STORES.jpが高機能をアドオン形式で提供開始–大企業・中堅企業向け市場をねらう

ブラケットが提供するオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。これまで利用の手軽さを武器に、個人や小規模企業を中心にサービスを展開してきた同サービスだが、今後は機能を強化し、大企業や中堅企業での利用をねらう。9月10日には月額980円のプレミアムユーザー(有料会員)向けに「アドオン機能」の提供を開始した。

STORES.jpは、「新規登録から開業までに要する時間は最短2分で、世界でひとつだけのオンラインストアをオープンできる」とうたっているとおり、簡単さを1つのウリにしたサービスだった。サービス開始から2年経った現在、ストアの数は12万店舗以上となっているほか、流通額(実際に決済されている金額)は非公開ながらリリース当初の100倍以上、ページビューやユニークユーザー数は20倍以上になっているという。

競合サービスのBASEとともに、ECの裾野を広げつつあるSTORES.jp。だが、15.9兆円(MM総研調べ。2013年4月〜2014年3月、BtoCとCtoCの合算)ともいわれる国内ネット通販市場の多くを占めるのは大企業や中堅企業によるBtoCの取引だ。そこで同社はその市場をターゲットとすべく、これまでより高度な機能を開発してきたのだという。

大企業向けのネットショップ構築といえば、GMOメイクショップやEストアーの提供するサービスが代表的。たとえばGMOメイクショップの「MakeShop」は、2013年の年間総流通額が1108億円と大きい規模を持っていることが分かる。

アドオン機能では、ダウンロード販売や送料の詳細設定から、年齢制限やギフトフォーム、再入荷のお知らせといった機能を提供するほか、直近にはトップページの作成(これまでSTORES.jpでは、トップページが商品一覧ページになっていた)、HTMLの編集といった機能も導入する予定だ。ちなみにSTORES.jpのプレミアムユーザーの数は非公開だったが、「一般的なフリーミアムモデルでの課金ユーザーの割合より多いと思う」(ブラケット代表取締役の光本勇介氏)とのこと。

ブラケットではこの機能の導入に先駆けて、ZOZOTOWNの出展企業に限定してブランドオリジナルのネットショップを構築できる「STORES.jp PRO」を提供しており、そこで年商数億円から数十億円規模の企業を相手に、大規模ネットショップのノウハウを蓄積していたという。光本氏は5月に「夏にも予想できない新機能を提供する」と語ってくれていたが、これがその第1弾となる。直近にもまた新たな取り組みを発表する予定だそうだ。


“スーパーサイヤ人的経営者”が手がけるメルカリ、ダウンロード数は400万件に

先週福岡で開催された招待制イベント「B Dash Camp 2014 in Fukuoka」にて、スマートフォン向けフリマサービスの元祖「Fril」を手がけるFablicが月間物流総額4億円、アプリダウンロード数150万件という数字を発表していた。これだけでもわずか2年で大きな市場を築いたと思うのだけれども、後発の競合サービス「メルカリ」を展開するメルカリがダウンロード数でその2倍を超える数字を発表している。

メルカリは7月22日、フリマアプリメルカリが400万ダウンロードを突破したことを発表した。これに合わせるかたちでデザインのリニューアルも実施している。リニューアルはiOS版から進めており、Android版についても近日中にリニューアルする予定だという。

メルカリのリリースは2013年7月2日。1年を経過した7月時点での月間流通金額は10億円を「大幅に超える」(同社)とのこと。1日の出品数は10万点以上になっている。5月にはテレビCMも放映しており、こちらも奏功したそうだ。同社の発表によると、ダウンロード数は400万件に上るという。

Frilがユーザーを基本女性に限定している一方で、メルカリはユーザーを限定していない。実際のところメインユーザーとなっているのは地方在住の20代〜30代女性だそうで、流通しているのは女性向けのファッションアイテムが中心。そのほかにも男性向けのファッションアイテムからスマートフォンゲームのデータ(運営ポリシー上は問題ないそうだ)まで幅広いアイテムを扱っている。僕も2カ月ほど前にとあるブランドのブーツを出品したのだけれど、数秒で「いいね」が複数つき、10分以内には購入のやりとりをするに至ったので、そのスピードには正直驚いた。同社は現在仙台にカスタマーサポート部隊も設置しているそうだ。

今回のリニューアルでは、アイコン、レイアウト、色調等の全面を刷新している。ユーザーの個人ページについても、より商品の魅力を引き出せるデザインに変更したとのことだ。

「スーパーサイヤ人」な起業家の戦い方

さて、冒頭で紹介したB Dash Campのセッションの中で、登壇者らがメルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏に言及したところがあったので、少しご紹介したい。

メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏

モデレーターを務めたモブキャスト執行役員CCOの福元健之氏が、登壇したアクティブソナー 代表取締役社長の青木康時氏、Fablic 代表取締役社長の堀井翔太氏、BASE 代表取締役鶴岡裕太氏に対して「大手が競合として攻めてくる中で、こういうことされると嫌なことは何か、脅威となるのは何か」と質問した際のことだ。

当初登壇者の3人は、共通して「上場企業や大きいプレーヤーは脅威だが、その隙間を狙っている、その会社ではできないことをやっている」と回答していたのだが、そこから鶴岡氏が「上場企業より、進太郎さん(山田進太郎)や木村さん(Gunosy代表取締役の木村新司氏)のようなスーパーサイヤ人がいることが脅威。そういう人は一気に来る(事業を展開する)」と語った。堀井氏もこれにうなずき、「強くてニューゲーム(ゲームクリア後に、レベルなどを引き継いだ状態でゲームを1から始めるという意味)な起業家」という表現をしていた。

山田氏は、大学在学中に楽天に参画。「楽オク」の立上げなどを経験。さらには卒業後にウノウを設立し、「映画生活」「フォト蔵」「まちつく!」といったサービスを開発。同社をZyngaに売却した経験がある。また木村氏も、ドリームインキュベーターにてコンサルやベンチャー投資を手がけた後にシリウステクノロジーズの取締役に就任。ヤフーによる買収の前に同社を離れてアトランティスを設立。2011年にグリーに売却した経験を持つ。

いずれにしてもイグジットの経験もある起業家だ。彼らは若いスタートアップがプロダクトを少しずつブラッシュアップし、口コミでユーザーを集めつつ徐々に市場を作っていく中で、大規模な調達をしてテレビCMを展開するなど、ダイナミックな資金調達、そしてその資金の投下を実行している。マンガ「ドラゴンボール」で言うならスーパーサイヤ人になって一気に戦闘力を高めて勝負に出ているといったところだろうか。

実際Frilのほうがメルカリよりも1年早い2012年にサービスを開始していたし、Gunosyにしても、同社のニュースリーダーアプリ「Gunosy」に競合するスマートニュースの「SmartNews」よりも100万件以上ダウンロード数が少なかった時期があるが、テレビCM放映後の現在はほぼ同じ程度ではないかと木村氏は話していた(ちなみにSmartNewsのテレビCMに関しては、同イベントの別セッションで登壇したスマートニュース取締役の鈴木健氏に質問が飛んだが、明言されなかった)。スーパーサイヤ人的経営者の山田氏はスマートフォン向けフリマのマーケットをどこまで拡大できるのだろうか。同社は現在手数料無料でサービスを提供しているが、いつからマネタイズに向かうのかも含めてその動向に注目したい。


Frilの月間物流総額は5億円–「空中戦」も必要になったフリマアプリ市場

スマホ向けフリマアプリの元祖であるFablicの「Fril」。若い女性に特化したこのアプリだが、現在の月間物流総額は5億円以上、アプリのダウンロード数は150万件以上になっているという。

福岡で7月17〜18日に開催されている招待制イベント「B Dash Camp 2014 in Fukuoka」の2日目のセッション「新興eコマース〜新たなトレンドを作り出せるか?」に登壇したFablic 代表取締役社長の堀井翔太氏が明らかにした。

このセッションでは堀井氏のほかにアクティブソナー 代表取締役社長の青木康時氏、BASE 代表取締役鶴岡裕太氏が登壇。それぞれのビジネスについて語った。

「空中戦」も必要になったフリマアプリ市場

Fablicは、これまでほとんどメディアでビジネスの話をしたことがなかったし、アプリのダウンロード数をはじめとした情報を発信してこなかった。しかしここに来て数字を公開した堀井氏は、「今は競合も十数個ある。そういう(情報を非公開にする)フェーズではない」と語る。

競合とされる後発の「メルカリ」は、14億円超の大型調達、テレビCMなども奏功して大きくユーザーを拡大。1周年を迎えた2014年7月時点で、月間流通総額は10億円、ダウンロード数350万件という数字を発表している。

こういった状況に対して堀井氏は、「メルカリやGunosyなどは大きな資本を調達して勝負している。今まではプロダクトを磨いて、リテンション伸ばして…としてきたが、最近の戦い方はテレビCMなども含めて『空中戦』もするような状況にシフトしている」と語る。

Open Network Labのインキュベーションプログラム出身のスタートアップということで、デジタルガレージグループからシードマネーを調達しているFablic。1期目から黒字化して資金調達の必要もなかったとのことだが、今後は資金調達してテレビCMを放送することも検討しているという。さらに、ユーザーのニーズも多いことから、一部のユーザーに限定してフルフィルメントサービスを試験的に提供していることも明かされた。

BASEは「カート」ではなく「決済」

手軽にウェブショップを構築できる「BASE」を提供するBASE。個人だけでなく、中小企業を中心とした法人もサービスを利用している。最近では芸能人やニコニコ生放送の“生主”のような売り手も登場しており、数千万円から億単位の売上を実現しているショップもあるそうだ。

サイバーエージェントやグローバルブレインなどから資金を調達し、現在はユーザーの拡大フェーズにあるという。クレジットカードの決済手数料などは徴収しているものの、サービスの利用手数料は無料。「売上はゼロと言っていい」(鶴岡氏)状況だそうだ。「(調達によって)うちのようなところがどんどん攻めていけるのはありがたいし、EC(領域)自体を評価して頂いていると思っている」(鶴岡氏)

鶴岡氏はBASEについて、「本質は決済を提供するサービス」と語っている。カート機能でのマネタイズはあまり考えていないそうで、将来的には、決済、金融といった領域でのマネタイズをやっていくそうだ。

サービス開始当初は、ブラケットの「STORES.jp」と比較されることが多かったBASE。「初期はSTORES.jpもあったことで認知度が上がった」(鶴岡氏)とも語るが、スタートトゥデイがブラケットを買収したこともあって状況は変わったという。「最近は自社でどれだけがんばれるか。突き抜けないといけない」(鶴岡氏)将来的には世界展開で100万店舗を目指す。さらには日本から海外に商品を売るための支援もしていくそうだ。

プラットフォームを目指すアクティブソナー

CtoBtoC型のブランド商品委託販売サービス「RECLO」を提供するアクティブソナー。

こちらの記事にもあるように、米国ではCtoBtoC型のECサイトが複数登場しており、ユーザーのニーズも見えている状況だという。日本では(米国でも先行する)「RealReal」などのプレーヤーはいるが、まだデファクトスタンダードたる位置にあるサービスはない。そこで自らこの領域に挑戦したそうだ。

今後は海外向けに商品を販売していくほか、家具や中古車の販売なども視野に入れるという。また、CtoBtoCは言ってしまえば「小売り」だが、1つ1つの商品を売るということではなく、あくまでプラットフォームとして成長していきたいと語った。

この領域に大手企業が参入することについて尋ねられたところ、「大きいプレーヤーが来るのは脅威だが、狙っているのは(大きいプレーヤーがチャレンジできない)隙間でのおもてなし。ネットサービスでは実現できないフルフィルメントを全部やるというところ」(青木氏)とした。


「ごちクル」運営のスターフェスティバルがアスクルから28億円を調達、共同配送で効率化目指す

弁当やケータリング商品の宅配サービス「ごちクル」 を手がけるスターフェスティバル。2013年8月にジャフコを割当先とした10億円の資金調達を発表していたが、さらなる大型増資を実施している。同社は7月4日、オフィス用品の通販を手がけるアスクルを割当先にした第三者割当増資と、新株予約権付社債の発行等によって総額28億円の調達を実施。資本と業務の両面で提携することを明らかにした。

ごちクルはこれまでに、600ブランド6800種以上の商品を展開。累計550万食を提供してきた。今回の提携を契機にして、11月をめどにごちクルをアスクルのサービスとしても展開していく。

さらに配送面でもごちクルの商品をアスクル子会社であるBizexの配送サービスを活用して配送したり、スターフェスティバルの配送車の空き時間をアスクルのサービスに活用するなどして、配送の効率化を進める。将来的にはアスクルとごちクルの商材の同時配送等も目指すとしている。


ECサイトの接客ツールを開発するプレイド、フェムトから1.5億円を調達

ECサイトの「集客」と聞くと、SEOに広告にメルマガに…といくつも思いつくかも知れないが、その集客したユーザーの「接客」を実現しようとしているスタートアップがプレイドだ。同社は7月2日、フェムト・グロースキャピタルなどを割当先とする第三者割当増資を実施して、1億5000万円を調達したと発表した。あわせて、フェムト・グロースキャピタルのゼネラルパートナーである磯崎哲也氏が社外取締役に就任した。

プレイドが開発を進める「KARTE(カルテ)」は、サイトに数行のJavaScriptコードを埋め込むことで、訪問者の特徴や行動をリアルタイムに追跡できるサービス。

例えばGoogleアナリティクスのリアルタイムレポート機能では、サイトの来訪者について、ページビュー(PV)やユニークユーザー(UU)といった数字までは分かるのだが、ECサイトとして必要な属性が取れるわけではない。KARTEでは、そのユーザー1人1人に対してIDを振り、会員か非会員か、これまでの購入額はいくらか、コンバージョンはどれくらいか、どんなカテゴリを見るのか、といった属性までをリアルタイムに解析できる。ただし、会員情報と紐付ける場合は、別途カスタマイズが必要になる。

さらに、あらかじめ設定したユーザー属性やユーザーの行動にあわせて、即座に広告を表示したり、割引のオファーをしたりといった、まさに「接客」のような施策を自動で行える。「サイト上に商品をどのように掲載するか、広告やパーツをどう変えるだけでもコンバージョンは変わる。でも従来のシステムでそういった施策をするのは、長ければ数カ月の作業になる。KARTEではそんな施策をすぐに実現できる」(プレイド代表取締役の倉橋健太氏)。現在はクローズドベータ版として一部のサイトに限定してサービスを提供しているが、コンバージョンが3倍になったサイトもあるそうだ。

ところでサイトのコンバージョン改善と聞くと、いわゆる「グロースハック」を思い浮かべるのだけれども、倉橋氏は、「グロースハックはサイトの全体最適の施策だが、KARTEで実現するのは(ユーザー個人個人に対する)個別最適のための施策」と説明する。

実際にデモも見たし、機能もすばらしいと思ったのだけど、気になったのは使いこなすのにはそれなりに高いリテラシーが求められそうなことだ。これについてはもちろんプレイドでも意識しているそうで、現在業種にあわせて施策をテンプレート化しているほか、正式リリース時には機能を限定して提供するといったことも考えているそうだ。正式リリースは10月頃を目指しているとのこと。

ちなみに倉橋氏は楽天で楽天市場の事業に携わっていた人物。2011年にプレイドを設立し、当初は「foodstoQ」というグルメアプリを手がけていたがピボット。KARTEの開発に着手した。プレイドでは現在、EC関連の情報を提供するブログメディア「Shopping Tribe」も運営している。


不要なブランド品を売って社会貢献、CtoC古参のwajaが新サービス

メルカリやLINEモール、FrilなどでCtoCコマースに注目が集まっているが、実は2003年からその領域に挑戦しているのがwajaだ。同社はこれまで、海外の個人バイヤーが現地で仕入れたファッションアイテムを、国内ユーザー向けに販売するマーケットプレイス「waja」を展開してきた。

この領域ではエニグモの「BUYMA」が一歩先を行っているが、wajaの特徴は、自社でフルフィルメントセンターを持っていることにある。東京・麻布のオフィス地下と埼玉県・入間にも倉庫を構えており、商品撮影から販売、配送までを手がけている。また最近では、このフルフィルメントを使ったアウトレットEC「REASON」も展開している。

そんなwajaが7月2日から開始したサービスが「FASHION CHARITY PROJECT(FCP)」だ。

FCPは、アパレルメーカーや個人が出品者となって不要になったファッションアイテムなどをwajaに送付するだけで、FCP上で商品を販売し、その売上を寄付できるサービス。販売はフラッシュマーケティングの手法で行われる予定で、5日間で50〜100点の商品が販売されるという。

出品者が販売代金を得られる訳ではないが、販売代金から手数料40%を差し引いた額がNPOに寄付される。寄付金の受領証明書も発行されるため、出品者は販売額の最大50%の寄付金控除を受けることができる。支援先のNPOはCivic Forceとピースウィンズ・ジャパンの2団体だが、今後は拡大していく予定だという。

waja代表取締役会長兼CEOの小安光司氏は、「チャリティを継続的かつスケールできるようにしたい。ファッションを通じて、売る人は不要品でチャリティができる、買う人は欲しいものを得られる。さらにNPOには支援ができる」とサービスについて語る。確かに自分自身を振り返ってみても、善意だけのチャリティでは災害や大きな事件があったときだけになりがちだ。この仕組みであれば、ユーザーだってあくまで商品を買うだけで支援できるのだから、継続性も生まれる。

またハイブランドやラグジュアリーブランドの場合、そのブランドイメージもあって、一部を除いてアウトレットなどに出店、出品するようなケースはほとんどない。だが在庫は在庫、売れないものは処分するしかないわけだ。中古品として流通させることだっていい印象がないとも聞く。そんなときに、チャリティーやCSRという名目で商品を売れるのであれば、ブランドイメージを壊すことがないどころか向上させることだってできるわけだ。

そんなこともあって、7月1日の夜に都内で開催されたFCPのお披露目イベントでは、LOUIS VUITTONをはじめ、PRADAやJIMMY CHOOといったブランドの出品が発表されていたそうだ。このほかにも、すでに約560のブランドが出品を決定しているという。そしてFCPでの取り組みをきっかけに、wajaが手がけるアウトレットECのREASONにも興味を持つブランドが増えているとのことで、「社会貢献+手数料モデルのビジネス」という枠にとどまらない商機を生み出しそうだ。


実は女性8割のコミュニティになっていた料理写真共有サービス「ミイル」、体制を刷新して再始動

自分で作った料理や飲食店で食べた料理の写真に、美味しく見せるフィルターをつけてアップロードして交流する写真SNS「miil(ミイル)」運営のミイル。2013年に創業者だった中村仁氏が代表取締役を退任し、取締役だった高橋伸和氏が代表に就任。さらに2014年5月にはミイル(当時の社名はFrogApps)が創業期に出資を受けていたサイバーエージェント・ベンチャーズの元取締役である大下徹朗氏が代表となった。

先日代表に就任したばかりの大下氏に会ったところ、今後はミイルを「食を通じたコミュニケーションサービス」と再定義してサービスを展開するといった話を聞くことができた。

ミイルの登録ユーザーは現在32万人。そのうち8割は女性ユーザーで、中でも10〜20代のユーザーが6割を占めるのだという。月間で40万枚の写真が投稿され、Facebookの「いいね!」に相当する「食べたい!」は月間で900万件も付く。写真をきっかけにしたコメントのやりとりも多い。「料理は大変な家事。だがそれが作品や趣味として楽しめるようになっている」(大下氏)

ミイルがサービスを開始した当初、「スマホ時代のぐるなび、食べログ」の座を狙う料理写真共有サービスが複数あった。その多くは最近話題をあまり聞かなくなったのだが、ミイルはそういった店舗検索のサービスではなく、料理好きな女性に刺さるコミュニティとして成長していたようだ(その一方で、レストラン検索機能なども強化する予定があるそうだが、これは有料オプションとなるらしい)。ただまだユーザー数は30万人弱、まだまだ伸びしろはありそうだ。

そんなミイルは6月16日、「アンバサダー制度」を開始。あわせて、認定アンバサダーによる食品EC支援事業を開始した。

食品EC支援事業では、miilのアクティブユーザー数人を「アンバサダー」として認定。クライアント企業の商品をそのアンバサダーに無償で提供して、その商品を使ったメニューなどの投稿を促す。クライアント企業やミイルがアンバサダーへ金銭を支払うことはせず、いわゆる「ステマ」にはならないようにする。そのほかミイル内に「おとりよせショップ」を設置して、アンバサダーや商品購入者による写真の投稿や生産者による写真の投稿、ECサイトへの誘導などを進める。第1弾として、新潟県のカガヤキ農園と提携して事業を展開する。ミイルでは今夏中にも5件程度の提携を狙う。


今度は”総菜版オフィスグリコ”‒‒「オフィスおかん」運営のおかんがCAVなどから資金調達

TechCrunch Japanでは1カ月ほど前、“野菜版オフィスグリコ”とも言えるようなサービス「OFFICE DE YASAI」を紹介したが、オフィスで商品を置き売りするサービスはほかにもある。「おかん」となんともインパクトのある社名のスタートアップが提供する「オフィスおかん」は、総菜をオフィスで置き売りするというサービスだ。もともと個人向けのEC(置き売りではなく月1回商品を配送していた)としてサービスを開始したが、現在はまず法人向けに注力しているとのこと。

同社は2012年12月の設立。福井県の総菜屋チェーンが持つ技術を採用することで、冷蔵庫で約1カ月保存可能な総菜を提供する。オフィスには専用の冷蔵庫と使い捨ての食器も提供するので、電子レンジさえあれば暖かい総菜を食べることができる。これまでサービス開始から2カ月で、ガイアックスやコイニーをはじめとした10社にサービスを導入している。各社の従業員数は7人から300人程度。従業員数200人の規模で、1回200商品を納品しても1週間で消費されるというケースもあるという。なお現在は、前述の総菜チェーンのほか、各地から送付される商品を一度おかんでとりまとめて、徒歩や公共交通を利用して各社に届けているそうだ。

約1カ月の保存が可能というところで商品の在庫ロスを低減できるだけでなく(正直ここは野菜では難しいだろう)、導入企業の男女比や年齢、商品の消費傾向といったデータを分析することで消費予測を行い、最適な商品数を届けていくという。また総菜屋側では、本業のアイドルタイムにオフィスおかん用の商品を製造することで、効率化を図っているという。今後は総菜屋の持つ保存技術を他社にも提供することで、商品ラインアップも拡充する予定だという。

導入の初期費用は無料で、商品は1個100円、もしくは200円となっている。企業に対して従業員1人あたり200円の月額基本料金と、商品1個あたり220円を徴収する。「あくまで社員食堂など福利厚生のサービスとして利用して欲しいので、企業に料金の一部を負担してもらい、従業員が安価に商品を購入できるようにしている。またこの仕組みによって料金未回収のリスクを下げている」(おかん代表取締役CEOの沢木恵太氏)

そんなおかんだが、サイバーエージェント・ベンチャーズとオイシックスから資金調達を実施したことを明らかにしている。金額は非公開だが、数千万円程度になるという。同社では今回の調達をもとに、サービス開発やアライアンス担当などの人材を強化。「この1年でサービスの体制を整え、5年後には製造から配送、データ解析までの仕組みを作る」(沢木氏)としている。今年度は企業数100社、6000人程度へのリーチを目指す。


ZOZOTOWNとの連携も進むSTORES.jp–今夏に「予想できない」新機能

10万店舗が出店するまでに成長したオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。北海道・札幌で5月22日から23日にかけて開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)」のCtoCビジネスに関するセッションで現状を語ってくれたブラケット 代表取締役の光本勇介氏が、セッション終了後により詳しい近況を教えてくれた。

ZOZOTOWN出店企業向けの新機能

驚いたのは、ZOZOTOWNとの連携だ。2013年7月にスタートトゥデイの子会社となったブラケットだが、2014年1月には個人・法人を問わず出店できるマーケットサイト「ZOZOMARKET」を公開している。しかしこのほかにも、ひっそりとサービスの連携を進めていたそうだ。

その1つがZOZOTOWNの出店企業向けの「STORES.jp PRO」というものだ。これはZOZOTOWNの管理画面上にあるスイッチをオンにすると、その企業のオリジナルECサイトをSTORES.jpをベースにして構築できるというものだ。ドメインの指定なども可能で、商品もいちいち登録する必要はなく、ZOZOTOWNに登録する写真や価格といったデータをそのまま利用できる。

スタートトゥディではこれまでも企業向けにオリジナルのECサイトを構築する事業を展開してきた。しかし大規模なECサイトをスクラッチから構築した場合、イニシャルコストだけでも数千万円になる。「ZOZOTOWNに出店する企業はそれなりの規模があるが、実はオリジナルのECサイトを持っていないところがほとんど。フルカスタマイズしてサイトを構築したいのであれば数千万円かけてもいいが、まずはイニシャルコストをゼロにしてやってみたいという企業も少なくないと思う」(光本氏)

まずは「ものを売る」という体験を提供してもらう

STORES.jpやBASEといった新しいネットショップ構築サービスの台頭、Yahoo!ショッピングの無料化など、2013年はECを取り巻く環境に大きな変化が起きた。STORES.jpでも数多くの新機能を提供してきたが、現在はグロースハックや、マーケティング関連の施策に注力しているという。

マーケティング施策についてはセッションでも触れていたが、光本氏は「ECはつまるところ売れてなんぼ。ECで『ものを売る』という体験を提供しないと結局ユーザーはハッピーにならない」と主張する。これを実現するために、STORES.jp上には「プロモーションスイッチ」という機能を用意する。このスイッチをオンにすると、ZOZOMARKETや提携する各種ECサイト上に、STORES.jpで販売する商品を掲載できるというものだ。実際、このスイッチをオンにすることで、売上が2.7倍になるという実績があるという(スイッチをオンにした場合、販売価格の10%の手数料がかかる)。

今後ねらうのは「予想できないジャンプ」

楽天でも約4万店舗。STORES.jpの「10万店舗の出店」と聞くと順調な数字も思えるが、光本氏は「今だと12月の時点だと予想がつく程度。実際にはすごいことかもしれないが、予想ができる道をそのまま歩いてもつまらない」と語る。具体的な施策については明らかにされなかったが、今夏にも「いかに予想ができないジャンプをするか」という視点で機能を提供していくそうだ。


「マネタイズは来年以降に」–BASEがグローバル・ブレインから3億円調達、元ペパボ福岡支社長も参画

「当初は今夏にもマネタイズを始める予定だったが、2014年中は考えないことにした。市場自体がまだまだ大きくなる」——ネットショップ作成サービス「BASE」を手がけるBASE代表取締役社の鶴岡裕太氏はこう語る。同社は5月15日、グローバル・ブレインから約3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

「30 秒でネットショップを作ることができる」をうたうBASEだが、出店店舗数は楽天超えの(楽天は約4万2000店舗。もちろん性質も異なり単純比較はできないが)8万店舗を達成。月間の流通総額は非公開ながら、「すでに億単位にはなっている」(鶴岡氏)とのことだ。直近では大型のクライアントも出店をはじめたほか、百貨店とのリアルイベントを開催するなどしている。

しかし一方でマネタイズはほとんど進めていない。もちろん決済会社の手数料はユーザーから取得するものの、同社としてのサービス利用料などは取っておらず、オプションサービス群を提供する「BASE Apps」でもほぼ収益を出さずにサービスを提供している状況だという(余談だが、ブラケットの「Stores.jp」は、オプションサービスでも利益を出していると聞いている。世間で競合とは言われているが、ビジネスモデルは違うようだ)。

そのためBASEでは、当初2014年夏にも各種手数料やオプション、業種特化型のテンプレート販売などで収益化を検討していたとのこと。しかし今回の調達を決定して、この予定を2015年以降にずらした。2014年はサービス拡大のために注力するという。「マーケットにはいろんなプレーヤーががいるが、BASEを含めてみんな成長している状況」(鶴岡氏)。今後はBASE の開発やサポート人材の拡充、PRの強化のほか、多国語対応を進めて海外進出も視野に入れる。今回の増資に伴ってグローバル・ブレインの深山和彦氏が社外取締役に就任する。

またBASEでは、元GMO ペパボ取締役で福岡支社長の進浩人氏をCOO に迎える予定。鶴岡氏によると、進氏はネットショップ構築サービス「カラーミーショップ」やハンドメイド作品のCtoCプラットフォーム「ミンネ」など、GMO ペパボのEC関連事業の立ち上げを手がけてきた人物とのこと。


ヤフーとブックオフが資本・業務提携し、「ヤフオク!」はいよいよリアルに進出する

「コマース革命」を掲げてEC事業を強化しているヤフーだが、今度は古本チェーン「BOOKOFF」と組んでインターネットの外の世界に踏み出したようだ。ヤフーとブックオフコーポレーションは4月24日、資本・業務提携を発表した。

資本面では、ブックオフコーポレーションが5月に実施する第三者割当増資をヤフーが引き受ける。ヤフーの取得株式数は310万株(議決権ベースで15.02%)で、取得価格は21億7620万円となる。あわせて77億円(すべての権利を行使した場合の金額)の新株予約権付社債も引き受ける。

事業面ではまず、BOOKOFF店舗の中古本をインターネットオークションサービス「ヤフオク!」上で販売する。ヤフオク!上では現在200万冊の中古本を取り扱うが、今回の提携を契機に2016年度までに1000万冊を目指す。また7月には、BOOKOFFの直営店舗をはじめとして「総合買取受付窓口」を設置。従来取り扱っていた中古本やCD、ゲームソフト、携帯電話などに加えて、アパレルや雑貨などに買い取り対象を拡大する(ただし、ブックオフコーポレーションが手がける一部の大型店舗ではすでにアパレルやブランド品を取り扱っている)。また買い取った商品はヤフオク!に出品していくという。特に携帯電話には注力し、常時100万台の取扱いを目指す。

また、今回ブックオフコーポレーションが調達する資金をもとに、関東圏にサッカー場7面分ほどにあたる1万5000坪のリユースセンター(倉庫)を2015年度中にも開設する。このリユースセンターでは、BOOKOFF各店舗で買い取った商品を集めるだけでなく、BtoB向けのマーケットプレイスを展開するほかフルフィルメントサービスも提供することも検討する。

リアル進出を進める「ヤフオク!」

2年前に経営陣を刷新して以降、「異業種最強タッグ」の取り組みをしてきたヤフー。代表取締役社長の宮坂学氏は、今回の提携もその一端だと説明する。ヤフーの目線はネットではなくリアルを向いている。

ヤフオク!の年間出品数は約50億点で、年間利用者数約1000万人。年間取扱高は6800億円に上る。これはネットリユース市場8100億円の84%に上る。しかしリアルを含めたリユース市場は1兆8000億円とまだ大きい。そのためリアル拠点の必要性を感じていたそうだ。宮坂氏はブックオフコーポレーションと組むことで、このリアルリユース市場のシェアを拡大し、さらに市場自体の拡大を進めたいと同日開催された会見で語っている。

また一方でブックオフコーポレーションとしては、年間買い取り額約5億点、年間売買客数約1億人でありながら、(もちろん「ブックオフオンライン」でネット事業も展開しているものの)店舗に縛られることで物理的な商圏の限界があったのだという。話題の書籍ならさておき、店舗で数週間売れなかった本でも、その店舗以外ではニーズがあるということは少なくない。

単価よりも商圏や販売機会の拡大が重要

では年間5億点の買い取りがある中からわずか2%の1000万点の商品が出店されることでどういうことが起こるのだろうか。会見で宮坂氏が、試験的にBOOKOFFで販売されていたネオジオ(かつて存在したゲームプラットフォームだ)の100円のソフトをヤフオク!に出品したところ、7万4000円で落札されたという話をしていた。僕はこの話を聞いて、つまりは「レア物」の商品にプレミア価格がつくということなのだろうかと勘ぐってしまい、「実際売上がどれくらい上がる見込みなのか」と尋ねた。

それに対するブックオフコーポレーション代表取締役社長の松下展千氏の説明は「単価が上がるよりも商圏、販売機会が広がることでロスがなくなることが大きいのではないか」とのことだった。店舗によっては5〜10%の売上増が見込まれる試算だという。さらに会見後の囲み取材で聞いたところでは、広く商品が流通されている話題書などよりは、ニッチな商品などにスポットがあたる印象を受けたが、このあたりは実際にどのような商品が出品されるのかを見ないことには分からなさそうだ。ブックオフオンラインについても、当面は現状のまま運用するという。

ちなみに、7月に総合買取受付窓口を設置すると、出品までのオペレーションを各店舗にてすることになるという。これも始まってみないと分からないが、マニュアル化されるまでは、店舗スタッフにとってもなかなか大変な作業になりそうだ。とは言えヤフーにとってもリアルな拠点を全国に持てる意味でも、ブックオフの販路拡大という意味でも今回の提携は大きな話になることは間違いない。「リユースのBtoBマーケットプレイス」「リユースのフルフィルメント」という今までになかった市場も広がっているわけだし。

ちなみに余談だが、今回の提携によってBOOKOFFでかつて利用できたTポイントが復活することはないそうだ。よく考えれば、Yahoo!ショッピングなどではポイントとしてTポイントを使うようになっているが、ヤフオク!ではTポイントを採用していないからだ。

「ヤフ!OFF」のポロシャツを着たブックオフの松下氏(左)とヤフーの宮坂氏(右)


クラウドワークスがDeNAショッピングと提携–出店者の「ご用聞き」をクラウドソーシングで実現

ランサーズがKDDIとの共同事業でリアルビジネスのクラウドソーシング「ランサーズプレイス」を開始したと発表していたのが昨日。今日4月8日には、クラウドワークスがディー・エヌ・エーが手がけるショッピングサイト「DeNAショッピング」との業務提携を発表した。

今回の提携により、DeNAショッピングへ出店する店舗事業者に対してクラウドソーシングによるロゴ作成や商品画像加工、バナーなどの販促用素材の制作をサポートするという。 具体的にはDeNAショッピングの管理画面上にクラウドワークスのバナーを掲載。クラウドソーシングの利用方法などを紹介するほか、先着50店舗に限定して、クラウドワークスの有料オプションを無料で提供する。詳細は未定だが、今後もユーザーのニーズに合わせて施策を用意するという。

クラウドソーシングは非IT企業の「御用聞き」となるか

今回のクラウドワークスの発表と、昨日のランサーズの発表、いずれの取材でも出てきたキーワードは「御用聞き」だ。 ITリテラシーの高い個人、企業など、いわゆるアーリーアダプター層にはアウトソーシングの手法として認知されてきたクラウドソーシング。今後の課題はより広い層への認知、利用拡大にある。

そういった観点からクラウドワークスは「ECはやっているが、専業ではなくモールに出店する程度」という潜在的なユーザー層に対してリーチすることを狙ったと言えるだろう。 ECモールに出店する中小企業であれば、「今までは自社で画像加工などをしてきたが、アルバイトを1人追加して雇えない。そのためこれ以上の規模の拡大はできない」というケースもある。クラウドワークスは、そんなときにこそクラウドソーシングを使ってみて欲しいと提案しているのだ。狙うユーザー層にこそ違いはあるが、昨日のランサーズも同様の考えがあるようだ。


モバイルECプラットフォームのOrigamiが5億円を調達し、本日ローンチ

origami

モバイルに限定したECプラットフォームOrigamiが本日ローンチと同時にKDDI Open Innovation Fund、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムから5億円の資金を調達したことを発表した。このスタートアップは業界で度々話題になっていたものの、その事業内容はECであること以外一切明かされてこなかった。読者の中にも気になっている方は多かっただろう。

Origamiは従来のECとは違い、ブランドと消費者、実店舗とオンラインを繋ぐプラットフォームだ。機能的にはTwitterやPinterestをイメージするとよい。プラットフォーム上にはBEAMS、A BATHING APE®、森美術館といった有名ブランドがすでにアカウントを開設しており、これらのアカウントをフォローすることで、商品の写真がフィードに流れてくる。商品の写真はそれぞれタップすると、そのまま購入できる。

店舗から発信される情報だけでなく、ユーザーのアクションにも工夫をしている。ユーザーが店舗で商品の写真を撮りOrigami上にアップロードする。その時に店舗情報を入力すると、ユーザーがアップロードした写真自体が広告となる。フォローしているユーザーがアップロードした写真がホーム画面に流れてくるのだが、写真は店舗のアカウントに紐付いている。TwitterやFacebookと違い、商品の写真は全て店舗と紐づいているため、その写真から店舗のページへ飛び、すぐに商品を購入できる。

この他、アプリ内にGQ JAPAN、VOGUE JAPANなどから雑誌風のコンテンツも提供されており、ここに掲載されている商品写真からもすぐに購入できる仕様となっている。

Origamiはこのようなプラットフォームを提供することで実店舗とオンラインをマッチングさせたいそうだ。

Origami代表取締役CEOの康井義貴氏によると、実店舗に投資しているブランドは多いのに、その店舗を活かせていないという。というのも、アパレルの場合、実店舗で試着をしたり色合いをチェックした後にネットで店舗よりも安く売っているショップを見つけてそこで購入する客は多い。これでは店舗は単なるショールームになってしまう。

さらには店舗で商品の写真を撮ってソーシャルメディア上にアップロードしてくれる客が居てもデータが取れていなかったり、ブランド好きでもHPを何回も訪れる客は居ない。といった問題がある。これらの問題をOrigamiが解決していきたいと康井氏はいう。

なお、今回KDDI Innovation Fundから資金を調達したと同時にKDDIと業務提携を開始しており、auのユーザーはauIDを使用し商品の送付先情報などの入力を簡素化でき、今後はauの決済機能も提供予定だ。


EUの反トラスト調査でGoogleは, ライバルを検索結果でもっと目立たせろと強いられる

EC(欧州委員会)が2年もかけて行った、Googleの検索慣行に対する調査の結果がもうすぐ出るが、それによるとGoogleは、ヨーロッパにおける検索結果において、ライバルサービスの可視性の改善を迫られることになりそうだ。今朝(英国時間4/10)のフィナンシャルタイムズ紙が、そう報じている〔要会員登録〕。

同紙によると、地図、天気予報、金融など分野限定の検索結果(垂直検索–vertical search–の結果)が、ECの調査官たちの重要な懸念の一つだった。それらの検索結果においてGoogleは今後、ライバルの専門サイトをもっと目立つようにして、消費者に複数の選択肢があることをより明確に示すことになりそうだ。Google自身のサービスは、それとはっきり分かるようにするのが、“広く期待される譲歩”だったが、それにプラスしてライバルの明示化が加わる。

たとえば”weather”(天気予報)で検索すると、現状では下図のような結果になる。ご覧のようにGoogle自身のお天気ウィジェットが、最上部ででかでかと大きい。その下にそのほかの天気予報サービスが並ぶ:

委員会は、Googleが自社の垂直サービスへのリンクを、ライバルへのリンクとは違えることによって、差別的扱いをしていないか、を調べていた。また競合サービスのリビューなどのコンテンツを、Googleがコピーして自社の提供物に使っていないか、も懸念していた。また広告に関しては、競合サービスを検索広告から閉め出していないかを、委員会は調べていた。それをやられると、広告主たちはそれらの競合サービスをキャンペーンに含めることが困難になる。

Googleは2月に、このような偏りに関する懸念をやわらげるための提案をECに提出した。その内容は、まだ公表されていない。

フィナンシャルタイムズ紙によると、Googleは今週、“譲歩の最終提案”を委員会に提出する。反トラストで有罪となり巨額の罰金刑を科せられることを、避けるためだ。EUの競争監督官Joaquin Almuniaの以前の提案では、Googleの検索慣行に対するECの調査は今夏に終わることになっていた。

今週初めにAlmuniaはThe New York Timesに、“Googleとの折衝は続いており、毎日、いつ電話やメールやSMSが来てもいいように備えている”、と語っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


手軽にオンラインストアを開設できるStores.jpが3週連続で販促サービスを開始

stores.jp

誰でも手軽にオンラインストアを開設できるECサービス、Stores.jpはオンライン上だけでなく、店舗の運営に欠かせないオフラインでも利用できるサービスも強化しはじめている。無料でストアカードやロゴを作成するサービスに続いて、今日は配送用の段ボールを無料提供すると発表している。これはこの3週間の間に行われている。今年1月末にはストアに掲載する商品の写真をプロのカメラマンが無料で撮影をしてくれるサービスも開始している。

Stores.jpを運営するブラケット代表取締役の光本勇介氏は、オンラインサービスを展開しているが、こうしたオフラインのサポートも充実させることでストアの売上も伸びるという。すでに商品の写真をプロが撮影したものに置き換えたストアの商品は1カ月後には売上平均が約2倍になったそうだ。

今回、名刺(ストアカード)、ロゴを無料で作成するサービスを提供するに至った経緯だが、Stores.jpのビジョンである「すべての人へ、オンラインストアを。」に基づいたものだ。というのも、ストアを開設してもトラフィックを集められなければ意味がない。そこですでに実店舗を持っている方は店にカードを置いたり、人と会う時に名刺と一緒にオンラインストアのカードを渡せば集客に繋がる。

また、ストア開設者がロゴを作成するスキルを持っているとも限らない。ロゴ作成を発注すれば数万円は費用としてかかってしまう。初期コストを抑えたい運営者も気軽に作れるようにとStores.jpはロゴ作成をするそうだ。

日本の小売店鋪は120万ほどあるそうだが、このほとんどは数名で経営しているような商店街の店舗だという。この大部分を占める店舗が日本の小売市場を支えており、彼らがオンラインにも進出できるようになって欲しいと光本氏は語る。そのため、予算がなくITリテラシーがそれほど高くない人達でも充実したオンラインストアを運営できるように、今回オフラインサポートの充実に力を入れた。

さて、手軽にオンラインストアを開設できるサービスといえば、最近はStores.jpとBASEがよく比較されているので、ここでも少し見てみよう。

Stores.jpの店舗数は現在約3万、月間50万UU、250万PVにまで成長している。こちらはフリーミアムモデルでプレミアムユーザーは月額980円で商品数が無制限になったり、アクセス解析といった機能が使えるようになる。すでにプレミアムユーザーは一定数おり、サービス開始4カ月で黒字化しており、1日に100万円ほど売り上げる店舗もあるそうだ。

一方、BASEは昨年11月20日リリースされ、今年1月に1万店舗を突破していた。直近の店舗数は公開されていないが、順調に成長していれば2万数千店舗ほどあると予想される。BASEに関してはマネタイズはまだしていないが、これから動きがありそうだ。今年1月にはEast Venturesやpartyfactoryなどから2,300万円の資金を調達している。