogle(グーグル)の子会社であるWaze(ウェイズ)は、アプリ内で吹雪の間に除雪されておらず、危険だったり通行できない道路を報告したり、他人が投稿した報告を確認できる新機能を追加する。このアップデートは、同社が米国バージニア州運輸省(VDOT)からこの種の報告の導入に関する勧告を受け、市当局との「Waze for Cities Data」パートナーシップおよびデータ共有プログラムを通じて開発されたものだ。

ユーザーはアプリの報告ツールの 「Hazards」→「Weather」の項目から未除雪路を報告でき、この機能は現在Wazeが展開する185カ国のすべてで利用できる。特にバージニア州では、Wazeがクラウド経由による降雪データから得たデータをVDOTに提供し、市当局はそれを独自の除雪情報と併せて、今後の冬季の除雪作業をより効果的に伝える予定だ。

条件によって、雪は冬のドライブに大きく影響する。Wazeが除雪情報を事故や工事などの他の報告と一緒に運用することは、定期的に降雪があり除雪が必要な地域なら、誰にでも受け入れられるはずだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

公道を走るCybertrucの投稿動画から浮かび上がる疑問

ロサンゼルスを走りまわる「Tesla Cybertruck」(テスラ・サイバートラック)のビデオが投稿された。イーロン・マスク氏が運転しているとも言われるが、実際に彼がこのビデオに映った車のハンドルを握っていたかどうかの確認は取れていない。それでも、このビデオから、いろいろわかることもある。

1つには、まだミラーがないこと。米国の法令では、乗用車には室内と運転席側の側面にミラーが必要とされている。このビデオのCybertruckには運転席側にミラーがない。

Cybertruckを発表したとき、マスク氏は後方の視界を確保するためにビデオカメラを使っていると語っていた。それは、他の自動車メーカーもやろうとしていること。キャデラックは、すでに何年も前からやっているし、実用化されている。

だとしても、運転席側にミラーがないのは大きな問題だ。発表会でお披露目された車にもミラーはなかったが、このビデオに映った車にもない。サイドミラーの代わりにカメラで撮影した映像を使う可能性もあるが、そうした発表はなされていない。Audi(アウディ)など、他の自動車メーカーは、ヨーロッパではカメラを使い始めているが、米国仕様では物理的なミラーが不可欠となっている。

2つ目は、車体のロールが激しいこと。このビデオでは、ドライバーは大きく左折して通りに出ている。その際、Cyber​​truckの車体はかなり大きく右に傾いているように見える。ちょっとやそっとではない。

Cybertruckも、他のすべてのテスラ車と同様、底部にバッテリーを搭載している。そうすることで、大きな重量物を底部に集中させ、重心を低くして、車に安定感を与えることができる。Tesla Model Xの場合、これによって、側面から衝突されても、横転を防ぐ素晴らしい効果が得られている。

Cybertruckは、認可されているより広いトレッド幅なのに、車体のロールは大きい。発表会で公開されたCybertruckのタイヤは、明らかにフェンダーから飛び出していた。米国の法規では、タイヤはフェンダーで覆う必要がある。従ってこれも違反状態だ。テスラは、最終バージョンでは、これを補正してくると考えられる。これまでは、ステージ上での見栄えを良くするためとテスト中の安定性を確保するために、こうなっていると考えられていた。この最新のビデオでは、まだCybertruckのタイヤはフェンダーから突き出している。現状で、どの程度タイヤがはみ出しているかは分からないが、路上のカラーコーンを蹴散らして行ったところを見ると、それなりに飛び出ているようだ。もしCybertruckのトレッド幅が狭められたら、車体のロールはさらに大きくなるのではないだろうか?

そして、ドライバーは赤信号を無視して行ってしまった。Cybertruckは、交通信号などない未来の世界の乗り物なのだから、それも当然だろう。

  1. cybertruck-3

  2. Starship-Cybertruck

  3. Cybertruck

  4. Cybertruck-6

  5. Cybertruck-5

  6. Cybertruck-4-1

  7. Cybertruck-1

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

走行距離と保険料の計算を自動化した従量制自動車保険のBy Miles

英国の走行距離従量制自動車保険By Miles(バイマイルズ)が、Tesla(テスラ)車の運転者を対象とするコネクテッドカー(インターネットに接続している車)専用の保険を発売する。

この新しい保険プロダクトは、車のオーナーのTeslaアカウントからリアルタイムの走行距離情報を取り出し、運転した距離に基づいて各月の保険料を決める。同社によると、ブラックボックスやアフターマーケットのデバイスを必要とせずに車からデータを取り出す自動車保険はこれが初とのことり

この新しい保険は、Swiss Re(スイス・リー)が支援するデジタル保険企業であるLa Parisienne Assurancesとのパートナーシップで作られ、英国の走行距離の少ない(年間7000マイル=11265km未満)のテスラオーナーに格安の自動車保険を提供するとBy Milesは説明する。

