マイクロソフトが中国が支援するハッカーたちのウェブサイトを掌握

Microsoftは、中国政府が支援するハッキンググループが米国を含む29カ国の組織を標的にしていた多数のウェブサイトを掌握した。

MicrosoftのDigital Crimes Unit(DCI)の米国時間12月6日の発表によると、バージニア州にある連邦裁判所の許可により同社は、ウェブサイトのコントロールを奪いトラフィックをMicrosoftのサーバーへリダイレクトすることを認められた。同社によると、これらの悪質なウェブサイトは、国をスポンサーとするNickel(APT15)と呼ばれるハッキンググループが使用して、各国の政府機関やシンクタンク、人権団体などから情報を収集していたという。

MicrosoftはNickelのターゲットの名前を挙げていないが、同グループが米国とその他28カ国の組織を標的としていたという。。また「Nickelのターゲットと中国の地政学的関心の間に関連があることが多かった」とのこと。

2016年からNickelを追っていたMicrosoftはこの前の報告書で同グループを、政府機関を狙う「もっとも活発な」ハッキンググループと呼び、侵入と監視とデータの窃盗を可能とする検出困難なマルウェアをインストールする「高度に洗練された」攻撃を観察したという。ときには、Nickelの攻撃を利用してサードパーティの仮想プライベートネットワーク(VPN)の提供企業を侵害したり、スピアフィッシング作戦で認証情報を取られたこともあるとMicrosoftは述べた。さらに他のケースでは、Microsoft自身のExchange ServerやSharePointシステムの脆弱性を利用して企業への侵入が行われた。ただしMicrosoftの話では「これらの攻撃の一環としてMicrosoft製品の新たな脆弱性が見つかったことはない」とのことだ。

Microsoftのカスタマー・セキュリティ&トラスト副社長であるTom Burt(トム・バート)氏は次のように述べている。「悪質なウェブサイトのコントロールを掌握し、それらのサイトからのトラフィックをMicrosoftの安全なサーバーにリダイレクトすることにより、既存および今後の被害者を保護し、また同時に、Nickelの活動について詳しく知ることができます。私たちの妨害行為でNickelの今後の他のハッキング行為を防ぐことはできませんが、この集団が最近の一連の攻撃で依存していたインフラストラクチャの重要な部分を取り除いたと信じています」。

Nickelが標的とした組織は米国以外ではアルゼンチン、バルバドス、ボスニアとヘルツェゴビナ、ブラジル、ブルガリア、チリ、コロンビア、クロアチア、チェコ共和国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、フランス、ホンジュラス、ハンガリー、イタリア、ジャマイカ、マリ、メキシコ、モンテネグロ、パナマ、ペルー、ポルトガル、スイス、トリニダード・トバゴ、英国そしてベネズエラといった国のものだ。

Microsoftによると、同社のDigital Crimes Unitは、24の訴訟を通じて、サイバー犯罪者たちが使っていた1万ほどの悪質なウェブサイトと、国民国家の関係者たちのおよそ600のウェブサイトを打倒した。そして2021年初めには、62カ国の被害者を偽メールで攻撃した大規模なサイバー攻撃で利用された悪質なウェブドメインを掌握している

画像クレジット:ilkaydede / Getty Images(Image has been modified)

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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

LinkedInがヒンディー語サポートを開始、インドの5億人にリーチ目指し

インドの人口13億人のうち、英語を話す人は20%にも満たない。しかし、世界最大のプロフェッショナル向けソーシャルネットワークであるLinkedIn(リンクトイン)は、これまで世界第2位のインターネット市場である同国で、このひと握りの人々のニーズにしか応えていなかった。しかしインド時間12月2日、Microsoft(マイクロソフト)が所有する同サービスは、その状況を変え始めていると発表した。

LinkedInは、同社のソーシャルネットワーク上でヒンディー語への対応を開始したと発表した。ヒンディー語は、インドでは5億人以上、世界では6億人以上が話す、あるいは理解する言語であり、同SNSでサポートされる最初のインド系言語となる。

25の言語に対応している同社によると、LinkedInウェブサイトとモバイルアプリで、ユーザーは自分のフィードやプロフィール、メッセージにヒンディー語でアクセスできるようになるとのこと。また、ユーザーはLinkedInのデスクトップおよびモバイルアプリを通じ、ヒンディー語でコンテンツを作成できるようになるという。

インドはいくつかのグローバルサービスにとって主要な市場だが、LinkedInはこの国に深く浸透することができずにいる。分析会社のSimilarWebによると、LinkedInが1カ月間に獲得する13億以上のアクセスのうち、インドが占める割合はわずか6%強だという。LinkedInによると、インドには8200万人以上のユーザーがおり、そのうち2000万人以上が過去3年間にサービスに参加している。LinkedInの世界的なユーザー数は8億人を超える。

一方で、LinkedInと同じ問題に取り組み始めているスタートアップもひと握り存在している。インドでの仕事探しを支援している創業2年目のスタートアップ「Apna」は、2カ月前にインドで最も若いユニコーンとなった。インドの複数の言語でアプリを提供しているこのスタートアップは、9月時点で毎月1800万件以上の就職面接を促進しており、最近行った調査で、インドのユーザーの57%が英語よりも現地語のインターフェースを好んで使うことがわかったとしている。

トラクション以外にも、LinkedInはインドでトップの役職に就く人材を維持するという課題にも直面している。過去4年間で、少なくとも3人の異なる人物がインドでのLinkedInトップの仕事を任されている。その連鎖は、現在Notion(ノーション)のCEOであるAkshay Kothari(アクシャイ・コタリ)が2018年にLinkedInインドのトップ職を辞任したことから始まった。

また、2日の発表は、Microsoftが世界最大のインターネット市場である中国でLinkedInを閉鎖し、同社の重要なソーシャルサービスをジョブボードに置き換えてから2ヶ月も経っていないタイミングでのことだ。

関連記事:マイクロソフトがLinkedInを中国市場から撤退

LinkedInのインド地域マネージャーであるAshutosh Gupta(アシュトシュ・グプタ)氏は投稿でこう述べている。「インドでは、LinkedInは、人々がつながり、学び、成長し、パンデミックやこの新しい仕事の世界で採用されることを支援するミッションクリティカルな存在です。ヒンディー語に対応したことで、より多くのメンバーや顧客が、コンテンツ、仕事、ネットワーキングを通じて、プラットフォームからより大きな価値を引き出し、自分が使いやすい言語で自己表現することができるようになりました」。

LinkedInは、今後数カ月の間に、ヒンディー語を話すプロフェッショナルが利用できる求人情報の幅を業種を問わず広げていくことに取り組むと述べている。他にも、今後数週間のうちにヒンディー語のパブリッシャーやクリエイターを増やし、プラットフォーム上でのヒンディー語によるエンゲージメントを高めることも検討している。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトがEdgeに後払い・BNPLサービスを標準で組み込むと予告、「ブラウザーが重くなる」など批判が相次ぐ

