ピーター・ティール氏がフェイスブック取締役を退任、政治活動に重点か

米国時間2月7日、Facebook(フェイスブック)の親会社Meta(メタ)は、取締役のPeter Thiel(ピーター・ティール)氏が再選を目指さす、ソーシャルメディア会社経営陣最高幹部の在任期間を終えることになったと発表した

それはさほど驚きの行動ではなかった。ティール氏は公な政治活動への関与が多くなっており、何人かの議員候補者の支援も行ってきた。Meta傘下のFacebookおよびWhatsApp(ワッツアップ)の世界的交流における重要性を考えると、特に選挙期間においては、より政治色の薄い取締役会の方が健全さを見せることができるかもしれない。

この動きへの解説はすばやかった。Dan Primack (ダン・プリマック)氏は、巨大テックプラットフォームであるFacebookとティール氏のつながりは、同氏が推す主要テック企業を批判している候補者にとっては厄介かもしれないと指摘した。ティール氏はかつてDonald Trump(ドナルド・トランプ)前米国大統領も支援しており、トランプ氏はFacebookをはじめとするテック企業のコンテンツ監視ポリシーを再三攻撃していた。

さらに重要なことに、右寄りの米国政界にとってFacebookをはじめとする巨大テック企業は、本質的に彼らの政治的観点に反する偏見をもっていると見えている。実際Facebookは、保守的、反動的人物ちに特別な機会を与えるために自らの規約を曲げたが、そのことは証拠とともに知れ渡った。

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政治的な部分ばかり書いているのは無作法ぶっているからではない。ティール氏退任に関する初期の記事によると、彼の意思はより政治的になるためだという。New York Times(ニューヨーク・タイムズ紙)によると、ティール氏はMetaの役員会を去った後「11月の中間選挙に関与することに集中したい」からであり、Bloomberg(ブルームバーグ)は、ティール氏が「ドナルド・トランプ前大統領の2022年選挙運動に対する政治的支援を強化する予定」だと書いている。

いつかティール氏は、巨大テック企業のために働くか、巨大テックを攻撃する候補者を資金援助するかを選ばなくてはならなかった。彼はすでに裕福なので、役員の椅子を維持するより後者を選ぶことはさほど難しくなかっただろう。

いずれにせよ、今回の動きはFacebook経営陣の布陣を大きく変えるものであり、重要な出来事だ。a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同ファウンダーであるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏をはじめ、Dropbox(ドロップボックス)、DoorDash(ドアダッシュ)などのCEOは取締役会に残る。

Facebook株は、通常取引で5%強値を下げたが、時間外取引では概ね変わっていない。

画像クレジット:Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Metaの低価格通信サービスExpress Wi-Fi停止、サハラ以南の国々への影響大

サハラ以南のアフリカ諸国は、Meta(メタ)が5年前に開始した、サービスが行き届いていない地域での接続を促進するための低価格のExpress Wi-Fiインターネットの廃止計画による影響を最も大きく受けている。

Meta(旧Facebook)は、2022年後半にこのプログラムを終了する予定であることを静かに通告した。しかし、ケニアなどの国では、2020年12月中旬からサービスを停止している。

Metaが人工衛星通信事業者のEutelsat Konnect(ユーテルサットコネクト)と提携し、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、ケニア、コートジボワール、ザンビア、カメルーン、ガーナ、ジンバブエ、マダガスカル、ガーナ、南アフリカ、ウガンダの一部へと低コストのインターネットサービスを拡大してからようやく1年というところでのサービス停止だ。

その他、マラウイ、ブルキナファソ、ギニア、セネガルなど、アフリカ、アジア、南米の30カ国以上でExpress Wi-Fiは展開された。

「5年以上の運営を経て、Express Wi-Fiプログラムは終了を予定しています。パートナー企業とともに、Express Wi-Fiプラットフォームを通じて、30カ国以上で公衆Wi-Fiアクセスの拡大を支援しました。当社は、他のプロジェクトの開発に集中するために、このプログラムの作業を終了しますが、より良い接続性を提供するために、通信エコシステム全体のパートナーと協業することに引き続き尽力します」とMetaは通知で述べている。

「2022年後半にこのプログラムに関する作業を終了する際、Express Wi-Fiパートナーと密接に連携して、パートナーのビジネスと顧客の接続性への影響を最小限に抑えるようサポートします」。

ソーシャルメディアの巨人Metaは、ISPやモバイルネットワーク事業者などのパートナーと協力し、地方や都市部の市場などの公共の場や学校などの施設で、Wi-Fiホットスポットを通じて、人々がネットに接続できるようにしてきた。パートナーが小売店や代理店が販売するインターネットセット商品の価格を設定する。

このプログラムは、世界で最も接続性が低いアフリカなどの新興市場におけるインターネット格差を埋めるという構想のもとに展開された。2021年のGSMAモバイル経済レポートによると、現在サハラ以南のアフリカでモバイルインターネットに接続しているのは人口の約28%だ。これに対し、ヨーロッパなど他の地域の接続率は80%を超えている。Metaの野心的なExpress-Wifiプロジェクトは、このインターネット格差を埋めることを意図していた。Metaは、低コストインターネット戦略の一環として、4万5000キロメートルの2Africa海底ケーブルをアフリカ、ヨーロッパ、アジアに延長している。

Google(グーグル)も南アフリカ、ナミビア、ナイジェリア、セントヘレナにまたがる海底ケーブルEquianoを敷設中で、これはアフリカとヨーロッパを結ぶものだ。インターネットインフラの整備が進めば、接続性も高まることが予想される。

国際金融公社(IFC)は、アフリカのインターネット経済は、デジタル消費の拡大、都市化の進展、スマートフォンの急速な普及などにより、2025年までに1800億ドル(約20兆7200億円)に達し、アフリカ全体のGDPの5.2%を占める可能性があると推定している。

画像クレジット:Meta

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi

Meta、ハラスメント対策としてVR空間Horizon Worldsなどに「境界線」機能を追加

Metaは、バーチャルリアリティ空間「Horizon Worlds」と「Horizon Venues」でのハラスメント対策として「パーソナルバウンダリー(境界線)」という機能を展開する。各アバターには半径2フィート(約61cm)のバブルがあり、互いに4フィート(約122cm)前後まで近づくことができなくなる。

画像クレジット:Meta

もし誰かがあなたのパーソナルスペースに入ろうとしたら、近づきすぎた時点でその人の前進は止まる。しかし、MetaはThe Vergeに対して、アバターが互いの間を行き来することは可能であり、ユーザーが隅や出入り口に閉じ込められることはないだろうと語っっている。

このパーソナルバウンダリー機能は、ユーザーが無効にすることはできないもので、Metaがハラスメント対策として以前追加した、他の人のパーソナルペースに入るとアバターの手が消えるという機能をベースにしている。Metaが12月にHorizon Worldsを米国とカナダの18歳以上の全員に公開する直前、ベータテスターが自分のアバターが見知らぬ人に体を触られたと述べていた

いずれは、パーソナルバウンダリーの半径を変更できるようになるかもしれない。ユーザーは他のアバターとハイタッチや拳を突き合わせることはできますが、そのためには腕を伸ばす必要がある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Meta

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(文:Kris Holt、翻訳:Katsuyuki Yasui)

500以上のモバイルアプリが「メタバース」というバズワードを使って新規ユーザーにアピール

真の「metaverse(メタバース)」はまだ存在しないかもしれないが、そのことは、モバイルアプリストアで自社のアプリやゲームを宣伝するために、マーケティング担当者がこのバズワードを使うことを止めはしない。Sensor Tower(センサー・タワー)が米国時間2月3日に発表した新しいデータによると、アプリのタイトルや説明文に「metaverse」という言葉を含むモバイルアプリは現在552個あり、このウェブの次の進化に対する消費者の関心を引きつけることを期待しているようだ。また、その多くがここ数カ月の間に追加されたものであると同社は指摘している。

App StoreとGoogle Playのグローバルアプリランキングのアプリ全体で、2021年11月から2022年1月の間に、合計86のアプリがタイトルまたは説明文に「metaverse」への言及を追加したことが、Sensor Towerのデータで示されている。

画像クレジット:Sensor Tower

この時期は、Facebook(フェイスブック)が企業名を「Meta(メタ)」に変更し、今後10年にわたって「metaverse」技術に多額の投資を行う計画を発表した後にあたる。MetaとなったFacebookは、metaverseをすでに構築したとは主張していないが、この言葉はすぐに、人々が仮想の自分自身として相互に作用する、ほぼすべての没入型オンライン環境を表すものとして、よりカジュアルに使われるようになった。スタートアップは、自分たちをmetaverse企業であると表現し始めた。ゲームプラットフォームRoblox(ロブロックス)はmetaverseの先駆けとして注目された。ソーシャルクリプトプラットフォーム(実際にはMMORPGに金融要素を加えたもの)もmetaverseと呼ばれ、metaverse用不動産が殺到したことなどがあった。

例えば、友人やコネクション、バーチャルな「もの」がすべてあなたと一緒に移動するデジタルワールド間の移動を可能にするために構築される必要がある新しい業界標準といったmetaverseが存在するための実際の技術的要件には、マーケティング担当者はあまり関心がなかったようだ。

Facebookが10月28日にmetaverseの取り組みを発表した後「metaverse」という言葉を参照したアプリの数は、11月までに前月比66%増となった。11月末時点で、この単語を含むように更新されたアプリは29個で、10月の11個のアプリの2倍以上になっている。

Sensor Towerはまた、どのようなアプリがmetaverseのトレンドにのっているのかを分析した。その結果、多くのアプリが「metaverse」という言葉とともに、例えば「Crypto」「NFTs」「AR」「VR」など、他の人気のある技術用語も参照していることがわかった。

画像クレジット:Sensor Tower

このうち「metaverse」と並んでよく目にするのが「Crypto」で、23%のアプリ(合計144アプリ)がこの言葉を挙げている。Web3のクリプトコミュニティが最近、誇大広告に大きく依存していることを考えると、これは驚くべきことではないし、それが存在する前に何かを「metaverse」と呼ぶことは、確かに誇大広告の定義そのものだ。「NFTs」は2番目に人気のある用語で、調査対象グループの18%、つまり合計118のアプリに登場した。「AR」と「VR」という用語は「metaverse」アプリの11%と9%にそれぞれ見受けられた。

画像クレジット:Sensor Tower

また「metaverse」という言葉は、ゲームや暗号金融アプリだけでなく、意外にもさまざまなアプリで使われていた。

しかし、モバイルゲームのパブリッシャーがこのキーワードを率先して採用し、現在ゲームカテゴリの107のアプリがこの用語を参照しており、それは調査対象のアプリの19%に相当する。この用語が登場する2番目に大きなカテゴリは「金融」で「metaverse」アプリの101個を占めた。以下、ソーシャル(70アプリ)、エンターテインメント(57アプリ)、ブック(37アプリ)、ライフスタイル(33アプリ)、ツール(26アプリ)、ビジネス(25アプリ)、アート&デザイン(13アプリ)、教育(11アプリ)の順となった。

これらのアプリに「metaverse」という言葉が追加されたことが、ユーザーの取り込みに役立っているのかどうかについては、まだあまり明らかになっていない。ユーザーがアプリストアで「metaverse」という言葉を検索することを狙って採用されたことは明らかだが、この市場で成功したアプリは、そうでないアプリよりも優れたユーザー体験を提供しているに過ぎないのだろう。

画像クレジット:BlackSalmon / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

フェイスブックとSpotifyが時間外取引で叩かれている理由

もしあなたが株を持っているなら、悪いニュースだが、おそらくあなたは今損をした。

Facebook(フェイスブック)として知られるソーシャルネットワークの巨人Meta(メタ)の株価が、時間外取引で20%以上下落している。また、音楽ストリーミングとポッドキャスティングの中堅企業であるSpotify(スポティファイ)は、米国時間2月2日の取引終了後、15%以上下落している。この2つの急落は、同じく株価を下げたPayPal(ペイパル)の迫力にかける決算と、Alphabet(アルファベット)のかなり良い決算を受けてのものだ。

Alphabetの第4四半期の好業績は、中央値というより異常値に見え始めている。

Meta、そしてShopifyについて、何が起こっているのかを解析してみよう。

Metaの高価な四半期とたるんだガイダンス

第4四半期、Facebookの売上高は336億7000万ドル(約3兆8500億円)、営業利益は125億9000万ドル(約1兆4400億円)、純利益は102億9000万ドル(約1兆1700億円)だった。また、1株当たり利益は3.67ドル(約420円)だった。

これらの数字は、アナリストの予想と比較してどうだったのだろうか?Yahoo Financeの平均値では、アナリストは、売上高334億1000万ドル(約3兆8200億円)、1株当たり利益3.84ドル(約440円)と予想していた。つまり、Facebookは、1株あたりの利益では届かなかったものの、堅実なトップラインを達成したことになる。

しかし、この利益未達は、単に一株当たり数セントという話ではなく、同社にとってより大きな問題だ。その点を明らかにするために、前年比の比較をしてみよう。2020年第4四半期のMetaの営業利益は127億6000万ドル(約1兆4600億円)で、同期間の売上高の約46%であった。後者の数字は、直近の四半期ではわずか37%に落ち込んでいる。これは、腹に効く、営業利益率の劇的な低下だ。

Metaの収益性を落とすコスト上昇の内部には、同社のVR、いわゆるメタバースへの投資がある。

Facebookが「拡張現実と仮想現実関連の消費者向けハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ」を含むとするReality Labs(リアリティ・ラボ)は、直近の四半期に8億7700万ドル(約1000億円)の収益をもたらし、2020年第4四半期の7億1700万ドル(約821億5200万円)から増加した。しかしながら、Reality Labsの2021年第4四半期の営業損失は33億ドル(約3781億円)で、損失は2020年第4四半期の21億ドル(約2400億円)を大きく上回った。

要するに、Metaのメタバース推進は現在のところ、そのコアビジネスが長年にわたって証明してきたような金鉱ではないということだ。そして、その簡単に利益が出ない事実が、会社全体の業績に悪影響を及ぼしている。メタバースは、同社が明らかに期待している「シッツ・ゴールド・ア・バース(バカみたいに儲かるメタバース)」には程遠い。

先を見れば、Metaにとって事態はさらに悪くなる。同社のCFOは「2022年第1四半期の総収入は270~290億ドル(約3兆〜約3兆3200億円)の範囲になる」と予想しており、これは3%から11%の成長に相当する。これは良くはない。アナリストはMetaの2022年第1四半期のトップラインを301億4000万ドル(約3兆4500億円)と予想していたので、同社のガイダンスはかなり惨めだ。

株価は下がった。

Spotifyのしこり

Joe Rogan(ジョー・ローガン)の件はさておき、Spotifyは今週もかなり厳しい状況にある。通常取引で5.75%下落した後、時間外取引で2桁の割合で値を下げている。

なぜか?同社は実際、利益予想を上回ることができ、1株当たりの損失は市場の予想より50%ほど少なかった。そして、26億9000万ユーロ(約3400億円)の売上は、2021年第4四半期の予想を数段上回った。

それなのに、叩き売られている。なぜか?Metaと同様、問題なのは未来についてだ。

Spotifyは2021年末の月間アクティブユーザー数4億600万人から、2022年第1四半期には4億1800万人にスケールアップすると予想している。そして、同じ3カ月間に、有料ユーザー数を1億8000万人から1億8300万人に増やすと予想している。

この数字はどれくらいずれているのだろうか。SeekingAlphaによると、投資家は2022年第1四半期の有料ユーザー数を1億8530万人、月間アクティブユーザー数を4億2200万人と予想していたそうです。つまり、Spotifyは前四半期はなんとかうまくいったが、投資家は今後の業績について興奮するには程遠いというわけだ。

ここ数週間で、私が記憶している以上に、投資家の逆鱗に触れるテック企業が増えている。より詳細なメタ分析が必要だが、テック企業に対する風向きの変化は、SaaS企業や最近のIPO企業にだけ起きていることではないようだ。多くの人がスティックを持っているのだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フェイスブックはもう成長しない、第4四半期決算発表後に株価が20%急落

世界最大のソーシャルネットワークが、これ以上大きくなることはないだろう。

米国時間2月2日、Metaは第4四半期の決算を発表し、ウォール街を失望させ、株価を急落させた。現在のところFBというティッカーシンボルで取引されている同社の株価は、この数字が出ると20%急落した。

Metaの前四半期は、AppleのiOSのプライバシー変更による広告収入の落ち込みなど予想されていたトレンドの影響もあったが、Metaの中核アプリであるFacebookがもはや、新規ユーザーを惹きつけていないという新たな事実も表面化した。

Facebookの月間アクティブユーザー(MAU)は、2021年第3四半期から第4四半期にかけて29億の横ばいだった。さらにまずいのは、1日のアクティブユーザー(DAU)が同時期に19億3000万から19億2900万に落ちたことだ。成長を最優先することで知られていたFacebookにとって、これは初めてのことだ。

当然だと思えるものもある。Facebookは(穏便な表現をすれば)成熟したプロダクトであり、これから新たにサインアップする人は世界中にそれほど多くはない。そして、同社はこれまでにないほどWhatsAppとInstagramなどアプリの「ファミリー」に力を入れており、それら新プロダクトは、当分の間、飽和しそうにないほどフレッシュなプロダクトだ。

ユーザー数の伸びが鈍化したこの四半期は、これまで「Facebook」として知られていた同社が「メタバース」企業として再ブランド化し、没入型の仮想体験の構築にリソースを振り向ける計画を発表したのと同じ四半期であった。

Metaにとって良いニュースは、同社は依然として世界最大のソーシャルグラフのオーナーであることだ。では、悪いニュースは何だろう。ユーザー数の成長鈍化が予想されていたことだったとしても、それによって、FacebookおよびMetaのいう「アプリファミリー」が、未来の輝かしいビジョンというよりも、過去の遺物のように見えてしまうことだ。

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

MetaがInstagramに3Dアバターを導入、FacebookとMessengerにも新オプションを展開

Meta(メタ)は、同社の3DアバターをInstagram(インスタグラム)に導入し、さらにFacebook(フェイスブック)とMessengerアプリにもアップデートされたアバターを展開することを発表した。これにより米国、カナダ、メキシコのユーザーは、ステッカー、フィード投稿、Facebookのプロフィール画像などにバーチャルな自分を表示できるようになった。

米国時間1月31日のアップデートでは、VRを含むすべてのプラットフォームで、数種類のカラーの人工内耳と耳かけ型補聴器が追加された。また、今回のアップデートではFacebookのステッカー、Messengerチャット、InstagramストーリーズやDMに表示される車いすが追加された。Metaは、アバターがより本人らしく見えるように特定の顔の形を調整することで、アバターの見た目も改善している。同社は、今後もアバターエディターにアイテムを追加していく予定だという。

MetaのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、同氏のFacebookプロフィールに掲載された声明の中でこう述べている。「Metaのアバターは、表情や顔、肌のトーンを増やし、車いすや補聴器なども追加してアップデートされました。デジタル衣類の実験も始めています。アバターは、Quest、Facebook、Instagram、Messengerのすべてで使用できます。いつの日か、表情豊かなものからフォトリアリスティックなものまで、複数のアバターを持てるようになるでしょう。近いうちにもっとシェアできることを楽しみにしています」。

今回のアップデートにより、ユーザーはVRを含むすべてのMetaプラットフォームで同じアバターを使えるようになった。ユーザーがFacebookやMessengerでアバターに加えた変更は、自動的にInstagramにも反映され、その逆も同様だ。ユーザーは、異なるプラットフォーム用に異なるアバターを作成するオプションもある。Metaは、時間をかけて、ユーザーがアバターを場所から場所へと簡単に移動できるようにすることを目標としており、将来的にはこれに関する最新情報を共有する予定だと述べている。

画像クレジット:Meta

また、MetaはNFLと提携し、スーパーボウルに向けてファンがお気に入りチームを応援する方法を提供する。2月28日までの期間中、ユーザーは自分のアバターが着る洋服を通してCincinnati Bengals(シンシナティ・ベンガルズ )またはLos Angeles Rams(ロサンゼルス・ラムズ)を応援することができる。どちらかのチームを選びたくないユーザーのために、ニュートラルな「Super Bowl LVI」シャツも用意されている。

Metaのアバター&アイデンティティ担当ジェネラルマネージャーであるAigerim Shorman(アイゲリム・ショーマン)氏は、今回のローンチについてブログで次のように述べている。「VRとQuestは当社のメタバースビジョンの重要な部分ですが、私たちはメタバースを相互に接続されたデジタルワールドとして捉えており、スマホやパソコンなどのより身近なプラットフォームに加えて、VRとARを橋渡しするものだと考えています。アバターを当社のプラットフォームに展開することは、この実現に向けた初期の一歩です。あなたの新しいバーチャルな自分が、オンライン上であなたの望むように表現されるよう願っています」。

同社は、Snap(スナップ)のBitmojiに対抗する手段として、2020年に初めてアバターを発表し、その後も継続的にアップデートを行ってきた。例えば、Metaは2021年、アバターをよりカスタマイズ可能で多様性のあるものにすることを目的として、目、鼻、ひげ、ヘアスタイルの新しいオプションを発表したが、今回の新しい変更はその一環だといえる。しかし、Metaはこれまでのアバター採用に関する数字を公表していない。

今回のアップデートは、Metaが2月2日に第4四半期および通期の業績を発表する予定であるタイミングで行われた。同社はその際、AR・VRハードウェア部門の業績を初めて公表する予定だ。

画像クレジット:Meta

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

ユニコーン以上の価値があるWorkplaceにスピンアウトして欲しいVCと、それを手放したくないフェイスブック

Workplace(ワークプレイス)とは、もともとFacebook(フェイスブック)が従業員同士のコミュニケーションの場として作ったアプリである。友人や家族と楽しむためのものとして定着したFacebookと実質的に同じこのツールは、現在700万人以上のユーザーに利用されており、企業の社内コミュニケーションを支援するアプリとして地位を確立している。そして今、この人気を背景にWorkplaceには別の意味での注目が集まっているようだ。

Meta(メタ)に社名を変更する前、Facebookが企業投資家から「Workplaceをスピンオフして、スタートアップとしてバックアップさせて欲しい」という提案を受けていたという事実が浮上した。関係者によれば、この取引によってWorkplaceが独立していたら、少なくとも10億ドル(約1138億ドル)の「ユニコーン」として評価されていたとのことである。

情報源によるとこの話は進まなかったようだが、それは主にFacebook(現在はMeta)がWorkplaceを「戦略的資産」と見なしたからだという。MetaがFacebookやInstagram(インスタグラム)などのプラットフォーム上の広告から得ている数十億ドル(数千億円)に近い売上を、Workplaceが上げているわけではない。しかし、Metaの多様な側面を市場に強調するためには、Workplaceが重要なのだという。規制当局にとって、Facebook / Metaはあまりにも強力すぎるソーシャルネットワークなのであるのに対し、企業組織にとってFacebookは広告を販売する以外にもまだ多くのポテンシャルを秘めている存在なのである。

情報源によると「WorkplaceはFacebook(およびMeta)を大人っぽくみせてくれる」のだという。

MetaとWorkplaceの広報担当者はこの記事へのコメントを控え、何も伝えることはないと述べている。

どの投資家が関係していたかは明らかにされていないが、ある関係者によるとその企業投資家とは、資本注入を目的とした後期の成長ラウンド投資に重点を置く、エンタープライズに特化した投資家だという。

スピンアウトしたWorkplaceに出資しようという彼らのアプローチは、2021年レイトステージの投資家やプライベートエクイティの投資家らが成熟した大規模なテック企業を買収するために活動を活発化させていた時期(今もそうだが)と重なっている。Thoma Bravo(トーマス・ブラボー)は2021年、350億ドル(約3兆9840億円)を調達してこの分野でより多くの買収機会を得ようとしていたと報じられている(そしてそのためにさまざまな投資や買収を行ってきた)。2021年のプライベートエクイティによる買収総額は約800億ドル(約9兆円)に達し、2020年に比べて140%以上増加しているとBloomberg(ブルームバーグ)は推定している。

このペースは2022年も衰えそうにない。その中には、あまり主要ではなく収益性の悪い、どちらかといえば低迷中の資産を合理化してより多くの資本を回収しようと、大手テクノロジー企業に対して事業のスピンアウトを持ちかけるPE企業もある。ちょうど今日、Francisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)はIBM(アイビーエム)のWatson Health(ワトソン・ヘルス)事業を約10億ドル(約1138億ドル)で買収することを発表した

SaaS展開の足がかりを構築

Metaの場合、Workplaceをスピンアウトさせるためには、2つの面での展開が必要となる。

企業面では同社の解体を求める声が上がっている。2022年1月初め、米連邦取引委員会(FTC)がWhatsApp(ワッツアップ)とInstagramの売却を求める訴訟の継続を裁判所が認めた他、報道によるとVR部門が反トラスト法違反ではないかという別の調査も行われているという。一部の投資家や株主にとってこの状況はチャンスだが、Metaにとってはあらゆる資産の保持を正当化するための検討が必要になってくるだろう。

Workplaceはこの数カ月間、重要な岐路に立たされていた。

多くの人材が離職したのである。その中には、1月BREX(ブレックス)のチーフプロダクトオフィサーに就任したKarandeep Anand(カランディープ・アナンド)氏や、ロンドンのベンチャー企業Felix Capital(フェリックス・キャピタル)のパートナーに就任したJulien Codorniou(ジュリアン・コドルニウ)氏というトップ2人の幹部も含まれている。その他多くの人たちも、新たな旅路をスタートさせるため同社のビルを去っていった。

これはMetaのPRの失敗が原因なのではなく、むしろごく自然な現象なのだと私は聞いている。これまでここにいたのはWorkplaceを一から作り上げるために集められた人々だ。同社の製品が成熟し、より明確な焦点を持った今こそ、新たな人員が入社して次のステージに取り組むのに適切な時期であるのだという(私の個人的な意見だが、Workplaceの新リーダーであるUjjwal Singh[ウジワル・シン]氏は、今のWorkplaceを率いるのにふさわしい人物だと感じている)。

しかしそれとはに、Metaが常に世論からバッシングを受けていることで従業員が疲弊しているのではないかという報道もある。Workplaceもこれは人ごとではない。以前Workplaceは最大手のレストランチェーンと大きな契約を結んだと私たちは理解しているのだが、その顧客は昨秋、穏やかでないニュースの数々と「評判の問題」を理由にその発表を控えるよう求めてきたという。

「他のSaaS企業ではありえないことだ」とある人物はいう。

これはWorkplaceを親会社から切り離すための良い理由となったはずだし、スピンアウトへの一歩ともなりえただろうが、Metaはそうは感じていないようだ。

Workplaceは製品として展開された当初から、実は大きな変化を遂げている。

もともとFacebookの「仕事版」として設立されたWorkplace。Facebookの従業員がすでにFacebookを使ってプライベートなグループでコミュニケーションをとっていたのを発展させたもので、Slack(スラック)やその他の職場向けチャットアプリの台頭に対抗する形で登場した。何十億もの人々がすでにFacebookを利用しているのだから、 当然Workplaceに優位性があるだろうというのが同社の当時の考えである。異なる種類のユーザーをターゲットにした新サービスを導入し、広告収益ではなく有料化という異なるビジネスモデルを採用することで、同社にとって新たなビジネスの可能性の扉を開いたのだ。

時とともにWorkplaceの焦点が変わろうとも、この戦略が変わることはほとんどない。もともとWorkplaceは、SlackやTeamsに対抗するためにナレッジワーカーを対象とした他の職場生産性向上ツールとの統合を数多く導入していたのだが、時が経つにつれ、Workplaceは主にモバイルで雇用主とコミュニケーションをとるデスクレスワーカーに支持されるようになったのである。つまり、ナレッジワーカーとデスクレスワーカーの両方に対応するコミュニケーションアプリになることがWorkplaceのスイートスポットとなったのだ。

「Teams、Slack 、Workplaceのどれかを選んでもらうのではなく、両方持っていてもいいのではないかと気づいたのです。他の会社はナレッジワーカーのためのリアルタイムのメッセージングコミュニケーションを扱って、Workplaceはそうではないサービスをすべての人のために提供すれば良いのです」と関係者は振り返る。

そして、これが現在の Workplace の戦略の指針となっている。最近では、Microsoft Teams(マイクロソフトチームス)の機能をプラットフォームに統合して補完を行っている他、先に、同社はWhatsAppとの新たな統合を発表した。これはすでに最前線のチームに人気があるのだが、今後はWorkplaceでのコミュニケーションのため、より正式なインターフェースとなるようだ。また、MetaのVR事業とPortal(ポータル)との統合やサービス提供も予定されているという。

同社が最新のユーザー数を公表するのは2022年の後半になる予定だが、ある関係者によるとWorkplaceのユーザー数は現在1000万人近くに達しており、Walmart(ウォルマート)やAstra Zeneca(アストラゼネカ)など世界最大級の企業もその顧客リストに含まれているという。

Workplaceはこれまでに独立型製品として販売されていたこともあるが「今後独立型のアプリケーションとして販売されることはないと思います」と関係者は話している。

その代わりに、例えばビジネスメッセージングとWorkplaceを組み合わせて販売したり、Facebookのログイン機能と組み合わせて販売したりと、Metaにはさまざまな可能性が広がっている(CRMのスタートアップであるKustomer買収の背景には、このような企業への幅広い売り込みがあると思われるが、この買収はまだ完了していない)。

Workplaceを手放す準備などもっての他で、Metaはより大きなSaaSビジネスを構成する足がかりとしてWorkplaceを位置づけているようだ。果たしてMetaは独立会社のように、そのチャンスを逃さずに動けるだろうか。それができなければVCが舞台のそでで出番を待っているのである。

画像クレジット:Workplace

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

米消費者の2021年ソーシャルメディア詐欺被害額は約888億円、2017年の18倍に増加

米連邦取引委員会(FTC)の新しい報告書によると、ソーシャルメディアで詐欺に遭う米国の消費者が増えており、2021年に消費者は7億7000万ドル(約888億円)をソーシャルメディア詐欺で失い、同年の詐欺被害総額の約4分の1を占めていることが明らかになった。また、この数字は2017年に報告されたソーシャルメディア詐欺被害額4200万ドル(約48億円)から18倍に増えており、暗号資産やオンラインショッピングが関係する新しいタイプの詐欺が流行したためだと、FTCは指摘している。これにより、多くの若い消費者が詐欺に遭うようになり、現在、18〜39歳の成人は、40歳以上の成人に比べて2.4倍多く詐欺に遭っている。

スキャマー(詐欺師)たちは、ソーシャルメディアが詐欺を行うのに最も収益性の高い場所の1つであることを明確に認識している。9万5000人超の詐欺被害者が、最初にソーシャルメディアでコンタクトがあったと答えており、この数は2020年の2倍超、2017年の19倍にのぼる。

画像クレジット:FTC

2021年に詐欺でお金を失ったとFTCに報告した人の4人に1人以上が、詐欺のきっかけとなった投稿、メッセージ、広告を最初に見たのはソーシャルメディア上だったと回答した。連絡方法が明記されていない報告を除くと、2021年の詐欺による損失の26%をソーシャルメディアでの詐欺が占め(7億7000万ドル、約888億円)、次いでウェブサイトやアプリが19%(5億5400万ドル、約639億円)、そして電話が18%(5億4600万ドル、約629億円)だった。しかし、個人の損失額の中央値は、ソーシャルメディア詐欺の468ドル(約5万4000円)に対し、電話詐欺が1110ドル(約12万8000円)と最も多い。

ソーシャルメディア詐欺が最も多く発生しているのは、Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)であることがデータから読み取れる。

オンラインロマンス詐欺の場合、ユーザーの3分の1以上が、スキャマーからの最初の働きかけがFacebookまたはInstagram上でのものだったと報告している。具体的には、Facebookが23%、Instagramが13%だ。これらの詐欺は、一見無邪気な友達申請から始まり、甘い言葉、そして金銭の要求へと続くと報告書にはある。

一方、2021年の投資詐欺の半数以上(54%)は、ソーシャルメディアプラットフォームから始まっていて、スキャマーは偽の投資機会を宣伝したり、人々と直接つながって投資を促したりしている。ここではInstagramがスキャマーに人気で、投資詐欺の36%を占め、次いでFacebookが28%、そしてメッセージングアプリのWhatsApp(ワッツアップ)とTelegram(テレグラム)がそれぞれ9%と7%だった。

そしていまでは投資詐欺の大部分に暗号資産が関わっていることも明らかになった。2021年、FTCに報告されたソーシャルメディア投資詐欺の64%で暗号資産が支払い方法となっている。決済のアプリやサービスが使われたのは13%、次いで銀行振り込みや銀行決済が9%だった。

画像クレジット:FTC

ロマンス詐欺と投資詐欺が引き続き金額ベースで最大の被害で、過去最高を記録してもいるが、FTCへの報告数が最も多い詐欺は、消費者がソーシャルメディアで初めて見たものを購入しようとするものだ。ほとんどの場合、被害者はFacebookやInstagramで販売されているものを見て、購入しようとしていた。

2021年にソーシャルメディア詐欺で失ったお金についてFTCに届けのあった報告の45%は、オンラインショッピングに関連するものだった。そのうちの70%近くは、ソーシャルメディア上の広告を見て注文したものの、その後商品が届かなかったというものだった。また、広告から「そっくり」ウェブサイトに誘導され、本物のオンライン小売業者から購入したかのように騙されるというケースもあった。このような詐欺のうち、10件中9件はFacebookとInstagramがプラットフォームとして使われている、とレポートにはある。

オンラインショッピング詐欺の増加は、消費者がお金を失うというだけでなく、eコマースのエコシステム全体とソーシャルメディア企業のビジネスにとっても決定的な意味を持つ。近年、FacebookとInstagramは、オンラインショッピングをサービスの中核とするために多額の投資を行っており、広告主とターゲットとなる顧客を結びつけることを約束している。Meta(メタ)が所有するアプリには独自の「ショップ」セクションがあり、消費者は商品を閲覧して、外部のウェブサイトに移動することなく直接精算することができる。しかし、これらのプラットフォームで紹介されているオンライン小売業者の正当性に消費者が警戒心を抱くようになれば、将来的にソーシャルメディアからの買い物を躊躇するようになるかもしれない。

Metaにとって、消費者の購買行動の変化は、過去数年よりも現在の方が大きな問題となっている。というのも、同社の大規模な広告ビジネスは、消費者が追跡を拒否できるようにしたApple(アップル)のiOSのプライバシー変更によって影響を受けているからだ。広告のパーソナライズ機能の低下による市場の変化を予測して、Metaは自社のプラットフォーム内で消費者のショッピングに基づくより多くのファーストパーティデータを取得できるアプリ内ショップを作成し、収益の多様化を進めている。また、サブスクリプションやチップなど、クリエイターエコノミーからの新しい収入も開拓している。

FTCは、2021年のソーシャルメディア詐欺のうち、投資、ロマンス、eコマースで70%を占めているが、それ以外にもソーシャルプラットフォームに関連した詐欺の種類があると述べている。ただし、報告書ではこれらをカテゴリー別に分けてはいない。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックが「Diem」資産売却でステーブルコインの野望を断念

WSJの報道によると、ブロックチェーンベースの決済システムに取り組む企業のコンソーシアムであるDiem Association(ディエム協会)が、技術資産をSilvergate Capital(シルバーゲート・キャピタル)に2億ドル(約230億7000万円)で売却することになったという。かつてFacebook(フェイスブック)として知られていたMeta(メタ)は、同協会の創設メンバーの1つだ。Diem(ディエム)は、Facebookが暗号資産に対して行った最も野心的な賭けの象徴だった。

Bloombergも米国時間1月25日、Metaがプロジェクトの背後にいる投資家らに資本を還元する方法として、Diemの資産を売却することに取り組んでいると報じていた。

Facebookは2019年に、もともとLibra(リブラ)と呼ばれていたこの暗号プロジェクトを発表した。それ以来、Diem AssociationとFacebookはともに何度も目標を縮小してきた。当初Libraは、フィアット通貨や証券の通貨バスケットと結びついたまったく新しい通貨になるはずだった。

Libra Association(リブラ協会)は当初から、規制当局や中央銀行からの強い反対にあった。多くの人は、Libraがソブリン通貨と競合し、マクロ経済に深刻な影響を与えると考えていた。シャドーバンキングやインフレを引き起こし、金融政策から逃れる手段になると考えられていたのである。

そこでLibra Associationは、より現実的なステーブルコインのあり方に方向転換することにした。新しい通貨を一から作るのではなく、単一通貨のステーブルコインを複数発行することにしたのである。例えば、1 LibraUSDは、常に1米ドルの価値を持つことになっていた。同じことがLibraGBPやLibraEURなどにも当てはまる。

しかし、その計画は再び変更された。Libra AssociationはDiem Associationとなり、Facebookは暗号資産ウォレット「Novi(ノビ)」のパイロット版を発表した。Noviは、協会のブロックチェーン(Diemネットワーク)上の協会のステーブルコイン(Diem)を使用する代わりに、通貨としてUSDP(Pax Dollar)を使用している。このステーブルコインはPaxos(パクソス)が発行し、Coinbase(コインベース)がカストディを担当している。

関連記事:Facebookの暗号通貨プロジェクトLibraがDiemに名称変更

数カ月前には、Metaの暗号資産に関するあらゆるプロジェクトを主導していたDavid Marcus(デビッド・マーカス)氏も同社を去っている。WSJによると、Diemの暗号資産はまだローンチされていないが、Silvergate Capitalは同社の口座にある現金を担保にステーブルコインの一部を発行する予定だったという。

Diem Associationの資産の売却が成立すれば、Metaと同協会のパートナーたちはいくらかの資金を取り戻し、Silvergate CapitalはDiemプロジェクトをつかさどる唯一の企業となる。

現在Diem Associationに関わっている企業には、Anchorage、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)、Checkout.com、Coinbase、Iliad、Spotify(スポティファイ)、Uber(ウーバー)、Union Square Venturesなどがある。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

FB Messengerがエンド・ツー・エンド暗号化チャット体験をアップグレード

Facebook Messengerにデフォルトのエンド・ツー・エンド暗号化機能が全面展開されるのは2023年中とのことだが、Meta(メタ)は米国時間1月27日、Messengerでエンド・ツー・エンド暗号化されたグループチャットや通話を提供する機能が完全にロールアウトされたと発表した。さらにMessengerでは、エンド・ツー・エンド暗号化されたチャットでのスクリーンショット通知が開始され、ライバルのSnapchat(スナップチャット)と同様に、消えていくMessengerメッセージのスクリーンショットを誰かが撮った場合には警告するという、あらたなセキュリティ機能が追加されている。また、ユーザーは暗号化されたチャットにGIF、ステッカー、リアクションを追加することもできるようになった。

エンド・ツー・エンド暗号化(E2EE)されたグループチャットや通話のサポートは、2021年8月に初めて発表され、Messengerユーザーに、個人的な会話を犯罪者や国家の監視から安全に守る方法を約束した。だが多くの政府は、Messengerが暗号化の取り組みを拡大する計画は、法執行機関の犯罪調査を複雑にするとし、このアイデアに必ずしも賛成していない。それに対してMetaは、E2EEはすでにWhatsApp(ワッツアップ)などのアプリで広く使われており、業界標準になりつつあると指摘して反発してきた。

とはいえ、2021年の発表時には、グループ通話やチャットのためのE2EEは完全にはローンチされていなかった。その代わり、Metaはまず、既存のチャットスレッドがあり、すでに接続されている友人や家族を対象に、機能のテストを開始するとしていた。また、E2EEチャットで動作する配信コントロールのテストを開始し、ユーザーが不要なやり取りを防ぐことができるようにして、誰が自分のチャットリストに入るのか、メッセージリクエストフォルダに入るのか、誰が自分にまったくメッセージを送れないのか決められるようにするとしていた。

数カ月を経て、この機能は世界中のMessengerユーザーに完全に展開され、ユーザーはプライベートな会話でE2EEをオンにすることができる。

近いうちに、E2EEチャットで消えるメッセージをスクリーンショットされた場合、Messengerはユーザーに警告するようになる。これは、Messengerのバニッシュモードですでに提供されている機能と同じだ。バニッシュモードはSnapchatによく似た機能で、メッセージが全員に閲覧されると消えてしまうというもの。誰かがバニッシュモードのチャット(これからはE2EEチャットで消えるメッセージも)のスクリーンショットを撮った場合、通知が送られてくるので、相手に連絡して対処したり、必要に応じて会話をブロックしたり報告したりできる。これらの通知は「今後数週間にわたって」提供される予定だ。

画像クレジット:Meta

さらに、E2EEチャットでは、GIF、ステッカー、リアクションなど、これまでE2EE以外のチャットで使えていた機能も利用できるようになり、そのほかにも特定のスレッドへの返信、キーストロークの表示、転送オプションなどもサポートされる。また、E2EEチャットでも認証済みバッジが利用できるようになり、チャットをする際に、本人アカウントかどうか識別するのに役立つ。また、長押しでメディアを保存したり、送信前に写真や動画を編集したりすることが可能になる。これらの機能は新しいものではないが、エンド・ツー・エンド暗号化されたチャットには新しい機能だ。

画像クレジット:Meta

Metaによると、これらの機能はウェブとモバイルを含む全プラットフォームで、すべてのユーザーに提供されるとのこと。しかし、ロールアウトは進行中なので、すぐにすべての機能を利用できないユーザーもいる。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

アップル、パンデミックの影響を受け続ける一部デベロッパーに対してアプリ内購入免除の特例措置を再度延長

パンデミックはまだ終わっていない、とAppleはいう。同社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のためにバーチャル開催を強いられた一部サービスのための、アプリデベロッパーがアプリ内購入システムを回避することを認めるというCOVID時代のApp Store猶予措置を再び延長した。具体的にAppleは「有料オンライングループサービス」を提供するアプリはアプリ内購入を利用しなければならないとするApp Store Reviewガイドライン3.1.1の適用を引き続き延期する。

影響を受けているデベロッパー(元来のビジネスモデルが、バーチャルではなく、対面イベントを中心に作られていた)は、パンデミック中、アプリ内購入を使用しなくてはならないというAppleの要件に従わずにすんでいる。

当初Appleは,1対1のサービスに限りアプリ内購入要件を免除した。医者と患者による医療相談や、教師と生徒の個人指導、不動産屋と顧客の物件ツアー、トレーナーと顧客のフィットネストレーニングなどだ。しかしAppleはその後すぐ、グループサービスのイベントから手数料の徴収を続けることは世界的パンデミック下で小企業に害を及ぼすとMeta(Facebook)から批判された

もちろんFacebookには別の思惑があった。自社の決済システムで手数料を免除していたFacebook Pay(フェイスブック・ペイ)を、Appleのアプリ内購入の代わりに使うことをAppleに認めさせたかったのだ。一時的にせよ、Appleがそれを認めれば、Facebookは何千何万人のユーザーを自社の決済エコシステムに引き込むことができる。

そうではなく、Appleは自社の手数料をオンライングループサービスに対しても一時的に免除した。オンラインセミナーやグループ・ヨガクラスなど、1対少人数や1対多人数のイベントも含まれる。これによってAppleは、パンデミックの打撃を受けている小企業から利益を上げているというMetaの批判に答え、かつFacebook Payには何の利益も与えない。

しかしパンデミックが長引くにつれAppleは、猶予期間が過ぎて対象企業がAppleのアプリ内購入システムに戻る期限を延期せざるを得なくなった。2020年11月、Appleは猶予期間を2021年6月までに延長した。そして2021年4月、同社は期限を2021年12月31日まで延期した。2021年11月、Appleは期限が迫っていることをデベロッパーに再通知した。

悲しいかな、オミクロン株の影響によってAppleは再度期限を延ばすことになった。

現在同社は、対象デベロッパーは2022年6月30日まで、Appleのアプリ内購入システムに戻ることを猶予されるとしている。この日は、失った収入源を取り戻し始められることが確実だとAppleが期待している日付に違いない。

さらに同社は、アカウント作成が可能なアプリ内にアカウント削除機能を実装する期限も延長したことを示した。「この要件の実装の複雑さ」が理由だ。つまり、もともと時間がかかり実装が困難な変更が、店舗の閉鎖や新型コロナによる従業員の病休や子どもの家庭でのバーチャル授業などによって、いっそう大変になっているということだ。

この延長は、先週末Appleのデベロッパーサイトの投稿で静かに発表された。それはAppleのアプリ内購入ビジネスモデルがさまざまな角度から攻撃されているさなかだった。同社のEpic Games(エピックゲームズ)と裁判は現在上訴中であり、つい最近オランダ規制当局からは、デベロッパーのサードパーティー決済に自社のアプリ内購入インフラストラクチャーの使用を強制していることは反トラスト法に違反しているとして罰金を課された。さらに同社は、最近韓国でもアプリ内決済をめぐる同様の規則に従わざるを得なかった

関連記事:オランダ当局がアップルに約6.4億円の罰金、出会い系アプリの独占禁止法違反で

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Metaが(おそらく)民間最速のAIリサーチ用「SuperCluster」でスパコン戦争に参入

地球上で最も大きく、最もパワフルなコンピューターを構築するための世界的な競争が過熱する中、Meta(別名Facebook)は「AI Research SuperCluster(RSC、AIリサーチ・スーパークラスター)」でその混戦に飛び込もうとしている。完全に稼働すれば、世界最速のスーパーコンピュータのトップ10に入る可能性があり、言語やコンピュータビジョンのモデリングに必要な大規模な演算に使用されることになる。

OpenAIのGPT-3が最も有名であろう大型AIモデルは、ノートPCやデスクトップではまとめられるものではなく、最先端のゲーム機をも凌駕する高性能コンピューティングシステムによって、数週間から数カ月にわたって継続的に計算された最終的な成果だ。また、モデルのトレーニングプロセスが早ければ早いほど、そのモデルをテストして、より良い新しいモデルを生み出すことができる。トレーニングの時間が月単位になるというのは、とても重要なことだ。

RSCは稼働しており、同社の研究者たちはすでにそれを使って仕事をしている。ユーザー生成データを使用して、と言わなければならないが、データはトレーニング時までに暗号化されており、施設全体が外部インターネットから隔離されていることをMetaは慎重に説明した。

スーパーコンピュータは驚くほど物理的な構築物であり、熱、ケーブル配線、相互接続などの基本的な考慮事項が性能や設計に影響を与えるが、RSCを構築したチームは、ほとんどリモートでこれを成し遂げたことを当然のことながら誇りに思っている。エクサバイト級のストレージはデジタル的に十分な大きさに聞こえるが、実際にどこかに存在し、現場でマイクロ秒単位でアクセスできる必要がある(Pure Storageも、このために同社が用意したセットアップを誇りに思っている)。

RSCは現在、760台のNVIDIA DGX A100システムをコンピュートノードとして使用しており、これらのシステムには合計6080個のNVIDIA A100 GPUが搭載されている。Metaは、米ローレンス・バークレー国立研究所のPerlmutterとほぼ同等の性能を持つと主張している。これは、長年のランキングサイト「Top 500」によると、現在稼働しているスーパーコンピュータの中で5番目に強力なスーパーコンピュータとなる(ちなみに、1位は今のところダントツで日本の富岳である)。

これは、同社がシステムの構築を続けることで変わる可能性がある。最終的には約3倍の性能になる予定で、理論的には3位の座を狙えることになる。

そこに補足説明があるべきなのは間違いない。2位の米ローレンス・リバモア国立研究所のSummitのようなシステムは、精度が求められる研究目的で採用されている。地球の大気圏内の分子を、これまでにない詳細なレベルでシミュレーションする場合、すべての計算を非常にたくさんの小数点以下の桁数で行う必要がある。つまり、それらの計算はより多くの計算コストを要するということだ。

Metaは、AIアプリケーションでは結果が1000分の1パーセントに左右されるわけではないため、同様の精度は必要ないと説明する。推論演算では「90%の確率でこれは猫である」というような結果が出るが、その数字が89%でも91%でも大きな違いはない。難しいのは、100個ではなく、100万個の物体や語句に対して90%の確実性を実現することだ。

それは単純化しすぎだが、結果として、TensorFloat-32(TF32)演算モードを実行しているRSCは、他のより精度を重視したシステムよりも、コアあたりのFLOPS(1秒あたりの浮動小数点演算)を多く得ることができる。この場合、189万5000テラFLOPS(または1.9エクサFLOPS)にもなり、富岳の4倍以上になり得る。それは重要なことだろうか?もしそうであれば、誰にとって?もし誰かいるとすれば、Top 500リストの人々にとっては重要かもしれないので、何か意見があるか聞いてみた。だが、RSCが世界最速のコンピュータの1つになるという事実は変わらないし、おそらく民間企業が独自の目的で運用するものとしては最速だろう。

画像クレジット:Meta

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

グーグル、広告ビジネスをめぐるテキサス州の反トラスト法訴訟で棄却を要請

米国時間1月21日、Google(グーグル)はテキサス州が主導する反トラスト訴訟中の訴因の大半を却下するよう連邦裁判所に求める申し立てを行った。同社は訴状の中で、テキサス州の訴訟は「信用できない」し、州は同社の広告ビジネスが独占禁止法に違反していることを証明できなかった、と主張している。

Googleの経済政策担当ディレクターであるAdam Cohen(アダム・コーエン)氏は、ブログの中で「Paxton(パクストン)州司法長官の主張は、光よりも熱に満ちており、この事件を裁判にかける法的基準を満たすとは思えない。訴状は、私たちのビジネス、製品、および動機を不当に表現したものであり、私たちは、妥当な反トラスト法上の主張を提示しなかったことを理由に、これを却下する方針です」と述べている。

テキサス州のKen Paxton(ケン・パクストン)司法長官は、Googleがオンライン広告の独占を違法に維持したと主張する訴えを2020年末に発表した。テキサス州は11月に初めて提訴したものの当時は編集されていた訴状を先週、新たに更新し、裁判官から訴状の詳細を公開するよう命じられる前だった。

アラスカ、アーカンサス、フロリダ、アイダホ、インディアナ、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、モンタナ、ネバダ、ノースダコタ、サウスカロライナ、サウスダコタ、ユタ、ケンタッキー、そしてプエルトリコがこの訴訟に加わり、Googleの責任を問う訴訟に加わっている。。

関連記事:複数州にまたがる最新グーグル反トラスト訴訟は広告ビジネスが標的

Googleは、パクストン氏は「明確な事実がたくさんあるのに、それらを看過または誤解」しており、その中には同社がオンライン広告の支配を維持するために、Facebookとの取引で、新たに登場してきた「ヘッダー入札」と呼ばれる広告購入プロセスを封殺したという主張している。

The New York Timesの記事によると、2018年にFacebookはその関係を発表したが、Googleが自分の競合他社に「他のパートナーには提供しなかった、オークションで成功するための特別な情報とスピードの利点を与えた(そこには『勝率』の保証も含まれていた)」ことは公表しなかった。

自らも反トラスト法で苦境に立たされているMetaも同様に、同社にInstagramとWhatsAppを売却させる可能性がある反トラスト法訴訟の却下を裁判所に求めたが、裁判官は2022年1月初め、FTCの再提訴を許可するとの判決を下した。

関連記事:グーグルがGoogle Playの課金をめぐり大規模な反トラスト訴訟に直面

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Metaの研究者が画像・音声・文字を同じように学習するAIを開発

AIの領域には常に進歩が見られるが、それは1つの分野に限定される傾向がある。例えば、合成音声を生成するためのクールな新方法は、人間の顔の表情を認識するための方法とはまた別の分野だ。

かつてのFacebook(フェイスブック)から社名が変わったMeta(メタ)の研究者たちは、もう少し汎用性のあるもの、つまり話し言葉、書かれた文字、視覚的な認識を問わず、自分でうまく学習することができるAIの開発に取り組んでいる。

AIモデルに何かを正しく解釈させるための伝統的な訓練方法では、ラベル付けした例を大量(数百万単位)に与えて学習させる方法が採られてきた。猫の写真に猫とラベル付けしたものや、話し手と言葉を書き起こした会話などだ。しかし、次世代AIの学習に必要な規模のデータベースを手作業で作成することは、もはや不可能であることが研究者たちによって明らかにされたため、このアプローチはもはや流行遅れとなった。誰が5000万枚の猫の写真にラベルを付けたいと思うだろうか?まあ、中にはそんな人もいるかもしれないが、しかし、一般的な果物や野菜の写真を5000万枚もラベル付けしたい人はいるだろうか?

現在、最も有望視されているAIシステムの中に「自己教師型」と呼ばれるものがある。これは、書籍や人々が交流している様子を撮影したビデオなど、ラベルのない大量のデータを処理し、システムのルールを構造的に理解するモデルだ。例えば、1000冊の本を読めば、単語の相対的な位置関係や文法構造に関する考え方を、目的語とか冠詞とかコンマが何であるかを誰かに教えてもらうことなく、学ぶことができる。つまり、たくさんの例から推論して得るということだ。

これは直感的に人間の学習方法に似ていると感じられ、そのことが研究者が好む理由の1つになっている。しかし、このモデルも依然としてシングルモーダルになる傾向があり、音声認識用の半教師あり学習システムを構築するために行った作業は、画像解析にはまったく適用できない。両者はあまりにも違いすぎるのだ。そこで登場するのが、「data2vec(データトゥベック)」というキャッチーな名前が付けられたFacebook/Metaの最新研究だ。

data2vecのアイデアは、より抽象的な方法で学習するAIフレームワークを構築することだった。つまり、ゼロから始めて、本を読ませたり、画像をスキャンさせたり、音声を聞かせたりすると、少しの訓練で、それらのことを学習していくというものだ。それはまるで、最初は一粒の種だが、与える肥料によって、水仙やパンジー、チューリップに成長するようなものだ。

さまざまなデータ(音声、画像、テキスト)で学習させた後にdata2vecをテストしてみると、その分野のモダリティに対応した同規模の専用モデルと同等か、あるいは凌駕することさえあったという(つまり、モデルがすべて100メガバイトに制限されている場合は、data2vecの方が優れているが、専用モデルはさらに成長すればdata2vecを超えるだろう)。

「このアプローチの核となる考え方は、より総合的に学習させるということです。AIは、まったく知らないタスクも含めて、さまざまなタスクを学べるようになるべきです」と、チームはブログに書いている。「data2vecによって、コンピュータがタスクを遂行するためにラベル付きデータをほとんど必要としない世界に近づくことも、私たちは期待しています」。

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOはこの研究について「人は視覚、聴覚、言葉を組み合わせて世界を体験しています。このようなシステムは、いつの日か私たちと同じように、世界を理解することができるようになるでしょう」とコメントしている。

これはまだ初期段階の研究であり、突如として伝説の「総合的なAI」が出現すると期待してはいけない。

しかし、さまざまな領域やデータタイプに対応する総合的な学習構造を持つAIを実現することは、現在のような断片的なマイクロインテリジェンスの集合体よりも、より優れた、よりエレガントなソリューションであるように思われる。

data2vecのコードはオープンソースで、事前に学習されたいくつかのモデルも含めてこちらで公開されている

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックとInstagramがNFTの作成・販売をサポートするかもしれない

NFTの波に乗る次の企業はMetaかもしれない。Financial Timesの情報筋によると、MetaはFacebookやInstagramでNFTを作成、表示、販売する方法を開発しているという。同社Noviのウォレット技術は「サポート機能」の大部分を担うことになると、ある情報提供者は述べている。Instagramは、NFTを展示する方法をテストしているとされ、Metaはこれらのデジタルコレクションの売買を支援するマーケットプレイスについて議論しているという。

同社はすでにコメントを控えており、情報筋は、この取り組みはまだ初期段階にあり、変更される可能性があるという。しかし、InstagramのリーダーであるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は2021年12月に、彼のソーシャルネットワークは「積極的にNFTを模索している」と述べている。少なくとも、この技術は同社の頭の中にある。

NFTへの参入は理に適っている。NFTとメタバース(ただNFTを提供するだけではメタバースをつくっているとはいえない)のつながりを悪用する企業もあるが、Metaは、仮想世界の住人がユニークなデジタル商品を販売できるように、そのためのフレームワークを求めているのかもしれない。NFTが一時的なトレンド以上のものであると証明された場合、このMetaの動きはOpenSeaのようなサードパーティープラットフォームが強すぎる支配力を得るのを防ぐのに役立つかもしれない。

編集部注:初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:SOPA Images / Contributor

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(文:Jon Fingas、翻訳:Katsuyuki Yasui)

MetaのWorkplaceがWhatsAppを統合、コミュニケーション機能拡充へ

もともと企業の従業員がコミュニケーションをとるためのソーシャルネットワークとして構築された、Facebook(現Meta)のアプリWorkplace(ワークプレイス)には700万人以上のユーザーがいる。特にフロントライン、デスクレス、デスクベースの従業員が混在する多国籍組織で、経営陣が従業員全員とつながりを保ち、従業員が互いに仕事についてチャットできる手段として支持されている。そして今、その利便性をさらに高めるためにさらなる機能を追加する。Workplaceは、Metaが所有する数十億人のユーザーを抱える人気のメッセージングアプリWhatsApp(ワッツアップ)との統合を間もなく追加し、Workplaceの顧客がメッセージングアプリを使ってお知らせをクロスポストしたり、その他のデータを従業員と共有したりできるようにする予定だ。

WhatsAppの機能は、2022年後半に稼働する見込みだ。メッセージング・コミュニケーションが最初の立ち上げの一部のようだが、同社は他の種類のWorkplaceや生産性機能をWhatsAppに統合する方法にも取り組んでいて、例えば、2020年11月にWorkplaceで最初にローンチされた、シフトワーカー同士がシフトを交換し、マネージャーとその計画システムをループ内に保つ方法であるShift Coverを統合することも検討している。

Workplaceの責任者Ujjwal Singh(ウッジワル・シン)氏は、正確な時期について具体的には述べなかった。どのように機能するかについて「詳細を詰めている」ところであり、いくつかの決定はまだなされておらず、焦点はその消費者向けアプリのDNAにあるものを法人向けサービスとしていかに活用するかだと説明している。

「これはしばらく前から取り組んでいたことです」とシン氏はインタビューで語り、この2社はFacebook傘下の同じ安定した会社だが、例えば2021年のWhatsApp API拡張など、WhatsAppが行ってきた異なるビジネスの発表の内容が最初に整う必要があったことを指摘した。また、顧客と一緒になって機能を構築してきた。「消費者向けアプリに出るものには気をつけたいのです。企業が安全に使える方法でやりたかったのです」。

WhatsAppにビジネス用途を、Workplaceに機能性を持たせるという動きは、どちらも久々の試みだが、両製品の幅広い戦略、そしてMetaの戦略全体と合致している。

Metaでは、顧客向けサービスとバックエンドの両方で、さまざまなアプリをより密接に連携させるというミッションを何年も前から掲げている。その戦略には、MessengerとInstagramのメッセージ機能を統合し、消費者がアプリを横断してコミュニケーションできるようにしたことも含まれている。また、WhatsApp for Businessを利用している企業は、例えばFacebookでコンタクトを開始し、WhatsApp上で直接会話を続けることができるようにするなど、ビジネス / 商業的な側面にも重点を置いている。このような取り組みは議論の余地がないわけではないが、それでも徐々に展開されてきた。

これにより、各プラットフォームの利用が増えるだけでなく、広告を出したり、WhatsApp for Businessのようなプレミアム製品を利用したりと、一般的にMetaでより多くの商業活動を行おうと企業に思わせる。また、Metaを単なるアプリ間の広告をベースとするコンシューマー向け製品とするだけではなく、Metaのためにより大きなユースケースを構築する可能性もある。

Workplace は当初、Slack(スラック)の台頭に対するFacebooの対抗策として始まった。多くの人がすでに仕事以外のやり取りに(そして仕事でも)Facebook を使っていて、社員も仕事の雑談や計画にFacebookが使えることを証明しているのに、なぜ新興企業に美味しいとこ取りをさせるのか、と考えた。

長期的に見ると、この最初の理論はFacebookの思惑どおりにはいかなかったようだ。当初、Workplaceを生産性向上のハブとして位置づけるために、Slackに見られるような多くの統合を導入し、ナレッジワーカー向けのコラボレーションやコミュニケーションに関する多くのネイティブ機能を追加した。しかし、最近では、やや焦点が変わってきているようだ。

まず、SlackやMicrosoft(マイクロソフト)のTeamsといった製品が引き続き存在し、評判を高めている。この変化に追随するように、Workplaceはこれらのプラットフォームとより密接に連携するようになった(直近では、動画機能などでTeamsを統合した)。第二に、Workplaceは「デスクレス」と呼ばれる、1日中コンピュータの前に座っているのではなく、携帯電話を主な手段として上司や同僚、組織全体とやり取りをするフロントラインワーカーや接客ワーカーに、新たなユーザーを見出した。

「米国外の多くのフロントラインワーカーは、仕事をこなすのにWhatsAppのような消費者向けツールを使っています」とシン氏は話す。「シフト管理にWhatsAppを使うのはその一部に過ぎない、というデータも持っています。データによると、フロントラインワーカーは意思決定をする経営陣から切り離されていると感じているようです。それがこの統合の重要なポイントです」。ここで同氏が言っているのは、同社が米国時間1月20日に発表した、Workplaceがどのように発展しているかを裏づける新しい調査についてだ。半数強(54%)のフロントラインワーカーが、組織の本部とつながっていると感じていると回答していることがわかった。これは、そのギャップを埋める方法としてWorkplaceやWhatsAppを構築することにチャンスを見出した理由の1つだ。

長期的には、このWhatsAppの統合と、同社がデスクレスワーカーにサービスを提供するために行っている幅広い動きは、BlinkYoobicのようにフロントラインの従業員と彼らの職場における特定の要件や機能をターゲットとした新しいアプリの波の中にWorkplaceを位置づけるものだ。Facebookがこのままシンプルなメッセージングコミュニケーションツールにとどまるのか、それともそうしたユーザーに特化した機能を構築し始めるのか、注目されるところだ。この分野は競争が激しい。2021年に2億ドル(約228億円)を調達したWhen I Work、7100万ドル(約81億円)を調達したHomebase、ホームサービスのプロに焦点を当てたWorkizWorkWhile、(2021年にSquareが買収したCrew、(2021年9月に上場申請した)Justworksなどが顧客争奪戦を繰り広げている。

画像クレジット:xPACIFICA / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】ソーシャルメディアとマッチングアプリが抱える深刻な身元確認問題

ソーシャルメディアとマッチングアプリはそろそろ、自分たちが蒔いてきた種を刈り取り、各プラットフォームから詐欺、偽装、デマ情報を一掃すべきだ。

その誕生当初、ソーシャルメディアやマッチングアプリは、インターネットの世界の小さな一角を占めるにすぎず、ユーザーはわずかひと握りだった。それが今では、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)が、選挙に影響を及ぼしたり、ワクチン接種の促進を後押しまたは阻害したり、市場を動かしたりするほどに巨大な存在になっている。

また、何百万もの人々が「生涯の」伴侶と出会うためにTinder(ティンダー)やBumble(バンブル)などのマッチングアプリを利用しており、そのユーザー数はFacebookやTwitterに迫る勢いだ。

しかし、お祭り騒ぎはここまでだ。信用や安全よりも利益が優先されてきた結果、なりすまし犯罪やオンライン詐欺が入り込む隙が作り出されてしまった。

今や、BumbleやTinderで友達が「キャットフィッシング(なりすましロマンス詐欺)」に遭ったという話も、家族の誰かがTwitterやFacebookでオンライン詐欺の被害を受けたという話も、日常茶飯事である。悪意のあるネット犯罪者が個人情報を盗んで、あるいはなりすましの個人情報を新たに作って、詐欺を行ったり、政治的または商業的な利益のために偽情報を拡散したり、ヘイトスピーチを広めたりした、というニュースは毎日、耳に入ってくる。

ほとんどの業界では、ユーザーによるなりすまし詐欺の実害を被るのは当事者である企業だけで済む。しかし、マッチングアプリやソーシャルメディアのプラットフォームで信用が崩壊すると、その被害はユーザーと社会全体に及ぶ。そして、個人に及ぶ金銭的、心理的、時には身体的な被害は「リアルな」ものだ。

このような詐欺事件の増加を食い止める、あるいは撲滅する責任を果たしてきたのは誰だろうか。何らかの措置を講じてきたと主張するプラットフォームもあるが、各プラットフォームがその責任を果たしてこなかったことは明白だ。

Facebookは、2020年10月から12月の期間に、13億件の偽アカウントを摘発したが、これは十分というには程遠い数だ。実際のところ、ソーシャルメディアやマッチングアプリは現在、最低限の詐欺防止策しか講じていない。簡単なAIと人間のモデレーターは確かに有用だが、膨大な数のユーザーには到底追い付かない。

Facebookによると、3万5000人のモデレーターが同プラットフォームのコンテンツをチェックしているという。確かに大勢だ。しかし、概算すると1人のモデレーターが8万2000件のアカウントを担当していることになる。さらに、ディープフェイクの使用や合成ID詐欺犯罪の手法の巧妙化など、悪意のあるネット犯罪者は手口を日ごとに進化させているだけではなく、その規模も広げつづけている。経験豊富なユーザーでさえもそのような詐欺行為に引っかかってしまうほどだ。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、この問題と闘う点で腰が思いと批判されてきた。しかし、実際のところどのように闘えるのだろうか。

なりすましロマンス詐欺の被害は深刻

次のような場面を想像するのは難しくない。マッチングアプリで誰かと出会って連絡を取り始める。その相手がいう内容や質問してくる内容に、怪しさは感じられない。その関係が「リアル」だと感じ始め、親しみを覚え始める。その感情は気づかないうちにエスカレートして、警戒心は完全に解け、危険信号に対して鈍感になり、やがて恋愛感情に発展する。

このようにして新たに出会った特別な人とあなたは、ついに直接会う計画を立てる。するとその相手は、会うために旅行するお金がないという。そこであなたはその人を信じて、愛情を込めて送金するのだが、間もなくその人からの連絡が一切途絶えてしまう。

なりすましロマンス詐欺事件の中には、被害が最小限にとどまり自然に解決するものもあるが、上記のように金銭の搾取や犯罪行為につながる事例もある。米国連邦取引委員会によると、ロマンス詐欺の被害額は2020年に過去最高の3億400万ドル(約348億8000万円)を記録したという。

しかし、これは過少に報告されている結果の数字であり、実際の被害額はこれよりはるかに大きい可能性が高く「グレーゾーン」やネット物乞いを含めるとさらに膨れ上がるだろう。それなのに、ほとんどのマッチングアプリは身元を確認する術を提供していない。Tinderなど一部の人気マッチングアプリは、身元確認機能をオプションとして提供しているが、他のマッチングアプリはその類いのものを一切提供していない。ユーザー獲得の妨げになるようなことはしたくないのだろう。

しかし、オプションとして身元確認機能を追加しても、単に上っ面をなでるような効果しかない。マッチングアプリ各社は、匿名IDや偽IDを使ったユーザーの加入を防ぐために、もっと対策を講じる必要がある。また、そのようなユーザーが社会と他ユーザーに及ぼす被害の重大さを考えると、マッチングアプリ各社が防止策を講じることを、私たちが社会として要求すべきだ。

身元確認はソーシャルメディアにおいて両刃の剣

ロマンス詐欺はなにもマッチングアプリに限ったことではない。実際のところ、ロマンス詐欺の3分の1はソーシャルメディアから始まる。しかし、ソーシャルネットワークサービスにおいて身元確認を行うべき理由は他にもたくさんある。ユーザーは、自分が本物のOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)やAriana Grande(アリアナ・グランデ)のアカウントを見ているのか、それともパロディアカウントを見ているのかを知りたいと思うかもしれない。オプラ・ウィンフリーやアリアナ・グランデ本人たちも、本物のアカウントとパロディアカウントとの違いがはっきり分かるようにして欲しいと思うだろう。

別の重要な点は、ソーシャルネットワーク各社は身元確認を行うことによってネット荒らしの加害者を抑制すべきだという世論が高まっていることだ。英国では、同国のリアリティー番組人気タレントKatie Price(ケイティー・プライス)が主導して始まった「#TrackaTroll(#トロール行為を取り締まる)」運動が勢いを増している。プライスがHarvey’s Law(ハーヴェイ法)の制定を求めて英国議会に提出した嘆願書には、およそ70万人が署名した。ハーヴェイとは、匿名の加害者からひどいネット荒らしの被害を受けてきた、彼女の息子の名前だ。

しかし、ソーシャルネットワークを利用する際の身元確認を義務化することについては、強く反対する意見も多い。身元確認を行うと、家庭内暴力から逃げている人や、政治的な反対勢力を見つけ出して危害を加えようとする抑圧的な政権下の国にいる反体制派の身を危険にさらすことになる、というのが主な反対理由だ。さらに、政治やワクチンに関する偽情報を拡散しようとする多くの人々は、自身の存在を顕示して、自分の意見に耳を傾ける人を集め、自分が何者なのかを世の中に認知させたいと考えているため、身元確認を行っても彼らを抑止することはできないだろう。

現在、FacebookとTwitterは、正規アカウントに青い認証済みバッジを表示させる制度に「認証申請」プロセスを導入しているが、確実な措置というには程遠い。Twitterは最近、「認証申請」プログラムを一時的に停止させた。いくつもの偽アカウントを正規アカウントとして誤認証してしまったためだ

Facebookはもっと進んだ措置を講じてきた。かなり前から、特定の場合、例えばユーザーが自分のアカウントからロックアウトされたときなどに、身元確認を行ってきた。また、投稿されたコンテンツの性質、言葉遣い、画像に応じて、投稿者のブロック、認証の一時停止、人間のモデレーターによるレビューを行っている。

身元確認とプライバシー保護を両立させることの難しさ

悪意のあるネット犯罪者がマッチングアプリやソーシャルメディアで偽のIDを作って詐欺行為を働いたり、他の人に危害を加えたりすると、それらのプラットフォームに対する社会の信頼は損なわれ、プラットフォームの収益にも悪影響が及ぶ。ソーシャルメディアのプラットフォーム各社は今、ユーザー数を最大限まで伸ばすことと、ユーザーのプライバシーを保護することを両立させるために、あるいは、より厳しくなる規制とユーザーからの信頼失墜に直面して、日々格闘している。

盗難やハッキングによる個人情報の悪用を防ぐことは非常に重要である。もしTwitterやFacebookで誰かが自分になりすましてヘイトスピーチを拡散させたらどうなるだろう。自分はまったく関与していないのに、職を失うかもしれないし、もっと深刻な被害を受ける可能性もある。

ソーシャルメディアプラットフォーム各社は、ユーザーと自社のブランドを守るためにどのような選択をするのだろうか。これまで、プラットフォーム各社の決断は、テクノロジーよりも、ポリシーや利益の保護を中心として下されてきた。プライバシーに関する懸念に向き合って信頼を築くための対策と、利益確保の必要性とのバランスを取ることは、彼らが解決すべき戦略上の大きなジレンマだ。いずれにしても、ユーザーにとって安全な場所を作り出す義務はプラットフォーム各社にある。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、ユーザーを詐欺や悪意のあるネット犯罪者から守るために、もっと大きな責任を担うべきだ。

編集部注:本稿の執筆者Rick Song(リック・ソング)氏はPersonaの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Rick Song、翻訳:Dragonfly)

【コラム】快適なメタバースの実現に欠かせないバーチャルライフの基本的構成要素

Meta(メタ)のミッションは、仕事、ソーシャルメディア、ゲームなどの異なる環境をシームレスに接続し、人々が仮想空間で実質的に生活して働くことができるようにすることだ。

これは明らかに、私たちのネットワークに重大かつ持続的な影響を与えるだろう。単に不具合なく絶えず接続されている必要があるというだけではなく、完全に没入型のコンテンツを4Kや8Kでシームレスに、低遅延かつ最小のラグでストリーミングすることが求められているのだ。

再起動、OSやアプリケーションのロード時間、ネットワークの混雑など、我々がシームレスな仮想環境にいると感じられなくなるような、あらゆる要素に気を散らされることなく、ある体験から別の体験へと移ることができなければならない。

これらを実現することを考えると、バーチャルライフとは火星に移住するのと同じくらい難しいことのように思える。

しかし、新しいバーチャルワールドへの旅を、摩擦のないものにすることは可能だ。そのためには、バーチャルライフに必要な基本的な構成要素を、確実に積み上げる必要がある。

今の私たちには、メタバースを快適に住める場所にして、バーチャルな自分たちが単に生存できるだけでなく繁栄できる場所にするチャンスがあるのだ。

帯域幅が重要

メタバースを大規模に展開するには、多くの帯域幅が必要だ。水が生命体の構成要素であるように、帯域幅なしに我々がメタバースで機能することはできない。メタバースでは、膨大な帯域幅をむさぼるアプリケーションのさまざまな要求に応えることができる高性能な接続性が必要だ。

そのような帯域幅が広く普及し、かつ手頃な価格で利用できなければならない。今のところ十分なサービスを受けていない、あるいは接続されていないコミュニティをサポートするためには、そのことが必要だ。仮想世界のビジョンは、誰もが平等に創造と探求の機会を得られることが中核として語られることが多い。しかし、メタバースでそれを実現するためには、まず現実の世界での接続性を確保する必要がある。

低遅延は空気のように必須

帯域幅は1つの重要な要件だが、相手のアバターが反応するまで数秒、あるいはそれ以上の時間がかかるようでは、メタライフは一気に苛立たしい不快な場所になってしまう。我々はすでに、スポーツのライブストリーミングやオンラインゲームで遅延にイライラすることがあるが、仮想世界に完全に没入しようとすると、この問題はさらに悪化する。

リアルタイムな反応が求められるネットワークでは、通信の遅延を減らし、信頼性を向上させるエッジコンピューティングのような技術がますます重要になってくるだろう。

仮想ハードウェア:メタバースのインフラストラクチャ

誰もが経験したことがあるはずだ。ハードウェアが壊れ、それを修理しなければならない。その間、我々はそのハードウェアによる機能がなくても、生き延びられるようになる必要がある。しかし、メタバースではこのようなことは起こり得ない。あるいは少なくとも、起こるべきではない。なぜなら、メタバースで必要とされる機能の多くは、仮想化された機能を利用するようになるべきだからだ。

インフラストラクチャ機能は、仮想マシンやコンテナコンセプトで展開し、アプリと同様、ネットワーク上で大規模かつリアルタイムに展開できるようにすることが鍵となるだろう。ルーティングやスイッチングといった従来のネットワーク機能は、完全に仮想化する必要がある。これらの機能は、簡単にアップデート、アップグレード、パッチ適用、デプロイできることが求められる。

ソフトウェア・インテリジェンス:メタバースの首長

私たちがメタバースで迅速かつシームレスに活動できるようにするためには、メタバースがソフトウェアで定義されていなければならない。それは、地方の自治体や議会が、道路の補修やゴミの撤去、交通の流れの制御をリアルタイムで行えるようにすることと同じだ。これらは一般的に、我々が知らないうちに現実の生活の中で行われていることで、それが機能しなくなってはじめて、何が起こったのかと思うような事々だ。

プログラム可能なソフトウェアの能力によって機能する自動化とAIは、ネットワークの展開を高速化し、よりアクセスしやすく、適応性の高いものにするための鍵を握る。

適応性の高い仮想プログラマブルネットワークは、物理的なトラックロールを必要とせず、障害を特定して自己回復することができる。また、計算能力、ストレージ、帯域幅などのリソースを、メタバース内の十分に活用されていないエリアから引き出して、一時的に他の部分の活動を活発化させたり、必要に応じて自動的に元に戻すこともできる。

今後数年間、私たちはメタバースについての話をたくさん耳にすることになるだろう。しかし、いかなるユースケースの革新も、必要なネットワークの革新なしには実現しない。ソフトウェアで制御された、大容量かつ低遅延の接続性を提供する適応型ネットワークは、将来のメタバースにとって、現在のクラウドアプリケーション以上に重要な基盤となるだろう。

かつてFacebookとして知られていたアーティストが、人を温かく迎えるメタバースを構築するための構成要素はすでに存在している。そして、メタバースの出現を利用しようとする技術開発者たちの中で期待される技術革新の高まりにより、このようなテクノロジーが進化し続けることで、Metaはますます多くの世界構築ツールを手に入れることになる。

つまり、 バーチャルユニバースを構築することは簡単ではないが、適切なネットワークインフラへの投資と技術革新によって、現実に近づけることは確かに可能なのだ。

編集部注:本稿を執筆者Steve Alexander(スティーブ・アレクサンダー)は、ネットワークシステムとソフトウェアを提供するCiena(シエナ)のSVP兼CTO。同社は世界中のオペレーターやコンテンツプロバイダーと提携している。

画像クレジット:NJankovic / Getty Images

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(文:Steve Alexander、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

FTCがMetaのVR事業を独占禁止法違反で調査中との報道

Metaに対するFTC(米連邦取引委員会)の反トラスト訴訟が、今週初めに重要なハードルをクリアしたことに続き、この同委員会はさらに、MetaのVR事業に対しても強い関心を寄せているようだ。

Bloombergの記事によると、FTCと複数の州の司法長官は、Metaのバーチャルリアリティ部門を「反競争的行為の可能性」で調査しているという。ニューヨークが州レベルの調査を主導しているとされ、MetaのVR体験のためのアプリを開発する外部のソフトウェア開発者とチャットしているとのこと。

記事によると、州と連邦の職員たちは、同社がどのようにして、反競争的な行いに関わり、VR市場における競争を妨害したかを調べている。職員たちはまた、同社がVRヘッドセット「Quest 2」の価格をどのようにして下げ、それを消費者にプッシュして競争をブロックしたかについても、関心を持っている。

FTCがMetaのアプリストアとハードウェア、ソフトウェアを調べている事実は、同社の買収案件が、次の時代のインターネットビジネスを定義する道標になるかもしれないこの反トラス訴訟における、唯一の視点ではないことを示唆している。

2021年12月、The InformationはFTCがMetaが申請しているVRフィットネスアプリ「Supernatural」の買収、その4億ドル(約456億9000万円)を超える取引を調べていると報じている。

今週初め、ある判事は、FTCがMetaの子会社であるFacebookに対して行っていた大規模な反トラスト法違反訴訟を継続できると判断し、これを阻止しようとする同社の取り組みを拒否した。2021年12月、Facebookは裁判所に訴えの却下を求め、ビッグテック解体推進派のLina Khan(リナ・カーン)FTC委員長に退陣を迫っていた。

FTCはその訴訟で、Facebookがソーシャルメディア分野のライバルを押さえ込むために市場力を乱用していると非難し、親会社のMetaにInstagramとWhatsAppを売却させるよう裁判官に求めるところまで踏み込んでいる。

「しかし、これらの理論を補強するために今回主張された事実は、特に被告が主張する独占の輪郭に関して、以前よりもはるかに強固で詳細である」とJames Boasberg(ジェームズ・ボースバーグ)連邦地裁判事は記している。

「……FTCは、その主張を証明するために、この先、困難な課題に直面する可能性がありますが、裁判所は、現在、弁論の要件をクリアし、証拠開示に進む可能性があると考えている」と述べている。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)