同社によると、もっと大きな意味ではこれは、自動車保険業界がコネクテッドカーや電動車などテクノロジーの変化に合わせようとしないことへの反発である。同社は、今やイギリスでは販売される新車の10台に1台は電動車であるという、業界の統計を挙げる。

By Milesの共同創業者であるJames Blackham(ジェームズ・ブラックハム)氏は 「今や保険業界も車と同じぐらいスマートな保険を提供すべきだ」と語る。

この走行距離従量制自動車保険は、自分のテスラ車をBy Milesのアカウントに接続するだけで契約が成立し発効する。従来のようないわゆるブラックボックスは要らない。契約者はBy Milesのアプリを見て毎日の走行距離とそれに対応する保険料を知り、最終的に一か月ぶんの保険料を払う。

この新しい自動車保険は電動車ファーストの保険として、普通車にはない、充電ケーブルやアクセサリーの損害や盗難、そして電動車の電池そのものも保険の対象になる。

しかし、By Milesのコネクテッドカー向け自動車保険は、同社の既存の保険とそれほど大きく異なってはいない。同社はすでに、Miles Trackerという、車に装着する距離計測デバイスを導入して、2018年の7月に走行距離従量制自動車保険を開始している。その被保険者は、現在1万名を超えている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電動垂直離着陸機のスタートアップVolocopterが欧州航空安全機から安全承認代行権を取得

電動垂直離着陸機(eVTOL)のスタートアップであるドイツのVolocotper(ヴォロコプター)が、欧州航空安全機関(EASA)から安全認証作業を代行する権限(DOA、Design Organisations Approvals)を受けた。これはVolocopterが航空機の開発と製造において実施してきたプロセスが、商業用にeVTOLを展開する計画を推進できるレベルに達したものであるというEUによる認定だ。

これにより、Volocopterは商用化を進めるうえで大きなアドバンテージを得た。ドイツを拠点とするこの会社は今年、商品を運ぶために設計された貨物バージョンの機体を生産する計画を発表し、農業での使用に焦点を当ててJohn Deereと提携し、機体テストを行うことを明らかにしている。また一方で同社は、都市にて乗員を輸送することを目的とした 「エアタクシー」 の計画も進めている。

これまでVolocopterは、シンガポールとシュツットガルトにて、乗客を乗せた機体での試験を実施してきた。同社は今年の初めに5000万ユーロ(約60億円)の資金調達ラウンドを発表し、2〜3年のうちに一般向けサービスを開始したいと考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

イーロン・マスクも称賛しそうなレゴ製のTesla Cybertruck

Lego(レゴ)はすでに、Tesla(テスラ)のCybertruckのデザインへの提案を発表しているが、それは純粋にネットミームのためのものだった。しかしこのレゴ製のCybertruckは、Lego Ideasの公式クラウドソーシングサイトに投稿されたもので、非常に忠実に再現されており、オリジナルと同じく特徴的なテールゲートとフロントトラックを備えている。

Lego IdeasユーザーのBrickinNick(ブリッキンニック)氏が製作したこのレゴは、実際のCybertrackのポリゴンのようなサイバーパンク風デザインを見事に再現したもので、同氏によると助手席のドアを開けたり、ランプがスライドしたり、さらにはTesla ATVキットも付属しており、会場でのデモを自宅で楽しめる。もちろん、Elon Musk(イーロン・マスク氏)のミニフィギュアは必須だろうし、交換可能な粉々に割れたウィンドウもあるといいかもしれない。

LEGO Ideasでは、誰でもアカウントを作成してデザインを投稿し、コミュニティがその投稿に投票することができる。十分な票が集まれば、レゴはそのデザインを実際のキットとして製作することを検討するだろう。もちろん、他社の知的財産が絡む際には確かなことはいえないが、このキャンペーンは記事執筆時点ですでに約2000人のサポーターがおり、ユーザーサポートという意味ではうまくいっている。

好むと好まざるとにかかわらず、レゴ製のCybertruckは実に素晴らしいデザインに仕上がっているので、いつか出荷されることを願っている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Uberの致命的な事故に関する集計結果は低い値を示しているが、重要な数字が除外されている

Uberがリリースしたばかりの米国内安全性報告書 は、致命的な事故の件数をある程度詳しく述べている。良いニュースは、走行距離(マイル)あたりの全体の致命的事故発生率が、全国平均の約半分であることだ。しかし、レポートに含まれるものと除外されるものに関して、いくつかの不可解な選択がなされている。

画像クレジット:</strong>ANTHONY WALLACE

レポートの作成のために、Uberはドライバー、ユーザー、そして保険会社から得られた、事故の内部レポートを収集し、米国全土の自動車死亡事故を追跡するデータベースであるFatality Analysis Reporting System(FARS)と比較している。このような手段を用いることで、Uberは2017年と2018年の合計で、合わせて107人の死者を出した97件の致命的事故を報告している。

同社はこれに先立ち、2018年の1年だけでも米国では3万6000人以上の人間が車の事故で死んでいることを指摘しているため、合計値そのものにはあまり意味がない。そこで、彼らは(他の組織もこの分野で行っているように)これらの事故を走行距離に対する発生率として報告している。10万マイル(約16万km)の走行あたり1回の衝突事故はそれほど悪いものには聞こえない(なにしろたった1回なのだ)。しかしUberの発表した数字に近い10億マイルあたり10回という衝突事故数は、それよりもはるかに優れている(一部の人にとってこれは疑いようもなくはっきりしたことだが、その他の人にとってはそうでもないかもしれない)。

実際の数値を見ると2017年には、82億マイル(約132億km)を超える走行距離の中で「Uber関連」の死亡者は49人だった、これは1億マイル(約1億6000万km)あたり約0.59人である。これが2018年には、103億マイル(約166億km)を超える距離で58人、つまり1億マイルあたり約0.57人だった。全国平均値は1億マイルあたり1.1人を超えているので、全体でみたときの1走行マイルあたりの死亡者数は全国平均の約半分ということになる。

これらの事故は、一般に全国平均よりも遅い速度下で発生し、夜間の都市の照明のある場所でより多く発生していた。ライドシェアサービスは都市に集中し、より短距離で低速な移動に重点がおかれていることを考えると、これは理にかなっている。

この結果は結構なことだが、残念な点がいくつか見受けられる。

第1に、明らかに、致命的でない事故については一切言及されていない。これらを追跡して分類するのは確かに困難だが、それらをまったく含めないのは奇妙に思える。死亡事故率から予想できるように、Uberによる軽い衝突事故や腕の骨折などのより重度の事故が全国平均よりも低いならば、なぜそう書かないのだろう。

これについて尋ねてみたところUberの広報担当者は、致命的ではない事故は、致命的なクラッシュほどは明確に定義または追跡されていないので、一貫して報告することが困難なのだと答えた。それは一理あるが、それでも重要な部分を見逃しているような感じを受ける。致命的な事故は比較的まれなので、むしろ致命的でない事故に関するデータが他の知見を提供してくれるかもしれないからだ。

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第2に、Uberには「Uber関連」事故に関する独自の定義がある。当然のことながら、この定義には、ドライバーが乗客のピックアップに向かうときや、車に乗客が乗っているときが含まれている。上記で触れたすべての走行距離と事故は、乗客ピックアップの途中または乗車中のものだ。

しかし、ドライバーが少なくない時間を「デッドヘッディング」(配車を待ちながら走り回ること)に費やしていることはよく知られている。時間帯によって大幅に事情は異なるために、正確にどれだけの時間かを見積もることは難しいが、私はUberがこの時間を除外した決定が正しいとは思わない。結局のところ、タクシードライバーたちは乗客を求めて走っているときは勤務中であり、Uberドライバーたちも目的地を行き来して、乗客を捕まえやすい場所へと移動し続ける必要がある。車に乗客を乗せていない状態で運転することは、間違いなくUberドライバーであることの主要な部分だ。

デッドヘッディングに費やす時間がそれほど長くなく、その間に発生した事故の数が少なかったということは十分に有り得る。しかし、他の解釈も可能だ。私はUberがこのデータを開示することは重要だと考えている。都市や市民は、配車サービスが交通などに与える影響に関心を持っているし、車は乗客にサービスを行っていないときに単に消えてしまったり、事故に遭わなくなったりするわけではないからだ。

Uberにこれについて尋ねたところ広報担当者は、ドライバーは乗客を乗せていなかった場合には事故を報告しない可能性があるため、サービス中に関わる事故データのほうおが「より信頼性が高い」と答えた。だが特に致命的な事故の場合は、いずれにせよ報告は挙がってくるはずなので、その回答も正しいものとは思えない。さらにUberは、FARSのデータを、事故に巻き込まれたドライバーがUber上でオンラインであったかどうかの内部メトリックと比較できるため、データの信頼性はまったく同じとはいかなくとも似たようなものになるはずだ。

広報担当者はまた、ドライバーは特定の瞬間にUberで「オンライン」になっているかもしれないが、実際にはLyftなどの別の配車サービスを使用して誰かを乗せているかもしれないとも説明した。もしそうなら、事故があった場合には、レポートはほぼ確実に他のサービスに行くだろう。それは理解できるが、それでもここには欠けている点があるように感じる。いずれにしても、デッドヘッディング中の走行距離は上で使った合計には含まれていないので、数字をまったく引き出すことができない。従って「オンラインではあるが配車されていない」状況の走行距離は、今のところ一種の盲点のままだ。

完全なレポートはここで読める。

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(翻訳:sako)