FacebookがConnect 6カンファレンスでOculus利用のVRレイヤーを予告

Facebookは仮想現実アプリのデベロッパー向けに6回目のOculus Connectカンファレンスを開催した。キーノートでは新しいハイエンド製品のプロトタイプが発表されると同時に、Facebook本体にOculusを利用した新しいVRレイヤーが準備されていることが明かされた。

OculusのMegan Fitzgerald(メーガン・フィッツジェラルド)氏はカンファレンスで「今年中に『Oculus on the Facebook』という新しいプラットフォームがスタートする。これはOculusのVR能力を生かしたまったく新しいFacebookの利用体験となる」と述べた。

近くFacebookへのログインで同時にOculusへもログインできるわけだ。つまりVRヘッドセットを通じてFacebookにアクセスし、Facebookへの投稿も含めたソーシャルネットワーク体験が可能になる。ユーザーはOculusを利用している友達だけでなく、他のVRヘッドセットを使っている友達ともVR体験を共有し、Oculus内からイベントを作成し友達を招待することもできるという。

Facebookサイズの巨大なVRコミュニティが作られるらしい。 つまりFacebookの機能が全面的にOculusエコシステム内からアクセス可能になる! OculusはとことんFacebook化されるのだろう。チャット、イベントその他さまざまな機能がOculusから利用できるようになるに違いない。

Destinationsと呼ばれる新機能ではゲーム体験をFacebookを通じて公開・共有できる。ブロードキャスト機能ではゲームタイトルそのものにリンクしており、簡単にアクセスが可能となる。つまりチャット内でボタンを押してゲームにアクセスし、ヘッドセットを使って友達とVRゲームができる。Oculusの普及にあたっていちばん重要なのはフリクションと呼ばれる目的を達成するまでの手間を最小限にすることだが、クリック1回でゲームが開始されるのもこの点を狙っているのだろう。

Facebookログインで同時にOculusデバイスにもログインする機能はいまのところオプションだが、FacebookではOculusからしか利用できない新機能を追加することに力を入れている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

OculusのVRコンテンツの売り上げが約110億円を超える

Facebook(フェイスブック)は何十億ドルもの資金をVR(仮想現実)事業に投資しており、資金を回収する道のりは長いかもしれないが、少なくとも利益を上げている。

Oculus Connectの壇上でMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、Oculus Storeの売上が1億ドル(約110億円)を超えたと発表した。この数字は複数のVRヘッドセットを合算したものだが、ザッカーバーグ氏によると、売り上げの20%が過去4カ月間に販売されたOculus Questのタイトルからのものであり、新型ヘッドセットのユーザーがコンテンツに多くの資金を費やしていることを示唆している。

同社はスタンドアロン型ヘッドセットのOculus Questを売り出しており、ケーブルレスなこの製品が一般消費者への普及のための最良の方法だと考えていることは明らかだ。今回のマイルストーンは、コンテンツへの数億ドルの投資には及ばないが、Facebookは今後も投資を継続する見通しだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

FacebookがOculus Linkを発表、スタンドアロンのQuestでPCゲームを楽しめる

Oculus Connect 6のカンファレンスの壇上でFacebookのCEOを務めるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、11月のソフトウェアアップデートによってスタンドアロンのVR(仮想現実)ヘッドセットとPCコンテンツの境界線をさらに曖昧にすると発表した。

Oculus Linkは、ユーザーがOculus QuestをUSB-CでPCに接続し、モバイルチップセットを搭載したヘッドセットで現在よりも高品質なグラフィックスで電力消費の多いPCコンテンツを再生できるようにする。

システムの制限はまだわからない。最近のUSB-Cコードは使用できるようだが、電源のパススルーができるものが必要だ。Oculus QuestもOculus Rift Sも多くのシステムスペックを共有していることを考えると、FacebookがスタンドアロンのOculus Questにより、PC VRを置き去りにしようとしていることは明らかだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Facebookが神経信号検出型アームバンドを開発するスタートアップを買収

Facebookはニューヨークに本拠を置くスタートアップ、CTRL-labsを買収した。着用者の腕の動きと、神経を流れる電気信号をデジタル入力信号に変換するアームバンドを開発している会社だ。同社の広報担当者がTechCrunchに明かした。

Crunchbaseによると、CTRL-labsは、これまでに6700万ドルを調達している。同社に投資しているのは、GV、Lux Capital、AmazonのAlexa Fund、Spark Capital、Founders Fundなど。Facebookは、このスタートアップにいくらつぎ込んだのかを明らかにしなかったが、TechCrunchとして情報を探っているところだ。

アップデート:Bloomberg(ブルームバーグ)は、この取引の金額を5億ドル(約537億円)から10億ドル(約1073億円)の間と推定した。この件に近い情報筋からTechCrunchが得た情報も同じだった。

この買収はまだ完了していないが、CTRL-labsはFacebook Reality Labs(リアリティ・ラボ)に組み込まれることになる。CTRL-labsの共同創立者でCEOのThomas Reardon(トーマス・リアドン)氏は、マイクロソフトでInternet Explorer開発チームを立ち上げたことでも名高い、老練の技術者だが、リアドン氏自身もFacebookに移籍する。また、CTRL-labsの従業員も、同社に移籍するオプションを与えられているようだ。

Facebookは、頭の中で考えるだけでテキスト入力などが可能となる、非侵襲的な脳入力デバイスの開発について、これまでいろいろ語ってきた。これまでのところ、そのプロジェクトの進捗の大部分は、同社が資金を提供した大学における研究成果、という形をとっているものと思われる。今回の買収によって同社は、いつの日か実際に製品化できるような技術の開発に注力できるようになったものと思われる。

「デバイスやテクノロジーとやり取りできる、より自然で直感的な方法があることが分かっています。それを開発しようとしているのです」と、Facebook AR/VR担当副社長であるAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏は、今回の買収を発表した記事に書いている。「そのために、CTRL-labsを買収することにしました。彼らは、私たちのFacebook Reality Labsチームに加わります。そして、この種のテクノロジーを大規模に開発し、できるだけ早く、消費者向けの製品として実現できることを望んでいます」。

CTRL-labsの技術は、テキスト入力に特化したものではない。むしろ、筋肉の動き、特に手首から先の手の動きに注力している。同社の技術の進歩は、いろいろなタイプのセンサーを組み合わせて、装着者の手の位置を正確に特定するためのデベロッパーキットとして、最近結実したところだ。そのデバイスは手首に装着するもので、カメラや手袋を使って手の動きをトラッキングする機能の代替手段をデベロッパーに提供する。同社は以前、このキットの明確なユースケースの1つとして、ARやVR分野での入力機能を挙げていた。すでにCTRL-labsのキットを使用しているデベロッパーにとって、この買収が何を意味するのか、Facebookはまだ詳細を明らかにしていない。

今回の買収により、FacebookはNorth(元のThalmic Labs)のアームバンドに関する特許も取得したことになる。CTRL-labsは、今年の初め、すでに使われなくなったMyoアームバンドに関してNorthが持つ特許を、非公開の額で買い取っていた。

CTRL-labsの買収によって、さらに多くの知的財産や技術者がFacebookの傘下に入ることになる。この拡張現実の分野では、Microsoft(マイクロソフト)やApple(アップル)など、多くの競合他社も製品開発にしのぎを削っている。これまでOculusが、Facebookの仮想現実製品として開発してきたQuestやRift Sなど、多くの技術との間に重複が見られる。しかしCTRL-Labsの技術は、あまりかさばらず、ほとんど目立たず、より確実な入力デバイスを開発するのに役立つはずだ。

「Leap MotionやKinectなど、カメラを利用した技術に勝る根本的なメリットがいくつかあります。私たちは、脳から手に向かう信号を、直接体から検出しているからです」と、CTRL-labsの研究開発責任者、Adam Berenzweig(アダム・ベレンズウィック)氏は、昨年末のインタビューでTechCrunchに語っている。「(カメラを使った手法のような)閉塞や視野に関わる問題はありません。両手がどこにあっても構いません。手袋や宇宙服を着けていても大丈夫なのです」。

Facebookは、今週後半にOculus Connect 6デベロッパー会議を開催する。そこでは、同社のAR/VRに関する取り組みについて、最新情報が発表されるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookが独自仮想通貨LibraのためにAIチャットボット開発のServicefriendを買収

Facebookは独自の仮想通貨であるLibra(リブラ)の2020年発行を目指し、Libraで使えるツールの整備を進めている。TechCrunchが確認したところによると、Facebookがその1つとしてServicefriend(サービスフレンド)を買収した。Servicefriendは顧客サービスチームを支援するボット(人工知能に基づくメッセージアプリのチャットクライアント)を開発するスタートアップだ。

Servicefriendが拠点を置くイスラエルで最初に報じられた。同社の株主の1人であるRoberto Singler(ロバート・シングラー)氏がイスラエルのウェブサイトThe Markerに示した。共同創業者の1人であるIdo Arad(イド・アラド)氏にTechCrunchが接触したところ、同氏がTechCrunchの質問をFacebookに送付した。Facebookは買収を認めたが、Appleがよく使うような詳細を特定できない声明になっている。

「我々は小規模なテクノロジー企業を買収することがある」とFacebookの広報担当者は述べた。

LinkedInを見ると、アラド氏と共同創業者のShahar Ben Ami(シャハール・ベン・アミ)氏、少なくとももう1人を含む数人が、Libra向けのデジタルウォレットを開発するためのFacebookの子会社であるCalibra(カリブラ)デジタルウォレットグループにいるようだ。今月Facebookで働き始めたということは、買収がここ数週間以内にクローズしたということだ。まだ数人がServicefriendに残っているようにみえるが、同様にFacebookに移った可能性がある。

Facebookは買収目的を明らかにしていない。すぐ思いつく領域は、開発中のCalibraデジタルウォレットのカスタマーサービスレイヤー用のボットだが、もっとありそうなのはボットのネットワーク構築だ。

Facebookの狙いは、CalibraでLibraの支払いと受け取りができる一連の金融サービスを構築することだ。連絡先への送金、請求書の支払い、Libraの補充、買い物などが考えられる。

こういったサービスのプロバイダーとしてFacebookは信頼できるのか。「人間」の出番はここにある。顧客がアクセスしやすい環境づくりも欠かせない。

「あなたのために我々はここにいる」とCalibraはウェルカムページで 、WhatsAppとMessengerによるユーザーへの24時間年中無休のサポートを約束している。

ServicefriendはFacebookのプラットフォームに関わってきた。具体的には、Messenger用に「ハイブリッド」ボットを構築した。企業がメッセージングプラットフォームでサービスを提供する際に、ボットが人間のチームを補完し、企業がサービスを拡大しやすくする。ServicefriendがフィリピンのGlobe Telecom向けに開発したMessengerボットでは、人間が使う時間を顧客とのセッション1000回あたり20時間未満に短縮した。

ボットはFacebookにとって比較的問題の多い分野だ。2015年にMというパーソナルアシスタントサービスを開始し、2016年にはMessengerでユーザーがサービスプロバイダーと話せるボットを大々的に発表した。フタを開けてみると何も約束通りに機能せず、今までで一番ひどいサービスもあった。

AlexaなどのAIベースのアシスタントは、コンピューターが会話を通じて人間に情報提供する方法として定着した。一方ボットは完全に人間に取って代わるのではなく、人間を補完するサービスとするほうが機能するというのが最近の見方だ。

Facebookの場合、Calibraのカスタマーサービスをよいものにすれば、信頼を得るだけでなく強固なものにできるはずだ(編集部注:Servicefriendが開発を進めるもう1つの分野は、カスタマーサービスをマーケティングチャネルとするサービス)。よいサービスにできなければ、顧客だけでなくLibraのパートナーや、場合によっては規制当局との間で問題が発生する可能性がある。

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(翻訳:Mizoguchi)

FacebookはユーザーがゲームやARで遊べる広告フォーマットを拡充

Advertising Weekに先立ち、Facebookは3種類のインタラクティブな広告フォーマットの追加を発表した

まず1番目として、アンケート型の広告が、Facebookモバイルアプリのメインのフィードにも登場する。これは、すでにInstagram(インスタグラム)のストーリーで使われているものだ。2番目は、これまでFacebookとしてテスト中だったAR(拡張現実)広告が、この秋にもオープンベータとなる予定だ。そして3番目は、ゲーム会社に限らず、すべての広告主が、プレイ可能な広告を利用できるようになる。

Facebookは、米国時間9月18日にニューヨーク市で開かれた記者会見で、各フォーマットを披露した。

例えばE!は、あるテレビ番組を宣伝するために、インタラクティブなアンケート型の広告を掲載したところ、ブランドの認知度を1.6倍にすることができた。またVansでは、スケートボーダーのSteve Van Doren(スティーブ・ヴァン・ドーレン)氏を山から滑り下ろすゲーム型の広告を作成したところ、広告の想起率が4.4%上昇した。そしてWeMakeUpは、ユーザーがメークの色調をいろいろ試せるようなAR広告のキャンペーンを実施したところ、商品の購入が27.6%増加した。

Facebookの最高クリエイティブ責任者兼グローバル・ビジネス・マーケティング担当副社長のMark D’Arcy(マーク・ダーシー)氏は、プレイ可能な広告の当初の例は「まさに文字通りのゲームの仕組みが組み込まれ、ゲームによってブランドを拡める」ものに過ぎないが、時間が経つにつれて「あらゆる種類の」さまざまな相互作用が生み出されるだろうと述べた。

またダーシー氏は、アンケート、ゲーム、ARを広告に組み込むことは、新しいアイデアというわけではないと認めつつ、これまでは通常「重い」ユーザー体験であり、実現するには独立したマイクロサイトを用意したりする必要があったことにも触れた。そうしたものをFacebookの真正面に配置することで、同社はそれらを「超軽量で、楽しく、超スケーラブル」なものにしていくのだという。

その結果、より多くの広告主があれこれ試せるようになり、それにつれて、それらのフォーマット自体も進化するのだという。「12カ月後には、もしかすると6カ月くらい後でも、そうした広告を見てみれば、今とはまったく違ったものになっているはずです」。

こうした新しいフォーマットが、ユーザーのデータをどのように扱うのか、心配する人もいるだろう。Facebookチームによれば、アンケートを集計した結果のみが、広告主と共有されるという。個々のユーザーのデータは共有されない。同様に、AR広告を使ってユーザーが作成した画像は、デバイスのカメラロールに保存されるだけで、広告主と共有されることはないとしている。

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookが個人情報侵害の疑いでアプリ数万本との接続を凍結

Facebookは、ユーザープロフィールを不当かつ大量に収集している疑いがある「数万本のアプリ」との接続を凍結したと公式ブログで発表した。

1年前Cambridge Analyticaスキャンダルの後、Facebookの調査チームが個人情報を収集していると指摘したアプリは400件だったから、今回の措置は範囲が大きく拡大されたことになる。2016年の大統領選挙に際して投票先を決めていないユーザー数千万のプロフィール情報がトランプ候補の当選を助けるために用いられた疑いが出ていた。

Facebookは今回凍結したアプリの正確な数については発表していないが、デベロッパーは400社に上るという。

アプリの接続が停止された理由となった利用約款に反する行為の形態は複数だ。Facebookのユーザープロフィールを大量に吸い上げていた場合もあり、個人が特定可能な状態で取得したプロフィールを公開していた場合もある。

Facebookは個人情報の侵害を約款で繰り返し禁じてきたが、ユーザー情報の不当な利用が「これまで公表してきたものだけだったとは確認できなかった」という。過去に公表されたものとしては、韓国のデータ解析企業であるRankwaveによるデベロッパープラットフォームの不当な利用、Facebookによる監査の拒否、myPersonalityのようにクイズを装って400万件以上の個人データを収集していた例などがある。

スキャンダルの発覚によりCambridge Analyticaなど深刻なセキュリティーの侵害を.行ってきた企業の運営は停止されたが、議会、連邦政府当局はさらなる調査を行い、また制裁金を課している。これにはFacebookのLibra暗号通貨プロジェクトから同社のユーザーデータの処理に関する問題などが幅広く含まれる。

Facebookでは「この件に関しては引き続き調査を継続する」としている。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookが通常のTVをスマートTVに変身させるチャットデバイスPortal TVを発表

米国時間9月18日、Facebookはリビングのテレビに接続して大画面でビデオチャットを楽しめるPortal TVを含め新しいPortalシリーズを発表 した。各種サービスからコンテンツをストリーミングすることもできる。価格は149ドル(約1万6200円)だ。カメラ内蔵のデバイスをテレビの上に置くことにプライバシー上の抵抗があるかもしれないが、Portal TVのカメラはワンタッチで物理的にフタができる。

AppleやGoogleなどライバルのプロダクトがテレビのスマート化が主目的なのに対して、Portal TVは大画面テレビで家族がビデオチャットを楽しめる点がユニークだ。ソーシャルネットワークをリビングに持ち込む足がかりとした点でPortal TVは新しいジャンルを切り開いた。ハード、OSともFacebook自身が開発・販売する。

Facebook Portal Lineup
Portal TVはこれまでの画面付きPortalデバイスに比べてはるかに小型化された。自動ズーム機能を備えたAIカメラ、 Alexa接続の音声アシスタントを内蔵し、Messengerのビデオチャットの他にWhatsAppの暗号化ビデオ通話が可能だ。またSpotifyの音楽に加えてAmazonプライムビデオを利用できるようになった。この149ドルのデバイスはHDMI端子を備えたテレビならほとんどすべてに接続できる。

全流通経路での販売に先立ち、今日からPortal.facebook.comでセールが始まっている。米国やカナダではAmazonとBest Buyで販売される。また英国やオーストラリア、ニュージーランド、スペイン、イタリア、フランスで発売が予定されているが、スマート音声アシスタントは当面、英語のみに対応する。Portalシリーズについては、Portal、Portal Miniが10月15日から、Portal TVは11月5日からそれぞれ出荷される。

Portal Mini Black

ただしPortalシリーズ製品は有力ビデオサービスのNetflixやHBOをサポートしていない。担当バイスプレジデントのボズことAndrew Bozworth氏(アンドリュー・ボスワース)氏は「この製品はRokuやFire TVなどに対抗するものではない。ライバルは我々のよう大規模な大規模なソーシャルネットワークを欠いている。Facebookはコミュニケーションのハブという本来の強みを生かし、新しいビデオチャット体験を提供する」と意図を説明した。

「プライバシーが心配」を克服

Portalシリーズは1年前にスタートし、おおむね好意的な評価を受けたものの「プライバシーについてFacebookは十分配慮していない」という記事tal!』と呼びかけるとそも多かった。一般消費者も同様に感じたかどうかは疑問だが、ボズ氏は「Portalはセールスもその後のエンゲージメント好調だ」と私に語った。ただし正確な数字は発表されていない。

もちろんPortalシリーズ製品のカメラにはワンタッチでレンズを覆うことができるスライド式カバーが設けられている。

Portal TV Closeup

しかしその後、FacebookだけでなくApple、Google、Amazonも音声の認識精度を改善するためにユーザーに無断で音声データを収集していたことが判明し、プライバシーの侵害だと強く非難されるという事件が起きた。ボズ氏によれば「ユーザーからの『ヘイ、ポータル』という音声を認識すると、それ以降の音声はFacebookに送信されて専門家の検証を受ける可能性がある。しかし我々は検証をオプトアウトでできるようにした」という。

しかしPortalが「覗き見されるような気味悪さ」を本当に払拭したいと考えているなら、人間による音声データの検証をデフォルトにしているのはなぜなのか?ボズ氏はアクセシビリティの観点からこの点について説明した。「広い地域をカバーしているため多くのユーザーには地域の訛りがある。また軽度の言語障害を持つユーザーもいる。こうした場合音声認識の精度が低下する」とのこと。彼は、音声データを効率よく収集するには、この設定をデフォルトにしておくしかないというが、プライバシーを重視することによってPortalデバイスのセールスが向上するかもしれないとうメリットも考えるべきではないか。

Portal Privacy Set Up Notice Screen

しかし「監視社会の尖兵」といった批判を受けてもFacebookがPortalデバイスに注力するのには理由がある。Facebookは生命線ともいうべきモバイルアプリがAppleとGoogleのストアを通じてしか配布できないという致命的な弱みがあった。「スマートフォンを押さえているプレイヤーには巨大な影響力がある。われわれはいわばそうしたデベロッパー、メーカーの好意にすがって生存してきたわけだ」とボズは書いている。Portalは(いかに監視能力をそしられようと)、Facebookが独自に開発・販売するコミュニケーションデバイスだという点で戦略的重要性があるわけだ。

新しいPortalシリーズをテストした

Facebookに対するイメージはさておき、各種Portalは便利で楽しいデバイスだ。ハードウェアの開発・販売が未経験の会社が1年前にスタートさせたプロダクトとは思えないほど、洗練された作り込みとなっている。デザインもエレガントで多くの家庭のリビングにもキッチンにもなじむだろう。

Portal Mini Portal TV

新しいPortal、Portal Miniはほぼ現行製品と同様だが左右に張り出していたスピーカー内蔵のベゼルが消え、スマートになった。Portal SpecsPortal TVはまったく新しいデバイスで、画面がないため省スペース。記事トップの紹介ビデオを見てもらえばわかるが、Portal TVにはテレビ台の上に置くための脚が付属している。この脚は90度開いてテレビを挟み込むクリップにもなる。接続に必要なのはHDMIケーブルだけだ。カメラは1250万画素、画角120度でマイクは8台のアレイとなっている。また部屋の向こうの端に向かって「ヘイ、ポータル!」と大声を張り上げずにすむようベーシックな動作を命令できるリモコンが同梱される。

Portal TVはスピーカーも内蔵している。接続しているテレビの画面がオンの場合はもちろんオフの場合も使えるほか、別系統からの音声入力にも対応する。HDMI CECでの接続も可能なので、Portal TVを外部から遠隔操作することもできる。

プライバシーシャッターと呼ばれるカメラのフタは、スライド式でワンタッチでレンズが覆い隠せる。すべてのセンサーが無効になっている場合に赤く点灯させるスイッチもある。こうした予防措置を信頼するなら、Portalシリーズは最もコストパフォーマンスに優れた大画面ビデオ通話デバイスだ。

Portal TV and Remote

Portal TVのAIスマートカメラは顔を認識できるだけでなく人体に関するデータベースを持つため、ユーザーがどんな動作をしても追従可能だ。今回新しくカバーされたWhatsAppを使う場合、ライブフィルターも利用できる。ビデオで紹介しているが、ユーザーは自分の顔をライオンにたりヒゲを生やしたり自由に変えることができるだけでなく、小さな子供が部屋中を走りまわるような状況にも対応する。

Portalは「ストリーミングのデバイスではない」というものの、Spotify、Pandora、Amazon Primeビデオをサポートする。今後、スマートホームデバイスとしてRingドアベルがカバートされる予定だ。

Portal Mini Alexa

Portal TVから別のPortal TVへのMessengerビデオチャットではWatch Together(一緒に見る)機能が利用できるようになる。これはPinP(ピクチャー・イン・ピクチャー)で画面の一部にチャット窓が開き、Facebook Watchビデオを通話先と共同視聴できる。PinP窓で相手のリアクションがわかるわけだ。ただし今のところPrimeビデオなど他のコンテンツでは利用できない。

PortalTV CoWatching

ボズは私に「ボーリングやったことあるだろう?ボーリング大好きなんだけど、考えてみると変なスポーツだよね。あれは一人でやっても全然おもしろくない。みんなで集まってビール飲んでワイワイやる口実なんじゃないかな?Portal TVの共同視聴やARゲーム機能もそれだと思っている。これは口実で、要するにみんなで集まって騒ぐのが楽しいんだ」と説明した。

おそらく、これがPortalの真の戦略的目的なのだろう。Facebookは我々のさまざまな情報を収集するために時間を費やしてきた。他者の製品はもう少し変わっていたり、興味深かったりするかもしれないが、FacebookとPortalの組み合わせに勝るものはないだろう。くだらないビデオや平凡なゲームでも大きな画面で家族や友達と一緒に体験すれば意味のあるものになる。ボーリングと同じでみんな集まって騒げば楽しい。Portal TVはFacebookがユーザーのリビングに確固たる地位を築く有力な一歩になるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebook Portalの音声録音をユーザーが無効にできるように

テクノロジー企業がユーザーの音声データの取り扱いで非難を浴びている中、Facebook(フェイスブック)はユーザーが同社のサービスに保存されている録画や録音の管理ができるようになるという変更を発表した。

Facebookによる新型Portalを発表するプレスイベントにて、幹部のAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏は記者に対し、Facebookのサーバーに音声の録音が送信されるのを停止する機能を追加すると語った。同氏は、通話のデータは記録も保存もされていないが、ユーザーが「Hey Portal」といって命令した際に、Facebookの従業員や請負業者がデータを分析して同社の技術の精度を高めることがあることを繰り返した。

ボスワース氏はさらに、「第1世代のPortalでも、いつでも音声での指示を確認し、削除することができた」と伝えている。「さらに、音声指示の保存を完全に無効にする機能を追加する」

これまでPortalユーザーは、Facebookのサーバーに音声指示を保存したくなければ、検索して削除することができたが、今後はストレージを完全に無効にすることができる。ただし、デフォルトではストレージは有効になっており、ユーザーがこの機能を無効にする必要があることには注意したい。

FacebookやGoogle(グーグル)、Apple(アップル)はいずれも、音声録音をどのように取り扱うかで非難を浴びている。

先月、Siriの録音が契約会社によって聴取されている件の報道をうけ、AppleはSiriのオーディオクリップのレビューをデフォルトでオフにし、ユーザーに設定を有効にするかどうかを尋ねると発表した。同社はまた、ユーザーデータはAppleの従業員だけが取り扱うと説明している。しかしFacebookの場合、デフォルトで契約会社がデータと録音にアクセスできる点で、Appleの動きとは異なっている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Facebookの情報収集に対抗するiOS 13のポップアップの奮闘やいかに?

スマートフォンのOSがプライバシー保護を重視する方向に変化すると、これまで陰で行われていたサードパーティー製アプリの活動が表沙汰となり、利益目的でユーザーの追跡や個人情報の収集を行う、巨大アドテック企業が展開した監視インフラが浮き彫りになってきた。

すなわち、今週末に一般公開されるiOS 13は、すでにFacebookの魅力的なアプリがBluetoothを使って近くのユーザーを追跡していることを突き止めたということ。

“Facebook”がBluetoothの使用を求めています。

Facebookはなぜ、こんなことをしたがるのか?Bluetooth(およびWi-Fi)のIDをマッチングさせ、物理的な位置情報を共有することで、同社のプラットフォーム上でのユーザー同士の活動をデータマイニングして、少しずつ情報を集めてソーシャルグラフを補完していくのが狙いだ。

こうした位置の追跡は、個人が(少なくとも)近くにいたことを物理的に確認できる手段となる。

それを個人情報と組み合わせることで、Facebookは人々とつながり続け、位置そのものの性質に関連する周辺データ(例えば、バーにいるとか、家にいるとか)を確保できる。それが、Bluetoothという短距離無線通信技術を逆手に取って、近接していると判断された人と人の関係性を推論するための、明確な道筋をFacebookにもたらす。

個人を対象にしたターゲティング広告を収入源とするFacebookには、人の交友ネットワークを詳しく知りたい明確な商業的理由がある。

Facebookは、人々がデバイスの接続などの善良な目的で使用するBluetoothに便乗し、その広告ビジネスを人々と“ペアリング”しようとしている。その卑怯な手口がiOS 13によって摘発されたわけだ。

広告がFacebookの事業だと、CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が米上院で話したことは、よく知られている。しかし、このソーシャルネットワークの巨大企業が出会い系サービスにも手を伸ばそうとしていることにも注目したい。同社はそこに、人々がどこで誰と時間を過ごしているかを詮索したくなる、新しい製品主導の誘因を持ち込もうとしている。

共通の好みなど無機的な信号に基づくアルゴリズムによるマッチメイキングは、別段、目新しくはない。今のところFacebookで考えると、同じページやイベントに「いいね」をしたといったものになるだろう。

しかし、誰が誰とどこでいつ会っているかといった、温かい血の通った信号(Bluetoothの機能を逆用して個人の物理的な位置を追跡することで人と人の交流に関する情報を収穫する)を加味すれば、Facebookは、人の行動をカーテンの影でこそこそ行っていた監視を、次のレベルに引き上げることができる。

Facebookのアプリのユーザーが、自分のデバイスで位置の追跡を許可すれば、つまり、位置情報サービスを有効にすると、人々の動きの追跡に対して無抵抗になってしまう。位置情報サービスは、GPS、Bluetooth、クラウドソースのWi-Fiホットスポットや携帯電話基地局の機能に関係している。

Facebookの出会い系サービスを使うには位置情報サービスが必要であることは驚きにあたらない。位置情報サービスが無効なとき、有効に切り替えるようアプリがユーザーに促すと、Facebookは私たちに明言した。またFacebookは、ユーザーが位置情報サービスを無効にしている場合は、位置の特定にWi-FiもBluetoothも使わないと私たちに述べている。

さらに同社は、ユーザーはいつでも位置情報サービスを無効にできると強調した。だが、Facebookの出会い系サービスを使いたくなければの話だ。

いつものとおり、Facebookはデータ処理の別々の目的をごちゃまぜにして、人々が自分のプライバシーを有効に守るための選択の幅を狭めている。そのため、Facebookの出会い系サービスのユーザーには、このサービスを使うか、またはFacebookによる物理的な位置情報の追跡を全面的に拒否するかの選択肢しかない。否が応でも、それしかない。

iOS 13の新しいプライバシー保護機能は、アプリのバックグラウンドでの活動をポップアップで知らせてくれるのだが、これは、AppleのCEO、Tim Cook(ティム・クック)氏が言うデータ産業複合体の不誠実な手法への明らかな対抗手段だ。手動でBluetoothの位置追跡(上記の例を参照)を無効にできる第3の選択肢を提供し、ある程度の管理権をユーザーの手に取り戻してくれる。

Android 10も、ユーザーによる位置追跡の管理権を拡大した。アプリの使用時のみ位置情報を共有できるという機能だ。しかしこのGoogle製OSは、アップルがきめ細かいポップアップで提示したものに比べるとずっと遅れている。

Facebookは、(自社にとって)厄介なスマートフォンレベルでのプライバシー保護環境の変化に対処すべく、先週、位置情報サービスの更新を行った。これは、iOSユーザーがiOS 13にアップデートした途端にFacebookのアプリから洪水のごとくあふれ出るであろうデータ取得関連の警告に、先手を打つものだ。

ここでFacebookは、「お知らせ」という形で通知を出し、バックグラウンドでの追跡戦術を積極的に表に引っ張り出そうとするアップルを混乱させる手に出た(ちょっと目先を変えただけで)。

Facebookは「Facebookでは、あなたの位置を知らせる相手を選べます」と主張するが、そこには厚かましいまでの矛盾がある(ユーザーはスマートフォンやタブレットの位置情報サービスを使って、追跡を拒否できると話している)。だが、位置情報サービスを無効にしても、Facebookがユーザーを追跡できなくなるわけではないことを、後から付け加えている。

自分の位置情報を収集して欲しくないという明らかなメッセージをFacebookにぶつけたところで、Facebookはそれを尊重するはずはない。あり得ない!

「それでも私たちは、チェックイン、イベント、インターネット接続情報などから、あなたの地位を把握できます」と書かれている。Facebookの「把握」という言葉をより深く理解するためには、これを「失敬」に置き換えるといい。

さらに厚かましいひと言は、個人情報の収集に対抗してOSがプライバシー保護対策を固めているのは、あたかもFacebookの手柄であるような主張だ。Facebookは、この前向きなお知らせを、こう締めくくっている。「私たちは、あなたがいつどのようにご自分の位置情報を共有するか、その管理方法をより容易にするための努力を続けてまいります」

広範な個人情報収集をもみ消すための誤解を招きやすい言葉(「容易にする」など)をFacebookが持ち出すのは、いつものことだ。しかしFacebookは、変革の風がびゅーびゅー吹きつけるなかで、プライバシーに関する罪を覆い隠す薄っぺらな木の葉が、いつまで耐えられると思っているのだろう。一寸先はわからない。

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(翻訳:金井哲夫)

インスタとIGTVに投稿スケジューリング機能を導入

Facebookは、米国時間9月16日に、アムステルダムで開催されているIBC(International Broadcasting Convention、国際放送会議)のセッションで、ビデオクリエーターとパブリッシャー向けの各種アップデートを発表した。その中には、Facebookのライブビデオのブロードキャスト機能であるWatch Party(ウォッチパーティ)、Creator Studio(クリエイタースタジオ)のアップデートが含まれている。細かく見ていくと、ツールの増強、機能の拡充、分析の改良などがある。

中でも目立っているのは、ライブブロードキャストの準備と生放送のための機能強化、Watch Partyイベントの効果的な活用方法、ビデオのパフォーマンスを追跡測定する新たな方法、そしてこれまで待ち望まれていたInstagram/IGTVコンテンツを最長6カ月前からスケジューリングするためのオプションなどだ。

ライブビデオ

ライブビデオに関してFacebookは、Facebook上で実際にライブで放送している人たちからのフィードバックに耳を傾けた。そしてリクエストの多かった機能を、プロフィールではなくFacebookページで利用できるよう、現在展開しているところだという。この変更は、Facebookのライブ放送機能を、たとえばYouTubeのようなプラットフォームに代えて、あるいはそれらに加えて利用したいと考えているプロのブロードキャスターの要求に応えるもの。

パブリッシャーは、LiveのAPIを利用して、ライブ放送について「リハーサル」機能が使えるようになった。この機能が利用できるのは、ページの管理者と編集者だけだが、新たな制作環境やインターラクティブな機能をテストしたり、実際の視聴者に公開する前に、フォーマットを確認したりすることができる。Facebook上で、月に何百時間ものライブをブロードキャストしているQVCも、この機能をテストした。新しいワークフローとフォーマットを試してみたかったからだ。

パブリッシャーでは、ライブビデオの最初と最後の部分をトリミングすることもできるようになる。また、以前の上限が4時間だったのに対し、その2倍に相当する最大8時間ものライブをブロードキャストすることが可能となった。

この時間の延長は、例えばすでにNASAが活用し、8時間にわたる宇宙遊泳をブロードキャストしている。また、ライブスポーツ、ニュースイベント、あるいはTwitchのようなゲームのブロードキャストに対しても、余裕のある時間枠となっている。

おそらく最も注目すべきことは、ライブのブロードキャスターはFacebook以外の視聴者も対象に放送する必要があるということを、Facebookが認識したことだろう。今後パブリッシャーは、複数のストリーミングサービスに対して同時にブロードキャストすることを可能にするアプリを利用できるようになる。これもLive APIの同時放送機能を利用したもの。

同社によると、ライブビデオ機能は、最近Facebook Liteでも利用可能になったという。

Watch Party

Facebookはさらに、同時視聴機能であるWatch Partyについてもいくつかの新しい機能を発表した。これには、Facebookページで事前にパーティーをスケジューリングして予告する機能、パーティに参加しなかった人も放送後にビデオを楽しめる「リプレイ」のサポート、ブランドのコンテンツでビジネスパートナーにタグを付ける機能、さらに新しい分析機能が含まれている。

分析機能としては、2つの新しい測定指標がCreator Studioに追加された。Minutes Viewd(視聴分数)と、Unique 60s Viewers(Watch Partyで少なくとも60秒間視聴したユニークなユーザーの総数)だ。これらは、リーチやエンゲージメントといった、既存の指標を補完するもの。

Live Commenting(ライブコメント)機能は、Watch Partyでホスト自らがコメントをライブで表示できるようにするもの。これも全世界的に利用可能となった。

Creator Studio

そして最も大きなアップデートが、Creator Studioに組み込まれた。パブリッシャーは、これを使ってFacebookとInstagramの両方に対してコンテンツを投稿し、管理し、収益化し、評価することができる。

Creator Studioのダッシュボードには、もうすぐLoyalty Insights(ロイヤルティのインサイト)に新しい視覚化レイヤーが追加される。クリエイターは、どのビデオに視聴者が戻ってくるかを計測することで、忠実なファンが見たいのはどのビデオなのかを把握することができる。

新しいDistribution(配信)指標は、ページの各種指標の履歴の平均に基づいて、個々のビデオのパフォーマンスに点数を付けるもの。その指標には、1分再生数(動画が1分以上再生された回数)、平均視聴時間、リテンション(持続率)といったものが含まれる。この機能は、今後数カ月の間に展開される予定だ。これにより、ビデオのパフォーマンスがわかりやすい数字で把握できるようになる。

Creator Studioは、さらに13の言語について、自動キャプション付け機能のサポートを追加する。内訳は、アラビア語、中国語、ドイツ語、ヒンディー語、イタリア語、マレー語、ロシア語、タガログ語、タミル語、タイ語、トルコ語、ウルドゥー語、ベトナム語だ。これ以前には、英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語の4言語が、すでにサポートされていた。

InstagramとIGTVのスケジューリング

そして最後に取り上げる機能は、パブリッシャーとクリエイターが、Instagramのフィードと、IGTVのコンテンツを、最長6カ月前から、スケジューリングして公開できるようになるというもの。Facebookによれば、あと数カ月のうちには、InstagramのフィードとIGTVの下書きと編集機能も利用できるようになるという。

これらの機能は、今回の発表の前に非公式に発見されたことが報告されていて、Instagramの管理者やインフルエンサーのコミュニティをにぎやかにしていた。実は、昨年のInstagramのAPIの更新によって、先にサードパーティのアプリケーションによるスケジューリングは可能となっていた。ただし、純正アプリによる機能は、そうしたAPIを使ったサードパーティの機能に比べると、制約の少ないものとなっている。

この機能は、現在、Facebookページのすべてのクリエイターとパブリッシャーに公開されている。これまでは「近日公開」のように表示されたり、実際には動作しない状態となっていたものだ。ストーリーのスケジューリングについては、まだ実現されていない。しかし、今後いつの間にか追加されたとしても驚くには値しない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Instagramのフォロワーも巻き込む、出会い系Facebook Datingが米国でスタート

米国人は、人との出会いの機会まで、Facebookを信頼するつもりなのだろうか?米国連邦取引委員会が、プライバシー保護に関する過失に対して、Facebookに記録的な50億ドル(約5345億円)の罰金を科し、ユーザーのプライバシーを扱う際の判断について、より重い責任を負うよう、企業としての構造改革までを課してから、まだほんの1カ月ちょっとしか経っていないというのに。このような歴史的なできごとに引き続いて、Facebookはまったく新たな出会い系サービスを全米で開始した。同社が保有しているユーザーの個人データを利用して分析することで、Tinder、Bumble、Matchなどといったライバルの出会い系アプリよりも、適切なマッチングを提案できるとされている。

今回米国で利用可能になったこのFacebook Datingでは、Instagramの投稿を出会い用のプロフィールに組み入れたり、Facebookの友達やInstagramのフォロワーを「Secret Crush」(秘密のパーティ)リストに追加できるようになった。

年末までに、Facebook Datingのユーザーは、自分でFacebookやInstagramストーリーを選んで、出会い用のプロフィールに追加できるようになる。

自分に合う人をFacebookに見つけてもらう

Facebook Datingにとって、米国は20番目の市場だが、このサービスにとって最も重要な国の1つには違いない。ちなみにFacebook Dating自体は、昨年のF8デベロッパーカンファレンスで初めて発表されたもの。

この新しいサービスは、Facebookを友達や家族ではない人とつながるためのツールにするための重要な一歩となる。

同社は今、この分野に多大な金額を投資している。毎月10億人が使用しているFacebookグループのサービスが、関連するグループとも連携して、似通った趣味を持っていたり、地理的に近いといった条件で、ユーザーを結び付ける。同社は数年前にもFacebook at Workを立ち上げ、企業がFacebookのインフラを利用して、独自のネットワークを構築できるようにしていた。

こうした取り組みはどれも、ユーザーのFacebookデータをすべて公開してしまうことに比べれば、さほどの信用を必要とするものではないのは確かだろう。そもそもFacebookは、ユーザーデータの不適切な利用で知られている会社なのだし、それで愛が見つけられるのなら安いものだ。

もちろんFacebookも、このようなサービスには潜在的なプライバシーの落とし穴があることは十分にわかっている。そこで同社は、Facebook Datingの機能を完全に隔離してしまうための対策も、いくつか用意している。家族や友達、あるいは会社の同僚や、仕事上の付き合いのある人、もっと言えば配偶者や伴侶にうっかりバレないようにするためだ。

まず、Facebookで友達になっている人は、Facebook Datingに表示されない。さらに、Facebook Datingに表示される人を、共通の友達がいない人だけに限定するような設定も可能だ。他にも保護機能はある。ユーザーは、自分のFacebook Datingのプロフィールが、特定の人からは見られないよう、先手を打ってブロックすることもできる。たとえば分かれた相手のプロフィールは絶対に表示されないようにしたり、逆にそうした相手から自分のプロフィールが見られないようにすることが可能だ。

そしてもちろん、Facebook Datingは明示的に希望した人だけが利用できるサービスだ。

ユーザーの出会い用プロフィールは、友達になっている人や、Facebook Datingに参加していない人からはけっして見えない。ニュースフィードにも表示されない。新たに利用可能となったInstagram統合機能でも、ユーザーの写真だけが表示され、Instagramのユーザーネームは表示されない。

ただし、Facebookの友人を「Secret Crush」に追加する方法は残されている。これは互いの関心が一致した場合にだけ表示される。利用可能な「Crush」は9個までに限られている。この機能の悪用を防ぐためだ。米国での公開に伴い、このようなポリシーはInstagramのフォロワーについても適用されるようになった。

Facebook Datingのサービスは、メインのFacebookアプリに組み込まれている。同じイベントに参加している人や、同じグループのメンバーになっている人ともつながることが可能だが、いずれの機能も初期状態ではオフに設定されていて、個別にオンにすることができる。

それ以外でも、Facebook Datingは、共通の友達がいるとか(その機能がオンの場合)、同じグループに入っているとか(その機能がオンの場合)、学校が同じとか、あるいはその他不明の要因によって、選ばれた人のプロフィールを提示する。

ここから先はちょっとビミョーな話になる。

そもそもFacebookは、友達を推薦するのに、不気味なほど的確なことがあるのは、みんな気付いている。そのため、何らかのスパイ的な機能があるのではないかと疑う人もいる。結局のところFacebookは、ユーザーが誰とつながりを持っているのか、ユーザー自身が気付いているよりも多くを知っているということなのだ。

Facebook Datingの推奨機能に関しては、ユーザーも知らないどんなデータをFacebookが利用するのか、まったくわからない。

公式には、Facebookは、マッチングの提案は「ユーザーの好み、興味を持っていること、またユーザーのFacebook上での行動」に基づくものだとしている。

Facebook Datingのプロダクト責任者、Nathan Sharp(ネイサン・シャープ)氏は、実のところFacebookは、どのようにしてプロフィールのマッチングをランク付けするか尋ねられたものの、システムの詳細について話すことはできないと述べた。

「私が言えるのは、プライバシーについては、あなたが見かけたり出会ったりした人は、どのような情報も漏らすことはないということです」と彼は説明する。「あなたと、テイラーという人が同じ大学に通っていたとして、あなたはそのことを出会い用のプロフィールに書いてなかったとしましょう。それを人に知られたくなかったとします。その場合、テイラーさんは、あなたがどの大学に行ったのかを知ることはないし、テイラーさんがどの大学に行ったのか、あなたが知ることもないでしょう」とシャープ氏は言う。

シャープ氏は、むしろFacebook Datingのチャット機能を使った会話を通じて、例えば母校が同じといった共通点を、自然に発見していくものだと述べている。

出会い系アプリのメーカーが、秘密のレシピについて口を閉ざすのは珍しいことではないが、Facebookがこの機能のために利用できるデータの量は、競合に比べて有利に働くだろう。ただそれだけに、Facebookが見えないところで扱っているプロフィールデータについて、ユーザーがどこまでコントロールできるのか、疑念を持たれる可能性もある。

例えばTinderでは、「ハイキングが大好き」と自分で書くことができるが、Facebookでは、ユーザーが実際にハイキング関連のグループやイベントに参加したかどうか、そしてその頻度までが考慮されるだろう。本当はもっと多くのことを知っているかもしれない。ユーザーがハイキングの場所にチェックインしたこと、山が写っている写真を投稿したこと、「ハイキング」というキーワードを含むコメントを書いたこと、ハイキングに関連するFacebookのページに「いいね」を付けたことなど、みんな筒抜けだろう。しかしFacebookは、この種のデータが使用されるかどうか、だとしたらどのように使われるのか、一切明らかにしない。

もしユーザーが、自身の個人データをFacebookがどのように使おうと構わないというのなら、このようなサービスのメリットはいくらでも挙げることができる。ただし、それは米国市場では、あまりありそうもないことだが。

Facebook Datingの大きな目標は、出会い系のサービスを、パーソナルなものと感じられるようにすることにある。つまり、表示されるプロフィールの背後には、現実の人がいることを意識させること目指している。そしてその出会いを、ゲームとして扱うことは意図していない。これは、出会い系アプリにはうんざりしているのに、使わずにはいられないという人にとっては、差別化の要因となるかもしれない。

これまでの出会い系アプリには、いろいろなつながりを築くために、長く使い続けようという気にさせるものが欠けているという問題があった。結局のところ、相手を見つけることができると、人は出会い系のサービスの利用を止めてしまうのだ。これは、アプリの収益にとって最悪だ。それでは、ユーザーが使い続けてくれるようにするためには、どうすればいいのだろうか?例えば、Tinderがやっているように、「独り暮らし」というライフスタイルを推奨すればいいのだろうか?

Facebookの場合、ユーザーが離れてしまうことは、それほど心配していない。なにしろFacebookには月間24億人のユーザーがいる。出会い系の機能を、単なるおまけとみなすだけの懐の深さがあるのだ。またその膨大なユーザー数は、出会い系アプリを使おうなどとは考えたこともない人を含めて、出会いの対象となりうる人の潜在的な予備軍を大量に抱えていることを意味する。

またFacebookは、魅力的なユーザー体験を構築する方法を知る企業であるという点でも優位に立っている。出来栄えの良さは、Facebook Datingの随所に見て取れる。たとえばセットアップの際に、性別を設定する画面にスムーズに移行するところとか、最初のデートの際に、安全のため、Messengerを使って信頼できる友達に現在の居場所を簡単に通知する機能など、よくできている。

さらにFacebook Datingでは、一般の出会い系アプリで問題になっている、勝手に写真を送りつけてきたりすることや、ポルノ系ボットによるスパムの送信を、厳重に禁止している。チャットを、テキストとGIFのやり取りのみに制限しているのだ。つまり、URL、写真、支払い要求、動画などをメッセージで共有することはできない。

また、年末までにストーリーも統合されることになっているので、出会い候補の飾らない投稿をチェックすることが、一種の流行になるかもしれない。

最後に言えるのは、これは少なくとも今のところ、出会い系の機能そのものを収益化するために存在しているわけではない。メッセージングや、以前にうっかり削除してしまったプロフィールに戻るなど、本格的な機能を備えたものながら、Facebookは無料で使えるサービスとして提供することができる。そのため、ユーザーからお金を搾り取ろうとするアプリに見られるような制限とは無縁でいられる。

とはいえ、Facebook Datingが、Tinderからあれこれ影響を受けることは避けられないようだ。たとえば、角の丸い「好き」「嫌い」のボタン(なぜそれ以外の選択肢がないのか?)、遺伝的に恵まれた人に有利な写真中心のプロフィール、プライベートなチャット機能、そしてInstagarmの統合といったものだ。

米国に加えて、Facebook Datingはすでにアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ラオス、マレーシア、メキシコ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、シンガポール、スリナム、タイ、ウルグアイ、ベトナムでも利用可能となっている。2020年初頭までにヨーロッパでも使えるようになる。

同社は、Facebook Datingに参加しているユーザーの数については明かすつもりはなさそうだが、今のところ「そこそこうまくいっている」とだけ述べている。

Facebook Datingは、米国時間9月5日から米国内で18歳以上のユーザーに公開された。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ニューヨーク州の司法長官がFacebookへの反トラスト捜査を指揮

米国ニューヨーク州の司法長官であるLetitia James(レティーシャ・ジェームス)市は米国時間9月6日朝、自らの指揮でFacebookの反トラスト問題を取り調べていると発表した。嫌疑は、Facebookがそのソーシャルメディアの支配を利用して反競争的な行為に関与したのではないか、というものだ。

ジェームス氏は「最大のソーシャルメディアプラットホームであっても、法を守り、消費者を尊重しなければならない。各州司法長官の党派を超えたチームを率いて、Facebookが競争を抑圧しユーザーを危険に陥れなかったか取り調べていることを、誇りに思う。われわれはあらゆる捜査ツールを広く利用して、Facebookの行動が消費者のデータを危険にさらし、消費者の選択の質を貶め、あるいは広告の価格を高騰させなかったかを調べたい」と語る。

発表によると、その各州司法長官のチームは、コロラド州、フロリダ州、アイオワ州、ネブラスカ州、ノースカロライナ州、オハイオ州、テネシー州、そしてコロンビア特別区の司法長官から成る。

Facebookはすでに6月に、反トラストで連邦取引委員会(FTC)の取り調べを受けていると発表した。それは、同じ日に発表されたプライバシー関連のFTCとの和解とは別だ。今、大手テクノロジー企業の多くが、FTCや司法省による反トラスト捜査に直面しているようだ。

新たな取り調べが発表されたあとの声明で、Facebookの州と地方ポリシー担当副社長のWill Castleberry(ウィル・キャッスルベリー)氏は「私たちが提供するどのサービスにも、複数の選択肢がある。私たちがイノベーションをやめれば、人々は自由にここを去ることができる。それは米国だけでなく世界的な競争に私たちが直面していることの証だ。もちろん私たちは州の司法長官たちに建設的に協力するし、私たちがその中にいる競争的な環境について、政策立案者のみなさまと会話することを歓迎する」と述べている

関連記事:Facebookが連邦取引委員会の捜査を受けていることを公表

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookが10億円超を投じてディープフェイクの識別に賞金

一般に「ディープフェイク」と呼ばれるディープラーニングを利用してデジタル画像、動画を捏造するテクノロジーは我々の社会に対しすでに深刻な脅威となっている。こうした捏造を退治するためには我々自身が捏造を見破る能力を保たねばならない。火をもって火と戦うというわけだ。

Facebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)などのトップテクノロジー企業は共同で、デープフェイクを識別する機械学習システムを開発中だ。こうした努力の一環としてFacebookが興味深いプロジェクトを立ち上げた。

ディープフェイクは比較的新しいテクノロジーだが、我々はすでに捏造力と識別力の軍拡競争に投げ込まれている。毎日新たな、ますます真に迫ったディープフェイクが登場している。大部分は無害なものだが、誰かの映像を細工して極めて不都合な場面を捏造することが可能だ。そしてリベンジポルノのように悪用するものがいる。政治家、俳優を含めて多くの著名人がすでにディープフェイクの被害にあっている。

FacebookはMicrosoft、オックスフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学などで構成されるAIパートナーシップに参加している。Facebookはその一環としてディープフェイク識別テクノロジーの改善のために大型プロジェクトを立ち上げた。Facebookの最高技術責任者であるMike Schroepfer(マイク・シュレーファー)氏は米国時間9月4日の電話記者会見で次のように述べた。

最近のAIテクノロジーの進歩に関連して興味ある点はAIの達成レベルを計測するためにベンチマークとなるデータセットが用意されるようになったことだ。画像認識テクノロジーをテストするためには数百万件の画像のセットが用意され、音声テキスト化のためにも異なった音声のサンプルが何時間分もデータセットとして利用できる。しかしディープフェイク識別の場合はそのようなデータセットが存在しない。

今年初めに開催されたロボティクスとAIについてのTechchCrunchセッションで我々はすでにこの問題を取り上げている。下のビデオでは私(Coldeway)がバークレーのAlexei Efros(アレクセイ・エフロス)教授、ダートマスのHany Farid(ハニー・ファリド)教授にインタビューしている。

ビデオの冒頭でディープフェイクのサンプルとしてバラク・オバマ大統領のビデオを加工して「言っていないことを言わせる」ビデオが流される。ディープフェイクが民主主義に与える脅威が容易に想像できるだろう。

こうした脅威に対抗するため、Facebookは1000万ドルのリソースを投入してディープフェイク識別コンテストを開催する。FacebookはAIパートナーシップのメンバーと協力してまず大量のディープフェイクのサンプルを作ることにしたという。上の電話記者会見でSchroepfer氏は次のようにその背景を説明した。

ディープフェイクを識別するためのベンチマークとなるデータベースを作るのは非常に困難な事業となる。その理由のひとつはディープフェイクのターゲットなった人物がデータベース化に同意している必要があるからだ。そうでないとベンチマークに使われたことに抗議される可能性がある。現実にインターネットに拡散されたディープフェイクの場合、被害者になんらの同意も求めていないのが普通だ。このため少なくともアカデミックな研究に用いることはできない。

まず必要になるのはディープフェイクのソースとなるビデオ素材だ。次にその画像に重ねる人物の各種の特徴を記録したデータでベースだ。そこからディープフェイクの実行となる。ここでは最新、最強のディープフェイク技術をして現実には存在しなかったビデオや音声を作り上げる。

ではFacebookはその素材をどこから入手するのかと疑問を持つ読者も多いだろうが、安心していい。素材には報酬を支払ってプロの俳優を起用している。

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ディープフェイクのデータセットはディープフェイク識別テクノロジーを進歩させる能力、意思のあるグループに提供される。結果はリーダーボード形式で共有される。識別力に応じて賞金が提供されるというが、詳細はまだ発表されていない。賞金の額によっては大学や各種組織の研究者の間に健全な競争を巻き起こすかもしれない。

メリーランド大学のRama Chellappa(ラマ・チェラッパ)教授はプレスリリースでこう述べている。

マルチメディアの捏造という深刻な脅威に対抗し識別力を高めるためには研究者コミュニティの全面的な協力が必須だ。ディープフェイクについての知見を深め発見のためのシステムを構築するためのオープンな環境とシステムが求められる。特に必要なのは現実の素材とそれを加工した素材の大規模なコーパスだ。(Facebookから)発表されたチャレンジは研究者コミュニティにエキサイティングな刺激を与え、一丸となってこの脅威に立ち向かうきっかけを与えるに違いない。

ディープフェイク識別のためのデータセットは、まず10月に予定されているコンピュータビジョンに関するカンファレンス、ICCV(International Conference on Computer Vision)で発表される。さらに12月に予定されているニューラル・コンピューティングのカンファレンス、NeurIPSでさらに詳しい発表があるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookユーザーの電話番号が掲載された大量データベースが流出

Facebook(フェイスブック)アカウントにリンクする何億もの電話番号がオンライン上で見つかった。

暴露しているサーバーには、米国ユーザー1億3300万件、英国ユーザー1800万件、ベトナムユーザー5000万件の記録を含め、世界各地のユーザーに関する4億1900万超の記録が含まれていた。このサーバーはパスワードで保護されていなかったため、誰でもデータベースを見つけてアクセスできた。

各記録にはユーザーのFacebook IDやアカウントにある電話番号が含まれていた。ユーザーのFacebook IDは通常長くユニークで、往々にしてアカウントのユーザーネームを識別するのに使用されやすいアカウント関連の数字が含まれている。

しかし電話番号は、Facebookがユーザーの電話番号へのアクセスを制限して以来、1年以上公開されていない。

TechCrunchは、Facebookユーザーの電話番号とリストにある彼らのFacebookのIDをマッチさせて、データベースにある多くの記録を実証した。我々はまた、電話番号とFacebookのパスワードリセット機能をマッチさせて他の記録もチェックした。パスワードリセット機能は、アカウントにリンクしているユーザーの電話番号を明らかにするために使うこともできる。

記録の一部にはユーザーの名前、性別、居住国も含まれていた。

これは、2016年の米国大統領選挙浮動票層の人を特定するのに8000万超のプロフィールがスクレイプ(特定情報の抽出)されたCambridge Analyticaスキャンダル以来、Facebookが関わってきた一連のインシデントで最新のものとなる。

Cambridge Analyticaスキャンダルがあって以降、スクレイプされたプロフィールデータを大量に持っていたことを最近認めたInstagramを含め、Facebookではかなりひどいスクレイピングインシデントがいくつかあった。

そして今回の最新のインシデントは、数百万ものユーザーの電話番号をFacebookIDから露出させ、これによりスパムコールSIM乗っ取り攻撃のリスクにさらした。SIM乗っ取り攻撃は、攻撃する人に誰かの電話番号を渡して通信会社を欺くことで成り立っている。誰かの電話番号を使って攻撃する人はその番号に関係するあらゆるインターネットアカウントパスワードを強制リセットできる。

セキュリティ研究者でGDI FoundationのメンバーであるSanyam Jain(サヤム・ジェイソン)氏がデータベースを発見し、データベースの持ち主を見つけられずにTechCrunchに連絡してきた。データをレビューしたが、我々もデータベースの持ち主を特定できなかった。しかし我々がウェブのホストに接触した後、データベースはオフラインになった。

ジェイソン氏は、何人かのセレブに関連する電話番号が載ったプロフィールを目にしたと語った。

Facebookの広報、Jay Nancarrow(ジャイ・ナンカロウ)氏はFacebookがユーザーの電話番号へのアクセスを断つ前にデータはスクレイプされたと話した。

「このデータセットは古いもので、我々が昨年、電話番号を使って他人を見つけらる機能を除外するために変更を加える前に入手されたもののようだ」とナンカロウ氏は語った。「データセットはバラバラにされていて、Facebookのアカウントが影響を受けたという証拠は得られていない」。しかし、一体誰がデータをスクレイプし、いつ、そしてなぜFacebookからスクレイプされたのか、疑問は残る。

Facebookは長い間、デベロッパーによるユーザーの電話番号へのアクセスを制限してきた。Facebookはまた、友達の電話番号の検索をさらに難しくもしている。しかしデータは暴露されたデータベースに先月末にアップされたようだった(これはデータが新しいものであることを必ずしも意味しない)。

今回のデータの露出は、パスワードなしにデータがオンラインで公にさらされた最新例となる。こうしたものの多くは悪意のある情報流出よりもヒューマンエラーと結びついているが、それでもデータの露出は顕在化しているセキュリティ問題を表している。

最近では、金融サービス大手First AmericanやMoviePass上院民主党データをさらしている。

画像クレジット:Adam Berry / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

FacebookのMessenger用ビジネスツールが登場

米国時間8月29日、FacebookはMessengerを活用している4000万社のための新しいツールを正式に公開した。今年4月30日〜5月1日に開催されたデベロッパーカンファレンスのF8で発表されたとおり、アポイントメントの予約やリードジェネレーションなどのツールがある。この変更に関連して、同社はMessengerの「発見」タブの削除も開始した。この「発見」タブは昨年秋のデザイン変更でゲームと企業の両方のホームとして使われてきた。

Facebookは今後数カ月かけてMessengerアプリから「発見」タブを削除していくという。その代わりにユーザーがMessengerで企業とやり取りできるようにしていく。

Facebookは「発見」機能を削除する決定について「ユーザーがつながりを持ちたいとすでに考えている企業に対して、Messengerでもっとシームレスに連絡できるようにしたい。m.meのリンクウェブのプラグイン、Facebook関連のアプリ全般にわたるさまざまなエントリーポイント、そして広告プロダクトなど、ユーザーと企業がつながりMessengerに誘導するためのツールにさらに投資していく」と説明している。

新しいビジネスツールについては、リードジェネレーションのためのプロダクトをMessengerのテンプレートとしてFacebook Ads Manager内で公開する。このテンプレートでエクスペリエンスを自動化してMessengerで見込み客を判断し、アプリ内で会話を続けたり、既存のCRMツールと統合して見込み客を追跡したりすることができる。この機能はF8以降ベータ版として公開されていたが、今後は正式版になる。

アポイントメントの予約もF8で発表されたが、現時点では一部の開発者と企業に対してベータ版が公開されている状態だ。企業はMessengerを使ってこの機能でアポイントメントのリクエストを受け付け、リアルタイムで予約できる。既存のカレンダー予約ソフトと統合したり、Messengerでの会話を来店のトラフィックに誘導したり、オンラインや電話のアポイントメントに使ったりすることもできる。こちらは年内に世界中の全開発者に公開される予定だ。

今回発表された新しい情報としてもうひとつ、年内にMessengerのイベントレポートを改善する計画がある。この機能を使って企業はMessengerの会話のレポートや追跡をすることができる。

さらにFacebookは企業向けの標準メッセージングの対応時間(顧客からの問い合わせに対応しなければならない時間)を24時間にする。これはWhatsAppの対応時間と同様だ。

24時間後も、企業はスポンサー付きメッセージで顧客とメッセージタグを再度エンゲージすることができる。たとえば購入に関する最新情報、イベントのリマインダー、アカウントの変更などに利用できる。また現在はクローズドベータの「ヒューマンエージェント」もある。これは標準のメッセージングの対応時間が終わった後にエージェントが問題に対応するものだ。

一方、Messengerのサブスクリプションメッセージングのベータプログラムも変更される。

こちらは「確認済みのニュース媒体」に限定される。これは一部の企業がこの機能をFacebookのガイドラインに違反して使用しているためだと、同社は明らかにした。この機能は購読者に対して定期的に最新ニュースを送るために設計された。このタイミングで変更されることは興味深い。Facebookがトップニュースのストーリーを再開しようとしているからだ。今回はジャーナリストが吟味し、Facebookが費用を負担してコンテンツを掲載する。ニュースプロダクトとサブスクリプション/アップデートが両立する余地はあるが、今後どうなるかは明らかになっていない。

F8で発表されたMessenger関連の最大のニュースはMacとPC用のデスクトップアプリだったが、これはまだ登場していない。年内には登場すると見られる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Facebookが近い将来「いいね!」カウントを廃止する可能性

Facebookは近くニュースフィードから「いいね!」数のカウンターを削除するかもしれない。これは投稿者が「いいね!」数に影響されて他のユーザーとの競争や自己検閲などに陥ることを防ぐのが狙いだ。

Instagramはすでに日本、カナダ、ブラジルなど7カ国でこれをテスト中だ。「いいね!」の総数ではなく、投稿者と友達関係にあるユーザーが「いいね!」したことだけを表示する。期待したほど「いいね!」が集まらないときに誤った競争心から意見を変えたり投稿を削除したりするようなバイアスからメンバーを守ろうとする試みだ。

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「いいね!」非表示のFacebookニュースフィードのプロトタイプ(Jane Manchun Wong)

リバースエンジニアリングの達人、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチン・ワン)氏はFacebookが「いいね!」カウンターを削除したAndroidアプリをテストしていることを発見した。TechCrunchが取材したところ、Facebookは「いいね!」カウントの表示廃止を検討していることを認めた。ただし「いいね!」数非表示のUIはまだ一般に公開されていないという。FacebookはInstagramにおける「いいね!」数非表示のテストの背景や結果などについて明かすことを拒んだ。またテストから本番実施に移る可能性やその時期についてもコメントを避けた。テストに対する反応が不評で広告収入にダメージを与えるようであれば「いいね!」数の非表示は取りやめになる可能性は残っている。

しかしInstagramにおける「いいね!」表示廃止はポジティブな結果を生じているかもしれない。Instagramがテストを計画していることに我々が気づいたのはこの4月にワン氏が発見したときだった。その後カナダで実地テストが開始され、7月までにブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、イタリー、アイルランド、日本が続いた。

これらの地域では投稿者本人は「いいね!」数を見ることができるが、他のメンバーには表示されない。 Facebookは本体で「いいね!」数非表示を実験する前に、まず傘下のInstagramで投稿や広告、ユーザーの精神衛生などに対する影響をテストすることにしたのだろう。

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Instagramはすでに「いいね!」数非表示をテスト中。Facebookも近々続く可能性がある

最近Facebookは結婚や転職など人生の節目になるような大きなイベントの告知に使われ、日々の投稿はInstagramやSnapchat へという傾向が強まっている。Facebookで共有されるのがユーザーにとってビッグイベントである場合、期待したほど「いいね!」がクリックされないとユーザーは自己嫌悪に陥いるなどの悪影響が懸念されることになる。これは結果的にFacebookの広告収入に対しても悪影響となる。ユーザーが「「誰も『いいね!』してくれない。私の人生は無価値だ」と落ち込んでFacebookを使うのを止めてしまうようなシナリオは避けたいだろう。

ちなみに私は2017年に「『いいね!』数カウントを非表示にしたほうがプレッシャーを軽減し、結果的に投稿を増やすはずだ」と書いている

10月2日から4日にかけて開催されるTechCrunch Disrupt SF 2019(チケット申し込み)で私(Constine)はSnapchat CEOのEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏にインタビュー する予定だ。ソーシャルメディアの成長戦略一般に加えてSNSのメンタルな影響についても詳しく尋ねるつもりなので興味のある読者はぜひチェックしていただきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpotifyからFacebookのストーリーに音楽を共有できる

Spotifyは米国時間8月30日、友達と、あるいはアーティストがファンに対して、音楽を共有する新しい方法を発表した。Facebookのストーリーと統合し、15秒間の試聴を共有できる。これを見た人はストーリーにある「Spotifyで再生」ボタンをタップしてSpotifyアプリに移動し、曲をもっと聴くこともできる。

この機能は主にアーティストとそのチームがFacebookのソーシャルネットワークで新曲をプロモーションする新しい方法として設計された。ミュージシャンやマネージャーは、Spotifyアプリの共有機能を使って、コンテンツをInstagram、Twitter、WhatsAppなどのソーシャルメディアに投稿していることが多い。

2018年にSpotifyは、アルバム、曲、プレイリストをInstagramのストーリーに共有する方法を導入した。これは、Facebookが他社のアプリからFacebookやInstagramのストーリーに共有する機能を公開すると発表したことを受けたものだった。

その時点でSpotifyは、Facebookのストーリーとの統合もまもなく開始すると発表していた。

Instagramとの統合を開始して以来、共有機能はSpotifyとInstagramの双方にとって有効なものとなった。音楽を見つけようとしてSpotifyアプリに戻ってくるトラフィックが増え、ユーザーのストーリーもより魅力的なものになるからだ。

しかしFacebookのストーリーへの共有は、それほど需要がないかもしれない。

15秒間のクリップをFacebookのストーリーに共有するには、Spotifyアプリで共有ボタンをタップし、共有先としてFacebookを選択する。

補足しておくと、現時点ではSpotifyが公表し上のツイートの動画にもあるニュースフィードへの共有は表示されない。「Facebook」をタップするとすぐにストーリーのインターフェイスが表示される。

この後はふだんと同じようにストーリーを編集して投稿する。これを見た人は15秒間のクリップを試聴でき、タップしてSpotifyに移動してもっと聴くこともできる。

Spotifyは過去にもFacebookのストーリーへの共有機能を提供していたが、その後、利用できなくなっていた。

曲の試聴は、1曲だけをストーリーに共有した場合に限られる。Spotifyによれば、アルバムやプレイリスト、アーティストのプロフィールページといったコンテンツを共有した場合、それを見た人はコンテンツをタップすることはできるが、試聴はできない。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

インスタはIGTVのビデオをFacebookに配信する機能をテスト中

Instagram(インスタグラム)の創立者が会社を去ってからというもの、Facebookは、InstagramとFacebook本体をより緊密に統合する方向で作業を進めている。すでにInstagramの隣にFacebookというブランド名を表示するようにしたり、両者のメッセージ機能で相互にやり取りできるようにするための開発も進めている。そしてさらにFacebookは、InstagramのIGTVビデオを、Facebookのビデオサイト、Facebook Watchに配信する機能を試作中だ。IGTVは、Instagramが開発したスタンドアロンのビデオアプリだ。

有名なリバースエンジニア、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチン・ワン)氏が新たに発見したところによれば、IGTVのコンテンツを投稿する際にユーザーがスイッチの設定によって、、Instagramにプレビューとして、またはFacebook本体とFacebook Watchに、あるいはそれら両方を選べるようにする機能を、Instagramが開発中だという。後者のスイッチには「Make Visible on Facebook(Facebook上でも見えるようにする)」というラベルが付いている。

ワン氏は、この機能はまだプロトタイプであり、スイッチも機能していないと報告している。

このような機能が実現すれば、より多くのビデオクリエーターに対してIGTVの利用を促す効果を持つ。Facebookからも直接観られるようになれば、IGTVに投稿した作品の配信先を拡大することになるからだ。ワン氏は、こうしたビデオは、エピソードのシリーズに含めることもできるのではないかと見ている。

これは結局、独立したビデオのプラットフォームとしてはなかなかブレークしないIGTVを支援することになるだろう。今のところIGTVは、TikTokやSnapchatの縦長ビデオから大いにヒントを得ている。その目的は、より縦に長いポートレートモードのビデオコンテンツによって、Instagram本体と独立したIGTVアプリの両方で、Instagramユーザーの注目を集めること。しかしIGTVでは、ウェブ上にあるビデオを適当にトリミングして、安易に縦長にしただけのようなコンテンツが多く目に付き、最初からIGTVを意識して作成されたものは少ないのが現状だ。

またIGTVのアプリは、本家のInstagramとは違ってアプリストアのランキングの上位に食い込むほどの人気を得ることができていない。今見てみると、IGTVは、App Storeの「写真/ビデオ」のカテゴリーで159位となっているが、総合のランキングには含まれていない。

クリエイターが不満を漏らしていたいくつかの問題に対処するため、Instagramは今週、IGTVのアップロードの操作方法に若干の変更を加えた。たとえば、クリエーターのプロフィールのカバー写真用に、IGTVサムネイルを1対1の縦横比でトリミングしたり、フィード内のIGTVビデオの5対4のセクションを編集できるようにする機能を追加した。

また、IGTVのタイトルと説明に、Instagramのハンドルとタグを自動入力できるようにもなった。さらに、モバイルデバイスから、より長尺のビデオをアップロードできるようになった。その結果、モバイルからのアップロードするビデオの最小時間を1分に、最長を15分に変更した。

Instagramは、IGTVのコンテンツがFacebookやFacebook Watchに配信される可能性について、コメントを拒否した。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ハッキングコンテストにてFacebook Portalがストレステストの対象に

昨年Facebook(フェイスブック)はスマートディスプレイを発表したが、ハッカーたちは毎年恒例のPwn2Ownハッキングコンテストにて、そのFacebook Portalをストレステストできる。

Pwn2Ownは世界最大級のハッキングコンテストで、セキュリティ研究者が家電製品や自動車を含むさまざまな製品の脆弱性を発見し、実証するために集まる。

企業が自社製品をハッカーにテストさせるのは珍しいことではない。Tesla(テスラ)は今年、新型セダン 「Model 3」 をコンテストに出展した。その後、2人の研究者が、車のインフォテインメントシステムのウェブブラウザーに深刻なメモリのランダムバグがあることを発見し、37万5000ドル(約4000万円)を獲得した。

Facebook Portalに、リモートでコードを送信して実行できたハッカーは最大6万ドル(約640万円)を、非侵襲的な物理的攻撃や権限変更に関するバグの場合は4万ドル(約420万円)をそれぞれ得ることができる。

このコンテストを主催しているTrend Micro(トレンドマイクロ)のZero Day Initiativeは、参加する研究者が利用できるホームオートメーション機器の範囲を拡大する取り組みの一環として、Facebook Portalを出展した。Pwn2Ownによると、研究者はAmazon(アマゾン)のEcho Show 5、Google(グーグル)のNest Hub Max、Amazon Cloud Cam、Nest Cam IQ Indoorをハックする機会も得られるという。

Facebookはまた、ハッカーがVRヘッドセットのOculus Questの脆弱性も発見できるようにすると伝えている。Pwn2Own Tokyoは11月6〜7日に開催される予定で、75万ドル以上(約8000万円)の現金と賞品が提供されると予測されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter