HPがモジュール化したデスクトップPCをIFAで発表、サードパーティとパートナーすべきでは?

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たしかにこれは、IKEAの家具には見えないけれども、でもHPがなんとかおもしろいものを作ろうとしていることは分かる。“モジュール的でおもしろいもの”、と言うべきかな。

このようなモジュール状のデスクトップ機をトライするのは、同社が初めてではない。たとえば: Acer RevoやLenovo ThinkPad Stackがある。でも、出来栄えは今回の方がやや良さそうだ。Elite Sliceという名前は、もっとなんとかしてほしいけど。

しかし問題は、こういうPCのモジュール化という思想を、規格をオープンにせずに世の中に普及できるのか、という点だ。少なくともこのElite Sliceは、PC市場の極端な片隅的ニッチにおける、ある程度説得力のある製品なのだから。

HPの自称“モジュールの傑作(modular masterpiece)”は、積み木ゲームJengaのコンピューティングバージョンで、小さなホッケーパックのような本体に、いろんなピースをはめていく。それらをつなぐためのポートはHP Slice Connectorと呼ばれ、そのほかのLEGO的コンピューターも類似の方式を採用している。

スピーカーや外部ストレージ、ディスクドライブなど、分かりやすいモジュールもある。そのほかも、誘導式の充電器や、タッチ方式の会議用プレートなど、なかなか頑張っている。お値段は699ドルからで、モジュールはあとから加えてもよい。

おもしろいコンセプトだから、多くのサードパーティが参加すれば盛り上がるかもしれない。MotorolaがMoto Z系列でやったように。

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HPの新しいChromebookは、バッテリー最大12.5時間持続で、価格は189ドルから

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HPは、第2 ― あるいは第3 ― のノートパソコンを探している消費者にChromebookを売り込むべく、最低価格ながらも機能を盛り込んだ。

4月にChromebook 13を発表したのに続き、HPは新たにChromebook 11 G5を発表した。Chrome OSを塔載したこの新ノートパソコンはいくつか特徴を持つが、中でも注目すべきは価格で、最低189ドルだ。

エントリーレベル機は11.6インチのタッチスクリーンを備え、重さは2.51ポンド。CPUはIntel Celeron N3060で、バッテリーはタッチスクリーン使用時で11時間、未使用なら12.5時間を約束する。

G5の新たにデザインされた筺体は薄く軽く頑丈で(画面にはゴリラガラスを使用)、旅行者にも学生にも向いているが、特に学生は最近Chromebookメーカーが特に力を入れているターゲットだ。

新しいChromebookはHPのパートナーを通じて7月から販売され、店頭では10月から発売予定。

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プレーヤーが背中に背負って動き回るVR専用機をHPとMSIが開発、ゴーストバスターズみたいに

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出力は、ひたすらヘッドセットに固執している企業が多いようだ。コントローラに関しては、かなり流動的だが、良さそうなソリューションがいくつかある。でも、PCの部分はどうか?

たしかに、多くのコンピューターメーカーがVRブームに乗り遅れまいとして、強力なシステムを作っているが、しかし、デジタルの自由、のようなものを提供するために設計された技術にしては、どれもこれも、牛や馬のようにつながれていて、束縛がきつい。

と考えるのはぼくだけではないようで、MSIとHPの天才たちが、どこにもつながれないポータブルなソリューションとして、どちらも同じことを考えた。そう、映画「ゴーストバスターズ」のように、必要なものを背中に背負えばよいのだ。〔参考: 映画のファンによるコスプレ。〕

昨日(米国時間5/26)、ゲーム専用機Omenシリーズを発表したHPが今日は、VRゲームのためのPCを披露した。それは、プレーヤーが文字通り背中にくくりつけるマシンだ。この、HP Omen X VR PC PackとかOmen X by HP VR PC Packと呼ばれるシステムは、同社にとってまだかなり初期的な形のようだ。まだ詳しい情報はないが、重量は10ポンド足らずで、電池寿命は短いらしい。

HPがこのプロトタイプを披露する前に、MSI Backpack PCという、もっと分かりやすい名前の製品が発表された。これはIntel Core i7プロセッサーとNVIDIA GTX980グラフィクスカードを搭載している。すでに製造ラインに乗っているかのように見えるこのシステムは、今年台北で行われるComputexでデビューする。

スペック以外にも知りたいことは山ほどある。お値段も、もちろん重要だ。どちらのシステムも、VR専用のPCを求める消費者がターゲットのようだけど、そうなると、PCというより一種のコンソール(ゲーム機)のように見えてくる。そして、実際にはどれくらいポータブルなのか、そこが売れ行きを決めるだろう。

バックパックは必ずしも、もっともエレガントなソリューションではないけど、伝統的なPC企業が、伝統的なボックス以外のデザインを考えたのは、おもしろいね。腰痛になりそうな、気もするけど。

出典: CNET

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HPがゲーム専用機シリーズOmenブランドの夏季新製品を発表、赤く輝くキーボードは健在!

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Omen(前兆)という言葉そのものには元々悪い意味はないけれども、でも日常的な英語としてはほとんどの場合、omen of deathみたいに悪いことの前兆として使われる。そのため、Omen自身もネガティブなイメージを帯びてしまっている。そしてそれは、キリストに反対する若者を主人公とする40年前の映画、The Omenのせいではないだろう。

解釈はご自由に、とHPが言ったとしても、でも同社が数年前に買収したVooDooから継承した、ギラギラ輝く赤目の美学(上図)の、今後の人気に貢献するわけではない。しかし、かつて“VooDooレガシー”のちょっとした製品化にすぎなかったものが今では、HPのゲーム専用機を指す独自のブランドに育っている。

今日の同社の発表は、今後発売される一連のデバイスの前触れだ。その主役であるOmen Laptopは15.6インチと17.3インチの二機種があり、重さはそれぞれ4.6ポンドと6.28ポンドだ。このOmenシリーズのデザインでいちばん目立つのは、“Dragon Red”と呼ばれる赤いバックライトのあるキーボードと“black shadow mesh”と呼ばれる網目状の蓋だが、この二機種もそれらを引き継いでいる。

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GPUはNVIDIA GTX、CPUは第六世代のクァッドコアi7、ストレージは4TBのHDDまたは128GBのSSHDだ。ディスプレイは、4Kのオプションもある。また、最近のHPのコンピューターの多くがそうであるように、スピーカーグリルにはBang & Olufsenのロゴがある。15インチ機は900ドルから、17インチは980ドルからで、7月10日に発売される。

一方、Omen Desktopは8月発売だ。これはIntel Core i7-6700Kプロセッサーを搭載、RAM最大32GB、ストレージは3TBのHDDだ。GPUはNVIDIA GTX 1080 Founder EditionかAMD Radeon R9 390Xのどちらかを選べる。

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HPは、今後の成長株であるVRのメイン機としては、あくまでもこのDesktopを推す気だ。同社はHTC Viveのデモをやっていたが、このシステムを仮想現実コンテンツ/アプリケーションのテスト機としても使う気のようだ。

そしてディスプレイもOmenブランドで、Omen by HP Displayと呼ばれる。それはOmen Desktop用に設計された32インチのモニターで、解像度はQuad HD、AMD FreeSync再生技術を採用している。これもやはり、8月発売だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

HP Fusion 3D 4200はプロトイプと少量生産が可能な産業用3Dプリンター

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まだ正確な価格は不明だが(おそらく高価だろう)、BBCが紹介ビデオで適切に指摘したように、Jet Fusion 3D 4200は洗濯機のサイズしかない。しかしこのHPの3Dプリンターは産業用マシンだ。HDの発表によれば、「世界最初の製品生産現場対応の3Dプリンター・システム」だという。

この市場の有力ライバル、Stratasysや3D Systemsは「世界初」というところに異論があるかもしれないが、 HPの最新の3Dプリンター・シリーズは「プロトタイピングにはどうやら使える」以上の能力のコンパクトな産業用製造装置を求めている企業には魅力的だろう。

この分野の開発のカギは製品出力の精密度、スピード、それに装置の価格だ。HPによると、「このプラットフォームは毎秒3億4000万ボクセル〔おおむねピクセルを立体化した指標〕の能力があるため精密で高速な製造が可能」としている。

もちろん、さしあたりの注意点も加えておくべきだろう。4200はあくまで産業用装置だ。しかしHPではJet Fusionの3Dプリンティング能力は製品製造のプロセスを一変させる可能性があるとしている。

この3Dプリンターの出荷は今年中とされる。その後2017年にはエントリーモデルの3200シリーズが加わる。こちらは13万ドルからとなる予定だ。

〔日本版〕John Biggs記者がこの記事の直後にHP 3D 4200シリーズについて書き、製品を分析すると同時にHPエンタープライズの将来について肯定的に評価している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

HPがまた一つ、失敗するモバイル製品を発表した

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HPが、Windows Phoneは死んだというメモを受け取っていないことは明らかだ。HPのPalm Pre 3以来のフラグシップスマートフォンを紹介しよう。HPはこのElite x3を「革命的モバイルプラットフォーム」と呼んでいるが、そうではない。これは、HPの新たな失敗作だ。

HPは、Elite x3のような端末はかつてなかったと言うが、それは明らかな誤りだ。AndroidとMotorolaがAtrixで試している。PalmはPalm Folioでもう少しのところまでやりかけたが、Engadgetに論破された。そして、無数のスタートアップがスマートフォンでデスクトップ体験を可能にする様々なソリューションを提供してきた。そのすべてが、HPの最新モバイルベンチャーがPalmスマートフォンに後戻りしたのと同様に失敗した。

HP Elite x3は、Windows Phoneの最新看板機能”Continuum” のためのフラグシップ機だ。Qualcomm Snapdragon 820プロセッサーは、この端末にモニターをつなぎデスクトップ体験を提供するのに十分なパワーを与えている。売り口上は決して新しくない:Continuumを使えば、ユーザーはノートPCとスマートフォンとタブレットを捨てて、この端末だけを使えばよい。

しかし、Elite x3で動くOSはWindows Phoneであり、あり余るデータがWindows Phoneが急速に無意味になっていくことを示唆している。

先週発行されたある業界レポートによると、Winodows Phoneは2015年第4四半期の全世界市場シェアのわずか1.1%しか占めていない。これは2014年の2.2%から下落している。さらに悪いことに、MicrosoftのWindows Phoneの直近四半期での出荷台数は、1年前と比べて57%減少している。同社が四半期中に販売したLumia端末はわずか450万台で、前年同期は1050万台だった。

要するにHPは、あらゆる指標が死につつあることを示しているプラットフォーム上に、同社初の近代的スマートフォンを開発し、発表した。

HPが考えを改める時間はまだある。同社は今回価格を発表しておらず、Elite x3の発売は今年の夏だ ― この製品が発売前にお蔵入りになっても驚きはない。

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HPのOpenStackプラットホームHelionがバージョン2.0にアップ、構成デフォルトとセキュリティを充実

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誰もが知ってるように、HPはそのパブリッククラウドビジネスに終止符をうち、そっちはAWSやMicrosoftやGoogleに譲る、と言っている。その代わり同社は今、プライベートとハイブリッドのクラウドに専心しつつある。プライベートクラウドといえば、今のところ唯一の現実的なオプションがOpenStackだから、同社はHelion OpenStackと名づけた独自のOpenStackプラットホームを1年前から提供している。そして今日同社は、そのOpenStack商用/エンタプライズディストリビューションのバージョン2.0を発表した

HPのクラウド担当SVP Mark Interranteによると、HPがパブリッククラウドビジネスから脱退したことは、同社がこれからプライベートとハイブリッドのクラウドに大きく注力していくことを意味する。“それは、いよいよ焦点が絞られてきたということであり、最良のプライベートクラウドを顧客に提供し、ハイブリッドの管理を加速し、我が社のクラウドのハイブリッド的資質をより強力に打ち出していかなければならない”、という。

Helion OpenStack 2.0はOpenStackの’Kilo’リリースの実装だが、最新リリースは今月初めに出た’Liberty’だ。しかし、プロダクション向けには最新リリースを採らないとする保守的な姿勢が、この世界の標準慣行でもある。そこでHO 2.0には、Kiloリリースの新機能がすべてあるとともに、HP独自の新しい機能もいくつか盛り込まれている。

Interranteによると、HPのチームはOpenStackの標準リリースに独自のキュレーションを加え、穏健妥当な構成デフォルトをセットし、内部および外部の脅威に対するセキュリティを強化している。またバグフィクスに関してはできるかぎり最新リリースからバックポートしているが、最新リリースの新機能はバックポートしていない。

KiloリリースにHPの独自の仕事を加えたHelion OpenStack 2.0には、ダウンタイムののないローリングアップグレードや、アプリケーションを中断しない継続的パッチ管理、アドミンインタフェイスの改良によるログとモニタリングの中央集中化、といった機能がある。またネットワーキング機能はHPのDistributed Cloud Networkingサービスを統合して分散データセンター環境を管理できる。このほか、Nuage NetworksのVirtualized Services Platformもサポートしている。

そしてさらに、HP独自の機能としてユーザインタフェイスのあるインストーラや、ロードバランサ、ファイヤーウォール、VPN SaaSなどがある。opsコンソールもHP独自で、クラウドの状態をオペレータがモニタし、現状や問題点をよく理解できるようにしている。

Interranteと彼のチームによると、顧客はセットアップのカスタマイズよりも構成の自由を求めている。そこでたとえば新しいHelionのLifecycle Management(ライフサイクル管理)サービスを利用するとクラウドのレイアウトを指定でき、僅かな作業でそのインストールをリプレイできる。

HPのOpenStack担当エンジニアは210名おり、そのサブプロジェクトのチームリーダーが8名いる。またこのプロジェクトのTechnical Committeeには3名が参加している。

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OpenStackクラウド設営サービスのAnsibleがCiscoやCSC、HP、Rackspaceなどとパートナーして大幅アップデート

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IT自動化サービスAnsibleが今日(米国時間5/18)、HPやRackSpace、CSC、Ciscoおよびオープンソースのコミュニティとパートナーシップして、OpenStackによるクラウドの展開と管理を容易化するサービスを提供して行く、と発表した。

オープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームOpenStackは、今やきわめて強力だが、その実装と展開はきわめて容易とは言いがたい。このプラットホームは構成部位の数が多くて、それらをシームレスにまとめて構成するのが難しい。AnsibleはOpenStackクラウドの管理サービスをすでに部分的に提供していたが、これからはこれらのパートナーとの協働で、その過程をさらにシンプルにしていく。

その新しいサービス名”Simple OpenStack Initiative”によりAnsibleの既存のOpenStackモジュールが改良され、またそのほかのOpenStack関連プロジェクトも、ITユーザの使い勝手を中心に見直しが行われる。それらがすべて、Ansibleのオープンソースプラットホームと同社の商用サービスAnsible Tower(AnsibleのUI)に統合される。

Ansibleはすでに多くの点で、OpenStackを構成しオーケストレーションする際のデファクトスタンダードだが、今ではPuppetや、CanonicalのMAASJujuのツールなど、コンペティタも現れている。セットアップしたいクラウドのタイプに合わせて、サービスやツールを選ぶ時代になりつつある。

OpenStackは複雑なシステムだから、競合はむしろ、そのエコシステムを強力に前進させる契機になりえるだろう。

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HP、分社化―パソコン、プリンター事業をエンタープライズ事業から切り離す

HPは 2社に分社化することを決定した。 エンタープライズ向けのハードウェアとサービス部門はHewlett-Packard Enterpriseとなり、CEOはMeg Whitmanが務める。HP Incはパソコンとプリンター、それに3Dプリンターなどコンシューマ向け事業のブランドとなる。CEOはDion Weislerで、Whitmanは会長として取締役会にとどまる。

今回の決定について詳細に説明するプレスリリースによると、この分社化は5年間にわたって実施されてきた抜本的な再編成の一環であり、低迷している収益性の改善が目的だという。またこれにより、日々の業務レベルにおける赤字を減らし、組織をスリム化してより身軽に市場の変化に対応できるようになるとしている。分社化の手続きは2015会計年度中に完了の予定。

分社化によって、それぞれの会社は柔軟に提携先を選べるようになり、市場における影響力を拡大するチャンスが生まれるとしている。つまりエンタープライズ事業とコンシューマ向けハードウェア事業がひとつの屋根の下にあったため、両分野ともに競合しない相手しか提携先として選ぶことができず、選択の余地を狭めていたということのようだ。

今回の決定により、EMCのようなプレイヤーの関心を引くなどエンタープライズ事業に関するM&Aのチャンスが広がった可能性もある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


EucalyptusのCEOの突然のOpenStackへの改宗はHPによる買収が下地だった

先月、長年OpenStackを批判していたEucalyptus *のCEO Mårten Mickosが突然心変わりした。昨日(米国時間9/11)は、彼の会社がHPに買収された。HPは、今年OpenStackで大きく稼ごうとしている企業だ。〔*: Eucalyptus, プライベートクラウドのためのIaaSでAWSのAPIを多用。〕

MickosがOpenStackに対して急に前向きになったのは、まさに、それがあったからだ、としか思えない。

彼は自分の会社のWebサイトのブログで、その心変わりを説明している。彼は、OpenStackと競合することでむしろOpenStackに貢献してきた、とジョークを言っている(初期には実際にOpenStackにコードを貢献している)。しかしMickosは、この爆弾投下(買収発表)の前に、来週シリコンバレーで行われるOpenStackのイベントでキーノートを担当する、と発表した。競合どころか今の彼は、OpenStackプロジェクトに真剣に寄与貢献しようとしているのだ。

Mickosはブログの記事にこう書いている: “私から見てOpenStackは何でもありのクラウドプロジェクトで、大小さまざまなベンダがそれを独自に複雑高度にカスタマイズしたパッケージを作って、展開していくものだ。それらは、〔Eucalyptusのように〕AWSとの互換性が必須要件となるような展開ではない”。

MickosがOpenStackに関して心変わりしたときSteven J Vaughan-Nicholsは自分のブログに、EucalyptusとOpenStackの併存は犬と猫が同じ部屋にいるようなものと書き、長年のオープンソース評論家である彼Vaughan-Nicholsは、Mickosの発言に“ぶったまげた”と言っている。Mickosの会社EucalyptusはOpenStackの宿敵AWSとベッドを共にしている。そんな両者が共存できるわけがない。でもMickosは、共存の道を見つけようとしているのだ。

IaaSとしてのOpenStackはいわば、Amazon Web ServicesやGoogle Cloud、Microsoft Azureなど、パブリッククラウドの強力な商用プロバイダたちの、オープンソース版だ。これらの商用サービスは、細部まで透明というわけにはいかないので、ユーザによってはそのことが問題になる。4年前にRackspaceとNASAが共同して、成長著しい大手パブリッククラウドプロバイダたち(中でもとくにAWS)に対するチェック機能としてOpenStackプロジェクトに着手した。それは完全にオープンソースなので、ITの人たちやデベロッパはコードベースに直接アクセスして、必要なカスタマイズを行える。それは、商用システムではできないことだ。

Mickosの会社はそうではなく、パブリックやプライベートなクラウドからAWSのクラウドへのブリッジを作った。しかし、彼自身資金力はあったが、市場はOpenStackをも含むさまざまな競合勢力に席巻されつつあった。

一方、今年になってHPはOpenStackに転向し、同社のこれまでのCloud OSに代わってHP HelionとOpenStackを主軸に据えることになった。しかもおもしろいことに、Helionへの移行と共にAWS APIのサポートをやめた

というわけで、知らない間に両社(HP, Eucalyptus)は、最初は互いに別の方向を向いてクラウドに取り組んでいたにもかかわらず、今ではOpenStackという共通項で結ばれようとしているのだ。

買収の話はかなり前から進んでいたはずだから、Mickosが突然OpenStackへの改宗を発表したときには、買収をめぐってHPとの会話を重ねていた、と見るのが自然だろう。

いずれにしてもHPはついに買収を決定し、Mickosを同社のクラウド事業部担当のSVPに任命することにした。つまりこれからは、MickosがHPのクラウド戦略の鍵を握る人物になる。HPのクラウドビジネスの今後の吉凶を、彼の手腕が決めるのだ。

企業世界で人気を高めつつあるOpenStackも、相当高度な専門知識および技能がないと実用化できないことが、難点と言われている。そこで先週HPは、OpenStackの実装を楽にしてくれる一連のサービスを発表したが、モバイル開発プラットホームKinveyのCEO Sravish Sridharの説では、HPは今回の買収を活用してOpenStackの実装を単純化するための総合的なシステム(ソフトウェアによるアプライアンス)を作ることもありえる。

“Eucalyptusを買収したことによってHPは、展開と管理の容易なクラウドアプライアンスを作れるプロダクト指向のチームを入手した。それは、OpenStackソフトウェアの弱点と言われていた部分だ”。

OpenStackによるクラウドの構築と展開と管理の面倒を見るサービスでHPは、VMwareやIBM、Red Hatなどなどと競合する。RedHatは最近、OpenStackのテストを容易にできるためのソフトウェアアプライアンスを発表した。たぶん同社はこれを皮切りに、OpenStackとそのまわりの実装を容易化するアプライアンスを次々と出していくつもりだろう。

この買収が表面的には奇妙な仲と見えても、HPの市場奪取努力としてはむしろ、きわめて分かりやすいし、これからも同社は、より魅力的なクラウド製品を提供することによって、競争の激しい市場で優位に立とうとするだろう。

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GoogleとHPが提携―Google Nowがエンタープライズ・データのバーチャルアシスタントになる

われわれはSiri、Google Now、Microsoft Cortanaなどのパーソナル・アシスタントに天気、映画、スポーツなどについて尋ねることができる。しかし自分の会社の四半期売上や財務情報について知ることはできなかった。しかしThe InformationによればGoogleはHPと協力しながら、そういうことができるようにする準備を進めているという。 Google Nowがエンタープライズ・データにアクセスして組織内情報のバーチャル・アシスタントになってくれる。これはエンタープライズのモバイル・コンピューティングにまったく新しい分野を開く可能性がある。

これに先立って、AppleもHPとエンタープライズ・コンピューティングにおける協力の可能性を話し合っていた(Appleはその後、IBMと全面的に提携した)。The InformationによればHPとの協力の中には、ビジネス情報に特化したSiriが含まれていたという。Googleとの提携ではHPが開発中のエンタープライズ向け検索エンジンが利用され、これにバーチャルアシスタント機能が加わることになるだろう。一般ユーザー向けのバーチャルアシスタントに関してGoogleが大きくリードしている。これでAppleとGoogleはエンタープライズ市場でのモバイル・コンピューティングで真っ向から激突することになる。

こうしたエンタープライズ・スマート・システムにはアポ、位置情報、連絡先など各社員の個別データに加えて、会社の売上、財務情報のような重要な全社的情報が登録され、必要に応じて検索できるようになる。たとえば、あるプロジェクトの成績をレビューする会議を開くときにはリーダーがシステムにログインし、必要な情報を即座に収集してメンバー全員と共有するなどができるようになる。

モバイル・バーチャル・アシスタントは、すでにユーザーの置かれたコンテキストを認識して、検索に対してもっとも適切な情報を表示する、あるいは検索される前に情報をプッシュ通知することができるようになっている。ユーザーは以前のデータベース検索で必要とされたブール演算子や命令を用いた複雑な検索式を組み立てる必要がない。エンタープライズのビッグデータに関しても同じことが可能になるシステムなら規模の大小を問わず、あらゆる企業が関心を示すだろう。

Googleとの提携の具体的内容は明らかになっていないが、HPは縮小するパソコン事業を補う意味でもエンタープライズ・ソフトウェアにますます力を入れることになるだろう。MicrosoftもCortanaに一部のサードパーティー・デベロッパーのアクセスを許し始めたところでもあり、この分野からは目が離せないことになってきた。

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HPの第二四半期の売上が市場の期待を裏切り株価は下落

今日(米国時間5/22)、HPの決算報告が予定より早く公表された。同社の第二四半期の売上は全体で273億ドル、EPSはnon-GAAPで0.88ドルである。

マーケットはそれより高い274.1億ドルの売上を予想していた。その失望感からHPの株価は数ポイント下げ、その後2%強の下げに落ち着いた。

トップラインの売上273億ドルは前期比1%だから、下落幅はこれより大きい。同社自身のWebサイトにまだ決算の数字は発表されていないが、決算報告は1時間後に行われる。

同社は、11000人から16000人ぐらいまでの解雇を予定している。これで、コストは切り詰められるだろう。〔2010年代に入ってからのレイオフ計は約50000となる。〕

HPは今、長い過渡期の最中(さなか)にいる。同社の前四半期すなわち今会計年度の最初の四半期は、トップライン(売上)/ボトムライン(利益)ともにやや好調だったが、最近の数四半期全体を見るかぎり、順調な回復とはまだ言えない。でも2%の下落は致命傷にはほど遠い。言い換えるとHPの株価は、Twitterの二の舞いにはならなかった

作画: BRYCE DURBIN

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HPも3Dプリンター事業に参入―CEOが「6月に大きな発表」と言明

HPのCEO、Meg Whitmanは昨日((米国時間3/19)の株主総会で「われわれは6月に3Dプリンターのテクノロジー分野で大きな発表をする」と語った。HPの参入によっていよいよ3Dプリンターが一般企業や家庭に普及し始めることになるかもしれない。

またWhitmanは「われわれは3Dプリンターにおけるいくつかの大きな問題を解決した。3Dプリンターの企業市場は非常に大きなものになるだろう」とコメントした。ただし製品発表の正確な日時については明らかにするのを避けた。

HPは今年2月にCTOのMartin Finkが「われわれは今年後半にはこの分野での活動を始める。HPは3Dプリンターについてさまざまな可能性を追求しており、この分野の発展のために大きな貢献をする準備を進めている」と語っていた。

するとHP製の3Dプリンターが家電量販店に並ぶことになるのだろうか? おそらく近いうちにそういうことにはなるまい。HPはまずエンタープライズ市場をターゲットにするだろう。個人、家庭向け市場はMakerbotを始めとして多数の先行企業がひしめいて激しい競争を繰り広げており、HPのような大企業がすぐに成功を収めるのは難しいだろう。しかしエンタープライズ市場ではHPの参入は大きなインパクトがあるだろう。ライバルとなるStratasys(Makerbotの親会社でもある)にとっては大きな脅威だ。

via 3Dprint

Photo: Getty

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HP、控え目な会計第1四半期は予測を上回る売上282億ドル、1株当たり利益0.90ドル

今日(米国時間2/20)の取引時間終了後、HPが2014年会計第1四半期の業績を発表した。売上282億ドル、非GAAP 1株当たり0.90ドルは、いずれも予測をわずかに上回った。投資家らの予測は、売上271.9億ドル、1株当たり利益0.84ドルだった。

HPの売上は前年同期より1%減少した。それでなぜ上回ったのか? 人々があなたの会社の売上を4%下がると予想していたなら、これは立派な数字だ。HPの非GAAP 1株当たり利益は10%増、同GAAPは17%増だった。

次の会計第2四半期についてHPは、1株当たり利益0.85~0.89ドル(非GAAP)と予測した。アナリストの予想は0.89ドル。HPが時間外取引で横ばいから下げ気味なのは、恐らくこの弱気が理由だろう。

厳しかった2013年会計第3四半期の後、HPは2期連続で堅調な業績をみせている。これを現CEO Meg Whitmanの経営プランが機能している現れだとする Julie Bortの意見に、私は同意する。

さてPCに関して。HPのパソコン事業の内訳は以下の通り。

パーソナルシステムズの売上は前年同期比4%増、経常利益率3.3%。企業向売上は8%増、消費者向売上は3%ダウン。総販売台数はデスクトップが6%増、ノートは5%増だった。

これはわれわれの予想と符合しているかもしれない。企業向けPC需要の好調が、消費者向けの低調を補って余りある。MicrosoftのOEM売上の詳細を思いだせば、ストーリーは似かよっている。プリンター売上は2%ダウンした。Whitman曰く、HPは「いま、しばらくぶりに強力なポジションにいる」。

同感だ。

IMAGE BY FLICKR USER DON DeBOLD UNDER CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN CROPPED)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Windows 8が出てから早くも1年, 依然としてWindows 7を推すHPの真意は?

HPは今でも同社のオンラインストアで、Windows 8ではなくWindows 7を載せたパソコンを前面に並べている。Microsoftの最新OS Windows 8は、顔に泥を塗られた形だ。

いつも優れた記事を書くテクライターEd Bottの指摘では、HPは昨今のWindows 7の勢いに負けたのではなく、年が明けてマーケティングの再調整をやっているのだ、という。

たしかにWindows 8は出だしでつまずいたし、しっかり改良されたWindows 8.1も、その人気は期待はずれだった。NetMarketShareの調査によると、Windows 8とWindows 8.1の従来型コンピューティングにおけるグローバルマーケットシェアは10.5%である

ユーザインタフェイスが一変し、モバイルコンピューティングとの折衷化が為されたため、多くの消費者が8と8.1には困惑している。このことは、今さらニュースにすらならない、言い古された事実だ。では、HPの真意は何だろう?

HPは二股をかけているのだが、今のところはWindows 7機を推している。つまり、消費者にとって使いやすいマシンを量販し、サポート費用を抑えたいのだ。OEMの仕事をしている友人たちによると、今どきのパソコンは利幅がとても薄いので、サポートに足をすくわれると、その薄い利幅が消えてしまうのだ。

だからOEMにとっては、サポートの電話がじゃんじゃんかかってくるような製品はノーである。だからWindows 8がどんなに機能的に優れていても、OEMが量販する機種用には選べない。長期的なユーザ体験が良いことよりも、薄利をサポートにつぶされないことを選ぶ。将来の利益よりは、今の利益がとりあえず重要なのだ。

HPのもう一つの動機は、クリスマス商戦でWindows 8.x機をプッシュしすぎたことへの揺り戻しだ。今や、恥も外聞もなく、12月に言ったことを取り消したい。Gartnerの調査でもHPのマーケットシェアは大きく落ち込んでいるから、売り方を変えざるをえない。

Windows 7でもMicrosoftにとっては売上になるから、問題ない? ところが、8でなく7が売れると、Windows Storeのお客さんが増えないのだ。デベロッパの歓心を買うためには、Storeの人気が盛り上がらないと困るのだ。クラウドとアプリケーションストアがコンピューティングビジネスの中核になっていくこれからの時代に、Windows 7のユーザばっかり増えたのでは具合が悪い。

しかしそれは、あくまでもMicrosoftの問題だ。HPとしては、利益を確保できるマシンを売りたいだけだ。

画像クレジット: Flickr

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HP Chromebook 11のリビュー, 安いわりには頑張ってる

Googleの秋の収穫物の中にはChromebookがいくつかある。HPのやんちゃ息子HP Chromebook 11もそのひとつだ。何もプリントされていない真っ白のプラスチックのふたを見ると、MacBookの弟かと思ってしまうが、でもこの小さなかわいいChrome OSノートブックを、そんな大物にたとえるのは可哀想だ。

基本仕様

  • ディスプレイ: 11.6インチ, 1366×768
  • プロセッサ: Samsung Exynos 5250デュアルコアARM製
  • RAM: 2GB DDR3
  • ストレージ: 16GB
  • 通信: デュアルバンド 802.11n Wi-Fi, Bluetooth 4.0
  • ポート: USB 2.0 × 2, 充電とビデオ出力はmicroUSB
  • メーカー希望小売価格: 279ドル
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デザイン

HP Chromebook 11はChromebook Pixelと同系のデザインで、それは良いことだ。あっさりしていて、ケース外側にはChromebookのサインである細いカラーバンドしかない。それらの色はGoogleの商標カラーだが、 その一つがキーボードのまわりやケース裏のゴム足にも使われている。

〔スライドは日本語版では不調のため、原文のページをご覧ください。〕

  1. chromebook-11-high-front

  2. chromebook-11-high-angle

  3. chromebook-11-rear-angle

  4. chromebook-11-keyboard

  5. chromebook-11-side

  6. chromebook-underside

もちろん、Pixelと違ってケースはプラスチックだから、やすっぽい感触はある。裏にややへこみがあり、また、つや消しではないから指紋がいっぱい付く。でもエッジのまるさ、本体の薄くて控えめなデザイン、そして2ポンド強という軽さは、279ドルのマシンにしては上出来だ。Pixelに次いで、魅力的で使いやすそうなChromebookと言えるだろう。

性能

Chromebook 11の外見は見事だが、しかし中身はスマートフォンの中級機といったところだ。そのことは、すぐ分かる。フラッシュメモリのおかげで、立ち上がり、スリープからの復帰、そしてリジュームは速い。しかし画像の多いWebサイトでは、画像ロードに時間がかかり、遅くなる。1080pのストリーミングビデオもまあまあ見られるが、そのなめらかさはスマートフォンの高級機と比べても劣る。

もちろん、ARMのプロセッサだから、小さなサイズのわりには、電池は完全充電の状態から5時間以上はもつ。Android携帯の充電器を持ち歩いている人が多いと思われるから、充電をmicroUSBでやるのも、気が利いている。でも電池寿命はAcer C720で8.5時間、あの肥満児Pixelでもほぼ5時間だから、それほど威張れる仕様ではない。

Chromebook 11は、たくさんの妥協をしている。スピーカーをキーボードの下に置いたのは名案だけど、キーボードをタイプしながら音楽を聞くと、自分の指がスピーカーのあちこちを隠すから、音がおかしくなる。ケースをすっきりさせるためにポートを最小限(USB×2, microUSB, ヘッドフォンジャック)にとどめたのは良いけれど、SDカードのスロットはあるべきだった。また、チャット用のフロントカメラが低品質なのはよいが、USBカメラが発明されたばかりの時代にタイムマシンに乗って戻ったような気分になってしまう。

ディスプレイ

11.6インチのディスプレイはSamsungのChromebookなどに比べると(全体の作りも)良いが、今のスマホ高級機ほどの解像度はないだろう。発色も良いし、視野角も良いが、それはあくまでも、“このお値段にしては”という前提が付く。

アスペクトレシオは、映画を見るのに最適だ。これだけ安いノートブックの中では、たぶんベストだと思う。画面の良さを最優先する消費者なら、このHP機を買ってがっかりすることはない。

バッテリー

Chromebook 11は電池寿命5時間をうたっているが、ぼくが比較的控えめに使った体験でも、それぐらいは行く。でも、電池をもうすこし欲張れば本機は、プロが優秀なバックアップ機として買う、という製品にもなったと思われる。仕事用には、5時間はきびしい。

結論

279ドルのHP Chromebook 11の性能を酷評するのは見当外れだが、でもGoogleが低価格Chromebookのマーケティングに本腰を入れる気なら、この程度の、“まあまあ”の製品で市場を強力に切り開くことは、まずできないだろう。しかしドックに入れたスマホに毛が生えた程度の…そしてWeb主体の…セカンドマシンが欲しい人にとっては、バッグに気軽に放り込んで、街中でもまったく神経を使う(盗難、紛失・置き忘れ、衝撃事故、…)必要のない本機を十分愛用できると思う。そんな人にとっては、本機の小ささと軽さと画面の良さが魅力になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


HP、誰もが知っていることを正式表明:MicrosoftはOEMパートナーと戦っている

今日(米国時間10/08)HPは、わかりきったことを発言し、パーソナルコンピューティングの世界、および他のテクノロジー業界分野に漂うモヤモヤを多少解消した。HP曰く、今やMicrosoftはビジネス上のライバルである。もちろん、みんな知っていた。

HPは、ソフトウェアとサービスとハードウェアを売っている。Microsoftも同じだ。HPのCEO Meg Whitmanの決定的な発言を引用しておく。「現在[HPの]パートナーであるIntelやMicrosoftは、パートナーから全面的ライバルに変わりつつある」。もはやMicrosoftは、パートナーや企業顧客や消費者にソフトウェアを売ることに、満足もしていないし金を生むこともできない。同社がサービスやデバイスに参入することによって、パートナー企業たちはそのステータスを維持しつつ、「敵」という新たな関係をもった。

一企業として、Microsoftは声を大にして、HPをはじめとするOEMパートナーをいかに愛しているかを訴える。しかし、会話がSurfaceタブレットは(彼らの目から見て)一流であるという話題に転じると、トーンは一変する。Microsoftのチームとつき合っていると、同社従業員の間で大々的にSurfaceの利用が増え、かつて隆盛を極めたThinkPadを急追していることがわかる。

Microsoftは、今もパートナーにコミットしていることをとうとうと話さなくてはならない ― ひとつには他に選択肢がないという単純な事実による。SurfaceだけではPC市場になり得ない。しかし一方で、何十億ドルも投資した自社製競合製品によってパートナーを直接攻撃しながら、一切矛盾なくメッセージを発することもできない。

つまりこれは、Microsoftによるぎこちない笑顔と建前の発言である。HPはもっと遠慮を捨てるべきだ。その33万人の強力な人員は、約束された複数年の転換プロセスの中にいる。概して現在の時価総額に疑問を持っている投資家たちに、透明性を示さないわけにはいかない。

Business Insiderによると、HPは今マルチOS戦略を検討しているという。この前まではWindows 8一辺倒だった。関係は変わり、市場は移りゆくものだ。HPは今世紀に90年代の生活をすることはできないし、それはMicrosoftも同じだ。両者の間係も変わりつつある。

Top Image Credit: Meg Whitman for Governor

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(翻訳:Nob Takahashi)


OpenStackをAPIレベルでAWS互換にせよ, という切実なる公開書簡

CloudscalingのCTO Randy Biasが今日(米国時間7/24)、OpenStackに宛てた公開書簡を書いた。その中で彼は、オープンなクラウドを目指す各種の取り組みは、Amazon Web Services(AWS)のデファクトスタンダード性を素直に認めて、それと互換性のあるAPIを整備しなければ勝利できない、と述べている。

彼は、AWSは事実上のリーダーだ、と主張する。だから正しい対応は: OpenStackは独自のAPIを作って自己を差別化する努力をやめて、AWSがパブリッククラウドにおける勝者であるという現実を受け入れることだ。そうすればOpenStackは、AWS的なパブリッククラウドと現代的なデータセンターが交わる“ハイブリッドな”クラウドの分野で勝てる。OpenStackが伸びる場所は、そこだ。その顧客は、それなりの伸縮自在性を持つクラウドオペレーティングシステムを必要とするが、何万何十万もの一般ユーザにサービスを提供する必要はない企業ユーザだ。

とりわけBiasは、OpenStackを使う場合の、スタンダードとなるAPIを作ることを、Rackspaceに呼びかけている。彼は、OpenStackがこれまでRackspaceのオープンクラウド寄りのAPIを作ってきた経緯を、詳しく述べている。Biasによれば、RackspacはOpenStackのAPIを自分のために作ってきた*。同社はOpenStackを利用して、自己のサービスを差別化しようとしてきた。〔*: RackspaceはOpenStackの最有力の創設メンバーの一人。〕

たしかに、それは事実だ。明らかにRackspaceは、OpenStackという公共的な性格の団体を作るという機に乗じて、自分自身をより大きくしようとした。当時の同社は、クラウドの今後の方向性について模索し迷っていた。同社は、ホスティング企業からソフトウェアデベロッパへという、重要な曲がり角にさしかかっていた。そのことを、Rackspace自身も理解していたのか? 理解していたと思う。同社はOpenSackのリーダー役を買って出ることによって、それをコントロールしようとし、自社のクラウドとそのAPIをOpenStackの“ネイティブの”APIと呼ばせようとした。

しかしRackspaceには、世界初の大規模で本格的なオープンクラウド運動の口火を切った、という功績がある。今ではそこに、250社あまりが参加し、何千ものデベロッパが120万行を超えるコードを書いている。IBMもRed HatもHPも、みなOpenStackに加わった。そしてBiasはCloudscalingの新しい市場を開拓でき、そこに対し、クラウドインフラを構築するためのシステムサービスを提供していった。

しかし、ここにきてBiasがAWSを持ち上げるのには、理由がある。それは、彼自身の利害だ。彼の会社はAWSとGoogle Compute Engineを重視している。だからAWSとOpenStackが重なるようなAPIがあれば、彼の若い会社の大きな助けになる。こういった問題に関しては、クラウドコメンテーターのBen Kepesが良い記事を書いているので、一読をおすすめしたい。

それは、奇妙な状況でもある。OpenStackに参加している企業は、強きも弱きも、大きな市場圧力にさらされている。そしてそのプレッシャーを増幅しているのがAWSと、その疑問の余地なきイノベーションだ。OpenStackの創設から今日までの3年間で、AWSはクラウド宇宙を支配してしまった。

しかし、HP、IBM、Red Hat、AT&Tなどなど多くの企業は、AWSをそう簡単にパブリッククラウドのデファクトスタンダードとして受け入れるわけにはいかない、それぞれの事情を抱えている。彼らは、AWSに勝たせたくない。彼らから見ると、Amazonの、自分がコントロールを握ろうとするときのやり方は、あまりにも苛烈で非情だ。そのAPIはクローズドだし、いつでも勝手に変えることができる。独自の理由で、一部のサービスを一方的に切り詰めることすらありえる。

だから、Rackspaceがこれまで我が道を行くでやってきたように、誰もがそうしてきたのだ。

Biasは、OpenStackの将来性に疑問を投げかけている。最終的にそれは、誰の役に立つものになるのか、と。この、AWSのAPIとの互換性、という問題について、RedMonkのアナリストDonnie Berkholzに話を聞いてみた。彼は、結局それは将来性の問題だ、と言った。APIのプロバイダには、それを将来にわたってメンテする義務がある。そのAPIは、今後もずっと動くもの、使えるものでなければならない。その点に関しては、Amazonには疑念の余地がない。しかしOpenStackは、大きなクェスチョンマークだ。OpenStackには今すでに変種が相当多くて、統合を難しくしている。たとえば、Dreamhostはストレージに(分散並列ストレージ)Cephを使い、RackspaceはSwiftを使っている。Dellは、自社製を使っている。

OpenStackは、こういった複雑性を解消すべきである。しかし参加企業が多くてそれぞれが独自の利害を抱えているから、その課題は、言うは易く行うは難しの典型となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アプリケーションのクラウド化の進展でサーバの売上が初めて落ち込む

Gartner Researchの調査報告によると、今年の第一四半期では、世界のサーバの売上高が前年同期比で5%減少し、IBMやHPなど上位五社(Dellを除く)がとくに大きく落ち込んだ。サーバの台数では、0.7%減少した。

しかしサーバの売上の減少は、意外ではない。近年雨後の筍したクラウドアプリケーションは今では数千件の規模に達し、その世界へのデベロッパたちの移行も急激に進んでいる。しかしそれらのアプリケーションがいくら増えても、大きなワークロードに対応できるパワーアップされたx86サーバに住み込むだけだから、サーバの新規売上には貢献しない。今のデベロッパは、サーバではなくクラウドに対して仕事をする。大企業も、昔のように高価なマシンを金に糸目を付けず潤沢に買い込むことはなくなった。

Gartnerの報告書では、x86サーバの台数は当四半期でほぼ横ばい、売上額では1.8%増加した。しかしサーバの売上は、機種の問題というよりベンダが今直面している問題だ。上位5社の売上は2013Q1で軒並み減少し、ただ一社Dell…x86専門!…だけが14.4%の増加を見た。

RISC/ItaniumのUnixサーバは前年同期比で台数が38.8%減、売上では35.8%減少した。メインフレームは世界全体で売上が3.6%上昇し、相変わらずのしぶとさを見せている。

ここにGoogleやFacebookやAmazonなどの名がないのは、彼らがサーバの買い手だからだ。クラウドサービスのベンダは、サーバの提供者のように見えて、実はサーバを買う側だ。しかも彼らは、車にたとえるとロールスロイスのような高級機を買うのではなく、必要な機能だけを実装した無駄のない安価なマシンをQuantaのようなところから一括大量仕入れしているから、サーバの売上データにあまり貢献しない。ちなみに今では、サーバの全世界売上7台のうち1台がQuantaで買われている

Open Compute Projectというディスラプティブな(革新的で破壊的な)プロジェクトも、無視できない。これはFacebookが率いるオープンハードウェアの運動だが、サーバやネットワークスイッチのオープンソース化を推進し、古い体質のサーバ業界にダメージを与えようとしている。Quantaも、今ではOpenCompute仕様のプロダクトの販売により力を入れようとしている。

サーバビジネスの現状は、来(きた)るべき未来を示唆している。ロールスロイス的サーバ機ベンダのカモだった大企業も、これからは超安値のサーバ市場と今急速に評価を高めつつあるオープンソースムーブメントに、適応して行かざるを得ない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


WebOSは終った。もう何も起こらない

事実は受け止めなければならない。WebOSは死んだ。熱狂的コミュニティーの断固たるサポートにもかかわらず、かつてのモバイルOSが今後商用製品となることはなく、LGが買おうが買うまいが、WebOSが生き残る可能性は皆無だ。

もはやWebOSは、その存在を終え、命を断ち、安らかに眠る。それは元OSだ。

HPは、あらゆるパソコンメーカーが直面しているのと同じ低迷状態を経験している。もし少しでも、TouchPadとWebOSのアップデートに力を注いでいればこの低迷から逃がれられたかもしれないが、彼らは膨大な量の価値ある積荷を投げ捨て、その中にはWebOSチームも入っていた。LGが買うと言われているのは、彼らがスマートTV製品に使うための出来合製品であり、本物のOSではない。HPが売ろうとしているのはお荷物である。

テレビ用オペレーティングシステムは、グラフィカル環境の取り組みとしては最低の部類だ。テレビのアップグレードサイクルはカタツムリの速さで、メーカーからは見放され、消費者からは殆ど見えない。WebOSをテレビに持ち込むことは、医療機器に組み込むのと同じくらい最悪だ。ゆっくりとした確実な老化が約束されている。

WebOSに関する最後のビッグニュースは1年前の3.0.5のリリースだった。コミュニティーWikiは8月以来更新されていない。もしゾンビOSというものがあるとすれば、これだ。

もう終っている。たとえ噂が本当だとしても、そもそもLGが無料のAndroidの代わりにこれを使おうと考えていること自体、HPが投げ売りしようとしていることの証である。LGは、Samsungと市場シェア、マインドシェアの両方を争っている。ちょっとしたWebOSマジックは彼らを深い穴から一部分でも引き上げてくれるのかもしれない(そうはならないだろうが)。

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(翻訳:Nob Takahashi)