楽天も利用するECフルフィルメントの仏Cubynが欧州での事業拡大のために45.4億円を調達

パリを拠点とし、EC業者がフルフィルメントやロジスティクスをアウトソースできるようにする物流スタートアップのCubynは、新たに3500万ユーロ(約45億4000万円)の資金を調達した。

今回のラウンドはEurazeoとBpifrance Large Ventureが主導し、First Bridge VenturesとFuse Venture Partnersが参加した。既存投資家のDN Capital、360 Capital、Bpifrance Smart Cities fund、そしてBNP Paribas Développementもフォローオン投資を行った。

Cubynはこの資金調達により、2021年末までに85人のチームを170人以上に倍増させ、より国際的にサービスを展開していくという。まずはスペインとポルトガル(来月サービス開始)、続いてイタリア、英国、ドイツと展開していく予定だ。

印象的なのは、コストと配送時間の削減を目指して、今後数カ月のうちにパリ地区に2万5000平方メートルの「オートメーション化された」施設を開設することだ。

Cubynはもともと集配のみを行っていたが、1年半前、シリーズBで1200万ユーロ(約15億6000万円)の資金を調達した直後に「Cubyn Fulfilment」を立ち上げ、フルフィルメントにも参入した。

当時、「Cubynの倉庫に在庫を置くことも含め、フルフィルメントの全工程をカバーする完全な統合ソリューション」と説明されていたこの動きは、最近のパンデミックだけでなく、継続的なD2Cやマーケットプレイスのトレンドに促されたECブームを背景に、同社の成長を後押しした。例えばBack Market、楽天、Mirakl、FnacなどのマーケットプレイスがCubynを利用している。

その独自技術はマーチャントのロジスティクスを効率化することを目的としており、「ウェブアプリから、アルゴリズムや倉庫ロボティクスによる高度な最適化まで」とCubynはうたっている。その結果、完全に統合されたフルフィルメントソリューションを、業界標準の数分の一のコストで運用できるとしている。これにより、同社は流通取引総額(gross merchandise value、GMV)を3000万ユーロ(約39億円)から2020年には2億5,000万ユーロ(約324億5000万円)まで成長させている。

Cubynの共同創業者兼CEOであるAdrien Fernandez-Baca(アドリアン・フェルナンデス=バカ)氏はこう述べている。「Cubynは、従来のeコマースのサードパーティロジスティクス市場を根底からディスラプトし、より優れた、より速い、国境を越えたサービスを30%低い価格で提供しています。また、マーチャントの皆様には、新たな収益源を提供するだけでなく、国際的な展開により新たな市場を開拓するとともに、コストや配送速度の面で他の選択肢をはるかに凌駕しています」。

Bpifrance Large Venture FundのAntoine Izsak(アントワーヌ・イザーク)氏はこう述べた。「新型コロナウイルスは、信頼性、拡張性、技術力に優れたフルフィルメントソリューションを求めるマーチャントのニーズを加速させまし。Cubynと協力して、今後数ヶ月のうちにヨーロッパ全域でビジネスを拡大できることを楽しみにしています」。

フェルナンデス=バカ氏は次のように付け加えた。「現在、当社の出荷の85%はフランス国内、15%は国際配送です。今回の資金調達により、この比率は半々になると予測されます」。

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タグ:物流 資金調達

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Aya Nakazato)

表記揺れの影響を受けず不動産物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

Geolonia(ジオロニア)不動産テック協会は3月15日、国内の土地や建物等の不動産情報に対して付与する共通ID(不動産共通ID)ベータ版を4月15日に提供すると発表した。不動産共通IDはAPIとして提供し、無償利用が可能。正式サービス時には正規化された住所や物件名を逆引き取得できる有料の上位プランも提供予定。

また「不動産共通ID β版利用 先行エントリーフォーム」において、事前利用登録の受付を開始した。

不動産共通IDは、Geoloniaが2020年8月にオープンデータとして公開した日本全国の「住所マスターデータ」(Geolonia 住所データ。ライセンスはCC BY 4.0)を基に、不動産取引における企業間での情報連携やデータ連携などの実現を目的として不動産テック協会が整備するID。

不動産事業において統一されていない住所や物件名の表記に対して、同一の物件を示す情報に共通のIDと付与することで、表記揺れに影響されることなく物件の特定が容易となるインフラ環境を構築、不動産情報のデータ連携にかかるコストの大幅削減を図る。

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

不動産共通IDはなぜ必要なのか?

現在、不動産に関する情報は不動産事業者各社において、「住所」「物件名」などで物件を特定して管理されている。しかし、その表記方法が統一されていないため、同一物件の住所でも「三丁目」と「3丁目」といった表記ゆれや誤入力が発生しており、同一物件であるという特定が難しく、様々な企業が持つ不動産情報の連携が困難という課題がある。こうした課題を乗り越え、生活や企業活動のうえで有用・必須な不動産情報の利用可能性を広げるため、不動産テック協会とGeoloniaは共同で「不動産共通ID」プロジェクトを2020年7月よりスタートした。

不動産共通IDの整備は、行政においても長年の課題であり、不動産業界だけでなく、物流業界や行政などにも幅広く応用できるインフラとなるという。企業ごとに管理方法や管理表記の違う不動産情報に対して、同一物件を示す情報に共通のIDを付与することで、表記ゆれがある住所と物件名が入力されても同じIDが得られる技術により、物件の特定が容易となるインフラ環境を構築する。

不動産共通IDで物件を特定することで、物流の誤配送を防ぎ再送コストを削減できるほか、在宅情報との組み合わせにより在宅の家のみに配送する、夜間光街画像との組み合わせで空き家を特定するといった活用が可能という。また、特定物件に対して複数の工務店・施工会社が行った修繕をひとつに集約し、建物の修繕履歴を一元管理することも可能になるとしている。

表記揺れの影響を受けず物件を特定できる「不動産共通ID」ベータ版が4月公開、APIとして提供

2019年9月設立のGeoloniaは、位置情報基盤を通じて、社会が抱える様々な課題を解決できる企業を目指すスタートアップ。IoT、スマートシティーなど、国、自治体、企業のDXが進むにつれて重要な「地図」「地理空間情報」「ロケーションデータ」の分野で、ウェブ地図提供事業、位置情報開発支援事業、ロケーションプラットフォーム事業を展開している。

不動産テック協会は、現在100社超(そのうち不動産テック企業72社)が属する、日本最大の不動産テック企業の団体。加盟企業には、仲介や管理業務、価格査定、ローン・保証など、多岐にわたる不動産業務の効率化や収益化のために、テクノロジーを活用しサービス提供する企業が加盟している。各社ごとに保有する不動産情報は、数千~数億に及ぶという。

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トラック輸送の円滑化を目指すSmartHopがシリーズAで約12.7億円調達

もしあなたがパンデミック直前の2020年2月に起業してスタートアップを立ち上げたのなら、ビジネス上の究極の悪夢を経験していると感じたかもしれない。しかし、もし自分の会社がサプライチェーンビジネスを安定させる役割を果たすものであれば、適切なタイミングで軌道に乗ったかもしれない。マイアミを拠点とするスタートアップSmartHop(スマートホップ)のストーリーも同様だ。同社は複数の州にわたって荷物を運ぶ長距離トラック運転手のルートをより効率的で実入りの良いものにし、運転手の管理の煩わしさを取り除くAIアプリを手がけている。

SmartHopは米国時間2月10日、シリーズAラウンドで1200万ドル(約12億7000万円)を調達し、これまでの資金調達総額が1650万ドル(約17億4000万円)となることを発表した。ラウンドをリードしたのはUnion Square Ventures(ユニオンスマートベンチャーズ)で、これまでにStripe(ストライプ)、Twitter(ツイッター)、Coinbase(コインベース)、Etsy(エッツィー)、MeetUp(ミートアップ)、SkillShare(スキルシェア)、Duolingo(デュオリンゴ)などに投資している。

SmartHopは予測できない部分が多い複雑な問題を解決し、シンプルなソリューションを提供する。市場のギャップを理解するには、長距離トラック運転手が直面する障害を把握する必要がある。Guillermo Garcia(ギレルモ・ガルシア)氏自身も元トラック運転手であり(大学在学中に母国ベネズエラでペットフード配達の運転手をしており、自身のビジネスを500人規模の運送会社に拡大した)、運送業界の抱える課題や複雑さについて熟知している。

SmartHopのCEO兼共同設立者であるギレルモ・ガルシア氏は最初のトラック運送会社を始めた時の経験を「私はカラカスの実家に住んでいて、両親にガレージを空にするよう依頼しました。それが私の最初の配送センターでした」と語った。また、同氏は「トラック市場は株式市場のように動きます」と述べ、それは絶えず変化しており予測不可能だと説明した。

米国トラック協会が2019年に行った調査によると、トラック運送業界は7917億ドル(約841兆円)規模の産業で、米国の貨物運送費の80.4%を占めている。また、トラック運送事業者の91%は中小企業であり、保有台数は6台足らずである。その多くは個人トラック運送業者だ。従来、荷物を受け取るためには、トラック運転手は約1万5000の異なるブローカーのアプリやウェブサイトを探し回らなければならなかった。それは、まったく調整されておらず、非効率的で、自由放任主義的なアプローチであったため、ドライバーは月々の収入を予測することができない他、数々の問題を抱えていた。

SmartHopはこうしたドライバーを支援する。例えばアトランタに住んでいるボブが1台のトラックを所有しているとしよう。個人トラック運送業者である。彼にはシアトルまで運ぶ荷物があり、そこに着くまでは数日かかる。財政的に見て、ボブが途中で他にどのような貨物を引き受けることができるか、または、シアトルを折り返し地点にすべきかを把握せずに出発するのはあまり理に適っていない。もしかしたら、最近はシアトル発の貨物が少なく、シカゴ発の貨物が多くなっているかもしれない。ボブはこうしたことを知る術がない。

SmartHopが登場する前は、ボブはブローカーに電話をかけて取引をする必要があった。こうした仕事のほとんどは移動中に行われるもので、ボブは次の2週間の仕事、ひいては人生の見通しがわからない状態だった。

SmartHopを使うと、ボブは自分のトラックの容量、自分が運転したくない都市などの情報を入力することができ、彼の利益と移動時間を最適化するための荷物を推薦してくれる。自動車の運転中にWazeを使用していると、スターバックスの近くを通りかかった際に立ち寄るかどうかたずねてくれる。承認すれば、あとはWazeが対応してくれる。SmartHopはそのトラック版だ。

SmartHopのテクノロジーがドライバーに3つの積み荷予約オプションを提供している。交渉と予約はプラットフォームが行う(画像クレジット:SmartHop)

「通行料金や橋、交通量が多いため、ニューヨーク市を運転したくないというトラック運転手もいます。そうした運転手は売上にかかわらず、荷物をピックアップしません」とガルシア氏はいう。

しかし、完全に自動化させたければ、SmartHopは自動的に荷物の引き受けを予約します。ですから、運転とトラックの管理だけをしていればいいのです、とガルシア氏は語る。

トラック運転手がSmartHopを使うたびに、運転手の好みを学習し、より良い提案や予約をするようになる。

SmartHopは総売上の3%の手数料を請求する。「私たちのインセンティブは極めて整合性がとれており、ユーザーが収益を上げれば当社も収益を得ますが、ユーザーが休暇を取る日には何も請求しません」とガルシア氏はいう。

Union Square Venturesでマネージングパートナーを務めるRebecca Kaden(レベッカ・ケイデン)氏は「当社はネットワークの構築やアクセスの拡大に技術を活用する事業に注力しています。私たちはギレルモ氏とSmartHopチームと出会えたことを非常にうれしく思っています。同社の事業はまさに私たちがフォーカスしているものだからです。ソフトウェアを活用して、個人トラック運送業者がビジネスを最適化し、圧倒的な数のプレイヤーに対して競合力を持つことを可能にしています」と述べている。

マイアミに拠点を置くロジスティクス企業のRyder(ライダー)も、新しいベンチャー部門RyderVentures(ライダーベンチャーズ)を通じてこのラウンドに参加した。SmartHopは最初の投資先となる。SmartHopのシードラウンドから参加しているEqual Ventures(イコールベンチャーズ)とGreycroft(グレイクロフト)も出資している。

Ryderのバイスプレジデントであり、CMOおよび新製品イノベーションの責任者を務めるKaren Jones(カレン・ジョーンズ)氏は「多くのスタートアップは、優れたテクノロジーを備えていますが、テストする人がいません。実際にソフトウェアを使用しているユーザーがいない場合、そのソフトウェアは十分な効果を発揮できません」と語る。RyderVenturesの投資に先立ち、RyderはSmartHopと提携し、27万5000台の自社トラックで製品をテストしている。

2019年のNew York City Techstarsコホートの一員であった同社では、現在50人のフルタイム従業員と100台のトラックでこの製品を使用している。トラック1台あたり平均月1万ドル(約106万円)から1万5000ドル(約157万円)の収益を上げている。

最新のラウンドで調達した資金は、組み込み金融製品だけでなく製品開発にも向けられる。大企業と異なり、小さなトラック運送会社は燃料や保険の料金を交渉する力を持っていないが、SmartHopの運転者数でそれを変えることができる。さらに、売掛金の収納代行を提供するため、運転者は支払い期限が発行日から45日以内の請求書を発行し、24時間以内にSmartHopから支払いを受けることができる。「私たちは大量のデータを持っているため、よりスマートに、運転手への料金の支払いを代行できるのです」とガルシア氏は語っている。

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タグ:SmartHop物流資金調達

画像クレジット:SmartHop

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Dragonfly)

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」開発・運営のascendが5500万円のシードラウンド調達

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」開発・運営のascendが5500万円のシードラウンド調達

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」の開発・運営を手がけるascend(アセンド)は3月10日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資および金融機関からの融資による5500万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、サムライインキュベート。

調達した資金は、アセンド・ロジの製品版ローンチおよびセールス拡大にあてる。アセンド・ロジは、昨今叫ばれている「物流クライシス」の構造要因となっている、デジタル化の遅れに伴う生産性の低さ、サービスのコモディティ化に伴う荷主交渉力の低下といった問題をDXにより解決するものとしている。

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」開発・運営のascendが5500万円のシードラウンド調達

アセンド・ロジは、業務改善とデータ分析の2領域でDXを推進し、業務の効率・品質を改善およびデータ分析によって物流業界の経営改善に貢献するという。「案件・請求管理」「ダッシュボード」「経営分析レポートの発行」機能による業務のデジタル化を通じて物流データを形成し、経営の高度化を支援するとしている。従来のソリューションが業務改善領域にフォーカスをあてるのに対して、アセンド・ロジはデータを軸に物流DXを推進する。

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」開発・運営のascendが5500万円のシードラウンド調達

また、データが欠如している物流現場の実態に即して、専門性の高いコンサルタントが現場に入り込むことで、各社の実態に合わせたDXを推進する。最終的には、ヒアリングによる定性情報も含め、実際の収益改善まで踏み込んだ分析を提供するという。

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タグ:ascend(企業)資金調達(用語)配送 / 宅配 / デリバリー(用語)物流 / ロジスティクス(用語)日本(国・地域)

インドネシアのエンド・ツー・エンド物流スタートアップSiCepatがシリーズBで約185億円を調達

インドネシアのエンド・ツー・エンドの物流スタートアップ、SiCepatは1億7000万ドル(約185億円)のシリーズB資金調達を行ったと、現地時間3月5日に発表した。同社は2014年に小規模な小売店向けにラストマイル配送を提供するために設立されたが、後に大規模な電子商取引プラットフォームにもサービスを拡大してきた。現在では、倉庫保管やフルフィルメント業務、ミドルマイル物流、オンライン発送などのサービスも提供している。

SiCepatのシリーズBラウンドには、Falcon House Partners(ファルコン・ハウス・パートナーズ)、Kejora Capital(ケジョラ・キャピタル)、DEG(ドイツ開発金融機関)、Telkom Indonesia(テルコム・インドネシア)の投資部門であるMDI Ventures(MDIベンチャーズ)、Indies Capital(インディーズ・キャピタル)、Temasek Holdings(テマセク・ホールディングス)の子会社であるPavilion Capital(パビリオン・キャピタル)、Trihill Capital(トライヒル・キャピタル)、大和証券などの投資家が参加した。同社が前回資金調達を発表したのは、2019年4月、5000万ドル(約5440億円)のシリーズAだった

記者発表の中で、SiCepatの親会社であるOnstar Express(オンスター・エクスプレス)の創業者で最高経営責任者であるKim Hai(キム・ハイ)氏は、今回の資金調達が「SiCepatのインドネシア市場におけるエンド・ツー・エンド物流サービスの主導的プロバイダーとしての地位をさらに強化し、東南アジアの他の市場へ事業を拡大する可能性を模索するために使用される」と述べている。SiCepatはすでに利益を上げており、2020年には1日140万個以上の荷物を処理することができたという。

インドネシアの物流業界は非常に細分化されており、それは企業にとってコストが高くなることを意味する。同時に、新型コロナウイルス感染流行の影響もあり電子商取引が成長したことで、配送需要は増加している。

インドネシアにはSiCepatの他にも、サプライチェーンと物流インフラの効率を高めるために資金調達を行っているスタートアップ企業がいくつかある。例えば2021年3月初めには、サプライチェーンSaaSプロバイダーのAdvoticsが275万ドル(約3億円)の資金調達ラウンドを発表した。この分野で注目すべきスタートアップとしては、他にも元Uber Asia(ウーバー・アジア)の幹部が設立したKargoや、Waresixなどがある。

SiCepatは、特にeコマースやソーシャルコマース、つまりソーシャルメディアのネットワークを通じて商品を販売する人々に焦点を当てている。Kejora CapitalのマネージングパートナーであるSebastian Togelang(セバスチャン・トゲラン)氏は声明の中で、インドネシアの電子商取引市場は過去5年間に年平均21%成長し、2025年までに820億ドル(約8兆9100億円)に達する見込みだと語っている。

「電子商取引の巨大企業から、デジタル商取引経済全体において推定25%を占めている新進気鋭のソーシャルコマースプレイヤーまで、SiCepatはあらゆる顧客にサービスを提供するのに理想的な位置にあると、私たちは信じています」とトゲラン氏は付け加えた。

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カテゴリー:その他
タグ:SiCepatインドネシア物流

画像クレジット:Fadil Aziz / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自転車レーンや車道を走行し高速移動が可能なラストマイル配達ロボットのRefraction AIが約4.6億円を調達

米国時間3月8日、ミシガン大学のあるアナーバーを拠点とするRefraction AIがシードラウンドで420万ドル(約4億6000万円)を調達したと発表した。同社を創業したのはミシガン大学の教員でCTOのMatthew Johnson-Roberson(マシュー・ジョンソン – ロバーソン)氏と同大学教員のRam Vasudevan(ラム・バスデバン)氏で、多くの配達ロボットが引き起こすさまざまな問題を解決しようとしている。同社は2019年のTechCrunch Sessions:Mobility stageに登場した

同社が自転車をベースに作った初期プロトタイプのREV-1ロボットは、よくあるように歩道を移動するロボットではなく、自転車レーンや車道を走行する設計になっている。このように他とは異なるアプローチをとることで高速移動が可能となり(最速で時速15マイル、約24km)、歩道を移動する際に歩行者をよけるという厄介な問題が減る(代わりに、狭いレーンを自転車と共有するという新たな問題は発生するが)。

Refraction AIは現在、地元のアナーバーで少数のロボットをテストしている。Pillar VCが主導したシードラウンドの資金はR&D、サービス範囲の拡大、顧客の獲得に使われる予定で、食料品店とレストランの配達を扱う。Pillar VC以外にはeLab Ventures、Osage Venture Partners、Trucks Venture Capital、Alumni Ventures Group、Chad Laurans(チャド・ローランズ)氏、Invest Michiganが投資した。

他との違いとしてもう1つ、LiDARではなくカメラを使っている点が挙げられる。技術的なトレードオフはあるが、価格が安くロボットを短期間に増やせる利点がある。制限はあるものの、米国北中西部の気象条件にも左右されにくい。あなたが悪天候の中を歩きたくないならロボットもおそらく歩きたくないでしょう、と同社は言っている。

同社CEOのLuke Schneider(ルーク・シュナイダー)氏は資金調達に関するリリースの中で「我々のプラットフォームは既存のテクノロジーを革新的に用いて、必要なものを必要なときに必要とする人々のいる場所で提供します。企業が支払うコストを削減し、道路の混雑を緩和し、二酸化炭素排出量を減らしながらこれを実現します」と述べている。

今回調達した資金で地元アナーバー以外にも運用を広げる計画だが、どこでテストをするかは発表されていない。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Refraction AI物流ロボット配達

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

軌道走行と自律走行のハイブリッドであらゆる現場に対応、自動搬送ロボットを開発するLexxPlussが資金調達

新型コロナの影響もあり、EC需要が高まりを受け、物流倉庫での人手不足が問題になっている。物流倉庫での作業の効率化を図るのに注目を集めているのが、人の代わりに荷物を運搬する自動搬送ロボットだ。

3月3日、倉庫や製造工場向けに自動搬送ロボットを開発するLexxPlussは、インキュベイトファンド、SOSV Investments LLC、住友商事を引受先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。具体的な調達額は非公開なものの、億単位であるそうだ。

自動搬送ロボットと言えばAmazonを思い浮かべる人も多いかもしれない。Amazonの物流倉庫では、作業員がわざわざ商品を取りに行かなくて済むよう、棚ごとロボットが動かせる仕組みを導入している。

ただ、日本の物流会社がどこもAmazonと同じように倉庫の自動化に投資ができるかというと、そうではないだろう。それにAmazonの場合、ロボットの作業場は基本的に人が作業していない無人の空間を想定しているが、日本の物流倉庫では敷地面積などの関係から、人が作業している空間も多い。LexxPlussは作業する人がいても柔軟に走行できる自動運搬ロボットを提供することで、今ある現場の動きを妨げずに、ロボットに任せられる作業は自動化できるようにしたい考えだ。

LexxPlussの自動搬送ロボット

自動搬送ロボットには大きく分けると、床に敷いた誘導線上に沿って軌道走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)と、誘導線を必要とせず自動運転技術を搭載し、自律的に走行するAMR(Autonomous Mobile Robot)とがある。LexxPlussのロボットは、この2つを組み合わせた「ハイブリッド制御技術」を実装しているのが特徴だ。これにより、狭い通路や決まった位置を走って欲しい時は軌道走行に、人や物を迂回する必要がある場所を走行するときは自律走行に設定することで、その現場に合った使い方ができるというわけだ。

LexxPlussの提供する自動搬送ロボットのサイズは60cm×60cmで、これは他社製品と比べると小型と同社は説明している。積載の場合は300kgまで、牽引は500kgまで可能だ。

ビジネスモデルとしては、自動搬送ロボットを原価に近い価格で提供し、運用管理を月額のサブスクリプションで提供するRaaS(Robot as a Service)だ。通常、自動搬送ロボットは買うと1台500万円ほどするそうなので、サブスクリプションモデルにすることにより、中規模の物流倉庫でも導入しやすくしたい考えだ。

LexxPluss代表取締役の阿蘓将也氏

国内外で自動搬送ロボットに取り組んでいる会社はそれなりにある。競合は多そうだが、まだ現場のニーズを汲み取れているプロダクトはないように感じているとLexxPlussの代表取締役を務める阿蘓将也氏は話す。

「お客さんと話をすると『ロボットはいっぱいあるけれど、全然導入できない』という話を聞きます。プロダクトはあっても、ロボットがこうなので現場がそれに合わせてくださいと言われてしまう。現場の課題に合ったプロダクトがなくて、プロダクト・マーケット・フィットしているものはまだありません。競合は多くあるように見えますが、ブルーオーシャンい近い領域だと思っています」。

LexxPlussの自動搬送ロボットは2021年秋頃から一般販売する予定だ。現在は、複数の大手事業者と導入に向けた実証実験を行っている。今回調達した資金はプロダクト開発と人材採用に充てる予定という。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:LexxPluss資金調達物流日本

画像クレジット:LexxPluss

海運業界の技術革新を支援する新ファンドMotion VenturesをRainmakingが起ち上げ

左からRainmakingの共同設立者Michael Pomerleau(マイケル・ポマーロー)氏、ディレクターShaun Hon(ショーン・ホン)氏、Wilhelmsenのオープンイノベーション担当副社長Nakul Malhotra(ナクル・マルホトラ)氏

シンガポール政府の支援を受け、海運業界の技術革新を支援する新しいファンドが発足した。Motion Ventures(モーション・ベンチャーズ)と呼ばれるこのファンドは、3000万SGD(約24億円)を目標としており、世界最大級の海事ネットワークを持つWilhelmsen(ウィルヘルムセン)と物流会社のHHLAがアンカー投資家として参加し、最初のクロージングを完了した。

Motion Venturesは、アクセラレータープログラム「Startupbootcamp」を運営するベンチャー構築・投資会社のRainmaking(レインメイキング)が起ち上げたもので、政府機関Enterprise Singapore(シンガポール企業庁)の投資部門であるSEEDS Capital(シーズ・キャピタル)と共同でスタートアップに投資する。

SEEDS Capitalは2020年6月、海運系スタートアップに5000万SGD(約40億円)を投資する計画を発表した。その目標は、より弾力性のあるサプライチェーンを構築し、新型コロナウイルス感染流行で強調された問題を修正することだ。

Motion Venturesのジェネラルパートナーで、RainmakingのディレクターでもあるShaun Hon(ショウン・ホン)氏がTechCrunchに語った話によると、同ファンドはAI、機械学習、自動化に注力している20社程度のアーリーステージのスタートアップに投資する計画で、投資額の規模は50万SGD(約4000万円)から200万SGD(約1億6000万円)の間であるとのこと。

「脱炭素化、サプライチェーンの回復力、安全性の向上など、我々は海事バリューチェーンにおける最大の課題のいくつかに目を向けています。ほとんどの場合、この業界の課題に対応する技術はすでに存在していますが、それらのソリューションを企業にどのように適用するかという工夫が欠けているのです」と、ホン氏はいう。

「Motion Venturesが目指しているのは、そこの対処です。業界で選出された者からなるコンソーシアムを結成し、プロセスの早い段階で起業家とつながることができれば、誰もが成功する可能性を最大限に高めることができます」。

Motion Venturesは、出資するだけでなく、Wilhelmsenのような老舗の海運会社と引き合わせ、スタートアップ企業の事業化とその技術をサプライチェーンに統合するための支援を行う計画だ。また、Motion Venturesのスタートアップは、Ocean Ventures Alliance(オーシャン・ベンチャーズ・アライアンス)からメンタリングを受けることもできる。Rainmakingが2020年11月に起ち上げたこのアライアンスには、現在40社以上の海事バリューチェーン業界のリーダーが参加している。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Motion Venturesシンガポールベンチャーファンド海運業物流

画像クレジット:Rainmaking

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

印eコマース大手Flipkartが2030年までに2.5万台以上のEVを同国で導入

Walmart(ウォルマート)が所有するインドのeコマース大手Flipkart(フリップカート)はインド時間2月24日、今後10年間で電気自動車(EV)への100%移行を達成するために、2030年までにサプライチェーンに2万5000台以上の電気自動車を配備すると発表した。

バンガロールに本社を置く同社は、国中でファースト&ラストマイルデリバリーを担う配達車両を製造するため、Hero Electric(ヒーローエレクトリック)、Mahindra Electric(マヒンドラ・エレクトリック)、Piaggio(ピアッジオ)などの大手EVメーカーと提携したと述べた。

この発表は、ライバルのAmazon(アマゾン)がインドで「100台近くの」電動三輪車を開発・導入するためにMahindra Electricと提携したと述べた翌日のことだ。米国のeコマース最大手である同社は2020年、2025年までにインド国内で1万台の電気自動車を導入する目標を発表した。

Flipkartは、同社の電気自動車には二輪車、三輪車、四輪車が含まれる予定で、車両はすべてインドで設計され組み立てられると述べている。同社によると、すでにデリー、バンガロール、プネー、ハイデラバード、コルカタ、グワーハーティーなどインド国内の「複数の場所」で電動二輪車と電動三輪車の配備を開始しているという。

近年、インド政府は同国内のガソリン車やディーゼル車を環境に優しい電気自動車に置き換えることを推し進めている。2019年にロイターが報じたところによると、インド政府はOla(オラ)やUber(ウーバー)などの配車サービス企業に対し、2026年4月までに車両の40%を電動に転換するよう命じる計画を立てているという。

FlipkartのEkartとMarketplace担当SVPであるAmitesh Jha(アミテス・ジャ)氏は声明の中で「物流車両の電動化は、Flipkartのより大きな持続可能性の目標の重要な部分であり、Climate GroupのEV100イニシアチブに対する当社のコミットメントと一致しています」と述べている。

「2030年までに物流車両を完全に電動化するというこの道のりの中では、必要とされるインフラの成長を支援しながら、現地の大手企業と協力して電気自動車を調達し、展開していきます。当社は、ビジネスと持続可能性の両方の目標を達成する上での電動モビリティの重要性を理解しており、国内での電気自動車の普及拡大に向けて道を切り開くことに尽力する所存です」と同氏は付け加えた。

同社は過去1年間、充電事業者、スキル開発機関、アグリゲーター、オリジナル機器メーカーを横断したエコシステムパートナーのネットワーク構築に取り組んできたと述べている。

2021年中に上場を予定している同社は、電気自動車のフリートに投入される3つのモデルを特定した。1回の充電で最大150km(93.2マイル)の航続距離を実現するHero Electric社のNyxシリーズ、「550kg(1212.5ポンド)のクラス最高の積載量」を特徴とするMahindra Electric社のTreo Zor、そしてPiaggio社のApe’ E Xtra FXの3車種である。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインド電気自動車物流eコマース

画像クレジット:Amarjeet Kumar Singh / Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

出荷関連サービスのShippoがeコマースブームに乗り約520億円の評価額でさらに約47億円調達

eコマース企業に出荷関連サービスを提供するソフトウェア会社のShippo(シッポ)は米国時間2月23日、新たに4500万ドル(約47億円)の資金調達を発表した。同社は4億9500万ドル(約520億円)と評価された。TechCrunchはこのラウンドをシリーズDと呼ぶことにする。シリーズCに続き価格が決められたラウンドだからだ。同社は今回の資金調達ラウンドに名前をつけなかった。

Shippoの2020年のシリーズCは、2020年4月に発表された3000万ドル(約32億円)の取引で、約2億2000万ドル(約230億円)の評価だった。D1 CapitalがシリーズCとDの両ラウンドをリードした。これはD1 Capitalが2021年のラウンドで同社の株式に対し2020年の約2倍を支払うことに満足していたことを意味する(投資家がリード投資家として連続するラウンドで前回の投資から増やすということは、今やスタートアップの質に関する否定的なシグナルではなく、肯定的な指標と見なされていることを思い起こして欲しい)。

なぜ直近ラウンドの直後にさらに資金を集めるのか。Shippoの創業者でCEOのLaura Behrens Wu(ローラ・ベーレンス・ウー)氏によると、同社は2020年、顧客の獲得と提携に関して大きな進歩を遂げた。そのため、Shippoが第4四半期に投資家と取締役会を開いた頃、より多くの資本を投入する良い時期だという決定に至った。

ある意味、タイミングは合理的だ。顧客ベースを拡大するにつれ、さまざまなプロバイダーとより良い出荷取引を交渉することができ、それにより新しい顧客を引き付け続けることができる。ベーレンス・ウー氏はTechCrunchとのインタビューで、同社が初期の顧客のほんの数個の出荷を手伝っていた頃、同社のプラットフォームでサポートしていた物流会社は同社と会いたがっていなかったと述べた。今や当時より多くのボリュームをさばくShippoは、顧客からの需要をパートナーとの関係強化に利用し、顧客へのサービス全体の質を向上させることができる。

ベーレンス・ウー氏は、Shippoが新しいラウンドを開始する前にそのようなかたちでUPSとの提携を確保したと述べた。

成長に目を向けると、Shippoは2020年プラットフォーム支出、または「GPV」を2倍にした。GPVは、同社が使うGross Postage Volume(総郵便料金)の頭字語だ。TechCrunchはそれが大まかに売上高と連動していることを確認した。つまり、Shippoは2020年トップラインを2倍にした可能性がある。すばらしい。2021年もそれを達成したいとベーレンス・ウー氏はTechCrunchに語った。同社は2021年も人員を2倍にし、約150人を追加する。

増加した資本で勢いのついたShippoの次の動きは何か。CEOによると同社は、プラットフォーム(そこではShippoが例えばマーケットプレイスになる)、国際展開(ベーレンス・ウー氏によると、Shippoは国際配送を「ほんの少し」しか行っていない)、そして同社がコア顧客ベースと見なすものにもっと投資したいと考えている。

TechCrunchは、Shippoが出荷ラベルという元々の「ホーム」からプロダクトをどれだけ幅広く持ち出すことができるかについて興味を持っていた。同社によると、パッケージの旅には、その購入前を含め、多くの進出余地があるという。しかし、ベーレンス・ウー氏は、そのようなプロダクト拡大の仕事は、同社の当面の焦点では​​ないと断った。

現在のeコマースブームがどのくらい続くか、そしてこの新しい資本がShippoをどこまで遠くへ運んでくれるのか見てみよう。2021年もサイズが2倍になるようなら、2022年半ばにIPOカウントダウンを開始する必要がある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Shippoeコマース資金調達物流

画像クレジット:Justin Sullivan

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

フレキシブルな倉庫自動化ソリューションのLocus Roboticsが欧州、アジア進出に向け約159億円調達

マサチューセッツ拠点のLocus Robotics(ローカス・ロボティクス)は米国時間2月17日、1億5000万ドル(約159億円)のシリーズEを発表した。Tiger Global ManagementとBondがリードした本ラウンドによってLocus Roboticsの累計調達額は2億5000万ドル(約265億円)、バリュエーションは10億ドル(約1059億円)となった。Locusは競合他社(Berkshire Greyなど)よりもフレキシブルな、倉庫自動化のためのモジュラー式ソリューションを提供することで知られている。Locusは主にロジスティック自動化のためのロボティック車両リースしている。

関連記事:激化する小売業向けロボティクス競争の中、Berkshire Greyが289億円調達

「当社は飛行機が飛んでいる間に翼を交換できます」とCEOのRick Faulk(リック・フォーク)氏は話す。基本的には他社にはそんなことはできない。企業はフレキシブルな自動化を欲している。もしあなたがサードパーティのロジスティック企業経営者なら、2年、3年あるいは4年の契約を結んでいる場合、最も避けたいのは大がかりなソリューションを購入するために2500万〜5000万ドル(約26〜52億円)を投資、設置し、その前払い費用で首が回らなくなることだ。

Locusは現在80カ所の施設にロボット4000基を展開している。そのおおよそ80%が米国内で、残り20%が欧州だ。今回調達した巨額資金の一部は海外での展開に充てられる。ここには欧州でのさらなる拡大、そして同社がほとんど手をつけていないAPAC(アジア太平洋)地域への進出が含まれる。

LocusはまたR&D、営業、マーケティングにも投資し、従業員数も来年には現在の165人から75人増やす。

パンデミックは明らかに、現在「自動化」に向けられている関心の原動力であり、多くの企業がロボティクス活用を模索している。

「間違いなく新型コロナウイルスはオンライン注文の成長を後押しし、おそらくこれは4〜5年分の飛躍となります」とフォーク氏は話す。「eコマースのトレンドに目をやると、堅調な増加傾向が見られます。2020年は11%の成長でしたが、新型コロナのため16〜17%に押し上げられました。この傾向はしばらくこのまま続くでしょう」。

今回の資金調達はまた、Kiva SystemsがAmazon Roboticsに取り込まれたような、大手による買収をLocusが望んでいないことを示している。

「当社は買収されることに興味はありません」とフォーク氏は話す。「当社は独立して操業することで最大の価値を生み出すことができると確信しています。Amazonと競合するとされていない企業をサポートするために投資したいという投資家はいます」。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Locus Robotics資金調達倉庫物流

画像クレジット:Locus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

元Uber社員がブルーカラー向け物流職マーケットプレイスで5.5億円調達

ネバダ州のUber(ウーバー)でゼネラルマネージャーを務めていたJason Radisson(ジェイソン・ラディソン)氏は、いわゆるブルーカラー労働者を、彼らを求めている雇用主と結びつける手段が必要だと気づいた。

そこで2018年にShift One(シフトワン)のアイデアが生まれた。労働者と雇用主を繋ぐマーケットプレイスだ。対象とする職種は、物流・配達のラストマイル、eコマースの発送業務、大規模イベント管理などとなる。

2019年に正式スタートして以来、Shift Oneのプラットフォームに登録された労働者の数は2万5000人に増えた。その多くが雇用される時点で失業していたという。そして現在、米国とコロンビアにAmazon(アマゾン)、NASCAR、Weee!、Mensajeros Urbanos、Consumer Electronics Show(CES)など約50社のクライアント企業がいる。

このサービスは雇用主と労働者を結ぶだけでなく、勤務時間、税金、出退勤、生産性、作業命令の管理なども支援する。

事業の成長とリーチ拡大を目指して、Shift Oneは最近シードラウンドで520万ドル(約5億5000万円)の資金を調達した。ラウンドをリードしたのはCity Light Capitalおよび、Tinder(ティンダー)共同ファウンダーのJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏率いるJAM Fundで、ほかにK50 Ventures、Ventura Investments、Human Ventures、エンジェル投資家のFelipe Villamarin(フェリペ・ビジャマリン)氏が参加した。

人員を見ると、Shift Oneの創業チームは全員がUberまたはLyftで働いた経験を持つとCEOのラディソン氏は言う。初期の技術チームはすべて元Uber社員だった。

会社を始めた主な動機は「Gig 1.0に内在する問題のいくつかを解決」するためだった、とラディソン氏は語った。

「もっと労働者にとって公正な環境にして、人々がと多くの物流職を転々として賃金が低いという負の連鎖を断ち切りたかったのです」と同氏はTechCrunchに語った。「彼らに安定を与えたいのです」。

それと同時に、物流業社が良い労働者の確保に苦労していることも彼は知っていた。Shift Oneは、入社間もない社員から管理者、倉庫マネジャーまでさまざまなスキルレベルの人たちの協力を得て作業した。

物流労働者の多くが、かつて福祉手当のない契約社員として働いていたことを知っているShift Oneは、同プラットフォーム上の全労働者に対して雇用された初日から「低い積立金」で福祉手当を完全支給する。さらに当座預金口座とデビットカードも支給する。

「登録されている労働者の多くは銀行口座を持たず、給与小切手を受け取ることさえできませんでした」とラディソン氏は言った。

同社はさらに、労働者ができる限り「密なスケジュール」でチームの一員として働けることを目標にしている。

「私たちのチームに団結力があり、高い機能を発揮することは私たちの価値提案の一部です」と彼はつけ加えた。

これまでサンフランシスコ拠点のShift Oneは自己資金のみで賄われていた。収益は「わずか」に黒字で、その利益を事業拡大のために再投資してきた。2020年の売上は「元が少ない」と言いながらも10倍に伸びた。同社のオフィスは、ネバダ州ラスベガス市、ミネソタ州ミネアポリス市、コロンビアのボゴタ市およびルーマニアのブカレスト市にある。

将来に向けて、新たな資金は新市場への拡大(現在米国の12州で運営している)、20名の従業員の増員、テクノロジーロードマップの加速に使用する計画だ。

新型コロナウイルス感染症が続く「過去4~5カ月、当社はラストマイルに大きく注力しました」とラディソン氏は言った。「大学に行かず、長年低い給与に甘んじている何百万という人たちにチャンスを与えたい。彼らに成功のチャンスをもたらしたいのです」。

JAM Fundの責任者でTinderの共同ファウンダーでもあるマティーン氏は、Shift Oneが労働の「逆淘汰」問題を一新すると信じている。

「ギグワークは季節性と供給力で決められている。どちらも労働者にとってあまり良いことではありません」と彼は言った。

フロリダ州マイアミ市長のFrancis Suarez(フランシス・スアレズ)氏も、ブルーカラー労働者は新型コロナの影響を最も強く受けていると指摘する。

Shift Oneによって「労働者は公正な報酬を受けられる職と、成長し進歩する機会を与えられます」と同市長が書面の声明で語った。「企業は、質の高い労働者の安定した予測可能な供給源を利用できるようになります。そしてマイアミ市は、高い雇用率と強い地元企業による好循環の恩恵を受けます」。

カテゴリー:HRテック
タグ:Shift One資金調達物流ギグワーカー

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

物流のボトルネックとなる搬入出口のスマート化を手がけるKargoが6.3億円の資金を調達

Sam Lurye(サム・ルリー)氏は、トラックが荷物の積み降ろしをするローディングドック(搬入出口)について、物流のボトルネックであると同時にチャンスでもあると考えている。

このチャンス、つまり配送センターの倉庫や工場といった物理的なインフラとデジタルの間に生じる今日の緊張や、将来に向けた自動運転の推進から、そこにチャンスがあると考えたルリー氏は、スマートローディングドックのプラットフォーム開発を手がけるKargo(カーゴ)を設立した。このスタートアップ企業は先日、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)、Accomplice(アカムプリス)、Sozo Ventures(ソーゾー・ベンチャーズ)ほか、名前の明かされていない投資家たちから、600万ドル(約6億3000万円)のシード資金を調達した。

同社を2019年後半に設立した当初、ルリー氏は数カ月かけて米国中を旅し、配送センターの倉庫や工場を訪ねて回り、何百人ものトラック運転手、工場労働者、サプライチェーンの管理者から話を聞いた。流通の自動化における変化が、彼らのどんなところに影響を与えているかを理解するためだ。

彼らの主な不満は、ローディングドックだった。

「自動車やエレベーターなどを使って物流を自動化しても、結局はローディングドックを通ることになります」と、ルリー氏は最近のインタビューで語っている。「ローディングドックは産業界のユニバーサルAPIのようなもので、どんな産業施設でも、これによって外の世界と接続しているわけです」。

ローディングドックはどこにでもあるが、それが問題になってもいる。平均的なトラックがドックで積み込みや荷降ろしをするのに2時間半も待たされるのは、一般的にこれがボトルネックになっているからだ。米国運輸省の調査によると、トラックがその平均滞留時間を超えて待機する時間が15分増えるごとに、その後のルートで衝突事故が起こる可能性が6.2%増加するという。

物流の自動化というと、自動運転トラックや倉庫ロボティクスに注目しがちだが、来たるべきそれらへの投資の波に対して倉庫や工場は準備ができていないと、ルリー氏は結論づけた。

Kargoは単にデジタルなプラットフォームを提供するだけでく、物理的なセンサータワーを積荷ドックに設置する。このコンピュータビジョンセンサーは、リアルタイムで出入りするすべての貨物を自動的に識別し、確認することができる。専用のソフトウェアプラットフォームが、そのデータをすべて取り込むため、顧客はそれを使用して、サプライチェーンをマクロまたはミクロの視点で見ることができる。

画像クレジット:Kargo

Kargoは、このセンサーの販売と、顧客がデータにアクセスできるソフトウェアのサブスクリプションを提供することで収益を上げる。

ルリー氏によれば、このプラットフォームによって顧客は積荷時間を40%以上短縮することができるという。プラットフォームに接続するローディングドックが増えるほど、Kargoが構築した予測機能は改善が進み、顧客は情報に基づいて出荷の遅延や積み残しを予測することが可能になる。

2021年におけるルリー氏の目標は、この新たに調達した資金を使って、現在7人の従業員を今後数カ月間で倍増させること、そして初の商業化となる50カ所のローディングドックを立ち上げること、さらに年末までにその数を3倍に増やす計画を実現することだ。2022年には1000カ所以上のローディングドックをプラットフォームに追加したいと、ルリー氏は考えている。

Amazonのような電子商取引の巨人だけでなく、何百もの販売業者や流通業者が倉庫や工場内の自動化を進めることで、Kargoのプラットフォームやセンサーの需要が高まる可能性がある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Kargo物流資金調達

画像クレジット:Kargo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

企業の物流における意思決定を最適化しテストするnextmvが8.4億円調達

物流企業の配車スケジュールなど、企業の意思決定モデルを最適化しテストするnextmvが米国時間2月9日朝、シリーズAの800万ドル(約8億4000万円)のラウンドの完了を発表した。

同社の既存投資家であるFirstMarkが、nextmvに肩入れしてシリーズAをリードした。その他GitHubのCTOであるJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏やSeamlessの創業者Jason Finger(ジェイソン・フィンガー)氏、StripeのCOOであるClaire Johnson(クレア・ジョンソン)氏、Greenhawk CapitalのAnkit Agarwal(アンキット・アガルワル)氏など、そして2048DynamoAtypicalなどの機関投資家が参加した。

画像クレジット:nextmv

Carolyn Mooney(キャロリン・ムーニー)氏とRyan O’Neil(ライアン・オニール)氏が創業したnextmvは、ロジスティクスにフォーカスした意思決定モデルを最適化しテストする工程を単純化する。たとえば2人が前に仕事したフードデリバリーのGrubhubの場合はどうか。Grubhubは、オーダーが届く度に、デリバリーのスピードや、ドライバーの車の走行距離、全体的な効率などさまざまなプライオリティを計りにかけなければならない。

そのために大量のリソースと人材を要し、そのプラットフォーム上で動いているアルゴリズムを会社の業績評価指標(KPI)に基づいて最適化する。KPIが変わればアルゴリズムを修正し、さらに多くのリソースを注ぎ込んでアルゴリズムの変更をテストしなければならない。

変更をテストするためにはシミュレーションの環境が必要だが、nextmvはそれをローンチ時から提供している。

最新ラウンドの直後から、nextmvはプロダクトの単純化に取り組んでいる。同社はnextmvのクラウドを立ち上げて、オペレーションズリサーチャーだけでなくデベロッパーもソフトウェアを使えるようにした。クラウドサービスにはルーティングとデリバリースペースの即席モデルがあって、デベロッパーが意思決定を自動化できる。また今後は、ロジスティクス以外の別の分野への応用も考えている。

nextmvが存在しないときには、オペレーションズリサーチャーの大きなチームが意思決定モデルの最適化とテスト環境のシミュレーションを行っていた。nextmvが登場してからは、プロダクトを操作するオペレーションズリサーチャーが1人いればいい。さらに現在では、デベロッパーがプラットフォームを実際に使用してみることもできる。

ムーニー氏は、デベロッパーの活用について次のように述べている。「共同創業者もそうだが、世の中には何十万人ものオペレーションズリサーチャーがいて、調査会社や企業内の専門グループでいろいろな問題解決をあたっている。デベロッパーは何百万人もいる。デベロッパーからでも、能力を引き出せるはずだ。すべての技術者がメッセージングの技術者になることができるTwilioと同じ考え方だ」。

画像クレジット:nextmv

今回の巨額な資金は、同社のクラウドプラットフォームをプロダクトとして完成させることに充てられる。これによりnextmvの技術を広めて、アクセスしやすくし、また一方ではコンテンツ部門を充実してユーザーがそのソフトウェアを探求できるようにしたいという。

nextmvは最終的に、このプラットフォームを軸とするデベロッパーたちが意思決定の自動化の方法を共有するデザインツールFigmaのコミュニティのようなコミュニティを育てたいと考えている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:nextmv資金調達ロジスティクス

画像クレジット:nextmv

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

輸送テックの波に乗るデジタル道路運送のドイツSennderが約166億円調達、欧州事業拡大へ

自らを「デジタルな道路運送会社」とする、ドイツを拠点とするSennder(センダー)が、シリーズDの資金調達で1億6000万ドル(約166億円)を調達した。このラウンドは匿名の投資家が主導したが、ラウンドの参加者にはAccel、Lakestar、HV Capital、Project A、Scaniaなどが含まれている。情報筋によると、Hedosophiaが匿名の成長投資家だという可能性があるが、Sennderはコメントを避けた。現在までに同社は2億6000万ドル(約270億円)以上の資金を調達しており、10億ドル(約1038億円)の潜在的な評価額を主張することができる。

Sennderは、企業の荷主とトラック運送会社を直接結びつけることで、従来の輸送モデルを中抜きしている。Sennderは2021年に、100万台以上のトラック輸送を予定しているという。これまでのところ、同社は収益性の高い欧州市場に集中している。2020年6月にはフランスの競合企業であるEveroadと合併し、同年9月にはUber Freightの欧州事業を買収した。欧州の物流・貨物部門の市場規模は4270億ドル(約44兆3100億円)といわれる。

Sennderは、WincantonやCH Robinsonのような大手の既存業者や、OnTracやInstafreightのような他のスタートアップと競合している。

現在、デジタル貨物輸送市場全体が活況を呈している。2020年11月には、ドイツのデジタル貨物輸送会社Fortoが新たに5000万ドル(約52億円)の資金を調達し、同社の調達総額は1億300万ドル(約107億円)に達した。

Sennder社の新たな投資は、欧州市場での事業拡大を意味している。同社はすでにイタリアのPoste Italiane、スウェーデンのScania(スカニア)、Siemens(シーメンス)と提携しており、現在ではドイツのDAX30に上場している10社以上の組織と、ユーロ・ストックス50を構成する11社の企業に輸送サービスを提供しているという。

2015年にDavid Nothacker(デイビッド・ノーサッカー)氏、Julius Köhler(ユリウス・コーラー)氏、Nicolaus Schefenacker(ニコラウス・シェフェナッカー)氏によって設立されて以来、同社は800人の従業員と7つの国際事務所を持つまでに成長した。

Sennder社の共同創業者兼CEOであるノーサッカー氏は次のように述べている。「当社は現在、この分野の昔からの先駆者と対等な立場で業界をリードする存在となっていますが、創業時の精神は維持しています。データ駆動型企業として、ロジスティクス業界を持続可能な未来に適合させ、物流の透明性、柔軟性、効率性を確保することに貢献しています。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは、デジタル化されたロジスティクス業界の重要性を明らかにしました」。

AccelのパートナーであるSonali De Rycker(ソナリ・デ・リッカー)氏は次のようにコメントしている。「投資先企業がこのような重要なマイルストーンを達成するのを見るのはいつも素晴らしいことです。2020年は、Sennderの革新的なデジタルサービスが運送業界にもたらすバリューを浮き彫りにする年でした」。

関連記事:台湾3Drensがフリートオペレータによる車両使用の効率化を支援

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ロジスティクス 資金調達Sennder

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(翻訳:Nakazato)

台湾3Drensがフリートオペレータによる車両使用の効率化を支援

3DrensのIoTモビリティマネジメントプラットフォームは、車両がどこにあるかをフリートオペレーターが追跡できるだけでなく、ビジネス上の意思決定に役立つデータを生成する。同社は本社がある台湾で事業を開始した後、東南アジアに進出した。現在、CESのTaiwan Tech Arenaに出展している3Drensは、新型コロナウイルス(COVID-19)による物流需要の増加に焦点を当てている。たとえば同社の技術は、小規模なeコマース小売業者が大規模なプラットフォームから配送車両の未使用容量をレンタルできるようにするために、使用される可能性がある。

3Drensの顧客にはレンタカー、配車、食品配送の事業者がいる。2017年に設立された同社の最初のクライアントの1つは、主に観光客向けにサービスを提供する電動スクーター会社だった。同社はスクーターに3DrensのIoTボックスを設置し、スクーターが事故に巻き込まれたり、ユーザーが料金を支払った時間を超過したりした場合にアラートを送信するようにした。またスクーターの走行頻度が高い場所のヒートマップも生成され、人気のある会場やアトラクションとの提携が可能になった。

3Drensのプラットフォームは、ロジスティクスサービスが配送に適した車種を選んだり、最適なルートを予測したり、注文が完了した後の帰りのドライバーに新たなタスクを割り当てたりするのにも役立つ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:3DrensCES 2021ロジスティクス台湾

画像クレジット:3Drens

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

GMが配送業者向け新事業部起ち上げ、商用EVバンと電動アシスト付きパレット発表

GMはFedEx(フェデックス)をはじめとする法人顧客に、電気自動車とコネクテッド製品のエコシステムを提供する新事業部を立ち上げた。これは同社が電気自動車メーカーの主導的な企業となるために、270億ドル(約2兆8000億円)を投資する野心の最新の取り組みだ。

「BrightDrop(ブライトドロップ)」と呼ばれる新事業は、バーチャルで開催されたCES 2021の期間中、米国時間1月12日に正式発表が行われた。まずは航続距離250マイル(約400km)の「EV600」と呼ばれる電動バンと、「EP1」と名づけられたポッド型電動パレットの2つの主要製品からスタートする。

BrightDropは他の製品も念頭に置いており、複数台のEP1電動パレットを輸送できる中距離車両や、緊急配送用車両などのコンセプトも開発中ということが、12日に発表された。

画像クレジット:GM

だが、この取り組みは車両のみにとどまらない。GMは商用車市場にEVのエコシステムを提供するためのソフトウェアツール群も開発している。また、販売とサービスをサポートするためのディーラーネットワークを構築し、商用車の顧客が充電インフラを設置するのを支援する計画だ。

GMによると、ウェブサイトやモバイルアプリからアクセスできるクラウドベースのソフトウェアプラットフォームは、ユーザーに最適な配送ルートやその他のフリート管理機能など、業務改善に役立つ情報を提供するという。電動バンとパレットには、位置監視、遠隔からのバッテリー状態チェック、リモート解錠 / 施錠など、より便利に顧客が車両を監視・管理するために設計された様々なコネクテッド機能が搭載される予定だ。

画像クレジット:GM

BrightDropはこれまでOnStar Insurance(オンスター・インシュアランス)、OnStar Guardian(オンスター・ガーディアン)、GM Defense(GMディフェンス)の起ち上げにつながったGMの社内組織であるGlobal Innovation(グローバルイノベーション)からスピンアウトした最新の「スタートアップ」だ。BrightDropのCEO兼社長には、Redpoint Ventures(レッドポイント・ベンチャーズ)のアントレプレナーインレジデンスだったTravis Katz(トラビス・カッツ)氏が就任した。

BrightDropのアイデアは、GMのグローバル・イノベーションのチームが、電子商取引の成長と新型コロナウイルスの感染拡大によって悪化したオンライン配送に対する消費者の需要を評価していたことに端を発する。

「最初の1マイル(約1.6km)から文字通り最後の5フィート(約1.5m)まで、配送と物流における需要と課題について知れば知るほど、電動化、モビリティアプリケーション、テレマティクス、車両管理などの分野におけるGMの専門知識を活用し、企業がよりスマートで持続可能な方法で商品やサービスを移動できるようにする機会であることが分かってきました」と、GMのグローバイノベーション担当副社長のPam Fletcher(パム・フレッチャー)氏は、発表前のメディア向け説明会で語った。

GMの予測によれば、この機会はかなり大規模なものだ。2025年までに、米国における小荷物配達、食品配達、リバースロジスティクスの市場機会は、合計で8500億ドル(約88兆円)以上になるとGMは見積もっている。世界経済フォーラムによると、都市部でのラストマイル配送の需要は2030年までに78%増加し、世界の上位100都市で配送車両の36%増加につながると予想されている。この需要増加によって、配達による二酸化炭素排出量は30%以上増加すると予想されている。

EP1

画像クレジット:GM

同事業部の第一弾製品は「EP1」と呼ばれる近距離の荷物搬送を目的に開発された電動アシスト付きパレットだ。このパレットは、たとえば倉庫から配送用バンまで商品を何度も往復輸送するために使うことができるだろう。2021年初頭に発売 が予定されている。

EP1には電気ハブモーターが内蔵されており、最高時速3マイル(時速約4.8km)までの移動が可能。ポッドの速度は、これを押すオペレーターの歩く速さに応じて調整される。

GMによると、EP1は狭い空間で操作することを想定して設計されており、約23立方フィート(約650リットル)のカーゴスペースを持ち、最大200ポンド(約91kg)の荷を積むことができる。ポッドの内部には調節可能な棚板とロック可能なドアが備わり、輸送中の積み荷にリモートでアクセスできるようになっている。

FedExは先日、EP1の試験的プログラムを完了した。GM によると、FedEx Express(フェデックス・エクスプレス)の宅配業者はEP1を導入したことで、1日あたり25%増の荷物を安全に取り扱うことができたとのこと。

BrightDropとFedEx Expressは、今四半期中にも米国の主要都市で試験的な運用を実施する予定だ。

EV600

画像クレジット:GM

この電動宅配バンは、GMのEV戦略の中核となる「Ultium(アルティウム)」アーキテクチャをベースに設計・製造された車両。2021年末よりFedExに最初の納車が始まる予定だ。BrightDropでは、2022年初頭より受注を開始し、より多くの顧客にEV600を提供できるようになると予想している。

EV600は、一度の満充電で250マイル(約400km)ほどの距離を走行可能になる見込みだ。120kWのDC急速充電器を使えば、1時間の充電で最大170マイル(約274km)の距離を走行できるとGMはいう。

内部に備わる荷室の容量は600立体フィート(約1万6990リットル)以上と広大で、荷物を安全に保つためのセキュリティシステムが付属する。運転席には対角13.4インチのフルカラーインフォテインメントスクリーンや、フロントのスライド式ポケットドアを装備。ワイドなキャビンはウォークスルーが可能で、荷室との間には自動で大きく開くドアが備わる。

この商用電動バンには、前後のパークアシストや自動緊急ブレーキ、車線逸脱警報など、GMの乗用車に見られる多くの運転支援技術が標準装備されている。さらに前方衝突警報、先行車との車間距離表示機能、歩行者検知ブレーキ、自動ハイビーム切り替え機能、高精細な後方視界カメラなども標準で装備される。

顧客がさらなる安全機能を求めるのであれば、後方の横方向から迫る車両を検知して自動的にブレーキを作動させるリアクロストラフィックブレーキ、ブラインドスポットを監視して危険があれば自動で操舵を補助するブラインドゾーンステアリングアシスト、後退時の自動ブレーキ、車両の周囲を映し出すHDサラウンドビジョン、後方歩行者検知警報、カメラに加えてレーダーも併用することで全速度域で作動するエンハンスドオートマチックエマージェンシーブレーキなどもオプションで装着可能だ。


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カテゴリー:モビリティ
タグ:GMFedExロジスティクスCES 2021電気自動車

画像クレジット:GM

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(翻訳:TechCrunch Japan)

高精度空中投下サービスのDash Systemsが8億円を調達、へき地や被災地への物資輸送のスピードアップが狙い

昨今、グローバルな配送インフラストラクチャに関して、その重要性と各種制約がかつてないほど顕在化している。Amazon(アマゾン)などの企業がドローンを使ってラストマイル配送のスピードアップを図る一方で、Dash Systems(ダッシュシステムズ)はミドルマイル(中間物流)の高速化を狙っている。元は軍の技術である空中投下により、パレット梱包された状態の小荷物を目的地の一歩手前の特定の地点まで運んでしまおうというのだ。この方法なら、アクセスが大変難しい地域への配送も可能となる。

一般に、航空機を使った輸送は4つのステップから成る。まず、配送品が倉庫から空港に運ばれる。次に、大型貨物機に搭載されて、主要ハブ都市に輸送される。ニューヨークからロサンジェルスにといった具合だ。3つ目に、トラックや小型飛行機で配送エリアの仕分け所/配送センターまで運ぶ。最後に、お馴染みの配送トラックで配達先に届けられる。

ダッシュシステムズの創業者兼CEOであるJoel Ifill(ジョエル・イフィル)氏が改善の余地があると感じたのは、この3つ目のステップだ。自身もエンジニアで、軍の誘導爆弾を開発した経験を持つ同氏は、軍の2地点間輸送アプローチから民間業務に生かせる点があるのではないかと考えた。そもそも着陸する必要などあるのか、というのが同氏の発想だ。

「世界中どこでも、翌日配送できるはずです」とイフィル氏は語った。続けて、「”どこでも”には、例えばアラスカ半島の先端も含まれます。航空機をすでに利用しているのに、へき地へのアクセスのために10億ドル(約1034億8700万円)の空港を建設する必要があるのでしょうか?」と問う。

同氏は、軍方式の輸送は必ずしも精度が高くない(スマート爆弾ではなく、空中投下の場合)ことが問題であると指摘し、「ノルマンディー上陸ならそれで十分ですが、郵便局の駐車場に落下させる場合には、話は別です。それで、精度が高くかつ商業ベースで有用なソリューションを考案しようということになりました」。

彼らが思いついた方法は、複数の荷物をスカイダイビングさせると考えれば分かりやすい。これなら1回のフライトで複数の目的地に投下できる。「この荷物をポッドと呼んでいます。ポッドには操縦翼面と尾翼キットが取り付けられていて、速度を落として着陸することができます。どの航空機でも機体後部に積載すれば利用できる、ターンキーソリューションなんです」とイフィル氏は説明する。

現時点でポッド1個あたりの規定積載重量は約22キログラムと、航空貨物としては少なめの容量だが、ポッドの個数については、もちろん何個でも航空機に積み込むことができる。

とはいえ、ポッドは同社が編み出した輸送方式を構成する要素の一部にすぎない。ダッシュシステムズでは、飛行経路の指示を含む、飛行全体の管理を手がけている。つまり、パイロットに正確な目的地を指示するということだ。特別なトレーニングを不要にするため、できるだけ簡単な仕組みになるよう注力したので、パイロットに求められているのは、システムに入力された座標に到達することだけである。また、着陸する必要がないため、1回のフライトで広範囲の飛行が可能だ。同社のシステムが最適な経路を計算し、あとは指定された地点で投下されたポッドが自力で目的地に到達することになる。

この方式により、今までは時間がかかる陸路輸送車両か、高価で燃料喰いの航空機を使うしかなかった中間物流が簡素化されるものと期待される。筆者は、この方式は少しコストがかさむのではと思ったのだが、イフィル氏とBryan Miller(ブライアン・ミラー)氏もその点は十分に理解していた。ミラー氏はダッシュシステムズのCOO兼チーフパイロットで、空軍での軍事オペレーションとエンジニアリングの経験もある。

「航空貨物は、直感的に理解しにくい分野です」とイフィル氏は認める。「貨物重量は全体のわずか0.5パーセントにも満たないんですが、輸送収益では全体の3分の1を占めます。航空貨物が提案する最大の価値は、効率性ではなくスピードなんです。貨物用航空機の平均稼働率は50%にも満たない状況です」。

画像クレジット:Dash Systems

ミラー氏は、アラスカのへき地コミュニティへの配送の難しさと遅さについて指摘した上で、「へき地への輸送市場には簡単に参入できると思います」と述べた。確かに、配送品をアンカレッジ空港から未開墾地にある小さな郵便局に運搬するのは難題である。しかし、アンカレジから航空機を飛ばして、5つの小さな空港やヘリポートにパレット梱包された荷物を投下できたら、通常であれば、たとえ道路が閉鎖されていなくても何十時間もの陸路輸送が必要になるところが、1回のフライトで済んでしまうことになる。それに、これは通常の航空輸送に比べても安全で安い。というのは、アラスカでは霧、凍結、ヘラジカ、風など、さまざまな要因で航空機の離着陸が阻害される可能性があるが、この方式なら空港での離着陸が不要になるからだ。

ミラー氏によれば、米国本土48州にもアマゾンの翌々日配送が不可能な地域はたくさんあるという。それには、上記の4つのステップを実施するためのインフラが整備されてない地域などが含まれる。しかし、もしアマゾンプライムの荷物が貨物便に積まれて、サンフランシスコ国際空港を飛び立ち(こうした貨物便は通常、最大積載量の半分ほどで運航している)、ペタルマ空港までの空路の途中でFedEx(フェデックス)の配送センターの屋上に投下されるとすれば、配送品に関係する全員がお金と時間を節約できるのだ。

商業ベースの契約はすべて順調に進んでいるものの、イフィル氏によれば、この構想が実際に始動したのはハリケーン・マリアがプエルトリコを襲った後だという。ハリケーンで通信インフラが損壊したため、人々に物資が何も届かない状態が約2週間続いた。「何が必要なのか、衛星電話で市長に聞かないといけなかったんです」と同氏は振り返る。しかし、輸送自体はサン・ファン空港から45分程度のフライトで済むものだった。商業ベースの物資の空中投下が既存のシステムに組み込まれていたなら、もっと簡単に救援物資を届けることができただろう。

こうした経緯もあって、ダッシュシステムズは、災害によって一時的に孤立した地域への物資輸送に参入する可能性を引き続き探っていく考えだ。しかし、同社のビジネスを成功させるための中核となるのは、あくまで既存の仕組みを拡張して、遠隔地への配送の簡素化を図る事業である。この点、イフィル氏はフェデックスやUPS(ユーピーエス)などの大手との競合が問題だとは考えていないようだった。

「新しい輸送ルートが開拓されたために、既存のルートが廃止されたことなどありません」と同氏は述べた。この考え方で、おそらくダッシュシステムズは業績を大きく伸ばしていくだろう。イフィル氏は、「当社が対抗しているのは、業界の現状なんです。重力や空中投下に関する特許は取得していませんが、私の知る限り、当社は最先端を走っています」と添えた。

「自社で航空機を所有するつもりはありません。既存の航空会社との協力体制を築きたいと思っています」とミラー氏は述べる。

意外だが、同社の輸送方式で規制関連の障害は少ない。重たい荷物を居住地の近くに空中投下するのだから、認可を取得するのはさぞ大変だろうと思いがちだが、実際にはすべて既存の規制の範囲内に収まっている。重要な点として、ポッドはドローンとはみなされない。そのため、ドローンに必要な登録手続きは不要となる。なお、ダッシュシステムズは、今までのところ、アラスカの試験フライトで約2200キログラムの貨物を投下している。

ダッシュシステムズの800万ドル(約8億2860万円)のシードラウンドは8VCがリードし、Tusk Venture Partners(タスクベンチャーパートナーズ)、Loup Ventures(ループベンチャーズ)、Trust Ventures(トラストベンチャーズ)、Perot Jain(ペロットジェイン)、MiLA Capital(MiLAキャピタル)の各社が参加した。イフィル氏は、調達した資金でチームを拡張し、事業展開とポッドの技術開発をさらに進めることができると述べた。ポッドは現状でも機能を果たしているが、まだ技術の完成には程遠い。ダッシュシステムズはすでに、最初の顧客となる民間および政府機関との契約を幾つか検討中だ。軍では何年も活用されてきた技術とはいえ、同社の編み出した輸送方式が遠隔の拠点や施設で有用性の高いツールとなることは想像に難くない。

ダッシュシステムズについて詳しくは、以下の動画をご覧いただきたい。

Dash Mission Video from Dash Systems on Vimeo.

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(翻訳:Dragonfly)

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンスの実証実験

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月27日~2021年1月2日の情報から。

日立製作所みずほフィナンシャルグループは2020年12月28日、みずほ銀行みずほ情報総研Blue Labと共同でブロックチェーン技術を活用した物流業界の輸配送代金の早期資金化に関する実証実験の開始を発表した。5社は2021年1月より、金流・商流・物流の一体管理およびサプライチェーンファイナンスの高度化を目指して共同実証実験を開始する。

現行の物流業界は万年のドライバー不足が大きな課題となる中で、労働環境の整備、煩雑な帳票管理の解決に向けて、見積・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理などのデジタル化が加速しているという。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響から運送会社の資金繰りが火急の課題となっており、輸配送代金の早期資金化は、物流業界の発展に寄与する重要なテーマになっている。

物流業界では、荷主からの受注後、物流経路などに応じて複数の運送会社に運送事業を委託する多重構造の商流が存在するが、同実証実験では、これら物流データと連携したファイナンス提供を行い、輸配送代金の早期資金化の実現を目指す。

実証実験では、関東圏の物流企業の営業所、運送会社が参加する。実際に物流の発注・納品・支払に関わるやり取りを、パソコンやスマートフォン上で操作する実証用システムを使い、業務フローイメージの具体化とともにその受容性を検証していく。ニーズ調査として、運送会社へのアンケートやインタビューも実施するという。

日立とみずほグループは、これまでもサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用促進と新規事業の創出に向け、ブロックチェーンを活用し、リアルタイムでの真正性を確保した取引情報を基とする、高度なサプライチェーンファイナンスの実現を目指し、共同で検討を重ねてきた。

具体的には、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立のデジタル技術を活用したソリューション・サービス「Lumada」で開発を進める「サプライチェーン決済プラットフォーム」上で、みずほが開発する新たな「ファイナンス決済スキーム」を金融付加価値機能として提供していく。

また今後は、日立は同プラットフォームの開発を進め、金融以外の業種とのサービス連携も含め、幅広い展開を検討していく。みずほは、新たなファイナンス決済スキーム確立に向け、技術面以外にも、法律・会計などに関する整理を行い、物流業種以外の業種へのニーズ調査なども含めて、ビジネス化に向けて検証を実施していく。みずほは、2021年度内のサービス開始を目指す。

日立のサプライチェーン決済プラットフォーム

日立のサプライチェーン決済プラットフォームは、ブロックチェーン技術を活用して複数事業者間での決済取引を支援する決済プラットフォーム。事業者間で共有・活用するデータをトークンとして扱い、真正性かつ耐改ざん性を確保し管理していく。利用企業は取引情報を活用した金融サービスを享受でき、資金繰りの改善、運転資金確保ができるほか、金融機関は取引情報を分析し、各種金融サービスへの活用が可能になる。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

また同プラットフォームは、日立の「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用。これは、非営利団体The Linux Foundationが運営するクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」によるブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」の利用環境をマネージド型クラウドサービスとして提供するというもの。

同社は2020年10月、Hyperledgerが認定するベンダー資格を有する企業の1社に認定されている。

みずほの新ファイナンス決済スキーム

みずほの新たなファイナンス決済スキームは、サプライチェーンにおける川上企業が将来の売上見合い(将来債権)を川下企業の信用力で割引可能とする邦銀初の金融サービス。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

新スキームでは、発注時点で将来債権をトークンとして表象させ、債権者は物流工程の進捗により判断される信用力によりトークンを割り引くことが可能となる。利用企業は、サプライチェーンの商流を裏付けとした将来債権の資金調達により、資金繰りの改善や迅速な運転資金確保が可能になる(特許出願中)。データ管理にはブロックチェーン技術を適用し、サプライチェーン内の債権・債務を一元管理する。

みずほは、物流と金流を連動させ、資金決済の事務負担となっていた照合管理業務などを省力化することも想定しているという。

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eコマース小売業者にコスト平均28%削減で物流を提供する香港発のPickupp

ロジスティクスのスタートアップPickuppの共同創業者でCEOのCrystal Pang(クリスタルパン)氏(画像クレジット:Pickupp)

小規模ビジネスにとってロジスティクスは、eコマースにおける最大の課題の1つだ。Pickuppは、柔軟でカスタマイズ可能な配送サービスを提供することで、オンデマンド経済での競争を支援する会社だ。香港を拠点とするPickuppは、マレーシア、シンガポール、台湾でも事業を展開しており、同社によれば顧客の物流コストを平均約28%削減できるという。

Pickuppは、アセットライトなビジネスモデルでこれを実現している。倉庫や自社のフリートを運営するのではなく、物流会社と提携し、独自のソフトウェアを利用することにより、注文の一括配送をより効率的にするのだ。

現在約1万社のeコマース業者にサービスを提供している同社は2020年11月、Vision Plus Capital、Alibaba Entrepreneurs Fund(阿里巴巴創業者基金)、Cyperport Macro Fund、Swire Properties New Ventures、そしてSparkLabs TaipeiからシリーズAラウンドで非公開額の資金を調達したと発表した。

Pickuppは現在、4時間以内に配達するオンデマンドクーリエ便、当日配達、1~3日配達の3種類のドア・ツー・ドア配達サービスを提供している。また、企業向けにロジスティクスや土壇場での配送ソリューションをカスタマイズすることもできる。

シンガポールでは、Pickuppは独自のeコマースプラットフォームを運営している。「Shop On Pickupp」と呼ばれるこのプラットフォームは、小売業者がその業務をよりオンラインで行うことを可能にし、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの際には、士林夜市Singaporeのようなマーケットプレイスのデジタル化に使用された。

Pickuppを始める前、共同設立者兼 CEOであるCrystal Pang(クリスタル・パン)氏は、ソフトウェアエンジニアとして訓練を受けており、2014年に香港でUberを立ち上げたチームの一員だった。

「その頃、多くの業者がUberの車を使って、人以外のものを配達しようとしていることに気づき、物流について調べ始めました」と彼女は語っている。

しかし、配送サービスとは異なり、業者はUberのドライバーと価格交渉することができなかった。たとえば車両をより長時間待つことが可能な場合、割引料金を交渉するなど。「そこがロジスティクスの要点です。誰もが、どうにかしてコストを削減したいと思っていますから」とパン氏はいう。市場機会を感じとったパン氏は、ソフトウェアエンジニアリングの経験を活かしてソリューションを考え始めた。

Pickuppは2016年12月に設立され、翌年から運営を開始した。立ち上げ時、PickuppにはすでにGogovanやLalamoveのような手ごわいライバルがいた。しかし、それらの企業は主にオンデマンド、ポイント・ツー・ポイントでの配送に焦点を当てていたため、パン氏はサプライチェーンの他の部分に取り組む機会を見出した。

「他の物流会社と比較して、どのように自分たちを位置付けるかというと、様々なeコマースのニーズを満たすと同時に、当社は物流会社のように振る舞いますが、何も所有する必要はありません。この分野を代表するSF Express(順豊エクスプレス)やNinja Vanなどのような、倉庫をリースして自社フリートを運営する従来の物流会社の機能を果たしていますが、Pickuppはそれを実現するためにアセットライトなアプローチを選択しています」と彼女は述べている。

Pickuppは、データと技術の会社として自らを位置づけているとパン氏は付け加えた。

「当社をモニタリングシステムのような存在と考えていただくこともできます」と彼女はいう。Pickuppは、仕分け施設、国境を越えた貨物輸送業者、配送車両と提携し、サプライチェーンに沿って注文がどこにあるかを顧客に可視化している。

このシステムは、利用可能な配達員がいつどこで応対できるかを予測することでコストを抑え、注文バッチに合わせて配達員を配置することができる。また、需要が急増した際のボトルネックを防ぎ、可能な限り最大のキャパシティで配送業者を利用できるようにする。これはダブルイレブンやブラックフライデーのような、休日や大きなショッピングイベントでは特に重要だ。

Pickuppの利点の1つは、システムが柔軟に設計されているため、アジアの新しい市場に迅速に進出できることだ。パン氏はTechCrunchの取材に対し、今回のラウンドはサービスの追加や機械学習、予測分析、顧客の購買行動の理解に投資するために使われると語った。また、今後3年間で最大5つのアジア新市場への進出を計画しているという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pickupp香港物流資金調達

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(翻訳:TechCrunch Japan)