暗号通貨を一般に普及させる方法について考えてみた

【編集部注】執筆者のNeil Haranは、エンジェル投資家で暗号通貨の提唱者。

投機筋がBitcoin市場やその他の代替通貨市場に早くから参入し、大きなリターンを狙っている一方で、一般の消費者に関しては、まだ暗号通貨を受け入れる準備が整っていない。

その理由はさまざまだが、暗号通貨の普及を妨げている大きな壁のひとつがボラティリティだ。

そもそもなぜ暗号通貨の価格はあんなに大きく変動するのだろうか?その究極的な理由は需要と供給に関係している。ほとんどの暗号通貨では流通量の上限が決まっているものの、投機的な動きのせいで需要が常に大きく変化しているのだ。

もちろん問題について語るのは簡単だが、重要なのはその解決策を模索することだ。

価格を安定させることの大切さ

価格の安定は、暗号通貨以外でも重要なことだ。どんな通貨であっても、等価交換を行う手段としての信頼を勝ち取るためには、その価値が安定していなければならない。価格の上下が大きいほど、普通の人が日常生活でその通貨を使う頻度は下がるのだ。

値上がりを期待して持っておくにしろ、値下がりを不安視して使わないようにするにしろ、そもそもまだ一般の人は暗号通貨を本当のお金として見ていない。

さらに価格の不安定さが、送金や為替、ATMの利用など通常の金融サービスにも悪影響をおよぼすため、暗号通貨を扱う企業は法外な手数料をとってリスクをヘッジしなければいけないのだ。

BitcoinのATMの中には、現金化に最大15%の手数料をとっているものさえある。これは、従来の決済手段よりも低コストで柔軟性のある通貨を作ろうという、暗号通貨の理念と矛盾してしまっている。公式通貨よりもメリットがなければ、一般の人は暗号通貨を使おうとさえ思わないだろう。

忍耐は美徳

価格のボラティリティは、Bitcoinの誕生直後から大きな問題だった。既にBitcoinの誕生から10年弱が経過しているにもかかわらず、なぜボラティリティへの対策が講じられていないのだろうか?

これには、他の分野でも往往にしてそうであるように、人間の性質が関わっている。市場を操り、出来るだけ高い金額で手持ちの通貨を売り抜こうとしている人がいる限り、価格を安定させるのは難しいのだ。新しい暗号通貨をリリースする前から価格の安定化について入念に計画していないと、いざ投機筋に目をつけられたときにどうしようもなくなってしまう。

出典: JaaakWorks/iStock/Getty Images

フェーズ1;安定したエコシステムの構築

ゼロから暗号通貨をつくるときは、まずしっかりとした土台を築かなければいけない。そうすれば後から手を加えなくても、その通貨は自ら軌道修正しながら成長していく。

需要測定

大きなパズルの1ピース目となるのが、確実な需要の測定だ。価格変動の主な原因は、需要の不透明さにある。他人の思いとは推し量るのが難しいものなのだ。自分がつくろうとしている通貨の実質的な需要を計測する手段があれば、問題解決にグッと近づくことができる。

その一方で、需要を測定する上で問題になってくるのが、投機筋のつくりだす人工的な需要だ。これこそ価格変化の問題の根本なのだ。投機的な動きが増えてくると、暗号通貨の価格に実需が反映されなくなってしまう。その結果、いつ破裂するかわからないバブルが生まれ、誰も汗水垂らして稼いだお金を暗号通貨につぎ込もうとは思わなくなる。

既存の通貨では、各地の中央銀行が価値の安定化に関わってきた。彼らは通貨の供給量を変化させることで、価格をコントロールしているのだ。しかし、暗号通貨は非中央集権的な性質こそが売りであるため、ボラティリティの問題を解決するためには、中央銀行に取って代わる全く新しいアプローチを取らなければいけない。インフレに頼らず、ユーザーの自由を損なうこともないような方法だ。

競争よりも協力:非中央集権的なコミュニティ

「団結すれば立ち、分裂すれば倒れる」

人々が協力し合うのを促すような通貨が存在すればどうなるだろうか?私欲ではなく、コミュニティの成長がインセンティブの根源にあるとすればどうだろうか?理想的なモデルでは、協力的な事業やサービスのネットワークが、ひとつの共同体としてお互いに作用し合い、通貨はこの協力関係によって形作られることになる(コントロールされるのではなく形作られるのだ)。そうすれば、人々はネットワーク全体が成長することにインセンティブを見出すようになり、さらにブロックチェーン技術を使えばそのプロセスを公平なものにできる。

また、各ユーザーはオンライン上での投機的な動きをとる代わりに、地元の取引所を訪れて通貨を売買するようになるだろう。そして通貨の価値を上げるかどうかはコミュニティ全体で決める。そうすれば、民主的なプロセスをとりながら、同時に通貨価値が急激に上下するのを防ぐことができるのだ。

公式取引所

取引の段階で、実際に人と会わなければいけないとなると、人間の心理には大きな変化が起きる。公式な場所での直接取引が必要となれば、自然と売買のボリュームが制限されるだけでなく、実需の計測も楽になる。”前線”にいる人たちが取引の様子を見てから、価格の引き上げに関する投票を行えばいいのだ。さらに、すぐには潰れないであろう取引所があれば、ユーザーはどこであれば通貨を売買できるのかと考えあぐねる必要がなくなり、ネットワーク全体に一貫性が生まれる。

経済的な側面以外にも、取引所の設立にはメリットがある。暗号通貨の評判は、悪意を持った人たちのせいもあり、一般的にあまりよくない。しかし取引のほとんどが対面で行われているコミュニティであれば、非倫理的または非合法の企業が自然と追い出されることになるため、通貨の信頼性自体も高まっていく。もちろん悪徳企業を立ち上げることは不可能ではないが、そのような企業がコミュニティに参加できる可能性はないだろう。

オンラインよりもオフライン

このようなアプローチがうまく機能するためには、実在する取引所の数がオンライン取引所よりもずっと多くなければなれない。そういう意味では、取引所が通貨の価値を決めているといっても過言ではない。

早期のマーケティングは控える

マーケティングは強力なツールだが、それゆえに慎重に扱わなければいけない。もちろんファウンダーは出来るだけ早い段階でお金を集めたいと考えている。お金が集まれば、暗号通貨の価格が上昇し、インフラコストをカバーでき、コミュニティの成長も加速する。その一方で、これまでの様子を見る限り、誕生間もない暗号通貨に投資している人たちの質は極めて低い。投機筋である彼らは、通貨の未来を潰し、一般ユーザーをその通貨から遠ざけてしまう。

投機的な動きに対抗して通貨を安定させるには、資本注入という手があるが、これはかなり大掛かりなものになる可能性がある。例えば、Bitcoinの時価総額は約200億ドルと言われており、価格を安定させるには膨大な量のお金が必要になる。

「慎重かつ確実に」こそが勝利の法則

暗号通貨というものが誕生してからまだそれほど時間が経っていないこともあり、主要な暗号通貨がどのような方向に進もうとしているのかはハッキリしない。彼らが目指す”ゴールライン”とは何なのだろうか?その先には何があるのだろうか? ほとんどの暗号通貨について、市場の気まぐれな動き以外には特にこれといった指針がないため、それぞれがどこを目指しているのかは知る由もない。しかし中には、いくつかの戦略をもとに、ある一定の方向へ進もうとしている通貨も存在する。

セントラルアプリ戦略

この戦略は、通貨に関連したユニークなサービスや製品を使って価値を生み出そうというものだ。つまり、通貨の価値は人々が実際に欲しがるモノで支えられることになる。

例えばMaidSafeは、暗号通貨を使ってユーザーがネットワーク全体にとって有益なモノ(=ストレージスペース)を提供するインセンティブを与えているほか、さまざまなアプリやサービスをユーザーに提供している。この仕組みのもとでは、自然とユーザー同士が協力するようになる。というのも、通貨の価値をあげるため、各ユーザーは自分たちのリソースや労力を投入し、通貨の価値に直結するサービスの価値を高めようとするからだ。

土台構築戦略

これはセントラルアプリ戦略とも似ているが、まずユーザベースを確立し、その後に通貨を導入するというやり方だ。Bitsharesやその関連企業が、この手法をとっている組織の好例と言える。SteemitのSTEEMやPeerplaysのトークンなど、複数のネットワークがそれぞれの通貨を持ち、徐々にユーザーを獲得しながら等価交換のシステムをこれまで築いてきた。現在彼らは、Bisharesと共に全てのネットワークを通して使える中心的な通貨をつくろうと計画している。この戦略をとれば、個々のネットワークでそれぞれの土台を作ってから、全体のリソースを統合することができるのだ。

草の根戦略

最後に、暗号通貨にとって極めて重要な真摯なユーザーが集う基盤を築くためには、自己資金でネットワークを創り上げるのが1番だ。そして通常のスタートアップのように、これを実現するためには共通のミッションを信じているユーザーベースが必要になる。ネットワーク内の全員がその通貨に固有の価値を見出し、通貨の価値が時間と共に高まっていくと思えなければいけないのだ。

FairCoinはそんな草の根運動を通して自分たちのネットワークを築いてきた通貨のひとつだ。この通貨をつくったFairCoopは、ユーザーが最大限のメリットを受けられるように、参加企業が協力し合うようなエコシステムをつくろうと考えていた。FairCoinはユーザーが短期的な欲望よりも長期的な利益を優先するのを促すような仕組みを念頭につくられた通貨だ。つまり、ユーザーは正しいから長期的な利益を優先するのではなく、自分にとって利益があるからそうしているのだ。

またFairCoinは、設立当初から一般ユーザーを想定してインフラを構築してきた。コミュニティに属するメンバー間の繋がりがとても強いからこそ、FairCoopは何千台というATMを設置でき、デビットカードや両替サービスを揃えることができた。このようなサービスが揃っていれば、一般の消費者も暗号通貨を利用しやすくなる。

この戦略をとれば、暗号通貨は投機筋の集中砲火を浴びることなく、ゆっくりとユーザーベースを拡大していくことができ、はじめから通貨の価値を安定させることができるのだ。ただしFairCoinがそうであるように、自己資本でネットワークを運営していくとなると、他の通貨に比べて少ない資本で戦っていかなければならない。そのため、(投機的な動きの結果)人工的に吊り上げられた価格をもってCoinMarketCap上で名を上げることはできない。

つまり、FairCoinはボラティリティや欲望によって巻き起こる盛り上がりの代わりに、先を見据えた静かな成長戦略をとったのだ。この戦略の唯一の問題点は、なかなか人の目に入りづらいということ。結局のところ、ドラマが人の注目を集めるのだ。

ハードフォーク

近い将来起こると言われている、Bitcoinのハードフォークについて考えてみよう。まるで複雑な事情など関係していないかのように、現在Bitcoinは競合し合うふたつの暗号通貨に分裂しようとしている。既にBitcoinは、一般に普及する上での障壁となる技術的な問題を抱えているにも関わらず、ここに新たな問題が加わろうとしているのだ。ハードフォークが先に見えていることで、Bitcoinのボラティリティがさらに高まり、状況を悪化させている。どんな通貨にとってもボラティリティは毒のような存在だ。

その一方で、強固なブロックチェーンと大規模で協力的なコミュニティが存在すれば、ハードフォークが発生する可能性は低くなる(そもそもハードフォークの必要性もない)。MaidSafeやBitshares、FairCoinのようなコミュニティでは、一攫千金を狙った動きよりも協力的な動きが促進されているため、各通貨はそれぞれのネットワーク内で、市場価格よりも実質的に高い価値がつく可能性がある。

このような状態にある通貨であれば、ユーザーにはコミュニティから抜け出すインセンティブがほぼなくなる。というのも、ハードフォークが起きるとユーザーが他者と協力し合うことで享受できていたさまざまなメリットが無くなってしまうため、彼らはその通貨のもともとのビジョンに忠実にあろうとするのだ。つまり、欲望ではない深い気持ちで繋がっているコミュニティでは、ハードフォークが発生する可能性は低くなるということだ。

まとめ

安定した通貨価値とは、偶然の産物でもなければ、市場で起きる奇跡でもなく、綿密な基盤づくりがあってこそ生まれるものなのだ。そして安定的な通貨には、エコシステムの安定が欠かせない。

十分な資金があれば、通貨にとって重要な初期段階にその価値を引き上げるられるため、なるべく早く自分たちの通貨を世に知って欲しいという気持ちもわかるが、そこはぐっとこらえた方が良い。広告を打つというのは、パンドラの箱の中身を世界中に披露するようなものだ。中には純粋にその通貨に興味を持つ人もいるだろうが、ただそのシステムに寄生しようとしているだけの投機筋もいる。さらに通貨価値を安定させるためには、少数の投資家だけでなく、”ほぼ全員”がその通貨を利用するようにならなければいけない。

通貨は人の前を通り過ぎるのではなく、人と共に成長していかなければならない。Bitcoinの現状とその膨れ上がった価格について考えてみてほしい。一般消費者は自分たちでBitcoinを採掘することができなければ、高い手数料やリスクなしには日常的な取引で同通貨を使うことさえできない。Bitcoinは投機筋によって支えられているネットワークなのだ。

逆に本当に安定している通貨であれば、ユーザーは両替や送金、ATMでの引き出しといった金融サービスを従来の通貨よりも安い手数料で利用することができる。つまり、暗号通貨が狙い通り(お金として)の機能を果たすことができるのだ。これこそが一般大衆の支持を獲得し、彼らが従来の通貨から暗号通貨に切り替えるのを促進するカギとなる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ビットコイン決済が身近に、bitFlyerがビックカメラ2店、Coincheckが26万店展開のAirレジで

bitFlyerはビックカメラの旗艦2店舗にビットコイン決済サービスを提供する。

お店でビットコインを使って買い物をすることが、ごく近い将来に普通の光景になるかもしれない。2017年4月5日、家電量販大手ビックカメラが旗艦2店舗でbitFlyerのビットコイン決済の導入を発表した。同日、26万店舗にサービスを提供中のPOSレジアプリ「Airレジ」がこの夏をめどにCoincheckのビットコイン決済に対応することが明らかになった。

Airレジでのビットコイン決済のイメージ。店舗側のiPhone/iPad上のPOSレジアプリと、顧客のスマートフォンのQRコード読み取り機能付きのウォレットアプリを使う。

同じ日の2件の発表には共通のトリガーがある。ビットコインの法的位置づけを明確にした改正資金決済法が2017年4月1日より施行されて、いわば政府の“お墨付き”を得た形になったことがひとつ。法的位置づけが明確になったことで、大手事業者がビットコインを堂々と取り扱えるようになった。

もうひとつのトリガーは海外から訪日する観光客によるビットコイン決済の利用を見込んでいることだ。訪日観光客にとって、ビットコインは両替の手間がなく使える便利なお金という訳だ。

bitFlyerはビックカメラ旗艦2店舗に提供

bitFlyerとビックカメラは、2017年4月7日より「ビックカメラ有楽町店」と「ビックロ ビックカメラ新宿東口店」の旗艦2店舗でビットコイン決済サービスを開始する。1会計につき10万円相当までを上限とする。ポイント付与率は現金と同等だ(つまり、クレジットカード払いよりも多くのポイントが貯まる)。またbitFlyerは、ビックカメラ店舗でbitFlyerのiOSアプリを使ってビットコイン決済をする先着200名を対象に500円相当のビットコインをプレゼントするキャンペーンを実施する。

ビックカメラは、今回の取り組みを「試験導入」と位置づける。旗艦2店舗で有効と判断すれば、ビットコイン決済の取り組みが広がっていく可能性もある。

Coincheckのビットコイン決済機能を26万店導入のAirレジに提供

iPad/iPhoneをPOSレジとして使えるようにする「Airレジ」は、2017年夏頃をメドにビットコイン決済に対応する。ビットコイン決済サービスCoincheck paymentを提供するコインチェック(この2017年3月にレジュプレスから社名変更)、決済事業を手がけるデジタルガレージの子会社のベリトランス、イーコンテクストの3社が連携し、リクルートライフスタイルが提供するAirレジ向け決済サービス「モバイル決済 for Airレジ」にビットコイン決済機能を提供する。

Coincheck Paymentは、2017年1月時点で、日本国内で約4000件以上の導入実績がある。その中のいくつかはTechCrunch Japanでも紹介してきた(DMM.comでの利用開始寄付金の受付電気料金支払いの事例)。

今回は、新たにAirレジでビットコイン決済を受け付けるようにした。リクルートライフスタイルが提供するAirレジは、iPhone/iPadをPOSレジとして利用できるようにするサービスで、店舗側は無料で利用できる。IT投資額が大きくない普通の飲食店でも利用できる手軽さが特色だ。利用者数は約26万件に達する。Airレジを入り口に店舗向けのサービスを強化しつつあり(例えば「ホットペッパーグルメ」と連携したサービスなど)、今回のビットコイン決済の導入もAirレジを取り巻く店舗向けサービス強化の一環といえる。

モバイル決済 for Airレジ」は、「Airレジ」と連携する決済サービスで、現状では中国からの訪日観光客の利用が多い決済サービスAlipay(支付宝/アリペイ)と、日本での利用者数が多いLINE Payに対応している。新たにビットコイン決済が支払い手段として加わる形だ。

このAirレジがビットコイン決済に対応すれば、Airレジを導入した多くの店舗が特別な手間をかけずにビットコイン決済を導入できるようになる。現在の約4000店舗から最大26万店舗へとビットコイン決済の導入数が伸びることが期待できる。

もともとCoincheck Paymentは、カフェ、寿司屋のような店舗でも手軽にビットコイン決済を利用できることを「売り」として展開してきた。顧客は、スマートフォン上のQRコードを読み取ってビットコインを送金できるアプリを使う(これは複数あるウォレットアプリやQRコード対応のビットコイン取引所アプリを使うことができる)。

ビットコイン決済は客と店舗の双方にメリットがある

ビットコイン決済は、客(特に訪日外国人客)と、店舗の双方にメリットがあるサービスといえる。

海外から日本に来たばかりの外国人が日本円を利用するには両替が必要だ。クレジットカードは後払いというメリットがあるが、別の通貨で支払う場合の手数料や、スキミングのリスクというマイナス材料がある。Suicaや楽天EdyのようなFeliCa対応の電子マネーは日本国内では便利だが、外国人が旅行中だけ利用する使い方はあまり考慮されていない。ビットコインは外国人であることの不利を感じずに済むお金だ。

店舗側から見れば、ビットコイン決済はカード決済よりも早く入金する(また日本円で受け取ることができる)。決済会社のマージンは1%とクレジットカードより割安だ。店舗側にとってもメリットがあるサービスという訳だ。

決済システムとして見たビットコインには、値動きがあり、決済確定までに6承認で1時間かそれ以上の時間がかかる点が課題としてよく指摘される。だが店舗向けビットコイン決済サービスでは、値動きや決済時間の問題は事業者(bitFlyerやCoincheck)が肩代わりしてくれる。利用者や店舗から見れば、難しいことは考えず、日本円建てと同じ感覚で決済がすぐ完了する「便利なお金」として使える。

ビットコインをめぐって膨大な量の議論があり、今でもビットコインへの懐疑的な意見を聞くことがある。その一方で、法制度の整備やサービス投入は着々と進んでいる。管理する「中央」がないお金に関する法整備が進み、サービスが増えている。これは目の前の観測された事実だ。ビットコインには注目しておいた方がいい。

Bitcoin、ウィンクルボスETFの申請をSECが却下して15%安

SEC(証券取引委員会)はWinkelevossのbitcon ETF申請に関する裁定を発行し、その内容はbitcoin支持者にとって良いニュースではなかった。規制当局が申請を却下した主な理由は、bitcoinを取り巻く規制が整備されていないためだ。

承認されていれば、一般大衆が米国の株式市場で取引されている株式をETFで買うだけでbitcoinに投資できるはずだった。

ETFが承認されれば、デジタル通貨には投資したいが自分で購入することには抵抗のあるウォール街や一般投資家の人々に門戸を開くことになる。そうやって新たな投資家が参入することでbitcoinの価格は上がる。

しかし、ニュースが出回るや否やBitcoinの価格は1295.00ドルから約22%安の1000ドルに急落した。その後1120ドル前後で安定しているが、これでも14%下がっている。

裁定に関するSECの説明によると、Bitcoin ETFは、商品の扱われる市場を証券取引所が規制、監視するとしている現行規則に沿っていない。要するに、現在bitcoinが取引されている市場は、そこを利用して現金化を行うETFに十分対応できるだけの規制が存在していないということだ。

Tyler WinklevossはForbes宛てにメールで声明を発表した。「われわれは今も楽観的でありCOIN[ETFが提案するティッカー・シンボル]を市場に登場させることに全力を注ぐ。今後もSEC担当者と調整を進めるつもりだ。われわれがこの旅をスタートさせたのは4年近く前であり、目標を達成させることを強く決意している。規制と監視はあやゆる市場の健全を保ち投資家全員の安全を取るために重要であるというSECの考えに同意している。

現在これ以外にも2件、bitcoin ETFの申請が審査中だが見通しは芳しくない。なぜなら当局が問題にしているのはWinkevossのETFそのものではなく、bitcoin全般を取り巻く規制が整っていないことだからだ。この問題は、bitcoin市場が十分に成熟して既存の株式、商品相場、デリバティブ等の市場と相容れる規則が作られるか、証券取引法がbitcoinを例外とするよう改訂されるまで続くだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

1ビットコインの価値が金1オンスを超えた

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史上初めて、1 bitcoinの価格が金1オンスの価格を上回った。

今日の交換レートはbitcoinにとって良い日(~3%高)であることの象徴と言えるが、金にとっては悪い日(~1.3%安)だった。長期的に見るとbitcoinがこの一年で2倍以上(1年前の185%高)になったのに対して、金の価格は1年前から事実上変わっていない。

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bitcoinと金はどちらも代替資産と考えられているが、ふつう両者の取引に相関はない。
それでもbitcoinが(少なくとも一時的に)金の価格を上回ったことは注目に値する。金は文字通り代替資産の「金字塔」であり、投資家の間では不動産や株式等の伝統的資産の潜在的損失に対するリスクヘッジとしてよく利用されている。

bitcoinが初めて登場した時、いずれは金に代わる代替資産となり投資家が価値保存手段として使うと多くの人が予想した。そうならなっていない理由は、bitcoinへの投資が未だに複雑であることや、価格が不安定なこと等いくつもある。今日の交換レートは、主要投資家の間で投資ポートフォリオにbitcoinを入れる人が増える可能性を示唆しているのもしれない。

しかもbitcoinへの投資は近々ずっと簡単になるかもしれない。SEC(証券取引委員会)はWinklevoss bitcoin ETFを承認するかどうかを間もなく発表する。実現すれば米国市場初のbitcoin ETF(上場投信)となり、ウォール街や一般投資家は今よりずっと簡単にこのデジタル通貨を買えるようになる。

先週bitcoinは史上最高値を記録した。理由の一つはETFに関する憶測だ。その他の理由についてはこの記事を参照されたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Blockchain―昨年は「幻滅の谷間」に落ちたが2017年の展望は明るい

Bitcoin

編集部:この記事はCrunch Networkのメンバー、Peter Smithの執筆。SmithはBlockchainのCEO、共同ファウンダー。以前の記事は How bitcoin protects against geopolitical risk

2017年のデジタル資産、またそれを支えるブロックチェーン・テクノロジーの展望は?

これは重要な質問だ。ことにフィンテック・ビジネスにとっては最近気がかりなニュースがあった。Goldman SachsとSantanderがR3 CEVを脱退し、 ブロックチェーンををプロトコロルとして採用する唯一の現実的デジタル通貨であるbitcoinは終わったのではないかという観測が流れた。

懐疑論者は正しいのか? われわれが知るようなデジタル通貨は本当に終わりなのか?

エコシステムになにがしかの影響はあるだろう。だが答えははっきりとノーだ。

以下のことを考える必要がある。ポンドは安全な決済通貨の一つと思われていたが、今年始めに起きたBrexit(イギリスのEU離脱)は、一夜にしてポンドの下落を招いた。この時期にbitcoinの価値は急増した。アメリカの大統領選直後、株価は一時急落したが、bitcoinはアップした。

これは偶然の一致だろうか? 私にはそうは考えられない。 これらの事象は 安全でボーダーレスで手続きが簡単なデジタル資産への要求が非常に強いことを自ずから物語っている。このようなデジタル資産は国や中央銀行のような中心による統制を受けない。金融政策、資本政策からも自由だ。その結果グローバル・リスクからの避難場所として最適だ。

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さらに重要な点はデジタル資産は現代、つまりデジタル情報が重要となった時代にこの上なく適合する。デジタル資産を可能にすyるブロックチェーン・テクノロジーは現行の金融システムを根底から揺るがす可能性がある。それはもっと透明性を高め、効率化され、誰にも利用できるものにならなければいけない。

この1年を振り返ると、第1四半期はblockchainをベースとするスタートアップへの投資の総額は10億ドルという巨額となった。しかしこの投資の勢いは後退した。

2016年の1月から9月まで、, blockchainスタートアップは4億2900万ドル92回の株式発行によって調達した。これを2015年の同期と比較すると件数で16%、金額で7%、それぞれマイナスとなっている。こうした低調さは、すでに市場に影響を与えている。たとえば、先週、Circleは同社のアプリ内でのbitcoinの売買から撤退した。

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これらはつまり「終わりの始まり」なのだろうか?

そうではない。こういう現象は画期的な新しいテクノロジーでは常に予期される。ことにそのテクノロジーが金融システムのような死活的に重要な分野を根本的に変革する可能性があるならなおさらだ。非常に有名になったGartnerのハイプ・サイクルの図で言えば、bitcoinは昨年「過度な期待」のピーク期を通り過ぎたところだといえる。Gartnerによればこの時期には「多数の成功事例が報じられるが、多くの失敗事例もある。この段階で一部の企業は行動を起こすが、静観している企業も多い」。

こうしてblockchainビジネスは「幻滅の谷間」の時期に入った。この時期は「興味が失われる」ことが特徴だとされる。 実験や導入が結果を出せないことが続くからだ。「この時期にこの段階で、ベンダーの多くは失敗して市場から退出する。生き残ったベンダーが製品を改善し、早期採用企業がそれに満足を示した場合にのみ投資が継続される」とされる。生き残った企業には逆に投資が集中することになり、本格的普及期に向かって進む道が開かれる。

これが私の見ている現状だが、来るべき2017年には市場にも変化が起きると予想している。

Gartnerのハイプ・サイクル理論によれば、一部の企業は段階的な改良を目指すが、一部の企業はすべてを自分でゼロから作らず、パートナーと提携するなどの戦略的な行動に出る。一部の企業は燃え尽きる。

しかしラディカルなイノベーションは現状を段階的な改良することによってもたらされることはない。本当のイノベーションはグローバル化という現代の状況に適合したまったく新しいシステムの構築を必要としている。blockchainに関していえば、2017年、またその後に来るのがこの時期だと私は考えている。

画像: Day Donaldson/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Bitcoinが3年ぶりの1000ドルに向かって上昇中

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Bitcoinの話題を聞くのは価格が急に上がったり下がったりした時だけだと感じているだろうか?われわれも同じだ。

今回は急騰している。Bitcoinは先月以来約30%、この3ヵ月で約50%値上がりした。現在の価格は950ドル前後をさまよっている。最後に1000ドル近くで取引きされたのは2014年1月で、その時は 1023ドルに達した ― Mt. Gox関連の大暴落が起きる直前だ。

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しかし今回の値上がりは、Bitcoinではごく当たり前の異常な急変ではなさそうだ。上のチャートに見られる通り、50%の高値はかなり安定しており、クリスマス時期にやや加速している。

そして、半減期Bitcoin Coreのアップデートといったイベントに(少なくとも緩やかに)結びついた価格変動とは異なり、今回の上昇は何か特定の事象が原因ではなさそうだ。もちろん現在世界全般で経済不安が起きているが、株式市場は堅調であり、Bitcoinと並行して取引きされることの多い金相場はむしろ下がっている。

では何が原因なのか?確かなことは誰にも言えない。たぶんクリスマス時期になるとBitcoin周辺に巻き起きる、いつものデマかもしれない。あるいは、単にみんなが考えるよりBitcoinがよくやっているという兆候なのかもしれない。

Bitcoinが消費者の支払い手段として思ったより永続きしそうなことを示唆する事例がひとつある。AirbnbのCEO Brian Cheskyは、2017年の計画を聞かれて、Bitcoin支払いへの対応が、現在最も多く寄せられている要望だと話した。

2017年がBitcoinにとってどんな年になるのか興味深い。世間では消費者支払いプラットフォームとしてのBitcoinは終った(カスタムブロックチェーン等の企業向けソリューションに敗れる)という共通認識だったが、もはやそうではないかもしれない。

いずれにせよ、BitcoinはBitcoinのすることをするだけであり、一獲千金を求めて売買することは考えるべきではない。おそらく失敗するから。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビットコイン取引所へのサイバー攻撃に備える保険をbitFlyerと三井住友海上火災保険が開発

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ms_ad_logo仮想通貨の取引所を運営するbitFlyer関連記事)と三井住友海上火災保険は、ビットコイン取引所、仮想通貨取引所などの事業者を対象とした「サイバー保険」を共同開発した。サイバー攻撃による仮想通貨の大量盗難もカバーする。bitFlyerでは「サイバー保険には顧客保護の意味合いがある。ビットコイン購入に二の足を踏む人にも、より安心してもらいたい」(経営戦略部の小亀俊太郎氏)と話している。

仮想通貨取引所をめぐる事件では2014年2月に破綻したマウント・ゴックスが有名だ(この事件ではサイバー攻撃よりも内部犯行の比率が大きいと考えられている)。最近では2016年8月に仮想通貨取引所Bitfinexが約12万BTCをサイバー攻撃により盗難される事件があった。これ以外にも、仮想通貨取引所を狙ったサイバー攻撃の事例は増える一方だ。ユーザーの立場から見れば、もし自分が資産を預ける仮想通貨取引所がサイバー攻撃による大量盗難の被害にあうと、資産を失ったり、また取り戻せたとしても長期間にわたり資産を移動できなくなる。そのような事態を想定した保険が登場することはユーザーを保護する効果があるといえる。

今回開発した保険は、サイバー攻撃によるビットコインの盗難や消失に対する損害賠償、事故対応に必要となる各種対策費用(見舞金、コンサルティング費用、原因調査費用、被害拡大防止費用など)を含めて保証する。また、サイバー攻撃への対応のための原因調査や証拠保全など事故対策の専門事業者の紹介や、サイバー攻撃を未然に防ぐためのサイバーリスク対策サービス(標的型メール訓練、情報漏洩リスクに関するセキュリティ診断、従業者向けチェックリストなど)も提供する。なお、仮想通貨取引所の経営者による犯行(マウント・ゴックス事件はこのケースだと考えられている)は対象外となる。

背景には、2016年6月の資金決済法の改正がある。法改正では仮想通貨への規制を盛り込み、いわば「公認」した。政府が仮想通貨を認める方向で法整備を進めていることから、今後ビットコインや他の仮想通貨を扱う事業者が国内で増えることが予想される。今回の保険には、仮想通貨を扱う業者がサイバー攻撃へのリスクに備える手段を提供する狙いがある。

それでも2段階認証の設定は忘れずに

取引所へのサイバー攻撃が盛んになっていることもあり、ビットコイン投資に詳しい人には「取引所に多額の仮想通貨を置くのは危険。仮想通貨はハードウェアウォレットに管理し、ビットコインの移動に必要な秘密鍵は個人の責任でバックアップするべき」との意見が多い。そのためのハードウェアウォレット製品も複数製品が登場している(関連記事)。とはいえ、ビットコインをはじめ仮想通貨のユーザーが増える中、すべてのユーザーに秘密鍵のバックアップ作業をしてもらうのは無理がある。今回の保険は事業者向けだが、間接的には仮想通貨取引所に「預けっぱなし」のユーザーへの保護の強化になるといえるだろう。

残念ながら、ユーザーのログインパスワードを破られて取引所に預けた仮想通貨が盗まれてしまうケースは今回の保険のカバー範囲外だ。仮想通貨取引所のユーザーには、強度が強いパスワードを使うだけでなく「2段階認証」を設定することを強くお薦めする。

電気代をビットコインで支払う「coincheckでんき」はビットコイン経済圏の突破口になれるか?

電気代をビットコインで支払えるようになる──このニュースは昨日(9月25日)にNHKを通して広く報道された。いったいどういう意味があるサービスなのか? 発表会で当事者の話を聞いてきた。

coincheck_2まず事実関係を確認しておきたい。レジュプレス三ッ輪産業は、2016年9月26日に新サービス「coincheckでんき」をこの11月初旬よりサービス開始すると正式に発表した(発表資料)。すでに予約受付サイトを開設している。電気料金が従来の大手電力会社より4〜6%安くなり、なおかつビットコインで支払えるようになる。電力自由化を背景とした電力小売りの新規参入を図る三ッ輪産業と、「ビットコイン経済圏」を作ろうとするレジュプレスの両者が協力した形となる。

「coincheckでんき」を使うには、プロパンガス事業を営む三ッ輪産業の子会社のENS(イーネットワークシステムズ)と契約する。なお、ENSは電力小売り業を素早く立ち上げるサービスである電力小売りプラットフォーム事業を手がける企業であり、電源を供給しているのは丸紅新電力となる。サービスエリアは今のところ関東、関西、中部エリアだが、今後は順次拡大する予定だ。

「coincheckでんき」では以下の2種類のプランを予定する。(1) 「ライトユーザー向けプラン」は従来の大手電力会社と同等の料金を日本円で支払い、その4〜6%相当額のビットコインがcoincheckウォレットに貯まっていくサービスだ。「ビットコインを日本円で買うのはいまひとつ抵抗がある層にも使ってもらいたい」(レジュプレスCOOの大塚雄介氏)。(2) 「へービーユーザー向けプラン」は電気料金をビットコインで支払うサービスだ。料金が従来の大手電力会社より実質4〜6%安くなる。「ビットコイン経済圏で生活したい」人向けのプランだ。なお、「4〜6%」と数字に幅があるのは、契約アンペア数により値引き幅に変動があるためだ。

ライトユーザー向けプランで貯まったビットコインは、例えばcoincheck paymentを採用しているバー、寿司屋、歯科医などの店舗や、オンラインサービス(例えばDMM.com)で使うことができる(関連記事)。電気料金の4〜6%という金額相当のビットコインが貯まれば、それなりに使いでがある金額になる。例えば、1年かけて貯めたビットコインで寿司を食いに行くユーザーが出てくるかもしれない。

一方、ヘビーユーザーの中には、電気料金をビットコインで支払えることは魅力を感じる人がいるだろう。人数はまだ多くないかもしれないが、「日本円など法定通貨ではなくビットコインで生活したい」と考える人々が存在するのだ。

もうひとつのユーザー層は外国人や海外居住者だ。ビットコインは外国人に優しい。ビットコイン決済は国境を簡単に乗り越えることができる。説明会では「海外在住で、なおかつ日本の電力を使いたい人にも使いやすいサービス」(三ッ輪産業 代表取締役社長の尾日向竹信氏)とのコメントもあった。ちなみに、レジュプレスは外国人が日本の不動産を購入するさいビットコイン決済を使えるサービスを手がけている(関連記事)。

coincheck_1 「coincheckでんき」で獲得できるユーザー数は、「最初の1年で1万人」が目標だ。この数字をどう評価するかは人それぞれだろうが、レジュプレスは今後は携帯電話料金など各種料金支払いにもビットコインを適用することを狙っている。同社の予約受付サイトにも「提携企業を募集中」と大きく記されている。つまり今回の取り組みは、公共性がある料金支払いへのビットコイン適用を進めていく上での最初の一歩という訳だ。同社の狙いがうまく当たれば、「coincheckでんき」はビットコインを活用したB2C向け決済サービスの適用範囲を広げる突破口として評価されるようになるだろう。

フロリダ州判事、Bitcoinは通貨ではないと裁定

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表舞台へ出てからというもの、Bitcoinは少々自己喪失に陥っている。

最大の理由は、それが通貨なのか資産と考えるべきなのか誰ひとり確証がもてないからだ。IRS(内国歳入局)は税務上これは資産であると言い、商品先物取引委員会は商品だと言っている。そしてBitcoin支持者のほとんどはこれを世界最先端の通貨だと言いたがっている

しかし、今日(米国時間7/26)フロリダ州のある判事がこれは資産であると裁定し、資産説を補強すると共に、将来これがBitcoin関連裁判の前例となる可能性を残した。

詳細はこうだ。去る2013年の裁判で、被告は覆面警察官にBitcoinを売り、違法に入手したものだと警察官から知らされていた現金を受け取った罪に問われた。その後被告は逮捕され、資金洗浄罪2件(受け取ろうとした現金は汚染されていたという想定の下で裁かれるため)および自らを送金/支払い手段販売業者であると偽った罪で告発された。

今日(米国時間7/25)Teresa Pooler判事はいずれの罪も棄却し、実質的にその理由を、Bitcoinは通貨ではないので、違法な送金や資金洗浄の罪で告発するのは不可能だと判断したためだとした。

資金洗浄の罪に関して法律は、警察官から違法行為によって入手したと告げられた金銭で、個人が「金融取引」を行うことを違法と定めている。金融取引は「通貨代替物」に関わるものと定義されているがBitcoinはそれに該当しないため、訴えは棄却されるべきたという点で、Pooler判事は被告と一致している。

送金/支払い販売手段の罪についても、Pooler判事は被告と一致しており、Bitcoinが「支払い手段」の定義にあてはまらないことが理由だとして、IRSの定義を例に挙げた。Pooler判事は、Bitcoinを売ろうとする行為を金融サービスビジネスに関わる法定枠組みにあてはめるのは、丸い穴に四角い杭を入れるようなものだと言い被告の言い分を容認する判決を下した。

この裁定はフロリダ州巡回裁判所の見解にすぎないが、将来類似の訴訟で前例になる可能性はある。

とはいえBitcoinをどう分類するかの最終決定権は立法者の手にある。いずれかの時点で州あるいは国(さらに他の国々も)の立法者は腰を据えてBitcoinの厳格な定義を明文化し、通貨あるいは資産として分類すべきか否かについてあらゆる曖昧性を排除する必要がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Bitcoinの採掘報酬が半分になった

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半減期が来た!!!

つい先ほどBitconはその短い寿命の大きな節目を迎えた。ブロック(トランザクションデータの集合単位)を採掘する報酬が、25 bitcoinから12.5 bitcoinへと半分になった。

これは、コインの価値を650ドルと仮定すると、今後採掘者たちはブロック当たり8125ドル程度を得ることになる。半減する前は1万6250ドルだった。

でも問題ない!これは起こるべくして起きたことだ。説明しよう。

Bitcoinのコードが書かれた時、2100万bitcoin以上の通貨が出回ることがないように設計された。そして人々が採掘すること(これがbitcoinネットワーク全体の価値を立証し維持している)を奨励するために、Satoshiはブロック毎に報酬を与えるしくみを作った。

設立当初、報酬は採掘された1ブロック当たり50 bitcoinだった。そしてプログラムは、21万ブロック採掘される毎に報酬を半分にし、64回の半減期の後、ゼロになるように作られた。

この指数的半減は、最後の半減期が来るのは100年以上先だが、全bitcoinの75%が既に採掘され流通していることを意味している。

そして今日は、Bitcoinの歴史上2回目の半減期だ。最初の半減期(報酬が50から25 bitcoinsに切り下げられた)は2012年11月のことで、当時の価値は12ドルくらいだった。

しかし、それは〈私〉にとって何を意味するのか?

オーケー、歴史の講義は十分だ。おそらく知りたいのは、bitcoinの価格がどう影響を受けるかだけだろう。

完全市場では、米ドル/bitcoinが単純に2倍になり、報酬のbitcoinが半分になったのを補償する。これは論理的だ、なぜなら採掘にかかるコストは変わっていないのだから、価値を倍にしなければ収入が直ちに半分になってしまう。

しかし市場が完全ではないことをわれわれは知っている。そのため、われわれはせいぜい予想することしかできない。そして最も論理的な結論はこうだ。半減による価格への影響は、市場が予測していたことによって既に起きており、過去6ヵ月間の大きな値上がりの主たる理由はおそらくそれだ。

今日はここまで。みんなで半減パーティーを楽しもう。もし祝う機会のない人は、まだあと62回半減期が来ることを忘れないでほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

東京銀行などから投資を受けたCoinbaseがシンガポールに次いで日本進出をねらう

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世界最大のbitcoin企業のひとつであるCoinbaseが、東京銀行やTwitterの日本進出を助けた企業など日本の一連の投資家たちから資金を獲得し、同社の市場としての日本にも焦点を定めた。

アメリカの企業であるCoinbaseは、 Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ(BTMU)とのパートナーシップを発表し、“その長期的な国際展開努力を支援していく”ことになった。つまり同社から見れば、サービスを日本に拡張する、という意味だ。Coinbaseはさらに、BTMU, Mitsubishi UFJ Capital(MUCAP), およびSozo Venturesからの投資を確保したことを開示した。Sozoはアメリカと日本にまたがるファンドで、TwitterやLinkedInにも投資している。

Coinbaseはbitcoinを買い入れるための消費者ウォレットサービスと、それを費消するための多様な商業者パートナーを提供しているが、同時にまた、機関投資家たちのためのプラットホームも運用している。これまで同社は投資家たちから1億ドル以上を調達しており、もっとも最近では2015年1月の、DFJがリードした7500万ドルあまりのラウンドがある。Reutersの記事によると、日本からの投資は1050万ドルだ。

サンフランシスコに本社のある同社は昨年、アジアの最初の拠点としてシンガポールに進出したが、アジア最初の取引所は日本に開く。シンガポールでの開設は、当局の認可を要するからだ。

“日本ではまだデジタル通貨の取引所サービスを提供していないが、弊社は国際展開の継続にコミットしており、BTMUとの協力のもとに、アジアとグローバルの主要市場を強力にサポートしていきたい”、とCoinbaseは声明文で言っている。

日本は2年前の、自爆したが窃盗や詐欺の噂もあるMt. Goxの一件で、bitcoinの世界で派手に有名になってしまったが、今ではBitflyer, Kraken, Quoine, Coincheckなど複数の取引所がある。Mt. Goxのメルトダウンに対応して日本は、bitcoinを監督するための新しい法律を今年成立させた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ビットコイン取引所QUOINEが本社を日本に移し15Mドルを調達、金融サービス事業者向けB2B展開に本腰

QUOINE

ビットコイン取引所を運営するQUOINEは、ジャフコをリードインベスターとして15Mドルの資金を調達した(プレスリリース)。今後、日本を含むアジア市場でビットコイン取引所の市場1位を狙う。日本の仮想通貨法(改正資金決済法)成立を受け、複数の金融サービス事業者向けに同社の仮想通貨取引エンジンをOEM提供するB2Bの事業にも本腰を入れる。

QUOINE(「コイン」と読む)は2014年11月にシンガポールで設立されたが、今回の資金調達に先立って2016年3月末に本社機能を日本法人に移し、また2016年4月1日付けで栢森 加里矢(かやもり かりや)氏がCEOとして着任している。栢森氏の前職はソフトバンクグループのシニアバイスプレジデントでアジア統括を担当。今までは投資家の立場でQUOINEに参画してきた。なおQUOINEは2014年末に1.8Mドルの資金を調達している。

日本のビットコイン取引所を運営する企業の資金調達の事例を見ると、2016年4月にbitFlyerが約30億円を調達し(関連記事)、2016年4月から5月にかけてビットコイン取引所Zaifを運営するテックビューロが約7.2億円を調達している(関連記事追加調達のプレスリリース)。今回の15Mドル(プレスリースは「約17億円」と表記)は大きい数字だ。なお、海外メディアではこの後の追加調達の金額を含めて「QUOINEが20Mドルを調達」と報じている記事もある。

B2Bで仮想通貨取引エンジンを提供

Mike Kayamori Picture

QUOINEのCEOに就任した栢森 加里矢氏。

取材で印象に残ったのは「B2Bに本腰を入れる」との方向性を聞けたことだ。自社の仮想通貨取引エンジンのB2B展開に取り組む。「我々の強みは毎秒100万件をアップタイプ99.99%で処理できる堅牢な仮想通貨取引エンジンにある。これを複数の金融事業会社に提供していく。すでに使って頂いている事業者もいる」(栢森氏)。

B2B強化を打ち出した背景には、日本でこの2016年3月に仮想通貨を扱う法案(改正資金決済法)が提出されて5月には成立したことがある。「法案成立により、今後は仮想通貨取引所だけでなく従来の証券会社やFX業者など金融サービス事業者が仮想通貨をサービスに加える。それらの企業に仮想通貨の取引用取引エンジンを提供していく」(栢森氏)。

栢森氏は、携帯電話ビジネスに例えて「MVNE(仮想移動体サービス提供者)のようにイネーブラーの立場になる」と付け加えた。大手の携帯電話事業者(MNO)の回線を借りてビジネスをするMVNO(仮想移動体通信事業者、いわゆる「格安SIM」の事業者)のイネーブラーとなるMVNEのように「多くの個性的なプレイヤーが仮想通貨ビジネスを立ち上げられるイネーブラーになりたい」。

金融機関の技術、ノウハウを仮想通貨ビジネスに

QUOINEシンガポール法人の前CEOだったMario Gomez Lozada氏は、栢森氏のCEO着任以降はQUOINEのCTO、プロダクト担当プレジデントとして事業を支える。栢森氏の説明によれば、QUOINE設立のきっかけはクレディスイス日本法人のCTO/CIOだったMario Gomez Lozada氏と栢森氏が共鳴したことだった。「Marioは、メリルリンチとクレディスイスで金融プラットフォームを作ってきたプロ。仮想通貨ビジネスの新しい世代を担うのは彼のような人材だ」(栢森氏)。栢森氏がQUOINEの取引エンジンに自信を持っているのも、金融機関譲りの技術やノウハウが強みになると考えているからだ。

「仮想通貨取引所のハッキング事件も内部犯行による例が多い。我々は金融機関のノウハウを生かした厳しいプロセスを定めている」(栢森氏)。

ブロックチェーンによる「金融の民主化」の波に乗りたい

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QUOINEのビットコイン取引高の推移。

 

B2Bに本腰を入れる一方で、従来からのビットコイン取引所のビジネスも拡大していく。QUOINEの1日あたりビットコイン取扱高を見ると、2015年10-12月の四半期が4700BTC/日、2016年1-3月の四半期で7388BTC/日、2016年4月〜5月の2カ月で1万2507BTC/日と、急激に数字が伸びている(グラフを参照)。背景としてビットコイン市場全体の取引高が急増していることがあるが、QUOINEがビットコイン市場の活性化に対応して、着実に実績を上げていることを数字が示しているともいえる。

ビットコイン取引所は日本に複数ある中で、QUOINEはまだ知名度が低い。シンガポールが本拠地だったこともあり、日本でのメディア露出も乏しかった。「今までマーケティング活動はほとんどやってこなかった」(栢森氏)。今後は、日本を含むアジア市場で積極的にビットコイン取引所としてのシェアを拡大していきたい考えだ。「アジア市場で1位を狙う」。中国市場への参入は難しいと見ているが、一方でこれまでのキャリアを振り返りつつ、「ソフトバンクグループではインド事業を1から立ち上げた。インド市場は必ず取りたい」(栢森氏)と話す。

資金調達後の見通しを聞いた。「金融サービスは公共性、社会性が重要だ。長く続け、大きなビジネスにしたい」。栢森氏に言わせれば、現状の仮想通貨ビジネスの規模は他の金融分野と比べてまだまだ無視できるほど小さく「今後1000倍以上にスケールする可能性がある」と見ている。栢森氏の構想によれば、仮想通貨取引所の次の段階は「ユビキタスウォレット」だ。法定通貨(ドル、円など)建て金融サービス(クレジットカード、デビットカード)、仮想通貨、企業ポイント、ギフトカード、プリペイド通信料など、複数のサービスを一般消費者が(例えばスマートフォン上で)ワンストップで利用できる「ユビキタスウォレット」が普及すると見て、QUOINEはウォレットの事業者に取引エンジンを提供していく。事業会社のB2Cの情報システムとブロックチェーンの間の橋渡しをし、ワンストップで必要な機能を提供してくれるサービス(あるいはミドルウェア)の需要は今後高まっていくはずだ。

「ブロックチェーンで民主化された未来の金融機関を作り上げていく」と栢森氏はビジョンを語った。

Bitcoin価格、4日間で21%のアップ―過去21ヶ月の高値を付ける

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今日(米国時間5/30)、ビットコインが再びポジティブな話題として戻ってきた。すでにすたれたという噂は明らかに早計だったようだ。ビットコインはBitfinexで現在547.40ドルで取引されている。このマーケットは米ドルとビットコインの交換を行う場所としてBitcoinityに次いで2位を占めている。この価格はこの4日間で21.4%の大幅な上げだ。

この価格は過去21ヶ月での高値でもある。意外なことに、今回の急騰以前の2ヶ月、ビットコイン価格は比較的安定していた。

今回の値上がりの原因を探るのは困難だ。ただ最近、HuobiOKCoinという中国で最大クラスの取引所の登録者が急増し、ビットコインの買い注文が大量に入っている。

最近、中国ではビットコイン価格がマクロ経済の状況に連動する傾向が強まっている。ビットコインへの殺到は、中国が依然デフレを恐れていることを示唆する。

多くの中国人はビットコインを有力な財産の保全手段と考えている。同様に、中国政府当局はピア・ツー・ピアの資金貸付サービスへの取り締まりを強化し、資金の出し手をビットコインコインへの投資に誘導しようとしている。

中国以外でもビットコインの先行きについて明るい情報が入っている。2015年末に、ビットコイン企業の多くがBitcoin_ClassicなどによりBitcoin Coreをフォークさせることで取引量を拡大することに積極的な姿勢を見せるようになった。これはオリジナルのBitcoin Coreプロジェクトにとって大きな挑戦となるかもしれない。

この数ヶ月のうちに、、ビットコインとそのブロックチェーンをさらに堅牢かつ将来性の高いものにするためBitcoin Coreは何度もアップデートされるはずだ。私はlightning networksに大きな期待をかけている。このネットワークはビットコインによる送金を秒の単位に高速化する。このことはビットコインを現行の送金手段を代替する存在に押し上げるものだ。

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画像: Antana/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN MODIFIED)

〔日本版〕Bitcoin Core(以前のBitcoin-QT)は過去の取引を完全に記録したブロックチェーンで、65GB以上のサイズがあるとされる。最初のダウンロードには長時間かかり、十分な帯域幅を必要とする。なおテクノロジーの名称としては大文字のBitcoin、通貨単位としては小文字のbitcoinが用いられる慣行があるが統一性のある規則ではない。英文では見出単語、文頭の単語は表現スタイルとして自動的に大文字になることがある。Wall Street Journal、OED等は「常に小文字を使う」よう提唱しているという。この記事本文の訳文ではBitcoin Coreのような固有名詞を除いて暫定的に「ビットコイン」とカタカナ表記している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Mt. Goxの管財人が失われたbitcoinに対する請求の調査を終了…結果発表はもうすぐ

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bitcoin取引所Mt. Gox(マウント・ゴックス)が破綻してから2年経つが、元ユーザーの一部はやっと、彼らのbitcoinを取り戻せるかもしれない。Mt. Goxの調査で東京の裁判所が指定した管財人が、失われたbitcoinに関するすべての請求を、ようやく調べ終えた。この調査では、Krakenが管財人に協力した。

Mt. Goxが2014年に閉鎖したとき、多くのユーザーがまだbitcoinをこのプラットホーム上に保有していた。Mt. Goxは回復不能のハックに遭ったか、または単純に、CEOがきわめて怠慢な人物だった。数百万ドル相当のbitcoinが、消えてしまった。

その後同社は破産を申請し、ユーザーが債権を主張するためのページを立ち上げた。債権請求の期日は2015年7月とされた。そして管財人は、24750件の請求の正当性を監査した。

請求の合計は2.4兆ドルに達したが、その中には$2.39兆ドルの請求が1件ある。全体としてMt. Goxは、91,185,435ドル相当のbitcoinを保有していた(現在価格451ドルで換算)。

Mt. GoxのWebサイトでユーザーはもうすぐ、自分の請求のすべてまたは一部が返ってくるか否かを、調べることができる。ただしその調査は、プライバシーとセキュリティ上の理由から、Mt. Goxのウォレットのアドレスを公表しない。

以上はとにかくすばらしいニュースだが、安心するのはまだ早い。Mt. Goxの元ユーザーが資産を取り戻したという報道があるまでは、まだやるべきことが残っているのだ。でも、日本の裁判所がギブアップしなかったのは、偉いね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Craig Wright、「証拠は公表したくない」―オーストラリア人起業家、Bitcoinを発明したとの主張から後退

2016-05-06-bitcointug

Bitcoinの発明者、Satoshi Nakamotoは結局のところオーストラリア人起業家ではなかったようだ。Craig Wrightは「自分こそSatoshiだ」と3種類のメディアに対して主張したものの、わずか数日後に「Satoshi Nakamotoである証拠を公表するつもりはない」という 記事をブログに掲載した。

Wrightの戦術はかなり巧妙だった。自分がBitcoinを発明したという主張はGQBBCEconomistのジャーナリストに対してなされた。これを額面どおりに受け取らないメディアもあったが、いずれも伝統的な記事発表の解禁日を守らねばならない立場にあった。Wrightの主張の真偽を判断できる暗号専門家はこの件に関して蚊帳の外だった。そこで記事の大見出しはWrightにたいへん都合のよいものとなった。

Screen Shot 2016-05-05 at 9.58.48 AM

しかし Wrightの主張に対する疑問は即座に積み上がっていった。WrightがSatoshiであることを証明する証拠は皆無だった。

多くの関係者がWrightに対して「決定的な証拠を提出せよ」と迫った。幸いなことにそういう証拠は簡単に提出できるはずだった。たとえば、Satoshiのアドレスは誰でも知っている。そのアドレスからbitcoinによる送金があれば、送金者はSatoshi以外にない。SatoshiのメーリングリストからBitcoinコミュニティーに対してメールが送信されればそれは本物のSatoshiだ。

しかしWrightはそういった証拠を提出するつもりがないという。「しかしながら、今週の状況の進展により、〔Bitcoinの作者であることを証明する〕私が発明した最初期のアクセス・キーを公開する準備を進めていたが、私には〔公表する〕勇気が欠けている。私にはできない」とWrightは書いている。

ご覧のとおり、WrightはSatoshiであるという主張を文字通り取り下げたわけではない。しかしSatoshiであることを証明したくはないという。現実を直視するなら、これはWrightがSatoshiではないと言っているのに等しい。

WrightはBitcoinコミュニティーの著名人でBitcoin FoundationのトップであるGavin AndresenとJon
Matonisに密かに会って主張を伝えている。これによってWrightがSatoshiだという主張を2人が公に支持するという非常に困った状況がもたらされた。

この点ではおそらくWrightを賞賛すべきなのだろう。たとえ数時間であれ、世界中にSatoshi Nakamotoであると信じこませたというのは大したものだ。

2014年のDorin Nakamotoのときのようにロサンゼルスを横断するカーチェイスが見られなかったのは残念だ。これまでにこの人物こそSatoshiであるという数多くの理論が唱えられてきたが、長くもちこたえたものは一つもない。次に現れるSatoshiの場合もおそらく同様だろう。

グッドバイ。

Screen Shot 2016-05-05 at 9.41.39 AM

画像: Russell Werges

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オーストラリア人起業家、Craig WrightがBitcoinの発明者、Satoshi Nakamotoなのか?

2016-05-03-craig-wright

オーストラリア人起業家、Wrightは自分がBitcoinの発明者Satoshi Nakamotoだと名乗りでた。しかしテクノロジー・コミュニティーの多くのメンバーはこのニュースに懐疑的だ。

ストーリーは説得力が薄く、「証拠」はBitcoinの発明者、Satoshiが過去にサインした開発初期の産物のひとつを利用したにすぎないと考える専門家が多い。Wrightは過去にもSatoshiではないかと指摘されたことがあったが、その時点では否定していた。

WrightはSatsoshiであるという主張を3つのメディアに対して行った。 BBCEconomist、 そしてやや異例だが男性向けライフスタイル誌のGQだ。

BBCは「〔Wrightの主張は〕誰がデジタル通貨システムの基礎となるアイディアを最初に考えついたのかという問題に関する長年の推測を一掃するものだ」とし、さらに「Bitcoinコミュニティーの著名なメンバーであり開発において中心的な役割を果たした専門家がWrightの主張が正しいと認めた。Bitcoin Foundationのチーフ・サイエンティスト、Gavin AndresenはWrigtの主張を肯定するブログ記事を公開した。またBitcoin Foundationの創立者の1人である経済学者、Jon MatonisもWrightの主張が正しいと確信している」と報じた。

しかし、Hacker NewsとRedditにはWrightの主張に疑問を投げかける証拠が数多く寄せられている。またAndresenはハックされたのではないかという疑いも出ている。

BBCとのインタビューでWrightはBitcoin開発の初期段階で利用されたデジタル鍵でメッセージに署名した。このメッセージは本物のSatoshiが作成したbitcoinブロックと不可分に結びついているという。

しかしHacker Newsの指摘によれば、Wrightが用いたサルトルのテキストは「〔過去に別人によって暗号化されたことがあるので〕blockchainのトランザクションからコピーすることが可能」であり「Wrightは現実には何ら暗号を復号した証拠を示していない。BBCはデジタル署名が真性であることを見たに過ぎない。つまりそのデジタル署名が実際に行われたのは数ヶ月、それどころか数年前かもしれない。そうでないことを証明するのは非常に難しいはずだ」という。

Hacker Newsのスレッドによれば、本物のSatoshiはBitcoinコミュニティーとの会話をこれまでもっぱらBitcoinメーリング・リストによって行ってきたという。つまりSatoshiが自分の身元を明かす気があるなら、メッセージを1通、このメーリング・リストで送りさえすればよかったはずだと指摘している。

Redditも同様に疑問を抱いている。 Satoshiが初期のBitcoinの開発者の1人でPGPのエンジニア、Hal Finney宛に送った史上初のBitcoinトランザクションを暗号化したのと同じデジタル鍵で、Wrightはジャン=ポール・サルトルの発言を暗号化してみせた。しかし用いられたテキスト中にはCraigの名前、現状、現在の日付などは含まれていない。本物のSatoshiであれば当然含めていたであろう、そうした最新のデータがまったく含まれていないことは、Wrightはデジタル鍵をなんらかの方法で入手することに成功しただけという推測を成り立たせる。

Wrightをインタビューした3つのメディアのうち、Economistだけは最終判断を保留している。

本物のSatoshi Nakamotoは100万Bitcoinを保有していると推定されている。これは4億5000万ドル(479億円)に相当する。もしWrightが実際にそれだけの額を保有しているのであれば、オーストラリアの税務当局による調査を受けることになるだろう。そうであればメディアを利用したキャンペーンは同情を呼び起こす上で有効なはずだ。

一方、懐疑派のPatrick MckenzieGithubにこの問題に関する簡単な分析を寄せ、Wrightの主張を「根拠薄弱なでっち上げであり、まともな解析には数分も耐えられない。〔Wrihgtは〕システムレベルでBitcoinの暗号化システムに精通していることを示したが、Satoshiでなければ知り得ないような非公開の情報は何一つ明かされていない」と述べている。

〔日本版〕Mckenzieは上記Githubで、Wrightが署名したサルトルのテキストはサルトルの任意の一節ではなく、過去にBitcoinで暗号化されたことがあり、データがブロックチェーンに残っているものであることを指摘している。同時に、メディアの非専門家に自分がSatoshiだと信じさせるのは「2時間の準備で足りる」が「Gavin Andresenがどうして信じてしまったのかは謎だ」とした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

バイクリメンツが新ビットコイン取引所——今夏にはビットコイン決済可能なデビットカードも提供

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bitFlyercoincheckなどをはじめとして国内でもビットコイン取引所が増えてきたが、最後発となるビットコイン取引所が誕生した。バイクリメンツは3月31日、ビットコイン取引所の「Lemuria」を公開した。

Lemuriaは、セキュリティ面で評価されているビットコインウォレットのBitGoを採用したビットコイン取引所だ。最短10分で取引開始可能で、取引は100円から。メールアドレスの登録のみでビットコイン建ての入金と売買ができる。

ビットコインといえばどうしても投機目的での取引が多く、一部ではFXのユーザー層などを取り込む動きもあるようだ。Lemuriaが目指すのはビットコインを使った経済圏を拡大することだという。

具体的には、海外のプレーヤーと提携して、ビットコインを取引所にデポジットしておけば、VISAデビットカード加盟店(国内約270万店舗)でそのまま決済可能なプラスチックカード「Lemuriaデビットカード」を7月にも提供する予定。また各取引所に預けているビットコインをそのまま利用できるペイメントプロセッサー「Lemuria Payment」も今夏提供する予定だ。さらにビットコインで購入すれば割引になるようなクーポンをはじめ、ビットコインを使った各種のサービスを検討中だという。国内ではビットコインを利用できる店舗はまだまだ少ない。デビットカードなどを提供することで、まずはその利用の窓口を広げようというのが同社の考えだ。

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バイクリメンツは2015年12月の設立。資本金は非公開だが数百万円。創業メンバーのほか、上野武史氏らエンジェル投資家数名および同社の顧問弁護士法人が株主となっている。

創業メンバーで代表取締役の柴田倫宏氏はSI系ソフトハウスからグリーを経たのち、電通のグループ企業でスマホアプリの開発を手がけた人物。その一方で個人でビットコイン取引所を試験的に運用するなどしてきた。また同じく操業メンバーで取締役の山村賢太郎氏はサミーネットワークからアドウェイズを経て、現在はブロックチェーンなどの情報を配信する「THE COINTELEGRAPH」日本版の編集長を務める。また、アドバイザーとして、大手ビットコインウォレットサービスのCOINBASEやビットコイン取引所のKRAKENでビジネス開発などを務めたJames MacWhyte氏が参画する。

StratumnはブロックチェーンのHerokuを目指す―通貨取引以外のアプリ開発にも大きなチャンス

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パリを本拠とPaaSのスタートアップStratumnに注目だ。このチームはブロックチェーン・アプリの開発に興味を持つデベロッパー向けにアプリを公開、共有できるプラットフォーム・サービスを開発中だ。

Stratumnを利用すれば、このプラットフォームにさまざまなアプリをアップロードして作動、共有させることができる。アプリはbitcoinのブロックチェーンと通信が可能だ。機能としてはHerokuによく似ている。ブロックチェーン開発者のためのHerokuといえるだろう。

Stratumnは最近、Otium Ventureとエンジェル投資家から67万ドル(60万ユーロ)を調達した。エンジェルには Ledger WalletのCEO、Eric Larchevêqueが含まれる。

本質的にいえば、bitcoinブロックチェーンというのは あらゆるトランザクションをタイムスタンプ付で安全、確実に記録する分散データベース・システムだ。非常に多数の開発者が暗号通貨とはほとんど関係ない分野でbitcoinのブロックチェーンを利用しようとしている。

たとえばStamperyはブロックチェーンのデータベース能力を利用して伝統的な公証人制度を変革しようとしている。このサービスではユーザーの権利、義務などに関わる重要事項について法的に有効な記録が提供される。ブロックチェーン・システムがこうした記録の正当性を保証する。

Stratumnはこうした現状を見て、さらに一歩先に踏み出そうとしている。Stratumnを利用すれば個々のアプリを苦労してゼロから作る必要はない。つまりデベロッパー側でブロックチェーンと通信するための面倒なプログラムを書く必要がなくなる。

この機能を実現するために、Stratumnが開発したのがオープン規格のChainscriptだ。簡単にいえば、Chainscriptはいくつかのデータを保持するJSONファイルを生成する。デベロッパーはStratumn.を通じてこのデータをブロックチェーン・システムに送る。Chainscriptを利用しているアプリはその後ブロックチェーンによるデータの認証を利用できる。

つまり前記のStamperyのようなデベロッパーは、Chainscriptを使ってStratumnプラットフォームの上に独自のアプリを構築できる。Stamperyが目的とする契約関係書類の公証も大きな分野だが、要するにStratumnは暗号通貨取引以外のブロックチェーン・アプリの開発全般にビジネス・チャンスを見出そうとしている。

現在利用されているブロックチェーンで最大のものは言うまでもなくbitcoinのブロックチェーンだ。しかし多くの研究機関や企業は他のブロックチェーンの可能性を探っている。Stratumnはスタートアップとしてもまだごく若い存在だが、もしbitcoin以外のどんなプロックチェーンにも対応できるプラットフォームを開発することに成功すれば、デベロッパーはブロックチェーン分散デーベースの公証能力を生かしたアプリを開発するにあたって大幅に労力を節約できるはずだ。これはブロックチェーンのユースケースとして非常に興味ある展開となるだろう。

画像: Jason Benjamin UNDER A Public Domain LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、WindowsストアのBitcoin取扱いを静かに終了

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MicrosoftはWindows StoreでのBitcoinによる支払いオプションを、暗号化通貨への対応開始から1年強が過ぎた今、静かに終了した。

ソフトウェアのオンライン百科事典、Softpediaが最初に変更に気付き、後に利用者向けFAQで確認された。

今後BitcoinをMicrosoftアカウントに入金することはできません。既存のアカウント残高はMicrosoftストアでの購入に利用できますが、払い戻しはできません。

本誌はMicrosoftに詳細を尋ねたが、本稿執筆時点で回答は得られていない。

Microsoftは2014年末にBitcoinを採用してことで称賛された。支払い会社のBitpayと提携した同社は、当時その行動について、「人々に選択肢を与え、デバイスやクラウドでできることを増やす」ためだと言った。

その後何が起きたのかはわからないが、恐らくMicrosoftユーザーでこの支払いオプションを使った人は殆どいなかったために、継続する必要がなくなったのだろうと想像する。

Microsoftの行動は、Bitcoinコミュニティーにとって厳しい状況の中で起きた。このデジタル通貨は、その成長に応じて基盤を大きく変更する必要があるかどうかで意見が分かれていた

Microsoftの後押しは、Bitcoinを前進も後退もさせなかったが、IT最大手によるその決定は、Bitcoinが世界の主要通貨にほど遠いことを示す、明確な指標だ。これは全くの驚きでも破滅を表すものでもない ― bitcoinの使い道は他に山ほどあり、それを支えているテクノロジーには、消費者向け支払いオプション以上の力がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブロックチェーン活用の金融向け事業でテックビューロとシンガポールDragonfly社が合弁

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ブロックチェーン技術NEMを活用した金融機関向け決済プラットフォーム「Automated Clearing and E-Settlement (ACES)」を日本市場に提供するため、テックビューロとシンガポールDragonfly Fintech Pte Ltdは日本に合弁会社を設立することで合意した(プレスリリース)。2016年第3四半期のサービス提供を目指す。合弁会社の設立時期や資本金などの詳細は今後明らかにしていくとのこと。

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決済プラットフォームACESの概要。「従来型の決済手法と比べコンプライアンス上の煩雑さを軽減できる」としている。

決済には法定通貨(例えば円)とペグするデジタルマネーを使う。従来の即時グロス決済(RTGS)に替わる銀行どうしの即時決済の手段として、双方の取引勘定をブロックチェーンに記録する機能を提供する。

テックビューロはNEMをベースとするプライベートブロックチェーン技術mijinの各分野での業務提携を多数発表しているが(関連記事)、現時点で発表された提携先に金融機関は含まれていない。関連する案件として、住信SBIネット銀行は野村総合研究所(NRI)と共に実施する実証実験において NEMとmijinを併用するとしており、実装を担当する一社としてDragonfly社の名前が上がっている(発表資料)。

最近、米Ripple社が日本を含むアジア市場の展開でSBIホールディングスと合弁すると発表している。Rippleの決済システムとACESは、銀行向け決済システムという点で競合する。