Apple TV+が「コーダ あいのうた」でストリーミングサービスとして初めてアカデミー作品賞を受賞

Apple TV+がNetflix(ネットフリックス)を抑え、前者の「CODA(コーダ あいのうた)」がアカデミー賞授賞式で作品賞を受賞し、ストリーミングサービスとして初の快挙を成し遂げた。

さらに「CODA」で主人公の父親役を演じたTroy Kotsur(トロイ・コッツアー)氏が助演男優賞を受賞し、男性ろう者の俳優としては初、ろう者の俳優としては「CODA」の共演者であるMarlee Matlin(マーリー・マトリン)氏の1986年の「Children of a Lesser God(愛は静けさの中に)」での受賞以来、2人目となった。脚本・監督のSian Heder(シアン・ヘダー)氏は脚色賞を受賞した。

これら3部門でのアカデミー賞は、2019年末にサービスを開始したApple TV+にとって初の受賞となる。

Wall Street Journalの報道によると、Apple(アップル)は、Child of Deaf Adult/s(CODA、映画のタイトルの由来となった、きこえない・きこえにくい親をもつきこえる子どもを指す概念)であるEmilia Jones(エミリア・ジョーンズ)氏が演じるRuby(ルビー)が、家業の漁業に加わる予定だったが、音楽の道に引き込まれていくというストーリーを描く「CODA」のオスカーキャンペーンに推定1000万ドル(約12億3600万円)を費やしたという。

Appleは、Apple TV+で現在ストリーミング配信されている「CODA」の配信権に2500万ドル(約30億8900万円)を支払い、同作は劇場でも限定公開された。同部門の他の候補には、Netflixの「The Power of the Dog(パワー・オブ・ザ・ドッグ)」が含まれていた。Netflixは過去数年の間、Martin Scorsese(マーティン・スコセッシ)監督の「The Irishman(アイリッシュマン)」やAlfonso Cuarón(アルフォンソ・キュアロン)監督の「Roma(ROMA/ローマ)」などで、いくつかの作品賞にノミネートされてきた。

Netflixはこれまでアカデミー賞の最高賞を獲得することはできなかったものの、監督賞(「ROMA/ローマ」のキュアロン監督「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のJane Campion / ジェーン・カンピオン監督)、助演女優賞(「Marriage Story / マリッジ・ストーリー」のLaura Dern / ローラ・ダーン氏)、外国語映画賞(「ROMA/ローマ」)、短編アニメ賞(「If Anything Happens I Love You(愛してるって言っておくね)」)など、合計116回ノミネートされ15部門で受賞した実績を持っている。

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(文:Catherine Shu、翻訳:Den Nakano)

HBO Maxが同プラットフォーム上の一部番組に新たにシャッフルボタンを追加

HBO Maxは今週、同社のプラットフォームで一部のテレビ番組に新しい「シャッフル」ボタンを導入することを発表した。この新しいボタンは米国時間3月24日から世界中に展開され、ストリーミングサービスのデスクトップ版でのみ利用可能だ。この新機能は、特定のテレビ番組のエピソードをシャッフルする。例えば「フレンズ」を見たいが、どのエピソードを見ればいいかわからない場合、このボタンを使えば、シリーズの中からランダムなエピソードに移動することができる。

このボタンは「フレンズ」「ラリーのミッドライフ★クライシス」「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」「ルーニー・テューンズ」「リック・アンド・モーティ」「ティーン・タイタンズGO!」「Selena + Chef(セリーナ・シェフ)」「Whose Line is it Anyway(フーズ・ライン・イズ・イット・エニーウェイ)」「フレッシュ・プリンス」「トムとジェリー」「ヤングシェルドン」「ジ・オフィス」などの45番組で使用できるようになる。

「HBO Maxのシャッフルボタンは、他のサービスと異なり、シリーズではなくエピソードをランダムに表示するため、ユーザーに表示されるコンテンツにある程度のコンテキストを与えることができます」と、HBO Maxの広報担当者はTechCrunchにメールで語った。「デスクトップで全世界に提供され、ユーザーはシリーズの詳細ページでシャッフルボタンを選択することで、45の厳選された番組を見ることができます。偶然の発見をする要素が加わり、シャッフルボタンを選択すると、足を蹴り上げて、より早くエピソードを見始めることができます」。

同社によると、このボタンは要望の多い機能だったとのことだ。HBO Maxは、この機能をプラットフォーム上のより多くのコンテンツに拡大する予定なのか、あるいはモバイルおよびTVアプリケーションに展開するのか、詳細を明らかにしていない。

この導入は、Netflixが、自分の興味や過去の視聴習慣から気に入りそうな映画やテレビ番組を再生する「ランダム再生」ボタンを正式に発表してから、ほぼ1年後のことだ。Netflixの機能は、より幅広いコンテンツ検索が可能で、接続されたテレビ、Android携帯、タブレットで利用できる。Amazon Prime VideoHuluも、それぞれのアプリにシャッフル機能を追加することを検討している。

新機能の開始は、HBO Maxが最近、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、ハンガリー、モルドバ、モンテネグロ、オランダ、北マケドニア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スロバキア、スロベニアといった15カ国への展開を開始したこと重なる。このストリーミングサービスは、本年後半にギリシャとトルコを含むさらに欧州6カ国に拡大する予定だ。

画像クレジット:HBO Max

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

米YouTubeが無料で広告付きテレビ番組を配信へ

米YouTube(ユーチューブ)は米国時間3月23日、広告付きのテレビ番組を初めて無料で配信することを発表した。これはTubi、Pluto TV、The Roku Channel、IMDb TV、Xumo、Plex、NBCUのPeacockなど、市場で増え続ける無料ストリーミングサービスとの直接対決を可能にする動きとなる。同社によると、まず米国のユーザーに対して、「ヘルズ・キッチン〜地獄の厨房」、「アンドロメダ」「ハートランド物語」などの番組から4000以上のテレビエピソードを無料で提供する予定だそうだ。今後は、番組や映画を含め、毎週最大100本の作品を無料ストリーミングに追加していく予定だ。

YouTubeはすでに広告付きの無料映画を多数配信しているため、今回の無料テレビ配信開始は、同社にとってまったく新しい試みというよりも、既存の無料ストリーミングの取り組みを拡張するものといえるだろう。

現在YouTubeでは、Disney Media & Entertainment Distribution(ディズニー・メディア&エンタテインメント・ディストリビューション)、Warner Bros.(ワーナー・ブラザーズ), Paramount Pictures(パラマウント・ピクチャーズ)、Lionsgate(Lionsgate)、FilmRise(フィルムライズ)などの企業が提供する1500本以上の映画を配信している。例えば2022年3月には、「60セカンズ」、「プリティ・ブライド」、「キューティ・ブロンド」などの映画が新たに追加されている。

しかし、広告付きと定額制の両方を含む広範なストリーミング業界は、映画ではなくテレビに引き寄せられる傾向がある。以前の時代であれば、映画か、少なくともミニシリーズになっていたであろう、新しいオリジナルプロジェクトが、今ではしばしば一気見ができるテレビ番組としてリリースされている。プラットフォームメーカーもこの傾向を好ましく思っている。ユーザーが自社サービス上でコンテンツを視聴する時間が増えていることを意味するからだ。才能と資金も長い間これに続いており、テレビシリーズは、過去数年間ハリウッド映画にしか与えられなかった批評家の注目と称賛の両方を獲得している。

画像クレジット:YouTube

一方、無料のテレビストリーミングは、ストリーミング市場全体の成長の大部分を牽引している。

Kantar(カンター)のデータによると、米国の85%の世帯がなんらかの動画契約を結んでいるが、四半期ごとの成長は主に無料の広告付きテレビと広告付きビデオオンデマンドサービスからもたらされている。2021年第4四半期時点で、米国世帯の18%が少なくとも1つの無料広告付きテレビサービスを利用しており、この数字は前年度第4四半期から2倍以上に増加している。Kantarによると、最終四半期の新規ユーザーのほとんどは、Peacock、IMDb TV、Tubi、The Roku Channelのアカウントにサインアップした人たちだったそうだ。

一方、YouTubeは、無料テレビとまではいかないまでも、米国でかなりのコネクテッドテレビの足跡を残している。Nielsen(ニールセン)のデータによると、2021年12月にYouTubeは米国のコネクテッドテレビで1億3500万人以上にリーチしているとのことだ。しかし、ユーザーがYouTubeでテレビ番組を検索すると、当該タイトルをレンタルするか購入するように誘導され、無料ストリーミングは選択肢になかった。

それが、無料テレビサービスの開始で変わることになる。YouTubeによると、新しいナビゲーションと没入感のあるバナーアートを導入し、ユーザーが視聴方法を選択しやすくするとのことだ。従来通りレンタルまたは購入するか、もしくは可能な場合は、広告付きの無料で視聴することができるようになる。一方、CMは視聴者や番組を見ている状況によって頻度が変わるとYouTubeは述べている。広告のほとんどは、YouTube Selectプログラムを通じて販売される。

ひと握りの有名番組以外にも、無料で視聴できる番組の多くは、「パパは何でも知っている」、「未解決ストーリー」、「21ジャンプストリート」、「キャロル・バーネット」、「ザ ガール 」、「パトカー54 / 応答せよ!」、「ローン・レンジャー」、「ホパロング・キャシディ」、「Laugh-In」、「The Dick Van Dyke Show」などの古いシリーズだ。無料番組の多くは、たとえシリーズが長く続いたとしても、1シーズンか2シーズンしか提供されていない。このライブラリによって、YouTubeがすぐに無料のテレビ番組のトップデスティネーションになるわけではないが、YouTubeの常連ユーザーにとっては、退屈な時間を緩和するのに役立つかもしれない。

また、YouTubeは、多くの無料テレビ番組が、対応するデバイスで5.1サラウンドサウンド音声付きの高解像度1080pで視聴できることにも言及している。

これらの番組は、米国のユーザーが本日からウェブブラウザ、モバイルデバイス、YouTube TVアプリを介したコネクテッドテレビで視聴できるようになる予定だ。

画像クレジット:YouTube

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アマゾンが約1兆円でMGMの買収を完了、「007」「ロッキー」「ロボコップ」などがプライム・ビデオで配信予定

Amazon(アマゾン)は85億ドル(約1兆円)でのMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)の買収を完了したと、米国時間3月17日に発表した。この買収完了により、4000本以上の映画と1万7000本以上のテレビ番組が、Amazonのストリーミングサービスであるプライム・ビデオの一部となる予定だ。

このリストには「007」や「ロッキー」シリーズ「ファーゴ」「ロボコップ」「羊たちの沈黙」などの名作が含まれている。これらの新タイトルは、Netflix(ネットフリックス)、Hulu(フールー)、HBO Maxなどのライバルに対して、プライム・ビデオを優位に立たせることになる。

2021年5月に初めて発表されたこの取引は、2日前に欧州連合の反トラスト規制当局から認可を受けた。規制当局は、AmazonとMGMの重複が限定的なため、この取引が競争を著しく低下させることはないだろうと判断した。Amazonは、米連邦取引委員会が合併に異議を唱える3月中旬の期限が切れた後、取引を進めている。

「MGMは、100年近くにわたって優れたエンターテインメントを生み出してきた歴史があり、私たちは、世界中の視聴者に幅広いオリジナル映画やテレビ番組を提供するという彼らの取り組みを共有しています」と、プライム・ビデオおよびAmazon Studioの上級副社長Mike Hopkins(マイク・ホプキンス)氏は声明で述べた。「我々はMGMの社員、クリエイター、タレントをプライム・ビデオとAmazon Studiosに歓迎します。我々のお客様に質の高いストーリーテリングを届けるより多くの機会を創出するためにともに働くことを楽しみにしています」。

Disney(ディズニー)+のようなスタジオストリーミングプラットフォームの立ち上げに見られるように、この契約により、既存の契約が終了すれば、競合するサービスからコンテンツが引き抜かれる可能性もある。

「MGMとその象徴的なブランド、伝説的な映画やテレビシリーズ、そして我々のすばらしいチームとクリエイティブパートナーがプライム・ビデオファミリーに加わることに興奮しています」と、MGMの最高執行責任者であるChris Brearton(クリス・ブレアトン)氏は声明で述べた。「MGMは、過去 100年間で最も有名で高い評価を得た映画やテレビシリーズの制作を担ってきました。私たちは、この伝統を引き継ぎ、次の章に向かい、プライム・ビデオとAmazon Studiosのすばらしいチームと協力して、今後何年にもわたって視聴者に最高のエンターテインメントを提供していきたいと考えています」。

Amazonはここ数年、大きな成功を収めているが、MGMはそれ以上の困難を経験している。2010年、同スタジオは、何度も手を変え品を変え、連邦破産法第11章の適用を申請した。スタジオは再建され、債権者が経営権を握った。

Amazonは、100年近い歴史を持つこのスタジオが、プライム・ビデオとAmazon Studiosのコンテンツを補完し、両者が協力することで、加入者により質の高いエンターテインメントの選択肢を提供するとしている。

さらに、Amazonは自社の制作スタジオや配給を通じて、オリジナルコンテンツへの積極的な取り組みを進めている。映画分野では、アカデミー賞脚本賞を受賞した「マンチェスター・バイ・ザ・シー」など注目作を制作している。また、9月2日に公開予定の「ロード・オブ・ザ・リング」を題材にしたシリーズ「ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪」にも着手している。このシリーズは、プライム・ビデオが現在提供している「マーベラス・ミセス・メイゼル」「フリーバッグ」「ザ・ボーイズ」「ジャック・ライアン」などの人気テレビ番組と合流する予定。

画像クレジット:Amazon

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Netflixが同一世帯以外のアカウント共有に追加料金を試験導入

Netflix(ネットフリックス)は、会員が同一世帯の人以外とサービスを共有する場合、追加料金を支払わせる新しいオプトイン機能のテストを開始する。この機能では、Netflixの正規料金を下回る料金で最大2つの「サブアカウント」を追加できる。この新しいオプションはまずチリ、コスタリカ、ペルーでテストされ、今後数週間かけてこれらの市場で展開される。同社は、この機能が全世界の会員に展開されるかどうか、またいつ展開されるかは明らかにしていない。

テスト市場のNetflixのスタンダードとプレミアムの会員には、サービス開始時に、同居していない人に対しサブアカウントを追加するオプションが提供される。各サブアカウントは、通常通り独自のプロフィールを持ち、パーソナライズされた「おすすめ」が提供される。しかし、この機能の特徴はサブアカウントにも独自のNetflixのログイン名とパスワードが用意されていることだ。さらに、サブアカウント利用者が自分の名前と請求先情報を使って自分のNetflixサービスを設定する場合、視聴履歴、ウォッチリスト(「マイリスト」)、パーソナライズされた「おすすめ」が引き継がれる。

この機能を実現するために、NetflixはGPSのような位置情報ベースのデータは使っていない。代わりに、IPアドレス、デバイスID、および家庭内のNetflixアカウントにサインインしているデバイスに関するその他の情報など、現在エンドユーザーにサービスを提供するために使用している情報と同じものを活用する。そうした情報を利用することで、Netflixは同一世帯外で継続してアカウントが共有されている場合、それを特定することができる。

新しいサブアカウントを有効にするために、メインアカウントの所有者はコードが記載された電子メールを受け取る。そのコードは、追加のデバイスが世帯の一部であることを証明するために必要となる。

テスト市場において、世帯外の追加ユーザーの料金は、チリで2380ペソ(約350円)、コスタリカで2.99米ドル(約350円)、ペルーで7.9ソル(約250円)だ。これは、Netflixのフルアカウントプランよりも安いが、これまで誰かのNetflixアカウントをタダで共有していた場合はそれより高い。Netflixは、追加ユーザーがサブアカウントの料金をNetflixに対して支払うことはないと述べている。つまり、Netflixからの請求書はこれまで通りメインアカウント所有者に送られる。メインアカウント所有者が追加ユーザーに料金を請求したい場合、その処理と回収はその人次第だ。

Netflixは以前、ユーザーが自分のNetflixアカウントを肉親以外の友人や家族と共有するという一般的な慣習にほとんど目をつぶっていた。実際、当時CEOだったReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏は、アカウント共有は新しい人々がサービスの魅力を発見するチャンスであり、「ポジティブなこと」だと話したこともある。「ストレンジャー・シングス」や「イカゲーム」など、Netflixが提供する番組の多くは世界的な人気を博している。一方、同社の真の課題は競争の激化に直面しながらも、会員と収益を増やし続けることだ。例えば、同社の年末の四半期はここ数年で最も低い会員数の伸びとなり特に厳しかった

理論的には、今回の新たな移行オプションによって、追加ユーザーが正規会員になる道を開くことは、Netflixの有料会員数を長期的に増加させることにつながるだろう。しかし、短期的には、他人のアカウントを使用したままでは、追加ユーザーが会員としてカウントされないことに留意する必要がある。

Netflixはこれまで、アカウント共有を喜んで受け入れてきたが、現在の立場は異なる。Netflixの現在の利用規約では、共有は世帯内で行われるべきものであり、世帯間で行われるものではないとしている。また、同社は2021年3月に「パスワード共有制限機能」なるものをテストしており、おそらくより広範な制限措置が課されることを示唆している。

しかし、Netflixはこの新しいテストを制限だとは考えていないようだ。これは1つのオプションで、会員にとって合理的かどうかを確認したいだけだという。ユーザーから反発を受ければ、同社はこのアイデアを棚上げし、代わりに別の方法を試す可能性もある。あるいは会員がこの機能を取り入れれば、より広範囲に展開すると決めるかもしれない。いずれなのかは後からわかるだろう。

「私たちは、人々には多くのエンターテインメントの選択肢があることを理解しています。従って、どんな新しい機能であっても、会員にとって柔軟で有用なものにしたいと考えています。なぜなら、会員の購読料が私たちのすばらしいテレビや映画を資金的に支えているからです」とNetflixの製品革新ディレクターのChengyi Long(チェンギ・ロング)氏はブログ投稿に書いた。「世界の他の場所で変更を実施する前に、これら3カ国の会員向けに2つの機能が機能するかを理解するべく取り組みます」とロング氏は付け加えた。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

HBO MaxとDiscovery+が合併、1つのサービスに統合される

先週、Discovery(ディスカバリー)の株主がWarnerMedia(ワーナーメディア)との合併を承認し、米国最大のメディア企業の1つが誕生するというニュースがあったが、この合併が両社の消費者向けストリーミングサービスであるHBO MaxDiscovery+にどのような影響を与えるのかがわかる、ヒントがある。米国時間3月14日朝、DiscoveryのCFOであるGunnar Wiedenfels(グンナー・ウィーデンフェルス)氏は、両社が2つのストリーミングサービスを1つのサービスに統合する計画であることを明らかにしたのだ。しかし、この変更には時間がかかるため、早急に何らかの暫定的なソリューションを提供する予定だ。

具体的にどのようなソリューションになるかは、あまり明確ではない。

ウィーデンフェルス氏は、月曜日に開催されたドイツ銀行の第30回メディア・インターネット・テレコム会議でのプレゼンで「そのため、すぐにでも、バンドルアプローチを準備し、シングルサインオン、コンテンツを他の製品に取り込むなど、早い段階で何らかの利益を得られるよう取り組んでいます」と述べた。

「しかし、主な目的は技術的なプラットフォームを調和させ、非常に強力な消費者直結型の製品とプラットフォームを構築することであり、これにはしばらく時間がかかるだろう」と述べた。また、現在大きなコスト要因となっている、サービスのマーケティングを最適化することで、両社はより直接的な利益を得ることができるようになると同氏は述べている。

