SpaceXのFalcon 9がケープカナベラルにて爆発炎上

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更新情報:SpaceXからの情報によれば、人的被害はないとのこと。ただしロケットおよび積荷はすべて失われた。

多くの目撃者情報によれば、SpaceX Falcon 9ロケットが、ケープカナベラルの発射台におけるテスト中に爆発したとのことだ。9月3日土曜日に発射される予定で、Facebook初となる衛星を打ち上げることになっていた。

衛星の名前はAmos-6で、FacebookのInternet.orgイニシアティブで用いるブロードバンド接続を提供する予定となっていた。Facebookおよびフランスの衛星プロバイダーであるEutelsatが9500万ドルと5年の歳月をかけて開発したKaバンドの通信システムが搭載されていた。

地元の防災対策室からの情報によれば、周辺地域に被害が及んだという情報はないとのことだ。

以下の各ツイートは英文のまま掲載しておきます。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、年内にも再利用ロケットを使ってSES衛星を打ち上げへ

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ルクセンブルクに拠点をおく、衛星関連事業を展開しているSESが、初めてSpaceXのFalcon 9を再利用することで合意にいたったとアナウンスしている。

再利用ロケットを利用した打ち上げは年内を目処に行われる予定であるとのこと。実現すればSpaceXは新たな一歩を踏み出すこととなる。これまでにイーロン・マスク率いるSpaceXは、9機の第一段ロケット回収に成功している。しかしまだ再利用して、再度宇宙に向かわせるところまではいっていなかったのだ。

SpaceXの話によると、今回再利用するのは4月にISS関連のCRS-8のミッションに利用し、無人船により回収したものであるとのこと。無人船での回収に初めて成功したときのものだ。

静止衛星ビジネスで世界最大のSESは年初より、SpaceX初となる再利用ロケットにより宇宙に資材を打ち上げることに強い興味をもっていると表明してきていた。

ちなみに、SpaceXとSESのつながりは以前からのものだ。2013年にSpaceXを利用してSES初となる商用静止衛星を打ち上げたのだった。

3月にもSESは、SpaceXのロケットを使ってSES-9衛星を静止軌道に打ち上げている。これは第一段ロケットを無人船で回収しようとして打ち上げたものであったが、このときには回収に失敗している

数ヶ月のうちにも打ち上げられるSES-10は、ラテンアメリカの通信用途で用いる衛星を打ち上げることになっている。

ロケットを実際に再利用することで、新しい時代を切り開くことになると考えています。低コストで資材を打ち上げられるようになり、積荷の制限などももう少し柔軟に考えられるようになるでしょう。技術面および運用面で高い信頼性を誇るSpaceXと、今回の合意に至ったことを嬉しく思っています。
SESチーフ・テクノロジーオフィサーMartin Halliwell

再利用が可能となれば、打ち上げコストは大幅に下がることとなる。コストが下がれば宇宙ビジネスが大幅に拡大することになり、それを目指してSpaceXやBlue Originは数々の困難に立ち向かっているのだ。

SpaceXのプレジデントであるGwynne Shotwellは3月、Falcon 9の第一段ロケットを再利用することで、30%のコスト削減ができると見込んでいると述べている

宇宙船などを宇宙に送り出したあとのロケットを再利用することは、全体を迅速に再利用するための第一段階となるものです。SESは何年にもわたって、SpaceXの取り組みに積極的に協力してくれています。最初の再利用ロケットで、SES-10を打ち上げることになることを嬉しく思っています。
プレジデント兼チーフ・オペレーティングオフィサー Gwynne Shotwell

今回の打ち上げのコストについてはSESから情報を得ることはできなかった。「正確な金額については非公開としています。しかしSpaceXのFalcon 9を再利用することにより、信頼性のあるロケットを手軽に使えるようになり、発射コストを引き下げると同時に発射回数を増やすことになっていくでしょう。安価にかつ自由に宇宙にアクセスできることは私たちのビジネスにとって非常に重要なことであり、発射ロケとの再利用はまさに大きな可能性をひらくっことになるのです。

なおSpaceXは今年、2015年比で3倍のロケット打ち上げを行いたいと発表している。またファルコンヘビー(Falcon Heavy)の初打ち上げも計画されている。今年も残り4ヵ月。目標をすべて達成することとなれば、SpaceXにとってもとても重要な1年として記録されることになるのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

NASA、ISSに商用利用を予定する新ドックの設置作業中(ライブ映像あり)

将来に予定されるISSの商用ロケット利用に備える準備のため、NASAの宇宙飛行士たちが作業を行なう。2017年よりボーイングやSpaceXなどによる人員の投入および帰還のために利用される予定の、新しいドックを準備するのだ。一般の企業がこのような行為を行うのは初めてのこととなり、ロシア独占の時代が変わることになる。

作業を行なっているのはNASAのKate RubinsとJeff Williamsで、東部標準時の08:05より行われる。IKEAのコーヒーテーブルを組み立てるよりもはるかに難しい作業となるのは間違いない。作業は6時間半を予定しており、主要作業はSpaceXによって7月20日に運ばれて8月17日に梱包を解かれたドッキングアダプターの設置だが、その前にさまざまな準備作業が予定されている。

Rubinsにとっては最初の宇宙空間での作業となる。Williamsはこれまでに3度の船外作業を経験している。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、スカパーJSAT放送衛星打上とブースターロケットの洋上回収に再び成功

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今日(米国時間8/14)、東部時間1:26am、SpaceXはケープカナベラルからFalcon 9ロケットを打ち上げ、第一段ロケットを海上を航行するドローン艀に着陸させることに成功した。さらに重要なことだが、SpaceXは今回の打ち上げの本来の任務であるJCSAT-16衛星を静止トランスファ軌道(Geostationary Transfer Orbit=GTO)に乗せることにも成功している。

SpaceX JCSAT mission patch

ブースター・ロケットを洋上のドローンに着陸させるたのは、衛星を静止軌道という非常に高い高度に投入する必要があったためだ。静止トランスファ軌道に乗せるためには多量の燃料を必要とするので、ブースターを地上基地に帰還させることはできなかった。これまでのところ、SpaceXが地上基地にブースターを帰還させたのはペイロードとなる衛星が低高度の場合だけだった。

今回打ち上げられたJCSAT-16は大型の商用放送衛星で、日本のスカパーJSAT株式会社のためにSpace Systems Loralが製造したものだ。この衛星はスカパーJSATが運用する16基の衛星ネットワークに追加され、アジア太平洋地区における衛星放送と衛星データ通信の役割を担う。

SpaceXでは今回を含めてブースターの回収を合計11回試みており、うち6回が成功している。2回は地上回収、ドローン艀への回収に成功したのは今回を含めて4回となった。
航行する艀への洋上回収は地上回収に比べて困難度が高いと考えられているが、SpaceXの打ち上げミッションによってはドローン艀への回収が最良ないし唯一のオプションとなる。

