VRとARはいずれ統合してMRに──オピニオンリーダーが語るVRの今と未来

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11月17日、18日に、渋谷で開催したTechCrunch Tokyo 2016。17日のTech Trendセッションには、VR界のオピニオンリーダーで、VR関連スタートアップへの投資を行う米VCのThe Venture Reality Fund(以下VR Fund)ジェネラル・パートナーのTipatat Chennavasin(ティパタット・チェーンナワーシン)氏が登壇した。ティパタット氏は、これまでに1500以上のVR/ARスタートアップを見てきており、14のVR/ARスタートアップに投資、世界中のVRインキュベーターやアクセラレーターでメンターとして支援を行う、VRのエキスパートだ。

『THE BRAVE NEW VIRTUAL WORLD〜Investing in the future of reality(すばらしき‘バーチャル’新世界〜リアリティの未来への投資)』と題されたセッションで、ティパタット氏は、VR/AR業界で起こっている近年の変化と現況、そして近い将来予想される動きについて語ってくれた。

VRとは何か──まずは体験してみてほしい

ティパタット氏は「VRで体験できていることが、ARでも実現できるようになり、VRとARはいずれ統合されて、MR(Mixed Reality)となる。VRとARが私たちの生活を永遠に変えてしまうだろう」と話し始めた。

TechCrunch Tokyo 2016では、最先端のVRが体験できる「VRゾーン」で7社による展示も行われていた。出展内容のほとんどを知っていた、というティパタット氏は、映画『マトリックス』の登場人物・モーフィアスのセリフになぞらえて、「バーチャルリアリティとは何かを知るには、VRを体験することだ。この機会にぜひ、まずは体験していってほしい」と会場に呼びかけた。

ティパタット氏は「身の回り全体にスクリーンが常にある世界がいずれ来る」と言う。「完璧なVR体験とは何か。より多くの感覚を回りの環境に浸透させることだ。視覚、聴覚、自分の動きの感覚があれば“そこにいる感じ”は実現できる。それを実現するハードウェアとして、ディスプレイとスピーカーとセンサーがあり、3次元移動×回転のジェスチャー・コントローラーがある」(ティパタット氏)

VRを説明する分かりやすい例として、ティパタット氏は2Dと3D、そしてVRを比較。「2Dディスプレイと比べれば、3Dシネマの技術では立体感のある映像は見られるが、まだ完全な3Dとは言いがたい。周りの環境全体がディスプレイ化して、からだを取り囲んでいるような体験が得られるのがVRだ」(ティパタット氏)

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ではなぜ今、VRなのか

“VRブーム”の要因をティパタット氏はこう説明する。「ひとつはハードウェアの価格が下がったこと。スマートフォンの普及で身の回り中にスクリーンとセンサーがある状況が生まれた。次に、インタラクティブ・コンテンツの充実。3Dゲームが主流となって、制作ツールの機能が向上し、アーティストや開発者も増えている。それからメディア・コンテンツの発展。Go Proなどの撮影機材の普及でジャーナリストやハリウッド・メディアがコンテンツ制作に参入し、エコシステムができあがった」(ティパタット氏)

またティパタット氏は、VRにつきものだった“シミュレーター酔い”の課題がほぼ解消されたことも、VRの浸透に貢献していると言う。「VRヘッドセットの進化により、技術的な問題は解消している。かつて『ポケモン』のアニメ放映で、激しく点滅するフラッシュ光によって体調を悪くする人が出て問題になったが、原因が分かって、あのようなコンテンツを作る者はいなくなった。それと同じで、VRコンテンツによる酔いは、作り手によって意図されたものでもなければ、VRの前提(としてどうしても外せないもの)でもない。ただし、ヘッドセットのデザインの問題はまだ残っている」(ティパタット氏)

VR業界の現況

それでは、普及へのお膳立てが整ったVR業界は、現在どのような状況なのだろうか。まずはハードウェアでの参入企業をティパタット氏に紹介してもらった。Facebook率いるOculusGear VRのSamsung、PSVRのソニー、Viveを提供するHTCといった、VRヘッドセットのメーカーをはじめ、Google、Microsoft、Appleといった巨大IT企業、そしてPCやスマホ、CPU、GPUメーカーなど、そうそうたる顔ぶれがそろう。

さらに最近はNew York Times、ABC News、Huffington Post、LIFE、Disneyなどのメディア企業の参入も進む。ティパタット氏によれば「メディアのVR業界参入は、将来のコンテンツへの投資として考えられている」という。

VR市場も年々拡大している。「2020年のワールドワイドでのVR市場規模は、404億ドルになると予測されている」というティパタット氏。米国では過去2年で40億ドルが投資されており、VR Fundも参加するVirtual Reality Venture Capital Alliance(VRVCA)で120億ドルの投資が確定。ほかOculusが5億ドル、IMAXが5000万ドルをコンテンツへ投資しており、2020年に最小でも146億ドルの市場規模となると推定されるそうだ。

VRコンテンツや関連商品・サービスは実際に、どのように提供されているのだろうか。ティパタット氏はまず、オンラインゲーム・プラットフォームのSteamの例を紹介。Steamに関する情報を提供するSteam Spyのデータによれば、Steam Storeでは、13万2000点のVive関連商品が扱われている。これは中国を除いた数字だ。Steamでは、VRのみのタイトルで2400万ドルの収入があり、インストール件数は500万。VRコンテンツのトップタイトルには、ゲームだけでなくユーティリティーアプリやIKEAのシミュレーターなども含まれている。

次にティパタット氏が紹介してくれたのは、360度動画の台頭だ。360度動画はYouTubeでもFacebookでも急激にユーザー数を伸ばし、YouTubeで10億ユーザー、Facebookでは17億ユーザーが閲覧しているという。全画面動画は、再生ディスプレイがデスクトップ、スマホのティルト、そしてGear VRなどのモバイルVR機器へと広がったことで、多くの閲覧者を獲得した。

そして、ロケーション・ベースド・エンターテインメントの流行である。ロケーション・ベースド・エンターテインメントとは、装置や設備が備わっていて場所が固定された、VR体験ができるエンターテイメント施設。ティパタット氏によると、日本でも見かけるようになったVRカフェは、中国では既に2000軒あるそうだ。VRゲームセンターも世界各地で開設されている。またIMAXは、6カ所でVRシアターの開設を予定。さまざまなジェットコースターが楽しめる米国のテーマパーク、Six FlagsとCedar Pointでは、VRローラーコースターが導入されている。

これらのVR業界の動向を、最後にティパタット氏作成の全体図で確認。3Dデータ入力のインフラ部分を担うプレイヤーから、ヘッドセットメーカー、コンテンツ制作のためのカメラ、ツール、プラットフォームの提供者、そしてコンテンツ提供者までが俯瞰して紹介された。
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さまざまなVRコンテンツとVRアプリ

ここからは、VRコンテンツのさまざまなカテゴリを少し詳細に、ティパタット氏が紹介してくれた。まずはゲームから。「PSVRでの人気ゲームはシューティングやアクションもあるが、実はジョブシミュレーションなども強い。それから、ナラティブ(物語)エンターテインメントも人気がある」(ティパタット氏)

「コンテンツとしては、先ほども紹介した、テーマパーク、ゲームセンター、カフェといった場所固定のVRエンターテイメント施設、そしてスポーツの分野もある。スポーツでは観戦や、エクストリーム・スポーツを体験するものが人気だ。中国では、スポーツ観戦会場に人が入りきれないような試合もあって、こうしたVRコンテンツのニーズは高い。コンサート、ライブのコンテンツもよく利用されている」(ティパタット氏)

ティパタット氏がこれから特に注目しているコンテンツカテゴリは、教育とのこと。「それから旅行コンテンツも面白いね。旅行したい街をゴジラの視点で歩き回ることもできるだろう。そして報道コンテンツも。シリアなどの危険な戦地をVRで体感すれば、ものの感じ方が変わると思う。New York Timesの360度動画コンテンツは毎日更新されているね」(ティパタット氏)

コンテンツに続いて、各種VRアプリが紹介された。「企業向けアプリでは、デザイン、3Dデータ体感ができるシミュレーターのほか、トレーニング用アプリも出ていて、採掘や重機操作など、すぐに実体験するのが難しい業務で使われている。MicrosoftがVRに投資するのは、こうした動きがあるからだ」(ティパタット氏)

医療分野のアプリは、手術のトレーニングなどに使われるほか、高所・閉所恐怖症などの治療にも利用されているという。「私は、自分の高所恐怖症をVRの治療アプリで克服したんだ。片目だけの視力が弱い患者が、9カ月のトレーニングで症状を改善したという例もある」(ティパタット氏)

「ソーシャル分野のアプリでは、リアルタイムで遠隔地とのコミュニケーションができることに可能性がある。Facebookのマーク・ザッカーバーグも、VRによるソーシャル体験についてコメントしているし、この分野は伸びるだろう」(ティパタット氏)

そして、VRコンテンツも含めた3Dコンテンツを制作するのに必要なのが、クリエイティブアプリだ。ティパタット氏は「(VRによる)完璧な3D環境があれば、インプットをVRで行うことが可能だ。これはコンテンツ制作に応用できる。Mindshowなどはその例だ」と言う。「VRを使えば、3Dコンテンツはより短期間で、より少額で制作できるようになるだろう」(ティパタット氏)

VR業界のこれから

このように、いま盛り上がるVR/AR業界で、今後のチャンスはどういったところにあるのか。

「現在のVRデバイスは、かつてのモトローラ製のブロックのように大きな携帯電話のようなもの。電話がiPhoneへと変わっていったように、VRデバイスも変わっていかなければならない」とティパタット氏は言う。「そのために必要なものは何か。早いスピードと大きなデータ容量を支える回線などのインフラ技術、VRネイティブなメディアや、毎日触れる機会があるVRアプリ、そしてコンテンツ制作の敷居を下げること。さらに、テクノロジー分野でもコンテンツ分野でも新しい投資家が必要だ」(ティパタット氏)

「今後、物質世界の体験とVRでの体験は重なっていく。ARはVRに比べて3年遅れで、開発キットがこれから登場する、といったところ。だが、VRでの開発の知見が生きるだろう」と今後のVR/AR界の展望についてティパタット氏は語る。「だから、VR/ARにどんどん投資しようではないか。そして一緒にVR/ARの未来を作りましょう!」(ティパタット氏)

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VR/AR普及の鍵はモバイルとエンタープライズだ

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【編集部注】著者のMike Bolandは、インターネット時代におけるシリコンバレー初期のハイテク記者の1人である。現在はBIA/KelseyならびにVR/AR Associationの主任アナリストを務めている。

PCならびにコンソールVRは私たち皆を興奮させるフォーマットだが、近いうちに本当にモバイルもそのレベルに達するのだろうか?これは私が作成中の研究レポートのために、投資家やイノベーターに投げかけている質問だ。

例えば、切迫したHMDのコモディティ化にもかかわらず、IDCは今年の接続されたVRヘッドセットの売上は200万台だと予想している。それはモバイルVRがアプローチできるマーケットである、世界の26億台のスマートフォンに比べるととても少なく見えてしまう。

モバイルVRは、一般に機能を抑えたバージョン(位置追跡がないなど)だが、Google Daydreamなどのように改善され続けている。その大衆に優しい価格とアクセシビリティは、VRが必要としている、ゲートウェイドラッグ(より本格的な利用への誘い水)としての役割を果す。

同じことは、ARにも当てはまる。初歩的な形態 — ポケモンGOの類 — が大衆に、これから何が来るのかの雰囲気を伝えている。それは「真のAR」ではないけれど、同様のゲートウェイドラッグの役割をテクノロジーに対して果す。

シリコンバレーのビジネスストラテジストであるKristie Cuは私に、VRとARは5Gネットワークの展開とともにやって来るだろうということも思い出させた。その大量のデータペイロードが、大きなパイプを活用することを考えると、それは良いタイミングだ。

「2015年から2018年までの間に(Orange社は)このインフラストラクチャのために150億ユーロの投資を行うことを決めています」と彼女は言う。「なので、5Gの背後には膨大な資金が控えていて、VRはその帯域幅を必要とするもののひとつなのです」。

Cuは、現在VRとARを調査し熱心に取り組んでいるComcast Venturesや、Lenovo、その他の企業投資家たちと協力している。そしてデューデリジェンスの過程で彼らは更に多くのものを見ている。

Comcast VenturesのMichael Yangは、VRとARの、長期的な主要コンピューティングプラットフォームとしての地位に基づく投資テーマを抱えている。しかし、もっと重要なことは、それらが地理的な境界や、産業の垣根を超えるほどに成長するということだ。

「それは消費者と企業の両方に関わります、特にARは」とYangは私に語った。「それはまたグローバルへ大きく踏み出しています。私たちが投資している他の部門は、直接的にグローバルなものではありません」。

例えば、CVポートフォリオ企業のNextVRは、VRを大規模なリーチを持つメディア主力商品に持ち込んでいる:スポーツライブ中継だ。消費者の観点を超えて、スポーツライブ中継は視聴者にケーブルテレビの契約解除を思いとどまらせる1手段なのである…そしてVRがその効果を強化する。

これまでLenovoは、この機会に2つのレベルで取組んでいる;VRの重いグラフィカル処理に対応する高性能PC機器を製造すると同時に、Tango技術を採用したPhab 2 ProによるモバイルARの開拓を行っている。

Lenovoの世界技術革新ディレクターであるJoe Mikhailは、ARの未来に対する彼のビジョンを、MetaのシリーズBラウンドにおける彼の主導的役割に触れながら表明した。彼は長期的には、企業のユーティリティにチャンスがあると考えている。

これがARがVRの市場規模を追い越すことになる理由の1つである。Mikhailは、ARの真の価値は、作業場所での生産性から製造現場、そして工業デザインに至るまで(3Dモデリングを考えて欲しい)、あらゆる場所で解放されるだろうと述べている。

このゲームの名前は、運用効率の改善だ、と彼は言う。これは実際の底上げを行う手段を伴う — それ故にARの広い採用が否応なく進むことになるのだ。

Yangは、全プロセスを一貫して扱うアプローチに触れながらこの考えに同意する。「一般作業者にとって、全プロセスを理解することは困難です」と彼は言う。「私は、プロセスをより効率的かつインテリジェントにするためのARオーバーレイを思い描いている、石油/ガス、あるいは航空宇宙、もしくは建設業界の人々を探しています。それが特に私たちが期待している未来なのです」。

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(翻訳:Sako)

Hacking Arts 2016の優勝は「音楽版Pokémon GO」のHarmony Space

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今週末、ソフトウェアやハードウェアのエンジニア、アーティスト、起業家がボストンに集結した。MITが主催するハッカソンのHacking Arts 2016に出場するためだ。

ファイナリストに残った12チームのうち、見事受賞を果たしたのは以下の4チームだ。

  • Best All-Around Hack優勝: Harmony Space
  • Best All-Around Hack第2位: Revive
  • Best All-Around Hack第3位: möbel
  • Hackers’ Choice: Inkfinity

MIT提供の受賞プロジェクトの詳細はこの記事の最後に掲載してある。

ハッカソンは通常、あるテクノロジーのプロモーションや新しいプロダクト・アイデアの宣伝、優秀な人材の発掘などを目的に企業や教育機関が主催するイベントだ。しかし、Hacking Artsはもっと「大きなもの」に挑戦するように出場者に呼びかけている。

Hacking Arts2016のWebサイトによれば、出場するチームは「アートが持つ機能を強化する、あるいはアートへのアクセスを向上させるようなプロトタイプを設計・創作する」ことが求められ、「テクノロジーとアートを通じて世界を変える」ことが彼らの目標となる。

同ハッカソンのオーガナイザーを務める、Sloan MBA候補生のHelen Smithによれば、今年応募があった700名のうち、本戦に招待されたのは250名だったという。結局は250名中177名がハッカソンに参加、全体の58%が女性で、87%が学生だった。この学生の大半は学部生だ。ボストンやニューヨークからの参加者が多かったが、このためにボストンにやってきた者もいた。

出場者たちが創りあげたプロジェクトは、モバイルアプリ、ウェアラブル、没入型のエンターテイメント体験など様々だった。半数以上のハッカーたちがARやVR、そしてロボティクスを駆使して彼らが打ち立てた目標を達成していたとSmithは話す。彼女によれば、今年のプロジェクトで多く見られたテーマは「テクノロジーによって感情移入を促す」というものだったという。

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ペインティング・ロボットのArtmatrもHacking Arts 2016に登場

ディベロッパーに熱い眼差しを向け、チームのメンターを務めたHacking Arts 2016の協賛企業は、Adobe、Autodesk、Shapeways、Jibo、Whoaboardなどの企業だ。出場者たちはペインティング・ロボットのArtmatrや、パーソナルアシスタント・ロボットのJIBOのデモに群がり、そのようなロボットをどのように自分たちのプロジェクトに活用するべきか考えていたとSmithは言う。

2015年度と2016年度のHacking Artsで審査員を務めたArtsy CTOのDaniel Doubrovkineによれば、2016年のハッカソンでは去年に比べ、VRではなくARを利用する出場者が増えたと話している。

また彼は、今年の出場者の多くは音楽の分野にフォーカスしており、ファイナリストの約半数はサウンド・デザインを何らかの形でプロジェクトに組み込んでいたと話している。意外だったのは、今年はAmazon Echoが普及しはじめた年であるにもかかわらず、音声認識やボイスコントロール技術を利用するファイナリストがいなかったことだ。

Daniel Doubrovkineは、今年の出場者が創りあげたプロトタイプに刺激を受けたと話す一方で、出場したチームへのアドバイスがあるとすれば、もっと実験的な目線でプロジェクトに取り組むようにアドバイスするだろうと話している。

「人は常に、プロジェクトがもつ目的を一番に考えがちです。しかし、プロジェクトの目的はさまざまなアイデアを考えている最中に突然生まれることもあるということを私たちは学んだのです」と彼は言う。

Hacking Artsの運営はMIT Center for Art, Science & Technology (CAST)と、 Martin Trust Center for MIT Entrepreneurshipの協力の元、MIT Sloan School of ManagementのEntertainment, Media & Sports Clubが勤めている。

Hacking Arts 2016の受賞者たち

優勝:Harmony Space
チームメンバー: Max Harper、Matthew Seaton、Evin Huggins
「このアプリケーションは音楽の思考ツールです。このアプリケーションは私たちの空間認識感覚を聴覚と入れ替えます。空間を「聴き」、ハーモニーを「見る」ことができるようになるのです。あなたの位置X(左右)、Y(上下)、Z(前後)は、異なる3つの音符のピッチを調節する役割を持ちます。これは、すべての場所が「調和可能な」場所になることを意味します。特定の場所にポケモンが浮いているのと同じように、このアプリケーションが創る世界には「オーブ」が存在し、そのオーブによってユーザーはメジャーコードとマイナーコードを奏でることができる場所を特定することができます。このアプリケーションには、3D空間トラッキング技術とHololensの拡張現実機能が利用されています」。

第2位:Revive
チームメンバー:Paul Reamey、Tim Gallati、Luna Yuan、Liabao Li、Qi Xiong、Jingchen Gao
「このシステムは、仮想現実、触覚で感じるフィードバック、そして音楽を融合することでユーザーに太極拳を指導するシステムです。このシステムは仮想現実環境でユーザーに合図を送ります。そうすることでユーザーは、体の動かし方を理解できるだけでなく、自分の動きが正しいのかどうかフィードバックを通して知ることができます。ユーザーとシステムが相互に作用するビジュアルエフェクトを利用することで、エネルギーの流れを意味する「気」というコンセプトを表現しました。また、このシステムにはユーザの動きを促すための触覚で感じられるフィードバック機能も備えられています」。

第3位:möbel
チームメンバー:Kiran Wattamwar、Christina Sun
「”ソーシャル家具”プロジェクトのmöbelは人々の協力関係を促すプロジェクトです。家具の組み立ては、わざと複雑になるように設計されており、1人だけでは組み立て不可能な作りになっています。少なくとも2人以上が協力することで、家具の本来の価値が発揮されるのです。組み立てられたmöbel製のイスに座るためには、2人の人間が狭い空間で向き合うように座る必要があります。これにより、本当の意味で人と人との間に存在するバリアを壊し、2人の協力関係を促すのです」。

HACKER’S CHOICE AWARD受賞:InkFinity
チームメンバー:Sharon Yan、Yaqin Hunag、Daisy Zhuo、Lei Xia
「InkFinityは、仮想現実を利用してユーザーをインクで描かれた世界の中に誘い込み、詩的な旅に連れ出すアプリケーションです。ユーザーは絵画で描かれた世界に入り込み、その美学を隅々まで探索し、文化的エトスを3D空間で体験することができるのです」。

拡張現実と機械学習による農業革命

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【編集部注】著者のJeff Kavanaugh氏は、Infosys Consultingの、High-Tech & Manufacturingにおける、VP兼マネージングパートナーである

農業は、これまで人類が生み出したもっとも成熟した産業だ。文明の黎明期から、農業は洗練され、調整され、適応されてきた — しかし完成したことはなかった。私たちは社会として、常に農業の未来を心配している。今日では、私たちはハイテクセクターが提供する概念も適用している — デジタル、IoT、AIなどなど。では、なぜ私たちは心配しているのだろうか?

エコノミスト誌の技術四半期Q2報告では、世界の人口増加を養うために、農業はすぐに他の製造業のようになる必要があると宣言されている。サイエンティフィック・アメリカンの報告によれば、不確実な気候でも効率的に成長させるために、作物はより干ばつ耐性を上げる必要があり、またニューヨーク・タイムズ紙によれば、少ない水でより多く収穫する方法をすぐに学ぶ必要がある。

それらは皆正しい。もし農場が世界の人口を養い続ける場合には、変わり続け、不安定なこの星の気候から、独立しそして適応するやり方を進めなければならない。そのためには、実績があり最先端技術を用いた、スマートなアプリケーションが必要となる。そのインターフェイスは単純なものでなければならない。そしてもちろん、今日のスキルを基にした適用が行える必要がある。

幸いなことに、この将来のための基礎は現在探求されている最中だ 。例えば、垂直農法(農家が作物をコントロールされた環境の下で栽培から収穫までを行えるようにする技術だ、しばしば屋内で垂直な棚を用いる)は人気と可能性の両者で沸き立っている。実際にこの方法は、91%少ない水で20%速く、いくつかの作物を生育させることが示されてきた。干ばつや洪水に耐えることができる遺伝子組み換え種子は、ケニアで見られるような最も乾燥した条件下での収穫を可能にする。

もし農場が世界の人口を養い続ける場合には、変わり続け、不安定なこの星の気候から、独立しそして適応するやり方を進めなければならない

しかし、このような進歩を管理することは、屋内か野外かを問わず、それ自体が挑戦である。酸度と土壌の養分をモニタし、そしてそれぞれの植物のための最適な成長を促す水やりは、良くて当て推量であり、悪ければ後知恵である。しかし、ここでこそ新しいインタラクティブ技術が輝くのだ。少数のセンサーの組が、植物の生育状況を監視し、リモートサーバーへリアルタイムの更新を行う。人工知能の年下の従兄弟である機械学習は、この作物の生育状況を学習し、次に必要なものを予測することができる。そして、拡張現実(AR)を用いて日常のオブジェクトに有益な情報イメージをオーバーレイすることによって、農家や庭師たちによる作物の健康の監視と管理を可能にする。

Plant.IO*は、それをがどのように行えるかを示したシステムの1つだ:塩ビ管のキューブがセンサー、生育ライト、カメラ、その他のもののフレームを提供する。機械学習専用のリモートサーバが、生育と生育条件を分析し、この先の植物のニーズを予想する。AR対応のメガネセットは、使用場所を問わず、ユーザーに植物の画像または情報を提供する。もしAR装置が、Microsoft HoloLensように高機能である場合には、肥料、水の流れ、成長ライトなどを調整して、作物の面倒を見る手段を提供することもできる。

この方法論は、ゲーミフィケーションと対になったときに、作物管理の新しい簡潔な方法に自らを委ねることになる。AIとARは共に使われることによって、大人から青少年の誰にとっても、家庭や遠くから自分の庭園を監視し管理することを、シンプルで楽しいものにする。このアイデアがPlant.IOの心臓部である:農業シナリオに、楽しく、使えるソリューションを。そこではデジタル情報が物理的オブジェクトやフィールドに、コンテキストを失うことなくオーバーレイされる。

実際には、この種の管理システムは、庭園や農場を超えて拡張できる可能性がある。測定可能なデータが存在する環境であれば、どのようなシナリオでも潜在的にはAR/AIの応用から利益を得ることができる。例えば倉庫管理などの産業オペレーションは、有望なエリアだ。AIと赤外線カメラを組み合わせた、フィールドの健康を測定する農業は、また別の候補である。

ARとAIを正しく利用すれば、ユーザーは事実上世界中のどこからでも植物を監視し育てることができる。それがキッチンカウンターの上で植物を育てようとしているのか、あるいは次の収穫の準備をしているのかは問わない。もっと良いことは、こうした作業を植物の酸性度、栄養、水レベルその他の最新の情報に基きながら、環境に配慮した方法で行うことができるということだ。

最初の産業革命は、機械化農業による生産性向上で、私たちが農場から都市へと移動する手助けをした。今度の産業革命は機械学習とその他のデジタル「実装」が農業を更に先へと推し進める — そして世界を養うのだ。

*注記:Plant.IOはInfosysによって開発されたオープンソースのデジタル農業プロジェクトである

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(翻訳:Sako)

次はPeriscopeがSnapchatを真似たARセルフィーマスクを公開

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SnapchatやFacebookに続いて、Periscopeが独自のARセルフィーマスクを開発している。初回リリースでは、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプのマスクが用意され、大統領選に合わせて来週公開される予定だ。最新バージョンのiOSアプリでセルフィーモードを選ぶと、画面下部からマスクを選べるようになる。アイコンをタップすると自動的にマスクがユーザーの顔に貼り付けられるようになっており、友だちと並んでカメラに写れば、両方のマスクを同時に利用することもできる。

Twitterの広報担当者は、「今回発表したマスクのことは、選挙の話を持ち出す楽しいきっかけや、投票の呼びかけといったくらいに考えています」と話し、Periscope CEOのKayvon Beykpourも「二人のマスクは笑えるし、その目的も理にかなっています」と語る。

Periscopeによれば、同社はこれ以外のクリエイティブツールの開発も進めており、「私たちは、ユーザーが人の心をつかむライブビデオを制作する上で、助けとなるようなツールを開発しています。大統領選マスクは、その気楽な一例にすぎません。もっと高度なツールを今後公開していくのが楽しみです」と発表している。なお、Periscopeは今年の4月に、最初のクリエイティブツールとなるお絵かき機能をアプリに追加していた。また、大統領選マスクはAndroidアプリには対応していないが、今後発表される新しいツールはAndroidにも対応予定だ。

大統領選はすぐそこだ!ヒラリー・クリントンかドナルド・トランプのマスクでライブ配信をしよう。投票へ行くのも忘れずに。

他のサービスで見られるようなイラストっぽいマスクとは違い、Periscopeのヒラリーとトランプのマスクは、口だけ動く写真をユーザーの顔に貼り付けるようなつくりになっている。実際にPeriscopeの発表には、次のように写真家へのクレジットが表示されている。“Masks image credit:“Hillary Clinton with Supporters” by Gage Skidmore, used under CC-BY-SA 2.0/ modified from original; “Donald Trump” by Gage Skidmore, used under CC-BY-SA 2.0/ modified from original.”

Beykpourが「腹話術人形スタイル」と表現する大統領選マスクは、JibJabのマンガのようにも見える。これについて彼に尋ねると、「JibJabは楽しくて面白いですからね」と話していた。

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Periscopeのマスクを実際に試してみた様子

セルフィーマスクを使えば顔を隠すことができるため、ユーザーがPeriscope上でライブ配信するハードルが下がるかもしれない。恥ずかしさはユーザーをカメラの前から遠ざけている1番の理由で、だからこそSnapchatはマスクを主要機能としたのだ。同様に、Facebookはセルフィーマスク制作を行うMSQRDを買収してすぐにSnapchatをコピーし、Facebook Liveにまでマスク機能を導入した。

これでPeriscopeは他のサービスに追いつけるようになった。これまでは真剣な市民ジャーナリズムや専門家の質疑応答に利用されることの多かったPeriscopeだが、もっと遊び心のある機能を増やすことで一般層を獲得することができるかもしれない。そして今後Periscopeがマスクを追加したり、新たにフィルターをローンチしたりすれば、ユーザーは髪の調子が悪いときや、顔がやつれているときにもストリーミングできるようになる。

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この写真の向かって右側がPeriscope CEOのKayvon Beykpour

ここで問題となるのは、Periscopeがどこまで他社についていけるかということだ。SnapchatとFacebookは、どちらもセルフィーマスクを開発するスタートアップを買収することでスタートから勢いをつけ、さらにその後も積極的にARエンジニアを採用している。一方で、財政的に苦しいTwitterの子会社で、リソースの限られているPeriscopeは、正確な物体認識・追跡技術を開発したり、面白いマスクを素早くたくさんリリースしたりする力では、他社に劣っているかもしれない。

しかし、少なくとも初めてのマスクを公開することで、Perisocopeが今後AR技術を採用していくという姿を見せることができ、それが結果的に他社とのギャップを埋め、AR関連の技術をもったスタッフの採用につながるかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

北欧にいるVR/AR分野の人材を求め、Magic Leapがフィンランドに拠点を拡大

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編集部注: 本稿はDennis Mitznerによって執筆された。彼はイスラエルのテルアビブに住むライターで、スタートアップやテクノロジーを専門にしている。

 

フロリダ州に本社をおくMagic Leapがヘルシンキに拠点を拡大した。フィンランドが豊富に抱える、Nokiaとゲームによって育てられたVRとAR分野の優秀な人材を獲得するためだ。

今年7月、Magic Leapはヘルシンキに子会社を設置し、同社のCFOであるScott Henryがその子会社の会長に就任した。この件について取材を試みたものの、同社はコメントを控えている。

フィンランドにあるVRやAR分野のスタートアップに話を聞いたところ、世界で最も口が堅いスタートアップとも言えるMagic Leapの子会社との提携について、彼らは肯定することも否定することもなかった。しかし、フィンランドが多くのテクノロジーに関するノウハウを蓄積していること(特に、光学技術、ハードウェア、ソフトウェア)、そして、そのノウハウがVRとARの分野で主導権をもつために欠かせないものだという事を考えれば、グローバルな巨大企業やスタートアップにとってフィンランドの人材が魅力的に写るのは当然のことだと言えるだろう。

Magic Leapとフィンランドはすでに深いつながりがある。Magic Leapでソフトウェア部門のバイスプレジデントを務めるShalinder Sidhuは、過去にはNokiaでLinuxスマートフォン向けのフトウェアの開発部門を指揮していたという経歴を持つ。ソフトウェアおよびユーザー・エクスペリエンス部門のバイスプレジデントを務めるYannick Pelletも、同じくNokiaでLinuxベースの携帯機器向けオープンソースOSプロジェクトであるMeego Deviceのシニアディレクターを1年半務めていた。

フィンランドに注目する企業はMagic Leapだけではない。2013年にNokiaを買収したMicrosoftも、HoloLensに使われるレンズの設計をフィンランドにある開発拠点で行っている。

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誰もが認める優秀な人材

Magic Leapが拠点をおくのは、VRとARには欠かせないテクノロジーによって名を馳せた地域ばかりだ。その地域にいる人材を獲得することがそこに拠点をおく目的だったことは明らかだろう。

同社が本社をおくフロリダは、オーランドとともにゲーミングとグラフィックスのハブ拠点として急成長しており、全米でも指折りのビデオゲームの開発コミュニティでもある。ニュージーランドでは、Peter Jacksonが経営する特殊エフェクトのWeta Workshopと提携を結んでいる。

AlphabetやAlibabaから14億ドルの軍資金を調達したMagic Leapは、他のVR企業とは違ったユニークな存在だ。FacebookやGoogleのVRやAR製品に関するニュースが毎日のように報道される一方で、人材を十分に抱えながらニュージーランドやヘルシンキで製品を開発するMagic Leapは、より静かで、かつ長期的な目線をもったアプローチを採用していると言える。

フィンランドはハイエンドのグラフィック技術において20年という長い歴史をもっており、それがローカル企業によるVR製品が誕生できた理由だ。2006年にNvidiaが買収したHybrid Graphicsや、同じく2006年にATI Technologiesが買収したBitBoysなどがその例である。

それにより今では、フィンランドにあるゲーミング分野のスタートアップをはじめ、ハードウェア、ソフトウェア、光学技術分野のスタートアップなどが世界中から注目を浴びるようになった。

ありとあらゆる分野でノウハウを蓄えてきたフィンランドは、次なる革新的な光学技術が誕生するための土壌が出来上がっている。フォトニクス製品のNanocomp、X線カメラのAdvacam、ALDのPicosunやBeneq、カメラ技術のNokiaやMicrosoft、スペクトルイメージングのSpecimやSpectral Engine、光学機器製造のOplatekやMillog、レーザーテクノロジーのCajoやPrimoceler、デバイスのテスティング・ロボットのOptoFidelity、品質保証(QA)のHelmee Imaging、シリコンフォトニクスのRockley Photonicsなど、フィンランドには非常に大きな光学技術のエコシステムがある。

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Getty Images/chombosanの厚意により掲載

フィンランドのソフトウェアとハードウェアの開発技術も同じように素晴らしいものだ。その分野で活躍するプレイヤーとして、ワイアレスコミュニケーションのNokiaやOulu大学、電子設計のSkunkやBittium、画像処理のSoftcolor、ゲーム開発のSupercell、Rovio(「アングリーバード」を開発した企業)、Remedy、アニメーション製作のFake、そしてOS開発のJollaやMicrosoftなどがある。

スマートガラスを開発するDispelixの共同創業者兼CEOであるAntti Sunnariは、Magic Leapが狙うのはフィンランドがもつOS開発のノウハウだと話す。

「彼らが何を求めているのか、そして彼らが何をしようとしているのかということを考えれば全体像が見えてきます。ハードウェアつくるために14億ドルを調達する企業などいません。彼らが目指すのはOSの開発です。Symbia、Meego、LinuxなどのOSはフィンランドに浸透しています。それを考えれば、彼らがフィンランドに拠点を構えるのは理にかなったことだ言えるでしょう」。

また、Magic Leapが一風変わった場所に拠点を構えるのは、その土地に住む人々が優秀だからという理由だけではないとSunnariは語る。

「彼ら(Magic Leap)はわざとシリコンバレーから遠ざかっているように見えます。彼らはノウハウがあるところに拠点を構えているのです。競合禁止契約はカリフォルニアでは違法ですが、その他の地域ではそれは違法ではありません」と彼は話す。

消費者向けのプロダクトだけではない

今年9月、HuaweiはフィンランドにあるタンペレにR&D拠点を設置した。ここでは消費者向け製品に利用するカメラ、オーディオ、そして画像処理技術の研究開発を行っている。世界中から北欧のスタートアップに対する興味が集まっていることを示していると言えるだろう。

フィンランドのVRシーンにあるのは、カッコいいガジェットやゲームだけではないと語るのは、フィンランドを拠点とするVC、Superhero Capitalの共同創業者であるMoaffak Ahmedだ。彼はゲームやVR分野のスタートアップへの投資を専門とするSisu Game Venturesを通し、フィンランドのVR企業である3rd Eye、Resokution Games、Solfar、Vizorなどに投資をしている。「より”シリアス”なARやVRの分野でも素晴らしい企業が生まれています。B2B向けのテクノロジーやソリューションなどがその例です。おそらく、現時点においてARやVRの分野でしっかりとした収益をあげているのは、その後者の企業(B2B向けのプロダクトを開発する企業)だけでしょう」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Google、アイトラッキング技術を開発するEyefluenceを買収

人々が何を見ているかまでGoogleは知りたい。

本日、EyefluenceはGoogleに買収されたことを発表した。2013年に創業したアイトラッキングによるインターフェイスを開発するEyefluenceはIntel Capital、Jazz Venture Partners、Motorola Solutions Venture Capital、NHN Investmentから2160万ドルを調達している。買収額などの詳細は公開されていない。

Eyefluenceは、 ブログ記事で静かに買収について発表した。Mattermarkが最初に報じている。

EyefluenceのチームはGoogleに参加することになりました。本日、このことをお伝えできて嬉しく思います。私たちが力を合わせることで、目線によるインタラクション技術を高め、人々の潜在能力と共感する力をさらに大きく発展させることが可能になります。現状を大きく変えるイノベーションに共に取り組めることを嬉しく思います。

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Googleは仮想現実プラットフォームDaydreamとDaydream Viewヘッドセットを来月ローンチする予定で、同社の次世代型ヘッドセットへの注目が集まっている。

アイトラッキングは、仮想現実ヘッドセットの未来を作るとても重要なテクノロジーだ。この分野のSMIやTobiiといった競合他社はインターフェイス上でユーザーの意図を示す方法として目線を取り入れる開発を進めてきたが、Eyefluenceはメニューの操作や選択を完全に目のジェスチャーだけで行う技術を開発してきた。

Eyefluenceの技術で、仮想現実用ヘッドマウントディスプレイや拡張現実用の眼鏡を装着するユーザーは、目線をマウスの代わりにして、目の動きだけで項目を選択できるようになる。またアイトラッキングは、画像密度の高いディスプレイにおいてユーザーの焦点が合っている場所に基づき、低解像度で表示する領域を決めるFoveated Rendering(中心窩適応レンダリング)といった技術的なユースケースでも用いられる。

この分野の競合にはFoveがいる。Foveのアイトラッキングセンサーを搭載したVRヘッドセットは来月初旬から事前注文を受け付ける予定だ。

近くでEyefluenceの卓越した技術を見た人なら、今回の買収にはあまり驚かなかったかもしれない。私は先月のDisrupt SFで、EyefluenceのCEOであるJim Marrgraffに人とコンピューターのインタラクションの未来について話を聞いた。その時の様子がこちらだ。彼は大胆なアイディアを話していた。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

AR・VR業界で起きている競争の実情

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【編集部注】執筆者のTim Merelは、Eyetouch RealityおよびDigi-Capitalのファウンダー兼CEO.

仮想、拡張、複合現実(それぞれVR、AR、MR)は競争上の問題を抱えている。

ほとんどのAR・VR企業は、1番の競争相手となる企業と自社を比較し、どのくらい自分たちが優れているかについて宣伝しているが、彼らは戦う相手を間違えている。VRについてはOculusやHTC、Sony、Samsung、Google、AR(MRを含む)についてはMicrosoftやMagic Leap、Meta、ODGといった会社間での競争が取り沙汰されているが、これは真の意味での戦いではない。彼らにはもっと巨大で恐ろしい相手がいるのだ。

現状

現状(Status quo)こそがARとVRの最大の競争相手だ(ちなみにStatus quoとはLive Aidのオープニングアクトを務めたイギリスのバンドのことではない)。

現代人は、平均して1日のうち11時間を電子メディアの視聴に使っている。つまり平均寿命である79年のうち、34年以上がメディアに捧げられているのだ。何がそこまで魅力的で、私たちは一生の約半分をメディアに投じているのだろうか。

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その内訳としては、テレビ(ライブ・録画の両方)が48%、携帯電話・タブレットが20%、ラジオが18%、オンラインPCが9%、そしてその他が6%となっている。そしてほとんどのメディアにおいて、視聴時間が横ばいか減少傾向にある中、スマートフォンとタブレットに関しては、メディア市場の拡大という、これまで不可能だと思われていたことが起きている。携帯電話・タブレット上でのメディア視聴時間は、過去2年間だけで1日あたり2時間以上へと倍増したのだ。そしてこの傾向は若者に顕著に見られる。年配の人の、最近の若者は携帯電話ばかり見ているという愚痴には、実は現実が反映されている。

ここでの大きな問いは、ARやVRがどのようにテレビや携帯電話、タブレットと戦っていくのかということだ。

メディア以外に費やされる時間

しかもAR・VRが戦わなければならないのは、メディアだけではない。

私たちは一生の半分近くを電子機器に費やしている一方、それ以上の時間を、他のやらなければいけないことに使っている。仕事と睡眠にはそれぞれ1日あたり平均7時間必要で、メディアに費やされる時間と合わせると、それだけで地球の自転一周分にあたる24時間が埋め尽くされてしまう。

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睡眠に関しては、ARやVRもどうすることもできず、携帯電話でさえ睡眠の壁をこえられないでいる。しかし仕事(そしてその他の生活の一部)はどうだろうか?これこそ、ARやVRが携帯電話の栄光から学ぶべき点であるともに、ARとVRの差異が表れだすポイントだ。

マルチタスキング

感の鋭い人は、メディアと仕事と睡眠で24時間が埋まってしまうと、食事やスポーツ、家事、家族や友人との交流、通勤といった、その他の活動のための時間が無いということに既にお気づきだろう。もちろんこのような活動を行いたいと考えている人は存在し、ここで携帯電話が成功をおさめる上で大きな要因となった、マルチタスキングが力を発揮する。

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マルチタスキング(テレビに限って言えばセカンドスクリーニングとも呼ばれる)とは、同時に2つ以上の作業を行うことを指す。87%の人が、テレビを見ている時のセカンドスクリーンとして、携帯電話やタブレット、(数は減るが)PCを利用している。中には、携帯電話を使う合間にテレビを見る人の存在を指摘し、テレビの方がセカンドスクリーンになったと主張する人もいる。

しかし携帯電話とマルチタスキングには、他にも議論されるべき点がある。人は平均して1日に40回以上(若者の場合には70回以上)携帯電話をチェックしているのだ。つまり食事中や家事をしているとき、家族の面倒を見たり、友人と遊んでいるときや通勤中などにも、携帯電話が常に利用されている。そして携帯電話は、多くの人にとって朝目を覚まして最初に見るものだ(その他にもさまざまな朝の支度中に携帯電話が使用されており、これが最近の携帯電話に防水機能が搭載されている理由でもある)。

VRの性質

VRの売りはその没入感で、これこそVRが人気になるであろう理由のひとつだ。

しかしVRの性質として、全ての注意をコンテンツに向ける必要があり、携帯電話では問題にならなかったマルチタスキング上の課題が生まれてくる。VRヘッドセットをしたまま通りを歩いたり、VRの世界の外にいる人と意味のある会話を試みたりすると、その課題の意味が分かるだろう。また、VRコンテンツを楽しみながらテレビやスマートフォンをセカンドスクリーニングすることもできるが、それでもユーザーはVRの世界の中にとどまったままで、現実世界でセカンドスクリーニングをしているわけではない。

そのため、時間の観点から言えば、VRは既に埋め尽くされている24時間の枠の中にある他の欲求や、それに紐づいた活動と戦わなければいけないのだ。これは大衆消費者(コアなゲーマーではなくお年寄りや親戚の子どもを想像してほしい)を相手にする上でとても大きな問題だ。VRは、マルチタスキングの恩恵を受けずに消費者の時間を獲得するため、別の活動をステージから引きずり下ろす必要がある。これは現状やVR以外のもの全てとの真っ向勝負を意味する。

ARの性質

ARはVRよりも解決するのが難しい技術的な課題を抱えている。それゆえ、現在ARはエンタープライズをターゲットとし、未だ大衆消費者には手を伸ばしていない。しかしAR企業の中には、2017年から2018年にかけて大衆消費者向けのサービスをローンチするという積極的な計画を立てているところもあり、これはもはや時間の問題だ。

ARが消費者市場に登場すれば、携帯電話が持っていたマルチタスキングという利点を使うことができる。実際のところ、この点に関して、ARは携帯電話よりも大きなアドバンテージを持っている。

まずポケットからデバイスを取り出す必要がなく、スクリーンをチェックするためにデバイスを見下ろす必要もない。小さなスクリーンのサイズに制限されることもなければ、仕事中にCandy Crushで遊んでいるところを背中越しに誰かに見られてしまうこともない。さらにWeChatをチェックしながら歩いていて何かにぶつかってしまうこともないのだ。

しかもこれは単なる憶測ではない。これまでに街中でPokémon Goで遊んでいる子どもたちを見たことがあれば、私の言っていることがわかるだろう。Pokémon Goのように必要最小限のAR機能を備えたものでも、そのマルチタスキングのしやすさが既に証明されているのだ。

AR・VR界の内部での競争はどうなっているのか?

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AR・VR界のリーダーたち

業界内での競争はさらに白熱している。というのも、AR・VR業界のどこを見ても、これまで独占的なポジションを獲得できた企業が存在しないのだ。そもそも、市場の成長段階を考えると、どこかの企業が覇権を握るにはまだ早過ぎる。そのため、健全なレベルの競争が起きている中で、全てのプレイヤーにチャンスがあり、市場のルールも現在構築されている。

この業界の実情を内部から観察していて喜ばしいのは、各企業が競合相手を威圧しながらも、コミュニティ全体ではコラボレーションが促進され続けているということだ。どの企業も切磋琢磨の精神を理解しているように感じられる。だからこそ、私たちが毎クォーター開催しているReality CheckというAR・VR業界のCEO向けフォーラムには、競合し合う企業のCEOや幹部、VCのパートナーが何百人も参加して取引やコラボレーションを行っているのだ。

ということでAR・VR業界の競争は大歓迎だ。今後さらにこの業界は面白くなっていくだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

デジタルコミックのスタートアップMadefireが初のVRアプリを提供

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デジタルコミックのスタートアップMadefireは、数日前にその最新の資金調達ラウンドの発表を行った。共同創業者兼CEOのBen Wolstenholmeは、同社が仮想ならびに拡張現実へ参入する準備が整ったと話した。彼はその約束の早期実現の期待に応えて、SamsungのOculus-powered Gear VRプラトフォーム向けのプレビューアプリをNew York Comic Conの会場で発表し、デモを行った。

以前Wolstenholmeは私に、コミック読書体験内にとどまりながらも「ネイティブデジタル体験」を与えるものの創出に挑戦していると語った。デモから判断する限り、新しいVR体験とともにその構想はまだ生きている – 音楽、サウンド効果、そしてアニメーションが加わっているが、それでも基本的にはコミックを読んでいる感覚なのである。

Wolstenholmeは、MadefireのVRに対するアプローチを、読書体験に3つ目の次元を追加するものとして説明してくれた。それ自体は3Dコミックではないのだが、読者として、コミックパネルの前に浮かんでいるような感覚を受けるだろう。

彼はそれを、劇場や洞窟壁画と交互に比較した、どちらのメタファーを好むとしても、今まで以上の没入体験を与えてくれるだろう。私もそれを試してみたが、あたかも作品と同じ空間にいるように感じた、タブレットやスマートフォンのスクリーンで読んでいる時に比べて、遥かに大きく圧倒的に感じることができた(コミックが360度のシーンを含むことができるのも役に立つだろう)。

Madefireのオーサリングツールは、クリエイターたちが作品の3次元的側面を比較的単純にカスタマイズし制御できるようにしてくれる筈だ、とWolstenholmeは語った。しかし同社はそのコミックライブラリ全体も自動的にアップグレードしている最中だ:「クリスマスまでには全部を揃えたいと思います」。

一方、デモアプリが現在含んでいるのは、一握りのタイトルである、例えばDCのInjustice: Year OneとMadefireオリジナルのMono: he Old Curiosity Shop (WolstenholmeとLiam Sharp作)などだ。

またこのニュースに関してコミック作家のDave Gibbonsと議論するチャンスがあった。彼はここ2、3年Madefireと一緒に作品作りをしている。彼は新しいVRサポートを含むMadefireフォーマットを賞賛していた、なぜならそれは作家に、作品の読書体験に対するより多くのコントロールを与えてくれるからだ。

「Madefireはスイートスポットを見つけました – 単なる仕掛けではなく、物語が重要なのです」とGibbonsは語った。「(オーサリング)ツールは誰でも使えます、なので自分自身の作品を生み出すことに何の障害もありません。私には素晴らしいことだと思えます」。

WatchmenThe Secret Service(映画KingsmanThe Secret Serviceの原作)の共作者として、Gibbonsはコミックのストーリーとキャラクタが他のメディアに入り込んでいくのを見ている。彼はコミックが「ごく最近は、コミックが映画に向けてのプロトタイプあるいはプレゼンテーション用ツールとして使われるようになっています」と語った。Madefireの新しいフオーマットを使えば、コミックはこれからも様々なものの跳躍台の役割を果たし、一方書き手や描き手が新しいテクノロジーや、読者を引きつけ続けるための新しい方法を、探求することを可能にするだろう。

「これまで、もうすべての見るべきものは見たよう気がして満足していました、なので、このように新鮮で新しく、そして役に立つものを見ることはエキサイティングなのです」とGibbonsは付け加えた。

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(翻訳:Sako)

初めてのGoogle Tangoプロジェクト実装機、Lenovoの大きなファブレットPhab2 Proがやっと11月に発売

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6.4インチである。奥行き(z軸方向)検知カメラという、すごいものがある。実際に来月にも発売されるかもしれない。LenovoのでっかいPhab2 Proは、予定ではこの夏発売だったが、その次に秋という曖昧な言葉になり、GoogleのTangoシステムを初めて搭載したハンドセットは、結局陽の目を見ないのではないか、という憶測も生まれた。

しかし、Googleがハードウェアの新製品を発表した日の翌日である今日(米国時間10/5)、それまで神話の世界に住んでいたそのファブレットに、ややましな日程が与えられた。GoogleのVR担当Clay Bavorが確認したところによると、アーリーアダプター(初物好きの人びと)たちはついに、やっと、11月に、そのLenovoのデバイスを手にすることができる。

 
ついでだが、このハンドセット(アンロック機)のアメリカでのお値段は499ドル、でっかくて、しかも待望の新しいコンピュータービジョンシステムを初めて搭載した製品のわりには、まあ、リーズナブルな金額かもしれない。これにより、うまくいけば、モバイルの拡張現実が、これからおもしろいことになるかもしれない。

この夏発表されたときに、写真は見た。その試作機には将来性のありそうな新しい機能がいくつかあったけど、今度は、このプラットホームの未来が厳しく問われる番だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

起業家円卓会議(ERA)デモデーにおける12社のプレゼンテーション

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ご存知ない方へ。Entrepreneur Roundtable Accelerator(起業家円卓会議アクセラレーター)は、他のアクセラレーターと同様に、参加するスタートアップ企業を投資候補者へ紹介するプログラムである。

プログラムはまた、スタートアップがマーケットに参加することを助けてくれる、業界に関連したメンターとのペアリングも行う。今年は、12スタートアップのうちの11社が、ERAから40000ドルのシード投資を受けた

このプログラムの有名な卒業生の1つはPublic Stuffだ。苦情管理で顧客をアシストするソフトウェア企業である ‐ 現在はブルジュ・ハリファのビル管理における苦情管理を支援している。

今年のスタートアップは、あらゆる場所からのB2B市場への対応、サイバーセキュリティプラットフォーム、そしてネット接続された犬小屋までをカバーする幅広いものだった。以下に、各企業についての概要をまとめよう。

Caylent

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ソフトウェア開発者が、クラウドを通じてコンテナの構築、ロールアウト、そして管理をできるようにデザインされたDevOpsプラットフォーム。Caylentは、企業のプログラマーたちの新しいプログラムとプロジェクトの構築と保守を簡単にして、本質的に1つの強い組織を作り上げる手助けをする。

Caylentのパイプラインは、アプリケーションのテスト、構築、そしてデプロイを含んでいて、サーバー管理にもおよぶ。Dockerとコンテナテクノロジーで提携し、新しいコードのデプロイ、監視、そして自動テストを可能にしている ‐ これによって企業のプログラマーをDevOpsマシーンへと変身させる。

プレゼンテーションの中では、このフィールドに関する同社の向かう方向への将来性へのアピールに加えて、MicrosoftがCaylentのクラウドインフラストラクチャに投資していることも言及された。

ClearChat

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安全な通信のための企業向けサイバーセキュリティプラットフォーム。私たちも以前取り上げたことがある。今も増大し続ける、金融、健康、法務、政府などに適した、セキュアなチームのコミュニケーションとファイル共有の必要性に応えることを狙っている ‐ もちろんTechCrunchのような出版にも。

ClearChat は、本質的にSlackの補完を狙っている。隔週とも言えるペースで主要なコミュニケーションプラットフォームが破られていて 、個人情報が危険にさらされている。ClearChatは、やりとりしているものの内容に関してプライバシーと安全を守る、チームのためのよりよいプラットフォームを提供しつつ、こうした危険な現状を終わらせたと願っている。

CoLoadX

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古臭い慣習が支配する国際海上貨物業界を狙っているB2Bマーケットプレイス。CoLoadXは海上貨物の船積みの近代化を行おうとしているが、輸送費の節約だけではなく、大規模な船積みにも対応できる標準的な方式の地位になることを狙っている。

現在、彼らの最初の顧客たちはニューヨークからドバイまでの範囲で運行を行っている、このように彼らは既にいくつかの海と大洋をカバーしている。

Fauad Shariff、Petere Miner、そしてSalima Fassellの3人組に率いられた同社は、輸送コンテナ業界に新しい方式を持ち込むことに断固たる決意で臨んでいる。単に最もコストが安い提案を顧客のために見つけるだけでなく、それをインターネットを介して行うのだ – これは大部分をFAXと電話に頼っている業界にとって、新鮮な手段なのだ。彼らがこのジレンマに対して正しいアプローチをしていると考えてくれる顧客が、どの位いるのかがこの先注目される点だ。

Dog Parker

dog-parker-2-190x80彼らは今年のDisrupt NYの参加者である。これが要約だ:安全で、分刻みの温度管理がされた犬小屋。よく分からない説明である。

Dog Parkerの目標は、店舗がその敷地内に安全な犬小屋を設置できるようにすること、具体的にはDog Parkerの犬小屋を置いてもらうということだ。ビジネス上の観点は、通常は衛生上の規制から、こうした施設がなければ来店することのできない犬の飼い主を、小売店が引きつけられるようにすること。そうして業界を問わずビジネスの推進が行われるようにすることである。

一方、商品としての本当のアイデアは、犬の所有者が健康と安全に関してDog Parkerを信頼できるようにすることで、安全で、抗菌で、温度管理のされた鍵のかかる犬小屋は事前にアプリを通して予約をすることが可能で、どの位置にあるかもアプリを通して知ることができる。

問題は、私のジャーマン・シェパードのどの1匹もその中に収まろうとしないことだ。

Felix Gray

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David RogerとChris Benedictによって創業されたFelix Grayは、目の健康を意識している21世紀のスタートアップだ。大人のミレニアル世代と現代の子供たちの両方を相手にしている。眼精疲労の原因になるブルーライトやスクリーンの反射から目を保護することを目的としたメガネを売っている(この技術はGunnar Optiksに酷似している)。これによってドライアイの、究極には不眠の原因になるという眼精疲労を予防するのである。

結局のところ、いまや誰もが何時間も画面を見つめている。何時間もの間画面を見続ける私たちの眼精疲労を軽減するための手頃なソリューションを提供したいというのがFelix Grayの主張である。Felix Grayのメガネはブルーライトフィルター付きで95ドル、なしで75ドルである。

問題は、これは光学的なアプローチではなく、ハードウェアの改良によって解決されると思われる問題に対する一時的な解だということだ。

FROTH

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Catie Cole、Dae Lim、そしてHarry Leeによって創業された First Round on the House(FROTH)はアルコール飲料ブランドのためにデザインされたニューヨークのマーケティングプラットフォームだ。

その目的は、iOSアプリを介して、消費者に飲料ブランドのマーケティング効果を届けることだ。もしAbsolutウォッカが気になっているが、飲むことがなかった場合、Absoluteはあなたに彼らのウォッカを飲む気にさせる。

ブランドは、アプリを利用して飲み手のために特定の場所(バー)を指定する。飲み手(ユーザー)は自分の手元でアプリを使い、気分に合った飲み物を指定する。ユーザーの選んだ場所で飲料ブランドはこのコネクションを使って、ユーザーをターゲットにして飲み物の選択肢を提供することが出来る ‐ その店でのテイスティング(味見)の一環としてだ。皆がタダ酒を好きなこと、そして無料で試飲させてくれるブランドには更に向かいやすいことにに気がつくのにそれほど長い時間はいらない。そして、結局それらが飲み手の好む飲料になっていくことにも。

Bullet BourbonとKetel One VodkaがFROTHの新しい2つのパートナーである、今年の後半にはノンアルコールのブランドの参加も計画されている。

inkHunter

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InkHunterはモバイルアプリ全般を改善することを狙ったARプラットフォームである、ARはモバイルでは遅く、一貫性がないと思われてることがその開発の動機だ。

Oleksandra RohachoveとPavlo Razumovskyiによって創業されたinkHunterは、ARを使って自分の体の上のタトゥーをプレビューすることを可能にする – これは、彼らの提供するマークベースのARテクノロジーの1応用例である。身体の上でタトゥーを入れたい場所にスマイルマークを描くことで、inkHunterアプリはその落書きを認識しタトゥーに変換してARを使い画面上に表示する。

これまでのところ、inkHunterはApp Storeで250万回以上ダウンロードされている。彼らはプレゼンテーションで、タトゥーを超えて、彼らのAR技術をeコマースや、健康産業、そしてゲーム会社で利用してもらうことが彼らの希望だと述べた。

Karate Health

karate-health-190x80Arif SorathiaとBrett Adelmanによって創業された、データサイエンス主導のスタートアップである。狼瘡などの、慢性で自己免疫疾患の患者を対象にしている。

Karate Healthは、ピアリレーションシップ、薬や副作用の追跡、そして教育素材を組み合わせたアプリだ。ユーザーは自分の処方薬、経験した症状、そして幾つかの必要な個人情報(年齢や性別など)を入力する。患者たちに自分自身の状態について学んでもらうことがKarate Healthの最終目標であり、一方ヘルスケアプロバイダーに彼らの患者の状態や症状について知るためのよりコスト効率の高い手段も提供し、研究と治療を改善する。

成功の可能性という点では、Karate Healthはそのプレゼンテーションの中で、現在1500人以上の狼瘡患者を支援しており、程なくその専門分野を関節リウマチ(RA)患者を支援にも広げると述べた。

Koa

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Mark Hartmanによって創業されたKoaは、住宅ローンの買い手と売り手のためのソフトウェアプラットフォームである。エンドツーエンドの取引及びローン管理を行うこのシステムは、2008年の金融危機からずっとアップデートされて来なかった業界の、近代化を目指している。

Koaの現在および将来の顧客は、彼らのローン投資に対する管理、分析、執行を、コンピューター上のオンラインコントロールパネルを使用して行う。有効性に対するKoaの主張は、Koaのそのまま使えるソフトウェア実装によってユーザーはコストを減らし、利益を増やす便益を受けることができるというものだ。一見ものすごくエキサイティングなものではないが、潜在的な顧客の増加に伴い、Koaの究極のビジョンは顧客同士の取引を可能にするものとなる – おそらくそれは有用なものであろう。

Pairprep

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Pairprep:教育プラットフォームのスタートアップ。Sean Lanningによって創業され、AIを活用する企業だ。写真を撮るか、PDFをアップロードすることで、教師(または親)が課題を作成することができ、それらを彼らの生徒たちのための個別の必要性に応じて調整することができる。

より良くより豊かな課題を作成し、究極的には主要な教科書出版社と競うことを可能にするために、複数の教師(または親)がコラボレーションするためのツールが用意されている。Pairprepの主張は、50000人の代数教師のチームは、PearsonやMcGraw-Hillといった大出版社の専門家たちよりも、生徒のためのよりよい課題を生み出すことができるというものである。

35万8000人のユーザーを擁するPairPrepは、業界を根底から覆すだけの強みと知識を(その協力する教師たちが)持っていると考えている。当初、ソフトウェアの基本機能に対しての教師からの支払いは発生しない、プレミアム機能(生徒のための個別支援機能など)に対して支払いを行ってくれる学校を獲得するのが彼らの目標である。

SensorKit

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Houtan FanisalekとKenneth Krugerによって設立されたSensorKitは、アクティビティやジェスチャー認識を行うプラットフォームである。彼らが主張するのは、機械学習を使ってApple WatchやMoto 360 smartwatchesのようなウェアラブルからのトラッキングを向上させるという点である。ありがたいことに、これは新しいハードウェアを生産するということではなく、既存のウェアラブルのセンサーを改良するという話である。

SensorKitはアプリを裏側で支える頭脳であり、YouMoveとよばれるソフトと同じメンバーによって開発された。AndroidとiOS向けのものが存在していて、プラットフォームを用いてユーザーのアクションを自動的に検出する。検出されるものはベンチプレス、スクワット、ボート漕ぎ運動、時間の設定や休憩などである ‐ すべて聴覚フィードバックを用いてユーザーのコーチに利用される。

以前はiPhone上のアプリだけだったが、SensorKitは新しく解放されたApple Watchのセンサーをこの先活用するようになる。よってYouMoveはApple Watch上で使えるようになる。これは10月7日からである。

Turnout.ai

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Julien Newmanが共同創業者であるTurnout.aiは、企業に近代的な世論調査を可能にする、B2Bの分析プラットフォームだ

世論調査員や申込書から世論データを手動で集めることは定型作業なので、Turnout.aiはそうしたフォームをスキャンして検索可能なPDFの形に変換する。「草の根アプリを使った草の根運動」の世論調査員は、リストを撮影しデータを集める。Turnout.aiはデータをデジタル化し、支持者たちにあなたの主張(登録時にアウトラインを入力したもの)に関連するデータとして送ることができる。

Turnout.aiの名簿に加わった最初の顧客はUberである、(アプリ全体ではなく)分析エンジンのみを使って、Turnout.aiによって定量化されたデータから定性データを見つけている、そうして社会的反発を回避するようにしている。その通り、本質的に彼らは企業や個人的な課題への支援を行うために対話の内容をマイニングしている – その是非の判断はお任せする。

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(翻訳:Sako)

互いに愛しあうLeicaとHuaweiがドイツに共同研究所を開設、具体的なプロジェクトはまだ不明

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iPhone 7がデュアルレンズをクールなものにする以前に、…いや、違う、最初にクールにしたのがHuaweiとLeicaだ(そしてその他大勢がそれをダサいものにした)。彼らのコラボレーションの果実P9がけっこうよく売れたので、両社はもっと真剣な関係を求めた。一緒に新居に引っ越すことを。それはつまり、ドイツに作る共同研究所だ。

両社がWetzlar(ウェッツラー, ヴェツラー)に作るMax Berek Innovation Labは、主に画像技術に関する研究を行うが、ほかにVRやARの技術にも取り組む。Huaweiは4月にシンプルなヘッドセットを発表してVRの世界に一歩踏み込んだが、本格的なVR事業の展開のためにはLeicaのレンズ技術が大いに貢献するだろう。

LeicaとHuaweiのあいだには、もうすぐ子どもが生まれるだろう。それはカラー/モノクロ兼用システムかもしれないし、多焦点距離カメラかもしれない。誰も予想しなかったものかもしれない。それらが、この新しい研究所から生まれるのだ。

BerekはLeicaの初期の技術者の一人で、最初のLeicaレンズは彼が作った。彼は、1949年に亡くなった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コンピューターとの対話はマルチモーダルへと向かう

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私たちはテクノロジーと触れ合うために、長い間コンピュータのマウスを利用してきた。そしてタッチスクリーンが、私たちのガジェットへのコマンド入力に新しい方法をもたらしたが、それらはマウスクリックと基本的には同じ考え方に依存している。iPhone 7上の新しい3Dタッチにしても、指を使ってイエス/ノーに答える、恐ろしく洗練された方法だというだけの話だ。

Leap MotionのCEOであるMichael Buckwaldと、EyefluenceのCEOであるJim Marggraffの2人は、将来のヒューマンコンピューターインタラクションは、様々な入力手段が組み合わされた(=マルチモーダルな)ものになるということで意見が一致している。Marggraffは、Steve Jobsがマウスの役割を指で置き換えたことと同様のことを、目で行おうとしている。彼の会社は、ARとVRのための視線追跡テクノロジーを開発している。一方Buckwaldはコミュニケーションツールとして手の動きを活用する、やや方向の違うアプローチをとっている。

「誰もが今、それぞれのポケットに15年前のスーパーコンピューターを持っています」とBuckwaldが付け加えた。「しかし私たちがこれらのデバイスを実際に使う方法を比較してみると、その使い方は本質的にはオン/オフのバイナリのままなのです」。

人間には、コミュニケーションを双方向なものにしたい自然な欲求がある。こうした理由から私たちは触覚的なフィードバックや、実際のプラスチックボタンなどを熱望するのだ。しかし、新しいコミュニケーションの方法を生み出したときには、新しく不慣れなフィードバックにも間接的に出会うことになる。時には、このフィードバックは、VRで過剰に時間を過ごしたために感じる吐き気のような不快なものであり得るが、一方素晴らしいものとなる場合もある。

「報告によれば、70から80パーセントの人が、なんらかの触覚的フィードバックを得ているように脳が感じているようですね」と、Leap Motion Orionの利用者が感じるファントムセンセーション(実際に存在しないものがあたかも有るように感じる錯覚現象)に触れながら、Buckwaldは語った。

これは、退屈な日常の仕事を逃れてエベレストのベースキャンプへ行きたいと思っている人たちにとっても楽しいものである一方、切断手術に伴う幻肢痛に苦しむ人たちにとっては信じられないほど価値のあるものとなる。VRは、そうした人たちの失われた手足を、まだそれがそこにあると信じている脳に接続するための貴重なツールとして使われるのだ。

更に悪い例だが、閉じ込め症候群(locked-in syndrome)の人は容易に外部とコミュニケーションを取ることができない。彼らにとってコミュニケーションは、多大な努力を必要とする疲れるプロセスであり、私たちが当然と思っている早口に追いつくことも闘いなのだ。

「一般的に言って、メニューを視線で操作することは、手を使う時間に比べて、わずか数十ミリ秒で完結できるのです」とMarggraffは付け加えた。

比喩を使って話すことを好む人がいる一方で、ユーモアを使いたい人もいる。人間と機械の対話はこれが決定版だというような、勝者が総取りをするようなやり方にはならない。

「仮想オブジェクトを捕まえて、保持し、動かして、様々な方向から眺めて、その大きさを調べたり、色を変えたり、変形したり。そうしたことを手で始めて、目でそれを引き継ぐこともできるのです」とMarggraffは続けた。

私たちが確信しているのは、入力メカニズムがどうであれ、コミュニケーションは遅延や中断のないシームレスなものでなければならないということだ。自然さとリアルさは、経験の質と表裏一体である。世界がより没入型になるだけでなく、その中で不快に感じることも少なくなるだろう。

これは全ての人にとって意味のあることだ。いつか私たちの子供たちは、別の大陸にいる友達とVRを通して遊べるような世界で育つことになるだろう。これはAltspaceVRのような企業によって、共有体験の上に形作られるソーシャルネットワーク全体とともに探求されている仮説と同じである。

VRの成長の中で、コンテンツの品揃えは、エンターテインメントプラットフォームとして偏ったままである。この先「iPhoneが起こしたような転換」は起こり得るだろう。ただしそれはマルチモーダルなヒューマンコンピューターインタラクションを通してのことになる。

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(翻訳:Sako)

Gestigon、ポケモンGOを使ってジェスチャーコントロール技術をアピール

ポケモンGOのAR機能をさらに進化させたらどうなるか。ジェスチャーコントロール技術を持つスタートアップのGestigonが、自らの手によってポケモンGOを操作することができればどうなるかを示しながらMR(mixed reality:複合現実感)技術をアピールしている。ポケモンGOがさらに魅力的になる可能性を示そうとするものだ。

このプロダクトは、Googleのカードボードをもとにしたヘッドマウントディスプレイと、独自のミドルウェアを組み合わせ、さらにpmdのpicoflexx 3D深度センサーとGalaxy S7を使って実現したものだ。Galaxy S7のカメラが周囲の様子を取り込み、それをpicoflexxの深度センサーの空間データと組み合わせて、手の動きとポケモンGO的世界を統合する仕組みだ。現実世界でスワイプしてポケモンGOを捜査したり、自分の手でポケモンボールを用意して、それをポケモンに向かって投げることができる。現実世界にポケモンが登場したような感覚を味わえるかもしれない。

ただし、上のビデオでおわかりのように、これは「オフィシャル」なプロダクトではない。UIも実際のポケモンGOとは異なるし、また流れている音楽も違うものだ。

大流行のポケモンGOを利用して、Gestigonのミドルウェア技術を使って何ができるかを示そうとしているわけだ。オフィシャルプロダクトではないものの、Gestigonの開発キットには、上のビデオにあるポケモンGO風ゲームもデモ用として同梱されている。ARはまだまだ黎明期にあるとはいえる。しかし本プロダクトのようなジェスチャーコントロールが次々に導入され、AR自体の魅力も拡張しつつあるところであるように思う。

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(翻訳:Maeda, H

インテル、オールインワンのワイヤレスVRヘッドセット「Project Alloy」を発表

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インテルがいよいよVRに本格的に参入することになる。Intel Developers Forumにて、「マージドリアリティ」(Merged Reality)プラットフォームのアナウンスと同時に、オールインワンのVRヘッドセットを発表したのだ。発表は「一切の制限を排除して自由に動き回れるのなら、あなたはいったい何をしますか」というアナウンスで始まった。

VRヘッドセットの名前は「Project Alloy」という。Oculus RiftやHTC Viveのようなデバイスだが、完全にワイヤレスである点が新しい。さらに、このデバイスは完全にオールインワンのものであり、必要なカメラ、センサー、入力システムなどがすべて一体になっている。

インテルのCEOであるBrian KrzanichはVRを評して「私たちの仕事、エンターテインメント、コミュニケーションの一切を新しい次元に導くもの」としている。

新しい技術により、コントローラーなどを用いずに自分の動きと外界のオブジェクトをVR化でき、これもまた従来型ヘッドセットとは大きく異なる点だ。Krzanichによれば、このデバイスは6DoFなもので、すなわち仮想空間の中で何の制限もなく自由に動けるようになるものだとのことだ。

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Project Alloyに搭載されたセンサーは、手の動きをリアルタイム仮想世界での入力デバイスとして認識できる。このヘッドセットの心臓部のひとつは、もちろんRealSenseカメラだ。1080p HDカメラ、赤外線カメラ、赤外線レーザープロジェクターが一体となったもので、これを使ってVR世界に入ってくるモノや人を認識するようになっている。

これまでの高性能VRヘッドセットは、主にパフォーマンスの側面からワイアレスにはできなかった。高いフレームレートと精細な解像度を実現するには、ヘッドセット単体では対処できず、外部の高性能PCなどと連結する必要があったのだ。このあたりにどのように対処しているのかについて、詳細な情報については触れられなかった。

なおKrzanichは、Windowsとの連携によりWindows HolographicプラットフォームをProject Alloyにも移植し、開発者が簡単にアプリケーションを作成できるようにするとも話している。Alloyについては2017年半ばにもオープンソース化する予定だそうで、Krzanichによれば「誰でもWindows HolographicプラットフォームとProject Alloyのハードウェアを融合して利用することができるようになります」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

ポケモンGOはAR/VRの全てを変える(そして何も変えない)

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【編集部注】著者のTim Merel氏はEyetouch RealityDigi-Capitalの創業者でCEO。

 

「ポケモンGOをARと呼ぶのはやめろ」と純粋主義者たちは言う。しかし、あれほど成功したものをどのように呼ぼうが、誰が気にするものか。起こったことを喜ぼう。そしてこれがAR/VR産業にどのような意味を持つかを探ろう。

ポケモンGOは、誰もが待ち望んでいたAR/VRのシンギュラリティ(特異点)である、しかしその姿は皆が期待していたものとは随分異なっている。それは未来のメガネでもなく、ハイテクでもなく、新しいハードウェアは不要でしかもタダなのだ。誰がこれを予想していただろう?

ポケモンGOの開発者であるNianticですら、そうした予想はしていなかったことだろう ‐ ユーザーからの圧倒的な需要が(DDoS攻撃の助け借りずに)開始時のサーバーダウンを引き起こした程の大いなる成功にも関わらず。

ポケモンGOの素晴らしいところは、8歳から80歳までの 1億人を超える消費者たちが、世界中でゲームをプレイし、それをプレイするひとを困惑しながら眺めたり、奇妙な経験についての長々とした記事を読んだり、主流メディアが膨大な情報を投入するところを見たりしたことだ。AR/VRは、もはや業界のインサイダーや、イノベーター、そしてアーリーアダプター(やTechCrunchの読者)のための珍獣ではない。1週間も経たずにAR/VRは主流の現象となった、そしてそれは(私たちを含む)もっとも楽観的な業界インサイダーが思っていたものよりも、何年も早く起きたのである。

なぜポケモンGOはこれほど成功したのか?

まず、ポケモンは私たちの心の中の、大切な場所を占めているということ。溺愛するX世代の両親と、ベビーブーマーの祖父母が見守る中で、新世紀生まれはポケモンと共に育ち、いまやどこにでもあるブランドである。

第2に、プラットフォームが普及していたということ。今年中にはスマートフォンとタブレットによるモバイル通信契約が40億に迫ろうとしている、いまやどこにでもあるプラットフォームである。

第3に、馴染みやすく、すぐに遊べるゲーム体験。それは子供のころに遊んだポケモンではない。よりアクセスしやすい、誰にでも馴染みやすいゲーム体験である。

しかし、純粋主義者たちはなお「ポケモンGOはARではない」と言い続ける

第4に、純粋なモバイル体験。どこへ行っても遊ぶことができ、どこに行ってもそこで遊ぶ意味がある。そして、それはポケモンGOの成功だけではなく、すべてのARの成功の鍵なのだ。ARは本質的にモバイルであり、逆にモバイルであることが過去10年間の技術革新の多くを牽引してきた。

ARは火星から、VRは金星から

しかし、純粋主義者たちはなお「ポケモンGOはARではない」と言い続ける。一体彼らは正しいのか、それとも間違っているのか?

いくつかの定義を再検討してみよう。VR(仮想現実)は、仮想世界の内部にユーザーを配置する。AR(拡張現実)は、仮想オブジェクトをユーザーの実世界の上に重ねることによって、現実世界の拡張を行う。ARと密接に関連しているが、MT(複合現実)は利用者の実世界にしっかりとした仮想オブジェクトを配置する。そのため利用者にとっては、それらは実物のように見える。これまでのところ、分類は非常にシンプルだ。

Digi-Capital Reality Matrix

しかしこのテクノロジーは、それが最初に現れたときよりも、もう少し多様なものである。Digi-CapitalのReality Matrixは、いくつかの基本的な定義を使用してマーケットを区分している。

  • Virtual(仮想):現実の世界は排除される(すなわち、ユーザーは仮想世界と仮想物体だけを見ることができる)。
  • Augmented(拡張):現実の世界は排除されていない(すなわち、ユーザーは現実世界と仮想物体を見ることができる)。
  • Immersive(没入):ユーザーの脳を騙してそれらが本当の体験であるような反応を引き出すテクノロジー要素群(多種多様である、詳しくはここで)。
  • Ambient(環境):Immersive程の没入体験はもたらさない、1つまたはいくつかのテクノロジー要素群。

Reality Matrixは4区画から構成されている。いくつかのプレーヤーは、異なるユーザーニーズに対応するために複数の区画にまたがっている。

Console/PC VRは、仮想クジラが海面下でユーザーに迫ってきたときに、ユーザーを飛び退かせる(例えばHTC Vive、Oclus、PlayStation VR);Mobole VRはとても良いVR体験を提供するが、位置追跡などのキー技術のために没入型ではない(例えばSamsung Gear VR、Google Cardboard、そしてDaydream);Augment Realityには日中の現実世界の中に仮想オブジェクトを表示するIron Manのホログラフィックディスプレイのようなもの(例えばAtheer)からスマートフォン/タブレットの「魔法の窓」AR(例えば Google Project Tango)のようなものまでが含まれる;Mixed Realityでは仮想オブジェクトが日中の現実世界の中にリアルな物体として登場(例えばMicrosoft のHoloLens、Magic Leap、Metaなど)したり、ARとVRの間を簡単に切り替えられる(例えばODG)。

しかし、ポケモンGOはどこに入ることができるだろう?

それが拡張現実なんだよジム ‐ でもそれは私たちが知っているものじゃない

この点が純粋主義者たちを少々慌てさせるのだ(これがThe FirmによるStar Trekの間違った引用だからだ、という理由だけではない)。なので、ここではっきり言ってしまおう。

ポケモンGOはARだ。その本当に基本的なバージョンというだけのことだ。

多くの点で、ポケモンGOは唯一のロケーションベースのエンターテイメントであり、業界の人々が思い描いていたようなARではない。しかし、そこがポイントなのだ。これは、業界の人々の認識がどうこうという言う問題ではなく、一般の人々の認識の問題なのだ。

たとすれば、ポケモンGOがAR/VRの開発のために意味しているものは?

一般の人々がポケモンGOをARであると考えているのなら、そういうものなのだ。

友人とポケモン狩りのために近所を歩き回るときに、それがARであろうとなかろうと何の関係もない。使われているテクノロジーが新規性のないもの(GPS、クロック、カメラ)であってもなんの問題もないし、ファンシーな光学機器、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:地図作成と位置同定を同時に行うこと)、先進的コンピュータービジョン、その他のハイテク魔法が使われていないことにも何の問題もない。そのどれも重要ではないだ。

なぜなら楽しいから。そして、どこにでもあるから。そして人々は、あなたがそれを好きかどうかに関わらずARだと思っている。だから、そのように対処するだけだ。

全てを変え、そして何も変えない。

たとすれば、ポケモンGOがAR/VRの開発のために意味しているものは?

消費者に受け入れられたという点で、それは記念されるべきものだ。何年もの間VR/AR/MRに関心を示さず、試行もして来なかったひとたちが、いまやマーケットでアクティブに活動を始めている。それは、業界のためには途方もなく良いことだ。なぜなら今やマスマーケット消費者の認知が得られているからなのだ。

アプリ開発者について言えば、誰もが時流に乗ることができるかどうかを見出そうと大騒ぎの最中だ。これまでVR/AR/MRにリソースを投入すべきかどうか決めかねていた人々は、少なくともどうすべきかを考えている。そのキャリアを活かして何をすべきかを決定しようとしいる気鋭の関係エンジニアたちは、それによって影響を受けている。市場に流入してくる才能にとっては、とても好都合だ。

VR/AR/MRテクノロジーの中核会社(すなわち、ハードウェアメーカーたち)にとっては、テクノロジーがどのように開発されていくのかに対して、ポケモンGOはほとんどが影響を与えていない。すべての課題はそのままであり、ARが真にテイクオフする(現在のロードマップに従えば、2018年頃 )ためには、ヒーローデバイス、長いバッテリ寿命、携帯通信機能、強力なアプリのエコシステムと電話会社による内部相互補助といったもののマジカルな組み合わせをまだ必要とするのだ。

投資家にとっては、非常に刺激的であると同時に混乱もしている。ポケモンGOは多大な努力を必要とする特別なアプリケーションである。規模の点で模倣することは困難だ。任天堂の株価はモンスターボールというよりヨーヨーのように見えた。ということで既に存在している以上のマーケットを巡る話題はある一方(可能性はあるものの )、VCの根底にある考え方は大きくは変わらないままである。

Apple CEOのティム・クックの言葉が最高である :「ARは本当に素晴らしいものです。私たちはこれに対して、これまでも、そしてこれからも、多大な投資を続けます。ずっとARに夢中なのです。お客さまにとって素晴らしいものを提供することができ、そして素晴らしい商業的チャンスがあると私たちは考えています…とても巨大な」。

ポケモンにとっては小さな1歩だが、ポケ類のためには大きな1歩なのだ。

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(翻訳:Sako)

MicrosoftがHoloLensヘルメットを3000ドルで一般発売、誰でも買えるが主に企業対象か

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Microsoftの未来的な拡張現実ヘルメットHoloLens(のDevelopment Edition)を、それを利用するアプリケーションを作らない人でも自由に買えるようになった。これまでは、実際にアプリケーションでそれを使うデベロッパーしか、入手できなかった。でもこれからは、アメリカかカナダにいて3000ドル払える人は、Microsoftから直接、最大で5台まで、買うことができる。

3000ドル〔従来からのデベロッパー価格〕は決してお安くないから、誰でも衝動買いできるとは思わないが、なにしろ、どうしても欲しかった人は、手に入れることができる。Microsoftの発表では、これはまだ“Development Edition”であるので、デベロッパーや企業顧客向けだ、と言っている。しかし、デベロッパーでも企業の人でもない、ふつうの人でも、喜んで売ってくれる。条件は、アメリカかカナダに住所があること、Microsoftのアカウントがあること、そして十分なお金があることだ。

Microsoftによると、同社の小売ストアは、HoloLensをまだ扱っていない。

Microsoftは今日、HoloLensの可用性を広げることと並行して、HoloLens Commercial Suiteというものを立ち上げた。これにはHoloLens本体とともに、企業向けのセキュリティおよびデバイス管理機能が含まれている。

このエンタープライズスイートにはKiosk Modeというモードがあって、使えるアプリケーションを限定したり、ユーザーの本人性確認、デバイス管理、BitLockerによる暗号化などの機能がある。

このアップデートは明らかに、HoloLensを企業市場に大々的に売りたいという、Microsoftの意欲の表れだ。企業市場は、Microsoftが長年、得意とする市場である。

一部のデベロッパーにHoloLensの提供を開始したのは3月だった。それからまだ日が浅いのに、大々的な一般販売に踏み切ったのは、ハードウェアの安定性と大量生産能力に対する自信の現れかもしれない。もうすぐ今度はたぶん、一般消費者向けの発売に踏み切るのだろう。

〔参考記事: 企業利用の一例

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

メルセデスベンツのRescue Assistアプリは、ARで救命に役立つ情報を教える

Mercedes-Benz Rescue Assist App ;

Mercedes-Benz Rescue Assist App;

メルセデスベンツは2013年11月以来、Bピラー(前から2番目のピラー)と給油口の内側にQRコードを印字している、これによって第一応答者(事故や災害現場に最初に駆けつける職員)や救急隊員たちは、Rescue Assistモバイルアプリを使い、事故に巻き込まれたメルセデスベンツに関する詳細な情報をすぐに得ることができる。最新の更新では既存のアプリに3D映像だけでなく、拡張現実(AR)も取り込まれ 、事故に際して救助活動に携わる人々は、さらにわかりやすい全体像を得ることができる。

新しいAR機能を使うことで、救急隊員は閉じ込められた乗客を解放するために車を切断するといった行為に際し、警戒すべき重要な部分などを含め、色分けされた内部コンポーネントを見ることができる。アプリは、燃料ライン、バッテリー、その他の電気部品などの配置を示し、車両を救命のために通常ではない方法で解体する際の、さらなる損傷や怪我のリスクを軽減する。

Rescue Assistアプリはまた、特定のモデル(メルセデスベンツの普通車やバンだけでなく、Fuso(ふそう)ブランドの商用車も含まれる)に関する適切な安全情報の概要を記したレスキューカードなどのリソースも提供する。

これは、多くの人々にGoogle Glassを、特定の業種向けに役立つツールとして思い描かせたARのユースケースの一種である( 緊急事態への対応は特に頻繁に引き合いに出された)。そうした機能を、救助隊員が持っている可能性の高いスマートフォン上の既存のアプリで使えるようにしたことは、おそらく技術のはるかに良い応用である。たとえそれがハンズフリーではないとしても。

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(翻訳:Sako)

ザックの見解:ARはヘッドセットでなくモバイルでメインストリームになる

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MagicLeapやHoloLensではなく、SnapchatのセルフィーレンズやポケモンGOに注目だ。これから到来する異質なヘッドセットやメガネではなく、モバイルでARはメインストリームになるとザッカーバーグは考えている。これは、Facebookが次のコンピューター・プラットフォームにいかに適応するかに関して重要なヒントにもなる。

FacebookのセンセーショナルなQ2の決算報告で、ポケモンGOに関して問われた気軽な質問に対し、ザッカーバークは真剣な回答を返した。

Facebookのアナリストとして有名なRBC CapitalのMark Mahaneyは「ポケモンGOの規格外とも言える成功を見て、どう思いますか?」と尋ねた。

ザッカーバーグは以下のように回答した(注目部分はこちらで字体を強調している):

「誰もがポケモンGOを楽しんでいるように、私も楽しんでいます。これから弊社がVRに加え、ARに投資していくにあたり、ポケモンGOから得られる最大の学びは、スマホがメインストリームのコンシューマー・プラットフォームになるだろうということです。メガネや顔に何かしらをつけるのではなく、メインストリームのAR機能の多くはスマホに実装されるでしょう。

これはすでにいくつかの場面で見て取れます。ポケモンの出現する場所だったり、顔にフィルターをつけることだったり。これに関してはMasqueradeアプリの買収について先に触れたとおりです。これは他の人とのソーシャル体験を拡張する面白い方法です。そのようなプラットフォームを構築することやその周辺にもっと機能を足していくことには大きな可能性があると考えています。

そして、ここで主題となる大きなテーマの1つは、動画が先にくるということです。これまでユーザーはFacebookでテキストや写真を投稿してきたように、今後はさらにリッチな方法で自分たちを表現したいと考えるでしょう。将来的には動画が増え、このような拡張現実ツールは、そういった体験を届けること、そして楽しく自己表現をするという面においても大きな役割を担うようになるでしょう。

つまり、ザッカーバーグは高額で野暮ったく、誰もまだ所有していないおかしな見た目の端末より、誰もがポケットに入れている端末によってARが広範囲に普及する可能性が高いとみているということだ。

The MSQRD augmented reality selfie filter app Facebook acquired

Facebookが買収したMSQRDのARセルフィーフィルターアプリ

これはAppleのCEOであるTim Cookが、今週行われた決算発表で言っていたことに近い。Tim Cookは、すでに人気のあるプラットフォームでなら、プロダクトのユーザーベースを瞬時にスケールさせることができると話していた。「ARやポケモン現象で起きていることは驚くべきことです」とCookは言う。「エコシステム、そして開発者がボタンを押すだけで自分たちのプロダクトを世界中に届けられる世界でイノベーティブなアプリがどうなるかを示すものです」。

Facebookはこの現象をOculus RiftとGear VRの対比でも見て取れた。Riftのほうが機能的だが、自宅でテザリングし、高額で、多くの人が持っていない高水準のゲーミング・コンピューターが必要となる。一方、Oculusの手がけるGear VRは安価なヘッドセットで、Samsung Galaxyのスマホ端末で使用できる。持ち運びができ、比較的お手ごろな価格で、すでに多くの人が持っている端末で利用可能だ。なので、Gear VRはすでに100万人のアクティブユーザーを獲得したのに対し、RiftはハードコアなゲーマーやVRの熱狂的な支持層の間で広まるに留まっている。

SnapchatのアニメーションがついたセルフィーレンズやポケモンGOは、人々がVRで遊ぶことに積極的な姿勢であることを示す。ただ、特別なハードウェアを必要としないということが条件だ。物体認識や強調されたグラフィックは、VR技術の最も突出した用途ではないだろう。しかし、Facebook、Instagram、Messenger、WhatsAppにしてもモバイルの最も突出した用途ではないが、最も人気のあるアプリにはなった。

Facebookは MSQRDの買収でARにも投資することを公にしている。MSQRDはSnapchatに似たアニメーションのセルフィーフィルターを付けるアプリだ。またザッカーバーグはこれまでもFacebookの長期的なロードマップにおいてARは重要な分野だと伝えてきた。

Gear VR Camera

Facebookで共有する動画を拡張するようなアプリが同社の次のステップなのかもしれない。またGearVRはGalaxyの背面カメラを活用すれば、現実世界の様子を写し、そこにフィルターを加えることで拡張現実を再現することが可能だろう。ただ、HoloLensのような透明のレンズ越しに現実世界を見るのとは違い、映像はいくらかぼやけて、映像に遅延も生じるかもしれない。

いずれにしろこれらの新たなコメントからFacebookは独自の「マジック・ホロ・リープ」のようなヘッドセットをローンチすることに対して急いでいないと言えるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ポケモンGOがゲットした3つの素敵なエピソード

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「あの人たち一体何しているの?」

と昨日私に尋ねたのは、おそらく70前後と思われる年上の女性だった。彼女が指差したのはYMCAのそばに居た18歳かそこらの男女のグループだ。その場所は私の住んでいる街で最も大きい(というか唯一の)ポケストップである。その10代の彼らは皆例外なく、自分のスマートフォンを見つめていた。

「ポケモンGOで遊んでいるのですよ」と私は答えた。女性はコメントしなかったが、彼女の表情は困惑と疑問の入り混じったものだった。

正直言って、ポケモンをプレイせずに成長した人々にとっては、 このポケモンGOマニアたちは過剰反応しているように見えるだろう。その気持ちは理解出来る。シカゴで開催されたポケモンGOミートアップに現れた人々の中の何人かの振る舞いが、まるで狂信者のようなものであったことは証言できる。

この前の日曜日に、シカゴのCloud Gate付近で開催されたポケモンGO集会に集まった約5.000人の人々(写真:Lucia Maffei/TechCrunch)

この前の日曜日に、シカゴのCloud Gate付近で開催されたポケモンGO集会に集まった約5.000人の人々(写真:Lucia Maffei/TechCrunch)

しかしゲームを批判する人でも、これをプレイすることが人々を動かしていることは認める筈だ。これは少なくとも、大人の3分の1以上が肥満である 米国では大したことなのだ。そしてこのゲームは他にも、予期しなかった多くの良い結果を生み出している。

1.子供を病院のベッドから誘い出す

写真:ミシガン大学ヘルスシステム

写真:ミシガン大学ヘルスシステム

ミシガン州のある小児病院は、子供たちが物理的な活動を行い、お互いに交流することを奨励するために、このゲームを使用している。

「運動は必ずしも患者たちが好きとは限りません」と話すのは、ミシガン州アンナーバーにあるミシガン大学C.S. Mott Children’s HospitalのデジタルメディアマネージャーのJ.J. Bouchardである。「しかし子供たちはゲームに夢中で、そんなことは気にしていませんね。ポケモンGOで遊ぶことは動くことだけではなく、病室を出て他の子供や病院スタッフと話すことも促していますよ」。

病院サイトの「Children & Family life(子どもたちとその家族のために)」というページでは、病院側は他の患者たちのプライバシーを侵害することなく遊ぶための一連のガイドラインを提供しているが、同時に遊ぶ人たちの出会いを奨励するために病院の建物の内部や周囲のポケモンランドマークも挙げられている。

2.人々に住む町の探索を促す

Condé Nast誌のデジタル編集助手のDaniel Jamesonは「ポッポとゼニガメを捕まえたのは懐かしかったが、同時にニューヨークにある沢山のクールで風変わりな彫刻やモニュメントを発見することは期待していなかった」と、Condé Nast Travelerの記事に書いている 。「そうした場所が現在ポケストップとしてARゲームの中で活用されています。例えばアレクサンダー・ハミルトンの墓地、イサム・ノグチのRed Cube、そしてサーウィンストンチャーチルスクエアの日時計といった場所がまとまって、冒険のご褒美で人を動かす、都市のオリジナル旅行者ガイドになっているのです」。

観光機関や独立観光ガイドたちも、ゲームを利用して観光客を呼び寄せる潜在的なチャンスを見逃していない。この週末にはテキサス州オースティン では「ポケモンGOシティツアー」(参加費は25あるいは35ドル。日によって異なる)が、シカゴのダウンタウンでも同様のツアー(参加費は10ドル)が始まる。

3.シェルターの犬を散歩に連れ出して、飼い主になる人も

Muncie1インディアナ州MuncieのMuncie Animal Shelterは、ポケモンGOプレーヤーたちが(ポケモン探しと卵の孵化をしつつ)引き取り可能な犬との散歩ができる機会を無償で提供している。

シェルターの代表によれば、コミュニティの反応は驚くべきものだそうである。

「私たちの犬の1匹と散歩をしようと、ここにやって来た人の数はもうわかりません」と語るのは1月からMuncieシェルターのアシスタント管理者を勤めるMelissa Blairである。「先週以来ボランティアの数はおそらく250人を上回っているでしょうね」。

Blairによれば飼い主希望者との「ポケモンGO散歩」によって、4匹の犬が引き取られたということである。例えば2回やって来た地元の家族連れは、黒いラブラドールの引き取りを決めた。「子供たちは犬と強い絆を結んでいましたし、全体のプロセスは本当に自然でした」とBlairはコメントしている。

Muncie2

米国での公開以来、このゲームはいくつかの芳しくない出来事のために、非難されても来ている。ミズーリ州では4人組のギャングがプレイヤーを呼び寄せ強奪行うためにアプリを使った。また明らかに運転しながら遊んでいたことによる沢山の交通事故が世界中で発生している。更には ワシントン・ポスト紙が報じたように、ホロコースト博物館の代表者が訪問者に対して「ナチズムの犠牲者への追悼を行うこの博物館の中で、ゲームを行うことは適切な行為ではありません」との声明を出したりもしている。

その通り。批判者には首を横に振る理由がある。しかし、上に紹介した例は、ポケモンGO現象に由来した個人やコミュニティに対する沢山の良いことがあり得ることを証明している。子供たちの行動をビデオゲームが上に述べたようにインスパイアすることはとても珍しいことだというのは、紛れも無い事実である。ポケモンGOは良い効果を大規模にもたらす点でユニークであり、注意を払う価値があると言うことはできるだろう。

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(翻訳:Sako)