AIが核融合を操る力を獲得した。でも大丈夫、これは朗報だ

とある研究グループが、核融合研究に使用される高出力のプラズマ流を磁気的に扱う方法をAIに教えた……おっと、慌てないで欲しい。慌てて手にした電磁パルス砲やドライバーはしまい込んでも大丈夫だ。これは間違いなく良い成果で、来るべきロボカリプスで人類に対して使用される恐ろしい武器ではない。

このプロジェクトは、Google(グーグル)のDeepMind(ディープマインド)とローザンヌ工科大学(EPFL)の共同プロジェクトであり、数年前に前者のAI研究者と後者の融合研究者がロンドンのハッカソンで出会ったときに始まった。そのときEPFLのFederico Felici(フェデリコ・フェリーシ)氏は、彼の研究室がトカマクのプラズマ維持に関して抱えていた問題について説明した。

何気ない日常的な愚痴に過ぎない。しかし、それがDeepMindの琴線に触れて、両者は仕事を始めた。

核融合の研究にはさまざまな方法があるが、いずれも数億度という非常に高い温度で形成されるプラズマを利用している。危険そうに聞こえるし、実際にもそうなのだが、トカマクはそれを制御し、内部で起こっている核融合活動の詳細な観察を可能にする1つの方法なのだ。トカマクは基本的にはトーラス(ドーナツ)のような形をしていて、その中を加熱したプラズマが円を描くように移動するが、その経路は磁場によって慎重に制限されている。

誤解のないように言っておくと、これはクリーンなエネルギーを無限に供給するという噂の核融合炉ではない。エネルギーを生産するわけでもないし、もし突然起動したら近くにいてはいけない。これは、不安定だが将来性のあるこれらのプロセスがどのように制御でき、有用な目的にどのように利用できるのかを、テストし観察するための研究ツールなのだ。

特に、スイスプラズマセンターの「可変構成型」トカマクは、単にリング状にプラズマを閉じ込めるだけでなく、研究者がその形状や経路を制御することができる。1秒間に磁気パラメータを何千回も調整して、リングの幅を広げたり、薄くしたり、高密度にしたり、希薄化させたりと、リングの品質に影響を与えるあらゆる要素を調整できる。

画像クレジット:DeepMind & SPC/EPFL

機械の磁場の詳細な設定は、当然ながら事前に決めておかなければならない。設定方法を間違った場合には、大きな損害を被る可能性があるからだ。この設定は、チームが長年にわたって改良してきたトカマクとプラズマの強力なシミュレーターを使って行われる。しかし、フェリーシ氏はEPFLのニュースリリースでこう説明している。「制御システムの各変数の正しい値を決定するには、今でも長時間の計算が必要です。それこそが、DeepMindとの共同研究プロジェクトの出番となる場所なのです」。

このチームは、まず機械学習システムに、ある設定がどのようなプラズマパターンを生み出すかを予測するように学習させ、次に望ましいプラズマパターンから逆算して、それを生み出す設定を特定した(と簡単そうに書いたが、このようなAIアプリケーションにありがちなこととして、実際の実現は相当大変だった)。

米国時間2月16日発行のNature(ネイチャー)に掲載された論文によれば、このアプローチは大成功を収めたという。

今回のアーキテクチャは、高いレベルで指定された制御目標を満たすと同時に、物理的および運用上の制約を満たしているのだ。このアプローチは、問題の仕様記述に対してこれまでにない柔軟性と汎用性があり、新しいプラズマ設定を生み出すための設計工数を大幅に削減できるという:私たちはこのTokamak à Configuration Variable(構成可変型トカマク)を使うことで、従来の細長い形状に加えて、負三角(negative triangularity)や「スノーフレーク」(snowflake)などの高度な形状を含む、多様なプラズマ形状の生成と制御に成功している。

以下にこのモデルが作り出せたさまざまな形状や構成の例を紹介する。

トカマクの「ドーナツ」をスライスした、内部とビームの断面図(画像クレジット:DeepMind & SPC/EPFL)

これは重要な研究だ、なぜならこのようなプラズマを使って実験するには、電力が必要なのはもちろん、非常に多く(数百万単位だ考えて欲しい)の微調整が必要であり 、すべてを手動で構成することはできないからだ。例えばある理論が2つのストリームを必要とし、一方が他方より22%大きい場合、それを生成するための理論的な設定を「従来の」手法(ご想像の通り、これもすでに非常に複雑なデジタルシミュレーションだ)を利用して案出するには、数週間または数カ月かかることがある。しかし、AIはそれに比べるとほんのわずかな時間で良い組み合わせを見つけ出し、その場で解決策を生み出したり、人間の監査役に有力な作業の出発点を与えたりすることができる。

また、安全面でも重要な意味を持つ。というのも、人間は1~2秒の間に異常を封じ込められるような設定を、即興では行えないからだ。しかし、AIならばリアルタイムに設定を変更して損傷を防ぐことができるかもしれない。

DeepMindの研究者であるMartin Riedmiller(マーティン・リードミラー)氏は、これが「初期の段階」であることを認めているが、もちろんそれは科学におけるほぼすべてのAIアプリケーション全体に言えることだ。機械学習は、数え切れないほどの学問分野で、強力で汎用性のあるツールであることが証明されつつある。しかし、優れた科学者のように、彼らはすべての成功を鵜呑みにせず、その先のより自信を持てる結果を待ち望んでいるのだ。

画像クレジット:DeepMind & SPC/EPFL

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

人によるコントロールと機械学習を融合したスマート義手

義肢は年々良くなっているが、それらの強度と精度が使いやすさや能力(実際にできること)に貢献していないこともあり、とくに手足を切断手術した人たちがごく初歩的な動作しかできない場合が多い。

スイスの研究者たちが調べた有望と思われるやり方では、手動では制御できない部分をAIが引き受ける。

問題の具体的な例として、腕を切断した人が膝の上でスマート義手を制御する場合を考えてみよう。残存する筋肉に取り付けられたセンサーなどからの信号で、義手はかなり容易に腕を上げ、ある位置へ導き、テーブルの上の物をつかむ。

でも、その次はどうなる?指をコントロールするたくさんの筋肉と腱はない。そして義手の人工的な指を、ユーザーが望む曲げ方や伸ばし方ができるように解析する能力もない。ユーザーにできることが、単に総称的な「握る」や「放す」の指示だけなら、実際に手でできていたことを実行するのほぼ不可能だ。

そこが、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(École polytechnique fédérale de Lausanne、EPFL)の研究者の出番だった。義手に「握れ」と「放せ」と命令したあと、それから先の動作を特に指示しなくても最良の握り方を見つけられるなら問題はない。EPFLのロボット工学の研究者たちは長年、「握り方の自動的な見つけ方」を研究してきた。だから今の義手の問題を解決するには、彼らがうってつけなのだ。

epfl roboarm

義手のユーザーは、本物の手がない状態でさまざまな動きや握りをできるだけうまく試みながら、そのときの筋肉信号を機械学習のモデルに解析・訓練させる。その基礎的な情報で、ロボットの手は自分が今どんなタイプの把握を試みているのかを知り、目的物との接触領域を監視して最大化することによって、手はリアルタイムで最良の握りをその場で作り出す。落下防止機構も備えており、滑落が始まったら0.5秒以内に握りを調節できる。

その結果、目的物はユーザーが基本的には自分の意思でそれを握ってる間、しっかりとやさしくその状態を維持する。目的物の相手をすることが終わってコーヒーを飲んだり、ひと切れのフルーツをボウルから皿に移したりするときは、その目的物を「離し」、システムはこの変化を筋肉の信号で感知して実際に離す行為を実行する。

関連記事:SmartArm’s AI-powered prosthesis takes the prize at Microsoft’s Imagine Cup【AIで動く義肢がMicrosoftのImagine Cupを勝ち取る、未訳)

MicrosoftImagine Cupを取った学生たちのやり方を思い出すが、それは手のひらにカメラを付けた義手の腕が目的物のフィードバックを与え、正しい握り方を教えていた。

一方こちらはまだまだ実験段階で、サードパーティ製のロボットアームと、特別に最適化していないソフトウェアを使っている。でもこの「人とAIとの共有コントロール」には将来性が感じられ、次世代のスマート義手の基盤になるかもしれない。チームの研究論文はNature Machine Intelligence誌に掲載されている。

画像クレジット:EPFL

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

エネルギー効率30-37%のソーラーパネルがもうすぐ市販される

クリーンエネルギーの研究者たちは、太陽光から得られるエネルギーの理論的な上限を上げることに励んでいるが、実際に太陽電池を利用するわれわれ一般庶民は、その理論値の半分にも満たない技術で長年我慢している。ここでご紹介するInsolightの製品は、ついにそれを変えるかもしれない。

Insolightは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)における長年の研究からスピンオフした企業で、屋根に敷く実用製品が誕生するのももうすぐ、と言われている。

通常太陽電池はその全表面で太陽光を集め、それをおよそ15-19%の効率で電気に変換する。つまりその過程で、エネルギーの約85%は失われる。もっと効率の良い太陽電池はあるが、どれも高価で目的が特殊で、特殊な素材が必要なこともある。

お金のかからない場所といえば、それは宇宙だ。人工衛星に載っている太陽電池はずっと効率が良いが、当然ながら安くない。でも、ごく少量を使い、その上に太陽光を凝集するなら高くはない。そのことに、Insolightは目をつけた

小さいがきわめて効率の高いセルを格子状に並べ、その上に蜂の巣状のレンズの配列を並べる。レンズが光を細いビームに曲げて、小さなセル上に凝集する。太陽が動くとセルの層も動いてビームの真下へ移動する。テスト段階では、この方法で37%の効率を達成し、消費者製品になった時点でも30%は可能だ。これは、従来のパネル製品の倍である。

ただしレンズの層などを作るのだから、今使われている“まあまあの性能”の太陽電池よりも構造は複雑だ。ただしパネルのサイズや形状は今のソーラーパネルとあまり変らず、据え付けにコンセントレータなどの特殊な装備は要らない。最近EPFLで行ったパイロットテストは、大成功だった。

EPFLのニューズリリースで、CTOのMathiu Ackermannがこう述べている: “われわれのパネルはグリッド〔通常電力網〕につないで継続的にモニタした。猛暑や台風や冬の気候でヒッチすることもなく、動き続けた。このようなハイブリッド方式は、曇天で日が射さないような日にとくに効果的だ。そんな日差しの弱い日でも、電気を生成し続けるからだ”。

今同社はソーラーパネルのメーカーとの商談に入っている。既存の製造ラインに容易に乗せられることを、説得しなければならない。“組み立てのステージで工程がやや増えるけどね”、とAckermannは言う。発売は、2022年の予定だ。まだ遠い先だが、でもそのころには電動車が普及してるだろうから、良いタイミングだろう。

画像クレジット: Insolight

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

このドローンは状況に応じて縮む

チューリッヒ大学EPFLの研究者が、隙間の大きさに応じて縮むことができるという、救出活動に最適かもしれない機能を持つロボットを開発した。研究者はまず初めに、カメラ1つを使って人工の隙間を査定して数秒で通り抜けられるドローンをつくった。今回追加された機能ー飛行中のドローンを縮ませるためのハサミのようなシステムーはドローンをより全能的なものにし、現実世界にある大小の隙間に対応できるようになった。

「クワッドローターの隙間飛行に取り組んだ後に、このアイデアを思いついた」と博士号取得を目指しているDavide Falangaは語る。「我々のラボのゴールは、将来的には災害直後に使用することができるドローンを開発することだ。たとえば、地震のような災害で、生存者を探すために倒壊した建物のわずかな裂け目や開き口から建物内に入ることができるというものだ。我々のこれまでのアプローチでは、かなり積極的な操縦を必要としたため、高速で飛ぶことなく狭い隙間をくぐり抜けるというタスクをこなす別のソリューションを模索した。そして思いついたのが、タスクに応じて形を変えられるクワッドローター、折りたたみ可能なドローンだった」。

このシステムは、隙間の大きさを測定し、外部から処理を行うことなく形を変える。かなりエキサイティングな偉業だ。処理は全てドローン搭載のシステムで行われ、必要に応じて自動に切り替えることもできる。開発チームはこのドローンを、いつでも買えるような3Dプリントされたパーツで作った。

「普通のドローンと我々のドローンの最大の違いは、アームとボディの接続の仕方だ。各アームは自動制御モーターを通じてつながっていて、このモーターは本体とアーム間のポジションを変えることができる。これによりロボットは文字通り、アームを本体のまわりで曲げることができ、つまり潜在的にはどんな形態でもとることができる。適応制御装置がドローンの形態を認識し、形態にかかわらず絶えず安定した飛行になるようにする」とFalangaは話した。

研究チームはこの開発についてのレポートをRobotics and Automation Letterで発表した。IEEEが指摘しているように、これは飛ぶドラゴンドローンではなく、もっとシンプルでクールで効率的なプロダクトだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

TWIICEの外骨格ウェアラブルロボットは身障者用装具の理想に近づいている

テクノロジーの世界に、“完成された技術”というものはめったにないし、外骨格*もまだ完成にはほど遠い技術だ。それらは、あることはあるけどすべて開発途上であり、高価で、重くて、性能も機能も限られている。そんな中で、ロボットウェアラブルのTWIICEは、ユーザーからの要望を積極的に取り入れて大きく進歩している。〔*: exoskeleton, 日本語Wikipediaでは“パワードスーツ”で載っている。〕

TWIICEがデビューしたのは2016年で、最初はほかのすべての外骨格同様、ビジョンはあるが実体が乏しい、という状態だった。その製品は足の不自由な人のための下半身外骨格で、松葉杖で体を支えながら使用する。理想にはほど遠く、重くて動きもかたいので、まだまだ一般的な普及は難しい。

でもこれまでの2年間で、かなり改良された。重量は前と同じだが、本体の重量はユーザーの負荷にはならないのであまり関係ない。しかし前よりも体重の重いユーザーでも支えられるようになり、モーターから伝わる力も強くなった。そして何よりも、薄型になり、体への馴染みが良くなった。

でも、何より重要なのは、装着と作動をユーザー自身でできるようになったことだろう。そのことを、スイスの元曲芸師で今はハンドサイクリングのチャンピオンSilke Panがビデオでデモしている。彼女は車いすから自分で立ち上がり、外骨格に身を沈め、足と胴体にファスナーを装着、それからデバイスを作動させて直立する。

その後彼女は階段を上がったりするが、ぼくにとっては、見ているだけでも怖い。でも彼女はアスリートだからね。

このように、自分一人で何でもできることは、身体障害者にとって、とても重要だ。そしてTWICEは、まさにそれを目指しているのだ。

この外骨格はまだ、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究プロジェクトだが、もっと完成度が高くなった段階で商品化を予定している。今後ますます多くのエンドユーザーからの要望やフィードバックを取り入れて、改良を重ねていけば、未来のすばらしいバージョンが完成するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

BlindPADのタブレットは突起の集合で情報を触覚的に表現し伝える、目の不自由な人だけでなく一般的な用途も

指先の操作だけで大量の情報にアクセスできるようになったことは、本当に素晴らしいけれども、でも文字通り自分の指先でしか情報にアクセスできない人たちはどう思っているだろう?。ここにご紹介する新しい画期的なタブレットは、磁力を利用して突起〔点字の‘点’に相当〕を並べ替え、地図などの画像情報も触覚に翻訳できる強力なツールになるかもしれない。

このまだ名前のないタブレットは、ヨーロッパのBlindPADプロジェクトの一環として過去数年間、進化し改良されてきた。その目的は、タッチスクリーンデバイスの安価でポータブルな代替機を作ることだ。開発は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究者たちが担当している。

その最新のプロトタイプはやや厚いiPad miniぐらいの大きさで、巧妙なメカニズムで突起を上げ下げすることによって、画像や文字や点字を表す(点字用には大きすぎるかもしれない)。小さな突起には磁石がついていて、磁石はつねに二つのスチール層のどちらかにくっついている。電流を流すとコイルの力で層が切り替わる。eペーパーの画面と同じく、現在の形を保つのに電力を使わないから、とても効率的だ。

突起の反応はとてもはやいので、動きや振動でフィードバックを伝えられる。また、手による押し下げや滑らしも検出する。

しかし目的は、目の見えない人のためのKindleではない。点字ディスプレイはもっと密度が必要だから、Blitabが使ってるような、もっと違う触覚ディスプレイが必要だ。BlindPADの突起の数は横12行、縦16列だ。それらを、“taxelだ”(tactile element, 触覚的成分)と呼ぶ人もいる。言葉で説明するより、見た方がよく分かるだろう:

EPFLのHerbert Sheaは、こう説明している: “人びとは点字ディスプレイを読めるし、近くの障害物を白い杖で見つける。われわれの安上がりなタブレットは、グラフィック情報をリアルタイムで提供するから、部屋や道路の配置を事前に知ることができる”。

たとえば安全な横断歩道が角道のどこにあるかを示したり、二つのドアのどっちが正しいロッカールームかを教えたりできる。また健常者と一緒にグラフや幾何学の問題を考えることもできる。昨年の研究では、このタブレットと紙の上の盛り上がった点が、児童にほぼ同じ学習効果をもたらした。

われわれの結果は、プログラマブルな地図が教育やリハビリの現場でグラフィカルなコンテンツを表示する効果的な方法であることを、示している。従来の、紙を使う方法と変わらないし、柔軟性や多用性はもっと優れている。

BlindPADの突起タブレットはまだ開発途上だが、研究を始めてからかなりの年月が経っている。現状はかなり効率的で、ワイヤレス、そしてある程度はポータブルだ。

Sheaによると、このテクニックは、手で押す手袋のような形で健常者も利用でき、同じような空間的情報や、仮想現実における触覚的フィードバックを与えたりできるだろう。

今週デンバーで行われるACM CHIカンファレンスで、チームの最新の結果が展示される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スイスの3D画像暗号化システムは指を使うバイオメトリックスのセキュリティを大幅に向上

バイオメトリックスはセキュリティの完全解ではないかもしれないが、堅牢で周到に考えぬかれたものなら、使用に耐える場合もある。AppleのTouchIDも悪くはないが、でもそれで核基地の安全は確保できない。しかし映画の世界を別にすれば、それでもなお、核基地を指紋認証で守らざるを得ないだろう。でもスイスの研究者たちが考えたこの新しいシステムは、正しい方向への一歩だ。

Lambert Sonna Momoが率いる、彼の会社Global IDとスイス連邦工科大学ローザンヌ校(École polytechnique fédérale de Lausanne, EPFL)のコラボレーションは、前者のバイオメトリックス技術と後者の暗号技術を結びつけた

そのバイオメトリックスの側面は、Sonna Momoが開発した、静脈の3D画像だ。“今では誰でも偽の指紋を簡単に安上がりに作れる”、と彼は大学のニュースリリースで説明している。“2Dの静脈認識技術はすでに世界中で使われているが、そのシステムには欠点がある。しかし3Dなら、偽造の危険性はほとんどない”。

同じように見えるパターンでも、画像の次元がひとつ増えると容易に区別できるようになる。3Dのスキャナーもそれほど高価ではなく、300ドルぐらいでできる。彼らはこれまで、さまざまな人びとと肌のタイプに対してスキャナーの性能をテストしてきた。光学的バイオメトリックスでは、重要な検討事項だ。

EPFLは、そのシステムのもうひとつの重要な部分を担当した。それはデータ処理と暗号化だ。指紋でも網膜でも静脈でも、盗まれたからといってリセットはできない。一度破られたら一巻の終わりだ。そういうものに関しては、プライバシーが非常に重要だ。

そこでEPFLの暗号研究室は、スキャナーやIDシステムが暗号を解読する必要のない、準同型暗号方式を考案した。これなら、データがデバイスや通信線の上にあって盗まれても、セキュリティは破られない。またこの方式の副産物として、盗まれたデータが使われたとき、そのパターンには、それがどこから来たかを示すデバイス情報がある。

Sonna Momoは、この技術が病院で活用されることを期待している。そこでは、正しい診療のためには正しい本人確認が重要だからだ。また、迅速で正確なIDを必要とする銀行でも役に立つ、と彼は考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ロボットのワニとオオトカゲがBBCの番組で本物そっくりに動きまわる、睨まれたら怖いぞ

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ワニの群れの中を歩きたかったら、まず自分がワニになれ、とことわざは言う。しかしAce Venturaでないあなたが野生動物の生態ビデオを撮るためなら、ロボットを使うべきだろう。スイスの大学のロボット研究所が、今日(米国時間1/26)放送されるBBCの番組でそれをやっている。

その“Spy in the Wild”という番組は、ぜひ見ることをおすすめしたい。“野生に対するスパイ(Spy in the Wild)行為”は、義足をつけたカメラを虎のいる森に置くなど、素朴な方法で始まり、そして今年は、プロデューサーがやる気満々、あらゆる動物のレプリカを使うことになった。

そのSpy Pup(幼獣), Spy Bushbaby(ガラゴ)などのロボットは、目の前にいても動物たちがまったく違和感を示さないぐらい、良くできている。それどころか猿たちは、赤ちゃん猿ロボットの‘死’を哀悼した。Spy Baby Monkeyちゃん、天国でお幸せに。

今日の番組に登場するのはワニとオオトカゲだ。番組のプロデューサーは国立ローザンヌ工科大学(EPFL)のBiorob lab(バイオロボット研究所)へ行って、模造動物たちを作った。

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彼らは以前、この研究所でトカゲロボットを作って成功している。彼らのPleurobot(胸膜ロボット)は、両性動物特有の、左右に回転するような動きで、歩いたり泳いだりできた。それはワニにも応用できるだろう。

“ここでやろうとしているのは、生物情報科学だ”、とKamilo MeloがEPFLのビデオで言っている。“基本的には、生物学の情報を、ロボットの設計に反映させることだ。ありとあらゆる情報を集め、実験を行い、生物学に測度を与え、そしてそれらのデータをロボットの設計に持ち込む。その過程で、本物の動物の動きも研究できる”。

動物の精妙な動きを細かく理解すればするほど、生物情報科学と生体模倣技術に基づくロボットの動きは本物に近くなる。最近ではそんなロボットを見る機会が、増えているね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

この柔軟なロボット筋肉は、理学療法を支援する

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軍事や産業分野ではロボット外骨格が注目を集めているが、スイスの研究者らが作ったこの柔軟なロボット筋肉は、もっと繊細な動作にも利用できる。

ローザンヌ工科大学のReconfigurable Robotics Labでは、この多用途技術を開発中で、伸縮材料で作られたチューブ状の筋肉は、動きを精密に制御することができる。空気ポンプで作動させることによって、伸ばしたり曲げたりできる ― 今はまだ体に着用できるほど小さくないが、実現は近い。

単独では小さくて不気味なイモムシのように見える。しかし、まとめて束にすることで人間の筋肉のように振舞うシンプルなロボットになる。

これを使えば、超強力な労働者やパンチングマシンを作ることだってできるが、スイスの人々はわれわれとは違う。もっと人道的な使い方を考えている。

「私たちはローザンヌ大学病院で脳梗塞患者を治療している理学療法士と協同研究している」と同大学のMatthew Robertsonがニュースリリースで語った。ロボット筋肉のいくつかは、ベルト状にして腰部を伸ばすために使われている。「このベルトで患者の体幹を支えることによって、運動機能が回復した人もいる」。

これは、堅牢なエレクトロニクスと圧迫帯のようにソフトな受動的支援器具それぞれの利点を組み合わせている。助けるのに十分なパワーを持ちながら、怪我をさせる心配はしなくてよい。他にもこの技術を応用できる分野はいくらでもある。

研究チームはこの実績をNature Scientific Reportsに発表しており、ハードウェアの設計図とソフトウェアツールは、誰でもダウンロードして利用できるように公開されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

チェスと囲碁でトップに立ったロボットが、今度はテーブルサッカーの世界チャンピオンを目指す

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昔のコンピューターゲームには、人間同士でプレイするか、コンピューターを対戦相手にするか、という選択肢があった。しかし今では、現実世界の伝統的なゲームでもコンピューターの方が強くなり、人間の方が強いと言える卓上/盤上ゲームは、もはやないのではないか。次にコンピューターにやられるのは、何だろう? フーズボール(foosball, テーブルサッカー)だ。

École polytechnique fédérale de Lausanne(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)のロボット工学の研究者たちが、平均的な人間プレーヤーに勝つシステムを作ったが、それはディープなニューラルネットワークが過去の数百万のゲームを分析した結果ではない。本物の戦闘ロボットである彼らに、何よりも重要なのはスピードと力だ。

プロジェクトを指揮したChristophe Salzmannがニュースリリースでこう言っている: “このシステムは小さな脳のある筋肉マンだ。とっても基本的なことしかできないけど、それで十分に勝てるのだ”。

当然ながら、テーブル本体も特製だ。というか、テーブルがロボットだ、と言ってもいい。透明なフィールドの下にカメラがあって、それが毎秒300フレームでボールの位置を追う。コンピューターは至近の選手を数分の1ミリの精度でボールを蹴れる位置へ移動させる。そしてモーターがバーを人間よりも速く回して、ボールを猛スピードで蹴り飛ばす。

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でも、名人のプレーヤーにはかなわない。コンピューターには、位置やバンクショット、相手の盲点などを活かしたトリックができないし、また、相手の位置から動きを予測することもできない。

このような‘知能’をコンピューターに授けるためにチームは、対戦相手のハンドルの動きをレーザーで追おうとしている。その方が、バーをカメラで追うより計算効率は高いだろう。今よりも高度なAIを、作れそうだ。でも、真価が問われるのは、ロボットだけでトーナメントをやるときだ。それもいずれやる、と彼らは言っている。

Why would you do this!

ほんまかい?!

プロジェクトは今も継続している。その状況は、ここで分かる。詳細は彼らのラボのWebサイトでも分かるが、でもそのロゴが問題だ(右図)。巨大なターミネーターの両手が、われわれの惑星を抱っこしている。しかし、どう見ても、人間の味方のようではない!

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))