この1年に繰り返されてきた回収の試みでSpaceXは非常に多くの経験を積んだ。ある場合には温度が高すぎ、操縦をコントロールする液圧装置の作動流体が十分残っていない、安定脚がロックされずに転倒したことなどもあった。

しかしこの4月以降、イーロン・マスクの宇宙企業はブースター回収を6回試みて5回生功させている。

ただしこれまでのところ、回収されたブースターの再利用は行われていない。しかし先月、回収されたブースターの1基を用いて燃焼試験が実施された。この実験のは有意義だったはずだが、宇宙に飛び立ったわけではなかった。衛星打ち上げへの再利用に最初に使われるのは この5月に国際宇宙ステーションへの物資補給に用いられたブースターとなるはずだ。打ち上げスケジュールなどはまだ決まっていない。

今日のミッションはSpaceXにとって今年8回めの打ち上げとなった。打ち上げ回数を18回と昨年の3倍にアップするう野心的な目標を実現するなら、今年後半にかけてさらにペースを上げる必要がある。次回の打ち上げはわずか3週間後に予定されており、SpaceXはその準備に全力を挙げている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

宇宙居住設備の開発にNASAが6500万ドルを投入

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NASAは火星到達を真剣に考えている。しかも短期滞在ではない。このほど2年にわたり6つの会社に6500万ドルを投入する発表をしたばかりだ。あの赤い惑星へ向かう途中そしてその惑星の表面上で使用できる、宇宙向け居住施設の開発とテストが目的だ。

これは、NASAの Advanced Exploration Systems(民間の研究を宇宙探索のテクノロジーに転用するためのファンド)主導のもとに遂行されている、NEXTStep(NeXTSTEP OSと混同してはならない)パートナーシッププログラムの一部である。

NEXTStepによる昨年の契約のテーマは様々なものだったが、今年の契約のテーマは皆同じである、即ち「地球からの補給なしで独立して数カ月から数年の間、人間が生活し働くことのできる深宇宙用居住設備」。ここで想定されているのは宇宙船である ‐ それも巨大な。

金額も巨大だ、昨年の契約ではおそらく合計1500万ドルが10の企業に振り分けられたが、今年は6500万ドルが6つの企業に振り分けられる。言うまでもないが、遥かに巨額の投資である。

こららの幸運な企業はすべて、深宇宙居住の問題に対し少しずつ異なるアプローチをとっている。

左上から:ロッキード・マーチン、ボーイング、軌道ATK、シエラネバダ山脈のコンセプト宇宙船。

左上から時計回りに:Lockheed Martin、Boeing、Sierra Nevada、そしてOrbital ATKによるコンセプト宇宙船。

Bigelowは既にお馴染みの名前かもしれない:Bigelow Expandable Activity Module(BEAM)は最近、国際宇宙ステーションに接続され、現在テストを受けている最中である 。これから同社はその20倍の大きさ(現行の16に対し330立方フィート)の、Expandable Bigelow Advanced Station Enhancement、別名XBASEを開発する計画を立てている。モジュールをしっかりと折り畳み、後に展開することができるという特長がある、しかしBEAM配備時に起きたトラブルは、課題も多いことを意味している。もちろん、それこそがテストが必要な理由である。

Lockheed Martinは高品質な宇宙機材を無駄にはしたくないと考えている。彼らの計画は、スペースシャトルによって運ばれる貨物モジュールを、居住可能な多目的環境へと転用することだ。アイデアの基本は、実績のある機材を将来の開発の基礎として利用することである。ちょうどモジュールとオリオン宇宙船との間でデータや乗組員を移動させるように。

居住モジュールの内部のNASAのコンセプト。

居住モジュールの内部のNASAによるコンセプト図。

リサイクルに熱心なもう1つ業者はNanoRacksである。同社のISS外実験プラットフォームは昨日運用が開始されたばかりである。NanoRacksはかなりクレイジーなアイデアを暖めている:ロケットの最終段にある大きな燃料タンクを、居住空間に転用しようというのである。同社は、Space Systems LoralならびにUnited Launch Allianceと共に、これが実現可能なクレイジーなのか、あるいは単なるクレイジーなのかを確かめようとしているところだ。

Sierra Nevada(正確にはその子会社のSpace Systems)の計画はおそらく1番野心的なものだ。4回の以上の商業打ち上げで、 ロケット推進装置、拡張可能な環境、そして生活サポートを付け加えて、同社のDream Chaser貨物モジュールの1つの上に構築を狙っているのだ。段階的にそれを進めることは、良いリスク管理を意味している。

BoeingとOrbital ATKはあまり詳細を発表していない。前者はただ広範なテストのためのフルスケールプロトタイプを作成中であるとし、後者はそのCygnus宇宙船を目的のために改造中であると言うばかりである。

もちろん、すべてはまだ始まったばかりだ。そしてとりわけこれらのプロジェクトは、実際に火星やその彼方へ私たちが送り出すものを創り出すわけではないが、可能性の追求と潜在的なリスク発見の任を課せられている。これらの企業によって調査されるテクノロジーは、まずは地上で、次に静止軌道上で、そして最終的には月と地球間で、その性能を証明しなければならない ‐ 長期にわたるミッションのためのハードウェアの「信頼できる基礎」となるために。

NASAはそれぞれのプロジェクトが幾ら受け取るかの詳細を発表していないし、正確なタイムラインや成果物についての発表もまだである ‐ 最終成果は24ヶ月後に現れるという契約ではあるにせよ。現在NASAに対し詳細を問い合わせ中である、もし何らかの回答があればこの記事を更新する。

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(翻訳:Sako)

エネルギー省の研究所が5000台のロボットを使って銀河の3D地図を作る…ダークエネルギー探究のため

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全宇宙に分布する数百万もの銀河の地図を作る仕事は、中途半端が許されない。それは相当な大仕事になるから、たとえばそれをロボットにやらせるなら、高さ10インチの筒状のロボット5000基のひとつひとつに、銀河や星や、ブラックホールから生まれた超大質量のクエーサー、などなどからの光を集めるフィンガーの幅を、測定させることになる。

そしてもちろん、エネルギー省のLawrence Berkeley National Laboratory(ローレンス・バークレー国立研究所)のようなところでも、スイッチを入れればマッピングを開始する、という単純な仕事ではない。まず、エネルギー省の予算承認が要る。その承認を最近得たばかりの同研究所は来年、アリゾナ州ツーソン郊外のキットピーク国立天文台で、DESI(Dark Energy Spectroscopic Instrument, ダークエネルギースペクトル分析装置)の据え付け工事を開始する。