マイクロソフトがEdgeに後払い・BNPLサービスを標準で組み込むと予告、「ブラウザが重くなる」など批判が相次ぐ

Microsoft

マイクロソフトが自社のEdgeブラウザに「Buy Now, Pay Later」(今すぐ買って、後で支払う/以下BNPL)サービスを標準機能として組み込むと発表した件で、海外ユーザーから批判の声が上がっています。

このBNPLとは、海外や国内でも急速に成長しているデジタル後払い決済サービスのこと。すなわち商品を受け取ってから2週間~1か月程度のうちに、商品に同梱されたり、後日郵送で送られてくる(ないしスマホでペーパーレスの場合もあり)請求書により分割払いができる決済方法です。クレジットカードや銀行口座がなくてもネットショッピングできる手軽さのため、クレカを持たない若者層・クレカを作りたくない高齢者などに利用が広がっています。

さてテックメディアArs Techncaによると、MSは2週間前に「Zip」というアプリをEdgeに直接組み込む予定だと発表。本アプリは旧名がQuadpay(Zipが同業者のQuadpayを買収)で、BNPLサービスが利用できるもの。11月初めに拡張機能として導入され、Edgeのバージョン96以降ではブラウザに標準で組み込まれると公式にアナウンスされています

具体的な挙動としては、ネットショッピングで商品をチェックアウト(決済)する際に、クレジットカード番号を入力するのと同じ欄にオプションとして表示されるかっこうです。Edgeが購入価格を35ドル~1000ドル(Zipサービスがカバーできる価格帯)であると検出すると、Zipがポップアップするしくみ。

Zip支払いオプションは、ストアが望むと望まざるとに関わらず表示されることになります。もしも販売店がZipサービスを利用したくないなら、MSに連絡しなければならない(わざわざオプトアウトする必要がある)と通告されています

ほとんど一方的ともいえるZip導入に対して、MSの公式コミュニティでも批判が相次いで寄せられています。たとえば「ブラウジングをする上で、まったくもって不必要だと思います(中略)こういったものは拡張機能に分けるべきだ。それよりも最低限のリソースしか使わず、安全性も高い、高速なブラウザに興味がある。MacのEdgeはどんどん重くなっていますよ」といった声もあり。

また別のレビュアーは「サードパーティアプリの統合やサービスをやりすぎている(中略)不必要な金儲けのために、せっかくの素晴らしいブラウザを台無しにしないでください。Edgeがアドウェアのゴミとして知られるようになる前に、こういうことを止めましょう」と簡素なあり方から遠ざかる動きに釘を刺しています。

さらにZipは無金利ではあるものの、1回の分割払いごとに1ドルが上乗せされるため、4回払いであれば手数料は4ドルに上ります。これは最大額の1000ドルであれば大した問題ではありませんが、最少額の35ドルであれば実質の金利は11%以上となってしまいます。

より重大な問題としては、ユーザーと加盟店などセキュリティを管理すべき(=攻撃対象にできる)関係者が多くなり、ハッカーが悪用できる潜在的な脆弱性を抱えたコードが増えるという危険も指摘されています。ほかBNPLはクレジットスコア(個人のお金に関わる信用度を数値化したもの)をチェックしないため、犯罪者のターゲットになりやすいとの報道もありました

記事執筆時点ではZipサービスは日本では提供されていないため(米メルカリでは提供開始していますが)国内ユーザーには縁が薄そうな感もあります。が、不要な拡張機能が標準で組み込まれてしまうと、ブラウザの動作が重くなり、非力なPCであれば仕事に支障をきたしかねません。今後のMSの対応を注視していきたいところです。

(Source:Ars Technica。Via The VergeEngadget日本版より転載)

元マイクロソフト執行副社長のハリー・シャム氏が率いる研究機関「IDEA」が深圳に誕生

IDEA(The International Digital Economy Academy、国際デジタル経済アカデミー)」は、2020年、香港との国境の川を挟んだ深圳の地の超近代的なオフィスビルの中にひっそりとオープンした。

香港とは地理的に離れているが、厳密には香港と深圳にまたがる「深圳-香港・革新技術協力区」という特別なエリアに位置する研究機関だ。名前を見れば一目瞭然だ。これは、深圳と香港の政府が、北京の支援と有利な政策を受けて、科学技術の研究を共同で行うためのものだ。

IDEAは、サッカー場540面分に相当する3.89km²の特区内に設立された組織の1つで、Harry Shum(ハリー・シャム)氏の発案によるものだ。著名なコンピューター科学者であるこの人物は、2013年から2019年までMicrosoft(マイクロソフト)の執行副社長を務めた他、Microsoftの米国外で最大の研究部門であるMicrosoftリサーチアジアを共同で設立した。

Microsoftの元同僚であるKai-Fu Lee(カイフー・リー)と同様に、シャム氏はAIの研究面とビジネス面の両方で活躍していた。現在、IDEAにいる彼のチームは「社会的ニーズに基づいて破壊的な革新技術を開発し、デジタル経済の発展からより多くの人々が恩恵を受けられるような形で社会に還元すること」を目指している。IDEAのリサーチディレクターには、Yutao Xie(ユタオ・シー)氏やJiaping Wang(ジェイピン・ワン)氏など、Microsoftのベテランが名を連ねている。

中国のインターネット企業に対する徹底的な規制強化は、北京がテック企業を敵視しているという見出しにつながっている。しかし、政府の意図はもっと微妙なものだ。金融市場のリスクやゲーム中毒、ギグワーカーの搾取などを助長してきた、社会や経済にとって有害とみなされるビッグテックを対象にしているのだ。

その一方で、中国は基礎研究を促進し、西洋技術への依存度を下げるという目標に固執している。Huawei(ファーウェイ)、DJI、Tencent(テンセント)などの巨大企業の本拠地である深圳では、政府が世界レベルの科学者らを採用している。ハリー・シャム氏と彼のチームは、その中でも最も新しい研究者の1人だ。

IDEAは、確かに話題性のある名前(そしてすばらしい頭字語)だ。習近平国家主席の演説では、テクノロジーが経済の原動力になるという意味で「デジタル経済」という言葉が出てくることがよくある。習近平国家主席は10月「デジタル経済は近年、世界経済を再構築し、世界の競争環境を一変させる重要な力となっている」と述べた。「インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどのテクノロジーは、経済・社会の発展のあらゆる分野にますます組み込まれています」。

IDEAは、AIが金融、製造、医療などの産業をどのように変革できるかを検討している。今週、中国の大手クオンツトレーダーであるUbiquant(九坤投資)と提携し「金融取引市場のリスクモニタリングと回避 」や「ハイパフォーマンスコンピューティングシステムの基本的なインフラ」に関する研究を行う共同ラボを設立することを発表した。

IDEAは、近年、深圳に誕生した数多くの研究機関の1つにすぎない。政府の支援を受けて香港中文大学の深圳キャンパスに設立された「深圳データ経済研究所」もまた、中国のデジタル経済の発展のために活動しているグループだ。

画像クレジット:LIAO XUN / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ゲームにおけるアクセシビリティは課題でありチャンスだという英国のレポート

ゲームのコミュニティ、開発者、パブリッシャーが、アクセシビリティをビジネスと楽しみの重要な部分と考え始めている。しかし先はまだ長い。英国における障がい者ゲーマーのニーズと習慣のレポートは、世界中の多くのゲーマーがプレイや購入などゲームを楽しむ際にいつも困難に直面することを示唆している。

障がい者支援組織のScopeが実施したアンケート調査についてゲームメディアのEurogamerにVivek Gohil(ビベック・ゴーヒル)氏が寄稿したところによると、1326人(障がい者812人、障がい者でない人514人)がゲームの世界で直面する問題について回答した。

回答者の3分の2がゲームに関する障壁に直面し、最も多い障壁は支援技術に対応していない、あるいは手頃な価格で利用できないということだった。アクセシビリティのオプションがないためにゲームを購入しなかった、あるいはアクセシビリティが欠如しているゲームを購入したがゲームをプレイ(または返品)できなかったと回答した人が多かった。

興味深い点として、障がいのあるゲーマーはゲーム内アイテムを購入したりeスポーツを観戦するなど、さまざまなプラットフォームに関わる傾向がかなり強い。ゴーヒル氏が指摘しているように、英国内だけでも1400万人ほどの障がい者が多くの可処分所得を有している。その中にはアクティブなゲーマーが多数いて、経済効果が望める人々だ。それにもかかわらず、ゲーム内広告のターゲットにしたりゲームに登場したりする層であるとはほとんど考えられていない。

アクセシビリティのオプションを備えればあらゆる人にとってより良いゲームになると認識する大手開発企業が増えて、こうした状況は変化しつつあるようだ。「ラチェット&クランク」「The Last of Us Part II」「Forza Horizon 5」などの新作人気タイトルは、色覚特性からゲームプレイのスピードダウン、きめ細かい難易度設定などに幅広く対応している。

中小企業が多様なニーズに応える支援デバイスを製造するようになって、ハードウェアも向上しつつある。MicrosoftのXbox Adaptive Controllerはこれまでのコントローラを使えない人たちの間で大ヒットとなった。

Microsoftは最近、スペシャルオリンピックスとの共催でインクルージョンを重視したeスポーツのトーナメントも開催した

関連記事:Xboxとスペシャルオリンピックスが知的障がい者のためのeスポーツイベントを初開催

しかしすべきことはまだたくさんあり、それはエンジニアリングや開発にはとどまらない。ゲーム内チャットは特に問題がないときでも有害であることは周知の通りだが、障がい者がチャットに参加するとひどい状況になることがScopeの調査で明らかになった。「オンラインでの障がいに対するネガティブな態度への対応にもっと取り組むこと」は優先事項として最も多い回答だった。ゲーム内で障がい者がもっと正確に、また頻繁に登場することと、支援技術がもっと手頃な価格になることも重要であるとの回答も多かった。

ゲームの世界でのアクセシビリティの向上が必要であることは明らかだが、その評価は難しい。このため、こうした研究は極めて有用だ。レポートの全文はこちらから読むことができる。

画像クレジット:aurielaki / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Kaori Koyama)

米国防総省、中止したJEDIに代わる新たなクラウド契約を発表

米国防総省は米国時間11月19日、白紙に戻された10年間 / 100億ドル(約1兆1400億円)規模のJEDI契約に代わる、新たなクラウド契約の限定的な入札募集を発表した。以前、JEDI(ジェダイ、Joint Enterprise Defense Infrastructureの略)と名付けられた勝者総取りの入札が行われたことを覚えているだろうか?今回の契約は、Joint Warfighting Cloud Capability、略してJWCCと呼ばれる、あまり耳慣れない名前が付けられている。

RFP(提案依頼書)による条件の下、入札を求められているのは、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、Oracle(オラクル)の4社。JEDIのRFPでは、ベンダーに選ばれた1社のみが独占することになっていたが、今回のJWCCは複数の企業が契約を得られるマルチベンダー式であることが大きな違いだ。実際に、米国防総省はAmazonとマイクロソフトを有力視しているものの、資格のある(依頼された)ベンダーであれば、契約の一部を得られる可能性があると明言している。

関連記事:ペンタゴンの100億ドル規模のプロジェクトJEDI(ジェダイ)が、クラウド企業たちを悩ます理由

RFPによると「政府は2社、すなわちAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)およびマイクロソフトとのIDIQ(調達時期・数量未確定)契約を想定しているが、しかし国防総省の要求を満たす能力を示すすべてのクラウドサービスプロバイダー(CSP)に発注する意向である」としている。

この件に関わるベンダーの数を制限したのは、要件を調査した結果、これを満たすことができる企業の数が限られていることがわかったからだと思われる。「市場調査によると、米国防総省の要求を満たすことができるソースは限られていることがわかった。現在、米国防総省が把握している米国のハイパースケールCSP(クラウドサービスプロバイダー)は5社のみ。さらに、それらのハイパースケールCSPのうち、AWSとマイクロソフトの2社のみが、国家安全保障上のあらゆるレベルの分類でクラウドサービスを提供することを含め、現時点で国防総省のすべての要件を満たすことができると思われる」と、RFPには書かれている。

政府はこの契約の金額設定をまだ行っている最中だが、複数のベンダーが関わるため、今はなきJEDI契約の100億ドルを超える可能性も十分にある。「国防総省は今回の調達の契約上限をまだ評価中だが、数十億ドル(数千億円)の上限が必要になると予想している。契約発注額の上限は、各ベンダーに指示される募集要項に記載される予定である」とのことだ。

今回のRFPで選定された企業は、3年間の契約に加えて、1年間のオプション期間が2回設けられることも注目に値するだろう。

JEDIは、トップレベルのクラウドベンダーが競い合い、それより小規模なベンダーも参入しようとしたため、当初から論争の的となっていた。多くのドラマがあり、大統領への苦情大統領からの苦情大統領による干渉への苦情多くの公式調査、そしていくつかの訴訟があった。Amazonに決まると誰もが思っていたにもかかわらず、Amazonは受注することができなかった。結局、契約を勝ち取ったのはマイクロソフトだった

関連記事:アマゾンとの入札競争に勝ったマイクロソフトは米国防総省の1兆円相当のクラウドを作る

ところが、それだけで終わらず、両社はこの決定をめぐって激しい論戦を繰り広げ、当然ながら訴訟に発展した。最終的には国防総省がすべてにうんざりして、このプロジェクトを完全に破棄することに決めたのだ。

関連記事:米国防総省がついにMSとの1兆円超規模クラウド契約「JEDI」を白紙に、リセットしてやり直し

しかし、契約がなくなったからといって、軍のコンピューティングシステムを近代化する必要性がなくなったわけではない。だから国防総省は今回、クラウドインフラストラクチャによるテクノロジーの近代化を前面に押し出す新たな取り組みを発表したのである。

Synergy Research(シナジー・リサーチ)の調べによると第3四半期の決算発表時点では、Amazon、マイクロソフト、Googleの上位3社で、パブリッククラウド市場シェアの70%を占めていることは注目に値する。クラウドインフラストラクチャ市場では、Amazonが33%のシェアで首位、マイクロソフトが約20%で続き、Googleは10%で3位につけている。シナジー社によれば、オラクルは一桁台前半とのことだ。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クアルコムがSnapdragonを搭載したWindowsアプリ開発支援キットを販売開始、価格約2万5000円

クアルコムは、Snapdragon搭載Windows PC向けアプリ開発をサポートする「Snapdragon Developer Kit」の販売をMicrosoft Storeで開始しました。価格は219ドル(約2万5000円)です。

「Snapdragon Developer Kit」は、ソフトウェア・アプリケーションベンダーがSnapdragon搭載Windows PC 向けソリューションを試験・検証出来る小型デバイスです。

エントリー向けのSnapdragon 7cを搭載しており、Windows 10で出荷されますが、Windows 11へのアップグレード要件に対応しています。

クアルコムは2018年にPC向けのSnapdragonを発表。その後、アップルがAppleシリコン(M1チップ)をMac向けに搭載したことで、PC向けのよりハイエンドなArmベースのSoCへの期待が高まっています。

なお、クアルコムは2023年をめどに、Appleシリコン対抗となるハイエンドPC向けSnapdragonを投入する計画を公表しています。

あわせて、Snapdrgaon搭載Windows PCに最適化されたZoomアプリの提供が予定されていることも発表されました。

クアルコムがSnapdragonを搭載したWindowsアプリ開発支援キットを販売開始、価格約2万5000円クアルコムがSnapdragonを搭載したWindowsアプリ開発支援キットを販売開始、価格約2万5000円

(Source:Microsoft StoreクアルコムEngadget日本版より転載)

イランに支援されたハッカーがランサムウェアでインフラ分野の組織を標的に、米政府が警告

米政府は、オーストラリア、英国の政府とともに、イランの支援を受けたハッカーが米国の重要インフラ分野の組織を標的にしており、一部のケースではランサムウェアを使用していると警告した。

イランとランサムウェアを結びつける珍しい警告は、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)、連邦捜査局(FBI)、オーストラリア・サイバーセキュリティセンター(ACSC)、英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が現地時間11月17日に発表した共同勧告に盛り込まれている。

この勧告によると、イランの支援を受けた攻撃者が、少なくとも3月以降Fortinetの脆弱性を、10月以降はMicrosoft Exchange ProxyShellの脆弱性を悪用して、米国の交通機関や公衆衛生分野の重要インフラ組織、およびオーストラリアの組織にアクセスしているという。ハッカーの目的は、最終的にこのアクセスを利用して、データ流出、恐喝、ランサムウェアの展開などの後続作業を行うことにある。

例えば、2021年5月、ハッカーはFortigateを悪用して、米国の地方自治体のドメインを管理するウェブサーバーにアクセスした。その翌月にCISAとFBIは、ハッカーがFortinetの脆弱性を悪用して、米国の小児医療専門病院のネットワークにアクセスしたことを確認している。

今回の共同勧告は、Microsoft(マイクロソフト)が発表したイランのAPTの進化に関する報告書と併せて発表された。イランのAPTは「資金を集めるため、あるいは標的を混乱させるためにランサムウェアをますます利用している」。報告書の中でMicrosoftは、2020年9月に始まった攻撃でランサムウェアを展開し、データを流出させている6つのイランの脅威グループを追跡している、と述べている。

同社は、Phosphorusと呼ぶ(APT35としても知られる)、特に「攻撃的」なグループを取り上げている。以前はスピアフィッシング電子メールを使って、2020年の米選挙の大統領候補者などを含む被害者を誘い出していたが、Microsoftによると、このグループは現在、ソーシャルエンジニアリング戦術を採用して被害者との信頼関係を構築してから、Windowsに組み込まれたフルディスク暗号化機能であるBitLockerを使ってファイルを暗号化しているとのことだ。

CISAとFBIは、イランの攻撃者がもたらす脅威を軽減するために、OSのアップデート、ネットワークセグメンテーションの実施、多要素認証と強力なパスワードの使用など、一連の行動をとるよう組織に呼びかけている。

画像クレジット:Scott Olson / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがWindows 11の提供範囲を拡大し配布ペース加速

マイクロソフトがWindows 11の提供範囲を拡大し配布ペース加速

Microsoft

マイクロソフトが、Windows 11の配布ペースをこれまでよりもさらに早めています。現在利用しているOSバージョンがWindows 10のバージョン2004以降で、なおかつ9月14日にリリースされたアップデートを適用済みであれば、直接Windows 11にアップグレードできるようになったとのことです。

引き続きWindows 10を使い続ける人に対しては今日、11月分の月次更新プログラムが配布され始めています。またマイクロソフトは今後はWindows 10に関してもWindows 11と同様、大型アップデートの配布ペースを年に1回に揃えるとしました。

Windows 10は少なくとも2025年10月14日のサポート終了日までは、セキュリティ面のアップデートは継続するはずです。とはいえ、新しい機能の追加はWindows 11に対しておこなわれることになり、マイクロソフトはすでにリソースの大半は新しいOSに割り当てているため、Windows 10についてなにかわくわくするようなトピックを聞くことはあまり期待しない方が良いでしょう。

マイクロソフトはWindows 11のシステム要件を満たさないハードにはこの最新OSのインストールを推奨しませんが、ユーザーが自己判断でインストールすることは可能としています。ただ、サポート外のCPUを使用している場合は、インストールはできてもアップデートができない可能性があります。

まだWindows Updateの項目にWindows 11へのアップグレード案内が来ない人も焦ることはありません。マイクロソフトは10月4日のリリース時に、2022年半ばまでに対象となるPCにアップグレードを提供する予定だとしていました。またさっさとアップグレードしたいという場合は「PC正常性チェックアプリケーション」を使って問題なくアップグレードできるかを確認して、インストールアシスタントやISOイメージから手動でアップグレードすることも可能です。ただ、お使いのソフトウェアがWindows 11にまだ対応していないことも考えられますので、問題発生時に対処する自信がない場合は、案内が来るまで待つ方が無難かもしれません。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

「Halo Infinite」の無料マルチプレイヤーモードが配信開始

Microsoft(マイクロソフト)がゲーム本編より先に、無料の「Halo Infinite」(ヘイロー・インフィニット)マルチプレイヤーモードをリリースするという噂が、ここ数日で流れ始めているが、Xbox 20周年記念イベントの中で同社はその噂を認めた。このスタンドアローンモードは、Xbox One、Xbox Series X/S、PCで利用可能だ。

現在ベータ版は誰でも参加できるようになっており「Halo Infinite」マルチプレイヤーのシーズン1は3週間早く開始されている。Microsoftと開発元の343 Industries (343インダストリーズ)は、ここ数カ月の間にいくつかのマルチプレイヤーテストイベントを実施してきたが、今回、このモードがすべての人に開放された。これにより、シーズン1の全マップ、バトルパス、コアモードにアクセスすることができるようになった。

Halo Infiniteキャンペーンの発売日は12月8日に設定されているが、いくつかの機能は発売時には間に合わない予定となっている。343 Industriesがシングルプレイヤーとマルチプレイヤーモードの品質に集中したいと考えたため、Co-op(コープ)とForge(フォージ)モードのリリースは後になる

