もう11月である。つまり、来年のSEO計画を練る時期がやってきた。グーグルのハミングバードのおかげで、インターネットマーケッターとSEOのエキスパートは、コンテンツとオーソリティに力を入れるようになり、また、この新しいアルゴリズムが、キーワードの関連性とリンク構築に与える影響について真剣に考えるようになった。
同時に、SEOの関係者は、ビングに対する有効な戦略を見出すことが出来ずに苦労しているようだ。今年は、SEO計画書を2度に渡って提供する。本日は、ハミングバードとコンテンツ戦略について、来月は、ソーシャル、ローカル、モバイル、インターナショナル、そして、その他の検索のバーティカルを取り上げていく。
それでは、早速始めよう。
アルゴリズム
グーグル自体、そして、大勢の優秀なリサーチャーのおかげで、グーグルの検索アルゴリズムについて、多くの情報を知ることが出来る。しかし、グーグルは、検索マーケッターに知ってほしい情報だけ明かし、後は、秘密にしている。現実として、クエリを投稿し、検索結果が表示されるまでのあらゆる出来事に関して、表面上のことしか分かっていない。
3つの情報源
1. グーグル経由の情報
グーグルは、ウェブマスターの役に立ちたいと本気で望んでいる。実際に、効果的なSEOを行うために欠かせない、多くの率直で、有益な情報を提供している。グーグルのビジョンは、良質なマーケティングの取り組みと一致しているため、グーグルのアドバイスに耳を傾ける価値はあると言えるだろう。また、かつて、グーグルは、ベストプラクティスを推奨した結果、悪意のある最適化の手法によって打ち負かされた過去を持つ。そのため、グーグルは、スパムするサイト、ランキングの信頼性を悪用するサイト、質の低いコンテンツを配信するサイト、もしくは、グーグルの利用規約を違反するサイトを特定し、ペナルティーを課す取り組みを改善してきた。この点からも、やはりグーグルの意見には、注目する価値があると言えるだろう。
その一方で、– とどめの一撃になるかもしれないが — グーグルの広報が、アルゴリズムに関する情報を明らかにする、あるいは、ベストプラクティスに対する提案を行う際は、必ず意図があると推測するべきである。
グーグルは、特定のタイプの検索結果を提供し、それ以外のタイプの結果を阻止することを目指したビジョンを広めようとしている。出来るだけ質の高い結果を提供するためにアルゴリズムを作る取り組みも重要だが、グーグルは、独自のプロパガンダを用いて、グーグルが求めるタイプのコンテンツ(トピック、記事の質、そして、クローラビリティ)を作るよう企業に促している。
グーグルの広報は、海千山千であり、明かす情報と明かすべきではない情報の判断を巧に下すことが出来る。個人的なアイデアと意見を持って会議室に入り、合意したメッセージのみを持ち帰る能力を持っているのだ。
2. 観察
検索エンジンのランキングの改善に関する情報の多くは、経験と観察から得ている。だからこそ、SEOを、科学と芸術で構成される技術だと私は考えている。SEOに携わる者として、私達はお互いの有益な体験と不利益な体験に依存し、トレンドを見つけ、その影響を理解している。例えば、リンクやソーシャルメディアでの言及を獲得しやすいコンテンツのタイプを理解するには、積極的な実験よりも、個人の体験、そして、共有する経験が重要になる。
今までは、グーグルの自然検索アルゴリズムを打ち負かすために観察が行われることが多かった。その結果、リンクホイール、コンテンツネットワーク、そして、コンテンツのスピニング等の手法が編み出された。今後の観察の焦点は、トリックではなく、ベストプラクティスに注がれるだろう。B2BやB2Cのサイトにはどのタイプのコンテンツが有効なのか、「上位のランキングに相応しい」製品ページを作るにはどうすればいいのか、あるいは、SEOにマイナスの影響を与えずにビジターを追跡するにはどうすればいいのか等の質問に対する答えが求められている。
3. 相互関係
相関関係テストは、有益な情報をもたらす。リサーチャーは、検索に関するグーグルのメッセージ、そして、数値化できるものなら手当たり次第、SEOの観測結果を調査する。HTML、ソーシャルメディアサイト、コンテンツのパターン等を調査し、特定し、計測可能な要素を見つけようと試みる。
あらゆる潜在的なシグナルを整理し、多数のデータポイントの計測データをまとめ、ランキングの結果やサイトのトラフィックと比較し、最後に、成果を発表する。相関関係が原因を保証するわけではないが、相関関係テストがもたらす見解が、評判が高く、有益である理由は明白だ。
ハミングバード
それでは、グーグルの最新のアルゴリズム、ハミングバードに注目する。ハミングバードは、検索結果の90%に影響を与える。グーグルは、ユーザーに伝える1ヶ月前から、これまでのアルゴリズムをハミングバードに取り換えていたが、そのことに誰一人として気づかなかった。
SEOの関係者が気づかなかった理由の一つとして、大きな変化が起きていたのは、ロングテールのクエリであった点が挙げられる。ロングテールは、検索クエリの大きな部分を占めるものの、クエリが入力される頻度は少ない。検索量が少なく、また、グーグルはリファラーデータを(not provided)として提供していないため、マイナーな結果が目立たないのは致し方ないと言えるだろう。
これは、クエリ内の個別のワードを文書にマッチさせるよりも、フレーズの意味をコンセプトにマッチさせるグーグルの方針と一致している。
しかし、ハミングバードに気づかなった本当の理由は、全く新しいアルゴリズムではあるものの、基本的に過去のアルゴリズムと同じだったからではないだろうか。グーグルの検索アルゴリズムに触れる際は、基本的に数式のセットに言及していることになる。毎年、グーグルは、数百点の変更をアルゴリズムに対して加えている。数年間でどれだけ多くの変更が行われるのか想像してもらいたい。過去のセクションを書き直すものもあれば、完全に新しいセクションを加えるものもある。変更が構築されていくと、アルゴリズム全体は、より複雑になり、最適ではなくなっていく。
そのため、グーグルがすべてのピースの再編成を行い、最適化を行い、今後の改善のための道を確保することは理に叶っていると言えるだろう。メンテナンス、または、春の大掃除のようなものだ。これは、個人的な憶測だが、特にグーグルが積極的にテストを行った上で、アルゴリズムのアップデートを実施している点を考慮すると、過大な解釈ではないと思う。
また、アルゴリズムに対する、今後のアップデートの追加およびテストを行いやすくする特徴をハミングバードは持つ。いかなる環境においても、あまりにも多くの変更点を試すと、混乱を起こし、結果を評価することが出来なくなってしまう。グーグルは、望む改善点をリストにまとめているはずであり、ハミングバードはこのリストを意識して、構築されたのではないだろうか。ハミングバードによって、グーグルは、今後の変更をより早く、そして、より多く実施することが出来るようになると推測される。
そのため、ハミングバードは、確かにコンテキストを特定する力に幾つかアップデートを加えているものの、基本的には、再編成、最適化、そして、今後の改善への下準備だと私は考えている。
現在の検索エンジンのアルゴリズムを活用するには
SEOの関係者は、コンテンツとオーソリティに対して関心を持っている。
コンテンツ
コンテンツに関しては、コンセプトを利用し、各コンセプトを目立たせ、そして、4つの領域のコンテンツ戦略を採用することが、鍵になるだろう。
コンセプトの利用
現在のコンテンツを確認し、ユーザーが考え、検索を行う構造にマッチするフレーズを利用しているかどうかを確かめると手っ取り早い。例えば、Centurylink – Quick Bill Payの代わりに、Pay Your Centurylink Bill Onlineを利用する方が良い(実際には、Centurylinkは、Pay Your Bill Onlineのヘルプページを持っているが、言いたいことは分かってもらえるはずだ)。
多くのサイト、特に企業のウェブサイトは、フレーズではなく、タイトルとヘッドラインのキーワードを強調する近道を採用している。総合的なタイトルを試して、トラフィックが増加するかどうかをチェックしている。しかし、ウェブサイトの間で人気が高い、フレーズを省略するこの取り組みは、検索エンジンが、自然な言語をより正確に理解することが出来るようになるにつれ、マイナスの影響を与えるようになるかもしれない。
すべてのピースを目立たせる
あらゆるコンセプトにおいて、コンテンツの全てのピースに力を入れるべきである。キーワードやキーフレーズに対する支柱となるページを作成し、このページに最適化したアンカーテキストを用いてリンクを張るコンテンツを投稿していく手法が、コンテンツ戦略としてSEOの関係者の中で浸透している。確かに効果的ではあるが、サポートするコンテンツの全てのページが、独自のコンセプトに焦点を絞っている点を確認する必要がある。
同じトピックを5つの異なる形式で書き、支柱の記事にリンクを張り、このページを上位にランク付けさせようとしているなら、最も適切な文書を特定する検索エンジンの取り組みを難しくしている可能性がある。
プロジェクト管理を例にとって考えてみる。プロジェクト管理のベストプラクティスに対する支柱ページを作成したとする。サポートするページで重複を完全に避けることは不可能かもしれないが、それでも明確に分離し、各ページが独り立ちすることが出来るように工夫する必要がある。アジャイルプロジェクト管理の基礎やウォーターフォールプロジェクト管理の基礎等の記事を盛り込むことも可能だ。
ただし、プロジェクト管理のベストプラクティスをプロジェクト管理の基本やプロジェクト管理の基礎等の記事でサポートするべきではない。なぜなら、全て基本的に同じだからだ。今までは、それぞれのページが異なるキーワードをターゲットにしていたとしても、現在、グーグルは、事実上、同じである点を理解している、あるいは、理解しつつあると言えるだろう。
検索エンジンは、ワードとフレーズから距離を置き、コンセプトを重要視しつつあるため、同じトピックを異なるキーワードを使って何度も取り上げる取り組みの効果は、低下の一途をたどる。事実、優れたユーザー体験とは言えないため、このタイプの戦略が、今後のパンダの標的にされるかどうか、よく考える必要があるだろう。
4つの領域のコンテンツ戦略を利用する
自然の検索トラフィックを、良質なコンテンツと人気によって得られる二次的なメリットだと考えると、4つの領域のコンテンツ戦略 — それぞれが独自の目的を持つ — の仕組みを容易に理解することが出来るはずだ:
左上: 製品またはサービスの販売 右上: カスタマーサポート 中央: コンテンツ計画 左下: 会社の情報 右下: 教育、情報、リソース
万能型のコンテンツ戦略が理想的だが、ビジネスによっては、5つ目、または、6つ目のコンテンツの領域が有効に働く場合もある。
多くのウェブビジネスは、3つの領域で健闘しているものの、教育、情報、リソースに欠けるサイトがあまりにも多い。この4つの領域は、キーワードをターゲットに選び、オーソリティを獲得しつつ、同時に知名度と信頼度を高めることが出来る領域である。適切に実施すれば、SEOおよびマーケティングファンネルの一番上の層に力を与える。
オーソリティ
リンクは、SEOにおいて、今も尚最高のオーソリティのシグナルとして君臨している。過去3年間、検索エンジンとSEOのエキスパートは、ソーシャルメディアのオーソリティのシグナルを繰り返し強調してきた。ソーシャルは確かに重要であり、検索エンジンはソーシャルシグナルを重要視する方向に向かっているものの、約束を果たしているとは言い難い状況である。グーグルの広報は、かつての意気込みと比べると、トーンダウンしていると言わざるを得ない。どうやら、グーグルが思い描いていたほど、順調には進んでいないようだ。
私は今後も、自分の会社にとって理に叶うメジャーなサイト(フェイスブック、グーグル+、リンクトイン、ピンタレスト、ツイッター、そして、ユーチューブ)で、強固な存在感を確立する方針を薦めている。ターゲットのオーディエンスに接触することが出来るなら、小さなネットワークやサイトにも参加するべきである。しかし、ソーシャルメディアでリンク構築を代用させてもらいたくない。やはり、コンテンツの作者とパブリッシャーに接触し、自分の記事とコンテンツを言及してもらい、リンクを張ってもらえるように要請するべきだ。リンクに値するコンテンツを一定して提供しよう。
- ソーシャルメディア => オーディエンスの構築
- 関係の構築 & 要請 => リンク構築
ツイッターのツイートやフェイスブックのいいね!が、リンクをもたらすなどと期待するべきではない。ソーシャルメディアユーザーの大半は、コンテンツのパブリッシャーではない。業界または分野によっては、ソーシャルメディアのインフルエンサーが含まれない可能性もある。運良く、ニュースメディアが、最新の製品のリリースを取り上げる時しか、リンクを得ることが出来ないなら、オーソリティを巡る戦いで競合者に敗北を喫することになる。
グーグルは、ブランドを贔屓し、ソーシャルメディアでの言及の回数に応じて、オーソリティを与えていると言う指摘を耳にしたことがあるかもしれない。私自身、グーグルが、ブランド名の巨大なデータベースを維持し、人気が高まりつつあるブランドを特定する方法を編み出していると確信している。しかし、ブログの記事やプレスリリースを配信する度に、安定してツイートを獲得することが出来ないなら、この方法で十分なランキングオーソリティを獲得するには、ブランドが小さい、または、弱いと言わざるを得ない。私はこの取り組みを知っていて損はない取り組みに分類し、読者とリンクを獲得する作業に精を出すようにしている。
意図的なリンク構築プログラムを実施してもらいたい。
アーキテクチャ & URL
現時点では、ウェブアーキテクチャに対する推奨事項に変更はない。シンプルで、論理的なアーキテクチャ、組織図のようなアーキテクチャが理想である。巨大なエンタープライズサイト、または、メディアサイトではないなら、ホームページから4回のクリックで、全てのページにアクセスすることが可能な構造を採用してもらいたい。
URLにも同じことがいえる。特に変化は起こらないだろう。シンプルに、そして、人間のユーザーが読めるようなURLを利用するべきだ。パラメータの利用を最低限に抑える、または、削除してしまおう。利用するなら、順番において一貫性を保つように工夫してもらいたい。
カノニカル
昨年の夏、グーグルは、重複するコンテンツについて心配する必要はないと指摘していた。しかし、グーグル以外にも検索エンジンは存在することを忘れないでもらいたい。そのため、カノニカルの問題を無視するとある程度のリスクが発生する。各ページが独自のURLを持つように、または、正しいURLを示すカノニカルの指示を出すよう今後も心掛けてもらいたい。パラメータを利用するなら、グーグルおよびビングのウェブマスターツールの設定を確認し、全てのリンクでパラメータが同じ順番になるように注意する必要がある。
来月のコラムでは、各種の検索バーティカルを取り上げ、推奨事項を紹介していく。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「2014 SEO Playbook: Google Hummingbird, Content & Authority」を翻訳した内容です。