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その巨大な計器が観測を開始するのは2019年だ。さまざまな天体の特性を、光を利用して分析する。われわれから遠ざかっていくスピードも分かる(前にも言ったかな?)。これらの観測によって、急速に膨張している宇宙の110億年前の姿も分かる。それは、宇宙の創成とほぼ同じ時期だ。

観測を行うのは5年間で、空の1/3を対象とし、その2Dのマップに三次元の測度を与える。もちろん、すべての科学者が、新しい発見をこのプロジェクトに期待している。

同研究所の広報、Risa Wechslerが、ダークエネルギーについて語る: “DESIは、現存するものよりもずっと大きな赤方偏移を使って宇宙の3Dマップを作れるだろう。それによって宇宙の物理を探査でき、ダークエネルギーの本質を発見できるだろう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NASA、探査機による最新火星写真を公開

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マーズ・リコネッサンス・オービターから1035枚もの写真が送られてきている。マーズ・リコネッサンス・オービターは、既に十年ほども火星の周りを飛んでいる探査機だ。NASAジェット推進研究所(JPL)が管理するこの探査機は、他の探査機とともに毎月火星からの写真を送ってくる。

写真は毎月送られてくるのだが、Popular Scienceの記事にもあるように、26ヵ月ごとくらいにシャッターチャンスが訪れる。すなわち火星、月、そして太陽の並びが最適な状態となり、この期間に膨大な写真を撮影して地球に送ってくるようになっているのだ。伝送に数週間もかかるほどだ。しかしそれだけの価値がある非常に鮮明な写真が送られてくる。

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今回送られてきたような精細な写真は、火星の表面について多くの情報を与えてくれる。また将来行われるであろう地上探査にも大いに役立つこととなるだろう。もちろんそうした実用上の目的を除いても、謎多き隣人の姿を写した写真は眺めているだけで興味深い。

8月3日に送られてきた写真は、アリゾナ大学のHiRISE(High Resolution Imaging Science Experiment)のページで見ることができる。もちろん過去に写された写真も掲載されている。

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(翻訳:Maeda, H

火星探査機、ローバー・キュリオシティーの活動が4周年―NASAがかわいいゲームを発表

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NASAの火星探査車、ローバー、"キュリオシティー"が4歳になった。プレゼントには何がいいだろう? ローバーは水を探しているという。水をプレゼントするのは無理だが、ちょっとしたゲームはお祝いにぴったりだ。JPL、NASAのジェット推進研究所はゲーム開発ができる人材を抱えていたようだ。JPLはかわいい横スクロールゲームでローバーの火星での活動の4周年を祝った。

このゲームはiOS、Android、デスクトップ向けの小さアプリで、プレイヤーは険しい岩山を超えて探査車を移動させ地下の水の貯留箇所を探す。その間、ひっくり返えらせたり車輪を破損させたりしないよう(実際のローバーにもつきまとう危険だ)操縦しなけれならない。

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実は地下の水の貯留空洞を探すという任務は2020年に打ち上げが予定されている別のローバーに託されている。この後継ローバーはゲームのデモで分かるように、レーダーを備えており火星の地下を見通すことができる。

JBLはゲームについて「ユーザーはソーシャルメディアを通じて友達と〔このゲームを〕共有できる。これがきっかけとなって科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学などのさらに詳しい知識を学ぶドアが開かれることを期待する」と語っている

正直言ってこのゲームと宇宙計画の関係はスーパー・マリトと水道工事の関係程度だが、宇宙プロジェクトに少しでも注目が増えるようなら大いに有益だろう。それになかなか楽しそうなゲームだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

宇宙から定点観測、NASAが地球の1年間を映す動画を公開

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去年の今頃、NASAはDSCOVR衛星に搭載されるEPICカメラで撮影した画像を初めて公表した。そのカメラは、それ以降も地球よりおよそ100万マイル離れたLagrange Point 1と呼ばれる場所から撮影を続けていた。

3000枚以上の画像をまとめ、NASAは太陽が照らす地球の1年間の様子が分かる動画を制作した。

EPICは2時間毎に少なくとも1セット分の画像を撮影する。地球を散発的にしか撮影していないが、それでもEPICの記録は雲の動きや空に駆け巡る大きな天候パターンを明らかにする。1セットの画像では10の異なる波長を記録している。赤、緑、青の波長を組み合わせることで動画で見える地球の色を再現している。

たった1年の短い期間だが、EPICはすでにいくつか興味深い天体イベントを記録した。

皆既日食

Series of EPIC images showing the moon’s shadow move across the Earth during a total solar eclipse / Images courtesy of NASA/NOA

EPICの画像から、皆既日食の過程で月の影が地上を移動している様子が分かる:NASA/NOAの画像

3月、EPICは皆既日食で地球の上を月の影が移動している様子を捉えた。地表で月の移動経路に当たる場所にいた人たちは、皆既日食を見ることができた。

皆既日食の間、月は地球と太陽の間を通過する。地上で空を見上げると、短い間太陽が暗い丸い影に変わって日食を見ることができる。

月の移動

Series of EPIC images showing the lunar transit that took place in July, 2015 / Images courtesy of NASA/NOAA

2015年7月にEPICが捉えた月の移動の様子:NASA/NOAAの画像

DSCOVRの特異な地点からは、毎年1回か2回、月が移動している様子を見ることができる。

DSCOVRは常に地球と太陽の間に位置していて、月は地球の周りを回っているのだから、DSCOVRからは常に月が見えるだろうと感覚的に思うかもしれない。しかし、EPICが捉えられる範囲は狭いこと、地球と月は相当離れていること、さらに月の軌道は5度ほど傾いていることから、月はEPICの撮影範囲からは大抵の場合外れているのだ。

Earth/Moon to scale / Screenshot from BuzzFeed video “209 Seconds That Will Make You Question Your Entire Existence”

地球から月までの距離を表した画像:BuzzFeedの動画「209 Seconds That Will Make You Question Your Entire Existence」のスクリーンショット

最初の月の移動が目撃されたのは2015年7月16日で、2回目の写り込み は今年の7月4日に起きた。

Series of EPIC images showing the second lunar transit that took place July, 2016 / Images courtesy of NASA/NOAA

2016年7月、2回目の月の移動が確認されたEPICの画像:NASA/NOAAの画像

天候と北極、南極

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皆既日食と月の移動に加え、EPICは太平洋を進む3つの大型ストーム(最初の画像)、東南アジアで発生した山火事(2枚目の写真)、そして北極、南極の様子(3つ目と4つ目の写真)も捉えている。

EPICが1年の間で北極と南極のどちらの様子も捉えられるのは、1年に季節があるのと同じ理由で、地球が傾いているからだ。

北極がEPICの方に傾いている時、太陽の方に傾いていることを意味するため、北半球は夏であることを示す。同様に南極がEPICの方に傾いている時、南半球は夏だ。

EPIC Science 観測装置

EPICはアメリカ海洋大気庁が2015年2月にローンチしたDSCOVR衛星に搭載されているEarth Scienceのための観測装置だ。この衛星は常に太陽と地球の間にある特別な重力均衡地点「Lagrange Point 1」と呼ばれる場所に位置する。地球と太陽の間にDSCOVRは常に「駐車」しているため、継続的に太陽を向いている地球(太陽が照らす地球)を観測することができる。

DSCOVR location in relation to the Earth and sun / Image courtesy of NOAA

地球と太陽とDSCOVRの位置:NOAAの画像

DSCOVRの観測地点から、科学者は1年を通しての雲の範囲や天候パターンを研究することができる。EPICの光学画像からオゾンやエーロゾルの量、雲の高さや移り変わり、植物の生息地域、火山のあるホットスポット地域、地表に降り注ぐ紫外線量などを計測することが可能になる。

EPICはこれまでになかった地球の定常的な観察画像を提供している。DSCOVRのミッションは5年がかりのもので、私たちは少なくとも次の数年間、EPICが撮影する太陽が照らす地球の画像を見ることができるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

人類初の火星着陸から40年。バイキング1号のアナログデータ復元を目指すNASAの科学者

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バイキング1号の着陸船が火星の地面に触れ、「赤い惑星」に初めて人類の軌跡が刻まれたあの瞬間から40年が経つ。着陸船からNASAに送られた前人未到の地のデータが記録されたのは当時の最新保存媒体―そう、マイクロフィルムである。そして今、このアナログデータを後世のため、そして科学のためにデジタル化しようと立ち上がった1人の科学者がいる。

「初めてそのマイクロフィルムをこの手に抱えたとき『信じられないような実験を行ったのに、残ったのはこれだけなんだ』と思ったのを覚えています」と、メリーランド州にあるゴダード宇宙飛行センターの記録庫に勤務する科学者であるDavid Williams氏はNASAのブログで述懐している。「もし、このフィルムに何かあれば、記録は永久に失われてしまいます」

靴箱いっぱいのフロッピーディスクについて同じ思いを抱いたことがある人も多いだろう。そして、おそらく「一刻も早くデジタルで保存しなければ」と直感したはずだ。

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彼のチームが着手したのはまさしくそれだった。マイクロフィルムリーダー(昔の図書館で使用されていたのを覚えている人もいるかもしれないが、良い思い出のある人は少ないだろう)を使って、1本1本デジタル化する作業である。

これは、単なる感傷的な思いに駆られた行動ではない。ほかの惑星への着陸ミッションは数に限りがあり、それによって得られたデータは永久的に重要な意味を持つからである。現に、Williams氏がこのマイクロフィルムを探したのは、ある仮説の検証のためにそこに記録されたデータを要求した生物学者がいたからにほかならない。

火星探査車キュリオシティや、計画中のMars 2020などの現在進行形のミッションでも、バイキング1号などのデータとの比較が必要になるだろう — 結局のところ、数十年間にわたる変化から、土壌中や大気中で進行している興味深い現象が判明するかもしれず、そこから生命体の存在(または欠如)などが推定できるかもしれないのだ。

「バイキングの着陸船の能力や搭載機器は、当時の技術としては最先端のものでした」と、同じくゴダード宇宙飛行センターの科学者であるDanny Glavin氏は言う。「バイキングのデータは、40年経った今でも活用されています。コミュニティがこのデータにアクセスできるようにすることで、50年後の科学者たちでもこのデータに立ち返って利用できるようにすることが大切なのです」

この古き良きアナログメディアをデジタル化するというプロセスに興味をもったため、筆者はNASAに詳細を問い合わせている。返答があり次第追加情報の更新を行いたい所存である。

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(翻訳:Nakabayashi)

SpaceX、打ち上げロケットの回収に再度成功(地上への再着陸は2度目)

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SpaceXが、再びロケットの回収に成功した。回収の成功は5度目となる。

Elon Musk率いるSpaceXがケープ・カナベラルより打ち上げた2段式のFalcon 9は、1段目のロケットを無事地上に再着陸させた。地上に再着陸させるのは2度目のことであり、洋上の無人船への着陸を含めると5度目のロケット回収となる。

Falcon 9の一段目は、打ち上げの8分後にフロリダのケープ・カナベラルにある「Landing Zone 1」に着陸した。

SpaceXはこれまでに、4度連続でロケットの回収に成功している。1度は地上への最着陸で、あとの3回は海上の無人船への着陸だった。今回行った地上での再回収は、12月以来となるものだ。

ふつうに考えれば地上での再回収の方が容易であるように思える。陸上に歳着陸する方が、着陸地点が圧倒的に安定しているからだ。また、低層への打ち上げ時には、海上最着陸を行うために、わざわざ海上に移動するための時間やエネルギーがかかることになるからだ。

しかし、実は陸上への最着陸がいつでも可能というわけでもないのだ。本日の打ち上げは、SpaceXにとって本年7度目の打ち上げとなるものだったが、これまでの発射では陸上への最着陸を行うことはできなかった。今年最初の機会に陸上再着陸を試みてみごと成功したわけだ。

今回の発射は他のケースと何が異なっていたのか。まず今回のロケットは2段目を低軌道に打ち上げることが目的だった。そのおかげで第1段ロケットをより簡単に地上に向けて誘導することができたのだ。

商用衛星の打ち上げなど、たいていの場合は、2段目のロケットをより高い軌道により高速で打ち上げることが望まれているのだ。当然ながら第1段ロケットも高速で遠くまで移動することとなり、地上に誘導するためのエネルギーなど残っていない場合が多いのだ。そうしたケースに対応するため、SpaceXは海上の無人船によるロケット回収に力を入れているのだ。

なお、今回の打ち上げは、再着陸を行うことを第一の目的に打ち上げてみたものではない。主目的はSpaceXのドラゴン宇宙船により、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届けることが目的だったのだ。9度目の補給ミッション(CRS-9と名付けられている)にて、ドラゴン宇宙船は5000ポンド近くの貨物および研究実験機材を届けることになっている。

ドラゴン宇宙船は7月20日にはISSに到着する予定だ。ドラゴン宇宙船の帰還時には、ISSから地球に戻す必要のある物資を積載してくることになっている。現在、与圧環境でISSからの物資を運べるのはドラゴン宇宙船だけであり、その果たすべき役割は多い。

SpaceXは、ロケットの1段目を再利用可能として、ロケット打ち上げにかかる費用を抑えようとしているわけだ。回収したロケットの再利用はまだ行われていないが、Muskによれば9月ないし10月にはロケットの再利用を行いたいと間gな得ているのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

Juno探査機の小さなセンサーが木星のまわりでビッグな科学を演じる…ASICの超小型軽量化に成功

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木星探査機Junoのすごいところは、その作者の一人に申し上げたこともあるが、そのシンプルですっきりした設計だ…少なくとも、ほかの宇宙船と比べた場合、そう言える。技術者たちには通常、何でもかんでもそこに詰め込むだけの十分な時間がある。でも重要なセンサーは、食パンみたいなサイズであるよりも、スープの浮身に使うクラッカーぐらいに小さい方がよい。

今NASAのGoddard Flight CenterにいるNikolaos Paschalidisは、これまでの長年、チップの小型化に挑戦してきた。

The sensors are cute so they dance

かわいいセンサーたちはダンスができる

“これまでの宇宙船はすべて、電子回路がものすごく大きくて、2ポンド以上もあった”、と彼はNASAのニューズリリースで語っている。サイズが大きいと少しの計器類しか搭載できないし、重ければ宇宙船全体を重くする。この二つの制約が、VoyagerやGalileoのころの探測機の設計者たちを厳しく悩ませた。

これらのASIC(Application Specific Integrated Circuit)はその名のとおり、目的に合わせた特注製品だ。Junoの場合は、高度な放射線耐性が要求された。木星周辺までの旅路は、どっぷりと放射線漬けなのだ。

Junoの場合は、すでにPaschalidisらのこれまでの仕事の成果を踏まえていたため、設計者たちにかなりの自由があった。Junoが木星の起動に乗る〔木星を回る軌道?〕直前のインタビューで、主席研究員のScott Boltonは、サイズがSaltineぐらいに小さくなっても、‘何でもかんでもそこに詰め込む’ことは必要だし、たいへんな作業だ、と語った。

“それは、ピース数のものすごく多いジグソーパズルだ。何十人ものエンジニアやサイエンティストが寄ってたかって挑戦しても、完成までにすごい時間がかかる。そうやって、やっとボックスが完成したら、今度はそこにケーブルを入れないといけない”。

それでも結果は、大量の計器類を配置できた嬉しい出来栄えだ。Boltonはとくに、最新のマイクロ波測定器に興奮しているが、Junoの超小型のASIC群は、そのJupiter Energetic Particle Detector Instrument(JEDI, 木星エネルギー粒子検出計器)を構成している。このツール集合は、エネルギー粒子(energetic particles)というものを、あなたの小銭入れに入るようなセンサー群を使って10億分の1秒以上の精度で検出する。

Junoは今、木星の周りの大きな楕円形の軌道のいちばん遠いところにいる。でも測定計器類は準備万端だから、今月の終わりごろには、探査機がこの惑星の至近を初めて通るとき、いろんな科学的仕事ができるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NASAの最近アップグレードしたPleiadesスーパーコンピュータは宇宙空間に星ができていく過程をシミュレーションする

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NASAの科学者たちは、最近チューンナップした世界最強クラスのコンピューターを使って、“星はどこから来たのか”、という疑問に答えようとしている。今度子どもにそれを尋ねられたら、あなたもこんなお利口なことを言えるかもしれない: “超高密度な伸長型ステラフィラメント(stellar filaments)だよ”、なんて。

NASAのメインのスーパーコンピュータPleiadesは、最近の数か月でハードウェアを一新した。酷使され古くなった16ラックのWestmere Xeon X5670sに代わって、1008基のBroadwellノードが、理論的ピーク時性能6.28ペタフロップスをたたき出す。これはHöchstleistungsrechenzentrum StuttgartのHazel Henや、Swiss National Supercomputing CentreのPiz Daintよりも上だ。〔これらの表(別表)にはチューンナップ後のPleiadesは載っていない。〕

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もちろん、研究者たちにとっては速い方が良い。複数の望遠鏡や観測機器から集めたデータと理論的モデルを使って、星の誕生をシミュレーションするORION2プロジェクトは、NASAのニューズリリースによると、“重力、超音速乱流、流体力学(分子ガスの動き)、放射線、磁界、高エネルギーガス流出”など、さまざまな力を組み合わせた計算を行う。

そういう膨大な計算の結果を、NASAのAmes Research Centerの視覚化チームが処理すると、目もくらむような画像や映像ができあがる。たとえば下のビデオは、ORION2がシミュレートした90万年間にわたる“巨大分子雲”の生成過程だ:

これのズームイン・バージョンが、NASAのブログにある。

UC Berkeley(カリフォルニア大学バークリー校)とLawrence Livermore National Laboratory(ローレンス・リバモア国立研究所)を経てNASAに来た天体物理学者Richard Kleinが、星の形成の研究を指揮している。

ニューズリリースの中で彼は、“NASAの莫大な計算機資源がなければ、これだけ巨大で複雑なシミュレーションは不可能だっただろう”、と述べている。

そして彼らは一体何を学んだのか? それは、二つの空域の星間ガスがお互いに激しく愛しあうと、彼らは重力に屈して乱流になり、やがて崩壊して星状クラスタの連鎖になり、星の新生児たちが生まれる、という過程だ。

以上は実際の観測結果ともほぼ一致しているが、人間が宇宙に開けた窓は当然ながら限界があるので、100万年かかると言われる原始星の形成を実際に見ることはできない。モデルとシミュレーションが、それを補う。

次の課題は、解像度の向上だ。もっと精細なシミュレーションが可能になれば、たとえばステラディスク(stellar disk)の形成を研究できる。そのディスク状の構造体が合体して惑星になる、と考えられている。

Kleinは曰く、“星の形成を理解することはとても大きな課題であり問題だ。いずれは、われわれが今やっているシミュレーションの結果が、恒星と惑星の起源を知るというNASAの科学的目標に寄与し、宇宙全体の起源を知るというより大きなチャレンジにも貢献するだろう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

打ち上げから5年、Junoが木星の軌道に到達。

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5年間の太陽系の旅を終え、Junoがついに最終目的地までたどり着いた。Junoは現在、時速約25万キロの速度で木星の軌道上を飛行中だ。

11億3000万ドルもの資金が投じられたこのプロジェクトにおいて、最も過酷ともいえるミッションが本日の東部標準時23時18分(日本時間で7月5日12時18分)に開始した。Junoが木星の軌道に突入する瞬間だ。Junoの機体を木星の軌道にのせるために(そして、惑星を通過してしまう、あるいは惑星に衝突してしまうことを避けるために)、メインエンジンを35分間逆噴射する必要があった。

現在、Junoは無事にそのミッションを成功させ、木星の軌道上を37周するという新しいミッションを開始したばかりだ。

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惑星探査機カッシーニによって撮影された木星の画像 / NASAによる許可により掲載

軌道を周回するあいだ、Junoは何度も木星の放射線帯に突入することになり、木星とJunoとの最短距離は3000マイル(約4830キロメートル)まで縮まる。Junoに搭載された最新設備が計測するデータによって、私たちの木星に対する理解がより深まることだろう。

「Junoによる木星の調査によって太陽系の歴史に対する理解をより深めることができ、銀河において惑星系がどのように形作られ、そして発達していくのかを知るための新しい手がかりとなるでしょう。」 – NASA ジェット推進研究所

ローマ神話に登場する神ユーピテル(ジュピター)の妻の名をとって命名された惑星探査機Junoは、木星の地表まで観測することができる。これは史上初めての試みだ。

Junoがここまで注目されている理由は、目的地である木星に到達するのが非常に困難だとされていたからだ。太陽系に存在が確認されている8つの惑星の中で、木星の磁場の強さと放射線量は最も高いとされている。木星という未知の惑星に関するデータを調査するためには、そのような過酷な環境下でのミッションにも耐えうることができる機体を開発する必要があったのだ。

その環境の過酷さを知るために、ある数字を比べてみよう。地球上における環境放射線量は0.39RADとされている。それに比べて、Junoが今回の調査によって浴びる放射線量は2000万RADだ。

それこそが、Junoのミッションに参加する科学者たちの間で木星が冷酷なモンスターと呼ばれている理由なのだ。

「木星が回転するスピードはとても速く、その巨大な重力によって周りにある岩、粉塵、電子、そして彗星までもが鉄砲玉のように吸い込まれていきます。木星に近づくすべてのものが、その武器と化してしまうのです」- NASA Juno Science Team

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Junoとバスケットボール・コートのサイズ比較 / NASAとJPLからの許可により掲載

この過酷な環境下にも耐えうる宇宙船を開発する必要があったNASAが出した答えこそ、Junoだったのだ。総重量約3630キロの巨大な機体には全長9メートルのソーラーパネルが3つ搭載されている。

木星の軌道に突入する際、Junoには1232キロの燃料が搭載されていた。35分間の逆噴射のあと、その機体に残された燃料は447キロだけだ。Junoはその残りの燃料を使って木星の軌道上を37周し、最後は木星の大気圏に突入する予定となっている。

 

上に掲載した映像は、Junoが木星の軌道に突入する際に撮影された映像だ。6月29日にJunoCamで撮影されたこの映像では、木星と4つの衛星を確認することができる(カリスト、ガニメデ、エウロパ、イオ)。6月30日、JunoCamを含むすべての設備はシャットダウンされ、軌道突入という過酷なミッションに備えることとなった。

「Junoのミッションにおいて一番恐ろしいのは、未知の部分が多すぎることです。Junoがさらされることになる環境のほとんどが明らかになっていません。何が起こるのか、まったく予測することができないのです」– NASA Juno Science Team

過酷な道のりはまだ始まったばかりだ。しかし、すべてが計画通り進めば、ミッションが完了してJunoが木星に衝突するのは2018年の予定となっている。

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

NASA公認のNASA app、iOS・Android版に続きApple TV版もリリース

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カウチポテト派の宇宙ファンに朗報だ。NASA公式の宇宙コンテンツ満載アプリケーションのApple TV版がリリースされたのだ。

これまでもiOSやAndroidデバイス用のアプリケーションがリリースされていた。ロケット打ち上げやプレスカンファレンスの様子をビデオで見たり、あるいはSpace Station関連の膨大な写真を見ることができるものだ。これがApple TV版となり、スマートフォンをあれこれ操作せずともNASAからのコンテンツを楽しめるようになったのだ。

「最新版のApple TVをお持ちの方なら、私たちの提供する写真、ビデオ、ミッション情報、NASA Televisionなどのコンテンツを、家族みんなで、大画面でお楽しみいただけるようになりました」とNASAのコミュニケーション部門にてアソシエイトアドミニストレーターを務めるDavid Weaverは言っている。これは確かに面白そうだ。

ISSからのライブ映像を流し続けるような番組も提供されるようになるかもしれない。テレビをつけっぱなしにして、リアルタイムで宇宙空間を見つめることができるようになるわけだ。この魅力に対抗できるテレビコンテンツはさほど多くないのではないかと思うが、どうだろうか。

アプリケーションはApple TV向けアプリケーションストアで入手できる。NASAによるこちらの記事にも、各デバイス向けアプリケーションへのリンクが掲載されている。

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(翻訳:Maeda, H

宇宙観光、大きく近づく―ジェフ・ベゾスのBlue Origin、同一機体の打上げ・回収に4回連続成功

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Blue OriginはNew Shepardブースターと乗員カプセルの宇宙への打ち上げと安全な回収に成功した。用いられた機材は過去3回軌道飛行に成功しており、これで4回目の宇宙旅行となった。ジェフ・ベゾスのBlue Originは世界で最初に宇宙観光旅行を提供する民間企業となるという目標に向けて大きく前進した。

この成功でBlue Originは弾道軌道を飛行するロケットが繰り返し使用に耐えることも証明した。

今日(米国時間6/19)の無人飛行ミッション目的の一つは、乗員カプセルの減速パラシュートの一つが作動しなかった場合でも安全に着陸できることを確認する点にあった。Blue OriginではNew Shepardシステムで有人ミッションを行う前にあらゆる面で安全性を高めるべテストを繰り返している。

パラシュートが開かないというのはありそうにないシナリオと思われるが、実は過去に起きている。ジェフ・ベゾスは以前、アポロ15号が降下中にパラシュートの一つが開かなかった例を挙げた。

Failed parachute during Apollo 15 / Image courtesy of NASA

アポロ15号のパラシュートの一つが作動不良 / 画像: NASA

これに先立つ3回の打ち上げと異なり、New Shepardシステムにいくつかの改良が加えられ、また打ち上げから着陸までの一部始終がライブのウェブキャストで中継された〔ライブ録画は下にエンベッドされている〕。

打ち上げ後、ほぼ11分でNew Shepardシステムは高度100kmを超えて宇宙に達し、その後ブースター、乗員カプセルの双方が安全に地上に降り立った。New Shepardシステムは弾道飛行中に約4分間の無重量〔マイクロG〕状態を経験した。

New Shepard upon descent, slowed by circular fin on the top and smaller fins along the outside / Screenshot of Blue Origin webcast

降下中のNew Shepard。ブースター上部に、大型のリング型フィンとスタビライザー、下部に小型の安定用フィンが見える。 / Blue Originのウェブキャストのスクリーンショット

New Shepardのロケットブースターの上部(乗員カプセルと接合する部分)の円周にはリング型の安定フィンが取り付けられ、降下中の空力安定性を増している。ローンチパッドの直上でメイン・エンジンを逆噴射し、時速5マイル〔8キロ〕程度にスピートを落とす。着陸脚が展開してブースターは静かに着陸するという仕組みだ。

Blue Origin's New Shepard vehicle touches down as the crew capsule begins its descent / Screenshot of live Blue Origin webcast

ローンチパッドに着陸したブースター。インセット内はパラシュートで減速しながら降下する乗員カプセル / Blue Originのウェブキャストのスクリーンショット

ブースターが安全に着陸した後、われわれの注意は乗員カプセルに移った。ウェブキャストで鮮明に映されているとおり、カプセルからはパラシュートが2個しか打ち出されていないが、これは安全性テストのためで、計画どおりだ(このシステムでは減速パラシュートは3個が用いられる)。乗員カプセルはタッチダウン数秒前に小型エンジンを逆噴射してさらに減速する。着地の瞬間の下向き速度はわずか時速2マイル(3.2キロ)程度だという。

Blue Originの説明によると、このような正常に行われた着陸では乗員は「枕をして横になっている」ようなソフトなショックしか受けないという。

New Shepard crew capsule descent with two parachutes deployed / Screenshot of BlueOrigin webcast

New Shepardの乗員カプセルが西テキサスの山なみを背景に降下する / Blue Originのウェブキャストのスクリーンショット

ウェブキャストの解説者を務めたエンジニアによれば、乗員カプセルの着地は「完璧に計画の通りであり、大成功」ということだ。

打ち上げ前の解説によれば、もし降下中に乗員カプセルに何か問題が検知されれば即座に「パラシュートの不具合のテスト」は中止され、3個のパラシュートすべてが作動する手はずになっていた。Blue Originではカプセル・ハードウェアの安全な回収を最優先事項としているためだという。

カプセルは料金を支払った観光客を念頭に置いて設計されている。Blue Originの企業としての当面の目標は観光客を宇宙まで往復させることだ。乗客の視界を最良のものとするため、これまで宇宙に到達したカプセルとしては最大のサイズの窓が設けられている。

ただしこれまでテストされてきたカプセルには本当の窓は設けられていない(外観では判別しにくいが、窓はペンキで描かれたもだ)。しかし次回以降の打ち上げにはカプセル表面積の3分の1にも及ぶ窓が設置される。

New Shepard crew capsule / Image courtesy of Blue Origin

窓を設置した新しい乗員カプセル / 画像: Blue Origin

今回のミッションの成功でBlue Originは同一のブースター、乗員カプセルを4回(おそらくはそれ以上)繰り返して軌道飛行させることことできるのを実証した。

ジェフ・ベゾスは当面の目的として早ければ2018年にも最初の有人飛行を行う準備をしている述べた。 今回のミッションの成功でBlue Originが世界で最初に有人宇宙旅行を実現する民間企業となる可能性は高まった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、再利用を目的とするロケットの海上回収に3回連続で成功中

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SpaceXにとって良い1週間だったことだろう。まずNational Reconnaissance Officeと高額の契約を結んだ。お固い政府機関で偵察衛星を扱っている組織だ。そして週末となり、ケネディ宇宙センターのケープカナベラル空軍基地第40複合発射施設よりOrbital ATKの通信衛星であるTHAICOM 8を打ち上げたFalcon 9の、4度目となる第一段部分の回収に成功したのだ。海上を動いている「ドローン船」にて回収したのは3度目となる。

THAICOM 8を宇宙に送り出した今回は、海上回収がさらに難しいものとなると言われていた。衛星が打ち出されたのは静止トランスファ軌道(Geosynchronous Transfer Orbit:GTO)だ。この静止軌道には、メインロケット(今回の場合はFalcon 9)に加えて、より小型のロケットも併用して打ち上げることになる。

静止軌道は36,000キロメートルほど上空にある軌道であり、この軌道にのった衛星を地上からみると、まるで静止しているように見える。一般的には気象観測や通信衛星を打ち上げるのに用いられる。THAICOM 8は商用通信衛星で、インドおよびアフリカ、東南アジアで利用される予定となっている。

前回の打ち上げについてもそうだったが、今回の打ち上げでは、低軌道に打ち上げるのに比較して、より多くの機材を搭載する必要があった。打ち上げ角度もはるかに急峻となり、それに伴って地上への帰還角度も急になってしまう。それにより、もちろん速度も増してしまうこととなった。

そうした状況の中で、Falconの飛行に許される精度上のブレは圧倒的に小さなものとなる。速度が増すことで、予期しないブレに対してロケットが対応する時間も少なくなるのだ。風や、ちょっとした大気の揺れによるごく微細なズレも重大な事故につながりかねないのだ。さらに、高い軌道まで打ち上げることにエネルギーを使い、自らの制御に使える燃料はごくわずかしか残っていないという状況にもある。

今回の最着陸成功によりSpaceXの技術の実用性がさらに強く認識されるようになる。打ち上げロケットを再利用できるようにすることにより、SpaceXは打ち上げコストを下げて、宇宙開発をより一般的なものにしようと考えている。さらには火星探検という大きな夢も描いていて、そのためにも打ち上げロケットの再利用可能性を高めていきたい考えなのだ(火星から地球に戻ってくる際に、ロケットを再利用できるようになる)。

もちろん、現在の段階では夢の実現はまだまだ不可能の範囲内だ。打ち上げロケットの回収には成功しているものの、完全な「成功」をいうためにはロケットの再利用に繰り返し成功することが必要だろう。それが実現しないううちは、Falcon 9の垂直離着陸も単なる「驚き」に過ぎなくなってしまう。Space XのCEOであるElon MuskはTwitter上で、数ヶ月のうちに回収したロケットの再利用を行う旨をツイートしている。SpaceXはケープ・カナベラルにて最初の回収に成功したFalcon 9の再起動を試し、そして本社前に配置してはいるものの、今のところは再度のフライトは行なっていない。今のところ、回収したロケットが最利用可能であることの証明は行われていないことにはなる。

誤差の許容範囲が小さく、また着陸角度が大きかったことは、すなわち今回の最着陸が高速を保ったまま行われたことを意味する。アルミのハニカム素材も熱や衝撃で大きなダメージを受けていることだろう。これはロケットの(再利用時の)安定性に問題をきたすことになると思われる。ただしMuskによれば最も衝撃を受ける部分は着陸時に用いる「脚部」であり、これは「crush core」と呼ばれている。「crush core」である限り衝撃を受けるのは当然のことで、簡単に取り替えられるようになているのだそうだ。ただし、再着陸後のロケットにリスクを生じる可能性があることについては認めていた。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、ドローン船への宇宙船再着陸にふたたび成功

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SpaceXは、フロリダ州ケープ・カナベラルから東部標準時の5月5日1:22amに、Falcon 9ロケットを打ち上げた。そしてこのロケットは地上(海上)への再着陸に無事成功したのだそうだ。打ち上げ後、ロケットの一段目を洋上のドローン船(Of Course I Still Love Youという名前)に着陸させたのだが、これは同ドローン船における2度目の成功となる。

SpaceXが同ドローン船へのロケットの再着陸に成功させたのは、4月8日のことだった。しかし本日の着陸の方がより大きなインパクトを持つと言ってよさそうだ。今回のミッションについてはさまざまに複雑な条件も重なっており、成功の確立は低いだろうとみられていたのだ。

JCSAT-14は高度2万2000マイル(約3万5700kmほど)の対地同期軌道(geosynchronous orbit)に打ち上げ、15年間にわたって地球を周回させる予定となっている。前回、再着陸に成功したのは、地上250マイル(400kmほど)の低軌道(Low Earth Orbit:LEO)に宇宙ステーションを送り出して後のことだった。

JCSAT-14 / Image courtesy of Space Systems Loral

JCSAT-14 / Image courtesy of Space Systems Loral

最近のロケットではそのような高起動に打ち上げることも多くなっており、1段目ロケットを帰還させようとする場合には、これまで以上の高温に対処することが必要となる。また速度も秒速2kmほどにおよぶことになる。LEOレベルへの打ち上げであれば、帰還するロケットも秒速約1kmほどなので、大幅に高速になることになる。

Successful JCSAT-14 deployment from Falcon 9 / Screenshot from SpaceX livefeed

Successful JCSAT-14 deployment from Falcon 9 / Screenshot from SpaceX live feed

JCSAT-14はアジアで最も大きな衛星通信事業者であるスカパーJSATグループにより打ち上げられたものだ。今回打ち上げた衛星は放送および通信事業に使われることとなっている。

Illustration of JCSAT-14 / Image courtesy Space Systems Loral

Illustration of JCSAT-14 / Image courtesy Space Systems Loral

本日の打ち上げ成功により、SpaceXとしても今年になって4度目の打ち上げ成功ということになる。ロケットをドローン船に回収することについては、2度成功している。ちなみにより安定した地上への再着陸にも1度成功している。

次のステップとしては、再着陸したロケットを再利用するということになる。Muskは3ヶ月ないし4ヶ月のうちに実現したいと語っている。

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(翻訳:Maeda, H

研究用民間ロケットに搭載されたGoProビデオの青い地球が美しい

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今日(米国時間5/4)、GoProは弾道飛行するロケットに取り付けたカメラで撮影した地球のビデオを公開した。青い地球が驚くほど美しい。到達高度39万6405フィート〔120km〕、最大速度はマッハ5.5だった。現実とは思われないほど鮮明なビデオを下に貼った。

ロケットは2015年11月6日にニューメキシコ州のSpaceport America宇宙基地から発射された。カメラが取り付けられたのはコロラドの民間ロケット打ち上げ企業、UP Aerospaceの 全長20フィート〔6m〕のSpaceLoft-10研究用ロケットだ。

NASAのFlight Opportunitiesプログラムの一環で、UP Aerospaceとして4回目のミッションだった。このプログラムは民間企業による商用打上げ促進のために「公的機関、大学、企業における有望な打上テクノロジーを選定し、打上げ実施に必要な環境を提供する」ことが目的だ。

エンジンのスタートと同時にロケットは急速に自転し始める。これはコマの原理でロケットの安定性を保つためだ。比較的小型のロケットや衛星で姿勢制御のために広く利用されている手法だ。

発射60秒後(ビデオでは1:17)にロケットは先端部のフェアリングを外し、Maraiaという名前の重量11ポンド(5kg)の再突入体を分離することに成功している。

The Maraia capsule as seen from the nose fairing / Image courtesy of UP Aerospace

分離されたフェアリングから撮影されたMaraiaカプセル/UP Aerospace

Maraカプセルを設計・製作したのはNASAのジョンソン宇宙センターで、ビデオの2:38で大気圏に突入し、最終的にパラシュートを開いて無事に着陸した。

この打ち上げにより、NASAはMaraiaカプセルが大気圏再突入、着陸に耐えることを実証した。NASAはプレスリリースで、「将来このカプセルは国際宇宙ステーションに搭載され、科学的、工学的に重要な小型の物体を安価に地球に持ち帰るために利用される」と述べている。

〔日本版〕YouTubeに掲載された説明によると、ビデオはすべてGoPro Hero4で撮影されたとのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、ロケットの垂直着陸を360度ビデオで公開

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SpaceXのロケットが、地球に再着陸ところを間近で見てみたいと思う人は多いことだろう。ただし地球に戻るロケットというのはまだまだ新しい技術であり、火炎に包まれて大事故を招くことも十分にありえる話ではある。危険は大きい。しかし見てみたい。そのようなケースのためにVRがあるのだと言えば言い過ぎだろうか。

SpaceXも、迫力ある再着陸の様子を多くの人に見てもらいたいと考えたようだ。VRヘッドセットを持っているのなら、ぜひとも試してみるべきだ。これまでにみたいかなるVRビデオとも異なるスペクタクルを感じさせてくれると思う。

そうはいっても手元にはモバイルデバイスしかないのだという人もいることだろう。もし手元のモバイルデバイスがiOSならFacebookプレイヤーを試してみても良いかもしれない。そういう環境もないという人でも、YouTubeムービーも十分楽しめることと思う。

ご理解頂いていると思うが、打ち上げたロケットを海上の狙った場所に再着陸させるというのは、技術的に見て大変大きな進化だ。SpaceXが今後も引き続いて(たまに失敗があるにせよ)第一段ロケットを再利用できるのなら、宇宙に人を送るコストが大幅に下がることになる。

SpaceX曰く「スペースシャトルは技術的にみて再利用可能なものとなり、コストを削減するはずでした。しかし巨大な燃料タンクを毎回廃棄するという無駄をも必要としたのです。またフライトのたびに腐食性のある海水に着水することとなっており、回収にも時間がかかるなどさまざまな不具合を抱えていたのでした。そこで私たちは、ロケットを陸上ないし船上に着陸させることができたら便利なはずだと考えたのです。それにより、再利用可能になるまでの時間を大幅に削減できると考えたのです」。

宇宙関連の技術開発に興味がある人にとって、とても面白い時代を迎えているのは間違いない。ビデオはきっとそういう人の興味をひくはずだ。もちろん、技術面に興味のない人にとっても、技術進化の偉大さ(プラス多少の運はあったのかもしれない)を感じるのに十分なものだろうと思う。

 

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(翻訳:Maeda, H