トヨタとGM、Nvidia、ボッシュらが新たな自動運転技術コンソーシアムを結成

我々はまだ自動運転におけるコラボレーションの段階で、消費者が日常的に利用できるようになるのはかなり先のことだ。つまり、米国時間109日に発表された新しい「オートノマス・ビークル・コンピューティング・コンソーシアム(AVCC)」のような団体が形成される機会はたくさんある。AVCCにはARMBosch(ボッシュ)、Continental(コンティネンタル)、GM、トヨタ、NvidiaNXP、デンソーが含まれ、今日の自動車業界をリードするチップメーカーや一流サプライヤー、自動車メーカーが集まった。

AVCCの目標は、「自動運転車を大規模に展開するために最も重要な課題を解決する」ために協力することで、これは自動運転が商業的に利用可能な技術になり、最大の利益を得ようとする努力を結集し、商業化を加速させるためのものだ。自動運転技術はここ数年、熱心な投資と注目を集めてきた分野だが、これらの企業が投資から本当に利益を得られるようになるまでには、まだ時間がかかる。

では、この目標の達成にはなにが必要だろうか。まず、AVシステムのアーキテクチャとコンピュータが遵守すべきサイズ、温度、消費電力、および安全基準を概説した、推奨仕様を定義する。この基準を守ることで、高価で少量しか生産できないプロトタイプから、商業規模でのAVシステムの製造と展開へと移行できるようになる。

しかしこのグループの目標は、単にシステムの仕様を定義するだけではない。参加企業は「共通の技術的課題を研究」し、実際に自動運転車を路上で走らせる際に克服すべき根本的な技術的課題を克服するために、力を合わせることになる。

もちろん、グループの初期メンバーには上記の企業しか含まれていないが、新しいメンバーにも門戸は開かれている。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

低迷が続いていた中国EVメーカーNioの納車台数が9月は回復

中国EVメーカーのNioは第3四半期に4799台を納車し、売上高は35.1%増と大幅にアップした。コストの超過やバッテリーリコール、そして乗用車販売台数の減少やEV助成金の減額といったマクロ経済学的な環境で弱っていたNioにとって前向きな結果となった。

Nioは米国時間10月8日、「ガイダンスレンジの中間地点を499台(11.6%)上回った」とも述べた。

こうした納車状況が明らかになり、Nioの株価は9%超上昇した。米国時間10月8日にマーケットがひける前に1.69ドルで取引されていたNioの株価はそれでも1カ月前に比べると49%下がっている。

第3四半期にNioは5人乗りSUVのES6を4196台、そして高価な7人乗りプレミアムSUVのES8を603台納車した。2019年9月30日時点で、同社のES6とES8の累計納車台数は2万3689台で、そのうち1万2341台は2019年のものだ。

Nio創業者で会長、そしてCEOを務めるWilliam Li(ウィリアム・リー)氏は、納車台数を大きく増やすためにES6の価格をより競争力のあるものにすると約束している。彼はまた、ES6の航続距離を316マイル(約510km)に、ES8の航続距離を276マイル(約445km)に延ばす84kWhのバッテリーパックを搭載する車両の納車を10月から始めたと付け加えた。こうした航続距離の長いEV投入により、第4四半期は注文と納車が増えるとLi氏は見込んでいる。

Nioは前四半期にガイダンスの数字を達成するのに苦労した。同社は2018年6月に中国でES8の納車を開始。納車は当初、予想を上回るものだったが2019年になってスローダウンした。そして第1四半期に3億9090万ドル(約418億円)の赤字を計上した。不振は第2四半期も続き、4億6200万ドル(約494億円)の赤字だった。第2四半期の納車台数は3553台で前四半期より7.9%減少した。

この冴えない結果の改善策として、Nioは車両生産計画の変更、R&D部門のコスト削減と数千人の人員削減を挙げた。リー氏は9月の決算発表時に、同社が第3四半期中に従業員を9900人から7800人に削減する計画だと述べた。彼はまた、追加のリストラを実行し、いくつかの非コアビジネスを年末までにスピンオフさせるとも述べた。

中国での一連のバッテリー発火と、その後の調べで安全リスクにつながる脆弱性があることが明らかになり、Nioは6月、高性能SUVのES8を5000台近くリコールした。ES8のリコールは2018年6月に発売されて以降の販売車両の4分の1にのぼった。

同社はバッテリー製造を優先することで4803台のES8のリコールを完了させることができた。しかしこれは「車両製造と納車に大きく影響した」とリー氏は当時語っている。7月のEV納車台数はわずか837台だった。

ただ、リコール前の納車台数も落ち込んでいる。6月の納車は1340台、5月は1089台、4月は1124台だった。9月にはリバウンドし、2019台を納車した。

このバラ色の9月の数字がNioにとって幅広い意味での転換の始まりを意味するかどうかは不明だ。2014年に設立されて以来、同社の累計赤字額は60億ドル(約6430億円)となっている。中国におけるEV販売は低迷し続けていて、これは助成金減額の影響とされている。

画像クレジット:Visual China Group / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Waymoが交通渋滞を深く把握するためロサンゼルスの3Dマップを作成中

Alphabet(アルファベット)傘下で自動運転車を開発するWaymo(ウェイモ)は、ロサンゼルスの渋滞をより深く理解し、その技術が同地に適しているかどうかを判断するため、交通量の多い一部の地域で3Dマップの作成を開始した。

今のところ、Waymoは自動運転のクライスラー・パシフィカのミニバンを3台だけロサンゼルスに持ち込み、ダウンタウンとミラクル・マイルとして知られるWilshire Boulevardの一部を地図化している。

Waymoの従業員はまず車両を運転し、街の3Dマップを作成する。これらのマップは、GoogleマップやWazeとは異なる。Waymoによると、道路の種類や距離、寸法だけでなく、車線の合流点、共通のターンレーン、縁石の高さなどの地形的特徴も含まれる。これらのデータは標識や横断歩道の長さ、信号の位置などの道路情報と組み合わされる。

Waymoはカリフォルニア州で自動走行車両をテストする許可を得ており、ロサンゼルスにて車両を展開することも可能だ。しかしこれまで、同社はマッピングと調査を実施している。Waymoがロサンゼルスに進出する目的は、ロサンゼルスの交通事情や、同社のAV技術が将来どのように利用されるかを知ることだ。
WaymoはPhoenixの郊外で運用しているWaymo Oneのような、乗車プログラムをローンチする計画はないと伝えている。Waymo Oneでは、人間のセーフティードライバーがハンドルの前に控える自動運転車に乗車可能だ。

Waymoは自動運転車のテストをカリフォルニア州のMountain Viewとその周辺で開始し、その後にミシガン州のNoviやMich、ワシントン州のKirkland、サンフランシスコ、そして最近ではフロリダ州でも実施している。しかし、同社の活動の大部分は日差しが強く、また埃の舞うPhoenixの郊外とMountain Viewで進められてきた。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

アップル本社のあるクパチーノ市がViaによるオンデマンドの公共交通機関を立ち上げ

シャトルのスタートアップのViaと米国クパチーノ市が、オンデマンドの公共交通ネットワークを立ち上げる。これは、従来のバスに代わるものを試行する地方自治体の最新の例だ。

このオンデマンドシャトルはクパチーノの市章を付けた6台のバンでスタートする。狙いは、列車便CalTrain(カルトレイン)との接続を改善し、市の公共交通をより便利にすることだ。

このオンデマンドシャトルサービスは10月29日に始まり、最終的には10台で運用され、車椅子利用者への便宜も提供される。車両管理を代行するもうひとつのパートナーであるAvis Budget Groupが、車のメンテナンスも担当する。

クパチーノの住民や通勤者は、アプリまたは電話予約でシャトルを呼べる。Viaの発表によると、ネットワークは市の全域11平方マイル(約30平方km)をカバーし、カルトレインのサニーベール駅を利用する通勤者たちの周辺の都市圏が含まれる。クパチーノの市長であるSteven Scharf(スティーブン・シャーフ)氏は、Viaのオンデマンドサービスを「次世代の公共交通機関であり、人びとの移動性を増すと同時に交通渋滞の減少にも貢献する」と見ている。

運行時間は平日が午前6時から午後8時まで、日曜日は午前9時から午後5時までで、運賃は5ドルだ。定期は1週間が17ドル、1か月が60ドルである。

Via Cupertino Service Zone 1

Viaの事業には2つの面がある。同社はシカゴとワシントンD.C.とニューヨークでは、一般消費者向けのシャトルを運行している。

また他方では都市や地方の交通局などをパートナーして、彼らが運用するシャトルを提供している。Apple(アップル)やSeagate Technologiesをはじめ、ソフトウェアやテクノロジー関連企業の多いクパチーノ市は、その例のひとつだ。オースチン広域都市圏交通局は、同市のピックアップサービスをViaのプラットホームを利用してより充実させている。また英国ではドイツ鉄道の子会社のArriva Busが、同国ケント州の高速鉄道駅への通勤者の連絡を改善するための末端交通機関としてViaを利用している。

1月にViaは、ロサンゼルスとのパートナーシップを発表した。それは同市の公共交通機関の利用の多い3つの地区で通勤者の便宜を図るためだ。Viaによると、同社はこれまでに80件あまりのシャトルサービスを立ち上げており、20を超える国で目下検討されている。これまでの乗客累計は6000万人超に達する。

都市の指導者たちは最近ますます、オンデマンドシャトルの実験に入れ込んでいるようだが、このニッチビジネスの成功は保証されていない。たとえばFordが買収したChariotは、2019年の初めにサンフランシスコとニューヨークと英国の操業を閉鎖した

画像クレジット:Via

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動運転のZooxがサンフランシスコに次いでラスベガスに進出

自動運転車のスタートアップZooxがラスベガスに進出する。同社CTOのJesse Levinson(ジェッセ・レヴィンソン)氏がTechCrunch Disrupt SFで明らかにした。

これまでに8億ドル(約855億円)を調達し、サンフランシスコの公道でテストしてきたZooxは、ラスベガスが自動運転車両とサービスにとってターゲットマーケットだと話した。同社にとってラスベガスは中心的なマーケットとなる。自動運転車両による配車サービス展開を目的に、技術のテスト、確認、改良を行う計画だとレヴィンソン氏は述べた。

Zooxは2019年初めにネバダ州の道路で自動運転車を走行させる許可を州自動車局から得ていた。同社は現在、大ラスベガス地域で新しいルートのマッピングとテストドライブを進めている。Zooxは人を乗せて走ることも許可されているが、今回は実施しないとのことだ。

「今のところ、Zooxはコストに見合わせるために戦略的テストを行っている」とCEOのAicha Evans(アイシャ・エバンス)氏はDisruptでTechCrunchに語った。つまり、Zooxは改造したトヨタのHighlander自動運転車両を期間限定、おそらく6週間かそこらラスベガスに送り込む。同社は改造した車両を30台以上有しているが、うち5台のみを展開している。

時間をおいて段階的にZooxはラスベガスでの走行を拡大する。「公道におけるゼロからの車両のデモを2020年に開始し、そのすぐ後に商業展開となる」と同社は話した。

人口密度が第2位の都市環境でさらに学習する機会となり、またサンフランシスコに比べてさまざまなそしてユニークなユースケースがあることからラスベガスを選んだ、とZooxは話した。たとえば、ラスベガスにはリバーシブルレーン、複雑なピックアップ・ドロップオフゾーン、高温、夜間の活発さがある、としている。

画像クレジット: Zoox

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(翻訳:Mizoguchi)

自律運転車より自律飛行機の方が先に実用化されるとGoogleの自律運転チームの創設者は語る

十分に高い高度に上ってしまえば、自律運転車を悩ませる歩行者や交通渋滞のような、多くの障害について心配する必要はなくなる。それこそが、Googleの自律運転チームの創業者であり、飛行機スタートアップKitty Hawk(キティ・ホーク)のCEOに転じたSebastian Thrun(セバスチャン・スラン)氏が、米国時間10月3日にTechCrunch Disrupt SFのステージ上で、真の自律性は路上よりも先にまず空中で成功するだろうと口にした理由だ。

「自律運転車を完成させる前に、自律飛行機を成功させることになると私は信じています」とスラン氏はTechCrunchのコロセック記者に対して語った。

 

その理由は?「少しばかり空中を上ると、子どもや、自転車、そして他の車などに衝突しないようにする難しさが全て消えてしまうのです。建物を超え、木を超えて、ヘリコプターのように飛んでいくのです!」とスラン氏は説明したが、個人用ヘリコプターはあまりにも喧しいので、カリフォルニア州ナパのような場所では禁止されていると指摘した。

スラン氏によるこうした表明は、都市がどのように計画され、不動産が購入されるかについて広い影響を及ぼす。自律運転車専用道路車線が必要になるよりも早く、より多くの垂直離陸ヘリパッドが必要になるのかも知れない。カリフォルニア州ビッグサーのように、そこに行くためには曲がりくねった道が1本しかないような森林内にある多くの遠隔地が、突然アクセスしやすくなって、都市やオフィス自律飛行機で通うことのできる富裕層にアピールするかもしれないからだ。

また、このコンセプトは、スタートアップ業界にも広範な影響を与える可能性がある。明らかに、スラン氏自身の会社であるKitty Hawkは、早すぎることのない市場投入による恩恵を受けるだろう。本日Kitty Hawkは、超静音設計のHeaviside機を発表した。もし予言が実現した場合には、垂直離陸機に投資しているUberは、Lyftや他の車に焦点を当てている配車プレイヤーたちよりも良い位置を占めることになるだろう。

その垂直上昇機が禁止されないように、そしてより多くの自律飛行を確保されるように、最近Kitty Hawkは、元FAA管理官のMike Huerta(マイク・ウエルタ)氏を顧問として迎え入れた。

そしてスラン氏は、自動車はさまざまな道を経由して移動する必要があるが、空中では「直線的に移動するので、Teslaに比べて1マイルあたりのコストは3分の1くらいになるだろうと考えています」と語った。また、共有されるUberPoolスタイルのフライトなら、エネルギーコストは「1マイルあたり30セント(約32円)」まで下がると彼は予想している。

しかしその一方で、スラン氏は、私を含め人びとに「フライングカー」(Flying Car)という言い方を止めさせたいと考えている。「私は個人的に『フライングカー』という言葉が好きではないのですが、何しろそれはとてもキャッチーです。技術用語としてはeVTOLと呼ばれます。これらは通常は、電気を使って飛行する機体で、垂直に離陸と着陸を行うことができます。このため空港は必要ありません。そして、それらはほぼ普通の飛行機のように飛びます」。その言葉が実際のものになるのか、そして道路が狭くなるまえに空がより混雑するようになるのかを見極めることにしよう。

Kitty Hawk Heaviside starry night

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(翻訳:sako)

NASA初の実験的全電動航空機X-planeがテストを開始

NASAが近く、ほぼ20年ぶりに有人機のX-planeを飛ばす。X-planeはNASAがさまざまな技術をテストするための実験的航空機の総称で、フライトシミュレーターのX-Planeとは異なる。そのX-planeはX-57 Maxwellと呼ばれ、もうひとつ重要なのはNASAにとって初めての全電動の実験機であることだ。

NASAがX-57 Maxwellを米国カリフォルニア州のアームストロング航空研究センター(Armstrong Flight Research Center)に送付したことは、地上試験の開始が近いことを意味している。そして地上試験がOKとなったら飛行試験を開始する。この全電動のX-57以外にもNASAには、航空機の電動推進システムをテストするための航空機がいろいろある。それらは、来るべき航空輸送の全電動化に向けて、さまざまなスタンダードや設計慣行、認定計画などを作っていくための研究基盤でもある。それは、今勃興しつつある電動垂直離着陸機(VOTL機)による短距離交通の業界も視野に入れている。

NASAの計画では、今回のX-57およびその各種変形バージョンによるテストの結果は産業界やそのほかの諸機関、および規制当局と共有する。X-planeプロジェクトはまた、飛行の効率化や騒音の削減、人間の生活環境の安全などの面で、NASAが日常的な商用航空産業に対して技術的貢献をする手段のひとつにもなる。

画像クレジット: NASA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボルボが同社初の電動SUV XC40のイラストと概要を初披露

Volvo(ボルボ)は、近日発売で同社初の全電動自動車であるXC40 SUVを初披露し、初期のスケッチや仕様の詳細を一部公開した。ポイントは、シンプルなデザインを強調し、ガソリン車にあった一部の機能を捨てたことだ。

例えば、XC40 SUVにはテールパイプ(排気管)がない。伝統的なフロントグリルはガソリン車の冷却に使われていたものなので、それもなくなっている。そして、フランク(フロントトランク)がある。これはTesla「テスラ)の電気自動車に登場したもので、最近は他社も採用しているところがある。

現在ボルボ新型車のスケッチのみ公開しており、デビューは10月16日だ。下の写真を見るとテールパイプがないことがわかる。
Design sketch of Volvo Cars fully electric XC40 SUV 4

Volvo XC40 BEVデザインスケッチ

次の写真でVolvoはフランクを披露している。約30L(リットル)の積載スペースが追加されると同社は説明する。

Design sketch of Volvo Cars fully electric XC40 SUV 2車の前面の詳しいルックス。ボルボのガソリン車に見られた伝統のフロントグリルはなくなっている

「グリルの必要性がなくなったため、前面はすっきりとしたよりモダンなデザインになり、テールパイプを排除したとで後部も同じくシンプルな外観になっている。これは、電気化への探究を続ける当社のアプローチの一環だ」とVolvo Carsのデザイン責任者であるRobin Page(ロビン・ページ)氏が声明で語った。

Design sketch of Volvo Cars fully electric XC40 SUV

ボルボは来たるべき電動SUVの詳細をいくつか付け加えた。外装カラーは8色で、新たに「セージ・グリーン」のメタリックが加わっている。コントラストのあるブラックのルーフが標準装備。19インチと20インチの新しいホイールがオプションとして追加される。

SUVの室内では、バッテリー状態などの必要情報を表示するドライバーインターフェースが変更されている。インテリアデザインはスポーティーなスタイルを採用し、カーペットはリサイクル材料を使っていると同社は言った。ボルボは室内の広さも強調しており、バッテリーパックが床下に収納されていることを理由のひとつに挙げた。

ドアやシート下にも機能的なストレージスペースがあるほか、トンネルコンソールには小さなバングを掛けられる折り畳み式フックや取り外し可能なくずかごがある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電動キックボードBirdがシリーズDで約290億円の資金調達、狙いは海外展開の強化

電動キックボード事業を展開するBirdは10月3日、2億7500万ドル(約290億円)をシリーズDで調達したことを明かした。リードはCDPQとSequoia Capital。バリュエーションは25億ドル(約2670億円)。

同日にTechCrunchが主催するDisruptにて登壇したBirdのCEOのTravis VanderZanden氏は、調達した資金をもとに同社が「より多くの街に展開していく」と話した。Birdは8月、同社にとっては日本での初となる実証実験を福岡市で実施しているが、VanderZanden氏から日本での今後の展開に関して言及はなかった。「ヨーロッパに関しては引き続き注力していく」という。「Birdとそのミッションを出来るだけ早く世界に届けたい」(VanderZanden氏)。

6月に発表されたScootの買収に関して「1つのブランドになる予定は?」と聞かれたVanderZanden氏は「Scootブランドは残す」と答えた。同氏いわく、Scootの強みは「街との協力体制の構築が巧み」な点。9月にはJUMP、Lime、Scoot、Spinの4事業者が、10月15日よりサンフランシスコで電動キックボードを展開する許可を得られたとTechCrunchが報じた。この時Birdが許可を申請しなかったのは、Scootを買収していたから。ちなみに、前回は許可を得られたSkipは、今回は残念ながら許可を得られなかった。ハードウェアの安全性に関するスコアが低かったとサンフランシスコの市営交通機関は説明している。

Birdは電動キックボードのシェアリング以外にも、ハードウェアの販売や月額のサブスクを展開している。「車の所有」は当たり前だが、マイクロモビリティーはまだまだ「フレッシュスタート」であるため、様々な選択肢を用意しているという。

様々な選択肢は、ハードウェア面でも用意されている。8月には最新の電動キックボードのBird Twoが発表されたが、それ以上に印象的だったのは6月に発表されたBird Cruiserだ。

Bird Cruiser

Bird Cruiserは2人乗りの、自転車とモペット(ペダル付きオートバイ)の中間のような電動の乗り物。VanderZanden氏によると、電動キックボードは1〜2マイル(1.6〜3.2Km)、そしてBird Cruiserは2〜5マイル(3.2〜8Km)の移動に適しているそうだ。そして、Bird Cruiserは電動キックボードに乗るのを躊躇する、中高年の利用も想定している。「車の稼働を削減する」と繰り返したVanderZanden氏。Birdは利用方法やハードウェアの多様性により、車よりも環境に優しいマイクロモビリティーを定番化しようと試みている。

テスラのQ3の納車は過去最多の9万7000台でアナリスト予想に届かず

Tesla(テスラ)は米国時間10月2日、第3四半期に過去最多となる9万7000台の電気自動車を納車したと発表した。この数字は前四半期より2%増だったが、それでもアナリストの予想には届かなかったこのニュースを受けて、Teslaの株価は時間外取引で6%近く下落した。

テスラは同日、第3四半期には前四半期より10%多い9万6155台を製造したことも明らかにした。同社はこのところ生産台数を着実に伸ばしている。2018年第4四半期の生産台数は8万6555台で、今年第1四半期は7万7100台に落ち込んだ。そして第2四半期に8万7048台に戻した。

FactSetによると、アナリストは第3四半期の納車が9万9000台になると予想していた。

過去最多の納車台数となり、さらに生産をのばせることを示したにもかかわらず、この数字はCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏の高い目標に届かなかった。リークされた電子メールの中で、マスク氏は第3四半期に10万台を生産できたかもしれなかったと語った。

テスラはまた、第3四半期に過去最多のネット注文を受け、受注残が増えた状態で第4四半期に突入したことも明らかにした。すべてのModel 3の注文は予約していなかった客からのものだったとも述べた。参考までに、以下は過去の納車状況だ。

同社は第2四半期に9万5200台を納車した。これは6万3000台だった第1四半期から大幅な伸びで、第1四半期は前四半期から3分の1ほど落ち込んでいた。低迷した第1四半期の納車台数の影響は決算に如実に現れた。コスト、価格調整なども響き、予想を大幅に超える7億200万ドル(約752億円)の赤字となった。

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(翻訳:Mizoguchi)

電動キックボードLimeのCBO、David Richter氏がTechCrunch Tokyoに登壇決定

LimeのCBO、David Richter氏

今年も11月14日、15日に渋谷ヒカリエで開催される、スタートアップとテクノロジーの祭典、TechCrunch Tokyo。モビリティー関連では、これまでに自動運転OSのAutowareを開発したティアフォー取締役会長兼CTOの加藤真平氏や、トヨタの自動運転の取り組みに関わるソフトウェアの先行開発を行っているTRI-ADのCEO、James Kufner氏の登壇を発表してきたが、本日は新たにLimeのCBO、David Richter氏の参加が決定したことをお伝えしたい。

TechCrunch Japanでも何度か取り上げているLimeは電動キックボードのシェアリング事業をコアなビジネスとして展開している、マイクロモビリティー領域におけるキープレイヤーだ。9月には福岡市の貝塚交通公園にて同社にとって日本では初の実証実験を行い、最新型の電動キックボード「Generation 3.0」を披露した。

今後、日本でのサービス展開を目指すLime。Richter氏には日本でのサービスインに向けたプランや、電動キックボードは日本においてどのようなポテンシャルを持つのか、政府や交通機関とどのように交渉し連携していくのか、などについて話を聞きたいと思う。

Richter氏は2018年10月にLimeにChief Business Officerとしてジョイン。それ以前はライドシェアUberでVP, Global Head of Business and Corporate Developmentを務めていた。

現在発売中のTechCrunch Tokyo 2019のチケットは後述のとおり。

  • 学生向けの「学割チケット」(1万8000円)
  • 5人以上の団体向けの「団体チケット」(2万円×5枚以上)
  • 「前売りチケット」(3万2000円)
  • 専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)
  • 設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1万8000円)
  • 設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)

チケット購入はこちらから

電気自動車Taycan人気でポルシェが500人超を新規雇用

電気自動車Taycan(タイカン)に対する需要が大きく、Porsche(ポルシェ)はドイツのシュトゥットガルト・ツフェンハウゼンに置く本部で新たに500人超を雇用する。

この新規雇用によりTaycan生産に従事する社員の数は3分の1増えて2000人になる見込みだ。これで、生産拡大が必要となったときに柔軟に対応できる。

我々はTaycanでeモビリティが決してジョブキラー(職を奪うもの)ではないことを証明している」とポルシェの人事担当役員Andreas Haffner(アンドレアス・ハフナー)氏は発表文で述べた。「むしろ、特にスポーツカー部門において、未来を明るいものにしている」。

ポルシェはこれまでに、同社初の電気自動車となるTaycanの開発に10億ドル(約1070億円)超を費やしてきた。そして、予約数を見る限り、それだけの価値はあったようだ。Taycanが9月に披露される前から、同社はTaycanに対する需要が大きいと語ってきた。これは、4ドアスポーツカーTaycanを予約しようとデポジットを支払った人の数に基づいている。予約金は2500ユーロ(2785ドル、約29万円)だった。

ポルシェは当初、初年度のTaycan生産目標を2万台としていたが、ラインをフル稼働させれば最大4万台の生産が可能だ。

これまでに3万2000件もの予約申し込みがあったとハフナー氏は語った。

同社はまた、Taycan生産に従事する社員を2020年第2四半期末までに増やす計画だ。

Taycanは会社による単なる賭けではない。社員もまた望みを賭けた。労働者側と経営側は、もっと安くで車を生産できるかもしれない場所ではなくツフェンハウゼンでTaycanを生産することを保証するため、2025年までの賃金アップ見送りを含めたコスト削減策に合意していた。

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(翻訳:Mizoguchi)

自動車工場労働者のストライキでGMの損失が1000億円突破

ゼネラルモーターズ(GM)の工場労働者によるストライキは3週目に突入し、同社の第3四半期決算に10億ドル(約1077億円)以上の損失を与えていると、J.P.Morgan(JPモルガン)のアナリスト、Ryan Brickman(ライアン・ブリックマン)氏が伝えた。

そしてその損失は、週を追うごとに増え続けている。GMはストライキの最初の週に約4.8億ドルを失い、翌週には5.75億ドルを失ったとブリックマン氏は語っている。GMは北米における潜在売上を1日あたり約8200万ドルずつ失っている。

9月16日に全米自動車労働組合(UAW)がストライキを開始して以来、生産停止の影響は同社の全世界事業に波及効果を及ぼしている。米国時間10月1日にAP通信は、GMがメキシコ・シラオのピックアップトラックおよびトランスミッション工場を閉鎖し、現地の労働者6000名に影響を与えたと報じた。さらにGMは、メキシコのエンジン工場とカナダの組立工場もストライキの影響により閉鎖せざるを得なかった。

「GMの米国内生産は9月16日にUAWが仕事を放棄した直後に停止し、カナダとメキシコの工場は1週目から徐々に影響を受け始めた」とブリックマン氏は書いている。

今週、投資銀行であるJefferies Group(ジェフェリーズ・グループ)のアナリスト・Philippe Houchois(フィリップ・ホーチョイス)氏も、ストライキはGMの行う投資にも制約を与える可能性があることを指摘した。

給与、福祉手当、一時労働者の待遇などがストライキの主要な推進力だが、メーカーの電気自動車へのシフトに対する不安も要因のひとつだ。GMを始めとする自動車業界は、電気自動車開発に資金を集中させている。しかしこの変化は労働者にも影響を及ぼしている。電気自動車は必要な部品が少なく、製造が容易だからだ。UAWは、ガソリンから電気へのシフトは今後数年間に3万5000人の失業者を生む可能性があると推定していると、CNBCが最近報じた組合の調査結果が示している。

昨年11月、GMのCEO兼チェアマンであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、北米で1万4000人以上の人員を削減し、工場の閉鎖や一部車種を廃止して高収益のSUV、クロスオーバーおよびトラックに集中し、電気自動車や自動運転車など将来の製品へに投資するなどの計画を発表した。

一連の行動は、予想される米国市場の沈滞から会社を守り、年間フリーキャッシュフローを約60億ドル増やすことを目的としていた。しかし、同時に労働者の不満と懸念をもたらすことになった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

韓国のヒュンダイが「空飛ぶ車」事業に参入

Hyundai Motor Group(ヒュンダイ・モーター・グループ)は、空飛ぶ車の技術開発と商品化を目的とした新しい部門を作り、生まれつつある新興産業に参入する。

新部門の長は、NASAの航空学研究ミッション部門を最近まで率いていた航空工学技術者のJaiwon Shin(ジェイワン・シン)氏。シン氏はNASAに在職中、超音速Xプレーン、飛行機の電気化、無人航空機(UAS)交通管理、都市空輸などを研究する7億2500万ドル(780億円)の研究開発プロジェクトを監督した。

シン氏が率いる新部門は「安全で効率のいい空中輸送のための中核技術と革新的ソリューションを開発する」とヒュンダイは言う。シン氏の専門である航空機機体、エンジン、航空安全性、交通管理は、都市部での空中輸送分野で先頭に立つために必要な技術だ。「都市空中輸送市場は、今後20年間以内に1.5超ドル市場に成長すると期待されている」と同氏。

もちろん、Uber、Kitty Hawk Corp.、Terrafugia、Volocopterなどが、さまざまな空飛ぶタクシーを追究している。

ヒュンダイを含めこうした企業はいずれも、空飛ぶ車を地上の交通問題を解決する手段のひとつと捉えている。しかし、空飛ぶ車はその問題の場所を空に移すだけかもしれない。空中輸送管理技術が航空機開発と同じように重要なのはそれが理由であり、シン氏にはその経験がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

台湾の電気スクーターメーカーGogoroが軽量電動スクーターの新モデルを発売

台湾の電気スクーターメーカーGogoroは米国時間9月25日、軽量スクーターの新モデルを発表した。同社のモペット、Smartscooter(スマートスクーター)よりも小さく、一般の電動自転車よりは力強いものを求めている人向けの製品だ。このVivaという名のスクーターは、Gogoroの交換可能なバッテリー1つで85kmを走行できる。バッテリー自体は、Smartscooterと同じステーションで充電する。

Gogoroの共同創立者でCEOのホレス・ルーク(Horace Luke)氏は、Vivaは50cc〜100ccのガソリンエンジンのスクーターに取って代わる、環境に優しい乗り物として開発されたと、TechCruchに語っている。10月から入手可能となり、台湾では、いくつかの国際市場に先立って、来年に発売となる。

素材は、リサイクル可能で、傷の付きにくい硬質のポリプロピレン製。5色を組み合わせたデザインとなっている。Vivaの重量は80kgで、容積21リットルの荷室を内蔵する。販売価格は1800ドル(約19万4000円)で、荷物用のカゴやラックなど、約100種類のオプションも用意されている。

他の多くのアジアの都市と同様、モペットは台湾でも人気がある。2人乗りで乗客を運んだり、配達用などとして、重要な乗り物となっている。ルーク氏によれば、現在Gogoroのスクーターは、台湾の電動バイク市場の95%を占め、ガソリン車を含めても、すべての新車の17%のシェアを獲得しているという。

Vivaは、大型のモペットを所有する場合のようなコストを気にしたくないという顧客を意識して開発された。メンテナンスのために修理工場に通ったり、駐車場を確保する必要はない。

「Vivaは、1日の走行距離が5km以内の人に向けて開発したものです。傷も付きにくく、安く購入でき、メンテナンスのために店に立ち寄る必要もなく、駐車場代もかかりません」と、ルーク氏は言う。「すでに17%の市場シェアを獲得していますが、それを25%に、さらに35%にするにはどうすればいいか、というのが現在の課題です」。

Gogoroの他のモペットと同様、Vivaも同社のiQシステムに接続されている。ユーザーは、スマホアプリを使って、スクーターのロックを解除したり、走行距離やメンテナンスの状態をモニターできる。台湾政府の電動車に対する助成金のおかげで、実質的な価格はニュー台湾ドルで2万5980ドル(約9万円)となる。これは、ハイエンドの電動自転車の価格とも競合できるレベルだ。Gogoroは、台湾で販売されるVivaに対して、2年間の無料メンテナンスも提供する。

Gogoroは、すでに世界市場で、20万台以上のSmartscooterを販売している。たとえばEU諸国では、スクーターシェアサービスを展開するCoupのパートナーとなっている。韓国では、最近配達用の電動スクーターを発売した。また日本でも存在が知られるようになってきた。さらにGogoroは、ライドシェアの企業向けに、ホワイトラベル方式でモビリティのプラットフォームも運営している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

組合結成を妨害したテスラとイーロン・マスクが労働法違反と判決

Tesla(テスラ)が労働者の組合結成を不当に妨げたことは国の労働法に違反している。米国時間9月27日に米国カリフォルニア州の行政法判事が判決した。

この判決は控訴されると思われるが、Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じた。Teslaは、コメントの求めに応じていない。得られ次第、この記事をアップデートする。

この自動車メーカーとCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、Amita Batman Tracey(アミタ・バットマン・トレーシー)判事から違反の修正行為を求められた。それには、組合結成活動をしていた社員の復職と遡及賃金の支払いが含まれる。判事はさらにマスク氏に、全国労働関係局(NLRB)が同社を法律違反と結論したことを、会社の集会などで全社員に報告することを命じた。

判決文より。

被告がその社員たちを召集してイーロン・マスクまたはその時点で会社の最高位にある者が、警備員や全管理職および監督職のいるところで、この注記を社員に向けて朗読することを命じたい。場合によっては朗読は、Musk同席のもとに全国労働関係局の職員によるものであってもよい。

Bloombergの記事によると、NLRBはTeslaが法に違反したことを判定できるが、それ以上の権限はない。例えばNLRBは、役員個人を有罪としたり、罪科となる被害を査定することはできない。

判決は9月27日に発表され、マスク氏とTeslaは全国労働関係法に違反して、同社のカリフォルニア州フリーモントの工場における組合結成の試みを抑圧したとしている。非番の社員がフリーモントの駐車場で組合結成呼びかけのチラシを配ることを同社は禁じて2人の労働者を不当に解雇し、組合活動について社員を尋問したことも違法とされた。さらにまた、組合に加入した労働者は会社が払うストックオプションを放棄すべし、と匂わせているマスク氏のツイートも違法と判断された。

Teslaのチームに組合結成を止めさせるものは何もない。望めば明日にでも作れる。でも組合費やストックオプションを彼らに会社が払ういわれはない。当社の安全性は、プラントが全米自動車労組に入っていたころより2倍いいし、誰もがすでに医療サービスを受けている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberがアプリで警察にテキスト送信する機能を導入へ

性的暴行やその他の安全に関わる問題は、残念ながらライドシェアリングビジネスにおける現実だ。いくつかそのような疑惑をかけられているUberは、乗客がアプリ内で911(日本の110番に相当)にテキストを送る機能を導入したと発表した。

乗車中、Uberの利用者はUberアプリの安全ツールキットを使って、車のナンバーや行き先、正確な現在位置など予め用意された必要情報を含むメッセージを911に送ることができる。

「緊急時には1秒も無駄にできないことを我々は知っている」とUberのプロダクトマネジメント担当シニアディレクター、Sachin Kansal(サチン・間ソール)氏が本日9月26日のUberイベントで語った。「アプリから911にメッセージを送れるだけでなく、正確な位置情報を伝えられるのは画期的なことであり、警察関係者からはこれで命が救われる可能性があると言われた」

この少し前に、Uberの調査チームが会社の責任を制限しようとしていることをワシントンポスト紙が報じた。またCNNは、2014年から2018年にかけて103名のUberドライバーが乗客への性的暴行または暴言などで訴えられたことを報じている。

Uberは2018年5月にRapidSOSと提携して911通報アシスタントを導入した。今回のテキストメッセージ機能は、来月ロサンゼルスで地元警察の協力を得て開始される。今後Uberは全米の都市に同機能を追加していきたい考えだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ついにベールを脱いだCanooのロフト風電気自動車

ロサンゼルスに本社を置くスタートアップCanoo(カヌー)が、ついに初のモデルを発表した。その名も社名と同じCanoo。

Canooのデザイナーたちは、他の電気自動車メーカーが好むスタイルとは激しく異なる方向性でスタートした。中国のByton(バイトン)が目指すSUVや、米国のTesla(テスラ)やFisker(フィスカー)のスポーツカーやセダン、Rivian(リビアン)の電気トラックとは違う、フォルクスワーゲン・マイクロバスに近いスタイルだ。

際立っているのは、Canooが最初のモデルのデザインとエンジニアリングをわずか19カ月で完了させ、現在は契約製造業者に車両製造を引き渡せるよう準備をしているという点だ。現在のCanooの代表Ulrich Kranz(ウルリッチ・クランツ)氏によると、最初の車両は2021年に公道に登場する予定とのこと。

クランツ氏は、最高技術責任者としてこの会社に加わったが、Canooの共同創設者でCEOのStefan Krause(ステファン・クラウス)氏が個人的な理由で8月に会社を去ったあと、日々の業務を引き継いだとThe Vergeは伝えている

クランツ氏の話によると、Canooのデザインには2つの鍵となる特徴があるという。空間と価格だ。同社の最初の車には、その両方がふんだんに盛り込まれている。

ロサンゼルス本社にはCanooのベータ版の車両が置かれていて、提携を考えている企業や顧客が試乗できるようになっている。製造したのはミシガン州の非公開のメーカーだ。「私たちは2台ほど製造して、これまでに行ったシミュレーションの検証と確認を行うつもりです」とクランツ氏は話していた。

Canooは昨年1年を使ってプロトタイプの開発について製造業者との話し合を重ね、自動車のデザインと開発の方法についてアドバイスがもらえるようにした。

Canooは、ロサンゼルスの市場で最初の車両をローンチし、「スケートボード」プラットフォームを自社製の車両に使うだけでなく、顧客と共同でオリジナルのキャビンをそのプラットフォーム上に製作することも視野に入れているとクランツ氏は言う。

同社は、まったく新しいビジネスモデルで市場に参入しようと考えている。月ごとのサブスクリプション料金で車両を提供するというものだ。このサービスには、顧客のスマートフォンのひとつのアプリから自動的に、車両登録、メンテナンス、保険の管理、支払いができるといった特典が含まれるようだ。Canooによると、これはNetflixの映画配信サービスの利便性と経済性を自動車業界にもたらすものだという。

最初の車両は、面積が小型車並みであるにも関わらず、7人がゆったり乗れて、SUV並みの車内空間が確保されているとのこと。後部の座席は、サイドとリアの壁に沿ってコの字型に配置され、フロントのキャビンはソファーのような配置になっているとクランツ氏は教えてくれた。

「これまで自動車は、ひとつのイメージと感性が伝わるようにデザインされてきました。しかし、私たちは自動車のデザインを根底から考え直すことにして、未来のユーザーが実際に必要とするものにフォーカスしました。そうして出来上がったのがロフト風の自動車です」と、Canooのデザイン責任者Richard Kim(リチャード・キム)氏は言う。「サブスクリプション契約をすると、自動車の考え方が変わります。今や、車の価格はユーザーの利益によって決まるのです。私たちはバウハウスの哲学を吹き込みました。ミニマリズムと機能性を中心に据えて、絶対的に必要最低限なものへ要素を削ぎ落としてゆきます。次に、そのアプローチを顧客が最も大切にしているパーソナルなデバイス、つまりスマートフォンとのシームレスな接続性に適用します」。

娯楽システムは、顧客が所有するデバイスに依存するが、CanooはiOSにもAndroidにも対応する。中央ディスプレイは配置せず、ドライバーや乗客がそれぞれが自分のナビやアプリを車内で使うようになることを同社は期待している。

クランツ氏によれば、自動運転も念頭に置いているという。現在のシステムには7台のカメラ、5つのレーダー、12基の超音波センサーが装備され、レベル2の自動運転が可能になっている。クランツ氏がとくに自慢する新機能に、ビデオカメラでドライバーの運転中の挙動をモニターし、安全に運転しているときには余計な警告を出さないようにするというものがある。

「ドライバーの顔と意図をカメラで監視します」とクランツ氏。「ドライバーが何かに注意を向けたとカメラが認識したとき、たとえば、右側の影になっている部分を見ようとしているときは、警告のアラームは出しません。なぜなら、人はよくアラームシステムを切ってしまうからです」。

だが、Canooのシステムの心臓は、前述のスケートボード構造だ。キャビンの下のシャシーにバッテリーとドライブトレーンが組み込まれている。Canoo製の車両にはすべてこれと同じ基礎構造が使われ、その上にいろいろなキャビンを載せることで、目的に合わせてさまざまな車両を作ることになる。

最初の車両の安全性は5つ星の評価を獲得しており、車内全体にドライバー用と同乗者用のエアバッグが設置されている。スケートボードプラットフォームは、デュアルモーター、フロントモーター、リアモーターの設定が選べる。

最後に、この車は本当の意味での市場で最初のステア・バイ・ワイヤー車両だと同社は話していた。ハンドルと車輪との間をつなぐ機械装置は存在しない。

ステアリングは、電気信号によってのみ伝えられる。完全な冗長性を持たせたコントロールシステムは、将来のデザインに長期的な恩恵をもたらすものだと同社は説明している。ステア・バイ・ワイヤーは軽量化に貢献し、またハンドルの位置を自由に決められるため、室内デザインやドライバーのポジションに柔軟性を与えられる。

走行距離だが、Canooの最初の車両は250マイル(約400km)で、30分以内に80%まで充電が可能だ。バッテリーパックはスケートボード構造の中に直接組み入れられていて、専用の構造体を必要としないため広い空間が確保できる。さらにシャシーに直接組み込まれていることから、バッテリーは車両のねじれ剛性を高める役割も果たす。

サブスクリプションの料金がいくらになるかクランツは明かさなかったが、7年から10年の期間で車両の価格を落とすことができるためコストが下がると話していた。「この節約ぶんを顧客に還元するのです」と彼は言う。価格は下がっても、この新しい会社で儲けを出すことは可能だとクランツは期待している。「私たちは、電気自動車で利益を出す最初の電気自動車メーカーになります」と彼は話していた。

レンタルモデルは、同社の保守的なロールアウトプランの助けになる。クランツ氏によれば、Canooの提供はひとつの地域から開始して、ゆっくりと広げてゆくという。

「私たちは、都市ごとにロールアウトしてゆく予定です」と彼は言う。「8から10の都市で、電気自動車人口全体の70%以上をカバーできます。(そのため)全国展開する必要はないのです」

2021年の計画では、ロサンゼルスでローンチした後、その他8つの都市で同社の米国市場を構築する。つまり、西海岸に4つ、東海岸に4つだとクランツは言う。

「米国でローンチした後、中国でのローンチも考えています。中国では電気自動車人口の75%を18の都市でカバーできます」と彼は話す。

統制されたスケールの拡大と控えめな地理的リーチの目標によって、大きな利益が得られるとクランツ。

「それには、車両の保有台数を簡単にコントロールでき、慎重な方法でステップアップできるという大きな利点があります。何千何万台もの自動車を生産できるなどと、私たちは自慢したりしません」と彼は言う。「早いペースで高品質な車を作ることがいかに難しいかを、私たちはよく知っていますから」。

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    Canoo
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    Canooのリアインテリア
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    Canooのフロントキャビン
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    Canooのスケートボード・プラットフォーム
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    Canooのステアリングコラム
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(翻訳:金井哲夫)

DiDiとPayPayが還元上限2000円のタク代半額キャンペーン、対応タクシーはゼンリンナビ搭載へ

タクシー配車サービスを展開しているソフトバンク系のDiDiモビリティジャパンは9月25日、「PayPayならDiDiのタクシーが半額で乗れちゃうキャンペーン!」を開催することを発表した。実施期間は9月27日〜10月31日の約1カ月間。還元上限2000円で、タクシー料金をPayPayで決済すると半額になるという内容だ。PayPayもソフトバンク系なので、グループのシナジーを生かしたキャンペーンといえる。

具体的には、スマートフォン用のDiDiアプリにクーポンコード「PAYPAY」を入力し、「DiDi」アプリでの注文時にPayPay残額での支払いを選択することで、タクシー代がその場で半額になる。半額ぶんのPayPayボーナスの付与ではなく、即時の割引であるのがポイント。前述のように割引上限2000円で、利用回数は1日1回のみ。なお、DiDiの車種選択機能を利用した場合はキャンペーンの対象外だ。タクシー会社によっては、別途迎車料金がかかることもあるが、首都圏などでは迎車料金はいまのところ無料だ。

対応エリアは、北海道、青森、宮城、東京、愛知、大阪、京都、兵庫、広島、山口、福岡、沖縄の計12カ所の営業エリアで、詳細は同社のウェブサイトで確認できる。なお、同社は2019年内に13都市での展開を予定していたが、これを20都市に上方修正。10月9日には13都市目となる新潟でのサービスインを控えており、そのほか7都市で新たにサービスを開始する予定だ。

キャンペーンに合わせ、ゼンリンとゼンリンデータコムとの業務提携も発表。第一弾の取り組みとして「DiDi」のタクシー乗務員向けアプリに、ゼンリンデータコムのナビゲーションアプリ「Z-NAV」(ゼットナブ)が順次導入される。これまでDiDiに対応するタクシーの車内にはiPad miniが設置され、アップル純正の「マップ」アプリなどを利用してナビゲーションを実現していた。しかし、通常のタクシーのルートとは異なる行き方が提示されるなど混乱もあったが、定評のあるゼンリンのナビゲーションシステムを利用できることで、より最適なルートを利用した移動が可能になるはずだ。

そのほかDiDiモビリティジャパンでは、ドライバー用アプリ「DiDiドライバー」に「需要予測ヒートマップ」(仮称)機能を2019年中に展開することも明らかになった。これは、タクシーの需要と供給のバランスを可視化するため、タクシー乗務員はひと目で需要の高いエリアがわかり、収益を最大化することができるというもの。同機能は中国ライドシェア大手Didi Chuxing(滴滴出行)の技術をベースとしており、Didi Chuxingでは中国で15分後の予測で85%以上の正解率をはじき出すAI需要予測を実現しているという。

Aptivとヒュンダイ、自動運転注力のジョイントベンチャーを設立

自動車メーカーの現代自動車は、自動走行技術のAptiv(アプティブ)と、株式の50%ずつを分担する新たなジョイントベンチャーを設立する。新会社の目標は、2022年までに自動運転タクシーや運送業者、さらには自動車メーカーに向けた、商用化を目指したレベル4とレベル5の量産可能な自動運転システムを開発することである。

Aptivと現代自動車によると、ジョイントベンチャーへの投資額は総額40億ドル(約4300億円、エンジニアリングサービス、研究開発、知的財産の価値を含む)となり、2022年の商用化に向けて、完全自動運転のテストを2020年に開始する予定だ。

Aptiv(もともとは世界的な自動車産業のサプライヤーであるDelphiの一部)は、長年開発してきた自動運転技術 と、AV技術を担当する700人の従業員を提供する。現代自動車グループは子会社を含む合計16億ドル(約1700億円)の現金、自動車エンジニアリング、研究開発、知的財産へのアクセスを提供する。

新ジョイントベンチャーの指揮を執るのはAptivのAutonomous Mobility Groupで社長を務めるKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏で、本社をボストンに設置し、米国とアジアの複数地域にある技術センターの支援を受ける。

両社は何年も前からすでに自動走行自動車の技術を実証しており、Aptivは2018年のCESでその機能を公開して以来、Lyftと共同でラスベガスにて公開テストをおこなっている。同地でのテストでは、BMW 5シリーズの車両を使用している。

このジョイントベンチャーは、世界的な自動車メーカーが技術を商業化するのに役立つ一方、現代自動車はこれらのソリューションの開発に長年投資してきたパートナーと、自動運転におけるビジネスを強化することで利益を得るだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter