BTSがNFT市場に参入、韓国の暗号資産取引所Upbitとの合弁で

K-POPのメガスターBTSを擁する韓国のエージェンシーHybeは、韓国の暗号取引所Upbitと合弁会社を設立し、NFT事業に参入する予定であることを発表しました。

Hybeは、暗号資産取引所Upbitを運営するブロックチェーンベースのフィンテックスタートアップDunamuの株式2.5%を5000億ウォン(約482億円)で購入する。同時にDunamuは、ソウルに本社を置く音楽エージェンシーの新たに発行されたHybe株(5.6%の株式)を5億9240万ドルで取得すると規制当局に申請している。

合弁会社はNFTフォトカードを作成し、グローバルなHybeのファンとアーティストのコミュニケーションアプリ「Weverse」で取引される予定だ。HybeのCEOであるSi-Hyuk Bang(パン・シヒョク)氏とDunamuの会長であるChi-Hyung Song(チ・ヒョンソン)氏は、現地時間11月4日の説明会で共同声明を行った。

HybeのBTS NFTには、動画やアーティストの声などが含まれているとパン氏はいう。それに加えて、世界中のファンがデジタルフォトカードを仮想空間で交換することができるようになる、チ氏は述べた。

Hybeとその子会社は、BTSブランドをデジタル領域でより深く拡張するためのさらなる計画も発表した。NFT JVに加えて、BTSのビデオゲーム、そして「ウェブトゥーン」ビジネスが予定される。

Hybeは現在、ポップバンドを生み出す企業の中で最も成功している企業の1つであり、彼らはその波に乗っています。説明会では、Hybe AmericaのCEOであるLenzo Yoon(ユン・ソクジュン)氏が「HybeとUniversal Music Groupは、グローバルなガールズグループのデビューを披露する準備もしています。これとは別に、Hybe Japanは日本でボーイズバンドを発表する予定だと、CEOのHyunrock Han(ハン・ヒョンロク)氏は述べている。

韓国のK-POP大手は、既存のIPをデジタル資産に変えることで収益の可能性を広げるため、NFTに備えている。

韓国の4大エンターテインメント企業であるHybe、JYP、SM、YGは、この新しい技術を利用しようと競い合っている。JYP Entertainmentは7月にDunamuと提携してK-POPベースのNFTプラットフォームを立ち上げ、SMは2019年に暗号資産とブロックチェーンのプラットフォームを構築を発表している。

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(文:Kate Park、翻訳:Katsuyuki Yasui)

韓国の中古品マケプレ&コミュニティ運営の「Danggeun Market」が約35.7億円を調達

米国時間6月1日、韓国最大のご近所マーケットプレイス&コミュニティアプリ「Karrot」を運営しているスタートアップのDanggeun Marketが、シリーズCで3300万ドル(約35億7000万円)を調達したことを発表した。このラウンドは、Goodwater CapitalとAltos Venturesが主導した。

今回のラウンドで、Danggeun Marketのこれまでの調達額の合計は4050万ドル(約43億9000万円)になった。前述以外の投資家では、Kakao Ventures、Strong Ventures、SoftBank Ventures Asia、Capstone Partnersが投資している。Danggeun Marketは2019年11月には英国でKarrotを提供開始した。同社は調達した資金でさらに海外市場を拡大し、収益化のツールを増やしたい方針だ。

Karrotのユニークな特徴は、半径6キロメートル以内の売り手だけが表示されるピアツーピアのマーケットプレイスであり(大都市でない地域では、この範囲はもう少し広く設定されている)、ほとんどの取引は対面で完結しているということだ。安全のために、ユーザー全員の身元を携帯電話番号と位置情報で確認している。

TechCrunchとの電話インタビューで、Danggeun Marketの共同創業者で共同経営者のGary Kim(ゲイリー・キム)氏と、バイスプレジデントのChris Heo(クリス・ヘオ)氏は、韓国は人口密度の高い都市が多いのでKarrotのモデルが機能すると述べた。海外でこのアプリをリリースする際には、人口密度の高い地域、特に有力なご近所マーケットアプリがまだない地域に注目していく予定だ。

Danggeun Marketは2020年に新たに3カ国に進出する計画だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でペースを落としている。代わりに韓国でのコミュニティ機能の強化に取り組む方針で、2020年末までに少なくとも新たに1カ国に進出することを目指している。

2015年にDanggeun Marketを創業したのはゲイリー・キム氏とPaul Kim(ポール・キム)氏で、両氏とも韓国最大のメッセージングアプリ、カカオトークで仕事をしていた。Danggeun Marketがスタートする前に韓国で最も人気があったオンラインの中古品マーケットプレイスはJoonggonaraだったが、このサービスはウェブサイトだけでモバイルアプリがなかった。

Karrotはスマートフォン向けの設計にしたことが、ほかのピアツーピアのマーケットプレイスとの差別化につながった。例えば、距離を制限することで相手を見つけやすくなり、ご近所とのやりとりも促進される。近隣のネットワークをつくるというアプローチは、Danggeun Marketの収益化モデルの基盤ともなっている。掲載料を課さずアプリは無料で利用できるが、一方で同社は極端に地域を絞った広告で収益をあげている。

Danggeun Marketによれば、月間アクティブユーザー数は対前年比130%増で、2020年4月には700万人に到達した。Karrotは、韓国最大のeコマースプラットフォーム「Coupang」に次ぐ、第2位のショッピングアプリになったという。ユーザーは1日に平均で20分間このアプリを利用し、新型コロナウイルス感染拡大にもかかわらず流通取引総額は対前年比250%増だ。

ヘオ氏によれば、多くの人が家で過ごすようになり不用品が出たこと、また遠出をしたくないことから、アプリ上の掲載数は1月の440万件から4月には840万件に増えたという。Danggeun Marketのコミュニティ機能でも、投稿が急増した。

感染が広がっていても、韓国では多くの人がマスクなどの安全策をとってきたため対面での取引が続いているとヘオ氏は語る。Danggeun Marketでは「Karrot Help」という新機能を追加した。これには、お使いの代行を必要としている近所の人とのマッチングや、近隣の薬局のマスク在庫をチェックするツール、そして掲載されたマスクの価格を自動で管理して不当な利益を防止するツールも実装されている。

画像:Danggeun Market

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(翻訳:Kaori Koyama)

食事の出前サービスが4000億円超で買収された韓国は一流スタートアップ拠点になるかもしれない

ソウル、そして韓国はまだ誰も話題にしていない秘密のスタートアップ拠点なのかもしれない。中国のスタートアップ市場の規模と範囲があまりにも大きいために近隣国の韓国は小さく見られてしまいがちだが、ここ数年の様子から察するに、韓国は一流のスタートアップ拠点になれる、というかなるだろう。

その好例として、韓国を代表する食事の出前アプリ「配達の民族」、略して配民(ペミン)は先週、ベルリンのDelivery Hero(デリバリー・ヒーロー)からの驚きの40億ドル(約4380億円)の買収提案を受けたことを発表した。実現すれば、韓国のスタートアップ史上で最大のイグジットとなる。

この買収は、独占禁止法の審査を通過した後に決定する。なぜなら、Delivery Heroは配民の最大のライバルYogiyo(ヨギヨ)を所有しており、規制当局の承認が必要になるからだ。Delivery Heroは2014年にYogiyoの株式の過半数を取得している。

関連記事:Delivery Heroが韓国の強力なライバルであるBaedaltongの過半数株式を取得(未訳)

しかし驚くべきは、過去10年の韓国のスタートアップ拠点としての成長の様子だ。5年前にTechCrunchのソウル駐在海外特派員を、8年前には韓国科学技術院の研究者を務めていた私は、その拠点としての成長を地元で観察し、ここ数年は遠くから注視してきた。

いまだ財閥系複合企業の支配が続いているものの(サムスンを超えられるものがない)、韓国経済にダイナミズムを与えているのはスタートアップと文化産業だ。また、国の年金基金から(国内外を問わず)スタートアップ界に資金が流れる仕組みのため、大企業での昇進経路という泥沼から脱却してスタートアップの道を探る起業家たちのチャンスはさらに広がっている。

配民のオリジナルのブランディングは、イラストに重点が置かれている。

5年前に配民は、かわいい系でクリエイティブなインターフェイスでフライドチキンを出前するひとつのアプリに過ぎなかった。その料金を巡っては、レンストラン・フランチャイズのオーナーから批判を受けた。しかし今では、配民のバイクはソウル中で見かけるようになり、たくさんのレストランには配民のスピーカーが設置され、キャッチーなサウンドとともに配民の名前を宣伝し、インターネットで配達の注文が入るごとにアナウンスを流している。

関連記事:出前料金問題の勃発から韓国で市場モデルの議論が始まった(未訳)

先週、ソウルにいた私は、あるレストランで、1分から3分おきぐらいに「配達の民族にご注文!」とのアナウンスが流れ、落ち着いて食べることができなかった。びっくりするような商品マーケティング戦略だが、米国の宅配スタートアップが真似しないことのほうが驚きだ。

エコシステムの強固さは、いつものとおりに維持されている。頭のいい大卒の労働人口が多く(韓国は世界で最も教育率が高い国のひとつだ)、加えて若者の失業率と不完全雇用率が高いことから、とうてい叶わない企業の役職にこだわるよりも、スタートアップを起業しようとする動きがますます加速している。

変わったのは、ベンチャー投資資金の流れだ。韓国がスタートアップの資金調達に苦労していたのは、そう昔のことではない。数年前、韓国政府は、自国の起業家を対象とするベンチャー投資企業の設立費用を引き受ける計画を開始した。単純に、スタートアップを軌道に乗せる資金がなかったという理由からだ。その当時、私が聞いたところでは、1000万円程度のシード投資金でスタートアップの過半数株式が買えてしまうのは珍しい話ではなかった。

現在、韓国は、ゴールドマン・サックスSequoia(セコイア)とおいった数多くの国際投資企業がスタートアップへの投資を狙う国になっている。さらに近年では、数々のブロックチェーン開発の中心地にもなり、資金の急激な上昇と下落を経験しつつも市場が維持されている。相対的に調達資金は増加し、いくつものユニコーン・スタートアップが生まれるまでになった。CrunchbaseのUnicorn Leaderboardには合計で7社が登録されている。

関連記事:Sequoiaは韓国版アマゾン“クーパン”に1億ドルを支援(未訳)

そうして韓国は動き出した。数多くの新進スタートアップが将来の大きな結果に向かって突進しようと身構えている。

そのため、この国の障壁を乗り越えて参入したい意欲を持つベンチャー投資家には、これからもユニークなチャンスがある。とはいえ、この国の過去と未来の成功を最大限に活用するには克服しなければならない課題がある。

おそらく最も難しいのは、この地で何が起きているかを深く理解することだろう。中国は、国家安全保障からスタートアップや経済まで、あれこれ取材したいという大勢の外国の特派員を引きつけるのに対して、韓国では海外の特派員はもっぱら北朝鮮の話か、たまに変わった文化の話を取材するぐらいなものだ。スタートアップを専門に追いかけているジャーナリストもいるにはいるが、残念なことに極めて希で、エコシステムの規模に比べて予算があまりにも少ない。

さらに、ニューヨーク市と同様に、広く交流することのない異種のエコシステムがいくつも混在している。韓国には、国内市場をターゲットにしたスタートアップ(それが今の大量のユニコーン企業を生み出した)と、半導体、ゲーム、音楽と娯楽といったさまざまな産業を牽引する大手企業がある。私の経験からすると、このような垂直市場はそれぞれが社会的のみならず地理的にも個別に存在していて、産業の壁を越えて才能や見識を集結させることが難しい。

だが最終的には、シリコンバレーやその他の重要なテクノロジーの拠点で評価が高まれば、最高のリターン特性をもたらすスタートアップの街の上の階層に進めるだろう。先週、早期に配民に投資した人たちは、おそらく出前のフライドチキンで祝杯をあげたことだろう。

画像クレジット:Maremagnum / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

まるで本物の魚のように泳ぐロボット「MIRO-5」が日本上陸、開発は韓国スタートアップ

韓国ロボティクススタートアップのAIROが開発した魚型ロボット「MIRO-5」が日本で販売開始する。

MIRO-5は手のひらサイズのロボットフィッシュで、船のようにスクリューで動くのではなく、まるで本物の魚のように体をくねらせて泳ぐのが特徴だ。本体にはレーザーセンサー4個と自動遊泳アルゴリズムが搭載されていて、前方と左右、上下の障害物を避けながら遊泳する。2000mAhのバッテリーも搭載されていて、連続8時間の遊泳が可能だ。また、専用のAindroidアプリを使えば、自分でMIRO-5をコントロールすることも可能だ(iOSアプリは2019年5月以降にリリース予定)。

日本での販売を手がけるのは、IoTショールームの「+Style(プラススタイル)」。発売開始は5月20日で、予約受付はこちらのWebページで本日より開始する。価格は6万4800円と決して安いとは言えないが、「どうせ飼うなら未来を先取りした魚を」と考えるTechCrunch Japan読者はチェックしてみてほしい。

韓国のチャットアプリKakao、モビリティ部門を分社化し4億3700万ドルを調達

およそ5000万人のMAU(月間アクティブユーザー)を誇る、韓国で一番人気のメッセージングサービスKakao。その運営元のKakao Corp.は、国内ではUberにも勝る配車サービスを運営しているモビリティ部門を分社化し、引き続き事業の多角化に取り組んでいる。

さらに「Kakao Mobility」の分社化を受け、米投資会社TPGは5000億ウォン(約4億3700万ドル)を同社に投資した。なお、TPGのポートフォリオには、AirbnbやSpotifyのほか、Kakao Mobility最大のライバルUberが含まれている。

分社化は「意思決定の迅速化と積極的な市場拡大」を目的にしていると、2014年に数十億で大手ネット企業Daumと合併したKakaoは述べた。

Kakaoの成長維持に関してプレッシャーを感じている36歳のCEO Jimmy Rimは、主要部門の分社化を通してビジネスの増強を図ってきた。今回のニュースの数か月前にも、同社はモバイル決済サービス「Kakao Pay」やその他の金融サービスを運営するKakao Pay部門を分社化し、Alibabaのフィンテック子会社Ant Financialから2億ドルを調達していた。

Kakao Mobilityが運営するプロダクトの中でもっとも有名なのは、2年前にソウルでローンチした配車サービスのKakao Taxiだ。同プロダクトは、韓国におけるKakaoの支配力(国内で利用されているスマートフォンの95%にインストールされている)を活用し、メッセージングサービス以外の分野に進出するためにつくられた。なお、Kakao Taxiでは現在1日あたり150万件の配車依頼を受け取っており、既に日本への進出も果たしたとKakaoは話す。

一方、Uberは韓国での業績を発表しておらず、苦戦を強いられているようだ。

韓国政府は2014年に、当時CEOだったトラビス・カラニックに対して逮捕状を発行しており、UberXに関しては、2015年に無許可営業を理由に同国から撤退して以降、復活の話は耳にしていない。同年にはどうにかUber Blackのサービスが再開され、外国人や公務員、65歳以上の高齢者の利用に限るというルールもようやく撤廃された。

つまり、Uberは韓国市場には未だ十分に入り込めておらず、KokaoやCallbusといった競合サービスが現在でも幅をきかせている

配車サービス以外のKakao Mobilityの事業としては、270万人のMAUを誇る運転代行サービス「Kakao Driver」や、2016年2月のローンチから登録ユーザー数が1000万人まで増えた地図サービスの「Kakao Navi」などが挙げられる。

今回調達した資金は、さまざまな新サービスの導入に使われることになる。具体的には、法人向けのKakao Taxiや、Kakao PayのKakao Taxiへの導入、試験走行サービスのほか、日本以外の海外市場への進出などが予定されている。さらに同社は、Kakao DriverとKakao Naviの機能拡充も行おうとしている。

「これまであまりインターネットと関係していなかった業界のオンライン化が、世界中で急速に進んでいる。特にモビリティ分野には大きなチャンスが眠っており、注目が集まっている」とKakao MobilityのCEOに就任したJoohwan Jungは声明の中で述べた。

さらに彼は、「無限大の可能性をつかむため、戦略的パートナーシップや優秀な人材の採用を通じて、モビリティサービスのユーザーや顧客企業に新たな価値を提供していきたいと考えている」と記した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

HTT、ハイパーループを韓国にライセンス――フルスケールのシステム建設を検討

HTT(Hyperloop Transportation Technologies)はハイパーループ・テクノロジーのライセンスを新たに韓国政府に供与した。供与先の2つの教育研究組織はHTTのテクノロジーをベースにフルスケールのハイパーループ交通ネットワーク建設の可能性を研究する。

HTTと韓国政府は研究開発でも協力を進める。乗客にとって快適な交通システムを実現するための安全性のプラットフォームや基準を開発していく。

韓国のハイパーループ交通システムはHyperTube Expressと呼ばれ、KISTI(韓国科学技術情報研究院)、KICT(韓国建設技術研究院)の支援を受ける。また韓国を代表する工学系大学である漢陽大学校も加わる。

今年1月、KRRI(韓国鉄道技術研究院)がハイパーループに似た高速鉄道の研究を行っており、このプロジェクトがHyper Tube Expressと呼ばれるという報道があった。しかしその時点ではHTTの関与は明らかでなかった(HTTP自体がハイパーループに興味をもつ各種組織の複数年にわたる共同事業)。

HyperTube Expressは計画どおり実現すればソウルからプサンまで20分以下で乗客を輸送できるという。現在は高速道路利用で3時間かかっているので大幅な短縮となる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

韓国の電子書籍企業RidibooksがシリーズCで2000万ドル調達――市場は未だに年25〜30%のペースで成長

アメリカやイギリスでは電子書籍売上に陰りが見られるが、韓国では未だに多くの人が紙のページをめくる代わりにモバイル端末をスワイプしながら読書を楽しんでいる。ウェブ漫画の人気もあってか、同国の電子書籍売上は毎年増加傾向にあるのだ。そんな韓国で最大規模の電子書籍プロバイダーと言われているRidibooksが、成長を続ける市場でさらに攻勢をかけるべく、シリーズCで2000万ドルを調達した。

今回のラウンドにはPraxis Capital Partnersm、ShinHan Finance Investment、Company K Partnersらが参加していた。調達資金は各プロダクトのユーザーエクスペリエンスの向上に使われる予定だ。なお、彼らのビジネスはRidibooksと呼ばれるオンラインストアや電子書籍リーダーのRidipaper、そして1月にローンチされた連載小説・漫画用のプラットフォームRidistoryから構成されている。

Ridibooksで事業部長を務めるTaeWoo Kimによれば、韓国の電子書籍売上は毎年25〜30%も伸びているという。ちなみに、Ridistoryはシリーズものの小説や漫画を求めるユーザーの声に応えるかたちでローンチされ、売上1位の恋愛小説『Under the Oak Tree(ナラの木の下で)』のビュー数は既に100万回を突破している。

また、昨年のRidibooksの売上は5000万ドルで、250万以上のユーザーがこれまでに同社のプラットフォームから1億7500万冊の電子書籍をダウンロードしている。登録されているタイトルの総数は78万4000冊におよび、プラットフォームに参加している出版社の数は2000社にのぼる。さらに、2014年末に行われた800万ドルのシリーズBやそれ以前のラウンドを含め、Ridibooksがこれまでに調達した資金の合計額は3500万ドルとなった。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Alipayが韓国のKakao Payに2億ドルを出資 ― 韓国のEコマース、モバイルペイメント市場に攻勢をかける

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AlibabaグループのAnt Financialが新たなM&Aを発表した。同社は、韓国のKakaoが展開するフィンテックプロジェクトに2億ドルを出資する。Kakaoは韓国でメッセージング業界で独占的な地位を確立しており、企業価値は50億ドルにものぼる。

AlipayやAlibabaのデジタルバンキング事業を運営するAnt Financialは、近日ローンチ予定のKakao Payに出資することを決めた。このディールにより、Ant FinancialはKakao Payを通して同社の金融サービスを韓国でも展開する。また、オンラインのペイメントサービスだけでなく、オフラインの金融サービスにもビジネスを拡大する構えだ。

Kakao Talkのユーザーは合計で4800万人。韓国では、95%のスマートフォンにKakao Talkがインストールされていると言われている。以前からKakao Talkにはモバイルペイメント機能は備わっていた。しかし先月、Kakaoの取締役会は同社の金融サービス部門の子会社化を決定。Kakao Payが誕生することとなった。Kakao Talkでは、店頭での支払機能、P2P送金機能、各種料金の支払機能、Webバンキング機能などが利用できる。また、今後はローンの借り入れ機能なども追加する予定だ。

Kakao Payが提供する各種機能は、これまでにAnt Financialが中国で提供し、成功してきた分野だ。そのため、このパートナーシップは両社に大きな戦略的価値を与えるものだと言えるだろう。Kakaoの成長を加速させることはもちろん、Alibabaにも大きなメリットがあるのだ。このパートナーシップにより、Alibabaは韓国のEコマース市場に攻勢をかけることが可能になるだけでなく、韓国を訪れる中国人観光客がAlipayを使いやすくなるというメリットもある。

Ant Financialは現在、30億ドルのデットファンディング・ラウンドを実施している最中だ。同社はこの資金を利用して他社への出資や買収を積極的に行っていくと話しているが、すでにその戦略は動き出している。Ant FinancialはアメリカのMoneyGramを8億8000万ドルで買収しただけでなく、最近ではタイのAscend Money、フィリピンのMynt、インドのPaytm、シンガポールのM-Daqなどに資本参加している。今回のKakao Payへの出資も含め、これらの動きはすべて戦略的な理由にもとづいたものだ。今後も同様の動きが見られることだろう。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Hyundaiの自動運転車が目指すのは「手頃な価格」

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自動車メーカーのHyundaiは、同社も自動運転車をめぐる競争に喜んで参加することを表明した ― しかし、彼らのアプローチは他社とは異なる。個人が所有するクルマにも搭載することが可能なテクノロジーを一般の人々にとって手頃な価格で提供するというアプローチだ。

Hyundaiの自動運転テクノロジーがデビューしたのは今週のことだ。同社は1月に開催されるCESに先がけ、ラスベガスの公道で同社初となる自動運転車の試乗会を開いている。Hyundaiが今回使用したテスト用の自動運転車は、2016年に販売を開始したIONIQをベースに開発されている。同社のプロトタイプはノーマルのIQNIQと驚くほど似ている ― 他社の自動運転車に搭載されているような「大きな冠」、つまり、上部にある大きなセンサーが無いのだ。

だからといって、Hyundaiのクルマは目隠しをして走行しているという訳ではない。このクルマにはフロントガラスの裏に4つのカメラが搭載されている。その他にも、クルマの前方と左右を感知するLiDARユニット、前面に設置された中長距離レーダー、クルマの後部を感知するレーダーなどが搭載されている。それでも、たとえばUberの自動運転車などと比べれば、かなり少ない装備だといえる。このHyundaiのアプローチには意味がある:センサーから入るインプットの量が少なければ少ないほど、それを処理するコンピューターの性能は低くて済む。そして、最終的にはシステム全体のコストも下がるというわけだ。

センサーから入るインプットの少なさを補うために、このクルマはダウンロード可能な高精度のマップデータを利用している。つまり、Hyundaiの自動運転車を公道で走らせるためには、その地域のマップデータが事前に作成されている必要がある。だが、Engadgetの記事によれば、マップデータをダウンロードしたHyundaiのクルマは歩行者などの障害物を軽々と避けることができたという。少なくとも、ラスベガスの試乗会ではそうだった。

他社では、自動運転テクノロジーをVolvoのような高級車に搭載するハイエンドのオプションとして位置づけていることが多い。その一方で、Hyundaiのアプローチが上手くいけば、安価なクルマにも自動運転のテクノロジーを搭載することが可能になるかもしれない。

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Hyundaiによれば、同社がこれまで取り組んできた先進運転支援システム(ADAS)が同社の自動運転テクノロジーの開発に寄与しており、2019年から2021年までには搭載するセンサーの標準化を目指すとしている。しかし、完全な自動運転車が誕生するまでには、まだ越えるべき障害が多く残されている ― 技術的な問題はもちろん、規制に関する問題や、そもそも人々に受け入れられるのかという問題もある。だから、一般の人々が自動運転車を利用するのは、まだ先の話になるだろう。

それでも、Hyudaiは将来的なマスプロダクションを視野に入れている。特に、自動運転車に搭載されるLiDARユニットなどのコストが下がってこれば(その兆候はすでにあるが)、それを達成できる可能性は大いに高まることだろう。富裕層だけでなく、一般の個人でも手の届くテクノロジーを開発することは、高潔な目標であるとも言える。TeslaのModel3を見ると、同社もHyundaiと同じ目標を達成することを目指しているように感じる。しかし、自動運転テクノロジーを安価に、かつ大規模に提供するという点においては、Hyundaiのアプローチに軍配が上がるのかもしれない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

翻訳サービスから東大門市場のファッションアプリまでーー韓国の有望なスタートアップ8社を紹介

日本から韓国まで飛行機で3時間もかからないが、すぐ隣の国のスタートアップについて知る機会は案外少ない。11月28日、韓国のスタートアップ支援を行う官民ネットワークStartup Alliance Koreaと日本のベンチャーキャピタル、グローバルブレインは韓国スタートアップのピッチイベントを共催し、勢いのある韓国スタートアップ8社が登壇した。

ブロックチェーンやVRといった全世界的に注目が集まっている分野のスタートアップがある一方で、韓国の東大門市場のファッションを扱うショッピングアプリなど韓国独自のビジネスを活かすスタートアップもあった。この記事では登壇した8社の概要を紹介したい。

Flitto:翻訳プラットフォーム

flitto

Flittoはクラウドソース翻訳とプロによる専門翻訳を提供するプラットフォームを提供している。Flittoの主な顧客は、観光客向けに案内やメニューを多言語化したいと考える観光スポットや美術館、レストランなどだ。立て看板などを翻訳したい施設は、Flittoのアプリで看板を撮影し、翻訳を発注する。Flittoは画像の情報と訳文を保存しているため、以降施設を訪れた観光客はFlittoのアプリで看板を撮影すると、すぐに訳文を得ることができる。Flittoは観光客が撮影した文字をOCRで読み取って随時翻訳するのではなく、画像解析と位置情報に基づいて以前に翻訳した訳文を取得しているのだ。

クラウドソース型翻訳サービスは海外にも国内にも複数あり、さらにはGoogle翻訳などの機械翻訳も競合になりうるだろう。ただFlittoは翻訳会社ではなく、言語データの会社であるという。Flittoは翻訳時に得た翻訳言語データを収集し、自動翻訳や辞書を作成する会社に販売しているという。

SCATTERLAB:心理学と人工知能を用いた恋愛コンテンツ

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ネットには様々な恋愛コンテンツがあるが、その多くは個人の経験や見解によるものが多い。SCATTERLABは、心理学の論文に基づいた科学的な恋愛アドバイスを「恋愛の科学」ウェブサイトとアプリを通じて提供している。

2016年6月にアプリをローンチし、現在までに25万ダウンロードを達成した。アプリでは、例えばLINEでの恋人同士の会話を分析して相性診断をするテストなども用意している。有料テストの売上は好調で、1ヶ月の売り上げは2~300万円になるという。「恋愛の科学」の日本語版ウェブサイトは今年8月にベータローンチした。2017年初旬にも日本版iOSとAndroidアプリをローンチする予定だ。

10PING:モバイルネイティブな広告ネットワーク

10ping

10PINGのユーザーは、広告主のコンテンツを広めることで収益を得ることができる。まずユーザーは広告主が広めたいコンテンツの一覧から得意なコンテンツを選び、口コミやコメントとともにFacebookやLINEといったSNSに投稿する。投稿を見た友人や他のユーザーがコンテンツをクリックし、5秒以上コンテンツを閲覧すると、広告主に200ウォン(約20円)が課金される。その内およそ半分がコンテンツを投稿したユーザーに支払われる仕組みだ。

10PINGではクリック型、アプリダウンロード型、連絡先取得型などの広告形式を提供している。投稿したコンテンツには法規制に準拠し、「この広告により収益が発生する」などの文言が明記されている。2015年7月にサービスをローンチしたばかりだが、2016年の年間売上は20億ウォン(約2億円)を見込んでいるという。

HUM ON:ハミングで楽曲制作

Appleが提供するGarageBandなど、音楽を作るためのアプリはいくつかあるが、扱うには音楽の知識や楽器の演奏技術が必要なものだ。COOLJAMMが開発するアプリ「HUM ON」は、独自の楽譜生成アルゴリズムで鼻歌やハミングを楽譜に変換することができる。また、バラード、R&B、ロックなどのジャンルを選ぶと、メロディーに最適な伴奏をつけることができる。

2016年5月にAndroidアプリをローンチし、現在までに9万ダウンロードを達成した。MAUは2万5000人ほどだそうだ。現在SNSで簡単に曲をシェアできる機能の開発を行っているという。2017年2月にはiOS版のローンチを予定している。

MOIN:海外送金を効率的に


海外で学ぶ子供のために送金する場合、両親は銀行に出向いて送金手続きをしなければならない。銀行を介した海外送金では、送金から入金まで1週間ほどかかる場合もあり、手数料も送金額の5%から10%と高額だ。モインはブロックチェーンに基づいたシステムで、1時間から24時間以内での送金を実現する。また、手数料も通常の50%から80%に抑えることが可能だ。

現在はウェブサービスのみだが、来月にはモバイルアプリをローンチする予定だという。今後は中国、東南アジアを始めアジア全域にサービスを広めたい考えだ。

Lollicam:動画セルフィーアプリ

SEERSLABはシリコンバレーのアクセラレータープログラムY Combinator、2016年夏季バッチの卒業生だ。彼らは動画のセルフィーアプリLollicamを提供している。Lollicamの特徴は動画を撮影しながらリアルタイムでアニメーション、スタンプ、特殊効果、BGMを加えることができる点だ。

Lollicamは、動画セルフィーをプロモーションの一環に取り入れたい企業との提携も進んでいる。例えば、ディズニーとは映画ズートピアやファインディング・ドリーのアニメーションフィルターを提供している。2015年の夏にアプリをローンチし、現在このアプリで毎日270万の動画クリップが作成されているそうだ。現在までの累計600万ダウンロードを達成し、年末までに1000万ダウンロードを目指すという。

POLARIANT:照度センサーで位置を検出するVR用モーションコントローラー

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POLARIANTはモバイルVR用のモーションコントローラーPolを開発している。POLARIANTが目指すのは、ケーブル接続の必要がなく、誰でも利用しやすいモバイルVRの利用環境を整えることだ。Oculusにもモーションコントローラーがあるがコントローラーだけでも比較的高額で、使用するのにPCの処理容量を多く使う。Polは偏光フィルムと照度センサーを搭載し、偏光LED照明を基準に3次元の位置を割り出している。測定結果はBluetooth経由でモバイルに送られるが、この時の処理のモバイルプロセッサーの占有率はわずか1%だという。Polのモーションコントローラーは2017年に発売予定で、価格は50ドルほどだそうだ。

ZIGZAG:東大門市場のファッションアイテムが購入できる

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Croquisが提供するZIGZAGは、若い女性向けにノーブランドのファッションアイテムを揃えるショッピングアプリだ。韓国の東大門市場はファッションアイテムの卸売と小売の両方を行う市場だが、ZIGZAGには東大門市場のショップが2000以上登録している。アプリには毎日1万点以上の新商品が登録され、月間の取引額は200億ウォン(約20億円)になるという。

東大門市場の競争は激しく、アプリでは最新のトレンドの商品を低価格で手に入れることができるという。今後は、日本でのパートナーを探し、日本市場に商品販売を行うことを視野に入れているそうだ。

韓国の美容品専門EコマースのMemeboxが6600万ドルを調達

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韓国の美容品を専門とするEコマース企業のMemeboxがシリーズCで6595万ドルを調達した。これにより、さらなるビジネス拡大を目指す。

このラウンドをリードしたのは新規投資家のFormation Groupで、既存投資家のGoodwater CapitalとPejman Mar Venturesも本ラウンドに参加した。2014年にY Combinatorから卒業したMemeboxは、これまでに合計で9500万ドルの資金調達を完了したことになる。同社は2015年3月にシリーズBで1750万ドルを調達している。

現CEOのDino Ha氏によって2012年に創業されたMemeboxの当初のビジネスモデルは、いくつかの美容品をパックにしたボックスを販売するというものだった。しかし、BirchBoxに代表される美容品の箱詰めビジネスに陰りが見えてきたと判断し、現在のコンシューマー直結型のEコマース・ビジネスに方向転換をすることとなった。

現在、同社は韓国、中国、アメリカの3ヵ国に拠点を構えており、その他の国々向けにもグローバル・サービスを展開している。サンフランシスコ、上海、ソウル、台北、香港、シンガーポールの6ヵ国にオフィスを構え、従業員は合計で250人だ。Memeboxによれば、美容品の箱詰め製品の売り上げが全体に占める割合は1~2%程度だという。

Memebox U.S.のプレジデント、Arnold HurとTechCrunchとのインタビューによれば、同社のトータルGMV(プラットフォーム上の取引額の合計)は年間で1億5000万ドルにものぼり、その年間成長率は280%だ。

K-POPや韓国ドラマの影響もあり、韓国の美容品に対する需要は爆発的に伸びている。しかも、それはアジアの国々に限ったことではない。

韓国はMemeboxの出身地であり、同社にとって最大のマーケットではある。しかし今では、米国市場と中国市場での売り上げの合計は韓国市場を上回るという。そして、その2つのマーケットは急速に成長中だ。グーグル出身のHurによれば、Memebox Chinaは年間1200%、Memebox U.S.では年間490%ものスピードで売上高を伸ばしているという。

Memeboxのグローバル成長の立役者であるHurは、「韓国市場は当社のハブ拠点としての役割を持ち続けるでしょう。しかし、当社はグローバルでの売上高を伸ばすことにも成功してきました」と話す。

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Memebox CEOのDino Ha (写真左) とHur (写真右)

自社ブランド製品

韓国の美容品を専門にするMemeboxは、現在1200点以上のプロダクトを展開し、それらの製品は同社のプラットフォームを通して米国と中国にも販売されている。しかし、Memeboxのビジネスが面白いのは、既存の美容品に存在する「ギャップ」を自社ブランド製品で埋めているという点だ。

Hurはこの取り組みについて、Netflixのオリジナル番組を例に説明してくれた。

「Netflixが政治ドラマとKevin Spacyの人気を理解しているのと同じことです。彼らはその2つの要素を組み合わせて素晴らしいドラマを製作しました。それと同様に、私たちはデータによって顧客のニーズを理解し、トレンドとギャップを見つけ出すことが可能なのです」と彼は話す。

自社ブランド製品の1つである純アロエのフェイスマスクは、コットン製の従来のフェイスマスクを補完する関係にある。さらに自社ブランドの価格は従来品の4分の1だ。そして、マーケットに製品を投入するまでのスピードも速い。Memeboxによれば、自社ブランド製品のコンセプトが決定してから販売までにかかる時間はたったの数カ月だという。これは、他社が18ヶ月から24ヶ月かける従来の製品開発期間を大幅に短縮することによって実現されている。顧客ニーズに関するデータを分析することで、レポート調査、トレンド調査、フォーカスグループによるニーズ調査などにかかる時間を短縮しているのだ。

この取り組みは同社の収益にも大きなインパクトを与えている。

4つの異なるブランド、450点のプロダクトを含む自社ブランド製品からの収益は、他社製品の販売から得る収益よりも高いとHurは話す。

「自社ブランド製品はEコマース・プラットフォームよりも高い収益をあげています。自社ブランド製品を販売し初めてからまだ1年あまりだという事を考えれば、この数字は驚くべきものです」と彼は話す。

しかし、Memeboxは製品開発にフォーカスしてはいるものの、プラットフォーム上で販売している製品と直接的に競合する気はないとHurは話す。実際に、同社は今年末までに2つの自社ブランドを販売開始すると同時に、有力な他社ブランドをプラットフォームに加えることを目指している。

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オンラインを超える

オンラインは顧客と企業をつなぐ大きな接点である。そして、Memeboxもまた、オンラインに関する素晴らしい数字を公表している。アプリのダウンロード数は400万件にのぼり、全体の8割の売り上げがモバイルから生まれているのだ。しかし、Memeboxはオフラインの取り組みにも注力し始めた。

先日、同社初となる従来型の店舗がソウルにオープンした。Hurによれば、この店舗が同社初のオフライン店舗となるが、今後も実際の店舗を展開していくかどうかはまだ未定だという。

「オフラインの店舗を構えることで、新しい顧客層との接点が持てるだけでなく、より多くのデータを集めることにもなります」と彼は話す。「例えば、異なるパッケージングや棚の構成に対する顧客の反応の違いなどです。オフラインは、完全な顧客満足を実現するための要素の一つなのです」。

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デジタル・ファッションブランド

Hurによれば、Memeboxを突き動かすイデオロギーとは、デジタル世界のL’Orealのような企業を創りあげるというものだ。

デジタルはMemeboxが積極的に取り入れてきた要素だ。同社がもつソーシャルメディアのフォロワーとは別に(同社によれば、Facebookページの動画視聴回数は7000万回を超える。この数字は、「L’Oreal、Benefit Cosmetics、H&Mの動画視聴回数を合計したものより多い」)、Memeboxは美容品を紹介するユーチューバーやブロガーと共同での製品開発にも取り組んでいる。その製品の紹介動画や紹介記事を見る人々の半分は18歳から24歳の女性達だ。通常のマーケティングではその年齢層にリーチするのは難しいとされており、そしてこの顧客層は同社のメインターゲット層でもある。

「CPR(Comsumer Product Revolution)という言葉があります。コマース業界に新しい風を吹き込むことを意味する言葉です。」とHurは語る。「新しいブランドがオンライン上で生まれており、特に美容業界では、それらのブランドは従来のものとは大きく異なります。(従来の美容品企業と比較した)私たちの強みとは、今の時代に適した企業とは、過去の企業とはどのように異なるのかという事を常に考えることなのです」。

Memeboxは進歩をつづけているが、まだ利益を出す段階には至っていない。

「来年度には黒字化することを目指しており、それに向けて着々と成果を出してきています」とHurは語る。

将来的にIPOを目指すのか、あるいは、先日Walmartが30億ドルでJet.comを買収し、UniliverがDollar Shave Clubを10億ドルで買収するなどの動きがあるなか、同社も他社との合併を目指すのかについてはHurはコメントを控えた。

ただし、Memeboxが注目企業だということは間違いない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

アジア版Tinderの「Paktor」が日本と韓国でもローンチ、YJキャピタルなどから1000万ドルを調達済み

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東南アジアでTinderと対抗するデートアプリ「Paktor」が自社のグローバル化に拍車をかける新たな動きを見せた。シンガポールに拠点を置くPaktorは、グローバル展開の一部として、日本と韓国へ進出するために資金調達1000万ドルに右スワイプしたのである。

今回の投資ラウンドはYahoo Capitalのコーポレートベンチャーキャピタル、YJ Capitalがリードし、既存投資家のVertex Ventures(シンガポール政府が持つ投資会社Temasekが所有)、MNC Media Group、MajuvenとConvergence Venturesに加え、Global Grand Leisure、Golden Equator Capital、Sebrina Holdingsといった新たな投資会社も参加した。

Paktorは昨年のシリーズBで調達した740万ドルを含め、これまでに総額2200万ドルを調達している。その資金を駆使してTinderのような出会いだけでなく、グループ旅行やスピードデートなど、オフラインでのイベントやサービスなども提供してきた。さらにPaktorが当初視野に入れていた地域を超え、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナムと、東南アジア6大国に進出を果たした。

今回の日本と韓国への進出は、Yahoo! Japanと強い繋がりがあるYJ Capitalが支援する。時価総額85億ドルにもなる日本最大級のポータルサイトとメディア会社であるYahoo! Japanは、ソフトバンクとYahoo! による合併会社だ。しかし、Paktorが企む進出計画はそれだけではない。

Paktorは、Match.comやTinderなどの企業を所有するInterActiveCorp(以下IAC)の元役員2名を雇用し、アジアを超えた国際進出も視野に入れている。IAC傘下のスペインの出会い系サイトMeeticの元役員であるJose RuanoとMiguel Mangasは、それぞれ現在Paktor InternationalのCEOとマーケティング部門のヴァイス・プレジデントとして、同社のグローバル化を担当している。M&Aやメディアとのパートナーシップを担うという。

Paktorはこれまでに南アメリカ拠点の「Kickoff」を未公開の値段で5月に買収している。2013年に2人の友人とPaktor起業したCEO兼共同ファウンダー、 Joseph Phuaによると、Paktorはさらに欧州とアジアの企業2社の買収を直に完了するという。現時点でPhuaはそれ以上語っていないが、バックエンド技術、ブランディングの強化や配信プラットフォームを獲得するために、すでに他国のメディア会社とパートナーシップを結んでいる。

興味深いことに、中国とインドはまだその計画に入ってはいない。

「私たちには(インドや中国)について知識がなく、今はそのような不確実性に挑戦したくはないと、明確な判断を下しました」とPhuaはあいまいに語った。(一方でTinderは、インドが同社の最大規模のマーケットとなる可能性があるとし、初の国際オフィスを同国に設置している。)

いずれにせよ、今後2ヶ月間で買収が完了すれば、Paktorと買収された企業(もうすぐ3社になる)は合計1500万の登録ユーザーを確保することになると、Phuaは言う。昨年10月に筆者がPhuaと話した際、彼は東南アジアに600万の登録ユーザーがいると言っていたが、現時点の数字は公開していない。

ただ、Paktorはユーザーエンゲージメントを向上させる様々な新機能を追加したという。それらの新機能はユーザーの1日の平均スワイプ数を160回から200回に、日々の利用時間を30分から40分に、そしてマッチされたユーザー同士の間で交わされる、3つかそれ以上の会話を200%増加させたと主張する。

さらに、Paktorはインドネシア、ベトナムやタイなどの新興国市場で新たな料金モデルの導入を決定し、今年は少なくとも1000万ドルの利益の獲得を目標としている。それらの新興国市場では、価格に敏感なユーザー向けに、会員料金をより小規模で手頃なプランに再構成する予定だ。

「既存のマーケット外にチャンスを見つけたので、今回のラウンドで資金を調達しました。今回のラウンドは、私たちを戦略的にサポートするものです」と、Phuaは電話インタビューで語った。「1、2年も経てば、投資家は私たちの長期プランに関心を持つと考えています」。

「次のステップは、運用資産をかさ上げし、収益をあげることです。12ヶ月後には、合併買収のターゲットになるか、あるいはさらなる買収を計画するなど、踏むべきステップはより明確になっているでしょう。しかし、現時点ではなんとも言えません」とPhuaは続けた。

「今はまだ私たちのブランドが強いためにチャンスが舞い降りてきます。しかしそれに挑戦するならば、今後12〜18ヶ月の間にエクジットが実現することはないでしょう。」

[原文へ]

(翻訳:Tomoya Mori)