フォルクスワーゲングループは燃費水増し訴訟の和解金約10億円超を支払いへ

フォルクスワーゲン・グループ・オブ・アメリカは、米国時間8月30日、約9万8000台のガソリン車に関する燃費の数値の水増しに関する訴訟で、米国内の数千人の顧客と和解したと発表した。対象車種は、Audi(アウディ)、Bentley(ベントレー)、Porsche(ポルシェ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)の4つのブランドにまたがる。

今回の和解の対象となるのは、燃費の数値に誤りがあったとされる、9万8000台の車両。これは、米国内で販売、またはリースされた、モデル年2013〜2017のフォルクスワーゲン・グループ全車のおよそ3.5%に相当する。EPAによると、燃費の数値は1ガロンあたり1マイルの差異が修正されることになる。これは、米国固有の「Monroney」(モンロニー)ラベルに表示するための要件に従って四捨五入された後の数字だ。

燃費が実際よりも多く発表されていた車のほとんどは、2013年、2014年、2015年型のAudi、Bentley、Porscheの各ブランドと、2016年型のAudi A8L、同RS7、同S8だ。また、Porsche Cayenne(カイエン)のバリエーション、Cayenne S、Cayenne Turboも対象に含まれる。

フォルクスワーゲンは、和解の条件として、不正があったことを認めていない。

和解金支払いの対象となる顧客は、対象者を所有またはリースしていた期間について、毎月5.4ドル(約570円)から24.3ドル(約2580円)を受け取ることができる。フォルクスワーゲンによると、和解金の総額は、裁判所による承認待ちだが、9650万ドル(約10億2540万円)になるという。

また、フォルクスワーゲン・グループ・オブ・アメリカは、燃費の数値の相違に合わせて、温室効果ガスのクレジットを修正することになる。

和解金を受給する資格のある人は、請求を申し立てなければならない。ただし、今の段階では、まだ該当車のオーナーがアクションを起こす必要はない。フォルクスワーゲンによると、提案された和解内容の仮承認を裁判所が認めた場合、集団訴訟に加わった個々のメンバーは、権利とオプションに関する情報を受け取ることになるという。そのオプションには、和解を受け入れないという選択肢も含まれる。

画像クレジット:Audi

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

電動キックボードのBirdが日本での初の実証実験、サービス提供を目指し「福岡市と密接に取り組む」

Birdの世界進出担当シニアマネージャー、Sam Kernan-Schloss氏

Uber(ウーバー)がディスラプトできなかった国、日本。同社は2015年2月にライドシェアの検証実験を開始したが、無許可でタクシー業を行う「白タク」を禁止する道路運送法に抵触する可能性があるとして国土交通省から「待った」をかけられたのち、わずか1ヵ月ほどで中止した。以後、ここ日本においてライドシェアは全く定着していない状況だ。

8月31日に福岡市で実証実験を開始した米の電動キックボードのパイオニアであるBird(バード)はそんなUberの失敗から学んでいるようだった。Birdにとっては今回が日本での初となる実証実験。この実証実験は、Birdと住友商事が福岡市との協力のもと行なっている。当日、実証実験の開始前に報道陣の前で挨拶をしたBirdの世界進出担当シニアマネージャーのSam Kernan-Schloss氏は「福岡市との密接な協力体制」を強調していた。また、同社は規制について深く理解した上で慎重に実証実験を行なっていくスタンスだ。

「Birdではミッションとして、世界中の都市をより活性化し、人々の自動車の利用を軽減することで交通渋滞を緩和しCO2の排出量を減らすことを掲げてきている。この実証実験では住友商事、そして福岡市と密接に取り組む。我々が提供する環境に優しいモビリティーの選択肢を福岡市の皆様に提供できるようになることを心待ちにしている」(Kernan-Schloss氏)。

BirdのCEO、Travis VanderZanden氏はプレスリリースで「実証実験を通じ(福岡)市民は、我々の提供する持続可能な交通手段が福岡市のインフラにシームレスに統合することが可能だと知ることができる。また、我々が、利用しやすく人々の移動を便利にし、かつ渋滞を悪化させないマイクロモビリティーのソリューションを提供可能だということを、直接、体験することができる」とコメントしている。

また、米国のBird本社にコメントを求めたところ、担当者からは「現在、日本において電動キックボードは道路交通法の規定により原付バイク扱いとなり、車道を走行する場合は、様々な装備が必要となることは承知している。福岡市は日本で初めて(電動キックボード)に関する規制を緩和する都市になろうとしている」とのコメントを得られた。福岡市長の高島宗一郎氏は2月、内閣府での国家戦略特区会議にて、福岡における電動キックボードの規制緩和を提案している。

日本では電動キックボードのシェアリングサービスのLuupが8月20日、埼玉県横瀬町の「埼玉県県民の森」にて、立教大学の観光学部舛谷ゼミと共同で実証実験を実施。この実証実験が同社いわく「国内初の公道での実証」となるなど、日本でも電動キックボードに関する取り組みが加速してきている。

9月7日より、同じく福岡市の貝塚交通公園にてBirdの競合、Lime(ライム)が実証実験を開始する。LimeのCEO、Brad Bao氏はインタビューで「日本は最も参入しにくい市場だが、最もポテンシャルのある市場でもある」と述べていたが、住友商事いわく、Birdも「日本を注力市場と捉えている」。Birdは福岡市での実証実験が他エリアでのトライアルにも繋がることを期待しているようだ。

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メキシコのプライベートシャトルサービスUrbvanが10億円調達

新興市場の都市が、交通渋滞のためにますます危険となっている道路と格闘する中、メキシコで民間の高級輸送シャトルを提供するスタートアップUrbvan(アーバン)が、新ラウンドで900万ドル(約10億円)を調達した。

Joan Matos Albino(ジョアン・マトス・アルビノ)氏とRenato Picard(レナート・ピカード)氏が共同で創業したUrbvanは、今はなきChariotのようなスタートアップの後を受け継いで、新興市場のエコシステムのニーズに合わせてビジネスを作り上げている。

ポルトガル出身のアルビノ氏は、Rocket InternetのスタートアップであるLinioの従業員としてメキシコシティにやって来た。Linioは長続きしなかったが、アルビノ氏はメキシコに留まり、最終的にはスタートアップのMelcadoniで働き始め、そこでピカード氏と出会った。

2人は、ChariotがY Combinatorからローンチされた当初の成功を見ていたが、インドのスタートアップであるShuttlのような会社も追いかけていた。

「我々は共有モビリティを、よりアクセスしやすく、少しだけ効率的にしたかった」とアルビノ氏は言う。「我々は経済学を研究し、市場も研究した。そして渋滞のひどいラテンアメリカの都市には緊急に対応する必要があることも知った」。

公共交通機関が比較的安全で効率的であると考えられている米国、特にサンフランシスコやニューヨークなどの主要都市とは異なり、メキシコシティの都市環境は、Urbvanの主要顧客であるホワイトカラー労働者からは安全でないと見られている。

同社は2016年に営業を開始した。当時はリースで調達した5台のバンを改造して、Wi-Fiなどのアメニティを用意し、限られた数の乗客に十分なスペースを提供していた。その頃に比べると、同社の規模は大幅に拡大した。現在、月間ユーザーは1万5000人、バンの台数は180台とのことだ。

アルビノ氏によると、Urbvanは安全性と快適性を最優先している。同社はメキシコシティのWeWork、Walmartその他の小売業者と提携し、ルート上のすべての停留所の安全を確保している。 また、バンの台数が増えるに伴い、ドライバーをしっかりと調査するとともに、ドライバーに追加のトレーニングを提供している。

各バンには、監視を強化するためパニックボタンとカメラが内外に装備されている。

顧客は、チケットごとに3ドル払うか、100〜130ドルの月間パスを購入する。

同社はKaszek VenturesとAngel Venturesから資金調達し、ここには以前からの投資家であるMountain Nazcaも参加した。

Shuttlのオペレーションを視察するためにインドを訪問したアルビノ氏は、この手のサービスの世界の市場規模は非常に大きいため、各地域で多くの勝者が生まれると見ている。

「都市はそれぞれ異なり、サービスは各都市にあわせて変える必要がある。テクノロジーは都市の問題に適応させなければならず、それが可能な場合は付加価値がつく」とアルビノ氏は語る。「インドの市場はラテンアメリカとは全然違う。渋滞の多い巨大な市場だ。しかし、バリュープロポジションは(Shuttlにとって)もう少し基本的なものになる」。

Urbvanは現在、メキシコシティとモンテレイでサービスを展開しているが、今年後半にグアダラハラにも進出する予定だ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Volocopterの電動垂直離着陸機がヘルシンキ国際空港で初フライト

Volocopter(ボロコプター)の2Xエアタクシー機は、国際空港で他の商用旅客機の空域と完全に統合されつつ、飛行を行った世界初の電動垂直離着陸機(eVTOL、electric vertical take-off and landing)となった。この重要なマイルストーンが実現したのはヘルシンキ国際空港で、同機が従来の航空管制と、パイロットが搭乗せず手動で操縦される航空機専用に設計された航空管制システムの両方と、うまく統合されていることを示すことをミッションとしていた。

このテストの目的は、従来の有人飛行と自律型航空機(エアロボタクシーを含む)の両方のために設計された航空管理システムが、たとえ都市上空を含む混雑した空域でも互いに協調して動作できることを示すことだった。

Volocopterは、有料顧客向けに商用サービスを開始した際に利用することを狙った新しいeVTOLを最近発表したばかりだが、今回ヘルシンキ空港ではAirMap、Altitude Angel、そしてUniflyという無人航空機の航空管制プロバイダーたちと一緒にテストを実施した。テストを通じてVolocopterのシステムが各プロバイダーたちとうまく機能することが確認された。これは商用フライトの認証を取得するための重要なステップである。

ドイツのスタートアップであるVolocopterは、9月14日にシュトゥットガルトで開催されるイベントで2Xを飛行させる予定だが、次の大きなマイルストーンは、今年後半にシンガポールで行われる予定の新しいVoloCity商用機と離発着施設VoloPortプロトタイプのお披露目である。

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(翻訳:sako)

中国Didiはほどなく自律運転配車を運用開始、2021年までには中国外への展開も狙う

Didi Chuxing(滴滴出行)のCTOである张博(チャン・ボー)氏によれば、同社は2、3カ月のうちに上海で、自律運転車による乗客のピックアップを始める予定だ(Reutersの報道)。計画では、自律運転車によるピックアップをまず上海の特定の地区で開始し、そこから運行範囲を広げて行く予定だ。最終的には2021年までに中国国外に対しても自律運転車を展開できるようにする。

Uberの自律テスト車両のように、Didiの車には開始後しばらくの期間には人間の運転手が同乗する。実際に人間の乗客を乗せてサービスを開始するために、あといくつかのライセンスを待っている状態だ。(パイロット運用期間中の)自律運転車のサービスは無料だ。チャン氏によれば30種類以上の自律運転車両がパイロット運行には投入されるという。

上海での最初のパイロット運行開始後、Didiは北京と深圳にもサービスを拡大し、2020年までには3都市すべてで運行を始めることを望んでいる。

Didiは中国最大の配車サービス企業であり、Uberが市場で存在を確立することを阻止した。結果的にUberは中国ビジネスをDidiに売却し2016年に撤退した(Uberは引き換えに少数のDidi株を手に入れた)。その年の後半に、私たちはDidiのCTOに対して、何故同社はUberやその他の配車サービス企業に対して、データ駆動型技術開発に関する優位性を持つと考えているのかと尋ねた(そのとき彼は「Bob」と呼んでくれと申し出ていたので、下の動画にもそのように表示されている)。

自律運転が(技術にフォーカスを当てた配車ならびにその他のモビリティサービスの必然的な最終ゴールではないとしても)、この先実現する可能性が高い、という業界の一般的な感覚は横に置いたとしても、Didiは需要を満たすドライバー、そして乗客に対して安全で安心な体験を提供できるドライバーの確保の必要性にも動機づけられているようだ。昨年安全基準を見直した同社は、この7月にその基準を満たしていなかったドライバーが30万人以上いた事を見出したことを発表した。

今月の始めに、Didiは自律運転部門を独立した会社としてスピンアウトさせることを発表した、新会社のCEOはチャン氏である。新会社は自社向け車両の技術を開発し、自律運転の商用化と展開を追求するために、トヨタを含む自動車会社たちと協業する予定だ。

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(翻訳:sako)

ソニックブームのない音速飛行へ、NASAの超音速機X-59の仮想コックピットのテストが完了

NASAは研究開発用の超音速航空機「X-59」で、最終的には静かな超音速飛行による商業航空の実現を目指している。同機はこのほど、パイロットに大空の完全に仮想的な視野視界を与えるシステムのテストに成功し、夢の実現に一歩近づいた。

そのシステムはeXternal Visibility System(頭字語の先頭にXを付けたがるNASAの好みに合わせるとXVS)と呼ばれ、前を向いたカメラとディスプレイの組み合わせにより、拡張現実で増強された視野視界をパイロットに提供する。その拡張現実、すなわちARが提供する情報は目的空港へ向かうためのガイダンスや、空域に他の航空機が入った場合の警告や警報、離着陸の際のさまざまな情報や重要な合図などだ。

コックピットに座ったパイロットの前には4Kのモニタがあり、センサーと4Kカメラが捉えた情報がそこへ出力される。機体の下部にもカメラが収納されており、着陸時などの低速飛行の際に出てきて重要な視野視界を提供する。

XVSは最初、テスト機Beechcraft King Air UC-12Bに搭載して検証され、搭乗したパイロットがディスプレイを見ながら他機の検出機能を確認した。テストには、このままでは衝突しそうな非常に難しい状況も含まれた。

そもそもなぜXVSのようなものが必要かというと、X-59は大音響のソニックブームのない静かな超音速飛行を目指しているので、機体のデザインに今の商用機と違って完全に近い流線型を採用したからだ。だから従来機のような上部の操縦室の出っ張りなどがない。操縦室は完全に仮想化されている。規制をクリアして超音速機が陸地の上や人口過密地帯の上空を商用機として飛ぶには、静音が絶対的な条件だ。

X-59には前面の窓はないが透明な天蓋はある。そしてテストパイロットによると、XVSがもし失敗しても天蓋からの視野視界と航空機のセンサーおよびアビオニクスシステムからの情報を利用して飛ぶことはできる。

現在建造中のX-59はLockheed Martin(ロッキード・マーティン)が作っていて、最初のフライトは2021年を予定している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MITの自動操船ロボは複数の船の自動編隊が可能に

完全自動操縦のロボット船、ここで駄洒落を言うなら「ロボート」を作る努力がMITで続いている。今回彼らが試みたのは、個々の船が自分の位置を自分で変えて、全体として船隊の形を自動的に変える能力だ。

この前TechCrunchが「ロボート」を見たときは、ふつうの航行ができるほどの自律性は持っていたし、複数の船がお互いをつかまえて基本的な形の船隊を作ることができた。しかし今度は、相手をつかまえて接続するだけでなく、相手から離れて違う形の船隊を自力で作れる。

自動編隊を実現するロボートのために研究者たちが考えたアルゴリズムは、ロボット船がお互いから離れて、他船に衝突しない航路をたどり、他の船と再接続して別の形の船隊を作るまでの過程を、すべて自分で計画する。彼らはそれを、シミュレーションとMITのプールの両方で見せてくれたが、そこでは上図のような矩形の平底船のロボットが、自分たちを直線状や矩形、そしてL字形にさえも編成した。

つまり彼らはテトリスの基本形をマスターしたのだが、でもそれは、ロボット船が自分たちの力で、いろんな形とサイズの橋や海に浮く台座、はしけなどになれるための、重要なステップだ。容易に海上作業ができるようになれば、都市再開発の仕事もはかどるだろう。

船隊の形を自由に変える能力には、「ワーカー」と「コーディネーター」という2つのタイプのロボット船が貢献している。両者が組み合わさることによって船隊の形が決まり、そのときGPSと測定器のあるコーディネーターが、お互いの相対的な向きや移動速度を決める。ワーカーにはアクチュエータがあって、船全体の操縦を助ける。コーディネーターはお互いに協調しながら、現在の並び方を常時チェックし、目標とする形と比較する。比較に基づいて各船に動きの指示を出し、新しい隊形を達成する。

実験に使われたロボット船は90cm×45cm程度の大きさだが、今後はその4倍になる。でも、船が大きくなってもアルゴリズムは変わらない。アルゴリズムが一定であることは、今後巨大な実用船を作って動かす場合などにとても重要だ。その当面の目標は、アムステルダムのネモ科学博物館の60mの運河の上を、歩いて渡れる浮橋を来年作ることだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自律航空機スタートアップのElroy Airが大型貨物用の垂直離着陸機の初飛行を実施

サンフランシスコに拠点を置くElroy Air(エルロイ・エアー)は、250ポンド(約110kg)の貨物を300マイル(約480km)先まで運べる初の垂直離着陸機(VTOL)「Chaparral」で、航空機による貨物輸送を変えたいと考えている。UAS(無人航空システム)で働いた経歴のある経験豊富な専門家によって2016年に設立されたこのスタートアップは、Chaparralのプロトタイプ・テスト機の初飛行を完了した。

重量1215ポンド(約550kg)のこの航空機は、最終的に商業運用が計画されているChaparralの本格的なテストモデルで、高度10フィート(約3m)まで浮上することができ、制御着陸までのわずか1分強をホバリングした。このVTOLは、カリフォルニア州中部のCamp Roberts(キャンプ・ロバーツ)近くのMcMillan(マクミラン)飛行場にて、同社の機長が遠隔から操縦した。

Elroy Airは今年の2月に920万ドル(約9億8000万円)の資金を調達し、2017年に最初のデザインを発表して以来、プロトタイプの実用化に向けて開発をすすめていた。CEOのDavid Merrill(デビッド・メリル)氏によると、このスタートアップの目標は「空港から航空貨物を切り離す」ことだという。つまり、現在小型貨物機が航空貨物用で処理しているような任務を、大型のVTOLに任せるということだ。

Elroy Airが採用しているアプローチは、航空機にハイブリッド電動パワートレインを採用することで、完全電気式のVTOLに比べて長距離の飛行が可能になる一方、内燃機関のみを使用している航空機に比べて燃費が向上する。また、事前に梱包されたポッドを使用するように設計されているため、目的地に到着した貨物と帰りの便の荷物を簡単かつ迅速に入れ替えることができる。

同社は今回のホバー飛行のデモの成功により、プロトタイプ機によるさらなるテストを実施する予定であり、順調にいけば早ければ来年にも、いくつかの小規模な商用サービスの開始を目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

人間とAIの運転に対応する車両管理システム開発のBestmileが18億円調達

輸送ソフトウェアのスタートアップであるBestmile(ベストマイル)は、Blue Lagoon CapitalとTransLink Capital率いるシリーズBラウンドで1650万ドル(約18億円)を調達した。

既存の投資家であるRoad Ventures、Partech、Groupe ADP、Airbus Ventures、Serenaなども本ラウンドに参加した。 2014年に立ち上げられたBestmileはこれまでに3100万ドルを調達している。

Bestmileは、輸送の需要と供給の微妙なバランスを調整する車両管理システムを開発した。車両管理自体は新しいものではない。しかし、都市の中でヒトやモノを輸送する新しくかつ多様な方法の出現は、ソフトウェア会社に新たな機会を生み出した。

Bestmileは、配車サービス、マイクロトランジット、自動運転シャトルバス、さらにはロボタクシーを提供する公共交通のオペレーター、自動車メーカー、タクシー会社が使うプラットフォームとなることを目指している。 Bestmileは、自動運転シャトルバスのような、より未来的な移動手段を管理するプラットフォームとしての機能を強調しているが、車両管理システムは不可知論的であるように設計されている。これは、従来のタクシーのような人間が運転する車のみならず、自動運転シャトルバスサービスや、ゆくゆくはロボタクシーにも使えることを意味している。

Bestmileに投資している投資家たちは、このプラットフォームについて、マイクロトランジット、配車サービス、自動運転シャトルバスにとどまらない可能性も視野に入れている。例えば、Airbusのベンチャー部門であるAirbus VenturesのマネージングパートナーであるThomas d’Halluin(トーマス・ハルワン)氏は、Bestmileを都市における空中交通を推し進める重要な存在であると考えている。

このプラットフォームは、天気、交通、需要、車などからリアルタイムデータを収集し、車両を最大限に稼働させるためにデータを使う。これは、顧客からの需要と車両オペレーションコストのバランスをとることを意味している。

Bestmileは、スイスのローザンヌに拠点を置き、サンフランシスコにもオフィスを構える。すでに自動運転シャトルバスのオペレーターを含む多くの顧客を抱えている。同社のシステムは、現在世界15カ所で車両管理に利用されている。Bestmileは今週初め、フロリダ州オーランドにある自動運転シャトルバス会社のBeepと提携したことを発表した。

Blue LagoonのパートナーであるRodney Rogers(ロドニー・ロジャース)氏とKevin Reid(ケヴィン・レイド)氏がBestmileの取締役会に加わった。ロジャース氏は現在取締役会長を務める。会社を実際に共同で創業した経験があるこの2人は、会社の成長に必要な知見を提供できるはずだ。ロジャース氏とレイド氏は、2015年にEMC Corporationに12億ドルで買収された企業向けクラウドサービス会社Virtustreamを共同で創業した。この事業は現在、Dell Technologiesの一部となっている

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(翻訳:Mizoguchi)

Gogoroが企業向け電動スクーターを韓国でローンチ

電動スクーターとモビリティプラットフォームを開発している台湾Gogoro(ゴゴロ)は、米国時間8月27日にB2Bに焦点を合わせた電動スクーターを韓国に導入するため、バイクメーカーのTICとの提携を発表した。Gogoro 2 Utilityは同社のスマートスクーターの物流および配達用バージョンで、ソウルにてTIC経由で購入できる。

今回のローンチにより、Gogoroは台湾、ドイツ、フランス、スペイン、日本を含む6カ国でサービスを提供することになる。ヨーロッパでは、Gogoroの主要パートナーはスクーター共有サービスのCoupだ。韓国のTICとの提携は、一般向けではなくビジネスクライアントへのサービスという意味で、Gogoroにとって新たなステップとなる。

2011年にローンチされたGogoroはこの8年間、スマートスクーターの開発に注力してきた。同社はここ数カ月間、パートナー企業向けのターンキーソリューションによる車両共有プラットフォームの立ち上げや、ヤマハなどを含めて交換可能なバッテリーを含むGogoroの技術を使ってスクーターを製造するメーカーとの取り引きなど、国際展開を進めている

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

自律運転車の寿命はわずか4年というフォードの目算の真実

自動車業界は、交通渋滞、安全、生産性(乗車中に仕事ができる)など、今まさに現代社会が格闘している数々の問題を一気に解決してくれる万能薬であるかのように、自律運転車を宣伝している。

しかし残念なことに、あるひとつの非常に大きな疑問が置き去りにされている。自律運転車は、どのくらい持つのだろうか?

その答えには誰もが驚くだろう。ロンドンのザ・テレグラフのインタビューで、フォード・オートノマス・ビークルズ(Ford Autonomous Vehicles)執行責任者ジョン・リッチ(John Rich)氏は、「世界の自動車の需要が減少するとは、まったく思っていません」と話した。なぜなら「この業界では4年ごとに車を使い切って潰しているから」だという。

4年とは! ボロボロになってもまだ走り続けているニューヨークのタクシーの寿命が、2017年の平均で3.8年とのことだが、それと比較しても決して長持ちとは言えない。ニューヨークのタクシーの中には新車もあるが、7年以上も奉公している車もある。

アメリカの自動車オーナーが1台の車に乗り続ける平均の年数は12年近いという。それと比べると驚きが増す。実際、自動車の製造や維持管理の技術が飛躍的に進歩していることもあり、アメリカ人は以前よりも車を長く使うようになった。ロンドンの調査会社IHSマークイットの2002年の調査では、1台の車の寿命は平均9.6年だった。

それでは、何十億ドルもの投資がつぎ込まれている自律運転車の場合はどうだろう。ペンシルベニア州ピッツバーグのスタートアップ、アルゴAI(Argo AI)は、3年前にフォードから10億ドル(約1060億円)の投資を受け、この夏には、フォルクスワーゲンとフォードの包括的な業務提携の一環としてフォルクスワーゲンから26億ドル(約2750億円)の資本投資を受けている。アルゴはフォードの車両に搭載する自律運転技術の開発を委託され、現在、5つの都市で技術実験を行っている。

私たちは、フォードがいかにして4年という寿命を導き出したのか、寿命を延ばすことはできないかなど、4年間という数字の本当の意味をアルゴが解き明かしてくれるものと期待した。しかし、実際に車を扱うのはフォードであり、アルゴは車の製造、整備、運用といったビジネスには関わらないため、彼らはフォードのリッチ氏を紹介してくれた。リッチ氏は、忙しい中、私たちの質問に電子メールで答えてくれた。

まずは、こんな質問をしてみた。フォードは自動車の1年間の走行距離をどの程度に想定しているのか。それがタクシーやフルタイムのウーバーのドライバーの距離より長いか短いかを知りたかったのだが、彼は答えず、代わりに、フォードは目標とする走行距離は公表しないが「車両は最大限に利用されるようデザインしている」と話してくれた。

リッチ氏はこう説明する。「今日の自動車は、1日のうちほとんどが駐車場にいます。利益を生む現実的な(自律運転車のための)ビジネスモデルを構築するには、ほぼ1日中走り回っている必要があります」。

実際、とくにフォードは、今すぐにでも自律運転車を個人向けに発売することはないだろう。むしろ、配達業などのサービスに、または他の業者による自律的な貨物輸送に車両を使うことを計画している。フォードは「自律運転車の最初の商用利用は輸送業中心になる」と見ているとリッチ氏は言う。

また私たちは、完全な自律運転車の寿命に関するリッチ氏の予測は、フォードの自律運転車は内燃機関で走るという彼の期待と関連しているのか否かも疑問に思った。ほとんどの自動車メーカーは、低燃費、低排出ガスを約束する新しい構造の内燃機関に投資をしている。しかし、内燃機関は電気自動車に比べると部品点数が多い。より多くの部品がストレスを受けると、それだけ故障要因も増える。

いずれは電池式の電気自動車(BEV)へ移行することを考えているフォードだが、「利益を生む現実的なビジネスモデルを構築するための最適なバランスを探す必要がある。つまり、まずはハイブリッド」から立ち上げるとリッチ氏は話していた。

彼によれば、自律運転車としてのBEVの課題には、今のところ「自律運転トラックの運用に必要な充電インフラの不足があり、充電スタンドと充電インフラの建設と運用も、すでに資本集約的な性質を帯びた自律運転車技術の開発に組み込まれなければならない」とのことだ。

もうひとつ課題がある。「車載技術が原因の航続距離の減少です。BEVの走行距離の最大50%分の電力が自律運転システムの演算、エアコン、そして送迎サービスで、また乗客を楽しませるために必要な娯楽に消費されます」という。

フォードはまた、稼働率を気にしているとリッチ氏は言う。「利益を生む自律運転車ビジネスの鍵は稼働率です。充電器の前でずっと停まっていては、お金になりません」。

バッテリーの劣化も懸念材料だ。「自律運転トラックは毎日急速充電をする必要がありますが、バッテリーの酷使は劣化につながります」と彼は言う。

内燃機関の排気ガスがなくなれば、世界はずっと良くなるのは当然だ。明るい側面としては、フォードの自動車の寿命が短かったとしても、素材の80〜86%はリサイクルして再利用される。業界団体インスティテュート・オブ・スクラップ・リサイクリング・インダストリーズ(ISRI)によれば、アメリカでは、毎年、合計で1億5000万トンのスクラップ素材がリサイクルされている。

そのうち8500万トンが鉄と鋼だ。ISRIによると、アメリカではその他に550万トンのアルミもリサイクルされている。軽量だが鋼よりも高価な自動車材料だ。

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(翻訳:金井哲夫)

ポルシェ・タイカンがニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで4ドア電気自動車の最速記録を更新

Porsche(ポルシェ)の近日発売予定の全電動自動車Taycan(タイカン)が、ドイツのニュルブルクリンク・ノルトシュライフェの試験コースで、僅差だが有意義なラップタイム新記録を出した。

米国時間8/26に同社は、9月4日に発売予定のポルシェ・タイカンが12.8マイル(約20.6km)のコースを7分42秒で走行したと発表した。これは4ドア電気自動車の最速ラップだ。新記録はタイカンの試作車によって達成され、Lars Kern(ラース・カーン)氏が運転した。

ただしこれは、電気自動車全体の最速ラップではない。その栄誉は、6分05秒336 で走行したフォルクスワーゲンのID R 電動レーシングカーに与えられる。従来の記録は2017年にPeter Dumbreck(ピーター・ダンブレック)氏がNextEVの電気自動車 Nioを運転して達成した。

今はどの車も活発な動きを見せる時期だ。ポルシェは同社初の電気自動車のデビューを前に、スピードと耐久性を誇示したかった。ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェの高速走行と、ナルド・サーキットでの耐久テストによって、タイカンがその両方をできることを見せつけた。

今年ポルシェは、タイカンの時速0~62マイル(約100km)の連続加速性能をテストした。ビデオを見た26回の連続スタートでは性能低下が見られなかった。ポルシェによると平均加速時間は10秒以下だった。最高と最低の差は0.8秒だったと同社は語った。

タイカンは、イタリア、ナルドのコースを、時速128~133マイル(約206〜214km)で2128マイル(約3425km)走行し、停止したのはバッテリー充電とドライバー交代のみだった。

ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェでは、開発エンジニアがシミュレーターでタイカンを走らせ、バーチャルレーストラック上でテストと性能評価を開始した。ポルシェによると、主な目的のひとつは、温度管理によって電気エネルギーを測定することであり、これはラップタイムを叩き出すために重要な要素だという。

ポルシェは、ほとんどが電気自動車を所有したことのない既存顧客に対して、タイカンが同社のガソリン乗用車やSUVと同等の性能を発揮することを証明したい。さらには、新しい顧客もポルシェブランドに魅力を感じてくれることを願っている。

もしタイカンの数千件の予約が実際の購入につながったなら、ポルシェは正しい方向に進んでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ポルシェ・タイカンがニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで4ドア電気自動車の最速記録を更新

Porsche(ポルシェ)の近日発売予定の全電動自動車Taycan(タイカン)が、ドイツのニュルブルクリンク・ノルトシュライフェの試験コースで、僅差だが有意義なラップタイム新記録を出した。

米国時間8/26に同社は、9月4日に発売予定のポルシェ・タイカンが12.8マイル(約20.6km)のコースを7分42秒で走行したと発表した。これは4ドア電気自動車の最速ラップだ。新記録はタイカンの試作車によって達成され、Lars Kern(ラース・カーン)氏が運転した。

ただしこれは、電気自動車全体の最速ラップではない。その栄誉は、6分05秒336 で走行したフォルクスワーゲンのID R 電動レーシングカーに与えられる。従来の記録は2017年にPeter Dumbreck(ピーター・ダンブレック)氏がNextEVの電気自動車 Nioを運転して達成した。

今はどの車も活発な動きを見せる時期だ。ポルシェは同社初の電気自動車のデビューを前に、スピードと耐久性を誇示したかった。ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェの高速走行と、ナルド・サーキットでの耐久テストによって、タイカンがその両方をできることを見せつけた。

今年ポルシェは、タイカンの時速0~62マイル(約100km)の連続加速性能をテストした。ビデオを見た26回の連続スタートでは性能低下が見られなかった。ポルシェによると平均加速時間は10秒以下だった。最高と最低の差は0.8秒だったと同社は語った。

タイカンは、イタリア、ナルドのコースを、時速128~133マイル(約206〜214km)で2128マイル(約3425km)走行し、停止したのはバッテリー充電とドライバー交代のみだった。

ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェでは、開発エンジニアがシミュレーターでタイカンを走らせ、バーチャルレーストラック上でテストと性能評価を開始した。ポルシェによると、主な目的のひとつは、温度管理によって電気エネルギーを測定することであり、これはラップタイムを叩き出すために重要な要素だという。

ポルシェは、ほとんどが電気自動車を所有したことのない既存顧客に対して、タイカンが同社のガソリン乗用車やSUVと同等の性能を発揮することを証明したい。さらには、新しい顧客もポルシェブランドに魅力を感じてくれることを願っている。

もしタイカンの数千件の予約が実際の購入につながったなら、ポルシェは正しい方向に進んでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

都内から成田空港まで一律4000円弱、NearMeの相乗りシャトルバスが運行開始

タクシー相乗りアプリ「nearMe.」(ニアミー)を提供するNearMeは8月27日、東京都区内から成田空港までの相乗りシャトルバスサービスを開始した。乗車地は、新宿区、渋谷区、世田谷区、港区、台東区、墨田区、千代田区、中央区、文京区にあるホテルに限られるが、料金は成田空港までの距離に関係なく一律3980円となる。

同社がiOSとAndoridに提供中のnearMe.は、目的地が同じ方向の利用者を専用のスマートフォンアプリでマッチングして相乗りを実現するサービス。nearMe.を使った場合、通常のタクシー料金よりも20〜40%安くなるのが特徴だ。

複数の利用者が降車時にタクシー料金をその都度支払う相乗りは法律では認めらていないが、nearMe.では最終目的地に向かう利用者のみがタクシー料金を払うため、タクシー会社側からは単一の運送契約となるため合法だ。途中下車の利用者はアプリ上で最終目的地に向かう利用者に対してタクシー料金を清算できる。

同社は、利用者同士をマッチングしたあとに、複数人をピックアップしてそれぞれの降車地までの最適ルートを算出する独自の技術を有しており、本日からスタートした成田空港までの相乗りシャトルバスにはこの技術が生かされている。

相乗りシャトルバスサービスは日本語、英語の2カ国語対応で、今後は5カ国対応を進めるとのこと。シャトルバスを頼むには、乗車地のホテルを指定後、成田空港から搭乗する飛行機の便名を入力すればいい。成田空港ではもちろん、第1、第2、第3ターミナルのいずれかの場所で降車できる。シャトルバスの定員は9名。

都内から成田空港までの定額タクシーは、1.6万〜2.3万円。成田空港に近い都区内東部からの乗車が安く、成田空港から遠く北西部からの乗車は高くなる。NearMeの相乗りシャトルは、乗車地が都内9区に限られるが、料金は一律3980円と定額タクシーの4分の1以下の料金で利用できるのが強みだ。

朝夕のラッシュの時間帯に空港へ電車で移動するのは非常に疲れる。荷物が多いとなおさらで、時間に余裕があればリムジンバスやタクシーを利用するのが快適だ。しかし、リムジンバスはかなりの余裕を持たせて運行するため、空港に到着するのが電車に比べてどうしても遅くなる。定時運行のため、搭乗する便によっては空港ロビーで長時間待つ必要も出てくる。前述のようにタクシーは料金が非常に高額になるため、経費精算できないと利用しづらい。相乗りシャトルバスは、電車とリムジンバスの間を埋める効率的な移動手段として注目のサービスだ。

Bellの革新的な貨物用垂直離着陸機が初の自律飛行に成功

Bell Helicopter(ベル・ヘリコプター)のAutonomous Pod Transport 70(APT 70)がForth Worth(フォースワース)で実施されたテストにて最初の自律飛行を行うという、大きなマイルストーンを達成した。この航空機は小型のVTOL(垂直離着陸機)で、空中で揚力と推進力を提供するために4個のローターを使用し、最終的にはBellが小型の自律飛行が可能な商用貨物機として構想しているプロトタイプだ。

APT 70は最高速度が時速100マイル(約時速160km)を超え、70ポンド(約32kg)の荷物を運搬できるので、貨物の配送から救助活動までの利用が想定される。また、ローターの向きを垂直から水平に変えて飛行するため、従来のローターを搭載した航空機よりもはるかに速く飛ぶことができる。

APT70でのBellの目標は、来年半ばに予定されているNASAのSystems Integration and Operationalizationのデモの一環として、商用ミッションのシミュレーションに成功することだ。この実証実験は、自律航空機をアメリカでの商業サービスのために準備する上で重要なステップである、集中コマンドと障害物の回避技術によって、航空機がどのように運用されるのかを示すことを目的としている。

NASAとの米国でのデモミッションに加えて、Bellは日本の物流企業のヤマト運輸とも協力しており、来年半ばには顧客へのオンデマンド配送のための、初の共同サービスをを市場展開したいと考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

フォルクスワーゲンの全電動ID Buggyコンセプトはシンプルで楽しいクルマ

フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)の電動ID Buggyコンセプトは愉快で、朗らかで、頑丈で、そしてなんとも微笑ましいものだ。陽射しや砂丘にぴったりの車で、ビーチでタイヤがはまってしまうことも少なそうだ。

そのため、この全電動バギーカーのプロトタイプにカリフォルニア州モントレーのスパニッシュ・ベイ近くの海岸で試乗したとき、悲しくなってしまった。結局、ID Buggyはコンセプトにすぎないのだ。現実のものとなることを意図されていない。少なくとも今のところは。

それでもID Buggyが生産される可能性はまだある。TechCrunchが把握しているところでは、VWはこのバギーカーを生産するために「少なくとも1社」とすでに協議している。

3月に開かれた第89回ジュネーブ国際モーターショーでのID BuggyコンセプトのグローバルデビューはVWの電動化の予想図を示し、モジュラー電動ドライブツールキットキャシーまたはMEBの多能さを宣伝するねらいがあった。2016年に発表されたMEBはフレキシブルなモジュラーシステムだ。VWが言うには、より効率的で費用対効果が高い電動車両を生産するための共通パーツの基盤となる。

このMEBプラットフォームを活用した最初の車両はIDブランドで展開される見込みだが、MEBはSkodaやSeatといったVWグループの他のブランドの電動車両にも活用することができ、また活用されることになりそうだ(独自のプラットフォームを開発しているVWブランドのAudiやPorscheでは使用されない)。

VWはすでにいくつかのIDコンセプトを発表している。ID CrozzやID Buzzといったコンセプトは生産される予定だ。Crozzの生産バージョンは2020年末に米国にやってくることが予想される。バギーのような他のコンセプトは今のところ生産の予定はない。

ID Buggyを運転してみて

ID Buggyはシンプルだ。そしてまさにそうあるべきなのだ。ごちゃついたものや、かなりの快適さといったものはない。その代わり、このレジャー車両はルーフやドアがない1960年代のMeyers Manxにインスピレーションを得ている。ドアがないので、ドライバーは登るようにして車両に滑り込む(比較的簡単だが、ドライバーの運動神経にもよるだろう)。

ID Buggyは、インスピレーションを得たMeyers Manxとはかけ離れている。Meyers Manxバギーは1960年代のカリフォルニアの「ビーチと波」カルチャーにおいて人気を得てアイコン的な存在となった。

ID Buggyの乗り心地はまた、Meyers Manxよりも静かでスムーズなものだった。私はまた、ガソリンで走る4速マニュアルの明るい赤色のバギーにしばらく乗ったが、1速にシフトを入れるとManxはうなり音をたてた一方で、電動のID Buggyは砂地の駐車場を走った時も静かでスムーズだった。

ID Buggy内部の主要細部に機能や仕掛けは見当たらない。上の写真にある通り、六角形のハンドルにはトグルが散りばめられていない。クロスバーにいくつかのコントロールボタンがあるだけだ。ハンドル右側の小さなストックで運転者はドライブ、バック、駐車を操作し、デジタル計器は速度など基本的な情報を表示する。

ブレーキとアクセルのペダルも最小限のデザインとなっている。

ダッシュボードと助手席のエリアにも余計な機能はない。ボトムのマットグリーンとグレイがかった青は目を引くが、「もの」の欠如はフォームというより機能を優先している。ID Buggyは雨だろうが晴れだろうが運転できるようになっている。なのでデザイナーはインテリアをウォータープルーフにした。

ID Buggyの下にはいろんなものが搭載されている。後輪駆動のバギーは201馬力、最大トルク228ポンドフィート(31.52kgf·m)を生む電動モーターを搭載している。そして62kWhのバッテリーでは、フル充電で155マイル(約250キロ)の航続距離(WLTPスタンダード)が可能だ。静止した状態から時速62マイル(約100キロ)に到達するまでには7.2秒しかかからない。

私は海岸に沿ってものすごい速さで走行しようと考えていたのだが、残念ながらこのプロトタイプにはスピードリミッターが付いていた。

それでもID Buggyの乗車は楽しく、気楽で、快活な気分になるものだ。曲がり道も問題なく、ワイドボディと高いリアエンドにより、大型車に囲まれて走行しても安心感が得られる。

ID Buggyの生産

どの企業がBuggy生産についてVWと話し合っているのかは明らかではない。VWは社名を明らかするつもりはない。実際、モントレーでの心地よい潮風や雲のない空、スーパーカーを彷彿とさせる姿でもってしてもVW社員の口は固かった。

明らかにされていない企業がe.Go Mobileである可能性はある。VWは3月、e.Go MobileがVWのモデルレンジに加えて他のEVを展開するためにMEB電動プラットフォームを活用する最初の外部パートナーになると発表した。専用の車両プロジェクトがすでに計画されている、とVWは当時語っていた。

VWの広報はTechCrunchに対し、e.Go Mobileとの提携でどういう車が製造されるのか決まっていない、と語った。バギーになるかもしれないし、他の車両になるかもしれない。

そしてFordがいる。今年初め、自動車メーカー2社はFordがVWのMEBをベースとした電動自動車を生産することを含めた提携を発表した。

モントレーにいたVWの社員は、サードパーティーがバギーか、バギーの修正バージョンを生産するという望みを表明した。広報の1人は後にTechCrunchに対し、「モントレーでの披露が示しているように、BuggyはVWと電動モビリティにとって素晴らしいアンバサダーだ。多くの顧客をひきつけると確信している」と語った。

最後に、ID Buggyは1960年代のオリジナルがそうだったようなビーチ爆撃機というより、スマートなクルーザーだ。VWの電動プラットフォームの多能さをうまく表している。結局のところVWは、近い将来、複数の消費者向け電動車両を動かすことになる必要不可欠な部分をID Buggyが搭載することになると考えている。ID Buggyの生産に関わる企業がドアのような馬鹿げたものを含め、より多くのガジェットを備えるというのはもちろん考えられることだ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberが暴露本記事を受け安全への取り組みを確約

ときどき、Uber CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏を気の毒に思わずにはいられなくなる。2017年4月にライドシェアリングの巨人のトップになったとき彼が受け継いだものを考えると。

To Do項目は、個人取引の企業価値がすでに本来の価値を上回っていた赤字会社を上場すること、「何をしてでも勝つ」という会社イメージを一層すること、そして、Uberの共同ファウンダーで自らの後任にコスロシャヒ氏を雇った比類なき人物Travis Kalanick(トラヴィス・カラニック氏を今も慕い続ける社員たちを味方に引き入れることなど数多い。
New York Times記者のMike Isaac(マイク、アイザック)氏が書いたUberの暴露本出版が近づくにつれ、事態がいっそう悪化することは間違いない。米国時間8月24日に同紙が掲載した抜粋記事でイサック氏は、Uberが「業界をリードする身元調査や、車両の定期点検、ドライバー安全教育、アプリの安全機能の開発、および保険」の資金にするためであると顧客に思い込ませ、1回の乗車につき1ドル余分に支払わせたことを指摘した。

アイザック氏によるとキャンペーンは大成功を収め、Uberに5億ドル近くをもたらした。しかし、プロジェクトを担当した社員らによると、追加料金はマージンを1回の乗車に1ドル増やすことを主目的として考案されたものだという。

元ITジャーナリストでベンチャーキャピタリストのOm Malik(オム・マリック)氏は、抜粋記事を読んだあと、皮肉をこめて「@dkhosからすぐに謝罪ツイートがあるだろう。今の我々は違います」とツイートした

マリック氏の予想は近かった。謝罪ではなく、Uberは本日、乗客に一斉メールを送信し、そのタイトルは「あなたの電話番号は今もアプリ内に隠されています」というどこか不気味なものだった。本文には「アプリ経由でドライバーに電話やテキストをしても電話番号は伝わりません」「乗車場所と降車場所はドライバーの運行履歴で見ることはできません」、そして「さらにプライバシーを強化するために、正確な住所を知らせたくないときは、近くの交差点で乗り降りするようリクエストしてください」というフレンドリーなメッセージが書かれていた。

メールの目的は明らかに、Uberに対するネガティブな報道を見て、会社は自分たちのことを少しでも気遣っているのだろうかと不安に感じている乗客を安心させようとすることだ。実際Uberは、3月にUberの車両と間違えて車に乗った大学生が殺害された後、ユーザーに対して安全に関するメールを何度も送った。タイミングについて同社は、本日のメールは昨日の抜粋記事と「無関係」だと主張している。これは、従来からある安全機能を乗客に告知したのが、同社が数年前に実施した詐欺を疑われている「安全な乗車」キャンペーンに関する記事が大きく報道された直後だったのは偶然であるという意味だ。

そうなのかもしれない。しかし、乗客が数カ月間にわたって送られてきた何通かのメールから、キャンペーンの全貌を知ると仮定することはできない。結果的に今日のメールは、Uberに乗ることは生死に関わるリスクがあると顧客に思い出させることが主たる効果だった。

Uberが説明を加えることなく「安全を約束する」と強調するのは、ディベートで否定が逆に肯定を示唆する、いわゆる「Negative Pregnant」と同じことだ。Uberは自ら墓穴を掘っている。

Uber

さらに見てみると、この事象はUberが今おかれている厄介な状況を明確に示している。「安全な乗車」のようなキャンペーンは、カラニック氏(会社を大きくするためにもなんでもやった)が指揮をとっていたころに画策されたものだが、今はコスロシャヒ氏の問題だ。

株価が5月のIPO以来下がり続けている事実も同様だ。Uberのコスト削減策はことあるごとに好奇の目を誘う(部外者は特に、社員の勤続記念の ヘリウム風船をステッカーに代えて節約したことを面白がった)。そしてUberは、ドライバーの最低賃金を引き上げようとする労働運動家との戦いに、ロサンゼルス市でもニュヨーク市でも敗れている。

コスロシャヒ氏が解決すべき問題はこれだけではない(フードデリバリー、自動運転技術、国内外のライバルなど)。アイザック氏の本がほかにも数多くの問題を取り上げることは間違いない。

避けようのないこれらの不評にUberがどう対処していくかはまだわからない。コスロシャヒ氏が強気に出ることは考えにくい。それは彼のスタイルではない。

しかし、Uberが理由を説明することなく利用者にメールを送り続けるのをやめることも望みたい。もしUberが、カラニック時代よりも真剣に乗客の安全を考えているのなら素晴らしいことだ。乗客がUberドライバーから身を守る方法を闇雲に呼びかけるのはまともなやり方とはいえない。なぜ会社が突然乗客と会話したがったのかの理由を知らせないのならなおさらだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

砂嵐の中で行われたWaymo自動運転車のセンサーテスト

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転車会社であるWaymo(ウェイモ)は、ここ数年に渡ってフェニックス郊外でのテストを続けている。天気のいい大都市は、自動運転車の技術をテストするのに理想的で簡便な場所のように思えるかもしれない。しかし時には、砂漠があらゆるドライバーにとって危険な場所になることもある 。それが人間であろうとコンピューターであろうと。

この砂漠地域における2つの大きな安全上の懸念は、鉄砲水を引き起こす突然の土砂降りと、砂塵の壁が1500〜3000フィート(約457〜914m)の高さに達し、多いときには100平方マイル(約259平方km)の地域を覆う砂嵐である。2011年7月に起きた記録的な規模の砂嵐は、517平方マイル(約1339平方km)以上におよぶフェニックス渓谷全体を覆い尽くした。

8月23日にWaymoは、フェニックスの砂嵐やサンフランシスコの霧の中を進む自動運転車に搭載されたセンサーが、オブジェクトを検出および認識する方法を示す2つのビデオを含む、ブログ記事を投稿した。フェニックスの車両は手動運転されていたが、サンフランシスコの霧のビデオは自律運転モードで行われた。

Waymoが言うように、このビデオのポイントは、このような非常に視認性が低い瞬間に、車両が物体をどのように認識するのか、そもそも認識できるのかを示すことだ。そして彼らはそれを示した。砂嵐のビデオは、センサーがどのように作動して、ほとんどまたはまったく見ることができない、横断する歩行者を識別するのかを示している。

 

Waymoは、Lidar(ライダー)、radar(レーダー)、そしてカメラの組み合わせを使用してオブジェクトを検出し識別する。霧、雨、あるいは砂埃は、そうしたセンサーたちの可視性を制限してしまう可能性がある。

Waymoは、特定の気象現象の影響を受けたセンサーを切り離すわけではない。その代わりに、霧や砂塵の中であまりうまく機能してないとしても、すべてのセンサーからデータを取り込み続けて、その総合情報を利用して対象物をより適切に識別する。

 

Waymoの最高安全責任者であるDebbie Hersman(デビー・ハースマン)氏はブログ投稿の中で、これは、自動運転車にとっての視界(人間のパフォーマンス上の最大の限界の1つ)を改善する可能性があると書いている。Waymoやその他の自動運転車企業がこの技術で成功することができれば、衝突事故の主要な原因の1つを減らすことになるだろう。米国運輸省は、米国で1年に起きる衝突事故の21%が、天候による影響を受けていると推定している。

それでも、自動運転車でさえ手に余る道路状況が発生することもある。自動運転車の展開を計画している企業にとって、状況が悪化した場合に、その状況を特定するだけでなく、最も安全な措置を取ることができるシステムを持つことが重要なのだ。

ハースマン氏によれば、Waymoの車両は、人間もしくは自動運転車が安全に運転する能力に影響を与える可能性がある、吹雪などの突然の極端な天候の変化を自動的に検出するように設計されている。

問題は次にどうすべきかだ。人間なら、砂嵐の間道路の脇に停車し、車のエンジンを切るだろう。濃霧に遭遇した場合も同様だ。気象条件が悪化して、自動車の安全な運転に影響を及ぼすと同社が考えているレベルに達した場合には、Waymoの自動運転車も同じことをする、とハースマンは書いている。

このビデオとブログ投稿は、テストの方法と場所を紹介するための、Waymoによる最新の取り組みだ。同社は8月20日に、フロリダの豪雨を同社のセンサーが取り扱う方法のテストを始めたことを公表した。フロリダでのテスト実施はデータ収集とセンサーのテストに焦点を当てていて、車両は今のところマニュアルで運転されることになる。

また、Waymoは、カリフォルニア州マウンテンビュー、ミシガン州ノービ、ワシントン州カークランド、およびサンフランシスコでも、その技術をテストしている(してきた)。同社の活動の大部分は、フェニックス郊外と、マウンテンビュー周辺で行われている。

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(翻訳:sako)

ポルシェは完全電動スポーツカーTaycanにApple Musicを標準装備

ポルシェ(Porsche)は米国時間の8月19日、発売予定の完全電動スポーツカーであるTaycanにApple Musicを組み込むことを明らかにした。これは、Apple Musicが車載用のスタンドアローンのアプリとして採用される最初の例となる。

この発表は、ポルシェが車内のデジタルエンターテイメントに注力しているというだけでなく、Apple(アップル)とのさらなる関係強化にも取り組んでいることを物語るものだ。

Apple Musicの標準装備は、熱い期待を寄せられているTaycanから始まることになる。しかし、Appleとポルシェとの関係はそこで終わるわけではないと、ポルシェ・ノース・アメリカのCEOであるKlaus Zellmer(クラウス・ゼルマー)氏はTechCrunchに語った。

AppleのCarPlayは、iPhoneのルックアンドフィールを、車のコンソール中央のディスプレイにもたらすものだが、すでに新しいポルシェのモデルには採用されている。そこにはTaycanも追加されることになる。さらにCarPlayのときと同じように、完全に統合されたApple Musicアプリも、やがてすべてのポルシェのラインナップに採用されていくはずだ。

その意図するところは、すべてのポルシェの顧客に「同じバンド幅のサービス」を提供することだと、ゼルマー氏は言う。そしてApple Musicは、ストリーミングサービスを利用できる技術を採用した他の新しい車種にも導入されるということ。これと同じ趣旨の発言は、ポルシェAGの取締役会メンバーであるDetlev von Platen(デトレフ・フォン・プラテン)氏の声明の中にも見られる。

現状では、Appleとポルシェのパートナーシップにより、Taycanのオーナーは、車載のタッチスクリーンまたはボイスアシスタントを使ってApple Musicにアクセスできるようになっている。そして、その中の5000万曲と、Beats 1ライブストリーミングRadioステーション、キュレーターによって選ばれたプレイリストを利用できるのだ。Apple Musicは、個人会員なら9.99ドル(日本では9800円)の年会費がかかるが、最近有料会員が6000万人を超えた。

ここで言う「統合」とは、Taycanのデジタルタッチスクリーンに、Apple Musicアプリのアイコンが表示されることだけを意味するわけではない。ポルシェはエクスペリエンスをシームレスなものにしたかった。そこで面倒なサインイン、iPhoneとのペアリング、あるいは車用アカウントの準備といった操作をすべて省いた。それは、ポルシェがオーナーのApple IDを独自のPorsche Taycan IDにリンクさせることで実現している。それにより、ユーザーのiPhoneアプリ上のApple Musicコンテンツが、Taycanの中でもそのまま使える。

TaycanのApple Musicは、ポルシェのボイスアシスタントからもアクセスできる。ユーザーは、曲、アルバム、プレイリスト、ラジオ局の再生をしゃべってリクエストすることが可能だ。

ポルシェの新規、および既存のオーナーには、Apple Musicの6か月間の無料サブスクリプションが提供される。これは、Apple Musicの統合が、いずれはポルシェの他の車種にも適用されることを意味している。

無料期間が終われば、オーナーはストリーミングサービスの料金を支払う必要がある。とはいえ、Taycanオーナーの状況が米国におけるポルシェの顧客ベースを反映しているとすれば、多くの人がすでにApple Musicの会員になっている可能性が高い。またゼルマー氏によれば、米国のポルシェの顧客の80%以上がiPhoneを所有しているという。

またポルシェは、Taycanのオーナーに3年間の車内インターネットアクセスを無料で提供する予定であることも明らかにした。

「私たちの顧客は、ストリーミングのためのデータ消費量について何も心配する必要はありません」と、ポルシェAGのポルシェコネクト部門における販売およびマーケティング担当責任者であるLars Buchwald(ラース・ブッフヴァルト)氏は、アトランタにあるポルシェの北米本社で開かれた今回のイベントで述べた。

ゼルマー氏によると、Appleとポルシェは自然に調和するのだという。両社のブランドは、デザイン、テクノロジー、イノベーションのいずれをも重視する姿勢からして、かなり相性がいいということ。

両社のブランドは、クローズドシステムを好む価値観という点でも共有している。たとえばポルシェは、Apple CarPlayのライバルであり、オープンソースベースのAndroid Autoをサポートしていない。それは、必ずしもApple Musicが、Taycanや他のポルシェ車に統合されうる唯一のアプリであることを意味するものではないとしても、それ以外のものが採用されることはまずないだろうし、あったとしてもごくまれということになる。

「一般的な話ですが、私たちは常にプライバシー上の理由によって、システムを管理したいと考えています」とゼルマー氏は言う。「関係のない、あるいは不適切なマーケティングメッセージや広告が、私たちの顧客の目に触れることは望ましくないと考えています。私たちは、私たちの車のデジタルエコシステムに対して、だれによるアクセスを許可するのか、ということについて、常にかなり気を使っています。Appleが私たちのパートナーとして適している理由は、彼らの姿勢がまったく同じだからということもあるのです」。

画像クレジット:Porsche/K7 Musicの厚意による

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

シボレーの小型EVは電池セルの化学物質変更で走行距離400km超え

EPAの検査によると、2020年型全電動ハッチバックChevy Bolt EV(シェビー・ボルトEV)の走行距離は417kmとなり、前年より9%アップした。

同社は走行距離を上げるために、バッテリーパックではなく電池に使用する化学物質を改良した。スポークスパーソンによると、このGMカーはバッテリーのセルを増やしていないし、バッテリーパックも変えていない。また車の構造中へのバッテリーの据え付け方式も前と同じある。

むしろ、Chevrolet(シボレー)のバッテリー技術チームが取り組んだのは、同社が「セルの化学物質の抜本的な変更」と呼ぶ取り組みだ。セルの化学物質を変えることによってセルの電極のエネルギーを上げ、同じサイズと構造のバッテリーで走行距離を延ばすことに成功した。

これによって2020年型Chevy Boltは韓国のKia Niro(キア・ニロ)の385kmを抜き、ほぼ標準仕様のTesla Model 3の386kmを上回った。ただしModel 3のロングレンジバージョンは499kmであり、またHyundai Kona EV(ヒュンダイ・コナEV)の415kmよりは2km長いだけだ。このグループの中では後方にいるNissan Leaf Plus(日産リーフ・プラス)は、1回の充電で364km走行する。

ビッグニュースではないかもしれないが、この今後の市場で伸びるに違いない小型EVのグループの中で、走行距離が383kmから417kmに延びたことは、シボレーにとって大きい。今年の売上にも好影響を与えるだろう。

GMの中では、SUVやトラックに比べてEVは影が薄い。でもシボレーの車種間での食い合いはあるので、その中で強いハッチバックのコンパクトカーは捨てられない。

GMは2017年に2万3297台のChevy Bolt EVを売った。この車種の発売初年度だ。しかしその次の年は22%落ちて1万8019台だった。でも今年の前半は、また持ち直した。

この2020年型は新色が2種ある。年内にはディーラーの店頭に並ぶだろう。納車費用などを含めて基本価格は3万7495ドル(約395万円)だ。実際には、これに税金やディーラー手数料などが加わる。

画像クレジット:GM

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa