DeFi史上最大のハッキング、Axie InfinityのRoninネットワークから約765億円相当のイーサとUSCコイン流出

2021年、a16zから30億ドル(約3688億円)の評価額で資金を調達したブロックチェーンゲーム大手のAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)は、壊滅的な1週間を過ごしていた。米国時間3月29日朝までまで、同社がそのことを知らなかっただけで。

人気のPlay to Earn(P2E、プレイトゥアーン=プレイして稼ぐ)タイトルの、イーサリアムのサイドチェーンであるRonin(ロニン、RON)が悪用され、17万3600イーサ、つまり約5億9700万ドル(約733億6000万円)相当と、2550万ドル(約31億3400円)相当のステーブルコインのUSCコイン(USDC)が盗まれたと同社は発表した。奇妙なことに、このエクスプロイトは6日前の米国時間3月23日に発生したが、3月29日まで発見されなかったとRoninのデベロッパーは公式ブログへの投稿で共有した。

今回のハッキングは現在の価値で合計約6億2250万ドル(約765億円)に上り、DeFi詐欺、ハッキング、エクスプロイトを追跡するDeFiYield REKTデータベースによると、史上最大の分散型金融ハッキングとなる。2021年8月にPoly Networkがハッキングされ、当時、暗号資産史上最大だったエクスプロイトで6億200万ドル(約740億円)が流出したが、今回のエクスプロイトはそれを上回った。

Roninは、特にAxie Infinityをサポートするサイドチェーンとして作られた。Axie Infinityは最も有名なイーサリアム対応P2Eの1つで、2021年に急成長を遂げた。当初は2021年末までに25万ユーザーという「アグレッシブな目標」を想定していたが、その目標を1000%上回り、約290万ユーザーのコミュニティが形成された。

Etherscanのオンチェーンデータによると、今回のハッキングは、イーサのトランザクションUSDCトランザクションの2回にわたって発生したという。攻撃者はハッキングした秘密鍵を使って、不正な引き出しを行ったと同社は書いている。「今朝、ブリッジから5k ETHを引き出せなくなったというユーザーからの報告を受けて、この攻撃を発見しました」とのこと。

同社チームは「犯罪者を裁きにかけるために、さまざまな政府機関と連携しています」と述べている。

Ronin上のイーサとUSDCの預金はブリッジコントラクトから流出したが、同ネットワークはAxie Infinityとその親会社Sky Mavisの関係者と協力して、ユーザーの資金が永久に失われないように最善の方法を決定するため働いていると述べた。「Ronin上にあるAXS、RON、SLP(トークン)は今、すべて安全です」とも。

TechCrunchはSky Mavisに追加コメントを求めたが、同社から回答は得られなかった。

画像クレジット:Yield Guild Games

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(文:Jacquelyn Melinek、翻訳:Den Nakano)

イーサリアム互換ブロックチェーン構築クラウドなどを手がけるG.U.テクノロジーズがプレシリーズAで2.6億円の追加調達

イーサリアム(Ethereum)互換ブロックチェーン構築クラウドサービスなどを手がけるG.U.テクノロジーズは3月8日、プレシリーズAとして第三者割当増資による2億6000万円の追加調達を実施し、総額3億6100万円の資金調達を完了したと発表した。

引受先は、Coral Capitalと自然キャピタル。調達した資金は、NFTなどWeb3種の領域、エンタープライズ・ブロックチェーン領域、ステープルコインなどフィンテック領域におけるソリューション提供へ向けた開発強化にあてる。

G.U.テクノロジーズは、金融やフィンテックのバックグラウンドを持つ稲葉大明氏と、ウェブブラウザーLunascape創始者の近藤秀和氏が、親会社G.U.Labsで進めていたブロックチェーン研究の成果を元に、2020年10月にスピンアウトする形で設立したスタートアップ。

同社は、独自のイーサリアム互換Layer2ブロックチェーンを構築できるソリューション「G.U.Blockchain Cloud」、DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」を提供。Lunascape Wallet Extensionは、Google Chrome拡張機能として利用する。また、ブロックチェーン関連の情報サイト「G.U.net」も運営している。

DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」

DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」

今後は、エンタープライズ向けのイーサリアム互換Layer2コンソーシアム・ブロックチェーンの運営をはじめ、Web3時代を見据えたステーブルコイン、DeFi、NFTを含む様々な実証実験を提携企業と進める。また、顧客のブロックチェーンビジネスを支援するためのインフラやツール提供、コンサルティングや開発支援を強化していく予定。

NVIDIAを攻撃のハッキンググループLapsus$、「イーサリアムのマイニング制限回避ツールを1億円以上で買い取れ」と脅迫か

NVIDIAを攻撃のハッキンググループLapsus$、「マイニング制限回避ツールを1億円以上で買い取れ」と脅迫か

NVIDIA

大手半導体メーカーのNVIDIAは、ここ数日南米のハッキンググループ「Lapsus$」の攻撃を受けており、企業機密の塊であるソースコードなどを盗み出されたとされています。その中には、任天堂の次期ゲーム機に関する技術情報も漏れているとの推測もありました

この犯罪グループがNVIDIAに対して、盗み出した情報の1つである「RTX3000系GPUに掛けられたイーサリアム(暗号資産)の採掘効率制限を回避するソフトウェアツール」を100万ドル(約1億1600万円)以上で買い取るように持ちかけ、従わない場合は競売に出して最高額入札者に売り払うと脅していることが報じられています。

GeForce RTX 3080や3070、3060 TiなどのNVIDIA製GPUの一部は、出荷時に暗号資産マイニングにおけるハッシュレート(=性能)が制限されています

なぜこのようなリミッターを掛けているのかといえば、暗号資産マイナー達の買い占めと半導体不足によって、GPUを買いたくても買えない人達があふれていたことから、あえて「ゲーマー以外に売れすぎないように」という狙いです。この制限は箱に書かれた文字から「NVIDIA LHR(Lite Hash Rate)」と呼ばれています。

Lapsus$が売りさばこうとしているのは、NVIDIA LHRバイパス(回避)ツールとでも呼ぶべきものです。彼らはRTX 3000シリーズのファームウェアを「フラッシュ」またはアップデートすることなく制限を回避できると主張しているとのこと。

彼らは今週初めにも公開チャットルームで「フラッシュなし=どのマイナーにとっても大金になる」と宣伝したとのスクリーンショットもあります。

NVIDIAを攻撃のハッキンググループLapsus$、「マイニング制限回避ツールを1億円以上で買い取れ」と脅迫か

しかしNVIDIA LHRは、採掘効率を本来の100%から50%に下げるにすぎず、マイナーらのコミュニティは50%から70%に引き上げる方法も考え出したとのこと。

またNVIDIAはLHRを今年(2022年)後半にかけて段階的に廃止する準備中ともいわれており、もしもNVIDIAが脅迫に屈せずツールが競売にかけられたとしても、100万ドルを出してまで飛びつく人がいるとは考えにくそうです。

むしろより大きな問題は、すでに盗み出したデータのうち19GB分を公開しているLapsus$が、さらに250GBが含まれたフォルダを公開すると脅していることです。世界はロシアのウクライナ侵攻で大変な事態となっていますが、こちらでもまだ一波乱あるのかもしれません。

(Source:PC Magazine。Via WccftechEngadget日本版より転載)

暗号資産の寄付、ウクライナはどう活用するか

ウクライナ政府の公式Twitterアカウントは現地時間2月26日、2つの暗号資産ウォレットアドレス(ビットコインウォレットアドレスとイーサリアムウォレットアドレス)を共有した。「ウクライナの人々とともに立ち上がろう。現在、暗号資産による寄付を受付中。ビットコイン、イーサリアム、USDT」と@Ukraineは書いている。

しかし、これらのウォレットを誰が所有し、運用しているのかを確かめることは難しい。公開アドレスは、文字と数字の羅列にすぎないからだ。ウォレットの所有権を譲渡することは可能なので、厳密には誰のものでもない。

このようなツイートに対する最初の論理的な反応は、細心の注意を払って行動すべき、だ。これらのウォレットが政府のメンバー、政府機関、政府に代わって非公式に暗号資産の寄付を促進している政府外部の人物、または政府のメンバーのふりをしている人物によって運営されているかどうかは不明だ。

しかし、ウクライナ政府がこれらのウォレットアドレスで受け取った資金を管理している可能性は、低いというよりも高いと思われる理由がいくつかある。まず、このツイートは削除されておらず、つまり@Ukraineが悪用されている可能性はおそらく排除される。もし誰かがアカウントを乗っ取ったのであれば、政府の公式アカウントを運営している人たちは比較的早くこのツイートを削除しているはずだ。

次に、ウクライナの副首相兼デジタル変革大臣であるMykhailo Fedorov(ムィハーイロ・フョードロフ)氏をはじめとして、他の人々がこれらのウォレットアドレスを共有した。「ウクライナの人々とともに立ちあがろう。暗号資産の寄付を受付中」とフョードロフ氏は書いている

3つ目は、ウクライナのデジタル変革省の広報担当者が、@Ukraineのツイートが本物であることを確認したことだ。「これらのアカウントは国のもので、特別な暗号資産基金を作りました」と電子メールで筆者に述べた。

そして、多くの人がすでにこれらのアドレスに暗号資産を送っている。この点では、ブロックチェーンエクスプローラーに公開アドレスを入力するだけで、入出金取引のリストを見ることができるので、把握するのは簡単だ。

本稿執筆時点では、Etherscanでイーサリアムウォレットに約6800件の入金があったことが確認できる。同様に、ビットコインのウォレットアドレスに関連する取引は7000件超ある。

人々は153BTCと2230ETHを送り、現在それぞれ629万ドル(約7億2200万円)と627万ドル(約7億2000万円)の価値がある。また、一部の寄付者はUSDTやUSDCといったイーサリアムベースの暗号資産を送った。

暗号資産コミュニティの一部のメンバーも、独自の資金調達活動を開始したことは注目に値する。Michael Silberling(マイケル・シルバーリング)氏はDune Analyticsにダッシュボードをつくり、@Ukraineが支援するイーサリアムウォレットアドレスだけでなく、他のコミュニティ主導のプロジェクトに対する暗号資産寄付も追跡している。

取引に関しては、キエフに拠点を置く暗号資産取引所であるKunaに、すでに多額のETHが送金されている。

「Kuna.ioはウクライナの資金調達に技術的なサポートを提供しています」と、Kunaの広報担当者は電子メールで筆者に語った。「すべての資金は安全で、要請に応じて政府に送られています」。

Kunaの創業者Michael Chobanian(マイケル・チョバニアン)氏は主にTelegramで発信してきたが、最近自分のTwitterアカウントを作り、寄付の詳細を共有した(Kunaのチームは、このアカウントが正規のものであることをメールで確認した)。

チョバニアン氏は、資金調達活動の進捗状況の共有を始めた。

まだ未解決の懸念がいくつかある。暗号資産はどの通貨と交換されるのか? そして、これらの資金はどのように使われるのか?

TechCrunchはウクライナ政府に資金に関するより詳細な情報を求めている。また、Kunaのチョバニアン氏にも連絡を取ったが、執筆時点では返答がない。

つまり、この話題については、もっとフォローする余地がある。しかし、暗号資産ウォレットのアドレスが書かれた1つのツイートが、いかに数時間のうちに世界中から寄付者が集まる大規模な資金調達キャンペーンになったかは、すでに興味深いものだ。

画像クレジット:Ismail Ferdous / Bloomberg / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

Coinbase、第4四半期決算で予想を上回るも年明けの低迷を受け株価は沈む

米国の暗号資産取引大手Coinbase(コインベース)の株価は、米国2月24日の2021年第4四半期決算発表後、当初は急騰したが、投資家がすぐに売却したため9%も下がり、史上最低水準のすぐ上で推移している。

同社は決算年度最後の四半期で投資家の期待を上回った。しかし「暗号資産の変動性と暗号資産価格の低下」を理由に、Coinbaseは2022年第1四半期に小売月間取引ユーザー(専門用語でMTU)と総取引量が減少すると予想していると述べた。

Coinbaseの第4四半期

2021年第4四半期のCoinbaseの総収入は25億ドル(約2888億円)で、前年同期の5億8510万ドル(約676億円)から増加した。同社の売上高の大きな伸びは、収益性の大幅な向上につながり、純利益は2020年第4四半期の1億7680万ドル(約204億円)から、2021年第4四半期には8億4020万ドル(約970億円)へと大幅に増えた。また、2021年第4四半期のGAAPベースの1株当たり利益は、希薄化ベースで3.92ドル(約452円)だった。

投資家は、収益19億4000万ドル(約2240億円)、1株利益1.85ドル(約213円)を予想していた。しかし、Coinbaseの収益と利益に関する予想は、決算発表に向けてかなり幅があったことに留意する必要がある。Yahoo Finance提供のデータでは、収益予想は11億9000万〜24億4000万ドル(約1374億〜2818億円)だった。

企業財務の数値的な要点はさておき、暗号資産の世界に関連してCoinbaseの四半期から何を得ることができるだろう? たくさんある。以下のチャートは、豊富な情報を含んでいる。

個人投資家の取引量は、機関投資家の取引量に比べれば、まだ少ないことがみてとれる。しかし、個人投資家がCoinbaseの取引収益の大部分だけでなく、同社の総売上高の大半も生み出していることに留意して欲しい。取引量が少ないにもかかわらず、2021年第4四半期の個人投資家の取引は21億8500万ドル(約2524億円)の収益に相当し、一方で機関投資家の取引は9080万ドル(約104億円)の収益にとどまった。

話をさらに進めると、Coinbaseにおける取引量と取引収益を生み出すという点において、Bitcoin(ビットコイン)が優位に立つ時代は明らかに終わった。取引量と取引収益でEthereum(イーサリアム)のブロックチェーンに並んだにすぎない。そして、最後に、上のチャートから、取引量と収入の両面で他の暗号資産の台頭がうかがえる。暗号資産の世界は、時としてたった2つのブロックチェーンとその関連プロジェクトを中心に回っているように見えるが、Coinbaseの収益のストーリーはまったく異なる様相だ。

なぜ株価は下がっているのか?

Coinbaseは予想を打ち砕き、巨額の利益を計上し、前年同四半期から大きく成長した。では、なぜ株価は下がっているのだろう。答えは簡単だ。市場は、あなたが何をしたかよりも、あなたが何をしようとしているかに関心がある。言い換えれば、ガイダンスは、堅調だった過去の業績を切り捨てることができる。

Coinbaseが第4四半期決算を発表する前に、市場は2022年第1四半期の売上高16億9000万ドル(約1953億円)、1株当たり利益1.55ドル(約179円)を予想していた。同社の見通しは、これらの予想を達成しないかもしれないことを示していたのだろうか?

Coinbaseが投資家に語った、これまでの2022年第1四半期の見通しは以下の通りだ。

  • これまでの総取引高は2000億ドル(約23兆円)で、直近の四半期の取引高を大幅に下回るペースで推移しているようだ(上のチャート参照)。
  • 第4四半期を下回る「サブスクリプションとサービスの売上高」は、上記のデータポイントとともに、Coinbaseが2021年第4四半期と比較して2022年第1四半期に売上高ベースで急激に縮小するという事実を強調している。

今後に目を向けると、Coinbaseは年間平均小売MTUが500万から1500万という膨大な範囲に着地すると予想している。そして「ユーザーあたりの平均取引売上高」が「2021年以前のレベル」にまで減少すると予想している。投資家は成長しないストーリーを好まず、またCoinbaseは成長を約束しなかった。

TechCrunchは同社の決算をさらに掘り下げる予定なので、お楽しみに。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

ジャック・ドーシーが去った今、ツイッターがイーサリアムの投げ銭をサポート

Twitter(ツイッター)のファウンダーで前CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、敬虔なBitcoin(ビットコイン)信者だったかもしれないが、最高ツイート発信者の彼が地位を退いた今、ETH(イーサリアム)のTips(チップ、投げ銭)に対応しない理由はない。米国時間2月17日、Twitterは海外フィンテックプロバイダーのPaga(パガ)、Paytm(ペイトゥム)、およびFlutterwave(フラッターウェイブ)Barter(バーター)を新たにサポートし、ナイジェリア、インド、およびガーナのユーザーへも投げ銭範囲を拡大した。

Twitterでは、BitcoinによるTipsは、Strike(ストライク)のLightning Network(ライトニング・ネットワーク)経由ですでに低い手数料で利用可能だ。しかし、今回のEthereum(イーサリアム)の追加は、Twitterの非Bitcoin暗号進出の動きと一致している。悪名高いあの六角形のNFTプロフィール写真もその1つだ。

「Twitterと同じく、デジタル通貨は国際的障壁なしに運用されています。Bitcoinに加えてEthereumによるTips決済を導入することで、さらに多くの人たちが容易にデジタル経済に参加できるようになることを期待しています」とTwitter広報担当者がTechCrunchに話した。

TwitterのETH TipsはENS(Ethereum Name Service)に対応しておらず、長くて面倒な英数字形式しか使えない。ETHでTipsを送るといっても、実際にはTwitter経由で投げ銭するわけではない。ETH Tipsオプションをクリックすると、そのユーザーのEthereumアドレスがコピーされるだけなので、その後自分の暗号資産ウォレットへ行き、そのユーザーにETH Tipsを送る。しかし、投げ銭は概して少額なので、誰かのEthereumアドレスに投げ銭するのはあまり現実的ではない、手数料が高いからだ。基本的にこの機能は、自分のウォレット・アドレスをフォロワーたちと共有するための便利な方法にすぎない。

Twitter Tipsは、iOSおよびAndroidの18歳以上の全ユーザーが利用できる。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーサリアム開発者ツールプラットフォーム「Hardhat」開発元、a16zなどの寄付により非営利団体「Nomic Foundation」に

人気の高いEthereum(イーサリアム)開発者ツールプラットフォーム「Hardhat」を開発したNomic Labsは、プロトコルの開発者エコシステムを改善することを目的として、非営利団体になることを発表した。

2018年に立ち上げられたNomicは、Nomic Foundationとしてリブランディングを行っており、3000万ドル(約34億6600万円)の寄付目標のうち、すでに1500万ドル(約17億3300万円)の寄付を確保していると、共同設立者兼CEOのFranco Zeoli(フランコ・ゼオリ)氏がTechCrunchのインタビューで述べている。Nomicによると、最初のコミットメントは、Ethereum Foundatio(イーサリアム財団)、Ethereumの共同設立者であるVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏、およびCoinbase(コインベース)、Consensys(コンセンシス)、Andreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)、The Graph(ザ・グラフ)、Polygon(ポリゴン)、Chainlink(チェーンリンク)、a_capital、Kaszek Venturesなどの多数の暗号取引所やベンチャーから得られたものだ。

同グループは3000万ドル(約34億6600万円)の目標を達成するために、いくつかの分散型自律組織(DAO)に資金提供の提案を行う予定だ。

開発者ツールは、ソフトウェアエンジニアがそのブロックチェーン上でアプリを作成することをより簡単にすることで、Ethereumのような特定のプロトコルの成長を加速させることができる。ゼオリ氏によると、実際に2万3千のGitHubリポジトリ(開発者プロジェクト)がHardhatを使用しており、数万人のアクティブユーザーがいるとのこと。また、Uniswap、ENS、AAVEなどの著名な暗号プロジェクトもHardhatユーザーだという。

Nomic Foundationの主な目標の1つは、開発者に質の高いエクスペリエンスを提供するインフラを構築することで、より多くの開発者をEthereumプロトコルに引き付けることだとゼオリ氏は語る。

「Ethereumには、成功しなければならない2つの重要な側面があると思います。1つはスケーリングです。しかし、非常にスケーラブルなシステムを持っていても誰も使わないのであれば、それは無意味なことです」とゼオリ氏。開発者による採用は、Ethereumプロトコルの将来にとって中核をなすものだ、と同氏は続けた。

ゼオリ氏と彼の共同設立者は、2015年にビットコインの可能性を探るために暗号の世界に入り、Nomic Labsはプロトコルの異なるさまざまな暗号化プロジェクトに取り組むために設立されたが、Ethereum Foundationからの助成金を受けて、2019年にHardhat製品に注力するためにピボットした。この助成金がきっかけとなり、NomicとEthereum Foundationの間に密接な協力関係が生まれ、Nomicが非営利団体に移行する前は、後者がNomicの唯一の資金源となったとゼオリ氏は語った。

同氏と共同設立者のPatricio Palladino(パトリシオ・パラディーノ)氏は、ともに母国アルゼンチンに住んでいるが、同国では、通貨の切下げやボラティリティが激しく、市民の生活に支障をきたしている。このような変動に関連する課題は、暗号資産が価値ある代替手段となり得る明確な例を示しており、これがNomicを非営利団体にすることを決めた動機となったとゼオリ氏はいう。

Nomic Foundationは、Hardhatをサポートするだけでなく、Ethereumエコシステム全体を向上させることを目的として、他の開発者ツールをサポートすることを目指していく。

ゼオリ氏はこう語っている。「(Nomic Foundationが)将来的に成功するシナリオは、Hardhatに対する競争が大幅に激化することでしょう。Hardhatだけでは、成長を続ける業界全体のニーズを満たすのに十分でないことがわかっているからです。ソリューションの多様性、異なるアプローチ、異なる戦略、さらには異なる嗜好が存在することが必要なのです」。

画像クレジット:DrawKit Illustrations on Unsplash

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Aya Nakazato)

Polygonがプライベートトークンセールを実施、ソフトバンクなどから約520億円を調達

Polygon(ポリゴン)が、新たなベンチャー資金調達ラウンドで4億5000万ドル(約520億円)を調達した。評価額は130億ドル(約1兆5000億円)。Ethereum(イーサリウム)スケーリングソリューションのポートフォリオを積極的に拡大する同社は、より大きな開発者エコシステムの獲得に努める。

Polygon初の大規模な資金調達ラウンドは、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)が主導。Tiger Global(タイガー・グローバル)、SoftBank(ソフトバンク)のほか、Galaxy Digital(ギャラクシー・デジタル)、Republic Capital(リパブリック・キャピタル)、Makers Fund(メーカーズ・ファンド)、Alameda Research(アラメダ・リサーチ)、Alan Howard(アラン・ハワード)氏、Dune Ventures(デューン・ベンチャーズ)、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏のSeven Seven Six(セブン・セブン・シックス)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)、Unacademy(アナカデミー)、Elevation Capital(エレベーション・キャピタル)、Animoca Brands(アニモカ・ブランズ)、Spartan Fund(スパルタン・ファンド)、Dragonfly Capital(ドラゴンフライ・キャピタル)、Variant Fund(ヴァリアント・ファンド)、Sino Global Capital(シノ・グローバル・キャピタル)、Kevin O’Leary(ケヴィン・オレアリー)氏も、今回のプライベートトークンセールに参加した。

暗号資産領域へのベンチャー投資を追跡するウェブサイト、Web3 Signals(ウェブ3シグナルズ)を見ると、これらの投資家の多くが、Ethereumのスケーリングソリューション、あるいはこのブロックチェーンインフラストラクチャの取り組みに賭けるのは初めてのことだ。

米国時間2月8日の発表は、12月初旬にTechCrunchが報じたこの投資に関する初期段階の情報を裏付けるものとなった。

Ethereumは、あらゆるブロックチェーンの中で最大の開発者エコシステムを集めているものの、速度の遅さと高い取引手数料(「ガス代」として知られている)に悩まされている。

Polygonは、いわゆるレイヤー2またはサイドチェーンと呼ばれる企業の1つで、幅広い取引情報をブロックチェーン外に移動させる技術を採用することで、Ethereumのネットワークが成長痛を解決するのを助けようとするものだ。

Ethereumのブロックチェーンから多くの情報を移動させることによって、PolygonはEthereumのブロックにより多くの取引情報を詰め込むことができ、処理できる取引数を大幅に増やすことができる。

Polygonは最初の数年間、Ethereumのブロックチェーンから情報を移動させるPlasma(プラズマ)という技術に注力していたが、近年はこの課題に取り組むために、ZK rollups(ゼロナレッジ・ロールアップ)、Optimistic rollups(オプティミスティック・ロールアップ)、Validium(バリディアム)など複数の技術に焦点を拡大している。

Polygonはここ数四半期の間に10億ドル(1156億円)近くを投じて数社の企業を買収し、提供するサービスの幅を広げてきたと、同社の共同創業者であるSandeep Nailwal(サンディープ・ネイルワル)氏は、TechCrunchによるインタビューで語っている。

「以前、MATIC Network(マティック・ネットワーク、Polygonの旧社名)では、Plasmaのソリューションを構築していました」と、同氏は語る。「10~15のチームがPlasmaを宣伝して資金を調達したものの、Plasmaの機能を備えた適切な製品を出荷したのは我々のチームだけでした」。

「その後、コミュニティ全体が、このアプローチには確かに限界があるというコンセンサスに達しました。そこで彼らはOptimistic rollupsに移行しました。それからZK rollupsに移行し、そしてValidium。私たちは、このようなハイプサイクルを繰り返したくないとわかっています。今後何十年にもわたって存在し続けるプラットフォームを、私たちは構築したいのです」。

この2年間、レイヤー1やEthereumのスケーリングソリューションが出現し、ベンチャー投資家やヘッジファンドが、今後主流になると思われるブロックチェーンやその仲間に対して、早い段階で大胆な投資を行うというゴールドラッシュが続いている。

ネイルワル氏はこの競争を、10年以上前に見られたデスクトップOS戦争になぞらえた。「私たちは、アプローチに特化したり、テクノロジーに特化したりはしたくありません。私たちの目標は、ブロックチェーンが提供している分散コンピューティングに、インターネットレベルのスケールを提供することです」と、同氏は語った。

筆者はネイルワル氏に、Polygonがゼロナレッジ・スケーリングというアプローチにどのような自信を持っているのかと尋ねてみた。Polygonは過去2四半期に、2つのZK rollupsのスタートアップを買収している。ネイルワル氏は、ゼロナレッジがブロックチェーンスケーリングの最終ゲームになると信じていると語った。なお、Ethereumの共同創業者であるVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、Polygonに対する自身の考えを語っている

Mark Cuban(マーク・キューバン)氏を多くの支援者の中に持つPolygonは、Ethereumの拡張を目指すレイヤー2やサイドチェーン・プロジェクトの中でも、明らかにリーダー的存在として浮上してきている。1月20日の時点で、Polygonは2300万ブロック、13億件以上のトランザクションを処理してきた。この人気の高まりは、過去1年間で急速に採用が増えたためだ。DeFi(分散型金融)プラットフォームのAave(アーベ)、Curve(カーブ)、Sushiswap(スシスワップ)、Pool(プール)、Uniswap(ユニスワップ)、巨大なNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)、メタバースプロジェクトのDecentraland(ディセントラランド)やSandbox(サンドボックス)など、今や7000を超える分散型アプリケーションがPolygonに展開されている。

筆者がネイルワル氏に、Polygon上で展開するアプリはさらに増えると予想しているかと尋ねたところ、同氏は「すべてのアプリがレイヤー2チェーンに移行すると予想しています」と答えた。Polygonがどれほど普及しているか、ほとんどの人は認識していないと、同氏は語っている。

「今、ブロックチェーン上で構築するためのプラットフォームとして選ばれているのは、Polygonです。様々なアプリケーションの何千人もの開発者が、PolygonとそのEthereumエコシステムのためのスケーリングソリューション一式を選択しています」と、Sequoia Indiaのマネージング・ディレクターであるShailesh Lakhani(シャイレシュ・ラカニ)氏は声明で述べている。

「野心的でアグレッシブなチームであり、その中核にイノベーションを重んじるチームです。Sequoia Capital Indiaは、この重要な資金調達ラウンドを主導できることに興奮しています」。

今回の多額の資金調達は、初期の頃、VCの誘致に苦労していたPolygonにとって転機となる話だ。Web3分野の創業者の多くは、Polygonがその技術力と実行速度にもかかわらず、チームの大部分がインドに拠点を置いていたために、初期には他社から軽視されていたと思うと述べている。

「私たちは新参者ではありません。2017年から一生懸命働いています。昨年までは見放されていました」と、今回のラウンド前にはわずか75万ドル(約8700万円)のVC資金を調達しただけだったPolygonの共同創業者、Jaynti Kanani(ジャインティ・カナニ)氏は語る。同氏は、このスタートアップが3000万ドル(約35億円)未満の評価額で資金調達に苦労していたときの会話を思い出していた。

「茶色い顔が金色の顔になった」と、ネイルワル氏は笑いながら冗談を言った。

「昨年になってようやく、我々が多くのアプリケーションを取り込み、その多くがバイラルになったことで、コミュニティが我々に注目し始めたのです。シリコンバレーのプロジェクトとは違って、私たちはインド式のボトムアップグラインドをしなければなりませんでした。これは長期的に見て持続可能だとも思います」と、同氏は付け加えた。

機関投資家の参加は、Polygonのブランド構築やパートナーシップの獲得に役立つと、ネイルワル氏は述べている。

「私たちは、市場で非常に流動性の高いトークンと、かなりの資金を持っています。資金調達のために市場に出向く必要はありませんでした。世界の市場が暗号資産の世界に目を向けるようになると、デイリーアクティブユーザー数や取引量などのオーガニックな指標では、当社はSolana(ソラナ)の5~10倍、Avalanche(アヴァランチ)の20倍も大きいにもかかわらず、必要な認知度を得ていないことに私たちは気づきました。前述したこれらのプロジェクトは、機関主導のマーケティングを多く行うことができているのです」。

今回調達した資金は、Polygonがいくつかの市場でより大きな開発者のエコシステムを構築するためにも役立つと、ネイルワル氏は語る。

「私たちは、彼らのために少なくとも3年から5年の十分に余裕のあるランウェイを確保したかったのです」。Polygonは1億ドル(約115億5000万円)のエコシステム資金を用意しているが、新たに調達した資金を使って、より多くのアクセラレータ、ハッカソン、助成金などの活動を支援・拡大していく予定だと、同氏は述べている。

近い将来にPolygonが計画しているもう1つの賭けは、アイデンティティの領域であるとネイルワル氏は言う。「Polygonの目標は、Web3のAWSになることです。 Web3のAWSには、アイデンティティの部分が必要です。ですから、この分野にも力を入れていきます」と、同氏は語った。

機関投資家を得たことで、Polygonは大物を雇うこともできるようになると、カナニ氏は述べ、最近ではYouTube Gaming(ユーチューブ・ゲーミング)を率いていたRyan Wyatt(ライアン・ワイアット)氏を雇用したことを例として挙げた。

画像クレジット:Getty Images
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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LINE Payオンライン加盟店でLINE独自の暗号資産LINKでの支払いが3月16日から可能に、ビットコインやイーサリアムも検討

LINE Payオンライン加盟店でLINE独自の暗号資産LINKでの支払いが3月16日から可能に、ビットコインやイーサリアムも検討

LINE Payのオンライン加盟店で、LINEの暗号資産LINKによる支払いが可能となります。LINK支払いに対して10%を還元(還元上限5000円相当/月)するキャンペーンも実施します。

LINKによる支払いは、3月16日から12月26日までの期間限定で、試験サービスとして実施予定。まず一部のLINE Payオンライン加盟店から対応し、順次拡大します。

これによって、ユーザーが「LINE BITMAX」上に保有する「LINK」での支払いが可能となります。また、今後はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など、他の暗号資産による支払いの導入も検討します。

「LINK」は、LINEのブロックチェーン子会社「LVC」の傘下であるLTP社(LINE TECH PLUS PTE. LTD.)を通じて、独自開発したプライベートブロックチェーン「LINE Blockchain」を用いて発行する暗号資産で、サービス成長に貢献したユーザーに向けたインセンティブとして還元する目的でサービスを開始したもの。

2020年8月の暗号資産取引サービス「LINE BITMAX」における「LINK」取り扱い開始以降、「LINK」を活用したキャッシュレス化推進を目標に掲げ、「LINK」を活用したLINE Payの特典クーポンや各種キャンペーン、調査分析等の取り組みを行っています。

(Source:LINE PayEngadget日本版より転載)

【コラム】DAOはメディアに革命をもたらすのか、それとも金持ちの遊び場を作るだけだろうか?

2021年11月に、ConstitutionDAOという何千人もの暗号資産ファンを擁する仮想フラッシュモブが、米国憲法の初版の1つを購入するために約4500万ドル(約51億8000万円)をクラウドファンディングした。オークションには敗れたが、彼らはすでに、ニュースレター会社MorningBrewが配布した絵文字入りのスウェットシャツのラインを立ち上げていた。

ソーシャルメディアに無数のミームを氾濫させ、クラウドファンドへの参加を呼びかけたこの動きは、今やベンチャーキャピタル界で大流行している自立型分散組織(DAO、Decentralized Autonomous Organization)の一例にすぎない。Bitcoin Core(ビットコイン・コア)のようなオープンソースプロジェクトと同様に、DAOプロジェクトには自発的な参加者と受動的なフォロワーの両方が含まれており、その多くは有償のコアコントリビューターによって管理されている。コントリビューターに報酬を支払うためにどのように資金が集められるかは、プロジェクトによって大きく異なる。

他にも、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が支援するFriends with Benefits(FWB)など、複数のDAOプロジェクトが6億ドル(約692億円)を超える資産を運用している。DJやイベントコーディネーターの経験を持つFWBのリードオーガナイザーAlex Zhang(アレックス・ザング)氏は、2021年5月に収益性の高いDAOを統括しており、同クラブでは現在、奨学金プログラムを設けて四半期ごとに最大40人の奨学生を受け入れているという。このプログラムは最長3年間の資金提供を受けている(それ以外の場合はフルメンバーとして約8000ドル[約92万円]を要する)。

人々は、アイデアが即座に資金調達につながるか、立ち消えとなるかを確認する目的で自発的にDAOを開始することも多く、また暗号資産に関する試みを行うためのよりソーシャルな方法を含む、さまざまなネットワーキングの機会のためにDAOに参加することもある。ここで話を戻すと、これらのDAOの多くは、基本的に暗号資産を利用するメディア企業である。DAOと、The Informationのような(フィアットの)サブスクリプションファンドによる組織の間には、重複する部分も数多くあるが、主な違いは、FWBがジャーナリズムのイベントではなくパーティーを開くことだ。

手短にいえば、FWBは投資家の友人たちのグループで、2020年9月に資金をプールし、自分たちのクラブに入ってトークンを買いたいと望むEthereum(イーサリアム)ファンを募ったものだ。その後、マイアミ、パリ、ニューヨーク、ロサンゼルスでトークン保有者のための独占パーティーを開いた。ザング氏によると、FWBには現在、2000人の正会員に加えて、より安価な読み取り専用または地域限定のメンバーシップを持つ少数のファン集団が含まれているという。

「ZINE(個人やグループで制作する出版物)のようなマルチメディア資産を作成する編集・コンテンツチームを組織し、他の形式のコンテンツにも確実に移行しています。近々ラジオ局を立ち上げ、さまざまなDJをブックする予定です」とザング氏は語る。「私たちはサブスクリプション料金モデルから資産保有に移行しつつあります」。

特に有名なDAOとしては、ジャーナリストのDaisy Alioto(デイジー・アリオト)氏とKyle Chayka(カイル・チェイカ)氏が創設したニュースレターDAOプロジェクトDirt、Uniswap(ユニスワップ)のようなツールのユーザーのための暗号資産取引DAO、さらにFWBやPleasrDAOなどの暗号資産ソーシャルクラブが挙げられる。PleasrDAOのようなアートに特化したDAOは、JPEGからレアなアルバムまでのあらゆるものを含むアートコレクション収集のために数百万ドル(数億円)を集め、分配している。

PleasrDAOの共同創設者であり、2014年のEthereumトークンの最初の販売に参加したJamis Johnson(ジャミス・ジョンソン)氏は、次のように述べている。「DAOの会員総数は74人です。他のDAOと同様に、絶え間ない浮き沈みがあります。フルタイムの従業員として専任のオペレーターが在籍しており、約5人ほどになると思います。主なコミュニケーション手段はTelegram(テレグラム)です」。

これまでのところDAO参加者のほとんどは、さまざまなDAOにわたり、Ethereumの共同創設者Joe Lubin(ジョー・ルービン)氏のポートフォリオに属するMetaMask(メタマスク)、Gitcoin(ギトコイン)、Gnosis(グノーシス)、Infura(インフラ)といった企業に依存している。特にMetaMaskは現在、月間アクティブユーザー1000万人を擁しているという。また、Gitcoin DAOは6億4300万ドル(約741億円)を超える資産を持つと推定されている。

GitHubがスポンサーとなった調査によると、2021年時点で、DAO参加者422人のうち33%がFWBのようなDAOから月に1000〜3000ドル(約11万5000~約34万6000円)を受け取っている。回答者は主に、2020年以前からEthereumプロジェクトに深く関わっていた若い男性だった。現在のDAO参加者のほとんどが富裕層の暗号資産ファンだとしても、それはこのムーブメントのより広範なゴールではない。

FWBの投資家であり、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)がSubstack(サブスタック)やPatreon(パトレオン)、暗号ブログプラットフォームMirror(ミラー)といったクリエイターエコノミー企業の背後にいる「It Girl」投資家と呼ぶLi Jin(リー・ジン)氏の言葉を借りれば、DAOの目指すところは「暗号資産への新規参入者のためのフロントドア」になることだ。

その一方で、一部の機関はすでにDAOを受け入れており、ビジネスを行っている。ConstitutionDAOはSotheby’s(サザビーズ)に入札し、PleasrDAOは希少なWu-Tang Clan(ウー・タン・クラン)のアルバムをUnited States Department of Justice(米国司法省)から直接購入した。ワイオミング州は2022年に入り、DAOを州として初めて独自の法制度として認めている。ただし、申請手続きはまだ難しく、制約が課される可能性もある。

DAO MastersとFWBのメンバーであり、環境に焦点を当てたEcoDAOの創設者であるDavid Phelps(デイヴィッド・フェルプス)氏は、現時点で少なくともDAOムーブメントにより、人々の慈善活動への寄付が促されていると述べている。実際、このスペースには、奨学金プログラムやさまざまな慈善活動への数百万ドル(数億円)の寄付があふれている。

「ドルのエコトークンをリリースすれば、私たちはすべて問題なく支払いを受けることができるでしょう」とフェルプス氏は語り、自らのDAOの試みに言及した。先住民の土地改革と熱帯雨林の再生のための慈善事業に、これまでのところ3万7000ドル(約427万円)余りが集まっている。「ですが当面の目標は、アーティストたちが互いに支え合い、生涯にわたって収入を得られるような持続可能なエコノミーを作ることです」。

参加するには費用がかかり、困難がともなうかもしれないが、DAOムーブメントはすでに「ステータスを寄付に結びつけ、人々にパーティーの支払いを促し、意義のある大義にお金を再配分する」ことで価値を高めることを促進していると同氏は付け加えた。

しかし、このきらびやかな部屋の中の象は、Ethereumのベテランであっても、これらの数百万ドル規模の暗号資産クラブのメンバーがどのように税金を支払うかを誰も認識していないことを意味する。DAOムーブメントに関わっている中産階級の参加者たちの多くは、彼らが数千ドル(約数十万円)もの税金をため込んでいることに気づいていない。

「私たちは多くの請負業者や開発者、DAOのために働いている人々が税金申告の要件を知らないのを目の当たりにしてきました」と、Gordon Law(ゴードン・ロー)の税理士Andrew Gordon(アンドリュー・ゴードン)氏は話す。「通常、こうした事業者は1099(米国税庁の個人事業主向けの申請書)を発行する必要があります。社会保障番号なしでどうやって発行するのでしょうか?1099を提出しないと罰則が科せられます」。

さらにゴードン氏は、こうしたDAOの多くはフリーランスのコントリビューターやオペレーターに、ドルやその他の通貨ではなく独自のメンバーシップトークンで支払っていると付け加えた。これはトークンの「公正な市場価値を決定する責任は納税者に帰する」ことを意味する、とゴードン氏。DAOが自動的にNFT(非代替性トークン)をメンバーに贈与する場合、これは納税義務についての疑問を提起するかもしれない。2022年の納税シーズンが到来したとき、これらのデジタル資産の価格が急落すると、一部のDAOコントリビューターは支払い能力を超える税金を支払う義務を負う可能性がある。

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    FWB Paris party(画像クレジット:Alex Zhang)
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    FWB Paris party(画像クレジット:Alex Zhang)
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    FWB Paris party(画像クレジット:Alex Zhang)

「受け取った暗号資産が、受け取った時点での公正な市場価値に基づいて課税されることを知らなかった人から、電話がかかってくることがよくあります」とゴードン氏は続ける。「NFTとの関係でさらに複雑化する点は、評価の問題【略】最低価格と平均市場価格のどちらがその価値になるのでしょうか」。

すでに多くの若者たち、前述のDAOに参加する余裕がない人たちが、これらの試みを模して独自のものをローンチしている。Shannon Li(シャノン・リー)氏のケースもそうだ。

同氏は2018年に大学を卒業した後、パンデミックの初期には嫌だった仕事を辞め、それ以来コーディングのブートキャンプに参加している。現在独自のDAOを作っているが、それは人気の高いDAOの会費を払う余裕がなく、自分が応募した無料のオポチュニティにも反応がなかったからだ。こうして同氏は、トークンなしで開始することで、法的リスクを巧みに軽減することに成功した。

「DAOの最大の懸念は、実際には合法性と弁護士費用です」とリー氏は言い、DAOトークンの中には証券として規制されるものもあるかもしれないと指摘した。「このことは、トークンの販売が流通市場で行われるサービスではなく、サービス・フォー・サービスのDAOを作成したいと思う大きな理由です」。

リー氏は、女性のための暗号資産教育コンテンツに焦点を当てた80人で構成されるDiscord(ディスコード)サーバー、WEKrypto DAOを立ち上げた。最終的には、DAOにトークンゲートのグループチャットとNFTのイベントチケットを導入する計画だ。今のところ、ブートストラップ段階では「暗号資産についてもっと学び、他の人たちも利用できるように公開し、願わくば共有学習のジャーニー上で関係を築いていく」ことに注力している。

このムーブメントが、ルービン氏やVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏のようなEthereumの創設者たちによって育まれ、サポートされた企業を超えて成長するにつれて、DAOのエコシステムがどのようになるかはまだわからない。(すでに一部の人たちは、Bitcoin[ビットコイン]やSolana[ソラナ]のようなブロックチェーンを使いながら、同様のDAOのコンセプトを実装し始めている。)明るい面としては、FWBやIndex CoopのようなDAOにより、このムーブメントの多様性を改善するための多くの取り組みが始まっていることだ。

「私たちのコミュニティは、参加できなかったアーティストやクリエイター、その他の人たちに報いるために、1万8000のトークンを使ったフェローシッププログラムを立ち上げました」とザング氏はFWBについて語っている。「私たちは、普遍的な基本的資産の所有権を提供しています。この世界で何かを創造しているのであれば、その価値の一部を手に入れることができるはずです」。

今日でも、DAOたちが使っているツールは実験的なものだという見方が依然として大勢を占めている。Awesome People Ventures(オーサム・ピープル・ベンチャーズ)の創設者で、PartyDAOを含む複数のDAOのメンバーであるJulia Lipton(ジュリア・リプトン) 氏は、広く使われているGnosis Safe(グノーシス・セーフ)ウォレットに数百万ドル相当のデジタル資産を保有することは依然として「リスクを感じ」、DAO実験の技術面を完成させるには「途方もない時間」を要することが多いと述べている。技術的な問題に加えて、中間層のユーザーにとっては取引手数料が法外に高い場合もあるという。

「先は長いです。税金や規制だけでなく、DAO全般に関しても、未知のものが山ほどあります。コミュニティの所有権という概念については、まだ完全には解明されていません。私たちはこれらのプロジェクトをすべてA/Bテストし、公の場で実験を行ってきました」とリプトン氏は語る。

リプトン氏がDAO Mastersの設立に協力したのはそのためである。何十万ドル(何千万円)もの資金をクラウドファンディングして、新規参入者がDAOに関わるオポチュニティ、スキル、リスクについて学べるように支援した。

「私が最も情熱を注いでいることの1つは、価値の創造が価値の帰属と分配に結びつくことです。うすればより公正で公平なシステムを作ることができるでしょうか?」とリプトン氏はいう。

最終的には、DAOムーブメントの主要なインサイトは、他の方法では難解なメタバースに属しているという感覚に対して、人々がどれだけのお金を払おうとしているかということかもしれない。DAOのメンバーは、受動的なオーディエンスではなく、トライブ(同じ志を持つ人々の集まり)である。そのため、彼らは自分たちが代表されていると感じるメディアや体験に対して(お金か労働力のどちらかで)喜んで支払う。

あらゆる暗号資産トレンドと同様に、この帰属意識は金持ちになるという希望によって増幅される。DAOの参加者の中には、表立ったコメントは控えたものの、参加者自身のスタートアップやDAOに投資する可能性のある投資家とネットワークを作りたいと考えてDAOに参加していることを強調する向きもあった。

それは、Andreessen Horowitzの投資家ネットワークで埋め尽くされたDAOに所属することの魅力の一部だ。ジン氏は自身もこの巨大ファームの出身であり「(FWBの創設者である)Trevor McFedries(トレヴァー・マクフェドリーズ)氏とは何年来の友人」であると語っている。またザング氏は、マクフェドリーズ氏がFWBに招かれるずっと前から個人的な友人だったという。DAOのメンバーは、彼らの友人を定期的に高額な雇用や投資のオポチュニティに招待する。これらの暗号クラブに参加することは、いくつかの点で、アイビーリーグの友愛会に匹敵する。

一方、FWBの投資家であるジン氏は、Twitter(ツイッター)やポッドキャストで、クリエイターがより直接的にユニバーサルベーシックインカム(UBI)の恩恵を受けられるようになることへの期待を率直に語っている。ニュースレターのDirt(ダート)やForefront(フォアフロント)のライターたちのプログラムのようなDAOのその他の実験は、DAOの将来の可能性を垣間見せてくれる。それは、お互いのベンチャー支援によるグループチャットに投資している裕福な友人たちだけにとどまらない。

Forefrontのライターへの支払い能力は1稿当たり400ドル(約4万6200円)ほどで、数百人のトークン保有者を抱えるコミュニティの成長に支えられているが、目につくものではない。税金の問題やEthereumの取引手数料を考慮しても、その価格は一部の主要な従来型の小売店が最近ライターに支払っている額と変わらない。DAOのアドボケートたちが、より公平で分散化されたメディアのエコシステムを目指していると信じていることは明らかだ。コンプライアンスモデルが出現して初めて、リスクと責任がこれらのネットワークにどのように分散されるかが明らかになる。

「DAOは潜在的に、労働市場が機能する新しい方法と新たな経済的インセンティブを解き放ちます」とリプトン氏は語る。「コミュニティのトークンが長期的にどうなるかはまだ結論が出ていませんが、コミュニティの所有権という概念は残るでしょう」。

情報開示・著者はKomorebi CollectiveDes Femmes DAOの2つのDAOプロジェクトの創設メンバーである。

画像クレジット:Andrii Yalanskyi / Getty Images

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(文:Leigh Cuen、翻訳:Dragonfly)

Reddit、Twitterのように任意のNFTをプロフィール画像に設定できる機能をテスト中

Reddit(レディット)は、2021年に数量限定でリリースしたCryptoSnoos」と呼ばれる自社のイーサリアムベースのNFT(非代替性トークン)だけでなく、ユーザーが所有するあらゆるNFTをプロフィール画像に設定できる機能をテストしている。NFTをプロフィール写真に設定できる同様の機能は、最近Twitter(ツイッター)でも始まり、写真をクリックするとNFTに関する情報が表示され、Twitterの標準的なプロフィール写真と区別するために六角形の画像として表示される。しかし、RedditがNFTをどのようにサポートするか、詳細はまだ決まっていない。

関連記事:Twitter Blue利用者はNFTをプロフィール写真として使用可能に

TechCrunchに提供された声明の中でRedditは、このNFTテストは非常に初期の段階にあり、サイト上の一般ユーザーが利用できるようにはなっていない、と説明している。

「我々は常にRedditのユーザーとコミュニティに価値を提供する方法を模索しています。現時点では、NFTをプロフィール写真(アバター)として使用し、所有権を証明する機能をテストしています」と、Redditの広報担当者Tim Rathschmidt(ティム・ラスシュミット)氏は述べた。「小規模な内部テストであり、機能の拡張や展開については決定していません」。

Redditは以前からNFTに関するさまざまな取り組みを試みており、nft.reddit.comにNFT関連の専用ページまで開設している。当面の間、このページは主にReddit独自のデジタルコレクティブルであるCryptoSnoosにフォーカスしている。

知らない人のために説明すると「Snoo」の部分はRedditのエイリアンのマスコット、別名「Snoo」を指しており、コレクティブル自体はSnooのイメージに基づいたバリエーションとなっている。例えばあるものはブロック状のイメージ、またあるものはヘリウム風船のイメージといった感じだ。CryptoSnoosは全部で4つしかリリースされていない。

Redditの既存のCryptoSnoos

CryptoSnoosに対する反応は、明らかにまちまちだった。多くのRedditユーザーは発表投稿のコメント欄で、RedditのNFTへの進出について「バカバカしい」「ギミック」、あるいはもっとひどい表現で怒っていた。また、NFTの価格が高く、多くの人がこのエコシステムに参加できないことを懸念する声もあった。しかし、中にはより中立的な好奇心や、Redditの取り組みへの支持を示す人もいた。

これらの反応は、NFTが業界を越えて賛否両論を呼んでいることを反映している。例えば、NFTのプロフィール写真を使用したTwitterアカウントをブロックするツールをすでに構築した人がいる。Discord(ディスコード)とMozilla(モジラ)は、ユーザーの大きな反発を受け、暗号資産プロジェクトを一時停止した。ゲームコミュニティでは、従来のゲームパブリッシャーが暗号資産に移行しようとしたため、混乱が生じた

CryptoSnoosは初期テストにすぎないため、さらにCryptoSnoosを立ち上げる明確な計画はない、とRedditは話す。

画像クレジット: Nima Owji

新しいNFTのテストは、開発者のNima Owji(ニマ・オウジ)氏が最初に発見した。同氏は、Redditのウェブアプリでこのプロジェクトに言及したバナーを見つけたと語った。それはRedditのコミュニティのメインページの上部に表示されていたが、Redditのユーザーには表示されていなかった。同氏は、RedditのエイリアンをテーマにしたCryptoSnoosだけでなく、NFTを表すさまざまな種類の画像が含まれていたことから、この画像はCryptoSnoos外への拡張を表しているのではないかと推測している。

また、バナーはスコープの拡張を明確に説明している。「あなたのNFT、今度はあなたのアバターです!」。続いて「デジタルコレクティブルをRedditのアバターとして使えるようになりました」という短い説明もある。

発見した時、バナーの「Get Started」ボタンは機能していなかったという。

しかしオウジ氏はその後、Redditのコードの中に、OpenSea上のNFTのテストコレクションと思われるものへの参照を見つけ、それはRedditエイリアンのさらなるバリエーションだった(いずれも販売されていない)。これらはRinkebyという、メインのイーサリアムネットワークに公開する前にブロックチェーンの実験を行う場所として設計されたイーサリアムのテストネットワーク上にあった。

OpenSeaでのRedditのNFT実験

NFTアバターを立ち上げる場合、どのようなブロックチェーンに対応するのか、そして対応ブロックチェーンの詳細についてもRedditはコメントしなかった。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFT・DeFi革命を支えるイーサリアム、大型アップグレード「イーサリアム2.0」について簡単解説

NFT・DeFi革命を支えるイーサリアム、大型アップグレード「イーサリアム2.0」について簡単解説

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

2021年の暗号資産業界は、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)やDeFi(分散型金融)などに代表にされるように、ビットコイン以外の領域で大きな革命が起こった年です(日本銀行「暗号資産における分散型金融」も参照)。2021年のビットコイン(BTC)価格の上昇幅は、株など伝統的な資産と比較すればかなり高いリターンですが、実は主要仮想通貨20銘柄でみると、下から3番目の低記録です。理由は、イーサリアム(Ethereum)や「第3世代」といわれるその他ブロックチェーンの台頭です。本稿では、NFTやDeFi革命をさらに加速させる原動力となるイーサリアムの大型アップグレードと、その成功のカギについて、解説します。

NFT・DeFi革命を支えるイーサリアム、大型アップグレード「イーサリアム2.0」について簡単解説

(出典:Kraken Intelligence「2021年のリターン 主要20種(SHIB除く)」)

ブロックチェーン第3世代

DeFiやNFTのプロジェクトは、ほとんどがイーサリアムを基盤としています。イーサリアムの最大の功績といって良いのが、スマートコントラクトの発明。スマートコントラクトは、ブロックチェーン上であらかじめ決められた契約を自動的に実行する仕組みです。スマートコントラクトのおかげで、イーサリアムのブロックチェーン上で、仲介業者なしで成り立つ分散型アプリ(dApps)開発が進みました。イーサリアムがNFTやDeFiの受け入れ基盤として大きなシェアを獲得している理由は、スマートコントラクトの先駆けである点が大きいでしょう。

しかし、最近はソラナ(Solana。GitHub)やアヴァランチ(Avalanche。GitHub)、カルダノ(Cardano。GitHub)など「イーサリアムキラー」と呼ばれるブロックチェーンが台頭し、DeFiやNFT領域におけるイーサリアムの市場シェアを奪う動きが出ています。例えば、DeFi関連データの集計サイトDeFi Llamaによりますと、約1年前、DeFiプロジェクト全体の預かり資産(Total Value Locked)は、イーサリアムがほぼ100%のシェアを占めていましたが、63.13%(2021年12月13日時点)まで低下しました。

NFT・DeFi革命を支えるイーサリアム、大型アップグレード「イーサリアム2.0」について簡単解説

(出典:Kraken Intelligence「DeFi預かり資産に占めるイーサリアムの割合」)

なぜでしょうか?

そこには、「ブロックチェーンのトリレンマ」問題が深く関わってきます。これは、イーサリアム創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が指摘した問題で、「スケーラビリティ」(規模の拡張性。Scalability)と「セキュリティ」、そして「分散性」(Decentralization)の3つすべてを同時に成立させることは難しいことを意味します。

イーサリアムは、分散性とセキュリティでは成功していますが、問題となっているのがスケーラビリティです。スケーラビリティとは、いわば、増え続けるユーザーやデバイスをサポートするブロックチェーンの「容量」を指します。

NFTやDeFi市場の急拡大によって、多くのユーザーがイーサリアムに殺到した結果この「容量」が課題となり、イーサリアムのネットワークの「渋滞」とそれに伴うガス代(手数料)の高騰が発生。それを嫌気した多くの開発者やユーザーが他のブロックチェーンに移るという現象が発生しています。

イーサリアムの代替となるブロックチェーンは、第3世代ブロックチェーンと呼ばれています。ビットコインを第1世代のブロックチェーン、イーサリアムを第2世代のブロックチェーンとすると、先に触れたソラナやアヴァランチ、カルダノは第3世代のブロックチェーンと位置付けられ、主にスケーラビリティ問題の解決に注力しています。

また、第3世代のブロックチェーンは、「インターオペラビリティ」(ブロックチェーン間の接続性。Interoperability)や「持続可能性」(サステナビリティ。Sustainability)も重視しています。とりわけ環境面の持続可能性問題に関して、ほとんどの第3世代は、環境に優しいといわれるPoS(プルーフオブステーク)というコンセンサスアルゴリズムを採用しています。

第3世代のブロックチェーンに関する詳細な解説は、次の機会に譲ります。今回は、イーサリアムも、やられっぱなしではなく、「イーサリアム2.0」(Eth2)と呼ばれる大型アップグレードによってスケーラビリティの問題に対応しようとしていることを紹介します。

「イーサリアム2.0」の目玉その1、「ステーキング」

イーサリアム2.0の目玉となるのが、「ステーキング」と「シャーディング」です。まずは、「ステーキング」を理解する上で必要な知識であるPoWとPoSという2つのコンセンサスアルゴリズムの違いについて解説します。

イーサリアム2.0と現在のイーサリアムの大きな違いの1つに、コンセンサスアルゴリズムと呼ばれる取引承認に関する合意形成の方法が変わります。現在のイーサリアムではPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを採用しています。イーサリアム2.0では、これがPoS(プルーフ・オブ・ステーク)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムに変更されます。

PoWは、時価総額1位のビットコイン(BTC)も採用しています。ビットコインなどPoWのネットワークに参加するコンピューター(ノードと呼ばれる)は世界中に分散していますが、それらのコンピューター同士が取引記録の検証作業で競争をする仕組みになっています。

具体的には、条件を満たすハッシュ値を探すという演算競争で、最も早く解を得たコンピューターが報酬をもらえる仕組みになっています。この報酬をめぐって、世界中の企業がマイニング施設の建設や機器購入に巨額マネーを投じています。

演算の解をめぐるマイニング競争には大量の電力が必要となります。このためマイニング、ひいてはPoWというコンセンサスアルゴリズムは環境に悪いと見方があります。

対照的にPoSは、環境フレンドリーなコンセンサスアルゴリズムといわれています。イーサリアム財団は、PoWに移行したらPoWで使う電力消費量の99.95%を削減できるという試算を発表しました。

PoSにはマイナーが存在しておらず、代わりにバリデーターと呼ばれる存在が取引記録の検証を行います。一定の仮想通貨をPoSのネットワークで長期保有(ロック)することで、バリデーターがブロックを検証・承認する権限を獲得する仕組みです。これにより、PoWで見られたようなマイナー同士の競争がなくなり、電力の消費量が大幅に削減されることになります。

PoWとPoSは一長一短ですが、現在はESGs重視という世間的な後押しがあります。そうした状況では、何かとPoSに注目が集まるでしょう。イーサリアム2.0は、世間的に強い追い風を受ける中で立ち上げを迎えられるかもしれません。

「イーサリアム2.0」の目玉その2、「シャーディング」

次は、もう1つの目玉であるシャーディングについてです。先述のスケーラビリティ問題への対策として位置付けられます。

シャーディングとは、データベースを分割することで負荷を分散させる技術を指します。イーサリアムの場合、シャーディングによりイーサリアムのネットワークをさらに64の新しいチェーンに分割することで、取引処理能力向上を目指します。分割されたチェーンを「シャード」と呼びます。

シャードのおかげで、イーサリアムのこれまでの取引記録を分散して保管することができます。バリデーターは、全体ではなく、各シャードの取引記録を検証すればよくなります。

イーサリアム財団によると、2022年に、2020年12月に立ち上がったイーサリアム2.0の基盤となるブロックチェーン(ビーコンチェーン)と、現在のイーサリアムのブロックチェーンによるマージ(統合。Merge)、またそれによるPoSへの移行が予定されています。イーサリアム共同創設者ジョセフ・ルービン(Joseph Lubin)氏が設立したコンセンシス(ConsenSys)によると、マージは2022年の第1四半期か第2四半期に実施されます。

シャードチェーンの導入は、イーサリアム財団によりますと、2023年と推定されています。

現在イーサリアムは、開発者のリソースとユーザーベースで他を圧倒しており、DeFiやNFTなど業界最先端技術の受け皿となっています。今後の焦点は、「イーサリアムは『イーサリアムキラー』からどこまでシェアを守れるのか?」でしょう。イーサリアム2.0の進捗が予定通り進んでいることで開発者やユーザーを安心させ、ガス代高騰が長続きしないことを示すことが、イーサリアム成功のカギとなるでしょう。

画像クレジット:Kanchanara on Unsplash

Operaが暗号資産ウォレットやdAppsサポートを搭載したWeb3「クリプトブラウザ」ベータ版で提供開始

Opera(オペラ)は、ビルトイン暗号資産ウォレット、暗号資産 / NFT取引所への容易なアクセス、分散型アプリ(dApps)サポートなどの機能を搭載したWeb3「Crypto Browser」ベータ版の提供を開始した。OperaのEVPであるJorgen Arnensen(ヨルゲン・アーネンセン)氏は「メインストリームユーザーが戸惑うことの多いWeb3のユーザー体験をシンプルにする」ことを目指していると声明で述べている。

主な特徴は、イーサリアム、ビットコイン、セロ、ネルボスなどのブロックチェーンに対応するノンカストディアル(自己管理型)ウォレットを最初から内蔵していることだ。また同社は、Polygon(ポリゴン)などとのパートナーシップも発表した。これは、拡張機能を必要とせずにユーザーが自分の暗号資産にアクセスできるようにするという考えによるもので、サードパーティのウォレットも使用できるようになっている。フィアットからクリプトへの交換により暗号資産を購入したり、直接ウォレット内で暗号資産を交換したり、それらを送受信したり、ウォレットの残高を確認したりすることが可能だ。また、コピー / ペーストの際に他のアプリがデータを取得できないようにするセキュアクリップボードも搭載している。

もう1つの主な機能はWeb3、つまりブロックチェーンベースの分散型インターネットへの対応だ。これは、暗号愛好家(および懐疑派)の間でバズワードとなっている。ブロックチェーン暗号化によるセキュリティ強化に加え、ユーザーはGameFiなどにアクセスすることで「あらゆる種類のメタバースをプレイして収入を得られる」とOperaは述べている。また、最新のブロックチェーンニュースを掲載した「Crypto Corner」も用意されており「Web3のスキルを向上させることができる」としている。

OperaのライバルであるMozilla(モジラ)は最近、暗号資産による寄付を受け付けることを発表したが、ブロックチェーンの環境への影響をめぐり、共同創業者のJamie Zawinski(ジェイミー・ザウィンスキー)氏を含むユーザーから強い反発を受けた。同様の反応を予想してか、Operaは、よりエネルギー効率の高いEthereumレイヤー2規格を「可能な限り早く」実装することを目指していると述べている。

Ubisoft(ユービーアイソフト)のようにNFTなどでブロックチェーンの時流に飛び乗った企業も、同様の批判にさらされている。しかし、Operaは少なくとも、通常のOperaブラウザゲーマー専用のブラウザも提供しており、複数のブラウザオプションでユーザーに選択肢を与えている。Crypto Browserは現在、AndroidWindowsMacに対応しており、iOS版も近日中にリリースされる予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Opera

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

共通の思い出をNFTとして鋳造する「そこにいた証明」Web3スタートアップが約11.4億円を調達

ブロックチェーンがデジタル史の不変の記録であるならば、我々はそこにどのような歴史を刻みたいのだろうか。予想どおり、これまでの記録のほとんどはトランザクションデータだったが、起業家たちがNFTへの野心を膨らませるにつれ、スタートアップはこうした資産トランザクションを現実世界のイベントや交流と結びつけることを目指している。

POAPは「Proof Of Attendance Protocol(出席証明プロトコル)」の略で、NFTを使ってインターネット上のコミュニティを構築するというアイデアをより深く掘り下げ、よりアクティブなコミュニティを作り、イベントへの出席というような個人の参加に対して見返りを与えるプロトコルだ。POAPは、そのプロトコルを視覚的に表現するために、バッジを中心に構成されている。現実世界の例では、ユーザーがQRコードをスキャンしてNFTの記念品を受け取ると、それによってオンラインコミュニティへの参加が可能になり、将来的にドロップを獲得することができる、といったシナリオが可能だ。

このような機能は、イーサリアムのプロジェクトにも数多く存在している。ブロックチェーンの基本的な機能の一部により、開発者は特定の時点でプロジェクトにリンクしているアクティブなウォレットの「スナップショット」を作成することができる。POAPのエコシステムには、イーサリアムを利用した投票、ラッフルコンテストの仕組み、プライベートチャットの検証技術など、他にも多くのツールが含まれている。

同スタートアップは今週、ArchetypeとSapphire Sportが主導するシードラウンドで1000万ドル(約11億4000万円)の資金を調達したことを発表した。Sound Ventures、The Chernin Group、Advancit Capitalが出資した他、Collab Currency、1KX、Libertus Capital、Red Beard Ventures、6th Man Ventures、Delphi Digital、A Capitalなど、多くのクリプトネイティブファンドがこのラウンドに参加した。

POAPは2021年に、NFTコミュニティの成長が加速し、同社のプラットフォームを利用しようとする人々の数が増えたことで、圧倒的な数のスパムが流入し、プラットフォームが停止してしまうという課題に直面した。同社はブログ記事の中で、新たな資金をアプリケーションとプラットフォームレイヤーへの投資に充てる予定だと述べている。

画像クレジット:POAP

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

レコチョクがWeb3時代を見据えブロックチェーン活用ビジネスに参入、NFT発行・販売や音楽業界にDAO提案

レコチョクがWeb3時代を見据えブロックチェーン活用ビジネスに参入、NFT発行・販売や音楽業界にDAO提案

有料音楽配信サイトなどを手がけるレコチョクは1月18日、Web3時代を見据え、NFTの発行から販売、またチケット・ERC-20トークンや音楽業界へのDAOの提案など様々なブロックチェーンを活用したソリューション事業に本格参入すると発表した。

取り組みの第1弾として、音楽業界向けワンストップECソリューション「murket」(ミューケット)にNFTアイテムの販売機能を追加。同機能を使い、1月19日17時よりソロシンガー「CAIKI」(カイキ)が100個限定でNFTを期間限定で販売する(「CAIKI ONLINE STORE」参照)。

レコチョクは、Web3時代を見据え、エンタテインメント分野における次代に向けたサービスの企画・開発を推進すべく、国内外の情報収集や研究開発を展開してきたという。

特にNFTは、その特性から音楽やアートなどエンタテインメント分野での新たなサービスの提供が実現できると考え、2021年7月より「Web3.0プロジェクト」を開始。ブロックチェーン技術を活用したNFT、ERC-20トークンなどを用いた新たな音楽体験サービスの提案、DAO、仮想空間(メタバース)でのサービス提供へ向けた開発に取り組んできた。

また、特別なツールや技術知識がなくても手軽にNFTが販売できるようにサービスを設計。ウォレット作成不要、暗号資産購入も不要で、法定通貨のみで決済を可能とした(イーサリアムのサイドチェーンにあたるPolygonを採用)。今春にはNFTの2次流通対応も予定している。

レコチョクは、今後もアーティストやファンの多様な需要に対して、あらゆるデジタルコンテンツ配信への対応や著作権管理を活かしたシステムを提供するとともに、NFTをはじめ新たなファンエンゲージメント向上に向けたビジネスを展開することで、音楽市場におけるさらなる成長を多面的に支援するとしている。

「暗号資産の未来」への投資競争には確実に金がかかる

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ!

先週もなんとか乗り切れた。電話やTwitter(ツイッター)ではみんな疲れた姿を見せていたが、なんとかなったようだ。なんとか平日を乗り切って、週末にしばし休息は得られたろうか。そう、今日は暗号資産の話だ。楽しもう。

私は、Coinbase(コインベース)がより大きなブロックチェーン市場の他の企業に資本を投入するペースに感銘を受けている。米国の上場企業は比較的少額(売上と比べての場合だが)を支払うことで、スタートアップの所有権と情報アクセス権の両方を買うことができ、何が起きているかの早期警告データを得ることができるので、これは賢明な動きだ。Coinbaseが、暗号資産市場における明らかな既存大手であり、ある意味門番のようなものであることを考えると、その投資は理に適っている。

しかし、他にもあちらでも投資、こちらでも投資が続いている。今回発表されたFTXファンドは、かなり速いペースで取引されているにも関わらず、これまでCoinbaseが行ってきた取引よりもさらに積極的なものになっているようだ。

FTXの暗号資産ファンドの総額は約20億ドル(約2276億8000万円)で、インタビューによると2022年中に投資されるだろうという。これは、ワイルドな投資ペースだが、おそらくa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)が最近22億ドル(約2504億5000万円)の暗号資産ファンドを立ち上げたことを思い出す人もいるだろう。

いくつか疑問がある。

  1. インターネットに比べてはるかにユーザー数が少ない暗号資産市場に、なぜこれほどまでの資金が必要なのか?
  2. なぜ私たちは、暗号資産に資金を供給するために、これほど多くの決断を下してしているのだろうか?

これらは相互に関連した疑問だ。結局これらは、なぜ暗号資産市場で有用なものを作るのは難しいのか、という私の素朴な疑問に対応している。CoinbaseとFTXは、暗号資産の世界の端に存在し、従来の経済とその未来になりうるものとの間でお金を行き来させている。彼らが投資するのは賢明なことだが、彼らが投資しようとしている金額と、従来のベンチャーキャピタルがブロックチェーンスタートアップに投じている金額とを比較すると、私はやや混乱する。一体資産は何に使われているのか?

2つの主要なブロックチェーンは確立されており、もはや新しいものではない(Ethereum[イーサリアム]は2013年に案出され2015年にローンチされたし、Bitcoin[ビットコイン]のホワイトペーパーは2008年に発表された)。多くのステーブルコインが存在し、多くの安定したプレイヤーがいて、膨大な資金がNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスやいくつかの暗号資産ゲームへ流れ込んでいる。その中には、そこそこの利用者ベースを築いているものもある。しかし、スペースに流れ込むお金の量と、利用可能な結果として見えてくるものを比較すると、やや凝縮されすぎているような気がする。

Institutional Investor(インスティテューショナルインベスター)のレポートによると、2021年は総額328億ドル(約3兆7340億円)が「暗号資産やブロックチェーン技術事業」に投資されたという。おそらく、そのお金で作られた多くのものが今にも出てきて、私たちをびっくりさせるのかもしれないが、Bitcoinが誕生して10年以上経った今でも、私はブロックチェーンで動くアプリやサービスを日々使ってはいない。もちろん、研究目的で暗号資産の世界の一部をあれこれこねくりまわしているのなら別だが。

すでに私は認めたくないほど多くの時間をオンラインで過ごしているのだ!おそらく新しいFTXファンドは、単なる投機の手段ではない、大衆向けのブロックチェーン製品を市場にもたらすだろう。何が登場するか待ってみようと思う。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

ボーダーレス暗号資産ネットワークは国家による制裁と戦う、曖昧なガイドラインでWeb3企業はイランなどのユーザーを置き去りに

イランのような国に対する米国の金融制裁は、暗号資産スタートアップがその戦いを慎重に選ばなければならない厄介な規制環境を作り出している。これまでのところ、これらの企業が選んでいない戦いはユーザーに実質的な影響を与えており、時には企業が主張する分散化の哲学と相反することもある。

「誰かに何かが降りかかってくるでしょう。こうした規制がどこで、いつテストされるのか、私たちにはわかりません」と、テクノロジーに精通した共同体の「自律分散型組織(DAO、Decentralized Autonomous Organization)」の実現に注力するSyndicate(シンジケート)のゼネラルカウンセル、Larry Florio(ラリー・フロリオ)氏は述べている。

以前の例では、暗号資産カストディスタートアップのBitGo(ビットゴー)が、制裁対象国のユーザーとのインタラクションの発生を「防ぐように設計された制御を実装」しなかったとして、2020年に外国資産管理室(OFAC、Office of Foreign Assets Control)から罰則を科された。BitGoは基本的に暗号資産銀行のようなものである。クライアントの資産を安全な金庫室に保管することを支援している。この法的な罰則は、そのようなクライアントの一部が制裁対象国の個人から暗号資産を受け取った可能性がある場合に生じた。OFACはこうしたことが米国の制裁下では許容されないことを示したのである。同様の流れで、暗号資産取引所のBinance(バイナンス)は、イラン人とキューバ人が所有するアカウントを定常的に無効化していることで知られている。

業界をリードするEthereum(イーサリアム)主体教育機関の1つであるConsenSys Academy(コンセンシス・アカデミー)が、2021年11月に自社のオンラインプラットフォームから約50人のイラン人学生を締め出したのも、それが理由であろう。「当社の記録の最近のレビューに基づき、米国の法律で商品やサービスの提供が禁じられている国にあなたが所在していることが示されました」と主張するものだった。

このコンプライアンスレビューは、同プログラムが無料であり、取引は含まれていないことから、疑問を提起している。ConsenSys Academyの開発者リレーションヘッドであるCoogan Brennan(コーガン・ブレナン)氏は、イラン人学生と彼らが直面する課題に関するインタビューを2021年2月にCoinDesk(コインデスク)へ提供していた。このプログラムに参加していたSalman Sadeghi(サルマン・サデギ)氏は、TechCrunchに対し「イラン人はWeb3で二流市民のように扱われている」と語った。

「彼らは私たちがイラン出身であることを最初から知っていました」とサデギ氏。「このように制裁は、政府ではなく罪のない人々に害を与えていると思います。公正ではありません【略】イランにおいて、Ethereumマイニングはまだ一般大衆に普及しています。しかし、暗号資産マイニングのほとんどは政府によって行われているのが実情です」。

さらに、@Alireza__28と名乗る別の学生は、自分はアカデミーで勉強するためにテヘランでの仕事を辞めており、何カ月も参加した後で修了証なしにプログラムから追い出され、キャリアプランを台無しにしたと語っている。

「本当に屈辱的でした」と同氏は話す。「暗号資産で報酬が得られるリモートブロックチェーンの仕事のオポチュニティは数多くあります。どこに住んでいるかは関係ありません。私は1つの希望として、ビザのスポンサーシップで(イランを去って)仕事のオファーを受けることを期待していました。そしてもう1つの大きな展望は、私自身で、この地から分散型のアプリを作り上げることでした」。

この教育プログラムに制裁が実際に適用されるかどうかも不明だ。教育プラットフォームのCoursera(コーセラ)は、米国政府から直接許可を得てイランの学生を受け入れている。金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN、Financial Crimes Enforcement Network)の元ディレクター代理のMichael Mosier(マイケル・モシエ)氏によると、バイデン政権はイランとの関係を緩和しようとしており、OFACはこうしたユーザーへのサービス提供の許可をConsenSysに与えた可能性がある。別の認可国の例として、OFACは2020年に、ベネズエラでの人道支援を目的としたStableCoin(ステーブルコイン)流通キャンペーン承認している。

「ConsenSysのような事例から見えてくる大きな要点は、OFAC領域の経験豊富な弁護士と話す価値があるということです」とモシエ氏は語る。「ConsenSysにこれができないのは信じ難いことです。人々は往々にして、リスクに対処するのではなく、逃げ道のようなものを自ら選んでしまうことがあります」。

一方、フロリオ氏は、こうした制裁に保守的な姿勢を取っている企業を責めることは難しいと反論した。

「免除を求めようとするだけでも、自分たちの注目度を高め、規制当局のさらなる監視を引きつけることがあります」とフロリオ氏。「最近の業界のやり方の多くは、問わない、話さない、というものです」。

イランのEthereumファンにはまだ希望があるかもしれない。ConsenSysのグローバルPRリードであるElo Gimenez(イーロ・ギメネス)氏はTechCrunchに対し、同社は「明日のデジタルエコノミーを構築するという自らの使命に全面的に専心しており、国際的なエンゲージメントが困難な地域を含め、世界中で合法的に共有し教育する方法を模索しています」と語った。

その一方で、依然としてイラン人たちにとっては、Gitcoin(ギットコイン)やMetaMask(メタマスク)といったEthereumの共同創設者Joe Lubin(ジョー・ルービン)氏のポートフォリオ企業が提供する集中型NFTプラットフォームやツールを使う上で、通常はVPNサービスと組み合わせて、自分たちのロケーションを隠すことが常套的になっている。例えばクラウドファンディングプラットフォームのGitcoinは、ペルシア語を話す学生のためのキャンペーンをホストしており、同キャンペーンは2021年3月から12月までアクティブになっていた。

GitcoinのCOOであるKyle Weiss(カイル・ワイス)氏がTechCrunchに語ったところによると、2021年12月8日現在、同氏の資金調達プラットフォームは「米国の法律を順守するために細心の注意を払い、この助成金を非アクティブ化している」という。

しかし、暗号資産取引所のKraken(クラーケン)でビジネス組織のための判決ガイドライン策定に貢献した元顧問弁護士のMary Beth Buchanan(メアリー・ベス・ブキャナン)氏はTechCrunchに対し、GitcoinやConsenSys Academyのような企業が制裁対象国のユーザーを必然的に禁止する必要があるという考えには同意しないと語った。

「彼らが携わることを望んでいた活動は、制裁の対象外になる可能性も十分にあります。おそらく、企業が適切な問いを発しなかったのでしょう」とブキャナン氏は語っている。「多くの活動が制裁体制から完全に免除されており、その他の活動は一般認可を受けることができます。また、OFACに個別に申請して、行っていることに問題がないかを確認することも可能です。一般の人々でも、OFACに電話して活動が制裁から免除されるかについて相談できるように、問い合わせ窓口が用意されています」。

端的にいえば、暗号資産企業は、社会から取り残されたコミュニティを取り込む戦略的な方法を考案するのではなく、コミュニティを回避することを選択しているのかもしれない。ブキャナン氏によると、特に芸術や教育に関するケースでは、ほとんどのビジネスオーナーが予想する以上に、コンプライアンスに従うコストははるかに低いという。一方、イラン、キューバ、その他の制裁対象国の一部の人々は、暗号資産業界が事実上のカースト制度で運営されていると感じている。オンラインコミュニティに参加するために自分のアイデンティティを隠す必要があることは、コミュニティがボーダーレスで包括的であることと同一ではない。

「確かに、私たちは独自のユーザーインターフェイスとWeb3ウェブサイトを開発することができます」と、閉鎖されたGitcoinキャンペーンに関わった女性の1人であるAysha Amin(アイシャ・アミン)氏は述べ、EthereumプロジェクトやSolana(ソラナ)のようなアルトコインの競合相手を語る際に人々が言及する、Web3あるいは「メタバース」という深遠なコンセプトについて次のように言い表した。「この種の孤立は良くないように思います」。

Gitcoin以外では、アミン氏は現在、Secureum(セキュリアム)と呼ばれるEthereum Foundation(イーサリアム財団)が支援する教育プログラムに参加している他、テヘランを拠点とするテック企業でも働いている。この記事で紹介している多くのイラン人同様、同氏もMetaMaskのユーザーで、特定のプラットフォームでの差別的な禁制にもかかわらずこの分野で働き続ける意向である。

「このグループ(ブロックチェーン愛好家のためのファルシ語[ペルシア語]言語グループ)を始めたのは(別の)ConsenSysブロックチェーン開発者ブートキャンプを終えた後でした」とアミン氏は続けた。「自分のプライベートキーさえあれば、心配する必要はありません。MetaMaskは自分の情報をローカルに保存します」。

少し背景を説明すると、同氏が所属するイラン人グループには、2019年のDevCon Ethereumカンファレンスの際に日本で出会ったメンバーも含まれている。アミン氏は、2021年にこのイラン人女性5人のグループに加わった。米国を拠点とする同氏らのGitcoinキャンペーンのパートナーであるThessy Mehrain(テッシー・メヘライン)氏は、Gitcoinキャンペーンについて次のように説明した。

私は多様性イニシアティブでConsenSys Academyと協働してきました。その一環としてマイノリティコミュニティのための奨学金を提示され、それをWeb3に関する教育を目的としたアムステルダムに拠点を置くCoinIran(コインイラン)に供与したのです。私は彼ら(CoinIranのブロガー)と大阪で開催されたEthereumカンファレンスで会いました。2020年にある女性開発者グループがSolidity(ソリディティ)ブートキャンプに参加して【略】そしてWomen in Blockchain(ウーマン・イン・ブロックチェーン)の支部がテヘランで結成され、ニューヨーク、ボストン、ブリスベン、ラゴスなど世界中で行われているのと同じように【略】ローカルに、完全に独立して運営されており、テクノロジーとそのオポチュニティに関する教育を行っています。

すべてを考慮すると、これらのイニシアティブは金融取引よりも教育に重点を置いているようだ。

「教育は、個人が情報に基づいた決定を自ら行うのを助け、社会と国家の発展に貢献します」とメヘライン氏。「こうした女性たちは国際社会の一員であり、教育によって有意義な貢献を行う権限を与えられるべきです」。

また、この最近のGitcoinにまつわる禁止措置は、Ethereum Foundationの創設者であるVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏やConsenSysの主要投資家であるルービン氏のようなEthereumの共同創設者が資金提供した世界的なイニシアティブの中では突出しているようだ。その理由の一端には、フロリオ氏が指摘したように、メタバース全体を識別することは不可能だということがある。

「主権国家が外交政策を放棄するとは思えません【略】しかし、何らかのファイアウォールをイラン全土に適用しなければイラン人は何にも参加できないと主張するのは、法的強制力のないことです。そうしたインターネット封鎖のようなことを行う技術は存在しないと思います」とフロリオ氏は語っている。「制裁法を課すことは容易ではなく、創造的な解釈を必要とするでしょう【略】執行がそこにどのようにもたらされるのか、あるいはこのコンテキストで完全に遵守する方法が既知ではないことが考慮に入れられるのかどうかはわかりません」。

今のところ、一部の暗号資産企業は、イランなど制裁対象国の人々を含めて法的に対応する戦略を求めるよりも、アクセスを禁止する方を選んでいる。

「常時のフルアクセスを私たちは有していません。Web3では簡単に排除したりアクセスを禁止したりできます」とアミン氏。「ここイランでは、ブロックチェーン技術を扱う人々、マイニングを行う人々、トレーダー、開発者は常にWeb3へのアクセスについて不安を抱いています。そして私たちは間違いなく、この『二級市民』扱いを感じているのです」。

画像クレジット:cokada / Getty Images

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(文:Leigh Cuen、翻訳:Dragonfly)

ノートン 360、暗号資産イーサリアムの採掘機能を強制インストールする上に削除が困難と批判が相次ぐ

ノートン 360、暗号資産の採掘機能を強制インストールする上に削除が困難と批判が相次ぐ、15%の手数料も徴収

NortonLifeLock

NortonLifeLock社がPC環境に高度なセキュリティ環境を提供する「ノートン 360」につき、暗号資産の採掘機能「Norton Crypto」が強制インストールされ、簡単に削除できないとの苦情が相次いでいます。

Norton Cryptoは人気の高い暗号資産Ethereum(イーサリアム)を、PCがアイドル状態のときに自動的に採掘する機能です。昨年(2021年)6月に今後は追加されていく方針が発表されており、ひそかに忍び込まされていたわけではありません。

しかしノートン 360のユーザーはマルウェア対策やVPN、保護者機能などを求めて購入したはずであり、暗号資産を採掘したくて導入したとは考えがたいことです。当初、Norton Cryptoはアーリーアダプタプログラムに参加しているユーザーのみに提供されていましたが、現在ではより幅広いユーザー向けに展開されている模様で、物議を醸しているしだいです。

公式FAQによると、暗号資産の採掘はユーザーがオン/オフできるとのこと。しかし本機能のンストールは強制的に行われる上に、いったん有効にすると簡単にはオフにできないことが、複数のユーザーから報告されています。

そしてPCからNorton Cryptoを完全に除去したい場合は実行ファイルの「Ncrypt.exe」を手動で削除する必要があり、しかもアップデートで再び復活したり、第三者が利用できる脆弱性が残っていない保証はないとの声もあります。

またNcrypt.exeを削除することも非常に難しく、一部ユーザーは管理者権限でも無理だったと報告しています。さらにNorton Cryptoがレジストリに自らを埋め込んでおり、削除プロセスをややこしくしているとの分析もあります。

ほかNorton Cryptoが暗号資産を採掘するたびに、NortonLifeLock社が15%の手数料を徴収することも批判を強める要因となっています。また同社のソフトウェアが透明性が低く、過去にもアンインストール時にファイルを完全に削除していなくて揉め事が起きたとの指摘もあります

この暗号資産採掘機能に関しては、記事執筆時点では「アンインストールが限りなく難しく、一度オンにすると無効にしにくい」以外のセキュリティ問題は特に報告されていません。とはいえ、PCのアイドル時に採掘されたくない、そもそも暗号資産と関わりたくないノートン 360ユーザーは、インストール時にオンにしないよう気をつけたいところです。

(Source:WccftechEngadget日本版より転載)

Web3企業のURL末尾でみかける「.xyz」とは?

最近、暗号資産会社のウェブサイトにアクセスしたことがあるならば、URLの末尾が、よりお馴染みの「.com」ではなく、「.xyz」になっていたことが多かったのではないだろうか。かつてSquare(スクエア)という名前で知られていたフィンテックのBlock(ブロック)をはじめとして、VCのParadigm(パラダイム)、そしてMirror(ミラー)のようなブロックチェーンのスタートアップに至るまで、.xyzは多くのWeb3企業のURL末尾として活躍している。しかし、それは何を意味しているのだろうか。また、なぜWeb3の世界で使われるようになったのだろうか?

2014年に公開された.xyzの人気が最初に急上昇したのは、その1年後にGoogle(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)が、リブランディングしたウェブサイトに使用することを決定したときだった。そのときAlphabetは厄介な問題に直面していた。素直な.comのURLであるalphabet.comはBMWのフリートマネジメント部門によって押さえられていたし、abc.comも、American Broadcasting Corporationによって使われていたからだ。

そこでアルファベットは、abc.xyzとして店を構えることにした。.xyzの創業者でCEOの30歳のDaniel Negar(ダニエル・ネガリ)は、そのことが彼の「未来的な企業」にとっての「無限のブランディングの機会」を提供してくれたのだとTechCrunchへの電子メールで語った。現在.xyzは、同社のDNSデータによると、トラフィックで世界トップ5のトップレベルドメイン(TLD) の1つになっている可能性がある。

ネガリ氏によれば、.xyzは「世界中のユーザに、自分のドメイン名に関する競争と選択の機会を提供する」ために作られたもので「固有の意味を持たない、真に汎用的な初めてのドメイン拡張子」ということだ。「.com」は商業用(commercial)、「.net」はネットワーク用(networks)、「.org」は組織用(organizations)とされているが、ネガリ氏は、これらのカテゴリーにきちんと当てはまらないと感じているユーザーや、目立ちたいと思っているユーザーのために、.xyzを提供することを目論んでいた。

ネガリ氏は「『for every website everywhere(あらゆる場所のあらゆるウェブサイトのために)』という私たちのモットーが市場に受け入れられたのだと確信しています」と語る。「すべての人とすべてのものに対するオープン性と包括性という私たちのモットーは、xyzをドメインとして採用している創造的な思想家のコミュニティに浸透しています」。

.xyzとWeb3の出会い

ネガリ氏は積極的な暗号資産投資家で、Gemini(ジェミニ)、MoonPay(ムーンペイ)、BlockFi(ブロックファイ)など、この分野に「多数」の投資を行っているという。暗号資産に興味があった彼は、イーサリアムネームサービス(ENS)の生みの親であるNick Johnson(ニック・ジョンソン)氏に連絡を取り、協業を持ちかけた。

「この歴史的なコラボレーションにより、アーリーアダプターは.xyzドメインをウォレットアドレスとして使用することができるようになりました」とネガリ氏は述べている。

.xyzの創業者でCEOのダニエル・ネガリ氏(画像クレジット:XYZ)

ENSは、ユーザーが自分のすべての暗号アドレスに共通のニックネームを与えることを可能にし、検索可能なデータベースが提供されることで、さまざまなプラットフォームに存在する暗号ウォレットや取引に、より簡単にアクセスできるようにする。ユーザーは、ソーシャルメディアハンドルやその他の個人情報をENS中で共有するために、ネイティブな.ethドメインまたは.xyzドメインを使ってプロファイルを作成することができる。

.xyzは、ENSと協力し、暗号コミュニティと連携する方法を模索し続けている。今週同社は「eth.xyz」サービスのローンチを発表した。このサービスはネガリ氏によると、.ethの名前の最後に「.xyz」を付けるだけでENSデータベースを検索する代わりに個々のENSプロファイルを検索できるようになるというものだ。

ENSは、暗号資産保有者がイーサリアムを使って自分の好きな名前のドメインを購入できるようにすることで、インターネットをアイデンティティ構築のツールとして活用したいというユーザーの欲求を創造的に収益化したのだ。たとえばShopify(ショッピファイ)のCEOであるTobi Lütke(トビー・ラトカ)氏は2021年12月初めに、ENSのドメイン名であるtobi.ethを30 etherで買収したが、これは買収時点で12万ドル(約1380万円)以上に相当する。

.xyzドメインは現在、インターネット規制当局であるICANNによって管理されているDNS(ドメインネームサービス)システムの管轄下にあるが、いくつかの団体がWeb3を支えるために、DNSに代わる分散型の代替システムを開発しようとしていることを、TechCrunchのAmanda Silberling(アマンダ・シルバーリング)記者が報じている。.xyzがWeb3企業と積極的に連携する戦略は多くの新たな収益化の機会を提供する可能性がある。それは現代のインターネットユーザーがドメインの所有権を新たに主張しようとする際に、分散化されたウェブにおけるアイデンティティとオーナーシップから生じる収益化の機会だ。

関連記事:絵文字の列がネット上の「アイデンティティ」になると考えるYat、すでに約22億円の売上達成

.xyzはブログを運営して、.xyzで終わるドメイン名を選んだ企業を紹介している、その多くがWeb3ネイティブだが、なぜそうしたのかの理由も書かれている。

中には、単純な物流上の理由で使用を選んだものもある。たとえばDeFi(分散型金融)プラットフォームのMatchaは.xyzというウェブ拡張子を使うことでネーミングの選択肢が増えたと説明しているし、イーサリアムデータツールのDune(デューン)はより簡潔なウェブアドレスが可能になるからという理由で .xyzを選んだのだという。

そのドメインは、誰でも購入することができるが、他のドメインと比較しても比較的リーズナブルな価格で提供されている。そのために、.xyzは1.111Bと呼ばれるクラスのドメインを立ち上げた。ネガリ氏によれば、これは6桁から9桁の数字のドメインで、年間99セント(約114円)〜で利用できる。

利便性やアクセスのしやすさだけでなく、Web3を構築する人たちの中には、.xyzを新しいインターネットを構築するという野心の象徴として捉えている人もいる。

「私たちが.xyzを選んだのは、分散化とWeb3アプリケーションの新しい波を象徴しているからです」と書くのは分散型自治組織Agora DAO(アゴラDAO)の創立者であるRéka(レカ)氏だ。

ネガリ氏は、アフター.com時代の次世代のオンラインイノベーションを代表する.xyzの文化的な重要性が、おそらく同社の最も重要な属性の1つであることを認めている。

ネガリ氏は「このコミュニティは、現状を打破して未来に向けて積極的に行動する、数十万から数百万の個人や中小企業で構成されています」と語る。「非営利団体である必要も、営利法人である必要もありません。何であっても、誰であってもいいのです」。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:sako)

NFT活用のブロックチェーンゲームMy Crypto HeroesがDAO型外部コミュニティを提供するForNとパートナーシップ締結

NFT活用のブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」がDAO型外部コミュニティを提供するForNとパートナーシップ締結

イーサリアム(Ethereum)ベースのブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリ)の運営・開発を行うMCHは12月21日、国内でブロックチェーンゲームのDAO(自立分散型組織)型外部コミュニティの提供を行うForN(フォーン)とパートナーシップを締結したと発表した。2022年1月早期リリース予定としているマイクリの新たなエコシステム「My Crypto Heroes -Rays Mining-」の展開に際し、相互のマーケティング支援を含め連携する。

同パートナーシップにおいては、「ForNが組成するコミュニティにおけるMy Crypto Heroes -Rays Mining-の普及、スカラーシップモデルの拡大」「グローバル展開を見据えた相互サポート」を中心に、幅広く今後の連携を行うことに合意したという。

マイクリは2018年11月のローンチ以降、「ヒーロー」「エクステンション」「ランド」と呼ぶ3種のNFTを軸としてゲーム内のエコシステムを形成。また、2020年10月にはガバナンストークンとして「MCH Coin」(ERC-20)をリリースし、ユーザー主体のDAO型ブロックチェーンゲームの創出に向けて開発を進めてきた。

またローンチ当初より「ヒーローNFTは最大でも200種までしか販売しない」としており、公約通り2022年1月11日のセールをもってヒーローNFTはすべての販売を終了する。現在に至るまで価値を高め続けてきたヒーローは、今後ユーザー需要の拡大に対して供給量は一定を保ち続けるため、より一層貴重なNFTとなるとしている。

ただ一方で、マイクリのプレイに必須となるヒーローNFTの価値が高まることは、同時に新規ユーザーの初期投資額が上がり、ひいては参入障壁が上がることを意味するという。

このため、My Crypto Heroes -Rays Mining-では、供給量を無制限とするNFT「Soul」とFT「RAYS」を軸とし、高額な初期投資を必要としないマイクリのエントリーレベルのコンテンツとしてリリースする。

バトルシステム、UIなどは現在のマイクリのものを踏襲しており、エントリーレベルとしてMy Crypto Heroes -Rays Mining-をプレイしながら、本流のマイクリエコシステムへの接続もスムーズになる設計を採用しているという。

またMy Crypto Heroes -Rays Mining-では、「Free to Play」のスカラーシップモデルを前提としたエコシステム設計となっており、NFT保有者は全世界のユーザーに対してNFTを貸し出し、収益をシェアすることが可能となっている。スカラーシップモデルとは、NFT保有者がゲームプレイを請け負うユーザー「スカラー」に投資を行い、スカラー側はこれにより獲得した収益の一部をNFT保有者に還元するというものだ。