430億ドル(約5兆円)規模のこの合併は、米国EUの承認を得て第2四半期に完了する予定だが、新しいWarner Bros. Discovery(ワーナー・ブラザース・ディスカバリー)は、HBO/HBO Max、CNN、Warner Bros. (TV and film studios)、DC Films、TBS、TNT、TruTV、Cartoon Network/Adult Swim、Turner Sportsなどと、従来のケーブルテレビ加入者が知っている DiscoveryのHGTV、Discovery Channel、Discovery+、Food Network、TLC、ID、Travel Channel、Animal Planet、Science Channel、OWNなどを統合した、強力なメディア帝国となることが予想される。この取引が完了すると、新メディア会社はDiscoveryのCEOであるDavid Zaslav(デヴィッド・ザスラブ)氏によって運営され、ウィーデンフェルス氏は引き続きCFOとして統合会社で務めることになる。

今朝のイベントで、ウィーデンフェルス氏は、2つのストリーミングサービスを組み合わせることで、それぞれのサービスが単独で行うよりも、男性と女性の両方の層によりよく届くようになることを示唆した。

画像クレジット:Discovery

「HBO Maxはよりプレミアムで男性向けな位置づけにあり、Discoveryは女性向けです。HBO Maxの出来事中心のコンテンツに対して、Discoveryのコンテンツは日常的に楽しんでいただけるものです。これらを合わせると、老若男女を対象とした四象限で最も完成度の高い製品ができることは間違いないと思っています」と述べている。

また、ウィーデンフェルス氏は、長期的な戦略として、サービスをバンドルするのではなく、組み合わせるという決断に至った同社の考え方について、さらに詳しく説明した。Disney(ディズニー)がこれまでバンドルで成功してきたことを認めながらも、同社は「20万時間のコンテンツポートフォリオ」を含む「完璧な火力」を、価値あるタイトルと迅速に投入する新しいタイトルと、1つのソリューションにまとめることが競争力を高めるための最善の方法だと考えるようになったという。

この2つのサービスは、2021年末までにHBO Maxが全世界で7380万人Discovery+が2200万人に達するなど、すでに単独でも確かな加入者数を誇っている。

HBO MaxとDiscovery+がすでにそのモデルで成功を収めているように、最終的に登場する統合サービスも、広告サポートと広告なしの層を提供する可能性が高いとCFOは指摘している。

「これは、我々にとって非常に効果的です。Disneyも同じ結論に達したと聞いてうれしく思いました」とウィーデンフェルス氏は語った。「プレミアム価格を支払ってもいいという層があります。もう1つは、もっと安い価格がいい、広告なんて気にしないという人たちです」このようなユーザーは、驚くことに数分の広告を本当に迷惑なものだとは思っていないという。

「そのため、私たちが市場に出てくる時は、そのような構造になる可能性が非常に高い」と述べた。

同社によると、このサービスを市場に投入するタイミングは、数週間ではなく数カ月かかるというが、数年ではなく数カ月で実現したいとのことだ。

今後のサービスの価格はまだ不明だが、HBO Maxは広告付きで月額9.99ドル(約1170円)、広告なしで月額14.99ドル(約1760円)、Discovery+は広告付きで月額4.99ドル(約580円)、広告なしで月額6.99ドル(約820円)となっている。

この合併に先立ち、ストリーミングの世界では、エコシステムの競争力向上が既存企業に影響を与えているようで、少しずつ整理がされてきている。例えば、Netflixはここ数年来、加入者数の伸びが低下している。同社は現在、加入者を増やし、維持する方法として、モバイルゲームの追加を通じてサービスの付加価値を高めようとしている。一方、Disneyは、Hulu/Disney+/ESPN+のバンドルサービスをより魅力的なものにし、一部の高価なアドオンをコアバンドルの一部とすることで加入を促進している。また、Paramount+は、この夏からShowtimeを直販サービスに加え、サービスを統合することを決定した。

画像クレジット:Presley Ann/Getty Images for WarnerMedia

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

YouTubeがロシア国営メディアを世界的にブロック

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対応するポリシーをさらに拡大し、YouTube(ユーチューブ)はクレムリンの支援を受けたメディアを、欧州だけでなく世界的にブロックすると発表した。欧州では現地時間3月2日以降、ロシア国営メディアであるRT(旧ロシア・トゥデイ)とSputnik(スプートニク)、およびその子会社が、欧州連合(EU)による制裁として、放送や配信を禁じられている

このコンテンツをブロックするYouTubeの措置はいかなる法的義務をも上回るものだが、まったく前例がないわけではない。Apple(アップル)はウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相から要請を受け、世界中のApp Store(アップ・ストア)からRTとスプートニクのアプリを引き上げた。フェドロフ副首相はアップルのTim Cook(ティム・クック)CEO宛に、ロシアでのデバイス販売の停止とApp Storeへのアクセスを完全に遮断することを求める書簡を送っているアップルはロシアでの製品販売も停止した)。

つまり、YouTubeの文言は、EUが制裁した(合計で)6つのRTとスプートニクの事業を禁止するよりも、さらに進んでいく可能性を示唆しているということだ。同社は現在「ロシアの国営メディアとそれに関連するYouTubeチャンネルへのアクセスを、全世界的にブロックしている」と書いている(なお、TechCrunchでは禁止の範囲についての明確化を同社に求めているところだ)。

YouTubeがツイートで発表したポリシーの更新によると、ロシアの国営メディアに対するYouTubeのブロック拡大は「直ちに実施」されるものの、この変更が有効になるまで時間がかかる可能性があると注意を促している。同プラットフォームは「システムの立ち上げには時間がかかることが予想されます」と書いている。

もう1つの新たなステップとして、YouTubeはそのコミュニティガイドラインにある特定のポリシーから、ウクライナに焦点を当てた執行を実施するという。それは「十分に立証されている暴力事件」を、否定、軽視、または些細なものとして矮小化するコンテンツを禁止する規定だ。「私たちは現在、このポリシーに違反するロシアのウクライナ侵攻に関するコンテンツを削除しています」と、YouTubeは述べている。

ここまで執行を強化することは、おそらく初めてであり(ポリシー自体は新しいものではないが)、これはウクライナ国内で起こっていると報じられている現実を否定するため量産され、急速に流布されているロシアのプロパガンダに対応することを意図しているものと思われる。

例えば、ウクライナ南部の港町マリウポルがロシア軍に砲撃され、産科・小児科病院が爆破された最近の事件では、ロシアのメディアはすぐに陰謀論の標的にして、写真や動画に写った犠牲者が俳優であるとか、怪我をした演技をしていると示唆した。さらに、ウクライナ軍兵士の大隊が狙撃位置についたため、病院から患者や職員がいなくなり、病院そのものが正当な標的となったという、同じ様な偽りの主張も行っている。

TechCrunchは、この執行発表に関するより幅広い背景についても、YouTubeに質問を送っている。

YouTubeは、ウクライナ関連の措置を講じた最近の更新を実施して以降、ヘイトスピーチポリシー、誤報に関するポリシー、映像コンテンツなど、多くのポリシーに違反しているとして、1000以上のチャンネルと1万5000以上の動画を削除したと発表している。

また、YouTubeは戦争に関する「質の高い」情報を増幅させる、つまりクレムリンのプロパガンダよりも真実の報道が優先されるようにするという、以前発表した施策の進捗を示したいとも考えている。ユーザーをこのコンテンツに誘導する(ホームページのニュース速報と「トップニュース」セクションを通じて)変更を行って以来、ウクライナの「信頼できるニュースソース」の視聴回数は約1700万回を超えたと述べている。

ロシアのYouTubeユーザーを対象とするさらなるステップで、YouTubeは同国のYouTube広告およびGoogle(グーグル)広告を一時的に停止した措置を拡大し、ロシアのユーザーが同プラットフォーム上で収益化できる方法のすべてをカバーするようにした、つまり収益を生み出す機会をすべて断ち切ったことも認めた。これまでYouTubeは、ロシアのユーザーにいくつか収益化するための選択肢を残していた。

Googleはまた、ロシアの銀行を標的とする西側の制裁措置によって生じた「決済システムの混乱」を理由に、ロシアにおけるGoogle Play(グーグル・プレイ)ストアでの課金や、YouTubeの支払いシステムを一時的に停止すると、米国時間3月10日に発表している

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Netflix、Disney+の発表を受けても広告付きオプションはまだ計画にないと述べる

Disney(ディズニー)は先週、同社のストリーミングサービスのDisney+に広告付きの定額制を導入する計画を発表したが、Netflix(ネットフリックス)は、自社の顧客向けに同様のオプションを用意することは当面の間、考えていないとしている。今週開催されたMorgan Stanely(モーガン・スタンリー)のテクノロジー・メディア・テレコム・カンファレンス で、NetflixのCFOであるSpencer Neumann(スペンサー・ノイマン)氏は、Netflixは必ずしも広告に反対しているわけではないが、広告付きモデルに傾倒することは「我々の計画にはない」と説明している。

この役員に投げかけられた質問は、Netflixがサービスのエントリープライスポイントを下げる方法として、広告の利用を考えられるかどうかというものだった。そうすれば、Netflixが価格に対してより敏感な市場を含む、よりグローバルな市場で地位を確立しようとする際に、Netflixの競争力を高めることができるだろう。例えば、Netflixが最近会員価格を下げたインド市場などだ。

しかし、ノイマン氏は、Netflixは「長期的な収益の最適化」に注力しており「会員にとってすばらしい体験となるような方法でそれを実現したい」と、同社の現在のサブスクリプションモデルを擁護している。

広告を導入することで、確かにサブスクリプションの料金が下がり、その結果、より多くの登録者が集まるかもしれないが、エンドユーザーの体験が損なわれる可能性もあるというのが、ここでの基本的な考え方のようだ。もちろん、CFOは、Netflixの計画が変更された場合に備えて、少しヘッジをかけ、もし同社が優れたユーザー体験を提供するという目標を達成できる広告付きスペースで活動する方法を見出したら、おそらくそうするだろうとも付け加えた。「決して絶対にないとは言いません」と述べた。

「今現在、私たちはすばらしいモデルと、グローバルに展開できるサブスクリプションビジネスを持っていると考えています」とノウマン氏はいう。「2年前の売上は200億ドル(約2兆3000万円)程度でしたが、今は300億ドル(約3兆5000万円)です。世界のどの地域でも健全な成長を遂げています」と語る。

もちろん、この威勢のいい言葉は、Netflixのビジネスの状況を完全に反映しているとは言えないかもしれない。今日の投資家たちは、たとえそれがサービスに広告を追加して価格を下げることであっても、Netflixがどこまで目先の成長を追い求めるべきか議論しているのである。そして、Netflixは2021年第4四半期の決算で、加入者数の伸びについてウォール街の予測を下回ったばかりだ。同社は当時、この落ち込みは一時的なもので、人気番組 『ブリジャートン家』 の第2シーズンなど、より期待されている番組のいくつかが四半期後半に開始されたことを反映したものだと主張していた。しかし、同社は株主宛ての手紙の中で、ライバルストリーマーとの競争激化が「当社の限界的な成長に影響を与えている可能性がある」と認めている。

現在、Netflixは、HuluやPrime Videoといった古くからのライバルに加え、Disney+、HBO Max、Paramount+、NBCU(NBCユニバーサル)のPeacockといった多くの新しい競合に直面している。

Paramount+とPeacockは、広告付きのオプションでスタートした。HuluはCM付きとCMなしの両方のプランがある。また、HBO Maxは2021年、広告付きサブスクリプションを開始した。そして今、Disney+が参入している。そのため、Netflixは、低価格の広告付きプランを持たないトップストリーマーの中で、ほぼ唯一の存在となっている。Amazon(アマゾン)のPrime Videoが広告を掲載していないのは事実だが、これは非常に異なるビジネスモデルの一部である。Prime Videoは、Amazonの高速配送オプションに代表される他の多くの特典を含む、より大規模で高価な定額制サービスの一部に過ぎないからだ。

一方、Netflixは、一部の市場で値下げとは正反対のことを行っている。代わりに、価格を上げているのだ。米国では、1月にNetflixは、プランによって1ドル〜2ドル(約1116円〜233円)の値上げを行った。今日(米国時間3月10日)、Netflixは英国とアイルランドでも値上げをすると発表した。

ノイマン氏は、この競争がいずれNetflixの広告に対する考え方に影響を与える可能性があることを認めた。

「私たちの計画にはないことですが、他社はそこから学んでいます。だから、他社がやっていることを無視することはできません」と認めた。「しかし、今のところ、それは我々にとって道理にかなっていないことなのです」と語る。

CFOは、カンファレンスでNetflixのビジネスの他の側面についても語った。彼は、ロシアの恐ろしいウクライナ侵攻を受けてNetflixが最近ロシアから撤退したのは、戦争の中で起こっている「本当の人間の苦しみ」を受けてなされた決定であることを最も重要な点として指摘した。しかし、その機会に関連して、ビジネスの観点からは、同国における制裁、規制の問題、決済に関する課題もあり、そこで事業を行うことはあまりにも困難となった。ロシアは、Netflixの収益の1%未満を占めているという。

Netflixの新興ゲーム事業についても簡単に質問されたが、ノイマン氏は、これを非常に初期の段階にあると特徴づけた。最初の12カ月は、ゲームをホストして世界中のアプリストアに配信するためのインフラという意味で「配管を正しくする」ことに集中していた。現在、同社は、ゲームの定着率やプレイ時間、会員が映画やテレビに対してどのような価値観を持っているかを学ぶことに取り組んでいる。

また、Netflixは現在までに約14のゲームをサービス上でリリースしているが、年内には「その何倍ものゲーム」をリリースする予定であり、新しいタイトルをより早く展開する計画を示していると述べた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Netflixは「栄光のグランプリ」でF1を台無しにしたたのか

2021年のF1に注目していた人なら、Netflix(ネットフリックス)のドキュメンタリー「Formula 1:Drive To Survive(Formula 1:栄光のグランプリ)」の最新シーズンはきっとすごいことになると知っている。

うれしいことに、もう間もなくだ。「栄光のグランプリ」シーズン4が3月11日に公開される。Netflixは米国時間3月9日に予告編を公開した。

さて、話はここからだ。

「栄光のグランプリ」はF1に大きな影響を与えた。スポーツに同じぐらいの影響を与える番組は、もしあるとしてもごくわずかだ。

The Guardianによれば、2021年にF1の総合視聴率は40%以上上昇し、米国でこれまでに最も多くF1が視聴された年になった。同サイトによれば、2021年にF1ファンは世界で7300万人増えたと推計されている。

米国人にとってモータースポーツといえばNASCARだったが、2022年にはマイアミがF1のカレンダーに追加され米国で2レースが開催されるほどの熱狂となっている。まさにマイアミらしく、コースレイアウト付近にはビーチクラブもあるようだ。

NetflixのドキュメンタリーシリーズとF1人気を短絡的には語れない。ただ、因果関係ではないにしても、少なくとも相関関係があることはまちがいないだろう。

しかし、このコインには裏面がある。私自身はNetflixのドキュメンタリーシリーズに引っぱられた新米のF1ファンだが、古くからのF1ファンに共通する思いがあることに気づいた。Netflixの番組がF1をダメにしている、というのだ。

説明のために、2021シーズンを簡単に振り返ろう。

メルセデスAMG・ペトロナスはここ10年近くF1の覇者だ。このチームは2020年まで7年連続でコンストラクターズ・ワールド・チャンピオンシップ(チームとしての成績)とドライバーズ・ワールド・チャンピオンシップ(ドライバーごとの成績)の両方でタイトルを獲得した。

予定されている大幅なレギュレーション変更に備え、メルセデスはリソースとエネルギーの大半を2022年シーズンに集中させることを決め、ライバルであるレッドブル・レーシング・ホンダがタイトル争いに加わる余地が生まれた。そして実際にそうなった。

レッドブルのファーストドライバーでF1界の悪ガキとも呼ばれるMax Verstappen(マックス・フェルスタッペン)と、ドライバーズチャンピオンのタイトルを7回獲得し多くの記録を保持するメルセデスのSir Lewis Hamilton(サー・ルイス・ハミルトン)はシーズンを通して互角に戦い、多くのレースで1位と2位を分け合った。

最後の4レースを残してハミルトンはドライバーズポイントで遅れをとっていたが、まずはそのうちの3レースで勝った。2021年ドライバーズタイトルの行方は最終戦のアブダビに持ち越された。F1でここまでもつれるシーズンはまれで、ことにメルセデスが絶対王者となってからはそうだった。

最終戦のほとんどの時間帯でハミルトンが先行するが、レッドブルでフェルスタッペンのチームメイトであるCheco Perez(セルジオ・ペレス、愛称が「チェコ」)がハミルトンの頭を押さえ、フェルスタッペンがオーバーテイクするチャンスを作る。セーフティカーが2回入り(1回はバーチャル、もう1回はリアル)、フェルスタッペンはフレッシュタイヤに交換、一方のハミルトンとメルセデスはトップを維持するために古いタイヤのままコースにとどまる選択をした。

(セーフティカーはコース上の障害物などのアクシデントが解決するまでの間に導入される。セーフティカーが入っている間、ドライバーはスピードを落とさなくてはならず、オーバーテイクは禁止されている)

ここで驚きの展開となった。

2回目のセーフティカーはクラッシュによるものだった。規則では、セーフティカーが入っている間に周回遅れの車はセーフティカーを追い越し、実際の順位の通りに並ぶことになっている(周回遅れやタイヤ交換のピットインのために順番が入り乱れることはよくある)。さらに規則では、周回遅れの車がすべて正しい順位に並んでからセーフティカーは次の周回の終了時点まで走り、レース再開となる。

FIAレースディレクターのMichael Masi(マイケル・マシ)はこのルールを無視し、トップのハミルトンと2位のフェルスタッペンの間にいる車にだけアンラップを指示した。さらに、1周早くセーフティカーを退かせた。

つまり、レースはセーフティカー先導のまま終わるべきだった。その終わり方は興ざめではあるが規則通りだ。しかし、そうはならなかった。

フレッシュタイヤを履いたフェルスタッペンは最終ラップでやすやすとハミルトンを抜き去ってこのレースに勝ち、そしてドライバーズタイトルを獲得した。

Netflixから入った新しいファンをとどめておくために運営が演出したのだと感じるF1ファンがたくさんいても不思議ではない。さらにいうと、ハミルトンとフェルスタッペンを拮抗させるためであるかのように思われる「疑問のある」判断は2021シーズンでこれが初めてではなかった。

何であれスポーツの公平性への干渉をうかがわせることがあれば、古くからのファンが動揺するのはもっともだ。

レッドブル・レーシングのChristian Horner(クリスチャン・ホーナー)代表(ちなみに妻はスパイス・ガールズのジンジャー・スパイス)といった人々は、せいぜいが見当違い、ひどい場合には女性に対して嫌悪感を持ちつつも、Netflix効果を享受しているようだ。

前述したように私は「栄光のグランプリ」がきっかけとなったまさに新しいF1ファンなので、確かに見方は偏っている。しかし私はF1が魅力的で複雑でアドレナリンが出るスポーツであることを知った。そういうふうにオーディエンスを魅了するものは、おそらく良いものだと思う。

私はストーリーをおもしろくするためにルールを調整したり曲げたりするのが正しいと考えているのか。断じてそれはない。私はそんなことが確かに起きたと言っているのか。それについてはまったく手がかりを持っていない。

私はただ、3月11日に始まる「栄光のグランプリ」最新シーズンを大量に摂取し、そのエネルギーを2022年のF1にそのまま注ぎ込むつもりだ。ご一緒にいかがですか?

画像クレジット:Netflix

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(文:Jordan Crook、翻訳:Kaori Koyama)

アマゾン、ロシアでPrime Videoへのアクセスと同国への商品出荷を停止

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、Amazon(アマゾン)はロシアの顧客のPrime Video(プライム・ビデオ)へのアクセスを一時停止している。また、同社はこの発表に関するブログ記事に、ロシアとベラルーシの顧客への小売商品の出荷を停止したことも記している。加えて、同社はロシアとベラルーシを拠点とするAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)顧客とAmazonのサードパーティー販売者の新規受け入れを停止する。Amazonがロシアで直接販売している唯一のビデオゲーム「New World」の注文受付も終了する。

「ロシアとウクライナで進行中の状況に鑑み、同地域で追加の措置を講じました。注意事項として、他の米国のテクノロジープロバイダーとは異なり、AmazonとAWSはロシアにデータセンター、インフラ、オフィスを持っておらず、ロシア政府とビジネスを行わないという長年の方針を持っています」と同社はブログ記事で述べた。

Amazonは先週、AWSがアプリケーションの安全性を維持するためにウクライナの顧客やパートナーと緊密に連携していることを発表した。同社は、攻撃をかわすためにウクライナのIT組織と緊密に連携し、リアルタイムのインテリジェンス共有でウクライナを拠点とする組織と協業しているという。

今回の発表は、Netflix(ネットフリックス)が今週初めにロシアでのサービスを停止すると発表したことに続くものだ。Netflixのロシアでのサービス停止は、ストリーミング配信会社に20のロシアのプロパガンダチャンネルをホストすることを求めるロシアの新法に従わないと同社が先週述べたことに続く措置だ。Netflixはまた、ロシアで制作する予定だった今後のプロジェクトをすべて一時停止した。

ウクライナへの攻撃を受け、ロシアでの事業を停止する企業が増えている中、Amazoもそこに仲間入りをした。今週初めには、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)など、複数の企業が同国での事業を停止すると発表している。Apple (アップル)は先週、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。ハードウェアの巨人はまた、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogle(グーグル)はAppleに続いて自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。同社はロシアでの広告販売も一時停止した

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Apple TV+が初のスポーツライブ配信契約でMLBの試合を毎週配信へ、日本でも視聴可能

Apple(アップル)が、Apple TV+のストリーミング・サービスのための新しいスポーツ契約を「積極的に探している」という報道が流れされていたが、米国時間3月8日、同社は多数のMLB(メジャーリーグベースボール)の試合をApple TV+で独占配信すると発表した。同社によると、レギュラーシーズン中の金曜日の夜に、ファンは2試合を視聴することが可能で、試合前と試合後の番組も放送される予定だという。

米国時間3月8日に行われたAppleとMLBの共同発表によれば、8カ国で試合と番組が視聴できるようになるとのことだ。8カ国に含まれるのは米国、カナダ、オーストラリア、ブラジル、日本、メキシコ、プエルトリコ、韓国、英国だが、Appleは後日、このサービスをより多くの国に拡大する予定だと述べている。

Appleが「Friday Night Baseball(フライデー・ナイト・ベースボール)」と名付けた番組に加え、米国のファンは、ハイライトやクリップを含む新しいライブ番組「MLB Big Inning(MLBビッグ・イニング)」を、レギュラーシーズン中に毎晩視聴できるようになる。また、米国とカナダのファンは、MLBの試合リプレイ、ニュース、分析、ハイライト、クラシックゲームなどを含む24時間365日の新しいライブストリームと、ハイライトやその他のMLBオリジナルコンテンツを含むオンデマンド番組にアクセスすることができるようになる。

試合や番組はApple TV+のサービスを通じて配信され、地域の放送規制の影響を受けない、とAppleは指摘している。Apple TV+は、AppleのiPhone、iPad、Mac、Apple TVなどのデバイス、ウェブサイトtv.apple.comに加え、パートナー契約を通じて他のゲーム機やスマートテレビ、一部のケーブルテレビのセットトップボックス(STB)など、あらゆるデバイスで視聴することが可能だ。

特にMLBの試合は、Apple TV+のストリーミングサービスにユーザーを惹きつける役割を果たすだろう。Appleによると、試合はサブスクリプションなしでも「期間限定」で視聴できるようになるという。

Appleのサービス担当副社長であるPeter Stern(ピーター・スターン)氏は「すべての野球ファンと同じように、私たちも開幕が待ち遠しいですね」と声明で述べている。「野球は、米国だけでなく、世界中の多くのAppleのお客様の心の中に特別な位置を占めています。Apple TV+が、シーズンを通して野球のすばらしい瞬間をお届けするホームとなることを誇りに思います」。

また今回の契約の一環として、AppleとMLBは、ファンのためにApple Newsアプリでのリーグやチームの話題を強化し、ハイライトを視聴する手段も提供する。

このニュースは、火曜日(米国時間3月8日)に行われたAppleのライブイベントで発表された(同イベントではiPhone、iPad、Macの最新アップデートも披露された)。

AppleがMLBとスポーツ中継について協議しているという報道は先月流されていた。他に名前が上がっていたのがNBC Sports(NBCスポーツ)だ。NBCは自社のストリーミングサービスであるPeacock(ピーコック)へのスポーツコンテンツへの追加に関心を持っていた。ニューヨーク・ポスト紙によれば、契約額は1億〜1億5千万ドル(約115億7000万〜約173億6000万円)の範囲になっていただろうという。

AppleとMLBは、これまでもARKitのようなAppleの新技術や、Apple PayビジネスチャットのようなサービスをMLBがいち早く採用することが多く、何年も密接に連携してきた。また、AppleはかつてMLBと提携し、ダッグアウトにiPadを設置したことがある。

MLBのチーフレベニューオフィサーであるNoah Garden(ノア・ガーデン)氏は「Appleは、『フライデー・ナイト・ベースボール』を世界中のファンのみなさまにお届けするための理想的なパートナーです」と発表のなかで語っている。さらに彼は「2008年のApp Store初日にAt Bat(アットバット)をローンチしたことや、全国の球場でAppleのテクノロジーが統合されたことなどのマイルストーンに続いて、この頼もしい新しい試合パッケージは、ファンのみなさまに質の高い革新的なコンテンツを提供してきた長い歴史の中でも、完璧な次世代コラボレーションです。全国で視聴可能で、国際的な広がりを持つMLB on Apple TV+は、より多くの視聴者が試合とつながることができる、エキサイティングな新しいプラットフォームをファンに提供できます」と述べている。

Read more about the Apple March 2022 event on TechCrunch

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

Apple TV+が米ComcastのXfinityプラットフォームでロールアウト開始

Comcastは米国時間3月7日、Apple TV+が同社のXfinityプラットフォームで利用可能になったことを発表した。Apple TV+は本日よりXfinity X1、Xfinity Flex、XClass TVで展開され、今後数日ですべての対象デバイスで利用可能になる予定だ。

Xfinityの音声リモコンに「Apple TV+」と話しかけるか、ストリーミングサービスから観たい映画やテレビ番組の名前、例えば「Ted Lasso(テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく)」や「The Morning Show(ザ・モーニングショー)」などと話しかけることで、これからApple TV+にアクセスできる。

このロールアウトの一環として、Xfinityユーザーは3月15日から21日まで、トム・ハンクス主演の新作映画「Greyhound(グレイハウンド)」やいくつかのシリーズのファーストシーズンなど、同ストリーミングサービスのコンテンツの一部をサインアップやサインイン不要で試聴できるようになる。また、Comcastによると、現在Apple TV+に加入していないXfinityの顧客は、4月25日までにXfinityのデバイスからサインアップすると、Apple TV+の3カ月間の無料トライアルが受けられるという。

Appleのサービス担当副社長であるPeter Stern(ピーター・スターン)氏は、今回の発表についての声明の中でこう述べている。「Apple TV+は、世界中の優れたクリエイターによる最高品質の番組を提供しており、リビングルームの大きなテレビで観るのはそれを楽しむベストな方法の1つです。当社とComcastの提携により、何千万台もの新しいデバイスでこの体験が可能になり、多くのComcastのお客様がApple TV+で新しいお気に入り番組を楽しめるようになり、とてもうれしく思っています」。

ComcastがAppleのストリーミングサービスに対応する計画を最初に明らかにしたのは、2021年10月、ComcastのBrian Roberts(ブライアン・ロバーツ)CEOがApple TVアプリをComcastのプラットフォームで利用できるようにすると約束したときだった。

Apple TV+は、2019年11月にAppleの顧客向けにデビューし、その後、同年、Roku(ロク)デバイスAmazon(アマゾン)のFire TVプラットフォームなど、Apple以外のプラットフォームにも展開された。現在では、Samsung(サムスン)、LG、VIZIO(ビジオ)、Sony(ソニー)のさまざまなスマートテレビ、PlayStation(PS4およびPS5)、Xbox(One、Series X、Series S)などのゲームコンソール、およびウェブ経由でも利用できるようになっている。12月には、英国および欧州のSkyデバイス(Sky QおよびSky Glass)でもサービスを開始した。

今回のサービス拡充は、太平洋時間3月8日午前10時(日本時間3月9日午前3時)に予定されているAppleの次のビッグイベントの前日というタイミングで行われた。同社はこのイベントで、5G接続対応のリフレッシュされたiPhone SE、全体的にスペックが向上したiPad Airアップデート版、Appleシリコンを搭載した新しいMacモデルなどを発表する可能性がある。

画像クレジット:Comcast

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

Disney+、2022年後半に広告付きの低価格サブスクを導入

Disney(ディズニー)は米国時間3月4日に、Disney+が2022年後半に広告付きのサブスクを導入することを発表した。同社は、開始日や価格については明らかにしていないが、2022年後半に新しいサービスの具体的な詳細を発表するとしている。この新サービスは2022年後半に米国で開始され、2023年には国際的に拡大する予定だ。ストリーミングサービスの現在の広告なしプランは、月額7.99ドル(約916円)または年額79.99ドル(約9177円)だ。

ストリーミングサービスに安価な広告付き層を追加することで、同社は加入者数をさらに拡大することができそうだ。プレスリリースで、Disneyは、この新しいサービスは、2024年までに2億3000万〜2億6000万人のDisney+の加入者という長期目標を達成するための「基礎的要素」になると述べている。

「Disney+へのアクセスをより低価格でより多くの視聴者に拡大することは、消費者、広告主、そして我々のストーリーテラーのすべてにとって利益となります」と、Disney Media and Entertainment Distributionの会長であるKareem Daniel(カリーム・ダニエル)氏は声明で、述べた。「より多くの消費者が私たちのすばらしいコンテンツにアクセスできるようになります。広告主はより多くの視聴者にリーチすることができ、ストーリーテラーはより多くのファンや家族とすばらしい作品を共有することができるようになります」。

このサービス開始後、Disney+は、HBO Max、Paramount+、Discovery+など、広告付き視聴サービスを提供する他のストリーミングサービスに加わることになる。Disneyが所有・運営するHuluも、月額6.99ドル(約800円)で広告付き視聴サービスを提供している。

本日の発表は、Disneyが2022年夏に欧州、中東、アフリカの42カ国と11地域でDisney+を開始することを明らかにしたことに続くものだ。新たに追加される国は、南アフリカ、トルコ、ポーランド、アラブ首長国連邦などだ。このストリーミングサービスは現在、米国、カナダ、英国を含む64カ国で提供されている。Disneyは、これらの新しい国でサービスを開始する正確な日付を特定しておらず、地域ごとの価格に関する情報も共有していないが、おそらく今後数カ月の間にそれを行う予定だ。

そのリストには、アルバニア、アルジェリア、バーレーン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、エジプト、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、イラク、イスラエル、ヨルダン、コソボ、クウェート、ラトビア、レバノン、リビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、マルタ、モンテネグロ、モロッコ、北マケドニア、オマーン、パレスチナ、ポーランド、カタール、ルーマニア、サンマリノ、サウジアラビア、セルビア、スロヴァキア、スロヴェニア、南アフリカ、チュニジア、トルコ、アラブ首長国連邦、バチカン市国とイエメンが含まれている。

新しい地域としては、フェロー諸島、フランス領ポリネシア、フランス領南方領土、サンピエール・ミクロン海外集団、オーランド諸島、シント・マールテン島、スヴァールバル・ヤンマイエン、英国インド洋領土、ジブラルタル、ピトケアン諸島、セントヘレナなどが含まれている。

Disneyは先日、2023年度までにDisney+の提供国を2倍以上の160カ国以上に拡大する計画を明らかにしたが、今回のニュースはその一環だ。同社は、消費者向けストリーミング事業をよりグローバルな市場に拡大することを計画しており、この推進を支援するため、新たにInternational Content and Operations(インターナショナル・コンテンツ・オペレーションズ)グループを設立している。

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Disney+がNetflixのMarvelシリーズを米国などで配信開始、日本では2022年後半の予定

米国時間3月1日、Disney+(ディズニープラス)は、以前Netflix(ネットフリックス)で配信されていたMarvel(マーベル)の実写ドラマの配信と、これらのドラマの追加にともない17歳未満の子どもには不適切と評価されたTV-MAコンテンツの視聴を禁止できる新しいペアレンタルコントロールの導入を発表した。

Disney+によれば、3月16日から米国、カナダ、英国、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドで実写シリーズの「Marvel デアデビル」「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」「Marvel ルーク・ケイジ」「Marvel アイアン・フィスト」「Marvel ザ・ディフェンダーズ」「Marvel パニッシャー」「エージェント・オブ・シールド」を配信する(ただし「エージェント・オブ・シールド」は米国のみ)。

Marvel作品に関するNetflixの権利が3月1日に切れて配信ラインナップから消えたことは、Netflixの1つの時代の終わりを表している。Disney+が登場するまでは、NetflixはDisneyと長年にわたって関係を築いていた。NetflixがDisneyのコンテンツに関して複数年の契約を交わした後、2013年にMarvelはNetflixと組んで最初の4本のスーパーヒーロードラマを製作した。これによりNetflixは「Netflixオリジナル」ブランドとして長年にわたって人気ドラマを配信し、新規ユーザーの獲得につながった。しかしNetflixは2018年と2019年にMarvelドラマの配信中止を開始し、Disneyとの契約終了に至った。そして契約により、中止後も2年間はドラマのキャラクターはNetflix以外の映画やテレビシリーズに登場できないことになっていた。

当初はNetflixの権利が切れた後にMarvelの実写ドラマがどこに行くかは不透明だった。ことに、これらの大人向けドラマは家族向けの配信サービスであるDisney+には合わない。可能性がある考えられたのは、Disney傘下で大人向けコンテンツの傾向が強いHulu(フールー)だ。しかしこれらのドラマが3月中旬からカナダのDisney+に登場することがスクープされ、Disneyは少なくとも一部のマーケットでこれらのドラマをDisney+に取り込む意向であることが明らかになった。ただし米国で配信されるのか、されるとしたらいつからか、どのプラットフォームで配信されるのかは明らかになっていなかった。

画像クレジット:Sarah Shatz/Netflix

また、Disney+は米国でTV-MAに指定されているコンテンツを子どもに見せたくない保護者のためのツールが必要であることも認めた。3月16日から米国のDisney+利用者すべてに対してペアレンタルコントロールのアップデートが求められる。利用者は家族のプロフィールごとにコンテンツのレーティングを選択し、プロフィールをロックするためのPINコードを設定できる。またキッズプロフィールを抜けるための質問も設定できるので、子どもはキッズの利用環境から切り替えることができない(Disney+のグローバル市場ではすでにこのようなペアレンタルコントロールが提供されている。しかし米国のユーザーは新機能として今後RやTV-MAコンテンツの制限ができるようになる。アプリを再起動する際に変更を求められる)。

これらの設定はオプションで、米国の全利用者に対して3月16日以降に初めてDisney+のサービスを利用するときに表示される。利用者がレーティングを設定しない場合は、デフォルトで14歳未満の子どもには不適切とされるTV-14コンテンツに設定される。つまりTV-MAのプロフィールを選択しないと、新たに配信されるMarvelドラマは見られない。

Disneyによれば、TV-MAに切り替えたプロフィールには変更を確認するためにアカウントのパスワードも必要になるという。設定した後はDisney+の大人向け番組を利用でき、アプリの「あなたへのおすすめ」や「トレンド」にも表示されるようになる。

Disney Streaming(ディズニー・ストリーミング)の社長であるMichael Paull(マイケル・ポール)氏は発表の中で次のように述べた。「Disney+には業界で最も愛されるブランドが集まり、これらの実写ドラマが追加されることでMarvelブランドもさらに1カ所で楽しめます。我々は世界中の市場でDisney+が提供するコンテンツを拡大してすばらしい成功を収めており、Marvelの新しいドラマを加えたすばらしいコンテンツと、お客様とご家族が最適な視聴体験を得られる機能を提供して米国でもこれを継続できることをたいへんうれしく思います」。

ペアレンタルコントロールを変更すると今後、大人向けのMarvelコンテンツをさらに配信できることになるが、Disneyは具体的な発表はしていない。

同社によれば、MarvelのドラマはDisney+のその他の全海外市場で2022年後半に公開される予定だ。

画像クレジット:Disney

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Netflix、短編動画フィード「Fast Laughs」をテレビに導入

Netflix(ネットフリックス)は、短編動画機能「Fast Laughs(ファストラフス)」をテレビの大画面に展開する。1年前に開始されたこのTikTok(ティックトック)にインスパイアされたおもしろい動画のフィードは、これまでモバイルデバイスでのみ利用可能で、Netflixユーザーが観たいと思う新しい番組、映画、コメディスペシャルを紹介する役割を担っていた。

スマートフォン版「Fast Laughs」は、Netflixアプリの目立つ位置にあり、現在は下部ナビゲーションバーの真ん中のボタンになっている。この配置は、TikTokや、今ではInstagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)のリールといったライバル動画アプリにユーザーのモバイルでの時間を奪われることをNetflixが懸念していることを示しているようだ。

TikTokと同様に、モバイルでの「Fast Laughs」はスワイプ可能な垂直のビデオフィードを提供し、反応、共有、またはコンテンツを保存するボタンが画面の右側にあった。しかし、Netflixの目的はソーシャルプラットフォームの開発ではなく、短いティーザー動画を見たユーザーが番組や映画、スペシャル番組をNetflixのウォッチリストに追加したり、すぐに作品のストリーミングを開始できるようにすることだ。

NetflixのTVプラットフォームでは「Fast Laughs」は少し違った働きをする。

オプトイン機能は、会員ページの6から12行目あたりに表示されるようになる。この場合、ユーザーが何か見たいものを探してスクロールしている時に、短編動画を提供するというアイデアだ。また、携帯電話のようにコンテンツを縦に移動するのではなく、画面右側の矢印からリモコンでクリックすることで、動画を閲覧することができる。

画面下部には番組名とレーティングが表示され「More Info」のボタンをクリックすると、そのタイトルのページに移動することもできる。

画像クレジット:Netflix

この機能は、大人向けコンテンツを紹介することもあるため、子どものプロフィールには表示されない(Netflixは、子ども向けの短編動画機能をモバイルでもテストしていた。しかし、そちらはまだテレビに展開していない)。ただし「Fast Laughs」は、設定されていれば、ユーザーの年齢設定を尊重すると、Netflixは述べてている。

発売当初、TV版「Fast Laughs」には「アーミー・オブ・ザ・デッド」「ファザーフッド」「キスから始まるものがたり」などのNetflix映画「ビッグマウス」「デッドトゥミー」「私の”初めて”日記」などのTV番組、さらにアリ・ウォン、ジョコイ、ジェリー・サインフェルドなどのスタンドアップ・コメディのクリップが収録される予定だ。

Netflixによると、テレビでの「Fast Laughs」はまだ当面はテストとみなされ、まず米国、カナダ、英国、アイルランド、ニュージーランド、オーストラリアなどの英語圏の市場で展開が開始されるという。これらの展開は2月22日に始まり、今後数日から数週間かけてゆっくりと継続される予定だ。

「Fast Laughs」は、同社が新機能を設計する際にソーシャルメディアアプリからコンセプトを借用した初めての例ではない。2018年、Netflixはプレビュー機能を導入する際に「Stories(ストーリーズ)」形式を採用した。そしてNetflixは、会員がカタログからコンテンツをよりよく発見できるようなアイデアを常に実験している。例えば、2021年、「ランダム再生」というシャッフルモード機能を立ち上げ、Netflixの体験にさらなる偶然の発見を可能にしようと試みた。この機能は、ユーザーの興味やこれまでの視聴行動に基づいて、サービスが好きそうだと思うタイトルを再生するものだ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

BTS所属のHYBEも注目、AI使った合成アバターをクリエイター向けに提供する韓国Neosapience

人工知能(AI)を活用した音声・映像技術は、近年、着実に人気を集めている。韓国のスタートアップ、Neosapience(ネオサピエンス)は、ユーザーがスタジオで録音や編集をすることなく、テキストを動画に変換できる合成音声・動画プラットフォーム「Typecast」を開発した。

Neosapienceは米国時間2月22日、成長を加速させ、新たな地域(特に米国)での事業を拡大するために、シリーズBラウンドで2150万ドル(約24億7400万円)を調達したと発表した。BRV Capital Managementが主導した今回の資金調達により、同社の累計調達額は約2670万ドル(約30億7200万円)に達した。本ラウンドには他にも、Stic Ventures、Quantum Venturesが参加した。既存投資家であるCompany K Partners、Albatross Investment Capital、Daekyo Investment、TimeWorks investmentsも参加した。

Neosapienceの共同創業者兼CEOであるTaesu Kim(キム・テス)氏はこう述べている。「今回の資金調達により、リーチを拡大し、限界をさらに押し広げることができます。より少ない労力でコンテンツを作ることを可能にするだけでなく、AIを使ったバーチャルアクターを誰もが利用できるようになるという我々のビジョンを実行することが可能になります」。

元Qualcomm(クアルコム)のエンジニアが集まって2017年に設立した同社は、韓国語と英語の170人のバーチャル声優を提供するAIボイスサービスプロバイダーとしてスタートした。2022年1月には、実在の人物のように見えるAIを活用した合成動画(アバター)機能を追加した。日本語やスペイン語など、他の言語も追加していく予定だという。

画像クレジット:Neosapience

同社のユーザーの大多数は主にクリエイターや企業のクライアントで、ビジネスやVlog、ゲームなどの個人的なチャンネルのためにビデオやオーディオコンテンツを作成するためにこのツールを使用していると、キム氏はTechCrunchに語った。企業クライアントには、韓国のボーイズグループBTSの声を作りたいと考えている、同グループが所属するHYBE Entertainmentの子会社HYBE EDUのようなメディアやエンターテインメント企業の他、オーバーザトップ(OTT)プラットフォームも含まれている。また、複数の電子書籍プラットフォームがTypecastを利用して、同社のAI声優が作成したさまざまなオーディオブックを提供していると、同氏は説明してくれた。ユーザーは、実際の俳優を雇う代わりにTypecastのアバターを使用することで、音声品質を維持しながらコストと時間を削減できるという。

「クリエイターが当社のサービスを使って、より多くの、より良いコンテンツを作ることを支援したいと考えています。クリエイターエコノミー全体が我々にとっては対応可能な市場であり、その規模は1040億ドル(約11兆9700億円)と推定されています」とキム氏はいう。

画像クレジット:Neosapience

競合他社との違いの1つは、人間のような感情の表現、話し方、韻律制御、ボーカル、ラップボイス技術など、Typecastの高度な技術にあるとキム氏は語る。

BRV Capital ManagementのマネージングディレクターであるYeemin Chung(チョン・イェミン)氏は、声明で次のように述べている。「人間の感情をテクノロジーによって表現することは、これまで非常に難しいことでした。「Neosapienceは、音声・映像合成の分野で先頭を走り続け、個人のクリエイターやエンターテインメントのための商業インフラの構築に成功しました。世界中のメディア企業は、デジタルコンテンツやバーチャルコンテンツの制作に感情を組み込む方法を革新するために、(この技術に)簡単にアクセスすることができます」。

Neosapienceのユーザーは現在、100万人以上いるという。過去2年間、2019年11月のローンチ以来、その収益は毎月約18%の成長を遂げている。同社の従業員は1月時点で41人。

「この1年で急速に成長しましたが、AIを活用したバーチャルヒューマンと、その合成メディアやインタラクティブコンテンツへの応用において、誰もが認めるグローバルリーダーになるために、さらに邁進する機会があると考えています」とキム氏は語った。

関連記事:実在しているような合成アバターがしゃべるプレゼン動画を簡単に作れるSynthesiaの技術

画像クレジット:Neosapience

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(文:Mike Butcher、翻訳:Den Nakano)

セールスフォース、D2CストリーミングメディアソリューションでAWSと提携

ストリーミングメディアサービスを運営するには、複雑な技術の組み合わせが必要で、大企業でも単独で管理するのは難しい場合がある。Salesforce(セールスフォース)とAWS(アマゾンウェブサービス)のメディア業界グループは、AWSのインフラソリューションとSalesforceのマーケティングおよび顧客管理ツールを組み合わせたソリューションを提供し、そのプロセスを簡素化する試みでタッグを組んだ。

Salesforceでメディアエンターテインメントとメディアクラウドを担当するVP兼GMのChristopher Dean(クリストファー・ディーン)氏によると、同氏のグループはSalesforceが2020年にVlocityを13億ドル(約1495億円)で買収した後に形成したインダストリークラウド部門に属する。VlocityはSalesforceの上に、メディアやエンターテインメントなど、いくつかの業界特化型バーティカルを構築した。

同社はメディア業界を成長させるにつれ、D2Cメディアストリーミングソリューションに対する市場ニーズが高まっていることに気づいた。ストリーミングの顧客向けにサブスクリプション、アップセル(より高額な商品の販売)、マーケティングを推進するためのツールを備えていたが、それを実行するためのインフラが不足していた。そこで、長年のパートナーであるAWSと連携することにした。

「Salesforceには、視聴者を魅了して獲得し、エンゲージを引き出し維持するためのエンド・ツー・エンドの購読者ライフサイクル機能があります。しかし、これを実現するために必要なメディアインジェスト、メディア配信のいずれも持っていなかったのです。そこで、この2つをくっつけると(私はこれをチョコレートとピーナッツバターの瞬間と呼んでいます)、実際とてもうまく機能し、エンド・ツー・エンドのソリューションができあがるのです」とディーン氏は語った。

画像クレジット:  Salesforce / Getty Images

Amazon Studiosの製品担当ディレクター、Eric Iverson(エリック・アイバーソン)氏は、AWSとSalesforceが話し合う中で、組み合わせたソリューションは大いに意味を成したと話す。「この2つのスタックは、かなり関連性の高い多くのことを行っているように思えました。何度も何度もカスタムメイドするのではなく一緒になり、必要なピースのすべてを積極的に組み合わせて、すぐに使えるソリューションにしてはどうか。それが我々自身に課したミッションのようなものでした」とアイバーソン氏は述べた。

提供を始めるにあたり、両社はメディアをビジネスとする商用ストリーミングサービスを、このようなソリューションのスイートスポットととらえているが、従来のメディア企業ではない企業がビジネスを拡大するためにストリーミングメディアに移行する傾向が強くなっている。SalesforceとAWSは、どちらの分野にも多くのチャンスがあると見ている。

「ほとんど瞬時に多くの市場機会があると思います。それは、メディアストリーミングを自社のビジネスとしてではなく、自社のビジネスを実現し強化するための手段の一部として提供したいと考えるあらゆるブランドに対して、とてもシンプルな方法でインフラサービス一式を提供するにはどうしたらいいか、ということです。これは、私たちにとって非常に大きなチャンスだと思います」とディーン氏は述べた。

Salesforceは2021年、Salesforce+というメディアサービスを開始した。これは、従来対面式のイベントで提供されていたコンテンツを、ビデオコンテンツとしてストリーミングするものだ。しかし、Salesforce+は現時点ではSalesforceとAWSのソリューション上で動作していないことに注意が必要だ。

ディーン氏によると、2社によるこのソリューションがあれば、単独でこのようなプロジェクトを管理するのに必要なエンジニアリングのリソースがない企業でも、D2Cビデオストリーミング機能を手にすることができ、そのニーズは大きいと2社は考えている。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Disney+は第1四半期に新規加入者1180万人を獲得、Netflixを上回る

Disney(ディズニー)は、2022年第1四半期の決算発表の一環として、Disney+が同四半期に1180万人の新規加入者を獲得して会員数が1億2980万人に達したと発表し、2024年までに会員数2億3000万〜2億6000万人達成という目標に向けて順調だと述べた。前の四半期は200万人の加入者増にとどまっていたが、今期は予想を上回った。

Disneyは、Disney+の全世界の加入者数を、米国内と海外のカテゴリー別に分類した。加入者数は、米国とカナダで4290万人、それ以外では4110万人だった。また、Disney+ Hotstarの加入者数は4590万人で、これはDisneyとStar Indiaの既存ストリーミングサービスとの協業で展開されているサービスだ。

Disney+の成長は、ウォール街が予想した新規加入者約700万人を上回った。また、Netflix(ネットフリックス)は2015年以来最低の加入者増を記録し、予想の850万人に対し新規加入が830万人にとどまるという冴えない四半期だったが、Disney+の成長はストリーミング業界の状況に対する投資家の懸念を和らげたかもしれない。

Disneyの他のストリーミングサービスについては、Huluが660万人の新規加入者を獲得して会員数を4530万人にし、ESPN+は420万人を追加して2130万人に達した。Disneyのストリーミングサービス全体の契約数は1億9640万に達している。

同社の株価は、好決算を受けて8%上昇した。同四半期はパーク事業も回復した

DisneyのCEOであるBob Chapek(ボブ・チャペック)氏は決算説明会で投資家に対し、Disney+の同四半期中の成功は、本業の成長と新しいコンテンツの組み合わせによるところが大きいと述べた。同四半期にDisney+は、オスカーにノミネートされた「Encanto(ミラベルと魔法だらけの家)」「Eternals(エターナルズ)」「Hawkeye(ホークアイ)」「The Book of Boba Fett(ボバ・フェット)」などの有名作品をリリースしている。チャペック氏は、毎週1本、新作品をリリースするという目標を達成し、この目標を2倍にする計画だと述べた。

Disneyは今会計年度に、新規加入者獲得に向けて新コンテンツに330億ドル(約3兆8055億円)を注ぎ、第1四半期の勢いを持続させることを目指している。また、チャペック氏は、Disney+加入者が2024年度末までに2億3000万人〜2億6000万人に達するという軌道を維持していると説明した。

さらにチャペック氏は「Star Wars:Revenge of the Sith(スター・ウォーズ/シスの復讐)」の10年後を描くStar Wars新Disney+シリーズ「Obi-Wan Kenobi(オビ=ワン・ケノービ)」が5月25日に配信されることを明らかにした。このシリーズでは、若き日のオビ=ワンをEwan McGregor(ユアン・マクレガー)氏が再び演じ、その他にHayden Christensen(ヘイデン・クリステンセン)氏、Moses Ingram(モーゼス・イングラム)氏、Joel Edgerton(ジョエル・エドガートン)氏、Kumail Nanjiani(クメイル・ナンジアニ)氏、Indira Varma(インディラ・ヴァルマ)氏、Rupert Friend(ルパート・フレンド)氏らが出演する。

別のStar Wars新Disney+シリーズとして「Andor」が2022年中にスタートする予定だ。このシリーズでは、Diego Luna(ディエゴ・ルナ)氏が「Rogue One(ローグ・ワン)」で演じたCassian Andor(キャシアン・アンドー)役を再び演じる。また、Stellan Skarsgård(ステラン・スカルスゲールド)氏、Adria Arjona(アドリア・アルホナ)氏、Fiona Shaw(フィオナ・ショウ)氏、Denise Gough(デニース・ゴフ)氏、Kyle Soller(カイル・ソラー)氏、Genevieve O’Reilly(ジェネヴィーヴ・オーライリー)氏らが出演する予定だ。

Disney+が目指す会員数は、2022年夏に欧州、中東、アフリカの42カ国と11地域でストリーミングサービスが開始されることにともなうものだ。注目すべきは、南アフリカ、トルコ、ポーランド、アラブ首長国連邦などの新しい国々だ。Disneyは、これらの新しい国でサービスを開始する正確な日付を特定しておらず、地域ごとの価格に関する情報も出していないが、今後数カ月のうちに明らかにするはずだ。現在、Disney+は米国、カナダ、英国を含む64カ国で提供されている。

同社は、2023年会計年度までにDisney+を提供する国を2倍以上の160カ国以上に増やすことも明らかにした。消費者向け直販ストリーミング事業をさらに多くの市場に拡大する計画で、この推進のために新たにInternational Content and Operationsグループを設立する。

Disney+は2019年後半に始まり、過去数年間、Netflix、Amazon Prime Video、その他複数のストリーミングサービスと競合してきた。Disney+は、主にMarvel(マーベル)やStar Warsのコンテンツを有していることで、ストリーミング分野でその名を轟かせることができた。

ESPN+については、チャペック氏はCNBCとのインタビューで、DisneyがNFLの中継Sunday Ticketの放映権に入札するつもりであることを明らかにした。NFLのSunday Ticketの独占プロバイダーとしてのDirecTVの契約は、2022年のNFLシーズン後に切れることになっており、Amazon(アマゾン)やApple(アップル)など多くの企業が契約について初期交渉している。チャペック氏は、スポーツ番組が同社のストリーミング戦略の極めて重要な部分だと概説した。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Bilibiliコンテンツモデレーター過労死疑惑で中国テック業界の長時間労働文化の議論が再燃

中国で先週、オンラインコンテンツのモデレーターが急死したことで、インターネット時代に生まれた職業の労苦に焦点が当たっている。

中国の動画配信サイト「Bilibili(ビリビリ、哔哩哔哩)」でコンテンツを監視していた25歳の男性が、春節(旧正月)中の2月5日に突然亡くなった。この件に詳しい人物から情報を得たというWeibo(ウェイボー、微博)ユーザーの投稿によると、春節の連休中、午前9時から午後9時までの12時間シフトで働いた後のことだったとされている。

この投稿は数時間のうちに何万回も閲覧され、中国のテック業界に蔓延する長時間労働文化に対して、ネット上で新たな抗議の波を引き起こした。

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2009年のサービス開始以来、Bilibiliはサブカルチャーのためのニッチな安息地から、2021年9月時点で月間アクティブユーザー数(MAU)2億7千万人を誇る人気動画共有サイトへと変貌を遂げた。

コミュニティが拡大しているということは、それだけ審査すべき動画が増えているということでもある。中国の広大なネット検閲体制の背後には、WeChat(ウィーチャット、微信)、TikTok(ティックトック)、Weiboなどのコンテンツプラットフォームに雇用されている大勢のモデレーターが存在する。これらのモデレーターは、しばしばコンピュータの前で長時間作業し「違法・有害な」ユーザーの投稿にフラグを立てて削除する。その過酷な労働条件から、インターネット時代の「生産ライン」とも呼ばれている。また、工場での仕事と同様に、一日中コンテンツをパージする作業は、労働者の健康を損なうことにつながる。

過労死疑惑に対してBilibiliは、従業員が亡くなる前の1週間、彼は1日8時間、週5日という標準的な労働時間で働いており、同社は法律に基づいて休日出勤した彼の給与を3倍にしていたと主張している。

「彼が担当していたコンテンツセキュリティモデレーションの仕事は、24時間体制の特別な業務です。他の公共サービスと同様に、コンテンツセキュリティは旧正月であっても止めることはできません」と同社は声明で述べた。

もちろん、このような説明では激昂した世論を鎮めることはできない。「悲劇を繰り返さない」ために、Bilibiliは、コンテンツ監査チームの健康状態を「積極的に改善する」と述べている。そのために、2022年中に1000人のモデレーターを追加して「平均的な仕事量を減らす」とともに、同部門のスタッフに「強化された健康チェック」を導入する予定だという。

Bilibili従業員の死について最初に投稿したWeiboユーザーは、動画配信大手である同社の弁護士から手紙を受け取ったと投稿している。スクリーンネームを「Wang Luobei」とするこのユーザーは、Weiboで500万人近いフォロワーを抱えている。Bilibiliは、この弁護士の手紙についてのTechCrunchの問い合わせには応じていない。

画像クレジット:Gao Yuwen / VCG / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

Disney+が米国で初めてライブストリーミングのテストを実施

Disney+は、米国時間2月8日、米国で初めてライブストリーミング機能のテストを実施し、オンデマンドのサブスクサービスの今後の変化を示唆した。今回のテストでは、大規模なイベントには挑戦せず、俳優でコメディアンのLeslie Jordan(レスリー・ジョーダン)と俳優でプロデューサーのTracee Ellis Ross(トレーシー・エリス・ロス)が司会を務める第94回アカデミー賞ノミネーションのライブストリームを実施した。このイベントは、Disney(ディズニー)傘下のHulu、さらにABC News Live、Oscars.comなどアカデミー賞が所有するさまざまなプラットフォームにもライブ配信された。

イベントの視聴者全員が1つのプラットフォームに視聴を合わせないので、このように幅広い配信はDisney+の負担を軽減することにもつながった。

同社は、Disney+でのライブストリーミングについて、今後どのような具体的な計画があるかについては言及を避けたが、同社のプラットフォームでライブコンテンツがどのようなものになるかを模索したいことは認めている。担当者は、これまでのところ、結果に満足していると述べ、Disneyは今後もこの種の体験をテストし続ける予定であると付け加えた。

「今朝のアカデミー賞のノミネーションで、米国のDisney+でライブストリーミングのテストを行いました。我々はその結果に満足しており、消費者に最高のユーザー体験を提供するための継続的かつ反復的なアプローチの一環として、テストを続けていきます」と、Disneyの広報担当者はTechCrunchに語った。

Disneyはすでに、Hulu with Live TVやESPN+など、ライブコンテンツを配信できる複数のストリーミングプラットフォームを持っているが、同社が米国のDisney+にライブスポーツを統合することを検討している可能性を示すヒントもある。あるスポッターは最近、例えばDisneyPlus.comサイトマップにリンク (https://www.disneyplus.com/espn/details/sport-event/)が追加されたことに気づいた。これは、同社がESPNの視聴者がDisney+からスポーツに容易にアクセスできるようなプランを検討していることの表れではないか、と彼らは推測している。また、インドのDisney+ Hotstarサービスではすでにスポーツのライブ配信を行っているため、Disneyが米国で同様のサービスを検討するのも無理はないだろう。

しかし、今日のテストが示すように、ライブストリーミングはスポーツのライブに限定されるものではない。すでにHuluでクロスストリーミングされている特別なイベントや、ファンに直接アピールできるようなイベント、たとえば人気のファンイベントD23 Expoからの配信など、Disneyが配信する意味があるライブイベントは数多くある。

また、ライブコンテンツが加わることで、記録的な成長が鈍化し始めた現在、サービスの魅力が増す可能性もある。

Disney+の加入者は、2021年第2四半期の1億360万人から第3四半期には1億1600万人に増え、第4四半期にはさらにわずか210万人増の1億1810万人になった。その鈍化は加入者増に関するウォール街の期待を裏切り、11月の最新決算発表の直後に株価を下げた。それでも、DisneyのBob Chapek(ボブ・チャペック)CEOは、2024年までにDisney+加入者数を2億3000万-2億6000万人にするという同社の目標は、依然として順調であると述べた。Disneyは米国時間2月9日に2022年第1四半期の決算を発表する予定だ。

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)