AP通信社が自社の記者たちのためのデータサービスをData.worldの協力で一層充実

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The Associated Press(AP通信社)は2013年から、自社の記者たちへのデータ提供サービスを始めている。たとえば情報の自由法(Freedom of Information Act)に基づくデータリクエストを手伝ったり、4名のエンジニアを起用してデータの視覚化や、大量のスプレッドシートからのインサイトの取り出し、などをやってきた。そして今日(米国時間3/3)から同社はData.worldとの共同パイロット事業により、記者たちにこれまでよりも詳細なデータを提供していくことになった。

データ分析企業Data.worldB corpの認定企業でもあるので、自分たちの事業の社会性をつねに意識している。今回のAPとのパートナーシップでもそれは変わらず、データの提供者が個々のデータ集合のパーミッションを自分で設定できるようにした。たとえばAPは、インポートしたデータとその分析結果をとりあえずプライベートにしておき、その真実性に確信を持てた段階で一般公開することができる。

APのデータジャーナリズムチームの編集長Troy Thibodeauxはこう語る: “データにフォーカスしたプラットホームが欲しかった。ほかのものは今ますますヴィジュアル性が重視されるようになってきたが、ユーザーがデータにアクセスしてそれらを深く正しく理解することも重要、と考えている”。

Thibodeauxたちは最初、そんなデータプラットホームを内製するつもりでいたが、最終的にはData.worldを起用することに決めた。過去にAPは、データ配布のためのいろんなWebサイトを作っていた。でも今では、その新しいプラットホームが、データへのアクセス性の向上以上のことを、やってくれる。たとえば一つの調査課題に対して一般公開データとプライベートなデータの両方を取り出して、状況がより詳しく分かるようにする。それにより、一つのことに関して、複数の異なった考え方があることも、分かるのだ。

複数の報道機関の共同体でもあるAP通信は、データを配布するためのハブとしても理想的だ。たとえばAPのメンバーである各地の地方紙はそれらのデータを利用してインサイト(とくにニュースに対する解釈や意味)を、読者が求める方向へ調整できる。

“最近は、アメリカに来た難民たちの現状に関するデータを公開した。7つの国からの10年におよぶ移民データだ。そのデータの要約のような短い記事も付けたが、データの利用者であるうちの記者たちの方が、もっとずっと良い記事を書いてくれた”、とThibodeauxは語る。

今後は、データの読み方や使い方に関する記者たちへの教育も行っていく予定だ。そしてシステムが効果的に稼働するようになったら、その結果として実現するデータドリブン(data-driven, データ駆動型)なジャーナリズムが、ニュースの信頼性と透明性と妥当性(適切性)を向上させるだろう。

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コンテナのデプロイをマルチプラットホーム化するDockerのEnterprise Editionで企業ユーザーのコンテナ導入を単純化

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Dockerのコンテナプラットホームのようなシステムを実装しようとすると、そのためのかなり専門的なスキルが必要になる。Dockerは、ユーザーが同社のプロダクトを使おうとするときにぶつかる複雑性を緩和するために今日(米国時間3/2)、Docker Enterprise Editionをリリースした。

このエンタープライズエディションは、DockerがサポートしているLinuxやWindowsのフレーバー(ディストリビューションやバージョン)、およびAWSやMicrosoft Azureのようなクラウドプラットホームのすべてに亙ってシームレスに使用できる、準汎用的なツールのパッケージだ。これらのツールがあれば、コンテナアプリケーションの複数のプラットホーム間の移動が、コードを書き換えることなく可能だ、とDockerは主張している。

本当にそれほど簡単なターンキーシステムのようなものなら、デベロッパーとオペレーションスタッフの双方にとってコンテナのライフサイクル管理がずっと楽になるだろう。DockerはLinuxデベロッパーのためのコンテナプラットホームとして誕生したが、これからは多様なインフラプラットホームと、企業によって異なるやり方をサポートしていくことになる。無料のCommunity Editionは継続するが、それは有料のEnterprise Editionほど多様なプラットホームをサポートしない。

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写真提供: Docker

もちろんDockerには、今回のリリースの前にもエンタープライズプロダクトのようなものはあったけれども、それも今度のEnterprise Editionに編入されている、と、Dockerのマーケティング担当SVP David Messinaは語る。前のエンタープライズプロダクトDocker Datacenterは、今ではエンタープライズエディションの中へモジュールとしてバンドルされている。“Docker Datacenterは、これまでの有料サポートつきコンテナエンジンの基盤だった。今パッケージされているのは、前に売っていたものの進化形だが、完全に新しいプロダクトの一部でもある”、とMessinaは説明する。

同社は新パッケージのリリースと並行して、新しいリリースの番号システムとリリースサイクル(release cadence, リリースケイデンス)を発表した。まず番号は、単純な順序数ではなく、1703のようにリリースの年月を表す。今年の6月のリリースは、1706になるだろう。

またリリースサイクルは、ユーザーがジョブのタイプに応じて指定できる。たとえばコードの最新のアップデートをいつも入手したいデベロッパーなら、各月のリリースを選ぶだろう。一方、安定性を重視するオペレーションスタッフなら、四半期リリースのチャネルを契約するかもしれない。なお、四半期リリースは1年契約となる。

Enterprise Editionの課金プランは、ベーシック、スタンダード、アドバンスドの3段階になる。Docker Datacenterはスタンダードに含まれ、アドバンスドではもっと多様なエンタープライズ機能が提供される。

なお、パートナー各社のサードパーティプロダクトを提供するDocker Storeが開店した。Messinaによると、“このストアの最大のメリットは、Dockerの証明つきであること。それにより、パートナーが商業的成功をシェアできるエコシステムになっていくことだ”、という。証明つきとは、Dockerが試用結果に基づいて品質を証明しているから、ユーザーは安心して買える、という意味だ。

エンタープライズエディションとストアの二つが組み合わさると、企業顧客にとって、Dockerのプロダクトやサードパーティ製のアドオンを自社の複雑な環境へ導入することが、よりスムースでシンプルな過程になるだろう。

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Open GardenがオフラインチャットFireChatの基盤技術であるメッシュネットワーキングをSDKで公開

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オフライン(インターネットや携帯電話不要)のメッセージングソフトFireChatを作っているOpen Gardenが、FireChatを支えているメッシュネットワーキング技術をすべてのデベロッパーのために公開する。今日バルセロナのMobile World Congressで同社が発表したMeshKit SDKによりデベロッパーは、自分のアプリにピアツーピアの通信機能を容易に実装できる。すぐに思いつくユースケースはチャットだが、音声やビデオにも使えるし、スポーツの実況なども可能だ。

数か月前に同社のWebサイトで秘かに発表されたこのSDKは、当面Androidのみだが、iOSバージョンのローンチも遠くない、という。SDKを利用したい人は、同社に登録する。

MeshKitは、人びとがメッシュネットワーキングに期待する標準的な通信機能をすべて備えている。たとえばひとつの接続ノードから全員がインターネットにアクセスできる機能や、完全なオフライン機能などだ。なお、すべてのメッセージがエンドツーエンドで暗号化されている。

このSDKに関して同社とパートナーしているブラジルの音楽アプリStudio Solは、このメッシュネットワーキングを使ってユーザーが友だちと音楽を共有できる機能を提供している(インターネットの接続がなくても)。同社は、アプリの配布にもこのSDKを使うことを考えている。OpenGardenの試算では、インターネットのWiFi接続や4Gの携帯接続を使う場合の最大15倍高速な、アプリのダウンロードが可能だ。

このSDKに利用は有料だが、まだ料金は発表されていない。“まだ料金は決めてないが、デベロッパーからの相談には応じる”、ということだ。

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OpenStackの第15リリースOcataはコンテナのサポートをさらに充実、プライベートクラウドの第二の夜明けを目指す

Fibre-optic cables feed into a server inside a comms room at an office in London, U.K., on Friday, Oct. 16, 2015. A group of Russian hackers infiltrated the servers of Dow Jones & Co., owner of the Wall Street Journal and several other news publications, and stole information to trade on before it became public, according to four people familiar with the matter. Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images

今日(米国時間2/22)OpenStack Foundationが、同プラットホームの最新バージョンをローンチする。企業はOpenStackを使って、AWSのようなクラウドコンピューティングプラットホームを自己のデータセンターでプライベートに運用できる。Ocataと呼ばれる今日の15回目のリリースは、前回のリリースからわずか4か月後と早いが、今後は通常の6か月サイクルに戻る。今回とくに早かったのは、Foundationが近くデベロッパーのためのイベントを開催するからだ。短いサイクルなので新しい機能よりも安定性が重視されているが、しかしそれでも、いくつかの新機能を見ることができる。

今やOpenStackは巨大なプロジェクトで、20近いサブプロジェクトで構成されている。もちろんどれもコンスタントにアップデートされているが、今回の新機能で目立つのは、OpenStackにおけるソフトウェアコンテナのサポートがさらに充実したことだ。OpenStackのCOO Mark Collierによると、コンテナプロジェクトは他のプロジェクトよりも進捗が早い。彼によるとOpenStackとGoogle生まれのコンテナオーケストレーションシステムKubernetesの組み合わせは“クラウドのLAMP”みたいなものであり、Kubernetesの人気が高いのはGoogleや特定一社がそれをコントロールしようとせずに、オープンソースのコミュニティにその成長を委ねたからだ、とCollierは語る。

今回のOctaリリースにおけるコンテナサポートの改良は、OpenStackのコンテナによるデプロイをサポートするプロジェクトKollaにKubernetesをより完璧に統合したことだ。それによってOpenStackのデプロイの管理が容易になるだけでなく、アップグレードもよりシンプルな工程になる。そのほかのアップデートとしては、コンテナのオーケストレーションサービスを支えるOpenStackのメインプロジェクトMagnumがMesosphereをより本格的にサポートするようになったことが挙げられる。またOpenStackのコンテナネットワーキングサービスKuryrが、Docker Swarmをサポートする。

OpenStackは明らかに、コンテナエンジンに関してえこひいきはしていない。わずか1年前ですら、コンテナがOpenStackの死を招くか云々という議論がまだあった。しかしそんな不安はいかにも大げさであり、今やコンテナはこのプロジェクトの中核的部分のひとつだ。

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OpenStackの今後に関連してCollierの説では、このところ、企業のプライベートクラウドの見方が変わってきている。OpenStackにかぎらず、最初の世代のプライベートクラウドサービスは、あまり使いやすくはなかった。“今よりもずっと大きなチームを必要としたし、採用もPayPalやWalmartなど超大企業に限られていた。つまりクラウドをプライベートで立ち上げるのは、ふつうの企業には無理だった”。でもCollier説によると、今はプライベートクラウドの第二世代だ。プライベートクラウドを立ち上げるのに、もはや巨大なチームは要らない。それに今では、セットアップを手伝ってくれる企業のしっかりとしたエコシステムがある。

初期には、OpenStackのクラウドをセットアップするために必要なマンパワーの量が大きすぎて、小さなチームでは難しかった。しかしCollierによると、今では費用の面でもプライベートクラウドがAWSなどのパブリッククラウドサービスと十分に競合できる。パブリッククラウドサービスはいろんなオプションなどで費用がかさむことが多いが、OpenStackなどを自前で使えば、持続可能なワークロードを低費用で維持できる。つまり彼の主張では、これからはプライベートクラウドの方がAWSなどを使うより費用効率が良い、というのだ。

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Linodeが新たに月額5ドルのインスタンスでDigitalOceanに挑戦

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2003年に生まれたLinodeは仮想プライベートサーバー(virtual private server, VPS)のホストプロバイダとして古顔だが、最近ではDigitalOceanやVultrなどの新顔たちにマインドシェアを食われている。しかし、盛り返す意欲は十分にあるようだ。

同社は今日(米国時間2/14)、新たに月額5ドルのプランを発表したが、それはDigitalOceanAWS Lightsailの5ドルプランに比べるとメモリが倍の1GBある。しかしまた同時にLinodeは、高性能化のためにはストレージやCPUパワーよりもメモリが重要、というアプリケーションのためにハイメモリインスタンスをいくつか発表した。

今日の発表はバレンタインデーのお祝いでもあるが、同じ日の朝DigitalOceanはロードバランサーをローンチしたから、対抗の意味もあろう。ロードバランサー機能はLinodeにすでにあるが、何もしないバレンタインデーであることは許されない。

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通常のインスタンスでもLinodeは、DigitalOceanの倍のメモリを提供している。そのほかの機能は似たりよったりだ。今日発表したハイメモリプランでは、RAMの料金がDigitalOceanの半額になる。ただしCPUのコア数は少ない。

Linodeでは、インスタンスのサイズのアップ/ダウンが容易にできるから、メモリ1GBと単一CPUで十分なアプリケーションにハイエンドなインスタンスを使っているなら、これを機に節約ができるだろう。その新しいローエンドのインスタンスは、いくつかのホビー・プロジェクトや、大きなアプリケーションの小さい特殊な機能部品を動かすには、十分なパワーがあるはずだ。

Linodeはまだ専用のストレージサービスを提供していないが、DigitalOceanは昨年から提供している。Linodeは、ロードマップには載っている、と言っているから、来月あたりベータでローンチするかもしれない。RESTful APIのサポートやダッシュボードに関しても、同じことが言える。

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DigitalOceanがロードバランサーを現料金内で提供開始、徐々に本格的なクラウドコンピューティングサービスへ成長中

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DigitalOceanが今日から、このプラットホーム上でアプリケーションを運用しているデベロッパーのために、ロードバランスサービスの提供を開始する。ロードバランサーは比較的単純明快なプロダクトで、DigitalOceanの場合も、サイトへの接続を複数のサーバーに分散することによって、アプリケーションの良好なアップタイムを保証する。言い換えると、トラフィックにスパイクがあっても、ロードバランサーがあれば一箇所のエラーですべてがだめになることはないから、顧客へのサービス性が向上する。ただし、一つしかない(バックアップのない)データベースがダウンしたら、上記の‘一箇所のエラーで云々’という説は通用しなくなる。

これまでDigitalOceanのユーザーは、ロードバランサーを自前でセットアップしていた。しかしこれからは各月20ドルの料金にロードバランサーの利用も含まれ、同社のダッシュボードやAPIからアクセスできる、プロトコルはHTTP, HTTPS, およびTCPをサポートしている。またロードバランサーのアルゴリズムをラウンドロビン最小接続の二つから選べる。

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ロードバランサーのセットアップは、数クリックで終わる。時間にして1分足らずだ。利用できる圏域は、DigitalOceanの全世界の全リージョンだ。

DigitalOceanによると、同社の登録ユーザー数は100万に近く、現在のアクティブユーザーはデベロッパーのチーム数で言って4万あまりだ。同社は今日までずっと基本サービスの規模拡大で忙しくて、関連サービスの提供が遅かったが、そろそろその悪癖も、改まりつつある。これまでは単純に安く使える仮想プライベートサーバーが売りだった同社も、今では本格的なクラウドコンピューティングプラットホームを目指している。たとえば昨年はストレージサービスを開始したし、また複雑なアプリケーションを高い可利用性で提供できるフローティングIPを導入した。そしてさらに最近は、改良されたモニタリングサービスの提供も開始した。

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Googleがグローバルな分散データベースCloud Spannerをローンチ、SQLとNoSQLの‘良いとこ取り’を実装

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Googleが今日、Cloud Spannerのベータローンチを発表した。それは、ミッションクリティカルなアプリケーションのための、グローバルな分散データベースだ。Cloud SpannerはGoogleの一連の、クラウドベースのデータベースサービスの仲間に加わる…それらは、Bigtable, Cloud SQL, そしてCloud Datastoreなどだが、しかしその重要な特徴は、従来的な関係データベースとNoSQLデータベースの両方の長所を取り入れて、トランザクションの一貫性(整合性)とスケーラビリティの容易さの両方を実現していることだ。現実的に分かりやすい言い方をすると、MySQLやPostgreSQLなどのデータベースでスケールの限界にぶつかっているデベロッパーが、クェリなどの現状を維持しつつ、その限界を乗り越えるために採用する代替的データベースだ。

Cloud Spannerという名前に見覚えのある方は、それはたぶんGoogleがこのデータベースの過去のバージョンを社内的に使っていて、2012年にはそれに関するペーパーを公開しているからだ。GoogleのDeepti Srivastavaによると、Googleは2007年に、MySQLに代わるデータベースとしてSpannerの開発に着手した。それまでは同社のさまざまなプロダクトで、MySQLが使われていた。しかし今日では、Google Photosや、Googleのそのほかの多くのミッションクリティカルなアプリケーションがSpannerを使っている。その同じデータベースを今回、外部デベロッパーにも公開したものが、Cloud Spannerなのだ。

デベロッパーは、SQLベースのアプリケーションを書くときに集積した知識をそのまま新しいデータベースに持ち込んで、SQLのシンタックスを用い、顧客にはACIDなトランザクションを提供できる(しかもそれを自分たちのセールスポイントにもできる)が、しかしそれと同時に、Google自身がそのプロダクトの運用のために必要としている、スケーラビリティとグローバルなネットワークの組み合わせなど、今日的なNoSQLデータベースの利点も提供できる。

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“データ保存データベースではなく、日々のトランザクションのためのデータベースでスケールの限界にぶつかっていたら、共有データベースやNoSQLが次の選択肢だ”、とSrivastavaは語る。“しかし、それでもなおSQLは使い続けたい、という二股的トレードオフを抱えているなら、Spannerを選ぶべきだ。デベロッパーは、今使っているシステムを捨てたくない。だったら私たちが、そのトレードオフをできるかぎりシンプルにして差し上げたい”。

彼女によると、Cloud Spannerのデータベースには理論的には大きさの制約はないし、もちろん小さなプロジェクトでも十分に利用できるが、メインのアドバンテージは必ずしもスケーラビリティではなくて、グローバルなトランザクションの能力にある。そういう意味でCloud Spannerは、Cloud Datastoreの拡張と考えた方がよい。Cloud DatastoreはGoogleの、スケーラビリティの高いNoSQLデータベースだが、ACIDトランザクションやSQLふうのクェリもサポートしている。

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パフォーマンスについては、まだ体験的に語れる段階ではないが、Googleの約束ではCloud Spannerの性能はそのほかのクラウドデータベースとほぼ互角である。

GoogleはCloud Spannerに関して99.9999%のアップタイムを約束しており、また提供するクライアントライブラリはJava, Go, Python, Node.jsなど複数の言語に対応している。ベータテストの間に複数の企業が、そのほかの言語のためのドライバーを作ったから、それらの言語のサポートも遠くないだろう。

料金は1ノード1時間あたり90セント(レプリケーションを含む)から始まり、ストレージは1GB1か月30セントだ。ネットワークのingressは無料、egressはGoogleの通常のクロスリージョン(複数リージョン間)とインターネットegressの料金に従う。

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Dockerはコンテナの機密情報の管理を同社エンタープライズ製品に内蔵化、デベロッパーの仕事を楽に

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数年前には、アプリケーションをコンテナで構成しようとすると、仮想マシンの場合と違って、セキュリティ関連のいろんなトレードオフに直面しなければならなかった。コンテナの利用が企業間で予想以上に急速に普及していくに伴い、次第にこの問題を放って置けなくなり、Dockerのようなコンテナ技術を提供する企業は、セキュリティをプライオリティの上の方に置かざるをえなくなった。そしてとくにDockerの場合は、このセキュリティ重視の姿勢を業績にも反映させようとしている。

今日同社は、Docker Datacenterのためのコンテナネイティブな機密管理ソリューション(container-native secrets management solution)を提供する、と発表した。このサービスの下でデベロッパーたちは、APIや暗号の鍵、そしてパスワードなどを安全に作成し、それらを、サードパーティのサービスを使うことなくアプリケーションから利用できるようになる。

Dockerのセキュリティ担当ディレクターNathan McCauleyによると、これらの機密情報の従来的な共有方法は、ホストへ直接コピーするとか、ソースコード中にそのまま置く、というやり方だった。“しかしそんなやり方は、コンテナの場合は破滅的だ。コードはあちこちへ任意に移動していくし、まったく別のインフラストラクチャへ行ってしまうこともある”、とMcCauleyは述べる。そこで現状は、デベロッパー各自がいろんな工夫を凝らしたり、あるいはHashiCorpのVaultに代表されるようなサードパーティのサービスを使っている。

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コンテナのオーケストレーションサービスは今やDocker以外にもいろいろあるが、McCauleyによると、それらが独自に貼り付けているようなセキュリティのソリューションも、本質的に不備なものが多い。たとえばKubernetesも、セキュリティを管理するためのツールを内蔵している

Dockerのソリューションでは、セキュリティをクラスター(Docker用語では“swarm(群れ)”)に比較的容易に付加できる。そうすると機密の共有は同じ証明を共有するTLS接続の上でのみ可能になり、またマネージャーノードに保存される場合も、暗号化されていない状態でディスクに書き込まれることはない。これらの過程のいくつかの実例を、ここで見ることができる。そしてこれらの仕組みの中心的なねらいは、デベロッパーが容易にそれらを…アプリケーションのレベルで…実装できて、アプリケーションを支えているインフラストラクチャとはいっさい無関係であることだ。

Dockerのエンタープライズマーケティング担当VP David Messinaによると、今や同社は、セキュリティをメインのセールスポイントのひとつと考えている。彼の主張では、これからの企業があえてDockerを選ぶメインの理由が、他社製品に比べてセキュリティが優れているから、になるだろう。もちろん、いろんなレガシーのソリューションに比べても、だ。“Dockerはお買い得だよ。うちはこれまでも一貫して、アジリティとポータビリティという二本の柱を重視してきた。顧客企業が他社よりもうちに魅(ひ)かれるのも、そのためだ。そしてこれからは、三本目の柱として、セキュリティが加わるね”。

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パブリッククラウドプラットホームにおけるAWSの王座は今後も揺るがず

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Amazonは木曜日(米国時間2/2)の決算報告の中で、同社のクラウド事業部Amazon Web Servicesの収益についても発表したが、それらは意外性とはほど遠いものだった。AWSの成長率そのものは、そのライバルのように突出してはいないが、それでも47%の高率、142億ドルという驚異的な四半期売上で35億3000万ドルの利益を上げた。

Microsoft Azureなどの方が成長率が高い、とはいっても、彼らはそもそも、最初から分母が小さい。AWSは巨体になりすぎて、子どもの体の敏捷さを失っているだけだ。

MicrosoftやIBM, Google, そしてOracleやAlibabaまでも、クラウドの高い成長率を誇っているが、彼らを全部合わせてもマーケットシェアではAWSに及ばない。しかも彼らが今後どれだけ売上を稼いでも、市場そのものがものすごい高率で成長している。つまり長期的に見れば、彼らは一定のサイズのパイの分け前を争っているのではない。

今ではいろんな市場予測があって、どれが正しいのかよく分からないけど、IDCの数字では、昨年のパブリッククラウドの市場規模は950億ドルだ。同社は、3年後にはこの倍以上、すなわち2020年には1950億ドルと予想している。これが正しければ、どのクラウド企業にも巨大な市場機会があることになる。

同じくIDCが予測する2020年の全企業のIT支出の総計は、2兆7000億ドルだ。少なくとも当面は、全IT支出の中でクラウドサービスへの支出が、微々たる比率であることが分かる。

これよりも楽観的なForresterは、2020年のパブリッククラウドの市場サイズを2360億ドルと予測している。どんな数字になるにせよ、市場そのものが急成長していることは明らかである。

それはマーケットシェアを争う各社にとっては良いニュースだが、AWS自身も急成長していくわけだから、それに追いつくのは難しい。Amazonは10年以上も前に業界で初めて、パブリッククラウドをInfrastructure as a Service(サービスとしてのインフラストラクチャ)、すなわちIaaSとして市場化したが、その後数年間にわたり、この新しい業態に挑戦する競合他社は一社も出現しなかった。

今日では、Synergy Researchの数字によれば、マーケットリーダーであるAWSのマーケットシェアはとてつもなく大きい。変化の激しい市場だから一概に言えないとはいえ、Synergy ResearchのチーフアナリストJohn Dinsdaleの説では、AWSに追いつくことはMicrosoftにとってすら、非常に難しい。

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Dinsdaleは語る: “単純に数字だけから言っても、AWSと二位以下との差があまりにも大きいから、短期的には首位争いと言えるほどの競争はありえない”。しかもAWSは、大きなマーケットシェアに安住することなく、次々と新しいイノベーションを打ち出している。

“AWSはインフラへの巨大な投資を継続しており、サービスの幅の拡大と実行性能の向上にも継続的に努めている。そのビジネスは顧客企業の成長と共に成長し、また今では重要な存在であるAWSを、母体であるAmazonが長期的に支えている。数字から言っても、ビジネスの論理から言っても、規模とマーケットシェアでAWSに匹敵するような競合他社は、近未来においては存在し得ない”、とDinsdaleは言葉を継ぐ。

だから今後しばらくは、すべてのパブリッククラウドベンダが、驚異的な業績をあげるにしても、それはAWSのシェアを奪ってのことではない。むしろ、今でもAWSのマーケットシェアは拡大を続けており、新しい機能やサービスを非常に頻繁に加え続けているから、資本力と企業力で負けていないMicrosoftやGoogleでも、AWSのマーケットシェアに食い込むことは、当分のあいだ難しいだろう。

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Google Cloudは新作のWindows VMで長年のMicrosoft顧客を取り込む努力へ

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Googleは今日発表したいくつかの新製品により、会社のデータセンターでWindowsを使っているITのプロフェッショナルたちをGoogle Cloud Platform(GCP)に誘いこもうとしている。

その魂胆でGoogleはまず、Microsoft SQL Server EnterpriseとWindows Server Coreを同社のCloud Platformでサポートする。同時に同社は、クラウド上で重要なオペレーションを動かしている顧客の可用性と事故復旧に関する懸念に応えて、SQL Server Alway-On Availability Groupのサポートも行う。

これによってITのプロたちは、これらのMicrosoftプロダクトが動いている構成済みの仮想マシンを、Google Cloud Platform上にローンチできるようになる。それらは、時間制で課金されるが、SQL Serverのライセンスは、彼らの既有のものをそのまま使える。

Google Cloud Developer Toolsの主席プロダクトマネージャーChris Sellsによるとこれは、Windows製品をGCP上でサポートする大きな戦略の一環だ。彼によると、最初はとにかく、これらのWindowsプロダクトを動かしているエンタープライズ顧客に、Googleが十分対応できることを見せつける。しかもそれは、昨年GoogleがSQL Server 2008と2012のサポートを開始したときに始まった、大局的な取り組みの一環でもある。今日の発表は、それの、さらなる拡張にすぎない。

おそらくもっと重要なのは、Microsoftの製品は使うけどMicrosoftに縛られたくはない、という企業に、Googleが格好の代替選択肢を提供することだ。“Microsoftにもこれらの能力はあるし彼らはWindowsとSQL Serverのオーナーでもある。しかし最近では、Microsoftに代わるものを求める企業がとても多くなっている”、とSellsは述べる。そこでGCPは、そんな人たちを自分のプラットホームへ誘惑したいのだ。

2015年の後半にGoogleは、Diane GreenをGoogle Cloudのトップとして招聘したが、大きな変革はその時点から始まった。Greeneはエンタープライズ経験のベテランであり、VMwareの協同ファウンダー/CEOでもあった。昨年の春Greeneは本誌に、“これからのエンタープライズはものすごくおもしろい”、と語った。つまりエンタープライズ指向はGoogle全体としての今および今後の方向性であり、彼女はGoogle Cloud Platformでその一翼を担いたいのだ。

Sellsによると、今回の発表もGreeneのエンタープライズビジョンの実現努力の一環だ。Google全体のエンタープライズ指向から見ればまだ小さな努力にすぎないが、伝統的なエンタープライズ市場のマーケットシェアをGoogleが少しでも削りとり、それを同社のクラウドへ連れ込もうとする、周到な取り組みの一環だ。

“彼らが自分のデータを置く場所として、GCPは最良の場所でありたい。そしてそれらのデータが、SQL Serverに載っていようが、何に載っていようが、何でもそのままサポートできることを、実感してもらいたい”。

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Google G Suiteの有料ユーザー企業が300万社を超えた

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今日(米国時間1/26)の決算報告でGoogleのCEO Sundar Pichaiが、同社の生産性ツールG Suiteの採用数がまた新たな節目を迎えたことを発表した。彼によると、“G Suiteは前四半期に顧客数における大きな節目を達成し、今や300万あまりの有料企業ユーザーがG Suiteを使って、クラウド上でスマートでセキュアなコラボレーションを行っている”、ということだ。

この前Googleが同様のマイルストーンを発表したのは2015年11月で、そのときは、名前がまだGoogle Apps for Workだったこのサービスの有料ユーザー数は200万社とされた。

PichaiによるとG Suiteが企業ユーザーに人気があるのは、同プラットホームのセキュリティがきわめて厳格であるためだ、という。またG Suiteの(そしてGoogle Cloud Platformの)パートナー事業も、継続的に拡張されている。“弊社の顧客とパートナーは、Google Cloudのプロダクト展開が迅速なことと、ニーズや要望に対する応答性の良さを高く評価している”、と彼は付言した。

今のGoogleは公然と、企業顧客拡大努力を繰り広げている。対象は生産性ツールG Suiteとクラウドコンピューティングプラットホームの両方だ。昨年9月のHorizonイベントで同社は、同社のクラウドインフラストラクチャと生産性ツールを一体的にみなして、その全体をGoogle Cloudと呼んでいた。

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Cloud Native Computing Foundationが5つ目のホストプロジェクトとしてLinkerdを加える

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よく知られているコンテナ管理システムKubernetesをはじめ、各種のオープンソースのコンテナオーケストレーションサービスを提供しているCloud Native Computing Foundation(CNCF)が、その5つめのサービスとしてLinkerdを加えたことを発表した(“リンカーディー”と発音する)。BuoyantでインキュベートされたLinkerdは、Kubernetes, Prometheus, OpenTracing, FluentdなどそのほかのCNCFのプロジェクトと肩を並べて、ユーザーのクラウドおよびコンテナ管理をサポートすることになる。

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CNCFのミッションは、“現代的な分散システム環境向けに最適化され、何万もの自己治癒型マルチテナントノードへスケールできるような、新しいコンピューティングパラダイムの作成と採用促進を図る”、とされている。

そのような全体像の中でLinkerdの役割は、上記のような、現代的で、もっぱらコンテナ中心型のアプリケーションに、いわゆる“サービスメッシュ”を提供することだ。Linkerdはスタンドアロンのプロキシで、その中心的な機能は、さまざまなサービスの相互コミュニケーションを支えることだ。サービスメッシュとは、何か。

“つまり、サービスAがサービスBに直接話しかけるのではなく、サービスAはLinkerdのインスタンスを介してBに話しかける。ただしそのときでも、正常な状態なら、AはLinkerdが介在したことを知る必要がない”、とBuoyantのCEOで協同ファウンダーのWilliam Morganは語る。彼は前にTwitterにいたとき、この種の問題を体験したことがある。“そして実際には、何十、何百、何千ものLinkerdインスタンスをデプロイすることになり、それらが堅牢で順応性に富むコミュニケーションの‘メッシュ’を形成する”。誰もがすでによく知っている一種のプロキシのように(たとえばWebトラフィックを扱うNginx)、Linkerdはアプリケーションの内部的トラフィックのために、それらと同様の機能を提供するのだ。

Morganによると、現代のアプリケーションは、Webサーバー -> アプリケーション -> データベースといった少数のサービスを単純に呼び出すのではなく、おそらく10以上ものマイクロサービスを呼び出すから、そういうコミュニケーションがなお一層、重要な課題になる。“私たちの基本的な信念として、現代のアプリケーションのアーキテクチャでは、丈夫なアプリケーションの要求がイコール、丈夫なサービスコミュニケーションの要求だ、と言っても過言ではない”、とMorganは述べる。複数のマイクロサービスで成り立つアプリケーションは、サービス間のコミュニケーションが命(いのち)、というわけだ。

Linkerdは言語を特定しないメッセージングレイヤを形成するだけでなく、ロードバランシングやエラー/レイテンシ対応など、マイクロサービス群で成り立つアプリケーションの健康な応答性を維持するための、そのほかのサービスも提供する。

Buoyantはこれまで、350万ドルを調達している。中でもLinkerdは同社の旗艦的オープンソースツールだが、でもいちばん注力しているのは、企業のクラウドネイティブアプリケーション(最初からクラウド育ちのアプリケーション)の、インサイトとコントロールを提供するHeliumだ。

では、その同社がなぜ、LinkerdをCNCFに献呈したのか? Morganによるとそれは、Linkerdをもっとも有効に活用できる企業は、すでに“クラウドネイティブな環境”をITのメインにしている企業だからだ。

“また、私たちにとって本当に重要なのは、

a) 具体的な価値を提供し、コミュニティが元気で、スタンドアロンのプロダクトとして通用する(==単独で機能が完備している)オープンソースのプロジェクトがあること、と、

b) ビジネスとして利益を上げ、優秀な人材を吸引でき、ほかの企業のために重要なインフラストラクチャの問題を解決できること、

このa)とb)のバランスの取れたスタートアップであることだ。CNCFはこのような二重性に対してきわめてオープンであり、またわれわれと同様に、その両方ができる、両方を上手にできる、と信じているからだ”、とMorganは付言した。

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Amazon AWSのEC2 Container ServiceにWindows Containersのサポートが加わる

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Microsoftは3か月前のWindows Server 2016の立ち上げのときに、Windowsのサーバー上でDockerエンジンを使ってコンテナを動かすことを可能にした。これによりデベロッパーは、Windowsの実行コードをコンテナに収めてWindowsのサーバー上で動かすことができる。もちろんWindowsの実行コードをLinux上で動かすことはできないが、使用するDockerエンジンやそのコマンド体系はデベロッパーにとってすでにおなじみのものだ。そして今日(米国時間12/20)AWSは、同社のEC2 Container Service(ECS)がWindows Containerをベータでサポートする、と発表した

Amazonはそのために、ECSのコンテナエージェントのWindowsバージョンを独自に開発した。しかも、Amazonとしては異例にも、エージェントのコードはApache 2.0のライセンスによりGitHub上で提供される

MicrosoftとDockerの密接な協働により、DockerエンジンがWindows上で動くようになった(Windows 10のAnniversary Update以降を含む)。Windows Server 2016上ではDocker Engineの商用サポートも提供され、今後はエンタープライズ向けのサポートも提供される。ただしWindowsのコンテナは、Dockerの管理ツールに触れることなく、PowerShellからでも管理できる。

なお、一般的にコンテナは軽量のリソースと見なされるが、Windows ServerのDockerイメージはかなり大きくなりがちだ(Amazonによると9.66 GB)。ECS上でWindows Containersを使い始めるためにも、Linuxのコンテナと違って、かなりややこしい部分がある。

古いアプリケーションをクラウドへ移す、という最近のエンタープライズの動向に伴い、Windows上のコンテナはそれらをレガシーのハードウェアからAWSやGoogle Cloud Platform、それにMicrosoft自身のAzureプラットホームなどへ移行させるための、容易な方法と見なされるようになった(AzureはWindows Containersをかなり前からサポートしている)。Amazonは今回Windows Containersを新たにサポートすることにより、この市場のちょっとした分け前をいただきたいのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleがオープンソースのSaaS、Cloud Foundry Foundationのゴールド・スポンサーになる

MOUNTAIN VIEW, CA - SEPTEMBER 02:  The new Google logo is displayed on a sign outside of the Google headquarters on September 2, 2015 in Mountain View, California.  Google has made the most dramatic change to their logo since 1999 and have replaced their signature serif font with a new typeface called Product Sans.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

GoogleがCloud Foundry Foundationにゴールド会員として参加する。しかしGoogleは最近、この財団の元CEO Sam Ramjiを社員に迎えたぐらいだから、参加自体はそれほど大きなニュースでもない。

Cloud Foundryのゴールド会員にはほかに、Accenture, Allstate, CenturyLink, Huawai, Phillips, Verizonなどがいる。しかしGoogleはCisco, IBM, SAPなどのように、大型のスポンサーを意味する最高ランクのプラチナ会員にはならなかった。

Google CloudのVP Brian Stevensが発表声明の中で言っている: “Google Cloud Platformは最初からすべてのデベロッパーと企業にとって等しく一様にもっともオープンなクラウドサービスであることを目標としている。Google Cloud Platformは、彼らが立派なソフトウェアを容易に構築して動かすことのできるプラットホームでありたい。そのための努力の重要な部分のひとつが、オープンソースコミュニティの活発なメンバーとして、デベロッパーと直接的に協働していくことである…それが世界中のどこの、新興スタートアップであれ、あるいは大企業のデベロッパーであれ、分けへだてなく”。

多くの点でCloud Foundryは、OpenStackというInfrastructure-as-a-Service(IaaS)に対して、それらのインフラをベースとするPlatform-as-a-Service(PaaS)という性格を持つ(GoogleはOpenStackのスポンサーでもある)。StevensによるとGoogleは、加盟する前からCloud Foundryのコミュニティとはすでに密接に協働しており、Google Cloud Platformの上でCloud Foundryを利用できるようにしている。また同社のハイブリッドモニタリングソリューションStackdriverをはじめ、一部のクラウドサービスも、Cloud Foundryを統合している。

Cloud Foundryのユーザーが自分の好きなクラウドプラットホームを使うことを、もちろんGoogleは妨げるものではないが、でも彼らの多くが有力大企業なので、Googleの今後の営業努力の対象にはなる。Sam Ramjiを迎えたからには、近い将来きっと、Google/Cloud Foundry関連のニュースを私たちは見ることになるだろう。

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究極のクラウド化: デベロッパーのコンピューターをクラウド上から提供するSixaがシードで$3.5Mを調達

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クラウドには多くのメリットがあるが、ことハードウェアとなると、自分の手元や職場などに自分用のPCを置いている人が、圧倒的に多い。

Sixaは、クラウドから高速な仮想マシンを提供することによって、デベロッパーをPCから解放し、コンピューティングをクラウドに移そうとしている。同社は最近Y Combinatorを卒業して、Tandem Capitalが率いるシードラウンドにより350万ドルの資金を調達した。

3か月前にローンチしたときには、15000名あまりのデベロッパーがSixaのプラットホームに集まり、待機者リストに数千名が並んだが、今日(米国時間12/9)同社は、公開ベータを公式に開始した。

TandemのパートナーDoug Renertはこう語る: “非公開ベータのときからすでに数千ものデベロッパーがこのサービスに群がり、本物の需要があることが伺われた。今回の資金でSixaは歩幅が大きくなり、その需要に迅速に対応できる。ほかにも、世界的に広がるデベロッパーコミュニティをサポートでき、ハードウェアが一台もなくても強力なコンピューターに簡単にアクセスできることを、訴求していけるだろう”。

同社が提供するクラウドコンピューターの上ではWindowsが動き、その十分なパワーを月額49ドルまたは1時間49セントで利用できる。また同社には、デザイナーやゲーマー向けの、ハイエンドのグラフィクスカードと大容量のRAMを備えた‘機種’もある。そしてWebブラウザーから仮想デスクトップに容易にアクセスでき、USB機器にアクセスするためのアプリケーションも提供される。

これまでの、仮想マシンの最大の問題点は、レイテンシー(遅延)だった。マウスを動かすとその結果が半秒後に画面に現れるようでは、コンピューターがまるでメンタルな迷路のように見えてくる。Sixaは自分側で生ずるレイテンシーを11ミリ秒に押さえている。それにISPが提供するインターネットアクセスのスピードと、データセンターからの物理的距離を加味したものが、ユーザーが実際に体験するレイテンシーだ。

Sixaの協同ファウンダーでCEOの Mykola Minchenkoは語る: “クラウド上でPCを使うことからレイテンシーを取り除き、そこに、つねに最新のハードウェアとソフトウェアを使える利便性を加えた”。

Sixaは今、無料試用を提供している。時間はわずか2時間だが、自分のニーズによく合った構成が得られることを体験できる。

重くて不格好なPCを抱(かか)えたり引きずったりから卒業して、クラウド上にコンピューターを持てるようになると、そこから得られる利便性も大きい。たとえばあなたがビデオ編集者なら、デザイナー用PCのアカウントにサインアップし、編集結果をいちいちリモートのプロデューサーにエキスポート/アップロードしなくても、クラウドコンピューターのリンクを教えるだけで、彼らにあなたの成果が分かるだけでなく、彼ら自身による編集〔やコラボレーション〕もできる。そのほかの非常にさまざまな分野、とくに頻繁なテストを要する分野で、これと同じような利便性をフルに享受できる。

今現在Sixaは、デベロッパーとデザイナーとゲーマーに焦点を当てている。しかし今後は、大量のデータ処理を伴う設計業務や、セキュアなエンタープライズアクセス、仮想現実のシステムなどに、対象を拡大していきたい、としている。

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BetterCloudが2年がかりの大規模改築工事でG Suite管理サービスから汎用SaaS管理へ変身

hand touching visual screen

5年前にG Suite(Google Apps for Work)ユーザーのための管理サービスとして立ち上がったBetterCloudが、もっと一般的なSaaS管理サービスへの全面的な変身を図り、今日(米国時間12/6)、その新しいプラットホームを披露した。

CEOのDavid Politisによると、同社はサービスの設計を完全に一新し、これまでの一枚岩的なアプリケーションから、コンテナとマイクロサービスをベースとするより現代的なアーキテクチャに変わった。同社のその新しいサービスには、さまざまなAPIを呼び出して外部サービスに接続する、という重要な機能がある。これにより、Googleのスイートだけでなく、APIを公開しているSaaSアプリケーションなら何でも管理できるようになった。

Politisによると、今回の変身には、2年という年月を要している。彼のその長期ビジョンは、投資家と社員と顧客の、忍耐を試す試金石となったが、しかし彼によると、その困難な改築工事を成し遂げたことによって、今の同社には新しいツールを迅速に加えることのできる能力が備わっている。同社のサービスの旧バージョン〔コンテナベースでない〕では、それは、不可能ではないまでも、きわめて困難だっただろう。

新しいSaaS管理サービスは集中管理的なダッシュボードを顧客に提供するが、そこから引き続いてG Suiteの管理もサポートされる。顧客はユーザーのアクティビティを非常に詳細なレベルで管理できるだけでなく、そこからそのほかのサービスにプラグインすることもできる。今のところそれらは、Slack, Zendesk, そしてDropboxだ。今後はSalesforceなど10あまりのサービスを統合していく予定だ。

BetterCloudの新製品の中心的なコンセプトは、顧客企業のITに、その企業が利用しているクラウドサービスを一元管理/制御できるためのツールを提供することだ。たとえばそれは、今どの社員が何のシステムを使っているか、どんな外部アプリケーションを動かしているか、その人のユーザー特権は何か、などを詳細に把握管理する必要がある。また、さまざまな状況に応じて、xxxが起きたらyyyをせよ、というタイプのワークフローの集合を定義しなければならない。たとえば、ふつうのユーザーに突然アドミン特権がある、という事態が生じたら、パスワードをリセットし、IT用の認証チケットを作り、Slackに注意報を送らなければならないだろう。

workflows

写真提供: BetterCloud

Politisによれば、このような幅広いクラウド管理アプリケーションが実は最初から目標だったが、最初はあえてG Suite一本に絞った。彼は説明する: “BetterCloudを作ったとき、これをすべてのSaaSアプリケーションに対してできたら、どんなにすばらしいだろうか、と夢想した。しかしそうするとAPI呼び出しに依存する複雑な部分が増え、毎日何十億ものAPI呼び出しをすることになる、という高い壁が目の前にあった。その壁を、今日やっと、乗り越えることができた”。

取締役会や投資家たちとさんざん議論を重ねた挙句、彼は、プラットホームの完全なオーバーホールをやるべきだ、と決断した。それには、彼自身の計算によるギャンブル、という側面もあったが、でもその構想には現代的なプログラミングの原理原則の、堅固な基盤があり、また今後の大きな市場拡大の可能性もあった。G Suiteだけでなく、さまざまなSaaSアプリケーションを、単一のダッシュボードから管理制御できる新製品なら、今後の大きな需要を望める、と彼は考えた。

若いスタートアップが全面的な変身を図ることは決して容易ではない。しかしPolitisによれば、2年間、あれほどしんどい仕事をみんなでこなしてきたのだから、そのご褒美はきっとあるはずだ。

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ユーザーがデベロッパーのアプリに再帰定着することを促進するメッセージングツールAmazon Pinpoint

Young businesswoman holding smartphone with apps and icons coming out of it

デベロッパーがアプリケーションを作ったあとの最難関は、その努力に見合う十分なオーディエンスを惹きつけるだけでなく、彼らがそのアプリケーションをたいへん気に入って、定着し再帰してくれることだ。今日(米国時間12/1)Amazonが発表したAmazon Pinpointというツールは、デベロッパーが正確に的(まと)を狙ったプッシュ通知を送ることによって、オーディエンスをデベロッパーとそのアプリケーションに繋ぎとめようとする。

AmazonのCTO Werner Vogelsは、ラスベガスで行われたデベロッパーカンファレンスre:Inentのステージで、これらのプッシュ通知を作って送るにあたっては、デベロッパー側の細心の注意が必要だ、と強調した。“ピンポイント”という名前が示しているように、それは特定のグループに正確に目標を定める。そのグループは、これらの通知を受け取るにふさわしい資質や知識や立場を持つ、ベストのグループでなければならない。

たとえばゲームのデベロッパーは、そのゲームを最近使っていないユーザーに、今度新しいレベルができたことを通知できるだろう。

通知を、その通知に前向きの関心を持つであろう正しいターゲットグループに送れるために、Amazon Pinpointは、デベロッパーによるモバイルの顧客たちの分析を助ける。彼らのビヘイビアを理解し、選んだグループがメッセージのターゲットとして適正な人びとである可能性を高める。

些細なことかもしれないが、AppleのiOS App Storeだけでも200万以上ものアプリがある時代だから、アプリを作っただけでは前進できない。何らかの方法で、人びとにアプリを使ってもらうことができたなら、その次は、正しくターゲットされたメッセージで再帰率を高めるべきだ。それをやるのが、Amazon Pinpointの仕事だ。

それはデベロッパーに、ノイズを振り分けて、特定の嗜好を持つエンドユーザーに直接コミュニケーションするためのツールを与える。また、その効果を測ることもできる。

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クラウド上でバッチ処理ができるAWS Batchツール、自作のバッチシステムより(たぶん)高機能

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Amazonの新しいツールAWS Batchは、クラウド上の複数のジョブを自動的に順次実行する。そのジョブは、EC2のインスタンスの上のアプリケーションやコンテナイメージである。

Amazonは、顧客の多くが独自に工夫したバッチコンピューティングシステムを自作していることを、知っていた。ユーザーは、EC2のインスタンスやコンテナ、通知、CloudWatchによるモニタリングなどを連結していた。しかしAmazon独自の方法を提供すれば、そのプロセス全体がもっと容易に、そしてもっとアクセスしやすいものになるだろう。〔下図に特長を列記〕

クラウドでバッチをやることの最大のメリットのひとつは、多様なインスタンスへのアクセスだ。ノン・クラウドの物理的世界では、計算処理を行うクラスターが多数の重複した(==無駄な)プロセッサーを配備する。これを避けることができれば、計算効率は大幅に向上し、コストも下がり、サービスの料金も大幅に安くできるだろう。

img_20161201_101531

ユーザーは容量を自分で決められるから、支出を最小化できる。お金の節約だけでなく、リソースのスケールアップもニーズの変化に合わせていつでも容易にできる。物理的コンピューティングクラスターの、そのまるまる全体をオーダーしてインストールすることに比べれば、クラウド上のリソースの一時的なアップグレードは、短時間で済む。

これまで、AWSの必要なリソースを正規の料金で使っていたユーザーは、このAWS Batchツールを無料で使用できる。今それは、US.Eastリージョンでプレビューが提供されている。今後は、そのほかのデータセンターでも提供されるし、AWS Lambdaのファンクションもバッチに加えられることが、期待される。

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クラウド上でバッチ処理ができるAWS Batchツール、自作のバッチシステムより(たぶん)高機能

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Amazonの新しいツールAWS Batchは、クラウド上の複数のジョブを自動的に順次実行する。そのジョブは、EC2のインスタンスの上のアプリケーションやコンテナイメージである。

Amazonは、顧客の多くが独自に工夫したバッチコンピューティングシステムを自作していることを、知っていた。ユーザーは、EC2のインスタンスやコンテナ、通知、CloudWatchによるモニタリングなどを連結していた。しかしAmazon独自の方法を提供すれば、そのプロセス全体がもっと容易に、そしてもっとアクセスしやすいものになるだろう。〔下図に特長を列記〕

クラウドでバッチをやることの最大のメリットのひとつは、多様なインスタンスへのアクセスだ。ノン・クラウドの物理的世界では、計算処理を行うクラスターが多数の重複した(==無駄な)プロセッサーを配備する。これを避けることができれば、計算効率は大幅に向上し、コストも下がり、サービスの料金も大幅に安くできるだろう。

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ユーザーは容量を自分で決められるから、支出を最小化できる。お金の節約だけでなく、リソースのスケールアップもニーズの変化に合わせていつでも容易にできる。物理的コンピューティングクラスターの、そのまるまる全体をオーダーしてインストールすることに比べれば、クラウド上のリソースの一時的なアップグレードは、短時間で済む。

これまで、AWSの必要なリソースを正規の料金で使っていたユーザーは、このAWS Batchツールを無料で使用できる。今それは、US.Eastリージョンでプレビューが提供されている。今後は、そのほかのデータセンターでも提供されるし、AWS Lambdaのファンクションもバッチに加えられることが、期待される。

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AWSのGreengrassはLambdaをIoTデバイスに持ち込む…ローカルなデプロイをサポート

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Amazonが今日、AWS Greengrassと名付けた新しいサービスをローンチした。それは、IoTデバイスに組み込むことによってその計算能力をアップし、よりスマートにする、というものだ。

AWSのCEO Andy JassyがAmazonのデベロッパーカンファレンスre:Inventのキーノートで述べていたように、企業が自分たちのサーバーをますますクラウドへ移行していくに伴い、オンプレミスのハードウェアの大多数はIoTデバイスになる。しかし通常は、これらのIoTデバイスは、それ自身ではCPUでもメモリサイズでも比較的非力なデバイスに終始するだろう。もちろん、だからこそ、それらのデバイスはクラウドに依存するのだ。しかしそれでも、コンピューティングをまさにそのデバイスの上で(ローカルに)やりたい場合もあるし、ときには、ネット接続がダウンすることもある。

Jassyは語る: “これらのデバイスがクラウドに頼って能力を補うのは容易だが、ときには、クラウドへ、クラウドから、という往復の旅をしたくないこともある。これまで、AWSのIoT提供物やデバイス管理サービスを使ってこられた顧客から何度も何度も聞かされるのは、これらのデバイス自身が、AWS上にあるときと同じような柔軟性とプログラムモデルをもって、コンピューティングをやれてほしい、ということだ”。つまり、何かの事情でクラウドにつながってなくても、同じ能力を持ってほしい、という要望だ。

GreengrassはAWS IoTとAWS Lambda(Amazonの“サーバーレス”コンピュートサービス)をベースに構築されている。デベロッパーがPythonでLambdaのコードを書くと、それをIoTデバイス上で即、動かせる。Greengrass Coreというものが、これらのLambdaファンクションをローカルに動かすが、AWSのクラウドも使えるし、ITのアドミンがデバイスとその上で走るコードを管理できる。

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AWSの発表声明は、こう説明している: “小さなデバイスのための組み込みシステムを開発している場合でも、今では現代的でクラウド対応の開発ツールとワークフローを利用できる。コードをクラウド上で書き、テストして、それをローカルにデプロイできる”。

以上をすべてやるには、Amazonはパートナーを必要とする、もちろん。自分でエンタープライズ向けIoTデバイスを作るわけではないのだから。今パートナーとしては、Intel、Qualcomm、Canonical、そしてAmazon自身のAnnapurna Labsがいる。デバイスは128MB以上のメモリと、1GHz以上のx86またはARMのCPUを必要とする。

このサービスは今はプレビューだが、互換デバイスをどこで手に入れるか、という問題がある。一般供用開始後は、三つのデバイス1年間にかぎり無料だ。その後は、Greengrass Core一つにつき(1デバイスあたり)月額0.16ドルで、デバイスの最大数は10000までだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))