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Kris Holt、翻訳:Yuta Kaminishi)

MetaがWorkplaceとMicorsoft Teamsの連携機能を発表、Teamsから動画配信も可能に

Meta(旧Facebook)がWorkplaceとMicorsoft Teamsの連携機能を発表、Teamsから動画配信も可能

Meta

Meta(旧Facebook)は11月10日(現地時間)、同社のコラボレーションプラットフォームWorkplaceとMicrosoft Teamsの連携機能を発表しました。Teams内からWorkpaceのコンテンツに投稿が可能になるほか、TeamsからWorkplaceグループに動画のストリーミング配信が可能となります。

TeamsとWorkplaceを利用しているユーザーは、Teams用のWorkplace連携機能をダウンロードすれば、すでに連携機能を利用可能となっています。ただし、Teamsからの動画ストリーミングに関しては、2022年初めに提供予定とのことです。

Microsoft TeamsのCVP Product & EngineeringであるJeff Teper氏は、「パンデミックから学んだことの一つが、企業は1つのツールだけに頼って仕事をしているわけではないということです。よって、企業が使用しているツールが統合され、相互運用されるようにすることは、この分野のリーダーとしての責任です」と連携の意義を語っています。

MetaとMicrosoftは以前からエンタープライズ製品では協力しており、ExcelやWord、PowrPointなどは、すでにWorkplaceで利用可能です。また、スマートディスプレイPortal Goの発表時には、12月にTeamsのサポートを追加するともしていました。

(Source:MetaEngadget日本版より転載)

マイクロソフトが教育市場向けに安価なノートPC「Surface Laptop SE」とWindows 11 SEを発表

Microsoft(マイクロソフト)は、新型コロナウイルス流行によって変わった「新しい教室の形」に参入を図るため、Windows 11の縮小版と、Surface(サーフェイス)ブランドの他、いくつかの他メーカー製の安価なノートPCを用意した。同社がこの分野で人気の高いGoogleのChromebook(クロームブック)を視野に入れていることは明らかであり、パートナー企業もこれに賭けることにしたようだ。

詳しい紹介に入る前に、まず、このWindows 11 SEの「SE」が、Windows 98 SEの「second edition(第二版)」、iPhone SEの「special edition(特別版)」、Macintosh SEの「system expansion(システム拡張)」などと違い、特に何かを意味するものではないことを確認しておこう。このSEは「HomeやProなどの他のエディションと明確に区別するためのもの」であるとマイクロソフトはいうが、なぜそれがまったく意味のない頭文字ではなく「Students and Educators(学生および教育関係者)」の略だとはっきりいわないのか、私には理解できない(そう、誰かの真似でも問題ないと思うのだが)。

名前の由来はともかく、今回発表された「Surface Laptop SE(サーフェイス・ラップトップSE)」は、マイクロソフトがこの分野で実現したいと考えていることの観念的な形、あるいはリファレンスデザインと言えるかもしれない。これは基本的な機能を備えた250ドル(約2万8000円)のノートPCだが、リモート授業や修理しやすさを考慮して設計されている。

スペックは誰も驚くようなものではないが、これは4K VFXワークステーションではなく、宿題やリモート学習用のマシンを想定しているのだ。いくつか箇条書きにしてみよう。

Intel Celeron N4020またはN4120シリーズ(グラフィック統合型)

  • 4GBまたは8GBのRAM
  • 64GBまたは128GBのeMMC内蔵ストレージ(拡張不可)
  • 720pのウェブカメラ(「改良された顔認識」機能付き)
  • Wi-FiおよびBluetooth
  • USB-A×1、USB-C×1、3.5mmヘッドフォンジャック

USB-Cを充電に使用する機能が欠けているものの(昔ながらの円筒形の電源コネクター用ポートが別に備わる)、この価格のマシンに期待するような仕様としては過不足ない。

画像クレジット:Microsoft

ただし、画面解像度1366 × 768の11.6インチ・ディスプレイは別だ。もちろん、これは子ども向けを想定したものではあるが、それでもこの価格で買えるChromebookには、1080pのスクリーンを搭載する機種があり、文字の鮮明さと動画の質が大きく向上する。どちらもこのようなノートPCに最適化が求められるものだ。

マイクロソフトによると、高級ノートPCに搭載されている強固なキーボードを、このデバイスにも採用しているとのこと。これは良いニュースだ。また、修理性を重視している点も歓迎できる。「ディスプレイ、バッテリー、キーボード、さらにマザーボードまで、重要なコンポーネント現場で簡単に修理することができるため、IT管理者や学校にとって時間とコストの節約になります」と、マイクロソフトは記している。

マイクロソフトの他にも、Acer(エイサー)、ASUS(エイスース)、Dell(デル)、Dynabook(ダイナブック)、富士通、HP、JP-IK、Lenovo(レノボ)、Positivo(ポジティーボ)から、同様のデバイスが販売されるが、これらのマシンはIntelまたはAMDのチップを搭載しており、スペックにも多少の違いがあると思われる。すべてが新製品というわけではない(例えば、すでにDynabookのE10は2021年前半に発売されている)が、新しいOSに適合している。

これらのノートPCに搭載されるWindows 11 SEは、学校が大量に導入しやすいように設計されたOSだ。上述のハードウェアに最適化されており、Microsoft 365をはじめとする一般的なアプリやサービスがあらかじめインストールされているため、迅速かつ簡単にプロビジョニングできる。学校のIT部門だけがアプリの追加や削除をできるようにしたり、ウェブサイトの閲覧も制御できる。自動更新、クラウド管理といった機能も、すべて揃っている。

マイクロソフトのWindows 11 SEは、2つのアプリを横並びに固定できる。画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは発表文の中で、必ずしもすべての学生が自宅のインターネット環境に頼れるわけではないと指摘。そこで同社は、内蔵アプリがインターネットに接続できない環境でも動作するようにした。Microsoft 365アプリはオフラインでも使用でき、OneDriveは変更をローカルに保存しておき、Wi-Fiに接続した時点で自動的に同期する。

マイクロソフトは、主力OSの用途限定的な派生版では悲喜こもごもの思いをしてきた。Windows RTは最も有名な失敗作だったが、11 SEはそれとはまったく異なる。確かに、特定のハードウェアで動作するように作られており、多くの基本機能がロックされているものの、実際にそういうものを求める特定の市場を対象にしている。

かつて一時的に人気を博したネットブックも、ほとんど誰の役にも立たないものではあったが、今では必要最低限のPCとブラウザがあれば多くのことができるようになっている。願わくは、これらの控えめなノートPCが生徒たちの手に渡ることで、リモート学習の現状が少しでも改善されることを期待したい。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Windows 7〜8.1デスクトップ版OneDriveの同期が2022年3月1日で終了へ

Windows 7〜8.1デスクトップ版OneDriveの同期が2022年3月1日で終了へ

Microsoft

米マイクロソフトは、2022年1月1日でWindows 7、8、8.1向けのOneDriveデスクトップアプリのアップデートを終了し、3月1日にはOneDriveとの同期も終了することを明らかにしました。これらのOSを使用している個人ユーザーは3月1日以降、ウェブインターフェースからファイルをアップ/ダウンロードすることができるものの、アプリケーションを介した自動同期を引き続き利用したい場合はWindows 10以降へのアップグレードが必要になります。


一方、ビジネスユーザーの場合はOneDriveサービスもOSのサポート期間に準ずるため、Windows 7、8.1は延長サポート終了期日の2023年1月10日まで同期も行えます(Windows 8はすでに終了済)。

マイクロソフトは、アプリアップデートと同期の終了について「新技術やOSにリソースを集中し、最新の安全な利用環境を提供するため」と述べていますが、わかりやすく翻訳すれば「いつまでもメインストリームサポートの終わったOSを使い続けていないで、さっさと新しいOSを買ってくれ」ということです。

もちろん、企業ユーザーがOSのアップデートをなかなかしないのは、業務上、使用しているソフトウェアの動作を保証できないなどやむを得ない事情もあります。一方で、ただ単に面倒だったり、情報部門担当者の立場が弱くアップグレードのための予算がなかなか確保できない可能性もあります。

とはいえ、やはり古いOSの古いセキュリティ設計では様々なリスクからPCや社内ネットワークを保護できない可能性が高まるのも事実。一時期猛威を奮ったランサムウェアなどは、気づかぬうち社内ネットワークにつながるPCすべてをロックしてしまい、企業や組織の活動を機能不全に陥れてしまうことがあります。そうなれば業種によっては甚大な損害を被ることになりかねません。

たとえ古いオペレーティングシステムに満足している場合でも、OneDriveを使い続けたいのであれば、これをきっかけに最新のWindowsへのアップデートを検討することをおすすめします。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

LINEがAzureパートナー各社と小売業界のDX支援を目的とした共同プロジェクトを開始

LINEがAzureパートナー各社と小売業界のDX支援を目的とした共同プロジェクトを開始

LINEは11月4日、日本マイクロソフトおよびMicrosoft Azureパートナー各社と基本合意書を締結し、小売業界のDX支援を目的とした共同プロジェクトを開始したと発表した。LINEのAPIとAzure提供サービス群をかけ合わせた小売業界向けソリューションの開発・導入をワンストップで推進する。

LINEがAzureパートナー各社と小売業界のDX支援を目的とした共同プロジェクトを開始

共同プロジェクトへの参画企業

具体的な活動内容は、以下の通り。

  • LINEとAzureサービス群を利用した新規ソリューションの企画・開発:同プロジェクトへの参画パートナーを通じた小売向けソリューションの企画および開発支援を実施
  • パートナープログラムの発足:同プロジェクトへの参画パートナーの募集、参画パートナーのソリューション開発における技術支援、参画パートナー間での共同ソリューションの企画支援を実施
  • クライアント企業への共同提案・企画支援:LINEのAPIとAzureサービス群を活用した小売向けソリューションの提案、クライアントへのハンズオンを実施
  • マーケティング支援:各種イベントへの参加、各社主催のセミナーなど事例発信を通じたプロモーション支援
  • データ分析:同プロジェクトの結果から得られた、各プラットフォーマーおよびパートナーによる協働でのデータ分析

マイクロソフトが、サプライチェーンと製造業を近代化する新ツールを発表

新型コロナウイルス感染流行は、原材料の欠如や労働力の不足など、様々な理由で世界のサプライチェーンに大打撃を与えた。問題は依然として続いており、Microsoft(マイクロソフト)はサプライチェーンと製造業の近代化に、多大なリソースを投入することを決定した。

これらの問題に対処するために、同社は「Microsoft Cloud for Manufacturing(マイクロソフト・クラウド・フォー・マニュファクチャリング)」と呼ばれる新しい製造業向けソリューションと、「Dynamics 365 Supply Chain Insights(ダイナミクス365サプライチェーン・インサイト)」という、サプライチェーンのルート上で起こっていることをより可視化し、問題が発生したときに対処するためのインテリジェンスを提供するためのツールを発表した。米国時間11月2日に開催された「Microsoft Ignite(マイクロソフト・イグナイト)」で発表された両製品は、同日よりプレビュー版が提供されている。

マイクロソフトの製造・サプライチェーン担当VPを務めるCaglayan Arkan(カグラヤン・アルカン)氏によれば、同社はこれらの問題を企業が解決するのに役立つ方法を考えるのと同時に、製造業にとって課題となっている、よりデジタルに注力した企業への進化を支援する方法を考えてきたと述べている。

アルカン氏によると、この事態を調査したマイクロソフトは、新型コロナウイルスの圧力に直面した際に、持ち堪えることができない脆弱なシステムを目の当たりにしたという。「製造業やサプライチェーンは非常に確固とした状態にあり、非常に引き締まっています。おそらく引き締まり過ぎているのです。これらの業界では、非常に長いサイクルと手動でサイロ化されたデータの状態に大変満足してきました」。

新型コロナウイルス感染流行が起こるまで、製造業は何年もこの方法で仕事をしてきており、変える理由がなかったのだと、アルカン氏は付け加えた。「(新型コロナウイルス流行によって)すべてが止まりました。従業員を現場に送ることができなくなり、物資もそこにはありませんでした。サプライヤーの顔を見ることもできず、商品がどこにあるのかもわからず、大きな混乱に陥りました」と、アルカン氏は説明する。

マイクロソフトの製造業向けクラウドは、工場のデジタル化を支援し、従来の記録システムからアルカン氏の言う「現実のシステム」へ移行することによって、完全なデジタル化への道筋を提供する。

つまり、製造企業は、市場でどんな需要があるか、現場で何が生産されているか、世界で何が供給されているかをリンクさせて、全体像を把握できるようになる必要があり、それによって新型コロナウイルス流行の初期にトイレットペーパーやPPE(個人防護具)の需要が急増したときのような、不意打ちをくらわないようにすることができるということだ。

Cloud for Manufacturingは、このような徴候を収集し、追加の供給が必要になった場合には製造業者に警告を発するように設計されている。そしてSupply Chain Insightsツールは、サプライチェーンのルートをマッピングし、ボトルネックが発生する前に、主要な原材料の供給に影響を与える可能性のある問題を根絶するように設計されている。これらのツールを組み合わせることで、製造企業は俊敏性と柔軟性を向上させることができる。

Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Insights 画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは、これまで非常にゆっくりと近代化を進めてきたこの種の企業が、既存のシステムを引き剥がして取り替えたり、大規模なプロジェクトを抱えたりすることは望んでいないと理解している。アーカン氏が言うように、まずは1つのプロジェクトを成功させてから、次のプロジェクトに移る必要があり、アーカン氏によれば、このソリューションはそれができるように設計されているという。

しかも、それぞれのプロジェクトは互いに積み重なり、節約とイノベーションによって、次のプロジェクトの資金源になると、アーカン氏は言う。「デジタルトランスフォーメーションにおけるすべてのステップ、当社とのすべてのエンゲージメントは、次のプロジェクトに資金を追加するための経済的余裕を生み出します。なぜなら、当社のソリューションは、8~12週間のうちに、総収入や生産能力を増やしたり、コスト削減や品質向上をもたらすからです」と、アーカン氏は述べている。

これは大胆な約束ではあるが、もしマイクロソフトが本当にそれを実現できるなら、伝統的にこのような大きな変化を拒んできた企業にも、モダナイゼーションへの快適な道が開かれることになる。

マイクロソフトをはじめ、SAPやSalesforce(セールスフォース)などの大企業がこれらの本質的な問題を解決できれば、今日見られるようなサプライチェーンの問題が緩和される可能性がある。ソフトウェアだけでは、不足している原材料を魔法のように生産したり、物資の製造や配送のために十分な人員を雇用したりすることはできないが、将来におけるこのような危機を緩和するために役立つソリューションの一部となることはできる。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Azureがカオスエンジニアリングツール「Chaos Studio」を発表

カオスに頼るのは健全なエンジニアリングの方法ではないように思えるかもしれない。しかしカオスエンジニアリングは急速に、現実の障害で複雑なシステムが試される前にテストをする標準的な方法になりつつある。Netflixのエンジニアリングチームが2012年にChaos Monkeyを開発し、これは今でもよく使われるツールの1つだ。米国時間11月2日、Microsoft Azureも同社プラットフォーム上でユーザーが利用できる同様のツール、Azure Chaos Studioを発表した。

AzureユーザーはChaos Studioを使って、自分のアプリにランダムな停止、極端なネットワークレイテンシー、シークレットの無効化、さらにはデータセンターの完全な停止などを発生させ、実際の障害時にアプリがどう反応するかを確かめることができる。こうしたことが発生した場合に何が起きるかの理論を構築し、それに応じて計画を立てる方法はある。しかし実際の動作を見るのは、また別の話だ。現在のデータセンターインフラストラクチャの複雑さを考えれば、どこかで発生した小さな障害が雪崩のように大きな問題となるのはあり得ることで、あなたが気づく前にプラットフォームは数日間ダウンしてしまう。

ちなみにAWSはFault Injection Simulatorで同様の機能をユーザーに提供している。人気のエンジニアリングのコンセプトで多く見られるようにこうした分野のスタートアップもあり、例えばGremlinはカオスエンジニアリングに特化したサービスを提供している。

画像クレジット:PM Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft Teamsが3Dアニメーション・アバターを採用、メタバースを目指す

Microsoft(マイクロソフト)もメタバースに一枚加わりたいようで、本日(米国時間11月2日)のIgnite(イグナイト)カンファレンスで同社は、Teams(チームズ)で顔を出したくない参加者のための3Dアバターを発表した。このパーソナライズされたアニメーション・アバターは、Microsoftが “Mesh for Teams” (メッシュ・フォー・チームズ)と呼んでいるものの一環だ。Mesh for TeamsはMeshプラットフォームWindows Live Meshとは別物なので間違えないように)を使って外部の仮想現実や拡張現実で共有されている体験を、Teamsやその生産性ツールと組み合わせるしくみだ。それは1通のメールで済んだはずのミーティングと同じものだが、しかし同じではない。

Mesh for Teamsをアクセスするためには、スマートフォンからVRヘッドセットやHoloLens(ホロレンズ)まであらゆるものを利用できる。Microsoftは、これが生産性のためのメタバースである、という事実を隠すそぶりもなく、「オンライン会議をもっとパーソナルで魅力的で楽しいものにするように作られています」とMicrosoftのJohn Roach(ジョン・ローチ)氏がこの日の発表で言った。「そこはメタバースへの入り口でもあり、永続的なデジタルワールドには人、場所、物のデジタルな双子が居住しています。このメタバースを、インターネットの新しいバージョン、あるいは新しいビジョンと考えてください。そこでは人々がパーソナルなバーチャル・プレゼンスを使って、どのデバイスからでも集まり、話し合い、協力し、共有することができます」

そのビジョンでは、人々はやはり会議に参加しているが、前よりも楽しい、なぜならメタバースだから。ということなのだろう。

画像クレジット:Microsoft


「生産性と知識労働者に焦点を当ててきた会社にとって、それは顧客がわれわれに本当に求めていることであり、当社が12年間取り組んできた複合現実のビジョンとも一致しています。すべてが一体となって進んでいます」と、常に熱意に溢れるMicrosoftの技術フェロー、Alex Kipman(アレックス・キップマン)氏は言った。

今のところ、ほとんどのユーザーにとって、Meshは3Dのパーソナライズされたアバターが本人のしゃべりを真似している以上のものではなく、動きも伴わない。Microsoftによると、企業はTeams内に、独自のスペース(今われわれが使っている用語ならメタバース)を作ることもできて、そこでは人々がバーチャルに交わり協力できるということだ。

「そこには存在している感覚があります。たとえそれが、本人の音声をアバターの顔の動きで表しているだけであっても。これが最初のリリースです」とMicrosoftのMesh for Teams担当主席プロジェクト・マネージャー、Katie Kelly(ケイティー・ケリー)氏は書いている。「私たちの野望は、Microsoftの有り余るほどのAIテクノロジーを使ってこれを進化させていくことです。たとえばカメラを使って口の位置を推測し、頭と顔の動きを模倣することができます」

Accenture(アクセンチュア)はMicrsoftと共にこれをテストしている。同社は社員が「コーヒーやプレゼンテーション、パーティー、その他のイベントのために集まれる」バーチャル・キャンパスを作った。新入社員の研修にも利用している。Accentureは毎年10万人採用しているらしい。60万人の社員がいる同社で、メタバースがその離職率を改善できるのかどうかわからないが、高給取りのコンサルタントの会社なので、一番良く知っているのだろう。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoft Azureがハイブリッド及びマルチクラウドの機能を拡大

Microsoft Azureは近年、競合他社と同様、企業が単一のプラットフォームを使ってクラウドや自社のデータセンターの仮想マシンやコンテナを管理できるツールを数多く発表してきた。その主要なツールがAzure Arcだ。Microsoft(マイクロソフト)は米国11月2日のIgniteカンファレンスで、Arcの新機能やハイブリッド及びマルチクラウドのラインナップ全体を紹介した。このイベントがITプロフェッショナルを対象としていることを考えれば、Igniteでの発表は驚くにあたらない。

「顧客は、何千、何万ものアプリ、データベース、サーバーを様々な場所で運用しています」とMicrosoftのAzure Edge and Platform担当コーポレートバイスプレジデントであるRoanne Sones(ロアンヌ・ソンズ)氏は話す。「規制は常に進化し、拡大しています。セキュリティ攻撃はますます巧妙になっています。一貫性をもってそれらに対応することは、セキュリティ攻撃が実行される環境の広がりを考えると、非常に難しくなっています。かなりの負担を強いられます。そこで同時に、クラウドに注目し、その革新的な乗り物に便乗したいと考えますが、クラウドに移行できないワークロードがあり、それは困難です。クラウドで利用できるものを、必要な場所と方法で実際に運用するには、どうすれば良いでしょうか」

ソンズ氏は、すべてを一貫して管理する方法を見つけることが第一歩だと主張する。最近のインフラの複雑さを考えると、道のりは幾分長い。MicrosoftはIgniteで、管理を容易にするいくつかの新しい統合機能を紹介した。その中には、Azure Stack HCI、VMware vSphere、Azure Policy Guest Configurationとの統合が含まれる。例えば、Azure Stack HCI(HCIは「hyperconverged infrastructure=ハイパーコンバージドインフラ」の略)は、デフォルトでArcに対応する。また、vSphereユーザーは、AzureからセルフサービスのVMコントロールが利用可能になり、vSphereテンプレートに基づいてVMを管理できるようになる。さらに、Azure Arcは、以前のアップデートですでにArc対応環境でのモデルの構築とトレーニングが可能になっていたが、今回、機械学習の推論もサポートする。

「クラウドとエッジの間に完全な一貫性を持たせることができるようになりました」とソンズ氏は語る。「データを移動したくなければ、その必要はありません。これまでは、オンプレミスにデータを移動させる必要がありました。クラウドでは、Arcに対応したすべての機能を利用し、それを持ち帰ることができます。新しいフルライフサイクルを実現させたのです」

現在、Microsoftの顧客の多くは、そうしたAI機能を概念実証で使用しているが、必ずしも本番環境で使用しているわけではない。しかし、ソンズ氏によれば、すでにマルチクラウド環境でモデルを本番環境に投入し始めている顧客もいるという。これは、Azureの顧客(名の知れたユーザーとしてNokiaがいる)が、規制の多い業界で活動していることが大きな理由だ。

オンプレミスの利用に配慮した、もう1つの関連する新機能は、Azure Virtual Desktopsの提供開始だ。顧客のオンプレミスのデータセンターにあるAzure Stack HCI上で、マルチセッションのWindows 10および11のデスクトップインスタンスをクラウド上で実行する機能だ。ソンズ氏によると、これは規制産業のユーザーが求めていた機能だが、こうしたローカルでの展開は、レイテンシーが問題となる場合でも重要だ。

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画像クレジット:sedmak / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフト、新しくAzure OpenAI Serviceを通じ言語AI「GPT-3」を招待制で提供開始

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間11月2日、Azure OpenAI Serviceの提供開始を発表した。Azure OpenAI Serviceとは、その名の通り、OpenAIの機械学習モデルをAzureプラットフォーム上で利用できるようにするものだ。具体的には、OpenAIの画期的な大規模自然言語処理モデルである「GPT-3」が対象となる。GPT-3は、適切な環境下であれば、わずかなプロンプトで人間のようなテキストを生成することができる。

しかし、少なくとも今のところ、すべてのAzureユーザーがアクセスできるわけではない(たとえお金を払う用意があっても)。アクセスは招待制で「AI技術を使用するための責任ある原則と戦略を取り入れた、明確に定義されたユースケースを実装する予定の顧客」が対象とのこと。Microsoftは、GPT-3の悪用や誤用のケースを見つけるための安全性モニタリングと分析を提供し、GPT-3をベースにしたチャットボットが(たとえそれに値するとGPT-3が考えたとしても)重役に悪態をつき始めたりしないようにするためのフィルターを提供する。

画像クレジット:Microsoft

ここで注目に値するのは、OpenAI自体は2020年、すでにGPT-3のAPIを公開していることだ。ただし、まだウェイティングリストがある。MicrosoftもGPT-3を使って、デベロッパーのコード作成を支援する「GitHub Copilot」ツールをすでに構築している。しかし、Azure以外でGPT-3にアクセスする方法はすでにあるが、Microsoftは「セキュリティ、アクセス管理、プライベートネットワーク、データ処理の保護、またはスケーリング能力の追加レイヤー」を提供できるとしている。

Microsoftは2019年にOpenAIに10億ドル(当時約1080億円)を投資し、GPT-3のライセンスを取得しているので、今、より広い範囲の製品に導入しようとしているのは驚くことではない。

OpenAIのSam Altman(サム・アルトマン)CEOはこう語った。「GPT-3は、自然言語のための最初の強力な汎用モデルであることを証明しました。1つのモデルであらゆることに使えるので、非常に簡単に試すことができ、デベロッパーにとって使いやすいものです。以前から、可能な限り広くスケーリングする方法を見つけたいと思っていました。その点が、Microsoftとのパートナーシップで最も期待していることです」。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトがアプリを横断して使えるコラボツール「Microsoft Loop」を発表

Microsoft(マイクロソフト)は、Google(グーグル)が2009年に立ち上げて2010年に早々と閉鎖し、運の尽きたリアルタイムメッセージング&コラボレーションプラットフォームGoogle Waveを復活させる。

この再登場は予想すべきだったかもしれない。2019年にMicrosoftはFluid Frameworkを発表した(Fluentデザインシステムと混同しないで欲しい)。ここでのアイデアは、ビジネス文書の性質と、開発者がリアルタイムアプリケーションを構築する方法を再発明しようとするものに他ならなかった。同社は2020年にFluidをオープンソース化し、自社のOfficeアプリケーションのいくつかに組み込みを開始した。そして米国時間11月2日、Igniteカンファレンスにおいて、Fluidをベースにしたまったく新しい製品を発表した。Microsoft Loopだ。

Loopは、Fluidフレームワークを採用した新しいアプリケーションであり、新しいコンセプトでもある。Fluidフレームワークは、リアルタイム編集ベースのアプリケーションを作成するために、開発者が自由に組み合わせられる柔軟なコンポーネントを提供し、ユーザーが文書でコラボするための新しい体験を創り出す。リアルタイムのコラボに加えて、開発者用のフレームワークとプロトコルを提供することで、Waveをあらゆる場所で利用できるようにするというのが、Google Waveの約束でもあった。

そしてあなたはこういうかもしれない。Teamsのためのものではないのか? なぜこれがTeamsに組み込まれていないのか、と。その通りだ。それらの取り組みは進行中だ。しかしLoopアプリでもある。このアプリは、Microsoftがいうところの「パワフルでフレキシブルなキャンバスと、アプリ間を自由に移動して同期を保つポータブルなコンポーネントを組み合わせたもので、チームがともに考え、計画し、創造することを可能にする」ものだ。

Loopには3つの要素がある。リスト、テーブル、ノート、タスクなどの「生産性の原子単位(atomic units of productivity)」(このフレーズを考え出した人には脱帽だ)であるLoopコンポーネント「コンポーネントを整理し、ファイルやリンク、データなどの他の有用な要素を取り込み、チームが考え、つながり、コラボするのに役立つ柔軟なキャンバス」であるLoopページ、そしてみんなが取り組んでいることを把握し、共有する目標に向けての進捗を確認できる共有スペースであるLoopワークスペースだ。

Waveにはなかったことだが、Loopの中核的な機能として、Loopはカーソルの位置をリアルタイムに追跡することができる。これはメタバースの現状を表す。カーソルを動かしているときほど、会議に参加していることをアピールできるものはない。

間もなく提供されるLoop / Fluentの新しいコンポーネントとしては、投票表(Google Waveの最初の機能だ)とステータストラッカーがある。

Google Waveは明らかに時代の先を行っていた。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi